(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】量子ドット光硬化型接着剤およびその調製方法、表示装置
(51)【国際特許分類】
C09J 201/00 20060101AFI20241018BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20241018BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20241018BHJP
C09J 125/04 20060101ALI20241018BHJP
C09J 131/00 20060101ALI20241018BHJP
C09K 11/02 20060101ALN20241018BHJP
C09K 11/88 20060101ALN20241018BHJP
C09K 11/59 20060101ALN20241018BHJP
C09K 11/62 20060101ALN20241018BHJP
C09K 11/70 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J11/04
C09J11/08
C09J125/04
C09J131/00
C09K11/02 Z ZNM
C09K11/88
C09K11/59
C09K11/62
C09K11/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530505
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 CN2022126446
(87)【国際公開番号】W WO2023093391
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111429693.2
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522365258
【氏名又は名称】▲れい▼▲うぃ▼光電科技(蘇州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】RAYSOLVE OPTOELECTRONICS (SUZHOU) CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】B302, Block 1, Creative Industry Park, No. 328 Xinghu Street, Suzhou Industrial Park Suzhou, Jiangsu 215000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 超
(72)【発明者】
【氏名】▲じゃん▼ 旭
(72)【発明者】
【氏名】チュン ウィンチョン
【テーマコード(参考)】
4H001
4J040
【Fターム(参考)】
4H001CA01
4H001CA02
4H001XA15
4H001XA16
4H001XA29
4H001XA30
4H001XA34
4H001XA48
4H001XA49
4J040DB022
4J040DB041
4J040DF002
4J040DG021
4J040EC001
4J040FA131
4J040HA076
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4J040KA43
4J040NA16
4J040NA17
4J040NA19
4J040NA20
4J040PA32
4J040QA00
(57)【要約】
本出願は、量子ドット光硬化型接着剤およびその調製方法、表示装置を提供する。前記量子ドット光硬化型接着剤は、混合溶液および光硬化型接着剤溶液を含み、前記混合溶液は、量子ドット、光拡散剤、機能性ポリマーおよび光硬化型接着剤溶媒を含み、前記混合溶液において前記量子ドットの外に前記機能性ポリマーが被覆されている。本出願は、従来技術における従来の液相での配位子交換による量子ドットの性能不良ないし構造欠陥の発生を解決することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ドット光硬化型接着剤であって、
前記量子ドット光硬化型接着剤は、混合溶液および光硬化型接着剤溶液を含み、前記混合溶液は、量子ドット、光拡散剤、機能性ポリマーおよび光硬化型接着剤溶媒を含み、前記混合溶液において前記量子ドットの外に前記機能性ポリマーが被覆されている、
ことを特徴とする量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項2】
前記量子ドット、前記光拡散剤、前記機能性ポリマーおよび前記光硬化型接着剤溶媒は、ボールミリングまたはサンドミリングにより混合される、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項3】
前記量子ドットは、CdSe、CdS、ZnS、CdZnSe、CdZnS、CdZnSeS、ZnSeS、ZnSe、CuInS、CuInSe、InP、InZnPのうちの1種または複数種の混合から選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項4】
前記量子ドットおよび前記光拡散剤は、いずれも固体である、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項5】
前記機能性ポリマーは、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒に可溶である、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項6】
前記機能性ポリマーは、メルカプトプロピオン酸、スチレン無水マレイン酸コポリマー、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、リン酸グリセリル、リン酸トリエチル、メルカプトコハク酸-アクリル酸イソボルニル、亜リン酸トリエチル、リン酸イソオクチルおよび2-ホスホノプロピオン酸トリエチルのうちの1種または複数種の混合を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項7】
前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記量子ドットの質量含有量は、60%未満である、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項8】
前記量子ドットの質量含有量は、10%~40%である、
ことを特徴とする請求項7に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項9】
前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記光拡散剤の質量含有量は、50%未満であり、かつ前記量子ドットの質量含有量を超えない、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項10】
前記光拡散剤の質量含有量は、5%~30%である、
ことを特徴とする請求項9に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項11】
前記光硬化型接着剤溶液は、粘着剤、感光剤、機能性モノマー、溶媒および助剤を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項12】
前記光拡散剤と前記量子ドットとの質量含有量の比は、1:100~1:1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット光硬化型接着剤。
【請求項13】
量子ドット光硬化型接着剤の調製方法であって、
量子ドット、光拡散剤、機能性ポリマーおよび光硬化型接着剤溶媒を混合して、第1混合溶液を調製するステップS1と、
前記第1混合溶液を遮光条件でボールミリングまたはサンドミリングを行って第2混合溶液を得るステップS2であって、前記第2混合溶液において前記量子ドットの外に前記機能性ポリマーが被覆されているステップS2と、
前記第2混合溶液と光硬化型接着剤溶液を混合して量子ドット光硬化型接着剤を得るステップS3と、を含む、
ことを特徴とする量子ドット光硬化型接着剤の調製方法。
【請求項14】
前記量子ドットおよび前記光拡散剤は、いずれも固体である、
ことを特徴とする請求項13に記載の量子ドット光硬化型接着剤の調製方法。
【請求項15】
前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記量子ドットの質量含有量は、60%未満である、
ことを特徴とする請求項13に記載の量子ドット光硬化型接着剤の調製方法。
【請求項16】
前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記光拡散剤の質量含有量は、50%未満であり、かつ前記量子ドットの質量含有量を超えない、
ことを特徴とする請求項13に記載の量子ドット光硬化型接着剤の調製方法。
【請求項17】
前記光硬化型接着剤溶液は、粘着剤、感光剤、機能性モノマー、溶媒および助剤を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の量子ドット光硬化型接着剤の調製方法。
【請求項18】
前記ステップS2において、ボールミリングの回転速度は500~1500回転/分であり、ボールミリングの時間は10分~5時間である、
ことを特徴とする請求項13に記載の量子ドット光硬化型接着剤の調製方法。
【請求項19】
前記量子ドットの調製方法は、
極性溶媒および非極性溶媒を所定割合で量子ドット溶液と混合して、濁った量子ドット溶液を得、前記濁った量子ドット溶液を遠心し、上澄み液を除去して量子ドット固体沈殿物を得ることと、
得られた量子ドット固体沈殿物を凍結乾燥し、表面に残留した低沸点試薬を除去して、乾燥粉末状の量子ドットを得ることと、を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の量子ドット光硬化型接着剤の調製方法。
【請求項20】
表示装置であって、
表示基板と、前記表示基板に設けられた量子ドット光硬化型接着剤層とを含み、前記量子ドット光硬化型接着剤層は、請求項1~13のいずれか1項に記載の量子ドット光硬化型接着剤を含む、
ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月29日に提出され、出願番号が202111429693.2であり、発明の名称が「量子ドット光硬化型接着剤およびその調製方法、表示装置」である中国特許出願に基づいて優先権を主張する。
本出願は、量子ドット技術分野に関し、特に、量子ドット光硬化型接着剤およびその調製方法、ならびに、当該量子ドット光硬化型接着剤を用いて光色変換を実現する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、量子ドット(quantum dots)は、重要な低次元半導体材料であり、その3つの次元における寸法はいずれも対応する半導体材料の励起子ボーア半径の2倍以下である。また、量子ドットは、独特な発光効果を有し、表示業界で高い応用価値がある。過去の数十年において、量子ドットに対する研究が飛躍的に進歩しているため、量子ドット素子の性能に対する分析、研究および最適化は、その市場化を速めるために重要である。
【0003】
従来の量子ドット接着剤の調製は、オイルベース量子ドットを不活性オレフィン(例えば1-オクタデセン、液体パラフィン、テトラデセンなど)雰囲気で精製し、さらに表面変性、配位子交換などの方法を行ってPGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)に溶解させ、得られた溶液を光硬化型接着剤(UV接着剤)および光拡散剤などと混合して量子ドット接着剤を調製する。このような油相(またはオイルベース)から合成された量子ドットは、光学性能が比較的良好であり、安定性も比較的良好であるが、量子ドットをPGMEAベースに溶解させ、即ちフォトレジスト(光硬化型接着剤)と混合しようとすると、例えば配位子MSA(メルカプトコハク酸)、ジヒドロリポ酸などの、従来のまたはオリジナルの配位子を交替または置換する必要がある。しかしながら、従来の配位子交換は、量子ドットに既存する配位子を大きく破壊するため、量子ドット表面にダングリングボンドおよび欠陥が増加し、量子ドットの性能が劣化してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術的課題に対して、本出願は、従来技術における従来の液相での配位子交換による量子ドットの性能不良ないし構造欠陥の発生という課題を解決するために、量子ドット光硬化型接着剤およびその調製方法、表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本出願は、量子ドット光硬化型接着剤を提供する。前記量子ドット光硬化型接着剤は、混合溶液および光硬化型接着剤溶液を含み、前記混合溶液は、量子ドット、光拡散剤、機能性ポリマーおよび光硬化型接着剤溶媒を含み、前記混合溶液において前記量子ドットの外に前記機能性ポリマーが被覆されている。
【0006】
前記量子ドット、前記光拡散剤、前記機能性ポリマーおよび前記光硬化型接着剤溶媒は、ボールミリングまたはサンドミリングにより混合されることが好ましい。
【0007】
前記量子ドットは、CdSe、CdS、ZnS、CdZnSe、CdZnS、CdZnSeS、ZnSeS、ZnSe、CuInS、CuInSe、InP、InZnPのうちの1種または複数種の混合から選ばれることが好ましい。
【0008】
前記量子ドットおよび前記光拡散剤は、いずれも固体であることが好ましい。
【0009】
前記機能性ポリマーは、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒に可溶であることが好ましい。
【0010】
前記機能性ポリマーは、メルカプトプロピオン酸、スチレン無水マレイン酸コポリマー、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、リン酸グリセリル、リン酸トリエチル、メルカプトコハク酸-アクリル酸イソボルニル、亜リン酸トリエチル、リン酸イソオクチルおよび2-ホスホノプロピオン酸トリエチルのうちの1種または複数種の混合を含むことが好ましい。
【0011】
前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記量子ドットの質量含有量は、60%未満であることが好ましい。
【0012】
前記量子ドットの質量含有量は、10%~40%であることが好ましい。
【0013】
前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記光拡散剤の質量含有量は、50%未満であり、かつ前記量子ドットの質量含有量を超えないことが好ましい。
【0014】
前記光拡散剤の質量含有量は、5%~30%であることが好ましい。
【0015】
前記光硬化型接着剤溶液は、粘着剤、感光剤、機能性モノマー、溶媒および助剤を含むことが好ましい。
【0016】
前記光拡散剤と前記量子ドットとの質量含有量の比は、1:100~1:1であることが好ましい。
【0017】
本出願は、量子ドット光硬化型接着剤の調製方法をさらに提供する。前記調製方法は、
量子ドット、光拡散剤、機能性ポリマーおよび光硬化型接着剤溶媒を混合して、第1混合溶液を調製するステップS1と、
前記第1混合溶液を遮光条件でボールミリングまたはサンドミリングを行って第2混合溶液を得るステップS2であって、前記第2混合溶液において前記量子ドットの外に前記機能性ポリマーが被覆されているステップS2と、
前記第2混合溶液と光硬化型接着剤溶液を混合して量子ドット光硬化型接着剤を得るステップS3と、を含む。
【0018】
前記量子ドットおよび前記光拡散剤は、いずれも固体であることが好ましい。
【0019】
前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記量子ドットの質量含有量は、60%未満であることが好ましい。
【0020】
前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記光拡散剤の質量含有量は、50%未満であり、かつ前記量子ドットの質量含有量を超えないことが好ましい。
【0021】
前記光硬化型接着剤溶液は、粘着剤、感光剤、機能性モノマー、溶媒および助剤を含むことが好ましい。
【0022】
前記ステップS2において、ボールミリングの回転速度は500~1500回転/分であり、ボールミリングの時間は10分~5時間であることが好ましい。
【0023】
前記量子ドットの調製方法は、極性溶媒および非極性溶媒を所定割合で量子ドット溶液と混合して、濁った量子ドット溶液を得、前記濁った量子ドット溶液を遠心し、上澄み液を除去して量子ドット固体沈殿物を得ることと、得られた量子ドット固体沈殿物を凍結乾燥し、表面に残留した低沸点試薬を除去して、乾燥粉末状の量子ドットを得ることと、を含むことが好ましい。
【0024】
本出願は表示装置をさらに提供する。当該表示装置は、表示基板と、前記表示基板に設けられた量子ドット光硬化型接着剤層とを含み、前記量子ドット光硬化型接着剤層は、上記した量子ドット光硬化型接着剤を含む。
【発明の効果】
【0025】
従来技術と比較して、本出願に係る量子ドット光硬化型接着剤の調製方法は、従来の液相での配位子交換を行わず、固体量子ドットを光拡散剤、機能性ポリマー(例えばリン酸エステル系ポリマー)および光硬化型接着剤溶媒と混合し、機能性ポリマーで量子ドットの表面を被覆し、量子ドット全体を被覆する。これにより、量子ドットがPGMEA溶媒において良好な溶解性を有し、量子ドット固有の光学性能を保証しつつ、量子ドットへのダメージを低減する。また、混合した溶液をボールミリングにより処理することで、量子ドットがPGMEA溶媒に均一分散することを保証できる。本出願は、二酸化チタンのような光拡散剤が光硬化型接着剤において分散する課題、量子ドットが光硬化型接着剤溶媒において分散する課題、および量子ドットのフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)がフォトレジストベース(光硬化型接着剤ベース)において低下する課題をまとめて解決できるだけでなく、実際の操作がより便利で迅速であり、大規模生産に適している。また、ボールミリングの固液相反応により、液相反応の制約を克服する。最終的に、調製した量子ドット光硬化型接着剤は、均一に成膜することができ、粒状感がなく、硬化後の吸収効率が高く、変換効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本出願の具体的な実施形態または関連技術に係る技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態または従来技術の説明で使用される必要がある図面を簡単に紹介する。言うまでもないが、以下の説明における図面は、本出願のいくつかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本出願の一実施例に係る量子ドット光硬化型接着剤の調製方法の工程フローチャートである。
【
図2】(A)は、本出願の実施例1に係るトルエンベース量子ドット(左側のボトル)および調製された量子ドット硬化接着剤(右側のボトル)の状態を示す模式図である。(B)は、本出願の実施例1に係る量子ドット硬化型接着剤をスピンコーティングして光学フィルムを形成した後の模式図である。
【
図3】(A)は、本出願の実施例2に係る量子ドット硬化型接着剤をスピンコーティングして光学フィルムを形成した後の模式図である。(B)は、本出願の実施例2に係る量子ドット硬化型接着剤がmicro-led部品に用いられる効果図である。
【
図4】(A)は、比較例1に係るトルエンベース量子ドット(左側のボトル)および調製された量子ドット接着剤液(右側のボトル)の状態を示す模式図である。(B)は、比較例1に係る量子ドット接着剤液をスピンコーティングして光学フィルムを形成した後の模式図である。(C)は、比較例1に係る量子ドット接着剤液の走査電子顕微鏡図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本出願の目的、構造、構成、およびその機能についてさらに理解させるために、実施例に関連して詳しく説明する。
【0028】
なお、本出願の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」などの用語で示される方位または位置関係は、図面に示される方位または位置関係に基づくものであり、本出願を便利かつ簡素化に説明するためのものに過ぎず、係る装置または素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作されなければならないことを指示または暗示するものではないため、本出願に対する制限として理解されるべきではない。
【0029】
図1に示すように、
図1は、本出願の一実施例に係る量子ドット光硬化型接着剤の調製方法の工程フローチャートである。本出願は、量子ドット光硬化型接着剤の調製方法を提供し、前記調製方法が下記ステップを含む。
【0030】
ステップS1において、量子ドット、光拡散剤、機能性ポリマーおよび光硬化型接着剤溶媒を混合して、第1混合溶液を形成する。
【0031】
ステップS2において、前記第1混合溶液を遮光条件でボールミリングまたはサンドミリングを行って第2混合溶液を得る。前記第2混合溶液において前記量子ドットの外に前記機能性ポリマーが被覆される。前記ボールミリングは、ボールミリングの回転速度が500~1500r/minであり、ボールミリング時間が10min~5hである。即ち、それぞれの量子ドットの外面に機能性ポリマーが被覆される。前記機能性ポリマーは、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒(PGMEA)に可溶である。
【0032】
ステップS3において、前記第2混合溶液と光硬化型接着剤溶液を混合して量子ドット光硬化型接着剤を得る。前記光硬化型接着剤溶液は、例えば紫外線硬化型接着剤溶液である。
【0033】
また、前記量子ドットおよび前記光拡散剤は、いずれも固体であり、具体的に例えば乾燥粉状であることが好ましい。これにより、固液相反応を実現し、液相反応の制約を克服することができる。
【0034】
また、前記量子ドットの調製方法は、下記ステップを含む。
【0035】
ステップS11において、極性溶媒および非極性溶媒を所定割合で量子ドット溶液と混合して、濁った量子ドット溶液を得、前記量子ドット溶液を遠心し、上澄み液を除去して量子ドット固体沈殿物を得る。
【0036】
ステップS12において、得られた量子ドット固体沈殿物を凍結乾燥し、表面に残留した低沸点試薬を除去して、乾燥粉末状の量子ドットを得る。
【0037】
ここで、上記極性溶媒と非極性溶媒との割合は、実際の要求に応じて設定することができ、例えば2:1であってもよいが、本出願はこれに限定されない。
【0038】
また、一つの好ましい実施形態において、前記機能性ポリマーは、例えば、メルカプトプロピオン酸、スチレン無水マレイン酸コポリマー、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、リン酸グリセリル、リン酸トリエチル、メルカプトコハク酸-アクリル酸イソボルニル、亜リン酸トリエチル、リン酸イソオクチルおよび2-ホスホノプロピオン酸トリエチルのうちの1種または複数種の混合を含む。本出願は、機能性ポリマーで量子ドット全体を被覆することにより、量子ドットがPGMEAにおける良好な溶解性を有し、量子ドット固有の光学性能を保証しつつ、量子ドットへのダメージを低減する。
【0039】
また、ステップS2において、ボールミリングやサンドミリングを利用することにより、量子ドットがPGMEA溶媒に均一分散することを保証できる。これは、一般的な状況で、光拡散剤を光硬化型接着剤またはPGMEA溶媒に加える場合、システム全体において二次凝集が発生することにより、最終に形成された量子ドット接着剤でスピンコーティングした光学フィルムの粒状感が深刻になるためである。しかし、固液反応を行う際に、固体の量子ドットを機能性ポリマー(例えばリン酸エステル系物質)、光拡散剤(二酸化チタン、酸化アルミニウムまたはダイヤモンド類など)および光硬化型接着剤溶媒と混合してボールミリングまたはサンドミリングを行い、ボールミリングまたはサンドミリングによりこれらの物質が互いに混合し、均一分散する。これにより、調製された量子ドット接着剤をスピンコーティングする際に均一に成膜することができ、発光性能もよく、ひいては量子ドットの実効収率が100%に達することができる。
【0040】
また、前記光拡散剤と前記量子ドットとの質量含有の比は、例えば、1:100~1:1である。前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記光拡散剤の質量含有量が50%未満であり、且つ拡散剤の質量含有量が量子ドットの質量含有量を超えない。前記光拡散剤の質量含有量は、5%~30%であることがより好ましい。適量の光拡散剤を量子ドットに加えると、入射光線を近傍の量子ドットに屈折させ、量子ドットに照射される光線が多くなることにより、スピンコーティングした量子ドット光硬化型接着剤層の光線に対する利用率が高く、量子ドット光硬化型接着剤の露光性がよく、量子ドット光硬化型接着剤を露光する時に、不完全な露光および量子ドット光硬化型接着剤の残留の現象が生じない。光拡散剤は、有機光拡散材および無機光拡散材を含み、有機光拡散材は、光線を屈折および透過して光線の伝播方向を変えることができる。有機光拡散材は、主にアクリル系、スチレン系樹脂などを含み、無機光拡散材は、光線を屈折して光線の伝播方向を変えることができる。無機光拡散材は、主にナノ硫酸バリウム、ナノ炭酸カルシウム、ナノシリカおよびナノ二酸化チタンなどの無機ナノ粒子を含み、具体的には、本実施形態において、光拡散剤は、例えば二酸化チタン(TiO2)無機ナノ粒子であってもよい。
【0041】
なお、異なる色の量子ドットを含む量子ドット光硬化型接着剤における光拡散剤の質量含有量は異なり、その原因は以下の通りである。赤色量子ドットの青色光線に対する変換率が高いため、赤色量子ドットを含む量子ドット光硬化型接着剤において光拡散剤の質量含有量が低くてもよい。緑色量子ドットの青色光に対する変換率が低いため、緑色量子ドットを含む量子ドット光硬化型接着剤において光拡散剤の質量含有量が高くてもよい。
【0042】
一つの好ましい実施形態において、前記量子ドットは、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、CdZnSe、CdZnS、CdZnSeS、ZnSeS、セレン化亜鉛(ZnSe)、CuInS、CuInSe、リン化インジウム(InP)、InZnPのうちの1種または複数種の混合から選ばれてもよい。また、前記量子ドットは、均一混合タイプ、勾配混合タイプまたはコアシェルタイプであってもよく、即ち、前記量子ドットは、均一に混合された量子ドットであってもよく、濃度勾配をなして混合された量子ドットであってもよく、コアシェル構造の量子ドットであってもよい。
【0043】
また、前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記量子ドットの質量含有量は60%未満であることが好ましい。前記量子ドットの質量含有量は10%~40%であることが好ましい。これにより、量子ドット光硬化型接着剤の成膜性がより良く、光学性能がより優れる。
【0044】
一つの好ましい実施形態において、前記量子ドットの表面の配位子は、エチルキサントゲン酸、1-オクタン酸、1-ノナン酸、1-デカン酸、ウンデシル酸、ドデシル酸、トリデシル酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、1-デカンチオール、1-ウンデカンチオール、1-ドデカンチオール、1-テトラデカンチオール、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、トリオクチルアミン、オクチルメルカプタンおよびドデシルメルカプタンのうちの1種または複数種の混合である。量子ドットの表面の配位子の役割は、量子ドット表面の疎水性を増加させること、および溶媒における量子ドットの相互凝集を減少させることを含む。
【0045】
また、前記光硬化型接着剤溶液は、粘着剤、感光剤、機能性モノマー、溶媒および助剤を含む。前記光硬化型接着剤溶液における前記溶媒は、光硬化型接着剤を溶解可能な溶媒であり、前記ステップS1で使用される光硬化型接着剤溶媒と同じ物質または異なる物質であってもよい。
【0046】
一つの好ましい実施形態においては、前記粘着剤は、エポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂である。エポキシ系樹脂は、モノマーであってもよく、任意タイプのエポキシ樹脂のうちの1種または任意の組み合わせであってもよい。例えば、低粘度グリシジルエーテル系エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加したビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂またはノボラック型エポキシ樹脂のうちの少なくとも1種であってもよい。アクリル系樹脂は、例えば、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソボルニル、またはアクリル酸イソデシルのうちの1種または2種以上の混合物を含む。
【0047】
一つの好ましい実施形態において、前記助剤は、付着力促進剤、カップリング剤、分散剤、希釈剤または消泡剤の一種または複数種を含む。具体的には、完成品の安定性を向上させるように生産中の実際の状況に応じて助剤を増加させることができる。
【0048】
一つの好ましい実施形態において、上記機能性モノマーは、アクリル系モノマーである。
【0049】
例示的に、当該粘着剤はアクリル系樹脂であってもよく、当該機能性モノマーはアクリル系モノマーであってもよく、当該感光剤はベンゾフェノン系感光剤であってもよく、前記光硬化型接着剤溶媒はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(略称PGMEA)溶媒であってもよく、当該助剤は溶液粘度を低下できる希釈剤であってもよい。
【0050】
また、本出願は量子ドット光硬化型接着剤を提供し、前記量子ドット光硬化型接着剤は混合溶液および光硬化型接着剤溶液を含み、前記混合溶液は量子ドット、光拡散剤、機能性ポリマーおよび光硬化型接着剤溶媒を含み、前記混合溶液において前記量子ドットの外に前記機能性ポリマーが被覆されている。また、前記量子ドット、光拡散剤、機能性ポリマーおよび光硬化型接着剤は、ボールミリングまたはサンドミリングによって混合される。前記光硬化型接着剤溶液は、例えば紫外線硬化型接着剤溶液である。
【0051】
また、前記量子ドット光硬化型接着剤は、上記した量子ドット光硬化型接着剤の調製方法で調製されることが好ましい。即ち、まず、量子ドット、光拡散剤、機能性ポリマーおよび光硬化型接着剤溶媒を混合する。その後、上記混合溶液を遮光条件でボールミリングまたはサンドグラインドを行って上記混合溶液を得る。最後に、上記混合溶液と光硬化型接着剤溶液とを混合して量子ドット光硬化型接着剤を得る。
【0052】
一つの好ましい実施形態において、前記機能性ポリマーはプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒(PGMEA)に可溶であり、前記機能性ポリマーは、例えば、メルカプトプロピオン酸、スチレン無水マレイン酸コポリマー、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、リン酸グリセリル、リン酸トリエチル、メルカプトコハク酸、アクリル酸イソボルニル、亜リン酸トリエチル、リン酸イソオクチルおよび2-ホスホノプロピオン酸トリエチルのうちの1種または複数種の混合を含むことがより好ましい。本出願において、機能性ポリマーで量子ドット全体を被覆することにより、量子ドットがPGMEAにおいて良好な溶解性を有し、量子ドット固有の光学性能を保証しつつ、量子ドットへのダメージを低減する。
【0053】
また、前記量子ドットおよび前記光拡散剤はいずれも固体であることが好ましく、具体的に例えば乾燥粉状である。これにより、固液相反応を実現し、液相反応の制約を克服することができる。
【0054】
また、前記光拡散剤と前記量子ドットとの質量含有量の比は、例えば1:100~1:1である。前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記光拡散剤の質量含有量が50%未満であり、且つ拡散剤の質量含有量が量子ドットの質量含有量を超えない。前記光拡散剤の質量含有量は、5%~30%であることがより好ましい。
【0055】
一つの好ましい実施形態において、前記量子ドットは、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、CdZnSe、CdZnS、CdZnSeS、ZnSeS、セレン化亜鉛(ZnSe)、CuInS、CuInSe、リン化インジウム(InP)、InZnPのうちの1種または複数種の混合から選ばれてもよい。また、前記量子ドットは、均一混合タイプ、勾配混合タイプまたはコアシェルタイプであってもよく、即ち、前記量子ドットは、均一に混合された量子ドットであってもよく、濃度勾配をなして混合された量子ドットであってもよく、コアシェル構造の量子ドットであってもよい。
【0056】
また、前記量子ドット光硬化型接着剤において、前記量子ドットの質量含有量は60%未満であることが好ましい。前記量子ドットの質量含有量は10%~40%であることがより好ましい。これにより、量子ドット光硬化型接着剤の成膜性がより良く、光学性能がより優れる。
【0057】
一つの好ましい実施形態において、前記量子ドットの表面の配位子は、エチルキサントゲン酸、1-オクタン酸、1-ノナン酸、1-デカン酸、ウンデシル酸、ドデシル酸、トリデシル酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、1-デカンチオール、1-ウンデカンチオール、1-ドデカンチオール、1-テトラデカンチオール、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、トリオクチルアミン、オクチルメルカプタンおよびドデシルメルカプタンのうちの1種または複数種の混合である。量子ドットの表面の配位子の役割は、量子ドット表面の疎水性を増加させること、および溶媒における量子ドットの相互凝集を減少させることを含む。
【0058】
また、前記光硬化型接着剤溶液は、粘着剤、感光剤、機能性モノマー、溶媒および助剤を含む。前記光硬化型接着剤溶液における前記溶媒は、光硬化型接着剤を溶解可能な溶媒であり、前記ステップS1で使用される光硬化型接着剤溶媒と同じ物質または異なる物質であってもよい。
【0059】
一つの好ましい実施形態においては、前記粘着剤は、エポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂である。エポキシ系樹脂は、モノマーであってもよく、任意タイプのエポキシ樹脂のうちの1種または任意の組み合わせであってもよい。例えば、低粘度グリシジルエーテル系エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加したビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂またはノボラック型エポキシ樹脂のうちの1種または複数種の混合であってもよい。アクリル系樹脂は、例えば、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソボルニル、またはアクリル酸イソデシルのうちの1種または2種以上の混合物を含む。
【0060】
一つの好ましい実施形態において、前記助剤は、付着力促進剤、カップリング剤、分散剤、希釈剤または消泡剤の一種または複数種を含む。具体的には、完成品の安定性を向上させるように生産中の実際の状況に応じて助剤を増加させることができる。
【0061】
一つの好ましい実施形態において、上記機能性モノマーは、アクリル系モノマーである。
【0062】
例示的に、当該粘着剤はアクリル系樹脂であってもよく、当該機能性モノマーはアクリル系モノマーであってもよく、当該感光剤はベンゾフェノン系感光剤であってもよく、前記光硬化型接着剤溶媒はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(略称PGMEA)溶媒であってもよく、当該助剤は溶液粘度を低下できる希釈剤であってもよい。
【0063】
また、本出願はさらに表示装置を提供する。表示装置は、表示基板と、前記表示基板に設けられる量子ドット光硬化型接着剤層とを含み、前記量子ドット光硬化型接着剤層は、上記した量子ドット光硬化型接着剤を含む。表示基板に量子ドット光硬化型接着剤層を設けることにより光色変換を実現する。
【0064】
本出願の一実施例において、表示基板に量子ドットフォトレジスト層(または光硬化型接着剤層)が設けられ、前記量子ドット光硬化型接着剤層は、上記量子ドット光硬化型接着剤でスピンコーティングして形成される。具体的には、当該量子ドット光硬化型接着剤層を形成する際に、赤色画素点領域に赤色量子ドットを含む量子ドット光硬化型接着剤層を形成し、緑色画素点領域に緑色量子ドットを含む量子ドット光硬化型接着剤層を形成し、青色画素点領域に量子ドット光硬化型接着剤層を形成しない。
【0065】
なお、緑色画素点領域に緑色量子ドットを含む量子ドット光硬化型接着剤層を形成する具体的な工程は、赤色画素点領域に赤色量子ドットを含む量子ドット光硬化型接着剤層を形成する具体的な工程を参照でき、本出願の実施例はここで詳しく説明しない。
【0066】
表示装置は、LCD、OLED、QLED、mini LED、micro LEDなどの技術を用いる表示装置であってもよい。上記表示装置は、例えば、ディスプレイ、ノートパソコン、タブレットパソコン、電子ペーパー、携帯電話、テレビ、VRディスプレイ、デジタルフォトフレーム、ナビゲータ、ARディスプレイ、車載ディスプレイなどの表示機能を有する任意の製品または部材に適用することができる。
【0067】
以下、具体的な実施例に関連して本出願をさらに説明する。
【0068】
[実施例1]
まず、トルエンベース緑色Cd系量子ドット1gに、アセトン(アセトン:トルエン=2:1)を加え、得られた生成物を遠心し、上澄み液を除去して量子ドット固体沈殿物を得た。量子ドット固体沈殿物を真空凍結乾燥し、表面に残留した低沸点試薬を除去して、量子ドット粉末を得た。次に、量子ドット粉末を亜リン酸トリエチル0.3g、二酸化チタン0.1g、PGMEA溶媒7mlに加えて混合し、ボールミリング回転速度1000r/min、ボールミリング時間3hでボールミリングを行い、終了した後、得られた混合物をUV接着剤(紫外光硬化型接着剤)2mlと混合して、量子ドット光硬化型接着剤1号を得た。
【0069】
[実施例2]
まず、トルエンベース赤色Cd系量子ドット1gに、アセトン(アセトン:トルエン=2:1)を加え、上澄み液を除去して量子ドット固体沈殿物を得た。量子ドット固体沈殿物を真空凍結乾燥し、表面に残留した低沸点試薬を除去し、量子ドット粉末を得た。次に、量子ドット粉末をリン酸イソオクチル0.4g、二酸化チタン0.15g、PGMEA溶媒4mlに加えて混合し、ボールミリング回転速度1000r/min、ボールミリング時間3hでボールミリングを行い、終了した後、得られた混合物をUV接着剤1mlと混合して、量子ドット光硬化型接着剤2号を得た。
【0070】
[実施例3]
まず、トルエンベース緑色Cd系量子ドット1.4gおよび赤色Cd系量子ドット0.2gに、アセトン(アセトン:トルエン=2:1)を加え、上澄み液を除去して量子ドット固体沈殿物を得た。量子ドット固体沈殿物を真空凍結乾燥し、表面に残留した低沸点試薬を除去し、量子ドット粉末を得た。次に、量子ドット粉末を亜リン酸トリエチル0.2g、リン酸イソオクチル0.28g、二酸化チタン0.3g、PGMEA溶媒8ml、ボールミリング回転速度1000r/min、ボールミリング時間3hでボールミリングを行い、終了した後、得られた混合物をUV接着剤2mlと混合して、量子ドット光硬化型接着剤3号を得た。
【0071】
[比較例1]
従来の調製方法を用いて、トルエンベース緑色Cd系量子ドット0.5gに、エタノール(エタノール:トルエン=2:1)を加え、沈殿物を得た。沈殿物を2h凍結乾燥し、粉末をエタノール5mlに分散させ(超音波分散)、亜リン酸トリエチル50mgを加え、3hで超音波を与え、沈殿させ、真空凍結乾燥した後、PGMEA溶媒7mlに分散させ、二酸化チタン0.1g、UV接着剤2mlを加えて混合して、量子ドット接着液4号を得た。
【0072】
[比較例2]
従来の調製方法を用いて、トルエンベース赤色Cd系量子ドット1gに、エタノール(エタノール:トルエン=2:1)を加え、沈殿物を得た。沈殿物を2h凍結乾燥し、粉末をエタノール5mlに分散させ(超音波分散)、リン酸イソオクチル0.4gを加え、3hで超音波を与え、沈殿させ、真空凍結乾燥した後、PGMEA溶媒4mlに分散させ、二酸化チタン0.15g、UV接着剤1mlを加えて混合して、量子ドット接着液5号を得た。
【0073】
実施例1~3で得られた本出願に係る量子ドット光硬化型接着剤および比較例1~2で得られた量子ドット接着剤液をそれぞれスピンコーティングして光学フィルムを形成し、テストを行い、テスト結果は以下の表1および
図2の(A)~
図4(C)に示す。
図2の(A)は、本出願の実施例1に係るトルエンベース量子ドット(左側のボトル)および調製された量子ドット硬化接着剤(右側のボトル)の状態を示す模式図であり、
図2の(B)は、本出願の実施例1に係る量子ドット硬化型接着剤をスピンコーティングして光学フィルムを形成した後の模式図である。
図3の(A)は、本出願の実施例2に係る量子ドット硬化型接着剤をスピンコーティングして光学フィルムを形成した後の模式図であり、
図3の(B)は、本出願の実施例2に係る量子ドット硬化型接着剤がmicro-led部品に用いられる効果図である。
図4の(A)は、比較例1に係るトルエンベース量子ドット(左側のボトル)および調製された量子ドット接着剤液(右側のボトル)の状態を示す模式図であり、
図4の(B)は、比較例1に係る量子ドット接着剤液をスピンコーティングして光学フィルムを形成した後の模式図であり、
図4の(C)は、比較例1に係る量子ドット接着剤液の走査電子顕微鏡図である。
【0074】
【0075】
表1および
図2の(A)~
図4の(C)に示すように、本出願に係る調製方法で得られた量子ドット光硬化型接着剤は、より均一であり、量子ドットに対する破壊性が小さく、量子ドットPLQY(フォトルミネッセンス量子収率)の維持率が99%と高く、得られた量子ドット光硬化型接着剤層は、粒状感がなく、青色光に対する吸収率が100%に達する。上記初期量子ドット効率とは、従来の油相での量子ドット合成の後にテストされた液体PLQYを指す。
【0076】
具体的に、例えば、比較例1に係る従来の方法で調製された素子は、効果が劣り、粒状感があり(
図4の(C))、また、
図4の(B)からみれば、スピンコーティングされたフィルムは、表面が白く、効率が低い。これに対して、本出願に係る調製方法で調製された量子ドット光硬化型接着剤(実施例1および2)は、
図2の(B)および
図3の(A)に示すように、スピンコーティングしたフィルムは、表面が平坦であり、均一性が良好である。調製されたmicro-led素子も効果(
図3の(B))が良好であり、粒状感がない。
【0077】
本出願に係る量子ドット光硬化型接着剤の調製方法は、従来の液相での配位子交換を行わず、固体量子ドットを光拡散剤、機能性ポリマー(例えばリン酸エステル系ポリマー)および光硬化型接着剤溶媒と混合し、機能性ポリマーで量子ドットの表面を被覆し、量子ドット全体を被覆する。これにより、量子ドットがPGMEA溶媒において良好な溶解性を有し、量子ドット固有の光学性能を保証しつつ、量子ドットへのダメージを低減する。また、混合した溶液をボールミリングにより処理することで、量子ドットがPGMEA溶媒に均一分散することを保証できる。本出願は、二酸化チタンのような光拡散剤が光硬化型接着剤において分散する課題、量子ドットが光硬化型接着剤溶媒において分散する課題、および量子ドットのフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)がフォトレジストベース(光硬化型接着剤ベース)において低下する課題をまとめて解決できるだけでなく、実際の操作がより便利で迅速であり、大規模生産に適している。また、ボールミリングの固液相反応により、液相反応の制約を克服する。最終的に、調製した量子ドット光硬化型接着剤は、均一に成膜することができ、粒状感がなく、硬化後の吸収効率が高く、変換効率が高い。
【0078】
本出願は、上記関連実施例によって説明されたが、上記実施例は本出願を実施する例に過ぎない。また、以上に説明した本出願の異なる実施形態に係る技術的構成は、互いに矛盾しない限り互いに結合することができる。なお、開示した実施例は、本出願の範囲を限定するものではない。本出願の主旨および範囲から逸脱しない変更および修飾は、いずれも本出願の特許保護範囲に該当する。
【国際調査報告】