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特表2024-539494カーボンナノチューブ分散液、その製造方法、それを含む電極スラリー組成物、それを含む電極、およびそれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ分散液、その製造方法、それを含む電極スラリー組成物、それを含む電極、およびそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/174 20170101AFI20241018BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20241018BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20241018BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20241018BHJP
   H01B 1/24 20060101ALI20241018BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C01B32/174
H01M4/62 Z
H01M4/139
H01M4/13
H01B1/24 A
C09D17/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547395
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2022015904
(87)【国際公開番号】W WO2023068780
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0139169
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0133710
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524149159
【氏名又は名称】ベテリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BETTERIAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】カン ソンキュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユ クァンヒュン
【テーマコード(参考)】
4G146
4J037
5G301
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA12
4G146AB06
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC21A
4G146AC21B
4G146AC30A
4G146AC30B
4G146AD23
4G146AD25
4G146BA04
4G146CB10
4G146CB34
4G146CB35
4J037AA01
4J037DD05
4J037DD09
4J037DD24
4J037FF11
5G301DA18
5G301DA42
5G301DD01
5G301DD02
5G301DE01
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA03
5H050DA10
5H050DA11
5H050DA18
5H050EA08
5H050EA23
5H050GA10
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA10
(57)【要約】
本明細書は、カーボンナノチューブと、アミド基を有する第1分散剤と、水酸基およびカルボキシ基よりなる群から選択された1種以上の官能基を有するアクリル系第2分散剤と、を含み、25℃および15sec-1のせん断速度(shear rate)での粘度が3,000cPs以下である、カーボンナノチューブ分散液、その製造方法、それを含む電極スラリー組成物、それを含む電極、およびそれを含むリチウム二次電池に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブと、
アミド基を有する第1分散剤と、
水酸基およびカルボキシ基よりなる群から選択された1種以上の官能基を有するアクリル系第2分散剤と、を含み、
25℃および15sec-1のせん断速度(shear rate)での粘度が3,000cPs以下である、カーボンナノチューブ分散液。
【請求項2】
前記第1分散剤は、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリエステルアミド(polyester amide)、ポリカルボン酸アミド(polycarboxylic amide)、ポリアミドアミン(polyamido amine)、チオアミドアミン(thioamido amine)および水溶性ナイロン化合物(water soluble Nylon)よりなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項3】
前記第1分散剤と前記第2分散剤を1:10~10:1の重量比で含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブ(SWCNT)である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブの平均粒径(D50)が0.1μm~20μmである、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブの含有量が前記カーボンナノチューブ分散液の全重量に対して0.01wt%~10wt%である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項7】
アルカリ金属元素を含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項8】
KOH、NaOH、LiOH、KOHHO、NaOHHO、LiOHHO、KCO、NaCOおよびLiCOよりなる群から選択された1種以上のアルカリ金属塩を含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項9】
前記第1分散剤は、ポリビニルピロリドン系樹脂を含み、
前記アルカリ金属塩のモル比は、前記ポリビニルピロリドン系樹脂に含まれるビニルピロリドン単位体100molを基準に60mol以下である、請求項8に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項10】
下記式1で表される値が2~10である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
[式1]
せん断流動化指数(Shear Thinning Index:STI)=Vlow/Vhigh
(式中、Vlowは、25℃及び15sec-1のせん断速度(shear rate)で測定した分散液の粘度であり、
highは、25℃および150sec-1のせん断速度で測定した分散液の粘度である。)
【請求項11】
下記式2から計算された値が1~5である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【数1】
(式2中、STIは、分散液のせん断流動化指数(Shear Thinning Index:STI)であり、
D50は、前記カーボンナノチューブの平均粒径(D50)である。)
【請求項12】
カーボンナノチューブと、
アミド基を有する第1分散剤と、
水酸基およびカルボキシ基よりなる群から選択された1種以上の官能基を有するアクリル系第2分散剤と、を混合するステップを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液、電極活物質およびバインダーを含む、電極スラリー組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の電極スラリー組成物によって形成された電極活物質層を含む、電極。
【請求項15】
前記電極が負極である、請求項14に記載の電極。
【請求項16】
請求項15に記載の電極を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2021年10月19日付で韓国特許庁に提出された第10-2021-0139169号および2022年10月18日付で韓国特許庁に提出された第10-2022-0133710号に対する出願日の利益を主張し、その内容は本明細書に含まれる。
本明細書は、カーボンナノチューブ分散液、その製造方法、それを含む電極スラリー組成物、それを含む電極、およびそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、化学エネルギーが電気エネルギーに変換される放電と逆方向の充電過程を介して繰り返し使用することができる電池である。二次電池は、正極、負極、電解質、及び分離膜から構成され、前記正極及び負極は、一般に、電極集電体と、電極集電体上に形成された電極活物質層とからなる。前記電極活物質層は、電極活物質、導電材、バインダー等を含む電極スラリー組成物を電極集電体上に塗布し、乾燥させた後、圧延する方式で製造される。
導電材は、電極活物質の伝導性を改善するためのものであり、従来ではカーボンブラックなどの点状導電材が主に用いられた。しかし、点状導電材は、電気伝導性の向上効果が高くないため、十分な効果を得るには過剰に使用されなければならず、これにより電極活物質の含有量が減少して電池容量が低下するという問題点があった。
かかる問題点を改善するために、導電材として伝導性の高いカーボンナノチューブ(Carbon NanoTube、CNT)を適用する試みが盛んに行われている。カーボンナノチューブは、少ない量でも高い伝導性を実現することができるため、カーボンナノチューブを使用する場合、カーボンブラックを使用する場合に比べて導電材の含有量を大幅に低減することができ、これにより電気容量を高めることができるという利点がある。
カーボンナノチューブが負極導電材として活用されるためには、工程性の観点から低粘度の水分散液の製造が必要である。
アミド基を有する分散剤であるポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone:PVP)は、ポリマー界面活性剤であり、様々な分散システムで分散剤、乳化剤、増粘剤などとして使用され、カーボンナノチューブの分散時にも効果があることが知られている(特許文献1)。
そして、カルボキシ基を含むポリ酸(Polyacid)類であるポリアクリル酸(Polyacrylic acid)や、タンニン酸(Tannic acid)も、カーボンナノチューブの分散に効果的であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2011-0118460号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Toxicol.Res., 2015,4, 160-168
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、カーボンナノチューブ分散液、その製造方法、それを含む電極スラリー組成物、それを含む電極、およびそれを含むリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、カーボンナノチューブと、
アミド基を有する第1分散剤と、
水酸基およびカルボキシ基よりなる群から選択された1種以上の官能基を有するアクリル系第2分散剤と、を含み、
25℃および15sec-1のせん断速度(shear rate)での粘度が3,000cPs以下である、カーボンナノチューブ分散液を提供する。
本発明の他の実施形態は、カーボンナノチューブと、
アミド基を有する第1分散剤と、
水酸基およびカルボキシ基よりなる群から選択された1種以上の官能基を有するアクリル系第2分散剤と、を混合するステップを含む、カーボンナノチューブ分散液の製造方法を提供する。
本発明の他の実施形態は、上述したカーボンナノチューブ分散液、電極活物質およびバインダーを含む電極スラリー組成物を提供する。
本発明の別の実施形態は、上述した電極スラリー組成物によって形成された電極活物質層を含む電極を提供する。
本発明の別の実施形態は、上述した電極を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によるカーボンナノチューブ分散液は、粘度が著しく低く、分散液中のカーボンナノチューブの分散性が向上した効果を有する。
本発明の一実施形態によるカーボンナノチューブ分散液は、電極の製造に使用するときにコーティング性及び工程性に優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一実施形態によるカーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブを含む分散液を意味する。具体的には、分散液にカーボンナノチューブが分散したことを意味し、互いに凝集していないことを意味する。
本発明の一実施形態は、カーボンナノチューブと、
アミド基を有する第1分散剤と、
水酸基およびカルボキシ基よりなる群から選択された1種以上の官能基を有するアクリル系第2分散剤と、を含み、
25℃および15sec-1のせん断速度(shear rate)での粘度が3,000cPs以下である、カーボンナノチューブ分散液を提供する。
従来、アミド基を有する第1分散剤がカーボンナノチューブの分散に効果的であることが知られており(特許文献1)、水酸基及びカルボキシ基よりなる群から選択された1種以上の官能基を有する第2分散剤が官能基の影響で分散液の粘度を下げることが知られている(非特許文献1)。
【0009】
また、第1分散剤に含まれたアミド基の酸素と第2分散剤の官能基(水酸基またはカルボキシ基)とが互いに水素結合を形成して分散液の粘度減少に寄与するという効果がある。しかし、前記水素結合が強すぎて不溶解物または凝集体(complex)が形成されるという問題がある。この場合、第1分散剤と第2分散剤の含有量を調節するか、或いは特定の種類のみの第1分散剤および/または第2分散剤を使用しなければならないなど、分散剤の選択に多くの制約がある。
本発明者らは、分散液が上述した第1分散剤と第2分散剤を含むにも拘らず、これらが互いに凝集する現象が改善された分散液を開発し、本発明に完成した。凝集現象が改善されたことは、これらの物質を含むカーボンナノチューブ分散液を製造し、一定の時間放置した後、凝集の有無を目視で観察して確認することができる。
本発明の一実施形態によるカーボンナノチューブ分散液は、導電性に優れたカーボンナノチューブを含みながらも、カーボンナノチューブの分散性が向上してカーボンナノチューブ同士が凝集する現象が最小限に抑えられた特性を有する。上記の特性は、分散液の粘度が著しく低いことから確認することができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ分散液の25℃及び15sec-1のせん断速度(shear rate)での粘度が3,000cPs以下、1,000cPs以下、800cPs以下、600cPs以下、400cPs以下、250cPs以下であり得る。本発明の目的を考慮するとき、前記粘度は低いほどよいので、下限は特に限定しないが、10cPs以上、30cPs以上、または50cPs以上であってもよい。上記の粘度範囲を満たす場合、カーボンナノチューブ分散液のカーボンナノチューブが互いに凝集せず、電極の製造に使用するときに工程性が改善された効果を有する。
前記カーボンナノチューブ分散液の粘度は、この技術の属する分野で一般的に使用される方法で測定できる。例えば、Brookfield社のDVNextCP Rheometerを用いて、25℃の測定温度および15sec-1のせん断速度で測定されたものであり得る。より正確な測定のために、製造されたカーボンナノチューブ分散液を25℃で1週間保管した後に測定することができる。
前記カーボンナノチューブ分散液の粘度は、前記第1分散剤および第2分散剤の含有量を調節するか、或いは分散液に後述のアルカリ金属塩を投入することにより調節することができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記第1分散剤は、アミド基を有することにより、後述の第2分散剤の水酸基またはカルボキシ基と水素結合を形成することができる。
本発明の一実施形態において、前記第1分散剤は、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリエステルアミド(polyester amide)、ポリカルボン酸アミド(polycarboxylic amide)、ポリアミドアミン(polyamido amine)、チオアミドアミン(thioamido amine)および水溶性ナイロン化合物(water soluble Nylon)よりなる群から選択される1種以上を含むことができる。前記第1分散剤は、アミド基を有することにより、さらに向上した粘度改善効果および粘度の経時変化抑制効果を発揮することができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記第1分散剤の重量平均分子量が1,000g/mol~100,000g/mol、好ましくは2,000g/mol~80,000g/mol、さらに好ましくは2,000g/mol~30,000g/mol、より好ましくは2,000g/mol~15,000g/molであり得る。前記第1分散剤の重量平均分子量が1,000g/mol未満である場合には、カーボンナノチューブ分散性能が低下し、電極製造時に第1分散剤が溶出する問題点が発生するおそれがあり、100,000g/molを超える場合には、カーボンナノチューブ分散液の粘度が増加してコーティング性および工程性が低下するおそれがあるので、上記の範囲に調節することが好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記第2分散剤は、水酸基またはカルボキシ基を有することにより、上述した第1分散剤のアミド基と水素結合を形成することができる。
本発明の一実施形態において、前記第2分散剤はアクリル系分散剤であり得る。具体的には、前記第2分散剤はポリアクリル酸化合物であり得る。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記第1分散剤と前記第2分散剤を同時に使用する場合、各分散剤を単独で使用する場合よりも分散効果が向上することができる。
本発明の一実施形態において、前記第2分散剤は、酸性水素原子(acidic hydrogen atom)を2つ以上含むアクリル酸化合物であり得る。
本発明の一実施形態において、前記第2分散剤は、ポリアクリル酸(Poly(acrylic acid):PAA)またはポリアクリル酸誘導体であり得る。前記ポリアクリル酸誘導体は、ポリアクリル酸-マレイン酸共重合体(PAAMA)であり得る。
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ分散液は、前記第1分散剤と前記第2分散剤を1:10~10:1の重量比で含むものであり得る。好ましくは、1:5~5:1、または1:1~1:5であり得る。上記の範囲を満たす場合、カーボンナノチューブの分散効果が向上して分散液の粘度が低く維持されることができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブは、電極の導電性を向上させるためのものであり、黒鉛シート(graphite sheet)がナノサイズ直径のシリンダー形状を有し、sp結合構造を有するものである。このとき、前記黒鉛シートが捲れる角度及び構造によって導体又は半導体の特性を示す。カーボンナノチューブは、壁をなしている結合数に応じて、単層カーボンナノチューブ(SWCNT、single-walled carbon nanotube)、二層カーボンナノチューブ(DWCNT、doublewalled carbon nanotube)、および多層カーボンナノチューブ(MWCNT、multi-walled carbon nanotube)に分類されることができ、これらのカーボンナノチューブは、分散液の用途に応じて適切に選択されることができる。また、前記カーボンナノチューブは、複数のカーボンナノチューブが凝集するか、或いは配列されて形成される二次形状を有するものであってもよく、例えば、複数のカーボンナノチューブが一定の方向に並んで配列または整列された束(bundle)或いはロープ(rope)状のバンドル型(bundle type)カーボンナノチューブまたは複数のカーボンナノチューブが一定の方向性なしに縺れた球またはポテト状のエンタングル型(entangled type)カーボンナノチューブであり得る。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブ(SWCNT)であり得る。
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブの比表面積(BET)は、10m/g~5,000m/g、好ましくは30m/g~3,000m/g、さらに好ましくは50m/g~2,000m/gであり得る。上記の数値範囲を満たす場合、伝導性の向上効果に優れる効果がある。前記カーボンナノチューブの比表面積(BET)は、カーボンナノチューブの種類によって異なり得る。
【0017】
本発明の一実施形態において、単層カーボンナノチューブの比表面積(BET)が800m/g~5,000m/g、好ましくは800m/g~3,000m/g、さらに好ましくは900m/g~2,000m/gであり得る。上記の数値範囲を満たす場合、伝導性の向上効果に優れる効果がある。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブの平均粒径(D50)が0.1μm~20μmであり得る。好ましくは、0.5μm~1μm、1μm~5μm、または2μm~4μmであり得る。前記平均粒径(D50)は、カーボンナノチューブの粒径分布曲線において、個数累積量の50%に該当する粒径を意味するものである。前記平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。上記の範囲において、カーボンナノチューブが互いに凝集せず、分散性が向上することができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブの含有量は、前記カーボンナノチューブ分散液の全重量に対して0.01wt%~20wt%であり得る。好ましくは、0.1wt%~10wt%または0.1wt%~8wt%であり得る。前記カーボンナノチューブの含有量は、使用されるカーボンナノチューブの比表面積に応じて適宜調節できる。例えば、比表面積が800m/g以上のカーボンナノチューブを使用する場合、カーボンナノチューブの含有量は、カーボンナノチューブ分散液の全重量に対して0.01wt%~5wt%、好ましくは0.01wt%~3wt%、さらに好ましくは0.01wt%~2wt%であり得る。カーボンナノチューブの比表面積および含有量が上記の範囲を外れる場合、電極製造時にローディング量が減少して工程費用が増加し、電極乾燥時にバインダーマイグレーション(migration)が発生して接着力が減少したり、カーボンナノチューブ分散液の粘度が増加したりするなどの問題点が発生するおそれがある。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブは、2つ以上のカーボンナノチューブ単位体を含むことができる。前記カーボンナノチューブ単位体は、黒鉛シート(graphite sheet)がナノサイズ直径のシリンダー形状を有することができ、sp結合構造を有する。
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ単位体の直径は、1nm以上200nm以下、1nm以上150nm以下、または1nm以上100nm以下であり得る。上記の数値範囲におけるカーボンナノチューブの分散性を向上させ、電極への適用時に抵抗が増加することを防止することができる。
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ単位体の長さは、0.1μm以上200μm以下、0.1μm以上150μm以下、または0.5μm以上100μm以下であり得る。上記の数値範囲におけるカーボンナノチューブの分散性を向上させ、電極への適用時に抵抗が増加することを防止することができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/直径)が5~50,000または10~15,000であり得る。上記の数値範囲におけるカーボンナノチューブの分散性を向上させ、電極への適用時に抵抗が増加することを防止することができる。
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ分散液は、アルカリ金属元素を含むことができる。本発明のカーボンナノチューブ分散液は、前記アルカリ金属元素を含むことにより、分散液に含まれた物質の分散性を向上させることができる。具体的には、分散液に含まれた第1分散剤および第2分散剤は、互いに錯体(complex)を形成することができるが、このような錯体は、水などの溶媒に対する溶解性が低いため、分散液の粘度が増加するという問題がある。しかし、本発明のカーボンナノチューブ分散液に含まれたアルカリ金属が前記錯体を解砕(Disintegration)することにより、上述した問題を解決することができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記アルカリ金属は、その形態が特に限定されないが、アルカリ金属を含むアルカリ金属塩の形態で存在することができる。
本発明の一実施形態において、前記アルカリ金属元素の含有量は、カーボンナノチューブ分散液全体を基準に、1ppm以上300ppm以下、5ppm以上200ppm以下、5ppm以上150ppm以下であり得る。
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ分散液は、KOH、NaOH、LiOH、KOHHO、NaOHHO、LiOHHO、KCO、NaCOおよびLiCOよりなる群から選択された1種以上のアルカリ金属塩を含むことができる。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記第1分散剤は、ポリビニルピロリドン系樹脂を含み、前記アルカリ金属塩のモル比は、前記ポリビニルピロリドン樹脂に含まれるビニルピロリドン単位体100molを基準に、60mol以下であり得る。好ましくは、30mol以下または25mol以下であり得る。含有量の下限は、特に限定されないが、0.1mol以上、1mol以上または2mol以上であり得る。上記の範囲を満たす場合、カーボンナノチューブ分散液の粘度を25℃および15sec-1のせん断速度(shear rate)で3,000cPs以下に調節することができる。
前記アルカリ金属塩のモル比は、アルカリ金属塩とビニリドン単位体の分子量、並びにアルカリ金属塩およびポリビニリドンの重量%を用いて計算することができる。具体的には、下記式3によって計算することができる。
[式3]
アルカリ金属塩のモル比={(アルカリ金属塩の重量%)/(アルカリ金属塩の分子量)}/{(ポリビニリドンの重量%)/(ビニリドン単位体の分子量)}*100
【0024】
例えば、分散液の全重量に対して、ポリビニルピロリドン及びアルカリ金属塩(LiOH)の含有量がそれぞれ0.6wt%、0.01wt%であり、アルカリ金属塩(LiOH)の分子量が24g/molであり、ビニリドン単位体の分子量が111.14g/molである場合、アルカリ金属塩のモル比は、ビニルピロリドン単位体100molを基準に7.7molと計算される[7.7={(0.01)/(24)}/{(0.6)/(111.14)}*100]。
前記ビニルピロリドン単位体は、ビニル基に連結された5員ラクタムからなる単位体を意味し、前記ポリビニルピロリドン系樹脂を構成する単位(unit)をいう。具体的には、下記化学式1で表されるポリビニルピロリドンのうち、下記化学式2で表される単位体であり得る。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】
【0027】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ分散液は、溶媒をさらに含むことができる。前記溶媒は、カーボンナノチューブを電極活物質などと直接混合して電極スラリー組成物として使用する場合、凝集することを防止するために線分散させてカーボンナノチューブ分散液として供給するために使用されるものである。
本発明の一実施形態において、前記溶媒は水系溶媒であり得る。例えば、前記水系溶媒は水であり得る。この場合、分散液の粘度調節が容易であるという効果がある。
【0028】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ分散液のpHが3~10であり得る。好ましくは、4~9または5~8であり得る。上記の数値範囲で、上述した第1分散剤と第2分散剤が凝集する現象をさらに抑制することができる。具体的には、分散液のpHが上記の数値範囲を外れると、第1分散剤と第2分散剤の表面電荷の強度が強すぎたり弱すぎたりする現象が発生するため、水素結合が強すぎて凝集現象が大きく発生することがある。このとき、分散液のpHを上記の数値範囲に調節することにより、第1分散剤と第2分散剤が凝集する現象をさらに抑制することができる。前記pHは25℃で測定できる。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ分散液の下記式1で表される値は、2~10であり得る。好ましくは、2~6.5または3~6であり得る。下記式1で表される値は、分散液のせん断流動化指数であり、それぞれ異なるせん断速度で測定された粘度の割合を意味する。上記の範囲を満たす場合、静置状態で粘度が高くなりすぎて流動性が低下することを防止することにより、電極製造時に均一な混合が可能である。また、カーボンナノチューブ粒子の沈降を防止して貯蔵安定性を向上させることができる。
[式1]
せん断流動化指数(Shear Thinning index:STI)=Vlow/Vhigh
式1中、
lowは、25℃及び15sec-1のせん断速度(shear rate)で測定した分散液の粘度であり、
highは、25℃および150sec-1のせん断速度で測定した分散液の粘度である。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブ分散液の下記式2から計算された値が1~5であり得る。好ましくは、1~3または1.1~2であり得る。下記式2で計算される値は、上述した分散液のせん断流動化指数(STI)特性と分散液に含まれたカーボンナノチューブの平均粒径との関係を示すものである。
【0031】
一般に、カーボンナノチューブの粒径(D50)が小さすぎると、カーボンナノチューブが互いに凝集して分散液のせん断流動化指数(STI)が増加する傾向がある。また、カーボンナノチューブの粒径(D50)が大きすぎると、カーボンナノチューブの分散が十分に行われず、カーボンナノチューブが網状構造を形成し、分散液の全体粘度とせん断流動化指数(STI)が増加する傾向がある。しかし、本発明の一実施形態によるカーボンナノチューブ分散液は、下記式2で計算された値を上記の数値範囲に調節することにより、カーボンナノチューブの粒径が小さくても分散液全体の粘度経時安定性が向上するという効果がある。
【0032】
【数1】
【0033】
式2中、
STIは、分散液のせん断流動化指数(Shear Thinning Index:STI)であり、
D50は、前記カーボンナノチューブの平均粒径(D50)である。
【0034】
本発明の一実施形態は、カーボンナノチューブと、アミド基を有する第1分散剤と、水酸基およびカルボキシ基よりなる群から選択された1種以上の官能基を有するアクリル系第2分散剤とを混合するステップを含む、上述したカーボンナノチューブ分散液の製造方法を提供する。
【0035】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブと、アミド基を有する第1分散剤と、水酸基およびカルボキシ基よりなる群から選択された1種以上の官能基を有するアクリル系第2分散剤を混合するステップは、物性が変化しない温度条件下で行われることができる。例えば、50℃以下、より具体的には5℃~50℃の温度で行われることができる。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブを分散液に分散させるステップをさらに含むことができる。
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブを分散液に分散させるステップは、ボールミル(ball mill)、ビードミル(bead mill)、ディスクミル(disc mill)またはバスケットミル(basket mill)、高圧ホモジナイザー(high pressure homogenizer)などの方法によって行われることができ、より具体的には、ディスクミルまたは高圧ホモジナイザー(high pressure homogenizer)を用いたミリング方法によって行われることができる。
【0037】
前記ディスクミルによるミリングの際に、ビーズの大きさは、カーボンナノチューブの種類と量、及び分散剤の種類に応じて適宜決定でき、具体的には、前記ビーズの直径は0.1mm~5mm、より具体的には0.5mm~4mmであり得る。また、ビーズミリング工程は、2,000rpm~10,000rpmの速度で行われることができ、より具体的には5,000rpm~9,000rpmの速度で行われることができる。
【0038】
前記高圧ホモジナイザーによるミリングは、例えば、高圧ホモジナイザーのプランジャーポンプ(plunger pump)で前記混合物を加圧し、均質用バルブの隙間からこれを押し出すことにより、前記隙間を通過する際の空洞(cavitation)、せん断(shear)、衝撃(impact)および破裂(explosion)などの力によって行われる。
前記高圧ホモジナイザーによるミリングは、2000rpm~10000rpmの速度で行われることができ、より具体的には、2000rpm~5000rpmの速度で行われることができる。
【0039】
前記高圧ホモジナイザーによるミリングは、500bar~3,000barの圧力条件で行われることができ、より具体的には、1,000bar~2,000barの圧力条件で行われることができる。
本発明の一実施形態において、前記カーボンナノチューブを分散液に分散させるステップは、カーボンナノチューブが十分に分散できるように、10分~120分、より具体的には20分~90分間行われることができる。
【0040】
本発明の一実施形態は、上述したカーボンナノチューブ分散液、電極活物質およびバインダーを含む電極スラリー組成物を提供する。
本発明の一実施形態において、前記電極活物質は、シリコン系電極活物質を含む。前記シリコン系電極活物質は、金属シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx、ここで0<x<2)、シリコン炭化物(SiC)及びSi-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される元素であり、Siではない)よりなる群から選択された1種以上を含むことができる。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択できる。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記シリコン系電極活物質は、炭素系電極活物質に比べて高い容量特性を示すため、シリコン系電極活物質をさらに含む場合、より優れた容量特性を得ることができる。ただし、シリコン系電極活物質は、充放電時に体積変化が大きいため、充放電が繰り返されると、電池特性が急激に低下してサイクル特性が十分でなく、これにより商業化に困難があった。しかし、本発明のようにカーボンナノチューブを導電材として用いる場合、シリコン系電極活物質の適用時にサイクル特性が改善される効果を得ることができる。よって、本発明のカーボンナノチューブ分散液とシリコン系電極活物質とを含む本発明の電極スラリー組成物を用いると、容量特性とサイクル特性に優れた二次電池を実現することができる。
【0042】
本発明の一実施形態において、前記電極活物質は、前記シリコン系電極活物質と共に他の種類の電極活物質をさらに含むことができる。前記他の種類の電極活物質としては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金またはAl合金など、リチウムとの合金化が可能な金属質化合物;SnO、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のようにリチウムをドープおよび脱ドープすることができる金属酸化物;またはSn-C複合体のように前記金属質化合物と炭素質材料を含む複合物などを用いることができ、その中でも炭素質材料が特に好ましい。
【0043】
本発明の一実施形態において、前記電極活物質は、前記シリコン系電極活物質と他の種類の電極活物質とを合わせた電極活物質の総量が電極スラリー組成物中の全固形分の含有量を基準に70~99wt%、好ましくは80~98wt%であり得る。電極活物質の含有量が上記の範囲を満たす場合、優れた容量特性を実現することができる。
本発明の一実施形態において、前記バインダーは、活物質間、または活物質と集電体との接着力を確保するためのものであり、当該技術分野で使用される一般的なバインダーが使用でき、その種類が特に限定されるものではない。前記バインダーとしては、例えば、ポリビニリデンフロリド(PVDF)、ビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの様々なコポリマーなどが挙げられ、これらのうちの1種単独または2種以上の混合物が使用できる。
【0044】
本発明の一実施形態において、前記バインダーは、電極スラリー組成物中の全固形分の含有量を基準に5wt%以下で含まれることができ、好ましくは1~3wt%で含まれることができる。バインダーの含有量が上記の範囲を満たす場合、電極抵抗の増加を最小限に抑えながら優れた電極接着力を実現することができる。
本発明の一実施形態において、前記電極スラリー組成物は、粘度調節などのために、必要に応じて溶媒をさらに含むことができる。このとき、前記溶媒は、水、有機溶媒またはこれらの混合物であり得る。前記有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド系極性有機溶媒;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール(n-ブタノール)、2-メチル-1-プロパノール(イソブタノール)、2-ブタノール(sec-ブタノール)、1-メチル-2-プロパノール(tert-ブタノール)、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールまたはオクタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、またはヘキシレングリコールなどのグリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、またはソルビトールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはテトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、またはシクロペンタノンなどのケトン類;酢酸エチル、γ-ブチルラクトン、およびε-プロピオラクトンなどのエステル類などが挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上の混合物が使用できるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の一実施形態において、前記電極スラリー組成物は、必要に応じて粘度調節剤、充填剤などの添加剤をさらに含むことができる。
本発明の一実施形態は、上述した電極スラリー組成物によって形成された電極活物質層を含む電極を提供する。具体的には、前記電極は、上述した本発明の電極スラリー組成物を塗布し、乾燥させて電極活物質層を形成することにより製造できる。より具体的には、前記電極活物質層は、電極集電体上に電極スラリー組成物を塗布した後、乾燥させる方法、又は、電極スラリー組成物を別途の支持体上に塗布した後、この支持体から剥離して得たフィルムを電極集全体上にラミネートする方法によって形成することができる。必要に応じて、上述した方法で電極活物質層を形成した後、圧延する工程をさらに行うことができる。このとき、乾燥及び圧延を最終的に製造しようとする電極の物性を考慮して適切な条件で行われることができ、特に限定されない。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記電極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有する素材であれば、特に限定されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、これらの合金、これらの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、または焼成炭素などが使用できる。
本発明の一実施形態において、前記電極集電体は、通常3μm~500μmの厚さを有することができ、集電体の表面に微細な凹凸を形成して電極活物質の結合力を強化させることもできる。また、前記電極集電体は、例えば、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用できる。
【0047】
本発明の一実施形態において、前記電極は陰極であり得る。
本発明の一実施形態は、上述した電極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0048】
本発明の一実施形態は、正極;負極;並びに前記正極と負極との間に設けられた分離膜および電解質を含み、前記正極および負極のうちのいずれか1つ以上が上述の電極である、リチウム二次電池を提供する。
本発明の一実施形態において、前記分離膜は、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであり、通常、二次電池において分離膜として使用されるものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記分離膜として、多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体等のポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルム、またはこれらの2層以上の積層構造体が使用できる。また、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されることもできる。また、耐熱性または機械的強度を確保するために、セラミック成分または高分子物質が含まれた、コーティングされた分離膜が使用されることもでき、選択的に単層または多層構造で使用できる。
本発明の一実施形態において、前記電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0049】
実施例
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
<物性測定方法>
実施例および比較例の分散液の物性は、次の方法で測定した。
粘度の測定
Brookfield社のDVNextCP Rheometerを使用し、25℃でせん断速度を15sec-1および150sec-1にそれぞれ変更して測定した。
平均粒径の測定
レーザー回折法(laser diffraction method)を使用し、市販のレーザー回折粒度測定装置(Malvern Mastersizer3000)を使用した。測定装置で粒径分布の50%基準における平均粒径(D50)を算出した。一方、D10およびD90はそれぞれ、粒径分布10%および90%での粒度を意味する。
pHの測定
OHAUS社のST3100pHメーターを用いて測定し、25℃でバッファ溶液によって電極を補正した後、電極をサンプルに入れ、5秒間攪拌した後、シグナルが安定するまで30秒間待ってからpHを測定した。
固形分の測定
OHAUS社のMB95水分分析器を用いて測定した。アルミニウム材質のサンプル皿にサンプルを約3g載せた後、開始重量を測定し、150℃まで加熱して重量を測定するが、150℃で重量が60秒間1mg未満変化した場合、これを乾燥重量として設定し、次の数式によって固形分が計算される。
【0050】
%DC(固体成分)=乾燥重量/開始重量×100%
せん断流動化指数(Shear Thinning Index:STI)の測定
下記式1に従って計算した。
[式1]
せん断流動化指数(Shear Thinning Index:STI)=Vlow/Vhigh
式1中、Vlowは、25℃及び15sec-1のせん断速度(shear rate)で測定した分散液の粘度であり、Vhighは、25℃及び150sec-1のせん断速度(shear rate)で測定した分散液の粘度である。
式2で計算される値の計算
下記式2で表される物性値を計算した。このとき、STIは分散液のせん断流動化指数(Shear Thinning Index:STI)であり、D50は前記カーボンナノチューブの平均粒径(D50)である。
【0051】
【数1】
【0052】
<分散液の製造>
実施例1
単層カーボンナノチューブ(TUBALL 01RW03、OCSiAl社製)0.4wt%、第1分散剤としてのポリビニルピロリドン(K15、Sigma-Aldrich社)0.6wt%、第2分散剤としてのアクリル酸(Polyacrylic acid、Aldrich社)0.2wt%、アルカリ金属塩(LiOH)0.01wt%、溶媒としての水を混合して1kgのカーボンナノチューブ分散液を製造した。
このとき、アルカリ金属塩のモル比は、下記式3に従って、ビニルピロリドン単位体100molを基準に7.7mol[={(0.01)/(24)}/{(0.6)/(111.14)}*100]であった。
【0053】
[式3]
アルカリ金属塩のモル比={(アルカリ金属塩の重量%)/(アルカリ金属塩の分子量)}/{(ポリビニリドンの重量%)/(ビニリドン単位体の分子量)}*100
【0054】
実施例及び比較例
残りの実施例及び比較例について、下記表1及び表2のように各物質の重量及び種類を変更して分散液を製造し、物性をテストした。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
前記表1及び表2において、K15はAldrich社のK15製品を意味し、PAAはAldrich社のポリアクリル酸(Polyacrylic acid)、PAAMAはAldrich社のポリ(アクリル酸-コ-マレイン酸)溶液(ポリアクリル酸-マレイン酸共重合体)をそれぞれ意味する。上記の結果から、実施例の分散液の25℃および15sec-1のせん断速度(shear rate)での粘度が3,000cPs以下であることを確認することができた。
上記の結果から、ポリビニルピロリドン系樹脂又はポリアクリル酸化合物を含まない場合(比較例4及び5)、25℃及び15sec-1のせん断速度での粘度が5,000cPsを超えることを確認することができた。上述した粘度特性を有する場合、分散液のコーティング性が著しく低下して工程への適用が困難である。
また、分散液がアルカリ金属塩を含まない場合、25℃及び15sec-1のせん断速度での粘度が5,000cPsを超えることを確認することができた。上述したような粘度特性を有する場合、分散液のコーティング性が著しく低下して工程への適用が困難である。
一方、分散液がアルカリ金属塩を過剰に含む場合でも、25℃及び15sec-1のせん断速度での粘度が3,000cPsを超えることを確認することができた(比較例3)。
【国際調査報告】