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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】人工弁ドッキングデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529649
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2022046563
(87)【国際公開番号】W WO2023091254
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/264,354
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/363,382
(32)【優先日】2022-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エヴァン・ティー・シュワルツ
(72)【発明者】
【氏名】トラム・ゴク・グエン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセリン・チャウ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンチュウ・カオ
(72)【発明者】
【氏名】サンディップ・ヴァサント・パワル
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC14
4C097DD10
4C097EE08
4C097EE09
4C097SB09
(57)【要約】
本開示のある特定の実施例は、人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイス用のガード部材に関する。ガード部材は、拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材とを含むことができる。拡張可能な部材は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能とすることができる。拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき、弾性部材は軸方向に伸びた状態になることができる。軸方向に伸びた状態にある弾性部材は、静止状態に戻るように構成することができ、それによって、拡張可能な部材を半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁を生来の弁に固定するためのドッキングデバイスであって、
前記生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを備えるコイルと、
拡張可能な部材および弾性部材を備えるガード部材と、を備え、
前記拡張可能な部材の第1の端部分が、前記コイルのセグメントへと固定的に取り付けられ、かつ前記拡張可能な部材の第2の端部分が、前記コイルに対して軸方向に移動可能であり、前記第2の端部分が、前記第1の端部分の反対側であり、
前記拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、
前記弾性部材が、前記拡張可能な部材へと連結され、かつ前記拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在し、軸方向に伸びた状態と静止状態との間で移動可能であり、前記弾性部材が、前記静止状態へと付勢され、
前記拡張可能な部材が前記半径方向に圧縮された状態にあるとき前記弾性部材が、前記軸方向に伸びた状態にあり、かつ、前記拡張可能な部材を前記半径方向に圧縮された状態から前記半径方向に拡張した状態へと移動するように支援するように構成され、
前記拡張可能な部材が前記半径方向に拡張した状態にあるとき前記弾性部材が、前記静止状態にある、ドッキングデバイス。
【請求項2】
前記弾性部材が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、請求項1に記載のドッキングデバイス。
【請求項3】
前記弾性部材が、前記拡張可能な部材へとステッチされる、請求項1~2のいずれか一項に記載のドッキングデバイス。
【請求項4】
前記弾性部材が、スパイラル経路でルーティングされた縫合糸を介して前記拡張可能な部材に接続される、請求項1~3のいずれか一項に記載のドッキングデバイス。
【請求項5】
前記弾性部材が、前記拡張可能な部材の前記第1の端部分から前記拡張可能な部材の前記第2の端部分へと延在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のドッキングデバイス。
【請求項6】
前記拡張可能な部材が、形状記憶材料を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のドッキングデバイス。
【請求項7】
前記拡張可能な部材が、ニチノールを含む、請求項6に記載のドッキングデバイス。
【請求項8】
前記拡張可能な部材が、織られた材料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のドッキングデバイス。
【請求項9】
前記拡張可能な部材が、織られたポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項8に記載のドッキングデバイス。
【請求項10】
前記半径方向に拡張した状態にある前記拡張可能な部材が、複数の拡大した部分と、前記複数の拡大した部分を接続する1つ以上の締め付けられた部分とを備え、前記拡大した部分が、前記締め付けられた部分より大きい半径方向プロファイルを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のドッキングデバイス。
【請求項11】
前記締め付けられた部分および前記拡大した部分が、同じ材料で作製される、請求項10に記載のドッキングデバイス。
【請求項12】
前記締め付けられた部分が、前記拡大した部分の第2の織り密度より大きい第1の織り密度を有する、請求項10~11のいずれか一項に記載のドッキングデバイス。
【請求項13】
前記拡張可能な部材が前記半径方向に拡張した状態にあるとき、前記締め付けられた部分が前記コイルに巻き付き、かつ前記拡大した部分が前記コイルから半径方向に拡張する、請求項10~12のいずれか一項に記載のドッキングデバイス。
【請求項14】
前記締め付けられた部分が、前記コイルの外側で軸方向に摺動するように構成される、請求項10~13のいずれか一項に記載のドッキングデバイス。
【請求項15】
人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイス用のガード部材であって、
拡張可能な部材と、
前記拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材と、を備え、
前記拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、
前記拡張可能な部材が前記半径方向に圧縮された状態にあるとき、前記弾性部材が軸方向に伸びた状態にあり、
前記軸方向に伸びた状態にある前記弾性部材が、静止状態に戻るように構成され、それによって、前記拡張可能な部材が前記半径方向に圧縮された状態から前記半径方向に拡張した状態へと移動する、ガード部材。
【請求項16】
前記弾性部材が前記拡張可能な部材に出たり入ったりして織られる、請求項15に記載のガード部材。
【請求項17】
前記拡張可能な部材が、1つ以上の締め付けられた部分によって接続された複数の拡大可能な部分を備え、前記締め付けられた部分が、前記拡大可能な部分より高い織り密度を有する、請求項15に記載のガード部材。
【請求項18】
前記弾性部材が前記1つ以上の締め付けられた部分へと接続される、請求項17に記載のガード部材。
【請求項19】
人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイス用のガード部材であって、
織られた材料を含む拡張可能な部材を備え、
前記拡張可能な部材が、1つ以上の締め付けられた部分によって接続された複数の拡大可能な部分を備え、前記締め付けられた部分が、前記拡大可能な部分より高い織り密度を有し、
前記拡大可能な部分が、第1の直径と第2の直径との間で移動可能であり、前記第2の直径が、前記第1の直径より大きく、
前記締め付けられた部分が、前記拡大可能な部分が前記第1の直径と前記第2の直径との間で移動するとき、一定のまたは少なくとも実質的に一定の直径のままであるように構成される、ガード部材。
【請求項20】
前記拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材をさらに備え、前記弾性部材が、静止状態と軸方向に伸びた状態との間で移動可能であり、前記弾性部材が前記静止状態へと付勢され、前記拡大可能な部分が、前記弾性部材が前記軸方向に伸びた状態にあるときに前記第1の直径を有し、かつ前記弾性部材が前記静止状態にあるときに前記第2の直径を有する、請求項19に記載のガード部材。
【請求項21】
人工弁を生来の弁に固定するためのドッキングデバイスであって、
前記生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを備えるコイルと、
前記コイルから半径方向外向きに延在する拡張可能な部材と、を備え、
前記拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、
前記拡張可能な部材の第1の端が、前記コイルへと固定的に取り付けられ、かつ前記拡張可能な部材の第2の端が、前記コイルに対して軸方向に移動可能であり、前記第2の端が前記第1の端の反対側であり、
前記拡張可能な部材が編組ワイヤフレームを備える、ドッキングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年4月21日に出願された米国仮出願第63/363,382号、および2021年11月19日に出願された米国仮出願第63/264,354号の利益を主張するものであり、その両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、人工弁を生来の心臓弁に固定するように構成されたドッキングデバイスの実施例だけでなく、こうしたデバイスを組み立てる方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
人工弁は、心臓弁膜症を治療するために使用することができる。生来の心臓弁(例えば、大動脈弁、肺動脈弁、三尖弁、および僧帽弁)は、逆向きの流れまたは逆流を防止する一方で、前向きの流れを可能にするように機能する。これらの心臓弁は、先天性、炎症性、感染性の状態等によって効果がより低下した状態になる可能性がある。こうした病態は、最終的に重篤な心臓血管欠陥または死につながる可能性がある。長年の間、医師は開心術中に弁の外科的修復または置換を用いて、こうした障害の治療を試みた。
【0004】
人工心臓弁をカテーテルを使用して、開心術より侵襲性の低い様態で導入しかつ移植するための経カテーテルによる技法は、開心術に関連付けられた合併症を低減することができる。この技法では、人工弁は、カテーテルの端部分の上に圧縮された状態で装着され、弁が移植部位に到達するまで患者の血管を通して前進させることができる。次いで、カテーテル先端における弁は、弁がその上に装着されているバルーンを膨張させること、または、例えば、弁がカテーテルの遠位端の送達シースから前進したときに弁をその機能的サイズへと拡張する弾性のある自己拡張式フレームを弁が有することができることによってなど、欠陥のある生来の弁の部位においてその機能性サイズへと拡張することができる。任意選択で、弁は、バルーン拡張可能な、自己拡張式の、機械的拡張可能なフレーム、および/または複数のやり方またはやり方の組み合わせで拡張可能なフレームを有することができる。
【0005】
一部の事例では、経カテーテル心臓弁(THV)は、特定の生来の弁(例えば、生来の大動脈弁)の内側に定置されるように適切にサイズ設定される場合がある。そのため、THVは、別の生来の弁(例えば、生来の僧帽弁)および/またはより大きい生来の弁を有する患者における移植には好適ではない場合がある。加えてまたは代替的に、移植部位における生来の組織は、生来の組織に対してTHVを適所に固定するための十分な構造を提供しない場合がある。その結果、THVおよび関連する経カテーテル送達装置に対する改善が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、弁逆流および/または他の弁の問題を治療するための方法およびデバイスに関する。具体的には、本開示は、人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイス、ならびにドッキングデバイスを組み立てる方法、およびドッキングデバイスを移植する方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
人工弁を生来の弁に固定するためのドッキングデバイスは、生来の弁に展開されたときに複数のらせん状ターンを備えるコイルを含むことができる。これらの特徴に加えて、ドッキングデバイスは、本明細書に開示される構成要素のうちの1つ以上をさらに備えることができる。
【0008】
ある特定の実施例では、ドッキングデバイスは、拡張可能な部材および弾性部材を含むガード部材を備えることができる。
【0009】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材の第1の端部分は、コイルのセグメントへと固定的に取り付けることができ、拡張可能な部材の第2の端部分は、コイルに対して軸方向に移動可能とすることができる。
【0010】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能とすることができる。
【0011】
ある特定の実施例では、弾性部材は、拡張可能な部材へと連結され、かつその軸方向長さに沿って延在することができ、軸方向に伸びた状態と静止状態との間で移動可能とすることができ、弾性部材は静止状態へと付勢することができる。
【0012】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき、弾性部材は、軸方向に伸びた状態とすることができ、拡張可能な部材を半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するように支援するように構成することができる。
【0013】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき、弾性部材は静止状態になることができる。
【0014】
ある特定の実施例では、ドッキングデバイス用のガード部材は、拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材とを備えることができる。
【0015】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能とすることができる。
【0016】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき、弾性部材は軸方向に伸びた状態になることができる。
【0017】
ある特定の実施例では、軸方向に伸びた状態にある弾性部材は、静止状態に戻るように構成することができ、それによって、拡張可能な部材を半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動することができる。
【0018】
ある特定の実施例では、ドッキングデバイス用のガード部材は、織られた材料を有する拡張可能な部材を備えることができる。
【0019】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材は、1つ以上の締め付けられた部分によって接続された複数の拡大可能な部分を含むことができる。
【0020】
ある特定の実施例では、締め付けられた部分は、拡大可能な部分より高い織り密度を有することができる。
【0021】
ある特定の実施例では、拡大可能な部分は、第1の直径と第2の直径との間で移動可能とすることができ、第2の直径は第1の直径より大きいとすることができる。
【0022】
ある特定の実施例では、締め付けられた部分は、拡大可能な部分が第1の直径と第2の直径との間で移動するとき、一定の直径または少なくとも実質的に一定の直径のままであるように構成することができる。
【0023】
本開示のある特定の実施例は、人工弁を生来の弁に固定するためのドッキングデバイスに関する。ドッキングデバイスは、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを有するコイルと、拡張可能な部材および弾性部材を含むガード部材とを含むことができる。拡張可能な部材の第1の端部分は、コイルのセグメントへと固定的に取り付けることができ、拡張可能な部材の第2の端部分は、コイルに対して軸方向に移動可能とすることができる。第2の端部分は、第1の端部分の反対側である。拡張可能な部材は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能とすることができる。弾性部材は、拡張可能な部材へと連結され、かつその軸方向長さに沿って延在することができ、軸方向に伸びた状態と静止状態との間で移動可能とすることができ、弾性部材は静止状態へと付勢することができる。拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき、弾性部材は、軸方向に伸びた状態とすることができ、拡張可能な部材を半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するように支援するように構成することができる。拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき、弾性部材は静止状態になることができる。
【0024】
本開示のある特定の実施例は、人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイス用のガード部材にも関する。ガード部材は、拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材とを含むことができる。拡張可能な部材は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能とすることができる。拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき、弾性部材は軸方向に伸びた状態になることができる。軸方向に伸びた状態にある弾性部材は、静止状態に戻るように構成することができ、それによって、拡張可能な部材を半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動することができる。
【0025】
ある特定の実施例によると、人工弁を受容するように構成された、ドッキングデバイス用のガード部材は、織られた材料を有する拡張可能な部材を含むことができる。拡張可能な部材は、1つ以上の締め付けられた部分によって接続された複数の拡大可能な部分を含むことができる。締め付けられた部分は、拡大可能な部分より高い織り密度を有することができる。拡大可能な部分は、第1の直径と第2の直径との間で移動可能とすることができ、第2の直径は第1の直径より大きいとすることができる。締め付けられた部分は、拡大可能な部分が第1の直径と第2の直径との間で移動するとき、一定の直径または少なくとも実質的に一定の直径のままであるように構成することができる。
【0026】
本開示のある特定の態様は、人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイスを組み立てるための方法に関する。方法は、ガード部材をコイルへと取り付けることを含むことができる。コイルは、生来の弁において展開されたときに生来の組織を包囲するように構成することができる。ガード部材は、拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材とを含むことができる。弾性部材は、静止状態から軸方向に伸びた状態へと移動することができ、弾性部材は静止状態へと付勢することができる。拡張可能な部材は、弾性部材が軸方向に伸びた状態へと移動したとき、半径方向に圧縮された状態になることができる。拡張可能な部材は、弾性部材が静止状態に戻るとき、半径方向に拡張した状態になることができる。
【0027】
本開示のある特定の態様はまた、人工弁を移植するための方法にも関する。方法は、生来の弁においてドッキングデバイスを展開することと、人工弁をドッキングデバイス内に展開することと、を含むことができる。ドッキングデバイスは、コイルと、コイルへと取り付けられたガード部材と、を含むことができる。ガード部材は、拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材とを含むことができる。弾性部材は、静止状態から軸方向に伸びた状態へと移動することができ、弾性部材は静止状態へと付勢することができる。拡張可能な部材は、弾性部材が軸方向に伸びた状態へと移動したとき、半径方向に圧縮された状態になることができる。拡張可能な部材は、弾性部材が静止状態に戻るとき、半径方向に拡張した状態になることができる。
【0028】
上記の方法は、生きた動物上、またはシミュレーション上で(死体、死体の心臓、擬人化したゴースト、シミュレータ(例えば、シミュレートされた身体の一部、心臓、組織等)などの上で)実施することができる。
【0029】
本開示のある特定の実施例は、上述のドッキングデバイス、または上述のガード部材のうちのいずれかを有するドッキングデバイス、およびドッキングデバイス内に受容されるように構成された半径方向に拡張可能かつ圧縮可能な人工弁のうちのいずれか含む、医療用アセンブリに関する。
【0030】
本開示のある特定の態様は、上述のドッキングデバイスまたは上述のガード部材のうちのいずれかを有するドッキングデバイス、および患者の標的移植部位にドッキングデバイスを送達するように構成された送達装置のうちのいずれかを含む、医療用アセンブリにも関する。
【0031】
ある特定の実施例によると、生来の弁において人工弁を固定するためのドッキングデバイスは、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを備えるコイルと、コイルから半径方向外向きに延在する拡張可能な部材とを含むことができる。拡張可能な部材は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能とすることができる。拡張可能な部材の第1の端は、コイルへと固定的に取り付けることができ、拡張可能な部材の第2の端は、コイルに対して軸方向に移動可能とすることができ、ここで第2の端は第1の端の反対側である。
【0032】
ある特定の実施例によると、拡張可能な部材は、編組ワイヤフレームを含むことができる。
【0033】
ある特定の実施例によると、拡張可能な部材は、高分子材料を含むことができる。
【0034】
ある特定の実施例によると、拡張可能な部材は、エラストマーで被覆された編組金属ワイヤフレームを含むことができる。
【0035】
ある特定の実施例によると、拡張可能な部材は、1つ以上の高分子繊維と織り合わされた1つ以上の金属ワイヤを含むことができる。
【0036】
本開示のある特定の態様によると、人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイス用のガード部材は、編組ワイヤメッシュを有する拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材とを含むことができる。拡張可能な部材は、半径方向に圧縮された状態と、第1の半径方向に拡張した状態と、第2の半径方向に拡張した状態との間で移動可能とすることができる。第1の半径方向に拡張した状態にある拡張可能な部材の直径は、半径方向に圧縮された状態にある拡張可能な部材より大きく、かつ第2の半径方向に拡張した状態にある拡張可能な部材より小さい。弾性部材が拡張可能な部材に連結されていない場合、拡張可能な部材を、第1の半径方向に拡張した状態に向かって付勢することができる。弾性部材が拡張可能な部材に連結されている場合、拡張可能な部材を、第2の半径方向に拡張した状態に向かって付勢することができる。
【0037】
本開示のある特定の態様によると、生来の弁において人工弁を固定するためのドッキングデバイスは、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを有するコイルと、拡張可能な部材を含むガード部材と、拡張可能な部材へと連結されるコイルばねと、を含むことができる。コイルは、コイルばねを通して延在することができる。拡張可能な部材は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能とすることができる。コイルばねは、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき、第1の長さへと軸方向に伸びることができ、拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき、第2の長さへと戻ることができ、第2の長さは第1の長さより短いとすることができる。コイルばねは、第2の長さに向かって付勢することができる。
【0038】
本開示のある特定の態様によると、生来の弁において人工弁を固定するためのドッキングデバイスは、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを有するコイルと、拡張可能な部材を含むガード部材と、コイルの周囲に巻かれ、かつ拡張可能な部材へと連結されるコイルばねと、を含むことができる。拡張可能な部材は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能とすることができる。コイルばねは、軸方向に伸びた状態と静止状態との間で移動可能とすることができ、コイルばねは、静止状態へと付勢することができる。拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき、コイルばねは、軸方向に伸びた状態とすることができ、拡張可能な部材を半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するように支援するように構成することができる。拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき、コイルばねは静止状態になることができる。
【0039】
一部の実施例では、ドッキングデバイスは、以下の「開示される技術の追加的な実施例」のセクションに記述される実施例1~20、89~108、および122~128に列挙される構成要素のうちの1つ以上を備える。
【0040】
一部の実施例では、ガード部材は、以下の「開示される技術の追加的な実施例」のセクションに記述される実施例21~70および109~121に列挙される構成要素のうちの1つ以上を備える。
【0041】
開示される技術の、前述のおよびその他の目的、特徴、ならびに利点は、添付図面を参照しながら進行する以下の発明を実施するための形態からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1A図1Aは、一実施例による、らせん状の構成にあるドッキングデバイスの側面斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aに図示するドッキングデバイスの上面図である。
図1C図1Cは、一実施例による、図1Bに図示する線1C-1Cに沿って取られた、ドッキングデバイスの断面図である。
図1D図1Dは、ドッキングデバイスが図1Dでは実質的に真っ直ぐな送達構成にあることを除いて、図1Cにおけるのと同じ線に沿って取られた、ドッキングデバイスの断面図である。
図1E図1Eは、別の実施例による、図1Bに図示する線1C-1Cに沿って取られた、ドッキングデバイスの断面図である。
図1F図1Fは、ドッキングデバイスが図1Fでは実質的に真っ直ぐな送達構成にあることを除いて、図1Eにおけるのと同じ線に沿って取られた、ドッキングデバイスの断面図である。
図1G図1Gは、実質的に真っ直ぐな構成にあるドッキングデバイスを図示する概略図である。
図2A図2Aは、一実施例による、人工弁の斜視図である。
図2B図2Bは、一実施例による、外側カバーを有する図2Aの人工弁の斜視図である。
図3A図3Aは、図1Aに図示するドッキングデバイスと、ドッキングデバイス内に保持された図2Bの人工弁と、を備える、例示的な人工装具インプラントアセンブリの斜視図である。
図3B図3Bは、図3の人工装具インプラントアセンブリの側面立面図である。
図4A図4Aは、一実施例による、弾性部材へと連結された拡張可能な部材を図示する。
図4B図4Bは、別の実施例による、弾性部材へと連結された拡張可能な部材を図示する。
図4C図4Cは、一実施例による、コイルばねの形態で別の弾性部材へと連結された拡張可能な部材を図示し、コイルばねは静止状態にある。
図4D図4Dは、図4Cのコイルばねへと連結された拡張可能な部材を図示し、コイルばねは軸方向に伸びた状態にある。
図5A図5Aは、一実施例による、テクスチャライズされた織られたガード部材を備えるドッキングデバイスの上面図である。
図5B図5Bは、図5Aのドッキングデバイスの側面立面図である。
図6A図6Aは、半径方向に圧縮され、軸方向に伸長された構成にある、テクスチャライズされた織られたガード部材を図示する。
図6B図6Bは、図6Aのテクスチャライズされた織られた、半径方向に拡張され、かつ軸方向に短縮された構成にあるガード部材を図示する。
図6C図6Cは、テクスチャライズされた織られた図6Aのガード部材の一部分を図示する。
図7A図7Aは、一実施例による、テクスチャライズされた織られたガード部材と、ドッキングデバイスのコイル内に拡張された人工弁とを備えるドッキングデバイスの概略上面図である。
図7B図7Bは、一実施例による、長軸方向軸に沿って切断されかつ扁平にされた後のテクスチャライズされた織られたガード部材の図である。
図7C図7Cは、長軸方向軸に沿って取られたテクスチャライズされた織られたガード部材の一部分の断面図であり、一実施例によると、拡大可能な部分の内側部分は、人工弁によって半径方向に圧縮され、かつコイルに接触する。
図8図8は、一実施例による、送達装置および図1Aのドッキングデバイスを備える、送達アセンブリの側面図である。
図9A図9Aは、一実施例による、スリーブシャフトの側面断面図である。
図9B図9Bは、一実施例による、プッシャーシャフトの側面断面図である。
図10A図10Aは、図9Aのスリーブシャフト、図9Bのプッシャーシャフト、および送達シースを備える、アセンブリの側面断面図であり、スリーブシャフトはドッキングデバイスを覆う。
図10B図10Bは、ドッキングデバイスがスリーブシャフトによって覆われていないことを除いて、図10Aの同じアセンブリの側面断面図である。
図11図11は、送達システム内の管腔を通る流体流を示す、送達システムの遠位端部分の概略断面図である。
図12A図12Aは、ドッキングデバイスを覆い、かつ送達システムの送達シースの外側に延在する、スリーブシャフトの一実施例の斜視図を例示する。
図12B図12Bは、図12Aの送達システムからドッキングデバイスを展開し、かつドッキングデバイスからスリーブシャフトを除去した後の、プッシャーシャフトを包囲するスリーブシャフトを例示する。
図13図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図14図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図15図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図16図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図17図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図18A図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図18B図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図18C図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図19図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図20図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図21図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図22図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図23図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図24図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図25図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図26図13図26は、図8の送達装置が、経中隔送達アプローチを用いて、生来の僧帽弁の場所に図3Aの人工装具インプラントアセンブリを移植するために使用される、例示的な移植手技の様々な部分を図示する。
図27図27は、一実施例による、僧帽弁内に移植された別のドッキングデバイスの心房の側面図である。
図28図28は、一実施例による、ドッキングデバイス内に人工弁が受容された後の、図27のドッキングデバイスの心房の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
一般的な考慮事項
当然のことながら、開示される実施例は、心臓の生来の弁輪のうちのいずれか(例えば、肺動脈弁輪、僧帽弁輪、および三尖弁輪)の中に人工装具デバイスを送達および移植するために適合することができ、様々な送達アプローチ(例えば、逆行性、順行性、経中隔、経心室、経心房など)のうちのいずれかとともに使用することができる。
【0044】
本明細書の目的のために、本開示の実施例のある特定の態様、利点、および新規の特徴が、本明細書に記述される。開示された方法、装置、およびシステムは、いかなるやり方でも限定するものとして解釈されるべきではない。その代わりに、本開示は、単独で、および相互の様々な組み合わせで、ならびに相互の様々な部分組み合わせで、様々な開示される実施例に関する、すべての新規かつ非自明な、特徴および態様を対象とする。方法、装置、およびシステムは、任意の特定の態様もしくは特徴、またはそれらの組み合わせに限定されることなく、開示される実施例が、任意の1つ以上の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを必要とすることもない。任意の実施例からの技術は、その他の実施例のうちのいずれか1つ以上に記述される技術と組み合わせることができる。開示される技術の原理が適用されてもよい数多くの可能な実施例を考慮すると、例示された実施例は、好ましい実施例に過ぎず、開示された技術の範囲を限定するものとして取られるべきではないことが、認識されるべきである。
【0045】
開示される実施例のうちの一部の動作は、好都合な提示のために、特定の逐次的な順序で記述されるが、当然のことながら記述のこの様態は、以下に記載される具体的な文言によって特定の順序付けが必要とされない限り、並べ替えを包含する。例えば、逐次的に記述する動作は、一部のケースでは、並べ替えられてもよく、または同時に実行されてもよい。さらに、簡略化の目的で、添付された図は、開示する方法を他の方法と併せて使用することができる、様々なやり方を示していない場合がある。加えて、記述は、開示する方法を記述するために、時に、「提供する」または「達成する」などの用語を使用する。これらの用語は、実施される実際の動作の高いレベルの抽象的概念である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装に依存して変化する場合があり、当業者によって容易に識別できる。
【0046】
本出願および特許請求の範囲で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という単数形は、文脈が明瞭に別様を規定しない限り、複数形を含む。加えて、「含む」という用語は、「備える」を意味する。さらに、「連結される」および「接続される」という用語は、一般的に、電気的、電磁的、および/または物理的に(例えば、機械的もしくは化学的に)連結される、またはリンクされることを意味し、具体的に反する文言なしに、連結された、または関連付けられた事項間の中間要素の存在を除外しない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、ユーザーにより近く、かつ移植部位からより遠く離れているデバイスの位置、方向、または部分を指す。本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、ユーザーからより遠く離れていて、かつ移植部位により近いデバイスの位置、方向、または部分を指す。それ故に、例えば、デバイスの近位移動は、移植部位から離れ、かつユーザーへと(例えば、患者の身体の外へと)向かうデバイスの動きであり、一方でデバイスの遠位移動は、ユーザーから離れる、かつ移植部位へと向かう(例えば、患者の身体の中へと向かう)デバイスの動きである。「長軸方向」および「軸方向」という用語は、別の方法で明示的に定義されない限り、近位および遠位方向に延在する軸を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「およそ」および「約」という用語は、列挙された値および列挙された値の10%以内の任意の値を意味する。例えば、「約1mm」は、約0.9mm~約1.1mm(両端を含む)の任意の値を意味する。
【0049】
方向および他の相対的参照(例えば、内部、外部、上方、下方等)は、本明細書の図面および原理の考察を容易にするために使用されてもよいが、限定的であることを意図しない。例えば、「内側(inside)」、「外側(outside)」、「上部(top)」、「下部(down)」、「内部(interior)」、および「外部(exterior)」ならびにこれに類するものなどの、ある特定の用語が使用される場合がある。こうした用語は、適用可能である場合、相対的な関係を取り扱うときに、具体的に例示される実施例に関して、いくらかの記述の明瞭性を提供するために使用される。しかしながら、こうした用語は、絶対的関係、位置、および/または向きを暗示することを意図しない。例えば、対象に対して、「上方」部分は、単純に対象をひっくり返すことによって、「下方」部分になる場合がある。それにもかかわらず、これは、依然として同じ部分であり、対象は同じままである。本明細書で使用される場合、「および/または」は、「および」または「または」だけでなく、「および」および「または」も意味する。
開示される技術への導入
【0050】
移植部位において人工弁をより確実に移植かつ保持するために、生来の弁輪(例えば、生来の僧帽弁輪および/または三尖弁輪)において拡張可能な人工弁と併せて使用することができるアンカリングデバイスまたはドッキングデバイスを含む、様々なシステム、装置、方法等が本明細書に開示される。本開示の実施例によるアンカリング/ドッキングデバイスは、例えば、人工弁を拡張することができる、または別の方法で移植することができる移植部位に、安定したアンカリング部位、ランディングゾーン、または移植ゾーンを提供することができる。数多くの本開示のドッキングデバイスは、円形または円筒形状の部分を備え、これは(例えば)、円形または円筒形状の弁フレームを備える人工心臓弁が、自然の円形の断面プロファイルを有する生来の場所へと、および/または自然の非円形の断面を有する生来の場所へと、拡張または別の方法で移植されることを可能にすることができる。人工弁のためにアンカリング部位を提供することに加えて、アンカリング/ドッキングデバイスは、生来の弁(例えば、僧帽弁、三尖弁等)の解剖学的構造を半径方向内向きにしっかりつかむ、または引き込むようにサイズ設定および形作ることができる。このようにして、弁逆流(例えば、機能性僧帽弁逆流)の主な原因のうちの1つ、具体的には、心臓の肥大(例えば、左心室の肥大等)、および/または弁輪の拡大、ならびに結果として生じる生来の弁(例えば、僧帽弁等)の弁輪の外への伸びを、少なくとも部分的に相殺し、またはそれに対抗することができる。アンカリングデバイスまたはドッキングデバイスの一部の実施例は、例えば、その中での人工弁の拡張の間および/またはその後に、ドッキングデバイスの位置または形状をより良好に保持するように形状付けられかつ/または修正される特徴をさらに含む。こうしたアンカリングデバイスまたはドッキングデバイスを提供することによって、置換弁を、よりしっかりと移植し、自然の円形の断面を有しない僧帽弁輪を含む様々な弁輪において保持することができる。
【0051】
一部の事例では、ドッキングデバイスは、弁周囲漏出(PVL)ガード(本明細書では、「ガード部材」とも呼ばれる)を備えることができる。PVLガードは、例えば、生来の組織とドッキングデバイスとの間の逆流を低減し、かつ/または組織内方成長を促進するのに役立つことができる。
【0052】
PVLガードは、一部の実施例では、送達構成と展開した構成との間で移動可能とすることができる。PVLガードが送達構成にあるとき、PVLガードの外縁は、コイルに沿ってかつ隣接して延在することができる。PVLガードが展開した構成にあるとき、PVLガードの外縁は、コイルの中央長軸方向軸を中心として回転するらせん状の形状を形成することができ、PVLガードの外縁の少なくともセグメントは、コイルから離れるように半径方向に延在することができる。
【0053】
ある特定の実施例では、PVLガードは、ドッキングデバイスのコイルの一部分を覆う、または包囲することができる。以下でより完全に記述されるように、こうしたPVLガードは、半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態から半径方向に拡張した(かつ軸方向に短縮された)状態へと移動することができ、PVLガードの近位端部分は、コイルに対して軸方向に移動可能とすることができる。
【0054】
PVLガードをドッキングデバイスへと取り付ける例示的な方法、およびPVLガードの軸方向の移動を制限する例示の方法もまた本明細書に開示される。
例示的なドッキングデバイス
【0055】
図1A図1Gは、一実施例によるドッキングデバイス100を示す。ドッキングデバイス100は、例えば、生来の弁輪内に移植することができる(例えば、図15を参照のこと)。図3A図3Bおよび図26に示すように、ドッキングデバイスは、人工弁をドッキングデバイス内に受容しかつ固定するように構成することができ、それによって、人工弁を生来の弁輪に固定することができる。
【0056】
図1A図1Gを参照すると、ドッキングデバイス100は、コイル102およびコイル102の少なくとも一部分を覆うガード部材104を備えることができる。ある特定の実施例では、コイル102は、形状記憶材料(例えば、ニッケルチタン合金または「ニチノール」)を含むことができ、これによりドッキングデバイス100(およびコイル102)は、(以下でより完全に記述するような)送達装置の送達シース内に配置されるときの実質的に真っ直ぐな構成(「送達構成」とも呼ばれる)から、送達シースから取り出された後のらせん状の構成(図1A図1Bに示すように「展開した構成」とも呼ばれる)へと移動することができる。
【0057】
ある特定の実施例では、ガード部材104が展開した構成にあるとき、ガード部材104は、ドッキングデバイス100の中央長軸方向軸101に対して180度~400度、または210度~330度、または250度~290度、または260度~280度、円周状に延在することができる。1つの特定の実施例では、ガード部材104が展開した構成にあるとき、ガード部材104は、中央長軸方向軸101に対して270度、円周状に延在することができる。言い換えれば、ガード部材104は、一部の実施例では中央長軸方向軸101の周囲の一回転の約半分(例えば、180度)から、他の実施例では中央長軸方向軸101の周囲の全回転よりも多く(例えば、400度)まで、その間の様々な範囲を含んで、円周状に延在することができる。本明細書で使用される場合、範囲(例えば、180~400度、180度から400度まで、および180度と400度との間)は、範囲の端点(例えば、180度および400度)を含む。
【0058】
一部の実施例では、ドッキングデバイス100はまた、コイル102の少なくとも一部分を包囲し、少なくとも部分的にガード部材104によって覆われた、保持要素114も含むことができる。一部の事例では、保持要素114は、編組材料を含むことができる。加えて、保持要素114は、組織内方成長および/もしくは付着を促し、もしくは促進し、かつ/または生来の組織に対する外傷を低減する、表面エリアを提供することができる。例えば、ある特定の事例では、保持要素114は、組織内方成長を促進するように構成されたテクスチャ加工された外面を有することができる。ある特定の事例では、保持要素114は、組織内方成長を刺激または促進するために、増殖因子で含浸することができる。
【0059】
一実施例では、図1A図1Bおよび図3A図3Bに例示されるように、保持要素114の少なくとも近位端部分は、ガード部材104の近位端の外に延在することができる。別の実施例では、保持要素114は、ガード部材104によって完全に覆うことができる。
【0060】
以下でさらに記述されるように、保持要素114は、ガード部材104と相互作用して、コイル102に対するガード部材104の移動を制限または移動に抵抗するように、設計することができる。例えば、ガード部材104の近位端105は、保持要素114の外径とほぼ同じ内径を有することができる。そのため、近位端105におけるガード部材104の内面は、保持要素114によって加えられる摩擦力によってコイル102に対するガード部材104の近位端105の軸方向の移動を妨げることができるように、保持要素114と摩擦的に相互作用または係合することができる。
【0061】
コイル102は、近位端102pおよび遠位端102dを有する(それらはまた、ドッキングデバイス100の近位端および遠位端もそれぞれ画定する)。送達シース内に配置されているとき(例えば、患者の血管系の中へのドッキングデバイスの送達の間)、近位端102pと遠位端102dとの間のコイル102の本体は、患者の血管系を通して移動するときに小さい半径方向のプロファイルを維持するように、概して真っ直ぐな送達構成(すなわち、いかなるコイル状またはループ状の部分も有しないが、屈曲させまたは曲げることができる)を形成することができる。送達シースから除去され、かつ移植位置において展開した後、コイル102は、送達構成かららせん状の展開した構成へと移動し、移植位置に隣接する生来の組織の周囲に巻き付くことができる。例えば、生来の弁の場所においてドッキングデバイスを移植するとき、コイル102は、以下でさらに記述されるように、生来の弁の生来の弁尖(および存在する場合、生来の弁尖を隣接する乳頭筋に接続する腱索)を包囲するように構成することができる。
【0062】
ドッキングデバイス100は、送達装置へと解放可能に連結することができる。例えば、ある特定の実施例では、ドッキングデバイス100は、ドッキングデバイス100へと結びつけられ取り外しのために切断されるように構成することができる、解放縫合糸を介して、(以下でさらに記述されるように)送達装置へと連結することができる。一実施例では、解放縫合糸は、コイルの近位端102pに隣接して位置する目穴またはのぞき穴103を通してドッキングデバイス100へと結びつけることができる。別の実施例では、解放縫合糸は、コイル102の近位端102pに隣接して位置する周囲の凹部の周りに結びつけることができる。
【0063】
一部の実施例では、展開した構成にあるドッキングデバイス100は、僧帽弁の位置において適合するように構成することができる。他の実施例では、ドッキングデバイスはまた、三尖弁などの他の生来の弁の位置でも移植のために、形作ることもでき、かつ/または適合することもできる。本明細書に記述されるように、ドッキングデバイス100の幾何学的形状は、生来の解剖学的構造と係合するように構成することができ、これは、例えば、安定性の向上、ならびにドッキングデバイス100、ドッキングデバイス100内にドッキングされた人工弁、および/または生来の解剖学的構造の間の相対的な移動の低減を提供することができる。こうした相対的な移動の低減は、とりわけ、ドッキングデバイス100および/もしくはドッキングデバイス100内にドッキングされた人工弁の構成要素の材料の劣化を防止し、かつ/または生来の組織への損傷または外傷を防止することができる。
【0064】
図1A図1Bに示すように、展開した構成にあるコイル102は、中央長軸方向軸101の周囲に、先導ターン106(または「先導コイル」)、中央領域108、および安定化ターン110(または「安定化コイル」)を含むことができる。中央領域108は、実質的に等しい内径を有する1つ以上のらせん状ターンを有することができる。先導ターン106は、中央領域108の遠位端から延在することができ、中央領域108の直径より大きい直径を有する(1つ以上の構成で)。安定化ターン110は、中央領域108の近位端から延在することができ、中央領域108の直径より大きい直径を有する(1つ以上の構成で)。
【0065】
ある特定の実施例では、中央領域108は、安定化ターン110と接続している近位ターン108p、先導ターン106と接続している遠位ターン108d、および近位ターン108pと遠位ターン108dとの間に配置された1つ以上の中間ターン108mなどの複数のらせん状ターンを含むことができる。図1Aに示す実施例では、近位ターン108pと遠位ターン108dとの間には、1つの中間ターン108mのみがある。他の実施例では、近位ターン108pと遠位ターン108dとの間には、2つ以上の中間ターン108mがある。中央領域108におけるらせん状ターンのうちのいくつかは、全回転(すなわち、360度回転する)とすることができる。一部の実施例では、近位ターン108pおよび/または遠位ターン108dは、部分的なターン(例えば、180度、270度等などの、360度未満回転する)とすることができる。
【0066】
ドッキングデバイス100のサイズは、患者の中へと移植される望ましい人工弁のサイズに基づいて一般に選択することができる。ある特定の実施例では、中央領域108は、半径方向に拡張可能な人工弁を保持するように構成することができる(図3A図3Bに示すように、かつ以下でさらに記述されるように)。例えば、中央領域108におけるらせん状ターンの内径は、人工弁が半径方向に拡張したときに、追加的な半径方向の力が中央領域108と人工弁との間に作用して人工弁を適所に保持することができるように、人工弁の外径より小さくなるように構成することができる。本明細書に記述されるように、中央領域108内のらせん状ターン(例えば、108p、108m、108d)はまた、本明細書では「機能性ターン」とも呼ばれる。
【0067】
安定化ターン110は、ドッキングデバイス100を所望の位置に安定化するのに役立つように構成することができる。例えば、安定化ターン110の半径方向寸法は、循環系の壁に対して当接しまたは押すように安定化ターン110を十分に外向きに裾を広げさせまたは延在させることができるように、中央領域108におけるコイルの半径方向寸法より著しく大きくすることができ、それによって、人工弁の移植の前に所望の位置に留まるドッキングデバイス100の能力を改善することができる。一部の実施例では、安定化ターン110の直径は、より良好な安定化のために、生来の弁輪、生来の弁平面、および/または生来の心腔よりも大きいことが望ましい。一部の実施例では、安定化ターン110は、全回転(すなわち、約360度の回転)とすることができる。一部の実施例では、安定化ターン110は、部分的なターン(例えば、約180度~約270度回転する)とすることができる。
【0068】
1つの特定の実施例では、ドッキングデバイス100を生来の僧帽弁の場所に移植するとき、中央領域108内の機能性ターンは、実質的に左心室内に配置することができ、安定化ターン110は、実質的に左心房内に配置することができる。安定化ターン110は、左心房内の少なくとも3つの接触点または左心房壁上の完全な接触など、ドッキングデバイス100と左心房壁との間に1つ以上の接触点または接触領域を提供するように構成することができる。ある特定の実施例では、ドッキングデバイス100と左心房壁との間の接触点は、生来の僧帽弁の平面とほぼ平行な平面を形成することができる。
【0069】
一部の実施例では、安定化ターン110は、中央領域108の近位ターン108pと接続している心房部分110a、コイル102の近位端102pに隣接する安定化部分110c、および心房部分110aと安定化部分110cの間に位置する上行部分110bを有することができる。心房部分110aおよび安定化部分110cの両方は、中央領域108内でらせん状ターンと概して平行とすることができ、一方で、上行部分110bは、心房部分110aおよび安定化部分110cに対して角度のある向きにすることができる。例えば、ある特定の実施例では、上行部分110bおよび安定化部分110cは、約45度~約90度(両端を含む)の角度を形成することができる。ある特定の実施例では、安定化部分110cは、心房部分110aによって画定される平面に実質的に平行な平面を画定することができる。上行部分110bと安定化部分110cとの間の境界107(図1Aに破線でマークされている)は、上行部分110bが安定化部分110cによって画定される平面と交差する場所として決定することができる。安定化ターン110の湾曲は、ドッキングデバイス100が完全に拡張されたときに、心房部分110aおよび安定化部分110cがほぼ反対側に配置されるように構成することができる。ドッキングデバイス100を生来の僧帽弁の場所に移植するとき、心房部分110aは、左心房の後部壁に当接するように構成することができ、安定化部分110cは、外側に広がり、かつ左心房の前部壁に対して押すように構成することができる(例えば、図18図19および図26を参照のこと)。
【0070】
上記のように、先導ターン106は、中央領域108内のらせん状ターンより大きい半径方向の寸法を有することができる。本明細書に記述されるように、先導ターン106は、コイル102を、腱索の周囲におよび/もしくは腱索を通して、かつ/または生来の弁(例えば、生来の僧帽弁、三尖弁等)のすべての生来の弁尖の周囲に適切に、より簡単に誘導するのに役立つことができる。例えば、先導ターン106が所望の生来の解剖学的構造の周囲にナビゲートされると、ドッキングデバイス100の残りのコイル(機能性ターンなど)もまた、同じ特徴の周囲に誘導することができる。一部の実施例では、先導ターン106は、全回転(すなわち、約360度回転する)とすることができる。一部の実施例では、先導ターン106は、部分的なターン(例えば、約180度~約270度回転する)とすることができる。図24を参照しながら以下でさらに記述されるように、人工弁がコイルの中央領域108内で半径方向に拡張したとき、中央領域108内の機能性ターンはさらに半径方向に拡張することができる。結果として、先導ターン106は近位方向に引かれ、中央領域108内の機能性ターンの一部となることができる。
【0071】
ある特定の実施例では、コイル102の少なくとも一部分を、第1のカバー112によって包囲することができる。図1C図1Fに示すように、第1のカバー112は管状形状を有することができ、それ故に「管状部材」とも呼ぶことができる。ある特定の実施例では、管状部材112は、コイル102の全長を覆うことができる。ある特定の実施例では、管状部材112は、コイル102の選択された部分のみを覆う。
【0072】
ある特定の実施例では、管状部材112は、コイル102上に被覆および/または接合することができる。ある特定の実施例では、管状部材112は、コイルを保護するクッション付き、パッド付きタイプの層とすることができる。管状部材112は、様々な天然材料および/または合成材料で構築することができる。1つの特定の実施例では、管状部材112は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むことができる。ある特定の実施例では、管状部材112は、管状部材112とコイル102との間の相対的な軸方向の移動が制約または妨げられるように、(例えば、テクスチャ加工された表面抵抗、縫合糸、糊、熱的接合、または任意の他の手段によって)コイル102へと固定的に取り付けられるように構成される。
【0073】
一部の実施例では、図1C図1Dに例示するように、管状部材112の少なくとも一部分を保持要素114によって包囲することができる。一部の実施例では、管状部材112は、保持要素114の全長を通して延在することができる。保持要素114を管状部材112へと取り付ける例示的な方法が、以下にさらに記述される。
【0074】
一部の実施例では、保持要素114の遠位端部分は、ガード部材104の遠位端を越えて軸方向に延在する(すなわち、ガード部材104の遠位端に対して遠位に位置付ける)ことができ、保持要素114の近位端部分は、ガード部材104の近位端105を越えて軸方向に延在する(すなわち、ガード部材104の近位端105に対して近位に位置付ける)ことができて、人工弁および組織内方成長の保持を補助することができる。一実施例では、保持要素114の遠位端は、先導ターン106に隣接して(例えば、図1Aに破線109でマークされている場所の近くに)位置付けることができる。別の実施例では、保持要素114の遠位端は、コイル102の遠位端に、またはコイル102の遠位端に隣接して配置することができる。一実施例では、保持要素114の近位端は、コイル102の上行部分110bに、またはコイル102の上行部分110bに隣接して配置することができる。一実施例では、図1E図1Fに例示するように、管状部材112の少なくとも一部分は、保持要素114によって包囲されない場合がある。
【0075】
ある特定の実施例では、ドッキングデバイス100は、1つ以上の設置マーカーを有することができる。例えば、図1A図1Bは、近位設置マーカー121pおよび遠位設置マーカー121dを示し、近位設置マーカー121pは、遠位設置マーカー121dに対して近位に位置付けられる。近位設置マーカー121pおよび遠位設置マーカー121dの両方は、コイル102に対して事前定義された場所を有することができる。示すように、近位設置マーカー121pおよび遠位設置マーカー121dの両方は、コイル102の上行部分110bに対して遠位に、例えば、心房部分110aに配置することができる。加えて、保持要素114の近位端部分は、上行部分110bへと延在することができ、かつ/または上行部分110bに位置付けることができる。
【0076】
ある特定の実施例では、近位設置マーカー121pおよび遠位設置マーカー121dの両方は、これらの設置マーカーを移植手技中などの蛍光透視下で見えるようにすることができるように、放射線不透過性材料を含むことができる。以下でさらに記述されるように、ドッキングデバイス100を展開するときに、ガード部材104の近位端105を位置付けることができるコイル102のセグメントの近位境界および遠位境界をマーキングするために、設置マーカー121p、121dを使用することができる。
【0077】
ある特定の実施例では、設置マーカー121p、121dは、管状部材112上に配置することができ、保持要素114によって覆うことができる。一部の実施例では、設置マーカー121p、121dは、コイル102の心房部分110a上に配置することができ、管状部材112によって覆うことができる。特定の実施例では、設置マーカー121p、121dは、保持要素114上に直接的に配置することができる。なおも代替的な実施例では、設置マーカー121p、121dは、相互に対して異なる層上に配置することができる。例えば、設置マーカーのうちの1つ(例えば、121p)は、管状部材112の外側に配置され、かつ保持要素114によって覆うことができ、一方で別の設置マーカー(例えば、121d)は、コイル102上に直接的に配置され、かつ管状部材112によって覆うことができる。
【0078】
ある特定の実施例では、近位設置マーカー121pと遠位設置マーカー121dとの間に位置するコイル102のセグメントは、約2mm~約7mm、または約3mm~約5mmの軸方向長さを有することができる。1つの具体的な実施例では、近位設置マーカー121pと遠位設置マーカー121dとの間のコイルセグメントの軸方向長さは、約4mmである。
【0079】
ある特定の実施例では、近位設置マーカー121pと上行部分110bの遠位端との間の軸方向距離は、約10mm~約30mm、または約15mm~約25mmである。1つの具体的な実施例では、近位設置マーカー121pと上行部分110bの遠位端との間の軸方向距離は、約20mmである。
【0080】
図1A図1Bには2つの設置マーカー121p、121dが示されているが、設置マーカーの数は3つ以上または2つ未満とすることができることが理解されるべきである。例えば、一実施例では、ドッキングデバイス100は、1つの設置マーカー(例えば、121p)のみを有することができる。別の実施例では、1つ以上の追加的な設置マーカーを、近位設置マーカー121pと遠位設置マーカー121dとの間に定置することができる。上記のように、ガード部材の近位端105は、ドッキングデバイス100を展開するときに、近位設置マーカー121pと遠位設置マーカー121dとの間に位置付けることができる。そのため、これらの追加的な設置マーカーは、コイル102に対するガード部材104の近位端105の精密な場所を示すためのスケールとして機能することができる。
【0081】
本明細書に記述されるように、ガード部材104は、ドッキングデバイス100のためのカバーアセンブリ120の一部を構成することができる。一部の実施例では、カバーアセンブリ120はまた、管状部材112も含むことができる。一部の実施例では、カバーアセンブリ120は、保持要素114をさらに含むことができる。
【0082】
一部の実施例では、図1A図1Bに示すように、ドッキングデバイス100が展開した構成にあるとき、ガード部材104は、コイル102の安定化ターン110の一部分(例えば、心房部分110a)を覆うように構成することができる。ある特定の実施例では、ガード部材104は、近位ターン108pの一部分など、コイル102の中央領域108の少なくとも一部分を覆うように構成することができる。ある特定の実施例では、ガード部材104は、コイル102の全体にわたって延在することができる。
【0083】
本明細書に記述されるように、ガード部材104は、弁周囲漏出の防止および/または低減に役立つように半径方向に拡張することができる。具体的には、ガード部材104は、半径方向に拡張するように構成することができ、これにより改善されたシールは、ドッキングデバイス100内に展開された人工弁のより近くに、かつ/またはその人工弁に対して形成される。一部の実施例では、ガード部材104は、ドッキングデバイス100が生来の弁の弁尖間(例えば、生来の弁尖の交連における)を横切る場所における漏出を防止および/または阻害するように構成することができる。例えば、ガード部材104を有しないと、ドッキングデバイス100が、生来の弁尖を横切る点で生来の弁尖を押し離し、その点における漏出(例えば、ドッキングデバイスに沿って、またはドッキングデバイスの側面へ)を可能にする場合がある。しかしながら、ガード部材104は、その点で任意の開口部を覆うように、かつ/または充填するように拡張し、ドッキングデバイス100に沿った漏出を阻害するように、構成することができる。
【0084】
別の実施例では、ドッキングデバイス100が生来の房室弁において展開されたとき、ガード部材104は、主として安定化ターン110の一部分および/または中央領域108の一部分を覆う。一実施例では、ガード部材104は、上行部分110bに対して遠位に位置する安定化ターン110の心房部分110aを主として覆うことができる。それ故に、ガード部材104は、ドッキングデバイス100が展開した構成にあるとき、上行部分110bへと延在しない(または少なくとも、ガード部材104は、生来の弁の前外側の交連419の前に終結することができる、例えば、図18図19を参照のこと)。ある特定の状況では、ガード部材104は、上行部分110bの上へと延在することができる。これは、ガード部材104のよじれを引き起こす場合があり、これは(一部の事例では)ガード部材の性能および/または耐久性を低減する場合がある。したがって、保持部材114は、とりわけ、ガード部材104がコイル102の上行部分110bへと延在するのを防止することによって、ガード部材104の機能性および/または寿命を向上させることができる。
【0085】
なおもさらに、代替的な実施例では、ガード部材104は、心房部分110aを覆うことができるだけではなく、安定化ターン110の上行部分110bの外側にも延在することができる。これは、例えば、ドッキングデバイスが他の解剖学的場所に移植され、かつ/またはガード部材104が補強されて、ワイヤの破断のリスクを低減する場合の状況で生じる可能性がある。
【0086】
様々な実施例では、ガード部材104は、房室弁の心房側を覆って、心房内で、人工弁を通る以外に血液が心室の方向へと流れる(すなわち、順行性血流)のを遮断することにより、生来の弁尖、交連、および/または人工弁の外側の周囲を通して血液が漏出するのを防止および/または阻害するのに役立つことができる。弁の心房側上にガード部材104を位置付けることは、追加的または代替的に、心室内で血液が心室から心房への方向で(すなわち、逆行性血流)流れるのを低減するのに役立つことができる。
【0087】
一部の実施例では、ガード部材104は、心室内で血液が心室から心房への方向で流れる(すなわち、逆行性血流)のを遮断することによって、生来の弁尖、交連、および/または人工弁の外側の周囲を通して血液が漏出するのを防止および/または阻害するために房室弁の心室側に位置付けることができる。弁の心室側上にガード部材104を位置付けることは、追加的または代替的に、人工弁を通る以外、心房内の血液が心房内で心室の方向への方向で(すなわち、順行性血流)流れるのを低減するのに役立つことができる。
【0088】
ガード部材104は、拡張可能な部材116と、拡張可能な部材116の外面を包囲するカバー部材118(「第2のカバー」または「外側カバー」とも呼ばれる)と、を含むことができる。ある特定の実施例では、拡張可能な部材116は、管状部材112の少なくとも一部分を包囲する。ある特定の実施例では、管状部材112は、拡張可能な部材116を通して(完全にまたは部分的に)延在することができる。
【0089】
拡張可能な部材116は、コイル102(および管状部材112)から半径方向外向きに延在することができ、半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態と半径方向に拡張された(かつ軸方向に短縮された)状態との間で移動可能である。すなわち、拡張可能な部材116は、半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するとき、軸方向に短縮することができ、半径方向に拡張した状態から半径方向に圧縮された状態へと移動するとき、軸方向に伸長することができる。
【0090】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材116は、編組ワイヤメッシュまたは格子などの、編組構造を含むことができる。ある特定の実施例では、拡張可能な部材116は、制約されていないとき(例えば、生来の弁の場所において展開されたとき)に、特定の形状および/またはサイズへと拡張するように形状設定された、かつ/または予め構成された形状記憶材料を含むことができる。例えば、拡張可能な部材116は、ニチノールなどの超弾性特性を有する形状記憶合金を含有する編組構造を有することができる。ある特定の実施例では、拡張可能な部材116は、NiTiX(式中、Xは、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等とすることができる)などの超弾性特性を有する三元形状記憶合金を含有する編組構造を有することができる。ある特定の実施例では、拡張可能な部材116は、形状記憶特性を有しない金属材料を含むことができる。こうした金属材料の実施例としては、コバルトクロム、ステンレス鋼等が挙げられる。1つの具体的な実施例では、拡張可能な部材116は、ニッケルを窒素によって完全に置換することができる、ニッケルを含まないオーステナイトステンレス鋼を含むことができる。別の具体的な実施例では、拡張可能な部材116は、著しく低い密度のチタンを有するコバルト-クロムまたはコバルト-ニッケル-クロム-モリブデン合金を含むことができる。編組構造を形成するワイヤ(または繊維、ストランド、もしくはこれに類するもの)の数は、拡張可能な部材116の所望の弾性および/または強度を達成するために選択することができる。ある特定の実施例では、拡張部材116を編組するために使用されるワイヤの数は、16~128(例えば、32ワイヤ、48ワイヤ、64ワイヤ、96ワイヤ等)の範囲とすることができる。ある特定の実施例では、編組密度は、20ピック毎インチ(PPI)~70PPI、または25PPI~65PPIの範囲とすることができる。1つの具体的な実施例では、編組密度は、約36PPIである。別の具体的な実施例では、編組密度は、約40PPIである。ある特定の実施例では、ワイヤの直径は、約0.002インチ~約0.004インチの範囲とすることができる。1つの特異的な実施例では、ワイヤの直径は、約0.003インチとすることができる。別の実施例では、拡張可能な部材116は、編組ワイヤ(形状記憶材料または非形状記憶材料を含むことができる)と、高分子材料および/または布地(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)等)との組み合わせとすることができる。例えば、拡張可能な部材116は、高分子材料内に埋め込まれた編組ワイヤフレームを含むことができる。
【0091】
一部の実施例では、拡張可能な部材116は、エラストマー(例えば、ePTFE、TPU、またはこれに類するもの)で被覆された編組金属ワイヤフレームを含むことができ、これは編組ワイヤフレームが拡張および/または圧縮するにつれて弾性的に変形することができる。一部の実施例では、拡張可能な部材116は、1つ以上の金属ワイヤおよび1つ以上の高分子繊維を含む編組および/または織りを備えることができる。言い換えれば、金属ワイヤおよび高分子繊維は、一緒に織り合わされて、編組構造を画定することができる。一部の事例では、高分子繊維は、金属ワイヤと同じ直径またはほぼ同じ直径を有することができる。他の事例では、高分子繊維は、金属ワイヤより小さい直径(例えば、マイクロファイバー)を有することができ、または逆も可である。
【0092】
なおも別の実施例では、拡張可能な部材116は、熱可塑性材料(例えば、PET、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)等)などの高分子材料を、編組ワイヤフレームを有しないで含むことができる。
【0093】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材116は、発泡体構造を含むことができる。例えば、拡張可能な部材は、ドッキングデバイスの送達前の捲縮圧力の除去(例えば、送達シースからのドッキングデバイス100の除去)に伴い、特定の形状または特定の予め設定された形状へと拡張することができる、拡張可能なメモリーフォームを含むことができる。
【0094】
本明細書に記述されるように、カバー部材118は、拡張可能な部材116が半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態から半径方向に拡張した(かつ軸方向に短縮された)状態へと移動するとき、カバー部材118がまた、拡張可能な部材116とともに半径方向に拡張し、かつ軸方向に短縮することもできるほど弾性であるように構成することができる。言い換えれば、ガード部材104は、全体として、半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態から半径方向に拡張した(かつ軸方向に短縮された)状態へと移動することができる。本明細書に記述されるように、半径方向に拡張された(かつ軸方向に短縮された)状態は、「弛緩した状態」とも呼ばれ、半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態は、「折り畳まれた状態」とも呼ばれる。
【0095】
ある特定の実施例では、カバー部材118は、生来の組織に対して非外傷性で、かつ/またはカバー部材118の中への組織内方成長を促進するように構成することができる。例えば、カバー部材118は、組織内方成長を促すための細孔を有することができる。別の実施例では、カバー部材118は、形質転換増殖因子アルファ(TGF-アルファ)、形質転換増殖因子ベータ(TGF-ベータ)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血管上皮増殖因子(VEGF)、およびそれらの組み合わせなどの、組織内方成長を刺激または促進するための増殖因子で含浸することができる。カバー部材118は、発泡体、布、織物、および/またはポリマーを含む任意の好適な材料で構築することができ、これは、カバー部材118の圧縮および拡張を可能にするように可撓性である。一実施例では、カバー部材118は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの熱可塑性高分子材料から構築された織物の層を含むことができる。
【0096】
本明細書に記述されるように、ガード部材104の遠位端部分104d(拡張可能な部材116の遠位端部分およびカバー部材118の遠位端部分を含む)は、コイル102に(例えば、縫合、糊付け、またはこれに類するものを介して)固定的に連結することができ、ガード部材104の近位端部分104p(拡張可能な部材116の近位端部分およびカバー部材118の近位端部分を含む)は、コイル102に対して軸方向に移動可能とすることができる。さらに、拡張可能な部材116の近位端部分は、カバー部材118の近位端部分へと固定的に連結することができる(例えば、縫合、糊付け、熱的圧縮、レーザー融合等を介して)。
【0097】
別の方法として、ガード部材104の近位端部分104pは、コイル102へと固定的に連結することができる一方で、ガード部材104の遠位端部分104dは、コイル102に対して軸方向に移動可能とすることができる。
【0098】
ドッキングデバイス100が実質的に真っ直ぐな構成で送達シース内に保持されるとき、拡張可能な部材116は、送達シースによって半径方向に圧縮することができ、半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態のままである。半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)拡張可能な部材116は、保持要素114と拡張可能な部材116との間に、または管状部材112(および/もしくはコイル102)と拡張可能な部材116との間に、いかなる間隙または空洞も存在しないように、保持要素114(例えば、図1Cを参照のこと)または管状部材112(例えば、図1Eを参照のこと)に接触することができる。
【0099】
ドッキングデバイス100が送達シースから除去され、かつ送達構成から展開した構成へと変化した後、ガード部材104もまた、送達構成から展開した構成へと移動することができる。ある特定の実施例では、ドックスリーブ(以下でより完全に記述される)は、患者の生来の弁を通して送達シースをナビゲートするときに、送達シース内にドッキングデバイス100を覆い、かつ保持するように構成することができる。ドッキングスリーブはまた、例えば、ドッキングデバイスを生来の弁尖および腱の周囲に誘導するためにも役立つことができる。ドッキングデバイス100に対するドックスリーブの後退は、ガード部材104を露出することができ、ガード部材104を送達構成から展開した構成へと移動させることができる。具体的には、送達シースおよびドックスリーブの制約を有しないと、拡張可能な部材116は、間隙または空洞111を保持要素114と拡張可能な部材116との間(例えば、図1Cを参照のこと)に、かつ/または管状部材112と拡張可能な部材116との間(例えば、図1Eを参照のこと)に作成することができるように、半径方向に拡張(かつ軸方向に短縮)することができる。それ故に、ガード部材104が送達構成にあるとき、ガード部材104の外縁は、コイル102に沿ってかつ隣接して延在することができる(図1Dおよび図1Fに示すように、いかなる間隙111もなく、保持要素114および/または管状部材112のみがコイル102を拡張可能な部材116から分離するため)。ガード部材104が展開した構成にあるとき、ガード部材104の外縁は、中央長軸方向軸101を中心として回転するらせん状の形状を形成することができ(例えば、図1A図1Bおよび図3A図3Bを参照のこと)、ガード部材の外縁の少なくともセグメントは、コイル102から離れるように半径方向に延在することができる(例えば、拡張可能な部材116と保持要素114または管状部材112との間の間隙111の作成に起因して)。
【0100】
ガード部材104の遠位端部分104dは、コイル102へと固定的に連結され、ガード部材104の近位端部分104pは、コイル102に対して軸方向に移動可能とすることができるため、ガード部材104の近位端部分104pは、拡張可能な部材116が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するとき、管状部材112の外側で、かつコイル102の遠位端102dに向かって、軸方向に摺動することができる。結果として、ガード部材104の近位端部分104pは、拡張可能な部材116が半径方向に拡張した状態よりも半径方向に圧縮された状態にあるとき、コイル102の近位端102pのより近くに配置することができる。
【0101】
ある特定の実施例では、カバー部材118は、拡張可能な部材116が半径方向に拡張した状態にあるとき、人工弁とドッキングデバイス100との間にシールを形成し、かつ人工弁とドッキングデバイス100との間の弁周囲漏出を低減するように、ドッキングデバイス100内に展開された人工弁と係合するように構成することができる。カバー部材118はまた、ドッキングデバイスおよび/または人工弁と生来の組織との間のPVLを低減するために、生来の組織(例えば、生来の弁輪および/または生来の弁尖)と係合するように構成することができる。
【0102】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材116が半径方向に拡張した状態にあるとき、ガード部材104の近位端部分104pは、図1A図1Bに示すように、テーパー状の形状を有することができ、これにより近位端部分104pの直径は、ガード部材104の近位端105からガード部材104の遠位に位置する本体部分まで徐々に増加する。これは、例えば、移植手技中に、送達装置の送達シースの中へとドッキングデバイスを装填すること、ならびに/または送達装置の中へとドッキングデバイスを回収および/もしくは再位置付けすることを容易にするために役立つことができる。加えて、その小さい直径に起因して、ガード部材104の近位端105は、保持要素114がコイル102に対するガード部材104の近位端部分104pの軸方向の移動を低減または防止できるように、保持要素114と摩擦的に係合することができる。
【0103】
ある特定の実施例では、ドッキングデバイス100は、蛍光透視下において、その包囲する解剖学的構造に対するドッキングデバイス100の場所、および/またはドッキングデバイス100の半径方向の拡張の量(例えば、人工弁がその後、ドッキングデバイス100内に展開されるときの)についての視覚的な表示を提供するように構成された、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを含むことができる。例えば、1つ以上の放射線不透過性マーカーは、コイル102上に定置することができる。1つの特定の実施例では、放射線不透過性マーカー(設置マーカー121p、121dより大きくすることができる)は、コイルの中央領域108に配置することができる。別の実施例では、1つ以上の放射線不透過性マーカーは、管状部材112、拡張可能な部材116、および/またはカバー部材118上に定置することができる。上記のように、ドッキングデバイス100はまた、コイル102の上行部分110bに対して遠位に位置する1つ以上の放射線不透過性マーカー(例えば、121pおよび/または121d)も有することができる。ドッキングデバイス100の半径方向の拡張の場所および/または量についての視覚的な表示を提供するために使用される放射線不透過性マーカーを、上述の設置マーカー(例えば、121p、121d)に対して追加することができる。
【0104】
図1Gは、コイル102が(例えば、図1に図示するらせん状の構成と比較して)実質的に真っ直ぐな構成にあるときのドッキングデバイス100の、一部の例示の寸法を概略的に図示する。コイル102を包囲するガード部材104は、折り畳まれた状態(実線の輪郭で示される)および弛緩した状態(破線の輪郭で示される)の両方で示される。ある特定の実施例では、弛緩した状態にあるガード部材104は、約4mm~約8mm(例えば、1つの特定の実施例では約6mm)の範囲の最大外径(D1)を有することができ、折り畳まれた状態にあるガード部材104は、約1mm~約3mm(例えば、1つの特定の実施例では約2mm)の範囲の最大外径(D2)を有することができる。折り畳まれた状態から弛緩した状態へのガード部材104の拡張は、D1/D2として定義される拡張比によって特徴付けることができる。ある特定の実施例では、拡張比は、約1.5~約8、または約2~約6、または約2.5~約4の範囲とすることができる。1つの具体的な実施例では、拡張比は約3である。
【0105】
ガード部材104の遠位端部分104dは、例えば、縫合、糊付け、またはその他の手段を介してコイル102へと固定的に取り付けることができる。コイル102へと固定的に取り付けられるガード部材104の部分は、近位端127および遠位端129を有する遠位取り付け領域123を画定することができる。それ故に、遠位取り付け領域123に対して近位にあるガード部材104の部分のみが、コイル102に対して移動可能である。
【0106】
図1Gへと再度戻ると、ある特定の実施例では、ガード部材104が弛緩した状態にあるとき、その移動可能な部分(すなわち、ガード部材104の近位端105から遠位取り付け領域123の近位端127まで延在する部分)は、約30mm~約100mmの範囲の軸方向長さ(A2)を有することができる。1つの具体的な実施例では、A2は約51mmである。別の具体的な実施例では、A2は約81mmである。ガード部材104が折り畳まれた状態にあるとき、その移動可能な部分は、約50mm~約120mmの範囲の軸方向長さ(A1)を有することができる。1つの具体的な実施例では、A1は約72mmである。別の具体的な実施例では、A1は105mm~106.5mmである。弛緩した状態から折り畳まれた状態へのガード部材104の伸長は、A1/A2として定義される伸長比によって特徴付けることができる。ある特定の実施例では、伸長比は、約1.05~約1.7、または約1.1~約1.6、または約1.2~約1.5、または1.3~約1.4の範囲とすることができる。1つの具体的な実施例では、伸長比は約1.47である。別の具体的な実施例では、伸長比は約1.31である。
【0107】
ある特定の実施例では、コイル102の近位端102pから遠位取り付け領域123の遠位端129まで測定される軸方向長さ(A3)は、約130mm~約200mm、または約140mm~約190mmの範囲とすることができる。1つの具体的な実施例では、A3は133mm~135mm(例えば、134mm)である。別の具体的な実施例では、A3は178mm~180mm(例えば、179mm)である。ある特定の実施例では、ガード部材104が折り畳まれた状態にあるとき、コイル102の近位端102pからガード部材104の近位端105まで測定される軸方向長さ(A4)は、約40mm~約90mm、または約50mm~約80mmの範囲とすることができる。ある特定の実施例では、A4は、60mm~70mm(例えば、61mm)である。
【0108】
コイル、第1のカバー(または管状部材)、第2のカバー(またはカバー部材)、拡張可能な部材、およびドッキングデバイスの他の構成要素の様々な実施例を含む、ドッキングデバイスおよびその変形形態のさらなる詳細は、PCT特許出願公開第WO/2020/247907号に記述され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
例示的な人工弁
【0109】
図2A図2Bは、一実施例による、人工弁10を示す。人工弁10は、ドッキングデバイスを有して、または有しないで、生来の僧帽弁輪、生来の大動脈弁輪、生来の肺動脈弁輪等の、生来の弁輪内に移植されるように適合することができる。人工弁10は、フレーム12、弁膜構造14、および弁カバー16を含むことができる(弁カバー16は、図2Aではフレーム構造を示すために除去されている)。
【0110】
弁膜構造14は、3つの弁尖40を含むことができ、集合的に弁尖構造を形成し(より多い数またはより少ない数の弁尖を使用することができるが)、これは、三尖弁の配設で折り畳まれるように配設することができる。弁尖40は、人工弁10の流入端22から流出端24への血液の流れを許容し、かつ人工弁10の流出端24から流入端22への血液の流れを遮断するように構成される。弁尖40は、弁尖構造の交連26を形成するために、それらの隣接する側において相互に固定することができる。弁膜構造14の下縁は、起伏のある、湾曲した波を打った形状を有することが望ましい。この波を打った幾何学的形状を有する弁尖40を形成することによって、弁尖40上の応力を低減することができ、これは次に、人工弁10の耐久性を改善することができる。さらに、波を打った形状のおかげで、それらのエリアで早期の石灰化を引き起こす可能性のある各弁尖40(各弁尖の中央領域)の腹部における折り曲げおよびさざ波を除去することができ、または少なくとも最小限にすることができる。波を打った幾何学的形状はまた、弁尖構造を形成するために使用される組織材料の量を低減することもでき、それによって、人工弁10の流入端におけるより小さい、より均一な捲縮プロファイルを可能にする。弁尖40は、心膜組織(例えば、ウシ心膜組織)、生体適合性合成材料、または当技術分野で知られている、かつ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,730,118号に記述されている、様々な他の好適な天然もしくは合成材料で形成することができる。
【0111】
フレーム12は、弁膜構造14の交連26をフレームに据え付けるように適合された、複数の円周状に離隔したスロットまたは交連窓20(図示の実施例では3つ)を有して形成することができる。フレーム12は、当技術分野で知られているような、様々な好適な可塑的に拡張可能な材料(例えば、ステンレス鋼等)または自己拡張型材料(例えば、ニチノール)のうちのいずれかで作製することができる。可塑的に拡張可能な材料で構築されたとき、フレーム12(およびそれ故に人工弁10)は、送達装置上で半径方向に圧縮された状態へと捲縮することができ、その後、膨張可能なバルーンまたは同等の拡張機構によって患者の内側で拡張することができる。自己拡張可能な材料で構築されたとき、フレーム12(およびそれ故に人工弁10)は、半径方向に圧縮された状態へと捲縮し、かつ送達装置の弁シースまたは同等の機構の中への挿入によって圧縮された状態で拘束することができる。身体の内側に入ると、人工弁10を送達シースから前進させることができ、これは、人工弁10をその機能的なサイズへと拡張することを可能にする。
【0112】
フレーム12を形成するために使用することができる好適な可塑的に拡張可能な材料としては、ステンレス鋼、ニッケル系合金(例えば、コバルト-クロムまたはニッケル-コバルト-クロム合金)、ポリマー、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施例では、フレーム12は、UNS R30035(ASTM F562-02によって適用される)と同等である、MP35N(商標)(SPS Technologiesの商品名)などのニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金で作製することができる。MP35N(商標)/UNS R30035は、35重量%のニッケル、35重量%のコバルト、20重量%のクロム、および10%重量のモリブデンを含む。フレーム12を形成するためのMP35Nの使用が、ステンレス鋼に優る優れた構造的結果を提供することができることが見出された。具体的には、MP35Nがフレーム材料として使用されるとき、半径方向破砕力耐性、耐疲労性、ならびに耐腐食性において同じまたはより良好な性能を達成するために、より少ない材料しか必要とされない。さらに、より少ない材料しか必要とされないため、フレームの捲縮プロファイルを低減することができ、それによって、身体内の治療場所へと経皮的に送達するためのよりロープロファイルの弁アセンブリを提供する。
【0113】
図2Bに示すように、弁カバー16は、フレーム12の外面全体を覆うことができる外側部分18を含むことができる。ある特定の実施例では、図3Aに示すように、弁カバー16はまた、内側部分28も含むことができる。内側部分28は、フレーム12の内面全体を覆うか、または別の方法として、フレーム12の内面の選択された部分のみを覆うことができる。図示する実施例では、内側部分28は、弁カバー16をフレーム12の流出端24の上に折り曲げることによって形成される。ある特定の実施例では、高耐摩耗性材料(例えば、ePTFE等)を含む保護カバー36は、流出端24において弁カバー16の折り曲げの上に定置することができる。ある特定の実施例では、同様の保護カバー36を、フレームの流入端22の上に定置することができる。弁カバー16および保護カバー36は、縫合30を介してなど、様々な手段によってフレーム12へと貼り付けることができる。
【0114】
本明細書に記述されるように、弁カバー16は、いくつかの他の目的の中でも、生来の解剖学的構造を保護して組織内方成長を促進するために、人工弁10と生来の弁との間の弁周囲漏出を防止するように構成することができる。僧帽弁置換術については、大動脈弁と比較して、僧帽弁の概してD字形状および比較的大きい弁輪に起因して、弁カバー16は、人工弁10の周囲のシールとして作用することができ(例えば、人工弁10が弁輪より小さくなるようにサイズ設定されるとき)、人工弁10に対する生来の弁尖の滑らかな癒合を可能にする。
【0115】
様々な実施例では、弁カバー16は、人工弁10の経カテーテル送達のために捲縮することができ、かつ人工弁10の周囲の弁周囲漏出を防止するために拡張可能である、材料を含むことができる。可能性のある材料の実施例としては、発泡体、布、織物、1つ以上の合成ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)等)、有機組織(例えば、ウシ心膜、ブタ心膜、ウマ心膜等)、および/または封入された材料(例えば、封入されたヒドロゲル)が挙げられる。
【0116】
ある特定の実施例では、弁カバー16は、複数の浮き出たより糸セクション32(例えば、突出する、または膨らむセクション、以下、「浮き」とも呼ばれる)を有する織られた布または織物で作製することができる。例示的な複数の浮き32で覆われた弁の詳細は、米国特許公開第US2019/0374337号、同第US2019/0192296号、および同第US2019/0046314号にさらに記述され、これらの開示は、すべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施例では、浮きより糸セクション32は、1つ以上の水平バンド34によって分離される。一部の実施例では、水平バンド34は、絡み織りを介して構築することができ、これは、織られた構造の強度を改善することができる。織られた布の一部の実施例では、垂直繊維(例えば、人工弁10の長軸方向軸に沿って延びる)は、テクスチャライズされた横糸などの高いレベルの拡張を有するより糸または他の繊維を含むことができる一方、絡み織りにおける、水平繊維(例えば、人工弁10の周囲に円周状に延びる)は、低い拡張のより糸または繊維を含むことができる。
【0117】
一部の実施例では、弁カバー16は、組み立てられたとき、および張力下にあるとき(例えば、人工弁10の送達前に圧縮された弁上で長軸方向に伸びたとき)、加工されていない織物に似ている織られた布を含むことができる。人工弁10が展開および拡張されたとき、浮き32の張力は弛緩され、浮き32の拡張を可能にする。一部の実施例では、弁カバー16は、浮き32が拡大した、または膨らんだ、空間充填する形態に戻ることを可能にするように、ヒートセットすることができる。一部の実施例では、浮き32の数およびサイズは、僧帽弁平面を横切る弁周囲漏出を防止する拡張のレベル(例えば、より高いレベルの拡張厚さを有するための)、および/または捲縮のよりロープロファイル(例えば、人工弁の送達のための)を提供するように最適化することができる。加えて、水平バンド34は、人工弁10上の支柱またはその他の構造的要素の特定のサイズまたは位置に基づいて、弁カバー16のフレーム12への取り付けを可能にするように最適化することができる。
【0118】
人工弁10およびその構成要素のさらなる詳細は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,393,110号および同第9,339,384号に記述される。弁カバーの追加的な実施例は、PCT特許出願公開第WO/2020/247907号に記述される。
【0119】
上述のように、かつ図3A図3Bに例示するように、人工弁10は、半径方向に拡張し、かつドッキングデバイス100内にしっかりとアンカリングすることができる。
【0120】
ある特定の実施例では、および図23図24を参照して以下でさらに記述されるように、展開した構成にあるドッキングデバイス100のコイル102は、人工弁10がコイル102内で半径方向に拡張する前の第1の半径方向に拡張した構成と、人工弁10がコイル102内で半径方向に拡張した後の第2の半径方向に拡張した構成との間で移動可能とすることができる。図3A図3Bに図示する実施例では、人工弁10が半径方向に拡張した状態で示されているため、コイル102は第2の半径方向に拡張した構成にある。
【0121】
本明細書に記述されるように、中央領域108などのコイル102の少なくとも一部分は、第2の半径方向に拡張した構成において、第1の半径方向に拡張した構成におけるよりも大きい直径を有することができる(すなわち、中央領域108は、人工弁10を半径方向に拡張することによってさらに半径方向に拡張することができる)。コイル102が第1の半径方向に拡張した構成から第2の半径方向に拡張した構成へと移動するとき、中央領域108の直径が増加するにつれて、中央領域108における機能性ターン、および先導ターン106は、円周方向に(例えば、安定化ターン110から見たとき、時計回り方向または反時計回り方向に)回転することができる。「クロッキング」とも呼ぶことができる、中央領域108における機能性ターン、および先導ターン106の、円周方向の回転は、中央領域108内のらせん状のコイルをわずかに巻き出すことができる。一般に、巻き出しは、1回転未満、または半回転(すなわち、180度)未満とすることができる。例えば、巻き出しは約60度とすることができ、ある特定の状況では最大90度であってもよい。結果として、コイル102の中央長軸方向軸に沿って測定されるコイル102の、近位端102pと遠位端102dとの間の距離は、短縮することができる。
【0122】
図3A図3B(および図26)に図示する実施例では、ガード部材104の近位端105が、近位設置マーカー121pに対して遠位に位置付けられていることを示す。他の実施例では、人工弁10がコイル102内で半径方向に拡張した後、ガード部材104の近位端105は、近位設置マーカー121pに対して近位に位置付けることができる(すなわち、近位設置マーカー121pはガード部材104によって覆われる)が、上行部分110bに対して遠位に留まる。
例示的なカバーアセンブリ
【0123】
上述のように、ドッキングデバイス100は、管状部材112およびガード部材104を含むカバーアセンブリ120、ならびに一部の事例では保持要素114を有することができる。ガード部材104は、拡張可能な部材116およびカバー部材118をさらに含むことができる。本明細書に記述されるように、カバー部材118は、カバー部材118を拡張可能な部材116と一緒に半径方向に拡張し、かつ軸方向に短縮することができるように、拡張可能な部材116へと固定的に連結することができる。
【0124】
一実施例では、カバーアセンブリ120は、ガード部材104の遠位端部分104dをコイル102(およびコイル102を包囲する管状部材112)へと固定的に取り付け、一方で、ガード部材104の近位端部分104pをコイル102(およびコイル102を包囲する管状部材112)へと取り付けないままにすることによって組み立てることができる。それ故に、近位端部分104pは、コイル102および管状部材112に対して、軸方向に移動可能とすることができる。結果として、コイル102が送達構成から展開した構成へと移動したとき(例えば、ドッキングデバイス100の当初の展開の間)、ガード部材104の近位端部分104pは、コイル102の外側を遠位に摺動して、半径方向に拡張する(すなわち、直径の増加を有する)間にガード部材104を軸方向に収縮させる(すなわち、軸方向長さの減少を有する)ことができる。
【0125】
もう一方では、保持要素114は、摩擦力(例えば、保持要素114とガード部材104の近位端105との間の摩擦相互作用)を加えることによって、コイル102に対する近位端部分104pの遠位移動の程度を制限することができる。例えば、完全に拡張されたガード部材104(すなわち、その最大直径まで拡張している)の近位端部分104pが、保持要素114がない状態で、コイル102の外側で遠位に、第1の場所まで摺動することができる場合、保持要素114の存在は、近位端部分104pを、コイル102の外側で遠位に、第1の場所に対して近位にある第2の場所まで摺動させることができる。言い換えれば、保持要素114は、ガード部材104が、その最大直径まで拡張すること、および/またはその最短の軸方向長さまで収縮することを防止することができる。
【0126】
同様に、保持要素114は、摩擦力(例えば、保持要素114とガード部材104の近位端105との間の摩擦相互作用)をかけることによって、コイル102に対する近位端部分104pの近位移動の程度を制限することができる。上記のように、かつ以下でさらに記述されるように、展開した構成にあるドッキングデバイス100のコイル102は、人工弁10がコイル102内で半径方向に拡張したとき、さらに半径方向に拡張することができ(例えば、第1の半径方向に拡張した構成から第2の半径方向に拡張した構成へと移動する)、コイル102の半径方向の拡張は、コイル102の対応する円周方向の回転を引き起こすことができる。半径方向に拡張した人工弁10は、ガード部材104に対抗して押すことができ、ガード部材104を半径方向に圧縮させ、かつ軸方向に延在させることができる。ガード部材104の遠位端部分104dはコイル102へと固定的に取り付けられ、ガード部材104の近位端部分104pは、コイル102へと繋がれていないため、ガード部材104の近位端部分104pは、人工弁10がコイル102内で半径方向に拡張されたときに、コイル102に対して近位に移動する傾向を有することができる。しかしながら、保持要素114の存在は、ガード部材104の近位端部分104pがコイル102の外側で近位に移動するのを妨げることができる。具体的な実施例では、保持要素114の存在は、ガード部材104の近位端105がコイル102の上行部分110bの上へと延在するのを防止することができる。これは、例えば、上記で考察したように、ガード部材104の機能性および/または耐久性を改善することができる。
【0127】
ガード部材104は、接着剤、締結具、溶接、および/または他の連結のための手段などの様々なやり方で、コイル102および/または管状部材112へと連結することができる。例えば、一部の実施例では、カバー部材118を拡張可能な部材116へと取り付けること、またはガード部材の遠位端部分104dをコイル102および管状部材112へと取り付けることは、1つ以上の縫合糸を使用することによって達成することができる。しかしながら、縫合糸を使用する場合、いくつかの技術的課題がある。第1に、拡張可能な部材116が、ある特定の金属または金属合金(例えば、ニチノール)で作製されたメッシュ状のワイヤフレームを有する場合、針を用いて縫合糸を縫うことは、特に針も金属で作製されている場合、金属または金属合金の表面を引っ掻き、体液に曝されたときにワイヤフレームに対する腐食のリスクを増加する場合がある。非金属針(例えば、プラスチック針)を用いて縫合糸を縫うことは、非金属針が典型的に金属針と比較してより低い強度を有し、それ故にカバーアセンブリ120の様々な層を通して糸を通すことを困難にするので、独自の不利益を有する。さらに、非金属針でさえも、ワイヤフレームの金属または金属合金の表面を損傷する可能性がある。第2に、縫合糸は、カバーアセンブリ120の構成要素間のしっかりとした取り付けを確実にしなければならないだけでなく、ドッキングデバイス100を経カテーテル移植用の送達装置の送達シース内に保持することができるように、ガード部材104の半径方向のプロファイルを著しく増加させてはならないため、縫合糸のルーティングは困難である可能性がある。
【0128】
例示の、ガード部材104を組み立てる方法は、米国仮特許出願第63/252,524号に記述され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。そこに記述する方法(以下で「ステッチング方法」とも呼ばれる)は、ガード部材104の近位端部分104pおよび遠位端部分104dの両方で複数の結び目およびラップを縫合糸で形成することによって、上述の課題を克服する。
【0129】
例えば、ステッチング方法では、拡張可能な部材116およびカバー部材118を調製するために、2つの別個のプロセスを使用することができる。具体的には、拡張可能な部材116を調製するために、ワイヤ(例えば、ニチノール)をまず真っ直ぐなマンドレルの上へと編組し、次いで、編組ワイヤを真っ直ぐな構成に形状設定するために熱を加える。こうした真っ直ぐな形状の編組ワイヤを、テーパー状の近位端部分を生成するように再構成することができる(図1A図1Bに示すように、ガード部材104の近位端部分104pが、テーパー状の形状を有することができるように)。こうした再構成は、編組ワイヤをテーパー状のマンドレル(すなわち、マンドレルの一端はテーパー状の形状を有する)へと移送し、次いで熱を再度加えて編組ワイヤを形状設定してテーパー状の端部分を生成することによって達成することができる。カバー部材118を調製するために、拡張可能な部材116について上述したのと同じ工程を繰り返すことができる。言い換えれば、カバー材料(例えば、PET)は、まず真っ直ぐなマンドレルの上へと編組され、次いで、編組カバーを真っ直ぐな構成へと形状設定するために熱が加えられる。次いで、真っ直ぐな形状の編組カバーをテーパー状のマンドレルへと移送し、熱を再度加えて、編組カバーを形状設定して、拡張可能な部材116のものと一致するテーパー状の端部分を作り出す。これらの2つの別個のプロセスは、拡張可能な部材116およびカバー部材118を調製する。
【0130】
別の例示の、ガード部材104を組み立てる方法は、米国仮特許出願第63/253,995号に記述され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。そこに記述される方法(以下で「融合方法」とも呼ばれる)は、第1の層をマンドレルの外側に編組することと、第1の層の外側に第2の層を編組して多層構造を形成することと、多層構造がマンドレルの形状に適合するように多層構造を形状設定することと、多層構造をレーザー切断して近位端および遠位端を形成することと、を含む。レーザー切断は、近位端および遠位端において第2の層を第1の層へと融合することができる。
弾性部材を有する例示的なPVLガード
【0131】
ある特定の実施例では、図4A図4Bに図示するように、ガード部材104は、拡張可能な部材116の軸方向長さに連結され、かつそれに沿って延在する弾性部材122をさらに含むことができる。図示する実施例では、カバー部材118は、拡張可能な部材116から取り外され、それ故に、拡張可能な部材116のメッシュ状のワイヤフレームを露出する。
【0132】
本明細書に記述されるように、弾性部材122は、軸方向に伸びた状態と静止状態との間で移動可能とすることができ、弾性部材122は、静止状態へと付勢される。拡張可能な部材116が半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態にあるとき、例えば、ドッキングデバイス100が送達シース(例えば、204)および/またはドックスリーブ(例えば、222)内に保持されるとき、弾性部材122は軸方向に伸びた状態にあることができる。ドッキングデバイスが送達シースおよびドックスリーブから取り外された後、弾性部材122は、その静止状態へと戻る傾向があり、それ故に拡張可能な部材116が半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態から半径方向に拡張した(かつ軸方向に短縮された)状態へと移動するのを支援することができる。拡張可能な部材116が半径方向に拡張した(かつ軸方向に短縮された)状態にあるとき、弾性部材122は静止状態になることができる。
【0133】
ある特定の実施例では、弾性部材122は、熱可塑性材料(例えば、TPU等)などの高分子材料を含むことができる。
【0134】
ある特定の実施例では、弾性部材122は、拡張可能な部材116の近位端部分116pから拡張可能な部材116の遠位端部分116dへと延在することができる。例えば、弾性部材122の近位端122pは、拡張可能な部材116の近位端部分116pへと取り付けることができ、弾性部材122の遠位端122dは、拡張可能な部材116の遠位端部分116dへと取り付けることができる。ある特定の実施例では、弾性部材122は、拡張可能な部材116の中央長軸方向軸126に平行に延在する弾性バンドのストリップとすることができる。
【0135】
図1A図1Bおよび図3A図3Bに図示する実施例と同様に、拡張可能な部材116の遠位端部分116dは、コイル102のセグメントへと固定的に取り付けることができ、拡張可能な部材116の近位端部分116pは、コイル102に対して軸方向に移動可能とすることができる。別の方法として、拡張可能な部材116の近位端部分116pは、コイル102のセグメントへと固定的に取り付けることができ、拡張可能な部材116の遠位端部分116dは、コイル102に対して軸方向に移動可能とすることができる。
【0136】
ある特定の実施例では、弾性部材122は、拡張可能な部材116へとステッチすることができる。例えば、弾性部材122は、拡張可能な部材116の軸方向長さに沿って延在する連続的な縫合糸124を介して拡張可能な部材116へと取り付けることができる。ある特定の実施例では、縫合糸124の長さは、その軸方向に伸びた状態で弾性部材122の長さ以上とすることができ、これにより弾性部材122がその静止状態にあるときに縫合糸124はたるみを有し、それ故に拡張可能な部材116が半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態へと移動することを妨げないことになる。
【0137】
一実施例では、図4A図4Bに図示するように、弾性部材122は、スパイラル経路でルーティングされた縫合糸124を介して拡張可能な部材116に接続することができる。
【0138】
本明細書に記述されるように、弾性部材122は、数多くの異なるやり方で拡張可能な部材116へと取り付けることができ、また拡張可能な部材116に対する弾性部材122の位置も変化することができることが理解されるべきである。例えば、ある特定のケースでは、弾性部材122は、拡張可能な部材116の外面に沿って延在することができる。1つの具体的な実施例では、弾性部材122は、拡張部材116を包囲するシースを形成することができる。ある特定のケースでは、弾性部材122は、拡張可能な部材116の内側管腔を通して延在することができる。1つの具体的な実施例では、弾性部材122は、拡張部材116の内面に沿って延在することができる。ある特定のケースでは、弾性部材122は、拡張可能な部材116に出たり入ったりして織ることができる(例えば、図4Bに図示するスパイラル縫合糸124は、弾性部材122で置き換えることができる)。例えば、弾性部材122は、弾性バンドの長さに沿ってステッチングすることなく(すなわち、116pと116dとの間のステッチングを必要としない)、拡張可能な部材116に出たり入ったりして織られ近位端部分116pおよび遠位端部分116dの両方に取り付けられる、弾性バンド(例えば、TPU)のストリップとなることができる。
【0139】
ガード部材104が弾性部材122を有しない場合、半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態から半径方向に拡張した(かつ軸方向に短縮された)状態へと移動するための拡張可能な部材116の固有付勢力は制限される場合がある。それ故に、ドッキングデバイス100を展開した後、ガード部材104(弾性部材122を有しない)は、コイル102の上行部分110bの上へと偶発的に延在する場合がある(例えば、図18Bを参照のこと)。以下に記述されるように、こうした状況では、近位端105が上行部分110bに対して遠位(例えば、近位設置マーカー121pに対して遠位)に位置するまで、ガード部材104の近位端105を再位置付けするために手技が必要とされる場合がある。
【0140】
弾性部材122を拡張可能な部材116へと連結することによって、本明細書に記述されるように、弾性部材122の弾性力は、拡張可能な部材116が半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態から半径方向に拡張した(かつ軸方向に短縮された)状態へと移動するのを支援することができる。それ故に、ドッキングデバイス100を展開した後、ガード部材104の近位端105は、上行部分110bに対して遠位の位置へと、より簡単に後退することができる(例えば、拡張可能な部材116および弾性部材122の両方によって生成されるより大きい力の下で)。結果として、上記の再位置付け手技を回避することができる。
【0141】
ある特定の実施例では、図4C図4Dに図示するように、弾性部材は、拡張可能な部材116へと連結されたコイルばね132(例えば、圧縮ばね)として構成することができる。ある特定の実施例では、コイルばね132は、ニチノール等の形状記憶材料を含むことができる。
【0142】
コイルばね132は、拡張可能な部材116と一緒に、伸びることができ、および反跳することができる。例えば、コイルばね132は、拡張可能な部材116が半径方向に圧縮された状態にあるとき(例えば、図4Dを参照のこと)、第1の長さへと軸方向に伸びることができ、拡張可能な部材116が半径方向に拡張した状態にあるとき(例えば、図4Cを参照のこと)、第2の長さへと戻る。第2の長さは、第1の長さより短く、コイルばね132は、第2の長さに向かって付勢される。それ故に、弾性部材122と同様に、コイルばね132は、拡張可能な部材116が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するのを支援することができる。
【0143】
示すように、ドッキングデバイスのコイル102は、コイルばね132を通して延在することができる。一部の実施例では、コイルばね132の近位端132pは、拡張可能な部材116の近位端部分116pへと接続することができ、コイルばね132の遠位端132dは、拡張可能な部材116の遠位端部分116dへと接続することができる。ある特定の実施例では、コイルばね132の近位端132pは、コイルばね132の軸方向の伸びを容易にするように、全回転未満(例えば、半回転、四分の一回転等)として構成することができる。ある特定の実施例では、コイルばね132の近位端132pは、送達プロセス中に送達シース(例えば、204)および/またはドックスリーブ(例えば、222)内に適合するように、全回転または全回転より多い(例えば、1.5回転)として、および低減された外径(コイルばね132の本体部分に対して)を有して構成することができる。ある特定の実施例では、コイルばね132の近位端132pおよび/または遠位端132dは、拡張可能な部材116の近位端部分116pおよび/または遠位端部分116dにおいてメッシュ状のワイヤに接続されたそれぞれのフックを有することができる。
【0144】
ある特定の実施例では、図4C図4Dに図示するように、コイルばね132は、拡張可能な部材116の管腔内に配置することができる。他の実施例では、コイルばね132は、拡張可能な部材116の外面の外側に配置することができる。
【0145】
コイルばね132のピッチは、拡張可能な部材116の編組ワイヤメッシュのピッチより大きくすることができる。ある特定の実施例では、コイルばね132のピッチは、3mm~9mm、または5mm~7mmの範囲(両端を含む)とすることができる。1つの特定の実施例では、コイルばね132のピッチは、約6mmとすることができる。コイルばね132を形成するワイヤは、拡張可能な部材116の編組ワイヤメッシュを形成するワイヤより大きい直径を有することができる。ある特定の実施例では、コイルばね132を形成するワイヤは、0.15mm~0.22mmの範囲(両端を含む)の直径を有することができる。
【0146】
コイルばね132は、拡張可能な部材116を、拡張可能な部材116単独では(例えば、コイルばね132がない場合)達成することができないであろう程度まで半径方向に拡張するのを支援するように構成することができる。例えば、コイルばね132を有しないで、拡張可能な部材116は、(その固有の付勢力の下で)第1の半径方向に拡張した状態へと自己拡張することができる場合がある。コイルばね132を用いて、拡張可能な部材116は、第2のより大きく半径方向に拡張した状態(例えば、拡張可能な部材116およびコイルばね132の両方によって生成される力の結果として)に拡張することができる場合がある。第1の半径方向に拡張した状態にある拡張可能な部材116の直径は、半径方向に圧縮された状態にある拡張可能な部材116より大きく、かつ第2の半径方向に拡張した状態にある拡張可能な部材116より小さい。
【0147】
弾性部材122と同様に、コイルばね132は、上述のように、かつ下記により詳細に記述されるように、ドッキングデバイス100を当初展開した後に、ガード部材104の近位端105が上行部分110bに対してより遠位の位置へと移動するのを支援することができ、それ故に、少なくとも一部の事例では、ガード部材104の近位端をドックスリーブと再位置付けする必要を低減または除去することができる。
【0148】
その結果、弾性部材122および/またはコイルばね132は、ドッキングデバイスの当初の展開後に、より軸方向にコンパクトな構成(すなわち、弾性部材またはコイルばねを有しないでガード部材より大きい直径を有する)へとガード部材104を予め束ねることができる。再位置付け手技を低減すること以外に、こうした予め束ねることはまた、弁周囲漏出を低減するように、弁の展開中および/または弁の展開後のガード部材104の比較的大きい直径を維持するのにも役立つ場合がある。
【0149】
例えば、人工弁(例えば、10)がドッキングデバイス100の中央領域(例えば、108)内で半径方向に拡張されるとき、ドッキングデバイスのコイル102は、上述のように、第1の半径方向に拡張した構成から第2の半径方向に拡張した構成へと移動することができる。こうしたさらなる半径方向の拡張は、ドッキングデバイス100の機能性ターンをわずかにほどかせることができる。結果として、ガード部材104の遠位端は、より遠位の位置へとわずかに移動することができ、それ故にガード部材104を軸方向に伸ばし、かつその直径を減少させる。加えて、人工弁100を半径方向に拡張することによって、ガード部材102を生来の弁輪に対して押すことができ、それ故にさらにガード部材104の軸方向の伸びおよび直径の低減を引き起こす。ガード部材を予め束ねることは、こうした効果を補償することができ、例えば、人工弁の半径方向の拡張がガード部材104の軸方向の伸びを引き起こす場合、ガード部材104は依然として、人工弁がドッキングデバイス内に展開された後の弁周囲漏出を低減するのに有効な、望ましくは大きい直径を達成することができる。
例示的なテクスチャライズされた織られたPVLガード
【0150】
図5A図5Bは、別の実施例による、人工弁(例えば、10)を受容するように構成されたドッキングデバイス300を示す。ドッキングデバイス300は、コイル102と同様に、実質的に真っ直ぐな、すなわち送達構成から、らせん状の、すなわち展開した構成へと移動することができるコイル302を含む。ドッキングデバイス300はまた、図6A図6Cおよび図7A図7Cでさらに図示する、コイル302に取り付けられたテクスチャライズされた、織られたPVLガード(またはガード部材)304も含む。
【0151】
図6Cに図示するように、ガード部材304は、拡張可能な部材306と、拡張可能な部材306へと連結された弾性部材308とを含む。図1A図1Bおよび図3A図3Bに記述される拡張可能な部材116と同様に、拡張可能な部材306の遠位端部分306dは、コイル302のセグメントへと固定的に取り付けることができ、拡張可能な部材306の近位端部分306pは、コイル302に対して軸方向に移動可能とすることができる。別の方法として、拡張可能な部材306の近位端部分306pは、コイル302のセグメントへと固定的に取り付けることができ、拡張可能な部材306の遠位端部分306dは、コイル302に対して軸方向に移動可能とすることができる。
【0152】
同様に、ガード部材304(および拡張可能な部材306)は、半径方向に圧縮された(かつ軸方向に伸長された)状態(例えば、図6Aを参照のこと)から半径方向に拡張した(かつ軸方向に短縮された)状態(例えば、図6Bを参照のこと)へと移動することができる。例えば、ガード部材304は、送達シース(例えば、204)および/またはドックスリーブ(例えば、222)内にドッキングデバイス300を保持することによって、半径方向に拡張された(かつ軸方向に短縮された)状態で制約することができる。以下でさらに記述されるように、ドッキングデバイス300が送達シースおよびドックスリーブから取り外された後、ガード部材304は、拡張可能な部材306の付勢力および/または弾性部材308の付勢力下で半径方向に拡張した(かつ軸方向に短縮された)状態へと戻すことができる。
【0153】
示すように、半径方向に拡張した状態にある拡張可能な部材306は、複数の拡大した部分310(「拡大可能な部分」または「浮き」とも呼ばれる)と、複数の拡大可能な部分310を接続する1つ以上の締め付けられた部分312とを含むことができる。
【0154】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材306は、近位端部分306pに位置する近位の締め付けられた部分312pと、遠位端部分306dに位置する遠位の締め付けられた部分312dとを有することができる(例えば、図7Bを参照のこと)。言い換えれば、312pは、最近位の拡大可能な部分に接続され、かつ最近位の拡大可能な部分に対して近位に位置付けられ、312dは、最遠位の拡大可能な部分に接続され、かつ最遠位の拡大可能な部分に対して遠位に位置付けられる。
【0155】
本明細書に記述されるように、拡張可能な部材306は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のより糸などの織られた材料を含むことができる。ポリイミド、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ナイロン等のその他のタイプのより糸も、テクスチャライズすることができ、および図示する拡張可能な部材306の形態または形状へと織ることができる。本明細書に記述されるように、テクスチャ加工された(またはテクスチャライズされた)より糸とは、その滑らかな真っ直ぐな繊維が捲縮、カール、ループ、および/またはコイルの形成によってそれらの密接に充填された平行な位置から変位された、連続的なフィラメントより糸を指す。平坦な(すなわち、テクスチャライズされていない)より糸と比較して、テクスチャライズされたより糸は体積および/または伸縮能力が増加している。
【0156】
ある特定の実施例では、締め付けられた部分312および拡大可能な部分310は、同じ材料(例えば、PET)で作製することができる。1つの具体的な実施例では、拡張可能な部材306を織るために、テクスチャライズされた68デニールの36フィラメントのより糸を使用する。別の具体的な実施例では、拡張可能な部材306は、テクスチャライズされた68デニールの36フィラメントのより糸と、平坦な40デニールの24フィラメントのより糸との両方を使用して織ることができる。他の実施例では、異なるデニール数および/またはフィラメント数を有するより糸も使用することができる。例えば、拡張可能な部材306を織るために使用されるより糸は、10デニール~100デニールの範囲の密度を有することができる。
【0157】
本明細書に記述されるように、締め付けられた部分312は、拡大可能な部分310の第2の織り密度よりも大きい第1の織り密度を有することができる。ある特定の実施例では、拡張可能な部材306の織り密度は、20~100ピック毎インチ(PPI)、または20~80PPIの範囲とすることができる。ある特定の実施例では、ピック(または横糸、充填、挿入)の数は、織られた拡張可能な部材306全体を通して一定または実質的に一定のままとすることができる。締め付けられた部分312および拡大可能な部分310の異なる織り密度は、対応する構造を作り出すために必要な単位長さ当たり異なる数のエンドを使用することによって達成することができる。ある特定の実施例では、締め付けられた部分312は、平織または絡み織りを使用して織ることができる。
【0158】
テクスチャ加工されたより糸を含む拡大可能な部分310は、(締め付けられた部分312と比較して)増加した体積を作り出すためのヒートシートとすることができる。ある特定の実施例では、拡大可能な部分310は、その中に間隙を作り出さないように、十分に高密度となるように構成することができる。これは、例えば、より太いより糸を使用し、かつ上記のようにより糸のPPIを増加することによって達成することができ、これはより糸が分離することを防止することができる。
【0159】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材306内の拡大可能な部分310の数は、2~20、または6~12、または8~10の範囲(両端を含む)とすることができる。ある特定の実施例では、拡張可能な部材306内の締め付けられた部分312(312pおよび312dを含む)の数は、拡大可能な部分310の数より1つ多くすることができる。他の実施例では、拡張可能な部材306内の締め付けられた部分312(例えば、312pおよび312dのうちの1つ、またはその両方を除外する)の数は、拡大可能な部分310の数と同じに、または拡大可能な部分310の数より1つ少なくすることができる。
【0160】
本明細書に記述されるように、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にあるとき、締め付けられた部分312はコイル302に巻き付くことができ拡大可能な部分310はコイル302から半径方向に拡張することができる。加えて、締め付けられた部分312は、コイル302の外側を軸方向に摺動するように構成することができる(存在する場合、312dまたは312pがコイル302へと固定的に取り付けられることを除いて)。それ故に、締め付けられた部分312は、コイル内にいかなる人工弁も半径方向に拡張されていないとき、拡張可能な部材306がコイル302を中心として概して対称であるように、拡張可能な部材306を半径方向にアンカリングすることができる。その一方で、摺動可能な締め付けられた部分312は、コイル302の外側での拡張可能な部材306の軸方向の移動(例えば、伸長または短縮)を可能にする。
【0161】
本明細書に記述されるように、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にあるとき、拡大可能な部分310は、締め付けられた部分312より大きい半径方向プロファイルを有する。図示する実施例では、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にあるとき、拡大可能な部分310は、同じまたは実質的に同様のサイズを有する。他の実施例では、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にあるとき、拡大可能な部分310は、異なるサイズを有することができる。
【0162】
本明細書に記述されるように、締め付けられた部分312は、拡張可能な部材306が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するとき、一定のまたは実質的に一定の半径方向プロファイルを維持することができる。それ故に、拡張可能な部材306が半径方向に圧縮された状態(例えば、図6Aを参照のこと)から半径方向に拡張した状態(例えば、図6Bを参照のこと)へと移動するとき、拡大可能な部分310は、半径方向に拡張し、かつ軸方向に短縮することができ、一方で締め付けられた部分312は、半径方向寸法または軸方向寸法のいずれかに顕著な変化を有することなく、コイル302に巻き付いたままであることができる。
【0163】
一例として、拡大可能な部分310の半径方向直径は、d1からd2へと(すなわち、d2>d1)増加することができ、一方で締め付けられた部分312の半径方向直径は、拡張可能な部材306が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するとき、d3でほぼ一定のままとすることができ、ここでd2>d3である。ある特定の実施例では、d1はd3とほぼ同じである。ある特定の実施例では、d1はd3より大きくすることができる。
【0164】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にあるとき、隣接する拡大可能な部分310は、締め付けられた部分312を遮蔽するように、相互に接触することができる。例えば、図6Cに図示するように、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にあるとき、2つの隣接する拡大した部分310の少なくとも部分は、2つの隣接する拡大した部分310を接続する締め付けられた部分312の半径方向外向きの場所Pにおいて直接的な接触を形成することができる。
【0165】
図7Aに図示するように、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にあり、かつ人工弁10がコイル302内で半径方向に拡張するとき、内側部分306aがコイル302に接触するように、拡大可能な部分310の内側部分310aを、人工弁10によって半径方向に圧縮することができる。その一方で、拡大可能な部分310の外側部分310bは、コイル302に対して半径方向外向きに延在することができ、生来の弁において展開されたときに弁周囲漏出を低減するためのシールを作り出すように、生来の壁に対抗して押すことができる。内側部分310aから外側部分310bの最も外側の縁まで測定される半径方向距離(T)は、(d2+d0)/2であり、ここでd0はコイル302の直径を表す。締め付けられた部分312における織られたガード部材304の厚さが無視できる場合、d0はd3とおおよそ同じである。d2>>d0であるとき、Tはd2のおおよそ半分、すなわちT≒d2/2である。
【0166】
ある特定の実施例では、d1は、1mm~4mm、または2mm~3mmの範囲とすることができる。1つの具体的な実施例では、d1は、2.0mm~2.6mmである。
【0167】
ある特定の実施例では、d2は、4mm~10mm、または7mm~9mmである。1つの具体的な実施例では、d2は、7.5mm~8mmである。
【0168】
ある特定の実施例では、d3は、0.3mm~3mm、または0.5mm~2.6mmである。1つの具体的な実施例では、d3は、1.5mm~2.4mmである。
【0169】
半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態への拡張可能な部材306の拡張は、d2/d1として定義される拡張比によって特徴付けることができる。ある特定の実施例では、拡張比は、1.5~10、または2~6の範囲とすることができる。1つの具体的な実施例では、拡張比は3~4である。
【0170】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にある場合、各拡大可能な部分310は、6mm~16mm、または8mm~14mmの軸方向長さ(a1)を有することができる。1つの具体的な実施例では、a1は、10mm~12mmである。加えて、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にある場合、312pと312dとの間に位置する各締め付けられた部分312は、0.1mm~2mm、または0.3mm~1.5mmの軸方向長さ(a2)を有することができる。1つの具体的な実施例では、a2は、0.5mm~1.0mmである。図7Bに図示する実施例では、312pおよび312dの軸方向長さは、a2より大きい。他の実施例では、312pおよび312dの軸方向長さは、a2と同じとすることができ、またはさらにはa2より小さくすることができる。
【0171】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にあるとき、拡張可能な部材306は、60mm~120mm、または70mm~100mmの範囲の軸方向長さ(L1)(例えば、近位端部分306pから遠位端部分306dまで測定される)を有することができる。1つの具体的な実施例では、L1は、75mm~85mmである。
【0172】
ある特定の実施例では、拡張可能な部材306が半径方向に圧縮された状態にあるとき、拡張可能な部材306は、80mm~200mm、または100mm~160mmの範囲の軸方向長さ(L2)を有することができる。1つの具体的な実施例では、L2は、120mm~140mmである。
【0173】
半径方向に拡張した状態から半径方向に圧縮された状態への拡張可能な部材306の伸長は、L2/L1として定義される伸長比によって特徴付けることができる。ある特定の実施例では、伸長比は、1.1~1.6、または1.2~1.5の範囲とすることができる。1つの具体的な実施例では、伸長比は1.3~1.4である。
【0174】
本明細書に記述されるように、拡張可能な部材306は、半径方向に拡張した状態へと付勢することができる(すなわち、拡大可能な部分310は、より大きい直径d2へと付勢される)。これは、例えば、拡大可能な部分310を形状設定することによって(例えば、それに熱を加えることによって)達成することができる。加えて、弾性部材308は、拡張可能な部材306が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するのを支援するように構成することができる。
【0175】
弾性部材308は、弾性部材122と同様とすることができる。例えば、弾性部材308は、熱可塑性材料(例えば、TPU)を含むことができ、軸方向に伸びた状態と静止状態との間で移動することができる。拡張可能な部材306が半径方向に圧縮された状態にあるとき、弾性部材308は軸方向に伸びた状態になることができる。弾性部材308は、静止状態へと付勢することができる。それ故に、弾性部材308がその静止状態へと戻る傾向は、拡張可能な部材306へと付勢力を加えることができ、拡張可能な部材306が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するのを、支援する。拡張可能な部材306が半径方向に拡張した状態にあるとき、弾性部材308は静止状態になることができる。
【0176】
本明細書に記述されるように、ドッキングデバイス300を展開した後、拡張可能な部材306の近位端部分306pは、上行部分110bに対して遠位の位置へと後退することができる(例えば、拡張可能な部材306および弾性部材308の両方によって生成される組み合わされた付勢力の下で)。
【0177】
ある特定の実施例では、弾性部材308は、拡張可能な部材306の軸方向長さに沿って延在することができる。例えば、図7Bに示すように、弾性部材308は、拡張可能な部材306の中央長軸方向軸314へと平行に延在する弾性バンドのストリップを含むことができる。ある特定の実施例では、弾性部材308は、拡張可能な部材306によって覆われたコイル302のセグメントを包囲するシースを形成することができる。
【0178】
図7Bに図示するように、ある特定の実施例では、弾性部材308の近位端308pは、拡張可能な部材306の近位端部分306p(例えば、312p)へと取り付けることができ、弾性部材308の遠位端308dは、拡張可能な部材306の遠位端部分306d(例えば、312d)へと取り付けることができる。
【0179】
ある特定の実施例では、弾性部材308を、拡張可能な部材306の軸方向長さに沿って延在する連続的な縫合糸316を介して拡張可能な部材306へと取り付けることができる。例えば、図7Bに図示するように、縫合糸316は、それぞれ近位端部分306pおよび遠位端部分306dに位置する312pおよび312dを含む、各締め付けられた部分312へと弾性部材308を接続することができる。こうした状況では、縫合糸316の長さは、その軸方向に伸びた状態で弾性部材308の長さ以上とすることができ、これにより弾性部材308がその静止状態にあるときに縫合糸316はたるみを有する。
【0180】
他の実施例では、弾性部材308は、312pおよび312dにおいてのみ縫合糸316を介して拡張可能な部材306へと取り付けることができ、一方で312pと312dとの間に位置する締め付けられた部分312に対してはいかなる縫合糸接続も行われない。
【0181】
さらに他の実施例では、弾性部材308は、312pおよび312dの両方だけでなく、312pと312dとの間に位置する選択された締め付けられた部分312においても、縫合糸316を介して拡張可能な部材306へと取り付けることができる(例えば、縫合糸316によって1つおきの締め付けられた部分を接続することができる)。
【0182】
ある特定の実施例では、縫合糸316は、拡張可能な部材306の軸方向長さに沿って延在する連続的なものではない場合がある。例えば、不連続的な縫合糸316を使用して、弾性部材308をそれぞれの締め付けられた部分312へと接続することができる。
例示的な送達装置
【0183】
図8は、一実施例による、上述のドッキングデバイス100または他のドッキングデバイスなどのドッキングデバイスを、患者内の標的移植部位へと移植するように構成された送達装置200を示す。それ故に、送達装置200はまた、「ドック送達カテーテル」または「ドック送達システム」とも呼ぶことができる。
【0184】
示すように、送達装置200は、ハンドルアセンブリ202、およびハンドルアセンブリ202から遠位に延在する送達シース204(「送達シャフト」または「外側シャフト」または「外側シース」とも呼ばれる)を含むことができる。ハンドルアセンブリ202は、送達装置200の1つ以上の構成要素を制御しおよび/または作動させるための1つ以上のノブ、ボタン、ホイール、および/またはその他の手段を含む、ハンドル206を含むことができる。例えば、一部の実施例では、図8に示すように、ハンドル206は、以下に記述される送達シース204および/またはスリーブシャフト220などの送達装置200の屈曲を操縦または制御するように構成することができる、ノブ208および210を含むことができる。
【0185】
ある特定の実施例では、送達装置200はまた、プッシャーシャフト212(例えば、図9Bを参照のこと)およびスリーブシャフト220(例えば、図9Aを参照のこと)も含むことができ、その両方が、送達シース204の内側管腔を通して延在することができ、ハンドルアセンブリ202の中へと延在するそれぞれの近位端部分を有することができる。
【0186】
以下に記述されるように、スリーブシャフト220の遠位端部分(「遠位セクション」とも呼ばれる)は、ドッキングデバイス100を覆う(例えば、包囲する)ように構成された平滑なドックスリーブ222を含むことができる。例えば、ドッキングデバイス100(ガード部材104を含む)は、ドックスリーブ222の内側に保持することができ、ドックスリーブ222は、患者の血管系を通してナビゲートするとき、送達シース204の遠位端部分205によってさらに保持される。上記のように、送達シース204内に保持されるドッキングデバイス100は、送達構成にあるままとすることができる。同様に、ドックスリーブ222内に保持されるガード部材104もまた、送達構成にあるままとすることができる。
【0187】
加えて、送達シース204の遠位端部分205は、操縦可能になるように構成することができる。一実施例では、ハンドル206上のノブ(例えば、208または210)を回転することによって、送達シース204の遠位端部分205を所望の角度の向きにすることができるように、遠位端部分205の湾曲を調整することができる。例えば、図14に示すように、および以下で記述するように、ドッキングデバイス100を生来の僧帽弁の場所に移植するために、ドックスリーブ222およびその中に保持されるドッキングデバイス100が、後内側交連に隣接する場所において生来の僧帽弁輪を通して延在することができるように、送達シース204の遠位端部分205を左心房内で操縦することができる。
【0188】
ある特定の実施例では、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220は、少なくとも送達シース204内で相互に同軸とすることができる。加えて、送達シース204は、スリーブシャフト220およびプッシャーシャフト212に対して軸方向に移動可能になるように構成することができる。以下でさらに記述されるように、プッシャーシャフト212の遠位端は、スリーブシャフト220の管腔の中へと挿入することができ、ドックスリーブ222の内側に保持されるドッキングデバイス100の近位端(例えば、102d)に対抗して押すことができる。
【0189】
標的移植部位に到達した後、ドッキングデバイス100は、以下でさらに記述されるように、ハブアセンブリ218を使用してプッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220を操作することによって、送達シース204から展開することができる。例えば、送達シース204を適所に保持しながらプッシャーシャフト212を遠位方向に押すこと、またはプッシャーシャフト212を適所に保持しながら送達シース204を近位方向に後退すること、または送達シース204を近位方向に後退しながら同時にプッシャーシャフト212を遠位方向に押すことによって、ドッキングデバイス100を、送達シース204の遠位端204dの外へと押すことができ、それ故に、送達構成から展開した構成へと変化させることができる。ある特定の実施例では、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220は、相互に独立して作動することができる。
【0190】
ある特定の実施例では、送達シース204からドッキングデバイス100を展開するとき、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220は、ドッキングデバイス100と一緒に軸方向に移動するように構成することができる。例えば、プッシャーシャフト212の作動であって、ドッキングデバイス100に対抗して押し、それを送達シース204の外へと移動するための作動はまた、スリーブシャフト220をプッシャーシャフト212およびドッキングデバイス100とともに移動させることもできる。そのため、ドッキングデバイス100は、ドッキングデバイス100をプッシャーシャフト212を介して標的移植部位における位置へと押す手技の間、スリーブシャフト220のドックスリーブ222によって覆われたままとすることができる。それ故に、ドッキングデバイス100が標的移植部位において当初展開されたとき、平滑なドックスリーブ222は、覆われたドッキングデバイス100が生来の解剖学的構造を取り囲むことを容易にすることができる。
【0191】
送達中に、ドッキングデバイス100は、プッシャーシャフト212を通して延在する解放縫合糸214(または、ドッキングデバイス100の周囲に結ばれ、かつ取り外しのために切断されるように構成することができるストリング、より糸、またはその他の材料を含む他の回収ライン)を介して、送達装置200へと連結することができる。1つの具体的な実施例では、解放縫合糸214は、送達装置200を通して、例えば、プッシャーシャフト212の内側管腔を通して、送達装置200の縫合糸係止アセンブリ216へと延在することができる。
【0192】
ハンドルアセンブリ202は、縫合糸係止アセンブリ216およびスリーブハンドル224が取り付けられた、ハブアセンブリ218をさらに含むことができる。ハブアセンブリ218は、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220を独立して制御するように構成することができ、一方でスリーブハンドル224は、プッシャーシャフト212に対するスリーブシャフト220の軸方向位置を制御することができる。このようにして、ハンドルアセンブリ202の様々な構成要素の動作は、送達シース204内に配設された構成要素の動作を作動および制御することができる。一部の実施例では、ハブアセンブリ218は、コネクタ226を介してハンドル206へと連結することができる。
【0193】
ハンドルアセンブリ202は、以下に記述されるように、送達装置200内に配設された1つ以上の管腔(例えば、送達装置200の同軸構成要素間に配設された環状管腔)へと、フラッシュ流体を供給するための1つ以上のフラッシングポート(例えば、3つのフラッシングポート232、236、238を図8に示す)をさらに含むことができる。
【0194】
標的移植部位へとドッキングデバイスを送達するように構成された送達装置/カテーテル/システム(ハンドルアセンブリの様々な実施例を含む)に関するさらなる詳細は、米国特許公開第2018/0318079号および同第2018/0263764号に見出すことができ、それらはすべて参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
例示的なスリーブシャフト
【0195】
図9Aは、一実施例によるスリーブシャフト220を示す。一部の実施例では、スリーブシャフト220は、展開中にドッキングデバイス(例えば、100)を覆うように構成された、平滑な遠位セクション222(本明細書では「ドックスリーブ」とも呼ばれる)と、遠位セクション222の位置を操作しまたは作動させるために使用される近位セクション228と、遠位セクション222と近位セクション228とを接続するミドルセクション230と、を有することができる。
【0196】
一部の実施例では、ドックスリーブ222は、可撓性であり、スリーブシャフト220の残りの部分より低いデュロメータ値を有し、かつ親水性被覆を有するように構成することができ、親水性被覆は、平滑な表面として作用して生来の解剖学的構造の取り囲む簡単さを改善し、かつ生来の組織への損傷のリスクを低減することができる。一部の実施例では、ドックスリーブ222は、ドッキングデバイス100を包囲するのに十分な内径、および送達シース204内に保持されるのに、かつ送達シース204内で軸方向に移動可能になるのに十分に小さい外径を有する管状構造を形成することができる。一部の実施例では、ドックスリーブ222の外径は、ミドルセクション230の外径よりわずかに大きくすることができる。一部の実施例では、ドックスリーブ222の長さは、ドッキングデバイス100がドックスリーブ222の内側に保持されているとき、ドッキングデバイス100の全長を覆うのに十分であるか、またはそれより長い。
【0197】
ドックスリーブ222は、本体部分221および本体部分221の遠位端に位置する先端部分223を有することができる。一部の実施例では、先端部分223は、本体部分221の遠位端から遠位に約1~4mm(例えば、約2mm)延在することができる。一部の実施例では、先端部分223は、半径方向内向きにテーパー状にすることができ、これにより本体部分221より小さい直径を有する。一部の実施例では、送達中に、先端部分223は、ドッキングデバイスの遠位端(例えば、102d)を過ぎて延在することができ、それによって、ドッキングデバイスについての移植部位の生来のアーキテクチャの周囲をドックスリーブ222がナビゲートされる際に、曲がる、押しつぶされる、変形する、またはこれに類することができる、より非外傷性の先端をドックスリーブ222に提供する。
【0198】
ドックスリーブの本体部分および先端部分の様々な特徴を含む、ドックスリーブの追加的な実施例が、米国仮出願第63/138,910号にさらに記述され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
一部の実施例では、スリーブシャフト220のミドルセクション230は、ドックスリーブ222(ドッキングデバイス100とともに)を送達シース204の遠位端204dの外へと押し、かつ/またはドッキングデバイス100が標的移植部位において展開された後、ドックスリーブ222を後退させるように十分なカラム強度を提供するように構成することができる。ミドルセクション230はまた、送達装置200の挿入点から心臓への患者の解剖学的構造をナビゲートすることを容易にするように、十分な可撓性を有するように構成することができる。ある特定の実施例では、ドックスリーブ222およびミドルセクション230は、単一のユニットの長さに沿って変化する特性(例えば、寸法、ポリマー、編組等)を有する単一の連続的なユニットとして形成することができる。
【0200】
一部の実施例では、近位セクション228の近位部分は、ハンドルアセンブリ202内に配設することができる。スリーブシャフト220の近位セクション228は、ドッキングデバイス100とともにミドルセクション230およびドックスリーブ222を押すこと、ならびにドッキングデバイス100を標的移植部位において展開した後、ドックスリーブ222を後退させることによって、ドックスリーブ222の位置を作動させるために、より剛直になるように、かつカラム強度を提供するように構成することができる。
【0201】
一部の実施例では、近位セクション228の近位部分は、完全な円ではない断面(スリーブシャフト220の中央長軸方向軸に対して垂直な平面における)を有する切断部分229を含むことができる(例えば、開放であり、閉鎖した管を形成していない)。端面225は、切断部分229と近位セクション228の残りの部分との間に形成することができる。以下でさらに説明するように、端面225は、スリーブシャフト220の中央長軸方向軸に対して垂直に構成することができ、プッシャーシャフト212の停止要素(例えば、プラグ254)と接触するように構成することができる。
【0202】
切断部分229は、ハンドルアセンブリ202のハブアセンブリ218の中へと延在することができる。以下に記述されるように、プッシャーシャフト212の近位延長部256は、切断部分229の内面に沿って延在することができる。切断部分229の切断(例えば、開放)プロファイルは、プッシャーシャフト212の近位延長部256が、切断部分229内に形成された空間227から外へ延在し、切断部分229に対してある角度で、ハブアセンブリ218の縫合糸係止アセンブリ216の中へと枝分かれすることを可能にすることができる(例えば、図8を参照のこと)。そのため、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220は、相互に平行に動作することができ、スリーブシャフト220およびプッシャーシャフト212が組み込まれた送達装置200の全体的な長さは、スリーブシャフト220を組み込んでいない送達システムと同様である、または最小限それより長いだけであるように維持することができる。
【0203】
スリーブシャフトの追加的な実施例は、PCT特許出願公開第WO/2020/247907号にさらに記述される。
例示的なプッシャーシャフト
【0204】
図9Bは、一実施例によるプッシャーシャフト212を示す。示すように、プッシャーシャフト212は、主管250と、主管250の近位端部分を包囲するシェル252と、主管250をシェル252へと接続するプラグ254と、主管250の近位端から延在する近位延長部256と、を含むことができる。
【0205】
主管250は、ドッキングデバイス(本明細書に記述されるドッキングデバイスのうちの1つなど)を前進および後退し、かつドッキングデバイスをプッシャーシャフト212へと固定する解放縫合糸(例えば、214)を収容するように構成することができる。主管250は、送達シース204の遠位端204dから送達装置200のハンドルアセンブリ202と延在することができる。例えば、ある特定のケースでは、主管250、シェル252、プラグ254、および近位延長部256の間のインターフェースを含むプッシャーシャフト212の近位端部分は、ハンドルアセンブリ202のハブアセンブリ218内またはそれに近接して配設することができる。それ故に、主管250は、送達装置200の大部分に沿って延在する細長い管とすることができる。
【0206】
主管250は、ドッキングデバイスの展開を作動するためのカラム強度を提供する比較的剛直な管とすることができる。一部の実施例では、主管250は、ハイポチューブとすることができる。一部の実施例では、主管250は、ステンレス鋼などの生体適合性金属を含むことができる。主管250は、ドッキングデバイスとインターフェースするように構成された遠位端250dと、近位延長部256が取り付けられている近位端250pと、を有することができる。一部の実施例では、主管250の遠位セクション258は、主管250の残りの部分よりも比較的より可撓性とすることができる(例えば、主管の外面への1つ以上の切り込み、かつ/またはデュロメータ材料を有することを介して)。それ故に、遠位セクション258は、患者の血管系を通して標的移植部位へとナビゲートされる際に、送達装置200の送達シース204とともに屈曲することができ、かつ/または曲げることができる。
【0207】
一部の実施例では、シェル252は、主管250を係止し、かつスリーブシャフト220の移動と干渉することなくプッシャーシャフト212上に止血シールを提供するように構成することができる。図9Bに示すように、シェル252の内径は、主管250の外径より大きくすることができ、それによって、主管250とシェル252との間に環状空洞260を形成することができる。そのため、スリーブシャフト220の近位セクション228は、以下でさらに記述されるように、環状空洞260内で摺動することができる。さらに、ハブアセンブリ218における近位延長部256の外部上にある管腔へと提供されるフラッシュ流体は、図11を参照しながらさらに以下で考察されるように、環状空洞260を通して流れ、かつシェル252の遠位端で出て(矢印262によって示すように)、送達装置のスリーブシャフト220と送達シース204との間の管腔に入ることができる。
【0208】
プラグ254は、シェル252の近位端252pにおいて、環状空洞260内に配設されるように構成することができる。一部の実施例では、プラグ254は、シェル252の近位端252pに位置する環状空洞260の一部分を「プラグする」かまたは充填するように構成することができ、一方で環状空洞260の残りの部分を開いたまま残して、その中にスリーブシャフト220の切断部分229を受容する。一部の実施例では、シェル252およびプラグ254は、主管250へと固定的に連結されて(例えば、溶接によって)、スリーブシャフト220の切断部分229が主管250とシェル252との間で摺動することを可能にすることができる。以下に記述されるように、プラグ254はまた、スリーブシャフト220のための停止部として作用することもできる。
【0209】
上記のように、近位延長部256は、主管250の近位端250pおよびシェル252から延長することができる。近位延長部256は、プッシャーシャフト212にある特定の可撓性を提供することができ、これによりプッシャーシャフト212は、スリーブシャフト220の内側(例えば、切断部分229)からスリーブシャフト220の外側へとルーティングされてもよく、それによって、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220が平行に作動されることを可能にし、送達装置の全体的な長さを低減する。ある特定の実施例では、近位延長部256は、可撓性ポリマーで作製することができる。
【0210】
プッシャーシャフトの追加的な実施例は、PCT特許出願第PCT/US20/36577号にさらに記述される。
例示的なスリーブシャフトおよびプッシャーシャフトアセンブリ
【0211】
図10A図10Bは、100などのドッキングデバイスの展開の前および後の、送達装置200の送達シース204内のプッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220の例示の配設を図示する。示すように、プッシャーシャフト212の主管250は、スリーブシャフト220の管腔を通して延在することができ、スリーブシャフト220は、送達シース204の管腔を通して延在することができる。プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220は、送達シース204の中央長軸方向軸211を共有することができる。
【0212】
図11は、送達および移植手技中にフラッシュ流体を受容するように構成され、ドッキングデバイス100、プッシャーシャフト212、スリーブシャフト220、および送達シース204の間に形成することができる、様々な管腔を示す。加えて、図12Aは、ドッキングデバイス100が、送達シース204から展開されている一方で、スリーブシャフト220のドックスリーブ222によって依然として覆われている、第1の構成を示す。第1の構成にあるドックスリーブ222はまた、「覆われた状態」にあるとも呼ばれる。ドックスリーブ222が覆われた状態にあるとき、ガード部材104(明瞭性の目的のために図示しない)は、送達構成にある(すなわち、ドックスリーブ222によって半径方向に圧縮され、かつドックスリーブ222内に保持された)ままとすることができる。図12Bは、スリーブシャフト220が送達シース204の中へと戻るように後退した後の、ドッキングデバイス100がドックスリーブ222によって覆われていない、第2の構成を示す。第2の構成にあるドックスリーブ222はまた、「覆われていない状態」にあるとも呼ばれる。ドックスリーブ222が覆われていない状態にあるとき、ガード部材104(明瞭性の目的のために図示しない)は半径方向に拡張することができ、展開した構成へと移動することができる。
【0213】
具体的には、図10Aは、一実施例による、ドッキングデバイス100の展開前または展開中の、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220アセンブリの第1の構成を図示する。示すように、ドックスリーブ222は、ドッキングデバイス100を覆うように構成することができる一方で、スリーブシャフト220の端面225は、プラグ254から離れて位置付けられる。加えて、プッシャーシャフト212の遠位端250dは、ドックスリーブ222の中へと延在することができ、ドッキングデバイス100の近位端102pと接触することができる。
【0214】
送達シース204からドッキングデバイス100を展開する間、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220は、ドッキングデバイス100とともに軸方向に一緒に移動するように構成することができる。例えば、プッシャーシャフト212の作動であって、ドッキングデバイス100に対抗して押し、それを送達シース204の外へと移動するための作動はまた、スリーブシャフト220をプッシャーシャフト212およびドッキングデバイス100とともに移動させることもできる。そのため、ドッキングデバイス100は、図12Aに図示するように、ドッキングデバイス100をプッシャーシャフト212を介して標的移植部位における位置へと押す手技の間、スリーブシャフト220のドックスリーブ222によって覆われたままとすることができる。
【0215】
加えて、図12Aに示すように、標的移植部位における覆われたドッキングデバイス100の送達および移植の間、スリーブシャフト220の先端部分223は、ドッキングデバイス100の遠位端102dに対して遠位に延在することができ、それによってドックスリーブ222に、より非外傷性の先端を提供する。
【0216】
一部の実施例では、ドッキングデバイス(例えば、100)の展開中にドックスリーブ222を視覚化する能力を高めるために、1つ以上の放射線不透過性マーカー231をドックスリーブ222に定置することができる。ある特定の実施例では、少なくとも1つの放射線不透過性マーカー231を、本体部分221と先端部分223との間の交点に定置することができる。ある特定の実施例では、少なくとも1つの放射線不透過性マーカー231を、先端部分223上に定置することができる。一部の実施例では、ドッキングデバイス100の遠位端102dは、ドックスリーブ222の放射線不透過性マーカー231に対して近位に、またはドックスリーブ222の放射線不透過性マーカー231に対してすぐ遠位に配設することができる。
【0217】
一部の実施例では、放射線不透過性マーカー231は、白金イリジウムなどの放射線不透過性材料を含むことができる。他の実施例では、放射線不透過性マーカー231に含まれる放射線不透過性材料は、硫酸バリウム(BaSO4)、次炭酸ビスマス((BiO)CO)、オキシ塩化ビスマス(BiOCl)、またはこれに類するものとすることができる。
【0218】
一部の実施例では、ドックスリーブ222の先端部分223は、先端部分223の最遠位の縁が蛍光透視下で見えるようにすることができるように、上述の放射線不透過性材料のうちのいずれか1つを多く含んだ高分子材料から作製することができる。
【0219】
図10Bは、一実施例による、標的移植部位において送達シース204からドッキングデバイス100を展開し、移植したドッキングデバイス100からドックスリーブ222を取り外した後の、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220アセンブリの第2の構成を図示する。示すように、標的移植部位においてドッキングデバイス100を移植した後、その所望の位置において、スリーブシャフト220は、プッシャーシャフト212の遠位端250dがドッキングデバイス100の近位端102pに対抗して押すように、プッシャーシャフト212を一定に保持しながら、ドッキングデバイス100から外れるように引かれ、送達シース204の中へと戻るように後退することができる。別の方法として、スリーブシャフト220を一定に保持しながら、プッシャーシャフト212を遠位方向に押すことによって、ドッキングデバイス100を露出することができる。一部の実施例では、図10Bに示すように、スリーブシャフト220は、端面225がプラグ254と接触するのに伴い、送達装置の中へのさらなる後退を停止することができる。
【0220】
図12Bは、ドッキングデバイス100から取り外されたスリーブシャフト220を示し、ドッキングデバイス100を、ドックスリーブ222によって覆われていないまま残す。示すように、スリーブシャフト220の先端部分223は、プッシャーシャフト212の遠位端に対して近位に(例えば、通り過ぎて後退して)配設することができ、プッシャーシャフト212は、解放縫合糸214を介してドッキングデバイス100の近位端102pに依然として接続することができる。以下でさらに説明するように、標的移植部位においてドッキングデバイス100を移植し、ドッキングデバイス100を覆うドックスリーブ222を取り外した後、ドッキングデバイス100は、例えば、送達装置200の縫合糸係止アセンブリ216を使用することによって、解放縫合糸214を切断することによって送達装置から接続を外すことができる。
【0221】
図11に示すように、第1のプッシャーシャフト管腔212iは、プッシャーシャフト212の内部の中に(例えば、主管250の内部の中に)形成することができる。プッシャーシャフト管腔212iは、ハンドルアセンブリ202の一部分に流体的に連結されてもよい第1の流体源からのフラッシュ流体を受容することができる。プッシャーシャフト管腔212iを通るフラッシュ流体流264は、プッシャーシャフト212の主管250の長さに沿って、プッシャーシャフト212の主管250の遠位端250dへと進むことができる。一部の実施例では、主管250の遠位端250dは、ドッキングデバイス100の近位端102pから離れるように離隔することができる。それ故に、フラッシュ流体流264の少なくとも一部分は、フラッシュ流体流268として、ドッキングデバイス100の外面とスリーブシャフト220のドックスリーブ222の内面との間に配設された第2のスリーブシャフト管腔220iの遠位部分の中へと流れることができる。さらに、一部の実施例では、フラッシュ流体流264の一部分はまた、フラッシュ流体流266として、プッシャーシャフト212の外面とドックスリーブ222に対して近位にあるスリーブシャフト220の内面との間に配設されたスリーブシャフト管腔220iの近位部分の中へと戻るようにも流れることができる。それ故に、同じ第1の流体源は、プッシャーシャフト管腔212iを介して、プッシャーシャフト管腔212iスリーブシャフト管腔220i(ドックスリーブ222の外側の遠位部分およびドックスリーブ222に対して近位にある近位部分の両方を含む)へと、フラッシュ流体を提供してもよい。
【0222】
図11はまた、送達シース204の内面とスリーブシャフト220の外面との間に配設された、第3の送達シース管腔204iも示す。送達シース管腔204iは、ハンドルアセンブリ202の一部分へと流体的に連結されてもよく、かつ送達シース管腔204iを通って送達シース204の遠位端204dに流れる(矢印262によって示されるように)フラッシュ流体流をもたらす場合がある、1つ以上の第2の流体源からフラッシュ流体を受容することができる。
【0223】
上述の管腔をフラッシングすることは、送達装置200からのドッキングデバイス100の展開中および標的移植部位におけるドッキングデバイス100の移植中に、ドッキングデバイス100および送達装置200の他の同心部品上およびその周囲の血栓形成を防止または低減するのに役立つことができる。一実施例では、図8に示すように、第1の流体源および/または第2の流体源は、上述の管腔へとフラッシュ流体を提供するために、送達装置200のハンドルアセンブリ202上に配設されかつ/またはハンドルアセンブリ202へと連結された、1つ以上のフラッシングポート(例えば、232、236、238)へと接続することができる。
【0224】
スリーブシャフトおよびプッシャーシャフトアセンブリの追加的な実施例は、PCT特許出願第PCT/US20/36577号にさらに記述される。
例示的な移植手技
【0225】
ドッキングデバイス(上述のドッキングデバイス100など)を送達し、かつ人工弁(上述の人工弁10など)をドッキングデバイス内に移植する例示の方法を、図13図26に例示する。この実施例では、標的移植部位は、生来の僧帽弁422にある。本明細書に記述されるのと同じ原理に従って、同じ方法またはその変形形態はまた、他の標的移植部位におけるドッキングデバイスおよび人工弁の移植にも使用することができる。
【0226】
図13は、前もって挿入したガイドワイヤ240の外側で、誘導カテーテル400を患者の心臓の中へと導入することを例示する。具体的には、誘導カテーテル400およびガイドワイヤ240は、心房間中隔406を通して(例えば、前もって穿刺された心房間中隔406内の穴403を介して)、右心房402から左心房404の中へと挿入される。患者の血管系を通したナビゲーションおよび経中隔挿入を容易にするために、テーパー状の遠位先端を有するノーズコーン242を、誘導カテーテル400の遠位端に定置することができる。誘導カテーテル400の遠位端が左心房404に入った後、ノーズコーン242およびガイドワイヤ240は、例えば、誘導カテーテル400の近位端へと接続されたハンドルを動作させることによって、誘導カテーテル400の中へと戻るように後退させることができる。誘導カテーテル400は、誘導カテーテル400の遠位端が左心房404内に留まるように、適所に留まる(すなわち、心房間中隔406を通して延在する)ことができる。
【0227】
図14は、誘導カテーテル400を通して送達装置(上述の送達装置200など)を導入することを例示する。具体的には、送達シース204は、送達シース204の遠位端部分205が、誘導カテーテル400の遠位端の外へ遠位に、かつ左心房404の中へと延在するまで、誘導カテーテル400の管腔を通して挿入することができる。
【0228】
上述のように、送達装置200は、スリーブシャフト220およびプッシャーシャフト212を有することができ、その両方は、送達シース204の管腔を通して延在することができる。図15図17に示すように、スリーブシャフト220の遠位端部分は、ドッキングデバイス100を包囲するドックスリーブ222を有することができる。本明細書に記述されるように、ドックスリーブ222は、送達シース204の遠位端部分205内に保持することができる。
【0229】
上述のように、送達シース204の遠位端部分205は、例えば、ハンドルアセンブリ202上に位置するノブを動作させることによって操縦可能とすることができる。ドックスリーブ222およびドッキングデバイス100も可撓性であるので、送達シース204の遠位端部分205の屈曲はまた、ドックスリーブ222およびその中に保持されるドッキングデバイス100も屈曲させることができる。図14に示すように、送達シース204の遠位端部分205(ドッキングデバイス100を保持するドックスリーブ222とともに)は、送達シース204の遠位端204dが、後内側交連420に隣接する場所において、かつ左心室414の中へと生来の僧帽弁輪408を通して延在することができるように、所望の角度方向に屈曲することができる。
【0230】
図15は、ドッキングデバイス100の、僧帽弁の場所における展開を例示する。示すように、コイルの先導ターン106および中央領域108を含むドッキングデバイス100の遠位部分は、送達シース204の遠位端204dの外へと展開することができ、左心室414の中へと延在することができる。ドッキングデバイス100の展開した遠位部分は、依然としてドックスリーブ222によって覆われていることに留意されたい。これは、例えば、プッシャーシャフト212およびスリーブシャフト220の両方を適所に保持しながら、送達シース204を近位方向に後退させることによって達成することができ、それ故に、ドッキングデバイス100の遠位部分を送達シース204の外へと遠位に延在させる一方、それはドックスリーブ222によって覆われたままである。送達シース204の後退は、送達シース204が安定化ターン110まで、かつ拡張可能な部材116に対して近位に移動するまで継続することができる。
【0231】
送達シース204の遠位端部分205によって拘束されていないため、ドッキングデバイス100の遠位部分は、送達構成から展開された(すなわち、らせん状の)構成へと移動することができる。具体的には、図15に示すように、ドッキングデバイス100のコイル(ドックスリーブ222によって覆われている)は、左心室414の中へと延在する先導ターン106だけでなく、生来の弁の生来の弁尖410および腱索412に巻き付く中央領域108内の複数の機能性ターンも形成することができる。
【0232】
ドックスリーブ222は平滑な表面を有するので、管状部材112(ドッキングデバイスのコイル102を包囲する)が生来の組織に直接的に接触しかつ生来の組織を捕捉する(または生来の組織に固着する)可能性を防止または低減することができ、かつ覆われたドッキングデバイス100が生来の解剖学的構造を取り囲むのを確実にするのに役立つことができる。加えて、ドックスリーブ222の軟らかい先端部分223(テーパー状の形状を有することができる)はまた、生来の組織の周囲を取り囲む、非外傷性を容易にすることができる。上記のように、フラッシュ流体(例えば、図11の264を参照のこと)は、ドッキングデバイス100の展開中に、ドッキングデバイス100および送達装置200の他の同心部品上および周囲の血栓形成を防止または低減するために、ドックスリーブ222を通りかつドッキングデバイス100の周囲を流れることができる。
【0233】
図16に示すように、ドッキングデバイス100の機能性ターンが、生来の弁尖410および腱索412に順調に巻き付いた後、ドックスリーブ222は、ドッキングデバイス100に対して近位方向に後退することができる。これは、例えば、図10Bを参照しながら上述のように、プッシャーシャフト212の遠位端がドッキングデバイス100の近位端に対抗して押すことができるように、プッシャーシャフト212を一定に保持しながらスリーブシャフト220を近位方向に引くことによって達成することができる。上記のように、ドックスリーブ222は、送達シース204の中へと戻るように後退させることができる。図17は、ドックスリーブ222によって覆われていない、生来の弁尖および腱索を取り囲むドッキングデバイス100を示す。
【0234】
図18Aは、心房側からドッキングデバイス100を安定化することを例示する。示すように、送達シース204は、コイルの安定化ターン110を含むドッキングデバイス100の心房側(すなわち、近位部分)を露出することができるように、誘導カテーテル400の中へと後退させることができる。安定化ターン110は、左心房内の少なくとも3つの接触点または左心房壁上の完全な接触など、ドッキングデバイス100と左心房壁との間に1つ以上の接触点または接触領域を提供するように構成することができる。安定化ターン110は、ドッキングデバイス100内に人工弁を展開する前に、ドッキングデバイス100が左心室の中へと落ちるのを防止するように、左心房の後部壁416および前部壁418の両方に向かって外側へ広がるかまたは付勢することができる。
【0235】
送達シース204およびドックスリーブ222の制約を有しないで、ガード部材104は、展開した構成へと移動することができる(拡張可能な部材116の半径方向の拡張に起因して)。示すように、ドッキングデバイス100のガード部材104は、左心房内の生来の弁輪に接触して、ドッキングデバイス100と生来の組織との間に、シールされかつ非外傷性のインターフェースを作成するように構成することができる。ガード部材の近位端部分104pは、生来の弁の前外側の交連419に隣接して(ただし、到達しない)位置付けられるように構成することができる。展開した構成では、ガード部材の近位端105は、安定化ターンの心房部分110aまたは上行部分110b内であるが、上行部分110bと安定化部分110cとの間の境界107に対して遠位に位置付けられるように構成することができる(例えば、図1Aを参照のこと)。例えば、ドッキングデバイス100の当初の展開の後で、かつドッキングデバイス100内で人工弁(例えば、10)を展開する前に、ガード部材の近位端105は、ある特定の状況では、近位設置マーカー121pと遠位設置マーカー121dまたは遠位設置マーカー121dに対してわずかに遠位との間に位置付けられるように構成することができる。ある特定の実施例では、ガード部材の遠位端部分104dは、その場所における漏出を防止または低減することができるように、左心室414内に、または生来の弁の後内側交連420に少なくとも隣接するように、配置することができる。
【0236】
図示する実施例では、保持要素114の近位端部分は、コイルの上行部分110bの中へと延在する。加えて、ガード部材104の近位端105は、上行部分110bに対して遠位に位置する、近位設置マーカー121pに対して遠位に位置する。ある特定の実施例では、ガード部材104の近位端105は、近位設置マーカー121pと遠位設置マーカー121d(これは、ガード部材104によって覆われ、図18Aには示さない)との間に位置する。上述のように、こうした構成は、ガード部材104のシーリングおよび/または耐久性を有利なことに改善することができる。
【0237】
ある特定の事例では、ドッキングデバイス100の当初の展開後、ガード部材104の近位端105は、図18Bに例示するように、上行部分110bの上へと偶発的に延在する場合がある。こうした状況下では、ドックスリーブ222は、ガード部材104の近位端105を、上行部分110bから離れるように「再位置付け」するために使用することができる。一実施例によると、ドックスリーブ222は、そのテーパー状の先端部分223がガード部材104のテーパー状の近位端105に接触するまで、送達シース204の外へと押すことができる(例えば、図18Bを参照のこと)。ドックスリーブ222の先端部分223の場所は、例えば、蛍光透視下でのドックスリーブ222上の放射線不透過性マーカー231の視覚化に基づいて決定することができる。それ故に、ドックスリーブ222を遠位方向にさらに押すことによって、ガード部材104の近位端105は、近位設置マーカー121pに対して遠位に再位置付けされるまで遠位に移動することができる(例えば、図18Cを参照のこと)。こうした位置付けは、例えば、ドックスリーブ222上の放射線不透過性マーカー231が近位設置マーカー121pに対して遠位に位置するのを観察することによって、確認することができる。次いで、ドックスリーブ222を、送達シース204の中へと戻るように後退することができる。上述のように、保持要素114は、摩擦力(例えば、保持要素114とガード部材104の近位端105との間の摩擦相互作用)を加えることによって、コイルに対するガード部材104の近位端部分104pの軸方向の移動を妨げることができる。それ故に、保持要素114は、上行部分110bに対して遠位である、再位置付けされた場所でガード部材104の近位端105を保持することができる。
【0238】
図19は、完全に展開されたドッキングデバイス100を例示する。プッシャーシャフト212を通して延在し、かつコイルの近位端102pを縫合糸係止アセンブリ216へと接続する解放縫合糸214は、次いで、ドッキングデバイス100を送達装置200から解放することができるように切断することができる。次いで、人工弁の移植に対して準備するために、送達装置200を、誘導カテーテル400から除去することができる。
【0239】
図20は、誘導カテーテル400を通し、ドッキングデバイス100を通して生来の僧帽弁輪を横切って、および左心室414の中へとガイドワイヤカテーテル244を挿入することを例示する。
【0240】
図21は、ガイドワイヤカテーテル244の内側管腔を通して、弁ガイドワイヤ246を左心室414の中へと挿入することを例示する。次いで、ガイドワイヤカテーテル244を、誘導カテーテル400の中へと戻るように後退することができ、誘導カテーテル400およびガイドワイヤカテーテル244を取り外すことができ、弁ガイドワイヤ246を適所に残すことができる。
【0241】
図22は、左心房404の中への人工弁(人工弁10など)の経中隔送達を例示する。人工弁送達装置450は、弁ガイドワイヤ246の外側に導入することができる。送達中、人工弁10は、外側シャフト452の遠位端と送達装置450のノーズコーン454との間に位置する収縮したバルーン460の外側に捲縮することができる。一部の実施例では、人工弁10の経中隔送達の前に、心房間中隔406上の穴403は、穴403を通してバルーンカテーテルを挿入し、かつバルーンシャフト上に装着されたバルーンを半径方向に拡張することによって、さらに広げることができる。
【0242】
図23は、人工弁10をドッキングデバイス100内に定置することを例示する。具体的には、人工弁10は、ドッキングデバイス100の中央領域108において、機能性ターン内に、かつそれと実質的に同軸に位置付けることができる。一部の実施例では、バルーン460が外側シャフト452の外側に位置するように、外側シャフト452をわずかに後退させることができる。
【0243】
図24は、ドッキングデバイス100内の人工弁10の半径方向の拡張を例示する。具体的には、バルーン460は、送達装置450を通してバルーンの中へと膨張流体を注入することによって半径方向に膨張されることができ、それによって、人工弁10の半径方向の拡張が引き起こされる。人工弁10がコイルの中央領域108内で半径方向に拡張されるにつれて、中央領域108内の機能性ターンはさらに半径方向に拡張することができる(すなわち、上述のように、ドッキングデバイスのコイル102は、第1の半径方向に拡張した構成から第2の半径方向に拡張した構成へと移動することができる)。機能性ターンの増加した直径を補償するために、先導ターン106を近位方向に後退させることができ、中央領域108内で機能性ターンの一部とすることができる。
【0244】
図25は、ドッキングデバイス100内の人工弁10の半径方向の拡張後のバルーン460の収縮を例示する。バルーン460は、膨張流体を送達装置450を通してバルーンから引き出すことによって収縮することができる。次いで、送達装置450を、患者の血管系の外へと後退させることができ、弁ガイドワイヤ246も取り出すことができる。
【0245】
図26は、僧帽弁におけるドッキングデバイス100およびドッキングデバイス100内に受容された人工弁10の最終的な配置を例示する。上述のように、人工弁10とドッキングデバイスの中央領域108との間の半径方向の張力は、人工弁10を適所にしっかりと保持することができる。加えて、ガード部材104は、人工弁10の周囲の弁周囲漏出を防止または低減するための、ドッキングデバイス100とその中に配置された人工弁10との間のシールとして作用することができる。
【0246】
上述のように、ドッキングデバイス100内で人工弁10を半径方向に拡張させることは、ガード部材104を半径方向に圧縮させ、かつ軸方向に延在させることができ、結果として、ガード部材104の近位端105は、コイルに対して近位に移動する傾向を有することができる。しかしながら、保持要素114の存在は、ガード部材104の近位端105がコイルの外側で近位に移動するのを摩擦的に妨げることができる。加えて、近位設置マーカー121p(これはドッキングデバイス100の当初の展開後にガード部材104の近位端105の近位境界を設定する)は、コイルの上行部分110bから十分遠くに位置するように構成することができる。それ故に、ガード部材104の近位端105が、ドッキングデバイス100内の人工弁10の半径方向の拡張に起因して実際に近位に移動する場合でさえも、こうした移動を、ガード部材104の近位端105がコイル102の上行部分110bの中へと延在しない程度に限定することができる。
【0247】
人工心臓弁10がドッキングデバイス100内で完全に拡張されると、人工心臓弁10はガード部材104に接触し、コイル102に対してガード部材104を押しやり、それによって、生来の解剖学的構造(例えば、左心房壁)に対するガード部材104のさらなる軸方向の移動を制約する。このようにして、保持部材114は、ドッキングデバイスが展開された時から、人工心臓弁がその中で拡張されるまで、ガード部材の近位端を所望の位置に一時的に保持するように機能することができる。その後、人工心臓弁は、コイルに対するガード部材の位置付けを固定することができる。
【0248】
上述の方法では、人工弁10は膨張可能なバルーン460を使用して半径方向に拡張されるが、人工弁10を半径方向に拡張するために代替的な方法を使用することができることが理解されるべきである。
【0249】
例えば、一部の事例では、人工弁は、自己拡張可能となるように構成することができる。送達中に、人工弁を半径方向に圧縮し、送達装置の遠位端部分に位置する弁シース内に保持することができる。弁シースがドッキングデバイスの中央領域108内に配置されるとき、人工弁を露出するために弁シースを後退させることができ、人工弁は次いで自己拡張し、ドッキングデバイスの中央領域108としっかりと係合することができる。例示的な自己拡張可能な人工弁および関連する送達装置/カテーテル/システムに関する追加的な詳細は、米国特許第8,652,202号および同第9155,619号に記述され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0250】
別の実施例では、ある特定の事例で、人工弁を機械的に拡張することができる。具体的には、人工弁は、相互に接続された複数の支柱を備えるフレームを有することができ、これによりフレームに加えられる軸方向の力(例えば、フレームの流入端および流出端を相互に向かって押す、またはフレームの流入端および流出端を互いから離すように引く)は、人工弁を半径方向に拡張または圧縮させることができる。例示的な機械的に拡張可能な人工弁および関連する送達装置/カテーテル/システムに関する追加的な詳細は、米国特許出願公開第2018/0153689号およびPCT特許出願公開第WO/2021/188476号に記述され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0251】
本明細書または本明細書に組み込まれる参考資料に記述もしくは示唆される、治療技法、方法、工程等は、生きている動物に対して、または死体、死体の心臓、擬人化したゴースト、シミュレータ(例えば、身体部分、組織等を用いてシミュレーションされる)などの、非生体シミュレーションに対して実施することができる。
テクスチャライズされた織られたPVLガードを展開する例示的な方法
【0252】
ドッキングデバイス300を移植部位へと送達し、かつ人工弁(上述の人工弁10など)をドッキングデバイス300内に移植するための手技は、以下に記述される例外を除いて、図13図26を参照して上述した手技と概して同様とすることができる。
【0253】
上記のように、ドッキングデバイスの機能性ターンが、生来の弁尖および腱索に順調に巻き付いた後(例えば、図16図17を参照のこと)、ドックスリーブ222は、送達シース204の中へと戻るように後退するまで近位方向に後退することができる。図27は、完全に展開されたドッキングデバイス300を例示する。示すように、ドックスリーブ222によって制約されることなく、ガード部材304は、例えば、拡張可能な部材306の付勢力および/または弾性部材308の付勢力下で、拡張可能な部材306が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するにつれて、コイル302から半径方向外向きに延在することができる。上述のように、拡張可能な部材306の近位端部分306pは、コイル302の上行部分318に対して遠位である位置へと移動することができる。同様に、解放縫合糸214は、ドッキングデバイス300を送達装置200から解放するように切断することができる。
【0254】
図27に示すように、拡張可能な部材306の遠位端部分306dは、後内側交連420に隣接する場所へと延在するように構成することができる。ある特定の実施例では、拡張可能な部材306の遠位端部分306dは、生来の僧帽弁輪408を通して、かつ左心室414の中へと延在することができる。拡張可能な部材306の近位端部分306pは、生来の弁の前外側の交連419に隣接して位置付けられるように構成することができる。上述のように、拡大可能な部分310の外側部分310bは、左心房404の後部壁416に対抗して押すことができる。加えて、隣接する拡大可能な部分310は、締め付けられた部分312を覆う遮蔽のために相互に接触することができる。それ故に、ガード部材304は、弁周囲漏出を低減するために、ドッキングデバイス300と左心房の生来の壁との間に安定したシールを形成することができる。
【0255】
ドッキングデバイス300を展開した後、図20図25を参照して上述の同様の工程に従って、人工弁(例えば、10)を、左心房404の中へと送達し、ドッキングデバイス300内に定置し、次いで半径方向に拡張することができる。
【0256】
図28は、僧帽弁におけるドッキングデバイス300およびドッキングデバイス300内に受容された人工弁10の最終的な配置を例示する。上述のように、人工弁10とドッキングデバイス300の中央領域との間の半径方向の張力は、人工弁10を適所にしっかりと保持することができる。加えて、ガード部材304は、人工弁10の周囲の弁周囲漏出を防止または低減するための、ドッキングデバイス300と生来の壁との間のシールとして作用することができる。
滅菌
【0257】
本明細書の、システム、デバイス、装置等のうちのいずれかは、患者に使用するのが安全であることを確実にするために滅菌する(例えば、加熱/熱的、圧力、蒸気、放射、および/または化学物質等を用いて)ことができ、本明細書の方法のうちのいずれかは、方法の工程のうちの1つとして、関連付けられたシステム、デバイス、装置等を滅菌することを含むことができる。加熱/熱的滅菌の例としては、蒸気滅菌およびオートクレーブ滅菌が挙げられる。滅菌で使用するための放射の例としては、ガンマ放射、紫外線放射、および電子ビームが挙げられるが、これらに限定されない。滅菌に使用するための化学物質の例としては、エチレンオキシド、過酸化水素、過酢酸、ホルムアルデヒド、およびグルタルアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。過酸化水素を用いた滅菌は、例えば、過酸化水素プラズマを使用して遂行されてもよい。
開示される技術の追加的な実施例
【0258】
開示された主題の上述の実装を考慮して、本出願は、以下に列挙する追加的な実施例を開示する。注目すべきは、分離された実施例の1つの特徴、または組み合わせで、および任意選択で1つ以上のさらなる実施例の1つ以上の特徴との組み合わせて取られるその実施例の2つ以上の特徴も、本出願の開示の中に収まるさらなる実施例である。
【0259】
実施例1. 人工弁を生来の弁において固定するためのドッキングデバイスであって、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを含むコイルと、拡張可能な部材および弾性部材を備えるガード部材と、を備え、拡張可能な部材の第1の端部分が、コイルのセグメントへと固定的に取り付けられ、かつ拡張可能な部材の第2の端部分が、コイルに対して軸方向に移動可能であり、第2の端部分は、第1の端部分の反対側であり、拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、弾性部材が拡張可能な部材へと連結され、かつ拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在し、かつ軸方向に伸びた状態と静止状態との間で移動可能であり、弾性部材が、静止状態へと付勢され、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき弾性部材が、軸方向に伸びた状態にあり、かつ、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するのを支援するように構成され、拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき弾性部材が、静止状態にある、ドッキングデバイス。
【0260】
実施例2. 弾性部材が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例1のドッキングデバイス。
【0261】
実施例3. 弾性部材が、拡張可能な部材へとステッチされる、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~2のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0262】
実施例4. 弾性部材が、スパイラル経路でルーティングされた縫合糸を介して拡張可能な部材に接続される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~3のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0263】
実施例5. 弾性部材が、拡張可能な部材の第1の端部分から拡張可能な部材の第2の端部分へと延在する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~4のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0264】
実施例6. 拡張可能な部材が、形状記憶材料を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~5のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0265】
実施例7. 拡張可能な部材が、ニチノールを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例6のドッキングデバイス。
【0266】
実施例8. 拡張可能な部材が、織られた材料を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~7のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0267】
実施例9. 拡張可能な部材が、織られたポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例8のドッキングデバイス。
【0268】
実施例10. 半径方向に拡張した状態にある拡張可能な部材が、複数の拡大した部分と、複数の拡大した部分を接続する1つ以上の締め付けられた部分とを備え、拡大した部分が、締め付けられた部分より大きい半径方向プロファイルを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~9のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0269】
実施例11. 締め付けられた部分および拡大した部分が、同じ材料で作製される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例10のドッキングデバイス。
【0270】
実施例12. 締め付けられた部分が、拡大した部分の第2の織り密度より大きい第1の織り密度を有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例10~11のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0271】
実施例13. 拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき、締め付けられた部分がコイルに巻き付き、かつ拡大した部分がコイルから半径方向に拡張する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例10~12のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0272】
実施例14. 締め付けられた部分が、コイルの外側で軸方向に摺動するように構成される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例10~13のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0273】
実施例15. 複数の拡大した部分がほぼ同じサイズを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例10~14のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0274】
実施例16. 複数の拡大した部分が様々なサイズを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例10~14のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0275】
実施例17. 拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき、2つの隣接する拡大した部分の少なくとも部分が、2つの隣接する拡大した部分を接続する締め付けられた部分の半径方向外向きの場所において直接的な接触を形成する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例10~16のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0276】
実施例18. 弾性部材が、拡張可能な部材の中央長軸方向軸に対して平行に延在する弾性バンドのストリップを備える、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~17のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0277】
実施例19. 拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあり、かつ人工弁がコイル内で半径方向に拡張されたとき、拡張可能な部材の内側部分がコイルに接触するように、拡張可能な部材の内側部分が人工弁によって半径方向に圧縮されるように構成される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~18のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0278】
実施例20. 拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき、ガード部材の少なくとも一部分がコイルに対して半径方向外向きに延在し、これによりガード部材が生来の弁において展開されたときに人工弁の周囲の弁周囲漏出を低減することができる、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~19のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0279】
実施例21. 人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイス用のガード部材であって、拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材と、を備え、拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき弾性部材が、軸方向に伸びた状態にあり、軸方向に伸びた状態の弾性部材が、静止状態に戻るように構成され、それによって拡張可能な部材を半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動する、を含む、ガード部材。
【0280】
実施例22. 半径方向に拡張した状態にある拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態にある拡張可能な部材より軸方向に長い、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例21のガード部材。
【0281】
実施例23. 弾性部材の近位端が拡張可能な部材の近位端部分へと取り付けられ、かつ弾性部材の遠位端が拡張可能な部材の遠位端部分へと取り付けられる、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例21~22のいずれか1つのガード部材。
【0282】
実施例24. 弾性部材が、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する連続的な縫合糸を介して拡張可能な部材に取り付けられる、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例21~23のいずれか1つのガード部材。
【0283】
実施例25. 縫合糸の長さが、その軸方向に伸びた状態で弾性部材の長さ以上であり、これにより弾性部材がその静止状態にあるときに縫合糸がたるみを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例24のガード部材。
【0284】
実施例26. 拡張可能な部材が、メッシュ状のワイヤフレームを備える、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例21~25のいずれか1つのガード部材。
【0285】
実施例27. 弾性部材が、拡張可能な部材の外面に沿って延在する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例26のガード部材。
【0286】
実施例28. 弾性部材が、拡張部材を包囲するシースを形成する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例27のガード部材。
【0287】
実施例29. 弾性部材が、拡張可能な部材の内側管腔を通して延在する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例26のガード部材。
【0288】
実施例30. 弾性部材が、拡張可能な部材の内面に沿って延在する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例29のガード部材。
【0289】
実施例31. 弾性部材が、拡張可能な部材に出たり入ったりして織られる、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例26のガード部材。
【0290】
実施例32. 拡張可能な部材が、織られた材料を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例21~25のいずれか1つのガード部材。
【0291】
実施例33. 拡張可能な部材が、1つ以上の締め付けられた部分によって接続された複数の拡大可能な部分を備え、締め付けられた部分が、拡大可能な部分より高い織り密度を有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例32のガード部材。
【0292】
実施例34. 弾性部材が1つ以上の締め付けられた部分へと接続される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例33のガード部材。
【0293】
実施例35. 拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するとき、締め付けられた部分が、概して一定の直径を維持する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例33~34のいずれか1つのガード部材。
【0294】
実施例36. 拡大可能な部分が、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき、第1の直径を有し、拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき、第2の直径を有し、第2の直径が第1の直径より大きい、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例33~35のいずれか1つのガード部材。
【0295】
実施例37. 拡大可能な部分の第1の直径が、締め付けられた部分の直径とほぼ同じである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例36のガード部材。
【0296】
実施例38. 拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるとき、隣接する拡大可能な部分が、締め付けられた部分を遮蔽するように相互に接触するように構成される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例33~37のいずれか1つのガード部材。
【0297】
実施例39. 拡大可能な部分が第2の直径へと付勢される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例36~38のいずれか1つのガード部材。
【0298】
実施例40. 弾性部材が拡張可能な部材の中央長軸方向軸に平行に延在する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例21~39のいずれか1つのガード部材。
【0299】
実施例41. 人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイス用のガード部材であって、織られた材料を含む拡張可能な部材を備え、拡張可能な部材が、1つ以上の締め付けられた部分によって接続された複数の拡大可能な部分を備え、締め付けられた部分が、拡大可能な部分より高い織り密度を有し、拡大可能な部分が、第1の直径と第2の直径との間で移動可能であり、第2の直径が第1の直径よりも大きく、締め付けられた部分が、拡大可能な部分が第1の直径と第2の直径との間で移動するとき、一定のまたは少なくとも実質的に一定の直径のままであるように構成される、ガード部材。
【0300】
実施例42. 拡大可能な部分の第1の直径が、締め付けられた部分の直径とほぼ同じである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41のガード部材。
【0301】
実施例43. 拡大可能な部分の第1の直径が、締め付けられた部分の直径より大きい、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41のガード部材。
【0302】
実施例44. 拡大可能な部分が、第2の直径から第1の直径へと移動するときに軸方向に伸長するように構成される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~43のいずれか1つのガード部材。
【0303】
実施例45. 拡張可能な部材が2~20個の拡大可能な部分を備える、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~44のいずれか1つのガード部材。
【0304】
実施例46. 拡張可能な部材が6~12個の拡大可能な部分を備える、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例45のガード部材。
【0305】
実施例47. 拡張可能な部材が8~10個の拡大可能な部分を備える、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例46のガード部材。
【0306】
実施例48. 拡大可能な部分の第1の直径が1mm~4mmである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~47のいずれか1つのガード部材。
【0307】
実施例49. 拡大可能な部分の第1の直径が2mm~3mmである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例48のガード部材。
【0308】
実施例50. 拡大可能な部分の第1の直径が2.0mm~2.6mmである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例49のガード部材。
【0309】
実施例51. 拡大可能な部分の第2の直径が4mm~10mmである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~50のいずれか1つのガード部材。
【0310】
実施例52. 拡大可能な部分の第2の直径が7mm~9mmである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例51のガード部材。
【0311】
実施例53. 拡大可能な部分の第2の直径が7.5mm~8mmである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例52のガード部材。
【0312】
実施例54. 締め付けられた部分の直径が0.3mm~3mmである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~53のいずれか1つのガード部材。
【0313】
実施例55. 締め付けられた部分の直径が0.5mm~2.6mmである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例54のガード部材。
【0314】
実施例56. 締め付けられた部分の直径が1.5mm~2.4mmである、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例55のガード部材。
【0315】
実施例57. 第2の直径における各拡大可能な部分が、6mm~16mmの軸方向長さを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~56のいずれか1つのガード部材。
【0316】
実施例58. 第2の直径における各拡大可能な部分が、8mm~14mmの軸方向長さを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例57のガード部材。
【0317】
実施例59. 第2の直径における各拡大可能な部分が、10mm~12mmの軸方向長さを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例58のガード部材。
【0318】
実施例60. 拡大可能な部分が第2の直径にあるとき、拡張可能な部材が60mm~120mmの軸方向長さを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~59のいずれか1つのガード部材。
【0319】
実施例61. 拡大可能な部分が第2の直径にあるとき、拡張可能な部材が70mm~100mmの軸方向長さを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例60のガード部材。
【0320】
実施例62. 拡大可能な部分が第2の直径にあるとき、拡張可能な部材が75mm~85mmの軸方向長さを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例60のガード部材。
【0321】
実施例63. 各締め付けられた部分が、0.1mm~2mmの軸方向長さを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~62のいずれか1つのガード部材。
【0322】
実施例64. 各締め付けられた部分が、0.3mm~1.5mmの軸方向長さを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例63のガード部材。
【0323】
実施例65. 各締め付けられた部分が、0.5mm~1.0mmの軸方向長さを有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例64のガード部材。
【0324】
実施例66. 拡張可能な部材が、1.1~1.6の伸長割当量を有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~65のいずれか1つのガード部材。
【0325】
実施例67. 拡張可能な部材が、1.2~1.5の伸長割当量を有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例66のガード部材。
【0326】
実施例68. 拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材をさらに備え、弾性部材が、静止状態と軸方向に伸びた状態との間で移動可能であり、弾性部材が静止状態へと付勢され、拡大可能な部分が、弾性部材が軸方向に伸びた状態にあるときに第1の直径を有し、かつ弾性部材が静止状態にあるときに第2の直径を有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例41~67のいずれか1つのガード部材。
【0327】
実施例69. 弾性部材の近位端が拡張可能な部材の近位端部分に取り付けられ、かつ弾性部材の遠位端が拡張可能な部材の遠位端部分に取り付けられ、これにより弾性部材の軸方向の伸長または短縮が拡張可能な部材の対応する軸方向の伸長または短縮を引き起こす、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例68のガード部材。
【0328】
実施例70. 弾性部材が拡張可能な部材の中央長軸方向軸と平行に延在し、かつ1つ以上の締め付けられた部分へと接続される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例68~69のいずれか1つのガード部材。
【0329】
実施例71. 人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイスを組み立てるための方法であって、ガード部材をコイルへと取り付けることを含み、コイルが、生来の弁に展開されたときに生来の組織を包囲するように構成され、ガード部材が、拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材とを備え、弾性部材が静止状態から軸方向に伸びた状態へと移動することができ、弾性部材が静止状態へと付勢され、拡張可能な部材が、弾性部材が軸方向に伸びた状態に移動されるとき、半径方向に圧縮された状態にあり、拡張可能な部材が、弾性部材が静止状態へと戻るとき、半径方向に拡張した状態にある、方法。
【0330】
実施例72. ガード部材を組み立てることをさらに含み、ガード部材を組み立てることが、弾性部材を拡張可能な部材へと取り付けることを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例71の方法。
【0331】
実施例73. 弾性部材を拡張可能な部材へと取り付けることが、弾性部材の近位端を拡張可能な部材の近位端部分へと取り付けることと、弾性部材の遠位端を拡張可能な部材の遠位端部分に取り付けることと、を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例72の方法。
【0332】
実施例74. 弾性部材を拡張可能な部材へと取り付けることが、弾性部材を拡張可能な部材の軸方向長さに沿って拡張可能な部材へと縫合することを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例72~73のいずれか1つの方法。
【0333】
実施例75. ガード部材を組み立てることが、金属ワイヤを使用して拡張可能な部材を編組してメッシュ状のワイヤフレームを形成することを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例72~74のいずれか1つの方法。
【0334】
実施例76. 弾性部材を拡張可能な部材へと取り付けることが、弾性部材をメッシュ状のワイヤフレームの上へと織ることを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例75の方法。
【0335】
実施例77. ガード部材を組み立てることが、1つ以上の締め付けられた部分によって接続される複数の拡大可能な部分を形成するために織物を織ることを含み、締め付けられた部分が、拡大可能な部分より高い織り密度を有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例72~74のいずれか1つの方法。
【0336】
実施例78. 弾性部材を拡張可能な部材へと取り付けることが、弾性部材を1つ以上の締め付けられた部分へと接続することを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例77の方法。
【0337】
実施例79. ガード部材を組み立てることが、複数の拡大可能な部分を形状設定することをさらに含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例77~78のいずれか1つの方法。
【0338】
実施例80. ガード部材をコイルへと取り付けることが、ガード部材の遠位端をコイルへと固定的に取り付け、かつガード部材の近位端をコイルに対して軸方向に移動可能にすることを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例71~79のいずれか1つの方法。
【0339】
実施例81. 拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあり、かつ弾性部材が軸方向に伸びた状態にあるように、ガード部材を送達シース内に保持することをさらに含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例71~80のいずれか1つの方法。
【0340】
実施例82. 人工弁を移植するための方法であって、生来の弁においてドッキングデバイスを展開することと、ドッキングデバイス内に人工弁を展開することと、を含み、ドッキングデバイスが、コイルと、コイルに取り付けられたガード部材とを備え、ガード部材が、拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材とを備え、弾性部材が静止状態から軸方向に伸びた状態へと移動することができ、弾性部材が静止状態へと付勢され、拡張可能な部材が、弾性部材が軸方向に伸びた状態に移動するとき、半径方向に圧縮された状態であり、拡張可能な部材が、弾性部材が静止状態へと戻るとき、半径方向に拡張した状態にある、方法。
【0341】
実施例83. ドッキングデバイスを生来の弁へと送達することをさらに含み、ドッキングデバイスを送達することが、ドッキングデバイスを実質的に真っ直ぐな構成にある送達シース内に保持することを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例82の方法。
【0342】
実施例84. 送達シース内にドッキングデバイスを保持することが、拡張可能な部材を半径方向に圧縮された状態へと半径方向に圧縮することと、送達シース内で弾性部材を軸方向に伸びた状態へと軸方向に伸ばすことと、を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例83の方法。
【0343】
実施例85. ドッキングデバイスを展開することが、送達シースをガード部材から取り外すことと、拡張可能な部材を半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動させるために弾性部材が静止状態へと戻ることを可能にすることと、を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例82~84のいずれか1つの方法。
【0344】
実施例86. 人工弁を展開することが、拡張可能な部材の内側部分が人工弁によって半径方向に圧縮され、かつコイルに接触するように、人工弁を半径方向に拡張することを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例82~85のいずれか1つの方法。
【0345】
実施例87. 医療用アセンブリであって、実施例1~20のうちのいずれか1つによるドッキングデバイス、または実施例21~70のうちのいずれか1つによるガード部材を備えるドッキングデバイスと、ドッキングデバイス内に受容されるように構成された半径方向に拡張可能かつ圧縮可能な人工弁と、を備える、医療用アセンブリ。
【0346】
実施例88. 医療用アセンブリであって、実施例1~20のうちのいずれか1つによるドッキングデバイス、または実施例21~70のうちのいずれか1つによるガード部材を備えるドッキングデバイスと、ドッキングデバイスを患者の標的移植部位へと送達するように構成された送達装置と、を備える、医療用アセンブリ。
【0347】
実施例89. 人工弁を生来の弁において固定するためのドッキングデバイスであって、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを備えるコイルと、コイルから半径方向外向きに延在する拡張可能な部材と、を備え、拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、拡張可能な部材の第1の端が、コイルへと固定的に取り付けられ、かつ拡張可能な部材の第2の端が、コイルに対して軸方向に移動可能であり、第2の端が第1の端の反対側であり、拡張可能な部材が編組ワイヤフレームを備える、ドッキングデバイス。
【0348】
実施例90. 編組ワイヤフレームが、形状記憶特性を有する金属合金を含む、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例89のドッキングデバイス。
【0349】
実施例91. 金属合金が、ニッケルチタンを含む、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例90のドッキングデバイス。
【0350】
実施例92. 金属合金が、金属材料を含む、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例89のドッキングデバイス。
【0351】
実施例93. 金属材料が、コバルトクロムまたはステンレス鋼を含む、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例92のドッキングデバイス。
【0352】
実施例94. 拡張可能な部材が、高分子材料を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例89~93のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0353】
実施例95. 編組ワイヤフレームが高分子材料内に包埋されている、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例94のドッキングデバイス。
【0354】
実施例96. 高分子材料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、および熱可塑性ポリウレタン(TPU)のうちのいずれか1つを含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例94~95のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0355】
実施例97. 編組ワイヤフレームが、16ワイヤ~128ワイヤ(両端を含む)を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例89~96のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0356】
実施例98. 編組ワイヤフレームが、32ワイヤ~96ワイヤ(両端を含む)を含む、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例97のドッキングデバイス。
【0357】
実施例99. 編組ワイヤフレームが、48ワイヤ~64ワイヤ(両端を含む)を含む、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例98のドッキングデバイス。
【0358】
実施例100. 編組ワイヤフレームが、20~70ピック毎インチ(両端を含む)の範囲の編組密度を有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例89~99のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0359】
実施例101. 編組ワイヤフレームが、25~65ピック毎インチ(両端を含む)の範囲の編組密度を有する、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例100のドッキングデバイス。
【0360】
実施例102. 編組ワイヤフレームが、36~40ピック毎インチ(両端を含む)の範囲の編組密度を有する、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例101のドッキングデバイス。
【0361】
実施例103. 編組ワイヤフレームが、0.002インチ~0.004インチ(両端を含む)の範囲のワイヤ直径を有するワイヤを備える、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例89~102のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0362】
実施例104. ワイヤ直径が0.003インチである、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例103のドッキングデバイス。
【0363】
実施例105. 人工弁を生来の弁において固定するためのドッキングデバイスであって、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを備えるコイルと、コイルから半径方向外向きに延在する拡張可能な部材と、を備え、拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、拡張可能な部材の第1の端が、コイルへと固定的に取り付けられ、かつ拡張可能な部材の第2の端が、コイルに対して軸方向に移動可能であり、第2の端が第1の端の反対側であり、拡張可能な部材が高分子材料を含む、ドッキングデバイス。
【0364】
実施例106. 高分子材料がPET、PEEK、またはTPUを含む、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例105のドッキングデバイス。
【0365】
実施例107. 人工弁を生来の弁において固定するためのドッキングデバイスであって、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを備えるコイルと、コイルから半径方向外向きに延在する拡張可能な部材と、を備え、拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、拡張可能な部材の第1の端が、コイルへと固定的に取り付けられ、かつ拡張可能な部材の第2の端が、コイルに対して軸方向に移動可能であり、第2の端が第1の端の反対側であり、拡張可能な部材がエラストマーを用いて被覆された編組金属ワイヤフレームを備える、ドッキングデバイス。
【0366】
実施例108. 人工弁を生来の弁において固定するためのドッキングデバイスであって、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを備えるコイルと、コイルから半径方向外向きに延在する拡張可能な部材と、を備え、拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、拡張可能な部材の第1の端が、コイルへと固定的に取り付けられ、かつ拡張可能な部材の第2の端が、コイルに対して軸方向に移動可能であり、第2の端が第1の端の反対側であり、拡張可能な部材が、1つ以上の高分子繊維と織り合わされた1つ以上の金属ワイヤを備える、ドッキングデバイス。
【0367】
実施例109. 人工弁を受容するように構成されたドッキングデバイス用のガード部材であって、編組ワイヤメッシュを備える拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材と、を備え、拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と、第1の半径方向に拡張した状態と、第2の半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、第1の半径方向に拡張した状態にある拡張可能な部材の直径が、半径方向に圧縮された状態にある拡張可能な部材より大きく、かつ第2の半径方向に拡張した状態にある拡張可能な部材より小さく、弾性部材が拡張可能な部材へと連結されていない場合、拡張可能な部材が第1の半径方向に拡張した状態に向かって付勢され、弾性部材が拡張可能な部材へと連結される場合、拡張可能な部材が第2の半径方向に拡張した状態に向かって付勢される、ガード部材。
【0368】
実施例110. 弾性部材がコイルばねを備える、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例109のガード部材。
【0369】
実施例111. コイルばねのピッチが、編組ワイヤメッシュのピッチより大きい、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例110のガード部材。
【0370】
実施例112. コイルばねのピッチが3mm~9mmの範囲である、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例111のガード部材。
【0371】
実施例113. コイルばねのピッチが5mm~7mmの範囲である、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例112のガード部材。
【0372】
実施例114. コイルばねが第1のワイヤを備え、かつ編組ワイヤメッシュが第2のワイヤを備え、第1のワイヤが第2のワイヤより大きい直径を有する、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例110~113のいずれか1つのガード部材。
【0373】
実施例115. 第1のワイヤの直径が0.15mm~0.22mmの範囲である、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例114のガード部材。
【0374】
実施例116. 弾性部材が形状記憶材料を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例109~115のいずれか1つのガード部材。
【0375】
実施例117. 編組ワイヤメッシュが形状記憶材料を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例109~116のいずれか1つのガード部材。
【0376】
実施例118. 弾性部材が、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるとき、軸方向に伸びた状態にあり、拡張可能な部材が第2の半径方向に拡張した状態にあるとき、静止状態にあり、弾性部材が静止状態に向かって付勢される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例109~117のいずれか1つのガード部材。
【0377】
実施例119. 弾性部材の第1の端が拡張可能な部材の第1の端に接続され、弾性部材の第2の端が拡張可能な部材の第2の端に接続される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例109~118のいずれか1つのガード部材。
【0378】
実施例120. 弾性部材が拡張可能な部材の管腔内に配置される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例109~119のいずれか1つのガード部材。
【0379】
実施例121. 弾性部材が拡張可能な部材の外面の外側に配置される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例109~119のいずれか1つのガード部材。
【0380】
実施例122. 人工弁を生来の弁において固定するためのドッキングデバイスであって、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを備えるコイルと、拡張可能な部材と拡張可能な部材へと連結されたコイルばねとを備えるガード部材と、を備え、コイルが、コイルばねを通して延在し、拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、コイルばねが、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるときに第1の長さまで軸方向に伸ばされ、かつ拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるときに第2の長さに戻り、第2の長さが第1の長さより短く、コイルばねが、第2の長さに向かって付勢される、ドッキングデバイス。
【0381】
実施例123. 拡張可能な部材の第1の端部分が、コイルのセグメントへと固定的に取り付けられ、かつ拡張可能な部材の第2の端部分が、コイルに対して軸方向に移動可能である、本明細書のいずれかの実施例の、特定の実施例122のドッキングデバイス。
【0382】
実施例124. 拡張可能な部材が、ニッケルチタン合金を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例122~123のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0383】
実施例125. コイルばねが、ニッケルチタン合金を含む、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例122~124のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0384】
実施例126. 拡張可能な部材が、編組ワイヤメッシュを備える、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例122~125のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0385】
実施例127. コイルばねの第1の端が、拡張可能な部材の第1の端に接続され、かつコイルばねの第2の端が、拡張可能な部材の第2の端に接続される、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例122~126のいずれか1つのドッキングデバイス。
【0386】
実施例128. 人工弁を生来の弁において固定するためのドッキングデバイスであって、生来の弁において展開されたときに複数のらせん状ターンを含むコイルと、拡張可能な部材とコイルの周囲にコイル状に巻かれかつ拡張可能な部材へと連結されたコイルばねとを備えるガード部材と、を備え、拡張可能な部材が、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で移動可能であり、コイルばねが、軸方向に伸びた状態と静止状態との間で移動可能であり、コイルばねが、静止状態へと付勢され、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態にあるときコイルばねが、軸方向に伸びた状態にあり、かつ、拡張可能な部材が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと移動するのを支援するように構成され、拡張可能な部材が半径方向に拡張した状態にあるときコイルばねが、静止状態にある、ドッキングデバイス。
【0387】
実施例129. 本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例1~20、89~108、および122~128のいずれか1つのドッキングデバイスを滅菌すること、本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例21~70および109~121のいずれか1つのガード部材を滅菌すること、または本明細書のいずれかの実施例の、具体的には実施例87~88のいずれか1つの医療用アセンブリを滅菌することを含む、方法。
【0388】
実施例130. シミュレーション上で心臓を治療する方法であって、標的場所においてドッキングデバイスを展開することと、ドッキングデバイス内に人工弁を展開することと、を含み、ドッキングデバイスが、コイルと、コイルに取り付けられたガード部材とを備え、ガード部材が、拡張可能な部材と、拡張可能な部材の軸方向長さに沿って延在する弾性部材とを備え、弾性部材が静止状態から軸方向に伸びた状態へと移動することができ、弾性部材が静止状態へと付勢され、拡張可能な部材が、弾性部材が軸方向に伸びた状態に移動するとき、半径方向に圧縮された状態であり、拡張可能な部材が、弾性部材が静止状態へと戻るとき、半径方向に拡張した状態にある、方法。
【0389】
別段の定めのない限り、任意の実施例に関して本明細書に記述される特徴は、その他の実施例のうちのいずれか1つ以上で記述されるその他の特徴と組み合わせることができる。例えば、1つのドッキングデバイスの特徴のうちのいずれか1つ以上を、別のドッキングデバイスの任意の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。別の例として、1つのガード部材の任意の1つ以上の特徴を、別のガード部材の任意の1つ以上の特徴と、組み合わせることができる。
【0390】
開示される技術の原理が適用されてもよい数多くの可能な実施例を考慮すると、例示された実施例が、技術の好ましい実施例に過ぎず、本開示の範囲を限定するものとして取られるべきではないことが、認識されるべきである。そうではなく、特許請求される主題の範囲は、以下の特許請求の範囲、およびそれらの均等物によって、定義される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【国際調査報告】