(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】凹多角形開口コーナーキューブプリズムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/122 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G02B5/122
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023557138
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 US2021058062
(87)【国際公開番号】W WO2023075802
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512250924
【氏名又は名称】オラフォル アメリカズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】デイビス アーサー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042EA05
(57)【要約】
シート内の複数のコーナーキューブプリズムと、少なくとも1つの内角が180°よりも大きい凹多角形形状を有する、前記コーナーキューブプリズムのうちの少なくとも1つの投影開口とを有する再帰反射構造。さらに、この技術の例は、有利には、以下:切頂立方体、直方体、シェブロン立方体、または延伸シェブロン立方体などの異なる形状;25ミクロン~500ミクロンなどのサイズ;一方向、双方向、またはそれらの組み合わせなどの方向;-20°~+20°の範囲にわたるなどの傾斜;頂点中心位置;および/または光学的再帰反射性能をさらにカスタマイズするための、インサイチュ、寄木張り、またはそれらの組み合わせなどのタイリング、によって構成され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰反射構造であって、
シート内の複数のコーナーキューブプリズムと、
180°よりも大きい少なくとも1つの内角を有する凹多角形形状を有する前記コーナーキューブプリズムのうちの少なくとも1つの投影開口と
を備える、再帰反射構造。
【請求項2】
前記シートに沿って延在する平面の法線に対する前記コーナーキューブプリズムのそれぞれの立方体軸の傾斜が、-20°~+20°であること
をさらに含む、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記傾斜が約+9.8°である、請求項2に記載の構造。
【請求項4】
前記コーナーキューブプリズムのうちの少なくとも1つの各ファセットの二面角偏差が、互いに±1°以内であること
をさらに含む、請求項1に記載の構造。
【請求項5】
前記コーナーキューブプリズムのうちの前記少なくとも1つの前記投影開口が、シェブロン形状をさらに含む、請求項1に記載の構造。
【請求項6】
前記シェブロン形状の1つの寸法が、前記シェブロン形状の他の寸法と比べて細長い、請求項5に記載の構造。
【請求項7】
前記コーナーキューブプリズムのそれぞれが同じ配向を有する、請求項1に記載の構造。
【請求項8】
前記シートが、前記コーナーキューブプリズムの一方向配置または双方向配置のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の構造。
【請求項9】
前記シートに沿って延在する平面の法線に対する前記コーナーキューブプリズムのそれぞれの立方体軸が、-20°~+20°である、請求項8に記載の構造。
【請求項10】
前記コーナーキューブプリズムのそれぞれの立方体頂点が中心からずれている、請求項8に記載の構造。
【請求項11】
前記シートが、それぞれが複数の前記コーナーキューブプリズムを備える複数のタイルを備え、前記タイルが交互の角度方向にある、請求項1に記載の構造。
【請求項12】
前記シート上の前記複数のタイルが、インサイチュで少なくとも部分的に形成される、請求項11に記載の構造。
【請求項13】
前記シート上の前記複数のタイルが、少なくとも部分的に一緒に寄木張りされている、請求項11に記載の構造。
【請求項14】
前記コーナーキューブプリズムが、25μm~500μmのプリズムピッチ範囲を有する、請求項1に記載の構造。
【請求項15】
前記シートが、それぞれが複数の前記コーナーキューブプリズムを備える複数のタイルを備え、
前記タイルのうちの1つまたは複数において、前記シートに沿って延在する平面の法線に対する前記コーナーキューブプリズムのうちの2つ以上の立方体軸の傾斜が互いに異なる、
請求項1に記載の構造。
【請求項16】
再帰反射構造を製造する方法であって、
前記再帰反射構造用のシートを提供する工程と、
前記シート内に複数のコーナーキューブプリズムを形成する工程であって、180°よりも大きい少なくとも1つの内角を有する凹多角形形状を有するように、前記コーナーキューブプリズムのうちの少なくとも1つの投影開口を形成することをさらに含む、前記複数のコーナーキューブプリズムを形成する工程と
を含む、方法。
【請求項17】
前記シートに沿って延在する平面の法線に対する前記コーナーキューブプリズムのそれぞれの立方体軸の傾斜が、-20°~+20°であること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記傾斜が約+9.8°である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コーナーキューブプリズムのうちの少なくとも1つの各ファセットの二面角偏差が、互いに±1°以内であること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記コーナーキューブプリズムのうちの前記少なくとも1つの前記投影開口が、シェブロン形状をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記シェブロン形状の1つの寸法が、前記シェブロン形状の他の寸法と比べて細長い、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コーナーキューブプリズムのそれぞれが同じ配向を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記シートが、前記コーナーキューブプリズムの一方向配置または双方向配置のうちの少なくとも一方を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記シートに沿って延在する平面の法線に対する前記コーナーキューブプリズムのそれぞれの立方体軸が、-20°~+20°である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コーナーキューブプリズムのそれぞれの立方体頂点が中心からずれている、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記シートが、それぞれが複数の前記コーナーキューブプリズムを備える複数のタイルを備え、前記タイルが交互の角度方向にある、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記シート上の前記複数のタイルが、インサイチュで少なくとも部分的に形成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記シート上の前記複数のタイルが、少なくとも部分的に一緒に寄木張りされている、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記コーナーキューブプリズムが、25μm~500μmのプリズムピッチ範囲を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
前記シートが、それぞれが複数の前記コーナーキューブプリズムを備える複数のタイルを備え、
前記タイルのうちの1つまたは複数において、前記シートに沿って延在する平面の法線に対する前記コーナーキューブプリズムのうちの2つ以上の立方体軸の傾斜が互いに異なる、
請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本出願は、2021年10月29日に出願された米国特許出願第17/514,934号の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
この技術は、概して、コーナーキューブプリズムに関し、より詳細には、凹多角形の投影開口形状を有する再帰反射プリズムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
再帰反射材料は、入射角にかかわらず、入射放射をソースエミッタに向かって反射するかまたはほぼ戻って反射するように設計されている。三角形および長方形のコーナーキューブ再帰反射器は、現在の技術水準における高性能用途のための最も一般的な再帰反射技術である。
【0004】
市販されているまたは文献に記載されている全ての既知のコーナーキューブプリズムタイプの投影開口形状は、凸多角形である(すなわち、投影開口多角形の全ての内角は180°未満である)。例えば、三角形、長方形および六角形である。
【0005】
プリズム傾斜(斜面としても知られる)は、Heenanによる米国特許第3,923,378号(特許文献1)明細書、およびHoopmanによる米国特許第4,588,258号(特許文献2)明細書に、例として記載されており、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。その周囲でプリズムの3つ全てのファセット面が対称に配置される立方体頂点と一致する軸、として、「立方体軸」が定義される。
図1を参照すると、傾斜は、光学媒体の平面に対する法線と立方体軸との間の角度である。採用される規則は、正の傾斜が、「C」ファセットが光学材料の平面とより平行になるプリズム回転に対応する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,923,378号
【特許文献2】米国特許第4,588,258号
【発明の概要】
【0007】
概要
シート内の複数のコーナーキューブプリズムと、少なくとも1つの内角が180°よりも大きい凹多角形形状を有する、前記コーナーキューブプリズムのうちの少なくとも1つの投影開口とを有する再帰反射構造。
【0008】
再帰反射構造を製造する方法は、再帰反射構造用のシートを提供することを含む。複数のコーナーキューブプリズムがシート内に形成され、前記コーナーキューブプリズムのうちの少なくとも1つは、180°よりも大きい少なくとも1つの内角を有する凹多角形形状を有するように形成された投影開口を有する。
【0009】
この技術の例には、改良されたカスタマイズ可能な再帰反射構造の提供など、多くの利点がある。この技術の例では、プリズムのうちの少なくとも1つの投影多角形開口形状が凹状であり、投影開口多角形の少なくとも1つの内角は180°よりも大きい。さらに、この技術の例は、有利には、以下:切頂立方体、直方体、シェブロン立方体、または延伸シェブロン立方体などの異なる形状;25μm~500μmなどのサイズ;一方向、双方向、またはそれらの組み合わせなどの方向;-20°~+20°の範囲にわたるなどの傾斜;頂点中心位置;および/または光学的再帰反射性能をさらにカスタマイズするための、インサイチュ、寄木張り、またはそれらの組み合わせなどのタイリング、によって構成され得る。さらに、プリズムのアンサンブル内の個々の各プリズムは、目標とする集約された測光性能を達成するための追加の自由度を提供する固有に規定された傾斜を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】A、B、およびCファセット、ならびに、光学媒体の平面に対する法線と立方体軸との間の角度としての傾斜の例示的な定義を示すプリズムの斜視図である。
【
図2】再帰反射構造のシート内のシェブロン形状を有する例示的なプリズムの斜視図である。
【
図3】異なる入射角における、例示的な切頂立方体についての有効面積プロットの図である。
【
図4】異なる入射角における、例示的な直方体の有効面積プロットの図である。
【
図5】異なる入射角における、例示的なシェブロン立方体の有効面積プロットの図である。
【
図6】異なる入射角における、例示的な延伸シェブロン立方体の有効面積プロットの図である。
【
図7】それぞれが第1の配向に配置された切頂立方体、直方体、シェブロン立方体、および延伸シェブロン立方体の、有効面積の例示的な比較のグラフである。
【
図8】それぞれが交互の配向に配置された切頂立方体、直方体、シェブロン立方体、および延伸シェブロン立方体の、有効面積の例示的な比較のグラフである。
【
図9】双方向シェブロンタイリングによって配置された再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図10】一方向シェブロンタイリングを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図11】一方向および双方向シェブロンタイリングが混在した再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図12】それぞれが5°の傾斜を有するシェブロン立方体を備えるコーナーキューブプリズムを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図13】それぞれが12°の傾斜を有するシェブロン立方体を備えるコーナーキューブプリズムを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図14】0°の傾斜および偏心頂点を有する一方向シェブロンタイリングを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図15】複合傾斜角を示す例示的なプリズムの斜視図である。
【
図16】複合傾斜角を有するシェブロン立方体タイリングを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図17】0/90のインサイチュタイリングを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図18】0/90の寄木張りタイリングを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図19】0/90のインサイチュタイリングおよび寄木張りタイリングを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図20】様々な配向角度を有する寄木張りタイリングを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図21】異なる傾斜を有するシェブロン立方体を使用した寄木張りタイリングを有する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【
図22】傾斜がインサイチュで変化する再帰反射構造の例示的なシートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
少なくとも1つの内角が180°よりも大きい凹多角形形状を有する投影開口を有するプリズムを有する再帰反射構造10(1)-10(13)のシートの様々な例が
図9~
図14および
図16~
図22に示されている。これらの例では、再帰反射構造10(1)-10(13)のシートは、以下:切頂立方体、直方体、シェブロン立方体、または延伸シェブロン立方体などの異なる形状;25μm~500μmなどのサイズ;一方向、双方向、またはそれらの組み合わせなどの方向;-20°~+20°の範囲にわたるなどの傾斜;頂点中心位置;および/またはインサイチュ、寄木張り、またはそれらの組み合わせなどのタイリング、を有するプリズムを有する。この技術の例は、改良されたカスタマイズ可能な再帰反射構造の提供を含む多くの利点を提供する。
【0012】
より具体的に
図2を参照すると、180°よりも大きい少なくとも1つの内角を有するシェブロンに似た凹多角形形状である投影多角形開口を有するコーナーキューブプリズム12(3)の例の図が示されている。この例では、コーナーキューブプリズム12(3)は、コーナーキューブプリズムが位置するシートに沿って延在する平面の法線に対して+9.8°の傾斜を有する立方体軸を有するが、コーナーキューブプリズムは、例として-20°~+20°の傾斜など、他の形状および/または他の傾斜を有することができる。
【0013】
さらに、この例では、コーナーキューブプリズム12(3)は、A、BおよびCファセット14(1)-14(3)ならびにA、BおよびC二面エッジ16(1)-16(3)を有する。二面角偏差(DAD)は、A、B、およびCファセット14(1)-14(3)のそれぞれが、A、B、およびCファセット14(1)-14(3)のうちの隣接するファセットからの完全な90°の内角からどれだけずれているか、である。したがって、コーナーキューブプリズム12(3)は、A、B、およびCファセット14(1)-14(3)について特定される3つのDADを有する。さらに、この技術の例は、それぞれが調整された各プリズムのファセットのDADを有する再帰反射構造のシート上のプリズムのアンサンブル内の各個々のプリズムを有してもよく、それにより、集約された測光性能は、本明細書の例によって図示および記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSzczechによる米国特許第5,138,488号明細書の第5欄の表1に例として開示されている特定の設計目標を達成する。
【0014】
Hoopmanによる米国特許第4,588,258号明細書に例として記載されているように、傾斜角を調整すると、ピーク輝度が達成される入射角が変化する。この技術の例は、この調整をさらに動的にカスタマイズされた変更とともに利用して、例示的な再帰反射構造10(1)-10(13)のシート内の各プリズムにおける有効な幾何学的有効面積を最適化する。
【0015】
これらの例では、再帰反射を定義する三重反射光線経路は、特定の目標測光性能への分配に利用可能な光エネルギーの量を決定する。全ての入射光線が3バウンス再帰反射出射光線にうまくマッピングされた場合、プリズムは、100%の有効面積を有する。その光線経路の一部としてファセットを欠いている(または、エアバック再帰反射器によって起こり得るような全内部反射(TIR)ができない)ために再帰反射がうまくいかない全ての入射光線については、有効面積が減少されると考えられる。したがって、特許請求される技術の例は、有効面積(A
a)を以下のように定義する:
式中、A
0は、投影されたプリズム入射開口面積であり、A
1は、3バウンス再帰反射を支持するプリズムのファセットの実効面積である。
【0016】
図3~
図6を参照すると、-40°、-20°、0°、+20°、および+40°の入射角βにおける異なる形状のコーナーキューブプリズム12(1)-12(4)の様々な例の有効面積が示されている。各プロットでは、言及された入射角における投影開口が示されており、再帰反射を支持する領域は、隠されないように示され、一方、再帰反射を支持しない領域は、網掛けで示されている。これらの例は、プリズム12(1)-12(4)が異なる照明条件下でどのように見えるかを示している。
図7~
図8を参照すると、異なる形状のコーナーキューブプリズム12(1)-12(4)の例のそれぞれについての有効面積対入射角のグラフが示されている。したがって、これらの例によって示されるように、再帰反射構造10(1)-10(13)の例のシート内のプリズムは、特定の用途のために必要とされるように測光性能をカスタマイズするために、例として調整される形状および/または傾斜などの態様を有することができる。
【0017】
図3、
図5、および
図7~
図8に示すように、シェブロン立方体形状のプリズム12(3)対切頂立方体形状のプリズム12(1)の大きな利点が示されている。さらに、
図4、
図5、および
図7~
図8に示すように、入射角が増加するにつれて、シェブロン立方体プリズム12(3)および直方体形状のプリズム12(2)は、利用可能な有効面積において非常に類似するようになる。さらに、
図6~
図8に示すように、シェブロン立方体有効面積は、プリズム12(4)に示すように開口を「延伸」することによって、直方体の有効面積特性に向かって収束するように、さらに増加され得る。この例では、プリズム12(3)のCファセット14(3)は、AおよびBファセット14(1)および14(2)と比べて細長い。プリズム12(4)のこの構成では、
図6に示すように、有効でない光学領域が全プリズム領域の一部をあまり消費せず、それによって全体の有効面積が増加する。
【0018】
図9~
図11を参照すると、異なる方向性のシェブロンタイリングによって配置された再帰反射構造10(1)-10(3)の例示的なシートが示されているが、これらの再帰反射構造のうちの1つまたは複数は、特定の測光性能にカスタマイズするために、例として
図3~
図6に示すものなどの他の選択された形状を有する1つまたは複数のコーナーキューブプリズムを有し得る。これらの例では、再帰反射構造10(1)-10(3)は、シェブロン形状の投影開口を有するコーナーキューブプリズム12(3)を利用する。シェブロン形状の投影開口を有するこれらのコーナーキューブプリズム12(3)は、
図9に示すように双方向に、または
図10に示すように一方向に完全にタイリングされ得るという特性を有する。
図9に示す再帰反射構造10(1)の例示的なシートの双方向構成では、「上シェブロン」形状の投影開口を有する全てのコーナーキューブプリズム12(3)は、「下シェブロン」形状の投影開口を有する、別の隣接する180°相対回転されたコーナーキューブプリズム12(3)と、対をなす。
図10に示す再帰反射構造10(2)の例示的なシートの一方向構成では、シェブロン形状の投影開口を有する全てのコーナーキューブプリズム12(3)が同じ方向に向けられる。
図11を参照すると、Cファセット14(3)の隣接する連続性が理由で漸増的に改善された有効面積をもたらすことができるシェブロン形状の投影開口のシェブロンタイリングを有する、コーナーキューブプリズム12(3)の混在した一方向および双方向構成、を有する再帰反射構造10(3)の例示的なシートが示されているが、コーナーキューブプリズム12(3)の混在した一方向および双方向構成の、他の構成が使用されてもよい。
【0019】
図10に示す再帰反射構造10(2)の例示的なシートの一方向性構成では、
図5に示すようなシェブロン立方体形状を有するプライム(prims)は、
図7に示すような高い入射角に対して大きな利点を有する。プリズムシートの配向を問わないようにするために、
図11に示す再帰反射構造10(3)の例示的なシートなどの双方向または擬似双方向のプリズムシートは、実効有効面積が
図8に示すようなものとして製造されてもよい。
【0020】
この技術の例における有利な幾何学的形状シェブロン形状は、プリズム傾斜が以下:
に等しいときに生じ、これは
の値となる。
【0021】
傾斜を調整することにより、異なる測光性能特性を有する様々な他のシェブロン開口形状が現れる。例として、傾斜は、
図12に示されるような再帰反射構造10(4)のシート内の各プリズム12(3)について9.7°未満、例えば5°であってもよく、または
図13に示されるような再帰反射構造10(5)のシート内の各プリズム12(3)について9.7°超、例えば12°であってもよい。この技術の例では、再帰反射構造のシート内のプリズムの光軸の傾斜角は、典型的には、複数の望ましい測光性能特性を得るために、-20°~+20°の範囲にある。
【0022】
この技術の他の例では、
図14に示される再帰反射構造10(6)のシートに示されるように、一方向タイリングのために各プリズムの立方体頂点位置をオフセットすることによって、純粋なシェブロン開口形状を維持しながらプリズムの傾斜が調整されてもよい(またはゼロであってもよい)。この例では、各プリズムの立方体頂点位置を中心から移動させると、ピーク有効面積が、ゼロではない入射角において達成される。このようにして、正または負の入射角の状況に関して最大化される別の方法において性能が再び調整されることができる。
【0023】
この技術の他の例では、再帰反射構造の傾斜は、再帰反射構造10(4)および10(5)において例として示されているように従来の垂直方向に適用される必要があるだけでなく、他の例では、追加的または排他的に、複合傾斜角が
図15~
図16に示されているように実現されるように水平面内の立方体軸に偏差を適用することによって再帰反射構造10(7)をカスタマイズしてもよい。この技術の例では、再帰反射用途の複合傾斜角は、-20°~+20°の範囲内にカスタマイズされて、1つまたは複数の所望の測光特性を達成し得る。
【0024】
図17~
図21を参照すると、製造および性能の目的のために、他の例示的な再帰反射構造10(8)-10(13)のための様々な回転および傾斜が示されている。例えば、
図17に示されるように、シェブロン形状のプリズム12(3)は、プリズム機械加工プロセスの一部として例示的な再帰反射構造10(8)の0°および90°の配向で「インサイチュ」でタイリングされてもよい。あるいは、
図18に示されるように、個々のプリズムプレート18(1)-18(4)が製造され、次いで一緒に寄木張りされて、例示的な再帰反射構造10(9)についてのシートを形成してもよい。別の例では、双方の方法は、
図19に示されるように、例示的な再帰反射構造10(10)についてのシートを形成するようにインサイチュでタイリングされたプリズムを寄木張りすることによって組み合わされてもよい。さらに別の例では、プリズムタイリングは、0°および90°の配向に拘束される必要はなく、
図20に示すように例示的な再帰反射構造10(11)についてのシートを形成するために様々な配向の角度を有してもよい。さらに、別の例では、
図21に示されるように、例示的な再帰反射構造10(12)についてのシートを形成するために、異なるプリズム傾斜、さらには異なるプリズムタイプがタイリングされてもよい。さらにまた、
図22に示される例示的な再帰反射構造10(13)では、有利には、タイル内の個々のプリズムの傾斜は、プリズムのアレイが複数の傾斜規則を含むようにインサイチュで変更されてもよい。このようにして、プリズムアレイの性能を最適化するために追加の設計自由度が適用され得る。傾斜を調整すると、アレイ内の個々のプリズム開口形状が変化するため、無数の可能なプリズム傾斜が利用可能になる。そのような傾斜は、選択された機械加工技術を最適化するように選択されてもよく、または有効面積を最大化するように選択されてもよく、または好ましい表面的な外観または他の基準を生成するように選択されてもよい。
【0025】
図示および上述した例は例示であり、これらの例の様々な他の順列が適用されてもよい。さらに、特許請求される技術の他の例は、他のプリズム形状、タイリングおよび/または回転順列を有してもよい。さらに、例として、フライカット、マイクロチゼル、フライス加工、ピンバンドリングおよび/またはリソグラフィ加工など、これらのプリズムを形成するための様々な異なる種類の製造プロセスが使用されてもよい。
【0026】
したがって、本明細書の例として図示および記載されるように、この技術の例は、改良されたカスタマイズ可能な再帰反射構造を提供する。この技術の例では、プリズムのうちの少なくとも1つの投影多角形開口形状は凹状であり、投影開口多角形の少なくとも1つの内角は180°よりも大きい。さらに、この技術の例は、有利には、以下:切頂立方体、直方体、シェブロン立方体、または延伸シェブロン立方体などの異なる形状;25μm~500μmなどのサイズ;一方向、双方向、またはそれらの組み合わせなどの方向;-20°~+20°の範囲にわたるなどの傾斜;頂点中心位置;および/または光学的再帰反射性能をさらにカスタマイズするための、インサイチュ、寄木張り、またはそれらの組み合わせなどのタイリング、によって構成され得る。
【0027】
このように、本発明の基本概念を説明したが、前述の詳細な開示は、単なる例として示すことを意図しており、これに限定されるものではないことは、当業者には明らかであろう。本明細書で明示的に述べられていないが、様々な代替、改良、および変更が行われ、当業者に意図される。これらの代替、改良、および変更は、本明細書により示唆されることを意図しており、且つそれらは本発明の趣旨および範囲内である。したがって、さらに、処理要素もしくはシーケンスの記載順序、または番号、文字、もしくは他の名称の使用は、特許請求の範囲において指定され得る場合を除き、特許請求の範囲に記載されたプロセスを任意の順序に限定することを意図していない。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定される。
【国際調査報告】