(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】マラリアワクチン製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/015 20060101AFI20241018BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20241018BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20241018BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241018BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/29 20060101ALI20241018BHJP
C07K 14/445 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
A61K39/015
A61P33/06
A61P37/04
A61K39/39
A61K39/00 G
A61K48/00
A61K38/17
A61K39/29
C07K14/445 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548682
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022078665
(87)【国際公開番号】W WO2023076907
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524158047
【氏名又は名称】ノババックス アーベー
(71)【出願人】
【識別番号】507301246
【氏名又は名称】ノババックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ライマー, ジェニー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ロヴグレン ベングトソン, カリン
(72)【発明者】
【氏名】フライズ, ルイス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA17
4C084MA52
4C084MA65
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4C084NA05
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4C084ZB091
4C084ZB092
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4C084ZB332
4C085AA03
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4C085BA06
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4C085DD86
4C085EE01
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4C085FF02
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4C085FF18
4C085GG01
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4C085GG04
4C085GG06
4C085GG08
4C085GG10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA22
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA15
(57)【要約】
Plasmodium属の寄生虫の抗原を含む免疫原性組成物を本明細書中に開示する。前記組成物を投与する方法も開示する。実施形態では、免疫原性組成物を投与することを含む、被験体におけるPlasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法を本明細書中に提供する。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫は、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、またはPlasmodium knowlesiである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体におけるPlasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法であって、Plasmodium属の寄生虫の抗原を含む免疫原性組成物を投与することを含み、ここで、前記抗原が、スポロゾイト周囲(CS)タンパク質またはその断片およびB型肝炎表面抗原(HBsAg)またはその断片を含む、方法。
【請求項2】
前記Plasmodium属の寄生虫の前記抗原が、配列番号1もしくは配列番号2のアミノ酸配列または配列番号1もしくは配列番号2に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫原性組成物がアジュバントを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫原性組成物が、約1μgから約100μgまでのアジュバントを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫原性組成物が、約25μgから約75μgまでのアジュバントを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫原性組成物が、約50μgのアジュバントを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記免疫原性組成物が、約25μgのアジュバントを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記アジュバントが少なくとも2つのiscom粒子を含み、ここで:
その第1のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まない;そして
その第2のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まない、請求項3~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aが50~96重量%を占め、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cが残りを占める、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aが少なくとも75重量%を占め、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cが残りを占める、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約85重量%および約15重量%を占める、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約92重量%および約8重量%を占める、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プレフィルドシリンジ中の免疫原性組成物を投与することを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
投与された抗原の用量が、約0.1μgから約100μgまで;約0.1μgから約10μgまで;約0.1μgから約5μgまで;約0.1μgから約3μgまで;または約0.1μgから約2μgまでである、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫原性組成物が、約0.1μgから約100μgまでの抗原;約1μgから約100μgまでの抗原;約5μgから約50μgまでの抗原;約0.1μgから約2μgまでの抗原;約0.1μgから約3μgまでの抗原;約2μgから約10μgまで;または約2μgから約5μgまでを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫原性組成物が、約2μgの抗原を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫原性組成物が、約5μgの抗原を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記免疫原性組成物が、約10μgの抗原を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記免疫原性組成物が、約50μgの抗原を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
第1の用量および第2の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
第3の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第4の用量、第5の用量、第6の用量、第7の用量、第8の用量、第9の用量、または第10の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の用量中の抗原の用量が、前記第1の用量中の抗原の用量未満である、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第3の用量中の抗原の用量が、前記第1の用量中の抗原の用量未満である、請求項21~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の用量および第2の用量が、ほぼ同量の抗原を含む、請求項20~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の用量および第3の用量が、ほぼ同量の抗原を含む、請求項21~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の用量および第3の用量が、ほぼ同量の抗原を含む、請求項21~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の用量、第2の用量、および第3の用量が、ほぼ同量の抗原を含む、請求項20~22および25~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の用量、第2の用量、第3の用量、および第4の用量が、ほぼ同量の抗原を含む、請求項20~22および25~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記第3の用量または第4の用量または第5の用量または第6の用量または第7の用量または第8の用量または第9の用量または第10の用量が、前記第1の用量中の抗原の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%を含む、請求項21~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の用量が、前記第1の用量中の抗原の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%を含む、請求項20~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の用量の約1ヶ月後に前記第2の用量を投与することを含む、請求項20~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の用量の約28日後に前記第2の用量を投与することを含む、請求項20~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の用量の約56日後に前記第3の用量を投与することを含む、請求項21~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の用量の約2ヶ月後に前記第3の用量を投与することを含む、請求項21~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の用量の約168日後に前記第3の用量を投与することを含む、請求項21~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の用量の約6ヶ月後に前記第3の用量を投与することを含む、請求項21~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の用量の投与の12ヶ月後から約16ヶ月後までに第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項21~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の用量の投与の約15ヶ月後に第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項21~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の用量の投与の約421日後に第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項21~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記第3の用量の投与の約1年後に第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項21~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
(i)第1の用量の前記免疫原性組成物であって;前記第1の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;
(ii)第2の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第2の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;および
(iii)第3の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第3の用量が約2μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物
を投与することを含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
(i)第1の用量の前記免疫原性組成物であって;前記第1の用量が約50μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;
(ii)第2の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第2の用量が約50μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;および
(iii)第3の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第3の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物
を投与することを含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
(i)第1の用量の前記免疫原性組成物であって;前記第1の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;
(ii)第2の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第2の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;および
(iii)第3の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第3の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物
を投与することを含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
(i)第1の用量の前記免疫原性組成物であって;前記第1の用量が約5μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;
(ii)第2の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第2の用量が約5μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;および
(iii)第3の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第3の用量が約5μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物
を投与することを含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
第4の用量、第5の用量、またはこれらの両方の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の用量の約1ヶ月後に前記第2の用量を投与し、前記第2の用量の約2ヶ月後に前記第3の用量を投与することを含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の用量の約1ヶ月後に前記第2の用量を投与し、前記第2の用量の約6ヶ月後に前記第3の用量を投与することを含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の用量の前記免疫原性組成物の投与の約9ヶ月後から約2年後に、前記第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の用量の前記免疫原性組成物の投与の約9ヶ月後、約10ヶ月後、約11ヶ月後、約12ヶ月後、約13ヶ月後、約14ヶ月後、約15ヶ月後、約16ヶ月後、約17ヶ月後、約18ヶ月後、約19ヶ月後、約20ヶ月後、約21ヶ月後、約22ヶ月後、約23ヶ月後、または約24ヶ月後に、前記第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項46~49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の用量の前記免疫原性組成物の投与の約10ヶ月後に、前記第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項46~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記第1の用量の前記免疫原性組成物の投与の約12ヶ月後に、前記第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項46~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の用量の前記免疫原性組成物の投与の約14ヶ月後に、前記第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項46~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の用量の前記免疫原性組成物の投与の約15ヶ月後に、前記第4の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項46~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記第4の用量の前記免疫原性組成物の投与の約9ヶ月後、約10ヶ月後、約11ヶ月後、約12ヶ月後、約13ヶ月後、約14ヶ月後、約15ヶ月後、約16ヶ月後、約17ヶ月後、約18ヶ月後、約19ヶ月後、約20ヶ月後、約21ヶ月後、約22ヶ月後、約23ヶ月後、または約24ヶ月後に、前記第5の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、請求項46~54に記載の方法。
【請求項56】
前記Plasmodium属の寄生虫が、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、またはPlasmodium knowlesiである、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記CSタンパク質がPlasmodium falciparumに由来する、請求項1~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記方法が、前記免疫原性組成物の投与後に、約50%から約99%まで、約50%から約95%まで、約50%から約90%まで、約50%から約85%まで、約50%から約80%まで、約60%から約99%まで、約65%から約95%まで、約65%から約90%まで、約65%から約85%まで、約69%から約81%まで、約60%から約95%まで、約60%から約90%まで、約60%から約85%まで、約60%から約80%まで、約40%から約99%まで、約40%から約95%まで、約40%から約90%まで、約40%から約85%まで、約40%から約80%まで、約40%から約75%まで、約40%から約70%まで、約40%から約65%まで、約40%から約55%まで、または約40%から約50%までの有効性で、最大で約2ヶ月間、最大で約2.5ヶ月間、最大で約3ヶ月間、最大で約3.5ヶ月間、最大で約4ヶ月間、最大で約4.5ヶ月間、最大で約5ヶ月間、最大で約5.5ヶ月間、最大で約6ヶ月間、最大で約6.5ヶ月間、最大で約7ヶ月間、最大で約7.5ヶ月間、最大で約8ヶ月間、最大で約8.5ヶ月間、最大で約9ヶ月間、最大で約9.5ヶ月間、最大で約10ヶ月間、最大で約10.5ヶ月間、最大で約11ヶ月間、最大で約11.5ヶ月間、最大で約12ヶ月間、最大で13ヶ月間、最大で14ヶ月間、最大で15ヶ月間、最大で16ヶ月間、最大で17ヶ月間、最大で18ヶ月間、最大で19ヶ月間、最大で20ヶ月間、最大で21ヶ月間、最大で22ヶ月間、最大で23ヶ月間、または最大で24ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記方法が、前記免疫原性組成物の投与後に、約50%から約99%まで、約50%から約95%まで、約50%から約90%まで、約50%から約85%まで、約50%から約80%まで、約60%から約99%まで、約65%から約95%まで、約65%から約90%まで、約65%から約85%まで、約69%から約81%まで、約60%から約95%まで、約60%から約90%まで、約60%から約85%まで、約60%から約80%まで、約40%から約99%まで、約40%から約95%まで、約40%から約90%まで、約40%から約85%まで、約40%から約80%まで、約40%から約75%まで、約40%から約70%まで、約40%から約65%まで、約40%から約55%まで、または約40%から約50%までの有効性で、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約2.5ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約3.5ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約4.5ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約5.5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約6.5ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約7.5ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約8.5ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約9.5ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約10.5ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約11.5ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも13ヶ月間、少なくとも14ヶ月間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも16ヶ月間、少なくとも17ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも19ヶ月間、少なくとも20ヶ月間、少なくとも21ヶ月間、少なくとも22ヶ月間、少なくとも23ヶ月間、または少なくとも24ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記方法が、約69%の有効性で最大で約12ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記方法が、約69%の有効性で少なくとも約12ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記方法が、約77%の有効性で最大で約12ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記方法が、約77%の有効性で少なくとも約12ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記方法が、約77%の有効性で最大で約24ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、約77%の有効性で少なくとも約24ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記方法が、約81%の有効性で最大で約12ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記方法が、約81%の有効性で少なくとも約12ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記方法が、約78%の有効性で最大で約12ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記方法が、約78%の有効性で少なくとも約12ヶ月間マラリアを予防する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、以下の出願(各々のその全体が全ての目的のために参照として援用される)の優先権を主張する:2021年10月25日出願の米国特許仮出願第63/271,420号および2021年11月19日出願の米国特許仮出願第63/281,332号。
【0002】
電子配列表の参照
電子配列表(NOVV_094_02WO_SeqList_ST26.xml;サイズ:(10,386バイト;および作成日:2022年10月25日)の内容は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0003】
開示の分野
本開示は、Plasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を誘導するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
マラリアは、小児期死亡の主要原因である。2019年の時点での全世界でのマラリアの推定症例数は2億2900万であった。2019年に、409,000人がマラリアで死亡した。マラリアを予防するためのワクチンは、たった1つしか承認されていない(RTS,S/AS01(RTS,S)(MOSQUIRIX(登録商標)))。マラリアに対するRTS,Sの防御能力は、時間とともに減弱する。マラリアを予防するための新規のワクチンおよび方法が当該分野で必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本開示は、マラリアに対する免疫応答を誘導するための免疫原性組成物を提供する。また、本開示は、前記免疫原性組成物の新規の投与方法を提供する。
【0006】
実施形態では、Plasmodium属の寄生虫の抗原を含む免疫原性組成物を本明細書中に提供する。実施形態では、免疫原性組成物を投与することを含む、被験体におけるPlasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法を本明細書中に提供する。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫は、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、またはPlasmodium knowlesiである。実施形態では、抗原は、スポロゾイト周囲(CS)タンパク質またはその断片を含む。実施形態では、CSタンパク質は、Plasmodium falciparumに由来する。実施形態では、抗原は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)またはその断片を含む。実施形態では、抗原は、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含む。実施形態では、免疫原性組成物はアジュバントを含む。実施形態では、アジュバントは、少なくとも2つのiscom粒子を含み、ここで:第1のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まない;そして第2のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まない。実施形態では、アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約85重量%および約15重量%を占める。実施形態では、アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約92重量%および約8重量%を占める。実施形態では、アジュバントを、約50μgの用量で投与する。
【0007】
実施形態では、Plasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法は、約0.1μgから約100μgまでの抗原を投与することを含む。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法は、約0.1μgから約10μgまでの抗原を投与することを含む。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法は、約0.1μgから約5μgまでの抗原を投与することを含む。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法は、約0.1μgから約3μgまでの抗原を投与することを含む。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法は、約0.1μgから約2μgまでの抗原を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量および第2の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第3の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、第2の用量中の抗原の用量は、第1の用量中の抗原の用量未満である。実施形態では、第3の用量の抗原の用量は、第1の用量中の抗原の用量未満である。実施形態では、第1および第2の用量は、同量の抗原を含む。実施形態では、第2の用量および第3の用量は、同量の抗原を含む。実施形態では、第1の用量および第3の用量は、同量の抗原を含む。実施形態では、第3の用量は、第1の用量中の抗原の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%を含む。実施形態では、第2の用量は、第1の用量中の抗原の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%を含む。実施形態では、第2の用量を、第1の用量の約28日後に投与する。実施形態では、第3の用量を、第1の用量の約56日後に投与する。実施形態では、第3の用量を、第1の用量の約168日後に投与する。
【0008】
実施形態では、以下を投与することを含む、被験体におけるPlasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法を本明細書中に提供する:
(i)第1の用量のPlasmodium属の寄生虫の抗原を含む免疫原性組成物であって;前記第1の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;
(ii)第2の用量の免疫原性組成物であって、前記第2の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;および
(iii)第3の用量の免疫原性組成物であって、前記第3の用量が約2μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物。
【0009】
実施形態では、第2の用量を、第1の用量の約28日後に投与する。実施形態では、第3の用量を、第1の用量の約56日後に投与する。実施形態では、第3の用量を、第1の用量の約168日後に投与する。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫は、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、またはPlasmodium knowlesiである。実施形態では、抗原は、スポロゾイト周囲(CS)タンパク質またはその断片を含む。実施形態では、CSタンパク質は、Plasmodium falciparumに由来する。実施形態では、抗原は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)またはその断片を含む。実施形態では、抗原は、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含む。実施形態では、免疫原性組成物はアジュバントを含む。実施形態では、アジュバントは、少なくとも2つのiscom粒子を含み、ここで:第1のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まない;そして第2のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まない。実施形態では、アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cは、約85重量%および約15重量%を占める。実施形態では、アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cは、約92重量%および約8重量%を占める。実施形態では、アジュバントを、約50μgの用量で投与する。
【0010】
実施形態では、被験体におけるPlasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法であって、Plasmodium属の寄生虫の抗原を含む免疫原性組成物を投与することを含み、ここで、抗原が、スポロゾイト周囲(CS)タンパク質またはその断片およびB型肝炎表面抗原(HBsAg)またはその断片を含む、方法を本明細書中に提供する。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫の抗原は、配列番号1もしくは配列番号2のアミノ酸配列または配列番号1もしくは配列番号2に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。実施形態では、免疫原性組成物はアジュバントを含む。実施形態では、免疫原性組成物は、約1μgから約100μgまでのアジュバントを含む。実施形態では、免疫原性組成物は、約25μgから約75μgまでのアジュバントを含む。実施形態では、免疫原性組成物は、約50μgのアジュバントを含む。実施形態では、免疫原性組成物は、約25μgのアジュバントを含む。実施形態では、アジュバントは少なくとも2つのiscom粒子を含み、ここで:その第1のiscom粒子は、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まない;そしてその第2のiscom粒子は、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まない。実施形態では、アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aが50~96重量%を占め、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cが残りを占める。実施形態では、アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aが少なくとも75重量%を占め、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cが残りを占める。実施形態では、アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cは、約85重量%および約15重量%を占める。実施形態では、アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cは、約92重量%および約8重量%を占める。実施形態では、方法は、プレフィルドシリンジ中の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、 投与された抗原の用量は、約0.1μgから約100μgまで;約0.1μgから約10μgまで;約0.1μgから約5μgまで;約0.1μgから約3μgまで;または約0.1μgから約2μgまで;約2μgから約10μgまで;または約2μgから約5μgまでである。実施形態では、免疫原性組成物は、約2μgの抗原を含む。実施形態では、 免疫原性組成物は、約5μgの抗原を含む。実施形態では、免疫原性組成物は、約10μgの抗原を含む。実施形態では、免疫原性組成物は、約50μgの抗原を含む。実施形態では、方法は、第1の用量および第2の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第3の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、 方法は、第4の用量、第5の用量、第6の用量、第7の用量、第8の用量、第9の用量、または第10の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、第2の用量中の抗原の量は、第1の用量中の抗原の量未満である。実施形態では、第3の用量中の抗原の量は、第1の用量中の抗原の量未満である。実施形態では、第1の用量および第2の用量は、ほぼ同量の抗原を含む。実施形態では、第2の用量および第3の用量は、ほぼ同量の抗原を含む。実施形態では、第1の用量および第3の用量は、ほぼ同量の抗原を含む。実施形態では、第1の用量、第2の用量、および第3の用量は、ほぼ同量の抗原を含む。実施形態では、第1の用量、第2の用量、第3の用量、および第4の用量は、ほぼ同量の抗原を含む。実施形態では、第3の用量または第4の用量または第5の用量または第6の用量または第7の用量または第8の用量または第9の用量または第10の用量は、第1の用量中の抗原の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%を含む。実施形態では、第2の用量は、第1の用量中の抗原の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%を含む。実施形態では、方法は、第1の用量の約1ヶ月後に第2の用量を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の約28日後に第2の用量を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の約56日後に第3の用量を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の約2ヶ月後に第3の用量を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の約168日後に第3の用量を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の約6ヶ月後に第3の用量を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の投与の12ヶ月後から約16ヶ月後までに第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の投与の約15ヶ月後に第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の投与の約421日後に第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第3の用量の投与の約1年後に第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、(i)第1の用量の免疫原性組成物であって;第1の用量が約10μgの抗原を含む、免疫原性組成物;(ii)第2の用量の免疫原性組成物であって、第2の用量が約10μgの抗原を含む、免疫原性組成物;および(iii)第3の用量の免疫原性組成物であって、第3の用量が約2μgの抗原を含む、免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、(i)第1の用量の免疫原性組成物であって;第1の用量が約50μgの抗原を含む、免疫原性組成物;(ii)第2の用量の免疫原性組成物であって、第2の用量が約50μgの抗原を含む、免疫原性組成物;および(iii)第3の用量の免疫原性組成物であって、第3の用量が約10μgの抗原を含む、免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、(i)第1の用量の免疫原性組成物であって;第1の用量が約10μgの抗原を含む、免疫原性組成物;(ii)第2の用量の免疫原性組成物であって、第2の用量が約10μgの抗原を含む、免疫原性組成物;および(iii)第3の用量の免疫原性組成物であって、第3の用量が約10μgの抗原を含む、免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、(i)第1の用量の免疫原性組成物であって;第1の用量が約5μgの抗原を含む、免疫原性組成物;(ii)第2の用量の免疫原性組成物であって、第2の用量が約5μgの抗原を含む、免疫原性組成物;および(iii)第3の用量の免疫原性組成物であって、第3の用量が約5μgの抗原を含む、免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第4の用量、第5の用量、またはこれらの両方の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の約1ヶ月後に第2の用量を投与し、第2の用量の約2ヶ月後に第3の用量を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の約1ヶ月後に第2の用量を投与し、第2の用量の約6ヶ月後に第3の用量を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の免疫原性組成物の投与の約9ヶ月後から約2年後に、第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の免疫原性組成物の投与の約9ヶ月後、約10ヶ月後、約11ヶ月後、約12ヶ月後、約13ヶ月後、約14ヶ月後、約15ヶ月後、約16ヶ月後、約17ヶ月後、約18ヶ月後、約19ヶ月後、約20ヶ月後、約21ヶ月後、約22ヶ月後、約23ヶ月後、または約24ヶ月後に、第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の免疫原性組成物の投与の約10ヶ月後に、第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の免疫原性組成物の投与の約12ヶ月後に、第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の免疫原性組成物の投与の約14ヶ月後に、第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第1の用量の免疫原性組成物の投与の約15ヶ月後に、第4の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、方法は、第4の用量の免疫原性組成物の投与の約9ヶ月後、約10ヶ月後、約11ヶ月後、約12ヶ月後、約13ヶ月後、約14ヶ月後、約15ヶ月後、約16ヶ月後、約17ヶ月後、約18ヶ月後、約19ヶ月後、約20ヶ月後、約21ヶ月後、約22ヶ月後、約23ヶ月後、または約24ヶ月後に、第5の用量の免疫原性組成物を投与することを含む。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫は、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、またはPlasmodium knowlesiである。実施形態では、CSタンパク質はPlasmodium falciparumに由来する。実施形態では、方法は、免疫原性組成物の投与後に、約50%から約99%まで、約50%から約95%まで、約50%から約90%まで、約50%から約85%まで、約50%から約80%まで、約60%から約99%まで、約65%から約95%まで、約65%から約90%まで、約65%から約85%まで、約69%から約81%まで、約60%から約95%まで、約60%から約90%まで、約60%から約85%まで、約60%から約80%まで、約40%から約99%まで、約40%から約95%まで、約40%から約90%まで、約40%から約85%まで、約40%から約80%まで、約40%から約75%まで、約40%から約70%まで、約40%から約65%まで、約40%から約55%まで、または約40%から約50%までの有効性で、最大で約2ヶ月間、最大で約2.5ヶ月間、最大で約3ヶ月間、最大で約3.5ヶ月間、最大で約4ヶ月間、最大で約4.5ヶ月間、最大で約5ヶ月間、最大で約5.5ヶ月間、最大で約6ヶ月間、最大で約6.5ヶ月間、最大で約7ヶ月間、最大で約7.5ヶ月間、最大で約8ヶ月間、最大で約8.5ヶ月間、最大で約9ヶ月間、最大で約9.5ヶ月間、最大で約10ヶ月間、最大で約10.5ヶ月間、最大で約11ヶ月間、最大で約11.5ヶ月間、最大で約12ヶ月間、最大で13ヶ月間、最大で14ヶ月間、最大で15ヶ月間、最大で16ヶ月間、最大で17ヶ月間、最大で18ヶ月間、最大で19ヶ月間、最大で20ヶ月間、最大で21ヶ月間、最大で22ヶ月間、最大で23ヶ月間、または最大で24ヶ月間マラリアまた
はPlasmodium属の寄生虫による感染を予防する。実施形態では、方法は、免疫原性組成物の投与後に、約50%から約99%まで、約50%から約95%まで、約50%から約90%まで、約50%から約85%まで、約50%から約80%まで、約60%から約99%まで、約65%から約95%まで、約65%から約90%まで、約65%から約85%まで、約69%から約81%まで、約60%から約95%まで、約60%から約90%まで、約60%から約85%まで、約60%から約80%まで、約40%から約99%まで、約40%から約95%まで、約40%から約90%まで、約40%から約85%まで、約40%から約80%まで、約40%から約75%まで、約40%から約70%まで、約40%から約65%まで、約40%から約55%まで、または約40%から約50%までの有効性で、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約2.5ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約3.5ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約4.5ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約5.5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約6.5ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約7.5ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約8.5ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約9.5ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約10.5ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約11.5ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも13ヶ月間、少なくとも14ヶ月間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも16ヶ月間、少なくとも17ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも19ヶ月間、少なくとも20ヶ月間、少なくとも21ヶ月間、少なくとも22ヶ月間、少なくとも23ヶ月間、または少なくとも24ヶ月間マラリアまたはPlasmodium属の寄生虫による感染を予防する。実施形態では、本方法は、約69%の有効性で最大で約12ヶ月間マラリアを予防する。実施形態では、本方法は、約69%の有効性で少なくとも約12ヶ月間マラリアを予防する。実施形態では、本方法は、約77%の有効性で最大で約12ヶ月間マラリアを予防する。実施形態では、本方法は、約77%の有効性で少なくとも約12ヶ月間マラリアを予防する。実施形態では、本方法は、約77%の有効性で最大で約24ヶ月間マラリアを予防する。実施形態では、本方法は、約77%の有効性で少なくとも約24ヶ月間マラリアを予防する。実施形態では、本方法は、約81%の有効性で最大で約12ヶ月間マラリアを予防する。実施形態では、本方法は、約81%の有効性で少なくとも約12ヶ月間マラリアを予防する。実施形態では、本方法は、約78%の有効性で最大で約12ヶ月間マラリアを予防する。実施形態では、本方法は、約78%の有効性で少なくとも約12ヶ月間マラリアを予防する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、R21融合タンパク質を含む粒子の画像を示す。
【0012】
【
図2】
図2は、被験体にヒトマラリアを意図的に感染させ(CHMI)、本開示の免疫原性組成物を投与した後にマラリアと診断されない被験体の経時的な百分率を示すグラフである。第2群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を含む免疫原性組成物を、0ヶ月、1ヶ月、および6ヶ月に投与した。第3群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を含む免疫原性組成物を、0ヶ月、1ヶ月、および2ヶ月に投与した。第6群は、免疫原性組成物を投与しなかった対照群であった。各々の群の有効性を、以下の式を使用して21日目に計算した:100×(免疫原性組成物を投与されていないマラリアと診断された被験体の百分率-免疫原性組成物を投与されたマラリアと診断された被験体の百分率)/(免疫原性組成物を投与されていないマラリアと診断された被験体の百分率)。第2群の有効性は75%であった。第3群の有効性は62.5%であった。マラリアと診断された対照の百分率は100%であった。
【0013】
【
図3】
図3は、被験体にヒトマラリアを意図的に感染させた(CHMI)後に、マラリアと診断されない被験体の経時的な百分率を示すグラフである。第2群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を、0ヶ月、1ヶ月、6ヶ月、および14ヶ月に投与した。第3群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を、0ヶ月、1、2、および10ヶ月に投与した。第4群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を、0ヶ月、1ヶ月、および6ヶ月に投与した。第7群は、ワクチン接種を施行しなかった対照群であった。有効性を、
図2のように14日目に計算した。第2群は60%有効性を示した。第3群は100%有効性を示した。第4群は40%有効性を示した。マラリアと診断された対照の百分率は83.3%であった。
【0014】
【
図4】
図4は、UKの成人およびケニアの成人におけるマラリアを防御する免疫グロブリンレベル(ELISA単位によって反映)を示す。UKおよびケニアの成人に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を投与した。
【0015】
【
図5】
図5は、成人、乳児、および低年齢小児におけるマラリアを防御する免疫グロブリンレベル(ELISA単位によって反映)を示す。成人、乳児、および低年齢小児に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を投与した。
【0016】
【
図6A】
図6Aは、実施例1で評価したR21タンパク質およびサポニンアジュバント(「MM」)の投薬レジメンを示す。
【0017】
【
図6B】
図6Bは、5μgのR21タンパク質および25μgのサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物(第1群)、5μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物(第2群)、または対照狂犬病ワクチン(すなわち、RABIVAX-S)を投与した患者におけるマラリアの発生率のグラフを示す。免疫原性組成物または対照狂犬病ワクチンを、0、28、および56日目に投与した。サポニンアジュバントは、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含んでいた。
【0018】
【
図7A】
図7Aは、以下の3つの免疫原性組成物のうちの1つの投与後の患者血清における経時的な抗NANP抗体価を示すグラフである:(i)5μgのR21タンパク質および25μgのサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物(第1群);(ii)5μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物(第2群);(iii)または対照狂犬病ワクチン(すなわち、RABIVAX-S)。サポニンアジュバントは、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含む。免疫原性組成物または対照狂犬病ワクチンを、0日目(「1回目の投与」)、28日目(「2回目の投与」)、56日目(「3回目の投与」)、421日目(「4回目の投与」)に投与した。第2群の患者は、ワクチンの3回の投与後の抗NANP抗体価が第1群の患者より高かった(p<0.0001)。また、第1群および第2群の両方の患者は、ブースト投与後の抗NANP抗体価が増加した。
【0019】
【
図7B】
図7Bは、0日目(「1回目の投与」)、28日目(「2回目の投与」)、56日目(「3回目の投与」)、421日目(「ブースト1」)、および786日目(「ブースト2」)の3つの
図7Aの免疫原性組成物のうちの1つの投与後の患者血清における経時的な抗NANP抗体の力価を示すグラフである。
【0020】
【
図7C】
図7Cは、0日目(「1回目の投与」)、28日目(「2回目の投与」)、56日目(「3回目の投与」)、421日目(「ブースト1」)、および786日目(「ブースト2」)の3つの
図7Aの免疫原性組成物のうちの1つの投与後の経時的な患者血清における経時的なCSタンパク質のC末端に特異的なIgGの力価を示すグラフである。
【0021】
【
図7D】
図7Dは、患者血清由来の抗NANP抗体へのCSタンパク質のアビディティーを示すグラフである。患者に、5μgのR21タンパク質および25μgのサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物(第1群)または5μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物(第2群)を投与した。免疫原性組成物を、0、28、56、421、および786日目に投与した。アビディティーを、56日目の用量の投与の28日後(「D84」)、421日目のブースト用量の投与の30日後(「1B+30」)、および786日目のブースト用量の投与の30日後(「2B+30」)に測定した。また、アビディティーを、免疫原性組成物を0、28、および56日目に投与したが、421日目または786日目に投与しなかった(「ブーストなし」)患者において816日目に測定した。
【0022】
【
図7E】
図7Eは、患者血清由来のCSタンパク質のC末端に特異的なIgGへのCSタンパク質のアビディティーを示すグラフである。患者に、5μgのR21タンパク質および25μgのサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物(第1群)または5μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物(第2群)を投与した。免疫原性組成物を、0、28、56、421、および786日目に投与した。アビディティーを、56日目の用量の投与の28日後(「D84」)、421日目のブースト用量の投与の30日後(「1B+30」)、および786日目のブースト用量の投与の30日後(「2B+30」)に測定した。また、アビディティーを、免疫原性組成物を0、28、および56日目に投与したが、421日目または786日目に投与しなかった(「ブーストなし」)患者において816日目に測定した。
【0023】
【
図8】
図8は、本明細書中に記載の免疫原性組成物において使用されたR21タンパク質の一次構造の略図である。
【0024】
【
図9A】
図9Aおよび
図9Bは、R21およびサポニンアジュバントの異なる投与レジメンを投与された患者における経時的に誘導された抗体応答を示す。
図9Aは、第1群および第3群の抗体応答を示す(レジメンの説明については、表2を参照のこと)。
図9Bは、第2群、第4群、および5群の抗体応答を示す(レジメンの説明については、表2を参照のこと)。サポニンアジュバントは、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含む。
【
図9B】
図9Aおよび
図9Bは、R21およびサポニンアジュバントの異なる投与レジメンを投与された患者における経時的に誘導された抗体応答を示す。
図9Aは、第1群および第3群の抗体応答を示す(レジメンの説明については、表2を参照のこと)。
図9Bは、第2群、第4群、および5群の抗体応答を示す(レジメンの説明については、表2を参照のこと)。サポニンアジュバントは、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含む。
【0025】
【
図10A】
図10Aは、表2の異なる投薬レジメンの投与によって誘導された抗体応答(抗NANP特異的IgG)を示す。
【
図10B】
図10Bは、表2の異なる投薬レジメンの投与によって誘導された抗体応答(R21タンパク質のCSタンパク質のC末端に特異的なIgG)を示す。
【
図10D】
図10Dは、CSタンパク質についての
図10BのCSタンパク質のC末端に特異的なIgGのアビディティーを示す。
【0026】
【
図11A】
図11Aは、患者血清由来の抗体価の、マラリアからの防御との相関を示す。患者に、第2群または第3群の投与レジメンを投与し、マラリアからの防御および無防御によって層別化した。第2群および第3群の投与レジメンを、表2に示す。
【
図11B】
図11Bは、第2群および第3群の患者における防御の、抗体応答EU1100超またはEU1100未満との相関を示す。第2群および第3群の投与レジメンを、表2に示す。
【0027】
【
図12】
図12は、実施例4で評価したR21タンパク質およびサポニンアジュバント(「MM」)の投薬レジメンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明
定義
本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈上そうでないと明確に示されない限り、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「あるタンパク質(a protein)」という言及は、1つのタンパク質またはかかるタンパク質の混合物を指すことができ、「その方法(the method)」という言及には、当業者などに公知の等価なステップおよび/または方法という言及を含む。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「アジュバント」は、免疫原と組み合わせて使用したときに、免疫原に対して誘導された免疫応答を増強するか、そうでなければ変更または改変する化合物を指す。免疫応答の改変としては、抗体および細胞性免疫応答のいずれかまたは両方の特異性の増強または拡大が挙げられ得る。
【0030】
本明細書中で使用される場合、用語「約」または「およそ」は、数値の前に置かれたときに、プラスまたはマイナス10%の範囲の値を示す。例えば、「約100」は、90および110を包含する。
【0031】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫原」、「抗原」、および「エピトープ」は、免疫応答を誘発することができるタンパク質(糖タンパク質が挙げられる)、およびペプチドなどの物質を指す。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「免疫原性組成物」は、前記組成物を被験体に投与すると被験体において抗原に対する体液性および/または細胞性免疫応答を生じる抗原を含む組成物である。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「サブユニット」組成物(例えば、ワクチン)は、1またはそれを超える選択された抗原を含むが、病原体由来の全ての抗原を含む訳ではない。かかる組成物は、インタクトなウイルスまたはかかる細胞もしくは粒子のライセートを実質的に含まず、典型的には、病原体由来の少なくとも部分精製された、しばしば実質的に精製された免疫原性ポリペプチドから調製される。本明細書中に開示のサブユニット組成物中の抗原を、典型的にはしばしばバキュロウイルス系を使用して組換えによって調製する。
【0034】
用語「処置する」、「処置(treatment)」、および「処置すること(treating)」は、本明細書中で使用される場合、有利なまたは所望の結果、例えば、臨床結果を得るためのアプローチを指す。本開示の目的のために、有利なまたは所望の結果としては、感染または疾患の開始または進行の阻害または抑制;感染または疾患の発症、症状の改善または軽減;またはこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0035】
「予防(Prevention)」は、本明細書中で使用される場合、「予防(prophylaxis)」と互換的に使用され、感染もしくは疾患の完全な予防、またはその感染もしくは疾患の症状の発症の予防;感染もしくは疾患もしくはその症状の発生の遅延;またはその後に発症した感染もしくは疾患もしくはその症状の重症度の低下を意味することができる。
【0036】
本明細書中で使用される場合、「有効用量」または「有効量」は、病原体感染の少なくとも1つの症状を軽減する免疫応答を誘導するのに十分な免疫原の量を指す。有効用量または有効量を、例えば、中和分泌および/または血清抗体の量を測定すること(例えば、プラーク中和、補体結合、酵素結合免疫吸着(ELISA)、またはマイクロ中和アッセイ)によって決定し得る。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「ワクチン」は、病原体に対する免疫応答を誘導するために使用される病原体由来の免疫原などの免疫原性組成物を指す。免疫応答は、抗体の形成および/または細胞性応答を含み得る。文脈に応じて、用語「ワクチン」は、免疫応答を得るために被験体に投与される免疫原の懸濁液または溶液も指し得る。好ましくは、ワクチンは、Plasmodium属の寄生虫からの感染の予防に有効な免疫応答を誘導する。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「被験体」としては、ヒトおよび他の動物が挙げられる。典型的には、被験体はヒトである。例えば、被験体は、成人、ティーンエイジャー、小児(2歳から14歳まで)、乳児(出生時から2歳まで)、または新生児(最大で2ヶ月)であり得る。特定の態様では、被験体は、4ヶ月齢までまたは6ヶ月齢までである。いくつかの態様では、成人は、約65歳またはそれを超えるか、あるいは約60歳またはそれを超える高齢者である。いくつかの態様では、被験体は、妊婦または妊娠を希望している女性である。他の態様では、被験体は、ヒトではない;例えば、非ヒト霊長類;例えば、ヒヒ、チンパンジー、ゴリラ、またはマカク。ある特定の態様では、被験体は、愛玩動物(イヌまたはネコなど)であり得る。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に許容され得る」は、哺乳動物、より具体的にはヒトでの使用について米国連邦政府または州政府の規制当局より承認を受けているか、米国薬局方、欧州薬局方、または他の一般に認識されている薬局方に収載されていることを意味する。これらの組成物は、脊椎動物における防御免疫応答を誘導するためのワクチンおよび/または抗原性組成物として有用であり得る。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「共製剤ミックス(co-formulation mix)」、「共製剤」、「共製剤ワクチン組成物」、「プレフィルドシリンジ」、「プレミックス」は、被験体への投与の時点の前に短期間から長期間保存するために調製されるワクチン製剤を指す。かかるワクチン製剤は、同一容器内の抗原とアジュバントの組み合わせを含み、投与の前に調製される。実施形態では、プレフィルドシリンジは、R21抗原およびアジュバント(例えば、マトリックスアジュバントなどのサポニンアジュバント)を含むワクチン製剤を含む。
【0041】
2またはそれを超える核酸配列またはポリペプチド配列の文脈における用語「パーセント同一性」は、比較したときに同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定の百分率を有する2またはそれを超える配列またはサブシーケンスを指す。パーセンテージ同一性を、オンラインで利用可能なツールCLUSTALW2を使用して計算することができる。以下のパラメーターを、CLUSTALW2ペアワイズアラインメントのために使用し得る:タンパク質重量マトリックス=Gonnet;ギャップオープン=10;ギャップ伸長=0.1。
【0042】
本明細書中に記載の患者は、一次、二次、または三次臨床マラリアと診断され得る。一次臨床マラリアと診断された患者は、以下を示す:(a)腋窩温37.5℃以上および/または直近24時間以内の発熱の病歴および(b)寄生虫数5000/μLを超えるPlasmodium falciparum(P.falciparum)無性寄生虫血性。二次臨床マラリアと診断された患者は、(a)腋窩温37.5℃以上および/または直近24時間以内の発熱の病歴および(b)寄生虫数0/μLを超えるか、寄生虫数2500/μLを超えるP.falciparum無性寄生虫血性を示す。三次臨床マラリアと診断された患者は、(i):(a)腋窩温37.5℃以上および/または直近24時間以内の発熱の病歴ならびに(b)寄生虫数500/μLを超えるP.falciparum無性寄生虫血性または(ii)(a)腋窩温37.5℃以上および/または直近24時間以内の発熱の病歴ならびに(b)寄生虫数20,000/μLを超えるP.falciparum無性寄生虫血性もしくは迅速検出試験でマラリア抗原陽性であることのいずれかを示す。
【0043】
本明細書中に記載の免疫原性組成物の「有効性」(本明細書中で「ワクチン有効性」とも称される)という用語は、免疫原性組成物を投与しなかった群と比較した免疫原性組成物を投与した群における疾患(例えば、マラリア)の百分率の低下を指す。実施形態では、有効性(E)を、以下の式を使用して計算する:100×(疾患を有すると診断された免疫原性組成物を投与されなかった被験体の百分率-免疫原性組成物を投与されたマラリアと診断された被験体の百分率)/(疾患を有すると診断された免疫原性組成物を投与されなかった被験体の百分率)。
スポロゾイト周囲(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原、サポニンアジュバント、およびこれらの組み合わせを含む免疫原性組成物
【0044】
Plasmodium属の寄生虫の抗原を含む免疫原性組成物を本明細書中に開示する。実施形態では、Plasmodium属の寄生虫は、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、またはPlasmodium knowlesiである。実施形態では、抗原は、スポロゾイト周囲(CS)タンパク質またはその断片を含む。
【0045】
CSタンパク質は、ヘパリン硫酸プロテオグリカンに結合するN末端、4つのアミノ酸反復領域(NANP)、およびトロンボスポンジン様I型反復(TSR)ドメインを含むC末端から構成される。実施形態では、抗原は、CSタンパク質のN末端、NANP、TSRドメイン、またはこれらの組み合わせを含む。実施形態では、抗原は、TSRのC末端またはその断片およびNANPまたはその断片を含む(例えば、
図8)。
【0046】
実施形態では、抗原は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)またはその断片を含む。実施形態では、HBsAg断片は、約226アミノ酸である。実施形態では、HBsAg断片は、約180アミノ酸から約220アミノ酸までを含む。
【0047】
実施形態では、抗原は、CSタンパク質またはその断片およびHBsAgまたはその断片を含む融合タンパク質である。実施形態では、抗原は、配列番号1のアミノ酸配列を有する:
【化1】
【0048】
配列番号1のアミノ酸配列を有する抗原は、CSタンパク質のC末端(下線、配列番号8)、NANP反復領域(太字、配列番号7)、およびHBsAg抗原(斜体、配列番号9)を含む。実施形態では、抗原は、配列番号7のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するNANP反復領域を含む。実施形態では、抗原は、配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するCSタンパク質のC末端を含む。実施形態では、抗原は、配列番号9のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するHBsAgを含む。
【0049】
実施形態では、抗原は、配列番号1のポリペプチドのその断片を含む。
【0050】
実施形態では、抗原のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する。実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を、本明細書中で「R21」と称する。本明細書中の免疫原性組成物中で利用され得る代替の融合タンパク質は、米国特許出願公開第2020/0,207,811号(全ての目的のためにその全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
【0051】
実施形態では、タンパク質の「その断片部分」は、10アミノ酸長と1500アミノ酸長との間である(例えば、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000、約1050、約1100、約1150、約1200、約1250、約1300、約1350、約1400、約1450、または約1500アミノ酸長)。実施形態では、その断片は、タンパク質の野生型バージョンのアミノ酸の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%を含む。
【0052】
実施形態では、抗原は、配列番号2のアミノ酸配列を有する:
MDPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNANPNKNNQGNGQGHNMPNDPNRNVDENANANSAVKNNNNEEPSDKHIKEYLNKIQNSLSTEWSPCSVTCGNGIQVRIKPGSANKPKDELDYANDIEKKICKMEKCSSVPVTNMENITSGFLGPLLVLQAGFFLLTRILTIPQSLDSWWTSLNFLGGSPVCLGQNSQSPTSNHSPTSCPPICPGYRWMCLRRFIIFLFILLLCLIFLLVLLDYQGMLPVCPLIPGSTTTNTGPCKTCTTPAQGNSMFPSCCCTKPTDGNCTCIPIPSSWAFAKYLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSAIWMMWYWGPSLYSIVSPFIPLLPIFFCLWVYIEPEA
【0053】
実施形態では、抗原のアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する。
【0054】
実施形態では、Plasmodium属の寄生虫の抗原をコードする核酸は、5’末端、3’末端、またはこれらの両方で伸長される。実施形態では、伸長部分は、精製または検出のために使用されるタンパク質タグをコードする。実施形態では、タンパク質タグは、ポリグルタミン酸タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、polyHis-タグ(約5~10個のヒスチジンを有する)(配列番号3)、ヘキサヒスチジンタグ(配列番号4)、8X-His-タグ(8個のヒスチジンを有する)(配列番号5)、Myc-タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ-タグ、緑色蛍光タンパク質-タグ、マルトース結合タンパク質-タグ、チオレドキシン-タグ、Fc-タグ、またはC-タグである。実施形態では、伸長部分はC-タグを含む。C-タグは、配列EPEA(配列番号6)を含む。
【0055】
実施形態では、抗原をコードする核酸を、Hansenula polymorpha(H.polymorpha)発現プラスミドにクローニングする。実施形態では、H.polymorphaプラスミドはpFPMT121である。実施形態では、pFPMT121プラスミドは、酵母中での選択のためのLEU2遺伝子を保有する。実施形態では、栄養要求性H.polymorpha酵母株ALU3(関連遺伝子型:ade1、leu2、ura3)を、発現宿主として使用する。実施形態では、抗原を含むプラスミドを保有する酵母細胞を、エレクトロポレーションによって産生する。実施形態では、抗原の遺伝子発現を、酵母細胞へのメタノール(例えば、1%v/v)の導入によって誘導する。実施形態では、抗原を、超遠心分離によって単離する。
【0056】
実施形態では、抗原を、Pichia pastoris細胞中に発現させる。実施形態では、P.pastoris細胞中での発現後、酵母細胞膜を溶解する。実施形態では、細胞を、トリス緩衝液(例えば、10mM、pH7.8)、Triton(登録商標)X-100(例えば、0.1%)、EDTA(例えば、1mM)、ベンゾナーゼ(例えば、250U/mL)、またはこれらの組み合わせから選択される溶解試薬で溶解する。実施形態では、溶解試薬および酵母細胞を含む混合物をボルテックスする。実施形態では、細胞デブリを、溶解した細胞から遠心分離によって除去する。実施形態では、酵母ライセートを、不連続CsCl勾配上に積層し、超遠心分離する。実施形態では、抗原を、を使用して精製する(the antigen is purified using)。実施形態では、抗原を、トリス緩衝液(例えば、10mM)で溶離する。実施形態では、抗原を脱塩する。
【0057】
実施形態では、抗原を、アフィニティクロマトグラフィーによって精製する。実施形態では、精製は、C-タグを含む抗原(例えば、配列番号2の抗原)をC-タグアフィニティクロマトグラフィーカラムに曝露し;20mM Trisおよび0.1M MgCl2を含む緩衝液(ここで、緩衝液は約pH7である)を使用して不純物を除去し;20mM Trisおよび2M MgCl2(ここで、緩衝液は約pH7である)を含む緩衝液で抗原を溶離することを含む。
【0058】
以下の文献は、開示の抗原を発現および精製する方法を記載している:Kurtovic et al.Front Immunol.2021;12:641421;Degelmann et al.FEMS Yeast Rest(2002)2(3):349-361;Lahtchev et al.Arch Microbiol(2002)177(2):150-158;Faber et al.Curr Genet(1994)25(4):305-310;Guengerich et al.Genet Biotechnol:Springer(2004)2:273-87;Mukhopadhyay et al.Biotechnol Bioeng.(2022)119(10):2784-2793;Datoo et al.Lancet.(2021);397:1809-1818;およびDatoo et al.Lancet Infect Dis(2022年9月7日),doi.org/10.1016/S1473-3099(22)00442-X。前記参考文献の各々は、全ての目的のためにその全体が本明細書中で参考として援用される。
【0059】
実施形態では、抗原を酵母中で産生させる。実施形態では、酵母は、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Hansenula polymorpha(「Ogataea polymorpha」とも称される)、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces lactis、Kluyveromyces thermotolerans、Candida glabrata、Candida albicans、Pichia stipites、Yarrowia lipolytica、Ogataea minuta、Candida boidinii、およびKluyveromyces lactisからなる群から選択される。
【0060】
アジュバント
実施形態では、免疫原性組成物は、アジュバントを含む。
【0061】
ある特定の実施形態では、本明細書中に開示の組成物を、免疫応答を増強するための1またはそれを超えるアジュバントと組み合わせ得る。他の実施形態では、組成物を、アジュバントを使用せずに調製し、したがって、アジュバントを含まない組成物として投与することに利用可能である。有利には、本明細書中に開示のアジュバントを含まない組成物は、単回用量として投与した場合に防御免疫応答を提供し得る。頑強な免疫応答を誘導するミョウバンを含まない組成物は、約60歳およびそれを超える成人で特に有用である。
【0062】
アルミニウムベースのアジュバント
実施形態では、アジュバントは、ミョウバン(例えば、AlPO4またはAl(OH)3)であり得る。典型的には、ナノ粒子は、ミョウバンに実質的に結合する。例えば、ナノ粒子は、ミョウバンに少なくとも80%結合し得るか、少なくとも85%結合し得るか、少なくとも90%結合し得るか、少なくとも95%結合し得る。しばしば、ナノ粒子は、組成物中でミョウバンに92%~97%結合する。ミョウバンの量は、典型的には、用量あたり約400μg~約1250μgの間の範囲で存在する。例えば、ミョウバンは、用量あたり約300μg~約900μg、約400μg~約800μg、約500μg~約700μg、約400μg~約600μg、または約400μg~約500μgの量で存在し得る。典型的には、ミョウバンは、120μgのタンパク質ナノ粒子の用量について約400μg存在する。
【0063】
実施形態では、アジュバントはサポニンアジュバントである。
【0064】
サポニンアジュバント
また、サポニンを含むアジュバントを、本明細書中に開示の免疫原と組み合わせ得る。サポニンは、Quillaja saponaria Molinaの木の樹皮由来のグリコシドである。典型的には、サポニンを、マルチステップ精製プロセスを使用して複数の画分を得ることによって調製する。本明細書中で使用される場合、用語「Quillaja saponaria Molina由来のサポニン画分」を、一般に、Quillaja saponariaの半精製されたか、限定されたサポニン画分またはその実質的に純粋な画分を説明するために使用する。
【0065】
サポニン画分
サポニン画分を生成するためのいくつかのアプローチが好適である。画分A、B、およびCは、米国特許第6,352,697号に記載されており、以下の通り調製され得る。Quil A由来の脂溶性画分(粗水性Quillaja saponaria Molina抽出物)を、クロマトグラフィーによって分離し、70%アセトニトリル水溶液で溶離して脂溶性画分を回収する。次いで、この脂溶性画分を、酸性水中の25%から60%のアセトニトリルの勾配を使用した溶離を用いた半分取HPLCによって分離する。本明細書中で「画分A」または「QH-A」と称される画分は、およそ39%アセトニトリルで溶離される画分であるか、この画分に相当する。本明細書中で「画分B」または「QH-B」と称される画分は、およそ47%アセトニトリルで溶離される画分であるか、この画分に相当する。本明細書中で「画分C」または「QH-C」と称される画分は、およそ49%アセトニトリルで溶離される画分であるか、この画分に相当する。画分の精製に関するさらなる情報は、米国特許第5,057,540号に見出される。本明細書中に記載のように調製される場合、Quillaja saponaria Molinaの画分A、B、およびCの各々は、定義可能な性質を有する化学的に密接に関連する分子の群またはファミリーを表す。これらの画分が得られるクロマトグラフィー条件は、溶離プロフィールおよび生物学的活性の観点からのバッチごとの再現性が高度に一致するような条件である。
【0066】
他のサポニン画分が記載されている。画分B3、B4、およびB4bは、EP0436620に記載されている。画分QA1~QA22は、EP03632279B2、Q-VAC(Nor-Feed,AS Denmark)、Quillaja saponaria Molina Spikoside(lsconova AB、Ultunaallen 2B、756 51 Uppsala、Sweden)に記載されている。EP03632279B2の画分QA-1、QA-2、QA-3、QA-4、QA-5、QA-6、QA-7、QA-8、QA-9、QA-10、QA-11、QA-12、QA-13、QA-14、QA-15、QA-16、QA-17、QA-18、QA-19、QA-20、QA-21、およびQA-22、特にQA-7、QA-17、QA-18、およびQA-21を使用し得る。これらの画分は、EP03632279B2、特に6頁ならびに8頁および9頁の実施例1に記載されているように得られる。
【0067】
本明細書中に記載され、アジュバントを形成するために使用されるサポニン画分は、しばしば実質的に純粋な画分であり;すなわち、画分は、他の材料由来の混入物が実質的に存在しない。特定の態様では、実質的に純粋なサポニン画分は、最大で40重量%、最大で30重量%、最大で25重量%、最大で20重量%、最大で15重量%、最大で10重量%、最大で7重量%、最大で5重量%、最大で2重量%、最大で1重量%、最大で0.5重量%、または最大で0.1重量%の、他のサポニンまたは他のアジュバント材料などの他の化合物を含み得る。
【0068】
ISCOM構造
サポニン画分を、ISCOM(免疫刺激複合体)と称されるケージ様粒子の形態で投与し得る。ISCOMを、EP0109942B1、EP0242380B1、およびEP0180546B1に記載のように調製し得る。特定の実施形態では、EP9600647-3(PCT/SE97/00289)に記載のとおり輸送および/またはパッセンジャー抗原を使用し得る。
【0069】
マトリックスアジュバント
実施形態では、ISCOMは、ISCOMマトリックス複合体である。ISCOMマトリックス複合体は、少なくとも1つのサポニン画分および脂質を含む。脂質は、コレステロールなどの少なくとも1つのステロールである。特定の態様では、ISCOMマトリックス複合体は、リン脂質も含む。ISCOMマトリックス複合体は、必ずしもグリコシドではない1またはそれを超える他の免疫調節性(アジュバント活性)物質も含有する場合があり、EP0436620B1(その全体が本明細書中で参考として援用される)に記載のとおり産生され得る。
【0070】
他の態様では、ISCOMはISCOM複合体である。ISCOM複合体は、少なくとも1つのサポニン、少なくとも1つの脂質、および少なくとも1種類の抗原またはエピトープを含む。ISCOM複合体は、抗原の一部が粒子に組み込まれるように界面活性剤処理によって会合した抗原を含む。対照的に、ISCOMマトリックスは、抗原との混合物として製剤化されており、ISCOMマトリックス粒子と抗原との間の会合は、静電気的および/または疎水性の相互作用によって媒介される。
【0071】
1つの実施形態によれば、ISCOMマトリックス複合体もしくはISCOM複合体に組み込まれたサポニン画分、または同様にISCOMもしくはISCOMマトリックス複合体に組み込まれたもしくはそれと混合されている少なくとも1つの追加のアジュバントは、Quillaja saponariaの画分A、画分B、もしくは画分C、Quillaja saponariaの半精製調製物、Quillaja saponariaの精製調製物、または任意の精製サブ画分(例えば、QA1~21)から選択される。
【0072】
特定の態様では、各々のISCOM粒子は、少なくとも2つのサポニン画分を含み得る。異なるサポニン画分の重量%の任意の組み合わせを使用し得る。任意の2つの画分の重量%の任意の組み合わせを使用し得る。例えば、粒子は、それぞれ、任意の重量%の画分Aおよび任意の重量%の別のサポニン画分(粗サポニン画分または画分Cなど)を含み得る。したがって、特定の態様では、各々のISCOMマトリックス粒子または各々のISCOM複合体粒子は、0.1から99.9重量%まで、5から95重量%まで、10から90重量%まで 15から85重量%まで、20から80重量%まで、25から75重量%まで、30から70重量%まで、35から65重量%まで、40から60重量%まで、45から55重量%まで、40から60重量%まで、または50重量%までの1つのサポニン画分(例えば、画分A)、および残りはそれぞれ別のサポニン(例えば、任意の粗画分または任意の他の画分(faction)(例えば、画分C))を100%まで含み得る。重量を、サポニン画分の総重量として計算する。ISCOMマトリックス複合体およびISCOM複合体アジュバントの例は、米国特許出願公開第2013/0129770号(その全体が本明細書中で参考として援用される)に開示されている。
【0073】
特定の実施形態では、ISCOMマトリックスまたはISCOM複合体は、5~99重量%の1つの画分(例えば、画分A)および残りは100%の重量まで別の画分(例えば、粗サポニン画分または画分C)を含む。重量を、サポニン画分の総重量として計算する。
【0074】
別の実施形態では、ISCOMマトリックスまたはISCOM複合体は、40重量%から99重量%までの1つの画分(例えば、画分A)および1重量%から60重量%までの別の画分(例えば、粗サポニン画分または画分C)を含む。重量を、サポニン画分の総重量として計算する。
【0075】
さらに別の実施形態では、ISCOMマトリックスまたはISCOM複合体は、70重量%から95重量%までの1つの画分(例えば、画分A)、および30重量%から5重量%までの別の画分(例えば、粗サポニン画分、または画分C)を含む。重量を、サポニン画分の総重量として計算する。他の実施形態では、Quillaja saponaria Molina由来のサポニン画分は、QA1~21のうちのいずれか1つから選択される。
【0076】
サポニン画分の混合物を含む粒子に加えて、ISCOMマトリックス粒子およびISCOM複合体粒子を、1つのサポニン画分のみを使用して各々形成し得る。本明細書中に開示の組成物は、複数の粒子を含有してよく、ここで、各々の粒子は1つのサポニン画分のみを含む。すなわち、ある特定の組成物は、1またはそれを超える異なるタイプのISCOM-マトリックス複合体粒子および/または1またはそれを超える異なるタイプのISCOM複合体粒子を含んでよく、ここで、各々の個々の粒子は、Quillaja saponaria Molina由来の1つのサポニン画分を含み、1つの複合体中のサポニン画分は、他の複合体粒子中のサポニン画分と異なる。
【0077】
特定の態様では、1つのタイプのサポニン画分または粗サポニン画分を、1つのISCOMマトリックス複合体または粒子に組み込んでよく、別のタイプの実質的に純粋なサポニン画分または粗サポニン画分を、別のISCOMマトリックス複合体または粒子に組み込んでよい。組成物またはワクチンは、少なくとも2つのタイプの複合体または粒子を含んでよく、各々のタイプは、物理的に異なる粒子に組み込まれた1つのタイプのサポニンを有する。
【0078】
組成物中で、ISCOMマトリックス複合体粒子および/またはISCOM複合体粒子の混合物を使用してよく、ここで、1つのサポニン画分Quillaja saponaria Molinaおよび別のサポニン画分Quillaja saponaria Molinaが異なるISCOMマトリックス複合体粒子および/またはISCOM複合体粒子に別々に組み込まれる。
【0079】
各々が1つのサポニン画分を有するISCOMマトリックスまたはISCOM複合体粒子は、任意の組み合わせの重量%で組成物中に存在してよい。特定の態様では、組成物は、0.1%~99.9重量%、5%~95重量%、10%~90重量%、15%~85重量%、20%~80重量%、25%~75重量%、30%~70重量%、35%~65重量%、40%~60重量%、45%~55重量%、40~60重量%、または50重量%の、第1のサポニン画分を含むISCOMマトリックスまたは複合体を、異なるサポニン画分を含有するISCOMマトリックスまたは複合体から構成される残りの部分と共に含んでよい。いくつかの態様では、残りの部分は、1またはそれを超えるISCOMマトリックスまたは複合体であり、ここで、各々のマトリックスまたは複合体粒子は、たった1つのサポニン画分を含む。他の態様では、ISCOMマトリックスまたは複合体粒子は、1つを超えるサポニン画分を含んでよい。
【0080】
特定の組成物では、第1のISCOMマトリックスまたはISCOM複合体粒子中の唯一のサポニン画分は画分Aであり、第2のISCOMマトリックスまたはISCOM複合体粒子中の唯一のサポニン画分は画分Cである。
【0081】
好ましい組成物は、画分Aを含む第1のISCOMマトリックスおよび画分Cを含む第2のISCOMマトリックスを含み、ここで、画分A ISCOMマトリックスは総サポニンアジュバントの総重量あたり約70%を構成し、画分C ISCOMマトリックスはサポニンアジュバントの総重量あたり約30%を構成する。別の好ましい組成物では、画分A ISCOMマトリックスはサポニンアジュバントの総重量あたり約85%を構成し、画分C ISCOMマトリックスはサポニンアジュバントの総重量あたり約15%を構成する。したがって、ある特定の組成物では、組成物中のサポニンアジュバントの総重量に対して、画分A ISCOMマトリックスは約70%~約85%の範囲で存在し、画分C ISCOMマトリックスは約15%~約30%の範囲で存在する。実施形態では、アジュバント中の画分A ISCOMマトリックスおよび画分C ISCOMの重量の総和に対して、それぞれ、画分A ISCOMマトリックスは50~96重量%を占め、画分C ISCOMマトリックスは残りを占める。実施形態では、アジュバント中の画分A ISCOMマトリックスおよび画分C ISCOMの重量の総和に対して、それぞれ、画分A ISCOMマトリックスは少なくとも75重量%を占め、画分C ISCOMマトリックスは残りを占める。実施形態では、組成物中のサポニンアジュバントの総重量に対して、画分A ISCOMマトリックスは約92%で存在し、画分C ISCOMマトリックスは約8%で存在する。本明細書中でMATRIX-M(商標)と称される特に好ましい組成物では、組成物中のサポニンアジュバントの総重量に対して、画分A ISCOMマトリックスは約85%で存在し、画分C ISCOMマトリックスは約15%で存在する。MATRIX-M(商標)は、互換的にMatrix-M1と称され得る。
【0082】
例示的なQS-7画分およびQS-21画分、その産生およびその使用は、米国特許第5,057,540号;同第6,231,859号;同第6,352,697号;同第6,524,584号;同第6,846,489号;同第7,776,343号;および同第8,173,141号(本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
【0083】
いくつかの組成物では、追加でまたは代替として他のアジュバントを使用し得る。Vogel et al.,‘‘A Compendium of Vaccine Adjuvants and Excipients(第2版)’’(全ての目的のためにその全体が本明細書中で参考として援用される)に記載の任意のアジュバントの含有は、本開示の範囲内であると想定される。他のアジュバントとしては、完全フロイントアジュバント(死菌Mycobacterium tuberculosisを含む免疫応答の非特異的刺激因子)、不完全フロイントアジュバント、および水酸化アルミニウムアジュバントが挙げられる。他のアジュバントは、GMCSP、BCG、MDP化合物(thur-MDPおよびnor-MDPなど)、CGP(MTP-PE)、脂質A、およびモノホスホリルリピドA(MPL)、MF-59、細菌から抽出された3種の構成成分を含むRIBI、MPL、トレハロースジミコラート(TDM)、ならびに2%スクアレン/TWEEN(登録商標)ポリソルベート80乳剤中の細胞壁骨格(CWS)を含む。実施形態では、アジュバントは、少層脂質小胞(paucilamellar lipid vesicle);例えば、NOVASOMES(登録商標)であり得る。NOVASOMES(登録商標)は、約100nmから約500nmまでの範囲の少層非リン脂質小胞である。これらは、BRIJ(登録商標)アルコールエトキシラート72、コレステロール、オレイン酸、およびスクアレンを含む。NOVASOMES(登録商標)は、有効なアジュバントであることが示されている(米国特許第5,629,021号、同第6,387,373号、および同第4,911,928号を参照のこと。
【0084】
賦形剤
実施形態では、本明細書中に記載の免疫原性組成物は、種々の賦形剤およびバッファーなどを含む。例えば、免疫原性組成物は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および/またはヒスチジンを含み得る。リン酸ナトリウムは、約10mM~約50mM、約15mM~約25mM、または約25mMで存在し得る;特定の場合、約22mMリン酸ナトリウムが存在する。ヒスチジンは、約0.1%(w/v)、約0.5%(w/v)、約0.7%(w/v)、約1%(w/v)、約1.5%(w/v)、約2%(w/v)、または約2.5%(w/v)で存在し得る。塩化ナトリウムは、存在する場合、約150mMであり得る。ある特定の組成物では、塩化ナトリウムは、より高い濃度で(例えば、約200mMから約500mMまで)存在し得る。実施形態では、塩化ナトリウムは、高濃度(約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、または約500mMが挙げられるが、これらに限定されない)で存在する。
【0085】
投与および投薬量
上記の免疫原性組成物の新規の投与方法を本明細書中に提供する。実施形態では、免疫原性組成物は、マラリアに対する免疫応答を誘導することを必要とする被験体においてマラリアに対する免疫応答を誘導する。実施形態では、免疫原性組成物は、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、またはPlasmodium knowlesiから選択される寄生虫に対する免疫応答を誘導する。
【0086】
実施形態では、本明細書中に記載の免疫原性組成物を、単回用量で投与する。実施形態では、本明細書中に記載の免疫原性組成物を、複数回用量で投与する。例えば、実施形態では、1用量、2用量、3用量、4用量、5用量、6用量、7用量、8用量、9用量、または10用量の免疫原性組成物を投与する。これらの用量を、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10の用量と称する。
【0087】
実施形態では、1回分あたり投与される抗原の量は、約0.1μgから約100μgまでの範囲(その間の全ての範囲および部分範囲が挙げられる)である。例えば、免疫原性組成物の1回分あたり約0.1μg、約0.2μg、約0.3μg、約0.4μg、約0.5μg、約0.6μg、約0.7μg、約0.8μg、約0.9μg、約1μg、約1.1μg、約1.2μg、約1.3μg、約1.4μg、約1.5μg、約1.6μg、約1.7μg、約1.8μg、約1.9μg、約2μg、約3μg、約4μg、約5μg、約6μg、約7μg、約8μg、約9μg、約10μg、約11μg、約12μg、約13μg、約14μg、約15μg、約16μg、約17μg、約18μg、約19μg、約20μg、約21μg、約22μg、約23μg、約24μg、約25μg、約26μg、約27μg、約28μg、約29μg、約30μg、約31μg、約32μg、約33μg、約34μg、約35μg、約36μg、約37μg、約38μg、約39μg、約40μg、約41μg、約42μg、約43μg、約44μg、約45μg、約46μg、約47μg、約48μg、約49μg、約50μg、約51μg、約52μg、約53μg、約54μg、約55μg、約56μg、約57μg、約58μg、約59μg、約60μg、約61μg、約62μg、約63μg、約64μg、約65μg、約66μg、約67μg、約68μg、約69μg、約70μg、約71μg、約72μg、約73μg、約74μg、約75μg、約76μg、約77μg、約78μg、約79μg、約80μg、約81μg、約82μg、約83μg、約84μg、約85μg、約86μg、約87μg、約88μg、約89μg、約90μg、約91μg、約92μg、約93μg、約94μg、約95μg、約96μg、約97μg、約98μg、約99μg、または約100μgの抗原を投与し得る。実施形態では、抗原は、R21または配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する抗原である。実施形態では、抗原は、配列番号2のポリペプチドに対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する。
【0088】
実施形態では、免疫原性組成物は、アジュバントを含む。実施形態では、各々の用量の免疫原性組成物中のアジュバントの量は、約1μgから約100μgまでの範囲である。例えば、実施形態では、各々の用量の免疫原性組成物中のアジュバントの量は、約1μg、約1.1μg、約1.2μg、約1.3μg、約1.4μg、約1.5μg、約1.6μg、約1.7μg、約1.8μg、約1.9μg、約2μg、約3μg、約4μg、約5μg、約6μg、約7μg、約8μg、約9μg、約10μg、約11μg、約12μg、約13μg、約14μg、約15μg、約16μg、約17μg、約18μg、約19μg、約20μg、約21μg、約22μg、約23μg、約24μg、約25μg、約26μg、約27μg、約28μg、約29μg、約30μg、約31μg、約32μg、約33μg、約34μg、約35μg、約36μg、約37μg、約38μg、約39μg、約40μg、約41μg、約42μg、約43μg、約44μg、約45μg、約46μg、約47μg、約48μg、約49μg、約50μg、約51μg、約52μg、約53μg、約54μg、約55μg、約56μg、約57μg、約58μg、約59μg、約60μg、約61μg、約62μg、約63μg、約64μg、約65μg、約66μg、約67μg、約68μg、約69μg、約70μg、約71μg、約72μg、約73μg、約74μg、約75μg、約76μg、約77μg、約78μg、約79μg、約80μg、約81μg、約82μg、約83μg、約84μg、約85μg、約86μg、約87μg、約88μg、約89μg、約90μg、約91μg、約92μg、約93μg、約94μg、約95μg、約96μg、約97μg、約98μg、約99μg、または約100μgである。実施形態では、アジュバントはサポニンアジュバントである。実施形態では、サポニンアジュバントは、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含む。実施形態では、サポニンアジュバントは、約25μgの85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含む。実施形態では、サポニンアジュバントは、約50μgの85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含む。
【0089】
実施形態では、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10の用量の免疫原性組成物を、第1の用量の投与の約1週間後、約2週間後、約3週間後、約4週間後、約5週間後、約6週間後、約7週間後、約8週間後、約9週間後、約10週間後、約11週間後、約12週間後、約13週間後、約14週間後、約15週間後、約16週間後、約17週間後、約18週間後、約19週間後、約20週間後、約21週間後、約22週間後、約23週間後、約24週間後、約25週間後、約26週間後、約27週間後、約28週間後、約29週間後、約30週間後、約31週間後、約32週間後、約33週間後、約34週間後、約35週間後、約36週間後、約37週間後、約38週間後、約39週間後、約40週間後、約41週間後、約42週間後、約43週間後、約44週間後、約45週間後、約46週間後、約47週間後、約48週間後、約49週間後、約50週間後、約51週間後、または約52週間後に投与する。実施形態では、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10の用量の免疫原性組成物を、第1の用量の投与の約7日後、約8日後、約9日後、約10日後、約11日後、約12日後、約13日後、約14日後、約15日後、約16日後、約17日後、約18日後、約19日後、約20日後、約21日後、約22日後、約23日後、約24日後、約25日後、約26日後、約27日後、約28日後、約29日後、約30日後、約31日後、約32日後、約33日後、約34日後、約35日後、約36日後、約37日後、約38日後、約39日後、約40日後、約41日後、約42日後、約43日後、約44日後、約45日後、約46日後、約47日後、約48日後、約49日後、約50日後、約51日後、約52日後、約53日後、約54日後、約55日後、約56日後、約57日後、約58日後、約59日後、約60日後、約61日後、約62日後、約63日後、約64日後、約65日後、約66日後、約67日後、約68日後、約69日後、約70日後、約71日後、約72日後、約73日後、約74日後、約75日後、約76日後、約77日後、約78日後、約79日後、約80日後、約81日後、約82日後、約83日後、約84日後、約85日後、約86日後、約87日後、約88日後、約89日後、約90日後、約91日後、約92日後、約93日後、約94日後、約95日後、約96日後、約97日後、約98日後、約99日後、約100日後、約101日後、約102日後、約103日後、約104日後、約105日後、約106日後、約107日後、約108日後、約109日後、約110日後、約111日後、約112日後、約113日後、約114日後、約115日後、約116日後、約117日後、約118日後、約119日後、約120日後、約121日後、約122日後、約123日後、約114日後、約115日後、約116日後、約117日後、約118日後、約119日後、約120日後、約121日後、約122日後、約123日後、約124日後、約125日後、約126日後、約127日後、約128日後、約129日後、約130日後、約131日後、約132日後、約133日後、約134日後、約135日後、約136日後、約137日後、約138日後、約139日後、約140日後、約141日後、約142日後、約143日後、約144日後、約145日後、約146日後、約147日後、約148日後、約149日後、約150日後、約151日後、約152日後、約153日後、約154日後、約155日後、約156日後、約157日後、約158日後、約159日後、約160日後、約161日後、約162日後、約163日後、約164日後、約165日後、約166日後、約167日後、約168日後、約169日後、約170日後、約171日後、約172日後、約173日後、約174日後、約175日後、約176日後、約177日後、約178日後、約179日後、約180日後、約181日後、約182日後、約183日後、約184日後、約185日後、約186日後、約187日後、約188日後、約189日後、約190日後、約191日後、約192日後、約193日後、約194日後、約195日後、約196日後、約197日後、約198日後、約199日後、約200日後、約201日後、約202日後、約203日後、約204日後、約205日後、約206日後、約207日後、約208日後、約209日後、約210日後、約211日後、約212日後、約213日後、約214日後、約215日後、約216日後、約217日後、約218日後、約219日後、約220日後、約221日後、約222日後、約223日後、約224日後、約225日後、約226日後、約227日後、約228日後、約229日後、約230日後、約231日後、約232日後、約233日後、約234日後、約235日後、約236日後、約237日後、約238日後、約239日後、約240日後、約241日後、約242日後、約243日後、約244日後、約245日後、約246日後、約247日後、約248日後、約249日後、約250日後、約251日後、約252日後、約253日後、約254日後、約255日後、約256日後、約257日後、約258日後、約259日後、約260日後、約261日後、約262日後、約263日後、約264日後、約265日後、約266日後、約267日後、約268日後、約269日後、約270日後、約271日後、約272日後、約273日後、約274日後、約275日後、約276日後、約277日後、約278日後、約279日後、約280日後、約281日後、約282日後、約283日後、約284日後、約285日後、約286日後、約287日後、約288日後、約289日後、約290日後、約291日後、約292日後、約293日後、約294日後、約295日後、約296日後、約297日後、約298日後、約299日後、約300日後、約301日後、約302日後、約303日後、約304日後、約305日後、約306日後、約307日後、約308日後、約309日後、約310日後、約311日後、約312日後、約313日後、約314日後、約315日後、約316日後、約317日後、約318日後、約319日後、約320日後、約321日後、約322日後、約323日後、約324日後、約325日後、約326日後、約327日後、約328日後、約329日後、約330日後、約331日後、約332日後、約333日後、約334日後、約335日後、約336日後、約337日後、約338日後、約339日後、約340日後、約341日後、約342日後、約343日後、約344日後、約345日後、約346日後、約347日後、約348日後、約349日後、約350日後、約351日後、約352日後、約353日後、約354日後、約355日後、約356日後、約357日後、約358日後、約359日後、約360日後、約361日後、約362日後、約363日後、約364日後、約365日後、約13ヶ月後、約14ヶ月後、約15ヶ月後、約16ヶ月後、約17ヶ月後、約18ヶ月後、約19ヶ月後、約20ヶ月後、約21ヶ月後、約22ヶ月後、約23ヶ月後、約24ヶ月後、約2.5年後、約3年後、約3.5年後、約4年後、約4.5年後、約5年後、約5.5年後、約6年後、約6.5年後、約7年後、約8年後、約9年後、約10年後、約11年後、約12年後、約13年後、約14年後、約15年後、約16年後、約17年後、約18年後、約19年後、または約20年後に投与する。実施形態では、第2の用量を、第1の用量の投与の約28日後に投与する。実施形態では、第3の用量を、第1の用量の投与の約56日後に投与する。実施形態では、第3の用量を、第1の用量の投与の約168日後に投与する。実施形態では、第2の用量を第1の用量の投与の約28日後に投与し、第3の用量を第1の用量の約56日後に投与する。実施形態では、第2の用量を第1の用量の投与の約28日後に投与し、第3の用量を第1の用量の約168日後に投与する。
【0090】
実施形態では、第2の用量の免疫原性組成物を、第1の用量の免疫原性組成物の約1ヶ月後(例えば、28日後、29日後、30日後、または31日後)に投与する。実施形態では、第3の用量の免疫原性組成物を、第1の用量の免疫原性組成物の約2ヶ月後から約24ヶ月後までに、約2ヶ月後から約6ヶ月後までに、約10ヶ月後から約15ヶ月後までに、約12ヶ月後から約18ヶ月後までに、または約12ヶ月後から約16ヶ月後までに投与する。実施形態では、第4の用量の免疫原性組成物を、第1の用量の免疫原性組成物の約2ヶ月後から約24ヶ月後までに、約2ヶ月後から約6ヶ月後までに、約10ヶ月後から約15ヶ月後までに、約12ヶ月後から約18ヶ月後までに、または約12ヶ月後から約16ヶ月後までに投与する。実施形態では、第3の用量の免疫原性組成物を、第1の用量の免疫原性組成物の投与の少なくとも2ヶ月後、少なくとも3ヶ月後、少なくとも4ヶ月後、少なくとも5ヶ月後、少なくとも6ヶ月後、少なくとも7ヶ月後、少なくとも8ヶ月後、少なくとも9ヶ月後、少なくとも10ヶ月後、少なくとも11ヶ月後、少なくとも1年後、少なくとも13ヶ月後、少なくとも14ヶ月後、または少なくとも15ヶ月後に投与する。実施形態では、第3の用量の免疫原性組成物を、第1の用量の免疫原性組成物の投与の最大で2ヶ月後、最大で3ヶ月後、最大で4ヶ月後、最大で5ヶ月後、最大で6ヶ月後、最大で7ヶ月後、最大で8ヶ月後、最大で9ヶ月後、最大で10ヶ月後、最大で11ヶ月後、最大で1年後、最大で13ヶ月後、最大で14ヶ月後、または最大で15ヶ月後に投与する。実施形態では、第4の用量の免疫原性組成物を、第1の用量の免疫原性組成物の投与の少なくとも2ヶ月後、少なくとも3ヶ月後、少なくとも4ヶ月後、少なくとも5ヶ月後、少なくとも6ヶ月後、少なくとも7ヶ月後、少なくとも8ヶ月後、少なくとも9ヶ月後、少なくとも10ヶ月後、少なくとも11ヶ月後、少なくとも1年後、少なくとも13ヶ月後、少なくとも14ヶ月後、または少なくとも15ヶ月後に投与する。実施形態では、第4の用量の免疫原性組成物を、第1の用量の免疫原性組成物の投与の最大で2ヶ月後、最大で3ヶ月後、最大で4ヶ月後、最大で5ヶ月後、最大で6ヶ月後、最大で7ヶ月後、最大で8ヶ月後、最大で9ヶ月後、最大で10ヶ月後、最大で11ヶ月後、最大で1年後、最大で13ヶ月後、最大で14ヶ月後、最大で15ヶ月後、最大で16ヶ月後、最大で17ヶ月後、最大で18ヶ月後、最大で19ヶ月後、最大で20ヶ月後、最大で21ヶ月後、最大で22ヶ月後、最大で23ヶ月後、または最大で24ヶ月後に投与する。
【0091】
実施形態では、第1の用量の後にある用量を投与するとき、その後の用量は、第1の用量中の抗原量未満の抗原量を含み得る。例えば、第1の用量が5μgの抗原を含む場合、第3の用量は、1μgの抗原を含み得る。実施形態では、その後の用量は、第1の用量より約1%、約2%、約3% 約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%低い。例えば、第1の用量が5μgの抗原を含む場合、第1の用量より50%低いその後の用量は、2.5μgの抗原を含む。実施形態では、第3の用量は、第1の用量の抗原の1/5を含む。実施形態では、第1の用量は10μgの抗原を含み、第3の用量は2μgの抗原を含む。実施形態では、第1の用量は50μgの抗原を含み、第3の用量は10μgの抗原を含む。
【0092】
実施形態では、3つの用量(第1の用量、第2の用量、および第3の用量)の本明細書中に記載の免疫原性組成物を投与する。実施形態では、第1の用量は10μgの抗原を含み、第2の用量は10μgの抗原を含み、第3の用量は10μgの抗原を含む。実施形態では、第1の用量は5μgの抗原を含み、第2の用量は5μgの抗原を含み、第3の用量は5μgの抗原を含む。実施形態では、第1の用量は50μgの抗原を含み、第2の用量は50μgの抗原を含み、第3の用量は10μgの抗原を含む。実施形態では、第1の用量は10μgの抗原を含み、第2の用量は10μgの抗原を含み、第3の用量は2μgの抗原を含む。
【0093】
実施形態では、4つの用量(第1の用量、第2の用量、第3の用量、および第4の用量)の本明細書中に記載の免疫原性組成物を投与する。実施形態では、第1の用量は10μgの抗原を含み、第2の用量は10μgの抗原を含み、第3の用量は10μgの抗原を含み、第4の用量は10μgの抗原を含む。実施形態では、第1の用量は5μgの抗原を含み、第2の用量は5μgの抗原を含み、第3の用量は5μgの抗原を含み、第4の用量は5μgの抗原を含む。
【0094】
実施形態では、5つの用量(第1の用量、第2の用量、第3の用量、第4の用量、および第5の用量)の本明細書中に記載の免疫原性組成物を投与する。実施形態では、第1の用量は10μgの抗原を含み、第2の用量は10μgの抗原を含み、第3の用量は10μgの抗原を含み、第4の用量は10μgの抗原を含み、第5の用量は10μgの抗原を含む。実施形態では、第1の用量は5μgの抗原を含み、第2の用量は5μgの抗原を含み、第3の用量は5μgの抗原を含み、第4の用量は5μgの抗原を含み、第5の用量は5μgの抗原を含む。
【0095】
実施形態では、方法は、表Aの投与レジメン(regiment)に従って免疫原性組成物を投与することを含み、ここで、量は抗原の用量を指し、第2、第3、第4、または第5の用量の日数または月数は、第1の用量後の日数または月数である。
【表A-1】
【表A-2】
【0096】
本明細書中に開示の組成物を、全身経路もしくは粘膜経路もしくは経皮経路を介して、または特定の組織に直接投与し得る。本明細書中で使用される場合、用語「全身投与」は、非経口投与経路を含む。特に、非経口投与は、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、または胸骨内注射、静脈内、または腎臓透析注入技術を含む。典型的には、全身非経口投与は筋肉内注射である。本明細書中で使用される場合、用語「粘膜投与」は経口、鼻腔内、膣内、直腸内、気管内、腸管、および眼への投与を含む。好ましくは、投与は、筋肉内である。
【0097】
実施形態では、用量を、約0.1mL~約1.5mL、例えば、約0.1mL、約0.2mL、約0.25mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1.0mL、約1.1mL、約1.2mL、約1.3mL、約1.4mL、または約1.5mLの体積で投与する。実施形態では、用量を、0.25mLの体積で投与する。実施形態では、用量を、0.5mLの体積で投与する。実施形態では、用量を、0.6mLの体積で投与する。
【0098】
実施形態では、免疫原性組成物は、約1μg/mL~約50μg/mL、10μg/mL~約100μg/mL、約10μg/mL~約50μg/mL、約175μg/mL~約325μg/mL、約200μg/mL~約300μg/mL、約220μg/mL~約280μg/mL、または約240μg/mL~約260μg/mLの濃度の抗原を含み得る。
【0099】
実施形態では、本明細書中に記載の免疫原性組成物は、マラリア感染予防の有効性を有する。有効性を、マラリアと診断されたマラリア免疫原性組成物を投与されなかった被験体(マラリアと診断された対照)の数を、その後にマラリアと診断されたマラリア免疫原性組成物を投与された被験体の数と比較することによって決定し得る。以下の式を使用して有効性を計算する:100×(マラリアと診断された対照の百分率-マラリアと診断された免疫原性組成物を投与された被験体の百分率)/(マラリアと診断された対照の百分率)。
【0100】
実施形態では、本明細書中に記載の免疫原性組成物は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の有効性を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示は、Plasmodium属の寄生虫の抗原およびアジュバント(例えば、サポニンアジュバント)を含む免疫原性組成物のための共製剤(すなわち、プレフィルドシリンジまたはプレミックス)ストラテジーを提供する。現在利用されている典型的なワクチン投与ストラテジーは、ベッドサイド混合製剤である。すなわち、ワクチン組成物およびアジュバントを、個別に保存し、投与前に混合する。ワクチンのためのプレミックス、共製剤、またはプレフィルドシリンジのストラテジーは、抗原(例えば、R21抗原)の安定性およびその後の免疫原としての能力に懸念があるので、あまり一般的ではない。本開示は、予め混合し、保存することができる免疫原性組成物を提供する。開示のワクチン接種ストラテジーおよび製剤は、全体的な安全性および免疫原性を維持しながら、ワクチン接種の効率を改善し、ベッドサイドでの誤混合リスクを軽減し得る。
【0102】
種々の容器(単回投与のためのシリンジおよびプラスチック製のアンプルが挙げられる)を使用して、プレミックス製剤を保存および輸送し得る。いくつかの例では、プラスチック製のアンプルを、成形同時充填製造技術または方法を使用して製造することができる。一般に、成形同時充填(BFS)製造法は、プラスチック材料(例えば、樹脂)を押し出してパリソンを形成し、次いで、鋳型に流し込んでサイズに切断することを含む。次いで、充填ニードルまたはマンドレルを使用してプラスチックを膨らませ、それにより、鋳型の形状に実質的に適合する中空アンプルが得られる。膨張した時点で、所望の体積の液体をアンプル中に注入することができ、充填ニードルまたはマンドレルを除去することができ、アンプルを密封することができる。したがって、BFSは、ヒトが直接介入することなく滅菌環境で実施することができる自動化プロセスであり得る。
【0103】
いくつかの例では、所望の液体を含む滅菌アンプルを無菌的に製造可能であるので、BFSによって製造されたアンプルは製薬工業に特に好適であり得る。しかしながら、BFSテクノロジーは、全ての医薬用液体、生成物などに適合する訳では無い。例えば、いくつかの公知のBFS製造法は、前記液体または生成物をアンプルに送達することを含み、その時点ではプラスチックが依然として比較的高温であり、例えば、ワクチン、生物学的製剤などの温度感受性の液体および/または生成物に有害作用をもたらし得る。しかしながら、低温BFSテクノロジーの進歩によって、好適な生成物、液体などの種類が増加し、いくつかのワクチン、生物学的製剤、および/または温度感受性医薬品をBFSアンプルに含めることが可能となっている。
【0104】
いくつかの例では、BFSアンプルは、所望の用途および/またはそのアンプルが含有するように構成された所望の医薬用液体もしくは投薬量に少なくとも一部基づくサイズ、形状、および/または構成を有することができる。例えば、いくつかの公知のBFSアンプルは、穿刺蓋(pierce through top)、ねじ切り蓋、および/またはオス型もしくはメス型のルアーを含む蓋などを含むことができる。いくつかの公知のBFSアンプルは、配置されるように構成された液体の体積または投薬量に基づくサイズおよび/または形状を有することができる。さらに、いくつかの公知のBFSアンプルを、一連の複数の一時的に接続されたアンプルで製造することができ、それにより、製造、包装、および/または保存の効率などを向上させることができる。
【0105】
実施形態では、本明細書中に記載の免疫原性組成物は、プレフィルドシリンジ中に提供される。免疫原性組成物をプレフィルドシリンジ中に調製する場合、抗原およびアジュバントを、投与前に組み合わせる。実施形態では、プレフィルドシリンジは、Plasmodium属の寄生虫の抗原(例えば、R21)およびアジュバント(例えば、サポニンアジュバント)を含む。実施形態では、プレフィルドシリンジは、R21およびサポニンアジュバントを含み、ここで、アジュバントが、少なくとも2つのiscom粒子を含み、第1のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まず;第2のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まず;アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約85重量%および約15重量%を占める。実施形態では、プレフィルドシリンジは、R21およびサポニンアジュバントを含み、ここで、アジュバントが、少なくとも2つのiscom粒子を含み、ここで、第1のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まず;第2のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まず;アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、それぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約92重量%および約8重量%を占める。実施形態では、プレフィルドシリンジは、R21およびサポニンアジュバントを含み、ここで、アジュバントが、少なくとも2つのiscom粒子を含み、ここで、第1のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まず;第2のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まず;アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aが少なくとも約75重量%を占め、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cが残りを占める。
【0106】
実施形態では、被験体に、プレフィルドシリンジから免疫原性組成物を投与する。実施形態では、被験体に、単回プレフィルドシリンジ中の血球凝集素およびCoV Sポリペプチドの両方を含む免疫原性組成物を投与する。実施形態では、被験体に、プレフィルドシリンジから、CoV Sポリペプチドを含むが、血球凝集素を含まない免疫原性組成物を投与する。実施形態では、被験体に、プレフィルドシリンジから、血球凝集素を含むが、CoV Sポリペプチドを含まない免疫原性組成物を投与する。
【実施例】
【0107】
実施例1:5~17ヶ月齢におけるR21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物の安全性および免疫原性の第I/IIb相ランダム化対照試験
目的:R21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物の有効性を、年齢が5~17ヶ月の小児で評価した。
【0108】
方法:候補免疫原性組成物の安全性および免疫原性の第I/IIb相ランダム化対照試験を、ブルキナファソのナノロの5~17ヶ月齢の小児において実施した。小児を以下の3つの群にランダム化した:第1群、第2群、および第3群。第1群の小児に、25μgのサポニンアジュバントを有する5μgのR21タンパク質を、0日目(1回目の投与)、28日目(2回目の投与)、56日目(3回目の投与)、3回目の投与の1年後または1回目の投与の421日後(4回目の投与)、および4回目の投与の1年後または1回目の投与の786日後(5回目の投与)に投与した。第2群の小児に、50μgのサポニンアジュバントを有する5μgのR21タンパク質を、0日目(1回目の投与)、28日目(2回目の投与)、56日目(3回目の投与)、3回目の投与の1年後または1回目の投与の421日後(4回目の投与)、および4回目の投与の1年後または1回目の投与の786日後(5回目の投与)に投与した。第3群の小児にプラセボ(対照)を投与した。各々の組成物では、サポニンアジュバントは、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含んでいた。
【0109】
R21タンパク質の産生:R21タンパク質を、Hansenula polymorpha酵母細胞中で産生した。R21タンパク質をコードする核酸を、酵母中での選択のためにURA3遺伝子の代わりにLEU2遺伝子を保有するH.polymorpha発現プラスミドpFPMT121の誘導体にサブクローニングした。野生型株ATCC(登録商標)34438(商標)(CBS4732、IFO1476、JCM3621、NBRC1476、NCYC1457、NRRL Y-5445)由来の栄養要求性H.polymorpha株ALU3(関連遺伝子型:ade1、leu2、ura3)を、発現宿主として使用した。組換え酵母細胞系を、エレクトロポレーションおよびその後の株の生成および単離のプロトコールによって生成した。それにより、発現プラスミドは酵母ゲノムに安定に組み込まれた。
【0110】
異種酵母株を、グリセロールストックとして-80℃で保存した。産生細胞系を、炭素源としての20g L-1グリセロール(AppliChem,Germany)および0.1g L-1アデニン(AppliChem)を含む200mLの動物成分を含まないYPG培地を充填した2Lバッフル付き振盪フラスコ中で培養した。YPD培地中で静止期まで成長させた前培養物を接種材料として使用した。培養物を、37℃および往復距離5cmにて130rpmでインキュベートした。バッチ成長およびグリセロールの消費によるプロモーター系の抑制解除の56時間後に、1%(v/v)メタノールを、標的遺伝子発現の誘導のために培養物に添加した。72時間の総培養期間後に、細胞を遠心分離(6,000g、15分間、4℃)によって回収し、洗浄緩衝液(50mMリン酸ナトリウム緩衝液、2mM EDTA、pH8.0)で1回洗浄し、-20℃で保存した。R21タンパク質を超遠心分離によって単離した。
【0111】
結果:ワクチン接種に関連する未知で重篤な副作用の疑い(SUSAR)や重篤な有害事象(SAE)は認められなかった。熱性痙攣は認められなかった。患者の発熱経験数は、全ワクチン用量で低かった。第1群の9~15%の患者が発熱を経験した。第2群の10~30%の患者が発熱を経験した。第3群の8~10%の患者が発熱を経験した。表1は、群ごとの防御有効性を示す。
【表1】
【0112】
図6Bは、第1群、第2群、および第3群の患者のマラリア発生率のグラフを示す。
【0113】
図7Aは、第1群、第2群、および第3群の患者においてマラリアから防御する免疫グロブリンを示すグラフである。第2群の患者は、ワクチンの3回の投与後の免疫グロブリン量が第1群の患者より高かった(p<0.0001)。また、第1群および第2群の両方の患者は、ブースト投与後の抗体濃度が増加した。
図7Bは、前記の投薬レジメンの投与後の患者における経時的な抗NANP抗体力価を示すグラフである。
図7Cは、前記の投薬レジメンの投与後の患者における経時的なCSタンパク質のC末端に特異的なIgGの力価を示すグラフである。
図7Dは、前記の投薬レジメンの投与の1ヶ月後の抗NANP抗体へのCSタンパク質のアビディティーを示すグラフである。
図7Eは、前記の投薬レジメンの投与後の患者における経時的なCSタンパク質のC末端に特異的なIgGへのCSタンパク質のアビディティーを示すグラフである。
【0114】
第1の臨床マラリアエピソードまでの時間を査定して、第2群の患者における有効性は、ブースター後12ヶ月にわたって81%[95%Cl:74~87%]であった(p<0.0001)。第2群の患者における有効性は、ブースター後12ヶ月にわたって臨床マラリアの複数のエピソードに対して78%[95%Cl:71~83%]であった(p<0.001)。第2群の患者における有効性は、一連の初回ワクチン接種後24時間にわたって臨床マラリアの複数のエピソードに対して77%[95%Cl:71~83%]であった(p<0.001)。
【0115】
実施例2A:成人におけるR21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物の安全性および免疫原性の第I/IIa相オープンラベル試験
目的:成人におけるR21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物の有効性を評価した。
【0116】
方法:候補免疫原性組成物の安全性および免疫原性の第I/IIa相非ランダム化オープンラベル試験を、成人においてイングランドのオックスフォード、ロンドン、およびサウサンプトンで行った。第2群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を、0ヶ月、1ヶ月、および6ヶ月に投与した。第3群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を、0ヶ月、1ヶ月、および2ヶ月に投与した。第6群は、ワクチンを投与しなかった対照群であった。各々の群の有効性を、以下の式を使用して21日目に計算した:100×(免疫原性組成物を投与されていないマラリアと診断された被験体の百分率-免疫原性組成物を投与されたマラリアと診断された被験体の百分率)/(免疫原性組成物を投与されていないマラリアと診断された被験体の百分率)。被験体にマラリア寄生虫を意図的に感染させた(CHMI)。CHMI後にマラリアと診断されない患者の百分率を測定した。
【0117】
結果:
図2は、被験体にヒトマラリアを意図的に感染させた後に(CHMI)マラリアと診断されない被験体の経時的な百分率を示すグラフである。第2群の有効性は75%であった。第3群の有効性は62.5%であった。マラリアと診断された対照の百分率は100%であった。
【0118】
実施例2B:成人におけるR21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物の安全性および免疫原性の第I/IIa相オープンラベル試験
目的:R21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物の有効性を、成人において評価した。
【0119】
方法:候補免疫原性組成物の安全性および免疫原性の第I/IIa相非ランダム化オープンラベル試験を、成人においてイングランドのオックスフォード、ロンドン、およびサウサンプトンで行った。第2群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を、0ヶ月、1ヶ月、6ヶ月、および14ヶ月に投与した。第3群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を、0ヶ月、1、2、および10ヶ月に投与した。第4群に、10μgのR21タンパク質および50μgのサポニンアジュバント(すなわち、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含むサポニンアジュバント)を、0ヶ月、1ヶ月、および6ヶ月に投与した。第7群は、ワクチン接種を行わなかった対照群であった。VEを、実施例2Aと同様に14日目に計算した。被験体にマラリア寄生虫を意図的に感染させた(CHMI)。CHMI後にマラリアと診断されない患者の百分率を測定した。
【0120】
結果:
図3は、被験体にヒトマラリアを意図的に感染させた(CHMI)後に、マラリアと診断されない被験体の経時的な百分率を示すグラフである。第2群は、60%VEを示した。第3群は、100%VEを示した。第4群は、40%VEを示した。マラリアと診断された対照の百分率は83.3%であった。
【0121】
実施例3:5~36ヶ月の小児におけるR21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物の有効性を評価するための第III相ランダム化対照試験
目的:R21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物の有効性が5~36ヶ月齢の小児において評価されている。
【0122】
方法:5~36ヶ月のアフリカ系小児におけるマラリアに対する候補免疫原性組成物の有効性を評価する第III相ランダム化試験が実施されている。全ての小児に、50μgのサポニンアジュバントを有する5μgのR21タンパク質または対照ワクチンを、0、28、および56日目に投与した。ダンデ、バガモヨ、キルフィの小児に、ブーストを421日目に投与する。ナノロ、ブグニの小児に、1年後にブースト用量を投与する。一連の初回ワクチン接種を、マラリアシーズンの前または開始時に投与する。
【0123】
以下のアウトカムを評価する:一次、二次、または三次の臨床マラリアの存在;免疫原性組成物の安全性および反応性;組成物由来の有害事象の訴え;ならびに臨床マラリアに対する有効性。本明細書中に記載の免疫原性組成物の免疫原性を、対照と比較する。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、CS抗原に対する抗体、CSのNANP反復領域、およびHBsAgに対する抗体を定量する。
【0124】
実施例4:R21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物を投与したマラリアナイーブ患者における異なる投与レジメンの免疫原性。
目的:免疫原性に対するR21タンパク質およびサポニンアジュバントを含む免疫原性組成物の異なる投与レジメンの効果を評価した。サポニンアジュバントは、85%w/wの画分A ISCOMマトリックスおよび15%w/wの画分C ISCOMマトリックスを含んでいた。表2の投与レジメンの投与後、患者に、監視下ヒトマラリア感染(CHMI)を行った。
【0125】
レジメンを表2に記載する:
【表2-1】
【表2-2】
【0126】
第1群の患者は、CHMIを実施されず、対照群としての役割を果たした。第2群の患者に、第1の用量の5ヶ月後に投与した、遅らせた第3の用量を投与した。第3群の患者に、各々の用量を約1ヶ月の間隔を開けて投与した。第4群の患者に、1回目の投与および2回目の投与で50μgのR21タンパク質を投与し、3回目の投与で1回目の投与および2回目の投与の1/5の用量(10μgのR21タンパク質)を投与した。第5群の患者に、1回目の投与および2回目の投与で10μgのR21タンパク質を投与し、3回目の投与で1回目の投与および2回目の投与の1/5の用量(2μgのR21タンパク質)を投与した。
【0127】
CSタンパク質の中心反復領域に対する総IgG NANP特異的抗体応答を、ELISAによって評価した。
図9Aおよび9Bは、第1群および第3群(
図9A)と第2群、第4群、および第5群の患者における経時的に誘導された抗体応答を示す。第2群、第4群、および第5群の患者に、第1の用量の投与の約3ヶ月後に、遅らせた第3の用量を投与した。驚愕的かつ予想外に、3回目の投与で2μgのR21を投与した第5群の患者は、第2群投与レジメン(1回目の投与~3回目の投与での10μgのR21)を投与した患者とほぼ同一の抗体誘導を示した。第5群の患者の抗体応答は、1回目の投与で50μgのR21、2回目の投与で50μgのR21、および3回目の投与で10μgのR21を投与した患者の抗体応答より高かった。
【0128】
図10Aは、表2の異なる投薬レジメンの投与後の抗体応答(抗NANP特異的IgG)を示す。第5群のレジメンを投与した患者は、第3群のレジメンを投与した患者より高いピーク抗体応答を示す。第3群についての
図10A中のELISA単位の幾何平均は、1389である(95%CI 1031-1871)。第2群についての
図10A中のELISA単位の幾何平均は2661である(95%CI 1771~3998)。第4群についての
図10A中のELISA単位の幾何平均は1009である(95%CI 316~3221)。第5群についての
図10A中のELISA単位の幾何平均は3980である(95%CI 2500~6337)。
図10Bは、表2の異なる投薬レジメンの投与後の抗体応答(CSタンパク質のC末端に特異的なIgG)を示す。
図10Cは、表の異なる投薬レジメンの投与後のCSタンパク質についての抗NANP特異的IgGのアビディティーを示す。
図10Dは、表2の異なる投薬レジメンの投与後のCSタンパク質のC末端に特異的なIgGのアビディティーを示す。
【0129】
図11Aは、防御および無防御によって層別化した第2群および第3群の投与レジメンを投与した患者由来の抗体価を示す。
図11Bは、第2群および第3群の患者における防御の、抗体応答EU1100超またはEU1100未満との相関を示す。
【0130】
まとめると、このデータは、3回目の投与を遅らせること(第1の用量の約3ヶ月後に投与した)が、免疫原性組成物を約1ヶ月の間隔を開けた3つの用量で投与する投薬レジメンよりも高い抗体応答を誘発することを示す。
【0131】
また、このデータは、第1の用量の1/5のR21の3回目の投与を遅らせて投与した患者が、10μgのR21を約1ヶ月の間隔を開けた3つの用量で投与する投与レジメンと比較してより優れた抗体応答を誘導することを示す。これは、Plasmodium属の寄生虫に対する免疫原性組成物(例えば、マラリアワクチン)投与のコストを削減するという理由から、有意な経済的意味を持つ。
【0132】
番号を付けた実施形態
実施形態1.Plasmodium属の寄生虫の抗原を含む免疫原性組成物。
実施形態2.前記Plasmodium属の寄生虫が、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、またはPlasmodium knowlesiである、実施形態1に記載の免疫原性組成物。
実施形態3.前記抗原が、スポロゾイト周囲(CS)タンパク質またはその断片を含む、実施形態1または2に記載の免疫原性組成物。
実施形態4.前記CSタンパク質が、Plasmodium falciparumに由来する、実施形態3に記載の免疫原性組成物。
実施形態5.前記抗原が、B型肝炎表面抗原(HBsAg)またはその断片を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
実施形態6.前記抗原が、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
実施形態7.アジュバントを含む実施形態1に記載の免疫原性組成物。
実施形態8.前記アジュバントが少なくとも2つのiscom粒子を含み、ここで:
その第1のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まない;そして
その第2のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まない、実施形態7に記載の免疫原性組成物。
実施形態9.前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約85重量%および約15重量%を占める、請求項8に記載の免疫原性組成物。
実施形態10.前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約92重量%および約8重量%を占める、請求項8に記載の免疫原性組成物。
実施形態11.前記アジュバントを、約50μgの用量で投与する、実施形態7~10のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
実施形態12.実施形態1~11のいずれか1つに記載の免疫原性組成物を投与することを含む、被験体におけるPlasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法。
実施形態13.前記免疫原性組成物がアジュバントを含む、実施形態12に記載の方法。
実施形態14.前記アジュバントが、少なくとも2つのiscom粒子を含み、ここで:
その第1のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まない;そして
その第2のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まない、実施形態13に記載の方法。
実施形態15.前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約85重量%および約15重量%を占める、実施形態14に記載の方法。
実施形態16.前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約92重量%および約8重量%を占める、実施形態14に記載の方法。
実施形態17.前記アジュバントを、約50μgの用量で投与する、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18.投与される抗原の前記用量が、約0.1μgから約100μgまでである、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19.投与される抗原の前記用量が、約0.1μgから約10μgまでである、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20.投与される抗原の前記用量が、約0.1μgから約5μgまでである、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態21.投与される抗原の前記用量が、約0.1μgから約3μgまでである、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22.投与される抗原の量が、約0.1μgから約2μgまでである、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23.第1の用量および第2の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、実施形態12~22のいずれか1つに記載の方法。
実施形態24.第3の用量の前記免疫原性組成物を投与することを含む、実施形態23に記載の方法。
実施形態25.前記第2の用量中の抗原の用量が、前記第1の用量中の抗原の用量未満である、実施形態23に記載の方法。
実施形態26.前記第3の用量中の抗原の用量が、前記第1の用量中の抗原の用量未満である、実施形態24に記載の方法。
実施形態27.前記第1の用量および第2の用量が、同量の抗原を含む、実施形態23または24に記載の方法。
実施形態28.前記第2の用量および第3の用量が、同量の抗原を含む、実施形態25に記載の方法。
実施形態29.前記第1の用量および第3の用量が、同量の抗原を含む、実施形態25に記載の方法。
実施形態30.前記第3の用量が、前記第1の用量中の抗原の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%を含む、実施形態26に記載の方法。
実施形態31.前記第2の用量が、前記第1の用量中の抗原の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%を含む、実施形態26に記載の方法。
実施形態32.前記第2の用量を、前記第1の用量の約28日後に投与する、実施形態23または24に記載の方法。
実施形態33.前記第3の用量を、前記第1の用量の約56日後に投与する、実施形態24に記載の方法。
実施形態34.前記第3の用量を、前記第1の用量の約168日後に投与する、実施形態24に記載の方法。
実施形態35.被験体におけるPlasmodium属の寄生虫に対する免疫応答を刺激する方法であって、
(i)第1の用量のPlasmodium属の寄生虫の抗原を含む免疫原性組成物であって;前記第1の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;
(ii)第2の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第2の用量が約10μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物;および
(iii)第3の用量の前記免疫原性組成物であって、前記第3の用量が約2μgの前記抗原を含む、免疫原性組成物
を投与することを含む、方法。
実施形態36.前記第2の用量を、前記第1の用量の約28日後に投与する、実施形態35に記載の方法。
実施形態37.前記第3の用量を、前記第1の用量の約168日後に投与する、実施形態35または36に記載の方法。
実施形態38.前記Plasmodium属の寄生虫が、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、またはPlasmodium knowlesiである、実施形態35~37のいずれか1つに記載の方法。
実施形態39.前記抗原が、スポロゾイト周囲(CS)タンパク質またはその断片を含む、実施形態35~38のいずれか1つに記載の方法。
実施形態40.前記CSタンパク質が、Plasmodium falciparumに由来する、実施形態35~39のいずれか1つに記載の方法。
実施形態41.前記抗原が、B型肝炎表面抗原(HBsAg)またはその断片を含む、35~40のいずれか1つに記載の方法。
実施形態42.前記抗原が、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%同一なアミノ酸配列を含む、実施形態35~41のいずれか1つに記載の方法。
実施形態43.アジュバントを含む、実施形態35~42のいずれか1つに記載の方法。
実施形態44.前記アジュバントが、少なくとも2つのiscom粒子を含み、ここで:
その第1のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Aを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Cを含まない;そして
その第2のiscom粒子が、Quillaja Saponaria Molinaの画分Cを含み、かつQuillaja Saponaria Molinaの画分Aを含まない、実施形態43に記載の方法。
実施形態45.前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約85重量%および約15重量%を占める、実施形態44に記載の方法。
実施形態46.前記アジュバント中のQuillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cの重量の総和に対して、ぞれぞれ、Quillaja Saponaria Molinaの画分AおよびQuillaja Saponaria Molinaの画分Cが、約92重量%および約8重量%を占める、実施形態44に記載の方法。
実施形態47.前記アジュバントを、約50μgの用量で投与する、実施形態35~46のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
参照による援用
本明細書中に引用された全ての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、および特許出願は、全ての目的のためにその全体が参考として援用される。しかしながら、本明細書中に引用された任意の参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、および特許出願の言及は、前記文献が有効な先行技術を構成することや、世界中のどの国でも共通の一般的知識の一部を形成することの承認や示唆の任意の形態と見なされず、また見なされないものとする。本出願は、米国特許第10,729,764号、米国特許第9,821,046号、および米国特許第8,821,881号の開示全体が全ての目的のために本明細書によって参考として援用される。
【配列表】
【国際調査報告】