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特表2024-539615導通経路の遮断による変換可能機能性インクの温度安定化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】導通経路の遮断による変換可能機能性インクの温度安定化
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/00 20140101AFI20241022BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20241022BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
C09D11/00
H05K1/09 Z
C08F2/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521840
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 US2022046255
(87)【国際公開番号】W WO2023064258
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/254,230
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/938,688
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】524012185
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ マサチューセッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】アーミエント,クレイグ,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ピロ,ユリ
(72)【発明者】
【氏名】ラナシンハ,オシャダ
(72)【発明者】
【氏名】ルース,アンドリュー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】キングスリー,エドワード,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】アキュルツル,アルキム
【テーマコード(参考)】
4E351
4J011
4J039
【Fターム(参考)】
4E351BB31
4E351CC11
4E351DD04
4E351DD05
4E351DD41
4E351DD43
4E351EE13
4E351GG20
4J011CA02
4J011CC10
4J011PA14
4J011PB22
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA13
4J011QB19
4J011QB24
4J011SA04
4J011SA14
4J011SA16
4J011SA84
4J011WA10
4J039AE04
4J039AE05
4J039BA17
4J039BE01
(57)【要約】
インク安定化組成物は、アクリレートポリマーを含むポリマーネットワークと、それぞれが約2:1~約30:1のアスペクト比及び約0.5~約1.2マイクロメートルの平均粒径を有する複数の高アスペクト比粒子とを含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリレートポリマーを含むポリマーネットワーク;と
それぞれが約2:1~約30:1のアスペクト比及び約0.5~約1.2マイクロメートルの平均粒径を有する複数の高アスペクト比粒子と、
を含む、インク安定化組成物。
【請求項2】
前記アクリレートポリマーが、トリアクリレートポリマーである、請求項1に記載のインク安定化組成物。
【請求項3】
前記アクリレートポリマーが、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載のインク安定化組成物。
【請求項4】
前記複数の高アスペクト比粒子のそれぞれが、約10:1~約20:1のアスペクト比を有する、請求項1に記載のインク安定化組成物。
【請求項5】
前記複数の高アスペクト比粒子のそれぞれが、約0.8~約1.0マイクロメートルの平均粒径を有する、請求項1に記載のインク安定化組成物。
【請求項6】
前記複数の高アスペクト比粒子のそれぞれが、窒化ホウ素である、請求項1に記載のインク安定化組成物。
【請求項7】
光開始剤をさらに含む、請求項1に記載のインク安定化組成物。
【請求項8】
複数の導電性粒子と;
複数の絶縁粒子と;
複数の高アスペクト比安定化粒子と;
前記複数の導電性粒子と前記複数の絶縁粒子との間の空隙内のポリマーと;を含む安定化インク、であって、
前記安定化インクは、絶縁相である、前記安定化インク。
【請求項9】
前記ポリマーがアクリレートポリマーである、請求項8に記載の安定化インク。
【請求項10】
前記アクリレートポリマーが、トリアクリレートポリマーである、請求項9に記載の安定化インク。
【請求項11】
前記アクリレートポリマーが、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項9に記載の安定化インク。
【請求項12】
前記複数の高アスペクト比安定化粒子のそれぞれが、約10:1~約20:1のアスペクト比を有する、請求項8に記載の安定化インク。
【請求項13】
前記複数の高アスペクト比安定化粒子のそれぞれが、約0.8~約1.0マイクロメートルの平均粒径を有する、請求項8に記載の安定化インク。
【請求項14】
前記複数の高アスペクト比粒子が窒化ホウ素である、請求項8に記載の安定化インク。
【請求項15】
変換可能インクを安定化する方法であって、
安定化材料を変換可能インク上に配置することを含み;
前記安定化材料は、ポリマーネットワークと、それぞれが約2:1~約30:1のアスペクト比及び約0.5~約1.2マイクロメートルの平均粒径を有する複数の高アスペクト比粒子とを含み;
前記変換可能インクは、複数の導電性粒子及び複数の絶縁粒子を含む、前記方法。
【請求項16】
前記ポリマーネットワークが、アクリレートポリマーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アクリレートポリマーが、トリアクリレートポリマーである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アクリレートポリマーが、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の高アスペクト比粒子の前記それぞれが窒化ホウ素である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記安定化材料が光開始剤をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2021年10月11日出願の米国仮特許出願第63/254,230号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる2022年10月7日出願の米国非仮特許出願第17/938,688号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、変換可能インクに関し、より具体的には、変換可能インクの温度安定化に関する。
【0003】
変換可能インクは電子構造の作成に使用することができる。変換可能インクの例としては、硬化後に絶縁相または誘電相を有するが、熱処理またはレーザー焼結などの方法によって選択的に導電性相または抵抗性相に変換することができる複合材料が挙げられる。
【発明の概要】
【0004】
1つ以上の実施形態によれば、インク安定化組成物は、アクリレートポリマーを含むポリマーネットワークと、それぞれが約2:1~約30:1のアスペクト比及び約0.5~約1.2マイクロメートルの平均粒径を有する複数の高アスペクト比粒子とを含む。
【0005】
他の実施形態によれば、安定化インクは、複数の導電性粒子、複数の絶縁粒子、複数の高アスペクト比安定化粒子、及び複数の導電性粒子と複数の絶縁粒子の間の空隙内のポリマーを含む。安定化インクは絶縁相にある。
【0006】
さらに、いくつかの実施形態によれば、変換可能インクを安定化する方法は、変換可能インク上に安定化材料を配置することを含む。安定化材料は、ポリマーネットワークと、それぞれが約2:1~約30:1のアスペクト比及び約0.5~約1.2マイクロメートルの平均粒径を有する複数の高アスペクト比粒子とを含む。変換可能インクは、複数の導電性粒子及び複数の絶縁粒子を含む。
【0007】
さらなる特徴及び利点が、本開示の技術を通して実現される。本開示の他の実施形態及び態様が、本明細書で詳細に説明され、特許請求される開示の一部と考えられる。利点及び特徴を伴う本開示をより良好に理解するために、説明及び図面を参照されたい。
【0008】
本開示をより完全に理解するために、次に、添付図面及び詳細な説明に関連して以下の簡単な説明を参照する。ここでは、同様の参照数字は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】変換可能インクの誘電部分を導電性部分に変換するためのレーザー焼結方法である;
図1B】変換可能インクの誘電部分の拡大図である;
図1C】レーザー焼結後の変換可能インクの導電経路の拡大図である;
図2A】変換可能インクの誘電部分を示す;
図2B】安定化材料層を塗布した後の変換可能インクを示す;
図2C】安定化材料層を塗布し、レーザー焼結した後の導電経路の遮断を示す;
図3】安定化層を伴う場合と伴わない場合の変換可能インクの抵抗の変化を示すグラフである;
図4A】変換可能なインク層上のパターニング安定化層の上面図である;及び
図4B図4Aの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
変換可能インクは、硬化後に絶縁相または誘電相を有するが、熱処理またはレーザー焼結などの方法によって選択的に導電性相または抵抗性相に変換される複合材料である。変換可能インクは、例えば、導電性粒子と絶縁粒子との複合ブレンドを含むことができる。変換可能インクの非限定的な例には、導電性金属ナノ粒子(例えば、銀)と絶縁ナノ粒子(例えば、チタン酸バリウムストロンチウム)が含まれ、これらは、インクが硬化後に絶縁相を含むが、紫外線レーザーによる選択的レーザー焼結などの高温熱処理(例えば、摂氏125度を超える温度)後に導電性(及び抵抗性)相を提供するような比率でブレンドされる。選択的レーザー焼結はほとんどのレーザーを使用して実行することができるが、波長が400~450ナノメートル(nm)のレーザーで最適な結果を提供することができる。銀(Ag)ナノ粒子の表面プラズモン共鳴は約400~450nmであるため、銀を変換可能インクに使用する場合、Agナノ粒子の表面プラズモン共鳴を励起すると、表面プラズモン共鳴励起により発生する局所加熱により、銀ナノ粒子が効率的に溶融することに留意されたい。さらに、他のレーザー、例えば特に830nmレーザーも、銀ナノ粒子を焼結して導電性パターンを形成するのに好適である。使用されるレーザー波長は、導電性ナノ粒子に合わせて調整される。例えば、金ナノ粒子が使用される場合、532nmレーザーを使用して金の表面プラズモン共鳴を励起することができる。しかし、任意の波長のレーザーを使用して、特定の導電性ナノ粒子に合わせて調整してもよい。
【0011】
例えば、図1Aは、変換可能インクの誘電部分を導電性部分に変換するためのレーザー焼結方法である。硬化後、変換可能インクは絶縁相になる。レーザー110は、変換可能インクの絶縁部分102を導電性部分106に変換する。図1Bは、導電性粒子122と絶縁粒子120のブレンドを含む変換可能インクの誘電部分102の拡大図である。図1Cは、導電性粒子122を融着させるレーザー焼結または熱焼結後に変換可能インクの導電経路がどのように形成されるかを示す導電性部分106の拡大図である。
【0012】
変換可能インクは、容易にパターニングして、局所的な熱を加えることで導電性トレースを作出することができるフィルムとして印刷される印刷可能なインクとして使用することができる。ただし、トレースをパターニングした後は、絶縁材料が絶縁状態のままであることが望ましい。しかし、用途によっては、後続の熱プロセス(例えば、はんだ付けまたはその他のパッケージングプロセス)により、意図せずに所望のパターンが導電状態に変換され、パターニングプロセスが無効になる可能性がある。
【0013】
したがって、本明細書では、高アスペクト比粒子及び三次元ポリマーネットワークを変換可能インクに導入し、はんだ付けまたはマイクロエレクトロニクスパッケージングプロセスのような熱曝露後でも、フィルム内の導電経路の形成を防止する、安定化材料、ならびにその作製方法及び使用方法について説明する。安定化材料は、変換可能インクの誘電部分内に導電性トレースを選択的に画定するためにパターニングされたマスクとして使用することができる。本明細書で使用される場合、「変換可能インク」という用語及び他の同様の用語は、熱焼結またはレーザー焼結によって絶縁体相から導電性/抵抗性相に変換される、導電性粒子と非導電性粒子の複合体を意味する。
【0014】
図2Aは、硬化後の変換可能インクの誘電部分を示しており、間にエアギャップ202を伴う導電性粒子224と絶縁粒子222のブレンドを含む。図2Bは、変換可能インクに安定化材料層を塗布した後の変換可能インクを示す。安定化層は、変換可能インク内のエアギャップ202を満たすポリマー204及び高アスペクト比粒子260を含む。図2Cは、レーザー焼結または熱焼結などの熱曝露後の変換可能インク、及び高アスペクト比粒子260による導電経路230の遮断を示す。ポリマー204と高アスペクト比粒子260の両方が、導電経路230の形成を防止するために必要である。
【0015】
変換可能インク中の導電性粒子224には、導電性金属粒子が含まれる。導電性金属粒子の非限定的な例としては、銀粒子、金粒子、銅粒子、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0016】
1つ以上の実施形態では、導電性粒子224は、変換可能インク中に約55~約70重量%(wt%)の量で存在する。他の実施形態では、導電性粒子224は、変換可能インク中に約60~約65wt%の量で存在する。さらに、いくつかの実施形態では、導電性粒子224は、変換可能インク中に約62.5wt%の量で存在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、導電性粒子224の平均直径は、約20~約200ナノメートル(nm)である。他の実施形態では、導電性粒子224の平均直径は約80~約120nmである。しかし、いくつかの実施形態では、導電性粒子224の平均直径は約100nmである。硬化後に均質な分布を見出すには、導電性粒子224と絶縁粒子222の平均直径は非常に近くなければならない。
【0018】
変換可能インク中の絶縁粒子222は、絶縁(誘電)材料または合金を含む。絶縁粒子222の非限定的な例としては、チタン酸バリウムストロンチウム粒子が挙げられる。1つ以上の実施形態では、絶縁粒子222は少なくとも摂氏700度の融点を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、絶縁粒子222の平均直径は、約20~約200ナノメートル(nm)である。他の実施形態では、絶縁粒子222の平均直径は約80~約120nmである。さらに、いくつかの実施形態では、絶縁粒子222の平均直径は約100nmである。
【0020】
1つ以上の実施形態では、絶縁粒子222は、変換可能インク中に約30~約45重量%(wt%)の量で存在する。他の実施形態では、絶縁粒子222は、変換可能インク中に約35~約40wt%の量で存在する。さらに、いくつかの実施形態では、絶縁粒子222は、変換可能インク中に約37.5wt%の量で存在する。
【0021】
1つ以上の実施形態によれば、導電性粒子224は銀粒子であり、絶縁粒子222はチタン酸バリウムストロンチウム粒子である。
【0022】
変換可能インクを作製するために、導電性粒子224と絶縁粒子222を、溶媒(複数可)中で、及び任意選択で1つ以上の添加剤と合わせる。溶媒の非限定的な例としては、1-メトキシ-2-プロパノール、エチレングリコール、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。1つ以上の実施形態では、溶媒はグリコール溶媒である。
【0023】
次いで、溶媒(複数可)及び任意選択の添加剤中の導電性粒子224及び絶縁粒子222の混合物は、熱を加えることによって硬化する。硬化後、変換可能インクは絶縁/誘電相のままであり、導電性粒子222及び絶縁粒子224のみを含む。
【0024】
硬化は、例えば一定時間加熱することにより実行する。硬化の温度及び時間は、変換可能インクの組成によって異なる。1つ以上の実施形態によれば、硬化は、摂氏約75度~約125度の温度で加熱することによって実行する。他の実施形態では、硬化は、摂氏約80度~約100度の温度で加熱することによって実行する。
【0025】
変換可能インクが形成され硬化したら、安定化材料層を塗布し、紫外線で硬化する。
【0026】
安定化層は、変換可能インク内のエアギャップ202を満たすポリマー204及び高アスペクト比粒子260を含む(図2Bを参照)。図2Cは、紫外線レーザー焼結などの熱処理後の変換可能インク及び高アスペクト比粒子260による導電経路230の遮断を示す。比較的大きな高アスペクト比粒子260は、最初に硬化した変換可能インク中の絶縁粒子222に対する導電性粒子224の比率を低下させる。比較的大きな高アスペクト比粒子260は、導電経路230が形成される際の熱焼結中に導電性粒子224の合着をさらに妨害する。
【0027】
1つ以上の実施形態によれば、高アスペクト比粒子260は六方晶系窒化ホウ素粒子である。いくつかの実施形態では、高アスペクト比粒子260は、約2:1~約30:1のアスペクト比を有する。他の実施形態では、高アスペクト比粒子260は、約10:1~約20:1のアスペクト比を有する。
【0028】
1つ以上の実施形態によれば、高アスペクト比粒子260は、約0.5~約1.2マイクロメートルの平均直径を有する。他の実施形態では、高アスペクト比粒子260は、約0.8~約1.0マイクロメートルの平均直径を有する。
【0029】
1つ以上の実施形態では、高アスペクト比粒子260は、安定化層中に約5~約20wt%の量で存在する。他の実施形態では、高アスペクト比粒子260は、安定化層中に約12~約15wt%の量で存在する。
【0030】
1つ以上の実施形態によれば、変換可能インク内のエアギャップ202を満たすポリマー204は、アクリレートポリマーである。ポリマーの他の非限定的な例としては、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリマー204はトリアクリレートポリマーであり、3つの不飽和部位の結果として強力な三次元ポリマーネットワークを作出する。ポリマー204によって作出されるポリマーの三次元ネットワークは、エアギャップ202を満たし、導電性粒子224のリフローを最小限に抑える。
【0031】
三次元ネットワークを形成するポリマー204は、分解することなく高温に耐える。いくつかの実施形態では、ポリマー204は分解することなく摂氏約100度~約250度の温度に耐える。他の実施形態では、ポリマー204は、分解することなく約200~約225の温度に耐える。
【0032】
安定化層を形成するために、1つ以上の光開始剤を、ポリマー204前駆体(すなわち、オリゴマー及び/またはモノマー)、高アスペクト比粒子260、及び任意選択で1つ以上の光開始剤などの1つ以上の添加剤と合わせる。1つ以上の任意選択の添加剤は、加えられる場合、約0.25~約5wt%の量で加える。この組み合わせを、凝集が見えなくなるまで混合する。
【0033】
1つ以上の実施形態では、ポリマー前駆体(例えば、オリゴマー及び/またはモノマー)は、安定化層中に約70~約89wt%の量で存在する。他の実施形態では、ポリマー前駆体(例えば、オリゴマー及び/またはモノマー)は、安定化層中に約80~約85wt%の量で存在する。
【0034】
光開始剤の非限定的な例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニルビス(2,4,6,7-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオンフェノン、ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、ベンジルジメチルケタール、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノエート、またはそれらの任意の組み合わせ、が挙げられる。
【0035】
安定化材料層は、誘電相の変換可能インクの表面に塗布される。安定化層は、塗布されると、熱処理下でインクを導電性相に別様に変換するであろう導電経路の形成を妨害する(図3を参照)。
【0036】
安定化層は、硬化変換可能インク層上に形成する。いくつかの実施形態では、安定化層はマスクとしてパターニングする。図4A及び4Bは、それぞれ、硬化誘電相である変換可能インク層404上のパターンニングされた安定化層402の上面図及び側面図である。安定化層402の一部が除去されて、下の変換可能インクの選択された部分を露光すると、覆われていない部分が、例えばレーザー焼結によって選択的に熱処理されて、選択された導電性部分406が形成される。安定化層402は、変換可能インク層404の未露光部分を保護する。
【実施例1】
【0037】
実施例1:安定化層の配合
安定化層配合の例を以下の表1に示す。
【表1】
【0038】
オリゴマー、窒化ホウ素、及び光開始剤を、アルミニウム箔で覆われたガラスジャーに入れる。次に、ジャーを10秒間のオンオフサイクルで2時間撹拌する。試料は、凝集について毎分チェックする。凝集が存在する場合は、壊れるまで混合物を手で混合する。最終混合物には目に見える凝集があってはならない。
【実施例2】
【0039】
実施例2:抵抗測定値の変化
銀チタン酸バリウムストロンチウムの変換可能インクの熱安定性試験を行った。変換可能インクはレーザー焼結され、図3は、安定化層を伴う場合と伴わない場合の変換可能インクの抵抗の変化を示すグラフである。変換可能インクが安定化層(UV96)で保護されている場合、抵抗は有意には変化しなかった。しかし、安定化層を伴わない場合、測定された抵抗は有意に変化し、絶縁材料が完全に導体に変換されたことを示している。
【0040】
以下の定義及び略語を、特許請求の範囲及び明細書の解釈に使用するべきである。本明細書で用いる場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contains)」、または「含む(containing)」、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的包含に及ぶことが意図されている。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または器具は、必ずしもこれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていない他の要素、またはこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または器具に固有の他の要素を含むことができる。
【0041】
さらに、「典型的な」という用語は、本明細書では「例、インスタンス、または実例として機能する」ことを意味するために使用される。「典型的な」として本明細書に記載される任意の実施形態またはデザインは、必ずしも他の実施形態またはデザインよりも好ましいまたは優位であると解釈されるべきではない。「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という用語は、1以上の任意の整数、すなわち1、2、3、4、などを含むと理解される。「複数」という用語は、2以上の任意の整数、すなわち2、3、4、5などを含むと理解される。「接続」という用語は、間接的な「接続」及び直接的な「接続」を含むことができる。
【0042】
明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、説明した実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができることを示しているが、あらゆる実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含む場合もそうでない場合もある。また、このような語句は必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されていようといまいと、他の実施形態と関連してこのような特徴、構造、または特性に影響することは当業者の知識内であることが提示されている。
【0043】
以下の説明のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上」、「最下」という用語、及びそれらの派生語は、図面で方向付けられたとおり、説明した構造及び方法に関するものとする。「上に横たわる」、「の上に」、「上に」、「上に位置する」、または「の上に位置する」という用語は、第1の構造などの第1の要素が、第2の構造などの第2の要素上に存在することを意味し、界面構造などの介在要素が、第1の要素と第2の要素との間に存在することができる。「直接接触」という用語は、第1の構造などの第1の要素と、第2の構造などの第2の要素とが、2つの要素の界面において何らかの中間の伝導性層、絶縁層、または半導体層なしで接続されることを意味する。
【0044】
「約」、「実質的に」、「ほぼ」という用語、及びそれらの変形は、出願時に利用可能である機器に基づいた特定の数量の測定に関係付けられる誤差の程度を含むことが意図されている。例えば、「約」には、所定の値の±10%、9%、8%、7%、6%、または5%、4%、3%、2%、または1%の範囲を含めることができる。
【0045】
以下の特許請求の範囲におけるすべてのミーンズまたはステッププラスファンクション要素の対応する構造、材料、行為、及び均等物は、具体的に特許請求された他の特許請求される要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むことが意図されている。本開示の説明を、例示及び説明を目的として提示してきたが、網羅的であることも、詳述した形態で本開示に限定されることも意図されていない。多くの変更及び変形が、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかである。実施形態の選択及び説明は、本開示の原理及び実際の応用を最良に説明するために、及び他の当業者が、意図した特定の用途に好適な種々の変更とともに種々の実施形態を理解できるようにするために行った。
【0046】
好ましい実施形態について説明してきたが、当業者であれば、現在及び将来の両方において、以下の特許請求の範囲に含まれる種々の改善及び強化を行い得ることを理解されたい。これらの特許請求の範囲は、最初に説明した開示に対する適切な保護を維持するものと解釈すべきである。
図1A-1C】
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】