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特表2024-539632ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ、装置および方法
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  • 特表-ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ、装置および方法 図1
  • 特表-ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ、装置および方法 図2A
  • 特表-ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ、装置および方法 図2B
  • 特表-ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ、装置および方法 図2C
  • 特表-ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ、装置および方法 図3
  • 特表-ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ、装置および方法 図4
  • 特表-ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ、装置および方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ、装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20241022BHJP
   G06F 3/04883 20220101ALI20241022BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241022BHJP
   G06F 1/3231 20190101ALI20241022BHJP
   G06F 1/3234 20190101ALI20241022BHJP
【FI】
G06V40/13
G06F3/04883
G06F3/041
G06F1/3231
G06F1/3234
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522242
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2021078437
(87)【国際公開番号】W WO2023061592
(87)【国際公開日】2023-04-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(74)【代理人】
【識別番号】100199705
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(72)【発明者】
【氏名】ハント, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ザーラブ, モハメド
(72)【発明者】
【氏名】クリステンソン, アンドレアス
【テーマコード(参考)】
5B011
5E555
【Fターム(参考)】
5B011DA06
5B011DC07
5B011EA04
5B011EA05
5B011KK01
5B011LL11
5E555AA51
5E555AA71
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC03
5E555BC16
5E555CA11
5E555CA12
5E555CB10
5E555CB12
5E555CC01
5E555EA05
5E555EA14
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
ユーザタッチを登録するように設定されたタッチセンシティブ表面(110)と、タッチセンシティブ表面の少なくとも部分上のユーザの指紋を検出するための指紋センサー(120)と、指紋センサーをアクティブ化し、指紋センサーから指紋情報を受信するように設定された第1のコントローラ回路(CU1)と、タッチセンシティブ表面からの信号に応答してタッチセンシティブ表面上の(154)またはタッチセンシティブ表面より上の(152)ユーザの指の位置および/または移動を検出するように設定された第2のコントローラ回路(CU2)とを備える、ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリおよび方法(100)。電子アセンブリは、第1のコントローラ回路および第2のコントローラ回路に接続されたホストシステム(CPU)をさらに備え、ホストシステムは、第1のコントローラ回路および第2のコントローラ回路から受信された情報を処理するための回路要素を備える。第2のコントローラ回路から、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の現在の位置(142、152)および/または移動(v)に関連する情報を受信し、指紋読取りをその上で実施すべき指紋センサーの一部分(165)をアクティブ化するように設定された、第1のコントローラ回路。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリ(100)であって、
- ユーザタッチを登録するように設定されたタッチセンシティブ表面(110)と、
- 前記タッチセンシティブ表面の少なくとも部分上のユーザの指紋を検出するための指紋センサー(120)と、
- 前記指紋センサーをアクティブ化し、前記指紋センサーから指紋情報を受信するように設定された第1のコントローラ回路(CU1)と、
- 前記タッチセンシティブ表面からの信号に応答して前記タッチセンシティブ表面上の(154)または前記タッチセンシティブ表面より上の(152)ユーザの指の位置および/または移動を検出するように設定された第2のコントローラ回路(CU2)と、
- 前記第1のコントローラ回路および前記第2のコントローラ回路に接続されたホストシステム(CPU)と
を備え、前記ホストシステムが、前記第1のコントローラ回路および前記第2のコントローラ回路から受信された情報を処理するための回路要素を備え、
前記第1のコントローラ回路が、前記第2のコントローラ回路から、前記タッチセンシティブ表面上のまたは前記タッチセンシティブ表面より上の前記ユーザの指の現在の位置(142、152)および/または移動(v)に関連する情報を受信し、指紋読取りをその上で実施すべき前記指紋センサーの一部分(165)をアクティブ化するようにさらに設定されること
を特徴とする、電子アセンブリ(100)。
【請求項2】
第1のコントローラ回路が、前記第2のコントローラ回路から受信された前記タッチセンシティブ表面上の前記ユーザの指(150)の前記位置に対応する前記指紋センサーの前記一部分において指紋読取りを実施するように前記指紋センサーに命令するようにさらに設定された、請求項1に記載の電子アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のコントローラ回路および前記第2のコントローラ回路のうちの1つ中に処理回路(PC1、PC2)をさらに備え、前記処理回路が、前記タッチセンシティブ表面から受信された信号から、前記タッチセンシティブ表面上のまたは前記タッチセンシティブ表面より上の前記ユーザの指の前記移動(v)に関連するデータを算出するように設定され、前記処理回路が、前記ユーザの指の前記移動に関連する前記データを移動しきい値(v)と比較するようにさらに設定された、請求項1または2に記載の電子アセンブリ。
【請求項4】
前記第1のコントローラ回路は、前記ユーザの指の前記移動に関連する前記データが前記移動しきい値に等しいかまたは前記移動しきい値を下回る位置(165)において前記指紋センサーをアクティブ化するように設定された、請求項3に記載の電子アセンブリ。
【請求項5】
前記第1のコントローラ回路は、前記ユーザの指の前記移動に関連する前記データが前記移動しきい値に等しいかまたは前記移動しきい値を下回る前記タッチセンシティブ表面上の前記位置において指紋読取りを実施するように前記指紋センサーに命令するようにさらに設定された、請求項3または4に記載の電子アセンブリ。
【請求項6】
前記処理回路によって計算された、前記タッチセンシティブ表面上のまたは前記タッチセンシティブ表面の上の前記ユーザの指の前記移動に関連する前記データが、移動ベクトルの形態で生成される、請求項3から5のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項7】
前記ユーザの指の前記移動に関連する前記データが、前記タッチセンシティブ表面上のまたは前記タッチセンシティブ表面より上の前記ユーザの指の移動の速さ、加速度、減速度または方向のうちの1つを含む、請求項3から6のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項8】
前記移動しきい値が、前記タッチセンシティブ表面上のまたは前記タッチセンシティブ表面より上の前記ユーザの指の移動の速さ、加速度、減速度または方向のうちの1つを含む、請求項4から7のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項9】
第1の動作モードにある前記第1のコントローラ回路および前記第2のコントローラ回路が、前記ホストシステムとは独立して互いと通信するように設定された、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項10】
第2の動作モードにある前記第1のコントローラ回路および前記第2のコントローラ回路が、前記ホストシステムと通信するように設定され、前記第2の動作モードにある前記ホストシステムが、前記タッチセンシティブ表面上の1つまたは複数の対話型エリアの上の前記ユーザの指の前記位置および/または前記移動に関連するデータを前記処理回路に送信するように設定され、前記1つまたは複数の対話型エリアが、タッチを介する予想されるユーザ入力に関連する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項11】
前記タッチセンシティブ表面上の1つまたは複数の対話型エリアの前記位置が、前記ホストシステムによって動作される特定のソフトウェアアプリケーションに依存する、請求項10に記載の電子アセンブリ。
【請求項12】
前記処理回路は、前記ホストシステムから受信された前記データを、移動しきい値および前記タッチセンシティブ表面上の1つまたは複数の対話型エリアの前記位置と比較することと、前記ユーザの指の前記移動が前記移動しきい値を下回り、前記ユーザの指が前記1つまたは複数の対話型エリア内にあるとき、前記指紋センサーをアクティブ化するように前記第1のコントローラ回路に命令することとを行うようにさらに設定された、請求項10または11に記載の電子アセンブリ。
【請求項13】
前記処理回路は、前記ユーザの指の前記移動が前記移動しきい値を下回り、前記ユーザの指の前記位置が前記1つまたは複数の対話型エリア内にあり、前記タッチセンシティブ表面上にあるとき、指紋スキャナに指紋走査を実施させるように前記第1のコントローラ回路に命令するように設定された、請求項12に記載の電子アセンブリ。
【請求項14】
前記第1のコントローラユニット(CU1)が前記ホストシステム(CPU)のセキュアエリアSECと通信しており、第1のコントローラユニット(CU1)が、前記指紋スキャナ(120)によって走査された前記指紋を、前記ホストシステム(CPU)の前記セキュアエリア(SEC)中の1つまたは複数の参照ユーザ指紋と比較するように設定された、請求項1から13のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項15】
前記ホストシステム(CPU)は、指紋スキャナ(120)によって走査された前記指紋と、前記ホストシステム(CPU)に記憶された1つまたは複数の参照ユーザ指紋との間の前記比較が明確になると、アクティブ化されるように設定された、請求項1から14のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項16】
前記1つまたは複数の参照ユーザ指紋が前記セキュアエリア(SEC)の内部メモリ(MEMint)に記憶される、請求項14または15に記載の電子アセンブリ。
【請求項17】
前記指紋センサーが前記タッチセンシティブ表面の後ろに位置し、前記指紋センサーのサイズは、前記指紋センサーが前記タッチセンシティブ表面の少なくとも一部分をカバーするようなものである、請求項1から16のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項18】
前記指紋センサーが前記タッチセンシティブ表面の後ろに位置し、前記指紋センサーのサイズは、前記指紋センサーがタッチセンシティブ表面全体をカバーするようなものである、請求項1から16のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項19】
メモリをさらに備え、前記メモリが、前記タッチセンシティブ表面上のまたは前記タッチセンシティブ表面の上の前記ユーザの指の前記移動、および/または前記指紋センサーによって登録された指紋に関連する情報を記憶するように設定された、請求項1から18のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項20】
前記タッチセンシティブ表面がタッチスクリーンである、請求項1から19のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の電子アセンブリを備える電子装置であって、
- 電子デバイスとのユーザ対話を目的としたグラフィカルユーザインターフェースを表示するためのディスプレイであって、前記ディスプレイが、前記電子アセンブリのタッチセンシティブ表面と前記電子デバイスの指紋センサーとの後ろに位置する、ディスプレイ
をさらに備える、電子装置。
【請求項22】
前記電子装置が通信装置である、請求項21に記載の電子装置。
【請求項23】
前記通信装置が、セルラ通信システムのための無線通信装置と、タブレットコンピュータと、ラップトップコンピュータと、タッチスクリーン端末とのうちのいずれか1つである、請求項22に記載の電子装置。
【請求項24】
タッチセンシティブ表面上のユーザの指紋を検出するための方法であって、
- 第2のコントローラ回路における前記タッチセンシティブ表面上のまたは前記タッチセンシティブ表面より上の前記ユーザの指の現在の位置および/または移動に関連する情報を受信することと、
- 第1のコントローラ回路によって指紋読取りをその上で実施すべき指紋センサーの一部分をアクティブ化することと、
- 前記ユーザの指の前記位置に対応する、および/または前記ユーザの指の前記移動が前記タッチセンシティブ表面上の移動しきい値を下回る前記指紋センサーの前記一部分上で指紋読取りを実施することと
を含み、
前記指紋センサーのアクティブ化および指紋読取りは、ホストシステムが前記第1のコントローラ回路および前記第2のコントローラ回路と通信することとは独立して行われる、方法。
【請求項25】
コンピュータプログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムコードは、前記コンピュータプログラムコードが請求項21に記載の電子装置のプログラマブル処理回路によって実行されたとき、請求項24に記載の方法を実施するためのものである、コンピュータプログラム製品。
【請求項26】
コンピュータプログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品を記憶するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラムコードは、前記コンピュータプログラムコードが請求項21に記載の電子装置のプログラマブル処理回路によって実行されたとき、請求項24に記載の方法を実施するためのものである、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、タッチセンシティブ表面上のユーザの指紋を検出するための電子アセンブリに関する。その上、本出願は、タッチセンシティブ表面上のユーザの指紋を検出するための、電子アセンブリを備える装置、および方法に関する。さらに、本出願はまた、ユーザの指紋を検出するための方法を実施するための、コンピュータプログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品と、コンピュータプログラム製品を記憶するコンピュータ可読媒体とに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ指紋検出は、何年もの間行われている。ユーザ指紋検出は、特にスマートフォン、タブレットおよびコンピュータでは珍しくなくなった。通常、それは、デバイスのタッチスクリーンの外部の、またはキーボードの近くの、いずれかのエリアとして実装され、ここで、それは、もっぱら、指紋走査のために確保されるか、あるいは物理的ボタンまたは仮想ボタンとして使用されるかのいずれかである。また、指紋走査は、国境管理部、警察署など、ユーザ識別を必要とする構内においてほぼ普遍的に利用可能にされてきた。いくつかの事例では、ユーザの指紋を介してユーザを識別することが可能であるために、ユーザが異なる角度の下での複数回の同じ指を用いた指紋走査のために確保されたエリアにタッチすることを必要とされる識別プロシージャが必要である。識別プロシージャ中のユーザの指の新しい位置ごとに、新しい指紋走査が実施され、指紋テンプレートとして記憶される。これらの指紋テンプレートは、後の指紋走査の精度を増加させ、後の指紋走査は、特定のユーザの記憶された指紋テンプレートと比較される。
【0003】
近年、指紋センサーは、いくつかの場合には、依然として指紋機能を組み込みながらより大きいディスプレイおよびタッチスクリーンエリアを提供することが可能であるために、いくつかのデバイスのタッチスクリーンの下にも置かれている。そのようなデバイスの例は、スマートフォンおよびタブレットである。
【0004】
最近、指紋センサーのサイズがデバイスのタッチスクリーンとほぼまたは同程度に大きい、アイデアが出てきた。そのような実装形態は、米国特許出願公開第20150036065A1号において概説されている。このアイデアは、タッチスクリーンの任意の部分上で指紋走査を実施することが可能であるという利点を与えるが、マイナス面は、タッチスクリーンの下の、またはタッチスクリーンの外部の別個のエリア上の、より小さいユニットとして実装される標準指紋スキャナと比較した電力消費の増加である。
【0005】
その上、標準指紋センサー実装形態は、通常、ユニットの中でも、中央処理ユニット(CPU)が含まれる、ホストシステムを含み、ホストシステムは、指紋センサーを制御する指紋センサーのための内蔵ドライバユニットを有する。これは、ホストシステムが常に指紋走査動作に関与し、また、より高い電力消費につながることを意味する。
【0006】
したがって、市場で利用可能であるか、または様々な特許公報において開示されているかのいずれかである、既知の指紋ソリューションに伴う問題のうちのいくつかを解決するかまたは少なくとも緩和する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
ソリューションが独立請求項において提示される。好ましい実施形態が従属請求項に記載されている。
【0008】
一態様によれば、本ソリューションは、ユーザの指紋を検出するための電子アセンブリに関する。電子アセンブリは、ユーザタッチを登録するように設定されたタッチセンシティブ表面を備える。さらに、電子アセンブリは、タッチセンシティブ表面の少なくとも部分上の指紋を検出するための指紋センサーを備える。その上、電子アセンブリは、指紋センサーをアクティブ化し、指紋センサーから指紋情報を受信するように設定された第1のコントローラ回路を備える。また、電子アセンブリは、タッチセンシティブ表面からの信号に応答してタッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の位置および/または移動を検出するように設定された第2のコントローラ回路を備える。さらに、電子アセンブリは、第1のコントローラ回路および第2のコントローラ回路に接続されたホストシステム(CPU)を備え、ホストシステムは、第1のコントローラ回路および第2のコントローラ回路から受信された情報を処理するための回路要素(circuitry)を備える。第1のコントローラ回路は、第2のコントローラ回路から、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の現在の位置および/または移動に関連する情報を受信するようにさらに設定される。第1のコントローラ回路はまた、指紋読取りをその上で実施すべき指紋センサーの一部分をアクティブ化するように設定される。
【0009】
このソリューションの1つの利点は、第1のコントローラ回路および第2のコントローラ回路が、ホストシステムに関与することなしに指紋読取りを実施することが可能であることである。その結果、より少ない算出リソースが、指紋走査を実施する際に使用される。これは、電子アセンブリによる電力消費の低減という利点を有する。その上、指紋センサーによって占められるエリアが、電子アセンブリのタッチセンシティブ表面と同程度に大きいか、または少なくとも、走査されるべきユーザの指のエリアよりもはるかに大きいかのいずれかである場合、上記のソリューションはまた、指紋センサーの一部分のみがアクティブ化されることになるので、指紋センサーの電力消費の低減を生じることになる。
【0010】
特に、前述の2つの有利な特徴、すなわち、ユーザの指の位置の計算におけるホストシステムの非関与と、ユーザの指がタッチセンシティブ表面上でまたはタッチセンシティブ表面より上で検出される指紋スキャナの部分のアクティブ化とが、一緒に、電子アセンブリの電力消費の一層の低下を生じる。
【0011】
上記で提示された本ソリューションの一実施形態では、第1のコントローラ回路は、第2のコントローラ回路から受信されたタッチセンシティブ表面上のユーザの指の位置に対応する指紋センサーの一部分において指紋読取りを実施するように指紋センサーに命令するようにさらに設定される。これは、ユーザがタッチセンシティブ表面にタッチした後にのみ、およびユーザの指によってカバーされる位置において、指紋センサーがアクティブ化されるという利点を有する。
【0012】
本ソリューションの別の実施形態では、電子アセンブリは、第1のコントローラ回路および第2のコントローラ回路のうちの1つ中に処理回路をさらに備える。この実施形態では、処理回路は、タッチセンシティブ表面から受信された信号から、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の移動に関連するデータを算出するように設定される。その上、処理回路は、ユーザの指の移動に関連するデータを移動しきい値と比較するようにさらに設定される。これは、ユーザが電子アセンブリのタッチセンシティブ表面にわたって指を移動している場合でも、タッチセンシティブ表面上で、正しい時間およびロケーションにおいてユーザの指の指紋走査のために準備することが可能であるという利点を有する。また、ユーザがまだタッチセンシティブ表面に実際にタッチしていないが、ユーザの指の位置が第2のコントローラ回路によって検出され得るほどユーザの指がタッチセンシティブ表面に十分に近い場合でも、ユーザの指の指紋走査は準備され得る。前述のように、第2のコントローラ回路は、ユーザの指の位置および/または移動を検出するように設定される。
【0013】
別の実施形態では、第1のコントローラ回路は、ユーザの指の移動に関連するデータが移動しきい値に等しいかまたは移動しきい値を下回る位置において指紋センサーをアクティブ化するように設定される。この実施形態の利点は、タッチセンシティブ表面の表面の上の移動するユーザの指の指紋走査のために準備することが可能であることに加えて、ユーザの指が十分に遅く移動すると、指紋走査のために準備する能力であり、ここで、十分に遅くとは、移動しきい値に等しいかまたは移動しきい値よりも小さいものとして規定される。これはまた、ユーザがタッチセンシティブ表面に実際にタッチしていないが、ユーザの指の位置が第2のコントローラ回路によって検出され得るほどユーザの指がタッチセンシティブ表面に十分に近い状況の場合、有効である。十分に近いことによって、タッチセンシティブ表面までのユーザの指の直交距離が、(容量性タッチセンシティブ表面の場合の)最小容量が第2のコントローラ回路によって登録されることになるようなものであることが意味される。
【0014】
本ソリューションのまた別の実施形態では、第1のコントローラ回路は、ユーザの指の移動に関連するデータが移動しきい値に等しいかまたは移動しきい値を下回るタッチセンシティブ表面上の位置において指紋読取りを実施するように指紋センサーに命令するようにさらに設定される。これの利点は、指紋スキャナが、ユーザの指の移動がしきい値に等しいかまたはしきい値を下回る値に達したとき、すでにアクティブ化されていることになり、したがって、ユーザがタッチセンシティブ表面に最終的にタッチしたとき、より迅速な走査を実施することになることである。
【0015】
本ソリューションのまた別の実施形態では、処理回路によって計算された、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面の上のユーザの指の移動に関連するデータは、移動ベクトルの形態で生成される。これは、処理回路がいつおよび/またはタッチセンシティブ表面上のどこで指紋走査を実施すべきかを予測することができるという利点を有する。
【0016】
移動ベクトルは、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の移動の速さ、加速度、減速度または方向を含むことができる。また、移動ベクトルは、これらの値の組合せ、移動の方向と組み合わせられたそのような速さ、加速度、減速度を含み得る。同様に、移動しきい値は、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の移動の速さ、加速度、減速度または方向を含み得る。
【0017】
本ソリューションの別の実施形態によれば、第1の動作モードにある第1のコントローラ回路および第2のコントローラ回路は、ホストシステムとは独立して互いと通信するように設定される。この実施形態の利点は、ロックスクリーンモード、待機モード、バッテリー節約モード、および他のものにおいてなど、電子アセンブリがホストシステムによる全算出リソースを必要としないことがある動作モードにおいて、電子アセンブリが、ホストシステムに関与することなしにユーザタッチ検知およびユーザ指走査を実施することによって電力を節約することができることである。
【0018】
別の実施形態によれば、第2の動作モードにある第1のコントローラ回路および第2のコントローラ回路は、ホストシステムと通信するように設定される。この第2の動作モードでは、ホストシステムは、タッチセンシティブ表面上の1つまたは複数の対話型エリアの上のユーザの指の位置および/または移動に関連するデータを処理回路に送信するように設定される。これらの1つまたは複数の対話型エリアは、タッチを介する予想されるユーザ入力に関連し得る。これは、電子アセンブリが、ホストシステムが特定のソフトウェアアプリケーションを動作させている通常動作モードにある(したがって待機モードまたは何らかの他の電力節約モードにない)状況を考慮するであろう。この実施形態の利点は、タッチセンシティブ表面上の特定用途向け対話型エリアの上の指タッチまたは移動がホストシステムによって予測され得ることである。
【0019】
別の実施形態では、処理回路は、ホストシステムから受信されたデータを、移動しきい値およびタッチセンシティブ表面上の1つまたは複数の対話型エリアの位置と比較するようにさらに設定される。比較の結果として、処理回路は、ユーザの指の移動が移動しきい値を下回り、1つまたは複数の対話型エリア内にあるとき、指紋センサーをアクティブ化するように第1のコントローラ回路に命令し得る。これは、ユーザが、ホストシステムが現在動作させているアプリケーションについて対話型であるエリアにユーザの指を移動させたかまたは移動させているとき、指紋センサーが指紋走査のために準備され得るという利点を有する。
【0020】
別の実施形態によれば、処理回路は、ユーザの指の移動が移動しきい値を下回り、1つまたは複数の対話型エリア内にあるとき、およびユーザの指の移動がタッチセンシティブ表面上にあるとき、指紋スキャナに指紋走査を実施させるように第1のコントローラ回路に命令するように設定される。したがって、ユーザがタッチセンシティブ表面上の1つまたは複数の対話型エリアの上で最終的にタッチおよび/または移動するとき、指紋スキャナは、すでにアクティブであり、より高速に指紋走査を実施することになる。
【0021】
一実施形態では、指紋センサーは、タッチセンシティブ表面の後ろに位置し、タッチセンシティブ表面の少なくとも一部分をカバーするサイズを有し得る。これは、指紋走査が1つの特定のエリアではなくはるかに大きい表面の上で実施され得るという利点を有する。
【0022】
また、指紋センサーは、タッチセンシティブ表面の後ろに位置し、タッチセンシティブ表面全体をカバーするサイズを有し得る。
【0023】
別の実施形態では、電子アセンブリはメモリをさらに備え得、メモリは、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面の上のユーザの指の移動、および/または指紋センサーによって登録された指紋に関連する情報を記憶するように設定される。このメモリは、ユーザ固有の指移動および指紋情報を安全に記憶するためにホストシステムのセキュアエリア中に位置し得る。
【0024】
別の実施形態では、電子アセンブリのタッチセンシティブ表面はタッチスクリーンであり得る。
【0025】
本ソリューションの別の態様によれば、本ソリューションは、前述の電子アセンブリおよび電子アセンブリの様々な実施形態を備える電子装置に関し、電子装置は、電子デバイスとのユーザ対話を目的としたグラフィカルユーザインターフェースを表示するためのディスプレイであって、ディスプレイが、電子アセンブリのタッチセンシティブ表面と電子デバイスの指紋センサーとの後ろに位置する、ディスプレイをさらに備える。
【0026】
電子装置の別の実施形態では、ディスプレイは、電子アセンブリのタッチセンシティブ表面の後ろにではなく、電子アセンブリのタッチセンシティブ表面の前に位置し得る。
【0027】
電子装置の一実施形態では、電子装置は通信装置である。
【0028】
別の実施形態では、通信装置は、セルラ通信システムのための無線通信装置と、タブレットコンピュータと、ラップトップコンピュータと、タッチスクリーン端末とのうちの1つである。
【0029】
本ソリューションのまた別の態様によれば、本ソリューションは、タッチセンシティブ表面上のユーザの指紋を検出するための方法に関する。本方法は、第2のコントローラ回路におけるタッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の現在の位置および/または移動に関連する情報を受信することを含む。さらに、本方法は、第1のコントローラ回路によって指紋読取りをその上で実施すべき指紋センサーの一部分をアクティブ化することを含む。その上、本方法は、ユーザの指の位置に対応する、および/またはユーザの指の移動がタッチセンシティブ表面上の移動しきい値を下回る指紋センサーの一部分上で指紋読取りを実施することを含む。指紋センサーのアクティブ化および指紋読取りは、ホストシステムが第1のコントローラ回路および第2のコントローラ回路と通信することとは独立して行われる。
【0030】
本ソリューションのまた別の態様によれば、本ソリューションは、コンピュータプログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品に関し、コンピュータプログラムコードは、コンピュータプログラムコードが前述の電子装置のプログラマブル処理回路によって実行されたとき、上述の方法を実施するためのものである。
【0031】
本ソリューションのまた別の態様によれば、本ソリューションは、コンピュータプログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品を記憶するコンピュータ可読媒体に関し、コンピュータプログラムコードは、コンピュータプログラムコードが前述の電子装置のプログラマブル処理回路によって実行されたとき、前述の方法を実施するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本ソリューションによる、電子アセンブリの第1の実施形態を表示する図である。
図2A】第1の状況における電子アセンブリの第1の実施形態を表示する図である。
図2B】第2の状況における電子アセンブリの第1の実施形態を表示する図である。
図2C】第3の状況における電子アセンブリの第1の実施形態を表示する図である。
図3】本ソリューションによる、電子アセンブリの第2の実施形態を表示する図である。
図4】本ソリューションによる、電子アセンブリの第3の実施形態を表示する図である。
図5】本ソリューションによる、方法の第1の実施形態を表示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本ソリューションの例示的な実施形態の詳細な説明を続ける前に、いくつかの用語および表現が明確化される。
【0034】
その説明および特許請求の範囲において使用される「電子アセンブリ」という用語は、電子構成要素が単一のユニットに統合されるのか別個の電子ユニットとしてのものであるのかにかかわらず、互いと通信する電子構成要素の任意のアセンブリを意味すると理解されるべきである。
【0035】
その説明および特許請求の範囲において使用される「備える、含む(comprising)」という用語は、その後言及される特徴または方法ステップを含むが、他の特徴、構成要素および/または方法ステップの存在を除外しないことを意味すると理解されるべきである。
【0036】
以下では、本ソリューションのいくつかの実施形態は、これらの実施形態が例示のためのものにすぎず、本ソリューションをもっぱらこれらの実施形態に限定するものとして解釈されるべきでないことを念頭に置いて説明される。以下の実施形態を検討した後に、当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲内で他の可能な実施形態を行うことが可能であり得る。
【0037】
図1は、たとえば、OLED、AMOLED、LCD、LED、TFTまたは他の技術に基づくディスプレイを備えるタッチスクリーンモジュールであり得る、タッチセンシティブ表面110を備える電子アセンブリ100を示す。電子アセンブリは、表面容量、投影容量、SAW(表面音響波)、赤外光、超音波検知または他の原理を介して単一のまたは複数のタッチを登録する、タッチセンシティブ部分を備える。図1に示されている実施形態をより明らかに示すために、ユーザが、タッチセンシティブ表面110上でまたはタッチセンシティブ表面110より上で1つの指のみを使用していると仮定する。これは、ユーザが複数の指を同時に使用する場合、アイデアが等しくうまく機能することを除外しない。別の変形態では、電子アセンブリ100は、前述の技術を使用するタッチスクリーンモジュールだけを備え得、ディスプレイは、別個であり、電子アセンブリ100の部分を形成しない。
【0038】
次に、タッチセンシティブ表面110は、第2のコントローラ回路CU2に電気的に接続され、第2のコントローラ回路CU2のタスクは、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上の(152、154)1つまたは複数のユーザの指150の位置に関するデータを受信することである。「位置」という表現によって、タッチセンシティブ表面110上のまたはタッチセンシティブ表面110より上のユーザの指によって占められるエリアのロケーションが意味されることが、ここで述べられるべきである。表面音響波ベースの、抵抗性タッチスクリーン、および超音波タッチ検知技術を使用するタッチスクリーンを除いて、今日の電子デバイスにおいて使用されるまたは当業者に知られているタッチスクリーン技術の大部分は、タッチスクリーンモジュールの表面の真上の1つのユーザの指によって占められる位置またはエリアを登録することが可能であるだけでなく、同じ表面よりわずかに上の1つのユーザの指によって占められる位置またはエリアを登録することも可能であり得る。これらの技術のうちの1つを使用して、図1における実施形態中のタッチセンシティブ表面110はまた、タッチセンシティブ表面110より上のユーザの指の存在を登録することが可能である。
【0039】
さらに、第2のコントローラ回路CU2は、ユーザの指の位置に関するデータを受信することだけでなく、タッチセンシティブ表面110上のまたはタッチセンシティブ表面110より上のユーザの指の移動を、移動の速度、加速度、減速度または方向の形態で登録することも可能であり、ユーザの指の移動は、タッチセンシティブ表面110上のまたはタッチセンシティブ表面110より上のユーザの指の位置データから第2の処理回路PC2によって計算される。
【0040】
その上、第2のコントローラ回路CU2はまた、タッチセンシティブ表面110上のまたはタッチセンシティブ表面110より上のユーザの指の位置および/または移動に関するデータが登録される、メモリMEMに接続される。ユーザの指の移動に関するこのデータは、移動ベクトルvの形態でメモリMEMに登録および記憶され得、移動ベクトルvのエレメントは、過去の移動値と現在の移動値とに関連するいくつかのエントリを含み得る。
【0041】
前述のように、ユーザの指の移動のいくつかの例は、タッチセンシティブ表面110上のまたはタッチセンシティブ表面110の上の、ユーザの指の、移動の速度、加速度、または減速度または方向であり得る。
【0042】
メモリMEM自体は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)、SRAM(スタティックランダムアクセスメモリ)、メモリカード、USB(ユニバーサルシリアルバス)メモリ、CD(コンパクトディスク)ベース媒体など、当業者に知られている任意のタイプの内部または外部メモリであり得る。
【0043】
さらに、および電子アセンブリ100の動作モードに応じて、第2のコントローラ回路CU2は、ホストシステムCPUと直接通信することも通信しないこともあり、ホストシステムCPU自体は、電子アセンブリ100を組み込んだデバイスのディスプレイ上で可視の様々なアプリケーションを動作させるというタスクを与えられる。その上、ホストシステムCPUはまた、ホストシステムCPUのセキュアエリアSEC中に位置する内部メモリMEMintを備え得る。内部メモリMEMintは、ユーザ指紋を記憶するというタスクを与えられるが、セキュアエリアSECは、セキュアなやり方で第1のコントローラユニットCU1と通信することが可能である。内部メモリMEMint中のユーザ指紋は参照指紋として使用され、第1のコントローラユニットCU1によって走査される指紋は、走査される指紋が既知のユーザに属するか否かを識別するために参照指紋と比較される。これらの参照指紋はまた、周期的に更新され得る。参照指紋をホストシステムCPUのセキュアエリアSECに記憶することについての1つの理由は、電子アセンブリ100を使用するデバイスのセキュリティが容易に損なわれ得ないことである。
【0044】
図1における実施形態では、指紋センサー120がタッチセンシティブ表面110の下に位置する。しかしながら、図1における実施形態は、この特定の設定に焦点を当てるが、指紋センサーをタッチセンシティブ表面110と同じレイヤに統合させることが等しく可能であり得る。指紋センサー120は、指紋センサー120の上部に位置するタッチセンシティブ表面110のサイズに一致するサイズを有し得るか、または指紋センサー120は、選定される特定の設計に応じて、より小さくなり得る。また、指紋センサー120は、タッチセンシティブ表面110の下の異なるロケーションにわたって分散されるか、またはタッチセンシティブ表面上の異なるロケーションに統合され得る。その上、指紋センサー120は、容量性、感熱性、画像センサー、または何らかの他の既知のタイプのものなど、当業者に知られている任意のタイプのものであり得る。
【0045】
たいていの場合、電子アセンブリはディスプレイの前に配置され得、これは、今日、電子デバイスにおいて標準設定である。抵抗性タッチスクリーン、および超音波技術に基づくタッチスクリーンにおいてなど、他の設定では、タッチセンシティブ表面110はディスプレイの後ろに位置し得るが、指紋センサーはディスプレイの前に位置し得る。
【0046】
指紋センサーの主要なタスクは、ユーザの指150が154においてタッチセンシティブ表面110にタッチしたとき、およびタッチセンシティブ表面上のユーザの指150の移動がある移動しきい値vtに達したかまたはある移動しきい値vtより下であるとき、ユーザの指150の走査を実施することである。この移動しきい値vtは、タッチセンシティブ表面110上のユーザの指のしきい値速度、加速度、または減速度に関連し得、図1における正方形140によって示される。
【0047】
指紋センサー120は、タッチセンシティブ表面110を押下するユーザの指154の形状に関するデータと、タッチセンシティブ表面110上のまたはタッチセンシティブ表面110より上のユーザの指154の位置および/または移動に関するデータとを受信する第1のコントローラ回路CU1に電気的に接触している。すでに、ユーザの指152が、第2のコントローラ回路CU2が信号を受信することが可能であるタッチセンシティブ表面110より上の直交距離にあるとき、第1のコントローラ回路CU1は、指紋走査のために準備するために適切な位置において指紋センサー120をすでにアクティブ化し得る。タッチセンシティブ表面110より上の、空中で止まっているユーザの指のための指紋センサー120上の適切な位置は、直交して、タッチセンシティブ表面110上へのユーザの指152の直交投影の下にあり、すなわち、位置142にあり得るか、またはその適切な位置は、直交して、タッチセンシティブ表面110上のユーザの指154の予測された最終位置の下にあり得るかのいずれかである。適切な位置は、第1のコントローラ回路CU1中に位置する第1の処理回路PC1において、または第2のコントローラ回路CU2中に位置する第2の処理回路PC2においてのいずれかで計算され得る。また、処理回路PC1、PC2は、第1のコントローラ回路CU1および第2のコントローラ回路CU2にわたって分散され得る。予測された最終位置は、ユーザの指の移動ベクトルから、および移動しきい値vtとの比較から計算され得る。
【0048】
これらの構成要素の他に、前述のホストシステムCPUは、たとえば、ロックスクリーンモード、待機モード、またはバッテリー節約モードとは異なる、電子アセンブリのいくつかの動作モードで第2のコントローラ回路CU2および第1のコントローラ回路CU1を介してタッチセンシティブ表面110および指紋センサー120の機能を制御するタスクを有する。そのような異なるモードは、第2のコントローラ回路CU2および第1のコントローラ回路CU1が、ホストシステムCPUと直接通信し、タッチセンシティブ表面110および指紋センサー120から取得されたデータを共有する、通常電力モード、性能モード、平衡モード、または何らかの他の非電力節約モードであり得る。これらの異なるモードでは、ホストシステムCPUは、ユーザ対話を必要とする1つまたは複数のアプリケーションを実行し得、そのアプリケーションは、ユーザ対話を必要とする、タッチセンシティブ表面110上の1つまたは複数の対話型エリアを有する。これは、その説明において下でさらに説明される。
【0049】
次に、指紋センサーがアクティブ化される状況に戻ると、2つの例示的な事例を識別した。第1の事例では、指紋センサー120は、直交して図1に示されたユーザの指152の現在位置の下で、アクティブ化されることになり、これは、ユーザが、指を現在の位置からタッチセンシティブ表面110まで正確に直交して下げることがめったにないので、比較的まれである。第2の事例では、すなわち、ユーザがユーザの指152をタッチセンシティブ表面110より上の位置からタッチセンシティブ表面110上の異なる位置に移動させることは、はるかに一般的である。
【0050】
この事例は、図2Aに示されている。ここで、ユーザの指は、タッチセンシティブ表面110より上の初期位置142にあり、タッチセンシティブ表面上のエリア165に対応する位置146のほうへの移動ベクトルvによって示されるレートにおいて、ライン144に沿ってタッチセンシティブ表面110のほうへユーザの指を移動させる。位置165において、第1の処理回路PC1が、第2の制御ユニットCU2から受信された移動データから、ユーザの指の移動が移動しきい値vtに等しいかまたは移動しきい値vtよりも低いことを検出した場合、第1のコントローラ回路CU1は、指紋センサー120をアクティブ化し、ユーザの指の移動が移動しきい値vtに等しいかまたは移動しきい値vtを下回る、タッチセンシティブ表面110上の位置165に対応する位置172において指紋走査を実施するように指紋センサー120に命令することになる。
【0051】
前述のように、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の移動は、移動ベクトルの形態で保存され得、移動ベクトルのエレメントは、たとえば、ユーザの指の速度、加速度、または減速度であり得る。同様に、移動しきい値vtは、タッチセンシティブ表面上のユーザの指の速度、加速度または減速度のうちの1つであり得る。
【0052】
図2Bおよび図2Cは、ユーザの指が、タッチセンシティブ表面110上に存在し、その表面上で初期位置から終了位置に移動しているか、あるいはそれが移動しきい値vtに達したかまたは移動しきい値vtを下回るかのいずれかである位置のほうへ移動している、シナリオを示す。
【0053】
図2Bでは、ユーザの指は、タッチセンシティブ表面110上のエリア161をカバーする初期位置152に位置する。次いで、ユーザは、続いて、エリア165を占有する位置154のほうへ直線163に沿って指を移動し、エリア165は、終了位置、あるいはユーザの指の移動vが移動しきい値vtに等しいかまたは移動しきい値vtよりも小さいかのいずれかである位置のいずれかであり得る。第1の処理回路PC1または第2の処理回路PC2は、第2のコントローラCU2から受信され、移動ベクトルvに記憶されたユーザの指の移動値を検査することによって、ユーザの指がタッチセンシティブ表面上のどの位置において移動しきい値vtに等しくなるかまたは移動しきい値vtを下回ることになるかをすでに予測し得る。このようにして、コントローラ回路CU1は、指紋走査の速度を上げるために位置172において指紋センサー120をすでに事前にアクティブ化し得る。場合によっては、第1のコントローラ回路CU1は、移動しきい値が達せられるかまたはアンダーカット(undercut)されるまで、指紋センサーアクティブ化で待ち得る。
【0054】
図2Cは、ユーザの指が、タッチセンシティブ表面110上の開始エリア161からタッチセンシティブ表面110上のエリア165を占める終了位置154までの不規則軌道163に沿って、初期位置152から移動する状況を示す。移動は移動ベクトルvにおいて登録され、移動ベクトルvのエレメントは、前の事例の場合のように、タッチセンシティブ表面110上のユーザの指の移動速度、加速度、または減速度を備え得る。第2のコントローラユニットCU2が、第2の処理回路PC2によって実施される計算の助けをかりて、タッチセンシティブ表面110上のユーザの指の移動が、移動しきい値vtに達したかまたはvtを下回ったこと(すなわちv≦vt)を検出すると、第2のコントローラユニットCU2は、これが発生したユーザの指の位置を第1のコントローラ回路CU1に送り得、第1のコントローラ回路CU1は、指紋スキャナ120上の対応する位置172においてユーザの指を走査することを開始するように指紋スキャナ120に命令する。第2の処理回路PC2が、移動ベクトルにおけるユーザの指の移動を監視することを通して、軌道がやや不規則であることを検出するとき、タッチセンシティブ表面110上のどこで、ユーザの指の移動が基準v≦vtを満たすことになるかを予測することは困難であり得、したがって、移動がより線形である前の事例と比較して、第1のコントローラ回路CU1が事前に指紋センサー120をアクティブ化することは、困難であり得る。ユーザの指の移動の追跡が、必要に応じて、第1の処理回路PC1において、または第2の処理回路PC2においてのいずれかで行われ得ることが述べられるべきである。第1の処理回路PC1において行われる場合、移動しきい値基準v≦vtがどこで満足されるかに関するデータは、第2のコントローラ回路CU2から第1のコントローラ回路CU1に送られる必要がない。
【0055】
図1図2A図2Cに示されている上述の事例のいずれかにおいて、第2のコントローラ回路CU2と第1のコントローラ回路CU1とは、ユーザの指の移動に関するデータを交換し、指紋センサー120をアクティブ化し、ホストシステムCPUの関与なしにv≦vt条件が満たされる位置において指紋スキャナをアクティブ化するように指紋センサー120に命令し得る。これは、より少ない算出リソースを使用し、したがってバッテリー電力を節約するという利点を有する。通常、また、図1において述べられたことによれば、これは、電子アセンブリがロックスクリーンモード、電力節約モード、待機モード、または何らかの他の電力温存モードにあるとき、当てはまることになる。他の事例では、および特にホストシステムCPUが1つまたは複数のアプリケーションをアクティブに動作させている場合、ホストシステムCPUも関与し、基本的に、第1のコントローラ回路CU1および第2のコントローラ回路CU2の動作と、タッチセンシティブ表面110および指紋スキャナ120のそれぞれの機能とを制御することになる。
【0056】
図3は、図1からの電子アセンブリ100を組み込んだ通信デバイス300を示す。電子アセンブリ100自体および電子アセンブリ100の上述の構成要素のほかに、通信デバイスは、他の通信デバイスからの通信信号を受信および送信するための受信機ANT1と送信機ANT2とをさらに備える。受信機および送信機は、単一の構成要素に統合され、また、他の通信デバイスおよび/または基地局トランシーバ(図示せず)とのモバイル通信ネットワークにおける通信を含む無線通信が可能であり得る。その受信機および送信機は、IEEE802.11ax、802.11ac、802.11b/g/nまたは任意の他の無線規格による無線ネットワークにおけるMIMO送信が可能であり得る。その上、通信デバイス300は、通信デバイス300の受信機ANT1および送信機ANT2を介して、既知の2G、3G、4Gまたは5G規格によるモバイル通信ネットワークにおける通信が可能であり得る。
【0057】
図1における実施形態に述べられているように、通信デバイス300は、ホストシステムCPUの外部に位置するメモリMEM、またはホストシステムCPUの内部の点線矩形として示される、ホストシステムCPUの内部に位置するメモリMEMを有し得る。また、別の変形態では、図1からの指紋スキャナ120によって走査される指紋と後で比較されるユーザの指紋を記憶するメモリの部分が、セキュリティ理由のためにホストシステムCPU中に位置し得る。タッチセンシティブ表面110上のまたはタッチセンシティブ表面110の上のユーザの指の移動が位置する移動ベクトルを記憶するメモリMEMの残りの部分が、図3に示されているように、ホストシステムCPUの内部にあるか、またはホストシステムCPUの外部にあり得る。
【0058】
前述の電子アセンブリ100を組み込んだ通信デバイス300は、スマートフォン、タブレット、ファブレット(スマートフォンとタブレットとの組合せ)、スマートウォッチ、または電子アセンブリ100に組み込まれたタッチスクリーン技術および指紋読取り技術を有する任意の他のデバイスであり得る。
【0059】
図1に類似して、第2のコントローラ回路CU2はタッチセンシティブエリア340に電気的に接続され、ユーザの指354がタッチセンシティブエリア320より上にまたはタッチセンシティブエリア320上に位置するときはいつでも、タッチセンシティブエリア340から信号を受信する。また、第2のコントローラ回路CU2は、タッチセンシティブエリア320から受信されたデータをさらに第1のコントローラ回路CU1に送信するために第1のコントローラ回路CU1と通信している。第2のコントローラ回路CU2から受信されたこのデータに基づいて、指紋センサー(図示せず)に電気的に接触している第1のコントローラ回路CU1は、ユーザの指がタッチセンシティブエリア320の表面にタッチしたとき、またはユーザの指の移動がタッチセンシティブエリア320上の移動しきい値を下回るとき、ユーザの指を走査することを開始するように指紋センサーに命令する。第1のコントローラ回路CU1はまた、図1の場合のように、第1のコントローラ回路CU1が、第2のコントローラ回路CU2から受信されたデータから、ユーザの指354が、タッチセンシティブ表面320に接近しており、ユーザの指354がタッチセンシティブ表面320に最終的にタッチしたときに移動しきい値に達したか、またはその移動しきい値をアンダーカットしたことを検出した場合、指紋走査のために準備するために、予測されたロケーションにおいて指紋センサーをアクティブ化し得る。これは、前に、図1および前の図においてより詳細に説明された。
【0060】
図3では、ユーザが、ユーザの指を使用して、電子デバイス300をロックスクリーンモードまたは電力節約モードから通常動作モードに「開く」、電子デバイス300などの電子デバイスのための一般的なシナリオが示される。ユーザは、タッチセンシティブ表面320上で、この例では、アルファベットの文字「Z」の形状で示されるあらかじめ規定されたパターンを描くことによってそれを行い得る。ユーザは、指を用いて位置324においてタッチセンシティブエリア320にタッチし、最終位置322まで、スクリーンの上で「Z」形状を描き得る。初期位置324から終了位置322までのユーザの指の移動中に、第2のコントローラ回路CU2は、タッチセンシティブエリア320からのデータを第1のコントローラ回路CU1に直接配信するか、または前に説明されたように、それらのデータを第1のコントローラ回路CU1に送信する前にそれらのデータを移動ベクトルにコンバートするかのいずれかであり得、第1のコントローラ回路CU1は、次いで、そのデータを使用して、初期位置324からタッチセンシティブ表面上の最終位置322におけるユーザの指352までのユーザの指354の移動が移動しきい値に達したまたは移動しきい値を下回ったか否かを計算し得る。指によって表される「Z」軌道上の任意のポイントにおいて、第1のコントローラ回路CU1は、指紋スキャナを開始するように指紋スキャナに命令し、移動しきい値基準が満足された場合、ユーザの指を走査し得る。これは、ホストシステムCPUの関与なしに、完全に第1のコントローラ回路CU1によって行われ得、これは、算出電力、したがって、バッテリー電力を節約することになる。
【0061】
別のシナリオでは、代わりに、ロックスクリーンモードまたは待機モードから電子デバイス300を開くために使用されている「Z」形状は、ユーザによるコマンドジェスチャーを使用され得る。このジェスチャーは、デバイス300が待機モードまたはロックスクリーンモードにないが、通常動作モードにある間、1つまたは一連のあらかじめ規定されたアクションを実行するように電子デバイスに命令し得る。その動作モードでは、第1のコントローラ回路CU1および第2のコントローラ回路CU2は、ホストシステムCPUと通信し得、ホストシステムCPUは、次いで、必要な移動ベクトル計算を実施し、移動しきい値基準が満たされたときにユーザの指紋を走査するように指紋スキャナに命じるように第1のコントローラ回路CU1に命令し得る。
【0062】
ロックスクリーンモードまたは待機モードにあるのか、通常モードにあるのかにかかわらず、移動しきい値基準が満たされると、「Z」以外の任意の他の形状が、移動ベクトル計算および指紋走査アクションに第2のコントローラ回路CU2および第1のコントローラ回路CU1を関与させるために使用され得ることは、図3の説明を読んだ当業者には明らかであるべきである。
【0063】
図3に示されていない別の変形態では、電子デバイス300が通常動作モードにある場合、ホストシステムCPUは、1つまたは複数の対話型エリアがユーザの指のタッチによってアクティブ化された場合、電子デバイス300のディスプレイ上に示される1つまたは複数の対話型エリアを介するユーザ対話を必要とするソフトウェアアプリケーションを動作させていることがある。第2のコントローラ回路CU2が、タッチセンシティブエリア320上のまたはタッチセンシティブエリア320より上のユーザの指354の存在を検出したとき、第2のコントローラ回路CU2は、ユーザの指の移動データを移動ベクトルにおいて記録する。次に、ホストシステムCPUは、この移動データを受信し、移動ベクトルにおけるデータから、ユーザの指がタッチセンシティブ表面320上のまたはタッチセンシティブ表面320より上のどこで移動しきい値vtに等しいかまたは移動しきい値vtよりも小さい可能性があるかを予測し得る。移動しきい値vtが達せられるかまたはvtよりも低いユーザの指の予測された位置の場合、および予測された位置が、これらの対話型エリアに関連するアプリケーションの対話型エリアのうちの1つに入る場合、ホストシステムは、指紋走査のために準備するために指紋センサーをアクティブ化するように第1のコントローラ回路CU1に命令し得る。ユーザの指がタッチセンシティブ表面320上の対話型エリアに着いたかまたは達すると、ホストシステムCPUは、次いで、指紋走査を実施するように指紋スキャナ120に命令するためのコマンドを第1のコントローラ回路に発行し得る。
【0064】
図1においてすでに述べられたように、図3におけるホストシステムCPUはセキュアエリアSECを備え得、セキュアエリアSECは、参照ユーザ指紋を記憶する内部メモリMEMintを備える。セキュアエリアSECは、走査されたユーザ指紋が既知のユーザに属するか否かを決定するために、走査されたユーザ指紋が内部メモリMEMint中の記憶された参照ユーザ指紋と比較されるべきであるとき、第1のコントローラユニットCU1と通信している。
【0065】
図4は、コンピュータまたはデータ端末の形態で描かれた、図1からの電子アセンブリ100を実装する電子デバイスのための別の可能なシナリオ、すなわち、電子デバイス400を示す。キーボード460の存在は、随意である。
【0066】
電子デバイス400の動作は、受信機Rxと送信機Txとが有線通信のために適応され得るという差異を伴う前述の電子デバイス300に類似する。また、別個のユニットとして示されるが、受信機Rxと送信機Txとは1つのユニットに統合され、したがってトランシーバとして機能し得る。受信機Rxと送信機Txとが、有線通信ネットワークと、モバイル通信ネットワークがその一例である無線通信ネットワークの両方において機能するように適応され得ることも、言及に値する。
【0067】
第2のコントローラ回路CU2は、図3における事例におけるように、タッチセンシティブ表面420と電気通信しており、タッチセンシティブ表面420の動作を制御することと、タッチセンシティブ表面420上のユーザタッチに関連するデータを受信することとを行うように適応される。
【0068】
さらに、第2のコントローラ回路CU2は、図3におけるものと同じ動作を実施する第1のコントローラ回路CU1に接続される。また、指紋スキャナ(図示せず)に関する第1のコントローラ回路CU1の機能は、図3におけるものと同じである。
【0069】
ロックスクリーンモード、待機モード、または他の低電力モードにおいて、第2のコントローラ回路CU2および第1のコントローラ回路CU1は、ユーザの指452の指紋走査をいつおよびどこで実施すべきかを判定するために必要な計算にホストシステムCPUを関与させないことがある。次に、ユーザは、タッチセンシティブ表面420より上のロケーションからタッチセンシティブ表面420上のロケーション440にユーザの指452を移動し得る。第2のコントローラ回路CU2は、ユーザの指の移動を監視し、移動データを移動ベクトルvにおいて集め、そのデータを第1のコントローラ回路CU1に転送することになる。移動しきい値基準が満足されたとき、すなわち、v≦vtであるとき、第1のコントローラ回路CU1は、ロケーション440においてユーザの指454上で指紋走査を実施するように指紋スキャナに命令することになる。図3におけるように、第1のコントローラ回路CU1はまた、移動しきい値基準を満たすことになるユーザの指452の位置を予測し、より高速の指紋走査を実施するために、ユーザの指が予測されたロケーションに達する前にすでに指紋スキャナをアクティブ化し得る。
【0070】
ユーザ対話を必要とするアクティブなアプリケーションがホストシステムCPUによって動作される、通常モード、性能モード、平衡モードまたは任意の他のカスタムモードなど、電子デバイス400の他の動作モードでは、CPUは、図3の説明において前に説明されたものとほとんど同じやり方で、ユーザの指452の移動の監視と、移動ベクトルの計算と、移動しきい値が満たされることになるタッチセンシティブ表面420上のロケーションの予測と、第1のコントローラ回路CU1を介する指紋走査のための指紋センサーのアクティブ化とを実施し得る。図3における実施形態に関して前にすでに説明された、ホストシステムCPUによって動作されるソフトウェアアプリケーションに関連する1つまたは複数の対話型エリアにおけるユーザの指の検出についても同じである。
【0071】
図1において前に述べられたように、図3におけるホストシステムCPUはセキュアエリアSECを備え得、セキュアエリアSECは、参照ユーザ指紋を記憶する内部メモリMEMintを備える。セキュアエリアSECは、走査されたユーザ指紋が既知のユーザに属するか否かを決定するために、走査されたユーザ指紋が内部メモリMEMint中の記憶された参照ユーザ指紋と比較されるべきであるとき、第1のコントローラユニットCU1と通信している。
【0072】
図5は、本ソリューションの一実施形態による方法を示す。以下で説明される方法ステップが、必ずしも、本ソリューションによる方法がもっぱら図5の実施形態に限定されることも、図5におけるいくつかの方法ステップの不在が本ソリューションによる方法におけるその方法ステップの不在を示すことも暗示するとは限らないことが、ここで述べられるべきである。明快のために、図5における方法ステップがある順序で記載されているが、これは、いくつかのステップが異なる実施形態において同時にまたは異なる順序で実行され得るので、本ソリューションによる方法がもっぱらこの順序またはこれらのステップに限定されるものとして解釈されるべきでないことも強調されるべきである。
【0073】
したがって、図5における方法の以下の説明は、例示のためのものにすぎない。
【0074】
次に、ステップ500において、ユーザの指の移動さらには存在が、図1において説明された電子アセンブリ100のタッチセンシティブ表面110などのタッチセンシティブ表面より上でまたはタッチセンシティブ表面上で検出される。移動または存在は、タッチセンシティブ表面に電気的に接続された第2のコントローラ回路CU2などのコントローラ回路によって検出される。タッチセンシティブ表面より上の移動または存在という用語を使用することによって、ユーザの指の先端とタッチセンシティブ表面との間の直交距離は、(容量性タッチスクリーンの場合の)容量または(定在波スクリーンの場合の)定在波の干渉が第2のコントローラ回路によって検出され、測定可能な電圧信号にコンバートされ得るようなものであることが意味される。
【0075】
ステップ510において、図1からの第1のコントローラ回路CU1などの第1のコントローラ回路が、電子アセンブリが第1の動作モード、すなわちモード1にあるかどうかを検査する。モード1は、図1からの電子アセンブリ100などの電子アセンブリのロックスクリーンモード、低電力モード、待機モード、または何らかの他のバッテリー節約モードとして特徴づけられ得る。
【0076】
電子アセンブリが第1の動作モードにある場合、第2のコントローラ回路は、ステップ530において、移動ベクトルの形態で記憶され得るユーザの指に関する移動データを集めることを開始する。移動ベクトルのエレメントは、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の速度、加速度、または減速度を登録し得る。
【0077】
そうでない場合、すなわち、電子アセンブリが、通常モード、平衡モード、性能モードまたは何らかの他の非バッテリー節約モードにあることを意味するモード2にある場合、ユーザの指の位置および/または移動データを集めることは、依然として、第2のコントローラ回路によって実施されるが、移動ベクトルを形成することは、図1に示されたホストシステムCPUなどのホストシステムによって実施され得る。電子アセンブリがモード2にある場合、すべての後に続くステップ540~580が、ホストシステムCPUのアクティブ参加により実施されることになる。
【0078】
ステップ540において、およびモード1において、移動ベクトルのエレメントは、移動しきい値基準v≦vt(vtはしきい値である)が満たされるかをどうかを検査するために移動しきい値と比較される。前述のように、電子アセンブリがモード1にある場合、移動ベクトルのエレメントと移動しきい値との間の比較は、ホストシステムの参加なしに実施されることになる。これは、第1のコントローラ回路中に位置する、図1における第1の処理回路PC1などの処理回路によって行われ得る。実際には、第1のコントローラ回路は、第2のコントローラ回路からユーザの指の移動値を受信し、処理回路においてユーザの指の移動値を移動ベクトルにコンバートし、移動ベクトルを移動しきい値vtと比較することになる。
【0079】
モード2にある場合、ホストシステムが代わりに同じ計算および比較を実施することになる。
【0080】
ステップ540において、およびモード1において、第1のコントローラ回路における処理回路が、移動しきい値基準v≦vtが満たされることを検出した場合、処理回路は、ステップ550において、第2のコントローラ回路から受信されたデータから、ユーザの指がタッチセンシティブ表面上にあるかどうかを検査する。
【0081】
はいの場合、第1のコントローラ回路は、ステップ580において、移動しきい値基準が満たされるタッチセンシティブエリア上のロケーションにおいてユーザの指の指紋走査を実施するように、第1のコントローラ回路が電気的に接触している指紋スキャナに命令する。
【0082】
次のステップ590において、第1のコントローラ回路は、指紋走査がユーザ識別情報のために必要になる次回までオフに切り替えられるように指紋スキャナに命令する。
【0083】
一方、モード1において、およびステップ550において、ユーザの指が依然としてタッチセンシティブ表面上にないことが検出された場合、処理回路は、ステップ560においてタッチセンシティブ表面の上のユーザの指の移動に関する第2のコントローラ回路から受信されたデータから、移動しきい値基準が満たされることになり、ユーザの指がタッチセンシティブ表面上にあるであろうユーザの指の位置を予測し得る。
【0084】
ステップ570において、第1のコントローラ回路570は、次いで、移動しきい値基準が満たされることになるタッチセンシティブ表面上のユーザの指の予測された位置に対応する位置において指紋センサーをアクティブ化し得る。
【0085】
そうではなく、モード2にある場合、ホストシステムは、ステップ540において、ステップ520において形成された移動ベクトルのエレメントと、移動しきい値との間の比較を実施することになる。
【0086】
ステップ550において、およびモード2において、ホストシステムは、第2のコントローラ回路から受信されたデータから、ユーザの指がタッチセンシティブ表面上にあるか否かを検査することになる。
【0087】
はいの場合、ホストシステムは、ステップ580において、移動しきい値基準が満たされたタッチセンシティブ表面上のユーザの指の位置に対応する指紋スキャナ上の位置においてユーザの指の指紋走査を実施するために、指紋スキャナに信号を送るように第1のコントローラ回路に命令することになる。その後、ステップ590において、ホストシステムは、指紋スキャナをオフに切り替えるように第1のコントローラ回路に命令することになる。
【0088】
しかしながら、ステップ550において、およびモード2において、ホストシステムが、ユーザの指がタッチセンシティブ表面上にないことを検出した場合、ホストシステムは、ステップ560において、タッチセンシティブ表面より上のユーザの指の移動に関するデータから、タッチセンシティブ表面上のユーザの指の可能な後の位置を予測することになる。次いで、ステップ570において、ホストシステムは、タッチセンシティブ表面上の予測された位置に対応する予測された位置において指紋スキャナをアクティブ化するように第1のコントローラ回路に命令し得る。
【0089】
ステップ550に加えて、モード2にあるとき、本ソリューションによる方法が、ユーザの指の現在の移動と、ホストシステムによって現在動作されるソフトウェアアプリケーションに関連するタッチセンシティブ表面上の1つまたは複数の対話型エリアの位置との間のさらなる比較をも含み得ることが述べられるべきである。ホストシステムが、タッチセンシティブ表面上のまたはタッチセンシティブ表面より上のユーザの指の現在の移動の計算を通して、ユーザの指がこれらの対話型エリアのうちの1つに達するかまたは着くことになることを予測する場合、ホストシステムは、指紋走査のための準備においてこの対話型エリアに対応する指紋センサーをアクティブ化するためのコマンドを第1のコントローラ回路に発行し得る。ホストシステムが、最終的に対話型エリアの上でしきい基準v≦vtが満足されたことを検出したとき、ホストシステムは、次いで、対話型エリア上のユーザの指の位置に対応する指紋スキャナ上の位置においてユーザの指を走査するように指紋スキャナに命令するためのコマンドを第1のコントローラ回路に発行し得る。
【0090】
図5に示されている方法ステップが、コンピュータプログラムコードが前述の電子アセンブリのホストシステムによって実行されるとき、コンピュータプログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品によって実装され得ることが述べられるべきである。
【0091】
また、図5による方法のステップは、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品によって実装され得る。
【0092】
これらの例示的な実施形態は、本ソリューションの背後の主要なアイデアを明瞭にすることを試みるが、他の可能な実施形態が、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく構築され得ることが、上記の説明を読み取った当業者には明らかであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【国際調査報告】