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特表2024-539472突然死の発生のリスクを予測する方法及び関連装置
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  • 特表-突然死の発生のリスクを予測する方法及び関連装置 図1
  • 特表-突然死の発生のリスクを予測する方法及び関連装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】突然死の発生のリスクを予測する方法及び関連装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20241018BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B10/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530418
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022082993
(87)【国際公開番号】W WO2023094455
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】2112396
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591100596
【氏名又は名称】アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル
(71)【出願人】
【識別番号】520053762
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・シテ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS CITE
(71)【出願人】
【識別番号】591140123
【氏名又は名称】アシスタンス ピュブリク-オピトー ドゥ パリ
【氏名又は名称原語表記】ASSISTANCE PUBLIQUE - HOPITAUX DE PARIS
(71)【出願人】
【識別番号】524191712
【氏名又は名称】グループ・デ・エコール・ナショナル・デエコノミー・エ・スタティスティクエ
【氏名又は名称原語表記】GROUPE DES ECOLES NATIONALES D’ECONOMIE ET STATISTIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】524191723
【氏名又は名称】メディカル・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】MEDYKAL AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ジュヴァン,クサヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ヨウスフィ,ヨネス
(72)【発明者】
【氏名】ブーゴアン,ウォルフラン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
本発明は、患者における突然死の発生のリスクを予測する方法に関し、この方法はコンピュータで実行され、以下のステップを含む:
- 患者のケアパスウェイに関するデータを受信すること、
- 受信されたデータから、患者が、各グループが所定のデータのセットと関連している所定のグループのセットの一つに属するか否かを判定すること、
- その患者に固有の値のセットを取得するために、各所定の判定されたデータについて、その患者に関する所定のデータの値を検索すること、
- 患者の突然死の発生のリスクを取得するために、ニューラルネットワークが判定されたグループに固有である、患者固有の値にニューラルネットワークを適用すること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における突然死の発生のリスクを予測する方法であって、
前記方法は、コンピュータにより実行され、
- 患者のケアパスウェイに関するデータを受信すること、
- 各グループが所定のデータのセットと関連しており、判定されたグループ、及び、所定の判定されたデータのセットを取得するために、前記患者のケアパスウェイに関する前記データから、前記患者が、所定のグループのセットの一つに属するか否か、を判定すること、
- 前記患者に固有の値のセットを取得するために、各所定の判定されたデータについて、前記患者の所定のデータの値を検索すること、及び、
- ニューラルネットワークが、前記判定されたグループに固有のものであり、前記患者の突然死の発生のリスクを取得するために、前記患者に固有の値にニューラルネットワークを適用すること、
の各ステップを含む方法。
【請求項2】
各ニューラルネットワークが、リカレントゲート型ニューラルネットワークである、請求項1に記載の予測する方法。
【請求項3】
前記受信したデータが、前記患者の過去5年間の前記ケアパスウェイに関するデータである、請求項1又は2に記載の予測する方法。
【請求項4】
各所定のデータは、障害の存在、又は、薬剤の摂取である、請求項1~3のいずれか1項に記載の予測する方法。
【請求項5】
グループの前記所定のデータの数は、10~30の間、好ましくは15~25の間、有利には20と同等、である請求項1~4のいずれか1項に記載の予測する方法。
【請求項6】
- グループが、呼吸疾患又は呼吸疾患制限製品の摂取、に関する所定のデータと関連しており、
- グループが、神経疾患又は神経疾患制限製品の摂取、に関する所定のデータと関連しており、
- グループが、癌疾患又は癌疾患制限製品の摂取、に関する所定のデータと関連しており、
- グループが、嗜癖性障害又は嗜癖性障害制限製品の摂取、に関する所定のデータと関連しており、
- グループが、老化障害又は老化障害制限製品の摂取、に関する所定のデータと関連しており、及び、
- グループが、心臓疾患又は心臓疾患制限製品の摂取、に関する所定のデータと関連している、
請求項1~5のいずれか1項に記載の予測する方法。
【請求項7】
前記グループは、前記患者のセットのケアパスウェイに関するデータを含むデータのセットに、k-means法分割技術を適用することによって取得され、グループの各所定のデータは、前記患者のセットのケアパスウェイに関するデータを含むデータのセットに、言語解析ツールを適用することによって取得される、請求項1~6のいずれか一項に記載の予測する方法。
【請求項8】
前記データのセットは、前記患者のセットのケアパスウェイに関するデータに、関数を適用することにより生成された人工データを含む、請求項7に記載の予測する方法。
【請求項9】
前記関数は、敵対的ニューラルネットワークである、請求項8に記載の予測する方法。
【請求項10】
可読情報媒体に記憶されたコンピュータ・プログラムを形成するプログラム命令を含むコンピュータ・プログラム製品であって、前記コンピュータ・プログラムは、データ処理装置にロード可能であり、前記コンピュータ・プログラムが前記データ処理装置上で実行される場合に、請求項1~9のいずれか一項に記載の評価方法を実施する、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項11】
コンピュータ・プログラムを形成するプログラム命令を含む可読情報媒体であって、前記コンピュータ・プログラムは、データ処理装置にロード可能であり、前記コンピュータ・プログラムが前記データ処理装置上で実行される場合に、請求項1~9のいずれか一項に記載の評価方法を実施する、可読情報媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる2021年11月23日に出願された文献FR21/12396の利益を主張するものである。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、患者における突然死の発生のリスクを予測する方法に関する。本発明はまた、予測する方法の実施に関わるコンピュータ・プログラム製品及び可読情報担体に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の技術的背景
突然死とは、その場に居合わせた人(bystanders)の存在下又は居合わせた人の不在下で、症状発現後1時間以内に、急速に衰弱して起こる、明らかな非心臓性の原因を伴わない予期せぬ死と定義される。この病態は、フランスでは年間30,000人~40,000人、ヨーロッパでは年間300,000人が発症している。
【0004】
予後は依然としてきわめて不良であり、最近のいくつかの研究では、生存率は10%未満である。予後を改善するために、入院前の管理に関して、特に生存の連鎖を介して、居合わせた人による早期の心臓マッサージ、早期の除細動、又は、病院での管理(早期の冠動脈管理又は治療的低体温療法の適用を介して)、等のいくつかのツールが提案されている。
【0005】
それでも、いくつかの研究によれば最近になって改善されたとはいえ、生存率の結果は依然として期待外れである。
【0006】
治療面におけるこのようなささやかな結果が考慮されて、このようなイベントの発生を予防するために、いくつかの予防的代替案が提案されている。このように、抗不整脈治療及び自動埋め込み可能型除細動器の開発により、突然死のリスクが高いと判断された患者における有意な予防が可能となっている。
【0007】
従って、これらの予防的治療法の使用の最適化は、リスクのある患者の特定に依存する。
【0008】
このような状況において、「事後」の側面、特に突然死した患者のケア(care)、については多くの研究が行われてきたが、そのようなイベントの発生を予測することは依然として困難である。そのため、リスクのある患者の特定は、依然として大きな研究課題であり、現在までのところ残念な結果となっている。
【0009】
突然死のリスクが非常に高い特定の患者グループ(特定の構造的又は電気的な催不整脈性心疾患)が特定されており、すでに専門的なリズム学的管理(rhythmology management)を受けている。
【0010】
しかし、疫学的見地から見ると、このような構成要素は全集団の非常に小さな一部に過ぎず、突然死した患者の大部分はこのような集団の一部ではない。実際、突然死の主な原因は、依然として虚血性心疾患であり、これらの患者の、急性イベント(心筋梗塞)中、又は、経過観察中、のいずれかで起こる。虚血性心疾患患者のコーホート(cohort)は非常に大きく、障害の経過中に突然死を経験するのは、そのうちの非常に少ない割合である。
【0011】
従って、非常に高リスクであるが少数の集団(特定の催不整脈性心疾患、構造性心疾患、電気性心疾患)と、低リスクであるが非常に多数の集団(虚血性心疾患)、従って一般的な集団における突然死患者の大部分を構成している集団と、の間には不一致がある。
【0012】
従って、ほとんどの患者は、集団のリスク因子が明確に特定されていないため(例えば、フラミンガムスコアのようなツールで個々のリスク評価が可能なグローバルな心血管系リスクとは異なり)、個々のリスク層別化の恩恵を受けることができないから、突然死を予測するという課題は依然として残っている。
【0013】
この個々のリスクを層別化するために、家族歴を含むいくつかのリスク因子が提案されている。突然死の犠牲者の大多数を占める虚血性心疾患患者の集団では、現在のところ、予測は基本的に左室駆出率に基づいているが、比較的期待外れな結果となっている。
【発明の概要】
【0014】
従って、患者における突然死の発生のリスクを予測する方法が必要とされている。
【0015】
この目的を達成するために、本明細書は、患者における突然死の発生のリスクを予測する方法を記載しており、この方法は、コンピュータによって実施され、患者のケアパスウェイ(care pathway)に関するデータを受信すること、ケアパスウェイに関するデータから、患者が、各グループが所定のデータ(predefined data)のセットと関連している、所定のグループのセットの一つに属するか否かを判定すること、判定されたグループ及び判定された所定のデータのセットを取得するために、患者に固有の値のセットを取得するために判定された所定のデータごとに、患者に対する所定のデータの値を検索すること、及び、ニューラルネットワークが判定されたグループに固有であり、患者における突然死の発生のリスクを取得するために、患者に固有の値に、ニューラルネットワークを適用すること、の各ステップを含む。
【0016】
本方法は、心電図信号又は心血管系リスクの高い集団、を解析するための機械学習法とは異なる。実際、この種の方法は、心血管系リスクのある集団に限定される。
【0017】
対照的に、本発明は心血管系リスクのある集団だけでなく、一般的な集団を対象とした予測を提案する。実際、心血管系リスクのある集団は、集団のわずか5%に過ぎないので、残りの95%についての突然死のリスクを予測できることが必要である。
【0018】
これにより、新たなグループ、つまり本出願で言及されている8つのグループ、が特定された。今日まで、これらのグループは、いずれもそのように特定されていなかった。
【0019】
例えば、本発明は、年に一度の歯石除去を受けていない場合、又は、向精神薬を服用している場合に、突然死するリスク性が高いか否かを知ることを可能にする。
【0020】
この方法により、突然死する可能性が高く、埋め込み型除細動器の埋め込みが必要な人を特定することができる。このような人は、ほとんどの場合、心血管系リスクのある集団に含まれないため、一般的な理解として突然死すると考えられている人とみなされることはない。しかし、彼らは、突然死のリスクを有する全集団の90%を占めている。
【0021】
従って、現在のプロセスは、突然死の災難に対して効果的に闘うことを可能にする。
【0022】
特定の実施形態によれば、予測する方法は、単独で、又は、技術的に可能な任意の組み合わせで、以下の特徴の一つ以上を提示する。
- 各ニューラルネットワークが、ゲート型リカレント・ニューラル・ネットワークである。
- 受信されたデータが、過去5年間の患者のケアパスウェイに関するデータである。
- 各所定のデータが、障害の存在又は薬剤の摂取である。
- グループの所定のデータの数が、10~30の間、好ましくは15~25の間、有利には20と同等である。
- グループが、呼吸疾患又は呼吸疾患を制限する製品の摂取、に関する所定のデータと関連している。
- グループが、神経疾患又は神経疾患を制限する製品の摂取、に関する所定のデータと関連している。
- グループが、癌疾患又は癌疾患を制限する製品の摂取、に関する所定のデータと関連している。
- グループが、嗜癖性障害、又は嗜癖性障害を制限する製品の摂取、に関する所定のデータと関連している。
- グループが、老化障害又は老化障害を制限する製品の摂取、に関する所定のデータと関連している。
- グループが、心臓疾患又は心臓疾患を制限する製品の摂取、に関する所定のデータと関連している。
- グループが、患者のセットのケアパスウェイに関するデータを含むデータのセットにk-means法分割技術(k-means partitioning technique)を適用することによって取得され、グループの各所定のデータが、患者のケアパスウェイに関するデータを含むデータのセットに言語解析ツールを適用することによって取得される。
- データのセットが、患者のセットのケアパスウェイに関するデータに関数を適用することによって生成された人工データを含む。
- 関数が、敵対的ニューラルネットワークである。
【0023】
また、本明細書は、可読情報媒体に格納されたコンピュータ・プログラムを形成するプログラム命令を含むコンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ・プログラムがデータ処理装置にロード可能であり、コンピュータ・プログラムがデータ処理装置上で実行される場合に、前述したような評価方法を実施するコンピュータ・プログラム製品についても説明する。
【0024】
また、本明細書は、コンピュータ・プログラムを形成するプログラム命令を含む情報の可読媒体に関し、このコンピュータ・プログラムは、データ処理装置にロード可能であり、コンピュータ・プログラムがデータ処理装置上で実行される場合に、前述したような評価方法を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の特徴及び利点は、非限定的な例としてのみ与えられ、添付の図面を参照してなされる、以下の説明から明らかになるであろう。
図1】システム及びコンピュータ・プログラム製品の概略図である。
図2】患者における突然死の発生のリスクを予測する方法の実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
好ましい実施形態の詳細な説明
使用されるシステムの説明
システム10及びコンピュータ・プログラム製品12が図1に示される。
【0027】
システム10とコンピュータ・プログラム製品12との間の相互作用が、患者における突然死の発生のリスクを予測する方法の実施を可能にする。従って、予測する方法はコンピュータで実施される方法である。
【0028】
システム10は、デスクトップ・コンピュータである。代替的に、システム10は、ラック-マウント型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、又は、スマートフォンである。
【0029】
図1の場合、システム10は、コンピュータ14、ユーザー・インターフェース16、通信装置18を含む。
【0030】
コンピュータ14は、システム10のレジスタ及び/又はメモリ内の電子的又は物理的な量によって表されるデータを、レジスタ、又は、他のタイプの表示装置、送信装置、又は、記憶装置のメモリ内の物理データに対応する他の同様のデータに操作及び/又は変換するように設計された電子回路である。
【0031】
具体例として、コンピュータ14は、シングルコア又はマルチコア・プロセッサ(中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、マイクロコントローラ、及びデジタル信号プロセッサ(DSP)等)、プログラマブル論理回路(特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジックデバイス(PLD)、プログラマブル・ロジックアレイ(PLA)等)、状態マシン(state machine)、論理ゲート、及び個別のハードウェア・コンポーネントを含む。
【0032】
コンピュータ14は、特に計算を実行することによって、データを処理することができるデータ処理装置20と、データを記憶することができるメモリ22と、コンピュータ可読媒体を読み取ることができる読取装置24とを含む。
【0033】
ユーザー・インターフェース16は、入力装置26と出力装置28を含む。
【0034】
入力装置26は、システム10のユーザーが、システム10に情報又はコマンドを入力するための装置である。
【0035】
図1において、入力装置26は、キーボードである。代替的に、入力デバイス26は、ポインティング・デバイス(マウス、タッチパッド、グラフィック・タブレット等)、音声認識デバイス、アイ・トラッカー、又は触覚(動作解析(motion analysis))デバイスである。
【0036】
出力装置28は、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、すなわち、システム10のユーザーに情報を提供するように設計された表示装置である。
【0037】
図1において、出力装置28は、出力を視覚的に提示するための表示スクリーンである。他の実施形態では、出力装置28は、プリンタ、拡張及び/又は仮想の表示装置、出力を音声形式で提示するためのスピーカ又は他の音声発生装置、振動及び/又は臭気の発生装置、又は電気信号を生成できる装置、である。
【0038】
ある特定の一実施形態では、入力装置26及び出力装置28は、対話型スクリーン等のヒューマン・マシン・インターフェースを形成する同一のコンポーネントである。
【0039】
通信装置18は、システム10の構成要素間の一方向又は双方向の通信を可能にする。例えば、通信装置18は、バス通信システム又は入出力インターフェースである。
【0040】
通信装置18の存在により、いくつかの実施形態では、コンピュータ14の構成要素が互いに離間していることが可能になる。
【0041】
コンピュータ・プログラム製品12は、コンピュータ可読媒体30を含む。
【0042】
コンピュータ可読媒体30は、コンピュータ14の読取装置14によって読み取り可能である実体的な装置である。
【0043】
特に、コンピュータ可読媒体30は、電波、又は、光パルスや電子信号のような自由に伝播する他の電磁波、のような一過性の信号そのものではない。
【0044】
このようなコンピュータ可読記憶媒体30は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学式記憶装置、電磁式記憶装置、半導体記憶装置、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0045】
より具体的な例の非限定的なリストとして、コンピュータ可読記憶媒体30は、パンチカード又は溝のエンボス構造、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、光磁気ディスク、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、コンパクト・ディスク(CD-ROM)、デジタル汎用ディスク(DVD)、USBフラッシュ・ドライブ、フロッピー・ディスク、フラッシュ・メモリ、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、又は、PCMCIAメモリ・カード等のPCカード、等の機械的に符号化されたデバイスである。
【0046】
コンピュータ・プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体30に格納される。コンピュータ・プログラムは、格納されたプログラム命令の一つ以上のシーケンスを含む。
【0047】
このようなプログラム命令は、データ処理装置20によって実行される場合に、実行される推定方法の各ステップを実施する。
【0048】
例えば、プログラム命令の形式は、ソースコード形式、コンピュータ実行可能な形式、又はソースコード形式とコンピュータ実行可能な形式との間の任意の中間形式、例えば、インタープリタ、アセンブラ、コンパイラ、リンカ、又はローカライザを介したソースコードの変換から生じる形式、等である。代替的に、プログラム命令は、マイクロコード、ファームウェア命令、状態定義データ、集積回路構成データ(例えば、VHDL)又はオブジェクトコードである。
【0049】
プログラム命令は、例えば、オブジェクト指向プログラミング言語(FORTRAN、C++、JAVA(登録商標)、HTML)、手続き型プログラミング言語(例えば、C言語)等の、一つ以上の言語の任意の組み合わせで記述される。
【0050】
代替的に、プログラム命令は、ネットワークを介して外部ソースから、アプリケーションの場合と同様に、ダウンロードされる。この場合、コンピュータ・プログラム製品は、プログラム命令が格納されたコンピュータ可読データキャリア、又はプログラム命令が符号化されたデータキャリア信号、を含む。
【0051】
いずれの場合でも、コンピュータ・プログラム製品12は、データ処理装置20にロードすることができ、データ処理装置20によって実行される場合に予測する方法を実行させることができる命令を含む。本実施形態によれば、実行は、システム10、すなわち単一のコンピュータ、又は複数のコンピュータ間の分散システム(特にクラウド・コンピューティングの使用を介して)のいずれかで、全体的又は部分的に実行される。
【0052】
次に、システム10の動作を、予測する方法の実施例を示すフローチャートである図2を参照して説明する。
【0053】
この方法は、患者における突然死の発生のリスクを予測する方法である。
【0054】
非限定的な例として、患者は、ヒトの成人患者である。
【0055】
ヒト被験者は、任意の医学的プロファイルを有する。被験者は、特に、心血管系リスクを有していなくてもよい。
【0056】
この方法は、どのようなタイプの集団にも適用できるよう意図されている。
【0057】
この方法は、準備段階P1及び動作段階P2の2段階を含む。
【0058】
場合に応じて、準備段階P1は、システム10又は別のシステムによって実施される。一般的に、準備段階P1は、実施段階P2のかなり前に実施される。
【0059】
この場合、後述するように、準備段階P1は、トレーニングステップE50、判定ステップE52、及びトレーニングステップE54、の3つのステップを含む。
【0060】
次に、受信ステップE56、判定ステップE58、検索ステップE60、及び適用ステップE62を含む動作段階P2について説明する。
【0061】
受信ステップE56において、システム10は、過去5年間にわたる患者のケア履歴に関するデータを受信する。
【0062】
従って、患者のデータは、ケアのデータである。
【0063】
ケアパスウェイに関するデータには、患者の入院期間、患者に発見された障害、実施された検査及び適用された治療、が記載される。
【0064】
フランスでは、このデータは、公的機関、通常は社会保障又は地域保健機関、を通じて入手できる。
【0065】
それにもかかわらず、ケアパスウェイに関するデータが、以前のケアパスウェイに関する質問に対する患者からの回答を用いて取得されることも想定することができる。
【0066】
5年という期間が選択されたのは、出願人が、より短い期間では予測の信頼性が低下すること、より長い期間でも予測の信頼性は向上しないこと、を示したためである。
【0067】
ここでは、ヘルスコース(health course)に関するデータは、心電図信号等の記録された信号データではないことを指定することができる。解釈の結果のみが考慮される。
【0068】
さらに、ヘルスジャーニーデータ(health journey data)は、記録された心疾患の信号の収集よりも広範である。
【0069】
特に、ヘルスコースに関するデータには、あらゆるタイプの病理に関するデータが含まれる。例えば、ヘルスジャーニーのデータは、検査の結果と同様に、いつスケーリングが発生したか、を示す。
【0070】
さらに、ヘルスパスウェイに関するデータは、異なる性質のデータをまとめるという意味で、異質である。
【0071】
従って、ヘルスコースに関するデータは、服用した薬剤、病歴、医師の訪問、病理のリスト、検査の結果、消防士の介入、救急処置室への訪問、等のクラスから選択されたデータを含む。
【0072】
好ましくは、ヘルスコースに関するデータは、全ての以前のクラスを含む。
【0073】
判定ステップE58の間、システム10は、所定のグループのセットの中から、患者が属するグループを検索する。
【0074】
これを行うために、システム10は、受信ステップE50で受信したデータに分類関数を適用して、最も近いグループを判定する。
【0075】
これらのグループは、突然死の発生のリスクに関して比較的類似した行動を示す、所定のグループである。
【0076】
グループは、患者のセットのケアパスウェイデータを含むデータのセットに、k-means法分割技術を適用することによって取得された。
【0077】
データのセットは、出願人の実験では、一般的な集団を代表するものである。
【0078】
データのセットには、突然死の発生に関して、グループを取得できるに十分なデータも含まれている。
【0079】
不十分又は不均衡なサンプルの存在下(突然死の症例者が少ない場合)では、データのセットには、患者のセットのケアパスウェイに関するデータに関数を適用することによって生成された人工的なデータが含まれる。
【0080】
特定の例によれば、この関数は、ケアパスウェイデータから生成できる敵対的ニューラルネットワークである。
【0081】
さらに、各グループは、所定のデータのセットと関連している。
【0082】
記載された例では、各所定のデータは、障害の存在又は製品の摂取(投与)である。
【0083】
グループの各所定のデータは、患者のセットのケアパスウェイに関するデータを含むデータのセットに、言語解析ツールを適用することによって、取得される。
【0084】
グループの所定のデータの数は、10~30の間、好ましくは15~25の間、有利には20に同等である。
【0085】
さらに好ましくは、「障害の存在」のタイプのデータ量と「投与製品」のタイプのデータ量は、同等である。
【0086】
記載された実施例によれば、所定のグループは、
- 呼吸疾患又は呼吸疾患を制限する薬剤の摂取、に関する所定のデータ、に関するグループ、
- 神経疾患又は神経疾患を制限する薬剤の使用、に関する所定のデータ、に関するグループ、
- 癌疾患又は癌疾患を制限する薬剤の使用、に関する所定のデータ、に関するグループ、
- 嗜癖性障害又は嗜癖性障害を制限する薬剤の使用、に関する所定のデータ、に関するグループ、及び、
- 老化障害又は老化障害を制限する薬剤の使用、に関する所定のデータ、に関するグループ、
- 心臓疾患又は心臓疾患を制限する薬剤の使用、に関する所定のデータ、に関するグループ、
を含む。
【0087】
場合によっては、同じ疾患を扱う複数のグループが存在することも考えられる。特に、心臓疾患を扱うグループが2つ存在することは、出願人の経験により示されるように、好ましいと考えられる。
【0088】
いずれの場合においても、グループ及び所定のデータは、データベースを形成する受信ステップE50、及び、グループ及び所定のデータを判定するステップE52、を実行することによって、取得される。
【0089】
検索ステップE60の間、システム10は、患者に固有の値のセットを取得するために、判定された各所定のデータについて、患者に対する所定のデータの値、を検索する。
【0090】
このような検索は、例えば、ケアパスウェイのデータの抽出に対しては、減少させることができる。
【0091】
ここで「値」という用語は、二値(薬剤を服用したか否か)、又は、定量値(通常、痛みについて1から10の間のスケール)、の両方を含むものとして広義に理解される。
【0092】
代替的に、又は追加的に、これらの値は、患者又はケア担当者への質問を介して、取得することができる。
【0093】
適用ステップE62において、システム10は、患者における突然死の発生のリスクを取得するために、患者に固有の値に、ニューラルネットワークが判定されたグループに固有であるところの、ニューラルネットワークを適用する。
【0094】
ニューラルネットワークは、特に、所定のグループを見つけることを可能にしたのと同じデータを使用することによって、事前にトレーニングしている。これは、第1段階P1のトレーニングステップE54に対応する。
【0095】
これは、システム10が、メモリ内に、特定のニューラルネットワークと同様に、所定の各グループの属性、を有することを意味する。
【0096】
これらのニューラルネットワークは、その入力が、考慮されるグループに関する所定のデータの値である、という点で特有である。
【0097】
典型的には、呼吸疾患又は呼吸疾患を制限する薬剤の摂取、に関する所定のデータ、に関するグループについて、ニューラルネットワークは、呼吸疾患に関する所定のデータの10個の値及び呼吸疾患を制限する薬剤の摂取の10個の値、を入力として取る。
【0098】
さらに、説明した例では、各ニューラルネットワークは、再帰ゲート付(recurrent gated)ニューラルネットワークである。
【0099】
確率の値は、例えば、今後の3ヶ月間のスコアとして表される。
【0100】
しかし、どのようなスコアの形でも、ニューラルネットワークの計算結果を与えると考えることができる。
【0101】
従って、この方法は、突然死の発生のリスクを効果的に予測することができる。
【0102】
これについては、次のセクションで紹介する。
【0103】
実験結果
本方法は、出願人による実験の主題であり、以下に説明される。
【0104】
実験の目的
これらの実験の主な目的は、症例者(患者、突然死の犠牲者)と4つの対照者集団のデータを比較することによって、成人の突然死の発生を予測することである。
- 集団1:突然死を伴わない虚血性心疾患患者、
- 集団2:突然死を伴わない急性冠症候群患者
- 集団3:突然死を伴わない慢性心不全患者、及び、
- 集団4:一般的な集団を代表する個人。
【0105】
これらの実験では、Centre d’Expertise de la Mort Subite(突然死専門家センター:Sudden Death Expertise Center)の記載とAssurance Maladie(Health Care System)の医療管理データベースを使用した。これらの科学的関心は、フランス心疾患学会によって評価され、同学会は、その公衆衛生上の関心とそれらが制定する大きな貢献を強調している。
【0106】
これらの実験では、突然死集団の中に患者のグループを構築し、この集団の異質性とそれらに関するリスク因子を特定して表現し、イベントの前に観察されたケアの軌跡に基づいて、突然死の予測アルゴリズムを開発する、ことが求められた。
【0107】
使用したデータ
調査コーホート(cohort)の説明
含まれる症例者
【0108】
2011年5月以来、突然死専門センターは、与えられた地理的地域(パリと隣接する3地域、オー・ド・セーヌ地域、セーヌ=サン=ドニ地域、ヴァル・ド・マルヌ地域)で発生した突然死の全症例者を収集している。これは総集団660万の住人、すなわちフランス人口の10%に相当する。この収集は、病院前救急サービス(パリ消防隊、SAMU)、病院(蘇生科及び循環器科)、パリ法医学研究所、の多段的協力によって可能となった。
【0109】
含まれた全ての症例者について、イベント(Utstein基準)の発生、管理(入院前及び入院中)、患者の転帰(生存及び神経学的予後)に関する情報を、複数の情報源と頻繁な品質管理(関心領域の症例者の99%まで網羅的であると評価できる)を用いて、前向きに収集した。この収集は、Comite consultatif sur le traitement de l’information en matiere de recherche(CCTIRS(調査研究における情報の取り扱いに関する諮問委員会)ファイルN12.336)から好意的な意見を得ており、CNIL(国家情報自由委員会:National Committee for Information and Liberty)から承認(判定DR-2012-445)を受けている。
【0110】
従って、本調査の症例者集団は、2011年5月15日から2020年12月31日までの間に突然死を呈したCEMS登録患者である。9年間(2011年~2020年)を超える考慮された調査期間では、24,000例が含まれることになる。
【0111】
対照者集団
対照者集団はAssurance Maladieの医療管理データベースから、定義され及び収集された。これらの集団には、4つの異なる対照者コーホートが含まれ、各コーホートでは、1症例に対して、性別、年齢、居住地がマッチングされた3人の対照者がマッチングされる。このようにして、288,000人の対照者が、これらの実験に含められた。
【0112】
第1集団(虚血性心疾患患者)については、対照者と症例者の3:1のマッチングを行うために、この集団から72,000人の対照者が選択された。虚血性心疾患患者の特定は、前述したメディカルマッピング法に従って実施された。
【0113】
第2集団(急性冠症候群患者)と第3集団(慢性心不全患者)についても、同じ方法論に従った。
【0114】
第4集団(一般的な集団を代表する個人)については、一般的な集団を代表する対照者グループを構成し、1症例に対して3人の対照者を選定した。合計72,000人の対照者が、パリ及び隣接する3地域(オー・ド・セーヌ地域、セーヌ=サン=ドニ地域、ヴァル・ド・マルヌ地域)から、以前に所定の3つ集団に含まれていた個人を除いて、無作為に選択された。
【0115】
使用したデータの説明
これらの実験の枠組みの中で、上記した24,000人の突然死症例者と288,000人の対照者の病歴が、突然死の5年前から~10年前の期間にわたって収集された。この情報は、SNDS (Systeme National des Donnees de Sante)のAssurance Maladieの医療管理データベースから抽出された。
【0116】
SNDSは、フランスの全人口をカバーし、払い戻しのために提示された全てのケアを含む、擬似匿名化された医療管理データの貯蔵所である。これは、Caisse Nationale de l’Assurance Maladie(CNAM)によって管理され、Assurance Maladie(SNIIRAMデータベース)、病院データ(PMSIデータベース)、医学的死因データ(INSERM CepiDCデータベース)からのデータをリンクしている。
【0117】
現在、3,000以上の変数が含まれており、年間で、12億件の医療形態、1,100万件の入院、5億件の医療処置、の流れを表している。
【0118】
この調査で解析されたデータは、払い戻しを生じさせた全ての個別ケア及び医療消費データ(診察及び医療装置、入院、薬剤、及び長期疾病)に対応する。
【0119】
統計の方法
突然死集団の分類
出願人は、心停止前の5年間に観察されたケアの軌跡(care trajectory)を利用することにより、突然死集団の分類モデル(しばしば「クラスタリング(clustering)」と呼称される)を開発した。
【0120】
この目的のために、教師なしクラスタリングアルゴリズムが用いられた。これにより、突然死症例者の異質性及びそれらに関するリスク因子を特定し、表現することが可能となる。
【0121】
より具体的には、このアルゴリズムは、言語解析ツールを使用し、k-means法分割アルゴリズムの使用を伴う。
【0122】
言語解析ツールは、ケアの軌跡に含まれる期間情報に基づいて、患者を表現するために使用される。この場合、出願人は、Word2Vecアルゴリズムを使用した。
【0123】
k-means法分割アルゴリズムは「k-means」と呼称されることが多い。このアルゴリズムは、突然死の予測に関するグループ(「クラスター(clusters)」)を識別する。
【0124】
今回のケースでは、出願人は、7つのクラスターを特定した。
【0125】
第1グループ:
第1グループは、以下の要素により特徴付けられる。
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【0129】
第2グループ
第2グループは、以下の要素により特徴付けられる。
【表5】
【0130】
【表6】
【0131】
【表7】
【0132】
【表8】
【0133】
第3グループ
第3グループは、以下の要素により特徴付けられる。
【表9】
【0134】
【表10】
【0135】
【表11】
【0136】
【表12】
【0137】
第4グループ
第4グループは、以下の要素により特徴付けられる。
【表13】
【0138】
【表14】
【0139】
【表15】
【0140】
【表16】
【0141】
第5グループ
第5グループは、以下の要素により特徴付けられる。
【表17】
【0142】
【表18】
【0143】
【表19】
【0144】
【表20】
【0145】
第6グループ
第6グループは、以下の要素により特徴付けられる。
【表21】
【0146】
【表22】
【0147】
【表23】
【0148】
【表24】
【0149】
第7グループ
第7グループは、以下の要素により特徴付けられる。
【表25】
【0150】
【表26】
【0151】
【表27】
【0152】
【表28】
【0153】
突然死の発生を予測するアルゴリズム
これらの実験の枠組みの中で、出願人は、突然死が発生する前の5年間に観察されたケアの軌跡に基づいて、1年間の時間枠内での突然死の発生を予測するアルゴリズムを開発した。
【0154】
これを行うために、出願人は、異なる教師あり統計分類技術のパフォーマンスを比較した。
【0155】
これを行うために、出願人は、10分割の連結交差検証を使用して、それぞれの技術をトレーニングし、比較した。
【0156】
具体的には、出願人は、データを9対1の割合でトレーニングセットとテストセットの2つのセットに、反復的に分割した(利用可能な10個のデータに対して、9個をトレーニングに使用し、1個をテストに使用する)。さらに、セット内の突然死(Sudden Cardiac Deathの略でSCDと呼称されることもある)の割合が、各セットで同じになるようにセットを変更した。
【0157】
その後、出願人は、曲線下面積(AUC)、明確な予測値(PPV)、及び感度を算出した。
【0158】
比較した技術は、以下の3つである。
- 第1技術 T1: ロジスティック回帰、
- 第2技術 T2: 判定ツリー、及び、
- 第3技術 T3: K最近傍(K nearest neighbors)。
【0159】
表29から表32は、1年後の突然死予測に関する4つのモデルのパフォーマンスを示している。
【0160】
第1モデルM1は、一般的な集団とのSCD比較に対応し、第2モデルM2は、急性心筋梗塞(AMIと略されることが多い)とのSCD比較に対応し、第3モデルM3は、慢性心不全(HFと略されることが多い)とのSCD比較に対応し、第4モデルM4は、虚血性心疾患(IHDと略されることが多い)とのSCD比較に対応する。
【0161】
取得された結果は以下の通りである。
【表29】
【0162】
【表30】
【0163】
【表31】
【0164】
【表32】
【0165】
これらの技術はどれも満足のできるものではなかったので、出願人は、ニューラルネットワーク技術に注目した。
【0166】
トレーニングは、上記の各データのセットに対して、同じ4つの以前のモデルを使用して行われた。
【0167】
このことから、出願人は、ゲートを有するリカレント・ニューラル・ネットワークを選択した。
【0168】
これにより、上記の各モデルに対して、大幅に向上した、曲線下面積、正の予測PPV、及び感度のパフォーマンス、を取得することができる。
【0169】
これらの結果をさらに改善するために、出願人は、上記の分類技術によって判定された7つのグループを使用し、ニューラルネットワークのトレーニング段階において、各グループの突然死症例者数を人為的に増加させるデータ増強技術を使用した。これにより、各グループの不均衡(12人の対照者に対して1人の突然死症例者)を補正した。
【0170】
データ増強のために、出願人は、敵対的生成ネットワーク(generative adversarial network)を使用した。このようなネットワークは、「Generative Adversarial Networks(敵対的生成ネットワーク)」の対応する英語名を指す頭字語GANで呼称されることが多い。出願人は、GANネットワークが、医療データの生成に適していることを実際に観察した。
【0171】
このようにして、グループごとに患者の突然死の発生のリスクを予測するアルゴリズムが取得される。出願人によって開発されたアルゴリズムの出力は、四半期ごとのスコアであり(従って、1年間の時間枠に対して4つのリスクスコアがある)、個人が属する集団(7つのグループのうちの一つ)に従って適合される。
【0172】
出願人は、また、結果を解釈するために、アルゴリズムを使用した。この場合、出願人が選択したアルゴリズムは、SAEであり、SAEとは、文字通り、シャプレーの添加物説明を意味する「Shapley Additive Explanation」という名称を指す略語である。これは、各個人についてこれらの予測を説明する最も重要なリスク因子を提供する。
図1
図2
【国際調査報告】