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特表2024-539508超音波発生装置の制御装置及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】超音波発生装置の制御装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61B17/00 700
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548336
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 KR2022014029
(87)【国際公開番号】W WO2023075151
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0143646
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520331970
【氏名又は名称】ジェイシス メディカル インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】307, 308, 401, 808, 1015, DAERYUNG TECHNO TOWN 8TH, 96, GAMASAN-RO, GEUMCHEON-GU, SEOUL 08501, REPUBLIC OF KOREA
(71)【出願人】
【識別番号】524156478
【氏名又は名称】ソン,ヨン・モ
【氏名又は名称原語表記】SUNG, YOUNG MO
【住所又は居所原語表記】96, JUNGBU‐DAERO, PALDAL‐GU, SUWON‐SI, GYEONGGI‐DO 16471, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨン・モ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドン・ホワン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ32
4C160JJ35
4C160JJ36
(57)【要約】
本開示は、(a)制御部が超音波の移動軌跡、施術ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力するステップと、(b)トランスデューサが前記トランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするステップと、(c)前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて治療領域に腫瘍の残留の有無を判断し、前記残留が判断された場合、機械学習部が学習した後に、前記制御部が既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積治療を行わせるステップと、を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)制御部が超音波の移動軌跡、施術ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力するステップと、
(b)トランスデューサが前記トランスデューサ制御信号に同期され、前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするステップと、
(c)前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて治療領域に腫瘍の残留の有無を判断し、前記残留が判断された場合、機械学習部が学習した後に、前記制御部が既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積治療を遂行するステップと、
を含むことを特徴とする超音波発生装置の制御方法。
【請求項2】
前記(a)ステップは、
前記制御部が前記超音波の照射される移動軌跡を1施術ユニットに設定するステップと、
前記制御部が最大施術ユニットの数及び施術ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を設定するステップと、
前記制御部が1スポット当たりに照射される超音波のパルス数及びスポット間の間隔を設定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項3】
前記(b)ステップは、
前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して映像用超音波信号を被写体に送信し、前記被写体から反射される超音波信号を受信して前記被写体に対する映像をスキャニングするステップと、
前記制御部が一定の時間間隔を有する前記トランスデューサ制御信号を生成するステップと、
前記トランスデューサが前記生成されたトランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動するステップと、
高密度焦点式超音波信号が前記既に設定された移動軌跡上において1つの焦点に集束するように前記トランスデューサ内の治療用トランスデューサ部がフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射するステップと、
前記トランスデューサ内の前記映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の治療領域を映像スキャニングするステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項4】
前記(b)ステップは、
前記制御部が前記トランスデューサと治療ターゲットとの距離を計算するステップと、
前記制御部が第1制御信号を本体に印加して、前記計算された距離だけ前記本体を並進運動させて治療領域の周辺に前記トランスデューサを移動させるステップと、
前記制御部が第2制御信号を前記本体に印加して、前記トランスデューサを被写体の前記治療ターゲットに向けてウォブリング及び回転させて前記治療ターゲットと整列させるステップと、
前記トランスデューサ内の治療用トランスデューサ部が高密度焦点式超音波信号を前記整列された治療ターゲットの位置にフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射するステップと、
前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の治療領域とを映像スキャニングするステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項5】
前記(c)ステップは、
前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の印加を受けて前記腫瘍の残留の有無を判断するステップと、
前記残留があると判断された場合、前記機械学習部が機械学習手法を通じて残留可能な腫瘍の予想される3次元位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成し、ビッグデータベースに格納するステップと、
前記制御部が該当部位に対して前記既に学習された腫瘍の残留可能情報を前記ビッグデータベースを通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体を移動させるステップと、
前記本体と連動する前記トランスデューサが上下左右に移動及び回転して前記残留可能位置に対する前記追加の体積治療を行うステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項6】
前記機械学習手法は、エクストリーム勾配ブースティング手法であることを特徴とする請求項5に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項7】
前記制御部が1施術ユニットに設定する移動軌跡の数は、1乃至5本であることを特徴とする請求項2に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項8】
前記制御部は、
施術ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を1乃至7個に設定することを特徴とする請求項2に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項9】
前記制御部は、
1スポット当たりに照射される超音波のパルス数を20乃至50個以内に設定することを特徴とする請求項2に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項10】
前記制御部は、
スポット間の間隔を1乃至5mmに設定することを特徴とする請求項2に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項11】
超音波の移動軌跡、施術ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力する制御部と、
前記トランスデューサ制御信号に同期され、前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするトランスデューサと、
前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて腫瘍の残留と判断した治療領域に対して機械学習を行い、残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成する機械学習部と、
を含み、
前記制御部は、前記機械学習部から既に学習された腫瘍の残留可能情報を適用して追加の体積治療を遂行することを特徴とする超音波発生装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波発生装置の制御装置及びその制御方法に関し、特に超音波治療時に複数の治療ユニットを設定して熱重畳現象を誘導し、最初の施術後に残留する腫瘍に対しても機械学習手法を用いて追加の体積治療を行える超音波発生装置の制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高密度焦点式超音波(High-Intensity Focused Ultrasound;HIFU)治療は、高強度の超音波エネルギーを一箇所に集束させる際に焦点で発生する摂氏65~100℃の高熱を利用して身体内の病変組織を燃焼させて除去する施術である。
【0003】
即ち、診断する際に用いる超音波の強度よりも約10万倍程度に強い超音波を一箇所に集束させると焦点部位で熱が発生するが、この熱を利用して身体内の病変組織を燃焼させて除去できる。
【0004】
超音波自体は人体に無害であり、超音波が集束する焦点でのみ熱が発生するので、外科手術や化学的な治療(Chemotherapy)方式などに比べて患者の外傷を少なく損傷させ、非侵襲的(non-invasive)に身体内の病変を治療できる。
【0005】
これにより、高密度焦点式超音波治療は、膵臓癌、子宮筋腫、肝臓癌などに可能であり、前立腺癌、子宮内膜癌、腎臓癌、乳癌、軟部腫瘍、骨腫瘍などに対しても活発な研究が行われている。
【0006】
特に、嫌気性腫瘍細胞に対してより敏感な破壊効果を有する。
【0007】
ところが、人間の体の自然な熱伝導率及び血液供給により、治療ターゲット領域は、高密度焦点式超音波が加熱されることによって熱を消費する。
【0008】
身体の軟部組織の音響学的及び生物物理学的な平均パラメータから、高密度焦点式超音波による皮下軟部組織(subcutaneous soft tissue)の病変(niduse)を平均最大効果で治療できる深さは数センチメートルになることが知られている。
【0009】
また、高密度焦点式超音波は、治療速度が非常に遅く、中程度の病変に対しても患者にとって治療に必要な時間を耐えることは難しい。
【0010】
優れた焦点実行を通じてKW-レベル高密度焦点式超音波を安定的に放出できる技術に対する研究は、高密度焦点式超音波で「一回性非侵襲手術」の概念を実現するための鍵となる。
【0011】
これを具現するために、従来の高密度焦点式超音波治療ヘッドは、端部に高密度焦点式超音波トランスデューサを備える。
【0012】
高密度焦点式超音波トランスデューサは、高密度焦点式超音波を放射するように構成される。
【0013】
また、メンブレン(membrane)は、高密度焦点式超音波トランスデューサの高密度超音波放射面を覆うように高密度焦点式超音波トランスデューサに装着される。
【0014】
この状態で、超音波伝達媒質が高密度超音波放射面とメンブレンとの間の収容空間に充填される。
【0015】
一般に、超音波伝達媒質としては、脱気した水が利用されている。
【0016】
なお、高密度焦点式超音波治療ヘッドには、診断映像を獲得するためのイメージングトランスデューサ(imaging transducer)が備えられることができる。
【0017】
このような高密度焦点式超音波治療ヘッドは、患者の上部に位置し、メンブレンを患者の皮膚に接触させた状態で高強度超音波放射面を通じて高密度焦点式超音波を放射する。
【0018】
ところが、人体内の腫瘍の大きさは、多様に発病することがあり、このような病変組織全体を壊死消滅させなければ治療が完了しない。
【0019】
従って、特定の条件なしに治療経路(pathway)に沿って超音波照射を行う場合、体積治療が行われず、病変組織の体積が大きければ大きいほど超音波治療時間が長くかかる。
【0020】
このような場合、患者の施術時間が長くなり、患者に不便を引き起こすだけでなく、治療方法を行う被施術者の苦労と疲労度が高くなる恐れがあるという問題があった。
【0021】
一方、人工知能(Artificial Intelligence、AI)は、人間の脳とニューロンネットワークを模倣し、いつかはコンピュータやロボットが人間のように思考して行動するようにする。
【0022】
機械学習(Machine Learning)は、人工知能分野で取り扱う多様な問題を定義し、それを解決する方法論を研究する分野を意味する。
【0023】
人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Network)は、機械学習で用いられるモデルであって、シナプスの結合によりネットワークを形成した人工ニューロン(ノード)で構成される問題解決能力を有するモデル全般を意味し得る。
【0024】
人工ニューラルネットワークは、入力層(Input Layer)、出力層(Output Layer)、及び選択的に1つ以上の隠れ層(Hidden Layer)を含むことができる。
【0025】
機械学習は、学習方式によって教師あり学習(Supervised Learning)、教師なし学習(Unsupervised Learning)、強化学習(Reinforcement Learning)に分類できる。
【0026】
教師あり学習は、学習データに対するラベル(label)が提供された状態で人工ニューラルネットワークを学習させる方法を意味し、ラベルとは、学習データが人工ニューラルネットワークに入力される場合、人工ニューラルネットワークが推論しなければならない正解(又は結果値)を意味し得る。
【0027】
教師なし学習は、学習データに対するラベルが提供されていない状態で人工ニューラルネットワークを学習させる方法を意味し得る。
【0028】
強化学習は、ある環境中で定義されたエージェントが各状態で累積報酬を最大化する行動、又は行動順序を選択するように学習させる学習方法を意味し得る。
【0029】
一般的に、入力から値を計算するニューロンシステムの相互連結で表現され、適応性があり、パターン認識のような機械学習を行える。
【0030】
データから学習する他の機械学習のように、ニューラルネットワークは、一般に規則基盤プログラミングでは解き難いイメージ認識又は音声認識のような多様な範囲の問題を解くのに用いられる。
【0031】
即ち、訓練過程で構成した多数の決定木から部類(分類)又は平均予測値(回帰分析)を出力するランダムフォレスト(random forest)、以前までの誤差を補正するように予測器を順次追加して強い学習器を作るエクストリーム勾配ブースティング(XGBoost)、回帰係数の絶対値をペナルティ項として有し、加重値を「0」にするラッソ回帰(LASSO Regression)のような多様な機械学習手法がイメージ認識などの分野に適用されて優れた性能の機械学習手法が開発されている。
【0032】
そこで、本発明者らは、超音波治療時に複数の治療ユニットを設定して熱重畳現象を誘導し、最初の施術後に残留する腫瘍に対しても機械学習手法を用いて過去に該当治療領域に対して既に学習した腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積別治療を行うことによって、短時間で病変組織全体を安全に壊死させることができる超音波発生装置の制御装置及びその制御方法を発明するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、超音波治療ポイント内に超音波が集束されて治療が行われる複数の治療ユニットを設定して熱重畳現象を誘導し、最初の施術後に残留する腫瘍に対して機械学習手法を用いて追加の体積別治療を行うことによって、短時間で病変組織全体を壊死させることができる超音波発生装置の制御方法を提供することにある。
【0034】
本発明の他の目的は、前記課題を達成するための超音波発生装置の制御装置を提供することにある。
【0035】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限定されず、言及していない他の課題は、後述する記載により通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法は、(a)制御部が超音波の移動軌跡、施術ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力するステップと、(b)トランスデューサが前記トランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするステップと、(c)前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて治療領域に腫瘍の残留の有無を判断し、前記残留が判断された場合、機械学習部が学習した後に、前記制御部が既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積治療を行わせるステップとを含むことを特徴とする。
【0037】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法の前記(a)ステップは、前記制御部が超音波の照射される移動軌跡を1施術ユニットに設定するステップと、前記制御部が最大施術ユニットの数及び施術ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を設定するステップと、前記制御部が1スポット当たりに照射される超音波のパルス数及びスポット間の間隔を設定するステップとを含むことを特徴とする。
【0038】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法の前記(b)ステップは、前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して映像用超音波信号を被写体に送信し、前記被写体から反射される超音波信号を受信して前記被写体に対する映像をスキャニングするステップと、前記制御部が一定の時間間隔を有する前記トランスデューサ制御信号を生成するステップと、前記トランスデューサが前記生成されたトランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動するステップと、高密度焦点式超音波信号が前記既に設定された移動軌跡上において1つの焦点に集束するように前記トランスデューサ内の治療用トランスデューサ部がフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射するステップと、前記トランスデューサ内の前記映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の治療領域を映像スキャニングするステップとを含むことを特徴とする。
【0039】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法の前記(b)ステップは、前記制御部が前記トランスデューサと治療ターゲットまでの距離を計算するステップと、前記制御部が第1制御信号を本体に印加して、前記計算された距離だけ前記本体を並進運動させて治療領域の周辺に前記トランスデューサを移動させるステップと、前記制御部が第2制御信号を前記本体に印加して、前記トランスデューサを被写体の前記治療ターゲットに向けてウォブリング及び回転させて前記治療ターゲットと整列させるステップと、前記トランスデューサ内の治療用トランスデューサ部が高密度焦点式超音波信号を前記整列された治療ターゲットの位置にフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射するステップと、前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の治療領域を映像スキャニングするステップとを含むことを特徴とする。
【0040】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法の前記(c)ステップは、前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の印加を受けて前記腫瘍の残留の有無を判断するステップと、前記残留があると判断された場合、前記機械学習部が機械学習手法を通じて残留可能な腫瘍の予想される3次元位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成し、ビッグデータベースに格納するステップと、前記制御部が該当部位に対して前記既に学習された腫瘍の残留可能情報を前記ビッグデータベースを通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体を移動させるステップと、前記本体と連動する前記トランスデューサが上下左右に移動及び回転して前記残留可能位置に対する前記追加の体積治療を行うステップとを含むことを特徴とする。
【0041】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法の前記機械学習手法は、エクストリーム勾配ブースティング手法であることを特徴とする。
【0042】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法の前記制御部が1施術ユニットに設定する移動軌跡の数は1乃至5本であることを特徴とする。
【0043】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法の前記制御部は、施術ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を1乃至7個に設定することを特徴とする。
【0044】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法の前記制御部は、1スポット当たりに照射される超音波のパルス数を20乃至50個以内に設定することを特徴とする。
【0045】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法の前記制御部は、スポット間の間隔を1乃至5mmに設定することを特徴とする。
【0046】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法は、(a)制御部が超音波の移動軌跡、施術ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力するステップと、(b)トランスデューサが前記トランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするステップと、(c)前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて治療領域に腫瘍の残留の有無を判断し、前記残留が判断された場合、機械学習部が学習した後に、前記制御部が既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積治療を行わせるステップとを含むことを特徴とする。
【0047】
前記他の課題を解決するための本発明の他の側面に係る超音波発生装置の制御装置は、超音波の移動軌跡、施術ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力する制御部と、前記トランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするトランスデューサと、前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて腫瘍の残留と判断した治療領域に対して機械学習を行い、残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成する機械学習部とを含み、前記制御部は、前記機械学習部から既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積治療を行わせることを特徴とする。
【0048】
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0049】
本発明によって、超音波照射時に発生する熱の拡散及び重畳現象を用いて、超音波ポイントの移動軌跡上において最初のポイントから発生する熱が3次元の立体の形態で拡散し、最後の超音波ポイントまで維持されることによって、短時間で病変組織を壊死させることができる体積治療が可能になる。
【0050】
また、最初の超音波施術で病変組織全体が完全に壊死できない場合にも、治療領域における腫瘍の残留の有無を判断し、機械学習手法を用いて追加の体積治療を行うことによって、病変組織全体を安全に壊死させることができる。
【0051】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及していない更に他の効果は、後述する記載により通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御装置のブロック図である。
図2】本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御方法の全体的な動作を説明するフローチャートである。
図3】本発明の一実施例に係る超音波発生装置内のトランスデューサのウォブリング動作を説明する概略的な構成図である。
図4図3に示す超音波発生装置の制御装置の超音波スポット距離調整動作を説明する概略的な構成図である。
図5図3に示す超音波発生装置内のトランスデューサのウォブリング動作を通じて移動軌跡に沿って3次元上にフォーカシングして複数の熱的病変を形成する実施例を順次示す構成図である。
図6図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S100)の細部的な動作を説明するフローチャートである。
図7図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S200)の細部的な第1動作を説明するフローチャートである。
図8図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S200)の細部的な第2動作を説明するフローチャートである。
図9図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S300乃至S500)の細部的な動作を説明するフローチャートである。
図10図5に示す実施例に係るトランスデューサのウォブリング動作を通じて移動軌跡に沿って形成された複数の熱的病変の熱重畳現象を示す図である。
図11】本発明の実施例によって実際の体積治療時に設定された移動軌跡と超音波が照射された複数のポイントが表示された超音波写真である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の利点及び特徴、およびそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。
【0054】
しかし、本発明は、以下で開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現できる。但し、本実施例は本発明の開示を完全なものにし、本発明の属する技術分野における通常の技術者に本発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇により定義されるに過ぎない。
【0055】
本明細書で用いられた用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。明細書全体に亘って同一の図面符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は言及された構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために用いられていても、これらの構成要素は、これらの用語により制限されないのはもちろんである。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いる。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得るのは言うまでもない。
【0056】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0057】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「真下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図示されているように、1つの構成要素と他の構成要素との相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は図示されている方向に加えて使用時又は動作時に構成要素の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図示されている構成要素をひっくり返す場合、他の構成要素の「下(below)」又は「真下(beneath)」と記述されている構成要素は、他の構成要素の「上(above)」に置かれることができる。従って、例示的な用語である「下」は、下と上の方向を何れも含むことができる。構成要素は他の方向にも配向されることができ、これにより空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0058】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0059】
図1は、本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御装置のブロック図であって、治療ヘッド100、制御部200、機械学習部300及びビッグデータベース400を含む。
【0060】
図2は、本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御方法の全般的な動作を説明するフローチャートである。
【0061】
図3は、本発明の一実施例に係る超音波発生装置内のトランスデューサのウォブリング動作を説明する概略的な構成図であって、治療ヘッド100及び制御部200を含む。
【0062】
治療ヘッド100は、本体110及びトランスデューサ120を含み、トランスデューサ120は、映像獲得用トランスデューサ部及び治療用トランスデューサ部を含む。
【0063】
映像獲得用トランスデューサ部は、被写体の治療領域に対する映像をスキャニングするために映像用超音波信号を送受信し、治療用トランスデューサ部は、高密度焦点式超音波信号を治療領域内の一箇所の焦点に集束するようにフォーカシングして熱的病変を形成する。
【0064】
図1乃至図3を参照しながら、本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御方法の動作を概略的に説明すると、以下の通りである。
【0065】
まず、制御部200が超音波の移動軌跡、施術ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、これに対応するトランスデューサ制御信号を出力する(S100)。
【0066】
ここで、移動軌跡は、超音波が照射されるスポットを連続的に連結した線、施術ユニットは、超音波施術が行われる移動軌跡の最小単位、スポットは、超音波施術中に治療部位のうち超音波が照射されることによって生じる明るい領域を意味する。
【0067】
即ち、制御部200が超音波の照射される移動軌跡を1施術ユニットに設定し(S110)、最大施術ユニットの数及び施術ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を設定し(S120)、1スポット当たりに照射される超音波のパルス数及びスポット間の間隔を設定する(S130)。
【0068】
次に、トランスデューサ120が制御部200のトランスデューサ制御信号に同期され制御部200で既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、照射されたスポットに対して映像スキャニングする(S200)。
【0069】
即ち、トランスデューサ120内の映像獲得用トランスデューサ部が制御部200の制御に応答して映像用超音波信号を被写体に送信し、被写体から反射される超音波信号を受信して被写体に対する映像をスキャニングする(S210)。
【0070】
また、制御部200が一定の時間間隔を有するトランスデューサ制御信号を生成すると(S220)、トランスデューサ120が制御部200で生成されたトランスデューサ制御信号に同期され制御部200で既に設定された移動軌跡に沿って移動する(S230)。
【0071】
その後、高密度焦点式超音波信号が制御部200で既に設定された移動軌跡上において1つの焦点に集束するようにトランスデューサ120内の治療用トランスデューサ部がフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射(S240)し、トランスデューサ120内の映像獲得用トランスデューサ部が制御部200の制御に応答して照射された1つ以上のスポットと周囲の治療領域を映像スキャニングする(S250)。
【0072】
次に、制御部200がトランスデューサ120で映像スキャニングされた映像の伝送を受けて治療領域に腫瘍の残留の有無を判断し、腫瘍の残留が判断された場合、機械学習部300が学習した後に、制御部200が既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積治療を行わせる(S300)。
【0073】
即ち、制御部200がトランスデューサ120で映像スキャニングされた映像の印加を受けて腫瘍の残留の有無を判断する(S310)。
【0074】
もし、腫瘍の残留がないと判断された場合(S320)、超音波施術動作を終了し(S330)、残留があると判断された場合、機械学習部300が機械学習手法を通じて残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成し、ビッグデータベース400に格納する(S410)。
【0075】
その後、制御部200が該当部位に対して既に学習した腫瘍の残留可能情報をビッグデータベース400を通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体を移動させ(S510)、本体と連動するトランスデューサ120が上下左右に移動及び回転して残留可能位置に対する追加の体積治療を行う(S520)。
【0076】
図4は、図3に示す超音波発生装置の制御装置の超音波スポット距離調整動作を説明する概略的な構成図であって、治療ヘッド100及び制御部200を含む。
【0077】
治療ヘッド100は、本体110及びトランスデューサ120を含み、トランスデューサ120は、映像獲得用トランスデューサ部及び治療用トランスデューサ部を含む。
【0078】
図5は、図3に示す超音波発生装置内のトランスデューサのウォブリング動作を通じて移動軌跡に沿って3次元上にフォーカシングして複数の熱的病変を形成する実施例を順次示す構成図であって、本体110及びトランスデューサ120を含む。
【0079】
図6は、図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S100)の詳細な動作を説明するフローチャートである。
【0080】
図7は、図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S200)の詳細な第1動作を説明するフローチャートである。
【0081】
図8は、図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S200)の詳細な第2動作を説明するフローチャートである。
【0082】
図9は、図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S300乃至S500)の詳細な動作を説明するフローチャートである。
【0083】
図10は、図5に示す実施例に係るトランスデューサのウォブリング動作を通じて移動軌跡に沿って形成された複数の熱的病変の熱重畳現象を示す図である。
【0084】
図11は、本発明の実施例によって実際の体積治療時に設定された移動軌跡と超音波が照射された複数のポイントが表示された超音波写真である。
【0085】
図1乃至図11を参照しながら、本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御方法の有機的な動作を詳細に説明すると、以下の通りである。
【0086】
図3を参照すると、トランスデューサ120内の映像獲得用トランスデューサ部は、映像用超音波信号を被写体に送信し、被写体から反射される超音波信号を受信することによって被写体に対する映像をスキャニングし、治療用トランスデューサ部は、高密度焦点式超音波信号が治療領域内の1つの焦点に集束するようにフォーカシングして熱的病変(thermal lesion)を形成する。
【0087】
即ち、治療ヘッド100のトランスデューサ120がウォブリング軸を中心にウォブリングしながら被写体の治療領域を3次元で映像スキャニングし、治療領域に高密度焦点式超音波信号を4次元でフォーカシングして複数の熱的病変を形成する。
【0088】
例えば、図3に示すように、トランスデューサ120が移動軌跡(時計回り又は反時計回り)に沿って被写体の治療領域内の治療ターゲット10a、10b、10c、10dに高密度焦点式超音波信号が集束するようにフォーカシングして4つの熱的病変を形成できる。
【0089】
図4を参照すると、制御部200は、トランスデューサ120を電子的に制御して被写体の治療領域に照射される超音波スポットの距離を調整する。
【0090】
例えば、トランスデューサ120と治療ターゲット20a、20b、20cまでの距離を計算し、計算された距離の治療ターゲットに高密度焦点式超音波信号をフォーカシングするように電子的にトランスデューサ120の位置を調整できる。
【0091】
制御部200が治療領域の周辺に治療ヘッド100を移動させた後に、治療ヘッド100のトランスデューサ120を精密に機械的に調整(ウォブリング及び回転)して治療領域に対する3次元の映像スキャニング及び4次元のフォーカシングを通じた治療を行わせる。
【0092】
例えば、制御部200は、第1制御信号を治療ヘッド100に印加して治療ヘッド100の本体110を計算された距離だけ並進運動させて、体内の治療領域の周辺にトランスデューサ120を移動させる。
【0093】
その後、第2制御信号を治療ヘッド100に印加してトランスデューサ120を被写体の治療ターゲットに向けてウォブリング及び回転させて治療ターゲットと整列させた後、映像獲得用トランスデューサ部が被写体の3次元映像をスキャニングするか、治療用トランスデューサ部が治療領域に高密度焦点式超音波信号を4次元フォーカシングする。
【0094】
このとき、被写体の3次元の映像をスキャニングする理由は、最初の超音波施術で病変組織全体が完全に壊死できない場合が発生し得るが、これに備えて制御部200がトランスデューサ120内の映像獲得用トランスデューサ部でスキャニングされた被写体の3次元の映像の印加を受けて治療領域に腫瘍がまだ残留しているか否かを確認するためである。
【0095】
前記実施例では、制御部200がトランスデューサ120を電子的に制御して超音波スポットの距離を調整するものと例示したが、トランスデューサ120を機械的に制御することもできる。
【0096】
図6を参照すると、制御部200が、超音波が照射される移動軌跡(pathway)の1本を1施術ユニットに設定したと仮定する。
【0097】
制御部200は、一定の時間間隔、エネルギー量及びON/OFF時間のうちの何れか1つ以上を有する複数のパルスを生成し、腫瘍の大きさなどによって設定される音響電力(Acoustic power)、超音波処理時間(sonication time)などを決定して、これに対応するトランスデューサ制御信号を出力する。
【0098】
トランスデューサ120は、制御部200のトランスデューサ制御信号に応答して、既に設定された1施術ユニット当たりの移動軌跡(pathway)に沿って移動しながら生成されたトランスデューサ制御信号に同期され一定の時間間隔で1つ以上のスポットに超音波を照射する。
【0099】
このとき、本発明は、熱重畳現象を用いて短時間で病変組織全体を壊死させるために、次の条件に従う超音波治療を行う。
【0100】
即ち、制御部200は、超音波が照射される移動軌跡(pathway)の1本を1施術ユニットに設定し、最大施術ユニットの数は10本に設定する。
【0101】
但し、超音波が6本以上に照射される場合、やけどの危険があるので、1乃至5本が好ましい。
【0102】
特に、子宮筋腫治療の場合、最大施術ユニットの数は1乃至4本が最も好ましい。
【0103】
ここで、制御部200は、プロセッサ(Processor)、コントローラ(controller)、マイクロコントローラ(microcontroller)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコンピュータ(microcomputer)などとも称することができ、ハードウェア(hardware)又はファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はこれらの結合によって具現できる。
【0104】
トランスデューサ120は、制御部200の制御に応答して、1施術ユニット当たりに1乃至10スポットに照射する。
【0105】
但し、超音波が8スポット以上に照射される場合、やけどの危険があるので、1乃至7スポットが好ましい。
【0106】
特に、子宮筋腫治療の場合、施術ユニット当たりに照射される超音波のスポット数は、5スポットが最も好ましい。
【0107】
超音波のスポット数の範囲は、病変の大きさによって調節することができる。
【0108】
トランスデューサ120は、1スポット当たりに5乃至50パルスの超音波を照射する。
【0109】
1スポット当たりに照射される超音波のパルス数は、20乃至50個以内が好ましく、子宮筋腫治療の場合、35乃至45個以内が最も好ましい。
【0110】
トランスデューサ120は、1パルス当たりに20乃至70Jのエネルギーを有する超音波を照射する。
【0111】
超音波スポットのエネルギー量は、30乃至60Jが好ましく、子宮筋腫治療の場合、40乃至60Jが最も好ましい。
【0112】
トランスデューサ120で超音波が照射されるON/OFF時間において、ON時間は1乃至1500ms、OFF時間は3乃至20msであることが好ましい。
【0113】
照射されるON時間は、1乃至1000ms以内が好ましく、OFF時間は、5乃至15msが好ましい。
【0114】
トランスデューサ120は、一定の時間間隔をおいて超音波を照射する。
【0115】
各スポット間の間隔は0.1乃至10mm以内であり、1乃至5mmが好ましく、子宮筋腫治療の場合、1.5乃至2.5mmが最も好ましい。
【0116】
また、前記条件に従って超音波を正確に照射したとしても、最初の超音波施術で病変組織全体が完全に壊死できない場合が発生し得る。
【0117】
これに備えて、本発明は、機械学習部300がエクストリーム勾配ブースティング(XGBoost)などのような機械学習手法を用いて最初の超音波施術での誤差を補正するように予測器を順次追加できる。
【0118】
即ち、最初の超音波施術後に制御部200は、腫瘍がまだ残留しているか否かを判断する。
【0119】
もし、腫瘍が全て壊死して残留していないと判断された場合には、超音波施術動作を終了する。
【0120】
一方、腫瘍が全て壊死せず残留していると判断された場合には、機械学習部300がエクストリーム勾配ブースティング(XGBoost)などの機械学習手法を用いて機械学習を行う。
【0121】
即ち、最初の超音波施術過程での誤差(腫瘍の残留)を補正して、腫瘍が全部壊死するように残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさなどの腫瘍の残留可能情報を順次追加することによって、該当治療部位の治療ターゲットの周辺に腫瘍が残留できる腫瘍の残留可能情報を正確に判断し、ビッグデータベース400に格納する。
【0122】
また、制御部200は、エクストリーム勾配ブースティング手法を通じて過去に該当部位に対して既に学習した腫瘍の残留可能情報を、ビッグデータベース400を通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体110を移動させる。
【0123】
これにより、本体110と連動するトランスデューサ120が上下左右に移動及び回転して残留可能位置に対する追加の体積治療(Volumetric treatment)を行う。
【0124】
図10を参照すると、円は、超音波を照射するポイントを意味し、XYZ軸方向の矢印は、トランスデューサ120が超音波照射時に発生する熱の拡散方向を意味する。
【0125】
移動軌跡に沿って超音波を照射する場合、例えば、5つの各ポイントで発生する熱の拡散が重なり、体積治療が行われる。
【0126】
これにより、本発明は、移動軌跡上において最初のポイントP1で発生する熱が4Dで重畳及び拡散され、温度が最後のポイントP5まで維持されることによって、短時間で病変組織全体を壊死させることができる体積治療を可能にする。
【0127】
このとき、熱が3Dに重畳及び拡散する理由は、トランスデューサ120が上下左右に移動及び回転しながら追加の体積治療を4次元的にリアルタイムに移動して行うためである。
【0128】
図11を参照すると、実際の体積治療時に設定された移動軌跡は、写真の右下の黒地に線Tで表示され、超音波が照射された複数のポイントは、点Pで表示される。
【0129】
このとき、移動軌跡である線の角度は、大きな病変の場合に大きくなり、小さな病変の場合に狭い領域に集中して治療を行うために小さく設定されることができる。
【0130】
このように、本発明は、超音波治療ポイント内に超音波が集束されて治療が行われる複数の治療ユニットを設定して熱重畳現象を誘導し、最初の施術後に残留する腫瘍に対して機械学習手法を用いて追加の体積治療を行うことによって、短時間で病変組織全体を壊死させることができる腫瘍体積治療の制御方法及び装置を提供する。
【0131】
これにより、本発明は、超音波照射時に発生する熱の拡散及び重畳現象を用いて、超音波ポイントの移動軌跡上において最初のポイントで発生する熱が3次元の立体の形態で拡散し、最後の超音波ポイントまで維持されることによって、短時間で病変組織を壊死させることができる体積治療が可能になる。
【0132】
また、最初の超音波施術で病変組織全体が完全に壊死できない場合にも、治療領域における腫瘍の残留の有無を判断し、機械学習手法を用いて追加の体積治療を行うことによって、病変組織全体を安全に壊死させることができる。
【0133】
本発明の実施例に関連して説明された方法又はアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接具現するか、ハードウェアによって実行されるソフトウェアモジュールで実現するか、それらの結合によって実現できる。ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスク、着脱型ディスク、CD-ROM、又は本発明の属する技術分野において周知となっている任意の形態のコンピュータ可読記憶媒体に常に存在することもできる。
【0134】
以上、添付の図面を参照しながら本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の技術者は、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施され得ることが理解できる。従って、以上で述べた実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、制限的ではないと理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部が超音波の移動軌跡、超音波照射ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力するステップと、
トランスデューサが前記トランスデューサ制御信号に同期され、前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするステップと、
前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて超音波照射領域に腫瘍の残留の有無を判断し、前記残留が判断された場合、機械学習部が学習した後に、前記制御部が既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積別超音波照射を遂行するステップと、
を含むことを特徴とする超音波発生装置の制御方法。
【請求項2】
前記出力するステップは、
前記制御部が前記超音波の移動軌跡を超音波照射ユニットに設定するステップと、
前記制御部が最大超音波照射ユニットの数及び超音波照射ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を設定するステップと、
前記制御部が1スポット当たりに照射される超音波のパルス数及びスポット間の間隔を設定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項3】
前記スキャニングするステップは、
前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して映像用超音波信号を被写体に送信し、前記被写体から反射される超音波信号を受信して前記被写体に対する映像をスキャニングするステップと、
前記制御部が一定の時間間隔を有する前記トランスデューサ制御信号を生成するステップと、
前記トランスデューサが前記生成されたトランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動するステップと、
高密度焦点式超音波信号が前記既に設定された移動軌跡上において1つの焦点に集束するように前記トランスデューサ内の超音波照射用トランスデューサ部がフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射するステップと、
前記トランスデューサ内の前記映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の超音波照射領域を映像スキャニングするステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項4】
前記スキャニングするステップは、
前記制御部が前記トランスデューサと超音波照射ターゲットとの距離を計算するステップと、
前記制御部が第1制御信号を本体に印加して、前記計算された距離だけ前記本体を並進運動させて超音波照射領域の周辺に前記トランスデューサを移動させるステップと、
前記制御部が第2制御信号を前記本体に印加して、前記トランスデューサを被写体の前記超音波照射ターゲットに向けてウォブリング及び回転させて前記超音波照射ターゲットと整列させるステップと、
前記トランスデューサ内の超音波照射用トランスデューサ部が高密度焦点式超音波信号を前記整列された治療ターゲットの位置にフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射するステップと、
前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の超音波照射領域とを映像スキャニングするステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項5】
前記遂行するステップは、
前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の印加を受けて前記腫瘍の残留の有無を判断するステップと、
前記残留があると判断された場合、前記機械学習部が機械学習手法を通じて残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成し、ビッグデータベースに格納するステップと、
前記制御部が該当部位に対して前記既に学習された腫瘍の残留可能情報を前記ビッグデータベースを通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体を移動させるステップと、
前記本体と連動する前記トランスデューサが上下左右に移動及び回転して前記残留可能位置に対する前記追加の体積別超音波照射を行うステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項6】
前記機械学習手法は、エクストリーム勾配ブースティング手法であることを特徴とする請求項5に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項7】
前記制御部が超音波照射ユニットに設定する移動軌跡の数は、1乃至5本であることを特徴とする請求項2に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項8】
前記制御部は、
超音波照射ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を1乃至7個に設定することを特徴とする請求項2に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項9】
前記制御部は、
1スポット当たりに照射される超音波のパルス数を20乃至50個以内に設定することを特徴とする請求項2に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項10】
前記制御部は、
スポット間の間隔を1乃至5mmに設定することを特徴とする請求項2に記載の超音波発生装置の制御方法。
【請求項11】
超音波の移動軌跡、超音波照射ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力する制御部と、
前記トランスデューサ制御信号に同期され、前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするトランスデューサと、
前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて腫瘍の残留と判断した超音波照射領域に対して機械学習を行い、残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成する機械学習部と、
を含み、
前記制御部は、
前記機械学習部から既に学習された腫瘍の残留可能情報を適用して追加の体積別超音波照射を遂行することを特徴とする超音波発生装置の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記超音波の移動軌跡を第1超音波照射ユニットに設定し、
最大超音波照射ユニットの数及び超音波照射ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を設定し、
1スポット当たりに照射される超音波のパルス数及びスポット間の間隔を設定することを特徴とする請求項11に記載の超音波発生装置の制御装置。
【請求項13】
前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部は、前記制御部の制御に応答して映像用超音波信号を被写体に送信し、前記被写体から反射される超音波信号を受信して前記被写体に対する映像をスキャニングし、
前記制御部は、一定の時間間隔を有する前記トランスデューサ制御信号を生成し、
前記トランスデューサは、前記生成されたトランスデューサ制御信号に同期され、前記既に設定された移動軌跡に沿って移動し、
前記トランスデューサ内の超音波照射用トランスデューサ部は、高密度焦点式超音波信号が前記既に設定された移動軌跡上において1つの焦点に集束するようにフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の超音波照射領域を映像スキャニングすることを特徴とする請求項11に記載の超音波発生装置の制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記トランスデューサと超音波照射ターゲットまでの距離を計算し、第1制御信号を本体に印加して、前記計算された距離だけ前記本体を並進運動させて超音波照射領域の周辺に前記トランスデューサを移動させ、第2制御信号を前記本体に印加して、前記トランスデューサを被写体の前記超音波照射ターゲットに向けてウォブリング及び回転させて前記超音波照射ターゲットと整列させ、
前記トランスデューサ内の超音波照射用トランスデューサ部は、高密度焦点式超音波信号を前記整列された治療ターゲットの位置にフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の超音波照射領域を映像スキャニングすることを特徴とする請求項11に記載の超音波発生装置の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記映像スキャニングされた映像の印加を受けて前記腫瘍の残留の有無を判断し、前記残留があると判断された場合、前記機械学習部が機械学習手法を通じて残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成してビッグデータベースに格納し、該当部位に対して前記既に学習された腫瘍の残留可能情報を前記ビッグデータベースを通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体を移動させ、
前記本体と連動する前記トランスデューサは、上下左右に移動及び回転して前記残留可能位置に対する前記追加の体積別超音波照射を行うことを特徴とする請求項11に記載の超音波発生装置の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波発生装置の制御装置及びその制御方法に関し、特に超音波照射時に複数の超音波照射ユニットを設定して熱重畳現象を誘導し、最初の超音波照射後に残留する腫瘍に対しても機械学習手法を用いて追加の体積別超音波照射を行える超音波発生装置の制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高密度焦点式超音波(High-Intensity Focused Ultrasound;HIFU)を用いた照射方法は、高密度の超音波エネルギーを一箇所に集束させる際に焦点から発生する摂氏65~100℃の高熱を利用して身体内の病変組織を燃焼させて除去する施術である。
【0003】
即ち、診断する際に用いる超音波の強度よりも約10万倍程度に強い超音波を一箇所に集束させると焦点部位から熱が発生するが、この熱を利用して身体内の病変組織を燃焼させて除去できる。
【0004】
超音波自体は人体に無害であり、超音波が集束する焦点からのみ熱が発生するので、外科手術や化学的な治療(Chemotherapy)方式などに比べて患者の外傷を少なく損傷させ、非侵襲的(non-invasive)に身体内の病変を壊死させることができる。
【0005】
これにより、高密度焦点式超音波照射は、膵臓癌、子宮筋腫、肝臓癌などに可能であり、前立腺癌、子宮内膜癌、腎臓癌、乳癌、軟部腫瘍、骨腫瘍などに対しても活発な研究が行われている。
【0006】
特に、嫌気性腫瘍細胞に対してより敏感な破壊効果を有する。
【0007】
ところが、人間の体の自然な熱伝導率及び血液供給により、超音波照射ターゲット領域は、高密度焦点式超音波が加熱されることによって熱を消費する。
【0008】
身体の軟部組織の音響学的及び生物物理学的な平均パラメータから、高密度焦点式超音波による皮下軟部組織(subcutaneous soft tissue)の病変(niduse)を平均最大効果で照射できる深さは数センチメートルになることが知られている。
【0009】
また、高密度焦点式超音波は、照射速度が非常に遅く、中程度の病変に対しても患者にとって超音波の照射に必要な時間を耐えることは難しい。
【0010】
優れた焦点実行を通じてKW-レベル高密度焦点式超音波を安定的に放出できる技術に対する研究は、高密度焦点式超音波で「一回性非侵襲照射」の概念を実現するための鍵となる。
【0011】
これを具現するために、従来の高密度焦点式超音波照射ヘッドは、端部に高密度焦点式超音波トランスデューサを備える。
【0012】
高密度焦点式超音波トランスデューサは、高密度焦点式超音波を放射するように構成される。
【0013】
また、メンブレン(membrane)は、高密度焦点式超音波トランスデューサの高密度超音波放射面を覆うように高密度焦点式超音波トランスデューサに装着される。
【0014】
この状態で、超音波伝達媒質が高密度超音波放射面とメンブレンとの間の収容空間に充填される。
【0015】
一般に、超音波伝達媒質としては、脱気した水が利用されている。
【0016】
なお、高密度焦点式超音波照射ヘッドには、診断映像を獲得するためのイメージングトランスデューサ(imaging transducer)が備えられることができる。
【0017】
このような高密度焦点式超音波照射ヘッドは、患者の上部に位置し、メンブレンを患者の皮膚に接触させた状態で高密度超音波放射面を通じて高密度焦点式超音波を放射する。
【0018】
ところが、人体内の腫瘍の大きさは、多様に発病することがあり、このような病変組織全体を壊死消滅させなければ超音波照射が完了しない。
【0019】
従って、特定の条件なしに治療経路(pathway)に沿って超音波照射を行う場合、体積別超音波照射が行われず、病変組織の体積が大きければ大きいほど超音波照射時間が長くかかる。
【0020】
このような場合、患者に超音波を照射する時間が長くなり、患者に不便を引き起こすだけでなく、超音波照射方法を行う使用者の苦労と疲労度が高くなる恐れがあるという問題があった。
【0021】
一方、人工知能(Artificial Intelligence、AI)は、人間の脳とニューロンネットワークを模倣し、いつかはコンピュータやロボットが人間のように思考して行動するようにする。
【0022】
機械学習(Machine Learning)は、人工知能分野で取り扱う多様な問題を定義し、それを解決する方法論を研究する分野を意味する。
【0023】
人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Network)は、機械学習で用いられるモデルであって、シナプスの結合によりネットワークを形成した人工ニューロン(ノード)で構成される問題解決能力を有するモデル全般を意味し得る。
【0024】
人工ニューラルネットワークは、入力層(Input Layer)、出力層(Output Layer)、及び選択的に1つ以上の隠れ層(Hidden Layer)を含むことができる。
【0025】
機械学習は、学習方式によって教師あり学習(Supervised Learning)、教師なし学習(Unsupervised Learning)、強化学習(Reinforcement Learning)に分類できる。
【0026】
教師あり学習は、学習データに対するラベル(label)が提供された状態で人工ニューラルネットワークを学習させる方法を意味し、ラベルとは、学習データが人工ニューラルネットワークに入力される場合、人工ニューラルネットワークが推論しなければならない正解(又は結果値)を意味し得る。
【0027】
教師なし学習は、学習データに対するラベルが提供されていない状態で人工ニューラルネットワークを学習させる方法を意味し得る。
【0028】
強化学習は、ある環境中で定義されたエージェントが各状態で累積報酬を最大化する行動、又は行動順序を選択するように学習させる学習方法を意味し得る。
【0029】
一般的に、入力から値を計算するニューロンシステムの相互連結で表現され、適応性があり、パターン認識のような機械学習を行える。
【0030】
データから学習する他の機械学習のように、ニューラルネットワークは、一般に規則基盤プログラミングでは解き難いイメージ認識又は音声認識のような多様な範囲の問題を解くのに用いられる。
【0031】
即ち、訓練過程で構成した多数の決定木から部類(分類)又は平均予測値(回帰分析)を出力するランダムフォレスト(random forest)、以前までの誤差を補正するように予測器を順次追加して強い学習器を作るエクストリーム勾配ブースティング(XGBoost)、回帰係数の絶対値をペナルティ項として有し、加重値を「0」にするラッソ回帰(LASSO Regression)のような多様な機械学習手法がイメージ認識などの分野に適用されて優れた性能の機械学習手法が開発されている。
【0032】
そこで、本発明者らは、超音波照射時に複数の超音波照射ユニットを設定して熱重畳現象を誘導し、最初の超音波照射後に残留する腫瘍に対しても機械学習手法を用いて過去に該当超音波照射領域に対して既に学習した腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積別超音波照射を行うことによって、短時間で病変組織全体を安全に壊死させることができる超音波発生装置の制御装置及びその制御方法を発明するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、超音波照射ポイント内に超音波が集束されて照射が行われる複数の超音波照射ユニットを設定して熱重畳現象を誘導し、最初の超音波照射後に残留する腫瘍に対して機械学習手法を用いて追加の体積別超音波照射を行うことによって、短時間で病変組織全体を壊死させることができる超音波発生装置の制御方法を提供することにある。
【0034】
本発明の他の目的は、前記課題を達成するための超音波発生装置の制御装置を提供することにある。
【0035】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限定されず、言及していない他の課題は、後述する記載により通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上述した課題を解決するための本発明の一態様に係る超音波発生装置の制御方法は、制御部が超音波の移動軌跡、超音波照射ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力するステップと、トランスデューサが前記トランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするステップと、前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて超音波照射領域に腫瘍の残留の有無を判断し、前記残留が判断された場合、機械学習部が学習した後に、前記制御部が既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積別超音波照射を行わせるステップとを含むことを特徴とする。
【0037】
前記出力するステップは前記制御部が前記超音波の移動軌跡を1施術超音波照射ユニットに設定するステップと、前記制御部が最大超音波照射ユニットの数及び超音波照射ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を設定するステップと、前記制御部が1スポット当たりに照射される超音波のパルス数及びスポット間の間隔を設定するステップとを含むことを特徴とする。
【0038】
前記スキャニングするステップは前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して映像用超音波信号を被写体に送信し、前記被写体から反射される超音波信号を受信して前記被写体に対する映像をスキャニングするステップと、前記制御部が一定の時間間隔を有する前記トランスデューサ制御信号を生成するステップと、前記トランスデューサが前記生成されたトランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動するステップと、高密度焦点式超音波信号が前記既に設定された移動軌跡上において1つの焦点に集束するように前記トランスデューサ内の超音波照射用トランスデューサ部がフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射するステップと、前記トランスデューサ内の前記映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の超音波照射領域を映像スキャニングするステップとを含むことを特徴とする。
【0039】
前記スキャニングするステップは、前記制御部が前記トランスデューサと超音波照射ターゲットまでの距離を計算するステップと、前記制御部が第1制御信号を本体に印加して、前記計算された距離だけ前記本体を並進運動させて超音波照射領域の周辺に前記トランスデューサを移動させるステップと、前記制御部が第2制御信号を前記本体に印加して、前記トランスデューサを被写体の前記超音波照射ターゲットに向けてウォブリング及び回転させて前記超音波照射ターゲットと整列させるステップと、前記トランスデューサ内の超音波照射用トランスデューサ部が高密度焦点式超音波信号を前記整列された超音波照射ターゲットの位置にフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射するステップと、前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部が前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の超音波照射領域を映像スキャニングするステップとを含むことを特徴とする。
【0040】
前記遂行するステップは、前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の印加を受けて前記腫瘍の残留の有無を判断するステップと、前記残留があると判断された場合、前記機械学習部が機械学習手法を通じて残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成し、ビッグデータベースに格納するステップと、前記制御部が該当部位に対して前記既に学習された腫瘍の残留可能情報を前記ビッグデータベースを通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体を移動させるステップと、前記本体と連動する前記トランスデューサが上下左右に移動及び回転して前記残留可能位置に対する前記追加の体積別超音波照射を行うステップとを含むことを特徴とする。
【0041】
前記機械学習手法は、エクストリーム勾配ブースティング手法であることを特徴とする。
【0042】
前記制御部が超音波照射ユニットに設定する移動軌跡の数は1乃至5本であることを特徴とする。
【0043】
前記制御部が超音波照射ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を1乃至7個に設定することを特徴とする。
【0044】
前記制御部1スポット当たりに照射される超音波のパルス数を20乃至50個以内に設定することを特徴とする。
【0045】
前記制御部スポット間の間隔を1乃至5mmに設定することを特徴とする。
【0046】
前記他の課題を解決するための本発明の他の側面に係る超音波発生装置の制御装置は、超音波の移動軌跡、超音波照射ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、対応するトランスデューサ制御信号を出力する制御部と、前記トランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記照射されたスポットに対して映像スキャニングするトランスデューサと、前記制御部が前記映像スキャニングされた映像の伝送を受けて腫瘍の残留と判断した超音波照射領域に対して機械学習を行い、残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成する機械学習部とを含み、前記制御部は、前記機械学習部から既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積別超音波照射を行わせることを特徴とする。
【0047】
前記制御部は、前記超音波の移動軌跡を第1超音波照射ユニットに設定し、最大超音波照射ユニットの数及び超音波照射ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を設定し、1スポット当たりに照射される超音波のパルス数及びスポット間の間隔を設定することを特徴とすることができる。
【0048】
前記トランスデューサ内の映像獲得用トランスデューサ部は、前記制御部の制御に応答して映像用超音波信号を被写体に送信し、前記被写体から反射される超音波信号を受信して前記被写体に対する映像をスキャニングし、前記制御部は、一定の時間間隔を有する前記トランスデューサ制御信号を生成し、前記トランスデューサは、前記生成されたトランスデューサ制御信号に同期され前記既に設定された移動軌跡に沿って移動し、前記トランスデューサ内の超音波照射用トランスデューサ部は、高密度焦点式超音波信号が前記既に設定された移動軌跡上において1つの焦点に集束するようにフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の超音波照射領域を映像スキャニングすることを特徴とすることができる。
【0049】
前記制御部は、前記トランスデューサと超音波照射ターゲットまでの距離を計算し、第1制御信号を本体に印加して、前記計算された距離だけ前記本体を並進運動させて超音波照射領域の周辺に前記トランスデューサを移動させ、第2制御信号を前記本体に印加して、前記トランスデューサを被写体の前記超音波照射ターゲットに向けてウォブリング及び回転させて前記超音波照射ターゲットと整列させ、前記トランスデューサ内の超音波照射用トランスデューサ部は、高密度焦点式超音波信号を前記整列された治療ターゲットの位置にフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射し、前記制御部の制御に応答して前記照射された1つ以上のスポットと周囲の超音波照射領域を映像スキャニングすることを特徴とすることができる。
【0050】
前記制御部は、前記映像スキャニングされた映像を適用して前記腫瘍の残留の有無を判断し、前記残留があると判断された場合、前記機械学習部が機械学習手法を通じて残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成してビッグデータベースに格納し、該当部位に対して前記既に学習された腫瘍の残留可能情報を前記ビッグデータベースを通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体を移動させ、前記本体と連動する前記トランスデューサは、上下左右に移動及び回転して前記残留可能位置に対する前記追加の体積別超音波照射を行うことを特徴とすることができる。
【0051】
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0052】
本発明によって、超音波照射時に発生する熱の拡散及び重畳現象を用いて、超音波ポイントの移動軌跡上において最初のポイントから発生する熱が3次元立体の形態で拡散し、最後の超音波ポイントまで維持されることによって、短時間で病変組織を壊死させることができる体積別超音波照射が可能になる。
【0053】
また、最初の超音波照射で病変組織全体が完全に壊死できない場合にも、超音波照射領域における腫瘍の残留の有無を判断し、機械学習手法を用いて追加の体積別超音波照射を行うことによって、病変組織全体を安全に壊死させることができる。
【0054】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及していない更に他の効果は、後述する記載により通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御装置のブロック図である。
図2】本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御方法の全体的な動作を説明するフローチャートである。
図3】本発明の一実施例に係る超音波発生装置内のトランスデューサのウォブリング動作を説明する概略的な構成図である。
図4図3に示す超音波発生装置の制御装置の超音波スポット距離調整動作を説明する概略的な構成図である。
図5図3に示す超音波発生装置内のトランスデューサのウォブリング動作を通じて移動軌跡に沿って3次元上にフォーカシングして複数の熱的病変を形成する実施例を順次示す構成図である。
図6図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S100)の細部的な動作を説明するフローチャートである。
図7図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S200)の細部的な第1動作を説明するフローチャートである。
図8図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S200)の細部的な第2動作を説明するフローチャートである。
図9図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S300乃至S500)の細部的な動作を説明するフローチャートである。
図10図5に示す実施例に係るトランスデューサのウォブリング動作を通じて移動軌跡に沿って形成された複数の熱的病変の熱重畳現象を示す図である。
図11】本発明の実施例によって実際の体積による超音波照射時に設定された移動軌跡と超音波が照射された複数のポイントが表示された超音波写真である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の利点及び特徴、およびそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。
【0057】
しかし、本発明は、以下で開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現できる。但し、本実施例は本発明の開示を完全なものにし、本発明の属する技術分野における通常の技術者に本発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇により定義されるに過ぎない。
【0058】
本明細書で用いられた用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。明細書全体に亘って同一の図面符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は言及された構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために用いられていても、これらの構成要素は、これらの用語により制限されないのはもちろんである。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いる。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得るのは言うまでもない。
【0059】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0060】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「真下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図示されているように、1つの構成要素と他の構成要素との相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は図示されている方向に加えて使用時又は動作時に構成要素の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図示されている構成要素をひっくり返す場合、他の構成要素の「下(below)」又は「真下(beneath)」と記述されている構成要素は、他の構成要素の「上(above)」に置かれることができる。従って、例示的な用語である「下」は、下と上の方向を何れも含むことができる。構成要素は他の方向にも配向されることができ、これにより空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0061】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0062】
図1は、本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御装置のブロック図であって、超音波照射ヘッド100、制御部200、機械学習部300及びビッグデータベース400を含む。
【0063】
図2は、本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御方法の全般的な動作を説明するフローチャートである。
【0064】
図3は、本発明の一実施例に係る超音波発生装置内のトランスデューサのウォブリング動作を説明する概略的な構成図であって、超音波照射ヘッド100及び制御部200を含む。
【0065】
超音波照射ヘッド100は、本体110及びトランスデューサ120を含み、トランスデューサ120は、映像獲得用トランスデューサ部及び超音波照射用トランスデューサ部を含む。
【0066】
映像獲得用トランスデューサ部は、被写体の治療領域に対する映像をスキャニングするために映像用超音波信号を送受信し、超音波照射用トランスデューサ部は、高密度焦点式超音波信号を超音波照射領域内の一箇所の焦点に集束するようにフォーカシングして熱的病変を形成する。
【0067】
図1乃至図3を参照しながら、本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御方法の動作を概略的に説明すると、以下の通りである。
【0068】
まず、制御部200が超音波の移動軌跡、超音波照射ユニット及びスポットのうちの何れか1つ以上に関する基本情報を設定し、これに対応するトランスデューサ制御信号を出力する(S100)。
【0069】
ここで、移動軌跡は、超音波が照射されるスポットを連続的に連結した線、超音波照射ユニットは、超音波照射が行われる移動軌跡の最小単位、スポットは、超音波照射部位中に超音波が照射されることによって生じる明るい領域を意味する。
【0070】
即ち、制御部200が超音波の照射される移動軌跡を超音波照射ユニットに設定し(S110)、最大超音波照射ユニットの数及び超音波照射ユニット当たりに照射される超音波のスポット数を設定し(S120)、1スポット当たりに照射される超音波のパルス数及びスポット間の間隔を設定する(S130)。
【0071】
次に、トランスデューサ120が制御部200のトランスデューサ制御信号に同期され制御部200で既に設定された移動軌跡に沿って移動しながら1つ以上のスポットに超音波を照射し、照射されたスポットに対して映像スキャニングする(S200)。
【0072】
即ち、トランスデューサ120内の映像獲得用トランスデューサ部が制御部200の制御に応答して映像用超音波信号を被写体に送信し、被写体から反射される超音波信号を受信して被写体に対する映像をスキャニングする(S210)。
【0073】
また、制御部200が一定の時間間隔を有するトランスデューサ制御信号を生成すると(S220)、トランスデューサ120が制御部200から生成されたトランスデューサ制御信号に同期され制御部200で既に設定された移動軌跡に沿って移動する(S230)。
【0074】
その後、高密度焦点式超音波信号が制御部200で既に設定された移動軌跡上において1つの焦点に集束するようにトランスデューサ120内の超音波照射用トランスデューサ部がフォーカシングして1つ以上のスポットに超音波を照射(S240)し、トランスデューサ120内の映像獲得用トランスデューサ部が制御部200の制御に応答して照射された1つ以上のスポットと周囲の超音波照射領域を映像スキャニングする(S250)。
【0075】
次に、制御部200がトランスデューサ120で映像スキャニングされた映像の伝送を受けて超音波照射領域に腫瘍の残留の有無を判断し、腫瘍の残留が判断された場合、機械学習部300が学習した後に、制御部200が既に学習された腫瘍の残留可能情報の印加を受けて追加の体積別超音波照射を行わせる(S300)。
【0076】
即ち、制御部200がトランスデューサ120で映像スキャニングされた映像の印加を受けて腫瘍の残留の有無を判断する(S310)。
【0077】
もし、腫瘍の残留がないと判断された場合(S320)、超音波照射動作を終了し(S330)、残留があると判断された場合、機械学習部300が機械学習手法を通じて残留可能な腫瘍の予想される3次元位置及び大きさに対する腫瘍の残留可能情報を生成し、ビッグデータベース400に格納する(S410)。
【0078】
その後、制御部200が該当部位に対して既に学習した腫瘍の残留可能情報をビッグデータベース400を通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体を移動させ(S510)、本体と連動するトランスデューサ120が上下左右に移動及び回転して残留可能位置に対する追加の体積別超音波照射を行う(S520)。
【0079】
図4は、図3に示す超音波発生装置の制御装置の超音波スポット距離調整動作を説明する概略的な構成図であって、超音波照射ヘッド100及び制御部200を含む。
【0080】
超音波照射ヘッド100は、本体110及びトランスデューサ120を含み、トランスデューサ120は、映像獲得用トランスデューサ部及び超音波照射用トランスデューサ部を含む。
【0081】
図5は、図3に示す超音波発生装置内のトランスデューサのウォブリング動作を通じて移動軌跡に沿って3次元上にフォーカシングして複数の熱的病変を形成する実施例を順次示す構成図であって、本体110及びトランスデューサ120を含む。
【0082】
図6は、図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S100)の詳細な動作を説明するフローチャートである。
【0083】
図7は、図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S200)の詳細な第1動作を説明するフローチャートである。
【0084】
図8は、図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S200)の詳細な第2動作を説明するフローチャートである。
【0085】
図9は、図2に示す超音波発生装置の制御方法のうちステップ(S300乃至S500)の詳細な動作を説明するフローチャートである。
【0086】
図10は、図5に示す実施例に係るトランスデューサのウォブリング動作を通じて移動軌跡に沿って形成された複数の熱的病変の熱重畳現象を示す図である。
【0087】
図11は、本発明の実施例によって実際の体積による超音波照射時に設定された移動軌跡と超音波が照射された複数のポイントが表示された超音波写真である。
【0088】
図1乃至図11を参照しながら、本発明の一実施例に係る超音波発生装置の制御方法の有機的な動作を詳細に説明すると、以下の通りである。
【0089】
図3を参照すると、トランスデューサ120内の映像獲得用トランスデューサ部は、映像用超音波信号を被写体に送信し、被写体から反射される超音波信号を受信することによって被写体に対する映像をスキャニングし、超音波照射用トランスデューサ部は、高密度焦点式超音波信号が超音波照射領域内の1つの焦点に集束するようにフォーカシングして熱的病変(thermal lesion)を形成する。
【0090】
即ち、超音波照射ヘッド100のトランスデューサ120がウォブリング軸を中心にウォブリングしながら被写体の超音波照射領域を3次元で映像スキャニングし、超音波照射領域に高密度焦点式超音波信号を4次元でフォーカシングして複数の熱的病変を形成する。
【0091】
例えば、図3に示すように、トランスデューサ120が移動軌跡(時計回り又は反時計回り)に沿って被写体の超音波照射領域内の超音波照射ターゲット10a、10b、10c、10dに高密度焦点式超音波信号が集束するようにフォーカシングして4つの熱的病変を形成できる。
【0092】
図4を参照すると、制御部200は、トランスデューサ120を電子的に制御して被写体の超音波照射領域に照射される超音波スポットの距離を調整する。
【0093】
例えば、トランスデューサ120と超音波照射ターゲット20a、20b、20cまでの距離を計算し、計算された距離の超音波照射ターゲットに高密度焦点式超音波信号をフォーカシングするように電子的にトランスデューサ120の位置を調整できる。
【0094】
制御部200が超音波照射領域の周辺に超音波照射ヘッド100を移動させた後に、超音波照射ヘッド100のトランスデューサ120を精密に機械的に調整(ウォブリング及び回転)して超音波照射領域に対する3次元の映像スキャニング及び4次元のフォーカシングを通じた超音波照射を行わせる。
【0095】
例えば、制御部200は、第1制御信号を超音波照射ヘッド100に印加して超音波照射ヘッド100の本体110を計算された距離だけ並進運動させて、体内の超音波照射領域の周辺にトランスデューサ120を移動させる。
【0096】
その後、第2制御信号を超音波照射ヘッド100に印加してトランスデューサ120を被写体の超音波照射ターゲットに向けてウォブリング及び回転させて超音波照射ターゲットと整列させた後、映像獲得用トランスデューサ部が被写体の3次元の映像をスキャニングするか、超音波照射用トランスデューサ部が超音波照射領域に高密度焦点式超音波信号を4次元でフォーカシングする。
【0097】
このとき、被写体の3次元の映像をスキャニングする理由は、最初の超音波照射で病変組織全体が完全に壊死できない場合が発生し得るが、これに備えて制御部200がトランスデューサ120内の映像獲得用トランスデューサ部でスキャニングされた被写体の3次元の映像の印加を受けて超音波照射領域に腫瘍がまだ残留しているか否かを確認するためである。
【0098】
前記実施例では、制御部200がトランスデューサ120を電子的に制御して超音波スポットの距離を調整するものと例示したが、トランスデューサ120を機械的に制御することもできる。
【0099】
図6を参照すると、制御部200が、超音波が照射される移動軌跡(pathway)の1本を超音波照射ユニットに設定したと仮定する。
【0100】
制御部200は、一定の時間間隔、エネルギー量及びON/OFF時間のうちの何れか1つ以上を有する複数のパルスを生成し、腫瘍の大きさなどによって設定される音響電力(Acoustic power)、超音波処理時間(sonication time)などを決定して、これに対応するトランスデューサ制御信号を出力する。
【0101】
トランスデューサ120は、制御部200のトランスデューサ制御信号に応答して、既に設定された超音波照射ユニット当たりの移動軌跡(pathway)に沿って移動しながら生成されたトランスデューサ制御信号に同期され一定の時間間隔で1つ以上のスポットに超音波を照射する。
【0102】
このとき、本発明は、熱重畳現象を用いて短時間で病変組織全体を壊死させるために、次の条件に従う超音波照射を行う。
【0103】
即ち、制御部200は、超音波が照射される移動軌跡(pathway)の1本を超音波照射ユニットに設定し、最大超音波照射ユニットの数は10本に設定する。
【0104】
但し、超音波が6本以上に照射される場合、やけどの危険があるので、1乃至5本が好ましい。
【0105】
特に、子宮筋腫に超音波を照射する場合、最大超音波照射ユニットの数は1乃至4本が最も好ましい。
【0106】
ここで、制御部200は、プロセッサ(Processor)、コントローラ(controller)、マイクロコントローラ(microcontroller)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコンピュータ(microcomputer)などとも称することができ、ハードウェア(hardware)又はファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はこれらの結合によって具現できる。
【0107】
トランスデューサ120は、制御部200の制御に応答して、超音波照射ユニット当たりに1乃至10スポットに照射する。
【0108】
但し、超音波が8スポット以上に照射される場合、やけどの危険があるので、1乃至7スポットが好ましい。
【0109】
特に、子宮筋腫に超音波を照射する場合、超音波照射ユニット当たりに照射される超音波のスポット数は、5スポットが最も好ましい。
【0110】
超音波のスポット数の範囲は、病変の大きさによって調節することができる。
【0111】
トランスデューサ120は、1スポット当たりに5乃至50パルスの超音波を照射する。
【0112】
1スポット当たりに照射される超音波のパルス数は、20乃至50個以内が好ましく、子宮筋腫に超音波を照射する場合、35乃至45個以内が最も好ましい。
【0113】
トランスデューサ120は、1パルス当たりに20乃至70Jのエネルギーを有する超音波を照射する。
【0114】
超音波スポットのエネルギー量は、30乃至60Jが好ましく、子宮筋腫に超音波照射する場合、40乃至60Jが最も好ましい。
【0115】
トランスデューサ120で超音波が照射されるON/OFF時間において、ON時間は1乃至1500ms、OFF時間は3乃至20msであることが好ましい。
【0116】
照射されるON時間は、1乃至1000ms以内が好ましく、OFF時間は、5乃至15msが好ましい。
【0117】
トランスデューサ120は、一定の時間間隔をおいて超音波を照射する。
【0118】
各スポット間の間隔は0.1乃至10mm以内であり、1乃至5mmが好ましく、子宮筋腫に超音波を照射する場合、1.5乃至2.5mmが最も好ましい。
【0119】
また、前記条件に従って超音波を正確に照射したとしても、最初の超音波照射で病変組織全体が完全に壊死できない場合が発生し得る。
【0120】
これに備えて、本発明は、機械学習部300がエクストリーム勾配ブースティング(XGBoost)などのような機械学習手法を用いて最初の超音波照射での誤差を補正するように予測器を順次追加できる。
【0121】
即ち、最初の超音波照射後に制御部200は、腫瘍がまだ残留しているか否かを判断する。
【0122】
もし、腫瘍が全て壊死して残留していないと判断された場合には、超音波照射動作を終了する。
【0123】
一方、腫瘍が全て壊死せず残留していると判断された場合には、機械学習部300がエクストリーム勾配ブースティング(XGBoost)などの機械学習手法を用いて機械学習を行う。
【0124】
即ち、最初の超音波照射過程での誤差(腫瘍の残留)を補正して、腫瘍が全部壊死するように残留可能な腫瘍の予想される3次元の位置及び大きさなどの腫瘍の残留可能情報を順次追加することによって、該当超音波照射部位の超音波照射ターゲットの周辺に腫瘍が残留できる腫瘍の残留可能情報を正確に判断し、ビッグデータベース400に格納する。
【0125】
また、制御部200は、エクストリーム勾配ブースティング手法を通じて過去に該当部位に対して既に学習した腫瘍の残留可能情報を、ビッグデータベース400を通じて印加を受けて腫瘍の残留可能位置に本体110を移動させる。
【0126】
これにより、本体110と連動するトランスデューサ120が上下左右に移動及び回転して残留可能位置に対する追加の体積別超音波照射を行う。
【0127】
図10を参照すると、円は、超音波を照射するポイントを意味し、XYZ軸方向の矢印は、トランスデューサ120が超音波照射時に発生する熱の拡散方向を意味する。
【0128】
移動軌跡に沿って超音波を照射する場合、例えば、5つの各ポイントから発生する熱の拡散が重なり、超音波照射が完了する
【0129】
これにより、本発明は、移動軌跡上において最初のポイントP1から発生する熱が4Dで重畳及び拡散され、温度が最後のポイントP5まで維持されることによって、短時間で病変組織全体壊死するように体積によって超音波を照射できる
【0130】
このとき、熱が3Dに重畳及び拡散する理由は、トランスデューサ120が上下左右に移動及び回転しながら追加の体積による超音波照射を4次元的にリアルタイムに移動して行うためである。
【0131】
図11を参照すると、実際の体積による超音波照射時に設定された移動軌跡は、写真の右下の黒地に線Tで表示され、超音波が照射された複数のポイントは、点Pで表示される。
【0132】
このとき、移動軌跡である線の角度は、大きな病変の場合に大きくなり、小さな病変の場合に狭い領域に集中して超音波照射するために小さく設定されることができる。
【0133】
このように、本発明は、超音波照射ポイント内に超音波が集束されて超音波照射が行われる複数の超音波照射ユニットを設定して熱重畳現象を誘導し、最初の超音波照射後に残留する腫瘍に対して機械学習手法を用いて追加の超音波照射を行うことによって、短時間で病変組織全体を壊死させることができる装置超音波発生装置の制御装置及びその制御方法を提供する。
【0134】
これにより、本発明は、超音波照射時に発生する熱の拡散及び重畳現象を用いて、超音波ポイントの移動軌跡上において最初のポイントから発生する熱が3次元の立体の形態で拡散し、最後の超音波ポイントまで維持されることによって、短時間で病変組織壊死するように体積によって超音波を照射できる
【0135】
また、最初の超音波照射で病変組織全体が完全に壊死できない場合にも、超音波照射領域における腫瘍の残留の有無を判断し、機械学習手法を用いて追加の体積別超音波照射を行うことによって、病変組織全体を安全に壊死させることができる。
【0136】
本発明の実施例に関連して説明された方法又はアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接具現するか、ハードウェアによって実行されるソフトウェアモジュールで実現するか、それらの結合によって実現できる。ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスク、着脱型ディスク、CD-ROM、又は本発明の属する技術分野において周知となっている任意の形態のコンピュータ可読記憶媒体に常に存在することもできる。
【0137】
以上、添付の図面を参照しながら本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の技術者は、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施され得ることが理解できる。従って、以上で述べた実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、制限的ではないと理解すべきである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9
【国際調査報告】