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特表2024-539606圧迫療法の使用状況を分析するための制御ユニット、システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】圧迫療法の使用状況を分析するための制御ユニット、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/30 20180101AFI20241022BHJP
【FI】
G16H20/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521132
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 SE2022050916
(87)【国際公開番号】W WO2023063864
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/254,325
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】518193685
【氏名又は名称】アルジョ アイピー ホールディング アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】Arjo IP Holding Aktiebolag
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ニュートン,マイケル デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
少なくとも1の膨張可能なチャンバを含む少なくとも1の膨張可能な圧迫衣類を使用する、患者の四肢または解剖学的構造に対する圧迫療法の使用状況を分析するための制御ユニット、システムおよび方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の膨張可能なチャンバを含む少なくとも1の膨張可能な圧迫衣類(120)を使用する、患者の四肢または解剖学的構造に対する圧迫療法の使用状況を分析するための制御ユニット(200)であって、
当該制御ユニット(200)は、
圧迫療法中に使用され、前記少なくとも1の圧迫衣類のコネクタ内に配置された少なくとも1の圧迫衣類(120)のタイプを検出するための識別コンポーネント(390)と、
検出したタイプに基づいて前記少なくとも1の圧迫衣類(120)への空気圧を調節するための空気ポンプ(110)と、
圧迫療法中に、接続された少なくとも1の圧迫衣類(120)の膨張可能なチャンバの少なくとも1つに存在する圧力を測定して、前記チャンバ内の圧力に対応する信号を生成するための少なくとも1の圧力センサとを備え、
前記圧力センサが、圧迫を加えている間に信号を提供し、その信号が、前記少なくとも1の圧迫衣類(120)内の四肢または解剖学的構造の存在を示す特徴を含み、
前記圧力センサが、前記少なくとも1の圧迫衣類(120)から四肢または解剖学的構造物が取り除かれた結果として、前記少なくとも1の圧迫衣類(120)の圧迫レベルが、以前の圧迫中の信号の特徴と比較して変化したことを示し、
前記少なくとも1の接続された衣類(120)内に四肢または解剖学的構造が存在したときの監視した時間に基づいて、視覚的表示(117a、117c、118)がシステム(100)によってユーザに提供され、
前記少なくとも1の接続された衣類(120)内に四肢または解剖学的構造が存在しないと検出されたときの監視した時間に基づいて、視覚的表示(117b、117d、118)がシステムによってユーザに提供されることを特徴とする制御ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の制御ユニットにおいて、
当該制御ユニットが、前記少なくとも1の膨張可能な圧迫衣類(120)によって囲まれた四肢または解剖学的構造の存在に関連付けられた検出可能な特徴を形成するために、接続された圧迫衣類のタイプと、ポンプ出口に接続された圧力変換器から得られた測定値とを関連付けるように構成されていることを特徴とする制御ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の制御ユニットにおいて、
当該制御ユニットが、
-患者の四肢または解剖学的構造への予防インパルスの動作および送達手段を監視し、
-圧迫衣類に接触している四肢または解剖学的構造の存在の検出可能な特徴を形成するパラメータを測定するように構成されていることを特徴とする制御ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の制御ユニットにおいて、
当該制御ユニットが、患者に装着された別個の遠隔センサと電子通信し、前記センサが、患者固有のパラメータを測定するように構成され、以下の特徴のうち、
-当該制御ユニットが、前記センサから受信した1または複数の信号の分析を実行すること、
-解剖学的構造内の血液の動きの変化が当該制御ユニットの動作の結果として検出されるように、当該制御ユニットが、患者のセンサの変化と当該制御ユニットの動作との間の相関を検出すること、
-当該制御ユニットが、前記遠隔センサとの通信が確立されたことを示す表示をユーザに提供すること、
-当該制御ユニットが、前記遠隔センサの信号に基づいて、経過時間にわたって患者による衣類の使用状況を監視すること、
の少なくとも1つを含むことを特徴とする制御ユニット。
【請求項5】
先行する請求項の何れか一項に記載の制御ユニットにおいて、
前記識別コンポーネント(390)が、フェライト、鋼または黄銅材料で作られていることを特徴とする制御ユニット。
【請求項6】
少なくとも1の圧迫衣類(120)を使用する圧迫療法の使用状況を分析するための圧迫システム(120)であって、
ユーザインターフェース(117)を備え、前記ユーザインターフェース(117)が、
当該圧迫システム(100)が第1の動作状態にあるときの前記少なくとも1の圧迫衣類(120)の使用状況に関連付けられた第1の表示インジケータ(117a、117c)と、
当該圧迫システム(100)が第2の動作状態にあるときの前記少なくとも1の圧迫衣類(120)の使用状況に関連付けられた第2の表示インジケータ(117b、117d)とを備えることを特徴とする圧迫システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
患者の四肢または解剖学的構造への予防インパルスの動作および送達手段を監視し、前記圧迫衣類と接触している四肢または解剖学的構造の存在の検出可能な特徴を形成する圧迫パラメータを測定するように構成された制御ユニットを備えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載の圧迫システムにおいて、
前記圧迫パラメータが、メモリ記憶装置に保持された記録に基づく以前の使用の程度に応じて適応および変更可能であることを特徴とする圧迫システム。
【請求項9】
請求項8に記載の圧迫システムにおいて、
変更可能な圧迫パラメータが、衣類コネクタ(330)内の検知された識別コンポーネント(390)に基づくものであることを特徴とする圧迫システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の圧迫システムにおいて、
当該圧迫システムの記憶メモリ(250)に記憶された当該圧迫システムの以前の使用記録の分析に基づいて、圧迫圧力が調整されることを特徴とする圧迫システム。
【請求項11】
請求項8または9に記載の圧迫システムにおいて、
当該圧迫システムのサイクル時間が、当該圧迫システムの記憶メモリ(250)に記憶された前記圧迫システムの以前の使用記録の分析に基づいて調整されることを特徴とする圧迫システム。
【請求項12】
先行する請求項の何れか一項に記載の圧迫システムにおいて、
前記少なくとも1の圧迫衣類(120)内の四肢の存在の検出が、前記少なくとも1の圧迫衣類(120)の膨張中にのみ行われることを特徴とする圧迫システム。
【請求項13】
先行する請求項の何れか一項に記載の圧迫システムにおいて、
四肢の存在の検知が、圧力変換器、コンプレッサ駆動パラメータ、衣類コネクタタイプ、識別コンポーネントタイプ、または当該圧迫システムの記憶メモリ(250)に記憶された当該圧迫システムの以前の使用記録の分析からなるリストのうちの少なくとも1のパラメータに基づいて行われることを特徴とする圧迫システム。
【請求項14】
圧迫システム(100)であって、
-少なくとも1の圧迫衣類(120)と流体連通する圧迫システムのコネクタ(310)であって、可能性のある複数の衣類タイプのうち、どの衣類タイプが接続されているのかを検出可能であるコネクタと、
-検出されたタイプに基づいて、前記少なくとも1の圧迫衣類(120)への空気圧を供給および調節するための空気ポンプ(110)と、
-圧迫療法中に、接続された少なくとも1の圧迫衣類(120)の少なくとも1の膨張可能なチャンバ内に存在する圧力を測定し、前記少なくとも1の膨張可能なチャンバ内の圧力に対応する信号を生成するための少なくとも1の圧力センサとを備え、
-前記圧力センサが、圧迫を加えている間に、前記少なくとも1の圧迫衣類(120)内の四肢または解剖学的構造の存在を示す特徴を含む信号を提供し、
-前記圧力センサが、四肢または解剖学的構造が前記少なくとも1の圧迫衣類(120)から取り外された結果として、前記少なくとも1の圧迫衣類(120)の圧迫レベルが、以前の膨張時の特徴と比較して変化したことを示し、
-前記少なくとも1の接続された衣類(120)内に四肢が存在しないと検出されたときの監視時間と比較して、前記少なくとも1の接続された衣類(120)内に四肢または解剖学的構造物が存在したときの監視時間に基づいて、当該圧迫システム(100)の制御ユニット(200)によりユーザに視覚的表示が提供されることを特徴とする圧迫システム。
【請求項15】
ユーザインターフェース(117)を備えた圧迫システム(100)の少なくとも1の圧迫衣類(120)を使用する圧迫療法の使用状況を分析するための方法であって、前記ユーザインターフェース(117)が、
-前記圧迫システムが第1の動作状態にあるときの圧迫衣類の使用状況に関連付けられた第1の表示インジケータ(117a、117c)と、
-前記圧迫システムが第2の動作状態にあるときの衣類の使用状況に関連付けられた第2の表示インジケータ(117b、117d)とを備え、当該方法が、前記圧迫衣類が各動作状態にあるときの時間を監視するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
提供された予防の有効性を監視するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、
前記圧迫システム(100)の監視システムにより、少なくとも1の接続された圧迫衣類(120)と、患者の四肢の存在とを経時的に監視して、システムの使用状況の指標を提供するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法において、
監視時間にわたって使用状態を目標使用閾値と比較するステップを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の四肢または解剖学的構造に対する圧迫療法の使用状況を分析するための制御ユニット(すなわち、コントローラ)、システムおよび方法に関する。特に、本発明は、患者に使用する圧迫療法システムの動作および分析に関する。この圧迫療法システムは、少なくとも1の膨張/収縮可能な衣類を流体圧制御システムに流体的に接続するためのカップリングアセンブリを含む。本発明はさらに、時間の経過とともに患者の四肢または解剖学的構造に対して施される圧迫療法の程度を分析し、施される予防を改善するためのオプションを特定および選択するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、空気圧システムに関し、特に、流体源、例えばポンプに接続された膨張/収縮可能な物品、例えば圧迫衣類を有する空気圧システムに関する。このようなシステムの使用には、多くの場合、非使用期間を挟んで患者が使用する複数の個別の期間が含まれることが知られている。それら期間は、1日に何度も発生することがあり、また、患者がシステムを使用する間、複数の看護シフトや日に跨って発生することもある。
【0003】
上記を考慮すると、予防を与えるためにユーザが衣類を接続してシステム動作を開始するときに、患者の四肢が物理的に衣類内に装着されていない場合の、圧迫システムに関連する誤使用のリスクに対処し、これを軽減するシステムおよび方法が必要とされている。上記の場合、結果として、意図した予防が施されずに、この状態がしばらく発見されない可能性がある。別の関連する例として、システムが正しく接続されてセットアップされているが、その後、臨床医が不在のときに患者が衣類を外してしまう場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、患者の四肢または解剖学的構造に対する圧迫療法の臨床的使用を分析および促進するためのシステムおよび方法に関する。
【0005】
圧迫システムの動作に関する使用データの記録が行われる。本発明のいくつかの実施形態の一態様は、使用の増加を促進する目的で、使用の程度についての監視および表示をユーザに提供することである。また、この監視した使用状況に基づいて臨床医に指標を提供して、患者のVTE予防計画のより幅広い態様の管理を支援することであり、それにより、単独または任意の組合せで、当該技術分野における上述した欠陥および欠点の1または複数を緩和、軽減または排除しようとするものである。
【0006】
本発明の一態様は、患者の四肢または解剖学的構造に対する圧迫療法を制御するためのシステム、方法および制御ユニットに関する。これには、足、ふくらはぎ、大腿または腕のような領域への個別の適用または組合せによる適用が含まれる。
【0007】
本発明の一態様は、少なくとも1の膨張可能なチャンバを含む少なくとも1の膨張可能な圧迫衣類を使用する、患者の四肢または解剖学的構造に対する圧迫療法の使用状況を分析するための制御ユニットに関する。この制御ユニットは、圧迫療法中に使用され、少なくとも1の圧迫衣類のコネクタ内に配置された少なくとも1の圧迫衣類のタイプを検出するための識別コンポーネントと、検出したタイプに基づいて少なくとも1の圧迫衣類への空気圧を調節するための空気ポンプと、圧迫療法中に、接続された少なくとも1の圧迫衣類の膨張可能なチャンバの少なくとも1つに存在する圧力を測定して、チャンバ内の圧力に対応する信号を生成するための少なくとも1の圧力センサとを備える。さらに、圧力センサは、圧迫を加えている間に信号を提供し、その信号が、少なくとも1の圧迫衣類内の四肢または解剖学的構造の存在を示す特徴を含む。さらに、圧力センサは、少なくとも1の圧迫衣類から四肢または解剖学的構造物が取り除かれた結果として、少なくとも1の圧迫衣類の圧迫レベルが、以前の圧迫中の信号の特徴と比較して変化したことを示す。さらに、四肢または解剖学的構造が少なくとも1の接続された衣類内に存在するときの監視した時間に基づいて、視覚的表示がシステムによってユーザに提供され、四肢または解剖学的構造が少なくとも1の接続された衣類内に存在しないと検出されるときの監視した時間に基づいて、視覚的表示がシステムによってユーザに提供される。
【0008】
本発明の一態様は、少なくとも1の圧迫衣類を使用する圧迫療法の使用状況を分析するための圧迫システムであって、ユーザインターフェースを備える圧迫システムに関する。ユーザインターフェースは、圧迫システムが第1の動作状態にあるときの少なくとも1の圧迫衣類の使用状況に関連付けられた第1の表示インジケータと、圧迫システムが第2の動作状態にあるときの少なくとも1の圧迫衣類の使用状況に関連付けられた第2の表示インジケータとを含む。
【0009】
本発明の一態様は、ユーザインターフェースを備えた圧迫システムの少なくとも1の圧迫衣類を使用する圧迫療法の使用状況を分析するための方法に関する。ユーザインターフェースは、圧迫システムが第1の動作状態にあるときの圧迫衣類の使用状況に関連付けられた第1の表示インジケータと、圧迫システムが第2の動作状態にあるときの圧迫衣類の使用状況に関連付けられた第2の表示インジケータとを含む。この方法は、圧迫衣類が各動作状態にあるときの時間を監視するステップを含む。
【0010】
上述した実施形態の特徴は、任意の組合せで組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明のさらなる目的、特徴および利点は、本発明の実施形態が添付図面を参照してより詳細に説明される以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1図1は、本発明の一実施形態に係る圧迫システムを示している。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る圧迫システムのフローチャートを示している。
図3図3a~図3dは、本発明の一実施形態に係るグラフィカルユーザインターフェースの一実施形態を示している。
図4図4は、本発明の機能的態様を有する本発明の一実施形態に係る圧迫システムの使用のタイミング図を示している。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る圧迫システムの一実施形態のフローチャートを示している。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る圧迫システムの使用状況監視機能を提供するために使用されるアルゴリズムの論理的概要のシステム図を示している。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る圧迫システムの使用状況監視機能の動作を視覚化したグラフを示しており、使用量が好ましい目標よりも大きい場合を示している。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る圧迫システムの使用状況監視機能の動作を視覚化したグラフであり、計算した使用量が好ましい目標よりも小さい場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態が示される添付図面を参照して、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの様々な形態で具現化され得るものであり、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、それら実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、当業者に対して本発明の範囲を十分に伝えることができるように提供されるものである。同様の符号は、全体を通して同様の要素を指している。
【0013】
静脈血栓塞栓症(VTE)予防を目的とする圧迫システムの分野および範囲内では、それらシステムが1日の中で様々な時間および様々な期間使用されることが知られている。その結果、それらは1日の間に様々なスタッフメンバによって使用され、シフトからシフトへと責任が移される。そのため、ある看護シフトの予防または治療活動を、後続の看護シフトが確認することができれば有益である。これは、個々の患者に関連する圧迫システムの全体的な予防的または治療的動作を、どの臨床医でもいつでも圧迫システムで容易に確認することができる、多忙な救急医療施設において特に有用である。
【0014】
本発明の一態様では、システムが過去の使用状況の監視を利用して、動作の変更に関する推奨を提供したり、設定を自動的に修正したり、あるいは所定の目標の順守度合いに関する進行表示を臨床医に提供したりすることができる。
【0015】
圧迫システムに関連する潜在的な誤使用のさらなる態様は、予防のためにユーザが衣類を接続してシステム動作を開始するが、患者の四肢が物理的に衣類内にフィットしていない場合である。その結果、意図した予防が施されず、その状態がしばらく発見されない可能性がある。関連する別の例としては、システムが正しく接続されてセットアップされているにもかかわらず、その後、臨床医が不在のときに患者が衣類を取り外してしまう場合がある。本発明は、そのような両タイプの例を監視し、それら事象に関連するタイミングを記録し、使用状況監視に基づく表示および警報を通じて臨床医に状況を示すことを目的としている。
【0016】
本発明は、使用状況監視および性能監視という2つの異なる別々の要素を含み、それらを組み合わせている。
【0017】
使用状況監視は、臨床現場における製品の実際の使用状況を対象とする。これは以下の態様の組合せに基づいている。
-圧迫システムの圧迫ポンプに取り付けられた1または複数の衣類のタイプの検出。これにより、ポンプに接続された1または複数の圧迫衣類のタイプとバリエーション、および接続された衣類に最適な関連する圧迫監視パラメータを特定し、自動的に確認することができる。
-必要な数の手足が膨張中に衣類内に存在すると識別されたときのポンプ動作の持続期間の記録を監視することを含む、選択された1または複数の衣類でのポンプ動作の持続期間の時間ベースの監視および記録。この記録は、開始/停止時間の経過時間測定値およびインクリメントする経過時間カウンタの形式の多数のデータ記録の形態で行われる。これにより、時間ベースを有する複数のデータ記録が提供され、その結果、いつ、どのくらいの時間、どの程度効果的に予防が施されたのか、または施されなかったのかをシステムが判定することが可能になる。
【0018】
これは、以下の要素と組み合わされる。
-使用状況監視機能によって経時的に収集されたデータに基づく、施された圧迫療法のアルゴリズムベースのマルチパラメータ分析。この分析により、個々の患者にとって臨床的に適切な所定の動作目標との比較が行われる。
【0019】
経過したポンプ使用の記録に関連する単純なタイマが、圧迫ポンプを含む多くの製品に組み込まれていることが知られている。本発明の新規な態様は、各患者が圧迫システムを使用した個々の持続時間と、システムを使用しなかった個々の持続時間の両方を分析することである。
【0020】
この分析は、圧迫システムの過去の動作の実際の程度に関連する複数の指標を計算するために使用される。
【0021】
さらなる態様では、少なくとも1の計算された指標が、圧迫システムのLCD画面によってユーザに提供される。表示される指標の形式は、値、スコア、パーセンテージなどの数値形式で提供することも、棒グラフ、アイコンまたは他の非数値的な画像形式などのグラフィカル形式で提供することもできる。本発明の一態様では、圧迫システムの使用または不使用の度合いの変化が、指標および関連する視覚的表示に反映されるように、指標のセットが継続的に更新される。指標の少なくとも1の態様では、最近の使用時間と最近の非使用時間との相対的な割合が、以前の期間における同等の割合と比較される。これにより、製品使用に対するプラスまたはマイナスの影響が発生した場合に、長期的な使用状況からの逸脱を早期に特定することができる。
【0022】
さらに、以下に挙げる要素の1または複数を組み込むことができる。
-リアルタイムクロック(RTC)計時デバイスを組み込むことにより、システム動作の実際の時刻などの時間的詳細を提供することができる。その情報は、患者ケア経験の他の態様の毎日のタイミングと関連付けることができる。それらのケア態様は、VTEシステム(例えば、入浴/トイレ/診察/診断処置/投薬など)の使用に影響を及ぼすか、または使用を妨げる可能性があり、それらの時間は、通常、スケジューリングされているか、または他の方法で知られており、よって患者のケア記録に記録される。これまでに実施された予防を示す指標を表示することで、ケア管理の改善、個々の患者に対するVTE予防の監査および報告が可能になる。
-RTCは、開始/停止のタイムスタンプベースのアプローチにより、使用の個々の事象および不使用の個々の事象のログという形式で、タイムスタンプ付きの記録をデジタルメモリ内に保存することも可能になる。これには、ポンプからの衣類の取り外しおよび/またはポンプの物理的な電源オフなど、臨床医の活動によってポンプが使用されなくなることに関連する活動の時間および持続時間が明確に記録されることが含まれる。したがって、個々の使用エピソードが識別され、後の分析および臨床医への報告のために記録されるとともに、患者の電子医療記録(EMR)に含められる。
【0023】
本発明の一態様では、個々のエピソードの経過時間だけを記録するのではなく、事象の開始と停止のタイムスタンプの両方が使用される。この基本データから、システムの使用および施された予防の詳細でかつ関連性のある時間付きログを構築することが可能である。システムの警告およびポンプの動作設定など、さらなる記録をログに含めることができる。
【0024】
性能監視は、前述した使用監視データを拡張および構築して、患者に施された予防の有効性に関連する多数のパラメータおよび動作指標を経時的に特定および生成することができる。これにより、監視された使用状況に基づくアルゴリズムベースのスコアと、他の追加的に検知および記録されたパラメータとを使用して、経時的に送達された予防の量に関するフィードバックがユーザに提供される。例えば、患者の睡眠状態と覚醒状態の間で人体の状態が大きく変化し、また、特定の治療(例えば、医薬品)が特定の時間または期間に適用されることにより、施される圧迫の効果に影響を与え得るため、時刻は、製品の使用状況を分析する際の追加の基準およびデータポイントとして重要である。
【0025】
また、本発明は、所定のまたは推奨される全体的な閾値または目標と比較して、使用量が不十分である場合に、独自のアルゴリズムを利用して、ユーザに視覚的な推奨を提供することもできる。この閾値または目標は、接続された各衣類タイプに関連する識別コンポーネントと関連付けることができ、または識別コンポーネントにより選択または構成することができるか、または臨床入力に基づいて制御システムによって(例えば、ポンプに配置されたユーザインターフェースの一部を使用して)、より一般的に設定することもできる。本発明の一態様では、ポンプへの衣類の接続時の自動設定手順によって、ポンプに取り付けられた特定の衣類のタイプのコネクタに配置された識別コンポーネントの一態様に基づいて、衣類のタイプごとに、異なる閾値を設定することができる。これにより、目標または閾値に対して、複数の設定のなかから衣類に固有の設定を作成することができる。本発明のさらなる態様では、この閾値設定が、衣類が新たに製造されて未使用であるときに第1の値に設定され、同じ衣類が初期使用のために適合する承認されたポンプ内に挿入されるときに第2の値に変更または適合され得る。この態様により、ポンプは、患者に着用されている新しい未使用の衣類と、採用される圧迫パラメータまたは監視アルゴリズムに関して異なる動作を必要とする可能性のある以前に使用された衣類とを容易に区別することができる。
【0026】
この同じ態様およびプロセスは、衣類が、最初の患者の使用後、2番目の患者の使用前に、洗浄または滅菌を含む再処理を受ける場合にも同様に適用可能であり、それにより、限られた動作寿命を有する衣類が、真新しいものではないという点で臨床医に識別されることを示す手段を提供することができる。この態様は、本発明の閾値設定の利点と、衣類の動作の性能監視に関連する二次的な利点とを組み合わせたものである。圧迫衣類が古くなるにつれて、各タイプに使用される材料に依存して、その材料特性が変化し、よって、その機能または信頼性に影響を与える可能性がある。この結果は、1人の患者に対する継続的な使用による繰り返しの膨張の影響、複数回の再処理洗浄および試験サイクルの影響、または複数の患者による使用のいずれかによって発生する可能性がある。最適な動作を提供するために、本発明は、識別コンポーネントを利用して、使用時の圧迫衣類の動作を測定するアルゴリズムを支援することができる。
【0027】
本発明のさらなる態様は、ポンプ制御システムが、動作が監視されている複数のタイプの圧迫衣類のなかから各タイプまたはファミリーの圧迫衣類を一意に識別できるように、衣類コネクタに配置された複数の識別コンポーネント(サイズ、材料、位置)の使用を含む。
【0028】
実際の使用中に使用状況の指標および検知されたコンプライアンスを提供するためのアルゴリズムの使用は、間欠空気圧迫(IPC)治療の先行技術(例えば、WrightのUS9,889,063)で知られている。本発明は、VTE予防に関連する様々な指標、取り付けられた各衣類コネクタ内の衣類識別コンポーネント、および予防/治療を提供する動作中またはポンプがアクティブな空気圧動作中でないときの各衣類およびポンプの使用状況の監視を組み合わせるのに加えて、現在および将来の使用の両方の臨床的意思決定を支援するための関連する推奨および決定を行う点で異なる。
【0029】
この圧迫システムは、以下の態様の1または複数を含む。
-衣類コネクタに配置され、圧迫システムによって検知される識別コンポーネントによって、ポンプに流体接続された特定の衣類タイプを識別すること。最近のシステムの使用状況の分析に基づく指標の形態の少なくとも1の生成されたパラメータは、識別コンポーネントに関連する衣類タイプについて規定された時間枠にわたって送達された予防の程度に関連する。
-少なくとも1のパラメータは、重み付けを有し、圧迫システムのコントローラ内のソフトウェアによって実行される決定アルゴリズムの一部を形成する。
-ポンプは、前述した衣類コネクタの接続に応答して、自動的にスイッチを入れるか、または他の方法でそのユーザインターフェースを変更する。
-ポンプは、前述した衣類コネクタの接続に基づいて、治療/予防の適用を自動的に開始する。
-分析の時間枠は、実際の経過時間(例えば、RTCまたは同等のものによって監視されるようなクロック/カレンダ時間)に関連付けられるか、または実際の経過時間に基づくものであり、かつ前述した衣類コネクタの接続、ポンプからの前述した衣類コネクタの取り外し、またはポンプの要素ユーザインターフェースの使用のうちの少なくとも1つに関連付けられる。分析のための期間は、ポンプ制御システム、検知された識別コンポーネント、またはユーザの選択を介して、複数の期間のなかからさらに選択可能であり、特定の選択可能な日付/時刻の間または計時期間など、様々な異なる選択可能なオプションを包含する。代替的には、期間は、より単純に、直近の数時間または数日を含む期間、または個々の患者のシステム使用のより長期間の合計を含むことができる。
-計算された指標の形態の生成されたパラメータは、圧迫システムが意図的に動作していないとき(スイッチがオフのときや予防を施していないときなど)として規定される、圧迫システムの最近の監視された使用の欠如と比較して、監視された最近のシステムの使用状況に関連付けられる。
-計算された指標の形態の生成されたパラメータは、圧迫システムが意図的に使用されているが、衣類が四肢に装着されていない、または四肢から取り外されていると検知された場合に、最近の監視された使用状況と比較して、システムの監視された使用状況に関連付けられる。
-計算された指標の形態の生成されたパラメータは、利用可能な各システム動作モードまたは予防タイプに関連する最近のシステムの使用状況に関連付けられる。動作モード/予防タイプの範囲は、制御システム内で選択可能である。
-計算された指標の形態の生成されたパラメータは、最近のシステムの使用状況および接続された衣類のタイプに関連付けられる。
-指標の形態の生成されたパラメータは、最近のシステムの使用状況と、システムおよび関連する接続された衣類の警告状態とに関連付けられる。
-指標の形態の生成されたパラメータは、最近のシステムの使用状況に関連付けられ、検知されたパラメータ(四肢から測定されたものなど)の測定は、適用された予防に関連付けられる。
-少なくとも1の計算された指標の形態の生成されたパラメータは、最近のシステムの使用状況に関連付けられ、少なくとも1の臨床パラメータは、システムを使用する患者に関連付けられる。臨床パラメータは、圧迫とは別の機能として圧迫システムによって測定されるか、代替的には外部の患者監視デバイスによって提供される。バイタルサイン(脈拍数、体温、呼吸数、血圧)、および他の関連する臨床測定値(例えば、酸素飽和レベル、危険因子および移動度合い)など、様々な臨床パラメータを利用することができる。
-計算された指標の形態の生成されたパラメータは、最近のシステムの使用状況に関連付けられ、変数は、患者のVTE危険因子、全身状態およびケアプランに関連付けられる。
-圧迫システム内で動作するアルゴリズムは、少なくとも1の重み付けされたパラメータを使用し、圧迫システムの動作および/または臨床医への伝達において圧迫システムが使用するための計算された指標を提供する。
【0030】
上記態様およびパラメータは、システムの使用状況の分析に患者固有の態様を提供するために使用することができる。さらに、上記態様およびパラメータは、複数の患者が使用する場合の圧迫システムの使用状況の分析に、圧迫システム固有の態様を提供するために使用することもできる。
【0031】
上述したパラメータと指標の計算は、圧迫システム内のマイクロコントローラ上で動作するソフトウェアを使用して、圧迫システム内で実行される。指標は定期的に計算され、アルゴリズム内のパラメータで使用するために更新される。
【0032】
パラメータおよび指標は、独自のアルゴリズムを使用して本発明で使用され、それにより目標、閾値または必要な使用度に対する将来の利用および予想される予防性能の予測とともに、現在のシステム使用の有効性の推定を提供する。アルゴリズムの結果は、使用または動作の手動による変更を推奨するためにユーザに表示することができ、代替的には、圧迫システムの使用状況および/または有効性の向上を促進する目的で、システム動作の変更を自動的に開始するために使用することもできる。アルゴリズム結果は、視覚的表示によって局所的に伝達することができ、かつ/または個々の患者の記録または他の施設管理システムに記録するために、システムによってより広く伝達することができる。ユーザに対する視覚的表示は、例えば、図1および図3a~図3dの圧迫システムに示すように、ユーザインターフェースを介して行うことができる。
【0033】
本発明の一態様では、それらの監視および計算された個々の使用状況および有効性パラメータが保存され、個々の患者の記録および施設管理の一部として、また、強化されたシステム動作の一部として、さらなる分析のために呼び出すことができる。
【0034】
各パラメータには重み付けが与えられ、それにより、アルゴリズム計算において様々な各パラメータの相対的効果および重要性を考慮することができる。
【0035】
それらの個々のパラメータの重み付けをユーザまたはアルゴリズム自体によって適応的に変更できることは、本発明の範囲内である。個々のパラメータおよび指標は、接続された圧迫衣類に関連付けられた識別コンポーネントによって示される、使用される具体的な衣類タイプに個別に関連付けられる。
【0036】
本発明のさらなる態様では、圧迫システムが、機械ベースの学習アプローチの使用など、その内部アルゴリズム動作を更新するための人工知能技術の使用を含む。これには、長期間の使用にわたってアルゴリズムをさらに強化するために、マルチパラメータ分析、予測分析、統計的最適化およびヒューリスティックを含む、様々なソフトウェアベースの技術が含まれる。圧迫システムは、本質的に適応性があり、複数の患者の使用エピソードから得られた結果に基づいて、その動作、形式または構造の要素を含むアルゴリズムを改良することができる。したがって、アルゴリズムは、実際のシステム使用で得られた経験から収集されたデータに基づいて、その機能と動作を改善することができる。圧迫システムの動作のこの機械学習の態様に関連して、アルゴリズムは、その後の解釈と評価のために、その学習状態、展開および強化に関する追加の指標を提供することができる。
【0037】
また、圧迫システムは、圧力レベル、サイクル時間、膨張速度、収縮期間および他の特性など、その動作上の圧迫パラメータに関してその機能を変更することができる。これは、アルゴリズムの結果、そのパラメータと指標、および取り付けられた1または複数の衣類の1または複数のコネクタに配置された識別コンポーネントによって規定される、システムに取り付けられた圧迫衣類のタイプに基づいている。このアプローチは、動作の代替的手段を提供し、先行技術で利用可能な固定および規定された動作と比較して、強化された圧迫システム動作を可能にする。この強化は、システムが監視する使用状況と、接続された具体的な衣類のタイプの検出との組合せに関連付けられたデータのアルゴリズム分析によって可能になる。
【0038】
アルゴリズムからの出力と個々のパラメータは、(例えば、インターフェースを介して)ユーザに報告され、(例えば、無線通信を介して)遠隔通信され、または圧迫システムの動作パラメータの選択または変更において圧迫システムによって利用される。
【0039】
この通信能力の結果として、本発明の別の態様では、圧迫システムが、その過去の使用および性能の分析結果に基づいて、その現在の動作モードを自動的に変更することができる。これにより、使用の程度に基づいて送達される予防の自動的な変更が可能になるとともに、適応的な動作モードが可能になり、例えば最適ではない使用期間の後、システム動作および関連する患者ケアの両方が改善される。提供される予防動作におけるこの適応的変更の態様には、例えば圧力波形、衣類圧力レベル、サイクル時間などの典型的な圧迫パラメータの修正が含まれる。
【0040】
アルゴリズムは、実際の使用における長期的な傾向と比較して、最近のシステムの使用量に関する助言表示をユーザに提供するように構成することができる。このアプローチにより、患者に対する製品の臨床的使用が臨床的に処方されたものと一致しているかどうかを確認することができる。
【0041】
この機能をさらに拡張して、傾向が選択可能な使用の閾値に達する可能性があるかどうかの任意選択的な表示を含めることもできる。この例には、実際の使用量と、臨床方針または推奨事項に関連する規定された使用量を達成するために必要な使用とを経時的に比較することが含まれる。これは図7図8に図示されており、様々な使用例が示されている。
【0042】
図7は、開始時点(t=0)から将来の時点(tperiod)までの経時的な圧迫システムの使用状況の一例を示しており、そのタイミングは、x軸に示されており、複数時間から複数日までの選択可能な期間であり得る。この期間中、Y軸に目標使用として示されるように、圧迫システムの所定の目標使用が必要とされることが予想され得る。この目標は、各24時間の75%など、意図した動作時間(tperiod)の選択可能な値または割合の形態で示される。実際の使用量は測定され(図では達成可能な最大値と表記)、累積されてY軸上に表示される。これによると、第1の表示タイプがアクティブな使用期間中(t0~t1)および(t2~tperiod)は値が増加し、一方、t1~t2の非使用期間中は増加しないことが分かる。この例では、圧迫システムは使用状況を監視することができ、短い非使用時間(t2-t1)により、(達成可能な最大値>目標値として示される)その目標使用を達成することが可能であるという予測を計算することができる。その結果、予防の欠如に関連する警告はユーザに提供されず、代わりに肯定的な表示が提供される。
【0043】
図8は、図7と比較した同じ圧迫システムの使用状況の代替的なシナリオ例を示しており、非使用期間(T3-t1)がより長くなっている。このように期間が長くなった結果、分析中の残りの期間(tperiod)で予防の目標量を達成することはもはや不可能である。この使用の減少の結果、不足の可能性が計算され、制御システムは、残りの時間で目標レベルを達成するのに十分に圧迫システムを使用することが不可能であること(すなわち、目標値>達成可能な最大値)を特定することができる。圧迫システムは予測分析を実行することができるため、より早い段階で、(t=tshortfallとして示される)システムの使用/不使用のこの将来の状況を検出することができ、それにより、臨床医/ユーザに早期の指示を提供することができる。この表示により、患者の臨床的利益のために、圧迫システムの使用および患者のケアにおいて代替的措置を講じることができる。さらなる態様では、製品の残りの使用期間にわたって使用および/または性能がさらに増加するように、圧迫システムが、この特定された状態に基づいて、その動作を適応させるように構成することができる。この使用の増加は、ユーザインターフェース117上の変更された表示による促進によって達成され、圧迫性能の増加は、圧迫動作パラメータ(例えば、圧力またはサイクル時間)の自動的な変更によって可能である。
【0044】
図7および図8に示す例を通じて説明した本発明が、患者ケアの早い段階で使用不足を有益に強調できることは、当業者に明らかであろう。これは、予防が不十分な状態が発生して進行している状況を回避するのに役立ち、よって、その状況が修正不能になる前に圧迫システムの使用を増加させるのに役立つ。監視された圧迫システムの予測的かつ積極的なアプローチにより、患者の転帰を改善することができ、先行技術に対する改善をもたらすことができる。以前の使用と必要な目標使用の監視の組合せにより、圧迫システムの使用による臨床転帰の改善に役立つより多くの情報を臨床医に提供することができる。
【0045】
図7および図8に示す使用期間および非使用期間の例はともに、多くの個々のより短い期間から形成され得ることは、当業者には明らかであろう。圧迫システムは、監視された使用のすべてのエピソードに対して動作する集約分析アプローチを通じて、それらの複数の期間を同じように処理することができる。さらに、このアルゴリズムは、提供された予防のレベルやタイプとともに、使用の性質に基づいて患者記録に記録することができるスコアの形態で指標を提供することができる。
【0046】
本発明に含まれる性能監視の他の態様には、圧迫衣類の膨張および収縮の間に圧迫システムによって取得された測定値を使用して、患者の四肢または他の解剖学的領域上に装着された衣類の締め付けを監視することが含まれる。これは本発明の一部を形成し、提供された予防の有効性を評価するさらなる手段を提供し、それにより使用状況および性能監視の別の態様を提供する。これは、個々の圧迫衣類が臨床医または患者によって適切に装着されているかどうかを検出し、ユーザに制御調整または指示を提供するために使用することができる。本発明のこの態様により、本明細書に記載のアルゴリズムに含まれる直接的なフィードバック測定の観点から、圧迫の有効性を特定することができる。
【0047】
従来技術でよく知られているような、ポンプの作動時間に基づく単純なコンプライアンスタイマの代わりに、監視システムは、圧迫衣類における四肢の存在の検出に基づいて、複数の個々の使用エピソードの累積的効果を分析および測定するコンプライアンスタイマとして使用することもでき、それにより、四肢に実際に提供された予防の測定値を与えることができる。このアプローチは、単純な動作時間の合計に頼るのではなく、患者の各圧迫使用期間および非使用期間および持続時間の個別の態様を特定、合計および分析しようとするものである。したがって、このアプローチは、単純な全体的な合計計時に基づく従来のコンプライアンス監視よりも、より有用な臨床機能を提供する。本発明は、予防が患者の四肢に現在適用されている期間、および/または四肢に適用されていない期間の監視および表示を提供する。
【0048】
一態様では、ポンプが、衣類が患者の四肢から取り外されてからの経過時間、または衣類がポンプコネクタへのプラグが外されてからの経過時間を監視および表示し、いずれもポンプ制御にアクセスすることなく行うことが可能である。本発明が監視するのは、このような患者の制御不能な活動または行動であり、これが臨床実践における不十分な予防の主な原因であると考えられているからである。このような状況の実際の例としては、患者がトイレに行くために四肢またはポンプコネクタから衣類を取り外したが、戻ってきたときに四肢またはポンプに衣類を再装着しなかった場合が挙げられる。このような場合、圧迫システムは第1の表示状態から第2の表示状態に切り替わり、取り外しが生じてからの経過時間が表示される。この態様により、臨床医は、このような使用不足の期間と、その結果生じる所定のケアのコンプライアンス不足を容易に把握することができる。臨床医は、衣類の再装着および予防の再開という観点から、患者に対する安全かつ適切な介入について、情報に基づいた判断を下すことができる。
【0049】
図1は、先行技術で知られており、本発明を具現化することができる流体圧制御システム100、すなわち圧迫システムの一般的な構成を示している。一実施形態では、流体圧制御システム100が、空気圧制御システムのような気体圧制御システムであるか、または圧迫衣類のような着脱可能なまたは一体化された膨張可能/収縮可能な物品のいずれかによる適用に適した任意のタイプの流体に基づくものである。
【0050】
代替的な実施形態では、制御システムおよび圧迫衣類が、物理的に互いに一体化され、制御システムが圧迫衣類上に取り付けられている。このような構造形式は、使用状況監視態様を含む、本明細書に記載の本発明の他の態様も可能にするため、この一体化された構造形式は本発明の範囲内にある。
【0051】
流体圧制御システム100は、膨張可能/収縮可能な物品120と、ポンプ110と、ポンプ110に動作可能に接続されたコントローラ(図1には図示せず)とを備える。コントローラは、ポンプ110を制御するためにポンプ110に動作可能に接続されている。ポンプ110は、空気圧ポンプであってもよい。コントローラは、患者の解剖学的構造に圧迫を加える第1の動作状態と、圧迫を加えるが患者の解剖学的構造が存在しない第2の動作状態と、非アクティブ/アイドル状態またはスイッチオフなどの第3の非圧迫状態とを含む様々な状況下でポンプの使用状況を監視する。各状態の時間は独立して記録および分析され、ディスプレイは、個別の各状態における経過時間が提供されるように、各状態を視覚的に区別するように構成されている。
【0052】
一実施形態では、ポンプ110が、膨張可能/収縮可能な物品120との間の流体の流れを制御するように構成されている。したがって、ポンプ110は、膨張可能/収縮可能な物品120を膨張または収縮するように構成されている。一実施形態では、膨張特性の制御は、ポンプのユーザインターフェースを介して、複数の利用可能な特性(例えば、圧迫圧力、立ち上がり時間、サイクル時間など)のなかから選択される。好ましい実施形態では、それら膨張特性が、接続された衣類のタイプを自動的に検出する手段によって選択され、よって、接続された衣類のタイプに対する適切な特性の選択および設定に際してユーザの操作の必要性を低減することができる。好ましい実施形態では、衣類タイプの自動検出が、各衣類タイプに特有の衣類コネクタに配置された識別コンポーネントの使用によって行われる。さらなる実施形態では、接続された各衣類のコネクタに配置された識別コンポーネントが、接続された個別の各衣類のタイプの監視手段、アルゴリズムおよびパラメータを選択するために使用される。
【0053】
流体圧制御システム100は、膨張可能/収縮可能な物品120(例えば、圧迫衣類)とポンプ110とを流体的に接続するためのカップリングアセンブリ300をさらに備える。カップリングアセンブリ300は、コネクタ330および接続部材310を含む。
【0054】
コネクタ330は、係合時に、コネクタ330および接続部材310を通る流体通路を形成するように接続部材310に接続可能である。したがって、コネクタ330は、接続部材310に接続可能であり、それによりカップリングアセンブリ300を通る流体連通を可能にすることができる。一実施形態では、流体が識別コンポーネント390を通って流れ、識別コンポーネントが、例えば円柱またはコア形状に形成されたフェライトまたは黄銅材料の形態であり、識別コンポーネント390が衣類コネクタ330内の流体の流れを実質的に取り囲むように衣類コネクタ330内に取り付けられる。
【0055】
コントローラ/ポンプ110を含む例示的な形態で図1に示される圧迫システム100は、内部に配置されて、ソフトウェアベースの機能を提供するマイクロコントローラ210と、視覚的および聴覚的要素を含むユーザインターフェース117と、患者が装着可能な圧迫要素をシステム100に接続する少なくとも1の手段114とを含む。圧迫要素は、患者の四肢または解剖学的構造に装着するための少なくとも1の圧迫衣類120の例示的な形態で示され、この圧迫衣類は、分離可能な物理的コネクタ部分310、330を含むコネクタ構成CAを介して接続手段114に装着可能300である。衣類側のコネクタ部品330は、本体331を有するとともに、識別コンポーネント390を含み、それにより、コントローラ/ポンプが、複数の様々なタイプの中から接続された衣類のタイプと、接続された衣類のタイプの監視に関連付けられた複数のパラメータとを検出することが可能となっている。コントローラ/ポンプ110は、個々の患者による使用時および非使用時の圧迫要素/衣類120の使用状況を監視して、その状態の指標および分析を提供することができるように構成されている。さらに、このシステムは、例えば医療施設内で、複数の患者による長期間におけるその使用の程度を監視して、その使用に関連する情報および傾向を特定することができる。
【0056】
図2は、圧迫システム100に見られる制御システム200の要素の論理的構成を示している。図2では、制御態様の構成が、個々の機能要素および論理要素とともに示されている。それら要素は、説明を容易にするために個々の要素として示されているが、それらが、いくつかの実施形態において物理的に組み合わされることは本発明の範囲内である。本発明の一態様には、圧迫システムの使用状況を経時的に監視して、予防的または治療的医療デバイスとしての有効性を推定することを意図した独自のアルゴリズムの提供が含まれる。
【0057】
一実施形態では、患者の解剖学的構造、例えば足、ふくらはぎまたは大腿などの四肢に取り付けるための少なくとも1の衣類タイプが提供される。衣類は、その機能(例えば、膨張)を通して直接的に、または膨張可能なチャンバまたは他のデバイスなどの代替的な圧迫手段のための取付および配置機能を提供することによって、患者の解剖学的構造に圧迫を与える。接続された各衣類は、衣類検出要素222によって検知され、これにより、メインシステムコントローラ210は、検出された衣類のタイプに基づいて、接続された各衣類に必要な圧迫を識別し、構成することができる。
【0058】
圧迫は、圧迫手段221を介して接続された各衣類120によって与えられ、(例えば、空気源および通気バルブ装置による空気圧を使用して衣類の領域を膨張させるか、または患者の解剖学的構造に直接圧迫力を与える他の手段によって)圧迫手段221が衣類に圧迫を提供および除去する。この圧迫手段221は、複数の衣類にまたがって共有されるようにしても、または衣類ごとに独立して設けるようにしてもよい。
【0059】
圧迫手段221は、解剖学的構造との係合の程度および圧迫の効果についてメインシステムマイクロコントローラ210にフィードバックを与える。周知のように、膨張可能な衣類内の圧迫圧力は、圧力測定要素230(例えば、圧力変換器)を使用してメインシステムマイクロコントローラ210によって容易に監視される。これにより、衣類120に対する圧迫の正確かつリアルタイムの制御および送達が可能になるだけでなく、漏れおよびエラー状態の検出も可能になる。他の非圧力測定値など圧迫手段221からの追加のフィードバックは、解剖学的領域への圧迫の検出、正確かつ一貫した送達を確実にするために使用することができる。
【0060】
メインシステムマイクロコントローラ210は、図1および図3aに詳細に示すようなLCDディスプレイのような視覚的インジケータ、および/または圧迫システムの一部として配置された他のLEDベースのインジケータからなるユーザインターフェース117を介して、圧迫システム100の状態に関する視覚的フィードバックをユーザに提供することができる。また、ユーザインターフェース117は、スピーカ、圧電サウンダまたは他の形式の可聴デバイスを使用して、ユーザに可聴式フィードバックも提供することができる。また、ユーザインターフェース117は、ボタン、キーパッドおよび他の形態のユーザ入力部を使用して、システム動作、動作モード、設定、および他のユーザ選択可能な特性の選択を通じて、圧迫システム100の制御を提供することができる。図3aは、利用可能なグラフィックアイコンのフルセットが表示されたLCDパネルの形態で、先行技術で知られている圧迫システム100の例示的なグラフィカルユーザインターフェース117を示している。異なる時間および異なる動作モードでは、特定のグラフィックアイコンのみが表示される。それらは、異なる動作モード中および異なる時点における圧迫システムの様々な機能および動作状態の表示を提供する。
【0061】
動作および本発明の一態様では、使用するために監視されている検出された衣類とともに、圧力が(例えば、mmHgのような便利な単位で)表示される。表示された圧力は、衣類および患者の解剖学的構造への送達圧力の表示であり、圧力の範囲は、衣類コネクタ内に配置された識別コンポーネントによって識別される、接続された衣類タイプに関連付けられる。脚に使用することを意図した第1の衣類タイプに対する好ましい目標圧力を含む例示的な一実施形態では、目標圧力が<65mmHgであり、適用期間および実際に送達された圧力が、制御システムによって監視され、記録される。足に使用することを意図した第2の衣類タイプに対する好ましい目標圧力を含むさらなる例示的な実施形態では、目標圧力が<140mmHgであり、適用期間および実際に送達された圧力が、制御システムによって監視され、記録される。
【0062】
計時要素240は、例えばリアルタイムクロック(RTC)の形態で提供され、計時期間、クロックおよびカレンダ情報などの時間ベースの情報を提供するために使用され、その情報は、システムメモリ280に格納され、ソフトウェアメインシステムコントローラ上で実行されるオペレーティングソフトウェアによって使用され得る。
【0063】
記憶メモリ要素250が設けられており、この記憶メモリ要素によって、メインシステムマイクロコントローラ210は、システムの使用期間(すなわち、意図および規定された期間)だけでなく、非使用期間(すなわち、動作、または意図または規定されたものに反する動作)の両方に関連するデータおよび記録を記憶することが可能になる。また、記憶メモリ要素は、計時要素240によって提供される計時情報を含む。これにより、患者ケアの典型的な期間(例えば、数時間および数日間続く期間)に関連するデータと、複数の患者による(例えば、数週間および数ヶ月にわたる)ポンプの使用状況に関連するデータの不揮発性ストレージが可能になる。このデータにアクセスして分析することにより、医療施設内のスタッフによるシステム使用の有効性に関する情報を提供することができる。本発明の一態様では、圧迫システムメモリ280が、四半期ベースの分析および報告を可能にするために、少なくとも3ヶ月の期間を含む使用および不使用の複数の活動記録を保持できるような適切なサイズとされる。さらなる実施形態では、記憶メモリ250が、少なくとも6ヶ月の期間を含む使用および不使用の複数の活動記録を記憶することができるようなサイズとされ、追加のデータのアーカイブおよび検索の利点を可能にする。
【0064】
メインシステムマイクロコントローラ210は、この使用情報を、遠隔通信要素260(例えば、BluetoothまたはWi-Fiを使用した無線接続、またはUSBなどの有線接続)を使用して、記憶メモリ250から外部デバイスに伝えることができる。
【0065】
さらに図1を参照すると、流体圧制御システム100は、ユーザインターフェースである表示デバイス117をさらに備える。表示デバイス117は、コントローラに動作可能に接続されている。表示デバイス117は、衣類の識別に基づく表示、および/または使用状況に基づく表示をユーザに提供するように構成されている。
【0066】
一実施形態では、表示デバイス117がポンプ110に設けられている。すなわち、表示デバイス117はポンプ110のケーシングに取り付けられている。一実施形態では、表示デバイスを接続部材310に取り付けることもできる。このため、ユーザは、ポンプ110への接続を操作している間に、接続および使用に関する指示が与えられる。
【0067】
一実施形態では、表示デバイス117が圧迫衣類120に取り付けられて、ユーザに解剖学的な圧迫点の指示を与える。その目的は、解剖学的部位に物理的に装着された時点で使用信号および状態を示し、それにより、取り外しプロセスに視覚的に影響を与えて、使用量の増加を促進することである。
【0068】
一実施形態では、表示デバイス117が、LCDディスプレイなどのディスプレイユニットである。一実施形態では、LCDディスプレイが、接続された各衣類の識別コンポーネントによって示される、接続された衣類のタイプに関連付けられたグラフィカルアイコンを使用する。
【0069】
一実施形態では、コントローラが、ポンプ110の上または中に設けられる。別の実施形態では、コントローラが、衣類120の上または中に設けられる。
【0070】
図3aに示すように、グラフィカルLCDディスプレイの形態の表示デバイス117は、圧迫システムに関連する様々な異なる機能に関連付けられた完全な範囲のアイコンとともに示される。
【0071】
図3bは、衣類が接続されていないとき、すなわち患者が使用する前のシステムの使用状態の表示に使用される、図3aに示すパネル内の特定のアイコンを強調表示している。この要素は、製品が予防に使用されていないときの表示を示している。この表示は、ポンプに接続されていると現在検知される、接続された衣類が存在しないことを示している。システムの過去の合計使用量は、表示の右下隅118に、時単位および分単位で期間を示すのに使用できる複数桁のデジタル経過時間メータの形態(例えば、888時間)で示すことができる。また、この表示は、圧迫システムの各圧迫出力について例示的な四肢117bのセクションの複数のグラフィックアイコンを含む。
【0072】
図3cは、システムが患者の脚、特にふくらはぎへの接続を意図した、監視に利用することができる2つの衣類の接続を検出したときの圧迫システムの例示的な表示を示している。接続された衣類のアイコンのセットが117cに視覚的に表示され、表示の右下隅118に複数桁のデジタル経過時間メータの形態で使用情報が表示され、それが、圧迫システムの合計使用および継続使用、および任意選択的には接続された衣類のタイプに関連付けられている。図3cは、図3aのアイコンのうち、患者による使用状況監視に関連付けられた第1の表示状態117a、117cの表示に関連するアイコンのみを示している。これは、足、脚およびふくらはぎを有する四肢のような解剖学的構造と関連付けられたアイコンと、四肢の領域に取り付けられた様々な衣類アイコンと、複数桁の7セグメント数値表示を含む計時表示118とを含む。表示される衣類アイコンの性質は、衣類検出手段によって検出されたものに依存する。異なる衣類のタイプに異なるアイコンを使用することは本発明の範囲内である。計時表示に表示される計時情報は、接続された衣類の監視された使用状況に関連付けられる。
【0073】
図3dは、図3cで詳述したのと同じ接続されたふくらはぎ用衣類を用いて動作する圧迫システムの第2の状態表示117dの一例を示しているが、患者の手足が存在しない。表示117の右下隅118に表示される使用情報は、複数桁の経過時間メータの形態にすることができ、計時情報が、それら衣類の不使用に関連付けられるように変更される。この監視された計時情報は、最初は分単位で表示され、次いで監視された経過時間の値に応じて時単位および分単位で表示される。
【0074】
この表示状態は、患者の四肢が存在しないと検知され、圧迫システムが所定の治療または予防を提供していない状態と関連付けられる。計時表示に表示される計時情報は、接続された衣類の監視された使用不足に関連付けられる。
【0075】
図4は、患者による図1の圧迫システムの典型的な使用シナリオの一例を絵入りで示している。この図は、使用期間と非使用期間、およびユーザディスプレイによって提供される第1の表示状態と第2の表示状態に対する影響をグラフを使って示している。
【0076】
この使用シナリオでは、非使用期間B、Dが挟まれた個々の使用期間A、C、Eが含まれる。それら期間は、典型的な患者のケア内で数分から数時間続くことがあり、病院環境で経験される典型的なものである。使用期間A、C、Eの例には、患者が病院のベッドにいるとき、手術中または睡眠中、および圧迫システムが特に必要で使用が意図されているときの圧迫システムの動作が含まれる。典型的な非使用期間の例には、患者が診断処置(例えば、X線検査)を受けているときや、個人的な衛生(入浴/トイレ)のとき、圧迫システムの使用が特に意図されていないときが含まれる。
【0077】
さらに重要な考慮事項は、システムが実際に使用されることを意図している時間中に、非使用期間が発生する可能性があるということである。このシナリオの例には、検査のために患者の四肢から衣類が物理的に取り外され、その後介護者が衣類を元に戻すのを怠った場合が含まれる。このシナリオでは、患者は規定された治療を受けていないため、危険に曝されている。この態様は、本発明によって特に監視される。
【0078】
タイミングはそれに応じて記述される。第1の使用状態Aは、T0からT1までの時間続き、その期間はT1-T0であり、LCDディスプレイは、T0~T1の間に計時値が増加する第1の表示状態を提供する。
【0079】
その後、非使用期間Bが続き、第2の表示状態が示されている。続いて、第1の表示状態が表示される使用期間C、第2の表示状態が見えるさらなる非使用期間D、第1の表示がアクティブになる最後の使用期間Eが続く。
【0080】
これらの個々の使用期間と非使用期間の発生と持続期間は、各患者に固有であるため、圧迫システムの使用状況監視機能と性能監視機能によって提供される結果の指標は、これを定量化する手段を提供することができる。
【0081】
図4を参照すると、2つの使用状態が規定された圧迫システムの本発明の一例が示されている。第1の使用状態は、患者による意図した通常の動作に関連付けられ、第2の使用状態は、施される予防の不足をもたらす意図しないモードでのシステムの動作に関連付けられている。システムは、複数の個別のエピソードにわたってこれらの状態の結果を監視および解釈することができる。
【0082】
複数の個別の使用エピソードが時系列シーケンスA、B、C、D、Eに示されており、エピソードA、C、Eには、意図および規定されたように患者に圧迫療法を提供するシステムの正しい動作が含まれる。エピソードB、Dは、圧迫が意図または規定されたように送達されない使用例を示している。患者の四肢から圧迫衣類が取り外されること、ポンプから圧迫衣類が切り離されること、漏れなどの故障状態が検出されることなど、多くの要因によって、エピソードB、Dに示す状況が引き起こされる可能性がある。
【0083】
図5は、監視システムの結果として圧迫システムにどの表示を提供するかを決定することを可能にする、本発明の例示的な一実施形態を詳細に示すフローチャートである。図5では、システムが、接続された各衣類を監視し、その膨張をリアルタイムで制御し、各膨張中に各圧迫衣類内の四肢の存在を検知することができる。これは、膨張プロセス中の様々な時点で取得された測定値および複数のパラメータの分析によって達成される。これらの測定値には、接続されたチューブ内の圧力、接続された膨張した衣類内の圧力、接続された衣類のタイプ、接続された各衣類のタイプに必要なコンプレッサのパラメータ、圧迫手段に関連する信号(コンプレッサ駆動波形の振幅、印加された駆動波形の周波数、電流、電圧など)が含まれる。
【0084】
予防送達の測定は、上記のパラメータを組み合わせることによって作成され、その接続された具体的な衣類のタイプについて予想される測定値、およびその接続された衣類の過去の膨張で達成された測定値と比較される。システムは、それら2つの分析ポイント間の有意な差異を探し、その差異を使用して圧迫の有効性を特定する。
【0085】
圧迫システムは、衣類内の四肢の存在の測定に基づいて、第1の表示状態と第2の表示状態との間で交互に変化することができる。この表示の変化は、接続された単一の衣類のみの動作でも、接続された2つの衣類の動作でも起こり得る。表示の変化は、2つの接続された衣類のうちのいずれか一方が、患者の四肢で使用されていないと検出された場合に起こり得る。
【0086】
さらなる態様は、圧迫システムの使用状況監視機能を提供するために使用できる汎用アルゴリズム構造を介して、図6に図式的に示す独自のアルゴリズムの使用を含む。各パラメータは、圧迫システムによって計算され、個々のパラメータの重み付けが提供され、アルゴリズムへの入力として適用される。
【0087】
追加のパラメータをアルゴリズムに追加し、そのアルゴリズムによって追加の出力を生成することは、本発明の範囲内である。
【0088】
アルゴリズムの出力は、表示されて、個々の患者の圧迫システムの使用および不使用の解釈の結果と関連付けられる。図示のいくつかの出力例を以下に説明する。
-個々の患者の監視された使用に基づく患者固有のコンプライアンススコア610。これは、規定された期間にわたって計算された、非使用時間に対する使用時間のパーセンテージまたは比率の形態とすることができる。
-患者コンプライアンス履歴620。これは、要求されるプロトコルに対するコンプライアンスを示す日ごとのスコアなど、長期間にわたる使用の複数の個別の測定値を含む。
-システム利用データ630。これは、圧迫ポンプが使用されていないときと比較して、圧迫ポンプが長期間にわたってどのくらいの時間使用されているかなど、圧迫システムの利用状況を示す。
-システム固有のコンプライアンススコア640。これは、圧迫システムが、設定された閾値または目標に対する目標使用度合いと比較して、どのように使用されたのかを示す。
【0089】
圧迫システムは、患者に予防を送達していないことを検知すると、その指示をユーザに適応させることができる。ユーザ指示には、LCDベースの指示、LEDベースの指示、およびポンプからの音響指示が含まれる。したがって、指示のレベルは臨床現場で必要に応じて適応させることができる。これには、使用事象の持続期間に比例または関連する段階的かつ漸進的な指示が含まれる。このため、使用の欠如の期間が短い場合は、低いレベルの指示または優先順位をユーザに提供することができるが、期間が長くなり、使用の欠如に関連する状況がより重大になるにつれて、これを強くすることができる。
【0090】
好ましい実施形態では、第1および第2の表示と同様に、正しい予防が送達されずに10回の圧迫サイクルの持続時間が検知された場合に、緑色のLEDの点滅表示が圧迫システムの複数の位置に提供される。圧迫システムに複数のLED表示を使用することにより、複数の方向から見ることができ、その結果、圧迫システムの状態およびその使用状況を、圧迫システムに近づいたり操作したりすることなく、臨床スタッフが様々な方向から容易に判断することが可能になる。
【0091】
このLED表示は、非使用時間が長くなるにつれて、例えば緑色LEDの代わりに黄色LEDのアラーム表示を使用するなど、優先順位をさらに上げることができる。この変化は、予防が適切に行われなかったサイクルの数が例えば20サイクルに達した場合に生じる。
【0092】
また、圧迫システムの使用状況監視表示によって提供される表示および計時データが圧迫システムから物理的に離れた他の場所でも再現されることも、本発明の範囲内である。
【0093】
圧迫システムは、任意選択的に、中央監視装置、コンピュータ、タブレットデバイス、電話、または少なくとも1の圧迫システムまたは複数の圧迫システムの状態を表示できる別のデバイスなどの遠隔設備に、その状態およびデータを伝達する手段を含むことができる。この伝達手段は、無線技術(Bluetooth、ZigBee、Wi-Fiなど)、および/または病院ベッドや支持面ポンプなどの他の医療デバイスなど、情報そのものを表示したり、またはオンワード通信を提供したりすることができる別のデバイスへの専用の有線接続を利用することができる。
【0094】
図7は、圧迫システムの使用状況監視機能の動作と、システムが長期間にわたって効果的に使用され、使用量が設定または計算された閾値または目標値を超えている場合の態様を示している。検出された使用量は、y軸に対してプロットされた増分および監視された使用時間(時単位)として示され、使用量が発生しない短い期間t1~t2のみを含む。必要な目標閾値(破線で示されている)は、時間の経過とともに増加していることが示されている。使用量が目標値を上回っているため、圧迫システムの使用は十分であると考えられ、適切な肯定的メッセージとフィードバックがユーザに提供される。アルゴリズムからスコアが計算され、このスコアを、満足のいく状況を示す目標に対して記録することができる。
【0095】
図8は、例えば使用されていない期間t1~T3が長いことにより、システムが図7に示すように効果的に使用されていない場合の圧迫システムの使用状況監視機能の動作を示している。その結果、使用量は設定または計算された閾値または目標値を下回っている。使用量が目標値未満であるため、圧迫システムの使用は不十分であると考えられ、適切な否定的なメッセージとフィードバックがユーザに提供される。アルゴリズムからスコアが計算され、このスコアを、不満足な状況を示す目標に対して記録することができる。
【0096】
本発明のさらなる態様は、圧迫システムの使用データを分析して、選択された圧迫レジームに関連付けられた計算された閾値を超えているか否かを判定することを含む。レジームの例としては、American College of Chest Surgeonsが発表したCHESTガイドラインがあり、機械的予防を24時間ごとに18時間以上使用することを推奨している。
【0097】
ある態様では、少なくとも1の膨張可能なチャンバを含む少なくとも1の膨張可能な圧迫衣類を使用して、患者の四肢または解剖学的構造に対する圧迫療法を制御するための制御ユニットまたはコントローラが提供される。この制御ユニットは、圧迫衣類のコネクタの一部として配置された識別コンポーネントの測定を用いて、接続された圧迫衣類のタイプを検出する手段を備える。識別コンポーネントは、フェライト、鋼または黄銅材料で作られている。
【0098】
圧迫システムは、
-少なくとも1の衣類と流体連通する圧迫システムのコネクタ/出口ポートであって、出口ポートが、可能性のある複数の衣類タイプのなかからどの衣類タイプが接続されているかを検出可能である、コネクタ/出口ポートと、
-検出されたタイプに基づいて圧迫衣類に空気圧を供給および調節するための空気ポンプであって、送達される圧迫の態様が、接続された衣類から検知された識別コンポーネントに依存する、空気ポンプと、
-圧迫療法中に接続された衣類の膨張可能なチャンバの少なくとも1つに存在する圧力を測定し、チャンバ内の圧力に対応する信号を生成するための少なくとも1の圧力センサとを備え、
-圧力センサは、少なくとも1の圧迫衣類内の四肢または解剖学的構造の存在を示す特徴を含む信号を圧迫の適用中に提供し、
-圧力センサは、四肢または解剖学的構造が圧迫衣類から取り外された結果、圧迫衣類の圧迫レベルが、以前の膨張中の特徴と比較して変化したことを示し、
-四肢が接続された衣類内に存在しないと検出されたときの監視時間と比較して、四肢または解剖学的構造が接続された衣類内に存在するときの監視時間に基づいて、制御ユニットによってユーザに視覚的表示が提供される。
【0099】
ある態様では、少なくとも1の膨張可能な圧迫衣類を使用して患者の四肢または解剖学的構造に対する圧迫療法を制御するための制御ユニットが提供される。制御ユニットは、少なくとも1の膨張可能な圧迫衣類によって囲まれた四肢または解剖学的構造の存在に関連する検出可能な特徴を形成するために、接続された圧迫衣類のタイプと、ポンプ出口に接続された圧力変換器から得られた測定値とを関連付けるように構成される。
【0100】
ある態様では、患者の四肢または解剖学的構造への予防インパルスの動作および送達手段を制御および監視するための制御ユニットが提供される。制御ユニットは、圧迫衣類に接触している四肢または解剖学的構造の存在の検出可能な特徴を形成するパラメータを測定する。
【0101】
ある態様では、少なくとも1の膨張可能な衣類を使用する圧迫療法の動作および提供を制御および監視するための制御ユニットが提供される。制御ユニットは、患者に取り付けられた別個の遠隔センサと電子的に通信する。センサは、患者固有のパラメータを測定し、以下の特徴のうち、
-制御ユニットが、センサから受信した1または複数の信号の分析を実行すること、
-解剖学的構造内の血液の動きの変化が制御ユニットの動作の結果として検出されるように、制御ユニットが、患者センサの変化と制御ユニットの動作との間の相関を検出すること、
-制御ユニットが、遠隔センサとの通信が確立されたことを示す表示をユーザに提供すること、
-制御ユニットが、遠隔センサの信号に基づいて、経過時間にわたって衣類の患者の使用状況を監視すること、
の少なくとも1つを含む。
【0102】
ある態様では、患者固有のパラメータが、遠隔センサに接続された患者の循環状態に関連付けられる。
【0103】
ある態様では、検知されたパラメータが、遠隔センサに接続された患者の解剖学的構造内の血流の測定された変化に関連付けられる。
【0104】
ある態様では、患者の解剖学的構造の循環の変化が制御ユニットの動作に関連付けられる。
【0105】
ある態様では、制御ユニットにより四肢の圧迫中にのみ検知が行われる。
【0106】
ある態様では、検出可能な患者の特徴として、接続された衣類のタイプ、四肢に対する検出された衣類の締め付け具合、衣類の測定された容積、四肢の温度、四肢の検出可能な動脈拍動、衣類内に加えられた圧力インパルスに対する圧力応答、膨張中のチャンバ圧力の上昇速度、圧迫中の圧力の変化、収縮中のチャンバ圧力の低下速度、コンプレッサの設定、外部機器から伝達された患者パラメータのうち、少なくとも2の測定可能なパラメータが含まれる。
【0107】
ある態様では、衣類内の四肢の存在が、少なくとも2の異なる測定パラメータの組合わによって規定および確認される。
【0108】
ある態様では、接続された衣類の少なくとも1つに患者の四肢が存在することを示す可視表示が制御ユニット上に表示される。
【0109】
ある態様では、接続された衣類の少なくとも1つにおいて検出される四肢が存在しないかまたは取り外されていることを示す可視表示が制御ユニット上に示される。
【0110】
ある態様では、可視表示が、グラフィカルな四肢画像の形態である。
【0111】
ある態様では、衣類内の四肢の存在の表示が、制御ユニットから離れた位置にある別の監視機器にも遠隔で提供される。
【0112】
ある態様では、衣類の膨張可能なチャンバが、衣類内の複数の膨張可能なチャンバの中で最も遠位側に位置する。
【0113】
ある態様では、測定されるパラメータの値が、異なる衣類タイプ間で変化する。
【0114】
ある態様では、測定されるパラメータの値が、四肢上の衣類の存在に依存する。
【0115】
ある態様では、測定されるパラメータの値が、圧迫される四肢に対する衣類の効果に依存する。
【0116】
ある態様では、測定されるパラメータの値が、検知された接続された衣類のタイプと相関し、それにより特定の接続された衣類のタイプにおける四肢の存在の確認を提供する。
【0117】
ある態様では、接続された衣類内で測定される空気温度が、四肢が衣類内に存在する場合に、四肢が存在しない衣類内の空気温度と比較して高くなる。
【0118】
ある態様では、適用される治療パラメータが、測定されたパラメータに応答して変更される。
【0119】
ある態様では、測定されたパラメータの結果として、衣類に適用される圧力レベルが変更される。
【0120】
ある態様では、測定されたパラメータの結果として、衣類のサイクル時間が変更される。
【0121】
ある態様では、測定されたパラメータの結果として、衣類の膨張時間が変更される。
【0122】
ある態様では、衣類の少なくとも1つに存在する四肢に関連する動作が、デジタルメモリなどのメモリ内に記録される。
【0123】
ある態様では、動作の持続時間がデジタルメモリ内に記録される。
【0124】
ある態様では、四肢検出の日時がメモリ内に記録される。
【0125】
ある態様では、衣類の少なくとも1つに存在する四肢に関連する動作の持続時間が記録される。
【0126】
ある態様では、四肢の検出がなかった日時がメモリ内に記憶される。
【0127】
ある態様では、制御ユニットが、使用されていないときの継続時間を記録することが可能である。
【0128】
ある態様では、制御ユニットが、制御ユニットが患者に使用されていないときの日時を記録することが可能である。
【0129】
ある態様では、データが、使用状況の検出、監視および分析のための開始/停止患者エピソードを構築するためにペアにされる。
【0130】
ある態様では、制御ユニットが、データのペアリングを介して四肢検出の開始および停止を組み合わせて、制御ユニットの使用に対応する患者使用エピソードの記録を形成する。
【0131】
ある態様では、患者使用エピソードの間にギャップがある場合に、制御ユニットが、データのペアリングを介して四肢検出の停止および開始を組み合わせて、患者による制御ユニットの使用がないときに対応する非使用エピソードを形成する。
【0132】
ある態様では、ペアリングされたエピソードの詳細が、デジタルメモリなどのメモリ内に記録される。
【0133】
ある態様では、少なくとも1の衣類における四肢検出の各エピソードに関連付けられたデジタルメモリの内容が、外部機器に伝達可能である。
【0134】
ある態様では、少なくとも1の衣類における四肢検出の各エピソードに関連付けられたデジタルメモリの内容が、制御ユニット上に表示される。
【0135】
ある態様では、予防が十分/不十分であるかの表示が、規定された目標閾値に対して行われる場合に、検出された四肢検出エピソードの累積持続時間の監視を提供するための制御ユニットが提供される。
【0136】
ある態様では、四肢検出エピソードの累積持続時間が、規定された経過期間にわたって目標閾値を超えた場合に、ユーザに指示が与えられる。
【0137】
ある態様では、四肢検出エピソードの累積持続時間が、規定された経過期間にわたって目標閾値を下回る場合に、ユーザに指示が与えられる。
【0138】
ある態様では、特定の経過表示が提供され、監視された持続時間が目標閾値のパーセンテージとして表示されることを特徴とする制御ユニットが提供される。
【0139】
ある態様では、持続時間が、目標閾値を表すグラフィックアイコンの視覚的部分として示される。
【0140】
ある態様では、使用状況が変化している場合、使用状況の改善または悪化のいずれかを示す傾向表示指標が計算される。監視された使用状況が時間とともに変化している場合に、傾向表示をユーザに与えることを特徴とする制御ユニットが提供される。監視された使用状況は閾値に相当し、閾値は衣類検出器に関連付けられた識別コンポーネントによって規定される。
【0141】
ある態様では、監視される使用が時間の経過とともに減少しているときの表示がユーザに提供される。
【0142】
ある態様では、監視される使用が時間の経過とともに増加しているときの表示がユーザに提供される。
【0143】
ある態様では、目標閾値が提供され、目標閾値が制御ユニットにおいてユーザが調整可能である。
【0144】
ある態様では、目標閾値が、規定された経過時間と関連付けられる。
【0145】
ある態様では、経過時間の規定された期間が、制御ユニットにおいてユーザが調整可能である。
【0146】
ある態様では、目標閾値が提供され、接続された各衣類のタイプに関連付けられる。目標閾値は、制御ユニットに取り付けられた特定の衣類タイプに関連付けられ、目標閾値は制御ユニットに記憶される。
【0147】
ある態様では、患者の必要性に基づいて異なる目標を設定することが必要または有益であり得る。制御ユニットが提供され、この制御ユニットに記憶された目標閾値が、接続された衣類タイプからのパラメータの測定によって更新される。
【0148】
ある態様では、特定の患者の臨床状態に基づいて、ユーザが必要な目標閾値を調節可能である。
【0149】
ある態様では、多数の予め設定された値の間で、ユーザが必要な目標閾値を選択可能である。
【0150】
ある態様では、制御ユニットを使用する個々の医療施設の臨床方針に基づいて、ユーザが必要な目標閾値を選択可能である。
【0151】
ある態様では、制御ユニットが、CHESTガイドラインの臨床要件を監視し、その要求される目標閾値が、24時間経過するごとに18時間の使用である。
【0152】
ある態様では、検出された使用に基づく適応閾値が追加され、システムが監視した使用が必要な閾値よりも少ない場合、閾値が調整され、次の使用期間のために増加される。監視期間において監視された使用状況に基づいて目標閾値が自動的に変化することを特徴とする制御ユニットが提供される。
【0153】
ある態様では、リスク値が、例えば、Caprini、Padua、Rogers、Potterのような既知の臨床評価法を使用して計算され、このリスク値が、閾値を選択するための基礎として使用される。臨床的に受け入れられるリスクスコアリングシステムに基づいて、ユーザが使用の閾値を調整できることを特徴とする制御ユニットが提供される。
【0154】
ある態様では、個々の目標閾値が、複数レベルの選択可能な閾値を持つリスクスコアリングシステムに等しい。
【0155】
ある態様では、(閾値の順守を報告し、閾値の設定も可能にするために)患者記録への通信リンクが追加される。
【0156】
目標/閾値の順守と個々の患者の使用エピソードに関するデータが電子的に送信され、患者の電子医療記録に保存されることを特徴とする制御ユニットが提供される。電子通信の例には、Bluetooth、WiFi、Zigbeeなどの無線手段や、USBなどの有線接続の使用が含まれる。
【0157】
ある態様では、制御ユニットが、電子通信を介して患者の電子医療記録から目標閾値を受信することが可能である。圧迫システムの動作は、臨床処方に基づいて所定の使用目標を示すか、他の方法で推奨するように適合可能であり、この目標は、衣類識別コンポーネントによって識別されるような各衣類タイプに関連付けられた使用閾値に変換される。
【0158】
ある態様では、圧迫システムが、時間または経過時間などの時間データに基づいて、目標閾値を適応的に修正または他の方法で変更する能力を含む(例えば、夜間の睡眠と昼間の臨床活動との間のような大きな使用の違いを補償するために、時刻に基づいて異なる閾値を採用することができる)。必要な閾値が時刻に依存して自動的に変更されて、変化する閾値が提供されることを特徴とする制御ユニットが提供される。
【0159】
さらなる態様では、監視された使用期間に応じて異なる閾値を使用することができる。例えば、手術前や初期入院中など患者の使用開始時には目標閾値を高くし、その後、患者の回復および移動が生じるにつれて徐々に低くする。
【0160】
ある態様では、流体圧制御システムまたは圧迫システムが提供される。このシステムは、ポンプと、圧迫衣類などの少なくとも1の膨張/収縮可能な物品と、ユーザディスプレイなどの表示デバイスと、少なくとも1の圧迫衣類の使用状況を検出するための監視システムまたは制御ユニットとを備える。ユーザディスプレイは、圧迫システムの動作の第1の状態、例えば、第1の予防状態または第1の動作状態における圧迫衣類の使用に関連する第1の表示インジケータを備える。ユーザディスプレイは、圧迫システムの動作の第2の状態、例えば、第2の非予防状態または第2の動作状態における衣類の使用に関連する第2の表示インジケータを備える。
【0161】
ある態様では、第1の動作状態が、衣類内に患者の四肢が存在することに関連付けられ、第2の動作状態が、圧迫衣類内に患者の四肢が存在しないことに関連付けられる。
【0162】
ある態様では、圧迫衣類が各動作状態にあるときを監視するように、監視システムが構成される。
【0163】
ある態様では、第1の動作状態が、予防が施された状態であり、第2の動作状態が、予防が施されていない状態である。
【0164】
ある態様では、監視システムが、圧迫衣類に対する予防の送達効果を監視するように構成される。
【0165】
ある態様では、接続された衣類および患者の四肢の存在が、システムの使用状況の指標を提供するために、監視システムによって経時的に監視される。
【0166】
ある態様では、監視された時間にわたる使用時間から形成された指標が、目標使用閾値と比較される。
【0167】
ある態様では、圧迫システムが遠隔に配置された患者センサを含み、このセンサが、患者の解剖学的構造に接続され、患者に対する圧迫の制御および監視のために制御ユニットと電子通信する。
【0168】
ある態様では、圧迫システムが、圧迫システムの少なくとも1の圧迫衣類の使用状況を検出するための前述した手段および方法を具備および提供する。圧迫システムは、ユーザディスプレイを備える。ユーザディスプレイは、圧迫システムの第1の動作状態における圧迫衣類の使用状況に関連する第1の表示インジケータと、圧迫システムの第2の動作状態における衣類の使用状況に関連する第2の表示インジケータとを備える。
【0169】
ある態様では、圧迫システムが、圧迫衣類内に患者の四肢が存在することに関連付けられた第1の動作状態と、圧迫衣類内に患者の四肢が存在しないことに関連付けられた第2の動作状態とを有する。
【0170】
関連する態様では、本方法が、圧迫衣類が各動作状態にあるときを監視するステップを含む。
【0171】
ある態様では、第1の動作状態が予防状態であり、第2の動作状態が非予防状態である。
【0172】
ある態様では、本方法が、与えられた予防の有効性を監視するステップを含む。
【0173】
ある態様では、本方法が、監視システムにより接続された衣類および患者の四肢の存在を経時的に監視して、システムの使用状況の指標を提供するステップを含む。
【0174】
ある態様では、本方法が、監視された時間にわたる使用状態を目標使用閾値と比較するステップを含む。
【0175】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであって、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、本明細書において、「comprises」、「comprising」、「includes」および/または「including」といった用語は、記載の特徴、完全体、ステップ、動作、要素および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1または複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、コンポーネントおよび/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことを理解されたい。
【0176】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味で解釈されるものではないことを理解されたい。
【0177】
以上、本発明の原理、好ましい実施形態および動作モードを説明した。しかしながら、本発明は、限定的ではなく、例示的であるとみなされるべきであり、上述した特定の実施形態に限定されるものではない。本発明の様々な実施形態の様々な特徴は、明示的に記載した組合せ以外の組合せで組み合わせることが可能である。したがって、以下の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によってそれらの実施形態に変更を加えることができることを理解されたい。

図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】