(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】駆動装置及び血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/825 20210101AFI20241018BHJP
A61M 60/174 20210101ALI20241018BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20241018BHJP
A61M 60/419 20210101ALI20241018BHJP
A61M 60/804 20210101ALI20241018BHJP
A61M 60/857 20210101ALI20241018BHJP
【FI】
A61M60/825
A61M60/174
A61M60/237
A61M60/419
A61M60/804
A61M60/857
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529980
(86)(22)【出願日】2023-06-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2023098349
(87)【国際公開番号】W WO2024007792
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】202210800319.7
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520245301
【氏名又は名称】シェンジェン コア メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CORE MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】朱繹澄
(72)【発明者】
【氏名】余順周
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD10
4C077DD21
4C077FF04
(57)【要約】
駆動装置(20)はハウジング組立体(100)と、回転軸(200)と、回転子(300)と、ストッパー(500)と、固定子(400)を含み、ハウジング組立体(100)は位置規制面(150)を有し、回転軸(200)はハウジング組立体(100)に回転可能に取り付けられ、回転子(300)は回転軸(200)に固着され、ストッパー(500)は回転軸(200)及び回転子(300)のうちの少なくとも1つに固着され、ストッパー(500)、位置規制面(150)、及び回転子(300)は回転軸(200)の軸方向に沿って設けられ、ストッパー(500)は位置規制面(150)と回転子(300)との間に位置し、ストッパー(500)は位置規制面(150)に当接可能であり、固定子(400)はストッパー(500)が位置規制面(150)に向かって当接するように回転子(300)に対して磁気推力を発生可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラの回転を駆動するための駆動装置であって、
位置規制面を有するハウジング組立体と、
前記ハウジング組立体に回転可能に取り付けられ、且つ前記インペラに固着されるように構成される回転軸と、
前記回転軸に固着された回転子と、
前記回転軸及び前記回転子のうちの少なくとも1つに固着されたストッパーであって、前記ストッパー、前記位置規制面及び前記回転子は、前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、且つ前記ストッパーは、前記位置規制面と前記回転子との間に位置し、前記ストッパーは、前記位置規制面に当接可能であるストッパーと、
前記回転子の回転を駆動可能な固定子であって、前記固定子が前記回転子に対して磁気推力を発生可能であり、前記磁気推力により前記ストッパーは前記位置規制面に向かって当接できる固定子と、を含む、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記回転子は、前記回転軸に固着された第1の回転子ユニット及び第2の回転子ユニットを含み、前記ストッパー、前記第1の回転子ユニット、前記固定子、前記第2の回転子ユニットは、前記回転軸の軸方向に沿って順次設けられ、前記ストッパーは、前記第1の回転子ユニットと前記位置規制面との間に位置し、前記固定子は、前記第1の回転子ユニット及び前記第2の回転子ユニットの回転を駆動可能であり、前記固定子と前記第1の回転子ユニットとの間に第1の吸引力を有し、前記固定子と前記第2の回転子ユニットとの間に第2の吸引力を有し、前記磁気推力を形成するように、前記第2の吸引力が前記第1の吸引力よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1の回転子ユニット及び前記第2の回転子ユニットは、前記固定子との間隔が等しい場合、前記第1の回転子ユニットと前記固定子との間の吸引力は、前記第2の回転子ユニットと前記固定子との間の吸引力に等しく、前記固定子と前記第1の回転子ユニットとの間に、前記回転軸の軸方向に沿って第1の間隔が存在し、前記固定子と前記第2の回転子ユニットとの間に、前記回転軸の軸方向に沿って第2の間隔が存在し、前記第2の吸引力が前記第1の吸引力よりも大きいように、前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも大きい、ことを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記固定子は、複数の磁気コアを含み、各前記磁気コアの延在方向は、いずれも前記回転軸の延在方向に一致し、前記第1の回転子ユニットは、第1の磁石を含み、前記第2の回転子ユニットは、第2の磁石を含み、
前記第1の間隔は、前記固定子の磁気コアと前記第1の回転子ユニットの第1の磁石との間の間隔であり、
前記第2の間隔は、前記固定子の磁気コアと前記第2の回転子ユニットの第2の磁石との間の間隔である、ことを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1の間隔と前記第2の間隔との比は、1.2~2であり、又は、前記第1の間隔の値の範囲は、0.3mm~0.4mmであり、前記第2の間隔の値の範囲は、0.2mm~0.25mmである、ことを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記固定子は、複数の磁気コアと、複数のコイルと、を含み、複数の前記磁気コアが前記回転軸の周りに設けられ、各前記磁気コアに前記コイルが巻回され、各前記磁気コアは、一端が前記第1の回転子ユニットに近接して設けられ、他端が前記第2の回転子ユニットに近接して設けられ、前記固定子は、前記第1の回転子ユニット及び前記第2の回転子ユニットの回転を駆動する回転磁界を発生可能であり、前記第1の回転子ユニット及び前記第2の回転子ユニットは、いずれも磁性を有し、前記第1の回転子ユニットと前記磁気コアとの間に前記第1の吸引力を有し、前記第2の回転子ユニットと前記磁気コアとの間に前記第2の吸引力を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記固定子は、複数の前記磁気コアに固定的に嵌設された位置決めリングをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記位置決めリングの材料は、非導電性材料であり、及び/又は、前記位置決めリングの材料は、非導磁性材料である、ことを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ハウジング組立体は、ハウジングを含み、前記位置決めリングは、前記ハウジングに固定的に接続され、複数の前記磁気コアは、それぞれ、前記位置決めリングの内輪に接着固定されている、ことを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記ストッパーは、前記位置規制面に対向するストッパ面を有し、前記ストッパ面は、前記位置規制面に当接し、
前記ストッパ面及び前記位置規制面のうちの少なくとも1つの粗さが0.1マイクロメートル以下であり、
及び/又は、前記ストッパ面及び前記位置規制面の材質は、いずれもセラミックであり、
及び/又は、前記ストッパ面及び前記位置規制面は、いずれも環状であり、前記回転軸の軸線は、前記ストッパ面に垂直であり、前記回転軸の軸線は、前記ストッパ面の中心を通り、前記ハウジング組立体は、軸孔をさらに有し、前記回転軸は、前記軸孔に回転可能に穿設され、前記軸孔の中心軸線は、前記位置規制面の中心を通り、前記軸孔の中心軸線は、前記位置規制面に垂直であり、前記ストッパ面の外径と前記位置規制面の外径との比は0.75~1である、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記ストッパーは、連続的で閉じた環状構造であり、あるいは、前記ストッパーは、回転軸の周りに等間隔に1周設けられた複数の扇形リングを配列して構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記ハウジング組立体は、軸孔をさらに有し、前記位置規制面は、局所的に凹んでガイド溝を形成し、前記ガイド溝が前記軸孔に連通し、前記ストッパーが前記位置規制面に当接するとき、前記ガイド溝の少なくとも一部は前記ストッパーによって覆われておらず、前記回転軸は前記軸孔に回転可能に穿設される、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記ハウジング組立体は、ハウジングを含み、前記ハウジングは、収容キャビティと、前記収容キャビティの境界を画定する第1のキャビティ壁及び第2のキャビティ壁と、を有し、前記第1のキャビティ壁及び前記第2のキャビティ壁は、対向して平行であり、前記回転子及び前記固定子は、前記第1のキャビティ壁と前記第2のキャビティ壁との間に位置し、前記ストッパーが前記位置規制面に当接するとき、前記第1のキャビティ壁は、前記第1の回転子ユニットから所定の距離だけ離間し、且つ前記第2のキャビティ壁は、前記第2の回転子ユニットから所定の距離だけ離間する、ことを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記第1の回転子ユニットは、第1の磁石と、第1のフライホイールと、を含み、前記第1のフライホイールは、前記回転軸に固着され、前記第1のフライホイールは、第1の内蔵管と、第1の円盤状部と、第1の外環壁と、を含み、前記第1の外環壁は、前記第1の円盤状部を取り囲み、前記第1の内蔵管及び前記第1の外環壁は、同軸に設けられ、前記回転軸は、前記第1の内蔵管内に穿設され、且つ前記第1の内蔵管に固定的に接続され、前記第1の磁石は、前記第1のフライホイールに固着され、前記ストッパーは、前記位置規制面に対向するストッパ面を有し、前記ストッパーの前記ストッパ面から離反した表面は、前記第1のフライホイールの第1の円盤状部に固着される、ことを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記ハウジング組立体は、第1のスリーブと、前記第2のスリーブと、ハウジングと、を含み、前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブは、いずれも前記ハウジングに固着され、前記第1のスリーブは、前記ハウジング組立体の遠位端に位置し、前記第2のスリーブは、前記ハウジング組立体の近位端に位置し、前記回転軸は、前記第1のスリーブ及び前記第2のスリーブに回転可能に取り付けられ、前記位置規制面は、前記第1のスリーブに位置し、前記ストッパーは、前記第1のスリーブと前記回転子との間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項16】
前記ハウジングは、収容キャビティと、第1の取付孔と、第2の取付孔と、を有し、前記第1の取付孔及び前記第2の取付孔は、いずれも前記収容キャビティに連通し、前記ハウジング組立体は、前記ハウジングの近位端に固着された固定部材をさらに含み、前記第1のスリーブは、前記第1の取付孔に取り付けられ、前記第2のスリーブは、一部が前記固定部材に収容され、一部が前記第2の取付孔に収容される、ことを特徴とする請求項15に記載の駆動装置。
【請求項17】
前記固定子は、第1の固定子ユニットと、第2の固定子ユニットと、導磁部材と、を含み、前記第1の固定子ユニット、前記導磁部材及び前記第2の固定子ユニットは、回転軸の軸線に沿って順次設けられ、且ついずれも前記第1の回転子ユニットと前記第2の回転子ユニットとの間に位置し、前記第1の固定子ユニットは、第1の磁気コアを有し、前記第2の固定子ユニットは、第2の磁気コアを有し、前記第1の磁気コア及び前記第2の磁気コアは、いずれも導磁部材に固着され、前記回転軸は、前記第1の固定子ユニット、前記導磁部材及び前記第2の固定子ユニットに回転可能に穿設される、ことを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項18】
前記導磁部材は、第1の導磁板部と、第2の導磁板部と、を含み、前記第1の導磁板部と前記第2の導磁板部とは、積層され、前記第1の導磁板部は、前記第1の磁気コアに固着され、前記第2の導磁板部は、前記第2の磁気コアに固着される、ことを特徴とする請求項17に記載の駆動装置。
【請求項19】
血液ポンプであって、インペラと、駆動装置と、を含み、前記駆動装置は、
位置規制面を有するハウジング組立体と、
前記ハウジング組立体に回転可能に取り付けられ、且つ前記インペラに固着されるように構成される回転軸と、
前記回転軸に固着された回転子と、
前記回転軸及び前記回転子のうちの少なくとも1つに固着されたストッパーであって、前記ストッパー、前記位置規制面及び前記回転子は、前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、且つ前記ストッパーは、前記位置規制面と前記回転子との間に位置し、前記ストッパーは、前記位置規制面に当接可能であるストッパーと、
前記回転子の回転を駆動可能な固定子であって、前記固定子が前記回転子に対して磁気推力を発生可能であり、前記磁気推力により前記ストッパーは前記位置規制面に向かって当接できる固定子と、を含み、
前記インペラは、前記回転軸に固着され、前記回転軸は、前記インペラを動かして回転させることができる、ことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項20】
前記血液ポンプは、カニューレアセンブリをさらに含み、前記カニューレアセンブリは、チューブ本体と、前記チューブ本体の一端から前記チューブ本体の軸方向に沿って延出する、間隔をおいた複数のインサートと、を含み、隣接する2つの前記インサートの間に液体出口が形成され、前記ハウジング組立体にシンクが設けられ、前記インサートの前記チューブ本体から遠い一端は、前記シンクに収容される、ことを特徴とする請求項19に記載の血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療機器の技術分野に関し、特に、駆動装置及び当該駆動装置を含む血液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内血液ポンプは、患者の血管を介して患者の心臓に挿入される血液ポンプ装置であり、血液が血液ポンプを流れて動脈血管内に入ることができるように、血管内血液ポンプは、心臓弁の開口内に配置される。血液ポンプは、駆動部と、インペラと、を含み、駆動部は、静止部材と、静止部材に対して回転する回転部材と、を有し、インペラは、回転部材に固着され、回転部材によってインペラを動かして回転させるが、静止部材と回転部材との間に大きな摩耗が存在し、且つ回転部材の動きが滑らかではなく、血液ポンプの寿命及び信頼性に影響を与える。
【0003】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年07月08日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号CN202210800319.7の中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本出願に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、本出願は、長寿命で信頼性の高い駆動装置及び血液ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の態様の実施例は、インペラの回転を駆動するための駆動装置を提供する。前記駆動装置は、
位置規制面を有するハウジング組立体と、
前記ハウジング組立体に回転可能に取り付けられ、且つ前記インペラに固着されるように構成される回転軸と、
前記回転軸に固着された回転子と、
前記回転軸及び前記回転子のうちの少なくとも1つに固着されたストッパーであって、前記ストッパー、前記位置規制面及び前記回転子は、前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、且つ前記ストッパーは、前記位置規制面と前記回転子との間に位置し、前記ストッパーは、前記位置規制面に当接可能であるストッパーと、
前記回転子の回転を駆動可能な固定子であって、前記固定子が前記回転子に対して磁気推力を発生可能であり、前記磁気推力により前記ストッパーは前記位置規制面に向かって当接できる固定子と、を含む。
【0006】
本出願の第2の態様の実施例は、インペラと、上記の駆動装置とを含む血液ポンプを提供する。前記インペラは、前記回転軸に固着され、前記回転軸は、前記インペラを動かして回転させることができる。
【0007】
本発明の1つ以上の実施例の詳細は、以下の図面及び説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0008】
以下、本出願の実施例における技術案をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の説明における図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施例の血液ポンプの概略斜視図である。
【
図5】
図1に示す血液ポンプの回転子及び固定子の構造概略図である。
【
図6】
図5に示す血液ポンプの回転子及び固定子の別の角度での構造概略図である。
【
図7】
図1に示す血液ポンプの回転子及びストッパーの組み立て図である。
【
図8】第2の実施例の血液ポンプの駆動装置の固定子の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本出願の目的、技術案及び利点をより明確に理解するために、添付の図面及び実施例を参照して本出願をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本出願を解釈するためのものだけであり、本出願を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0011】
なお、要素は別の要素に「固定される」又は「設けられる」と称される場合、別の要素に直接的にあるか又は当該別の要素に間接的にあってもよい。ある要素は別の要素に「接続される」と称される場合、別の要素に直接的に接続されるか又は当該別の要素に間接的に接続されてもよい。
【0012】
さらに、「第1の」、「第2の」という用語は、単に説明の目的のためのものであり、相対的な重要性を示すか又は暗示するか、又は示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものと理解されるべきではない。したがって、「第1の」、「第2の」と定義された特徴は、1つ以上の当該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本出願の説明において、「複数」は、特に断りのない限り、2つ以上を意味する。
【0013】
以下、本出願の技術案を説明するために、具体的な図面及び実施例を参照して説明する。
【0014】
本明細書において、「近位端」を操作者に近い一端と定義し、「遠位端」を操作者から遠い一端と定義する。
【0015】
図1及び
図2を参照すると、第1の実施例の血液ポンプ1は、駆動装置20と、カニューレアセンブリ30と、インペラ40と、カテーテル50と、を含む。カニューレアセンブリ30は、駆動装置20の遠位端に接続され、カテーテル50は、駆動装置20の近位端に接続され、インペラ40は、カニューレアセンブリ30内に回転可能に設けられ、インペラ40は、駆動装置20に伝動可能に接続され、駆動装置20は、血液ポンプ1の血液ポンプ機能を実現するために、インペラ40の回転を駆動することができる。
【0016】
具体的には、カニューレアセンブリ30は、液体入口31と、液体出口32と、を有する。ここで、液体出口32は、液体入口31よりも駆動装置20に近い。即ち液体出口32は、カニューレアセンブリ30の近位端に位置し、液体入口31は、カニューレアセンブリ30の遠位端に位置する。具体的には、液体出口32は、カニューレアセンブリ30の側壁に位置する。その1つの実施例において、カニューレアセンブリ30は、延びて大動脈弁などの心臓弁を通る一方で、液体入口31は、心臓内に位置し、液体出口32及び駆動装置20は、心臓外の大動脈などの血管内に位置する。インペラ40が回転すると、血液は、液体入口31からカニューレアセンブリ30内に流入し、さらに液体出口32を介してカニューレアセンブリ30から流出して大動脈などの血管に入る。
【0017】
いくつかの実施例において、カニューレアセンブリ30は、チューブ本体33と、チューブ本体33の一端からチューブ本体33の軸線に沿って延出する、間隔をおいた複数のインサート34と、を含み、隣接する2つのインサート34の間に液体出口32が形成され、駆動装置20にシンク21が設けられ、インサート34のチューブ本体33から遠い一端がシンク21に収容される。図示の実施例では、シンク21とインサート34の数は等しく、両者は1対1の対応関係を形成している。インペラ40の軸方向の長さが短く、且つ駆動装置20の遠位端に導液面を形成することにより液体出口32での水力性能を確保する血液ポンプにおいて、駆動装置20の遠位端がカニューレアセンブリ30に収容され、導液面がカニューレアセンブリ30に位置し、駆動装置20の径方向直径が大きくなり過ぎることを回避すると共に、液体出口32での水力性能を確保するために、カニューレアセンブリ30の駆動装置20に嵌合する一端の管壁の厚さが非常に薄くなり、カニューレアセンブリ30と駆動装置20との間の接続強度に影響を与える。しかし、上記インサート34の方式により、インサート34は、より大きな厚さを有することができるため、カニューレアセンブリ30と駆動装置20との間に大きな接続強度を有することができる。
【0018】
カテーテル50は、駆動装置20のカニューレアセンブリ30から遠い一端に突き合わされる。カテーテル50は、種々の供給ラインを収容するために用いられ、供給ラインは、例えば、駆動装置20内にリンス液を流すためのリンスライン、また例えば駆動装置20に電力を供給するためのリード線、さらに例えばカテーテル50を支持するための支持部材などであってもよい。
【0019】
図3及び
図4を併せて参照すると、駆動装置20は、ハウジング組立体100と、回転軸200と、回転子300と、固定子400と、を含む。回転軸200は、ハウジング組立体100に回転可能に取り付けられ、且つインペラ40に固着されるために用いられ、回転子300は、回転子300が回転軸200を動かして回転させることができるように、回転軸200に固着され、固定子400は、回転子300の回転を駆動可能である。
【0020】
ハウジング組立体100全体は、略円筒状である。ハウジング組立体100は、遠位端がカニューレアセンブリ30に固着され、近位端がカテーテル50に固着される。具体的には、ハウジング組立体100は、第1のスリーブ110と、第2のスリーブ120と、ハウジング130と、を含み、第1のスリーブ110及び第2のスリーブ120は、いずれもハウジング130に固着される。いくつかの実施例において、ハウジング130、第1のスリーブ110及び第2のスリーブ120は、組み立て前には独立した個体であり、組み立て時に、第1のスリーブ110及び第2のスリーブ120の両方が接着によってハウジング130内に固定されてもよい。第1のスリーブ110は、ハウジング130のインペラ40に近い一端に位置し、第2のスリーブ120は、ハウジング130のインペラ40から遠い一端に位置し、即ち、第1のスリーブ110及び第2のスリーブ120は、ハウジング組立体100の遠位端及び近位端にそれぞれ位置し、これにより第1のスリーブ110及び第2のスリーブ120は、ハウジング組立体100の軸方向に沿って所定の距離だけ離間する。
【0021】
具体的には、ハウジング130は、略円筒状である。ハウジング130は、遠位端がカニューレアセンブリ30に固着され、近位端がカテーテル50に固着される。ハウジング130は、収容キャビティ131を有する。具体的には、ハウジング130は、収容キャビティ131の境界を画定する第1のキャビティ壁132及び第2のキャビティ壁133を有し、第1のキャビティ壁132と第2のキャビティ壁133とは、対向して平行である。ハウジング130は、第1の取付孔134と、第2の取付孔135と、をさらに有し、第1の取付孔134及び第2の取付孔135は、いずれも収容キャビティ131に連通する。第1の取付孔134の1つの開口は、第1のキャビティ壁132に位置し、第2の取付孔135の1つの開口は、第2のキャビティ壁133に位置する。第1のスリーブ110は、第1の取付孔134に取り付けられ、第2のスリーブ120は、第2の取付孔135に取り付けられる。
【0022】
図示の実施例では、ハウジング組立体100は、固定部材140をさらに含み、固定部材140は、ハウジング130に固着され、第2のスリーブ120は、一部が固定部材140に収容され、一部が第2の取付孔135に収容される。ここで、固定部材140に第2の軸孔122に連通する流体通路142が設けられ、流体通路142がリンスラインに連通するために用いられる。
【0023】
回転軸200は、一部がハウジング組立体100に収容され、一部がハウジング組立体100外まで延びてインペラ40との固着に用いられる。回転軸200のハウジング組立体100外まで延びてインペラ40との固着に用いられる部分を接続セグメント210と定義する。図示の実施例では、回転軸200は、第1のスリーブ110及び第2のスリーブ120に回転可能に取り付けられ、第1のスリーブ110及び第2のスリーブ120は、回転軸200の径方向の揺動範囲を制限するように径方向に回転軸200を位置規制できる。回転軸200は、第1のスリーブ110に回転可能に穿設され、回転軸200の接続セグメント210から遠い一端は、第2のスリーブ120に回転可能に取り付けられる。具体的には、第1のスリーブ110に第1の軸孔112が設けられ、第2のスリーブ120に第2の軸孔122が設けられ、回転軸200は、第1の軸孔112に回転可能に穿設され、回転軸200の接続セグメント210から遠い一端は、第2の軸孔122内に回転可能に設けられている。
【0024】
回転子300及び固定子400は、いずれも収容キャビティ131内に収容されるため、回転子300及び固定子400は、第1のキャビティ壁132と第2のキャビティ壁133との間に位置する。回転子300及び固定子400は、いずれも第1のスリーブ110と第2のスリーブ120との間に位置し、回転軸200は、固定子400に回転可能に穿設される。具体的には、回転子300は磁性を有し、固定子400は、回転子300の回転を駆動する回転磁界を発生可能である。
【0025】
図示の実施例では、回転子300は、第1の回転子ユニット310と、第2の回転子ユニット320と、を含み、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、いずれも回転軸200に固着される。第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、いずれも収容キャビティ131内に収容される。固定子400は、第1の回転子ユニット310と第2の回転子ユニット320との間に位置し、第1の回転子ユニット310は、第1のスリーブ110に近接して設けられ、第2の回転子ユニット320は、第2のスリーブ120に近接して設けられる。第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、いずれも磁性を有し、固定子400は、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320の回転を駆動する回転磁界を発生可能であり、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320が回転すると、回転軸200は、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320に追従して回転し、最終的にインペラ40は、回転軸200に追従して回転する。
【0026】
図5及び
図6を併せて参照すると、図示の実施例では、第1の回転子ユニット310は、回転軸200に固着された第1の磁石311を含む。ここで、第1の磁石311は、環状のハルバッハアレイ磁石である。
【0027】
第1の回転子ユニット310は、回転軸200に固着された第1のフライホイール312をさらに含み、第1の磁石311が第1のフライホイール312に固着される。第1のフライホイール312を設けることにより、第1の磁石311と回転軸200との接続強度を補強することができ、また、回転軸200の回転時のぐらつきを減少し、回転軸200全体を回転時により安定させることができる。
【0028】
具体的には、第1のフライホイール312は、第1の内蔵管3121と、第1の円盤状部3122と、第1の外環壁3123と、を含み、第1の内蔵管3121及び第1の外環壁3123の両方は、いずれも円管状構造であり、第1の円盤状部3122は、環状円盤構造である。第1の内蔵管3121及び第1の外環壁3123は、いずれも第1の円盤状部3122に固着される。第1の外環壁3123は、第1の円盤状部3122の周りに設けられ、第1の内蔵管3121及び第1の外環壁3123の両方は、同軸に設けられ、回転軸200は、第1の内蔵管3121に穿設され、且つ第1の内蔵管3121に固定的に接続される。第1の内蔵管3121と第1の外環壁3123との間に第1の取付キャビティが形成される。第1の磁石311は、第1の取付キャビティに収容される。第1の磁石311の取り付け及び位置決めを容易にするために、第1の取付キャビティの形状は、第1の磁石311に適合する。このように設けることにより、第1のフライホイール312は、第1の磁石311に対して位置制限の役割を果たし、第1の磁石311の取り付けを容易にするだけでなく、第1の磁石311と第1のフライホイール312との結合をより強固にすることができる。
【0029】
第2の回転子ユニット320の構造は第1の回転子ユニット310の構造とほぼ同じである。第2の回転子ユニット320は、回転軸200に固着された第2の磁石321を含む。具体的には、第2の磁石321は、環状のハルバッハアレイ磁石である。
【0030】
第2の回転子ユニット320は、回転軸200に固着された第2のフライホイール322をさらに含み、第2の磁石321が第2のフライホイール322に固定される。第2のフライホイール322を設けることにより、第2の磁石321と回転軸200との接続強度を補強することができ、また、回転軸200の回転時のぐらつきを減少し、回転軸200全体を回転時により安定させることができる。
【0031】
第2のフライホイール322は、第2の内蔵管3221と、第2の円盤状部3222と、第2の外環壁3223と、を含み、第2の内蔵管3221及び第2の外環壁3223の両方は、いずれも円管状構造であり、第2の円盤状部3222は、環状円盤構造である。第2の内蔵管3221及び第2の外環壁3223は、いずれも第2の円盤状部3222に固着される。第2の外環壁3223は、第2の円盤状部3222の周りに設けられ、第2の内蔵管3221及び第2の外環壁3223の両方は、同軸に設けられ、回転軸200は、第2の内蔵管3221に穿設され、且つ第2の内蔵管3221に固定的に接続される。第2の内蔵管3221と第2の外環壁3223との間に第2の取付キャビティが形成される。第2の磁石321は、第2の取付キャビティに収容される。第2の磁石321の取り付け及び位置決めを容易にするために、第2の取付キャビティの形状は、第2の磁石321に適合する。このように設けることにより、第2のフライホイール322は、第2の磁石321に対して位置制限の役割を果たし、第2の磁石321の取り付けを容易にするだけでなく、第2の磁石321と第2のフライホイール322との結合をより強固にすることができる。
【0032】
なお、第1のフライホイール312は、上記構造に限定されず、いくつかの実施例において、第1のフライホイール312は、第1の外環壁3123を有さず、いくつかの実施例において、第1のフライホイール312は、第1の外環壁3123及び第1の内蔵管3121を有さず、このとき、回転軸200は、第1の円盤状部3122の中心に固定的に穿設される。第1の円盤状部3122のみを有する第1のフライホイール312に対して、第1の内蔵管3121を設けることにより第1のフライホイール312と回転軸200とをより安定して接続させることができる。第2のフライホイール322は、上記構造に限定されず、いくつかの実施例において、第2のフライホイール322は、第2の外環壁3223を有さず、いくつかの実施例において、第2のフライホイール322は、第2の外環壁3223及び第2の内蔵管3221を有さず、このとき、回転軸200は、第2の円盤状部3222の中心に固定的に穿設される。第2の円盤状部3222のみを有する第2のフライホイール322に対して、第2の内蔵管3221を設けることにより第2のフライホイール322と回転軸200とをより安定して接続させることができる。
【0033】
いくつかの実施例において、固定子400は、複数の磁気コア410と、複数のコイル420と、を含み、複数の磁気コア410は、円周に沿って間隔をあけて設けられ、複数のコイル420は、複数の磁気コア410にそれぞれ巻回される。具体的には、各磁気コア410の延在方向は、いずれも回転軸200の延在方向に一致する。
【0034】
図示の実施例では、磁気コア410は、略円柱状であり、磁気コア410の延在方向において、磁気コア410の断面の寸法は、一定に維持される。第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、磁気コア410の両端にそれぞれ近接して設けられる。より具体的には、第1の回転子ユニット310の第1の磁石311は、磁気コア410の一端に近接し、第2の回転子ユニット320の第2の磁石321は、磁気コア410の他端に近接することにより、磁気コア410は、第1の磁石311及び第2の磁石321と同時に磁気結合することができ、それによって当該固定子400は、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320の回転を同時に駆動することができる。
【0035】
磁気コア410の断面の形状は、略三角柱状であり、各磁気コア410の一方の稜線は、回転軸200の軸線に向かっている。例えば、磁気コア410の稜線は、いずれも丸みが付けられており、即ち、磁気コア410の稜線は、比較的滑らかで鈍い丸みが付けられ、それによって磁気コア410の鋭い角をなくすことができ、後続のコイル420の巻回を容易にすることができるだけでなく、コイル420に被覆された絶縁材料を保護するのに有利である。また例えば、磁気コア410の断面の形状は、扇形、円形、台形、扇形リングなどであってもよい。
【0036】
理解されるように、磁気コア410の構造は、上記構造に限定されず、他の実施例では、各磁気コア410は、磁性ピラーと、磁性ピラーに設けられたヘッド部(即ち磁極片)と、を含み、ヘッド部は2つであり、磁性ピラーの両端にいずれもヘッド部が設けられ、磁性ピラーの延在方向は、回転軸200の延在方向に一致し、コイル420は、各磁気コア410の磁性ピラーに巻回される。磁性ピラーの延在方向において、磁性ピラーの断面の寸法は、一定に維持され、一般的には、磁性ピラーの太さは均一である。このとき、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320は、2つのヘッド部にそれぞれ近接して設けられる。
【0037】
図2から
図6に示す柱状の磁気コア410は、幅の広いヘッド部(即ち磁極片)を有さず、このとき、磁気コア410全体は、いずれも回転子300と磁気結合することができ、ヘッド部を有する磁気コア410に比べて、柱状の磁気コア410のみを有する方が、磁気損失を減少することができ、磁気コア410と回転子300との間の磁気結合密度を増加させて、同じ電流の場合に回転子300に対する固定子400のトルクを増大させることができる。一方では、ヘッド部のない磁気コア410は、隣接する磁気コア410の間の接触による局所的な磁気短絡による駆動装置20の電力低下の問題を大幅に低減することができる。
【0038】
具体的には、磁気コア410の材質は、珪素鋼などの磁性を有する材料である。したがって、磁気コア410は、同時に第1の磁石311及び第2の磁石321との間に吸引力を有し、即ち、固定子400と第1の回転子ユニット310との間に吸引力を有し、固定子400と第2の回転子ユニット320との間にも吸引力を有する。
【0039】
具体的には、固定子400は、複数の磁気コア410に固定的に嵌設された位置決めリング430をさらに含む。位置決めリング430の材料は、非導電性且つ非導磁性の材料である。ここで、位置決めリング430の材料は、ポリエーテルエーテルケトン又はセラミックである。ポリエーテルエーテルケトン及びセラミックは、いずれも、非導電性且つ非導磁性の材料であり、固定子400の性能に影響を与えず、且つポリエーテルエーテルケトンは、耐加水分解性、寸法安定性、電気的性能及び絶縁性能などの利点を有する一方、セラミックは、高い生体適合性、機械的強度を有し、且つ優れた耐摩耗性及び耐食性を有する。図示の実施例では、位置決めリング430は、略環状構造であり、複数の磁気コア410は、それぞれ位置決めリング430の内輪に接着固定されている。位置決めリング430は、ハウジング130に固着され、位置決めリング430は、磁気コア410を支持及び位置決めするために用いられ、同時に固定子400のハウジング組立体100内での固定を実現する。
【0040】
回転軸200の軸方向の位置規制を実現するために、ハウジング組立体100は、位置規制面150を有し、駆動装置20は、回転軸200及び回転子300のうちの少なくとも1つに固着されたストッパー500をさらに含み、ストッパー500、位置規制面150及び回転子300は、回転軸200の軸方向に沿って設けられ、且つストッパー500は、位置規制面150と回転子300との間に位置し、ストッパー500は、位置規制面150に当接可能であり、固定子400は、回転子300に対して磁気推力を発生可能であり、当該磁気推力によりストッパー500を位置規制面150に向かって当接させることができ、それによって回転軸200の軸方向における移動範囲を制限する。具体的には、位置規制面150は、第1のスリーブ110に位置し、ストッパー500は、第1のスリーブ110と回転子300との間に位置し、第1の軸孔112の1つの開口は、位置規制面150に位置し、且つ第1の軸孔112の中心軸線は、位置規制面150に垂直である。図示の実施例では、第1のスリーブ110、ストッパー500、第1の回転子ユニット310、固定子400、第2の回転子ユニット320及び第2のスリーブ120は、回転軸200の軸線に沿って順次設けられる。
【0041】
ストッパー500が回転軸200及び回転子300のうちの少なくとも1つに固着されることを実現するために、ストッパー500は、回転子300のみに直接固定されてもよく、回転軸200のみに直接固定されてもよく、回転子300及び回転軸200の両方に直接固定されてもよい。回転子300が回転軸200に固着されるので、ストッパー500は、回転軸200及び回転子300のいずれか1つに固着されば、三者の同期回転及び移動を実現できる。図示の実施例では、ストッパー500は、回転軸200に固着され、ストッパー500の位置規制面150から離反した側は、第1の回転子ユニット310の第1のフライホイール312(具体的には第1の円盤状部3122)に固着される。いくつかの実施例において、ストッパー500と回転軸200とは一体成形構造であり、いくつかの実施例において、ストッパー500及び回転軸200は、接着又は溶接によって固定され、即ち、ストッパー500及び回転軸200は、組み立て前に独立した部材である。血液ポンプ1の体積が非常に小さいので、ストッパー500と回転軸200とが一体成形構造である場合、駆動装置20の組み立てがより容易になる。
【0042】
図3、
図4及び
図7を併せて参照すると、具体的には、ストッパー500は、位置規制面150に対向するストッパ面510を有し、ストッパ面510は、位置規制面150に当接し、即ち、ストッパ面510によってストッパー500と位置規制面150との当接を実現する。図示の実施例では、ストッパ面510及び位置規制面150は、いずれも環状であり、回転軸200の軸線は、ストッパ面510に垂直であり、且つ回転軸200の軸線は、ストッパ面510の中心を通り、第1の軸孔112の中心軸線は、位置規制面150の中心を通る。ここで、ストッパ面510の外径と位置規制面150の外径との比は、0.75~1である。このように、ストッパー500と位置規制面150の接触面積を適切にすることができ、ストッパ面510の外径が小さ過ぎると、ストッパー500と位置規制面150の接触面積が小さ過ぎ、位置規制面150の摩耗が大きくなり、且つストッパー500と位置規制面150の接触面積が小さいため、回転軸200の回転中に径方向の振れが発生しやすく、ストッパ面510の外径が位置規制面150の外径を超えると、ストッパー500と位置規制面150との有効接触面積が位置規制面150の面積であり、逆にストッパー500の径方向寸法が増加する。
【0043】
図示の実施例では、ストッパー500は、略環状構造であり、ストッパー500は、回転軸200と同軸である。ストッパー500は、連続的で閉じた環状構造であってもよく、ストッパー500は、回転軸200の周りに沿って1周等間隔に設けられた複数の扇形リングを配列して構成されてもよいし、周方向に離散的に設けられた複数の扇形リングを配列して構成されてもよい。ここで、ストッパ面510は、ストッパー500の1つの表面であり、ストッパー500のストッパ面510から離反した表面は、第1の回転子ユニット310の第1のフライホイール312(具体的には第1の円盤状部3122)に固着される。
【0044】
具体的には、ストッパ面510及び位置規制面150のうちの少なくとも1つの粗さは、0.1マイクロメートル以下である。いくつかの実施例において、ストッパ面510及び位置規制面150の粗さは、0.1マイクロメートル以下である。いくつかの実施例において、ストッパ面510及び位置規制面150の一方の粗さは、0.1マイクロメートル以下である。ストッパ面510及び位置規制面150のうちの少なくとも1つの粗さを小さくすることにより、ストッパ面510と位置規制面150との間の摩擦力を効果的に小さくし、位置規制面150とストッパー500との間の摩擦による摩耗問題を低減することができる。
【0045】
いくつかの実施例において、ストッパ面510及び位置規制面150のうちの少なくとも1つの材料は、セラミックである。セラミックスは、加工精度が高く、生体適合性が高く、機械的強度が高く、耐摩耗性及び耐食性に優れている。このとき、ストッパー500及び第1のスリーブ110の材質は、セラミックであってもよく、又は、セラミックコーティングを設けることで、ストッパ面510及び位置規制面150のうちの少なくとも1つがセラミック面であることを実現する。いくつかの実施例において、ストッパ面510の材料は、ダイヤモンドであり、これによりストッパ面510は、より高い硬度、より滑らかな表面、及び耐摩耗性を有し、このとき、ダイヤモンドコーティングを設けることによって、ストッパ面510の材料がセラミック面であることを実現する。
【0046】
具体的には、位置規制面150は、局所的に凹んでガイド溝152を形成し、ガイド溝152は、第1のスリーブ110の第1の軸孔112に連通し、ストッパー500が位置規制面150に当接するとき、一部のガイド溝152がストッパー500によって覆われないため、ストッパー500が位置規制面150に当接するとき、ストッパー500が第1の軸孔112と回転軸200との間の隙間を塞ぐことによるリンス液の流通障害の問題が解決され、ストッパー500によって覆われないガイド溝152は、ストッパー500が位置規制面150に当接するとき、流体が連通することができ、リンス液の流通の円滑性が確保される。また、位置規制面150が局所的に凹んでガイド溝152を形成し、リンス液がストッパー500と位置規制面150との間によりよく流入してストッパー500と位置規制面150との接触面への潤滑の役割を果たし、ストッパー500と位置規制面150との間の摩擦を低減し、ストッパー500と位置規制面150との間の摩擦による摩耗問題を低減することができる。
【0047】
具体的には、ストッパー500が位置規制面150に当接する場合、第1のキャビティ壁132は、回転子300(具体的には第1の回転子ユニット310の第1のフライホイール312)から所定の距離だけ離間し、第1のキャビティ壁132と回転子300との間の接触による摩擦が発生することを回避する。同様に、ストッパー500が位置規制面150に当接する場合、第2のキャビティ壁133は回転子300の第2の回転子ユニット320の第2のフライホイール322からも所定の距離だけ離間し、第2のキャビティ壁133と第2の回転子ユニット320との間の接触による摩擦が発生することを回避する。
【0048】
固定子400が回転子300に対して発生する磁気推力によりストッパー500を位置規制面150に向かって当接させることができるように、固定子400と第1の回転子ユニット310との間の吸引力を第1の吸引力と定義し、固定子400と第2の回転子ユニット320との間の吸引力を第2の吸引力と定義すると、第2の吸引力が第1の吸引力よりも大きいことにより、ストッパー500を位置規制面150に向かって当接させることができる磁気推力を形成する。
【0049】
本実施例では、第1の回転子ユニット310と第2の回転子ユニット320とは同じ構造であり、即ち、第1の回転子ユニット310及び第2の回転子ユニット320と固定子400との間隔が等しい場合、第1の回転子ユニット310と固定子400との間の吸引力は、第2の回転子ユニット320と固定子400との間の吸引力に等しい。固定子400と第1の回転子ユニット310との間に回転軸200の軸方向に沿って第1の間隔Hが存在し、固定子400と第2の回転子ユニット320との間に回転軸200の軸方向に沿って第2の間隔hが存在すると、第2の吸引力が第1の吸引力よりも大きいように、第1の間隔Hが第2の間隔hよりも大きい。具体的には、第1の間隔は、固定子400の磁気コア410と第1の回転子ユニット310の第1の磁石311との間の間隔であり、第2の間隔は、固定子400の磁気コア410と第2の回転子ユニット320の第2の磁石321との間の間隔である。
【0050】
いくつかの実施例において、第1の間隔Hと第2の間隔hとの比は、1.2~2であってもよい。第1の間隔Hと第2の間隔hとの間の比を当該範囲内に制御することにより、第2の吸引力と第1の吸引力との差が合理的範囲内にあるように制御し、即ち、磁気推力の値を制御する。当該磁気推力の値が大き過ぎると、ストッパー500の位置規制面150に対する軸方向の圧力が大き過ぎ、ストッパー500と位置規制面150との間に大きな摩擦力が生じ、ストッパー500及び位置規制面150が増加し、且つ回転軸200の回転が妨げられ、ひいては回転軸200が起動できなくなることもある。磁気推力が小さ過ぎると、ストッパー500が受ける軸方向の推力が小さく、回転軸200の回転中に、ストッパー500が位置規制面150に安定して当接できず、回転軸200が大きく軸方向に振動する。いくつかの実施例において、第1の間隔Hの値の範囲は0.3mm~0.4mmであり、例えば、第1の間隔Hの具体的な値は0.3mm、0.35mm又は0.4mmなどであり、第2の間隔の値の範囲は0.2mm~0.25mmであり、第1の間隔の具体的な値は0.2mm、0.21mm又は0.25mmなどであってもよい。
【0051】
上記血液ポンプ1及び駆動装置20は、少なくとも以下の利点を有する。
【0052】
ハウジング組立体100の位置規制面150と回転子300との間に、回転子300及び回転軸200のうちの少なくとも1つに固着されたストッパー500を設けることにより、ストッパー500は位置規制面150に当接し、回転子300と位置規制面150との当接摩擦を回避又は代替し、従来の血液ポンプのコア部品である回転子がハウジング組立体100に直接接触することによる重大な摩耗を回避し、駆動装置20及び血液ポンプ1の耐用年数を向上させる。回転子300の回転を駆動するための固定子400によって回転子300に対して磁気推力を発生させることにより、ストッパー500は位置規制面150に向かって当接し、回転軸200に対する軸方向の規制を実現し、回転軸200の軸方向の振動を低減し、駆動装置20の動作の安定性及び信頼性を向上させる。
【0053】
第2の実施例の血液ポンプの駆動装置は、第1の実施例の駆動装置20とほぼ同じ構造であり、固定子の構造が異なる点で異なる。
【0054】
図8に示すように、本実施例では、固定子600は、第1の固定子ユニット610と、第2の固定子ユニット620と、導磁部材630と、を含み、第1の固定子ユニット610、導磁部材630及び第2の固定子ユニット620は、回転軸の軸線に沿って順次設けられる。回転軸は、第1の固定子ユニット610、導磁部材630及び第2の固定子ユニット620に回転可能に穿設される。
【0055】
第1の固定子ユニット610、第2の固定子ユニット620及び導磁部材630は、いずれも
図2から
図6に示す第1の回転子ユニット310と第2の回転子ユニット320との間に位置し、第1の固定子ユニット610は、第1の回転子ユニット310に近接して設けられ、第2の固定子ユニット620は、第2の回転子ユニット320に近接して設けられ、第1の固定子ユニット610は、第1の回転子ユニット310の回転を駆動可能であり、第2の固定子ユニット620は、第2の回転子ユニット320の回転を駆動可能である。ここで、第1の固定子ユニット610と第1の回転子ユニット310との間に第1の吸引力を有し、第2の固定子ユニット620と第2の回転子ユニット320との間に第2の吸引力を有する。
【0056】
第1の固定子ユニット610及び第2の固定子ユニット620の構造は、
図5及び
図6に示す固定子400の構造とほぼ同じであり、第1の固定子ユニット610は、第1の磁気コア611と、第1の磁気コア611に巻回された第1のコイル612と、を有し、第2の固定子ユニット620は、第2の磁気コア621と、第2の磁気コア621に巻回された第2のコイル622と、を有し、第1の磁気コア611及び第2の磁気コア621は、それぞれヘッド部を有してもよいし、ヘッド部を有さなくてもよい。第1の固定子ユニット610及び第2の固定子ユニット620に
図5及び
図6に示す固定子400の位置決めリング430が設けられていない点で異なる。
【0057】
第1の固定子ユニット610の第1の磁気コア611及び第2の固定子ユニット620の第2の磁気コア621は、いずれも導磁部材630に固着される。第1の磁気コア611がヘッド部を有する場合、第1の磁気コア611のヘッド部から遠い一端は、導磁部材630に固着され、第1の回転子ユニット310は、第1の磁気コア611のヘッド部に近接して設けられ、第2の磁気コア621がヘッド部を有する場合、第2の磁気コア621のヘッド部から遠い一端は、導磁部材630に固着され、第2の回転子ユニット320は、第2の磁気コア621のヘッド部に近接して設けられる。第1の磁気コア611がヘッド部を有さない場合、第1の磁気コア611の一端は、導磁部材630に固着され、第1の回転子ユニット310は、第1の磁気コア611の他端に近接して設けられ、第2の磁気コア621がヘッド部を有さない場合、第2の磁気コア621の一端は、導磁部材630に固着され、第2の回転子ユニット320は、第2の磁気コア621の他端に近接して設けられる。
【0058】
導磁部材630は、磁束の発生を促進及び増加させて結合能力を向上させるために磁路を閉じる役割を果たすため、第1の固定子ユニット610の第1の磁気コア611及び第2の固定子ユニット620の第2の磁気コア621の両方を導磁部材630に固着することにより、第1の固定子ユニット610と第1の回転子ユニット310との間の磁路を閉じ、第2の固定子ユニット620と第2の回転子ユニット320との間の磁路を閉じる役割を果たし、磁束を増加させることができるので、導磁部材630を設けることにより駆動装置20全体の直径を小さくするのに有利である。また、第1の固定子ユニット610の第1の磁気コア611及び第2の固定子ユニット620の第2の磁気コア621の両方を導磁部材630に固着することにより、第1の固定子ユニット610及び第2の固定子ユニット620の位置決め及び取り付けを実現することもでき、第1の固定子ユニット610及び第2の固定子ユニット620の組み立て難さを低減する。固定子600のハウジング組立体への固定を容易にするために、ハウジング組立体のハウジング内に導磁部材630に嵌合する係止溝を設けてもよく、係止溝と導磁部材630との係合により固定子600の全体的な固定を実現する。したがって、上記のように設けられた導磁部材630は、ハウジング組立体内の位置決め構造の配置を減少させることもでき、それによってハウジング組立体の構造を簡素化し、駆動装置全体の組み立て過程を簡素化する。
【0059】
具体的には、導磁部材630は、第1の導磁板部631と、第2の導磁板部632と、を含み、第1の導磁板部631は、第1の固定子ユニット610の第1の磁気コア611に固着され、第2の導磁板部632は、第2の固定子ユニット620の第2の磁気コア621に固着される。第1の導磁板部631と第2の導磁板部632とは積層され、即ち、第1の導磁板部631と第2の導磁板部632とが互いに近接する一面が当接する。回転軸は、第1の導磁板部631及び第2の導磁板部632に回転可能に穿設される。
【0060】
具体的には、第1の導磁板部631と第2の導磁板部632とを固着することにより、第1の固定子ユニット610、第2の固定子ユニット620及び導磁部材630は、一体となってハウジング内に組み立てられ、固定子600の組み立てがより容易になる。
【0061】
具体的には、第1の導磁板部631と第2の導磁板部632とは溶接又は接着により固定され、換言すれば、第1の導磁板部631及び第2の導磁板部632は、組み立て前には別体の2つの部材であり、導磁部材630を組み立て前に別体の第1の導磁板部631及び第2の導磁板部632に設けることにより、駆動装置を組み立てるとき、まず第1の磁気コア611を第1の導磁板部631に固着し、第2の磁気コア621を第2の導磁板部632に固着し、そして第1の導磁板部631及び第2の導磁板部632を積層して固定することができる。このように、第1の磁気コア611及び第2の磁気コア621をそれぞれ第1の導磁板部631及び第2の導磁板部632に容易に組み立てることができ、第1の磁気コア611及び第2の磁気コア621の組み立てをさらに容易にすることができる。
【0062】
なお、第1の導磁板部631及び第2の導磁板部632の材質は珪素鋼であり、第1の磁気コア611及び第2の磁気コア621の材質は珪素鋼である。導磁部材630は、上記組み立て前に別体の第1の導磁板部631と第2の導磁板部632とを組み合わせて構成される方式に限定されず、いくつかの実施例において、第1の導磁板部631と第2の導磁板部632とは、固着されずに積層されており、いくつかの実施例において、導磁部材630は、一体成形された板状構造であってもよく、第1の磁気コア611及び第2の磁気コア621は、いずれも導磁部材630に接続され、即ち、第1の固定子ユニット610及び第2の固定子ユニット620は、1つの導磁部材630を共有する。
【0063】
第2の実施例の駆動装置は、第1の実施例の駆動装置20とほぼ同じ構造であるため、第1の実施例の駆動装置20と同様の効果を有するので、ここではその説明を省略する。
【0064】
理解されるように、駆動装置20は、上記構造に限定されず、いくつかの実施例において、第2のスリーブ120は省略されてもよく、このとき、駆動装置20は、第1のスリーブ110のみを有する。いくつかの実施例において、第1のスリーブ110及び第2のスリーブ120は、いずれも省略されてもよく、直接ハウジング130に回転軸200が穿設される軸孔を設けることができ、このとき、位置規制面150は、第1のキャビティ壁132の一部である。いくつかの実施例において、回転子は、1つの回転子ユニットのみを有することができ、このとき、回転軸200の軸方向に沿って、固定子は、回転子とストッパーとの間に位置するため、回転子は、固定子のインペラ40方向に向かう吸引力を受ける。このとき、固定子の構造は、
図2~
図6における固定子400の構造と同じであってもよく、
図2~
図6における固定子400の構造と異なってもよく、このとき、固定子は、
図3~
図6における固定子400の位置決めリング430を有さず、導磁部材バックプレーンを有し、導磁部材バックプレーンは、磁気コアの回転子から遠い一端に固着される。導磁部材バックプレーンは、磁路を閉じる役割を果たし、磁束の発生を促進及び増加させ、結合能力を向上させ、磁束を増加させ、駆動装置の全体直径を減少させるのに有利である。
【0065】
本実施例の駆動装置は、第1の実施例の駆動装置と同様の構造を有するため、本実施例の駆動装置及び本実施例の駆動装置を有する血液ポンプも第1の実施例と同様の効果を有する。
【0066】
上記の実施例は、本発明の技術案を説明するためにのみ用いられ、本発明の技術案を限定するものではない。前述の実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載された技術案を修正したり、その一部の技術的特徴を均等に置換したりすることができ、これらの修正又は置換は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の精神及び範囲から逸脱させるものではなく、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】