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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】心臓弁修復デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529648
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 US2022050158
(87)【国際公開番号】W WO2023091520
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,587
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー・ロバート・エドワーズ
(72)【発明者】
【氏名】トラヴィス・ゼンヨ・オバ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・チャールズ・メイ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC08
4C097CC18
4C097MM10
4C097SB03
(57)【要約】
移植可能なデバイスは、一つ以上のアンカーを含む。アンカーは、天然の心臓弁の一つ以上の弁尖を捕捉するように構成されている。一つ以上のアンカーは、天然弁の弁尖をデバイス内に引き込むように構成されている。アンカー部分は、延在可能および格納可能であり得る。一つ以上のアンカーは、移植可能なデバイスを天然弁の弁尖に固定するために閉じられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の端、第二の端、および前記第一の端と前記第二の端との間の内側空洞を有する捕捉要素と、
一つ以上のアンカーを備えるアンカー部分であって、前記アンカー部分が、前記捕捉要素内に少なくとも部分的に配置され、前記一つ以上のアンカーが、天然の心臓弁の一つ以上の弁尖を捕捉するように構成される、アンカー部分と、を備え、
前記アンカー部分が、前記捕捉要素の前記内側空洞から延在可能で、前記捕捉要素の前記内側空洞内に格納可能であり、
前記捕捉要素および前記アンカー部分が、前記アンカー部分が前記捕捉要素の前記内側空洞内に格納されたときに、天然弁の弁尖組織を前記内側空洞内に引き込むように構成される、移植可能なデバイス。
【請求項2】
前記捕捉要素が円筒形状である、請求項1に記載の移植可能なデバイス。
【請求項3】
前記内側空洞が、前記捕捉要素の前記第一の端から前記捕捉要素の前記第二の端に延在する、請求項1または2に記載の移植可能なデバイス。
【請求項4】
閉位置では、前記アンカー部分が、前記内側空洞内に完全に収容される、請求項3に記載の移植可能なデバイス。
【請求項5】
開位置では、前記アンカー部分が前記内側空洞の少なくとも部分的に外側に収容される、請求項3に記載の移植可能なデバイス。
【請求項6】
前記捕捉要素が、前記捕捉要素の前記第一の端で端壁に開口部を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項7】
前記アンカー部分が前記第二の端から前記捕捉要素の内外に移動できるように、前記捕捉要素の前記第二の端が開いている、請求項1~6のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項8】
前記捕捉要素が一方向弁を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項9】
前記一つ以上のアンカーが、可撓性または拡張可能な材料から作製される、請求項1~8のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項10】
前記アンカー部分が、前記一つ以上のアンカーに結合された本体を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項11】
前記アンカー部分が拡張可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項12】
前記捕捉要素が送達カテーテルに取り外し可能に取り付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項13】
前記アンカー部分が作動要素に取り外し可能に取り付けられる、請求項12に記載の移植可能なデバイス。
【請求項14】
前記作動要素が、前記送達カテーテルの半径方向内側に配置されている、請求項13に記載の移植可能なデバイス。
【請求項15】
前記作動要素が、前記アンカー部分のカラーに取り付けられる、請求項13に記載の移植可能なデバイス。
【請求項16】
前記作動要素の移動が、前記アンカー部分を閉位置と開位置との間で移動させることができる、請求項13に記載の移植可能なデバイス。
【請求項17】
前記作動要素は、ユーザが、前記作動要素に対して張力を付与することで、前記アンカー部分を、拡張幅を有する拡張位置から、狭窄幅を有する狭窄位置へと、移動することができるように前記アンカー部分に接続され、前記拡張幅が、前記狭窄幅よりも大きい、請求項13に記載の移植可能なデバイス。
【請求項18】
第一の端、第二の端、および前記第一の端と前記第二の端の間の内側空洞を有する捕捉要素と、
内側アンカー本体および外側アンカー本体を備えるアンカー部分であって、前記アンカー部分が前記捕捉要素内に少なくとも部分的に配置される、アンカー部分と、を備え、
前記外側アンカー本体が、前記捕捉要素の前記内側空洞から延在可能で、前記捕捉要素の前記内側空洞内に格納可能であり、
前記内側アンカー本体が、前記外側アンカー本体から延在可能で、前記外側アンカー本体内に格納可能であり、
前記内側アンカー本体および前記外側アンカー本体が、その間の天然弁の弁尖組織を捕捉するように構成され、
前記捕捉要素および前記アンカー部分が、前記アンカー部分が前記捕捉要素の前記内側空洞内に格納されたときに、前記天然弁の弁尖組織を前記内側空洞内に引き込むように構成される、移植可能なデバイス。
【請求項19】
前記捕捉要素が円筒形状である、請求項18に記載の移植可能なデバイス。
【請求項20】
前記内側空洞が、前記捕捉要素の前記第一の端から前記捕捉要素の前記第二の端に延在する、請求項18または19に記載の移植可能なデバイス。
【請求項21】
閉位置では、前記アンカー部分が、前記内側空洞内に完全に収容される、請求項20に記載の移植可能なデバイス。
【請求項22】
開位置では、前記アンカー部分が前記内側空洞の少なくとも部分的に外側に収容される、請求項20に記載の移植可能なデバイス。
【請求項23】
前記捕捉要素が、前記捕捉要素の前記第一の端に開口部を備える、請求項18~22のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項24】
前記アンカー部分が前記第二の端から前記捕捉要素の内外に移動できるように、前記捕捉要素の前記第二の端が開いている、請求項18~23のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項25】
前記捕捉要素が一方向弁を備える、請求項18~23のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項26】
前記アンカー部分が、可撓性または拡張可能な材料で作製される、請求項18~25のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項27】
前記アンカー部分が拡張可能である、請求項18~26のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項28】
前記捕捉要素が送達カテーテルに取り外し可能に取り付けられる、請求項18~27のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項29】
前記アンカー部分が、一つ以上の作動要素に取り外し可能に取り付けられる、請求項28に記載の移植可能なデバイス。
【請求項30】
前記内側アンカー本体が、内側作動要素に取り外し可能に取り付けられる、請求項29に記載の移植可能なデバイス。
【請求項31】
前記外側アンカー本体が、外側作動要素に取り外し可能に取り付けられる、請求項30に記載の移植可能なデバイス。
【請求項32】
前記一つ以上の作動要素が、前記送達カテーテルの半径方向内側に配置されている、請求項29に記載の移植可能なデバイス。
【請求項33】
前記内側作動要素の移動が、前記内側アンカー本体を閉位置と開位置との間で移動させることができる、請求項31に記載の移植可能なデバイス。
【請求項34】
前記外側作動要素の移動が、前記外側アンカー本体を閉位置と開位置との間で移動させることができる、請求項31に記載の移植可能なデバイス。
【請求項35】
前記一つ以上の作動要素が、ユーザが前記一つ以上の作動要素に張力を付与して、前記アンカー部分を、拡張幅を有する拡張位置から、狭窄幅を有する狭窄位置へ移動させることができるように、前記アンカー部分に接続され、前記拡張幅が、前記狭窄幅よりも大きい、請求項29~34のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項36】
一つ以上のアンカーを備えるアンカー部分であって、前記アンカー部分が捕捉要素と結合される、アンカー部分と、
前記一つ以上のアンカーと結合された回転部材と、を備え、
前記回転部材が、天然弁の弁尖組織を前記一つ以上のアンカー内に引き込むように構成される、移植可能なデバイス。
【請求項37】
前記回転部材が、弁尖と結合するために、前記回転部材全体にわたって離間した一つ以上の突出部、ノッチ、または他の把持部材を備える、請求項36に記載の移植可能なデバイス。
【請求項38】
前記回転部材が、前記回転部材の表面に沿ってねじ山付の隆起を備える、請求項36または37に記載の移植可能なデバイス。
【請求項39】
前記回転部材が第一の方向に回転することに応じて、前記回転部材が前記一つ以上のアンカー内に弁尖を引き込み、前記回転部材が第二の方向に回転することに応じて、前記回転部材が前記弁尖を前記一つ以上のアンカー外へ移動させる、請求項36~38のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項40】
前記回転部材が作動要素に取り外し可能に取り付けられる、請求項36~39のいずれか一項に記載の移植可能なデバイス。
【請求項41】
天然の心臓弁の弁尖の間に移植されるように適合されたデバイスであって、
基部アームおよび可動アームを含む把持部材であって、前記把持部材が、開位置と閉位置との間で移動するように構成されており、前記閉位置では、前記把持部材が、前記基部アームと前記可動アームとの間の前記天然の心臓弁の弁尖を把持するように構成されている、把持部材と、
前記把持部材が前記閉位置にある間に、前記基部アームに対して前記弁尖を再配置するように構成された弁尖再配置デバイスと、を備える、デバイス。
【請求項42】
前記弁尖再配置デバイスが、前記把持部材が前記閉位置にある間に、前記可動アームを前記基部アームに対して前記デバイスの中心線に向かって移動させるように構成される、請求項41に記載のデバイス。
【請求項43】
前記可動アームが、近位端および遠位端を有し、前記弁尖再配置デバイスが、前記近位端に取り付けられた引き込み要素を含み、前記把持部材が前記閉位置にある間に前記引き込み要素を引っ張ることが、前記遠位端を前記デバイスの前記中心線に向かって移動させる、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記デバイスが、前記デバイスの前記中心線に沿って位置付けられた接合要素をさらに備え、前記引き込み要素を引っ張ることが、前記可動アームを前記接合要素内に引き込む、請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
前記弁尖再配置デバイスによって移動された後に、前記可動アームを定位置に固定するように構成されたロックをさらに備える、請求項41~44のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項46】
前記弁尖と係合するために前記可動アーム上に配置された固定要素をさらに備える、請求項41~45のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項47】
前記弁尖と係合するために前記可動アーム上に配置された固定要素をさらに備え、前記弁尖再配置デバイスが、前記把持部材が前記閉位置にある間に、前記固定要素を前記可動アームに対して前記デバイスの中心線に向かって移動させるように構成されている、請求項41~45のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項48】
前記可動アームが近位端および遠位端を有し、前記弁尖再配置デバイスが、前記固定要素端に取り付けられた引き込み要素を含み、前記把持部材が前記閉位置にある間に前記引き込み要素を引っ張ることが、前記固定要素を前記デバイスの前記中心線に向かって移動させる、請求項47に記載のデバイス。
【請求項49】
前記デバイスが、前記デバイスの前記中心線に沿って位置付けられた接合要素をさらに備える、請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
前記弁尖再配置デバイスによって移動された後に、前記固定要素を前記可動アームに対して定位置に固定するように構成されたロックをさらに備える、請求項46~49のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項51】
前記固定要素が、遠位位置および前記遠位位置の内向きの近位位置を有し、前記弁尖再配置デバイスが、前記固定要素を前記遠位位置と前記近位位置との間で繰り返し移動させて、前記弁尖を前記デバイスの前記中心線に向かって漸進的に移動させるように構成される、請求項46~50のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項52】
前記弁尖再配置デバイスが、前記固定要素を前記遠位位置と前記近位位置との間で繰り返し移動させるように動作可能なラチェットデバイスを含む、請求項51に記載のデバイス。
【請求項53】
前記弁尖と係合するために前記基部アーム上に配置された第二の固定要素をさらに備え、前記可動アーム上に配置された前記固定要素が前記近位位置から前記遠位位置に移動するとき、前記第二の固定要素が前記弁尖を前記可動アームに対して定位置に保持する、請求項51または52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記弁尖再配置デバイスが、前記把持部材が前記閉位置にある間に、前記可動アームを前記基部アームに対して前記可動アームの長手方向軸を中心に回転させるように構成される、請求項41に記載のデバイス。
【請求項55】
前記可動アームを回転させることが、前記基部アームに対して前記弁尖を移動させる、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記弁尖再配置デバイスによって移動された後に、前記可動アームを回転位置に固定するように構成されたロックをさらに備える、請求項54または55に記載のデバイス。
【請求項57】
第二の基部アームおよび第二の可動アームを含む第二の把持部材をさらに備え、前記第二の把持部材が、第二の開位置と第二の閉位置との間で移動するように構成されており、前記第二の閉位置では、前記第二の把持部材が、前記第二の基部アームと前記第二の可動アームとの間の前記天然の心臓弁の第二の弁尖を把持するように構成されている、請求項54に記載のデバイス。
【請求項58】
前記弁尖再配置デバイスが、前記第二の把持部材が前記第二の閉位置にある間に、前記第二の可動アームを前記第二の基部アームに対して前記第二の可動アームの第二の長手方向軸を中心に回転させるように構成される、請求項57に記載のデバイス。
【請求項59】
第二の弁尖再配置デバイスをさらに備え、前記第二の再配置デバイスが、前記第二の把持部材が前記第二の閉位置にある間に、前記第二の可動アームの第二の長手方向軸を中心として、前記第二の基部アームに対して前記第二の可動アームを回転させるように構成される、請求項57に記載のデバイス。
【請求項60】
前記第二の可動アームおよび前記可動アームが、反対方向に同時に回転するように構成される、請求項57~59のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項61】
心臓弁を修復するためのシステムであって、
請求項41~60のいずれか一項に記載の移植可能なデバイスと、
インプラントカテーテルを前記移植可能なデバイスに取り外し可能に取り付けるための捕捉機構を備える遠位端部分を有するインプラントカテーテルと、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年11月19日に出願された、「HEART VALVE REPAIR DEVICES AND DELIVERY DEVICES THEREFOR」と題される米国仮特許出願第63/281,587号の利益を主張するものであり、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
天然の心臓弁(すなわち、大動脈弁、肺動脈弁、三尖弁、および僧帽弁)は、心血管系を通しての充分な血液供給に関して前方流を確保する際に重要な機能を果たす。これらの心臓弁は、例えば、先天性奇形、炎症プロセス、感染状態、疾患、等によって、損傷し得るものであり、そのため、有効性が低下することがあり得る。このような損傷が弁に生じると、重篤な心血管系障害または死亡に至り得る。損傷した弁は、心臓切開手術の間に、外科的に修復または置換され得る。しかしながら、心臓切開手術は、侵襲性が高く、合併症が起こり得る。経血管技術を使用して、心臓切開手術よりもはるかに侵襲性が低い様式で、心臓を治療するためのデバイスを導入および移植することができる。一例として、天然僧帽弁および大動脈弁にアクセスするために使用可能な経血管技術は、経中隔技術である。経中隔技術は、カテーテルを右心房内に(例えば、カテーテルを、右大腿静脈内に挿入し、下大静脈を上行させ、右心房内に)前進させることを含む。その後、中隔を穿刺して、カテーテルを、左心房内に通す。同様の経血管技術を使用して、経中隔技術と同様に開始するが、中隔の穿刺までには至らず、代わりに、送達カテーテルを、右心房内の三尖弁に向けて回転するデバイスを、三尖弁の内部に移植することができる。
【0003】
健康な心臓は、心尖底部に向けてテーパー状である略円錐形状を有する。心臓は、四室構造であって、左心房と、右心房と、左心室と、右心室と、を含む。心臓の左側および右側は、一般的に中隔と称される壁によって分離される。ヒトの心臓の天然の僧帽弁は、左心房を左心室に接続する。僧帽弁は、他の天然の心臓弁とは非常に異なる解剖学的構造を有する。僧帽弁は、僧帽弁開口部を囲む天然の弁組織の環状部分である弁輪と、弁輪から左心室内に下向きに延在する一対の弁尖または弁尖と、を含む。僧帽弁の弁輪は、「D」字形状、楕円形状、または長軸および短軸を有するそれ以外の非円形断面形状を形成し得る。前尖は、後尖よりも大きい場合があり、これらが一緒に閉じられる場合、弁尖の当接し合う側面の間に略「C」字形状の境界を形成する。
【0004】
前尖および後尖は、適正に動作する場合、左心房から左心室にのみ血液を流し得る一方向弁として一緒に機能する。左心房は、酸素を多く含んだ血液を肺静脈から受ける。左心房の筋肉が収縮して、左心室が弛緩する場合(「心室拡張期」または「拡張期」とも称される)、左心房内に回収される酸素を多く含んだ血液は、左心室に流れる。左心房の筋肉が弛緩して、左心室の筋肉が収縮する場合(「心室収縮期」または「収縮期」とも称される)、左心室内の血圧上昇により、二つの弁尖の側面が一緒になるように付勢され、それによって、一方向の僧帽弁を閉じて、その結果、血液は、左心房内へと逆流し得ず、代わりに、左心室から大動脈弁を通って吐出される。二つの弁尖が、圧力下で逸脱し、僧帽弁の弁輪を通って左心房に向けて折り返されることを防止するために、腱索と称される複数の線維索が、弁尖を左心室内の乳頭筋に繋ぎ止める。
【0005】
弁の逆流は、弁が、一部の血液が弁を通って誤った方向に流れることを、不適切に可能にすることを含む。例えば、僧帽弁の逆流は、天然僧帽弁が、心臓収縮の収縮期の間に、適正に閉塞することができず、血液が左心室から左心房に流れる場合に発生する。僧帽弁の逆流は、心臓弁膜症の中でも最も一般的な形態の一つである。僧帽弁の逆流は、弁尖の逸脱、乳頭筋の機能不全、左心室の拡張に由来する僧帽弁輪の伸張、これらの複数、等の多くの異なる原因を有し得る。弁尖の中央部分における僧帽弁逆流は、中央ジェット僧帽弁逆流と称することができ、また、弁尖の一方の交連(すなわち、弁尖どうしが当接する位置)に対してより近い場所での僧帽弁逆流は、偏心ジェット僧帽弁逆流と称することができる。中央ジェット逆流は、弁尖のエッジどうしが中間で当接しないため弁が閉塞せず逆流が存在する時に、生じるものである。三尖弁の逆流は、同様であるものの、心臓の右側であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2018/195201号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2018/195215号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2018/209021号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2019/051180号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2019/139904号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2019/204559号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2020/076898号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2020/168081号パンフレット
【特許文献9】米国特許第8,403,983号明細書
【特許文献10】米国特許第8,414,644号明細書
【特許文献11】米国特許第8,449,599号明細書
【特許文献12】米国特許第8,652,203号明細書
【特許文献13】米国特許第10,517,726号明細書
【特許文献14】米国特許第10,813,757号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2011/0313515号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2012/0215303号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2014/0067052号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2014/0222136号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2014/0277390号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2014/0277422号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2014/0277427号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2016/0331523号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2018/0021129号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2018/0055629号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2020/0113676号明細書
【発明の概要】
【0007】
本概要は、一部の例を提供することを意図しており、本発明の範囲をいかようにも制限することを意図したものではない。例えば、本概要の一例中に含まれるいかなる特徴も、特許請求の範囲がそれらの特徴を明示的に列挙しない限り、特許請求の範囲による要件とはならない。また、本概要および本開示の他の箇所における例で説明する、特徴、構成要素、ステップ、概念等は、様々な方法で組み合わせることができる。本開示の他の箇所で説明する様々な特徴およびステップは、本明細書に要約される例に含まれ得る。
【0008】
移植可能なデバイスまたはインプラント(例えば、移植可能人工デバイスなど)は、天然の心臓弁がより効果的なシールを形成するように、天然の心臓弁内に位置付けられるように構成される。
【0009】
いくつかの実装形態では、移植可能なデバイスは一つ以上のアンカーを含む。アンカーは、天然の心臓弁の一つ以上の弁尖を捕捉するように構成されている。一つ以上のアンカーは、天然弁の弁尖をデバイス内に引き込むように構成され得る。アンカー部分は、延在可能および格納可能であり得る。一つ以上のアンカーは、移植可能なデバイスを天然弁の弁尖に固定するために閉じられ得る。
【0010】
一部の実装例では、移植可能なデバイスは、捕捉要素およびアンカー部分を含む。アンカー部分は、一つ以上のアンカーを含む。アンカー部分は、捕捉要素内に少なくとも部分的に配置される。アンカーは、天然の心臓弁の一つ以上の弁尖を捕捉するように構成されている。アンカー部分は、捕捉要素から延在可能で、捕捉要素の中に格納可能である。捕捉要素およびアンカー部分は、アンカー部分が捕捉要素内に格納された時に、天然弁の弁尖組織を捕捉要素内に引き込むように構成される。
【0011】
一部の実装形態では、捕捉要素は、アンカー部分がそこから延在可能であり、その中に天然弁の弁尖組織が引き込まれ得る内側空洞を含む。
【0012】
一部の実装形態では、移植可能なデバイスまたはインプラントは、内側アンカー本体および外側アンカー本体を有するアンカー部分を含む。内側アンカー本体が、天然の心臓弁の一つ以上の弁尖に取り付くように構成された一つ以上のアンカーを含み得る。
【0013】
一部の実装形態では、捕捉要素は円筒形の形状であり、かつ/または断面が丸い。一部の実装形態では、内側空洞は、捕捉要素の第一の端から捕捉要素の第二の端に延在する。
【0014】
一部の実装形態では、閉位置では、アンカー部分は、内側空洞内に完全に収容される。一部の実装形態では、開位置では、アンカー部分は、内側空洞の少なくとも部分的に外側に収容される。
【0015】
一部の実装形態では、捕捉要素は血液に対して不浸透性である。一部の実装形態では、捕捉デバイスは血流を抑制または低減する。
【0016】
一部の実装形態では、捕捉要素は、捕捉要素の第一の端で端壁に開口部を備える。一部の実装形態では、アンカー部分が第二の端から捕捉要素の内外に移動できるように、捕捉要素の第二の端は開いている。一部の実装形態では、捕捉要素は一方向弁を備える。
【0017】
一部の実装形態では、一つ以上のアンカーは、可撓性または拡張可能な材料から作製される。一部の実装形態では、アンカー部分は、一つ以上のアンカーに結合された本体を備える。一部の実装形態では、アンカー部分は拡張可能である。
【0018】
一部の実装形態では、捕捉要素は送達カテーテルに取り外し可能に取り付けられる。一部の実装形態では、アンカー部分は、作動要素に取り外し可能に取り付けられる。一部の実装形態では、作動要素は、送達カテーテルの半径方向内側に配置されている。
【0019】
一部の実装形態では、作動要素は、アンカー部分のカラーに取り付けられる。
【0020】
一部の実装形態では、作動要素の移動は、アンカー部分を閉位置と開位置との間で移動させることができる。
【0021】
一部の実装形態では、作動要素は、アンカー部分に接続され、これにより、ユーザは、作動要素に対して張力を与えることで、アンカー部分を、拡張幅を有する拡張位置から、狭窄幅を有する狭窄位置へと、移動することができ、拡張幅は、狭窄幅よりも大きい。
【0022】
一部の実装例では、移植可能なデバイスは、捕捉要素およびアンカー部分を含む。一部の実装形態では、アンカー部分は、内側アンカー本体および外側アンカー本体を含む。
【0023】
一部の実装形態では、アンカー部分は少なくとも部分的に捕捉要素内に配置され、捕捉要素は内側空洞を含む。
【0024】
一部の実装形態では、外側アンカー本体は、内側空洞から延在可能で、内側空洞内に格納可能である。一部の実装形態では、内側アンカー本体は、外側アンカー本体から延在可能で、外側アンカー本体内に格納可能である。
【0025】
一部の実装形態では、内側アンカー本体および外側アンカー本体は、その間の天然弁の弁尖組織を捕捉するように構成される。
【0026】
一部の実装形態では、捕捉要素およびアンカー部分は、アンカー部分が捕捉要素の内側空洞内に格納されたときに、天然弁の弁尖組織を内側空洞内に引き込むように構成される。
【0027】
一部の実装形態では、捕捉要素は円筒形の形状であり、かつ/または断面が丸い。一部の実装形態では、内側空洞は、捕捉要素の第一の端から捕捉要素の第二の端に延在する。
【0028】
一部の実装形態では、閉位置では、アンカー部分は、内側空洞内に完全に収容される。一部の実装形態では、開位置では、アンカー部分は、内側空洞の少なくとも部分的に外側に収容される。
【0029】
一部の実装形態では、捕捉要素は血液に対して不浸透性である。一部の実装形態では、捕捉要素は血流を抑制または低減する。
【0030】
一部の実装形態では、捕捉要素は捕捉要素の第一の端に開口部を備える。一部の実装形態では、アンカー部分が第二の端から捕捉要素の内外に移動できるように、捕捉要素の第二の端は開いている。一部の実装形態では、捕捉要素は一方向弁を備える。
【0031】
一部の実装形態では、アンカー部分は、可撓性または拡張可能な材料から作製される。一部の実装形態では、アンカー部分は拡張可能である。
【0032】
一部の実装形態では、捕捉要素は送達カテーテルに取り外し可能に取り付けられる。一部の実装形態では、アンカー部分は、一つ以上の作動要素に取り外し可能に取り付けられる。
【0033】
一部の実装形態では、内側アンカー本体は、内側作動要素に取り外し可能に取り付けられる。一部の実装形態では、外側アンカー本体は、外側作動要素に取り外し可能に取り付けられる。
【0034】
一部の実装形態では、一つ以上の作動要素は、送達カテーテルの半径方向内側に配置されている。一部の実装形態では、内側作動要素の移動は、内側アンカー本体を閉位置と開位置との間で移動させることができる。
【0035】
一部の実装形態では、外側作動要素の移動は、外側アンカー本体を閉位置と開位置との間で移動させることができる。
【0036】
一部の実装形態では、一つ以上の作動要素は、アンカー部分に接続され、これにより、ユーザは、一つ以上の作動要素に対して張力を与えることで、アンカー部分を、拡張幅を有する拡張位置から、狭窄幅を有する狭窄位置へと、移動することができ、拡張幅は、狭窄幅よりも大きい。
【0037】
一部の実装形態では、天然弁を修復する方法は、天然の心臓弁の弁尖がアンカー部分内に配置されるようにアンカー部分を位置付けるステップと、アンカー部分および弁尖の部分を捕捉要素の開放端内に引き入れるステップと、を含む。一部の実装形態では、捕捉要素は、第一の端、第二の端、および第一の端と第二の端の間の空洞を有する。
【0038】
一部の実装形態では、アンカー部分は、捕捉要素の空洞から延在可能で、捕捉要素の空洞内に格納可能である。
【0039】
一部の実装形態では、方法は捕捉要素を用いて血流を遮断するステップを含む。一部の実装形態では、方法は、アンカー部分および捕捉要素を送達カテーテルから分離するステップをさらに含む。
【0040】
上記の方法は、生きた動物上で実施することができる、あるいは、死体、死体の心臓、人間型ゴースト、シミュレータ(例えば、身体の一部、心臓、組織、等を用いてシミュレートされる)、などのシミュレーション上で実施することができる。
【0041】
一部の実装形態では、移植可能なデバイスは、アンカー部分および回転部材を含む。一部の実装形態では、アンカー部分は、一つ以上のアンカーを含む。一部の実装形態では、アンカー部分は捕捉要素と結合される。
【0042】
一部の実装形態では、回転部材は、一つ以上のアンカーと結合され、天然弁の弁尖組織を一つ以上のアンカー内に引き込むように構成されている。
【0043】
一部の実装形態では、回転部材は円筒形である。一部の実装形態では、回転部材は、弁尖と結合するために回転部材全体にわたって離間した一つ以上の突出部、ノッチ、または他の把持部材を含む。
【0044】
一部の実装形態では、回転部材は、回転部材の表面に沿ってねじ山付きの隆起を含む。一部の実装形態では、回転部材は作動要素に取り外し可能に取り付けられる。
【0045】
一部の実装形態では、回転部材が第一の方向に回転することに応じて、回転部材は、弁尖を一つ以上のアンカー内に引き込み、回転部材が第二の方向に回転することに応じて、回転部材は、弁尖を一つ以上のアンカーから移動させる。
【0046】
一部の実装形態では、デバイス(例えば、弁修復デバイス、インプラントなど)は、天然の心臓弁の弁尖の間に移植されるように適合される。デバイスは、把持部材および弁尖再配置デバイスを含む。
【0047】
一部の実装形態では、把持部材は、基部アームおよび可動アームを含み、開位置と閉位置との間で移動するように構成されている。閉位置では、把持部材は、基部アームと可動アームとの間の天然の心臓弁の弁尖を把持するように構成されている。
【0048】
一部の実装形態では、弁尖再配置デバイスは、把持部材が閉位置にある間に、基部アームに対して弁尖を再配置するように構成される。
【0049】
一部の実装形態では、弁尖再配置デバイスは、把持部材が閉位置にある間に、可動アームを基部アームに対してデバイスの中心線に向かって移動させるように構成されている。
【0050】
一部の実装形態では、可動アームは、近位端および遠位端を有し、弁尖再配置デバイスは、近位端に取り付けられた引き込み要素を含み、把持部材が閉位置にある間に引き込み要素を引っ張ることは、遠位端をデバイスの中心線に向かって移動させる。
【0051】
一部の実装形態では、デバイスは、デバイスの中心線に沿って位置付けられた接合要素をさらに含み、引き込み要素を引っ張ることは、可動アームを接合要素内に引き込む。
【0052】
一部の実装形態では、デバイスは、弁尖再配置デバイスによって移動された後に、可動アームを定位置に固定するように構成されたロックをさらに含む。
【0053】
一部の実装形態では、デバイスは、弁尖と係合するために可動アーム上に配置された固定要素をさらに含む。一部の実装形態では、固定要素は一つ以上のバーブを含む。一部の実装形態では、デバイスは、弁尖と係合するために基部アーム上に配置された第二の固定要素をさらに含む。
【0054】
一部の実装形態では、弁尖再配置デバイスは、把持部材が閉位置にある間に、固定要素を可動アームに対してデバイスの中心線に向かって移動させるように構成されている。
【0055】
一部の実装形態では、可動アームは、近位端および遠位端を有し、弁尖再配置デバイスは、固定要素端に取り付けられた引き込み要素を含む。把持部材が閉位置にある間に引き込み要素を引っ張ることは、固定要素をデバイスの中心線に向かって移動させる。
【0056】
一部の実装形態では、デバイスは、デバイスの中心線に沿って位置付けられた接合要素をさらに含む。
【0057】
一部の実装形態では、デバイスは、弁尖再配置デバイスによって移動された後に、固定要素を可動アームに対して定位置に固定するように構成されたロックをさらに含む。
【0058】
一部の実装形態では、固定要素は一つ以上のバーブを含む。一部の実装形態では、固定要素は、遠位位置および遠位位置の内側である近位位置を有する。
【0059】
一部の実装形態では、弁尖再配置デバイスは、固定要素を遠位位置と近位位置との間で繰り返し移動させて、弁尖をデバイスの中心線に向かって漸進的に移動させるように構成され得る。
【0060】
一部の実装形態では、弁尖再配置デバイスは、固定要素を遠位位置と近位位置との間で繰り返し移動させるように動作可能なラチェットデバイスを含む。
【0061】
一部の実装形態では、デバイスは、弁尖と係合するために基部アーム上に配置された第二の固定要素を含む。一部の実装形態では、可動アーム上に配置された固定要素は、近位位置から遠位位置へと移動することができ、一方で第二の固定要素は、可動アームに対して弁尖を定位置に保持する。
【0062】
一部の実装形態では、弁尖再配置デバイスは、把持部材が閉位置にある間に、可動アームを、基部アームに対して、可動アームの長手方向軸を中心として回転させるように構成されている。一部の実装形態では、可動アームを回転させることは、弁尖を基部アームに対して移動させる。
【0063】
一部の実装形態では、デバイスは、弁尖再配置デバイスによって移動された後に、可動アームを回転位置にロックするように構成されたロックを含む。
【0064】
一部の実装形態では、デバイスは、弁尖と係合するために可動アーム上に配置された固定要素を含む。一部の実装形態では、固定要素は一つ以上のバーブを含む。
【0065】
一部の実装形態では、デバイスは、第二の基部アームおよび第二の可動アームを含む第二の把持部材をさらに含む。一部の実装形態では、第二の把持部材は、開位置と閉位置との間で移動するように構成される。閉位置では、第二の把持部材は、第二の基部アームと第二の可動アームとの間の天然の心臓弁の第二の弁尖を把持するように構成されている。
【0066】
一部の実装形態では、弁尖再配置デバイスは、第二の把持部材が閉位置にある間に、第二の可動アームの第二の長手方向軸を中心として、第二の基部アームに対して第二の可動アームを回転させるように構成される。
【0067】
一部の実装形態では、デバイスは、第二の弁尖再配置デバイスを含む。一部の実装形態では、第二の再配置デバイスは、第二の把持部材が閉位置にある間に、第二の可動アームの第二の長手方向軸を中心として、第二の基部アームに対して第二の可動アームを回転させるように構成される。一部の実装形態では、第二の可動アームおよび可動アームは、反対方向に同時に回転するように構成される。
【0068】
いくつかの実装形態では、天然弁を修復する方法は、天然弁に移植可能なデバイスを送達するステップと、天然弁の弁輪に移植可能なデバイスを位置付けるステップと、天然の弁尖を把持するために移植可能なデバイスの把持部材を閉じるステップと、把持部材が閉じたままである間に、基部アームに対して弁尖を再位置付けするステップと、を含む。
【0069】
一部の実装形態では、把持部材は、基部アームおよび可動アームを有する。一部の実装形態では、弁尖を再配置するステップは、可動アームを基部アームに対して、デバイスの中心線に向かって移動させるステップを含む。
【0070】
一部の実装形態では、可動アームを移動させるステップは、可動アームに結合された引き込み要素に張力を加えるステップを含む。一部の実装形態では、引き込み要素に張力を加えるステップは、可動アームをデバイスの接合要素の中に引き込むステップを含む。
【0071】
一部の実装形態では、方法は、弁尖を再配置した後に、可動アームを定位置にロックするステップを含む。
【0072】
一部の実装形態では、把持部材を閉じるステップは、弁尖を可動アーム上に配置された固定要素と係合するステップを含む。一部の実装形態では、固定要素は一つ以上のバーブを含む。
【0073】
一部の実装形態では、把持部材を閉じるステップは、弁尖を基部アーム上に配置された第二の固定要素と係合するステップを含む。
【0074】
一部の実装形態では、固定要素は、可動アーム上に配置され、弁尖を再配置するステップは、把持部材が閉位置にある間に、固定要素を可動アームに対してデバイスの中心線に向かって移動させるステップを含む。
【0075】
一部の実装形態では、固定要素を移動させるステップは、固定要素に結合された引き込み要素に張力を加えるステップを含む。
【0076】
一部の実装形態では、方法は、弁尖再配置デバイスによって移動された後に、固定要素を可動アームに対して定位置にロックするステップを含む。一部の実装形態では、固定要素は一つ以上のバーブを含む。
【0077】
一部の実装形態では、固定要素は、遠位位置および遠位位置の内側である近位位置を有する。
【0078】
一部の実装形態では、弁尖を再配置するステップは、固定要素を遠位位置と近位位置との間で繰り返し移動させて、弁尖をデバイスの中心線に向かって漸進的に移動させるステップを含む。
【0079】
一部の実装形態では、第二の固定要素は、弁尖と係合するために基部アーム上に配置される。
【0080】
一部の実装形態では、固定要素を遠位位置と近位位置との間で繰り返し移動させることは、可動アーム上に配置された固定要素が近位位置から遠位位置に移動するときに、第二の固定要素を有する可動アームに対して定位置に弁尖を保持することを含む。
【0081】
一部の実装形態では、弁尖を再配置するステップは、把持部材が閉位置にある間に、可動アームの長手方向軸を中心として、基部アームに対して可動アームを回転させるステップを含む。
【0082】
一部の実装形態では、可動アームを回転させるステップは、弁尖を基部アームに対して移動させる。一部の実装形態では、方法は、弁尖を再配置した後に、可動アームを回転位置にロックするステップを含む。
【0083】
一部の実装形態では、把持部材を閉じるステップは、弁尖を可動アーム上に配置された固定要素と係合するステップを含む。一部の実装形態では、固定要素は一つ以上のバーブを含む。
【0084】
一部の実装形態では、方法は、天然弁の第二の弁尖を把持するために、移植可能なデバイスの第二の把持部材を閉じるステップを含む。
【0085】
一部の実装形態では、第二の把持部材は、第二の基部アームおよび第二の可動アームを含む。一部の実装形態では、方法は、第二の把持部材が閉じたままである間に、第二の基部アームに対して第二の弁尖を再配置するステップを含む。
【0086】
一部の実装形態では、第二の弁尖を再配置するステップは、第二の把持部材が閉位置にある間に、第二の可動アームの第二の長手方向軸を中心として、第二の基部アームに対して第二の可動アームを回転させるステップを含む。
【0087】
一部の実装形態では、第二の可動アームを回転させるステップ、および第一の可動アームを回転させるステップは、反対方向に同時に行われる。
【0088】
上記の方法は、生きた動物上で実施することができる、あるいは、死体、死体の心臓、人間型ゴースト、シミュレータ(例えば、身体の一部、心臓、組織、等を用いてシミュレートされる)、などのシミュレーション上で実施することができる。
【0089】
上述のシステム、デバイス、機器、構成要素などのいずれもが、患者に使用するのに安全であることを確実にするために滅菌され得(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素などを用いて)、本明細書に記載の上述の方法には、一つ以上のシステム、デバイス、機器、構成要素などの滅菌を含んでもよい(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素などを用いて)。
【0090】
本発明の性質および利点の更なる理解は、特に、同様の部材が同様の参照符号を有する添付図面と併せて考慮される場合、以下の説明および特許請求の範囲に記載される。
【0091】
本開示の実装における様々な態様をさらに明確にするために、特定の例および実装を、添付図面の様々な態様を参照することによって、より詳細に説明する。これらの図面は、本開示の例示的な実装のみを示し、したがって、本開示の範囲を限定するものとは見なされない。さらに、図面は、一部の例については縮尺通りに示され得るものの、すべての例について、必ずしも縮尺通りに示されるわけではない。本開示の例ならびに他の特徴および利点について、添付図面の使用により、追加的な具体性および詳細性をもって、記載・説明するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1図1は、拡張期におけるヒトの心臓の断面図を図示している。
図2図2は、収縮期におけるヒトの心臓の断面図を図示している。
図3図3は、収縮期におけるヒトの心臓の断面図を図示しており、僧帽弁逆流を示している。
図4図4は、僧帽弁の心房側から見たときに弁尖が閉鎖している健康な僧帽弁を示す。
図5図5は、僧帽弁の心房側から見たときに弁尖間に目に見える間隙がある機能不全の僧帽弁を示す。
図6図6は、三尖弁の心房側から見た際の三尖弁を示す。
図7図7は、デバイスまたはインプラントの分解図を示す。
図8図8は、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図9図9は、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図10図10は、様々な展開の段階で、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図11図11は、様々な展開の段階で、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図12図12は、様々な展開の段階で、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図13図13は、様々な展開の段階で、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図14図14は、様々な展開の段階で、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図15図15は、使用中のデバイスまたはインプラントを有する僧帽弁の上面図を示す。
図16図16は、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図17図17は、図16のデバイスまたはインプラントの分解図を示す。
図18図18は、送達システムに結合された図16のデバイスまたはインプラントを図示する。
図19図19は、様々な展開の段階の図16のデバイスまたはインプラントの一例を示す。
図20図20は、様々な展開の段階の図16のデバイスまたはインプラントの一例を示す。
図21図21は、様々な展開の段階の図16のデバイスまたはインプラントの一例を示す。
図22図22は、様々な展開の段階の図16のデバイスまたはインプラントの一例を示す。
図23図23は、様々な展開の段階の図16のデバイスまたはインプラントの一例を示す。
図24図24は、天然弁の内部に送達および移植される、図7図14の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図25図25は、天然弁の内部に送達および移植される、図7図14の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図26図26は、天然弁の内部に送達および移植される、図7図14の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図27図27は、天然弁の内部に送達および移植される、図7図14の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図28図28は、天然弁の内部に送達および移植される、図7図14の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図29図29は、天然弁の内部に送達および移植される、図7図14の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図30図30は、人工弁の構成要素を送達するための例示的な送達システムを示す。
図31図31は、拡張された構成における人工弁の一例を示す。
図32図32は、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図33図33は、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図34図34は、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図35図35は、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図36図36は、天然弁内の様々な展開の段階における、カバーを含む、図35の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図37図37は、天然弁内の様々な展開の段階における、カバーを含む、図35の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図38図38は、天然弁内の様々な展開の段階における、カバーを含む、図35の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図39図39は、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図40図40は、天然弁内の様々な展開の段階における図39の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図41図41は、天然弁内の様々な展開の段階における図39の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図42図42は、天然弁内の様々な展開の段階における図39の例示的なデバイスまたはインプラントを示す。
図43図43は、デバイスまたはインプラントの一例を示す。
図44図44は、天然弁内の図43の例示的なデバイスまたはインプラントの位置の調整を示す。
図45図45は、天然弁内の図43の例示的なデバイスまたはインプラントの位置の調整を示す。
【発明を実施するための形態】
【0093】
以下の説明では、本開示の例示的な実装を示す添付図面を参照する。異なる構造および操作を有する他の実装は、本開示の範囲から逸脱するものではない。
【0094】
本開示の例示的な実装は、欠陥のある心臓弁を修復するための、システム、デバイス、方法等を対象とする。例えば、デバイス、弁修復デバイス、移植可能なデバイス、インプラント、およびシステム(それらを送達するためのシステムを含む)の様々な実装について、本明細書で開示されており、特段に除外しない限り、これらの選択肢の任意の組合せを行うことができる。言い換えれば、開示するデバイスおよびシステムの個々の構成要素は、相互に排他的でない限りまたは物理的に不可能でない限り、組み合わせることができる。さらに、本明細書の技術および方法は、生きた動物上で実施され得る、あるいは、死体、死体の心臓、人間型ゴースト、シミュレータ(例えば、身体の一部、心臓、組織等がシミュレートされる)などのシミュレーション上で実施され得る。
【0095】
本明細書で説明するように、一つ以上の構成要素が、接続、接合、固定、結合、取付または他の態様で相互接続されているものとして説明される場合、このような相互接続は、構成要素の間におけるように直接的なものであり得、あるいは、一つ以上の中間構成要素を使用することによってなどのように間接的なものであり得る。また、本明細書で説明する「部材」、「構成要素」または「部分」への言及は、単一の構造部材、構成要素または要素に限定されるものではなく、構成要素、部材または要素からなる組立品を含むことができる。また、本明細書で説明する用語「実質的に」および「約」は、所与の値または状態に対して少なくとも近い(および含む)ものとして(好ましくは10%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.1%以内で)定義される。
【0096】
更に、本明細書に記載又は示唆される、治療技術、方法、工程など、又は本明細書に組み込まれる参考文献は、生存している動物上で、又は死体、死体の心臓、シミュレータ(例えば、身体部分、組織などをシミュレーションして)などの、非生体シミュレーション上で実施されてもよい。本開示における、様々なシステム、デバイス、機器などのいずれもが、患者に使用するのに安全であることを確実にするために滅菌され得(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素などを用いて)、本明細書に記載の方法には、関連するシステム、デバイス、機器などの滅菌を含んでもよい(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素などを用いて)。
【0097】
図1および図2は、それぞれ、拡張期および収縮期のヒトの心臓Hの断面図である。右心室RVおよび左心室LVは、それぞれ、三尖弁TVおよび僧帽弁MVによって、すなわち房室弁によって、右心房RAおよび左心房LAから分離される。加えて、大動脈弁AVは、左心室LVを上行大動脈AAから分離し、肺動脈弁PVは、右心室を肺動脈PAから分離する。これらの弁の各々は、流れの中で一緒になるまたは「接合する」ことで、一方向性の流体閉塞面を形成する、それぞれの開口部にわたって内向きに延在する、可撓性の弁尖(例えば、図3図6に示す弁尖20、22、および図7に示す弁尖30、32、34)を有する。本出願の天然弁修復システムは、僧帽弁MVに関して、頻繁に説明および/または図示される。したがって、左心房LAおよび左心室LVの解剖学的構造について、より詳細に説明される。しかしながら、本明細書で説明するデバイスはまた、他の天然弁の修復においても使用することができ、例えば、該デバイスは、三尖弁TV、大動脈弁AV、および肺動脈弁PVの修復において使用され得る。
【0098】
左心房LAは、酸素を多く含んだ血液を肺から受ける。図1に見られる拡張フェーズすなわち拡張期の間は、(収縮フェーズの間に)左心房LA内に既に回収された血液は、左心室LVの拡張によって、僧帽弁MVを通って左心室LV内に移動する。図2に見られる収縮フェーズすなわち収縮期では、左心室LVが収縮することで、血液を、大動脈弁AVおよび上行大動脈AAを通って、体内に送り込む。収縮期の間に、僧帽弁MVの弁尖が閉じることで、血液が左心室LVから左心房LA内へと戻って逆流することを防止し、血液は、肺静脈から左心房内に回収される。一部の実装例では、本出願で説明するデバイスは、欠陥のある僧帽弁MVの機能を修復するために使用される。すなわち、デバイスは、血液が左心室LVから左心房LA内へと戻って逆流することを防止または抑制するために、僧帽弁の弁尖の閉鎖を補助するように構成される。本出願で説明するデバイスの多くは、収縮期の間にバックフローすなわち逆流を防止または抑制するために、天然弁尖を容易に把持して固定するように設計されているが、これは必須ではない。
【0099】
ここで、図1図6を参照すると、僧帽弁MVは、前尖20および後尖22の二つの弁尖を含む。僧帽弁MVはまた、弁輪24を含み、これは、弁尖20、22を囲む可変的に高密度の線維状の環状組織である。図3を参照すると、僧帽弁MVは、腱索CTによって左心室LVの壁に固定されている。腱索CTは、乳頭筋PM(すなわち、腱索CTの基部で、左心室LVの壁内に位置する筋肉)を、僧帽弁MVの弁尖20、22に接続する索状の腱である。乳頭筋PMは、僧帽弁MVの弁尖20、22の移動を制限し、僧帽弁MVが反転することを防止するように機能する。僧帽弁MVは、左心房LAおよび左心室LV内の圧力変化に応じて、開閉する。乳頭筋PMは、僧帽弁MVを開閉しない。むしろ、乳頭筋PMは、全身を通して血液を循環させるのに必要な高血圧に対して、弁尖20、22を支持または補強する。乳頭筋PMおよび腱索CTは、合わせて、弁下組織として既知であり、これは、僧帽弁が閉じる場合、僧帽弁MVが左心房LA内に逸脱しないように機能する。図3に示す左心室流出路(LVOT)図から確認されるように、弁尖20、22の解剖学的構造は、弁尖の内側面が自由端部分で接合し、弁尖20、22が互いから離れて後退または広がり始めるような構造である。弁尖20、22は、各弁尖が僧帽弁の弁輪に接触するまで、心房方向に離れて広がる。
【0100】
様々な疾患プロセスは、心臓Hの天然弁の一つ以上の好適な機能を損なう可能性がある。これらの疾患プロセスには、変性プロセス(例えば、バーロー病、弾性線維欠損症等)、炎症プロセス(例えば、リウマチ性心疾患)、および感染プロセス(例えば、心内膜炎等)が含まれる。加えて、以前の心臓発作(すなわち、冠動脈疾患に続発する心筋梗塞)または他の心疾患(例えば、心筋症等)による、左心室LVまたは右心室RVの損傷は、天然弁の形状を歪め得、これは、天然弁の機能不全を引き起こす可能性がある。しかしながら、僧帽弁MVの手術などの弁手術を受ける患者の大半は、天然弁(例えば、僧帽弁MV)の弁尖(例えば、弁尖20、22)に機能不全を引き起こすことで、逸脱および逆流をもたらす変性疾患に罹患する。
【0101】
一般的に、天然弁は、(1)弁狭窄および(2)弁逆流を含む、異なる様式で機能不全に陥る可能性がある。弁狭窄は、天然弁が完全に開かない場合に生じ、それによって、血流の障害を引き起こす。典型的には、弁狭窄は、弁の弁尖上に石灰化物質が蓄積することに起因するものであり、それにより、弁尖が厚くなることで、弁が完全に開いて前方血液流を可能にする能力が損なわれる。弁逆流は、弁の弁尖が完全に閉じない場合に生じ、それによって、血液が前の心腔内に戻って漏洩する(例えば、血液が、左心室から左心房に漏洩する)。
【0102】
天然弁が逆流性または不全となる三つの主要な機構が存在し、それらの機構には、CarpentierのタイプI、タイプII型、およびタイプIIIの機能不全が含まれる。CarpentierのタイプIの機能不全は、弁輪の拡張を伴うものであり、その結果、正常に機能している弁尖は、互いに離れてしまい、緊密な封止を形成し得なくなる(すなわち、弁尖は、適切に接合しない)。タイプIの機構の機能不全に含まれるものは、心内膜炎に存在するような、弁尖の穿孔である。CarpentierのタイプIIの機能不全は、天然弁の一つ以上の弁尖が接合平面よりも上方に逸脱することを伴う。CarpentierのタイプIIIの機能不全は、天然弁の一つ以上の弁尖の移動の制限を伴うもので、その結果、弁尖は、弁輪の平面よりも下方に異常に拘束される。弁尖の制限は、リウマチ性疾患または心室の拡張によって、引き起こされ得る。
【0103】
図4を参照すると、健康な僧帽弁MVが閉位置にあるとき、前尖20および後尖22は接合し、これは、血液が左心室LVから左心房LAへ漏れることを防止する。図3および図4を参照すると、僧帽弁逆流MRは、僧帽弁MVの前尖20および/または後尖22が、収縮期時に左心房LA内へと変位する場合に生じ、その結果、弁尖20、22の縁部は、互いに接触しない。このように接合ができないと、前尖20と後尖22との間に隙間26が生じ、これにより、図4に示す僧帽弁逆流MR流路が示すように、収縮期の間に血液が左心室LVから左心房LA内に逆流することが可能になる。図5を参照すると、隙間26は、約2.5mm~約17.5mm、約5mm~約15mm、約7.5mm~約12.5mm、または約10mmの幅Wを有し得る。一部の状況では、隙間26は、15mm超またはさらには17.5mm超の幅Wを有し得る。上述したように、弁尖(例えば、僧帽弁MVの弁尖20、22)が機能不全となることで、弁逆流を引き起こし得る、いくつかの異なる態様が存在する。
【0104】
上述した状況のいずれにおいても、前尖20および後尖22に係合可能で、隙間26を閉じて、僧帽弁MVを通っての血液の逆流を防止または抑制する弁修復デバイスまたはインプラントが望ましい。
【0105】
狭窄または逆流が、いかなる弁にも影響を及ぼし得るものの、狭窄は、主に、大動脈弁AVまたは肺動脈弁PVのいずれかに影響を及ぼすことが判明し、逆流は、主に、僧帽弁MVまたは三尖弁TVのいずれかに影響を及ぼすことが判明している。弁狭窄および弁逆流の両方は、心臓Hの負担を増大させ、未治療のまま放置した場合には、心内膜炎、鬱血性心不全、永久的な心臓障害、心停止、および最終的には死亡など、非常に重篤な状態となる可能性がある。というのも、心臓の左側(すなわち、左心房LA、左心室LV、僧帽弁MV、および大動脈弁AV)は、主に、血流を全身にわたって循環させる役割を果たすからである。したがって、心臓の左側にかかる圧力が実質的により高いため、僧帽弁MVまたは大動脈弁AVの機能不全は、特に問題があり、多くの場合、生命を脅かす。
【0106】
天然の心臓弁の機能不全には、修復または置換のいずれかが行われ得る。修復は典型的には、患者の天然弁の保存および矯正を伴う。置換は、典型的には、患者の天然弁を、生物学的なまたは機械的な代替物と置き換えることを伴う。典型的には、大動脈弁AVおよび肺動脈弁PVは、より狭窄を起こしやすい。弁尖によって持続する狭窄性損傷は、不可逆的であるため、狭窄性大動脈弁または狭窄性肺動脈弁に対する治療は、弁の取り外しと、弁を外科的に移植された心臓弁により置換することであり得、または弁を経カテーテル心臓弁により置換することであり得る。僧帽弁MVおよび三尖弁TVは、弁尖および/または周辺組織の変形をより起こしやすいものであって、これにより、上述したように、僧帽弁MVまたは三尖弁TVが適正に閉じることが防止され、心室から心房内への血液の逆流またはバックフローが可能になる(例えば、僧帽弁MVが変形すると、図3に示すように、左心室LVから左心房LAへと逆流またはバックフローが可能になり得る)。心室から心房への血液の逆流またはバックフローは、弁閉鎖不全をもたらす。僧帽弁MVもしくは三尖弁TVの構造または形状の変形は、修復可能であることが多い。加えて、逆流は、腱索CTが機能不全となることによって(例えば、腱索CTは、伸張または破裂を起こし得る)起こり得、これにより、前尖20および後尖22が反転可能となり、その結果、血液は、左心房LA内に逆流される。機能不全になった腱索CTにより生じる問題は、腱索CTまたは僧帽弁MVの構造を修復することにより(例えば、弁尖20、22を、僧帽弁の患部で固定することにより)、修復され得る。
【0107】
本明細書で開示するデバイスおよび手順は、多くの場合、僧帽弁の構造を修復することに言及する。しかしながら、本明細書で提供するデバイスおよび概念が、任意の天然弁を修復するために、ならびに天然弁の任意の構成要素を修復するために使用され得ることは、理解されよう。このようなデバイスは、左心室から左心房内への血液の逆流を防止または抑制するために、僧帽弁MVの弁尖20、22の間で使用され得る。三尖弁TV(図6)に関して、本明細書の任意のデバイスおよび概念を、前尖30、中隔尖32、および後尖34の、任意の二つの間で使用して、右心室から右心房内への血液の逆流を防止または抑制することができる。加えて、本明細書で提供する任意のデバイスおよび概念を、弁尖30、32、34の三つすべて一緒に対して使用して、右心室から右心房への血液の逆流を防止または抑制することができる。すなわち、本明細書に提供される弁修復デバイスまたはインプラントは、三つの弁尖30、32、34の間で中央に位置され得る。
【0108】
開示されたデバイスまたはインプラントは、アンカーが弁尖に接続されるように構成され得、デバイスを左心房に向けて付勢する大きい収縮期圧力に対して抵抗するために、天然腱索からの張力を利用する。拡張期の間に、デバイスは、アンカーによって把持される弁尖に対して作用される圧縮力および保持力に依存し得る。
【0109】
ここで、図7図9を参照すると、移植可能なデバイス100(例えば、インプラント、人工デバイス、人工スペーサデバイス、弁修復デバイス等)が、図示される。他の類似のデバイス/インプラントは、国際公開第2018/195215号パンフレット、国際公開第2020/076898号パンフレット、および国際公開第2019/139904号パンフレットにおいてより詳細に説明されており、これら文献は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。デバイス100は、本出願もしくは上記で引用された出願で説明される移植可能なデバイスまたはインプラントに関する他の任意の機構を含み得、デバイス100は、任意の好適な弁修復システム(例えば、本出願もしくは上記で引用された出願で開示される任意の弁修復システム)の一部として、弁組織(例えば、弁尖20、22、30、32、34)に係合するように位置付けられ得る。
【0110】
図7を参照すると、デバイス100が図示され、捕捉部分102およびアンカー部分104を含む。デバイス100は、弁尖の間の天然の心臓弁開口部の内部に位置付けられるように構成され、それにより、上述した逆流を低減または防止する。デバイス100は、二つまたは三つの天然弁の弁尖に付着および/またはシールするように構成され得る。デバイス100は、天然僧帽(二尖端)および三尖弁で使用することができる。
【0111】
捕捉部分102は捕捉要素110を含む。一部の実装形態では、捕捉要素110は、天然弁(例えば、天然僧帽弁、天然三尖弁など)の弁尖の間に移植されるように適合され、作動要素(例えば、作動ワイヤ、作動シャフト、作動管、作動ロッドなど)または送達システム120に取り付けられる。送達システムは、ガイド/送達シース、送達カテーテル、操縦可能カテーテル、インプラントカテーテル、管、これらの組合せ等の一つ以上を備え得る。図9を参照すると、捕捉要素110は、送達システム120のカテーテルに取り外し可能に結合され得る。
【0112】
図7を参照すると、捕捉要素110は、様々な形状を有することができる。一部の実装形態では、捕捉要素は、円形断面形状を有する細長い円筒形状を有し得る。一部の実装形態では、捕捉要素は、楕円形断面形状、卵形断面形状、三日月形断面形状、長方形断面形状または様々な他の非円筒形状を有し得る。捕捉要素は、捕捉要素110の第一の端114にある壁から捕捉要素110の開いた第二の端116に延在する内側空洞112を含む。一部の実装形態では、捕捉要素110の第一の端114にある壁は、捕捉要素110の第一の端に開口部124を含む。一部の実装形態では、捕捉要素110の第二の端116の開口部は、アンカー部分104が捕捉要素110の内外に移動できるように構成される。
【0113】
捕捉要素110は、血液に対して不浸透性であり(または、そこを通る血流に対して抵抗する)、心室収縮期の間に天然弁尖が捕捉要素の周囲で閉鎖可能になることで、血液の左心室または右心室から、それぞれ、左心房または右心房内への逆流を遮断する構造を有し得る。一部の実装形態では、捕捉要素110は随意に、流体(例えば、血液)が空洞112の開口部124から移動できるが、開口部124から空洞内に移動することができないように、内側空洞112を通して開口部124の外に出る一方向弁を含み得る。
【0114】
アンカー部分104は、本体106および一つ以上のアンカー108を含む。本体106およびアンカー108は、様々な形状を含むことができ、様々な材料または物質から作製することができる。例えば、本体106および/またはアンカー108は、可撓性または拡張可能な材料から作製され得る。
【0115】
アンカー108は、例えば、パドル、把持要素、または同種のものなどの幅広い形態をとることができる。アンカーは、接合されることができ、かつ/または可撓性であり得る。アンカー108は、弁尖が湾曲に適合し、アンカー108によって固定され得るように、湾曲または丸みを帯び得る。一部の実装形態では、アンカーは、取付部分または把持部材を含み得る。図示した把持部材は、留め金、任意選択のバーブ、摩擦強化要素、または固定するための他の手段(例えば、突起部、隆起、溝、テクスチャ面、接着剤等)を備え得る。
【0116】
図8を参照すると、アンカー部分104は、アンカー本体106およびアンカー108が捕捉要素110の第一の端114と第二の端116との間に配置されるように、捕捉要素110の内側空洞112内に完全に収容され得る。アンカー部分104は、捕捉要素110の内側空洞112内に収容された時に閉位置にある。デバイス100が閉位置にある時(弁尖組織を有する、かつ/または有さない)、アンカー部分104は、例えば摩擦嵌めによって、捕捉要素110の内側空洞112内に固定され得る。
【0117】
図9は、送達システムに結合されたデバイス100を図示する。デバイス100は、送達システムまたは他の送達手段を介して、移植されるように構成され得る。捕捉要素110は、選択的に取り外し可能な継手、プレス嵌合、摩擦嵌合、磁気嵌合、嵌合ねじ山などを含む、様々な方法で送達システム120のカテーテルに結合され得る。
【0118】
アンカー部分104は、作動要素122に結合され得る。作動要素122は、ワイヤ、ロッド、シャフト、管、ねじ、縫合糸、ライン、細片、またはこれらの組み合わせを含む、多種多様な異なる形態をとることができる。作動要素122は、様々な異なる材料で作製することができ、様々な構成を有することができる。一例として、作動要素は、作動要素を回転作動することで、アンカー部分が捕捉要素に対して移動するように、ねじ山付きのものとされ得る。あるいは、作動要素は、作動要素を押込作動または引張作動することで、アンカー部分が捕捉要素110に対して移動するように、ねじ山を有していないものとすることができる。作動要素122は、捕捉要素110の第一の端114の開口部124を通して配置され、アンカー部分104に取り付けられ得る。一部の実装形態では、作動要素122は、本体106または本体106のカラー134に取り付けられ得る。作動要素122は、ユーザが、作動要素122に力を提供して、アンカー部分104を、拡張幅Wを有する拡張位置(図11)から狭窄幅W’を有する狭窄位置(図13)に移動させることができるように、アンカー部分104に接続することができ、拡張幅Wは、狭窄幅W’よりも大きい。
【0119】
図10図14を参照すると、デバイス100は、対向する弁尖の間の心臓弁内に位置付けられ得る。一部の実装形態では、アンカー108および捕捉要素110は、アンカー108および捕捉要素110を、作動要素122の長手方向軸に沿って一緒に移動させることによって、同時に位置付けられ得る。アンカー108は、弁尖がアンカー108によって把持されるように移植される場合、天然弁尖の後ろに位置付けられるように構成され得る。
【0120】
図11を参照すると、デバイス100は、捕捉要素110とアンカー108との間にギャップを作り出すために、アンカー部分104が作動要素122の長手方向軸に沿って捕捉要素110から離れるように移動するように構成され得る。作動要素122の移動は、アンカー108を捕捉要素110の外に、かつ心臓の心室または下部内に押し出すことができる。一部の実装形態では、本体106は、捕捉要素110から遠位に移動すると自己拡張するように構成されている。
【0121】
図12を参照すると、デバイス100は、天然弁尖(例えば、僧帽弁尖20、22)がアンカー108と捕捉要素110との間のギャップ内に位置付けられるように移動することができる。一部の実装形態では、作動要素122は近位に移動し、アンカー108は捕捉要素110に向かって引かれて、弁尖20、22をアンカー108内に固定する。アンカー108が弁尖20、22を固定すると、作動要素122およびアンカー部分104は、弁尖20、22が捕捉要素110およびアンカー108に対して固定されるまで、捕捉要素110に向かってさらに引かれる(図13)。図13によって図示した例では、弁尖20、22の部分は捕捉要素の内側に引っ張られる。弁尖の一部分は、捕捉要素の内側表面とアンカーとの間で、捕捉要素の端部表面とアンカーとの間で、および/または捕捉要素の外側表面とアンカーとの間に押し付けられ得る。図13および図14によって図示した例では、弁尖の一部分は、捕捉要素の内側表面のすべてとアンカーとの間、捕捉要素の端面とアンカー、捕捉要素の外側表面とアンカーとの間に押し付けられる。弁尖20、22が捕捉要素とアンカー108との間に押し付けられると、作動要素122および送達システム120は、図14に示すように、デバイス100から分離され得る。
【0122】
一部の実装形態では、捕捉要素110はアンカー108に向かって移動することができ、それによって捕捉要素110とアンカー108との間のギャップを閉じ、捕捉要素110とアンカー108との間に弁尖20、22を捕捉する。
【0123】
図15を参照すると、アンカーは、捕捉要素110が弁尖20、22間に位置付けられるように、デバイスを弁尖20、22のうちの一方または両方に固定するように構成され得る。三尖弁での使用のために構成された一部の実装形態では、アンカーは、捕捉要素が二つの天然弁尖の間または三つすべての天然弁尖の間に位置付けられるように、デバイスを三尖弁尖の一つ、二つまたは三つに固定するように構成される。
【0124】
図16図17を参照すると、例示的なデバイス200が図示されている。デバイス200は、捕捉要素210およびアンカー部分204を含む。捕捉要素210は、すべての材料態様では、捕捉要素110(図7図14)と同一または類似としうる。捕捉要素110は、天然弁(例えば、天然僧帽弁、天然三尖弁など)の弁尖の間に移植されるように適合され、かつ送達システムの作動要素(例えば、作動ワイヤ、作動シャフト、作動管、作動ロッドなど)またはカテーテル220に取り付けられる(図18図22)。捕捉要素210は、丸い断面形状または別の断面形状を有する細長い円筒形状を有することができる。一部の実装形態では、捕捉要素の形状は、天然僧帽弁の弁輪と同じ形状を有するが、縮小される。捕捉要素は、捕捉要素210の第一の端214から捕捉要素210の第二の端216に延在する内側空洞212を備える。
【0125】
捕捉要素210は、血液に対して不浸透性であり(または、そこを通る血流に対して抵抗する)、心室収縮期の間に天然弁尖が捕捉要素の周囲で閉鎖可能になることで、血液の左心室または右心室から、それぞれ、左心房または右心房内への逆流を遮断する構造を有し得る。捕捉要素は、血液が第一の端214から第二の端216に流れることを可能にするが、第二の端216から第一の端への方向への血流を遮断する逆止め弁を含み得る。いくつかの実装形態では、任意選択的なチェックは、開口部224内に配置される。
【0126】
デバイス200のアンカー部分204は、内側アンカー本体230および外側アンカー本体240を含む。内側アンカー本体230および外側アンカー本体240は、様々な形状を含み得、様々な材料または物質から作製され得る。例えば、内側アンカー本体230および/または外側アンカー本体240は、可撓性および/または拡張可能な材料から作製され得る。
【0127】
内側アンカー本体230および外側アンカー本体240は、拡張および収縮するように構成され得る。例えば、内側アンカー本体230および外側アンカー本体240は、捕捉要素210の空洞212内に嵌合するように収縮または圧縮され得る。様々な実装形態では、内側アンカー本体230および外側アンカー本体240が捕捉要素210の空洞212から取り外されるとき、内側アンカー本体230および外側アンカー本体240は、拡張するように構成される。例えば、内側アンカー本体230および/または外側アンカー本体240は、拡張および収縮を可能にする支柱を有するステントまたはステント様の構成を有し得る。
【0128】
図17を参照すると、内側アンカー本体230は、一つ以上のアンカー232を含み得る。アンカー232は、例えば、フック、パドル、把持要素、または同種のものなどの幅広い形態をとることができる。アンカーは、接合されることができ、かつ/または可撓性であり得る。アンカー232は、弁尖が湾曲に嵌合し、アンカー232によって固定され得るように、湾曲または丸みを帯び得る。一部の実装形態では、アンカーは、取付部分または把持部材を含み得る。図示した把持部材は、留め金、任意選択のバーブ、摩擦強化要素、または固定するための他の手段(例えば、突起部、隆起、溝、テクスチャ面、接着剤等)を備え得る。
【0129】
図16を参照すると、アンカー部分204は、内側アンカー本体230および外側アンカー本体240が捕捉要素210の第一の端214と第二の端216との間に配置されるように、捕捉要素210の内側空洞212内に完全に収容され得る。アンカー部分204は、捕捉要素110の内側空洞212内に収容された時に閉位置にある。
【0130】
図18を参照すると、デバイス200は、送達システムまたは他の送達手段を介して、移植されるように構成され得る。送達システムは、ガイド/送達シース、送達カテーテル、操縦可能カテーテル、インプラントカテーテル、管、これらの組合せ等の一つ以上を備え得る。図18図22を参照すると、捕捉要素210はカテーテル220に取り外し可能に結合され得る。捕捉要素210は、取り外し可能なカプラ、取り外し可能なプレス嵌合、摩擦嵌合、磁気嵌合、ねじ接続などを含む、様々な方法でカテーテル220に結合され得る。
【0131】
アンカー部分204は、一つ以上の作動要素に結合され得る。図示した例では、外側アンカー本体240は、外側作動要素250に取り外し可能に結合される。外側作動要素250は、カテーテル220の半径方向内側に配置され得る。外側作動要素250は、カテーテル220に対して摺動可能であり得る。一部の実装形態では、外側作動要素250は、外側カラー244で外側アンカー本体240に取り付けることができる。
【0132】
内側アンカー本体230は、内側作動要素252に取り外し可能に結合される。内側作動要素252は、外側作動要素250の半径方向内側に配置され得る。内側作動要素252は、外側作動要素250に対して摺動可能であり得る。一部の実装形態では、内側作動要素252は、内側カラー234で内側アンカー本体230に取り付けることができる。内側作動要素252、外側作動要素250、およびカテーテル220はすべて、同時に、かつ互いに独立して移動することができる。
【0133】
外側作動要素250および内側作動要素252は、ワイヤ、ロッド、シャフト、管、ねじ、縫合糸、ライン、細片、またはこれらの組み合わせを含む、多種多様な異なる形態をとることができる。外側作動要素250および内側作動要素252は、様々な異なる材料で作製することができ、様々な構成を有することができる。一例として、作動要素は、作動要素を回転作動することで、アンカー部分が捕捉要素に対して移動するように、ねじ山付きのものとされ得る。あるいは、作動要素は、作動要素を押込作動または引張作動することで、アンカー部分が捕捉要素に対して移動するように、ねじ山を有していないものとすることができる。外側作動要素250および内側作動要素252は、捕捉要素210の第一の端214の開口部224を通して配置され得る。
【0134】
図19図23を参照すると、デバイス200は、対向する弁尖間の心臓弁内に位置付けられ得る。一部の実装形態では、アンカー部分204および捕捉要素210は、アンカー部分204および捕捉要素210をカテーテル220の長手方向軸に沿って一緒に移動させることによって同時に位置付けられ得る。アンカー部分204は、一つ以上の天然弁尖(例えば、僧帽弁尖260、262)がアンカー部分204によって把持されるように、移植されたときに天然弁尖の後ろに位置付けられるように構成され得る。
【0135】
図20を参照すると、デバイス200は、捕捉要素210とアンカー232との間にギャップを作り出すために、内側作動要素252の長手方向軸に沿って捕捉要素210から離れるように内側アンカー本体230を移動させるように構成され得る。図示した例では、内側アンカー本体230は、外側アンカー本体240および捕捉要素210から押し出される。内側作動要素252の移動は、アンカー232を捕捉要素210の外に、かつ心臓の心室または下部内に押し出すことができる。一部の実装形態では、内側アンカー本体230およびアンカー232は、捕捉要素210から遠位に移動すると自己拡張するように構成される。例えば、アンカー本体230は、自己拡張ステントまたはステント様の構成を有し得る。
【0136】
図21を参照すると、デバイス200は、外側アンカー本体240が、捕捉要素210から離れるように外側作動要素250の長手方向軸に沿って移動するように構成され得る。外側作動要素250の移動は、外側アンカー本体240を捕捉要素210の外に、および弁尖260、262に向かって押し出すことができる。結果として、弁尖260、262は、外側アンカー本体240と内側アンカー本体230との間に捕捉され得る。図示した例では、アンカー232は、アンカー232が弁尖260、262の外側または心室側に配置され、外側アンカー本体240が弁尖260、262の内側または心房側に配置されるように、外側アンカー本体240よりも半径方向外側に拡張する。一部の実装形態では、外側アンカー本体240は、捕捉要素210から遠位に移動すると自己拡張するように構成される。
【0137】
図21を参照すると、次いで、弁尖260、262は、外側アンカー本体240とアンカー232との間に位置付けられ得る。一部の実装形態では、内側作動要素252および外側作動要素250は、捕捉要素210に向かって近位に移動する。外側アンカー本体240およびアンカー232は、捕捉要素210に向かって引かれて、弁尖260、262を固定する。内側作動要素252および外側作動要素250がさらに近位に引っ張られると、弁尖260、262は、外側アンカー本体240、捕捉要素210、およびアンカー232に対して固定される(図22)。図23を参照すると、作動要素250、252および送達システムまたはカテーテル220は、デバイス200から分離され得、デバイスは、天然弁の弁尖260、262に取り付けられたままである。
【0138】
一部の実装形態では、捕捉要素210はアンカー232に向かって移動することができ、それによって捕捉要素210とアンカー232との間のギャップを閉じる。弁尖260、262の部分は、外側アンカー本体240と内側アンカー本体230との間に、および/または捕捉要素210とアンカー232との間に捕捉され得る。弁尖260、262の部分は、捕捉要素210の内側表面とアンカー232との間で、捕捉要素210の端部表面とアンカー232との間で、捕捉要素210の外側表面とアンカー232との間で、および/または外側アンカー本体240とアンカー232との間で捕捉され得る。図22によって図示した例では、弁尖部分は、外側アンカー本体240とアンカー232との間に、捕捉要素210の端面とアンカー232との間に、および捕捉要素210の外側表面とアンカー232との間に捕捉される。三尖弁での使用のために構成された一部の実装形態では、アンカーは、捕捉要素が二つの天然弁尖の間、または三つすべての天然弁尖の間に位置決めされるように、デバイスを三尖弁尖の一つ、二つまたは三つに固定するように構成される。
【0139】
ここで図24図29を参照すると、図7図15の移植可能なデバイス100は、心臓Hの天然僧帽弁MV内に送達および移植されていることが示されている。図16図23の移植可能なデバイスは、内側アンカー本体230および外側アンカー本体240が図20および図21に示すように配備されることを除いて、同じ様式で送達され得る。図24~25を参照すると、送達システム120の送達シースおよび/またはカテーテルは、中隔を通して左心房LAに挿入され、左心室に挿入される。
【0140】
図26から確認され得るように、移植可能なデバイスまたはインプラント100は、僧帽弁MV内の位置に、さらには心室LV内に移動され、弁尖20、22を把持し得るように、部分開状態となる。例えば、送達システム120のカテーテルを、前進させて操縦または屈曲させて、図26が示すように、デバイス100を位置決めすることができる。作動要素122は、図26に示すように、送達システム120のカテーテルの内側から前進して、インプラントを捕捉要素110の外側に位置付けることができる。
【0141】
ここで、図27を参照すると、送達システム120のカテーテルは引き込まれて、僧帽弁の弁尖20、22を、アンカー108内に位置決めすることができる。弁尖がアンカー108の内側に入ると、作動要素122は引き込まれ、かつ/または送達システム120のカテーテルが前進して、アンカー108および弁尖20、22を捕捉要素110内に引き込み、弁尖20を捕捉する。作動要素122は、さらに引き込まれて、デバイスを、図28に示す完全閉状態に移動させる。
【0142】
最後に、図28および図29から確認され得るように、送達システム120(例えば、操縦可能カテーテル、インプラントカテーテル等)および作動要素122は、分離されて引き込まれ、デバイスまたはインプラント100は、完全に閉じられ、天然僧帽弁MV内に展開される。
【0143】
図30図31を参照すると、本明細書に記載のデバイスおよび構成要素は、様々な異なる送達システムを移植するために、様々な異なる形態をとることができる。例えば、アンカー408を有する図31に示す人工装具は、図30に示すシステム300で本明細書に記載の方法で使用され得る。図31に示す人工装具などの人工装具のためのさらなる詳細及び設計例が、米国特許第8,403,983号明細書、米国特許第8,414,644号明細書、米国特許第8,652,203号明細書、米国特許第10,813,757号明細書、並びに米国特許出願公開第2011/0313515号明細書、米国特許出願公開第2012/0215303号明細書、米国特許出願公開第2014/0277390号明細書、米国特許出願公開第2014/0277422号明細書、米国特許出願公開第2014/0277427号明細書、米国特許出願公開第2018/0021129号明細書、及び米国特許出願公開第2018/0055629号明細書に記載されており、これらの特許及び刊行物の全体が本明細書に参照により組み込まれ、本明細書の一部とされる。
【0144】
図32図34は、弁尖20、22をアンカー内に引き込むように構成された弁修復システム500、600、および700の例を示す。弁修復システム500、600、および700は、多種多様な異なる形態をとることができる。例えば、システムは、本明細書に開示されるシステムのいずれかの特徴のいずれか、および/または国際公開第2018/195201号パンフレット、国際公開第2019/204559号パンフレット、国際公開第2019/051180号パンフレット、国際公開第2018/209021号パンフレット、国際公開第2018/195215号パンフレット、国際公開第2019/139904号パンフレット、国際公開第2020/168081号パンフレット、米国特許出願公開第2020/0113676号明細書、および米国特許第10,517,726号明細書によって開示された弁修復システムの特徴のいずれかを有することができ、それら文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。図32図34によって図示した例では、弁修復デバイスは、弁尖20、22を捕捉するためのアンカーまたはアームと、アンカーまたはアームに対して天然弁の弁尖を引き込むまたはその位置を調整する一つ以上の回転部材と、を含む。回転部材は、多種多様な異なる形態をとることができる。回転運動を使用して、アンカーまたはアームに対して天然弁の弁尖を引き込むまたはその位置を調整する任意の回転部材または機器を使用することができる。国際公開第2018/195201号パンフレット、国際公開第2019/204559号パンフレット、国際公開第2019/051180号パンフレット、国際公開第2018/209021号パンフレット、国際公開第2018/195215号パンフレット、国際公開第2019/139904号パンフレット、国際公開第2020/168081号パンフレット、米国特許出願公開第2020/0113676号明細書、および米国特許第10,517,726号明細書に開示されたデバイスのいずれかは、アンカーまたはアームに対する天然弁の弁尖を引き込むか、またはその位置を調整する本明細書に開示される特徴を含むように改変され得る。
【0145】
図32を参照すると、システム500は、送達デバイス502およびアンカー504を含む。送達デバイス502は、カテーテル510および作動要素554またはシャフトを含み得る。図示したアンカー504は、本体または基部506および一つ以上のアーム508を含む。アンカー504は、作動要素554または送達デバイス502のシャフトと結合された回転部材550をさらに含む。
【0146】
回転部材550は、多種多様な異なる形態をとることができる。回転部材は、様々な形状およびサイズとすることができる。一部の実装形態では、回転部材は円筒形とすることができるが、回転部材はまた、長方形、円形、または様々な他の形状とすることができる。回転部材は、アーム508に対する弁尖20、22の位置を調整するために、回転部材に沿って離間したねじ山、突出部、ノッチ、または他の把持部材を有する、ねじ様の構成を有し得る。図32によって図示した例では、回転部材550は、回転部材550の表面に沿って延在する外ねじを含む。
【0147】
回転部材550は、作動要素554またはシャフトに結合され得る。作動要素554は、ワイヤ、ロッド、シャフト、管、ねじ、縫合糸、ライン、細片、またはこれらの組み合わせを含む、多種多様な異なる形態をとることができる。作動要素554は、ユーザが回転部材550に力を提供して、回転部材550を第一の方向Dに回転させることができるように、回転部材550に接続され得る。回転部材550が第一の方向Dに回転すると、回転部材550は、弁尖20、22と接触し、弁尖20、22をさらにアーム508内に引っ張る。次いで、弁尖は、回転部材550とアンカー部分504のアーム508との間に固定され得る。
【0148】
アーム508および回転部材550に対する弁尖の再配置が必要な場合(例えば、弁尖がアンカー部分604内にしっかりと引き込まれる場合)、回転部材550は、第一の方向Dとは反対の第二の方向に回転され得る。回転部材550が第二の方向に回転すると、より望ましい嵌合が達成されるまで、弁尖はアンカー部分504のアーム508から出される。
【0149】
図33は、送達デバイス602およびアンカー604を含むシステム600の例を示す。送達デバイス602は、カテーテル610および二つの独立した作動要素654、664を含み得る。図示したアンカー604は、本体または基部606および一つ以上のアームまたはアンカー608を含む。アンカー604は、第一の回転/並進移動部材またはベルト部材650および第二の回転/並進移動部材またはベルト部材660をさらに含む。例えば、アンカー部分604は、アームまたはアンカー608の表面に沿って配置される第一の回転/並進移動部材650および第二の回転/並進部材660を含み得る。回転部材/並進運動部材650、660は、弁尖と結合するための突出部、ノッチ、または他の摩擦強化要素を含み得る。
【0150】
回転/並進運動部材650、660は、ユーザが回転/並進移動運動部材650、660に力を提供することができるように、作動要素654、664にそれぞれ結合され得る。作動要素654、664に加えられる力は、回転/並進移動部材650、660を、アンカー604のアーム608内に第一の方向Dに移動させることができる。作動要素654、664は、異なる時間、速度および/または量で同時に係合することができるように、互いに独立していてもよい。結果として、第一の弁尖20および第二の弁尖22の異なる長さまたは量は、アンカー604のアーム608内に引き込まれ得る。弁尖20、22が位置付けられると、弁尖20、22は、回転/並進移動部材650、660とアンカー部分604の基部606との間に固定され得る。
【0151】
アンカー部分604のアーム608内の弁尖の一方または両方の再配置が必要な場合(例えば、弁尖のうちの一つ以上がアンカー部分604内にきつく引き込まれる場合)、回転/並進移動部材650および/または660は、第一の方向Dとは反対の第二の方向に移動され得る。回転/並進移動部材650および/または660が第二の方向に移動すると、弁尖は、アンカー部分604のアーム608から出される。回転/並進移動部材650および/または660の移動量は、作動要素654、664によって制御されて、弁尖20、22がアンカー部分604のアーム608からどの程度離れているかを制御する。
【0152】
図34は、システム700が、アンカー部分704のアーム708内に弁尖を引き込むホイール750、760を含むことを除いて、図34の例のシステム600と類似したシステム700の例を示す。図34のシステム700は、送達デバイス702およびアンカー704を含む。送達デバイス702は、カテーテル710および二つの独立した作動要素754、764を含み得る。図示したアンカー704は、本体または基部706および一つ以上のアームまたはアンカー708を含む。アンカー704は、第一の回転部材またはホイール750および第二の回転部材またはホイール760をさらに含む。例えば、アンカー部分704は、アームまたはアンカー708の端部に配置された第一の回転部材またはホイール750および第二の回転部材またはホイール760を含み得る。回転部材またはホイール750、760は、弁尖20、22と係合するための突出部、ノッチ、またはその他の摩擦強化要素752、762を含み得る。
【0153】
回転部材またはホイール750、760は、作動要素754、764に結合され得る。作動要素は、様々な異なる形態をとることができる。例えば、作動要素754、764は、作動要素754、764に付与される直線運動を回転部材またはホイール750、760の回転に変換するために使用され得る、線、ベルト、チェーンなどであり得る。作動要素754、764に加えられる力は、回転部材またはホイール750、760を第一の方向Dに回転させて、弁尖20、22をアンカー704のアーム708内に引っ張ることができる。作動要素754、764は、回転部材またはホイール750、760が、異なる時間、速度および/または量で同時に弁尖組織と係合することができるように、互いに独立していてもよい。結果として、第一の弁尖20および第二の弁尖22の異なる長さまたは量は、アンカー704のアーム708内に引き込まれ得る。弁尖20、22が位置付けられると、弁尖20、22は、回転部材750、760とアンカー部分704の基部706との間に固定され得る。
【0154】
アンカー部分704のアーム708内の弁尖の一方または両方の再配置が必要な場合(例えば、弁尖がアンカー部分704内にきつく引き込まれる場合)、回転部材またはホイール750および/または760は、第一の方向Dとは反対の第二の方向に移動することができる。回転部材またはホイール750および/または760が第二の方向に回転すると、弁尖はアンカー部分604のアーム708から出される。回転部材またはホイール750および/または760の移動量は、作動要素754、764によって制御されて、弁尖20、22がアンカー部分704のアーム708からどの程度離れているかを制御する。
【0155】
弁修復および交換デバイスの送達方法に関する追加的な情報は、米国特許第8,449,599号明細書、米国特許出願公開第2014/0222136号明細書、米国特許出願公開第2014/0067052号明細書、米国特許出願公開第2016/0331523号明細書、および国際公開第2020/076898号パンフレットに見出すことができ、これら文献はそれぞれ、参照により、あらゆる目的のために、その全体が本明細書に組み込まれる。これらの方法は、必要な変更を加えて、生きた動物上であるいは、死体、死体の心臓、シミュレータ(例えば、身体の一部、心臓、組織等がシミュレートされる)などの、シミュレーション上で実施され得る。
【0156】
ここで、図35を参照すると、概略的に示した移植可能なデバイスまたはインプラント1100(例えば、移植可能人工デバイス、人工スペーサデバイス、弁修復デバイス等)が、示される。移植可能なデバイスまたはインプラント1100、ならびに他の類似のデバイス/インプラントは、国際公開第2018/195215号パンフレット、国際公開第2020/076898号パンフレット、および国際公開第2019/139904号パンフレットにより詳細に説明されており、これら文献は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。デバイス1100は、本出願もしくは上記で引用された出願で説明される任意の他の移植可能なデバイスまたはインプラントに関する他の任意の機構を含み得、デバイス1100は、任意の好適な弁修復システム(例えば、本出願もしくは上記で引用された出願で開示される任意の弁修復システム)の一部として、弁組織(例えば、弁尖20、22、30、32、34)に係合するように位置決めされ得る。
【0157】
デバイスまたはインプラント1100は、送達システムまたは他の送達手段1102から展開される。送達システム1102は、カテーテル、シース、ガイドカテーテル/シース、送達カテーテル/シース、操縦可能カテーテル、インプラントカテーテル、管、チャネル、経路、これらの組み合わせなどのうちの一つ以上を備え得る。デバイスまたはインプラント1100は、任意選択の接合部分1104と、アンカー部分1106と、を含み得る。
【0158】
一部の実装形態では、デバイスまたはインプラント1100の接合部分1104は、天然弁(例えば、天然僧帽弁、天然三尖弁等)の弁尖の間に移植されるように適合され、作動要素1112(例えば、作動ワイヤ、シャフト、管、ハイポチューブ、ライン、縫合糸、編組等)に摺動可能に取り付けられる接合要素1110(例えば、スペーサ、プラグ、充填材、フォーム、シート、膜、接合要素等)を含む。
【0159】
一部の実装形態では、アンカー部分1106は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、例えば、パドル、把持要素または同種のものなどの多種多様な形態をとることができる、一つ以上のアンカー1108を含む。作動手段または作動要素1112の作動によって、デバイス1100のアンカー部分1106が開閉し、移植の間に天然弁の弁尖を把持する。
【0160】
作動手段または作動要素1112(ならびに、本明細書に開示される他の作動手段および作動要素)は、多種多様な異なる形態(例えば、ワイヤ、ロッド、シャフト、管、ねじ、縫合糸、ライン、細片、これらの組合せ等)をとり得、様々な異なる材料から作製され得、さらに、多様な構成を有し得る。一例として、作動要素は、作動要素を回転作動することで、アンカー部分1106が接合部分1104に対して移動するように、ねじ山付きのものとされ得る。あるいは、作動要素は、作動要素1112を押込作動または引張作動することで、アンカー部分1106が接合部分1104に対して移動するように、ねじ山を有していないものとすることができる。
【0161】
アンカー部分1106および/またはアンカーは、様々な異なる形態をとることができる。例えば、アンカー部分1106および/またはアンカーは、本出願に開示されるアンカーまたはアンカーの構成要素のいずれか、あるいは既知の僧帽弁または三尖端弁修復デバイスの任意のアンカーの形態をとることができる。さらに、アンカー部分1106および/またはアンカーは、デバイス1100が僧帽弁または三尖弁の弁尖に取り付けられることを可能にする任意の形態をとることができる。
【0162】
一部の実装形態では、デバイス1100のアンカー部分1106および/またはアンカーは、一部の実装形態では、部分1124、1126、1128によってキャップ1114と接合要素1110との間に接続される、外側パドル1120および内側パドル1122を含む。一部の実装形態では、デバイス1100は、外側パドル1120および内側パドル1122の両方を含まない。例えば、各内側パドル1120および外側パドル1122の組み合わせは、開閉することができる単一のパドルと置き換えることができる。部分1124、1126、1128は、様々な位置の間を移動するように、接合式および/または可撓性であり得る。部分1124、1126、および1128による外側パドル1120、内側パドル1122、接合要素1110、およびキャップ1114の相互接続は、デバイスを天然弁に送達し、デバイスを開放し、デバイスを天然の弁尖に固定するためにデバイスを閉じるために必要な様々な位置および移動にデバイスを制限することができる。
【0163】
一部の実装形態では、送達システム1102は、操縦可能カテーテル、インプラントカテーテル、および作動手段または作動要素1112(例えば、作動ワイヤ、作動シャフト、作動管、作動ロッド等)を含む。これらは、ガイドカテーテル/シース(例えば、経中隔シース等)を通って延在するように構成され得る。一部の実装形態では、作動手段または作動要素1112は、送達カテーテルおよび接合要素1110を通って、遠位端(例えば、アンカー部分1106の遠位接続部でのキャップ1114または他の取付部分)まで延在する。一部の実装形態では、作動要素1112を延在および引き込むことで、接合要素1110とデバイスの遠位端(例えば、キャップ1114または他の取付部分)との間の間隔は、それぞれ増大および減少する。
【0164】
一部の実装形態では、カラーまたは他の取付要素(例えば、クランプ、クリップ、ロック、縫合糸、摩擦嵌入、バックル、スナップフィット、ラッソ)は、直接的にまたは間接的のいずれかで、接合要素1110を送達システム1102に取り外し可能に取り付けて、これにより、作動手段または作動要素1112は、カラーまたは他の取付要素を通って、一部の実装形態では、作動中に接合要素1110を通って、摺動することで、アンカー部分1106および/またはアンカー1108のパドル1120、1122を開閉する。
【0165】
一部の実装形態では、アンカー部分1106および/またはアンカー1108は、取付部分または把持部材1130(例えば、アーム、クランプ、留め金、フックなど)を含み得る。図示した把持部材は、任意選択の固定アーム1132、可動アーム1134、および任意選択の固定要素、摩擦強化要素または他の固定手段1136(例えば、バーブ、突起部、隆起、溝、テクスチャ面、接着剤等)を備え得る。一部の実装形態では、デバイス1100は、それぞれが、随意の基部または固定アーム1132、可動アーム1134、および一つ以上の随意のバーブ1136を有する、一対の把持部材1130を含む。一部の実装形態では、固定アーム1132は省略され、可動アーム1134および内側パドル1122は、天然の弁尖を捕捉および固定するように構成されている。
【0166】
可動アーム1134は、可動アーム1134が、接合要素1110に沿って延在する開位置と、図35に示すように、可動アーム1134が、固定アーム1132(含まれる場合)および内側パドル1122に沿って延在する閉位置と、の間で移動するように構成されている。一部の実装形態では、可動アーム1134は、開位置と閉位置との間で移動するために、関節移動、屈曲、または回動するように構成される。一部の実装形態では、可動アーム1134は、図35に示すように、接合要素の遠位端に隣接する、または部分1128に隣接する位置で関節移動、屈曲、または回動する。任意選択の固定アーム1132は、可動アーム1134を開けることで把持部材1130を開けて、任意選択的なバーブ1136を露出させる場合、内側パドル1122に取り付けられ、内側パドル1122に対して静止したままであるか、または実質的に静止したままである。
【0167】
一部の実装形態では、可動アーム1134は、閉位置に付勢され得る。可動アーム1134は、様々な方法で閉位置に付勢され得る。例えば、可動アーム1134は、閉位置に設定された形状であるニチノールなどの形状記憶合金で形成されてもよく、または可動アーム1134は、鋼、他の金属、プラスチック、複合材料などのばね材料の使用を通して閉位置に付勢されてもよい。一部の実装形態では、把持部材1130は、可動アーム1134に取り付けられた作動ライン1116に張力をかけることによって開けられ、それによって、可動アーム1134を、関節移動、屈曲または回動させる。作動ライン1116は、送達システム1102を通って(例えば、操縦可能カテーテルおよび/またはインプラントカテーテルを通って)延在する。他の作動機構もまた、可能である。
【0168】
作動ライン1116は、例えば、ライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、カテーテルまたは同種のものなどの、多種多様な形態をとることができる。把持部材1130は、閉位置において把持部材1130が把持された天然弁尖に挟持力を提供し続けるように付勢され得る。把持部材1130の任意選択のバーブ1136は、天然弁尖をさらに固定するために、天然弁尖を、把持、挟持、および/または穿刺し得る。
【0169】
パドル1120、1122は、移植の間に、開閉されて、例えば、パドル1120、1122の間に、および/またはパドル1120、1122と接合要素1110(例えば、スペーサ、プラグ、膜、ギャップ充填剤など)との間に、天然弁尖(例えば、天然僧帽弁の弁尖等)を把持することができる。把持部材1130は、弁尖を任意選択のバーブ1136と係合させ、可動アーム1134と固定アーム1132との間で、および/または可動アーム1134と内側パドル1122との間で弁尖を挟持することによって、天然弁尖を挟持し、かつ/またはさらに固定するために使用され得る。把持部材1130の任意選択の固定要素1136または固定手段(例えば、バーブ、摩擦強化要素、突起部、隆起、溝、テクスチャ面、接着剤等)は、弁尖との摩擦を増大させる、あるいは、弁尖を部分的におよび/または完全に穿刺し得る。
【0170】
一部の実装形態では、作動ライン1116は、各把持部材1130が別々に開閉され得るように、別々に作動され得る。別個に動作することにより、一度に一つの弁尖を把持可能になる、あるいは、他の弁尖上で良好な把持を変化させることなく、把持部材1130を、充分に把持されなかった弁尖上に再配置可能になる。一部の実装形態では、作動ライン1116は、把持部材1130が一緒に開閉され得るように(例えば、二つ以上の弁尖を同時に捕捉するために)、同時に作動され得る。
【0171】
一部の実装形態では、把持部材1130は、内側パドル1122の位置に対して開閉され得(内側パドルが、開位置または少なくとも部分的に開位置にある限り)、それによって、弁尖が、特定の状況が要する様々な位置で把持され得る。
【0172】
一部の実装形態では、デバイス1100は、デバイス1100に対して捕捉された弁尖20、22を再配置するように構成された弁尖再配置デバイス1139を含む。捕捉された弁尖20、22を再配置することにより、デバイス1100は、把持部材1130を解放および再配置する必要なく、改善された捕捉位置に十分に把持されていない弁尖を再配置することができる。
【0173】
弁尖再配置デバイスは、様々な方法で構成することができる。一部の実装形態では、弁尖再配置デバイス1139は、可動アーム1134の各々が、閉位置にある間に、別々に引き込まれる(すなわち、デバイス1100の中心線CLに向かって内向きに移動する)ことを可能にする。したがって、可動アーム1134の有効長さ(例えば、露出した長さ)は、任意の固定アーム1132および/または内側パドル1122に対して捕捉された弁尖を再配置するためにカスタマイズされ得る。
【0174】
図35に示すように、各可動アーム1134は、近位端1140および遠位端1142を有する。可動アーム1134の各々は、可動アーム1134の遠位端1142が、デバイスの接合要素1110または中心線CLに向かって内向きに移動するように、閉位置にある間に別々に引っ込められ得る。移植可能なデバイス1100は、可動アーム1134の引き込みを可能にするように、様々な方法で構成することができる。一部の実装形態では、各可動アーム1134の近位端1140は、対応する引き込み要素1144に接続される。引き込み要素1144は、例えば、ライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、管、カテーテルまたは同種のものなどの、多種多様な形態をとることができる。引き込み要素1144は、任意の適切な様式で、または任意のタイプの接続デバイス、ロック、締結具などと、各可動アーム1134の近位端1140に接続することができる。
【0175】
可動アーム1134の引き込みは、十分に把持されなかった弁尖が、接合要素1110に向かって内向きに引っ張られて、弁尖の捕捉を改善することを可能にする。図36を参照すると、移植可能なデバイス1100は、可動アーム1134が閉位置にあり、かつ弁尖20、22が把持部材1130によって捕捉された状態で、僧帽弁の弁輪に位置付けられて示されている。
【0176】
いくつかの実装形態では、移植可能なデバイス1100はまた、任意のカバー1150を含み得る。一部の実装形態では、カバー1150は、接合要素1110および/または外側パドル1120と内側パドル1122上に配置され得る。カバー1150は、デバイスまたはインプラント1100を通る血流を防止、抑制または低減するように構成され得、かつ/または、天然組織内方成長を促進するように構成され得る。一部の実装形態では、カバー1150は、PET、ベロアなどの布または織物、もしくは他の好適な織物とし得る。一部の実装形態では、織物の代わりにまたは織物に加えて、カバー1150は、移植可能なデバイスまたはインプラント1100に塗布されるコーティング(例えば、ポリマー)を含むことができる。
【0177】
図36に示すように、一方の弁尖20は十分に捕捉される(例えば、把持部材1130内で十分な深さに)が、他方の弁尖22は十分に捕捉されない(例えば、把持部材1130内で不十分な深さに)。特に、十分に捕捉されていない弁尖22は、可動アーム1134の遠位端1142でのみ捕捉される。パドル1122が閉じている時のこの弁尖22の捕捉を改善するために、図37に示すように、可動アーム1134を引き込むことができる。矢印Aによって示されるように、張力は、可動アーム1134の近位端1140が任意の接合要素1110内に引っ張られるように、引き込み要素1144に付与されて、引き込み要素1144を近位に引っ張ることができる。結果として、可動アーム1134は、閉位置のままで、固定アーム1132および/またはパドル1122に対して内向きに移動する(すなわち、引き込まれた位置に移動する)。弁尖22は、可動アーム1134上の固定要素1136を介して可動アーム1134に接続されているため、可動アーム1134が内向きに移動すると、可動アーム1134は、弁尖22をそれとともに内向きに引っ張る。
【0178】
一部の実装形態では、一つ以上のロック要素1152は、引き込み要素1144の各々および/または可動アーム1134の各々と動作可能に関連付けられ得る。例えば、一つのロック要素1152は、可動アーム1134が引き込まれた後(すなわち、可動アーム1134の有効長さを固定する)、可動アーム1134のうちの一つを定位置にロックするように構成され得る。同様に、別のロック要素1152は、他の可動アーム1134が引き込まれた後に、可動アーム1134のうちの他方を定位置にロックするように構成され得る。したがって、可動アーム1134の移動によって、弁尖22を内向きに十分な深さまで引っ張り、内側パドル1122に対して定位置にロックすることができ、その結果、パドル1120、1122が閉じている時、図38に示すように、弁尖20、22は、移植可能なデバイス1100によって固定される。
【0179】
ここで、図39図42を参照すると、概略的に示した例示的なデバイスまたはインプラント1200(例えば、修復デバイス、移植可能なデバイス、移植可能な人工デバイス、人工スペーサデバイス、弁修復デバイス等)が、示される。デバイス又はインプラント1200は、図35図38に図示した以前に開示されたデバイス又はインプラントに対応し、デバイス又はインプラント1100の説明は、同様の要素の参照番号が同じに保たれた状態で、デバイス又はインプラント1200に等しく適用される。デバイスまたはインプラント1200は、本出願もしくは上記で引用された出願で説明される任意のデバイスまたはインプラント1200のいずれかの機構を含み得る。デバイス1200は、任意の好適な弁修復システム(例えば、本出願または上記で引用された出願に開示される任意の弁修復システム)の一部として弁組織(例えば、弁尖20、22、30、32,34)を係合するように位置付けられ得る。
【0180】
一部の実装形態では、デバイス1200は、接合部分1104およびアンカー部分1106を含む。接合部分1104は、天然弁(例えば、天然僧帽弁、天然三尖弁等)の弁尖の間に移植されるように適合され、作動要素1112(例えば、作動ワイヤ、シャフト、管、ハイポチューブ、ライン、縫合糸、編組等)に摺動可能に取り付けられる接合要素1110(例えば、スペーサ、プラグ、充填材、フォーム、シート、膜、接合要素等)を含む。
【0181】
一部の実装形態では、アンカー部分1106は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、例えば、パドル、把持要素または同種のものなどの多種多様な形態をとることができる、一つ以上のアンカー1108を含む。作動手段または作動要素1112の作動によって、デバイス1100のアンカー部分1106が開閉し、移植の間に天然弁の弁尖を把持する。作動手段または作動要素1112(ならびに、本明細書に開示される他の作動手段および作動要素)は、多種多様な異なる形態(例えば、ワイヤ、ロッド、シャフト、管、ねじ、縫合糸、ライン、細片、これらの組合せ等)をとり得、様々な異なる材料から作製され得、さらに、多様な構成を有し得る。
【0182】
アンカー部分1106および/またはアンカーは、様々な異なる形態をとることができる。例えば、アンカー部分1106および/またはアンカーは、本出願に開示されるアンカーまたはアンカーの構成要素のいずれか、あるいは既知の僧帽弁または三尖端弁修復デバイスの任意のアンカーの形態をとることができる。さらに、アンカー部分1106および/またはアンカーは、デバイス1100が僧帽弁または三尖弁の弁尖に取り付けられることを可能にする任意の形態をとることができる。
【0183】
一部の実装形態では、デバイス1200のアンカー部分1106および/またはアンカーは、一部の実装形態では、部分1124、1126、1128によってキャップ1114と接合要素1110との間に接続される、外側パドル1120および内側パドル1122を含む。しかしながら、一部の実装形態では、デバイス1100は、外側パドル1120および内側パドル1122の両方を含まない。例えば、各内側パドル1120および外側パドル1122の組み合わせは、開閉することができる単一のパドルと置き換えることができる。
【0184】
一部の実装形態では、アンカー部分1106および/またはアンカー1108は、取付部分または把持部材を含み得る。図示した把持部材は、任意選択の基部または固定アーム1132、可動アーム1134、任意選択の固定要素または固定手段1136(例えば、バーブ、摩擦強化要素、突起部、隆起、溝、テクスチャ面、接着剤、等)、およびジョイント部分1138を含む把持部材1130を備えることができる。含まれる場合、随意の固定アーム1132を内側パドル1122に取り付けることができる。一部の実装形態では、固定アーム1132は、ジョイント部分1138が任意選択の接合要素1110に近接して配置された状態で、内側パドル1122に取り付けられる。
【0185】
一部の実装形態では、ジョイント部分1138は、把持部材1130の固定アーム1132と可動アーム1134との間にばね力を提供し、かつ/または可動アーム1134と内側パドル1120との間にばね力を提供する。ジョイント部分1138は、可撓性ジョイント、バネジョイント、回動ジョイントまたは同種のものなどの、任意の好適なジョイントであり得る。一部の実装形態では、ジョイント部分1138は、固定アーム1132および可動アーム1134に一体的に形成された可撓性の材料片である。固定アーム1132は、内側パドル1122に取り付けられ、可動アーム1134が開状態になり、把持部材1130を開き、任意選択の固定要素1136を露出させる場合、内側パドル1122に対して静止したまままたは実質的に静止したままである。
【0186】
可動アーム1134は、可動アーム1134が、接合要素1110に沿って延在する開位置と、図39に示すように、可動アーム1134が、随意の固定アーム1132および/または内側パドル1122に沿って延在する閉位置と、の間で移動するように構成されている。固定アーム1132は、内側パドル1122に取り付けられ、可動アーム1134が開状態になり、把持部材1130を開き、任意選択の固定要素または固定手段1136を露出させる場合、内側パドル1122に対して静止したまままたは実質的に静止したままである。
【0187】
一部の実装形態では、把持部材1130は、可動アーム1134に取り付けられた作動ライン1116に張力をかけることによって開けられ、それによって、可動アーム1134を、ジョイント部分1138上で、関節移動、屈曲または回動させる。作動ライン1116は、送達システム1102を通って(例えば、操縦可能カテーテルおよび/またはインプラントカテーテルを通って)延在する。他の作動機構もまた、可能である。作動ライン1116は、例えば、ライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、カテーテルまたは同種のものなどの、多種多様な形態をとることができる。把持部材1130は、閉位置において把持部材1130が把持された天然弁尖に挟持力を提供し続けるように付勢され得る。この挟持力は、内側パドル1122の位置に関係なく、一定のままである。把持部材1130の任意選択の固定要素または固定手段1136は、天然弁尖をさらに固定するために、天然弁尖を、把持、挟持、および/または穿刺し得る。
【0188】
一部の実装形態では、パドル1120、1122は、移植の間に、開閉されて、例えば、パドル1120、1122の間に、および/またはパドル1120、1122と接合要素1110(スペーサ、プラグ、膜、ギャップ充填剤、等)との間に、天然弁尖(例えば、天然僧帽弁の弁尖等)を把持することができる。把持部材1130を使用して、任意選択の固定要素1136によって弁尖に係合し、弁尖を可動アーム1134と固定アーム1132との間に挟持することで、天然弁尖を、把持、および/またはさらに固定することができる。把持部材1130の任意選択の固定要素1136(例えば、突起部、隆起、溝、テクスチャ面、接着剤等)は、弁尖との摩擦を増大させる、あるいは、弁尖を部分的にまたは完全に穿刺し得る。
【0189】
一部の実装形態では、作動ライン1116は、各把持部材1130が別々に開閉され得るように、別々に作動され得る。別個に動作することにより、一度に一つの弁尖を把持可能になる、あるいは、他の弁尖上で良好な把持を変化させることなく、把持部材1130を、充分に把持されなかった弁尖上に再配置可能になる。一部の実装形態では、把持部材1130は、内側パドル1122の位置に対して開閉され得(内側パドルが、開位置または少なくとも部分的に開位置にある限り)、それによって、弁尖が、特定の状況が要する様々な位置で把持され得る。
【0190】
一部の実装形態では、デバイス1200は、デバイス1200に対して捕捉された弁尖20、22を再配置するように構成された弁尖再配置デバイス1139を含む。捕捉された弁尖20、22を再配置することにより、デバイス1200は、把持部材1130を解放および再配置する必要なく、より安全な捕捉位置に十分に把持されていない弁尖を再配置することができる。弁尖再配置デバイスは、様々な方法で構成することができる。一部の実装形態では、弁尖再配置デバイス1139は、固定アーム1132および/または内側パドル1122に対して捕捉された弁尖を再配置するために、可動アーム1134および取り付けられた固定要素1136を、内向き(すなわち、デバイス1200の中心線CLに向かって)に引き込むかつ/または外向き(すなわち、デバイス1200の中心線CLから離れるように)に引き出すことを可能にする。一部の実装形態では、弁尖再配置デバイス1139は、固定アーム1132および/または内側パドル1122に対して捕捉された弁尖を再配置するために、固定要素1136を可動アーム1134に沿って内向き(すなわち、デバイス1200の中心線CLに向かって)および外向き(すなわち、デバイス1200の中心線CLから離れるように)に移動させることを可能にする。
【0191】
図39に示すように、各可動アーム1134は、近位端1140および遠位端1142を有する。一部の実装形態では、可動アーム1134および取り付けられた固定要素1136の各々は、閉位置にある間に、別々に内向きに引き込まれ、外向きに解放され得る。一部の実装形態では、可動アーム1134の各々上の固定要素1136は、閉位置にある間に、可動アーム1134に沿って近位端1140に向かって、および近位端1140から離れるように別々に移動され得る。例えば、可動アーム1134の各々上の固定要素1136は、可動アーム1134上の遠位位置と、遠位位置よりも近位端1140に近い近位位置と、の間で前後に移動することができる。
【0192】
移植可能なデバイス1200は、可動アーム1134に沿った固定要素1136の移動を可能にするように、様々な方法で構成され得る。一部の実装形態では、各可動アーム1134の固定要素1136は、対応する引き込み要素1144に接続される。引き込み要素1144は、例えば、ライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、カテーテルまたは同種のものなどの、多種多様な形態をとることができる。引き込み要素1144は、任意の適切な様式で、または任意の接続デバイスによって、各可動アーム1134の固定要素1136に接続することができる。例えば、固定要素は、可動アーム1134上に摺動可能に配置されるリング、カラーなどの上に配置され得るか、またはそれを含み得る。
【0193】
デバイス1200の中心線CLに向かう固定要素1136の内向きの移動は、十分に把持されていない弁尖を接合要素1110またはデバイス1200の中心線CLに向かって内向きに引っ張ることにより、弁尖の捕捉を改善するのを可能にする。一部の実装形態では、一つ以上のロック要素1152は、引き込み要素1144の各々、可動アーム1134の各々、および/または各固定要素1136と動作可能に関連付けられ得る。例えば、一つ以上のロック要素1152は、固定要素1136が内向きに移動した後に、固定要素1136を定位置にロックするように構成され得る。したがって、十分に把持されていない弁尖は、固定要素1136の移動によって十分な深さまで内向きに引っ張られ、パドル1120、1122が閉じている時に、弁尖20、22が移植可能なデバイス1200によってしっかりと保持されるように、内側パドル1122に対して定位置にロックされ得る。
【0194】
一部の実装形態では、弁尖再配置デバイス1139は、ラチェット機構、または類似のデバイスもしくは機構として構成される。すなわち、固定要素1136がデバイス1200の中心線CLに向かって内向きに引っ張られた後、可動アーム1134上の固定要素1136は、所望により、弁尖から解放され、可動アーム1134上の遠位位置に戻ることができる。次いで、固定要素1136は、弁尖と再係合され、デバイス1200の中心線CLに向かって内向きに再び近位位置に引っ張られ得る。このようにして、弁尖は、十分に把持されているとみなされるまで、デバイス1200の中心線CLに向かって内向きに徐々に引っ張られ得、内向きの移動を繰り返すことができるため、固定要素1136の移動の全長は短くなり得る。
【0195】
一部の実装形態では、弁尖再配置デバイス1139は、第二の固定要素1137(例えば、突出部、隆起、溝、テクスチャ面、接着剤など)を含むことによって、ラチェット機構として構成され得る。すなわち、固定要素1136がデバイス1200の中心線CLに向かって内向きに引かれた後、第二の固定要素1137は、弁尖20、22の位置を保持する。次に、固定要素1136は、弁尖の上を摺動し、遠位位置に戻るように移動することができる。次いで、固定要素1136は、弁尖と再係合され、弁尖を第二の固定要素1137上の中心線CLに向かって内向きに再び近位位置に引っ張り、第二の固定要素1137は、弁尖の位置を再び保持することができる。このようにして、弁尖は、十分に把持されているとみなされるまで、デバイス1200の中心線CLに向かって内向きに漸進的に引っ張られ得る。一部の実装形態では、内向きの移動を繰り返すことができるため、固定要素1136の移動の全長は短くてもよい。
【0196】
図40を参照すると、移植可能なデバイス1200は、可動アーム1134が閉位置にあり、かつ弁尖20、22が把持部材1130によって捕捉された状態で、僧帽弁の弁輪に位置付けられて示されている。図示した実装形態では、一方の弁尖20は十分に捕捉される(例えば、把持部材1130内で十分な深さに)が、他方の弁尖22は十分に捕捉されない(例えば、把持部材1130内で不十分な深さに)。特に、十分に留められていない弁尖22は、可動アーム1134の遠位端1142でのみ捕捉される。図示した実装形態などの一部の実装形態では、可動アーム1134および固定アーム1132の両方は、弁尖20、22と係合するための固定要素1136、1137を有する。
【0197】
この弁尖22の捕捉を改善するために、可動アーム1134上の固定要素1136は、図41に示すように、遠位位置(図40に示すように)から近位位置へと内向きに引き込まれ得る。図41の矢印によって示されるように、可動アーム1134上の固定要素1136が、可動アーム1134に対して、デバイス1200の中心線CLに向かって内向きに引っ張られるように、引き込み要素1144に張力を付与して、引き込み要素1144を近位に引っ張ることができる。弁尖22は、可動アーム1134上の固定要素1136を介して可動アーム1134に接続されているため、弁尖22は、固定要素1136によって内向きに引き込まれる。
【0198】
固定アーム1132上の固定要素1137は、弁尖22を損傷したり、または弁尖の内向きの移動を妨げたりしないように、内向き方向への弁尖22の移動に最小限だけ抵抗するか、または抵抗しないように構成され得る。例えば、固定アーム1132は、内向き方向に移動するときに、弁尖22がバーブの上を摺動することを可能にするように内向きに角度付けられたバーブを含み得る。
【0199】
図42を参照すると、弁尖22が内向きに引き込まれた後、可動アーム1134上の固定要素1136は、弁尖22を解放し、可動アーム1134に対して、固定要素1137が弁尖22の位置を保持する間、遠位位置に戻るように外向きに移動することができる。例えば、可動アーム1134は、バーブが外向きに移動するときに、弁尖22がバーブの上を摺動することを可能にするように内向きに角度付けられたバーブを含み得る。可動アーム1134上の固定要素1136は、様々な方法で外向きに移動することができる。例えば、固定要素1136は、ばね材料を使用して遠位位置に外向きに付勢されるか、または引き込み要素1144もしくは別のプッシャによって外向きに押され得る。
【0200】
可動アーム1134上の固定要素1136が遠位位置へと外向きに移動すると、弁尖22は、固定アーム1132上の固定要素1137によって定位置に保持される。遠位位置から、可動アーム1134上の固定要素1136は、弁尖22を近位位置に再び内向きに引っ張って再係合して、弁尖を内向きにさらに引き込むことができる。このラチェット作用は、可動アーム1134上の固定要素1136が、遠位位置と近位位置との間で繰り返し移動して、弁尖が内側パドル1122に対して十分に把持され、定位置にロックされるまで、弁尖を内向きに漸進的に引き込むことを可能にするように構成され得、その結果、パドル1120、1122が閉じられたとき、弁尖20、22が移植可能なデバイス1200によってしっかりと保持される。
【0201】
ここで、図43図45を参照すると、概略的に示したデバイスまたはインプラント1300(例えば、修復デバイス、移植可能なデバイス、移植可能な人工デバイス、人工スペーサデバイス、弁修復デバイス、等)が、示される。デバイス又はインプラント1300は、図39図42に図示した以前に開示されたデバイス又はインプラントに対応し、デバイス又はインプラント1100の説明は、同様の要素の参照番号が同じに保たれた状態で、デバイス又はインプラント1300に等しく適用される。デバイスまたはインプラント1300は、本出願もしくは上記で引用された出願で説明される任意のデバイスまたはインプラント1100のいずれかの機構を含み得る。デバイス1300は、任意の好適な弁修復システム(例えば、本出願または上記で引用された出願に開示される任意の弁修復システム)の一部として弁組織(例えば、弁尖20、22、30、32,34)を係合するように位置付けられ得る。
【0202】
一部の実装形態では、デバイス1300は、接合部分1104および随意のアンカー部分1106を含む。一部の実装形態では、接合部分1104は、天然弁(例えば、天然僧帽弁、天然三尖弁等)の弁尖の間に移植されるように適合され、作動要素1112(例えば、作動ワイヤ、シャフト、管、ハイポチューブ、ライン、縫合糸、編組等)に摺動可能に取り付けられる接合要素1110(例えば、スペーサ、プラグ、充填材、フォーム、シート、膜、接合要素等)を含む。アンカー部分1106は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、例えば、パドル、把持要素または同種のものなどの多種多様な形態をとることができる、一つ以上のアンカー1108を含む。
【0203】
一部の実装形態では、作動手段または作動要素1112の作動によって、デバイス1100のアンカー部分1106が開閉し、移植の間に天然弁の弁尖を把持する。作動手段または作動要素1112(ならびに、本明細書に開示される他の作動手段および作動要素)は、多種多様な異なる形態(例えば、ワイヤ、ロッド、シャフト、管、ねじ、縫合糸、ライン、細片、これらの組合せ等)をとり得、様々な異なる材料から作製され得、さらに、多様な構成を有し得る。
【0204】
アンカー部分1106および/またはアンカーは、様々な異なる形態をとることができる。例えば、アンカー部分1106および/またはアンカーは、本出願に開示されるアンカーまたはアンカーの構成要素のいずれか、あるいは既知の僧帽弁または三尖端弁修復デバイスの任意のアンカーの形態をとることができる。さらに、アンカー部分1106および/またはアンカーは、デバイス1100が僧帽弁または三尖弁の弁尖に取り付けられることを可能にする任意の形態をとることができる。
【0205】
一部の実装形態では、デバイス1300のアンカー部分1106および/またはアンカーは、一部の実装形態では、部分1124、1126、1128によってキャップ1114と接合要素1110との間に接続される、外側パドル1120および内側パドル1122を含む。しかしながら、一部の実装形態では、デバイス1100は、外側パドル1120および内側パドル1122の両方を含まない。例えば、各内側パドル1120および外側パドル1122の組み合わせは、開閉することができる単一のパドルと置き換えることができる。一部の実装形態では、アンカー部分1106および/またはアンカー1108は、取付部分または把持部材を含み得る。一部の実装形態では、図示のように、把持部材1130は、基部または可動アーム1134、および/または任意選択の固定要素1136(例えば、バーブ、摩擦強化要素、突起部、隆起、溝、テクスチャ面、接着剤等)を含む。
【0206】
可動アーム1134は、図39に示すように、可動アーム1134が接合要素1110に沿って延在する開位置と、可動アーム1134が内側パドル1122に沿って延在する閉位置と、の間で移動するように構成されている。可動アーム1134は、把持部材1130を開き、任意選択の固定要素1136を露出させるために開かれる。一部の実装形態では、可動アーム1134は、閉位置に付勢され得る。可動アーム1134は、様々な方法で閉位置に付勢され得る。例えば、可動アーム1134は、閉位置に設定された形状であるニチノールなどの形状記憶合金で形成されてもよく、または可動アーム1134は、鋼、他の金属、プラスチック、複合材料などのばね材料の使用を通して閉位置に付勢されてもよい。
【0207】
一部の実装形態では、把持部材1130は、可動アーム1134に取り付けられた作動ライン1116に張力をかけることによって開けられ、それによって、可動アーム1134を、関節移動、屈曲または回動させる。作動ライン1116は、送達システム1102を通って(例えば、操縦可能カテーテルおよび/またはインプラントカテーテルを通って)延在する。他の作動機構もまた、可能である。作動ライン1116は、例えば、ライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、カテーテルまたは同種のものなどの、多種多様な形態をとることができる。把持部材1130は、閉位置において把持部材1130が把持された天然弁尖に挟持力を提供し続けるように付勢され得る。この挟持力は、内側パドル1122の位置に関係なく、一定のままである。任意選択の把持部材1130の固定要素1136は、天然弁尖をさらに固定するために、天然弁尖を、把持、挟持、および/または穿刺し得る。
【0208】
一部の実装形態では、パドル1120、1122は、移植の間に、開閉されて、例えば、パドル1120、1122の間に、および/またはパドル1120、1122と接合要素1110(スペーサ、プラグ、膜、ギャップ充填剤、等)との間に、天然弁尖(例えば、天然僧帽弁の弁尖等)を把持することができる。一部の実装形態では、把持部材1130は、弁尖を任意選択の固定要素1136と係合させることによって、天然弁尖を把持および/またはさらに固定するために使用され得る。把持部材1130の任意選択固定要素は、弁尖との摩擦を増加させるか、または部分的もしくは完全に弁尖を穿刺してもよい。
【0209】
一部の実装形態では、作動ライン1116は、各把持部材1130が別々に開閉され得るように、別々に作動され得る。別個に動作することにより、一度に一つの弁尖を把持可能になる、あるいは、他の弁尖上で良好な把持を変化させることなく、把持部材1130を、充分に把持されなかった弁尖上に再配置可能になる。把持部材1130は、内側パドル1122の位置に対して開閉され得(内側パドルが、開位置または少なくとも部分的開位置にある限り)、それによって、弁尖が、特定の状況が要する様々な位置で把持され得る。
【0210】
一部の実装形態では、デバイス1300は、デバイス1300を捕捉された弁尖20、22のうちの一つ以上の上に再配置するように構成された弁尖再配置デバイス1139を含む。デバイス1300を弁尖20、22上に再配置することにより、デバイス1300を解放することなく、デバイス1300を弁尖の一つ以上に沿って並進させることによって、デバイス1300を一方または両方の把持された弁尖20、22に対して再配置することが可能になり得る。弁尖再配置デバイス1139は、様々な方法で構成することができる。一部の実装形態では、弁尖再配置デバイス1139は、可動アーム1134の長手方向軸Lの周りを回転可能な一つ以上の可動アーム1134を含み得る。一部の実装形態では、弁尖再配置デバイス1139は、可動アーム1134のうちの一つを回転させるように構成され得る。一部の実装形態では、弁尖再配置デバイス1139は、ギア付きシステムなどで、可動アーム1134の両方を別々にまたは同時に回転させるように構成され得る。一部の実装形態では、弁尖再配置デバイス1139は、一方の可動アーム1134を時計回りに、他方の可動アーム1134を反時計回りに回転させるように構成される。一部の実装形態では、可動アーム1134は、可動アーム1134の外表面の周りに円周方向に配置された任意選択の固定要素1136を有する円筒形ロッドまたは管として形状設定される。
【0211】
図44図45に示すように、デバイス1300が閉じられ、弁尖20、22が可動アーム1134と内側パドル1122との間に捕捉された状態で、可動アーム1134の一方または両方を回転させることができる。図45に示すように、可動アーム1134の一方を時計回りに、他方を反時計回りに同じ回転速度で回転させることによって、デバイス1300は、弁尖20、22に沿って(例えば、弁尖の接合面に沿って)横方向に並進することができる(簡略化のために単一の回転可能な可動アーム1134のみが図示されている)。このようにして、デバイス1300が展開される横方向に僧帽弁逆流が認められる場合、デバイス1300は、問題に対処するために僧帽弁逆流の場所に横方向に移動され得る。
【0212】
一部の実装形態では、一つ以上のロック要素(例えば、クランプ、ロック、留め金、止めねじなど)は、可動アーム1134のそれぞれと動作可能に関連付けられ得る。例えば、一つのロック要素(図示せず)は、可動アーム1134が回転した後に、可動アーム1134のうちの一方を回転位置にロックするように構成され得る。同様に、別のロック要素(図示せず)は、他の可動アーム1134が回転した後に、可動アーム1134のうちの他方を回転位置にロックするように構成され得る。したがって、弁尖20、22は、デバイス1300に対して再配置され、内側パドル1122に対して定位置にロックされ得、その結果、パドル1120、1122が閉じているとき、弁尖20、22は、移植可能なデバイス1100によってしっかりと保持される。
【0213】
(以下の実施例のいずれかを含む)本開示における、様々なシステム、デバイス、機器、構成要素などのいずれもが、患者に使用するのに安全であることを確実にするために滅菌され得(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素などを用いて)、本明細書に記載の方法には、関連するシステム、デバイス、機器、構成要素などの滅菌を含んでもよい(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素などを用いて)。
[実施例]
【0214】
実施例(本明細書の概念のいくつかの非限定的な実施例は、以下に列挙される)。
【0215】
実施例1.
(i)第一の端と、第二の端と、第一の端と前記第二の端との間の空洞と、を有する捕捉要素と、(ii)一つ以上のアンカーを備えるアンカー部分であって、アンカー部分が少なくとも部分的に捕捉要素内に配置され、アンカーが、天然の心臓弁の一つ以上の弁尖を捕捉するように構成されており、アンカー部分が、捕捉要素の空洞から延在可能で、捕捉要素の空洞内に格納可能であり、捕捉要素およびアンカー部分が、アンカー部分が捕捉要素の空洞内に格納されたときに、天然弁の弁尖組織を前記空洞内に引き込むように構成される、アンカー部分と、を備える、移植可能なデバイス。
【0216】
実施例2.
捕捉要素が円筒形状である、実施例1に記載の移植可能なデバイス。
【0217】
実施例3.
捕捉要素が、断面が丸い、実施例1または2に記載の移植可能なデバイス。
【0218】
実施例4.
内側空洞が、捕捉要素の第一の端から捕捉要素の第二の端に延在する、実施例1~3のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0219】
実施例5.
閉位置では、アンカー部分が内側空洞内に完全に収容される、実施例4に記載の移植可能なデバイス。
【0220】
実施例6.
開位置では、アンカー部分が少なくとも部分的に内側空洞の外側に収容される、実施例4に記載の移植可能なデバイス。
【0221】
実施例7.
捕捉要素が血液に対して不浸透性である、実施例4に記載の移植可能なデバイス。
【0222】
実施例8.
捕捉要素が、捕捉要素の第一の端で端壁に開口部を備える、実施例1~7のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0223】
実施例9.
アンカー部分が第二の端から捕捉要素の内外に移動できるように、捕捉要素の第二の端が開いている、実施例1~8のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0224】
実施例10.
捕捉要素が一方向弁を備える、実施例4に記載の移植可能なデバイス。
【0225】
実施例11.
アンカーは、可撓性材料または拡張可能な材料で作製される、実施例1~10のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0226】
実施例12.
アンカー部分がアンカーに結合された本体を備える、実施例1~11のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0227】
実施例13.
アンカー部分が拡張可能である、実施例1~12のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0228】
実施例14.
捕捉要素が送達カテーテルに取り外し可能に取り付けられる、実施例1~13のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0229】
実施例15.
アンカー部分が作動要素に取り外し可能に取り付けられる、実施例14に記載の移植可能なデバイス。
【0230】
実施例16.
作動要素が送達カテーテルの半径方向内側に配置されている、実施例15に記載の移植可能なデバイス。
【0231】
実施例17.
作動要素が、アンカー部分のカラーに取り付けられる、実施例15に記載の移植可能なデバイス。
【0232】
実施例18.
作動要素の移動が、アンカー部分を閉位置と開位置との間で移動させることができる、実施例15に記載の移植可能なデバイス。
【0233】
実施例19.
作動要素は、ユーザが、作動要素に対して張力を付与することで、アンカー部分を、拡張幅を有する拡張位置から、狭窄幅を有する狭窄位置へと、移動することができるように、アンカー部分に接続され、拡張幅は、狭窄幅よりも大きい、実施例15に記載の移植可能なデバイス。
【0234】
実施例20.
(i)第一の端と、第二の端と、第一の端と第二の端との間の空洞と、を有する捕捉要素と、(ii)内側アンカー本体および外側アンカー本体を含むアンカー部分であって、アンカー部分が少なくとも部分的に捕捉要素内に配置され、外側アンカー本体が、捕捉要素の空洞から延在可能で、捕捉要素の空洞内に格納可能であり、内側アンカー本体が、外側アンカー本体から延在可能で、外側アンカー本体内に格納可能であり、内側アンカー本体および外側アンカー本体が、その間に天然弁の弁尖組織を捕捉するように構成され、捕捉要素およびアンカー部分が、アンカー部分が捕捉要素の空洞内に格納されたときに、天然弁の弁尖組織を空洞内に引き込むように構成される、アンカー部分と、を備える、移植可能なデバイス。
【0235】
実施例21.
捕捉要素が円筒形状である、実施例20に記載の移植可能なデバイス。
【0236】
実施例22.
捕捉要素が、断面が丸い、実施例20または21に記載の移植可能なデバイス。
【0237】
実施例23.
内側空洞が捕捉要素の第一の端から捕捉要素の第二の端に延在する、実施例20~22のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0238】
実施例24.
閉位置では、アンカー部分が内側空洞内に完全に収容される、実施例23に記載の移植可能なデバイス。
【0239】
実施例25.
開位置では、アンカー部分が少なくとも部分的に内側空洞の外側に収容される、実施例23に記載の移植可能なデバイス。
【0240】
実施例26.
捕捉要素が血液に対して不浸透性である、実施例23に記載の移植可能なデバイス。
【0241】
実施例27.
捕捉要素が、捕捉要素の第一の端に開口部を備える、実施例20~26のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0242】
実施例28.
アンカー部分が第二の端から捕捉要素に出入りできるように、捕捉要素の第二の端が開いている、実施例20~27のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0243】
実施例29.
捕捉要素が一方向弁を備える、実施例23に記載の移植可能なデバイス。
【0244】
実施例30.
アンカーが可撓性または拡張可能な材料から作製される、実施例20~29のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0245】
実施例31.
アンカー部分が拡張可能である、実施例20~30のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0246】
実施例32.
捕捉要素が送達カテーテルに取り外し可能に取り付けられる、実施例20~31のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0247】
実施例33.
アンカー部分が、一つ以上の作動要素に取り外し可能に取り付けられる、実施例32に記載の移植可能なデバイス。
【0248】
実施例34.
内側アンカー本体が、内側作動要素に取り外し可能に取り付けられる、実施例32に記載の移植可能なデバイス。
【0249】
実施例35.
外側アンカー本体が、外側作動要素に取り外し可能に取り付けられる、実施例34に記載の移植可能なデバイス。
【0250】
実施例36.
作動要素が送達カテーテルの半径方向内側に配置されている、実施例32に記載の移植可能なデバイス。
【0251】
実施例37.
内側作動要素の移動が、内側アンカー本体を閉位置と開位置との間で移動させることができる、実施例35に記載の移植可能なデバイス。
【0252】
実施例38.
外側作動要素の移動が、外側アンカー本体を閉位置と開位置との間で移動させることができる、実施例35に記載の移植可能なデバイス。
【0253】
実施例39.
作動要素が、ユーザが作動要素に張力を付与して、アンカー部分を、拡張幅を有する拡張位置から、狭窄幅を有する狭窄位置へ移動させることができるように、アンカー部分に接続され、拡張幅が、狭窄幅よりも大きい、実施例20~38のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0254】
実施例40.
天然弁を修復する方法であって、
天然の心臓弁の弁尖がアンカー内に配置されるように、アンカー部分を位置付けるステップと、
アンカーおよび弁尖の部分を、第一の端、第二の端、および第一の端と第二の端との間の空洞を有する捕捉要素の開放端の中に引き込むステップと、を含む、方法。
【0255】
実施例41.
さらにアンカー部分が、捕捉要素の空洞から延在可能で、捕捉要素の空洞内に格納可能である、実施例40に記載の方法。
【0256】
実施例42.
捕捉要素を用いて血流を遮断することをさらに含む、実施例40または41に記載の方法。
【0257】
実施例43.
アンカーおよび捕捉要素を送達カテーテルから分離することをさらに含む、実施例40または41に記載の方法。
【0258】
実施例44.
(i)一つ以上のアンカーを含むアンカー部分であって、アンカー部分が捕捉要素と結合された、アンカー部分と、(ii)一つ以上のアンカーと結合された回転部材であって、回転部材が、天然弁の弁尖組織を一つ以上のアンカー内に引き込むように構成される、回転部材と、を備える、移植可能なデバイス。
【0259】
実施例45.
回転部材が円筒形である、実施例44に記載の移植可能なデバイス。
【0260】
実施例46.
回転部材が、弁尖と結合するために回転部材全体にわたって離間した一つ以上の突出部、ノッチ、または他の把持部材を備える、実施例44または45に記載の移植可能なデバイス。
【0261】
実施例47.
回転部材が、回転部材の表面に沿ってねじ山付きの隆起を備える、実施例44~46のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0262】
実施例48.
回転部材が第一の方向に回転することに応じて、回転部材が、弁尖を一つ以上のアンカー内に引き込み、回転部材が第二の方向に回転することに応じて、回転部材が、弁尖を一つ以上のアンカーから移動させる、実施例44~47のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0263】
実施例49.
回転部材が作動要素に取り外し可能に取り付けられる、実施例44~48のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス。
【0264】
実施例50.
天然の心臓弁の弁尖の間に移植されるように適合されたデバイスであって、(i)基部アームおよび可動アームを含む把持部材であって、把持部材が、開位置と閉位置との間で移動するように構成されており、閉位置において、把持部材が、基部アームと可動アームとの間の天然の心臓弁の弁尖を把持するように構成される、把持部材と、(ii)把持部材が閉位置にある間に、基部アームに対して弁尖を再配置するように構成された弁尖再配置デバイスと、を備える、デバイス。
【0265】
実施例51.
弁尖再配置デバイスが、把持部材が閉位置にある間に、可動アームを基部アームに対してデバイスの中心線に向かって移動させるように構成されている、実施例50に記載のデバイス。
【0266】
実施例52.
可動アームが、近位端および遠位端を有し、例示的な弁尖再配置デバイスが、近位端に取り付けられた引き込み要素を含み、把持部材が閉位置にある間に引き込み要素を引っ張ることが、遠位端をデバイスの中心線に向かって移動させる、請求項51に記載のデバイス。
【0267】
実施例53.
デバイスが、デバイスの中心線に沿って位置付けられた接合要素をさらに備え、引き込み要素を引っ張ることが、可動アームを接合要素の中に引っ込めさせる、実施例52に記載のデバイス。
【0268】
実施例54.
弁尖再配置デバイスによって移動された後に、可動アームを定位置に固定するように構成されたロックをさらに備える、実施例51~53のいずれか一つに記載のデバイス。
【0269】
実施例55.
弁尖と係合するための可動アーム上に配置された固定要素をさらに備える、実施例50~54のいずれか一つに記載のデバイス。
【0270】
実施例56.
固定要素が一つ以上のバーブを含む、実施例55に記載のデバイス。
【0271】
実施例57.
弁尖と係合するために基部アーム上に配置された第二の固定要素をさらに備える、実施例55に記載のデバイス。
【0272】
実施例58.
弁尖と係合するための可動アーム上に配置された固定要素をさらに備え、弁尖再配置デバイスは、把持部材が閉位置にある間に、固定要素を可動アームに対してデバイスの中心線に向かって移動させるように構成されている、実施例50に記載のデバイス。
【0273】
実施例59.
可動アームが、近位端および遠位端を有し、弁尖再配置デバイスが、固定要素端に取り付けられた引き込み要素を含み、把持部材が閉位置にある間に引き込み要素を引っ張ることが、固定要素をデバイスの中心線に向かって移動させる、実施例58に記載のデバイス。
【0274】
実施例60.
デバイスが、デバイスの中心線に沿って位置付けられた接合要素をさらに備える、実施例59に記載のデバイス。
【0275】
実施例61.
弁尖再配置デバイスによって移動された後に、固定要素を可動アームに対して定位置に固定するように構成されたロックをさらに備える、実施例58~60のいずれか一つに記載のデバイス。
【0276】
実施例62.
固定要素が一つ以上のバーブを含む、実施例58~61のいずれか一つに記載のデバイス。
【0277】
実施例63.
固定要素が、遠位位置および遠位位置の内側である近位位置を有し、弁尖再配置デバイスが、固定要素を遠位位置と近位位置との間で繰り返し移動させて、弁尖をデバイスの中心線に向かって漸進的に移動させるように構成される、実施例58~62のいずれか一つに記載のデバイス。
【0278】
実施例64.
弁尖再配置デバイスが、固定要素を遠位位置と近位位置との間で繰り返し移動させるように動作可能なラチェットデバイスを含む、実施例63に記載のデバイス。
【0279】
実施例65.
弁尖と係合するために基部アーム上に配置された第二の固定要素をさらに備え、可動アーム上に配置された固定要素が近位位置から遠位位置に移動するとき、第二の固定要素は、弁尖を可動アームに対して定位置に保持する、実施例63または64に記載のデバイス。
【0280】
実施例66.
弁尖再配置デバイスが、把持部材が閉位置にある間に、可動アームを、基部アームに対して、可動アームの長手方向軸を中心として回転させるように構成されている、実施例50に記載のデバイス。
【0281】
実施例67.
可動アームを回転させることが、弁尖を基部アームに対して移動させる、実施例66に記載のデバイス。
【0282】
実施例68.
弁尖再配置デバイスによって移動された後に、可動アームを回転位置に固定するように構成されたロックをさらに備える、実施例66または67に記載のデバイス。
【0283】
実施例69.
弁尖と係合するための可動アーム上に配置された固定要素をさらに備える、実施例66~68のいずれか一つに記載のデバイス。
【0284】
実施例70.
固定要素が一つ以上のバーブを含む、実施例69に記載のデバイス。
【0285】
実施例71.
第二の基部アームおよび第二の可動アームを含む第二の把持部材をさらに備え、第二の把持部材が、開位置と閉位置との間で移動するように構成されており、閉位置では、第二の把持部材が、第二の基部アームと第二の可動アームとの間の天然の心臓弁の第二の弁尖を把持するように構成されている、実施例66に記載のデバイス。
【0286】
実施例72.
弁尖再配置デバイスが、第二の把持部材が閉位置にある間に、第二の可動アームを第二の基部アームに対して第二の可動アームの第二の長手方向軸を中心に回転させるように構成される、実施例71に記載のデバイス。
【0287】
実施例73.
第二の弁尖再配置デバイスをさらに備え、第二の再配置デバイスが、第二の把持部材が閉位置にある間に、第二の可動アームの第二の長手方向軸を中心として、第二の基部アームに対して第二の可動アームを回転させるように構成される、実施例71に記載のデバイス。
【0288】
実施例74.
第二の可動アームおよび可動アームが、反対方向に同時に回転するように構成される、実施例71~73のいずれか一つに記載のデバイス。
【0289】
実施例75.
天然の心臓弁の弁尖の間に移植されるように適合されたデバイス用の送達システムであって、(i)シースをデバイスに取り外し可能に取り付けるための捕捉機構を備える遠位端部分を有するシースを有するインプラントカテーテルアセンブリと、(ii)実施例50~57のいずれか一つに記載の移植可能なデバイスと、を備える、送達システム。
【0290】
実施例76.
天然弁を修復する方法であって、(i)移植可能なデバイスを天然弁に送達するステップと、(ii)移植可能なデバイスを天然弁の弁輪に位置付けるステップと、(iii)移植可能なデバイスの把持部材を閉じて天然弁の弁尖を把持するステップであって、把持部材が、基部アームおよび可動アームを有する、把持するステップと、(iv)把持部材が閉じたままである間に、基部アームに対して弁尖を再配置するステップと、を含む、方法。
【0291】
実施例77.
弁尖を再配置するステップが、可動アームを、基部アームに対して、デバイスの中心線に向かって移動させるステップをさらに含む、実施例76に記載の方法。
【0292】
実施例78.
可動アームを移動させるステップが、可動アームに結合された引き込み要素に張力を加えるステップをさらに含む、実施例77に記載の方法。
【0293】
実施例79.
引き込み要素に張力を加えるステップが、可動アームをデバイスの接合要素の中に引っ込めるステップをさらに含む、実施例78に記載の方法。
【0294】
実施例80.
弁尖を再配置した後に、可動アームを定位置にロックするステップをさらに含む、実施例76~79のいずれか一つに記載の方法。
【0295】
実施例81.
把持部材を閉じることが、弁尖を可動アーム上に配置された固定要素と係合することをさらに含む、実施例76~80のいずれか一つに記載の方法。
【0296】
実施例82.
固定要素が一つ以上のバーブを含む、実施例81に記載の方法。
【0297】
実施例83.
把持部材を閉じることが、弁尖を基部アーム上に配置された第二の固定要素と係合することをさらに含む、実施例81または82に記載の方法。
【0298】
実施例84.
固定要素が可動アーム上に配置され、弁尖を再配置するステップが、把持部材が閉位置にある間に、固定要素を可動アームに対してデバイスの中心線に向かって移動させるステップをさらに含む、実施例76に記載の方法。
【0299】
実施例85.
固定要素を移動させるステップが、固定要素に結合された引き込み要素に張力を加えるステップをさらに含む、実施例84に記載の方法。
【0300】
実施例86.
弁尖再配置デバイスによって移動された後に、固定要素を可動アームに対して定位置にロックするステップをさらに含む、実施例84または85に記載の方法。
【0301】
実施例87.
固定要素が一つ以上のバーブを含む、実施例84~86のいずれか一つに記載の方法。
【0302】
実施例88.
固定要素が、遠位位置および遠位位置の内側である近位位置を有し、弁尖を再位置付けするステップが、固定要素を遠位位置と近位位置との間で繰り返し移動させて、弁尖をデバイスの中心線に向かって漸進的に移動させるステップをさらに含む、実施例84~87のいずれか一つに記載の方法。
【0303】
実施例89.
第二の固定要素が、弁尖と係合するために基部アーム上に配置され、遠位位置と近位位置との間で固定要素を繰り返し移動させることが、可動アーム上に配置された固定要素が近位位置から遠位位置へと移動するときに、第二の固定要素を有する可動アームに対して定位置に弁尖を保持することをさらに含む、実施例88に記載の方法。
【0304】
実施例90.
弁尖を再配置するステップが、把持部材が閉位置にある間に、可動アームを、基部アームに対して、可動アームの長手方向軸を中心として回転させるステップをさらに含む、実施例76に記載の方法。
【0305】
実施例91.
可動アームを回転させるステップが、弁尖を基部アームに対して移動させる、実施例90に記載の方法。
【0306】
実施例92.
弁尖を再配置した後に、可動アームを回転位置にロックするステップをさらに含む、実施例90または91に記載の方法。
【0307】
実施例93.
把持部材を閉じることが、弁尖を可動アーム上に配置された固定要素と係合することをさらに含む、実施例90または91に記載の方法。
【0308】
実施例94.
固定要素が一つ以上のバーブを含む、実施例93に記載の方法。
【0309】
実施例95.
天然弁の第二の弁尖を把持するために、移植可能なデバイスの第二の把持部材であって、第二の把持部材が、第二の基部アームおよび第二の可動アームを有する、第二の把持部材を閉じるステップと、第二の把持部材が閉じたままである間に、第二の基部アームに対して第二の弁尖を再配置するステップと、をさらに含む、実施例76に記載の方法。
【0310】
実施例96.
第二の弁尖を再配置するステップが、第二の把持部材が閉位置にある間に、第二の可動アームの第二の長手方向軸を中心として、第二の基部アームに対して第二の可動アームを回転させるステップをさらに含む、実施例95に記載の方法。
【0311】
実施例97.
第二の可動アームを回転させるステップ、第一の可動アームを回転させるステップは、反対方向に同時に行われる、実施例96に記載の方法。
【0312】
実施例98.
移植可能なデバイスを滅菌するステップをさらに含む、実施例76~97のいずれか一つに記載の方法。
【0313】
本開示の様々な発明的見地、概念、および特徴は、本明細書の例において組み合わせて具現化されるものとして、本明細書で説明して図示され得るけれども、これらの様々な見地、概念、および特徴は、個別的に、あるいはそれらの様々な組合せや下位組合せで、多くの代替例において使用されてもよい。本明細書で明示的に除外されない限り、このようなすべての組合せおよび下位組合せは、本出願の範囲内にあることが意図される。なおもさらに、本開示の様々な態様、概念、および特徴に関する様々な代替例が、例えば、代替可能な材料、代替可能な構造、代替可能な構成、代替可能な方法、代替可能なデバイス、代替可能な構成要素、形態に関する代替例、適合に関する代替例、機能に関する代替例、および同種のものが、本明細書で説明され得るけれども、このような説明は、現在知られているか後に開発されるかどうかにかかわらず、利用可能な代替例に関する完全なまたは網羅的なリストであることを意図したものではない。当業者であれば、このような例が本明細書に明示的に開示されていない場合でさえ、本発明の態様、概念、または特徴のうちの一つ以上を追加の例および使用に容易に取り入れ得ることができる。
【0314】
追加的に、本開示のいくつかの特徴、概念、または態様が、好ましい構成または方法であるとして本明細書で説明され得るとしても、このような説明は、明示的に記載されない限り、このような特徴が必須または不可欠であると示唆することを意図したものではない。さらにまた、本出願の理解を補助するために、例示的な値または代表的な値が、さらには例示的な範囲または代表的な範囲が、含まれ得るけれども、このような値および範囲は、限定的な意味合いで解釈されるべきものではなく、そのように明示的に記載される場合にだけ臨界値または範囲であることが意図される。
【0315】
その上、様々な見地、特徴、および概念が、本明細書において、発明的であるものとしてもしくは開示の一部を形成するものとして、明示的に特定され得るけれども、このような特定は、排他的であることを意図したものではなく、むしろ、そのようなものとしてまたは特定の開示の一部として明示的に特定されることなく本明細書に完全に記載される発明的見地、概念、および特徴が存在してもよく、開示は、代わりに添付の特許請求の範囲に規定される。例示的な方法またはプロセスに関する説明は、すべての場合に必須であるとしてすべてのステップを包含することに限定されるものではなく、また、ステップを提示している順序は、明示的に記載されない限り、必須または不可欠なものとして解釈されるものではない。特許請求の範囲で使用される用語は、それらの完全に通常的な意味合いを有するものであって、本明細書における例に関する説明によっていかようにも限定されるものではない。
図1
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【国際調査報告】