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▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】発泡性クレンジング粉末組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20241022BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241022BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20241022BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20241022BHJP
   C11D 1/28 20060101ALI20241022BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20241022BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20241022BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20241022BHJP
   C11D 1/18 20060101ALI20241022BHJP
   C11D 1/52 20060101ALI20241022BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20241022BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20241022BHJP
   C11D 3/382 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/46
A61K8/73
A61Q19/10
A61K8/365
A61K8/19
A61Q5/02
C11D1/28
C11D17/06
C11D3/20
C11D1/90
C11D1/18
C11D1/52
C11D3/04
C11D3/10
C11D3/382
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522031
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2022074093
(87)【国際公開番号】W WO2023061656
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】21202863.3
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベクト,ハシバ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーティット,ジェナ・クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】ケムラー,ケイラ・マリー
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB382
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD132
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD351
4C083AD352
4C083BB42
4C083BB43
4C083CC23
4C083DD17
4C083EE07
4H003AB09
4H003AB21
4H003AB23
4H003BA09
4H003EA16
4H003EB08
4H003EB41
4H003EB42
4H003EB46
4H003FA16
4H003FA20
4H003FA26
(57)【要約】
本発明は、発泡系と、固体界面活性剤系と、多糖ビルダー及びカルボン酸の塩を含む安定化系と、場合により粘度ビルダーとを含む発泡性クレンジング粉末組成物に関する。クレンジング粉末組成物は、使用中に刺激性が弱く、消費者にとって望ましい泡立ち特性をもたらし、高湿度及び/又は温度条件下で自由流動性のままである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)イセチオネート、タウレート、又はこれらの混合物を含む固体界面活性剤系と;
b)2~12、好ましくは2~8、最も好ましくは2~6の酸解離定数(pK)及び0未満、好ましくは-2~-0.05、最も好ましくは-1.5~-0.01のlogP値を有する乾燥酸性材料ならびに乾燥アルカリ性材料を含む発泡系と;
c)多糖ビルダー及びカルボン酸の塩を含む安定化系と;
d)場合により、粘度ビルダーと
を含むクレンジング粉末組成物であって;
無水であり、
前記カルボン酸の塩が、前記カルボン酸の塩の1~20重量%、好ましくは1.5~15重量%、より好ましくは2~10重量%の量のクエン酸三カルシウム、クエン酸三マグネシウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、及びこれらの混合物を含む、クエン酸アルカリ、アルカリシトレート、又はこれらの混合物である、クレンジング粉末組成物。
【請求項2】
前記固体界面活性剤系が、クレンジング粉末組成物の5~40重量%、好ましくは10~35重量%、より好ましくは12~30重量%の量のイセチオネート、タウレート、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項3】
前記固体界面活性剤系が、ココイルイセチオン酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグリシン酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、又はこれらの混合物を含む、請求項1又は2に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項4】
前記酸性材料が、クレンジング粉末組成物の5~35重量%、好ましくは7~32重量%、より好ましくは10~30重量%、なおより好ましくは12~28重量%のクエン酸を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項5】
前記アルカリ性材料が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、又はこれらの混合物を含み、クレンジング粉末組成物の5~35重量%、好ましくは7~32重量%、より好ましくは10~30重量%、なおより好ましくは12~28重量%のアルカリ性材料の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項6】
前記乾燥酸性材料対乾燥アルカリ性材料が、30:70~70:30、好ましくは40:60~60:40、より好ましくは45:55~55:45のクレンジング粉末組成物中の重量比を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項7】
前記多糖ビルダーが、クレンジング粉末組成物の8~60重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは12~40重量%の多糖ビルダーの量の微結晶セルロース、マルトデキストリン、トウモロコシ(Zea mays)(トウモロコシ)デンプン、タピオカデンプン又はこれらの混合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項8】
前記粘度ビルダーが、クレンジング粉末組成物の0~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.3~5重量%の粘度ビルダーの量のキサンタンガム、スクレロチウムガム、カエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia Spinosa)ガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、カルボキシメチルデンプンナトリウム、又はこれらの混合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項9】
手、顔、身体、毛髪、爪、又は無生物洗浄組成物の前駆体である、請求項1から8のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項10】
高湿度及び高温(40℃で75%の相対湿度)の条件下で少なくとも7日間安定であり、凝集しない、請求項1から9のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項11】
小オリフィスを通して容易に分配可能な自由流動性粉末の形態である、請求項1から10のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項12】
水で水和すると瞬時に発泡(自己発泡)し、最小20mLのピーク泡体積を生成し、さらに、水が、洗浄組成物を作製するために使用されるクレンジング粉末組成物の重量の1~10倍、好ましくは3~7倍、最も好ましくは4~6倍の重量で存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物。
【請求項13】
洗浄組成物を製造する方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載のクレンジング粉末組成物を水で水和するステップを含む方法。
【請求項14】
洗浄方法であって、
a)請求項1から13に記載のクレンジング粉末組成物を水和させて洗浄組成物を生成するステップと;
b)皮膚、毛髪、爪又は無生物を前記洗浄組成物と接触させるステップと
を含み、
前記クレンジング粉末組成物が、前記皮膚、毛髪、爪、又は無生物との接触の前又は後に、せん断により水和されて前記洗浄組成物を生成する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性クレンジング粉末組成物に関する。より詳細には、クレンジング粉末組成物は、発泡系と、固体界面活性剤系と、多糖ビルダー及びカルボン酸塩を含む安定化系と、場合により粘度ビルダーとを含む。クレンジング粉末組成物は、使用中に刺激性が弱く、消費者にとって望ましい泡立ち特性をもたらす。このようなクレンジング粉末組成物は、予想外に、高湿度及び/又は高温条件下で自由流動性のままであり、包装から排出するのに便利であり、使用中に優れた自己発泡を提供する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、ボディウォッシュ及び硬質表面洗浄剤などの液体ベースのクレンジング組成物は一般的であり、多くの消費者に好まれている。これらの従来の組成物は、典型的には主な成分として水を有し、プラスチックボトル、プラスチックポンプ容器及びチューブで販売されることが多い。組成物は従来、消費者使用に慣習的であり、それらが販売されている包装からの排出が容易である粘度を有するように配合されている。
【0003】
世界の海洋がすぐに魚よりもプラスチックが多くなることがしばしば公表されている。環境への懸念ならびに消費者及び意識の高い企業が地球のためにより多くのことを行いたいという要望を考えると、消費者製品を含む製品を販売する際に使用するプラスチックを少なくしたいという強い要望がある。これを考慮して、濃縮形態の製品を販売し、したがってより少ない水を含む製品を出荷するための努力がなされてきた。濃縮物の難しさは、多くが耐湿性及び/又は耐熱性ではなく、したがって望ましくない凝集をもたらすので、消費者が濃縮物を分配することが困難であると感じることが多いことである。これは、濃縮物が住宅用バスルームなどの蒸気の立ちこめた環境で使用されることを意図している場合に特に重要である。他の不満には、最終用途製品が非常に薄い粘度である(すなわち、水和時に増粘せず、したがって望ましくない粘度を有する)、均質でない、又は不十分な泡を生成する、又は望ましい泡を得るためにさらなる作業を行う必要があることが含まれる。
【0004】
濃縮物に由来する水和生成物に関して、一般的な苦情には、生成物が水を添加した後に均質でないこと及び/又は望ましくない粘度であることが含まれる。さらに、濃縮物は、典型的には、最終用途消費者製品の単回使用量(又は投与量)を調製するために使用されない。
【0005】
運搬及び水和が容易であり、限られたせん断及び水で消費者にとって望ましい泡立ちをもたらすクレンジング粉末組成物を開発することがますます関心を集めている。最終用途消費者洗浄製品の単回使用用途を調製するために容易に使用することができるクレンジング粉末組成物を有することも関心が高まっている。したがって、本発明は、イセチオネートを含む固体界面活性剤系と;乾燥酸性材料及び乾燥アルカリ性材料を含む発泡系と;多糖ビルダー及びカルボン酸の塩を含む安定化系と;場合により粘度ビルダーとを含む発泡性クレンジング粉末組成物に関する。クレンジング粉末組成物は、使用中に刺激性が弱く、自己発泡性である。このようなクレンジング粉末組成物は、予想外にも、凝集せず、包装から排出するのに便利であり、単回使用用途のために水和するのが容易である。
【0006】
追加の情報
発泡性を示す粉末状組成物を作製するための努力が開示されている。
【0007】
米国特許第6,506,713号明細書は、少なくとも1つの透水性壁を有するサシェ内に含有される酸性材料及びアルカリ性材料を含む発泡性クレンザー組成物を含む化粧用クレンジング物品を開示している。
【0008】
米国特許第6,063,390号明細書、同第6,217,854号明細書、同第6,610,312号明細書、同第6,723,330号明細書、同第6,878,380号明細書は、水と接触すると泡を生成することができる発泡性クレンジング組成物と、組成物を収容するためのパウチとを含む、身体表面をクレンジングするための物品を報告している。クレンジング組成物は、アルカリ性材料及び酸を含む。
【0009】
米国特許第7,507,396号明細書及び同第7,919,126号明細書は、粘性成分及び自由流動性顆粒を含む発泡性組成物及び発泡性組成物を作製する方法を開示している。
【0010】
米国特許出願公開第2014/0020701号明細書は、a)アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は重炭酸塩の塩基化合物と;b)酸化合物と;c)無水担体とを含む無水局所組成物に関し、このような組成物は、水にさらされると発泡する。
【0011】
PCT出願国際公開第2020/113484号は、少なくとも1種の固体アニオン性界面活性剤と、ガスを発生させる発泡系と、崩壊系とを含有する錠剤又は粉末の形態の固体化粧用組成物に関する。
【0012】
いくつかの市販の粉末クレンジング組成物、例えば、Biore(登録商標)Baking Soda Cleansing Scrub、DHC Face Wash Powder、Susteau Moondust Hair Wash、及びOLAY(登録商標)Exfoliating Face&Body Powder in Pitaya&Cranberryが市場に存在する。
【0013】
追加情報のいずれも、本出願に記載及び特許請求されているクレンジング粉末用途を記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,506,713号明細書
【特許文献2】米国特許第6,063,390号明細書
【特許文献3】米国特許第6,217,854号明細書
【特許文献4】米国特許第6,610,312号明細書
【特許文献5】米国特許第6,723,330号明細書
【特許文献6】米国特許第6,878,380号明細書
【特許文献7】米国特許第7,507,396号明細書
【特許文献8】米国特許第7,919,126号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2014/0020701号明細書
【特許文献10】国際公開第2020/113484号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様では、
a)イセチオネート、タウレート、又はこれらの混合物を含む固体界面活性剤系と;
b)2~12、好ましくは2~8、最も好ましくは2~6の酸解離定数(pK)及び0未満、好ましくは-2~0.01、最も好ましくは-1.5~-0.05のlogP値を有する乾燥酸性材料ならびに乾燥アルカリ性材料を含む発泡系と;
c)多糖ビルダー及びカルボン酸の塩を含む安定化系と;
d)場合により、粘度ビルダーと
を含むクレンジング粉末組成物が本明細書に開示される。
【0016】
第2の態様では、第1の態様のクレンジング粉末組成物をせん断により水和させて最終用途洗浄組成物を生成し、皮膚、毛髪、爪又は無生物を最終用途洗浄組成物と接触させることによって、第1の態様のクレンジング粉末組成物を用いて洗浄する方法が開示される。
【0017】
第3の態様では、皮膚、毛髪、爪、又は無生物を洗浄するための、
a)イセチオネート、タウレート、又はこれらの混合物を含む固体界面活性剤系と;
b)2~12、好ましくは2~8、最も好ましくは2~6の酸解離定数(pK)及び0未満、好ましくは-2~0、最も好ましくは-1.5~-0.01のlogP値を有する乾燥酸性材料ならびに乾燥アルカリ性材料を含む発泡系と;
c)多糖ビルダー及びカルボン酸の塩を含む安定化系と;
d)場合により、粘度ビルダーと
を含む組成物の使用が本明細書に開示される。
【0018】
本明細書で使用されるクレンジング粉末組成物は、水和可能であり、皮膚、毛髪、爪又は無生物を洗浄するのに適した組成物を意味する。イセチオネートを含む固体界面活性剤系は、クレンジング組成物粉末中の界面活性剤の全供給源が、イセチオネートもしくはタウレートのみ、又は当技術分野で一般的に使用される他の望ましい界面活性剤と組み合わせたイセチオネート及び/もしくはタウレートを含み得ることを意味する。本発明のある実施形態では、イセチオネートが、界面活性剤系中の界面活性剤の50~90重量%を構成する。本発明の別の実施形態では、イセチオネートが、系中の全界面活性剤の100重量%を構成する。さらに別の態様では、タウレートが、系中の界面活性剤の50~90重量%を構成する。なお別の態様では、タウレートが、系中の全界面活性剤の100重量%を構成する。多糖ビルダーは、水と接触及び/又は水で希釈しても膨潤しない炭水化物又はデンプン質材料を指す。本明細書で使用される場合、粘度ビルダーは、水と接触及び/又は水で希釈すると瞬時に膨潤し、それによって最終用途洗浄組成物の粘度を構築(すなわち、これに寄与)する、及び/又は室温(すなわち、25℃)で滑らかな感覚的利益を構築する粘度調整剤又は構造化物(structurant)である。「酸」又は「酸性材料」という用語は、1%濃度で脱イオン水に溶解した場合に7未満、好ましくは6.5未満、より好ましくは5未満のpHを有する任意の物質を指すことを意図しており、「塩基」又は「アルカリ性材料」という用語は、水及び酸と接触した場合に二酸化炭素、窒素、又は酸素などのガスを生成する(すなわち、発泡する)ことができる任意の物質を指すことを意図している。本明細書で使用される場合、「乾燥」、「固体」又は「無水」という用語は互換的に使用されるべきであり、水を本質的に含まないこと(すなわち、指定される成分の0~5重量%の水、好ましくは0.01~3重量%、最適には0.05~1重量%の水の存在)を意味する。水和水は、無水の定義の目的のための水であるとは考えられないが、水和水を最小限にすること、好ましくは排除することが好ましい。本明細書で使用される「logP」は、従来の親油性尺度を指し、具体的には、所望の化合物の分配係数の対数値を意味する。より低いlogPは、化合物が水相に対してより高い親和性を有する(すなわち、より親水性である)ことを意味し、より高いlogPは、化合物が油相に対してより高い親和性を有する(すなわち、より親油性である)ことを意味する。0のlogPは、化合物が水相と油相に等しく分配されることを意味する。本明細書で使用される「発泡性」は、液体中での化学反応からの瞬間的な気泡形成(すなわち、発泡又は泡立ち)を指し、この用語は、本明細書では「自己発泡性」と互換的に使用される。泡体積は、クレンジング粉末組成物が水で水和されると生成される泡の体積を指す。拡張すると、本明細書で使用されるピーク泡体積は、反応の経過中に上述の発泡性反応の結果として生成される泡の最大体積を表すことを意味する。
【0019】
本明細書で使用される皮膚には、足、顔、首、胸、腕(脇の下を含む)、手、脚、臀部、背中及び頭皮の皮膚が含まれる。無生物は、カウンター、ガラス、器具ドア、車両、及び食器、マグ、シンク、タブ又はトイレなどの磁器設備のような硬質表面を含むことを意味する。無生物はまた、ナイロン、綿及び/又はポリエステル(例えば、衣類、カーテン、シャツ、ラグ、運動靴、室内装飾品)、ならびに典型的には消費前に洗浄される果実及び野菜を含む材料を含むことを意味する。水和(すなわち、水と合わせること)後のクレンジング粉末組成物は、本明細書では、「水和生成物」と交換可能な最終用途(洗浄)組成物と呼ばれる。したがって、クレンジング粉末組成物自体は、最終用途組成物の前駆体である。最終用途洗浄組成物は、毛髪洗浄用のシャンプー、ボディウォッシュ、自動車洗浄製品、ならびに硬質表面及び窓クリーナー、便器クリーナー及び洗濯洗剤のようなホームケア洗浄組成物を含む。一実施形態では、本発明の最終用途洗浄組成物が、手、身体、顔、頭皮及び/又は爪洗浄組成物である。別の実施形態では、最終用途洗浄組成物がシャンプー(すなわち、毛髪洗浄)組成物である。なお別の実施形態では、最終用途洗浄組成物がホームケア組成物である。本明細書で使用される粉末流動性は、シェーカーから振り出すのが容易であり、粉末集塊及び静的粘着が視覚的に観察されないことを意味する。同様に、本明細書で使用される場合、「自由流動性」という用語は、連続的な安定した流れで移動する粉末を表すことを意味する。
【0020】
明示的に別段の記載がない場合、本明細書に記載される全ての範囲は、その中に包含される全ての範囲を含むことを意味する。含む(comprises)という用語は、から本質的になる(consisting essentially of)及びからなる(consisting of)という用語を包含することを意味する。誤解を避けるために、固体界面活性剤系と、乾燥酸性材料と、乾燥アルカリ性材料と、多糖ビルダーと、カルボン酸の塩と、場合により粘度ビルダーとを含む組成物は、それらから本質的になる組成物及びそれらからなる組成物を含むことを意味する。本明細書で使用されるパーセンテージに関しては、特に明記しない限り、パーセンテージは成分の重量(例えば、供給され得る水を含まない)によるものであることを意味する。実施例及び比較例を除いて、又は明示的に指示しない限り、材料及び/又はその使用の量又は比を示す本明細書で使用される全ての数字は、「約」という単語により修飾されるものと理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に開示されるクレンジング粉末組成物は、乾燥酸性材料及び乾燥アルカリ性材料を有する発泡系を含む。酸性材料に関して、この目的のために望ましいのは、乾燥固体形態で存在する任意の酸である。2~12、好ましくは2~8、最も好ましくは2~6の酸解離定数(pK)、及び0未満、好ましくは-2~-0.05、最も好ましくは-1.75~-0.01のlogP値を有する任意の酸も望ましい。好ましくは、このような酸は、C~C20有機モノ-及びポリ-カルボン酸、より好ましくはα-及びβ-ヒドロキシカルボン酸である。例示的であるが非限定的な例としては、フィチン酸などのC~C20有機リン酸;過酸化水素などの過酸化物;グルタル酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、及びクエン酸などのヒドロキシカルボン酸、ならびにグルコノラクトン及びグルカロラクトンなどの酸形成ラクトース;ならびにこれらの混合物が挙げられる。望ましいpK及びlogP値を有するこのような酸性材料の例示的な例としては、クエン酸(pK=2.9、4.3、5.2;logP=-1.6)、乳酸(pK=3.8;logP=-0.7)、酢酸(pK=4.8;logP=-0.3)、グルカノラクトン(pK=11.6;logP=-2.2)及び過酸化水素(pK=11.6;logP=-0.4)が挙げられる。乾燥酸性材料がクエン酸を含むことが特に好ましい。酸性材料としては、カプセル化及び/又はコーティング酸も望ましく、その例としては、クエン酸一ナトリウムシェルによってコーティングされたクエン酸であり、供給業者Jungbunzlauerから市販されているCITROCOAT(登録商標)Nが挙げられる。酸性材料は、クレンジング粉末組成物の5~35重量%、好ましくは7~32重量%、最適には10~30重量%の量で存在する。別の好ましい態様では、クレンジング粉末組成物が、クレンジング粉末組成物の12~28重量%の酸性材料を含む。
【0022】
本発明のクレンジング粉末組成物での使用に望ましいアルカリ性材料は、無水の炭酸塩及び重炭酸塩の金属塩、アルカリ性過酸化物(例えば、過ホウ酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウム)及びアジド(例えば、アジ化ナトリウム)である。アルカリ性材料が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、又はこれらの混合物を含むことが好ましい。アルカリ性材料は、クレンジング粉末組成物の5~35重量%、好ましくは7~32重量%、最適には10~30重量%の量で存在する。別の態様では、クレンジング粉末組成物が、クレンジング粉末組成物の12~28重量%のアルカリ性材料を含む。
【0023】
開示されるクレンジング粉末組成物のある態様では、クレンジング粉末組成物中の乾燥酸性材料対乾燥アルカリ性材料の重量比が、30:70~70:30、好ましくは40:60~60:40、より好ましくは45:55~55:45である。
【0024】
クレンジング粉末組成物の固体界面活性剤系に使用されるイセチオネートに関して、これは消費者製品での使用に適したものであり、固体形態での使用に利用可能である限りにおいてのみ限定される。クレンジング粉末組成物は、C~C18アシルイセチオネートを含有し得る。これらのエステルは、アルカリ金属イセチオネートと6~18個の炭素原子及び20未満のヨウ素価を有する混合脂肪族脂肪酸との間の反応によって調製される。混合脂肪酸の少なくとも75%が12~18個の炭素原子を有し、最大25%が6~10個の炭素原子を有する。イセチオネートは、クレンジング粉末組成物の5~40重量%、好ましくは10~35重量%、より好ましくは12~30重量%の量で存在し得る。別の態様では、イセチオネートが、クレンジング粉末組成物の15~30重量%の量で含まれ得る。イセチオネートは、全界面活性剤系中の界面活性剤の50~90重量%を構成し得る。本発明のさらに別の実施形態では、イセチオネートが、系中の全界面活性剤の100重量%を構成する。
【0025】
アシルイセチオネートは、参照により本明細書に組み込まれる、1995年2月28日に発行された「ポリアルコキシル化イセチオン酸の脂肪酸エステル」と題されたIlardiらの米国特許第5,393,466号明細書に記載されているようなアルコキシル化イセチオネートであり得る。この化合物は、一般式:
C-(O)O-C(X)H-C(Y)H-(OCH-CH-SO
(式中、Rは8~18個の炭素を有するアルキル基であり、mは1~4の整数であり、X及びYはそれぞれ独立して、水素又は1~4個の炭素を有するアルキル基であり、Mは、水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、又は置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである)
を有する。本明細書において開示されるクレンジング粉末組成物に使用され得るイセチオネート界面活性剤の例示的な例としては、例えば、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム及びココイルイセチオン酸ナトリウムが挙げられる。上述のイセチオネートを有する固体界面活性剤系は、イセチオネートのみ又は当技術分野で一般的に使用される他の望ましい界面活性剤と組み合わせたイセチオネートを含み得る。
【0026】
クレンジング粉末組成物の界面活性剤系に使用されるタウレートに関して、これは消費者製品での使用に適したものである限りにおいてのみ限定される。本発明のクレンジング粉末組成物に使用され得るタウレート界面活性剤の例示的な例としては、例えば、タウリンもしくはN-メチルタウリンのアシルアミド、及びその塩であるものが挙げられる。例えば、使用に適したタウレートは、一般式:
C(O)N(R)(CHSOM(I)、及び
C(O)N(R)CHCHSOM(II)
(式中、RはC~C30、より詳細にはC~C24アルキルであり、yは2又は3であり、Rは水素又はメチルであり、Mは水素、又は例えば水素、アンモニウム、アルカリ金属カチオン、低級C~C、アルカノールアンモニウムカチオン及び/もしくは塩基性アミノ酸カチオンなどの可溶化カチオンである)
によって表されるアシルタウレートである。一実施形態では、RがC~C18アルキルである。別の実施形態では、R基の少なくとも半分がC~C18アルキルである。なお別の実施形態では、R基の少なくとも半分がC10~C14アルキルである。Rは飽和であっても不飽和であってもよい。さらに別の実施形態では、Rがメチルである。
【0027】
本発明のクレンジング粉末組成物の界面活性剤系に使用され得る例示的なアシルタウレートには、例えば、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ミリストイルメチルタウリン酸ナトリウム、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム、オレオイルメチルタウリン酸ナトリウム、ココイルタウリン酸ナトリウム、これらの混合物などとして一般に知られているタウレートが含まれる。ある実施形態では、使用されるタウレートがラウロイルメチルタウリン酸ナトリウムである。タウレートは、クレンジング粉末組成物の5~40重量%、好ましくは10~35重量%、より好ましくは12~30重量%の量で存在し得る。別の態様では、タウレートが、クレンジング粉末組成物の15~30重量%の量で含まれ得る。タウレートは、全界面活性剤系中の界面活性剤の50~90重量%を構成し得る。別の態様では、タウレートが、系中の全界面活性剤の100重量%を構成する。
【0028】
他のアニオン性界面活性剤は、それらが固体形態で利用可能である限り、イセチオネートに加えて開示されるクレンジング粉末組成物に使用され得る。これらの追加のアニオン性界面活性剤には、アルキルスルホスクシネート(モノ及びジアルキル、例えば、C~C22スルホスクシネートを含む);アルキル及びアシルサルコシネート、スルホアセテート、C~C22アルキルホスフェート及びホスホネート、アルキルホスフェートエステル及びアルコキシルアルキルホスフェートエステル、アシルラクテート、C~C22モノアルキルスクシネート及びマレエート、スルホアセテート、アルキルグルコシド及びアシルイセチオネート、アシルグルタメート、グリシネートなどが含まれ得る。
【0029】
スルホスクシネートは、式:
OC(O)CHCH(SOM)CO
を有するモノアルキルスクシネート;
及び式:
CONHCHCHOC(O)CHCH(SOM)CO
のアミド-MEAスルホスクシネート
(式中、RはC~C22アルキルの範囲である)
であり得る。
【0030】
サルコシネートは、一般に、式:
CON(CH)CHCO
(式中、RはC~C20アルキルの範囲である)
によって示される。
【0031】
グリシネートは、一般に、式:
CONRCHCO
(式中、RはC~C24アルキルであり、Rは水素又はCHである)
を有する。
【0032】
アシルグルタメートは、一般に、式:
CONH(CHCOH)CHCHCOM又は
CONH(CHCOM)CHCHCO
(式中、RはC~C20アルキル又はアルケニルであり、
Mは前記のような可溶化カチオンである)
を有する。
【0033】
クレンジング粉末組成物のある態様では、使用される追加のアニオン性界面活性剤が、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ラウリル硫酸アンモニウム、ペルフルオロノナン酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、スルホコハク酸エステルナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ココイルグリシン酸ナトリウム、ココイルグリシン酸カリウム、又はこれらの組み合わせである。このようなアニオン性界面活性剤は、Galaxy Surfactants、Clariant、Sino Lion、Stepan Company及びInnospecのような供給業者から市販されている。好ましくは、使用される追加のアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムのようなアルキル硫酸ナトリウム、アシルグルタメート、グリシネート、又はこれらの混合物である。
【0034】
固体形態で利用可能である限り、両性界面活性剤が本明細書に開示されるクレンジング粉末組成物に含まれていてもよい。両性界面活性剤(pHに応じて双性イオン性であり得る)には、ナトリウムアシルアンホアセテート、ナトリウムアシルアンホプロピオネート、ジナトリウムアシルアンホジアセテート及びジナトリウムアシルアンホジプロピオネートが含まれ、アシル(すなわち、アルカノイル基)はC~C18アルキル部分を含むことができる。両性界面活性剤の例示的な例としては、ナトリウムラウロアンホアセテート、ナトリウムココアンホアセテート、ナトリウムラウロアンホアセテート、又はこれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、クレンジング粉末組成物が、クレンジング粉末組成物の2重量%未満、好ましくは1重量%未満の両性界面活性剤を含む。別の態様では、クレンジング粉末組成物が、クレンジング粉末組成物の0.001~1重量%未満、好ましくは0.001~0.85重量%、より好ましくは0.001~0.75重量%、なおより好ましくは0.005~0.5重量%の両性界面活性剤を含む。さらに別の態様では、クレンジング粉末組成物が、クレンジング粉末組成物の0重量%の両性界面活性剤を含む。
【0035】
本クレンジング粉末組成物に使用される固体双性イオン性界面活性剤に関して、このような界面活性剤は少なくとも1つの酸基を含む。このような酸基はカルボン酸基又はスルホン酸基であり得る。これらはしばしば四級窒素を含むので、四級アミノ酸であり得る。これらは、一般に、7~18個の炭素原子のアルキル又はアルケニル基を含むべきであり、一般に、全体構造式:
-[-C(O)-NH(CH-]-N(R10)(R11)-A-B
(式中、Rは7~18個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり;R10及びR11はそれぞれ独立して、1~3個の炭素原子のアルキル、ヒドロキシアルキル又はカルボキシアルキルであり;qは2~4であり;rは0~1であり;Aは、ヒドロキシルで置換されていてもよい1~3個の炭素原子のアルキレンであり、Bは-CO-又は-SO-である)
に準拠すべきである。
【0036】
本明細書に開示されるクレンジング粉末組成物に使用するための、及び上記一般式内の望ましい双性イオン性界面活性剤には、式:
-N(R10)(R11)-CHCO
の単純なベタイン及び式:
-CONH(CH-N(R10)(R11)-CHCO
(式中、tは2又は3である)
のアミドベタインが含まれる。
【0037】
両式中、R、R10及びR11は前に定義される通りである。Rは、特に、R基の少なくとも半分、好ましくは少なくとも4分の3が10~14個の炭素原子を有するように、ヤシ油由来のC12及びC14アルキル基の混合物であり得る。R10及びR11は、好ましくはメチルである。
【0038】
さらなる可能性は、双性イオン性界面活性剤が、式:
-N(R10)(R11)-(CHSO もしくは
-CONH(CH-N(R10)(R11)-(CHSO
(式中、uは2又は3である)
のスルホベタイン、又は-(CHSO が-CHC(OH)(H)CHSO によって置き換えられているこれらの変形である。
【0039】
これらの式中、R、R10及びR11は前に定義される通りである。
【0040】
使用に望ましい双性イオン性界面活性剤の例示的な例としては、ラウリルベタイン、クエン酸ベタイン、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココアルキルジメチルベタイン、及びラウリルアミドプロピルベタインなどのベタインが挙げられる。使用に望ましい追加の双性イオン性界面活性剤には、ココアミドプロピルスルタイン、例えばコカミドプロピルヒドロキシスルタインが含まれる。好ましい双性イオン性界面活性剤には、ラウリルベタイン、クエン酸ベタイン、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、(カルボキシメチル)ジメチル-3-[(1-オキソドデシル)アミノ]プロピルアンモニウムヒドロキシド、ココアルキルジメチルベタイン、(カルボキシメチル)ジメチルオレイルアンモニウムヒドロキシド、ココアミドプロピルベタイン、(カルボキシメチル)ジメチルオレイルアンモニウムヒドロキシド、ココアミドプロピルベタイン、(カルボキシラトメチル)ジメチル(オクタデシル)アンモニウム、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、又はこれらの組み合わせが含まれる。このような界面活性剤は、Stepan Company、Solvay、Evonikなどのような供給業者から市販されており、上述の界面活性剤の混合物を使用することは、本明細書に開示されるクレンジング粉末組成物の範囲内である。
【0041】
クレンジング粉末組成物に非イオン性界面活性剤を使用してもよい。使用される場合、非イオン界面活性剤は、典型的には、0.01、0.1、1又は2重量%という低いレベル及び6、8、10又は12重量%という高いレベルで使用される。使用され得る非イオン性界面活性剤には、特に、疎水性基及び反応性水素原子を有する化合物、例えば脂肪族アルコール、酸、アミド又はアルキルフェノールとアルキレンオキシド、とりわけ単独又はプロピレンオキシドと合わせたエチレンオキシドの反応生成物が含まれる。特定の非イオン性界面活性剤化合物は、アルキル(C~C22)フェノール-エチレンオキシド縮合物、脂肪族(C~C18)一級もしくは二級直鎖又は分岐アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物、及びエチレンオキシドと、プロピレンオキシドとエチレンジアミンの反応生成物の縮合によって調製される生成物である。他の非イオン性界面活性剤には、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、ジアルキルスルホキシドなどが含まれる。
【0042】
ある態様では、非イオン性界面活性剤が、以下の構造a)HOCH(CH(CHCHO)H又はb)HOOC(CH(CHCHO)H;(式中、s及びvはそれぞれ独立して、最大18の整数であり;c及びdはそれぞれ独立して、1又はそれより大きい整数である)を有する脂肪酸/アルコールエトキシレートを含むことができる。ある態様では、s及びvがそれぞれ独立して、6~18であり得;c及びdがそれぞれ独立して、1~30であり得る。非イオン性界面活性剤の他の選択肢には、式HOOC(CH-CH=CH-(CH(CHCHO)H(式中、i、kはそれぞれ独立して、5~15であり;zは5~50である)を有するものが含まれる。別の態様では、i及びkがそれぞれ独立して、6~12であり;zが15~35である。
【0043】
非イオン性界面活性剤はまた、多糖アミドなどの糖アミドを含み得る。具体的には、界面活性剤は、参照により本明細書に組み込まれる、1995年2月14日に発行された「非イオン性糖脂質界面活性剤を含む組成物」と題されたAuらの米国特許第5,389,279号明細書に記載されるラクトビオンアミドの1つであり得るか、又は参照により本出願に組み込まれる、1991年4月23日に発行された「液体水性界面活性剤系のための増粘剤としてのN-ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドの使用」と題されたKelkenbergの米国特許第5,009,814号明細書に記載される糖アミドの1つであり得る。
【0044】
本明細書に開示されるクレンジング粉末組成物に使用してもよい非イオン性界面活性剤の例示的な例としては、それだけに限らないが、ポリグリコシド、セチルアルコール、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、n-オクチルβ-d-チオグルコピラノシド、オクチルグルコシド、オレイルアルコール、ポリソルベート、ソルビタン、ステアリルアルコール、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
ある態様では、本出願のクレンジング粉末組成物にカチオン性界面活性剤を使用してもよい。
【0046】
カチオン性界面活性剤の1つのクラスには、セチル又はステアリルピリジニウムクロリド、アルキルアミドエチルピリリノジウムメチルサルフェート、及びラピリウムクロリドなどの複素環式アンモニウム塩が含まれる。
【0047】
テトラアルキルアンモニウム塩は、使用するための別の有用なクラスのカチオン性界面活性剤である。例としては、セチル又はステアリルトリメチルアンモニウムクロリド又はブロミド;水素化パーム又は獣脂トリメチルアンモニウムハライド;ベヘニルトリメチルアンモニウムハライド又はメチルサルフェート;デシルイソノニルジメチルアンモニウムハライド;ジ獣脂(又はジステアリル)ジメチルアンモニウムハライド、及びベヘニルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0048】
使用され得るなお他のタイプのカチオン性界面活性剤は、様々なエトキシル化四級アミン及びエステルクアットである。例としては、PEG-5ステアリルアンモニウムラクテート(例えば、Clariant社製のGenamin KSL)、PEG-2ココアンモニウムクロリド、PEG-15水素化獣脂アンモニウムクロリド、PEG 15ステアリルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルヒドロキシエチルメチルサルフェート、及びステアリルアミドプロピルジメチルアミンラクテートが挙げられる。
【0049】
なお他の有用なカチオン性界面活性剤には、絹、小麦、及びケラチンタンパク質の四級化加水分解物が含まれ、上述のカチオン性界面活性剤の混合物を使用することはクレンジング粉末組成物の範囲内である。
【0050】
使用される場合、カチオン性界面活性剤は、クレンジング粉末組成物の5重量%以下を構成する。存在する場合、カチオン性界面活性剤は、典型的には、クレンジング粉末組成物の0.01~2重量%、より典型的には0.1~1重量%(その中に包含される全ての範囲を含む)を構成する。
【0051】
本クレンジング粉末組成物に使用するためのイセチオネート及びタウレートに加えて、特に好ましい界面活性剤には、ココアミドプロピルベタイン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグリシン酸ナトリウム、ココイルグリシン酸カリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
本発明のクレンジング粉末組成物に使用される固体界面活性剤系は、典型的には、クレンジング粉末組成物の合計5~40重量%、好ましくは10~35重量%、より好ましくは12~30重量%を構成する。一態様では、界面活性剤系が、クレンジング粉末組成物の15~30重量%の量で含まれ得る。別の態様では、界面活性剤系が、クレンジング粉末組成物の22~28重量%を構成する。
【0053】
開示されるクレンジング粉末組成物はまた、多糖ビルダー及びカルボン酸の塩を含む安定化系を含む。このような安定化系は、高湿度及び/又は高温を特徴とする条件における向上した安定性に予想外に寄与すると決定されている。高湿度の代表的な条件は、25℃で80%相対湿度(RH)であり、高湿度及び高温の代表的な条件は、40℃で75% RHである。理論によって拘束されることを望むものではないが、このような系は、クレンジング粉末組成物中の粉末状材料を高湿度及び/又は高温条件下で固化及び沈降から保護するのに役立つと考えられる。
【0054】
本明細書に開示される安定化系は、カルボン酸の塩を含む。一態様では、カルボン酸がクエン酸である。クエン酸の塩が、クエン酸アルカリ(alkali citrate)、アルカリシトレート(alkaline citrate)、又はこれらの混合物であることが好ましい。例示的であるが非限定的な例としては、クエン酸三カルシウム、クエン酸三マグネシウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。クエン酸三カルシウム、クエン酸三マグネシウム、及びクエン酸三ナトリウムは全て、Jungbunzlauerなどの供給業者から市販されている。クエン酸一ナトリウムは、供給業者Sigma-Aldrichから入手可能であり得る。クレンジング粉末組成物は、1~20重量%、好ましくは1.5~15重量%、より好ましくは2~10重量%のカルボン酸塩を含む。特に好ましくは、クレンジング粉末組成物は、2.5~8重量%のカルボン酸塩を含む。カルボン酸塩の代わりに、タルク、シリカ及びその誘導体、又はこれらの混合物が、開示される安定化系において同様に機能することも見出されており、このような化合物もまた、カルボン酸の塩と併せて使用され得る。
【0055】
使用される多糖ビルダーは、局所組成物における使用に適したものである限りにおいてのみ限定される。これらには、繊維、デンプン、及び非修飾セルロース(例えば、セルロースミクロフィブリル、セルロースナノ結晶又は微結晶セルロース)が含まれる。デンプンの代表例は、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウム及びアルミニウムデンプンオクテニルスクシネートなどの化学修飾デンプン、ならびにコーンスターチ、米デンプン、タピオカデンプン及びマルトデキストリンなどの非修飾デンプンである。多糖ビルダーが、コーンスターチ、タピオカデンプン、マルトデキストリン、微結晶セルロース、又はこれらの混合物を含むことが好ましい。クレンジング粉末組成物に使用される多糖ビルダーに関して、クレンジング粉末組成物中の8~60重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは12~40重量%の多糖ビルダー。特に好ましい態様では、13~35重量%の多糖ビルダーがクレンジング粉末組成物に使用される。
【0056】
本出願のある態様では、使用される多糖ビルダーが、米デンプン及び/又は例えばIngredionによってFarmal(商標)CS 3757の商品名で販売されている製品のような、INCI:トウモロコシ(Zea mays)(トウモロコシ)デンプンと呼ばれるコーンスターチである。本出願の別の態様では、使用される多糖ビルダーが、Nativacare(商標)の名称で同様にIngredionから市販されている、INCI:イネ(Oryza sativa)(米)デンプンと呼ばれる未非修飾米デンプンである。本出願のなお別の態様では、使用される多糖ビルダーが、IngredionによってFarmal(商標)MD 15として入手可能なマルトデキストリンである。さらに別の態様では、使用される多糖ビルダーが、Acticel(登録商標)12という名称でActive Organicsから入手可能な微結晶セルロース(CAS 9004-34-6)である。
【0057】
セルロースミクロフィブリルの望ましい供給源には、二次細胞壁材料(例えば、木材パルプ、綿)、細菌セルロース、及び一次細胞壁材料が含まれる。好ましくは、一次細胞壁材料の供給源が、果実、根、球根、塊茎、種子、葉及びこれらの組み合わせ由来の実質組織から選択され;より好ましくは、柑橘類果実、トマト果実、モモ果実、カボチャ果実、キウィフルーツ、リンゴ果実、マンゴー果実、サトウダイコン、ビート根、カブ、パースニップ、トウモロコシ、エンバク、コムギ、エンドウ及びこれらの組み合わせから選択され;さらにより好ましくは、柑橘類果実、トマト果実及びこれらの組み合わせから選択される。一次細胞壁材料の最も好ましい供給源は、柑橘類果実由来の実質組織である。Herbacel(登録商標)によってAQ Plusとして入手可能なものなどの柑橘類繊維も、セルロースミクロフィブリルの供給源として使用することができる。セルロース供給源は、Colloidal Polymer Science,Kalia et al.,“Nanofibrillated cellulose:surface modification and potential applications”(2014),Vol 292,Pages 5-31に記載されるものを含む公知の方法のいずれかによって表面修飾することができる。
【0058】
多糖ビルダーに加えて、合成ポリマー(非多糖)をビルダーとして使用してもよい。このカテゴリーには、Carbomerなどの架橋ポリアクリレート、Sepimax Zenなどのポリアクリルアミド及びAristoflex AVCなどのタウレートコポリマーが含まれ、コポリマーはナトリウムアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレート及びアクリロイルジメチルタウレート/ビニルピロリドンコポリマーとしてそれぞれのINCI命名法によって特定される。
【0059】
多糖ビルダーは、一般に円形又は不規則な形状の粒子として存在することができる。このような粒子はまた、望ましくは親水性である。本発明のクレンジング粉末組成物のある態様では、粒子が、0.5~300ミクロン、好ましくは5~250ミクロン、最も好ましくは10~175ミクロンの平均粒径を有し得る。本明細書で使用される平均粒径は、水性分散液中の粒子の直径を指す体積平均粒径を意味する。球形でないポリマー粒子の場合、粒子の直径は、粒子の長軸と短軸の平均である。粒径は、当技術分野で認識されているふるいを備えたBeckman-Coulter LS 13 320レーザー回折粒径分析装置又は任意の他の当技術分野で認識されている装置で測定することができる。
【0060】
本発明者らはまた、驚くべきことに、粘度ビルダーの包含レベルを上昇させると、ピーク泡体積が有意に抑制され得ることが当業者によって従来知られているので、本明細書に開示されるクレンジング粉末組成物が予想よりも多い量の粘度ビルダーを含み得ることを見出した。本クレンジング粉末組成物に使用するための望ましい粘度ビルダーには、ガム及び化学修飾セルロース系が含まれる。望ましいガムには、キサンタン、スクレロチウム、ペクチン、カラヤ、アラビア、寒天、グアー(アラビアゴムノキ(Acacia senegal)グアーを含む)、カラギーナン、アルギネート、カエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)(すなわち、タラガム)、及びこれらの組み合わせが含まれる。望ましい化学修飾セルロース系には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(セルロースガム/カルボキシメチルセルロース)が含まれる。好ましい態様では、粘度ビルダーが、キサンタンガム、スクレロチウムガム、カエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)ガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、カルボキシメチルデンプンナトリウム、又はこれらの混合物である。含まれる場合、本発明の組成物は、クレンジング粉末組成物の0~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.3~5重量%の粘度ビルダーを含む。
【0061】
本発明のクレンジング粉末組成物を使用する場合、粉末及び水を、特定の順序ではなく、混合容器に入れ、中程度のせん断で振盪する、かき回す及び/又は撹拌することができる。得られた最終用途洗浄組成物は、所望のように(例えば、手、顔、身体、及び/又は毛髪に)使用することができる。作製される最終用途洗浄組成物の量は、消費者の好みによって決定される。単回使用の手、顔、身体又は毛髪洗浄には、典型的には0.25~12グラム、好ましくは0.3~10グラム、最も好ましくは0.5~8グラムのクレンジング粉末組成物が使用される。最終用途組成物を作製するためにクレンジング粉末組成物と共に使用される水の量も、消費者の好みによって決定される。多くの場合、最終用途洗浄組成物を生成するためにクレンジング粉末組成物と共に使用される水の量/重量は、使用されるクレンジング粉末組成物の量/重量の1~10倍、好ましくは3~7倍、最も好ましくは4~6倍である。
【0062】
ある実施形態では、クレンジング粉末組成物及び水が、特定の順序で、手に配置される。両手での混合及びせん断は、手洗い及び最終用途洗浄組成物生成を同時にもたらす。毛髪洗浄用の最終用途洗浄組成物も、手で生成することができる。本発明のある実施形態では、水及びクレンジング組成物を手に配置し、その後、洗顔又は毛髪及び頭皮の洗浄のために顔又は頭に供給することができ、そこで洗浄運動がせん断を提供して、場合によって洗顔料又はシャンプー組成物が作製される。なお別の実施形態では、クレンジング粉末組成物を、毛髪のような基材、乾燥した又は湿ったラグ又は室内装飾品に乾燥して施用し、引き続いて水(予備湿潤基材の場合、必要に応じて)を施用することができ、それによって、手又はスクラブブラシのような物体からのせん断により、洗浄及びクレンジング洗浄組成物の同時生成がもたらされる。
【0063】
本発明のクレンジング粉末組成物に使用され得る任意の成分には、最終用途洗浄組成物が作製される際に潜在的に有害な微生物の増殖を助けるための保存剤が含まれる。使用され得る適切な従来の保存剤には、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及び様々な四級アンモニウム化合物が含まれる。多くの場合好ましい保存剤は、ソルビン酸カリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、メチルパラベン、ワサビベースの保存剤、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム及びベンジルアルコールである。本発明のクレンジング粉末組成物に使用するのに適した特に好ましい添加剤は、1,2-オクタンジオール、1,2-ヘキサンジオール又はこれらの混合物のような1,2-アルカンジオールである。一態様では、クレンジング粉末組成物が、ホルムアルデヒドフリー、パラベンフリー、又はその両方である保存剤系を含み得る。
【0064】
オイゲノール、クマリン、酢酸リナリル、シトロネラール、アイリス濃縮物、酢酸テルピニル、テルピネオール、チモール、ピネン(例えば、α及びβピネン)及びシトロネロールのような伝統的な芳香剤成分をクレンジング粉末組成物に添加してもよい。
【0065】
使用される場合、伝統的な保存剤、隣接ジオール及び/又は芳香剤成分は、本発明の最終用途洗浄組成物の2重量%超を構成せず、好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0.2~0.85重量%である。本発明のある実施形態では、最終用途洗浄組成物の総重量に基づいて、0.2~0.8重量%の任意の保存剤、隣接ジオール及び/又は芳香剤成分が使用される。本発明のある実施形態では、このような洗浄組成物を必要に応じて作製及び使用して、消費者に保存剤を含まない洗浄製品を有する選択肢を与えることができるため、従来の保存剤、隣接ジオール及び/又は芳香剤成分(最終用途洗浄組成物に使用される芳香剤で提供され得るものを除く)が最終用途洗浄組成物に使用されない。
【0066】
特に最終用途洗浄組成物がフケ防止の利益を提供するシャンプーである場合、使用に適した他の任意の成分には、ジンクピリチオン、オクトピロックス、又はこれらの混合物が含まれる。これらの物質の各々は、最終用途洗浄組成物の総重量の0.05~3重量%、好ましくは0.1~2重量%の間の範囲であり得る。
【0067】
使用され得る追加の任意の成分には、官能油及び/又は剥離剤が含まれる。望ましい油には、ローズ油、ライム油、ヤシ油、ラベンダー油、アルガン油、(1又は複数の)スイートアーモンド油又はこれらの混合物が含まれる。使用に望ましい例示的な剥離剤には、塩、砂糖、アンズ、クルミ殻、米、ナツメグ及び/又は(1又は複数の)オートミール粉末が含まれる。使用される場合、官能油及び剥離剤は、芳香剤及び官能油の総量が最終用途組成物の2.5重量%を超えず、好ましくは組成物の2.0重量%以下であることを条件として、最終用途洗浄組成物の0.1~2重量%を構成することができる。
【0068】
本明細書に開示される化粧用粉末組成物は、ビタミンを含み得る。例示的なビタミンは、ビタミンB、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、葉酸及びビオチンである。ビタミンの誘導体も使用され得る。例えば、ビタミンC誘導体には、テトライソパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム及びアスコルビルグリコシドが含まれる。ビタミンEの誘導体には、酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリル及びリノール酸トコフェリルが含まれる。DL-パンテノール及び誘導体も使用され得る。存在する場合のビタミンの総量は、化粧用粉末組成物の0.001~10重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%、最適には0.1~3重量%の範囲であり得る。
【0069】
使用に望ましい他の任意の添加剤には、4-エチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-フェニルエチルレゾルシノール、ジメトキシトルイルプロピルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノールのようなレゾルシノール;α-及び/又はβ-ヒドロキシ酸;レチノイン酸及びその誘導体(例えば、シス及びトランス);レチナール;レチノール;酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、及びプロピオン酸レチニルなどのレチニルエステル;ペトロセリン酸;共役リノール酸;12-ヒドロキシステアリン酸;これらの混合物などが含まれる。エタノール、四級アンモニウム化合物(塩化セトリモニウム、塩化ベンザルコニウムなど)のようななお他の任意の添加剤も含まれ得る。乳化剤を含むさらなる任意の添加剤が劈開粉末組成物に使用され得る。ポリクオタニウム化合物(例えば、ポリクオタニウム-67)などのコンディショニング剤も本発明の組成物に含めるのに望ましくなり得る。このような添加剤は、使用される場合、最終用途洗浄組成物の0.001~3重量%、好ましくは0.01~2重量%、最も好ましくは0.1~1.5重量%を合わせて構成する。
【0070】
落屑促進剤が存在してもよい。例示的なのはα-ヒドロキシカルボン酸、β-ヒドロキシカルボン酸である。「酸」という用語は、遊離酸だけでなく、その塩及びC~C30アルキル又はアリールエステル、ならびに環状又は直鎖ラクトン構造を形成するために水の除去から生成されるラクトンも含むことを意味する。代表的な酸は、グリコール酸及びその誘導体、乳酸ならびにリンゴ酸である。存在する場合、これらの材料の量は、最終用途洗浄組成物の0.01~3重量%、好ましくは0.1~2重量%の範囲であり得る。
【0071】
本発明の化粧用洗浄組成物に様々なハーブ抽出物を含めてもよい。例示的な抽出物には、緑茶、ノコギリソウ、朝鮮人参、マリーゴールド、ハイビスカス、イチョウ、カモミール、カンゾウ、アロエベラ、ブドウ種子、ウンシュウミカン、ヤナギ樹皮、セージ及びローズマリーから取り出されたものが含まれる。グリセロール及び他のポリオールのような保湿剤も含まれ得る。ソルビトールなどの保湿剤及び/又は抽出物は、使用される場合、典型的には、最終用途組成物の0.01~5重量%、好ましくは0.01~4重量%、最も好ましくは0.02~3重量%を構成する。
【0072】
使用に適した別の任意の添加剤には、2.5~25重量%のカンナビゲロール及び/又は0.5~10重量%のカンナビジオールを含むヘンプオイルが含まれる。使用される場合、このようなオイルは、その中に包含される全ての範囲を含む、最終用途組成物の0.0001~12重量%、好ましくは組成物の0.01~5重量%を構成する。
【0073】
同様に使用に適していてもよいものには、キレート剤(例えば、EDTA)、乳白剤(TiOなど、50~1200nm、好ましくは50~350nmの粒径)、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、雲母、C8~22脂肪酸置換糖類、リポ酸、レチノキシトリメチルシラン(Clariant Corp.からSilcare 1M-75の商標で入手可能)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)又はこれらの混合物のような材料が含まれる。セラミド(セラミド1、セラミド3、セラミド3B及びセラミド6を含む)ならびに擬似セラミド(pseudoceramide)も、10-及び/又は12-ヒドロキシステアリン酸と同様に含まれてもよい。使用される場合、抽出物、ポリオール及びこれらの追加の材料の量は、最終用途洗浄組成物の0.0001~3重量%、好ましくは0.001~2重量%、最も好ましくは0.001~1.5重量%の範囲であり得る。
【0074】
着色剤又は染料も、開示される組成物に含まれ得る。これらの物質は、組成物の0.05~5重量%、好ましくは0.1~2重量%の間の範囲であり得る。
【0075】
ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、5-ウレイドヒダントイン及び/又はグリオキシルジウレイドのようなコンディショニング剤を使用してもよい。これらの成分は、使用される場合、クレンジング粉末組成物の0.5~4重量%、好ましくは0.75~4重量%、最も好ましくは1~3重量%を構成する。
【0076】
日焼け止め活性物質もまた、開示される化粧用粉末組成物に含めてもよい。Parsol MCX(登録商標)として入手可能なp-メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、Parsol 1789(登録商標)として入手可能なアボベンゼン、及びオキシベンゾンとしても知られるベンゾフェノン-3のような材料が特に好ましい。無機日焼け止め活性物質、例えば、微細二酸化チタン、酸化亜鉛、ポリエチレン及び様々な他のポリマーが使用され得る。存在する場合、日焼け止め剤の量は、一般に、最終用途洗浄組成物の0.01~3重量%、好ましくは0.5~2重量%、最適には0.75~1.5重量%の範囲であり得る。
【0077】
従来の緩衝剤/pH調整剤を使用してもよい。これらには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、クエン酸/クエン酸塩緩衝液、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物のような一般的に使用される添加剤が含まれる。これらの材料は、最終用途洗浄組成物の所望のpHを得るための量で添加される。所望の水和時に、クレンジング粉末組成物のpHは、3.5~7.5、好ましくは4.0~6.5、最も好ましくは4.5~5.5の範囲になると予想され、pHは、Thermo Fisher Scientific pHメーターを使用して決定される。
【0078】
本発明のある実施形態では、本発明の最終用途洗浄組成物が、好ましくは硫酸塩を含まず、したがって、2.5重量%未満、好ましくは1.5重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満の硫酸塩を有する。特に好ましい実施形態では、最終用途洗浄組成物が、硫酸塩含有成分を含まない(0重量%)。
【0079】
最終用途洗浄組成物の粘度は、典型的には2,000~70,000cPs、好ましくは3,500~50,000cPs、より好ましくは3,000~30,000cPsである。別の態様では、最終用途組成物の粘度が3,500~62,500cPsである。粘度は、25℃及び4/秒で30秒間、Discovery HR-2 Hybrid Rheometerなどの当技術分野で認識されている機器を用いて測定することができ、ここではクレンジング粉末1部を水3部に希釈することによって最終用途洗浄組成物を調製した。
【0080】
クレンジング粉末組成物を調製する場合、成分を大気圧で混合及び/又は撹拌することができる。混合及び撹拌が行われる温度は、典型的には20℃~50℃である。均質な混合物が得られ、得られたクレンジング粉末組成物が凝集粒子を含まない場合、混合及び/又は撹拌を停止する。クレンジング粉末組成物の粒子は、本明細書に記載の当技術分野で認識されている装置で決定した場合、0.5~300ミクロン、好ましくは5~250ミクロン、最も好ましくは10~175ミクロンの平均粒径を有する。
【0081】
多種多様な包装を使用して、本発明のクレンジング粉末組成物を保存することができる。ジャー、サシェ、シェーカー、バッグ、ポンプ、ボトル、金属容器ならびにプラスチック容器が使用され得る。好ましくは、本発明のクレンジング粉末組成物と共に使用される包装は、消費者使用後樹脂又は生分解性材料のようなリサイクル材料から作製された包装である。最も好ましくは、クレンジング粉末組成物が、紙又は厚紙材料のような生分解性包装材料で販売され、それによって、場合によっては、ジャー又はボトルが、生分解性包装で販売されるクレンジング粉末組成物で再充填される。特に好ましい実施形態では、クレンジング粉末組成物が、生分解性包装から直接消費者によって使用される。
【0082】
[実施例]
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。これらの実施例は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0083】
実施例1:試料配合物
2つの異なる配合物試料として表Iに示される成分及び量を用いて、本発明に従ってクレンジング粉末組成物を作製した。大気圧及び25℃での撹拌によって成分を合わせた。驚くべきことに、製品を代表的な高温多湿条件下(40℃で75% RH)及び代表的な高湿度下(25℃で80% RH)で1週間保存した後でさえ、組成物の視覚的集塊も凝集も観察されなかった。さらに、クレンジング粉末組成物は、約0.55g/cmのかさ密度を有し、視覚的静的粘着の非存在下で容易に流動可能であった。
【0084】
【表1】
【0085】
約一(1)グラムの実施例1に提示される表に記載されるクレンジング粉末組成物を、訓練されたパネリストの左前腕に施用し、引き続いて約四(4)グラムの水を施用した。パネリストは、右手による中程度のせん断を使用して、水とクレンジング粉末組成物を混合して、粒状ではなく、使用時に消費者が許容できる(クリーム状の)泡立ちを提供する最終用途洗浄組成物を生成することができた。粉末の流動性により、粉末を開口オリフィス及び生分解性サシェ又はパウチを用いて包装から取り出すことが容易になった。パネリストによる使用前に、本発明の組成物によって作製されたクレンジング粉末組成物を評価し、容易に水和可能であり、自由流動性粉末として容易に分配されることを確認した。
【0086】
実施例2:粘度ビルダーの素性及び濃度を変化させながらの粘度及び自己発泡能力
実施例2で作製された配合物の成分を、実施例Iに記載されたものと同様の方法で混合した。
【0087】
【表2】
【0088】
粘度は、レオメーター(すなわち、40mmのサンドブラスト仕上げプレートを備えたDiscovery HR-2 Hybrid Rheometer)を使用して、4/秒の設定において25℃で30秒間測定した。粘度測定の準備において、所望の試料を希釈した(1部のクレンジング粉末組成物を3部の水に)。試料を一晩静置した後、粘度測定を行った。
【0089】
ピーク泡体積は、本発明者らにとって特に興味深い別の基準であった。泡体積は、1グラム(g)のクレンジング粉末組成物を100ミリリットル(mL)のメスシリンダーに入れることによって測定した。9gの水を、1gのクレンジング粉末組成物に、前記クレンジング粉末組成物をいかなるせん断にも撹拌にも供することなく添加した。水中での乾燥酸性材料と乾燥アルカリ性材料の反応は、本発明の組成物中で水和組成物が自己発泡するのを瞬時に誘発する二酸化炭素ガスの形成をもたらす。ピーク泡体積を単位としてmLで測定した。その後、1gのクレンジング粉末組成物及び9gの水を、得られたピーク泡体積測定値から減じた。この実施例で現在提示されている全ての測定値は、既にこのような減算を説明している。
【0090】
最終用途洗浄組成物は、得られたピーク泡体積が上述の方法論に従って20mLを超える場合、優れた自己発泡能力を有すると考えられる。3,500センチポアズ(cPs)を超える粘度もまた、優れた消費者使用経験と相関している。
【0091】
予想外にも、本明細書に開示される本発明の組成物に従って作製されたクレンジング粉末組成物は、従来予想されたであろうピーク泡体積に関して大きな妥協をもたらすことなく、大量の粘度ビルダーに耐えることができることが決定された。例えば、この特定の実施例では、範囲内組成物が、依然として優れた泡体積を生成しながら、4重量%のキサンタンガムを有することができた。また、このような粘度ビルダーを含めることは、クレンジング粉末組成物の流動性に悪影響を与えない、すなわち、組成物が凝集しないままであった(すなわち、自由流動性であった)ことにも留意されたい。
【0092】
市場で市販されている顔及び身体用のいくつかの競合クレンジング粉末製品の粘度及びピーク泡体積も測定したところ、このような粉末状製品は、希釈時に望ましいピーク泡体積も粘度ももたらさなかったことが観察される。対照的に、本出願によるクレンジング粉末組成物は、粘度ビルダーの素性及び/又は量が変更された場合でも、このような利益をもたらすことができた。
【0093】
実施例3:多糖ビルダー、カルボン酸塩、及びこれらの量を変化させるクレンジング粉末組成物
【表3】
【0094】
実施例3は、予想外にも、組成物を開示されるクレンジング粉末組成物と一致させると、本発明の発泡性クレンジング粉末組成物の最適な安定性が観察されることを実証している。この実施例で作製された配合物の成分を、実施例1に記載されたものと同様の方法で混合した。この実施例の試料は、多糖ビルダーを単独で含むだけでは、40℃、75% RHの条件下で安定なクレンジング粉末組成物には十分ではないが、本出願に従ってカルボン酸塩を添加すると、所望の安定性が直ちに達成されることを示している。
【0095】
同様に、試料8は、カルボン酸塩のみを有し(すなわち、多糖ビルダーが存在しない)、特定の高温多湿条件下で安定であることが見出されないことが観察され、これもまた、多糖ビルダーを含まないカルボン酸の塩のみを有する組成物が、両成分が含有される場合に観察される安定化の利益をもたらさないことを示している。
【0096】
実施例4:本出願の範囲内ではない試料配合物
【表4】
【0097】
実施例4の全ての試料は、高湿度及び高温条件下(すなわち、40℃で75% RH)で1週間後に安定性に不合格であった。生成物は沈降/固化し、自由流動性も失われていることが分かった。この実施例で作製された配合物の成分を、実施例1に記載されたものと同様の方法で混合した。この実施例で作製された配合物のいずれも、本発明のクレンジング粉末組成物の成分と一致する成分を用いて作製されなかった。本発明に従って製造されなかった配合物は、40℃で75% RH条件で凝集及び/又は沈降/固化したので使用可能でなかった。
【0098】
実施例5:界面活性剤を変化させるクレンジング粉末組成物
【表5】
【0099】
実施例5は、イセチオネートを含む固体界面活性剤系が、ここに提示されるコカミドプロピルベタイン、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムなどの様々な他の界面活性剤が本発明の組成物に従っている限り、このような追加の界面活性剤と組み合わせて使用され得ることを示している。この実施例の全てのクレンジング粉末組成物試料は、1週間の安定性に合格し、本出願によって指定される粘度及び泡体積基準を満たす(すなわち、それぞれ、ピーク泡体積が20mLを超え、粘度が3,500cPsを超える)。この実施例で作製された配合物の成分を、実施例1に記載されたものと同様の方法で混合した。
【国際調査報告】