(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】コンデンサ用バスバー及びコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20241018BHJP
H01G 4/32 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01G4/228 S
H01G4/32 531
H01G4/32 305A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529437
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2022078208
(87)【国際公開番号】W WO2023088613
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーグナー,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサレス,アルバロ
(72)【発明者】
【氏名】アルカス,アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,マヌエル
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB04
5E082CC06
5E082CC13
5E082EE07
5E082GG08
5E082HH02
(57)【要約】
【要約】
コンデンサ用のバスバーが記載され、バスバーは積層され、バスバーは円形形状を含む。さらに、バスバーを備えるコンデンサが記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ用のバスバーであって、
前記バスバーは積層され、前記バスバーは円形形状を含む、バスバー。
【請求項2】
コンデンサの極に接続されるように適合され配置された第1の層および第2の層を備え、前記バスバーは、前記層が互いに重なり合う重なり領域を備える、請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
絶縁層が、少なくとも前記重なり領域において、前記第1の層と前記第2の層との間に配置される、請求項2に記載のバスバー。
【請求項4】
前記第1の層は複数の第1の接続領域を備え、前記第2の層は複数の第2の接続領域を備え、前記第1の層の前記重なり領域とそれぞれの第1の接続領域とは互いに合流し、前記第2の層の前記重なり領域とそれぞれの第2の接続領域とは互いに合流する、請求項2または3に記載のバスバー。
【請求項5】
前記バスバーは、高周波用途に適合され、配置される、請求項1に記載のバスバー。
【請求項6】
前記バスバーは、横方向に重なり合ったバスバーである、請求項1に記載のバスバー。
【請求項7】
複数の巻線素子と、
少なくとも1つの、請求項1に記載のバスバーと、を備えるコンデンサであって、
前記コンデンサは、円形形状を有し、前記バスバーは、前記巻線素子を並列に接続するように適合され、配置される、コンデンサ。
【請求項8】
前記バスバーは、前記コンデンサのケースの内部に配置されている、請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記バスバーは、少なくとも部分的にはそれぞれの巻線素子の外側に沿って延在する第1の層および第2の層を備え、前記バスバーは、前記第1の層および前記第2の層が互いに重なり合う重なり領域を備える、請求項7または8に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記バスバーは、それぞれの巻線素子の直径に適合された形状を有する、請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記バスバーは、前記巻線素子の極に電気的かつ機械的に接続されるように適合され、配置された複数の接続領域を備える、請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項12】
それぞれの接続領域は、巻線素子のそれぞれの極にはんだ付けされている、請求項11に記載のコンデンサ。
【請求項13】
第1の接続領域の数は、巻線素子の数に対応し、第2の接続領域の数は、巻線素子の数に対応する、請求項11または12に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記バスバーは、前記コンデンサの長手方向軸に沿って延在し、前記バスバーは、横方向に重なり合ったバスバーである、請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項15】
単一の重なり合ったバスバーを備える、請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項16】
すべての前記巻線素子は、前記単一の重なり合ったバスバーに接続される、請求項15に記載のコンデンサ。
【請求項17】
各巻線素子は、巻線素子の量とは無関係に、追加の接続部によって前記単一の重なり合ったバスバーに接続される、請求項15または16に記載のコンデンサ。
【請求項18】
前記コンデンサの主長手方向軸に沿った前記バスバーの延在部は、巻線素子の数に適合されている、請求項7に記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ用バスバーに関する。また、本発明は、前記バスバーを備えるコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波用途では、コンデンサは、動作帯域幅内で表1に定義された要件を満たさなければならない。
【表1】
【0003】
低等価直列インダクタンス(ESL)、低等価直列抵抗(ESR)、周波数安定等価直列抵抗、および均一な内部電流分布が必要とされる高周波用途に、重なり合ったバスバーが使用される。重なり合ったバスバーはまた、素子間の内部共振の回避にも寄与する。
【0004】
円形構造を有するコンデンサは、通常、軸方向に配置されて並列に接続された巻線によって内部で分割される。内部構造(円形巻線および接続素子)は、円形のケースに詰められる。コンデンサの丸い形状は、内部の重なり合ったバスバーの使用を機械的な観点から特に複雑にする。
【0005】
従来、コンデンサ巻線は、重なり合うことなく、平坦なバンドまたはワイヤによって接続される。この構成は、高周波数で良好な性能が要求される場合には、以下の欠点を有する。
-動作帯域幅は、低周波数(fsw<10 kHz)に制限される。
-DCリンクコンデンサは、外部バスバーによって並列に接続されたいくつかの独立したコンデンサに分割されるが、空間が制限され、増加させることができるコンデンサの寸法が高さだけである場合、この問題は、効率的な機械的解決策では解決することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、上述の問題を解決することである。この目的は、独立請求項に記載のバスバーおよびコンデンサによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、バスバーが提供される。バスバーは、コンデンサに使用されるように構成される。バスバーは、コンデンサ、特に丸形コンデンサに組み込まれるように適合される。バスバーは、高周波用途に適合され、配置される。バスバーは積層されている。言い換えれば、バスバーは少なくとも部分的に重なり合う。バスバーは、従来のバスバーよりも、より大きな幅/コンデンサの長手方向軸に垂直なより大きな延在/より大きな方位角延在を含むように設計される。
【0008】
バスバーは、円形形状を含む。例えば、バスバーは、円筒シェルの一部の形状を含む。バスバーは、バスバーが組み込まれるコンデンサの外形に適合される。特に、バスバーは、コンデンサの巻線形状に適合される。
【0009】
積層バスバーによって、寄生インダクタンスおよび抵抗(ESRi、Rp、Rp2、ESLi、Lp、Lp2)は、強く低減され得る。これにより、バスバーは、高周波用途に特に適したものとなる。
【0010】
一実施形態によれば、バスバーは第1の層又は極を含む。バスバーは、第2の層又は極を更に含む。これらの層は、例えば銅を含むことができる。バスバーの層は、コンデンサの極、特にコンデンサの巻線素子の極に接続されるように適合され、配置される。バスバー、特に層は、重なり領域を含む。重なり領域において、バスバーの層は互いに重なり合う。このようにして、短く、非常に平衡のとれた電気接続が容易になる。
【0011】
一実施形態によれば、絶縁層が第1の層と第2の層との間に配置される。絶縁層は、例えばポリマーを含んでもよい。絶縁層は、少なくとも重複領域に設けられる。このようにして、バスバーの2つの層の間の短絡を効率的に回避することができる。
【0012】
一実施形態によれば、第1の層は、複数の第1の接続領域を備える。第2の層は、複数の第2の接続領域を備える。第1の層の重なり領域とそれぞれの第1の接続領域とは、互いに合流する。すなわち、第1層と第1接続領域とは、一体的に形成されている。第2の層の重なり領域とそれぞれの第2の接続領域とは、互いに合流し、すなわち、第2の層と第2の接続領域とは、一体的に形成される。従って、重複領域と接続領域との間のエラーを起こしやすい接続が排除される。
【0013】
さらなる態様によれば、コンデンサが提供される。このコンデンサは、高周波用途に適合される。コンデンサは、複数の巻線素子、例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の巻線素子を有する。巻線素子は、軸方向に配置され、すなわち、コンデンサの主長手方向軸に沿って配置される。
【0014】
コンデンサは、少なくとも1つのバスバーをさらに備える。好ましくは、コンデンサは、ちょうど1つのバスバーを備える。換言すれば、コンデンサは単一のバスバーを備える。バスバーは、前述のバスバーであってもよい。したがって、バスバーに関連して説明される全ての特徴は、コンデンサにも同様に当てはまる。
【0015】
コンデンサは円形形状を有する。コンデンサは、円筒の形状を有してもよい。したがって、各巻線素子も円筒形状を有する。積層/重ね合わせバスバーは、巻線素子を並列に接続するように適合され配置される。全ての巻線素子は、単一の重なり合ったバスバーに接続される。
【0016】
積層バスバーは、コンデンサのより短くより平衡した電気接続を提供し、したがって、従来のコンデンサと比較してコンデンサの電気性能の改善を提供する。寄生インダクタンス及び抵抗は、コンデンサの金属化フィルムの幅とは無関係に、大幅に低減することができる。さらに、Cが均一であることを考慮すると、コンデンサの端子から各独立した巻線素子までのインピーダンス(Z)は、すべての帯域幅において均一である。
【0017】
一実施形態では、バスバーは、コンデンサのケース内に配置されている。したがって、バスバーは内部バスバーである。好ましくは、バスバーは、巻線素子の外側に配置される。好ましくは、バスバーは、巻線素子の外側の20~50%を覆う。積層バスバーは、非常に省スペースである。特に、上述の積層バスバーを有するコンデンサは、標準的な接続(銅バンド)を有するコンデンサと同様の寸法を維持することができる。コンデンサ直径の標準寸法が維持されるという事実により、電力変換器における良好な集積が可能になる。
【0018】
一実施形態によれば、バスバーは第1の層又は極を含む。バスバーは、第2の層又は極を更に含む。第1および第2の層は、互いに電気的に絶縁されている。特に、これらの層は、上述の絶縁層によって電気的に絶縁されている。
【0019】
バスバーの層は、少なくとも部分的に、それぞれの巻線素子の外側に沿って延在する。換言すれば、バスバーは、長手方向軸に沿って巻線素子の外側に延在する。
【0020】
バスバーは、重なり領域を含む。重なり領域において、バスバーの層/極は互いに重なり合う。バスバーは、コンデンサの長手方向軸に沿って延在するので、バスバーは、横方向に重なり合ったバスバーである。
【0021】
好ましくは、バスバーの重なり領域は、巻線素子の外側の5%~40%を覆う。換言すれば、長手方向および方位角方向におけるバスバーの延在は、2つの層が重なる領域が巻線素子の外面の最大40%を占めるようなものである。これにより、重なりが大きくなればなるほど、寄生インダクタンス及び抵抗の補償が良好になる。重なり領域の大きさは、コンデンサの大きさと巻き数に依存する。
【0022】
一実施形態によれば、バスバーは、それぞれの巻線素子の直径に適合された形状を有する。特に、バスバーは、円形、例えば、円筒シェルの一部の形状を含む。バスバーは、任意の数の巻線と共に使用することができる。全ての巻線は、単一の重なり合ったバスバーに接続される。換言すれば、バスバーの長さ及び/又は方位角方向の延在は、巻線素子のサイズ及び数に適合させることができる。したがって、非常に柔軟に使用可能なバスバーが提供される。
【0023】
一実施形態によれば、バスバーは、複数の接続領域を備える。特に、第1の層は、複数の第1の接続領域を備える。第2の層は、複数の第2の接続領域を備える。第1の接続領域の数は、巻線素子の数に対応する。さらに、第2の接続領域の数は、巻線素子の数に対応する。
【0024】
接続領域は、巻線素子の極に電気的及び機械的に接続されるように適合され配置される。接続領域は、巻線素子の極にはんだ付けされてもよい。したがって、第1の層は、それぞれの巻線素子の第1の極に接続されてもよい。第2の層は、それぞれの巻線素子の第2の極に接続されてもよい。換言すれば、各巻線は、追加の接続部(例えば、接続領域/はんだ接合部)によって、単一の重なり合ったバスバーに接続される。
【0025】
要約すると、コンデンサは、巻線素子の量とは無関係に、各巻線素子が追加の接続部によって接続される単一の重なり合ったバスバーを備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
したがって、バスバーと極との間の短くかつ非常に平衡した電気接続が可能になる。このようにして、コンデンサの電気的性能が向上する。さらなる特徴、改良点および便宜は、図面と関連して例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【0027】
【
図1】従来技術によるキャパシタンスユニットの簡略化された電気モデルの概略図である。
【
図2】従来技術によるDCリンクコンデンサの簡略化された電気モデルの概略図である。
【
図3a】従来技術によるコンデンサの概略斜視図である。
【
図3b】従来技術によるコンデンサの概略斜視図である。
【
図10】従来技術によるコンデンサと本開示によるコンデンサとの間の比較ESR測定の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1、2、3a、および3bは、従来技術によるコンデンサに関する。特に、
図3aおよび
図3bは、第1の側(
図3a)および反対側(
図3b)からの従来のコンデンサ100を示す。コンデンサ100は、平坦な銅バンド102によって並列に接続されたユニットCi(
図1および
図2参照)に分割される。各キャパシタンスユニットCiは、キャパシタンス素子(巻線素子101)と、銅バンド102へのその接続とを含む。
【0029】
巻線素子101は、銅バンド102の重なりなしに銅バンド102によって並列に接続される。銅バンド102は、巻線素子101の端子/極103を電気的に接続する。各銅バンド102は、ねじ104によって各端子103に固定される。各銅バンド102は、コンデンサ100の外側に沿って、特にコンデンサ100のケース(外部バスバー)の外側に延在する。換言すれば、1つの銅バンド102は、コンデンサ100の第1の外側に延在し、別の銅バンド102は、コンデンサ100の第2の(反対側の)外側に延在する。
【0030】
この文脈において、
図1は、キャパシタンスユニットCi(巻線素子101及び銅バンド102へのその接続)の簡略化された電気モデルを示す。ここで、ESRiはキャパシタンスユニットCiの寄生ESRを示し、ESLiはキャパシタンスユニットCiの寄生ESLを示す。
【0031】
(複数のキャパシタンスユニットCiを有する)完全なDCリンクコンデンサの簡略化された電気モデルが
図2に示されている。ここで、
-Ci:キャパシタンスユニット-キャパシタンス値
-ESRi:キャパシタンスユニット-寄生ESR
-ESLi:キャパシタンスユニット-寄生ESL
-Cp:キャパシタンスユニット間のコネクタ-寄生キャパシタンス
-Rp、Rp2: キャパシタンスユニット間のコネクタ-寄生抵抗
-Lp、Lp2:キャパシタンスユニット間のコネクタ-寄生インダクタンス
-Rt:端子-寄生抵抗
-Lt:端子-寄生インダクタンス
である。
【0032】
この解決策で達成される電気的要件を表2に要約する。
【表2】
【0033】
図4~
図9は、本発明によるコンデンサ1を概略的に示す。コンデンサ1は円形に形成されている。すなわち、コンデンサ1は、円形の外形を有している。特に、コンデンサ1は、円筒の外形を備える(特に、
図4a、
図4b、
図8、および
図9a~
図9cを参照)。コンデンサ1は、特に、高周波用途に使用されるように適合される。
【0034】
コンデンサ1は、複数の巻線素子2を備える。この実施形態では、コンデンサ1は、3つの巻線素子2を備える(
図4a)。当然ながら、コンデンサ1は、3つよりも多い巻線素子2、例えば4つ、5つ、又は6つの巻線素子2を備えることができる。コンデンサ1は、3つより少ない巻線素子2、例えば2つの巻線素子2を備えることもできる。特に、巻線素子2の数は自由に選択可能である。換言すれば、以下に説明する構造は、任意の数の巻線素子2で実現することができる。
図8から分かるように、絶縁体9が、連続する巻線素子2の間に配置されている。絶縁体9は、例えばポリマーを含むことができる。
【0035】
巻線素子2は、軸方向に配置され、すなわち、コンデンサ1の主長手方向軸18に沿って配置される。巻線素子2は、電気的に並列に接続されている。この目的のために、積層バスバー3が設けられる(
図4b)。特に、1つの単一の積層された(すなわち、重ねられた)バスバー3が設けられる。この文脈において、「積層された」という用語は、バスバー3がいくつかの層(4a、4b、5、例えば
図6を参照)を含むことを意味する。後で詳細に説明するこれらの層は、巻線素子2の外側に沿って少なくとも部分的に互いに重なり合っている。言い換えれば、バスバー3は、(横方向の)重なり合っている(又は重なり合わされた)バスバーである。
【0036】
図4bから分かるように、バスバー3は、巻線素子2の外側に沿って延在する(横方向バスバー)。バスバー3は、コンデンサ1の第1の端面10から第2の端面11に向かって、巻線素子2の外側に沿って延在する(
図8参照)。バスバー3は、各巻線素子2の外側を少なくとも部分的に覆う。全体として、バスバー3全体は、巻線素子2の外側の20%~50%を覆う。バスバー3は、内部バスバーである。言い換えれば、バスバー3は、コンデンサ1のケース16の内側に配置される(
図9c参照)。
【0037】
バスバー3は、
図5aから特によく理解できる円形形状を有する。バスバー3は、(不完全な)円筒シェルの形状を備える。バスバー3は、コンデンサ1の各巻線素子2およびケース16の外形および/または直径に適合された形状を有する。バスバー3は、任意の巻き数で使用することができる。バスバー3の長さ(軸方向の延在、すなわち、コンデンサ1の主長手方向軸18に沿った延在)は、巻線素子2の数に適合される。
【0038】
バスバー3は、前述の層を含む。特に、バスバー3は、第1の層(第1の極)4aと第2の層(第2の極)4bとを備え、これらは、例えば、
図5bおよび
図6から推測することができる。層4a、4bは銅を含む。層4a、4bは、0.3 mm~1.5 mm、好ましくは0.5 mmの厚さを有する。
【0039】
絶縁層5は、第1の層4aと第2の層4bとの間に、少なくとも2つの層4a, 4bの重なり領域6に配置されている。実際には、絶縁層5は、例えば
図5bから分かるように、方位角方向及び/又は軸方向に重なり領域6を越えて延在する。言い換えれば、層4a、4bおよび絶縁層5を含むバスバー3全体の方位角方向および/または長手方向の延在は、重なり領域6の方位角方向の延在よりも大きい(例えば、
図7および
図8を参照)。
【0040】
第1の層4aは、各巻線素子2の第1の極17a(例えば、負極)に接続される(
図7)。第2の層4bは、各巻線素子2の第2の極17b(例えば正極)に接続される。
【0041】
この目的のために、第1の層4aは、複数の第1の接続領域7aを備える。第2の層4bは、複数の第2の接続領域7bを備える。この実施形態では、それぞれの層4a、4bは、3つのそれぞれの接続領域7a、7bを備える。それぞれの接続領域7a, 7bの数は、巻線素子2の数に対応する。
【0042】
第1の接続領域7aと第1の層4aとは、一体的に形成されている。第2の接続領域7bと第2の層4bとは、一体的に形成されている。それぞれの接続領域7a、7bは、棒状である。それぞれの接続領域7a, 7bは、それぞれの巻線素子2の外面に沿って層4a, 4bに平行に延在する。中間部19a、19b(
図7および
図8参照)において、それぞれの層4a、4bは、それぞれの接続領域7a、7bに移行する。中間部19a, 19bは、接続領域7a, 7bに対して垂直に延在している。
【0043】
それぞれの接続領域7a, 7bは、巻線素子2を並列に接続するために、巻線素子2のそれぞれの極17a, 17bに電気的及び機械的に接続される。接続領域7a、7bは、接続素子8、例えば金属ストリップによって極17a、17bに接続される(
図7および
図8)。接続領域7a、7bは、極17a、17にはんだ付けされてもよい。
【0044】
バスバー3をコンデンサ1の端子13a、13bに電気的かつ機械的に接続するために、コンデンサ1は、第1および第2の接続部材12a、12bをさらに備える(
図8および
図9a)。接続部材12a, 12bは、コンデンサ1の第1の端部領域10に配置されている。接続部材12a, 12bは、例えば、金属ストリップを含む。接続部材12a, 12bは、屈曲されて、巻線素子2の側面に配置されたバスバー3と、コンデンサ1の第1の端部側10に配置された端子13a, 13bとを接続する。終端部材20は、巻線素子2と接続部材12a、12bとの間の第1の端部側10に配置される(
図8)。終端部材20は、絶縁材料、例えばポリマーを含む。
【0045】
第1の端部セクションにおいて、第1の接続部材12aは、例えば、はんだ付けによって、バスバー3の第1の層4aに接続される(
図8および
図9a)。同様に、第1の端部セクションにおいて、第2の接続部材12bは、例えば、はんだ付けによって、バスバー3の第2の層4bに接続される(
図8および
図9a)。
【0046】
第2の端部又は反対側の端部において、第1の接続部材12aは、例えばねじ又ははんだ付けによって第1の端子13aに接続される(
図9a)。同様に、第2の端部又は反対側の端部において、第2の接続部材12bは、例えばねじ又ははんだ付けによって第2の端子13bに接続される(
図9a)。
【0047】
外部絶縁体14は、巻線素子2の側面上の接続部材12a、12bの上に配置される(
図9b)。外部絶縁体14は、ストリップ状の形状を有する。外部絶縁体14は、円形の形状を有し、コンデンサ1の第1の端部側10の近くに配置された巻線素子2の外面の周りに部分的に延在する。外部絶縁部14は、接続部材12a、12bをコンデンサ1のケース16から電気的に絶縁し、ケース16は、外部絶縁部14上に配置され、巻線素子2およびバスバー3を完全に覆う(
図9c)。
【0048】
さらに、第1の端面10上で、カバー15が接続部材12a、12b上に配置される(
図9bおよび
図9c)。カバー15は、2つの切欠きを含む。切欠きは、端子13a、13bを受け入れるように適合され、配置される。端子13a, 13bは、切欠きから軸方向に突出している。これにより、コンデンサ1の電気的接続が可能となる。カバー15は、コンデンサ1の第1の端面10の終端素子として機能する。コンデンサ1の第2の側面11には、切欠き部を有さない対応するカバーが配置されている(明示せず)。
【0049】
上述のような構造によって、寄生インダクタンス及び抵抗(ESRi、Rp、Rp2、ESLi、Lp、Lp2)は、コンデンサの金属化フィルムの巾とは独立して、著しく減少することができる。さらに、Cが均一であると考えると、端子13a、13bから各独立巻線までのインピーダンスは、すべての帯域幅において均一である。したがって、表3に要約された要件を達成することができる。
【表3】
【0050】
図10は、従来技術によるコンデンサ100(
図3a、
図3b)と本開示によるコンデンサ1(
図4~
図9)との間の比較ESR測定を概略的に示す。従来技術では、ESRは、本発明によるコンデンサのESRよりも周波数安定性が低いことが観察される。これは、従来技術に基づくコンデンサ設計における、より高い表皮効果、不均一な内部電流分布、および内部共振によるものである。
【0051】
図面において、同じ構造および/または機能の素子は、同じ参照番号によって参照され得る。図に示される実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。
【0052】
参照番号
1 コンデンサ
2 巻線素子
3 バスバー
4a 第1層
4b 第2層
5 絶縁層
6 重複領域
7a 第1の接続領域
7b 第2の接続領域
8 接続素子
9 絶縁体
10 コンデンサの第1端側
11 コンデンサの第2端側
12a 第1の連結部材
12b 第2の連結部材
13a 第1の端子
13b 第2の端子
14 絶縁素子
15 カバー
16 ケース
17a 第1の極
17b 第2の極
18 主長手方向軸
19a 第1の中間部
19b 第2の中間部
20 終端素子
100 コンデンサ
101 巻線素子
102 銅バンド
103 端子
104 ねじ
Ci キャパシタンスユニット-キャパシタンス値
ESRi キャパシタンスユニット-寄生ESR
ESLi キャパシタンスユニット-寄生ESL
Cp キャパシタンスユニット間のコネクタ-寄生キャパシタンス
Rp、Rp2 キャパシタンスユニット間のコネクタ-寄生抵抗
Lp, Lp2 キャパシタンスユニット間のコネクタ-寄生インダクタンス
Rt 端子-寄生抵抗
Lt 端子-寄生インダクタンス
【国際調査報告】