(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】レーザーモジュールを含むシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/65 20060101AFI20241022BHJP
H01S 3/067 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01N21/65
H01S3/067
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519473
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2022038357
(87)【国際公開番号】W WO2023063415
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509339821
【氏名又は名称】アトナープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】オウ ニール
(72)【発明者】
【氏名】カノルカー アンキター
(72)【発明者】
【氏名】ムルティ プラカッシ スリダラ
【テーマコード(参考)】
2G043
5F172
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043EA04
2G043EA10
2G043HA05
2G043JA01
2G043KA01
2G043LA01
5F172AF03
5F172AF06
5F172AM08
5F172DD06
5F172EE15
5F172NQ53
5F172NR12
5F172NR14
5F172NR23
5F172ZA01
(57)【要約】
システム(1)は、ナローバンドの第1のソースレーザー光(33)を生成するように構成された第1のレーザー光源(36)を含むレーザーモジュール(30)と、フリースペースを使用せずに光ファイバーによって構成された複数の経路(310)とを有する。複数の経路は、ストークス光パルス(51)およびポンプ光パルス(52)を生成するために第1のソース光パルスを分割するための第1の経路(301)と、ストークス光パルス(51)を供給するために、接続された第1の増幅器(81b)、第1のHCPCF(81a)、およびHNLPCF(85)を含む第1のトレイン(81)により波長範囲を増幅および広帯域化するための第2の経路(302)と、ポンプ光パルス(52)を供給するために、接続された第2の増幅器(82b)および第2のHCPCF(82a)を含む第2のトレイン(82)により増幅するための第3の経路(303)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーモジュールを有するシステムであって、
前記ユーザーモジュールは、ナローバンドの第1のソースレーザー光を発生するように構成された第1のレーザー光源と、
光ファイバーおよび/またはフォトニック集積回路によってフリースペースを用いずに構成された複数の経路とを有し、前記複数の経路は、
ブロードバンドの第1の光パルスとナローバンドの第2の光パルスとを生成するために前記第1のソース光パルスを分割するための第1の経路と、
前記ブロードバンドの第1の光パルスを供給するために、接続された第1の増幅器と、第1の中空コアフォトニック結晶ファイバー(HCPCF)と、高非線形フォトニック結晶ファイバー(HNLPCF)とを含む第1のトレインにより増幅および波長範囲を広げるための第2の経路と、
前記ナローバンドの第2の光パルスを供給するために、接続された第2の増幅器と、第2のHCPCFとを含む第2のトレインにより増幅するための第3の経路とを含む、システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の経路は、前記ブロードバンドの第1の光パルスと前記ナローバンドの第2の光パルスとを多重化し、時間的に重なる前記第1の光パルスと前記第2の光パルスとを1つの照射ビームとしてターゲットに照射するように出力するための第4の経路をさらに含む、システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記第4の経路は、前記第2の経路から供給される前記第1の光パルスのチャープレートおよび前記第3の経路から供給される前記第2の光パルスのチャープレートの少なくとも一方を変化させて実質的に等しくするチャープレート調整器を含む、システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1の光パルスは、第1の波長範囲を含み、前記第2の光パルスは、前記第1の波長範囲よりも短い第2の波長範囲を含む、システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記複数の経路は、前記第2の波長範囲よりも短い第3の波長範囲を含むナローバンドの第3の光パルスを第2のソースレーザー光から生成するための第5の経路であって、前記第3の光パルスを供給するために、接続された第3の増幅器と、第3のHCPCFと、第二高調波発生(SHG)とを含む第3のトレインを備えた第5の経路をさらに含む、システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記複数の経路は、前記ブロードバンドの第1の光パルス、前記ナローバンドの第2の光パルス、および前記ナローバンドの第3の光パルスを多重化し、前記第1の光パルス、前記第2の光パルス、および前記第3の光パルスを、時間遅れを持つように重ねて1つの照射ビームとして、ターゲットに照射するように出力するための第6の経路を、さらに含む、システム。
【請求項7】
請求項5において、
前記第1の光パルス、前記第2の光パルスおよび前記第3の光パルスを前記照射ビームとして前記ターゲットに供給する光モジュールをさらに有する、システム。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかにおいて、
前記レーザーモジュールは、前記第1のソースレーザー光および前記第2のソースレーザー光の生成のために分割される、モードロックされたベースレーザーを出力するように構成された発振器をさらに含む、システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかにおいて、
前記第1のソースレーザー光の波長範囲は、1030nmを中心とする、システム。
【請求項10】
請求項5ないし8のいずれかにおいて、
前記第1のソースレーザー光の波長範囲は、1030nmを中心とし、前記第2のソースレーザー光の波長範囲は、1560nmを中心とする、システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかにおいて、
前記照射ビームによる前記ターゲットの照射の結果として、前記ターゲットによって生成される信号ビームを検出するように構成された検出器をさらに有する、システム。
【請求項12】
請求項11において、
各画素で信号を取得するために前記照射ビームで前記ターゲットを走査するように構成されたスキャナをさらに有する、システム。
【請求項13】
請求項11において、
各ボクセルの信号を取得するために前記照射ビームで前記ターゲットを走査するように構成されたスキャナをさらに有する、システム。
【請求項14】
請求項1において、
CARS信号を生成するために、前記第1の光パルスをストークス光パルスとして供給し、前記第2の光パルスをポンプ光パルスとして供給する光学モジュールをさらに有する、システム。
【請求項15】
請求項6または7において、
前記光モジュールは、CARS信号を生成するために、前記第1の光パルスをストークス光パルスとして、前記第2の光パルスをポンプ光パルスとして、前記第3の光パルスをプローブ光パルスとして供給する光路をさらに含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーモジュールを含むシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
WO2014/061147号公報には、顕微鏡が開示されている。この顕微鏡は、光源からの光の光束を第1のポンプ光束と第2のポンプ光束とに分割する第1の光分割部と、第2のポンプ光束を入力として受け、ストークス光束を出力するストークス光源と、第1のポンプ光束とストークス光束を多重化して多重化光束を生成する多重化部と、試料中の多重化光束を集める第1の光収集部と、試料から発生するCARS光を検出する第1の検出器(CARS光は多重化光束とは異なる波長を有する)と、第2のポンプ光束およびストークス光束の少なくとも一方を部分的に参照光束として分岐させる第2の光分割部と、試料からの光束と参照光束とを多重化して干渉光を生成する第2の多重化部と、干渉光を検出する第2の検出器とを備える。
【発明の概要】
【0003】
CARS(Coherent Anti-Stokes Raman Scattering、 コヒーレントアンチストークスラマン分光、コヒーレント反ストークスラマン分光法)のような非線形光学プロセスをモニターまたは観察するためには、コンパクトなシステムからストークス光パルスのようなブロードバンドパルス(広帯域光パルス、波長幅の広いパルス)とポンプ光パルスのようなナローバンドパルス(狭帯域光パルス、波長幅の狭いパルス)を供給し、それらを用いたプロセスによって作られた信号を取得することが必要となる。
【0004】
この発明の一態様は、レーザーモジュールを含むシステムであり、レーザーモジュールは、ナローバンドの第1のソースレーザー光を発生(生成)するように構成された第1のレーザー光源と、光ファイバーおよび/またはフォトニック集積回路により、フリースペース(自由な空間)を使用せずに構成された複数の経路とを含む。これらの複数の経路は(i)ブロードバンドの第1の光パルスおよびナローバンドの第2の光パルスを生成するために第1のソース光パルスを分割するための第1の経路(第1のルート、第1のセクション、第1のステージ)と、(ii)ブロードバンドの第1の光パルスを供給するために、スプライスされた(継ぎ合わされた、接続された)第1の増幅器と、第1の中空コアフォトニック結晶ファイバー(HCPCF)と、高非線形フォトニック結晶ファイバー(HNLPCF)とを含む第1のトレイン(第1の系列)により増幅および波長範囲を広げるための第2の経路(第2のルート、第2のセクション、第2のステージ)と、(iii)ナローバンドの第2の光パルスを供給するために、スプライス(継ぎ合わされた、接続された)第2の増幅器と、第2のHCPCFとを含む第2のトレイン(第2の系列)により増幅するための第3の経路(第3のルート、第3のセクション、第3のステージ)とを含む。第2の経路では、HCPCFとHNLPCFとの2種類のフォトニック結晶ファイバー(PCF)を直接(フリースペースなしで)増幅器とスプライス(継ぎ合わせ、接続)することにより、HCPCFが備えるコンプレッション機能(圧縮機能)と、HNLPCFが備えるスーパーコンティニウム(SC)発生機能とを、増幅器(アンプ)とともに、ファイバーまたはフォトニック集積回路の1つの系列(1つの系統、1つのシリーズ)に集積(統合)することができ、1つまたは複数のフリースペースの回折格子を用いたコンプレッサーや、他のフリースペースの光学素子を省略することで、レーザーモジュールを含むシステムをコンパクトにすることができる。また、第3の経路では、ナローバンドの第2の光パルス用の第2のHNLPCF(第1のHNLPCFとは異なる)と増幅器とを直接(フリースペースなしで)スプライス(継ぎ合わせ、接続)することにより、HCPCFが提供する圧縮機能と増幅器とを、ファイバーまたはフォトニック集積回路の1つの系列(1つの系統、単一のシリーズ)に集積(統合)することができ、さらなるフリースペースの回折格子を用いたコンプレッサーやフリースペースの光学素子を省略することにより、レーザーモジュールを含むシステムをさらにコンパクトにすることができる。
【0005】
複数の経路は、ブロードバンドの第1の光パルスとナローバンドの第2の光パルスとを多重化し、時間的に重なる第1の光パルスと第2の光パルスとを1つの照射ビームとしてターゲットに照射するため出力する第4の経路を含んでもよい。第4の経路は、第2の経路から供給される第1の光パルスのチャープレート(チャープ率)および第3の経路から供給される第2の光パルスのチャープレート(チャープ率)の少なくとも一方を変化させて実質的に等しくなるように調整するチャープレート調整器を含んでもよい。第1の光パルスは第1の波長範囲を含み、第2の光パルスは第1の波長範囲よりも短い第2の波長範囲を含んでもよい。本システムでは、第1の光パルスおよび第2の光パルスを、フリースペースの光学素子を用いずに、集積された光ファイバーまたはフォトニック集積回路(光集積回路)から、照射光として第4の経路を介して出射でき、コンパクトなシステムを提供できる。
【0006】
複数の経路は、第2の波長範囲よりも短い第3の波長範囲を有するナローバンドの第3の光パルスを、第2のソースレーザー光から生成するための第5の経路であって、第3の光パルスを供給するようにスプライスされた(継ぎ合わされた、接続された)第3の増幅器と、第3のHCPCFと、第2高調波発生(SHG)とを含む第3のトレイン(系列)を備える第5の経路を含んでもよい。複数の経路は、ブロードバンドの第1の光パルス、ナローバンドの第2の光パルス、およびナローバンドの第3の光パルスを多重化し、第1の光パルス、第2の光パルス、および第3の光パルスを、時間遅れを持つように重ねて(オーバーラップさせて)、1つの照射ビームとして、ターゲットに照射するために出力する第6の経路をさらに含んでもよい。このシステムは、第1の光パルス、第2の光パルス、および第3の光パルスを照射ビームとしてターゲットに供給するための光モジュールをさらに含んでもよい。このレーザーモジュールは、第1のソースレーザー光と第2のソースレーザー光の生成のために分割される、モードロックされたベースレーザーを出力するように構成された発振器を含んでいてもよい。第1のソースレーザー光の波長の典型的な範囲の1つは1030nmを中心とし、第2のソースレーザー光の波長の典型的な範囲の1つは1560nmを中心とするものである。
【0007】
本システムは、照射ビームによるターゲットを照射した結果として、ターゲットによって生成される信号ビームを検出するように構成された検出器を含んでいてもよい。本システムは、二次元のマイクロスコピイメージング(2D顕微鏡画像化)を実行するために、各画素で信号を取得するように照射ビームでターゲットをスキャン(走査)するように構成されたスキャナを含んでもよい。このシステムは、三次元のマイクロスコピイメージング(3D顕微鏡画像化)を実行するために、各ボクセルで信号を取得するように照射ビームでターゲットをスキャンするように構成されたスキャナを含んでもよい。
【0008】
本システムの典型的な用途の一つは、ターゲットからのCARS信号の検出および/または分析を含むシステムである。本システムは、CARS信号を生成するために、第1の光パルスをストークス光パルスとして供給し、第2の光パルスをポンプ光パルスとして供給する光学モジュールを含んでもよい。光モジュールは、CARS(TD-CARS)信号を生成するために、第1の光パルスをストークス光パルスとして、第2の光パルスをポンプ光パルスとして、第3の光パルスをプローブ光パルスとして供給する光学モジュール(光路)を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面を参照した詳しい説明により、幾つかの実施形態をより理解できるであろう。
【
図1】
図1は、この発明のシステムの一実施形態を示す。
【
図3】
図3は、参照用の光学モジュールのブロック図を示す。
【
図4】
図4は、この発明のレーザーモジュールの一実施形態のブロック図を示す。
【
図5】
図5は、この発明の異なるシステムの一実施形態を示す。
【
図7】
図7は、この発明の異なるレーザーモジュールの一実施形態のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書における実施形態ならびにその様々な特徴および有利な詳細は、添付図面に図示され、以下の説明において詳述される非限定的な実施形態を参照して、より十分に説明される。周知の構成要素および処理技術の説明は、本明細書における実施形態を不必要に不明瞭にしないように省略する。本明細書で使用される例は、単に、本明細書の実施形態が実施され得る方法の理解を容易にし、当業者が本明細書の実施形態を実施することをさらに可能にすることを意図している。したがって、実施例は、本明細書における実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0011】
本明細書では、ファイバーレーザーおよび非線形光学で使用される多くの用語が示され、その略語が使用される。以下のリストは、本明細書で使用される略語である。
FL Fiber Laser ファイバーレーザー
OSC Oscillator 発振器(オシレーター)
LD Laser Diode レーザーダイオード
PD Photo Diode フォトダイオード
EVOA Electronically Controlled Variable Optical Attenuator
電子制御式可変光減衰器
SAM Saturable Absorber Mirror 可飽和吸収ミラー
FC/APC Ferrule Connecter/Angled Physical Contact
フェルール継手/斜めフィジカルコンタクト(平面研磨接合)
Er Erbium エルビウム
EDFA Erbium Doped Fiber Amplifier エルビウム添加ファイバー増幅器
Yb Ytterbium イッテルビウム
YDFA Ytterbium Doped Fiber Amplifier イッテルビウム添加ファイバー増幅器
SMF Single Mode Fiber シングルモードファイバー
PM Polarization Maintaining 偏波保持
HNLF Highly Nonlinear Fiber 高非線形ファイバー
PCF Photonic Crystal Fiber フォトニック結晶ファイバー
HCPCF Hollow‐Core Photonic Crystal Fiber
中空コアフォトニック結晶ファイバー
HNLPCF Highly Non-Liner Photonic Crystal Fiber
高非線形フォトニック結晶ファイバー
SCPCF Supercontinuum Photonic Crystal Fiber
スーパーコンティニウムフォトニック結晶ファイバー
WDM Wavelength Division Multiplexing 波長分割多重方式
CIR Optical Circulator 光サーキュレーター
SC Super Continuum スーパーコンティニウム
SHG Second Harmonic Generation 第二高調波発生
FWHM Full Width Half Maximum 半値幅
CARS Coherent Anti-Stokes Raman Spectroscopy
コヒーレント反ストークスラマン分光法
CPA Chirped Pulse Amplification チャープパルス増幅(器)
CFBG Chirped Fiber Bragg Grating
チャープファイバーブラッググレーティング(チャープファイバーブラッグ格子)
IW Isolator/WDM Hybrid アイソレーター/WDMハイブリッド
TW Tap/WDM Hybrid タップ/WDMハイブリッド
TIW Tap/Isolator/WDM Hybrid タップ/アイソレーター/WDMハイブリッド
NPD Non-photon Power Dissipation ノンフォトンパワー損失(消費)
【0012】
図1は、この発明の実施形態によるシステム1を示す。システム1は、ストークス光パルス51を第1の光パルスとして、ポンプ光52を第2の光パルスとして、さらにプローブ光53を第3の光パルスとして供給し、ストークス光パルス51、ポンプ光パルス52およびプローブ光パルス53を含むビーム(光束)により照射されたターゲット(物体、試料)5の点5aにおいてCARS光(CARS信号、信号ビーム)55を生成する(発生させる)ための光学モジュール10を有する。光学モジュール10は、ストークス光パルス51とポンプ光パルス52とが時間的に重なった第1のビーム31と、プローブ光53とを供給するためのレーザーモジュール30と、ストークス光パルス51、ポンプ光パルス52およびプローブ光パルス53を照射ビーム54として合波または結合(一本化)するための複数の光学素子29を含む光学プレート20とを含む。システム1は、レンズ45および他の光学素子を介して、ストークス光パルス51、ポンプ光パルス52およびプローブ光パルス53によってターゲット5を走査(スキャン)し、ターゲット5からのCARS光55を取得するように構成された走査モジュール(スキャナー、スキャンニングモジュール)40と、解析のためにCARS光55を検出するように構成された検出器(ディテクタ―)65とを含んでもよい。システム1は、システム1全体を制御するためのコントローラー(プロセッサー)60を含んでもよい。コントローラー60は、レーザー制御モジュール(レーザーコントローラー)61、分析器(アナライザー)62などの他の機能を含んでもよい。
【0013】
スキャニングモジュール(スキャナー)40は、指先スキャニングインターフェースモジュール、非侵襲サンプラー、侵襲サンプラー、流路(フローパス)、またはウェアラブルスキャニングインターフェースであってもよい。各タイプの走査インターフェース(スキャンニングインターフェース)は交換可能であってもよい。走査モジュール(スキャンニングモジュール、スキャナ)40は、照射ビーム54でターゲット5を走査し、2次元CARS顕微鏡画像化(2DCARSマイクロスコピイメージング)を実行するために、各画素(ピクセル、点)5aでCARS信号55を取得するように構成されてもよい。スキャナ40は、照射ビーム54でターゲット5を走査し、三次元CARS顕微鏡画像化(3DCARSマイクロスコピイメージング)を実行するために、各ボクセル5aでCARS信号55を取得するように構成されてもよい。
【0014】
レーザーモジュール30の実施形態の1つは、ファイバーレーザーモジュール(フルファイバーレーザーモジュール)である。ファイバーレーザーモジュール30は、ナローバンド(狭帯域、狭いバンド幅)の第1のソースレーザー光33を生成するように構成された1μmレーザー生成ステージ(第1のレーザー光源)36と、第1のソースレーザー光33からストークス光パルス51およびポンプ光パルス52を生成するためのストークス-ポンプパルス生成ステージ37と、第2のソースレーザー光34からプローブ光パルス53を生成するためのプローブパルス生成ステージ38と、モードロックされたベースレーザー35aを出力するように構成された発振器(オッシレーター、OSC)35とを含んでもよく、ベースレーザー35aは、第1のソースレーザー光33および第2のソースレーザー光34の生成のために分割される。
【0015】
図2は、CARS光学システム1の波長プランの1つを示す。ストークス光パルス(第1の光パルス)51は、波長1085~1230nm(400cm
-1~1500cm
-1)の第1の範囲R1を有し、ポンプ光パルス(第2の光パルス)52は、波長1040nmの第2の範囲R2を有し、プローブ光パルス(第3の光パルス)53は、波長780nmの第3の範囲R3を有し、TD-CARS光パルス(CARS光、時間依存CARS、時間遅延CARS)55は、波長680~760nmの範囲R5を有する。ストークス光パルス51およびポンプ光パルス52は、数10~数100mWで、1~数100fS(フェムト秒)オーダーのパルス幅を含んでもよい。プローブ光パルス53は、数10~数100mWで、1~数10pS(ピコ秒)オーダーのパルス幅を含んでもよい。時間分解コヒーレント反ストークスラマン散乱または時間遅延コヒーレント反ストークスラマン散乱(TD-CARS)マイクロスコピ(顕微鏡法)は、仮想電子遷移とラマン遷移の時間応答の差(異なり)を利用することにより、非共鳴バックグラウンドを抑制する技術としても知られている。このような測定手法を、様々な用途に容易に適用できるシステムが求められている。
【0016】
光学プレート20上には、光学プレート20のフリースペース(自由空間)に幾つかの光路を構成するためのミラー、プリズム、ダイクロイックミラー等の複数の光学素子(フリースペース光学素子)29が搭載されている。これらの光路の1つは、プローブ光パルス53を供給する光路23であり、ポンプ光52とプローブ光53との間の時間遅延を制御するための遅延モジュール(ディレイ、変調モジュール)23aを含む。ストークス光51、ポンプ光52およびプローブ光53のビームを結合し、CARSビーム55を分離するために、他のフリースペース光学素子が設けられてもよい。
【0017】
図3は、ファイバーレーザーモジュール(ファイバーレーザーセンブリ)93および光学プレート92を含む光学モジュール90の参考例の1つを示す。このファイバーレーザーモジュール93は、ストークス光パルス51、ポンプ光パルス52およびプローブ光パルス53を供給するための2つの基本的な光源95および96を提供する。一方は1032nmを中心とする波長を含み、他方は1560nmを中心とする波長を含む。これら2つの出力95および96は光学プレート92への入力となり、光学プレート92の入力要件に一致する。1032nmの出力95は、12MHzでパルス時間のFWHMが約66psの光パルスを供給する。スペクトルのFWHMバンド幅(帯域幅)は約14nmであり、コリメーターに接続されたFC/APCコネクターから直接出力される平均出力パワーは450mW~520mWの範囲である。この出力は、パルスコンプレッション(圧縮)のためにフリースペース(自由空間)回折格子コンプレッサー(圧縮器)71に送られる。コンプレッサー71の後、ビームはそれぞれCARSストークスとCARSポンプとの発生用に2つのアーム21および22に分割される。1032nmのファイバーレーザーの出力96におけるパワーは、フリースペースにおける伝搬による損失を補償するためのものであり、パワーレベルは光学プレート上の更なるステージにおける入力の要求を満たすものである必要がある。
【0018】
1560nmの出力96は、1032nmの出力95と全く同じパルス繰り返し率である12MHzで提供される。FWHMパルス幅は約35psであり、FWHMスペクトルバンド幅は約7nmである。平均出力は130mWから180mWの範囲である。この出力96は、パルスコンプレッションのためにフリースペース回折格子コンプレッサー72に送られる。コンプレッサー72の後、ビーム96は非線形結晶を介してSHG23sで使用され、波長780nmのCARSプローブビーム53を提供する。SHG23sは、プローブパルス形状制御機能を有するPPLN(周期的に分極されたニオブ酸リチウム)23sを含んでもよい。プローブ光53として供給されるプローブパルスには、相反する2つの要件がある。すなわち、ナローバンドのプローブパルスは、システムにおける高いスペクトル分解能のために必要であり、鋭いエッジを有するプローブパルスは、共振CARS信号55を抑制するために時間遅延を使用する場合、システムの時間分解能のために必要である。PPLN23sを用いることで、単純に結晶を貼り合わせたものと比較して、より高い変換効率と広いバンド幅とを得ることができる。同時に、PPLNの周期構造を使用することで、同じバンド幅の等価なガウスパルスよりもはるかに急峻なプローブエッジを生成するという前向きな干渉結果が得られる。このモジュール93の詳細は、本出願人のPCT/JP2021/033384に開示されており、このPCT出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
ファイバーレーザーモジュール93は(1)第1のライトソース(光源)95および第2のライトソース(光源)96の生成のために分割される、モードロックされたベースレーザー35aを出力するように構成された発振器(オッシレーター、OSC)35と、(2)ベースレーザー35aの波長範囲を引き伸ばすことによって第1のソースレーザー光33を生成するように構成されたジェネレーター(発生装置、生成ステージ、ジェネレーションステージ)320と、(3)第1のライトソース95のための第1のプリアンプ340および第1のチャープパルス増幅(CPA)ユニット350を含む第1の増幅器330と、(4)第2のライトソース96のための第2のプリアンプ370および第2のチャープパルス増幅(CPA)ユニット380を含む第2の増幅器360と、(5)発振器35の発振源として、ジェネレーター320のポンプ電力(※1)として、第1のプリアンプ340のポンプ電力(※2)として、および第2のプリアンプ370のポンプ電力(※3)として、第1のレーザーダイオード(LD0)395からのレーザー電力を分配するように構成されたLDパワー分配器390とを含む。
【0020】
LDパワー分配器は、発振器35に供給されるレーザーパワーを安定化させるための第1のEVOA(電子制御式可変光減衰器)391と、ジェネレーター320に供給されるレーザーパワーを安定化させるための第2のEVOA392とを含む。このファイバーレーザーモジュール93では、ソースライト95および96のための各増幅器330および360にプリアンプ340および370をそれぞれ設け、LDパワー分配器390が共通のレーザーダイオードLD0395からのレーザーパワーを、発振器35およびジェネレーター320に加えて、各プリアンプ340および370に分配する。この構成により、LDの数を削減できるだけでなく、動作可能なレーザーダイオード(共通LD)395を、LDの設計出力レベルの90%~100%で動作させることができる。
【0021】
レーザーモジュール93全体として4つのサブアッセンブリ(ステージ)を含み、それらは発振器ステージ(OSC)35と、1μm生成ステージ(ジェネレーター)320と、1032nmCPAステージ350と、1560nmCPAステージ360とである。以下、各ステージについて説明する。
【0022】
ファイバーレーザーモジュール93は、ポンプLDおよび電力分配390として機能するFLモジュールを含む。3つのLD395~397があり、LD0(395)、LD1(396)、およびLD2(397)はそれぞれ980nmにおいて600mW、850mW、および850mWの最大出力が得られる。LD0(395)は、発振器35、1μmジェネレーター320の増幅器、CPAステージ350および380の前のプリアンプステージ340および370にポンプ電力を供給する。まず、LD0(395)からの出力(レーザーパワー)は、20/80カプラ(FL14)に直接接続(スプライス)される。その後、20%アームはEVOA1(391)に接続され、電子的に制御される。ソフトウェアループは、このコンポーネントと連動して、発振器35からの出力電力を正確に制御することができる。FL14からの80%アームは、次にカプラ(FL15)で50/50の比率に分割される。FL15からの片方のアームはEVOA2(392)に送られ、ジェネレーター320で安定した1μmを発生させるためのアンプ出力制御に使用される。FL15からのもう一方の50%アームは再び50/50に分割され、各アームはCPAステージ330および360のプリアンプポンプ入力に接続(スプライス)される。
【0023】
ファイバーレーザーOSC35は、Erドープ活性ファイバーで構築され、Cバンド範囲(1530nm~1565nm)の出力波長を提供し、分配器390のレーザーダイオードLD0(395)は976nmで動作する。この発振器35に使用されているファイバーには、Cバンド波長で異常分散と通常分散を持つPM-SMFが含まれている。これは、共振器内の不要な非線形効果を最小化するよう、共振器分散を管理するためである。ファイバー長は、出力仕様の繰り返し周波数(12MHz)に合わせて正確に調整されている。レーザー出力35aはSAMでモードロックされ、FWHMスペクトル帯域幅は6~8nm、平均出力は1~1.5mWであるが、SAMとErファイバーの特性による。出力35aの10%はファイバーカプラで分割され、発振器パワーモニター用にフォトダイオードPD0に送られる。このOSCパワーモニターは、OSC35の出力パワーを一定に制御するために、EVOA1(391)への印加電圧を制御する電子基板にフィードバックされる。残りの90%は50/50に分割され、それぞれ1μmジェネレーターステージ320と、1560nmCPAステージ(第2の増幅器)360とに送られる。
【0024】
ステージ320の機能は、1560nmベースレーザー35aから、波長1μmのナローバンドの第1のソースレーザー光33を第1のレーザー光源として生成することである。その目的は、1μmアームと、1.5μmアームとの両方で全く同じ繰り返し率(反復率、リピティションレート)を得ることである。このステージ360では、このステージ360内に組み込まれたEDFA(Er02)でパワー増幅が行われ、増幅器からの平均出力は約18mWである。パワーの1%はカップリングされ、アンプ出力直後のパワーモニター用のPD1に送られる。PD1からの信号は、EVOA2(392)を制御する基板へのフィードバックとなるため、このEDFAからの出力電力を一定に保つことができる。EDFAの出力パルスは、負の分散を持つファイバーの一部によって直にコンプレス(圧縮)される。HNLF325へのスプライスポット(接続スポット、接合スポット)では、FWHMパルスの持続時間は約60fsに圧縮され、それは約25kWのピークパワーに対応する。このピークパワーを持つ光パルスを短いHNLFに送ると、波長は1560nmから拡張され(延び)、最終的には1μmから1.7μmの範囲をカバーする。これがいわゆるSC(スーパーコンティニウム)発生プロセスである。すなわち、このピークパワーで、パルスは強い非線形効果を伴ってHNLF325中を伝搬し、スペクトルは1560nmから短波長側にも長波長側にも広がり、最終的には1μmから1.7-1.8μmに及ぶスーパーコンティニウムスペクトルを形成することができる。この1μmの部分が、次の増幅ステージ330のために採取されるターゲットである。
【0025】
1032nmのCPAステージ330は、プリアンプ(プリアンプリフィケーション、前置増幅)、パルスストレッチ(パルス伸張)、ファイナルアップリフィケーション(最終増幅)のプロセスを含む。ディストリビュータ390内のどのEVOAにも接続されていない50%のポンプ分岐は、ここで別のファイバーカプラ(FL16)によって再び50/50に分岐される。一方のアームはこの1032nmCPAステージ330のプリアンプ340へ、もう一方のアームは後で説明する1560nmCPAステージ360のプリアンプ370へ接続される。生成された1μmのレーザーは、1μmCIR333のポート#1へ送られる。このCIR333のポート#1からポート#2へは、構成要素の特性によりSCスペクトルから1μm部分のみが選択される。ポート#2では、Ybファイバー(Yb01)、CFBG335、1030/980WDM/Tapハイブリッドコンポーネント336が順に接続(接合、スプライス)される。選択された1μmシードがまずYbファイバーと出会い、増幅される。その後、CFBG335が1018nm~1053nmの波長範囲内で40%のパワーを反射する。この範囲外の波長はCFBG335を直接透過し、WDM336から出力される。WDM336の出力は、このプリアンプ340の後のスペクトラム(tap2へ)とパワー(PD2へ)とのモニターとして使用される。反射された部分は再びYbファイバー(Yb01)を通過し、ポート#2に戻る前に2回目の増幅が行われる。ポート#2に入ったプリアンプ(前置増幅)された1μmパルスは、CIR333のポート#3から出力される。この時点で、1μmパルスは伸張(ストレッチ)され、最終の増幅器350で増幅される準備ができた状態となる。
【0026】
LD1(396)は、1032nmの最終増幅器350に最大850mWのポンプパワーを供給する個別のレーザーダイオードである。最初に、CIRポート#3からのシード(入力)はアイソレーター/WDMハイブリッドコンポーネント337に接合(スプライス)される。この部品は、反射光と残留したポンプによる損傷から前のステージを保護する。その後で、Ybファイバー(Yb02)とWDM338とが順に接続(接合)され、1032nmCPAステージ330の構成は完了する。最終的な出力(第1のライトソース(光源))95として、FWHMパルス持続時間が約66psの12MHzの光パルスを供給する。スペクトルFWHM帯域幅は約14nmで、コリメーターに接続されたFC/APCコネクターから直接出力される平均出力は450mW~520mWの範囲である。PD3とtap3には、それぞれ1%のTapが結合され、パワーとスペクトルをモニターする。PD3はまた、1032nmCPAステージ330からの一定出力の制御ループを形成するためのフィードバックも提供する。
【0027】
1560nmCPAステージ360は、プリアンプ(前置増幅)、パルスストレッチ、および最終増幅のプロセスを含む。コンセプトは1032nmCPAステージ330と同じであるが、異なる波長領域で動作するため、構成要素が若干異なる。プリアンプ(前置増幅器)370のポンプ光源は、分配器390からのスプリットされたポンプの残り半分である。1560nmのビーム(第2のソースパルス)34のシード(入力)は、OSC出力35aの80%に分割されたものからさらに分割された残り半分である。1032nmCPAステージ330と同じ考え方が1560nmCPAステージ360にも適用されるが、1560nmCPAステージ360は、1560nmで動作するCFBG363およびWDM364コンポーネントを使用することによるプリアンプリフィケーションおよびパルス伸張プロセスにシードを入力するために1560nmCIR361ポート#1を使用する。LD2(397)は、1560nmの最終増幅器380に最大850mWのポンプパワーを供給するもう1つの独立したレーザーダイオードである。CIR361のポート#3から、プリアンプされたシードがErファイバー(Er04)とタップ/アイソレーター/WDMハイブリッドコンポーネント365に送られ、1560nmのCPAステージ360の構成が完成する。
【0028】
最終出力は、1560nm出力96として12MHzの光パルスを提供する。FWHMパルス持続時間は約35psであり、FWHMスペクトル帯域幅は約7nmである。平均出力は130mWから180mWの範囲である。PD4とtap4にはそれぞれ1%Tapが結合され、パワーとスペクトルをモニターする。PD4はまた、1560nmCPAステージ360からの一定出力の制御ループを形成するためのフィードバックも提供する。
【0029】
図4は、本発明のレーザーモジュール30の実施形態の1つを示す。このレーザーモジュール30は、フルファイバーレーザーモジュール(全てがファイバーで構成されたレーザーモジュール)であり、第1のソースレーザー光(源レーザー光)33と第2のソースレーザー光(源レーザー光)34とに分岐される、モードロックされたベースレーザー35aを供給するための発振器35と、ベースレーザー35aからナローバンドの(バンド幅の狭い、波長範囲の狭い、狭帯域の)第1のソースレーザー光33を生成するための1μmレーザー生成ステージ(第1のレーザー光源)36と、複数の経路(ルート、光ファイバールート、光ファイバーセクション)310とを含む。複数の経路310は、(i)ブロードバンドの(バンド幅の広い、波長範囲の広い、広帯域の)第1の光パルス(ストークス光パルス)51およびナローバンドの第2の光パルス(ポンプ光パルス)52を生成するために、第1のソース光パルス33を分岐するための第1の経路301と、(ii)ブロードバンドの第1の光パルス(ストークス光パルス)51を供給するために、直接(フリースペースなしで)接続(接合、継ぎ合わせ、スプライシング)された第1の増幅器81b、第1の中空コアフォトニック結晶ファイバー(HCPCF)81a、および高非線形フォトニック結晶ファイバー(HNLPCF)85を含む第1のトレイン(第1の系列)81により増幅およびブロードバンド化する(波長範囲を広げる)ための第2の経路302と、(iii)ナローバンドの第2の光パルス(ポンプ光パルス)52を供給するために、直接(フリースペースなしで)接続(スプライシング)された第2の増幅器82bおよび第2のHCPCF82aを含む第2のトレイン82により増幅するための第3の経路303と、(iv)ストークス光パルス51とポンプ光パルス52とを多重化し、時間的に重なるストークス光パルス51およびポンプ光パルス52を、ターゲット5に照射するための1つの照射ビーム31として出力するための第4の経路304と、(v)直接(フリースペースなしで)接続(スプライシング)された第3の増幅器83b、第3のHCPCF83aおよびSHG23sを含む第3のトレイン83により、ナローバンドの第3の光パルス(プローブ光パルス)53を生成し、プローブ光パルス53を供給する第5の経路305とを含む。第1の経路301、第2の経路302、第3の経路303および第4の経路304は、第1のソースレーザー光33からストークス光パルス51およびポンプ光パルス52を生成するためのストークス-ポンプパルス生成ステージ(発生段)37を構成する。第5の経路305は、第2のソースレーザー光34からプローブ光パルス53を発生させるためのプローブパルス生成ステージ(発生段)38を構成する。
【0030】
発振器35は、
図3を参照して説明したものと同一または共通の構成を有してもよい。1μmレーザー発生ステージ36は、発生器320、または上述したように発生器320および1μmレーザープリアンプリフィケーション(前置増幅器)340を含んでいてもよい。第1の経路(ルート)301は、第1のソースレーザー光33を第2の経路302と第3の経路303とに分離(分割)するための50/50カプラ309と、ナローバンドのポンプ光パルス52の入力を調整するためのナローバンドフィルター301aを含んでもよい。第1のソースレーザー光33の波長範囲は1030nmを中心としている。
【0031】
第2の経路302の第1のトレイン(第1のアーム、第1のライン、光ファイバーの第1の系列)81は、ストレッチング(伸張するための)ファイバー81dと、プリアンプ(プリアンプリファイアー)81cと、増幅器(アンプリファイアー)81bと、HCPCF81aと、HNLPCF85とをフリースペースなしで接続したものを含んでもよい。プリアンプ81cおよび増幅器81bはそれぞれ、上述したプリアンプ340および増幅器350と同一または共通の構成を有していてもよい。また、ストレッチング(伸張、拡張)については、ストレッチングファイバー82dの代わりに、1032nmCPAステージ330で説明したCFBGを用いた構成を適用することができる。
【0032】
HCPCF81aは、上述した光学モジュール90において適用されたフリースペースコンプレッサー(自由空間圧縮器)に代わるものであり、HCPCF81aの端部からコンプレス(圧縮)された高ピーク出力のパルスを送出する。HCPCF81aはHNLPCF85に直接スプライス(直に接続、直に接合、継ぎ合わせ)することができ、ブロードバンドのストークス光パルス51を生成するためのスーパーコンティニウムPCF(SCPCF)として使用できる。幾つかの文献は、HCPCF81aが卓越したファイバービーム伝送器または極めて効率的な非線形コンプレッサーとして使用できることを示唆している(例えば、Martin Maurel, Matthieu Chafer, Benoit Debord, Foued Amrani, Benoit Beaudouらの「Scalable hollow fiber pulse compressor for NIR and UV lasers.」SPIE Photonic West 2019、2019年2月、サンフランシスコ、米国。論文10899.hal-02329692)。
【0033】
直に接続された第1の増幅器81b、第1のHCPCF81a、およびHNLPCF85を含む第1のトレイン81を使用することにより、1030nmを中心とする波長範囲を有する第1のソースレーザー光33から全てファイバーによりストークス光を発生することができ、最終的なコリメート前に、アライメントフリーの(自由にアライメント(配列)できる)ストークス光パルス51を供給できる。第2の経路302では、2つの異なるタイプのフォトニック結晶ファイバー(PCF)、すなわち、HCPCF81aおよびHNLPCF85を増幅器81bと直接(自由空間なしで)スプライシング(接合、接続)することにより、HCPCF81aによって提供される圧縮機能と、HNLPCF85によって提供されるスーパーコンティニウム(SC)発生機能とを、増幅器81bとともに単一で一連(連続した)のファイバー(第1のトレイン、第1の系列)81に集積(統合)することができる。したがって,レーザーモジュール30を含む光モジュール10およびシステム1では,1つまたは複数のフリースペース回折格子コンプレッサーおよび他のフリースペースの光学素子を省略することが可能であり,コンパクトにすることができる。
【0034】
また、全てがファイバーからなる(フルファイバーの)ストークス生成システム(発生系、第2の経路)302を用いることにより、フリースペースを伝搬することにおける損失を低減することができるので、ストークス光パルス51のパワーレベルを容易に向上させたり、レーザーモジュール30における消費エネルギーを低減させたりすることができる。HCPCF81aをコンプレッサーとして用いる場合、ブロードバンドのストークス光パルスを生成(発生)するケースでは、長さ5~12m、さらに好適には7~9mのHCPCF81aが必要になると考えられる。
【0035】
第3の経路(ルート)303における第2のトレイン(第2のアーム、第2のライン、光ファイバーの第2の系列)82は、フリースペースなしで接続されたストレッチングファイバー(伸張ファイバー)82dと、プリアンプ(プリアンプリファイアー)82cと、アンプリファイアー(増幅器)82bと、HCPCF82aとを含んでいてもよい。プリアンプ82cおよび増幅器82bは、それぞれ、上述したプリアンプ340および増幅器350と同一または共通の構成を有していてもよい。また、ストレッチングについては、ストレッチングファイバー82dの代わりに、1032nmのCPAステージ330で説明したCFBGを用いた構成を適用してもよい。
【0036】
第2の増幅器82bと第2のHCPCF82aとを直接接続した第2のトレイン82を用いることにより、1030nmを中心とする波長範囲を有する第1のソースレーザー光33から全てファイバーによりポンプ光を発生することができ、最終的なコリメート前に、アライメントフリーのポンプ光パルス52を供給できる。第3の経路303では、HCPCF82aを増幅器82bと直接(フリースペースなしで)接合(接続)することにより、一体化された単一で一連の(連続した)ファイバーの系列(第2のトレイン)82が提供される。したがって、レーザーモジュール30を含む光モジュール10およびシステム1では、1つまたは複数のフリースペース回折格子コンプレッサーおよび他のフリースペースの光学素子を省略することができ、コンパクトにすることができる。
【0037】
また、全てがファイバーからなる(フルファイバーの)ポンプ生成システム(発生系、第3の経路)303を用いることにより、フリースペースを伝搬することにおける損失を低減できるので、ポンプ光パルス52のパワーレベルを容易に増加させたり、レーザーモジュール30におけるエネルギー消費を低減させたりすることができる。HCPCF82aをコンプレッサーとして用いる場合、ナローバンドのポンプ光パルスを生成する用途においては、長さ10~20m、さらに好適には12~15mのHCPCF82aが必要になると考えられる。
【0038】
第4の経路304は、第1の経路302により供給されるストークス光パルス(第1の光パルス)51のチャープレート(チャープ率)と、第3の経路303により供給されるポンプ光パルス(第2の光パルス)52のチャープレート(チャープ率)との少なくとも一方を、それらが実質的に等しくなるように変化させるためのチャープレート調整器308を含んでもよい。この第4の経路304には、ストークス光パルス51のチャープレートを制御するためのチャープレート調整器(コンディショナ)308が含まれる。チャープレート調整器308は、CIR308aと、CIR308aに接続されたCFBG308bとを含んでもよい。第2の経路302からの出力は、CIR308aを介してCFBG308aに入力され、CFBG308aからの反射光がCIR308aに入力され、補正されたストークス光パルス51がCIR308aから出力され、WDM307によりポンプパルス52と重ねられる。ストークス光パルス51およびポンプ光パルス52のチャープレート(複数のチャープレート、CR)は、分光集光技術と同様に処理してもよい。本システム1では、第2の経路302および第3の経路303と統合された(一体となった、集積された)第4の経路304を用いることにより、ストークス光パルス51およびポンプ光パルス52を集めるためのフリースペースの光学素子を用いることなく、ストークス光パルス51およびポンプ光パルス52を、それらが結び付いた照射ビーム31として出射することができる。したがって、よりコンパクトなシステム1を提供することができ、フリースペースを伝搬することにおけるパワーの損失を低減することができる。
【0039】
第5の経路305における第3のトレイン(第3のアーム、第3のライン、光ファイバーの第3の系列)82は、フリースペースなしで接続されたストレッチングファイバー(伸張ファイバー)83dと、プリアンプ(プリアンプリファイアー、前置増幅器)83c、アンプ(アンプリファイアー、増幅器)83bと、HCPCF83aと、SHG23sとを含んでもよい。プリアンプ83cおよびアンプ83bは、それぞれ、上述した1560nmCPAステージ360のプリアンプ370およびアンプ380と同一または共通の構成を有していてもよい。また、ストレッチングについては、ストレッチングファイバー83dの代わりに、1560nmCPAステージ360で説明したCFBGを用いた構成を適用してもよい。
【0040】
直に接続(接合)された第2の増幅器83b、第2のHCPCF83aおよびSHG23sを含む第3のトレイン83を用いることにより、1560nmを中心とする波長範囲を有する第2のソースレーザー光34からの全てがファイバーによりプローブ光を生成(発生)することができ、最終的なコリメート前に、波長の第2の範囲R2とは異なり、波長の第2の範囲R2よりも短い波長の第3の範囲R3を有するアライメントフリーのプローブ光パルス52を提供することができる。したがって、レーザーモジュール30を含む光学モジュール10およびシステム1において、1560nmのベース光パルスから780nmのプローブ光パルス53を生成するための1つまたは複数のフリースペース回折格子コンプレッサーおよび他のフリースペース光学素子を省略することが可能となり、システム1および光学モジュール10をコンパクトにすることができる。また、フリースペースを伝搬することにおける損失を低減できる。コンプレッサーとしてHCPCF83aを用いる場合、長さ5~12m、さらに好適には7~9mのHCPCF83aが必要になると考えられる。SHG23sは、上述したようにPPLNを含んでいてもよい。
【0041】
本システム1では、レーザーモジュール30は、波長域R1に圧縮されたストークス光パルス51と、波長域R2に圧縮されたポンプ光パルス52と、波長域R3に圧縮されたプローブ光パルス53とを含む複合ビーム31を出射する。したがって、レーザーモジュール30を含む光学モジュール10は、フリースペース光学素子29を用いたレンズまたはレンズ系45によるプローブパルス53の遅延および変調を制御するための光路23と、ターゲット5に照射するためのビーム31およびプローブパルス53を合波するための光路のみを有していればよい。このため、光学プレート20上にフリースペース光学素子29を配置する空間を最小限に抑えることができ、フリースペースを伝搬することにおける損失を低減できる。これにより、コンパクトなCARS信号の生成および検出システム1を提供することが可能となる。また、フリースペース(フリーエアー、自由な空気空間)上に実装する領域や素子数を最小限に抑えることで、振動、温度および他の環境変化の影響を抑制でき、信頼性の高いシステム1を提供することが可能となる。なお、遅延モジュール23aおよび変調モジュール23dが不要であれば、ストークス光パルス51およびポンプ光パルス52だけでなく、プローブ53をも含む(オーバーラップさせた)レーザー光を供給するレーザーモジュール30を、第4の経路304と同様の経路を含めて提供することが可能であり、フリースペース光学素子を必要としないシステム1を提供してもよい。
【0042】
図5は、システム1の他の実施形態を示す。このシステム1は、ストークス光パルス51とポンプ光パルス52とを含む2ビームによりCARSを取得する方式に基づくものであり、ポンプ光パルス52はプローブ光パルスとしても機能する。
図6に2ビームCARSの波長プランの一例を示す。ストークス光パルス51は波長1085~1230nm(400cm
-1~1500cm
-1)の第1の範囲R1を有し、ポンプ光パルス52は第1の範囲R1より短い波長1040nmの第2の範囲R2を有する。波長範囲約900~1000nmのCARS信号55が生成される。このシステム1では、レーザーモジュール30を含む光学モジュール10は、フリースペース光学素子29を用いた経路としては、レンズ45を介した戻り光からCARS信号55を分離するための光路のみを有していればよい。なお、システム1が、エピ(後方)CARS信号を検出するシステムではなく、前方CARS信号を検出するシステムである場合には、フリースペース光学素子を用いない構成としてもよい。
【0043】
本システム1のレーザーモジュール30は、オールファイバーソリューション(全てファイバーにより構成)によるレーザーモジュール(オールファイバーソリューションによるレーザー光供給ユニット、フルファイバーレーザーモジュール)であり、ナローバンドのソースレーザー光33を発生するように構成されたレーザー光源100と、フリースペースを用いずに光ファイバーによって構成された複数の経路310とを含む。複数の経路310を含むレーザーモジュール30は、フリースペースを使用せずにフォトニック集積回路によって構成されてもよい。複数の経路310は、(i)ブロードバンドの第1のレーザー光(ストークス光)51およびナローバンドの第2のレーザー光(ポンプ光)52を生成するために、ソースレーザー光33を分割するための第1の経路301と、(ii)ブロードバンドの第1のレーザー光51の波長範囲を広げるとともに増幅するための第2の経路302と、(iii)ナローバンドの第2のレーザー光52を増幅するための第3の経路303と、(iv)ブロードバンドの第1のレーザー光51とナローバンドの第2のレーザー光52とを多重化(オーバーラップ)し、ブロードバンドの第1のレーザー光51とナローバンドの第2のレーザー光52とを時間的に(経路においては空間的に)少なくとも部分的にオーバーラップさせて照射ビームとして出力し、ターゲット5に照射するための第4経路304とを含んでいてもよい。第2の経路302は、上記で説明した第1のトレイン81を含んでもよく、第3の経路303は、上記で説明した第2のトレイン82を含んでもよい。第3の経路303は、第2の経路302においてPCF85を通過するのに要する時間を補償するための遅延ステージ(遅延線)82eを含んでもよく、ポンプ光パルス52をストークス光パルス51と重ねてスキャンするようにできる。遅延ステージ82eは、例えば、ある長さの光ファイバーを備えるものであってもよい。
【0044】
レーザー光源100は、発振器35と1μmレーザー発生ステージ36とを含んでもよい。第1の経路301とレーザー光源100の間には、パルスピッカー(PP)101とプリアンプ102を設けることができる。PP101は、プリアンプ102の前後のいずれかの位置に設けることができる。PP101は、平均電力を低減するために設けられてもよい。
【0045】
以上に説明したように、本発明は、一般に、レーザーモジュール30によって生成されたレーザー光(レーザービーム)パルスを用いた分光(スペクトロスコピー)または顕微鏡用(マイクロスコピー)システム1に関するものである。上記では、レーザーモジュール30をフルファイバーモジュールとして説明したが、素子を接続するためのフリースペースを用いないフォトニック集積回路(光集積回路)を用いて実現することも可能である。
【0046】
我々は、当初、フリースペースコンプレッサーまで行かず、ファイバーベースのSCを直接発生させることだけに焦点を当ており、その後、PCFに戻るようにしていた。この処理では、現在、ミラー、プリズム、フィルターなどの多くのフリースペース光学素子を使用するために光学プレート上の約60%を占める。このような構成は非常に複雑でコストがかかる。本例のシステム1では、フルファイバータイプまたはフォトニック集積回路タイプのレーザーモジュール30が提供でき、この問題を解決することができる。
【0047】
この発明の実施形態の一つとして上述したレーザーモジュール30は、ターゲット5にCARS信号55を発生させるための照射ビームを出射するためのレーザービーム供給装置である。本発明のシステム1は、照射ビームによるターゲットの照射の結果としてターゲットによって生成された信号ビームを検出するように構成された検出器(ディテクタ―)65をさらに備えてもよい。信号ビーム55は、レーザーパルス51および52(ならびに53)によって生成される非線形光学プロセスの結果(共鳴成分、共振成分)を含んでもよい。非線形光学プロセスの1つは、上述のCARSプロセスである。本システム1は、他の非線形光学プロセスにも適用可能であり、例えば、第二高調波発生(SHG);和周波発生(SFG);差周波発生(DM);第三高調波発生(THG);3次和周波発生(TSFG);コヒーレント反ストークスラマン分光法(CARS);誘導ラマン散乱(SRS)(誘導ラマン利得(SRG)、誘導ラマン損失(SRL));光カー効果(OKE);ラマン誘導カー効果(RIKE);誘導レイリー散乱;誘導ブリルアン散乱(SBS);誘導カー散乱;誘導レイリー-ブラッグ散乱;誘導ミー散乱;自己位相変調(SPM);交差位相変調(XPM);2光子吸収;および2光子励起蛍光(TPEF)などのプロセスにも適用可能である。
【0048】
図7は、異なるタイプのレーザーモジュール30を備えたシステム1の異なる実施形態を示す。このレーザーモジュール30の複数の経路310は、上述の第1の経路301、第2の経路302、第3の経路303、第4の経路304および第5の経路305に加えて、ストークス光パルス(ブロードバンドの第2の光パルス)51、ポンプ光パルス(ナローバンドの第2の光パルス)52、およびプローブ光パルス(ナローバンドの第3の光パルス)53を多重化し、ストークス光パルス51、ポンプ光パルス52、およびプローブ光パルス53を、時間遅れを含んで重ねたものを照射ビーム54として出力し、ターゲット5に照射する第6の経路306を有する。第5の経路305の第3のトレイン83は、ストークス光パルス51およびポンプ光パルス52に対するプローブ光パルス52の遅延および変調(遅延を利用した)を制御するためのプログラマブル遅延ライン(PDL、programmable optical path delay module:POPDM)86をさらに含んでもよい。第6の経路306は、プローブ光パルス53のチャープレートを制御するために、第4の経路304のチャープレートコンディショナ(チャープレート制御装置)308と同一または対応する構成を有するチャープレートコンディショナ308を含んでもよい。このレーザーモジュール30では、第4の経路304の第1のWDM307aにより、ストークス光パルス51とポンプ光パルス52とが多重化または複合化(合波)され、第6の経路306の第2のWDM307bにより、時間遅れを含むプローブ光パルス53がストークス光パルス51とポンプ光パルス52とに多重化または複合化(合波)された後に、照射ビーム54として供給される。したがって、このレーザーモジュール30を備えたシステム1では、実質的に、プローブパルス53の遅延および変調を制御するための光路23を含むフリースペース光学素子29を配置するための空間が不要となり、そこに配置するフリースペース光学素子も不要となる。したがって、振動や温度等の環境変動の影響を抑制し、信頼性の高い小型のシステム1を提供することが可能となる。
【0049】
光路遅延を短時間に(実質的な遅延なく一度に)精密に制御できるPDL86は、長さ、構造および/または媒体(光学材料)による複数の遅延を有する複数の経路の中から、電気的または光電気的にプログラムまたはコマンドを介して所望の遅延に適した経路を選択して段階的に遅延を増減させるオンチップ型のマルチチャネルセレクターを含んでもよい。PDL86は、一体化されたヒータまたは圧力(印加される力)を用いて光路遅延を変化させることができる光デバイス(オプトエレクトロニクスデバイス)またはファイバーを含んでもよい。レーザーモジュール30は、第3の経路303によって生成されるポンプ光パルス52のパルス幅を制御するためのパルスピッカー(PP)301bを含んでもよい。ポンプ光として作用する範囲内でポンプ光パルス52のパルス幅を相対的に広げることにより、プローブ光パルス53によってプローブされるベースのCARS信号を生成するための入力エネルギーを増大させ、プローブ光パルス53によって生成されるCARS信号(TD-CARS)55のレベルを増大させることができる。
【0050】
具体的な実施形態に関する前述の説明は、本明細書における実施形態の一般的な性質を十分に明らかにするためであり、他者は、現在の知識を適用することによって、一般的な概念から逸脱することなく、そのような具体的な実施形態を様々な用途のために容易に修正および/または適合させることができ、したがって、そのような適合および修正は、開示された実施形態の意味および等価物の範囲内で理解されるべきであり、理解されることが意図される。本明細書で採用される言い回しまたは用語は、説明のためのものであり、限定するためのものではないことを理解されたい。したがって、本明細書における実施形態は、好ましい実施形態の観点から説明されているが、当業者であれば、本明細書における実施形態は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内で変更を加えて実施することができることを認識するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
レーザーモジュールを有するシステムであって、
前記ユーザーモジュールは、ナローバンドの第1のソースレーザー光を発生するように構成された第1のレーザー光源と、
光ファイバーおよび/またはフォトニック集積回路によってフリースペースを用いずに構成された複数の経路とを有し、前記複数の経路は、
ブロードバンドの第1の光パルスとナローバンドの第2の光パルスとを生成するために前記第1のソース
レーザー光を分割するための第1の経路と、
前記ブロードバンドの第1の光パルスを供給するために、接続された第1の増幅器と、第1の中空コアフォトニック結晶ファイバー(HCPCF)と、高非線形フォトニック結晶ファイバー(HNLPCF)とを含む第1のトレインにより増幅および波長範囲を広げるための第2の経路と、
前記ナローバンドの第2の光パルスを供給するために、接続された第2の増幅器と、第2のHCPCFとを含む第2のトレインにより増幅するための第3の経路とを含む、システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
請求項1ないし
3のいずれかにおいて、
前記第1のソースレーザー光の波長範囲は、1030nmを中心とする、システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
請求項5ないし
7のいずれかにおいて、
前記第1のソースレーザー光の波長範囲は、1030nmを中心とし、前記第2のソースレーザー光の波長範囲は、1560nmを中心とする、システム。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
請求項1ないし
3のいずれかにおいて、
前記照射ビームによる前記ターゲットの照射の結果として、前記ターゲットによって生成される信号ビームを検出するように構成された検出器をさらに有する、システム。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項15
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項15】
請求項
7において、
前記光モジュールは、CARS信号を生成するために、前記第1の光パルスをストークス光パルスとして、前記第2の光パルスをポンプ光パルスとして、前記第3の光パルスをプローブ光パルスとして供給する光路をさらに含む、システム。
【国際調査報告】