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特表2024-5396113-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[CD]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリル及びそれの多形を作製するプロセス
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  • 特表-3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[CD]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリル及びそれの多形を作製するプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[CD]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリル及びそれの多形を作製するプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 255/54 20060101AFI20241022BHJP
   C07C 253/32 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
C07C255/54
C07C253/32 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521265
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 US2022046323
(87)【国際公開番号】W WO2023064305
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/123248
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/123407
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521453150
【氏名又は名称】ニカン セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クック,チャールズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】フー,ジピン
(72)【発明者】
【氏名】ヒー,イーガン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ロンジェン
(72)【発明者】
【氏名】ドン,ヤン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC30
4H006AD15
4H006BB11
4H006BB12
4H006BB14
4H006BB15
4H006BB16
4H006BB17
4H006BB18
4H006BB19
4H006BB20
4H006BB21
4H006BB25
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC36
4H006BD10
4H006BE01
(57)【要約】
本開示は、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリル(化合物1)及びその特定の多形を作製する一定のプロセスを提供する。化合物1の結晶性多形を含む医薬組成物及びそのような多形を調製するためのプロセスも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのアミン溶媒和物であって、前記アミンは、
(i)NHR(式中、(1)Rは、水素であり、Rは、C~C12アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである;(2)Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルであり、Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである;又は(3)R及びRは、それらが結合されている窒素原子とともにシクリルアミンを形成する);或いは
(ii)RN-(CH-NR(式中、nは、1~6から選択される整数であり、R、R、R、及びRは、独立して、H、C~Cアルキル、又はC~Cシクロアルキルである)
である、アミン溶媒和物。
【請求項2】
前記アミンは、NHRであり、前記アミンは、ジエチルアミン以外である、請求項1に記載のアミン溶媒和物。
【請求項3】
は、C~Cアルキルであり、Rは、C~Cアルキルである、請求項1又は2に記載のアミン溶媒和物。
【請求項4】
前記アミンは、ジエチルアミンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のアミン溶媒和物。
【請求項5】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物中の前記ジエチルアミンの3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]-インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する化学量論比は、約1:1であるか又は1:1である、請求項4に記載のアミン溶媒和物。
【請求項6】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]-インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記アミン溶媒和物は、固体である、請求項1~5のいずれか一項に記載のアミン溶媒和物。
【請求項7】
角度位置13.8及び21.3にピークを含むX線粉末回折パターンを有する、形B多形として指定される、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の結晶形であって、前記角度位置は、1.5406ÅのX線波長(Cu Kα)を使用する周囲温度でのX線粉末回折によって測定されて±0.2°2θだけ変動し得る、結晶形。
【請求項8】
前記形態BのX線粉末回折パターンは、角度位置8.4にピークをさらに含み、前記角度位置は、±0.2°2θだけ変動し得る、請求項7に記載の結晶形B。
【請求項9】
前記形態BのX線粉末回折パターンは、角度位置8.4及び23.5にピークをさらに含み、前記角度位置は、±0.2°2θだけ変動し得る、請求項8に記載の結晶形B。
【請求項10】
前記形態BのX線粉末回折パターンは、角度位置8.4、23.5、及び11.7にピークをさらに含み、前記角度位置は、±0.2°2θだけ変動し得る、請求項8に記載の結晶形B。
【請求項11】
前記形態BのX線粉末回折パターンは、角度位置8.4、23.5、11.7、及び9.5にピークをさらに含み、前記角度位置は、±0.2°2θだけ変動し得る、請求項8に記載の結晶形B。
【請求項12】
図1に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折パターンを有する3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の多形の結晶形B。
【請求項13】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル)-ベンゾニトリルのアミン溶媒和物を調製するプロセスであって、前記アミンは、
(i)NHR(式中、(1)Rは、水素であり、Rは、C~C12アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである;(2)Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルであり、Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである;又は(3)R及びRは、それらが結合されている窒素原子とともにシクリルアミンを形成する);或いは
(ii)RN-(CH-NR(式中、nは、1~6から選択される整数であり、R、R、R、及びRは、独立して、H、C~Cアルキル、又はC~Cシクロアルキルである)
であり、
(a1)3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを、1つ以上の適切な有機溶媒の存在下で又は不在下で前記アミンNHR又はR-N-(CH-Rと接触させるステップと;
(b1)任意選択により、(i)1つ以上の貧溶媒及び/又は(ii)3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの固体結晶性種晶、若しくは3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのアミン溶媒和物の固体結晶性種晶、又はその組み合わせをステップ(a1)の混合物に加えて3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記アミン溶媒和物を沈殿させるステップと;
(c1)ステップ(b1)の固体を単離して3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの固体アミン溶媒和物を得るステップと;
(d1)任意選択により、ステップ(a1)~(c1)のいずれか1つからの3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのアミン溶媒和物を、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに変換するステップと
を含む、プロセス。
【請求項14】
前記アミンは、ステップ(a1)において1つ以上の適切な有機溶媒中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの混合物に加えられる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記アミンは、NHRであり、前記アミンは、ジエチルアミン以外である、請求項13又は14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記アミンは、ジエチルアミンである、請求項13又は14に記載のプロセス。
【請求項17】
アミンの3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルに対するモル比は、1:1以上である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
1つ以上の貧溶媒は、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの固体アミン溶媒和物を得るためにステップ(a1)の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの混合物に加えられる、請求項13~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
1つ以上の貧溶媒並びに3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの固体結晶性種晶及び/又は3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記アミン溶媒和物の結晶性種晶は、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの固体アミン固体を得るためにステップ(a1)の溶液に加えられる、請求項13~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記1つ以上の貧溶媒は、アルカン及び水から独立して選択される請求項18又は19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記貧溶媒は、n-ヘプタンである、請求項18、19、又は20に記載のプロセス。
【請求項22】
ステップ(a1)の前記1つ以上の適切な有機溶媒は、アルコール、エーテル、トルエン、ケトン、エステル、ハロゲン化アルカン、ニトロメタン、N-メチルピロリジノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミドからなる群から独立して選択される、請求項13~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
ステップ(a1)の前記1つ以上の適切な有機溶媒は、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、1,2-プロパンジオール、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンからなる群から独立して選択される、請求項13~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
ステップ(a1)の前記適切な有機溶媒は、MTBEである、請求項13~23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物は、結晶性固体である、請求項16~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物は、請求項7~12のいずれか一項に記載のX線粉末回折パターンを有する結晶形B多形である、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記アミン溶媒和物は、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに変換される、請求項13~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
ステップ(a1)の前記3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを調製することをさらに含む、請求項13~27のいずれか一項に記載のプロセスであって、
(a)3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを、適切な有機溶媒中で及び任意選択によりトリエチルアミン三フッ化水素(EtN・3HF)の存在下で、塩基あり又はなしでデオキシフッ素化剤で処理するステップと;
(b)ステップ(a)からの混合物を精製して3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを得るステップと
を含む、プロセス。
【請求項29】
前記デオキシフッ素化剤は、ピリジン-2-スルホニルフルオリド、パーフルオロ-1-ブタンスルホニルフルオリド、ビス(2-メトキシルエチルアミノ)硫黄トリフルオリド、又は(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリドである、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
有機塩基は、(tert-ブチルアミノ)トリス-(ピロリジノ)ホスホラン又は2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチル-グアニジン若しくは1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]ウンデカ-7-エン、若しくは7-メチル-1,5,7-トリアザ-ビシクロ-[4.4.0]デカ-1-エンである、請求項28又は29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記適切な有機溶媒は、エーテル、エステル、ケトン、ハロアルカン、酢酸エステル、トルエン、及びキシレンから選択される、請求項29又は30に記載のプロセス。
【請求項32】
角度位置15.8及び18.6にピークを含むX線粉末回折パターンを有し、前記角度位置は、1.5418ÅのX線波長(Cu Kα)を使用する周囲温度でのX線粉末回折によって測定されて±0.2°2θだけ変動し得る、形A多形として指定される、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの結晶形を、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物から調製するプロセスであって、
(a3)3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物から前記ジエチルアミンを除去するステップと;
(b3)任意選択により、ステップ(a3)から得られた3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの結晶形A多形を再結晶するステップと
を含む、プロセス。
【請求項33】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物は、請求項7~12のいずれか一項に記載の結晶形B多形である、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記ジエチルアミンは、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物を加熱することによって3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物から除去される、請求項32又は33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記ジエチルアミンは、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物を1つ以上の適切な有機溶媒と酸性水溶液との間で分配すること及び前記1つ以上の適切な有機溶媒を単離し、濃縮することによって、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物から除去される、請求項32又は33に記載のプロセス。
【請求項36】
前記酸は、塩酸である、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記適切な有機溶媒は、MTBEである、請求項35又は36に記載のプロセス。
【請求項38】
前記形態AのX線粉末回折パターンは、角度位置20.1にピークをさらに含み、前記角度位置は、±0.2°2θだけ変動し得る、請求項32~37のいずれか一項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項39】
前記形態AのX線粉末回折パターンは、角度位置12.9及び20.1にピークをさらに含み、前記角度位置は、±0.2°2θだけ変動し得る、請求項32~37のいずれか一項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項40】
前記形態AのX線粉末回折パターンは、角度位置11.4、12.9、及び20.1にピークをさらに含み、前記角度位置は、±0.2°2θだけ変動し得る、請求項32~37のいずれか一項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項41】
前記形態AのX線粉末回折パターンは、角度位置10.1、11.4、12.9、及び20.1にピークをさらに含み、前記角度位置は、±0.2°2θだけ変動し得る、請求項32~37のいずれか一項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項42】
それに示される前記X線粉末回折パターンピークの前記角度位置は、±0.1°2θだけ変動し得る、請求項32~41のいずれか一項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項43】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記結晶形A多形は、1つ以上の適切な有機溶媒から再結晶される、請求項32~42のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項44】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記結晶形A多形は、アルコール、エーテル、トルエン、ケトン、エステル、ハロゲン化アルカン、ニトロメタン、N-メチルピロリジノン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドからなる群から独立して選択される1つ以上の適切な有機溶媒に溶解される、請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記適切な有機溶媒は、酢酸イソプロピルである、請求項44に記載のプロセス。
【請求項46】
1つ以上の貧溶媒及び/又は3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの固体結晶性種晶が加えられる、請求項45に記載のプロセス。
【請求項47】
前記1つ以上の貧溶媒は、アルカン及び水から独立して選択される、請求項46に記載のプロセス。
【請求項48】
前記1つ以上の貧溶媒は、水、n-ヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ペンタン、シクロヘキサン、及びシクロペンタンからなる群から独立して選択される、請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物及び3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを含む固体組成物であって、前記組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比は、約1:9~約1:0.001である固体組成物。
【請求項50】
前記組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する前記%重量比は、約1:0.25~約1:0.001である、請求項49に記載の固体組成物。
【請求項51】
前記組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する前記%重量比は、約1:0.05~約1:0.001である、請求項50に記載の固体組成物。
【請求項52】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記ジエチルアミン溶媒和物は、請求項7~12のいずれか一項に記載の結晶形B多形である、請求項49~51のいずれか一項に記載の固体組成物。
【請求項53】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを調製するためのプロセスであって、
(a5)3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを、適切な有機溶媒中で、有機塩基の存在下でパーフルオロブタンスルホニルフルオリド及びEtN・3HFで処理するステップと、
(b5)ステップ(a5)からの混合物を精製して3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを得るステップと
を含むプロセス。
【請求項54】
ステップ(a5)における前記有機塩基は、(tert-ブチルイミノ)トリス-(ピロリジノ)ホスホラン(BTPP)又は2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチル-グアニジン(BTMG)である、請求項53に記載のプロセス。
【請求項55】
ステップ(a5)における前記1つ以上の適切な有機溶媒は、エーテル、エステル、ハロアルカン、ケトン、酢酸エステル、トルエン、及びキシレンから選択される、請求項53又は54に記載のプロセス。
【請求項56】
ステップ(a5)における前記1つ以上の適切な有機溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、酢酸エチル、IPAc、MTBE、塩化メチレン、及びトルエンから選択される、請求項53~55のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項57】
ステップ(a5)の反応は、約-20℃~約室温で実施される、請求項53~56のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項58】
ステップ(a5)におけるBTPP又はBTMG:EtN・3HFのモル比は、約6:1~約1:1である、請求項53~57のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項59】
ステップ(a5)におけるPBSF:EtN・3HFのモル比は、約8:1~約1.7:1である、請求項53~58のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項60】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルは、請求項1~6のいずれか一項に記載の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのアミン溶媒和物に変換される、請求項53~59のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項61】
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの前記アミン溶媒和物は、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに変換される、請求項60に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月12日出願の、国際出願PCT/CN2021/123248号、及び2021年10月13日出願の、PCT/CN2021/123407号の利益を主張する米国非仮出願であり、それらのそれぞれの全体内容は、それらの全体を参照により本明細書によって組み込まれる。
【0002】
本開示は、以下の構造:
【化1】

に従い、本明細書では(「化合物1」と言われる、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル及びその特定の多形を作製する特定のプロセスを提供する。化合物1の結晶性多形を含む医薬組成物及びそのような多形を調製するためのプロセスも提供される。
【背景技術】
【0003】
化合物1は、低酸素症誘導因子-2α(HIF-2α)阻害剤であり、腎癌、グリア芽腫、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、傍神経節腫、ソマトスタチン産生腫瘍、血管芽細胞腫、消化管間質腫瘍(GIST)、下垂体部腫瘍、平滑筋腫、平滑筋肉腫、多血症、及び網膜腫瘍などの、癌、並びに肺動脈性高血圧(PAH)、逆流性食道炎、肝脂肪変性、NASH、炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患など)、自己免疫疾患(例えば移植片対宿主病など)、及び鉄過負荷などの、非癌疾患を含む、様々な疾患を処置するために開発されつつある。
【0004】
化合物1は、PCT出願No.公開No.国際公開第2020/214853号パンフレットの、表1に、化合物No.5として開示されている。化合物1を作製するための公開プロセスは、不純物を生成し、カラムクロマトグラフィーによる化合物1の精製を必要とする。費用及び操作の観点から、製剤原料の大規模製造のためのカラムクロマトグラフィーの使用は、不適切である。したがって、規制上の要件及び他の純度要件を満たし、且つ、商業規模などの、大規模で、費用効率が高い、化合物1を製造することができるスケールアップ可能なプロセスを特定することが必要とされている。
【0005】
小分子薬物の多形挙動は、同じ小分子が結晶格子内の分子の配置の結果として異なる物理的特性を有することができるので、薬理学の点で極めて重要であり得る。これらの異なる特性は、貯蔵安定性、圧縮性、密度、吸湿性、溶解速度、及び生物学的利用能などの、薬剤パラメータに影響を及ぼし得る。1つの多形は、別の多形へと変わることができ、場合によっては、これは自然発生的に起こることが知られている。したがって、小分子薬物の熱力学的に安定した多形を見いだす必要がある。本開示は、これらの及び関連ニーズを満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の様々な態様の中で、費用効率が高い方法での化合物1の大規模合成に適切である化合物1の合成のためのプロセスの提供が注目され得る。本プロセスは、一つには、化合物1が、特定の有機アミンとアミン溶媒和物を形成することができるという出願人による発見に基づいている。化合物1によるそのようなアミン溶媒和物の形成は、化合物1の合成において生成した特定の不純物の除去を可能にし、カラムクロマトグラフィーの必要性なしに高純度で化合物1を提供する。
【0007】
第1の態様において、角度位置15.8及び18.6にピークを含むX線粉末回折パターンを有する、A多形として指定される、化合物1の結晶形が提供され、ここで、角度位置は、1.5418ÅのX線波長(Cu Kα)を使用する周囲温度でのX線粉末回折によって測定されて±0.2°2θだけ変動し得る。第1の態様の実施形態において、X線粉末回折パターンは、約23℃~約25℃で測定される。
【0008】
第2の態様において、化合物1のアミン溶媒和物であって、アミンは、
(i)NHR(式中、(1)Rは、水素であり、Rは、C~C12アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである;(2)Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルであり、Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである;又は(3)R及びRは、それらが結合されている窒素原子とともにシクリルアミンを形成する);或いは
(ii)RN-(CH-NR(式中、nは、1~6から選択される整数であり、R、R、R、及びRは、独立して、H、C~Cアルキル、又はC~Cシクロアルキルである)
である、アミン溶媒和物が提供される。
【0009】
第3の態様において、角度位置13.8及び21.3にピークを含むX線粉末回折パターンを有する、形B多形として指定される、化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形が提供され、ここで、角度位置は、1.5406ÅのX線波長(Cu Kα)を使用する周囲温度でのX線粉末回折によって測定されて±0.2°2θだけ変動し得る。第3の態様の実施形態において、X線粉末回折パターンは、約23℃~約25℃で測定される。
【0010】
第4の態様において、化合物1のアミン溶媒和物を調製するプロセスであって、アミンは、
(i)NHR(式中、(1)Rは、水素であり、Rは、C~C12アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである;(2)Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルであり、Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、若しくはC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである;又は(3)R及びRは、それらが結合されている窒素原子とともにシクリルアミンを形成する);或いは
(ii)RN-(CH-NR(式中、nは、1~6から選択される整数であり、並びにR、R、R、Rは、独立して、H、C~Cアルキル、又はC~Cシクロアルキルである)
であり、
(a1)化合物1を、1つ以上の適切な有機溶媒の存在下で又は不在下で、アミンNHR又はR-N-(CH-R(式中、R、R、R、R、R、及びR、並びにnは、それぞれ、(i)及び(ii)において定義された通りである)と接触させるステップと;
(b1)任意選択により、(i)1つ以上の貧溶媒及び/或いは(ii)化合物1の固体結晶性種晶、若しくは化合物1のアミン溶媒和物の固体結晶性種晶、又はその組み合わせをステップ(a1)の混合物に加えて化合物1のアミン溶媒和物を沈殿させるステップと;
(c1)ステップ(b1)の固体を単離して化合物1の固体アミン溶媒和物を得るステップと;
(d1)任意選択により、ステップ(a1)~(c1)のいずれか1つからの化合物1のアミン溶媒和物を化合物1に変換するステップと
を含む、プロセスが提供される。
【0011】
ステップ(a1)の化合物1を調製するステップをさらに含む、第4の態様のプロセスであって、
(a)3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを、適切な有機溶媒中で及び任意選択によりトリエチルアミン三フッ化水素(EtN・3HF)の存在下で、塩基あり若しくはなしでデオキシフッ素化剤で処理するステップと;
(b)ステップ(a)からの混合物を精製して化合物1を得るステップと
を含む、プロセスが提供される。
【0012】
第5の態様において、実施形態C1~C9(本明細書で以下に開示される)に記載されるような化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形を調製するプロセスであって、
(a2)3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(化合物1)を、1つ以上の適切な有機溶媒の存在下で又は不在下で、ジエチルアミンと接触させるステップと;
(b2)任意選択により、(i)1つ以上の貧溶媒及び/又は(ii)化合物1の結晶性種晶、若しくは化合物1のアミン溶媒和物の固体結晶性種晶、又はその組み合わせをステップ(a2)の混合物に加えて化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形を沈殿させるステップと;
(c2)化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形を単離するステップと;
(d2)任意選択により、化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形を化合物1に変換するステップと
を含む、プロセスが提供される。
【0013】
第6の態様において、化合物1のジエチルアミン溶媒和物から、(本明細書で以下の実施形態A1~A11に定義されるような)化合物1の結晶形A多形を調製するプロセスであって、
(a3)化合物1のジエチルアミン溶媒和物からジエチルアミンを除去するステップと;
(b3)任意選択により、ステップ(a3)から得られた化合物1の結晶形A多形を再結晶するステップと
を含む、プロセスが提供される。
【0014】
第7の態様において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(化合物1)の結晶形A多形を作製するプロセスであって、
(a4)1つ以上の適切な有機溶媒中の化合物1の溶液を1つ以上の貧溶媒と接触させるステップと;
(b4)任意選択により、化合物1の固体結晶性種晶を加えるステップと;
(c4)化合物1の結晶形A多形を混合物から単離するステップと
を含む、プロセスが提供される。
【0015】
第8の態様において、3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルから化合物1を作製するためのプロセスであって、
(a5)3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを、1つ以上の適切な有機溶媒中で、有機塩基の存在下でパーフルオロブタンスルホニルフルオリド(PBSF)及びEtN・3HFで処理するステップと;
(b5)ステップ(a5)からの混合物を精製して化合物1を得るステップと;
(c5)任意選択により、ステップ(b5)からの化合物1を、第2の態様のアミン溶媒和物又は本明細書で以下に開示されるその任意の実施形態に変換するステップと;
(d5)任意選択により、ステップ(c5)から得られた化合物1のアミン溶媒和物を、第1の態様において開示されるような化合物1の結晶形A多形又は本明細書で以下に開示されるその任意の実施形態に変換するステップと
を含む、プロセスが提供される。
【0016】
第9の態様において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物と、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルとを含む固体組成物であって、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物(「化合物1のDEA溶媒和物」)の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(化合物1)に対する%重量比は、約1部のDEA溶媒和物対9部以下の化合物1である組成物が提供される。第9の態様の実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物と、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルとを含む固体組成物であって、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比は、約1:9~約1:0.001である組成物が提供される。
【0017】
第10の態様において、患者におけるHIF-2αの阻害により処置可能な疾病を処置する方法であって、好ましくは、患者は、そのようは処置を必要としており、その方法は、患者、好ましくはそのような処置を必要としている患者に、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物中に、治療有効量の上記の第1の態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形又は本明細書に開示されるその実施形態のいずれか1つを投与することを含む方法が提供される。
【0018】
第10の態様の一実施形態において、疾患は、腎癌、明細胞腎細胞癌、肝臓癌、肝細胞癌(HCC)、膵臓癌、膵臓神経内分泌腫瘍、胃癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、大腸癌(CRC)、膵管腺癌(PDAC)、胆道癌(BTC)、グリア芽腫(PNAS 2017,114,E6137-E6146を参照されたい)、神経芽細胞腫、褐色細胞腫及び傍神経節腫(European Journal of Cancer 2017,86,1-4を参照されたい)、ソマトスタチン産生腫瘍、血管芽細胞腫、消化管間質腫瘍(GIST)、下垂体部腫瘍、平滑筋腫、平滑筋肉腫、多血症、網膜腫瘍などの癌、子宮癌、褐色細胞腫/傍神経節腫、黒色腫、胃癌、肺腺癌、食道癌、扁平上皮肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、頭頸部癌、肝臓癌、大腸癌、乳癌、腎細胞癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、グリア芽腫、胸腺腫、前立腺癌、膵臓癌、肉腫、及び低悪性度神経膠腫などの1つ以上のEPAS1/HIF2A変異の癌、並びに前立腺癌、子宮癌、肝臓癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、肺腺癌、頭頸部癌、胃癌、肉腫癌、大腸癌、扁平上皮肺癌、食道癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、黒色腫、腎細胞癌、子宮頸癌、褐色細胞腫/傍神経節腫、腺様嚢胞癌、急性骨髄性白血病、グリア芽腫、及び低悪性度神経膠腫などの1つ以上のELOC/TCEB1変異の癌である。
【0019】
別の実施形態において、Hif-2α阻害の恩恵を受ける可能性のある非癌性疾患には、VHL(フォン・ヒッペル-リンダウ)疾患(Oncotarget,2015,6,23036-23037を参照されたい)、PAH(肺動脈高血圧症)(Mol.Cell.Biol.2016,36,1584-1594を参照されたい)、食道炎、逆流性食道炎(Current Opinion in Pharmacology 2017,37:93-99を参照されたい)、脂肪肝(Nature Medicine 2017,23,1298-1308を参照されたい)、NASH、炎症性腸疾患などの炎症性疾患(Nature Reviews gastroenterology&Hepatology 2017,14,596を参照されたい)、移植片対宿主病などの自己免疫疾患(Blood,2015,126,1865を参照されたい)及び鉄過負荷が含まれる。
【0020】
第11の態様において、上記の第1態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形又は本明細書に開示されるその実施形態のいずれか1つと;薬理学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0021】
第12の態様において、上記の第1態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形又は本明細書に開示されるその実施形態のいずれか1つと;薬理学的に許容される賦形剤とを使って調製される医薬組成物が提供される。
【0022】
第13の態様において、HIF2αを阻害する方法であって、その方法は、HIF2αを、上記の第1態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形若しくは本明細書に開示されるその実施形態のいずれか1つと接触させること;又はHIF2αを、上記の第1態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形若しくは本明細書に開示されるその実施形態のいずれか1つと;薬理学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物と接触させることを含む方法が提供される。
【0023】
第14の態様において、HIF-2αによって媒介される疾患の処置で使用するための上記の第1態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形又は本明細書に開示されるその実施形態のいずれか1つが提供される。第14の態様の実施形態において、疾患は、第10の態様の第1の実施形態において開示されるものを含めて本明細書に開示されるものである。
【0024】
癌の処置に関する前述の態様のいずれかにおいて、EGFR阻害剤ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、イコチニブ、ネラトニブ、ロシレチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、又はマツズマブなどの少なくとも1つの追加の抗癌剤と組み合わせて、上記の第1の態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形又はその実施形態のいずれか1つを投与することを含むさらなる実施形態が提供される。別の実施形態において、上記の第1の態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形又はその実施形態のいずれか1つは、ラパチニブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブを含むHER2/neu阻害剤と組み合わせて投与される。別の実施形態において、上記の第1の態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形又はその実施形態のいずれか1つは、イデラリシブ、ブパルリシブ、BYL719、及びLY3023414を含むPI3k/mTOR阻害剤と組み合わせて投与される。別の実施形態において、上記の第1の態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形又はその実施形態のいずれか1つは、ベバシズマブなどのVEGF阻害剤、並びに/又はソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、及びカボザンチニブなどのマルチ-チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。別の実施形態において、上記の第1の態様に定義されるような化合物1の結晶形A多形又はその実施形態のいずれか1つは、PD-1及びPD-L1阻害剤、CTLA4阻害剤、IDO阻害剤、TDO阻害剤、A2Aアゴニスト、A2Bアゴニスト、STINGアゴニスト、RIG-1アゴニスト、Tyro/Axl/Mer阻害剤、グルタミナーゼ阻害剤、アルギナーゼ阻害剤、CD73阻害剤、CD39阻害剤、TGF-β阻害剤、IL-2、インターフェロン、PI3K-γ阻害剤、CSF-1R阻害剤、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、TIM-3アンタゴニスト、LAG-3アンタゴニスト、CAR-T療法剤、及び治療ワクチンなどの免疫療法剤と組み合わせて投与される。組み合わせ療法が使用される場合、作用物質は、同時に又は連続して投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例4に記載の方法に従って調製された、化合物1のジエチルアミン(DEA)溶媒和物の結晶形B多形の代表的なXRPD回折図を示す。
図2】実施例4に記載の方法に従って調製された、化合物1のジエチルアミン溶媒和物の代表的なHNMRスペクトルを示す。
図3】実施例3に記載の方法に従って調製された、化合物1の結晶形A多形の代表的なXRPD回折図を示す。
図4】実施例3に記載の方法に従って調製された、化合物1の結晶形A多形、及び実施例4に記載の方法に従って調製された、化合物1のジエチルアミン溶媒和物の形B多形の比較XRPD回折図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義:
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される以下の用語は、本出願の目的のために定義され、以下の意味を有する。
【0027】
「アルキル」は、1~6つの炭素原子の直鎖若しくは分岐飽和一価炭化水素ラジカル、すなわち、C~Cアルキルを意味し、特に明記しない限り、例えば、C~C12アルキルは、2~12の炭素原子を含有する上に定義されるようなアルキルラジカル(すなわち、直鎖若しくは分岐飽和一価炭化水素ラジカル)を意味する。例としては、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル、ブチル、ペンチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
「C~Cアルキレン」は、1~6つの炭素原子の直鎖若しくは分岐飽和二価炭化水素ラジカルを意味する。例としては、メチレン、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCH(CH)-、-CHCHCHCH-(及びその異性体)、-CHCHCHCHCH-(及びその異性体)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
「C~Cアルケニル、は、単一の二重結合を含有する2~6つの炭素原子の直鎖若しくは分岐一価炭化水素ラジカルを意味する。例としては、ビニル、アリルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
「C~Cアルキニル、は、単一の三重結合を含有する2~6つの炭素原子の直鎖若しくは分岐一価炭化水素ラジカルを意味する。例としては、エチニル、プロパルギルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
「C~Cシクロアルキル」は、任意選択により1つ又は2つのアルキルで置換された3~7つの炭素原子の単環式飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
「C~Cシクロアルキル-C1~6アルキル」は、C1~6アルキレンが上で定義される通りであり、Rが上に定義されるようなC~Cシクロアルキルである-C1~6アルキレン-R基を意味する。例としては、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
「シクリルアミン」は、1つの環原子が窒素であり、追加の環原子がN、O、及びS(O)(ここで、nは、0~2から選択される整数である)から独立して選択されることができるヘテロ原子であり、残りの環原子がCである、4~8つの環原子の飽和単環式環を意味する。シクリルアミンは、本明細書で定義されるような1つ又は2つのアルキルで置換されていてもよい。代表的な例としては、ピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン、モルホリン、ピペラジン、チオモルホリンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
「溶媒和物」という用語は、化合物が溶媒分子に非共有結合によって会合している化合物の形態を指す。この物理的会合には、水素結合が含まれ得る。本明細書で使用される場合 、化合物1のアミン溶媒和物は、それぞれ本明細書で定義されるような、アミンNHR又はRN-(CH-NRと会合している化合物1の形態を指し、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方を含む。特定の場合に、化合物1のアミン溶媒和物は、例えば、アミン分子が化合物1の結晶性固体の結晶格子内に組み込まれている場合には、単離可能である。特定の場合に、化合物1のアミン溶媒和物は、その場で存在する。化合物1のアミン溶媒和物は、したがって、単離可能な溶媒和物及びその場溶媒和物の両方を含む。その場で存在する化合物1のアミン溶媒和物はまた、付加体と本明細書では言われる。
【0035】
本開示は、化合物1及び化合物1のジエチルアミン溶媒和物の多形を含む。多形は、結晶格子内のその化合物の分子の配置が異なる、化合物の結晶形である。したがって、単一化合物は、様々な多形を生じ得る。化合物の多形は、通常、異なる融点、溶解度、密度及び光学特性を有する。化合物の多形は、X線回折測定、IR、又はラマン分光法などの当技術分野で周知のいくつかの技術によって区別することができる。
【0036】
「XRPD」は、固体成分の存在下でのX線の回折を測定する分析技術である、X線粉末回折を意味する。結晶性であり、原子の規則的な繰り返し配列を有する物質は、独特の粉末パターンを生成する。
【0037】
本明細書で使用される「実質的に含まない」は、約10重量%未満の化合物1の3-フルオロ-5-(((1R,2aS)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルエナンチオマー(本明細書では以下「(1R,2aS)エナンチオマー」)を有する化合物1(すなわち3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル)の結晶形A多形を指す。一実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約8重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約7重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約6重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約5重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約4重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約3重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約2重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約1重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約0.8重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約0.7重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約0.6重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約0.5重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約0.4重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約0.3重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約0.2重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約0.1重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。さらに別の実施形態において、化合物1の結晶形A多形は、約0.05重量%未満の(1R,2aS)エナンチオマーを有する。
【0038】
本明細書で使用される「実質的に純粋な」は、HPLCによって測定されて約5重量%未満の全不純物又は約5%未満の全不純物を含有する化合物1の固体形を指す。「結晶形A多形は、実質的に純粋である」という語句は、その化合物1の形A多形が、HPLCによって測定されて約5重量%未満の全不純物又は約5%未満の全不純物を含有することを意味する。一実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約4重量%未満の全不純物又は約4%未満の全不純物を含有する。別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約3重量%未満の全不純物又は約5%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約2重量%未満の全不純物又は約2%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約1重量%未満の全不純物又は約1%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約0.9重量%未満の全不純物又は約0.9%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約0.8重量%未満の全不純物又は約0.8%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約0.7重量%未満の全不純物又は約0.7%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約0.6重量%未満の全不純物又は約0.6%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約0.5重量%未満の全不純物又は約0.5%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約0.4重量%未満の全不純物又は約0.4%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約0.3重量%未満の全不純物又は約0.3%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約0.2重量%未満の全不純物又は約0.2%未満の全不純物を含有する。さらに別の実施形態において、その化合物1の結晶形A多形は、HPLCによって測定されて約0.1重量%未満の全不純物又は約0.1%未満の全不純物を含有する。不純物には、合成副生成物、残留出発原料、試薬、残留有機溶媒などが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される「実質的に同一の」は、サンプルの位置決め若しくは取扱い又はトレース若しくは物理的特性を取得するために用いられる機器の個性に典型的には関連している或いは実験室環境若しくは分析機器内で又は実験室環境若しくは分析機器間で普通に遭遇する他の変動若しくはゆらぎによるものである変動の範囲内でピーク位置及び振幅又は強度が匹敵する値又はデータトレースの点で匹敵する測定される物理的特性を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「反応させること」、「処理すること」又は「接触させること」という用語は、一定のプロセスを記載する場合に、当技術分野で公知であるように使用され、一般に、分子レベルでの化学試薬の相互作用を可能にして化学的又は物理的変換を達成するような方法で化学試薬を一緒にすることを指す。本明細書に記載されるプロセスの「反応させる」、「処理する」又は「接触させる」ステップは、特定生成物を調製するのに適切な時間及び条件下で行うことができる。
【0041】
本明細書で使用される「貧溶媒、は、化合物1又は化合物1のジエチルアミン溶媒和物がそれに溶解しにくい溶媒を意味する。一実施形態において、貧溶媒は、化合物1がそれに溶解しにくい溶媒である。別の実施形態において、貧溶媒は、化合物1がそれに約50mg/mL未満の溶解度を有する溶媒である。さらに別の実施形態において、貧溶媒は、化合物1がそれに約25mg/mL未満の溶解度を有する溶媒である。
【0042】
「適切な有機溶媒」又は「第1の適切な有機溶媒」は、本明細書に開示されるプロセスの反応条件下で、反応が実施される温度で反応物、中間体及び/又は生成物のどれかといかなる感知できる反応にも入らない有機溶媒を指す。本明細書に開示される所与の反応は、1つの有機溶媒又は2つ以上の有機溶媒の混合物中で実施することができる。本明細書に記載される反応に使用することができる適切な有機溶媒の例としては、極性(プロトン性及び/又は非プロトン性)並びに非極性有機溶媒、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化アルカン;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt-ブチルエーテルなどのエーテル;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコール、1-、2-、若しくは3-ペンタノール、ネオペンチルアルコールなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル;アセトンなどのケトン;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素、又はシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどのアルカンが含まれる。本明細書に記載される反応に使用することができる追加の有機溶媒には、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アルコールなどを含むが、これらに限定されない極性有機溶媒が含まれる。極性有機溶媒(例えば、アルコール、アセトニトリル、DMF、N-メチルピロリジノン、ニトロメタン)が水を含有する場合、それらは、水性有機溶媒と本明細書では言われる。反応ステップの性質に応じて、特定の反応ステップに適切である溶媒を、当業者によって容易に選択することができる。
【0043】
本明細書に記載されるプロセスは、当技術分野で公知の任意の適切な方法に従って監視することができる。例えば、生成物形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、H又は13C)、赤外分光法、分光測光法、若しくは質量分析法などの、分光学的方法によって;又は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは薄層クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーによって監視することができる。反応によって得られた化合物は、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって精製することができる。例えば、適切な吸着剤(例えば、シリカゲル、アルミナなど)でのクロマトグラフィー(中圧)、HPLC、又は分取薄層クロマトグラフィー;蒸留;昇華、トリチュレーション、又は再結晶。化合物の純度は、一般に、(固体の場合には)融点を測定すること、NMRスペクトルを得ること、又はHPLC分離を行うことなどの物理的方法によって測定される。
【0044】
「アルコール」は、1つ又は2つのヒドロキシ基などの1つ以上を有する脂肪族炭化水素化合物を指す。代表的な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1,2-プロパンジオールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
化合物の「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩には、
塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸で形成された酸付加塩;又はギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、グルコヘプトン酸、4,4’-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸で形成された酸付加塩;又は
親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン又はアルミニウムイオンのいずれかで置き換えられた場合に形成される塩;又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基との配位物
が含まれる。薬学的に許容される塩は、非毒性であることが理解される。適切な薬学的に許容される塩に関する追加情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,1985に見出すことができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
「薬学的に許容される担体又は賦形剤」は、一般に安全であり、非毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましくないものでない医薬組成物を調製するのに有用である担体又は賦形剤を意味し、家畜への使用並びにヒト製薬使用に許容される担体又は賦形剤を含む。本明細書及び特許請求の範囲に使用されるような「薬学的に許容される担体/賦形剤」には、1つ及び2つ以上の両方のそのような賦形剤が含まれる。
【0047】
本明細書で使用される「任意選択により」又は「任意選択の」という用語は、その後に記載されるイベント又は状況が起こってもよいが起こる必要がないこと、及びその記載が、イベント又は状況が起こる場合及びそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、本概要の第4の態様のステップ(d1)において「任意選択により、ステップ(a1)~(c1)のいずれか1つからの化合物1のアミン溶媒和物を化合物1に変換する」という語句は、第4の態様に記載されるプロセスが、ステップ(a1)~(c1)のいずれか1つからの化合物1のアミン溶媒和物が化合物1に変換されるステップを含んでもよいし又は含まなくてもよいことを意味する。
【0048】
本明細書で使用される「約」という用語は、それが修飾する数値を特定することを意図しており、そのような値を許容誤差内の変数として示す。チャート又はデータの表に示されている平均値への標準偏差など、特定の許容誤差が記載されていない場合、「約」という用語は、記載されている値及び範囲を含み、±10%、好ましくは±5%を包含するであろう範囲を意味すると理解されるべきである。
【0049】
本明細書で使用される「疾患」という用語は、一般に同義語であることが意図されており、「障害」、「症候群」及び「状態」(病状の場合のように)という用語と互換可能に使用され、全てがヒト又は動物の身体又は正常な機能を損なうその部分の1つの異常な状態を反映している点において、典型的には兆候及び症状を区別することによって示され、ヒト又は動物の生存期間又は生活の質の低下を引き起こす。
【0050】
「組み合わせ療法」という用語は、本開示に記載されている疾患又は障害を処置するための2つ以上の治療剤の投与を意味する。そのような投与は、一定の比率の有効成分を有する単一のカプセル又は各有効成分について別個の複数カプセルなど、これらの治療剤の実質的に同時の方法での共投与を包含する。さらに、そのような投与は、連続的な方法での各タイプの治療剤の使用も包含する。いずれの場合にも、処置レジメンは、本明細書に記載の状態又は障害の処置において薬物の組み合わせの有益な効果を提供する。
【0051】
「患者」という用語は、一般に、「対象」という用語と同義であり、ヒトを含む全ての哺乳動物を含む。患者の例には、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ及びウサギなどの家畜並びにイヌ、ネコ、ウサギ及びウマなどのコンパニオンアニマルが含まれる。好ましくは、患者は、ヒトである。
【0052】
疾患の「処置すること、又は「処置」には、
(1)疾患を阻害すること、すなわち疾患又はその臨床症状の発症を阻止(すなわち安定化)又は軽減すること;又は
(3)疾患を緩和すること、すなわち疾患又はその臨床症状の退行を引き起こすこと
が含まれる。
が含まれる。
【0053】
「治療有効量」は、疾患を処置するために患者に投与された場合、疾患のそのような処置に影響を与えるのに十分である、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患及びその重症度並びに処置される哺乳動物の年齢、体重などによって異なる。
【0054】
実施形態:
以下の実施形態において、実施形態の数値範囲は、別の実施形態の番号付け範囲を指し得る。例として、下記の実施形態Dにおいて、プロセス実施形態D47~D54は、組成物実施形態Cの、それぞれ、実施形態C2~C9の数値範囲を指し、及び実施形態D60~69は、組成物実施形態の、それぞれ、実施形態A2~A11の数値範囲を指す。これは、プロセス実施形態D47~D54が、それぞれ、生成物実施形態C2~C9を生み出す、すなわちプロセス実施形態D47が実施形態C2に従った生成物を生み出し、プロセス実施形態C48が実施形態C3に従った生成物を生み出すことなどを意味する。同様に、プロセス実施形態D60は、実施形態A2に従った生成物を生み出し、プロセス実施形態D69は、実施形態A11に従った生成物を生み出す。
【0055】
さらなる実施形態において、本開示は、下記を含む:
【0056】
実施形態A:
A1.実施形態A1において、本概要での第1の態様に記載されるようなX線粉末回折パターンを有する化合物1の結晶形A多形が提供される。
【0057】
A2.実施形態A2において、実施形態A1の結晶形A多形は、形態AのX線粉末回折パターンが、角度位置20.1にピークをさらに含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0058】
A3.実施形態A3において、実施形態A1の結晶形A多形は、形態AのX線粉末回折パターンが、角度位置12.9及び20.1にピークをさらに含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0059】
A4.実施形態A4において、実施形態A1の結晶形A多形は、形態AのX線粉末回折パターンが、角度位置11.4、12.9、及び20.1にピークをさらに含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0060】
A5.実施形態A5において、実施形態A1の結晶形A多形は、形態AのX線粉末回折パターンが、角度位置10.1、11.4、12.9、及び20.1にピークをさらに含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0061】
A6.実施形態A6において、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つのピーク、少なくとも7つのピーク、又は少なくとも8つのピークを、以下の表1から選択される角度位置に含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得るX線粉末回折パターンを有する化合物1の結晶形A多形が提供される。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
A7.実施形態A7において、実施形態A6の結晶形A多形は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つのピークが、10.1、11.4、12.9、13.7、15.8、18.6、19.6、20.1、21.4、21.7、25.0、及び26.0から選択され、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。A6の実施形態において、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つのピークは、10.1、11.4、12.9、13.7、15.8、18.0、19.6、20.1、21.4、21.7、25.0、及び26.0から選択され、角度位置は、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0065】
A8.実施形態A8において、図3に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折パターンを有する化合物1の結晶形A多形が提供される。
【0066】
A9.実施形態A9において、A1~A8のいずれか1つの結晶形A多形は、それに示されるX線回折パターンピークの角度位置が±0.1°2θだけ変動し得る。
【0067】
A10.実施形態A10において、A1~A9のいずれか1つの結晶形A多形は、実質的に純粋である。
【0068】
A11.実施形態A10において、A1~A10のいずれか1つの結晶形A多形は、化合物1の3-フルオロ-5-(((1R,2aS)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルエナンチオマーを実質的に含まない。
【0069】
実施形態B:
B1.実施形態B1において、本概要の第2の態様に定義されるような化合物1のアミン溶媒和物が提供される。
【0070】
B2.実施形態B2において、実施形態B1のアミン溶媒和物は、アミンが、NHRである。
【0071】
B3.実施形態B3において、実施形態B1のアミン溶媒和物は、アミンが、R-N-(CH-NRである。
【0072】
B4.実施形態B4において、実施形態B1又はB2のアミン溶媒和物は、Rが、水素であり、及びRが、C~C12アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、又はC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0073】
B5.実施形態B5において、実施形態B1、B2、又はB4のアミン溶媒和物は、Rが、水素であり、及びRが、C~C12アルキルである。
【0074】
B6.実施形態B6において、実施形態B1、B2、又はB4のアミン溶媒和物は、Rが、水素であり、及びRが、C~Cシクロアルキルである。
【0075】
B6A.実施形態B6Aにおいて、実施形態B1、B2、又はB4のアミン溶媒和物は、Rが、水素であり、及びRが、C~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0076】
B7.実施形態B7において、実施形態B1又はB2のアミン溶媒和物は、Rが、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、又はC~Cアルキニルであり、及びRが、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、又はC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0077】
B8.実施形態B8において、実施形態B1、B2、又はB7のアミン溶媒和物は、Rが、C~Cアルキルであり、及びRが、C~Cアルキルである。
【0078】
B9.実施形態B9において、実施形態B1、B2、又はB7のアミン溶媒和物は、Rが、C~Cアルキルであり、及びRが、C~Cシクロアルキルである。
【0079】
B10.実施形態B10において、実施形態B1、B2、又はB7のアミン溶媒和物は、Rが、C~Cアルキルであり、及びRが、C~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0080】
B10A.実施形態B10Aにおいて、実施形態B1又はB2のアミン溶媒和物は、R及びRが、独立して、C~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0081】
B11.実施形態B11において、実施形態B1又はB2のアミン溶媒和物は、R及びRが、それらが結合されている窒素原子とともにシクリルアミンを形成する。
【0082】
B12.実施形態B12において、実施形態B1又はB3のアミン溶媒和物は、nが、2~5から選択される。B12の第1の実施形態において、nは、3~5である。B12の第2の実施形態において、nは、4又は5である。
【0083】
B13.実施形態B13において、実施形態B1又はB3のアミン溶媒和物は、nが、2~4から選択される。B13の第1の実施形態において、nは、3又は4である。B13の第2の実施形態において、nは、3である。
【0084】
B14.実施形態B14において、実施形態B1又はB3のアミン溶媒和物は、nが、2又は3である。
【0085】
B15.実施形態B15において、実施形態B1又はB3のアミン溶媒和物は、nが、2である。
【0086】
B16.実施形態B16において、実施形態B1、B3、及びB12~B15並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、水素である。
【0087】
B17.実施形態B17において、実施形態B1、B3、及びB12~B15並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、C~Cアルキルである。
【0088】
B18.実施形態B18において、実施形態B1、B3、及びB12~B15並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、C~Cシクロアルキルである。
【0089】
B19.実施形態B19において、実施形態B1、B3、及びB12~B18並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、水素である。
【0090】
B20.実施形態B20において、実施形態B1、B3、及びB12~B18並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、C~Cアルキルである。
【0091】
B21.実施形態B21において、実施形態B1、B3、及びB12~B18並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、C~Cシクロアルキルである。
【0092】
B22.実施形態B22において、実施形態B1、B3、及びB12~B21並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、水素である。
【0093】
B23.実施形態B23において、実施形態B1、B3、及びB12~B21並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、C~Cアルキルである。
【0094】
B24.実施形態B24において、実施形態B1、B3、及びB12~B21並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、C~Cシクロアルキルである。
【0095】
B25.実施形態B25において、実施形態B1、B3、及びB12~B24並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、水素である。
【0096】
B26.実施形態B26において、実施形態B1、B3、及びB12~B24並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、C~Cアルキルである。
【0097】
B27.実施形態B27において、実施形態B1、B3、及びB12~B24並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのアミン溶媒和物は、Rが、C~Cシクロアルキルである。
【0098】
B28.実施形態B28において、実施形態B1、B2、及びB4~B6Aのいずれか1つのアミン溶媒和物は、アミンが、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、sec-ペンチルアミン、ペンチル-3-アミン、ネオペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、2-ヘキシルアミン、3-ヘキシルアミン、イソヘキシルアミン、1-メチルペンチルアミン、2-エチルブチルアミン、2-メチルペンチルアミン、1,1-ジメチルブチルアミン、1,3-ジメチルブチルアミン、3,3-ジメチルブチルアミン、2-メチル-3-ペンチルアミン、3-メチルペンチルアミン、3-メチル-3-ペンチルアミン、3-メチル-2-ペンチルアミン、2-メチルブチルアミン、1,2,2-トリメチルプロピルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロブチルメチルアミン、シクロプロピル-メチルアミン、2-メチルシクロプロピルアミン、2-シクロプロピルエチルアミン、2-メチルシクロペンチルアミン、3-メチルシクロペンチルアミン、シクロペンチルメチルアミン、2-シクロブチルエチルアミン、3-シクロプロピル-プロピルアミン、2-エチルシクロプロピルアミン、アリルアミン又はプロパルギルアミンである。
【0099】
B29.実施形態B29において、実施形態B1、B2、B4、及びB5のいずれか1つのアミン溶媒和物は、アミンが、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、sec-ペンチルアミン、ペンチル-3-アミン、ネオペンチル-アミン、n-ヘキシルアミン、2-ヘキシルアミン、3-ヘキシルアミン、イソヘキシルアミン、1-メチルペンチルアミン、2-エチルブチルアミン、2-ブチルアミン、2-メチルペンチルアミン、1,1-ジメチルブチルアミン、1,3-ジメチルブチルアミン、3,3-ジメチルブチルアミン、2-メチル-3-ペンチルアミン、3-メチルペンチルアミン、3-メチル-3-ペンチルアミン、3-メチル-2-ペンチルアミン、2-メチルブチル-1-アミン、又は1,2,2-トリメチル-プロピルアミンである。
【0100】
B30.実施形態B30において、実施形態B1、B2、B4、及びB6のいずれか1つのアミン溶媒和物は、アミンが、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシル-アミン、2-メチルシクロプロピルアミン、2-メチルシクロペンチルアミン、3-メチル-シクロペンチルアミン、又は2-エチルシクロプロピルアミンである。
【0101】
B31.実施形態B31において、実施形態B1、B2、及びB7~B10のいずれか1つのアミン溶媒和物は、アミンが、N-メチルエチルアミン、ジエチルアミン、N-メチル-n-プロピルアミン、N-メチルイソプロピルアミン、N-アリルメチルアミン、N-メチルプロパルギルアミン、N-エチル-n-プロピルアミン、N-エチルイソプロピルアミン、N-メチルブチルアミン、N-メチル-2-ブチルアミン、N-tert-ブチル-メチル-アミン、N-メチル-シクロブチルアミン、N-エチルシクロプロピルアミン、1-シクロプロピル-N-メチルメタンアミン、N-エチル-プロパ-2-イン-1-アミン、N-エチルアリルアミン、N-メチルペンチルアミン、N-メチル-2-ペンチルアミン、N-メチル-3-ペンチルアミン、N,3-ジメチルブタン-2-アミン、N,2-ジメチル-ブタン-2-アミン、N,3-ジメチルブタン-2-アミン、N-メチルシクロペンチルアミン、N-エチル-1-ブチルアミン、N-エチル-2-ブチルアミン、N-エチル-2-メチル-2-プロピルアミン、N-エチル-2-メチルプロピルアミン、N-エチルシクロブチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、N-イソプロピルプロピルアミン、ジアリルアミン、ジプロパルギルアミン、又はアリルプロパルギルアミンである。B31の一実施形態において、アミンは、ジエチルアミンではない。
【0102】
B32.実施形態B32において、実施形態B1、B2、B7、及びB8のいずれか1つのアミン溶媒和物は、アミンが、N-メチルエチルアミン、ジエチルアミン、N-メチル-n-プロピルアミン、N-メチル-イソプロピルアミン、N-エチル-n-プロピルアミン、N-エチル-イソプロピルアミン、N-メチルブチルアミン、N-メチル-2-ブチルアミン、N-tert-ブチル-メチル-アミン、N-メチルペンチル-1-アミン、N-メチル-2-ペンチルアミン、N-メチル-3-ペンチルアミン、N,3-ジメチルブタン-2-アミン、N,2-ジメチルブタン-2-アミン、N,3-ジメチルブタン-2-アミン、N-エチル-1-ブチルアミン、N-エチル-2-ブチルアミン、N-エチル-2-メチル-2-プロピルアミン、N-エチル-2-メチルプロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、又はN-イソプロピルプロピルアミンである。B32の一実施形態において、アミンは、ジエチルアミンではない。
【0103】
B33.実施形態B33において、実施形態B1、B2、B7、及びB9のいずれか1つのアミン溶媒和物は、アミンが、N-メチルシクロブチルアミン、N-エチルシクロプロピルアミン、N-メチルシクロペンチルアミン、又はN-エチルシクロブチルアミンである。
【0104】
B34.実施形態B34において、実施形態B1、B2、及びB11のいずれか1つのアミン溶媒和物は、アミンが、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、アゼパン、又はアゾカンである。
【0105】
B35.実施形態B35において、実施形態B1、B3、及びB12~B16、B19、B20、B22、B23、及びB25のいずれか1つのアミン溶媒和物は、アミンが、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサン-1,6-ジアミン、N,N-ジメチルエタン-1,2-ジアミン、又はN,N-ジエチルエタン-1,2-ジアミンである。
【0106】
B36.実施形態B36において、実施形態B1又はB2のアミン溶媒和物は、アミンが、N-メチルエチルアミン、ジエチルアミン、N-メチル-n-プロピルアミン、N-メチル-イソプロピルアミン、N-エチル-n-プロピルアミン、N-エチル-イソプロピルアミン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、又はモルホリンである。
【0107】
B37.実施形態B37において、実施形態B1又はB36のアミン溶媒和物は、アミンが、ジエチルアミンである。
【0108】
B38.実施形態B38において、実施形態B37のアミン溶媒和物は、化合物1のジエチルアミン溶媒和物中のジエチルアミンの化合物1に対する化学量論比が、約1:1である。
【0109】
B39.実施形態B39において、実施形態B1~B38のいずれか1つのアミン溶媒和物は、化合物1のアミン溶媒和物が固体である。
【0110】
B39A.実施形態B39Aにおいて、実施形態B37、B38、又はB39のアミン溶媒和物は、化合物1のアミン溶媒和物が結晶性固体である。
【0111】
B40.実施形態B40において、実施形態B1~B38のいずれか1つのアミン溶媒和物は、化合物1のアミン溶媒和物が、その場で存在する。
【0112】
B41.実施形態B41において、実施形態B40のアミン溶媒和物は、化合物1のアミン溶媒和物が、1つ以上の適切な有機溶媒、化合物1、及びアミンを含む混合物中に存在する。
【0113】
B42.実施形態B42において、実施形態B37のアミン溶媒和物は、化合物1のジエチルアミン溶媒和物が、1つ以上の適切な有機溶媒、化合物1、及ジエチルアミンを含む混合物中に存在する。
【0114】
B43.実施形態B43において、実施形態B40~B42のいずれか1つのアミン溶媒和物は、1つ以上の適切な有機溶媒が、エーテル、アルコール、エステル、ハロゲン化アルカン、ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、n-メチルピロリジノン、トルエン、及びキシレンから独立して選択される極性有機溶媒である。
【0115】
B43a.実施形態B43aにおいて、実施形態B40~B43のいずれか1つのアミン溶媒和物は、1つ以上の適切な有機溶媒が、エーテル、エステル、ハロゲン化アルカン、ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、n-メチルピロリジノン、トルエン、及びキシレンから独立して選択される極性有機溶媒である。
【0116】
B44.実施形態B44において、実施形態B43のアミン溶媒和物は、1つ以上の適切な有機溶媒が、n-ペンタノール、メタノール(MeOH)、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール(IPA)、n-ブタノール、1,2-プロパンジオール、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンから独立して選択される。
【0117】
B44a.実施形態B44aにおいて、実施形態B44のアミン溶媒和物は、1つ以上の適切な有機溶媒が、n-ペンタノール、メタノール(MeOH)、n-プロパノール、イソプロパノール(IPA)、n-ブタノール、1,2-プロパンジオール、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンから独立して選択される。
【0118】
B44b.実施形態B44bにおいて、実施形態B43aのアミン溶媒和物は、1つ以上の適切な有機溶媒が、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンから独立して選択される。
【0119】
B45.実施形態B45において、実施形態B43~B44bのアミン溶媒和物は、適切な有機溶媒が、メチルtert-ブチルエーテルである。
【0120】
実施形態C:
C1.実施形態C1において、本概要での第3の態様に記載されるようなX線粉末回折パターンを有する化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形が提供される。
【0121】
C2.実施形態C2において、実施形態C1の結晶形Bは、形態BのX線粉末回折パターンが、角度位置8.4にピークをさらに含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0122】
C3.実施形態C3において、実施形態C1の結晶形Bは、形態BのX線粉末回折パターンが、角度位置8.4及び23.5にピークをさらに含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0123】
C4.実施形態C4において、実施形態C1の結晶形Bは、形態BのX線粉末回折パターンが、角度位置8.4、23.5、及び11.7にピークをさらに含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0124】
C5.実施形態C5において、実施形態C1の結晶形Bは、形態BのX線粉末回折パターンが、角度位置8.4、23.5、11.7、及び9.5にピークをさらに含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0125】
C6.実施形態C6において、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つのピークを、以下の表2から選択される角度位置に含み、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得るX線粉末回折パターンを有する化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形が提供される。
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
C7.実施形態C7において、実施形態C6の結晶形Bは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つのピークが、8.4、9.5、11.7、13.8、21.3、及び23.5から選択され、角度位置が、±0.2°2θだけ変動し得る。
【0130】
C8.実施形態C8において、図1に湿られるものと実質的に同一のX線粉末回折パターンを有する化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形が提供される。
【0131】
C9.実施形態C9において、C1~C8のいずれか1つの結晶形Bは、それに示されるピークが、±0.1°2θの許容誤差を有する。
【0132】
実施形態D:
D1.実施形態D1において、本概要の第4の態様に記載されるような化合物1のアミン溶媒和物を調製するプロセスが提供される。
【0133】
D2.実施形態D2において、実施形態D1のプロセスは、ステップ(a1)において化合物1をアミンに加えることによって又はアミンを1つ以上の適切な有機溶媒中の化合物1の混合物に加えることによって化合物1が、アミンと接触させられる。
【0134】
D3.実施形態D3において、実施形態D1又はD2のプロセスは、ステップ(a1)において1つ以上の適切な有機溶媒中の化合物1の混合物にアミンを加えることによって化合物1が、アミンと接触させられる。
【0135】
D4.実施形態D4において、実施形態D1~D3のいずれか1つのプロセスは、アミンが、NHRである。
【0136】
D5.実施形態D5において、実施形態D1~D3のいずれか1つのプロセスは、アミンが、R-N-(CH-NRである。
【0137】
D5A.実施形態D5Aにおいて、実施形態D1~D4のいずれか1つのプロセスは、Rが、水素であり、及びRが、C~C12アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、又はC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0138】
D6.実施形態D6において、実施形態D1~D4及びD5Aのいずれか1つのプロセスは、Rが、水素であり、及びRが、C~C12アルキルである。
【0139】
D7.実施形態D7において、実施形態D1~D4及びD5Aのいずれか1つのプロセスは、Rが、水素であり、及びRが、C~Cシクロアルキルである。
【0140】
D7A.実施形態D7Aにおいて、実施形態D1~D4及びD5Aのいずれか1つのプロセスは、Rが、水素であり、及びRが、C~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0141】
D7B.実施形態D7Bにおいて、実施形態D1~D4のいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、又はC~Cアルキニルであり、及びRが、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、又はC~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0142】
D8.実施形態D8において、実施形態D1~D4、及びD7Bのいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cアルキルであり、及びRが、C~Cアルキルである。
【0143】
D9.実施形態D9において、実施形態D1~D4、及びD7Bのいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cアルキルであり、及びRが、C~Cシクロアルキルである。
【0144】
D10.実施形態D10において、実施形態D1~D4、及びD7Bのいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cアルキルであり、及びRが、C~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0145】
D10A.実施形態D10Aにおいて、実施形態D1~D4のいずれか1つのプロセスは、R及びRが、独立して、C~Cシクロアルキル-C1~6アルキルである。
【0146】
D11.実施形態D11において、実施形態D1~D4のいずれか1つのプロセスは、R及びRが、それらが結合されている窒素原子とともに、シクリルアミンを形成する。
【0147】
D12.実施形態D12において、実施形態D1~D3及びD5のいずれか1つのプロセスは、nが、2~5から選択される。D12の第1の実施形態において、nは、3~5である。D12の第2の実施形態において、nは、4又は5である。
【0148】
D13.実施形態D13において、実施形態D1~D3及びD5のいずれか1つのプロセスは、nが、2~4から選択される。D13の第1の実施形態において、nは、3又は4である。D13の第2の実施形態において、nは、3である。
【0149】
D14.実施形態D14において、実施形態D1~D3及びD5のいずれか1つのプロセスは、nが、2又は3である。
【0150】
D15.実施形態D15において、実施形態D1~D3及びD5のいずれか1つのプロセスは、nが、2である。
【0151】
D16.実施形態D16において、実施形態D1~D3及びD12~D15並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、水素である。
【0152】
D17.実施形態D17において、実施形態D1~D3及びD12~D15並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cアルキルである。
【0153】
D18.実施形態D18において、実施形態D1~D3及びD12~D15並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cシクロアルキルである。
【0154】
D19.実施形態D19において、実施形態D1~D3及びD12~D18並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、水素である。
【0155】
D20.実施形態D20において、実施形態D1~D3及びD12~D18並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cアルキルである。
【0156】
D21.実施形態D21において、実施形態D1~D3及びD12~D18並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cシクロアルキルである。
【0157】
D22.実施形態D22において、実施形態D1~D3及びD12~D21並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、水素である。
【0158】
D23.実施形態D23において、実施形態D1~D3及びD12~D21並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cアルキルである。
【0159】
D24.実施形態D24において、実施形態D1及びD3及びD12~D21並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cシクロアルキルである。
【0160】
D25.実施形態D25において、実施形態D1~D3及びD12~D24並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、水素である。
【0161】
D26.実施形態D26において、実施形態D1~D3及びD12~D24並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cアルキルである。
【0162】
D27.実施形態D27において、実施形態D1~D3及びD12~D24並びにそれに含まれる下位実施形態のいずれか1つのプロセスは、Rが、C~Cシクロアルキルである。
【0163】
D28.実施形態D28において、実施形態D1~D4及びD5A~D7のいずれか1つのプロセスは、アミンが、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、sec-ペンチルアミン、ペンチル-3-アミン、ネオペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、2-ヘキシルアミン、3-ヘキシルアミン、イソヘキシルアミン、1-メチルペンチルアミン、2-エチルブチルアミン、2-メチルペンチルアミン、1,1-ジメチルブチルアミン、1,3-ジメチルブチルアミン、3,3-ジメチルブチルアミン、2-メチル-3-ペンチルアミン、3-メチルペンチルアミン、3-メチル-3-ペンチルアミン、3-メチル-2-ペンチルアミン、2-メチルブチルアミン、1,2,2-トリメチルプロピルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロブチルメチルアミン、シクロプロピルメチルアミン、2-メチルシクロプロピルアミン、2-シクロプロピルエチルアミン、2-メチル-シクロペンチルアミン、3-メチルシクロペンチルアミン、シクロペンチルメチルアミン、2-シクロブチルエチルアミン、3-シクロプロピルプロピル-アミン、2-エチルシクロプロピルアミン、アリルアミン又はプロパルギルアミンである。
【0164】
D29.実施形態D29において、実施形態D1~D4、D5A及びD6のいずれか1つのプロセスは、アミンが、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、sec-ペンチルアミン、ペンチル-3-アミン、ネオペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、2-ヘキシルアミン、3-ヘキシルアミン、イソヘキシルアミン、1-メチルペンチルアミン、2-エチルブチル-アミン、2-ブチルアミン、2-メチルペンチルアミン、1,1-ジメチルブチルアミン、1,3-ジメチルブチルアミン、3,3-ジメチルブチルアミン、2-メチル-3-ペンチルアミン、3-メチルペンチルアミン、3-メチル-3-ペンチルアミン、3-メチル-2-ペンチルアミン、2-メチルブチル-1-アミン、又は1,2,2-トリメチルプロピルアミンである。
【0165】
D30.実施形態D30において、実施形態D1~D4、D5A及びD7のいずれか1つのプロセスは、アミンが、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2-メチルシクロプロピルアミン、2-メチルシクロペンチルアミン、3-メチルシクロペンチル-アミン、又は2-エチルシクロプロピルアミンである。
【0166】
D31.実施形態D31において、実施形態D1~D4、及びD7B~D9のいずれか1つのプロセスは、アミンが、N-メチルエチルアミン、ジエチルアミン、N-メチル-n-プロピルアミン、N-メチルイソプロピルアミン、N-アリルメチルアミン、N-メチルプロパルギルアミン、N-エチル-n-プロピルアミン、N-エチルイソプロピルアミン、N-メチルブチルアミン、N-メチル-2-ブチルアミン、N-tert-ブチル-メチル-アミン、N-メチル-シクロブチルアミン、N-エチルシクロプロピルアミン、1-シクロプロピル-N-メチルメタンアミン、N-エチル-プロパ-2-イン-1-アミン、N-エチルアリルアミン、N-メチルペンチルアミン、N-メチル-2-ペンチルアミン、N-メチル-3-ペンチルアミン、N,3-ジメチルブタン-2-アミン、N,2-ジメチルブタン-2-アミン、N,3-ジメチルブタン-2-アミン、N-メチルシクロペンチルアミン、N-エチル-1-ブチルアミン、N-エチル-2-ブチルアミン、N-エチル-2-メチル-2-プロピルアミン、N-エチル-2-メチルプロピル-アミン、N-エチルシクロブチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、N-イソプロピルプロピルアミン、ジアリルアミン、ジプロパルギルアミン、又はアリルプロパルギルアミンである。D31の一実施形態において、アミンは、ジエチルアミンではない。
【0167】
D32.実施形態D32において、実施形態D1~D4、D7B及びD8のいずれか1つのプロセスは、アミンが、N-メチルエチルアミン、ジエチルアミン、N-メチル-n-プロピルアミン、N-メチル-イソプロピルアミン、N-エチル-n-プロピルアミン、N-エチル-イソプロピルアミン、N-メチルブチルアミン、N-メチル-2-ブチルアミン、N-tert-ブチル-メチル-アミン、N-メチルペンチル-1-アミン、N-メチル-2-ペンチルアミン、N-メチル-3-ペンチルアミン、N,3-ジメチルブタン-2-アミン、N,2-ジメチルブタン-2-アミン、N,3-ジメチルブタン-2-アミン、N-エチル-1-ブチルアミン、N-エチル-2-ブチルアミン、N-エチル-2-メチル-2-プロピルアミン、N-エチル-2-メチルプロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、又はN-イソプロピルプロピルアミンである。B31の一実施形態において、アミンは、ジエチルアミンではない。
【0168】
D33.実施形態D33において、実施形態D1~D4、及びD7B、及びD9のいずれか1つのプロセスは、アミンが、N-メチルシクロブチルアミン、N-エチルシクロプロピルアミン、N-メチルシクロペンチルアミン、又はN-エチルシクロブチルアミンである。
【0169】
D34.実施形態D34において、実施形態D1~D4、及びD11のいずれか1つのプロセスは、アミンが、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、アゼパン、又はアゾカンである。
【0170】
D35.実施形態D35において、実施形態D1~D3、D5、及びD12~D16、D19、D20、D22、D23、及びD25のいずれか1つのプロセスは、アミンが、エチレンジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、ブタン-1,4-ジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン、ヘキサン-1,6-ジアミン、N,N-ジメチル-エタン-1,2-ジアミン、又はN,N-ジエチルエタン-1,2-ジアミンである。
【0171】
D36.実施形態D36において、実施形態D1~D3のプロセスは、アミンが、N-メチルエチルアミン、ジエチルアミン、N-メチル-n-プロピルアミン、N-メチル-イソプロピルアミン、N-エチル-n-プロピルアミン、N-エチル-イソプロピルアミン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、又はモルホリンである。
【0172】
D37.実施形態D37において、実施形態D1~D3、又はD36のプロセスは、アミンがジエチルアミンである。一実施形態において、実施形態D37のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、少なくとも約1:0.5である。別の実施形態において、実施形態D37のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、1:1~約10:1である。さらに別の実施形態において、実施形態D37のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、1:1~約9:1である。さらに別の実施形態において、実施形態D37のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、1:1~約8:1である。さらに別の実施形態において、実施形態D37のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、3:1~約6:1である。さらに別の実施形態において、実施形態D37のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、約5:1である。さらに別の実施形態において、実施形態D37のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、4:1~約6:1である。
【0173】
D38.実施形態D38において、実施形態D1~D37のいずれか1つのプロセスは、1つ以上の貧溶媒が、化合物1の固体アミン溶媒和物を得るためにステップ(a1)の混合物に加えられる。
【0174】
D39.実施形態D39において、実施形態D1~D37のいずれか1つのプロセスは、1つ以上の貧溶媒並びに化合物1の固体結晶性種晶及び/又は化合物1のアミン溶媒和物の固体結晶性種晶が、化合物1の固体アミン溶媒和物を得るためにステップ(a1)の混合物に加えられる。
【0175】
D39A.実施形態D39Aにおいて、実施形態D1~D39のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a1)の混合物が、溶液である。
【0176】
D40.実施形態D40において、実施形態D38、D39、又はD39Aのプロセスは、ステップ(b1)の1つ以上の貧溶媒が、アルカン及び水から独立して選択される。実施形態D40の下位実施形態において、1つ以上の貧溶媒は、水、n-ヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ペンタン、シクロヘキサン、及びシクロペンタンからなる群から独立して選択される。
【0177】
D41.実施形態D41において、実施形態D38、D39、D39A、又はD40のプロセスは、ステップ(b1)における貧溶媒が、n-ヘプタンである。
【0178】
D42.実施形態D42において、実施形態D2~D41のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a1)の1つ以上の適切な有機溶媒が、アルコール、エーテル、トルエン、ケトン、エステル、ハロゲン化アルカン、ニトロメタン、N-メチルピロリジノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミドからなる群から独立して選択される極性有機溶媒である。
【0179】
D42a.実施形態D42aにおいて、実施形態D2~D41のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a1)の1つ以上の適切な有機溶媒が、エーテル、トルエン、ケトン、エステル、ハロゲン化アルカン、ニトロメタン、N-メチルピロリジノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミドからなる群から独立して選択される極性有機溶媒である。
【0180】
D43.実施形態D43において、実施形態D2~D42のいずれか1つの実施形態のプロセスは、ステップ(a1)の1つ以上の適切な有機溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、1,2-プロパンジオール、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンからなる群から独立して選択される。
【0181】
D43a.実施形態D43aにおいて、実施形態D2~D42のいずれか1つの実施形態のプロセスは、ステップ(a1)の1つ以上の適切な有機溶媒が、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、1,2-プロパンジオール、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンからなる群から独立して選択される。
【0182】
D43b.実施形態D43bにおいて、実施形態D43aのアミン溶媒和物は、1つ以上の適切な有機溶媒が、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンから独立して選択される。
【0183】
D44.実施形態D44において、実施形態D42~D43bのプロセスは、ステップ(a1)の適切な有機溶媒が、MTBEである。
【0184】
D45.実施形態D45において、実施形態D37~D44のいずれか1つのプロセスは、化合物1のジエチルアミン溶媒和物が、結晶性固体である。
【0185】
D46.実施形態D46において、実施形態D45のプロセスは、化合物1のジエチルアミン溶媒和物が、本概要に記載されるようなX線粉末回折パターンを有する結晶形B多形である。
【0186】
D47~D54.実施形態D47~D54において、実施形態D46のプロセスは、結晶形Bが、それぞれ、上記の実施形態C2~C9のいずれか1つに記載されるようなX線粉末回折パターンを有する。
【0187】
D55.実施形態D55において、実施形態D1~D54のいずれか1つのプロセスは、化合物1のアミン溶媒和物が、化合物1に変換される。
【0188】
D56.実施形態D56において、実施形態D1~D55のいずれか1つのプロセスは、化合物1のアミン溶媒和物が、アミン溶媒和物を加熱してアミン溶媒和物からアミンを除去することによって化合物1に変換される。
【0189】
D57.実施形態D57において、実施形態D1~D55のいずれか1つのプロセスは、化合物1のアミン溶媒和物が、1つ以上の適切な有機溶媒と酸性水溶液との間でアミン溶媒和物を分配することによって化合物1に変換される。
【0190】
D58.実施形態D58において、実施形態D57のプロセスは、化合物1を含有する1つ以上の適切な有機溶媒が、化合物1の固体形態を提供するために単離され、及び濃縮される。
【0191】
D59.実施形態D59において、実施形態D56又はD58のプロセスは、結晶形A多形化合物1が、本概要に記載されるようなX線粉末回折パターンを有し、生み出される。
【0192】
D60~D69.実施形態D60~D69において、実施形態D59のプロセスは、化合物1の結晶形A多形が、それぞれ、上記の実施形態A2~A11に記載されるようなX線粉末回折パターンを有し、生み出される。
【0193】
D70.実施形態D70において、実施形態D1~D69のいずれか1つのプロセスは、さらに、
(a)3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルを、適切な有機溶媒中で及び任意選択によりトリエチルアミン三フッ化水素((EtN・3HF)の存在下で、塩基あり又はなしでデオキシフッ素化剤で処理するステップと、
(b)ステップ(a)からの混合物を精製して化合物1を得るステップと
を含む、ステップ(a1)の化合物1を調製することを含む。
【0194】
D71.実施形態D71において、実施形態D70のプロセスは、デオキシフッ素化剤が、ピリジン-2-スルホニルフルオリド、PBSF、ビス(2-メトキシルエチルアミノ)硫黄トリフルオリド(BAST)、又は(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド(DAST)である。
【0195】
D72.実施形態D72において、実施形態D70又はD71のプロセスは、有機塩基が、(tert-ブチルイミノ)トリス-(ピロリジノ)ホスホラン(BTPP)、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチル-グアニジン(BTMG)、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]ウンデカ-7-エン、又は7-メチル-1,5,7-トリアザ-ビシクロ-[4.4.0]デカ-1-エン(DBU)である。
【0196】
D73A.実施形態D73Aにおいて、実施形態D70、D71又はD72のプロセスは、デオキシフッ素化剤が、PBSF又はBASTである。
【0197】
D73.実施形態D73において、実施形態D70、D71又はD72のプロセスは、デオキシフッ素化剤が、PBSFであり、有機塩基が、BTMG又はBTPPであり、及びEtN・3HFが存在する。
【0198】
D74.実施形態D74において、実施形態D70~D73のいずれか1つのプロセスは、1つ以上の適切な有機溶媒が、エーテル、エステル、ケトン、ハロアルカン、酢酸エステル、トルエン、及びキシレンから選択される。
【0199】
D75.実施形態D75において、実施形態D70~D74のいずれか1つのプロセスは、1つ以上の適切な有機溶媒が、ジクロロメタン、MTBE、IPAc、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、酢酸エチル、及びトルエンから選択される。
【0200】
D76.実施形態D76において、実施形態D70~D75のいずれか1つのプロセスは、適切な有機溶媒が、2-メチルテトラヒドロフランである。
【0201】
D77.実施形態D77において、実施形態D73~D76のいずれか1つのプロセスは、反応が、約-20℃~約室温で実施される。
【0202】
D78.実施形態D78において、実施形態D73~D77のいずれか1つのプロセスは、反応が、約-20℃で実施される。
【0203】
D79.実施形態D79において、実施形態D73~D78のいずれか1つのプロセスは、BTPP又はBTMG:EtN・3HFのモル比が、約6:1~約1:1である。
【0204】
D80.実施形態D80において、実施形態D73~D79のいずれか1つのプロセスは、BTPP又はBTMG:EtN・3HFのモル比が、約6:1~約3:1である。
【0205】
D81.実施形態D81において、実施形態D73~D79のいずれか1つのプロセスは、BTMG:EtN・3HFのモル比が、約5:1である。
【0206】
D82.実施形態D82において、実施形態D73~D81のいずれか1つのプロセスは、PBSF:EtN・3HFのモル比が、約8:1~約1.7:1である。
【0207】
D83.実施形態D83において、実施形態D73~D82のいずれか1つのプロセスは、PBSF:EtN・3HFのモル比が、約8:1、約5:1、約3:1又は約1.7:1である。
【0208】
D84.実施形態D84において、実施形態D73~D83のいずれか1つのプロセスは、PBSF:EtN・3HFのモル比が、約3:1である。
【0209】
D85.実施形態D85において、実施形態D70、71、又はD72のプロセスは、デオキシフッ素化剤が、ピリジン-2-スルホニルフルオリドであり、及び塩基が、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]ウンデカ-7-エン又は7-メチル-1,5,7-トリアザ-ビシクロ-[4.4.0]デカ-1-エンである。
【0210】
D86.実施形態D86において、実施形態D70、D71又はD85のプロセスは、適切な有機溶媒が、テトラヒドロフランである。
【0211】
実施形態E:
E1.実施形態E1において、本概要の第3の態様又は実施形態C2~C9のいずれか1つに記載されるようなX線粉末回折パターンを有する化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形を調製するプロセスが提供される。
【0212】
E2.実施形態E2において、実施形態E1のプロセスは、化合物1が、ステップ(a2)において化合物1をジエチルアミンに加えることによって又はジエチルアミンを1つ以上の適切な有機溶媒中の化合物1の混合物に加えることによってジエチルアミンと接触させられる。
【0213】
E3.実施形態E3において、実施形態E1のプロセスは、ジエチルアミンが、ステップ(a2)において1つ以上の適切な有機溶媒中の化合物1の混合物に加えられる。一実施形態において、実施形態E3のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、少なくとも約1:0.5である。別の実施形態において、実施形態E3のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、1:1~約10:1である。さらに別の実施形態において、実施形態E3のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、1:1~約9:1である。さらに別の実施形態において、実施形態E3のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、1:1~約8:1である。さらに別の実施形態において、実施形態E3のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、3:1~約6:1である。さらに別の実施形態において、実施形態E3のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、約5:1である。さらに別の実施形態において、実施形態E3のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、4:1~約6:1である。さらに別の実施形態において、実施形態E3のプロセスは、混合物中のジエチルアミンの化合物1に対するモル比が、約1以上である。
【0214】
E4.実施形態E4において、実施形態E1~E3のいずれか1つのプロセスは、1つ以上の貧溶媒が、化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形を得るためにステップ(a2)の混合物に加えられる。
【0215】
E5.実施形態E5において、実施形態E1~E3のいずれか1つのプロセスは、1つ以上の貧溶媒並びに化合物1の結晶性種晶及び/又は化合物1のジエチルアミン溶媒和物の固体結晶性種晶が、化合物1のジエチルアミン溶媒和物の結晶形B多形を得るためにステップ(a2)の混合物に加えられる。
【0216】
E5A.実施形態E5Aにおいて、実施形態E1~E5のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a2)の混合物が、溶液である。
【0217】
E6.実施形態E6において、実施形態E1~E5Aいずれか1つのプロセスは、ステップ(b2)における1つ以上の貧溶媒が、アルカン及び水から独立して選択される。実施形態E6の下位実施形態において、1つ以上の貧溶媒は、水、n-ヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ペンタン、シクロヘキサン、及びシクロペンタンからなる群から独立して選択される。
【0218】
E7.実施形態E7において、実施形態E1~E6のいずれか1つのプロセスは、ステップ(b2)における貧溶媒が、n-ヘプタンである。
【0219】
E8.実施形態E8において、実施形態E1~E7のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a2)の1つ以上の適切な有機溶媒が、アルコール、エーテル、トルエン、ケトン、エステル、ハロゲン化アルカン、ニトロメタン、N-メチルピロリジノン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドからなる群から独立して選択される極性有機溶媒である。
【0220】
E8a.実施形態E8aにおいて、実施形態E1~E7のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a2)の1つ以上の適切な有機溶媒が、エーテル、トルエン、ケトン、エステル、ハロゲン化アルカン、ニトロメタン、N-メチルピロリジノン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドからなる群から独立して選択される極性有機溶媒である。
【0221】
E9.実施形態E9において、実施形態E1~E7のいずれか1つの実施形態のプロセスは、ステップ(a2)の1つ以上の適切な有機溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、1,2-プロパンジオール、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンからなる群から独立して選択される。
【0222】
E9a.実施形態E9aにおいて、実施形態E1~E7のいずれか1つの実施形態のプロセスは、ステップ(a2)の1つ以上の適切な有機溶媒が、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、1,2-プロパンジオール、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンからなる群から独立して選択される。
【0223】
E9b.実施形態E9bにおいて、実施形態E1~E7のいずれか1つの実施形態のプロセスは、ステップ(a2)の1つ以上の適切な有機溶媒が、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンからなる群から独立して選択される。
【0224】
E10.実施形態D10において、実施形態E9、E9a、又はE9bのプロセスは、適切な有機溶媒が、MTBEである。
【0225】
E11.実施形態E11において、実施形態E1~E10のいずれか1つのプロセスは、溶媒和物化合物1のジエチルアミンが、任意選択により、化合物1のジエチルアミン溶媒和物を加熱してジエチルアミンを化合物1のジエチルアミン溶媒和物から除去することによって化合物1に変換される。
【0226】
E12.実施形態E12において、実施形態E1~E10のいずれか1つのプロセスは、溶媒和物化合物1のジエチルアミンが、任意選択により、化合物1のジエチルアミン溶媒和物を1つ以上の適切な有機溶媒と酸性水溶液との間で分配することによって化合物1に変換される。一実施形態において、酸は、塩酸である。
【0227】
E13.実施形態E13において、実施形態E12のプロセスは、化合物1を含有する1つ以上の有機溶媒が、化合物1の固体形態を提供するために単離され、及び濃縮される。
【0228】
E14~E24.実施形態E14~E24において、実施形態E11~E13のいずれか1つのプロセスは、化合物1が、それぞれ、実施形態A1~A11のいずれか1つで定義されるようなX線粉末回折パターンを有する化合物1の結晶形A多形であり、生み出される。
【0229】
実施形態F:
F1.実施形態F1において、本概要の第6の態様に記載されるような化合物1のジエチルアミン溶媒和物又は以下の実施形態I1~I7Aのいずれか1つの組成物から化合物1の結晶形A多形を調製するプロセスが提供される。
【0230】
F2~F10.実施形態F2~F10において、実施形態F1のプロセスは、本概要の第3の態様の化合物1のジエチルアミン溶媒和物が、それぞれ、上記の実施形態C1~C9に記載されるようなX線粉末回折パターンを有する結晶形B多形である。
【0231】
F11.実施形態F11において、実施形態F1~F10のいずれか1つのプロセスは、ジエチルアミンが、化合物1のジエチルアミン溶媒和物又は以下の実施形態I1~I7Aのいずれか1つの組成物を加熱することによって化合物1のジエチルアミン溶媒和物から除去される。
【0232】
F12.実施形態F12において、実施形態F1~F11のいずれか1つのプロセスは、ジエチルアミンが、化合物1のジエチルアミン溶媒和物又は以下の実施形態I1~I7Aのいずれか1つの組成物を1つ以上の適切な有機溶媒と酸性水溶液との間で分配することによって化合物1のジエチルアミン溶媒和物から除去される。一実施形態において、酸は、塩酸であり、及び溶媒は、MTBEである。
【0233】
F13~F24.実施形態F13において、実施形態F12のプロセスは、MTBEを含む、1つ以上の適切な有機溶媒が、それぞれ、上記の実施形態A1~A11のいずれか1つに記載されるようなX線粉末回折パターンを有する化合物1の結晶形A多形を提供するために単離され、及び濃縮される。
【0234】
F25.実施形態F25において、実施形態F1~F24のいずれか1つのプロセスは、化合物1の結晶形A多形が、1つ以上の適切な有機溶媒から再結晶される。
【0235】
F26.実施形態F26において、実施形態F25のプロセスは、化合物1の結晶形A多形が、アルコール、エーテル、トルエン、ケトン、エステル、ハロゲン化アルカン、ニトロメタン、N-メチルピロリジノン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドからなる群から独立して選択される1つ以上の適切な有機溶媒に溶解される。
【0236】
F27.実施形態F27において、実施形態26のプロセスは、1つ以上の適切な有機溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、1,2-プロパンジオール、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンからなる群から選択される。一実施形態において、適切な有機溶媒は、酢酸イソプロピルである。
【0237】
F28.実施形態F28において、実施形態F26又はF27のプロセスは、1つ以上の貧溶媒及び/又は化合物1の固体結晶性種晶が加えられる。
【0238】
F29.実施形態F29において、実施形態F28のプロセスは、1つ以上の貧溶媒が、アルカン及び水から独立して選択される。
【0239】
F30.実施形態F30において、実施形態F29のプロセスは、1つ以上の貧溶媒が、水、n-ヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ペンタン、シクロヘキサン、及びシクロペンタンからなる群から独立して選択される。
【0240】
F31.実施形態F31において、実施形態F30のプロセスは、貧溶媒が、n-ヘプタンである。
【0241】
実施形態G:
G1.実施形態G1において、本概要の第7の態様に記載されるようなX線粉末回折パターンを有する化合物1の結晶形A多形を作製するプロセスが提供される。
【0242】
G2.実施形態G2において、実施形態G1のプロセスは、1つ以上の適切な貧溶媒が、アルコール、エーテル、トルエン、ケトン、エステル、ハロゲン化アルカン、ニトロメタン、N-メチルピロリジノン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドからなる群から独立して選択され1つ以上の適切な有機溶媒中の化合物1の溶液に加えられる。
【0243】
G3.実施形態G3において、実施形態G2のプロセスは、1つ以上の適切な有機溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、1,2-プロパンジオール、二塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸ブチル、n-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF(2-MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ニトロメタン、アセトニトリル(ACN)、及び1,4-ジオキサンからなる群から選択される。ある実施形態において、適切な有機溶媒は、酢酸イソプロピルである。
【0244】
G4.実施形態G4において、実施形態G2又はG3のプロセスは、1つ以上の貧溶媒が加えられる。
【0245】
G5.実施形態G5において、実施形態G4のプロセスは、1つ以上の貧溶媒が、アルカン及び水から独立して選択される。
【0246】
G6.実施形態G6において、実施形態G5のプロセスは、1つ以上の貧溶媒が、水、n-ヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ペンタン、シクロヘキサン、及びシクロペンタンからなる群から独立して選択される。
【0247】
G7.実施形態G7において、実施形態G6のプロセスは、貧溶媒がn-ヘプタンである。
【0248】
G8.実施形態G8において、実施形態G1~G7のいずれか1つのプロセスは、プロセスが、約0℃~約70℃で実施される。
【0249】
実施形態H:
H1.実施形態H1において、本概要の第8の態様に記載されるような化合物1を作製するプロセスが提供される。
【0250】
H2.実施形態H2において、実施形態H1のプロセスは、ステップ(a5)における有機塩基が、(tert-ブチルイミノ)トリス-(ピロリジノ)ホスホラン(BTPP)又は2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチル-グアニジン(BTMG)である。
【0251】
H3.実施形態H3において、実施形態H1又はH2のプロセスは、ステップ(a5)における有機塩基が、BTMGである。
【0252】
H4.実施形態H4において、実施形態H1~H3のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)における1つ以上の適切な有機溶媒が、エーテル、エステル、ハロアルカン、ケトン、酢酸エステル、トルエン、及びキシレンから選択される。
【0253】
H5.実施形態H5において、実施形態H1~H4のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)における1つ以上の適切な有機溶媒が、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、酢酸エチル、IPAc、MTBE、塩化メチレン、又はトルエンから選択される。
【0254】
H6.実施形態H6において、実施形態H1~H5のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)における適切な有機溶媒が、2-メチルテトラヒドロフランである。
【0255】
H7.実施形態H7において、実施形H1~H6のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)の反応が、約-20℃~約室温で実施される。
【0256】
H8.実施形態H8において、実施形態H1~H7のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)の反応が、約-20℃で実施される。
【0257】
H9.実施形態H9において、実施形態H1~H8のいずれか1つプロセスは、ステップ(a5)におけるBTPP又はBTMG:EtN・3HFのモル比が、約6:1~約1:1である。
【0258】
H10.実施形態H10において、実施形態H1~H9のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)におけるBTPP又はBTMG:EtN・3HFのモル比が、約6:1~約3:1である。
【0259】
H11.実施形態H11において、実施形態H1~H9のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)におけるBTMG:EtN・3HFのモル比が、約5:1である。
【0260】
H12.実施形態H12において、実施形態H1~H11のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)におけるPBSF:EtN・3HFのモル比が、約8:1~約1.7:1である。
【0261】
H13.実施形態H13において、実施形態H1~H12のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)におけるPBSF:EtN・3HFのモル比が、約8:1、約5:1、約3:1又は約1.7:1である。
【0262】
H14.実施形態H14において、実施形態H1~H13のいずれか1つのプロセスは、ステップ(a5)におけるPBSF:EtN・3HFのモル比が、約3:1である。
【0263】
H15~H68.実施形態H15~68において、実施形態H1~H14のいずれか1つのプロセスは、化合物1が、それぞれ、実施形態D1~D54に上で記載されるプロセスによって化合物1のアミン溶媒和物にステップ(c5)においてに変換される。
【0264】
H70~H72.実施形態H70~72において、実施形態H15~H68のいずれか1つのプロセスは、化合物1のアミン溶媒和物が、それぞれ、上記の実施形態D56~D58に記載されるプロセスによって化合物1に変換される。
【0265】
H73~H83.実施形態H73~83において、実施形態H70又はH72のいずれか1つのプロセスは、化合物1が、それぞれ、上記の実施形態A1~A11に記載されるような結晶形A多形である。
【0266】
実施形態I:
I1.実施形態I1において、本概要の第9の態様に記載されるような固体組成物が提供される。%重量比は、以下のように計算される:(化合物1のジエチルアミン溶媒和物の重量%)/{(化合物1の重量%)及び[(化合物1のジエチルアミン溶媒和物)の重量%]}の合計。実施形態I1の下位実施形態において、重量%は、HPLCによって測定される。
【0267】
I2.実施形態I2において、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1対4(以下)、1対3(以下)、1対2(以下)、1対1(以下)、又は1対0.25(以下)である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0268】
I2A.実施形態I2Aにおいて、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1:4、1:3、1:2;1:1、又は1:0.25~約1:0.001である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0269】
I3.実施形態I3において、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1対0.1(以下)である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0270】
I3A.実施形態I3Aにおいて、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1:0.1~約1:0.001である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0271】
I4.実施形態I4において、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1対0.05(以下)である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0272】
I4A.実施形態I4Aにおいて、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1:0.05~約1:0.001である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0273】
I5.実施形態I5において、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1対0.03(以下)である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0274】
I5A.実施形態I5Aにおいて、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1:0.03~約1:0.001である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0275】
I6.実施形態I6において、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1対0.02(以下)である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0276】
I6A.実施形態I6Aにおいて、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1:0.02~約1:0.001である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0277】
I7.実施形態I7において、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1対0.01(以下)である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0278】
I7A.実施形態I7Aにおいて、実施形態I1の固体組成物は、組成物中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルに対する%重量比が、約1:0.01~約1:0.001である。下位実施形態において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物は、実施形態C1~C9のいずれか1つの結晶形B多形である。
【0279】
上記の実施形態において、実施形態への言及は、その下位実施形態を含む。例えば、実施形態D31への言及は、それに含まれる実施形態との組み合わせを含む。
【0280】
効用
化合物Iは、様々な種類の癌、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの肝疾患、炎症性腸疾患(IBD)などの炎症性疾患、肺動脈性高血圧(PAH)などの肺疾患及び鉄負荷障害を含むが、これらに限定されないHIF-2α媒介性疾患の処置に有用である。
【0281】
HIF-2αは、多くのヒトの癌の発生及び進行に重要な役割を果たしている。多くの広範な研究により、淡明細胞型腎細胞癌(ccRCC)の駆動におけるHIF-2α活性の増加の重要な役割が実証されている(Shen and Kaelin,Seminars in Cancer Biology 23:18-25,2013によるレビューを参照されたい)。異常なHIF-2α活性は、主に腫瘍抑制因子であるVHLの機能喪失によるものである。80%を超えるccRCCは、欠失、変異又は翻訳後修飾の障害のいずれかによってVHLに欠陥があることが知られている。欠陥のあるVHLは、酸素レベルに関係なく、構成的に活性なHIF-αタンパク質をもたらす。マウスモデルで機能獲得及び機能喪失アプローチを利用した様々な研究により、HIF-2αがVHLの重要な発癌性基質であることが実証されている(Kondo,et al.Cancer Cell 1:237-246,2002;Kondo,et al.PLoS Biology 1:439-444,2002;Maranchi,et al.Cancer Cell 1:247-255,2002;Zimmer,et al.Mol.Cancer Res 2:89-95,2004を参照されたい)。例えば、VHLヌル腫瘍におけるHIF-2αのノックダウンは、腫瘍形成を阻害する一方、VHLの再導入及びHIF-2αの過剰発現は、VHLの腫瘍抑制の役割を克服した。さらに、HIF-2αの一塩基多形は、PHD媒介性の分解に対する耐性に関連しており、RCCを発症するリスクの増加に関連付けられてきた。VHL-HIF-2α軸は、ccRCCで典型的な腫瘍開始イベントとして機能することに加えて、その下流のCXCR4及びCYTIPを介したccRCC腫瘍転移とも関連付けられている(Vanharanta et al.Nature Medicine 19:50-59,2013;Peter Staller et al.Nature.2003 Sep 18;425(6955):307-11を参照されたい)。まとめると、これらの研究により、ccRCCの処置のためのHIF-2α標的剤の潜在的な治療的有用性が強力にサポートされる。
【0282】
欠陥のあるVHLにより、患者は、腎臓癌にかかりやすくなる(生涯リスク70%)だけでなく、血管芽腫、褐色細胞腫、内リンパ嚢腫瘍及び膵臓神経内分泌腫瘍にもかかりやすくなる。欠陥のあるVHLに由来する腫瘍は、構成的に活性な下流のHIF-αタンパク質によって引き起こされることが多く、これらの大部分は、HIF-2α活性に依存している(Maher,et al.Eur.J.Hum.Genet.19:617-623,2011を参照されたい)。遺伝的メカニズム及び後成的メカニズムの両方がVHLの機能の喪失を導き得る。VHL発現のエピジェネティックな不活性化、したがってHIF-αタンパク質の構成的活性化は、RCC、多発性骨髄腫、網膜芽細胞腫、NSCLC、膵臓内分泌腫瘍、扁平上皮癌、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び食道扁平上皮癌を含む多くの癌で見出されている(Nguyen,et al.Arch.Phann.Res 36:252-263,2013のレビューを参照されたい)。HIF-2αは、VHLの機能喪失とHIF-2αの活性化変異との両方を介しても網膜、副腎及び膵臓の癌に関連付けられてきた。近年、機能獲得型HIF-2α変異が赤血球増加症及び赤血球増多を伴う傍神経節腫で同定された(Zhuang,et al.NEJM 367:922-930,2012;Percy,et al.NEJM 358:162-168,2008;及びPercy,et al.Am.J.Hematol.87:439-442,2012を参照されたい)。特に、公知のHIF-2α標的遺伝子産物の多く(例えば、VEGF、PDGF及びサイクリンDl)は、腎臓、肝臓、結腸、肺及び脳に由来する癌において重要な役割を果たすことが実証されている。したがって、HIF-2α標的療法は、異常なHIF-2α経路活性化の下流にあるこれらのシグナル伝達イベントによって引き起こされる場合、上記の癌に有益である可能性がある。VHLの機能喪失及びHIF-2αの活性化変異に加えて、HIF-αタンパク質は、大きい腫瘍の血管新生不良に起因する低酸素状態のために、急速に成長する腫瘍の腫瘍内環境でも頻繁に上方制御される。次に、活性化されたHIF-α経路は、様々な必須因子を転写的に上方制御することにより、腫瘍細胞の生存及び増殖をさらに促進する。
【0283】
多数の研究により、星状細胞腫、乳房、子宮頸部、結腸直腸、神経膠芽腫、神経膠腫、頭頸部、肝臓、非小細胞肺、黒色腫、神経芽細胞腫、卵巣及び前立腺などの癌を含む様々な癌におけるHIF-2αの過剰発現と予後不良との相関関係が示され、それにより、これらの癌を処置する際の治療標的としてのHIF-2αの追求がサポートされる(Keith,et al.Nature Rev.Cancer 12:9-22,2012のレビューを参照されたい)。HIF-2αは、増殖、鉄の利用及び炎症に関与する遺伝子の調節を通してAPC変異結腸直腸癌の成長を増強することが示されている(Xue,et al.Cancer Res 72:2285-2293,2012;及びXue and Shah,Carcinogenesis 32:163-169,2013を参照されたい)。肝細胞癌(HCC)では、前臨床モデルでのHIF-2αのノックダウンにより、VEGF及びサイクリンD 1の下方制御を通してインビトロでの細胞増殖及びインビボでの腫瘍成長が阻害された(He,et al.Cancer Sci.103:528-534,2012を参照されたい)。NSCLCでは、患者の約50%がHIF-2αタンパク質の過剰発現を示し、これは、より高いVEGF発現と強く相関し、さらに重要なことに、全生存期間の短縮と相関している。興味深いことに、HIF-1αは、その発現も増加することが多いにもかかわらず、肺癌患者の全生存率の低下と相関していない(Giatromanolaki,et al.Br.J.Cancer 85:881-890,2001を参照されたい)。非分解性HIF-2α及び変異型KRAS腫瘍の両方を有する操作されたマウスでの広範な研究により、変異型KRAS発現のみのマウスと比較した場合、腫瘍量の増加及び生存率の低下が示された(Kim,et al.J.Clin.Invest.119:2160-2170,2009を参照されたい)。これらの研究は、HIF-2αが肺癌における腫瘍の増殖及び進行を促進し、また臨床的予後と負の相関関係があることを示している。
【0284】
HIF-2αs活性は、マウスモデルにおいて、肺癌に加えて慢性閉塞性肺疾患(COPD)の進行との関連が示されてきた(Karoor,et al.Cancer Prev.Res.5:1061-1071,2012を参照されたい)。HIF-2α活性は、中枢神経系の癌においても重要であることが実証されている(Holmquist-Mengelbier,et al.Cancer Cell 10:413-423,2006及びLi,et al.Cancer Cell 15:501-513,2009を参照されたい)。HIF-2αノックダウンは、神経芽細胞腫の前臨床動物モデルで腫瘍増殖を減少させ、逆に、HIF-2αのレベルの増加は、進行した疾患、予後不良及びより高いVEGFレベルと相関し、臨床結果の不良に寄与する可能性がある。同様に、HIF-2αの発現がより高いことは、神経膠腫の生存率が低いことと関連付けられてきた。実験的に、神経膠腫幹細胞におけるHIF-2αの阻害は、インビトロでの細胞増殖及び生存並びにインビボでの腫瘍の発生を減少させた。HIF-1αは、神経前駆細胞及び脳腫瘍幹細胞の両方で発現している一方、HIF-2αは、専ら後者に見られる。さらに、神経膠腫患者の生存は、HIF-2αと相関するが、HIF-1αレベルと相関しない。
【0285】
下流のHIF-2αエフェクターの1つは、CDK4及びCDK6の活性化に不可欠なパートナーであるサイクリンDである。したがって、HIF-2α阻害剤の、アベマシクリブ(Verzenio(登録商標))、パルボシクリブ(Ibrance(登録商標))、リボシクリブ(Kisqali(登録商標))を含むCDK4/6阻害剤との投与により、サイクリンDが下方制御され、CDK4/6阻害剤の抗増殖効果が高まるはずである。最近の研究(Nicholson et al Sci Signal.2019 Oct 1;12(601))では、CDK4/6阻害の抗増殖効果は、HIF-2α依存性VHL-/-ccRCC細胞におけるHIF-2α阻害と相乗的であることが示唆されている。
【0286】
放射線療法は、単独で又は他の療法と組み合わせて、癌患者のおよそ50%に頻繁に使用される。しかし、腫瘍内の低酸素微小環境は、長い間、放射線療法への耐性との関連が示されてきた。Bhatt及び共同研究者らは、HIF-2αのレベルが低下すると、腎細胞癌細胞株の電離放射線に対する感受性が高まることを発見した(Bhatt,et al.BJU Int.102:358-363,2008を参照されたい)。さらに、Bertoutらによる機構研究は、HIF-2α阻害がp53依存性アポトーシスの増加を通して放射線の有効性を高めることを実証した(Bertout,et al.PNAS 106:14391-14396,2009を参照されたい)。したがって、HIF-2α標的療法は、様々な癌における放射線療法への応答を改善する可能性がある。
【0287】
ソマトスタチノーマは、ソマトスタチンを産生する神経内分泌腫瘍であり、希少であるが、悪性である場合が多い。HIF-2α変異は、HIF-2αのプロリルヒドロキシル化ドメイン(PHD)の破壊を引き起こし、したがってPHDによる修飾を無効にし、その後、VHLによって媒介されるHIF-2α分解を減少させることが見出されている(Yang,et al.Blood.121:2563-2566,2013を参照されたい)。次に、安定化されたHIF-2αは、核に移行し、低酸素関連遺伝子の発現を増加させてソマトスタチノーマに寄与し得る。したがって、HIF-2α阻害剤は、ソマトスタチノーマの処置における代替的アプローチを提供する。
【0288】
赤血球増加症は、赤血球増多症としても知られる、ヘマトクリット値(血液中の赤血球の体積パーセンテージ)の上昇を特徴とする血液疾患である。HIF-2αの機能獲得型変異は、常染色体優性赤血球増加症に関連している(Percy,et al.N.Engl.J.Med.358:162-8,2008及びWilson et al.Case Rep Hematol.6373706,2016を参照されたい)。さらに、HIF-2αのユビキチン化及びVHLによる分解のシグナル伝達に関与するHIF-2αのPHDの変異も赤血球増加症を引き起こすことが見出されている。したがって、HIF-2α阻害剤により、機能獲得HIF-2α変異又はPHD、VHLの機能喪失変異のいずれかによって安定化されるHIF-2αnを阻害することで、EPOなどのHIF-2α下流遺伝子を抑制でき、それにより赤血球増加症のヘマトクリット値が低下するはずである。
【0289】
褐色細胞腫及び傍神経節腫(PPGL)は、希少な神経内分泌腫瘍であり、VHL又はPHD2の機能喪失又はHIF-2αの活性化変異を含む、素因となる遺伝子変異を背景に発生することが多く、その全てが高発現のHIF-2αタンパク質をもたらし、その後、発癌性進行を促進する下流遺伝子をもたらす(Dahia,Nat Rev Cancer.14:108-19,2014を参照されたい)。さらに、コハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)サブユニット及びSDH複合体アセンブリ因子2タンパク質(SDHAF2)をコードする遺伝子の生殖細胞系ヘテロ接合変異は、遺伝性褐色細胞腫及び傍神経節腫(PPGL)の患者で報告されている。これらの変異により、コハク酸の蓄積が生じ得、これによりVHL複合体によるHIFタンパク質のユビキチン化/分解の媒介に不可欠なプロリルヒドロキシラーゼの阻害が引き起こされる。下垂体腺腫は、PPGLと共存していることがよく見られる。したがって、HIF-2αの阻害は、PPGL及び下垂体腫瘍の両方の処置に役立つはずである。コハク酸デヒドロゲナーゼサブユニットの変異は、消化管間質腫瘍(GIST)にも関連しているため、GISTの処置のためのHIF-2α阻害剤の探索をサポートする(Janeway,et al.Proc.Natl Acad.Sci.USA 108:314-318,2011を参照されたい)。
【0290】
フマル酸ヒドラターゼ(FH)の機能喪失型変異は、患者を皮膚及び子宮平滑筋腫症の常染色体優性症候群にかかりやすくする。HIFタンパク質の活性化は、低酸素経路の活性化によってFH関連腫瘍の発生に寄与することが示唆されている。(O’Flaherty,et al.Hum Mol Genet.19:3844-3851,2010及びWei,et al.J Med Genet.43:18-27,2006を参照されたい)。さらに、HIF-2αの高発現は、平滑筋起源の希少な新生物である平滑筋肉腫に見られる(Mayer,et al.Cancer Res.68:4719,2008を参照されたい)。したがって、HIF-2αの阻害は、平滑筋腫及び平滑筋肉腫の両方の処置に有益である可能性がある。
【0291】
網膜毛細血管芽腫は、腫瘍抑制因子VHLの喪失によって引き起こされるVHL疾患の眼症状であり得る。VHL喪失時のHIF-2αの上方制御は、網膜血管芽腫の患者で検出されており、網膜血管芽腫の悪性度の高い経過に寄与し、複数の抗VEGF及び放射線療法に対する耐性をもたらすことが示されている(Wang,et al.Graefes Arch.Clin.Exp.Ophthalmol.252:1319-1327,2014を参照されたい)。さらに、制御されていない血管の成長は、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性症、緑内障、未熟児網膜症を含む、多くのヒトの視覚障害の中心的な病理学的要素である。これらの疾患で観察される神経細胞死及び視力喪失は、多くの場合、異常な漏出血管、病理学的血管新生の結果によって引き起こされる(Krock,et al.Genes Cancer.2:1117-1133,2011を参照されたい)。血管新生におけるHIFの因果的役割を考慮すると、HIF-2αの阻害剤は、様々な失明の疾患の処置において潜在的な有用性を有し得る。実際に、低酸素Hif-2α対立遺伝子によるHIF-2α発現の全身的減少は、EPO発現の欠陥を伴う網膜血管新生の著しい減少を引き起こした(Morita,et al.EMBO J.22:1134-46,2003を参照されたい)。
【0292】
HIF-2αは、腫瘍細胞(例えば、ccRCC)の発生、進行、転移を促進する直接的な役割に加えて、腫瘍微小環境内の低酸素の免疫抑制効果を増強することにより、腫瘍形成に間接的に寄与する。HIF-2αの発現は、骨髄系の細胞で検出されている(Talks KL,et dal.Am J Pathol.2000;157(2):411-421を参照されたい)。例えば、HIF-2αは、マクロファージの免疫抑制性M2表現型への極性化を促進し、腫瘍関連マクロファージの移動及び浸潤に遊離であることが示されている(Imtiyaz HZ et al.J Clin Invest.2010;120(8):2699-2714を参照されたい)。したがって、腫瘍関連マクロファージ(TAM)におけるHIF-2αのレベルの上昇は、高グレードのヒト腫瘍と関連しており、予後不良と相関している。さらに、HIF-2αは、アデノシンA2B/A2A受容体及びアルギナーゼなどの主要なシグナル伝達調節因子の発現を調節することにより、追加の免疫抑制経路(例えば、アデノシン及びアルギナーゼなど)を間接的に促進することができる。これらのデータは、HIF-2αが、単剤として又は他の治療剤、例えば免疫療法剤と組み合わせて、より広範囲の炎症性疾患及び癌を処置するための潜在的な処置標的であることをサポートしている。
【0293】
酸素レベルの変動に対する生理学的反応の調節におけるHIF-2αタンパク質の重要な役割のために、それらは、癌に加えて多くの低酸素関連の病理学的プロセスと因果関係が示されてきた。そのような疾患の1つは、PAHであり、これは、予後が非常に不良である、衰弱性で生命を脅かす疾患である。最近の研究によると、HIF-2αは、低酸素性肺血管リモデリングのプロセス、血管床の可塑性の低下及び最終的に衰弱性のPAHに寄与することが示されている(Andrew S.,et al.Proc Natl Acad Sci USA.2016 Aug 2;113(31):8801-8806、Tang H,et al.Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.2018 Feb 1;314(2):L256-L275を参照されたい)。これらの研究は、低酸素に対する肺血管反応の調節における肺内皮HIF-2αの役割についての新しい理解を提供し、HIF-2αを標的とすることによって大いに必要とされている新しい治療戦略を提供する。低酸素に関連する病理学的プロセスの別の例は、腸の慢性再発性炎症性疾患であるIBDである。腸の炎症及びそれに続くIBDは、調節不全の上皮酸素分圧が発生し、腸の上皮絨毛全体で強まるときに発生することが見出された(Shah Y.M.,Molecular and Cellular Pediatrics,2016 Dec;3(1):1を参照されたい)。HIF-2αの活性化は、IBDに寄与する一方、腸上皮細胞のHIF-1αは、IBDの主要な保護因子と見なされる(Karhausen J,et al.J Clin Invest.2004;114(8):1098-1106;Furuta GT,et al.J Exp Med.2001;193(9):1027-1034を参照されたい)。機構的に、HIF-2αの活性化は、炎症性サイトカインの上方制御を引き起こし、IBDを直接促進するだけでなく、腸のバリアの完全性を喪失し、間接的にIBDの発現に寄与する。(Xue X,et al.Gastroenterology.2013;145(4):831-841;Glover LE,et al.Proc Natl Acad Sci USA.2013;110(49):19820-19825を参照されたい)。したがって、HIF-2α阻害剤は、炎症誘発性状態を元に戻し、腸のバリアの完全性を高め、それによりIBDの症状を緩和することが期待される。
【0294】
HIF-2α阻害剤は、利用可能な治療の選択肢が制限されたNASHの新規治療アプローチも示す。最近の研究では、HIF-2αの腸特異的破壊は、高脂肪食によって誘発される脂肪肝及び肥満の有意な減少につながることが示された。機構的に、腸HIF-2αは、ノイラミニダーゼ3をコードする遺伝子を正に調節し、したがってNASHの発症に寄与するセラミド代謝を調節する(Xie C,et al.Nat Med.2017 Nov;23(11):1298-1308を参照されたい)。したがって、HIF-2α阻害剤は、NASHなどの代謝障害に対して予防的及び治療的効果を有するはずである。
【0295】
HIF-2αのレベルと鉄の恒常性との間にいくつかの関係が確認されている(Peyssonnaux C et al,Cell Cycle.2008;7(1):28-32を参照されたい)。複数の研究により、鉄負荷障害におけるHIF-2αの重要な役割が実証されている。HIF-1αではなく、HIF-2αは、鉄の輸送及び吸収に重要な様々な遺伝子の調節を通した、腸の鉄の状態の重要な「局所」調節因子として浮上している(Mastrogiannaki M,et al.J Clin Invest.2009;119(5):1159-1166を参照されたい)。したがって、HIF-2αを標的とする小分子阻害剤は、鉄障のある患者の鉄の恒常性を改善することが期待される。
【0296】
したがって、本開示は、HIF-2αの活性化又は過剰活性化が病状に関係している疾患、状態又は障害の重症度を処置又は軽減するための方法を提供する。別の態様において、本開示は、化合物Iで対象の腎細胞癌を処置する方法を提供する。
【0297】
HIF-2α阻害剤は、NASH、IBD、PAH及び鉄過負荷を含むが、これらに限定されない広範囲の非癌性適応症に対する治療の可能性も有する。
【0298】
医薬組成物
一般に、化合物1の形A多形は、同様の有用性を提供する作用物質について認められている投与方法のいずれかにより、治療有効量で投与される。化合物1の形A多形の治療有効量は、約200mg/日~約1000mg/日の範囲であり得、これは、単回又は複数回投与で投与することができる。経口投与の場合、組成物は、約50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900、及び1000ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態で提供することができる。化合物1の形A多形の実際の量は、処置される疾患の重症度、患者の年齢及び相対的健康、利用される化合物の効力、投与の経路及び形態、並びに他の要因などの多くの要因に依存する。
【0299】
一般に、化合物Iの形A多形は、以下の経路:経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内又は坐剤)又は非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)投与のいずれかによって医薬組成物として投与される。好ましい投与方法は、苦痛の程度に応じて調整することができる、簡便な毎日の投与量レジメンを使用する経口である。組成物は、錠剤、ピル、カプセル、半固体、粉末、徐放性製剤、溶液、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル又は他の適切な組成物の形態をとることができる。
【0300】
製剤の選択は、薬物投与のモード(例えば、経口投与の場合、錠剤、ピル又はカプセルの形態の製剤、腸溶性コーティング又は遅延放出錠剤を含むピル又はカプセルが好ましい)及び原薬のバイオアベイラビリティなどの様々な要因に依存する。
【0301】
組成物は、一般に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた化合物Iの形A多形から構成される。許容される賦形剤は、非毒性であり、投与を補助し、化合物Iの形A多形の治療上の利益に悪影響を及ぼさない。そのような賦形剤は、任意の固体、液体、半固体であり得るか、又はエアロゾル組成物の場合、当業者に一般的に利用可能な気体の賦形剤であり得る。
【0302】
固形医薬賦形剤には、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳などが含まれる。液体及び半固体の賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール及び石油、動物、植物又は合成由来のものを含む様々な油、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などから、独立して選択され得る。好ましい液体担体、好ましくは特に注射用溶液のものには、水、生理食塩水、水性デキストロース及びグリコールが含まれる。
【0303】
化合物Iの形A多形は、注射、例えばボーラス注射又は持続注入による非経口投与のために製剤化され得る。注射用製剤は、保存剤を添加した単位剤形、例えばアンプル又は複数用量容器中に提供され得る。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又は乳濁液などの形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの配合剤を含み得る。製剤は、単位用量又は複数用量の容器、例えば密封されたアンプル及びバイアルで提供され得、滅菌液体担体、例えば使用直前の生理食塩水又は無菌のパイロジェンフリー水の添加のみを必要とする粉末形態又はフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存され得る。即時注射溶液及び懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。
【0304】
非経口投与用の製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び目的のレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含み得る化合物Iの形A多形の水性及び非水性(油性)滅菌注射溶液;並びに懸濁剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。適切な親油性溶媒又はビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームが含まれる。水性注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール又はデキストランなど、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。任意選択により、懸濁液は、化合物Iの形A多形の溶解度を増加させて高濃度溶液の調製を可能にする適切な安定剤又は薬剤も含み得る。
【0305】
前述の製剤に加えて、化合物Iの形A多形は、デポ調製物としても製剤化され得る。そのような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下若しくは筋肉内)又は筋肉内注射によって投与され得る。したがって、例えば、化合物Iの形A多形は、適切なポリマー若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂とともに或いは難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化され得る。
【0306】
口腔又は舌下投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤、ロゼンジ、トローチ、又はゲルの形態をとり得る。そのような組成物は、スクロース及びアカシア又はトラガカントなどのフレーバーベースの化合物1の形A多形を含み得る。
【0307】
他の適切な医薬用賦形剤及びそれらの製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,E.W.Martin編(Mack Publishing Company,20th ed.,2000)に記載されている。
【0308】
製剤中の化合物1の形A多形のレベルは、当業者によって使用される全範囲内で変動することができる。典型的には、製剤は、重量パーセント(重量%)ベースで、全製剤に基づいて約0.01~99.99重量%の化合物1の形A多形を含み、残りは、1つ以上の適切な医薬用賦形剤である。例えば、化合物は、約1~80重量%のレベルで存在する。
【0309】
組み合わせ及び組み合わせ療法
化合物1の形A多形は、化合物1の形A多形又は他の薬物が有用であり得る疾患又は状態の処置において、1つ以上の他の薬物と組み合わせて使用され得る。そのような他の薬物は、ある経路により及びそのために一般的に使用される量で、化合物1の形A多形と同時に又は連続して投与され得る。化合物1の形A多形を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、そのような他の薬物及び化合物1の形A多形を含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかし、組み合わせ療法は、化合物1の形A多形及び1つ以上の他の薬物が異なる重複するスケジュールで投与される療法も含み得る。1つ以上の他の有効成分と組み合わせて使用される場合、化合物1の形A多形及び他の有効成分は、それぞれが単独で使用される場合よりも低用量で使用され得ることも企図される。
【0310】
したがって、本開示の医薬組成物は、化合物1の形A多形に加えて、1つ以上の他の薬物を含有するものも含む。
【0311】
上記の組み合わせは、化合物1の形A多形と1つの他の薬物との組み合わせだけでなく、2つ以上の他の活性薬物との組み合わせも含む。同様に、化合物1の形A多形は、化合物1の形A多形が有用である疾患又は状態のリスクの予防、処置、制御、改善、又は低減に使用される他の薬物と組み合わせて使用され得る。そのような他の薬物は、ある経路により及びそのために一般的に使用される量で、化合物1の形A多形と同時に又は連続して投与され得る。化合物1の形A多形を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、化合物1の形A多形に加えてそのような他の薬物を含有する医薬組成物を使用することができる。したがって、本開示の医薬組成物は、化合物1の形A多形に加えて、1つ以上の他の有効成分も含有するものも含む。化合物1の形A多形の第2の有効成分に対する重量比は、変化する可能性があり、各成分の有効用量に依存する。一般的に、それぞれの有効用量が使用される。
【0312】
必要としている対象が癌に罹患しているか又は罹患するリスクがある場合、対象は、1つ以上の他の抗癌剤との任意の組み合わせにおいて化合物Iの形A多形で処置することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、アポトーシス促進剤である。抗癌剤の例としては、以下:ゴシホール、ゲナセンス、ポリフェノールE、クロロフシン、全てのトランスレチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、5-アザ-2’-デオキシシチジン、全てのトランスレチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(Gleevec(商標))、ゲルダナマイシン、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY11-7082、PKC412又はPD184352、微小管形成を増強及び安定化することによって作用する周知の抗癌剤である「パクリタキセル」とも称されるタキソール(商標)及びタキソテール(商標)などのタキソール(商標)の類似体のいずれかが含まれるが、これらに限定されない。共通の構造の特徴として基本的なタキサン骨格を有する化合物は、安定化された微小管によりG2-M期の細胞を停止させる能力を有することも示されており、本明細書に記載の化合物と組み合わせて癌を処置するのに有用であり得る。
【0313】
適切な抗癌剤には、細胞増殖性障害に関連するキナーゼの阻害剤も含まれる。これらのキナーゼには、Aurora-A、BTK、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK6、CDK5、CDK7、CDK8、CDK9、エフリン受容体キナーゼ、CHK1、CHK2、SRC、Yes、Fyn、Lck、Fer、Fes、Syk、Itk、Bmx、GSK3、JNK、MEK、PAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PDK1、PKA、PKC、RAF、Rsk及びSGKが含まれるが、これらに限定されない。特に、HIF-2α阻害剤と相乗作用を示し、HIF-2α阻害に対する耐性を逆転させる可能性を有するアベマシクリブ(Verzenio)、パルボシクリブ(Ibrance)、リボシクリブ(Kisqali)を含むCDK4/6の阻害剤;マイトジェン活性化プロテインキナーゼシグナル伝達、例えばU0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY-142886、SB239063、SP600125、BAY43-9006、ワートマニン又はLY294002;Syk阻害剤;抗体(例えば、リツキサン);フォレチニブ、カルボザンチニブ又はクリゾチニブなどのMET阻害剤;スニチニブ、ソラフェニブ、レゴラフィニブ、レンバチニブ、バンデタニブ、カルボザンチニブ、アキシチニブなどのVEGFR阻害剤;アファチニブ、ブリバニブ、カルボザチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ネラチニブ、ラパチニブなどのEGFR阻害剤;XL147、XL765、BKM120(ブパルリシブ)、GDC-0941、BYL719、IPI145、BAY80-6946.BEX235(ダクトリシブ)、CAL101(イデラリシブ)、GSK2636771、TG100-115などのPI3K阻害剤;ラパマイシン(シロリムス)、テムシロリムス、エベロリムス、XL388、XL765、AZD2013、PF04691502、PKI-587、BEZ235、GDC0349などのMTOR阻害剤;AZD6244、トラメチニブ、PD184352、ピマセルチニブ、GDC-0973、AZD8330などのMEK阻害剤;CSF1R阻害剤(PLX3397、LY3022855など)及びCSF1R抗体(IMC-054、RG7155など);LY2157299などのTGFベータ受容体キナーゼ阻害剤;イブルチニブなどのBTK阻害剤である。
【0314】
他の抗癌剤には、カルフィルゾミブ、MLN9708、デランゾミブ又はボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害剤;INCB054329、OTX015、CPI-0610などのBET阻害剤;GSK2979552、INCB059872などのLSD1阻害剤;パノビノスタット、ボリノスタットなどのHDAC阻害剤;アザシチジン、デシタビンなどのDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び他のエピジェネティックモジュレーター;TNO155などのSHP-2阻害剤;Bcl2阻害剤ABT-199及び他のBcl-2ファミリータンパク質阻害剤;PT2977及びPT2385などのHIF-2α阻害剤;ベータカテニン経路阻害剤、ノッチ経路阻害剤及びヘッジホッグ経路阻害剤が含まれる。VEGFに対する抗体又は他の治療用タンパク質には、ベバシズマブ及びアフリベルセプトが含まれる。
【0315】
本発明の化合物と組み合わせて使用することができる他の抗癌剤/薬物には、LXRアゴニスト及びLXRベータ選択的アゴニストを含む肝臓X受容体(LXR)モジュレーター;アリール炭化水素受容体(AhR)阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0316】
化合物Iの形A多形と組み合わせて使用することができる他の抗癌剤には、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;アメタントロン酢酸塩;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシ;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;クラドリビン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジクオン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;ドロテストステロンプロピオナート;ドゥアゾマイシン;エダトレキサート;エフロルニチン塩酸塩;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチン・リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロキシウリジン;フルダラビンリン酸塩;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;水酸化尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;インターロイキンII(組換えインターロイキン又はRil2を含む);インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-1a;インターフェロンγ-1b;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;リアロゾール塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲステロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;マイトジリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトレゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;トリシリビンホスファート;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシナート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンが含まれる。
【0317】
化合物Iの形A多形と組み合わせて使用することができる他の抗癌剤には、20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスティン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背方化形態形成タンパク質1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;抗腫瘍薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン;アポトーシス遺伝子修飾剤;アポトーシス調節剤;アプリン酸ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;β-ラクタム誘導体;β-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;Bfgf阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルフォキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリア痘IL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨組織由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロルラン(chlorln);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス(didox);ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;9-ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロミチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;フォルフェニメクス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体阻害剤;インターフェロン作動薬;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン-N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;リュープロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ラルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;細胞溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;ミトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;複数の腫瘍抑制因子1ベースの治療剤;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節剤;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;口腔サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化物質阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金-トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAベースの免疫調節剤;プロテインキナーゼC阻害剤;微細藻類;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン接合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;エチドロン酸レニウムRe186;リゾキシン;リボザイム;R11レチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣物;セムスチン;老化由来1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節剤;一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフラン;ソブゾキサン;ボロカプチン酸ナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオダイド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣物;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来の成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクターシステム、赤血球遺伝子治療剤;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン(vinxaltine);ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ(zilascorb);及びジノスタチンスチマラマーが含まれる。
【0318】
化合物Iの形A多形と組み合わせて使用することができるさらに他の抗癌剤には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然産物又はホルモン、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシルなど)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチンなど)又はトリアゼン(デカルバジンなど)が含まれる。代謝拮抗剤の例には、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)又はピリミジン類似体(例えば、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0319】
化合物Iの形A多形と組み合わせる有用な天然産物の例には、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)又は生物学的反応修飾剤(例えば、インターフェロンアルファ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0320】
化合物Iの形A多形と組み合わせて使用できるアルキル化剤の例には、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファランなど)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン(lomusitne)、セムスチン、ストレプトゾシンなど)又はトリアゼン(デカルバジンなど)が含まれるが、これらに限定されない。代謝拮抗剤の例には、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)又はピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0321】
化合物Iの形A多形と組み合わせる有用なホルモン及びアンタゴニストの例には、アドレノコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、メゲストロールアセテート、メドロキシプロゲステロンアセテート)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド)、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えば、ロイプロリド)が含まれるが、これらに限定されない。癌の処置又は予防のために本明細書に記載の方法及び組成物で使用できる他の薬剤には、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボブラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)が含まれる。
【0322】
化合物Iの形A多形と組み合わせて使用することができる他の抗癌剤には、エルブロゾール(R-55104としても知られる)、ドラスタチン10(DLS-10及びNSC-376128としても知られる)、イセチオン酸ミボブリン(CI-980としても知られる)、ビンクリスチン、NSC-639829、ディスコデルモリド(NVP-XX-A-296としても知られる)、ABT-751(Abbott、E-7010としても知られる)、Altorhyrtin(AltorhyrtinA及びAltorhyrtinCなど)、スポンギスタチン(スポンギスタチン1、スポンギスタチン2、スポンギスタチン3、スポンギスタチン4、スポンギスタチン5、スポンギスタチン6、スポンギスタチン7、スポンギスタチン8、スポンギスタチン9など)、セマドチン塩酸塩(LU-103793及びNSC-D-669356としても知られる)、エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(デソキシエポチロンA又はdEpoAとしても知られる)など、エポチロンD(KOS-862、dEpoB及びデソキシエポチロンBとも称される)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N-オキシド、エポチロンA N-オキシド、16-アザ-エポチロンB、21-アミノエポチロンB(BMS-310705としても知られる)、21-ヒドロキシエポチロンD(デソキシエポチロンF及びdEpoFとしても知られる)、26-フルオロエポチロン)、オーリスタチンPE(NSC-654663としても知られる)、ソブリドチン(TZT-1027としても知られる)、LS-4559-P(Pharmacia、LS-4577としても知られる)、LS-4578(Pharmacia、LS-477-Pとしても知られる)、LS-4477(Pharmacia)、LS-4559(Pharmacia)、RPR-112378(Aventis)、硫酸ビンクリスチン、DZ-3358(Daiichi)、FR-182877(Fujisawa、WS-9885Bとしても知られる)、GS-164(Takeda)、GS-198(Takeda)、KAR-2(Hungarian Academy of Sciences)、BSF-223651(BASF、ILX-651及びLU-223651としても知られる)、SAH-49960(Lilly/Novartis)、SDZ-268970(Lilly/Novartis)、AM-97(Armad/Kyowa Hakko)、AM-132(Armad)、AM-138(Armad/Kyowa Hakko)、IDN-5005(Indena)、クリプトフィシン52(LY-355703としても知られる)、AC-7739(Ajinomoto、AVE-8063A及びCS-39.HClとしても知られる)、AC-7700(Ajinomoto、AVE-8062、AVE-8062A、CS-39-L-Ser.HCl及びRPR-258062Aとしても知られる)、ビチレブアミド、Tubulysin A、カナデンソール、センタウレイジン(NSC-106969としても知られる)、T-138067(Tularik、T-67、TL-138067、TI-138067としても知られる)、COBRA-1(Parker Hughes Institute、DDE-261及びWHI-261としても知られる)、H10(Kansas State University)、H16(Kansas State University)、オンコシジンA1(BTO-956及びDIMEとしても知られる)、DDE-313(Parker Hughes Institute)、Fijianolide B.Laulimalide、SPA-2(Parker Hughes Institute)、SPA-1(Parker Hughes Institute、SPIKET-Pとしても知られる)、3-IAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF-569としても知られる)、ナルコシン(NSC-5366としても知られる)、ナスカピン、D-24851(Asta Medica)、A-105972(Abbott)、ヘミアステリン、3-BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF-191としても知られる)、TMPN(Arizona State University)、バナドセンアセチルアセトナート、T-138026(Tularik)、Monsatrol、イナノシン(NSC-698666としても知られる)、3-1AABE(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine)、A-204197(Abbott)、T-607(Tuiarik、T-900607としても知られる)、RPR-115781(Aventis)、エレウテロビン(Eleutherobin)(デスメチルエレウテロビン、デスアセチルエレウテロビン、イソエレウテロビンA、Z-エレウテロビンなど)、カリベオシド、カリベオリン、ハリコンドリンB、D-64131(Asta Medica)、D-68144(Asta Medica)、ジアゾナミドA、A-293620(Abbott)、NPI-2350(Nereus)、タッカロノリドA、TUB-245(Aventis)、A-259754(Abbott)、Diozostatin、(-)-Phenylahistin(NSCL-96F037としても知られる)、D-68838(Asta Medica)、D-68836(Asta Medica)、ミオセベリンB、D-43411(Zentaris、D-81862としても知られる)、A-289099(Abbott)、A-318315(Abbott)、HTI-286(SPA-110、トリフルオロ酢酸塩としても知られる)(Wyeth)、D-82317(Zentaris)、D-82318(Zentaris)、SC-12983(NCI)、リン酸レスベラスタチンナトリウム、BPR-OY-007(National Health Research Institutes)及びSSR-250411(Sanofi)を含む、安定化された微小管によりG2-M期の細胞を停止させることによって作用する抗癌剤が含まれる。
【0323】
1つ以上の追加の免疫チェックポイント阻害剤を、HIF-2α関連の疾患、障害又は状態の処置のために、化合物Iの形A多形と組み合わせて使用することができる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、CD27、CD28、CD40、CD122、CD96、CD73、CD39、CD47、OX40、GITR、CSF1R、JAK、PI3Kδ、PI3Kγ、TAM、アルギナーゼ、CD137(4-1BBとしても知られる)、ICOS、A2AR、A2BR、SHP-2、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、VISTA、CD96、TIGIT、PD-1、PD-L1及びPD-L2などの免疫チェックポイント分子に対する阻害剤(スマック分子又は生物学的製剤)が含まれる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR、CD137及びSTINGから選択される刺激性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子は、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、TDO、アルギナーゼ、KIR、LAG3、PD-1、TIM3、CD96、TIGIT及びVISTAから選択される阻害性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される化合物は、KIR阻害剤、TIGIT阻害剤、LAIR1阻害剤、CD160阻害剤、2B4阻害剤及びTGFRベータ阻害剤から選択される1つ以上の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0324】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1の阻害剤、例えば抗PD-1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ(MK-3475としても知られている)、ピジリズマブ、SHR-1210、PDR001又はAMP-224である。いくつかの実施形態において、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ又はペンブロリズマブ又はPDR001である。いくつかの実施形態において、抗PD1抗体は、ペンブロリズマブである。
【0325】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-L1の阻害剤、例えば抗PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446としても知られている)又はMSB0010718Cである。いくつかの実施形態において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、MPDL3280A(アテゾリズマブ)又はMEDI4736(デュルバルマブ)である。
【0326】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CTLA-4の阻害剤、例えば抗CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態において、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ又はトレメリムマブである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、LAG3の阻害剤、例えば抗LAG3抗体である。いくつかの実施形態において、抗LAG3抗体は、BMS-986016又はLAG525である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、GITRの阻害剤、例えば抗GITR抗体である。いくつかの実施形態において、抗GITR抗体は、TRX518又はMK-4166、INCAGN01876又はMK-1248である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、OX40の阻害剤、例えば抗OX40抗体又はOX40L融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、抗OX40抗体は、MEDI0562又はINCAGN01949、GSK2831781、GSK-3174998、MOXR-0916、PF-04518600又はLAG525である。いくつかの実施形態において、OX40L融合タンパク質は、MEDI6383である。
【0327】
化合物Iの形A多形は、抗原に対する免疫応答を増加させることを含む、免疫応答を増加又は増強すること;ワクチン有効性の増加を含む、免疫化を改善すること;及び炎症を増加させることのためにも使用することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、リステリアワクチン、腫瘍溶解性ウイルスワクチン及びGVAX(登録商標)(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CF)遺伝子をトランスフェクトした腫瘍細胞ワクチン)などの癌ワクチンを含むが、これらに限定されないワクチンへの免疫応答を増強させるために使用することができる。抗癌ワクチンには、樹状細胞、合成ペプチド、DNAワクチン及び組換えウイルスが含まれる。他の免疫調節剤には、CCR2及びCCR4を含むケモカイン受容体に対するアンタゴニストなどの免疫細胞遊走を遮断するものも含まれる;スティングアゴニスト及びトール受容体アゴニスト。
【0328】
他の抗癌剤には、アジュバント又は養子T細胞移植など、免疫系を増強するものも含まれる。化合物Iの形A多形は、T細胞活性化のブースターとしてCAR(キメラ抗原受容体)T細胞処置と組み合わせて有効であり得る。
【実施例
【0329】
化合物1の以下の調製物は、当業者が本開示をより明確に理解し、実践することを可能にするために与えられる。それらは、開示の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、単にその例示的且つ代表的なものと見なされるべきである。
【0330】
実施例1
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物の合成
【化2】

THF(2.2L)中の3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(100.00g、260.91mmol、1.00当量)及びDBU(79.44g、521.81mmol、2.00当量)の撹拌溶液に、THF(400mL)中のピリジン-2-スルホニルフルオリド(50.46g、313.12mmol、1.20当量)の溶液を窒素雰囲気下において2時間にわたって20~25℃でゆっくりと加えた。得られた混合物を20~25℃でさらに16時間撹拌し、次に0.78NのNaOH水溶液(1.0L)でクエンチした。20~30℃で30分間撹拌した後、層を分離した。水層をMTBEで抽出した。合わせた有機層を10%塩水で洗浄し、次に、約350mL溶液まで濃縮した。この溶液をMTBEで希釈し、0.5NのHCl水溶液、次に水で洗浄した。有機層を約200mLまで濃縮し(94.1A%のHPLC純度、及びキラル純度は、97.2%eeであった)、EtOAcで希釈し、次にシリカゲルパッドに充填し、生成物が溶離されなくなるまでパッドをEtOAc/n-ヘプタン=1/5でリンスした。所望の分画を濃縮し、溶媒をMTBEと交換してMTBE溶液(約350mL)を得た。
【0331】
ジエチルアミン(600mL)を加え、得られた溶液を35~45℃に加熱し、n-ヘプタン(400mL)を2時間にわたってこの温度でゆっくりと加えた。得られたスラリーを35~45℃で1時間撹拌し、次に3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル形A多形の固体結晶性種晶(0.5g)を加えた。35~45℃で1時間さらに撹拌した後、スラリーを-5~5℃にゆっくりと冷却し、次にヘプタン(2.0L)を5時間にわたってゆっくりと加えた。-5~5℃で6時間さらに撹拌した後、混合物をろ過し、固体ケーキを冷DEA/n-ヘプタン(1:4)で洗浄して表題化合物を得た。
【0332】
実施例2
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルの結晶形Aの合成
【化3】

3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル:DEA溶媒和物を65~70℃で20時間真空乾燥させて53.2gの表題化合物を得た。表題化合物のHPLC純度は、99.8A%であり、キラル純度は、100.0%ee.であった)。H NMR(400MHz,CDCl)δ=7.71-7.67(m,1H),7.29-7.26(m,2H),7.25-7.09(m,2H),6.60-5.80(ddd,1H),2.87(s,1H),2.91-2.57(m,2H).
【0333】
IPA(150mL)中の3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(50.0g)の撹拌無色透明溶液に、n-ヘプタン(100mL)を1時間にわたって20~30℃でゆっくりと加え、続いて表題化合物の種結晶(0.25gの化合物1の形A多形)を加え、得られたスラリーを20~30℃で3時間撹拌した。n-ヘプタン(150mL)を20~30℃で4時間にわたってゆっくりと加え、続いて追加のn-ヘプタン(950mL)を8時間にわたって加えた。20~30℃で3時間さらに撹拌した後、スラリーを4時間にわたって-10~0℃にゆっくりと冷却し、次にこの温度で6時間撹拌した。混合物をろ過し、固体ケーキを冷n-ヘプタンでリンスした。固体を45~55℃で12時間真空乾燥させて表題化合物(46.73g、93.5%収率)を得た。HPLC純度は、99.9A%であり、キラル純度は、100.0%eeであった。
【0334】
そのDEA溶媒和物から化合物1を調製するための代替方法:
EtOAc(150mL)中の化合物1・DEA溶媒和物(10.0g)の撹拌混合物に、0.5MのHCl水溶液(150mL)を20~30℃で加える。得られた混合物をこの温度で30分間撹拌する。有機層を分離し、次に水で洗浄する。有機層を濃縮し、残渣をIPA/n-ヘプタンから再結晶して表題化合物1を得る。
【0335】
実施例3
化合物1の代替合成、精製、及び多形特性評価
【化4】

3000mLの3つ口丸底フラスコにTHF(3.5L)中の3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラヒドロフラン-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(350g、0.762mol、1.0当量)及びDBU(232.1g、1.53mol、2.0当量)を室温で加えた。この溶液に10~15℃でTHF(700mL)中のピリジン-2-スルホニルフルオリド(159.7g、0.991mmol、1.3当量)の溶液を滴下した。得られた混合物を室温で12時間撹拌し、次に水及びEtOAcで希釈した。懸濁液をシリカゲルでろ過し、相を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20/1~7/1)で精製して、粗生成物(400g)をオフホワイトの固体として得た。粗生成物をSFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK AS(250mm*50mm、10um)で分離し、250gの粗生成物を得た。粗生成物にヘプタン(1.0L)を加え、混合物を40℃で2時間撹拌した。混合物をろ過して、純粋な表題生成物(230g)を得た。表題化合物のHPLC純度は、98.7%であり、キラル純度は、99.1%eeであった。SFC条件:カラム:Chiralpak AD-3 50×4.6mm I.D.、3μm 移動相:相A、CO;相B、EtOH(0.05%DEA) グラジエント溶離:A中のB 5%~40%;流量:3mL/分 カラム温度:35℃;背圧:100バール;t:0.904分。
【0336】
多形の特性評価:
実施例3から得られた化合物1(15.5mg)を50℃においてn-ペンタノール/ヘプタン(9:1)の混合物0.4mLに加えた。混合物を3日間撹拌した後、固体をろ過により回収して、結晶形A多形を得た。XRPDパターンは、40kV及び40mAで動作するジェネレーターからのCu Kα(1.5418Å)の入射ビームを使用して、周囲温度(23~25℃)においてX線回折計(Bruker D8 Advance)で取得した。システムは、LynxEye検出器を備えていた。化合物5のサンプルは、0.02°2θのステップサイズで3から40°2θまでスキャンした。データは、DIFFRAC plus Evaluation Package Release 2010を使用して分析した。結晶形A多形のXRPDスペクトルを図3に示す。XRPDスペクトルのピークリスト、度で報告された回折角(2θ)を以下の表1に示す。
【0337】
【表6】
【0338】
【表7】
【0339】
【表8】
【0340】
以下の条件下での化合物1の結晶化も形A多形を与えた。
【0341】
方法A
化合物1(15mg/ml)をMeOH、IPA、MTBE、EtOAc、IPAc又はトルエンに溶解し、溶液を室温で蒸発させて、化合物1を結晶性固体として得た。XRPD分析は、結晶性固体が形態A多形であることを示した。
【0342】
方法B
以下の表3に示すように、化合物1(約10mg)を0.5mLの貧溶媒に50℃で添加し、次に溶媒を添加して固体を溶解した。混合物をろ過し、溶液をゆっくりと室温に冷却し、室温で1日撹拌した。結晶をろ過し、XRPD分析を行った。
【0343】
【表9】
【0344】
方法C
化合物1を、以下の表4に示すように溶媒に溶解し、室温、50℃、又は氷浴で撹拌しながら貧溶媒を加えた。結晶性固体をろ過し、XRPDによって特性評価した。
【0345】
【表10】
【0346】
方法D
化合物1(約10mg)を溶媒に溶解し、次に得られた溶液を、0.5mLの貧溶媒に加えた。混合物を室温で1日撹拌し続け、結晶性固体をXRPDによって分析した。結果を、以下の表5に示した。
【0347】
【表11】
【0348】
実施例4
化合物1のDEA溶媒和物及び化合物1の調製
化合物1のDEA溶媒和物の合成及び多形特性評価
MTBE(75mL)中の粗3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(25.1g)の撹拌溶液に、DEA(150mL)を35~45℃で加え、続いてn-ヘプタン(100mL)をゆっくりと加え、及び3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル形A多形の固体結晶性種晶を加えた。得られたスラリーを35~45℃で1時間撹拌し、-5~5℃にゆっくりと冷却し、次にこの温度で6時間撹拌した。n-ヘプタン(500mL)を-5~5℃で4時間にわたってゆっくりと加えた。-5~5℃で4時間撹拌した後、スラリーをろ過し、DEA/ヘプタン=1V/4Vの冷溶液で洗浄し、XPRD及びNMRを化合物1のDEA溶媒和物に関して行った。
【0349】
化合物1のDEA溶媒和物のXRPDパターンは、40kV及び40mAで動作するジェネレーターからの、Cu Kα(1.5406Å)の入射ビームを使用して周囲温度(約23~25℃)で、X線回折計(Bruker D8 advance)で取得した。システムは、LynxEye検出器を備えていた。3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルのジエチルアミン溶媒和物のサンプルを、0.02°2θのステップサイズで、3から40°2θまでスキャンした。データは、DIFFRAC plus Evaluation Package Release 2010を使用して分析した。結晶形B多形のXRPDスペクトルを図1に示す。XRPDスペクトルのピークリスト、度で報告される回折角(2シータ)を以下の表2に示す。
【0350】
【表12】
【0351】
【表13】
【0352】
化合物1の合成:
DCM(50mL)中の粗3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(26.3g)の溶液を濃縮乾固した。残渣にDCM(38mL)を装入し、得られた溶液を35~40℃に加熱し、続いてDEA(114mL)を加えた。35~40℃で10分間撹拌した後、n-ヘプタン(190mL)をゆっくりと加えた。得られた混合物を35~40℃で30分間撹拌し、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル形A多形の固体結晶性種晶を加えた。スラリーを35~40℃で3時間撹拌し、次にn-ヘプタン(266mL)を8時間にわたってゆっくりと加えた。スラリーを0℃にゆっくりと冷却し、次にこの温度で5.5時間撹拌した。スラリーをろ過し、DEA/ヘプタン=1V/4Vの冷溶液で洗浄した。固体を、真空下に65℃で乾燥させて表題化合物(14.7g)を得た。XRPD測定を実施例4に記載される条件下で行った。
【0353】
実施例5
化合物1の合成のための代替デオキシフッ素化反応条件
【化5】

方法A:
MTBE(2.5L)中の3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(100.0g、260.91mmol、1.00当量)の撹拌溶液に、ビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド(BAST、83.7g、378.32mmol、1.45当量)を窒素雰囲気下において-80~-70℃で2時間にわたってゆっくりと加えた。-80~-70℃で追加の2.5時間撹拌した後、反応混合物を-80~-70℃においてメタノール(3344mg、104.37mmol、0.40当量)でクエンチした。得られた混合物を0~10℃に温め、次に10%KCO水溶液(1L)でクエンチした。有機層を分離し、水(1L)で洗浄し、次に濃縮した。
【0354】
残渣を、MTBE/n-ヘプタン=1/2で溶離する、シリカゲルパッド(100gのシリカゲル)で精製して粗生成物を得た。粗生成物をMTBE/DEA/n-ヘプタン=2V/6V/24Vで結晶化して化合物1のジエチルアミン溶媒和物を得た。化合物1のジエチルアミン溶媒和物を70℃で真空乾燥させて化合物1を結晶形A多形(75.8g、75.4%収率)として得た。化合物1の純度は、99.9%であり、e.eは、99.9%であった。
【0355】
方法B:
2-MeTHF(2.5L)中の3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(100.0g、0.26mol、1.00当量)の撹拌溶液に、窒素下に-20℃でEtN・3HF(21.0g、0.13mol、0.50当量)、続いて2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(BTMG、111.0g、0.65mol、2.50当量)を加えた。撹拌される得られた混合物に、2-MeTHF(500mL)中のパーフルオロブタンスルホニルフルオリド(PBSF、118.0g、0.39mol、1.50当量)の溶液を-20℃で1時間にわたってゆっくりと加えた。2時間撹拌した後、混合物を脱イオン水(1L)でクエンチした。
【0356】
分離した有機層を、HCl水溶液、水、NaOH水溶液、次に10%塩水で洗浄した。分離した有機層を濃縮し、2-MeTHF(750mL)に溶解し、再び濃縮した。残渣をMeOH(1.5L)に溶解し、50℃において4時間活性炭(30g)で脱色した。得られた混合物をろ過して黄色のろ液を得た。ろ液を濃縮し、残渣を2-MeTHF(1.5L)に溶解し、次に再び濃縮した。残渣を40℃でMTBE(2L)と混合し、30分間撹拌し、20℃に冷却し、次にろ過して固体を除去した。ろ液を濃縮し、残渣をMTBE/DEA/n-ヘプタン=3V/6V/24Vから結晶化して化合物1のジエチルアミン溶媒和物(85g)をベージュ色の固体として得た。
【0357】
化合物1のジエチルアミン溶媒和物(42.5g)をMTBE(850mL)と混合し、得られた混合物を0.1MのHCl水溶液、続いて10%の塩水で洗浄した。有機層を分離し、濃縮した。残渣をIPA(640mL)に溶解し、次に40℃において4時間活性炭(8.5g)で脱色した。混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をIPA/n-ヘプタン=3V/24Vから再結晶し、次に真空乾燥させて化合物1を白色の固体として結晶形A多形(30.5g、61.0%収率)として得た。化合物1の純度は、100.0%であった。
【0358】
上記の方法Bのために検討された代替反応条件及びそれから得られた結果を以下の表3~6に開示する。以下の表において、3-フルオロ-5-(((1R,2aR)-3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルは、SMと言われ、化合物は、生成物と言われる。
【0359】
【表14】
【0360】
【表15】
【0361】
【表16】
【0362】
【表17】
【0363】
製剤例
以下は、本開示の化合物を含有する代表的な製剤である。
【0364】
錠剤製剤
以下の成分を混和し、単一の刻みの入った錠剤にプレスする。
【0365】
【表18】
【0366】
カプセル製剤
以下の成分を混和し、ハードシェルゼラチンカプセルに充填する。
【0367】
【表19】
【0368】
注射用製剤
2%HPMC、1%Tween80を含む適量のDI水中、本開示の化合物(例えば、式Iの化合物)を少なくとも20mg/mLまで。
【0369】
吸入組成物
吸入送達用の医薬組成物を調製するために、本明細書に開示される20mgの化合物を50mgの無水クエン酸及び100mLの0.9%塩化ナトリウム溶液と混合する。混合物は、吸入投与に適したネブライザーなどの吸入送達ユニットに組み込まれる。
【0370】
局所ゲル組成物
医薬局所ゲル組成物を調製するために、本明細書に開示される100mgの化合物を1.75gのヒドロキシプロピルセルロース、10mLのプロピレングリコール、10mLのミリスチン酸イソプロピル及び100mLの精製アルコールUSPと混合する。次に、得られたゲル混合物は、局所投与に適したチューブなどの容器に組み込まれる。
【0371】
点眼溶液組成物
医薬点眼液組成物を調製するために、本明細書に開示される100mgの化合物を100mLの精製水中で0.9gのNaClと混合し、0.2ミクロンフィルターを使用してろ過する。次に、得られた等張溶液は、眼科投与に適した点眼容器などの眼科用送達ユニットに組み込まれる。
【0372】
鼻腔スプレー溶液
医薬用鼻腔スプレー溶液を調製するために、本明細書に開示される10gの化合物を30mLの0.05Mリン酸緩衝液(pH4.4)と混合する。溶液は、各投与について100ulのスプレーを供給するように設計された鼻腔投与器に入れられる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】