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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】駆動装置及び血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/824 20210101AFI20241018BHJP
   A61M 60/174 20210101ALI20241018BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20241018BHJP
   A61M 60/419 20210101ALI20241018BHJP
   A61M 60/804 20210101ALI20241018BHJP
   A61M 60/829 20210101ALI20241018BHJP
   A61M 60/857 20210101ALI20241018BHJP
【FI】
A61M60/824
A61M60/174
A61M60/237
A61M60/419
A61M60/804
A61M60/829
A61M60/857
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529979
(86)(22)【出願日】2023-06-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2023098342
(87)【国際公開番号】W WO2024007791
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】202210799477.5
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520245301
【氏名又は名称】シェンジェン コア メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CORE MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】朱繹澄
(72)【発明者】
【氏名】余順周
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD10
4C077DD21
4C077FF04
(57)【要約】
血液ポンプ(1)及び駆動装置(20)であって、駆動装置(20)は、ハウジング組立体(100)と、回転軸(210)と、回転軸(210)に固着された回転ヘッド(220)と、を含み、ハウジング組立体(100)に取付孔(102)が設けられ、取付孔(102)は、凹球面壁(103)を有し、回転軸(210)は、ハウジング組立体(100)外に位置し、且つインペラ(40)に接続するための接続セグメント(211)を有し、回転ヘッド(220)は、取付孔(102)に回転可能に設けられ、回転ヘッド(220)は、凸球面(222)を有し、凸球面(222)は、回転軸(210)の軸線に沿って接続セグメント(211)から離れる方向に向かって突出し、且つ凸球面(222)は、凹球面壁(103)に当接可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラの回転を駆動するための駆動装置であって、
凹球面壁を有する取付孔が設けられたハウジング組立体と、
回転軸と、前記回転軸に固着された回転ヘッドとを含む回転部材であって、前記回転軸は、前記ハウジング組立体に回転可能に取り付けられ、前記回転軸は、前記ハウジング組立体外に位置し、且つ前記インペラに接続するための接続セグメントを有し、前記回転ヘッドは、前記取付孔に回転可能に設けられ、前記回転ヘッドは、凸球面を有し、前記凸球面は、前記回転軸の軸線に沿って前記接続セグメントから離れる方向に向かって突出し、且つ前記凸球面は、前記凹球面壁に当接可能である回転部材と、
前記回転軸に固着された回転子と、
前記回転子の回転を駆動可能な固定子であって、前記回転子と前記固定子との間に磁力作用を有し、前記磁力作用により前記凸球面は前記凹球面壁に当接できる固定子と、を含む、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記回転軸の軸線に沿って、前記回転子は、前記回転ヘッドと前記固定子との間に位置し、前記回転子と前記固定子との間に吸引力を有し、前記吸引力の作用下で前記凸球面は、前記凹球面壁に当接する、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記回転子は、第1の回転子ユニットと、第2の回転子ユニットと、を含み、前記回転ヘッド、前記第1の回転子ユニット、前記固定子及び前記第2の回転子ユニットは、前記回転軸の軸線に沿って順次設けられ、前記固定子は、前記第1の回転子ユニット及び前記第2の回転子ユニットの回転を駆動可能であり、前記固定子と前記第1の回転子ユニットとの間に第1の吸引力を有し、前記固定子と前記第2の回転子ユニットとの間に第2の吸引力を有し、前記第1の吸引力が前記第2の吸引力よりも大きく、前記第1の吸引力及び前記第2の吸引力の共同作用下で前記凸球面は、前記凹球面壁に当接する、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記固定子は、複数の磁気コアと、複数のコイルと、位置決め部材と、を含み、複数の前記磁気コアは、円周に沿って間隔をあけて設けられ、複数の前記コイルは、複数の前記磁気コアにそれぞれ巻回され、前記位置決め部材は、複数の前記磁気コアに固着され、前記位置決め部材は、隣接する前記磁気コアを隔て、前記位置決め部材の材料は、ポリエーテルエーテルケトン又はセラミックである、ことを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記固定子は、複数の磁気コアと、複数のコイルと、導磁部材と、を含み、複数の前記磁気コアは、円周に沿って間隔をあけて設けられ、複数の前記コイルは、複数の前記磁気コアにそれぞれ巻回され、前記磁気コアは、前記導磁部材に固着され、前記ハウジング組立体の内壁に前記導磁部材に係合する係止溝が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記固定子は、第1の固定子ユニットと、第2の固定子ユニットと、を含み、前記回転子は、第1の回転子ユニットと、第2の回転子ユニットと、を含み、前記回転ヘッド、前記第1の回転子ユニット、前記第1の固定子ユニット、前記導磁部材、前記第2の固定子ユニット及び前記第2の回転子ユニットは、前記回転軸の軸線に沿って順次設けられ、前記第1の固定子ユニットと前記第1の回転子ユニットとの間に第1の吸引力を有し、前記第2の固定子ユニットと前記第2の回転子ユニットとの間に第2の吸引力を有し、前記第1の吸引力が前記第2の吸引力よりも大きく、前記第1の吸引力及び前記第2の吸引力の共同作用下で前記凸球面は、前記凹球面壁に当接し、
前記導磁部材は、別体で設けられ且つ積層された第1の導磁板部と、第2の導磁板部と、を含み、前記第1の導磁板部は、前記第1の固定子ユニットの磁気コアに固着され、前記第2の導磁板部は、前記第2の固定子ユニットの磁気コアに固着され、前記回転軸は、前記第1の導磁板部及び前記第2の導磁板部に回転可能に穿設される、ことを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ハウジング組立体は、前記取付孔に連通する収容キャビティをさらに有し、前記回転子及び前記固定子は、前記収容キャビティに取り付けられ、前記取付孔は、第1の開口及び前記第1の開口に対向する第2の開口を有し、前記第1の開口は、前記収容キャビティに連通し、前記第1の開口から前記第2の開口へ、前記取付孔の孔径が徐々に大きくなり、前記凹球面壁は、前記第1の開口から前記第2の開口まで延び、前記回転ヘッドは、前記凸球面に接続された底面をさらに有し、前記凸球面が前記凹球面壁に当接するとき、前記底面は、前記第2の開口が位置する平面と面一である、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第1の開口の口径と前記回転ヘッドの前記底面の直径との比は、0.3~0.6であり、
及び/又は、前記凸球面は、局所的に凹んでガイド溝を形成し、前記ガイド溝は、前記回転ヘッドの前記底面から前記凸球面に沿って前記底面から離れる方向に向かって延び、前記ガイド溝は、前記収容キャビティに連通する、ことを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ハウジング組立体は、前記取付孔に連通する収容キャビティをさらに有し、前記回転子及び前記固定子は、前記収容キャビティに取り付けられ、前記取付孔は、第1の開口及び前記第1の開口に対向する第2の開口を有し、前記第1の開口は、前記収容キャビティに連通し、前記第1の開口から前記第2の開口へ、前記取付孔の孔径が徐々に大きくなり、前記凹球面壁は、前記第1の開口から前記第2の開口まで延び、
前記回転軸に垂直な軸方向における前記回転ヘッドの幅は、前記第2の開口の口径よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記取付孔の前記第2の開口における孔壁と前記回転ヘッドとの間の隙間は、2マイクロメートル以下である、ことを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記ハウジング組立体は、収容キャビティ、及び前記取付孔と前記収容キャビティとを連通する連通孔をさらに有し、前記連通孔から離れる方向に向かって、前記取付孔の孔径が徐々に大きくなり、前記回転軸は、前記連通孔に回転可能に穿設され、前記連通孔の孔壁は、局所的に凹んで前記連通孔の軸線に沿って延びるドレーン溝を形成し、前記ドレーン溝は、前記収容キャビティ、前記取付孔のいずれにも連通し、前記回転子及び前記固定子は、前記収容キャビティに取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記ハウジング組立体は、ハウジングと、スリーブと、を含み、前記ハウジングは、収容キャビティ及び前記収容キャビティに連通する連通口を有し、前記スリーブは、前記収容キャビティに取り付けられ、前記スリーブは、前記連通口が位置する平面と面一の外面を有し、前記取付孔は、前記スリーブに設けられ、前記取付孔は、第1の開口及び前記第1の開口に対向する第2の開口を有し、前記第1の開口は、前記収容キャビティに連通し、前記第2の開口が位置する平面は、前記スリーブの前記外面と面一である、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記回転ヘッドは、前記凸球面に接続された底面をさらに有し、前記回転軸は、前記回転ヘッドに固定的に穿設され、前記回転軸の軸線は、前記底面の中心を通り且つ前記底面に垂直であり、
あるいは、前記回転ヘッドは、前記凸球面に接続された底面をさらに有し、前記接続セグメントの一端は、前記底面に固着され、且つ前記接続セグメントの軸線は、前記底面の中心を通り且つ前記底面に垂直であり、前記回転軸は、前記接続セグメントから分離された内蔵セグメントをさらに含み、前記内蔵セグメントは、前記接続セグメントと同軸に設けられ、前記内蔵セグメントは、前記回転ヘッドに固着され、前記回転子は、前記内蔵セグメントに固着される、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記回転ヘッドは、頂面をさらに有し、前記頂面と底面とは前記回転軸の軸線に沿って間隔をあけて平行に設けられ、前記回転ヘッドに組み立て孔が設けられ、前記組み立て孔は、前記頂面から前記底面に向かって延び、前記組み立て孔の中心軸線は、前記頂面の中心及び前記底面の中心を通り、前記内蔵セグメントは、一端が前記組み立て孔に収容され、他端が前記頂面外に突出する、ことを特徴とする請求項13に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記回転ヘッドは、頂面をさらに有し、前記頂面と底面とは回転軸の軸線に沿って間隔をあけて設けられ、前記頂面の直径は、前記底面の直径よりも小さく、前記凸球面は、前記頂面と前記底面とを接続する、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項16】
前記ハウジング組立体は、前記取付孔に連通する収容キャビティをさらに有し、前記回転子及び前記固定子は、前記収容キャビティに取り付けられ、前記取付孔は、第1の開口及び前記第1の開口に対向する第2の開口を有し、前記第1の開口は、前記収容キャビティに連通し、前記第1の開口から前記第2の開口へ、前記取付孔の孔径が徐々に大きくなり、前記凹球面壁は、前記第1の開口から前記第2の開口まで延び、前記頂面の直径は、前記回転ヘッドが前記取付孔外に位置するように、前記第1の開口の口径よりも小さい、ことを特徴とする請求項15に記載の駆動装置。
【請求項17】
前記回転軸に位置規制面がさらに設けられ、前記頂面が前記位置規制面に当接する、ことを特徴とする請求項15に記載の駆動装置。
【請求項18】
血液ポンプであって、インペラと、駆動装置と、を含み、前記駆動装置は、
凹球面壁を有する取付孔が設けられたハウジング組立体と、
回転軸と、前記回転軸に固着された回転ヘッドとを含む回転部材であって、前記回転軸は、前記ハウジング組立体に回転可能に取り付けられ、前記回転軸は、前記ハウジング組立体外に位置し、且つ前記インペラに固着された接続セグメントを有し、前記回転ヘッドは、前記取付孔に回転可能に設けられ、前記回転ヘッドは、凸球面を有し、前記凸球面は、前記回転軸の軸線に沿って前記接続セグメントから離れる方向に向かって突出し、且つ前記凸球面は、前記凹球面壁に当接可能である回転部材と、
前記回転軸に固着された回転子と、
前記回転子の回転を駆動可能な固定子であって、前記回転子と前記固定子との間に磁力作用を有し、前記磁力作用により前記凸球面は前記凹球面壁に当接できる固定子と、を含む、ことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項19】
前記血液ポンプは、カニューレアセンブリをさらに含み、前記カニューレアセンブリの近位端に液体出口が設けられ、前記カニューレアセンブリの遠位端に液体入口が設けられ、前記インペラは、前記カニューレアセンブリ内に回転可能に設けられ、前記カニューレアセンブリの近位端は、前記駆動装置の遠位端に固着され、前記カニューレアセンブリは、チューブ本体及び前記チューブ本体の一端から前記チューブ本体の軸線に沿って延出する、間隔をおいた複数のインサートを含み、隣接する2つの前記インサートの間に前記液体出口が形成される、ことを特徴とする請求項18に記載の血液ポンプ。
【請求項20】
前記駆動装置に複数のシンクが設けられ、前記インサートの前記チューブ本体から遠い一端は、前記シンクに収容され、且つ複数の前記シンクは、複数の前記インサートに1対1で対応する、ことを特徴とする請求項19に記載の血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療機器の技術分野に関し、特に、駆動装置及び当該駆動装置を含む血液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内血液ポンプは、患者の血管を介して患者の心臓に挿入される血液ポンプ装置であり、血液が血液ポンプを流れて動脈血管内に入ることができるように、血管内血液ポンプは、心臓弁の開口内に配置される。血液ポンプは、駆動部と、インペラと、を含み、駆動部の駆動軸は、インペラに接続されてインペラを動かして回転させるが、血管内血液ポンプの駆動部の体積が非常に小さいため、その内部部品も非常に小さく、組み立てが困難であり、血液ポンプの生産効率及び歩留まりに直接影響を与える。
【0003】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年07月08日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号202210799477.5の中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本出願に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、本出願は、組み立ての難易度が低い駆動装置及び血液ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の態様の実施例は、インペラの回転を駆動するための駆動装置を提供する。前記駆動装置は、
凹球面壁を有する取付孔が設けられたハウジング組立体と、
回転軸と、前記回転軸に固着された回転ヘッドと、を含む回転部材であって、前記回転軸は、前記ハウジング組立体に回転可能に取り付けられ、前記回転軸は、前記ハウジング組立体外に位置し、且つ前記インペラに接続するための接続セグメントを有し、前記回転ヘッドは、前記取付孔に回転可能に設けられ、前記回転ヘッドは、凸球面を有し、前記凸球面は、前記回転軸の軸線に沿って前記接続セグメントから離れる方向に向かって突出し、且つ前記凸球面は、前記凹球面壁に当接可能である回転部材と、
前記回転軸に固着された回転子と、
前記回転子の回転を駆動可能な固定子であって、前記回転子と前記固定子との間に磁力作用を有し、前記磁力作用により前記凸球面は前記凹球面壁に当接できる固定子と、を含む。
【0006】
本出願の第2の態様の実施例は、インペラと、駆動装置とを含む血液ポンプを提供する。前記駆動装置は、
凹球面壁を有する取付孔が設けられたハウジング組立体と、
回転軸と、前記回転軸に固着された回転ヘッドとを含む回転部材であって、前記回転軸は、前記ハウジング組立体に回転可能に取り付けられ、前記回転軸は、前記ハウジング組立体外に位置し、且つ前記インペラに接続するための接続セグメントを有し、前記回転ヘッドは、前記取付孔に回転可能に設けられ、前記回転ヘッドは、凸球面を有し、前記凸球面は、前記回転軸の軸線に沿って前記接続セグメントから離れる方向に向かって突出し、且つ前記凸球面は、前記凹球面壁に当接可能である回転部材と、
前記回転軸に固着された回転子と、
前記回転子の回転を駆動可能な固定子であって、前記回転子と前記固定子との間に磁力作用を有し、前記磁力作用により前記凸球面は前記凹球面壁に当接できる固定子と、を含む。
【0007】
本発明の1つ以上の実施例の詳細は、以下の図面及び説明に記載される。本発明の他の特徴、目的や利点は、本明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0008】
以下、本出願の実施例における技術案をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の説明における図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施例の血液ポンプの概略斜視図である。
図2図1に示す血液ポンプの部分断面図である。
図3図2のI部の拡大概略図である。
図4図1に示す血液ポンプからカテーテルを省略した分解図である。
図5図1に示す血液ポンプのスリーブの構造概略図である。
図6図1に示す血液ポンプの回転部材の構造概略図である。
図7図6に示す回転部材の回転ヘッドの構造概略図である。
図8図1に示す血液ポンプの回転子及び固定子の構造概略図である。
図9図8に示す回転子及び固定子の別の構造概略図である。
図10】第2の実施例の血液ポンプの駆動装置の回転ヘッドの構造概略図である。
図11】第2の実施例の血液ポンプの駆動装置の回転ヘッド及びスリーブの断面図である。
図12】第3の実施例の血液ポンプの部分断面図である。
図13】第4の実施例の血液ポンプの駆動装置の固定子の構造概略図である。
図14】第5の実施例の血液ポンプの駆動装置の固定子及び回転子の構造概略図である。
図15】第6の実施例の血液ポンプの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本出願の目的、技術案及び利点をより明確に理解するために、添付の図面及び実施例を参照して本出願をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本出願を解釈するためのものだけであり、本出願を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0011】
なお、要素は別の要素に「固定される」又は「設けられる」と称される場合、別の要素に直接的にあるか又は当該別の要素に間接的にあってもよい。ある要素は別の要素に「接続される」と称される場合、別の要素に直接的に接続されるか又は当該別の要素に間接的に接続されてもよい。
【0012】
さらに、「第1の」、「第2の」という用語は、単に説明の目的のためのものであり、相対的な重要性を示すか又は暗示するか、又は示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものと理解されるべきではない。したがって、「第1の」、「第2の」と定義された特徴は、1つ以上の当該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本出願の説明において、「複数」は、特に断りのない限り、2つ以上を意味する。
【0013】
以下、本出願の技術案を説明するために、具体的な図面及び実施例を参照して説明する。
【0014】
本明細書において、「近位端」を操作者に近い一端と定義し、「遠位端」を操作者から遠い一端と定義する。
【0015】
図1を参照すると、一実施形態にて提供される血液ポンプ1は、駆動装置20と、カニューレアセンブリ30と、インペラ40と、カテーテル50と、を含む。カニューレアセンブリ30は、駆動装置20の遠位端に接続され、カテーテル50は、駆動装置20の近位端に接続され、インペラ40は、カニューレアセンブリ30内に回転可能に設けられ、インペラ40は、駆動装置20に伝動可能に接続され、駆動装置20は、血液ポンプ1の血液ポンプ機能を実現するために、インペラ40の回転を駆動することができる。
【0016】
具体的には、カニューレアセンブリ30は、液体入口31と、液体出口32と、を有する。ここで、液体出口32は、液体入口31よりも駆動装置20に近い。即ち液体出口32は、カニューレアセンブリ30の近位端に位置し、液体入口31は、カニューレアセンブリ30の遠位端に位置する。具体的には、液体出口32は、カニューレアセンブリ30の側壁に位置する。その1つの実施例において、カニューレアセンブリ30は、延びて大動脈弁などの心臓弁を通る一方で、液体入口31は、心臓内に位置し、液体出口32及び駆動装置20は、心臓外の大動脈などの血管内に位置する。インペラ40が回転すると、血液は、液体入口31からカニューレアセンブリ30内に流入し、さらに液体出口32を介してカニューレアセンブリ30から流出して大動脈などの血管に入る。
【0017】
いくつかの実施例において、カニューレアセンブリ30は、チューブ本体33と、チューブ本体33の一端からチューブ本体33の軸線に沿って延出する、間隔をおいた複数のインサート34と、を含み、隣接する2つのインサート34の間に液体出口32が形成され、駆動装置20にシンク21が設けられ、インサート34のチューブ本体33から遠い一端がシンク21に収容される。図示の実施例では、シンク21とインサート34の数は等しく、両者は1対1の対応関係を形成している。インペラ40の軸方向の長さが短く、且つ駆動装置20の遠位端に導液面を形成することにより液体出口32での水力性能を確保する血液ポンプにおいて、駆動装置20の遠位端がカニューレアセンブリ30に収容され、導液面がカニューレアセンブリ30内に位置し、駆動装置20の径方向直径が大きくなり過ぎることを回避すると共に、液体出口32での水力性能を確保するために、カニューレアセンブリ30の駆動装置20に嵌合する一端の管壁の厚さが非常に薄くなり、カニューレアセンブリ30と駆動装置20との間の接続強度に影響を与えるが、上記インサート34の方式により、インサート34は、より大きな厚さを有することができ、それによってカニューレアセンブリ30と駆動装置20との間に大きな接続強度を有する。
【0018】
カテーテル50は、駆動装置20のカニューレアセンブリ30から遠い一端に突き合わされる。カテーテル50は、種々の供給ラインを収容するために用いられ、供給ラインは、例えば、駆動装置20内にリンス液を流すためのリンスライン、また例えば駆動装置20に電力を供給するためのリード線、さらに例えばカテーテル50を支持するための支持部材などであってもよい。
【0019】
図2図3及び図4を参照すると、駆動装置20は、ハウジング組立体100と、回転部材200と、回転子300と、固定子400と、を含む。
【0020】
ハウジング組立体100は、遠位端がカニューレアセンブリ30に固着され、近位端がカテーテル50に固着される。ハウジング組立体100は、収容キャビティ101と、収容キャビティ101に連通する取付孔102と、を有する。ここで、取付孔102は、ハウジング組立体100の遠位端に位置し、収容キャビティ101は、取付孔102によってカニューレアセンブリ30に連通する。このように、リンスラインから収容キャビティ101内に流したリンス液は、取付孔102を介してハウジング組立体100から流出し、カニューレアセンブリ30に入り、且つ液体出口32から流出することができる。
【0021】
図5を併せて参照すると、取付孔102は、凹球面壁103を有する。取付孔102は、第1の開口102aと、第1の開口102aに対向する第2の開口102bと、を有し、第1の開口102aは、収容キャビティ101に連通し、第2の開口102bは、外部に連通する。具体的には、第2の開口102bは、ハウジング組立体100の遠位端に位置し、第2の開口102bは、カニューレアセンブリ30に連通する。第1の開口102aから第2の開口102bへ、取付孔102の孔径が徐々に大きくなる。図示の実施例では、凹球面壁103は、取付孔102の第1の開口102aから第2の開口102bまで延びる。ハウジング組立体100に取付孔102と収容キャビティ101とを連通する連通孔104がさらに設けられ、連通孔104から離れる方向に向かって、取付孔102の孔径が徐々に大きくなるため、収容キャビティ101内に入ったリンス液が連通孔104から取付孔102に入ることができる。具体的には、取付孔102の第1の開口102aは、連通孔104の一方の開口であってもよい。
【0022】
具体的には、ハウジング組立体100は、ハウジング110と、スリーブ120と、を含む。ハウジング110は、略円筒状である。ハウジング110は、遠位端がカニューレアセンブリ30に固着され、近位端がカテーテル50に固着される。収容キャビティ101は、ハウジング110に設けられる。ハウジング110は、収容キャビティ101に連通する連通口111をさらに有する。連通口111は、ハウジング110の遠位端に位置し、即ち、連通口111は、ハウジング110のインペラ40又はカニューレアセンブリ30に近い一端に位置する。スリーブ120は、収容キャビティ101内に取り付けられ、取付孔102は、スリーブ120に設けられる。スリーブ120は、連通口111が位置する平面と面一の外面122を有する。取付孔102の第2の開口102bが位置する平面は、スリーブ120の外面122と面一である。連通孔104もスリーブ120に位置する。具体的には、スリーブ120とハウジング110とは、接着、溶接などの方式により固定的に接続されてもよく、又は、スリーブ120とハウジング110とは、一体成形構造である。
【0023】
図6を併せて参照すると、回転部材200は、ハウジング組立体100に回転可能に取り付けられる。回転部材200は、一部が収容キャビティ101内に収容され、一部が取付孔102内に位置し、一部が収容キャビティ101及び取付孔102外に位置してインペラ40に固着され、回転部材200は、インペラ40を動かして回転させることができる。ここで、回転部材200は、回転軸210と、回転軸210に固着された回転ヘッド220と、を含む。
【0024】
回転軸210は、ハウジング組立体100に回転可能に取り付けられ、回転軸210は、インペラ40に接続するための接続セグメント211を有し、接続セグメント211は、ハウジング組立体100外に位置する。具体的には、回転軸210は、連通孔104に回転可能に穿設される。回転軸210の最大直径は、回転部材200が取付孔102の第2の開口102bから第1の開口102aの方向にハウジング組立体100に組み立てられることができるように、連通孔104の孔径よりも大きく、且つ取付孔102の第2の開口102bの口径よりも小さい。
【0025】
図7を併せて参照すると、回転ヘッド220は、取付孔102に回転可能に設けられる。回転ヘッド220は、凸球面222を有し、凸球面222が回転軸210の軸線に沿って接続セグメント211から離れる方向に向かってに突出し、且つ凸球面222が凹球面壁103に当接可能である。ここで、凸球面222は、凹球面壁103の形状及び大きさに適合している。図示の実施例では、回転ヘッド220は、略球台状である。回転ヘッド220の軸線は、回転軸210の軸線と重なる。回転軸210に垂直な軸方向における回転ヘッド220の幅は、取付孔102の第2の開口102bの口径よりも小さい。
【0026】
具体的には、回転ヘッド220は、凸球面222に接続された底面223をさらに有し、底面223がインペラ40に向かって設けられる。凸球面222が凹球面壁103に当接するとき、当該底面222は、取付孔102の第2の開口102bが位置する平面と面一である。換言すれば、回転ヘッド220の底面223は、スリーブ120の外面122と面一である。ここで、底面223は、円形であり、底面223の直径は、取付孔102の第2の開口102bの口径よりも小さい。取付孔102の第1の開口102aの口径と回転ヘッド220の底面223の直径との比は、0.3~0.6である。取付孔102の第1の開口102aの口径が大き過ぎると、回転ヘッド220の凸球面222と取付孔102の凹球面壁103との接触面積が減少し(受圧面積が減少し)、凸球面222と凹球面壁103との摩耗が増大する。取付孔102の第1の開口102aの口径が小さ過ぎると、第1の開口102aから取付孔102内に入ったリンス液の量に影響を与えるが、取付孔102内に入ったリンス液は、一方ではカニューレアセンブリ30中の血液が収容キャビティ101に入ることを防止するために用いられ、他方では、リンス液が凸球面222と凹球面壁103との間に入って潤滑の役割を果たし、回転ヘッド220と取付孔102の凹球面壁103との間の摩擦係数を小さくする。上記割合では、回転ヘッド220の凸球面222と取付孔102の凹球面壁103との摩耗を小さくすることができ、同時に適切なリンス液の流量を有する。
【0027】
カニューレアセンブリ30内の血液が取付孔102の第2の開口102bを通って取付孔102に入ることを防止するために、取付孔102の第2の開口102bにおける孔壁と回転ヘッド220との間の隙間が2マイクロメートル以下であることが好ましく、取付孔102の第2の開口102におけるリンス液が合理的な流量及び流速を有するようにするために、連通孔104の孔径と回転軸210の連通孔104内に位置する部分の直径との差が4マイクロメートルよりも大きい。
【0028】
図示の実施例では、連通孔104の孔壁は、局所的に凹んで連通孔104の軸線に沿って延びるドレーン溝105を形成し、ドレーン溝105は、収容キャビティ101、取付孔102のいずれにも連通し、このようにリンス液が取付孔102に流入する流量を増加させることができる。連通孔104の孔径を直接大きくする方式よりも、連通孔104の孔壁にドレーン溝105を設けてリンス液の流量を増加する方が、取付孔102の凹球面壁103の面積を大きくすることができ、凹球面壁103と回転ヘッド220の凸球面222との接触面積を大きくして、回転ヘッド220による凹球面壁103の圧力を分散させ、それによって凹球面壁103及び回転ヘッド220の摩耗を低減する。
【0029】
図示の実施例では、回転ヘッド220は、頂面225をさらに有し、頂面225が底面223と回転軸210の軸線に沿って間隔をあけて平行に設けられ、頂面225の直径が底面223の直径よりも小さく、凸球面222が頂面225と底面223とを接続し、これにより頂面225、底面223及び凸球面222が共に球台構造を形成する。回転軸210は、回転ヘッド220の頂面225及び底面223に穿設され、回転軸210の軸線は、回転ヘッド220の頂面225及び底面223に垂直である。回転ヘッド220の頂面225の直径は、取付孔102の第1の開口102aの口径よりも小さく、これにより回転ヘッド220の一部が取付孔102外に位置するか又は回転ヘッド220の一部が連通孔104内に位置し、回転ヘッド220の凸球面222と取付孔102の凹球面壁103との接触面積をできるだけ確保し、且つ回転ヘッド220の頂面225と凸球面222との接続部で形成する角と取付孔102の凹球面壁103との接触を回避し、それによって回転ヘッド220と取付孔102の凹球面壁103との摩耗を効果的に低減する。
【0030】
図示の実施例では、回転軸210に位置規制面213がさらに設けられ、回転ヘッド220の頂面225が位置規制面213に当接することにより、回転ヘッド220の回転軸210における位置を位置決めし、このように回転ヘッド220の取り付け及び位置決めを容易にすることができる。具体的には、回転ヘッド220に貫通孔226が設けられ、貫通孔226が回転ヘッド220の頂面225及び底面223を貫通し、貫通孔226の中心軸線は頂面225、底面223のいずれにも垂直であり、貫通孔226の中心軸線は頂面225が位置する円の中心を通り、同時に底面223が位置する円の中心を通り、回転軸210は貫通孔226に穿設されている。貫通孔226の孔壁には、回転ヘッド220と回転軸210とを接着固定する接着剤を充填するための接着剤溝227が設けられる。具体的には、接着剤溝227は、回転ヘッド220の頂面225から底面223に近接する方向に向かって延びている。理解されるように、他の実施例では、回転ヘッド220は、溶接の方式により回転軸210に固着されるか、又は、回転ヘッド220と回転軸210とは、一体成形構造であってもよい。
【0031】
回転子300は、回転軸210に固着され、固定子400は、回転子300の回転を駆動可能であり、これにより回転子300は、回転軸210を動かして回転させることができ、インペラ40は、回転軸210と共に回転することができる。ここで、回転子300と固定子400との間に磁力作用を有し、当該磁力作用により凸球面222を凹球面壁103に当接させることができる。
【0032】
図2図4図8及び図9を参照すると、図示の実施例では、回転子300は、第1の回転子ユニット310と、第2の回転子ユニット320と、を含み、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、いずれも回転軸210に固着される。第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、いずれも収容キャビティ101内に収容される。ここで、回転ヘッド220、第1の回転子ユニット310、固定子400及び第2の回転子ユニット320は、回転軸210の軸線に沿って順次設けられる。具体的には、第1の回転子ユニット310は、スリーブ120と固定子400との間に位置する。ここで、固定子400は、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320の回転を駆動可能であり、固定子400と第1の回転子ユニット310との間に第1の吸引力を有し、固定子400と第2の回転子ユニット320との間に第2の吸引力を有し、第1の吸引力が第2の吸引力よりも大きく、第1の吸引力及び第2の吸引力の共同作用下で凸球面222は、凹球面壁103に当接する。即ち、回転子300は、第1の吸引力と第2の吸引力との合力であって回転軸210の接続セグメント211から離れる方向に向かう固定子400の磁力作用を受け、回転部材200は、凸球面222が凹球面壁103に当接するように、回転軸210の接続セグメント211から離れる方向に向かう力を受ける。
【0033】
具体的には、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、いずれも磁性を有し、固定子400は、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320の回転を駆動する回転磁界を発生させることができる。その1つの実施例において、等間隔距離の場合、第1の回転子ユニット310と固定子400との間の吸引力は、第2の回転子ユニット320と固定子400との間の吸引力に等しい。第1の回転子ユニット310と第2の回転子ユニット320とは同じ構造である。図示の実施例では、第1の回転子ユニット310と固定子400との間の間隔は、第2の回転子ユニット320と固定子400との間の間隔よりも小さいことにより、第1の吸引力は第2の吸引力よりも大きい。
【0034】
第1の回転子ユニット310は、回転軸210に固着された第1の磁石311を含む。ここで、第1の磁石311は、環状のハルバッハアレイ磁石である。第1の磁石311は、複数の第1の磁石ユニット3111を含み、各第1の磁石ユニット3111は扇形リングを呈し、複数の第1の磁石ユニット3111は回転軸210の周りに1周設けられて第1の磁石311が環状構造を形成する。具体的には、第1の磁石ユニット3111の数は、4個、6個、8個、又は10個などである。
【0035】
第1の回転子ユニット310は、回転軸210に固着された第1のフライホイール312をさらに含み、第1の磁石311は第1のフライホイール312に固着される。第1のフライホイール312を設けることにより、第1の磁石311と回転軸210との接続強度を補強することができ、また、回転軸210の回転時のぐらつきを減少し、回転軸210全体を回転時により安定させることができる。
【0036】
具体的には、第1のフライホイール312は、第1の内蔵管3121と、第1の円盤状部3122と、第1の外環壁3123と、を含み、第1の内蔵管3121及び第1の外環壁3123の両方は、円管状構造であり、第1の円盤状部3122は、環状円盤構造である。第1の内蔵管3121及び第1の外環壁3123は、いずれも第1の円盤状部3122に固着される。第1の外環壁3123は、第1の円盤状部3122の周りに設けられ、第1の内蔵管3121及び第1の外環壁3123の両方は、同軸に設けられ、回転軸210は、第1の内蔵管3121に穿設され、且つ第1の内蔵管3121に固定的に接続される。第1の内蔵管3121と第1の外環壁3123との間に第1の取り付けキャビティが形成される。第1の磁石311は、第1の取り付けキャビティに収容される。第1の磁石311の取り付け及び位置決めを容易にするために、第1の取り付けキャビティの形状は、第1の磁石311に適合する。このように、第1のフライホイール312は、第1の磁石311に対して位置制限の役割を果たし、第1の磁石311の取り付けを容易にするだけでなく、第1の磁石311と第1のフライホイール312との結合をより強固にすることができる。
【0037】
なお、第1のフライホイール312は、上記構造に限定されず、いくつかの実施例において、第1のフライホイール312は、第1の外環壁3123を有さず、いくつかの実施例において、第1のフライホイール312は、第1の外環壁3123及び第1の内蔵管3121を有さず、このとき、回転軸210は、第1の円盤状部3122の中心に固定的に穿設される。第1の円盤状部3122のみを有する第1のフライホイール312に対して、第1の内蔵管3121を設けることにより第1のフライホイール312と回転軸210とをより安定して接続することができる。
【0038】
第2の回転子ユニット320は、回転軸210に固着された第2の磁石321を含む。具体的には、第2の磁石321は、環状のハルバッハアレイ磁石である。第2の磁石321の構造と第1の磁石311の構造とは略同じである。第2の磁石321は、複数の第2の磁石ユニット3211を含み、各第2の磁石ユニット3211が扇形リングを呈し、複数の第2の磁石ユニット3211は回転軸210の周りに1周設けられて第2の磁石321が環状構造を形成する。具体的には、第2の磁石ユニット3211の数は、4個、6個、8個、又は10個などである。
【0039】
第2の回転子ユニット320は、回転軸210に固着された第2のフライホイール322をさらに含み、第2の磁石321は第2のフライホイール322に固定される。第2のフライホイール322を設けることにより、第2の磁石321と回転軸210との接続強度を補強することができ、また、回転軸210の回転時のぐらつきを減少し、回転軸210全体を回転時により安定させることができる。
【0040】
第2のフライホイール322は、第2の内蔵管3221と、第2の円盤状部3222と、第2の外環壁3223と、を含み、第2の内蔵管3221及び第2の外環壁3223の両方は、円管状構造であり、第2の円盤状部3222は、環状円盤構造である。第2の内蔵管3221及び第2の外環壁3223は、いずれも第2の円盤状部3222に固着される。第2の外環壁3223は、第2の円盤状部3222の周りに設けられ、第2の内蔵管3221及び第2の外環壁3223の両方は、同軸に設けられ、回転軸210は、第2の内蔵管3221に穿設され、且つ第2の内蔵管3221に固定的に接続される。第2の内蔵管3221と第2の外環壁3223との間に第2の取り付けキャビティが形成される。第2の磁石321は、第2の取り付けキャビティに収容される。第2の磁石321の取り付け及び位置決めを容易にするために、第2の取り付けキャビティの形状は、第2の磁石321に適合する。このように、第2のフライホイール322は、第2の磁石321に対して位置制限の役割を果たし、第2の磁石321の取り付けを容易にするだけでなく、第2の磁石321と第2のフライホイール322との結合をより強固にすることができる。
【0041】
なお、第2のフライホイール322は、上記構造に限定されず、いくつかの実施例において、第2のフライホイール322は、第2の外環壁3223を有さず、いくつかの実施例において、第2のフライホイール322は、第2の外環壁3223及び第2の内蔵管3221を有さず、このとき、回転軸210は、第2の円盤状部3222の中心に固定的に穿設される。第2の円盤状部3222のみを有する第2のフライホイール322に対して、第2の内蔵管3221を設けることにより第2のフライホイール322と回転軸210とをより安定して接続することができる。
【0042】
図2及び図4を参照すると、いくつかの実施例において、固定子400は、複数の磁気コア410と、複数のコイル420と、を含み、複数の磁気コア410は、1周に沿って間隔をあけて設けられ、複数のコイル420は、複数の磁気コア410にそれぞれ巻回される。具体的には、各磁気コア410の延在方向は、いずれも回転軸210の延在方向に一致する。回転軸210は、固定子400に回転可能に穿設され、複数の磁気コア410は、回転軸210の周りに設けられる。
【0043】
図示の実施例では、磁気コア410は、略円柱状であり、磁気コア410の延在方向において、磁気コア410の断面の寸法は、一定に維持される。第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、磁気コア410の両端にそれぞれ近接して設けられる。より具体的には、第1の回転子ユニット310の第1の磁石311は、磁気コア410の一端に近接し、第2の回転子ユニット320の第2の磁石321は、磁気コア410の他端に近接する。このように、磁気コア410は、第1の磁石311及び第2の磁石321と同時に磁気結合することができ、それによって当該固定子400は、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320の回転を同時に駆動することができる。
【0044】
磁気コア410の断面の形状は、略三角柱状であり、各磁気コア410の一方の稜線は、回転軸210の軸線に向かっている。例えば、磁気コア410の稜線は、いずれも丸みが付けられており、即ち、磁気コア410の稜線は、比較的滑らかで鈍い丸みが付けられ、それによって磁性体ピラーの鋭い角をなくすことができ、後続のコイル420の巻回を容易にすることができるだけでなく、コイル420に被覆された絶縁材料を保護するのに有利である。また例えば、磁気コア410の断面の形状は、扇形、円形、台形、扇形リングなどであってもよい。
【0045】
理解されるように、磁気コア410の構造は、上記構造に限定されず、他の実施例では、各磁気コア410は、磁性ピラーと、磁性ピラーに設けられたヘッド部(即ち磁極片)と、を含み、ヘッド部は2つであり、磁性ピラーの両端にいずれもヘッド部が設けられ、磁性ピラーの延在方向は、回転軸210の延在方向に一致し、コイル420は、各磁気コア410の磁性ピラーに巻回される。磁性ピラーの延在方向において、磁性ピラーの断面の寸法は、一定に維持され、一般的には、磁性ピラーの太さは均一である。このとき、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、2つのヘッド部にそれぞれ近接して設けられる。
【0046】
一方、図2図4図8及び図9に示す柱状の磁気コア410は、幅の広いヘッド部(即ち磁極片)を有さず、このとき、磁気コア410全体は、回転子300と磁気結合することができ、ヘッド部を有する磁気コア410に比べて、柱状の磁気コア410のみを有する方が、磁気損失を減少することができ、磁気コア410と回転子300との間の磁気結合密度を増加させて、同じ電流の場合に回転子300に対する固定子400のトルクを増大させることができる。他方では、ヘッド部のない磁気コア410は、隣接する磁気コア410の間の接触による局所的な磁気短絡による駆動装置20の電力低下の問題を大幅に低減することができる。
【0047】
具体的には、磁気コア410の材質は、珪素鋼などの磁性を有する材料である。したがって、磁気コア410は、同時に第1の磁石311及び第2の磁石321との間に吸引力を有し、即ち、固定子400と第1の回転子ユニット310との間に吸引力を有し、固定子400と第2の回転子ユニット320との間にも吸引力を有する。
【0048】
具体的には、固定子400は、位置決め部材430をさらに含み、位置決め部材430が複数の磁気コア410に固着され、位置決め部材430が隣接する磁気コア410を隔て、隣接する磁気コア410の接触を防止する。ここで、位置決め部材430の材料は、ポリエーテルエーテルケトン又はセラミックである。ポリエーテルエーテルケトン及びセラミックは、いずれも、非導電性且つ非磁性の材料であり、固定子400の性能に影響を与えず、且つポリエーテルエーテルケトンは、耐加水分解性、寸法安定性、電気的性能及び絶縁性能などの利点を有する一方、セラミックは、高い生体適合性、機械的強度を有し、且つ優れた耐摩耗性及び耐食性を有する。
【0049】
具体的には、ハウジング組立体100は、支持部材130をさらに含み、支持部材130は、スリーブ又は軸受であり、支持部材130は、収容キャビティ101内に取り付けられ、且つハウジング110に固着され、回転軸210の接続セグメント211から遠い一端は、支持部材130に取り付けられる。具体的には、回転子300及び固定子400は、いずれもスリーブ120と支持部材130との間に位置する。図示の実施例では、支持部材130は、スリーブである。
【0050】
図示の実施例では、ハウジング組立体100は、固定部材140をさらに含み、固定部材140は、収容キャビティ101内に取り付けられ、固定部材140は、取り付けキャビティ142と、取り付けキャビティ142に連通する流体通路と、を有し、支持部材130は、取り付けキャビティ142に固定的に収容され、流体通路は、リンスラインに連通するために用いられる。
【0051】
上記駆動装置20及び血液ポンプ1は、少なくとも以下の利点を有する。
【0052】
上記駆動装置20及び血液ポンプ1において、ハウジング組立体100の取付孔102は、凹球面壁103を有し、回転軸210に固着された回転ヘッド220は、回転軸210の軸線に沿って回転軸210のインペラ40に接続するための接続セグメント211から離れる方向に向かって突出する凸球面222を有し、回転子300と固定子400との間の磁力作用により凸球面222を凹球面壁103に当接させることにより、回転軸210の軸方向の位置規制を実現できるとともに、回転軸210の径方向の位置規制を実現でき、駆動装置20の構造をより簡単且つコンパクトにし、駆動装置20の組み立て難さを大幅に低減する。
【0053】
また、回転ヘッド220の凸球面222は、回転軸210の軸線に沿って回転軸210のインペラ40に接続するための接続セグメント211から離れる方向に向かって突出し、取付孔102の凹球面壁103は、凸球面222に当接して嵌合するために用いられるため、取付孔102の凹球面壁103の凹み方向は、外からハウジング組立体100の収容キャビティ101の内部へ凹んだ方向となり、このような構造設計方式により、駆動装置20を組み立てるとき、回転軸210をハウジング組立体100に取り付ける前に、まずインペラ40を回転軸210に固着し、インペラ40と回転軸210との同軸度を直接検出及び調整し、さらにインペラ40が固着された回転軸210を取付孔102からハウジング組立体100に組み立てる。このように、駆動装置20の回転軸210とインペラ40との同軸度を高くすることができ、組み立て難さを低下させるのに有利であり、駆動装置20及び血液ポンプ1の生産効率及び歩留まりを向上させ、駆動装置20及び血液ポンプ1の信頼性を向上させる。しかし、従来の血液ポンプの駆動装置は、その構造設計自体によって、例えば凸球面222が回転軸210の接続セグメント211に近接する方向に向かって突出し、且つ凹球面壁103が回転軸210の接続セグメント211に近接する方向に向かって凹むような設計により、組み立て時に、まず回転軸210をハウジング組立体100に取り付け、さらにインペラ40を回転軸210に取り付けるしかないため、回転軸210とインペラ40との同軸度を確保することが困難であり、組み立て難さを増加させ、駆動装置及び血液ポンプの生産効率及び歩留まりが低く、且つ駆動装置及び血液ポンプの信頼性に影響を与える。
【0054】
図10及び図11に示すように、第2の実施例の血液ポンプの駆動装置は、第1の実施例の駆動装置20とほぼ同じ構造であり、回転ヘッド220の構造が異なる点で異なる。
【0055】
本実施例の回転ヘッド220の凸球面222は、局所的に凹んでガイド溝224を形成し、ガイド溝224は、回転ヘッド220の底面223から凸球面222に沿って底面223から離れる方向に向かって延び、ガイド溝224は、連通孔104によってハウジング組立体の収容キャビティに連通する。具体的には、ガイド溝224は、凸球面222に沿って底面224から頂面225まで延びる。
【0056】
ガイド溝224を設けることにより、リンス液の流通の円滑性を向上させるのに有利である。同時に、ガイド溝224を設けることにより、リンス液が取付孔102の凹球面壁103と回転ヘッド220の凸球面224との間に入って潤滑の役割を果たし、取付孔102の凹球面壁103と回転ヘッド220の凸球面224との間の摩耗を低減することができる。
【0057】
第2の実施例の駆動装置は、第1の実施例の駆動装置20とほぼ同じ構造であるため、第1の実施例の駆動装置20と同様の効果を有するので、ここではその説明を省略する。
【0058】
図12に示すように、第3の実施例の血液ポンプの駆動装置は、第1の実施例の駆動装置20とほぼ同じ構造であり、回転部材200の構造が異なる点で異なる。
【0059】
本実施例では、回転軸210の接続セグメント211の一端は、回転ヘッド210の底面223に固着され、且つ接続セグメント211の軸線は、回転ヘッド220の底面223の中心を通り且つ底面223に垂直であり、回転軸210は、接続セグメント211から分離された内蔵セグメント212をさらに含み、内蔵セグメント212は、接続セグメント211と同軸に設けられ、内蔵セグメント212は、回転ヘッド220に固着される。
【0060】
ここで、回転子は、回転軸210の内蔵セグメント212に固着される。図示の実施例では、回転ヘッド220に組み立て孔228が設けられ、組み立て孔228が回転ヘッド220の頂面225から底面223に向かって延び、組み立て孔228の中心軸線が頂面225の中心及び底面223の中心を通る。即ち、本実施例では、組み立て孔228は、図3に示す貫通孔226に代える。内蔵セグメント212は、一端が組み立て孔228に収容され、他端が収容キャビティ101内まで延び、例えば支持部材に取り付けられる。
【0061】
第3の実施例の駆動装置は、第1の実施例の駆動装置20とほぼ同じ構造であるため、第1の実施例の駆動装置20と同様の効果を有するので、ここではその説明を省略する。
【0062】
第4の実施例の血液ポンプの駆動装置は、第1の実施例の駆動装置20とほぼ同じ構造であり、固定子の構造が異なる点で異なる。
【0063】
図13に示すように、本実施例では、固定子500は、第1の固定子ユニット510と、第2の固定子ユニット520と、導磁部材530と、を含み、第1の固定子ユニット510、導磁部材530及び第2の固定子ユニット520は、回転軸の軸線に沿って順次設けられる。回転軸は、第1の固定子ユニット510、導磁部材530及び第2の固定子ユニット520に回転可能に穿設される。
【0064】
第1の固定子ユニット510、第2の固定子ユニット520及び導磁部材530は、いずれも図4及び図8に示す第1の回転子ユニット310と第2の回転子ユニット320との間に位置し、第1の固定子ユニット510は、第1の回転子ユニット310に近接して設けられ、第2の固定子ユニット520は、第2の回転子ユニット320に近接して設けられ、第1の固定子ユニット510は、第1の回転子ユニット310の回転を駆動可能であり、第2の固定子ユニット520は、第2の回転子ユニット320の回転を駆動可能である。ここで、第1の固定子ユニット510と第1の回転子ユニット310との間に第1の吸引力を有し、第2の固定子ユニット520と第2の回転子ユニット320との間に第2の吸引力を有する。
【0065】
第1の固定子ユニット510及び第2の固定子ユニット520の構造は、図4に示す固定子400の構造とほぼ同じであり、第1の固定子ユニット510は、第1の磁気コア511と、第1の磁気コア511に巻回された第1のコイル512と、を有し、第2の固定子ユニット520は、第2の磁気コア521と、第2の磁気コア521に巻回された第2のコイル522と、を有し、第1の磁気コア511と第2の磁気コア521とは、それぞれ、ヘッド部を有してもよいし、ヘッド部を有さなくてもよい。第1の固定子ユニット510及び第2の固定子ユニット520に図4に示す位置決め部材430が設けられていない点で異なる。
【0066】
第1の固定子ユニット510の第1の磁気コア511及び第2の固定子ユニット520の第2の磁気コア521は、いずれも導磁部材530に固着される。第1の磁気コア511がヘッド部を有する場合、第1の磁気コア511のヘッド部から遠い一端が導磁部材530に固着され、第1の回転子ユニット310が第1の磁気コア511のヘッド部に近接して設けられる。第2の磁気コア521がヘッド部を有する場合、第2の磁気コア521のヘッド部から遠い一端が導磁部材530に固着され、第2の回転子ユニット320が第2の磁気コア521のヘッド部に近接して設けられる。第1の磁気コア511がヘッド部を有さない場合、第1の磁気コア511の一端が導磁部材530に固着され、第1の回転子ユニット310が第1の磁気コア511の他端に近接して設けられる。第2の磁気コア521がヘッド部を有さない場合、第2の磁気コア521の一端が導磁部材530に固着され、第2の回転子ユニット320が第2の磁気コア521の他端に近接して設けられる。
【0067】
導磁部材530は、磁束の発生を促進及び増加させて結合能力を向上させるために磁路を閉じる役割を果たすため、第1の固定子ユニット510の第1の磁気コア511及び第2の固定子ユニット520の第2の磁気コア521をいずれも導磁部材530に固着し、第1の固定子ユニット510と第1の回転子ユニット310との間の磁路を閉じ、第2の固定子ユニット520と第2の回転子ユニット320との間の磁路を閉じる役割を果たし、磁束を増加させることができるので、導磁部材530を設けることにより駆動装置20全体の直径を小さくするのに有利である。また、第1の固定子ユニット510の第1の磁気コア511及び第2の固定子ユニット520の第2の磁気コア521をいずれも導磁部材530に固着することにより、第1の固定子ユニット510及び第2の固定子ユニット520の位置決め及び取り付けを実現することもでき、第1の固定子ユニット510及び第2の固定子ユニット520の組み立て難さを低減する。固定子500のハウジング組立体への固定を容易にするために、ハウジング組立体のハウジング内に導磁部材530に嵌合する係止溝を設け、係止溝と導磁部材530との係合により固定子500の全体的な固定を実現することができる。したがって、上記のように設けられた導磁部材530は、ハウジング組立体内の位置決め構造の配置を減少させることもでき、それによってハウジング組立体の構造を簡素化し、駆動装置全体の組み立て過程を簡素化する。
【0068】
具体的には、導磁部材530は、第1の導磁板部531と、第2の導磁板部532と、を含み、第1の導磁板部531は、第1の固定子ユニット510の第1の磁気コア511に固着され、第2の導磁板部532は、第2の固定子ユニット520の第2の磁気コア521に固着される。第1の導磁板部531と第2の導磁板部532とは、積層されており、即ち、第1の導磁板部531と第2の導磁板部532とが互いに近接する一面が当接する。回転軸は、第1の導磁板部531及び第2の導磁板部532に回転可能に穿設される。
【0069】
具体的には、第1の導磁板部531と第2の導磁板部532とを固着することにより、第1の固定子ユニット510、第2の固定子ユニット520及び導磁部材530は、一体となってハウジング内に組み立てられ、固定子500の組み立てがより容易になる。
【0070】
具体的には、第1の導磁板部531と第2の導磁板部532とは溶接又は接着により固定される。換言すれば、第1の導磁板部531及び第2の導磁板部532は、組み立て前には別体の2つの部材であり、導磁部材530を組み立て前に別体の第1の導磁板部531及び第2の導磁板部532に設けることにより、駆動装置を組み立てるとき、まず第1の磁気コア511を第1の導磁板部531に固着し、第2の磁気コア521を第2の導磁板部532に固着し、そして第1の導磁板部531及び第2の導磁板部532を積層して固定することができる。このように、第1の磁気コア511及び第2の磁気コア521をそれぞれ第1の導磁板部531及び第2の導磁板部532に容易に組み立てることができ、第1の磁気コア511及び第2の磁気コア521の組み立てをさらに容易にすることができる。
【0071】
なお、第1の導磁板部531及び第2の導磁板部532の材質は珪素鋼であり、第1の磁気コア511及び第2の磁気コア521の材質は珪素鋼である。導磁部材530は、上記のように組み立て前に別体の第1の導磁板部531と第2の導磁板部532とを組み合わせて構成される方式に限定されず、いくつかの実施例において、第1の導磁板部531と第2の導磁板部532とは、固着されずに積層されており、いくつかの実施例において、導磁部材530は、一体成形された板状構造であってもよく、第1の磁気コア511及び第2の磁気コア521は、いずれも導磁部材530に接続され、即ち、第1の固定子ユニット510及び第2の固定子ユニット520は、1つの導磁部材530を共有する。
【0072】
第4の実施例の駆動装置は、第1の実施例の駆動装置20とほぼ同じ構造であるため、第1の実施例の駆動装置20と同様の効果を有するので、ここではその説明を省略する。
【0073】
第5の実施例の血液ポンプの駆動装置の構造は、第1の実施例の駆動装置20の構造とほぼ同じであり、回転子の構造がわずかに異なる点で異なる。
【0074】
図14に示すように、本実施例では、回転子600は、1つの回転子ユニットを有し、回転子600の構造は、第1の実施例の図2図4図8及び図9における第1の回転子ユニット310の構造及び設置方式と同じである。回転軸の軸線に沿って、回転子600は、回転ヘッドと固定子700との間に位置し、あるいは、回転子600は、スリーブと固定子700との間に位置し、回転子600と固定子700との間に吸引力を有し、当該吸引力の作用下で回転ヘッドの凸球面は、取付孔の凹球面壁に当接する。
【0075】
図示の実施例では、固定子700の構造は、図2図4図8及び図9における固定子400の構造と同じである。固定子700の構造は、図2図4図8及び図9における固定子400の構造と異なってもよい。いくつかの実施例において、固定子700は、位置決め部材730を有さず、磁気コア710の回転子600から遠い一端に固着された導磁部材バックプレーン(図示せず)を有する。導磁部材バックプレーンは、磁路を閉じるために用いられ、磁束の発生を促進及び増加させ、結合能力を向上させ、磁束を増加させ、駆動装置の全体的な直径を小さくするのに有利である。磁気コア710は、ヘッド部(磁極片)を有してもよいし、ヘッド部を有さなくてもよく、磁気コア710がヘッド部を有する場合、ヘッド部は、磁気コア710の回転子600に近い一端に位置する。
【0076】
第5の実施例の駆動装置は、第1の実施例の駆動装置20とほぼ同じ構造であるため、第1の実施例の駆動装置20と同様の効果を有するので、ここではその説明を省略する。
【0077】
第6の実施例の血液ポンプの駆動装置の構造は、第5の実施例の駆動装置の構造とほぼ同じであり、回転軸の構造がわずかに異なる点で異なる。
【0078】
図15に示すように、本実施例では、回転軸800の接続セグメント810から遠い一端は、固定子910と間隔をあけて設けられ、即ち、回転軸800は、固定子910に穿設されず、回転軸800は、固定子910外に位置する。回転子920は、回転軸800の接続セグメント810から遠い一端に固着される。
【0079】
固定子910の磁気コア911の断面積が大きいほど、発生する磁束が大きくなり、回転子920に対する固定子910のトルクが大きくなり、必要な電流が小さくなり、消費電力の低減や発熱の低減に有利となる。固定子910に回転軸800が穿設されていないことから、回転軸800が磁気コア911の取り付け空間を占有することを回避でき、ハウジング組立体930(具体的にはハウジング)の外径を一定に維持しながら、磁気コア911の断面寸法を増大させて回転子920に対する固定子910の駆動トルクを増大させるのに有利であり、必要なトルクが同じ場合、この方式は、固定子910への電流供給を減少させ、それによって消費電力を低減させると同時に、駆動装置の発熱量を減少させ、血液ポンプの動作中に熱蓄積による温度過昇が発生して人体に不快感を与えたり、ひいては損傷を与えたりするのを回避することができる。
【0080】
本実施例では、図2及び図4と同様の支持部材130及び固定部材140は、いずれも省略することができる。同様に、本実施例では、固定子910の構造は、図2図4図8及び図9における固定子400の構造と同じであってもよいし、図2図4図8及び図9における固定子400の構造と異なってもよい。例えば、いくつかの実施例において、固定子910は、図4及び図8における位置決め部材430を有さず、導磁部材バックプレーン(図示せず)を有し、導磁部材バックプレーンが磁気コア911の回転子920から遠い一端に固着される。導磁部材バックプレーンは、磁路を閉じるために用いられ、磁束の発生を促進及び増加させ、結合能力を向上させ、磁束を増加させ、駆動装置の全体的な直径を小さくするのに有利である。
【0081】
第6の実施例の駆動装置は、第5の実施例の駆動装置とほぼ同じ構造であるため、第5の実施例の駆動装置と同様の効果を有するので、ここではその説明を省略する。
【0082】
上記の実施例は、本発明の技術案を説明するためにのみ用いられ、本発明の技術案を限定するものではない。前述の実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載された技術案を修正したり、その一部の技術的特徴を均等に置換したりすることができ、これらの修正又は置換は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の精神及び範囲から逸脱させるものではなく、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】