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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】医薬組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20241018BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K45/00
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530487
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 CN2022133171
(87)【国際公開番号】W WO2023093663
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111404293.6
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090220
【氏名又は名称】シャンハイ アリスト ファーマシューティカルズ カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, フイビン
(72)【発明者】
【氏名】リー, チン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含み薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含む医薬組成物、ならびにHER2エクソン20挿入変異および/もしくはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/もしくは予防するための医薬の製造における、フルモネルチニブもしくはその薬学的に受容可能な塩、または上記医薬組成物の使用を提供する。本開示の医薬組成物は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC))に対して、副作用をほとんど伴わず優れた安全性を伴って優れた治療効果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含み、薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記薬学的に受容可能な塩がメシル酸塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が80mg、160mg、240mgまたは320mgである、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が80mgである、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が160mgである、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が240mgである、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
錠剤またはカプセル剤の剤形で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物の各単位製剤において、前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が10mg~400mg、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物の各単位製剤において、前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が20mg~320mgである、請求項8または請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物の各単位製剤において、前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mgである、請求項8~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物の各単位製剤において、前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が40mgである、請求項8~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの第2の治療薬をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記第2の治療薬が化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫療法薬から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含み薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含む医薬組成物の使用。
【請求項16】
HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項17】
HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、少なくとも1つの第2の治療薬と組み合わせたフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項18】
前記薬学的に受容可能な塩がメシル酸塩である、請求項15~17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである、請求項15に記載の使用。
【請求項20】
前記医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が80mg、160mg、240mg、または320mgである、請求項15または請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が80mgである、請求項15および19~20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が160mgである、請求項15および19~20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が240mgである、請求項15および19~20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
前記医薬組成物が錠剤またはカプセル剤の剤形で存在する、請求項15および19~23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
各単位製剤において、前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が10mg~400mg、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
各単位製剤において、前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が20mg~320mgである、請求項24または請求項25に記載の使用。
【請求項27】
各単位製剤において、前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mgである、請求項24~26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
各単位製剤において、前記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が40mgである、請求項24~27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記医薬組成物が少なくとも1つの第2の治療薬をさらに含む、請求項15および19~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
前記第2の治療薬が化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫療法薬から選択される、請求項17または29に記載の使用。
【請求項31】
前記疾患ががん、例えば肺がん、例えば非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項15~30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
前記疾患が局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんである、請求項15~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
前記疾患が未処置の非小細胞肺がんまたは以前に処置された非小細胞肺がんである、請求項15~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
前記HER2エクソン20挿入変異が、ERBB2 A775_G776insYVMA変異、ERBB2 V777_G778insGC変異、およびERBB2 P780_Y781insGSP変異からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項15~33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記EGFR希少変異が、EGFR G719S変異、EGFR S768I変異、EGFR G724S変異、EGFR L861Q変異、およびEGFR G719S/T263P変異からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項15~33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防する方法であって、
それを必要とする患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程
を含む、方法。
【請求項37】
疾患を処置および/または予防する方法であって、
陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異を有する患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程
を含む、方法。
【請求項38】
局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、
それを必要とする患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程
を含む、方法。
【請求項39】
局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、
陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異が確認された患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程
を含む、方法。
【請求項40】
局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、
HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異を保有する患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程
を含む、方法。
【請求項41】
局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、
先行する体系的抗腫瘍療法を何も受けていない陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異が確認された患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程
を含む、方法。
【請求項42】
局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、
先行する体系的抗腫瘍療法を受けた後に進行性疾患を有する陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異が確認された患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程
を含む、方法。
【請求項43】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与量80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgで投与する工程
を含む、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与量80mg、160mg、240mgまたは320mgで投与する工程
を含む、請求項36~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与量80mgで投与する工程
を含む、請求項36~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与量160mgで投与する工程
を含む、請求項36~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与量240mgで投与する工程
を含む、請求項36~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を1日1回、1日2回、または1日3回投与する工程
を含む、請求項36~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を前記患者に1日1回投与する工程
を含む、請求項36~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を前記患者に絶食状態下で投与する工程
を含む、請求項36~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を前記患者に午前中に絶食状態下で投与する工程
を含む、請求項36~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を前記患者に経口投与する工程
を含む、請求項36~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
フルモネルチニブをメシル酸塩の形態で投与する工程
を含む、請求項36~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を錠剤またはカプセル剤の剤形で投与する工程
を含む、請求項36~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を単位製剤で投与する工程
を含む、請求項36~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記単位製剤が10mg~400mg、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgもしくは400mgのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記単位製剤が20mg~320mgのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記単位製剤が20mg、40mg、80mg、160mg、240mgもしくは320mgのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記単位製剤が40mgのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項55~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1つの第2の治療薬を投与する工程
をさらに含む、請求項36~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記第2の治療薬が化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫療法薬から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患ががん、例えば肺がん、例えば非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項36~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を前記患者に腫瘍の外科的切除の前または後に投与する工程
を含む、請求項36~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患が局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんである、請求項36~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記疾患が未処置の非小細胞肺がんまたは以前に処置された非小細胞肺がんである、請求項36~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記HER2エクソン20挿入変異が、ERBB2 A775_G776insYVMA変異、ERBB2 V777_G778insGC変異、およびERBB2 P780_Y781insGSP変異からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項36~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記EGFR希少変異が、EGFR G719S変異、EGFR S768I変異、EGFR G724S変異、EGFR L861Q変異、およびEGFR G719S/T263P変異からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項36~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記患者がヒト患者である、請求項36~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記患者が18歳と75歳との間である、請求項36~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記患者が、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、優勢な非扁平上皮細胞組織構造を有する組織学的または細胞病理学的に確認された原発性非小細胞肺がん(NSCLC)を有する、請求項36~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記患者が、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、最後の抗腫瘍療法後に放射線学的疾患進行を有する、請求項36~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記患者が、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、実験室検査によって陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異を記録した、請求項36~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記患者が、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、局所進行NSCLCまたは転移性NSCLCを有し、最後の体系的抗腫瘍療法の間または最後の体系的抗腫瘍療法の後に放射線学的疾患進行または病理学的疾患進行を有すると確認されている、請求項36~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記患者が、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、局所進行NSCLCまたは転移性NSCLCを有し、先行する体系的抗腫瘍療法を何も受けていない、請求項36~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記患者が、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、少なくとも1つの測定可能な病変を有する、請求項36~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記患者が、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、実験室検査によって示した場合に十分な臓器機能を有する、請求項36~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記患者が、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、ECOG PS(米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス)スコア0~1を有する、請求項36~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
許容可能な安全性プロファイルを有する、請求項36~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
部分奏効(PR)を提供する、請求項36~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
安定状態(SD)を提供する、請求項36~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
標的病変において腫瘍縮小を提供する、請求項36~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
放射線学的腫瘍検査、例えばコンピュータ断層撮影(CT)および/または磁気共鳴画像法(MRI)によって評価した場合に標的病変において腫瘍縮小を提供する、請求項36~81のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、治療有効量のフルモネルチニブ(furmonertinib)またはその薬学的に受容可能な塩を含み薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含む医薬組成物に関する。本開示はまた、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)エクソン20挿入(HER2エクソン20挿入)変異(本明細書中で以後はHER2エクソン20挿入変異と時には呼ばれる)および/もしくは上皮成長因子受容体(EGFR)希少変異(本明細書中で以後はEGFR希少変異と時には呼ばれる)によって媒介される疾患を処置および/もしくは予防するための医薬の製造における、フルモネルチニブもしくはその薬学的に受容可能な塩、ならびに上記医薬組成物の使用に関する。本開示はまた、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防する方法を提供し、その方法は、患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
世界中で、肺がんは、常に最も高い罹患率および死亡率を有する悪性腫瘍であり、ヒトの健康および生活に対する深刻な害であり、2018年には世界中で176万人の人々が肺がんで死亡した。非小細胞肺がん(NSCLC)は、すべての肺がんのおよそ80%~85%を構成する。上皮成長因子受容体(EGFR)は、人体の種々の組織の細胞膜上に広く分布する多機能性糖タンパク質であり、それはERBB受容体ファミリーのメンバーであり、このERBB受容体ファミリーはEGFR(HER1またはERBB1)、HER2(ERBB2)、HER3(ERBB3)およびHER4(ERBB4)という4種のメンバーを含む。EGFR変異は、NSCLCにおいて最も広く研究されている標的である。
【0003】
EGFR変異のうち、一般的な変異としては、感受性変異(例えば、エクソン19欠失およびエクソン21点変異(L858R)、これはすべてのEGFR変異のうちの85%~90%を構成する)、薬剤耐性変異(例えば、エクソン20 T790M変異、エクソン20 C797S変異)などが挙げられ;希少変異としては、EGFR G719S変異、EGFR S768I変異、EGFR G724S変異、EGFR L861Q変異、EGFR G719S/T263P変異などが挙げられ;さらに、EGFR変異としてはまた、EGFRエクソン20挿入変異(すべての型のEGFR変異のうちおよそ1%~10%を構成する)が挙げられる。
【0004】
長年にわたって、多数の標的化薬物がNSCLCにおけるEGFR変異について開発されており、それらは例えば、EGFR感受性変異についての第1世代の可逆的チロシナーゼインヒビター(TKI)であるゲフィチニブおよびエルロチニブ、第2世代の不可逆的共有結合インヒビターであるアファチニブ、ならびに薬剤耐性EGFR T790Mについての第3世代のインヒビターであるオシメルチニブであり、これらは非常に良好な臨床効果を有する。
【0005】
ERBBファミリーの別のメンバーであるHER2は、種々のがんにおいて増幅され変異されている。その中でも、HER2変異はNSCLCにおいて約4%を構成し、HER2変異のうちの約90%はエクソン20挿入変異である。HER2のエクソン20は、2つの主要領域であるc-ヘリックス(残基770~774)と、そのc-ヘリックスの後ろのループ(HER2中の残基775~783)とを含む。最も一般的なHER2エクソン20挿入変異はERBB2 A775_G776insYVMA変異であり、それよりも一般的ではないHER2エクソン20挿入変異はERBB2 V777_G778insGC変異、ERBB2 P780_Y781insGSP変異などである。エクソン20挿入変異は、HER2キナーゼ活性の増加および下流経路を通るシグナル伝達の増強をもたらし、それにより、増加した生存、侵襲性、および造腫瘍性をもたらす。ERBB2 A775_G776insYVMA変異を伴う腫瘍は、既知のEGFRインヒビターに対して実質的に耐性である。現在、HER2エクソン20挿入変異に対する小分子標的化薬物は世界的に何も承認されていない。
【0006】
近年、EGFR変異および/またはHER2変異(特に、HER2エクソン20挿入変異)を阻害する化合物が、広範に研究されている。しかし、さらにその活性を改善しその毒性作用および副作用を減少させる方法は、依然として存在する問題のままである。
【0007】
以下の式(I)によって示されるN-{2-{[2-(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ}-6-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-5-{[4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ピリジン-3-イル}アクリルアミド(「フルモネルチニブ(furmonertinib)」とも呼ばれる)が特許CN105315259Bにおいて記載されており、以下の式(I)によって示される化合物のメシル酸塩(「フルモネルチニブメシル酸塩(furmonertinib mesilate)」とも呼ばれる)が特許CN107163026Bにおいて記載されており、フルモネルチニブメシル酸塩は、第3世代EGFR-TKIインヒビターとして商業化されており、EGFR感受性変異およびT790M薬剤耐性変異によって媒介される疾患を処置するために主に使用される。フルモネルチニブメシル酸塩の第I相用量漸増研究は、フルモネルチニブメシル酸塩が20mg~240mgの投与レベルで1日当たり1回経口摂取された場合に、その忍容性および安全性は良好であり、対象の有害事象は軽度または中程度であり、用量制限毒性は生じず、用量関連性毒性反応は生じないことを示し;第IIb相臨床試験は、80mgの一日量のフルモネルチニブメシル酸塩の経口投与が、EGFR T790M陽性進行非小細胞肺がんを有する患者(先行する体系的抗腫瘍療法を受けた後に進行性疾患を有する)に対して比較的良好な抗腫瘍効果を示し、その疾患進行を軽減または安定化し得ることを示した。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許第105315259号明細書
【特許文献2】中国特許第107163026号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(概要)
本開示は、一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の使用を提供する。
【0010】
一部の実施形態において、活性化合物としてのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異を有効に阻害し得、したがって、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するために使用され得る。
【0011】
したがって、一部の実施形態において、本開示は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の使用を提供する。
【0012】
一部の実施形態において、本開示は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、少なくとも1つの第2の治療薬と組み合わせたフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の使用を提供する。
【0013】
一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が特定の投与量で活性化合物として有用であり、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患(特に、非小細胞肺がん)が処置および/または予防され得、その疾患の処置および/または予防は、副作用がほとんど伴わず、安全性が優れている。
【0014】
より詳細には、本開示は、治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含み、薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含む、医薬組成物を提供する
【0015】
本開示はまた、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、本開示の上記の医薬組成物の使用を提供する。
【0016】
本開示の組成物は、錠剤またはカプセル剤の剤形で存在し、各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は10mg~400mgである。
【0017】
本開示の医薬組成物がHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するために使用される場合、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量は80mg~400mgであり得る。現時点では、上記の錠剤またはカプセル剤の量を調節することによって、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量は容易に調節され得る。
【0018】
本開示はまた、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防する方法を提供し、その方法は、それを必要とする患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0019】
本開示の上記の処置方法において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量は80mg~400mgであることが、望ましい。
【0020】
本開示はまた、疾患を処置および/または予防する方法を提供し、その方法は、陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異を有する患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0021】
本開示はまた、局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法を提供し、その方法は、それを必要とする患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0022】
本開示はまた、局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法を提供し、その方法は、陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異が確認された患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0023】
本開示はまた、局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法を提供し、その方法は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異を保有する患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0024】
本開示はまた、局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法を提供し、その方法は、先行する体系的抗腫瘍療法を何も受けていない陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異が確認された患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0025】
本開示はまた、局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法を提供し、その方法は、先行する体系的抗腫瘍療法を受けた後に進行性疾患を有する陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異が確認された患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0026】
一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩、あるいはフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含み薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含む医薬組成物は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異に対して優れた阻害活性を示し、したがって、それは優れた臨床効果を示し得る。
【0027】
さらに、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩、あるいは本開示のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含み薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含む医薬組成物がHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するために使用される場合、その副作用は小さく、その安全性は優れている。
【0028】
本開示の医薬組成物は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を特定の量で含むことによって、適切なサイズおよび適切な含有量の活性成分を有する製剤へと調製され得る。
【0029】
(詳細な説明)
本開示の実施形態が特定の実施形態に関して以下により詳細に記載されるが、以下に記載される特定の実施形態が本開示の単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを、当業者は理解する。むしろ、本開示はすべての代替物、改変形、および均等物を網羅することが意図され、それらは、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲内に含まれ得る。
【0030】
別途に特定されない限り、本開示の実施形態は任意の様式で組み合わせられ得、それによって得られる技術的解決法の変換、改変、および変更もまた、本開示の範囲内に含まれる。
【0031】
フルモネルチニブは先行技術において知られている化合物であり、詳細には特許CN105315259Bにおいて記載されており、化学名:N-{2-{[2-(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ}-6-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-5-{[4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ピリジン-3-イル}アクリルアミドを有し;その構造式は、(I)に示されている化合物である。
【化2】
【0032】
一部の実施形態において、その疾患の処置のための活性成分は、実際には、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩である。したがって、一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、単独で使用され得、または組成物中に含まれることによって使用され得、その場合、その組成物は、任意の薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含み得る。
【0033】
さらに、一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩はまた、少なくとも1つの第2の治療薬と組み合わせても使用され得る。
【0034】
本開示は、治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含み、薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含む、医薬組成物を提供する。
【0035】
「薬学的に受容可能なキャリア」とは、ヒトでの使用に適し十分な純度および十分に低い毒性であるべきである、1種もしくは複数種の、適合性の、固体または液体の、充填剤またはゼラチン状物質を意味する。そのキャリアはまた、「アジュバント」としても知られている。「適合性」とは、組成物中の各成分が本開示の化合物および互いと、その化合物の薬物効果を実質的には減少させることなく混合され得ることを意味する。薬学的に受容可能なキャリアの一部の例としては、セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびそれらの誘導体、酢酸セルロースおよびその誘導体、酢酸セルロースなど)、ゼラチン、タルク、固体滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム/ステアリン酸カルシウム、硬化植物油、フマル酸ステアリルナトリウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、ダイズ油、ゴマ油、ピーナッツ油、オリーブ油など)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、マンニトール、ソルビトールなど)、乳化剤、湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、着色料、矯味矯臭剤(flavoring agent)、安定剤、抗酸化剤、保存料などが挙げられるが、それらに限定はされない。
【0036】
その医薬組成物は、当該分野で周知の方法、例えば、従来の混合プロセス、溶解プロセス、顆粒化プロセス、糖衣錠(dragee)作製プロセス、水簸(levigate)プロセス、乳化プロセス、および凍結乾燥プロセスによって、調製され得る。
【0037】
その医薬組成物は錠剤またはカプセル剤の剤形で存在し得、その製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアと混合されており、本開示において、そのキャリアは「アジュバント」としても知られており、そのキャリアとしては、以下が挙げられ得るが、それらに限定はされない:(a)充填剤または可溶化剤、例えば、結晶セルロース、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、コロイド状シリカ、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム;(b)結合剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、コポビドン、スクロースおよびアラビアゴム、トウモロコシデンプン;(c)保湿剤、例えば、グリセリンなど;(d)崩壊剤、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン:カルボキシメチルスターチナトリウム、コロイド状シリカ、結晶セルロース、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプンまたはトウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩および炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂など;(e)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、陰イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤、シクロデキストリンなど;(f)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど;(g)吸収剤、例えば、カオリン、コロイド状シリカ、イオン交換樹脂など;ならびに(h)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化植物油など、またはそれらの混合物。そのカプセル剤および錠剤はまた、緩衝剤も含み得る。錠剤およびカプセル剤は、コーティング物質またはシェル物質(例えば、腸溶コーティングまたは当該分野で公知である他の物質)を用いてコーティングまたはマイクロカプセル化され得る。
【0038】
用語「薬学的に受容可能な塩」とは、フルモネルチニブと比較的非毒性の薬学的に受容可能な酸または塩基とから調製される塩である。塩基付加塩が、フルモネルチニブと十分量の薬学的に受容可能な塩基とを純粋な溶液中または適切な不活性溶媒中で接触させることによって、取得され得る。代表的な塩基付加塩としては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、四級アンモニウムイオン(例えば、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、テトラメチル四級アンモニウムイオン、テトラエチル四級アンモニウムイオンなど)を用いて形成される、塩基付加塩;アミン塩(アンモニア(NH)、一級アミン、二級アミンまたは三級アミンを用いて形成される塩(例えば、メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチルアミン塩など)が挙げられる)が挙げられる。さらに、酸付加塩が、フルモネルチニブと十分量の薬学的に受容可能な酸とを純粋な溶液中または適切な不活性溶媒中で接触させることによって、取得され得る。その薬学的に受容可能な酸塩は、無機酸塩、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、および硝酸塩;ならびに有機酸塩、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンジルスルホン酸塩(benzylsulfonate)、コハク酸塩、クエン酸塩、および酒石酸塩を含む。特にBergeら、「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Science、66:1~19(1977)、または「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(P.Heinrich StahlおよびCamille G.Wermuth編、Wiley-VCH、2002)に対して参照がなされ得る。
【0039】
本明細書において使用される場合、「治療有効量」とは、薬物または薬理学的に活性な薬剤の、非毒性であるが望ましい効果をなお達成するのに十分な量を指す。その有効量は、患者の年齢、患者の体重および患者の状態ならびにまた特定の活性物質にも依存して人ごとに変動し、個別の症例において適切な有効量は、慣用的な試験を考慮して当業者によって決定され得る。
【0040】
本明細書において使用される場合、「活性成分」、「活性物質」、または「活性薬剤」とは、目的の障害、疾患、または状態を処置することにおいて有効な化学物質を指す。
【0041】
本明細書において使用される場合、「患者」、「個体」、または「対象」とは、ヒト、動物、脊椎動物、哺乳動物、齧歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科動物(例えば、マウス)、イヌ科動物(例えば、イヌ)、霊長類、真猿類(例えば、サルまたは類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)を含む。一部の実施形態において、「患者」はヒトである。
【0042】
本明細書において使用される場合、「処置」とは、治療的処置または緩和処置を指す。特定の状態に関する場合、処置とは、以下を指す:(1)疾患または障害の1つもしくは複数の生物学的徴候を軽減すること、(2)(a)生物学的カスケード中の障害を引き起こすかもしくは障害に寄与する1つもしくは複数のポイント、または(b)障害の1つもしくは複数の生物学的徴候を、妨害すること、(3)障害に関連する1つもしくは複数の症状、作用、もしくは副作用、または障害もしくはその処置に関連する1つもしくは複数の症状、作用、もしくは副作用を、軽減すること、あるいは(4)疾患または障害の1つもしくは複数の生物学的徴候の進行を緩徐化すること。「処置」とはまた、その処置を受けない場合に予測される生存と比較した、生存の増加を指し得る。
【0043】
本明細書において使用される場合、「予防」とは、疾患または障害を獲得または発症するリスクの減少を指す
【0044】
一部の実施形態において、フルモネルチニブの薬学的に受容可能な塩はフルモネルチニブのメシル酸塩、(すなわち、フルモネルチニブメシル酸塩)である。
【0045】
一部の実施形態において、本開示の医薬組成物は錠剤またはカプセル剤の剤形で存在する。
【0046】
一部の実施形態において、その医薬組成物の各単位製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は10mg~400mg、例えば、20mg~320mgである。特定の含有量として、例えば、それは10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。一実施形態において、それは20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、40mgまたは80mg、例えば、40mgであり得る。
【0047】
一部の実施形態において、その医薬組成物において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである。例示的な実施形態として、それは80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgであり得る。
【0048】
一部の実施形態において、その医薬組成物が、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するために使用される場合に、その組成物は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の投与量が80mg~400mgであるように、患者に投与される。特定の投与量として、例えば、それは80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。例示的な実施形態として、それは80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgであり得る。本開示の一実施形態において、その投与量は一日量である。
【0049】
一部の実施形態において、その医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量とは、その医薬組成物が患者に投与される場合にその患者によって摂取される、その医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の総量を指す。例えば、医薬組成物が錠剤またはカプセル剤の剤形で存在する場合に、その医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量とは、製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)が投与される場合のそのすべての製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の総量を指す。
【0050】
患者に投与される場合に、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量は単位製剤中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量以上であることが、当業者によって理解される。当業者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量および各単位製剤中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量に基づいて、1日当たりの投与される必要があるその製剤の総量を計算し得る。例えば、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が錠剤中に含まれ、各単位製剤(各錠剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が40mgである場合、かつフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量が240mgである場合には、1日当たりの投与される必要があるその製剤(錠剤)の総量は6錠である。
【0051】
一部の実施形態において、その医薬組成物は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患の処置および/または予防のために、1日当たり1回、2回または3回(例えば、1日当たり1回)投与される。
【0052】
一部の実施形態において、その医薬組成物は少なくとも1つの第2の治療薬をさらに含み得る。その第2の治療薬として、それは化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫療法薬から選択され得る。
【0053】
一部の実施形態において、その化学療法薬として、以下が例示され得る:白金製剤(例えば、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ジシクロプラチン(dicycloplatin)、ロバプラチン、トリプラチナムテトラニトラート(triplatinum tetranitrate)、フェナントレンプラチン(phenanthreneplatin)、ピコプラチン、ミリプラチン、サトラプラチン)、フルオロピリミジン誘導体(例えば、ゲムシタビン、カペシタビン、アンシタビン、フルオロウラシル、テガジフール(tegadifur)、ドキシフルリジン、テガフール、カルモフール、トリフルリジン、テガフール)、カンプトテシン(例えば、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、イリノテカン、トポテカン)、タキセル(taxel)(例えば、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセルおよびドセタキセル)、ビンブラスチン(ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン)、アントラセン(エピルビシン、アマイシン(amycin)、ルビドマイシン、ピラルビシン、アムルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アクラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン、ピクサントロン)、抗生物質、ポドフィルム(podophyllum)、代謝拮抗薬、抗腫瘍薬、ペメトレキセド、カルムスチン、メルファラン、エトポシド、テニポシド、マイトマイシン、イホスファミド、シクロホスファミド、アザシチジン、メトトレキサート、ベンダムスチン、リポソームアマイシン(liposome amycin)、アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)、ブレオマイシン、ピンヤンマイシン(pingyangmycin)、テモゾロミド、ダカルバジン、ペプロマイシン、エリブリン、プリナブリン、サパシタビン、トレオスルファン、153Sm-EDTMP、ならびにエンセキダルのうちの1つまたは複数。
【0054】
一部の実施形態において、その第2の治療薬は1つまたは複数の白金製剤であり、その白金製剤としては、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、トリプラチナムテトラニトラート(triplatinum tetranitrate)、フェナントレンプラチン(phenanthreneplatin)、ピコプラチン、サトラプラチン、ミリプラチン、ロバプラチンなどが挙げられるが、それらに限定はされない。
【0055】
一部の実施形態において、その化学療法薬は、エトポシド、イリノテカン、シスプラチン、カルボプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、テモゾロミド、ビノレルビン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、アマイシン(amycin)、ビンクリスチン、ベンダムスチン、ファルモルビシン、メトトレキサート、アムルビシン、テガフール、ギメラシル、オテラシル、テガフールのうちの1つまたは複数から選択される。
【0056】
一部の実施形態において、その標的化抗腫瘍薬として、プロテインキナーゼ阻害薬が列挙され得る。その中でも、プロテインキナーゼ阻害薬としては、チロシンキナーゼ阻害薬、セリンおよび/またはスレオニンキナーゼ阻害薬、ならびにポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬が挙げられるが、それらに限定はされない。それら阻害薬の標的としては、ファスシン1タンパク質、HDAC(ヒストンデアセチラーゼ)、プロテアソーム、CD38、SLAMF7(CS1/CD319/CRACC)、RANKL、EGFR(上皮成長因子受容体)、未分化リンパ腫(ALK)、MET遺伝子、ROS1遺伝子、HER2遺伝子、RET遺伝子、BRAF遺伝子、PI3Kシグナル経路、DDR2(ジスコイジンドメイン受容体2)遺伝子、FGFR1(線維芽細胞増殖因子受容体1)、NTRK1(神経栄養因子チロシンキナーゼ1型受容体)遺伝子、およびKRAS遺伝子が挙げられるが、それらに限定はされない。その標的化抗腫瘍薬の標的としてはまた、COX-2(エポキシダーゼ2)、APE1(脱プリン脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)、VEGFR(血管内皮細胞増殖因子受容体)、CXCR-4(ケモカイン受容体4)、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)、IGF-1R(インスリン様成長因子受容体)、エズリン、PEDF(色素上皮由来因子)、AS、ES、OPG(骨保護因子)、Src、IFN、ALCAM(活性化白血球細胞接着分子)、HSP、JIP1、GSK-3β(グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β)、サイクリンD1(細胞周期制御タンパク質)、CDK4(サイクリン依存性キナーゼ)、TIMP1(組織メタロプロテアーゼ阻害物質)、THBS3、PTHR1(副甲状腺ホルモン関連タンパク質受容体1)、TEM7(ヒト腫瘍血管内皮マーカー7)、COPS3、およびカテプシンKも挙げられる。列挙され得る標的化抗腫瘍薬としては、イマチニブ、スニチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、サラカチニブ、パゾパニブ、トラベクテジン、レゴラフェニブ、セジラニブ、ボルテゾミブ、パノビノスタット、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、アパチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、カボザンチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、アルモネルチニブ(Almonertinib)、オシメルチニブ、オルムチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブ、トラメチニブ、ラロトレクチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、セルメチニブ、ソラフェニブ、オルムチニブ、サボリチニブ、フルキンチニブ、エヌトレクチニブ、ダサチニブ、エンサルチニブ、レンバチニブ、イタシチニブ、ピロチニブ、ビニメチニブ、エルダフィチニブ、アキシチニブ、ネラチニブ、コビメチニブ、アカラブルチニブ、ファミチニブ(Famitinib)、マシチニブ、イブルチニブ、アンロチニブ(Anlotinib)、ロシレチニブ、ニンテダニブ、レブラミド、LOXO-292、ボロラニブ(Vorolanib)、ベムセンチニブ、カプマチニブ、エヌトレクチニブ、TAK-931、ALT-803、パルボシクリブ、ファミチニブ(Famitinib)L-リンゴ酸塩、LTT-462、BLU-667、ニンゲチニブ(ningetinib)、ティピファニブ、ポジオチニブ、DS-1205c、カピバセルチブ、SH-1028、メトホルミン、セリシクリブ、OSE-2101、APL-101、ベルゾセルチブ、イデラリシブ、レロシクリブ、セララセルチブ、PLB-1003、トミボセルチブ、SKLB-1028、D-0316、LY-3023414、アリチニブ(allitinib)、MRTX-849、AP-32788、AZD-4205、リフィラフェニブ、バクトセルチブ(vactosertib)、ミベブレシブ(mivebresib)、ナパブカシン、シトラバチニブ、TAS-114、モリブレシブ、CC-223、リボセラニブ、CK-101、LXH-254、シモチニブ(simotinib)、GSK-3368715、TAS-0728、マシチニブ、テポチニブ、HS-10296、AZD-4547、メレスチニブ、オラプテセドペゴール(olaptesed pegol)、ガルニセルチブ、ASN-003、ゲダトリシブ(gedatolisib)、デファクチニブ(defactinib)、ラゼルチニブ、CKI-27、S-49076、BPI-9016M、RF-A-089、RMC-4630、AZD-3759、アントロキノノール、SAF-189s、AT-101、TTI-101、ナプチニブ(naputinib)、LNP-3794、HH-SCC-244、ASK-120067、CT-707、エピチニブ(epitinib)コハク酸塩、テセバチニブ、SPH-1188-11、BPI-15000、コパンリシブ、ニラパリブ、オラパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブトシル酸塩、DV-281、シレマドリン(Siremadlin)、テラグレナスタット、MP-0250、GLG-801、ABTL-0812、ボルテゾミブ、ツシジノスタット、ボリノスタット、レスミノスタット、エパカドスタット、タゼメトスタット、エンチノスタット、モセチノスタット、キシノスタット、LCL-161、およびKML-001のうちの1つまたは複数が挙げられるが、それらに限定はされない。一部の実施形態において、その標的化抗腫瘍薬は、ソラフェニブ、エルロチニブ、アファチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、カボザンチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブ、トラメチニブ、ラロトレクチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、セルメチニブ、オルムチニブ、サボリチニブ、フルキンチニブ、エヌトレクチニブ、ダサチニブ、エンサルチニブ、レンバチニブ、イタシチニブ、ピロチニブ、ビニメチニブ、エルダフィチニブ、アキシチニブ、ニラチニブ(Niratinib)、コビメチニブ、アカラブルチニブ、ファミチニブ(Famitinib)、マシチニブ、イブルチニブ、アンロチニブ(Anlotinib)、ニンテダニブのうちの1つまたは複数である。
【0057】
一部の実施形態において、その第2の治療薬は抗体薬である。それらの中でも、その抗体薬によって目標とされる標的としては、PD-1、PD-L1、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、血小板由来成長因子受容体α(PDGFR-α)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF),ヒト上皮成長因子受容体2(HER2),上皮成長因子受容体(EGFR)、ガングリオシドGD2、B細胞表面タンパク質CD20、B細胞表面タンパク質CD52、B細胞表面タンパク質CD38、B細胞表面タンパク質CD319、B細胞表面タンパク質CD30、およびB細胞表面タンパク質CD19/CD3のうちのいずれか1つまたは複数が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0058】
一部の実施形態において、その抗体薬は、PD-1受容体とそのリガンドであるPD-L1との間の相互作用についての阻害薬である;本開示の一実施形態において、その抗体薬は細胞傷害性Tリンパ球抗原4阻害薬である。本開示の一実施形態において、その抗体薬は血小板由来成長因子受容体α(PDGFR-α)阻害薬である。
【0059】
一部の実施形態において、PD-1受容体とそのリガンドであるPD-L1との間の相互作用についての阻害薬は、プログラム細胞死受容体1(PD-1)に結合しかつ/もしくはPD-1の活性を阻害する、抗体またはその抗原結合性部分、あるいはプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)に結合しかつ/もしくはPD-L1の活性を阻害する、抗体またはその抗原結合性部分(例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体)である。本開示の一実施形態において、その抗体またはその抗原結合性部分は、(a)ヒトPD-1に特異的に結合してヒトPD-L1とヒトPD-1との間の結合を遮断する、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメント;あるいは(b)ヒトPD-L1似特異的に結合してヒトPD-L1とヒトPD-1との間の結合を遮断する、抗PD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントである。
【0060】
一部の実施形態において、その抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、抗PD-1モノクローナル抗体または抗PD-L1モノクローナル抗体である。
【0061】
一部の実施形態において、その抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、ヒト抗体またはマウス抗体である。
【0062】
一部の実施形態において、その抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、デュルバルマブ、トリパリマブ(JS-001)、シンチリマブ(IBI308)、カムレリズマブ(Camrelizumab)、チスレリズマブ(BGB-A317)、ゲプタノリマブ(Geptanolimab)(GB226)、リズマブ(Lizumab)(LZM009)、HLX-10、BAT-1306、AK103(HX008)、AK104(アケソビオ(Akesobio))、CS1003、SCT-I10A、F520、SG001、およびGLS-010のうちのいずれか1つまたは複数から選択され得る。
【0063】
一部の実施形態において、その抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KL-A167、SHR-1316、BGB-333、JS003、STI-A1014(ZKAB0011)、KN035、MSB2311、HLX-20、およびCS-1001のうちのいずれか1つまたは複数から選択され得る。
【0064】
一部の実施形態において、その抗PD-1抗体はトリパリマブである。
【0065】
一部の実施形態において、その抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。
【0066】
一部の実施形態において、その細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)阻害薬は抗CTLA-4抗体であり、本開示の一実施形態において、その抗CTLA-4抗体は抗CTLA-4モノクローナル抗体である。
【0067】
一部の実施形態において、その抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ、トレメリムマブ、AGEN-1884、BMS-986249、BMS-986218、AK-104、およびIBI310のうちのいずれか1つまたは複数から選択され得る。
【0068】
一部の実施形態において、その抗CTLA-4抗体はイピリムマブである。
【0069】
一部の実施形態において、その血小板由来成長因子受容体α(PDGFR-α)阻害薬は抗PDGFRα抗体である。本開示の一実施形態において、その抗PDGFRα抗体は抗PDGFRαモノクローナル抗体である。
【0070】
一部の実施形態において、その抗PDGFRα抗体はオララツマブである。
【0071】
一部の実施形態において、その抗体薬としてはまた、ベバシズマブ、ラムシルマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ(Cotuximab)、ニモツズマブ、パニツムマブ、ネシツムマブ、ジヌツキシマブ、リツキシマブ、イブリツモマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブ、アレムツズマブ、ダラツムマブ、ゲムツズマブ、エロツズマブ、ブレンツキシマブ、イノツズマブオゾガマイシン、ブリナツモマブのうちのいずれか1つまたは複数が挙げられ得るが、それらに限定はされない。
【0072】
一部の実施形態において、免疫療法薬として、以下が列挙され得る:1つまたは複数のインターフェロン(インターフェロンα、インターフェロンα-1b、インターフェロンα-2b)、インターロイキン、テムシロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス、およびテムシロリムス。
【0073】
一部の実施形態において、第2の治療薬が使用される場合、その第2の治療薬の量は当業者によって望まれるとおりに調節され得る。
【0074】
一部の実施形態において、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の使用が、提供される。
【0075】
一部の実施形態において、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、少なくとも1つの第2の治療薬と組み合わせたフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が、提供される。
【0076】
一部の実施形態において、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、上記の医薬組成物の使用が、提供される。
【0077】
一部の実施形態において、本開示の上記の使用において、フルモネルチニブの薬学的に受容可能な塩はフルモネルチニブのメシル酸塩(すなわち、フルモネルチニブメシル酸塩)である。
【0078】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている使用において、本開示の医薬組成物は錠剤またはカプセル剤の剤形で存在する。
【0079】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている使用において、各単位製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は10mg~400mg、例えば、20mg~320mgである。特定の含有量として、それは例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。例示的な特定の含有量として、それは20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、40mgまたは80mg、例えば、40mgであり得る。
【0080】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている使用において、上記の医薬組成物において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである。例示的な含有量として、それは80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgであり得る。
【0081】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている使用において、その医薬組成物は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の投与量が80mg~400mgであるように、患者に投与される。特定の投与量として、それは例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。例示的な投与量として、それは80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgであり得る。本開示の一実施形態において、その投与量は一日量である。
【0082】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている使用において、その医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量とは、その医薬組成物が患者に投与される場合にその患者によって摂取される、その医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の総量を指す。例えば、医薬組成物が錠剤またはカプセル剤の剤形で存在する場合に、その医薬組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量とは、製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)が投与される場合のそのすべての製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の総量を指す。
【0083】
本明細書において記載されている使用において、患者に投与される場合に、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量は単位製剤中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量以上であることが、当業者によって理解される。当業者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量および各単位製剤中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量に基づいて、1日当たりの投与される必要があるその製剤の総量を計算し得る。例えば、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が錠剤中に含まれ、各単位製剤(各錠剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が40mgである場合、かつフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量が240mgである場合には、1日当たりの投与される必要があるその製剤(錠剤)の総量は6錠である。
【0084】
一部の実施形態において、そのHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患はがん(例えば、肺がん)であり、さらにその疾患は非小細胞肺がん(NSCLC)であり得る。
【0085】
一部の実施形態において、そのHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患は、局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんである。
【0086】
一部の実施形態において、そのHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患は、未処置の非小細胞肺がんまたは以前に処置された非小細胞肺がんである。
【0087】
本明細書において使用される場合、用語「未処置」とは、本開示のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を受ける前に、別の治療薬(化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬または免疫療法薬が挙げられるが、それらに限定はされない)での処置が使用されていない状態、あるいは体系的抗腫瘍療法を何も受けていない状態を指す。本明細書において使用される場合、用語「以前に処置された」とは、本開示のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を受ける前に、別の治療薬(化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬または免疫療法薬が挙げられるが、それらに限定はされない)での処置が使用された状態、あるいは体系的抗腫瘍療法を受けたが、その後でその疾患が進行した状態を指す。「以前に処置された」場合、その患者は、他の治療薬に対する耐性を生じている可能性があり、またはその薬剤耐性を生じていない可能性がある。
【0088】
一部の実施形態において、そのHER2エクソン20挿入変異は、ERBB2 A775_G776insYVMA変異、ERBB2 V777_G778insGC変異、およびERBB2 P780_Y781insGSP変異からなる群より選択される少なくとも1つである。
【0089】
本発明の一実施形態において、そのEGFR希少変異は、EGFR G719S変異、EGFR S768I変異、EGFR G724S変異、EGFR L861Q変異、およびEGFR G719S/T263P変異からなる群より選択される少なくとも1つである。
【0090】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている使用において、その医薬組成物は少なくとも1つの第2の治療薬をさらに含み得る。
【0091】
本明細書において記載されている使用において、その第2の治療薬は化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫療法薬から選択され得る。
【0092】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている使用において、その第2の治療薬は本開示の上記の第2の治療薬である。
【0093】
一部の実施形態において、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防する方法が提供され、その方法は、患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0094】
一部の実施形態において、疾患を処置および/または予防する方法が提供され、その方法は、陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異を有する患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0095】
一部の実施形態において、局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんを処置する方法が提供され、その方法は、それを必要とする患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0096】
一部の実施形態において、局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんを処置する方法が提供され、その方法は、陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異が確認された患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0097】
一部の実施形態において、局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんを処置する方法が提供され、その方法は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異を保有する患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0098】
一部の実施形態において、局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんを処置する方法が提供され、その方法は、先行する体系的抗腫瘍療法を何も受けていない陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異が確認された患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0099】
一部の実施形態において、局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんを処置する方法が提供され、その方法は、先行する体系的抗腫瘍療法を受けた後に進行性疾患を有する陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異が確認された患者に治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む。
【0100】
その処置方法の一部の実施形態において、そのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は投与量80mg~400mgで投与される。特定の投与量として、それは例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。例示的な投与量として、それは80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgであり得る。本開示の一実施形態において、その投与量は一日量である。
【0101】
その処置方法の一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が患者に投与される頻度は、1日1回(qd)、1日2回(bid)、または1日3回(tid)、例えば1日1回である。
【0102】
その処置方法の一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は患者に絶食状態下で(例えば、午前中に絶食状態下で)投与される。
【0103】
その処置方法の一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は患者に経口投与される。
【0104】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている処置方法において、フルモネルチニブはメシル酸塩の形態で投与される。
【0105】
その処置方法の一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は錠剤またはカプセル剤の剤形で投与される。
【0106】
その処置方法の一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は患者に各単位製剤の形態で投与される。単位製剤の量を調節することによって、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量は上記の範囲内にある。
【0107】
その処置方法の一部の実施形態において、各単位製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)において、上記のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は10mg~400mg、例えば、20mg~320mgである。特定の含有量として、それは例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。例示的な特定の含有量として、それは20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、40mgまたは80mg、例えば、40mgであり得る。
【0108】
患者に投与される場合に、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量は単位製剤中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の総量以上であることが、当業者によって理解される。当業者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量および各単位製剤中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量に基づいて、1日当たりの投与される必要があるその製剤の総量を計算し得る。例えば、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が錠剤中に含まれ、各単位製剤(各錠剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が40mgである場合、かつフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の一日量が240mgである場合には、1日当たりの投与される必要があるその製剤(錠剤)の総量は6錠である。
【0109】
その処置方法の一部の実施形態において、少なくとも1つの第2の治療薬が患者にさらに投与され得る。その処置方法の一部の実施形態において、その第2の治療薬として、それは化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫療法薬から選択され得る。
【0110】
その処置方法の一部の実施形態において、その第2の治療薬は本開示の上記の第2の治療薬である。
【0111】
その処置方法の一部の実施形態において、その疾患はがん(例えば、肺がん)であり、さらにその疾患は非小細胞肺がん(NSCLC)であり得る。
【0112】
その処置方法の一部の実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は患者に腫瘍の外科的切除の前または後に投与される。
【0113】
その処置方法の一部の実施形態において、その疾患は局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんである。
【0114】
その処置方法の一部の実施形態において、その疾患は未処置の非小細胞肺がんまたは以前に処置された非小細胞肺がんである。
【0115】
本開示の上記の処置方法において、そのHER2エクソン20挿入変異は、ERBB2 A775_G776insYVMA変異、ERBB2 V777_G778insGC変異、およびERBB2 P780_Y781insGSP変異からなる群より選択される少なくとも1つである。
【0116】
本発明の一実施形態において、そのEGFR希少変異は、EGFR G719S変異、EGFR S768I変異、EGFR G724S変異、EGFR L861Q変異、およびEGFR G719S/T263P変異からなる群より選択される少なくとも1つである。
【0117】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者はヒト患者である。
【0118】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者は18歳と75歳との間である。
【0119】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、優勢な非扁平上皮細胞組織構造を有する組織学的または細胞病理学的に確認された原発性非小細胞肺がん(NSCLC)を有する。
【0120】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、最後の抗腫瘍療法後に放射線学的疾患進行(radiological disease progression)を有する。
【0121】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、実験室検査によって陽性のHER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異を記録した。
【0122】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を有し、最後の体系的抗腫瘍療法の間または最後の体系的抗腫瘍療法の後に放射線学的疾患進行(radiological disease progression)または病理学的疾患進行を有すると確認されている。
【0123】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、局所進行非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を有し、先行する体系的抗腫瘍療法を何も受けていない。
【0124】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、少なくとも1つの測定可能な病変を有する。
【0125】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、実験室検査によって示した場合に十分な臓器機能を有する。
【0126】
その処置方法の一部の実施形態において、その患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置の開始前に、ECOG PS(米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)パフォーマンスステータス)スコア試験に供される(例えば、ECOG PSスコア0~1)。
【0127】
一部の実施形態において、その処置方法は、許容可能な安全性プロファイルを有する。
【0128】
一部の実施形態において、その処置方法は、部分奏効(PR)の治療効果を提供し得る。
【0129】
一部の実施形態において、その処置方法は、安定状態(SD)の治療効果を提供し得る。
【0130】
一部の実施形態において、その処置方法は、標的病変において腫瘍縮小を提供し得る。
【0131】
その処置方法の一部の実施形態において、放射線学的腫瘍検査、例えばコンピュータ断層撮影(CT)および/または磁気共鳴画像法(MRI)によって評価した場合に、標的病変において腫瘍縮小が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図1図1:試験実施例2における腫瘍体積変化の曲線。
図2図2:試験実施例2における体重変化率の曲線。
図3図3:試験実施例3における腫瘍体積変化の曲線。
図4図4:試験実施例3における体重変化の曲線。
【実施例
【0133】
(実施例)
(I.調製実施例)
(フルモネルチニブメシル酸塩(40mg、標準的錠剤)の調製)
処方:フルモネルチニブメシル酸塩 46.76mg、結晶セルロース 44.73mg、ラクトース 68.2mg、クロスカルメロースナトリウム 13mg、ポリエチレングリコール4000 17.8mg、コロイド状シリカ 10.9mg、フマル酸ステアリルナトリウム 2.7mg、塩化ナトリウム 8.67mg、および40mgのフルモネルチニブがその中に含まれる。
【0134】
プロセス:アジュバントおよび上記の医薬品有効成分を事前処理のために篩にかけ、均一に混合し、湿式造粒法のために適切な量のポリエチレングリコール4000を添加し、湿式造粒法のために篩分けし、その湿った顆粒を乾燥し、顆粒化のために篩分けし、コロイド状シリカおよびフマル酸ステアリルナトリウムを添加して均一に混合し、その後、錠剤化して錠剤を得る。
【0135】
(II.活性実施例)
(試験実施例1:安定にトランスフェクトされた細胞であるBa/F3 EGFR G719S、Ba/F3 EGFR G724S、Ba/F3 EGFR S768I、Ba/F3 EGFR L861Q、Ba/F3 EGFR G719S/T263P、Ba/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA、Ba/F3 ERBB2 V777_G778insGC、およびBa/F3 ERBB2 P780_Y781insGSPに対する増殖阻害活性)
【0136】
マウスプロB細胞Ba/F3においてインビトロでEGFR希少変異タンパク質を安定に発現するBa/F3 EGFR G719S、Ba/F3 EGFR G724S、Ba/F3 EGFR S768I、およびBa/F3 EGFR L861Qという4種の細胞、マウスプロB細胞Ba/F3においてインビトロでEGFR二重変異タンパク質を安定に発現するBa/F3 EGFR G719S/T263Pという1種の細胞、ならびにマウスプロB細胞Ba/F3においてインビトロで種々のERBB2エクソン20挿入変異タンパク質を安定に発現するBa/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA、Ba/F3 ERBB2 V777_G778insGC、およびBa/F3 ERBB2 P780_Y781insGSPという3種の細胞に対する上記の化合物(フルモネルチニブメシル酸塩)の増殖阻害活性を、CellTiter Glo法によって決定した。
【0137】
細胞供給源:Ba/F3 EGFR G719S細胞、Ba/F3 EGFR G724S細胞、Ba/F3 EGFR S768I細胞、Ba/F3 EGFR L861Q細胞、Ba/F3 EGFR G719S/T263P細胞、Ba/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA細胞、Ba/F3 ERBB2 V777_G778insGC細胞、Ba/F3 ERBB2 P780_Y781insGSP細胞は、KYinno Biotechnology(Beijing)Co.,Ltd.によって提供された。
【0138】
Ba/F3 EGFR G719S細胞、Ba/F3 EGFR G724S細胞、Ba/F3 EGFR S768I細胞、Ba/F3 EGFR L861Q細胞、Ba/F3 EGFR G719S/T263P細胞、Ba/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA細胞、Ba/F3 ERBB2 V777_G778insGC細胞、Ba/F3 ERBB2 P780_Y781insGSP細胞を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640完全培養培地中で培養した。対数増殖期にあるBa/F3 EGFR G719S細胞、Ba/F3 EGFR G724S細胞、Ba/F3 EGFR S768I細胞、Ba/F3 EGFR L861Q細胞、Ba/F3 EGFR G719S/T263P細胞、Ba/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA細胞、Ba/F3 ERBB2 V777_G778insGC細胞、Ba/F3 ERBB2 P780_Y781insGSP細胞を取り、1ウェルにつき90μLの完全培養培地中3000個の細胞という細胞密度にしたがって96ウェルプレートに接種し、5% COを含む37℃の定温インキュベータにそれらのプレートを配置し、24時間培養した。上記の化合物を前もってジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解して30mMストック溶液を調製し、その後、その化合物をDMSOおよび上記の完全培養培地で連続希釈した。それらの細胞を接種した96ウェルプレートを取り出し、10μLの種々の濃度の上記化合物を各ウェルに添加して最終濃度3000nM、950nM、300nM、95.0nM、30nM、9.5nM、3nM、0.95nM、および0.3nMを達成し、各化合物濃度について3つの複製ウェルを設定し、1つの陰性対照(細胞を含む培養培地対照)および1つのブランク対照(細胞を含まない培養培地対照)を設定し、各ウェル中のDMSO濃度は0.1%であった。5% COを含む37℃の定温インキュベータにそれらのプレートを配置し、72時間培養した。
【0139】
CellTiter-Glo試薬(Promegaから市販されているルシフェラーゼATP生物発光検出試薬)を融解し、上記の細胞を接種した96ウェルプレートをCO定温インキュベータから取り出し、室温になるまで(約30分間)平衡化し、100μLのCellTiter-Glo試薬を各ウェルに添加し、オービタルシェーカーにて5分間振盪することによってそれらの細胞を溶解し、室温にて20分間接種してその発光強度が安定化するのを待ち、その後、その発光強度(Lum)をマイクロプレートリーダーで測定した。各濃度の上記化合物の細胞生存率を計算した。
【0140】
細胞生存率(%)=(Lum72時間化合物投与群-Lumブランク対照)/(Lum72時間陰性対照群-Lumブランク対照)×100%。
【0141】
GraphPad Prism 7.0ソフトウェアを使用してそのデータを分析し、非線形S字曲線回帰に適合させて用量効果曲線を得、表1に示すとおり、それからIC50値を計算した。
【表1】
【0142】
その結果は、フルモネルチニブメシル酸塩が、Ba/F3 EGFR G719S、Ba/F3 EGFR G724S、Ba/F3 EGFR S768I、Ba/F3 EGFR L861Q、Ba/F3 EGFR G719S/T263P、Ba/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA、Ba/F3 ERBB2 V777_G778insGC、Ba/F3 ERBB2 P780_Y781insGSPという安定にトランスフェクトされた細胞に対して良好な増殖阻害活性を有したことを示した。
【0143】
(試験実施例2:Ba/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA CDX腫瘍モデルにおけるフルモネルチニブメシル酸塩の抗腫瘍効果の試験)
この研究は、Ba/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA(ERBB2エクソン20挿入変異タンパク質を安定に発現するマウスプロB細胞Ba/F3)皮下異種移植BALB/c雌ヌードマウス動物モデルにおいてフルモネルチニブメシル酸塩の抗腫瘍効果を評価および試験するために、使用した。
【0144】
実験動物:BALB/cヌードマウス、雌、8週~9週(腫瘍細胞を接種した際のマウスの週齢)、体重13.7g~17.7g、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.の上海支社から購入した。
【0145】
動物モデル化および無作為群分け:Ba/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA細胞を培養し、2つのT175cm培養フラスコに増殖させ、細胞を収集し、1:1でマトリックスゲルを添加した無血清培地DMEM中に再懸濁して計数し、Balb/cヌードマウスの右肩甲骨の前側皮下に2×10細胞/0.1mLで接種した。その平均腫瘍体積が約160mmであった際に、それらの動物を腫瘍サイズにしたがって3つの実験群に無作為に群分けした。各群は6匹の動物を含んだ。その群分けの日を0日目(すなわち、D0)と定義した。
【0146】
実験スキーム:BALB/cヌードマウスにBa/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA細胞を皮下接種し、細胞株異種移植腫瘍モデルを樹立した。この実験を30mg/kgのAZD9291群、30mg/kgのフルモネルチニブメシル酸塩群および媒体対照群へと分割し、各群は6匹の動物を含み、それらには投与体積10μL/gで経口投与し、媒体対照群には同じ量の媒体を投与し、その投与は1日1回実行して2週間継続した。実験全体の間、それらのマウスの体重および腫瘍サイズを各週2回、毒性反応の存在が観察されるか否かに関わらず、測定した。
【0147】
腫瘍体積(TV)をTV=1/2×a×b×bによって計算し、式中、aは腫瘍の長さを、bは腫瘍の幅を、それぞれ示した。
【0148】
体重変化率=体重/D0での体重-1)×100%。
【0149】
3つの実験群の腫瘍体積変化についての曲線を図1に示し、体重変化率についての曲線を図2に示した。
【0150】
その結果は、フルモネルチニブメシル酸塩が、Ba/F3 ERBB2 A775_G776insYVMA CDX皮下異種移植BALB/c雌ヌードマウス動物モデルにおいて良好な抗腫瘍効果を示し、ヌードマウスの体重に対してより少ない効果を有し、より良い安全性を示したことを示した。
【0151】
(試験実施例3:雌免疫不全マウスのBa/F3 ERBB2 V777_G778insGC(KC-1410)細胞異種移植片モデルにおけるフルモネルチニブメシル酸塩の抗腫瘍効果の試験)
この試験は、Ba/F3 ERBB2 V777_G778insGC改変細胞の腫瘍を保有する雌(B-NDG)免疫不全マウスにおいて3種の化合物単独の抗腫瘍効力を評価するために、使用した。
【0152】
実験動物:B-NDGマウス、雌、6週~8週、体重18g~20g。
【0153】
動物モデル化および無作為群分け:Ba/F3 ERBB2 V777_G778insGC細胞を培養し、細胞を収集し、無血清培地中に再懸濁して計数し、1:1でマトリゲルを添加した再懸濁した細胞をB-NDGマウスに1×10細胞/0.1mLで皮下接種した。その平均腫瘍体積が約80mm~約120mmであった際に、それらの動物を腫瘍サイズにしたがって4つの実験群に無作為に群分けした。各群は12匹のマウスを含んだ。その群分けの日を0日目(すなわち、D0)として定義した。
【0154】
実験スキーム:B-NDGマウスにBa/F3 ERBB2 V777_G778insGC細胞を皮下接種して、細胞株由来異種移植片モデルを樹立した。この実験を15mg/kgのフルモネルチニブメシル酸塩群、30mg/kgのフルモネルチニブメシル酸塩群、50mg/kgのフルモネルチニブメシル酸塩群および媒体群へと分割し、各群は12匹のマウスを含み、それらには投与体積10μL/gで経口投与し、媒体群には同じ量の媒体を投与し、その投与は1日1回実行して2週間継続した。実験全体の間、それらのマウスの体重および腫瘍サイズを各週2回、毒性反応の存在が観察されるか否かに関わらず、測定した。
【0155】
腫瘍体積(TV)をTV=1/2×a×bによって測定し、式中、aは腫瘍の長径であり、bは腫瘍の短径であった。
【0156】
4つの実験群の腫瘍体積変化についての曲線を図3に示し、4つの実験群の体重変化についての曲線を図4に示した。
【0157】
要約すると、15mg/kgのフルモネルチニブメシル酸塩は中程度の抗腫瘍活性を生じ;30mg/kgフルモネルチニブメシル酸塩および50mg/kgのフルモネルチニブメシル酸塩は極めて顕著な抗腫瘍活性を生じ、それらの3つのフルモネルチニブメシル酸塩群は、マウスの体重に対してより少ない効果を有し、良好な安全性を示した。
【0158】
(試験実施例4:活性化するHER2変異(エクソン20挿入変異が挙げられる)を伴う進行非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を有する患者におけるフルモネルチニブの研究)
臨床試験を実施して、活性化するHER2変異(エクソン20挿入変異が挙げられる)を伴う進行NSCLCまたは転移性NSCLCを有する少なくとも100人の患者において、フルモネルチニブの安全性、薬物動態(PK)、および抗腫瘍活性を評価する。
【0159】
患者を、ステージ1(用量漸増コホートおよびバックフィルコホート)ならびにステージ2(用量拡大)という2つのステージに登録する。各ステージにおいて、以前に処置されたNSCLC患者にフルモネルチニブ錠剤を投与する。
【0160】
主要評価項目としては、フルモネルチニブの安全性および忍容性の尺度として、有害事象(AE)の発生頻度および重症度が挙げられる(その時間枠は最初の投与後36か月までである)。副次評価項目としては、最初の投与後36か月まで、例えば、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間、中枢神経系(CNS)ORR、および中枢神経系(CNS)DORが挙げられる。
【0161】
適格患者は、すべての性別を含み、少なくとも18歳である。選択基準としては、例えば、-組織学的または細胞学的に立証された、根治手術も放射線療法も受けられない局所進行NSCLCまたは転移性NSCLC;
-少なくとも1種類の利用可能な標準治療後に進行した疾患、または標準治療が無効もしくは許容不能であると証明されている患者、または治験薬の臨床試験が標準治療として認められている患者;
-CNS転移を処置した病歴またはスクリーニング後に新たに無症候性CNS転移が検出された病歴を有する患者;
-最初のフルモネルチニブ投与の前に、最後の全身抗がん療法の間または後の放射線学的疾患進行(radiologic disease progression)が記録されている;
-オシメルチニブに対して感受性であるEGFR変異を有する患者について、その患者は、オシメルチニブが承認されている地域(米国が挙げられる)では研究登録前にオシメルチニブを受けていなければならない;
-HER2エクソン20挿入変異の存在を確認する、血液または腫瘍組織のいずれかのローカル試験からの有効な結果が記録されている;および
-その患者は、疾患進行を経験していなければならない、または白金製剤ベースの化学療法での処置に対する不耐性を有していなければならない
が挙げられる。
【0162】
除外基準としては、例えば、
-フルモネルチニブ開始前の3週間以内または半減期の5倍以内(どちらか短い方)に抗がん療法として化学療法、免疫療法、生物学的療法または治験薬での処置、あるいはフルモネルチニブ開始前の2週間以内に内分泌療法での処置;
-フルモネルチニブ開始前の4週間以内にがん治療として放射線療法;
-フルモネルチニブ開始前の2週間以内に骨転移に対する緩和的放射線照射;および
-脱毛症またはグレード2以下の末梢神経障害を除いて、グレード1以下まで回復していない先行する抗がん療法由来の有害事象
が挙げられる。
【0163】
(産業上の利用可能性)
本開示は、治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含み薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて含む医薬組成物;HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防するための医薬の製造における、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩、および上記の医薬組成物の使用を提供する。本開示はまた、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患を処置および/または予防する方法を提供し、その方法において、治療有効量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が患者に投与される。本開示の医薬組成物は、HER2エクソン20挿入変異および/またはEGFR希少変異によって媒介される疾患(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC))に対して、副作用をほとんど伴わず優れた安全性を伴って優れた治療効果を示す。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】