(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】MRNAワクチン組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20241018BHJP
C12N 15/50 20060101ALI20241018BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20241018BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241018BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/215 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/133 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241018BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20241018BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/29 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/21 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/235 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/155 20060101ALI20241018BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241018BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241018BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20241018BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20241018BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20241018BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K48/00
C12N15/50 ZNA
C12N15/113 Z
A61K47/44
A61K47/28
A61K39/215
A61K9/127
A61K9/51
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A61K9/107
A61K9/133
A61K47/22
A61K9/19
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/34
A61K47/12
A61K47/02
A61K39/145
A61K39/12
A61K39/29
A61K39/21
A61K39/235
A61K39/155
A61P37/04
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/16
A61P31/20
A61P31/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548515
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022047107
(87)【国際公開番号】W WO2023069498
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524155747
【氏名又は名称】セイル バイオメディシンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100228005
【氏名又は名称】澤田 英之
(72)【発明者】
【氏名】モサヘブ ムニール
(72)【発明者】
【氏名】パテル シッダルト
(72)【発明者】
【氏名】アラファ イマッド
(72)【発明者】
【氏名】ボゴラード ローマン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA19
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4C085BA77
4C085BA87
4C085DD84
4C085EE05
4C085GG01
(57)【要約】
天然の脂質およびイオン化可能な脂質を含む脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)内に製剤化された、一つまたは複数の抗原性ポリペプチドをコードする一つまたは複数のポリヌクレオチドを含む核酸ワクチン組成物が、本明細書に開示される。本開示はまた、イオン化可能な脂質の存在下で精製されたPMP脂質を含む膜を再構成して、イオン化可能な脂質を含むLPMPを生成すること、および一つまたは複数の抗原性ポリペプチドをコードする一つまたは複数のポリヌクレオチドをLPMPに充填することを含む、核酸ワクチンを作製する方法を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸ワクチンであって、
感染性疾患、障害、または状態を引き起こす感染因子に由来する一つまたは複数の抗原性ポリペプチドをコードする一つまたは複数のポリヌクレオチドを含み、
天然の脂質およびイオン化可能な脂質を含む脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)内に製剤化され、前記イオン化可能な脂質が、以下に挙げられる特徴:
(i)少なくとも2つのイオン化可能なアミン、
(ii)少なくとも3つの脂質尾部であって、前記脂質尾部の各々が、少なくとも6個の炭素原子の長さである、脂質尾部、
(iii)約4.5~約7.5のpKa、
(iv)少なくとも二個の原子の鎖によって分けられたイオン化可能なアミンおよびヘテロ有機基、ならびに
(v)少なくとも10のN:P比、のうちの二つ以上を有する、核酸ワクチン。
【請求項2】
前記天然の脂質が、レモンまたは藻類から抽出される、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項3】
前記LPMPが、ステロールおよびポリエチレングリコール(PEG)-脂質コンジュゲートをさらに含む、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項4】
前記LPMPが、約35:50:12.5:2.5のモル比で、イオン化可能な脂質:天然脂質:ステロール:PEG脂質を含む、請求項3に記載の核酸ワクチン。
【請求項5】
前記LPMPが、約35:20:42.5:2.5のモル比で、イオン化可能な脂質:天然脂質:ステロール:PEG脂質を含む、請求項3に記載の核酸ワクチン。
【請求項6】
前記イオン化可能な脂質が、1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、MD1(cKK-E12)、OF2、EPC、ZA3-Ep10、TT3、LP01、5A2-SC8、脂質5、SM-102(脂質H)、およびALC-315からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項7】
前記イオン化可能な脂質が、
【化1】
(式中、RはC8-C14アルキル基である)である、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項8】
前記ポリヌクレオチドが、mRNAである、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項9】
前記抗原性ポリペプチドが、コロナウイルス、またはその断片もしくはサブユニットである、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項10】
前記抗原性ポリペプチドが、MERSウイルス(MERS-CoV)、SARSウイルス(SARS-CoV)のスパイクタンパク質(S)、またはその断片もしくはサブユニットである、請求項9に記載の核酸ワクチン。
【請求項11】
前記抗原性ポリペプチドが、SARSウイルス、またはその断片もしくはサブユニットである、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項12】
前記抗原性ポリペプチドが、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質である、請求項11に記載の核酸ワクチン。
【請求項13】
前記抗原性ポリペプチドが、野生型SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質である、請求項12に記載の核酸ワクチン。
【請求項14】
前記mRNAが、
(a)DNA分子、または
(b)TがUで置換されているRNA分子、に由来する、請求項8に記載の核酸ワクチン。
【請求項15】
前記DNA分子が、プロモーターをさらに含む、請求項14に記載の核酸ワクチン。
【請求項16】
前記プロモーターが、5’非翻訳領域(UTR)に位置する、請求項15に記載の核酸ワクチン。
【請求項17】
前記プロモーターが、T7プロモーター、T3プロモーター、またはSP6プロモーターである、請求項14に記載の核酸ワクチン。
【請求項18】
前記RNA分子が、自己複製RNA分子である、請求項14に記載の核酸ワクチン。
【請求項19】
前記RNA分子が、5’キャップをさらに含む、請求項14または請求項18に記載の核酸ワクチン。
【請求項20】
前記5’キャップが、キャップ1構造、キャップ1(m6A)構造、キャップ2構造、キャップ3構造、キャップ0構造、または任意のその組み合わせを有する、請求項19に記載の核酸ワクチン。
【請求項21】
前記mRNAが、二重プロリン安定化変異を有するSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、請求項8に記載の核酸ワクチン。
【請求項22】
前記二重プロリン安定化変異が、野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質のK986およびV987に対応する位置にある、請求項21に記載の核酸ワクチン。
【請求項23】
前記mRNAが、5’非翻訳領域(UTR)および/または3’UTRを含む、請求項8に記載の核酸ワクチン。
【請求項24】
前記5’UTRが、コザック配列を含む、請求項23に記載の核酸ワクチン。
【請求項25】
前記3’UTRが、スプリットのアミノ末端エンハンサー(AES)に由来する配列を含む、請求項23に記載の核酸ワクチン。
【請求項26】
前記3’UTRが、ミトコンドリアによりコードされた12S rRNA(mtRNRl)に由来する配列を含む、請求項23に記載の核酸ワクチン。
【請求項27】
前記mRNAが、ポリ(A)配列を含む、請求項8に記載の核酸ワクチン。
【請求項28】
前記ポリ(A)配列が、30個のアデノシン残基の配列、10個のヌクレオチドのリンカー配列、および70個のアデノシン残基の配列からなる110個のヌクレオチド配列である、請求項27に記載の核酸ワクチン。
【請求項29】
前記LPMPが、リポプレックス、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー系担体、エクソソーム、ラメラ体、ミセル、およびエマルションからなる群から選択される親油性部分である、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項30】
前記LPMPが、カチオン性リポソーム、ナノリポソーム、プロテオリポソーム、単層リポソーム、多層リポソーム、セラミド含有ナノリポソーム、および多胞リポソームからなる群から選択されるリポソームである、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項31】
前記LPMPが、脂質ナノ粒子である、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項32】
前記LPMPが、約200nm未満のサイズを有する、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項33】
前記LPMPが、約150nm未満のサイズを有する、請求項32に記載の核酸ワクチン。
【請求項34】
前記LPMPが、約100nm未満のサイズを有する、請求項32に記載の核酸ワクチン。
【請求項35】
前記脂質ナノ粒子が、約55nm~約80nmのサイズを有する、請求項31に記載の核酸ワクチン。
【請求項36】
前記PEG-脂質コンジュゲートが、PEG-DMGまたはPEG-PEである、請求項3に記載の核酸ワクチン。
【請求項37】
前記PEG-脂質コンジュゲートが、PEG-DMGであり、前記PEG-DMGが、PEG2000-DMGまたはPEG2000-PEである、請求項36に記載の核酸ワクチン。
【請求項38】
前記LPMPが、
約20モル%~約50モル%の前記イオン化可能な脂質、
約20モル%~約60モル%の前記天然の脂質、
約7モル%~約20モル%の前記ステロール、および
約0.5モル%~約3モル%の前記ポリエチレングリコール(PEG)-脂質コンジュゲートを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の核酸ワクチン。
【請求項39】
前記LPMPが、
約35モル%の前記イオン化可能な脂質、
約50モル%の前記天然の脂質、
約12.5モル%の前記ステロール、および
約2.5モル%の前記ポリエチレングリコール(PEG)-脂質コンジュゲートを含む、請求項38に記載の核酸ワクチン。
【請求項40】
前記核酸ワクチンが、約50:1~約10:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する、請求項1~39のいずれか一項に記載の核酸ワクチン。
【請求項41】
前記核酸ワクチンが、約44:1~約24:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する、請求項40に記載の核酸ワクチン。
【請求項42】
前記核酸ワクチンが、約40:1~約28:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する、請求項40に記載の核酸ワクチン。
【請求項43】
前記核酸ワクチンが、約38:1~約30:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する、請求項40に記載の核酸ワクチン。
【請求項44】
前記核酸ワクチンが、約37:1~約33:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する、請求項40に記載の核酸ワクチン。
【請求項45】
約7.0~約8.5のpHでHEPESまたはTRIS緩衝液をさらに含む、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項46】
前記HEPESまたはTRIS緩衝液が、約7mg/mL~約15mg/mLの濃度である、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項47】
約2.0mg/mL~約4.0mg/mLのNaClをさらに含む、請求項45または46に記載の核酸ワクチン。
【請求項48】
一つまたは複数の凍結保護剤をさらに含む、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項49】
前記一つまたは複数の凍結保護剤が、スクロース、グリセロール、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項50】
前記核酸ワクチンが、約70mg/mL~約110mg/mLの濃度のスクロースおよび約50mg/mL~約70mg/mLの濃度のグリセロールの組み合わせを含む、請求項49に記載の核酸ワクチン。
【請求項51】
前記核酸ワクチンが、凍結乾燥組成物である、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項52】
前記凍結乾燥核酸ワクチンが、一つまたは複数のリオプロテクタントを含む、請求項51に記載の核酸ワクチン。
【請求項53】
前記凍結乾燥核酸ワクチンが、ポロキサマー、ソルビン酸カリウム、スクロース、または任意のその組み合わせを含む、請求項52に記載の核酸ワクチン。
【請求項54】
前記ポロキサマーが、ポロキサマー188である、請求項53に記載の核酸ワクチン。
【請求項55】
前記凍結乾燥核酸ワクチンが、約0.01~約1.0%w/wの前記ポリヌクレオチドを含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の核酸ワクチン。
【請求項56】
前記凍結乾燥核酸ワクチンが、約1.0~約5.0%w/wの脂質を含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の核酸ワクチン。
【請求項57】
前記凍結乾燥核酸ワクチンが、約0.5~約2.5%w/wのTRIS緩衝液を含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の核酸ワクチン。
【請求項58】
前記凍結乾燥核酸ワクチンが、約0.75~約2.75%w/wのNaClを含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の核酸ワクチン。
【請求項59】
前記凍結乾燥核酸ワクチンが、約85~約95%w/wの糖を含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の核酸ワクチン。
【請求項60】
前記糖が、スクロースである、請求項59に記載の核酸ワクチン。
【請求項61】
前記凍結乾燥核酸ワクチンが、約0.01~約1.0%w/wのポロキサマーを含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の核酸ワクチン。
【請求項62】
前記ポロキサマーが、ポロキサマー188である、請求項61に記載の核酸ワクチン。
【請求項63】
前記凍結乾燥核酸ワクチンが、約1.0~約5.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の核酸ワクチン。
【請求項64】
前記感染因子が、ウイルスである、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項65】
前記感染因子が、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、蚊媒介性ウイルス、肝炎ウイルス、およびHIVウイルスからなる群から選択されるウイルスである、請求項64に記載の核酸ワクチン。
【請求項66】
前記感染因子が、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、およびパラインフルエンザウイルスからなる群から選択されるウイルスである、請求項1に記載の核酸ワクチン。
【請求項67】
核酸ワクチンを製造する方法であって、
イオン化可能な脂質の存在下で精製されたPMP脂質を含む膜を再構成して、前記イオン化可能な脂質を含む脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)を生成することであって、前記イオン化可能な脂質が、以下に挙げられる特徴:
(i)少なくとも2つのイオン化可能なアミン、
(ii)少なくとも3つの脂質尾部であって、前記脂質尾部の各々が、少なくとも6個の炭素原子の長さである、脂質尾部、
(iii)約4.5~約7.5のpKa、
(iv)少なくとも二個の原子の鎖によって分けられたイオン化可能なアミンおよびヘテロ有機基、ならびに
(v)少なくとも10のN:P比、のうちの二つ以上を有する、生成することと、
感染性疾患、障害、または状態を引き起こす感染因子に由来する一つまたは複数の抗原性ポリペプチドをコードする一つまたは複数のポリヌクレオチドを、前記LPMPに充填することと、を含む、方法。
【請求項68】
感染性疾患、障害、または状態の伝播を予防または低減する方法であって、
対象に請求項1に記載の核酸ワクチンを投与し、これにより、感染性疾患、障害、または状態の前記伝播を予防するか、または低減することを含む、方法。
【請求項69】
前記方法が、ワクチン接種された宿主からワクチン接種されていない宿主への前記感染因子の前記伝播を予防するか、または低減する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記方法が、ワクチン接種された宿主からワクチン接種された宿主への前記感染因子の前記伝播を予防するか、または低減する、請求項68に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月22日に出願された米国仮特許出願第63/270,964号、2021年12月17日に出願された米国仮特許出願第63/290,889号および2022年3月16日に出願された米国仮特許出願第63/320,647号に対する優先権の利益を主張するものであり、その全てが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
新規のコロナウイルスによって引き起こされる新たに出現した急性呼吸器ウイルス感染症は、重大な公衆衛生上の懸念である。SARSCoV-2ウイルスが引き起こすパンデミック疾患は、世界保健機関(WHO)によってCOVID-19(コロナウイルス疾患2019)と名付けられた。SARS-CoV-2によって引き起こされる公衆衛生上の危機は、これらのウイルスに対する有効的で、容易に量産可能で、かつ安定したワクチン送達を迅速に開発することの重要性を増す。
RNAワクチンは、最近、有望視されている。したがって、より有効で、容易に量産可能で、かつ安定したワクチン送達のための強化されたRNA送達システムを開発するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、感染性疾患、障害、または状態を引き起こす感染因子に由来する一つまたは複数の抗原性ポリペプチドをコードする一つまたは複数のポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンが、本明細書に提供される。一つまたは複数のポリヌクレオチドは、天然の脂質およびイオン化可能な脂質を含む脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)内で製剤化される。イオン化可能な脂質は、以下に列挙される特徴:
(i)少なくとも2つのイオン化可能なアミン、
(ii)少なくとも3つの脂質尾部であって、脂質尾部の各々が、少なくとも6個の炭素原子の長さである、脂質尾部、
(iii)約4.5~約7.5のpKa、
(iv)少なくとも二個の原子の鎖によって分けられたイオン化可能なアミンおよびヘテロ有機基、ならびに
(v)少なくとも10のN:P比、のうちの二つ以上を有する。
別の態様では、核酸ワクチンを製造する方法が本明細書に提供される。方法は、イオン化可能な脂質の存在下で精製されたPMP脂質を含む膜を再構成して、イオン化可能な脂質を含む脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)を生成することを含む。イオン化可能な脂質は、以下に列挙される特徴:
(i)少なくとも2つのイオン化可能なアミン、
(ii)少なくとも3つの脂質尾部であって、脂質尾部の各々が、少なくとも6個の炭素原子の長さである、脂質尾部、
(iii)約4.5~約7.5のpKa、
(iv)少なくとも二個の原子の鎖によって分けられたイオン化可能なアミンおよびヘテロ有機基、ならびに
(v)少なくとも10のN:P比、のうちの二つ以上を有する。
方法は、感染性疾患、障害、または状態を引き起こす感染因子に由来する一つまたは複数の抗原性ポリペプチドをコードする一つまたは複数のポリヌクレオチドをLPMPに充填することをさらに含む。
【0004】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一つまたは複数の野生型または操作された抗原(もしくは抗原に対する抗体)をコードするポリヌクレオチド構築物である。抗原は、感染因子に由来してもよい。一部の実施形態では、感染因子は、ウイルス、例えば、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、蚊媒介性ウイルス、肝炎ウイルス、およびHIVウイルスからなる群から選択されるウイルスである。一部の実施形態では、感染因子は、ウイルス、例えば、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、またはパラインフルエンザウイルスである。例えば、感染因子は、ウイルスの一つまたは複数の株であってもよい。
【0005】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドによってコードされる抗原性ポリペプチドは、コロナウイルス、またはその断片もしくはサブユニットである。一部の実施形態では、抗原性ポリペプチドは、MERSウイルス(MERS-CoV)、SARSウイルス(SARS-CoV)、またはその断片もしくはサブユニットのスパイクタンパク質(S)である。
一部の実施形態では、抗原性ポリペプチドは、SARSウイルス、またはその断片もしくはサブユニットである。抗原性ポリペプチドは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質であってもよい。一実施形態では、抗原性ポリペプチドは、野生型SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質である。
【0006】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、mRNA、siRNAもしくはsiRNA前駆体、マイクロRNA(miRNA)もしくはmiRNA前駆体、プラスミド、ダイサー基質低分子干渉RNA(dsiRNA)、小ヘアピンRNA(shRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ、ロックド核酸(LNA)、ピウィ相互作用RNA(piRNA)、リボザイム、デオキシリボザイム(DNAザイム)、アプタマー、環状RNA(circRNA)、ガイドRNA(gRNA)、またはこれらのRNAのいずれかをコードするDNA分子であってもよい。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、mRNAである。
一部の実施形態では、mRNAは、(a)DNA分子、または(b)RNA分子に由来する。mRNAでは、Tは、Uで任意選択的に置換される。
一部の実施形態では、mRNAは、DNA分子に由来する。DNA分子は、プロモーターをさらに含み得る。一部の実施形態では、プロモーターは、T7プロモーター、T3プロモーター、またはSP6プロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、5’UTRに位置する。
一部の実施形態では、mRNAは、RNA分子である。RNA分子は、自己複製RNA分子であってもよい。
一部の実施形態では、mRNAは、RNA分子である。RNA分子は、5’キャップをさらに含んでもよい。5’キャップは、キャップ1構造、キャップ1(m6A)構造、キャップ2構造、キャップ3構造、キャップ0構造、または任意のその組み合わせを有し得る。
一部の実施形態では、mRNAは、二重プロリン安定化変異を有するSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。一実施形態では、二重プロリン安定化変異は、野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質のK986およびV987に対応する位置にある。
一部の実施形態では、mRNAは、5’非翻訳領域(UTR)および/または3’UTRを含む。
一部の実施形態では、mRNAは、5’UTRを含む。5’UTRは、コザック配列を含み得る。
一部の実施形態では、mRNAは、3’UTRを含む。一部の実施形態では、3’UTRは、スプリットのアミノ末端エンハンサー(AES)に由来する一つまたは複数の配列を含む。一部の実施形態では、3’UTRは、ミトコンドリアによりコードされた12S rRNA(mtRNRl)に由来する配列を含む。
一部の実施形態では、mRNAは、ポリ(A)配列を含む。一実施形態では、ポリ(A)配列は、30個のアデノシン残基の配列、10個のヌクレオチドのリンカー配列、および70個のアデノシン残基の配列からなる110個のヌクレオチド配列である。
【0007】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)によって封入される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、LPMPの表面に包埋される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、LPMPの表面にコンジュゲートされる。
一部の実施形態では、LPMPは、脂質押し出しを含む方法によって生成される。一部の実施形態では、LPMPは、水相を含むマイクロ流体装置においてPMPの脂質抽出物を含む溶液を処理して、それによってLPMPを生成することを含む方法によって生成される。一部の実施形態では、水相は、ポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、LPMPの天然脂質は、レモンまたは藻類から抽出される。
一部の実施形態では、LPMPのイオン化可能な脂質は、1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、MD1(cKK-E12)、OF2、EPC、ZA3-Ep10、TT3、LP01、5A2-SC8、脂質5、SM-102(脂質H)、およびALC-315からなる群から選択される。
一実施形態では、イオン化可能な脂質は、C12-200である。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、
【化1】
(I)、
(式中、RはC8-C14アルキル基である)である。
【0008】
一部の実施形態では、再構成は、ステロールの存在下で行われ、それによって、天然の脂質、イオン化可能な脂質、およびステロールを含むLPMPが生成される。一部の実施形態では、ステロールは、コレステロールまたはシトステロールである。
一部の実施形態では、再構成は、PEG化脂質(またはPEG-脂質コンジュゲート)の存在下で行われ、それによって、天然の脂質、イオン化可能な脂質、およびPEG-脂質コンジュゲートを含むLPMPが生成される。一部の実施形態では、PEG-脂質コンジュゲートは、C14-PEG2k、C18-PEG2k、またはDMPE-PEG2kである。一部の実施形態では、PEG-脂質コンジュゲートは、PEG-DMGまたはPEG-PEである。一部の実施形態では、PEG-DMGは、PEG2000-DMGまたはPEG2000-PEである。
【0009】
一部の実施形態では、LPMPは、ステロールおよびポリエチレングリコール(PEG)-脂質コンジュゲートをさらに含む。
一部の実施形態では、LPMPは、
約20モル%~約50モル%のイオン化可能な脂質、
約20モル%~約60モル%の天然の脂質、
約7モル%~約20モル%のステロール、および
約0.5モル%~約3モル%のポリエチレングリコール(PEG)-脂質コンジュゲートを含む。
一部の実施形態では、LPMPは、
約35モル%のイオン化可能な脂質、
約50モル%の天然の脂質、
約12.5モル%のステロール、および
約2.5モル%のポリエチレングリコール(PEG)-脂質コンジュゲートを含む。
【0010】
一実施形態では、LPMPは、約35:50:12.5:2.5のモル比でイオン化可能な脂質:天然脂質:ステロール:PEG脂質を含む。一実施形態では、LPMPは、約35:20:42.5:2.5のモル比でイオン化可能な脂質:天然脂質:ステロール:PEG脂質を含む。
一部の実施形態では、LPMPは、
レモンまたは藻類から抽出された天然の脂質、
C12-200、
コレステロール、および
DMPE-PEG2kを含む。
一実施形態では、LPMPは、
レモンから抽出された天然の脂質、
C12-200、
コレステロール、および
DMPE-PEG2kを含む。LPMPは、約35:50:12.5:2.5のモル比でC12-200:レモン脂質:コレステロール:DMPE-PEG2kを含んでもよい。
一実施形態では、LPMPは、
藻類から抽出された天然の脂質、
C12-200、
コレステロール、および
DMPE-PEG2kを含む。LPMPは、約35:20:42.5:2.5のモル比でC12-200:藻類脂質:コレステロール:DMPE-PEG2kを含んでもよい。
【0011】
一部の実施形態では、LPMPは、リポプレックス、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー系担体、エクソソーム、ラメラ体、ミセル、およびエマルションからなる群から選択される親油性部分である。一実施形態では、LPMPは、カチオン性リポソーム、ナノリポソーム、プロテオリポソーム、単層リポソーム、多層リポソーム、セラミド含有ナノリポソーム、および多胞リポソームからなる群から選択されるリポソームである。一実施形態では、LPMPは、脂質ナノ粒子である。
一部の実施形態では、LPMPは、約200nm未満のサイズを有する。一実施形態では、
LPMPは、約150nm未満のサイズを有する。一実施形態では、LPMPは、約100nm未満のサイズを有する。一実施形態では、LPMPは、約55nm~約80nmのサイズを有する。
【0012】
一部の実施形態では、核酸ワクチンは、約50:1~約10:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する。一実施形態では、核酸ワクチンは、約44:1~約24:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する。一実施形態では、核酸ワクチンは、約40:1~約28:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する。一実施形態では、核酸ワクチンは、約38:1~約30:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する。一実施形態では、核酸ワクチンは、約37:1~約33:1の総脂質:ポリヌクレオチド重量比を有する。
一部の実施形態では、核酸ワクチン、例えば、水相は、HEPESまたはTRIS緩衝液をさらに含む。HEPESまたはTRIS緩衝液は、約7.0~約8.5のpHを有してもよい。HEPESまたはTRIS緩衝液は、約7mg/mL~約15mg/mLの濃度であり得る。水相は、約2.0mg/mL~約4.0mg/mLのNaClをさらに含んでもよい。
一部の実施形態では、核酸ワクチン、例えば、水相は、水、PBS、またはクエン酸緩衝液をさらに含む。一実施形態では、水相は、約3.2のpHを有するクエン酸緩衝液を含む。
一部の実施形態では、水相および脂質溶液は、3:1の体積比で混合される。
一部の実施形態では、核酸ワクチンは、一つまたは複数の凍結保護剤をさらに含む。一つまたは複数の凍結保護剤は、スクロース、グリセロール、またはその組み合わせであってもよい。一実施形態では、核酸ワクチンは、約70mg/mL~約110mg/mLの濃度のスクロースおよび約50mg/mL~約70mg/mLの濃度のグリセロールの組み合わせを含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンは、凍結乾燥組成物である。凍結乾燥核酸ワクチンは、一つまたは複数のリオプロテクタントを含んでもよい。凍結乾燥核酸ワクチンは、ポロキサマー、ソルビン酸カリウム、スクロース、または任意のその組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、凍結乾燥核酸ワクチンは、ポロキサマー、例えば、ポロキサマー188を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンは、凍結乾燥組成物である。一実施形態では、凍結乾燥核酸ワクチンは、約0.01~約1.0%w/wのポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、凍結乾燥核酸ワクチンは、約1.0~約5.0%w/wの脂質を含む。一実施形態では、凍結乾燥核酸ワクチンは、約0.5~約2.5%w/wのTRIS緩衝液を含む。一実施形態では、凍結乾燥核酸ワクチンは、約0.75~約2.75%w/wのNaClを含む。一実施形態では、凍結乾燥核酸ワクチンは、約85~約95%w/wの糖、例えば、スクロースを含む。一実施形態では、凍結乾燥核酸ワクチンは、約0.01~約1.0%w/wのポロキサマー、例えば、ポロキサマー188を含む。一実施形態では、凍結乾燥核酸ワクチンは、約1.0~約5.0%w/wのソルビン酸カリウムを含む。
【0013】
本発明の態様はまた、感染性疾患、障害、または状態の伝播を予防または低減する方法を提供する。方法は、本発明の上記の態様に記載される核酸ワクチンを対象に投与し、それによって、感染性疾患、障害、または状態の伝播を予防または低減することを含む。一部の実施形態では、方法は、感染性疾患、障害、または状態の伝播を少なくとも5%(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)低減する。あるいは、方法は、本発明の上記の態様に記載される核酸ワクチンを対象に投与し、それによって、感染性疾患、障害、または状態の別の対象への伝播レベルを10%未満(例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、または0.1%未満)に低減する。
【0014】
定義
本明細書で使用される場合、「有効量」、「有効濃度」、または「有効な濃度」という用語は、列挙された結果をもたらすか、または標的生物内もしくは標的生物上の標的レベル(例えば、所定のレベルまたは閾値レベル)に達するのに十分なLPMPまたは核酸組成物の量を指す。
本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語は、動物、例えば、哺乳類(例えば、ヒト)、動物病原体、または病原体ベクターに作用することができる薬剤、例えば、抗真菌剤、抗菌剤、殺ウイルス剤、抗ウイルス剤、殺虫剤、殺線虫剤、抗寄生虫剤、または防虫剤を指す。
本明細書で定義されるように、「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、交換可能であり、長さ(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、150、200、250、500、1000、またはそれ以上の核酸)に関わらず、直鎖もしくは分岐鎖、一本鎖もしくは二本鎖、またはそのハイブリッドであるRNAまたはDNAを指す。この用語はまた、RNA/DNAハイブリッドを包含する。ヌクレオチドは、典型的には、ホスホジエステル結合によって核酸中で連結されるが、「核酸」という用語はまた、他のタイプの結合または骨格(例えば、とりわけ、ホスホラミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホスホロアミデート、モルホリノ、ロックド核酸(LNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオス核酸(TNA)、およびペプチド核酸(PNA)結合または骨格)を有する核酸類似体も包含する。核酸は、一本鎖、二本鎖であってもよく、または一本鎖配列と二本鎖配列の両方の部分を含有してもよい。核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、ならびに例えば、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、ウラシル、および修飾塩基または非標準塩基(例えば、ヒポキサンチン、キサンチン、7-メチルグアニン、5,6-ジヒドロウラシル、5-メチルシトシン、および5ヒドロキシメチルシトシンを含む)を含む塩基の任意の組み合わせを含有し得る。
本明細書で使用される場合、「ペプチド」、「タンパク質」または「ポリペプチド」という用語は、長さ(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、10、12、14、16、18、20、25、30、40、50、100個、またはそれ以上のアミノ酸)、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)の存在もしくは不存在、または例えば、ペプチドに共有結合した一つまたは複数の非アミノアシル基(例えば、糖、脂質など)の存在に関わらず、天然または非天然に存在するアミノ酸(D-アミノ酸もしくはL-アミノ酸のいずれか)の任意の鎖を包含し、例えば、天然のタンパク質、合成、もしくは組換えポリペプチドおよびペプチド、ハイブリッド分子、ペプトイド、またはペプチドミメティックを含む。
本明細書で使用される場合、二つの配列間の「パーセント同一性」は、Altschul et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403-410に記載される、BLAST 2.0アルゴリズムによって決定される。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センターを通じて公開されている。
【0015】
本明細書で使用される場合、「植物」という用語は、植物全体、植物器官、植物組織、種子、植物細胞、種子、およびその子孫を指す。植物細胞には、種子、懸濁培養物、胚、毛様体領域、カルス組織、葉、根、新芽、配偶体、胞子体、花粉、および微小胞子由来の細胞が含まれるが、これらに限定されない。植物部分には、以下の、根、茎、新芽、葉、花粉、種子、果物、収穫された産物、腫瘍組織、樹液(例えば、木部汁液およびフロエムサップ)、ならびに様々な形態の細胞および培養物(例えば、単一細胞、原生生物、胚、およびカルス組織)を含むが、これらに限定されない分化した組織および未分化の組織が含まれる。植物組織は、植物内、または植物器官、組織、もしくは細胞培養物内にあってもよい。
本明細書で使用される場合、「修飾されたPMP」または「修飾されたLPMP」という用語は、非修飾PMPまたはLPMPと比べて、PMPもしくはLPMP、またはその部分もしくは構成成分の細胞取り込み(例えば、動物細胞取り込み、植物細胞取り込み、細菌細胞取り込み、または真菌細胞取り込み)を増加させることができる一つまたは複数の異種薬剤(例えば、一つまたは複数の外因性脂質、例えば、イオン化可能な脂質、例えば、イオン化可能な脂質ならびにステロールおよび/またはPEG化脂質を含むPMPまたはLPMP)キャップ、PMPまたはLPMPによる異種機能性剤(例えば、農薬または治療剤)の細胞への送達を可能にするか、または増加させることができるキャップ、ならびに/あるいは異種機能性剤(例えば、農薬または治療剤)の充填(例えば、充填効率または充填能力)を可能にするか、または増加させることができるキャップを含む複数のPMPまたはLPMPを含む組成物を指す。PMPまたはLPMPは、インビトロまたはインビボで修飾され得る。
本明細書で使用される場合、「非修飾PMP」または「非修飾LPMP」という用語は、PMPの細胞取り込み(例えば、動物細胞取り込み、植物細胞取り込み、細菌細胞取り込み、または真菌細胞取り込み)を増加させることができる異種細胞取り込み剤を欠く複数のPMPまたはLPMPを含む組成物を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「細胞取り込み」という用語は、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、または真菌細胞などの細胞による、PMPもしくはLPMPまたはその部分もしくは構成成分(例えば、PMPまたはLPMPによって担持されるポリヌクレオチド)の取り込みを指す。例えば、取り込みは、細胞外環境から細胞膜、細胞壁、細胞外基質に、もしくは細胞膜、細胞壁、細胞外基質を横切った、または細胞の細胞内環境への、PMP(例えば、LPMP)またはその構成成分の部分の移送を含み得る。PMP(例えば、LPMP)の細胞取り込みは、能動的または受動的な細胞機序を介して生じ得る。細胞取り込みには、PMP(例えば、LPMP)全体が、細胞によって取り込まれる、例えば、エンドサイトーシスによって取り込まれる態様が含まれる。一部の実施形態では、一つまたは複数のポリヌクレオチドは、エンドサイトーシスおよびエンドソームエスケープ後に標的細胞の細胞質に曝露される。一部の実施形態では、修飾されたLPMP(例えば、イオン化可能な脂質を含むLPMP、例えば、イオン化可能な脂質ならびにステロールおよび/またはPEG化脂質を含むLPMP)は、非修飾LPMPと比較して、エンドソームエスケープの増加した速度を有する。細胞取り込みはまた、PMP(例えば、LPMP)が、標的細胞の膜と融合する態様を含む。一部の実施形態では、一つまたは複数のポリヌクレオチドは、膜融合後に標的細胞の細胞質に曝露される。一部の実施形態では、LPMPは、非修飾LPMPと比較して、標的細胞の膜との融合速度が増加している(例えば、より融合性である)。
本明細書で使用される場合、「細胞透過剤」という用語は、薬剤と接触していない細胞と比較して、細胞取り込みの増加を促進する様式で、細胞(例えば、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、または真菌細胞)の細胞壁、細胞外基質、または細胞膜の特性(例えば、透過性)を変化させる薬剤を指す。
本明細書で使用される場合、「植物細胞外小胞」、「植物EV」、または「EV」という用語は、植物に天然に存在する囲まれた脂質二重層構造を指す。任意選択的に、植物EVは、一つまたは複数の植物EVマーカーを含む。本明細書で使用される場合、「植物EVマーカー」という用語は、添付に列挙される植物EVマーカーのいずれかを含むが、これらに限定されない、植物タンパク質、植物核酸、植物小分子、植物脂質、またはその組み合わせなどの植物と天然に関連する構成成分を指す。ある場合では、植物EVマーカーは、植物EVの識別マーカーであるが、殺虫剤ではない。ある場合では、植物EVマーカーは、植物EVの識別マーカーであり、殺虫剤でもある(例えば、複数のPMPもしくはLPMPと会合するか、もしくはそれによって封入されるか、または複数のPMPもしくはLPMPと直接的に会合されないか、もしくはそれによって封入されないかのいずれか)。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「植物メッセンジャーパック」または「PMP」は、植物源もしくはセグメント、部分、またはその抽出物と関連する脂質または非脂質構成成分(例えば、ペプチド、核酸、または小分子)を含む、植物源もしくはセグメント、部分、またはその抽出物に由来し(例えば、濃縮される、単離されるか、または精製される)、植物、植物部分、または植物細胞、原料植物からの一つまたは複数の混入物または望ましくない構成成分を取り除いている濃縮物または単離物から濃縮されている、単離されているか、または精製されている、直径約5~2000nm(例えば、少なくとも5~1000nm、少なくとも5~500nm、少なくとも400~500nm、少なくとも25~250nm、少なくとも50~150nm、または少なくとも70~120nm)である、脂質構造(例えば、脂質二重層、単層、多層構造、例えば、小胞脂質構造)を指す。PMPは、天然に存在するEVの高度に精製された調製物であってもよい。好ましくは、原料植物から少なくとも1%の混入物または望ましくない構成要素が除去される(例えば、原料植物、例えば、植物細胞壁の構成成分、ペクチン、植物小器官(例えば、ミトコンドリア、色素体などの葉緑体、白色体もしくはアミロプラスト、および核)、植物クロマチン(例えば、植物染色体)、または植物分子凝集体(例えば、タンパク質凝集体、タンパク質-核酸凝集体、リポタンパク質凝集体、もしくはリピドタンパク質構造)からの一つまたは複数の混入物または望ましくない構成成分の少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、98%、99%、または100%)。好ましくは、PMPは、重量(w/w)、分光イメージング(透過率%)、または伝導度(S/m)によって測定される、原料植物からの一つまたは複数の混入物または望ましくない構成成分と比較して、少なくとも30%純粋(例えば、少なくとも40%純粋、少なくとも50%純粋、少なくとも60%純粋、少なくとも70%純粋、少なくとも80%純粋、少なくとも90%純粋、少なくとも99%純粋、または100%純粋)である。
【0018】
脂質再構成PMP(LPMP)が本明細書で使用される。「脂質再構成PMP」および「LPMP」という用語は、植物源に由来する(例えば、濃縮される、単離または精製される)脂質構造(例えば、脂質二重層、単層、多層構造、例えば、小胞脂質構造)に由来するPMPを指し、脂質構造は、本明細書に記載される通り、破壊され(例えば脂質抽出によって破壊され)、標準的な方法を使用して液相(例えば、カーゴを含有する液相)中で再構築または再構成され、例えば、脂質膜水和および/または溶媒注入を含む方法によって再構成され、LPMPが生成されるPMPを指す。方法は、所望される場合、例えば、再構成PMPのサイズを低減するために、超音波処理、凍結/融解処理、および/または脂質押出成形をさらに含み得る。あるいは、LPMPは、マイクロ流体装置(NanoAssemblr(登録商標)IGNITE(商標)マイクロ流体機器(Precision NanoSystems)など)を使用して生成されてもよい。
本明細書で使用される場合、「カチオン性脂質」という用語は、カチオン基(例えば、カチオン性頭部基)を含有する、正に荷電している両親媒性分子(例えば、脂質またはリピドイド)を指す。
本明細書で使用される場合、「イオン化可能な脂質」という用語は、所与の状態(例えば、pH)下で、イオン化され得る、例えば、解離されて、一つまたは複数の電荷を有する種を生成し得る基(例えば、頭部基)を含有する両親媒性分子(例えば、脂質またはリピドイド、例えば、合成脂質またはリピドイド)を指す。
【0019】
驚くべきことに、複数の不飽和部位、例えば、少なくとも二つまたは三つの不飽和部位を有するアルキル鎖を含むイオン化可能な脂質は、膜流動性が増加した脂質粒子を形成するのに特に有用であることが見出された。本明細書での使用に適した多数のイオン化可能な脂質および関連する類似体は、米国特許公開第20060083780号および第20060240554号、米国特許第5,208,036号、第5,264,618号、第5,279,833号、第5,283,185号、第5,753,613号および第5,785,992号、ならびにPCT公開第96/10390号に記載されており、それらの開示は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0020】
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、pHに応じて正に荷電した形態で存在するように解離することができるようにイオン化可能である。イオン化可能な脂質のイオン化は、異なるpH条件下でイオン化可能な脂質を含む脂質ナノ粒子の表面電荷に影響を与える。脂質ナノ粒子の表面電荷は、順に、その血漿タンパク質吸収、血液クリアランス、および組織分布(Semple,S.C.,et al.,Adv.Drug Deliv Rev 32:3-17(1998))ならびに核酸の細胞内送達に影響し得るエンドソーム溶解性非二重層構造(Hafez,I.M.,et al.,Gene Ther 8:1188-1196(2001))を形成するその能力に影響し得る。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、生理学的pH(例えば、pH約7)で概して中性であるが、酸性pHまたは塩基性pHで正味の電荷(複数可)を担持することができる脂質である。一実施形態では、イオン化可能な脂質は、pH約7で概して中性であるが、酸性pHで正味の電荷(複数可)を担持することができる脂質である。一実施形態では、イオン化可能な脂質は、pH約7で概して中性であるが、塩基性pHで正味の電荷(複数可)を担持することができる脂質である。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、生理学的pH(例えば、pH約7)で正味の電荷(複数可)を概して担持するカチオン性脂質またはアニオン性脂質を含まない。
【0021】
本明細書で使用される場合、「リピドイド」という用語は、脂質の一つまたは複数の特徴を有する分子を指す。
本明細書で使用される場合、「安定なLPMP製剤」という用語は、一定の期間(例えば、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、または少なくとも90日間)に渡り、任意選択的に、規定された温度範囲(例えば、少なくとも24℃(例えば、少なくとも24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、もしくは30℃の温度)、少なくとも20℃(例えば、少なくとも20℃、21℃、22℃、もしくは23℃)、少なくとも4℃(例えば、少なくとも5℃、10℃、もしくは15℃)、少なくとも-20℃(例えば、少なくとも-20℃、-15℃、-10℃、-5℃、もしくは0℃)、または-80℃(例えば、少なくとも-80℃、-70℃、-60℃、-50℃、-40℃、もしくは-30℃))で、LPMP製剤(例えば、産生もしくは製剤化時)におけるLPMPの数と比較して、LPMPの最初の数(例えば、溶液1mL当たりのLPMP)の少なくとも5%(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%)を保持するか、または任意選択的に、規定された温度範囲(例えば、少なくとも24℃(例えば、少なくとも24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、もしくは30℃)、少なくとも20℃(例えば、少なくとも20℃、21℃、22℃、もしくは23℃)、少なくとも4℃(例えば、少なくとも5℃、10℃、もしくは15℃)、少なくとも-20℃(例えば、少なくとも-20℃、-15℃、-10℃、-5℃、もしくは0℃)、または-80℃(例えば、少なくとも-80℃、-70℃、-60℃、-50℃、-40℃、もしくは-30℃)の温度)で、LPMP(例えば、産生もしくは製剤化時)におけるLPMPの最初の活性と比較して、その活性(例えば、LPMP内で製剤されたmRNAの細胞壁透過活性および/もしくは活性)の少なくとも5%(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%)を保持する、LPMP組成物を指す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1Aは、実施例2(表2)に従って調製されたLNPの粒子と比較した、LPMP/SARS-CoV-2 A(recPMP1、recLemon)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(recPMP2、recAlgae)の粒子のサイズおよび多分散を示す。
図1Bは、実施例2(表2)に従って調製されたLNPの粒子と比較した、LPMP/SARS-CoV-2 A(recPMP1、recLemon)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(recPMP2、recAlgae)の封入効率を示す。
【
図2】
図2A~2Cは、ハムスターにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの単回用量筋肉内ワクチン接種の6時間後および24時間後のハムスターの血清中のサイトカインIL6(
図2A)、ケモカインCXCL12(
図2B)、およびサイトカインSCF(幹細胞因子)(
図2C)のレベルを示す。二つのワクチン製剤 LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(S mRNA 10μgを含有するrecAlgae LPMP)を、0日目に投与した。対照は、0日目にEPO mRNAを投与されたワクチン接種されていないハムスターであった。
【
図3】
図3A~3Bは、ハムスターにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの単回用量筋肉内ワクチン接種後、10日目のハムスターの血清中のSARS-CoV-2のS抗原(
図3A)およびS1 RBD抗原(
図3B)に特異的な抗体(IgG)のレベルを示す。二つのワクチン製剤 LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(S mRNA 10μgを含有するrecAlgae LPMP)を、0日目に投与した。対照は、0日目にEPO mRNAを投与されたワクチン接種されていないハムスターであった。
【
図4】
図4は、ハムスターにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種後、21日目のハムスターの血清中のSARS-CoV-2のS1 RBD抗原に特異的な抗体(IgG)のレベルを示す。二つのタイプのワクチン製剤を異なる投与量で、0日目に投与した:LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP、20μg)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(S mRNA 10μgを含有するrecAlgae LPMP、20μg)。対照は、0日目にEPO mRNAを投与されたワクチン接種されていないハムスターであった。
【
図5】
図5は、ハムスターにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種後、35日目のハムスターの血清中のSARS-CoV-2オリジナル株に対する中和抗体価のレベルを示す。二つのタイプのワクチン製剤を異なる投与量で、0日目に投与した:LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP、20μg)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(S mRNA 10μgを含有するrecAlgae LPMP、20μg)。対照は、0日目にEPO mRNAを投与されたワクチン接種されていないハムスターであった。
【
図6】
図6は、ハムスターにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種後、35日目のハムスターの脾臓中のSARS-CoV-2のS抗原に対するT細胞応答の結果を示す。二つのタイプのワクチン製剤を異なる投与量で、0日目に投与した:LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP、20μg)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(S mRNA 10μgを含有するrecAlgae LPMP、20μg)。対照は、0日目にEPO mRNAを投与されたワクチン接種されていないハムスターであった。
【
図7】
図7A~7Dは、SARS-CoV-2負荷後の日数の関数としてのハムスターの体重の喪失の結果を示す(動物1匹当たり105pfu TCID50の鼻腔内投与を介して28日目に投与)。二つのタイプのワクチン製剤を異なる投与量で、0日目に投与した:LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP、
図7A、S mRNA 20μgを含有するrecLemon LPMP、
図7B)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(S mRNA 10μgを含有するrecAlgae LPMP、
図7C、S mRNA 20μgを含有するrecAlgae LPMP、
図7D)。対照は、0日目にEPO mRNAを投与されたワクチン接種されていないハムスターであった。
【
図8】
図8は、SARS-CoV-2負荷後の日数の関数としてのハムスターの体重の喪失の結果を示す(動物一匹当たり105pfu TCID50の鼻腔内投与を介して28日目に投与)。LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP)ワクチン製剤を0日目に投与した。対照は、0日目にEPO mRNAを投与されたワクチン接種されていないハムスターであった。
【
図9】
図9は、SARS-CoV-2負荷の4日後のハムスターの肺における感染ウイルス粒子の結果を示す(動物一匹当たり105pfu TCID50の鼻腔内投与を介して28日目に投与)。LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP)ワクチン製剤を0日目に投与した。対照は、0日目にEPO mRNAを投与されたワクチン接種されていないハムスターであった。
【
図10】
図10A~10Bは、SARS-CoV-2負荷の4日後のハムスターの肺(
図10A)および鼻粘膜(
図10B)におけるウイルス負荷の結果を示す(動物一匹当たり105pfu TCID50の鼻腔内投与を介して28日目に投与)。LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP)ワクチン製剤を0日目に投与した。対照は、0日目にEPO mRNAを投与されたワクチン接種されていないハムスターであった。
【
図11】
図11A~11Bは、マウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの経口ワクチン接種後、12日目のマウスの脾臓(
図11A)およびマウスのパイエル板(
図11B)におけるSARS-CoV-2のS抗原に対するT細胞応答の結果を示す。LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 200μgを含有するrecLemon LPMP)ワクチン製剤を0日目に投与した。対照はPBSであった。
【
図12】
図12Aは、マウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 0.1μgを含有するrecLemon LPMP、10μg)の鼻腔内ワクチン接種後の12日目のマウスにおけるSARS-CoV-2のS抗原に対するT細胞応答の結果を示す。
図12Bは、マウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 0.1μgを含有するrecLemon LPMP、10μg)の鼻腔内ワクチン接種後の12日目のマウスにおける血中のサイトカインTNFαのレベルを示す。対照はPBSであった。
【
図13】
図13は、マウスにLPMP/mRNAフルシフェラーゼ(mRNA 5μgを含有)の用量を静脈内投与した4時間後のマウス(n=2)の発光を測定することによって評価される、一定の期間に渡り(1日目、30日目、60日目)4℃で保存されたLPMP/mRNA製剤の安定性を示す。LPMP/mRNAフルシフェラーゼA(recLemon LPMP)およびLPMP/mRNAフルシフェラーゼB(recAlgae LPMP)製剤を評価した。
【
図14】
図14Aは、マウスがLPMP/mRNAフルシフェラーゼ(mRNA 0.2mg/kgを含有)の用量で静脈内投与された6時間後のマウスの取得された画像と共に、一定の期間に渡り(1日目、7日目)凍結乾燥あり、凍結乾燥なしでのLPMP/mRNA製剤の安定性を示す。RecLemon LPMP/mRNAフルシフェラーゼおよびrecAlage LPMP/mRNAフルシフェラーゼ製剤を評価した。
図14Bは、マウスがLPMP/mRNAフルシフェラーゼ(mRNA 0.2mg/kgを含有)の用量で静脈内投与された6時間後のマウスの取得された画像と共に、凍結乾燥あり、かつ4℃でのLPMP/mRNA製剤の安定性を示す。RecLemon LPMP/mRNAフルシフェラーゼ製剤を評価した。
【
図15】
図15は、筋肉内経路(0.4mg/kg)、鼻腔内経路(0.4mg/kg)、および経口経路(8mg/kg)を介したマウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2製剤の投与後のマウスにおけるSARS-CoV-2のS抗原に対する免疫応答を示す。LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNAを含有するrecLemon LPMP)ワクチン製剤を0日目に投与した。対照はPBSであった。
【
図16】
図16A~16Bは、SARS-CoV-2感染後の日数の関数としてのハムスターの体重の喪失の結果を示す(スキーム4を参照)。
【
図17】
図17は、ハムスターにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種後、35日目(SARS-CoV-2経鼻負荷の7日後)のハムスターの血清中のSARS-CoV-2デルタ株に対する中和抗体価のレベルを示す。二つのタイプのワクチン製剤を異なる投与量で、0日目に投与した:LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP、20μg)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(S mRNA 10μgを含有するrecAlgae LPMP、20μg)。対照は、0日目にEPO mRNAを投与された偽ワクチン接種されたハムスターであった。
【
図18】
図18A~Cは、0日目および21日目のマウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチン(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP)の二回の筋肉内ワクチン接種の四週間後、49日目のマウスの血液中の、それぞれ、SARS-CoV-2オリジナル株、デルタ株、およびオミクロン株に対する中和抗体力価のレベルを示す。対照は、用量の緩衝液を投与した偽ワクチン接種したマウスであった。
【
図19】
図19A~Hは、マウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチン(S mRNA 10μgを含有するrecLemon LPMP)の単回用量筋肉内ワクチン接種の2、6、24、および48時間後のマウスにおける、それぞれ、サイトカインならびにケモカインIFN-ガンマ、IL-12、CXCL10、TNF-アルファ、IL-4、IL-5、IL-13、およびIL-10の全身レベルを示す。対照は、0日目に用量の緩衝液を投与したワクチン接種していないマウスであった。
【発明を実施するための形態】
【0023】
感染性疾患、障害、または状態(例えば、SARS-CoV-2抗原などのコロナウイルス抗原)の抗原に対する強力な中和抗体を誘発する核酸ワクチン組成物(例えば、免疫化/免疫原性組成物)が、本明細書において特徴とされる。これらの核酸ワクチン組成物は、天然の脂質およびイオン化可能な脂質を含む脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)内に製剤化された、一つまたは複数の抗原性ポリペプチドをコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)などのRNA)を含む。抗原性ポリペプチドは、感染性疾患、障害、または状態を引き起こす感染因子に由来する。PMPは、植物細胞外小胞(EV)、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物から全体的または部分的に生成される脂質アセンブリである。LPMPは、脂質構造に由来するPMPであり、脂質構造は、破壊され、液相で再構築または再構成される。
本開示はまた、イオン化可能な脂質の存在下で精製されたPMP脂質を含む膜を再構成して、イオン化可能な脂質を含むLPMPを生成することと、および一つまたは複数の抗原性ポリペプチドで修飾された植物メッセンジャーパック(PMP)をコードする一つまたは複数のポリヌクレオチドをLPMPに充填することを含む、核酸ワクチンを作製する方法を含む。
【0024】
脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)
植物メッセンジャーパック(PMP)
PMPは、植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物(例えば、脂質抽出物)を含む脂質(例えば、脂質二重層、単層、または多層構造)構造である。植物EVは、植物で天然に生じ、直径が約5~2000nmである、囲まれた脂質二重層構造を指す。植物EVは、様々な植物生合成経路に由来し得る。天然で、植物EVは、植物アポプラストなどの植物の細胞内区画および細胞外区画、細胞膜の外側に位置し、連続した細胞壁および細胞外空間によって形成される区画に見出すことができる。あるいは、PMPは、植物細胞からの分泌時に細胞培養培地中に見られる濃縮された植物EVであり得る。植物EVは、植物から分離することができ、それによって、本明細書にさらに記述される様々な方法によってPMPをもたらすことができる。さらに、PMPは、任意選択的に、インビボまたはインビトロで導入され得る治療剤を含み得る。
PMPは、植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含み得る。任意選択的に、PMPは、植物EVに由来する脂質に加えて、外因性脂質(例えば、ステロール(例えば、コレステロールもしくはシトステロール)、イオン化可能な脂質、および/またはPEG化脂質)も含み得る。一部の実施形態では、植物EVは、直径約5~1000nmである。例えば、PMPは、約5~50nm、約50~100nm、約100~150nm、約150~200nm、約200~250nm、約250~300nm、約300~350nm、約350~400nm、約400~450nm、約450~500nm、約500~550nm、約550~600nm、約600~650nm、約650~700nm、約700~750nm、約750~800nm、約800~850nm、約850~900nm、約900~950nm、約950~1000nm、約1000~1250nm、約1250~1500nm、約1500~1750nm、または約1750~2000nmの平均直径を有する植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含み得る。ある場合では、PMPは、約5~950nm、約5~900nm、約5~850nm、約5~800nm、約5~750nm、約5~700nm、約5~650nm、約5~600nm、約5~550nm、約5~500nm、約5~450nm、約5~400nm、約5~350nm、約5~300nm、約5~250nm、約5~200nm、約5~150nm、約5~100nm、約5~50nm、または約5~25nmの平均直径を有する植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含む。ある特定の場合では、植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物は、約50~200nmの平均直径を有する。ある特定の場合では、植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物は、約50~300nmの平均直径を有する。ある特定の場合では、植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物は、約200~500nmの平均直径を有する。ある特定の場合では、植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物は、約30~150nmの平均直径を有する。
【0025】
ある場合では、PMPは、少なくとも5nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも300nm、少なくとも350nm、少なくとも400nm、少なくとも450nm、少なくとも500nm、少なくとも550nm、少なくとも600nm、少なくとも650nm、少なくとも700nm、少なくとも750nm、少なくとも800nm、少なくとも850nm、少なくとも900nm、少なくとも950nm、または少なくとも1000nmの平均直径を有する植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含んでもよい。ある場合では、PMPは、1000nm未満、950nm未満、900nm未満、850nm未満、800nm未満、750nm未満、700nm未満、650nm未満、600nm未満、550nm未満、500nm未満、450nm未満、400nm未満、350nm未満、300nm未満、250nm未満、200nm未満、150nm未満、100nm未満、または50nm未満の平均直径を有する植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含む。当該技術分野で標準的な様々な方法(例えば、動的光散乱法)を使用して、植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物の粒子直径を測定することができる。
ある場合では、PMPは、77nm2~3.2×106nm2(例えば、77~100nm2、100~1000nm2、1000~1×104nm2、1×104~1×105nm2、1×105~1×106nm2、または1×106~3.2×106nm2)の平均表面積を有する植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含み得る。ある場合では、PMPは、65nm3~5.3×108nm3(例えば、65~100nm3、100~1000nm3、1000~1×104nm3、1×104~1×105nm3、1×105~1×106nm3、1×106~1×107nm3、1×107~1×108nm3、1×108~5.3×108nm3)の平均体積を有する植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含み得る。ある場合では、PMPは、少なくとも77nm2(例えば、少なくとも77nm2、少なくとも100nm2、少なくとも1000nm2、少なくとも1×104nm2、少なくとも1×105nm2、少なくとも1×106nm2、または少なくとも2×106nm2)の平均表面積を有する植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含み得る。ある場合では、PMPは、少なくとも65nm3(例えば、少なくとも65nm3、少なくとも100nm3、少なくとも1000nm3、少なくとも1×104nm3、少なくとも1×105nm3、少なくとも1×106nm3、少なくとも1×107nm3、少なくとも1×108nm3、少なくとも2×108nm3、少なくとも3×108nm3、少なくとも4×108nm3、または少なくとも5×108nm3の平均体積を有する植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含み得る。
【0026】
ある場合では、PMPは、植物EVまたはそのセグメント、抽出物、もしくは部分と同じサイズを有し得る。あるいは、PMPは、PMPが生成される初期植物EVとは異なるサイズを有してもよい。例えば、PMPは、直径約5~2000nmの直径を有してもよい。例えば、PMPは、約5~50nm、約50~100nm、約100~150nm、約150~200nm、約200~250nm、約250~300nm、約300~350nm、約350~400nm、約400~450nm、約450~500nm、約500~550nm、約550~600nm、約600~650nm、約650~700nm、約700~750nm、約750~800nm、約800~850nm、約850~900nm、約900~950nm、約950~1000nm、約1000~1200nm、約1200~1400nm、約1400~1600nm、約1600~1800nm、または約1800~2000nmの平均直径を有し得る。ある場合では、PMPは、少なくとも5nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも300nm、少なくとも350nm、少なくとも400nm、少なくとも450nm、少なくとも500nm、少なくとも550nm、少なくとも600nm、少なくとも650nm、少なくとも700nm、少なくとも750nm、少なくとも800nm、少なくとも850nm、少なくとも900nm、少なくとも950nm、少なくとも1000nm、少なくとも1200nm、少なくとも1400nm、少なくとも1600nm、少なくとも1800nm、または約2000nmの平均直径を有してもよい。当該技術分野で標準的な様々な方法(例えば、動的光散乱法)を使用して、PMPの粒子直径を測定することができる。ある場合では、PMPのサイズは、治療剤の負荷後、またはPMPへの他の修飾後に決定される。
ある場合では、PMPは、77nm2~1.3×107nm2(例えば、77~100nm2、100~1000nm2、1000~1×104nm2、1×104~1×105nm2、1×105~1×106nm2、または1×106~1.3×107nm2)の平均表面積を有してもよい。ある場合では、PMPは、65nm3~4.2×109nm3(例えば、65~100nm3、100~1000nm3、1000~1×104nm3、1×104~1×105nm3、1×105~1×106nm3、1×106~1×107nm3、1×107~1×108nm3、1×108~1×109nm3、または1×109~4.2×109nm3)の平均体積を有してもよい。ある場合では、PMPは、少なくとも77nm2(例えば、少なくとも77nm2、少なくとも100nm2、少なくとも1000nm2、少なくとも1×104nm2、少なくとも1×105nm2、少なくとも1×106nm2、または少なくとも1×107nm2)の平均表面積を有する。ある場合では、PMPは、少なくとも65nm3(例えば、少なくとも65nm3、少なくとも100nm3、少なくとも1000nm3、少なくとも1×104nm3、少なくとも1×105nm3、少なくとも1×106nm3、少なくとも1×107nm3、少なくとも1×108nm3、少なくとも1×109nm3、少なくとも2×109nm3、少なくとも3×109nm3、または少なくとも4×109nm3)の平均体積を有する。
【0027】
ある場合では、PMPは、インタクトな植物EVを含んでもよい。あるいは、PMPは、植物EVの小胞の全表面積のセグメント、部分、または抽出物(例えば、小胞の全表面積の100%未満(例えば、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、10%未満、5%未満、または1%未満)を含むセグメント、部分、または抽出物)を含んでもよい。セグメント、部分、または抽出物は、円周セグメント、球状セグメント(例えば、半球)、曲線セグメント、直線セグメント、または平坦なセグメントなどの任意の形状であってもよい。セグメントが、小胞の球状セグメントである場合、球状セグメントは、一対の平行線に沿った球状小胞の分割から生じるもの、または一対の非平行線に沿った球状小胞の分割から生じるものを表し得る。したがって、複数のPMPは、複数のインタクトな植物EV、複数の植物EVセグメント、部分、もしくは抽出物、またはインタクトな植物EVと植物EVのセグメントの混合物を含み得る。当業者であれば、インタクトな植物EVとセグメント化植物EVの比が、使用される特定の単離方法に依存することを理解するであろう。例えば、植物、またはその部分を粉砕またはブレンドすることは、真空浸透などの非破壊抽出方法よりも高い割合の植物EVセグメント、部分、または抽出物を含有するPMPを生成し得る。
【0028】
PMPが、植物EVのセグメント、部分、または抽出物を含む場合、EVセグメント、部分、または抽出物は、インタクトな小胞の平均表面積よりも小さい平均表面積、例えば、77nm2、100nm2、1000nm2、1×104nm2、1×105nm2、1×106nm2、または3.2×106nm2未満の平均表面積を有してもよい。ある場合では、EVセグメント、部分、または抽出物は、70nm2、60nm2、50nm2、40nm2、30nm2、20nm2、または10nm2未満の表面積を有する。ある場合では、PMPは、インタクトな小胞の平均体積よりも小さい平均体積、例えば、65nm3、100nm3、1000nm3、1×104nm3、1×105nm3、1×106nm3、1×107nm3、1×108nm3、または5.3×108nm3を有する、植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含んでもよい。
PMPが、植物EVの抽出物を含む場合、例えば、PMPが、植物EVから抽出された(例えば、クロロホルムを用いて)脂質を含む場合、PMPは、植物EVから抽出された(例えば、クロロホルムを用いて)脂質の少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または99%超を含み得る。複数のPMPは、植物EVセグメントおよび/もしくは植物EV抽出脂質またはその混合物を含み得る。
【0029】
PMPの生成
PMPは、植物組織または植物細胞を含む、植物、またはその一部に天然で生じる、植物EV、またはそのセグメント、部分もしくは抽出物(例えば、脂質抽出物)から生成されてもよい。PMPを生成するための例示的な方法は、(a)植物体、またはその一部から初期試料を用意すること、植物またはその一部は、EVを含む、および(b)初期試料から粗PMP画分を単離すること、粗PMP画分は、初期試料中のレベルと比較して、低減したレベルの、植物またはその一部から少なくとも一つの混入物または望ましくない構成成分を有する、を含む。方法は、粗PMP画分を精製し、それによって複数の純粋なPMPを生成することを含む追加の工程(c)をさらに含み得、複数の純粋なPMPは、粗EV画分中のレベルと比較して、低減したレベルの、植物またはその一部からの少なくとも一つの混入物または望ましくない構成成分を有する。各生成工程は、以下でさらに詳細に考察される。PMPの単離および精製に関する例示的な方法は、例えば、Rutter and Innes,Plant Physiol.173(1):728-741,2017;Rutter et al,Bio.Protoc.7(17):e2533,2017;Regente et al,J of Exp.Biol. 68(20):5485-5496,2017;Mu et al,Mol.Nutr.Food Res.,58,1561-1573,2014、およびRegente et al,FEBS Letters.583:3363-3366,2009において見られ、それらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
ある場合では、複数のPMPは、(a)植物、またはその一部から初期試料を用意すること、植物またはその一部は、EVを含む、(b)初期試料から粗PMP画分を単離すること、粗PMP画分は、初期試料中のレベルと比較して、低減したレベル(例えば、少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、98%、99%、または100%減少しているレベル)の、植物またはその一部からの少なくとも一つの混入物または望ましくない構成成分を有する、および(c)粗PMP画分を精製し、それによって複数の純粋なPMPを精製すること、複数の純粋なPMPは、粗EV画分中のレベルと比較して、減少したレベル(例えば、少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、98%、99%、または100%減少しているレベル)の、植物またはその一部からの少なくとも一つの混入物または望ましくない構成成分を有する、の工程を含むプロセスによって植物から単離されてもよい。
【0031】
PMPは、様々な植物から生成される植物EV、またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含み得る。PMPは、被子植物(単子葉および双子葉植物)、裸子植物、シダ類、イワヒバ科、ツクシ、古生マツバラン類、ヒカゲノカズラ科、藻類(例えば、単細胞または多細胞、例えば、古色素体類)、またはコケ類を含むが、これらに限定されない、植物(維管束または非維管束)の任意の属から生成され得る。ある特定の場合では、PMPは、維管束植物、例えば、単子葉もしくは双子葉植物または裸子植物を使用して産生され得る。例えば、PMPは、アルファルファ、リンゴ、シロイヌナズナ、バナナ、大麦、アブラナ種(例えば、シロイヌナズナもしくはセイヨウアブラナ)、キャノーラ、トウゴマの種子、チコリー、キク、クローバー、ココア、コーヒー、綿、綿実、トウモロコシ、クランべ、クランベリー、キュウリ、デンドロビウム、ヤマノイモ属、ユーカリ、フェスキュ、亜麻、グラジオラス、ライラック、亜麻仁、キビ、マスクメロン、マスタード、エンバク、アブラヤシ、菜種、パパイヤ、ピーナッツ、パイナップル、観葉植物、インゲンマメ属、ジャガイモ、菜種種子、米、ライ麦、ライグラス、ベニバナ、ゴマ、モロコシ、大豆、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、イチゴ、タバコ、トマト、芝草、小麦もしくはレタスなどの植物作物、セロリ、ブロッコリー、カリフラワー、ウリ科植物、リンゴ、ナシ、モモ、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、アーモンド、ペカン、ウォールナッツ、ヘーゼルなどの果実およびナッツの木、ブドウ、キウイ、ホップなどのツル植物、キイチゴ、ブラックベリー、グースベリーなどの低木果樹およびイバラ、トネリコ、マツ、モミ、カエデ、オーク、クリ、ポプラなどの森林樹を、アルファルファ、キャノーラ、トウゴマの種子、トウモロコシ、綿、クランべ、亜麻、亜麻仁、マスタード、アブラヤシ、菜種、ピーナッツ、ジャガイモ、米、ベニバナ、ゴマ、大豆、テンサイ、ヒマワリ、タバコ、トマト、または小麦と共に使用して生成され得る。
PMPは、植物全体(例えば、ロゼット全体または実生全体)を使用して、または代替的に一つまたは複数の植物の一部(例えば、葉、種子、根、果実、野菜、花粉、ふるい部汁液、もしくは木部汁液)から生成されてもよい。例えば、PMPは、苗条栄養器官/構造(例えば、葉、幹、もしくは塊茎)、根、花および花の器官/構造(例えば、花粉、苞、苞葉、萼片、花弁、雄ずい、心皮、葯、もしくは胚珠)、種子(胚、胚乳、もしくは種皮を含む)、果実(成熟子房)、樹液(例えば、師部もしくは木部汁液)、植物組織(例えば、導管組織、粉砕された組織、腫瘍組織など)、ならびに細胞(例えば、単一細胞、原生生物、胚、カルス組織、孔辺細胞、卵細胞など)、またはその子孫を使用して生成され得る。例えば、単離工程は、(a)植物、またはその一部を用意することを含んでもよい。一部の例では、植物の一部は、シロイヌナズナの葉である。植物は、発生のいずれの段階にあってもよい。例えば、PMPは、実生、例えば、1週齢、2週齢、3週齢、4週齢、5週齢、6週齢、7週齢、または8週齢の実生(例えば、シロイヌナズナの実生)を使用して生成され得る。他の例示的なPMPとしては、根(例えば、ショウガの根)、果汁(例えば、グレープフルーツジュース)、野菜(例えば、ブロッコリー)、花粉(例えば、オリーブの花粉)、ふるい部汁液(例えば、シロイヌナズナのふるい部汁液)、または木部汁液(例えば、トマトの植物木部汁液)を使用して生成されるPMPを挙げることができる。
一部の実施形態では、PMPは、藻類またはレモンから生成される。
【0032】
PMPは、様々な方法によって、植物、またはその一部を使用して生成することができる。植物のEV含有アポプラスト画分、またはそうでなければ分泌されたEVを含むPMPを含有する細胞外画分(例えば、細胞培養培地)の放出を可能にする任意の方法が、本方法に適している。EVは、破壊的(例えば、植物、もしくは任意の植物の一部の粉砕もしくは混合)方法、または非破壊的(植物もしくは任意の植物の一部の洗浄もしくは真空浸透)方法のいずれかによって、植物または植物の一部から分離され得る。例えば、植物、またはその一部は、EVを植物または植物の一部から単離し、それによってPMPを生成するために、真空浸透、粉砕、混合、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、単離工程は、植物(例えば、小胞単離緩衝液)を真空浸透させて、アポプラスト画分を放出し、収集することを含んでもよい。あるいは、単離工程は、EVを放出し、それによってPMPを生成するための植物を粉砕または混合を含んでもよい。
植物EVを単離し、それによってPMPを生成する際、PMPは、粗PMP画分(例えば、アポプラスト画分)に分離または収集され得る。例えば、分離工程は、遠心分離(例えば、差動遠心分離もしくは超遠心分離)および/または濾過を使用して、複数のPMPを粗PMP画分に分離して、植物組織破片または植物細胞を含む、大きな混入物から植物PMP含有画分を分離することを含み得る。したがって、粗PMP画分は、植物または植物の一部からの初期試料と比較して、植物組織破片または植物細胞を含む、減少した数の大きな混入物を有することになる。使用される方法に応じて、粗PMP画分は、植物または植物の一部からの初期試料と比較して、減少したレベルの植物細胞小器官(例えば、核、ミトコンドリア、または色素体)をさらに含んでもよい。
【0033】
ある場合では、単離工程は、遠心分離(例えば、差動遠心分離もしくは超遠心分離)および/または濾過を使用して、複数のPMPを粗PMP画分に分離して、植物細胞または細胞破片からPMP含有画分を分離することを含み得る。このような場合では、粗PMP画分は、原料植物または植物の一部からの初期試料と比較して、減少した数の植物細胞または細胞破片を有することになる。
粗PMP画分を、さらなる精製方法によってさらに精製して、複数の純粋なPMPを生成することができる。例えば、粗PMP画分は、超遠心分離によって、例えば、密度勾配(イオジキサノールもしくはスクロース)を使用して、および/または凝集化した構成成分を除去するための他のアプローチ(例えば、沈殿もしくはサイズ排除クロマトグラフィー)を使用して、他の植物構成成分から分離することができる。得られた純粋なPMPは、前の分離工程中に生成された一つまたは複数の画分と比較して、または予め確立された閾値レベル、例えば、市販の出荷規格と比較して、減少したレベルの、原料植物からの混入物または他の望ましくない構成成分(例えば、タンパク質凝集体、核酸凝集体、タンパク質-核酸凝集体、遊離リポタンパク質、リピド-タンパク質構造などの一つまたは複数の非PMP構成成分)、核、細胞壁構成成分、細胞小器官、またはその組み合わせ)を有してもよい。例えば、純粋なPMPは、初期試料中のレベルと比較して、減少したレベル(例えば、約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、もしくは100%超、または約2倍、4倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、もしくは100倍超)の、植物小器官または細胞壁構成成分を有してもよい。ある場合では、純粋なPMPは、タンパク質凝集体、核酸凝集体、タンパク質-核酸凝集体、遊離リポタンパク質、リピド-タンパク質構造)、核、細胞壁構成成分、細胞小器官、またはその組み合わせなどの一つまたは複数の非PMP構成成分を実質的に含まない(例えば、検出不可能なレベルを有する)。PMPは、例えば、1×109、5×109、1×1010、5×1010、5×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、または1×1013PMP/mLの濃度であってもよい。
【0034】
例えば、タンパク質凝集体は、PMPから除去されてもよい。例えば、PMPは、溶液中のタンパク質凝集体を沈殿させるために、ある範囲のpH(例えば、pHプローブを使用して測定される)を通して採取され得る。pHは、例えば、水酸化ナトリウムまたは塩酸の添加により、例えば、pH3、pH5、pH7、pH9、またはpH11に調整することができる。溶液が、指定されるpHになると、濾過して粒子を除去することができる。あるいは、PMPは、ポリミン-Pまたはプラストール2640などの荷電ポリマーの添加を使用して凝集され得る。簡潔に述べると、ポリミン-Pまたはプラストール2640は、溶液に添加され、羽根車を用いて混合される。次いで、溶液を濾過して、粒子を除去することができる。あるいは、凝集体は、塩濃度を増加させることによって可溶化することができる。例えば、NaClは、例えば、1mol/Lになるまで、PMPに添加することができる。次いで、溶液を濾過して、PMPを単離することができる。あるいは、凝集体は、温度を上昇させることによって可溶化される。例えば、PMPは、溶液が、例えば、50℃の均一な温度に達するまで、混合下で5分間加熱され得る。次いで、PMP混合物を濾過して、PMPを単離することができる。あるいは、PMP溶液からの可溶性混入物は、標準的な手法に従ってサイズ排除クロマトグラフィーカラムによって分離することができ、PMPは、第一の画分で溶出するが、タンパク質およびリボ核タンパク質ならびに一部のリポタンパク質は、後で溶出される。タンパク質凝集体除去の効率は、BCA/ブラッドフォードタンパク質定量を介してタンパク質凝集体の除去の前後のタンパク質濃度を測定し、比較することによって決定することができる。
【0035】
本明細書に記載される作製方法のいずれかは、当該技術分野で公知の任意の定量的または定性的な方法で補足されて、作製プロセスの任意の工程でPMPを特徴付け、同定することができる。PMPは、PMP収率、PMP濃度、PMP純度、PMP組成、またはPMPサイズを推定するための様々な分析方法によって特徴付けられ得る。PMPは、顕微鏡(例えば、透過電子顕微鏡)、動的光散乱、ナノ粒子追跡、分光法(例えば、フーリエ変換赤外分析)、または質量分析(タンパク質および脂質分析)などの、PMPの可視化、定量、または定性的特徴付け(例えば、組成物の同定)を可能にする、当該技術分野で公知の多数の方法によって評価することができる。ある特定の場合では、方法(例えば、質量分析)を使用して、添付に開示されるマーカーなどのPMP上に存在する植物EVマーカーを同定してもよい。PMP画分の分析および特徴付けを助けるために、PMPは、さらに標識または染色することができる。例えば、PMPは、3,3’-ジヘキシルオキサカルボシアニンヨウ化物(DIOC6)、蛍光親油性色素、PKH67(Sigma Aldrich)、Alexa Fluor(登録商標)488(Thermo Fisher Scientific)、またはDyLight(商標)800(Thermo Fisher)を用いて染色することができる。精巧な形態のナノ粒子追跡が存在しない場合、この比較的単純なアプローチは、総膜含有量を定量化し、PMPの濃度を間接的に測定するために使用することができる(Rutter and Innes,Plant Physiol.173(1):728-741,2017;Rutter et al,Bio.Protoc.7(17):e2533,2017)。より正確な測定のため、およびPMPのサイズ分布を評価するために、ナノ粒子追跡を使用することができる。
生成プロセス中、PMPは、PMPが、対照または初期試料中のEVレベルと比較して、増加した濃度(例えば、約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、もしくは100%超、または約2倍、4倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、もしくは100倍超)であるように、任意選択的に調製することができる。PMPは、約0.01%~約100%、約1%~約99.9%、約0.1%~約10%、約1%~約25%、約10%~約50%、約50%~約99%、または約75%~約100%のうちのいずれか一つなどの、約0.1%~約100%のPMP組成物を構成し得る。ある場合では、組成物は、例えば、重量/体積、PMPタンパク質組成物の割合、および/または脂質組成物の割合によって測定される(例えば、蛍光標識脂質を測定することによって)、0.1%、0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上のPMPのうちの少なくともいずれかを含む。ある場合では、濃縮された剤は、市販製品として使用され、例えば、最終ユーザーが、実質的により低い濃度の活性成分を有する希釈された剤を使用し得る。一部の実施形態では、組成物は、農業濃縮製剤、例えば、超低体積濃縮製剤として製剤化される。
【0036】
脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)
脂質再構成PMP(LPMP)が本明細書で使用される。LPMPは、植物源に由来する(例えば、濃縮される、単離または精製される)脂質構造(例えば、脂質二重層、単層、多層構造、例えば、小胞脂質構造)に由来するPMPを指し、脂質構造は、本明細書に記載される通り、破壊され(例えば脂質抽出によって破壊され)、標準的な方法を使用して液相(例えば、カーゴを含有する液相)中で再構築または再構成され、例えば、脂質膜水和および/または溶媒注入を含む方法によって再構成され、LPMPが生成される。方法は、所望される場合、例えば、再構成PMPのサイズを低減するために、超音波処理、凍結/融解処理、および/または脂質押出成形をさらに含み得る。あるいは、LPMPは、マイクロ流体装置(NanoAssemblr(登録商標)IGNITE(商標)マイクロ流体機器(Precision NanoSystems)など)を使用して生成されてもよい。
一部の実施形態では、LPMPは、(a)複数の精製されたPMP(例えば、本明細書の節IAに記載されるように精製されたPMP)を用意すること、(b)複数のPMPを処理して、脂質膜を生成すること、(c)有機溶媒または溶媒の組み合わせで脂質膜を再構成し、それによって脂質溶液を生成すること、(d)水相を含むマイクロ流体装置中で工程(c)の脂質溶液を処理し、それによってLPMPを生成する工程を含むプロセスによって生成される。
ある場合では、脂質膜を生成するために複数のPMPを処理することは、複数のPMPから脂質を抽出すること、例えば、Briigh-Dyer法(Bligh and Dyer,J Biolchem Physiol,37:911-917,1959)を使用して脂質を抽出することを含む。抽出された脂質は、ストック溶液、例えば、クロロホルム:メタノール中の溶液として提供されてもよい。脂質膜を生成することは、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)の流れによる溶媒の蒸発を含んでもよい。
【0037】
天然の脂質
LPMPは、植物源(例えば、レモンまたは藻類)由来の脂質構造に由来する10%~100%の脂質を含んでもよく、例えば、植物源由来の脂質構造に由来する少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の脂質を含有してもよい。LPMPは、植物源(例えば、レモンまたは藻類)由来の脂質構造に存在する脂質種の全てまたは画分を含んでもよく、例えば、植物源由来の脂質構造に存在する少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%の脂質種を含有してもよい。LPMPは、植物源(例えば、レモンまたは藻類)由来の脂質構造に存在するタンパク質種のいずれも含まないか、その画分、またはすべてを含んでもよく、例えば、植物源(例えば、レモンまたは藻類)由来の脂質構造に存在するタンパク質種の0%、1%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、30%未満、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、90%未満、100%未満、または100%を含有してもよい。ある場合では、LPMPの脂質二重層は、タンパク質を含有しない。ある場合では、LPMPの脂質構造は、植物源由来の脂質構造と比較して、低減された量のタンパク質を含有する。
一部の実施形態では、LPMPの天然脂質は、レモンまたは藻類から抽出される。
【0038】
外因性脂質
LPMPは、非修飾LPMPと比較して、細胞取り込み(例えば、動物細胞の取り込み(例えば、哺乳類細胞の取り込み、例えば、ヒト細胞の取り込み)、植物細胞の取り込み、細菌細胞の取り込み、または真菌細胞の取り込み)を増加させることができる異種剤(例えば、細胞透過剤)を含有するように修飾されてもよい。例えば、修飾LPMPは、イオン化可能な脂質などの植物細胞透過剤を含んでもよく(例えば、封入されてもよく、もしくはコンジュゲートされてもよい)、または植物細胞透過剤と共に製剤化されてもよい(例えば、植物細胞透過剤を含む溶液中に懸濁もしくは再懸濁されてもよい)。修飾LPMPの各々は、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または90%超のイオン化可能な脂質を含んでもよい。
LPMPは、一つまたは複数の外因性脂質、例えば、植物に対して外因性である脂質(例えば、LPMPが生成される植物または植物の一部ではない供給源に由来する)を含んでもよい。LPMPの脂質組成物は、0%、1%未満、または少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは95%超の外因性脂質を含んでもよい。一部の例では、外因性脂質(例えば、イオン化可能な脂質)は、調製物中の総脂質の25%または40%(w/w)の量で添加される。一部の例では、外因性脂質は、工程(b)の前に調製物に加えられ、例えば、工程(b)の前に抽出されたPMP脂質と混合される。
例示的な外因性脂質としては、イオン化可能な脂質が挙げられる。
外因性脂質はまた、カチオン性脂質を含んでもよい。
【0039】
ある場合では、外因性脂質は、1,1‘-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、DLin-MC3-DMA(MC3)、ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、DC-コレステロール、DOTAP、エチルPC、GL67、DLin-KC2-DMA(KC2)、MD1(cKK-E12)、OF2、EPC、ZA3-Ep10、TT3、LP01、5A2-SC8、脂質5(Moderna)、カチオン性スルホンアミドアミノ脂質、両親媒性双性イオン性アミノ脂質、DODAC、DOBAQ、YSK05、DOBAT、DOBAQ、DOPAT、DOMPAQ、DOAAQ、DMAP-BLP、DLinDMA、DODMA、DOTMA、DSDMA、DOSPA、DODAC、DOBAQ、DMRIE、DOTAP-コレステロール、GL67A、および98N12-5またはその組み合わせから選択されるイオン化可能な脂質またはカチオン性脂質であってもよい。
一部の実施形態では、外因性脂質は、C12-200、MC3、DODAP、DC-コレステロール、DOTAP、エチルPC、GL67、KC2、MD1、OF2、EPC、ZA3-Ep10、TT3、LP01、5A2-SC8、脂質5(Moderna)、カチオン性スルホンアミドアミノ脂質、および両親媒性双性イオン性アミノ脂質またはその組み合わせから選択されるイオン化可能な脂質またはカチオン性脂質であってもよい。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、C12-200、MC3、DODAP、およびDC-コレステロールまたはその組み合わせから選択される。ある場合では、イオン化可能な脂質は、イオン化可能な脂質である。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、1,1‘-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)または(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート、DLin-MC3-DMA(MC3)である。ある場合では、外因性脂質は、カチオン性脂質である。一部の実施形態では、カチオン性脂質は、DC-コレステロールまたはジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)である。
【0040】
ある場合では、LPMPは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または90%超のイオン化可能な脂質を含む。
ある場合では、LPMPは、少なくとも0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または90%超のイオン化可能な脂質、例えば、1%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、または80%~90%のイオン化可能な脂質、例えば、約30%~75%のイオン化可能な脂質(例えば、約30%~75%のイオン化可能な脂質)のモル比を含む。一部の実施形態では、LPMPは、25%のC12-200を含む。一部の実施形態では、LPMPは、35%のC12-200のモル比を含む。一部の実施形態では、LPMPは、50%のC12-200のモル比を含む。一部の実施形態では、LPMPは、40%のMC3を含む。一部の実施形態では、LPMPは、50%のC12-200のモル比を含む。一部の実施形態では、LPMPは、20%または40%のDC-コレステロールを含む。
一部の実施形態では、LPMPは、25%または40%のDOTAPを含む。
【0041】
薬剤は、全体としてLPMPの取り込みを増加させてもよく、またはLPMPによって担持されるLPMP(例えば、核酸ワクチン)の部分もしくは構成成分の取り込みを増加させてもよい。細胞取り込みが増加する程度は、組成物が送達される植物または植物の一部、LPMP製剤、およびLPMPになされる他の修飾に応じて変化してもよく、例えば、修飾LPMPは、非修飾LPMPと比較して、少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の増加した細胞取り込み(例えば、動物細胞の取り込み、植物細胞の取り込み、細菌細胞の取り込み、または真菌細胞の取り込み)を有してもよい。ある場合では、増加した細胞取り込みは、非修飾LPMPと比較して、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍の増加した細胞取り込みである。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質で修飾されたLPMPは、イオン化可能な脂質で修飾されていないLPMPよりも、負に荷電したポリヌクレオチドをより効率的に封入する。一部の態様では、イオン化可能な脂質で修飾されたLPMPは、イオン化可能な脂質で修飾されていないLPMPと比較して、変化した生体内分布を有する。一部の態様では、イオン化可能な脂質で修飾されたLPMPは、イオン化可能な脂質で修飾されていないLPMPと比較して、標的細胞のエンドソーム膜との変化した(例えば、増加した)融合を有する。
【0042】
イオン化可能な脂質
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、以下に列挙される特徴:
(i)少なくとも2つのイオン化可能なアミン(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または6つ超のイオン化可能なアミン、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは12超のイオン化可能なアミン)、
(ii)少なくとも3つの脂質尾部(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または6つ超の脂質尾部、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または12超の脂質尾部)、脂質尾部の各は、独立して、少なくとも6個の炭素原子長(例えば、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、または18個超の炭素原子長、例えば、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、または25個超の炭素原子長)である、
(iii)約4.5~約7.5の酸解離定数(pKa)(例えば、約4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5のpKa(例えば、約6.5~約7.5のpKa(例えば、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、もしくは7.5のpKa))、
(iv)イオン化可能なアミンおよびヘテロ有機基、ならびに
(v)少なくとも10のN:P(イオン化可能な脂質のアミン:mRNAのリン酸塩)比、のうちの少なくとも一つ(例えば、一つ、二つ、三つ、四つ、または五つすべて)を有する。
【0043】
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、1‘-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、MD1(cKK-E12)、OF2、EPC、ZA3-Ep10、TT3、LP01、5A2-SC8、脂質5(Moderna)、および98N12-5から選択されない。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、MD1(cKK-E12)、OF2、EPC、ZA3-Ep10、TT3、LP01、5A2-SC8、脂質5、SM-102(脂質H)、およびALC-315からなる群から選択される。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、イオン化可能なアミンおよびヘテロ有機基である。一部の実施形態では、ヘテロ有機基は、ヒドロキシルである。一部の実施形態では、ヘテロ有機基は、水素結合ドナーを含む。一部の実施形態では、ヘテロ有機基は、水素結合アクセプターを含む。一部の実施形態では、ヘテロ有機基は、-OH、-SH、-(CO)H、-CO2H、-NH2、-CONH2、任意選択的に置換されたC1-C6アルコキシ、またはフッ素である。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、少なくとも二個の原子の鎖によって分離されたイオン化可能なアミンおよびヘテロ有機基である。
【0044】
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、以下の式I:
【化2】
(I)、
(式中、Rは、C8-C14アルキル基である)によって表される。
【0045】
一部の実施形態では、LPMPの脂質膜は、少なくとも35%の式Iの脂質、例えば、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または90%超の式Iの脂質、例えば、35%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、または80%~90%の式Iの脂質を含む。
ある場合では、LPMPは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または90%超のイオン化可能な脂質を含む。
ある場合では、LPMPは、少なくとも0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または90%超のイオン化可能な脂質、例えば、1%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、または80%~90%のイオン化可能な脂質、例えば、約25%~75%のイオン化可能な脂質(例えば、約25%~75%のイオン化可能な脂質)のモル比を含む。
【0046】
本明細書に記載されるイオン化可能な脂質は、一つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、または6つ)の脂質尾部で置換された本明細書に記載のアミンコアを含み得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるイオン化可能な脂質は、少なくとも3つの脂質尾部を含む。脂質尾部は、C8-C18炭化水素(例えば、C6-C18アルキルまたはC6-C18アルカノイル)であってもよい。アミンコアは、窒素原子で一つまたは複数の脂質尾部で置換されてもよい(例えば、窒素原子に結合した一個の水素原子は、脂質尾部で置換されてもよい)。
【0047】
一部の実施形態では、アミンコアは、
【化3】
の構造を有する。
一部の実施形態では、アミンコアは、
【化4】
の構造を有する。
一部の実施形態では、アミンコアは、
【化5】
の構造を有する。
一部の実施形態では、アミンコアは、
【化6】
の構造を有する。
一部の実施形態では、アミンコアは、
【化7】
の構造を有する。
一部の実施形態では、アミンコアは、
【化8】
の構造を有する。
一部の実施形態では、アミンコアは、
【化9】
の構造を有する。
一部の実施形態では、アミンコアは、
【化10】
の構造を有する。
【0048】
核酸ワクチンにおける使用に適した他の脂質、ならびにその作製方法および使用方法としては、国際特許公開第2016/118725号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化11】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0049】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2016/118724号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化12】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0050】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に好適な他の脂質としては、14,25-ジトリデシル15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタンの式を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩が挙げられる。
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2013/063468号および国際特許公開第2016/205691号に記載される脂質が挙げられ、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、以下の式:
【化13】
の脂質(式中、RLの各例は、独立して、任意選択的に置換されたC6-C40アルケニルである)、またはその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化14】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化15】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化16】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化17】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0052】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2015/184256号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、以下の式:
【化18】
(式中、各Xは、独立して、OまたはSであり、各Yは、独立して、OまたはSであり、各mは、独立して、0~20であり、各nは、独立して、1~6であり、各RAは、独立して、水素、任意選択的に置換されたC1-50アルキル、任意選択的に置換されたC2-50アルケニル、任意選択的に置換されたC2-50アルキニル、任意選択的に置換されたC3-10カルボシクリル、任意選択的に置換された3~14員のヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC6-14アリール、任意選択的に置換された5~14員のヘテロアリールまたはハロゲンであり、各RBは、独立して、水素、任意選択的に置換されたC1-50アルキル、任意選択的に置換されたC2-50アルケニル、任意選択的に置換されたC2-50アルキニル、任意選択的に置換されたC3-10カルボシクリル、任意選択的に置換された3~14員のヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC6-14アリール、任意選択的に置換された5~14員のヘテロアリールまたはハロゲンである)の脂質、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0053】
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化19】
(標的23)の化合物構造を有する脂質である「標的23」、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0054】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2016/004202号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化20】
の化合物構造を有する脂質、またはその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化21】
の化合物構造を有する脂質、またはその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化22】
の化合物構造を有する脂質、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0055】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、米国仮特許出願第62/758,179号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、以下の式:
【化23】
(式中、各R1およびR2は、独立して、HまたはC1-C6脂肪族であり、各mは、独立して、1~4の値を有する整数であり、各Aは、独立して、共有結合またはアリーレンであり、各L1は、独立して、エステル、チオエステル、ジスルフィド、または無水物基であり、各L2は、独立して、C2-C10脂肪族であり、各X1は、独立して、HまたはOHであり、各R3は、独立して、C6-C20脂肪族である)の脂質、またはその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、以下の式:
【化24】
(化合物1)を有する脂質、またはその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、以下の式:
【化25】
(化合物2)を有する脂質、またはその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、以下の式:
【化26】
(化合物3)を有する脂質、またはその薬学的に許容される塩を含む。
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に好適な他の脂質としては、J.McClellan,M.C.King,Cell 2010,141,210-217およびWhitehead et al.,Nature Communications(2014)5:4277に記載される脂質が挙げられ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンの脂質ならびにその製造方法および使用方法は、
【化27】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0057】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2015/199952号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化28】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化29】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化30】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化31】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化32】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化33】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化34】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化35】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化36】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化37】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化38】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化39】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化40】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0058】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2017/004143号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化41】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化42】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化43】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化44】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化45】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化46】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化47】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化48】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化49】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化50】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化51】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化52】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化53】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化54】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化55】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化56】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化57】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0059】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2017/075531号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、以下の式:
【化58】
の脂質(式中、L1またはL2のうちの一つは、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)x、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-、-C(=O)NRa-、NRaC(=O)NRa-、-OC(=O)NRa-、または-NRaC(=O)O-であり、L1またはL2のうちの残りは、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)x、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRaC(=O)-、-C(=O)NRa-、NRaC(=O)NRa-、-OC(=O)NRa-もしくは-NRaC(=O)O-または直接結合であり、G1およびG2は、各々独立して、置換されたC1-C12アルキレンまたはC1-C12アルケニレンであり、G3は、C1-C24アルキレン、C1-C24アルケニレン、C3-C8シクロアルキレン、C3-C8シクロアルケニレンであり、Raは、HまたはC1-C12アルキルであり、R1およびR2は、各々独立して、C6-C24アルキルまたはC6-C24アルケニルであり、R3は、H、OR5、CN、-C(=O)OR4、-OC(=O)R4または-NR5 C(=O)R4であり、R4は、C1-C12アルキルであり、R5は、HまたはC1-C6アルキルであり、xは、0、1または2である)またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0060】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2017/117528号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化59】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化60】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化61】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0061】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2017/049245号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法の脂質は、以下の式:
【化62】
のうちの一つの化合物、およびその薬学的に許容される塩を含む。これらの四つの式のうちのいずれか一つについて、R4は、-(CH2)nQおよび-(CH2)nCHQRから独立して選択され、Qは、-OR、-OH、-O(CH2)nN(R)2、-OC(O)R、-CX3、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)2R、-N(H)S(O)2R、-N(R)C(O)N(R)2、-N(H)C(O)N(R)2、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)2、-N(H)C(S)N(R)2、-N(H)C(S)N(H)(R)、およびヘテロシクリルからなる群から選択され、nは、1、2、または3である。
【0062】
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化63】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化64】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化65】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化66】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0063】
核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法における使用に適した他の脂質としては、国際特許公開第2017/173054号および国際特許公開第2015/095340号に記載される脂質が挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化67】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化68】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化69】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
ある特定の実施形態では、核酸ワクチンならびにその製造方法および使用方法は、
【化70】
の化合物構造を有する脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0064】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるLPMPは、国際公開第2016118724号、国際公開第2016118725号、国際公開第2016187531号、国際公開第2017176974号、国際公開第2018078053号、国際公開第2019027999号、国際公開第2019036030号、国際公開第2019089828号、国際公開第2019099501号、国際公開第2020072605号、国際公開第2020081938号、国際公開第2020118041号、国際公開第2020146805号、または国際公開第2020219876号号に記載されるイオン化可能な脂質を含んでもよく、それらに記載される通り、製剤化されてもよく、またはそれらに記載される組成物を含むか、もしくは含まれてもよく、その各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0065】
他の脂質および他の薬剤
外因性脂質は、細胞透過剤であってもよく、LPMPによる細胞へのポリペプチドの送達を増加させることができてもよく、および/またはポリペプチドの充填(例えば、充填効率もしくは充填能)を増加させることができてもよい。さらなる例示的な外因性脂質としては、ステロールおよびPEG化脂質が挙げられる。
LPMPは、LPMPの機能的および構造的特徴をさらに変化させるために、他の構成成分(例えば、脂質、例えば、ステロール、例えば、コレステロール、または小分子)で修飾されてもよい。例えば、LPMPは、LPMPの安定性(例えば、室温で少なくとも一日間、および/または4℃で少なくとも一週間安定)を増加させる安定化分子でさらに修飾され得る。
一部の実施形態では、LPMPは、ステロール、例えば、シトステロール、シトスタノール、β-シトステロール、7α-ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、コレステロール(例えば、植物から単離されたヒツジコレステロールまたはコレステロール)、スチグマステロール、カンペステロール、フコステロール、または任意のステロールの類似体(例えば、グリコシド、エステル、もしくはペプチド)で修飾される。一部の例では、外因性ステロールは、工程(b)の前に調製物に加えられ、例えば、工程(b)の前に抽出されたPMP脂質と混合される。外因性ステロールは、調製物中の総脂質およびステロールの例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または90%超(w/w)の量で添加されてもよい。
【0066】
一部の実施形態では、ステロールは、コレステロールまたはシトステロールである。ある場合では、LPMPは、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、または60%超のステロール(例えば、コレステロールまたはシトステロール)、例えば、1%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、または50%~60%のモル比のステロールを含む。一部の実施形態では、LPMPは、約35%~50%のステロール(例えば、コレステロールまたはシトステロール)、例えば、約36%、38.5%、42.5%、または46.5%のモル比のステロールを含む。一部の実施形態では、LPMPは、約20%~40%のステロールのモル比を含む。
一部の実施形態では、ステロールで修飾されているLPMPは、ステロールで修飾されていないLPMPと比較して、変化した安定性(例えば、増加した安定性)を有する。一部の態様では、ステロールで修飾されているLPMPは、ステロールで修飾されていないLPMPと比較して、標的細胞の膜とのより速い融合速度を有する。
ある場合では、LPMPは、外因性脂質および外因性ステロールを含む。
【0067】
一部の実施形態では、LPMPは、PEG化脂質で修飾される。ポリエチレングリコール(PEG)の長さは、1kDa~10kDaで変化することができ、一部の態様では、2kDaの長さを有するPEGが使用される。一部の実施形態では、PEG化脂質は、C14-PEG2k、C18-PEG2k、またはDMPE-PEG2kである。ある場合では、LPMPは、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、または50%超のPEG化脂質(例えば、C14-PEG2k、C18-PEG2k、またはDMPE-PEG2k)、例えば、0.1%~0.5%、0.5%~1%、1%~1.5%、1.5%~2.5%、2.5%~3.5%、3.5%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、または30%~50%のモル比のPEG化脂質を含む。一部の実施形態では、LPMPは、約0.1%~10%のモル比のPEG化脂質(例えば、C14-PEG2k、C18-PEG2k、またはDMPE-PEG2k)、例えば、約1%~3%のPEG化脂質、例えば、約1.5%または約2.5%のPEG化脂質を含む。一部の実施形態では、PEG化脂質で修飾されているLPMPは、PEG化脂質で修飾されていないLPMPと比較して、変化した安定性(例えば、増加した安定性)を有する。一部の実施形態では、PEG化脂質で修飾されているLPMPは、PEG化脂質で修飾されていないLPMPと比較して、変化した粒子サイズを有する。一部の実施形態では、PEG化脂質で修飾されているLPMPは、PEG化脂質で修飾されていないLPMPと比較して、貪食されないようである。PEG化脂質の添加はまた、GI管の安定性に影響を与え、粘液を通した粒子移入を増強し得る。PEGは、標的化部分を結合する方法として使用されてもよい。
一部の実施形態では、LPMPは、イオン化可能な脂質(例えば、C12-200またはMC3)ならびにステロール(例えば、コレステロールもしくはシトステロール)とPEG化脂質(例えば、C14-PEG2k、C18-PEG2k、もしくはDMPE-PEG2k)の一方または両方で修飾される。
【0068】
一部の実施形態では、修飾LPMPは、約5%~50%のモル比のLPMP脂質(例えば、約10%~20%のLPMP脂質、例えば、約10%、12.5%、16%、または20%のLPMP脂質)、約30%~75%のイオン化可能な脂質(例えば、約35%または約50%のイオン化可能な脂質)、約35%~50%のステロール(例えば、約36%、38.5%、42.5%、または46.5%のステロール)、および約0.1%~10%のPEG化脂質(例えば、約1%~3%のPEG化脂質、例えば、約1.5%または約2.5%のPEG化脂質)を含む。
一部の実施形態では、修飾LPMPは、約5%~60%のモル比のLPMP脂質(例えば、約10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、または50%~60%のLPMP脂質、例えば、約10%、12.5%、16%、20%、30%、40%、50%、または60%のLPMP脂質)、約25%~75%のイオン化可能な脂質(例えば、約35%または約50%のイオン化可能な脂質)、約10%~50%のステロール(例えば、約10%、12.5%、14%、16%、18%、20%、36%、38.5%、42.5%、または46.5%のステロール)、および約0.1%~10%のPEG化脂質(例えば、約0.5%~5%のPEG化脂質、例えば、約1%~3%のPEG化脂質、または約1.5%もしくは約2.5%のPEG化脂質)を含む。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質、LPMP脂質、ステロール、およびPEG化脂質は、修飾されたPMPの脂質の、それぞれ、約25%~75%、約20%~60%、約10%~45%、および約0.5%~5%含む。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質、LPMP脂質、ステロール、およびPEG化脂質は、修飾されたPMPの脂質の、それぞれ、約30%~75%、約20%~50%、約10%~45%、および約1%~5%含む。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質、LPMP脂質、ステロール、およびPEG化脂質は、修飾されたPMPの脂質の、それぞれ、約35%~75%、約20%~50%、約10%~45%、および約1%~5%含む。
【0069】
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質、LPMP脂質、ステロール、およびPEG化脂質は、約35:50:12.5:2.5のモル比で製剤化される。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質、LPMP脂質、ステロール、およびPEG化脂質は、約35:50:11.5:3.5のモル比で製剤化される。
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質、LPMP脂質、ステロール、およびPEG化脂質は、約35:20:42.5:2.5のモル比で製剤化される。
【0070】
一部の実施形態では、LPMPは、イオン化可能な脂質(および/またはカチオン性脂質)で修飾されており、ステロールおよび/またはPEG化脂質は、イオン化可能な脂質(および/またはカチオン性脂質)ならびにステロールおよび/またはPEG化脂質で修飾されていないLPMPより、負に荷電したカーゴ(例えば、核酸)をより効率的に封入する。修飾LPMPは、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または99%超である、カーゴ(例えば、核酸、例えば、RNAまたはDNA)についての封入効率を有してもよく、例えば、5%~30%、30%~50%、50%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~95%、または95%~100%の封入効率を有してもよい。
修飾LPMPの細胞取り込みは、当該技術分野で公知の様々な方法によって測定することができる。例えば、LPMP、またはその構成成分は、取り込みを確認するために、単離された細胞で検出されて得るマーカー(例えば、蛍光マーカー)で標識され得る。
【0071】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるLPMP製剤は、二つ以上の異なる修飾LPMPを含み、例えば、異なる非修飾LPMP(例えば、二つ以上の異なる植物源由来の非修飾LPMP)に由来する修飾LPMPを含み、ならびに/あるいは異なる種ならびに/または異なる比のイオン化可能な脂質、ステロール、および/もしくはPEG化脂質を含む修飾LPMPを含む。
ある場合では、脂質膜が溶解される有機溶媒は、ジメチルホルムアミド:メタノール(DMF:MeOH)である。あるいは、有機溶媒または溶媒の組み合わせは、例えば、アセトニトリル、アセトン、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1-ブタノール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル:エタノール、アセトニトリル:メタノール、アセトン:メタノール、メチルtert-ブチルエーテル:プロパノール、テトラヒドロフラン:メタノール、ジメチルスルホキシド:メタノール、またはジメチルホルムアミド:メタノールであってもよい。
水相は、任意の適当な溶液、例えば、クエン酸緩衝液(例えば、約3.2のpHを有するクエン酸緩衝液)、水、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であってもよい。水相は、核酸(例えば、siRNAもしくはsiRNA前駆体(例えば、dsRNA)、miRNAもしくはmiRNA前駆体、mRNA、またはプラスミド(pDNA))あるいは小分子をさらに含んでもよい。
脂質溶液および水相は、任意の適当な比でマイクロ流体装置内で混合されてもよい。一部の例では、水相および脂質溶液は、3:1の体積比で混合される。
【0072】
LPMPは、任意選択的に、さらなる薬剤、例えば、細胞透過剤、治療剤、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または小分子を含んでもよい。LPMPは、例えば、薬剤を封入すること、脂質二重層構造に薬剤を組み込むこと、または薬剤の脂質二重層構造の表面との会合(例えば、コンジュゲート化による)によって、標的植物への薬剤の送達を可能にするための様々な方法でさらなる薬剤を担持または会合させることができる。核酸分子は、インビボ(例えば、植物中)またはインビトロ(例えば、組織培養中、細胞培養中、もしくは合成的に組み込まれた)のいずれかでLPMPに組み込まれ得る。
【0073】
ゼータ電位
イオン化可能な脂質(例えば、C12-200またはMC3)および任意選択的に、カチオン性脂質(例えば、DC-コレステロールまたはDOTAP)を含むLPMPは、例えば、カーゴの非存在下のとき-30mV超、カーゴの非存在下のとき-20mV超、-5mV超、0mV超、または約30mvのゼータ電位を有してもよい。一部のでは、LPMPは、負のゼータ電位、例えば、カーゴの非存在下のとき、0mV未満、-10mV未満、-20mV未満、-30mV未満、-40mV未満、または-50mV未満のゼータ電位を有する。一部の例では、LPMPは、正のゼータ電位、例えば、カーゴの非存在下のとき、0mV超、10mV超、20mV超、30mV超、40mV超、または50mV超のゼータ電位を有する。一部の例では、LPMPは、約0のゼータ電位を有する。
LPMPのゼータ電位は、当該技術分野で公知の任意の方法を使用して測定され得る。ゼータ電位は、概して、間接的に測定され、例えば、当該技術分野で公知の方法および技術、例えば、電気泳動移動度または動的電気泳動移動度を使用して得られたデータから理論モデルを使用して計算される。電気泳動移動度は、典型的には、マイクロ電気泳動、電気泳動光散乱、または調整可能な抵抗パルス感知を使用して測定される。電気泳動光散乱は、動的光散乱に基づく。典型的には、ゼータ電位は、光子相関分光法または準弾性光散乱としても知られる動的光散乱(DLS)測定からアクセス可能である。
【0074】
植物EVマーカー
核酸ワクチン中のLPMPならびにその製造方法および使用方法は、植物EVを使用して生成されるLPMPを同定する、および/またはそのセグメント、部分、もしくは抽出物を含む、広範なマーカーを有してもよい。本明細書で使用される場合、「植物EVマーカー」という用語は、植物タンパク質、植物核酸、植物小分子、植物脂質、またはその組み合わせなどの植物と天然に関連し、植物体中の植物EV内または上に取り込まれる構成成分を指す。植物EVマーカーの例は、例えば、Rutter and Innes,Plant Physiol.173(1):728-741,2017;Raimondo et al.,Oncotarget.6(23):19514,2015;Ju et al.,Mol.Therapy.21(7):1345-1357,2013;Wang et al.,Molecular Therapy.22(3):522-534,2014;and Regente et al,J of Exp.Biol.68(20):5485-5496,2017;において見ることができ、その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
適当な植物EVマーカーのさらなる例としては、国際特許出願公開第2021/041301号に記載され、列挙されるものが挙げられ、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
薬剤(例えば、核酸)の充填
LPMPを、治療剤(例えば、核酸分子)を含むよう修飾して、核酸ワクチンが形成される。LPMPは、例えば、薬剤を封入すること、脂質二重層構造に構成成分を組み込むこと、またはLPMPの脂質二重層構造の表面との構成成分の会合(例えば、コンジュゲート化による)によって、標的生物(例えば、標的動物)への薬剤の送達を可能にするための様々な方法でこのような薬剤を担持または会合させることができる。ある場合では、薬剤は、本明細書に記載されるように、LPMP製剤中に含まれる。
薬剤は、LPMPと薬剤との間の直接的または間接的な会合を可能にする当該技術分野で公知の任意の方法によって、LPMP内または上に組み込まれるか、または充填され得る。薬剤は、インビボ方法(例えば、植物体中、例えば、薬剤を含むトランスジェニック植物からのLPMPの生成を通して)、またはインビトロ(例えば、組織培養中、もしくは細胞培養中)、あるいはインビボ方法とインビトロ方法の両方によってLPMPに組み込まれ得る。
ある場合では、LPMPは、インビトロで充填される。物質は、物理的、化学的、および/または生物学的方法(例えば、組織培養中もしくは細胞培養中)を含むが、これらに限定されない、を使用して、LPMP上またはLPMP内に充填されてもよい(例えば、それによって封入されてもよい)。例えば、薬剤は、エレクトロポレーション、超音波処理、受動的拡散、撹拌、脂質抽出、または押し出しのうちの一つまたは複数によってLPMPに導入されてもよい。ある場合では、薬剤は、マイクロ流体デバイスを使用して、例えば、LPMP脂質が有機相で提供され、異種機能性剤が水相で提供され、有機相および水相がマイクロ流体装置中で組み合わされて、異種機能性剤を含むLPMPを生成する方法を使用して、LPMPに組み込まれる。充填されたLPMPは、HPLC(例えば、小分子を評価するため)、免疫ブロッティング(例えば、タンパク質を評価するため)、および/または定量的PCR(例えば、ヌクレオチドを評価するため)などの様々な方法を使用して充填された薬剤の存在またはレベルを確認するために評価することができる。しかしながら、LPMPへの対象の物質の装填は、上述の方法に限定されないことは、当業者によって理解されるべきである。
【0076】
ある場合では、薬剤は、LPMPにコンジュゲートされてもよく、ここで、薬剤はLPMPに間接的または直接的に連結または結合される。例えば、一つまたは複数の薬剤は、一つまたは複数の薬剤が、LPMPの脂質二重層に直接的に結合(例えば、共有結合またはイオン結合によって)されるように、LPMPに化学的に連結され得る。ある場合では、LPMPへの様々な薬剤のコンジュゲーションは、最初に、適当な溶媒中で適切な架橋剤(例えば、N-エチルカルボジイミド(EDC)、これは概して、一級アミンとのアミド結合のためのカルボキシル活性化剤として利用され、リン酸基とも反応する)と一つまたは複数の薬剤を混合することによって達成することができる。薬剤が架橋剤に付着することを可能にするのに十分なインキュベーション期間後、次いで、架橋剤/薬剤混合物をLPMPと組み合わせ、さらにインキュベーション期間後、スクロース勾配(例えば、8、30、45、および60%スクロース勾配)に供して、遊離薬剤および遊離LPMPをLPMPにコンジュゲートされた薬剤から分離することができる。混合物をスクロース勾配と合わせる工程、および付随する遠心分離工程の一部として、次いで、薬剤にコンジュゲートされたLPMPは、スクロース勾配のバンドとして見られ、その結果、コンジュゲートされたLPMPを収集し、洗浄し、本明細書に記載される使用に適当な溶液中に溶解することができる。
ある場合では、LPMPは、例えば、植物へのLPMPの送達前および送達後に、薬剤と安定的に関連付けられる。他の場合では、LPMPは、例えば、植物へのLPMPの送達後に、薬剤がLPMPから解離されるように、薬剤と関連付けられる。
【0077】
LPMPは充填され得るか、またはLPMPは、特定の薬剤または使用に応じて、様々な濃度の薬剤と共に製剤化され得る。例えば、ある場合では、本明細書に開示されるLPMP製剤が、約0.001、0.01、0.1、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、または95(もしくは約0.001~95の任意の範囲)またはそれ以上の重量%の薬剤を含むように、LPMPは、装填されるか、またはLPMPは、製剤化される。ある場合では、LPMP製剤が、約95、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1.0、0.1、0.01、0.001(もしくは約95~0.001の任意の範囲)またはそれ以上の重量%の薬剤を含むように、LPMPは、装填されるか、またはLPMPは、製剤化される。例えば、LPMP製剤は、約0.001~約0.01重量%、約0.01~約0.1重量%、約0.1~約1重量%、約1~約5重量%、または約5~約10重量%、約10~約20重量%の薬剤を含み得る。ある場合では、LPMPは、約1、5、10、50、100、200、または500、1,000、2,000(もしくは約1~2,000の任意の範囲)またはそれ以上のμg/mlの薬剤と共に、充填され得るか、またはLPMは製剤化される。本発明のLPMPは、約2,000、1,000、500、200、100、50、10、5、1(もしくは約2,000~1の任意の範囲)またはそれ以上のμg/mlの薬剤と共に、充填され得るか、またはLPMPは、製剤化され得る。
ある場合では、本明細書に開示されるLPMP製剤が、少なくとも0.001重量%、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも1.0重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも6重量%、少なくとも7重量%、少なくとも8重量%、少なくとも9重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%の薬剤を含むように、LPMPは充填されるか、またはLPMPは製剤化される。ある場合では、LPMPは、少なくとも1μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも500μg/ml、少なくとも1,000μg/ml、少なくとも2,000μg/mlの薬剤と共に、充填され得るか、またはLPMPは、製剤化され得る。
ある場合では、LPMPは、薬剤を含むか、または薬剤からなる溶液中にLPMPを懸濁すること、例えば、激しく混合することによってLPMPを懸濁または再懸濁することによって、薬剤と共に製剤化される。薬剤(例えば、細胞透過剤、例えば、核酸、酵素、界面活性剤、イオン、蛍光、または双性イオン性液体、またはイオン化可能な脂質)は、例えば、1%未満または少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%の溶液を含んでもよい。
【0078】
医薬製剤
修飾LPMPは、例えば、動物(例えば、ヒト)への投与のために、医薬組成物(すなわち、核酸ワクチン組成物)に製剤化される。医薬組成物は、薬学的に許容し得る希釈剤、担体、および/または賦形剤と共に動物(例えば、ヒト)に投与されてもよい。投与様式および投与量に応じて、本明細書に記載される方法の医薬組成物は、容易な送達を可能にするために適当な医薬組成物に製剤化される。単回用量は、必要に応じて単位投与形態であってもよい。
一部の実施形態では、用量は、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、またはそれ以上である。
一部の実施形態では、ワクチンは、一回、二回、三回、四回、またはそれ以上投与される。
LPMP/核酸ワクチンは、例えば、動物への経口投与、鼻腔内投与、静脈内投与(例えば、注射もしくは点滴)、筋肉内投与、または皮下投与用に製剤化されてもよい。注射用製剤については、様々な有効な医薬担体が、当該技術分野で公知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd ed.,(2012)およびASHP Handbook on Injectable Drugs,18th ed.,(2014)を参照されたい)。
【0079】
適当な薬学的に許容し得る担体および賦形剤は、採用される用量および濃度でレシピエントに無毒性である。許容可能な担体および賦形剤は、リン酸塩、クエン酸塩、HEPESおよびTAEなどの緩衝液、アスコルビン酸およびメチオニンなどの酸化防止剤、塩化ヘキサメトニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、レゾルシノール、および塩化ベンザルコニウムなどの保存剤、ヒト血清アルブミン、ゼラチン、デキストラン、および免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、ヒスチジン、およびリジンなどのアミノ酸、ならびにグルコース、マンノース、スクロース、およびソルビトールなどの炭水化物を含んでもよい。LPMP/核酸ワクチンは、従来の医薬慣習に従って製剤化されてもよい。製剤中の化合物の濃度は、投与されるべき有効な薬剤(例えば、LPMPおよび核酸)の投与量、および投与経路を含む、多くの因子に応じて変動する。
動物への経口投与のため、LPMP/核酸ワクチンは、経口製剤の形態で調製することができる。経口使用のための製剤は、無毒性の薬学的に許容し得る賦形剤との混合物中に有効成分(複数可)を含有する錠剤、カプレット、カプセル剤、シロップ、または経口液体投薬形態を含み得る。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤または充填剤(例えば、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶セルロース、ジャガイモでんぷんを含むでんぷん、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、もしくはリン酸ナトリウム)、造粒剤および崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモでんぷんを含むでんぷん、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、もしくはアルギン酸)、結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、でんぷん、アルファ化でんぷん、微結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、もしくはポリエチレングリコール)、ならびに平滑剤、滑剤、および抗接着剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物油、もしくはタルク)であってもよい。他の薬学的に許容し得る賦形剤は、着色剤、香味剤、可塑剤、保水剤、緩衝剤などであり得る。経口使用のための製剤はまた、チュアブル錠剤、非チュアブル錠剤、カプレット、カプセル剤(例えば、有効成分が、不活性な固体希釈剤と混合されている、硬質ゼラチンカプセル剤として、または有効成分が、水もしくは油媒体と混合されている、軟質ゼラチンカプセルとして)として単位投薬形態で提供されてもよい。本明細書に開示される組成物はまた、即時放出製剤、延長放出、または徐放製剤をさらに含んでもよい。
動物への非経口投与のため、LPMP/核酸ワクチンは、液体溶液または懸濁液の形態で製剤化され、非経口投与経路(例えば、皮下、静脈内、または筋肉内)によって投与されてもよい。医薬組成物は、注射または注入のため製剤化され得る。非経口投与用の医薬組成物は、無菌の溶液または任意の薬学的に許容し得る液体をビヒクルとして使用して製剤化することができる。薬学的に許容し得るビヒクルとしては、滅菌水、生理食塩水、または細胞培養培地(例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、α改変イーグル培地(α-MEM)、およびF-12培地)が挙げられるが、これらに限定されない。製剤化方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、Gibson (ed.) Pharmaceutical Preformulation and Formulation (2nd ed.) Taylor & Francis Group,CRC Press (2009)を参照されたい。
【0080】
ポリヌクレオチド
LPMP/核酸ワクチンは、一つまたは複数の野生型または操作されたタンパク質、ペプチド、もしくはポリペプチドをコードする、一つまたは複数の核酸分子、例えば、ポリヌクレオチドを含む。例示的なポリヌクレオチド、例えば、ポリヌクレオチド構築物は、抗原をコードするRNAポリヌクレオチド、例えば、mRNAを含む。
本明細書で使用され得るポリペプチドの例としては、酵素(例えば、代謝リコンビナーゼ、ヘリカーゼ、インテグラーゼ、RNAse、DNAse、もしくはユビキチン化タンパク質)、孔形成タンパク質、シグナル伝達リガンド、細胞透過性ペプチド、転写因子、受容体、抗体、ナノボディ、遺伝子編集タンパク質(例えば、CRISPR-Casシステム、TALEN、もしくはジンクフィンガー)、リボタンパク質、タンパク質アプタマー、またはシャペロンを挙げることができる。
本明細書に含まれるポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドまたは組換え産生されたバリアントを含んでもよい。ある場合では、ポリペプチドは、機能的断片またはそのバリアント(例えば、酵素的に活性な断片もしくはそのバリアント)であってもよい。例えば、ポリペプチドは、例えば、特定の領域にわたって、または配列全体にわたって、本明細書に記載されるポリペプチドまたは天然に存在するポリペプチドの配列に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する、本明細書に記載されるポリペプチドのいずれかの機能的に活性なバリアントであってもよい。ある場合では、ポリペプチドは、対象のタンパク質と少なくとも50%(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%、またはそれ以上)の同一性を有してもよい。
LPMP/核酸ワクチンは、1個のポリペプチド、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、またはそれ以上のポリペプチドのうち少なくとも約一つなどの、任意の数またはタイプ(例えば、クラス)のポリペプチドを含んでもよい。LPMP/核酸ワクチン中の各ポリペプチドの適当な濃度は、有効性、ポリペプチドの安定性、製剤中の別個のポリペプチドの数、および製剤の適用方法などの要因に依存する。ある場合では、液体製剤中の各ポリペプチドは、約0.1ng/mL~約100mg/mLである。ある場合では、固体製剤中の各ポリペプチドは、約0.1ng/g~約100mg/gである。
【0081】
ペプチドをコードする核酸
ある場合では、LPMP/核酸ワクチンは、ポリペプチドをコードする異種核酸を含む。ポリペプチドをコードする核酸は、約10~約50,000ヌクレオチド長(nt)、約25~約100nt、約50~約150nt、約100~約200nt、約150~約250nt、約200~約300nt、約250~約350nt、約300~約500nt、約10~約1000nt、約50~約1000nt、約100~約1000nt、約1000~約2000nt、約2000~約3000nt、約3000~約4000nt、約4000~約5000nt、約5000~約6000nt、約6000~約7000nt、約7000~約8000nt、約8000~約9000nt、約9000~約10,000nt、約10,000~約15,000nt、約10,000~約20,000nt、約10,000~約25,000nt、約10,000~約30,000nt、約10,000~約40,000nt、約10,000~約45,000nt、約10,000~約50,000nt、またはその間の任意の範囲を有してもよい。
LPMP/核酸ワクチンはまた、対象の核酸配列の活性なバリアントを含んでもよい。ある場合では、核酸のバリアントは、例えば、特定された領域にわたって、または配列全体にわたって、対象の核酸の配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する。ある場合では、本発明は、本明細書に記載される核酸バリアントによってコードされる活性ポリペプチドを含む。ある場合では、核酸のバリアントによってコードされる活性ポリペプチドは、例えば、特定された領域にわたって、またはアミノ酸配列全体にわたって、対象のポリペプチドの配列または天然に由来するポリペプチド配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する。
タンパク質をコードする核酸を発現するためのある特定の方法は、適切なプロモーターの制御下で、昆虫、酵母、植物、細菌、または他の細胞を含む細胞における発現を伴い得る。発現ベクターは、複製起源、好適なプロモーターおよびエンハンサー、ならびに他の5’または3’隣接非転写配列などの非転写エレメント、ならびに5’または3’非翻訳配列、例えば、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、ならびに終結配列を含み得る。SV40ウイルスゲノムに由来するDNA配列、例えば、SV40起源、早期プロモーター、エンハンサー、スプライス、およびポリアデニル化部位を使用して、異種DNA配列の発現に必要な他の遺伝子エレメントを提供し得る。細菌、真菌、酵母、および哺乳類細胞宿主と使用するための適切なクローニングおよび発現ベクターは、Green et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Fourth Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2012に記載されている。
【0082】
組換え法を使用した遺伝子修飾は、当該技術分野で一般的に公知である。所望の遺伝子をコードする核酸配列は、例えば、遺伝子を発現する細胞からライブラリーをスクリーニングすること、遺伝子を含むことが知られているベクターから遺伝子を導出すること、または標準的な技術を使用して、それを含有する細胞および組織から直接単離することなど、当該技術分野で公知の組換え方法を使用して取得することができる。あるいは、対象の遺伝子は、クローニングされるのではなく合成的に生成され得る。
天然核酸または合成核酸の発現は、典型的には、対象の遺伝子をコードする核酸をプロモーターに作動可能に連結し、構築物を発現ベクターに組み込むことによって達成される。発現ベクターは、細菌における複製および発現に好適であり得る。発現ベクターはまた、真核生物における複製および統合に好適であり得る。典型的なクローニングベクターは、所望の核酸配列の発現に有用な転写および翻訳ターミネーター、開始配列、ならびにプロモーターを含有する。
さらなるプロモーターエレメント、例えば、エンハンサーは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは、開始部位の上流の領域30~110塩基対(bp)に位置するが、多数のプロモーターが、開始部位の下流に機能的エレメントも含有することが最近示されている。プロモーターエレメント間の間隔は、エレメントが互いに対して反転または移動されるとき、プロモーター機能が保持されるように、しばしば可撓性である。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターでは、プロモーターエレメント間の間隔は、活性が低下し始める前に50bp離れて増加させることができる。プロモーターに応じて、個々のエレメントは、転写を活性化するために協働的または独立して機能し得るようである。
【0083】
適当なプロモーターの一例は、即時早期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それと作動可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現をもたらすことができる強力な構成的プロモーター配列である。適当なプロモーターの別の例は、伸長成長因子1α(EF-1α)である。しかしながら、サルウイルス40(SV40)早期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、鳥白血病ウイルスプロモーター、エプスタインバールウイルス即時早期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびに非限定的に、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターなどのヒト遺伝子プロモーターを含むが、これらに限定されない、他の構成的プロモーター配列も使用されてもよい。
あるいは、プロモーターは、誘導性プロモーターであってもよい。誘導性プロモーターの使用は、そのような発現が望ましいとき、作動可能に連結されるポリヌクレオチド配列の発現をオンにすることができる分子スイッチ、または発現が望ましくないとき、発現をオフにすることができる分子スイッチをもたらす。誘導性プロモーターの例としては、メタロチオニンプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
導入されるべき発現ベクターはまた、選択可能なマーカー遺伝子もしくはレポーター遺伝子のいずれか、または両方を含有して、ウイルスベクターを通してトランスフェクトまたは感染されるように試みられる細胞集団からの発現細胞の同定および選択を容易にすることができる。他の態様では、選択可能なマーカーは、DNAの別個の片上に担持され、同時トランスフェクション手法で使用され得る。選択可能なマーカーとレポーター遺伝子の両方は、宿主細胞における発現を可能にするために、適切な調節配列に隣接してもよい。有用な選択可能なマーカーには、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子が含まれる。
レポーター遺伝子は、潜在的に形質転換された細胞を識別し、制御配列の機能性を評価するために使用され得る。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント源に存在しないか、またはレシピエント源によって発現され、その発現が、いくつかの容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性によって現れるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後の適当な時点でアッセイされる。適当なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌アルカリホスファターゼ、または緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を含み得る(例えば、Ui-Tei et al.,FEBS Letters 479:79-82,2000)。適当な発現系は周知であり、公知の技術を使用して調製されてもよく、または商業的に取得されてもよい。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最小の5’隣接領域を有する構築物は、プロモーターとして同定される。かかるプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結されてもよく、プロモーター駆動転写を調節する能力について薬剤を評価するために使用されてもよい。
ある場合では、生物は、一つまたは複数のタンパク質の発現を変化させるために遺伝子修飾されてもよい。一つまたは複数のタンパク質の発現は、特定の時間、例えば、生物の発生または分化状態の間修飾されてもよい。一例において、一つまたは複数のタンパク質、例えば、活性、構造、または機能に影響を及ぼすタンパク質の発現を変化させるための組成物が提供される。一つまたは複数のタンパク質の発現は、特定の位置(複数可)に制限されてもよく、または生物全体にわたって広く広がり得る。
【0085】
mRNA
LPMP/核酸ワクチンは、mRNA分子、例えば、ポリペプチドをコードするmRNA分子を含んでもよい。mRNA分子は、合成および修飾(例えば、化学的に)され得る。mRNA分子は、インビトロで化学的に合成または転写され得る。mRNA分子は、プラスミド、例えば、ウイルスベクター、細菌ベクター、または真核生物発現ベクター上に配置され得る。一部の例では、mRNA分子は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、または形質導入(例えば、アデノウイルスもしくはレンチウイルス形質導入)によって細胞に送達され得る。
ある場合では、本明細書に記載される修飾されたRNA剤は、修飾されたヌクレオシドまたはヌクレオチドを有する。かかる修飾は公知であり、例えば、国際公開第2012/019168号に記載されている。追加の修飾は、例えば、国際公開第2015/038892号、国際公開第2015/038892号、国際公開第2015/089511号、国際公開第2015/196130号、国際公開第2015/196118号および国際公開第2015/196128A2号に記載されており、それらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ある場合では、対象のポリペプチドをコードする修飾されたRNAは、一つまたは複数の末端修飾、例えば、5’キャップ構造および/またはポリAテール(例えば、100~200ヌクレオチド長)を有する。5’キャップ構造は、CapO、Capl、ARCA、イノシン、Nl-メチル-グアノシン、2’フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、および2-アジド-グアノシンからなる群から選択され得る。ある場合では、修飾されたRNAはまた、少なくとも一つのコザック配列を含む5’UTR、および3’UTRを含有する。かかる修飾は公知であり、例えば、国際公開第2012/135805号および国際公開第2013/052523号に記載されており、それらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。追加の終結修飾は、例えば、国際公開第2014/164253号および国際公開第2016/011306、国際公開第2012/045075号、および国際公開第2014/093924号に記載されており、それらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。少なくとも一つの化学修飾を含み得るキャップされたRNA分子(例えば、修飾されたmRNA)を合成するためのキメラ酵素は、国際公開第2014/028429号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ある場合では、修飾されたmRNAは、ポリA結合タンパク質と5’末端結合タンパク質との間の相互作用を支援する翻訳能力のある分子を生成するために、環化または連結されてもよい。環化または連結の機序は、少なくとも3つの異なる経路、1)化学的、2)酵素的および3)リボザイム触媒を介して生じ得る。新たに形成された5’-/3’-結合は、分子内または分子間であってもよい。かかる修飾は公知であり、例えば、国際公開第2013/151736号に記載されている。
【0086】
修飾されたRNAを作製および精製する方法は公知であり、当該技術分野で開示されている。例えば、修飾されたRNAは、インビトロ転写(IVT)酵素合成のみを使用して作製される。IVTポリヌクレオチドを作製する方法は、当該技術分野で公知であり、国際公開第2013/151666号、国際公開第2013/151668号、国際公開第2013/151663号、国際公開第2013/151669号、国際公開第2013/151670号、国際公開第2013/151664号、国際公開第2013/151665号、国際公開第2013/151671号、国際公開第2013/151672号、国際公開第2013/151667号および国際公開第2013/151736号に記載されており、それらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。精製方法は、RNA転写物が表面に結合するような条件下で、試料を複数のチミジンもしくはその誘導体および/または複数のウラシルもしくはその誘導体(ポリT/U)に連結された表面と接触させることによって、ポリAテールを含むRNA転写物を精製すること、および量産可能な方法(国際公開第2014/144767号)を介して最大10,000ヌクレオチド長のより長いRNAの分離を可能にするイオン(例えば、陰イオン)交換クロマトグラフィーを使用して、表面から精製されたRNA転写物を溶出すること(国際公開第2014/152031号)、および修飾されたmRNA試料をDNAse処理(国際公開第2014/152030号)に供することを含む。
修飾されたRNAの製剤は、公知であり、例えば、国際公開第2013/090648号に記載されている。例えば、製剤は、ナノ粒子、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)微粒子、リピドイド、リポプレックス、リポソーム、ポリマー、炭水化物(単純な糖を含む)、カチオン性脂質、フィブリンゲル、フィブリンヒドロゲル、フィブリン接着剤、フィブリンシーラント、フィブリノーゲン、トロンビン、急速に排除される脂質ナノ粒子(reLNP)およびその組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
ヒト疾患、抗体、ウイルス、および様々なインビボ設定の分野におけるポリペプチドをコードする修飾されたRNAは公知であり、例えば、国際公開第2013/151666号の表6、国際公開第2013/151668号、国際公開第2013/151663号、国際公開第2013/151669号、国際公開第2013/151670号、国際公開第2013/151664号、国際公開第2013/151665号、国際公開第2013/151736号、国際公開第2013/151672号の表6および7、国際公開第2013/151671号の表6、178および179、国際公開第2013/151667号の表6、185および186に開示され、それらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。前述のいずれかは、IVTポリヌクレオチド、キメラポリヌクレオチドまたは環状ポリヌクレオチドとして合成されてもよく、各々は、一つまたは複数の修飾されたヌクレオチドまたは末端修飾を含んでもよい。
【0087】
阻害性RNA
ある場合では、LPMP/核酸ワクチンは、阻害性RNA分子、例えば、RNA干渉(RNAi)経路を介して作用する阻害性RNA分子を含む。ある場合では、阻害性RNA分子は、植物での遺伝子発現のレベルを減少させ、および/または植物でのタンパク質のレベルを減少させる。ある場合では、阻害性RNA分子は、植物遺伝子の発現を阻害する。例えば、阻害性RNA分子は、植物の遺伝子を標的とする短い干渉RNAもしくはその前駆体、小ヘアピンRNA、および/またはマイクロRNAもしくはその前駆体を含み得る。特定のRNA分子は、RNA干渉(RNAi)の生物学的プロセスを介して遺伝子発現を阻害することができる。RNAi分子は、典型的には、15~50塩基対(例えば、約18~25塩基対)を含有し、細胞内で発現された標的遺伝子のコード配列と同一(もしくは相補的)またはほぼ同一(もしくは実質的に相補的)な核酸塩基配列を有するRNAまたはRNA様構造を含む。RNAi分子としては、限定されないが、短い干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、小ヘアピンRNA(shRNA)、メロ二本鎖、ダイサー基質、および多価RNA干渉が挙げられる(米国特許第8,084,599号、第8,349,809号、第8,513,207号および第9,200,276号、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。阻害性RNA分子は、インビトロで化学的に合成または転写され得る。
阻害性RNA分子の追加的な例には、国際特許出願公開第2021/041301号に詳細に記載されるものが含まれ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0088】
遺伝子編集
ある場合では、LPMP/核酸ワクチンは、遺伝子編集システムの構成成分を含んでもよい。例えば、薬剤は、植物の遺伝子に修飾(例えば、挿入、欠失(例えば、ノックアウト)、転座、逆位、点変異、または他の変異)を導入し得る。例示的な遺伝子編集システムとしては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターベースのヌクレアーゼ(TALEN)、およびクラスター化された制御間隔の短い回文リピート(CRISPR)システムが挙げられる。ZFN、TALEN、およびCRISPRベースの方法は、例えば、Gaj et al.,Trends Biotechnol 31(7):397-405,2013に記載されている。
遺伝子編集システムの構成成分およびプロセスに関する更なる説明は、国際特許出願公開第2021/041301号に見出すことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0089】
ウイルス感染のための核酸ワクチン
LPMP/核酸ワクチンは、様々なウイルス感染と闘うために、一つまたは複数の抗原性ポリペプチドをコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含む。一つまたは複数のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、感染性疾患、障害、または状態、例えば、RNAウイルスによって引き起こされるウイルス感染を引き起こす感染因子に由来する一つまたは複数の抗原性ポリペプチドをコードする。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、以下に記載されるウイルスの様々なタイプおよび株の一つまたは複数の野生型または操作された抗原(もしくは抗原に対する抗体)をコードする。
【0090】
ウイルス感染
LPMP/核酸ワクチンは、急性熱性咽頭炎、咽頭結膜発熱、表皮性ケラト結膜炎、乳児胃腸炎、コクサッキー感染症、感染性単核球症、バーキットリンパ腫、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌、一次HSV-1感染(例えば、小児の歯肉炎、成人における扁桃炎および咽頭炎、角結膜炎)、潜伏HSV-1感染(例えば、唇側ヘルペスおよび口唇ヘルペス)、一次HSV-2感染、潜伏HSV-2感染、無菌性髄膜炎、感染性単核球症、巨細胞封入体症、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、原発性滲出性リンパ腫、AIDS、インフルエンザ、ライ症候群、はしか、感染後脳脊髄炎、ムンプス、過形成上皮病変(例えば、共通して平坦で足底および肛門性器疣贅、咽頭乳頭腫、疣贅状表皮発育異常症)、子宮頸癌、扁平上皮癌、クループ、肺炎、気管支炎、一般的な風邪、多発性脊髄炎、狂犬病、気管支炎、肺炎、インフルエンザ様症候群、肺炎を伴う重度の気管支炎、ゲルマンはしか、先天性風疹、水疱症、および帯状疱疹を含むが、これらに限定されない、ウイルス感染と関連する感染性疾患、障害、または状態と闘うのに好適であり得る。
例示的なウイルス感染因子としては、アデノウイルス、1型単純ヘルペス、2型単純ヘルペス、脳炎ウイルス、パピローマウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、8型ヒトヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、BKウイルス、JCウイルス、天然痘、ポリオウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒトボカウイルス、パルボウイルスB19、ヒトアストロウイルス、ノーウォークウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、重度の急性呼吸器症候群ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デングウイルス、ウェストナイルウイルス、風疹ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、AもしくはB型インフルエンザウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、狂犬病ウイルス、D型肝炎、ロタウイルス、オルビウイルス、コルチウイルス、ハンタウイルス、中東呼吸器コロナウイルス、チクングニアウイルスまたはバンナウイルスからなる群から選択されるウイルスの株が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
感染因子は、以下の表のウイルスからなる群から選択されるウイルスの株であってもよい。
【表1-1】
【表1-2】
他の適当なウイルス感染およびウイルス感染因子は、米国特許出願公開第2019/0015501号および米国特許第11,007,260号に記載されており、それらの両方は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0092】
蚊媒介性ウイルス
デング熱。一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、デングウイルス(フラビウイルス)の株をコードする。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、Eタンパク質ドメインIII(DENV1-4タンデムmRNA)、Eタンパク質ドメインI/IIヒンジ領域(DENV1-4個々のmRNA)、prMタンパク質(DENV1-4タンデムまたは個々のmRNA)、およびCタンパク質(DENV1-4タンデムまたは単一mRNA)をコードする。
チクングニアウイルス一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、チクングニアウイルスの株をコードする。一部の実施形態では、抗原性ポリペプチドは、C、E1、E2、E3、6K、およびC-E3-E2-6K-E1からなる群から選択されるチクングニアエンベロープおよび/またはキャプシド抗原性ポリペプチドをコードする。
【0093】
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、以下の株および単離株:TA53、SA76、UG82、37997、IND-06、Ross、S27、M-713424、E1-A226V、E1-T98、IND-63-WB1、Gibbs 63-263、TH35、1-634029、AF15561、IND-73-MH5、653496、C0392-95、P0731460、MY0211MR/06/BP、SV0444-95、K0146-95、TSI-GSD-218-VR1、TSI-GSD-218、M127、M125、6441-88、MY003IMR/06/BP、MY0021MR/06/BP、TR206/H804187、MY/06/37348、MY/06/37350、NC/2011-568、1455-75、RSU1、0706aTw、InDRE51CHIK、PR-S4、AMA2798/H804298、Hu/85/NR/001、PhH15483、0706aTw、0802aTw、MY019IMR/06/BP、PR-S6、PER160/H803609、99659、JKT23574、0811aTw、CHIK/SBY6/10、2001908323-BDG E1、2001907981-BDG E1、2004904899-BDG E1、2004904879-BDG E1、2003902452-BDG E1、DH 130003、0804aTw、2002918310-BDG E1、JC2012、chik-sy、3807、3462、Yap 13-2148、PR-S5、0802aTw、MY019IMR/06/Bp、0706aTw、PhH15483、Hu/85/NR/001、CHIKV-13-112A、InDRE 4CHIK、0806aTw、0712aTw、3412-78、Yap 13-2039、LEIV-CHIKV/Moscow/1、DH130003、および20039から選択されるチクングニアポリペプチドをコードする。
【0094】
ジカウイルス。一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ジカウイルス(フラビウイルス)の株をコードする。一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、MR 766、SPH2015、およびACD75819からなる群から選択されるZIKV血清型由来のZIKVポリペプチドをコードする。
ベネズエラウマ脳炎(VEE)ウイルス。一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、VEEウイルスの株をコードする。
LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第11,007,260号に記載されるように、さらなるタイプのウイルスおよび蚊媒介性ウイルスの株、またはその断片をコードし得る。
【0095】
インフルエンザ
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、インフルエンザウイルスの株をコードする。一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、インフルエンザAもしくはインフルエンザBの株またはその組み合わせをコードする。一部の実施形態では、インフルエンザAまたはインフルエンザBの株は、トリ、ブタ、ウマ、イヌ、ヒトまたは非ヒト霊長類に関連する。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ヘマグルチニンタンパク質またはその断片をコードする。一部の実施形態では、ヘマグルチニンタンパク質は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、H18、またはその断片である。一部の実施形態では、ヘマグルチニンタンパク質は、ヘッドドメイン(HA1)を含まない。一部の実施形態では、ヘマグルチニンタンパク質は、ヘッドドメイン(HA1)の部分を含まない。一部の実施形態では、ヘマグルチニンタンパク質は、細胞質ドメインを含まない。一部の実施形態では、ヘマグルチニンタンパク質は、細胞質ドメインの部分を含まない。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、切断型ヘマグルチニンタンパク質をコードする。一部の実施形態では、切断型ヘマグルチニンタンパク質は、膜貫通型ドメインの部分を含まない。一部の実施形態では、ウイルスは、H1N1、H3N2、H5N1、H7N9、およびH10N8からなる群から選択される。
LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2019/0015501号に記載されるように、さらなるタイプのウイルスおよびインフルエンザウイルスの株、またはその断片をコードし得る。
【0096】
コロナウイルス
ベータコロナウイルス。一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ベータコロナウイルス(BetaCoV)のスパイクタンパク質(S)、またはその断片もしくはサブユニットを含むペプチド/タンパク質をコードする。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ベータコロナウイルス(BetaCoV)のスパイクタンパク質(S)、またはその断片もしくはサブユニットを含むペプチド/タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む。
LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,933,127号に記載されるように、異なるタイプのウイルス、またはその断片をコードし得る。
【0097】
中東呼吸器症候群コロナウイルス。一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、MERSコロナウイルスのスパイクタンパク質(S)、スパイクS1断片(S1)、エンベロープタンパク質(E)、膜タンパク質(M)、および/もしくはヌクレオカプシドタンパク質(N)、またはこれらのタンパク質のいずれか一つの断片もしくはバリアントを含むペプチド/タンパク質をコードする。
LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2019/0351048号に記載されるように、MERSコロナウイルスの異なる株、またはその断片をコードし得る。
【0098】
SARS-CoV-2
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、SARS-CoV-2の一つまたは複数の野生型または操作された抗原(もしくは抗原に対する抗体)をコードする。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のオープンリーディングフレームは、SARS-CoV-2の一つまたは複数の野生型または操作された抗原(もしくは抗原に対する抗体)をコードする。一部の実施形態では、オープンリーディングフレームは、コドン最適化される。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、SARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質(S)、膜(M)タンパク質、エンベロープ(E)タンパク質、および/もしくはヌクレオカプシド(NC)タンパク質、またはその断片もしくはバリアントを含むペプチド/タンパク質をコードする。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、SARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質(S)、またはその断片もしくはバリアントを含むペプチド/タンパク質をコードする。一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、SARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質(S)の少なくとも一つまたは二つのドメイン、および全長未満のスパイクタンパク質をコードする。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、二重プロリン安定化変異を有するSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)(またはそのオープンリーディングフレーム)は、
アルファ(系統B.1.1.7、Q.1-Q.8)、
ベータ(系統B.1.351、B.1.351.2、B.1.351.3)、
デルタ
ガンマ(系統P.1、P.1.1、P.1.2)
イプシロン(系統B.1.427、B.1.429)
エータ(系統B.1.525)
イオタ(系統B.1.526)
カッパー(系統B.1.617.1)
B.1.617.3
ラムダ(系統C.37)
ミュー(系統B.1.621、B.1.621.1)
ゼータ(系統P.2)からなる群から選択されるSARS-CoV-2ウイルスの株またはバリアントをコードする。
オミクロン
【0099】
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)(またはそのオープンリーディングフレーム)は、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質および/もしくはRBD、またはその断片をコードする。一部の実施形態では、S抗原および/またはそのRBD抗原断片は、K417NまたはK417T、N439N、N440K、G446V、L452R、Y453F、S477GまたはS477N、E484QまたはE484K、F490S、N501SまたはN501Y、D614G、Q677PまたはQ677H、P681HまたはP681Rからなる群から選択されるRBD内の一つまたは複数の変異を含む。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)(またはそのオープンリーディングフレーム)は、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質および/もしくはRBD、またはその断片をコードする。一部の実施形態では、S抗原は、例えば、K986PおよびV987P変異(S-2Pバリアント)ならびに他のプロリン置換、特に、F817P、A892P、A899PおよびA942Pを含むスパイク三量体を安定化させる変異を含み、これらは、一緒に組み合わされて、複数のプロリン変異体、特に、ヘキサプロリンバリアント(HexaPro)を得ることができる。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)(またはそのオープンリーディングフレーム)は、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質および/もしくはRBD、またはその断片をコードする。一部の実施形態では、S抗原は、置換L18F、T20N、P26S、D80A、D138Y、R190S、D215G、A570D、D614G、H655Y、P681H、A701V、T716I、S982A、T1027I、D1118HおよびV1176F、ならびに欠失デルタ69~70、デルタ144、デルタ242~244、およびデルタ246~252からなる群から選択される一つまたは複数の変異を含む。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチン中のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)(またはそのオープンリーディングフレーム)は、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質および/もしくはRBD、またはその断片をコードする。一部の実施形態では、S抗原またはそのRBD抗原断片は、以下の変異:N501Y、E484KおよびN501Y、K417TまたはK417N、E484KおよびN501Y、K417N、N439N、Y453F、S477N、E484K、F490S、およびN501Y、K417N、N439N、L452R、S477N、E484K、F490S、およびN501Yを含む。
追加の変異は、国際公開第2021/154763A1号に見出され得、これは、参照によりその全体が組み込まれる。
【0100】
核酸配列
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドによってコードされる抗原性ポリペプチドは、コロナウイルス、またはその断片もしくはサブユニットである。一部の実施形態では、抗原性ポリペプチドは、MERSウイルス(MERS-CoV)、SARSウイルス(SARS-CoV)、またはその断片もしくはサブユニットのスパイクタンパク質(S)である。
一部の実施形態では、抗原性ポリペプチドは、SARSウイルス、またはその断片もしくはサブユニットである。抗原性ポリペプチドは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質であってもよい。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、mRNA、siRNAもしくはsiRNA前駆体、マイクロRNA(miRNA)もしくはmiRNA前駆体、プラスミド、ダイサー基質低分子干渉RNA(dsiRNA)、小ヘアピンRNA(shRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ、ロックド核酸(LNA)、ピウィ相互作用RNA(piRNA)、リボザイム、デオキシリボザイム(DNAザイム)、アプタマー、環状RNA(circRNA)、ガイドRNA(gRNA)、またはこれらのRNAのいずれかをコードするDNA分子であってもよい。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、mRNAである。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、コロナウイルス抗原バリアント(例えば、安定化されたプレ融合スパイクタンパク質などのバリアント三量体スパイクタンパク質)をコードする。抗原バリアントまたは他のポリペプチドバリアントは、そのアミノ酸配列が、野生型、天然、または参照配列とは異なる分子を指す。抗原/ポリペプチドバリアントは、天然配列または参照配列と比較して、アミノ酸配列内のある特定の位置に置換、欠失、および/または挿入を有し得る。通常、バリアントは、野生型、天然または参照配列と少なくとも50%の同一性を有する。一部の実施形態では、バリアントは、野生型、天然、または参照配列と少なくとも80%、または少なくとも90%の同一性を共有する。
【0101】
本開示の核酸によってコードされるバリアント抗原/ポリペプチドは、例えば、対象における、それらの免疫原性を増強し、それらの発現を増強し、および/またはそれらの安定性もしくはPK/PD特性を改善する、多数の望ましい特性のいずれかを付与するアミノ酸変化を含有し得る。バリアント抗原/ポリペプチドは、日常的な変異誘発技術を使用して作製され、必要に応じてアッセイされて、それらが所望の特性を有するかどうかを決定することができる。発現レベルおよび免疫原性を決定するためのアッセイは、当該技術分野で周知であり、そのようなアッセイの例は、実施例の項に記載される。同様に、タンパク質バリアントのPK/PD特性は、当該技術分野で認識されている技術を使用して、例えば、経時的にワクチン接種された対象における抗原の発現を決定することによって、および/または誘導された免疫応答の耐久性を調べることによって測定することができる。バリアント核酸によってコードされるタンパク質(複数可)の安定性は、熱安定性または尿素変性時の安定性をアッセイすることによって測定されてもよく、またはインシリコ予測を使用して測定されてもよい。こうした実験およびインシリコ決定の方法は、当該技術分野で公知である。
【0102】
「同一性」という用語は、配列を比較することによって決定される、二つ以上のポリペプチド(例えば、抗原)またはポリヌクレオチド(核酸)の配列間の関係を指す。同一性はまた、一連の二つ以上のアミノ酸残基または核酸残基間の一致の数によって決定される配列間またはその間の配列関連性の程度を指す。同一性は、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(例えば、「アルゴリズム」)によって指定されるギャップアライメント(存在する場合)を有する二つ以上の配列のうちの小さい方の間の同一一致の割合を測定する。関連する抗原または核酸の同一性は、公知の方法によって容易に計算することができる。ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列に適用する場合の「同一性の割合(%)」は、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して最大パーセント同一性を達成した後の、第二の配列のアミノ酸配列または核酸配列の残基と同一である候補アミノ酸配列または核酸配列の残基(アミノ酸残基もしくは核酸残基)の割合として定義される。アライメントのための方法およびコンピュータプログラムは、当該技術分野で周知である。同一性は、同一性パーセントの計算に依存するが、計算において導入されるギャップおよびペナルティによって値が異なる場合があることが理解される。概して、特定のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(例えば、抗原)のバリアントは、本明細書に記載され、当業者に公知の配列アライメントプログラムおよびパラメータによって決定される、その特定の参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であるが100%未満の配列同一性を有する。アライメントのためのこのようなツールには、BLASTスイート(Stephen F.Altschul,et al(1997),“Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs”,Nucleic Acids Res.25:3389-3402)のものが含まれる。別の一般的な局所アライメント技術は、スミス-ウォーターマンアルゴリズム(Smith,T.F.& Waterman,M.S.(1981)“Identification of common molecular subsequences.”J.Mol.Biol.147:195-197)に基づく。動的プログラミングに基づく一般的なグローバルアライメント技術は、ニードルマン-ブンシュアルゴリズム(Needleman,S.B.& Wunsch,C.D.(1970)“A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.” J.Mol.Biol.48:443-453)である。より最近では、ニードルマン-ブンシュアルゴリズムを含む他の最適なグローバルアライメント方法よりも速く、ヌクレオチド配列およびタンパク質配列のグローバルアライメントを意図して産生する、高速最適グローバル配列アライメントアルゴリズム(FOGSAA)が開発されている。
したがって、参照配列、特に、本明細書に開示されるポリペプチド(例えば、抗原)配列に関して置換、挿入および/または付加、欠失、ならびに共有結合修飾を含有するペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本開示の範囲内に含まれる。例えば、一つまたは複数のリジンなどの配列タグまたはアミノ酸は、ペプチド配列に(例えば、N末端またはC末端で)付加することができる。配列タグは、ペプチド検出、精製または局在化に使用することができる。リジンは、ペプチド溶解度を増加させるため、またはビオチン化を可能にするために使用することができる。あるいは、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ末端領域およびアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基は、切断型配列をもたらすように任意選択的に欠失されてもよい。ある特定のアミノ酸(例えば、C末端残基またはN末端残基)は、例えば、可溶性または固体支持体に連結されたより大きな配列の一部としての配列の発現など、配列の使用に応じて代替的に欠失されてもよい。一部の実施形態では、シグナル配列、終結配列、膜貫通型ドメイン、リンカー、多量体形成ドメイン(例えば、フォールドン領域など)などの配列(またはそれをコードする)は、同一または類似の機能を達成する代替配列で置換されてもよい。一部の実施形態では、タンパク質のコア中の空洞は、例えば、より大きなアミノ酸を導入することによって、安定性を改善するために満たすことができる。他の実施形態では、埋め込み水素結合ネットワークは、安定性を改善するために疎水性残基で置換されてもよい。さらに他の実施形態では、グリコシル化部位は、除去され、適切な残基で置換されてもよい。こうした配列は、当業者に容易に識別可能である。本明細書に提供される配列の一部は、例えば、RNA(例えば、mRNA)ワクチンの調製に使用する前に、欠失され得る配列タグまたは末端ペプチド配列(例えば、N末端またはC末端に)を含有することも理解されるべきである。
【0103】
当業者によって認識されるように、タンパク質断片、機能的タンパク質ドメイン、および相同タンパク質はまた、対象のコロナウイルス抗原の範囲内であるとみなされる。例えば、参照タンパク質の任意のタンパク質断片(参照抗原配列よりも少なくとも一つのアミノ酸残基分だけ短いが、そうでなければ同一である、ポリペプチド配列を意味する)が、本明細書に提供されるが、ただし、断片は、免疫原性であり、コロナウイルスに対する防御的免疫反応を付与することを条件とする。参照タンパク質と同一であるが、切断されているバリアントに加えて、一部の実施形態では、抗原は、本明細書に提供または参照される配列のいずれかに示されるように、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の変異を含む。抗原/抗原性ポリペプチドは、約4、6、または8アミノ酸から全長タンパク質までの長さの範囲であり得る。
一部の実施形態では、抗原性ポリペプチドは、構造タンパク質である。一部の実施形態では、抗原性ポリペプチドは、スパイクタンパク質、エンベロープタンパク質、ヌクレオカプシドタンパク質、または膜タンパク質である。一部の実施形態では、抗原性ポリペプチドは、安定化されたプレ融合スパイクタンパク質である。一部の実施形態では、mRNAは、バリアント三量体スパイクタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む。三量体スパイクタンパク質は、例えば、安定化されたプレ融合スパイクタンパク質を含み得る。一部の実施形態では、安定化されたプレ融合スパイクタンパク質は、二重プロリン(S2P)変異である。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、コロナウイルス抗原(例えば、安定化されたプレ融合スパイクタンパク質などのバリアント三量体スパイクタンパク質)をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。一部の実施形態では、RNA(例えば、mRNA)は、5’UTR、3’UTR、ポリ(A)テール、および/または5’キャップ類似体をさらに含む。
一部の実施形態では、mRNAは、5’非翻訳領域(UTR)および/または3’UTRを含む。
【0104】
メッセンジャーRNA(mRNA)は、(少なくとも一つの)タンパク質(アミノ酸の天然に存在する、天然に存在しない、または修飾ポリマー)をコードし、コードされたタンパク質をインビトロ、インビボ、インサイチュ、またはエクスビボで産生するように翻訳され得る任意のRNAである。当業者であれば、別段の記載がない限り、本出願に記載される核酸配列は、代表的なDNA配列中の「T」を列挙し得るが、配列が、RNA(例えば、mRNA)を表す場合、「T」は、「U」に置換されることを理解するであろう。したがって、本明細書の特定の配列識別番号によって開示され、特定されるDNAのいずれかはまた、DNAに相補的な対応するRNA(例えば、mRNA)配列も開示し、DNA配列の各「T」は、「U」で置換される。
一部の実施形態では、mRNAは、(a)DNA分子、または(b)RNA分子に由来する。mRNAでは、Tは、Uで任意選択的に置換される。
オープンリーディングフレーム(ORF)は、開始コドン(例えば、メチオニン(ATGまたはAUG))から始まり、終止コドン(例えば、TAA、TAGもしくはTGA、またはUAA、UAGもしくはUGA)で終わるDNAまたはRNAの連続ストレッチである。ORFは、典型的にはタンパク質をコードする。本明細書に開示される配列は、追加のエレメント、例えば、5’UTRおよび3’UTRをさらに含んでもよいが、それらのエレメントは、ORFとは異なり、本開示のポリヌクレオチドに必ずしも存在する必要はない。
【0105】
安定化エレメント
天然に存在する真核生物mRNA分子は、5’-キャップ構造または3’-ポリ(A)テールなどの他の構造的特徴に加えて、その5’-末端(5’UTR)および/またはそれらの3’-末端(3’UTR)に非翻訳領域(UTR)を含むが、これらに限定されない安定化エレメントを含有し得る。5’UTRと3’UTRの両方は、典型的にはゲノムDNAから転写され、未成熟mRNAのエレメントである。5’-キャップおよび3’-ポリ(A)テールなどの成熟mRNAの特徴的構造的特性は、通常、mRNAプロセシング中に転写された(未成熟)mRNAに付加される。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、少なくとも一つの修飾、少なくとも一つの5’末端キャップを有する少なくとも一つの抗原性ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有し、脂質ナノ粒子内に製剤化される。ポリヌクレオチドの5’-キャッピングは、以下の化学RNAキャップ類似体を使用して、インビトロ転写反応中に同時に完了されて、製造業者のプロトコル:3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G [the ARCA cap];G(5’)ppp(5’)A;G(5’)ppp(5’)G;m7G(5’)ppp(5’)A;m7G(5’)ppp(5’)G(New England BioLabs、Ipswich、MA)に従って5’-グアノシンキャップ構造を生成してもよい。修飾RNAの5’-キャッピングは、Vaccinia Vims Capping Enzymeを使用して転写後に完了して、「キャップ0」構造:m7G(5’)ppp(5’)G(New England BioLabs、Ipswich、MA)を生成し得る。キャップ1構造は、ワクシニアウイルスキャッピング酵素と2’-0メチル-トランスフェラーゼの両方を使用して生成され、m7G(5’)ppp(5’)G-2’-O-メチルを生成することができる。キャップ2構造は、キャップ1の構造から生成され、続いて2’-Oメチル-トランスフェラーゼを使用して5’-アンティピナルチメートヌクレオチドの2’-0-メチル化が行われてもよい。キャップ3構造は、キャップ2の構造から生成され、続いて2’-Oメチル-トランスフェラーゼを使用して5’-プレアンティピナルチメートヌクレオチドの2’-0-メチル化が行われてもよい。酵素は、組換え源に由来し得る。
【0106】
3’-ポリ(A)テールは、典型的には、転写されたmRNAの3’末端に付加されたアデニンヌクレオチドのストレッチである。それは、ある場合では、最大約400個のアデニンヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、3’-ポリ(A)テールの長さは、個々のmRNAの安定性に関して必須エレメントであり得る。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、安定化エレメントを含む。安定化エレメントは、例えば、ヒストンステムループを含み得る。32kDaタンパク質であるステム-ループ結合タンパク質(SLBP)が、特定されている。これは、核と細胞質の両方におけるヒストンメッセージの3’末端のヒストンステムループと関連する。その発現レベルは、細胞周期によって調節され、ヒストンmRNAレベルも上昇するとき、S期の間にピークとなる。タンパク質は、U7 snRNPによるヒストンプレmRNAの効率的な3’末端プロセシングに必須であることが示されている。SLBPは、処理後にステムループと関連付けられ続け、次いで、細胞質において、成熟ヒストンmRNAのヒストンタンパク質への翻訳を刺激する。SLBPのRNA結合ドメインは、後生動物および原生動物を介して保存され、ヒストンステム-ループへのその結合は、ループの構造に依存する。最小結合部位は、ステム-ループに対して5’に少なくとも三個のヌクレオチドおよび3’に二個のヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、コード領域、少なくとも一つのヒストンステムループ、および任意選択的に、ポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルを含む。ポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルは、概して、コードされたタンパク質の発現レベルを強化すべきである。コードされたタンパク質は、一部の実施形態では、ヒストンタンパク質、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、GFP、EGFP、b-ガラクトシダーゼ、EGFP)、またはマーカーもしくは選択タンパク質(例えば、アルファ-グロビン、ガラクトキナーゼおよびキサンチン:グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPT))ではない。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルと少なくとも一つのヒストンステムループとの組み合わせを含むが、両方とも天然での代替的な機序を表すが、相乗的に作用して、個々のエレメントのいずれかで観察されるレベルを超えてタンパク質発現を増加させる。ポリ(A)と少なくとも一つのヒストンステム-ループの組み合わせの相乗効果は、エレメントの順序またはポリ(A)配列の長さに依存しない。一部の実施形態では、RNA(例えば、mRNA)は、ヒストン下流エレメント(HDE)を含まない。「ヒストン下流エレメント」(HDE)は、天然に存在するステム-ループ3’のおよそ15~20ヌクレオチドのプリンリッチポリヌクレオチド伸長を含み、これは、ヒストンプレmRNAの成熟ヒストンmRNAへのプロセシングに関与するU7 snRNAの結合部位を表す。一部の実施形態では、核酸は、イントロンを含まない。
【0107】
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、修飾もしくは非修飾であってもよく、または活性化もしくは不活化されてもよい、エンハンサーおよび/またはプロモーター配列を含有してもよく、または含有しなくてもよい。一部の実施形態では、ヒストンステム-ループは、概して、ヒストン遺伝子に由来し、構造のループを形成する短い配列からなるスペーサーによって分離された二つの隣接する部分的または完全に逆相補的な配列の分子内塩基対形成を含む。不対ループ領域は、典型的には、ステムループエレメントのいずれかと塩基対形成することができない。これは、多くのRNA二次構造の主要な構成成分であるように、RNAにおいてより頻繁に起こるが、一本鎖DNAにも存在し得る。ステム-ループ構造の安定性は、概して、対形成された領域の長さ、ミスマッチまたはバルジの数、および塩基組成に依存する。一部の実施形態では、ホブル塩基対形成(非ワトソン・クリック塩基対形成)が生じ得る。一部の実施形態では、少なくとも一つのヒストンステム-ループ配列は、15~45長のヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、除去された一つまたは複数のAUリッチな配列を有する。AURESと呼ばれることもあるこれらの配列は、3’UTRに見られる不安定化配列である。AURESは、RNAワクチンから除去されてもよい。あるいは、AURESは、RNAワクチンに残ってもよい。
【0108】
シグナルペプチド
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、コロナウイルス抗原に融合されたシグナルペプチドをコードするORFを有する。タンパク質のN末端の15~60アミノ酸を含むシグナルペプチドは、典型的には、分泌経路上の膜にわたる転座に必要とされ、したがって、真核生物と原核生物の両方における分泌経路へのほとんどのタンパク質の侵入を普遍的に制御する。真核生物では、新生前駆体タンパク質(プレタンパク質)のシグナルペプチドは、リボソームを粗小胞体(ER)膜に向け、プロセシングのために成長ペプチド鎖のそれを超えた輸送を開始する。ERプロセシングは、成熟タンパク質を産生し、シグナルペプチドは、典型的には、宿主細胞のER常在シグナルペプチダーゼによって前駆体タンパク質から切断されるか、またはそれらは、切断されず、膜アンカーとして機能する。シグナルペプチドはまた、細胞膜へのタンパク質の標的化を促進し得る。シグナルペプチドは、15~60アミノ酸長を有してもよい。例えば、シグナルペプチドは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60アミノ酸長を有し得る。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、20~60、25~60、30~60、35~60、40~60、45~60、50~60、55~60、15~55、20~55、25~55、30~55、35~55、40~55、45~55、50~55、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50、15~45、20~45、25~45、30~45、35~45、40~45、15~40、20~40、25~40、30~40、35~40、15~35、20~35、25~35、30~35、15~30、20~30、25~30、15~25、20~25、または15~20アミノ酸長を有する。
異種遺伝子(天然でコロナウイルス抗原以外の遺伝子の発現を調節する)からのシグナルペプチドは、当該技術分野で公知であり、所望の特性について試験され、次いで本開示の核酸に組み込まれ得る。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、参照によりその全体が組み込まれる国際公開第2021/154763号に記載されるものを含んでもよい。
【0109】
融合タンパク質
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、抗原性融合タンパク質をコードする。したがって、コードされた抗原または複数の抗原は、一緒に結合された二つ以上のタンパク質(例えば、タンパク質および/またはタンパク質断片)を含み得る。あるいは、タンパク質抗原が融合されるタンパク質は、それ自体に対する強い免疫応答を促進しないが、むしろコロナウイルス抗原に対する強い免疫応答を促進する。抗原融合タンパク質は、一部の実施形態では、各々の元のタンパク質からの機能的特性を保持する。
【0110】
スキャフォールド部分
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、一部の実施形態では、スキャフォールド部分に連結されたコロナウイルス抗原を含む融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、かかるスキャフォールド部分は、本開示の核酸によってコードされる抗原に所望の特性を付与する。例えば、スキャフォールドタンパク質は、例えば、抗原の構造を変更すること、抗原の取り込みおよびプロセシングを変更すること、ならびに/または抗原を結合パートナーに結合させることによって、抗原の免疫原性を改善してもよい。
一部の実施形態では、スキャフォールド部分は、免疫系の様々な細胞との最適な相互作用に非常に好適なサイズ範囲である直径10~150nmで、高度に対称的であり、安定しており、構造的に組織化されたタンパク質ナノ粒子に自己組織化することができるタンパク質である。一部の実施形態では、ウイルスタンパク質またはウイルス様粒子を使用して、安定なナノ粒子構造を形成することができる。こうしたウイルスタンパク質の例は、当該技術分野で公知である。例えば、一部の実施形態では、スキャフォールド部分は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)である。HBsAgは、平均直径約-22nmの球状粒子を形成し、核酸を欠き、したがって非感染性である(Lopez-Sagaseta,J.et al.Computational and Structural Biotechnology Journal 14(2016)58-68)。一部の実施形態では、スキャフォールド部分は、B型肝炎コア抗原(HBcAg)であり、24~31nmの直径の粒子に自己組織化され、これは、HBV感染ヒト肝臓から得られたウイルスコアに類似している。HBcAgは、180個または240個のプロトマーに対応する、直径300Aおよび360Aの異なるサイズの二つのクラスのナノ粒子に自己組織化される。一部の実施形態では、コロナウイルス抗原は、HBsAGまたはHBcAGに融合されて、コロナウイルス抗原を示すナノ粒子の自己組織化を促進する。
一部の実施形態では、細菌タンパク質プラットフォームを使用してもよい。これらの自己組織化タンパク質の非限定的な例としては、フェリチン、ルマジンおよびエンカプスリンが挙げられる。
フェリチンは、その主な機能が、細胞内鉄貯蔵であるタンパク質である。フェリチンは、24個のサブユニットから成り、各々が、四つのアルファ-ヘリックス束からなり、八面体対称性を有する四次構造に自己組織化する(Cho K.J.et al.J Mol Biol.2009;390:83-98)。フェリチンのいくつかの高分解能構造が決定され、これにより、ヘリコバクター・ピロリ・フェリチンが24個の同一のプロトマーで成ることが確認されたが、動物では、単独で組み立てられるか、または異なる比率で24個のサブユニットの粒子に組み合わせることができるフェリチン軽鎖および重鎖が存在する(Granier T.et al.J Biol Inorg Chem.2003;8:105-111;Fawson D.M.et al.Nature.1991;349:541-544)。フェリチンは、強固な熱安定性および化学的安定性を有するナノ粒子に自己組織化する。したがって、フェリチンナノ粒子は、抗原を担持し、曝露するのに十分に適している。
【0111】
フマジンシンターゼ(FS)はまた、抗原表示のためのナノ粒子プラットフォームとして十分に適している。リボフラビンの生合成における最後から二番目の触媒工程に関与するFSは、古細菌、細菌、真菌、植物、および真正細菌を含む広範な生物に存在する酵素である(Weber S.E.Flavins and Flavoproteins.Methods and Protocols,Series:Methods in Molecular Biology.2014)。FS単量体は、150アミノ酸長であり、その側面に隣接するタンデムアルファらせん体とともにベータシートからなる。FSについては、ホモペンタマーから、直径150Aのカプシドを形成する12個の五量体の対称的なアセンブリまでの、その形態学的汎用性を示している、多数の異なる四次元構造が報告されている。100個を超えるサブユニットのFSケージさえも記載されている(Zhang X.et al.J Mol Biol.2006;362:753-770)。
サーモフィア・サーモトガ・マリティマから単離された新規のタンパク質ケージナノ粒子であるエンカプスリンも、自己組織化ナノ粒子の表面上に抗原を提示するためのプラットフォームとして使用され得る。エンカプスリンは、それぞれ、20nmおよび24nmの内径および外径を有する薄く、かつ正反対のT=1対称なケージ構造を有する、同一の31kDaモノマーの60コピーから組み立てられる(Sutter M.et al.Nat Struct Mol Biol.2008,15:939-947)。T.マリティマにおけるエンカプスリンの正確な機能は、まだ明確には理解されていないが、その結晶構造は、最近解明されており、その機能は、酸化ストレス応答に関与するDyP(ペルオキシダーゼ脱色色素)およびFlp(フェリチン様タンパク質)などのタンパク質を封入する細胞区画と仮定されている(Rahmanpour R.et al.FEBS J.2013,280:2097-2104)。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、フォールドンドメインに融合されたコロナウイルス抗原(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質)をコードする。フォールドンドメインは、例えば、バクテリオファージT4フィブリチンから得られてもよい(例えば、Tao Y,et al.Structure.1997 Jun 15;5(6):789-98を参照)。
【0112】
リンカーおよび切断可能なペプチド
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、本明細書において融合タンパク質と称される、二つ以上のポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、mRNAは、融合タンパク質の少なくとも一つまたは各ドメインの間に位置するリンカーをさらにコードする。リンカーは、例えば、切断可能なリンカーまたはタンパク質分解酵素感受性リンカーであり得る。一部の実施形態では、リンカーは、F2Aリンカー、P2Aリンカー、T2Aリンカー、E2Aリンカー、およびその組み合わせからなる群から選択される。2Aペプチドと呼ばれる自己切断ペプチドリンカーのこのファミリーは、当該技術分野で説明されている(例えば、Kim,J.H.et al.(2011)PLoS ONE 6:el8556を参照)。一部の実施形態では、リンカーは、F2Aリンカーである。一部の実施形態では、融合タンパク質は、構造:ドメイン-リンカー-ドメイン-リンカー-ドメインを有する、介在するリンカーを有する三つのドメインを含有する。
当該技術分野で公知の切断可能なリンカーは、本開示に関連して使用され得る。そのようなリンカーの例としては、F2Aリンカー、T2Aリンカー、P2Aリンカー、E2Aリンカーが挙げられる(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2017/127750号を参照のこと)。当業者であれば、他の当該技術分野で認識されているリンカーが、本開示の構築物(例えば、本開示の核酸によってコードされる)での使用に好適であり得ることを理解するであろう。同様に、当業者であれば、他のポリシストロニック構築物(同じ分子内で別々に一つより多くの抗原/ポリペプチドをコードするmRNA)が、本明細書に提供される使用に好適であり得ることを理解するであろう。
【0113】
配列最適化
一部の実施形態では、本開示の抗原をコードするORFは、コドン最適化される。コドン最適化方法は、当該技術分野で公知である。例えば、本明細書に提供される配列の任意の一つまたは複数のORFは、コドン最適化されてもよい。コドン最適化を、一部の実施形態では、使用して、標的生物および宿主生物におけるコドン頻度を一致させて、適切なフォールディングを確実にし得るか、GC含量をバイアスして、mRNA安定性を増加させ得るか、もしくは二次構造を低減させ得る、遺伝子構築もしくは発現を損ない得るタンデム反復コドンもしくは塩基実行を最小化し得る、転写制御領域および翻訳制御領域をカスタマイズし得る、タンパク質輸送配列を挿入もしくは除去し得る、コードされたタンパク質(例えば、グリコシル化部位)において翻訳後修飾部位を除去/付加し得る、タンパク質ドメインを付加し得る、除去し得るか、もしくはシャッフルし得る、制限酵素部位を挿入し得るか、もしくは削除し得る、リボソーム結合部位およびmRNA分解部位を修飾し得る、翻訳速度を調整して、タンパク質の様々なドメインを適切にフォールディングすることを可能にし得るか、またはポリヌクレオチド内の問題となる二次構造を低減し得るか、もしくは除去し得る。コドン最適化ツール、アルゴリズムおよびサービスは、当該技術分野で公知であり、非限定的な例としては、GeneArt(Life Technologies)、DNA2.0(Menlo Park CA)および/または専有方法のサービスが挙げられる。一部の実施形態では、オープンリーディングフレーム(ORF)配列は、最適化アルゴリズムを使用して最適化される。
一部の実施形態では、コドン最適化配列は、天然に生じる、または野生型配列ORF(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然に生じる、もしくは野生型mRNA配列)と95%未満の配列同一性を共有する。一部の実施形態では、コドン最適化配列は、天然に存在する、または野生型配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然に存在する、もしくは野生型mRNA配列)と90%未満の配列同一性を共有する。一部の実施形態では、コドン最適化配列は、天然に存在する、または野生型配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然に存在する、もしくは野生型mRNA配列)と85%未満の配列同一性を共有する。一部の実施形態では、コドン最適化配列は、天然に存在する、または野生型配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然に存在する、もしくは野生型mRNA配列)と80%未満の配列同一性を共有する。一部の実施形態では、コドン最適化配列は、天然に存在する、または野生型配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然に存在する、もしくは野生型mRNA配列)と75%未満の配列同一性を共有する。
【0114】
一部の実施形態では、コドン最適化配列は、天然に存在する、または野生型配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然に存在する、もしくは野生型mRNA配列)と65%~85%(例えば、約67%~約85%または約67%~約80%)の配列同一性を共有する。一部の実施形態では、コドン最適化配列は、天然に存在する、または野生型配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然に存在する、もしくは野生型mRNA配列)と65%~75%または約80%の配列同一性を共有する。
一部の実施形態では、コドン最適化配列は、非コドン最適化配列によってコードされるコロナウイルス抗原と同じくらいの免疫原性であるか、またはより高い(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%、もしくは少なくとも200%以上)免疫原性である抗原をコードする。哺乳類宿主細胞にトランスフェクトされたとき、修飾されたmRNAは、12~18時間、または18時間超、例えば、24、36、48、60、72時間、または72時間超の安定性を有し、哺乳類宿主細胞によって発現することができる。
一部の実施形態では、コドン最適化RNAは、G/Cのレベルが強化されているRNAであってもよい。核酸分子(例えば、mRNA)のG/C含有量は、RNAの安定性に影響を与え得る。増加した量のグアニン(G)残基および/またはシトシン(C)残基を有するRNAは、大量のアデニン(A)ヌクレオチドおよびチミン(T)ヌクレオチドまたはウラシル(U)ヌクレオチドを含有するRNAよりも機能的に安定であり得る。例として、国際公開第02/098443号は、翻訳された領域における配列修飾によって安定化されたmRNAを含有する医薬組成物を開示している。遺伝子コードの縮重により、修飾は、結果として生じるアミノ酸を変化させることなく、より高いRNA安定性を促進するものに既存のコドンを置換することによって機能する。アプローチは、RNAのコード領域に限定される。
【0115】
化学的に修飾されていないヌクレオチド
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、化学的に修飾されず、アデノシン、グアノシン、シトシンおよびウリジンからなる標準的なリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のヌクレオチドおよびヌクレオシドは、転写RNAに存在するもの(例えば、A、G、C、またはU)などの標準的なヌクレオシド残基を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のヌクレオチドおよびヌクレオシドは、DNAに存在するもの(例えば、dA、dG、dC、またはdT)などの標準的なデオキシリボヌクレオシドを含む。
【0116】
化学修飾
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、一部の実施形態では、コロナウイルス抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するRNAを含み、核酸は、当該技術分野で公知の標準(非修飾)または修飾され得るヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のヌクレオチドおよびヌクレオシドは、修飾されたヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む。かかる修飾されたヌクレオチドおよびヌクレオシドは、天然に存在する修飾されたヌクレオチドおよびヌクレオシド、または非天然に存在する修飾されたヌクレオチドおよびヌクレオシドであり得る。かかる修飾は、当該技術分野で認識されるヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドの糖、骨格、または核酸塩基部分における修飾を含み得る。
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の核酸は、標準的なヌクレオチドおよびヌクレオシド、天然に生じるヌクレオチドおよびヌクレオシド、非天然に生じるヌクレオチドおよびヌクレオシド、または任意のその組み合わせを含み得る。
ポリヌクレオチドの核酸(例えば、DNA核酸およびmRNA核酸などのRNA核酸)は、一部の実施形態では、様々な(二つより多くの)異なるタイプの標準的および/または修飾されたヌクレオチドならびにヌクレオシドを含む。一部の実施形態では、核酸の特定の領域は、一つ、二つ、またはそれ以上の(任意選択的に、異なる)タイプの標準的なヌクレオチドおよび/または修飾されたヌクレオチドならびにヌクレオシドを含有する。
一部の実施形態では、細胞または生物に導入された修飾されたRNA核酸(例えば、修飾されたmRNA核酸)は、標準的なヌクレオチドおよびヌクレオシドを含む非修飾核酸と比較して、それぞれ、細胞または生物における低減した分解を示す。
一部の実施形態では、細胞または生物に導入された修飾されたRNA核酸(例えば、修飾されたmRNA核酸)は、標準的なヌクレオチドおよびヌクレオシドを含む非修飾核酸と比較して、それぞれ、細胞または生物における低減した免疫原性(例えば、低減した自然免疫応答)を示し得る。
核酸(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)は、一部の実施形態では、所望の機能または特性を達成するために核酸の合成中または合成後に導入される非天然の修飾されたヌクレオチドを含む。修飾は、ヌクレオチド間結合、プリンもしくはピリミジン塩基、または糖上に存在してもよい。修飾は、鎖の末端もしくは鎖内の任意の他の場所に、化学合成を用いてまたはポリメラーゼ酵素を用いて導入されてもよい。核酸の領域のいずれかは、化学的に修飾されてもよい。
【0117】
本開示は、核酸(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)の修飾されたヌクレオシドおよびヌクレオチドを提供する。ヌクレオシドは、有機塩基(例えば、プリンもしくはピリミジン)またはその誘導体(本明細書では「核酸塩基」とも呼ばれる)と組み合わせた糖分子(例えば、ペントースもしくはリボース)またはその誘導体を含有する化合物を指す。「ヌクレオチド」は、リン酸基を含むヌクレオシドを指す。修飾されたヌクレオチドは、例えば、化学的、酵素的、または組み換え的に、一つまたは複数の修飾または非天然のヌクレオシドを含むように、任意の有用な方法によって合成され得る。核酸は、連結されたヌクレオシドの領域または複数の領域を含み得る。こうした領域は、可変骨格結合を有してもよい。結合は、標準的なホスホジエステル結合であってもよく、その場合、核酸は、ヌクレオチドの領域を含むことになる。
修飾されたヌクレオチド塩基対形成は、標準的なアデノシン-チミン、アデノシン-ウラシル、またはグアノシン-シトシン塩基対だけでなく、非標準的または修飾された塩基を含むヌクレオチドおよび/または修飾されたヌクレオチドの間に形成される塩基対も含有し、水素結合ドナーおよび水素結合アクセプターの配置が、例えば、少なくとも一つの化学修飾を有する核酸において、非標準塩基と標準塩基との間、または二つの相補的な非標準塩基構造との間の水素結合を可能にする。こうした非標準的な塩基対形成の一例は、修飾されたヌクレオチドイノシンとアデニン、シトシンまたはウラシルとの間の塩基対形成である。塩基/糖またはリンカーの任意の組み合わせは、本開示の核酸に組み込まれてもよい。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、核酸の一つまたは複数またはすべてのウリジン位置にウリジンを含む。一部の実施形態では、mRNAは、特定の修飾のために均一に修飾される(例えば、完全に修飾され、配列全体にわたって修飾される)。例えば、核酸は、1-メチル-プソイドウリジンで均一に修飾することができ、これは、mRNA配列中の全てのウリジン残基が、1-メチル-プソイドウリジンで置換されていることを意味する。同様に、核酸は、上記の修飾された残基などの修飾された残基での置換によって、配列に存在する任意のタイプのヌクレオシド残基に対して均一に修飾され得る。
【0118】
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の核酸は、分子の全長に沿って部分的または完全に修飾され得る。例えば、一つまたは複数もしくはすべてまたは所与のタイプのヌクレオチド(例えば、プリンもしくはピリミジン、またはA、G、U、Cの任意の一つまたは複数、またはすべて)は、本開示の核酸、またはその所定の配列領域(例えば、ポリ(A)テールを含むか、またはポリ(A)テールを除外しているmRNA中)で均一に修飾され得る。一部の実施形態では、本開示の核酸(またはその配列領域)中のすべてのヌクレオチドXは、修飾されたヌクレオチドであり、式中、Xは、ヌクレオチドA、G、U、Cのうちのいずれか一つ、または組み合わせA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+CもしくはA+G+Cのうちのいずれか一つであってもよい。
核酸は、約1%~約100%の修飾されたヌクレオチド(全体的なヌクレオチド含有量に関して、または一つまたは複数のタイプのヌクレオチド、すなわち、A、G、UもしくはCのうちの任意の一つまたは複数に関して)あるいは任意の介在する割合(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、および95%~100%)で含有し得る。当然のことながら、任意の残りの割合は、非修飾A、G、U、またはCの存在によって説明される。
mRNAは、最小1%および最大100%の修飾されたヌクレオチド、または任意の介在する割合、例えば、少なくとも5%の修飾されたヌクレオチド、少なくとも10%の修飾されたヌクレオチド、少なくとも25%の修飾されたヌクレオチド、少なくとも50%の修飾されたヌクレオチド、少なくとも80%の修飾されたヌクレオチド、または少なくとも90%の修飾されたヌクレオチドを含有してもよい。例えば、核酸は、修飾されたウラシルまたはシトシンなどの修飾されたピリミジンを含有してもよい。一部の実施形態では、核酸中のウラシルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%は、修飾されたウラシル(例えば、5-置換ウラシル)で置換される。修飾されたウラシルは、単一の固有の構造を有する化合物によって置き換えられてもよく、または異なる構造(例えば、2、3、4、もしくはそれ以上の固有の構造)を有する複数の化合物によって置き換えられてもよい。一部の実施形態では、核酸中のシトシンの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%は、修飾されたシトシン(例えば、5-置換シトシン)で置換される。修飾されたシトシンは、単一の固有の構造を有する化合物によって置き換えられてもよく、または異なる構造(例えば、2、3、4、もしくはそれ以上の固有の構造)を有する複数の化合物によって置き換えられてもよい。
【0119】
非翻訳領域(UTR)
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、非翻訳領域として作用または機能する一つまたは複数の領域または部分を含み得る。mRNAが、少なくとも一つの対象の抗原をコードするように設計される場合、核酸は、これらの非翻訳領域(UTR)のうちの一つまたは複数を含み得る。核酸の野生型非翻訳領域は、転写されるが、翻訳されない。mRNAでは、5’UTRは、転写開始部位で始まり、開始コドンに続くが、開始コドンは含まず、一方で、3’UTRは、終止コドンの直後に始まり、転写終結シグナルまで続く。核酸分子の安定性および翻訳に関して、UTRが果たす調節的役割に関する証拠が増えつつある。UTRの調節特性は、とりわけ、分子の安定性を強化するために、本開示のポリヌクレオチドに組み込まれ得る。特定の特性は、望ましくない器官部位に誤って向けられる場合、転写物の制御された下方制御を確実にするために組み込まれ得る。様々な5’UTR配列および3’UTR配列が、当該技術分野で公知であり、利用可能である。
5’UTRは、開始コドン(リボソームによって翻訳されるmRNA転写物の第一のコドン)からすぐ上流(5’)にあるmRNAの領域である。5’UTRは、タンパク質をコードしない(非コードである)。天然の5’UTRは、翻訳開始において役割を果たす特性を有する。それらは、リボソームが、多くの遺伝子の翻訳を開始するプロセスに関与することが一般的に知られているコザック配列のような特性を有する。コザック配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGGを有し、式中、Rは、開始コドン(AUG)の上流の三つの塩基のプリン(アデニンまたはグアニン)であり、その後に別の「G」が続く。5’UTRはまた、伸長因子結合に関与する二次構造を形成することが知られている。
【0120】
一部の実施形態では、5’UTRは、異種UTRであり、すなわち、異なるORFに関連する自然界で見られるUTRである。別の実施形態では、5’UTRは、合成UTRであり、すなわち、自然界では生じない。合成UTRは、その特性を改善するために変異されたUTRを含み、例えば、遺伝子発現を増加させるだけでなく、完全に合成であるUTRも含む。例示的な5’UTRとしては、アフリカツメガエルもしくはヒト由来のa-グロビンまたはb-グロビン(8278063、9012219)、ヒトチトクロームb-245ポリペプチド、およびヒドロキシステロイド(17b)脱水素酵素、ならびにタバコエッチウイルス(米国特許第8278063号、第9012219号、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)が挙げられる。CMV即時早期1(IE1)遺伝子(US2014/0206753、国際公開第2013/185069号、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、配列GGGAUCCUACC(国際公開第2014/144196号)も使用され得る。別の実施形態では、TOP遺伝子の5’UTRは、5’TOPモチーフ(オリゴピリミジン管)を欠くTOP遺伝子の5’UTR(例えば、国際公開第2015/101414、国際公開第2015/101415号、国際公開第2015/062738号、国際公開第2015/024667号、国際公開第2015/024667号)であり、リボソームタンパク質ラージ32(L32)遺伝子に由来する5’UTRエレメント(国際公開第2015/101414号、国際公開第2015/101415号、国際公開第2015/062738号)、ヒドロキシステロイド(17-b)脱水素酵素4遺伝子(HSD17B4)の5’UTRに由来する5’UTRエレメント(国際公開第2015/024667号)、またはATP5A1の5’UTRに由来する5’UTRエレメント(国際公開第2015/024667号)が使用され得る。一部の実施形態では、内部リボソーム侵入部位(IRES)が、5’UTRの代わりに使用される。
【0121】
3’UTRは、終止コドン(翻訳の終結をシグナル伝達するmRNA転写物のコドン)からすぐ下流(3’)にあるmRNAの領域である。3’UTRは、タンパク質をコードしない(非コードである)。天然型または野生型の3’UTRは、それらに包埋されたアデノシンおよびウリジンの伸長を有することが知られている。これらのAUリッチな特性は、高い回転率を有する遺伝子において特に一般的である。それらの配列特性および機能的特性に基づいて、AUリッチなエレメント(ARE)は、三つのクラスに分けられ得(Chen et al,1995)、Class I AREは、Uリッチな領域内にAUUUAモチーフのいくつかの分散されたコピーを含有する。C-MycおよびMyoDは、IクラスAREを含有する。クラスII AREは、二つ以上の重複するUUAUUUA(U/A)(U/A)九量体を有する。このタイプのAREを含有する分子は、GM-CSFおよびTNF-αを含む。クラスIII ARESは、十分に定義されていない。これらのUリッチな領域は、AUUUAモチーフを含有しない。c-Junおよびミオゲニンは、このクラスの二つのよく研究された例である。
AREに結合するほとんどのタンパク質は、メッセンジャーを不安定化させることが知られているが、ELAVファミリー、特に、HuRのメンバーは、mRNAの安定性を増加させることが報告されている。HuRは、三つのクラスすべてのAREに結合する。HuR特異的結合部位を核酸分子の3’UTRに操作すると、HuR結合、ひいてはインビボでのメッセージの安定化がもたらされる。
3’UTR AUリッチなエレメント(ARE)の導入、除去または修飾を使用して、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の安定性を調節することができる。特定の核酸を操作するとき、AREDの一つまたは複数のコピーを導入して、本開示の核酸の安定性を低下させ、それによって翻訳を減少させ、結果として生じるタンパク質の産生を減少させることができる。同様に、AREDは、細胞内安定性を増加させ、したがって、結果として生じるタンパク質の翻訳および産生を増加させるために、特定および除去または変異され得る。トランスフェクション実験は、本開示の核酸を使用して関連する細胞株で行うことができ、タンパク質産生は、トランスフェクション後の様々な時点でアッセイすることができる。例えば、細胞は、異なるAREを操作している分子を用いて、ELISAキットを使用することによって、関連するタンパク質にトランスフェクトされ、トランスフェクションの6時間、12時間、24時間、48時間、および7日後に産生されたタンパク質をアッセイすることができる。
3’UTRは、異種または合成であってもよい。3’UTRに関して、アフリカツメガエルb-グロビンUTRおよびヒトb-グロビンUTRを含むグロビンUTRは、当該技術分野で公知である(8278063、9012219、US2011/0086907)。二つの連続するヒトb-グロビン3’UTRを尾部にクローニングすることによって、一部の細胞タイプにおいて安定性が強化された修飾されたb-グロビン構築物が開発されており、当該技術分野で周知である(US2012/0195936、国際公開第2014/071963号)。さらに、a2-グロビン、アル-グロビン、UTRおよびその変異体も当該技術分野で公知である(国際公開第2015/101415号、国際公開第2015/024667号)。非特許文献のmRNA構築物に記載される他の3’UTRとしては、CYBA(Ferizi et al.,2015)およびアルブミン(Thess et al.,2015)が挙げられる。他の例示的な3’UTRとしては、ウシまたはヒト成長ホルモン(野生型もしくは修飾型)(国際公開第2013/185069号、US2014/0206753、国際公開第2014152774号)、ウサギbグロビンおよびB型肝炎ウイルス(HBV)、a-グロビン3’UTR、ならびにウイルスVEEV 3’UTR配列も当該技術分野で公知である。一部の実施形態では、配列UUUGAAUU(国際公開第2014/144196号)が使用される。一部の実施形態では、ヒトおよびマウスリボソームタンパク質の3’UTRが使用される。他の例としては、rps93’UTR(国際公開第2015/101414号)、FIG4(国際公開第2015/101415号)、およびヒトアルブミン7(国際公開第2015/101415号)が挙げられる。
【0122】
当業者であれば、異種または合成である5’UTRが、任意の所望される3’UTR配列とともに使用され得ることを理解するであろう。例えば、異種5’UTRは、異種3’UTRを有する合成3’UTRとともに使用され得る。
非UTR配列は、核酸内の領域または小領域として使用されてもよい。例えば、イントロンまたはイントロン配列の部分は、本開示の核酸の領域に組み込まれてもよい。イントロン配列の組み込みは、タンパク質産生ならびに核酸レベルを増加させ得る。
【0123】
特性の組み合わせは、隣接領域に含まれてもよく、他の特性内に含有されてもよい。例えば、ORFは、強力なコザック翻訳開始シグナルを含有し得る5’UTRおよび/またはポリAテールの鋳型付加のためのオリゴ(dT)配列を含有し得る3’UTRに隣接し得る。5’UTRは、米国特許出願公開第2010/0293625号およびPCT/US2014/069155号に記載される5’UTRなどの同じおよび/または異なる遺伝子からの第一のポリヌクレオチド断片および第二のポリヌクレオチド断片を含んでもよく、それらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当然のことながら、任意の遺伝子由来の任意のUTRは、核酸の領域に組み込まれてもよい。さらに、任意の公知の遺伝子の複数の野生型UTRを利用してもよい。また、野生型領域のバリアントではない人工UTRを提供することも、本開示の範囲内である。これらのUTRまたはその部分は、それらが選択された転写物と同じ配向に配置されてもよく、または配向もしくは位置を変更されてもよい。したがって、5’または3’UTRは、反転、短縮、延長され得、一つまたは複数の他の5’UTRまたは3’UTRで作製され得る。本明細書で使用される場合、UTR配列に関する「変更された」という用語は、UTRが、参照配列に関して何らかの方法で変化されていることを意味する。例えば、3’UTRまたは5’UTRは、上記で教示されたように配向または位置の変化によって、野生型またはネイティブUTRに対して変化し得るか、またはさらなるヌクレオチドの包含、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドの交換または転位によって変化し得る。「修飾した」UTR(3’または5’のいずれにしても)を生成するこれらの変更のいずれかは、バリアントUTRを含む。
一部の実施形態では、5’UTRまたは3’UTRなどの二重、三重または四重UTRが使用され得る。本明細書で使用される場合、「二重」UTRは、同じUTRの二つのコピーが、直列または実質的に直列のいずれかでコードされるものである。例えば、二重ベータ-グロビン3’UTRは、米国特許公開第2010/0129877号に記載されるように使用されてもよく、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0124】
また、パターン化されたUTRを有することも、本開示の範囲内である。本明細書で使用される場合、「パターン形成されたUTR」は、1回、2回、または3回超繰り返されたABABABもしくはAABBAABBAABBもしくはABCABCABCまたはそのバリアントなどの、繰り返しまたは交互のパターンを反映するUTRである。これらのパターンでは、各文字A、B、またはCは、ヌクレオチドレベルで異なるUTRを表す。
一部の実施形態では、隣接領域は、タンパク質が、共通の機能、構造、特性または特徴を共有する転写物のファミリーから選択される。例えば、対象のポリペプチドは、特定の細胞、組織または発生中のある時点で発現されるタンパク質のファミリーに属し得る。これらの遺伝子のいずれかからのUTRは、同じまたは異なるタンパク質ファミリーの任意の他のUTRと交換されて、新しいポリヌクレオチドを生成し得る。本明細書で使用される場合、「タンパク質のファミリー」は、最も広い意味で使用され、少なくとも一つの機能、構造、特性、局在化、起源、または発現パターンを共有する対象の二つ以上のポリペプチドの群を指す。
【0125】
非翻訳領域はまた、翻訳エンハンサーエレメント(TEE)を含んでもよい。非限定的な例として、TEEは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2009/0226470号に記載されるもの、および当該技術分野で既知のものを含み得る。本明細書に記載されるポリヌクレオチドをコードするRNA cDNAのインビトロ転写は、インビトロ転写(IVT)システムを使用して転写され得る。RNAのインビトロ転写は、当該技術分野で公知であり、国際公開第2014/152027号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、本開示のRNAは、国際公開第2018/053209号および国際公開第2019/036682号に記載される方法のうちの任意の一つまたは複数に従って調製され、その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、RNA転写物は、インビトロ転写反応において非増幅直線化DNA鋳型を使用して生成され、RNA転写物を生成する。一部の実施形態では、鋳型DNAは、単離DNAである。一部の実施形態では、鋳型DNAは、cDNAである。一部の実施形態では、cDNAは、RNAポリヌクレオチド、例えば、非限定的な、コロナウイルスmRNAの逆転写によって形成される。一部の実施形態では、細胞、例えば、細菌細胞、例えば、大腸菌、例えば、DH-1細胞は、プラスミドDNA鋳型でトランスフェクトされる。一部の実施形態では、トランスフェクトされた細胞を培養して、プラスミドDNAを複製し、次いで単離され、精製される。一部の実施形態では、DNA鋳型は、RNAポリメラーゼプロモーター、例えば、対象の遺伝子の5’側に位置し、作動可能に連結されたT7プロモーターを含む。
一部の実施形態では、インビトロ転写鋳型は、5’非翻訳(UTR)領域をコードし、オープンリーディングフレームを含有し、3’UTRおよびポリ(A)テールをコードする。インビトロ転写鋳型の特定の核酸配列組成物および長さは、鋳型によってコードされるmRNAに依存する。
【0126】
「5’非翻訳領域」(UTR)は、ポリペプチドをコードしない開始コドン(すなわち、リボソームによって翻訳されるmRNA転写物の第一のコドン)から直接上流(すなわち、5’)にあるmRNAの領域を指す。RNA転写物が生成されるとき、5’UTRは、プロモーター配列を含み得る。かかるプロモーター配列は、当該技術分野で公知である。そのようなプロモーター配列は、本開示のワクチンには存在しないことは、理解されるべきである。
「3’非翻訳領域」(UTR)は、ポリペプチドをコードしない終始コドン(すなわち、翻訳の終始をシグナル伝達するmRNA転写物のコドン)から直接下流(すなわち、3’)にあるmRNAの領域を指す。
「オープンリーディングフレーム」は、開始コドン(例えば、メチオニン(ATG))から始まり、終止コドン(例えば、TAA、TAGまたはTGA)で終わるDNAの連続的伸長であり、ポリペプチドをコードする。
【0127】
「ポリ(A)テール」は、複数の連続的なアデノシン一リン酸を含有する3’UTRから下流、例えば、すぐ下流(すなわち、3’)にあるmRNAの領域である。ポリ(A)テールは、10~300個のアデノシン一リン酸を含み得る。例えば、ポリ(A)テールは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290または300個のアデノシン一リン酸を含み得る。一部の実施形態では、ポリ(A)テールは、50~250個のアデノシン一リン酸を含む。関連する生物学的環境(例えば、細胞内、インビボ)では、ポリ(A)テールは、例えば、細胞質内の酵素分解からmRNAを保護するように機能し、転写終結を目的とし、および/または核および翻訳からのmRNAの輸送を助ける。
一部の実施形態では、核酸は、200~3,000個のヌクレオチドを含む。例えば、核酸は、200~500、200~1000、200~1500、200~3000、500~1000、500~1500、500~2000、500~3000、1000~1500、1000~2000、1000~3000、1500~3000、または2000~3000個のヌクレオチドを含み得る。
【0128】
インビトロ転写系は、典型的には、転写緩衝液、三リン酸ヌクレオチド(NTP)、RNase阻害剤、およびポリメラーゼを含む。
NTPは、社内で製造されてもよく、供給源から選択されてもよく、または本明細書に記載されるように合成されてもよい。NTPは、天然および非天然(修飾)NTPを含む本明細書に記載されるものから選択され得るが、これらに限定されない。
任意の数のRNAポリメラーゼまたはバリアントが、本開示の方法で使用され得る。ポリメラーゼは、限定されないが、ファージRNAポリメラーゼ、例えば、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、および/または変異ポリメラーゼ、例えば、非限定的に、化学修飾された核酸および/またはヌクレオチドを含む修飾された核酸および/または修飾されたヌクレオチドを組み込むことができるポリメラーゼから選択され得る。一部の実施形態は、DNaseの使用を除外する。
一部の実施形態では、RNA転写物は、酵素キャッピングを介してキャッピングされる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、5’末端キャップ、例えば、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpを含む。
【0129】
化学合成
固相化学合成。ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、固相技術を使用して全体的または部分的に製造され得る。核酸の固相化学合成は、分子が固体支持体上に固定化され、反応物溶液中で段階的に合成される自動方法である。固相合成は、核酸配列における化学修飾の部位特異的導入に有用である。
液相化学合成。モノマー構成ブロックの逐次的付加によるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の合成は、液相で行われてもよい。
合成方法の組み合わせ。上で考察された合成方法は各々、それ自体の利点および制限を有する。これらの方法を組み合わせて制限を克服する試みが行われている。こうした方法の組み合わせは、本開示の範囲内である。酵素ライゲーションと組み合わせた固相または液相化学合成の使用は、化学合成のみでは得られない長鎖核酸を生成する効率的な方法を提供する。
【0130】
核酸領域または小領域のライゲーション
リガーゼによる核酸の組み立ても、使用され得る。DNAまたはRNAリガーゼは、ホスホジエステル結合の形成を介してポリヌクレオチド鎖の5’末端および3’末端の分子間ライゲーションを促進する。キメラポリヌクレオチドおよび/または環状核酸などの核酸は、一つまたは複数の領域または小領域のライゲーションによって調製されてもよい。DNA断片は、リガーゼ触媒反応によって結合されて、異なる機能を有する組換えDNAを生成することができる。二つのオリゴデオキシヌクレオチド、一つは5’ホスホリル基を有し、もう一つは遊離3’ヒドロキシル基を有し、DNAリガーゼの基質として機能する。
【0131】
精製
本明細書に記載される核酸の精製には、核酸のクリーンアップ、品質保証および品質管理が含まれ得るが、これらに限定されない。クリーンアップは、限定されるものではないが、AGENCOURT(登録商標)ビーズ(Beckman Coulter Genomics、Danvers、MA)、ポリ-Tビーズ、LNATMオリゴ-T捕捉プローブ(EXIQON(登録商標)Inc、Vedbaek、Denmark)、または強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、および疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)などのHPLCベースの精製方法などの当該技術分野で公知の方法によって行われ得る。「精製された核酸」などの核酸に関連して使用されるとき、「精製された」という用語は、少なくとも一つの混入物から分離されるものを指す。「混入物」は、別のものを不適合、不純または劣ったものにする任意の物質である。したがって、精製された核酸(例えば、DNAおよびRNA)は、天然で見出されるものとは異なる形態もしくは設定で、または処理もしくは精製方法に供される前に存在した形態もしくは設定とは異なる形態もしくは設定で存在する。
品質保証および/または品質管理チェックは、非限定的に、ゲル電気泳動、UV吸光度、または分析HPLCなどの方法を使用して行われてもよい。
一部の実施形態では、核酸は、逆転写酵素-PCRを含むが、これに限定されない方法により配列決定されてもよい。
【0132】
定量化
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、エクソソーム内で、または一種または複数の体液からもたらされたとき、定量化され得る。体液は、抹消血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、唾液、唾液、骨髄、滑液、房水、羊水、耳垢、乳、気管支肺胞洗浄液、精液、前立腺液、ウシの体液または射精液、汗、糞便、毛髪、涙、嚢胞液、胸水および腹水、心膜液、リンパ液、粥状液、乳糜、胆汁、間質液、月経、膿、皮脂、嘔吐物、膣分泌物、粘膜分泌物、糞便液、膵液、洞腔の洗浄液、気管支肺吸引液、胞胚腔液、および臍帯血を含む。あるいは、エクソソームは、肺、心臓、膵臓、胃、腸、膀胱、腎臓、卵巣、精巣、皮膚、結腸、乳房、前立腺、脳、食道、肝臓、および胎盤からなる群から選択される器官から採取され得る。
アッセイは、構築物特異的プローブ、サイトメトリー、qRT-PCR、リアルタイムPCR、PCR、フローサイトメトリー、電気泳動、質量分析、またはその組み合わせを使用して行われてもよく、一方、エクソソームは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法などの免疫組織化学法を使用して単離されてもよい。エクソソームはまた、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、差動遠心分離、ナノ膜限外濾過、免疫吸収性捕捉、親和性精製、マイクロ流体分離、またはその組み合わせによって単離されてもよい。
これらの方法により、調査者は、残っている核酸または送達された核酸のレベルをリアルタイムで監視することができる。これは、本開示の核酸が、一部の実施形態では、構造的修飾または化学修飾により内因性形態とは異なるため、可能である。
一部の実施形態では、核酸は、非限定的に、紫外線可視分光法(UV/Vis)などの方法を使用して定量されてもよい。UV/Vis分光計の非限定的な例は、NANODROP(登録商標)分光計(ThermoFisher、Waltham、MA)である。定量化された核酸は、核酸が適切なサイズであり得るかどうかを決定し、核酸の分解が生じていないことを確認するために分析されてもよい。核酸の分解は、アガロースゲル電気泳動、非限定的に、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、および疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、キャピラリー電気泳動(CE)およびキャピラリーゲル電気泳動(CGE)などのHPLCベースの精製方法などの方法によってチェックされ得る。
【0133】
多価ワクチン
LPMP/核酸ワクチンは、本明細書に提供されるように、同じ種もしくは異なる種の二つ以上の抗原をコードするRNAまたは複数のRNAを含み得る。一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチンは、二つ以上のコロナウイルス抗原をコードするRNAまたは複数のRNAを含む。一部の実施形態では、RNAは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12種、またはそれ以上のコロナウイルス抗原をコードし得る。
一部の実施形態では、抗原をコードする二つ以上の異なるRNA(例えば、mRNA)は、同じ脂質ナノ粒子に製剤化され得る。他の実施形態では、抗原をコードする二つ以上の異なるRNAは、別個の脂質ナノ粒子(単一の脂質ナノ粒子で製剤化された各RNA)において製剤化されてもよい。次いで、脂質ナノ粒子は、単一のワクチン組成物として合わされ、投与されてもよく(例えば、複数の抗原をコードする複数のRNAを含む)、または別個に投与されてもよい。
【0134】
併用ワクチン
LPMP/核酸ワクチンは、本明細書に提供されるように、同じウイルス株もしくは異なるウイルス株の二つ以上の抗原をコードするRNAまたは複数のRNAを含み得る。一つまたは複数のコロナウイルスおよび異なる生物の一つまたは複数の抗原をコードするRNAを含む併用ワクチンも本明細書に提供される。したがって、本開示のワクチンは、同じ株/種のうちの一つまたは複数の抗原、または異なる株/種のうちの一つまたは複数の抗原、例えば、コロナウイルス感染のリスクが高い同じ地理的領域に見られる生物、またはコロナウイルスに曝露されたとき、個体が曝露される可能性が高い生物に対する免疫を誘導する抗原を標的とする併用ワクチンであってもよい。
【0135】
ワクチン投与
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチンは、対象(例えば、ヒト対象などの哺乳類対象)に投与することができ、RNAポリヌクレオチドは、インビボで翻訳されて、抗原性ポリペプチド(抗原)を産生する。組成物(例えば、RNAを含む)の「有効量」は、標的組織、標的細胞タイプ、投与手段、RNAの物理的特徴(例えば、修飾されたヌクレオシドの長さ、ヌクレオチド組成、および/または程度)、ワクチンの他の構成成分、ならびに対象の年齢、体重、身長、性別および全身健康状態などの他の決定因子に少なくとも部分的に基づく。典型的には、LPMP/核酸ワクチンの有効量は、対象の細胞における抗原産生の機能として誘導性またはブーストされた免疫応答をもたらす。一部の実施形態では、少なくとも一つの化学修飾を有するRNAポリヌクレオチドを含有する組成物の有効量は、同じ抗原またはペプチド抗原をコードする対応する非修飾ポリヌクレオチドを含有する組成物よりも効率的である。抗原産生の増加は、細胞トランスフェクションの増加(RNAワクチンでトランスフェクトされた細胞の割合)、ポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳および/もしくは発現の増加、核酸分解の減少(例えば、修飾されたポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳の期間の延長によって示される)、または宿主細胞の抗原特異的免疫応答の変化によって示され得る。
「医薬組成物」という用語は、有効な剤と不活性または活性な担体との組み合わせを指し、組成物をインビボまたはエクスビボでの診断または治療用途に特に好適になる。対象に投与された後または対象に投与された際の「薬学的に許容し得る担体」は、望ましくない生理学的効果を引き起こさない。医薬組成物中の担体は、有効成分と適合性があり、それを安定化することができるという意味でも、「許容される」必要がある。一つまたは複数の可溶化剤は、有効な薬剤の送達のための医薬担体として利用され得る。薬学的に許容し得る担体の例としては、投薬形態として使用可能な組成物を達成するために、生体適合性のビヒクル、アジュバント、添加剤、および希釈剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の担体の例としては、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、およびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。追加の適当な医薬担体および希釈剤、ならびにそれらの使用のための医薬的必要性は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチンは、コロナウイルス感染の処置または予防に使用され得る。LPMP/核酸ワクチンは、健康な個体に、またはインキュベーション期間中もしくは症状の発症後の能動感染中の感染の初期に、能動免疫スキームの一部として予防的または治療的に投与されてもよい。一部の実施形態では、細胞、組織、または対象に提供されるRNAの量は、免疫予防に有効な量であり得る。
LPMP/核酸ワクチンは、他の予防化合物または治療化合物と共に投与されてもよい。非限定的な例として、予防化合物または治療化合物は、アジュバントまたはブースターであってもよい。本明細書で使用される場合、ワクチンなどの予防的組成物を指すとき、「ブースター」という用語は、予防的(ワクチン)組成物の余分な投与を指す。ブースター(またはブースターワクチン)は、予防組成物の早期投与後に投与されてもよい。予防組成物の初回投与とブースターとの間の投与時間は、非限定的に、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、15分間、20分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日間、36時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、10日間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、18ヶ月間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、40年間、45年間、50年間、55年間、60年間、65年間、70年間、75年間、80年間、85年間、90年間、95年間または99年間超であってもよい。例示的な実施形態では、予防組成物の初回投与とブースターとの間の投与時間は、非限定的に、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、または1年間であってもよい。
【0136】
一部の実施形態では、LPMP/核酸ワクチンは、当該技術分野で公知の不活化ワクチンの投与と同様に、筋肉内、鼻腔内または皮内投与されてもよい。
LPMP/核酸ワクチンは、感染の有病率または満たされていない医学的必要性の程度もしくはレベルに応じて、様々な状況で利用されてもよい。非限定的な例として、RNAワクチンを利用して、様々な感染性疾患を処置および/または予防してもよい。RNAワクチンは、はるかに大きな抗体価を生じ、免疫をより良好に中和し、より持続的な免疫応答を生じ、および/または市販のワクチンよりも早く応答を生じるという点で、優れた特性を有する。
【0137】
キット
本発明はまた、本明細書に記載されるPMP組成物を有する容器を含むキットを提供する。キットは、本発明の方法に従って、PMP組成物を植物に適用または送達するための指示材料をさらに含んでもよい。当業者であれば、本発明の方法においてPMP組成物を適用するための指示書は、任意の形態の指示書であり得ることを理解するであろう。こうした指示書には、書面による指示材料(ラベル、小冊子、パンフレットなど)、口頭の指示材料(音声カセットもしくはCDなど)、またはビデオ指示書(ビデオテープもしくはDVDなど)が含まれるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0138】
ここで一般的に説明する本発明について、本発明のある特定の態様および実施形態の例示のみを目的として含まれ、本発明を限定することを意図するものではない、以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【0139】
実施例1:LPMPの調製および修飾、ならびにmRNAを用いたLPMPの製剤化
植物メッセンジャーパック(PMP)の調製、脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)を調製するためのPMPの修飾、およびmRNAを用いたPMPおよびLPMPの製剤化は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第2021/041301号に開示される方法を利用して達成されてもよい。
特に、実施例1.植物からの植物メッセンジャーパックの単離、実施例2.精製された植物メッセンジャーパック(PMP)の生成、実施例3.植物メッセンジャーパックの特徴決定、実施例4.植物メッセンジャーパック安定性の特徴決定、実施例5.PMPのカーゴでの充填、実施例6.イオン性液体を用いたPMPの製剤化によるPMP細胞取り込みの増加、実施例7.イオン化可能な脂質を使用したPMPの修飾、実施例8.マイクロ流体を用いたLPMPの製剤化、実施例9.イオン化可能な脂質を使用した脂質-再構成PMPへのmRNAの装填および送達、実施例10.イオン化可能な脂質修飾ありおよびなしの、天然および再構成PMPの細胞取り込み、実施例11.カチオン性脂質を用いたPMPの製剤化によるPMP細胞取り込みの増加、実施例12.カチオン性脂質を使用したPMPの修飾、実施例13.カチオン性脂質を使用した脂質-再構成PMPへのmRNA装填および送達、実施例14.カチオン性脂質修飾ありおよびなしの、天然および再構成PMPの細胞取り込み、実施例15.カチオン性脂質GL67およびエチルPCを使用した充填の改善、実施例16.mRNA充填のための脂質比の最適化、および実施例17.プラスミド充填のための脂質比の最適化を含む、国際特許出願公開第2021/041301号の実施例1~17に開示されるすべての実験プロトコルは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0140】
実施例2:ワクチンの調製
ポリヌクレオチドの製造および特徴決定
ポリヌクレオチドおよび/またはその一部もしくは領域の製造は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第2014/152027号に教示される方法を利用して達成されてもよい。精製方法には、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第2014/152030号および国際特許出願公開第2014/152031号において教示されるものが挙げられ得る。ポリヌクレオチドの検出および特徴決定方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第2014/144039号に教示されるように行われてもよい。ポリヌクレオチドの特徴決定は、ポリヌクレオチドマッピング、逆転写酵素配列決定、電荷分布分析、RNA不純物の検出、または前述の二つ以上の任意の組み合わせを使用して達成され得る。「特徴決定すること」は、例えば、RNA転写物配列を決定すること、RNA転写物の純度を決定すること、またはRNA転写物の電荷不均一性を決定することを含む。このような方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第2014/144711号および国際特許出願公開第2014/144767号に教示される。
mRNA設計および修飾のさらなる詳細は、国際公開第2021/154763号および国際公開第2021/188969号に見られ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
SARS-CoV-2ウイルス生成
European Virus Archive global(EVAg)(GISAID EPI_ISL_417879、https://www.european-virus-archive.com/virus/sars-cov-2-strain-slovakiask-bmc52020)によって元々提供され、Vero E6/TMPRSS2細胞において生成し、力価決定したSARS-CoV-2株「Slovakia/SK-BMC5/2020」を、ハムスター感染に使用した。系統は、GHクレードに属していた。
ウイルス生成を、50×106個のVero E6/TMPRSS2細胞を播種したT175フラスコ中、および40mLの最終体積で行った。細胞数および生存率を、ViCell装置による0.25%トリパンブルー排除アッセイによって評価した。48時間の感染時間枠(0.001~0.005 MOIのSARS-CoV-2ウイルスを用いる)後、顕微鏡観察下で細胞変性作用を確認した。培養上清を回収し、遠心分離し(5000gで5分)、分注した(1mLアリコート)。
ウイルスストックTCID50力価を、Vero E6/TMPRSS2細胞上で決定した。試験の約二時間前に、細胞を、96ウェルプレートに、1ウェル当たり2×104細胞の密度で、200μLの体積の完全増殖培地(DMEM 10%FCS)中に播種した。細胞を、37℃で1時間、ウイルスストックの連続希釈(8回の反復、第1の希釈1:100、5倍の連続希釈)で感染させた。新鮮な培地を72時間加え、次いで、提供者のプロトコル(Promega社、参照番号G5430)に従ってMTS/PMSアッセイを行った。プレートを、ELISAプレートリーダーを使用して読み取り、データを記録した。感染性を、スピアマン・カーバー式に基づいてTCID50/mL/72時間として表した。
【0142】
SARS-CoV-2スパイク(S)mRNA配列
この研究を、SARS-CoV-2抗原などのコロナウイルス抗原(例えば、スパイク(S)タンパク質)をコードする表1のmRNAを含む候補コロナウイルスワクチンのハムスターおよび/またはマウスにおける免疫原性を試験するように設計した。
【表2】
【0143】
SARS-CoV-2 S mRNAを含むLPMPの製剤化
一般プロトコルおよび実験設計
植物メッセンジャーパック(PMP)の調製、および脂質再構成植物メッセンジャーパック(LPMP)を調製するためのPMPの修飾、ならびにmRNAを含むPMPおよびLPMPの製剤化のプロトコルおよび詳細な実験手法は、国際特許出願公開第WO2021/041301号の実施例1~17に開示されるすべての実験プロトコルを列挙する実施例1で考察されており、それらすべては参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらのプロトコルおよび詳細な実験手法に従って、本実施例のmRNAで製剤化したPMP、LPMP、およびPMPまたはLPMPを調製した。
簡潔に述べると、レモンおよび藻類からの粗植物メッセンジャーパック(PMP)の単離および精製、ならびにこれらのPMPの特徴決定は、以下に記載された植物源の試験デザインとプロトコルに従った。実施例1.植物からの植物メッセンジャーパックの単離、実施例2.精製された植物メッセンジャーパック(PMP)の生成、実施例3.植物メッセンジャーパックの特徴決定、および実施例4.植物メッセンジャーパックの安定性の特徴決定、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開WO2021/041301のすべて。
コレステロールおよびPEG脂質を用いた天然PMPまたは再構成レモンもしくは藻類LPMPの修飾は、以下に記載される植物源の試験デザインおよびプロトコルに従った。実施例6.イオン性液体を用いたPMPの製剤化によるPMP細胞取り込みの増加、実施例7.イオン化可能な脂質を使用したPMPの修飾、実施例10.イオン化可能な脂質修飾ありおよびなしの、天然および再構成PMPの細胞取り込み、実施例11.カチオン性脂質を用いたPMPの製剤化によるPMP細胞取り込みの増加、実施例12.カチオン性脂質を使用したPMPの修飾、および実施例14.カチオン性脂質修飾ありおよびなしの、天然および再構成PMPの細胞取り込み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開WO2021/041301のすべて。
PMPおよびmRNAを含むレモン-脂質-または藻類-脂質-再構成LPMPの製剤化は、以下に記載した核酸充填の試験デザインおよびプロトコルに従った。実施例5.PMPのカーゴでの充填、実施例8.マイクロ流体を用いたLPMPの製剤化、実施例9.イオン化可能な脂質を使用した脂質-再構成PMPへのmRNAの充填および送達、実施例13.カチオン性脂質を用いた脂質-再構成PMPへのmRNA充填および送達、実施例15.カチオン性脂質GL67およびエチルPCを使用した充填の改善、実施例16.mRNA充填のための脂質比の最適化、および実施例17.プラスミド充填のための脂質比の最適化、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願公開WO2021/041301のすべて。
【0144】
LPMP/mRNAワクチンの製剤
本実施例は、LPMP/mRNAワクチン製剤用のmRNA(例えば、SARS-CoV-2スパイク(S)mRNA配列)を封入するための、イオン化可能な脂質、ステロール、およびPEG脂質を用いて製剤化したレモン脂質および藻類脂質再構成LPMPの製剤を記載する。例えば、以下の表2に示す通り、レモン脂質再構成LPMPを含むLPMP/mRNAワクチンを、典型的にはAと称し、藻類脂質再構成LPMPを含むLPMP/mRNAワクチンを、典型的にはBと称す。
本実施例では、レモンおよび藻類PMP脂質をPMP天然脂質として使用し、C12-200[1,1‘-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)]をイオン化可能な脂質として使用し、コレステロール(14:0)をステロールとして使用し、DMPE-PEG2kをモデルPEG化脂質として使用し、SARS-CoV-2スパイク(S)mRNA配列(本明細書に記載する)を充填したmRNAとして使用した。
【0145】
LNP製剤。LNP(脂質ナノ粒子)製剤を対照として調製して、イオン化可能な脂質:構造脂質:ステロール:PEG脂質(C12-200:DOPE:コレステロール(14:0):DMPE-PEG2k)を、それぞれ、35:16:46.5:2.5のモル比で得た。この製剤を調製するために、上記の脂質をエタノール中に可溶化し、上記のモル比で混合し、エタノール(有機相)中で希釈して、5.5mMの総脂質濃度を得た。mRNA溶液(水相)を、RNAseを含まない水および100mMのクエン酸緩衝液pH3で調製し、最終濃度50mMのクエン酸緩衝液を得た。製剤は、イオン化可能な脂質とmRNAの比率をイオン化可能な脂質窒素:mRNAリン酸(N:P)で15:1に維持した。
LPMP製剤。再構成したレモン(recLemon)LPMP製剤を調製して、イオン化可能な脂質:天然脂質:ステロール:PEG脂質(C12-200:レモン脂質:コレステロール(14:0):DMPE-PEG2k)を、それぞれ、35:50:12.5:2.5のモル比で得た。この製剤を調製するために、上記の脂質を、4:1のDMF:メタノール中で可溶化したレモン脂質を除いてエタノール中で可溶化した。次いで、脂質を上記のモル比で混合し、希釈して、5.5mMの総脂質濃度を得た。mRNA溶液(水相)を、RNAseを含まない水および100mMのクエン酸緩衝液pH3で調製し、最終濃度50mMのクエン酸緩衝液を得た。
再構成した藻類(recAlgae)LPMP製剤を調製して、イオン化可能な脂質:天然脂質:ステロール:PEG脂質(C12-200:藻類脂質:コレステロール(14:0):DMPE-PEG2k)を、それぞれ、35:20:42.5:2.5のモル比で得た。この製剤を調製するために、上記の脂質を、4:1のDMF:メタノール中で可溶化した藻類脂質を除いてエタノール中で可溶化した。次いで、脂質を上記のモル比で混合し、希釈して、5.5mMの総脂質濃度を得た。mRNA溶液(水相)を、RNAseを含まない水および100mMのクエン酸緩衝液pH3で調製し、最終濃度50mMのクエン酸緩衝液を得た。
脂質混合物およびmRNA溶液を、NanoAssemblr Ignite(Precision Nanosystems)上で、それぞれ、体積比1:3で、総流量9mL/分で混合した。次いで、得られた製剤を、スライドA-LyzerG2透析カセット(10k MWCO)に充填し、穏やかに撹拌しながら室温で4時間、200倍の試料体積の1×PBS中で透析した。PBS溶液をリフレッシュし、製剤を穏やかに撹拌しながら4℃で少なくとも14時間さらに透析した。次いで、透析した製剤を回収し、3000×gでの遠心分離(Amicon Ultra遠心分離フィルター、100k MWCO)によって濃縮した。
濃縮した粒子は、Zetasizer Ultra(Malvern Panalytical社)を使用して、サイズ、多分散性、および粒子濃度について特徴付けた。結果を
図1Aに示す。mRNA封入効率を、Quant-iT RiboGreen RNA Assay Kit(ThermoFisher Scientific)によって特徴付けた。結果を
図1Bに示す。粒子を所望のmRNA濃度に希釈して、PBS中の最終10%スクロース溶液を得た。次いで、製剤を液体窒素中で急速凍結した。
【0146】
得られたmRNAを含む製剤を、表2に示す。
【表3】
【0147】
実施例3:ワクチン接種およびコロナウイルス負荷設計
LPMP/SARS-CoV-2ワクチン製剤を、実施例2に従って得た。
例示的な試験試料は、SARS-CoV-2を含む再構成レモン(recLemon)LPMP製剤(LPMP/SARS-CoV-2 A)、およびSARS-CoV-2を含む再構成藻類(recAlgae)LPMP製剤(LPMP/SARS-CoV-2 B)であった。
【0148】
LPMP/SARS-CoV-2ワクチンの単回筋肉内ワクチン接種およびLPMP/SARS-CoV-2ワクチンを投与したハムスターのSARS-CoV2負荷の設計を、スキーム1に示す。
【化71】
スキーム1
【0149】
処置スケジュール
スキーム1に示すように、6~8週齢の健康なゴールデンシリアンハムスター(メス)を得た。動物を秤量し、次いで以下の表3に示すように、群に均一に割り当てた。
試験試料(対照ベクターおよびワクチンベクター)を凍結溶液として提供し、-20℃で保存した。投与前、-4℃一晩解凍した後、接種を行った。試験試料(対照ベクターおよびワクチンベクター)を、表3の処置スケジュールに従って、一方の上大腿部に筋肉内(IM)経路を使用して注射した。
【表4】
*recLemon LPMP+mRNA-EPO:対照ベクター(非ワクチン接種)
**recLemon LPMP+mRNA-S:ワクチンベクター(recLemon LPMP/SARS-CoV-2ワクチン)
**recAlgae LPMP+mRNA-S:ワクチンベクター(recAlgae LPMP/SARS-CoV-2ワクチン)
****30%の試験生成物過剰分(平均ハムスター重量120g)を含む。
【0150】
SARS-CoV-2ウイルス負荷前の血液試料採取
4つの時点(0日目 t+6時間/1日目/10日目/21日目)で、イソフルレン麻酔した動物の頸静脈での穿刺を介して血液を採取した。約300μLの血液を、血餅活性化因子とともに収集チューブに移し、30分間凝血させた。次いで、チューブを遠心分離(2000g、10分、室温)して、約150μLの血清を得た。
0日目(t+6時間)、10日目および21日目に、35日目で安楽死させるべき動物のある特定の群に対して血液試料採取手法を行った(7dpi;n=42)。表3を参照されたい。
1日目に、32日目で安楽死させるべき動物のある特定の群に対して血液試料採取手法を行った(4dpi;n=21)。表3を参照されたい。
マルチプレックスELISAおよび中和アッセイによる早期サイトカインおよびEPO発現(0日目/t+6/1日目)または抗体応答の評価のためにさらに使用するまで、血清試料をプロピレンチューブに-80℃で保存した。
SARS-CoV-2負荷(28日目)
すべての動物に、28日目に、イソフルレン麻酔した動物に70μL(鼻孔当たり35μL)の総体積で鼻腔内経路(IN)によってSARS-CoV-2を投与した。動物一匹当たり105pfu TCID50の鼻腔内用量を投与した。
32日目での動物の終末(4dpi)
表3に示すように、ある特定の群の動物(n=21)は、32日目(すなわち、感染の4日後、dpi)に終末安楽死を受けた。
鼻組織および肺組織(右上肺葉)を、4℃で一晩RNA中に組織を入れることによって回収し、次いで、qRT-PCRによるウイルス負荷およびサイトカイン応答プロファイリングの定量化のためのRNA抽出まで、-80℃で保存した。中肺葉、大動脈後肺葉、右下肺葉を液体窒素で急速凍結し(一つのチューブ当たり一つの肺葉)、次いでウイルス感染粒子(TCID50)の定量まで-80℃で保存した。
35日目での動物の終末(7dpi)
残りの動物(n=42)は、35日目に終末安楽死を受けた(すなわち、7dpi)。最大最終血液試料採取を、肺および脾臓採取の前に行った(血清試料調製のため)。
左肺を、組織学のため少なくとも24時間ホルマリンに入れた。
脾臓を、ELISPOT IFNγアッセイでさらに使用した。
マルチプレックスELISAおよび中和アッセイによる抗体応答の評価のためにさらに使用するまで、血清試料をプロピレンチューブに-80℃で保存した。
【0151】
血清サイトカインおよびEPO定量のためのELISA
血清(ELISA)中のサイトカインおよびEPOレベルを定量し、2つの時点(0日目 t+6時間および1日目)でモニタリングした。
U-PLEXヒトEPOアッセイキット(MSD、参照番号K151VXK)を使用して、時点(0日目 t+6時間)で、EPOを評価した。
ハムスターインターロイキン6、IL-6 ELISAキット(Cusabio、参照番号CSB-E14304Ha)を使用して、2つの時点(0日目 t+6時間および1日目)で、IL-6を評価した。
他のサイトカイン(例えば、CXCL-12、SCF、IFNγ、TNFα、IL2、IL4、MCP1、およびIL18)を、2つの時点(0日目 t+6時間および1日目)で評価した。対応するELISAキットを、これらのサイトカインレベルのモニタリングに使用した。
【0152】
マルチプレックスELISAによる抗体応答の評価(10/21/35日目)
SARS-CoV-2に対する抗体応答(IgG)の分析を、Meso Scale Discovery(キットK15383U)のV-PLEX SARS-CoV-2パネル2プレートを使用して行った。マルチプレックスアプローチを使用して、SARS-CoV-2のS、RBDおよびN抗原を標的とするハムスター抗体についての応答を定量化した。
プレートに、96ウェルプレートのウェル内のスポット上の抗原を用意した。試料中の抗体は、スポット上の抗原に結合し、MSD SULFO-TAGとコンジュゲートした抗ハムスターIgG抗体を検出に使用した。プレートを、MSD SULFO-TAGから放射される光を測定するMESO Quickplex SQ120撮像装置で読み取った。
スポット1:SARS-CoV-2スパイク=T4三量体形成ドメインを有する可溶性細胞外ドメイン、C末端Strep-TagおよびHis-Tag。
スポット3:SARS-CoV-2ヌクレオカプシド=全長ヌクレオカプシド、C末端His-Tag。
スポット10:SARS-CoV-2 S1 RBD=スパイク配列のR319-F541、C末端His-Tag。
【0153】
中和抗体応答評価(10/21/35日目)
血清試料を、Vero E6/TMPRSS2細胞を用いた生きたSARS-CoV-2細胞病原性ベースのアッセイを使用して、以下のように分析した。
Vero E6/TMPRSS2細胞をカウントし、その生存率を、ViCell装置による0.25%トリパンブルー排除アッセイによって評価した。試験の約16時間前に、細胞を、96ウェルプレートに、1ウェル当たり2×104細胞の密度で、200μLの体積の完全増殖培地中に播種した。
中和抗体を含有する熱不活化血清(56℃で30分間)を最初に連続希釈し(3倍工程)、次いで、室温で30分間、SARS-CoV-2ウイルスの1ウェル当たり0.01MOIと混合(1:1 v:v)し、血清中の抗体をウイルスに結合させた。ウイルスとの混合後の最初の最終血清希釈は、1:5であった。
ウイルス-抗体混合物(50μL)を、Vero E6/TMPRSS2細胞に添加し(細胞増殖培地を除去した後)、37℃、5%CO2で2時間インキュベートして、ウイルスを標的細胞に感染させた。
その後、150μLの完全細胞増殖培地(2%FBSを含有する)を、各ウェルに添加した。次いで、プレートを、37℃、5%CO2で48時間インキュベートした。
CellTiter 96(登録商標)AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assayを使用して、プレート顕色を行い、プロトコル(Promega、参照番号G5430)に従って行い、増殖アッセイにおける生細胞の数を決定した。
100μLの上清を除去した後、100μLの新鮮な培地および20μLのMTS/PMS試薬を添加した。プレートを、ELISAプレートリーダーを使用して読み取った。
中和抗体力価(NT50)を、ウイルス感染性の≧50%阻害をもたらす最高血清希釈の逆数として定義する。
【0154】
抗SARS-CoV-2/S T細胞応答のELISPOT IFNγ評価(35日目)
SARS-CoV-2抗原に対するT細胞応答を、ハムスターELISPOT IFNγアッセイ(Mabtech社、参照番号3102-2A)で評価した。
T細胞応答を、11個のアミノ酸重複を有する特定の15merペプチドスキャンプール(JPT;PepMix SARS-COV2 Spike、参照PM-WCPV-S-2)を使用して、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対して評価した。
脾細胞を、細胞ストレーナー上で単離し、赤血球溶解の前後に70μmフィルター上で濾過した。生脾細胞をカウントし、その生存率を、ViCell装置による0.25%トリパンブルー排除アッセイによって評価した。
ELISPOTアッセイを、二つの細胞密度(1ウェル当たり200×103細胞および60×103細胞)で三つ組で行い、異なる条件:培地のみ、陽性対照としてのPMA(20ng/mL)およびイオノマイシン(1μM)混合物、ペプチドプール(2μg/mL)を比較した。PMA/イオノマイシン陽性対照については、より低い細胞密度を使用した(1ウェル当たり60×103細胞および20×103細胞)。
ELISPOT開始の24時間後、IFNγ産生細胞が明らかになった。プレートを、AID(#ELR08)ELIPOTプレートリーダーを使用して分析した。
【0155】
臨床モニタリング-動物体重
動物の体重を、ワクチン接種後は週に一回、次いでSARS-CoV-2感染後は毎日モニタリングした。
【0156】
ゲノムqRT-PCR(32日目)による肺および鼻組織におけるウイルス負荷量決定(4dpi)
RT-qPCRによるウイルス負荷量の定量化を、ウイルスORF1ab遺伝子を使用して肺および鼻組織から行った。
ウイルスRNAの抽出を、RNA精製用の96ウェルキットであるMacherey Nagel NucleoSpin 96 RNAを使用して行った(参照740709.4)。RNAを、qRT-PCRまで-80℃で凍結した。
RTを、Applied Biosystemの高容量cDNA逆転写キット(参照番号4368813)を用いて行った。
ORF1ab遺伝子を標的とするプライマー条件で定量的PCRによるcDNA定量を行った。増幅を、Applied BiosystemのQuantStudio 7 Flexおよび付随のソフトウェアを使用して行った。
【表5】
【0157】
肺におけるウイルスTCID50決定(32日目)(4dpi)
50%細胞傷害性(TCID50)アッセイを生じる組織培養感染用量は、ウイルスストックの感染性を評価するための定量的方法である。一つのTCID50を、細胞の50%の死を引き起こす病原体の量として定義し(Reed and Muench,1938)、TCID50は、培養中の細胞を死滅させるウイルスの能力に依存する。感染性を、スピアマン・カーバー式に基づいてTCID50/mL/48時間として表した。
Vero E6/TMPRSS2細胞をカウントし、その生存率を、ViCell装置による0.25%トリパンブルー排除アッセイによって評価した。
試験の一日前に、細胞を、96ウェルプレートに、1ウェル当たり2×104細胞の密度で、200μLの体積の完全増殖培地(DMEM 10%FCS)中に播種した。
細胞を、37℃で1時間、肺ホモジネート(三つ組)の連続希釈液で感染させた。新鮮な培地を48時間添加した。
細胞感染の48時間後、プロトコル(Promega 参照番号G5430)に従ってMTS/PMSアッセイを行った。すべての上清を廃棄した後、100μLの新鮮な培地および20μLのMTS/PMS試薬を培養ウェルに添加した。最長4時間後、Elisaプレートリーダーを使用して、プレートを読み取り、データを記録した(陰性細胞対照のOD値>1.500)。
【0158】
実施例4:ハムスターのワクチン接種およびコロナウイルス負荷
二つのワクチン製剤:LPMP/SARS-CoV-2 A(SARS-CoV-2を含む再構成レモン(recLemon)LPMP製剤)およびLPMP/SARS-CoV-2 B(SARS-CoV-2を含む再構成藻類(recAlgae)LPMP製剤)を、実施例2に従い調製した。
ワクチン接種およびコロナウイルス負荷のプロトコルは、実施例3に記載したものであった。これらのLPMP/SARS-CoV-2製剤の投与は、表3に示す処置スケジュールに基づき、これらのハムスターのワクチン接種およびSARS-CoV-2負荷の結果を
図2~10に示す。
【0159】
血清サイトカイン
ハムスターにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの単回用量筋肉内ワクチン接種の6時間後および24時間後のハムスターの血清中のサイトカインIL6(
図2A)、ケモカインCXCL12(
図2B)、およびサイトカインSCF(幹細胞因子)(
図2C)のレベルを評価し、モニターした。結果を
図2にし、これは、LPMP/SARS-CoV-2ワクチンの単回用量筋肉内ワクチン接種が、ハムスターにおけるワクチン接種の6時間後および24時間後に炎症促進性サイトカインおよびケモカインを誘発したことを示す。ハムスター血漿における投与の6時間後および24時間後の検出可能なレベルのIFNγ、IL2、IL4、MCP1、TNFα、およびIL18は、見られなかった。しかしながら、LPMP/SARS-CoV-2 A(10μg)とLPMP/SARS-CoV-2 B(10μg)の両方が、投与の6時間後および24時間後に、あるレベルの炎症促進性サイトカインIL6(
図2A)およびケモカインCXCL12(
図2B)を誘導した。LPMP/SARS-CoV-2 A(10μg)とLPMP/SARS-CoV-2 B(10μg)の両方がまた、投与の6時間後および24時間後に、あるレベルのサイトカインSCF(幹細胞因子)を誘導した(
図2C)。
【0160】
抗体および中和抗体応答
ハムスターにおけるLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種後、10日目、21日目、および35日目でのハムスターの血清中のSARS-CoV-2のSおよびS1 RBD抗原を標的とする抗体応答(IgG)を評価した。
図3A~3Bは、LPMP/SARS-CoV-2ワクチンの単回用量筋肉内ワクチン接種が、ハムスターにおけるワクチン接種の10日後に高レベルのS特異的およびS1 RBD特異的IgGを誘発したことを示す。LPMP/SARS-CoV-2ワクチンによって誘導された検出した高レベルのSARS-CoV-2特異的抗体は、SARS-CoV-2感染ハムスターで観察したものに非常に近かった。二つのワクチン製剤のうち、LPMP/SARS-CoV-2 A(レモン由来LPMP)ワクチンは、ハムスターにおけるワクチン接種の10日後により高いレベルのSARS-CoV-2特異的抗体を誘導した。
図4は、LPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種が、ハムスターにおけるワクチン接種の21日後に非常に高レベルのS1 RBD特異的IgGを誘発したことを示す。LPMP/SARS-CoV-2ワクチンによって誘導された検出した高レベルのSARS-CoV-2特異的抗体は、SARS-CoV-2感染ハムスターで観察したものに非常に近かった。また、LPMP/SARS-CoV-2ワクチンは、比較的低いLPMP/SARS-CoV-2ワクチン投与量(LPMP/SARS-CoV-2 B、20μg)であっても、非常に高い力価のRBD特異的抗体(21日目力価:107)を誘導した。
図5および
図17は、LPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種が、ハムスターにおける複数のウイルスバリアントに有効であったLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種の35日後に、ハムスターの血清中に強固な中和抗体力価を誘導したことを示す。
【0161】
抗SARS-CoV-2/S T細胞応答
図6は、LPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種が、SARS-CoV2スパイクタンパク質特異的T細胞を誘導したことを示す。
【0162】
LPMP/SARS-CoV-2ワクチンを用いたハムスターのワクチン接種は、ハムスターをSARS-CoV-2負荷から保護した
LPMP/SARS-CoV-2ワクチンが、ハムスターをSARS-CoV-2負荷から保護する能力を、
図7~10に示す。
図7A~7Dは、LPMP/SARS-CoV-2ワクチン接種したハムスターが、堅牢なワクチン誘発性免疫応答を担持し、体重減少によって測定したSARS-CoV2負荷から保護されたことを示す。LPMP/SARS-CoV-2 AとLPMP/SARS-CoV-2 B製剤の両方について、単回用量(10μg)の筋肉内ワクチン接種により、ハムスターをSARS-CoV-2負荷から保護した。
図8に示すように、LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン製剤の単回用量(10μg)の筋肉内ワクチン接種は、ハムスターにおいて堅牢なワクチン誘発性免疫応答を担持し、最良のベンチマーク(11%体重の喪失)と同様のSARS-CoV-2負荷からのハムスターにおける保護を達成した。
図9に示すように、LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン製剤の単回用量(10μg)の筋肉内ワクチン接種は、感染の4日後にハムスターにおいて堅牢なワクチン誘発性免疫応答を担持し、肺内の感染性ウイルス粒子(ウイルスTCID50によって決定する)を有意に減少させることによって、ハムスターをSARS-CoV-2負荷から保護した。
図10A~10Bに示すように、LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン製剤の単回用量(10μg)の筋肉内ワクチン接種は、感染の4日後にハムスターにおいて堅牢なワクチン誘発性免疫応答を担持し、肺(
図10A)および鼻軟膜(
図10B)内のウイルス負荷を有意に減少させることによって、ハムスターをSARS-CoV-2負荷から保護した。
まとめると、
図8~
図10は、LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン製剤の単回用量(10μg)の筋肉内ワクチン接種が、体重の減少、肺中の感染性ウイルス粒子、ならびに肺と鼻粘膜の両方におけるウイルス負荷量によって測定し、ハムスターをSARS-CoV2負荷から効果的に保護したことを示す。
【0163】
実施例5:マウスのワクチン接種およびコロナウイルス負荷
特異的でない場合、ワクチン接種およびコロナウイルス負荷ならびに免疫応答の特徴決定のプロトコルは、使用した動物が本実施例のマウスであったことを除いて、実施例3に記載したものと同様であった。
二つのワクチン製剤:LPMP/SARS-CoV-2 AおよびLPMP/SARS-CoV-2 Bを実施例2に従い調製した。対照は、PBSであった。
【0164】
経口投与
三匹のマウスに、LPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 200μgを含有する)の単回投与を経口投与した。抗SARS-CoV-2/S T細胞応答を、12日目でのELISPOT IFNγアッセイで評価した。抗体応答(IgM、IgG、IgA)を、それぞれ、12日目および21日目に多重ELISAによって評価した。
図11A~11Bは、マウスにおけるLPMP / SARS-CoV-2 A(S mRNA 200μgを含有する)の経口ワクチン接種後、12日目のマウスの脾臓(
図11A)およびマウスのパイエル板(
図11B)におけるSARS-CoV-2のS抗原に対するT細胞応答の結果を示す。結果は、LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン製剤の単回投与の経口ワクチン接種が、マウスにおいて全身および粘膜のSARS-CoV-2免疫応答を誘発したことを示す。LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン製剤の単回投与経口ワクチン接種はまた、パイエル板において粘膜ならびに細胞傷害性CD4およびCD8 T細胞を誘導した。
さらに、LPMP/SARS-CoV-2ワクチンの経口ワクチン接種はまた、マウスにおけるワクチン接種の12日後に高レベルのS特異的IgMを誘発し、マウスにおけるワクチン接種の21日後に低レベルの抗原特異的IgGを誘発した。同様の経口ワクチン接種研究はまた、マウスの腸および肺において低レベルのIgAを示した。
【0165】
鼻腔内投与
三匹のマウスに、LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン接種(S mRNA 0.1μgを含有する、10μg)の単回投与を鼻腔内投与した。抗SARS-CoV-2/S T細胞応答を、12日目でのELISPOT IFNγアッセイで評価した。血液中のサイトカインレベル(例えば、TNFα)(ELISA)を、12日目に定量化した。
図12Aは、マウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 0.1μgを含有する、10 μg)の鼻腔内ワクチン接種後の12日目のマウスにおけるSARS-CoV-2のS抗原に対するT細胞応答の結果を示す。
図12Bは、マウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNA 0.1μgを含有する、10μg)の鼻腔内ワクチン接種後の12日目のマウスにおける血中のサイトカインTNFαのレベルを示す。
結果は、LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン製剤の単回投与の鼻腔内ワクチン接種が、免疫の12日後に全身SARS-CoV2スパイク特異的T細胞を誘発したことを示す。
【0166】
筋肉内投与
マウスに、LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン接種(S mRNAを含有する、10μg)の単回投与又は2回投与を筋肉内投与した。SARS-CoV-2のオリジナル(ワシントン)、デルタ、およびオミクロンバリアントに対する中和抗体価を測定した。マウスに、0日目に10μgの用量を、21日目に同用量の第二の用量を投与し、次いで、抗体価を、49日目に第二の用量の四週間後に測定した。血液中のサイトカインレベル(MSDを介して測定した)を、LPMP/SARS-CoV-2 Aワクチン接種(S mRNAを含有する、10μg)の単回筋肉内投与の2、6、24、および48時間後に定量した。
図18は、LPMP/SARS-CoV-2ワクチンの筋肉内ワクチン接種が、マウスの血液中で強固な中和抗体価を誘導し、SARS-CoV2の複数のバリアントに対して広く中和することができることを示す。
図19は、マウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2 A(S mRNAを含有、10μg)の筋肉内ワクチン接種の2、6、24、および48時間後のマウスの血液中の複数の循環サイトカインおよびケモカインのレベルの増加を通じて堅牢な免疫応答を示す。サイトカインの増加の多くは、T細胞応答および抗体クラスの切り替えに重要であり、両方とも、感染因子に対する免疫性を構築するのに必要な重要な態様である。
【0167】
実施例6.LPMP/mRNA製剤の安定性
LPMP/mRNA製剤の安定性を、LPMP/mRNAフルシフェラーゼ (mRNAを含有する、5μg)の用量を静脈内投与した4時間後のマウス(n=2)の発光を測定することによって評価した。LPMP/mRNA製剤(液体形態)を4℃で一定期間(1日目、30日目、60日目)保管した後、投与および測定を行った。
図13に示すように、LPMP/mRNA製剤は、液体形態で4℃で安定であった。
さらに、
図14A~14Bは、マウスにLPMP/mRNAフルシフェラーゼ(mRNA0.2mg/kgを含有)の用量を静脈内投与した6時間後のマウスの取得した画像と共に、一定の期間に渡り(1日目、7日目)、凍結乾燥あり、凍結乾燥なしで4℃でのLPMP/mRNA製剤の安定性を示す。
図14A~14Bに示すように、LPMP/mRNA製剤は、4℃での安定性を達成するために必要な場合、凍結乾燥することができる。
【0168】
実施例7.LPMP/mRNA製剤を用いたマウスの鼻腔内ワクチン接種
LPMP/SARS-CoV-2ワクチン製剤を、実施例2に従って得た。
例示的な試験した試料は、SARS-CoV-2を有する再構成レモン(recLemon)LPMP製剤(recLecom LPMP/SARS-CoV-2)であった。
LPMP/SARS-CoV-2ワクチンを投与したマウスのLPMP/SARS-CoV-2ワクチンの単回鼻腔内ワクチン接種の設計を、スキーム2に示す。
【化72】
スキーム2
【0169】
粘膜経路を介した脂質再構成LPMPワクチン製剤の効率を調べるために、マウスにLPMP/SARS-CoV-2(全長S1糖タンパク質をコードするmRNA)を鼻腔内投与した。エフェクター期およびメモリー期におけるLPMP/SARS-CoV-2 ワクチンをコードするSタンパク質mRNAの免疫原性を調べるために、マウスに、0日目に投与し、マウスを、それぞれ、12日目または21日目に安楽死させた。血液、鼻洗浄液、気管支肺胞洗浄液(BAL)液体および脾臓を採取し、回収し、抗原特異的T細胞およびB細胞応答について調べた。
抗原特異的T細胞の組織を調べるために、ELISpotsを利用した。簡潔に述べると、脾臓からの単一細胞懸濁液を、Sタンパク質ペプチドでパルスした脾細胞、またはパルスしていない脾細胞と一晩共培養した。ELISpots共培養単一細胞懸濁液を使用して、脾臓を、単一細胞に対して分泌されるエフェクターサイトカイン(IFNg、TNFa)の頻度について定量的に測定した。
血清、鼻洗浄液、およびBAL液中の抗原特異的免疫グロブリンを調べるために、MaxisorpプレートをコーティングしたS1タンパク質および受容体結合ドメイン(RBD)ペプチドを利用した。簡潔に述べると、Maxisorpプレートを、S1タンパク質ペプチドまたはRBDペプチドのいずれかで一晩コーティングし、対応するHRPコンジュゲート二次抗体およびテトラメチルベンジジン基質を使用して、IgAおよび総IgGを、血清、鼻洗浄液、およびBAL液中で測定した。
結果を
図15に示す。
図15に示すように、筋肉内経路(0.4mg/kg)、鼻腔内経路(0.4mg/kg)、および経口経路(8mg/kg)を介したマウスにおけるLPMP/SARS-CoV-2製剤の投与後のマウスにおけるSARS-CoV-2のS抗原に対する免疫応答があった。
【0170】
これらの実施例のデータは、リンパ節への正確な生体内分布でプログラムすべきワクチン製剤の能力、肝臓の脱標的化、および全身曝露の最小化(肝臓を標的とすることが知られている標準LNP/mRNA製剤と比較)を示した。
これらの実施例のデータはまた、LPMP/mRNA製剤ワクチンの単回筋肉内用量が、単回用量で(2用量レジメンを使用したベンチマークに対して)良好なベンチマークレベルでSARS-CoV-2コロナウイルス(COVID-19)から保護できたこと、約60%少ないmRNAを用いたベンチマークよりも約1,000倍高い抗体価を生じることができたこと、SARS-CoV2のバリアント(デルタおよびオミクロンを含む)に対して広く中和することができたこと、SARS-CoV-2 コロナウイルス(COVID-19)伝播の予防のための全身および粘膜免疫を生じることができたことを示した。さらに、実施例は、設計により、改善された安全性特性(例えば、低い反応原性、低レベルの炎症マーカーまたは毒性マーカー)を示した。
【0171】
実施例8.LPMP/mRNA製剤を用いた筋肉内ワクチン接種を用いたハムスター負荷モデルにおけるウイルス伝播の予防
LPMP/SARS-CoV-2ワクチン製剤を、実施例2に従って調製した。例示的な試験した試料は、SARS-CoV-2を有する再構成レモン(recLemon)LPMP製剤(recLecom LPMP/SARS-CoV-2)であった。
LPMP/mRNA製剤を用いたハムスター負荷モデルにおけるウイルス伝播の予防の試験設計を、スキーム3に示す。
LPMP/mRNA製剤での2用量の筋肉内ワクチン接種を用いたハムスター負荷モデルにおけるウイルス伝播の予防の試験設計を、スキーム4に示す。
結果を
図16Aおよび16Bに示す。体重は、SARS-CoV-2コロナウイルス(COVID-19)伝播研究におけるハムスターモデルの特徴的な測定値の一つである。
図16Aに示すように、ハムスターにおけるLPMP/SARS-CoV-2製剤の投与は、負荷の際にハムスターをSARS-CoV2感染から完全に保護した。
図16Bに示すように、LPMP/SARS-CoV-2製剤でワクチン接種し、SARS-CoV-2コロナウイルス(COVID-19)を負荷したハムスターは、ウイルスをナイーブハムスターに感染させなかった。
【化73】
スキーム3
【化74】
スキーム4
【0172】
理論に束縛されるものではないが、LPMP/mRNA製剤を用いたハムスターの筋肉内ワクチン接種は、鼻粘膜において抗体を生じ、ウイルス(SARS-CoV-2コロナウイルス、COVID-19)伝播を予防するための全身免疫および/または粘膜免疫をもたらした可能性がある。
【配列表】
【国際調査報告】