(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/824 20210101AFI20241018BHJP
A61M 60/174 20210101ALI20241018BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20241018BHJP
A61M 60/419 20210101ALI20241018BHJP
A61M 60/806 20210101ALI20241018BHJP
【FI】
A61M60/824
A61M60/174
A61M60/237
A61M60/419
A61M60/806
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529976
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2023075748
(87)【国際公開番号】W WO2023179239
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210275303.9
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520245301
【氏名又は名称】シェンジェン コア メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CORE MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】朱繹澄
(72)【発明者】
【氏名】余順周
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD10
4C077DD21
4C077FF04
(57)【要約】
血液ポンプ(10)は、送液キャビティ(130)を有するカニューレアセンブリ(100)と、送液キャビティ(130)内に回転可能に設けられ、収容キャビティ(234)及び送液キャビティ(130)と収容キャビティ(234)とを連通する連通孔(232)が形成されたインペラ(200)と、インペラ(200)に固定接続され、一端部に収容キャビティ(234)内に位置する凸部(320)を有する回転軸(300)と、カニューレアセンブリ(100)に接続され、支持軸(420)を含むベース(400)であって、支持軸(420)の端面(421)によって凸部(320)と係合する凹部(421a)が囲まれ、インペラ(200)とベース(400)との間に流通隙間(240)が形成され、流通隙間(240)が収容キャビティ(234)と連通するベース(400)と、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送液キャビティを有するカニューレアセンブリと、
前記送液キャビティ内に回転可能に設けられ、収容キャビティ及び前記送液キャビティと前記収容キャビティとを連通する連通孔が形成されたインペラと、
前記インペラに固定接続され、一端部に前記収容キャビティ内に位置する凸部を有する回転軸と、
前記カニューレアセンブリに接続され、支持軸を含むベースであって、前記支持軸の端面によって前記凸部と係合する凹部が囲まれ、前記インペラと前記ベースとの間に流通隙間が形成され、前記流通隙間が前記収容キャビティと連通するベースと、を含む、ことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項2】
前記凸部は、球形又は球欠形である、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項3】
前記凸部は、前記端面に当接する凸面を有し、前記凸面の少なくとも一部は、前記凹部に収容される、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項4】
前記支持軸は、外側周面と導流面とをさらに有し、前記外側周面は、前記収容キャビティ内に位置し、かつ前記端面を取り囲んで設けられ、前記支持軸には、前記外側周面及び前記端面を貫通し、かつ前記凹部と連通する導流溝がさらに形成され、前記導流面は、前記外側周面と前記端面とを接続し、かつ前記導流溝の一部の境界を画定する、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項5】
前記回転軸から離れる方向に沿って、前記導流面から前記支持軸の中心軸線までの距離が徐々に大きくなる、ことを特徴とする請求項4に記載の血液ポンプ。
【請求項6】
前記導流面は、前記支持軸の周方向に沿って配列された中間導流部及び2つのエッジ導流部を含み、前記中間導流部は、2つの前記エッジ導流部の間に接続され、前記中間導流部は、前記支持軸の中心軸線から離れる方向に突起し、前記エッジ導流部は、前記支持軸の中心軸線に近接する方向に凹む、ことを特徴とする請求項4に記載の血液ポンプ。
【請求項7】
前記回転軸から離れる方向に沿って、前記中間導流部は、前記支持軸の周方向に占める長さが徐々に大きくなる、ことを特徴とする請求項6に記載の血液ポンプ。
【請求項8】
前記導流溝の数は、複数であり、複数の前記導流溝は、前記支持軸の周方向に沿って間隔をあけて配列される、ことを特徴とする請求項4に記載の血液ポンプ。
【請求項9】
前記ベースは、支持面を有し、前記支持軸は、前記支持面に接続され、前記支持面に対して突出して設けられ、前記インペラは、回転体と、前記回転体に設けられた第1ブレード及び第2ブレードをさらに含み、前記収容キャビティは、前記回転体に形成され、前記流通隙間は、前記回転体と前記支持面との間に位置し、前記第1ブレードは、前記送液キャビティに位置し、前記第2ブレードは、少なくとも一部が前記流通隙間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項10】
前記回転体は、取付面をさらに有し、前記取付面は、前記支持面に向けて設けられ、前記取付面と前記支持面とは、前記回転体の軸方向に間隔をあけて設けられ、前記流通隙間は、少なくとも一部が前記取付面と前記支持面との間に位置する、ことを特徴とする請求項9に記載の血液ポンプ。
【請求項11】
前記取付面は、前記インペラの中心軸線に垂直であり、前記第2ブレードは、前記取付面に設けられ、かつ前記回転体の径方向に沿って延び、前記第2ブレードの数は、複数であり、複数の前記第2ブレードは、前記回転体の周方向に沿って間隔をあけて配列される、ことを特徴とする請求項10に記載の血液ポンプ。
【請求項12】
前記ベースは、キャリアと、前記支持軸と、固定子と、を含み、前記固定子は、前記キャリア内に設けられ、前記固定子は、通電時に回転磁界を発生させて前記インペラを回転させることができ、前記カニューレアセンブリは、前記キャリアに嵌設して固定され、前記キャリアは、前記支持面を有する、ことを特徴とする請求項9に記載の血液ポンプ。
【請求項13】
前記連通孔は、2つの開口を有し、2つの前記開口は、それぞれ、前記収容キャビティ及び前記送液キャビティと連通し、前記収容キャビティと連通する前記開口は、前記凹部に向け、かつ前記収容キャビティと連通する前記開口は、前記支持軸の前記端面よりも前記流通隙間から遠い、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項14】
前記連通孔は、口径の小さい開口と、口径の大きい開口とを有し、前記口径の小さい開口は、前記収容キャビティと連通し、前記口径の大きい開口は、前記送液キャビティと連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項15】
前記送液キャビティ内には、複数のインナーフィンが設けられ、前記インナーフィンは、前記送液キャビティのキャビティ壁面に対して突出し、複数の前記インナーフィンによって前記回転軸と回転可能に係合する取付キャビティが囲まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項16】
前記回転軸の前記ベースから遠い端部は、錐形体であり、前記錐形体は、前記取付キャビティに適合する、ことを特徴とする請求項15に記載の血液ポンプ。
【請求項17】
前記カニューレアセンブリは、第1カニューレ及び第2カニューレを含み、前記第1カニューレは、カニューレ本体及び前記インナーフィンを含み、前記カニューレ本体及び前記第2カニューレは、同軸に設けられ、かつ取り外し可能に接続され、前記第2カニューレは、前記ベースに設けられ、前記第2カニューレから前記第1カニューレに向かう方向に沿って、前記取付キャビティの口径が徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項16に記載の血液ポンプ。
【請求項18】
前記カニューレアセンブリは、前記送液キャビティと連通する流出口をさらに有し、前記流出口は、前記カニューレアセンブリの前記ベースに近い一端に位置し、前記流通隙間の位置は、前記流出口の位置に対応する、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項19】
前記連通孔の中心軸線は、第1中心軸線であり、前記インペラの中心軸線は、前記第1中心軸線と鋭角をなす第2中心軸線であり、前記連通孔を流れる流体の方向に沿って、前記連通孔の孔径は、徐々に小さくなり、かつ前記第1中心軸線から前記第2中心軸線までの距離は、徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項20】
前記収容キャビティは、前記インペラの中心軸線に沿って延び、前記連通孔は、前記インペラの中心軸線に対して傾斜する方向に延びる、ことを特徴とする請求項1に記載の血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医療機器の技術分野に関し、特に血液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内血液ポンプは、患者の血管を介して患者の心臓に挿入される血液ポンプ装置であり、血液が血液ポンプを流れて動脈血管内に入ることができるように、血管内血液ポンプは、心臓弁の開口内に配置される。しかし、従来の血管内血液ポンプは、血液ポンプ内で血栓が形成しやすい。
【0003】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年3月21日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号202210275303.9の中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照により本願に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、本願は、血栓の形成確率を低減することができる血液ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1態様の実施例は、
送液キャビティを有するカニューレアセンブリと、
前記送液キャビティ内に回転可能に設けられ、収容キャビティ及び前記送液キャビティと前記収容キャビティとを連通する連通孔が形成されたインペラと、
前記インペラに固定接続され、一端部に前記収容キャビティ内に位置する凸部を有する回転軸と、
前記カニューレアセンブリに接続され、支持軸を含むベースであって、前記支持軸の端面によって前記凸部と係合する凹部が囲まれ、前記インペラと前記ベースとの間に流通隙間が形成され、前記流通隙間が前記収容キャビティと連通するベースと、を含む血液ポンプを提供する。
【0006】
本発明の1つ又は複数の実施例の詳細は、以下の図面及び説明で述べられる。本発明の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0007】
以下、本出願の実施例における技術案をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の説明における図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施例に係る血液ポンプの概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す血液ポンプ全体の分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す血液ポンプの一部の分解斜視図である。
【
図4】
図1に示す血液ポンプにおける第1カニューレの概略斜視図である。
【
図5】
図1に示す血液ポンプにおけるインペラの概略斜視図である。
【
図7】
図1に示す血液ポンプの、カニューレアセンブリを除去した後の平面断面図である。
【
図8】
図1に示す血液ポンプにおける支持軸の概略斜視図である。
【
図9】
図8に示す支持軸の別の視角での概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本出願の目的、技術案及び利点をより明確に理解するために、添付の図面及び実施例を参照して本出願をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本出願を解釈するためのものだけであり、本出願を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0010】
なお、要素は別の要素に「固定される」又は「設けられる」と称される場合、別の要素に直接的にあるか又は当該別の要素に間接的にあってもよい。ある要素は別の要素に「接続される」と称される場合、別の要素に直接的に接続されるか又は当該別の要素に間接的に接続されてもよい。
【0011】
さらに、「第1」、「第2」という用語は、単に説明の目的のためのものであり、相対的な重要性を示すか又は暗示するか、又は示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものと理解されるべきではない。したがって、「第1」、「第2」と定義された特徴は、1つ以上の当該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本出願の説明において、「複数」は、特に断りのない限り、2つ以上を意味する。
【0012】
以下、本願の技術的手段を説明するために、具体的な図面及び実施例を参照しながら説明する。
【0013】
図1、
図2及び
図3を参照すると、本発明の一実施例に係る血液ポンプ10は、特に血管内血液ポンプに関し、該血液ポンプは、人体の心臓弁膜、例えば、大動脈弁に置かれてもよく、血液ポンプ10の吸引により、血液が血液ポンプ10を流れて動脈血管内に流入することができる。血液ポンプ10は、カニューレアセンブリ100と、インペラ200と、回転軸300と、ベース400とを含む。
【0014】
図3、
図4及び
図6を参照すると、いくつかの実施例において、カニューレアセンブリ100は、第1カニューレ110及び第2カニューレ120を含み、第1カニューレ110及び第2カニューレ120の両方は、同軸に設けられ、かつ取り外し可能に接続され、第2カニューレ120は、ベース400に設けられるため、第1カニューレ110は、第2カニューレ120よりもベース400から遠い。第1カニューレ110及び第2カニューレ120は、いずれも円柱形であり、両者のキャビティは、共に送液キャビティ130を形成してもよい。送液キャビティ130のベース400から遠い端部には、流入口131が形成され、該流入口131は、第1カニューレ110に位置し、外部の血液が該流入口131から送液キャビティ130に流入する。第2カニューレ120の管壁に流出口121が形成され、該流出口121がベース400に近接して設けられて送液キャビティ130と連通し、送液キャビティ130内の血液が該流出口121から血液ポンプ10全体の外に流出する。
【0015】
第1カニューレ110は、カニューレ本体111及びインナーフィン112を含み、カニューレ本体111は、第2カニューレ120に接続され、カニューレ本体111及び第2カニューレ120のキャビティは、共に送液キャビティ130を形成する。インナーフィン112の数は、複数であり、例えば、インナーフィン112は、3つ、4つなどであってもよい。インナーフィン112は、カニューレ本体111の内壁面(即ち、送液キャビティ130のキャビティ壁)において、カニューレ本体111の第2カニューレ120に近い位置に設けられる。インナーフィン112は、インナーフィン112が内壁面に対してカニューレ本体111の径方向に沿って一定の長さ突出するように、カニューレ本体111の内壁面に固定されるため、自由端と固定端とを有し、該固定端は、カニューレ本体111の内壁面に固定され、該自由端と内壁面とは、カニューレ本体111の径方向に沿って間隔を保持する。各インナーフィン112の自由端が互いに接触しないことにより、全てのインナーフィン112の自由端によって取付キャビティ113が囲まれ、該取付キャビティ113の中心軸線がカニューレ本体111の中心軸線と重なる。第2カニューレ120から第1カニューレ110に向かう方向に沿って、取付キャビティ113の口径は、徐々に小さくなる。
【0016】
カニューレアセンブリ100は、取り外し可能に接続された第1カニューレ110及び第2カニューレ120を含むセグメント式に構成されることにより、インペラ200の取り付けを容易にする。なお、カニューレアセンブリ100は、取り外し可能に接続された第1カニューレ110及び第2カニューレ120を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、第1カニューレ110及び第2カニューレ120は、取り外し不可能な一体構造であり、即ち、第1カニューレ110及び第2カニューレ120は、一体に構成され、即ち、第1カニューレ110及び第2カニューレ120の代わりに1つのカニューレを用い、送液キャビティ130は、該カニューレのキャビティである。
【0017】
図3、
図5及び
図7を参照すると、いくつかの実施例において、インペラ200は、送液キャビティ130内に回転可能に設けられる。インペラ200の回転軸線は、送液キャビティ130の中心軸線と重なり、インペラ200の回転軸線は、インペラ200の中心軸線と重なる。
【0018】
インペラ200は、第1ブレード210と、第2ブレード220と、回転体230とを含み、第1ブレード210及び第2ブレード220の両方は、いずれも回転体230に固定される。回転体230には回転子233があり、回転子233は、永久磁石である。具体的には、回転子233は、回転体230の内部に収容され、回転子233は、ハルバッハ配列磁石であってもよい。回転子233は、ベース400によって発生した回転磁界により回転して、回転体230を回転させ、さらに第1ブレード210及び第2ブレード220の両方が回転体230に追従して回転する。回転体230には、連通孔232及び収容キャビティ234が形成され、連通孔232は、収容キャビティ234と送液キャビティ130とを連通し、送液キャビティ130内の血液は、該連通孔232を介して収容キャビティ234内に流入することができる。具体的には、収容キャビティ234は、インペラ200の中心軸線に沿って延び、連通孔232は、インペラ200の中心軸線に対して傾斜する方向に延びる。
【0019】
図6及び
図7を参照すると、説明の便宜上、連通孔232の中心軸線を第1中心軸線とし、インペラ200の中心軸線を第2中心軸線とすると、該第1中心軸線は、第2中心軸線と鋭角をなして設けられる。該連通孔232における血液の流れ方向を基準方向とすると、連通孔232における血液の流れ方向に沿って、連通孔232の孔径は、徐々に小さくなり、第1中心軸線から第2中心軸線までの距離は、徐々に小さくなる。一般的に言えば、連通孔232が略円錐形であることにより、連通孔232は、口径の小さい開口及び口径の大きい開口を有し、口径の小さい開口が収容キャビティ234と連通し、口径の大きい開口が送液キャビティ130と連通する。このように、連通孔232は、血液に対して良好な導流作用を果たして、送液キャビティ130における血液が合理的な流速で収容キャビティ234に流入する。
【0020】
図5、
図6及び
図7を参照すると、第1ブレード210は、螺旋状であり、全体として回転体230の軸方向に沿って延びてもよく、第1ブレード210は、送液キャビティ130内に位置し、第1ブレード210が回転体230に追従して回転する場合、第1ブレード210は吸引力を発生し、外部の血液を流入口131から送液キャビティ130内に導入し、流出口121から排出させる。
【0021】
回転体230は、取付面231をさらに有し、取付面231は、ベース400に向けて設けられ、取付面231とベース400とは、回転体230の軸方向に沿って間隔をあけて設けられ、取付面231とベース400との間には、隙間が形成され、該隙間を流通隙間240とすると、流通隙間240は、収容キャビティ234と連通する。具体的には、流通隙間240の位置は、流出口121の位置に対応する。第2ブレード220は、取付面231に設けられ、かつ回転体230の径方向に沿って延び、第2ブレード220は、少なくとも一部が該流通隙間240内に収容され、図示の実施例において、第2ブレード220の全部は、該流通隙間240に位置する。第2ブレード220の数は、複数であり、第2ブレード220は、回転体230の周方向に間隔をあけて配列されてもよい。取付面231は、インペラ200の中心軸線に垂直である。第2ブレード220が回転体230に追従して回転すると、第2ブレード220も吸引力を発生し、収容キャビティ234内の血液は、該吸引力により、流通隙間240を介して流出口121から迅速に排出される。
【0022】
図6及び
図7を参照すると、インペラ200全体が回転すると、外部の血液は、流入口131から送液キャビティ130内に流入し、送液キャビティ130内の血液は、2つの部分に分けられ、第1部分の血液は、流出口121から直接排出され、第1部分の血液の流れ軌跡は、送液キャビティ130-流出口121として表されてもよく、第2部分の血液は、連通孔232を介して収容キャビティ234内に流入し、流通隙間240を通過した後、流出口121から排出されるため、第2部分の血液の流れ軌跡は、送液キャビティ130-連通孔232-収容キャビティ234-流通隙間240-流出口121として表されてもよい。
図6及び
図7における破線矢印は、血液の流れ軌跡を示す。インペラ200が第2ブレード220を含むため、第2ブレード220が発生する吸引力により、血液が収容キャビティ234を流れる血流の速度及び流量を増大させることができる。
【0023】
図3、
図6及び
図7を参照すると、いくつかの実施例において、回転軸300は、インペラ200に固定接続される。回転軸300は、回転体230に穿設され、回転軸300の中心軸線は、インペラ200の中心軸線と重なり、回転軸300は、接着により回転体230に固定されてもよい。回転軸300のベース400から遠い端部は、錐形体310であり、該錐形体310は、第1カニューレ110内に延び、第1カニューレ110内の取付キャビティ113に係合され、回転軸300がインペラ200に追従して回転すると、該錐形体310は、取付キャビティ113内で回転する。
【0024】
取付キャビティ113は、錐形体310の形状や大きさに適合し、一方では、回転軸300が該取付キャビティ113に係合される場合、回転軸300に対して軸方向の位置制限作用を果たすことができ、他方では、回転軸300の端部に支点を提供し、回転軸300及びインペラ200の回転過程における安定性を向上させる。インナーフィン112の自由端にダイヤモンドコーティングが塗布されてもよく、回転軸300は、セラミック材料で製造されてもよく、回転軸300がダイヤモンドコーティングと接触する場合、回転軸300の回転過程における摩擦抵抗を低減し、回転軸300及びインペラ200の回転過程における滑らかさを向上させることができる。
【0025】
回転軸300は、凸部320をさらに含み、該凸部320は、回転軸300のベース400に近い端部に位置する。該凸部320は、球形又は球欠形であってもよく、凸部320は、円柱形などであってもよい。凸部320は、収容キャビティ234に収容される。凸部320は、凸面321を有し、該凸面321は、回転軸300の軸方向に沿って突出して設けられ、ベース400に当接する。
【0026】
図3、
図6及び
図7を参照すると、いくつかの実施形態において、ベース400は、キャリア410と、支持軸420と、固定子430とを含む。固定子430は、キャリア410内に設けられ、固定子430に電力を供給すると、固定子430は、回転磁界を発生させて回転子233を回転させることにより、インペラ200全体を回転させることができる。第2カニューレ120は、キャリア410に嵌設されて固定され、キャリア410は、支持面411を有し、該支持面411は、回転体230における取付面231と間隔をあけて設けられるため、上記流通隙間240は、該支持面411と取付面231との間に位置する。支持軸420は、支持面411に接続され、支持面411に対してキャリア410の軸方向に沿って一定の長さ突出するように支持面411に対して突出して設けられる。支持軸420は、収容キャビティ234内に収容され、支持軸420と収容キャビティ234のキャビティ壁とは間隔をあけて設けられ、即ち、支持軸420は、該収容キャビティ234のキャビティ壁と接触関係を形成せず、言い換えれば、支持軸420は、収容キャビティ234全体を満たさず、このように、収容キャビティ234に血液が流れるための空間が依然として存在することを保証する。支持軸420は、回転軸300の中心軸線と重なり、支持軸420の端部は、回転軸300に当接し、即ち、支持軸420は、回転軸300及びインペラ200を支持し、取付面231と支持面411との間に上記流通隙間240が存在することを保証する。
【0027】
図7、
図8及び
図9を参照すると、支持軸420の支持面411から遠い端部は、端面421を有し、該端面421によって凹部421aが囲まれ、該端面421は、支持軸420の軸方向に沿って一定の深さ凹んで凹んだ状態となる。凹部421aの形状が凸部320の形状に合わせるため、凸部320は、凹部421aと互いに係合可能であり、凸部320は、凹部421a内で回転可能であり、凹部421aは、凸部320及び回転軸300全体の回転に対して良好な径方向の位置決め作用を果たすことができる。凸部320と凹部421aとが互いに係合するため、凸部320の凸面321と該端面421とが互いに当接する。凸面321は、少なくとも一部が凹部421a内に収容され、例えば、凸面321の全部が凹部421a内に位置してもよく、また例えば、凸面321は、一部が凹部421a内に位置し、他の一部が凹部421a外に位置してもよい。連通孔232の口径の小さい開口は、支持軸420の端面421よりも流通隙間240から離れ、一般的に言えば、連通孔232の口径の小さい開口は、端面421の斜め上方に位置する。送液キャビティ130内の血液が連通孔232を介して収容キャビティ234に流入すると、連通孔232の口径の小さい開口から流出した血液は、上記凸部320及び端面421に向かって良く流れる。
【0028】
いくつかの実施例において、回転軸300は、セラミック材料で製造され、支持軸420の端面421にダイヤモンド層が設けられる。これにより、回転軸300の回転過程における摩擦抵抗を低減し、回転軸300及びインペラ200の回転過程における滑らかさを向上させる。
【0029】
血液が収容キャビティ234内に流入すると、回転軸300が凸部320を介して支持軸420における凹部421aと互いに係合するため、凸面321と端面421との相対位置及び特定の形状により血液に対して良好な導流作用を果し、このように、血液と、支持軸420と回転軸300との当接箇所との接触機会を増やし、血液が支持軸420と回転軸300との間を流れやすくなる。このため、血液が支持軸420と回転軸300との当接箇所を効果的に洗い流す機会がより多くなり、血液中の粘稠物又は凝固物が当接箇所に長時間集中して血栓を形成することを回避する一方で、血液が当接箇所を流れる速度及び流量が増大し、血液の流動性を向上させるだけでなく、血液の当接箇所における洗い流し力を向上させ、粘稠物又は凝固物が当接箇所に集中して血栓を形成することをさらに回避することができる。したがって、上記凸部320と凹部421aとの係合により、血栓の形成確率を効果的に低減することができる。
【0030】
なお、第2ブレード220の存在により、血液が収容キャビティ234を流れる血流の速度及び流量を増大させ、収容キャビティ234における血液の流動性及び洗い流し力をさらに増大させ、収容キャビティ234内に血栓が形成する確率を効果的に低減することもできる。端面421に付着したダイヤモンド層も、血液の凹部421a内での流動抵抗を低下させ、血液の流動性及び洗い流し力を増大させて血栓の形成確率を低減し、回転軸300と支持軸420との間の摩擦による熱を減少させ、血液ポンプ10全体の耐用年数を向上させる。当然ながら、回転軸300と支持軸420との間を流れる血液も摩擦熱を奪うため、血液ポンプ10の耐用年数をさらに向上させ、収容キャビティ234内の血液の流量が大きい場合、より多くの摩擦熱を奪うことができる。
【0031】
いくつかの実施例において、支持軸420は、外側周面422と導流面423とをさらに有する。外側周面422は、環状面であり、端面421を取り囲むように端面421の周縁に接続される。支持軸420の支持面411から遠い一端は、凹んで導流溝424を形成し、該導流溝424は、端面421及び外側周面422を貫通して凹部421aと連通するため、明らかに、導流溝424は収容キャビティ234とも連通する。導流溝424の数は、複数であり、例えば、2つ、3つ又は4つ以上などであってもよく、複数の導流溝424は、支持軸420の周方向に沿って等間隔に配列される。導流面423は、外側周面422と端面421との間に接続され、導流溝424の一部の境界を画定する。導流面423は、支持軸420の中心軸線に対して傾斜して設けられる。導流面423は、支持軸420の中心軸線と鋭角をなして交差する。支持面411から遠い一端から支持面411に近い一端への方向に沿って、導流面423から支持軸420の中心軸線までの距離は、徐々に大きくなり、言い換えれば、導流面423は、回転軸300から離れる方向に沿って支持軸420の中心軸線から徐々に離れる。一般的に言えば、導流溝424の端面421に近い部分の凹み深さが相対的に大きくなり、導流溝424の端面421から遠い部分の凹み深さが相対的に小さくなるように、導流面423は、斜め下向きに設けられる。
【0032】
図8、
図9及び
図10を参照すると、導流面423は、中間導流部423a及び2つのエッジ導流部423bを含み、中間導流部423a及び2つのエッジ導流部423bは、支持軸420の周方向に沿って配列され、中間導流部423aは、2つのエッジ導流部423bの間に接続される。具体的には、中間導流部423aが支持軸420の中心軸線から離れる方向に突起することにより、中間導流部423aが隆起面であり、エッジ導流部423bが支持軸420の中心軸線に近接する方向に凹むことにより、エッジ導流部423bが凹み面であり、導流溝424は、中央が高くエッジが低い状態を呈することを理解されたい。回転軸300から離れる方向に沿って、中間導流部423aが支持軸420の周方向に占める長さAは、徐々に大きくなり、中間導流部423aが略凸弧状を呈する等脚台形であることを理解されたい。
【0033】
導流溝424が設けられるため、導流溝424は、支持軸420の端面421を貫通し、これにより、凸部320の凸面321と支持軸420との間の接触面積を小さくすることができ、また、導流面423が傾斜して設けられるため、導流溝424の端面421に近い部分の凹み深さが相対的に大きくなり、それにより、端面421が導流溝424に貫通されることによって除去された面積が相対的に大きくなり、凸面321と支持軸420との接触面積をさらに小さくし、最終的に血栓の形成確率を低減する。さらに、収容キャビティ234内の血液が導流溝424内を流れることにより、導流溝424内の血液と、支持軸420と回転軸300との当接箇所との接触機会を増やし、血栓の形成確率をさらに低減する。
【0034】
中間導流部423aが隆起面であり、かつエッジ導流部423bが凹み面であるため、血液が導流溝424を流れる場合、血液は、中間の高い位置からエッジの低い位置へ流れ、即ち、血液は、中間導流部423aからエッジ導流部423bへ流れる。要するに、血液が支持軸420の軸方向に沿って上から下へ流れる過程において、支持軸420の周方向に沿って左右にも流れ、このように、血液の流れの乱流性を増大させ、血液に渦流を発生させ、これにより、支持軸420と回転軸300との当接箇所に対する血液の洗い流し時間を合理的に延長し、洗い流し力を増大させ、継ぎ目空間内に「阻血」が発生することを防止し、血栓の形成確率を低減する。中間導流部423aが略凸弧状を呈する等脚台形である場合、エッジ導流部423bの血液が支持軸420の軸方向と夾角をなす方向に沿って斜め下向きに流れ、これにより、エッジ導流部423bの血流が支持軸420の軸方向に沿った分流方向を有するとともに、支持軸420の周方向に沿った分流方向を有し、このように、血液の渦流強度を高め、血栓の形成確率を低減する。
【0035】
上記の実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、制限するものではない。前述した実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、前述した各実施例に記載された技術的解決手段を修正し、又はそのうちの一部の技術特徴に対して等価の置き換えを行うことができ、これらの修正及び置き換えは、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の趣旨及び範囲から逸脱させるものではなく、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】