(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】強迫性障害に対する経頭蓋磁気刺激(TMS)療法の補助的D-シクロセリン増強
(51)【国際特許分類】
A61K 31/42 20060101AFI20241018BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20241018BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K31/42
A61P25/18
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529972
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 CA2022051708
(87)【国際公開番号】W WO2023092219
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523444073
【氏名又は名称】エムシージーアールエックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクギアー、アレキサンダー ロバート アンガス
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC67
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA15
4C086ZA18
(57)【要約】
強迫性障害(OCD)に対する経頭蓋磁気刺激(TMS)療法の補助的D-シクロセリン(DCS)増強が提供される。また、患者のOCDを治療するため、及び/又は、認知機能を含めたOCDの1つ以上の症状、及びうつ病などのよく見られる合併症を改善する及び/又は緩和する及び/又はその頻度を減らすため、間欠する又は連続するθバースト刺激、高頻度又は低頻度刺激又はこれらの組み合わせをD-シクロセリン(DCS)と併せて含む組み合わせ療法及び治療方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強迫性障害(OCD)の治療方法であって、OCDに対する経頭蓋磁気刺激(TMS)療法を増強するために、任意選択で間欠する又は連続するθバースト刺激、高頻度又は低頻度刺激、及びこれらを組み合わせ、OCDの1つ以上の症状を改善及び/又は緩和する及び/又はその頻度を減らすために、補助的D-シクロセリン又はD-シクロセリンの薬剤的に許容できるエステル、又はアルキル化されたD-シクロセリン、又はD-シクロセリンの薬剤的に許容できる前駆物質を投与するステップを含む方法。
【請求項2】
患者のOCDを治療する及び/又はOCDの1つ以上の症状を改善する及び/又は緩和する及び/又はその頻度を減らす方法であって、前記患者に低服用量のD-シクロセリンを、任意選択で患者当たり1~250mg投与するステップと、前記患者に経頭蓋磁気刺激、任意選択で間欠する又は連続するθバースト刺激、高頻度又は低頻度刺激、及びこれらの組み合わせを供するステップと、を含む方法。
【請求項3】
間欠する又は連続するθバースト刺激、高頻度又は低頻度刺激、及びこれらの組み合わせを任意選択で使用する、強迫観念及び強迫行為を含めたOCDの症状を改善する経頭蓋磁気刺激補助剤としての使用のためのD-シクロセリン又はN-メチル-D-アスパラギン酸受容体作用薬又は部分N-メチル-D-アスパラギン酸受容体作用薬。
【請求項4】
前記低服用量は、1~30μg/mLの血漿D-シクロセリン濃度を実現するのに十分な服用量のD-シクロセリンである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
血漿D-シクロセリン濃度が1~30μg/mLであるとき、前記患者は間欠する又は連続するθバースト刺激、高頻度又は低頻度刺激、及びこれらの組み合わせに供される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
経頭蓋磁気刺激、任意選択で間欠する又は連続するθバースト刺激、高頻度又は低頻度刺激、及びこれらの組み合わせを使用したOCDの治療における補助的使用を支持するため6時間以内に1~30μg/mLの最高血漿レベルを実現するように配合されたD-シクロセリン。
【請求項7】
実行機能及び認知制御を含めたOCDにおける認知障害を改善し及び/又は元に戻す及び/又は部分的に元に戻す方法であって、患者に低服用量のD-シクロセリンを投与するステップと、前記患者に経頭蓋磁気刺激、任意選択で間欠する又は連続するθバースト刺激、高頻度又は低頻度刺激、及びこれらの組み合わせを供するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、強迫性障害(OCD)を治療する方法に関し、より詳細には、θバースト刺激(TBS)又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせを含む、強迫性障害(OCD)に対する経頭蓋磁気刺激(TMS)療法の補助的D-シクロセリン(DCS)増強に関する。
【背景技術】
【0002】
強迫性障害(OCD)は、繰り返し起こる侵入思考(強迫観念)及び儀式的行動(強迫行為)を特徴とする全般的能力障害の重大な原因である。一般集団中の有病率は約3%である1、2。これは、特に50歳未満の者について3、全般的能力障害の主因の一つとして位置付けられており、過去25年間で全般的障害調整生存年数に占める割合が増加している3。OCDは、直接及び間接的に多大な社会的費用負担を伴う4。
【0003】
患者の40~60%については、エビデンスベースの薬物療法又は心理療法にもかかわらず、その症状に大きな改善が見られないため5、過去の治療方法が不成功に終わった、又は良好に忍容されなかった患者において、OCDを治療する方法が必要とされている。
【0004】
OCDの中核症状に加えて、OCDには、考慮する必要のある他の重要な特徴がある。OCDとの関連性について認識不足であるのが、自殺念慮及び自殺行動である。横断的標本では、28%にも上る患者が現在自殺念慮を抱えており6~8、生涯自殺企図率は9~27%である6~8。4年という短いフォローアップ期間の前向き研究で患者の5%における自殺企図及び患者の0.9%における自殺による死亡が報告されるとおり9、横断的標本はリスクの重大さについて誤った印象を与える。
【0005】
更に、OCDのこうした臨床的特徴には、幾つかの帰結をもたらす認知機能障害がある。OCDにおける神経心理学的検査では、特に、実行機能、次元外移行、作業記憶及び空間記憶が関係する検査で、幾つかの認知ドメインの機能障害が実証される10~12。これらは概して予後不良因子と見なされ13、既存の治療では改善しないものである14。これらはOCDで必要とされる治療における大きな課題に相当する。
【0006】
不応者に対する従来治療に代わるものとして、非侵襲性脳刺激を使用して皮質-線条体-皮質回路の異常が標的とされている。詳細には、OCDに関係があるとされている脳領域の非侵襲性反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)が、薬物療法から利益を受けなかった、又はそれを忍容しなかった個体に対する治療選択肢として出現している。OCDにおけるrTMSでの臨床反応率は、シャム刺激の18%と比較して約45%である15。
【0007】
よって、rTMSでも不十分な治療アウトカムが生じるため、OCDに対するrTMSを亢進させる方法が必要とされている。
【0008】
シナプス可塑性は、rTMSがOCD症状に改善を生じさせる機構であると考えられている。詳細には、薬理学的研究によれば、θバーストプロトコルrTMSプロトコルTBSによる可塑性は、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)依存性であることが示されている16。NDMAR作用薬は曝露及び反応予防療法の補助剤として使用されているが、十分に検出力のある試験では、この形態の心理療法による臨床的有益性のエビデンスは見つかっていない17~20。これは、この治療の機構がシナプス可塑性及び/又は皮質-線条体-皮質回路を直接標的とするものでないことが原因であり得る。皮質-線条体-皮質回路を標的とするrTMSと組み合わせて補助的NMDAR作用薬を対にすれば、OCDにおけるrTMSの効能が改善するかもしれない。
【0009】
この背景情報は、本発明に関連する可能性があると本出願人が考える情報を公知のものとする目的で提供される。先述の情報のいずれかが本発明に対抗する先行技術を構成することを認めるという意図は必ずしもなく、またそのように解釈されてはならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、強迫性障害に対する経頭蓋磁気刺激(TMS)療法の補助的D-シクロセリン(DCS)増強を提供することである。本発明のある態様では、患者の強迫性障害(OCD)を治療する方法及び/又はOCDの1つ以上の症状を改善及び/又は緩和する及び/又はその頻度を減らす方法であって、患者に低服用量のD-シクロセリンを投与するステップと、患者に間欠するか又は連続するかのいずれかのθバースト刺激(TBS)、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせを供するステップと、を含む方法が提供される。
【0011】
本発明の別の態様では、強迫性障害(OCD)に関連する自殺念慮及び自殺リスクを減らす方法であって、患者に低服用量のD-シクロセリンを投与するステップと、患者に間欠するか又は連続するかのいずれかのθバースト刺激(TBS)、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせを供するステップと、を含む方法が提供される。
【0012】
本発明の別の態様では、強迫性障害(OCD)に関連する認知機能障害を減らす方法であって、患者に低服用量のD-シクロセリンを投与するステップと、患者に間欠するか又は連続するかのいずれかのθバースト刺激(TBS)、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせを供するステップと、を含む方法が提供される。
【0013】
本発明の別の態様では、D-シクロセリンを、任意選択でθバースト刺激(TBS)、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらを組み合わせ、経頭蓋磁気刺激補助剤として使用する方法が提供される。
【0014】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付の図面が参照される以下の詳細な説明において更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】単回の及び間隔を空けて繰り返すiTBS後の、ニューロン動員の変化の指標である刺激反応曲線の傾きの変化を試験する無作為化偽薬対照クロスオーバー試験(n=20)からの運動皮質TMS可塑性データを示す。このデータは、iTBS+偽薬条件では、単回iTBS後の刺激反応曲線の変化は一過性であり、iTBSを繰り返しても増幅しない一方、DCSと共に送達したとき、単回iTBS後の刺激反応曲線の傾きの変化は安定しており、iTBSを間隔を空けて繰り返すと増幅することを指し示している。傾きは、ベースライン刺激反応曲線の傾きで正規化している。エラーバーは平均値の標準誤差を指示している。
【
図2】中等度重度OCD患者における二重盲検偽薬及びシャム対照無作為化比較対照試験データを示す。これは4群デザインであり、iTBS+偽薬、iTBS+DCS(100mg)、シャムiTBS+DCS(100mg)及びシャムiTBS+偽薬が関わる。事前計画分析に従い、シャムiTBS+DCS及びシャムiTBS+偽薬をプールする。iTBS+DCS群は、iTBS+偽薬及びプールシャム群の両方と比較してYBOCSスコア(OCD症状重症度スコア)の有意に大きい改善を示す。iTBS+DCS対iTBS+偽薬
*p<0.05
**p<0.01;iTBS+DCS対シャムiTBSプール
##p<0.01、
###p<0.001。エラーバーは平均値の標準誤差を指示している。
【
図3】
図1のとおりの、中等度重度OCD患者における二重盲検偽薬及びシャム対照無作為化比較対照試験データを示す。iTBS+DCS群は、臨床全般印象度-改善尺度(CGI-I)によるときシャムiTBS群と比較して有意に大きい改善を示す一方、iTBS+偽薬群は改善を示さなかった。iTBS+DCS対シャムiTBSプール。
**p<0.01。エラーバーは平均値の標準誤差を指示している。
【
図4】
図1のとおりの、中等度重度OCD患者における二重盲検偽薬及びシャム対照無作為化比較対照試験データを示す。iTBS+DCS群は、シャムiTBS群と比較してうつ病(MADRS)スコアの有意に大きい改善を示す一方、iTBS+偽薬群は改善を示さなかった。iTBS+DCS対シャムiTBSプール。
**p<0.01。エラーバーは平均値の標準誤差を指示している。
【
図5】
図1のとおりの、中等度重度OCD患者における二重盲検偽薬及びシャム対照無作為化比較対照試験データを示す。ウィスコンシンカード分類課題は、一貫してOCDに関係があるとされている実行機能変化、即ち保続性誤り率を捕捉する。二元配置反復測定ANOVAによれば、有意な群×時間相互作用が指示され(F(2,10)=12.97、p=0.0017)、ここでiTBS+DCS治療の参加者は保続性誤り率の有意な低下を示すが、iTBS+偽薬又はシャムiTBS治療の参加者は低下を示さない。エラーバーは平均値の標準誤差を指示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
TBS及び他のTMSプロトコルのような標的化した神経刺激治療には、シナプス可塑性と称される脳の活動依存的変化を駆動するため刺激トレインを送達することが含まれる。TBSの効能は、可塑性機構及びN-メチル-D-アスパラギン酸受容体に依存する16。しかし、精神神経障害ではTMS関連の可塑性が損なわれていることを指し示す幾つかの系統のエビデンスがあり21~23、OCDは、TMSで決定したときの皮質興奮性の一貫した変化と関連付けられている24~29。TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせに対する反応性は、OCD患者のTMS関連の可塑性を改善することにより改善し得る。
【0017】
従って、本発明の一実施形態は、TMS関連の可塑性を増加させるためのTBS及び他のTMSプロトコルの補助療法を提供する。任意選択で、TMS関連の可塑性の増加には、神経突起密度を含めた微細構造変化の増加、機能及び分岐の変化並びに神経代謝産物濃度の変化が含まれる。
【0018】
よって、一実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせ30を補助療法と組み合わせることによるTMS関連の可塑性の改善が、患者のOCDを治療する方法及び/又はOCDの1つ以上の症状を改善し及び/又は緩和する及び/又はその頻度を減らす方法において用いられる。OCDの1つ以上の症状には、強迫観念及び強迫行為が含まれる。
【0019】
一実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせを補助療法と組み合わせることによるTMS関連の可塑性の改善が、うつ病を含めた、OCDのよく見られる合併症を治療する方法、及び/又はそれらの合併症の症状の1つ以上の症状を改善し及び/又は緩和する及び/又はその頻度を減らす方法において用いられる。うつ病の1つ以上の症状には、悲しみの気持ち、涙ぐむ、絶望感、短気、刺激作用、目的の喪失/喜びの欠如、記憶喪失、平坦な情動、睡眠障害、疲労、食欲減退及び体重減少及び/又は無価値感が含まれる。
【0020】
一実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせを補助療法と組み合わせることによるTMS関連の可塑性の改善が、OCD患者の認知的柔軟性、実行機能、及び/又は作業記憶を改善し又は回復させる方法及び/又はOCD患者の認知障害を改善し又は元に戻す若しくは部分的に元に戻す方法において用いられる。
【0021】
一実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせを補助療法と組み合わせることによるTMS関連の可塑性の改善は、OCD患者の自殺又は自殺念慮のリスクを減らす方法において用いられる。一部の実施形態において、患者は自殺企図歴を有する。
【0022】
適切なTBSプロトコルは当該技術分野において公知であり、効能に関してシャム対照比較によるエビデンスがあるプロトコルが挙げられる。iTBS刺激頻度は、現在利用可能な技術で一定であるか(3パルス50Hzバーストを5Hzで2秒トレイン、トレインは10秒毎)又はcTBSについて連続する(3パルス50Hzバーストを5Hzで連続的に)。1回の治療当たりの総パルス数及び治療強度は様々であり得る。1回の治療当たりのパルス数は約600~約1800である。一部の実施形態において、各治療に600パルスが含まれる。他の実施形態において、各治療に1200パルスが含まれる。なおも他の実施形態において、各治療に1800パルスが含まれる。強度は、運動閾値の約80%~約120%まで様々であってよい。好ましい実施形態において、強度は運動閾値の約80%~90%である(rMT)。
【0023】
適切な高頻度刺激プロトコルは当該技術分野において公知であり、効能に関してシャム対照比較によるエビデンスがあるプロトコルが挙げられる。高頻度刺激プロトコルには、5Hz以上で約40パルスのトレインが含まれ、インパルス列間隔は約10~30秒である。強度は、運動閾値の約80%~約120%まで様々であってよい。好ましい実施形態において、強度は、安静時運動閾値の約100%~120%である。
【0024】
適切な高頻度刺激プロトコルは当該技術分野において公知であり、効能に関してシャム対照比較によるエビデンスがあるプロトコルが挙げられる。低頻度刺激プロトコルには、300~2400パルスの範囲の、約1Hzでのパルストレインが含まれる。強度は、運動閾値の約80%~約120%まで様々であり得る。好ましい実施形態において、強度は安静時運動閾値の約100%~120%である。
【0025】
一部の実施形態において、1日に1回のiTBS治療が行われる。他の実施形態において、毎日複数回のiTBS治療が行われ、任意選択で毎日2~10回の治療が行われる。
【0026】
一部の実施形態において、iTBS、cTBS及び他のTMSプロトコルは、1~52週間の治療にわたって送達される。一部の実施形態において、iTBSは、再発を防止するため急性治療の経過後も提供され続ける。
【0027】
TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせに関連するシナプス可塑性は、可塑性において主要な役割を果たすイオンチャネル型グルタミン酸受容体32である、NMDARシグナル伝達を必要とする16、31。グルタミン酸塩が結合すると、この四量体受容体で膜脱分極が始まり得るとともに、カルシウムシグナル伝達を通じた細胞内メッセンジャーカスケード、遺伝子発現及びタンパク質合成が始まり、シナプス結合の強度が変化する33。NMDARの細胞表面発現は、それ自体が動的に調節され、シナプス強度を急性及び慢性ストレスに特異的な形で長期調節する二次機構を提供する34、35。よって、本発明の一実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせの補助療法は、NMDARシグナル伝達を通じたTMS関連の可塑性を増加させることである。16、31
【0028】
一実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせと、NMDAR作用薬又は部分作用薬との組み合わせが、OCD患者の自殺又は自殺念慮のリスクを減らす方法において用いられる。一部の実施形態において、患者は自殺企図歴を有する。
【0029】
本発明の一部の実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせの補助療法としてNMDAR作用薬又は部分作用薬を使用して、NMDAR作用薬又は部分作用薬が、各治療の直前又はそれと同時に提供される。
【0030】
D-シクロセリン(DCS)は、NR2C NMDARサブユニットのグリシン部位に優先的に結合する部分NMDAR作用薬である36、37。
【0031】
一実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせと、D-シクロセリン(DCS)との組み合わせが、患者のOCDを治療する方法及び/又はOCDの1つ以上の症状を改善し及び/又は緩和する及び/又はその頻度を減らす方法において使用される。
【0032】
一実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせと、D-シクロセリン(DCS)との組み合わせが、全体的な認知機能を改善する方法及び/又はOCD患者の作業記憶又は実行機能/認知制御における特異的認知障害を改善し/回復させる方法において使用される。
【0033】
一実施形態において、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせと、D-シクロセリン(DCS)との組み合わせが、OCD患者の自殺又は自殺念慮のリスクを減らす方法において使用される。一部の実施形態において、患者は自殺企図歴を有する。
【0034】
従って、本発明の一実施形態は、TMS関連の可塑性を増加させるための、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせの補助療法としてのD-シクロセリン(DCS)を提供する。
【0035】
本発明の実施形態において、DCSは、毎日のTBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせの直前又はそれと同時に毎日の用量として1~52週間にわたって提供される。一部の実施形態において、DCSは、iTBS治療の15分未満前、約15分前、約30分前、約45分前、約60分前、約90分前、約120分前、又は約360分前である。任意選択で、TBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせの治療のタイミングは、DCSの血漿レベルに依存する。よって、一部の実施形態において、iTBS又はcTBS治療の開始前にDCSの血漿レベルが最小閾値を上回っていなければならない。任意選択で、最小閾値は10μg/mLである。
【0036】
一部の実施形態において、本発明の方法は、低服用量D-シクロセリン(DCS)を含む。低服用量D-シクロセリン(DCS)は、約1~250mgの範囲の服用量のDCSを含む。好ましい実施形態において、服用量は約50mg~約150mgのDCSの範囲である。D-シクロセリンの適切な服用量は、患者の体重に基づいてもよく、又は1~30μg/mLの血漿濃度を生じさせるものであってもよい。任意選択で、D-シクロセリンの血漿濃度はTBS、又は高頻度若しくは低頻度刺激、又はこれらの組み合わせの治療前に評価される。
【0037】
一部の実施形態において、D-シクロセリンは、D-シクロセリンの薬剤的に許容できる塩、D-シクロセリンの薬剤的に許容できるエステル、アルキル化されたD-シクロセリン、又はD-シクロセリンの薬剤的に許容できる前駆物質として提供される。
【0038】
一部の実施形態において、D-シクロセリンは医薬組成物として提供され、薬剤的に許容できる担体又は希釈剤を含み得る。
【0039】
D-シクロセリンを含む医薬組成物は、経口、静脈内、経粘膜(例えば、鼻腔、膣内等)、肺、経皮、眼内、頬側、舌下、腹腔内、くも膜下腔内又は筋肉内など、幾つかの経路のいずれか、又は組み合わせによって患者に投与することができる。一部の実施形態において、医薬組成物は、即効性の吸収及び分布用に配合される。
【0040】
錠剤、カプセル、スプリンクル製剤、及び経口懸濁液など、経口、舌下、又は頬側医薬製剤が好ましい。一部の実施形態において、経口投与用の固形組成物は、コーンスターチ、ゼラチン、ラクトース、アカシア、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、脂質、アルギン酸、又は制御された徐放用の原料など、好適な担体又は賦形剤を含有し得る。使用することのできる崩壊薬としては、限定なしに、微結晶性セルロース、コーンスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム及びアルギン酸が挙げられる。使用することのできる錠剤結合剤としては、限定なしに、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプン、及びエチルセルロースを挙げることができる。
【実施例1】
【0041】
D-シクロセリンは経頭蓋磁気TBS後の単回治療後又は間隔を空けて繰り返す治療後の運動可塑性を安定化させる。
【0042】
NMDA-R部分作用薬であるD-シクロセリンが、単回の及び間隔を空けて繰り返すTBS治療後のTMS運動可塑性を亢進させることができるかどうかを評価するため、健常参加者における無作為化二重盲検偽薬対照クロスオーバー試験を完了した。
【0043】
方法:健常参加者(n=20)における無作為化二重盲検偽薬対照クロスオーバー研究を行った(NCT05081986)。参加者は本研究を2つの別々に分けた実験セッションで完了した。これらの実験では、TMS間欠θバースト刺激(iTBS)を使用して運動皮質を2回、介入間に1時間の間隔を置いて刺激した。順不同で、これを偽薬又はD-シクロセリン(100mg)を補助剤として行い、次に少なくとも1週間の後に逆にした。
【0044】
ニューロナビゲーションソフトウェア(ANT Neuro、独国)を使用して参加者の体表解剖学的マーカーをテンプレート磁気共鳴脳画像に登録することにより、実験全体を通じたニューロナビゲーション及び信頼できるターゲティングを可能にした。経頭蓋磁気刺激には、Cool-B70 8の字型コイルによるMagPro X100システム(MagVenture、デンマーク)が関わった。iTBSプロトコルは、80%RMTで8秒インパルス列間隔として5Hzで繰り返される、50Hzで3パルスの20トレインのバーストからなった。
【0045】
iTBSの前及びその後にCED Signal(Cambridge、英国)を使用して第一背側骨間筋からの運動誘発電位(MEP)をサンプリングすることにより、刺激反応曲線を記述した。刺激反応曲線(SRC)は、TMSパルスを0.25Hzで送達し、刺激強度を安静時運動閾値(RMT)の100~150%の間でランダムに変えることにより取得した。各刺激強度につき、合計10パルスを送達した。ベースライン時、初回iTBSの+30分後、+60分後、次に2回目のiTBSの+30後及び+60後に刺激反応曲線(SRC)を特徴付けた。
【0046】
MATLAB(登録商標)を以前記載されたとおりのカスタムで書かれたスクリプトで使用して123、EMGデータをオフラインで分析した。TMSパルス前の100msウィンドウにおける平均値で補正したピーク間振幅を分離した。EMGトレースは、分析に含める前に個別に調べた。分析について、本発明者らは、SRC S字状関数の傾きを特徴付けることにより、動員曲線の変化を決定した。グラフ表示のため、これらをベースラインSRCの傾きで正規化した。
【0047】
結果:
図1を参照すると、偽薬条件における初回iTBS後、SRCは+30分で一過性にシフトし、その後+60分でベースラインに戻る。DCS条件では、+30分における当初のSRCのシフトが+60分においても安定したままである。初回のSRCの60分後に送達された2回目のiTBSについて、偽薬条件では変化は生じなかったが、DCS条件では+30分でSRCの傾きの更なるシフトが生じ、これは+60分においても持続した。
【0048】
結論:NMDA-R作用薬活性は、単回の及び間隔を空けて繰り返すiTBS介入後の刺激反応曲線によって測定したとき、持続的なシナプス可塑性につながる。
【実施例2】
【0049】
DCSをiTBSと組み合わせると、OCDにおける臨床アウトカムが亢進する。
【0050】
iTBSの補助戦略としての100mg DCSの効能を偽薬対照及びシャム対照の両方のアームによる無作為化二重盲検4週間研究において治療後1ヵ月のフォローアップを伴い試験した。この試験は、clinicaltrials.govに登録された、医薬品の臨床試験の実施の基準(Good Clinical Practice)の規格どおりに行われた治療後1ヵ月における二重盲検無作為化偽薬対照及びシャム対照試験フォローアップであった。
【0051】
ベースラインから二重盲検治療相の完了までのiTBS+DCS参加者におけるOCD及び抑うつ症状の減少を、iTBS+偽薬及びシャムiTBS治療参加者と比較することになる。
【0052】
参加者を4つの条件:1)実刺激iTBS+DCS、2)実刺激iTBS+偽薬、3)シャムiTBS+DCS、又は4)シャムiTBS+偽薬のうちの1つに2:2:1:1で無作為化した。この研究では、本発明者らは、MagPro X100(MagVenture、デンマーク)TMS装置を、シャム刺激及び実刺激の送達能力を有するCool D-B80A/Pコイルとの組み合わせで利用した。参加者は、毎日のiTBS+シクロセリン、iTBS+偽薬、シャムiTBS+シクロセリン又はシャムiTBS+偽薬のいずれかを4週間にわたって(20rTMSセッション)平日に毎日1回受けた。初回治療の前に、初めに、一次運動野にわたってニューロナビゲーションによるTMSの確立された方法を用いて各対象の運動閾値(MT)が決定されることになる。運動閾値検査と呼ばれる短い刺激手順を実施して、rTMSの適切な強度を決定した。10回の試行中少なくとも5回で反対側の長母趾伸筋の不随意運動を誘発するのに必要な最小刺激強度としてRMTを定義した。
【0053】
iTBSプロトコルには、5Hzで繰り返される50Hzバースト;2秒オン及び8秒オフ;80%rMTで送達されるセッション1回当たり600パルスが含まれる38。これは、本発明者らのパイロット運動生理学データで利用された刺激強度である。コイルを長母趾伸筋運動皮質表象の4cm前方に進めることにより、MPFCを目標とすることになる。
【0054】
DCSは、偽薬対照を100mgカプセルにリパッケージングしたものであった。カプセルは各治療の2時間前に経口摂取された39。
【0055】
参加者は毎日TMSを経口偽薬対照経口化合物との組み合わせで(月曜日から金曜日まで)4週間にわたって受けた。
【0056】
ベースライン時、2週間及び4週間で臨床医が参加者を評価した。二重盲検相の間、毎週、自己申告尺度が入手された。実刺激iTBS参加者で治療した参加者についての長期フォローアップを治療終了後1ヵ月間予定した。シャム治療参加者の非盲検化を軽減するため、反応(YBOCSの30%以上の改善)のなかった参加者には4週間の非盲検治療が提供された。
【0057】
主要効能アウトカムは、4週間の治療後の臨床医の評価によるYBOCSを使用したOCD症状の変化である。4週間時点における副次的効能アウトカムには、臨床反応(YBOCSスコアの30%以上の減少)の評価、臨床全般印象度、及び抑うつ症状MADRSの改善、並びに1ヵ月フォローアップ相にわたる効果が含まれる。
【0058】
結果:
図2を参照すると、OCD症状のYBOCS尺度に、iTBS+偽薬群及びシャムiTBS群の両方と比較してiTBS+DCS群に有利な臨床的に有意味な差のある統計的分離がある。こうした効果は急性治療期間の間に見られ、1ヵ月間にわたって持続した。
図3を参照すると、こうした改善に並行して、臨床医の評価による臨床全般印象度尺度によって測定したときのiTBS+DCS群におけるより大きい全般的改善があった。
図4を参照すると、MADRSによって測定したときの抑うつ症状はiTBS+DCS群で有意に大きく改善した。
【0059】
結論:補助的DCSをiTBSと併せると、iTBS+偽薬及びシャムiTBSと比べてOCDの症状、うつ病症状、及び全般的機能が改善する。
【0060】
実施例3:DCSをiTBSと組み合わせると、OCD関連認知障害が低減される。
【0061】
上記の実施例に記載した無作為化二重盲検4週間研究において、OCD関連認知障害を低減し及び/又はOCDにおける認知を改善するためのiTBSの補助戦略としての100mg DCSの効能を試験した。
【0062】
参加者は、ベースライン時及び4週間の治療後に、ウィスコンシンカード分類課題を完了した。予め計画された着眼点は、実行機能、認知的柔軟性及び認知制御の指数としての保続性誤り率にあった。
【0063】
結果:
図5を参照すると、iTBS+DCSで治療した群は保続性誤り率の低下を示し、そしてこの関係の傾きには、iTBS+偽薬及びシャム群における保続性誤り率の変化と比べて有意な差があった。
【0064】
結論:補助DCSをiTBSと併せると、iTBS+偽薬及びシャムiTBSと比べてOCDにおける実行機能及び認知制御が改善する。
【0065】
参考文献
1.Ruscio AM,Stein DJ,Chiu WT,Kessler RC.The epidemiology of obsessive-compulsive disorder in the National Comorbidity Survey Replication.Mol Psychiatry 2010;15(1):53-63.
2.Stein MB,Forde DR,Anderson G,Walker JR.Obsessive-compulsive disorder in the community:an epidemiologic survey with clinical reappraisal.Am J Psychiatry 1997;154(8):1120-1126.
3.Global burden of 369 diseases and injuries in 204 countries and territories,1990-2019:a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019.Lancet 2020;396(10258):1204-1222.
4.DuPont RL,Rice DP,Shiraki S,Rowland CR.Economic costs of obsessive-compulsive disorder.Med Interface 1995;8(4):102-109.
5.Soomro GM,Altman D,Rajagopal S,Oakley-Browne M.Selective serotonin re-uptake inhibitors(SSRIs)versus placebo for obsessive compulsive disorder(OCD).Cochrane Database Syst Rev 2008;2008(1):CD001765.
6.Kamath P,Reddy YC,Kandavel T.Suicidal behavior in obsessive-compulsive disorder.J Clin Psychiatry 2007;68(11):1741-1750.
7.Brakoulias V,Starcevic V,Belloch A,Brown C,Ferrao YA,Fontenelle LF et al.Comorbidity,age of onset and suicidality in obsessive-compulsive disorder(OCD):An international collaboration.Compr Psychiatry 2017;76:79-86.
8.Torres AR,Ramos-Cerqueira AT,Ferrao YA,Fontenelle LF,do Rosario MC,Miguel EC.Suicidality in obsessive-compulsive disorder:prevalence and relation to symptom dimensions and comorbid conditions.J Clin Psychiatry 2011;72(1):17-26;quiz 119-120.
9.Alonso P,Segalas C,Real E,Pertusa A,Labad J,Jimenez-Murcia S et al.Suicide in patients treated for obsessive-compulsive disorder:a prospective follow-up study.J Affect Disord 2010;124(3):300-308.
10.Purcell R,Maruff P,Kyrios M,Pantelis C.Neuropsychological deficits in obsessive-compulsive disorder:a comparison with unipolar depression,panic disorder,and normal controls.Arch Gen Psychiatry 1998;55(5):415-423.
11.Shin NY,Lee TY,Kim E,Kwon JS.Cognitive functioning in obsessive-compulsive disorder:a meta-analysis.Psychol Med 2014;44(6):1121-1130.
12.Chamberlain SR,Solly JE,Hook RW,Vaghi MM,Robbins TW.Cognitive Inflexibility in OCD and Related Disorders.Curr Top Behav Neurosci 2021;49:125-145.
13.D’Alcante CC,Diniz JB,Fossaluza V,Batistuzzo MC,Lopes AC,Shavitt RG et al.Neuropsychological predictors of response to randomized treatment in obsessive-compulsive disorder.Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 2012;39(2):310-317.
14.Bannon S,Gonsalvez CJ,Croft RJ,Boyce PM.Executive functions in obsessive-compulsive disorder:state or trait deficits? Aust N Z J Psychiatry 2006;40(11-12):1031-1038.
15.Carmi L,Tendler A,Bystritsky A,Hollander E,Blumberger DM,Daskalakis J et al.Efficacy and Safety of Deep Transcranial Magnetic Stimulation for Obsessive-Compulsive Disorder:A Prospective Multicenter Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Trial.Am J Psychiatry 2019;176(11):931-938.
16.Huang YZ,Chen RS,Rothwell JC,Wen HY.The after-effect of human theta burst stimulation is NMDA receptor dependent.Clin Neurophysiol 2007;118(5):1028-1032.
17.Andersson E,Hedman E,Enander J,Radu Djurfeldt D,Ljotsson B,Cervenka S et al.D-Cycloserine vs Placebo as Adjunct to Cognitive Behavioral Therapy for Obsessive-Compulsive Disorder and Interaction With Antidepressants:A Randomized Clinical Trial.JAMA Psychiatry 2015;72(7):659-667.
18.Mataix-Cols D,Turner C,Monzani B,Isomura K,Murphy C,Krebs G et al.Cognitive-behavioural therapy with post-session D-cycloserine augmentation for paediatric obsessive-compulsive disorder:pilot randomised controlled trial.Br J Psychiatry 2014;204(1):77-78.
19.Storch EA,Merlo LJ,Bengtson M,Murphy TK,Lewis MH,Yang MC et al.D-cycloserine does not enhance exposure-response prevention therapy in obsessive-compulsive disorder.Int Clin Psychopharmacol 2007;22(4):230-237.
20.Storch EA,Wilhelm S,Sprich S,Henin A,Micco J,Small BJ et al.Efficacy of Augmentation of Cognitive Behavior Therapy With Weight-Adjusted d-Cycloserine vs Placebo in Pediatric Obsessive-Compulsive Disorder:A Randomized Clinical Trial.JAMA Psychiatry 2016;73(8):779-788.
21.Kuhn M,Mainberger F,Feige B,Maier JG,Wirminghaus M,Limbach L et al.State-Dependent Partial Occlusion of Cortical LTP-Like Plasticity in Major Depression.Neuropsychopharmacology 2016;41(6):1521-1529.
22.Player MJ,Taylor JL,Weickert CS,Alonzo A,Sachdev P,Martin D et al.Neuroplasticity in depressed individuals compared with healthy controls.Neuropsychopharmacology 2013;38(11):2101-2108.
23.Vignaud P,Damasceno C,Poulet E,Brunelin J.Impaired Modulation of Corticospinal Excitability in Drug-Free Patients With Major Depressive Disorder:A Theta-Burst Stimulation Study.Front Hum Neurosci 2019;13:72.
24.Greenberg BD,Ziemann U,Cora-Locatelli G,Harmon A,Murphy DL,Keel JC et al.Altered cortical excitability in obsessive-compulsive disorder.Neurology 2000;54(1):142-147.
25.Greenberg BD,Ziemann U,Harmon A,Murphy DL,Wassermann EM.Decreased neuronal inhibition in cerebral cortex in obsessive-compulsive disorder on transcranial magnetic stimulation.Lancet 1998;352(9131):881-882.
26.Kang JI,Kim DY,Lee CI,Kim CH,Kim SJ.Changes of motor cortical excitability and response inhibition in patients with obsessive-compulsive disorder.J Psychiatry Neurosci 2019;44(4):261-268.
27.Khedr EM,Elbeh KA,Elserogy Y,Khalifa HE,Ahmed MA,Hafez MH et al.Motor cortical excitability in obsessive-compulsive disorder:Transcranial magnetic stimulation study.Neurophysiol Clin 2016;46(2):135-143.
28.Radhu N,de Jesus DR,Ravindran LN,Zanjani A,Fitzgerald PB,Daskalakis ZJ.A meta-analysis of cortical inhibition and excitability using transcranial magnetic stimulation in psychiatric disorders.Clin Neurophysiol 2013;124(7):1309-1320.
29.Richter MA,de Jesus DR,Hoppenbrouwers S,Daigle M,Deluce J,Ravindran LN et al.Evidence for cortical inhibitory and excitatory dysfunction in obsessive compulsive disorder.Neuropsychopharmacology 2012;37(5):1144-1151.
30.Roth Y,Tendler A,Arikan MK,Vidrine R,Kent D,Muir O et al.Real-world efficacy of deep TMS for obsessive-compulsive disorder:Post-marketing data collected from twenty-two clinical sites.J Psychiatr Res 2020;4(20):31065-31067.
31.Brown JC,DeVries WH,Korte JE,Sahlem GL,Bonilha L,Short EB et al.NMDA receptor partial agonist,d-cycloserine,enhances 10 Hz rTMS-induced motor plasticity,suggesting long-term potentiation(LTP)as underlying mechanism.Brain Stimul 2020;13(3):530-532.
32.Traynelis SF,Wollmuth LP,McBain CJ,Menniti FS,Vance KM,Ogden KK et al.Glutamate receptor ion channels:structure,regulation,and function.Pharmacol Rev 2010;62(3):405-496.
33.Popoli M,Yan Z,McEwen BS,Sanacora G.The stressed synapse:the impact of stress and glucocorticoids on glutamate transmission.Nat Rev Neurosci 2011;13(1):22-37.
34.Yuen EY,Liu W,Karatsoreos IN,Feng J,McEwen BS,Yan Z.Acute stress enhances glutamatergic transmission in prefrontal cortex and facilitates working memory.Proc Natl Acad Sci U S A 2009;106(33):14075-14079.
35.Yuen EY,Wei J,Liu W,Zhong P,Li X,Yan Z.Repeated stress causes cognitive impairment by suppressing glutamate receptor expression and function in prefrontal cortex.Neuron 2012;73(5):962-977.
36.Dravid SM,Burger PB,Prakash A,Geballe MT,Yadav R,Le P et al.Structural determinants of D-cycloserine efficacy at the NR1/NR2C NMDA receptors.J Neurosci 2010;30(7):2741-2754.
37.Sheinin A,Shavit S,Benveniste M.Subunit specificity and mechanism of action of NMDA partial agonist D-cycloserine.Neuropharmacology 2001;41(2):151-158.
38.Li CT,Chen MH,Juan CH,Huang HH,Chen LF,Hsieh JC et al.Efficacy of prefrontal theta-burst stimulation in refractory depression:a randomized sham-controlled study.Brain 2014;137(Pt 7):2088-2098.
39.van Berckel BN,Evenblij CN,van Loon BJ,Maas MF,van der Geld MA,Wynne HJ et al.D-cycloserine increases positive symptoms in chronic schizophrenic patients when administered in addition to antipsychotics:a double-blind,parallel,placebo-controlled study.Neuropsychopharmacology 1999;21(2):203-210.
【0066】
本発明は、特定の具体的な実施形態を参照して説明されているが、当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくその様々な改良例が明らかであろう。当業者には明らかであろうとおりのかかる改良例は全て、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【国際調査報告】