(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】UV消毒ボックスシステム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529652
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2022083534
(87)【国際公開番号】W WO2023094669
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021000030089
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511020829
【氏名又は名称】サエス・ゲッターズ・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレッシオ・コラッツァ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ・マウリ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・フィリッポ・バタヴィア
(72)【発明者】
【氏名】ジネーヴラ・デッラ・ポールタ
(72)【発明者】
【氏名】アリアンナ・パパディア
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB06
4C058EE01
4C058KK02
4C058KK21
(57)【要約】
ボックス型UV消毒システム(100)は、互いに隣接する少なくとも2つの壁(120、130、140)に配置された複数の内部UV源(121、122、131、132、141、142)であって、全ての内部壁面が250~350nmの波長範囲において、80%より高く、好ましくは87%より高い反射率を有する内部UV源と、前記波長範囲において少なくとも70%のUV透過率を有し、底壁(110)から適切な最小距離に位置するUV透過性支持体(101)とを備え、壁(130、140)の少なくとも1つに配置されたUV源(131、132、141、142)は、5°~30°の角度で底壁(110)に向かって傾斜している。このようなシステムは、効率の点で改善された特性を有し、好ましい実施形態では、より良好な可搬性も有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの移動可能な壁(150)を有するボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)であって、
内部に配置されているが、少なくとも1つの壁には存在しない、複数の別個のUV源(121、122、131、132、141、142;221、222、223、241、242、243;521、522、531、532)と、
内部のUV透過性支持体(101;201;501、501’、501’’、501’’’;601、601’、601’’、601’’’)と、
を備え、
内壁表面の全てが、250~350nmの波長範囲において、80%を超える反射率、好ましくは87%を超える反射率を有しており、
前記別個のUV源(121、122、131、132、141、142;221、222、223、241、242、243;521、522、531、532)は、互いに隣接するその壁(110、120、130、140、150、160;210、220、230、240;510、520、530)の少なくとも2つに配置され、
前記UV透過性支持体(101;201;501、501’、501’’、501’’’;601、601’、601’’、601’’’)は、250~350nmの波長範囲において、少なくとも70%のUV透過率を有しており、且つ、底壁(110;210;510)からの最小距離d1、及び反対側の上壁(120;220;520)からの最大距離d2に配置され、0.1<d1/(d1+d2)<0.5、好ましくは0.15<d1/(d1+d2)<0.4であり、
前記壁(130、140;240;530)の少なくとも1つに配置された別個のUV源(131、132、141、142;241、242、243;531、532)が、5°~30°の角度で底壁(110;210;510)に向かって傾斜している、ことを特徴とするボックス型UV消毒システム。
【請求項2】
別個のUV源を有しない前記少なくとも1つの壁が、前記底壁(110;210;510)または移動可能な壁(150)である、請求項1に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項3】
前記UV透過性支持体(101;201)が、少なくとも2つの異なる壁(130、140;230、240)、好ましくは2つの対向する壁に保持されるか、または前記底壁(110;210)と接触する柱によって保持されている、請求項1または2に記載のボックス型UV消毒システム(100;200)。
【請求項4】
UV透過性支持体(101;201)が、3~200の間に含まれる空隙対充填比を有する網状構造である、請求項1~3のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200)。
【請求項5】
前記UV透過性支持体(101;201)が、好ましくはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンの三元共重合体、エチレンテトラフルオロエチレン、UV透過性合成ガラスから選択されるUV透過性材料で作製された、請求項1~3のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200)。
【請求項6】
前記支持体が、前記底壁(510)に回転可能に取り付けられ、好ましくは接続要素(6010)を介して接続された一連の平行な昇降可能要素(501、501’、501’’、501’’’;601、601’、601’’、601’’’)を備え、全ての前記平行な昇降可能要素(501、501’、501’’、501’’’;601、601’、601’’、601’’’)が、それらのうちの1つのみに作用することによって昇降可能である、請求項1または2に記載のボックス型UV消毒システム(500;600)。
【請求項7】
前記内壁表面が、好ましくは高純度Al若しくはAgから選択される金属のナノメータコーティングを有する多孔質PTFEまたはアルミニウム層で作られているか、または被覆されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項8】
前記別個のUV源(131、132、141、142)の傾斜は、それらが取り付けられる壁に対して傾斜して取り付けられることによって得られる、請求項1~7のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100)。
【請求項9】
前記別個のUV源(241、242、243)の傾斜は、それらが取り付けられる前記側壁(240)の傾斜によって得られる、請求項1~7のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(200)。
【請求項10】
前記ボックスの断面形状は台形である、請求項9に記載のボックス型UV消毒システム(200)。
【請求項11】
内部容積Vが2000~14000cm
3、好ましくは4000~9500cm
3であり、前記別個のUV源(121、122、131、132、141、142;221、222、223、241、242、243;521、522、531、532)の累積電力Pと内部容積Vとの比が0.25~0.60mW/cm
3である、請求項1~10のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項12】
前記別個のUV源(121、122、131、132、141、142;221、222、223、241、242、243;521、522、531、532)が、好ましくは260~280nmの範囲内の第1のピーク及び290~310nmの範囲内の第2のピークを有するスペクトル発光を有するUV-C発光ダイオードまたはチップである、請求項1~11のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項13】
前記別個のUV源(121、122、131、132、141、142;221、222、223、241、242、243;521、522、531、532)が、スペクトル発光の前記第1及び第2のピークの両方を有するUV照射、または前記第1のピークを中心とするUV照射、または前記第2のピークを中心とするUV照射を発する、請求項12に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項14】
別個のUV源(121、122、131、132、141、142;221、222、223、241、242、243)の数が6であり、2つまたは3つの壁に均等に分配されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項15】
前記壁はボックスの展開を可能にするように接続されており、好ましくはその内部容積Vと展開された前記ボックスの容積との間の比が4~16の範囲である、請求項1~14のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項16】
前記壁のうちの少なくとも1つの外面にソーラーパネルを更に含み、該ソーラーパネルは、任意で、好ましくは充電コントローラと組み合わされたエネルギー貯蔵再充電可能バッテリに接続されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項17】
前記別個のUV源(121、122、131、132、141、142;221、222、223、241、242、243;521、522、531、532)と連結するのに適した個別の電源モジュールを更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項18】
前記別個のUV源(121、122、131、132、141、142;221、222、223、241、242、243;521、522、531、532)のための電源モジュール、及び任意でエネルギー貯蔵再充電可能バッテリを含む他の電子部品が、前記内部容積Vの外側の前記システムに埋め込まれている、請求項1~16のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【請求項19】
前記電源モジュール及び他の電子部品は、前記底壁(510)に結合された、または前記底壁(510)を形成している容器(511)内に収容されている、請求項18に記載のボックス型UV消毒システム(500)。
【請求項20】
ボックスが開かれたときに前記別個のUV源(121、122、131、132、141、142;221、222、231、232、241、242、243;521、522、531、532)をオフにするか、またはボックスが適切に組み立てられていない場合にそれらの電源供給を防止するのに適した1つ以上の安全インターロックスイッチを更に備えた、請求項1~19のいずれか一項に記載のボックス型UV消毒システム(100;200;500;600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率の点で改善された特性を有するUV消毒ボックスシステム(UV disinfection box system)に固有のものであり、好ましい実施形態では、改善された可搬性(portability)を有している。
【背景技術】
【0002】
消毒されるアイテムが内部に配置された「ボックス」のようなコンパクトな形態でのアイテム消毒のためのUV照射の使用は、例えば、両方ともUV源としてランプを使用している特許文献1または特許文献2に記載されているように、非常に広く普及しており、長い間知られている。
【0003】
これらのデバイスは、例えば、異なるUV波長発光スペクトルを有するUV源、より具体的には、少なくとも270nmまでの上限を有する第1の波長範囲を有する第1のUV源と、少なくとも270nmまでの下限及び少なくとも320nmまでの上限を有する第2の波長範囲を有する第2のUV源とを組み合わせることによって達成される殺菌効果の向上について記載した特許文献3に記載されているような、いわゆるUV-C領域(UV-C region)における主要な発光(main emission)を示す好ましいUV源に関して、継続的に改良されてきた。また、この特許出願は、低圧水銀ランプ、UVLEDまたはUVチップのような、UV消毒ボックスのための一連の適切なUV源を開示している。UVチップは、他の2つのソースに関してはあまり一般的ではないが、それらは熱遮蔽または発生した熱の熱管理のためのシステムを必要としない低温ソース(cold source)であるので好ましい。この種のソースの詳細については、特許文献4に記載されている。
【0004】
UV消毒ボックスで考慮すべき側面の1つは、特に目的が3D対象(鍵、携帯電話、財布、陶器やカトラリー、眼鏡、容器、おしゃぶり、哺乳瓶、おもちゃ等)の消毒である場合、コスト関連の問題及び/またはプロセス効率のために、使用されるソースの数及び/または消毒処理時間を最小限にするために、どのようにしてソースの病原微生物殺傷作用(pathogenic microorganisms killing action)を最大化するかである。より多くのソース及び/またはより長いプロセス時間は、電力管理の側面に悪影響を及ぼし、これは、例えば、特許文献5の熱拡散器(heat-spreader)を介して対処されるように、熱管理に関して「ホットな」UV源の問題であるが、低温ソースでは、バッテリ駆動のものまたはソーラーパネル支援システムのような主電源への接続を介して電力供給されないシステムでは考慮すべき問題がある。
【0005】
更に、消毒すべき対象への影響を考慮しながら、ボックスの効率を最大化する必要もある。実際、繰り返し紫外線に曝されると、特に最も効果的な殺菌照射であるUV-Cに曝されると、プラスチックが劣化する可能性があることが知られている。例えば、非特許文献1または非特許文献2を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第3044181号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0274879号明細書
【特許文献3】国際公開第2021/101431号
【特許文献4】国際公開第2018/106168号
【特許文献5】米国特許出願公開第2021/0085812号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2013/078142号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/265179号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2008/253941号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2016/215941号明細書
【特許文献10】国際公開第2011/049859号
【特許文献11】インド特許出願第202011020635号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“Damage to Common Healthcare Polymer Surfaces from UV Exposure” by Peter Teska et al., published on “Nano LIFE VOL. 10, NO. 03, 2020
【非特許文献2】“Ultraviolet light accelerates the degradation of polyethylene plastics”, by Mustafa Dogan, published on Microsc. Res. Tech., 2021 Nov; 84(11):2774-2783
【非特許文献3】summer 2010, vol.5 Talk letter, by Shimadzu
【非特許文献4】“Ultra-violet reflecting power of Aluminum and several other metals” by William Weber Coblentz et al., Bureau of Standards Journal of Research, volume 4, page 189
【非特許文献5】“Laser-based Surface Modifications of Aluminum and its Alloys” by M. M. Quazi et al., Critical Reviews in Solid State and Materials Sciences, 0: 1-26, 2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特に使用されるUV源の配置及び有効性に関して、従来技術のものに対して改善された性能を有する新規なUVボックスシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1つの移動可能な壁を有するUV消毒ボックスシステムであって、UVボックスの内壁表面の全てが、250~350nmの波長範囲において、80%より高く、好ましくは87%より高い反射率を有するUV消毒ボックスシステムであって、該UV消毒ボックスシステムは、UVボックス内の互いに隣接する少なくとも2つの壁に配置され、UVボックス壁の少なくとも1つに存在しない複数の別個のUV源を含み、UVボックスは、少なくとも70%のUV透過率を有し、底壁(base wall)からの最小距離d1及び反対側の上壁からの最大距離d2に配置された内部のUV透過性支持体(UV-transmitting support)を更に含み、ここで、0.1<d1/(d1+d2)<0.5、好ましくは0.15<d1/(d1+d2)<0.4である、UV消毒ボックスシステムに関する。
【0010】
この種のUV消毒ボックスシステムの例は、請求項1の前提部分に記載されているように、特許文献6及び特許文献7に見出され、これらの明細書から、本発明は、壁のうちの少なくとも1つに配置された別個のUV源が、5°から30°の間の角度で底壁に向かって傾斜しているという事実によって区別されている。
【0011】
以下の説明及び好ましい実施形態の概略図から明らかなように、「隣接する壁」という用語は、共通の境界を有する壁として意図され、解釈されるべきである。
【0012】
UV反射率及びUV透過率を特徴付ける好ましい方法は、非特許文献3で概説されているように、積分球(integrating sphere)内での測定によるものである:これは、いわゆる拡散反射率(diffused reflectance)の寄与も適切に評価することを可能にしている。
【0013】
本発明者らは、上述の解決策により、上述の全ての要素の相乗効果のおかげで、1つまたは複数のボックス壁が別個のUV源を有さなくても(好ましい実施形態では、UV源の無いボックス壁の1つが底壁である)、ボックス内に置かれた対象の全ての表面を十分に高いUV照射照度で照射することが可能であることを見出した。これは、通常30秒~6分、最も典型的には40秒~3分に亘る単一の消毒サイクルで、低電力エネルギーで、内部容積Vに曝された全ての対象表面上で、また、別個のUV源に直接面していない表面上で、少なくとも99.9%の病原微生物不活化レベルでの適切な消毒を達成することを可能にしている。
【0014】
適切なUV光源は、UV-C発光ダイオード(UV-C LED)、前述の特許文献4に記載されているようなUVチップ、及び例えばUVエキシマランプのような他のUV-C水銀フリーランプである。UVチップの使用は、第1のピークが260~280nmの範囲にあり、第2のピークが290~310nmの範囲にあり、主な強度ピークが約265nmにある250~320nmの間の連続的な発光を有する特異的なスペクトルの結果として、細菌及びウイルスに対して強い不活化作用を提供するので好ましい。前記第1及び第2のスペクトル照射ピークの両方を有するUV照射を発する単一の別個のUV源、または前記第1のピークを中心とする照射を発する第1の別個のUV源及び前記第2のピークを中心とする照射を発する第2の別個のUV源を有することが可能である。
【0015】
以下の図を用いて本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によるUVボックスの第1の実施形態の概略図である。
【
図3】
図1に示された第1の実施形態の「展開された(unfolded)」構成における上から見た概略図である。
【
図4A】本発明によるUVボックス構成の2つの概略図と、テストされ、本明細書中で例証された3つの比較例を示す。
【
図4B】本発明によるUVボックス構成の2つの概略図と、テストされ、本明細書中で例証された3つの比較例を示す。
【
図4C】本発明によるUVボックス構成の2つの概略図と、テストされ、本明細書中で例証された3つの比較例を示す。
【
図4D】本発明によるUVボックス構成の2つの概略図と、テストされ、本明細書中で例証された3つの比較例を示す。
【
図4E】本発明によるUVボックス構成の2つの概略図と、テストされ、本明細書中で例証された3つの比較例を示す。
【
図5C】昇降可能なバー形状の変形例としての支持体5010の詳細である。
【
図6】別の実施形態による、
図5A~
図5Cと同様のUVボックス内部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記の図において、示された要素の寸法及び寸法比は、必ずしも正確ではなく、いくつかの場合において、それらは、それらの理解を向上させるために変更されており、特に、ボックス壁の寸法に関するUV源の壁の厚さ及び寸法に非排他的に言及している。更に、電源の電気的接続、電子部品及び駆動ユニットのような、図の理解に必要ではなく、当業者にとって常識的な要素は示されていない。
【0018】
第1の実施形態によるUVボックス100の概略図は、
図1に示され、3つの壁の内面に配置された3対の別個のUV源を有している。UV源131及び132は側壁130にあり、UV源141及び142は反対側の側壁140にあり、UV源121及び122は上壁120にある。他の3つのUVボックス壁、すなわち前壁150、底壁110及び後壁(図示せず)は、そこに取り付けられた別個のUV源を有しておらず、UVボックスは、前壁150が底壁110のみに接続された状態で「開いた」状態で示されている。
【0019】
底壁110と上壁120との間には、UV透過性支持体101が存在し、その位置決めは、消毒されるべき対象物の下からの効率的な照射を確実にするために重要である。このような位置決めは、上述の式0.1<d1/(d1+d2)<0.5によって定義され、すなわち、それは、底壁110と上壁120との間の距離(すなわち、UVボックスの高さ)の10%から50%の間であるべきであり、この条件は、UV透過性支持体101が底壁110に対してある一定の適切な距離に位置している必要性を表している。この点に関して、d1は、支持体101が傾斜している及び/又は平坦な形状を有していない場合の、支持体101と底壁110との間の最小距離を示し、d2は、支持体101及び/又は上壁120が傾斜している及び/又は平坦な形状を有していない場合の、支持体101と上壁120との間の最大距離を示す。
【0020】
図1に示されるように、前壁150は、UVボックス100を開閉するために変位/移動させる必要があるため、UV源の存在がそれらの電源に対していくつかの制約をもたらすので、UV源が無いことが好ましい。別個のUV源121、122は、それらが取り付けられる壁に直交する主成分を有する出射UV照射(outgoing UV radiation)を有していると共に、標準的なUVチップについては100°、標準的なUVLEDについては120°~130°の角度発光分布を有している。
【0021】
第1の側壁130に配置されたUV源131、132及び反対側の側壁140に配置されたUV源141、142は、5°と30°との間に含まれる特定の下方傾斜で取り付けられており、これにより、それらの主要な発光が、取り付け壁130、140に対して垂直ではなく、85°と60°との間に含まれるより小さい角度を形成するように、すなわち、底壁110の方に向けられている。
【0022】
全ての別個のUV源が底壁110に向かって「傾斜した」発光を有する必要は無いが、この要件は、壁、好ましくは側壁に取り付けられた少なくとも全てのUV源によって満たされることに留意されたい。より好ましくは、上壁120に取り付けられたものを除く全ての別個のUV源は、底壁110に向かって傾斜した発光を有している。
【0023】
傾斜したUV発光を達成するための別の方法は、
図2の第2の実施形態に示されており、UVボックスの台形断面形状により内側に傾斜した側壁230、240を有するUVボックス200の構造を概説しており、底壁210よりも小さい上壁220を有している。全てのUV源221、222、223及び241、242、243は、壁220及び240にそれぞれ平行に取り付けられる(すなわち、主要な発光の方向がそれらの取り付け壁に垂直である)が、UV源241、242、243については、主要な発光は、側壁240の傾斜のために、底壁210に向かって傾斜している。底壁210に対するUV源を担持する側壁の傾斜角度は、60°と85°との間である。
【0024】
側壁240は、本発明の傾斜要件を満たすので、側壁230は、第1の実施形態のように底壁210に対して垂直であっても良く、または、好ましい構成が
図2に示されたものであっても、側壁230が別個のUV源を担持する側壁240をミラーリングするものであっても、UV照射の適切な反射に有用である場合には、外側に傾斜していても良い(その場合、断面はより平行四辺形に類似する)。
【0025】
本発明のUVボックスは、それらが請求項1に示されたより一般的な要件を満たす限り、特定の数のUV源またはボックス壁の特定の配置に限定されないことを強調することが重要である。そうは言っても、好ましい構成は、6つの別個のUV源の使用を想定しており、1つの場合には、(
図1の実施形態におけるように)各壁に対して2つのUV源を有する3つの壁に均等に分配され、あるいは、(
図2の実施形態におけるように)各壁に対して3つのUV源を有する2つの壁に均等に分配されている。第2の好ましい構成は、3つの壁に分配された4つの別個のUV源の使用を想定しており、最も好ましくは、上壁の2つのUV源及び各側壁の1つのUV源である。
【0026】
このようなUV源の出力に関して、最も効率的で低消費のシステムは、内部容積Vに対する別個のUV源の累積電力Pの比が0.25から0.60mW/cm3の間を示す。
【0027】
本発明による全てのUVボックスは、ボックスを開閉するための可動パネルのみを備えた剛性構造で製造することができ、あるいは、
図1に示される組み立てられたUVボックス100の展開状態における上方からの図を表す
図3に例示されるように、折り畳み可能/接合可能なパネルで製造することもできる。既に上述したように、UV源131及び132は、ボックスパネル130(第1の側壁)に取り付けられ、UV源141及び142は、ボックスパネル140(第2の側壁)に取り付けられ、UV源121及び122は、ボックスパネル120(上壁)に取り付けられるが、パネル110(底壁)、150(前壁)及び160(後壁)は、UV源を提供しない。UV源と電子制御部品及び動力駆動ユニットとの間の電気接続は、パネル上に配置するか、またはパネル内に埋め込むことができる。
【0028】
図5の例示的な実施形態に示されるように、電子制御構成要素及び電力駆動ユニット(並びに任意の他の電気的または論理的要素)は、その上面がUVボックス500のベース510である容器511内に配置することができ、または代替的にUVボックスのベースに取り付けられる。
【0029】
図3は、ボックスが組み立てられた状態に折り畳むことができるように、既に結合されたパネルを示すが、それらは完全に分離され、適切な接着ストリップを介して一緒に結合することも、ヒンジを介して接続または接続可能にすることもでき、あるいは、パネルに半永久的な接合部を提供して、最初の設定後にボックス壁が完全に分離される必要が無く、折り畳むことができるようにすることができる。パネルが展開されると、システムが容易に保管または輸送され、動作のために容易に再組み立てされるような方法で、好ましくは、その内部容積Vと展開されたボックスの容積との間の比が4~16の範囲であるように、コンパクトで小さな構造を得ることができる。黒丸で表された別個のUV源131、132、141、142は、取り付け壁130、140に対して傾斜しており、白丸で表された別個のUV源121、122は、壁120に対して平行に取り付けられている。なぜなら、これは、一旦組み立てられると、UVボックスの上壁になるからである。
【0030】
分離可能な壁を有するUVボックスの場合、それらは、電子モジュール及びその構成要素も含む適切な容器に保管することができ、この点に関して好ましい解決策は、
図5の容器511である。
【0031】
本発明による全てのUVボックス実施形態が有する共通の特徴は、UVボックス壁の内側表面(すなわち、内部容積Vに面する壁の表面)の高い反射率であり、より具体的には、そのような反射率は、250~350nmの波長範囲において>80%、好ましくは>87%であるべきである。
【0032】
UVボックスの内面に適した材料は、多孔質フルオロポリマー層、特に延伸PTFE(e-PTFE)または多孔質PTFE、具体的にはPorex Virtek(商標)(Porex社によって供給される)であり、平均UV反射率は、0.75mm厚の層で94%、0.5mm厚の層で91%である。特殊なUV反射アルミニウム層もまた、適切な高いUV反射率(90%以上)を有し、例えば、Alanod社によるUV-Cマイクロアルミニウム反射体は90%以上のUV反射率を有し、またはAlmeco社によるナノメータPVD層を有するベガUV-C(Vega UV-C)アルミニウム表面は91%以上のUV反射率を有している。上記のソリューションにより、より高いUV反射率を達成できる。これは、UV光源の数を最小限に抑える上で非常に重要な側面である。この点で、標準的なUVボックスでは通常、標準的なAl反射層が使用され、最大75%のUV反射率を達成していることを強調することが重要である。これは、非特許文献4または非特許文献5(特に
図1を参照)に例示されている。
【0033】
特許文献8に記載されているような消毒のための外部光の放射に基づく装置、または特許文献9及び特許文献10に記載されているような追加の特徴として消毒を伴う照明システムは、消毒を達成するために逆のメカニズム(発光)に依存している。他方、別の可能性は、特許文献11に記載されているように、UV源の移動/回転によって対象全体のUV照射への露光を達成することである。
【0034】
本発明による全てのUVボックス実施形態によって共有されるもう1つの共通の特徴は、250~350nmの範囲において少なくとも70%であるべき、消毒されるべき対象物に対する支持体のUV透過特性である。UVボックス壁の反射率に関して既に概説したように、透過率も積分球によって特徴付けることができる。
【0035】
この効果は、UV透過性材料、例えば、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのポリマー)またはETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)のようなUV透過性フルオロポリマーのような良好なUV透過特性を有するいくつかの薄いフルオロポリマー箔(典型的には、120~300μmの範囲の厚さを有する)を使用して達成することができる。これらの例示的な材料を用いて、70%より高い支持体のUV透過率を達成することが可能であり、例えば、0.18mm厚のTHV支持体は、75%より高いUV透過率を有している。
【0036】
また、UV透過性合成ガラスの特別な薄板を有用に使用することができるが、それらは、通常、より脆弱であり、機械的衝撃に対して敏感であるため、あまり好ましくない。別の解決策は、空隙対充填比(void-to-fill ratio)が3~200を含むネット構造を使用することである。
【0037】
支持体は、適切な高さの適切な柱によって支持される独立した要素であっても良く、またはボックス内部構造の適切な溝に挿入される平坦な要素であっても良く、あるいは、支持体は、折りたたみ可能/分離可能なパネルで作られたボックスの折りたたみを可能にするために、側壁にヒンジで固定されている。この場合、UVボックスのアセンブリが2つの半値幅支持体(half-width support)を一緒にすることによって支持体の形成をもたらすように、それぞれが壁にヒンジ結合された2つの半値幅支持体を有する可能性も想定される。
【0038】
支持体のための別の好ましい解決策が
図5に示されており、底壁510に結合された、またはそれを形成する容器511を有する、前部及び右側のパネルが除去されたUVボックス500の斜視図を示す。UV源521、522、531、532は、それぞれ、2つの隣接する壁、すなわち、上壁520及び側壁530に配置されている。底部容器511は、UVボックスエレクトロニクス、制御及び電力供給手段(図示せず)を含む。UVボックス500において、支持体は、底壁510に回転可能に取り付けられた一連の昇降可能な細長い横方向要素(バー)501、501’、501’’、501’’’によって作られ、それらの各々は、それらを底壁510の所定の位置にロック/ロック解除するための従来のシステム(図示せず)を有している。
【0039】
図5Bは、点線で表された「静止」状態と実線で示された持ち上げられた状態の2つの位置にある単一の昇降可能要素501を詳細に示す。
【0040】
本発明は、任意の数の昇降可能要素、特定の材料または形状、あるいは横方向の配置に限定されないことを強調しておく。昇降可能なバー形状に関しては、興味深い変形例が
図5Cの部分正面図に示されており、支持体5010は、より狭い寸法を有する円筒状の対象、例えば温度計のローリングを回避するのに有用な凹部5011を提示している。
【0041】
全ての昇降可能要素は、制御されても良く、すなわち、別々にまたは交互に昇降されても良く、それらのうちの1つ、好ましくは、開口壁に近いもののような最も容易にアクセス可能なものを昇降させるだけで、他のものも昇降位置に移動されるように、それらは一緒に接続されても良い。例えば、
図6の斜視図に示されるように、UVボックス600は、任意の適切な方法でバーに回転可能に固定された連結ロッド6010によって互いに連結された4つの昇降可能なバー601、601’、601’’、601’’’を提示している。
【0042】
最後に、この実施形態では、UVボックスの底壁及び上壁からの支持体の距離の関係は、UV照射によって処理される対象の静止面を画定する持ち上げられた要素部分から測定されるべきであることを強調しておく。
【0043】
好ましい実施形態では、UVボックスは、再充電可能なバッテリを介して電力供給され、最も適切な変形例では、UVボックス壁の外面に取り付けられた1つ以上のソーラーパネルを介して電力供給されている。必要に応じて、充電コントローラを使用して、充電及び放電サイクルを最適化することができる。
【0044】
バッテリ、並びにスイッチ及びユーザインターフェースパネルを有する任意の駆動または制御電子機器は、UVボックスから分離可能な要素であっても良く、またはより好ましくは、UVボックスに永久的に接続することができ、この後者の解決策は、折り畳み可能または組み立て可能なUVボックスの場合に好ましいものである。
【0045】
本発明によるUVボックス内に有利に存在する任意選択の要素は、ボックスが開いているときにUV源をスイッチオフする安全インターロックスイッチであり、ボックスが適切に組み立てられていない場合、またはボックスが消毒プロセス中に偶然開いた場合にボックスに電力を供給することを回避している。また、関連性があまりない場合でも、UVセンサまたは露出計(exposure meter)が搭載されている場合がある。
【0046】
本発明、その原理及び利点は、以下の非限定的な実施例によって更に説明される。
【実施例1】
【0047】
直方体形状で、消毒容積寸法が約30cm×15cm×15cm(L×W×H)の折りたたみ式UVシステム内で発生するUV放射照度を測定するために、光度測定(photometric measurement)を実施した。システムは、
図1に示す構成に従って、3Wの累積電力P(比P/V=0.44mW/cm
3)によって電力供給される6つのUV源を装備した。壁は、厚さ0.75mmの高UV反射多孔質PTFE層(Porex Virtek(商標)のフォイル)でコーティングされ、UV源は、それぞれ10mWのUV出力を有し、265nmを中心とする発光ピーク及び305nmを中心とする第2のより低いピークを有する照射を発生する、LightLab Sweden ABによって製造されたUVチップであった。消毒容積内のUV放射照度は、200~370nmの範囲で良好な応答性を有するのに適し、較正され、適切な取得システムに接続されたUVセンサモジュールUVM-30Aによって測定された。
【0048】
センサを上部UV源の方向に上向きにして、ベースから約4cmの高さでシステムの中央領域で測定したUV放射照度の値は140μW/cm2以上であった。UV放射照度の値はまた、180μmの厚さのUV透過THV支持体上にセンサを配置することによって、UVボックスの中央領域で測定され、その敏感な領域はボックスベースに面している、すなわち、アクティブなUV発生の無い表面に面している。この配置は、直接的なUV照射に曝されるのではなく、壁の反射率の高い内面への(多重)反射を介して入射するUVにのみ曝される3Dオブジェクトの表面に起こることを反映している。
【0049】
ベースからの支持体の異なる距離に対して測定されたUV放射照度の平均値、及び最高測定値(116μW/cm2)に正規化した同じUV放射照度の相対値を以下の表1に報告する。
【0050】
【0051】
本発明によって特定される距離範囲、すなわち、0.1<d1/(d1+d2)<0.5を有する場合にのみ、70より高い相対的なUV放射照度が達成可能であることを観察することが可能であり、そのような値は、効率的なUVボックスシステムの閾値として定義されている。なぜなら、より低い値は、反射された照射によってもたらされる消毒作用が低すぎるからである。また、好ましい実施形態によるUVシステム、すなわち、0.15<d1/(d1+d2)<0.4を有するUVシステムは、高められた効率を示し、より具体的には、相対的なUV放射照度が85を十分に上回ることを観察することも可能である。
【実施例2】
【0052】
光度測定を実施して、実施例1に記載された直方体の形状及び寸法を有するが、UVシステムの概略
図C1、C2、S1、C3、S2の
図4A~
図4Eに示されるようにUV源の配置が異なる、同じ折りたたみ式UVシステム内で生成されたUV放射照度を決定した。
・A)比較例C1:6つのUV源を、UVシステムの上壁である単一の壁に、互いに等距離に配置し、発さられるUV照射の主成分を取付け壁面とボックスベースの両方に直交させる。
・B)比較例C2:2つの連続した3つのUV源が、壁の縁から等距離になるように、2つの隣接する壁、すなわち側壁及び上壁の中央領域に取り付けられており、この場合も、主なUV照射が取り付け壁に直交している。
・C)実施例S1:UV源の配置は比較例C2と同じであるが、UV源は底壁に向かって10°傾斜して側壁に取り付けられている。
・D)比較例C3:この場合、3つの連続した2つのUV源が3つの壁、上壁及び2つの隣接する側壁に取り付けられ、各壁において、UV源は互いに等距離にあり、壁の中央領域に取り付けられ、主要な発光が取り付け壁に直交している。
・E)実施例S2:UV源の配置は比較例C3と同じであるが、UV源は底壁に向かって20°傾斜して側壁に取り付けられている。
【0053】
システム内のUV放射照度は、同じUVセンサモジュールUVM-30Aを用いて、実施例1と同じ方法で測定した。次いで、UV源が両方の側壁に存在するが、センサの正面には直接存在しない構成D)及びE)の場合を除いて、UV源が存在しない後壁、次いで側壁に面するようにセンサを90°回転させることによってもUV放射照度を測定した。追加のUV測定は、構成B)及びC)ではUV源の無い側壁から3.5cmに、または構成D)及びE)ではいずれかの側壁からUVセンサを配置することによって実施した。
【0054】
異なる構成に対して測定された相対的なUV放射照度の平均値(最高値に正規化)を以下の表2に報告する。
【0055】
【0056】
上記の相対値から、複数の壁に光源を有する構成は、単一の壁に光源を取り付ける構成(比較例C1)よりも良好であり、全ての方向において反射された照射のより均一な分布を有することが分かる。更に、消毒される対象がかさばる場合、単一の壁にUV源を取り付けることは、反射された照射を著しく減少させる対象によって誘発される大きな影効果(shadow effect)をもたらすことに留意しなければならない。
【0057】
更に、より多くの壁(D及びEのように3つの壁)に分散された光源を有する構成は、より少ない壁(B及びCのように2つの壁)に分散された光源を有する構成よりも良好であり、いずれの場合も、側壁のUV光源を傾斜させて、それらの主要な発光の方向と、上壁に取り付けられたUV光源からの主要な発光の方向との間に70°~80°の角度を生じさせることは、反射された照射の強度を改善するのに適している。実際、同じ構成で得られた結果を直接比較すると、比較例C2は実施例S1よりも悪く、比較例C3は実施例S2よりも悪い。
【0058】
60°より低い角度、すなわち、ベースに向かって30°以上傾斜して側壁に取り付けられたUV源の場合、反射された照射に対する追加の利点は大きくないことが分かった。
【実施例3】
【0059】
異なる反射コーティング層を有する実施例S1のUVシステム構成を用いて、追加の光度測定を実施した。
a)UV領域の平均反射率が90%に近いアルミニウム反射シート;
b)UV領域の平均反射率が94%である0.75mm厚の多孔質PTFE層(Porex Virtek(商標)のフォイル)。
【0060】
UV放射照度を実施例1のように測定し、相対的なUV放射照度の平均値は、コーティングb)に対してコーティングa)で7%低かった。
【0061】
従って、最良のコーティングは、0.75mm厚の高反射性多孔質PTFEによって示され、好ましいコーティング厚は、0.20~1.50mmである。
【0062】
アルミニウムのUV反射率を改善するためには、例えばスパッタリングによって作製された厚さ500nmまでの高純度(>99.9%)金属コーティングが適切であることが確認されており、この目的及び効果のためには、Al及びAgが好ましい金属である。
【実施例4】
【0063】
本発明の第2の実施形態に従って製造されたシステム、すなわち、底壁の寸法が22cm×30cm、上壁の寸法が15cm×30cm、高さが約14cmの台形断面を有する実施例S3として定義されるシステムを評価し、上壁及び反射率<80%の標準Al表面上にUV源を有する市販のシステムと比較した。S3システム及び市販の比較例C4~C6の主な特徴を以下の表3に強調し、99.9%の消毒レベルを達成するのに必要な時間として意図された性能を以下の表4に報告する。
【0064】
【0065】
【0066】
本発明によるシステムが最速のものであるだけでなく、最大の内部容積を有するものであっても、同等のサイズのもの(C5)に対して半分未満の累積出力を必要とし、単位容積当たりの出力(P/V)比が最も低い最も効率的なシステムとなることを観察することが可能である。
【0067】
上記の実施例はそれぞれ、本発明のUVボックスの特定の特徴の効果を検討したものであるが、それらの共存及び相乗効果により、先行技術のものに対して強化された特性を有するUV消毒ボックスシステムを達成することができる。
【国際調査報告】