(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】不均一系触媒反応器
(51)【国際特許分類】
B01J 8/02 20060101AFI20241018BHJP
B01J 23/755 20060101ALI20241018BHJP
C01B 32/40 20170101ALI20241018BHJP
C01B 3/38 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B01J8/02 E
B01J23/755 M
C01B32/40
C01B3/38
B01J8/02 C
B01J8/02 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548514
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022018266
(87)【国際公開番号】W WO2023069128
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524152229
【氏名又は名称】ディメンショナル・エナジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DIMENSIONAL ENERGY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100221589
【氏名又は名称】中谷 俊博
(72)【発明者】
【氏名】ブレナン,ブラッドリー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】サルフィ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ブランズ,ハワード エム
(72)【発明者】
【氏名】ガダ,ミヒル
【テーマコード(参考)】
4G070
4G140
4G146
4G169
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB04
4G070BA08
4G070BB02
4G070CA01
4G070CA09
4G070CA12
4G070CA21
4G070CB02
4G070CB08
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4G169AA03
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4G169BA01A
4G169BC31A
4G169BC68A
4G169BC72A
4G169BC75A
4G169CB02
4G169CB07
4G169CB81
4G169CC17
4G169CC21
4G169CC29
4G169DA06
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169EA06
4G169EE09
(57)【要約】
不均一系触媒反応器とその使用方法。反応器は、使用中に反応器の軸方向の長さに沿って温度勾配を確立するのに役立つ熱伝達機能を含む。本発明の反応器はまた、所与の種類の触媒材料が、改善されたまたは最適な触媒性能を提供するであろう温度に配置されるように、反応器内に配置された2つ以上の異なる種類の触媒材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さと幅を有する筐体であって、前記長さは前記筐体の遠位部分から前記筐体の近位部分まで延在し、前記筐体は内部反応容積を画定する、筐体と、
前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの入口であって、前記筐体の前記内部反応容積と流体連通する反応物流路を画定する、前記少なくとも1つの入口と、
前記内部反応容積内に配置され、前記筐体の前記近位部分から前記筐体の前記遠位部分に向かって延在する少なくとも1つの導管であって、戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの導管と、
前記少なくとも1つの導管と直接流体連通し、前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの出口であって、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの出口と、
前記内部反応容積内に配置された少なくとも2種の触媒材料と、を含む不均一系触媒反応器。
【請求項2】
前記筐体の前記長さは、前記筐体の前記幅よりも大きい、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記導管から前記内部反応容積内に延在する1つ以上のバッフルをさらに含む、請求項1または2に記載の反応器。
【請求項4】
1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第1部分に延在し、1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第2部分に延在し、
前記内部反応容積の前記第1部分に延在する前記1つ以上のバッフルの総表面積は、前記内部反応容積の前記第2部分に延在する前記1つ以上のバッフルの総表面積よりも大きい、請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第1部分に延在し、1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第2部分に延在し、
前記内部反応容積の前記第1部分に延在する前記1つ以上のバッフルのピッチは、前記内部反応容積の前記第2部分に延在する前記1つ以上のバッフルのピッチとは異なる、請求項3に記載の反応器。
【請求項6】
前記1つ以上のバッフルは、前記導管の長さに沿ってスパイラル形状を形成する、請求項3~5のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項7】
前記導管の内腔は、前記導管内を移動する流体の流体対流または前記導管への熱伝導、を増加させるための1つ以上の特徴を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項8】
前記1つ以上の特徴は、バンプ、ディンプル、隆起部、平行な溝、ランダムパターン、発泡体、バッフル、またはライフリングパターンからなる群から選択される、請求項7に記載の反応器。
【請求項9】
前記1つ以上の特徴は、前記導管の内壁面によって画定されるか、または前記導管の内腔内に配置された1つ以上の構造によって画定される、請求項7または8に記載の反応器。
【請求項10】
前記少なくとも1つの導管の遠位端に配置されたフィルタをさらに含み、前記フィルタは、触媒材料が前記導管に入るのを防ぐように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項11】
前記戻り流路は触媒材料を有していない、請求項1~10のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項12】
触媒材料は、前記少なくとも1つの導管の遠位部分内に充填される、請求項1~9のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの導管は第1導管および第2導管を含み、前記第1導管および前記第2導管の各々は、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、請求項1~12のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項14】
前記少なくとも1つの導管は、第1導管、第2導管および第3導管を含み、前記第1導管、前記第2導管および前記第3導管の各々は、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、請求項1~12のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項15】
前記第1導管、前記第2導管および前記第3導管の各々の近位端は、マニホールドに取り付けられ、前記マニホールドは前記少なくとも1つの出口に取り付けられている、請求項14に記載の反応器。
【請求項16】
前記少なくとも1つの導管の少なくとも一部は、スパイラル形状に構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項17】
少なくとも2種かつ30以下の異なる種の触媒材料が前記内部反応容積内に充填されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項18】
一連の触媒ゾーンは、前記筐体の前記長さに沿って前記内部反応容積内に所定の連続順序で配置されている、請求項17に記載の反応器。
【請求項19】
各触媒ゾーンは、他の触媒ゾーンに見られる触媒材料の種と比較して異なる単一種の触媒材料のみを含む、請求項18に記載の反応器。
【請求項20】
前記触媒材料は触媒担体上または触媒担体内に配置されている、請求項17~19のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項21】
前記触媒担体は、アルミナ、炭化ケイ素材料、窒化ホウ素材料、ステアタイト、シリカ、アルカリ金属酸化物材料、アルカリ土類酸化物材料、窒化アルミニウム材料、酸窒化アルミニウム材料、またはそれらの組み合わせ、からなる群から選択される材料を含む、請求項20に記載の反応器。
【請求項22】
触媒粒子は炭化ケイ素または窒化ホウ素の多孔質コーティングを含む、請求項20または21に記載の反応器。
【請求項23】
前記触媒材料の間に配置された複数の不活性フィラー粒子をさらに含む、請求項17~22のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項24】
前記不活性フィラー粒子は、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ホウ素、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、およびそれらの複合物、からなる群から選択される材料を含む、請求項23に記載の反応器。
【請求項25】
前記筐体はセラミック材料で構成されている、請求項1~24のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項26】
前記筐体は、炭化ケイ素、炭化ケイ素複合材料、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、またはそれらの組み合わせ、で構成されている、請求項25に記載の反応器。
【請求項27】
前記筐体は、アルミナ-炭化ケイ素複合体である、請求項26に記載の反応器。
【請求項28】
前記少なくとも1つの導管の少なくとも一部はセラミック材料で構成されている、請求項1~27のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項29】
前記少なくとも1つの導管の少なくとも一部は、炭化ケイ素、アルミナ、またはそれらの複合物で構成されている、請求項28に記載の反応器。
【請求項30】
前記少なくとも1つの導管の近位部分または前記少なくとも1つの出口は、セラミック材料に固定された金属材料で構成されている、請求項29に記載の反応器。
【請求項31】
前記金属材料は、接着剤で前記セラミック材料に固定されている、請求項30に記載の反応器。
【請求項32】
前記筐体の少なくとも前記遠位部分、または前記少なくとも1つの導管の少なくとも遠位部分は、アルミナイド、アルミナ、アルミナ/炭化ケイ素複合材料、窒化ホウ素材料、ムライト、窒化ケイ素材料、希土類ケイ酸塩材料、または希土類アルミン酸塩材料からなる群から選択される材料でコーティングされている、請求項1~31のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項33】
反応生成物の製造方法であって、
長さと幅を有する筐体であって、前記長さは前記筐体の遠位部分から前記筐体の近位部分まで延在し、前記筐体は内部反応容積を画定する、筐体と、
前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの入口であって、前記筐体の前記内部反応容積と流体連通する反応物流路を画定する、前記少なくとも1つの入口と、
前記内部反応容積内に配置され、前記筐体の前記近位部分から前記筐体の前記遠位部分に延在する少なくとも1つの導管であって、戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの導管と、
前記少なくとも1つの導管と直接流体連通し、前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの出口であって、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの出口と、
前記内部反応容積内に配置された少なくとも2種の触媒材料と、
を含む不均一系触媒反応器を提供する工程;
前記筐体の内部反応容積の前記長さに沿って熱勾配を確立する工程、ここで前記筐体の前記遠位部分によって画定される前記内部反応容積の温度は、前記筐体の前記近位部分によって画定される前記内部反応容積の温度よりも高い;
前記内部反応容積を通して前記筐体の前記遠位部分に向けて1つ以上の反応物を導く工程、ここで前記1つ以上の反応物は第1触媒材料および第2触媒材料と接触し、前記1つ以上の反応物が前記筐体の前記長さに沿って進むにつれて、前記1つ以上の反応物の温度が上昇し、前記反応生成物が生成される;
前記筐体の前記遠位部分によって画定される前記内部反応容積から、前記少なくとも1つの導管内に、前記反応生成物を導く工程;
前記戻り流路に沿って前記筐体の前記近位部分に向けて前記反応生成物を導く工程、ここで、前記反応生成物が前記筐体の前記近位部分に向けて導かれるとき、前記戻り流路内の前記反応生成物から前記内部反応容積内の前記1つ以上の反応物に熱が伝達される;および
前記少なくとも1つの出口を通して前記反応器の外に前記反応生成物を導く工程;
を含む製造方法。
【請求項34】
前記1つ以上の反応物は、二酸化炭素、水素、およびメタンのうちの1つ以上を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の反応物は流体を含む、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の反応物はガスを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記反応生成物は、一酸化炭素、水素、および水のうちの1つ以上を含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記熱勾配が確立された後、前記筐体の前記遠位部分によって画定される前記内部反応容積の前記温度が750℃~1400℃である、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記熱勾配が確立された後、前記筐体の前記近位部分によって画定される前記内部反応容積の前記温度が50℃~750℃である、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記内部反応容積は、それぞれ異なる種の触媒材料を含み且つ前記熱勾配に沿って所定の連続順序で配置された一連の触媒ゾーンを含み、各種の触媒材料はその触媒ゾーンの反応条件下で理論最大変換率の少なくとも50%の反応物変換率を提供する、請求項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記内部反応容積は少なくとも3つ且つ30未満の触媒ゾーンを含み、各触媒ゾーンは他の触媒ゾーンの触媒材料とは異なる種類の触媒材料を含む、請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景技術)
化学産業及びエネルギー産業は原料として化石燃料に依存しており、世界のプラスチック及び燃料の大部分は化石燃料から生産されている。例えば、航空業界は二酸化炭素を大量排出しており、2019年には約1ギガトンの二酸化炭素を放出した(世界の年間排出量の約2.8%)。航空にはエネルギー密度の高い燃料(energy-dense fuels)が必要であり、バッテリー駆動(battery-powered)の商用飛行の見通しは、少なくとも今後数十年間は現実的ではない。航空による二酸化炭素排出量を削減するためのいくつか取り組みには、大気中の二酸化炭素または人工の二酸化炭素源から燃料を生成することが含まれる。
【0002】
航空機への動力供給(powering)を含む、産業上の利用可能性を有する燃料を生成するための改良された装置、システム、および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、不均一系触媒反応器(又は異種触媒反応器:heterogenous catalytic reactors)およびその使用方法を対象とする。
【0004】
いくつかの実施形態では、本発明は、筐体(又は容器:encasement)、少なくとも1つの入口、少なくとも1つの導管、少なくとも1つの出口、および複数の触媒ゾーンを含む、不均一系触媒反応器を含む。前記筐体は長さ、幅、および深さを有し、前記長さは前記筐体の遠位部分から前記筐体の近位部分まで延在する。前記筐体は内部反応容積を画定する。前記少なくとも1つの入口は、前記筐体の前記近位部分内にあるか、または前記筐体の前記近位部分を通って延在し、前記筐体の前記内部反応容積と流体連通する反応物流路(a reactant flow channel)を画定する。前記少なくとも1つの導管は、前記内部反応容積内に配置され、前記筐体の前記近位部分から前記筐体の前記遠位部分に向かって延在する。前記少なくとも1つの導管は、戻り流路(a return flow channel)の一部を画定し、前記筐体の近位部分を通って延在する。前記少なくとも1つの出口は、前記戻り流路の一部を画定する。少なくとも2つの触媒材料が前記内部反応容積内に充填される。
【0005】
さらなる実施形態において、本発明は、1つ以上の反応生成物を生成する方法を含む。これらの本発明の方法には、本明細書に記載されるような不均一系触媒反応器を提供することと、1つ以上の反応物を前記反応器に導く(又は向ける:directing)ことが含まれる。さらに、本方法は、前記反応器の前記筐体内の前記内部反応容積の前記長さに沿って熱勾配を確立することを含んでもよく、前記筐体の遠位部分によって画定される内部反応容積の温度は、前記筐体のより近位の部分によって画定される前記内部反応容積の温度よりも高い。本方法はまた、1つ以上の反応物を前記反応器の少なくとも1つの入口を通して、前記反応器内に保持された第1の触媒材料との接触に導くことを含む。本方法はまた、前記1つ以上の反応物を、前記内部反応容積を通して前記筐体の遠位部分に向けて導くことを含み、前記1つ以上の反応物は、前記反応器の前記筐体の前記内部反応容積の前記長さに沿って進むにつれて温度上昇する。前記1つ以上の反応物はまた、前記反応器の前記筐体の前記内部反応容積の前記長さに沿って進むにつれて、1つ以上の反応生成物も生成する。さらに、本方法は、前記反応生成物を前記内部反応容積から前記少なくとも1つの導管に導くことを含む。さらに、本方法は、前記反応生成物を戻り流路に沿って前記筐体の前記近位部分に導くことを含む。本方法はまた、前記反応生成物が導管に沿って前記反応器の近位部分に移動するときに、前記反応生成物から前記内部反応容積内の1つ以上の反応物に熱を伝達することを含む。本方法はまた、前記反応生成物を前記少なくとも1つの出口を通して前記反応器の外に導くことを含む。
【0006】
本概要は、本開示の主題の概要を提供することを目的としている。それは、本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図したものではない。詳細な説明は、本願に関するさらなる情報を提供するように含まれている。
【0007】
(図面の簡単な説明)
図面では、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないが、異なる図において同様の符号は同様の構成要素を表す場合がある。図面は、限定ではなく例として、本明細書で論じられる様々な実施形態を一般的に示す。
【0008】
図1Aおよび1Bは、それぞれ、本発明の反応器の側面図および分解図(又は分解組立図:an exploded view)を示す。
【0009】
図1Cおよび1Dは、本発明の反応器の導管の上面断面図を示す。
【0010】
図1Eは、本発明の反応器の戻り流路の遠位部分の一実施形態の側面斜視図を示す。
【0011】
図2Aおよび2Bはそれぞれ、バッフルを含む本発明の実施形態の側断面斜視図を示す。
【0012】
図3Aは、本発明の反応器の一実施形態の側断面図を示す。
【0013】
図3Bは、本発明の反応器の一実施形態の側断面図を示す。
【0014】
図4Aは、本発明の反応器の1バージョン(又は一態様:one version)の側面図を示す。
【0015】
図4Bおよび4Cは、それぞれ、本発明の反応器のアセンブリの側面斜視図および上面図を示す。
【0016】
【0017】
図5Bおよび5Cはそれぞれ、本発明の反応器の側面図を示す。
【0018】
【0019】
【0020】
図7A~
図7Hは、導管、および、該導管とそこに流れる流体との間の熱交換を増加させるための特徴(又は機構:features)、を含む本発明の様々な実施形態を示す。
【0021】
図8は、内部反応容積内に配置された複数の異なる触媒材料を含む本発明の反応器の側断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
本発明は、不均一系触媒反応器およびその使用方法を対象とする。本発明の反応器は、持続可能な炭化水素燃料の製造に使用する前駆体の生成に特に有用である。例えば、本発明の反応器は、逆水ガスシフト反応(「RWGS反応」)を用いて持続可能な航空燃料(SAF)の前駆体を生成するために使用できる。RWGS反応は、式1に示す反応に従って、二酸化炭素と水素を一酸化炭素と水に変換する:
CO2+H2→CO+H2O(式1)
【0023】
RWGS反応の効率は、反応温度の上昇とともに向上する。本発明の反応器は、先行技術の反応器設計と比較して熱効率が向上し、比較的高温でRWGS反応(および他の種類の化学反応)を行うことができる。
【0024】
本発明の反応器は、式2に示す乾式メタン改質(reforming)反応を行うのにも有用である。
CH4+CO2→2CO+2H2(式2)
【0025】
本発明の反応器は、式3に示される蒸気メタン改質反応を行うのにも有用である。
CH4+H2O→CO+3H2(式3)
【0026】
本明細書で使用されるとき、「触媒」、「触媒材料」などの用語は、化学反応が他の方法で可能であるよりも速い速度で、または異なる条件下(例えば、より低い温度)で進行することを可能にする材料を指す。本発明の触媒は、2つ以上の触媒材料と他の不活性材料との混合物を含んでもよい。本発明で使用される触媒材料は、所望の形状またはサイズに形成することができる。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「触媒ゾーン(catalyst zone)」または「触媒のゾーン(catalytic zone)」という用語は、同一または類似の動作温度、同一または類似の動作圧力、および/または、同一または類似の触媒材料の存在などの、1つ以上の共通の環境特性を示す内部反応容積の部分を指す。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「直接流体連通」という語句は、流体が中間の構造または場所を通って流れるまたは移動することを必要とせずに、第1の構造または場所から第2の構造または場所に流れる能力を指す。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「遠位」という用語は、基準点(例えば、取り付け点、原点、または中心点)から離れて位置する本発明の特徴または態様を指し、一方、「近位」という用語は、その基準点の近くに位置する本発明の特徴または態様を指す。特段の指示がない限り、本明細書で使用される基準点は、一般に、入口ポートおよび出口ポートを含む本発明の反応器の端部である。例えば、入口ポートおよび出口ポートを含む本発明の反応器の端または部分は、本明細書では反応器の「近位端」または「近位部分」と称され得る一方、反応器の反対側の端または部分(入口ポートおよび出口ポートは含まない端)は、「遠位端」または「遠位部分」と称され得る。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「流体(fluid)」又は「流体(fluids)」という用語は、液体、超臨界流体、気体、またはスラリーを指す。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「間接(indirect)流体連通」という語句は、流体が第1の構造または場所から第2の構造または場所に流れる能力を指すが、それは流体が最初に中間の構造または場所を通って流れるまたは移動して、第2の構造または場所に到達する場合に限られる。
【0032】
本発明の反応器は「バヨネット(bayonet)」設計を有しており、反応物および生成物は同じ端部またはその近くから反応器に出入りし、反応器の長さに沿って互いに対向流(又は逆流:a counter-current flow)で移動する。さらに、本発明の反応器は、使用中に反応器の長さに沿って温度勾配が確立され得、反応器の一端(例えば近位端)が反応器の反対側の端(例えば、遠位端)の動作温度よりも低い温度で動作し得るように設計される。いくつかの場合では、反応物は本発明の反応器のより冷たい端から入り、生成物は当該冷たい端から出ていき、それによって高価な熱交換器の必要性がなくなるか、または減少する。これらの概念は本明細書でさらに詳細に説明されるが、簡単に言えば、
図4Aは、反応器400の形態における本発明の反応器の1つのバージョンの側面図を示す。
図4Aは、バヨネット設計の反応器流路および本発明の反応器内に確立できる温度勾配をよりよく説明するために反応器400の主要な構成要素の一部のみを示す。当業者であれば、
図4Aには示されていないが本明細書の他の場所に記載されている本発明の反応器の構成要素が反応器400の実施形態に同様に適用可能であることを容易に認識するであろう。
【0033】
反応器400は、筐体402、入口406、および出口408を含む。筐体402は、反応器400の内部構造をよりよく示すために、
図4Aでは部分的に半透明(translucent)として示されている。筐体402は、一般に管状の形状であり、その内壁が内部反応容積404を画定している。筐体402は一般に管状の形状であるが、他の実施形態では、本発明の筐体は、角柱、六角形、または内部反応容積内の熱の分離を促進するであろう任意の他の幾何学的形状などの、他の形状をとる。筐体402は、遠位部分422と、遠位部分422の反対側の近位部分424も含む。内部反応容積404は、触媒反応が発生して反応物を生成物に変換する反応器400の部分または領域である(触媒材料は
図4Aに図示されていない)。内部反応容積404も、戻り導管410の外壁によって画定される。戻り導管410は、筐体402内に配置され、筐体402の長さの大部分に及ぶ。戻り導管410の近位端は、出口408に取り付けられるか、または出口408に対して固定され、戻り導管410の遠位端は、筐体402の遠位端またはその近くに配置される。集合的に、戻り導管410の内壁および出口408は戻り流路を画定する。
【0034】
反応器400の流体流路に関して、使用中に、1つ以上の流体反応物が、方向412に沿って入口406を通って反応器400の近位部分に導かれる。次いで、反応物は、一般に方向414に沿って、反応器400の長さに沿って且つ反応器400の遠位部分に向かって内部反応容積404を通って移動する。内部反応容積404を通って移動する間に、反応物は不均一系触媒材料と接触し、触媒反応を受けて、1つ以上の生成物(例えば、1つ以上の流体生成物)を生成する。反応器400の遠位部分に入ると、反応物および/または形成された反応生成物は、概して方向416に従って戻り流路に入り、戻り導管410の遠位端に通される。戻り導管410及び戻り流路には触媒材料が存在しないため、反応物および/または反応生成物が戻り導管410に入ると、反応物から生成物への触媒変換は減少するか停止する。反応物及び/又は反応生成物は、次いで、方向418に沿って戻り導管410を通って反応器400の近位端に向かって戻り流路に沿って逆流し、出口408を介して方向420に沿って反応器400から出る。
【0035】
本発明の反応器の温度勾配の態様に関して、反応器400は、近位部分424の動作温度よりも高い温度で動作する遠位部分422を含む。
図4Aは、反応器400の右側に、使用中に反応器400内に存在し得る動作温度勾配の例を示す、例示的な温度プロファイルを含む。反応器400の近位部分424は比較的低い温度(約100℃)で動作しているが、内部反応容積404の動作温度は反応器400の長さに沿って着実に上昇し、反応器400の遠位部分422は比較的高い温度(~1000℃)で動作している。
図4Aに示される温度プロファイルは説明のみを目的としており、本発明の反応器内の実際の温度勾配は
図4Aに示されるものとは異なり得る。本発明の反応器内の動作温度勾配は、内部反応容積404内で起こる反応によって生成または消費される熱、反応器400の様々な部分を通って流れる流体間で伝達される熱、および反応器400から加熱要素または冷却要素を介して加えられるまたは除去される任意の熱の関数(function)であり得る。
【0036】
反応によって生成または消費される熱に関して、内部反応容積404内で起こる触媒反応は、本質的に発熱または吸熱であり得る。発熱性の場合、反応によって生成される熱は、反応器400およびその中の流体の温度を上昇させる傾向があるだろう。逆に、触媒反応が本質的に吸熱性の場合、内部反応容積404内で起こる反応は、反応器400およびその中の流体の温度を低下させる傾向があり得る。
【0037】
反応器400内を流れる流体間の熱伝達に関して、戻り流路を通って流れる流体は、内部反応容積404を通って流れる流体の熱源として作用する。流体が反応器400の遠位端から近位端まで、戻り導管410を通って流れるとき、流体は戻り導管410の壁に熱を伝達し、次に、戻り導管410はその熱エネルギーを内部反応容積404内の流体に伝導する。反応器400はバッフルまたは触媒材料を示していないが、 本発明の反応器がこれらの特徴を含む場合、戻り導管も熱をバッフルおよび触媒材料およびバッフルに伝導し、その熱は次にバッフルおよび/または触媒材料と接触する流体に伝達されるであろう。このようにして、本発明の反応器は、戻り導管内の比較的高温の流体が戻り導管壁の反対側の内部反応容積内のより冷たい流体に熱を伝達する連続熱伝達プロセスを提供する。例えば、反応物流体が最初に反応器400に入るとき、反応物流体は戻り導管410の近位部分から伝達される熱によって温められる。その加熱された反応物流体が内部反応容積404を通って反応器400の長さを遠位に向かって移動し続けるにつれて、反応物流体は、戻り導管410から伝達される熱によって継続的に加熱される。反応物流体が反応器400の遠位端422にある内部反応容積404の遠位端に到達すると、反応物流体と、内部反応容積404内で生成された任意の生成物流体とが、その最高プロセス動作温度またはそれに近い温度になるだろう。高温の反応物および生成物流体は、戻り導管410を通って反応器400の近位端424に向かって戻り、その際に流体は戻り導管410の内壁に熱を伝達する。反応物および生成物流体が戻り導管410の近位端に到達するとき、流体が戻り導管410の長さに沿って移動するにつれて戻り導管410および内部反応容積404に熱が継続的に伝達されるため、流体はかなり冷却される。
【0038】
反応器400に加えられる熱、または反応器400から除去される熱に関して、反応器400の様々な部分が加熱または冷却され得る。例えば、反応器400の遠位部分422および/または近位部分424は、内部熱源または外部熱源から熱を供給されて、熱を加え、および/または反応器400の内部反応容積404内の流体の温度を上昇させることができる。例えば、反応器400の遠位部分422および/または近位部分424は、熱を除去するため、および/または反応器400内の流体の温度を下げるために冷却され得る。
【0039】
複数の本発明の反応器を組み立てて、使用中の反応生成物の生成を増加させることができる。
図4Bおよび4Cは、複数の反応器400を含むアセンブリ430を示す。
図4Bは、アセンブリ430の側面図を示し、一方、
図4Cは、アセンブリ430の上面図を示す。アセンブリ430は、六角形に詰めた10個の反応器(
図4Bおよび4Cでは「反応器400」として示されている)を含む。各反応器400の遠位部分422は、反応器400の遠位部分422を加熱するために配置された複数の加熱源434を含む加熱固定具(heating fixture)432内に配置される。各反応器400の近位部分424は、断熱材436内に配置され、断熱材436によって囲まれ、各反応器400の近位端のみが断熱材436を通って延在している。
図4Bは、反応器400と加熱源434の配置をより良く示すために、断熱材436と加熱固定具432を部分的に透明で示している。使用中、反応物は反応器400の入口406を介して各反応器400に送られる一方、生成物は反応器の出口408を介して各反応器400の外に導かれる。各反応器400の遠位部分422は、加熱源434によって加熱され、次に加熱源434は、各反応器400の内部反応容積の遠位部分を所望の温度に加熱する。
【0040】
戻り導管410には触媒材料が含まれていないが、いくつかの実施形態では、本発明の反応器は戻り導管の遠位部分内に配置された触媒材料を含む。戻り導管の遠位部分に入る流体は、一般に、最高プロセス温度またはそれに近い温度になる。すなわち、戻り導管の遠位部分内の流体は、一般に、本発明の反応器を通って移動する間に得られるであろう最も高温の温度にある。戻り導管の最も高温の遠位部分内に触媒材料を含むことによって、反応物の熱エネルギーを利用して、反応物の生成物への変換をさらに促進する(drive)ことができる。さらに、戻り導管の遠位部分内に触媒材料を含むと、流体内の乱流が増加し、それによって流体と戻り導管および/または触媒材料の固体表面との間の熱交換が増加する。
図8は、容器802の内壁と外側壁との間に画定された内部反応容積内に配置された複数の異なる触媒材料832、834、836、および838を含む、本発明の実施形態の一例である反応器800を示す。触媒材料838はまた、戻り導管810の遠位部分の内腔内に配置される。流体が内部反応容積を通って反応器800の長さに沿って移動するとき、流体反応物は入口806を介して反応器800に入り、一連の触媒材料832、834、836、および838と接触するようになる。筐体802の遠位部分822において、流体反応物(および結果として生じる生成物流体)は、戻り導管810の遠位端826に入る。流体反応物は、戻り導管の遠位部分の内腔内に配置された触媒材料838と接触し続けるようになる。次いで、流体反応物および結果として生じる流体生成物は、戻り導管810の内腔に沿って近位方向に移動し続け、最終的に出口808を介して反応器800を出る。
【0041】
いくつかの実施形態では、触媒材料は、戻り導管の遠位部分、例えば戻り導管によって画定される戻り流路の長さの最遠位の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、又は25%超内に配置される。
【0042】
図1Aおよび1Bは、不均一系触媒反応器100の形態における本発明の別の実施形態を示す。
図1Aおよび1Bは、それぞれ、不均一系触媒反応器100の側面図および分解図を示す。反応器100は、内部に反応器シェルまたは筐体102を含む。
図1Aは、筐体102を特定の内部特徴とともに示すが、図示の内部構成要素または特徴は想像線(in phantom)で示されている(例えば、戻り導管110およびバッフル112)。
【0043】
筐体102は、長軸(又は主軸:major axis)114、長さL、および幅Wを有するほぼ円筒形の形状である。筐体102は、円筒形本体124、近位キャップ116、および遠位キャップ120を含む。円筒形本体124は、反応器100の長さLの大部分を形成し、近位キャップ116は、反応器100の近位部分118の一端を画定する。遠位キャップ120は、反応器100の遠位部分122の端を画定する。
【0044】
近位キャップ116は、入口106および出口108の形態の2つのポートを含む。反応器100は、1つの入口および1つの出口のみを有するように示されているが、いくつかの実施形態では、本発明の反応器は、複数の出口および/または入口(例えば、2、3、4、5、6、7、8、または8つを超える入口および/または出口)を含む。
【0045】
入口106は、1つ以上の反応種が通過または流れることができるチャネルを画定し、反応器100の近位部分118内に画定される内部反応容積104の部分と直接流体連通する。出口108は、1つ以上の生成物種が通過したり、反応器100から流出したりできる戻り流路の少なくとも一部を画定する。出口108は、戻り導管110の近位端と直接流体連通する。
【0046】
内部反応容積104は、1つ以上の反応生成物への反応物の化学変換を促進または容易にするために、1つ以上の反応物が1つ以上の種類の触媒材料(
図1Aおよび1Bには示されていない)と接触する反応器100内の空間または容積である。内部反応容積104は、筐体102の内壁と戻り導管110の外壁によって画定され、反応器100の長さLの大部分にわたって長軸114に沿って延在する。近位部分118では、内部反応容積104は入口106と直接流体連通する。遠位部分122では、内部反応容積104は戻り導管110の遠位端と直接流体連通する。
【0047】
バッフル112は、戻り導管110から内部反応容積104内に延在する。バッフル112は、戻り導管110の外側に巻き付き、反応器100の長さLの少なくとも一部にわたって、長軸114の周囲の半径方向、および長軸114に沿って軸方向、の両方に延在するヘリカル状(又は螺旋状:helical)またはねじ山のような(screw thread-like)スパイラル状(又は螺旋状:spiral)を形成する。バッフル112は、i)内部反応容積104を通って導かれる流体内の対流(convection)を増大させ、それによって内部反応容積104を通って流れる流体の温度勾配を減少させる(例えば、筐体102の幅Wに沿って流体の温度勾配を減少させる)、およびii)戻り導管110から内部反応容積104を通って導かれる流体および内部反応容積104内の任意の固体材料(例えば、触媒および/または内部反応容積104内に配置された不活性フィラー粒子またはビーズ)に、熱を伝達することによってヒートシンクとして機能する、ように構成された構造を提供する。このようにして、本発明の反応器のバッフルは、戻り導管内を流れる流体と内部反応容積内を流れる流体との間の熱伝達を増加または改善する。いくつかの実施形態では、本発明の反応器のバッフルは、戻り導管および反応器筐体の内壁から延在するか、またはそれらに接触する。
【0048】
バッフル112は、
図1Aでは、戻り導管110のほぼ全長にわたって延びる(runs)1本糸(single-thread)ヘリカル形状を有するものとして示されているが、本発明の他の実施形態には、オリフィスバッフルまたはセグメントバッフルなど、異なる形状または構成を有するバッフルの使用が含まれる。例えば、本発明の反応器のいくつかの実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を有するバッフルを含む:i)バッフルは、内部反応容積の長さの1つ以上のサブ部分(sub-portions)に沿って延在するか、またはその周囲に巻き付くことができる、ii)バッフルは、内部反応容積の長さの1つ以上のサブ部分に沿って変化するヘリカル状ピッチを有してもよい(すなわち、内部反応容積の長さのいくつかの部分に沿ったヘリカル状の巻き数は、内部反応容積の長さの他の部分に沿ったヘリカル状巻きの数と異なっていてもよい)、および/または、バッフルは、内部反応容積の長さのいくつかの部分に沿って可変の厚さまたはヘリカル状フライト幅(helical flight width)を有してもよい(すなわち、内部反応容積の長さの一部分に沿ったヘリカル状バッフルのフライト幅は、内部反応容積の長さの別の部分に沿ったフライト幅と異なっていてもよい)。
【0049】
本発明の反応器のいくつかの実施形態は、内部反応容積の一部に他よりも多くのバッフル表面積を含み得る。内部反応容積の一部分におけるバッフルの総表面積を別の部分に対して変化させることによって、内部反応容積のその部分における熱伝達量を増加または減少させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の反応器は、内部反応容積の第1部分に延在する1つ以上のバッフルと、内部反応容積の第2部分に延在する1つ以上のバッフルとを含む。内部反応容積の第1部分に延在するバッフルの総表面積は、内部反応容積の第2部分に延在するバッフルの総表面積より大きくてもよく、それによって、内部反応容積の第1部分内の流体および材料と、バッフルが延在する戻り導管の対応する長さ内を移動する流体との間の熱伝達量が増加する。
【0050】
図2Aは、一連のバッフル202を含む本発明の一実施形態の側断面斜視図を示す。バッフル202は、筐体206内の戻り導管204の長さの少なくとも一部に沿って延びる(runs)三重ヘリカル形状に形成される。本発明の反応器におけるバッフル設計の別の例が
図2Bに示されており、それはバッフル210および戻り導管212の側面斜視図である(バッフル設計をより良く示すために、バッフル210の一部が
図2Bから省略されていることに留意されたい)。バッフル210は、戻り導管212の外壁から一本糸ヘリカル形状で延在し、内部反応容積内の流体が通過し得る複数の窓214を画定する。窓214は、バッフル210が本発明の反応器の筐体内に配置されるとき、内部反応容積内に非常に曲がりくねった(torturous)流路を提供する。
【0051】
本発明の反応器は、内部反応容積内に位置した、又は配置された1つ以上の種類の触媒材料を含む。
図1Aおよび1Bでは、本発明の反応器の他の部分の明瞭性を向上させるために触媒材料が省略されているが、
図3Aは、内部反応容積内に位置したまたは配置された複数の異なる触媒種を示す反応器300の側断面図を示す。
【0052】
反応器300は、筐体302を含む。筐体302の近位部分304は、近位キャップ306を含むが、筐体302の遠位部分308は、遠位キャップ310を含む。近位キャップ306は、入口328および出口330を含み、筐体302の近位端を画定する。出口330は、 戻り導管、または複数の戻り導管を結合するマニホールド(
図3Aには図示せず)に固定され、それらと直接流体連通する。入口328は、筐体302の内壁および1つ以上の戻り導管の外壁によって境界付けられる内部反応容積と直接流体連通している。
【0053】
反応器300の内部反応容積は、第1の触媒材料332、第2の触媒材料334、第3の触媒材料336、および第4の触媒材料338を含む、4つの異なる種類の触媒材料で満たされている。第1、第2、第3および第4の触媒材料332、334、336および338は、球状の粒子またはビーズの形態をとる。
【0054】
反応器300は、球状粒子またはビーズの形態の触媒材料332、334、336および338と共に示されているが、本発明の反応器のいくつかの実施形態は、他の形態または形状を有する触媒材料を含んでもよい。例えば、本発明の反応器は、多孔質ビーズ、ペレット、チューブ、ラシヒリング、スーパーラシヒリング、ポールリング、ビャウエツキリング、押出物、ローブ、サドル、および/または他の形状の形態の1つ以上の触媒材料を含んでもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、触媒材料は、反応物の生成物への変換を補助する1つ以上の種の触媒活性剤を含む。触媒材料中の触媒活性剤の正しい種類は、所定の用途のニーズに依存し得る。潜在的に適切な触媒活性剤のいくつかの非限定的な例としては、ニッケル、ジルコニア、白金、パラジウム、銅、アルカリ金属、アルカリ土類金属、モリブデン、イットリア、炭化モリブデン、亜鉛、鉄、クロム、ランタニド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
いくつかの実施形態では、触媒材料は、触媒活性剤がその上または中に配置されるもう1つのタイプの触媒担体(又は支持体:support)材料を含む。触媒材料に使用される担体材料の正しい種類は、所与の用途のニーズに依存し得るが、潜在的に適切な担体材料のいくつかの非限定的な例としては、金属または非金属の窒化物、炭化物、酸化物、酸窒化物、酸炭化物、金属合金、シリカ、アルカリ土類酸化物、アルカリ金属酸化物、ジルコニア、チタニア、およびそれらの組み合わせが挙げられる。潜在的に適切な触媒担体材料のさらなる非限定的な例としては、アルミナ(例えば、アルファ、ベータ、デルタ、シータ、ガンマ、および中間相アルミナ)、炭化ケイ素(例えば、アルファ相またはベータ相炭化ケイ素)、窒化ホウ素(例えば、六方晶系または立方晶系窒化ホウ素)、ムライト、ステアタイト、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、発泡金属または高表面積金属(例えば、ニッケル)、シリコン、複数の金属の合金、およびそれらの複合物が挙げられる。一部の用途では、担体材料自体が触媒活性を有し、反応物の生成物への変換に関与する。
【0057】
第1、第2、第3および第4の触媒材料332、334、336および338は、独自の触媒ゾーン内に連続して配置される。第1の触媒材料332は、筐体302の内部反応容積の長さ320を占める第1の触媒ゾーン312内に配置される。第2の触媒材料334は、筐体302の内部反応容積の長さ322を占める第2の触媒ゾーン314内に配置される。第3の触媒材料336は、筐体302の内部反応容積の長さ324を占める第3の触媒ゾーン316内に配置される。第4の触媒材料338は、筐体302の内部反応容積の長さ326を占める第4の触媒ゾーン318内に配置される。
【0058】
動作中、内部反応容積の遠位部分が近位部分よりも高い温度で動作するように、本発明の反応器の内部反応容積の長さに沿って熱勾配を確立することができる。各触媒ゾーン内に配置される触媒材料は、そのゾーンの温度および/または圧力における反応器の性能を向上または最適化するように選択され得る。例えば、第1の触媒ゾーン312は、第2、第3または第4の触媒ゾーン314、316および318と比較して比較的低温であり得るため、第1の触媒材料332は、ゾーン312のより低い温度で反応物をより効率的にまたは最適に触媒する材料を含むように選択され得る。同様に、第4の触媒ゾーン318は、第1、第2または第3の触媒ゾーン312、314および316の温度よりも高い温度で動作し得るため、第4の触媒ゾーン318は、ゾーン318のより高い温度で反応物をより効率的にまたは最適に触媒する触媒材料を含むように選択され得る。
【0059】
各触媒ゾーン内に配置される触媒材料は、本発明の反応器が定常状態で動作しているとき(すなわち、反応器内に確立された熱勾配がもはや変動していないとき)、所望の性能指標を満たすか、またはそれを超えるように選択され得る。そのような性能指標の例には、触媒変換量または触媒選択性が含まれる。例えば、本発明の反応器がRWGS反応を実行するために使用される場合、1つ以上の触媒ゾーン内の触媒材料は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%のCO2変換率を提供するように選択され得、ここで所与のゾーンのCO2変換率は次の式4ように定義される:
CO2変換率=(CO出力のモル)/(CO2入力のモル)(式4)
さらに、1つ以上の触媒ゾーン内の触媒材料は、所与のゾーンの条件(例えば、ゾーン内の温度、圧力、および化学組成)下でCO2の理論最大変換率の特定の割合を提供するように選択できるであろう。例えば、所与のゾーン内の触媒材料は、そのゾーンの反応条件下でのCO2の理論最大変換率の、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を提供するように選択できるであろう。
【0060】
代替的に、またはさらに、1つ以上の触媒ゾーン内の触媒材料は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の触媒選択性を提供するように選択できるであろう。ここで、RWGS反応の触媒選択性は、次の式5に従って所与のゾーンに対して定義される:
触媒選択性RWGS=(CO出力モル数×2)/(CO出力モル数×2+CH4出力モル数×8) (式5)
【0061】
いくつかの実施形態では、触媒ゾーンの各々は、他の触媒ゾーンのいずれかに位置した。又は配置された触媒材料の種とは異なる、または類似していない触媒材料の種を、含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。例えば、所与のゾーン内の触媒材料は、他の触媒ゾーンの触媒材料と比較して、異なるタイプおよび/または量の触媒活性剤、異なるタイプおよび/または量の触媒担体材料、異なる配合、異なる濃度、および/または所与の体積あたりの異なる表面積を含み得る。さらなる例では、所与の触媒ゾーンの触媒材料は、他の触媒ゾーンの触媒材料と比較して異なる多孔度および/または表面積を含み得る。このようにして、所与の触媒ゾーンの触媒材料の触媒活性剤および/または触媒担体材料を、その触媒ゾーンで見出された(found)温度および圧力に調整して、所望レベルの反応性能を提供することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、各触媒ゾーンは、筐体の内部反応容積の長さの一部に沿って延在する一方、筐体のその部分の幅全体を占有する。すなわち、本発明のいくつかの実施形態では、反応器の内部反応容積の長さに沿って、および/または反応器の内部反応容積内の温度勾配に沿って、隣接するゾーン間に重なりがないように、各触媒ゾーンを筐体内に配置できる。このように、本反応器のいくつかの実施形態は、所与の反応温度において1種類の触媒材料のみを含む。
【0063】
図3Aは、4つの異なる触媒ゾーンを含む本発明の実施形態を示すが、本発明のいくつかの実施形態は、複数の触媒ゾーン(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または30を超える触媒ゾーン)を含み、それぞれ、そのゾーンにとって所望の特性(例えば、表面積、選択性、特異性、反応速度論、熱力学、細孔径、熱伝導率、熱安定性、化学的安定性、または他の触媒特性)を有する触媒材料の独自の特定の組成および/または濃度を有する。異なる種類の触媒材料は、その種類の触媒材料の性能特性がそれぞれの触媒ゾーンにおける動作条件(例えば、温度および/または圧力)と一致または組み合わせられるように、所定の連続順序で配置され得る。例えば、比較的高温での所与の反応によりよい性能を提供する触媒材料は、反応器の内部反応容積の遠位端付近または遠位端にある触媒ゾーンに配置することができ、一方、より低い動作温度に適した触媒は、反応器の内部反応容積の近位部分に近い触媒ゾーンに配置することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、触媒の担体材料は、炭化ケイ素および/または窒化ホウ素の多孔質コーティングなどの多孔質コーティングを含む。そのような多孔質コーティングは、反応流体の浸透を可能にし、また、内部反応容積内の触媒粒子と流体の中、及び間の熱伝達を改善することも可能にする。いくつかの実施形態では、触媒材料は、触媒の活性表面積を増加させるために担体構造の細孔内に配置される。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明の反応器は、内部反応容積内に分散または配置された不活性フィラー粒子(例えば、フィラービーズ)を含む。
図3Bは、反応器350の形態のそのような一実施形態を示す(簡潔にするために、入口または出口などの本発明の反応器の一部が
図3Bでは省略されていることに留意されたい)。反応器350は、複数の異なるビーズ形状の触媒材料352と、ビーズ形状の触媒材料352の周りに位置したまたは配置された複数の不活性フィラービーズ356とを含む内部反応容積を画定する筐体354を含む。不活性フィラービーズ356は、伝導性熱伝達を促進する材料(例えば、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ホウ素、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、および/またはそれらの複合物)で構成されて(又は作られて:be made of)もよい。不活性フィラービーズ356は、内部反応容積内での熱伝達を補助または改善することができ、それによって反応器350の幅全体にわたってより均一な温度勾配を維持するのに役立つ。いくつかの実施形態では、内部反応容積の体積の最大5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%が、不活性フィラービーズによって占められ得る。
【0066】
図1Aおよび1Bに示される反応器100に戻ると、反応器100は戻り導管110を含む。戻り導管110は、筐体102の長さLに沿って内部反応容積104内に延在する管の形態をとる。戻り導管110は、内部反応容積104内に、長軸114とほぼ同軸上に配置される。戻り導管110の近位端は、筐体102の近位部分118内の近位キャップ116の出口108に固定されるか、またはその近くに配置される。戻り導管110の遠位端は、
図1Eに最もよく示されているように、流体が戻り導管110によって画定される管腔に入ることができる、複数の穿孔または穴126を含む。このようにして、穴126は、より大きな固体物質(例えば、触媒材料または不活性フィラービーズ)が戻り導管110によって画定される管腔に入るのを防ぐ。
【0067】
戻り導管110および出口108は、それぞれ、流体(例えば、反応物および/または反応生成物)が反応器100から流出するように導くことができる戻り流路の一部を画定する。流体が戻り導管110を通過すると、流体からの熱が戻り導管110の壁とバッフル112を通過して、触媒材料、任意の不活性粒子、および内部反応容積104内に存在する流体に伝導される。このようにして、熱は、内部反応容積104から出る途中の流体(すなわち、戻り流路を通って導かれる流体)から伝達され、筐体102の遠位部分122に向かって移動する流体(すなわち、内部反応容積104を通って流れる流体)に伝達される。
【0068】
戻り導管110は、その管腔内の乱流流体の流れを促進して戻り導管110の半径方向幅にわたる温度勾配を減少させ、戻り導管110内の流体から内部反応容積104内の流体への熱伝達を改善する特徴を含むことができる。
図1Cは
図1Aの平面A-Aに沿った戻り導管110の上面断面図を示す(
図1Cでは、明確にするために筐体102の壁を省略している)。
図1Cに見られるように、戻り導管110は、隆起したヘリカル状の溝またはライフリング(rifling)128を含む。溝またはライフリング128は、戻り導管110の内壁の円周に沿って巻かれており、戻り導管110の遠位端から近位端までヘリカル状に延在する。反応物および/または生成物流体が戻り導管110を通って流れるとき、ライフリング128は流体内の乱流を増加させ、それによって戻り導管110の半径方向幅に沿って存在し得る温度勾配を減少させる。これは次に、バッフル112および内部反応容積104内の材料(例えば、流体、触媒材料、および/または不活性ビーズ)への熱伝達を促進または増加させる。戻り導管110は、流れの乱流を増大させるために溝またはライフリング128を含むが、本発明の他の実施形態は、非ヘリカル状の溝、バンプ(bumps)、非ヘリカル状の隆起(又は隆起帯:ridges)、または、流れの乱流を増大させる機能を有する他の形態のバッフリング(baffling)など、他のタイプの表面テクスチャリングを使用してもよく、それによって、戻り導管内の流体から内部反応容積内の材料(例えば、反応物/生成物流体、触媒材料、または不活性粒子)への熱伝達を改善し得る。
図1Dは、戻り導管130の上面断面図を示し、それは、戻り導管130の内壁に形成されるか、またはその内壁上に配置される複数の小さなディンプル(dimples)またはバンプ132を含む、本発明の別の実施形態の戻り導管である。バンプ132は、戻り導管130によって画定される管腔内の乱流を促進するバッフルとして機能する。
【0069】
反応器100は、筐体102の長さLの大部分にわたって長軸114に沿って延びる(running)単一の直線状の管またはチャネルの構成内の単一の戻り導管110を有するものとして示されているが、本発明の他の実施形態は、異なる形状および構成を有する戻り導管を含む。例えば、本発明の反応器は、ヘリカル状もしくはスパイラル状を有する戻り導管、または2つ以上のチャネルを有する戻り導管を含んでもよい。ヘリカル状の戻り導管または2つ以上のチャネルを有する戻り導管を使用すると、戻り流路経路をより長くすることによって、および/または戻り導管チャネルの半径または幅を減少させることによって、戻り導管チャネル内の流体から内部反応容積内の流体への熱伝達を改善できる。本発明のいくつかの実施形態では、戻り導管内の流体と内部反応容積内の流体との間の適切な熱伝達を達成するためにそのようなバッフルは必要ないため、反応器は戻り導管チャネルから延在するバッフルを含まない。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明の反応器は、戻り導管と戻り導管内を流れる流体との間の対流および/または伝導熱交換を増加させるための特徴を含む戻り導管を含む。例えば、戻り導管は、戻り導管を通って移動する流体の乱流を増加させるパッキング材料(packing materials)を含むことができ、および/または戻り導管の内壁面は、戻り導管内を移動する流体内の乱流を増加させる特徴を含むことができ、それにより、流体と戻り導管の表面および/または戻り導管内のパッキング(packing)との間の対流熱交換を増加させることができる。さらに、戻り導管内のパッキング材料および/または戻り導管の内壁に形成された特徴は、戻り導管の他の部分および/または本発明の反応器(例えば、内部反応容積)の内部の他の部分内のパッキング材料に熱を伝達できる。そのような特徴のさまざまな例が
図7A~7Hに示されている。
【0071】
図7Aは、戻り導管700の一部の側面図を示す。
図7Aの図は、戻り導管700の内部特徴をより良く示すために部分的に透明として示されている。戻り導管700は、戻り導管の内壁の周りに巻かれるヘリカル状バッフル702を含む。ヘリカル状バッフル702は戻り導管700の内壁と物理的に接触しており、それによって戻り導管700とヘリカル状バッフル702との間に高度の熱的接続が提供される。使用中、ヘリカル状バッフル702は、生成物及び反応物流体の流れに、それらが戻り導管700を通して移動する際に、乱流を誘発することになり、それにより、流体からヘリカル状バッフル702へ熱伝達を増加させ、それによって戻り導管700の内壁への熱伝達が増加する。
【0072】
図7Bは、戻り導管710の一部の側面図を示す。
図7Bの図は、戻り導管710の内部特徴をより良く示すために部分的に透明として示されている。戻り導管710は、戻り導管の内壁の周りに巻かれたヘリカル状コイル712を含む。ヘリカル状コイル712は戻り導管710の内壁と物理的に接触しており、それによって戻り導管710とヘリカル状コイル712との間に高度の熱的接続が提供される。使用中、ヘリカル状バッフル712は、生成物及び反応物流体の流れに、それらが戻り導管710を通して移動する際に、乱流を誘発することになり、それにより、流体からヘリカル状コイル712へ熱伝達を増加させ、それによって戻り導管710の内壁への熱伝達が増加する。
【0073】
ヘリカル状バッフル702およびヘリカル状コイル712は、それぞれがそれぞれの戻り導管の内周に沿って巻かれるという点で、多くの点で類似している。ヘリカル状バッフル702とヘリカル状コイル712との間の1つの違いは、それらがそれぞれの戻り導管によって画定される管腔の中心軸に向かって半径方向にどれだけ延在するかである。ヘリカル状バッフル702は戻り導管700の中心軸までの半径方向距離全体に広がるが、ヘリカル状コイル712は戻り導管710の中心軸まで部分的にのみ広がる。
【0074】
図7Cは、球状ビーズ722の形態における複数の粒子が配置される戻り導管720を示す。ビーズ間の空間は、使用中に生成物および反応物流体が流れる曲がりくねった経路(又は複雑な経路:tortuous path)を形成する。この曲がりくねった経路は、生成物および反応物流体が戻り導管720を通って移動するときに、それらの流れに乱流を誘発する。ビーズ722は、隣接するビーズおよび戻り導管720の内壁と直接物理的に接触しており、これにより、ビーズと戻り導管720の内壁との間の伝導と戻り導管720を通過する流体間の対流の両方を介して熱交換が増加する。球状ビーズ722は、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、 アルミナ、アルミニウム、アルミノケイ酸塩、ステアタイト、酸化マグネシウム、銅、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、および/またはステンレス鋼の粒子(例えば圧縮および/または研磨された粒子)であり得る。
図7Cは、球形ビーズ722が充填された戻り導管720を示すが、本発明のいくつかの実施形態では、戻り導管には、球、ペレット、ローブ、中空管、リボン、ワイヤ、ラッシングリング、クロスリング、サドル、トリ-yリング(tri-y rings)、ランダムな形状、またはそれらの組み合わせなどの形状の粒子が充填される。
【0075】
図7Dは、複数の小さな直線状チャネル734を含むモノリス(monolith)732が配置された戻り導管730を示す。代替的には、モノリス732および戻り導管730は一体構造として形成される。モノリス732および/または戻り導管730は、セラミック材料および/または押出金属材料から形成され得る。
図7Eは、3つのモノリス732の上面断面図を示し、複数の小さな直線状チャネル734をよりよく示している。使用中、モノリス732は戻り導管730内に配置され、戻り導管730の内壁と接触しており、生成物および反応物流体は、モノリス732の複数の直線状チャネル734を通って流れることによって戻り導管730に沿って移動する(又は横切る:traverse)。流体はモノリス732のバルク材料に熱を伝達し、次にモノリス732のバルク材料は、熱を伝導的に戻り導管730の内壁に伝達し、その後、内部反応容積に伝達する。いくつかの実施形態では、(本明細書の他の箇所で説明するように)戻り導管の外側の周りにバッフルを形成してもよく、戻り導管内にモノリスを配置または形成してもよい。
【0076】
図7Fは、戻り導管740を示し、その中には、戻り導管740を通る非常に曲がりくねった流体流路または流路744を形成するランダムチャネルまたは相互接続された細孔のネットワークを含む発泡モノリス742が配置されている。発泡モノリス742は、セラミック材料、金属材料、またはセラミック材料と金属材料の両方で構成され得る。
図7Gは、発泡モノリス742の2つの部分の断面プロフィールを示す写真を示し、それを通る高度に曲がりくねった流体流路744の別の図を示す。使用中、発泡モノリス742は戻り導管740内に配置され、且つ戻り導管740の内壁と接触しており、生成物および反応質流体は、発泡モノリス742内に画定された非常に曲がりくねった流体流路744を通って流れることによって戻り導管740に沿って移動する。流体は熱を発泡モノリス742のバルク材料に伝達し、次に発泡モノリス742のバルク材料は熱を戻り導管740の内壁に伝導的に伝達する。
【0077】
図7Hは、戻り導管750の内壁から戻り導管750の中心軸に向かって突出する(jutting)複数のスパイクまたは付属物(appendages)752を含む戻り導管750を示す。付属物752は、使用中、反応物および生成物流体が戻り導管750の内腔を通って流れるときに、反応物および生成物流体に乱流を誘発する。流体はそれらの熱を付属物752のバルク材料に伝達し、次に付属物752はその熱を戻り導管750に伝導的に伝達する。
【0078】
図5A~5Cは、ヘリカル形状を有する戻り導管、および2つ以上のチャネルを有する戻り導管を利用する実施形態を含む、本発明の戻り導管の様々な形態を示す。
【0079】
図5Aは、単一のヘリカルまたはスパイラル構造を有する戻り導管500の斜視図を示す。戻り導管500を含む本発明の反応器の「内部反応容積」には、筐体の内壁と戻り導管500の外側ヘリカル状半径との間の空間または容積だけでなく、戻り導管500の内側ヘリカル状半径内の空間または容積(すなわち、戻り導管500の中心軸に沿って延在し、ヘリカルスパイラルの内周によって境界が定められる体積)も含まれるであろう。触媒材料は、戻り導管500のヘリカル状構造の周囲および内部の両方に充填され得る。戻り導管500によって画定される比較的長く曲がりくねった戻り流路は、戻り導管500の外面から延在するバッフルを使用せずに、戻り導管500内の流体と内部反応容積内の流体との間に適切な量の熱伝達を提供できる。
【0080】
図5Bは、複数の戻り導管(戻り導管を想像線で示す)を含む本発明の反応器520の簡略化した側面図を示す。簡単にするために、
図5Bは、本発明の反応器に見られる多くの要素を省略し、反応器520内の戻り導管構造をよりよく示すために、筐体508を部分的に透明なものとして示す。
【0081】
反応器520は、筐体508、第1の戻り導管512、第2の戻り導管514、第3の戻り導管516、および戻りマニホールド518を含む。第1、第2、および第3の戻り導管512、514、および516は、内部反応容積574の長さの大部分に沿って、互いにほぼ平行に延在する。第1、第2、および第3の戻り導管512、514、および516の遠位端526は、筐体508の遠位端524の近くの反応器520の遠位部分に配置される。第1、第2、および第3の戻り導管512、514、および516の近位端は、すべて戻りマニホールド518に固定され、戻りマニホールドは筐体508の近位端522に固定される。動作中、流体は、近位端522の入口(入口は
図5Bには示されていない)から、筐体508の長さに沿って、筐体508の内壁によって画定される内部反応容積574を通って、戻り導管512、514、および516の外壁に流れる。次いで、流体は、第1、第2、および第3の戻り導管512、514、および516の遠位端526に入る。そこから、流体は、第1、第2、および第3の戻り導管512、514、および516を逆流して戻りマニホールド518に流入し、戻りマニホールド518の近位端に取り付けられた出口530を介して反応器520から出る。
【0082】
図5Cは、複数の戻り導管も含む、本発明の反応器550の簡略化した側面図を示す。簡略化のために、
図5Cは、反応器550内の戻り導管構造をよりよく示すために、触媒材料を省略し、容器552内の特定の構造(例えば、第1、第2、第3、第4、および第5の戻り導管554、556、558、560、および562、ならびにバッフル564)を想像線で示している。
【0083】
反応器550は、筐体552、第1の戻り導管554、第2の戻り導管556、第3の戻り導管558、第4の戻り導管560、第5の戻り導管562、バッフル564、入口566、および出口568を含む。第1、第2、第3、第4、および第5の戻り導管554、556、558、560および562は、筐体552の内部反応容積574の長さの大部分に沿って、ほぼ互いに平行に延在する。第1、第2、第3、第4、および第5の戻り導管554、556、558、560、および562の遠位端は、筐体552の遠位端572の近くの反応器552の遠位部分に配置される。第1、第2、第3、第4、および第5の戻り導管554、556、558、560、および562はすべて戻りマニホールド(
図5Cでは見えない)に固定されており、次いでそのマニホールドは出口568に固定されている。出口568および入口566は筐体552の近位端570を通って延在する。第3の戻り導管558は、筐体552の中心軸にほぼ沿って配置されている。ヘリカル状バッフル564は、第3の戻り導管558から半径方向に突出し、第3の戻り導管558の周囲に巻かれ、近位端570から遠位端572まで筐体552の長手方向の長さに沿って延在する。第1、第2、第4、および第5の戻り導管554、556、560、および562は、第3の戻り導管558の周りに対称的に配置され、また、近位端570から遠位端572まで筐体552の長さに沿って長手方向に延在する。
【0084】
動作中、流体反応物は入口566を介して反応器550に入り、近位端570から筐体552の長さ方向に、並びに、筐体552の内壁と第1、第2、第3、第4、および第5の戻り導管554、556、558、560、および562の外壁とによって画定される内部反応容積574に、流れる。流体反応物および形成された生成物が遠位端572に到達すると、流体は第1、第2、第3、第4、および第5の戻り導管554、556、558、560、および562の遠位端に入る。そこから、流体は、第1、第2、第3、第4、および第5の戻り導管554、556、558、560、および562を逆流して移動し、戻りマニホールドに流れ、近位端570を通って延在する出口568を介して反応器550から出る。
【0085】
反応器520および反応器550は2つ以上の戻り導管チャネルを使用するため、それぞれの戻り導管の各々は、単一の導管のみを使用する反応器と比較して小さい直径を有することができる。さらに、複数の戻り導管のそれぞれの間の間隔により、内部反応容積574内の流体が導管のそれぞれを取り囲むことが可能になる。戻り導管の直径がより小さいこと、および複数の導管が離間しているという性質により、各戻り導管内の流体から内部反応容積574内の流体へのより効率的な熱伝達が促進される。
【0086】
反応器520は3つの分岐戻り導管と共に示され、反応器550は5つの分岐戻り導管をと共に示されているが、本発明の反応器のいくつかの実施形態は、2、4、6、7、8、9、10、または10を超える戻り導管を含む。さらに、反応器520は、戻りマニホールド518にすべて合流する(merging)戻り導管512、514、516を示しているが、本発明の反応器のいくつかの実施形態は、戻りマニホールドの使用を完全に省略し、単に複数の出口を有し、各出口がそれ自体の専用の(dedicated)戻り導管に接続されている。さらに別の実施形態では、本発明の反応器は、戻りマニホールドに合流する分岐戻り導管と、それらの専用の出口を有する1つ以上の戻り導管の両方を有する。
【0087】
本発明の反応器を作製するために使用される構成材料は、所与の用途に必要な要求および性能特性に基づいて選択され得る。構成材料を選択する際に考慮すべきいくつかの要素としては、熱安定性、化学反応性、熱伝導率、クラック耐性、およびコストが挙げられる。RWGS反応で生成される一酸化炭素は、さまざまな温度範囲で鉄及びニッケルの合金を攻撃して腐食し、有毒な生成物を生成する傾向があるため、RWGS反応の用途は特に要求が厳しくなる。いくつかの実施形態では、本発明の反応器は、約50℃~約1600℃の内部動作温度(すなわち、反応器筐体内の温度)、及び/又は、約50℃から約2000℃の外部動作温度(すなわち、反応器筐体の外表面の温度)で動作し、それに耐え得る材料で構成される。
【0088】
いくつかの実施形態では、本発明の反応器または本発明の反応器の一部は、金属または金属合金(例えば、SS316などのステンレス鋼合金、または800HTおよび/またはTMA6301などのクロムニッケル合金)、セラミック材料、セラミック複合材料、またはそれらの組み合わせで構成される。例えば、炭化ケイ素、シリカ、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、および/またはアルミナを使用して、本発明の反応器の構成要素の一部またはすべてを形成できる。炭化ケイ素は、有利な熱伝導特性を備えた比較的強力な材料である。また、炭化ケイ素はガス透過性が比較的低く、化学的安定性に優れ、熱膨張係数が低く、破壊およびクラックの伝播に耐性がある特性を有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、本発明の反応器は、使用中に反応器の長さに沿って広がり得る温度勾配によりよく適応するために、2つ以上の材料で構成される。例えば、反応器の遠位部分は比較的高温(例えば、900℃~1600℃)で動作し得るが、反応器の近位部分は比較的低温(例えば、50℃~400℃)で動作し得る。反応器の遠位部分は、より高温で取り扱うことができる材料(例えば、炭化ケイ素などのセラミック材料またはセラミック複合材料)から形成できるが、より近位の部分は、それらのより高温に耐える必要はない材料(例えば金属または金属合金)で構成され得る。例えば、本発明の反応器の入口管または出口管は金属または金属合金で形成することができ、一方、マニホールドおよび/または戻り導管および/または筐体は炭化ケイ素材料、炭化ケイ素複合材料、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、またはそれらの組み合わせで形成できる。いくつかの実施形態では、本発明の反応器の1つ以上の部分(例えば、入口/出口管、筐体、戻り導管など)は、本明細書に記載される1つ以上の金属から形成される近位端と、 は、本明細書に記載される1つ以上のセラミックまたはセラミック複合材料から形成され、それらの間の中間部分は、金属とセラミック材料の両方の混合物から形成される。いくつかの実施形態では、中間部分における2つの材料の比は、反応器部分の長手方向の長さに沿って変化し得る。例えば、入口菅は、金属の近位部分とセラミックの遠位部分と、これら2つの部分の間に、金属対セラミックの比が遠位端近くで大きくなり、近位端近くで小さくなる中間部分を有し得る。中間部分に沿って金属からセラミックに徐々に移行することにより、使用中および/または設置中に本発明の反応器内に応力破壊が形成される可能性を低減できる。
【0090】
さらに、本発明の反応器のいくつかの部分は、反応器の動作性能および/または耐久性を改善するために、第2の材料でコーティング、ライニング(lined)、または含浸されてもよい。例えば、筐体の全部または一部(例えば、遠位部分)は、アルミナイド、アルミナ、アルミナ/炭化ケイ素複合材料、窒化ホウ素材料、ムライト、窒化ケイ素材料、希土類金属、ケイ酸希土類材料、またはアルミン酸希土類材料のライニングまたはコーティングを含んでもよい。
【0091】
本発明の反応器の様々な構成要素を作製するのに有用な製造方法には、機械加工、鋳造、成型、成形、接合、メッキ、等圧成形、押出成形、または付加製造法(例えば、バインダージェット3D印刷法、押出3D印刷法、光リソグラフィー法、 ロボキャスティング法、または選択的レーザー焼結法)が含まれる。さらに、固相焼結、液相焼結、反応性溶融浸透、化学蒸気浸透、およびフェノール含浸熱分解などの方法を使用して、印刷されたプリフォームを本発明の反応器の高密度で使用可能な部分に統合(consolidate)できる。
【0092】
3D印刷プロセスを使用して、1つ以上の異なるタイプの材料を使用して本発明の反応器の構成要素のすべてまたは一部を印刷できる。例えば、3D印刷プロセスを使用して、戻り導管チューブの2つ以上の部分を炭化ケイ素から印刷し、その後、2つ以上の部分を共に焼結して完成した戻り導管を作成することができる。別の例では、3D印刷プロセスを使用して、戻り導管の遠位部分を炭化ケイ素から、近位部分を金属合金から印刷し、その後、2つの部分を共に溶接または接着して完全な戻り導管を形成できる。2つ以上の材料を利用し、ワークピースの寸法にわたってそれらの材料の比率を変えることができる3D印刷プロセスも、本発明の反応器または本発明の反応器の一部を作成するのに有用であり得る。例えば、3D印刷プロセスを使用して、第1の材料(例えば、セラミックまたは炭化ケイ素材料)で構成された遠位部分と、第2の材料(例えば、金属合金)で構成された近位部分と、第1および第2の材料の混合物で構成された中間部分と、を有する戻り導管チューブを印刷できる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の本発明の反応器の1つを使用して反応生成物を生成する方法を含む。
図6Aは、反応生成物を生成する本発明の方法の一実施形態である方法600を示すフローチャートを示す。
図6Bは、方法600で説明する、反応器650の軸方向の長さに沿った断面図を示す。
【0094】
方法600の部分602は、本明細書に記載される本発明の反応器の1つなどの不均一系触媒反応器を提供することを含む。
図6Bに示される反応器650は、そのような反応器を示している。反応器650は、その幅W1よりも大きい長さL1を有する略円筒形の筐体652を含む。筐体652の長さL1は、近位部分656の一端の近位端キャップ658から遠位部分654の端の遠位端キャップ660まで延在する。
【0095】
筐体652は、内部反応容積662を画定する。筐体652は、容積662内に複数の触媒材料664A、664B、664C、664D、664E、664F、および664Gを(触媒球の形態で)収容する。触媒材料664A、664B、664C、664D、664E、664F、および664Gは、長さL1に沿って連続的に配置され、触媒材料の各種はそれ自体の触媒ゾーンに配置される(7つの触媒ゾーンの各々は、
図6Bでは長さA、B、C、D、E、F、およびGとして列挙される)。具体的には、触媒材料664Aは触媒ゾーンA内に配置され、触媒材料664Bは触媒ゾーンB内に配置され、触媒材料664Cは触媒ゾーンC内に配置され、触媒材料664Dは触媒ゾーンD内に配置され、触媒材料664Eは触媒ゾーンE内に配置され、触媒材料664Fは触媒ゾーンF内に配置され、触媒材料664Gは触媒ゾーンG内に配置される。触媒材料664A、664B、664C、664D、664E、664F、および664Gの各々は、それぞれの触媒ゾーン A、B、C、D、E、F、およびGの温度および/または圧力で、反応器の性能を最適化するように選択される。
【0096】
反応器650はまた、入口666および出口668を含み、これらは両方とも近位端キャップ658を通って延在するが、代替実施形態では、反応器は、2つ以上の入口および/または出口(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10を超える入口および出口)を含む。戻り導管670は、筐体652内に配置され、近位端キャップ658から遠位端キャップ660に向かって長さL1の大部分に沿って延在する。ヘリカル状バッフル672は、戻り導管670から内部反応容積662内に延在する。
【0097】
出口668および戻り導管670の内壁は戻り流路を画定する。入口666は、内部反応容積662と直接流体連通しており、戻り流路と間接的に流体連通している。出口668は、戻り導管670の内壁によって画定される戻り流路の部分と直接流体連通し、内部反応容積662および入口666と間接流体連通する。
【0098】
方法600の部分604は、筐体652内の内部反応容積662の長さL1に沿って熱勾配を確立することを含む。
図6Bは、熱勾配674を提供し、それは、熱勾配が確立された後(すなわち、反応器650の定常状態動作時)、長さL1に沿った距離の関数として内部反応容積662の温度を示す。図示のように、筐体652の近位部分656は約150℃の温度で動作し、一方、筐体652の遠位部分654は約1000℃の温度で動作する。熱勾配を確立することは、加熱された流体を、入口666を通して導くこと、遠位部分654を加熱または冷却すること、および/または内部反応容積662内で起こる反応によって生成または消費される熱を、筐体652内の温度勾配が平衡状態になるまで継続させることを含み得る。
【0099】
方法600の部分606は、本発明の反応器の少なくとも1つの入口を通して1つ以上の反応物を導くことを含む。
図6Bの文脈では、部分604は、反応物を、入口666を通して反応器650の内部反応容積662に導くことを含む。反応物の正確なタイプおよび量は、所与の用途によって異なるであろう。しかしながら、いくつかの実施形態では、反応物には、水素、メタン、二酸化炭素、および水のうちの1つ以上が含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、約100℃の温度の流体二酸化炭素および水素が入口666を通って導かれ、内部反応容積662の触媒ゾーンA内に位置する触媒材料664Aと接触する。一旦触媒材料664Aと接触すると、少なくとも一部の反応物が反応生成物に変換されまる。得られる反応生成物の正確なタイプと量も、所与の用途によって異なるであろう。しかしながら、いくつかの実施形態では、反応生成物は、一酸化炭素、水、および水素のうちの1つ以上を含み得る。
【0100】
方法600の部分608は、1つ以上の反応物をさらに内部反応容積662を通って筐体652の遠位部分654に向けて導くことを含む。バッフル672は、流体反応物が筐体652の長さL1に沿って内部反応容積662を通って移動するときに流体反応物内の乱流を加熱し、促進する。さらに、反応物は、それぞれの触媒ゾーンB、C、D、E、F、およびGに位置する他の種の触媒材料664B、664C、664D、664E、664F、および664Gと接触する。したがって、流体反応物が筐体652の長さL1に沿って進むにつれて反応物および触媒材料の温度が上昇し、反応物は触媒種と接触し続け、それにより反応物が反応生成物流体(例えば、一酸化炭素、水、水素など)にさらに変換される。
【0101】
方法600の部分610は、反応生成物およびいずれの未反応の反応物を内部反応容積662から戻り導管670の遠位端に導くことを含む。戻り導管670は、反応生成物(および未反応の反応物)が反応器650から出るための流路を提供する戻り流路の一部を画定する。
【0102】
方法600の部分612は、流体反応生成物を戻り流路に沿って反応器650の近位部分656に向けて導くことを含む。流体反応生成物が戻り導管670を介して筐体652の長さL1を移動するとき、流体反応生成物は熱を戻り導管670に伝達し、その熱は次にバッフル672と内部反応容積662内の流体に伝達される。
【0103】
方法600の部分614は、流体反応生成物を少なくとも1つの出口668を通して導くことを含む。反応器650の場合、流体反応生成物は出口668を通って流れ、反応器650を出る。
【0104】
温度勾配インジケータ674によって示されるように、流体反応物および反応生成物は、反応器650およびその内部反応容積662内で長さL1に沿って遠位方向に移動するにつれて温度が上昇する。近位端キャップ658では、反応物および反応生成物の温度は比較的低く、反応物は約100℃の温度で入口666に入り、反応物流体が遠位端キャップ660に到達すると、温度は1000℃以上に徐々に上昇する。生成物流体(および未反応の反応物流体)はその後、1000℃以上の温度で内部反応容積662の遠位端に入るが、戻り導管670の長さを通って長さL1に沿って近位方向に戻るにつれて温度が低下する。生成物流体(および未反応の反応物流体)が出口668に到達するまでに、それらは約200°Cの温度まで冷却される。このようにして、反応器650の近位部分656は、遠位部分654よりも著しく低い温度で動作する。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態では、別個の熱交換器(図示せず)を使用して、流体反応物が入口666に入る直前に流体反応物を予熱できる。
【0106】
この開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって決定されるべきである。したがって、本開示の範囲は、当業者にとって明らかとなる他の実施形態を完全に包含し、従って、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲以外の何物によっても限定されるものではないことが理解されるであろう。単数形での要素への言及は、明示的に明記されていない限り、「1つのみ」を意味するものではなく、「1つまたは複数」を意味する。当業者に知られている上記の好ましい実施形態の要素との構造的、化学的、および機能的等価物はすべて参照により明示的に本明細書に組み込まれ、本特許請求の範囲に包含されるものとする。さらに、装置または方法が本特許請求の範囲に包含されるために、本開示によって解決しようとしているすべての問題に対処する必要はない。さらに、本開示の要素、構成要素、または方法ステップは、その要素、構成要素、または方法ステップが特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関係なく、一般に公開されることを意図したものではない。
【0107】
本開示の様々な好ましい実施形態の上記の説明は、例示および説明の目的で提示されたものである。これは網羅的であること、または開示を正確な実施形態に限定することを意図したものではなく、明らかに、上記の教示に照らして多くの修正および変形が可能である。上述の実施形態例は、本開示の原理とその実際の適用を最もよく説明するために選択され、説明されており、それによって、当業者が、想定される特定の用途に適したさまざまな実施形態及びさまざまな変更を加えて、本開示を最もよく利用できるようになっている。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが意図されている。
【0108】
様々な例が説明されてきた。これらおよび他の例は、特許請求の範囲の範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さと幅を有する筐体であって、前記長さは前記筐体の遠位部分から前記筐体の近位部分まで延在し、前記筐体は内部反応容積を画定する、筐体と、
前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの入口であって、前記筐体の前記内部反応容積と流体連通する反応物流路を画定する、前記少なくとも1つの入口と、
前記内部反応容積内に配置され、前記筐体の前記近位部分から前記筐体の前記遠位部分に向かって延在する少なくとも1つの導管であって、戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの導管と、
前記少なくとも1つの導管と直接流体連通し、前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの出口であって、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの出口と、
前記内部反応容積内に配置された少なくとも2種の触媒材料と、を含む不均一系触媒反応器。
【請求項2】
前記導管から前記内部反応容積内に延在する1つ以上のバッフルをさらに含む、請求項
1に記載の反応器。
【請求項3】
1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第1部分に延在し、1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第2部分に延在し、
前記内部反応容積の前記第1部分に延在する前記1つ以上のバッフルの総表面積は、前記内部反応容積の前記第2部分に延在する前記1つ以上のバッフルの総表面積よりも大きい、請求項
2に記載の反応器。
【請求項4】
1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第1部分に延在し、1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第2部分に延在し、
前記内部反応容積の前記第1部分に延在する前記1つ以上のバッフルのピッチは、前記内部反応容積の前記第2部分に延在する前記1つ以上のバッフルのピッチとは異なる、請求項
2に記載の反応器。
【請求項5】
前記1つ以上のバッフルは、前記導管の長さに沿ってスパイラル形状を形成する、請求項
2~4のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項6】
前記導管の内腔は、前記導管内を移動する流体の流体対流または前記導管への熱伝導、を増加させるための1つ以上の特徴を含む、請求項
1に記載の反応器。
【請求項7】
前記1つ以上の特徴は、前記導管の内壁面によって画定されるか、または前記導管の内腔内に配置された1つ以上の構造によって画定される、請求項
6に記載の反応器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの導管の遠位端に配置されたフィルタをさらに含み、前記フィルタは、触媒材料が前記導管に入るのを防ぐように構成されている、請求項
1に記載の反応器。
【請求項9】
前記戻り流路は触媒材料を有していない、請求項
1に記載の反応器。
【請求項10】
触媒材料は、前記少なくとも1つの導管の遠位部分内に充填される、請求項
1に記載の反応器。
【請求項11】
前記少なくとも1つの導管は第1導管および第2導管を含み、前記第1導管および前記第2導管の各々は、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、請求項
1に記載の反応器。
【請求項12】
一連の触媒ゾーンは、前記筐体の前記長さに沿って前記内部反応容積内に所定の連続順序で配置されている、請求項
1に記載の反応器。
【請求項13】
各触媒ゾーンは、他の触媒ゾーンに見られる触媒材料の種と比較して異なる単一種の触媒材料のみを含む、請求項
12に記載の反応器。
【請求項14】
前記筐体は、炭化ケイ素、炭化ケイ素複合材料、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、またはそれらの組み合わせ、で構成されている、請求項
1に記載の反応器。
【請求項15】
前記少なくとも1つの導管の少なくとも一部はセラミック材料で構成されている、請求項
1に記載の反応器。
【請求項16】
前記筐体の少なくとも前記遠位部分、または前記少なくとも1つの導管の少なくとも遠位部分は、アルミナイド、アルミナ、アルミナ/炭化ケイ素複合材料、窒化ホウ素材料、ムライト、窒化ケイ素材料、希土類ケイ酸塩材料、または希土類アルミン酸塩材料からなる群から選択される材料でコーティングされている、請求項
1に記載の反応器。
【請求項17】
反応生成物の製造方法であって、
長さと幅を有する筐体であって、前記長さは前記筐体の遠位部分から前記筐体の近位部分まで延在し、前記筐体は内部反応容積を画定する、筐体と、
前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの入口であって、前記筐体の前記内部反応容積と流体連通する反応物流路を画定する、前記少なくとも1つの入口と、
前記内部反応容積内に配置され、前記筐体の前記近位部分から前記筐体の前記遠位部分に延在する少なくとも1つの導管であって、戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの導管と、
前記少なくとも1つの導管と直接流体連通し、前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの出口であって、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの出口と、
前記内部反応容積内に配置された少なくとも2種の触媒材料と、
を含む不均一系触媒反応器を提供する工程;
前記筐体の内部反応容積の前記長さに沿って熱勾配を確立する工程、ここで前記筐体の前記遠位部分によって画定される前記内部反応容積の温度は、前記筐体の前記近位部分によって画定される前記内部反応容積の温度よりも高い;
前記内部反応容積を通して前記筐体の前記遠位部分に向けて1つ以上の反応物を導く工程、ここで前記1つ以上の反応物は第1触媒材料および第2触媒材料と接触し、前記1つ以上の反応物が前記筐体の前記長さに沿って進むにつれて、前記1つ以上の反応物の温度が上昇し、前記反応生成物が生成される;
前記筐体の前記遠位部分によって画定される前記内部反応容積から、前記少なくとも1つの導管内に、前記反応生成物を導く工程;
前記戻り流路に沿って前記筐体の前記近位部分に向けて前記反応生成物を導く工程、ここで、前記反応生成物が前記筐体の前記近位部分に向けて導かれるとき、前記戻り流路内の前記反応生成物から前記内部反応容積内の前記1つ以上の反応物に熱が伝達される;および
前記少なくとも1つの出口を通して前記反応器の外に前記反応生成物を導く工程;
を含む製造方法。
【請求項18】
前記1つ以上の反応物は、二酸化炭素、水素、およびメタンのうちの1つ以上を含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記反応生成物は、一酸化炭素、水素、および水のうちの1つ以上を含む、請求項
17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱勾配が確立された後、前記筐体の前記遠位部分によって画定される前記内部反応容積の前記温度が750℃~1400℃である、請求項
17に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
様々な例が説明されてきた。これらおよび他の例は、特許請求の範囲の範囲内にある。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
長さと幅を有する筐体であって、前記長さは前記筐体の遠位部分から前記筐体の近位部分まで延在し、前記筐体は内部反応容積を画定する、筐体と、
前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの入口であって、前記筐体の前記内部反応容積と流体連通する反応物流路を画定する、前記少なくとも1つの入口と、
前記内部反応容積内に配置され、前記筐体の前記近位部分から前記筐体の前記遠位部分に向かって延在する少なくとも1つの導管であって、戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの導管と、
前記少なくとも1つの導管と直接流体連通し、前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの出口であって、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの出口と、
前記内部反応容積内に配置された少なくとも2種の触媒材料と、を含む不均一系触媒反応器。
(態様2)
前記筐体の前記長さは、前記筐体の前記幅よりも大きい、態様1に記載の反応器。
(態様3)
前記導管から前記内部反応容積内に延在する1つ以上のバッフルをさらに含む、態様1または2に記載の反応器。
(態様4)
1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第1部分に延在し、1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第2部分に延在し、
前記内部反応容積の前記第1部分に延在する前記1つ以上のバッフルの総表面積は、前記内部反応容積の前記第2部分に延在する前記1つ以上のバッフルの総表面積よりも大きい、態様3に記載の反応器。
(態様5)
1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第1部分に延在し、1つ以上のバッフルは前記内部反応容積の第2部分に延在し、
前記内部反応容積の前記第1部分に延在する前記1つ以上のバッフルのピッチは、前記内部反応容積の前記第2部分に延在する前記1つ以上のバッフルのピッチとは異なる、態様3に記載の反応器。
(態様6)
前記1つ以上のバッフルは、前記導管の長さに沿ってスパイラル形状を形成する、態様3~5のいずれか一項に記載の反応器。
(態様7)
前記導管の内腔は、前記導管内を移動する流体の流体対流または前記導管への熱伝導、を増加させるための1つ以上の特徴を含む、態様1~6のいずれか一項に記載の反応器。
(態様8)
前記1つ以上の特徴は、バンプ、ディンプル、隆起部、平行な溝、ランダムパターン、発泡体、バッフル、またはライフリングパターンからなる群から選択される、態様7に記載の反応器。
(態様9)
前記1つ以上の特徴は、前記導管の内壁面によって画定されるか、または前記導管の内腔内に配置された1つ以上の構造によって画定される、態様7または8に記載の反応器。
(態様10)
前記少なくとも1つの導管の遠位端に配置されたフィルタをさらに含み、前記フィルタは、触媒材料が前記導管に入るのを防ぐように構成されている、態様1~9のいずれか一項に記載の反応器。
(態様11)
前記戻り流路は触媒材料を有していない、態様1~10のいずれか一項に記載の反応器。
(態様12)
触媒材料は、前記少なくとも1つの導管の遠位部分内に充填される、態様1~9のいずれか一項に記載の反応器。
(態様13)
前記少なくとも1つの導管は第1導管および第2導管を含み、前記第1導管および前記第2導管の各々は、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、態様1~12のいずれか一項に記載の反応器。
(態様14)
前記少なくとも1つの導管は、第1導管、第2導管および第3導管を含み、前記第1導管、前記第2導管および前記第3導管の各々は、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、態様1~12のいずれか一項に記載の反応器。
(態様15)
前記第1導管、前記第2導管および前記第3導管の各々の近位端は、マニホールドに取り付けられ、前記マニホールドは前記少なくとも1つの出口に取り付けられている、態様14に記載の反応器。
(態様16)
前記少なくとも1つの導管の少なくとも一部は、スパイラル形状に構成されている、態様1~15のいずれか一項に記載の反応器。
(態様17)
少なくとも2種かつ30以下の異なる種の触媒材料が前記内部反応容積内に充填されている、態様1~16のいずれか一項に記載の反応器。
(態様18)
一連の触媒ゾーンは、前記筐体の前記長さに沿って前記内部反応容積内に所定の連続順序で配置されている、態様17に記載の反応器。
(態様19)
各触媒ゾーンは、他の触媒ゾーンに見られる触媒材料の種と比較して異なる単一種の触媒材料のみを含む、態様18に記載の反応器。
(態様20)
前記触媒材料は触媒担体上または触媒担体内に配置されている、態様17~19のいずれか一項に記載の反応器。
(態様21)
前記触媒担体は、アルミナ、炭化ケイ素材料、窒化ホウ素材料、ステアタイト、シリカ、アルカリ金属酸化物材料、アルカリ土類酸化物材料、窒化アルミニウム材料、酸窒化アルミニウム材料、またはそれらの組み合わせ、からなる群から選択される材料を含む、態様20に記載の反応器。
(態様22)
触媒粒子は炭化ケイ素または窒化ホウ素の多孔質コーティングを含む、態様20または21に記載の反応器。
(態様23)
前記触媒材料の間に配置された複数の不活性フィラー粒子をさらに含む、態様17~22のいずれか一項に記載の反応器。
(態様24)
前記不活性フィラー粒子は、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ホウ素、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、およびそれらの複合物、からなる群から選択される材料を含む、態様23に記載の反応器。
(態様25)
前記筐体はセラミック材料で構成されている、態様1~24のいずれか一項に記載の反応器。
(態様26)
前記筐体は、炭化ケイ素、炭化ケイ素複合材料、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、またはそれらの組み合わせ、で構成されている、態様25に記載の反応器。
(態様27)
前記筐体は、アルミナ-炭化ケイ素複合体である、態様26に記載の反応器。
(態様28)
前記少なくとも1つの導管の少なくとも一部はセラミック材料で構成されている、態様1~27のいずれか一項に記載の反応器。
(態様29)
前記少なくとも1つの導管の少なくとも一部は、炭化ケイ素、アルミナ、またはそれらの複合物で構成されている、態様28に記載の反応器。
(態様30)
前記少なくとも1つの導管の近位部分または前記少なくとも1つの出口は、セラミック材料に固定された金属材料で構成されている、態様29に記載の反応器。
(態様31)
前記金属材料は、接着剤で前記セラミック材料に固定されている、態様30に記載の反応器。
(態様32)
前記筐体の少なくとも前記遠位部分、または前記少なくとも1つの導管の少なくとも遠位部分は、アルミナイド、アルミナ、アルミナ/炭化ケイ素複合材料、窒化ホウ素材料、ムライト、窒化ケイ素材料、希土類ケイ酸塩材料、または希土類アルミン酸塩材料からなる群から選択される材料でコーティングされている、態様1~31のいずれか一項に記載の反応器。
(態様33)
反応生成物の製造方法であって、
長さと幅を有する筐体であって、前記長さは前記筐体の遠位部分から前記筐体の近位部分まで延在し、前記筐体は内部反応容積を画定する、筐体と、
前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの入口であって、前記筐体の前記内部反応容積と流体連通する反応物流路を画定する、前記少なくとも1つの入口と、
前記内部反応容積内に配置され、前記筐体の前記近位部分から前記筐体の前記遠位部分に延在する少なくとも1つの導管であって、戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの導管と、
前記少なくとも1つの導管と直接流体連通し、前記筐体の前記近位部分にある少なくとも1つの出口であって、前記戻り流路の少なくとも一部を画定する、少なくとも1つの出口と、
前記内部反応容積内に配置された少なくとも2種の触媒材料と、
を含む不均一系触媒反応器を提供する工程;
前記筐体の内部反応容積の前記長さに沿って熱勾配を確立する工程、ここで前記筐体の前記遠位部分によって画定される前記内部反応容積の温度は、前記筐体の前記近位部分によって画定される前記内部反応容積の温度よりも高い;
前記内部反応容積を通して前記筐体の前記遠位部分に向けて1つ以上の反応物を導く工程、ここで前記1つ以上の反応物は第1触媒材料および第2触媒材料と接触し、前記1つ以上の反応物が前記筐体の前記長さに沿って進むにつれて、前記1つ以上の反応物の温度が上昇し、前記反応生成物が生成される;
前記筐体の前記遠位部分によって画定される前記内部反応容積から、前記少なくとも1つの導管内に、前記反応生成物を導く工程;
前記戻り流路に沿って前記筐体の前記近位部分に向けて前記反応生成物を導く工程、ここで、前記反応生成物が前記筐体の前記近位部分に向けて導かれるとき、前記戻り流路内の前記反応生成物から前記内部反応容積内の前記1つ以上の反応物に熱が伝達される;および
前記少なくとも1つの出口を通して前記反応器の外に前記反応生成物を導く工程;
を含む製造方法。
(態様34)
前記1つ以上の反応物は、二酸化炭素、水素、およびメタンのうちの1つ以上を含む、態様33に記載の方法。
(態様35)
前記1つ以上の反応物は流体を含む、態様33または34に記載の方法。
(態様36)
前記1つ以上の反応物はガスを含む、態様35に記載の方法。
(態様37)
前記反応生成物は、一酸化炭素、水素、および水のうちの1つ以上を含む、態様33~36のいずれか一項に記載の方法。
(態様38)
前記熱勾配が確立された後、前記筐体の前記遠位部分によって画定される前記内部反応容積の前記温度が750℃~1400℃である、態様33~36のいずれか一項に記載の方法。
(態様39)
前記熱勾配が確立された後、前記筐体の前記近位部分によって画定される前記内部反応容積の前記温度が50℃~750℃である、態様33~38のいずれか一項に記載の方法。
(態様40)
前記内部反応容積は、それぞれ異なる種の触媒材料を含み且つ前記熱勾配に沿って所定の連続順序で配置された一連の触媒ゾーンを含み、各種の触媒材料はその触媒ゾーンの反応条件下で理論最大変換率の少なくとも50%の反応物変換率を提供する、態様33~39のいずれか一項に記載の方法。
(態様41)
前記内部反応容積は少なくとも3つ且つ30未満の触媒ゾーンを含み、各触媒ゾーンは他の触媒ゾーンの触媒材料とは異なる種類の触媒材料を含む、態様40に記載の方法。
【国際調査報告】