(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】光セキュリティを備えた画像光ガイド装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20241022BHJP
G02B 26/02 20060101ALI20241022BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241022BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20241022BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20241022BHJP
G02B 6/34 20060101ALI20241022BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20241022BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20241022BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B26/02 B
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02B6/00 301
G02B6/34
G02B5/18
G02F1/15 506
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514686
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 US2022043719
(87)【国際公開番号】W WO2023043961
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516201548
【氏名又は名称】ビュージックス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Vuzix Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マグリュー, ステファン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】グレイ, ロバート, ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
2H038
2H088
2H137
2H141
2H199
2H249
2H291
2K101
【Fターム(参考)】
2H038BA06
2H088EA33
2H088GA10
2H088HA02
2H088HA18
2H088JA06
2H088MA20
2H137AA17
2H137AB11
2H137BA34
2H137BA42
2H137BB02
2H137BC16
2H137BC21
2H137BC25
2H137BC49
2H137DB08
2H141MA04
2H141MB02
2H141MB49
2H141MD03
2H141MD05
2H141MD12
2H141MD15
2H141MD19
2H141ME06
2H141ME13
2H199CA12
2H199CA24
2H199CA27
2H199CA53
2H199CA62
2H199CA65
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA70
2H249AA03
2H249AA07
2H249AA13
2H249AA60
2H249AA62
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FD09
2H291HA07
2H291JA02
2H291LA03
2H291MA20
2K101AA00
(57)【要約】
画像担持光ビームを生成するように動作可能な画像源と、画像担持光ビームを伝搬するように動作可能な導波路と、を含む、光セキュリティのある画像光ガイド。導波路に沿って形成されるインカップリング回折光学素子であって、インカップリング回折光学素子が、画像源から導波路内に画像担持光ビームの一部分を角度的にコードされた形態で回折するように動作可能である、インカップリング回折光学素子と、導波路に沿って形成されたアウトカップリング回折光学素子であって、アウトカップリング回折光学素子が、画像担持光ビームの一部分を拡張し、導波路からの拡張された画像担持光ビームの第一の部分を、角度的にデコードされた形態で第一の方向に、アイボックスに向かって方向付け、導波路からの拡張された画像担持光ビームの第二の部分を、前記第一の方向とは異なる第二の方向に方向付けるように動作可能である、アウトカップリング回折光学素子。画像光ガイドは、画像光ガイドから第二の方向に出力される拡張された画像担持光ビームの第二の部分を減少、除去、及び/又は遮断するように動作可能な光学装置をさらに含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光セキュリティのある画像光ガイドであって、
画像担持光ビームを生成するように動作可能な画像源と、
前記画像担持光ビームを伝搬するように動作可能な導波路と、
前記導波路に沿って形成されるインカップリング回折光学素子であって、前記インカップリング回折光学素子が、前記画像源からの前記画像担持光ビームの一部分を、角度的にコードされた形態で第一の前記導波路内へと回折するように動作可能である、インカップリング回折光学素子と、
前記導波路に沿って形成されるアウトカップリング回折光学素子であって、前記アウトカップリング回折光学素子が、前記画像担持光ビームの一部分を拡張し、前記導波路からの拡張された画像担持光ビームの第一の部分を、角度的にデコードされた形態で、第一の方向に、アイボックスに向けて方向付け、前記導波路からの拡張された画像担持光ビームの第二の部分を、前記第一の方向とは異なる第二の方向に方向付けるように動作可能である、アウトカップリング回折光学素子と、
前記画像光ガイドから出力される前記拡張された画像担持光ビームの第二の部分を前記第二の方向に低減するように動作可能な光学装置と、を備える、画像光ガイド。
【請求項2】
前記光学装置が液晶シャッタを備える、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項3】
前記液晶シャッタが、
第一及び第二の対向する表面を有する第一の基板と、
第一及び第二の対向する表面を有する第二の基板と、
前記第一の基板の第二の表面上に位置する導電性材料の第一の層と、前記第二の基板の第一の表面上に位置する導電性材料の第二の層であって、前記第一の基板と前記第二の基板との間に電界を生成するように動作可能である、導電性材料の第一の層及び第二の層と、
前記導電性材料の第一の層と第二の層との間に位置する液晶であって、前記液晶が、前記電界のオン状態で第一の方向に、前記電界のオフ状態で第二の方向に整列するように動作可能である、液晶と、
前記第二の基板の第二の表面上に位置する偏光子と、を備える、請求項2に記載の画像光ガイド。
【請求項4】
前記第二の基板の第二の表面上に位置する前記偏光子が第二の偏光子であり、第一の偏光子が前記第一の基板の第一の表面上に位置し、前記第一の偏光子及び前記第二の偏光子が偏光フィルムを含む、請求項3に記載の画像光ガイド。
【請求項5】
前記画像源が、前記画像源のフレームレートの半分未満の周期中、画像担持光を放射し、前記光学装置が、前記画像光ガイドシステムから出力される前記拡張された画像担持光ビームの第二の部分を、前記周期について実質的にゼロに減少させるように動作可能であり、環境からの周囲光が、前記画像源が画像担持光を放射しない時に、前記画像光ガイドシステムを通して伝送可能である、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項6】
前記光学装置が、三軸に周期的変動を有する三次元フォトニック結晶を備え、前記画像源が、第一の波長範囲で画像担持光を放射するように動作可能であり、前記三次元フォトニック結晶が、前記第一の波長範囲で光を反射するように動作可能である、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項7】
前記光学装置が、前記拡張された画像担持光ビームの第二の部分を反射し、環境から周囲光を伝送するように動作可能な光ダイオードを備える、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項8】
前記光ダイオードが、低い光学損失を有するプラズモン材料及び誘電体材料を有する複数の構成要素層を備え、前記複数の構成要素層が基板上に作製される、請求項7に記載の画像光ガイド。
【請求項9】
前記光ダイオードに入射する前記拡張された画像担持光ビームの第二の部分が、前記導波路に向かって反射され、前記反射された画像担持光ビームの第一のサブセットが前記導波路に入り、前記反射された画像担持光ビームの第二のサブセットが、前記拡張された画像担持光ビームの第一の部分と実質的に平行にアウトカップリングされる、請求項7に記載の画像光ガイド。
【請求項10】
前記光学装置がエレクトロクロミックフィルタを備える、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項11】
前記エレクトロクロミックフィルタが、
第一及び第二の対向する表面を有する第一の基板と、
第一及び第二の対向する表面を有する第二の基板と、
前記第一の基板の第二の表面上に位置する導電性材料の第一の層と、前記第二の基板の第一の表面上に位置する導電性材料の第二の層であって、前記第一の基板と前記第二の基板との間に電界を生成するように動作可能である、導電性材料の第一の層及び第二の層と、
前記導電性材料の第一の層と第二の層との間に位置する液晶であって、前記液晶が、前記電界のオン状態で第一の方向に、前記電界のオフ状態で第二の方向に整列するように動作可能である、液晶と、
前記第二の基板の第二の表面上に位置する偏光子と、を備える、請求項10に記載の画像光ガイド。
【請求項12】
前記画像源が、前記画像源の複数の発光ダイオードのすべてが光を放射しない周期を含むフレームレートで画像担持光を放射し、前記エレクトロクロミックフィルタが、前記周期中に環境からの周囲光に対して透明である、請求項10に記載の画像光ガイド。
【請求項13】
前記光学装置がボリュームホログラムを備える、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項14】
前記ボリュームホログラムが、画像担持光の第一の波長範囲を反射するように動作可能な回折素子を含み、前記ボリュームホログラムに入射する拡張された画像担持光の前記第二の部分が、ほぼ直交方向に方向付けられ、前記ボリュームホログラムが環境からの周囲光に対して透明である、請求項13に記載の画像光ガイド。
【請求項15】
前記導波路の端部に位置する吸収性材料をさらに含み、前記ボリュームホログラムに入射する拡張された画像担持光の前記第二の部分が、前記吸収性材料に入射する、請求項14に記載の画像光ガイド。
【請求項16】
前記アイボックスの反対側の前記導波路の表面上に位置する材料層をさらに備え、前記ボリュームホログラムが、前記導波路の反対側の前記材料層上に位置する、請求項14に記載の画像光ガイド。
【請求項17】
前記光学装置が、前記画像担持光の第一の波長範囲を遮断するために反射状態で動作可能な切替可能なミラーを備える、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項18】
前記切替可能なミラーが、部分的な反射状態で動作可能であり、前記拡張された画像担持光ビームの第二の部分の第一のサブセットが、前記切替可能なミラーによって前記導波路に向かって反射され、前記拡張された画像担持光ビームの第二の部分の第二のサブセットが、前記切替可能なミラーを通して伝送される、請求項17に記載の画像光ガイド。
【請求項19】
前記光学装置が、前記光の第二の部分の経路の内外に並進移動するように動作可能なオーバーシールドとして形成される、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項20】
前記オーバーシールドが、前記画像光ガイドに対して位置付けられたフレーム上に位置するヒンジの周りを回転するように、又は前記フレームの一部分と摺動可能に連結するように、又は前記画像光ガイドの少なくとも一部分を覆うように動作可能である、請求項19に記載の画像光ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電子表示装置に関し、より具体的には、画像担持光をビューアに伝達するための回折光学素子を有する、画像光ガイドを利用する、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)及び虚像ニアアイディスプレイは、軍事、商業、産業、消防、エンターテイメント用途など、幅広い用途のために開発されている。これらの用途の多くでは、HMDユーザーの視野にある現実世界の画像の上に視覚的に重ね合わせることのできる虚像を形成することに価値がある。光学画像光ガイドは、虚像をビューアの瞳孔に向けて、この重ね合わせ機能を可能にするために、狭い空間でビューアに画像担持光を伝達することができる。
【0003】
従来の画像光ガイドの配置は、ニアアイディスプレイ光学素子の嵩張り、重量、及び全体コストの大幅な減少をもたらしてきたが、さらなる改善が必要である。一部の実例では、光は、ニアアイディスプレイから、ビューアのアイボックスの方向よりも多くの方向に出力される。しかしながら、ニアアイディスプレイを利用する多数の用途は、望ましくない方向の光出力を制御及び/又は除去するように動作可能なニアアイディスプレイから利益を得るであろう。例えば、光セキュリティを有するニアアイディスプレイは、ニアアイディスプレイが従来のアイウェアのように見え得るため(すなわち、審美的改善)、商業的及び一般的な消費者にとって魅力的であり得る一方、軍事用途は、隠蔽及び可視性の目的で光セキュリティから利益を得ることができる。したがって、望ましくない方向の光の出力を管理しながら、所望の虚像の輝度及び解像度を生成するように動作可能な画像光ガイドシステムに対するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
第一の例示的な実施形態では、本開示は、画像担持光ビームを生成するように動作可能な画像源と、画像担持光ビームを伝搬するように動作可能な導波路と、を含む、光セキュリティのある画像光ガイドを提供する。導波路に沿って形成されるインカップリング回折光学素子であって、インカップリング回折光学素子が、画像源から導波路内に画像担持光ビームの一部分を角度的にコードされた形態で回折するように動作可能である、インカップリング回折光学素子と、導波路に沿って形成されたアウトカップリング回折光学素子であって、アウトカップリング回折光学素子が、画像担持光ビームの一部分を拡張し、導波路からの拡張された画像担持光ビームの第一の部分を、角度的にデコードされた形態で第一の方向に、アイボックスに向かって方向付け、導波路からの拡張された画像担持光ビームの第二の部分を、前記第一の方向とは異なる第二の方向に方向付けるように動作可能である、アウトカップリング回折光学素子。画像光ガイドは、画像光ガイドから第二の方向に出力される拡張された画像担持光ビームの第二の部分を減少、除去、及び/又は遮断するように動作可能な光学装置をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付図面は、本明細書の一部として本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される図面は、本開示の主題の実施形態を例示し、本開示の選択された原理、及び教示を例示するものである。しかしながら、図面は、本開示の主題のすべての可能な実施を例示するものではなく、本開示の範囲をいかなる方法でも制限することを意図するものではない。
【0006】
【
図1】
図1は、アイボックスの1つの方向を拡張するための、伝搬方向に沿った画像担持ビームの拡張を示す、画像光ガイドの簡略化された断面図を示す。
【
図2】
図2は、アイボックスの第二の方向を拡張するための、伝搬方向に垂直な画像担持ビームの拡張を示す、ターニング格子を有する画像光ガイドの斜視図を示す。
【
図3】
図3は、本開示の主題の例示的な実施形態による導波路及び液晶シャッタを有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図5A】
図5Aは、本開示の主題の例示的な実施形態による、デューティサイクルに対するプロジェクター電圧信号のグラフを示す。
【
図5B】
図5Bは、本開示の主題の例示的な実施形態による、デューティサイクルに対するプロジェクター電圧信号のグラフを示す。
【
図5C】
図5Cは、本開示の主題の例示的な実施形態による、デューティサイクルに対するプロジェクター電圧信号のグラフを示す。
【
図6】
図6は、本開示の主題の例示的な実施形態による導波路を有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図7】
図7は、
図6による、アウトカップリング回折光学素子の一部分の概略側面図を示す。
【
図8】
図8は、
図7による、アウトカップリング回折光学素子の一部分の概略側面図を示す。
【
図9】
図9Aは、
図8による、アウトカップリング回折光学素子に入射する光の一つ以上の回折次数を示す。
【
図9B】
図9Bは、
図8による、アウトカップリング回折光学素子に入射する光の一つ以上の回折次数を示す。
【
図10A】
図10Aは、本開示の主題の例示的な実施形態による、アウトカップリング回折光学素子の一部分の概略側面図を示す。
【
図10B】
図10Bは、本開示の主題の例示的な実施形態による、インカップリング回折光学素子の一部分の概略側面図を示す。
【
図11】
図11は、本開示の主題の例示的な実施形態による導波路及びフォトニック結晶シールドを有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図13A】
図13Aは、本開示の主題の例示的な実施形態による、オーバーシールドを有する画像光ガイドを有するニアアイディスプレイの概略斜視図を示す。
【
図13B】
図13Bは、本開示の主題の例示的な実施形態による、オーバーシールドを有する画像光ガイドを有するニアアイディスプレイの概略斜視図を示す。
【
図14A】
図14Aは、本開示の主題の別の例示的な実施形態による、オーバーシールドを有する画像光ガイドを有するニアアイディスプレイの概略斜視図を示す。
【
図14B】
図14Bは、本開示の主題の別の例示的な実施形態による、オーバーシールドを有する画像光ガイドを有するニアアイディスプレイの概略斜視図を示す。
【
図14C】
図14Cは、本開示の主題のなおも別の例示的な実施形態による、オーバーシールドを有する画像光ガイドを有するニアアイディスプレイの概略斜視図を示す。
【
図14D】
図14Dは、本開示の主題のなおも別の例示的な実施形態による、オーバーシールドを有する画像光ガイドを有するニアアイディスプレイの概略斜視図を示す。
【
図15】
図15は、本開示の主題の例示的な実施形態による、光ダイオードの一部分の側面図を示す。
【
図16】
図16は、本開示の主題の例示的な実施形態による導波路を有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図17】
図17は、導波路の遠位端に位置する光ダイオードを有する、
図16による導波路を有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図18】
図18は、プロジェクターとインカップリング光学素子との間に位置付けられた任意選択的な光ダイオードを有する、
図16による導波路を有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図19A】
図19Aは、光ダイオードとインカップリング光学素子との間に位置する1/4波長板と、プロジェクターの反対側の導波路に隣接して位置する鏡面反射面と、を有する、
図18による導波路を有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図20】
図20は、本開示の主題の例示的な実施形態による導波路及びエレクトロクロミックフィルタを有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図22】
図22は、本開示の主題の例示的な実施形態による導波路及び複数のエレクトロクロミックフィルタを有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図23】
図23は、本開示の主題の例示的な実施形態による導波路及びボリュームホログラムを有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図25】
図25は、本開示の主題の例示的な実施形態による導波路及びボリュームホログラム層を有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図27A】
図27Aは、本開示の主題の例示的な実施形態による導波路及び反射状態にある切替可能なミラーを有する画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図27B】
図27Bは、本開示の主題の例示的な実施形態による、部分的な反射状態にある切替可能なミラーを有する
図27Aによる画像光ガイドの概略側面図を示す。
【
図27C】
図27Cは、本開示の主題の例示的な実施形態による、透過状態にある切替可能なミラーを有する
図27Aによる画像光ガイドの概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、相反する内容が明示的に特定されない限り、様々な代替的な配向、及びステップ配列を想定し得ることが、理解されるべきである。添付図面に図示され、以下の明細書に記述される、特定のアセンブリ及びシステムは、本明細書に定義される発明概念についての単なる例示的な実施形態であることも、理解されるべきである。したがって、開示された実施形態に関連する、特定の次元、方向、又はその他の物理的特徴は、別途明示的に記載されない限り、限定するものとはみなされない。また、当てはまらない場合もあるが、本明細書に記載する様々な実施形態における同様の要素は、本明細書の本項内で同様の参照番号を用いて一般的に言及されてもよい。
【0008】
本明細書で使用される場合、「第一の」、「第二の」などの用語は、必ずしも、任意の順序関係、連続的関係、又は優先順位関係を示すものではなく、別段の指定がない限り、単に一つの要素又は要素の集合を別の要素とより明確に区別するために使用される。
【0009】
本明細書で使用される場合、「ビューア」、「オペレータ」、「オブザーバ」、及び「ユーザー」という用語は、等価物とみなされ、画像光ガイドを有する装置を着用する、及び/又は画像光ガイドを有する装置を使用して画像を見る、人物又は機械を指す。
【0010】
本明細書で使用される場合、「集合、組(set)」という用語は、初等数学において、要素の集まり(collection of elements)、又は集合の構成要素(members of a set)という概念が広く理解されているように、空ではない集合を指す。本明細書で使用される場合、「部分集合」という用語は、別途明示的に記載されない限り、空ではない適切な部分集合、すなわち、一つ以上の構成要素を持つより大きな集合の部分集合を指すのに、使用される。集合Sについては、部分集合は、完全な集合Sを含んでもよい。ただし、集合Sの「適切な部分集合」は、厳密に集合Sに含まれ、集合Sの少なくとも一つの構成要素を除外する。
【0011】
本明細書で使用される場合、光学の文脈における「結合」、「結合」という用語は、光が一つの光媒体又は装置から別の光媒体又は装置へと移動する接続を指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、「波長帯」及び「波長範囲」という用語は同等であり、色撮像分野の当業者によって使用される標準的な意味を有し、多色画像を表すために使用される光波長の連続的範囲を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「ビーム拡張」という用語は、一つ以上の方向に射出瞳拡張を提供するために、光学素子との複数の遭遇を介してビームの複製を意味することが意図される。同様に、本明細書で使用される場合、ビーム又はビームの一部分を「拡張する」ことは、一つ以上の方向に射出瞳拡張を提供するために、光学素子との複数の遭遇を介してビームの複製を意味することが意図される。
【0014】
HMDなどの光学システムは、虚像を生成することができる。実像を形成する方法とは異なり、虚像は表示面上には形成されない。すなわち、表示面が虚像の知覚される位置に位置付けられた場合、いかなる画像もその表面上には形成されない。虚像には、拡張現実の表示に特有の多数の利点がある。例えば、虚像の見かけのサイズは、表示面のサイズ又は位置によって制限されない。さらに、虚像のソースオブジェクトは小さくてもよく、例えば、拡大鏡がオブジェクトの虚像を提供する。実像を投影するシステムと比較して、ある程度離れた距離にあるように見える虚像を形成することによって、より現実的な視聴体験を提供することができる。虚像を提供することは、実像を投影する際に必要となる場合がある画面アーチファクトを補正する必要性も排除する。
【0015】
画像光ガイドは、プロジェクターなどの光源からの画像担持光を利用して、虚像を表示してもよい。例えば、コリメートされ、相対角度をコードした、プロジェクターからの光ビームは、インカップリング回折光学素子などの入力カップリングによって導波路内にカップリングされ、これは導波路の表面上に取り付けるか、形成することができ、又は導波路内に埋植させることができる。こうした回折光学素子は、回折格子、ホログラフィック光学素子(HOE)として、又は他の既知の方法で形成され得る。例えば、回折格子は、表面レリーフによって形成され得る。導波路に沿って伝搬した後、回折光は、アウトカップリング回折光学素子などの類似の出力カップリングによって、導波路の外に再び向けることができ、これは少なくとも一つの方向に沿って瞳孔拡張を提供するように配置され得る。さらに、回転光学素子(例えば、回折格子)は、導波路上/中に位置付けられ、少なくとも一つの他の方向に瞳孔拡張を提供することができる。導波路から出力される画像担持光は、ビューアに対し、拡張されたアイボックスを提供する。
【0016】
図1に示すように、画像光ガイド10は、平面平行面を有する平面導波路22を含んでもよい。導波路22は、外表面12と、外表面12の反対側に位置する内表面14と、を有する透明な基板Sを備える。この例では、インカップリング回折光学素子IDO、及びアウトカップリング回折光学素子ODOは、内表面14上に配置され、インカップリング回折光学素子IDOは、反射型回折格子であり、それを通して画像担持光WIは平面導波路22にカップリングされる。しかしながら、インカップリング回折光学素子IDOは、別の方法としては、ボリュームホログラム、若しくは他のホログラフィック回折素子、又は入射画像担持光WIに対して回折を提供する他のタイプの光学構成要素であり得る。インカップリング回折光学素子IDOは、平面導波路22の外表面12上に、又は内表面14上に位置してもよく、画像担持光WIが平面導波路22に接近してくる方向に応じて、透過型光学素子、又は反射型光学素子であってもよい。
【0017】
虚像表示システムの一部分として使用される場合、インカップリング回折光学素子IDOは、実像源からの画像担持光WIを、平面導波路22の基板S内へとカップリングする。任意の実像又は画像の次元は、最初に、インカップリング回折光学素子IDOへの提示のために、画像内の異なる画素位置をコードする、重なり合う角度関連ビームのアレイに変換される。画像担持光WIは回折し、画像担持光WIの少なくとも一部分は、それによって、全内部反射(「TIR」)によって、平面導波路22に沿ってさらに伝搬するための、画像担持光WGとして、インカップリング回折光学素子IDOによって、平面導波路22内へと方向転換される。TIRによって設定された境界に沿って、概して、角度関連ビームのより凝縮された範囲内へと回折されるが、画像担持光WGは、コードされた形態で、画像情報を保存する。アウトカップリング回折光学素子ODOは、コードされた画像担持光WGを受信し、平面導波路22から出た画像担持光WGの少なくとも一部分を、画像担持光WOとして、ビューアの目の意図した位置に向けて回折させる。概して、アウトカップリング回折光学素子ODOは、画像担持光WOの出力された角度関連ビーム間から、画像担持光WIの元の角度関係を復元するために、インカップリング回折光学素子IDOに対して対称的に設計される。しかしながら、虚像を見ることができる、いわゆるアイボックスE内の角度関連ビーム間から、重なり合いの1つの方向を増大させるために、アウトカップリング回折光学素子ODOは、画像担持光WGに複数回遭遇し、それぞれの遭遇において画像担持光WGの一部分のみを回折するように、配置される。伝搬方向へのアウトカップリング光学素子の長さに沿った複数の遭遇は、その中で画像担持光ビームが重なり合うアイボックスの一方向を拡張する効果を有する。拡張されたアイボックスEは、虚像を見るためのビューアの目の、位置に対する感度を低下させる。
【0018】
単一の方向に沿って屈折率の変化を有するアウトカップリング回折光学素子は、アウトカップリングされた画像担持光ビームの複製を生じさせるアウトカップリング回折光学素子と画像担持光ビームとの複数の遭遇を介して、導波路に沿った伝搬方向に、アイボックスの一つの方向を拡張することができる。さらに、第二の方向に沿って屈折率の変化を有するアウトカップリング回折光学素子は、アイボックスの第二の方向を拡張し、アイボックスの二方向性拡張を提供することができる。アウトカップリング回折光学素子の第一の方向に沿った屈折率の変化は、望ましい一次回折を通して、それぞれの遭遇時に、導波路から出た各ビームのエネルギーの一部分を回折するように配置されてもよく、一方、ビームのエネルギーの別の部分は、ゼロ次回折を通して、元の方向にさらに伝搬するために保存される。アウトカップリング回折光学素子の第二の方向に沿った屈折率の変化は、望ましい一次回折を通して、それぞれの遭遇時に、各ビームのエネルギーの一部分を、ビームの元の伝搬方向に対して角度付けた方向へと回折するように配置されてもよく、一方、ビームのエネルギーの別の部分は、ゼロ次回折を通して、元の方向にさらに伝搬するために保存される。
【0019】
アウトカップリング回折光学素子ODOは、平面導波路22の内表面14上に配置された、透過型回折格子として示されている。しかしながら、インカップリング回折光学素子IDOと同様に、アウトカップリング回折光学素子ODOは、平面導波路22の外表面12、又は内表面14上に位置し、画像担持光WGが平面導波路22を出る際に意図される方向に応じた、透過型、反射型、組み合わせであってもよい。
【0020】
図2に示すように、画像光ガイド10は、二方向で、すなわち、意図される画像のx軸及びy軸の両方に沿って、アイボックスEを拡張するために配置されてもよい。ビーム拡張の第二の次元を達成するために、格子ベクトルk0を有するインカップリング回折光学素子IDOは、画像担持光WIの一部分を、格子ベクトルk1を有する中間ターニング格子TGに向かって回折するように配向され、これは、画像担持光WGの一部分を、アウトカップリング回折光学素子ODOに向かって反射モードで回折するように配向される。画像担持光WGの一部分のみが、中間ターニング格子TGとの複数回の遭遇のそれぞれによって回折し、それによって、アウトカップリング回折光学素子ODOに接近する画像担持光WGの角度関連ビームのそれぞれを、横方向に拡張する。ターニング格子TGは、画像担持光WGの角度関連ビームを、第二の次元へと長手方向に拡張するために、画像担持光WGを、アウトカップリング回折光学素子ODOに向けて方向転換させた後に、画像担持光WOは、平面導波路22を出る。描写された格子ベクトルk0、k1、k2などの格子ベクトルは、回折光学素子の回折特徴部(例えば、溝、線、又は罫線)に対して垂直な方向に延在し、回折光学素子IDO、TG、ODOの周期又はピッチd(すなわち、溝間の中心距離)に対して、逆数の大きさを有する。インカップリング回折光学素子IDO、ターニング格子TG、及びアウトカップリング回折光学素子ODOは、それぞれ異なる周期又はピッチdを有してもよい。
【0021】
図2に示すように、インカップリング回折光学素子IDOは、画像源16によって生成される画像内の個々の画素又は等価の位置に対応する、一連の角度関連ビームを含む、入射画像担持光WIを受け取る。虚像を生成するための、角度をコードしたビームの全範囲を生成するように動作可能な画像源16は、集光光学素子と組み合わせた実際の表示装置、ビームの角度をより直接的に設定するためのビームスキャナー、又はスキャナーと使用される一次元の実際の表示装置などの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。画像光ガイド20は、中間ターニング格子TG、及びアウトカップリング回折光学素子ODOの両方により、画像担持光WGの複数回の遭遇を異なる配向で提供することによって、画像の二次元で、一連の拡張された角度関連ビームを出力する。平面導波路22の元の配向では、中間回折格子TGは、y軸方向に対しビーム拡張を提供し、アウトカップリング回折光学素子ODOは、x軸方向に対し類似するビーム拡張を提供する。回折光学素子IDO、ODO、TGの反射特性、及びそれぞれの周期dは、それぞれの格子ベクトルの配向と共に、画像担持光WOとして画像光ガイド20から出力される画像担持光WIの、角度関連ビーム間の意図される関係を維持しながら、二次元でビーム拡張を提供する。
【0022】
画像光ガイド20への画像担持光WI入力は、インカップリング回折光学素子IDOによって、異なる一連の角度関連ビームにコードされるが、画像を再構成するために必要な情報は、インカップリング回折光学素子IDOの体系的な効果を考慮することによって、保存される。インカップリング回折光学素子IDOと、アウトカップリング回折光学素子ODOとの間の中間位置に位置するターニング格子TGは、典型的には、画像担持光WGのコーディングに対し、いかなる有意な変化も誘導しないように配置される。一部の実施例では、インカップリング回折光学素子IDO及びターニング格子TGの組み合わせた回折効果は、画像担持光WGをコードするように動作し、その一方で、アウトカップリング回折光学素子ODOの回折効果は、組み合わせたコーディングをデコードするように動作する。アウトカップリング回折光学素子ODOは、典型的には、例えば、同じ周期を共有する回折特徴部を含めて、インカップリング回折光学素子IDOに対して、対称的に配置される。同様に、ターニング格子TGの周期は、典型的には、インカップリング回折光学素子IDO、及びアウトカップリング回折光学素子ODOの共通周期とも、合致する。
図2に示すように、ターニング格子TGの格子ベクトルk1は、他の格子ベクトルk0、k2に対して、45度で配向されてもよい(すべて無向線分として)。しかしながら、一実施形態では、ターニング格子TGの格子ベクトルk1は、画像担持光WGが120度ターニングされるような方法で、インカップリング回折光学素子IDO、及びアウトカップリング回折光学素子ODOの格子ベクトルk0、k2に対して、60度で配向される。中間ターニング格子TGの格子ベクトルk1を、インカップリング回折光学素子IDOの格子ベクトルk0、及びアウトカップリング回折光学素子ODOの格子ベクトルk2に対して、60度で配向することによって、格子ベクトルk0、k2もまた、互いに対して60度で配向される(繰り返しになるが、無向線分とみなされる)。ターニング格子TG、インカップリング回折光学素子IDO及びアウトカップリング回折光学素子ODOの共通ピッチを格子ベクトルの大きさの根拠として、3つの格子ベクトルk0、k1、k2(有向線分として)は、正三角形を形成し、合計はゼロベクトルの大きさであり、これにより、色分散を含めた望ましくない収差を生じさせ得る非対称効果を回避する。
【0023】
平面導波路22内に回折される画像担持光WIは、インカップリング回折光学素子IDOが、格子、ホログラム、プリズム、ミラー、又は何らかの他の機構を使用するかどうかに関係なく、インカップリング回折光学素子IDOによって、効果的にコードされる。インカップリング回折光学素子IDOで起こる光の反射、屈折、及び/又は回折は、アウトカップリング回折光学素子ODOによって、それに応じてデコードされ、ビューアに提示される虚像を再形成しなければならない。インカップリング回折光学素子IDOと、アウトカップリング回折光学素子ODOとの間の中間位置に位置するターニング格子TGは、典型的には、コードされた光にいかなる変化も誘導しないように、設計及び配向される。アウトカップリング回折光学素子ODOは、アイボックスEを満たすように拡張された、角度関連ビームのその元の形態、又は所望の形態に、画像担持光WGをデコードする。
【0024】
任意の対称性が、ターニング格子TGと、インカップリング回折光学素子IDO、及びアウトカップリング回折光学素子ODOとの間で維持されているかどうか、又は画像担持光WIの角度関連ビームのコード化に対する変化が、平面導波路22、ターニング格子TG、インカップリング回折光学素子IDO、及びアウトカップリング回折光学素子ODOに沿って起こるかどうかは、関連しており、その結果、平面導波路22から出力される画像担持光WOは、意図される虚像を生成するための画像担持光WIの、元の形態又は所望の形態を、保持するか、又は別の方法で維持する。
【0025】
アルファベットのRは、アイボックスEに目を置くビューアに見える虚像の配向を表す。示されるように、表される虚像の文字Rの配向は、画像担持光WIによってコードされる文字Rの配向と一致する。x-y平面に対する入射画像担持光WIのz軸又は角度配向の周りでの回転の変化は、アウトカップリング回折光学素子ODOからの出射光の回転又は角度配向の対応する対称的な変化を引き起こす。画像配向の態様から、ターニング格子TGは、単に、光学的リレーの一種として作用し、画像の1つの軸に沿って(例えば、y軸に沿って)、画像担持光WGの角度をコードしたビームの、拡張を提供する。アウトカップリング回折光学素子ODOは、画像担持光WIによってコードされる虚像の元の配向を維持しながら、画像の別の軸に沿って(例えば、x軸に沿って)、画像担持光WGの角度をコードしたビームを、さらに拡張する。
図2に示すように、ターニング格子TGは、平面導波路22の前面又は背面上に配置された、傾斜型又は正方形の回折格子であってもよい。別の方法として、ターニング格子TGは、ブレーズド格子であってもよい。
【0026】
本開示は、改善された画像担持光の出力制御を有する画像光ガイド配置を提供する。より具体的には、本開示は、特に、画像光ガイドから出力される光を、概してアイボックスの反対側の方向に低減、除去、及び/又は遮断する手段を有する、画像光ガイドシステム及びAR表示システムを提供する。
【0027】
図3に示すように、一実施形態では、画像光ガイドシステム50は、第一の表面102及び第二の表面104を有する平面導波路100Aを含む。導波路の第一の表面102は、導波路の第二の表面104と略して平行に位置付けられる。第一のインカップリング回折光学素子IDO1及び第一のアウトカップリング回折光学素子ODO1は、第一の表面102上又は第一の表面102内に形成される。一実施形態では、導波路100Aは、第二のインカップリング回折光学素子、中間回折光学素子(例えば、ターニング格子)、及び/又は第二のアウトカップリング回折光学素子などの追加の回折光学素子を含む。第一のアウトカップリング回折光学素子ODO1は、複合回折光学素子を含んでもよい。他の実施形態では、画像源16は、赤色、緑色、及び青色の波長範囲の画像担持光を、デジタル光変調器/マイクロミラーアレイ(「DLP」)、又はシリコン上の液晶(「LCOS」)ディスプレイにパルスするように作動可能である、カラーフィールドシーケンシャルプロジェクターシステムである。画像源16は、赤色、緑色、及び青色の波長範囲のうちの一つのみの画像担持光を使用して、低光モードで動作するように動作可能であってもよい。例えば、低光モードでは、画像源16は、画像源16がオンである時間の約33%以下の間、画像担持光を放射し得る。
【0028】
画像源16からの画像担持光WIは、第一のインカップリング回折光学素子IDO1上に入射し、画像担持光WIの少なくとも一部分は、第一のインカップリング回折光学素子IDO1によって回折され、画像担持光WGとしてTIRを介してアウトカップリング回折光学素子ODO1に向かって概して伝搬する。アウトカップリング回折光学素子ODO1に入射する画像担持光WGの少なくとも一部分は、少なくとも一つの方向に拡張されてもよく、アウトカップリングされた画像担持光ビームWO1、WO2(アウトカップリングされた画像担持光ビームの中心光線を表す)として、アウトカップリング回折光学素子ODO1によって第一の平面導波路100Aから方向付けられてもよい。第一のアウトカップリングされた画像担持光ビームWO1は、アイボックスEに向かって第一の方向に放射され、ここでビューアの目は虚像を見るように動作可能である。第二のアウトカップリングされた画像担持光ビームWO2は、アイボックスEの反対側の第二の方向に放射される。
【0029】
ここで
図3、4A及び4Bを参照すると、一実施形態では、画像光ガイドシステム50は、液晶シャッタ150を備える光学装置を含む。一部の例示的な実施形態では、液晶シャッタ150は、第一のガラス基板152A及び第二のガラス基板152Bとの間に電界を作り出すことができるように、その内表面上がそれぞれ透明な導電性材料154で被覆された第一のガラス基板152A及び第二のガラス基板152Bを含み得る。電界がオンの時、第一のガラス基板152A及び第二のガラス基板152Bの間に位置する液晶156(「LC」)は、
図4Aに示すように、第一の方向に整列し、電界がオフの時、LC 156は
図4Bに示すように、第二の異なる方向に整列する。液晶シャッタ150はまた、第一のガラス基板152A及び第二のガラス基板152Bのそれぞれの外表面に位置する第一の偏光フィルム158A及び第二の偏光フィルム158Bを含んでもよい。偏光フィルム158A、158Bは、例えば、互いに対して概して交差する偏光軸を有してもよい。
【0030】
LC 156は、実際には波長板と類似した画像担持光WO2の偏光方向を回転させるように動作可能である。例えば、LC 156は、偏光された光の偏光を158Aから90度回転させるように動作可能であってもよい。電界がオンの時、第一の直線偏光状態において液晶シャッタ150上に入射する第二のアウトカップリングされた画像担持光WO2が吸収される。電界がオフ状態にある時、LC 156によって伝送される第二のアウトカップリングされた画像担持光WO2は、第二の偏光フィルム158Bによって伝送される。
【0031】
一実施形態では、第一の偏光フィルム158Aは、波長板によって置き換えられ、導波路100Aは、偏光格子を利用する。液晶シャッタ150の前述の例示的な構成は、限定することを意図するものではなく、単に一つの潜在的な例示的な構成であることを理解されたい。当業者であれば、他の構成が可能であることを理解するであろう。
【0032】
液晶シャッタ150は、第一の偏光子158A及び第二の偏光子158Bの吸収性のため、その上に入射する周囲光の約50%を遮断し得る。例えば、画像源16がおよそ60Hzのフレームレートで動作する場合、フレームレートの一部について特定の波長範囲の画素が表示される。例えば、画像源16が、フレームレートが60分の1(1/60)秒のデューティサイクルで動作する場合、デューティサイクルは、フレームレートの3分の1(1/3)以下となる。
【0033】
したがって、画像源16は、画像源16のフレームレートの半分未満(<1/2)の間、赤色、緑色、及び青色の波長範囲のうちの少なくとも一つの画像担持光WIを放射する。液晶シャッタ150は、画像源16が画像担持光WIを放射している期間中、第二のアウトカップリングされた画像担持光WO2の伝送をほぼゼロに減少させるように動作可能である。一実施形態では、液晶シャッタ150は、画像源16が低光モードで画像担持光を放射する期間中、完全に暗所で動作するように構成される。
【0034】
一実施形態では、液晶シャッタ150は、赤色の光波長範囲を遮断する一方で、それを通って伝送された緑色及び青色の光波長範囲が伝送されることを概して可能にするように構成される。例えば、画像源16は、第一の波長範囲の画像担持光WIを放射するように動作可能であってもよく、第一の偏光子158Aは、第一の波長範囲に限定される。この実施形態では、液晶シャッタ150による周囲光の伝送は、約75%に増加する(例えば、吸収は約50%から50%の3分の1に減少する)。言い換えれば、液晶シャッタ150を利用して、一つの光波長範囲のみを遮断することは、液晶シャッタ150がオン状態である必要がある時間を変化させる。したがって、オン/オフのタイミングは、すべての色の波長範囲を遮断しようとする時とは異なる。一実施形態では、プログラム可能な画像源16は、赤色の波長範囲のみが放射される動作モードを含み、液晶シャッタ150は、
図5Aに示すフレームレートの赤色の光波長範囲R部分についてのみオンである。
【0035】
ここで
図5A、5B、及び5Cを参照すると、一実施形態では、第一のアウトカップリングされた画像担持光WO1及び第二のアウトカップリングされた画像担持光WO2の輝度は、画像源16の電圧を変更することによって、及び/又はデューティサイクル(すなわち、赤色、緑色、及び/又は青色の光波長範囲R、G、Bがオンであるフレーム当たりの時間量)を変更することによって調整され得る。例えば、
図5Bに示すように、第一のアウトカップリングされた画像担持光WO1及び第二のアウトカップリングされた画像担持光WO2の輝度は、画像源16内の各々の光波長範囲R、G、Bに対するLEDへの電圧の程度を低減することによって減少させることができる。同様に、
図5Cに示すように、第一のアウトカップリングされた画像担持光WO1及び第二のアウトカップリングされた画像担持光WO2の輝度は、画像源16内の各々の光波長範囲R、G、Bに対するLEDへのデューティサイクルを低減することによって減少させることができる。
【0036】
一実施形態では、液晶シャッタ150は、14 Hathiya Street, Tel Aviv - Yafo, Israel 6816914に事業所を有するGauzy Ltd.社が開発したものなどのポリマー分散型液晶(PDLC)接着スマートフィルムを含んでもよい。例えば、スマートフィルムは概して厚さ560μmであり、10ミリ秒のスイッチング時間で動作する。
【0037】
一実施形態では、
図6に示すように、画像光ガイドシステム50は、第一の表面102上又は第一の表面102内に形成された、少なくともインカップリング回折光学素子IDO2及びアウトカップリング回折光学素子ODO2を有する平面導波路100Bを含む。
図7及び
図8に示すように、一実施形態では、アウトカップリング回折光学素子ODO2は、ブレーズド格子を形成する回折特徴部170を含む。ブレーズド格子の回折特徴部170は各々、ブレーズ角度αを有する直角三角形を形成する。ブレーズ角度αは、所与の光波長範囲に対して、アウトカップリング回折光学素子ODO2の回折効率を最適化するために利用されてもよい。一実施形態では、ブレーズド回折特徴部170はそれぞれ、ブレーズ角度αを有する三角形を形成する。一実施形態では、ブレーズド回折特徴部170の一つ以上の表面は湾曲していてもよい。
【0038】
一実施形態では、反射防止コーティング172は、各々のブレーズド回折特徴部170の概して垂直面上に位置する。画像担持光WGが反射防止コーティング172内にある時に、画像担持光WGの波長の一つが4分の1の厚さである反射防止コーティング172は、4分の1(1/4)波長の厚さとも呼ばれる。一実施形態では、反射防止コーティング172の屈折率は、導波路基板Sの屈折率(これは回折特徴部170に対して概して同じ)及び周囲の物質(例えば、空気)の屈折率の幾何平均を取ることによって計算することができる。
nC=√nA ・nS
【0039】
例えば、基板S の屈折率n
Sが1.65であり、かつブレーズド格子特徴部170が屈折率n
A=1.0を有する空気に曝露される場合、反射防止コーティング172の屈折率はn
C=1.28である。しかしながら、当技術分野の当業者であれば、反射防止コーティング172の屈折率も他の方法で計算できることを認識するであろう。
図8に示すように、また
図9A及び9Bのグラフに示すように、反射防止コーティング172は、二次回折光として伝搬され、アイボックスEの反対の方向に出力されるであろう、アウトカップリング回折光学素子ODO2に入射する画像担持光WGの一部分を、相殺的干渉によって破壊するように動作可能である。アウトカップリング回折光学素子ODO2は、ブレーズド格子によって形成されるため、一次回折光は、アイボックスEと反対の方向にアウトカップリングされない。したがって、平面導波路100Bの設計は、第二のアウトカップリングされた画像担持光ビームWO2を低減又は除去する。
【0040】
一実施形態では、
図10Aに示すように、画像光ガイドシステム50は、第一の表面102上又は第一の表面102内に形成されたアウトカップリング回折光学素子ODO3を有する平面導波路100Cを含む。アウトカップリング回折光学素子ODO3は、分布にわたってランダム又は疑似ランダム(本明細書では集合的に「ランダムに」又は「ランダム」と称される)に変位された、ブレーズド回折特徴部180を含む。一実施形態では、
図10Bに示すように、アウトカップリング回折光学素子ODO3は、分布にわたってランダムに変位された、ほぼ長方形の特徴部190を有する直線回折格子である。回折特徴部180、190の周期は、コサイン確率分布に従ってランダム化される。
ρ(s)=-π/Dcos(2πs/D)rect((2s/D)-1)
【0041】
コサイン確率分布に従って回折特徴部180、190の周期をランダム化することによって、アウトカップリング回折光学素子ODO3に入射する画像担持光WGの二次回折が低減又は除去され、それによって、アウトカップリング回折光学素子ODO3によって通常出力される第二のアウトカップリングされた画像担持光ビームWO2は、アイボックスEとは反対の方向に低減及び/又は除去される。
【0042】
その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Nan Gao and Changqing Xie, High-Order Diffraction Suppression Using Modulated Groove Position Gratings, Optics Letters, Vol. 36, No. 21 (Nov. 1, 2011)に記載されるように、回折特徴部180、190の位置をランダムに変化させると、少量が、二次回折を抑制する。さらに、一次回折の画像担持光は強度が増加し、アウトカップリング回折光学素子ODO3がブレーズド格子で形成されるアイボックスEとは反対の方向にアウトカップリングされない。一実施形態では、
図10Bに示すように、インカップリング回折光学素子IDO3の線形回折特徴部190の周期は、インカップリング回折光学素子IDO3に入射する画像担持光WGの二次回折が低減又は除去されるように、コサイン確率分布に従ってランダム化される。
【0043】
一実施形態では、
図11に示すように、第一の表面102上又は第一の表面102内に形成された、インカップリング回折光学素子IDO1及びアウトカップリング回折光学素子ODO1を含む平面導波路100Aを有する画像光ガイドシステム50は、フォトニック結晶シールド200を備える光学装置を含む。一実施形態では、フォトニック結晶シールド200は、画像光ガイドシステム50の固定層である。フォトニック結晶シールド200は、三軸に周期的な屈折率変動を有する三次元フォトニック結晶202を含む。三軸の周期的変動は、三次元フォトニック結晶202に完全なフォトニックバンドギャップを提供し、複雑な光放射制御を可能にする。
図12に示すように、一実施形態では、三次元フォトニック結晶202は、ナノ多孔性二酸化ケイ素の間隙物質を有する窒化ケイ素を含む、木材の構築物のものである。一実施形態では、プロジェクター16は、赤色光などの波長範囲を放射するように動作可能なLEDを備える。フォトニック結晶シールド200は、プロジェクターLEDの波長範囲のうちの少なくとも一つ、又はその一部分に光を反射するように動作可能である。それに応じて、フォトニック結晶シールド200上に環境から入射するプロジェクターLEDの波長範囲の光は、導波路100Aに到達する前に反射される。
【0044】
一実施形態では、フォトニック結晶シールド200は、第一の光波長範囲を遮断する一方で、それを通って第二及び第三の光波長範囲が伝送されることを概して可能にするように構成される。例えば、プログラム可能な画像源16は、第一の波長範囲の画像担持光WIのみを放射するように動作可能であってもよく、フォトニック結晶シールド200は、第一の波長範囲を遮断する一方で、それを通って第二及び第三の光波長範囲が伝送されることを概して可能にするように構成される。
【0045】
ここで
図13A~14Bを参照すると、液晶シャッタ150又はフォトニック結晶シールド200は、画像光ガイドシステム50を通して環境からの光の経路内外を並進移動するように動作可能なオーバーシールド1000内に具現化されてもよい。
図13A及び13Bに示すように、一実施形態では、液晶シャッタ150又はフォトニック結晶シールド200は、ヒンジ1002を介してニアアイディスプレイ60のフレームと連結される。例えば、ヒンジ1002は、アイピースのリム1004と連結されて、平面導波路100Aに対するヒンジ1002の長手方向軸の周りで液晶シャッタ150又はフォトニック結晶シールド200の回転を可能にし得る。さらに、説明されるように、画像光ガイドから出力される拡張された画像担持光ビームの一部分を、アイボックスの反対の方向に低減させるように動作可能な光学装置150、200、400、800、900、1100のいずれかが、オーバーシールド1000内に具現化されてもよい。
【0046】
図14A及び14Bに示すように、本明細書に記載する光学装置のいずれか、例えば、液晶シャッタ150、フォトニック結晶シールド200、光ダイオード400、エレクトロクロミックフィルタ800、ボリュームホログラム900、電子光学的に切替可能なミラー1100、又はそれらの任意の組み合わせは、アイピースのリム1004のスロット1006を介してニアアイディスプレイ60のフレームと摺動可能に連結されたオーバーシールド1000A内に具現化されてもよい。例えば、スロット1006は、液晶シャッタ150又はフォトニック結晶シールド200が、平面導波路100Aに対して、画像光ガイドシステム50を通る環境からの光の経路内及び外に並進移動することを可能にし得る。
【0047】
図14C及び14Dに示すように、液晶シャッタ150又はフォトニック結晶シールド200は、単眼ニアアイディスプレイ62のフレームの一部分と摺動可能に連結されたオーバーシールド1000B内に具現化されてもよい。オーバーシールド1000Bは、画像光ガイドシステム50の導波路100Aの少なくとも一部分を覆うように動作可能なスリーブ1010を含んでもよい。スリーブ1010は、スリーブ1010の端に位置し、単眼ニアアイディスプレイ62の電源と接続して、液晶シャッタ150、フォトニック結晶シールド200、又は切替可能なミラー1100に電圧を供給するように動作可能な電気接点1012を含んでもよい。
【0048】
一実施形態では、
図15~17に示すように、第一の表面510上又は第一の表面510内に形成された、インカップリング回折光学素子506及びアウトカップリング回折光学素子508を含む平面導波路504を有する画像光ガイドシステム500は、本明細書では光アイソレータとも呼ばれる、光ダイオードを備える光学装置400を含む。光ダイオード400は、光学損失が低いプラズモン材料412及び誘電体材料414を含む複数の構成要素層410を積み重ねることによって構築されてもよい。B. Janaszek, et al., Nonlocality-Enabled Magnetic Free Optical Isolation in Hyperbolic Metamaterials, Materials 2021, 14, 2865という記事が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。構成要素層410の複数の層420は、光ダイオード基板416上に作製されてもよい。一実施形態では、光ダイオード400は、構成要素層410のうちの10個を含む。別の実施形態では、光ダイオード400は、10個未満の構成要素層410を含み、さらに別の実施形態では、光ダイオード400は、10個を超える構成要素層410を含む。一実施形態では、プラズモン材料412はグラフェンである。一実施形態では、プラズモン材料412は単層のグラフェンであり、誘電体材料414は窒化ケイ素であり、光ダイオード基板416はセレン化亜鉛(ZnSe)である。別の実施形態では、光ダイオード基板416は、別の屈折率の高い透明な光学材料、例えばガラス又はポリマー材料であってもよい。
【0049】
一実施形態では、プラズモン材料412の厚さは、光ダイオード400の各構成要素層410について同じである。別の実施形態では、プラズモン材料412の厚さは、すべての構成要素層410で同じでなくてもよい。一実施形態では、誘電体材料414の厚さは、光ダイオード400の各構成要素層410について同じである。別の実施形態では、誘電体材料414の厚さはすべて同じ厚さでなくてもよい。
【0050】
一実施形態では、プラズモン材料412は、光ダイオード400の各構成要素層410について同じである。別の実施形態では、プラズモン材料412は、光ダイオード400の各構成要素層410について同じではない。
【0051】
一実施形態では、誘電体材料414は、光ダイオード400の各構成要素層410について同じ材料である。別の実施形態では、誘電体材料414は、光ダイオード400の各構成要素層410について同じ材料ではない。
【0052】
一部の実施例では、各構成要素層410の化学電位は、光ダイオード400の誘電率を変化させるように変更させることができる。一実施例では、構成要素層410の化学ドーピングは、構成要素層410の化学電位の変化を引き起こし、これが、各々のそれぞれの構成要素層410の誘電率の変化をもたらす。他の実施例では、電圧は、動作中に一つ以上の構成要素層410にわたって印加され、各々のそれぞれの構成要素層410の化学電位を変化させ、誘電率の変化をもたらす。プラズモン材料412がグラフェンである例示的な実施形態では、グラフェン層は、一つ以上の電気的にアドレス指定可能な部分を有する薄膜トランジスタTFTに電気的に接続されてもよい。電流又は電圧がTFTの一つ以上の電気的にアドレス可能な部分にわたって印加されると、接続されたグラフェン層の対応する部分は、化学電位の変化、及びそれゆえにそのそれぞれの部分の誘電率の変化を経験することになる。一部の実施例では、グラフェンの個々の構成要素層410の誘電率は、層全体にわたって、又は層の限定された数の部分のみにわたって変更されてもよい。例えば、アイボックス及び平面導波路504を通過する虚軸の周りに同軸に整列されるグラフェン層の一つ以上の部分の誘電率は、第二のアウトカップリングされた画像担持光ビームWO2の伝送を防止するように変更され得る。一部の実施例では、一つ以上のグラフェン層の一つ以上の部分にわたって印加される電圧は、0~1eVである。
【0053】
図16は、ヘッドマウント式拡張現実(AR)表示システムで動作可能な画像光ガイドシステム500の一部分を示す。画像光ガイドシステム500は、マイクロプロジェクター502及び平行板導波路504を含む。システム500の着用者は、着用者の目501に入るシステム500からの画像担持光ビームを介して虚像を観察し得る。平行板導波路504は、平行な表面510、512を含む。平行板導波路504はまた、インカップリング回折光学素子506及びアウトカップリング回折光学素子508を含む。インカップリング回折光学素子506は、プロジェクター502から平行板導波路504内に入射する画像担持光ビーム520を光学的に結合する、回折格子、ホログラフィック光学素子などであってもよい。一般的に、光ビーム520が回折格子506上に入射すると、一つ以上の反射ビーム524及び一つ以上の透過ビーム522の両方がある。特定の回折次数(例えば、±1回折次数)の一部の透過ビーム522は、全内部反射(TIR)条件を満たす導波路表面512への入射角を有し、したがって表面512から反射する。同様に、表面512で反射した後のビーム522は、導波路表面510での反射のためのTIR条件を満たす。したがって、インカップリングされたビーム522は、TIRによって平行板導波路504を通って導波路504の近位端536から遠位端538に伝搬する。
【0054】
平行板導波路504は、アウトカップリング回折光学素子508をさらに含む。アウトカップリング回折光学素子508は、回折格子、又はホログラフィック光学素子などであってもよく、これは、平行板導波路504からのインカップリングされたビーム522の少なくとも一部分を光学的にアウトカップリングして、典型的には、着用者の目501に向かったビーム526となる。インカップリングされたビーム522の一部分は、アウトカップリング光学素子508から反射し戻り、反射ビーム532となる。反射ビーム532の一部は、導波路表面512でのTIRの要件をもはや満たさなくなり、平行板導波路504から屈折してビーム534となる。
【0055】
ある人が画像光ガイドシステム500を着用している人物を観察している時には、ビーム534が観察者に見える場合がある。これは、画像光ガイドシステム500の着用者を損なうか、又は着用者が見ている情報を損なう場合がある。さらに、着用者から離れて平行板導波路を出るこうしたビーム534は、審美的には望ましくない。したがって、ビーム534が観察されることを低減又は除去することが望ましい。
【0056】
図16はさらに、環境からの入射光ビーム又は光線530を示す。こうした環境光線530の一部分は、平行板導波路504を通過し、着用者の目501によって観察されるアウトカップリング光学素子508を通過する。
【0057】
図17は、導波路表面512を通して平行板導波路504を出るビーム534を反射するように配向された光ダイオード400を有する、
図16に詳述されるような画像光ガイドシステム600の一部分を示す。光ダイオード400は、上述のように、及び/又は
図15に示すように構築され得る。光ダイオード400の整列は、導波路表面512に平行である。光ダイオード400は、アウトカップリング回折光学素子508と同じ領域を覆ってもよい。別の実施形態では、光ダイオード400の領域は、アウトカップリング回折光学素子508の領域に加えて導波路表面512の別の部分を覆う。別の実施形態では、光ダイオード400の領域は、導波路表面512の領域全体を覆う。
【0058】
一実施形態では、光ダイオード400と表面512との間の空間は、空気で充填される。別の実施形態では、光ダイオード400と表面512との間の空間は、閉じた空洞を形成し、乾燥空気、空気、気体アルゴン、又は気体窒素などの流体で充填されるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態では、光ダイオード400と導波路表面512との間の空間は、Kutojantie 2, 02630 Espoo, Finlandに事業所を有するPiBond Oy社によって提供される材料など、低い屈折率を有する材料で充填される。低い屈折率を有する材料は、シロキサン材料に基づいて、1.25ほどの低い屈折率を有する材料を得てもよい。
【0059】
光ダイオード400は、平行板導波路504に対して配向され、その結果、導波路表面512を通って平行板導波路504を出るビーム534は、反射ビーム540として平行板導波路504に向かって反射し戻る。反射ビーム540の一部分は、ビーム542として平行板導波路504に再び入ってもよい。ビーム542の一部分は、アウトカップリング回折光学素子508に遭遇し、ビーム544として平行板導波路504を出てもよい。ビーム544は、アウトカップリング回折光学素子508によってアウトカップリングされるビーム526と本質的に平行である。ビーム544がビーム526に平行である程度は、光ダイオード400が平行板導波路504の導波路表面512に平行にされ得る程度に少なくとも部分的に依存する。導波路表面512への光ダイオード400の整列は、虚像を観察する着用者が一つの画像のみを見るようなものである。光ダイオード400のミスアライメントは、着用者によって二重画像が観察される原因となり得る。
【0060】
光ダイオード400が適切に整列されると、ビーム544は、導波路504から着用者の目501に向かって放射される合計光の強度を強化(すなわち、輝度が増す)する。アウトカップリングされたビーム544をアウトカップリングされたビーム526に追加することで、着用者が観察する虚像は、光ダイオード400を有しない場合よりも輝度が高いであろう。光ダイオード400が定位置にあり、より明るい虚像を生成すると、プロジェクター502の電力が低減され得る。すなわち、プロジェクター502によって生成される光の量は、光ダイオード400を定位置に有さない場合と同じレベルの虚像の観察された輝度を達成するために減少され得る。したがって、システム600は、プロジェクター502を駆動するためにより少ない電力を必要とし得、したがって、電池充電当たりの電池寿命を増加させ得る。さらに、必要な電力が少ないと、システム600は加熱の問題を低減し得る。したがって、本明細書に開示されるように構築及び位置付けられた光ダイオード400を有するヘッドマウント式ARシステムについてセキュリティを超えた利点がある。
【0061】
図17に示すように、環境光線530は、光ダイオード400を通過して、光ダイオード400が定位置にあることなく、現実世界の視界に近似する現実世界の視界を着用者に対して可能にする。
【0062】
一実施形態では、光ダイオード400は、第一の光波長範囲を遮断する一方で、それを通ってその他の光波長範囲が伝送されることを概して可能にするように構成される。例えば、画像源502は、第一の波長範囲の画像担持光520を放射するように動作可能であってもよく、光ダイオード400は、第一の波長範囲を遮断/反射するように構成される。
【0063】
図18は、
図16又は
図17のシステム500、600に関して前述した一つ以上の特徴部及び/又は構成要素を有する、ヘッドマウント式AR表示システムで動作可能な画像光ガイドシステム700の一部分を示す。対応して、同様の要素は、同様の参照番号で一般的に言及される。
図18に示すように、画像光ガイドシステム700は、プロジェクター502と平行板導波路504の導波路表面510上のインカップリング回折光学素子506との間に光学的に位置付けられた光ダイオード550を含む。光ダイオード550は、プロジェクター502からのビーム520が光ダイオード550を通過し、インカップリング回折光学素子506上に入射するように配向される。インカップリング光学素子506では、入射ビーム520は、ビーム524(一つ以上の回折次数であってもよい、図示せず)になるように部分的に反射され、インカップリング光学素子506を通して部分的に伝送されて、インカップリングされたビーム522(一つ以上の回折次数であってもよい、図示せず)になる。光ダイオード550は、反射ビーム524が光ダイオード550から反射されるように配向される。したがって、ビーム524の一部分は、ビーム552として導波路504に向かって反射し戻る。ビーム552の一部分は、インカップリング光学素子506上に入射してもよく、その後、インカップリングされたビーム554となり得る。インカップリングされたビーム554は、光ダイオード550の非存在下では導波路504内で伝搬しない。したがって、光ダイオード550は、導波路504内に連結するための追加のビーム554を提供し、これはその後、ビーム522とアウトカップリングして、画像光ガイドシステム700の着用者によって観察されるより輝度の高い画像をもたらす。したがって、より明るい虚像、電池需要の低減、熱生成の低減の利点は、光ダイオード550の導入によって達成されてもよい。
【0064】
光ダイオード550は、導波路表面510と平行であるように位置付けられる。一実施形態では、光ダイオード550は、導波路表面510上に作製される。別の実施形態では、光ダイオード550は、表面510と機械的に接触する。光ダイオード550の整列は、複数の画像が生成されず、着用者が見るようなものである。
【0065】
図19Aは、画像光ガイドシステム750の一部分を示す。画像光ガイドシステム750の同様の要素は、概して、以前の実施形態の同様の参照番号で言及される。
図19Aに示すように、一実施形態では、1/4波長板556は、光ダイオード550とインカップリング光学素子506との間に光学的に位置付けられる。1/4波長板556は、画像担持光ビームの偏光を回転させる。
【0066】
図19A及び19Bに示すように、AR表示システム750はまた、表面512の後に光学的に定置されたミラーなどの鏡面反射面560を含み得る。ミラー560は、画像担持光ビームの少なくとも一部分を反射し、例えば、限定されるものではないが、導波路504内に連結するためにTIR条件を満たさないインカップリング光学素子506からのゼロ次回折ビームを反射する。ミラー506から導波路504の中へと反射されたビームの一部分は、インカップリング光学素子506上に入射してもよく、インカップリング光学素子506を通過して光ダイオード550へと入ってもよい。ミラー506から光ダイオード550上に反射されるビームの一部分は、再び反射され得、その結果、それらはインカップリング光学素子506上に入射し、TIRを介してアウトカップリング光学素子508に伝搬するビーム522、554としてインカップリングされる。
【0067】
インカップリング光学素子506及び/又はアウトカップリング光学素子508の配置は、導波路表面510又は導波路表面512上又は導波路表面512内にあってもよいことが理解されるべきである。
【0068】
ここで
図20を参照すると、一実施形態では、画像光ガイドシステム50は、エレクトロクロミックフィルタ800を備える光学装置を含む。エレクトロクロミックフィルタ800は、第一のガラス基板802A及び第二のガラス基板802Bとの間に電界を作り出すことができるように、その内表面上がそれぞれ透明な導電性材料804で被覆された第一のガラス基板802A及び第二のガラス基板802Bを含み得る。電界がオンの時、第一のガラス基板802A及び第二のガラス基板802Bの間に位置する液晶806(「LC」)は、
図21Aに示すように、第一の方向に整列し、電界がオフの時、LC 806は
図21Bに示すように、第二の異なる方向に整列する。エレクトロクロミックフィルタ800は、液晶シャッタ150と同様に機能する。しかしながら、電界を使用してLC 806の偏光を変更し、画像担持光WO2を遮る代わりに、エレクトロクロミックフィルタ800内のLC 806は、LC 806の特定の配向において、二色性フィルタが画像担持光WO2の特定の波長範囲を遮断するように構造化される。例えば、電界がオンの時、LC 806は、第一の光波長範囲を遮断するように動作可能な二色性フィルタとして作用し得る。
【0069】
一実施形態では、LC 806は、光の可視スペクトルにわたって動作可能であり、LC 806のオン/オフ状態は、画像源16が画像担持光を放射する時にLC 806が完全に不透明となるように時間調節される。画像源16は、フレームレートの一部分が、画像源16のLEDがすべてオフである状態を含むように制御可能であってもよく、LC 806は、LEDがオフの時に二色性フィルタがオフであり、エレクトロクロミックフィルタ800が完全に透明であるように制御可能である。画像源16及びエレクトロクロミックフィルタ800を同期させることにより、周囲環境からユーザーの目への光の伝送が可能になり、その結果、画像光ガイドシステム50は、画像をアイボックスへと伝搬する時でさえも、ユーザーに対して透過的であるように見える。LEDがオフであるフレームレート周期を増加させることによって、画像光ガイドシステム50の見かけの透明度が増加する。
【0070】
一実施形態では、エレクトロクロミックフィルタ800のLC 806は、可視スペクトルではなく、特定の波長範囲にわたって動作可能である。この実施形態では、画像源16は、フレームレートの一部分が、LC 806が動作可能な特定の波長範囲に対応するLEDがオフである状態を含むように制御可能であってもよく、その結果、画像光ガイドシステム50は、周囲環境からユーザーの目に光の少なくとも一部分を伝送するように動作可能である。二色性フィルタが動作可能な特定の波長範囲に対応するLEDがオフであるフレームレート周期を増加させることによって、画像光ガイドシステム50の見かけの透明度が増加し得る。
【0071】
一実施形態では、エレクトロクロミックフィルタ800は、第一のガラス基板802A及び第二のガラス基板802Bのそれぞれ外表面に位置付けられた第一の偏光フィルム808A及び第二の偏光フィルム808Bを含む。偏光フィルム808A、808Bは、例えば、互いに対して概して交差する偏光軸を有してもよい。
【0072】
ここで
図22を参照すると、一実施形態では、画像光ガイドシステム50は、複数のエレクトロクロミックフィルタ800A、800B、800Cを含む。エレクトロクロミックフィルタ800A、800B、800Cの各々は、画像担持光の異なる波長範囲に対応するビデオ信号内の別個のサブフレーム(例えば、フレームレートの一部分)で動作するように(例えば、画像源16と)時間調節されてもよい。例えば、第一のエレクトロクロミックフィルタ800Aは、第一の波長範囲(例えば、赤色)の光を遮断するように動作可能であってもよく、第二のエレクトロクロミックフィルタ800Bは、第二の波長範囲(例えば、緑色)の光を遮断するように動作可能であってもよく、第三のエレクトロクロミックフィルタ800Cは、第三の波長範囲(例えば、青色)の光を遮断するように動作可能であってもよい。
【0073】
ここで
図23を参照すると、一実施形態では、画像光ガイドシステム50は、平面導波路100Aの第二の表面104上に形成されたボリュームホログラム900を備える光学装置を含む。ボリュームホログラム900は、特定の光波長範囲に作用するように間隔を置いた回折素子を含む。
図24に示すように、ボリュームホログラム900の回折素子は、ボリュームホログラム900上に入射する画像担持光WO2が、画像担持光WO3として、TIR条件ではなく、画像担持光WO2に対してほぼ直交方向に方向付けられるように構成される。ボリュームホログラム900の回折素子の構成のため、周囲環境からの光は、ボリュームホログラム900及び平面導波路100Aを通してユーザーの目に伝送するように動作可能である。一実施形態では、ボリュームホログラム900に入射する画像担持光WO2の中心光線の1つの極端な画角は、画像担持光WO3’として第二の表面104にほぼ垂直に向けられ、ボリュームホログラム900に入射する画像担持光WO2の中心光線の反対の画角は、画像担持光WO3として画像担持光WO2の中心光線にほぼ垂直な非TIR条件下で、ボリュームホログラム900を出るように方向付けられる。
【0074】
一実施形態では、ボリュームホログラム900上に入射し、非TIR条件においてほぼ直交方向に画像担持光WO3として方向付けられる画像担持光WO2は、平面導波路100Aの端部902に位置する吸収性材料904に向かって方向付けられる。例えば、吸収性材料904は、平坦な黒色のコーティング又は光吸収性フィルムであってもよいが、これらに限定されない。一実施形態では、画像担持光WO3の伝搬角度は、画像担持光WO3の大部分がボリュームホログラム900によって回折されることを防止する。
【0075】
ここで
図25を参照すると、一実施形態では、画像光ガイドシステム50の平面導波路100Aは、ボリュームホログラム900と平面導波路基板との間に、その第二の表面104上に形成された材料層906を含む。
図26に示すように、ボリュームホログラム900の回折素子は、ボリュームホログラム900上に入射する画像担持光WO2が、TIR条件ではなく、画像担持光WO3として、画像担持光WO2に対してほぼ直交方向に方向付けられるように構成される。材料層906は、画像担持光WO3’のいくつかの光線が、吸収性材料904に向かう過程で導波路表面104から反射することを可能にする。
【0076】
一実施形態では、ボリュームホログラム900は、第一の光波長範囲を遮断する一方で、それを通って第二及び第三の光波長範囲が伝送されることを概して可能にするように構成される。例えば、プログラム可能な画像源16は、第一の波長範囲の画像担持光WIのみを放射するように動作可能であってもよく、ボリュームホログラム900は、第一の波長範囲を遮断する一方で、それを通って第二及び第三の光波長範囲が伝送されることを概して可能にするように構成される。
【0077】
図27Aは、
図16又は
図17の画像光ガイドシステム500、600に関して前述した一つ以上の特徴部及び/又は構成要素を有する、画像光ガイドシステム600の一部分を示す。対応して、同様の要素は、同様の参照番号で一般的に言及される。一実施形態では、
図27Aに示すように、画像光ガイドシステム600は、導波路表面512を通して平行板導波路504を出るビーム534を反射するように反射状態で動作可能な電子光学的に切替可能なミラー1100を備える光学装置を含む。
図27Cに示すように、切替可能なミラー1100はまた、環境からの入射光ビーム530の一部分がそれを通過することを可能にするために、光透過状態で動作可能である。
【0078】
一実施形態では、切替可能なミラー1100は、40 Corporate Park Dr., Hopewell Junction, NY 12533に事業所を有するKent Optronics, Inc.社が開発したe-TransFlector(商標)を含んでもよい。例えば、切替可能なミラー1100は、10ミリ秒~100ミリ秒のスイッチング時間で動作し、50nm~1,000nmから選択される反射帯域幅範囲を有する。切替可能なミラー1100の整列は、導波路表面512に平行である。切替可能なミラー1100は、アウトカップリング回折光学素子508と同じ領域を覆ってもよい。別の実施形態では、切替可能なミラー1100の領域は、アウトカップリング回折光学素子508の領域に加えて導波路表面512の別の部分を覆う。別の実施形態では、切替可能なミラー1100の領域は、導波路表面512の領域全体を覆う。
【0079】
画像源502及び切替可能なミラー1100を同期させることにより、周囲環境からユーザーの目への光の伝送が可能になり、その結果、表示システム600は、画像をアイボックスへと伝搬する時でさえも、ユーザーに対して透過的であるように見える。
図27Cに示すように、切替可能なミラー1100が(反射状態とは対照的に)光透過状態にある時、環境からの入射光ビーム又は光線530の一部分は、切替可能なミラー1100、平行板導波路504、及び着用者の目501によって観察されるアウトカップリング光学素子508を通過する。画像源502が切替可能なミラー1100の反射/透過状態と同期される実施形態では、画像源502は、切替可能なミラー1100が透過状態にある間は画像担持光を放射しない。
【0080】
図27Bに示すように、一実施形態では、切替可能なミラー1100は、導波路表面512を通って平行板導波路504を出る画像担持光ビーム534の一部分が、反射ビーム540として切替可能なミラー1100によって平行板導波路504に向かって反射し戻り、導波路表面512を通って平行板導波路504を出る画像担持光ビーム534の別の部分が、切替可能なミラー1100を通って伝送される、部分的に反射状態で動作可能である。同様に、環境からの入射光のビーム又は光線530の一部分は、切替可能なミラー1100を通過し、入射光ビーム530の別の部分は、切替可能なミラー1100によって反射される。切替可能なミラー1100の部分的な反射状態は、画像担持光ビーム534の一部分を導波路504に反射し戻すことによって、導波路504から着用者の目501に向かって放射される合計光の輝度/強度を増加させるという利点を有する。アウトカップリングされたビーム544をアウトカップリングされたビーム526に追加することで、着用者が観察する虚像は、切替可能なミラー1100を有しない場合よりも明るいであろう。さらに、入射光ビーム530の一部分を環境から反射することによって、ユーザーによって知覚される現実世界の画像は、強度が減少する。したがって、虚像の観察された輝度は、環境に対してさらに増加し得る。上記のように、システム600は、所望の輝度でプロジェクター502を駆動するためにより少ない電力を必要とし得、したがって、電池充電当たりの電池寿命を増加させ得る。
【0081】
一実施形態では、切替可能なミラー1100は、
図27Aに示す少なくとも反射状態、
図27Bに示す部分的に反射状態、及び
図27Cに示す光透過状態との間で動作可能である。一実施形態では、切替可能なミラー1100は、第一の光波長範囲を遮断する一方で、それを通ってその他の光波長範囲が伝送されることを概して可能にするように構成される。例えば、画像源502は、第一の波長範囲の画像担持光520を放射するように動作可能であってもよく、切替可能なミラー1100は、第一の波長範囲を遮断/反射するように構成される。切替可能なミラー1100を利用して、1つの光波長範囲のみを遮断することにより、切替可能なミラー1100がオン状態である必要がある時間が変化する。したがって、オン/オフのタイミングは、すべての色の波長範囲を遮断しようとする時とは異なる。一実施形態では、プログラム可能な画像源502は、赤色の波長範囲のみが放射される動作モードを含み、切替可能なミラー1100は、フレームレートの赤色の光波長範囲R部分についてのみオンである。
【0082】
図28の斜視図は、本開示の一つ以上の画像光ガイド、画像光ガイドシステム、及び/又はAR表示システムを使用した拡張現実視聴のための、表示システム60を示す。表示システム60は、右眼用の画像光ガイド66Rを有する、右眼用光学システム64Rを有する、HMDとして示されている。表示システム60は、ピコプロジェクター、又は類似の装置などの画像源16を含み、画像を生成するために通電可能である。一実施形態では、表示システム60は、一つ以上の画像光ガイド66L及び第二の画像源を含む、左眼用光学システム64Lを含む。生成される画像は、3D視聴のための、立体視可能な一対の画像とすることができる。表示システム60によって形成される虚像は、右眼用画像光ガイド66R及び/又は左眼用画像光ガイド66Lを通してビューアにより鑑賞される現実世界の情景コンテンツ上に、重ね合わされるか、又はオーバーレイされているように見えることがある。情景コンテンツを視聴するために、又はビューアの視線追跡などのために、HMDのフレームへ取り付けられた、一つ以上のカメラなど、拡張現実可視化技術分野の当業者であれば周知である追加の構成要素を、提供することもできる。
【0083】
当業者であれば、本明細書に記載の実施形態のインカップリング回折光学素子及びアウトカップリング回折光学素子は、平面導波路の外表面又は内表面上に位置してもよく、画像担持光が平面導波路に近づく方向に応じて透過型又は反射型であってもよいことを認識するであろう。同様に、回折光学素子は、代替的に、画像担持光の回折を提供するボリュームホログラム又は他のタイプの光学構成要素であってもよい。
【0084】
前述に加えて、本開示は、以下の実施例を企図するが、これらに限定されない。例示的な実施形態では、光セキュリティのある画像光ガイドシステムは、画像担持光ビームを生成するように動作可能な画像源と、前記画像担持光ビームを伝搬するように動作可能な導波路と、前記導波路に沿って形成されるインカップリング回折光学素子であって、前記インカップリング回折光学素子が、前記画像担持光ビームの一部分を前記画像源から角度的にコードされた形態で前記第一の導波路に回折するように動作可能である、インカップリング回折光学素子と、前記導波路に沿って形成されたアウトカップリング回折光学素子であって、前記アウトカップリング回折光学素子が、画像担持光ビームの前記一部分を拡張するように動作可能であり、前記導波路からの拡張された画像担持光ビームの第一の部分を、角度的にデコードされた形態で、第一の方向に、アイボックスに向かって方向付け、前記導波路からの拡張された画像担持光ビームの第二の部分を、前記第一の方向とは異なる第二の方向に方向付ける、アウトカップリング回折光学素子と、前記画像光ガイドから出力される拡張された画像担持光ビームの前記第二の部分を前記第二の方向に減少させるように動作可能な光学装置と、を含む。
【0085】
光セキュリティのある画像光ガイドシステムの別の例示的な実施形態では、前記光学装置は、液晶シャッタを備える。例えば、前記液晶シャッタは、第一及び第二の対向する表面を有する第一の基板と、第一及び第二の対向する表面を有する第二の基板と、前記第一の基板の第二の表面上に位置する導電性材料の第一の層と、前記第二の基板の第一の表面上に位置する導電性材料の第二の層であって、導電性材料の前記第一及び第二の層が、前記第一の基板と前記第二の基板間に電界を生成するように動作可能である、導電性材料の第二の層と、前記導電性材料の第一の層と第二の層との間に位置する液晶であって、前記液晶が、前記電界のオン状態で第一の方向に、前記電界のオフ状態で第二の方向に整列するように動作可能である、液晶と、前記第二の基板の第二の表面上に位置する偏光子と、を含む。
【0086】
例示的な実施形態では、前記第二の基板の第二の表面上に位置する前記偏光子は、第二の偏光子であり、第一の偏光子は、前記第一の基板の第一の表面上に位置する。例えば、前記第一の偏光子及び前記第二の偏光子は、交差偏光軸を有し、及び/又は前記電界の前記オン状態で、前記液晶上に入射する拡張された画像担持光ビームの前記第二の部分の第一の直線偏光状態が吸収される。前記第一の直線偏光状態及び第二の直線偏光状態は、実質的に直交してもよい。
【0087】
光セキュリティのある画像光ガイドシステムの別の例示的な実施形態では、前記光学装置は、三軸に周期的変動を有する三次元フォトニック結晶を備え、前記画像源は、第一の波長範囲で画像担持光を放射するように動作可能であり、前記三次元フォトニック結晶は、前記第一の波長範囲で光を反射するように動作可能である。例えば、第二の光ダイオードは、前記画像源と前記インカップリング回折光学素子との間に光学的に位置付けられてもよく、前記インカップリング回折光学素子から前記第二の光ダイオードに向かって方向付けられた前記画像担持光の一部分は、前記第二の光ダイオードによって、前記インカップリング回折光学素子に向かって反射され、それによってインカップリングされる。
【0088】
光セキュリティのある画像光ガイドシステムの別の例示的な実施形態では、光学装置は、第一及び第二の対向する表面を有する第一の基板を有するエレクトロクロミックフィルタと、第一及び第二の対向する表面を有する第二の基板と、前記第一の基板の第二の表面上に位置する導電性材料の第一の層と、前記第二の基板の第一の表面上に位置する導電性材料の第二の層であって、導電性材料の前記第一及び第二の層が、前記第一の基板と前記第二の基板間に電界を生成するように動作可能である、導電性材料の第二の層と、前記導電性材料の第一の層と第二の層との間に位置する液晶であって、前記液晶が、前記電界のオン状態で第一の方向に、前記電界のオフ状態で第二の方向に整列するように動作可能である、液晶と、前記第二の基板の第二の表面上に位置する偏光子と、を含む。
【0089】
例示的な実施形態では、前記液晶は、前記画像担持光の第一の波長範囲を遮断するように動作可能な二色性フィルタを提示する。例えば、前記エレクトロクロミックフィルタは、前記画像源が前記画像担持光の前記第一の波長範囲を放射する時、前記画像担持光の前記第一の波長範囲に対して不透明である。
【0090】
例示的な実施形態では、前記画像源及び前記エレクトロクロミックフィルタは、虚像が前記アイボックス内で可視である時に、前記環境が前記エレクトロクロミックフィルタを通して知覚可能であるように同期される。
【0091】
光セキュリティのある画像光ガイドシステムの別の例示的な実施形態では、前記光学装置は、第一のエレクトロクロミックフィルタ、第二のエレクトロクロミックフィルタ、及び第三のエレクトロクロミックフィルタを備え、前記第一、第二、及び第三のエレクトロクロミックフィルタの各々は、前記画像源と同期されて、前記画像源のフレームレートの異なるサブフレーム中に前記画像担持光を遮断する。
【0092】
例えば、前記第一のエレクトロクロミックフィルタは、第一の波長範囲の画像担持光を遮断するように動作可能であり、前記第二のエレクトロクロミックフィルタは、第二の波長範囲の画像担持光を遮断するように動作可能であり、前記第三のエレクトロクロミックフィルタは、第三の波長範囲の画像担持光を遮断するように動作可能である。
【0093】
別の例示的な実施形態では、光セキュリティのある画像光ガイドシステムは、画像担持光ビームを生成するように動作可能な画像源と、前記画像担持光ビームを伝搬するように動作可能な導波路と、前記導波路に沿って形成されるインカップリング回折光学素子であって、前記インカップリング回折光学素子が、前記画像担持光ビームの一部分を前記画像源から角度的にコードされた形態で前記導波路に回折するように動作可能である、インカップリング回折光学素子と、前記導波路に沿って形成されたアウトカップリング回折光学素子であって、前記アウトカップリング回折光学素子が、画像担持光ビームの前記一部分を拡張するように動作可能であり、前記導波路からの拡張された画像担持光ビームの第一の部分を、角度的にデコードされた形態で、第一の方向に、アイボックスに向かって方向付け、前記アウトカップリング回折光学素子が、ブレーズド格子特徴部を備える、アウトカップリング回折光学素子と、前記第一の方向とは反対の第二の方向に前記画像光ガイドから出力される光を低減するように動作可能な前記ブレーズド格子特徴部の表面に位置付けられた反射防止コーティングと、を含む。
【0094】
例示的な実施形態では、前記ブレーズド格子特徴部は、実質的に直角三角形を含み、前記反射防止コーティングは、前記ブレーズド格子特徴部の実質的に垂直面上に位置する。例えば、前記反射防止コーティングは、相殺的干渉を介して、前記アウトカップリング回折光学素子上に入射する前記画像担持光ビームのサブセットを相殺して、拡張された画像担持光ビームの第二の部分が前記導波路から前記第二の方向に出力されることを低減するように動作可能である。
【0095】
例示的な実施形態では、前記反射防止コーティングは、前記導波路の屈折率及び周囲物質の屈折率の幾何平均の関数である屈折率を含む。例示的な実施形態では、前記反射防止コーティングは、前記画像担持光の実質的に4分の1の波長の厚さを有する。
【0096】
別の例示的な実施形態では、光セキュリティのある画像光ガイドシステムは、画像担持光ビームを生成するように動作可能な画像源と、前記画像担持光ビームを伝搬するように動作可能な導波路と、前記導波路に沿って形成されるインカップリング回折光学素子であって、前記インカップリング回折光学素子が、前記画像担持光ビームの一部分を前記画像源から角度的にコードされた形態で前記導波路に回折するように動作可能である、インカップリング回折光学素子と、前記導波路に沿って形成されたアウトカップリング回折光学素子であって、前記アウトカップリング回折光学素子が、画像担持光ビームの前記一部分を拡張するように動作可能であり、前記導波路からの拡張された画像担持光ビームの第一の部分を、角度的にデコードされた形態で、第一の方向に、アイボックスに向かって方向付ける、アウトカップリング回折光学素子と、を含み、前記アウトカップリング回折光学素子が、分布にわたってランダムに変位され、前記第一の方向とは反対の第二の方向に前記画像光ガイドから出力される光を低減するように動作可能な回折特徴部を備える。例えば、前記回折特徴部の周期は、コサイン確率分布の関数としてランダム化される。
【0097】
例示的な実施形態では、前記アウトカップリング回折光学素子に入射する前記画像担持光ビームの二次回折が抑制され、それによって、前記画像光ガイドから前記第二の方向への光出力が実質的に除去される。例示的な実施形態では、前記アウトカップリング回折光学素子に入射する前記画像担持光ビームの一次回折が強化され、それによって、前記画像光ガイドから前記第一の方向への光出力の強度が増加する。
【0098】
別の例示的な実施形態では、光セキュリティのある画像光ガイドシステムは、画像担持光ビームを生成するように動作可能な画像源と、前記画像担持光ビームを伝搬するように動作可能な導波路と、前記導波路に沿って形成されるインカップリング回折光学素子であって、前記インカップリング回折光学素子が、前記画像担持光ビームの一部分を前記画像源から角度的にコードされた形態で前記導波路に回折するように動作可能である、インカップリング回折光学素子と、前記導波路に沿って形成されたアウトカップリング回折光学素子であって、前記アウトカップリング回折光学素子が、画像担持光ビームの前記一部分を拡張するように動作可能であり、前記導波路からの拡張された画像担持光ビームの第一の部分を、角度的にデコードされた形態で、第一の方向に、アイボックスに向かって方向付ける、アウトカップリング回折光学素子と、前記インカップリング回折光学素子と前記画像源との間に位置する波長板と、前記画像源の反対側の前記波長板の表面に近接して位置する鏡面反射面であって、前記反射面が、前記インカップリング回折光学素子に向かって、前記画像担持光ビームの少なくとも一部分が前記インカップリング回折光学素子によってインカップリングされないように動作可能である、鏡面反射面と、を含む。
【0099】
例示的な実施形態では、光ダイオードは、前記画像源と前記インカップリング回折光学素子との間に光学的に位置付けられ、前記反射面から反射され、前記インカップリング回折光学素子から前記第二の光ダイオードに向かって方向付けられた前記画像担持光の一部分は、前記光ダイオードによって、前記インカップリング回折光学素子に向かって反射され、それによってインカップリングされる。
【0100】
本明細書に記載される実施形態の一つ以上の特徴を組み合わせて、図示されていない追加の実施形態を作製してもよい。様々な実施形態を上記で詳細に説明しているが、それらは、限定的なものではなく例示目的で提示されていると、理解されるべきである。その範囲、精神、又は本質的な特徴から逸脱することなく、本開示の主題が、他の特定の形態、変形、及び修正によって具現化され得ることが、関連技術の当業者には明らかであろう。したがって、上述した実施形態は、すべての点において例示として考慮されるべきであり、限定的なものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、その均等物の意味及び範囲内にあるすべての変更がその中に包含されることが意図される。
【国際調査報告】