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特表2024-539607低ブルーミング感度を伴う多原色ディスプレイマスクベースのディザリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】低ブルーミング感度を伴う多原色ディスプレイマスクベースのディザリング
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/34 20060101AFI20241022BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241022BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20241022BHJP
   G02F 1/16757 20190101ALI20241022BHJP
   G02F 1/1681 20190101ALI20241022BHJP
【FI】
G09G3/34 C
G09G3/20 641G
G09G3/20 642J
G09G3/20 632F
G02F1/167
G02F1/16757
G02F1/1681
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521141
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 US2022049037
(87)【国際公開番号】W WO2023081410
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/276,048
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クラウンス, ケネス アール.
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BB44
2K101BD21
2K101BD61
2K101ED13
2K101ED41
2K101ED51
2K101EE01
5C080AA13
5C080AA16
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD10
5C080DD26
5C080EE29
5C080EE30
5C080JJ01
5C080JJ02
(57)【要約】
カラー電気泳動ディスプレイを駆動する方法は、原色の組を生じさせることが可能である複数のディスプレイピクセルを含む。方法は、分離累積閾値アレイを定義することと、分離累積閾値アレイを使用し、ディザリングするためにより適切である電気泳動ディスプレイのエリアと、分離累積閾値を上回る電気泳動ディスプレイのエリアをディザリングしないエリアとを識別することとを含む。一実施形態において、原色は、シアン色、黄色、マゼンタ色、および黒色である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイにおける複数のディスプレイピクセルを有するカラー電気泳動ディスプレイを駆動する方法であって、各ディスプレイピクセルは、少なくとも三原色を表示することが可能であり、前記方法は、
入力画像を受信することと、
前記入力画像を処理し、各ピクセルにおける分離累積を定義することと、
分離累積閾値アレイを定義することであって、前記アレイの各構成要素は、サイズにおいて少なくとも2ピクセル×2ピクセルであり、前記三原色の各々のための異なる分離累積閾値を含む、ことと、
各ピクセルに命令を送信し、そのピクセルにおける前記分離累積によって上回られた第1の分離累積閾値に対応する前記原色を表示することと
を含む、方法。
【請求項2】
各ピクセル(i,j)における前記原色は、
Λk(i,j)>T(i,j)であるがΛk-1(i,j)≦T(i,j)の場合、y(i,j)=Pk
によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分離累積閾値アレイは、ブルーノイズマスク(BNM)を組み込む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記入力画像を処理することは、ルックアップテーブルによって実装される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記入力画像を処理することの前に前記入力画像を鮮明化フィルタに通すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記鮮明化フィルタは、有限インパルス応答(FIR)フィルタである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記入力画像を処理し、分離累積を定義することは、重心座標方法を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記原色は、シアン色、黄色、マゼンタ色、および黒色である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記原色は、赤色、緑色、青色、および白色である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記原色は、白色、赤色、緑色、青色、シアン色、黄色、マゼンタ色、および黒色である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法を行うように構成された電気泳動ディスプレイ。
【請求項12】
電気泳動材料は、流体中に配置され、電場の影響下で前記流体を通して移動することが可能である複数の帯電粒子を備えている、請求項11に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項13】
前記帯電粒子および前記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められている、請求項12に記載の電気泳動ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年11月5日に出願された米国仮特許出願第63/276,048号の優先権を主張する。本明細書に開示される全ての特許および刊行物は、参照することによってそれらの全体として組み込まれる。
【0002】
本発明は、カラー画像をレンダリングする方法および装置に関する。より具体的に、本発明は、多色ディザリングのための方法に関し、色強度の組み合わせは、多色表面カバー率に転換される。
【背景技術】
【0003】
用語「ピクセル」は、本明細書では、ディスプレイ自体が示し得る全ての色を発生させることが可能であるディスプレイの最小単位を意味するために、ディスプレイ技術分野におけるその従来の意味において使用される。
【0004】
ハーフトーニングは、白色紙の各ピクセルの変動する割り合いを黒色インクでカバーすることによって、グレー色の色調を表すために、印刷業界において何十年にもわたって使用されている。類似のハーフトーニングスキームが、CMYまたはCMYKカラー印刷システムとともに使用されることができ、色チャネルは、互いに独立して変動させられる。すなわち、白色紙の各ピクセルにおいて、色(例えば、CMY、例えば、CMYK)のうちの任意の1つが、近隣のピクセルへの影響を有することなく、白色紙のそのピクセルにおいて独立して印刷されることができる。
【0005】
しかしながら、各ピクセルが限定された原色の組(そのような系は、以降、「限定パレットディスプレイ」または「LPD」と称され得、それは、CMYまたはRGBであり得る)のうちの任意の1つを表示し得るが、色チャネルが互いから独立して変動させられることができない公知のカラーシステムが、あり、第1のピクセルにおいて特定の色を有することが、1つ以上のすぐ近隣のピクセルにおける標的色に対する色(すなわち、色の品質)に影響を及ぼす。そのような挙動は、電気泳動カラーディスプレイ(EPD)において観察され、第1のピクセルの電場が、すぐ近隣のピクセルにおける標的色に影響を及ぼす。この現象は、概して、「ブルーミング」として知られている。ある程度まで、カラーEPDでは、色が、正しい色感覚を生じさせるように空間的にディザリングされることができる。
【0006】
電子ディスプレイは、典型的に、アクティブマトリクスバックプレーンと、マスタコントローラと、ローカルメモリと、通信およびインターフェースポートの組とを含む。マスタコントローラは、通信/インターフェースポートを介してデータを受信すること、またはデバイスメモリからそれを読み出すことを行う。データがマスタコントローラの中にあると、それは、アクティブマトリクスバックプレーンのための命令の組に変換される。アクティブマトリクスバックプレーンは、マスタコントローラからこれらの命令を受信し、画像を生じさせる。カラーEDPの場合、オンデバイス色域計算は、増加した計算力を伴うマスタコントローラを要求し得る。カラー電気泳動ディスプレイのためのレンダリング方法は、多くの場合、計算集約的であり、下記に詳細に議論されるように、本発明自体は、レンダリングによって課される計算負荷を減らす方法を提供するが、全体的レンダリングプロセスのレンダリング(ディザリング)ステップおよび他のステップは、依然として、デバイス計算処理システムに大きな負荷を課し得る。
【0007】
画像レンダリングのために要求される増加した計算力は、いくつかの用途における電気泳動ディスプレイの利点を減少させる。特に、デバイスを製造する費用は、マスタコントローラが複雑なレンダリングアルゴリズムを実施するように構成されるとき、デバイス電力消費量と同様に増加する。さらに、コントローラによって発生させられる余分な熱が、熱管理を要求する。故に、例えば、超高分解能画像または多数の画像が短時間にレンダリングされる必要があるときのような少なくともある場合、多色画像をディザリングする効率的な方法を有することが、望ましくあり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面において、カラー電気泳動ディスプレイを駆動する方法は、アレイにおける複数のディスプレイピクセルを有する。各ディスプレイピクセルは、少なくとも三原色を表示することが可能であり、方法は、入力画像を受信することと、入力画像を処理し、各ピクセルにおける分離累積を定義することと、分離累積閾値アレイを定義することであって、アレイの各構成要素は、サイズにおいて少なくとも2ピクセル×2ピクセルであり、三原色の各々のための異なる分離累積閾値を含む、ことと、各ピクセルに命令を送信し、そのピクセルにおける分離累積によって上回られた第1の分離累積閾値に対応する原色を表示することとを含む。いくつかの実施形態において、各ピクセル(i,j)における原色は、Λk(i,j)>T(i,j)であるがΛk-1(i,j)≦T(i,j)の場合、y(i,j)=Pkによって決定される。いくつかの実施形態において、ディザ関数は、ブルーノイズマスク(BNM)を使用する。いくつかの実施形態において、入力画像を処理することは、ルックアップテーブルによって実装される。いくつかの実施形態において、入力画像は、入力画像を処理することの前に鮮明化フィルタに通される。いくつかの実施形態において、鮮明化フィルタは、有限インパルス応答(FIR)フィルタである。いくつかの実施形態において、入力画像を処理し、色分離累積を生成することは、重心座標方法を使用することを含む。いくつかの実施形態において、原色は、シアン色、黄色、マゼンタ色、および黒色である。いくつかの実施形態において、原色は、赤色、緑色、青色、および白色である。いくつかの実施形態において、原色は、白色、赤色、緑色、青色、シアン色、黄色、マゼンタ色、および黒色である。本発明は、加えて、上記に説明される方法を行うように構成された電気泳動ディスプレイを含む。いくつかの実施形態において、電気泳動ディスプレイは、流体中に配置され、電場の影響下で流体を通して移動することが可能である複数の帯電粒子を有する電気泳動材料を含む。いくつかの実施形態において、帯電粒子および流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本特許または出願ファイルは、カラーで実行される少なくとも1つの図面を含む。
【0010】
図1】付随の図面の図1は、本明細書に提示される主題による誤差拡散モデルである。
【0011】
図2図2は、本明細書に提示される主題によるマスクを使用する例示的な黒色および白色ディザリング方法である。
【0012】
図3図3は、本明細書に提示される主題による種々のマスク設計を図示する。
【0013】
図4図4は、本明細書に開示される主題による色域色マッピングを図示する。
【0014】
図5図5は、本明細書に開示される主題によるマスクを使用する多色ディザリング方法を図示する。
【0015】
図6図6は、本明細書に開示される主題によるマスクを使用する多色ディザリングアルゴリズムを図示する。
【0016】
図7図7は、本明細書に提示される主題による多色ディザリングのためのマスク設計のある実施形態である。
【0017】
図8図8は、本明細書に提示される主題による多色ディザリングのためのマスク設計のある実施形態である。
【0018】
図9図9は、本明細書に提示される主題による多色ディザリングのためのマスク設計のある実施形態である。
【0019】
図10図10は、本明細書に提示される主題による多色ディザリングのためのマスク設計のある例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、原色の組を生じさせることが可能である複数のディスプレイピクセルを有するカラー電気泳動ディスプレイを駆動する方法を提供する。原色の組は、任意の大きさであるが、典型的に、少なくとも4つの色を含むであろう。分離累積閾値アレイを定義することによって、分離累積閾値を上回る電気泳動ディスプレイのエリアをディザリングしない一方で、ディザリングのためにより適切である電気泳動ディスプレイのエリアが、識別されることができる。
【0021】
誤差拡散アルゴリズム(そのピクセルにおいて理論的に要求される色と異なる特定の色において1つのピクセルを印刷することによって導入される「誤差」が、近隣のピクセル間に分配され、それによって、全体的に正しい色感覚が、生じさせられる)等の標準ディザリングアルゴリズムが、限定パレットディスプレイとともに採用されることができる。誤差拡散についての膨大な文献が、存在し、精査のために、Pappas,Thrasyvoulos N.「Model-based halftoning of color images」 IEEE Transactions on Image Processing 6.7 (1997年):1014-1024を参照されたい。
【0022】
本願は、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,514,168号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、および、米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2015/0262551号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号にも関連する。これらの特許および出願は、以降、便宜上、集合的に、「MEDEOD」(電気光学ディスプレイを駆動する方法)出願と称され得、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【0023】
EPDシステムは、ある特異性を示し、それは、そのようなシステムにおける使用のためのディザリングアルゴリズムを設計することにおいて考慮されなければならない。ピクセル間アーチファクトは、そのようなシステムにおける共通の特徴である。1つのタイプのアーチファクトは、単色系および表色系の両方において、いわゆる「ブルーミング」によって引き起こされ、ピクセル電極によって発生させられる電場がピクセル電極自体のそれより広い電気光学媒体のエリアに影響を及ぼす傾向があり、それによって、事実上、1つのピクセルの光学状態が、隣接するピクセルのエリアの一部の中に広がる。別の種類のクロストークが、隣接するピクセルを駆動することがピクセル間エリアにおいてピクセルそれら自体のうちのいずれかによって到達されるそれとは異なる最終光学状態をもたらすとき、経験され、この最終光学状態は、ピクセル間領域内で経験される平均電場によって引き起こされる。類似の効果が、単色系において経験されるが、そのような系は、色空間において1次元であるので、ピクセル間領域は、通常、2つの隣接するピクセルの状態の中間のグレー色状態を表示し、そのような中間グレー色状態は、領域の平均反射率に大きく影響を及ぼさないか、または、それは、事実上のブルーミングとして容易にモデル化されることができる。しかしながら、カラーディスプレイでは、ピクセル間領域は、いずれの隣接するピクセルにおいても存在しない色を表示することができる。
【0024】
カラーディスプレイにおける前述の問題は、原色を空間的にディザリングすることによって、予測される色の色域および線形性に関する深刻な結果を有する。EPDディスプレイの原色パレットからの飽和した赤色および黄色の空間的にディザリングされたパターンを使用し、所望の橙色を生成することを試みることを考慮されたい。クロストークがなければ、橙色を生成するために要求される組み合わせは、線形加法混色の法則を使用することによって、完全に遠視野で予測されることができる。赤色および黄色が、色域境界上にあるため、この予測される橙色も、色域境界上にあるはずである。しかしながら、前述の効果が、隣接する赤色ピクセルと黄色ピクセルとの間のピクセル間領域において(例えば)青みを帯びた帯域を生じさせる場合、結果として生じる色は、予測される橙色よりはるかに中性であろう。これは、色域境界において「くぼみ」をもたらすか、または、より正確に、境界が実際には3次元であるので、スカラップをもたらす。したがって、単純なディザリングアプローチは、要求されるディザリングを正確に予測することができないだけではなく、この場合におけるように、利用可能ではない色(その色が達成可能な色域外にあるので)を生じさせるようにも試み得る。
【0025】
パターンの広範囲な測定または高度モデル化によって、達成可能な色域を予測することが可能であることが、望ましくあり得る。これは、デバイス原色の数が大きい場合、またはクロストーク誤差がピクセルを原色に量子化することによって導入される誤差と比較して大きい場合、実行可能ではないこともある。本発明は、ディスプレイ上で実現される色が、予測される色により近くなるように、ブルーミング/クロストーク誤差のモデルを組み込むディザリング方法を提供する。さらに、方法は、所望の色が実現可能な色域から外れる場合、誤差拡散を安定させる。何故なら、原色の凸包外の色に対してディザリングすると、通常、誤差拡散が、無制限の誤差を生じさせるであろうからである。
【0026】
いくつかの実施形態において、画像の複製が、付随の図面の図1に図示される誤差拡散モデルを使用して実施され得る。図1に図示される方法は、入力102から開始し、色値xi,jが、プロセッサ104にフィードされ、色値xi,jは、誤差フィルタ106の出力に追加されることによって、修正された入力ui,jを生じさせ、修正された入力ui,jは、以降「誤差修正された入力色」または「EMIC」と称され得る。修正された入力ui,jは、量子化器108にフィードされる。
【0027】
いくつかの実施形態において、モデルベースの誤差拡散を利用するプロセスは、不安定な状態になり得る。何故なら、入力画像が原色の(理論的)凸包(すなわち、色域)内にあると仮定されるが、実際の実現可能な色域は、ドット重複による色域の損失に起因してより小さい可能性が高いからである。したがって、誤差拡散アルゴリズムは、実際には実践で達成可能でない色を達成しようとし得、誤差は、各連続した「補正」とともに増大し続ける。この問題は、誤差を切り取ること、または別様に限定することによって阻止されるが、これが他の誤差につながることが示唆されている。
【0028】
実践では、一解決策は、ソース画像の色域マッピングを実施するとき、誤差拡散アルゴリズムがその標的色を常時達成し得るように、達成可能な色域のより良好な非凸推定値を有することであろう。モデル自体からこれを概算すること、またはそれを経験的に決定することが、可能であり得る。いくつかの実施形態において、量子化器108は、各々を選定することが誤差に及ぼすであろう影響に関して原色を調査し、量子化器は、選定された場合、(あるメトリックによって)最少の誤差を伴う原色を選定する。しかしながら、量子化器108にフィードされる原色は、系の天然原色{P}ではないが、原色の調節された組{P }であり、それらは、少なくともいくつかの近隣のピクセルの色を可能にし、ピクセルに及ぼすそれらの影響は、ブルーミングまたは他のピクセル間相互作用によって量子化される。
【0029】
上記の方法の一実施形態は、標準フロイド・スタインバーグ誤差フィルタを使用し得、ラスタ順でピクセルを処理する。従来のように、ディスプレイが上から下および左から右に処理されると仮定すると、ブルーミングまたは他のピクセル間効果を計算するためにピクセルの上方および左の基本的近隣を使用することが論理的であると考えられる。何故なら、これらの2つの近隣のピクセルが、すでに決定されているからである。この方法において、隣接するピクセルによって引き起こされる全てのモデル化された誤差は、右および下方の近隣クロストークがそれらの近隣がアクセスされるとき考慮されるので、考慮される。モデルが上方および左の近隣のみを考慮する場合、原色の調節された組は、それらの近隣の状態および考慮中の原色の関数でなければならない。最も単純なアプローチは、ブルーミングモデルが加法的であると仮定すること、すなわち、左の近隣に起因する色シフトおよび上方の近隣に起因する色シフトが、独立しており、加法的であると仮定することである。この場合、決定される必要がある「N選定2」(N×(N-1)/2に等しい)個のモデルパラメータ(色シフト)のみが、存在する。N=64以下に関して、これらは、測定値から理想的混合法値を減算することによって、全てのこれら可能な原色対の格子状パターンの比色測定から推定されることができる。
【0030】
具体的な例を挙げると、32の原色を有するディスプレイの場合を考慮されたい。上方および左の近隣のみが考慮される場合、32の原色に関して、所与のピクセルのための原色の496の可能な隣接組が、存在する。モデルが、線形であるので、両方の近隣の加法効果が多くのオーバヘッドを伴わずに実行時間中に生じさせられ得るので、これら496の色シフトのみが記憶される必要がある。そのため、例えば、未調節の原色の組が、(P1・・・P32)を含み、現在の上および左の近隣がP4およびP7である場合、修正された原色(P ・・・P 32)、すなわち、量子化器にフィードされる調節された原色は、以下によって与えられる:
=P+dP(1,4)+dP(1,7)
・・・・・・・・・
32=P32+dP(32,4)+dP(32,7)
式中、dP(i,j)は、色シフトテーブルにおいて経験的に決定される値である。
【0031】
より複雑なピクセル間相互作用モデル、例えば、非線形モデル、角(対角)近隣を考慮するモデル、またはその近隣のうちのより多くが把握されるにつれて各ピクセルにおける色シフトが更新される、非因果関係の近隣を使用するモデルが、当然ながら、可能である。
【0032】
量子化器108は、調節された入力u’i,jを調節された原色{P }比較し、最も適切な原色yi,kを出力に出力する。適切な原色を選択する任意の適切な方法、例えば、線形RGB空間における最小ユークリッド距離量子化器が、使用され得、それは、いくつかの代替的方法より少ない計算力を要求するという利点を有する。
【0033】
量子化器108からのyi,k出力値は、出力にだけではなく、近隣バッファ110にもフィードされ得、それらは、以降で処理されるピクセルのための調節された原色を発生させることにおける使用のために記憶される。修正された入力u’i,j値および出力yi,j値は両方とも、プロセッサ112に供給され、それは、以下:
i,j=ui,j-yi,j
を計算し、図1を参照して上で説明される同じ方法で、この誤差信号を誤差フィルタ106に渡す。
【0034】
しかしながら、実践では、誤差拡散ベースの方法は、それらが容易に並列化可能ではないので、いくつかの用途に関して低速であり得る。この場合、前のピクセルの出力が、利用可能な状態になるまで、次のピクセル出力は、完了されることができない。代替として、マスクベースの方法が、それらが簡単であることにより採用され得、各ピクセルにおける出力は、そのピクセルの入力およびルックアップテーブル(LUT)からの値にのみ依存し、それは、各出力が他から完全に独立して計算され得ることを意味する。
【0035】
ここで図2を参照すると、例示的な黒色および白色ディザリング方法が、図示される。示されるように、0(白色)と1(黒色)の間の正規化された暗度値を伴う、入力グレースケール画像が、各出力場所において、対応する入力暗度とディザ閾値とを比較することによってディザリングされる。例えば、入力画像の暗度u(x)が、ディザ閾値T(x)より高い場合、出力場所は、黒色(すなわち、1)として印が付けられ、さもなければ、白色(すなわち、0)として印が付けられる。図3は、本明細書に開示される主題によるいくつかのマスク設計を図示する。
【0036】
実践では、多色ディザリングを実践するとき、ディザリングアルゴリズムへの入力色は、多原色の線形結合として表され得ると仮定される。これは、色域のコーナーを使用して、ソース空間内でディザリングすることによって、または入力をデバイス空間の色域に色域マッピングすることによって達成され得る。図4は、重みPxの組を使用して色分離を生成する、一方法を図示する。この場合、各色Cは、以下のように定義される。
【数1】
【0037】
式中、これらの重みの部分和は、分離累積Λk(C)と称される:
【数2】
【0038】
実践では、複数の色に対してディザリングすることは、色の相対的な累積量をディザ関数(例えば、図5の閾値アレイT(x))と交差させることにある。ここで図5を参照すると、4つの異なる色のインク、C、C、C、およびCを用いて印刷する方法が、例としてここに図示される。出力ピクスマップの各ピクセルにおいて、色分離は、基本色の各々の相対的な比率を与え、例えば、色Cのd、色Cのd、色Cのd、および色Cのd。この場合、色のうちの1つ、例えば、Cは、白色であり得る。
【0039】
複数の色へのディザリングを拡張するステップは、図5に示されるように、色の相対的な累積量Λ(x)=d1、Λ(x)=d1+d2、Λ(x)=d1+d2+d3、およびΛ(x)=d1+d2+d3+d4を閾値アレイT(x)と交差させることにある。本明細書に提示される主題を解説する目的のためのディザリング例が、図5に図示される。Λ(x)>T(x)である区間では、出力場所またはピクセル領域は、基本色Cを用いて印刷され、Λ(x)>T(x)である区間では、出力場所またはピクセル領域は、色Cを表示し、Λ(x)>T(x)である区間では、出力場所またはピクセル領域は、色Cを表示し、Λ(x)>T(x)かつΛ(x)≦T(x)である、残りの区間では、出力場所またはピクセル領域は、色Cを表示するであろう。したがって、本明細書に提示されるような多色ディザリングは、色C、C、C、およびCのd、d、d、dの相対量を相対カバー比率に転換し、定義上、寄与する色が、横並びに印刷されることを確実にする。
【0040】
いくつかの実施形態において、図6に図示されるような多色レンダリングアルゴリズムが、本明細書に開示される主題に従って利用され得る。示されるように、画像データimi,jは、最初に、鮮明化フィルタ702を通してフィードされ得、それは、いくつかの実施形態において、随意であり得る。この鮮明化フィルタ702は、閾値アレイT(x)またはフィルタが、誤差拡散システムより鮮明ではないいくつかの場合において、有用であり得る。この鮮明化フィルタ702は、単純FIRフィルタ、例えば、3×3であり得、それは、容易に計算され得る。続いて、色データが、マッピングされ得、色分離が、図2-5に図示される方法を使用して、発生させられ得、この色データは、CSC_LUTルックアップテーブルにインデックスを付けるために使用され得、CSC_LUTルックアップテーブルは、インデックスあたりN個のエントリを有することができ、インデックスは、マスクベースのディザリングステップによって直接必要とされる形態で、所望の分離情報を与える。いくつかの実施形態において、このCSC_LUTルックアップテーブルは、所望の色強化および/または色域マッピングと、選定される分離アルゴリズムとの両方を組み合わせることによって構築され得る。最終的に、分離累積データは、閾値アレイ710とともに使用され、複数の色を発生させるための出力yi,jを発生させる。種々のマスク設計を使用したディザリング結果が、図7-10に図示される。
【0041】
いくつかの実施形態において、閾値アレイT(x)または使用されるマスクが、いわゆるブルーミング効果を最小化するために最適化され得る。ブルーミングは、電気泳動ディスプレイ内でディザリングを使用するとき、各ピクセルにおける出力が隣接するピクセルに溢れ出し、または侵入し、その光学状態に影響を及ぼし得ることである。これは、印刷システムにおける「ドットゲイン」に酷似する。ある場合、ブルーミング効果は、
ディザリングパターンの平均色が線形の色空間におけるパターンにおける色を平均することによって予測された所望の色と著しく異なることを引き起こし得る。特に、結果として生じる色は、多くの場合、より悪く、それは、ディスプレイ上で達成され得る色の色域全体が、理想的な色域体積よりはるかに小さいであろうことを意味する。
【0042】
実践では、同じ量の物理的ブルーミングに関して、問題は、より高分解能バックプレーン(より少ないピクセル)ほど、単位面積あたりの総エッジ長がより長いので、より深刻になり得る。この問題を軽減させるための一方法は、実効分解能がより低いように、出力におけるピクセルを一緒にする(double-up)ことである。極端な場合、さらにより大きい組み分け(すなわち、超ピクセル)が、エッジアーチファクトエリアが、理想的な色域が回復されるような総面積の小さい割り合いになるまで、使用されることができる。これは、最初にソース画像を、ディスプレイ分解能を半分にするようにダウンサンプリングし、名目上のレンダリングシステムを適用し、次いで、ディスプレイ分解能への複製によってアップサンプリングすることによって達成され得る。
【0043】
代替として、この課題は、ディザリングアルゴリズム自体において解決され得る。いくつかの実施形態において、ピクセルが、少ない詳細を伴う滑らかなエリアにおいて一緒にされることが可能にされるが、微細な詳細を伴うエリアにおいて一緒にされない場合、分解能とのこのトレードオフは、あまり深刻ではないであろう。これは、(出力ピクセルを集団にすることの代わりに)マスクにおいて閾値を集団にすることによって、マスクベースのディザリングシステムを使用して達成されることができる。例えば、閾値集団の中間において生じる、鮮明な入力画像遷移が存在する場合、それは、鮮明な変化の一部が、閾値を下回り、一部が上回るであろうから、出力内に反映されるであろう。特に、バイレベルのテキストは、常時、詳細の損失を伴うことなく、不変のままで、直接マスクを通過するであろう。
【0044】
実践では、ブルーミング軽減集団化を伴うマスクが、いくつかの方法において達成され得る。1つのアプローチは、集団化されない分散ドットまたはブルーノイズマスクを採用することであり、分散ドットまたはブルーノイズマスクは、ピクセルの直線的タイル上で定義され、2倍大きい新しいマスクを作製し、各閾値要素は、2×2ピクセルエリアに複製される。さらに、このアプローチは、任意のM×Nのおそらく長方形の複製サイズまで拡張されることができる。代替として、水平および垂直空間周波数に対する強力な人間の視覚系感度を原因として、長方形ではなく他の周期的タイルを使用したクラスタを作製することが、有利であり得る。例えば、合計5つのピクセルの同じ閾値クラスタが、約26.6度(逆正接(1/2))の角度の空間周波数でマスクをタイル張りする(tile)ために使用されることができる。
【0045】
本発明が適用され得るカラーディスプレイシステムのさらなる詳細に関して、読者は、前述のEPD特許(電気泳動ディスプレイの詳細な議論も与える)および以下の特許および刊行物に導かれる:
米国特許第6,017,584号、第6,545,797号、第6,664,944号、第6,788,452号、第6,864,875号、第6,914,714号、第6,972,893号、第7,038,656号、第7,038,670号、第7,046,228号、第7,052,571号、第7,075,502号、第7,167,155号、第7,385,751号、第7,492,505号、第7,667,684号、第7,684,108号、第7,791,789号、第7,800,813号、第7,821,702号、第7,839,564号、第7,910,175号、第7,952,790号、第7,956,841号、第7,982,941号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,159,636号、第8,213,076号、第8,363,299号、第8,422,116号、第8,441,714号、第8,441,716号、第8,466,852号、第8,503,063号、第8,576,470号、第8,576,475号、第8,593,721号、第8,605,354号、第8,649,084号、第8,670,174号、第8,704,756号、第8,717,664号、第8,786,935号、第8,797,634号、第8,810,899号、第8,830,559号、第8,873,129号、第8,902,153号、第8,902,491号、第8,917,439号、第8,964,282号、第9,013,783号、第9,116,412号、第9,146,439号、第9,164,207号、第9,170,467号、第9,182,646号、第9,195,111号、第9,199,441号、第9,268,191号、第9,285,649号、第9,293,511号、第9,341,916号、第9,360,733号、第9,361,836号、および第9,423,666号、および米国特許出願公開第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0225398号、第2010/0156780号、第2011/0043543号、第2012/0326957号、第2013/0242378号、第2013/0278995号、第2014/0055840号、第2014/0078576号、第2014/0340736号、第2014/0362213号、第2015/0103394号、第2015/0118390号、第2015/0124345号、第2015/0198858号、第2015/0234250号、第2015/0268531号、第2015/0301246号、第2016/0011484号、第2016/0026062号、第2016/0048054号、第2016/0116816号、第2016/0116818号、および第2016/0140909号。
【0046】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記に説明される発明の具体的な実施形態において行われ得ることが、当業者に明白であろう。故に、前述の説明全体は、例証的に解釈されるべきであり、限定する意味で解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】