(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】金属酸化物基板を有する触媒構造、その製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
B01J 23/89 20060101AFI20241022BHJP
B01J 35/45 20240101ALI20241022BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20241022BHJP
B01J 23/885 20060101ALI20241022BHJP
C01C 1/04 20060101ALI20241022BHJP
B22F 1/054 20220101ALI20241022BHJP
C22C 27/04 20060101ALI20241022BHJP
C22C 19/07 20060101ALI20241022BHJP
B22F 1/065 20220101ALI20241022BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20241022BHJP
C22C 30/00 20060101ALI20241022BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20241022BHJP
C22C 5/04 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
B01J23/89 M
B01J35/45
B01J37/08
B01J23/885 M
C01C1/04 E
B22F1/054
C22C27/04 102
C22C19/07 Z
B22F1/065
B22F1/00 R
C22C30/00
B82Y30/00
C22C5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518607
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022044541
(87)【国際公開番号】W WO2023049350
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520159592
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ メリーランド, カレッジ パーク
(71)【出願人】
【識別番号】524110986
【氏名又は名称】ハイティー-テック,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー,リアンビン
(72)【発明者】
【氏名】リー,タンユアン
(72)【発明者】
【氏名】ガッテ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ツェッヒャー-フリーマン,ノア
【テーマコード(参考)】
4G169
4K018
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169AA12
4G169BA01A
4G169BA01B
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4G169ZA01A
4K018BA01
4K018BA20
4K018BB05
4K018KA70
(57)【要約】
触媒構造は、基板と、複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子とを有する。基板の少なくとも表面層は、金属酸化物から形成される。HEAナノ粒子は、表面層上に形成することができる。各HEAナノ粒子は、単相固溶体合金を形成する少なくとも4つの異なる元素の均質な混合物を含むことができる。触媒構造は、アンモニア酸化反応、アンモニア合成反応、またはアンモニア分解反応などの化学反応における触媒作用のために使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板であって、 前記基板の少なくとも表面層が金属酸化物で形成されている基板と、
前記基板の前記表面層上に形成された複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子であって、各HEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有し、各HEAナノ粒子は、単相固溶体合金を形成する少なくとも4種の異なる元素の均質な混合物を含む、複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子と、
を含む触媒構造。
【請求項2】
前記基板の全体が、前記金属酸化物で形成されている、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項3】
前記基板が、前記金属酸化物とは異なる材料で形成されたベース層を含む、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項4】
前記ベース層は、炭素で形成される、請求項3に記載の触媒構造。
【請求項5】
各HEAナノ粒子の最大断面寸法が、25nm以下である、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項6】
各HEAナノ粒子の最大断面寸法が、1~20nmの範囲内である、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項7】
前記金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、ペロブスカイト、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項8】
前記触媒構造の貴金属含有量が、30重量%以下である、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項9】
前記触媒構造の貴金属含有量が、2~10重量%の範囲内である、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項10】
各HEAナノ粒子の均質混合物が、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド、および遷移後金属からなる群から選択される少なくとも4つの元素である、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項11】
前記単相固溶体が、面心立方相を含む、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項12】
各HEAナノ粒子が、少なくとも5つの異なる元素を有する、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項13】
複数のHEAナノ粒子は、アンモニア酸化のための触媒として有効であり、
各HEAナノ粒子中の均質混合物は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、およびプロモーターの組合せであり、
プロモーターは、希土類元素である、
請求項1に記載の触媒構造。
【請求項14】
前記複数のHEAナノ粒子は、アンモニア分解のための触媒として有効であり、各HEAナノ粒子中の前記均質混合物が、(i)コバルト(Co)、(ii)モリブデン(Mo)、および(iii)少なくとも2つの遷移金属の組合せである、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項15】
それぞれのHEAナノ粒子の均質な混合物は、Co
xMo
yFe
aNi
bCu
cを満たし、ここで、
x+y=100-(a+b+c);
10≦a≦20;
10≦b≦20;および
10≦c≦20である、
請求項14に記載の触媒構造。
【請求項16】
前記基板が、押出金属酸化物ペレットを含む、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項17】
前記押出金属酸化物ペレットが、20mm以下の最大断面寸法を有するマルチローブ円筒状ペレットである、請求項16に記載の触媒構造。
【請求項18】
前記基板が、1mm以下の最大断面寸法を有する粉末粒子を含む、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項19】
前記基板が、複数の細孔および0.6mL/g~0.8mL/g(両端値含む)の細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項20】
各HEAナノ粒子が、切頭球形を有する、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項21】
前記HEAナノ粒子間の前記基板の前記表面層上に形成された複数の非HEAナノ粒子をさらに含む、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項22】
前記基板上の前記HEAナノ粒子の数は、前記基板上の前記非HEAナノ粒子の数よりも少ない、請求項21に記載の触媒構造。
【請求項23】
前記複数のHEAナノ粒子が、前記基板の断面にわたって勾配を持って分散される、請求項1に記載の触媒構造。
【請求項24】
前記勾配は、前記基板の外側部分における前記HEAナノ粒子の粒子密度が、前記基板の内側部分における粒子密度よりも大きい、請求項23に記載の触媒構造。
【請求項25】
前記基板の前記内側部分における前記粒子密度が、前記基板の前記外側部分における前記粒子密度の0~80%(両端値を含む)の範囲内である、請求項24に記載の触媒構造。
【請求項26】
1つまたは複数の触媒構造を提供するステップであって、基板および複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子を含み、基板の少なくとも表面層は、金属酸化物から形成され、複数のHEAナノ粒子は、基板の表面層上に形成され、各HEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有し、各HEAナノ粒子は、単相固溶体合金を形成する少なくとも4つの元素の均質混合物を含むステップと、
1つまたは複数の反応物を流入させて1つまたは複数の触媒基板と接触させ、化学反により1つまたは複数の反応物を第1の温度で1つまたは複数の生成物に変換するステップと、
を含む方法。
【請求項27】
前記化学反応が、酸化反応、合成反応、または分解反応を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
1つ以上の反応物は、アンモニア、酸素、および窒素を含み、
化学反応は、アンモニア酸化を含み、
1つ以上の生成物は、NO
x生成物を含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項29】
各HEAナノ粒子中の均質混合物は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、およびプロモーターの組合せであり、プロモーターは、希土類元素である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
1つ以上の生成物の少なくとも90%が、NO
x生成物であり、
アンモニアの少なくとも95%が、1つ以上の生成物に変換され、
1つ以上の生成物の1%以下が、N
2Oであり、
第1の温度は、800℃以下であるか、または、
上記の任意の組合せ、である、
請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記アンモニア酸化の反応は、N
2Oを除去するための触媒無しで行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
1つ以上の反応物は、水素および窒素を含み、
化学反応は、アンモニア合成を含み、
1つ以上の生成物は、アンモニアを含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項33】
各HEA中の均質混合物が、(i)コバルト(Co)、(ii)モリブデン(Mo)、および(iii)少なくとも2つの遷移金属の組合せである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の温度は、300℃~600℃(両端値を含む)であり、前記化学反応の質量比反応速度は、少なくとも0.7g
ammoniag
metals
-h
-1である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の温度は、約450℃であり、前記化学反応の質量比反応速度は、1.52g
ammoniag
metals
-1h
-1である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
各触媒構造の前記基板の全体が、前記金属酸化物から形成される、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
各触媒構造の前記基板が、前記金属酸化物とは異なる材料で形成されたベース層を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記ベース層は、炭素で形成される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
各触媒構造の各HEAナノ粒子の最大断面寸法は、25nm以下である、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
各触媒構造の各HEAナノ粒子の最大断面寸法が、1~20nmの範囲(両端値を含む)にある、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
各触媒構造の金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、ペロブスカイト、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
各触媒構造の貴金属含有量は、30重量%以下である、請求項26に記載の方法。
【請求項43】
各触媒構造の貴金属含有量が、2~10重量%(両端値を含む)の範囲である、請求項26に記載の方法。
【請求項44】
各触媒構造の各HEAナノ粒子の均質混合物は、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド、および遷移後金属からなる群から選択される少なくとも4つの元素である、請求項26に記載の方法。
【請求項45】
各触媒構造の各HEAナノ粒子の単相固溶体は、面心立方相を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項46】
各触媒構造の各HEAナノ粒子が、少なくとも5つの異なる元素を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項47】
各触媒構造の前記基板が、押出金属酸化物ペレットを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項48】
各押出金属酸化物ペレットが、20mm以下の最大断面寸法を有するマルチローブ円筒状ペレットである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
各触媒構造の前記基板が、1mm以下の最大断面寸法を有する粉末粒子を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項50】
各触媒構造の前記基板が、複数の細孔および0.6mL/g~0.8mL/g(両端値を含む)の範囲の細孔容積を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項51】
各HEAナノ粒子が、切頭球形を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項52】
各触媒構造が、前記HEAナノ粒子間の前記基板の前記表面層上に形成された複数の非HEAナノ粒子をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項53】
各触媒構造について、前記基板上の前記HEAナノ粒子の数は、前記基板上の前記非HEAナノ粒子の数よりも少ない、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
各触媒構造について、前記複数のHEAナノ粒子が、前記基板の断面にわたって勾配を持って分散される、請求項26に記載の方法。
【請求項55】
各触媒構造について、前記勾配は、前記基板の外側部分における前記HEAナノ粒子の粒子密度は、前記基板の内側部分における粒子密度よりも大きい、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
各触媒構造について、前記基板の前記内側部分における前記粒子密度が、前記基板の前記外側部分における前記粒子密度の0~80%(両端値を含む)の範囲内である、請求項55に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「担持多元素ナノ粒子触媒およびその製造方法ならびにその使用」と題する、2021年9月23日に出願された米国特許仮出願第63/261,557号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(連邦支援研究に関する表明)
本発明は、米国エネルギー省(DOE)先進調査プロジェクト局エネルギー(ARPA-E)によって与えられたDEAR0001239の下で米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は、本発明について一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、一般に触媒に関し、より詳細には、金属酸化物基板上および/または金属酸化物基板内に形成された高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子を含む触媒構造に関する。
【背景技術】
【0004】
従来の担持触媒では、金属触媒が多孔質固体基板上に分布される。担持触媒の合成は、典型的には、含浸、乾燥、および焼成を含む。従来の担持触媒は主に、炉内での焼成(例えば、約500~600℃での長時間の継続的な加熱)によって、単一成分、二成分、または三成分に限定されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような加熱技術は、高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子を製造することを困難にする。特に、従来の炉における高温および長期間のために、金属は、基板と反応して不純物または第2の相を形成することができ、それによって、ナノスケールレベルでの高品質金属の形成および分散に影響を与える。開示される主題の実施形態は、とりわけ、上述の問題および欠点のうちの1つまたは複数に対処し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示される主題のシステムの実施形態は、各々が基板上に形成され、基板によって担持される複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子を含む触媒構造、ならびにその製造方法およびその使用を提供する。いくつかの実施形態では、基板の少なくとも一部が酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、またはペロブスカイトなどの金属酸化物から形成されるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、各HEAナノ粒子は、アンモニア酸化反応、アンモニア合成反応、またはアンモニア分解反応を触媒するために使用することができる少なくとも5つの元素から形成することができる。例えば、白金、パラジウム、ロジウム、コバルトおよび希土類元素からなるHEAナノ粒子を有する触媒構造をアンモニア酸化反応に用いることができ、および/またはコバルト、モリブデン、鉄、ニッケルおよび銅またはマンガンからなるHEAナノ粒子を有する触媒構造をアンモニア合成反応に用いることができる。
【0007】
1つ以上の実施形態において、触媒構造は、基板と、複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子とを含む。基板の少なくとも表面層は、金属酸化物から形成することができる。複数のHEAナノ粒子は、基板の表面層上に形成することができる。各HEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有することができる。各HEAナノ粒子は、単相固溶体合金を形成する少なくとも4つの異なる元素の均質な混合物を含むことができる。
【0008】
1つ以上の実施形態において、方法は、1つ以上の触媒構造を提供することを含むことができる。各触媒構造は、基板および複数のHEAナノ粒子を含むことができる。基板の少なくとも表面層は、金属酸化物から形成することができる。複数のHEAナノ粒子は、基板の表面層上に形成することができる。各HEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有することができる。各HEAナノ粒子は、単相固溶体合金を形成する少なくとも4つの元素の均質な混合物を含むことができる。本方法は、1つ以上の反応物を1つ以上の触媒基板と接触させて、化学反応が1つ以上の反応物を第1の温度で1つ以上の生成物に変換するようにすることをさらに含むことができる。
【0009】
1つ以上の実施形態では、触媒構造を製造するための方法は、複数の前駆体金属塩を含む溶液で基板をコーティングすることを含むことができる。複数の前駆体金属塩は、少なくとも4つの異なる元素を含むことができる。基板の少なくとも表面層は、金属酸化物から形成することができる。この方法は、複数の前駆体金属塩を用いて基板を乾燥させることをさらに含むことができる。本方法はまた、触媒構造を形成するために、乾燥した基板を熱衝撃にさらすことを含むことができる。熱衝撃は、少なくとも1500Kのピーク温度に1秒以下の持続時間曝露することを含むことができる。熱衝撃の後、触媒構造は、基板の表面層上に形成された複数のHEAナノ粒子を含むことができる。各HEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有することができ、単相固溶体合金を形成する少なくとも4つの異なる元素の均質な混合物を含むことができる。
【0010】
1つ以上の実施形態では、Pt系触媒およびN2O除去触媒を硝酸製造反応器から除去することを含むことができる。硝酸製造反応器は、(i)アンモニア、酸素および窒素のための1つ以上の入口と、(ii)NOx生成物のための1つ以上の出口とを有することができる。Pt系触媒は、除去の前に、1つ以上の入口と1つ以上の出口との間の第1の位置にあってもよい。N2O除去触媒は、除去前の第1の位置の後の第2の位置にあってもよい。本方法は、硝酸製造反応器内に1つ以上の触媒構造を設置することをさらに含むことができる。各触媒構造は、基板および複数のHEAナノ粒子を含むことができる。基板の少なくとも表面層は、非導電性金属酸化物から形成することができる。複数のHEAナノ粒子は、基板の表面層上に形成することができる。各HEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有することができる。各HEAナノ粒子は、単相固溶体合金を形成する少なくとも4つの元素の均質な混合物を含むことができる。
【0011】
本開示の様々な革新のいずれも、組み合わせて、または別々に使用することができる。この概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図するものでもない。開示された技術の前述および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、実施形態について、必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付の図面を参照して説明する。適用可能な場合、いくつかの要素は、基礎となる特徴の例示および説明を助けるために、簡略化されるか、またはそうでなければ図示されない場合がある。図面全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【
図1A】
図1Aは、開示される主題の1つまたは複数の実施形態による、高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子の態様を示す簡略化された概略図である。
【
図1B】
図1Bは、開示される主題の1つまたは複数の実施形態による、金属酸化物基板上に形成されたHEAナノ粒子を含む触媒構造の簡略化された概略図である。
【
図1C】
図1Cは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、押出された酸化アルミニウム基板を使用して製作された触媒構造の肉眼視画像である。
【
図1D】
図1Dは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、押出された酸化アルミニウム基板を使用して製作された触媒構造の顕微鏡画像である。
【
図1E】
図1Eは、開示される主題の1つまたは複数の実施形態による、金属酸化物被覆基板上に形成されたHEAナノ粒子を含む触媒構造の簡略化された概略図である。
【
図1F】
図1Fは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、酸化アルミニウムで被覆されたカーボンナノファイバー基板を使用する、製造された触媒構造の顕微鏡画像である。
【
図2A】
図2Aは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、基板の金属酸化物表面上に形成されるHEAナノ粒子の簡略化された概略図である。
【
図2B】
図2Bは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、作製されたHEAナノ粒子(PtPdRhCoCe)と酸化アルミニウム基板との間の界面の透過型電子顕微鏡(TEM)元素マッピングを示す。
【
図2C】
図2Cは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、基板の金属酸化物表面上に形成されたHEAおよび他のナノ粒子の簡略化された概略図である。
【
図2D】
図2Dは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、酸化アルミニウム基板上に形成されたHEA(PtPdRhCoCe)および他のナノ粒子のTEM元素マッピングを示す。
【
図2E】
図2Eは、カーボンナノファイバー基板上に形成されたHEA(PtPdCoNiFe)ナノ粒子のTEM元素マッピングを示す。
【
図2F】
図2Fは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、形成されたHEAナノ粒子の勾配分布を図示する、金属酸化物基板の断面図の簡略化された概略図である。
【
図2G】
図2Gは、HEAナノ粒子の勾配分布を有する酸化アルミニウム基板の表面および断面部分の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【
図3A】
図3Aは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、触媒構造を製造するための様々な段階の簡略化された概略図である。
【
図3B】
図3Bは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、触媒構造を製造するための密閉型熱衝撃装置の簡略化された概略図である。
【
図3C】
図3Cは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、触媒構造を製造するためのオープン熱衝撃セットアップの簡略化された概略図である。
【
図3D】
図3Dは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、触媒構造を製造するための熱衝撃セットアップのための代替のヒータ構成を示す図である。
【
図3E】
図3Eは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、触媒構造を製造するための熱衝撃セットアップのための代替のヒータ構成を示す図である。
【
図3F】
図3Fは、開示される技術が実装され得るコンピューティング環境の一般化された例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、開示される主題の1つまたは複数の実施形態による、触媒構造を作製するための方法のプロセスフロー図である。
【
図4B】
図4Bは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、基板上にHEAナノ粒子を形成するための熱衝撃の例示的な温度プロファイルのグラフである。
【
図5】
図5は、開示される主題の1つ以上の実施形態による、化学反応における触媒構造の使用のための一般化された方法のプロセスフロー図である。
【
図6A】
図6Aは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、例示的アンモニア酸化反応を図示する。
【
図6B】
図6Bは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、HEAナノ粒子を有する触媒構造を含むための既存の硝酸生成反応器の改造を図示する。
【
図6C】
図6Cは、開示される主題の1つ以上の実施形態による、既存の硝酸生成反応器を改造するための方法のプロセスフロー図である。
【
図7】
図7は、開示される主題の1つ以上の実施形態による、例示的なアンモニア合成反応を図示する。
【
図8A】
図8Aは、触媒構造を用いるアンモニア酸化反応から得られた反応温度に対する生成物選択性のグラフである。
【
図8B】
図8Bは、触媒構造を使用するアンモニア酸化反応についての、生成物選択性およびアンモニア転化率対時間オンストリームのグラフである。
【
図8C】
図8Cは、粉末およびバルク形態の触媒構造における質量依存性触媒性能のグラフである。
【
図9A】
図9Aは、10バールおよび50標準立方センチメートル/分(sccm)の反応ガスフローで操作されたアンモニア合成反応における、酸化アルミニウム被覆カーボンペーパー上のCo
25Mo
45-HEAナノ粒子の温度依存性触媒活性のグラフである。
【
図9B】
図9Bは、10バールおよび50sccmの反応ガスフローで操作されたアンモニア合成反応における、押出された酸化アルミニウム基板上のCo
25Mo
45-HEAナノ粒子の温度依存性触媒活性のグラフである。
【
図9C】
図9Cは、10バールおよび50sccmの反応ガスフローで操作されたアンモニア合成反応における、酸化アルミニウム基板上のCo
25Mo
45-HEAナノ粒子の粉末形態の温度依存性触媒活性のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一般的な考慮事項
本明細書の目的のために、本開示の実施形態における特定の態様、利点、および新規な特徴が本明細書に記載される。開示された方法およびシステムは、決して限定的であると解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、ならびに互いの様々な組合せおよび下位組合せで、開示される様々な実施形態のすべての新規かつ非自明な特徴および態様を対象とする。方法およびシステムは、任意の特定の態様、特徴、またはそれらの組合せに限定されず、開示される実施形態は、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを必要としない。任意の実施形態または実施例からの技術は、他の実施形態または実施例のうちの任意の1つまたは複数において説明される技術と組み合わせることができる。開示された技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮すると、図示された実施形態は、例示的なものにすぎず、開示された技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを認識されたい。
【0014】
開示される方法のうちのいくつかの動作は、便利な提示のために特定の順番で説明されるが、特定の順序付けは、以下で説明される特定の言語によって必要とされない限り、この説明の方式は、並べ替えを包含することを理解されたい。例えば、連続して説明される動作は、場合によっては並べ替えられるか、または同時に実行され得る。さらに、簡略化のために、添付の図面は、開示された方法が他の方法と併せて使用され得る様々な方法を示していない場合がある。さらに、説明は、開示された方法を説明するために、「提供する」または「達成する」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実行される実際の操作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装形態に応じて異なり得、当業者によって容易に認識可能である。
【0015】
数値範囲の開示は、特に断りのない限り、端点を含む範囲内の各離散点を指すものと理解されるべきである。別段の指示がない限り、本明細書または特許請求の範囲で使用される、成分の量、分子量、百分率、温度、時間などを表すすべての数は、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、別段の暗示的または明示的な指示がない限り、または文脈がより明確な構成を有すると当業者によって適切に理解されない限り、記載される数値パラメータは、当業者に知られているように、求められる所望の特性および/または標準試験条件/方法下での検出の限界に依存し得る近似値である。議論された先行技術から実施形態を直接的かつ明示的に区別する場合、実施形態の数字は、「約」という単語が列挙されない限り、近似ではない。「実質的に」、「およそ」、「約」、または同様の言語が特定の値と組み合わせて明示的に使用される場合は常に、明示的に別段の定めがない限り、その値の10%までの変動が意図される。
【0016】
方向および他の相対参照は、本明細書における図面および原理の説明を容易にするために使用され得るが、限定することを意図されない。例えば、「内側」、「外側」、「上」、「下」、「底部」、「内側」、「外側」、「左」、「右」、「前」、「後」、「後側」などの特定の用語が使用され得る。このような用語は、適用可能な場合、特に例示された実施形態に関して、相対的な関係を扱うときの説明のいくつかの明瞭さを提供するために使用される。しかしながら、このような用語は、絶対的な関係、位置、および/または向きを暗示することを意図するものではない。例えば、物体に関して、「上」部分は、単に物体を裏返すことによって「下」部分になり得る。それにもかかわらず、それは、依然として同じ部分であり、物体は、同じままである。
【0017】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味し、また、単数形「a」または「an」または「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数への言及を含む。用語「または」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、言及された代替要素の単一の要素または2つ以上の要素の組合せを指す。
【0018】
本明細書に記載される様々な構成要素、パラメータ、動作条件などの代替があるが、それらの代替は、必ずしも同等であり、および/または等しく良好に機能することを意味しない。また、特に明記しない限り、選択肢が好ましい順序で列挙されていることも意味しない。特に明記しない限り、以下に定義する基のいずれも、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0019】
別段の説明がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を本開示の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。材料、方法、および実施例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本開示の主題の特徴は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0020】
用語の概要
以下は、開示される主題の様々な態様の説明を容易にし、開示される主題の実施において当業者を案内するために提供される。
【0021】
熱衝撃:約1秒以下の持続時間を有する期間の熱衝撃温度の印加。いくつかの実施形態では、熱衝撃温度適用期間の持続時間は、500ミリ秒未満、例えば、100ミリ秒以下である。例えば、いくつかの実施形態では、熱衝撃の持続時間は、約1マイクロ秒~約100ミリ秒(両端値を含む)の範囲、例えば、約55ミリ秒であり得る。いくつかの実施形態では、熱衝撃は、加熱時間前に少なくとも103K/s(例えば、約105K/s)のランプ速度で熱衝撃温度に加熱すること、および/または少なくとも103K/s(例えば、約105K/s)のランプ速度で熱衝撃温度から冷却することを含み得る。
【0022】
熱衝撃温度:(例えば、電流パルスの印加によって)通電されたときの、および/または加熱されている材料の表面での、1つまたは複数の加熱要素の表面でのピークまたは最高温度。いくつかの実施形態では、熱衝撃温度は、少なくとも約1500K、例えば、約1500K~約2500K(例えば、1700~2300K)の範囲である。いくつかの実施形態では、炉内で加熱される材料(例えば、基板上の前駆体)の温度は、加熱要素の温度と一致するか、または実質的に一致する(例えば、10%以内)ことができる。
【0023】
粒子サイズ:1つ以上の粒子の最大断面寸法(例えば、直径)。いくつかの実施形態では、特定された粒径は、すべての粒子の平均粒径(例えば、最大断面寸法の平均)を表す。いくつかの実施形態において、粒径は、限定されないが、「金属粉末の篩分析のための標準試験方法」と題されたASTM B214-16、「空気透過性を使用して金属粉末および関連化合物の平均粒径を推定するための標準試験方法」と題されたASTM B330-20、「光散乱による金属粉末および関連化合物の粒径分布のための標準試験方法」と題されたASTM B822-20、および「物理的吸着による金属粉末特定表面積のための標準試験方法」と題されたASTM B922-20などの1つまたは複数の既知の標準に従って測定することができ、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
ナノ粒子:複数の要素(例えば、少なくとも4つの要素、少なくとも5つの要素、または少なくとも8つの要素)から形成され、最大断面寸法(例えば、粒子が球状である場合の直径、例えば、
図1AにおけるD、約1μm以下、例えば、約100nm以下)を有する、操作された粒子。いくつかの実施形態では、各ナノ粒子は、約25nm以下、例えば、1~20nmの範囲内の最大断面寸法を有する。
【0025】
高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子:単相固溶体を形成する少なくとも4つの元素の均質な混合物を含むナノ粒子。
【0026】
非HEA粒子:3個以下の元素からなる粒子(例えば、ナノ粒子以下)、例えば、単一元素粒子(例えば、原子)または二元元素粒子。いくつかの実施形態では、HEAナノ粒子と共通の基板上に同時に形成される非HEA粒子は、HEAナノ粒子の粒径よりも小さい(例えば、HEAナノ粒子の直径の25%以下)粒径を有し得る。
【0027】
貴金属:金(Au)、白金(Pt)、ならびにイリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、およびルテニウム(Ru)を含む他の白金族金属。
【0028】
希土類元素:スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、およびルチチウム(Lu)。
【0029】
遷移金属:スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ニジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスニウム(Os)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、水銀(Hg)、アクチニウム(Ac)、ルテホルジウム(Rf)、ダブニウム(Db)、シーボルギウム(Sg)、ボリウム(Bh)、ハッシウム(Hs)、メチネリウム(Mt)、ダームスタジウム(Ds)、レントゲン(Rg)、およびコペルニシウム(Cn)から選択された任意の元素。
【0030】
導入部
高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子を多孔質基板上に形成して、触媒構造を形成することができる。HEAナノ粒子は、単一の固溶体相中の少なくとも4つの元素(例えば、5つ以上)の均質な混合物から形成することができる。HEAナノ粒子中に含めるために利用可能な多数の元素(例えば、20の可能な遷移および/または主族金属)は、例えば、触媒活性、耐久性、または任意の他の望ましい特性を最大化するか、または少なくとも改善するために、材料組成および/または表面特性の調整および/または最適化を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、HEAナノ粒子はまた、脱合金化の化学ポテンシャルを低下させる大きな混合エントロピーを有する(ΔGmix=ΔHmix-T*ΔSmix)。代替的にまたは追加的に、HEAナノ粒子は、原子拡散を低減または抑制することができる高度に歪んだ格子を示すことができ、これは、純金属または単純な合金と比較して、熱力学的安定性および動力学的安定性の向上を生じさせることができる。
【0031】
そのような特徴は、高い触媒活性および耐久性を可能にし得、これは、アンモニア反応および/または排気転化などの過酷な反応条件における触媒用途に特に有利であり得る。例えば、開示される主題の実施形態による触媒は、アンモニア(NH3)合成、アンモニア酸化、アンモニア分解、および/またはNOx還元(例えば、脱-NOx)などであるが、これらに限定されない、熱化学または熱触媒反応において使用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、基板は、非導電性固体金属酸化物であるか、またはHEAナノ粒子が形成される最も外側の非導電性金属酸化物層を有する。例えば、金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、および/またはペロブスカイトであり得る。いくつかの実施形態では、基板上に複数のHEAナノ粒子を含む触媒構造は、低貴金属含有量、例えば、触媒構造の30重量%以下(例えば、2~10重量%の範囲)を有することができる。例えば、金属酸化物基板(例えば、アルミナ押出物)上に担持されたHEA触媒は、5重量%未満の貴金属を有し得、これは、アンモニア酸化において使用される従来の白金-ロジウムガーゼ触媒と比較して、貴金属含有量の20倍を超える減少を表す。
【0033】
触媒構造
図1Aを参照すると、HEAナノ粒子102の簡略図が示されている。ナノ粒子102は、1μm以下、例えば1~20nmの範囲の最大断面寸法Dを有する単一の粒子において、複数の104個の元素、例えば4個以上の異なる元素原子106a~106dから形成することができる。ナノ粒子中の原子は、単相固溶体(例えば、面心立方(FCC)相を有する)として均一な混合物を形成することができる。いくつかの実施形態では、原子106a~106dは、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド、および遷移後金属から選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、HEAナノ粒子は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、およびプロモーター(例えば、セリウムなどの希土類元素)から形成することができる。例えば、アンモニア酸化触媒として使用するためのHEAナノ粒子は、高い選択性、高い転化率、および優れた安定性を示すPt63Pd15Rh4Co15Ce3の化学成分を有することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、Pt、Pd、Rh、Co、およびプロモーターから形成されるHEAナノ粒子は、Pt含有量が減少し(例えば、50~60原子%の範囲内に)、非貴金属(例えば、Coおよび/またはプロモーター)の含有量が増加した(例えば、≧20原子%)ものであるものであることができる。
【0035】
あるいは、いくつかの実施形態では、HEAナノ粒子は、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、および遷移金属元素の群からの少なくとも2つの元素(例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、およびマンガン(Mn)などの3d遷移金属)から形成することができる。いくつかの実施形態では、原子要素106a~106dは、HEAを形成するか、またはHEAを形成するように傾斜している、原子の大きさの差異δ、および/または混合エンタルピーΔHmixを提供するように選択され得る。例えば、δ≦6.6%および/または-11.6<ΔHmix<3.2kJ/molとなるように原子元素を選択することができる。例えば、アンモニア分解用ナノ粒子は、CoxMoyFeaNibM´cの化学組成を有することができ、ここで、x+y=100-(a+b+c)、10≦a、b、c≦20、M´は、CuまたはMnである。いくつかの実施形態では、a、b、およびcは、互いに同じであってもよく(例えば、a=b=c=10)、または互いに異なっていてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、複数のHEAナノ粒子102が基板上に一体的に形成され、かつ基板によって担持されて、触媒構造を形成する。例えば、
図1Bは、固体基板112および複数のHEAナノ粒子102を含む触媒構造110を示す。固体基板112は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、および/またはペロブスカイトなどであるが、これらに限定されない金属酸化物から構成され得る(例えば、本質的にそれらからなる)。複数のHEAナノ粒子102は、例えば、隣接するナノ粒子102間の最小間隔Sを約10~100nmの範囲で、基板112上および/または内部にランダムに配置することができる。いくつかの実施形態では、基板112は、反応物114が触媒構造110を通って流れ、それによって、適切な反応条件(例えば、反応温度)下で生成物126(および/またはキャリアガスおよび/または潜在的に未反応の反応物)の流れを生成することができるように、多孔性(例えば、0.6~0.8mL/gの範囲の細孔容積を有する、例えば、ブルナウアー・エメット・テラー(Brunauer-Emmett-Teller)(BET)測定によって決定されるようなもの)であり得る。
【0037】
図1Bでは、基板112は、便宜上、矩形プリズムとして示されている。しかしながら、実際の実施態様では、基板は、
図1Bに示されるものとは異なる形状を有することができる。いくつかの実施形態では、基板は、不規則な顆粒、球、中空リング、立方体、長方形プリズム、円柱、二葉形、三葉形、または四葉形などの任意の形状を有する押出金属酸化物担持体であり得るが、これらに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、基板は、19948月10日に発行され、発明の名称「アルミナ系押出物の準備方法」と題された欧州特許第0 455 307 B1号、または2003年12月2日に発行され、発明の名称「アルミナ押出物、準備方法、および触媒担体としての使用」と題された米国特許第6,656,875 B1号に開示されているような、アルミニウム系押出物ペレットであり得、これらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、いくつかの実施形態では、基板は、1977年6月7日に発行され、発明の名称「小径細孔の成形触媒粒子を使用した石油残渣の水素化処理」と題された米国特許第4,028,227号に開示されているような、マルチローブ円筒状ペレットであり得、これは、参照により本明細書に組み込まれる。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子をその中に有する基板は、例えば、1mm以下の粒径を有する粉末に粉砕することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、基板110は、例えば、
図1C~
図1Dに示されるように、押出金属酸化物担持体である。押出金属酸化物担持体は、20mm以下の最大断面寸法、例えば、4~6.5mmの範囲内の長さ、および2.1~3.2mmの範囲内の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、基板110は、175~225m
2/g(両端値を含む)の表面積を示す多孔質組織であり得る。
【0039】
図1B~
図1Dの例では、基板110は、全体が金属酸化物から形成される。あるいは、いくつかの実施形態では、基板の一部のみが、金属酸化物、例えば、HEAナノ粒子が形成される最外層で形成されてもよい。例えば、
図1Eは、複合基板上に形成された複数のナノ粒子102を有する触媒構造120を示し、特に、ベース層124および金属酸化物コーティング122を有する。いくつかの実施形態では、金属酸化物コーティング122は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、および/またはペロブスカイトから形成することができ、一方、ベース層124は、炭素系材料(例えば、カーボンナノファイバ)などの異なる材料から形成することができる。例えば、
図1Fは、アルミナ被覆カーボンナノファイバー上に形成されたHEAナノ粒子を有する製造された触媒構造の画像である。いくつかの実施形態では、金属酸化物コーティング122は、例えば、共形コーティングとして(例えば、原子層堆積を介して)、ベース層124のすべての内面および/または外面上に形成することができる。例えば、金属酸化物コーティング122は、約100nm以下の厚さを有することができる。
【0040】
図1Aに図示の例では、HEAナノ粒子102は、形状が実質的に球状であるように示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、HEAナノ粒子の元素と基板の金属酸化物との間(例えば、HEAナノ粒子の金属と基板の酸素との間)の相互作用は、HEAナノ粒子を非球形の形状にすることができる。例えば、
図2Aは、基板の金属酸化物基板204上に形成されたHEAナノ粒子202が切頭球形をとる触媒構造200を示す。
図2Bは、切頭球形を有するHEAナノ粒子、特に、酸化アルミニウム基板上に形成されたPt、Pd、Rh、Co、およびCeからなるHEAナノ粒子の製造例を示す。いくつかの実施形態では、HEAナノ粒子と金属酸化物との間の非球形および/または相互作用は、例えば炭素基板上に形成された球形ナノ粒子と比較して、改善された接着性、信頼性、および/または耐久性をもたらすことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、基板表面のための金属酸化物の使用は、前駆体出発材料中の元素の少なくともいくつかが、例えば、形成された複数のHEAナノ粒子の間に置かれた非HEA粒子を基板表面上に形成するように、HEAナノ粒子の完全な形成を阻害し得る。例えば、
図2Cは、複数の非HEA粒子214が隣接するHEAナノ粒子202間の格子間領域212内の金属酸化物表面204上に形成されている触媒構造210を示す。非HEA粒子214は、例えば、熱衝撃プロセス中の要素の移動度を阻害する、要素と基板の金属酸化物との間の相互作用に起因して、HEAナノ粒子202と同時に、および/または同じプロセスによって形成することができる。いくつかの実施形態では、基板上/基板内に形成される非HEA粒子の数は、基板上/基板内に形成されるHEAナノ粒子の数よりも多くてもよく、および/または非HEA粒子(例えば、
図2CのD
2)の大きさは、HEAナノ粒子の大きさよりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、非HEA粒子の一部または全部が単一元素粒子(例えば、原子)であってもよい。
図2Dは、Pt、Pd、Rh、Co、およびCeから構成されるHEAナノ粒子と、酸化アルミニウム基板上に一緒に形成される非HEA粒子(ドットとして示される)とを有する触媒構造の製造例を示す。対照的に、
図2Eは、炭素系基板上に形成されたPt、Pd、Co、Ni、およびFeから構成されるHEAナノ粒子を有する触媒構造の製造例を示す。炭素系基板は、HEAナノ粒子形成を阻害しないので、
図2Eは、非HEA粒子形成の証拠を示さない(例えば、HEAナノ粒子の外側にドットがない)。
【0042】
いくつかの実施形態では、複数のHEAナノ粒子は、例えば、HEAナノ粒子の粒子密度は、基板の外面により近く、基板の外面からより遠い(例えば、中心により近い)領域でより小さくなるように、ナノ粒子の分布が基板の断面を通して変化するように、多孔質固体基板上およびその中に形成され得る。例えば、
図2Fは、金属酸化物基板204上およびその内部に形成された複数のHEAナノ粒子202を有する触媒構造230を示す。HEAナノ粒子202の分布は、勾配236に従うことができ、ナノ粒子202の密度および/または個数は、中心234に近接する中央領域と比較して、外面232でより大きい。いくつかの実施形態では、勾配236は、実質的に線形または非線形であり得る。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、中央内部領域(例えば、中心234の近位)は、基板204の外面232におけるHEAナノ粒子202の質量装填の0~80%(例えば、≦50%)であるHEAナノ粒子202の質量装填を有することができる。
図2Gは、HEAナノ粒子が、酸化アルミニウム基板の断面にわたって勾配を持って分布している、触媒構造の製造された例を示す。いくつかの実施形態では、HEAナノ粒子の不均一な分布は、例えば、反応物質がナノ粒子と相互作用する可能性がより高い基板表面により近いHEAナノ粒子のより高い密度を提供することによって、いくつかの反応に有益であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、HEAナノ粒子勾配は、多孔質固体基板上および中への前駆体装填の関数であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、前駆体は、前駆体溶液(例えば、有機溶媒または水中の金属塩)の体積が基板の細孔体積以下である乾式含浸法を使用して装填することができる。毛管作用は、前駆体溶液が吸収されるまで、前駆体溶液を基板の細孔内に引き込むことができる。前駆体が装填された試料の濃度プロファイルは、含浸中の細孔内の物質移動条件に依存し得、その結果、前駆体は、基板の中央内部領域ではなく表面領域に限定または閉じ込められ得る。熱衝撃加熱への曝露は、前駆体をHEAナノ粒子に、例えば、主に、内部領域にHEAナノ粒子がほとんど存在しない表面の近位領域に変換することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、前駆体は、湿式含浸法を使用して装填することができ、前駆体溶液の体積は、基板の細孔体積よりも大きい。例えば、金属酸化物基板は、前駆体が基板中に吸収されるように、前駆体溶液中に(例えば、24時間などの数時間)浸漬され得る。前駆体装填は、実質的に均一であってもよい。しかしながら、熱衝撃加熱に曝されると、HEAナノ粒子は、例えば、粒子密度が基板の表面から内部に向かって徐々に減少するように、不均一な分布で形成され得る。
【0044】
触媒構造製造システム
図3Aを参照すると、触媒構造を形成するための一般化されたセットアップ301は、基板製造および準備段階303、前駆体装填または含浸段階307、乾燥段階311、および熱衝撃加熱段階315を含むことができる。基板製造および/または準備段階303では、金属酸化物から部分的にまたは全体的に形成された基板を提供することができる。いくつかの実施形態では、段階303は、例えば、金属酸化物の押出および/または焼成、炭素ベース層の形成、および/または金属酸化物によるコーティングを介した基板の製造を含むことができる。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、段階303は、例えば、水分を除去すること、結晶性および/または多孔性を変化させること、および/または表面濡れ性を改善することによって、後続の前駆体装填のための基板の準備を含むことができる。
【0045】
基板は、前駆体装填/含浸段階307に提供することができ、ここで、基板は、1つ以上の前駆体(例えば、有機溶媒または水中の塩化物、硝酸塩、および/またはアルコキシドなどの金属塩)を含有する溶液305と組み合わせ、コーティング、および/または混合することができる。いくつかの実施形態では、前駆体装填/含浸段階307は、乾式含浸、湿式含浸、またはその両方を使用することができる。いくつかの実施形態では、基板と前駆体溶液との混合は、回転ドラムミキサを使用して実施することができる。1つ以上の企図される実施形態によれば、組合せ、コーティング、および/または混合のための他の方法も可能である。いくつかの実施形態では、前駆体装填基板309は、例えば、そこから溶媒(例えば、有機溶媒または水)を除去するために、乾燥段階311に提供され得る。いくつかの実施形態では、乾燥段階311は、凍結乾燥または臨界点乾燥を使用することができ、これは、前駆体の損失および/または前駆体の分布の崩壊を回避または少なくとも低減することができる。例えば、凍結乾燥または臨界点乾燥は、固体状態における前駆体塩の実質的に均一な分布を維持することができ、これは次に、後続のHEA粒径および/または分布に影響を及ぼし得る。1つ以上の企図される実施形態によれば、乾燥のための他の方法も可能である。
【0046】
乾燥され、前駆体が装填された基板313は、例えば、前駆体をHEAナノ粒子に変換するために、熱衝撃加熱段階315に提供され得、それによって、後続の使用317のための触媒構造を提供する。いくつかの実施形態では、熱衝撃加熱段階315は、前駆体が基板上および基板内で複数の分離されたHEAナノ粒子に自己集合するように、前駆体装填基板を高温(例えば、少なくとも1200Kの熱衝撃温度)の短い時間パルス(例えば、1秒未満)にさらす。いくつかの実施形態では、高温の短い時間的パルスは、空間的に制限された加熱ゾーンを通して基板を移動させることによって達成することができる(例えば、加熱の持続時間は、加熱ゾーンのサイズおよび加熱ゾーンを通して基板の速度によって決定される)。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、高温の短時間パルスは、加熱要素のパルス動作によって達成することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、熱衝撃加熱段階は、例えば、「熱衝撃を介してナノ粒子を合成するためのナノ粒子およびシステムおよび方法」と題された米国特許出願公開第2018/0369771号、発明の名称「多元素ナノ粒子の熱衝撃合成」と題された米国特許出願公開第2019/0161840号、発明の名称「高温焼結システムおよび方法」と題された国際公開WO2020/236767号、または、発明の名称「単一原子分散および多原子分散の高温合成のためのシステムおよび方法」と題された国際公開WO2020/252435号に開示されたもののいずれかと同様のジュール加熱素子を使用することができる。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、熱衝撃加熱段階は、マイクロ波加熱、レーザ加熱、電子線加熱、火花放電加熱、または少なくとも103K/sの加熱速度、少なくとも1200Kの最高温度、および/または少なくとも103K/sの冷却速度を提供することができる任意の他の加熱メカニズムを使用することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、
図3Aのセットアップ301に従って触媒構造を形成するためのシステムを提供することができる。いくつかの実施形態では、システムは、異なる段階303、307、311、および315に対応する1つまたは複数のプロセスステーションまたはシステムを含むことができる。例えば、システムは、金属酸化物基板を押し出すための基板製造ステーション、基板に前駆体を装填するための含浸ステーション、基板から溶媒を除去するための乾燥ステーション、および熱衝撃を実施するための加熱ステーション(例えば、
図3Bの炉システム300または
図3Cの炉システム330)を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、触媒構造の製造を実行するためにシステムの様々な構成要素を制御するように構成されたコントローラまたは制御モジュールを含むことができる。
【0049】
図3Bは、密閉された、または封入されたセットアップを使用する熱衝撃加熱のための炉300を示す。図示の例では、炉300の様々な構成要素(入力待ち行列またはホッパ306、ローラ312を有する搬送アセンブリ310(例えば、駆動ローラおよび/または受動支持ローラ)、一対の加熱要素316a、316b、および出力収集ビン320を含む)は、密閉(例えば、気密)筐体302の内部容積304内に配置することができる。いくつかの実施形態では、エンクロージャ302の内部容積304は、静的または流動不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素、またはそれらの組合せ)で充填することができる。一対の加熱要素316a、316bは、搬送アセンブリ310の両側に配置することができ、一緒になって長さL(例えば、1~2インチ)の加熱ゾーン314を画定することができる。いくつかの実施形態では、搬送アセンブリ310は、実質的な劣化無しに高温(例えば、>1200K)にさらすことができる可撓性材料、例えば、カーボンクロスで形成することができる。
【0050】
動作中、前駆体が装填された乾燥基板308は、投入ホッパ306から搬送アセンブリ310上に堆積され、搬送アセンブリは、加熱要素316a、316bの間で加熱ゾーン314を通って基板308を搬送し、それによって、前駆体をHEAナノ粒子に変換する熱衝撃に基板308をさらす。得られた触媒構造318(金属酸化物表面上に形成されたHEAナノ粒子を有する)は、アセンブリ310を出力収集ビン320内に運ぶことによって、加熱ゾーン314からさらに輸送される。いくつかの実施形態では、炉300の動作は、例えば、基板308の分配、搬送アセンブリ310による搬送、加熱要素316a、316bによる加熱、および入力ホッパ306内の基板308の供給が使い果たされるまで続く触媒構造318の収集を伴って、半連続的であり得る。あるいは、いくつかの実施形態では、炉300の動作は、例えば、基板308の供給は、連続的にまたは周期的に補充される状態で連続的であってもよい(例えば、エアロックまたは他の機構を介して新しい基板を入力ホッパ306に導入することによって)。
【0051】
いくつかの実施形態では、熱衝撃の持続時間は、加熱領域314の長さLと、搬送組立体310の速度vとの積であってもよい(例えば、t1=L/v)。搬送組立体310の速度(例えば、60インチ/分)は、熱衝撃の所望の持続時間(例えば、≦1秒、例えば、≦500ミリ秒または≦100ミリ秒)および/または所望の加熱ランプ速度または冷却ランプ速度(例えば、≧103K/s)を達成するように選択することができる。そのような構成では、加熱要素316a、316bは、例えば、加熱ゾーン314内に一定または実質的に一定の温度(例えば、≧1200K)を提供するために、連続的に通電され得る。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、加熱要素316a、316bは、例えば、加熱ゾーン314内に時間変化する温度プロファイルを提供するために、パルスモードで動作することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、加熱要素316a、316bは、例えば、炭素系材料(例えば、カーボンフェルト)で形成されたジュール加熱要素とすることができる。例えば、ジュール加熱要素は、米国特許出願公開第2018/0369771号、発明の名称「ナノ粒子および熱衝撃を介してナノ粒子を合成するためのシステムおよび方法」、米国特許出願公開第2019/0161840号、発明の名称「多元素ナノ粒子の熱衝撃合成」、国際公開WO2020/236767号、発明の名称「高温焼結システムおよび方法」、および国際公開WO2020/252435号、発明の名称「単一原子分散体および多原子分散体の高温合成のためのシステムおよび方法」に開示された加熱要素のいずれかに類似することができる。ジュール加熱の代わりに、またはそれに加えて、いくつかの実施形態では、加熱要素は、熱衝撃プロファイルを生成することが可能な任意の他の加熱源、例えば、マイクロ波加熱源、レーザ、電子ビームデバイス、火花放電デバイス、またはそれらの任意の組合せを備えることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、炉の一部のみが、例えば、材料の装填および/または取り出しを単純化し、ならびにシステムの製造および/または動作コストを低減するために、不活性環境内に封入されてもよい。例えば、
図3Cは、オープンセットアップを使用する熱衝撃加熱のための炉330を示す。図示の例では、加熱要素316a、316bは、保護エンクロージャ332の内部容積334内に配置され、一方、入力ホッパ336、ローラ312を有する搬送アセンブリ310、および出力収集ビン346を含む炉330の残りの構成要素は、エンクロージャ332の外側(例えば、空気などの周囲環境内)に配置される。図示の例では、保護エンクロージャ332は、搬送アセンブリ310を通過させるために開いていてもよい。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、シールドガス(例えば、アルゴン、窒素、またはその両方などの不活性ガス)の流れを、例えば、入口流338を介して保護エンクロージャ332に導入して、加熱要素316a、316bを保護することができる。加熱ゾーンを通過した後、シールドガスは、例えば出口流340として、保護エンクロージャ332を出ることができる。
【0054】
図3B~
図3Cの図示の例では、加熱が搬送アセンブリ310の両側(例えば、上側および下側)の一対の加熱要素316a、316bによって提供される。しかしながら、いくつかの実施形態では、異なる数の加熱要素を使用することができる。いくつかの実施形態では、単一の加熱要素316は、例えば、
図3Dのセットアップ350に示されるように、搬送アセンブリ310の上に配置され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、2対の加熱要素を、例えば、
図3Eに示されるように、搬送アセンブリ310の上部および底部上の第1の対の加熱要素316a、316b、ならびに搬送アセンブリ310の左および右の第2の対の加熱要素316c、316dとともに、搬送アセンブリ310を囲む配置で配置することができる。いくつかの実施形態では、加熱要素のうちの1つ、いくつか、またはすべては、例えば、高温かつ均一な温度プロファイルを達成するために、基板308および/または搬送アセンブリ310にごく接近して(例えば、≦5mm)配置され得る。
【0055】
図示された実施例は、加熱ゾーンの長さに延在する各加熱要素を示すが、開示された主題の実施形態は、それに限定されない。むしろ、加熱ゾーンの長さに沿って複数の加熱要素を配置することができる。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、搬送アセンブリ310の一部は、例えば、搬送アセンブリが炭素で形成されるときに、加熱ゾーン内の搬送アセンブリの一部と電気的に接触することによって、底部加熱要素として機能するように通電され得る。1つまたは複数の考えられる実施形態によれば、他の炉のセットアップおよび加熱構成も可能である。例えば、開示された主題の実施形態は、2022年3月25日に出願された、発明の名称「高温焼結炉システムおよび方法」と題された国際出願:PCT/US22/21915号に開示された炉セットアップまたは加熱構成のいずれかを使用することができ、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
触媒構造の製造方法
図4Aは、触媒構造を製造するための方法400を示す。方法400は、始端の工程402で開始し、決定工程404に進むことができ、ここで、固体基板またはコーティングされた基板の間で決定がなされる。固体基板が所望される場合、方法400は、処理工程406に進むことができ、ここで、金属酸化物(例えば、本質的に1つ以上の金属酸化物からなる)で形成された多孔質固体基板を提供することができる。いくつかの実施形態では、固体基板は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、および/またはペロブスカイトから構成され得る。例えば、固体基板は、多葉円筒状ペレットなどの金属酸化物押出物ペレットとすることができる。いくつかの実施形態では、処理工程406の提供は、例えば、押出および焼成によって固体基板を製造することを含むことができる。
【0057】
あるいは、コーティングされた基板が代わりに所望される場合、方法400は、処理工程408に進むことができ、ここで、ベース層を提供することができる。いくつかの実施形態では、ベース層は、導電性炭素(例えば、カーボンナノファイバー(CNF)のネットワーク)などの導電性材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、処理工程408の提供は、ベース層を製作することを含むことができる。例えば、ポリマーナノファイバーネットワーク(例えば、ポリアクリロニトリル)は、エレクトロスピニングによって形成され、次いで炭化されて(例えば、900℃で2時間加熱することによって)、基層としてのその後の使用のためのCNFのネットワークを生じることができる。方法400は、処理工程408から決定工程410に進むことができ、ここで、任意の前処理がベース層に対して所望されるかどうかが決定される。前処理が所望される場合、方法400は、処理工程412に進むことができ、ここで、表面処理(例えば、表面欠陥濃度を増加させるための熱活性化)を行うことができる。いくつかの実施形態では、表面処理は、(例えば、より効果的なナノ粒子分散のために)炭素ベース層に表面欠陥を作り出すのに効果的であり得る。例えば、基層としてCNFフィルムを使用する場合、表面処理は、二酸化炭素雰囲気中で少なくとも1時間(例えば、~2時間)、600℃(例えば、600~1000℃、例えば、750℃)以上であり得る。
【0058】
前処理が決定工程410で望まれなかった場合、または処理工程412の表面処理の完了後、方法400は、処理工程414に進むことができ、ここで、ベース層を1つ以上の金属酸化物層でコーティングすることができる。例えば、コーティングは、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、および/またはペロブスカイトから構成することができる。いくつかの実施形態では、ベース層上の金属酸化物コーティングは、100nm以下、例えば、~20nmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、金属酸化物コーティングは、例えば、原子層堆積(ALD)を介して、基層のすべての内部(細孔内)および外面を覆うコンフォーマルコーティングであり得る。
【0059】
方法400は、処理工程414または処理工程406から決定工程416に進むことができ、ここで、別の任意の前処理が所望されるかどうかが決定される。前処理が所望される場合、方法400は、処理工程418に進むことができ、ここで、金属酸化物の露出表面の濡れ性を高めるための処理が行われる。いくつかの実施形態では、濡れ性を高めるための処理は、例えば、アシュール(Achour)ら著の論文「表面化学および反応性スパッタTiO2薄膜の濡れ性に及ぼすプラズマ官能化処理および金ナノ粒子の影響」、「Applied Surface Science」(応用表面科学)(2018年7月号、第458号、678~85頁に開示されているような、プラズマ処理および/または酸処理を含むことができる。他の金属酸化物表面処理もまた、1つ以上の企図される実施形態に従って可能である。
【0060】
前処理が決定工程416で望まれなかった場合、または処理工程418の処理の完了後、方法400は、決定工程420に進むことができ、ここで、基板の予備加熱が望まれるかどうかが決定される。予備加熱が望まれる場合、方法400は、処理工程422に進むことができ、そこで基板を加熱することができる。例えば、いくつかの実施形態では、基板は、100~200℃(例えば、105℃で4時間)の加熱によって湿気を除去することができる。これに代えて、またはこれに加えて、いくつかの実施形態では、基板は、結晶化度を高めるために、不活性気体雰囲気(例えば、アルゴン、窒素、またはその両方)中で800~1500℃の温度で加熱することができる。例えば、増加した結晶化度は、基板の表面積を減少させることができ、これは、次に、前駆体装填容量を変更する(例えば、減少させる)ことができ、および/または最終構造の触媒効果を変更する(例えば、増強する)ことができる。他の予備加熱レジメンおよび効果もまた、1つまたは複数の企図される実施形態に従って可能である。
【0061】
決定工程420で予備加熱が望まれなかった場合、または処理工程422の予備加熱が完了した後、方法400は、処理工程424に進むことができ、ここで、HEA粒子前駆体を基板上、例えば、内部または外部金属酸化物表面上に装填することができる。前駆体の装填は、例えば、所望の原子比の元素が達成されるように、HEAナノ粒子の得られる混合物の所望の組成を反映することができる。しかしながら、元素の蒸発は、熱衝撃加熱段階中に起こり得る。したがって、いくつかの実施形態では、装填された前駆体の含有量は、任意の元素損失を補償し、目的のHEAナノ粒子組成物を達成するように調整(例えば、増加)され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、装填は、例えば、湿式含浸技術(例えば、前駆体溶液の体積が基板の細孔体積よりも大きい場合)または乾燥含浸技術(例えば、前駆体溶液の体積が基板の細孔体積以下である場合)を介して、前駆体を基板上および/または基板内にコーティング、含浸、および/または浸透させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、装填は、前駆体(例えば、塩化物、硝酸塩、または、アルコリドなどの金属塩)を溶液(例えば、有機溶媒または水)中で基板と混合することによって、例えば、回転ドラムミキサを使用して行うことができる。例えば、前駆物質は、MClxHyの化学式を有することができ、式中、Mは、金属(例えば、Pt、Pd、Ni、Fe、Co、Au、Cu、Snなど)であり、xは、1以上であり、yは、0以上である。1つ以上の企図される実施形態によれば、他の装填方法も可能である。例えば、前駆体装填は、ディップコーティング、ブラッシング、スプレー、印刷、ローリング、初期湿式スプレー含浸、撹拌乾燥、または前述の任意の組合せを含むことができる。
【0063】
方法400は、処理工程426に進むことができ、ここで、前駆体が装填された基板を乾燥させて、例えば、そこから溶媒を除去することができる。いくつかの実施形態では、乾燥は、前駆体の凝集、脱離、および/または沈殿を回避するように、例えば、均一な前駆体分布を増強または保証するように制御することができる。いくつかの実施形態では、基板は、凍結乾燥または臨界点乾燥によって乾燥され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、基板は、例えば、20~120℃でオーブン乾燥することができる。
【0064】
方法400は、処理工程428に進むことができ、ここで、充填された前駆体を有する乾燥基板は、熱衝撃加熱に供され得る。熱衝撃加熱は、パルス加熱プロファイル450により、例えば、
図4Bに示されるように、(i)急速加熱ランプ、R
H(例えば、≧10
3K/s、例えば、10
4-10
5K/sを含む)、(ii)短い滞留時間、t
1(例えば、≦500msのような1μs~10s)、最高温度またはほぼ最高温度、T
H(例えば、1500~2300Kのような1200~3000K)、および(iii)急速冷却ランプ、R
C(例えば、≧10
3K/s、例えば、10-10
4K/sを含む)、達成することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、熱衝撃プロセス428は、(例えば、複数のパルス温度プロファイルを受けることによって)2回以上実行されてもよい。いくつかの実施形態では、ピーク温度は、構成要素のすべてを溶融し、および/または高温均一混合を誘発するのに十分であり得、一方、急速冷却は、凝集、凝集、要素偏析、または相分離に供されることなく、液体要素の実質的に均一で均質な合金ナノ粒子への結晶化を可能にし得る。したがって、基板およびその上にHEAナノ粒子を含む触媒構造は、熱衝撃プロセスによって製造することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、温度プロファイル450は、例えば、室温(例えば、20~25℃)などの低温TLまたは上昇した周囲温度(例えば、100~200℃)への、および/またはそこからの、最高温度THへの、および/またはそこからの急速な遷移を提供することができる。いくつかの実施形態では、熱衝撃プロセスの加熱は、ジュール加熱、マイクロ波加熱、レーザ加熱、電子ビーム加熱、火花放電加熱、または所望の加熱速度および温度を提供することができる任意の他の加熱機構によって提供することができる。いくつかの実施形態では、熱衝撃プロセスは、加熱ゾーンから基板を運び出すことによって、および/または加熱要素の動作を非活性化、非活性化、またはそうでなければ終了操作によって、終了させることができる。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、冷却は、1つまたは複数の受動的冷却機能(例えば、加熱要素および/または基板に熱的に結合されたヒートシンクなど)、1つまたは複数の能動的冷却機能(例えば、基板および/またはヒータに向けられた流体流、基板を通る流体流、またはそれに熱的に結合されたヒートシンクなど)、またはそれらの任意の組合せを使用して達成され得る。
【0066】
処理工程428の熱衝撃の後、方法400は、処理工程430に進むことができ、ここで、触媒構造を使用することができ(例えば、
図5に関して以下で説明するように)、または別様に、後続の使用のために適合させることができる。いくつかの実施形態では、触媒構造は、例えば、触媒構造をバルク材料から粉末(例えば、粒径≦1mmを有する)に変換するために、破砕および/または粉砕にかけることができる。代替的にまたは追加的に、触媒構造または複数の触媒構造は、反応器内に設置するための適切な保持構造(例えば、ラシヒリング(Raschig ring)のアレー)内で一緒に組み立てることができる。いくつかの実施形態では、触媒は、アンモニア(NH
3)合成、アンモニア酸化、アンモニア分解、および/またはNO
x還元(例えば、脱-NO
x)などであり、熱化学または熱触媒反応に使用することができるが、これらに限定されない。
【0067】
別々に示されているが、様々な処理工程は、同時にまたは反復的に行われ得ることが企図される。さらに、他の処理の後に生じるものとして示される特定の処理工程は、事前に実際に起こり得る。方法400の工程402~430のうちのいくつかは、1回実行されるものとして説明されたが、いくつかの実施形態では、特定の処理工程の複数の繰り返しが、次の決定工程または処理工程に進む前に使用され得る。加えて、方法400の工程402~430が別々に図示され、説明されているが、いくつかの実施形態では、処理工程は、一緒に(同時に、または連続して)組み合わされ、実行され得る。さらに、
図4Aは、工程402~430の特定の順序を示しているが、開示される主題の実施形態は、それに限定されない。実際、特定の実施形態では、工程が図示されたものとは異なる順序で、または他の工程と同時に生じてもよい。
【0068】
コンピュータの実装
図3Fは、説明するイノベーションが実装され得る、適切なコンピューティング環境331の一般化された例を示すもので、例えば、方法400、方法500、方法650、炉システム300のコントローラ、炉システム330のコントローラ、および/または化学反応システムのコントローラなどであるが、これらに限定されない。コンピューティング環境331は、様々な汎用または専用コンピューティングシステムにおいて革新が実装され得るので、使用または機能性の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例えば、コンピューティング環境331は、様々なコンピューティングデバイス(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレットコンピュータなど)のいずれかであり得る。
【0069】
図3Fを参照すると、コンピューティング環境331は、1つまたは複数の処理装置335、337と、メモリ339、341とを含む。
図3Fでは、この基本構成351が破線内に含まれる。処理装置335、337は、コンピュータ実行可能命令を実行する。処理装置は、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)内のプロセッサ、または任意の他のタイプのプロセッサ(例えば、ハードウェアプロセッサ、グラフィックス処理装置(GPU)、仮想プロセッサなど)であり得る。マルチ処理システムでは、複数の処理装置がコンピュータ実行可能命令を実行して、処理能力を増大させる。例えば、
図3Fは、中央処理装置335と、グラフィック処理装置またはコプロセッシング装置337とを示す。有形メモリ339、341は、揮発性メモリ(例えば、レジスタ、キャッシュ、RAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM、EEPROM、フラッシュメモリなど)、または処理装置によってアクセス可能な2つの何らかの組合せであり得る。メモリ339、341は、処理装置(複数可)による実行に適したコンピュータ実行可能命令の形態で、本明細書で説明する1つまたは複数のイノベーションを実装するソフトウェア333を記憶する。
【0070】
コンピューティングシステムは、追加の特徴を有することができる。例えば、コンピューティング環境331は、記憶装置361、1つ以上の入力デバイス371、1つ以上の出力デバイス381、および1つ以上の通信接続391を含む。バス、コントローラ、またはネットワークなどの相互接続機構(図示せず)が、コンピューティング環境331の構成要素を相互接続する。典型的には、オペレーティングシステムソフトウェア(図示せず)がコンピューティング環境331において実行する他のソフトウェアのためのオペレーティング環境を提供し、コンピューティング環境331の構成要素のアクティビティを調整する。
【0071】
有形記憶装置361は、取り外し可能または取り外し不可能であってもよく、磁気ディスク、磁気テープまたはカセット、CD-ROM、DVD、または非一時的な方法で情報を記憶するために使用することができ、コンピューティング環境331内でアクセスすることができる任意の他の媒体を含む。記憶装置361は、本明細書で説明する1つまたは複数のイノベーションを実装するソフトウェア333のための命令を記憶することができる。
【0072】
(1つまたは複数の)入力デバイス371は、キーボード、マウス、ペン、またはトラックボールなどのタッチ入力デバイス、音声入力デバイス、走査デバイス、またはコンピューティング環境331に入力を与える別のデバイスであり得る。出力デバイス371は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ、CDライタ、またはコンピューティング環境331からの出力を提供する別のデバイスとすることができる。
【0073】
通信接続391は、通信媒体を介して別のコンピューティングエンティティへの通信を可能にする。通信媒体は、コンピュータ実行可能命令、オーディオもしくはビデオ入力もしくは出力、または変調データ信号内の他のデータなどの情報を伝達する。変調データ信号は、信号内の情報を符号化するように、その特性のうちの1つまたは複数がセットアップまたは変更された信号である。限定ではなく例示として、通信媒体は、電気、光、無線周波数(RF)、または別のキャリアを使用することができる。
【0074】
開示された方法のいずれも、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体(例えば、1つまたは複数の光媒体ディスク、揮発性メモリ構成要素(DRAMまたはSRAMなど)、または不揮発性メモリ構成要素(フラッシュメモリまたはハードドライブなど))上に記憶され、コンピュータ(例えば、コンピューティングハードウェアを含むスマートフォンまたは他のモバイルデバイスを含む、任意の市販のコンピュータ)上で実行される、コンピュータ実行可能命令として実装され得る。コンピュータ可読記憶媒体という用語は、信号および搬送波などの通信接続を含まない。開示された技術を実施するための任意のコンピュータ実行可能命令、ならびに開示された実施形態の実施中に作成され、使用される任意のデータは、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。コンピュータ実行可能命令は、例えば、ウェブブラウザまたは他のソフトウェアアプリケーション(リモートコンピューティングアプリケーションなど)を介してアクセスまたはダウンロードされる専用ソフトウェアアプリケーションまたはソフトウェアアプリケーションの一部であり得る。そのようなソフトウェアは、例えば、単一のローカルコンピュータ(例えば、任意の適切な市販のコンピュータ)上で、または1つまたは複数のネットワークコンピュータを使用してネットワーク環境(例えば、インターネット、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、クライアントサーバネットワーク(クラウドコンピューティングネットワークなど)、または任意の他のそのようなネットワークを介して)で実行され得る。
【0075】
明確にするために、ソフトウェアベースの実装形態のいくつかの選択された態様のみが説明される。当技術分野で周知の他の詳細は、省略する。例えば、開示される技術は、任意の特定のコンピュータ言語またはプログラムに限定されないことを理解されたい。例えば、開示されたテクノロジーの態様は、C++、Java(商標)、Python(登録商標)、および/または任意の他の好適なコンピュータ言語で書かれたソフトウェアによって実装することができる。同様に、開示される技術は、任意の特定のコンピュータまたはハードウェアのタイプに限定されない。適切なコンピュータおよびハードウェアの特定の詳細は周知であり、本開示で詳細に説明する必要はない。
【0076】
本明細書で説明される任意の機能は、ソフトウェアの代わりに、少なくとも部分的に、1つまたは複数のハードウェア論理構成要素によって実行され得ることもまた、十分に理解されるべきである。例えば、限定ではなく、使用することができる例示的なタイプのハードウェア論理構成要素は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム固有集積回路(ASIC)、プログラム固有標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)などを含む。
【0077】
さらに、ソフトウェアベースの実施形態のいずれか(例えば、コンピュータに開示された方法のいずれかを実行させるためのコンピュータ実行可能命令を含む)は、適切な通信手段を介してアップロード、ダウンロード、または遠隔アクセスすることができる。そのような好適な通信手段は、例えば、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、ソフトウェアアプリケーション、ケーブル(光ファイバーケーブルを含む)、磁気通信、電磁気通信(高周波、マイクロ波、および赤外線通信を含む)、電子通信、または他のそのような通信手段を含む。上記の例および実施形態のいずれにおいても、システム、構成要素、デバイスなどの間の要求(例えば、データ要求)、指示(例えば、データ信号)、命令(例えば、制御信号)、または任意の他の通信の提供は、有線接続またはワイヤレス接続による適切な電気信号の生成および送信によるものであり得る。
【0078】
触媒構造を利用した反応
図5は、触媒構造を使用するための一般化された方法500を示す。方法500は、触媒構造が提供される処理工程502を開始することができる。触媒構造は、複数のHEAナノ粒子を有する基板を含むことができる。いくつかの実施形態では、基板は、完全に金属酸化物から形成することができ、または少なくとも金属酸化物から形成され、その上にHEAナノ粒子が形成される最外層を有することができる。いくつかの実施形態において、HEAナノ粒子の組成物は、特定の化学反応における使用のために選択され得る。いくつかの実施形態では、処理工程502の提供は、例えば、
図4Aの方法400に従って、触媒構造を製造することを含むことができる。代替的にまたは追加的に、処理工程502の提供は、化学反応を行うための適切な反応器内に触媒構造を設置することを含むことができる。
【0079】
方法500は、処理工程504に進むことができ、ここで、触媒構造は、例えば、反応物質(例えば、ガス)を触媒構造のHEAナノ粒子と接触させることによって、化学反応において使用することができる。いくつかの実施形態では、化学反応は、アンモニア合成、アンモニア酸化、アンモニア分解、またはNOx還元(例えば、脱-NOx)であり得る。いくつかの実施形態では、触媒構造の基板は、多孔質であり、接触は、多孔質基板を通って反応物を流すことを含むことができる。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、接触は、HEAナノ粒子が形成される基板の表面に平行に反応物を流すことを含むことができる。いくつかの実施形態では、触媒構造、反応物、および/または触媒構造および反応物を含有する環境は、例えば、化学反応を開始および/または駆動するためのエネルギーを提供するために、加熱を受けることができる。例えば、加熱は、反応物および/またはHEAナノ粒子は、300~600℃、例えば~500℃の最高温度にさらされる(または維持される)ようなものであってもよい。例えば、反応物は、アンモニアであってもよく、生成物は、アンモニア分解を伴う熱化学反応のための水素および窒素であってもよく、またはアンモニア合成を伴う熱化学反応のための水素および窒素、あるいはその逆であってもよい。
【0080】
例えば、
図6Aは、アンモニア酸化反応のためのセットアップ600を示し、反応器602は、金属酸化物基板上に形成されたHEAナノ粒子を有する触媒構造604を使用する。いくつかの実施形態では、触媒構造604のHEAナノ粒子は、少なくともPt、Pd、およびRh、例えば、Pt、Pd、Rh、Co、およびプロモーター(例えば、希土類元素)の組合せを有する。アンモニア606および酸素および/または窒素608(例えば、大気)は、反応器602中の反応物として提供することができ、これは、高温(例えば、800℃以下)で触媒604と接触すると、反応して、出口610で生成物流を形成することができる。いくつかの実施形態では、生成物出口は、NO
x生成物を含むことができ、x=1または2である。例えば、触媒反応は、出口610での生成物の少なくとも90%がNO
x生成物であり、および/または出口610での生成物の1%以下がN
2Oであるようなものであり得る。代替的にまたは追加的に、触媒反応は、アンモニア606の少なくとも95%が生成物に変換され得るようなものであり得る。いくつかの実施形態では、触媒反応は、反応器602が脱-N
2O触媒無しで動作できるようにすることができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、反応器602は、例えば、既存の硝酸プラントの構成内での動作試験のために、スリップストリーム装置として構築することができる。いくつかの実施形態では、スリップストリーム装置は、例えば、反応器が既存のプラントから離れて構築され、既存のプラントへ/から輸送されることを可能にするために、スキッドマウントされ得る。いくつかの実施形態では、スリップストリーム装置は、利用可能なプラントアンモニアおよび給気を利用することができ、スリップストリーム装置からの排出NOxストリームは、硝酸への転化のためにプラントに送り返され得る。例えば、スリップストリーム装置は、既存のプラントのアンモニア気化器圧力と等しいか、またはそれ未満の圧力で動作することができる。代替的にまたは追加的に、スリップストリーム装置は、アンモニア酸化反応器の下流のプラント圧力以上の圧力で動作することができる。いくつかの実施形態では、スリップストリーム装置は、アンモニア入口ノズルと、空気入口ノズルと、NOxガス出口ノズルとを有することができ、これらのすべては、プラント現場で配管を介して接続することができる。
【0082】
既存の硝酸プラントでは、アンモニアは、気化され、過熱されて、すべてのアンモニアが(例えば、流量計を介して)正確な監視のために蒸気状態にあることを保証する。過熱器の下流は、流量制御弁と、それに続くアンモニア流量計である。いくつかの実施形態では、スリップストリーム装置のためのアンモニア源は、アンモニア過熱器の下流であるが、アンモニア制御弁の上流に提供され得る。この入力流は、入口アンモニア温度がスリップストリーム装置計装のための蒸気状態のままであることができるように、十分に絶縁された電気または蒸気トレースされた配管内でスリップストリーム装置に流れることができる。いくつかの実施形態では、空気入口供給は、プラント空気圧縮機から取り出すことができ、またはスリップストリーム装置専用の別個の圧縮機によって供給することができる。いくつかの実施形態では、スリップストリーム装置は、反応ガス組成を測定するための分析器を有することができる。反応ガスは、スリップストリーム装置から、アンモニア酸化反応器と吸収塔との間の任意の位置でプラントに戻すことができる。
【0083】
あるいは、いくつかの実施形態では、反応器604は、既存の硝酸プラントにおいてアンモニア酸化反応器を改造することによって達成することができる。市販の硝酸プラントは、アンモニア酸化のためにPt-Rhガーゼ触媒に依存している。さらに、典型的には、望ましくない副生成物であるN
2Oを除去するために、例えば、汚染排出物を緩和するために、脱-N
2O触媒が使用される。例えば、従来の硝酸プラント設備620におけるアンモニア酸化反応器622(例えば、パンケーキ反応器)を
図6Bに示す。アンモニア酸化反応器622は、反応物(例えば、アンモニア、窒素、および酸素)のための少なくとも1つの入口624、生成物(例えば、NO
x、窒素、および水)のための少なくとも1つの出口630、上流触媒626(例えば、Pt-Rhガーゼ)、およびN
2Oを取り除くための下流触媒628を有する。N
2O除去触媒628は、典型的には、ラシヒリングのアレーによって担持された円筒状押出物の形態である。いくつかの実施形態では、アンモニア酸化反応器622は、例えば、既存の触媒626、628を除去し、金属酸化物基板上にHEAナノ粒子を使用する触媒構造642で置き換えることによって、改造632に供することができる。NOおよびNO
2に対するHEA触媒の高活性および選択性は、N
2Oの生成を最小限に抑えるので、改造された製造設備640は、追加の脱-N
2O触媒を必要とすることなく動作することができる。
【0084】
図6Cを参照すると、アンモニア酸化反応器の改造動作のための方法650が示されている。方法650は、既存のPt系触媒(例えば、Pt-Rhガーゼ)がアンモニア酸化反応器から除去される処理工程652を開始することができる。工程654において、存在するN
2O除去触媒をアンモニア酸化反応器から除去することもできる。処理工程656において、それぞれが金属酸化物基板上に形成されたHEAナノ粒子を含む1つまたは複数の触媒構造をアンモニア酸化反応器内に設置することができる。工程65において、アンモニア酸化反応器は、別個のN
2O-除去触媒を必要とすることなく、続いて運転することができる。
【0085】
別々に示されているが、様々な処理工程が同時にまたは反復的に行われ得ることが企図される。例えば、処理工程652および654の既存の触媒除去は、連続処理工程として示されているにもかかわらず、同時に行うことができる。さらに、他の処理の後に生じるものとして示される特定の処理工程は、事前に実際に起こり得る。方法650の工程652~658のうちのいくつかは、1回実行されるものとして説明されたが、いくつかの実施形態では、特定の処理工程の複数の繰り返しが、次の決定工程または処理工程に進む前に使用され得る。加えて、方法650の工程652~658が別々に図示され、説明されているが、いくつかの実施形態では、処理工程が一緒に(同時に、または連続して)組み合わされ、実行され得る。さらに、
図6Cは、工程652~658の特定の順序を示しているが、開示される主題の実施形態は、それに限定されない。実際、特定の実施形態では、工程は、図示されたものとは異なる順序で、または他の工程と同時に生じてもよい。
【0086】
図7は、アンモニア合成反応のためのセットアップ700を示し、反応器702は、金属酸化物基板上に形成されたHEAナノ粒子を有する触媒構造704を用いる。いくつかの実施形態では、触媒構造704のHEAナノ粒子は、少なくともCoおよびMo、例えば、Co、Mo、および少なくとも2つの遷移金属の組合せを有する。例えば、それぞれのHEAナノ粒子中の均一な混合物は、式Co
xMo
yFe
aNi
bM´
c(式中、x+y=100-(a+b+c)、10≦a≦20、)10≦b≦20、10≦c≦20、M´は、CuまたはMnである)を満たすことができる。水素706および窒素708は、反応器702中の反応物として提供することができ、これは、温度(例えば、300~600℃、例えば、~450℃)で触媒構造704と接触すると、反応して出口710で生成物流を形成することができる。いくつかの実施形態では、生成物出口は、アンモニアを含むことができる。例えば、触媒された反応は、化学反応の質量特異的反応速度は、少なくとも0.7g
ammoniag
metals
-1h
-1、例えば~1.52g
ammoniag
metals
-1h
-1であるようなものであってもよい。
【0087】
作製例と実験結果
アルミナ(Al
2O
3)押出物に、設計された濃度の金属塩溶液を含浸させた。乾燥後、前駆体が装填されたアルミナ基板を、ジュールヒーターによって作製されたHTSゾーンを通して手動で材料を運ぶカーボンベルト上に装填した。金属塩は、放射熱衝撃により1秒未満でHEAナノ粒子に直接変換された。押出物の色は、HTS処理後、黄褐色(金属塩前駆体に由来する)から黒色に変化した。元素マッピング分析は、アルミナ基板を横切るHEA元素の均一な分布を示し、均一な合金触媒の形成を示した。HEAナノ粒子は、Pt
63Pd
15Rh
4Co
15Ce
3の化学成分を有する五元系ナノ粒子として形成され、アンモニア酸化触媒として使用された。
図8Aに示されるように、触媒構成は、700℃でアンモニアの約100%の転化率および>99%のNO
x選択性を達成することができ、一方、市販のPt-Rhガーゼ触媒は、同様の性能を達成するために>900℃を必要とする。
図8Bに示されるように、HEAナノ粒子を含む触媒構造は、延長された操作に対して安定した性能を示す。
【0088】
アンモニア酸化反応のためのアルミナ基板上のPt
63Pd
15Rh
4Co
15Ce
3ナノ粒子の性能は、1000ppmのアンモニア供給物濃度に基づいて、特に、温度、流量、O
2供給物濃度(6000ppm)、基板形態(バルク押出アルミナ対粉末押出アルミナ)および触媒装填を変化させることによって最適化された。アンモニア酸化反応では、過剰の触媒がNO
x生成物の二次変換、すなわちN
2へのNO
xの還元をNH
3、およびNO
xのN
2およびO
2への分解と反応させることにより、その効率を低下させることができる。HEA触媒の粉末形態を使用して、触媒装填最適化を研究した。
図8Cに示されるように、触媒装填は、約50mgと決定された。基板形態の効果を比較するために、金属装填を一定に保つために、100mgのバルク形態のHEA触媒を使用した。HEA触媒のバルク形態は、NO
x選択性が改善されたことを実証した。使用される50mgの触媒へのバルク形態の減量は、NO
x選択性をさらに改善した。750℃で、Pt
63Pd
15Rh
4Co
15Ce
3@Al
2O
3は、NH
3の約100%の転化率とNO
x(NO+NO
2)の約93%以上の収率を達成したが、N
2O選択率(望ましくない)は、約0.1%以下であった。この触媒は、市販のPt-Rhガーゼ触媒と比較して約200℃の反応温度の低下を可能にしたが、選択性は、改善された。
【0089】
アルミナ基板(5~10重量%の金属含有量)上にPt63Pd15Rh4Co15Ce3ナノ粒子を有する管型反応器を用いて、アンモニア酸化触媒としての触媒の研究を行った。元素マッピング分析は、HEAが反応後に均質なままであり、過酷な反応条件下で大きな安定性を示すことを示した。それに比べて、市販のPt95Rh5ガーゼは、850℃で約95%のNOx収率をもたらし、同様の触媒充填量(100重量%の貴金属含有量を有する)を有するが、反応性が明らかに低下した。これらの結果は、HEA触媒がNH3酸化のための最先端のPt-Rhガーゼと比較して、強化された活性、選択性および耐久性を有することを示す。100~200℃によるNH3のNOxへの効率的な転化に必要な反応温度の低下は、実証された耐久性の向上および高い触媒安定性と共に、触媒寿命を改善し、貴金属ロスを軽減し、触媒交換のための停止時間を短縮することにより、工業的運転に大きな利益をもたらすことが期待される。これらの利点、ならびに貴金属の使用量の減少(>80%)に起因する直接的なコスト削減は、硝酸プラントのエネルギー効率および経済性を改善することができる。
【0090】
Al2O3被覆カーボンペーパー上に分散したCoMo-HEAナノ粒子を作製し、500℃および10バールで0.40gNH3gmetal
-1h-1の触媒活性を示すアンモニア合成に用いた。大きな比表面積を有する基板は、ナノ粒子装填を改善することができる。いくつかの実施形態では、CO2活性化を使用して、カーボンペーパー基板の比表面積を増大させることができ、その結果、Al2O3被覆カーボンペーパー上に分散されたHEAの装填を高めることができる。活性化温度が上昇することにつれて、カーボンペーパーの繊維径は、例えば、1000℃で3時間活性化されたカーボンペーパーでは、2μmまで減少し、それによって表面積を著しく増大させることができる。CO2活性化無し/有りのカーボンペーパーを、原子層蒸着(ALD)を用いて酸化物層(~20nm)で被覆した。その結果、カーボンペーパー基板の表面上に均一なAl2O3層が得られた。
【0091】
金属前駆体塩(CoN2O6・6H2O、MoCl3、FeN3O9・9H2O、NiN2O6・6H2O、およびCuN2O6・6H2O)をエタノールに溶解して、0.05モルL-1の溶液を形成した。構成をCo25Mo45Fe10Ni10Cu10とした。この溶液を、設計された充填量を有するAl2O3被覆カーボンペーパー上に充填し、次いで、高温加熱の前に室温で乾燥させた。高温熱衝撃合成(~1700K、~55ms)を行って、アルゴン雰囲気中で膜をその場加熱し、カーボン紙基板上に分散した超微細HEAナノ粒子の形成を導いた。CO2活性化を有するAl2O3被覆カーボンペーパー上へのCoMo-HEAナノ粒子の均一で高密度分散を達成し、その高比表面積のために1000℃で活性化したカーボンペーパー基板を使用するとナノ粒子径が減少した。さらに、CoMo-HEA前駆体を押出アルミナ(Al2O3)基板上に均一に分散させた。高温衝撃処理後、CoMo-HEAナノ粒子をアルミナ基板上に形成した。高分解能EDXマッピングにより、Al基板上のHEAナノ粒子中の5つの元素(Co,Mo,Fe,Ni,Cu)の存在を確認した。
【0092】
押出成形されたアルミナ基板上への前駆体の堆積および/またはナノ粒子の形成は、Al2O3被覆カーボンペーパーのような他の基板上のものとは異なり得る。特に、金属元素は、押出されたアルミナ基板中により溶解しやすく、熱衝撃加熱によるナノ粒子のその後の形成を妨げる可能性がある。これに対処するために、前駆体装填は、HEAナノ粒子形成を促進するために、(例えば、2.5~10重量%の範囲で)変化させることができ、および/または、基板処理(例えば、高温でのアニーリングおよび/または基板の官能化)を導入することによって変化させることができる。
【0093】
触媒は、最初に、標準的な反応条件下において500℃でin situで活性化され、ここで、活性は、これらの条件下で~1時間後に初期化する。
図9Aに示すように、この触媒の最適温度は、10バールおよび50sccmの反応ガス流で、約450℃で観察され、触媒アンモニア合成速度は、1.52g
NH3g
metal
-1hr
-1であった。より高い流量および圧力は、触媒活性をさらに改善し得る。Al
2O
3被覆カーボンペーパーの基板と比較して、押出Al
2O
3基板は、CO
2活性化無し/有りで、はるかに良好な熱安定性、比較的大きな表面積、およびより容易な大規模合成を示した。
【0094】
押出Al
2O
3基板について、2つの形態を触媒活性について評価した:バルク形態および粉末形態(含浸前にバルク形態を破砕することによって作製した)。(
図9Bに示されるように)400℃、10バール、および50sccmで0.99g
NH3g
metal
-1hr
-1を達成したが、粉末形態はわずかに活性が低く、(
図9Cに示されるように)同じ条件下で0.71g
NH3g
metal
-1hr
-1を達成した。これらの触媒はまた、触媒活性試験の前にいかなる前処理も必要としなかった。それらは、Al
2O
3被覆カーボンペーパー上で、すなわち、500℃および10バールで、HEAと同じ方法で活性化された。
【0095】
開示された技術のさらなる例
開示された主題の上述の実装を考慮して、本出願は、以下に列挙される付記における追加の例を開示する。単独での付記の1つの特徴、または組み合わせられた付記の2つ以上の特徴、および任意選択で、1つ以上のさらなる付記の1つ以上の特徴と組み合わせたさらなる例も、本出願の開示の範囲内に含まれることに留意されたい。
【0096】
付記1.
少なくとも表面層が金属酸化物で形成されている基板と、
前記基板の前記表面層上に形成された複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子であって、各HEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有し、各HEAナノ粒子は、単相固溶体合金を形成する少なくとも4種の異なる元素の均質な混合物を含む、複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子と、
を含む触媒構造。
【0097】
付記2.
基板の全体が、金属酸化物から形成される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1に記載の触媒構造。
【0098】
付記3.
基板が、金属酸化物とは異なる材料から形成されたベース層を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~2のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0099】
付記4.
ベース層が、炭素で形成されている、本明細書のいずれかの項または例の触媒構造、特に、付記3に記載の触媒構造。
【0100】
付記5.
各HEAナノ粒子の最大断面寸法が、25nm以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~4のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0101】
付記6.
各HEAナノ粒子の最大断面寸法が、1~20nm(両端値を含む)の範囲である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~5のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0102】
付記7.
金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、ペロブスカイト、または前述のもの任意の組合せを含む、本明細書の任意の項または例、特に、付記1~6のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0103】
付記8.
触媒構造の貴金属含有量が、30重量%以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~7のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0104】
付記9.
触媒構造の貴金属含有量が、2~10重量%(両端値を含む)の範囲である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~8のいずれか1つに記載の触媒構造。
付記10.
各HEAナノ粒子の均質混合物が、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド、および遷移後金属からなる群から選択される少なくとも4つの元素である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~9のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0105】
付記11.
単相固溶体が、面心立方相を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~10のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0106】
付記12.
各HEAナノ粒子は、少なくとも5つの異なる元素を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~11のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0107】
付記13.
複数のHEAナノ粒子は、アンモニア酸化のための触媒として有効であり、各HEAナノ粒子中の均質混合物は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、およびプロモーターの組合せであり、プロモーターは、希土類元素である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~12のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0108】
付記14.
複数のHEAナノ粒子は、アンモニア分解のための触媒として有効であり、各HEAナノ粒子中の均質混合物が、(i)コバルト(Co)、(ii)モリブデン(Mo)、および(iii)少なくとも2つの遷移金属の組合せである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~12のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0109】
付記15.
それぞれのHEAナノ粒子中の均質な混合物が、CoxMoyFeaNibCuc、ここで、x+y=100-(a+b+c)、10≦a≦20、10≦b≦20、および10≦c≦20を満たす、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記14の触媒構造。
【0110】
付記16.
基板が、押出金属酸化物ペレットを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~2および5~15のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0111】
付記17.
押出金属酸化物ペレットが、20mm以下の最大断面寸法を有するマルチローブ円筒状ペレットである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記16に記載の触媒構造。
【0112】
付記18.
基板が、1mm以下の最大断面寸法を有する粉末粒子を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~17のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0113】
付記19.
基板が、複数の細孔を有し、各細孔は、50nm以下の直径を有し、および/または基板は、0.6mL/g~0.8mL/gの範囲内の細孔容積を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~18のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0114】
付記20.
各HEAナノ粒子が、切頭球形を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~19のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0115】
付記21.
HEAナノ粒子間の基板の表面層上に形成された複数の非HEAナノ粒子をさらに含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~20のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0116】
付記22.
基板上のHEAナノ粒子の数は、基板上の非HEAナノ粒子の数よりも少ない、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記21に記載の触媒構造。
【0117】
付記23.
複数のHEAナノ粒子が、基板の断面にわたって勾配を持って分散される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記1~22のいずれか1つに記載の触媒構造。
【0118】
付記24.
勾配は、基板の外側部分におけるHEAナノ粒子の粒子密度が基板の内側部分における粒子密度よりも大きくなるようなものである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記23に記載の触媒構造。
【0119】
付記25.
基板の内側部分における粒子密度が、基板の外側部分における粒子密度の0~80%(両端値を含む)の範囲にある、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記24に記載の触媒構造。
【0120】
付記26.
1つまたは複数の触媒構造を提供するステップであって、各触媒構造は、基板および複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子を含み、基板の少なくとも表面層は、非導電性金属酸化物から形成され、複数のHEAナノ粒子は、基板の表面層上に形成され、各HEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有し、各HEAナノ粒子は、単相固溶体合金を形成する少なくとも4つの元素の均質混合物を含むステップと、
1つまたは複数の反応物を流し込んで、1つまたは複数の触媒基板と接触させ、化学反応により1つまたは複数の反応物を第1の温度で1つまたは複数の生成物に変換するステップと、
を含む方法。
【0121】
付記27.
化学反応は、酸化反応、合成反応、または分解反応を含む、本明細書のいずれかの項または例の方法、特に、付記26に記載の方法。
【0122】
付記28.
1つ以上の反応物は、アンモニア、酸素、および窒素を含み、
化学反応は、アンモニア酸化を含み、
1つ以上の生成物は、NOx生成物を含む、
本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~27のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
付記29.
各HEAナノ粒子中の均質混合物は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、およびプロモーターの組合せであり、プロモーターは、希土類元素である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記28に記載の方法。
【0124】
付記30.
1つ以上の生成物の少なくとも90%が、NOx生成物であり、
アンモニアの少なくとも95%が、1つ以上の生成物に変換され、
1つ以上の生成物の1%以下が、N2Oであり、
第1の温度は、800℃以下であるか、または
上記の任意の組合せである、
本明細書のいずれかの項または例、特に、付記28~29のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
付記31.
N2Oを除去するための触媒無しでアンモニア酸化反応を実施する、本明細書のいずれかの項または実例、特に、付記28~30のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
付記32.
1つ以上の反応物は、水素および窒素を含み、
化学反応は、アンモニア合成を含み、
1つ以上の生成物は、アンモニアを含む、
本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~27のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
付記33.
各HEA中の均質混合物は、(i)コバルト(Co)、(ii)モリブデン(Mo)、および(iii)少なくとも2つの遷移金属(例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)またはマンガン(Mn))の組合せである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記32に記載の方法。
【0128】
付記34.
第1の温度は、300℃~600℃(両端値を含む)であり、化学反応の質量比反応速度は、少なくとも0.7gammoniagmetals
-1h-1である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記32~33のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
付記35.
第1の温度は、約450℃であり、化学反応の質量比反応速度は、1.52gammoniagmetals
-1h-1である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記32~34のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
付記36.
各触媒構造の基板の全体は、金属酸化物から形成される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~35のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
付記37.
各触媒構造の基板が、金属酸化物とは異なる材料から形成されたベース層を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~35のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
付記38.
ベース層が炭素で形成される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記37に記載の方法。
【0133】
付記39.
各触媒構造の各HEAナノ粒子の最大断面寸法が、25nm以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~38のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
付記40.
各触媒構造の各HEAナノ粒子の最大断面寸法が、1~20nm(両端値を含む)の範囲内である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~39のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
付記41.
各触媒構造の金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、ペロブスカイト、またはこれらの任意の組合せを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~40のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
付記42.
各触媒構造の貴金属含有量が、30重量%以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~41のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
付記43.
各触媒構造の貴金属含有量が、2~10重量%(両端値を含む)の範囲である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~42のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
付記44.
各触媒構造の各HEAナノ粒子の均質混合物が、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド、および遷移後金属からなる群から選択される少なくとも4つの元素である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~43のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
付記45.
各触媒構造の各HEAナノ粒子の単相固溶体が面心立方相を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~44のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
付記46.
各触媒構造の各HEAナノ粒子が、少なくとも5つの異なる要素を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~45のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
付記47.
各触媒構造の基板が、押出金属酸化物ペレットを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~36および39~46のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
付記48.
各押出金属酸化物ペレットが、20mm以下の最大断面寸法を有するマルチローブ円筒状ペレットである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記47に記載の方法。
【0143】
付記49.
各触媒構造の基板が、1mm以下の最大断面寸法を有する粉末粒子を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~48のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
付記50.
各触媒構造について、基板が、複数の細孔を有し、各細孔が、50nm以下の直径を有し、および/または基板が、0.6mL/g~0.8mL/g(両端値を含む)の細孔容積を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~49のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
付記51.
各HEAナノ粒子が、切頭球形を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~50のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
付記52.
各触媒構造が、HEAナノ粒子間の基板の表面層上に形成された複数の非HEAナノ粒子をさらに含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~51のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
付記53.
各触媒構造について、基板上のHEAナノ粒子の数は、基板上の非HEAナノ粒子の数よりも少ない、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記52に記載の方法。
【0148】
付記54.
各触媒構造について、複数のHEAナノ粒子が、基板の断面にわたって勾配を持って分散される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記26~53のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
付記55.
各触媒構造について、勾配は、基板の外側部分におけるHEAナノ粒子の粒子密度が、基板の内側部分における粒子密度よりも大きくなるようなものである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記54に記載の方法。
【0150】
付記56.
各触媒構造について、基板の内側部分における粒子密度は、基板の外側部分における粒子密度の0~80%(両端値を含む)の範囲内である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記55に記載の方法。
【0151】
付記57.
複数の前駆体金属塩を含む溶液で基板をコーティングする工程であって、前記複数の前駆体金属塩は、少なくとも4つの異なる元素を含み、前記基板の少なくとも表面層は、非導電性金属酸化物から形成される、工程と、
基板を複数の前駆体金属塩で乾燥させる工程と、
乾燥した基板を熱衝撃に供して、触媒構造を形成する工程であって、熱衝撃は、少なくとも1200Kのピーク温度に1秒以下の時間曝露する工程と、を含み、
熱衝撃の後、触媒構造は、基板の表面層上に形成された複数の高エントロピー合金(HEA)ナノ粒子を含み、各HEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有し、単相固溶体合金を形成する少なくとも4つの異なる元素の均質混合物を含む、触媒構造の製造方法。
【0152】
付記58.
熱衝撃は、最大温度までの加熱ランプをさらに含み、加熱ランプは、少なくとも103K/sである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57に記載の方法。
【0153】
付記59.
熱衝撃は、最高温度からの冷却ランプをさらに含み、冷却ランプは、少なくとも103K/sである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~58のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
付記60.
溶液は、有機溶媒または水を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~59のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
付記61.
各前駆体金属塩は、塩化物、硝酸塩、またはアルコキシドを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~60のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
付記62.
コーティングは、湿式含浸または乾式含浸を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~61のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
付記63.
コーティングが、回転ドラムミキサを使用して溶液と基板とを組み合わせることを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~62のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
付記64.
前記乾燥が、凍結乾燥または臨界点乾燥を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~63のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
付記65.
熱衝撃の持続時間は、500ms未満である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~64のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
付記66.
熱衝撃の持続時間は、100ms未満である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~65のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
付記67.
熱衝撃のピーク温度は、1200~3000K(両端値を含む)の範囲である、本明細書のいずれかの項または例の方法、特に、付記57~66のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
付記68.
熱衝撃のピーク温度は、1500~2300K(両端値を含む)の範囲である、本明細書のいずれかの項または例の方法、特に、付記57~67のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
付記69.
コーティングの前に、その表面濡れ性を改善するために基板に処理を行うことをさらに含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~68のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
付記70.
前記処理が、プラズマ処理または酸処理を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記69に記載の方法。
【0165】
付記71.
コーティングの前またはコーティング中に、基板を加熱する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~70のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
付記72.
基板の全体が、金属酸化物から形成される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~71のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
付記73.
基板は、金属酸化物とは異なる材料から形成されたベース層を含み、方法が、ベース層上に金属酸化物表面層を形成することをさらに含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~71のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
付記74.
ベース層は、炭素で形成される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記73に記載の方法。
【0169】
付記75.
金属酸化物表面層を形成する前に、ベース層に表面欠損を生じさせるように、ベース層を二酸化炭素雰囲気中700℃以上の温度に少なくとも1時間維持することをさらに含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記73~64のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
付記76.
金属酸化物表面層を形成することが、原子層堆積を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記73~75のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
付記77.
金属酸化物表面層の厚さは、100nm以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記73~76のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
付記78.
各HEAナノ粒子の最大断面寸法は、25nm以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~77のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
付記79.
各HEAナノ粒子の最大断面寸法が、1~20nm(両端値を含む)の範囲内である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~78のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
付記80.
金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、ペロブスカイト、または前述の任意の組合せを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~79のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
付記81.
触媒構造の貴金属含有量が、30重量%以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~80のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
付記82.
触媒構造の貴金属含有量が、2~10重量%(両端値を含む)の範囲である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~81のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
付記83.
各HEAナノ粒子の均質混合物が、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド、および遷移後金属からなる群から選択される少なくとも4つの元素である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~82のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
付記84.
単相固溶体が面心立方相を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~83のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
付記85.
各HEAナノ粒子が、少なくとも5つの異なる要素を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~84のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
付記86.
基板は、押出金属酸化物ペレットを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~72および78~85のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
付記87.
押出金属酸化物ペレットが、20mm以下の最大断面寸法を有するマルチローブ円筒状ペレットである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記86に記載の方法。
【0182】
付記88.
(a)基板をコーティングした後、かつ熱衝撃の前に、基板を粉体粒子に粉砕し、それぞれが1mm以下の最大断面寸法を有すること、
(b)前記被覆の前に、前記基板から湿気を除去するように、前記基板を100~200℃で加熱すること、
(c)前記基板の結晶化度を高めるために、前記基板を不活性気体雰囲気中で800~1500℃で加熱すること、
を含み、
(d)コーティングは、第1の金属についての前駆体塩の少なくとも1つの装填量が、熱衝撃によって形成されたHEAナノ粒子中の第1の金属の装填量よりも大きく、第1の金属の少なくとも一部は、熱衝撃の間に失われるようなものであるか、または
(a)~(d)の任意の組合せ、である、
本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~87のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
付記89.
前記基板は、50nm以下の直径を有する複数の細孔を有し、および/または前記基板が、0.6~0.8mL/g(両端値を含む)の範囲の細孔容積を有する、本明細書のいずれかの付記または例、特に、付記57~88のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
付記90.
各HEAナノ粒子が、切頭球形を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~89のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
付記91.
熱衝撃の後、触媒構造は、HEAナノ粒子間の基板の表面層上に形成された複数の非HEAナノ粒子をさらに含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~90のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
付記92.
熱衝撃の後、基板上のHEAナノ粒子の数は、基板上の非HEAナノ粒子の数よりも少ない、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記91に記載の方法。
【0187】
付記93.
熱衝撃の後、複数のHEAナノ粒子が、基板の断面にわたって勾配を持って分散される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記57~92のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
付記94.
勾配は、基板の外側部分におけるHEAナノ粒子の粒子密度が、基板の内側部分における粒子密度よりも大きくなるようなものである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記93の方法。
【0189】
付記95.
基板の内側部分における粒子密度が、基板の外側部分における粒子密度の0~80%(両端値を含む)の範囲にある、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記94に記載の方法。
【0190】
付記96.
硝酸製造反応器からPt系触媒およびN2O除去触媒を除去するステップであって、前記硝酸製造反応器は、(i)アンモニア、酸素、および窒素のための1つまたは複数の入口と、(ii)NOx生成物のための1つまたは複数の出口とを有し、前記Pt系触媒は、前記除去するステップの前に、前記1つまたは複数の入口と前記1つまたは複数の出口との間の第1の位置にあり、前記N2O除去触媒は、前記除去するステップの前に、前記第1の位置の下流の第2の位置にあるステップと、
前記硝酸製造反応器内に、1つまたは複数の触媒構造を設置するステップであって、各触媒構造は、基板および複数の高エントロピー合金(HEA)固溶体合金を含み、基板の少なくとも表面層は、非導電性の金属酸化物で形成され、複数のHEAナノ粒子は、1μm以下の最大断面寸法を有し、各HEAナノ粒子は、単相固溶体合金を形成する少なくとも4つの元素の均質な混合物を含むステップと、
を含む方法。
【0191】
付記97.
アンモニア、酸素、および窒素がNOx生成物に変換されるように、1つまたは複数の入口を介して、アンモニア、酸素、および窒素を流入させ、硝酸生成反応器内の1つまたは複数の触媒構成物と接触させること、
硝酸生成反応器は、N2O除去触媒無しで動作すること、
を含む、本明細書の任意の項または例、特に、付記96に記載の方法。
【0192】
付記98.
硝酸生成反応器が、パンケーキ反応器を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~97のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
付記99.
(a)Pt系触媒は、PtRhガーゼ触媒であり、
(b)各HEAナノ粒子中の均質混合物は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、およびプロモーターの組合せであり、プロモーターは、希土類元素であり、または
(c)前記(a)および(b)の両方である、
本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~98のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
付記100.
基板の全体が、金属酸化物から形成される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~99のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
付記101.
基板が、金属酸化物とは異なる材料で形成されたベース層を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~99のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
付記102.
ベース層は、炭素で形成される、本明細書のいずれかの項または例の方法、特に、付記101に記載の方法。
【0197】
付記103.
各HEAナノ粒子の最大断面寸法は、25nm以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~102のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
付記104.
各HEAナノ粒子の最大断面寸法は、1~20nm(両端値を含む)の範囲である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~103のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
付記105.
金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト、スピネル、ペロブスカイト、または前述の任意の組合せを含む、本明細書のいずれかの項または例の方法、特に、付記96~104のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
付記106.
触媒構造の貴金属含有量が、30重量%以下である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~105のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
付記107.
触媒構造の貴金属含有量が、2~10重量%(両端値を含む)の範囲である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~106のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
付記108.
各HEAナノ粒子の均質混合物が、遷移金属、ランタノイド、アクチノイド、および遷移後金属からなる群から選択される少なくとも4つの元素である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~107のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
付記109.
単相固溶体が、面心立方相を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~108のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
付記110.
各HEAナノ粒子が、少なくとも5つの異なる要素を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~109のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
付記111.
基板が、押出金属酸化物ペレットを含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~99および103~110のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
付記112.
押出金属酸化物ペレットが、20mm以下の最大断面寸法を有するマルチローブ円筒状ペレットである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記111に記載の方法。
【0207】
付記113.
基板が、1mm以下の最大断面寸法を有する粉末粒子を含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~112のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
付記114.
1つまたは複数の触媒構造が、硝酸生成反応器内の第2の位置に設置される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~113のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
付記115.
各触媒構造の基板が、50nm以下の直径および/または0.6mL/g~0.8mL/gの範囲の細孔容積を有する細孔を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~114のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
付記116.
各触媒構造について、各HEAナノ粒子は、切頭球形を有する、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~115のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
付記117.
各触媒構造が、HEAナノ粒子間の基板の表面層上に形成された複数の非HEAナノ粒子をさらに含む、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~116のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
付記118.
各触媒構造について、基板上のHEAナノ粒子の数が、基板上の非HEAナノ粒子の数よりも少ない、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記117に記載の方法。
【0213】
付記119.
各触媒構造について、複数のHEAナノ粒子が、基板の断面にわたって勾配を持って分散される、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記96~118のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
付記120.
各触媒構造について、勾配は、基板の外側部分におけるHEAナノ粒子の粒子密度が、基板の内側部分における粒子密度よりも大きくなるようなものである、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記119に記載の方法。
【0215】
付記121.
各触媒構造について、基板の内側部分における粒子密度は、基板の外側部分における粒子密度の0~80%(両端値を含む)の範囲内である、本明細書のいずれかの項または例、特に、付記120の方法。
【0216】
結論
例えば、
図1A~9Cおよび付記1~121に関して本明細書に図示または説明される特徴のいずれかを、例えば、
図1A~9Cおよび付記1~121に関して本明細書に図示または説明される任意の他の特徴と組み合わせて、本明細書中において他に図示または具体的に説明されない材料、システム、デバイス、構造、方法、および実施形態を提供することができる。本明細書に記載されるすべての特徴は、互いに独立しており、構造的に不可能な場合を除いて、本明細書に記載される任意の他の特徴と組み合わせて使用することができる。開示された技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮すると、図示された実施形態は、例にすぎず、開示された技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが認識されるべきである。むしろ、権利範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって、本発明者らは、これらの特許請求の範囲の範囲および精神の範囲内に入るすべてを主張するものである。
【国際調査報告】