(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】グルコアミラーゼバリアント及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 9/34 20060101AFI20241022BHJP
C12N 15/56 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241022BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241022BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241022BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241022BHJP
C12P 19/02 20060101ALI20241022BHJP
C12P 7/04 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
C12N9/34 ZNA
C12N15/56
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12P19/02
C12P7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522109
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022078121
(87)【国際公開番号】W WO2023064905
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/124148
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509240479
【氏名又は名称】ダニスコ・ユーエス・インク
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】シェファーズ、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】イアンクー、スヴェトラーナ ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ブリュッセル-ツヴァイネン、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】クルイトフ、ポーリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゾルグ、ロビン
(72)【発明者】
【氏名】タン、ゾンメイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シェンホン
(72)【発明者】
【氏名】シャン、ユエペン
(72)【発明者】
【氏名】コザック、バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラエフ、イゴール
(72)【発明者】
【氏名】ラッシラ、ジョナサン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AF02
4B064CA21
4B064CB07
4B064CD19
4B065AA66Y
4B065AA70X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA32
(57)【要約】
本明細書中に記載されるのは、とりわけ、グルコアミラーゼバリアント、及びこれを用いてデンプン基質を糖化する方法である。さらに、本開示はまた、発酵産物を生成するプロセス、及び動物におけるデンプン消化率を増大させる方法、並びに前記グルコアミラーゼバリアントを用いて発酵飲料を製造する方法に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4の位置20、21、23、37、49、51、52、66、67、69、73、77、79、80、81、84、92、94、102、119、121、134、140、141、143、156、157、158、164、165、166、172、192、203、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、238、243、252、253、274、278、281、290、302、310、321、338、341、350、351、352、354、370、390、403、404、405、416、418、422、430、434、440、441、444、445、及び/若しくは449、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応する残基位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含むグルコアミラーゼバリアント又はその断片。
【請求項2】
前記等価の位置は、配列同一性によって決定され、前記親グルコアミラーゼは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、又は37との少なくとも80%の配列同一性且つ100%未満の配列同一性を有する、請求項1に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項3】
前記等価の位置は、配列同一性によって決定され、前記親グルコアミラーゼは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、又は37を含む、請求項2に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項4】
前記親グルコアミラーゼは、ケカビ(Mucorales)目分岐群グルコアミラーゼである、請求項1~3のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項5】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020A/E/F/G/P;X021M/S/T/W;X023L/M;X037C/N;X049W;X051K/L/V/Y;X052F/N/P;X66A/C/F/M/P/T/W;X067A/C/M;X069A/C/K;X073N/P;X077M/P/S;X079C/R/T;X080H/K/N;X081N/S;X084L/V;X092C/I/M;X094A/G/Y;X102G;X119A/D/G;X121G/L/M/P/V;X134Q/S/W;X140C/I/Q;X141F/K;X143G;X156C/P;X157A/I;X158A/Y;X164L/T;X165I/T/W;X166A/F/G/H/R;X172G/L;X192F/R;X203C/M/Q/W/Y;X210A/F/G/I/L/M/N/W;X213H/R;X214A/C/E/G/L/T/Y;X215C/D/F/H/R/V/W;X218F/A/H/K/Q/V/Y;X221M/R/T;X222C/M/V;X233M/PT/Y;X235F/Y;X236A/Q/S;G238H/M/N/S/T/V;X243A/P/S;X252F/H/M/T;X253K/V;X274A/D/K;X278A;X281D/P;F290M/V;X302F/H/K/M/P/Q/S/T/V/W;X310T/V/Y;X321D;X338I;X341M/T;X350T/C/E/I;X351E/V;X352D/N/S;X354L/M;X370M/N/R;X390D/E/L;X403G/K/R;X404K/M;X405Q/S/Y;X416C/Y;X418E/W;X422A/F/V;X430A/Q;X434S;X440G/H/L;X441L/S/W;X444L/P/S;X445M/Y;及び/又はX449Lの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項1~4のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項6】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020A/E/F/G/P;K021M/S/T/W;E023L/M;E037C;S049W;A051K/L/V/Y;G052F/N/P;X66A/C/F/M/P/T/W;S067A/C/M;V069A/C/K;K073N/P;T077M/P/S;A079C/R/T;G080H/K/N;D081N/S;I084L/V;V092C/I/M;F094A/G/Y;X102G;S119A/D/G;T121G/L/M/P/V;E134Q/S/W;M140C/I/Q;L141F/K;A143G;F156C/P;T157A/I;N158A/Y;I164L/T;Y165I/T/W;K166A/F/G/H/R;V172G/L;Y192F/R;D203C/M/Q/W/Y;R210A/F/G/I/L/M/N/W;D213H/R;N214A/C/E/G/L/Y;S215C/D/F/H/R/V/W;A218F/A/H/K/Q/V/Y;S221M/R/T;G222C/M/V;S233M/PT/Y;W235F/Y;D236A/Q/S;G238H/M/N/S/T/V;T243A/P/S;V252F/H;E253K;G274A/D/K;P278A;E281D/P;F290M/V;N302F/H/K/M/P/Q/S/T/V/W;N310T/V/Y;N321D;F338I;L341M/T;K350C/E/I;N351E/V;T352D/N/S;V354L/M;S370M/N/R;S390D/E/L;Q403G/K/R;Y404K/M;H405Q/S/Y;F416C/Y;R418E/W;Y422A/F/V;T430A/Q;A434S;A440G/H/L;Q441L/S/W;A444L/P/S;G445M/Y;及び/又はF449Lの1つ以上を含む、請求項5に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項7】
前記バリアントは、配列番号4の位置20、21、51、79、80、92、102、121、140、143、157、158、165、166、192、203、210、213、214、215、221、222、233、235、236、238、243、252、274、278、281、290、302、310、321、341、350、352、354、370、390、403、404、405、418、440、441、及び/若しくは444に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、マルトースの加水分解の向上を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項8】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020A/P;X021S;X051L/V;X079C/T;X080K;X092M;X102G;X121G/P/M;X140I/C;X140C;X143G;X157I;X158A;X165W;X166G/R/F;X192F;X203W;X210L;X213R;X214A/E;X215D/C/F;X221R/T/M;X222M/C;X233M/Y/P;X235Y;X236A/Q;X238S/H;X243E/V;X252C/F;X274A;X278A;X281D;X290M/V;X302K/V/P/S/W;X310T/Y;X321D;X341M;X350I/T;X352D;X354L/M;X370M;X390E;X403G/R;X404K;X405Q/S/Y;X418W/E;X440G/H;X441S;及び/又はX444Lの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項7に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項9】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020A/P;K021S;A051L/V;A079C/T;G080K;V092M;X102G;T121G/P/M;M140I/C;M140C;A143G;T157I;N158A;Y165W;K166G/R/F;Y192F;D203W;R210L;D213R;N214A/E;S215D/C/F;S221R/T/M;G222M/C;S233M/Y/P;W235Y;D236A/Q;G238S/H;T243E/V;V252C/F;G274A;P278A;E281D;F290M/V;N302K/V/P/S/W;N310T/Y;N321D;L341M;K350I/T;T352D;V354L/M;S370M;S390E;Q403G/R;Y404K;H405Q/S/Y;R418W/E;A440G/H;Q441S;及び/又はA444Lの1つ以上を含む、請求項8に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項10】
前記バリアントは、配列番号4の位置20、21、23、37、51、52、67、69、73、77、79、80、81、84、92、94、102、119、121、140、141、143、164、165、166、172、210、213、214、215、218、221、222、233、236、238、252、253、274、281、290、302、321、341、350、351、352、370、390、403、404、405、418、430、440、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、パノースの加水分解の向上を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項11】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020P/A;X021T/W/M;X023M/L;X037C;X051L/V;X052N;X067C;X069C/A;X073N;X077S;X079C;X080H/K;X081N;X084V/L;X092C;X094Y;X102G;X119G;X121M/L/G/P;X140C/Q/I;X141F;X143G;X164L;X165W/T;X166R;X172G;X210L;X213H;X214A/E;X215D;X218Q/A/V/Y;X221R;X222M/V/C;X233M/T/P;X236Q;X238H;X252F;X274D/K;X281D;X290M/V;X302S/K/W/Q/V;X321D;X341M/T;X350C/T;X351E;X352D/N;X370M;X390D/L/E;X403G;X403R/K;X404M/K;X405S/Q;X418E/W;X430A;X440G;X444P;及び/又はX445Y/Mの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項10に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項12】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020P/A;K021T/W/M;E023M/L;E037C;A051L/V;G052N;S067C;V069C/A;K073N;T077S;A079C;G080H/K;D081N;I084V/L;V092C;F094Y;X102G;S119G;T121M/L/G/P;M140C/Q/I;L141F;A143G;I164L;Y165W/T;K166R;V172G;R210L;D213H;N214A/E;S215D;S218Q/A/V/Y;S221R;G222M/V/C;S233M/T/P;D236Q;G238H;V252F;G274D/K;E281D;F290M/V;N302S/K/W/Q/V;N321D;L341M/T;K350C/T;N351E;T352D/N;S370M;S390D/L/E;Q403G;Q403R/K;Y404M/K;H405S/Q;R418E/W;T430A;A440G;A444P;及び/又はG445Y/Mの1つ以上を含む、請求項11に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項13】
前記バリアントは、配列番号4の位置20、51、69、73、77、79、80、81、84、94、119、121、134、140、141、143、156、158、165、166、203、210、214、215、218、221、222、233、235、236、252、253、274、278、281、290、302、310、321、341、350、352、354、370、390、416、418、434、440、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、プルランの加水分解の向上を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項14】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020F/A/G;X051K;X069C;X073P/N;X077M/P;X079C/T;X080K;X081N;X084V/L;X094G/A;X119G/D;X121L/M;X134S;X140I/C/Q;X141F;X143G;X156P/C;X158A;X165T;X166H/A/F;X203C/Q/W/Y;X210L/M/F/N/A/I;X214A/Y/L/C;X215V/C/W/D/H;X218V/K/A/Q;X221R;X222M;X233M/P;X235Y;X236Q;X252F/H;X253K;X274K/D;X278A;X281D;X290M;X302P/S/V;X310T;X321D;X341M;X350I/T;X352D/S;X354L;X370M;X390D/L/E;X404K;X416Y;X418E/W;X434S;X440G;及び/又はX445Mの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項13に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項15】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020F/A/G;A051K;V069C;K073P/N;T077M/P;A079T;G080K;D081N;I084V/L;F094G/A;S119G/D;T121L/M;E134S;M140I/C/Q;L141F;A143G;F156P/C;N158A;Y165T;K166H/A/F;D203C/Q/W/Y;R210L/M/F/N/A/I;N214A/Y/L/C;S215V/C/W/D/H;S218V/K/A/Q;S221R;G222M;S233M/P;W235Y;D236Q;V252F/H;E253K;G274K/D;P278A;E281D;F290M;N302P/S/V;N310T;N321D;L341M;K350I/T;T352D/S;V354L;S370M;S390D/L/E;Y404K;F416Y;R418E/W;A434S;A440G;及び/又はG445Mの1つ以上を含む、請求項14に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項16】
前記バリアントは、配列番号4の位置21、23、37、52、66、69、73、77、79、80、81、84、92、119、121、134、140、141、157、158、164、165、210、213、214、218、221、222、233、235、236、243、252、253、274、281、290、302、341、350、351、352、370、390、403、404、405、416、418、422、440、441、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、可溶性デンプンの糖化について、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、より高い性能指数(PI)を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項17】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X021T;X023M/L;X037C;X052N/F;X066A/F/T;X069C;X073N/P;X077P/M/S;X079R;X080N/H/K;X081N/S;X084L/V;X092I;X119A/G;X121M/L;X134S/Q;X140C/I/Q;X141F/K;X157A;X158A;X164L/T;X165W/T;X210W/G;X213H;X214G/Y;X218Q/F/A;X221R;X222M/V/C;X233M/P;X235F;X236Q;X243A;X252F;X253K;X274D/K/A;X281D;X290M/V;X302W/S/Q/K;X341M/T;X350C/E;X351E;X352D/N;X370M;X390D/L;X403G/R/K;X404I/M/K;X405S;X416C/Y;X418E/W;X422A;X440G;X441L;X444S/P;及び/又はX445Mの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項16に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項18】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、K021T;E023M/L;E037C;G052N/F;V066A/F/T;V069C;K073N/P;T077P/M/S;A079R;G080N/H/K;D081N/S;I084L/V;V092I;S119A/G;T121M/L;E134S/Q;M140C/I/Q;L141F/K;T157A;N158A;I164L/T;Y165W/T;R210W/G;D213H;N214G/Y;S218Q/F/A;S221R;G222M/V/C;S233M/P;W235F;D236Q;T243A;V252F;E253K;G274D/K/A;E281D;F290M/V;N302W/S/Q/K;L341M/T;K350C/E;N351E;T352D/N;S370M;S390D/L;Q403G/R/K;Y404M/K;H405S;F416C/Y;R418E/W;Y422A;A440G;Q441L;A444S/P;及び/又はG445Mの1つ以上を含む、請求項17に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項19】
前記バリアントは、配列番号4の位置20、21、51、67、69、73、77、79、80、81、84、102、119、121、134、140、141、143、156、157、158、165、166、172、192、203、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、252、274、281、290、302、310、321、341、350、351、352、354、370、390、403、404、405、418、422、434、440、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、マルトデキストリンの加水分解の向上を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項20】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020P/A/E;X021S/M;X051V/L/K/Y;X067A;X069C;X073P/N;X077P/M;X079C/T;X080K/H;X081N;X084L/V;X102G;X119G;X121M/G/V/P;X134S/Q;X140C/I;X141F;X143G;X156P/C;X157I;X158A;X165W/T;X166G;X172G;X192F;X203W/C/M;X210L/M;X213R;X214A/E;X215D/C/F;X218V/Y/Q;X221R/T;X222M/C;X233M/P/Y;X235Y;X236Q/A;X252F;X274K/A/D;X281D;X290M/V;X302P/K/S/V/Q/W;X310T/Y;X341M;X350I/T;X351V;X352D;X354L/M;X370M;X390E/L/D;X403K/R/G;X404K/M;X405Q/S/Y;X418W/E;X422A;X434S;X440G/H;X444P;及び/又はX445Mの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項19に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項21】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020P/A/E;K021S/M;A051V/L/K/Y;S067A;V069C;K073P/N;T077P/M;A079C/T;G080K/H;D081N;I084L/V;P102G;S119G;T121M/G/V/P;E134S/Q;M140C/I;L141F;A143G;F156P/C;T157I;N158A;Y165W/T;K166G;V172G;Y192F;D203W/C/M;R210L/M;D213R;N214A/E;S215D/C/F;S218V/Y/Q;S221R/T;G222M/C;S233M/P/Y;W235Y;D236Q/A;V252F;G274K/A/D;E281D;F290M/V;N302P/K/S/V/Q/W;N310T/Y;N321D;L341M;K350I/T;N351V;T352D;V354L/M;S370M;S390E/L/D;Q403K/R/G;Y404K/M;H405Q/S/Y;R418W/E;Y422A;A434S;A440G/H;A444P;及び/又はG445Mの1つ以上を含む、請求項20に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項22】
前記バリアントは、配列番号4の位置23、51、52、66、67、77、119、121、134、140、141、156、157、165、192、213、221、222、233、236、252、281、290、302、350、352、370、390、403、404、416、及び/若しくは422に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、熱安定性の向上を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項23】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X023M;X051Y;X052N;X066A/C/F/M/W;X067C;X077P;X119A;X121M;X134S;X140I/C;X141F;X156C;X157I;X165W/I;X192F;X213R;X221R;X222M;X233M;X236Q;X252F;X281D;X290V;X302H/Q/W/S/K;X350E/C;X352D;X370M;X390L/D;X403R;X404K/M;X416Y;及び/又はX422A/Vの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項22に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項24】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、E023M;A051Y;G052N;V066A/C/F/M/W;S067C;T077P;S119A;T121M;E134S;M140I/C;L141F;F156C;T157I;Y165W/I;Y192F;D213R;S221R;G222M;S233M;D236Q;V252F;E253F;E281D;F290V;N302H/Q/W/S/K;K350E/C;T352D;S370M;S390L/D;Q403R;Y404K/M;F416Y;及び/又はY422A/Vの1つ以上を含む、請求項23に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項25】
前記バリアントは、配列番号4の位置49、51、52、66、69、77、80、94、119、134、158、164、165、172、192、213、215、218、222、233、235、236、238、243、253、274、302、338、403、405、416、418、422、430、440、441、444、445、及び/若しくは449に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、重合度(DP)が2以上である糖へのより少ない転換を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項26】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X049W;X051Y;X052P;X66P;X069K/C;X077P/M;X080H;X094A/G;X119D;X134W/Q;X158Y;X164T/L;X165W/I;X172G;X192R/F;X213H;X215R;X218K;X222C;X233T/P;X235F;X236A;X238H/S/N;X243P/S;X253K;X274K/A;X302H/F/P/M/Q/T;X338I;X403G;X405Q/S;X416C/Y;X416Y;X418W/E;X422A;X430A/Q;X440L/H;X441W/L;X444L/P;X445Y;及び/又はX449Lの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項25に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項27】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、S049W;A051Y;G052P;V66P;V069K/C;T077P/M;G080H;F094A/G;S119D;E134W/Q;N158Y;I164T/L;Y165W/I;V172G;Y192R/F;D213H;S215R;S218K;G222C;S233T/P;W235F;D236A;G238H/S/N;T243P/S;E253K;G274K/A;N302H/F/P/M/Q/T;F338I;Q403G;H405Q/S;F416C/Y;F416Y;R418W/E;Y422A;T430A/Q;A440L/H;Q441W/L;A444L/P;G445Y;及び/又はF449Lの1つ以上を含む、請求項26に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項28】
前記バリアントは、配列番号4の位置21、23、51、52、66、67、79、81、92、119、140、158、164、172、192、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、238、243、253、281、290、302、310、351、352、354、370、403、416、422、430、441、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、グルコースの糖化収率の向上を示す、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項29】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X021S/W;X023L;X051Y/K;X052N;X066/A/C/F/M/W;X067M/C/A;X079R;X081S;X092C/M;X119A;X140I;X158A/Y;X164L;X172L/G;X192F;X210W;X213H;X214Y;X215F/C/R;X218H/K/A;X221M/T;X222V;X233T;X235Y/F;X236S/A;X238T/V/M;X243A;X253K;X281P/D;X290V;X302K/Q/H/W;X310V/T;X351V;X352S;X354L;X370R;X403K;X416Y;X422F;X430A;X441L;及び/又はX445Yの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項28に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項30】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、K021S/W;E023L;A051Y/K;G052N;V066/A/C/F/M/W;S067M/C/A;A079R;D081S;V092C/M;S119A;M140I;N158A/Y;I164L;V172L/G;Y192F;R210W;D213H;N214Y;S215F/C/R;S218H/K/A;S221M/T;G222V;S233T;W235Y/F;D236S/A;G238T/V/M;T243A;E253K;E281P/D;F290V;N302K/Q/H/W;N310V/T;N351V;T352S;V354L;S370R;Q403K;F416Y;Y422F;T430A;Q441L;及び/又はG445Yの1つ以上を含む、請求項29に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項31】
前記バリアントは、配列番号4の位置20、21、23、37、51、52、66、67、69、73、77、79、80、81、84、92、94、102、119、121、134、140、141、156、157、158、164、165、166、172、192、203、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、238、243、252、253、274、278、281、290、302、310、341、350、351、352、354、370、390、403、404、405、416、418、422、430、440、441、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、i)マルトースの加水分解の向上;ii)パノースの加水分解の向上;iii)プルランの加水分解の向上;iv)可溶性デンプンの加水分解の向上;v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上の2つ以上を示す、請求項1~29のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項32】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020A/P;X021M/S/T/W;X023L/M;X037C;X051K/L/V/Y;X052N;X066A/C/F/M/W;X067A/C;X069C;X073N/P;X077M/P/S;X079R/T;X080H/K;X081N/S;X084L/V;X092C/M;X094A/G;X102G;X119A/D/G;X121G/L/M/P;X134Q/S;X140C/I/Q;X141F;X156C/P;X157I;X158A/Y;X164L/T;X165I/T/W;X166G/F/R;X172G;X192F;X203C/W;X210L/M/W;X213H/R;X214A/E/Y;X215C/D/F/R;X218A/K/Q/V/Y;X221M/R/T;X222C/M/V;X233M/P/T/Y;X235F/Y;X236A/Q;X238H/S;X243A;X252F;X253K;X274A/D/K;X278A;X281D;X290M/V;X290V;X302H/K/P/Q/S/V/W;X310T/Y;X341M/T;X350C/E/I;X351E/V;X352D/N/S;X354L/M;X370M;X390D/E/L;X403G/K/R;X404K/M;X405Q/S/Y;X416C/Y;X418E/W;X422A;X430A;X440G/H;X441L;X444L/P;及び/又はX445M/Yの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項31に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項33】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020A/E/P;K021M/S/T/W;E023L/M;E037C;A051K/L/V/Y;G052N;V066A/C/F/M/W;S067A/C;V069C;K073N/P;T077M/P/S;A079R/T;G080H/K;D081N/S;I084L/V;V092C/M;F094A/G;P102G;S119A/D/G;T121G/L/M/P;E134Q/S;M140C/I/Q;L141F;F156C/P;T157I;N158A/Y;I164L/T;Y165I/T/W;K166G/F/R;V172G;Y192F;D203C/W;R210L/M/W;D213H/R;N214A/E/Y;S215C/D/F/R;S218A/K/Q/V/Y;S221M/R/T;G222C/M/V;S233M/P/T/Y;W235F/Y;D236A/Q;G238H/S;T243A;V252F;E253K;G274A/D/K;P278A;E281D;F290M/V;F290V;N302H/K/P/Q/S/V/W;N310T/Y;L341M/T;K350C/E/I;N351E/V;T352D/N/S;V354L/M;S370M;S390D/E/L;Q403G/K/R;Y404K/M;H405Q/S/Y;F416C/Y;R418E/W;Y422A;T430A;A440G/H;Q441L;A444L/P;及び/又はG445M/Yの1つ以上を含む、請求項32に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項34】
前記バリアントは、a)X236S及びX281D;b)X215R及びX441W;c)X321D及びX434S;d)X143G及びX434S;e)X079C及びX143G;f)X350T及びX434S;g)X351E及びX403K;h)X052N及びX084L;i)X243P及びX290V;j)X290V及びX350E;k)X302K及びX441W;l)X156C及びX404K;m)X067M及びX404K;n)X052N及びX141F;o)X052N及びX351E;p)X233M及びX445Y;q)X066C及びX233M;r)X218H及びX290V;s)X067M及びX302H;t)X066C及びX119A;u)X243P及びX445Y;v)X192F及びX243P;w)X156C及びX243P;x)X023L及びX066C;y)X023L-X119A;z)X020E及びX192F;aa)X192F及びX310V;bb)X023M及びX302H;cc)X192F及びX416Y;dd)X119A及びX302H;ee)X235Y及びX416Y;ff)X052N及びX404K;gg)X023M及びX449Y;hh)X158A及びX172L;ii)X172L及びX290V;jj)X023M及びX210L;kk)X210L及びX449Y;ll)X157I及びX281D;mm)X164T及びX215R;nn)X140C及びX422V;oo)X119A及びX302K;又はpp)X052N及びX416Yを含む2つ以上のアミノ酸置換を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項35】
前記2つ以上のアミノ酸置換は、a)D236S及びE281D;b)S215R及びQ441W;c)N321D及びA434S;d)A143G及びA434S;e)A079C及びA143G;f)K350T及びA434S;g)N351E及びQ403K;h)G052N及びI084L;i)T243P及びF290V;j)F290V及びK350E;k)N302K及びQ441W;l)F156C及びY404K;m)S067M及びY404K;n)G052N及びL141F;o)G052N及びN351E;p)S233M及びG445Y;q)A066C及びS233M;r)S218H及びF290V;s)S067M及びN302H;t)A066C及びS119A;u)T243P及びG445Y;v)Y192F及びT243P;w)F156C及びT243P;x)E023L及びA066C;y)E023L及びS119A;z)S020E及びY192F;aa)Y192F及びN310V;bb)E023M及びN302H;cc)Y192F及びF416Y;dd)S119A及びN302H;ee)W235Y及びF416Y;ff)G052N及びY404K;gg)E023M及びF449Y;hh)N158A及びV172L;ii)V172L及びF290V;jj)E023M及びR210L;kk)R210L及びF449Y;ll)T157I及びE281D;mm)I164T及びS215R;nn)M140C及びY422V;oo)S119A及びN302K;又はpp)G052N及びF416Yを含む、請求項34に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項36】
前記バリアントは、a)X141F、X281D、及びX441W;b)X143G、X321D、及びX434S;c)X321D、X350T、及びX434S;d)X067M、X158A、及びX281D;e)X156C、X192F、及びX403K;f)X052N、X140C、及びX422V;g)X066C、X119A、及びX164T;h)X066C、X233M、及びX445Y;i)X156C、X192F、及びX243P;j)X023L、X066C、及びX119A;k)X023M、X119A、及びX404K;l)X310V、X416Y、及びX445Y;m)X158A、X221R、及びX290V;n)X023M、X052N、及びX404K;o)X081S、X157I、及びX236S;p)X243P、X302K、及びX416Y;q)X140C、X302K、及びX422V;又はr)X052N、X416Y、及びX445Yを含む3つ以上のアミノ酸置換を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項37】
前記3つ以上アミノ酸置換は、a)L141F、E281D、及びQ441W;b)A143G、N321D、及びA434S;c)N321D、K350T、及びA434S;d)S067M、N158A、及びE281D;e)F156C、Y192F、及びQ403K;f)G052N、M140C、及びY422V;g)A066C、S119A、及びI164T;h)A066C、S233M、及びG445Y;i)F156C、Y192F、及びT243P;j)E023L、A066C、及びS119A;k)E023M、S119A、及びY404K;l)N310V、F416Y、及びG445Y;m)N158A、S221R、及びF290V;n)E023M、G052N、及びY404K;o)D081S、T157I、及びD236S;p)T243P、N302K、及びF416Y;q)M140C、N302K、及びY422V;又はr)G052N、F416Y、及びG445Yを含む、請求項36に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項38】
前記バリアントは、a)X215R、X236S、X281D、及びX441W;b)X052N、X084L、X140C、及びX422V;c)X020E、X156C、X192F、及びX243P;d)X023M、X221R、及びX404K;e)X158A、X172L、X221R、及びX290V;f)X140C、X165W、X302K、及びX422V;又はg)X119A、X253F、X310V、及びX403Kを含む4つ以上のアミノ酸置換を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項39】
前記4つ以上アミノ酸置換は、a)S215R、D236S、E281D、及びQ441W;b)G052N、I084L、M140C、及びY422V;c)S020E、F156C、Y192F、及びT243P;d)E023M、S119A、S221R、及びY404K;e)N158A、V172L、S221R、及びF290V;f)M140C、Y165W、N302K、及びY422V;又はg)S119A、E253F、N310V、及びQ403Kを含む、請求項38に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項40】
前記バリアントは、X067M、X157I、X218H、X302H、及びX416Yを含む5つ以上のアミノ酸置換を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項41】
前記5つ以上アミノ酸置換は、S067M、T157I、S218H、N302H、及びF416Yを含む、請求項40に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項42】
前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、i)マルトースの加水分解の向上;ii)パノースの加水分解の向上;iii)プルランの加水分解の向上;iv)可溶性デンプンの加水分解の向上;v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上の1つ以上を示す、請求項34~41のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項43】
前記バリアントは、配列番号3、配列番号4の位置a)66、67、及び69;b)102、119、及び121;並びに/若しくはc)143、156、164、192、及び233に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置にて置換を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項44】
前記バリアントは、a)X066A/C/F/M/P/T/W、X067A/C/M、及びX069A/C/K;b)X102P/G、X119A/D/G、X121G/L/M/P/V;並びに/又はc)X143G、X156C/P、X164L/T、X192F/R、及びX233M/PT/Yを含むアミノ酸置換を含む、請求項43に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項45】
前記バリアントは、a)V066A/C/F/M/P/T/W、S067A/C/M、及びV069A/C/K;b)S102P/G、S119A/D/G、T121G/L/M/P/V;並びに/又はc)A143G、F156C/P、I164L/T、Y192F/R、及びS233M/PT/Yを含むアミノ酸置換を含む、請求項44に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項46】
配列番号4の位置66及び/若しくは102、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応する1つ以上の残基位置にてアミノ酸置換をさらに含む、請求項1~45のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項47】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、X066A/C/F/M/P/T/W及び/又はX102P/Gを含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である、請求項46に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項48】
前記1つ以上のアミノ酸置換は、V066A/C/F/M/P/T/W及び/又はS102P/Gを含む、請求項47に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項49】
配列番号4の位置N075及び/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にてN結合グリコシル化を含む、請求項1~48のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項50】
配列番号4の位置81、83、153、370、若しくは372に対応する残基位置及び/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換をさらに含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、前記置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、グリコシル化の増大及び熱安定性の増大を示す、請求項1~49のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアント。
【請求項51】
前記1つ以上の置換は、位置D81N、K83T、A153T、S370N、及び/又はA372Sにて1つ以上の置換を含む、請求項50に記載のグルコアミラーゼ。
【請求項52】
請求項1~51のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアントをコードするポリヌクレオチド。
【請求項53】
請求項52に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項54】
請求項52に記載のポリヌクレオチド又は請求項53に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項55】
細菌宿主細胞又は真菌宿主細胞である、請求項54に記載の宿主細胞。
【請求項56】
アスペルギルス(Aspergillus)属種、バチルス(Bacillus)属種、トリコデルマ(Trichoderma)属種、ピキア(Pichia)属種、マイセリオフトラ(Myceliophthora)属種、又はサッカロマイセス(Saccharomyces)属種である、請求項54又は55に記載の宿主細胞。
【請求項57】
請求項1~51のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアントを含む酵素組成物。
【請求項58】
デンプン転化プロセスに用いられる、請求項57に記載の酵素組成物。
【請求項59】
動物飼料製剤に用いられる、請求項57に記載の酵素組成物。
【請求項60】
アルコール発酵プロセスに用いられる、請求項57に記載の酵素組成物。
【請求項61】
発酵飲料を製造するためのプロセスに用いられる、請求項57に記載の酵素組成物。
【請求項62】
宿主細胞においてバリアントグルコアミラーゼを生成する方法であって、a)請求項53に記載のベクターにより形質転換した宿主細胞を、培養培地中で、前記グルコアミラーゼバリアントの生成に適した条件の下で培養することと;b)前記バリアントを生成することとを含む方法。
【請求項63】
前記培養培地から前記グルコアミラーゼバリアントを回収することをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記宿主細胞は、細菌宿主細胞又は真菌宿主細胞である、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
前記宿主細胞は、アスペルギルス(Aspergillus)属種、バチルス(Bacillus)属種、トリコデルマ(Trichoderma)属種、ピキア(Pichia)属種、マイセリオフトラ(Myceliophthora)属種、又はサッカロマイセス(Saccharomyces)属種である、請求項62~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
デンプンを含む組成物を糖化して、グルコースを含む組成物を生成する方法であって: a)デンプン組成物を、請求項1~51のいずれか一項に記載のグルコアミラーゼバリアントと接触させることと;b)前記デンプン組成物を糖化して、前記グルコース組成物を生成することとを含む方法。
【請求項67】
デンプンを含む前記組成物は、液化デンプン、ゼラチン化デンプン、又は顆粒状デンプンを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
c)前記デンプン組成物をアルファ-アミラーゼと接触させることをさらに含む、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
d)前記デンプン組成物をプルラナーゼと接触させることをさらに含む、請求項66~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
e)前記グルコース組成物を発酵させて、発酵産物を生成することをさらに含む、請求項66~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記発酵産物はアルコールである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記アルコールは、エタノール又はブタノールである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
f)追加のグルコアミラーゼ、ヘキソキナーゼ、キシラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、キシロースイソメラーゼ、ホスファターゼ、フィターゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、β-アミラーゼ、追加のα-アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、トレハラーゼ、イソアミラーゼ、酸化還元酵素、エステラーゼ、トランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、リアーゼ、ヒドロラーゼ、又はそれらの組合せの1つ以上を、前記デンプン組成物に加えることをさらに含む、請求項66~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記発酵は、同時糖化発酵(SSF)反応である、請求項66~73のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月15日に出願された国際出願PCT/CN2021/124148号明細書の優先権を主張し、この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子配列表の参照
電子配列表(NB42043-WO-PCT2_sequencelisting.xml;サイズ:62,000バイト;作成日: 2022年10月11日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、グルコアミラーゼバリアントを含む組成物、及びデンプン基質を糖化する方法、並びにこれらを用いて発酵産物を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
グルコアミラーゼ(1,4-アルファ-D-グルカングルコヒドロラーゼ、EC3.2.1.3)は、デンプン又は関連するオリゴ糖分子及び多糖分子の非還元末端からのD-グルコースの放出を触媒する酵素である。グルコアミラーゼは、いくつかの糸状菌及び酵母により産生される。
【0005】
グルコアミラーゼの主な用途は、部分的にプロセシングされたデンプン/デキストリンの、数多くの発酵プロセスに必須の基質であるグルコースへの糖化である。その後、グルコースは、発酵生物を用いて、発酵産物に直接的又は間接的に変換され得る。市販の発酵産物の例として、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、ブタノール、1,3-プロパンジオール);有機酸(例えば、クエン酸、酢酸、イタコン酸、乳酸、グルコン酸、グルコナート、乳酸、コハク酸、2,5-ジケト-D-グルコン酸);ケトン(例えばアセトン);アミノ酸(例えばグルタミン酸);気体(例えば、H2及びCO2)、及びより複雑な化合物が挙げられる。
【0006】
また、最終産物は、シロップであり得る。例えば、最終産物は、グルコースであり得るが、例えばグルコースイソメラーゼによって、フルクトースに、又はほぼ等量のグルコース及びフルクトースで構成される混合物にも変換され得る。この混合物、又はフルクトースがさらに富化した混合物は、世界中で商業化されている、最も一般的に用いられている高フルクトースコーンシロップ(HFCS)である。
【0007】
多様な群の微生物がグルコアミラーゼを産生することが報告されているが、商業目的のためのグルコアミラーゼは、大量の酵素を細胞外に分泌することから、従来、糸状菌を使用して生成されてきた。しかしながら、商業的に用いられる真菌性グルコアミラーゼは、例えば、緩徐な触媒活性、又は加工費を増大させる安定性の欠如等の、ある種の限界がある。
【0008】
そこで、糖化の効率を向上させて、発酵産物の高収率を実現するのに、新規なグルコアミラーゼ及びグルコアミラーゼバリアントが必要とされ続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、組換え宿主細胞、グルコアミラーゼを含む組成物、及びグルコアミラーゼを用いてデンプン基質を糖化する方法に関する。さらに、本開示はまた、発酵産物を生成するプロセス、及び動物におけるデンプン消化率を増大させる方法、並びに発酵飲料を製造する方法に関する。
【0010】
したがって、一部の態様において、本明細書中で提供されるのは、配列番号4の位置20、21、23、37、49、51、52、66、67、69、73、77、79、80、81、84、92、94、102、119、121、134、140、141、143、156、157、158、164、165、166、172、192、203、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、238、243、252、253、274、278、281、290、302、310、321、338、341、350、351、352、354、370、390、403、404、405、416、418、422、430、434、440、441、444、445、及び/若しくは449、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応する残基位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含むグルコアミラーゼバリアント又はその断片である。一部の実施形態において、等価の位置は、配列同一性によって決定され、前記親グルコアミラーゼは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、又は37との少なくとも80%の配列同一性且つ100%未満の配列同一性を有する。一部の実施形態において、等価の位置は、配列同一性によって決定され、親グルコアミラーゼは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、又は37を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、親グルコアミラーゼは、ケカビ(Mucorales)目分岐群グルコアミラーゼである。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020A/E/F/G/P;X021M/S/T/W;X023L/M;X037C/N;X049W;X051K/L/V/Y;X052F/N/P;X66A/C/F/M/P/T/W;X067A/C/M;X069A/C/K;X073N/P;X077M/P/S;X079C/R/T;X080H/K/N;X081N/S;X084L/V;X092C/I/M;X094A/G/Y;X102G;X119A/D/G;X121G/L/M/P/V;X134Q/S/W;X140C/I/Q;X141F/K;X143G;X156C/P;X157A/I;X158A/Y;X164L/T;X165I/T/W;X166A/F/G/H/R;X172G/L;X192F/R;X203C/M/Q/W/Y;X210A/F/G/I/L/M/N/W;X213H/R;X214A/C/E/G/L/T/Y;X215C/D/F/H/R/V/W;X218F/A/H/K/Q/V/Y;X221M/R/T;X222C/M/V;X233M/PT/Y;X235F/Y;X236A/Q/S;G238H/M/N/S/T/V;X243A/P/S;X252F/H/M/T;X253K/V;X274A/D/K;X278A;X281D/P;F290M/V;X302F/H/K/M/P/Q/S/T/V/W;X310T/V/Y;X321D;X338I;X341M/T;X350T/C/E/I;X351E/V;X352D/N/S;X354L/M;X370M/N/R;X390D/E/L;X403G/K/R;X404K/M;X405Q/S/Y;X416C/Y;X418E/W;X422A/F/V;X430A/Q;X434S;X440G/H/L;X441L/S/W;X444L/P/S;X445M/Y;及び/又はX449Lの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020A/E/F/G/P;K021M/S/T/W;E023L/M;E037C;S049W;A051K/L/V/Y;G052F/N/P;X66A/C/F/M/P/T/W;S067A/C/M;V069A/C/K;K073N/P;T077M/P/S;A079C/R/T;G080H/K/N;D081N/S;I084L/V;V092C/I/M;F094A/G/Y;X102G;S119A/D/G;T121G/L/M/P/V;E134Q/S/W;M140C/I/Q;L141F/K;A143G;F156C/P;T157A/I;N158A/Y;I164L/T;Y165I/T/W;K166A/F/G/H/R;V172G/L;Y192F/R;D203C/M/Q/W/Y;R210A/F/G/I/L/M/N/W;D213H/R;N214A/C/E/G/L/Y;S215C/D/F/H/R/V/W;A218F/A/H/K/Q/V/Y;S221M/R/T;G222C/M/V;S233M/PT/Y;W235F/Y;D236A/Q/S;G238H/M/N/S/T/V;T243A/P/S;V252F/H;E253K;G274A/D/K;P278A;E281D/P;F290M/V;N302F/H/K/M/P/Q/S/T/V/W;N310T/V/Y;N321D;F338I;L341M/T;K350C/E/I;N351E/V;T352D/N/S;V354L/M;S370M/N/R;S390D/E/L;Q403G/K/R;Y404K/M;H405Q/S/Y;F416C/Y;R418E/W;Y422A/F/V;T430A/Q;A434S;A440G/H/L;Q441L/S/W;A444L/P/S;G445M/Y;及び/又はF449Lの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配列番号4の位置20、21、51、79、80、92、102、121、140、143、157、158、165、166、192、203、210、213、214、215、221、222、233、235、236、238、243、252、274、278、281、290、302、310、321、341、350、352、354、370、390、403、404、405、418、440、441、及び/若しくは444に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、マルトースの加水分解の向上を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020A/P;X021S;X051L/V;X079C/T;X080K;X092M;X102G;X121G/P/M;X140I/C;X140C;X143G;X157I;X158A;X165W;X166G/R/F;X192F;X203W;X210L;X213R;X214A/E;X215D/C/F;X221R/T/M;X222M/C;X233M/Y/P;X235Y;X236A/Q;X238S/H;X243E/V;X252C/F;X274A;X278A;X281D;X290M/V;X302K/V/P/S/W;X310T/Y;X321D;X341M;X350I/T;X352D;X354L/M;X370M;X390E;X403G/R;X404K;X405Q/S/Y;X418W/E;X440G/H;X441S;及び/又はX444Lの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020A/P;K021S;A051L/V;A079C/T;G080K;V092M;X102G;T121G/P/M;M140I/C;M140C;A143G;T157I;N158A;Y165W;K166G/R/F;Y192F;D203W;R210L;D213R;N214A/E;S215D/C/F;S221R/T/M;G222M/C;S233M/Y/P;W235Y;D236A/Q;G238S/H;T243E/V;V252C/F;G274A;P278A;E281D;F290M/V;N302K/V/P/S/W;N310T/Y;N321D;L341M;K350I/T;T352D;V354L/M;S370M;S390E;Q403G/R;Y404K;H405Q/S/Y;R418W/E;A440G/H;Q441S;及び/又はA444Lの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配列番号4の位置20、21、23、37、51、52、67、69、73、77、79、80、81、84、92、94、102、119、121、140、141、143、164、165、166、172、210、213、214、215、218、221、222、233、236、238、252、253、274、281、290、302、321、341、350、351、352、370、390、403、404、405、418、430、440、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、パノースの加水分解の向上を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020P/A;X021T/W/M;X023M/L;X037C;X051L/V;X052N;X067C;X069C/A;X073N;X077S;X079C;X080H/K;X081N;X084V/L;X092C;X094Y;X102G;X119G;X121M/L/G/P;X140C/Q/I;X141F;X143G;X164L;X165W/T;X166R;X172G;X210L;X213H;X214A/E;X215D;X218Q/A/V/Y;X221R;X222M/V/C;X233M/T/P;X236Q;X238H;X252F;X274D/K;X281D;X290M/V;X302S/K/W/Q/V;X321D;X341M/T;X350C/T;X351E;X352D/N;X370M;X390D/L/E;X403G;X403R/K;X404M/K;X405S/Q;X418E/W;X430A;X440G;X444P;及び/又はX445Y/Mの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020P/A;K021T/W/M;E023M/L;E037C;A051L/V;G052N;S067C;V069C/A;K073N;T077S;A079C;G080H/K;D081N;I084V/L;V092C;F094Y;X102G;S119G;T121M/L/G/P;M140C/Q/I;L141F;A143G;I164L;Y165W/T;K166R;V172G;R210L;D213H;N214A/E;S215D;S218Q/A/V/Y;S221R;G222M/V/C;S233M/T/P;D236Q;G238H;V252F;G274D/K;E281D;F290M/V;N302S/K/W/Q/V;N321D;L341M/T;K350C/T;N351E;T352D/N;S370M;S390D/L/E;Q403G;Q403R/K;Y404M/K;H405S/Q;R418E/W;T430A;A440G;A444P;及び/又はG445Y/Mの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配
列番号4の位置20、51、69、73、77、79、80、81、84、94、119、121、134、140、141、143、156、158、165、166、203、210、214、215、218、221、222、233、235、236、252、253、274、278、281、290、302、310、321、341、350、352、354、370、390、416、418、434、440、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、プルランの加水分解の向上を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020F/A/G;X051K;X069C;X073P/N;X077M/P;X079C/T;X080K;X081N;X084V/L;X094G/A;X119G/D;X121L/M;X134S;X140I/C/Q;X141F;X143G;X156P/C;X158A;X165T;X166H/A/F;X203C/Q/W/Y;X210L/M/F/N/A/I;X214A/Y/L/C;X215V/C/W/D/H;X218V/K/A/Q;X221R;X222M;X233M/P;X235Y;X236Q;X252F/H;X253K;X274K/D;X278A;X281D;X290M;X302P/S/V;X310T;X321D;X341M;X350I/T;X352D/S;X354L;X370M;X390D/L/E;X404K;X416Y;X418E/W;X434S;X440G;及び/又はX445Mの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020F/A/G;A051K;V069C;K073P/N;T077M/P;A079T;G080K;D081N;I084V/L;F094G/A;S119G/D;T121L/M;E134S;M140I/C/Q;L141F;A143G;F156P/C;N158A;Y165T;K166H/A/F;D203C/Q/W/Y;R210L/M/F/N/A/I;N214A/Y/L/C;S215V/C/W/D/H;S218V/K/A/Q;S221R;G222M;S233M/P;W235Y;D236Q;V252F/H;E253K;G274K/D;P278A;E281D;F290M;N302P/S/V;N310T;N321D;L341M;K350I/T;T352D/S;V354L;S370M;S390D/L/E;Y404K;F416Y;R418E/W;A434S;A440G;及び/又はG445Mの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配列番号4の位置21、23、37、52、66、69、73、77、79、80、81、84、92、119、121、134、140、141、157、158、164、165、210、213、214、218、221、222、233、235、236、243、252、253、274、281、290、302、341、350、351、352、370、390、403、404、405、416、418、422、440、441、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、可溶性デンプンの糖化について、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、より高い性能指数(PI)を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X021T;X023M/L;X037C;X052N/F;X066A/F/T;X069C;X073N/P;X077P/M/S;X079R;X080N/H/K;X081N/S;X084L/V;X092I;X119A/G;X121M/L;X134S/Q;X140C/I/Q;X141F/K;X157A;X158A;X164L/T;X165W/T;X210W/G;X213H;X214G/Y;X218Q/F/A;X221R;X222M/V/C;X233M/P;X235F;X236Q;X243A;X252F;X253K;X274D/K/A;X281D;X290M/V;X302W/S/Q/K;X341M/T;X350C/E;X351E;X352D/N;X370M;X390D/L;X403G/R/K;X404I/M/K;X405S;X416C/Y;X418E/W;X422A;X440G;X441L;X444S/P;及び/又はX445Mの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、K021T;E023M/L;E037C;G052N/F;V066A/F/T;V069C;K073N/P;T077P/M/S;A079R;G080N/H/K;D081N/S;I084L/V;V092I;S119A/G;T121M/L;E134S/Q;M140C/I/Q;L141F/K;T157A;N158A;I164L/T;Y165W/T;R210W/G;D213H;N214G/Y;S218Q/F/A;S221R;G222M/V/C;S233M/P;W235F;D236Q;T243A;V252F;E253K;G274D/K/A;E281D;F290M/V;N302W/S/Q/K;L341M/T;K350C/E;N351E;T352D/N;S370M;S390D/L;Q403G/R/K;Y404M/K;H405S;F416C/Y;R418E/W;Y422A;A440G;Q441L;A444S/P;及び/又はG445Mの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配列番号4の位置20、21、51、67、69、73、77、79、80、81、84、102、119、121、134、140、141、143、156、157、158、165、166、172、192、203、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、252、274、281、290、302、310、321、341、350、351、352、354、370、390、403、404、405、418、422、434、440、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、マルトデキストリンの加水分解の向上を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020P/A/E;X021S/M;X051V/L/K/Y;X067A;X069C;X073P/N;X077P/M;X079C/T;X080K/H;X081N;X084L/V;X102G;X119G;X121M/G/V/P;X134S/Q;X140C/I;X141F;X143G;X156P/C;X157I;X158A;X165W/T;X166G;X172G;X192F;X203W/C/M;X210L/M;X213R;X214A/E;X215D/C/F;X218V/Y/Q;X221R/T;X222M/C;X233M/P/Y;X235Y;X236Q/A;X252F;X274K/A/D;X281D;X290M/V;X302P/K/S/V/Q/W;X310T/Y;X341M;X350I/T;X351V;X352D;X354L/M;X370M;X390E/L/D;X403K/R/G;X404K/M;X405Q/S/Y;X418W/E;X422A;X434S;X440G/H;X444P;及び/又はX445Mの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020P/A/E;K021S/M;A051V/L/K/Y;S067A;V069C;K073P/N;T077P/M;A079C/T;G080K/H;D081N;I084L/V;P102G;S119G;T121M/G/V/P;E134S/Q;M140C/I;L141F;A143G;F156P/C;T157I;N158A;Y165W/T;K166G;V172G;Y192F;D203W/C/M;R210L/M;D213R;N214A/E;S215D/C/F;S218V/Y/Q;S221R/T;G222M/C;S233M/P/Y;W235Y;D236Q/A;V252F;G274K/A/D;E281D;F290M/V;N302P/K/S/V/Q/W;N310T/Y;N321D;L341M;K350I/T;N351V;T352D;V354L/M;S370M;S390E/L/D;Q403K/R/G;Y404K/M;H405Q/S/Y;R418W/E;Y422A;A434S;A440G/H;A444P;及び/又はG445Mの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配列番号4の位置23、51、52、66、67、77、119、121、134、140、141、156、157、165、192、213、221、222、233、236、252、281、290、302、350、352、370、390、403、404、416、及び/若しくは422に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、熱安定性の向上を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X023M;X051Y;X052N;X066A/C/F/M/W;X067C;X077P;X119A;X121M;X134S;X140I/C;X141F;X156C;X157I;X165W/I;X192F;X213R;X221R;X222M;X233M;X236Q;X252F;X281D;X290V;X302H/Q/W/S/K;X350E/C;X352D;X370M;X390L/D;X403R;X404K/M;X416Y;及び/又はX422A/Vの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、E023M;A051Y;G052N;V066A/C/F/M/W;S067C;T077P;S119A;T121M;E134S;M140I/C;L141F;F156C;T157I;Y165W/I;Y192F;D213R;S221R;G222M;S233M;D236Q;V252F;E253F;E281D;F290V;N302H/Q/W/S/K;K350E/C;T352D;S370M;S390L/D;Q403R;Y404K/M;F416Y;及び/又はY422A/Vの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配列番号4の位置49、51、52、66、69、77、80、94、119、134、158、164、165、172、192、213、215、218、222、233、235、236、238、243、253、274、302、338、403、405、416、418、422、430、440、441、444、445、及び/若し
くは449に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼ又はその断片と比較して、重合度(DP)が2以上である糖へのより少ない転換を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X049W;X051Y;X052P;X66P;X069K/C;X077P/M;X080H;X094A/G;X119D;X134W/Q;X158Y;X164T/L;X165W/I;X172G;X192R/F;X213H;X215R;X218K;X222C;X233T/P;X235F;X236A;X238H/S/N;X243P/S;X253K;X274K/A;X302H/F/P/M/Q/T;X338I;X403G;X405Q/S;X416C/Y;X416Y;X418W/E;X422A;X430A/Q;X440L/H;X441W/L;X444L/P;X445Y;及び/又はX449Lの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、S049W;A051Y;G052P;V66P;V069K/C;T077P/M;G080H;F094A/G;S119D;E134W/Q;N158Y;I164T/L;Y165W/I;V172G;Y192R/F;D213H;S215R;S218K;G222C;S233T/P;W235F;D236A;G238H/S/N;T243P/S;E253K;G274K/A;N302H/F/P/M/Q/T;F338I;Q403G;H405Q/S;F416C/Y;F416Y;R418W/E;Y422A;T430A/Q;A440L/H;Q441W/L;A444L/P;G445Y;及び/又はF449Lの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配列番号4の位置21、23、51、52、66、67、79、81、92、119、140、158、164、172、192、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、238、243、253、281、290、302、310、351、352、354、370、403、416、422、430、441、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、グルコースの糖化収率の向上を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X021S/W;X023L;X051Y/K;X052N;X066/A/C/F/M/W;X067M/C/A;X079R;X081S;X092C/M;X119A;X140I;X158A/Y;X164L;X172L/G;X192F;X210W;X213H;X214Y;X215F/C/R;X218H/K/A;X221M/T;X222V;X233T;X235Y/F;X236S/A;X238T/V/M;X243A;X253K;X281P/D;X290V;X302K/Q/H/W;X310V/T;X351V;X352S;X354L;X370R;X403K;X416Y;X422F;X430A;X441L;及び/又はX445Yの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、K021S/W;E023L;A051Y/K;G052N;V066/A/C/F/M/W;S067M/C/A;A079R;D081S;V092C/M;S119A;M140I;N158A/Y;I164L;V172L/G;Y192F;R210W;D213H;N214Y;S215F/C/R;S218H/K/A;S221M/T;G222V;S233T;W235Y/F;D236S/A;G238T/V/M;T243A;E253K;E281P/D;F290V;N302K/Q/H/W;N310V/T;N351V;T352S;V354L;S370R;Q403K;F416Y;Y422F;T430A;Q441L;及び/又はG445Yの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配列番号4の位置20、21、23、37、51、52、66、67、69、73、77、79、80、81、84、92、94、102、119、121、134、140、141、156、157、158、164、165、166、172、192、203、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、238、243、252、253、274、278、281、290、302、310、341、350、351、352、354、370、390、403、404、405、416、418、422、430、440、441、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、i)マルトースの加水分解の向上;ii)パノースの加水分解の向上;iii)プルランの加水分解の向上;iv)可溶性デンプンの加水分解の向上;v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上の2つ以上を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X020A/P;X021M/S/T/W;X023L/M;X037C;X051K/L/V/Y;X052N;X066A/C/F/M/W;X067A/C;X069C;X073N/P;X077M/P/S;X079R/T;X080H/K;X081N/S;X084L/V;X092C/M;X094A/G;X102G;X119A/D/G;X121G/L/M/P;X134Q/S;X140C/I/Q;X141F;X156C/P;X157I;X158A/Y;X164L/T;X165I/T/W;X166G/F/R;X172G;X192F;X203C/W;X210L/M/W;X213H/R;X214A/E/Y;X215C/D/F/R;X218A/K/Q/V/Y;X221M/R/T;X222C/M/V;X233M/P/T/Y;X235F/Y;X236A/Q;X238H/S;X243A;X252F;X253K;X274A/D/K;X278A;X281D;X290M/V;X290V;X302H/K/P/Q/S/V/W;X310T/Y;X341M/T;X350C/E/I;X351E/V;X352D/N/S;X354L/M;X370M;X390D/E/L;X403G/K/R;X404K/M;X405Q/S/Y;X416C/Y;X418E/W;X422A;X430A;X440G/H;X441L;X444L/P;及び/又はX445M/Yの1つ以上を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、S020A/E/P;K021M/S/T/W;E023L/M;E037C;A051K/L/V/Y;G052N;V066A/C/F/M/W;S067A/C;V069C;K073N/P;T077M/P/S;A079R/T;G080H/K;D081N/S;I084L/V;V092C/M;F094A/G;P102G;S119A/D/G;T121G/L/M/P;E134Q/S;M140C/I/Q;L141F;F156C/P;T157I;N158A/Y;I164L/T;Y165I/T/W;K166G/F/R;V172G;Y192F;D203C/W;R210L/M/W;D213H/R;N214A/E/Y;S215C/D/F/R;S218A/K/Q/V/Y;S221M/R/T;G222C/M/V;S233M/P/T/Y;W235F/Y;D236A/Q;G238H/S;T243A;V252F;E253K;G274A/D/K;P278A;E281D;F290M/V;F290V;N302H/K/P/Q/S/V/W;N310T/Y;L341M/T;K350C/E/I;N351E/V;T352D/N/S;V354L/M;S370M;S390D/E/L;Q403G/K/R;Y404K/M;H405Q/S/Y;F416C/Y;R418E/W;Y422A;T430A;A440G/H;Q441L;A444L/P;及び/又はG445M/Yの1つ以上を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、a)X236S及びX281D;b)X215R及びX441W;c)X321D及びX434S;d)X143G及びX434S;e)X079C及びX143G;f)X350T及びX434S;g)X351E及びX403K;h)X052N及びX084L;i)X243P及びX290V;j)X290V及びX350E;k)X302K及びX441W;l)X156C及びX404K;m)X067M及びX404K;n)X052N及びX141F;o)X052N及びX351E;p)X233M及びX445Y;q)X066C及びX233M;r)X218H及びX290V;s)X067M及びX302H;t)X066C及びX119A;u)X243P及びX445Y;v)X192F及びX243P;w)X156C及びX243P;x)X023L及びX066C;y)X023L-X119A;z)X020E及びX192F;aa)X192F及びX310V;bb)X023M及びX302H;cc)X192F及びX416Y;dd)X119A及びX302H;ee)X235Y及びX416Y;ff)X052N及びX404K;gg)X023M及びX449Y;hh)X158A及びX172L;ii)X172L及びX290V;jj)X023M及びX210L;kk)X210L及びX449Y;ll)X157I及びX281D;mm)X164T及びX215R;nn)X140C及びX422V;oo)X119A及びX302K;又はpp)X052N及びX416Yを含む2つ以上のアミノ酸置換を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記2つ以上のアミノ酸置換は、a)D236S及びE281D;b)S215R及びQ441W;c)N321D及びA434S;d)A143G及びA434S;e)A079C及びA143G;f)K350T及びA434S;g)N351E及びQ403K;h)G052N及びI084L;i)T243P及びF290V;j)F290V及びK350E;k)N302K及びQ441W;l)F156C及びY404K;m)S067M及びY404K;n)G052N及びL141F;o)G052N及びN351E;p)S233M及びG445Y;q)A066C及びS233M;r)S218H及びF290V;s)S067M及びN302H;t)A066C及びS119A;u)T243P及びG445Y;v)Y192F及びT243P;w)F156C及びT243P;x)E023L及びA066C;y)E023L及びS119A;z)S020E及びY192F;aa)Y192F及びN310V;bb)E023M及びN302H;cc)Y192F及びF416Y;dd)S119A及びN302H;ee)W235Y及びF416Y;ff)G052N及びY40
4K;gg)E023M及びF449Y;hh)N158A及びV172L;ii)V172L及びF290V;jj)E023M及びR210L;kk)R210L及びF449Y;ll)T157I及びE281D;mm)I164T及びS215R;nn)M140C及びY422V;oo)S119A及びN302K;又はpp)G052N及びF416Yを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、a)X141F、X281D、及びX441W;b)X143G、X321D、及びX434S;c)X321D、X350T、及びX434S;d)X067M、X158A、及びX281D;e)X156C、X192F、及びX403K;f)X052N、X140C、及びX422V;g)X066C、X119A、及びX164T;h)X066C、X233M、及びX445Y;i)X156C、X192F、及びX243P;j)X023L、X066C、及びX119A;k)X023M、X119A、及びX404K;l)X310V、X416Y、及びX445Y;m)X158A、X221R、及びX290V;n)X023M、X052N、及びX404K;o)X081S、X157I、及びX236S;p)X243P、X302K、及びX416Y;q)X140C、X302K、及びX422V;又はr)X052N、X416Y、及びX445Yを含む3つ以上のアミノ酸置換を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記3つ以上アミノ酸置換は、a)L141F、E281D、及びQ441W;b)A143G、N321D、及びA434S;c)N321D、K350T、及びA434S;d)S067M、N158A、及びE281D;e)F156C、Y192F、及びQ403K;f)G052N、M140C、及びY422V;g)A066C、S119A、及びI164T;h)A066C、S233M、及びG445Y;i)F156C、Y192F、及びT243P;j)E023L、A066C、及びS119A;k)E023M、S119A、及びY404K;l)N310V、F416Y、及びG445Y;m)N158A、S221R、及びF290V;n)E023M、G052N、及びY404K;o)D081S、T157I、及びD236S;p)T243P、N302K、及びF416Y;q)M140C、N302K、及びY422V;又はr)G052N、F416Y、及びG445Yを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、a)X215R、X236S、X281D、及びX441W;b)X052N、X084L、X140C、及びX422V;c)X020E、X156C、X192F、及びX243P;d)X023M、X221R、及びX404K;e)X158A、X172L、X221R、及びX290V;f)X140C、X165W、X302K、及びX422V;又はg)X119A、X253F、X310V、及びX403Kを含む4つ以上のアミノ酸置換を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記4つ以上アミノ酸置換は、a)S215R、D236S、E281D、及びQ441W;b)G052N、I084L、M140C、及びY422V;c)S020E、F156C、Y192F、及びT243P;d)E023M、S119A、S221R、及びY404K;e)N158A、V172L、S221R、及びF290V;f)M140C、Y165W、N302K、及びY422V;又はg)S119A、E253F、N310V、及びQ403Kを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、X067M、X157I、X218H、X302H、及びX416Yを含む5つ以上のアミノ酸置換を含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記5つ以上アミノ酸置換は、S067M、T157I、S218H、N302H、及びF416Yを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、i)マルトースの加水分解の向上;ii)パノースの加水分解の向上;iii)プルランの加水分解の向上;iv)可溶性デンプンの糖化のより高いPI(すなわち、可溶性デンプン又はその断片の加水分解の向上);v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上の1つ以上を示す。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記バリアントは、配列番号3、配列番号4の位置a)66、67、及び69;b)102、119、及び121;並びに/若しくはc)143、156、164、192、及び233に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片内の等価の位置にて置換を含む。一部の実施形態において、前記バリアントは、a)X066A/C/F/M/P/T/W、X067A/C/M、及びX069A/C/K;b)X102P/G、X119A/D/G、X121G/L/M/P/V;並びに/又はc)X143G、X156C/P、X164L/T、X192F/R、及びX233M/PT/Yを含むアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、前記バリアントは、a)V066A/C/F/M/P/T/W、S067A/C/M、及びV069A/C/K;b)S102P/G、S119A/D/G、T121G/L/M/P/V;並びに/又はc)A143G、F156C/P、I164L/T、Y192F/R、及びS233M/PT/Yを含むアミノ酸置換を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、グルコアミラーゼバリアントはさらに、配列番号4の位置66及び/若しくは102、並びに/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応する1つ以上の残基位置にてアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、X066A/C/F/M/P/T/W及び/又はX102P/Gを含み、Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である。一部の実施形態において、前記1つ以上のアミノ酸置換は、V066A/C/F/M/P/T/W及び/又はS102P/Gを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、グルコアミラーゼバリアントは、配列番号4の位置N075及び/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にてN結合グリコシル化を含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、グルコアミラーゼバリアントはさらに、配列番号4の位置81、83、153、370、若しくは372に対応する残基位置及び/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にて1つ以上のアミノ酸置換を含み、前記バリアントグルコアミラーゼは、当該置換の1つ以上を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、グリコシル化の増大及び熱安定性の増大を示す。一部の実施形態において、前記1つ以上の置換は、位置D81N、K83T、A153T、S370N、及び/又はA372Sにて1つ以上の置換を含む。
【0011】
他の態様において、本明細書中で提供されるのは、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドである。
【0012】
別の態様において、本明細書中で提供されるのは、本明細書中で開示されるポリヌクレオチドのいずれかを含むベクターである。
【0013】
更なる態様において、本明細書中で提供されるのは、本明細書中で開示されるポリヌクレオチドのいずれか、又は本明細書中で開示されるベクターのいずれかを含む宿主細胞である。一部の実施形態において、宿主細胞は、細菌宿主細胞又は真菌宿主細胞である。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、宿主細胞は、アスペルギルス(Aspergillus)属種、バチルス(Bacillus)属種、トリコデルマ(Trichoderma)属種、ピキア(Pichia)属種、マイセリオフトラ(Myceliophthora)属種、又はサッカロマイセス(Saccharomyces)属種である。
【0014】
他の態様において、本明細書中で提供されるのは、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントのいずれかを含む酵素組成物である。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記組成物は、デンプン転化プロセスに用いられる。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記組成物は、動物飼料製剤に用いられる。本明細書で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記組成物は、アルコール発酵プロセスに用いられる。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、前記組成物は、発酵飲料を製造するためのプロセスに用いられる。
【0015】
更なる追加の態様において、本明細書中で提供されるのは、宿主細胞においてバリアントグルコアミラーゼを生成する方法であって、a)本明細書中で開示されるベクターのいずれかにより形質転換した宿主細胞を、培養培地中で、前記グルコアミラーゼバリアントの生成に適した条件の下で培養することと;b)前記バリアントを生成することとを含む方法である。一部の実施形態において、方法はさらに、前記培養培地からグルコアミラーゼバリアントを回収することを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、宿主細胞は、細菌宿主細胞又は真菌宿主細胞である。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、宿主細胞は、アスペルギルス(Aspergillus)属種、バチルス(Bacillus)属種、トリコデルマ(Trichoderma)属種、ピキア(Pichia)属種、マイセリオフトラ(Myceliophthora)属種、又はサッカロマイセス(Saccharomyces)属種である。
【0016】
別の態様において、本明細書中で提供されるのは、デンプンを含む組成物を糖化して、グルコースを含む組成物を生成する方法であって: a)デンプン組成物を、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントポリペプチドのいずれかと接触させることと;b)デンプン組成物を糖化して、前記グルコース組成物を生成することとを含む方法である。一部の実施形態において、デンプンを含む前記組成物は、液化デンプン、ゼラチン化デンプン、又は顆粒状デンプンを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、当該方法はさらに、c)デンプン組成物をアルファ-アミラーゼと接触させることを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、当該方法はさらに、d)デンプン組成物をプルラナーゼと接触させることを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、当該方法はさらに、e)グルコース組成物を発酵させて、発酵産物を生成することを含む。一部の実施形態において、発酵産物はアルコールである。一部の実施形態において、アルコールは、エタノール又はブタノールである。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、当該方法はさらに、f)追加のグルコアミラーゼ、ヘキソキナーゼ、キシラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、キシロースイソメラーゼ、ホスファターゼ、フィターゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、β-アミラーゼ、追加のα-アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、トレハラーゼ、イソアミラーゼ、酸化還元酵素、エステラーゼ、トランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、リアーゼ、ヒドロラーゼ、又はそれらの組合せの1つ以上を、前記デンプン組成物に加えることを含む。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の実施形態において、発酵は、同時糖化発酵(SSF)反応である。
【0017】
本明細書中に記載される態様及び実施形態は各々、その実施形態又は態様の状況から明示的又は明確に排除されない限り、一緒に用いることができる。
【0018】
本明細書の全体を通して、種々の特許、特許出願、及び他のタイプの刊行物(例えば、学術論文、電子データベース入力等)が参照される。本明細書中で引用される全ての特許、特許出願、及び他の刊行物の開示は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ケカビ(Mucorales)目分岐群グルコアミラーゼの多重アミノ酸配列アラインメントを示す。
【0020】
【
図2】予測される成熟ケカビ(Mucorales)目分岐群グルコアミラーゼ及び他の真菌グルコアミラーゼの系統図を示す。
【0021】
【
図3】SvaGA1v2について決定したX線回折構造に基づくAsn75グリコシル化の部位にて示される電子密度(2fo-fc)の画像を示す。
【0022】
【
図4】SvaGA1v2について決定したX線回折構造に基づく、残基Asn75のグリカン鎖の、タンパク質との相互作用の画像を示す。水素結合相互作用(<3.3Å)を破線により示す。
【0023】
【
図5】濃い灰色で強調するのは、SvaGA1v2について決定したX線回折構造に基づく、保存Asp63側鎖、並びに位置66、67、及び69の性能向上変異を含有するヘリックスである画像を示す。
【0024】
【
図6】黒色で強調するのは、SvaGA1v2について決定したX線回折構造に基づく、残基100~129のループ、予想される一般的な酸残基、保存Asp側鎖、及び性能向上変異のアミノ酸位置である画像を示す。
【0025】
【
図7】SvaGA1v2について決定したX線回折構造に基づいて、残基Asn75のグリカン鎖と会合した4つのヘリックス束を、濃い灰色で強調している一方、いくつかの性能向上変異のアミノ酸位置を、黒色の球体で示す画像を示す。Asn75グリカンを、黒色に着色した棒モデルで示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、組換え宿主細胞、グルコアミラーゼを含む組成物、及びグルコアミラーゼを用いてデンプン基質を糖化する方法に関する。さらに、本開示はまた、発酵産物を生成するプロセス及び動物におけるデンプン消化率を増大させる方法、並びに発酵飲料を製造する方法に関する。
【0027】
I.定義
本組成物及び方法を詳細に説明する前に、以下の用語及び略語を定義する。
【0028】
別段の定義がされてない限り、用いられる全ての技術用語及び科学用語は、関連する科学分野における通常の意味を有する。Singleton,et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2d Ed.,John Wiley and Sons,New York(1994)及びHale&Markham,Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)は、本発明を説明する用語の多くの通常の意味を提供する。
【0029】
用語「グルコアミラーゼ(1,4-アルファ-D-グルカングルコヒドロラーゼ、EC3.2.1.3)活性」は、本明細書中で、デンプン又は関連するオリゴ糖分子及び多糖分子の非還元末端からのD-グルコースの放出を触媒する酵素活性として定義される。
【0030】
本明細書中で用いられる用語「グルコアミラーゼバリアント」は、所定の親グルコアミラーゼアミノ酸配列において少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個)のアミノ酸置換を有する、天然に存在しないグルコアミラーゼを意味する。
【0031】
ポリペプチド(グルコアミラーゼ等)に関連する用語「野生型」は、1つ以上のアミノ酸位置にて人為的な置換、挿入、又は欠失を含まない、天然に存在するポリペプチドを指す。しかしながら、別の実施形態において、野生型グルコアミラーゼの非限定の例として、配列番号4~37が挙げられる。
【0032】
用語、ポリペプチド(グルコアミラーゼ等)に関連する「親」、「親の」、又は「参照」は、野生型ポリペプチドを指し得、又は1つ以上のアミノ酸置換が導入されたポリペプチドであって、その後、更なるアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個のアミノ酸置換)を有したポリペプチドの性能特性を比較するために参照として用いられる、1つ以上のアミノ酸置換が導入されたポリペプチドを指し得る。一部の実施形態において、親ポリペプチドは、配列番号2、3、5、又は6である。他の実施形態において、親ポリペプチドは、配列番号4~37である。
【0033】
用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」と同義語であり、互換的に用いられる。そのようなアミノ酸配列は、活性を示す場合、「酵素」と呼ばれ得る。アミノ酸残基について従来の1文字コード又は3文字コードが用いられ、アミノ酸配列は、標準のアミノからカルボキシ末端方向(すなわち、N→C)で表される。
【0034】
用語「成熟ポリペプチド」は、本明細書中で、翻訳及び任意の翻訳後修飾(N末端プロセシング、C末端トランケーション、グリコシル化、リン酸化等)後のその最終形態にあるポリペプチドと定義される。一態様において、予測される成熟ポリペプチドは、SignalPソフトウェアバージョン4.0(Nordahl Petersen et al.(2011)Nature Methods 8:785-786)の分析に基づく配列番号4である。別の態様において、成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置20~468を含む。別の態様において、成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置21~468を含む。別の態様において、成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置22~468を含む。別の態様において、成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置23~468を含む。別の態様において、成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置24~468を含む。別の態様において、成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置25~468を含む。
【0035】
「シグナル配列」又は「シグナルペプチド」は、細胞の外部へのタンパク質の分泌を促進する、タンパク質のN末端部分に付着しているアミノ酸の配列である。細胞外タンパク質の成熟形態は、分泌プロセス中に切断して除かれるシグナル配列が欠如している。一部の実施形態において、配列番号34は、シグナルペプチドである。他の実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置1~20を含む。他の実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置1~21を含む。他の実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置1~22を含む。他の実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置1~23を含む。他の実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置1~24を含む。
【0036】
用語「核酸」又は「ポリヌクレオチド」は、ポリペプチドをコードすることができるDNA、RNA、ヘテロ二本鎖、及び合成分子を包含するのに交換可能に用いることができる。核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、化学的に修飾されていてもよい。遺伝暗号が縮重しているため、特定のアミノ酸をコードするために2つ以上のコドンを使用することができ、本発明の組成物及び方法は、特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を包含する。特に明記しない限り、核酸配列は、5’-から-3’の方向に表示される。
【0037】
用語「コード配列」は、ポリヌクレオチド配列であって、当該ポリヌクレオチド配列のタンパク質産物のアミノ酸配列を直接指定するポリヌクレオチド配列を意味する。コード配列の境界は、一般に、オープンリーディングフレームによって決定され、当該オープンリーディングフレームは、通常、ATG開始コドン又は代替開始コドン(GTG及びTTG等)で始まり、そして終止コドン(TAA、TAG、及びTGA等)で終わる。コード配列は、DNA、cDNA、合成ヌクレオチド配列、又は組換えヌクレオチド配列であり得る。
【0038】
用語「cDNA」は、本明細書中で、真核細胞から得られるスプライシングされた成熟mRNA分子から逆転写によって調製することができるDNA分子として定義される。cDNAは、対応するゲノムDNA中に存在し得るイントロン配列を欠いている。初期の一次RNA転写産物は、スプライシングされた成熟mRNAとして現れる前の一連の工程を通してプロセシングされるmRNAの前駆体である。これらの工程には、スプライシングと呼ばれるプロセスによるイントロン配列の除去が含まれる。したがって、mRNA由来のcDNAは、いかなるイントロン配列も欠いている。
【0039】
「合成」分子は、生物によってではなくインビトロ化学合成又は酵素合成によって生成される。
【0040】
「宿主株」又は「宿主細胞」とは、関心対象のポリペプチド(例えばグルコアミラーゼ)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、ファージ、ウイルス、又は他のDNA構築物が導入された生物である。例示的な宿主株は、関心対象のポリペプチドを発現し、且つ/又は糖を発酵させることができる微生物細胞(例えば、細菌、糸状菌、及び酵母)である。用語「宿主細胞」は、細胞から作出されたプロトプラストを含む。
【0041】
本明細書中で用いられる用語「グリコシル化」は、グリカンの、分子、例えばタンパク質、例えばバリアントグルコアミラーゼへの付着を指す。グリコシル化は、酵素反応であり得る。形成された付着は、共有結合を介したものであり得る。フレーズ「高度にグリコシル化された」は、多くの部位において、そして全て又はほぼ全ての利用可能なグリコシル化部位、例えばN結合グリコシル化部位にてグリコシル化されている酵素等の分子を指す。代わりに、又は加えて、フレーズ「高度にグリコシル化された」は、全て又は実質的に全てのN結合グリコシル化部位にて広範な解糖分岐(特定のN結合グリコシル化部位と会合した解糖部分のサイズ及び数等)を指し得る。一部の実施形態において、操作されたグルコアミラーゼポリペプチドは、全て又は実質的に全てのコンセンサスN結合グリコシル化部位(すなわち、NXS/TコンセンサスN結合グリコシル化部位(Xは、プロリン以外のあらゆるアミノ酸である))にてグリコシル化されている。グルコアミラーゼは、種々の程度のグリコシル化を有し得る。そのようなグリコシル化は、貯蔵中及び使用中の安定性を向上させ得ることが知られている。更なる実施形態において、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個以上)のコンセンサスN結合グリコシル化部位(すなわち、NXS/TコンセンサスN結合グリコシル化部位(Xは、プロリン以外のあらゆるアミノ酸である))は、例えば、限定されないが、熱安定性、活性、又は糖化収率を向上させるといった、グルコアミラーゼの1つ以上の性質を向上させるために、グルコアミラーゼ(バリアントグルコアミラーゼ等)中に導入することができる。
【0042】
本明細書中で用いられる用語「グリカン」は、多糖若しくはオリゴ糖、又は糖タンパク質等の複合糖質の炭水化物部分を指す。グリカンは、単糖残基のホモポリマー又はヘテロポリマーであり得る。それらは、直鎖分子又は分岐分子であり得る。
【0043】
用語「発現」は、核酸配列に基づいてポリペプチドが生成されるプロセスを指す。当該プロセスは、転写及び翻訳の双方を含む。
【0044】
用語「ベクター」は、核酸を1種以上の細胞型中に導入するように設計されたポリヌクレオチド配列を指す。ベクターとして、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージ粒子、カセット等が挙げられる。
【0045】
「発現ベクター」は、適切な宿主中でDNAの発現を生じさせることができる適切な制御配列にコード配列が作動可能に連結されている関心対象のポリペプチドをコードするDNA配列を含むDNA構築物を指す。そのような制御配列として、転写を生じさせるプロモータ、転写を制御する任意選択のオペレータ配列、mRNA上の適切なリボソーム結合部位をコードする配列、エンハンサ、並びに転写及び翻訳の終了を制御する配列が挙げられ得る。
【0046】
用語「制御配列」は、本明細書中で、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現に必要な全ての構成要素を含むものであると定義される。各制御配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対して在来若しくは外来であり得るか、又は互いに在来若しくは外来であり得る。そのような制御配列として、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモータ、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネータが挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも、制御配列として、プロモータ、並びに転写停止シグナル及び翻訳停止シグナルが挙げられる。制御配列には、制御配列の、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード領域とのライゲーションを促進する特定の制限部位を導入する目的で、リンカーが提供され得る。
【0047】
用語「作動可能に連結された」は、特定の構成要素が、意図されるように機能することを許容する関係(並列が挙げられるが、これに限定されない)にあることを意味する。例えば、調節配列は、コード配列に、コード配列の発現が調節配列の制御下にあるように作動可能に連結されている。
【0048】
用語「配列モチーフ」は、幅広く広がっており、且つ生物学的有意性を有することが証明されているか、又は推定されるヌクレオチド配列パターン又はアミノ酸配列パターンである。本発明では、配列モチーフは、ケカビ(Mucorales)目分岐群グルコアミラーゼ内で特定されたアミノ酸配列モチーフである。
【0049】
「生物学的に活性な」は、酵素活性等の特定の生物活性を有する配列を指す。
【0050】
用語「比活性」は、特定の条件下で、単位時間あたりで酵素又は酵素調製物によって生成物に変換させることのできる基質のモル数を指す。比活性は、一般に、単位数(U)/タンパク質mgとして表される。
【0051】
本明細書中で用いられる用語「配列同一性」は、2つのポリペプチド配列間又は2つの核酸配列間の配列同一性のパーセンテージを指す。2つのアミノ酸配列の、又は2つの核酸配列の同一性パーセントを判定するために、配列は、最適な比較を目的にアラインされる(例えば、ギャップを、第1のアミノ酸配列又は核酸配列内に、第2のアミノ酸配列又は核酸配列との最適なアラインメントのために導入することができる)。続いて、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置のアミノ酸残基又はヌクレオチドが比較される。第1の配列内の位置が、第2の配列内の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占有される場合、分子は、当該位置にて同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、当該配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一の重なり合う位置の数/位置の総数×100%)。一実施形態において、2つの配列は、同じ長さである。また、2つの配列間の同一性パーセントの判定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列の比較に利用される数学アルゴリズムの好ましい非限定の例が、Karlin and Altschul,1990,Proc. Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:2264-2268のアルゴリズム(Karlin and Altschul,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873-5877におけるように改変)である。そのようなアルゴリズムは、Altschul et al.,1990,J.Mol. Biol.215:403のNBLAST及びXBLASTプログラム中に組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索を、例えば、スコア=100、ワード長=12に設定したNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータにより実行して、本出願の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、例えば、スコア-50、ワード長=3に設定したXBLASTプログラムパラメータにより実行して、本明細書中に記載されるタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較を目的にギャップ入りアラインメントを得るために、Gapped BLASTを、Altschul,et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-3402に記載されるように利用することができる。これ以外にも、PSI-BLASTを用いて、分子間の距離関係(Id.)を検出する繰返し検索を実行することができる。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムの(例えば、XBLAST及びNBLASTの)デフォルトパラメータを用いることができる(例えば、NCBIウェブサイトを参照)。配列の比較に利用される数学アルゴリズムの別の好ましい非限定の例として、Myers and Miller,1988,CABIOS 4:11-17のアルゴリズムがある。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)内に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するのにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み残基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を用いることができる。タンパク質配列の多重アラインメントを作成するのに用いることができる別のコンピュータプログラムとして、MUSCLEがある。MUSCLEアルゴリズムの要素として、kマーカウンティングを用いるファストディスタンス推定、対数期待スコアと言われる新しいプロファイル関数を用いるプログレッシブアラインメント、及びツリー依存性制限パーティショニングを用いるリファインメントが挙げられる。このプログラムは、MUSCLE: Nucleic Acids Res.32:1792-1797中で公開されるRobert C.Edgar(2004)による、高精度且つ高スループットの多重配列アラインメント に記載されている。2つの配列間の同一性パーセントを、ギャップを許容する、又はしない、上述のものに類似した技術を用いて判定することができる。同一性パーセントを算出する際に、典型的には、完全一致のみをカウントする。
【0052】
用語「相同配列」は、本明細書中で、グルコアミラーゼ、例えば配列番号4のグルコアミラーゼによるtfastyサーチ(Pearson,W.R.,1999,Bioinformatics Methods and Protocols,S.Misener and S.A.Krawetz,ed.,pp.185-219)において、E値(又は期待スコア)が0.001未満である予測タンパク質と定義される。
【0053】
本明細書中で用いられる「等価の位置」は、親グルコアミラーゼのアミノ酸配列の、グルコアミラーゼバリアントとのアラインメント、及び親グルコアミラーゼの三次元構造の、三次元空間のバリアントグルコアミラーゼのものとのアラインメントに基づく、2つのアミノ酸配列に共通である位置を意味する。
【0054】
アミノ酸残基の位置に関連して本明細書中で用いられる「に対応している」又は「に対応する」又は「対応する」は、タンパク質若しくはペプチド中の列挙される位置のアミノ酸残基、又はタンパク質若しくはペプチド中の列挙される残基と類似の、相同の、若しくは等価のアミノ酸残基を指す。本明細書中で用いられる「対応する領域」は、一般に、関連タンパク質又は参照タンパク質における類似の位置を指す。
【0055】
本明細書中で用いられる「性能指数」又は「PI」は、親分子と比較した、酵素の単位あたりの計算された活性を指す。本明細書中で開示される実施形態のいずれかの一部の態様において、性能指数の計算に用いられる親分子は、グルコアミラーゼである。一部の実施形態において、親分子は、定義によって、性能指数が1である。他の実施形態において、1を超える性能指数(PI>1.0)は、親分子と比較した、グルコアミラーゼバリアントの活性の向上を示す。
【0056】
本明細書中で用いられる「転換糖」は、(本明細書中で「転換」と定義されるプロセスにおいて)単糖が、触媒(例えば酸)の存在下で、別の単糖(時折、二糖)と縮合して、オリゴ糖、例えば、(主に)二糖又は(稀に)三糖を形成する場合に形成される糖である。結果として、多くの場合、転換糖は、元々のデンプン組成物内に存在しない結合リンケージを有する。転換糖の例として、例えば、キシロビオース((1,1)、(1,2)、(1,3)、及び(1,4)-結合キシロビオースのα形態及びβ形態の双方)、O-α-D-キシロピラノシル-α-D-キシロピラノシド、3-O-α-D-キシロピラノシル-D-キシロース、2-O-α-D-キシロピラノシル-D-キシロース、4-O-α-D-キシロピラノシル-D-キシロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、1,6-アンヒドロ-β-D-グルコフラノース、コージビオース、ソホロース、ニゲロース、ラミナラビオース(laminarabiose)、及びそれらのあらゆる組合せが挙げられる。転換糖は典型的に非発酵性であるので、糖化反応の廃棄物と考えられる。
【0057】
フレーズ「同時糖化発酵(SSF)」は、微生物、例えばエタノール生産微生物、及び少なくとも1種の酵素、例えばアミラーゼが、同じプロセス工程中に存在する、生化学物質の生成におけるプロセスを指す。SSFとして、同じ反応容器内での、(粒状、液化、又は可溶化)デンプン基質の、グルコースが挙げられる糖への同時性の加水分解、及び糖の、アルコール又は他の生化学物質若しくは生体物質への発酵が挙げられる。
【0058】
「スラリー」とは、水中に不溶性デンプン顆粒を含有する水性混合物である。
【0059】
用語「総糖含量」は、単糖、オリゴ糖、及び多糖が挙げられるデンプン組成物中に存在する総可溶性糖含量を指す。
【0060】
用語「乾燥固体」(ds)は、水中に溶解した乾燥固体、水中に分散した乾燥固体、又は双方の組合せを指す。ゆえに、乾燥固体として、顆粒状デンプン、及びその加水分解生成物(グルコースが挙げられる)が挙げられる。
【0061】
用語「高DS」は、乾燥固体含量が38%(wt/wt)を超える水性デンプンスラリーを指す。
【0062】
「重合度(DP)」は、所定の糖中のアンヒドログルコピラノース単位数(n)を指す。DP1の例として、グルコース及びフルクトース等の単糖がある。DP2の例として、マルトース及びスクロース等の二糖がある。DP4+(>DP3)は、重合度が3を超えるポリマーを意味する。
【0063】
用語「接触」は、基質に作用する酵素又は基質を発酵させる発酵生物等の、期待される結果に影響を及ぼすほど十分に近接した、参照される構成要素(酵素、基質、及び発酵生物が挙げられるが、これらに限定されない)の配置を指す。
【0064】
本明細書中で用いられる用語「酵母細胞」、「酵母菌株」、又は単純に「酵母」は、子嚢菌(Ascomycota)門及び担子菌(Basidiomycota)門由来の生物を指す。例示的な酵母は、サッカロマイセス(Saccharomycetales)目由来の出芽酵母である。酵母の特定の例として、サッカロマイセス(Saccharomyces)属種があり、S.セレビシエ(S.cerevisiae)が挙げられるがこれに限定されない。酵母として、燃料アルコールの生成に用いられる生物、及び飲料アルコールの生成に用いられる生物が挙げられ、特徴的なテイストのビール、ワイン、及びその他の発酵飲料を製造するのに用いられる特殊且つ自社所有の酵母菌株が挙げられる。
【0065】
「エタノール生産微生物」は、糖又は他の炭水化物をエタノールに変換させる能力を備える微生物を指す。
【0066】
用語「生化学物質」は、クエン酸、乳酸、コハク酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコノデルタ-ラクトン、エリトルビン酸ナトリウム、オメガ3脂肪酸、ブタノール、イソ-ブタノール、アミノ酸、リシン、イタコン酸、他の有機酸、1,3-プロパンジオール、ビタミン、若しくはイソプレン、又は他の生体材料等の微生物の代謝産物を指す。
【0067】
脱分岐酵素(E.C.3.2.1.41、プルラン6-グルカノヒドロラーゼ)とも呼ばれる用語「プルラナーゼ」は、アミロペクチン分子中のアルファ1-6グルコシド結合を加水分解することができる。
【0068】
本明細書中で、ある特定の範囲が、用語「約」によって先行される数値により示される。用語「約」は、本明細書中で、これが先行する正確な数、並びに当該用語が先行する数に近いか、又は近似する数についての文字通りの支持(literal support)を提供するのに用いられる。ある数が、具体的に列挙された数に近い数又は近似的な数であるかの判定では、列挙されていない近い数又は近似的な数は、これが示されている文脈において、具体的に列挙される数の実質的な均等物を提供する数であり得る。例えば、ある数値に関して、用語「約」は、当該用語が文脈において別途明確に定義されていない限り、当該数値の-15%~+15%の範囲を指す。
【0069】
本明細書で用いられる単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈において特に明示的に示されていない限り、複数の指示対象を含む。
【0070】
特許請求の範囲は、任意選択のいかなる要素も排除するように記載され得ることにもさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素を列挙するか、又は「消極的な」限定を用いる状況において、「唯一の(solely)」、「のみ(only)」等の排他的な術語の使用の先行詞(antecedent basis)としての役目を果たすことが意図されている。
【0071】
用語「を含む(comprising)」及びその同種の語は、その包括的な意味で用いられる。すなわち、用語「を含む(including)」及びその対応する同種の語と等価である。さらに、本明細書中で用いられる用語「を含む」は、用語「を含む」の前の構成要素を含むが、これに限定されないことを意味することに留意されたい。用語「を含む」の前の構成要素は、必要とされるか、又は必須であるが、当該構成要素を含む組成物は、他の非必須又は任意選択の構成要素をさらに含み得る。
【0072】
本明細書中で用いられる用語「から本質的になる」は、当該用語の前の構成要素が、総組成物の30重量%未満の総量で、他の知られている構成要素の存在下にあり、そして当該構成要素の作用又は活性に寄与も干渉もしない組成物を指すことにも留意されたい。
【0073】
本明細書中で用いられる用語「からなる」は、用語「からなる」の前の構成要素を含み、且つこれに限定されることを意味することにも留意されたい。したがって、用語「からなる」の前の構成要素は、必要とされるか、又は必須であり、且つ他の構成要素は、その組成物中に存在しない。
【0074】
本明細書の全体を通して示される個々の上限のあらゆる数値は、より低い数値の全ての限界を、そのようなより低い数値の限界が、本明細書中に明示されているかの如く含むことが意図されている。本明細書の全体を通して示される個々の下限のあらゆる数値は、より高い数値の全ての限界を、そのようなより高い数値の限界が、本明細書中に明示されているかの如く含む。本明細書の全体を通して示される全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭い全ての数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が、本明細書中に全て明示されているかの如く含む。
【0075】
本明細書において別途定義されない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0076】
本明細書の全体を通して、用語の他の定義が出現する場合がある。
【0077】
II.グルコアミラーゼ活性を有するバリアントポリペプチド
第1の態様において、本発明は、グルコアミラーゼ活性を有し、且つ少なくとも1つのアミノ酸置換(例えば、表1に示される置換のいずれか)を有する、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、又は37のポリペプチドとの好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、そしてさらには少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むバリアントポリペプチドに関する。別の態様において、本明細書中で提供されるのは、配列番号2のアミノ酸位置20~468、配列番号2のアミノ酸位置21~468、配列番号2のアミノ酸位置22~468、配列番号2のアミノ酸位置23~468、アミノ酸配列2のアミノ酸位置24~468、又は配列番号2のアミノ酸位置25~468を含むポリペプチドとの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、そしてさらには少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0078】
一部の実施形態において、バリアントポリペプチドは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、又は37のポリペプチドとの少なくとも60%且つ100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸位置20~468、配列番号2のアミノ酸位置21~468、配列番号2のアミノ酸位置22~468、配列番号2のアミノ酸位置23~468、配列番号2のアミノ酸位置24~468、又は配列番号2のアミノ酸位置25~468を含むポリペプチドとの少なくとも60%且つ100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、天然に存在しない(すなわち、自然界に発生せず、且つ人間の独創性の産物である)。
【0079】
一部の実施形態において、本発明のグルコアミラーゼバリアントポリペプチドは、配列番号2のポリペプチド、配列番号3のポリペプチド、配列番号4のポリペプチド、配列番号5~37のポリペプチドのいずれか1つ、配列番号2のアミノ酸位置20~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置21~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置22~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置23~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置24~468を含むポリペプチド、又は配列番号2のアミノ酸位置25~468を含むポリペプチドと、10個以下のアミノ酸、9つ以下のアミノ酸、8つ以下のアミノ酸、7つ以下のアミノ酸、6つ以下のアミノ酸、5つ以下のアミノ酸、4つ以下のアミノ酸、3つ以下のアミノ酸、2つ以下のアミノ酸、そしてさらに1つ以下のアミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む相同ポリペプチドである。
【0080】
一部の実施形態において、本発明のバリアントポリペプチドは、ClustalX Hypertext Transfer Protocol Secure://world wide web.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17846036によって予測された、配列番号4のアミノ酸18~449を含む触媒領域である。
【0081】
一部の実施形態において、本発明のポリペプチドは、プルラン及び/又はパノース及び/又はマルトデキストリン加水分解活性を有する。
【0082】
別の態様において、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、一部の実施形態において、配列番号2のアミノ酸配列、配列番号3のアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸配列、配列番号5~37のアミノ酸配列のいずれか1つ、配列番号2のアミノ酸位置20~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置21~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置22~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置23~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置24~468を含むポリペプチド、又は配列番号2のアミノ酸位置25~468を含むポリペプチドと比較して、1つ又はいくつかのアミノ酸残基の保存的置換を含み得る。典型的な保存的アミノ酸置換が、以下に列挙される。保存的置換(すなわち、変異)は、遺伝子操作によって作製され得るものもあるが、他の手段によって合成アミノ酸をポリペプチド中に導入することによって作製されるものもある。
【0083】
一部の実施形態において、本発明のポリペプチドは、グルコアミラーゼ活性を有する、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、若しくは37のポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置20~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置21~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置22~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置23~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置24~468を含むポリペプチド、若しくは配列番号2のアミノ酸位置25~468を含むポリペプチド、又はその断片のバリアントである。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、若しくは37のアミノ酸配列、又はその相同配列と比較して、1つ以上のアミノ酸残基の欠失、置換(例えば、表1に示すアミノ酸置換のいずれか)、挿入、又は付加を含み得る。全ての場合において、表現「1つ以上のアミノ酸残基」は、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、又は50個以上、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個、又はそれを超えるアミノ酸残基を指す。配列番号2のポリペプチド、配列番号3のポリペプチド、配列番号4のポリペプチド、配列番号5~37のポリペプチドのいずれか1つ、配列番号2のアミノ酸位置20~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置21~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置22~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置23~468を含むポリペプチド、配列番号2のアミノ酸位置24~468を含むポリペプチド、又は配列番号2のアミノ酸位置25~468を含むポリペプチドのアミノ酸置換(例えば、表1に示すアミノ酸置換のいずれか)、欠失、及び/又は挿入は、多くとも50個、多くとも40個、多くとも30個、多くとも20個、多くとも19個、多くとも18個、多くとも17個、多くとも16個、多くとも15個、多くとも14個、多くとも13個、多くとも12個、多くとも11個、多くとも10個、多くとも9つ、多くとも8つ、多くとも7つ、多くとも6つ、多くとも5つ、多くとも4つ、多くとも3つ、多くとも2つ、そしてさらに多くとも1つであり得る。
【0084】
一部の実施形態において、バリアント変更は、配列番号4のポリペプチドの位置102に対応する位置での、又は配列番号5~37のいずれか1つの対応する位置での置換を含むか、又はこれからなる。一部の実施形態において、配列番号4のポリペプチドの位置102に対応する位置の、又は配列番号5~37のいずれか1つの対応する位置のアミノ酸は、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Leu、Ile、Lys、Met、Phe、Pro、Thr、Trp、Tyr、又はValにより置換されている。一部の実施形態において、バリアント変更は、配列番号4のポリペプチドの、又は配列番号5~37のいずれか1つの対応する位置での置換S102Pを含むか、又はこれからなる。更なる実施形態において、バリアントは、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、又はこれからなる。
【0085】
一部の実施形態において、バリアント変更は、配列番号4のポリペプチドの位置66に対応する位置での、又は配列番号2~37のいずれか1つの対応する位置での置換を含むか、又はこれからなる。一部の実施形態において、配列番号4のポリペプチドの位置66に対応する位置の、又は配列番号2~37のいずれか1つの対応する位置のアミノ酸は、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Leu、Ile、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、又はTyrにより置換されている。一部の実施形態において、バリアント変更は、配列番号4のポリペプチドの、又は配列番号2~37のいずれか1つの対応する位置での置換V66Aを含むか、又はこれからなる。
【0086】
別の実施形態において、バリアント変更は、配列番号4のポリペプチドの位置66及び位置102に対応する位置での、又は配列番号2~37のいずれか1つの対応する位置での置換を含むか、又はこれからなる。一部の実施形態において、バリアント変更は、配列番号4のポリペプチドの、又は配列番号2~37のいずれか1つの対応する位置での置換V66A及びS102Pを含むか、又はこれからなる。
【0087】
これ以外にも、アミノ酸変化は、ポリペプチドの物理化学的特性が変更されるような性質のものである。例えば、アミノ酸変化は、ポリペプチドの熱安定性を向上させ得る、基質特異性を変更させ得る、最適pHを変化させ得る等である。
【0088】
一実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、1つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、より大きな範囲(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、又はそれを超える%のいずれか(これらのパーセンテージの間に入る値を含む)だけ大きな範囲)まで二糖(例えばマルトース)を加水分解することができる。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置20、21、51、66、79、80、92、102、121、140、143、157、158、165、166、192、203、210、213、214、215、221、222、233、235、236、238、243、252、274、278、281、290、302、310、321、341、350、352、354、370、390、403、404、405、418、440、441、及び/若しくは444に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、又は48個のアミノ酸置換のいずれか)を有し得る。特定の位置での1つ以上の置換は、X020A/P;X021S;X051L/V;X066A/C/F/M/P/T/W;X079C/T;X080K;X092M;X102G;X121G/P/M;X140I/C;X140C;X143G;X157I;X158A;X165W;X166G/R/F;X192F;X203W;X210L;X213R;X214A/E;X215D/C/F;X221R/T/M;X222M/C;X233M/Y/P;X235Y;X236A/Q;X238S/H;X243E/V;X252C/F;X274A;X278A;X281D;X290M/V;X302K/V/P/S/W;X310T/Y;X321D;X341M;X350I/T;X352D;X354L/M;X370M;X390E;X403G/R;X404K;X405Q/S/Y;X418W/E;X440G/H;X441S;及び/若しくはX444L(Xは、親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)の1つ以上、又はS020A/P;K021S;A051L/V;V066A/C/F/M/P/T/W;A079C/T;G080K;V092M;P102G;T121G/P/M;M140I/C;M140C;T157I;N158A;Y165W;K166G/R/F;Y192F;D203W;R210L;D213R;N214A/E;S215D/C/F;S221R/T/M;G222M/C;S233M/Y/P;W235Y;D236A/Q;G238S/H;T243E/V;V252C/F;G274A;P278A;E281D;F290M/V;N302K/V/P/S/W;N310T/Y;L341M;K350I;T352D;V354L/M;S370M;S390E;Q403G/R;Y404K;H405Q/S/Y;R418W/E;A440G/H;Q441S;及び/若しくはA444Lの1つ以上を含み得る。当該技術において知られているあらゆるアッセイを用いて、二糖(例えばマルトース)の加水分解を判定することができ、実施例のセクションに記載されるアッセイが挙げられる。
【0089】
更なる実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、1つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、より大きな範囲(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、又はそれを超える%のいずれか(これらのパーセンテージの間に入る値を含む)だけ大きな範囲)までパノースを加水分解することができる。パノースは、デンプン分解酵素の活性の特性を表すのを助力するのに基質として一般的に用いられる、アルファ-1,6グリコシド結合によってグルコース分子に結合したマルトース分子を構成する三糖である。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置20、21、23、37、51、52、67、69、73、77、79、80、81、84、92、94、102、119、121、140、141、143、164、165、166、172、210、213、214、215、218、221、222、233、236、238、252、253、274、281、290、302、321、341、350、351、352、370、390、403、404、405、418、430、440、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、又は55個のアミノ酸置換のいずれか)を有し得る。特定の位置での1つ以上の置換は、X020P/A;X021T/W/M;X023M/L;X037C;X051L/V;X052N;X067C;X069C/A;X073N;X077S;X079C;X080H/K;X081N;X084V/L;X092C;X094Y;X102G;X119G;X121M/L/G/P;X140C/Q/I;X141F;X143G;X164L;X165W/T;X166R;X172G;X210L;X213H;X214A/E;X215D;X218Q/A/V/Y;X221R;X222M/V/C;X233M/T/P;X236Q;X238H;X252F;X274D/K;X281D;X290M/V;X302S/K/W/Q/V;X321D;X341M/T;X350C/T;X351E;X352D/N;X370M;X390D/L/E;X403G;X403R/K;X404M/K;X405S/Q;X418E/W;X430A;X440G;X444P;及び/若しくはX445Y/M(Xは、親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)の1つ以上、又はS020P/A;K021T/W/M;E023M/L;E037C;A051L/V;G052N;S067C;V069C/A;K073N;T077S;A079C;G080H/K;D081N;I084V/L;V092C;F094Y;X102G;S119G;T121M/L/G/P;M140C/Q/I;L141F;A143G;I164L;Y165W/T;K166R;V172G;R210L;D213H;N214A/E;S215D;S218Q/A/V/Y;S221R;G222M/V/C;S233M/T/P;D236Q;G238H;V252F;G274D/K;E281D;F290M/V;N302S/K/W/Q/V;N321D;L341M/T;K350C/T;N351E;T352D/N;S370M;S390D/L/E;Q403G;Q403R/K;Y404M/K;H405S/Q;R418E/W;T430A;A440G;A444P;及び/若しくはG445Y/Mの1つ以上を含み得る。当該技術において知られているあらゆるアッセイを用いて、パノースの加水分解を判定することができ、実施例のセクションに記載されるアッセイが挙げられる。
【0090】
別の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、1つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、より大きな範囲(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、又はそれを超える%のいずれか(これらのパーセンテージの間に入る値を含む)だけ大きな範囲)までプルランを加水分解することができる。プルランは、マルトトリオース単位(別名α-1,4-;α-1,6-グルカン)からなる多糖ポリマーである。マルトトリオース内の3つのグルコース単位は、α-1,4グリコシド結合によって連結されているが、連続マルトトリオース単位は、α-1,6グリコシド結合によって互いに連結されている。プルランは、デンプン内のアルファ1-6結合を加水分解することができるグルコアミラーゼを特定するのに基質として一般的に用いられる。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置20、51、69、73、77、79、80、81、84、94、119、121、134、140、141、143、156、158、165、166、203、210、214、215、218、221、222、233、235、236、252、253、274、278、281、290、302、310、321、341、350、352、354、370、390、416、418、434、440、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、又は49個のアミノ酸置換のいずれか)を有し得る。特定の位置での1つ以上の置換は、X020F/A/G;X051K;X069C;X073P/N;X077M/P;X079C/T;X080K;X081N;X084V/L;X094G/A;X119G/D;X121L/M;X134S;X140I/C/Q;X141F;X143G;X156P/C;X158A;X165T;X166H/A/F;X203C/Q/W/Y;X210L/M/F/N/A/I;X214A/Y/L/C;X215V/C/W/D/H;X218V/K/A/Q;X221R;X222M;X233M/P;X235Y;X236Q;X252F/H;X253K;X274K/D;X278A;X281D;X290M;X302P/S/V;X310T;X321D;X341M;X350I/T;X352D/S;X354L;X370M;X390D/L/E;X404K;X416Y;X418E/W;X434S;X440G;及び/若しくはX445M(Xは、親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)の1つ以上、又はS020F/A/G;A051K;V069C;K073P/N;T077M/P;A079C/T;G080K;D081N;I084V/L;F094G/A;S119G/D;T121L/M;E134S;M140I/C/Q;L141F;A143G;F156P/C;N158A;Y165T;K166H/A/F;D203C/Q/W/Y;R210L/M/F/N/A/I;N214A/Y/L/C;S215V/C/W/D/H;S218V/K/A/Q;S221R;G222M;S233M/P;W235Y;D236Q;V252F/H;E253K;G274K/D;P278A;E281D;F290M;N302P/S/V;N310T;N321D;L341M;K350I/T;T352D/S;V354L;S370M;S390D/L/E;Y404K;F416Y;R418E/W;A434S;A440G;及び/若しくはG445Mの1つ以上を含み得る。当該技術において知られているあらゆるアッセイを用いて、プルランの加水分解を判定することができ、実施例のセクションに記載されるアッセイが挙げられる。
【0091】
さらに別の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、1つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、可溶性デンプンの糖化について、より高い性能指数(PI)(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、又はそれを超える%のいずれか(これらのパーセンテージの間に入る値を含む)だけ高いPI)(すなわち、可溶性デンプン又はその断片の加水分解の向上)を示すことができる。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置21、23、37、52、66、69、73、77、79、80、81、84、92、119、121、134、140、141、157、158、164、165、210、213、214、218、221、222、233、235、236、243、252、253、274、281、290、302、341、350、351、352、370、390、403、404、405、416、418、422、440、441、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、又は54個のアミノ酸置換のいずれか)を有し得る。特定の位置での1つ以上の置換は、X021T;X023M/L;X037C;X052N/F;X066A/F/T;X069C;X073N/P;X077P/M/S;X079R;X080N/H/K;X081N/S;X084L/V;X092I;X119A/G;X121M/L;X134S/Q;X140C/I/Q;X141F/K;X157A;X158A;X164L/T;X165W/T;X210W/G;X213H;X214G/Y;X218Q/F/A;X221R;X222M/V/C;X233M/P;X235F;X236Q;X243A;X252F;X253K;X274D/K/A;X281D;X290M/V;X302W/S/Q/K;X341M/T;X350C/E;X351E;X352D/N;X370M;X390D/L;X403G/R/K;X404M/K;X405S;X416C/Y;X418E/W;X422A;X440G;X441L;X444S/P;及び/若しくはX445M(Xは、親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)の1つ以上、又はK021T;E023M/L;E037C;G052N/F;V066A/F/T;V069C;K073N/P;T077P/M/S;A079R;G080N/H/K;D081N/S;I084L/V;V092I;S119A/G;T121M/L;E134S/Q;M140C/I/Q;L141F/K;T157A;N158A;I164L/T;Y165W/T;R210W/G;D213H;N214G/Y;S218Q/F/A;S221R;G222M/V/C;S233M/P;W235F;D236Q;T243A;V252F;E253K;G274D/K/A;E281D;F290M/V;N302W/S/Q/K;L341M/T;K350C/E;N351E;T352D/N;S370M;S390D/L;Q403G/R/K;Y404M/K;H405S;F416C/Y;R418E/W;Y422A;A440G;Q441L;A444S/P;及び/若しくはG445Mの1つ以上を含み得る。PIは、実施例のセクションに記載されるアッセイに基づいて求めることができる。
【0092】
他の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、1つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、マルトデキストリンの加水分解の向上(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、又はそれを超える%のいずれか(これらのパーセンテージの間に入る値を含む)の加水分解の向上)を示すことができる。マルトデキストリンは、可変長の鎖で連結されたD-グルコース単位からなる。グルコース単位は、主に、α(1→4)グリコシド結合により連結され、マルトデキストリンは、典型的に、3~17のグルコース単位長の間で変動する鎖の混合物で構成される。マルトデキストリンは、アルファアミラーゼを用いて生成されるので、グルコアミラーゼ基質を模倣する。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置20、21、51、67、69、73、77、79、80、81、84、102、119、121、134、140、141、143、156、157、158、165、166、172、192、203、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、252、274、281、290、302、310、321、341、350、351、352、354、370、390、403、404、405、418、422、434、440、444、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、又は57個のアミノ酸置換のいずれか)を有し得る。特定の位置での1つ以上の置換は、X020P/A/E;X021S/M;X051V/L/K/Y;X067A;X069C;X073P/N;X077P/M;X079C/T;X080K/H;X081N;X084L/V;X102G;X119G;X121M/G/V/P;X134S/Q;X140C/I;X141F;X143G;X156P/C;X157I;X158A;X165W/T;X166G;X172G;X192F;X203W/C/M;X210L/M;X213R;X214A/E;X215D/C/F;X218V/Y/Q;X221R/T;X222M/C;X233M/P/Y;X235Y;X236Q/A;X252F;X274K/A/D;X281D;X290M/V;X302P/K/S/V/Q/W;X310T/Y;X321D;X341M;X350I/T;X351V;X352D;X354L/M;X370M;X390E/L/D;X403K/R/G;X404K/M;X405Q/S/Y;X418W/E;X422A;X434S;X440G/H;X444P;及び/若しくはX445M;(Xは、親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)の1つ以上、又はS020P/A/E;K021S/M;A051V/L/K/Y;S067A;V069C;K073P/N;T077P/M;A079C/T;G080K/H;D081N;I084L/V;P102G;S119G;T121M/G/V/P;E134S/Q;M140C/I;L141F;A143G;F156P/C;T157I;N158A;Y165W/T;K166G;V172G;Y192F;D203W/C/M;R210L/M;D213R;N214A/E;S215D/C/F;S218V/Y/Q;S221R/T;G222M/C;S233M/P/Y;W235Y;D236Q/A;V252F;G274K/A/D;E281D;F290M/V;N302P/K/S/V/Q/W;N310T/Y;N321D;L341M;K350I/T;N351V;T352D;V354L/M;S370M;S390E/L/D;Q403K/R/G;Y404K/M;H405Q/S/Y;R418W/E;Y422A;A434S;A440G/H;A444P;及び/若しくはG445Mの1つ以上を含み得る。当該技術において知られているあらゆるアッセイを用いて、マルトデキストリンの加水分解を判定することができ、実施例のセクションに記載されるアッセイが挙げられる。
【0093】
更なる実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、1つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、熱安定性の向上(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、又はそれを超える%のいずれか(これらのパーセンテージの間に入る値を含む)の熱安定性の向上)を示すことができる。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置23、51、52、66、67、77、119、121、134、140、141、156、157、165、192、213、221、222、233、236、252、281、290、302、350、352、370、390、403、404、416、及び/若しくは422に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、又は36個のアミノ酸置換のいずれか)を有し得る。特定の位置での1つ以上の置換は、X023M;X051Y;X052N;X066A/C/F/M/W;X067C;X077P;X119A;X121M;X134S;X140I/C;X141F;X156C;X157I;X165W/I;X192F;X213R;X221R;X222M;X233M;X236Q;X252F;X281D;X290V;X302H/Q/W/S/K;X350E/C;X352D;X370M;X390L/D;X403R;X404K/M;X416Y;及び/若しくはX422A/V(Xは、親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)の1つ以上、又はE023M;A051Y;G052N;V066A/C/F/M/W;S067C;T077P;S119A;T121M;E134S;M140I/C;L141F;F156C;T157I;Y165W/I;Y192F;D213R;S221R;G222M;S233M;D236Q;V252F;E281D;F290V;N302H/Q/W/S/K;K350E/C;T352D;S370M;S390L/D;Q403R;Y404K/M;F416Y;及び/若しくはY422A/Vの1つ以上を含み得る。当該技術において知られているあらゆるアッセイを用いて、ポリペプチドの熱安定性を判定することができ、実施例のセクションに記載されるアッセイが挙げられる。
【0094】
別の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、1つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、転換低下(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%のいずれか(これらのパーセンテージの間に入る値を含む)の転換低下)の向上を示すことができる。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置49、51、52、66、69、77、80、94、119、134、158、164、165、172、192、213、215、218、222、233、235、236、238、243、253、274、302、338、403、405、416、418、422、430、440、441、444、445、及び/若しくは449に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、又は41個のアミノ酸置換のいずれか)を有し得る。特定の位置での1つ以上の置換は、XS049W;X051Y;X052P;X066P;X069K/C;X077P/M;X080H;X094A/G;X119D;X134W/Q;X158Y;X164T/L;X165W/I;X172G;X192R/F;X213H;X215R;X218K;X222C;X233T/P;X235F;X236A;X238H/S/N;X243P/S;X253K;X274K/A;X302H/F/P/M/Q/T;X338I;X403G;X405Q/S;X416C/Y;X416Y;X418W/E;X422A;X430A/Q;X440L/H;X441W/L;X444L/P;X445Y;及び/若しくはX449L(Xは、親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)の1つ以上、又はS049W;A051Y;G052P;V066P;V069K/C;T077P/M;G080H;F094A/G;S119D;E134W/Q;N158Y;I164T/L;Y165W/I;V172G;Y192R/F;D213H;S215R;S218K;G222C;S233T/P;W235F;D236A;G238H/S/N;T243P/S;E253K;G274K/A;N302H/F/P/M/Q/T;F338I;Q403G;H405Q/S;F416C/Y;F416Y;R418W/E;Y422A;T430A/Q;A440L/H;Q441W/L;A444L/P;G445Y;及び/若しくはF449Lの1つ以上を含み得る。当該技術において知られているあらゆるアッセイを用いて、糖化中の転換糖の形成を判定することができ、実施例のセクションに記載されるアッセイが挙げられる。
【0095】
更なる実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、1つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、糖化収率の向上(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、又はそれを超える%のいずれか(これらのパーセンテージの間に入る値を含む)の糖化収率の向上)を示すことができる。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置21、23、51、52、66、67、79、81、92、119、140、158、164、172、192、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、238、243、253、281、290、302、310、351、352、354、370、403、416、422、430、441、及び/若しくは445に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、又は43個のアミノ酸置換のいずれか)を有し得る。特定の位置での1つ以上の置換は、X021S/W;X023L;X051Y/K;X052N;X066A/C/F/M/W;X067M/C/A;X079R;X081S;X092C/M;X119A;X140I;X158A/Y;X164L;X172L/G;X192F;X210W;X213H;X214Y;X215F/C/R;X218H/K/A;X221M/T;X222V;X233T;X235Y/F;X236S/A;X238T/V/M;X243A;X253K;X281P/D;X290V;X302K/Q/H/W;X310V/T;X351V;X352S;X354L;X370R;X403K;X416Y;X422F;X430A;X441L;及び/若しくはX445Y(Xは、親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)の1つ以上、又はK021S/W;E023L;A051Y/K;G052N;V066A/C/F/M/W;S067M/C/A;A079R;D081S;V092C/M;S119A;M140I;N158A/Y;I164L;V172L/G;Y192F;R210W;D213H;N214Y;S215F/C/R;S218H/K/A;S221M/T;G222V;S233T;W235Y/F;D236S/A;G238T/V/M;T243A;E253K;E281P/D;F290V;N302K/Q/H/W;N310V/T;N351V;T352S;V354L;S370R;Q403K;F416Y;Y422F;T430A;Q441L;及び/若しくはG445Yの1つ以上を含み得る。当該技術において知られているあらゆるアッセイを用いて、糖化収率を求めることができ、実施例のセクションに記載されるアッセイが挙げられる。
【0096】
したがって、更なる実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、本明細書中で開示されるグルコアミラーゼバリアントは、1つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較して、向上(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、又はそれを超える%のいずれか(これらのパーセンテージの間に入る値を含む)の、i)二糖(例えばマルトース)の加水分解の向上;ii)パノースのより大きな加水分解;iii)プルランのより大きな加水分解;iv)可溶性デンプンの糖化のより高いPI(すなわち、可溶性デンプン又はその断片の加水分解の向上);v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上の2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、又は8つ)の向上)を示し得る。バリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置20、21、23、37、51、52、66、67、69、73、77、79、80、81、84、92、94、102、119、121、134、140、141、156、157、158、164、165、166、172、192、203、210、213、214、215、218、221、222、233、235、236、238、243、252、253、274、278、281、290、302、310、341、350、351、352、354、370、390、403、404、405、416、418、422、430、440、441、444、445、及び/若しくは449に対応する残基位置、並びに/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、又は71個のアミノ酸置換のいずれか)を有し得る。特定の位置での1つ以上の置換は、X020A/P;X021M/S/T/W;X023L/M;X037C;X051K/L/V/Y;X052N;X066A/C/F/M/W;X067A/C;X069C;X073N/P;X077M/P/S;X079R/T;X080H/K;X081N/S;X084L/V;X092C/M;X094A/G;X102G;X119A/D/G;X121G/L/M/P;X134Q/S;X140C/I/Q;X141F;X156C/P;X157I;X158A/Y;X164L/T;X165I/T/W;X166G/F/R;X172G;X192F;X203C/W;X210L/M/W;X213H/R;X214A/E/Y;X215C/D/F/R;X218A/K/Q/V/Y;X221M/R/T;X222C/M/V;X233M/P/T/Y;X235F/Y;X236A/Q;X238H/S;X243A;X252F;X253K;X274A/D/K;X278A;X281D;X290M/V;X290V;X302H/K/P/Q/S/V/W;X310T/Y;X341M/T;X350C/E/I;X351E/V;X352D/N/S;X354L/M;X370M;X390D/E/L;X403G/K/R;X404I/K/M;X405Q/S/Y;X416C/Y;X418E/W;X422A;X430A;X440G/H;X441L;X444L/P;及び/若しくはX445M/Y(Xは、親グルコアミラーゼ内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)の1つ以上、又はS020A/P;K021M/S/T/W;E023L/M;E037C;A051K/L/V/Y;G052N;V066A/C/F/M/W;S067A/C;V069C;K073N/P;T077M/P/S;A079R/T;G080H/K;D081N/S;I084L/V;V092C/M;F094A/G;P102G;S119A/D/G;T121G/L/M/P;E134Q/S;M140C/I/Q;L141F;F156C/P;T157I;N158A/Y;I164L/T;Y165I/T/W;K166G/F/R;V172G;Y192F;D203C/W;R210L/M/W;D213H/R;N214A/E/Y;S215C/D/F/R;S218A/K/Q/V/Y;S221M/R/T;G222C/M/V;S233M/P/T/Y;W235F/Y;D236A/Q;G238H/S;T243A;V252F;E253K;G274A/D/K;P278A;E281D;F290M/V;F290V;N302H/K/P/Q/S/V/W;N310T/Y;L341M/T;K350C/E/I;N351E/V;T352D/N/S;V354L/M;S370M;S390D/E/L;Q403G/K/R;Y404I/K/M;H405Q/S/Y;F416C/Y;R418E/W;Y422A;T430A;A440G/H;Q441L;A444L/P;及び/若しくはG445M/Yの1つ以上を含み得る。
【0097】
複数のアミノ酸の置換(例えば、表1に示される置換のいずれか)、欠失、及び/又は挿入は、知られている変異誘発、組換え、及び/又はシャッフリング法に続いて、Reidhaar-Olson and Sauer,1988,Science 241:53-57;Bowie and Sauer,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2152-2156;国際公開第95/17413号パンフレット;又は国際公開第95/22625号パンフレットによって開示されているような関連するスクリーニング手順を用いて、実施且つ試験することができる。用いることができる他の方法として、エラープローンPCR、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al.,1991,Biochem.30:10832-10837;米国特許第5,223,409号明細書;国際公開第92/06204号パンフレット)、及び領域特異的変異誘発(Derbyshire et al.,1986,Gene 46:145;Ner et al.,1988,DNA 7:127)が挙げられる。
【0098】
さらに、本明細書中で提供されるのは、追加の実施形態において、a)X236S及びX281D;b)X215R及びX441W;c)X321D及びX434S;d)X143G及びX434S;e)X079C及びX143G;f)X350T及びX434S;g)X351E及びX403K;h)X052N及びX084L;i)X243P及びX290V;j)X290V及びX350E;k)X302K及びX441W;l)X156C及びX404K;m)X067M及びX404K;n)X052N及びX141F;o)X052N及びX351E;p)X233M及びX445Y;q)X066C及びX233M;r)X218H及びX290V;s)X067M及びX302H;t)X066C及びX119A;u)X243P及びX445Y;v)X192F及びX243P;w)X156C及びX243P;x)X023L及びX066C;y)X023L-X119A;z)X020E及びX192F;aa)X192F及びX310V;bb)X023M及びX302H;cc)X192F及びX416Y;dd)X119A及びX302H;ee)X235Y及びX416Y;ff)X052N及びX404K;gg)X023M及びX449Y;hh)X158A及びX172L;ii)X172L及びX290V;jj)X023M及びX210L;kk)X210L及びX449Y;ll)X157I及びX281D;mm)X164T及びX215R;nn)X140C及びX422V;oo)X119A及びX302K;又はpp)X052N及びX416Y(Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)に対応する残基位置での2つ以上の置換を有するグルコアミラーゼバリアントである。他の実施形態において、2つ以上のアミノ酸置換は、a)D236S及びE281D;b)S215R及びQ441W;c)N321D及びA434S;d)A143G及びA434S;e)A079C及びA143G;f)K350T及びA434S;g)N351E及びQ403K;h)G052N及びI084L;i)T243P及びF290V;j)F290V及びK350E;k)N302K及びQ441W;l)F156C及びY404K;m)S067M及びY404K;n)G052N及びL141F;o)G052N及びN351E;p)S233M及びG445Y;q)A066C及びS233M;r)S218H及びF290V;s)S067M及びN302H;t)A066C及びS119A;u)T243P及びG445Y;v)Y192F及びT243P;w)F156C及びT243P;x)E023L及びA066C;y)E023L及びS119A;z)S020E及びY192F;aa)Y192F及びN310V;bb)E023M及びN302H;cc)Y192F及びF416Y;dd)S119A及びN302H;ee)W235Y及びF416Y;ff)G052N及びY404K;gg)E023M及びF449Y;hh)N158A及びV172L;ii)V172L及びF290V;jj)E023M及びR210L;kk)R210L及びF449Y;ll)T157I及びE281D;mm)I164T及びS215R;nn)M140C及びY422V;oo)S119A及びN302K;又はpp)G052N及びF416Yであり得る。バリアントグルコアミラーゼは、2つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、i)マルトースの加水分解の向上;ii)パノースの加水分解の向上;iii)プルランの加水分解の向上;iv)可溶性デンプンの糖化のより高いPI(すなわち、可溶性デンプン又はその断片の加水分解の向上);v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上の1つ以上を示す。
【0099】
また、本明細書中で提供されるのは、追加の実施形態において、a)X141F、X281D、及びX441W;b)X143G、X321D、及びX434S;c)X321D、X350T、及びX434S;d)X067M、X158A、及びX281D;e)X156C、X192F、及びX403K;f)X052N、X140C、及びX422V;g)X066C、X119A、及びX164T;h)X066C、X233M、及びX445Y;i)X156C、X192F、及びX243P;j)X023L、X066C、及びX119A;k)X023M、X119A、及びX404K;l)X310V、X416Y、及びX445Y;m)X158A、X221R、及びX290V;n)X023M、X052N、及びX404K;o)X081S、X157I、及びX236S;p)X243P、X302K、及びX416Y;q)X140C、X302K、及びX422V;又はr)X052N、X416Y、及びX445Y(Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)に対応する残基位置での3つ以上の置換を有するグルコアミラーゼバリアントである。他の実施形態において、3つ以上のアミノ酸置換は、a)L141F、E281D、及びQ441W;b)A143G、N321D、及びA434S;c)N321D、K350T、及びA434S;d)S067M、N158A、及びE281D;e)F156C、Y192F、及びQ403K;f)G052N、M140C、及びY422V;g)A066C、S119A、及びI164T;h)A066C、S233M、及びG445Y;i)F156C、Y192F、及びT243P;j)E023L、A066C、及びS119A;k)E023M、S119A、及びY404K;l)N310V、F416Y、及びG445Y;m)N158A、S221R、及びF290V;n)E023M、G052N、及びY404K;o)D081S、T157I、及びD236S;p)T243P、N302K、及びF416Y;q)M140C、N302K、及びY422V;又はr)G052N、F416Y、及びG445Yであり得る。バリアントグルコアミラーゼは、3つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、i)マルトースの加水分解の向上;ii)パノースの加水分解の向上;iii)プルランの加水分解の向上;iv)可溶性デンプンの糖化のより高いPI(すなわち、可溶性デンプン又はその断片の加水分解の向上);v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上の1つ以上を示す。
【0100】
加えて、本明細書中で提供されるのは、追加の実施形態において、a)X215R、X236S、X281D、及びX441W;b)X052N、X084L、X140C、及びX422V;c)X020E、X156C、X192F、及びX243P;d)X023M、X221R、及びX404K;e)X158A、X172L、X221R、及びX290V;f)X140C、X165W、X302K、及びX422V;又はg)X119A、X253F、X310V、及びX403K(Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)に対応する残基位置での4つ以上の置換を有するグルコアミラーゼバリアントである。他の実施形態において、4つ以上のアミノ酸置換は、a)S215R、D236S、E281D、及びQ441W;b)G052N、I084L、M140C、及びY422V;c)S020E、F156C、Y192F、及びT243P;d)E023M、S119A、S221R、及びY404K;e)N158A、V172L、S221R、及びF290V;f)M140C、Y165W、N302K、及びY422V;又はg)S119A、E253F、N310V、及びQ403Kであり得る。バリアントグルコアミラーゼは、4つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、i)マルトースの加水分解の向上;ii)パノースの加水分解の向上;iii)プルランの加水分解の向上;iv)可溶性デンプンの糖化のより高いPI(すなわち、可溶性デンプン又はその断片の加水分解の向上);v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上の1つ以上を示す。
【0101】
さらに、本明細書中で提供されるのは、追加の実施形態において、X067M、X157I、X218H、X302H、及びX416Y(Xは、配列番号4内の等価の位置及び/又は親グルコアミラーゼ若しくはその断片(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置に対応するあらゆるアミノ酸である)に対応する残基位置での5つ以上の置換を有するグルコアミラーゼバリアントである。他の実施形態において、4つ以上のアミノ酸置換は、S067M、T157I、S218H、N302H、及びF416Yであり得る。バリアントグルコアミラーゼは、5つ以上の当該置換を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、i)マルトースの加水分解の向上;ii)パノースの加水分解の向上;iii)プルランの加水分解の向上;iv)可溶性デンプンの糖化のより高いPI(すなわち、可溶性デンプン又はその断片の加水分解の向上);v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上の1つ以上を示す。
【0102】
更なる実施形態において、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個、又はそれを超える)のコンセンサスN結合グリコシル化部位(すなわち、NXS/TコンセンサスN結合グリコシル化部位(Xは、プロリン以外のあらゆるアミノ酸であり得、N(Asp)はグリコシル化されている))は、本明細書中で開示されるバリアントグルコアミラーゼのいずれか、又は配列番号4のグルコアミラーゼ中に導入されて、グルコアミラーゼの1つ以上の性質を向上させることができ、例えば、限定されないが、1つ以上の追加のグリコシル化部位を欠いている親グルコアミラーゼと比較した、i)マルトースの加水分解の向上;ii)パノースの加水分解の向上;iii)プルランの加水分解の向上;iv)可溶性デンプンの糖化のより高いPI(すなわち、可溶性デンプン又はその断片の加水分解の向上);v)マルトデキストリンの加水分解の向上;vi)熱安定性の向上;vii)DPが2以上の糖へのより少ない転換;及び/又はviii)グルコースの糖化収率の向上がある。バリアントグルコアミラーゼポリペプチド中にグリコシル化部位を導入するアミノ酸置換は、配列番号4の位置81、83、153、370、若しくは372に対応する残基位置、及び/又は親グルコアミラーゼ内の等価の位置にてなされ得る。一部の実施形態において、前記1つ以上の置換は、位置D81N、K83T、A153T、S370N、及び/又はA372Sでの1つ以上の置換を含む。
【0103】
実施例7に示されるように、位置75でのAsnグリコシル化部位の置換が、触媒活性の大幅な減少の原因となることが観察された。したがって、一部の実施形態において、本明細書中で開示されるバリアントグルコアミラーゼは、配列番号4の位置N075及び/又は親グルコアミラーゼ(例えば、以下に限定されないが、配列番号2、配列番号3、又は配列番号5~37のいずれか)内の等価の位置にて、N結合グリコシル化を有する。
【0104】
III.グルコアミラーゼの生成
本明細書中で開示されるバリアントグルコアミラーゼは、例えば分泌又は細胞内発現によって、宿主細胞において産生され得る。グルコアミラーゼを含む培養細胞材料(例えば、全細胞ブロス)は、グルコアミラーゼの、細胞培地中への分泌後に得ることができる。任意選択により、グルコアミラーゼは、最終グルコアミラーゼの所望の純度に応じて、宿主細胞から単離され得るか、又はさらに細胞ブロスから単離され得る。グルコアミラーゼをコードする遺伝子は、当該技術において周知の方法に従って、クローニング且つ発現され得る。適切な宿主細胞として、細菌、真菌(酵母及び糸状菌を含む)、及び植物細胞(藻類を含む)が挙げられる。特に有用な宿主細胞として、アスペルギルス(Aspergillus)属種(例えば、限定されないが、クロコウジカビ(Aspergillus niger)又はコウジカビ(Aspergillus oryzae))、トリコデルマ(Trichoderma)属種(例えばトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei))、又はマイセリオフトラ(Myceliophthora)属種(例えばマイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila))が挙げられる。他の宿主細胞として、細菌細胞、例えば、バチルス(Bacillus)属種(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)又はB.リケニフォルミス(B.licheniformis))、及びストレプトマイセス(Streptomyces)属種が挙げられる。適切な酵母宿主生物が、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属種又はサッカロマイセス(Saccharomyces)属の種から選択され得、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、又はシゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属に属する種、例えば分裂酵母(S.pombe)種が挙げられる。メチロトローフ酵母種であるピキア・パストリス(Pichia pastoris)の株を宿主生物として用いることができる。
【0105】
加えて、宿主は、1種以上のアクセサリ酵素、タンパク質、ペプチドを発現し得る。これらは、液化、糖化、発酵、SSF、及び下流プロセスに有益であり得る。さらに、宿主細胞は、種々の原料を消化するのに用いられる酵素に加えて、エタノール及び他の生化学物質又は生体物質を産生し得る。そのような宿主細胞は、酵素を加える必要性を低減又は排除するために、発酵プロセス、又は同時糖化発酵プロセスに有用であり得る。
【0106】
A.ベクター
本明細書中で開示されるバリアントグルコアミラーゼポリペプチドをコードする核酸を含むDNA構築物を、宿主細胞中での発現に適するように構築することができる。遺伝暗号の知られている縮重のおかげで、同一のアミノ酸配列をコードする様々なポリヌクレオチドを、ルーチン技術により設計且つ作製することができる。所望の宿主細胞に応じて、発現の試行前にコドン最適化が必要とされる場合があることも知られている。
【0107】
本開示のバリアントグルコアミラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、ベクター中に組み込むことができる。ベクターを、知られている形質転換技術(例えば、以下に開示されるもの)を用いて宿主細胞に移すことができる。
【0108】
適切なベクターは、宿主細胞に形質転換され得、且つ/又は宿主細胞内で複製され得るものであり得る。例えば、本明細書中で開示されるバリアントグルコアミラーゼポリペプチドをコードする核酸を含むベクターは、当該ベクターの伝達(propagating)及び増幅(amplifying)の手段としての細菌宿主細胞において形質転換且つ/又は複製され得る。また、当該ベクターは、コードポリヌクレオチドが機能的グルコアミラーゼ酵素として発現されるように、発現宿主に適切に形質転換され得る。
【0109】
代表的な有用なベクターとして、宿主のゲノム中に挿入され得るpTrex3gM(米国特許出願公開第20130323798号明細書参照)及びpTTT(米国特許出願公開第20110020899号明細書参照)がある。ベクターpTrex3gM及びpTTTは双方とも、これらが本発明のバリアントグルコアミラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、且つこれを発現するように、ルーチン技術により修飾され得る。
【0110】
発現ベクターは、通常、制御ヌクレオチド配列、例えば、プロモータ、オペレータ、リボソーム結合部位、翻訳開始シグナル、及び任意選択でリプレッサ遺伝子、又は1つ以上のアクチベータ遺伝子を含む。加えて、発現ベクターは、ペルオキシソーム等の宿主細胞オルガネラ、又は特定の細胞コンパートメントにグルコアミラーゼを標的化することができるアミノ酸配列をコードする配列を含み得る。制御配列の指向下での発現のため、バリアントグルコアミラーゼの核酸配列は、発現に関して適切な方法で、制御配列に作動可能に連結されている。
【0111】
本明細書中で開示されるバリアントグルコアミラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、プロモータに作動可能に連結され得、これにより宿主細胞中での転写が可能となる。プロモータは、選択された宿主細胞中で転写活性を示すあらゆるDNA配列であり得、且つ宿主細胞に対して相同又は異種のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子由来であり得る。とりわけ細菌宿主中でグルコアミラーゼをコードするDNA配列の転写を指向するためのプロモータの例として、大腸菌(E.coli)のlacオペロンのプロモータ、ストレプトマイセス・コエリコロル(Streptomyces coelicolor)アガロース遺伝子dagA又はcelAプロモータ、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)アミラーゼ遺伝子(amyL)のプロモータ、バチルス・ステアロテェルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトジェニックアミラーゼ遺伝子(amyM)のプロモータ、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アミラーゼ(amyQ)のプロモータ、枯草菌(Bacillus subtilis)xylA及びxylB遺伝子のプロモータ等が挙げられる。
【0112】
真菌宿主中での転写に有用なプロモータの例として、コウジカビ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、クロコウジカビ(Aspergillus niger)中性α-アミラーゼ、クロコウジカビ(Aspergillus niger)酸安定性α-アミラーゼ、クロコウジカビ(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、コウジカビ(Aspergillus oryzae)アルカリプロテアーゼ、コウジカビ(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)アセトアミダーゼ等をコードする遺伝子に由来するものが挙げられる。グルコアミラーゼをコードする遺伝子が、細菌種、例えば大腸菌(E.coli)内で発現される場合、適切なプロモータが、例えば、T7プロモータ及びファージラムダプロモータが挙げられるバクテリオファージプロモータから選択され得る。この方針に沿って、酵母種中での発現に適したプロモータの例として、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のGal1及びGal10プロモータ、並びにピキア・パストリス(Pichia pastoris)AOX1又はAOX2プロモータが挙げられるが、これらに限定されない。糸状菌宿主細胞中での発現は、T.リーゼイ(T.reesei)由来の内因性誘導性プロモータであるcbh1を含むことが多い。Liu et al.(2008)Acta Biochim.Biophys.Sin(Shanghai)40(2):158-65参照。
【0113】
コード配列は、シグナル配列と作動可能に連結され得る。当該シグナル配列をコードするDNAは、発現させる関心対象のバリアントグルコアミラーゼ遺伝子と天然に会合したDNA配列であってもよいし、当該バリアントグルコアミラーゼ(すなわち、バリアントが由来した種)とは異なる属又は種に由来してもよい。DNA構築物又はベクターを含むシグナル配列及びプロモータ配列が、真菌宿主細胞中に導入され得、且つ同じ源に由来し得る。例えば、シグナル配列は、cbh1プロモータに作動可能に連結されているトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)cbh1シグナル配列であり得る。
【0114】
また、発現ベクターは、適切な転写ターミネータと、真核生物中では、グルコアミラーゼをコードするDNA配列に作動可能に連結されたポリアデニル化配列とを含み得る。終結配列及びポリアデニル化配列は、適切には、プロモータと同じ源に由来し得る。
【0115】
また、ベクターは、例えば、生成物が単離宿主細胞の欠陥を補完する遺伝子を含み得、例えば、枯草菌(B.subtilis)若しくはB.リケニフォルミス(B.licheniformis)に由来するdal遺伝子、又は抗生物質耐性、例えば、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、クロラムフェニコール耐性、若しくはテトラサイクリン耐性を付与する遺伝子である選択可能マーカーを含み得る。さらに、ベクターは、アスペルギルス(Aspergillus)属選択マーカー(例えば、amdS、argB、niaD、及びxxsC)、ハイグロマイシン耐性を生じさせるマーカーを含んでもよいし、選択が、当該技術において知られている同時形質転換によって達成されてもよい。例えば、国際公開第91/17243号パンフレット参照。
【0116】
B.宿主細胞の形質転換及び培養
DNA構築物又は発現ベクターのいずれかを含む単離細胞は、宿主細胞として、バリアントグルコアミラーゼの組換え生成に有利に用いられる。当該細胞は、当該酵素をコードするDNA構築物により、便宜的には当該DNA構築物を宿主の染色体内に(1つ以上のコピー数で)組み込むことによって形質転換され得る。当該DNA配列は細胞中で安定して維持され易いことから、この組込みは有利であると一般に考えられている。宿主の染色体中へのDNA構築物の組込みは、従来方法に従って、例えば相同組換え又は非相同組換えによって、実行され得る。これ以外にも、当該細胞は、様々なタイプの宿主細胞と関連した発現ベクターにより形質転換され得る。
【0117】
適切な細菌宿主生物の例として、グラム陽性細菌種、例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、ゲオバチルス(Geobacillus)(以前はバチルス(Bacillus))・ステアロサーモフィラス(stearothermophilus)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ロータス(Bacillus lautus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、及びバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)を含むバチルス科(Bacillaceae);ストレプトマイセス・ムリヌス(Streptomyces murinus)等のストレプトマイセス(Streptomyces)属種;ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)等のラクトコッカス(Lactococcus)属種を含む乳酸細菌種;ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)を含むラクトバチルス(Lactobacillus)属種;ロイコノストック(Leuconostoc)属種;ペディオコッカス(Pediococcus)属種;並びにレンサ球菌(Streptococcus)属種がある。これ以外にも、大腸菌(E.coli)を含む腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、又はシュードモナス科(Pseudomonadaceae)に属するグラム陰性細菌種の株を宿主生物として選択することができる。
【0118】
適切な酵母宿主生物は、バイオテクノロジー関連の酵母種、例えば、以下に限定されないが:酵母種、例えば、ピキア(Pichia)属種、ハンゼヌラ(Hansenula)属種、若しくはクリベロマイセス(Kluyveromyces)属、ヤロウイニア(Yarrowinia)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属種、又はサッカロマイセス(Saccharomyces)属の種、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、又はシゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属に属する種、例えば分裂酵母(S.pombe)種から選択され得る。メチロトローフ酵母種であるピキア・パストリス(Pichia pastoris)の株が、宿主生物として用いられ得る。これ以外にも、宿主生物は、ハンゼヌラ(Hansenula)種であり得る。
【0119】
糸状菌のうち適切な宿主生物として、アスペルギルス(Aspergillus)属の種、例えば、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubigensis)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、又はアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)が挙げられる。これ以外にも、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)等のフサリウム(Fusarium)属種の株、又はリゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)等のリゾムコール(Rhizomucor)属種の株が、宿主生物として用いられ得る。他の適切な株として、サーモマイセス(Thermomyces)属及びムコール(Mucor)属の種が挙げられる。加えて、トリコデルマ(Trichoderma)属種が、宿主として用いられ得る。真菌宿主細胞によって発現されるグルコアミラーゼは、グリコシル化され得、すなわちグリコシル部分を含むこととなる。グリコシル化パターンは、野生型グルコアミラーゼで存在するものと同じであり得るか、又は異なり得る。グリコシル化のタイプ及び/又は程度により、酵素的特性及び/又は生化学的特性の変化が付与され得る。
【0120】
発現宿主から遺伝子を欠失させ、そこで遺伝子欠損を、形質転換された発現ベクターによって治癒することができることが有利である。知られている方法を用いて、1つ以上の不活化遺伝子を有する真菌宿主細胞を得ることができる。非限定の一実施形態において、クローニングされた、トリコデルマ(Trichoderma)属種又は他の糸状菌宿主から、任意の遺伝子(例えば、cbh1遺伝子、cbh2遺伝子、egl1遺伝子、及びegl2遺伝子)を欠失させることができる。遺伝子欠失は、当該技術において知られている方法によって、不活化されるべき所望の遺伝子のある形態をプラスミド中に挿入することによって達成され得る。
【0121】
一般的な形質転換技術が、当該技術において知られている。例えば、上記のSambrook et al.(2001)参照。トリコデルマ(Trichoderma)属における異種タンパク質の発現は、例えば、米国特許第6,022,725号明細書中で説明されている。また、アスペルギルス(Aspergillus)属株の形質転換については、Cao et al.(2000)Science 9:991-1001参照。グルコアミラーゼをコードする核酸が宿主細胞の染色体中に安定的に組み込まれるベクターシステムによって、遺伝的に安定な形質転換体を構築することができる。次いで、知られている技術によって、形質転換体が選択且つ精製される。欠失プラスミドは、その後、所望の遺伝子コード領域の内部にある適切な制限酵素部位にて切断されて、遺伝子コード配列又はその部分は、選択可能マーカーにより置換される。欠失されるべき遺伝子の遺伝子座由来のフランキングDNA配列(好ましくは約0.5~2.0kb)は、マーカー遺伝子のいずれかの側に留まっている。適切な欠失プラスミドはその中に、一般に、フランキングDNA配列及び選択可能なマーカー遺伝子が挙げられる欠失される遺伝子を含有する断片が単一線形ピースとして取り除かれるのを可能にするための、固有の制限酵素部位が存在することとなる。
【0122】
用いた宿主細胞に応じて、転写後及び/又は翻訳後修飾がなされ得る。転写後及び/又は翻訳後修飾の非限定的な一例として、ポリペプチドの「クリッピング」又は「トランケーション」がある。別の例において、このクリッピングは、成熟グルコアミラーゼポリペプチドをとって、さらにN又はC末端アミノ酸(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個、又はそれを超えるN又はC末端アミノ酸)を除去して、酵素活性を保持するグルコアミラーゼのトランケート形態を生成することであり得る。
【0123】
転写後又は翻訳後修飾の他の例として、ミリストイル化、グリコシル化、トランケーション、脂質化、及びチロシン、セリン、又はトレオニンのリン酸化が挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、タンパク質が受け得る転写後又は翻訳後修飾のタイプは、タンパク質が発現される宿主生物に依存し得ることを理解するであろう。
【0124】
発現後のポリペプチドの更なる配列修飾が起こり得る。配列修飾として、酸化、脱グリコシル化、糖化等が挙げられるが、これらに限定されない。グリケーションは、とりわけ30℃を超える温度及び中性又はアルカリ性pHにて、グルコース又は他の還元糖とのインキュベーションを受けた場合に、グルコアミラーゼの活性に影響を及ぼし得ることが知られている。リシン残基を排除するためのタンパク質工学は、そのような修飾を防止するために用いることができる。一例を、米国特許第8,507,240号明細書中で見出すことができる。例えば、酵母発現は、明白に分子量の増大を生じさせる高グリコシル化ポリペプチドを生じさせ得る。また、国際公開日が2013年8月15日の国際公開第2013/119470号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)は、グリコシル化の増大に起因すると考えられる、安定性が増大したフィターゼに関する。
【0125】
C.発現及び発酵
本明細書中で開示されるバリアントグルコアミラーゼを生成する方法は、当該酵素の生成を促す条件下で宿主細胞を培養することと、当該細胞及び/又は培養培地から当該酵素を回収することとを含み得る。
【0126】
細胞を培養するのに用いられる培地は、宿主細胞を増殖させ、且つバリアントグルコアミラーゼポリペプチドの発現を得るのに適した従来のあらゆる培地であり得る。適切な培地及び培地構成要素は、商業的供給業者から入手可能であるか、又は公開されたレシピ(例えば、米国菌株保存機関(American Type Culture Collection)のカタログに記載されている)に従って調製され得る。
【0127】
当該技術において周知の発酵方法のいずれかを適切に用いて、上記のような形質転換真菌株又は誘導真菌株を発酵させることができる。一部の実施形態において、真菌細胞は、バッチ発酵条件下又は連続発酵条件下で増殖する。
【0128】
D.富化精製方法
分離技術及び濃縮技術が当該技術において知られており、従来の方法を用いて、本発明のバリアントグルコアミラーゼポリペプチドを含む濃縮溶液又はブロスを調製することができる。
【0129】
発酵後に発酵ブロスが得られ、微生物細胞、及び残留する生発酵材料等の種々の懸濁固体が、従来の分離技術によって除去されて、グルコアミラーゼ溶液が得られる。濾過、遠心分離、精密濾過、回転真空ドラム濾過、限外濾過、遠心分離に続いて、限外濾過、抽出、又はクロマトグラフィ等が一般に用いられる。
【0130】
時には、回収を最適化するために、グルコアミラーゼポリペプチドを含む溶液又はブロスを濃縮することが望ましい場合がある。未濃縮の溶液又はブロスの使用により、典型的には、富化又は精製された酵素沈殿物を集めるためのインキュベーション時間が増すであろう。
【0131】
IV.組成物
また、本発明は、ポリペプチド(グルコアミラーゼ等、例えば、本明細書中で開示されるバリアントグルコアミラーゼのいずれか)及び/又はデンプン基質を含む組成物に関する。一部の実施形態において、配列番号4(又は配列番号2~30のいずれか)のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含むバリアントグルコアミラーゼもまた、酵素組成物中で用いることができる。好ましくは、組成物は、約4~40℃の温度及び約3~7のpHにて、ローカラー(low color)、低臭気、及び許容できる貯蔵安定性等の所望の特徴を実現するように製剤化される。
【0132】
本組成物は、主要酵素構成要素として、本発明のバリアントグルコアミラーゼポリペプチドを含み得る。これ以外にも、本組成物は、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、ベータ-アミラーゼ、イソアミラーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、プルラナーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、又はそれらの組合せ等の複数の酵素活性を含み得、これらは、当業者に周知の有効量で加えられ得る。
【0133】
本ポリペプチド組成物は、当該技術において知られている方法に従って調製され得、且つ液体組成物の形態又は乾燥組成物の形態であり得る。例えば、本バリアントグルコアミラーゼを含む組成物は、水性又は非水性の製剤、顆粒、粉末、ゲル、スラリー、ペースト等であり得、さらに、バッファ、塩、保存料、水、共溶媒、界面活性剤等と一緒に、本明細書中で列挙される追加の酵素のいずれか1つ以上を含み得る。そのような組成物は、スラリー、水浴、洗浄機、食品又は飲料製品等の中に既に存在する内在性酵素又は他の成分、例えば、内在性植物(藻類を含む)酵素、先行するプロセシング工程由来の残留酵素等と組み合わせて機能し得る。本組成物中に含まれるポリペプチドは、当該技術において知られている方法に従って安定化され得る。
【0134】
本組成物は、ポリペプチドを発現する細胞、例えば発酵から生成物を生成することができる細胞であり得る。そのような細胞は、適切な安定剤と共に液体形態又は乾燥形態で提供され得る。そのような細胞は、上記したもの等の追加のポリペプチドをさらに発現し得る。
【0135】
本発明のポリペプチド組成物の投与量、及び当該組成物を用いる他の条件は、当該技術において知られている方法に基づいて決定され得る。
【0136】
上記組成物は、液化、糖化、及び/又は発酵プロセス、好ましくはデンプン転化、とりわけシロップ及び発酵産物、例えばエタノールの生成に用いるのに適している。また、本組成物は、動物栄養素(例えば、動物飼料の構成要素)及び発酵飲料製品に用いるのに適している。
【0137】
V.使用及び方法
また、本発明は、液化プロセス、糖化プロセス、及び/又は発酵プロセスにおける本発明のバリアントグルコアミラーゼポリペプチド又は組成物の使用に関する。本バリアントグルコアミラーゼポリペプチド又は組成物は、単一のプロセス、例えば、液化プロセス、糖化プロセス、又は発酵プロセスに用いられ得る。また、本バリアントグルコアミラーゼポリペプチド又は組成物は、好ましくはデンプン転化に関連して、プロセスの組合せに用いられてもよく、例えば、液化糖化プロセスに用いられてもよいし、液化発酵プロセスに用いられてもよいし、糖化発酵プロセスに用いられてもよい。
【0138】
A.糖化
液化デンプンは、任意選択により別の酵素の存在下で、アルファ-アミラーゼ及びバリアントグルコアミラーゼを用いて、より低いDP(例えば、DP1+DP2)の糖に富むシロップに糖化され得る。糖化生成物の正確な組成は、用いられる酵素の組合せ、及び加工デンプンの種類に依存する。有利には、提供されたバリアントグルコアミラーゼを用いて得られるシロップは、含有する糖化デンプン中の総オリゴ糖のDP1の重量パーセントが90%を超え得、例えば90%~98%又は95%~97%である。糖化デンプン中のDP2の重量パーセントは、約3%未満、例えば、0~3%又は0~2.8%とできる限り低くてよい。
【0139】
液化は、一般に連続プロセスとして実行されるが、糖化は、バッチプロセスとして実施されることが多い。糖化条件は、液化物の性質、及び利用可能な酵素の種類に依存する。場合により、糖化プロセスは、約60~65℃の温度及び約4.0~4.5のpH、例えばpH4.3を含み得る。糖化は、例えば、約40℃、約50℃、又は約55℃~約60℃、又は約65℃の温度にて実行することができ、液化物を冷却する必要がある。必要に応じて、pHも調整されてよい。糖化は、通常、充填又は空にするのに数時間を要し得る撹拌槽中で実施される。酵素は、典型的には、タンクに充填されるに従い、乾燥固体に対して一定の割合で加えられるか、又は充填段階の開始時に単回量として加えられる。シロップを製造するための糖化反応は、典型的には約24~72時間、例えば24~48時間にわたって実施される。予備糖化が、同時糖化発酵(SSF)において、糖化の前に、30~65℃、典型的には約60℃の温度にて、典型的には40~90分間、加えられ得る。
【0140】
B.生デンプン加水分解
本発明は、生デンプン又は顆粒状デンプンからグルコース等を生成するための、本発明のバリアントグルコアミラーゼの使用を提供する。一般に、本発明のグルコアミラーゼを、単独で、又はアルファ-アミラーゼの存在下で、生デンプン加水分解(RSH)プロセス又は顆粒状デンプンの加水分解(GSH)プロセスで用いて、所望の糖及び発酵産物を生成することができる。顆粒状デンプンは、ゼラチン化温度未満で酵素加水分解によって可溶化される。そのような「低温」システム(「ノークック」又は「コールドクック」としても知られている)は、従来のシステムよりも高い濃度の乾燥固体(例えば最大45%)をプロセシングすることができることが報告されている。
【0141】
「生デンプン加水分解」プロセス(RSH)は、従来のデンプン処理プロセスと異なり、典型的には少なくともグルコアミラーゼ及び/又はアミラーゼの存在下で、デンプン基質のゼラチン化温度以下にて顆粒状デンプンを順次、又は同時に糖化且つ発酵させることを含む。
【0142】
また、本発明のバリアントグルコアミラーゼは、少なくとも4つのグルコシル残基を含む分子中のアルファ-(1,6)-グルコシド結合のみを加水分解する酵素と組み合わせて用いられ得る。好ましくは、本発明のバリアントグルコアミラーゼは、プルラナーゼ又はイソアミラーゼと組み合わせて用いられる。デンプンの脱分岐のためのイソアミラーゼ及びプルラナーゼの使用、酵素の分子特性、及びグルコアミラーゼとの酵素の潜在的使用は、G.M.A.van Beynum et al.,Starch Conversion Technology,Marcel Dekker,New York,1985,101-142中で説明されている。
【0143】
C.発酵
可溶性デンプン加水分解物、特にグルコースに富むシロップは、典型的には32℃前後、例えば30℃~35℃の温度にて、デンプン加水分解物を発酵生物と接触させることによって発酵させることができる。「発酵生物」とは、発酵プロセスでの使用に適しており、且つ所望の発酵産物を生成することができる、細菌及び真菌生物を含むあらゆる生物を指す。とりわけ適切な発酵生物は、グルコース又はマルトース等の糖を直接的又は間接的に所望の発酵産物へと発酵、すなわち変換することができる。発酵生物の例として、アルコールデヒドロゲナーゼ及びピルビン酸デカルボキシラーゼを発現する酵母、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、及び細菌、例えばザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)が挙げられる。エタノール生産微生物は、キシロースをキシルロースに変換するキシロースレダクターゼ及びキシリトールデヒドロゲナーゼを発現し得る。例えば、高温に抵抗できるエタノール生産微生物の改良株が、当該技術において知られており、用いることができる。Liu et al.(2011)Sheng Wu Gong Cheng Xue Bao27:1049-56参照。アルコール製造に用いることができる酵母として、S.セレビシエ(S.cerevisiae)を含むサッカロマイセス(Saccharomyces)属種、並びにクルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、ラカンケア(Lachancea)属、及びシゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属種が挙げられるが、これらに限定されない。複数の酵母菌株は市販で入手できるが、それらの多くは、例えば高アルコール製造、急速な増殖速度等の所望の特性のために選択又は遺伝子操作されている。発酵の温度及びpHは、発酵生物に依存することとなる。発酵によってクエン酸及び乳酸等の他の代謝産物を生成する微生物も、当該技術において知られている。例えば、Papagianni(2007)Biotechnol.Adv.25:244-63;John et al.(2009),Biotechnol.Adv.27:145-52参照。
【0144】
糖化プロセス及び発酵プロセスは、SSFプロセスとして実行され得る。SSFプロセスは、一部の実施形態において、SSF全体を通してバリアントグルコアミラーゼを連続的に発現且つ分泌する真菌細胞により実施され得る。また、バリアントグルコアミラーゼを発現する真菌細胞は、発酵微生物、例えばエタノール生産微生物であり得る。ゆえに、エタノール製造が、外部からの酵素の添加が比較的少量で済むか、又はその必要がないほどに十分なバリアントグルコアミラーゼを発現する真菌細胞を用いて実行され得る。真菌宿主細胞は、適切に操作された真菌株から選択され得る。また、バリアントグルコアミラーゼに加えて、他の酵素を発現且つ分泌する真菌宿主細胞が用いられ得る。そのような細胞は、アミラーゼ及び/又はプルラナーゼ、フィターゼ、アルファ-グルコシダーゼ、イソアミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、他のヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、又は他の酵素を発現し得る。発酵に続いて、その後のエタノールの回収が行われ得る。
【0145】
D.発酵産物
用語「発酵産物」は、発酵生物を用いる発酵プロセスを含むプロセスによって生成される生成物を意味する。本発明に従って意図される発酵産物として、アルコール(例えば、アラビニトール、ブタノール、エタノール、グリセロール、メタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ソルビトール、及びキシリトール);有機酸(例えば、酢酸、アセトン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2,5-ジケト-D-グルコン酸、ギ酸、フマル酸、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタル酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、イタコン酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、オキサロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、及びキシロン酸);ケトン(例えばアセトン);アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、リシン、セリン、及びトレオニン);アルカン(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、及びドデカン);シクロアルカン(例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、及びシクロオクタン);アルケン(例えば、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、及びオクテン);気体(例えば、メタン、水素(H2)、二酸化炭素(CO2)、及び一酸化炭素(CO));抗生物質(例えば、ペニシリン及びテトラサイクリン);酵素;ビタミン(例えば、リボフラビン、B12、ベータ-カロテン);並びにホルモンが挙げられる。
【0146】
好ましい態様において、発酵産物は、エタノール、例えば燃料エタノール;飲用エタノール、すなわち飲用中性スピリット;又は工業用エタノール、若しくは飲用アルコール産業(例えば、ビール及びワイン)、乳業(例えば、発酵乳製品)、皮革産業、及びタバコ産業で用いられる製品である。用いられる好ましい発酵プロセスとして、当該技術において周知のアルコール発酵プロセスが挙げられる。好ましい発酵プロセスは、当該技術において周知の嫌気性発酵プロセスである。
【0147】
E.醸造
ビールを製造するプロセスが、当該技術において周知である。例えば、Wolfgang Kunze(2004)“Technology Brewing and Malting,”Research and Teaching Institute of Brewing,Berlin(VLB),3rd edition参照。簡潔に記せば、当該プロセスは、(a)マッシュを調製することと、(b)マッシュを濾過して麦芽汁を調製することと、(c)麦芽汁を発酵させて、発酵飲料、例えばビールを得ることとを含む。
【0148】
バリアントグルコアミラーゼをアミラーゼ並びに任意選択でプルラナーゼ及び/又はイソアミラーゼと組み合わせて含む醸造組成物は、上記の工程(a)のマッシュに、すなわちマッシュの調製中に加えられ得る。代わりに、又は加えて、醸造組成物は、上記の工程(b)のマッシュに、すなわちマッシュの濾過中に加えられ得る。代わりに、又は加えて、醸造組成物は、上記の工程(c)の麦芽汁に、すなわち麦芽汁の発酵中に加えられ得る。
【0149】
F.動物の栄養
本明細書中に記載されるバリアントグルコアミラーゼ及び組成物は、デンプン消化率を増大させるために動物用の飼料添加剤として用いることができる。本明細書中に記載されるのは、動物におけるデンプン消化率を増大させるための方法である。
【0150】
用語「動物」は、動物界に属するあらゆる生物を指し、限定されないが、哺乳動物(ヒトを除く)、非ヒト動物、家庭内動物、家畜、農耕動物、動物園の動物、種畜等が挙げられる。例えば、全ての非反芻動物及び反芻動物を挙げることができる。一実施形態において、動物は、非反芻動物、すなわち単胃動物である。単胃動物の例として、子ブタ、育成ブタ、雌ブタ等のブタ(pig,swine);七面鳥、アヒル、鶏、ブロイラー、産卵鶏等の家禽類;サケ、マス、ティラピア、ナマズ、及びコイ等の魚;並びにエビ及びクルマエビ等の甲殻類が挙げられるが、これらに限定されない。更なる実施形態において、動物は、ウシ、幼ウシ、ヤギ、ヒツジ、キリン、バイソン、アメリカヘラジカ、エルク、ヤク、水牛、シカ、ラクダ、アルパカ、ラマ、アンテロープ、プロングホーン、及びニルガイが挙げられるが、それらに限定されない反芻動物である。
【0151】
用語「動物飼料」、「飼料」、「飼料原料」、及び「家畜飼料」は、互換的に用いられており、a)穀類、例えば小粒穀物(例えば、コムギ、オオムギ、ライ麦、エンバク、及びそれらの組合せ)及び/又は大粒穀物(例えば、トウモロコシ若しくはソルガム);b)穀類の副産物、例えばトウモロコシグルテンミール、可溶物添加蒸留粕乾燥穀類(DDGS)(特にトウモロコシベースの可溶物添加蒸留粕乾燥穀類(cDDGS)、小麦ふすま、小麦ミドリング粉、小麦ショーツ、米ふすま、もみ殻、エンバク殻、パーム核、及びシトラスパルプ;c)ダイズ、ヒマワリ、ピーナッツ、ルピン、エンドウ豆、ソラマメ、綿、菜種、魚粉、乾燥血漿タンパク質、肉及び骨粉、ジャガイモタンパク質、ホエイ、コプラ、ゴマ等の供給源から得られるタンパク質;d)植物源及び動物源から得られる油脂;並びに/又はe)ミネラル及びビタミンを含む群から選択される1種以上の飼料材料を含み得る。
【0152】
飼料中のデンプンの消化率は、高度に変動しやすく、デンプン及び飼料マトリックスの双方の物理的構造が挙げられるいくつかの因子に依存する。動物の飼料中のデンプン消化率は、飼料添加剤としての少なくとも1種のグルコアミラーゼの使用によって向上され得ることが見出されている。
【0153】
機能性飼料等の飼料として用いられるか、又は当該飼料の調製に用いられる場合には、本明細書の酵素又は飼料添加剤組成物は:栄養学的に許容される担体、栄養学的に許容される希釈剤、栄養学的に許容される賦形剤、栄養学的に許容されるアジュバント、栄養学的に有効な成分の1つ以上と組み合わせて用いられ得る。例えば、タンパク質、ペプチド、スクロース、ラクトース、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、ソルビン酸カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、ソルビン酸マグネシウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、及びプロピルパラベンからなる群から選択される少なくとも1種の構成要素が挙げられ得る。
【0154】
また、本明細書中に記載される少なくとも1種のバリアントグルコアミラーゼ(又は本明細書中に記載される少なくとも1種のバリアントグルコアミラーゼを含む酵素組成物)を均質化して、粉末を製造することが可能である。当該粉末は、当該技術において知られている他の構成要素と混合され得る。任意選択により、飼料原料はまた、例えばカルシウム等の追加のミネラル、及び/又は追加のビタミンを含有し得る。一部の実施形態において、飼料原料はトウモロコシ大豆ミールミックスである。
【0155】
代替の好ましい実施形態において、少なくとも1種のグルコアミラーゼを含む酵素組成物は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/044968号パンフレット(TPT顆粒と称される)又は国際公開第1997/016076号パンフレット若しくは国際公開第1992/012645号パンフレットに記載されるような顆粒に製剤化され得る。「TPT」は、熱防護技術を意味する。飼料添加剤組成物が顆粒に製剤化される場合には、当該顆粒は、タンパク質コアをおおってコーティングされた水和バリア塩を含む。そのような塩コーティングの利点は、耐熱性の向上、貯蔵安定性の向上、及び、塩コーティングがなければ酵素に悪影響を及ぼす他の飼料添加剤からの保護である。好ましくは、塩コーティングに用いられる塩は、20℃にて水分活性が0.25超又は恒湿が60%超である。一部の実施形態において、当該塩コーティングは、Na2SO4を含む。
【0156】
これ以外にも、組成物は、消費に適した液体製剤中に存在し、好ましくは、そのような液体消費物は、以下: バッファ、塩、ソルビトール、及び/又はグリセロールの1種以上を含有する。
【0157】
飼料添加剤として用いられる、本明細書中に記載されるグルコアミラーゼのいずれかが、単独で用いられてもよいし、少なくとも1種の直接給餌微生物と組み合わせて用いられてもよい。DFMのカテゴリには、バチルス(Bacillus)属、乳酸菌、及び酵母が含まれる。さらに、飼料添加剤として用いられる、本明細書中に記載されるグルコアミラーゼのいずれかが、単独で用いられてもよいし、例えば、桂皮アルデヒド及び/又はチモールといった少なくとも1種のエッセンシャルオイルと組み合わせて用いられてもよい。さらに、飼料添加剤として用いられる、本明細書中に記載されるグルコアミラーゼのいずれかが、単独で用いられてもよいし、少なくとも1種の追加の酵素と組み合わせて用いられてもよい。そのような酵素の例として、限定されないが、フィターゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、グルカナーゼ、又は他のグルコアミラーゼが挙げられる。
【0158】
また、開示されるのは、動物飼料の栄養価を向上させる方法であって、本明細書中に記載されるバリアントグルコアミラーゼのいずれかの有効量が動物飼料に加えられ得る方法である。
【0159】
本明細書中で用いられるフレーズ「有効量」は、単独で、又は1種以上の他の活性剤(例えば、限定されないが、1種以上の追加の酵素、1種以上のDFM、1種以上の精油等)と組み合わせて、1つ以上の測定基準について動物に性能の向上を付与するのに必要とされる活性剤(例えば、本明細書中で開示されるバリアントグルコアミラーゼポリペプチドのいずれか)の量に関する。
【0160】
本明細書中で用いられる用語「動物の性能」は、限定されないが、飼料効率及び/又は動物の体重増加及び/又は飼料要求率及び/又は飼料中の栄養素の消化率及び/又は飼料中の可消化エネルギー若しくは代謝エネルギー及び/又は疾患の、若しくは対象の免疫応答による悪影響を回避する動物の能力等のあらゆる測定基準によって判定され得る。
【0161】
動物の性能の特徴として、体重;体重増加;嵩;体脂肪パーセンテージ;身長;体脂肪分布;成長;成長速度;卵のサイズ;卵の重量;卵の嵩;産卵率;ミネラル吸収;ミネラル排泄、ミネラル保持;骨密度;骨強度;飼料要求率(FCR);平均1日飼料摂取量(ADFI);平均1日増量(ADG)、銅、ナトリウム、リン、窒素、及びカルシウムのいずれか1種以上の保持及び/又は分泌;アミノ酸の保持又は吸収;無機質化、骨石灰化、屠体収量、並びに屠体品質が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0162】
「1つ以上の評価指標の動物の性能の向上」が意味するのは、本明細書中に記載される飼料添加剤組成物を含む飼料の使用の結果として生じる、前記飼料添加剤組成物を含まない飼料と比較した、対象における飼料効率の増大及び/又は体重増加の増大及び/又は飼料要求率の減少及び/又は飼料中の栄養素若しくはエネルギーの消化率の向上及び/又は窒素保持の向上及び/又は壊疽性腸炎の悪影響を回避する能力の向上及び/又は免疫応答の向上である。
【0163】
本明細書中で引用される全ての参考文献は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本組成物及び方法、並びにそれらの利点についてさらに説明するために、以下の特定の実施例が、限定的ではなく例示的であるとの理解の下で提供される。
【実施例】
【0164】
実施例1
トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)におけるケカビ(Mucorales)目分岐群バリアントグルコアミラーゼの部位評価ライブラリ(SEL)の構築、形質転換、及び発現
ケカビ(Mucorales)目分岐群バリアントグルコアミラーゼをコードするポリヌクレオチド(発現カセットとして用いるコドン修飾配列)を、Generay(Generay Biotech Co.,Ltd,Shanghai,China)によって合成して、pI1c発現ベクターである、pTTTの派生ベクター(米国特許出願公開第20110020899号明細書参照)(テロメア領域及びアセトアミダーゼマーカーを欠いている)中に挿入した。Generay Seamlessクローニング試薬を、ベンダーによって説明されるように用いた。当該研究において、親グルコアミラーゼ分子の遺伝子配列は配列番号1であり、翻訳産物は配列番号2である。当該部位評価研究用の親グルコアミラーゼ分子の予測される成熟配列は、配列番号3である。
【0165】
ハイスループット形質転換、植菌、発酵、及び採取を含む全ての真菌操作を、96ウェルマイクロタイタープレート(MTP)内で実行した。プラスミドを、ポリエチレングリコール(PEG)-プロトプラスト法を用いて、固形アガー上でのプレーティングを省略して、適切なT.リーゼイ(T.reesei)宿主菌株中に形質転換させた。手短に、およそ0.5~2μgのDNA、2×106個のプロトプラスト、及び4pmolのリボ核タンパク質(RNP)を含有する、60μLの総容量の形質転換混合液を、150μLの25%PEG溶液により処理した。プロトプラストを、0.75Mソルビトールを含有する液体の選択増殖培地中で再生させて、浸透圧を維持した。再生した真菌培養物入りプレートを、50mmのスローを備えるシェーカーインキュベータ内で、200rpm、28℃、湿度80%にて4日間、真菌菌糸体が形成されるまで増殖させた。グルコアミラーゼバリアントの発現のために、この材料を用いて培養物を植菌した。
【0166】
グルコアミラーゼタンパク質を発現させるために、形質転換T.リーゼイ(T.reesei)菌株を、以下のように培養した: 40μlの再生した形質転換体を用いて、グルコース、(NH4)2SO4、PIPPSバッファ(pH5.5)、塩、及び微量元素を含有する360μlの培養培地に植菌した。培養物を、50mmのスローを備えるシェーカーインキュベータ内でインキュベートされる96ウェルMTP内で、260rpm、28℃、湿度80%にて増殖させた。前培養の2日後に、培養物を、上述のものに類似する培養培地に移した。そこでは、グルコースを、グルコース/ソホロース混合物に置き換えた。その後、96ウェルMTPを、50mmのスローを備えるシェーカーインキュベータ内で、260rpm、28℃、湿度80%にてインキュベートした。5日間発酵させた後に、培養物を、親水性PVDF膜を用いる遠心分離によって濾過すると、澄明な上清が得られ、これを組換えグルコアミラーゼ酵素の分析に用いた。
【0167】
形質転換スクリーン由来の上清を、タンパク質定量化に供した。MTP培養物由来の5μlの澄明な培養上清のアリコートを、80℃にてZorbax 300 C3 Rapid Resolution HD 2.1×50mm 1.8-Micron(Agilent)カラム上に注入した。グルコアミラーゼを、バッファA(水中0.1%TFA)及びバッファB(0.07%TFA、70%アセトニトリル、30%イソプロパノール)の3分の勾配により溶出した。グルコアミラーゼ濃度が知られている発酵サンプルの較正曲線(0~1024ppm)を用いて、グルコアミラーゼタンパク質濃度を求めた。表1に報告する活性アッセイ(以下の実施例2)のために、サンプルを、0.005%(v/v)Tween-80を含有する20mM酢酸ナトリウムバッファpH4.5中で、糖化アッセイについて200ppm、転換アッセイについて40ppm、そして全ての比色ABTSアッセイについて15ppmの濃度に規格化した。濃度が0~80ppmに及ぶ親分子の較正曲線を、性能指数(PI)算出用に、アッセイプレートに含めた。
【0168】
親グルコアミラーゼの培養上清の代表的なサンプルを、質量分析法(MS)によって分析した。MS分析の結果は、複数のポリペプチドの存在を示す。配列番号3の予測されるC末端が確認された一方、予測されるN末端のいくつかのトランケーションが検出された。N末端残基: 1(配列番号5)、残基2(配列番号35)、残基3(配列番号6)、残基5(配列番号36)、及び残基6(配列番号37)の後ろに、トランケーションが観察された。
【0169】
実施例2
糖化関連アッセイにおけるケカビ(Mucorales)目分岐群グルコアミラーゼバリアントの酵素活性の評価
バリアント及び親分子(配列番号3)の糖化性能を、Tate & Lyleから購入した基質としてのMaltosweet G 120(DE=11~14)を用いて、pH4.5、62℃にて48時間にわたって評価した。糖化混合物の出発DS含量は、34%であった。グルコアミラーゼの性能を、28μg/dsgの投与量にて試験した。この評価のために、プルラナーゼOPTIMAX(商標)L 1000(IFFの製品)を、0.438ASPU/DSgにて投与し、アルファ-アミラーゼのアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)アミラーゼ(参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014099415号パンフレットに記載)を、インキュベーション毎に0.227SSU/DSgにて投与した。75μlのマルトデキストリン及び5μlの糖化混合物(先に記載されるように、グルコアミラーゼ、アルファ-アミラーゼ、及びプルラナーゼ)からなる反応液を、MTP中でpH4.5、62℃にて48時間、900rpmにて振盪させながらインキュベートした。全ての反応液を、1:40の糖化シロップ対酸溶液の比率での5mM H2SO4の添加によってクエンチした。クエンチしたアリコートを、80℃にて5.3分間実施する二重Phenomenex Rezex-RFQ Fast Acid H+(8%)100×7.8mmカラム(cat# 00D-0223-K0)を備えるAgilent 1260シリーズシステムを用いる産物形成用のHPLCによって分析した。この目的のために、5μLのサンプルをカラム上に注入して、炭水化物を、移動相としての5mM H2SO4のアイソクラティック勾配により、1.0mL/分の流量にて分離した。オリゴ糖産物を、屈折率検出器を用いて検出した。標準を走らせて、関心対象の糖の各重合度(DP(n))(nは糖の数を表し、例えば、DP3+、DP3、DP2、及びDP1である)の溶離時間を判定した。特定した糖化産物の総積分ピーク面積を用いて、各(オリゴ)糖の相対含量を算出した。糖化におけるGAバリアントの性能を、親分子(配列番号3)の性能に対して比較した。アミノ酸置換の、当該GAプロパティに及ぼす影響を判定するために、親分子に対するグルコース収率の増大%を求めた。結果を表1に示す。0.5%よりも大きな値は、糖化に及ぼす変異のポジティブ効果と考える。
【0170】
比色読出しを用いた比活性の判定
グルコアミラーゼバリアントの比活性を、選択した基質からのグルコースの放出速度に基づいて、共役グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ(GOX/HRP)及び2,2’-アジノ-ビス3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)法(Anal.Biochem.105;1980:389-397)を用いて判定した。
【0171】
グルコアミラーゼ上清の5μlアリコートを、25mM酢酸ナトリウムバッファ(pH4.5)を含有する25μlのフレッシュに調製した試薬A溶液入りMTP(最終濃度は、25U/mL HRP(Sigma-Aldrich、Prod.nr:P8375)、62U/mL GOX(Sigma-Aldrich、Prod.nr:G7141)、及び0.005%Tween-80であった)中で組み合わせた。反応を開始するために、5.4mg/mL ABTS(Sigma-Aldrich、Prod.nr:A1888)、25mM酢酸ナトリウムバッファ(pH4.5)、及び0.005%Tween-80からなる20μlの基質含有試薬Bを加えた。種々のアッセイの最終基質濃度は: 4.6mMマルトース(Sigma-Aldrich、Prod.nr:47288)、30mMパノース(Megazymes、O-PAN)、1%(w/v)の予備沸騰させたプルラン(Sigma-Aldrich、Prod.nr:P4516)、0.5%(w/v)の予備沸騰させた可溶性デンプン(Sigma-Aldrich、Prod.nr:S9765)、及び1%(w/v)のマルトデキストリン(Sigma-Aldrich、Prod.nr:31410)であった。試薬を激しく混合して、吸光度カイネティクスを、Molecular Devicesのプレートリーダーを用いて、室温にて連続して撹拌しながら23秒間隔で6分間、直ぐに読んだ。405nmでの吸光度率の増大は、酵素の加水分解活性と比例する。反応を、三反復で走らせて、線形回帰を用いてサンプルのVoを求めた。このように生成したデータを用いて、各アッセイについての各サンプルの性能を算出した。等価タンパク質濃度での親GAの予測される活性率で割った各バリアントの活性率を、性能指数(PI)と定義した。親のPI値と等しいか、又はこれよりも1.1大きいPI値を、分子の比活性に及ぼす有益な効果を有する変異の選択のためのカットオフとして用いた。結果を表1に示す。
【0172】
グルコアミラーゼバリアントの熱安定性の評価
15ppmに設定したグルコアミラーゼバリアントサンプルを、Mastercycler Pro 384(Eppendorf)により、384ウェルPCR MTP内で57℃にて30分間インキュベートした。インキュベーション後、MTPを室温に冷却して、上述のABTS法を用いて、マルトデキストリン基質についての比活性を判定した。熱インキュベートしたサンプルの活性を非インキュベートサンプルの活性で割ることによって、グルコアミラーゼバリアントの残留活性(熱処理後に残留している活性)パーセント(%)を求めた。親酵素の熱安定性を5%超える熱安定性の向上は、分子の熱安定性に及ぼす有益な効果を有する変異の選択におけるカットオフとして用いた。熱安定性の結果を、残留活性%として表1に示す。
【0173】
グルコアミラーゼバリアントの転換反応の評価
384ウェルMTP内で67μlの10mM酢酸ナトリウムバッファpH4.5中50%(w/v)グルコースを13μlの酵素サンプルと組み合わせて、50℃にて66時間振盪させながらインキュベートすることによって、GAバリアント毎のグルコース縮合活性(転換活性)を試験した。2.5μlの反応カクテルを97.5μlの5mM H2SO4と混合することによって、反応をクエンチした。反応産物(グルコース及び縮合産物、例えば、DP2、DP3、及びDP3+)を、前述のHPLC分析によって判定且つ定量化した。
【0174】
GAバリアントの性能を、親分子(配列番号3)の性能に対して比較した。アミノ酸置換の、当該GAプロパティに及ぼす影響を判定するために、縮合物%として表される親分子に対する転換収率(DP2)の減少を判定した。結果を表1に示す。減少した転換と等しいか、又は0.4よりも大きい値を、このアッセイの条件下での転換に及ぼすポジティブ効果と考える。
【0175】
なお、残留活性の比較について、用いた値は絶対(測定したとおり)である一方、転換反応について、そして糖化収率について、値を、収率パーセントの差異として算出する(例えば、バリアントA51Yは、収率が、親GAの91.8%DP1に対して93.2%DP1であるので、糖化収率に1.4%の収率の向上を付与する)。
【0176】
表1に記載されるケカビ(Mucorales)目分岐群GAバリアントは全て、親の配列である配列番号3と比較した場合に、少なくとも1つのプロパティの向上を提示し、アミノ酸置換毎に利益を示す。配列番号3は、位置102にてProを有する配列番号4(SvaGA1)に等しい。細胞が表1においてブランクで表示される例は、利益(親に対する向上)が、当該特定の例について観察されなかったことを示す。例えば、<1.0のPI、熱安定性、残留活性%は、(アッセイプレート上の親対照と比較して)5%未満の向上であり、転換の減少及び糖化結果の向上はそれぞれ、親よりも0.4%未満又は0.5%超であった。親分子の熱安定性についての残留活性%の隣のアスタリスクは、これが、バリアント分子について実行した評価にわたる複数の試験の平均であることを表す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0177】
実施例3
グルコアミラーゼ配列の比較
多重アミノ酸配列アラインメントを、配列番号3(SvaGA1v2)及び配列番号4(SvaGA1)の予測される成熟領域、並びに関連するグルコアミラーゼ: GAN00808.1(配列番号7)、ORE14155.1(配列番号8)、RCH88939.1(配列番号9)、AelGA1(配列番号31)、AosGA3(配列番号30)、AtrGA1(配列番号33)、AvaGA1(配列番号32)、BciGA1(配列番号10)、BciGA2(配列番号11)、BpoGA1(配列番号12)、CcuGA1(配列番号13)、CumGA1(配列番号20)、DelGA1(配列番号16)、FspGA3(配列番号17)、GpeGA1(配列番号18)、MciGA3(配列番号19)、MciGA5(配列番号15)、McoGA1(配列番号21)、ParGA1(配列番号22)、RmiGA1(配列番号23)、RstGA1(配列番号14)、SfuGA2(配列番号24)、SobGA1(配列番号29)、SraGA1(配列番号25)、SraGA3(配列番号26)、TinGA1(配列番号27)、及びZmeGA1(配列番号28)について構築して、これらの他のGAの配列に関して、配列番号3及び4の位置1から位置449までの対応するアミノ酸を決定した。これらの配列を、Geneious 10.2ソフトウェア内のMUSCLEアラインメントツールを用いて、デフォルトのパラメータでアラインした。多重配列アラインメントを、
図1のパネルA~Hに示す。MUSCLEアラインメントから算出したこれらのGA間の配列同一性パーセントを、表2に示す。これらのケカビ(Mucorales)目分岐群GA及び他のGAについての系統樹を、Geneious 10.2ソフトウェアを用いて生成して、
図2に示す。
【表2】
【0178】
実施例4
トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)におけるバリアントグルコアミラーゼのコンビナトリアルライブラリの構築、形質転換、及び発現
選択した変異の組合せを含有するグルコアミラーゼバリアントのDNA発現カセット(表1)を、上述のpI1cベクター、並びにSeamlessクローニング及びアセンブリキット(Invitrogen)を用いて、メーカーのプロトコールに従って、標準的な分子生物学技術を用いて得た。
【0179】
プロトプラストの調製及び形質転換を、国際公開第2013/102674号パンフレットに記載されるように実行して、発現カセットを、真菌宿主ゲノム中の特定の位置に挿入した。インビトロでアセンブルしたRNP複合体を、実施例1に記載する形質転換混合物に加えた。続いてこれを、選択アガー最小培地入りの24ウェルマイクロタイタープレート上にプレーティングした。形質転換体が増殖して、十分に芽胞形成すると、これをスクレイプして、フレッシュな選択アガープレート上に再パッチした。形質転換体をさらに培養して、培養上清を、実施例1に記載するように調製して、関心対象のグルコアミラーゼ酵素のタンパク質定量化サンプルを得た。タンパク質の定量化を、実施例1に記載するように実行した。
【0180】
実施例5
糖化関連アッセイにおける追加のケカビ(Mucorales)目分岐群グルコアミラーゼバリアントの酵素活性の評価
活性アッセイのために、サンプルを、糖化アッセイ及び転換アッセイについて、0.005%(v/v)のTween-80を含有する20mM酢酸ナトリウムバッファpH4.5中で80ppmの濃度に規格化した。10ppmのGA溶液を、全ての比色ABTS調薬アッセイ用に製造した。親分子(配列番号34)のサンプルを、比較のためにアッセイプレート内に含めた。配列番号34は、位置66にてAla及び位置102にてProを有する配列番号4(SvaGA1)に等しい。
【0181】
Tate & Lyleから購入した基質としてのMaltosweet G 120(DE=11~14)を用いた48時間のインキュベーション後に、バリアント及び親分子(配列番号34)の糖化性能を、pH4.5、62℃にて評価した。糖化混合物の出発DS含量は、34%であった。グルコアミラーゼの性能を、29μg/dsgの投与量にて試験した。この評価のために、プルラナーゼOPTIMAX(商標)L 2500を、0.454ASPU/DSgにて投与し、そしてアルファ-アミラーゼGC626(商標)を、インキュベーション毎に0.088SSU/DSgにて投与した。70μlのマルトデキストリン及び12μlの糖化混合物(グルコアミラーゼ、アルファ-アミラーゼ、及びプルラナーゼ)からなる反応液を、384ウェルMTP内でpH4.5、62℃にて48時間、900rpmにて振盪させながらインキュベートした。全ての反応液を、1:33の糖化シロップ対酸溶液の比率での5mM H2SO4の添加によってクエンチした。クエンチしたアリコートを、80℃にて5.3分間実施する二重Phenomenex Rezex-RFQ Fast Acid H+(8%)100×7.8mmカラム(cat# 00D-0223-K0)を備えるAgilent 1260シリーズシステムを用いる産物形成用のHPLCによって分析した。この目的のために、5μLのサンプルをカラム上に注入して、炭水化物を、移動相としての5mM H2SO4のアイソクラティック勾配により、1.0mL/分の流量にて分離した。オリゴ糖産物を、屈折率検出器を用いて検出した。標準を走らせて、関心対象の糖の各重合度(DP(n))(nは糖の数を表し、例えば、DP3+、DP3、DP2、及びDP1である)の溶離時間を判定した。特定した糖化産物の総積分ピーク面積を用いて、各(オリゴ)糖の相対含量を算出した。親に対するバリアントの糖化収率の向上を、グルコース%として表3に報告する。グルコースの少なくとも0.3%の増大の値を、所与の条件下での糖化のGA性能に及ぼすポジティブ効果を有する変異についての選択カットオフとして用いた。
【0182】
比色読出しを用いた比活性の判定
グルコアミラーゼバリアントの比活性を、選択した基質からのグルコースの放出速度に基づいて、共役グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ(GOX/HRP)及び2,2’-アジノ-ビス3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)法(Anal.Biochem.105;1980:389-397)を用いて判定した。
【0183】
10ppmのグルコアミラーゼ培養サンプルのアリコートを、25mM酢酸ナトリウムバッファ(pH4.5)を含有する50μlのフレッシュに調製した試薬A溶液入り384ウェルMTP(最終濃度は、25U/mL HRP(Sigma-Aldrich、Prod.nr:P8375)、62U/mL GOX(Sigma-Aldrich、Prod.nr:G7141)、及び0.01%Tween-80であった)中で組み合わせた。種々の基質アッセイにおける最終酵素濃度は: マルトースアッセイにおいて1.67ppm、マルトデキストリンアッセイにおいて0.43ppm、パノースアッセイにおいて1.43ppm、プルランアッセイにおいて0.72ppm、そして可溶性デンプンアッセイにおいて0.32ppmであった。反応を開始するために、3.2mg/mL ABTS(Sigma-Aldrich、Prod.nr:A1888)、25mM酢酸ナトリウムバッファ(pH4.5)、及び0.01%Tween-80からなる40μlの基質含有試薬Bを加えた。種々のアッセイの最終基質濃度は: 4.5mMマルトース(Sigma-Aldrich、Prod.nr:47288)、15mMパノース(Megazymes、O-PAN)、1.5%(w/v)の予備沸騰させたプルラン(Sigma-Aldrich、Prod.nr:P4516)、0.5%(w/v)の予備沸騰させた可溶性デンプン(Sigma-Aldrich、Prod.nr:S9765)、及び0.12%(w/v)のマルトデキストリン(Sigma-Aldrich、Prod.nr:31410)であった。試薬を激しく混合して、吸光度カイネティクスを、Molecular Devicesのプレートリーダーを用いて、室温にて17秒間隔で3.5分間、405nmにて直ぐに測定した。405nmでの吸光度率の増大は、酵素の加水分解活性と比例する。反応を、三反復で走らせて、線形回帰を用いてサンプルのVoを求めた。このように生成したデータを用いて、各基質についての各サンプルの性能を算出した。サンプルのVoを親GAのVoで割ることによって、各バリアントの性能を算出する。この比率を、性能指数(PI)と定義した。親GAのPI値と等しいか、又はこれよりも1.1大きいPI値を、分子の比活性に及ぼす有益な効果を有する変異の選択のためのカットオフとして用いた。結果を表3に示す。
【0184】
グルコアミラーゼバリアントの熱安定性の評価
10ppmに規格化したグルコアミラーゼバリアントタンパク質を、Mastercycler Pro 384(Eppendorf)により、PCR MTP内で58℃にて30分間インキュベートした。インキュベーション後、MTPを室温に冷却して、上述のように用いて、マルトデキストリン-ABTS基質についての比活性を判定した。熱インキュベートしたサンプルの活性を非インキュベートサンプルの活性で割ることによって、グルコアミラーゼバリアントの残留活性(熱処理後に残留している活性)パーセント(%)を求めた。親酵素の熱安定性を3%超える熱安定性の向上は、分子の熱安定性に及ぼす有益な効果を有する変異の選択におけるカットオフとして用いた。結果を表3に示す。
【0185】
グルコアミラーゼバリアントの転換反応の評価
384ウェルMTP内で70μlの20mM酢酸ナトリウムバッファpH4.5中45%(w/v)グルコースを10μlの酵素サンプルと組み合わせて、50℃にて66時間振盪させながらインキュベートすることによって、GAバリアント毎のグルコース縮合活性(転換活性)を試験した。3μlの反応カクテルを97μlの5mM H2SO4と混合することによって、反応をクエンチした。反応産物(グルコース及び縮合産物、例えば、DP2、DP3、及びDP3+)を、前述のHPLC分析によって判定且つ定量化した。
【0186】
GAバリアントの性能を、親分子(配列番号34)の性能に対して比較した。アミノ酸置換の、当該GAプロパティに及ぼす影響を判定するために、縮合物%として表される転換収率(DP2)の減少を判定した。結果を表3に示す。DP2の0.1%以上の低下の値を、所与の条件下での転換に及ぼすポジティブ効果と考える。
【0187】
なお、転換反応について、そして糖化収率について、値を、収率パーセントの差異として算出する(例えば、バリアントxは、収率が、親GAの94.8%DP1に対して95.2%DP1であるので、糖化収率に0.4%の収率の向上を付与する)。
【表3-1】
【表3-2】
【0188】
表3に記載される全てのSvaGa1バリアントは、GA性能に関連する少なくとも1つのパラメータにおいて、親分子(SvaGA1+66A/102P)と比較した場合に、性能を有意に向上させた。
【0189】
実施例6
サクセニア菌(Saksenaea vasiformis)B4078グルコアミラーゼのバリアントに及ぼすN-グリコシル化の効果
グルコアミラーゼSvaGA1v2(配列番号3)及びSvaGA1v3(配列番号34)の性能に及ぼすN-グリコシル化の効果を調査するために、いくつかのバリアント配列を、当該技術において知られている分子生物学技術を用いて生成した。新しいN-グリコシル化部位を生成する潜在性を有するアミノ酸置換を、配列番号38、39、40、41、42、43、44、及び45に対応するバリアントにおいて評価した。
【0190】
GAバリアント配列をコードするポリヌクレオチド(発現カセットとして用いるコドン修飾配列)を、Generay(Generay Biotech Co.,Ltd,Shanghai,China)によって合成して、pGX256発現ベクターである、pTTTの派生ベクター(米国特許出願公開第20110020899号明細書参照)中に挿入した。全プラスミドを、プロトプラスト形質転換(Te’o et al.,J.Microbiol.Methods 51:393-99,2002)を用いて、適切なトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)株中に形質転換させた。国際公開第2016/138315号パンフレット中に記載されている方法によって、形質転換体を選択し、且つ発酵させた。これらの培養物由来の上清を用いて、SDS-PAGE分析によってタンパク質の発現を確認した。
【0191】
真菌細胞培養物を、Lv et al. ((2012)Plasmids 67:67-71)によって記載されるように、規定培地中で増殖させた。96時間後、澄明になった培養ブロスを遠心分離によって収集した。グルコアミラーゼバリアントを、当該技術において知られている方法によって精製した。標的タンパク質を含有するカラムクロマトグラフィ画分をプールして、濃縮して、10KのMWCOを備えるAmicon Ultra-15デバイスを用いて、20mM酢酸ナトリウム、pH5.0、150mM塩化ナトリウムと平衡化させた。精製したサンプルは、およそ99%純粋(SDS-PAGE分析による)であり、使用時まで-80℃にて40%グリセロール中に保存した。
【0192】
グルコアミラーゼの熱安定性の評価
表4に記載するN-グリコシル化バリアントの熱安定性を、55℃にて40分間の酵素サンプル(20ppm)の予備インキュベーションと比較した。4℃にて40分間の予備インキュベーションを含めて、各グルコアミラーゼサンプルの100%活性として設定した。続いて、予備インキュベーション後のグルコアミラーゼの残留活性を、共役グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ(GOX/HRP)及び2,2’-アジノ-ビス3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)法(Anal.Biochem.105;1980:389-397)を用いて測定した。15mLのコニカルチューブ中で9mLの可溶性デンプン(水中1%、w/w)及び1mLの0.5M酢酸ナトリウムバッファ、pH4.5を混合することによって、基質溶液を調製した。50mM酢酸ナトリウムバッファ(pH5.0)中に、ABTSを含む共役酵素(GOX/HRP)溶液(最終濃度は、2.74mg/mL ABTS、0.1U/mL HRP、及び1U/mL GOXであった)を調製した。600rpmで50℃にて5分間予備インキュベートした90μLの基質溶液を含有する新しいマイクロタイタープレート(Corning 3641)中に、予備インキュベーション後のグルコアミラーゼサンプル(10μL)を移した。反応を、サーモミキサー(Eppendorf)内で振盪(650rpm)させながら50℃にて10分間実行させてから、10μLの反応混合液を、新しいマイクロタイタープレート(Corning 3641)に迅速に移してから、90μLのABTS/GOX/HRP溶液を加えた。SoftMax Proプレートリーダー(Molecular Device)を用いて、11秒間隔で5分間、405nmの吸光度を直ぐに測定した。反応速度のアウトプット、Voを用いて、グルコアミラーゼ活性を示した。
【0193】
上述の方法を用いて、N-グリコシル化バリアントSvaGA1v2_D81N_K83T(配列番号38)、SvaGA1v2_A153T(配列番号39)、SvaGA1v2_S370N_A372S(配列番号40)、SvaGA1v2_D81N_K83T_A153T(配列番号41)、SvaGA1v3_D81N_K83T(配列番号42)、SvaGA1v3_A153T(配列番号43)、SvaGA1v3_S370N_A372S(配列番号44)、及びSvaGA1v3_D81N_K83T_A153T(配列番号45)の残留活性を、それぞれの親配列SvaGA1v2(配列番号3)及びSvaGA1v3(配列番号34)と比較して判定した。表4は、サクセニア菌(Saksenaea vasiformis)B4078グルコアミラーゼ骨格に及ぼすグリコシル化の影響を評価するために設計したバリアント間での熱安定性比較の結果を示す。GAバリアントを、55℃にて40分間予備インキュベートしてから、pH4.5で50℃にて10分間、残留活性を測定した。
【表4】
【0194】
表4に示すように、N-グリコシル化バリアント、とりわけ置換D81N_K83T_A153Tを有するバリアントは、その親分子よりも高い残留活性を示した。SvaGA1v2_D81N_K83T_A153Tは、その活性の33%を保持した一方、SvaGA1V2親は21%を保持した。SvaGA1v3_D81N_K83T_A153Tは、その親分子を上回り、親SvaGA1v3の66%に対して、75%の残留活性を維持した。
【0195】
実施例7
ケカビ(Mucorales)目分岐群グルコアミラーゼ及びバリアントの構造要素
位置75でのAsnグリコシル化部位の置換が、触媒活性の減少の原因となることが観察された。バリアントSvaGA1v2 N75Dは、55℃にて40分間試験した場合に、親SvaGA1v2タンパク質と比較して、活性のおよその50%の減少を示す。寄託(submission)時に、Protein Data Bank(worldwideweb.rcsb.org)における既存のグルコアミラーゼ構造は、Asn75又は構造的に等価の位置にてN-グリコシル化部位を含有しなかった。このグリコシル化部位は、実施例3に記載するグルコアミラーゼのケカビ(Mucorales)目分岐群に集中している。相互作用が安定している追加のグルコアミラーゼを特定するために、非重複タンパク質配列のnrデータベース(National Center for Biotechnology Information)を、全てデフォルトのBLASTパラメータを用いて、クエリとしてのSvaGA1v2(配列番号3)配列によりサーチした。種々の真菌及び細菌の門由来の配列を含有する、トップ500の配列を、MOE 2019.0102(Chemical Computing Group、Montreal、Canada)とアラインした。SvaGA1v2(配列番号3)内のAsn94と構造的に等価の位置にてN-グリコシル化モチーフN-X-(S/T)(Schwarz & Aebi,(2011)Current Opinion in Structural Biology. 21:576-582.)を含有する配列を特定した。結果として生じるソース生物は、ケカビ(Mucoromycota)門菌類及び他の一タイプの生物である単一の細菌種のみの50種を含んだ。
【0196】
Asn 75でのグリコシル化由来の活性の向上の構造基礎を理解するために、結晶学的構造を決定した。国際公開第2011/063308号パンフレット及び国際公開第2016/138315号パンフレットに記載される、サクセニア菌(Saksenaea vasiformis)(SvaGA1v2)(配列番号3)由来のグルコアミラーゼのバリアントを、標準的な方法を用いてクローニングして発現させた。発酵ブロスを、VivaFlow 200限外濾過デバイス(Sartorius Stedim、Goettingen、Germany)により濃縮した。1Mの最終濃度になるまで(NH4)2SO4を加えた後に、濃縮物を、1M(NH4)2SO4)(バッファA)を補充した20mMリン酸ナトリウムバッファ(pH7.0)により予備平衡化したHiPrep(商標)Phenyl FF 16/10カラム(GE Healthcare、Pittsburgh、USA)上にロードした。サンプルのローディング後、UV(A280)ベースラインが安定するまで、コラムをバッファAにより洗浄した。タンパク質の溶離を、5mL/分の流量にて20分間、100%バッファAから100% 20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)(バッファB)までの勾配で始めた。標的タンパク質を含有する画分をプールして、濃縮して、10kDa Amicon Ultra-15デバイス(Merck Millipore Ltd.、Darmstadt、Germany)を介してバッファBにバッファ交換した。
【0197】
結晶を、2.13M硫酸アンモニウム、0.1M酢酸ナトリウム三水和物、pH4.3の貯蔵溶液を用いるハンギングドロップ法によって成長させた。滴は、2μlの11.5mg/mLタンパク質及び2μlの貯蔵溶液を含有した。Cryo-protectionは、貯蔵溶液中に17%の総グリセロールを含んだ。
【0198】
生来の回折データを、Accelero Biostructures,Inc.、Californiaによって実行される、BLU-ICEデータ収集環境(Hypertext Transfer Protocol Secure://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12409628/)を用いるベースライン9-2のStanford Synchrotron Radiation Lightsource(SSRL)にて収集した。データセットを、Pilatus 6Mディテクタ(Dectris AG、Switzerland)を用いて、100Kにて収集した。データを、XDS(Hypertext Transfer Protocol Secure://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20124692/)を用いて、0.95Å解析度までプロセシングした。
【0199】
分子置換を、検索モデルとして相同性モデルを用いるPhaser(McCoy et al.,J.Appl. Cryst.(2007). 40,658-674)により実行した。相同性モデルを、サッカロマイコプシス・フィブリゲラ(Saccharomycopsis fibuligera)、PDBコード2FBA (Sevcik,et al.,(2006)FEBS J 273:2161-2171)由来のグルコアミラーゼによるデフォルトパラメータを用いて、MOE(Chemical Computing Group、Montreal、Canada)により構築した。REFMAC 5.8(Vagin,et al.,(2004)Acta Crystallogr. D60:2284-2295)及びCoot(Emsley & Cowtan(2004). Acta Crystallogr. D60,2126-2132)による19ラウンドのリビルディング及びリファインメントを、等方性温度因子により実行してから、最終の3ラウンドのリファインメントを、異方性温度因子により実行した。リファインメントについての解析度範囲は、0.97Å~40.70Åであった。最終リファインメント後、異方性温度因子、Rwork=0.12及びRfree=0.14を用いた。最も高い解析度シェル(0.97Å~0.995Å)では、Rwork=0.29及びRfree=0.31であった。
【0200】
SvaGA1v2(配列番号3)について決定したX線回折構造は、Asn75でのN-グリコシル化部位について、明らかな電子密度を示した。寄託時に、Protein Data Bank(worldwideweb.rcsb.org)における既存のグルコアミラーゼ構造は、Asn75又は構造的に等価の位置にてN-グリコシル化部位を含有しなかった。Asn75グリカンについての電子密度を
図3に示す。構造は、4つのヘリックスをタンパク質表面に架橋する、グリカンの、タンパク質への水結合接触の広範囲にわたるネットワークを示す(
図4)。表5は、原子及び接触距離を特定する。理論に拘束されるものではないが、Asn75グリカンとタンパク質鎖との間のこの広範囲にわたる水素結合ネットワークは、当該4つのタンパク質ヘリックスを安定させ、これが次に、基質結合部位用の構造アンカーを、そして触媒活性部位内で基質を安定させて配置する相互作用を提供すると提唱されている。
【表5】
【0201】
また、SvaGA1v2(配列番号3)の構造は、実施例2及び5に記載する酵素バリアントの性能の増大についての合理的根拠を示唆している。特に、残基60~72にわたるヘリックスは、十分に研究されたグルコアミラーゼ(Aleshin et al.,(1996)Biochemistry 35:8319-8328)による触媒サイクルにおける発達中の(developing)正電荷を安定させると予想される保存活性部位残基Asp62を含有する。使用性能を向上させるための、例えば位置66、67、及び69での、このヘリックスの残基への変異を、実施例2及び5に示す。理論に拘束されるものではないが、これらの変異は、活性部位におけるヘリックスの位置を変更し得るので、発達中の正電荷の安定化の向上のために、Asp62の正確な配置を調整し得る。ヘリックス、保存Asp62側鎖、及び性能向上変異の部位を、
図5に示す。
【0202】
追加の性能向上変異を、残基100~129を含む基質結合ループに位置決めする。酵素の性能を向上させるような、特に位置102、119、及び121の変異を、実施例2及び5に示す。これらの残基が残基100~129上にあるループは、活性部位の表面積の重要な部分を形成する。ループは、保存Asp62側鎖を有するヘリックスに直接隣接しており、さらに、水素結合を、グルコアミラーゼ触媒機構中の予想される一般的な酸であるGlu184に接触させる。理論に拘束されるものではないが、これらの位置における変異によって引き起こされるループの高次構造の変化が、使用性能を向上させる基質と比較して、一般的な酸の正確な位置決めの変更の原因となり得る。
図6は、ループの位置、予想される一般的な酸残基、及び性能向上変異の位置を示す。
【0203】
別のセットの性能向上変異が、Asn75グリカンによって接触する4つのヘリックスの束の上にある。位置143、156、164、192、及び233における変異が、実施例5に示すように、性能の増大の原因となった。これらの変異を
図7に示し、Asn75残基のグリカン鎖と会合した4つのヘリックス束を、濃い灰色で強調している。4つのヘリックス束は、活性部位において基質結合ループを固定するソリッド構造コアを提供する。
【配列表】
【国際調査報告】