IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エンドー ユーブイ テックの特許一覧

特表2024-539510管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法
<>
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図1A
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図1B
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図2A
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図2B
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図3
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図4A
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図4B
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図4C
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図5
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図6
  • 特表-管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/067 20060101AFI20241018BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20241018BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20241018BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61F 2/95 20130101ALN20241018BHJP
【FI】
A61N5/067
A61N5/06 B
A61M25/10 550
A61M25/00 540
A61M1/00 160
A61F2/95
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548513
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2021056347
(87)【国際公開番号】W WO2023069118
(87)【国際公開日】2023-04-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524153972
【氏名又は名称】エンドー ユーブイ テック
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,ブラント,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ヴァースト,ヘンリー,ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4C077
4C082
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA30
4C077DD16
4C077EE04
4C082RA10
4C082RC08
4C082RE18
4C082RE23
4C082RE40
4C082RG03
4C082RG05
4C082RL06
4C082RL07
4C267AA03
4C267AA05
4C267AA09
4C267BB02
4C267BB27
4C267BB38
4C267BB40
4C267BB48
4C267CC09
4C267CC12
4C267EE01
4C267HH08
(57)【要約】
記載されるのは、管状の解剖学的構造を拡張するための方法及び装置である。装置及び方法は、外部又は逆円錐形先端を有する光ファイバによって送達される紫外線(UV)レーザービームを使用して、閉塞された動脈の内側壁を同心状に照射することにより、哺乳動物の動脈内の血液凝塊を抽出するのに有用であり得る。拡張は、UVレーザー光が内側動脈壁上にリングビームとして投射されるとき、動脈壁を覆う細胞からの一酸化窒素の光物理的生成及び放出から生じる。この「最小接触持続的拡張システム」は、摩擦の減少及び化学的接合の分解のため、血栓除去術によるより安全な機械的抽出に向けて動脈を準備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UVレーザー光を搬送するための溶融シリカ光ファイバであって、遠位端を有し、前記遠位端は、円錐形ビームとして前記UVレーザー光を放出することができる逆円錐体として構成される、溶融シリカ光ファイバ。
【請求項2】
UVレーザー光の前記放出された円錐形ビームは、リング形状又は環状構成で管状の解剖学的構造の内側壁上に衝突する、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項3】
前記光ファイバの前記遠位端は、前記光ファイバの前記遠位端に結合され、及びそれと光通信する先端を含み、前記先端は、円錐形ビームとして前記UVレーザー光を放出することができる逆円錐体として構成される、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記光ファイバの前記遠位端に結合された前記先端は、ダイヤモンドである、請求項3に記載の光ファイバ。
【請求項5】
前記光ファイバの中心長手方向軸から約14°~最大で56°の放出角度βで環状ビームを水中に放出することができる、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項6】
UVレーザー光を使用して管状の解剖学的構造を拡張するための拡張システムであって、光ファイバと、UVレーザー光源とを含み、前記光ファイバは、形状が円錐形であり、及び円錐形ビームとして前記UVレーザー光を放出することができる遠位端を有する、拡張システム。
【請求項7】
バルーンカテーテルを含む、請求項6に記載の拡張システム。
【請求項8】
前記光ファイバは、前記バルーンカテーテル内でセンタリングされる、請求項7に記載の拡張システム。
【請求項9】
前記光ファイバは、逆円錐体として構成された遠位端を有する、請求項6に記載の拡張システム。
【請求項10】
前記光ファイバは、外部突出円錐体として構成された遠位端を有し、前記遠位端は、前記光ファイバの中心長手方向軸から最大で71.5°の放出角度βで環状ビームを水中に放出することができる、請求項6に記載の拡張システム。
【請求項11】
前記光ファイバは、前記光ファイバに結合され、及びそれと光通信する先端を含み、前記先端は、円錐形の形状として構成される、請求項6に記載の拡張システム。
【請求項12】
血栓除去装置を含む、請求項6に記載の拡張システム。
【請求項13】
患者の身体内の管状の解剖学的構造を拡張する方法であって、
- カテーテルハウジング、UVレーザー光源からのUVレーザー光を搬送するための光ファイバを含む拡張システムを提供することであって、前記光ファイバは、円錐形構成を有する遠位端を有する、提供すること、
- 平滑筋細胞内の亜硝酸塩(NO )の貯蔵部からの一酸化窒素(NO・)の生成及び放出を刺激するために、前記管状の解剖学的構造の内側壁の前記平滑筋細胞上に環状ビームとしてUVレーザー光エネルギーを前記光ファイバの前記遠位端から放出することであって、それにより、前記一酸化窒素は、平滑筋の弛緩及び前記管状の解剖学的構造の拡張を引き起こす、放出すること
を含む方法。
【請求項14】
患者の身体内の前記解剖学的構造は、解剖学的導管、解剖学的管又は細管、血管、細気管支、尿管及び脈管から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
血栓除去装置を用いる血管内血栓除去手順で適用され、
動脈内の凝塊の約1~10血管直径以内において、及び前記動脈の直径内でセンタリングされた状態で前記UV光ファイバを位置決めするステップと、
平滑筋細胞内の亜硝酸塩(NO )の貯蔵部からのNO・の生成を刺激するために、前記動脈の内側壁上の前記平滑筋細胞上にレーザービームとしてUV光エネルギーのバーストを放出するステップであって、それにより前記動脈の拡張が生じる、ステップと、
前記凝塊を除去するステップと
を更に含む、請求項13に記載の患者の身体内の管状の解剖学的構造を拡張する方法。
【請求項16】
前記光ファイバは、バルーンカテーテルを使用してセンタリングされる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
バルーンカテーテルは、UV光に対して透過性である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記UV光は、前記凝塊から約1~約4血管直径以内で動脈壁上に導かれる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記UV光は、50ナノ秒パルス幅を超える5~25kHzの高周波数において、又は約10ピコ秒パルス幅の疑似連続100MHzビームとして、又は少なくとも2秒及び最大で10秒にわたる連続方形波としてパルス化される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記UV光は、約180~400nmの波長で放出される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記UV光は、約300~400nmの波長で放出される、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記UV光は、355nmで光を放出する周波数三倍化Nd:YAGレーザーを使用して放出される、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記UV光の入射強度は、約3~約20ワット/平方センチメートルである、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記血栓除去装置は、吸引カテーテルである、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記血栓除去装置は、ステントリーバーである、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記円錐形先端は、逆円錐体として構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項27】
前記円錐形先端は、反転又は外部突出円錐体として構成される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、管状の解剖学的構造を覆う平滑筋細胞からの一酸化窒素の放出を光物理的に刺激し、構造の弛緩(半径方向の膨張)をもたらすために紫外線(UV)レーザー光を使用する、管又は細管、動脈、細気管支、尿管、脈管などの管状の解剖学的構造の拡張に関する。より詳細には、本発明は、UV光の環状ビームを管状の解剖学的構造の内側表面に導くための円錐形先端を有する光ファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、閉塞性障害の治療のために4つのタイプの方式が使用されている。これらは、
(1)切除又は光音響衝撃のいずれかによって血栓又は塞栓を崩壊させるための高強度パルス化レーザーの使用(直接的超音波も使用される)、
(2)アテロームによって収縮した血管腔を物理的に拡大するためのカテーテル法、血管形成及びステント留置、
(3)多くの場合、再血栓症を防止するための血小板阻害剤(抗血小板剤とも称される)の投与が続く、血栓を化学的に分解するための血栓溶解剤又は血栓除去剤の投与、及び
(4)閉塞性血栓が機械的抽出によって除去され、従って血流を回復させる血栓除去術
を含む。
【0003】
これらの現在利用可能な方法のそれぞれは、血管壁に対する潜在的に有害な影響と関連付けられる。例えば、内皮損傷は、現在、血栓除去術中に不可避であり、いくつかの状況では回復の乏しい効能又は疑わしい品質を提供する。
【0004】
現在、専用の臨床環境で血管閉塞を除去するために、2つの方法:
(1)負圧が凝塊に対して近位に印加される吸引、及び
(2)膨張したワイヤのメッシュネットワークが凝塊に対して遠位に配備され、レトリーバーが後退したときにメッシュ内への凝塊の直接的な統合をもたらし、従って凝塊が除去される、ステントレトリーバー(ステントリーバー)による抽出
は、十分に有用であると見なされている。
【0005】
吸引又はステントリーバー法のいずれも、異なるが、特徴的な方式で動脈内皮及び動脈壁層を損傷し得、これは、動脈の構造及び機能における将来のマイナスの結果を示唆している。これまで、特に通常の抗血栓性内皮に対する局所又は周辺損傷について特に考慮することなく、これらの機械的手段による凝塊の迅速な除去に主な焦点が置かれている。これらの方法に対するすべての改良は、装置の1回の適用(パス)によって凝塊全体を除去するための努力における吸引吸込効率又は凝塊とのステントリーバーの統合性における機械的改善に厳密に限定されている。動脈閉塞の除去における血栓除去術の明確な最近の成功にも関わらず、これらの現在の手順は、完全なものではない。動脈内皮は、凝塊抽出時に機械的摩擦によって損傷され得る。血管の破裂は、吸引カテーテル又はステントリーバーなど、現在使用されている介入手順の任意のものの既知のリスクであり、カテーテル挿入時に特に分岐動脈への入口にアクセスするときに動脈壁穿孔が発生し得る。更に、血栓除去術後の患者の回復は、特に行動面でかなり乏しい。患者の約60%は、残留損傷の兆候を呈するが、これが関心領域となったのは、最近に過ぎず、なぜなら、開業医の主な焦点は、凝塊抽出の専門的方法に置かれてきたためである。これに関連して、抽出が非効率的である(最大で5回のパスを必要とし、従って血管壁とのはるかに大きい機械的相互作用を必要とする)場合に回復が危うくなる。
【0006】
これまで既知の手順から生じる損傷及びリスク問題に対処する方法が提案されている。例えば、米国特許第6,539,944号は、動脈内の閉塞性血栓を分解するための更なる薬剤を伴う又は伴わない紫外線(UV)レーザー光の使用について記載している。換言すれば、UVレーザー光自体は、その動脈壁内の照射された平滑筋細胞から分泌されたとき、隣接する血小板集合体を不安定化させるフリーラジカルであるトロンビン抑制因子、一酸化窒素(NO・)の光物理的生成を用いて血栓の分解を促進するように使用される。この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当技術分野で必要とされているのは、解剖学的構造に対する損傷を軽減及び最小化し、医療手順を経験するときの患者に対する結果的な有害性のリスクを引き下げつつ、患者の治療時、平滑筋細胞を含む管状の解剖学的構造を拡張するための装置及び方法である。これは、本発明による拡張システムで実施され得る。好ましくは、本発明のシステムは、システムの機械装置と、拡張される解剖学的構造との接触を最小化し、それにより最小接触拡張システムを提供し得る。例えば、UVレーザー光及び非機械的圧力が、閉塞された動脈の拡張を直接誘発するこのようなシステムによって準備される場合、より少ない内皮損傷を伴ってより容易に吸引カテーテル、ステントリーバー又は他の機械的な血栓抽出装置を使用する血栓除去術が実現され得る。後に配備される血栓除去装置のためのこの方式による動脈の準備は、凝塊の後退前、その間及びその後の摩擦及び化学的接合の低減と、従って動脈壁に対するより少ない機械的損傷とを促進する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の簡単な概要
本発明は、出血性脳卒中を伴う血管痙攣を無効にするか、又は血管系からの血液凝塊(血栓)の除去を促進するために、動脈壁に対して環状レーザービームの形態でUV光を送達することができる光ファイバを使用した動脈の拡張に特に有用である。環状形状を生成し、レーザービームを管状の解剖学的構造の内側壁に送達するために、円錐形の先端を有する光ファイバを使用して管状の解剖学的構造を拡張する方法も本発明の一部である。
【0009】
装置及び方法は、部分的又は完全に閉塞された動脈に対して実行される血栓除去手順において、脳卒中、心筋梗塞及び他の欠陥閉塞性障害、特に脳の血管系内に形成された血栓の治療に特に適用可能であり得る。これは、「早期脳損傷」の発現として出血性脳卒中で発生することが知られている遠位微小血管血栓を分解するのにも適用可能であり得る。
【0010】
従って、本発明は、UVレーザー光を搬送するための溶融シリカ光ファイバを含み、光ファイバは、遠位端を有し、遠位端は、両方とも円錐形ビームとしてUVレーザー光を放出することができる逆円錐体(即ち負の円錐形レンズ)又は反転円錐体として構成される。UVレーザー光の放出された円錐形ビームは、リング形状又は環状構成で管状の解剖学的構造の内側壁上に衝突する。
【0011】
光ファイバの円錐形遠位端は、光ファイバ自体とは別個であり、即ちその一部分ではない先端として提供され得るが、先端が光ファイバと光通信するように、光ファイバの遠位端に光学的に結合、好ましくは物理的に結合され、及びそれと隣接する。好ましくは、先端は、円錐形ビームとしてUVレーザー光を放出することができる反転円錐体として形成された遠位端を有するように構成される。
【0012】
好ましくは、本発明の光ファイバ又はそれに結合される先端は、円錐形ビームの放出を最適化するためにその遠位端にダイヤモンドを含み得、例えば、ビームのサイズ、形状、放出角度又は強度は、先端のための材料としてのダイヤモンド又は酸化ジルコニウムなどのダイヤモンド様材料の使用によって変更及び更に改善され得る。代わりに、先端は、紫外線透過性の高屈折率特殊プラスチックからも構成され得る。
【0013】
本発明の光ファイバ先端の好適な一実施形態は、光ファイバの中心長手方向軸から最大で56°の放出角度βで環状ビームを水中に放出することができる逆円錐体(例えば、負のアキシコン)の形状を有する。反転円錐形先端は、最大で71.5°の角度βで光を放出し得る。これらの角度は、必然的に近似値であり、なぜなら、レーザービームの自然な角拡散が全内部反射の臨界角を超過し、それによりビームパワーのある程度の部分が減少され得るためである。
【0014】
スネルの法則によって許容される角度が大きいほど、照射された表面上のリングビームの投射は、レーザー強度の対応する増大を伴って薄くなる。好ましくは、逆円錐形先端は、光ファイバの中心長手方向軸から20°~56°の放出角度βで環状ビームを水中に放出することができ、外部円錐体により、放出角度範囲の限度は、71.5°である。この放出の角度により、本発明の光ファイバ又は先端は、管状の解剖学的構造の内側壁上に環状ビームを放出することができる。
【0015】
本発明は、UVレーザー光を搬送するための光ファイバを用いるシステムとして変更された血栓除去術カテーテルを含む拡張システムに更に関し、光ファイバは、遠位端を有するか又はその遠位端に先端を含み、光ファイバ又は先端は、UVレーザー光を円錐形ビームとして放出するために円錐形形状で構成される。本発明の光ファイバを含む拡張システムは、逆(内側に突出する)円錐体又は外部突出円錐体として構成された光ファイバの遠位端又は先端を有し得る。本発明の光ファイバを含む拡張システムは、吸引血栓除去術カテーテル又はステントリーバーを使用して用いられ得る。好ましくは、本発明の拡張システムは、拡張された解剖学的構造との物理的接触を最小化するが、依然として構造上へのUVレーザー光の入射を許容する。入射及び結果的にもたらされる拡張は、持続的なものであり得るため、本発明の好適な実施形態は、「最小接触持続的拡張システム」と称される。従って、システムの好適な実施形態は、「最小接触持続的拡張システム」を含む。
【0016】
使用時、本発明の拡張システムは、患者の身体内で管状の解剖学的構造を拡張する方法で用いられ得る。本発明による方法は、
- UVレーザー光を搬送するための光ファイバが挿入される、UV透過性のガドリニウムに基づく造影剤によって膨張したUV透過バルーンを収容するカテーテルを提供するステップであって、光ファイバは、円錐形構成を有する遠位端又は先端を有する、ステップと、
- 管状の解剖学的構造の内側壁内の平滑筋細胞上に環状ビームとして(管状の解剖学的構造の内側壁と隣接するようにガドリニウム造影剤によって膨張した)バルーンを通してUVレーザー光エネルギーを放出するステップと
を含む。これは、動脈の平滑筋細胞内の亜硝酸塩(NO )の貯蔵部からの一酸化窒素(NO・)の光物理的生成及び放出を刺激し、それにより、一酸化窒素は、平滑筋細胞の弛緩及び管状の解剖学的構造の拡張を引き起こす。
【0017】
方法は、
- 凝塊を含む動脈内で凝塊の約1~10血管直径以内にUV光ファイバ拡張システムを位置決めするステップと、
- 血流を停止するために、しかし、機械的圧力によって動脈を拡張しないように、十分に動脈の内側壁までUV透過性のガドリニウム造影流体によってUV透過バルーンカテーテルを膨張させるステップと、
- 平滑筋細胞内の亜硝酸塩(NO )の貯蔵部からのNO・の生成を刺激するために、ガドリニウムによって膨張したバルーン壁を通して動脈の壁内の平滑筋細胞上にレーザービームとしてUV光エネルギーのバーストを放出するステップであって、それにより、動脈の能動的拡張は、刺激され、及び観察され得る、ステップと、
- 凝塊を除去するステップと
を更に含む血管内血栓除去手順に適合又は適用され得る。
【0018】
最初に、UV透過バルーンカテーテルは、構造の周囲の周りの均一な照射強度を保証するように、挿入された光ファイバの円錐形先端をセンタリングするために管状構造内に配備される。バルーンは、X線検査における可視性を保証するために、UV透過性のガドリニウム造影剤によって管状構造の内径まで膨張され得る。次いで、UV照射がバルーン流体を通して壁内に実施される。
【0019】
本発明の方法は、好ましくは、凝塊から離されて約1~約4血管直径以内で血管壁上にUV光を導くことによって実行される。方法は、連続的なUV光放出又は50ナノ秒超のパルス幅を有する高周波数(5~25kHz)で音響光学的にQスイッチングされた(パルス化された)UV光放出を使用することにより、又は例えば10ピコ秒超のパルス幅を有する100MHzでパルス化されたものなどのピコ秒パルス幅を有する疑似連続ビームとして、又は少なくとも2~最大で10秒にわたる方形波として実行され得る。好適な一実施形態では、UV光は、約180~400nmの波長、更に好ましくは約300~400nmの波長で放出される。好適な一実施形態は、355nmで光を放出する周波数三倍化Nd:YAGレーザーを使用してUV光を放出する。UV光の好適な入射強度は、約3~約20ワット/平方センチメートルである。
【0020】
本明細書に記載される方法によれば、血栓除去手順で使用される血栓除去術カテーテルは、吸引カテーテル又はステントリーバーが挿入されるカテーテルであり得ることを理解されたい。
【0021】
侵襲的介入装置のため及び後退した血栓がそれを経由して離脱するためのより大きい直径の経路を非機械的に開放することにより、哺乳動物の動脈から血栓を抽出するための、あまり侵襲的ではないか又はあまり損傷を与えない方法を提供することが本発明の目的である。本発明のこの及び他の目的は、本明細書に記載される実施形態の1つ又は複数によって提供される。
【0022】
本発明の目的は、閉塞性凝塊の機械的抽出に対する摩擦的又は化学的接合抵抗力を低減することにより、血栓除去術中及び後の動脈完全性を最適化することである。本発明の装置及び方法は、血栓抽出技法を実行するとき、吸引カテーテルを用いる場合には凝塊に対して近位又はステントリーバーを用いる場合には凝塊に対して遠位における動脈内側壁の適切に強いUVレーザー照射を提供することを含む。その軸が動脈と同一直線状にあるリング形状のビームによるUVレーザー照射は、動脈壁の明確な拡張を数秒以内に誘発し、拡張効果は、壁に対する凝塊の摩擦的及び/又は化学的接合を弱化するために近位及び遠位方向に伝播する。
【0023】
本発明の別の目的は、カテーテルの遠位端又は先端までUV光を搬送することができる光ファイバを更に含む吸引カテーテル又はステントリーバーを提供することであり、UV光は、血管壁から血液をクリアするための(しかし、動脈を機械的に拡張しないように)生理食塩水のフラッシュ又はバルーンカテーテルの膨張時、例えば2~10秒などの短時間の期間で放出され得、従って血管の壁を含む平滑筋細胞まで導かれ得る。特定の一実施形態は、1回の反射及び1回の屈折により、事実上、ビームのための発散レンズとして機能し得る突出(外部)円錐形先端を含む血管内に配備された光ファイバを通してレーザービームを導入する。この設計は、膨張する円錐形リングとして周囲照射パターンを生成し、それによりビームが導かれる管状の解剖学的構造の壁上にレーザー光の環状ビームを生成する。突出する円錐形出力先端は、好ましくは、シリカに光学的に結合され得るダイヤモンド、酸化ジルコニウム又は2超のnを有するカスタムプラスチックなどの溶融シリカよりも大きい屈折率nを有するUV透過材料を使用して製造される。出口角βが増大するのに伴い、ビーム強度及び動脈拡張の効率も、動脈壁に沿って投射されたビームの長さの減少に伴って増大し、なぜなら、照射されるリング形状の領域も減少するためである。動脈壁に沿った任意の投射長さは、強度基準が満たされる場合に拡張を導出するが、より大きいビーム出口角は、より大きい強度及び従ってビームのより効率的な使用を促進する。
【0024】
動脈周囲の周りのUVリングビーム強度は、手順の再現性を保証するために一定となるように意図される。これは、UV透過バルーンカテーテルによって光ファイバをセンタリングすることによって促進される。構造が動脈である場合、膨張したバルーンが血流を封鎖するが、それ自体、動脈を膨張させない。次いで、動脈壁は、動脈と最小限に接触してバルーン壁を通して照射される。
【0025】
これらの同じ考慮事項は、逆円錐形先端にも同様に適用されるが、ダイヤモンドでは、最大放出角度(例えば、約56°)は、外部先端からのもの(例えば、71.5°)未満となる。意図するのは、膨張するリングの形状でビームを生成するための2つの異なる方式を提供することであり、この相対的な利益については、上述されており、臨床用途のために評価され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面の簡単な説明
図1A】膨張したガウスビームプロファイルGを生成するために半径Rの動脈の内側壁上に衝突するのに伴う(円錐体半角αを有する外部円錐形先端を有する光ファイバによって生成された)ガウス強度分布Gを有するレーザーリングビームのz平面断面の上部半分を示す。ビームは、2θの極角の広がりを有することに留意されたい。リングビームは、その中心最大値が角度βで放出される状態で光軸を中心として円筒対称である。Gの強度プロファイルは、1/9スケールで描かれている。地点「p」におけるGの強度は、r=(z-z)sinβ及び(z+R1/2の関数である。
図1B】突出する(外部又は反転)円錐形先端光ファイバ内におけるレーザー軸方向の光線トレーシングを示す。点線(OO)は、出力端部における円錐形先端(合計頂角=2α)を有するシリカ光ファイバ内のレーザー光の理想化された光線の経路をトレースする。ビームは、入射の角度θがシリカ/水界面で(及び従ってα<90°-θcritの検査によって)臨界角θcrit(64.653°)超である限り、地点Pで全内部反射に従い、次いで水に基づく媒体中に地点Qから出現し、θcrit=64.653°である。光軸を中心として回転されたときにOによって定義される地点の軌跡は、リングの形状のビームをもたらす。N及びNは、円錐体の上部及び下部に対する法線である。図から、検査により、α+θ=90°及びω=180°-2θであり、それによりδ=3θ-180°=90°-3αである。リングビームの軌跡は、角度β(α)=θ-α-γ(α)により、また検査により定義される円錐形表面である。γ(α)は、sin-1{(n/n)cos3α}として表現される。スネルの法則から、β(α)は、ここで、光ファイバ先端の半角αの関数として決定され得る。
図2A】本発明の一実施形態による36°全頂点円錐形角度(2α)溶融シリカファイバ上で機械加工された外部円錐形先端を示す。
図2B図2Aに示される外部円錐形先端によって水中で生成されるUVレーザーリングビームを示す。表1は、純粋シリカ光ファイバにおけるα、β(α)並びに反射及び屈折角を示し、表2は、先端が、光学的に結合されたダイヤモンドである場合のβ(α)を示す。β(α)の範囲及び値(最大で71.5°)は、シリカ自体(最大で48.4°)と比較してダイヤモンドの場合にかなり増大する。
図3】逆円錐形先端光ファイバの光学プロパティを示し、これは、ビームが内側動脈壁上に水(生理食塩水)中に進入する状態で、逆円錐形先端又はダイヤモンドから製造された先端を有する溶融シリカファイバ内の(右側から進入する)反射及び屈折されたレーザー光の経路を示す。ダイヤモンドから水中への放出の最大角度β(α)は、約56°であり、これは、シリカのみ(25.4°)からのものをはるかに超過し、表3を参照されたい。
図4A】3匹の犬の1匹の脳底動脈(BA)内の光ファイバ先端及び血管内UV照射の配置を示す。UV照射によって生成される拡張は、半局所的であり、約40mmの脳底動脈長さの場合、拡張は、隣接する(脊椎)動脈のリングビーム照射の軌道から更に最大で60mmに広がり得る。
図4B】3匹の犬の1匹の脳底動脈(BA)内の光ファイバ先端及び血管内UV照射の配置を示す。UV照射によって生成される拡張は、半局所的であり、約40mmの脳底動脈長さの場合、拡張は、隣接する(脊椎)動脈のリングビーム照射の軌道から更に最大で60mmに広がり得る。
図4C】3匹の犬の1匹の脳底動脈(BA)内の光ファイバ先端及び血管内UV照射の配置を示す。UV照射によって生成される拡張は、半局所的であり、約40mmの脳底動脈長さの場合、拡張は、隣接する(脊椎)動脈のリングビーム照射の軌道から更に最大で60mmに広がり得る。
図5】UVレーザーによって促進される血栓除去術前の動脈閉塞(血栓)の近傍に挿入されたガイドワイヤ(暗い灰色)上のバルーンカテーテルの初期配備を示す。バルーンは、部分的に膨らんでいる。バルーンが膨らむか又はほぼ膨らむと、ガイドワイヤは、事実上、動脈内でセンタリングされる。この時点では、ガイドワイヤは、UV放出光ファイバと、次いで血栓除去装置とのための動脈を通した最適ルートを更にトレースするために、ガイドワイヤの更なる挿入に対する抵抗力を減少させるように邪魔なねじれ(存在する場合に)を拡張させるために後退され得、UV放出光ファイバと置換され得る。
図6】センタリングされたガイドワイヤ上で十分に膨らんだ図5のバルーンカテーテルと、後退され、光ファイバによって置換されたガイドワイヤ(白色ライン)とを示し、光ファイバは、閉塞(血栓)の近傍で望ましい角度βでリングビーム(ハッシュマークの楕円軌跡)を生成するために合成された円錐形先端からUVレーザー光を放出する。ファイバの出力端部は、バルーンによって許容される程度に血栓に近接した状態で配置され得るが、UVリングビーム照射は、血栓から離されて4未満から始まり最大で40直径の持続的動脈拡張を導出する。3~20ワット/cmのビーム強度では、拡張は、数秒以内に発生し、血栓症になったセグメント内に延在する。次いで、バルーンは、しぼんで後退し、血栓除去装置は、ここで、ガイドワイヤとして使用される光ファイバ上に設置される(しかし、開業医は、標準的ガイドワイヤによって光ファイバを置換し、次いでバルーンを後退させることを選好し得る)。以上の構成では、血栓を後退させるために吸引カテーテルが導入されるが、ここで、より乏しい摩擦抵抗力を伴い、なぜなら、閉塞された動脈セグメントが拡張されるためである。ステントリーバーを配備するために、ガイドワイヤは、恐らくエッジの近傍で血栓を貫通しなければならず、その上部のバルーン配備及び他のステップは、記載されるように発生する。ここで、血栓に対して遠位における拡張は、ステントリーバーがより大きい直径で配備されることを許容し、それによりステントリーバー統合性が保持される限り、血栓の最大限の捕捉及び完全な抽出を保証する。
図7】機械的摩擦に起因した壁損傷を最小化するための紫外線レーザーによって誘発される拡張の血栓除去術に対する適用の図式的概要を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、動脈などの管状の解剖学的構造の拡張のための装置及び方法に関し、拡張は、その構造の細胞を機能的に損傷しない適切に強い紫外線(UV)レーザービームを管状の解剖学的構造の壁上に導くことによって誘発される。本発明の装置、システム又は方法は、解剖学的導管、管又は細管、動脈などの血管、細気管支、尿管、脈管又はこれらに類似したものなどの解剖学的構造内で有用であり得る。
【0028】
好適な実施形態は、逆円錐形先端を含む溶融シリカ光ファイバを用いる。先端は、好ましくは、溶融シリカ光ファイバと光学的に接触して大きい屈折率を有するUV透過材料を含む。ダイヤモンド(2.48の355nmにおける屈折率)又は酸化ジルコニウム(2.3の355nmにおける屈折率)又はカスタム設計された高屈折率(n>2)プラスチックなどの高屈折率を有するUV透過性の非常に硬い材料が先端のために好ましい。このような先端は、いずれもダイヤモンドから製造された最大で56°(逆円錐形先端を使用する場合)又は71.5°(反転円錐形先端を使用する場合)のUVリングビームの出口角(半円錐形角)を生成するための能力を提供することができる。
【0029】
本発明の好適な一実施形態は、UVレーザー光を光ファイバの遠位端又は先端まで搬送し、及び膨張する環状リング又はリング形状のビームの形態で管状の解剖学的構造の内側壁上に衝突するUVレーザー光の円錐形ビームを放出するための、直径において好ましくは10~100μm、更に好ましくは50~100μmのコアを有する光ファイバに関する。
【0030】
このリング形状のビーム形成を実現するために、溶融シリカ光ファイバの遠位端は、例えば、(外向きに突出する)外部円錐形形状などの円錐形形状で形成され得るか、又は(内向きに突出する)逆円錐形状であり得る。マイクロカテーテル104内に位置決めされた外部円錐形先端101を有するシリカ光ファイバを使用した図1Aに示されるように、レーザーリングビームのz平面断面の上部半分は、円錐体半角αを有する外部円錐形先端を有する光ファイバによって生成されるガウス強度分布Gを有するように示されている。分布Gは、膨張したガウスビームプロファイルG103を生成するために半径Rを有する動脈の内側壁102上に衝突する。ビームは、2θの極角の広がりを有することに留意されたい。リングビームは、光軸を中心として円筒対称であり、その中心最大値は、角度βで放出される。地点「P」でのGの強度は、r=(z-z)sinβ及び(z+R1/2の関数である。図示のように、光ファイバ101は、使用のために血栓105(T)に対して近位に位置決めされる。
【0031】
図1Bは、図1Aに示される外部円錐形先端101を有する溶融シリカ光ファイバの詳細図であり、突出する(外部)円錐形先端光ファイバ内のレーザー軸方向光線トレーシングを示す。点線(OO)は、出力端部に円錐形先端(合計頂点角度=2α)を有するシリカ光ファイバ内のレーザー光の理想化された光線の経路をトレースする。ビームは、入射の角度θがシリカ/水界面で臨界角θcrit(64.653°)超である限り(及び従ってα<90°-θcritの検査により)、地点Pで全内部反射に従い、次いで水に基づく媒体中に地点Qから出現し、θcrit=64.653°である。光軸を中心として回転されたときにOによって定義される地点の軌跡は、リングの形状のビームをもたらす。N及びNは、円錐体の上部及び下部表面に対する法線である。図から、検査により、α+θ=90°及びω=180°-2θであり、それによりδ=3θ-180°=90°-3αである。リングビームの軌跡は、角度β(α)=θ-α-γ(α)により、また検査により定義される円錐形表面である。γ(α)は、sin-1{(n/n)cos3α}として表現される。スネルの法則から、β(α)は、ここで、ファイバ円錐形先端の半角αの関数として決定され得る。
【0032】
図2Aは、本発明による光ファイバ200の写真であり、これは、本発明の一実施形態による36°全頂点円錐形角度(2α)溶融シリカファイバ上の外部円錐形先端201を示す。
【0033】
図2Bは、図2Aに示される外部円錐形先端を有する光ファイバによってガラスコンテナ205内の水中で生成されるUVレーザーリングビームを示す。紫外線レーザービームは、蛍光紙上の拡散リングとして図2Bに示されるように膨張するリング形状210に変換され、次いで、リングビームは、UV透過性のガドリニウムに基づく造影媒体によって充填されたUV透過バルーンを使用して、血液の変位後の動脈の内側周囲を照射し得る。
【0034】
以下の本明細書の表1は、ファイバ半円錐形角度αの観点における溶融シリカ外部円錐形先端内のビームの経路の範囲と、角度β(α)で先端を離脱するビームを結果的にもたらす1回の全内部反射及び1回の屈折と関連する角度とを提供する。動脈壁に沿ったリングビーム断面(角度深さ2θ図1Aを参照されたい)は、ガウスから、マルチモード光ファイバのための代表的な出力パターンであるスーパーガウス「トップハット」プロファイルに変化し得、これは、最大表現でリング幅にわたる基本的に一定の強度を意味する。これらの強度パターンは、拡張の生成にとって必須ではないが、これらは、ビームの平均及びピークパワーとその上限とに影響を及ぼす。
【0035】
本発明の一実施形態による外部突出円錐形先端は、図1A図1B及び図2に示されている。シリカから製造された鋭い外部円錐形先端(40°未満の全頂点角度、20°未満の半円錐形角度、図1及び図2Aを参照されたい)は、(存在する場合に)血管内障害物によって破損及び/又はもつれにさらされる場合がある。最大限に鈍い外部シリカ先端(約50°の全頂点角度)が好ましい(表2を参照されたい)。破損は、ダイヤモンド、ジルコニア又は高屈折率(n>2)プラスチックなどの非常に硬い材料から製造された先端によって回避され得るが、もつれは、使用される補完装置のアレイに応じて依然として可能であり得る。実際に、光ファイバは、保護を提供するカテーテルを通して導入される。
【0036】
代わりに、円錐形先端は、図3に示されるように、光ファイバの遠位端で逆転される(内向きに突出する)。好ましくは、溶融シリカ光ファイバ301は、逆転されたダイヤモンド円錐形先端310を含み、なぜなら、この設計は、血管内障害物によって捕捉されることを回避し得、挿入又は配備時に損傷する可能性がより小さいためである。このような先端は、環状(リング形状)ビームを、ダイヤモンド先端を使用して最大で56°の放出角度で水中に放出することができる(表3を参照されたい)。溶融シリカ円錐形先端は、光ファイバの中心長手方向軸に対して20°~24°の放出角度を生成し得る(表3を参照されたい)。ビーム強度及び拡張の効率性(並びに関連する凝塊分解)プロセスは、放出角度に伴って増大し、従ってUV透過性の高屈折率ファイバ先端材料(溶融シリカ、ダイヤモンド、ジルコニア又はカスタムプラスチック)によって許容される物理的限度内でそれを極大化することが望ましい。先端は、従来の光ファイバに結合されるUV透過性の高屈折率(n>2)材料から製造され得、結合される先端及び光ファイバは、互いに光通信する。シリカ光ファイバの結合された円錐形先端は、光ファイバの遠位端から外向きに突き出す(突出する)ことができ、光ファイバの長手方向軸に対して最大で約48°の角度でリングビームを放出し得る(表1)。先端がダイヤモンドから構成される場合(表2)、最大で約71.5°の放出角度のはるかに広い範囲を実現することができる。
【0037】
円錐形先端を含む光ファイバ - 外向きに(反転)突出するか又は内向きに(逆転)突出する - は、例えば、後に配備される動脈血栓除去術カテーテルシステムの一部分として本発明の最小接触持続的拡張システム内で用いられ得る。本発明の光ファイバによって放出される環状又はリングビームの幅は、動脈直径に依存する。この特徴は、有利であり得、なぜなら、動脈を含む任意の管状の解剖学的構造内の拡張効果は、ビーム強度によって駆動され、例えば動脈壁などの管状の解剖学的構造を覆う細胞内で光物理的に生成される一酸化窒素(NO・)濃度に応じて非常に迅速に(<1秒)発生し得るためである。所与の強度における照射は、対応する拡張を誘発し、この拡張は、トランスニトロソ化を介して環状ビームによって接触される領域から近位方向及び遠位方向にそれ自体伝播し得る。
【0038】
好ましい一実施形態では、逆転された円錐形先端又は鈍い反転された円錐形先端を含む光ファイバは、吸引血栓除去術カテーテルとの組合せでUV透過バルーンを含むバルーンカテーテルと共に使用され得る。好ましくは、閉塞に対して近位であるセグメント内に導入されたガイドワイヤをUV透過バルーンカテーテルによってセンタリングさせ得、UV透過性のガドリニウムに基づく造影剤によって膨張させ得、その際、ガイドワイヤは、光ファイバによって置換される。
【0039】
別の好適な実施形態は、バルーンカテーテルと組み合わされ、及びステントリーバーと共に順番に使用される逆転された円錐形先端又は鈍い反転された円錐形先端を含む本発明の拡張システムである。この実施形態では、ガイドワイヤは、初期貫通を実施し、これは、膨張したバルーンカテーテル内でセンタリングされなければならず、次いでUVリングビームが均一な周囲強度で内側壁上に適切に入射するために光ファイバによって置換されなければならない。
【0040】
本発明の別の態様は、血管内血栓除去手順を実行する方法に関し、方法は、
UV対応可能な光ファイバに対応し得る血栓除去術カテーテルを提供するステップと、
血流を停止するために、しかし、機械的圧力によって動脈を拡張させように、十分に最大で動脈の内側壁までUV透過造影流体によってUV透過バルーンカテーテルを膨張させるステップと、
血管内に含まれる凝塊の1~4血管直径以内でUV光ファイバ血栓除去術カテーテルを位置決めするステップと、
内皮(NO・の通常のソース)が損なわれていないかどうか及び血液が存在するかどうかとは無関係に、一酸化窒素(NO・)の形成及び放出を誘発し、それにより動脈の拡張を生成するために、動脈の内側壁内の平滑筋細胞上にリングビームとしてUV光エネルギーを放出するステップと、
凝塊を除去するステップと
を含む。
【0041】
上述の手順は、吸引カテーテル又はステントリーバーの使用のための準備で実行され得る。
【0042】
図4A図4B及び図4Cは、3匹の犬のベースラインで脳底動脈(BA)401、402及び403内の血管内355nmUVレーザー照射を実現するための、本発明者らの光ファイバ装置の配備をそれぞれ示す(BA起始部は、それぞれ*によって表記される)。後続のUV照射によって生成される拡張は、半局所的であり、約40mmの脳底動脈長さの場合、拡張は、隣接する(脊椎)動脈のリングビーム照射の軌道から最大で60mmだけ広がり得る(図4B及び図4C)。図4B及び図4Cは、脊椎動脈狭窄がUV照射前に脳底動脈の口へのファイバ先端のアクセスを妨げたことを示す。犬Aの場合、ファイバ先端411は、BA起始部に対して遠位で22%のところに配置され得、これは、最適であるが、犬B及びCの場合、ファイバ先端421及び431は、その起始部(*)に対して近位で個々のBA長さの52%及び34%以内にのみ配置することができた。12~20ワット/cmの照射強度の場合、平均拡張は、78%から始まった後にベースラインの94%まで進み、40mmの範囲にわたって線形で減少しつつ、拡張は、BA終点で依然として観察された。
【0043】
図5は、UVレーザー促進型の血栓除去術前に動脈閉塞(血栓)の近傍に挿入されたガイドワイヤ520上のバルーンカテーテル510の初期配備を示す。バルーンは、部分的に膨らんでいる(ここでは動脈540の内側壁に接触していないものとして示されている)。バルーンが膨らむか又はほぼ膨らむと、ガイドワイヤは、事実上、動脈内でセンタリングされる。この時点では、UV放出光ファイバは、ガイドワイヤを置換し得、ガイドワイヤに対する抵抗力を減少させるために邪魔なねじれ(存在する場合)を拡張させ得、ガイドワイヤは、血栓除去装置によって後続されるUVファイバの再挿入前に、血栓に向かう動脈を通して最適なルートを更にトレースするためにUVファイバを一時的に置換し得る。
【0044】
図6は、ガイドワイヤ上で十分に膨らみ、それによりガイドワイヤをセンタリングする膨らんだ状態の図5のバルーンカテーテル510を示し、ガイドワイヤは、光ファイバ610によって置換され、これは、望ましい角度βでリングビーム620を生成することができる円錐形先端からUVレーザー光を放出する。ファイバの出力端部は、バルーンによって許容されるほどに血栓530に近接して配置され得るが、UVリングビーム照射は、血栓から離れるように4未満から最大40直径で開始する持続的拡張を導出する。3~20ワット/cmのビーム強度では、拡張は、数秒で発生し、血栓症になったセグメント内に延在する。次いで、バルーンは、しぼんで後退し、血栓除去装置は、ここで、ガイドワイヤとして使用される光ファイバ上に設置される(又は恐らく、光ファイバは、外科医の選好に従って初期ガイドワイヤによって置換される)。上述の構成では、閉塞された動脈セグメントが拡張されるため、ここで、より乏しい摩擦抵抗力を伴って血栓を後退させるために吸引カテーテルが導入される。ステントリーバーを配備するために、ガイドワイヤは、恐らくエッジの近傍で血栓を貫通しなければならず、その上方のバルーン配備及び他のステップは、記載されるように発生する。ここで、血栓に対して遠位である拡張は、ステントリーバーがより大きい直径で配備されることを許容し、それによりステントリーバーの統合性が保持される限り、血栓の最大限の捕捉及び完全な抽出を保証する。
【0045】
図7は、機械的摩擦に起因した壁損傷を最小化するために紫外線レーザー誘発型の拡張の血栓除去術への本発明の適用で用いられるステップの図式的概要を提供する。図7は、図5及び図6に示されるバルーンカテーテルを使用して実行された本発明の方法のステップを示す。図7のステップAでは、血栓701は、本発明の血栓除去術カテーテルの配備前に中大脳動脈702内に位置するものとして示されている。バルーンカテーテル内で通常用いられるマイクロガイドワイヤ720は、内頚動脈721を通して供給され、血栓701に対して近位に位置決めされる(ステップB)。次いで、ステップCでは、UV透過バルーン730は、装置の通常の使用におけるように、マイクロガイドワイヤ720上に供給され、更に血栓701に対して近位に位置決めされる。ステップDは、次いで、血流がバルーンと血管壁との間で大幅に又は完全に妨げられるように、バルーンカテーテルが血管(動脈)721の内側壁に接触するように膨らむ740ことを示す。UVレーザー光は、環状ビームが血管の内側壁に接触するために放出され、血管が部分的に拡張するように(UVレーザー環状ビームによって接触された領域から両方の方向に伝播する)722、本明細書に記載される方法に従って配備される。ステントリーバーを使用する抽出手順では又はステップEで例としてのみ示されるように、吸引血栓除去術カテーテル750は、血栓701を抽出するためにその従来の方式で使用され得、これは、ステップFで中大脳動脈702から除去されるものとして示されている。UVレーザー接触によって生成される拡張は、1つ又は複数の除去ステップを促進し得る。
【0046】
有利には、記載される拡張の方法は、低減された機械的摩擦を提供し、それにより動脈壁に対する損傷を最小化することができる。別の利点は、凝塊の血小板成分も拡張し(米国特許第6,539,944号を参照されたい)、動脈壁に最も近い部分が(血栓形成によって)部分的に個々の血小板に劣化し、従って壁に対するより乏しい接着と、従って抽出のプロセスに対するより乏しい摩擦的抵抗力とを提供することである。塞栓は、生成されない。
【0047】
本発明による方法では、UV光放出は、2~10秒などの短い時間の持続時間、好ましくは約5秒にわたって連続的であり得るか、又はいずれの場合にも光経路がバルーン接触若しくは生理食塩水注入によって血液からクリアされる限り、反復し得る。レーザー照射インターバルは、連続波レーザービーム又は疑似連続ビームと称される複数の連続MHzモードロック型パルス(幅が約10ピコ秒である)からそれ自体構成されるビーム若しくは音響光Qスイッチング型ビームと称される複数の連続的5~25KHzパルス(最大で幅が100ナノ秒である)によって充填することができる。UV光は、好ましくは、血栓の約20血管直径以内で血管壁上に導かれる。更に好ましくは、UV光は、バルーンを使用するとき、血栓から約4血管直径以内で血管壁上に導かれる。好適な一方法では、血管は、凝塊によって部分的又は完全に閉塞された動脈である。
【0048】
UV光は、約180~400nmの波長で放出され、好ましくは約300~400nmの波長で放出される。好適な一実施形態では、UV光は、355nmで光を放出する周波数三倍化Nd:YAGレーザーを使用して放出される(アレキサンドライトなどの他のNd含有結晶も存在する)。NO・生成は、350nmで最大になるものとして計測されるが、レーザーUV光は、現在、350nmの波長で利用可能ではなく、効率性におけるわずかな減少を伴って355nmの波長を使用し得る。349nm及び360nmにおける新しく開発されたレーザーが存在するが、臨床的に使用されるのに十分に信頼性が依然として高くない。本発明と共に使用され得る(しかし、切除地点までではない)他のUV生成レーザーは、XeFレーザー(351nm)及び連続波(CW)アルゴンイオンレーザー(351、364nm)を含む。非切除的血管拡張効果のために必要とされるUV範囲内で出力が得られ得る場合、任意のダイオードレーザー又はダイレーザーを使用することもできる。ダイオードレーザーは、現在、最適な領域内で波長を生成することができない。しかし、製造における物理的困難が克服された場合、ダイオードレーザーも使用することができ、上記で提案されているレーザーよりもはるかに小さいものになるであろう。原則的に、直接的又は周波数二倍化若しくは三倍化の結果としてUV放射を放出する任意のレーザーを使用することができる。
【0049】
本発明の装置又は方法では、UV光の平均入射強度は、約3~約20ワット/平方センチメートル(W/cm)である。
【0050】
本発明の装置及び方法は、(フィブリンの)血栓分解を支援する医薬的に受け入れ可能な血栓溶解剤の事前投与との組合せで使用され得る。懸念は、凝塊フラグメントの放出であり、これは、本発明者らの血小板脱血栓症のプロセスによって回避される。血栓除去術の好適なプロセスは、血栓溶解剤による断片化の合併症を伴うことなく凝塊を除去するためのものである。
【0051】
特定の一実施形態は、1回の反射及び1回の屈折により、事実上、ビームのための発散レンズとして機能し得る突出(外部)円錐形先端を含む血管内に配備される光ファイバを通してレーザービームを導入する。この設計は、膨張する円錐形リングとしての周囲照射パターンを生成し、それによりビームが導かれる管状の解剖学的構造の壁上でレーザー光の環状ビームを生成する。突出円錐形出力先端は、好ましくは、シリカに光学的に結合され得るダイヤモンド、酸化ジルコニウム又はn>2を有するカスタムプラスチックなどの溶融シリカよりも大きい屈折率を有するUV透過材料を使用して製造される。ビーム出口角が、スネルの法則によって課される限度内で増大するのに伴い、壁上のビーム強度及び動脈拡張の効率性が増大し、なぜなら、壁までの距離、動脈壁に沿って投射されるビームの幅及び従って照射された領域がいずれも減少するためである。
【0052】
これらの同じ考慮事項は、逆円錐形先端にも同様に適用されるが、最大放出角度は、外部先端からのもの未満となる。意図は、膨張するリングの形状でビームを生成するための2つの異なる方式を提供することであり、この相対的な利益は、上述されており、臨床用途用に評価され得る。
【0053】
好ましい光ファイバ先端は、逆転した先端構成(図3)を含み、これは、使用時に妨げられる可能性が低いが、ガイドカテーテルを通したその配備は、この可能性及び動脈穿孔の可能性も回避する。
【0054】
別の実施形態は、約48.4°の最大放出(半円錐形)角度(表2を参照されたい)を有する外部突出先端を有する溶融シリカ光ファイバである(図1B)。先端が鋭い場合(全頂点円錐形角度が40°未満であり、図2Aを参照されたい)、これは、脆い材料が使用される場合、機械的接触による破損にさらされ得る。この状況は、ダイヤモンドなどの高屈折率を有する非常に硬い材料から製造された外部円錐形先端によって修正することができる。反転ダイヤモンド円錐形先端は、最大で71.5°の出口角を許容する。当然のことながら、鈍さの増大(全円錐形頂点角の増大)に伴って、外部先端(シリカ自体を含む)は、機械的な損傷に対してより大きい抵抗力を有する。
【0055】
UV光は、動脈壁の平滑筋細胞内の亜硝酸塩(NO )によって吸収されたとき、通常の代謝時に内皮によって維持されるものを超える濃度で一酸化窒素(NO・)を放出し得る。これは、血管の準一時的な(数十分~数時間)及び半局所的な拡張を誘発する。平滑筋細胞からのNO・の放出は、UV光を有する照射のサイトから近位方向及び遠位方向に最大で数センチメートルの局所化された距離に沿ってトランスニトロソ化によって自己伝播する。UVレーザーは、閉塞の近傍で血管拡張を誘発し、それにより、血栓除去装置が血液凝塊を抽出するために、配備されたときに動脈壁との摩擦(又それに対する化学的接合)を低減するために使用される。従って、血管の拡張は、凝塊が接着する血管壁からの凝塊の分離を促進し得、(血管壁とのその相互作用の強度及び頻度を軽減することによって)従来の吸引カテーテル又はステントリーバーを使用した凝塊のより容易及びより安全な除去を促進し得る。本発明は、有利には、血栓除去術が適用される閉塞された動脈の内皮及び内膜構造に対する構造的及び機能的損傷後の段階の結果を低減し得る。
【0056】
血管の拡張は、血管の直径を増大させ、これは、所定の位置内へのカテーテルの運動を促進することもでき、即ち血管のねじれ(深刻な曲がり)又は狭窄をより容易に通過することができる。
【0057】
本発明の目的を実現するために、新規な一態様は、UV照射がそれから又はそれを通して放出される光ファイバの先端のための有利な構成に関する。例えば、ダイヤモンドなど、非常に硬いが、UV透過材料を含む外部円錐形先端の利用は、(ファイバ軸に対して)最大71.5°の放出の外部(半円錐形)角度と、UV光のリングビームの付随するより狭い投射とをより容易に提供し得ることが発見されている。好適な角度は、システムの他のコンポーネント(例えば、UV透過性のガドリニウムに基づく造影剤によって膨張したUV透過バルーン)に関連して最良に判定される。
【0058】
本発明の別の実施形態では、光ファイバの遠位端は、逆円錐形先端がキャップ状に付与される。逆円錐形先端は、好ましくは、ダイヤモンド、酸化ジルコニウム又はカスタムプラスチックなど、UV透過性の高屈折率材料から構成され、ファイバの長手方向軸に対して(ダイヤモンドから)最大で56°の放出の角度でリングビームを放出することができる。
【0059】
カテーテルによって包含されたUV光を搬送することができる光ファイバを提供することが本発明の別の目的であり、光ファイバは、好ましくは、ダイヤモンド、酸化ジルコニウム又は大脳動脈のためのリングビームを放出することができるカスタムプラスチックなどのUV透過材料から構成された逆円錐形先端から構成される。狭いビーム幅は、より低いパワーのレーザーが使用される場合でも、大きい血管拡張が発生するためにNO・の有効量が放出されるように、血管の細胞によって吸収されるエネルギーの量を濃縮する。
【0060】
最終的なステップでは、UV光をカテーテルの遠位端まで搬送することができる溶融シリカ光ファイバを包含するバルーンカテーテルによって先行される吸引カテーテル又はステントリーバーを含み得る拡張システムを提供することが本発明の更なる別の目的である。好ましくは、拡張システムは、光ファイバの遠位端に円錐形先端を有するUV照射のための溶融シリカ光ファイバを包含する。好ましくは、円錐形先端は、ダイヤモンド、酸化ジルコニウム又はカスタムプラスチックなどの高屈折率を有するUV透過材料から構成される。更に好ましくは、円錐形先端は、反転円錐形先端構成である。代わりに、本発明の拡張システムの溶融シリカ光ファイバコンポーネントは、ダイヤモンド、酸化ジルコニウム又はカスタムプラスチックなど、紫外線透過性の高屈折率材料から構成された光学的に接触された逆円錐形先端を包含する血栓除去術吸引カテーテル又はステントリーバーシステムを含む。
【0061】
一体型拡張システムの一部として吸引血栓除去術カテーテルとの組合せでUV対応型の光ファイバを封入するUV透過バルーンカテーテルを提供することが本発明の更に別の目的である。好ましくは、吸引血栓除去術カテーテル又はステントリーバーとの組合せにおけるUV対応型光ファイバは、ダイヤモンド又は酸化ジルコニウム(又は高屈折率プラスチック)の反転円錐形先端をその遠位端に内蔵する。
【0062】
好適な一実施形態では、バルーンカテーテルは、UV透過性のガドリニウムに基づく造影流体を使用して膨張させ得、次いで、バルーン壁は、血液を変位させ、それによりUVレーザー光が動脈内側壁に移動するためのクリアな経路をもたらす。本発明によれば、バルーンは、これを目的として、更に円錐形先端をセンタリングさせるために膨らむが、これは、血管壁の内径を膨張させるために膨らむのではない。ガドリニウム造影剤は、バルーンに対して局所化され、従って血流から隔離される。この実施形態では、バルーン材料及びコントラスト材料は、UV光が、封入しているカテーテル及びバルーンを妨げられない状態で通過することを許容するためにUV光に対して十分に透過性である。
【0063】
本発明の更なる目的は、血栓除去手順を、それを必要とする哺乳動物において実行する方法であり、方法は、
a)本明細書に記載される拡張システムを提供するステップと、
b)閉塞された血管内で凝塊の1~4血管直径以内にUV光ファイバ血栓除去術カテーテルを位置決めするステップと、
c)細胞からNO・を放出し、それにより血管の拡張を生成するために、血管の内側壁を覆う平滑筋細胞上に規定された平均強度範囲内のビームとして連続的な又は高反復レートのパルス化されたビームのUVレーザー光エネルギーの方形波パルスを放出するステップと、
d)機械的抽出によって凝塊を除去するステップと
を含む。
【0064】
一実施形態では、UV光ファイバ拡張システムは、好ましくは、ファイバの長手方向軸に対して(外部先端における)最大で71.5°の角度でリングビームを放出することができるダイヤモンド円錐形先端を有する溶融シリカファイバを特徴とする。この角度は、ジルコニア及びカスタムプラスチックなどの他の既知の高屈折率材料の場合により小さくなるであろう。
【0065】
連続的な又はパルス化された形態におけるUV光エネルギーのバーストは、約2~20秒、好ましくは少なくとも5~15秒、更に好ましくは約8~12秒の照射インターバルにわたって放出され得る。10秒のバーストは、血管のねじれ又は狭窄とのカテーテルの摩擦的相互作用を軽減するか又は血管壁からの凝塊の分離を促進するために、血管を十分な直径に拡張するためのUV光ビームの放出の最も好ましい持続時間であり得る。
【0066】
好適な一実施形態では、本発明は、UV照射のリング形状のビームを供給する円錐形の先端を有する光ファイバを用いる準備期間に後続する吸引カテーテル又はステントリーバーを含む拡張システムを含む。光ファイバの円錐形先端は、望ましい放出の角度及び望ましい経路に沿った障害物の存在又は欠如に応じて光ファイバの遠位端から内向き又は外向きに突出し得る。
【0067】
使用時、円錐形先端を含む光ファイバは、管状構造の内側周囲の周りで環状又はリング形状ビームとして管状の解剖学的構造を照射する円錐形ビーム軌道を放出し得る。UV光によって拡張され得る管状の解剖学的構造は、一酸化窒素(NO・)を(亜硝酸塩として)保存及び放出することができる(平滑筋)細胞によって覆われる。この拡張は、有利には、機械的摩擦を低減することにより、血栓のより容易及びより安全な除去を促進するために血栓の近傍の位置で動脈を膨張又は拡張させるために使用され得る。血栓は、閉塞性血栓又は非閉塞性血栓であり得る。血管内の血栓のサイト又はその近傍での血管拡張は、血管壁への血栓の接着を緩めるか又は血栓を血管壁から分離し、それにより医療分野で現在使用されている従来の吸引又はステントリーバーカテーテル技法による血栓の効率的な除去を促進することができる。閉塞された血管に対する末梢損傷は、抽出前、その間及びその後に最小化される。
【0068】
血栓の領域内の動脈の拡張は、UV光による照射が血栓の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25又は30血管直径以内で発生する場合に発生し得る。本明細書で使用される「血管直径」という用語は、動脈の外径を意味する。好ましくは、血管は、血栓の約10血管直径以内で照射される。更に好ましくは、血管は、血栓から離れる約1~4血管直径で照射される。血管は、血栓に対して近位又は遠位で照射され得る。
【0069】
枝血管も、血栓から約3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25又は30血管直径の距離で幹血管を照射することによって拡張され得、なぜなら、UV誘発型の欠陥拡張効果は、遠位方向(及び近位方向)に伝播し得るためである。この現象は、外科医が、血栓を含む枝血管に対する実現可能なアクセスを有しないが、幹血管に対する近位的アクセスを有する場合に特に有用であり得る。
【0070】
好ましくは、UV光ビームは、カテーテルを用いて血管の内側に配置された光ファイバを通して搬送されたビームにより、動脈などの管状の解剖学的構造の内側表面上に導かれる。照射後であるが、そのほとんど直後に及びレーザービームによる照射の数秒以内よりも長くない時点では、血管は、最初に照射された部分で拡張され、次いで近位及び遠位方向に数センチメートルの距離にわたって連続的に自己伝播する。
【0071】
通常の生理学的状態下では、拡張は、内皮によって生成された一酸化窒素(NO・)によって仲介される。対照的に、NO・のUVレーザー仲介型の光物理的生成は、動脈壁内の損傷されていない平滑筋細胞内に保存される亜硝酸塩(NO )の光分裂から生じる。最大10μMの局所的NO・濃度は、内皮損傷の深刻さとは無関係に又は内皮が存在しない(完全に破壊されている)場合でも生成され得る。
【0072】
平滑筋細胞内の亜硝酸塩の光分解は、NO・、S-ニトロソチオール(RNSO)形成をもたらすチオールのS-ニトロソ化(RSH)及びNO・又はその硝酸塩(RSNO)からの放出を介した局所的拡張をもたらし、これらは、他のチオールをトランスニトロソ化し、それによりNO・のより多くの放出により、拡張を半径方向、遠位方向及び近位方向に伝播させる。これは、自己永続的な連鎖プロセスである。
【0073】
光物理的に生成された一酸化窒素は、近位方向及び遠位方向の両方で拡張の波を刺激し得る。従って、凝塊除去に対する摩擦的抵抗力を凝塊の長さの何らかの割合にわたって減少させることができる。従って、凝塊は、サイト又はサイトに対して遠位若しくはサイトに対して近位でのより少ない将来の合併症を伴って、現在観察されるものと比較して少ない力及び動脈に対する少ない損傷によって抽出することができる。
【0074】
動脈を拡張し、それにより閉塞された血管を治療するために、使用されるレーザービームは、連続的なものであるか又はパルス化され得る。パルス化されたレーザーの使用は、熱蓄積と、標的及び周囲組織における結果的な損傷とを低減する。疑似連続的な又は音響光Qスイッチング型のレーザーなどの非切除的パルス化レーザーが使用される場合、パルスレートは、継続する損傷、即ち生理学的に適切な時間フレーム(例えば、数時間~数週間の期間)で回復不能な損傷が標的組織内で結果的に生成されるような大きい強度の個々のパルスを回避しつつ、標的組織に対する照射の適切な時間平均された強度の送達と一貫性を有する任意のレートであり得る。
【0075】
UV光は、好ましくは、波長において180~400nmの範囲である。更に好ましくは、UV光は、300~400nmの範囲である。更により好ましくは、UV光は、約340~370nmであり、最も好ましくは、これは、約350~360nmである。355nmの放射を放出する周波数三倍化Nd:YAGレーザーが特に好ましい。
【0076】
本発明と共に(切除を回避しつつ)使用され得る他のUVレーザーは、XeFレーザー(351nm)、CWアルゴンイオン(351、364nm)又はCWクリプトンイオン(351、356nm)を含む。血管拡張効果のために必要とされるUV範囲で非切除的出力が得られ得る場合、任意のダイオードレーザー又はドライレーザーを使用することもできる。原則的に、直接的又は周波数二倍化若しくは三倍化の結果としてUV放射を放出する任意のレーザーを使用することができる。
【0077】
355nmのUVレーザー照射の場合、拡張は、ガウスビーム形状を仮定することにより、強度で3~約20W/cmの強度の場合に7の幅広のダイナミックレンジにわたって刺激される。しかし、拡張の効果は、ビーム形状から独立している。上限では、液胞が平滑筋細胞内に形成されるが、機能は、損傷されない。拡張効果は、平均強度に依存する。例えば、機能的損傷を誘発することなく、5キロワットのピークパワーを有する100ナノ秒パルスの7Hzトレーンを20W/cmで使用することができる。
【0078】
血液は、例えば、血管壁又は血栓を照明する直前にビームが離脱するカテーテルの開口部を通して少量の生理食塩水溶液を流すことにより、レーザービームの経路からクリアされ得る。
【0079】
UV照明の強度は、好ましくは、血栓除去術前に望ましい時間枠内で望ましい程度の血管拡張を実現するために必要とされる最小線量を提供するように調節される。例えば、周波数三倍化Nd-YAGレーザーを使用することにより、約5ワット/cmの入射強度は、小さい動脈内で約20~30%の拡張を生成する(この拡張は、NO阻害剤によって回復され得る)。12~20ワット/cmのより大きい強度(20Hzのパルスレートで最大1J/cm/パルスのエネルギーフルエンスに等価である)は、より大きい動脈の直径(約1.5mmの直径)における類似の増大を生成し得るが、20ワット/cmを超過する強度は、血管壁構造を変更し得るが(小さい液胞が平滑筋組織内に形成される)、機能的損傷は、観察されない。
【0080】
次いで、血管の適切な拡張が例えば5秒以内などの妥当な時間内で観察される時点まで、入射強度を増分(例えば、2ワット/cm以上の増分)で増大させ得る。照射の期間は、拡張効果が頭打ちになる時点まで連続的であり得、即ち持続し得るか又は間欠的であり得、照射の1つ又は複数の期間の持続時間も、適切な応答を得るために所与の入射強度で変更され得、既に導出されている拡張は、保持及び増幅される。適切な血管拡張応答、即ち拡張の程度及び始まり及び持続時間のその動力学は、ユーザーによって判定され得るが、5~10秒における血管直径の20~40%の増大の範囲内の応答が一般に多くのユーザーによって適切であるものと見なされる。
【0081】
本発明の方法は、血管の閉塞を伴う様々な疾病状態を治療するのに適している。このような状態の例は、脳卒中、心筋梗塞及び大きい又は小さい任意の末梢血管の閉塞又は痙攣を含む。
【0082】
吸引カテーテルを使用する本発明の方法では、バルーンカテーテルを導入し得、次いで吸引カテーテルをカテーテルの直接上方及びバルーン部分の背後で導入し得る。次いで、UVファイバをバルーン内に導入し得る。UV透過バルーンが、曲がりくねった曲がり又は狭窄前の吸引カテーテルの直径をまさに超過するように拡張されると、UVファイバが動脈内でセンタリングされ、流動しない血液は、投射された光経路から変位される。次いで、本拡張システム内で使用される血栓除去術カテーテルの通過を許容するために十分な拡張を得るために、UVビームを数秒にわたって点滅させ得る。ここで、バルーンは、動脈を拡張させるために動脈に対して圧接状態で押さないが、レーザーリングビームが動脈の非機械的な拡張までの光学的に自由な経路を辿る状態では、動脈から離れるように血液を変位させるための手段を促進するのみである。バルーンは、非常に一般的であるが、過剰に膨らまされた場合に損傷し得る。
【0083】
UV光が血管の壁上に放出及び吸収されると、血管は、拡張し、血液又は血流の後続の存在とは無関係に拡張を伝播させる。このプロセスは、凝塊への途上で曲がりくねった曲がり又は狭窄をより容易に横断するために使用され得る。従って、構造的な及び内皮の損傷がエントリ地点から標的場所まで最小化される。凝塊に到達すると、任意選択の生理食塩水のフラッシュを含む最後の照射が実施され、次いで吸引カテーテルが凝塊を抽出する。
【0084】
ステントリーバーとの組合せでの使用の場合、ガイドワイヤは、貫通し、数センチメートルだけ凝塊を通過するように運動する。次いで、バルーンカテーテルは、遠位セグメント内でガイドワイヤをセンタリングするように挿入され、上述のように拡張され、及び静止状態の血液を変位させるのにまさに十分なだけ点滅される。ガイドワイヤは、後退し、UVファイバによって置換され、これは、凝塊の直接遠位で5~10秒にわたってクリア済みの動脈セグメントを照射する。拡張後、UVファイバが後退し、ステントリーバーがバルーンカテーテルを通してそれを置換する。ここで、ステントリーバーがセンタリングされ、バルーンカテーテルを後退させ得る。ステントリーバーは、動脈よりも大きい直径に膨張し、それによりステントリーバーが凝塊全体をより良好に捕らえ、抽出効率を保証することを可能にする。
【0085】
別の利益は、標的凝塊場所に向かってカテーテルによって横断することが困難な場所でUV照射を用いる能力であり、これは、より安全な凝塊抽出を促進する。何らかの予測されない地点での動脈にとって大き過ぎると思われるカテーテルをUV拡張後に依然として使用することができる。カテーテルサイズの選択誤りが最初に発生した場合、現在のカテーテルを置換する必要性を伴うことなく動脈を拡張させるために、UV拡張を使用することができる。
【0086】
シリカ光ファイバを使用する外部突出円錐形先端(α=18°、図1A図1B及び図2A)の設計を、マイクロカテーテルを介した血管内配備のために開発した。
【0087】
【表1】
【0088】
βを増大させるために(及び従ってリングビームによって動脈壁上で範囲を定められた領域を減少させるために、より大きい屈折率を有するUV透過材料から製造された短い(約0.5mm)反転円錐形セグメントをシリカファイバに光学的に接合しなければならない。最適な選択肢は、n=2.48の屈折率を有するダイヤモンドである。
【0089】
表2は、外部ダイヤモンド先端から水中に出射されたビームにおける上述と同じ計算を提示する。
【0090】
【表2】
【0091】
表3は、シリカ及びダイヤモンドから製造された逆円錐形先端から動脈壁に向かって水(生理食塩水)中に放出された355nmレーザー光の経路の範囲を示す。放出角度βは、(図3に描かれる)逆円錐体半角αの関数である。逆円錐形先端設計は、いくつかの開業医によって選好され得、なぜなら、存在する場合、障害物内で先端が捕捉される可能性が外部円錐形先端によるものよりもはるかに低いためである。
【0092】
【表3】
【0093】
この計算は、外部ダイヤモンド円錐形先端上で実行されるものを補完し、放出角度βが逆円錐形先端と比較して更により大きく、従って外部円錐形先端からの減少した距離で増大したビーム強度を提供することを示す(いずれもシリカのみよりはるかに好ましい)。しかし、βは、αの影響を驚くほど受け易く、これは、入力ビームが極角の広がり2θを最小化するために十分にコリメートされなければならない(図1Aを参照されたい)ことと、内部円錐形先端は、高表面品質を保証し、それによりビーム散乱を最小化するために非常に正確に研磨されなければならないこととを意味する。ここで、θcrit=θdiamond=32.51°であり、β=57.49°である。θdiamond=32.50°である場合、θwater=88.44°であり、α=57.50°であり、β=55.94°である(表3)。
【0094】
リングビームを生成するためのこれまでに示された円錐形先端光学設計に対する代替形態として、本発明者らは、光ファイバとの回折オプティクスの組合せを提案する。回折オプティクスは、フラットエンド光ファイバ上でいくつかの方法(例えば、リソグラフィ、電子ビーム蒸着)の任意のものによって幾何学的パターンをエッチングすることを伴い、その先端は、望ましい回折位相プロファイルを取得するために、溶融シリカ自体又はジルコニア、ダイヤモンド若しくはカスタム設計されたプラスチックなどの他の光学的に結合されたUV透過性の高屈折率(n>2)物質であり得る。ファイバの端部上のパターンは、円対称の浅浮き彫り彫刻 - 深さ及び半径で可変である一連の同心状の環状構造 - に類似しており、なぜなら、材料は、望ましい回折位相プロファイルを生成するために高精度で除去されなければならないためである。望ましい出力は、最小限のサイドバンドを有する非常に鋭いリング形状のベッセルビームである。角度β>40°で先端から出射されるビームの場合、後者の3つ(既に図示されている)などの高屈折率物質が使用される可能性が高い。任意の媒体におけるこの技法によるβ=15°超を有するリングビームは、本発明者らの知見によれば、依然として生成されていないが、回折光学装置の製造者は、その能力の範囲を拡張し得る。水中に浸漬された溶融シリカ光ファイバの端部キャップを含む適切な高屈折率材料上に配置されたフラットエンド回折パターンは、装置の最適な形態であり得る。
【0095】
外部又は内部円錐形先端は、動脈壁に対する所定の角度の範囲でリングビームを生成し得、外部先端の場合、上限は、シリカの場合に48°であり、ダイヤモンドの場合に71.5°であるが、好ましくは最大角度が使用される。内部ダイヤモンド円錐形先端の場合、範囲は、最大で56°であり得、これが好ましい。最大鋭角でビームを放出することの直接的な利益は、低減されたリングビーム幅及び従ってより大きいレーザー強度である。拡張プロセスは、全体的にビーム強度(3~20ワット/cm)に依存するため、より低いパワーの(及び恐らくよりコンパクトな)レーザーがより効率的に使用され得る。内部円錐形先端は、安全を目的として設計され、なぜなら、これまでの研究において、本発明者らは、シリカ外部先端が損傷され得ることを認識しているためである。任意の他の装置又は組織コンポーネントへの装着による挿入時に損傷されない装置の提示は、明らかに有益であり、なぜなら、捕捉が回避され、先端構造が保持されるためである。しかし、これらの効果は、ダイヤモンドなどの非常に硬い材料では発生する可能性が低い。
【0096】
本発明のこれら及び他の実施形態及び用途は、本明細書で提供される記載に鑑みて当業者に明らかになるであろう。出血性脳卒中の共通の、しかし難治性の態様は、中大脳動脈の血管攣縮(狭窄)である。(例えば)破裂性大動脈瘤からくも膜下腔内に放出された血液は、動脈に沿って移動し、溶解した赤血球からのヘモグロビンは、動脈壁に進入し、及び一酸化窒素を除去し、それにより痙攣を誘発する。この状態は、現在、確実には治療され得ず、任意の前進拡張筋薬が血圧を病的状態の点まで引き下げる。現在、治療不可能な他の態様は、脳内の血小板によって閉塞された微小血管によって仲介される早期の脳損傷(即ち先行する血管痙攣)である。多くの動物研究にも関わらず、人間内部の血小板血栓を分解する薬剤は、存在しない。UVレーザー法は、これらの極端に困難な状態の療法を治療することを明確に意図する。本発明者らは、出血性脳卒中を患った犬の内部で3日間において血管痙攣の逆転を示している。本発明者らは、血小板凝塊が、実際にUVレーザーによって誘発された一酸化窒素によって分解され得ることも示しており、なぜなら、これは、血小板間フィブリノゲン/血小板GPIIb-IIIa交差結合を維持するために必要とされる酵素であるトロンビンを抑制するためである。
【0097】
本発明者らは、遠位分岐及びその微小血管床とのその接続に対して直接近位における栄養動脈のUV照射が、距離にわたる一酸化窒素の自己複製及びその関連する血管拡張に起因して、動脈再循環及び血液の再灌流を可能にし、それにより組織生存の尤度を改善することを提案する。例えば、破裂性脳動脈瘤を有する患者は、コイル及びステントなどの介護介入装置の標準によって緊急治療される。動脈瘤が固定された後、神経インターベンション医師は、動脈瘤に対して更に遠位でコイリングのための使用されるマイクロカテーテルを位置決めするように進めることができる。マイクロカテーテルは、UV透過バルーンカテーテルによって置換され得、マイクロガイドワイヤは、光ファイバによって置換され得る。遠位UV照射は、血管領域内で血小板塞栓によって閉塞された微小血管を分解し、それにより再灌流を改善し、患者の臨床結果を改善する。動脈瘤治療後の3~21日で脳血管痙攣が血管収縮を生成し得る。この場合にも、UV透過バルーンカテーテル及び光ファイバを使用することにより、血管収縮に対して近位におけるUV照射は、動脈を拡張し、それをそのオリジナルの(又オリジナルよりも大きい)直径に回復し、それにより血液循環を回復させる。
【0098】
アテローム硬化性血管疾患は、プラークの形成に起因して動脈腔の狭窄又は狭くなること(狭窄)を引き起こし得る。本方法は、開口部を固定するためのステント留置術によって後続されるバルーン血管形成術による管腔の拡大を必要とする。血管形成術及びステント留置術は、最初に、マイクロガイドワイヤが遠位アクセスを得るために狭窄を通過することを必要とする。狭窄が中程度~重度である場合、アテロームを取り除くことなしに安全にガイドワイヤを狭窄に通過させることが困難である。アテローム性動脈硬化症のためのステント留置手順時、プラークを通したガイドワイヤ及び装置の通過は、UVによる動脈の拡張によって促進され得る。プラークは、石灰化される場合、非常に硬く、圧縮不能であり得る。また、バルーン膨張は、隣接する非アテローム性セグメントが更に構造的歪の地点まで膨張及び延伸することをもたらし得る。このような外傷に対する一般的な応答は、ステントによって生成された開口部を最終的に閉塞ことが知られている異常な治癒応答である肥大である。本発明者らは、一酸化窒素通路による、動脈、更に疾病を有するものの非機械的拡張が実質的に血管内装置を有するアテロームの遠位アクセスを促進することを提案する。NO通路は、血管歪及び治癒応答の過剰発現も最小化し、従って望ましい管腔及びその有用な寿命を保持する。隣接する非アテローム性セグメント内の内皮損傷も低減される。例えば、深刻なアテローム性頚動脈硬化症を有する患者では、UV透過バルーンカテーテルは、マイクロガイドワイヤの支援により、狭窄に対して近位に位置決めされ得る。ガイドワイヤは、光ファイバによって置換され得る。後続のUV照射は、動脈壁を膨張させ、狭窄ギャップを拡幅する。次いで、光ファイバは、マイクロガイドワイヤによって置換され得、ガイドワイヤは、ここで、遠位アクセスを得るために、拡幅された狭窄を通してより容易にナビゲートされ得る。次いで、バルーンカテーテルを除去し得、装置送達システムをプラークの治療のためにガイドワイヤ上で通過させることができる。同じシステムは、一般に、狭窄を通した循環を保証するためにステントを安全に配置するために使用され得、但し、ここで、ステントを、内皮損傷を伴うことなく拡張された血管内に配置し得ることを除く。これは、現在実施されるステント配備の非常に一般的な合併症である再狭窄と、3~5年以内のステントの置換の必要性とを回避する。
【0099】
吸引された一酸化窒素は、特に小児患者で肺高血圧症及び急性呼吸窮迫症候群を治療するために使用され得る。吸引されたガスは、肺胞毛細管膜を通して拡散し、血管拡張を生成し、それにより換気された肺セグメント内で低減された肺血管抵抗及び増大された血液灌流を結果的にもたらす。これは、潜在的に、患者内の血液酸素化を改善する。提案される本発明は、潜在的に、肺動脈のセグメント及び分岐を血管拡張するためにより標的が絞られた方式で使用することができる。肺動脈及びその分岐には、右心臓のカテーテル治療を介して大腿静脈を通してアクセスすることができる。次いで、バルーンカテーテルを標的である肺動脈分岐内に位置決めすることができる。リングビームによって動脈壁を照射するために、膨らんだバルーン内に光ファイバを導入することができる。得られた血管拡張は、それ自体、トランスニトロソ化を介して環状ビームによって接触された領域から近位方向及び遠位方向に伝播させる。
【0100】
吸引された一酸化窒素は、特に小児患者で肺高血圧症及び急性呼吸窮迫症候群を治療するために使用することができる。吸引されたガスは、肺胞毛細管膜を通して拡散し、血管拡張を生成し、それにより換気された肺セグメント内で低減された肺血管抵抗及び増大された血液灌流をもたらす。これは、潜在的に患者内の血液酸素化を改善する。提案される本発明は、潜在的に、肺動脈のセグメント及び分岐を血管拡張するために、より標的が絞られた方式で使用され得る。
【0101】
肺動脈及びその分岐は、右心臓のカテーテル治療を介して、大腿静脈を通してアクセスされ得る。次いで、バルーンカテーテルを標的肺動脈分岐内に位置決めすることができる。リングビームによって動脈壁を照射するために、膨らんだバルーン内に光ファイバを導入することができる。得られた血管拡張は、それ自体、トランスニトロソ化を介して環状ビームによって接触された領域から近位方向及び遠位方向に伝播させる。
【0102】
以上の本開示及び例は、全般的に本発明について記載し、例示を目的として提供されており、本発明の範囲を限定すること意図しない。本明細書に記載される本発明は、本明細書で具体的に開示されない任意の1つ又は複数の要素、1つ又は複数の限定の不存在下で実施され得る。従って、例えば、本明細書におけるそれぞれの事例では、「含む」、「から基本的になる」及び「からなる」という用語の任意のものは、他の2つの用語のいずれかによって置換され得る。用語及び表現は、限定ではなく、記述の用語として使用されこのような用語及び表現の使用では、その図示及び記載される特徴の任意の均等物を排除する意図はなく、特許請求される本発明の範囲内で様々な変更形態が可能であることを認識されたい。従って、本発明は、好適な実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されるが、当業者は、開示される本明細書における概念の変更形態及び変形形態を用いることができると共に、このような変更形態及び変形形態は、請求項によって定義される本発明の範囲に含まれるものと見なされることを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
【国際調査報告】