(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】懸濁状態の細胞を凝集させる方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20241018BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C12N5/071
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548679
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022047760
(87)【国際公開番号】W WO2023076296
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524157888
【氏名又は名称】サテライト バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SATELLITE BIOSCIENCES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、クリストファー ギャリソン
(72)【発明者】
【氏名】レーマン、マーカス
(72)【発明者】
【氏名】モーゼ、ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、ブリジット
(72)【発明者】
【氏名】チェン、アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ムーア、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ムナリン、ファビオラ
(72)【発明者】
【氏名】マルトゥラーノ、ジョセフ イー.
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BB04
4B065BB15
4B065BB19
4B065BB23
4B065BC02
4B065BC03
4B065BC08
4B065BC14
4B065BC41
4B065BC50
4B065BD05
4B065BD14
4B065BD15
4B065CA44
(57)【要約】
本発明は、複数の細胞集団(例えば、細胞の第1集団及び細胞の第2集団)の凝集体を生産する方法を特徴とする。この方法は、バイオリアクタ内で細胞を含有する液体培地を撹拌することを含む。これらの凝集体を、生体適合性スキャフォールドに封入して人工組織構築物を形成するなど、その後の下流用途に使用してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む複数の細胞集団の凝集体を生産する方法であって、
(a)前記細胞の第1集団及び前記細胞の第2集団を含む液体培地をバイオリアクタ内で、前記細胞の第1集団及び前記細胞の第2集団を含む凝集体を形成するのに十分な継続時間撹拌することであって、前記細胞の第1集団及び前記細胞の第2集団は前記撹拌する工程中に前記液体培地内で懸濁状態にあり、それによって細胞の第1集団及び細胞の第2集団の凝集体を生産する、前記撹拌することと、
(b)前記細胞の第1集団及び前記細胞の第2集団を含む前記凝集体を収集することと、
を含む前記方法。
【請求項2】
前記細胞の第1集団は間質細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記間質細胞は線維芽細胞を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記線維芽細胞は、初代線維芽細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)由来線維芽細胞、または胚性幹細胞(ESC)由来線維芽細胞である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記線維芽細胞は遺伝子操作線維芽細胞である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞の第2集団は実質細胞を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記実質細胞は肝細胞または肝細胞前駆細胞を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記肝細胞は、初代ヒト肝細胞、iPSC由来肝細胞、またはESC由来肝細胞を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記肝細胞は遺伝子操作肝細胞である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記実質細胞は膵臓細胞または膵臓前駆細胞を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記膵臓細胞は、アルファ細胞、ベータ細胞、ガンマ細胞、デルタ細胞、もしくはイプシロン細胞、またはそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記膵臓細胞は、初代ヒト膵臓細胞、iPSC由来膵臓細胞、またはESC由来膵臓細胞を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記膵臓細胞が遺伝子操作膵臓細胞である、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、前記細胞の第2集団は肝細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、前記細胞の第2集団は肝細胞前駆細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、前記細胞の第2集団は膵臓ベータ細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞の第1集団の、前記細胞の第2集団に対する比率が10:1~1:10である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記比率は2:1である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程(b)の前記収集された凝集体中の前記細胞の第1集団の、前記細胞の第2集団に対する比率が10:1~1:10である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞の第1集団は1×10
4細胞/mL~1×10
8細胞/mLの密度で存在する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、前記線維芽細胞の前記密度は1×10
5細胞/mL~1×10
7細胞/mLである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記線維芽細胞の前記密度は6×10
5細胞/mLである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞の第2集団は1×10
4細胞/mL~1×10
8細胞/mLの密度で存在する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞の第2集団は肝細胞を含み、前記肝細胞の前記密度は1×10
5細胞/mL~1×10
7細胞/mLである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記肝細胞の前記密度は3×10
5細胞/mLである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の細胞集団は、さらに1つまたは複数の追加の細胞集団を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記バイオリアクタは0.1L~500Lの容量を有する、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記バイオリアクタは100L~300Lの容量を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記撹拌する工程中に前記細胞の第1集団及び前記細胞の第2集団は30%を超えて増殖しない、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記バイオリアクタは撹拌タンクバイオリアクタまたは垂直ホイールバイオリアクタである、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記バイオリアクタは、pH、温度、及び溶存酸素濃度のうちの1つまたは複数を制御するバイオ処理コントローラをさらに備える、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞の第1集団及び前記細胞の第2集団は前記バイオリアクタに付着しない、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記凝集体の少なくとも80%は、互いの平均直径±10%を有する、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記凝集体はスフェロイドである、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記撹拌する工程は1時間~72時間の継続時間を含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記撹拌する工程は最大24時間の継続時間を含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記継続時間は最大18時間である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記撹拌は前記バイオリアクタを10RPM~50RPMの速度で回転させることを含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記培地は0.9cP~1.4cPの粘度を有する、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記培地は、1~20μg/mLの組換えヒトインスリン、1~10μg/mLのヒトトランスフェリン、及び1×10
-3~1×10
-2μg/mLのセレナイトを含む、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記培地は、ラミニン、コラーゲン、エラスチン、またはフィブロネクチンを含む、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記培地は1~10μg/mLのラミニンを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記培地は1~20μMのRho結合タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤を含む、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記ROCK阻害剤はY27632である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記培地はヒト血清を含む、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記培地は0.1%~20%(v/v)のヒト血清を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記培地は1%~10%(v/v)のヒト血清を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記培地は10%(v/v)ヒト血清を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記培地は血小板溶解物を含む、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記培地は0.1%~10%(v/v)の血小板溶解物を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記培地は1%~5%(v/v)の血小板溶解物を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記培地は4,000mg/L~5,000mg/Lのグルコースを含む、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記培地は10ng/mL~100ng/mLのグルカゴンを含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記培地はフィブリノーゲンを含む、請求項1~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記培地は10ng/mL~100ng/mLのデキサメタゾンを含む、請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記バイオリアクタは35℃~39℃の温度でインキュベートされる、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記方法は500凝集体/mL~10,000凝集体/mLの凝集体密度を生産する、請求項1~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記方法は50μm~200μmのアベレージ凝集体平均直径を生産する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記方法は200μL~50mLの凝集体のアベレージ総容積を生産する、請求項1~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記凝集体はそれぞれ少なくとも10
3個の細胞を含む、請求項1~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記凝集体はそれぞれ少なくとも50μmの平均直径を有する、請求項1~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記凝集体を収集することは、前記バイオリアクタのピペッティング、注入、デカント、または排出を含む、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記バイオリアクタは収集チューブを備え、前記方法は、前記収集チューブ内に前記凝集体を収集することを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
工程(b)の前記収集された凝集体を洗浄することをさらに含む、請求項1~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
工程(b)の前記収集された凝集体を精製することをさらに含む、請求項1~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記収集された凝集体は遠心分離または音響的分離によって精製される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記遠心分離は、向流向心遠心分離または密度勾配遠心分離を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記凝集体の少なくとも80%は、精製後に互いの平均直径±10%を有する、請求項65~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
工程(b)の前記収集された凝集体を濃縮することをさらに含む、請求項1~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
工程(b)の前記収集された凝集体を保存緩衝液内で製剤化することをさらに含む、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
工程(a)の前に前記細胞を洗浄することをさらに含む、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
(c)工程(b)の前記収集された凝集体を生体適合性スキャフォールド内に封入する工程をさらに含む、請求項1~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む複数の細胞集団の凝集体を封入する方法であって、
(a)前記細胞の第1集団及び前記細胞の第2集団を含む液体培地をバイオリアクタ内で、前記細胞の第1集団及び前記細胞の第2集団を含む凝集体を形成するのに十分な継続時間撹拌することであって、前記細胞の第1集団及び前記細胞の第2集団は前記撹拌する工程中に前記液体培地内で懸濁状態にあり、それによって細胞の第1集団及び細胞の第2集団の凝集体を生産する、前記攪拌することと、
(b)工程(a)の前記凝集体を収集することと、
(c)工程(b)の前記凝集体を生体適合性スキャフォールド内に封入することと、を含む前記方法。
【請求項74】
前記凝集体を封入することは、重合剤または架橋試薬を提供して前記生体適合性スキャフォールドを重合または架橋し、それによって前記凝集体を封入することを含む、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
前記生体適合性スキャフォールドがフィブリノーゲンを含む、請求項72~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記重合剤はトロンビンを含む、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記生体適合性スキャフォールドは補強剤をさらに含む、請求項72~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記補強剤は、コラーゲン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ酢酸ビニリデン(PVDA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)、またはポリ(L-乳酸)(PLLA)を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
封入の前に、工程(b)の前記収集された凝集体を洗浄することをさらに含む、請求項73~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
封入の前に、工程(b)の前記収集された凝集体を精製することをさらに含む、請求項73~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記収集された凝集体は遠心分離または音響的分離によって精製される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記遠心分離は、向流向心遠心分離または密度勾配遠心分離を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記凝集体の少なくとも80%は、精製後に互いの平均直径±10%を有する、請求項80~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
封入の前に、工程(b)の前記収集された凝集体を濃縮することをさらに含む、請求項73~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
封入の前に、工程(b)の前記収集された凝集体を保存緩衝液内で製剤化することをさらに含む、請求項73~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
工程(a)の前に前記細胞を洗浄することをさらに含む、請求項73~85のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
懸濁状態の細胞を凝集させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの病気は、単一の臓器または組織型の損傷、機能不全、または喪失によって生じる。臓器移植などの特定の戦略は効果的になり得る一方、臓器の置換に対する需要は大きい。人工組織構築物(例えば、細胞ベースの移植)の開発を含む組織治療は、この需要を満たす最も有望な多専門的アプローチの1つである。しかしながら、細胞生物学、マイクロ流体工学、工学の分野で大きな進歩があったにもかかわらず、現在のところ、従来のアプローチでは、治療的有効性を与えるのに必要な規模で機能的な組織を再現することができていない。組織を生成するための細胞凝集体の形成は、有用な組織を作成するための第一歩として重要である。しかし、そのような条件を達成するために生物学的条件を模倣することは依然として困難である。したがって、細胞凝集体を形成するための新しい方法が必要である。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様では、本発明は、細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む複数の細胞集団の凝集体を生産する方法を特徴とする。この方法は、(a)バイオリアクタ内で細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含有する液体培地を、細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む凝集体を形成するのに十分な継続時間だけ撹拌する工程を含む。細胞の第1集団及び細胞の第2集団は、撹拌する工程中に液体培地内で懸濁状態にある。この方法は、細胞の第1集団及び細胞の第2集団の凝集体を生産する。この方法は、(b)細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む凝集体を収集する工程をさらに含んでもよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団には間質細胞(例えば、線維芽細胞)を含む。線維芽細胞は、例えば、初代線維芽細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)由来線維芽細胞、または胚性幹細胞(ESC)由来線維芽細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、線維芽細胞は遺伝子操作された線維芽細胞である。
【0005】
いくつかの実施形態では、細胞の第2集団には実質細胞を含む。実質細胞は、例えば肝細胞(例えば、ヒト肝細胞、例えば、初代ヒト肝細胞)または肝細胞前駆細胞であってもよい。肝細胞は、例えば、初代肝細胞(例えば、初代ヒト肝細胞)、iPSC由来肝細胞、またはESC由来肝細胞であってもよい。肝細胞は遺伝子操作された肝細胞であってもよい。実質細胞には、膵臓細胞(例えば、アルファ細胞、ベータ細胞、ガンマ細胞、デルタ細胞、もしくはイプシロン細胞、またはそれらの組み合わせ)または膵臓前駆細胞が含まれ得る。膵臓細胞は、例えば、初代ヒト膵臓細胞、iPSC由来膵臓細胞、またはESC由来膵臓細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、膵臓細胞は遺伝子操作された膵臓細胞である。
【0006】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、細胞の第2集団は肝細胞を含む。
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、第2集団は肝細胞前駆細胞を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、細胞の第2集団は膵臓ベータ細胞を含む。
いくつかの実施形態では、細胞の集団の1つは、内分泌細胞、外分泌細胞、傍分泌細胞、ヘテロクリン細胞、自己分泌細胞、またはジャクスタクリン細胞を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、細胞の集団の1つは、ライディッヒ細胞、副腎皮質細胞、下垂体細胞、甲状腺細胞、顆粒膜細胞、乳腺上皮細胞、胸腺細胞、胸腺上皮細胞、視床下部細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、及び/または神経細胞を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、下垂体細胞は、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体細胞、乳腺刺激ホルモン産生下垂体細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生下垂体細胞、成長ホルモン産生下垂体細胞、及び/または性腺刺激ホルモン産生下垂体細胞を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、神経細胞はドーパミン作動性細胞を含む。
いくつかの実施形態では、細胞の集団の1つは、実質細胞(例えば、肝細胞、膵臓外分泌細胞、筋細胞、膵臓内分泌細胞、ニューロン、腸細胞、脂肪細胞、脾臓細胞、腎細胞、胆管細胞、クッパー細胞、星細胞、心筋細胞、肺胞上皮細胞、細気管支細胞、クラブ細胞、尿路上皮細胞、粘液細胞、壁細胞、主細胞、G細胞、杯細胞、腸内分泌細胞、パネート細胞、M細胞、タフト細胞、グリア細胞、胆嚢細胞、ケラチノサイト、メラノサイト、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、骨細胞、破骨細胞、食道細胞、光受容細胞、及び角膜上皮細胞)を含む。いくつかの実施形態では、実質細胞は膵臓細胞(例えば、アルファ細胞、ベータ細胞、ガンマ細胞、デルタ細胞、イプシロン細胞、またはそれらの任意の組み合わせ)である。いくつかの実施形態では、実質細胞はベータ細胞を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、細胞は、操作された細胞、初代細胞、または分化転換細胞である。
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団(例えば、間質細胞、例えば、線維芽細胞)の、細胞の第2集団(例えば、実質細胞、例えば、肝細胞、例えば、初代ヒト肝細胞)に対する比率は、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3、または2:1~1:2(例えば、10:1~1:1、9:1~1:1、8:1~1:1、7:1~1:1、6:1~1:1、5:1~1:1、4:1~1:1、3:1~1:1、2:1~1:1、1:10~1:1~1:2、1:1~1:3、1:1~1:4、1:1~1:5、1:1~1:6、1:1~1:7、1:1~1:8、1:1~1:9、または1:1~1:10)である。例えば、細胞の第1集団の、細胞の第2集団に対する比率は、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10であってもよい。いくつかの実施形態では、この比率は2:1である。
【0012】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は、1×104細胞/mL~1×108細胞/mLの密度で存在する。例えば、細胞の第1集団は、1×104細胞/mL~1×105細胞/mL(例えば、1×104細胞/mL、2×104細胞/mL、3×104細胞/mL、4×104細胞/mL、5×104細胞/mL、6×104細胞/mL、7×104細胞/mL、8×104細胞/mL、9×104細胞/mL、または1×105細胞/mL)、1×105細胞/mL~1×106細胞/mL(例えば、1×105細胞/mL、2×105細胞/mL、3×105細胞/mL、4×105細胞/mL、5×105細胞/mL、6×105細胞/mL、7×105細胞/mL、8×105細胞/mL、9×105細胞/mL、または1×106細胞/mL)、1×106細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、1×106細胞/mL、2×106細胞/mL、3×106細胞/mL、4×106細胞/mL、5×106細胞/mL、6×106細胞/mL、7×106細胞/mL、8×106細胞/mL、9×106細胞/mL、または1×107細胞/mL)、または1×107細胞/mL~1×108細胞/mL(例えば、1×107細胞/mL、2×107細胞/mL、3×107細胞/mL、4×107細胞/mL、5×107細胞/mL、6×107細胞/mL、7×107細胞/mL、8×107細胞/mL、9×107細胞/mL、または1×108細胞/mL)の密度で存在してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は線維芽細胞(例えば、初代線維芽細胞、例えば、初代ヒト線維芽細胞)を含み、線維芽細胞の密度は1×105細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、1×105細胞/mL、2×105細胞/mL、3×105細胞/mL、4×105細胞/mL、5×105細胞/mL、6×105細胞/mL、7×105細胞/mL、8×105細胞/mL、9×105細胞/mL、1×106細胞/mL、2×106細胞/mL、3×106細胞/mL、4×106細胞/mL、5×106細胞/mL、6×106細胞/mL、7×106細胞/mL、8×106細胞/mL、9×106細胞/mL、または1×107細胞/mL)である。例えば、線維芽細胞の密度は、例えば、6×105細胞/mLであってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、細胞の第2集団は1×104細胞/mL~1×108細胞/mLの密度で存在する。例えば、細胞の第2集団は、1×104細胞/mL~1×105細胞/mL(例えば、1×104細胞/mL、2×104細胞/mL、3×104細胞/mL、4×104細胞/mL、5×104細胞/mL、6×104細胞/mL、7×104細胞/mL、8×104細胞/mL、9×104細胞/mL、または1×105細胞/mL)、1×105細胞/mL~1×106細胞/mL(例えば、1×105細胞/mL、2×105細胞/mL、3×105細胞/mL、4×105細胞/mL、5×105細胞/mL、6×105細胞/mL、7×105細胞/mL、8×105細胞/mL、9×105細胞/mL、または1×106細胞/mL)、1×106細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、1×106細胞/mL、2×106細胞/mL、3×106細胞/mL、4×106細胞/mL、5×106細胞/mL、6×106細胞/mL、7×106細胞/mL、8×106細胞/mL、9×106細胞/mL、または1×107細胞/mL)、または1×107細胞/mL~1×108細胞/mL(例えば、1×107細胞/mL、2×107細胞/mL、3×107細胞/mL、4×107細胞/mL、5×107細胞/mL、6×107細胞/mL、7×107細胞/mL、8×107細胞/mL、9×107細胞/mL、または1×108細胞/mLの密度で存在してもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、細胞の第2集団は肝細胞(例えば、初代肝細胞、例えば、初代ヒト肝細胞)を含み、肝細胞の密度は1×105細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、1×105細胞/mL、2×105細胞/mL、3×105細胞/mL、4×105細胞/mL、5×105細胞/mL、6×105細胞/mL、7×105細胞/mL、8×105細胞/mL、9×105細胞/mL、1×106細胞/mL、2×106細胞/mL、3×106細胞/mL、4×106細胞/mL、5×106細胞/mL、6×106細胞/mL、7×106細胞/mL、8×106細胞/mL、9×106細胞/mL、または1×107細胞/mL)である。例えば、肝細胞の密度は、例えば、3×105細胞/mLであってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の細胞集団は、さらに1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の追加の細胞集団を含む。
いくつかの実施形態では、バイオリアクタは、0.1L~500L、例えば、0.1L~10L(0.1L、0.2L、0.3L、0.4L、0.5L、0.6L、0.7L、0.8L、0.9L、または1L)、1L~10L(例えば、1L、2L、3L、4L、5L、6L、7L、8L、9L、または10L)、10L~100L(例えば、10L、20L、30L、40L、50L、60L、70L、80L、90L、または100L)、または100L~500L(例えば、100L、150L、200L、250L、300L、350L、400L、450L、または500L)の容量を有する。いくつかの実施形態では、バイオリアクタの容量は100L~300Lである。いくつかの実施形態では、バイオリアクタの容量は0.1L~1L(例えば、0.5L)である。
【0017】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団及び細胞の第2集団は、撹拌する工程中に(例えば、細胞数において)30%を超えて増殖しない。例えば、いくつかの実施形態では、細胞の第1集団及び細胞の第2集団は、230%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%を超えて増殖しない。
【0018】
本明細書に記載の方法で使用されるバイオリアクタは、撹拌タンクバイオリアクタ(例えば、使い捨て撹拌タンクバイオリアクタ)または垂直ホイールバイオリアクタであってもよい。バイオリアクタは、pH、温度、溶存酸素濃度のうちの1つまたは複数を制御するバイオ処理コントローラをさらに備えてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団及び細胞の第2集団はバイオリアクタに付着しない。
いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、互いの平均直径±10%(例えば、±10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%)を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、200μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、面積/周囲長さ比率が45以下、例えば、40、35、30、25、20、15、または10以下である。
【0021】
いくつかの実施形態では、凝集体はスフェロイドである。
いくつかの実施形態では、撹拌する工程は、1時間~72時間(例えば、6時間~72時間、6時間~48時間、12時間~48時間、または12時間~24時間)の継続時間を有する。例えば、いくつかの実施形態では、撹拌する工程は最大48時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は最大24時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は最大18時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は最大12時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は12~24時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は12~48時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は24~48時間の継続時間を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、撹拌は、バイオリアクタを毎分10回転(RPM)~50RPM(例えば、15RPM、20RPM、25RPM、30RPM、35RPM、40RPM、45RPM、または50RPM、例えば、36RPM)の速度で回転させることを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、培地の粘度は0.5cP~2cP(例えば、0.9cP~1.4cP、例えば、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、または2cP)である。
【0024】
いくつかの実施形態では、培地は、1~20μg/mL(例えば、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、11μg/mL、12μg/mL、13μg/mL、14μg/mL、15μg/mL、16μg/mL、17μg/mL、18μg/mL、19μg/mL、または20μg/mL)の組換えヒトインスリン、1~10μg/mL(例えば、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、または10μg/mL)のヒトトランスフェリン、及び1×10-3~1×10-2μg/mL(例えば、1×10-3μg/mL、2×10-3μg/mL、3×10-3μg/mL、4×10-3μg/mL、5×10-3μg/mL、6×10-3μg/mL、7×10-3μg/mL、8×10-3μg/mL、9×10-3μg/mL、または1×10-2μg/mL)のセレナイトを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、培地はラミニン、コラーゲン、エラスチン、またはフィブロネクチンを含む。例えば、培地は、1~10μg/mL(例えば、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、または10μg/mL)のラミニンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、培地はフィブリノーゲンを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、培地は、1~20μM(例えば、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、または20μM)のRho結合タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤を含む。ROCK阻害剤は、例えばY27632であってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、培地はヒト血清を含む。例えば、培地は、0.1%~20%(v/v)のヒト血清、例えば、0.1%~1%(例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、または1%)、例えば、1%~10%(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%)、または10%~20%(例えば、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、培地は1%~10%(v/v)のヒト血清を含む。いくつかの実施形態では、培地は10%(v/v)のヒト血清を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、培地は血小板溶解物(例えば、ヒト血小板溶解物、例えば、PLATELET GOLD(商標))を含む。例えば、培地は、0.1%~10%(v/v)の血小板溶解物、例えば、0.1%~1%(例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、または1%)、または1%~10%(例えば、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%)のヒト血小板溶解物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、培地は1%~5%(v/v)の血小板溶解物を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、培地はグルコース(例えば、4,000mg/L~5,000mg/Lのグルコース、例えば、4,100mg/L、4,200mg/L、4,300mg/L、4,400mg/L、4,500mg/L、4,600mg/L、4,700mg/L、4,800mg/L、4,900mg/L、または5,000mg/Lのグルコース)を含む。いくつかの実施形態では、培地は4,500mg/Lのグルコースを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、培地はグルカゴン(例えば、10ng/mL~100ng/mLのグルカゴン、例えば、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、または100ng/mLのグルカゴン)を含む。いくつかの実施形態では、培地は40ng/mLのグルカゴンを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、培地はデキサメタゾン(例えば、10ng/mL~100ng/mLのデキサメタゾン、例えば、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、または100ng/mLのデキサメタゾン)を含む。いくつかの実施形態では、培地は60ng/mLのデキサメタゾンを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、バイオリアクタは35℃~39℃(例えば、35℃、35.5℃、36℃、36.5℃、37℃、37.5℃、38℃、38.5℃または39℃)の温度でインキュベートされる。
【0033】
いくつかの実施形態では、この方法は、500凝集体/mL~10,000凝集体/mL(例えば、500凝集体/mL、600凝集体/mL、700凝集体/mL、800凝集体/mL、900凝集体/mL、1,000凝集体/mL、2,000凝集体/mL、3,000凝集体/mL、4,000凝集体/mL、5,000凝集体/mL、6,000凝集体/mL、7,000凝集体/mL、8,000凝集体/mL、9,000凝集体/mL、または10,000凝集体/mL)の凝集体密度を生産する。
【0034】
いくつかの実施形態では、この方法は、50μm~200μm(例えば、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、または200μm)のアベレージ凝集体平均直径を生産する。
【0035】
いくつかの実施形態では、この方法は、200μL~50mL、例えば200μL~1mL(例えば、200μL、250μL、300μL、350μL、400μL、450μL、500μL、550μL、600μL、650μL、700μL、750μL、800μL、850μL、900μL、950μL、または1mL)、1mL~10mL(例えば、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、または10mL)、または10mL~100mL(例えば、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、または100mL)の凝集体のアベレージ総容積を生産する。
【0036】
いくつかの実施形態では、この方法は、100mg~100g、例えば、100mg~1g(例えば、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、または1g)、1g~10g(例えば、1g、2g、3g、4g、5g、6g、7g、8g、9g、または10g)、または10g~100g(例えば、10g、20g、30g、40g、50g、60g、70g、80g、90g、または100g)の凝集体のアベレージ総質量を生産する。
【0037】
いくつかの実施形態では、凝集体を収集することは、バイオリアクタのピペッティング、注入、デカント、または排出を含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクタは収集チューブを備え、この方法は収集チューブ内に凝集体を収集することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、この方法は、工程(b)の収集された凝集体を洗浄する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、工程(b)の収集された凝集体を精製する工程をさらに含む。収集された凝集体を、例えば遠心分離または音響的分離によって精製してもよい。例えば、収集された凝集体を、向流向心遠心分離または密度勾配遠心分離によって精製してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、または99%)は、精製後に互いの平均直径±10%(例えば、±10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%)を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、この方法は、工程(b)の収集された凝集体を濃縮する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、工程(b)の収集された凝集体を保存緩衝液内で製剤化する工程をさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドは補強剤をさらに含む。補強剤は、例えば、コラーゲン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ酢酸ビニリデン(PVDA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)、またはポリ(L-乳酸)(PLLA)を含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、凝集体(例えば、凝集体の少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)はそれぞれ、少なくとも1×103個の細胞(例えば、少なくとも1×103個の細胞、2×103個の細胞、3×103個の細胞、4×103個の細胞、5×103個の細胞、6×103個の細胞、7×103個の細胞、8×103個の細胞、9×103個の細胞、または1×104個の細胞)を含む。いくつかの実施形態では、凝集体はそれぞれ少なくとも1×105細胞、1×106細胞、1×107細胞、または1×108細胞を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、凝集体(例えば、凝集体の少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)はそれぞれ、少なくとも50μm(例えば、少なくとも50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、またはそれ以上)の平均直径を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、200μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、面積/周囲長さ比率が45以下、例えば、40、35、30、25、20、15、または10以下である。
【0045】
いくつかの実施形態では、この方法は、工程(a)の前に、例えば細胞を解凍した後に細胞を洗浄することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、(c)工程(b)の収集された凝集体を生体適合性スキャフォールド内に封入する工程をさらに含む。
【0046】
別の態様では、本発明は、細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む複数の細胞集団の凝集体を封入する方法を特徴とする。この方法は、(a)バイオリアクタ内で細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含有する液体培地を、細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む凝集体を形成するのに十分な継続時間だけ撹拌する工程を含む。細胞の第1集団及び細胞の第2集団は、撹拌する工程中に液体培地内で懸濁状態にある。この方法は、細胞の第1集団及び細胞の第2集団の凝集体を生産する。この方法は、(b)工程(a)の凝集体、例えば細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む凝集体を収集する工程をさらに含む。この方法はまた、(c)工程(b)の凝集体を生体適合性スキャフォールド内に封入する工程を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、凝集体を封入することは、重合剤または架橋試薬を提供して生体適合性スキャフォールドを重合または架橋し、それによって凝集体を封入することを含む。
【0048】
生体適合性スキャフォールドは、例えばフィブリノーゲンを含んでもよい。重合剤は、例えばトロンビンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンに重合する。
【0049】
いくつかの実施形態では、この方法は、封入の前に、工程(b)の収集された凝集体を洗浄することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、工程(a)の前に、例えば細胞を解凍した後に細胞を洗浄することをさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、この方法は、封入の前に、工程(b)の収集された凝集体を精製する工程をさらに含む。収集された凝集体を、例えば遠心分離または音響的分離によって精製してもよい。例えば、収集された凝集体を、向流向心遠心分離または密度勾配遠心分離によって精製してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、または99%)は、精製後に互いの平均直径±10%(例えば、±10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%)を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、この方法は、封入の前に、工程(b)の収集された凝集体を濃縮する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、封入の前に、工程(b)の収集された凝集体を保存緩衝液内で製剤化する工程をさらに含む。
【0053】
定義
本明細書で使用される「撹拌」という用語は、細胞培養物の内容物が懸濁状態のままであり、沈殿することも、またはバイオリアクタに付着することもないように、細胞培養物中の液体培地を動かすことを指す。撹拌は、例えば、かき回す、振盪させる、回転させる、高速で回転させるなどの当技術分野で知られている任意の好適な方法によって達成することができる。
【0054】
本開示の文脈で使用される「人工組織構築物」とは、培養細胞(例えば、実質細胞(例えば、肝細胞(例えば、初代ヒト肝細胞)))及び、任意選択で、間質細胞(例えば、線維芽細胞、例えば、新生児包皮線維芽細胞)及び生体適合性スキャフォールド(例えば、生体適合性ヒドロゲルスキャフォールド、例えば、フィブリン)の混合物を指す。人工組織構築物の相対的な容積を、0.1mL~5Lとしてもよい。
【0055】
細胞は、樹立細胞株由来のものでも、または初代細胞のことであってもよく、本明細書では「初代細胞」、「初代細胞株」、及び「初代培養物」は、培養物の限られた数の継代(例えば、スプリット)に由来するとともに生体外で増殖可能な細胞及び細胞培養物を指すために互換的に使用される。例えば、初代培養は、0代、1代、2代、4代、5代、10代、または15代継代されてきたが、クライシス期を通過するには十分な代数を継代されていない培養のことであってもよい。初代細胞株は、生体外で10代未満の継代を維持することができる。細胞が初代細胞である場合、そのような細胞を、任意の便利な方法で個体から収穫することができる。例えば、皮膚、筋肉、骨髄、脾臓、肝臓、膵臓、肺、腸、胃などの組織からの細胞を、生検によって適宜収穫することができる。収穫した細胞の分散または懸濁には適切な溶液を使用することができる。このような溶液は、概して、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡塩類溶液などの平衡塩類溶液であり、概して5~25mMの低濃度で受容可能な緩衝液と併わせて、ウシ胎仔血清または他の天然に生じる因子が適宜補足される。便利な緩衝液には、HEPES、リン酸緩衝液、乳酸緩衝液などがある。細胞を直ちに使用することも、長期間凍結して保存し、解凍して再使用することもできる。このような場合、細胞を、通常、10%DMSO、50%血清、40%緩衝培地、または当技術分野で一般的に使用されているその他のそのようないくつかの溶液で凍結して細胞をそのような凝固点温度で保存し、凍結させた培養細胞を解凍するために当技術分野で一般的に知られている様式で解凍することができる。例えば、肝細胞を、従来の方法(Berry and Friend, 1969, J. Cell Biol. 43:506-520)によって単離してもよく、この方法を、ヒトの肝生検または剖検の材料(例えば、初代ヒト肝細胞を得るため)に適合させることができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「細胞型」という用語は、遺伝子発現データに基づいて統計的に分離可能な表現型を共有する細胞の群を指す。例えば、一般的な細胞型の細胞は、同様の構造的特徴及び/または機能的特徴、例えば、同様の遺伝子活性化パターン及び抗原提示プロファイルを共有している場合がある。共通の細胞型の細胞は、共通の組織(例えば、上皮組織、神経組織、結合組織、または筋肉組織)から単離された細胞、及び/または共通の臓器、組織系、血管、または生体内の他の構造及び/または領域から単離された細胞を含んでもよい。
【0057】
本明細書で使用されるスキャフォールド(例えば、ヒドロゲルスキャフォールド)は、対象(例えば、ヒト)に導入されたときに毒性を示さない場合に「生体適合性」があるとみなされる。本開示の観点では、生体適合性スキャフォールドは、人工組織構築物の細胞に対して、または対象(例えば、ヒト)に生体内に移植されたときに毒性を示さないことが好ましい。例えば、肝細胞に関して、肝毒性を、例えば、肝細胞のアポトーシスによる死亡率(例えば、アポトーシスの増加は肝毒性を示す)、アミノ基転移酵素レベル(例えば、アミノ基転移酵素レベルの増加は肝毒性を示す)、肝細胞のバルーニング(例えば、バルーニングの増加は肝毒性を示す)、肝細胞の小滴性脂肪変性(例えば、脂肪変性の増加は肝毒性を示す)、胆管細胞死亡率(例えば、胆管細胞死亡率の増加は肝毒性を示す)、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)レベル(例えば、GGTレベルの増加は肝毒性を示す)を求めることによって測定することができる。生体適合性スキャフォールドは、フィブリン及びヘパリンを含み得るが、これらに限定されない。生体適合性スキャフォールドは生体適合性ヒドロゲルスキャフォールドであってもよい。
【0058】
本明細書で使用される「ヒドロゲル」という用語は、事実上、親水性であることで材料が大量の水またはその他の水溶液を吸収する、ポリマー鎖のネットワークを指す。ヒドロゲルは、例えば、少なくとも70%v/vの水、少なくとも80%v/vの水、少なくとも90%v/vの水、少なくとも95%、96%、97%、98%、さらには99%以上のv/vの水(または他の水溶液)を含むことができる。ヒドロゲルは天然ポリマーまたは合成ポリマーを含む場合があり、ポリマーネットワークは多くの場合、高度な架橋を特徴としている。ヒドロゲルは、水分含有量が非常に多いので、天然組織と非常によく似た柔軟度も有している。ヒドロゲルは、細胞を培養するためのスキャフォールドとして組織工学の用途に特に有用である。特定の実施形態では、ヒドロゲルは生体適合性ポリマーから作製される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1A】A及びBは、ITS(インスリン-トランスフェリン-セレン)培地単独での、またはラミニンまたはROCK阻害剤を添加した、懸濁条件下で凝集させたときの1mLあたりの細胞数を時間の関数として示すグラフである。Aは生細胞を示し、Bは死亡細胞を示す。
【
図2A】A~Dは、種々の培養条件における、凝集データを示すグラフである。Aは、シード(すなわち凝集体)数を示す。Bは、凝集体の平均直径を示す。Cは、デブリ数を示す。Dは、超凝集体(SuperAgg)数を示す。なお、マイクロウェルベースラインとは、細胞がマイクロウェルに凝集した比較条件である。
【
図3】種々の培養条件における凝集体(シード)の直径分布を示す一連のグラフである。
【
図4】種々の培養条件下で形成された超凝集体を示す顕微鏡写真のセットである。
【
図5】A~Dは、24時間または48時間の培養における種々の培養条件での凝集データを示すグラフである。Aは、シード/凝集体数を示す。Bは、凝集体の平均直径を示す。Cは、デブリ数を示す。Dは、超凝集体数を示す。
【
図6】種々の培養条件下で形成された凝集体を示す顕微鏡写真のセットである。
【
図7】A~Dは、ITSのみでの、またはROCK阻害剤の存在下での、凝集体(シード)のデータを示すグラフである。Aは、種々の反復実験における凝集体(シード)サイズを示す。Bは、種々の反復実験における凝集体(シード)濃度を示す。Cは、種々の反復実験を受けた凝集体(シード)サイズを示す。Dは、種々の反復実験を受けたデブリ濃度を示す。
【
図8】A及びBは、アンモニアクリアランスを示すグラフである。Aは、アンモニアクリアランスを示す。Bは、無細胞背景を控除した同じデータを示す。
【
図9】A及びBは、マイクロウェル内で形成された凝集体と比較して、懸濁条件下で形成された凝集体におけるアンモニアクリアランスを示すグラフである。Aは、マイクロウェル内で形成された凝集体と比較したアンモニアクリアランスを示し、Bは、18時間および42時間におけるマイクロウェル内で形成された凝集体と比較したアンモニアクリアランスを示す。
【
図10】ITSのみでの、またはROCK阻害剤の存在下での種々の培養条件下での凝集体(シード)特性を示す表である。
【
図11】ITSで形成された凝集体の凝集体(シード)サイズを示す顕微鏡写真及びグラフの例示的なセットである。シード数:2052、シード濃度(300μLと仮定):6840.0シード/mL、シード平均直径:86.8μm、シード中央直径:81.6μm、デブリスコア:11321、超凝集体数:2。
【
図12】ROCK阻害剤の存在下で形成された凝集体の凝集体(シード)サイズを示す顕微鏡写真及びグラフの例示的なセットである。シード数:1160、シード濃度(300μLと仮定):3866.7シード/mL、シード平均直径:102.5μm、シード中央直径:97.3μm、デブリスコア:2045、超凝集体数:1。
【
図13】A及びBは、懸濁条件下での24時間の培養にわたる細胞の濃度を示すグラフである。Aは、生細胞を示し、Bは、死亡細胞を示す。
【
図14】A~Dは、ヒト血清(HS)および血小板金(PG;ヒト溶解物)の様々な濃度における凝集データを示すグラフである。Aは、凝集体(シード)のサイズを示す。Bは、アベレージ凝集体(シード)容積を示す。Cは、凝集体(シード)濃度を示す。Dは、凝集体(シード)の全容積を示す。
【
図15】A~Dは、様々な培養条件下で生成された凝集データを示すグラフである。Aは、凝集体(シード)のサイズを示す。Bは、アベレージ凝集体(シード)容積を示す。Cは、アベレージ凝集体(シード)容積を示す。Dは、全凝集体(シード)容積を示す。VWB_005及びVWB_006はITS、フィブリノーゲン、ROCK阻害剤、ラミニン、及び10%ウシ胎児血清。VWB_007はヒト血清及び血小板溶解物。
【
図16】ITS、Platelet Gold及びヒト血清条件を含む種々の培養条件下で24時間後に形成された乳酸脱水素酵素(LDH)を示すグラフである。
【
図17】24時間後に収穫された凝集体の位相差画像上に重ねられた生蛍光染色チャネル及び死亡蛍光染色チャネルを示す顕微鏡写真のセットである。
【
図18】向流遠心分離システムを使用するCTS(商標)ROTEA(商標)収穫物で解凍または洗浄した場合の、洗浄後の生存細胞及び死亡細胞(正常ヒト皮膚線維芽細胞)の数を示すグラフである。生存率は98%から97%で変化しなかった。回復率は約87%であった。
【
図19】A~Cは、CTS(商標)ROTEA(商標)向流遠心分離システムを使用して洗浄した後に、生細胞および死亡細胞(初代ヒト肝細胞(PHH))の数を示すグラフである。Aは、30mL/分、Bは、60mL/分、Cは、17mL/分を示す。
【
図20】A及びBは、CTS(商標)ROTEA(商標)向流遠心分離システムを使用して洗浄した後の、生存細胞を示すグラフである。Aは、流量の関数として生存細胞の割合を示す。Bは、流量の関数としての死亡細胞数の%変化を示す。
【
図21】CTS(商標)ROTEA(商標)向流遠心分離システムを使用してマイクロウェルベースの凝集体を洗浄する前(左)と洗浄した後(右)の凝集体(シード)データを示すグラフのセットである。
【
図22】凝集体サイズの関数として回収率を示すグラフである。
【
図23】CTS(商標)ROTEA(商標)向流遠心分離システムを使用した垂直ホイールバイオリアクタベースの凝集体の洗浄及び濃縮の前(上)と後(下)の凝集体(シード)データを示すグラフのセットである。
【
図24】2回の反復実験における凝集体サイズの関数としての推定収穫率(%)を示すグラフである。
【
図25】A~Dは、24時間の凝集後の、示された条件(ITS、10%ヒト血清、5%ヒト血清、または5% Platelet Gold)でのシード数(A)、シード濃度(B)シード直径(C)デブリ数(D)を示すグラフのセットである。
【
図26】24時間の懸濁誘導凝集後の、示された培地条件での超凝集体数を示すグラフである。
【
図27】A及びBは、示された培地条件でのアベレージシード容積及び培養物1mLあたりのシード容積を示すグラフである。
【
図28】A及びBは、リアクタ当たり(凝集)のLDH(mU)の正規化された値(A)及びプレート当たり(封入)(B)のLDH(mU)の正規化された値を示すグラフである。HSはヒト血清であり、PGはPLATELET GOLD(商標)ヒト血小板溶解物である。
【
図29】A及びBは、24時間のVWB凝集中にPHHおよびNHDF細胞懸濁液が放出したアラニンアミノ基転移酵素(ALT)(U/L)(A)及びアスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)(U/L)(B)を示すグラフである。各リアクタ条件からn=3サンプル。平均値及び95%信頼区間がプロットされている。プロットされた値は、0時間後(凝集開始)におけるALT及びASTの初期レベルを表す。
【
図30】A及びBは、アンモニアクリアランスを示すグラフである。Aは、無細胞対照を含む正規化されたアンモニア濃度を示す。Bは、無細胞対照を控除/除去した実験グループの相対アンモニアを示す。各条件にn=4、平均値及び95%信頼区間がプロットされている。破線は相対アンモニア濃度1.0(相対アンモニア濃度100%)である。
【
図31】72時間後の除去されたアンモニアの相対レベルを示すグラフである。各条件にn=4グラフト。平均値及び95%信頼区間がプロットされている。
【
図32】試験が行われた種々の凝集培地製剤から作られたグラフトのアンモニアクリアランスk値を示すグラフである。各条件にn=4グラフト、平均がプロットされている。制約事項:k>0。
【
図33】示された実験条件での凝集時間の関数としてのシード濃度を示すグラフである。
【
図34】示された実験条件での凝集時間の関数としてのシード直径を示すグラフである。
【
図35】A及びBは、示された実験条件での凝集時間の関数として残留細胞の総数(A)または死亡細胞の総数(B)を示すグラフである。
【
図36】A及びBは、示された実験条件について、凝集時間の関数として凝集中に分泌されたAST(A)及び凝集時間の関数としてPHH濃度で正規化されたAST(B)を示すグラフである。
【
図37】示された実験条件での凝集時間の関数としてのシード生存率を示すグラフである。
【
図38】A及びBは、対照が存在する場合のアンモニアクリアランスのU1効力選別(A)または対照を控除した場合のアンモニアクリアランスのU1効力選別(B)を示すグラフのセットである。
【
図39】A及びBは、FIBRYGA(登録商標)対照が存在する場合のU1-サロシード(surroseed)全シグナル(ヒトアルブミン)(A)またはFIBRYGA(登録商標)対照が控除された場合のU1-サロシード(surroseed)全シグナル(ヒトアルブミン)(B)を示すグラフである。グループ:1:マイクロウェル、Lonza、RUOフィブリン;2:VWB、ABM、FIBRYGA(登録商標);3:マイクロウェル、ABM、FIBRYGA(登録商標);4:マイクロウェル、ABM、RUOフィブリン;5:VWB、ABM、RUOフィブリン;6:マイクロウェル、Lonza、FIBRYGA(登録商標);7:GMP FIBRYGA(登録商標)(無細胞対照)。
【
図40】マウスにおけるグラフト移植のタイムラインを示す概略図である。
【
図41】A~Cは、生体内血漿バイオマーカーの傾向を示すグラフである。Aはアルブミン、Bはトランスフェリン、Cはアルブミンとトランスフェリンとの相関関係を示すグループ:1:ベースライン(マイクロウェル、拡大Lonza、RUOフィブリン);2:新規(VWB、ABM T&A、FIBRYGA(登録商標));3:対照(マイクロウェル、ABM、ABM T&A、GMPフィブリン);4:対照(マイクロウェル、ABM T&A、RUOフィブリン);5:対照(VWB、ABM T&A、RUOフィブリン);6:対照(無細胞GMPフィブリン)。
【
図42】CK18染色肝細胞画像の例を示す画像である。
【
図43】CD31染色血管画像の例を示す画像である。
【
図44】細胞プロファイラによる肝細胞凝集体の検出例を示す画像である。
【
図45】血管解析の関心事の領域を定義するために肝細胞の周囲の領域を拡大した例を示す画像である。
【
図46】肝細胞の位置に基づいてROI定義の結果として得られたマスクの例を示す画像である。
【
図47】マスクによって選択されたCD31血管領域の例を示す画像である。
【
図48】アベレージ血管長を示すグラフである。データは平均値及び95%信頼区間である。
【
図49】1mm
2あたりの肝細胞凝集体数を示すグラフである。
【
図50】1mm
2あたりの血管の数を示すグラフである。
【
図51】単位肝細胞凝集体数あたりの血管数を示すグラフである。
【
図52】分泌されたヒトアルブミンレベルと凝集体密度との相関関係評価を示すグラフである。
【
図53】単位凝集体数あたりの血管数と分泌されたアルブミンとの相関評価を示すグラフである。
【
図54】ROTEA(商標)向流遠心分離システムによる洗浄の有無にかかわらず、垂直ホイールバイオリアクタによって生産されたシードの用量密度の関数としてのシード層高さを示すグラフである。
【
図55】様々な用量及びシード種類のシード層高さのグラフト断面を示す一連の画像である。VWBは垂直ホイールバイオリアクタである。
【
図56】A及びBは、0時間後および22時間後における60mL、75mL、100mL、及び375mLの容積の凝集細胞中の補正されたALTレベル(A)及びASTレベル(B)を示すグラフである。
【
図57】22時間後までの60mL、75mL、100mL、及び375mLの容積の凝集細胞中の酸素分圧を示すグラフである。
【
図58】A及びBは、0時間後、24時間後、および60時間後における正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)、初代ヒト肝細胞(PHH)、ならびにNHDF及びPHHの組み合わせからの乳酸脱水素酵素(LDH)濃度(mU)を示すグラフである。Aは、細胞外LDH及びBは、全LDHを示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
組織工学のための細胞凝集体の形成は、様々な治療アプローチに有用な組織を作成するための第一歩として重要である。しかし、そのような条件を達成するために生物学的条件を模倣することは依然として困難である。特に、多くの方法では2次元アプローチが利用されており、多くの組織に必要な3次元構造と比較して、2次元アプローチでは組織の平坦な層しか作成できない場合がある。そのうえ、細胞凝集体の容易な操作を採用することは、堅牢な細胞の成長及び凝集を確実にするために様々な細胞培地の交換が必要であるため、依然として困難である。
【0061】
本発明は、液体培地内で懸濁状態の凝集体を生産するバイオリアクタベースの方法を提供することにより、この問題を解決する。この方法は、細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む複数の細胞集団を提供することと、細胞の第1集団及び細胞の第2集団の凝集体を形成するのに十分な継続時間、バイオリアクタ内で細胞集団を含む液体培地を撹拌することを含む。本発明は、細胞を懸濁状態に維持し、凝集に必要な細胞同士の接触が最小限であると想定されているにもかかわらず、バイオリアクタ内の撹拌された液体培地内で細胞の2つの異なる集団の凝集体が形成され得るという驚くべき発見に一部基づいている。そのうえ、この方法は、凝集を促進しながら増殖を低減、排除、または最小限に抑え、こうして組織及び臓器工学用の生体適合性スキャフォールドへの封入など、様々な下流の用途に有用な細胞凝集体を作成する。最後に、懸濁液ベースのバイオリアクタを使用すると、商業的に適切な量の細胞凝集体の生産を尺度に応じて拡大・縮小させることが可能になる。
【0062】
凝集体の生産方法
本発明は、複数の細胞集団(例えば、細胞の第1集団及び細胞の第2集団)の凝集体を生産する方法を特徴とする。この方法は、バイオリアクタ内で細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含有する液体培地を撹拌する工程を含む。細胞の第1集団及び細胞の第2集団は、撹拌する工程中に液体培地内で懸濁状態にある。細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含む凝集体を形成するのに十分な継続時間で細胞を撹拌する。この方法は、細胞の第1集団及び細胞の第2集団の凝集体を収集することをさらに含んでもよい。これらの凝集体を、生体適合性スキャフォールドに封入して人工組織構築物を形成するなど、その後の下流用途に使用してもよい。封入の前に、好適な保存培地(例えば、緩衝液)内で、凝集体を収集し、洗浄し、精製し、濃縮し、及び/または製剤化してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団及び細胞の第2集団は、撹拌する工程中に(例えば、細胞数において)30%を超えて増殖しない。例えば、いくつかの実施形態では、細胞の第1集団及び細胞の第2集団は、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%を超えて増殖しない。
【0064】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団及び細胞の第2集団はバイオリアクタに付着しない。
いくつかの実施形態では、撹拌する工程は1時間~72時間(例えば、6時間~72時間、6時間~48時間、12時間~48時間、または12時間~24時間、例えば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間、49時間、50時間、51時間、52時間、53時間、54時間、55時間、56時間、57時間、58時間、59時間、60時間、61時間、62時間、63時間、64時間、65時間、66時間、67時間、68時間、69時間、70時間、71時間、または72時間)の継続時間を有する。例えば、いくつかの実施形態では、撹拌する工程は最大48時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は最大24時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は最大18時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は最大12時間の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は、12~24時間(例えば、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間)の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は、12~48時間(例えば、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、30時間、36時間、42時間、または48時間)の継続時間を含む。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は、24~48時間の継続時間を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、撹拌する工程は、細胞の第1集団及び/または細胞の第2集団の倍加時間以下の継続時間を有する。いくつかの実施形態では、撹拌する工程は、細胞の第1集団及び/または細胞の第2集団の倍加時間の3倍以下(例えば、2倍以下または1倍以下)の継続時間を有する。このような制約により、増殖を促進することなく凝集を促進するために細胞の数を増やすことが妨げられる可能性がある。例えば、細胞の集団が24~36時間の倍加時間を有する場合、いくつかの実施形態では、撹拌する工程は72時間を超えない(すなわち、24時間の倍加時間の2倍を超えない)場合がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、撹拌は、例えば、かき回す、振盪させる、回転させる、高速で回転させるなどの当技術分野で知られている任意の好適な方法によって達成することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、撹拌は、バイオリアクタを10RPM~50RPM(例えば、15RPM、20RPM、25RPM、30RPM、35RPM、40RPM、45RPM、または50RPM、例えば、36RPM)の速度で回転させることを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、バイオリアクタは35℃~39℃(例えば、35℃、35.5℃、36℃、36.5℃、37℃、37.5℃、38℃、38.5℃または39℃)の温度でインキュベートされる。
【0069】
いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、互いの平均直径±10%(例えば、±10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%)を有する。いくつかの実施形態では、凝集体はスフェロイドである。
【0070】
当業者であれば、凝集体の集団は、その集団内で一連のZアベレージ平均粒子直径を有し得ることを理解するであろう。したがって、集団は多分散系であってもよい。集団は0.7以下(例えば、0.05~0.7、例えば、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.65、または0.7)の多分散指数を有してもよい。多分散指数を、DLSを使用して測定することができる(例えば、ISO22412:2017を参照のこと)。精製を使用して、この方法によって生産された凝集体の集団の多分散性を低減し、例えば、より単分散の集団を生産してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、この方法は、500凝集体/mL~10,000凝集体/mL(例えば、500凝集体/mL、600凝集体/mL、700凝集体/mL、800凝集体/mL、900凝集体/mL、1,000凝集体/mL、2,000凝集体/mL、3,000凝集体/mL、4,000凝集体/mL、5,000凝集体/mL、6,000凝集体/mL、7,000凝集体/mL、8,000凝集体/mL、9,000凝集体/mL、または10,000凝集体/mL)の凝集体密度を生産する。
【0072】
いくつかの実施形態では、この方法は、50μm~200μm(例えば、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、または200μm)のアベレージ凝集体平均直径を生産する。いくつかの実施形態では、凝集体(例えば、凝集体の少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)はそれぞれ、少なくとも50μm(例えば、少なくとも50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、またはそれ以上)の平均直径を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、200μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、面積/周囲長さ比率が45以下、例えば、40、35、30、25、20、15、または10以下である。
【0074】
いくつかの実施形態では、凝集体(例えば、凝集体の少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)はそれぞれ、少なくとも1×103個の細胞(例えば、少なくとも1×103個の細胞、2×103個の細胞、3×103個の細胞、4×103個の細胞、5×103個の細胞、6×103個の細胞、7×103個の細胞、8×103個の細胞、9×103個の細胞、または1×104個の細胞)を含む。いくつかの実施形態では、凝集体はそれぞれ少なくとも1×105細胞、1×106細胞、1×107細胞、または1×108細胞を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、この方法は、200μL~50mL、例えば200μL~1mL(例えば、200μL、250μL、300μL、350μL、400μL、450μL、500μL、550μL、600μL、650μL、700μL、750μL、800μL、850μL、900μL、950μL、または1mL)、1mL~10mL(例えば、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、または10mL)、または10mL~100mL(例えば、10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、または100mL)の凝集体のアベレージ総容積を生産する。
【0076】
いくつかの実施形態では、この方法は、100mg~100g、例えば、100mg~1g(例えば、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、または1g)、1g~10g(例えば、1g、2g、3g、4g、5g、6g、7g、8g、9g、または10g)、または10g~100g(例えば、10g、20g、30g、40g、50g、60g、70g、80g、90g、または100g)の凝集体のアベレージ総質量を生産する。
【0077】
本明細書に記載された方法は、バイオリアクタから凝集体を収集することをさらに含んでもよい。凝集体を収集することは、例えば、バイオリアクタのピペッティング、注入、デカント、または排出を含んでもよい。いくつかの実施形態では、バイオリアクタは収集チューブを備え、この方法は収集チューブ内に凝集体を収集することを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、この方法は、例えば洗浄緩衝液を用いて収集された凝集体を洗浄し、例えばあらゆる培地を除去する工程をさらに含む。洗浄は、例えば、培地のピペッティング、注入、デカント、または排出を含んでもよい。洗浄は培地の透析または交換を含んでもよい。凝集体を遠心分離または音響的分離によって洗浄してもよい。例えば、収集された凝集体を、向流向心遠心分離または密度勾配遠心分離によって洗浄してもよい。凝集体を、CTS(商標)ROTEA(商標)向流遠心分離システムによって洗浄してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、この方法は、細胞を懸濁培養する前に、例えば細胞を解凍した後に、細胞を洗浄することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、収集された凝集体を精製する工程をさらに含む。収集された凝集体を、例えば遠心分離または音響的分離によって精製してもよい。例えば、収集された凝集体を、向流向心遠心分離または密度勾配遠心分離によって精製してもよい。いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、または99%)は、精製後に互いの平均直径±10%(例えば、±10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%)を有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、200μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、凝集体の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%)は、面積/周囲長さ比率が45以下、例えば、40、35、30、25、20、15、または10以下である。
【0081】
凝集体を、CTS ROTEA(商標)向流遠心分離システムによって精製してもよい。
いくつかの実施形態では、この方法は、収集された凝集体を、例えば生体適合性スキャフォールドに組み込むのに好適な濃度まで濃縮する工程をさらに含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、この方法は、例えば保存または下流での使用のために、収集された凝集体を保存緩衝液内で製剤化する工程をさらに含む。
バイオリアクタ
本明細書に記載される方法は、バイオリアクタ内で複数の細胞集団を撹拌することを含む。バイオリアクタは、細胞集団を撹拌して撹拌中に細胞を懸濁状態に維持するのに十分な任意の好適なバイオリアクタであってもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、バイオリアクタは、0.1L~500L、例えば、0.1L~10L(0.1L、0.2L、0.3L、0.4L、0.5L、0.6L、0.7L、0.8L、0.9L、または1L)、1L~10L(例えば、1L、2L、3L、4L、5L、6L、7L、8L、9L、または10L)、10L~100L(例えば、10L、20L、30L、40L、50L、60L、70L、80L、90L、または100L)、または100L~500L(例えば、100L、150L、200L、250L、300L、350L、400L、450L、または500L)の容量を有する。いくつかの実施形態では、バイオリアクタの容量は100L~300Lである。いくつかの実施形態では、バイオリアクタの容量は0.5Lである。
【0084】
本明細書に記載の方法で使用されるバイオリアクタは、撹拌タンクバイオリアクタ(例えば、使い捨て撹拌タンクバイオリアクタ)または垂直ホイールバイオリアクタであってもよい。いくつかの実施形態では、バイオリアクタは、BIOBLUE(登録商標)c Single-Use Bioreactor(エッペンドルフ)である。いくつかの実施形態では、バイオリアクタは、SCIVARIO(登録商標)ツインバイオリアクタ(エッペンドルフ)である。
【0085】
バイオリアクタは、バイオ処理コントローラをさらに備えてもよい。バイオ処理コントローラは、pH、温度、及び溶存酸素濃度のうちの1つまたは複数を制御してもよい。
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団及び細胞の第2集団はバイオリアクタに付着しない。したがって、バイオリアクタは、細胞の付着を防止するためのコーティングを含んでもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、バイオリアクタ(例えば、垂直ホイールバイオリアクタ)は、10RPM~50RPM(例えば、15RPM、20RPM、25RPM、30RPM、35RPM、40RPM、45RPM、または50RPM、例えば、36RPM)の速度で回転する。
【0087】
いくつかの実施形態では、バイオリアクタは収集チューブを備え、この方法は収集チューブ内に凝集体を収集することを含む。
凝集培地
本明細書に記載される方法は、液体培地内の細胞集団を撹拌して凝集体を形成することを含む。液体培地は、凝集体を形成するのに十分な任意の好適な培地であってもよい。培地は、例えば、血清(例えば、ヒト血清)または血清代替物を含んでもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、培地の粘度は0.5cP~2cP(例えば、0.9cP~1.4cP、例えば、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、または2cP)である。粘度を調整して細胞同士の接触を最適化し、凝集を強化してもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、培地は、組換え1~20μg/mLの組換えヒトインスリン、1~10μg/mLのヒトトランスフェリン、及び1×10-3~1×10-2μg/mLのセレナイトを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、培地はラミニン、コラーゲン、エラスチン、またはフィブロネクチンを含む。例えば、培地は、1~10μg/mL(例えば、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、または10μg/mL)のラミニンを含んでもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、培地は、1~20μM(例えば、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、または20μM)のRho結合タンパク質キナーゼ(ROCK)阻害剤を含む。ROCK阻害剤は、例えばY27632であってもよい。その他のROCK阻害剤には、AT-13148、BA-210、β-エレメン、クロマン1、DJ4、ファスジル、GSK-576371、GSK429286A、H-1152、ヒドロキシファスジル、LX-7101、ネタルスジル、RKI-1447、リパスジル、TCS-7001、チアゾビビン、ベロスジル、Y-30141、Y33075、Y-39983が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
いくつかの実施形態では、培地はヒト血清を含む。例えば、培地は、0.1%~20%(v/v)のヒト血清、例えば、0.1%~1%(例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、または1%)、例えば、1%~10%(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%)、または10%~20%(例えば、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、培地は1%~10%(v/v)のヒト血清を含む。いくつかの実施形態では、培地は5%(v/v)のヒト血清を含む。他の実施形態では、培地は10%(v/v)のヒト血清を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、培地は血小板溶解物(例えば、ヒト血小板溶解物、例えば、PLATELET GOLD(商標))を含む。例えば、培地は、0.1%~10%(v/v)の血小板溶解物、例えば、0.1%~1%(例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、または1%)、または1%~10%(例えば、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%)の血小板溶解物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、培地は1%~5%(v/v)の血小板溶解物を含む。いくつかの実施形態では、培地は5%(v/v)の血小板溶解物を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、培地はグルコース(例えば、4,000mg/L~5,000mg/Lのグルコース、例えば、4,100mg/L、4,200mg/L、4,300mg/L、4,400mg/L、4,500mg/L、4,600mg/L、4,700mg/L、4,800mg/L、4,900mg/L、または5,000mg/Lのグルコース)を含む。いくつかの実施形態では、培地は4,500mg/Lのグルコースを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、培地はグルカゴン(例えば、10ng/mL~100ng/mLのグルカゴン、例えば、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、または100ng/mLのグルカゴン)を含む。いくつかの実施形態では、培地は40ng/mLのグルカゴンを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、培地はフィブリノーゲンを含む。
いくつかの実施形態では、培地はデキサメタゾン(例えば、10ng/mL~100ng/mLのデキサメタゾン、例えば、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、または100ng/mLのデキサメタゾン)を含む。いくつかの実施形態では、培地は60ng/mLのデキサメタゾンを含む。
【0097】
細胞集団
本明細書に記載される方法は、複数の細胞集団を撹拌して凝集体を生産することを含む。細胞集団は、本開示の方法での使用を促す適切な形態、表現型、及び細胞機能を維持するように最適化してもよい。本明細書に記載される方法の細胞集団は、哺乳動物(例えば、ヒト)細胞の集団を含んでもよい。集団は、初代細胞、操作された細胞、細胞凝集体、人工多能性幹細胞(iPSC)由来細胞、胚性幹細胞(ESC)由来細胞、分化転換細胞、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。細胞は、例えば、生体外で増殖された初代細胞などの初代細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、内分泌細胞、外分泌細胞、傍分泌細胞、ヘテロクリン細胞、自己分泌細胞、またはジャクスタクリン細胞を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、細胞の集団は、ライディッヒ細胞、副腎皮質細胞、下垂体細胞、甲状腺細胞、顆粒膜細胞、乳腺上皮細胞、胸腺細胞、胸腺上皮細胞、視床下部細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、及び/または神経細胞を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、下垂体細胞は、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体細胞、乳腺刺激ホルモン産生下垂体細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生下垂体細胞、成長ホルモン産生下垂体細胞、及び/または性腺刺激ホルモン産生下垂体細胞を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、神経細胞はドーパミン作動性細胞を含む。
いくつかの実施形態では、細胞の集団は、実質細胞(例えば、肝細胞、膵臓外分泌細胞、筋細胞、膵臓内分泌細胞、ニューロン、腸細胞、脂肪細胞、脾臓細胞、腎細胞、胆管細胞、クッパー細胞、星細胞、心筋細胞、肺胞上皮細胞、細気管支細胞、クラブ細胞、尿路上皮細胞、粘液細胞、壁細胞、主細胞、G細胞、杯細胞、腸内分泌細胞、パネート細胞、M細胞、タフト細胞、グリア細胞、胆嚢細胞、ケラチノサイト、メラノサイト、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、骨細胞、破骨細胞、食道細胞、光受容細胞、及び角膜上皮細胞)を含む。いくつかの実施形態では、実質細胞は膵臓細胞(例えば、アルファ細胞、ベータ細胞、ガンマ細胞、デルタ細胞、イプシロン細胞、またはそれらの任意の組み合わせ)である。いくつかの実施形態では、実質細胞はベータ細胞を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、この方法は、細胞の2つまたはそれよりも多くの集団(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の細胞の集団)を凝集させることを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、細胞の集団は肝細胞の集団及び間質細胞の集団を含む。
いくつかの実施形態では、間質細胞は線維芽細胞を含む。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト真皮線維芽細胞(例えば、正常ヒト皮膚線維芽細胞、新生児包皮線維芽細胞、ヒト肺線維芽細胞、ヒト心室線維芽細胞、ヒト心房線維芽細胞、ヒト子宮線維芽細胞、ヒト膀胱線維芽細胞、ヒト歯肉線維芽細胞、ヒト心膜線維芽細胞、ヒト胆嚢線維芽細胞、ヒト門脈線維芽細胞、ヒト精管線維芽細胞)である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト皮膚線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞は正常ヒト皮膚線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞は新生児包皮線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト肺線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト心室線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト心房線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト子宮線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト膀胱線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト歯肉線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト心膜線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト胆嚢線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞はヒト門脈線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞は精管線維芽細胞である。
【0103】
いくつかの実施形態では、細胞は、操作された細胞、初代細胞、または分化転換細胞である。
いくつかの実施形態では、操作された細胞は、抗体、サイトカイン、酵素、凝固因子、またはホルモンなどのタンパク質を発現または分泌するように操作される。タンパク質は、例えば、内因性ヒトタンパク質または人工タンパク質であってもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は間質細胞(例えば、線維芽細胞)を含む。線維芽細胞は、例えば、初代線維芽細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)由来線維芽細胞、または胚性幹細胞(ESC)由来線維芽細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、線維芽細胞は遺伝子操作された線維芽細胞である。
【0105】
いくつかの実施形態では、細胞の第2集団は実質細胞を含む。実質細胞は、例えば肝細胞(例えば、ヒト肝細胞、例えば、初代ヒト肝細胞)または肝細胞前駆細胞であってもよい。肝細胞は、例えば、初代肝細胞(例えば、初代ヒト肝細胞)、iPSC由来肝細胞、またはESC由来肝細胞であってもよい。肝細胞は遺伝子操作された肝細胞である可能性がある。実質細胞は、膵臓細胞(例えば、アルファ細胞、ベータ細胞、ガンマ細胞、デルタ細胞、もしくはイプシロン細胞、またはそれらの組み合わせ)または膵臓前駆細胞を含んでもよい。膵臓細胞は、例えば、初代ヒト膵臓細胞、iPSC由来膵臓細胞、またはESC由来膵臓細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、膵臓細胞は遺伝子操作された膵臓細胞である。
【0106】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、細胞の第2集団は肝細胞を含む。
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、第2集団は肝細胞前駆細胞を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は線維芽細胞を含み、第2集団は膵臓ベータ細胞を含む。
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団(例えば、間質細胞、例えば、線維芽細胞、例えば、正常ヒト皮膚線維芽細胞)の、細胞の第2集団(例えば、実質細胞、例えば、肝細胞、例えば、初代ヒト肝細胞)に対する比率は、10:1~1:10(例えば、10:1~1:1、9:1~1:1、8:1~1:1、7:1~1:1、6:1~1:1、5:1~1:1、4:1~1:1、3:1~1:1、2:1~1:1、1:10~1:1~1:2、1:1~1:3、1:1~1:4、1:1~1:5、1:1~1:6、1:1~1:7、1:1~1:8、1:1~1:9、または1:1~1:10)である。例えば、細胞の第1集団の、細胞の第2集団に対する比率は、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10であってもよい。いくつかの実施形態では、この比率は2:1である。
【0108】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団(例えば、間質細胞、例えば、線維芽細胞、例えば、正常ヒト皮膚線維芽細胞)及び細胞の第2集団(例えば、実質細胞、例えば、肝細胞、例えば、初代ヒト肝細胞)は、撹拌する工程中に30%を超えて(例えば、細胞数において)増殖しない。例えば、いくつかの実施形態では、細胞の第1集団及び細胞の第2集団は、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%を超えて増殖しない。
【0109】
いくつかの実施形態では、この方法は、細胞数の実質的な増加を引き起こすことなく凝集を促進する。例えば、いくつかの実施形態では、細胞の第1集団の、細胞の第2集団に対する比率は10倍を超えて増加しない(例えば、9.5倍、9倍、8倍、7.5倍、7倍、6.5倍、6倍、5.5倍、5倍、4.5倍、4倍、3.5倍、3倍、2.5倍、2倍、1.5倍、または1倍を超えて増加しない)。例えば、いくつかの実施形態では、細胞の第1集団の、細胞の第2集団に対する初期の比率(例えば、NHDF:PHH)は2:1であり、この比率は4:1または5:1を超えて増加しない(すなわち、2.5倍を超えて増加しない)。
【0110】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団の、細胞の第2集団に対する比率は、1倍~10倍(例えば、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または10倍、例えば、1倍~3倍、例えば、1倍~2.5倍、例えば、1倍、1.5倍、2倍、または2.5倍)増加する。
【0111】
線維芽細胞は24時間~36時間の倍加時間を有する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、24時間~36時間(例えば、24時間)の凝集時間は、線維芽細胞の倍加時間以下であり、したがって、凝集中の細胞数のいかなる増加も妨げられる。同様に、PHHは非常に長い倍加時間を有しており、例えば無限大に近づくため、凝集中のPHHの細胞数のいかなる増加も妨げられる。
【0112】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団(例えば、間質細胞、例えば、線維芽細胞、例えば、正常ヒト皮膚線維芽細胞)の、細胞の第2集団(例えば、実質細胞、例えば、肝細胞、例えば、初代ヒト肝細胞)に対する比率は、0.1:1~5:1である。いくつかの実施形態では、この比率は0.2:1~3.8:1である。いくつかの実施形態では、この比率は3.8:1である。いくつかの実施形態では、この比率は3:1である。いくつかの実施形態では、この比率は2.5:1である。いくつかの実施形態では、この比率は2:1である。いくつかの実施形態では、この比率は1:1である。いくつかの実施形態では、この比率は0.2:1である。いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は、1×104細胞/mL~1×108細胞/mLの密度で存在する。例えば、細胞の第1集団は、1×104細胞/mL~1×105細胞/mL(例えば、1×104細胞/mL、2×104細胞/mL、3×104細胞/mL、4×104細胞/mL、5×104細胞/mL、6×104細胞/mL、7×104細胞/mL、8×104細胞/mL、9×104細胞/mL、または1×105細胞/mL)、1×105細胞/mL~1×106細胞/mL(例えば、1×105細胞/mL、2×105細胞/mL、3×105細胞/mL、4×105細胞/mL、5×105細胞/mL、6×105細胞/mL、7×105細胞/mL、8×105細胞/mL、9×105細胞/mL、または1×106細胞/mL)、1×106細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、1×106細胞/mL、2×106細胞/mL、3×106細胞/mL、4×106細胞/mL、5×106細胞/mL、6×106細胞/mL、7×106細胞/mL、8×106細胞/mL、9×106細胞/mL、または1×107細胞/mL)、または1×107細胞/mL~1×108細胞/mL(例えば、1×107細胞/mL、2×107細胞/mL、3×107細胞/mL、4×107細胞/mL、5×107細胞/mL、6×107細胞/mL、7×107細胞/mL、8×107細胞/mL、9×107細胞/mL、または1×108細胞/mL)の密度で存在してもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、細胞の第1集団は線維芽細胞(例えば、初代線維芽細胞、例えば、初代ヒト線維芽細胞)を含み、線維芽細胞の密度は1×105細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、1×105細胞/mL、2×105細胞/mL、3×105細胞/mL、4×105細胞/mL、5×105細胞/mL、6×105細胞/mL、7×105細胞/mL、8×105細胞/mL、9×105細胞/mL、1×106細胞/mL、2×106細胞/mL、3×106細胞/mL、4×106細胞/mL、5×106細胞/mL、6×106細胞/mL、7×106細胞/mL、8×106細胞/mL、9×106細胞/mL、または1×107細胞/mL)である。例えば、線維芽細胞の密度は、例えば、6×105細胞/mLであってもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、細胞の第2集団は1×104細胞/mL~1×108細胞/mLの密度で存在する。例えば、細胞の第2集団は、1×104細胞/mL~1×105細胞/mL(例えば、1×104細胞/mL、2×104細胞/mL、3×104細胞/mL、4×104細胞/mL、5×104細胞/mL、6×104細胞/mL、7×104細胞/mL、8×104細胞/mL、9×104細胞/mL、または1×105細胞/mL)、1×105細胞/mL~1×106細胞/mL(例えば、1×105細胞/mL、2×105細胞/mL、3×105細胞/mL、4×105細胞/mL、5×105細胞/mL、6×105細胞/mL、7×105細胞/mL、8×105細胞/mL、9×105細胞/mL、または1×106細胞/mL)、1×106細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、1×106細胞/mL、2×106細胞/mL、3×106細胞/mL、4×106細胞/mL、5×106細胞/mL、6×106細胞/mL、7×106細胞/mL、8×106細胞/mL、9×106細胞/mL、または1×107細胞/mL)、または1×107細胞/mL~1×108細胞/mL(例えば、1×107細胞/mL、2×107細胞/mL、3×107細胞/mL、4×107細胞/mL、5×107細胞/mL、6×107細胞/mL、7×107細胞/mL、8×107細胞/mL、9×107細胞/mL、または1×108細胞/mLの密度で存在してもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、細胞の第2集団は肝細胞(例えば、初代肝細胞、例えば、初代ヒト肝細胞)を含み、肝細胞の密度は1×105細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、1×105細胞/mL、2×105細胞/mL、3×105細胞/mL、4×105細胞/mL、5×105細胞/mL、6×105細胞/mL、7×105細胞/mL、8×105細胞/mL、9×105細胞/mL、1×106細胞/mL、2×106細胞/mL、3×106細胞/mL、4×106細胞/mL、5×106細胞/mL、6×106細胞/mL、7×106細胞/mL、8×106細胞/mL、9×106細胞/mL、または1×107細胞/mL)である。例えば、肝細胞の密度は、例えば、3×105細胞/mLであってもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、細胞の総数(例えば、生存細胞)は、1×104細胞/mL~1×108細胞/mLの密度で存在する。例えば、細胞の第2集団は、1×104細胞/mL~1×105細胞/mL(例えば、1×104細胞/mL、2×104細胞/mL、3×104細胞/mL、4×104細胞/mL、5×104細胞/mL、6×104細胞/mL、7×104細胞/mL、8×104細胞/mL、9×104細胞/mL、または1×105細胞/mL)、1×105細胞/mL~1×106細胞/mL(例えば、1×105細胞/mL、2×105細胞/mL、3×105細胞/mL、4×105細胞/mL、5×105細胞/mL、6×105細胞/mL、7×105細胞/mL、8×105細胞/mL、9×105細胞/mL、または1×106細胞/mL)、1×106細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、1×106細胞/mL、2×106細胞/mL、3×106細胞/mL、4×106細胞/mL、5×106細胞/mL、6×106細胞/mL、7×106細胞/mL、8×106細胞/mL、9×106細胞/mL、または1×107細胞/mL)、または1×107細胞/mL~1×108細胞/mL(例えば、1×107細胞/mL、2×107細胞/mL、3×107細胞/mL、4×107細胞/mL、5×107細胞/mL、6×107細胞/mL、7×107細胞/mL、8×107細胞/mL、9×107細胞/mL、または1×108細胞/mLの密度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、細胞の総数(例えば、生存細胞)は、1×105細胞/mL~1×107細胞/mL(例えば、3×105細胞/mL~1.5×106細胞/mL)の密度で存在する。いくつかの実施形態では、細胞の総数(例えば、生存細胞)は、1.5×106細胞/mLの密度で存在する。
【0117】
封入の方法
本明細書に記載の方法によって生産された凝集体を、さらに、スキャフォールド(例えば、生体適合性スキャフォールド)内に封入してもよい。このような封入された細胞のスキャフォールドを使用して、対象(例えば、ヒト対象)への移植など、様々な下流用途のためのグラフト(例えば、組織グラフト)を形成してもよい。この方法は、複数の細胞集団(例えば、第1細胞集団及び第2細胞集団)の凝集体の集団と生体適合性スキャフォールドを提供することを含む。この方法は、さらに、重合剤または架橋試薬を導入して生体適合性スキャフォールドを重合または架橋し、それによって凝集体の集団を、例えば生体適合性スキャフォールド内に封入することを含んでもよい。他の例では、この方法は、重合剤または架橋試薬を加えることなく、生体適合性スキャフォールドの重合をもたらすのに十分な時間及び条件下で凝集体をインキュベートすることを含んでもよい。凝集体は、例えば、細胞の2つまたはそれよりも多くの集団(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の細胞の集団)を含んでもよい。凝集体は、例えば、細胞の第1集団及び細胞の第2集団を含んでもよい。
【0118】
生体適合性スキャフォールド
本明細書に記載の凝集体を、肝細胞及び間質細胞などの細胞を含有する生体適合性スキャフォールド内に封入してもよい。いくつかの実施形態では、細胞の集団(例えば、肝細胞集団及び間質細胞集団)はスフェロイド内に凝集する。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドは、x軸、y軸、及びz軸を有する。例えば、いくつかの実施形態では、細胞の集団、例えば肝細胞及び任意選択の間質細胞集団は、スフェロイド内に凝集し、スフェロイドは、生体適合性スキャフォールドのz軸に沿って層状に非均質に分布する。いくつかの実施形態では、スフェロイドは生体適合性スキャフォールドのx軸に沿って均質に分布している。いくつかの実施形態では、スフェロイドは生体適合性スキャフォールドのy軸に沿って均質に分布している。
【0119】
生体適合性スキャフォールドは、室温(例えば、25℃)では液体、ゲル、半固体、または固体であってもよい。生体適合性スキャフォールドは、生分解性であっても、または非生分解性であってもよい。いくつかの実施形態では、スキャフォールドは生体吸収性または生体置換性である。例示的な生体適合性スキャフォールドはポリマー及びヒドロゲルを含み、その例には、コラーゲン、フィブリノーゲン、フィブリン、キトサン、MATRIGEL(商標)、化学的に架橋可能なまたは光架橋可能なデキストランを含むデキストラン、粘膜下組織などの加工組織マトリックス、PEGヒドロゲル(例えば、ヘパリン共役PEGヒドロゲル)、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ゼラチン、アルギン酸塩、アガロース、多糖類、ヒアルロン酸(HA)、ペプチドベースの自己集合ゲル、熱応答性ポリ(NIPAAm)がある。多くのバイオポリマーが当業者に公知である(Bryant and Anseth,J.Biomed.Mater.Res.(2002)59(1):63-72;Mann et al.,Biomaterials(2001)22(22):3045-3051;Mann et al.,Biomaterials(2001)22(5):439-444, and Peppas et al.,Eur.J.Pharm.Biopharm.(2000)50(1),27-46;すべて参照により組み込まれている。)他の実施形態では、生体適合性スキャフォールドは、細胞の生存率を高めるため、またはその他の様々な理由のいずれかにより、様々な成長因子、接着分子、分解部位、または生物活性剤のいずれかを含むバイオポリマーを含有してもよい。このような分子は当業者に周知である。
【0120】
いくつかの実施形態では、PEGヒドロゲルは化学的に架橋可能であり、及び/または二官能基で修飾されていてもよい。
特定の実施形態では、生体適合性スキャフォールドは、同種成分、自己成分、または同種成分及び自己成分の両方を含む。特定の実施形態では、生体適合性スキャフォールドは合成材料または半合成材料を含む。特定の実施形態では、生体適合性スキャフォールドは、フィブリン由来のスキャフォールドなどのフレームワークまたは支持体を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドはフィブリンを含む。いくつかの実施形態では、重合剤はトロンビンを含む。重合剤(トロンビンなど)が導入された後、スキャフォールド内のフィブリノーゲンがフィブリンに重合される。
【0122】
いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドは補強剤をさらに含む。例えば、補強剤は、コラーゲン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ酢酸ビニリデン(PVDA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)、またはポリ(L-乳酸)(PLLA)を含んでもよい。
【0123】
使用に好適な生体適合性ヒドロゲルスキャフォールドは、その場でゲル化可能な任意のポリマー(例えば、細胞適合性のない化学物質または条件(例えば、温度またはpH)を必要としないポリマー)を含む。これは、安定したバイオポリマー及び生分解性のバイオポリマーの両方を含む。
【0124】
本明細書で使用するポリマーは、好ましくは架橋されており、例えばイオン架橋されている。特定の実施形態では、本明細書に記載される方法及び構築物は、適切な波長の光に曝すことによって光化学的に(すなわち、光架橋して)重合を促進できるポリマー(すなわち、光重合可能)、または光に曝すかもしくは別の刺激によって弱められるかもしくは可溶性になるポリマーを使用する。上記に列挙されたポリマーのうちのいくつかは、本来は光に敏感ではないが(例えば、コラーゲン、HA)、アクリレートまたはその他の感光性基を追加することで光に敏感にしてもよい。
【0125】
特定の実施形態では、この方法は光開始剤を利用する。光開始剤は、分子上の反応基によって定義された適切な波長の光に曝されると、ヒドロゲルの重合を促進できる分子である。本開示の観点では、光開始剤は細胞適合性である。光の種々の波長で使用することができる光開始剤が数多く知られている。例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニル-アセトフェノン、HPK1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、及びIrgacure2959(ヒドロキシル-1-[4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2メチル-1プロパノン)はすべてUV光(365nm)で活性化される。細胞適合性のある光の波長(例えば、青色光)によって活性化される他の架橋剤も、本明細書に記載の方法で使用することができる。
【0126】
他の実施形態では、この方法は、光化学的に重合可能でない部分を有するポリマーの使用を伴う。特定の実施形態では、光化学的に重合可能でない部分はマイケル受容体である。このようなマイケル受容体部分の非限定的な例には、α、β-不飽和ケトン、エステル、アミド、スルホン、スルホキシド、ホスホネートが含まれる。マイケル受容体の追加の非限定的な例には、キニーネ及びビニルピリジンが含まれる。いくつかの実施形態では、マイケル受容体の重合は求核剤によって促進される。好適な求核剤は、チオール、アミン、アルコール、及びチオール、アミン、及びアルコール部分を有する分子を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本開示は、熱架橋ポリマーの使用を特徴とする。
【0127】
いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は500μm~5mm(例えば、600μm~4mm、700μm~3mm、800μm~2mm、または900μm~1mm)である。例えば、いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は600μm~4mmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は700μm~3mmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は800μm~2mmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は900μm~1mmである。
【0128】
いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は500μmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は600μmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は700μmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は800μmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は900μmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は1mmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は2mmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は3mmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は4mmである。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドのz軸は5mmである。
【0129】
いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、生体適合性スキャフォールド内の細胞凝集体(例えば肝細胞及び間質細胞凝集体)の層の高さに対する比率は、20:1~1:1(例えば、19:1~1:1、18:1~1:1、17:1~1:1、16:1~1:1、15:1~1:1、14:1~1:1、13:1~1:1、12:1~1:1、11:1~1:1、10:1~1:1、9:1~1:1、8:1~1:1、7:1~1:1、6:1~1:1、5:1~1:1、4:1~1:1、3:1~1:1、または2:1~1:1)である。例えば、いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は19:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、18:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、17:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、16:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、15:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、14:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、13:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、12:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、11:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、10:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、9:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、8:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、7:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は、6:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は5:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は4:1~1:1である。いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドの高さの、層の高さに対する比率は3:1~1:1である。
【0130】
いくつかの実施形態では、生体適合性スキャフォールドは合成ヘパリン模倣剤を含む。特に、本発明の合成ポリマーは、いくつかの実施形態では、ヘパリンに存在する負電荷の量と同様の量の負電荷を含んでもよい。したがって、本開示の合成ポリマーはヘパリンの機能的特性を模倣することができる。例えば、本開示の合成ポリマーは、ヘパリンに自然に結合する様々な生物活性剤、例えば成長因子に結合する可能性を有する。したがって、本開示の合成ポリマー、及び本明細書に記載の合成ポリマーを含むヒドロゲルは、成長因子などの様々な生物活性剤を結合することができ、それによって生物活性剤が拡散するのを防ぎ、局所的に生物活性剤を高濃度に維持することで、細胞に作用し、様々な細胞機能を促進することができる。
【実施例】
【0131】
実施例1.バイオリアクタでの凝集体の生産
VWB_005調査
凝集体の形成に使用することができるマイクロウェルプラットフォームと同じ濃度で播種した場合の、垂直ホイールバイオリアクタプラットフォームでの正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)及び初代ヒト肝細胞(PHH)の凝集を評価するために、これらの実験を実行した。ROCK阻害剤、フィブリノーゲン及びラミニンがVWBプラットフォームにおけるNHDF及びPHHの凝集に与える影響を評価した。
【0132】
実験グループ:
1. ITS内NHDF+PHHのみ@36RPM(容積75mL)
2. ITS内NHDF+PHH+10μMROCK阻害剤@36RPM(容積75mL)
3. ITS内NHDF+PHH+1mg/mL FIBRYGA(登録商標)@36RPM(容積75mL)
4. ITS内NHDF+PHH+5μg/mLラミニン@36RPM(容積75mL)
NHDF:6e5百万細胞/mLで播種
PHH:3.4e5百万細胞/mLで播種
利用した実験条件の概要を以下に提示する。
【0133】
1. 500mLコニカルでNHDF溶液に等容積のPHH溶液を加えて、NHDF及びPHHを一緒に混合した。例えば、100mLのNHDFが存在した場合は、100mLのPHHを加える。これにより、NHDF+PHHの1.5倍溶液が得られる。目標総混ぜ合わせ容積:最低200mL
2. 各PBS-MINI(登録商標)チャンバにNHDF及びPHH1.5×の混合液50mLを加えた。ROCK阻害剤、フィブリノーゲン濃度(ヒト)、FIBRYGA(登録商標)、またはラミニンを対応するチャンバに加えた。ITS培地を使用して最終容積を75mLまで上げた。
【0134】
3. チャンバを、インキュベータ内に設置されたベースに移した。各ベースを36RPMに設定した。
ITS、ラミニン、ROCK阻害剤の各条件において、凝集体の平均直径と凝集体数は非常に類似していたが、デブリ及び超凝集体数に違いが現れた(
図1A、
図1B、
図2A~2D、
図3、及び
図4)。ROCK阻害剤では、ITS及びラミニン条件と比較して、デブリが最も少なかった。超凝集体数の観点では、3つの条件すべてで数が少なかった(≦3)が、ラミニン条件では超凝集体が最も多かった。
【0135】
超凝集体は、サイズが200μmを超えると共に面積/周囲長さの比率が45を超える光学的に不透明な構造として識別された。
図5A~5D及び
図6に示すように、24時間後及び48時間後に凝集体は形成された(
図6)。48時間後は凝集体の数は減少した。マイクロウェルベースライン条件は、細胞がマイクロウェル内に凝集した比較条件である。マイクロウェル条件では、より多くのデブリと超凝集体が生産された(
図5A~5D)。
【0136】
VWB_005調査では、NHDF及びPHHをVWBプラットフォームに播種すると、ITS、ラミニン(5μg/mL)、及びROCK阻害剤(10μM)の条件で凝集体(シードとも呼ばれる)が形成されることが示されている。
【0137】
VWB_006調査
次に、シードの効力を、アンモニアクリアランス分析(IDEXX)及びアルブミン分泌分析によって評価した。
【0138】
【0139】
バイオリアクタにNHDF及びPHHを播種
1. 500mLコニカルでNHDF溶液に等容積のPHH溶液を加えて、NHDF及びPHHを一緒に混合した。目標総混ぜ合わせ容積:最低100mL。67.4mLの各細胞混合物を混ぜ合わせた。
【0140】
2. 両PBS-MINI(登録商標)チャンバにNHDF及びPHH1.5×の混合液50mLを加えた。指定されたチャンバにROCK阻害剤を加えた。ITS培地を使用して最終容積を75mLまで上げた。
【0141】
3. チャンバを、インキュベータ内に設置されたベースに移した。各ベースを36RPMに設定した。
図7A-7D、
図10、
図11、及び
図12に示すように、ITSのみで、またはROCK阻害剤の存在下で、シードが形成された。アンモニアクリアランス分析では、これらの凝集体はアンモニアを減少させることができ(
図8A及び
図8B)、マイクロウェルベースの凝集体と同等の結果を示した(
図9A及び
図9B)。
【0142】
結論として、凝集体またはシードがVWBプラットフォームで生成され、凝集のための懸濁培養が実際に可能であることが実証された。VWBシードはマイクロウェルプラットフォームで生成されたシードよりも小さかったが、マイクロウェルプラットフォームと比較して、デブリと超凝集体も大幅に少なかった。
【0143】
24時間の凝集時間は48時間の凝集よりも成功した。この実験では、48時間は長すぎるように思われ、顕著な超凝集体の形成が生じた。試験を行った条件のうち、ITS、ラミニン、ROCK阻害剤の条件は3つとも肯定的で同様の結果を生み出し、ROCK阻害剤の条件では24時間後のデブリ数が最も少なかった。
【0144】
VWB_007調査
VWB_007では、適正製造規範(GMP)グレードに好適な代替培地製剤を使用して、VWB_005及びVWB_006と同様に凝集が発生し得るかどうかを評価した。最初の目的は、凝集培地に現在含まれている動物由来成分であるウシ胎児血清(FBS)を除去することであった。この調査では、3種類の濃度のヒト血清、及び2種類の濃度のヒト血小板溶解物の試験を行って、基本の培地の状態と比較した。すべての培地は高レベルのグルコースを含有する。血清濃度が低い条件では細胞により多くのストレスがかかる可能性があるため、本調査ではすべての条件でROCK阻害剤(ROCKi)を使用した。
【0145】
【0146】
バイオリアクタにNHDF及びPHHを播種
各条件について:
A. PHHの50mLコニカルでPHH溶液(20mL)に等容積(20mL)のNHDF溶液を加えて、NHDF及びPHHを一緒に混合した。徹底的にピペットで上下に動かして細胞を混合させた。
【0147】
B. NHDF及びPHHの細胞混合物を、適合するPBS-MINI(登録商標)0.1Lコンシューマブル(合計40mL)に移した。
C. 最終容積を70mLまで上げた。
【0148】
チャンバを、インキュベータ内に設置されたベースに移した。各ベースを36RPMに設定した。
以前の調査で見られた結果と同様に、生細胞濃度は時間の経過とともに減少し、死亡細胞濃度は比較的一定のままであった。これは、単一細胞が時間の経過とともに凝集体に組み込まれ、死滅していないことを示している(
図13A及び
図13B)。
図13Aは生細胞を示し、
図13Bは死亡細胞を示す。
図14A~14D、
図15A~15D、
図16、及び
図17に示すように、ヒト血清(HS)及びPLATELET GOLD(商標)(PG、ヒト血小板溶解物)を使用した様々な条件下で凝集体は形成されており、凝集体のサイズ、濃度、アベレージ容積、及び総容積のデータは、ヒト血清も、または血小板溶解物も使用することのない条件と同等であった(
図14A~14D、
図15A~15D、
図16、及び
図17)。
【0149】
凝集体洗浄
線維芽細胞及び肝細胞の個々のバイアルは、遠心分離ベースの洗浄工程の前に、別々に解凍され、細胞培養培地内で再懸濁された。凝集後、凝集体は遠心分離機を使用して濃縮され、封入のためにフィブリノーゲン溶液内で製剤化された。この実験では、CTS ROTEA(商標)向流遠心分離システムが、解凍後の単一細胞洗浄、ならびに凝集後のシード洗浄及び製剤化の実行可能な選択肢であるかどうかを評価した。
【0150】
NHDFの解凍及び洗浄
NHDF細胞の解凍と洗浄の試験を行った。使用した約40Mの生存細胞は、私たちの凝集フレームワークにおける実際の最小洗浄運転、すなわち、6e5/mLのNHDF細胞を入れた単一のPBS-MINI(登録商標)0.1使い捨て垂直ホイールバイオリアクタに対応する。NHDF培地内の35mLの細胞をバッグに入れてそのバッグをROTEA(商標)ポートに結合させ、異なるバッグに47mLが収穫された。収穫設定点は50mLであり、欠損容積は、結合を外したが収集されなかったチューブのデッドボリュームに起因すると考えることができる(内径3mmのチューブは、45cmで3.2mLを占める)。回収後の生存率は96%で、洗浄後は生存細胞の87%が回収された。これらの結果は、ROTEA(商標)などの向流遠心分離システムを使用して、生存率の喪失を最小限に抑えながらNHDFを洗浄できることを示している。
【0151】
ROTEA(商標)実験の第2の役割は、PHHの洗浄である。PHH懸濁液の生存率を、バッグ投入前に、収穫バッグの時点で、及び廃棄バッグ内で測定した。流量の遠心分離速度に対する同じ比率を使用しながら、流量を変化させてPHHに作用するせん断応力を変化させる試験を3回実行した。
【0152】
流量は、収穫物の全体的な生存率を向上させるために変更し得る要素である。
図18は、向流遠心分離システムを使用するCTS(商標)ROTEA(商標)収穫物で解凍または洗浄した場合の、洗浄後の生存細胞及び死亡細胞(正常ヒト皮膚線維芽細胞)の数を示す。
図19A~19C、
図20A、及び
図20Bに示すように、生存PHH及び死亡PHHの数は洗浄培地の種々の流量に依存していた。
【0153】
シード洗浄と製剤化
凝集体洗浄及び製剤化の試行は、別々の2日間にわたる実験で構成された。初日に、マイクロウェルアプローチを使用して凝集体を準備し、処理のためにプールした。処理は2つの工程に分割された。最初に、シードを流動床内に入れて、サンプル収穫のために最初のバッグに戻した。これは単純な洗浄回復に近い。第2に、緩衝液を14mg/mLのフィブリノーゲン濃度(ヒト)(FIBRYGA(登録商標))に交換して濃縮物を収穫することを目的とした。シードの2つの異なる集団、及び200,000を超えるデブリ数に気付く。
【0154】
シード洗浄の2日目は、VWB_007からの凝集体を使用した。凝集体は2つのバッチにプールされた。懸濁液フォーマットで生成されたシードはマイクロウェルフォーマットで生成されたシードよりも小さいため、それに応じてCTS(商標)ROTEA(商標)向流遠心分離システムの機器設定を調節した。
【0155】
バッチ1:ITS、1%ヒト血清、5%Platelet Gold
ITS、1%ヒト血清、及び5%Platelet Goldシードのプールを、カスタマイズされたアプリケーションを使用して測定した。この試験では、システムは、収穫ラインに結合されたシリンジに7mLの液体(目標10mL、空気3mL)を出力した。開始時のリアクタ収穫容積250mLから、35倍の濃度が得られた。
【0156】
濃縮及び収穫の後、シードを40倍に希釈して再測定した。初期条件と比較すると、シードのサイズ範囲はより狭くなり、驚くべきことに、より大きな凝集体が失われた。ROTEA(商標)はデブリを除去して、より単分散の凝集体集団を生成することができる(
図21及び
図23)。
【0157】
バッチ2:1%Platelet Gold、5%ヒト血清、10%ヒト血清
第2バッチでは、流量を増やして、より高い精製度及びより均一な流動床を達成しようと試みた。収穫容積の設定点は5mLに削減された。VWB007からの1%Platelet Gold、5%ヒト血清、10%ヒト血清リアクタのプールを測定した。
【0158】
これらの結果は、
図22及び
図24に示すように、ROTEA(商標)を使用して凝集体(シード)を洗浄できることを示している。
VWB_010調査
上記のVWB_005調査は、VWBシステムがシードを生産できることを示した。上記のVWB_006調査では、シードが封入され、その機能はアンモニアクリアランス分析によって実証された。VWBシステムが機能的なシードを生産できることが実証された後、この調査では、特にGMP培地製剤を使用して、その方法を適正製造規範(GMP)標準に変換できるかどうかを評価した。以前の調査では、凝集培地はITSであり、これはウシ胎児血清(FBS)を含む(ヒト以外の)動物由来サプリメント、及びITSプレミックスからの様々な他の成分を含有する。この調査では、GMP非準拠の成分を一切含まない、GMPに沿った培地が製剤化され、生成された。ITS及びFBS成分を、異種物質を含まない試薬に置き換えることにより、動物由来成分を保持するいかなる潜在的なリスクも排除され、同時に、本明細書に記載の例示的な処理に関与する細胞の良好な健康状態が確保される。したがって、GMP標準に従って生産及びパッケージングされているヒト血清(HS)及び血小板溶解物(例えば、Platelet Gold(PG))が調査された。
【0159】
上記のVWB_007調査では、様々な割合のヒト血清(HS)及びPlatelet Gold(PG)で作られた培地と、10%のウシ胎児血清を含有する培地製剤を比較して凝集の試験を行った。試験を行ったすべての条件でシードが形成され、凝集培地内の非ウシ源血清への移行が裏付けられた。VWB_010では、VWB_007で照会された培地製剤のサブセットの試験が行われ、具体的にはアンモニアを除去するシードの生体外機能を理解することを目的とした。
【0160】
NHDF及びPHHは低温保存から解凍され、計数され、PBS MINI 0.1Lバイオリアクタ内でNHDFが2に対してPHHが1の比率で指定された濃度で播種された。4つの培地条件の試験を行った。すなわち、ITS(10%FBS)、10%ヒト血清(HS)、5%HS、及び5%Platelet Gold(PG)である。収穫前に24時間の懸濁培養を実行することが許容された。
【0161】
測定結果は、顕微鏡検査、シード数分析、乳酸脱水素酵素(LDH)、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)/アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、及び生体外グラフト効力(アンモニアクリアランス)を含む。
【0162】
この実験の主要な目標は、種々の培地製剤で播種した場合のVWBプラットフォームにおけるNHDF及びPHHの凝集を評価すること、血清の種類を、異種物質を含まない(xeno-free)試薬に変更した場合のVWB凝集処理への影響を評価すること、異種物質を含まない凝集培地を使用してVWBプラットフォームで凝集したシードの効力及び機能を評価すること、である。
【0163】
顕微鏡検査及びシード数
画像は、懸濁促進凝集から24時間後に撮影された。サンプルは、計算分析によって分析するために、最初の容積の4倍に希釈された。
図25A~25Dは計算分析後の結果を示しており、シード数、サイズ、濃度、アベレージシード容積(単一シード)、及び総シード容積(理論サイズに基づくシードの容積分率)を含む。
【0164】
4つの培地条件全体で、シード数は約2000~2200シードで比較的類似していたが、5%PGシードではより高い数を示した(
図25A)。シード数をシード濃度に変換し、リアクタ懸濁液1mLあたりのシード数を数えた。ここでも、5%PG条件の方が高いことから、他の3つの条件と比較して1mLあたりにより多くのシードが存在していることを意味している(
図25B)。ITS及びヒト血清の条件では同様のサイズのシードが生成されたが、5%PGの条件では、試験を行ったすべてのグループの中でアベレージでより小さなシードが生成された(
図25C)。これらのデータは、
図25Bの以前の発見を補完するものである。5%PG条件ではシードが小さいため、懸濁液1mLあたりにより多くのシードが存在している。シードのサイズ及びデブリは関連している。より大きいシードの条件ほど、通常はより少ないデブリを有している。これはITS及び10%HSの条件で見られた(
図25D)。驚くべきことに、5%HSを使用して形成されたシードはわずかに小さくなったが、デブリも少ない結果になった。5%PGでは、試験を行った条件で最も多くのデブリが生じた。
図26に示すように、超凝集体は10%ヒト血清条件で最も高かった。
【0165】
シードの平均直径はITSグループと10%HSグループとで非常に類似しており、アベレージで10%HSの方がより大きなシードを生成した。5%HSグループ及び5%PGグループではより小さなシードが生成され、5%PGではすべてのグループの中で最も小さなシードが生じた。予想どおり、平均シード容積も同様のパターンと順序に従った。総シード収量(シード容積/懸濁液容積)は、ITSグループ、10%HSグループ、5%PGグループでほぼ同じであった(
図27A及び
図27B)。
【0166】
これらのデータは、ヒト血清の濃度が高いほど、数、サイズ、デブリ、及び容積の観点で、ITSグループである対照条件と同様のシードが生成され、より低濃度に濃縮されたHSの条件ではより小さなシードが生じることを示唆している。
【0167】
図28A及び
図28Bには、凝集中(
図28A)の各垂直ホイールリアクタ(1×垂直ホイールリアクタ)及び封入されたシード(培地条件あたりn=4グラフト)について計算されたLDHの累積量が示されている。
【0168】
24時間の凝集後、10%HSグループが生成したLDHの量が最も少なく、次いでITS及び5%PGであったのに対し、5%HSグループが0時間及び24時間のタイムポイントで生成したLDHの量が最も多かったように思われる。
【0169】
封入中、LDHの量を最も多く生成したのは5%PGグループであり、最も少ない値は5%HSグループであり、ITS及び10%HSグループでは同様の結果が生成されたように思われる。
【0170】
これらの値の補正は、無細胞サンプルから値を控除することによって達成された。
図30A及び
図30Bは、4つの異なる培地グループの24時間の凝集期間中に生産されたALT値(
図29A)及びAST値(
図29B)を示す。試験を行った4つの培地グループのうち、24時間凝集中のALT及びASTレベルは10%HSグループで最も低かった。10%HSグループのALT/ASTレベルは、ITS、5%HS、及び5%PGの条件で見られたレベルの約半分であった。これは、垂直ホイールバイオリアクタ内の初代ヒト肝細胞は、対照グループ(ITS)及び他の試験グループと比較して、凝集処理中に10%HS製剤内で受けるストレスがより少ないことを示唆している。
【0171】
試験を行ったすべての培地製剤は、生体外アンモニアクリアランス分析においてアンモニアを除去できるシードを生産した。各グループのパフォーマンスは非常に似ており、10%ヒト血清グループが試験を行ったすべてのグループの中で最も高いアンモニアクリアランスを達成した。これらのデータは、凝集培地内の血清源を、異種物質を含まないものに切り替えても、シードのアンモニアクリアランス能力が低下しないことを示している(
図30A及び
図30B)。
【0172】
72時間後での全体的なアンモニアクリアランスの観点では、ITS条件、5%HS条件、及び5%PG条件のパフォーマンスは同様であった。10%HS条件では、全体的な相対アンモニアクリアランスのレベルが最も高かった(
図31)。
【0173】
k値を見ると、ITS条件のk値が最も低く、10%HS条件のk値が最も高かった。10%HS条件は最も高いk値を示しており、この条件は他のグループと比較してアンモニアをより速い速度で除去したことを示唆している(
図32)。
【0174】
要約すると、10%ヒト血清条件により、最も低いALT/ASTレベル、最も高いk値、最も高い割合の生体外アンモニアクリアランスが生じた。10%HS凝集培地は、ITSの対照条件と同等の結果を生成し、5%HS及びPG条件よりも優れた結果を示した。LDH分析に基づくと、10%HSは凝集処理中にリアクタあたりで最も少ない総LDH量を生成したが、封入工程ではITSの対照条件と比較してわずかに優れた結果を生成した。ALT/AST試験でも同様の挙動が観察された。10%HSは、すべてのグループの中で72時間後の相対アンモニアクリアランスが最も高かった。
【0175】
実施例2.細胞密度、線維芽細胞の比率、及び培養時間の最適化
この調査では、例えば、凝集ユニット操作のスケールアップの重要な処理パラメータとして、総細胞密度、線維芽細胞の肝細胞に対する比率、及び培養時間の継続時間の影響を評価した。最適化のための重要な出力は、凝集体(「シード」)の量、平均シード直径、シードの生存率、及びシードの効力を含む。これらの重要な出力に加えて、ALT/AST/LDH酵素分泌の追加の出力も測定された。
【0176】
細胞密度(生細胞総数/培地培養容積、3×105~1.5×106生存細胞/mL)、線維芽細胞の肝細胞に対する比率(正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF):初代培養ヒト肝細胞(PHH);0.2~3.8)、培養時間(凝集時間0~70時間)のパラメータを評価するための実験を実行した。表3に試験を行ったパラメータを示す。
【0177】
【0178】
重要な測定結果は、シードのサイズ、シード数、シードの効力、シードの生存率、及びNHDF:PHH比率を含む。結果を
図33~37に示す。
懸濁状態では、シード生成処理をスケーリングするための複数のモダリティがある。実験計画法(DOE)アプローチを利用することで、単一の調査で複数のパラメータの試験を行うことが可能になった。ここでは、外接中心複合応答曲面計画を採用した。計画曲面は、垂直ホイールバイオリアクタでの凝集体形成中にいくつかのタイムポイントにわたって繰り返され、リアクタ播種密度及び線維芽細胞対肝細胞比率にわたる9つのポイントで構成され、中心点は2回繰り返された(グループ#5及びグループ#10)。独自のモデリングソフトウェアを使用してモデルの最適化を行った。複数の実験にわたっていくつかの最適値が観察され、3つの主要な応答グループ全体でいくつかのパターンが観察された。
【0179】
生存率
高い肝細胞対線維芽細胞比率、低い密度、及び少ない時間は、最高生存率と関連していた。これは、肝細胞に特異的な生存率測定による線維芽細胞の潜在的な保護効果を示唆しており、全体的な生存率測定で測定した場合、線維芽細胞が肝細胞よりもよく生存する傾向を反映している可能性がある。
【0180】
シードの形態
形態の最適な曲面位置は、評価された応答に依存する。シードのサイズについては、比率、密度、及び時間における中間値が最大サイズを生産した。シードの容積分率、すなわちシード収量に関しては、比率は重要な要因ではなく、高密度と少ない時間でより高いシードの容積分率を生産した。より短い時間がより高い収量を生産するのは、より長い時間で超凝集体を形成する傾向によって促進されていると考えられる。実際、超凝集体の形成については、低比率、中間密度、及び少ない時間が、最小限の超凝集体の形成にとって最良であった。正規化されたシード容積分率がALTによって正規化された場合、標準シード容積分率との唯一の違いは、ALTの正規化バージョンでは中高比率が重要視されるのに対し、標準シード容積分率は比率の影響を受けないことである。
【0181】
効力
低い比率及び高い密度により、t=22または46時間にわたる時間の影響なしに、リアクタ容積あたりの純粋な効力(アンモニア減衰定数)が最大化された。シードの容積分率あたりの効力の比率をとると、t=46時間という遅いタイムポイントがわずかに好ましいことを除いて、最適な位置は変化しなかった。また、シードあたりの効力と超凝集体容積分率との比率を考慮すると、中間密度(高密度ではなく)で最適値が得られることを除いて、低い比率と遅い時間が依然として好ましい。総合すると、効力データは、より低い比率がより速いアンモニアクリアランスに関連することを示唆しており、これは、代謝制約によって明らかに阻害されていない容積あたりの肝細胞の純粋な増加によるものであり、より低い比率で生存率がより低くなることを克服すると考えられる。
【0182】
全体的に、これらの結果は、肝細胞が多いほどより高い効力が生じることを示している。本明細書に記載の方法を使用してシードを生産するは、0.2のNHDF:PHH比率、及び1.5M細胞/mLの密度が生産的であった。
【0183】
実施例3.凝集体のグラフト内封入
マイクロウェルまたは垂直ホイールバイオリアクタによって生産されたシードを使用して、サテライトグラフトを製造した。グループ1、3、及び4のためのシードをマイクロウェルに播種した。グループ2及び5のためのシードをVWBバイオリアクタに播種した。グラフトは、非ガス透過性キャップ付きのポータブルインキュベータ内で、15mLコニカルチューブあたり単一のサテライトグラフトとして輸送された。グループごとに合計10個のグラフトが生産され、2個の無細胞FIBRYGA(登録商標)グラフト対照(合計52個のグラフト)。
【0184】
シードは標準的な手順を使用してVWBまたはマイクロウェルから収穫され、次いで遠心分離されてマスターシードペレットが形成された。次いで、マスターシードペレットを洗浄培地に18M PHH/mLの計画濃度で再懸濁させて、さらに2つのサテライトグラフト(容積160μL)のサブバッチに分配した。次いで、各サブバッチをトロンビンと迅速に混合し、キャスティングモールドに分注した。次いで、グラフトをインキュベータ内で37°Cで45分間完全に重合させることが許容された。輸送培地をキャスティングモールド皿に加えて、撮像中にグラフトを水和させた。撮像後、または輸送培地を加えてから15分が経過した後(いずれか長い方)、グラフトは輸送培地を含有する輸送チューブに手動で移され、次いで、動物への外科的移植のために宅配便で輸送された。
【0185】
マスターシード混合物を50mLコニカルチューブからサブアリコートのエッペンドルフチューブに移した後、最初の50mLコニカルチューブは保持され、コニカルチューブの表面に残留しているシードの外観を書き留めた。マイクロウェル凝集によって生成されたシードは、より細かく均一な外観を示したVWB生成シードと比較して、より不規則で塊状に見えた。VWBシードはより容易に均一に懸濁されるので、サブバッチへの分配は簡素化される。VWBシードは洗浄培地またはフィブリノーゲン中での沈降時間も長いように見えるが、これはシードのサイズが小さいことと一致している。
【0186】
生体外調査
60uLのシードフィブリノーゲン懸濁液の2つのサブバッチを生産し、トロンビン(生体内グラフトと同様に1:1混合物)と重合してサログラフト(surrograft)を形成した。次いで、サログラフトはガス透過性プレート(実験条件によって分離)に移され、塩化アンモニウムで処理された。アンモニアクリアランスを評価するために、0時間目(すなわち、処理後5分)、5時間目、24時間目、48時間目、及び72時間目にサンプルを収集した。2セットのサログラフト対照も評価された。すなわち、グループ6:GMPハウジング、無細胞、及びグループ7:RUOハウジング、無細胞である。すべてのグループで過去のデータと同様のアンモニアクリアランスレベルを示した(
図38A及び
図38B)。グループ3ではアンモニアクリアランスがわずかに低く、これは72時間目までに最も顕著であった。
【0187】
サロシードは、生体内グラフト及び生体外サログラフトと同じシードフィブリノーゲン懸濁液を使用して調製されたが、最終薬生産物の形成時に、最終濃度0.6M PHH/mLになるまでフィブリノーゲン(元のフィブリノーゲン試薬に一致)でさらに希釈された。グラフトは24ウェルのプレートで8日間培養され、2日ごとに培地を交換して収集した。初期のタイムポイントでヒト由来ハウジング試薬で形成されたグラフト内で検出されたヒトアルブミンシグナルは、ウシ由来ハウジング試薬で形成されたグラフト内よりも高いことが観察された(
図39A)。U1サロシード実行の一部として、ハウジング材料単独に由来するシグナルを評価する試みにおいてグループ6(無細胞FIBRYGA(登録商標)グラフト)を使用した。アルブミンシグナルが、細胞からのアルブミンシグナルとハウジング試薬からのアルブミンシグナルとの線形結合であると仮定した場合、グループ6からの日数を釣り合わせたアルブミンシグナルを、グループ2、3、及び6で測定されたシグナルから控除することができる(これらはFibrygaで形成されたグラフトであるため)。このデータの前処理を実行した(
図39B)。すべてのグラフトは、すべてのタイムポイントで検出可能なU1サロシードバイオマーカーを示した。
【0188】
生体内調査
グラフトは0日目に移植され、次いで4、9、14、18、23、28日目に全血液が採取され、血漿に加工された。タイムポイントは、最低でも2週間の期間内に3回の血液採取を満たすように選択された(
図40)。
【0189】
バイオマーカーデータ-アルブミン、トランスフェリン、及び相関関係
移植後、薬生産物は一体化し、PHHはヒトタンパク質を血液流路に分泌する。全血液を採取し、血漿に加工して、次いで凍結した。次いで、サンプルを解凍し、ヒトアルブミン(Bethyl)またはヒトトランスフェリン(Abcam、ab187391)を標的としたELISAによって分析した。グループ2(新生産物/処理変更)及び対照(グループ3~5)の値は、統計的にベースライン(グループ1)と類似しており、術後28日目までずっと持続的に生産された(
図41A)。アルブミン及びトランスフェリンの血漿バイオマーカーレベルは相関プロット(
図41B及び
図41C)にプロットされ、これらのバイオマーカーが相互に相関していることを示唆するr二乗値を示した。
【0190】
組織病理学レビュー
すべてのグラフトは術後28日目に外植され、NBF固定剤中にて常温で24~30時間保存され、次いで常温で70%の組織学グレードエタノールに移されて、次いで分析された。組織学的測定結果は、同じタイムライン(POD28-32)で外植された以前の調査の測定結果とほぼ一致していたが、一部の動物では線維症及び異栄養性石灰化の程度が高かったことが示された。異栄養性石灰化は、他の9M/mL用量密度製剤化のグラフトではまれだが、考えられる説明としては、GMPマトリックス内のグラフトはベースライン製剤よりも柔らかく、もろいことが示されており、このことから、グラフト床内でのグラフトの折り畳み及び陥入の発生率が高くなることにつながり、理想的でない代謝環境につながるマクロ構造が作成されると考えられる。線維化の程度は、研究グレードのマトリックスと比較してGMPマトリックスの方が高いように思われ、また、マイクロウェル凝集シードと比較してVWB凝集シードの方が高いように思われた。さらに、特にGMPマトリックスで形成されたグラフトでは、グラフト領域における非PHH細胞性の顕著さが見られた。
【0191】
2D血管解析
CK18染色肝細胞(
図42)及びCD31染色血管(
図43)を使用して各グループの血管レベルを分析した。OlyVIAを使用して画像を取得し、Cell Profilerを使用して肝細胞凝集体の検出及び計数を行った(
図44)。凝集体面積を拡大し(
図45)、凝集体を含有する面積を定義するマスクを生成した(
図46)。次いでこのマスクを血管画像に適用した(
図47)。マスクされた領域内で血管のマーカーとしてCD31染色をAngiotoolで使用して、肝細胞領域に関連する血管ネットワークを評価した。アベレージ血管長、1平方ミリメートルあたりの肝細胞の数、1平方ミリメートルあたりの血管の数、肝細胞凝集体あたりの血管の数などの評価指標は、Angiotool及びCell Profiler分析の出力から計算された。
【0192】
アベレージ血管長の分析では、グループ間に有意な差は見られなかった(
図48)。この分析は肝細胞を取り囲む領域に限定されており、ヒドロゲルのヘッドスペースは含まれていない。
【0193】
1平方ミリメートルあたりの肝細胞凝集体の分析では、グループ1とグループ2及び3との間に有意な差が見られ、グループ4とはどちらとも言えない結果であった(
図49)。これは、組織学的サンプリングによって、またはグラフトごとのシード投与によっても促進されると考えられる。しかし、シードペレットの重量データでは、グループ1のシードペレットの重量が最も低く、他のグループよりも15%低くなっていることが示された。これは予想とは反対の結果である。他のすべてのグループでも同様のシードペレット重量が示された。
【0194】
1平方ミリメートルあたりの血管の数の分析では、グループ1とグループ2との間には傾向が見られたものの有意な差は見られず(p値>0.05)、グループ2とグループ4との間には有意な差が見られた(
図50)。グループ1及びグループ4は血管密度が類似していたが、グループ1のばらつきが、グループ2と比較した場合に有意性が欠如している原因である可能性が高い。グループ1とグループ4との差は、ABM細胞が異種物質を含まない培地で増殖され、解凍して凝集する形式で使用されたことである。これは、これらの細胞の使用が血管密度の減少に直接的につながらないことを意味する。しかし、これらの細胞を同じヒドロゲルマトリックス内のVWB凝集体に使用すると(グループ5)、血管密度は低下した。これらの細胞をマイクロウェル凝集体ではなくF1ヒドロゲルで使用すると、血管密度は低下した。VWB凝集体及びF1ヒドロゲルの両方が血管密度の低下に寄与しており、これはグループ2の最低血管密度で観察された相加効果と一致している。単位面積あたりの血管のこの分析は肝細胞の局所領域に限定されており、ヒドロゲルの領域は調査していない。
【0195】
血管密度は、凝集体密度、ならびに線維芽細胞の健康状態及び密度などの要因に依存する可能性がある。グループ1及びグループ4が同等であったという事実は、血管密度を減少させる要因としての線維芽細胞の新しい源及び処理を排除する。VWB及びF1の因子を分離したときに観察された血管密度の低下は、凝集体内の線維芽細胞の保持、及びヒドロゲルの性質が血管密度に直接的または間接的に影響を及ぼす可能性があることを示唆している。
【0196】
肝細胞凝集体あたりの血管の数の分析では、グループ4とグループ5との差を除いて有意な差は見られなかった(
図51)。これらのグループ間の違いは、グループ4がマイクロウェル凝集体であり、グループ5が垂直ホイール凝集体であったことである。これにより、マイクロウェルの方が凝集体あたりの血管の数が多くなっていることが示された。グループ4及びグループ5はRUOフィブリン内にある。VWB及びマイクロウェルの凝集体をGMPグレードのF1ヒドロゲルのバックグラウンドで比較すると、VWB(グループ2)がマイクロウェル(グループ3)よりもわずかに低いという傾向は残っていたが、F1ヒドロゲルのバックグラウンドでは差は有意ではなかった。
【0197】
肝細胞凝集体あたりの血管の数という評価指標は、これらのデータが、必ずしもグラフト全体を表すわけではない組織構造切片の分析から得られるという事実に基づくと、サンプリングバイアスの潜在的な原因に対する最も堅牢な評価指標である。すべてのグループが、肝細胞凝集体あたり約3本の血管を有していた。
【0198】
血管分析データは、分泌されたアルブミンレベルとの相関関係について評価された。凝集体密度(
図52)及び凝集体あたりの血管(
図53)の両方を評価したが、相関関係は観察されなかった。アルブミンとトランスフェリンとの間には線形相関があることを考慮すれば、トランスフェリンレベルがこれらの血管性の測定値といずれかの相関関係を有するとは予想もされなかった。
【0199】
全体的に、これらのデータは、垂直ホイールバイオリアクタによって生産された凝集体を使用して生産されたグラフトが血管新生可能であることを示している。
実施例12.垂直ホイールバイオリアクタシードのシード層高さを測定するための生体外調査
用量制御のために最終グラフトのシード層高さを制御する必要があるため、シード層高さを評価する実験を実行した。垂直ホイールバイオリアクタ(VWB)ベースのシード層高さは、マイクロウェルベースのシード層高さとは異なる傾向を示した。ROTEA(商標)洗浄NHDF、PHH及びシードから生成されたVWBシード層高さが、3、6及び9M/mLの用量密度で非ROTEA(商標)洗浄の、及び/またはマイクロウェルの、シード層高さと類似しているかどうかを評価した。
【0200】
解凍後のROTEA(商標)洗浄NHDF及びPHH、ならびに凝集後のシードにより、3、6、及び9M/mLの用量密度で、非ROTEA(商標)洗浄のシード層高さと比較して、アベレージでわずかに短いシード層高さが生じたように見える(
図54)。T検定では2つのグループ間に有意な差は見られず、ROTEA(商標)洗浄がシード層高さの形成に影響を与えなかったことが示された。これはまた、ROTEA(商標)プロトコル中に洗い流されたデブリ及びシードが、シード層高さのバルクを形成するシードではなかったことを示す。これは、ROTEA(商標)が、十分迅速に沈降しなかった細胞デブリ及び小さなシード、またはグラフト断面内のフィブリンのヘッドスペースで観察されたデブリを除去したことを示唆している。フィブリンのヘッドスペースがより明確になると、
図55に見られるように、シード層高さをより明確に区別できるようになる。
【0201】
結論として、これらの調査は、ROTEA(商標)洗浄細胞及びシードを、シード層高さに重大な影響を有することなく利用できることを示した。
実施例13.バイオリアクタ生産のスケーリング
VWB充填容積の関数としてシードの健康状態を評価するための実験を実行した。NHDF及びPHHは低温保存から解凍され、計数され、PBS MINI 3×0.1Lバイオリアクタまたは1×0.5Lバイオリアクタ内でNHDFが2に対してPHHが1の比率で指定された濃度で播種された。4つの異なる充填容積の試験を行った。すなわち、1)60mL、2)75ml(対照)、3)100mL、4)375mLである。収穫前に22時間の懸濁培養の実行が許容された。22時間の凝集後、分析のために懸濁培養物を収穫し、サンプルを収穫し、計数を行った。
【0202】
図56A及び
図56Bに示すように、ALT及びASTレベルは、異なる充填容積(60mL、75mL、100mL、及び375mL)間で一定のままであったので、凝集のスケールアップ中に細胞の健康状態が有害な影響を受けなかったことを示している。同様に、酸素分圧は4つの充填容積間で同様のままであった(
図57)。全体的に、これらの結果は、VWBシステムを使用して、凝集体の生産のためにバイオリアクタの容積をスケールアップできることを示唆している。
【0203】
実施例14.凝集中の細胞数の維持
凝集中に細胞の総数が実質的に増加しないことで、この方法は凝集を促進すると共に増殖を促進しないことを示すための実験を実行した。
【0204】
PHHの集団及びNHDFの集団を懸濁状態で60時間凝集させた。細胞外乳酸脱水素酵素(LDH)及び総乳酸脱水素酵素を、0時間、24時間、及び60時間のタイムポイントで評価した。細胞生存率も評価した(表4)。
【0205】
【0206】
図58A及び
図58Bに示すように、培地内の細胞外LDHは時間の経過とともに蓄積した。総LDHは時間の経過とともに一定のままであり、細胞が著しく増殖していないことを示唆している。総合すると、これらのデータは、時間の経過とともにより多くの細胞が死につつあり、細胞外LDHの増加は細胞の数の増加によるものではないことを示唆している。
【0207】
他の実施形態
本発明はその特定の実施形態と共に記載されているが、本発明は、さらなる修正が可能であり、かつ、本出願が、一般に、本発明の原理に従った、本発明のあらゆる変化、使用、または適応をカバーし、本発明が関係する当技術で知られるようになる、または、習慣的に実践される、本発明からの逸脱を含むことが意図され、上記で説明した本質的な特徴に適用可能であり、特許請求の範囲に従うことが理解されよう。
【0208】
他の実施形態は、特許請求の範囲内である。
【国際調査報告】