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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】コラーゲン7タンパク質補充療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/39 20060101AFI20241022BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241022BHJP
   C07K 14/78 20060101ALI20241022BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
A61K38/39 ZNA
A61P1/00
A61P9/00
A61P1/02
A61P13/12
A61P27/02
A61P25/00
A61P7/06
A61P27/16
A61P29/00
A61P31/04
A61P17/00
A61P17/02
A61P15/00
A61P13/00
A61P35/00
C07K14/78
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522371
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 US2022077964
(87)【国際公開番号】W WO2023064806
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/254,953
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/342,993
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.SEPHAROSE
(71)【出願人】
【識別番号】518220545
【氏名又は名称】フェニックス ティシュー リペア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PHOENIX TISSUE REPAIR,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ランディ、ハル
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィンドラン、サヌジ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084CA53
4C084DC50
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA341
4C084ZA342
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA551
4C084ZA552
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA671
4C084ZA672
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB351
4C084ZB352
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA10
4H045GA21
(57)【要約】
本開示は、皮膚障害、具体的には、栄養障害型表皮水疱症(DEB)の処置のためのコラーゲン7(Col7)タンパク質補充療法に関する。組換えコラーゲン7薬物製品、組成物、並びに投与方法及び処置のアウトカムをモニタリングする方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それが必要とされる対象における栄養障害型表皮水疱症(DEB)を処置する方法であって、前記対象に組換えヒトCol7(rhCol7)物質を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って静脈内投与することを含み、
i)前記第1の投薬レジメンは、前記物質の第1の治療有効量を第1の頻度で投与することを含み;
ii)前記第2の投薬レジメンは、前記物質の第2の治療有効量を第2の頻度で投与することを含み、
前記第1の頻度は、前記第2の頻度よりも多く、前記第1の投薬レジメンに従う投与は、前記第2の投薬レジメンに従う投与前に行われる方法。
【請求項2】
それが必要とされる対象における栄養障害型表皮水疱症(DEB)の症状又は合併症を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、その発症を遅延させ、その進行を遅延させ、除去し、及び/又は治癒する方法であって、前記対象に組換えヒトCol7(rhCol7)物質を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って静脈内投与することを含み、
i)前記第1の投薬レジメンは、前記物質の第1の治療有効量を第1の頻度で投与することを含み;
ii)前記第2の投薬レジメンは、前記物質の第2の治療有効量を第2の頻度で投与することを含み、
前記第1の頻度は、前記第2の頻度よりも多く、前記第1の投薬レジメンに従う投与は、前記第2の投薬レジメンに従う投与前に行われる方法。
【請求項3】
DEBの前記症状又は合併症が、水膨れ形成を含む皮膚創、掻痒、疼痛、皮膚びらん、瘢痕形成、皮膚脆弱性、壊疽、皮膚の形成不全若しくは低形成、皮膚の低色素堆積、稗粒腫、皮膚感染症、口唇炎(例えば、口唇の炎症)、異栄養性の手爪若しくは足爪、歯牙エナメル質異常、手指若しくは足指の偽合指症若しくは屈指症、手指若しくは足指の合指症、足指の屈曲拘縮、虫歯、嚥下障害(例えば、不十分な嚥下)、溝状舌若しくは亀裂舌、食道狭窄、咽頭狭窄、成長障害、拡張型心筋症、肺間質形態異常、急性便秘、聴覚若しくは視覚障害、湿疹、糸球体症、免疫学的過敏症、鼻涙管閉塞、貧血、慢性耳感染症、角膜びらん、角膜剥離及び瘢痕形成、口腔びらん、小口症、骨減少症、眼瞼外反、免疫学的過敏症、ネフローゼ症候群、包茎、腎不全、尿閉、尿管狭窄、卒中、扁平上皮癌、又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
DEBの前記症状又は合併症が、水膨れ形成を含む皮膚創、皮膚びらん、瘢痕形成、皮膚脆弱性、皮膚の形成不全若しくは低形成、口唇炎(例えば、口唇の炎症)、異栄養性の手爪若しくは足爪、手指若しくは足指の偽合指症若しくは屈指症、手指若しくは足指の合指症、足指の屈曲拘縮、嚥下障害(例えば、不十分な嚥下)、食道狭窄、咽頭狭窄、又はそれらの組み合わせである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
DEBの前記症状又は合併症が、水膨れ形成を含む皮膚創である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上の皮膚創を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、又は除去する、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の投薬レジメンが、少なくとも1週間継続する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の投薬レジメンが、少なくとも2週間継続する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の投薬レジメンが、少なくとも3週間継続する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の投薬レジメンが、少なくとも4週間継続する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の頻度が、約1日ごと、約2日ごと、約3日ごと、約4日ごと、約5日ごと、約6日ごと、約1週間ごと、約10日ごと、又は約2週間ごとである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の頻度が、1週間ごとである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の投薬レジメンが、少なくとも4週間継続する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の投薬レジメンが、少なくとも6週間継続する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の投薬レジメンが、少なくとも7週間継続する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の投薬レジメンが、少なくとも8週間継続する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の投薬レジメンが、少なくとも6か月間継続する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の投薬レジメンが、少なくとも1年間継続する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の投薬レジメンが、前記rhCol7物質を前記対象に前記対象の生涯にわたり投与することを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の頻度が、約1週間ごと、約10日ごと、約2週間ごと、約3週間ごと、約4週間ごと、又は約1か月ごとである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の頻度が、1週間ごとである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の頻度が、2週間ごとである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の投薬レジメンが、1週間~4週間継続し、前記第2の投薬レジメンが、少なくとも6週間継続する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の投薬レジメンが、1週間継続する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の投薬レジメンが、2週間継続する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の投薬レジメンが、3週間継続する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の投薬レジメンが、4週間継続する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の投薬レジメンが、7週間継続する、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の投薬レジメンが、少なくとも6か月間継続する、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の投薬レジメンが、前記rhCol7物質を前記対象に前記対象の生涯にわたり投与することを含む、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の投薬レジメンが、4週間継続し、前記第2の投薬レジメンが、少なくとも7週間継続する、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の有効量が、対象の1キログラム当たり約0.01ミリグラム(mg/kg)、約0.03mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg 約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3.0mg/kg、約3.1mg/kg、約3.2mg/kg、約3.3mg/kg、約3.4mg/kg、約3.5mg/kg、約3.6mg/kg、約3.7mg/kg、約3.8mg/kg、約3.9mg/kg、約4.0mg/kg、約4.5mg/kg、約5.0mg/kg、約5.5mg/kg、約6.0mg/kg、約6.5mg/kg、約7.0mg/kg、約7.5mg/kg、約8.0mg/kg、約8.5mg/kg、約9.0mg/kg、約9.5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、又は約20mg/kgである、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の有効量が、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の有効量が、約0.3mg/kgである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の有効量が、約3.0mg/kgである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の有効量が、対象の1キログラム当たり約0.01ミリグラム(mg/kg)、約0.03mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg 約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3.0mg/kg、約3.1mg/kg、約3.2mg/kg、約3.3mg/kg、約3.4mg/kg、約3.5mg/kg、約3.6mg/kg、約3.7mg/kg、約3.8mg/kg、約3.9mg/kg、約4.0mg/kg、約4.5mg/kg、約5.0mg/kg、約5.5mg/kg、約6.0mg/kg、約6.5mg/kg、約7.0mg/kg、約7.5mg/kg、約8.0mg/kg、約8.5mg/kg、約9.0mg/kg、約9.5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、又は約20mg/kgである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の有効量が、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の有効量が、約0.3mg/kgである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の有効量が、約3.0mg/kgである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の有効量が、前記第2の有効量と同じである、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の有効量及び前記第2の有効量が、対象の1キログラム当たり約0.01ミリグラム(mg/kg)、約0.03mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg 約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3.0mg/kg、約3.1mg/kg、約3.2mg/kg、約3.3mg/kg、約3.4mg/kg、約3.5mg/kg、約3.6mg/kg、約3.7mg/kg、約3.8mg/kg、約3.9mg/kg、約4.0mg/kg、約4.5mg/kg、約5.0mg/kg、約5.5mg/kg、約6.0mg/kg、約6.5mg/kg、約7.0mg/kg、約7.5mg/kg、約8.0mg/kg、約8.5mg/kg、約9.0mg/kg、約9.5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、又は約20mg/kgである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の有効量及び前記第2の有効量が、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の有効量及び前記第2の有効量が、約0.3mg/kgである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の有効量及び前記第2の有効量が、約3.0mg/kgである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の投薬レジメンが、少なくとも1週間継続し、前記第1の頻度が、1週間ごとであり、前記第1の有効量が、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の投薬レジメンが、4週間継続する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の有効量が、約0.3mg/kgである、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の有効量が、約3.0mg/kgである、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の投薬レジメンが、少なくとも4週間継続し、前記第2の頻度が、2週間ごとあり、前記第2の有効量が、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第2の投薬レジメンが、少なくとも7週間継続する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第2の有効量が、約0.3mg/kgである、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の有効量が、約3.0mg/kgである、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項53】
前記静脈内投与が、静脈内注入、又はスロープッシュ注射による、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記対象が、劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)を有する、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記対象が、優性栄養障害型表皮水疱症(DDEB)を有する、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、劣性遺伝パターンと一致するCOL7A1遺伝子中の変異を有する、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、ヒトである、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、18歳齢未満である、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が、少なくとも6歳齢である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が、少なくとも2歳齢である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、2歳齢未満である、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、少なくとも18歳齢である、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記rhCol7物質が、1ミリリットル当たり1.2ミリグラム(mg/mL)のrhCol7物質、10ミリモル濃度(mM)のリン酸ナトリウム、5mMのクエン酸ナトリウム、100mMのL-アルギニン、1.7%のスクロース(重量/容積)、70mMの塩化ナトリウム、及び0.05%(容積/容積)のポリソルベート20(pH7.2)を含む医薬組成物中に含まれる、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記第2の投薬レジメン継続期間、第2の頻度、及び/又は第2の有効量が、少なくとも部分的に、前記第1の投薬レジメンの間又は後に実施される前記対象の1つ以上の臨床パラメータの評価に基づき決定される、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の投薬レジメンと前記第2の投薬レジメンとの間に、1つ以上の臨床パラメータを評価することをさらに含む、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の投薬レジメンの間に、1つ以上の臨床パラメータを評価することをさらに含む、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の投薬レジメンの間に、1つ以上の臨床パラメータを評価することをさらに含む、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記1つ以上の臨床パラメータが、創傷表面積、創傷治癒、慢性創治癒までの時間、及び再水膨れ形成時間から選択される、請求項64~67のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、栄養障害型表皮水疱症(DEB)、特に劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)のための組換えコラーゲン7タンパク質療法に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮水疱症(EB)は、皮膚への軽度の機械的外傷後の水膨れの発生により特徴付けられる分子的に多様な疾患群を包含する。ほぼ全ての患者において重度の再発性水膨れ形成又は皮膚の破裂が認められるが、重症度、皮膚外症状、及び臨床経過はEBのタイプに依存する。遺伝性EBの4つの主なタイプとしては、単純型EB、接合部型EB、栄養障害型EB(DEB)、及びキンドラー症候群が挙げられ、それらは、タンパク質が不存在であるか罹患タンパク質が位置するとともに水膨れ及びその臨床症状が発生する箇所の皮膚及び/又は非皮膚組織のレベルに基づき分けられる。
【0003】
EBの最も重度型の1つであるDEBは、再発性水膨れ形成と後続の治癒及び瘢痕形成により特徴付けられる。DEBを有する患者において、水膨れ形成は、皮膚の極度に脆弱な性質に起因して軽度の機械的外傷によっても誘発され得る。これは、患者が疼痛創傷及び表皮組織の消耗性瘢痕形成を罹患するのを引き起こす水膨れ形成、治癒、及び再水膨れ形成の慢性サイクルをもたらす。
【0004】
DEBは、基底膜を下層真皮に固定するフィブリルの形成に必須のタンパク質であるVII型コラーゲン(Col7)のα鎖をコードするCOL7A1遺伝子中の変異により引き起こされる。この病態は、優性型(DDEB)又は劣性型(RDEB)のいずれかとして遺伝される。劣性型は、典型的には、より重度の表現型を呈し、最も重度の汎発型RDEBにおいては、全身が罹患する創傷が存在し得る。RDEBの遺伝子型及び表現型とCOL7A1変異との間の相関は、非常に変動的である。
【0005】
皮膚病変の程度は、四肢の限局的な水膨れ形成から広範な病変まで及ぶ。DEBの全ての型を有する患者について、爪の異栄養症又は損失を有することが一般的である。手指又は足指が瘢痕組織で覆われるムチランス変形への進行を伴う、偽合指症として公知の、指間の水かき形成を引き起こす手足の瘢痕形成は、重症汎用型RDEBで最も特徴的である一方、偽合指症はDDEBにおいて低頻度である。
【0006】
DEBにおける、特により重度型の疾患RDEBにおける創傷の挙動は、いくつかの区別される特徴を有する。創傷は動的であり、外部剪断力に対する皮膚の機械的抵抗の損害に起因して生じ;これらは治癒するが再発し得、最初の創傷をもたらした機械的損傷のリスク継続及びCol7欠損に起因する治癒プロセスの変更を反映する。DEBの特性としては、2つの相互関連するCol7依存的機序に対する効果に起因すると考えられる生涯の皮膚脆弱性及び瘢痕形成を伴う治癒が挙げられる。
【0007】
皮膚症状に加え、DEBの重度型は、粘膜、例えば、眼、口及び食道、性器、並びに肛門の粘膜のびらん及び瘢痕形成を引き起こし得;歯牙異常も共通する。口腔病変は、口唇水膨れ形成、口腔底部への舌の融合、及び口腔のサイズの進行性減少をもたらし得る。食道びらんは、重度の嚥下障害を引き起こし得るウェブ及び構造をもたらし得る。結果的に、栄養不足、貧血、及び他の続発性問題が一般的である。角膜びらんは、瘢痕形成及び失明をもたらし得る。手足の水膨れ形成とそれに続く瘢痕形成は、この障害のホールマークである偽合指症をもたらす。侵襲性扁平上皮癌の生涯リスクは、90%超である。DEBの他の型は、類似するが顕著ではない臨床所見を有する。
【0008】
COL7A1遺伝子中の病原性変異は、皮膚中のアンカリングフィブリルの異常、減少又は完全な不存在をもたらし、DEBをもたらす。正常な機能性アンカリングフィブリルのこの欠落は、DEB患者における皮膚及び粘膜における不十分な表皮真皮接着、顕著な皮膚脆弱性及び重度水膨れ形成の原因になる。
【0009】
DEBのための決定的な処置は存在せず、その管理はサポーティブケアにフォーカスする。包帯法及び感染予防がEBの全ての型の管理のための主な方針であり、必要に応じて鎮痛及び鎮痒、栄養補給、及び外科的管理を伴う。同種移植片を用いる現在のスタンダードオブケアは、RDEB患者における利益が極めて限定的である。それというのも、RDEB患者における創傷の慢性及び動的性質のために移植の16週間後に治癒されたRDEBにおける創傷が0%であったことが報告されたためである。しかしながら、一様に認められたスタンダードオブケアは存在せず:包帯の選択、定型、及び牽引技術は家族及び施設間で異なる。広範囲の皮膚及び皮膚外症状を有する重度の罹患患者は、処置に対する集学的アプローチも要する。DEBを有する患者においては、疼痛、掻痒、日常生活の活動の減少、疲労、減量、及び疾患症状の社会的影響に起因する健康関連クオリティーオブライフ(HRQL)の縮小が認められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
DEBは、有効な治療法を有さない深刻な全身性疾患である。全身性疾患修正アプローチの開発は公知でない。DEBの悪化効果は機能的Col7の欠損から生じるため、DEBは、組換えヒトCol7(rhCol7)での全身性タンパク質療法に適切である。本開示は、DEBを全身処置するためのrCol7(例えば、rhCol7)タンパク質療法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、栄養障害型表皮水疱症(DEB)、特に劣性DEB(RDEB)の処置のためのコラーゲン7(代替的に本明細書においてcol7、Col7、又はC7と称される)、具体的には、組換えヒトコラーゲン7(代替的に本明細書においてrhCol7又はrhC7と称される)タンパク質補充療法に関する。処置は、静脈内投与、例えば、静脈内注入による、DEBを有する対象への組換えコラーゲン7(例えば、rCol7、例えば、rhCol7)物質の全身投与に関する。本開示は、部分的には、rCol7タンパク質が全身投与を介して創傷及び非創傷皮膚部位内に堆積し、具体的には、真皮表皮接合部(DEJ)において濃縮し得、したがって、DEBの合併症及び/若しくは症状を処置し、予防し、その発症を遅延させ、軽減し、並びに/又はDEBに伴う臨床的合併症及び/若しくは症状の進行を予防するために使用され得るという根拠に基づく。
【0012】
一態様において、本開示は、それが必要とされる対象における栄養障害型表皮水疱症(DEB)を処置する方法であって、対象に組換えヒトCol7(rhCol7)物質を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って静脈内投与することを含み、i)第1の投薬レジメンは、物質の第1の治療有効量を第1の頻度で投与することを含み;ii)第2の投薬レジメンは、物質の第2の治療有効量を第2の頻度で投与することを含み、第1の頻度は、第2の頻度よりも多く、第1の投薬レジメンに従う投与は、第2の投薬レジメンに従う投与前に行われる方法を提供する。
【0013】
別の態様において、本開示は、それが必要とされる対象における栄養障害型表皮水疱症(DEB)の症状又は合併症を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、その発症を遅延させ、その進行を遅延させ、除去し、及び/又は治癒する方法であって、対象に組換えヒトCol7(rhCol7)物質を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って静脈内投与することを含み、i)第1の投薬レジメンは、物質の第1の治療有効量を第1の頻度で投与することを含み;ii)第2の投薬レジメンは、物質の第2の治療有効量を第2の頻度で投与することを含み、第1の頻度は、第2の頻度よりも多く、第1の投薬レジメンに従う投与は、第2の投薬レジメンに従う投与前に行われる方法を提供する。
【0014】
さらなる態様において、本開示は、それが必要とされる対象における栄養障害型表皮水疱症(DEB)を処置する方法における使用のためのCol7物質(例えば、組換えヒトCol7、rhCol7)であって、方法は、対象に組換えヒトCol7(rhCol7)物質を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って投与することを含み、i)第1の投薬レジメンは、物質の第1の治療有効量を第1の頻度で投与することを含み;ii)第2の投薬レジメンは、物質の第2の治療有効量を第2の頻度で投与することを含み、第1の頻度は、第2の頻度よりも多く、第1の投薬レジメンに従う投与は、第2の投薬レジメンに従う投与前に行われるCol7物質を提供する。
【0015】
関連態様において、本開示は、それが必要とされる対象における栄養障害型表皮水疱症(DEB)の症状又は合併症を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、その発症を遅延させ、その進行を遅延させ、除去し、及び/又は治癒する方法における使用のためのCol7物質(例えば、組換えヒトCol7、rhCol7)であって、方法は、対象に組換えヒトCol7(rhCol7)物質を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って静脈内投与することを含み、i)第1の投薬レジメンは、物質の第1の治療有効量を第1の頻度で投与することを含み;ii)第2の投薬レジメンは、物質の第2の治療有効量を第2の頻度で投与することを含み、第1の頻度は、第2の頻度よりも多く、第1の投薬レジメンに従う投与は、第2の投薬レジメンに従う投与前に行われるCol7物質を提供する。
【0016】
関連態様において、本開示は、栄養障害型表皮水疱症(DEB)又はその症状若しくは合併症の処置のための医薬品の製造のためのCol7物質(例えば、組換えヒトCol7、rhCol7)の使用であって、処置は、それが必要とされる対象に組換えヒトCol7(rhCol7)物質を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って投与することを含み、i)第1の投薬レジメンは、物質の第1の治療有効量を第1の頻度で投与することを含み;ii)第2の投薬レジメンは、物質の第2の治療有効量を第2の頻度で投与することを含み、第1の頻度は、第2の頻度よりも多く、第1の投薬レジメンに従う投与は、第2の投薬レジメンに従う投与前に行われる使用を提供する。
【0017】
関連態様において、本開示は、栄養障害型表皮水疱症(DEB)の症状又は合併症の軽減、緩和、低減、改善、その発症の遅延、その進行の遅延、除去、及び/又は治癒のための医薬品の製造のためのCol7物質(例えば、組換えヒトCol7、rhCol7)の使用であって、軽減、緩和、低減、改善、発症の遅延、進行の遅延、除去、及び/又は治癒は、それが必要とされる対象に組換えヒトCol7(rhCol7)物質を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って投与することを含み、i)第1の投薬レジメンは、物質の第1の治療有効量を第1の頻度で投与することを含み;ii)第2の投薬レジメンは、物質の第2の治療有効量を第2の頻度で投与することを含み、第1の頻度は、第2の頻度よりも多く、第1の投薬レジメンに従う投与は、第2の投薬レジメンに従う投与前に行われる使用を提供する。
【0018】
上記態様の一部の実施形態において、DEBの症状又は合併症は、水膨れ形成を含む皮膚創、掻痒、疼痛、皮膚びらん、瘢痕形成、皮膚脆弱性、壊疽、皮膚の形成不全若しくは低形成、皮膚の低色素堆積、稗粒腫、皮膚感染症、口唇炎(例えば、口唇の炎症)、異栄養性の手爪若しくは足爪、歯牙エナメル質異常、手指若しくは足指の偽合指症若しくは屈指症、手指若しくは足指の合指症、足指の屈曲拘縮、虫歯、嚥下障害(例えば、不十分な嚥下)、溝状舌若しくは亀裂舌、食道狭窄、咽頭狭窄、成長障害、拡張型心筋症、肺間質形態異常、急性便秘、聴覚若しくは視覚障害、湿疹、糸球体症、免疫学的過敏症、鼻涙管閉塞、貧血、慢性耳感染症、角膜びらん、角膜剥離及び瘢痕形成、小口症、骨減少症、眼瞼外反、免疫学的過敏症、ネフローゼ症候群、包茎、腎不全、尿閉、尿管狭窄、卒中、扁平上皮癌、又はそれらの組み合わせである。一部の実施形態において、DEBの症状又は合併症は、水膨れ形成を含む皮膚創、皮膚びらん、瘢痕形成、皮膚脆弱性、皮膚の形成不全若しくは低形成、口唇炎(例えば、口唇の炎症)、異栄養性の手爪若しくは足爪、手指若しくは足指の偽合指症若しくは屈指症、手指若しくは足指の合指症、足指の屈曲拘縮、嚥下障害(例えば、不十分な嚥下)、食道狭窄、咽頭狭窄、又はそれらの組み合わせである。一部の実施形態において、DEBの症状又は合併症は、水膨れ形成を含む皮膚創である。
【0019】
上記態様の一部の実施形態において、方法は、1つ以上の皮膚創を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、又は除去する。
上記態様の一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、少なくとも1週間継続する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、少なくとも2週間継続する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、少なくとも3週間継続する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、少なくとも4週間継続する。一部の実施形態において、第1の頻度は、約1日ごと、約2日ごと、約3日ごと、約4日ごと、約5日ごと、約6日ごと、約1週間ごと、約10日ごと、又は約2週間ごとである。一部の実施形態において、第1の頻度は、1週間ごとである。
【0020】
上記態様の一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも4週間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも6週間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも7週間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも8週間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも6か月間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも1年間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、rhCol7物質を対象に対象の生涯にわたり投与することを含む。一部の実施形態において、第2の頻度は、約1週間ごと、約10日ごと、約2週間ごと、約3週間ごと、約4週間ごと、又は約1か月ごとである。一部の実施形態において、第2の頻度は、1週間ごとである。一部の実施形態において、第2の頻度は、2週間ごとである。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、長期である(例えば、対象の生涯継続する)。
【0021】
上記態様の一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、1週間~4週間継続し、第2の投薬レジメンは、少なくとも6週間継続する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、1週間継続する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、2週間継続する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、3週間継続する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、4週間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、7週間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも6か月間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、rhCol7物質を対象に対象の生涯にわたり投与することを含む。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、4週間継続し、第2の投薬レジメンは、少なくとも7週間継続する。
【0022】
上記態様の一部の実施形態において、第1の有効量は、約0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg 1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3.0mg/kg、3.1mg/kg、3.2mg/kg、3.3mg/kg、3.4mg/kg、3.5mg/kg、3.6mg/kg、3.7mg/kg、3.8mg/kg、3.9mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、又は20mg/kgである。一部の実施形態において、第1の有効量は、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約0.1mg/kgである。一部の実施形態において、第1の有効量は、約0.3mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約0.5mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約1.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約1.5mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約2.0mg/kgである。一部の実施形態において、第1の有効量は、約3.0mg/kgである。
【0023】
上記態様の一部の実施形態において、第2の有効量は、約0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg 1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3.0mg/kg、3.1mg/kg、3.2mg/kg、3.3mg/kg、3.4mg/kg、3.5mg/kg、3.6mg/kg、3.7mg/kg、3.8mg/kg、3.9mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、又は20mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約0.1mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約0.3mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約0.5mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約1.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約1.5mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約2.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約3.0mg/kgである。
【0024】
上記態様の一部の実施形態において、第1の有効量は、第2の有効量と同じである。一部の実施形態において、第1の有効量及び第2の有効量は、独立して、約0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg 1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3.0mg/kg、3.1mg/kg、3.2mg/kg、3.3mg/kg、3.4mg/kg、3.5mg/kg、3.6mg/kg、3.7mg/kg、3.8mg/kg、3.9mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、又は20mg/kgである。一部の実施形態において、第1の有効量及び第2の有効量は、独立して、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第1の有効量及び第2の有効量は、各々約0.3mg/kgである。一部の実施形態において、第1の有効量及び第2の有効量は、各々約3.0mg/kgである。
【0025】
上記態様の一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、少なくとも1週間継続し、第1の頻度は、1週間ごとであり、第1の有効量は、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、4週間継続する。一部の実施形態において、第1の有効量は、約0.3mg/kgである。一部の実施形態において、第1の有効量は、約3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも4週間継続し、第2の頻度は、2週間ごとであり、第2の有効量は、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、又は3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも7週間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、長期である。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、患者の生涯にわたり継続する。一部の実施形態において、第2の有効量は、約0.3mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約3.0mg/kgである。
【0026】
上記態様の一部の実施形態において、静脈内投与は、静脈内注入、又はスロープッシュ注射(slow push injection)による。
上記態様の一部の実施形態において、対象は、劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)を有する。
【0027】
上記態様の一部の実施形態において、対象は、優性栄養障害型表皮水疱症(DDEB)を有する。
上記態様の一部の実施形態において、対象は、劣性遺伝パターンと一致するCOL7A1遺伝子中の変異を有する。
【0028】
上記態様の一部の実施形態において、対象は、ヒトである。一部の実施形態において、対象は、18歳齢未満である。一部の実施形態において、対象は、少なくとも6歳齢である。一部の実施形態において、対象は、少なくとも2歳齢である。一部の実施形態において、対象は、2歳齢未満である。一部の実施形態において、対象は、少なくとも18歳齢である。
【0029】
上記態様の一部の実施形態において、rhCol7物質は、1.2mg/mLのrhCol7物質、10mMのリン酸ナトリウム、5mMのクエン酸ナトリウム、100mMのL-アルギニン、1.7%のスクロース(w/v)、70mMの塩化ナトリウム、及び0.05%(v/v)のポリソルベート20(pH7.2)を含む医薬組成物中に含まれる。
【0030】
上記態様の一部の実施形態において、第2の投薬レジメン継続期間、第2の頻度、及び/又は第2の有効量は、少なくとも部分的に、第1の投薬レジメンの間又は後に実施される対象の1つ以上の臨床パラメータの評価に基づき決定される。一部の実施形態において、方法は、第1の投薬レジメンと第2の投薬レジメンとの間に、1つ以上の臨床パラメータを評価することをさらに含む。一部の実施形態において、方法は、第1の投薬レジメンの間に、1つ以上の臨床パラメータを評価することをさらに含む。一部の実施形態において、方法は、第2の投薬レジメンの間に、1つ以上の臨床パラメータを評価することをさらに含む。一部の実施形態において、1つ以上の臨床パラメータは、創傷表面積、創傷治癒、慢性創治癒までの時間、及び再水膨れ形成時間から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、3回の静脈内注射後のCol7a1-/-マウスにおける舌及び皮膚中のCol7の用量依存的堆積の代表的な画像を示す。
図2A図2Aは、rhCol7の単回静脈内投与後のCol7a1-/-マウスにおける舌組織の代表的な画像(ヘマトキシリン及びエオシン染色)を示す。
図2B図2Bは、Col7の単回投与後の舌中の真皮表皮分離の閉鎖を有するCol7a1-/-マウスの一部のヒストグラムである。
図3図3は、Col7のPTR-01曝露依存的堆積を示す。全ての患者はrCol7補充を受け、35%以上の正常ヒト皮膚(NHS)中でCol7の増加を達成した。Ph2患者(黒色データ点)は、1週間ごとの4×3mg/kg(1~29日)と2週間ごとの7×3mg/kg(42~120日)を受けたのに対して、Ph1患者は、隔週の3×PTR-01用量(1~29日)のみを受けた。202-001についての22及び120日目非創傷サンプルは品質不良であり、データがなく、示されるデータは創傷サンプルについてのものである。患者02-06、02-07、02-08は、第1/2相試験に参加した。NHS:正常ヒト皮膚。
図4図4は、PTR-01の第2相オープンラベル試験についての試験デザインを模式的に説明する。qow:2週間ごと。
図5図5は、ベースラインに対する120日目の創傷査定の比較を示す。
図6図6は、キャンフィールド(Canfield)イメージングによる創傷表面積の低減パーセントによる創傷応答を示す。N個の創傷画像が36日目(創傷6;患者201-001)及び92日目(創傷1;患者201-002)について利用可能でなく;したがって、それらの時点におけるこれらの患者についての創傷表面積は省略した。陰影バー中の数字は、各割合カテゴリーにおける創傷の数を表し;各バー上方の数字は、その時点において評価された創傷の総数である。
図7図7は、慢性及び再発創において観察された創傷閉鎖を示す。
図8図8は、PTR-01処置後の創傷表面積の明らかな低減を実証する創傷画像の例を示す。
図9図9A~9Bは、創傷表面積のベースラインからの個々の創傷の変化及び中央値を示す。AUC:曲線下面積(ベースラインからの累積創傷表面積);N/A:適用せず;中央値の差のホッジス・レーマン推定量=-18.01、95%CI=(-40.35、7.19);ウィルコクソンの順位和p=0.1776。
図10図10A~10Bは、第2相試験の患者によりiscorEB-Pにより測定された疼痛、疾患影響、日常生活の活動、気分、及び必須機能の改善を示す。iscorEB-P:iscorEB測定法の評価を申告した患者。
図11図11は、患者及び時点ごとの試験責任者及び患者の変化の全般的印象(Investigator and Patient Global Impression of Change)(GIC)スコアを示す。データ点不明。患者203-001は示されない。各柱上部の数字は、そのスコアを有する患者の数であり、柱の高さはIGIC又はPGICスコアを反映する。知覚された全般的状態の降下が、処置終了の3か月後に患者203-002においてのみ生じたことに留意されたい。IGI:試験責任者の全般的印象(Investigator Global Impression);PGI:患者の全般的印象(Patient Global Impression)。
図12図12は、PTR-01投与による皮膚線維症促進(pro-fibrotic)バイオマーカー染色の低減を示す。スコア付けは3点スケール(1=低;2=中;3=高)で実施された。N=5人の患者(試験完了者)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、それが必要とされる対象(例えば、ヒト対象)における皮膚障害(例えば、栄養障害型表皮水疱症(DEB)、例えば、劣性DEB)を処置する、並びに/又は皮膚障害、例えば、DEBの症状若しくは合併症を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、その発症を遅延させ、その進行を遅延させ、除去し、及び/若しくは治癒する方法を提供する。本明細書に提供される方法は、コラーゲン7(例えば、C7、col7、又はCol7、例えば、組換えコラーゲン7(rCol7)、例えば、組換えヒトコラーゲン7(rhCol7))、又はその機能的バリアントを含む医薬組成物を、対象に第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って投与することを含み得る。第1の投薬レジメンは、対象が第2の投薬レジメンよりも高用量のコラーゲン7を提供され、及び/又はコラーゲン7を高頻度で投与される「負荷」投薬期であり得る。第2の投薬レジメンは、対象が第1の投薬レジメンよりも低用量のコラーゲン7を提供され、及び/又はコラーゲン7を低頻度で投与される「維持」投薬期であり得る。区別される投薬レジメンの使用は、対象を治療法に順応させるように機能し、負荷期の間の急性症状に対処するように、及びコラーゲン7療法の治療上の利益を維持し、維持期の間の症状の発生又は悪化を予防するように機能し得る。負荷期は、1日以上、1週間以上、又は1か月間以上継続し得る一方、維持期は、一般に、負荷期よりも長く、数週間、数か月間、又は数年間継続し得、対象の生涯にわたり延長し得る。
【0033】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の以下の詳細な説明に記載される。本明細書に記載のものと類似又は同等の任意の材料及び方法が本開示の実施又は試験において使用され得るが、好ましい材料及び方法が目下記載される。本開示の他の特徴、目的及び利点は、詳細な説明から明らかである。詳細な説明において、単数形には、文脈が特に明示しない限り複数形も含まれる。特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が属する分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、本開示が優先される。
【0034】
序論
DEB患者は、VII型コラーゲン(C7又はCol7とも称される)をコードするCOL7A1遺伝子中の変異に起因して機能的コラーゲン7を欠く。Col7は、表皮真皮接着に必要なアンカリングフィブリルを産生するために要する。内因性Col7は、複合体超分子凝集プロセスを介して形成する。具体的には、3つのα鎖がそれらのC末端を介して会合してホモ三量体分子を形成し、それがコラーゲン様領域内で三重ヘリカル立体構造にフォールドする。2つのホモ三量体は逆平行二量体を形成し、それからC末端プロペプチドがプロテアーゼ、例えば、骨形態形成タンパク質1によりタンパク質分解的に開裂される。続いて、これらの逆平行二量体の多数は横方向に凝集してアンカリングフィブリルを形成する。Col7は、真皮への表皮の付着を可能とするアンカリングフィブリルの主成分として作用する。DEB(例えば、RDEB)に関与するCOL7A1遺伝子中の変異は、C7の異常な合成又はアンカリングフィブリルへのタンパク質のアセンブリ欠陥をもたらし、不十分な表示真皮接着をもたらす。
【0035】
全身静脈内投与されるコラーゲン7、例えば、組換えCol7(rCol7)での異常又は欠損タンパク質の補充は、アンカリングフィブリルの形成を可能とし、したがってDEB(例えば、RDEB)を有する患者において身体全体にわたり水膨れ形成異常及び合併症の是正をもたらすことが予測される。マウスにおけるrCol7の静脈内投与は、皮膚中のコラーゲン7タンパク質の堆積及び創傷治癒の改善をもたらすことが実証されている(例えば、参照において全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20140031295号明細書参照)。
【0036】
本開示は、DEBを有する対象、例えば、劣性DEB(RDEB)を有する対象のための疾患修正Col7(例えば、rCol7、例えば、rhCol7)補充療法に関する。rCol7組成物(PTR-01)は、本出願人らにより開発され、DEBを有する患者、RDEBを有する患者の処置に使用される。rCol7の全身(例えば、静脈内)送達は、機能的Col7を真皮表皮基底膜部(BMZ)に戻し、それにより正常なアンカリングフィブリルのアセンブリを促進し、緻密層/真皮上層の乳頭層界面における真皮表皮接着に安定性を提供し、DEBを有する患者における水膨れ形成異常及び合併症を是正することが考えられる。
【0037】
定義
本開示において使用される用語は、一般に、本開示の文脈の範囲内で、及び各用語が使用される具体的な文脈において当技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語「コラーゲン7」、「Col7」、「コラーゲンVII型」、及び「C7」は、互換的に使用され、コラーゲン7タンパク質を指す。ヒトCol7(本明細書においてhCol7とも称される)は、真皮への表皮の付着を可能とするアンカリングフィブリルの主成分であるおよそ900キロダルトン(kDa)の質量を有する巨大細胞外タンパク質である。Col7は、3つのヒトコラーゲンα1(VII型)ポリペプチド(α1鎖)からなるホモ三量体である。α1鎖(VII型)は、COL7A1遺伝子によりコードされる。各Col7α1鎖は、2928アミノ酸長であり、2つの非コラーゲン様ドメイン:N末端におけるNC1ドメイン及びC末端におけるNC-2ドメイン、によりフランキングされる中央コラーゲン様ドメインを含む。3つのα1鎖は、それらのC末端NC2ドメインを介して会合してホモ三量体分子を形成し、それはヒドロキシル化プロリン及びリジン残基を含有するコラーゲン様領域内で三重ヘリカル立体構造にフォールドする。2つのホモ三量体は、逆並行二量体の両端に存在するN末端(NC1ドメイン)を有する逆平行二量体の形成をもたらす。逆平行二量体の横方向のアセンブリは、基底膜部(BMZ)中の高度に特殊化された付着構造であり、下層真皮への表皮の付着に重要であるアンカリングフィブリルの形成をもたらす。これらのアンカリングフィブリルはまた、正常皮膚中の真皮表皮接合部内のBMZの緻密層から真皮上層の乳頭層まで伸長し得る。ヒトCol7の全長α鎖ポリペプチドは、配列番号1(リファレンス番号:NP_000085)のアミノ酸配列を含み、それは、配列番号2(リファレンス番号:NM_000094)の核酸配列により天然にコードされる。本開示の文脈において、Col7は、組換えコラーゲン7タンパク質、又はその機能的バリアントを指し得る。rCol7の機能的バリアントは、全長Col7と同等又は実質的に類似する構造的特性(例えば、アンカリングフィブリル形成)、結合特性(例えば、コラーゲンIV及び/又はフィブロネクチンへの結合)、及び/又はシグナル伝達活性(例えば、腫瘍成長因子β(TGF-β)抑制及び/又は線維芽細胞成長因子2(FGF2)発現)を有し得る。本明細書において使用される場合、用語「組換えヒトCol7(rhCol7)」は、天然ヒトCol7(例えば、配列番号1)のアミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の同一性を有するヒトCol7の組換え形態を指す。組換えCol7(例えば、rhCol7)は、組換え技術により作製され、例えば、組換えDNA法により作製され、Col7をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞中で産生され得る。宿主細胞は、組換えCol7に必要な修飾を提供する哺乳類細胞であり得る。
【0039】
本明細書において使用される場合、用語「組換えヒトコラーゲン7物質」、「rhCol7物質」、及び「rhC7物質」は、互換的に使用され、複数の組換えCol7αポリペプチド、及び/又はそれらの機能的バリアントを含む物質(例えば、薬物物質)を指す。一部の実施形態において、rhCol7物質は、配列番号1のアミノ酸配列を有する組換えCol7αポリペプチドを含む。rhCol7物質は、高レベルの組換えCol7及び/又はその機能的バリアントを発現するように操作された宿主細胞により産生され得る。rhCol7物質は、宿主細胞の培養培地から精製され得る。好適な宿主細胞としては、限定されるものではないが、線維芽細胞、ケラチノサイト、CHO細胞、HEK293細胞、C127細胞、VERO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞、MDCK細胞などを含む初代又は形質転換細胞系が挙げられ得る。
【0040】
本明細書において使用される場合、用語「組換えヒトCol7(rhCol7)薬物製品」は、活性成分としてrhCol7物質を含む薬物製剤を指す。rhCol7薬物製品は、Col7タンパク質安定性を維持するように製剤化され、例えば、静脈内注射及び/又は注入による臨床的投与に好適である。rhCol7薬物製品は、rhCol7物質を含む医薬組成物であり得る。
【0041】
本明細書において使用される場合、用語「タンパク質療法」は、特定のタンパク質が欠損又は不存在である対象におけるタンパク質を供給又は補充する医学的処置を指す。タンパク質は、対象中に遺伝子療法、細胞療法、及び/又は直接タンパク質補充を介して導入され得る。用語「タンパク質補充」は、そのようなタンパク質が欠損又は不存在である対象中への非天然精製タンパク質の導入を指す。投与されるタンパク質は、天然資源から、例えば、正常タンパク質を有する対象から、例えば、単離組織又は体液、例えば、胎盤及び畜乳からのタンパク質の精製により、又は組換えタンパク質発現により得られ得る。精製組換えタンパク質は、インビトロで、例えば、遺伝子操作された細胞系を使用して産生され得る。タンパク質補充療法はまた、別に精製タンパク質の投与を要求し、又はそれから利益を得る、例えば、タンパク質不足に罹患する対象への精製タンパク質の導入を指し得る。
【0042】
本明細書において使用される場合、用語「変異型タンパク質」は、変更されたタンパク質配列、トランケートされたタンパク質断片、及び/又はタンパク質の完全な不存在をもたらす、1つ以上の遺伝子変異を含有する遺伝子から翻訳されるタンパク質を指す。対照的に、「野生型」又は「天然」タンパク質は、インビボで発現又は導入された場合に正常な機能的生物学的活性を有し得る、野生型遺伝子によりコードされる任意のタンパク質を指す。
【0043】
本明細書において使用される場合、用語「創傷」及び「皮膚創」は、皮膚の保護的機能の破壊、例えば、手術、割創、裂創、切り傷、裂傷、擦り傷、擦過傷、引っ掻き傷、熱傷、化学物質曝露により、又は疾患、例えば、DEB(例えば、RDEB)の結果として引き起こされる皮膚又は下層組織への損傷後の上皮の連続性の損失を指す。創傷は、均一又は変動性の深さ及び形態を有し得る。創傷は、慢性創、例えば、慢性開放創、再発創、手術創、水膨れ、潰瘍、非治癒創、瘢痕、手術痕、又は湯傷であり得る。本開示に関して、DEB(例えば、RDEB)に伴う創傷は、異なるサイズの慢性開放創及び/又は再発若しくは急性創であり得る。慢性開放創は、治癒せず、少なくとも12週間開放したままの区域を指す。再発創は、部分的に治癒するが、その後に容易に再水膨れ形成する区域を指す。創傷は、胴体、胸部、腹部、腕部、手部、手指、脚部、足部、足指、背部、臀部、頸部、又は頭部上を含む身体上のいずれの箇所にも生じ得る。創傷は区別され得(例えば、定義可能なサイズ又はエンドポイントを有する)、及び/又は連続的であり得る(例えば、皮膚の見本にわたり拡がり、定義可能なサイズ又はエンドポイントを欠く)。
【0044】
本明細書において使用される場合、用語「疾患」及び「障害」は、種々の原因、例えば、自己免疫欠陥、遺伝子欠陥、及び/又は環境ストレスから生じ、徴候又は症状の同定可能な群により特徴付けられる、生物の一部、器官、又は系の病理学的状態を指す。本明細書において使用される場合、用語「遺伝子疾患」は、タンパク質欠乏により特徴付けられる疾患であり得る。タンパク質欠乏は、タンパク質の不存在、不十分な量、若しくは機能不全を引き起こすそのようなタンパク質をコードする遺伝子中の遺伝子変異により引き起こされ、又はタンパク質に対する抗体の発生から生じ得る。「皮膚疾患」又は「皮膚障害」は、皮膚の臨床的病態、例えば、対象における皮膚を冒す病態、例えば、水疱障害、炎症皮膚病態、又は皮膚癌を意味する。水疱(水膨れ形成)障害は、主に皮膚及び粘膜上に存在する、液体で満たされた水膨れ形成病変(水疱)の上昇により特徴付けられる不均一障害群である。水疱は、サイズが変動的であり得、水膨れ形成疾患の具体的な症状及び重症度は個人間で変動し、同じ障害を有する個体間でも変動する。例示的な水膨れ形成障害としては、限定されるものではないが、後天性表皮水疱症(EBA)及び先天性表皮水疱症(EB)、例えば、栄養障害型EBが挙げられる。EBには、遺伝子欠陥から生じる皮膚及び粘膜上の水膨れを引き起こす遺伝性結合組織疾患群が含まれる。DEBはほとんど、Col7タンパク質をコードするCOL7A1遺伝子内の変異により引き起こされる。これまで、COL7A1遺伝子中の約800個の変異が報告されている。DEBは、遺伝の2つのパターン:常染色体優性(優性DEB、DDEB)及び常染色体劣性(劣性DEB、RDEB)を有する。DDEBは、一般に、コラーゲンα1(VII)鎖のコラーゲン様ドメイン内のグリシン置換により引き起こされる低減したCol7発現を伴う。RDEBは、通常重度であり、ほとんどがCOL7A1遺伝子中の未成熟終止コドン(PTC)に起因するCol7発現の不存在又は顕著な低減により引き起こされる。一部の実施形態において、DEB(例えば、DDEB又はRDEB)は、身体診察、検査機関検査結果(例えば、皮膚生検に基づく)、既往歴のレビュー、及び/又は遺伝子検査後に診断される。一部の実施形態において、DEB(例えば、DDEB又はRDEB)の診断は、遺伝子検査を介して確定される。
【0045】
本明細書において使用される場合、用語「患者」及び「対象」は、本明細書に提供される方法に従って処置されるべき個体を指す。対象は、ヒト又は非ヒト哺乳類、例えば、非ヒト霊長類、ブタ、ヤギ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、又はウサギであり得る。対象は、好ましくは、ヒトである。対象は、皮膚障害(例えば、遺伝性皮膚症)、例えば、DEB(例えば、DDEB又はRDEB)を罹患し得る。対象は、皮膚障害(例えば、遺伝性皮膚症)、例えば、DEB(例えば、DDEB又はRDEB)と既に診断されていてよく、任意選択でそのための治療法を受けていてよい。対象は、DEBに関連する遺伝子変異を有することが公知であり得る。対象は、DEBに伴う1つ以上の症状又は合併症、例えば、水膨れ形成を含む皮膚創、掻痒、疼痛、皮膚びらん、瘢痕形成、皮膚脆弱性、壊疽、皮膚の形成不全若しくは低形成、皮膚の低色素堆積、稗粒腫、皮膚感染症、口唇炎(例えば、口唇の炎症)、異栄養性の手爪又は足爪、歯牙エナメル質異常、手指若しくは足指の偽合指症若しくは屈指症、手指若しくは足指の合指症、足指の屈曲拘縮、虫歯、嚥下障害(例えば、不十分な嚥下)、溝状舌若しくは亀裂舌、食道狭窄、咽頭狭窄、成長障害、拡張型心筋症、肺間質形態異常、急性便秘、聴覚若しくは視覚障害、湿疹、糸球体症、免疫学的過敏症、鼻涙管閉塞、貧血、慢性耳感染症、角膜びらん、角膜剥離若しくは瘢痕形成、口腔びらん、小口症、骨減少症、眼瞼外反、免疫学的過敏症、ネフローゼ症候群、包茎、腎不全、尿閉、尿管狭窄、卒中、又は扁平上皮癌を有し得る。一部の実施形態において、対象は、水膨れ形成を含む皮膚創、瘢痕形成、壊疽、皮膚の形成不全又は低形成、皮膚の低色素堆積、稗粒腫、皮膚感染症、口唇炎(例えば、口唇の炎症)、異栄養性の手爪又は足爪、歯牙エナメル質異常、手指又は足指の偽合指症又は屈指症、手指又は足指の合指症、足指の屈曲拘縮、虫歯、嚥下障害(例えば、不十分な嚥下)、溝状舌又は亀裂舌、食道狭窄、及び咽頭狭窄から選択されるDEBに伴う1つ以上の症状又は合併症を有し得る。一部の実施形態において、対象は、水膨れ形成を含む皮膚創、瘢痕形成、皮膚の形成不全又は低形成、口唇炎(例えば、口唇の炎症)、異栄養性の手爪又は足爪、手指又は足指の偽合指症又は屈指症、及び手指又は足指の合指症から選択されるDEBに伴う1つ以上の症状又は合併症を有し得る。対象は、任意の年齢又は発生段階であり得る。一部の実施形態において、対象は、乳児又はネオネートである。一部の実施形態において、対象は、約24か月齢未満、例えば、約20、18、16、14、12、10、8、6、5、4、3、2、又は1か月齢未満である。一部の実施形態において、対象は、少なくとも約24か月(例えば、2歳)齢、例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18歳齢である。一部の実施形態において、対象は、約2~5歳齢、約2~6歳齢、約2~8歳齢、約2~10歳齢、約6~10歳齢、約6~12歳齢、約6~18歳齢、約8~12歳齢、約8~18歳齢、約12~18歳齢、約2~13歳齢、約6~13歳齢、約13~18歳齢、又はそれらの任意の範囲である。一部の実施形態において、対象は、少なくとも18歳齢である。
【0046】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容可能な」は、生理学的に忍容可能であり、典型的にはヒトに投与された場合に有害反応を産生しない分子実体及び組成物を指す。好ましくは、本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容可能な」は、連邦若しくは州政府の規制当局により承認され、又は米国薬局方若しくは動物における、より特定するとヒトにおける使用のための他に一般に認められる薬局方に列記され、又は一般に例えば、非経口製品における使用に安全と認められることを意味する。
【0047】
本明細書において使用される場合、用語「治療有効用量」及び「有効量」は、治療応答をもたらすために十分な化合物の量を指す。Col7タンパク質療法と関連して、用語「治療有効用量」及び「有効量」は、治療応答をもたらすために十分な、Col7物質(例えば、rhCol7物質)、又はそれを含む薬物製品若しくは医薬組成物の量を指し得る。治療応答は、使用者(例えば、臨床医)が治療法に対する有効応答と認める任意の応答であり得る。したがって、治療応答は、一般に、疾患又は障害、例えば、DEB(例えば、DDEB又はRDEB)の1つ以上の症状及び/又は合併症の軽減、具体的には、皮膚創の負担及び/又は重症度をある程度で阻害し得る量;皮膚創の数の低減;皮疹サイズの低減;水膨れ形成の低減、減速、又は完全な停止を含む阻害;慢性開放創の閉鎖;創傷及び水膨れの治癒速度の増加;皮膚炎症の緩和;並びに表皮真皮接合部へのCol7取り込みの向上であり得る。
【0048】
本明細書において使用される場合、「処置すること」、「処置する」、及び「処置」は、疾患若しくは障害、又はそれらの症状若しくは合併症を有する対象に、疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は合併症が好転され、治癒され、緩和され、軽減され、除去され、遅延され、又は減少されるように医薬組成物を投与することを指す。対象におけるEB(例えば、DEB、例えば、DDEB又はRDEB)の処置は、EBを有する対象に、EBの少なくとも1つの症状又は合併症が好転され、治癒され、緩和され、軽減され、除去され、遅延され、又は減少されるように医薬組成物(例えば、本明細書に記載のrhCol7物質を含む医薬組成物)を投与することを指す。処置のために標的化され得るEB疾患の症状又は合併症としては、限定されるものではないが、水膨れ形成を含む皮膚創;掻痒;疼痛;病変(例えば、直腸、肛門、尿道病変及び/又は粘膜病変及び/又は扁平上皮組織の病変);皮膚びらん;瘢痕形成;皮膚脆弱性;壊疽;皮膚の形成不全又は低形成;皮膚の低色素堆積;稗粒腫;皮膚感染症;口唇炎(例えば、口唇の炎症);異栄養性の手爪又は足爪;胃腸管の病変;拘縮、例えば、屈曲拘縮(例えば、四肢の);手又は足の偽合指症又は屈指症;癌腫(例えば、扁平上皮癌);水疱形成;爪及び/又は歯の変形;食道狭窄;咽頭狭窄;溝状舌又は亀裂舌;歯牙エナメル質異常;虫歯;嚥下障害(例えば、不十分な嚥下);眼障害;聴覚又は視覚障害;貧血;栄養不良;二次皮膚感染症;敗血症;嗄声;尿道狭窄;包茎;角膜瘢痕化又はびらん;角膜剥離;口腔びらん;小口症;骨減少症;吸収不良;拡張型心筋症;肺間質形態異常;急性便秘;湿疹;糸球体症;免疫学的過敏症;鼻涙管閉塞;慢性耳感染症;眼瞼外反;免疫学的過敏症;ネフローゼ症候群、包茎;腎不全;尿閉;尿管狭窄;卒中;及び成長障害が挙げられる。
【0049】
本明細書において使用される場合、用語「予防すること」、「予防する」、及び「予防」は、対象に医薬組成物を、例えば、不所望な病態(例えば、宿主動物の疾患又は他の不所望な状態)の臨床症状前に、それが宿主を不所望な病態又はその症状若しくは病態の発生から保護するように投与することを指す。疾患を「予防すること(preventing)」は、「予防(prophylaxis)」又は「予防処置」とも称され得る。本開示に関して、EBに伴う1つ以上の症状又は合併症、例えば、皮膚水膨れ形成又は瘢痕形成は、医薬組成物(例えば、rhCol7物質を含む医薬組成物)の投与により予防され得る。EBを有する対象における瘢痕形成は、以下の症状の1つ以上をもたらし得る:拘縮、例えば、屈曲拘縮(例えば、四肢の);手又は足の偽合指症;癌腫(例えば、扁平上皮癌);直腸病変;粘膜病変;水疱形成;用手外傷後の水疱形成;爪又は歯の変形;食道狭窄;眼障害、貧血、栄養不良;二次皮膚感染症;敗血症;嗄声;尿道狭窄;包茎;角膜瘢痕形成;吸収不良;及び成長障害。一部の実施形態において、医薬組成物(例えば、rhCol7物質を含む医薬組成物)の投与により予防され得る、EB疾患(例えば、DEB、例えば、DDEB又はRDEB)の症状又は合併症は、例えば、水膨れ形成を含む皮膚創;掻痒;疼痛;病変(例えば、直腸、肛門、尿道病変及び/又は粘膜病変及び/又は扁平上皮組織の病変);皮膚びらん;瘢痕形成;皮膚脆弱性;壊疽;皮膚の形成不全又は低形成;皮膚の低色素堆積;稗粒腫;皮膚感染症;口唇炎(例えば、口唇の炎症);異栄養性の手爪又は足爪;胃腸管の病変;拘縮、例えば、屈曲拘縮(例えば、四肢の);手又は足の偽合指症又は屈指症;癌腫(例えば、扁平上皮癌);水疱形成;爪及び/又は歯の変形;食道狭窄;咽頭狭窄;溝状舌又は亀裂舌;歯牙エナメル質異常;虫歯;嚥下障害(例えば、不十分な嚥下);眼障害;聴覚又は視覚障害;貧血;栄養不良;二次皮膚感染症;敗血症;嗄声;尿道狭窄;包茎;角膜瘢痕形成又はびらん;角膜剥離;口腔びらん;小口症;骨減少症;吸収不良;拡張型心筋症;肺間質形態異常;急性便秘;湿疹;糸球体症;免疫学的過敏症;鼻涙管閉塞;慢性耳感染症;眼瞼外反;免疫学的過敏症;ネフローゼ症候群、包茎;腎不全;尿閉;尿管狭窄;卒中;並びに成長障害であり得る。
【0050】
本明細書において使用される場合、用語「改善する」、「増加させる」、「低減させる」、及び「減少させる」、並びにそれらの文法的同等物は、ベースライン測定値、例えば、本明細書に記載の処置の開始前の同じ個体における測定値、又は本明細書に記載の処置の不存在下の対照対象(若しくは複数の対照対象)における測定値に対する値のモジュレーションを示す。
【0051】
本明細書において使用される場合、用語「投薬間隔」は、対象(例えば、ヒト患者)に投与されている複数の用量間で経過する時間の量を指す。投薬間隔は、代替的に、本明細書において投薬頻度(例えば、1用量が対象に投与される頻度)と称され得る。一部の実施形態において、単一投薬間隔がCol7物質(例えば、rhCol7物質)での治療法の継続期間に使用される。このような投薬間隔は、所与の投薬レジメン内で「固定」されることが検討され得る。一部の実施形態において、複数の投薬間隔がCol7物質(例えば、rhCol7物質)での治療法の経過にわたり使用される。一部の実施形態において、投薬間隔は、約1日未満、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約1か月間、約2か月間、約3か月間、約6か月間であり、又はそれよりも長い。一部の実施形態において、投薬間隔は、所与の対象(例えば、ヒト患者)について、例えば、薬物動態/毒物動態(PK/TK)データ又はその対象についての他の情報、例えば、年齢、体重、身長、ボディマスインデックス、疾患重症度、合併症、人種、民族性、出身国、遺伝子型、及び/若しくはCol7補充療法に対する以前の応答に基づき決定される個別化間隔である。個別化投薬間隔は、固定投薬間隔(例えば、別の治療スキーム下又は別の対象について)と同じ投薬間隔であっても、異なっていてもよい。対象へのCol7物質(例えば、rhCol7物質)の投与を含む治療レジメンは複数の投薬レジメンを含み得、その1つ以上は本明細書に記載の固定投薬間隔を含み得、その1つ以上は個別化投薬間隔を含み得る。一部の実施形態において、対象へのCol7物質(例えば、rhCol7物質)の投与を含む治療レジメンは、第1の投薬間隔での(例えば、第1の頻度での)Col7物質の投与を含む第1の投薬レジメン、及び第2の投薬間隔での(例えば、第2の頻度での)Col7物質の投与を含む第2の投薬レジメンを含み、第1の投薬間隔及び第2の投薬間隔は両方とも、異なる投薬頻度を有する固定投薬間隔であり、第1の投薬レジメンは、第2の投薬レジメン前に実施される。一部の実施形態において、対象へのCol7物質(例えば、rhCol7物質)の投与を含む治療レジメンは、第1の投薬間隔での(例えば、第1の頻度での)Col7物質の投与を含む第1の投薬レジメン、及び第2の投薬間隔での(例えば、第2の頻度での)Col7物質の投与を含む第2の投薬レジメンを含み、第1の投薬間隔は、固定投薬間隔であり、第2の投薬レジメンは、個別化投薬間隔であり、第1の投薬レジメンは、第2の投薬レジメン前に実施される。他の実施形態において、対象へのCol7物質(例えば、rhCol7物質)の投与を含む治療レジメンは、第1の投薬間隔でのCol7物質の投与を含む第1の投薬レジメン、及び第2の投薬間隔でのCol7物質の投与を含む第2の投薬レジメンを含み、第2の投薬間隔は、固定投薬間隔であり、第1の投薬レジメンは、個別化投薬間隔であり、第1の投薬レジメンは、第2の投薬レジメン前に実施される。一部の実施形態において、投薬レジメンは、1日2回以上、約1日1回、約2日ごと、約3日ごと、約4日ごと、約5日ごと、約6日ごと、約1週間に1回、約2週間ごと、約3週間ごと、約1か月に1回、約2か月ごと、約3か月ごと、約6か月ごと、又はそれよりも低頻度の対象(例えば、ヒト患者)への薬物物質の用量の投与を含む。
【0052】
本明細書において使用される場合、用語「臨床パラメータ」は、臨床測定値のパラメータを指す。臨床パラメータは、DEBに伴う合併症及び/又は症状に関連し得、例えば、皮膚創のサイズ及び数、慢性開放創の継続期間、創傷及び水膨れの治癒速度などである。臨床パラメータは、目視若しくは身体検査、生検、及び/又は生化学的アッセイ、例えば、尿、血液、若しくは血漿のアッセイにより評価され得る。
【0053】
薬物物質及び組成物
活性物質:rhCol7
本開示は、対象における栄養障害型表皮水疱症(DEB)、特に、劣性DEB(RDEB)の皮膚及び全身症状を処置するための静脈内rhCol7補充療法に関する。DEBの臨床的病態を全身処置するための活性薬物物質は、組換えヒトコラーゲン7タンパク質(rhCol7)である。本明細書に記載のとおり、Col7二量体のアセンブリにより形成されるアンカリングフィブリルは、下層真皮への表皮の付着を容易にする。コラーゲンα1(VII型)鎖ポリペプチドをコードする遺伝子(COL7A1)中の病原性変異は、皮膚中のアンカリングフィブリルの異常、減少、又は完全な不存在をもたらし、DEBをもたらす。正常な機能アンカリングフィブリルのこの欠落は、DEB患者における皮膚及び粘膜における不十分な表皮真皮接着、顕著な皮膚脆弱性、及び重度水膨れ形成を含む皮膚及び非皮膚症状の原因になる。
【0054】
アンカリングフィブリル中のCol7の遺伝子欠陥又は不存在とDEBとの間の直接的な機序上の関連により、DEB患者を処置するためには天然Col7又は機能的等価物、例えば、組換えCol7(例えば、rhCol7)を導入することが適切となる。前非臨床データは、rhCol7の静脈内投与が真皮表皮BMZに分布し、それに選択的に保持され、正常なアンカリングフィブリルを形成し、緻密層/真皮上層の乳頭層界面における真皮表皮接着に安定性を提供することにより真皮表皮分離を好転させ、DEBのマウスモデルにおける生存期間の統計的に有意な改善をもたらすことを実証する。
【0055】
具体的には、RDEBは、有効な治療法を有さない深刻な全身性疾患である。開発中の現在の治療法は、DEBの顕著な胃腸管/尿生殖器(GI/GU)罹患率、角膜、及び経口症状、又は主な死因である扁平上皮癌(SCC)の発生に対処する可能性が低い。他の全身性疾患修正アプローチは開発中でない。組換えコラーゲン7は、「外来」タンパク質に対する免疫媒介応答に関連する全ての観察を含む、合理的に好ましい毒物学的プロファイルを実証している。したがって、rhCol7の静脈内送達は、機能的Col7を真皮表皮BMZに戻すことが合理的である。この復帰は、正常なアンカリングフィブリルのアセンブリを促進し、緻密層/真皮上層の乳頭層界面における真皮表皮接着に安定性を提供し、DEBを有する患者における水膨れ形成異常及び合併症を是正し得る。
【0056】
本開示によれば、薬物物質の活性成分は、VII型コラーゲンの組換えヒトα1鎖ホモ三量体である。一部の実施形態において、活性薬物物質は、全長ヒトコラーゲンVII配列をコードする発現プラスミドで形質移入された操作細胞中で産生されるCol7タンパク質の組換え形態である。
【0057】
一部の実施形態において、α1鎖(VII型コラーゲン)ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、α1鎖(VII型コラーゲン)ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態において、α1(VII型コラーゲン)鎖ポリペプチドは、配列番号1の配列と約75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。一部の実施形態において、α1鎖ポリペプチドは、配列番号2の核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされ得る。rhCol7コードポリヌクレオチド配列は、配列番号2の配列と約75%、80%、85%、86%、875、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であり得る。一部の実施形態において、rhCol7コードポリヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。コドン最適化は、コードヌクレオチド配列のグリシン含有率を増加させるように機能し得る。一部の実施形態において、rhCol7コードポリヌクレオチド配列は、1つ以上の修飾を含む。一部の実施形態において、1つ以上の修飾は、コードポリヌクレオチドの安定性を増加させる。
【0058】
一部の実施形態において、rhCol7物質は、複数の組換えCol7α1鎖ポリペプチド、及び/又はそれらの機能的バリアントを含む。
一部の実施形態において、rhCol7物質は、rhCol7を発現又は製造するように操作された哺乳類細胞系中で産生される。一部の実施形態において、rhCol7物質は、遺伝子改変された哺乳類細胞を使用して産生される。本明細書において使用される場合、用語「遺伝子改変された」は、遺伝子産物をコードするコード配列を含む核酸の導入後に特定の遺伝子産物を発現する細胞を指す。核酸の導入は、遺伝子ターゲティング及び相同組換えを含む当技術分野において公知の任意の方法により達成され得る。本明細書において使用される場合、用語は、内因性遺伝子又は細胞により通常発現されない遺伝子産物を発現又は過剰発現するように操作された細胞も含む。一部の実施形態において、rhCol7物質は、哺乳類細胞、例えば、CHO細胞中で産生される。CHO細胞は、α1鎖(VII型)をコードするポリヌクレオチドと、宿主細胞中のCol7α1鎖の発現を増加させ得るタンパク質、例えば、プロリダーゼ、プロリル4-ヒドロキシラーゼ、及び/又はヒートショックタンパク質47(HSP47)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドとを含むように改変され得る。rhCol7を製造するために使用される遺伝子操作された細胞系は、マスターセルバンク(Master Cell Bank)(MCB)と称され得る。1つの好ましい実施形態において、rhCol7産生細胞は、rhCol7並びにrhCol7構造を安定化させる翻訳後修飾のプロリンヒドロキシル化を促進するためのプロリルヒドロキシラーゼα及びβサブユニット(P4H)をコードするプラスミドで形質移入された形質移入チャイニーズハムスター卵巣CHO-K1宿主細胞系に由来し得る。一部の実施形態において、rhCol7物質は、内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第9,676,837号明細書に記載のとおり、rhCol7及びプロリダーゼを同時発現するマスターセルにより産生される。一部の実施形態において、rhCol7物質は、内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる国際公開第2020025129号に記載のとおり、rhCol7及び4-ヒドロキシラーゼを同時発現するマスターセルにより産生される。rhCol7物質は、細胞培養物中で産生され、一連のクロマトグラフィー及び濾過ステップを使用して精製され、次いで薬物製品に加工され得る。薬物物質及び薬物製品の各ロットは、品質及び安定性について査定され得る。
【0059】
rhCol7を発現するMCB細胞は、産生バイオリアクタ中で高細胞密度に達するようにバッチ及び/又は灌流培養を使用して増加するサイズの容器中で段階的に増殖され得る。産生バイオリアクタからの中間収集物は1日ごとに回収され、清澄化され得る。清澄化された収集物は濃縮され、冷凍され、後にrhCol7物質を生成するための精製のためにプールされ得る。清澄化され、濃縮された収集物プールは、複数のクロマトグラフィープロセスを使用して精製され得る。一部の例において、混合モード、カチオン交換、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーユニット操作を含む3つのクロマトグラフィーステップが使用され得る。例えば、組換え産物は、限定されるものではないが、限外濾過/透析(UF/DF)膜捕捉、カプトコア(CaptoCore)、SPセファロース(Sepharose)、及びプロポリプレングリコール(PPG)クロマトグラフィーステップを含む精製プロセスを介して精製され得る。精製プロセスは、1つ以上のウイルス低減プロセス、例えば、UV-C及び洗浄剤(トリトン(Triton)X-100)ウイルス不活化ステップ並びにウイルス濾過(例えば、アサヒプラノバ(Asahi Planova)35N)を含む3つのオルソゴナルウイルス低減ステップも含み得る。処理されたrhCol7物質は、好ましくは、ウイルスを有さない。精製産物は、製剤緩衝液中に濃縮及び濾過(例えば、透析)され得る。ポリソルベート20が最終薬物物質組成物を生成するために添加され得る。
【0060】
一部の実施形態において、薬物物質は、1つ以上の塩、界面活性剤、緩衝液、アミノ酸(例えば、非必須アミノ酸)、抗凍結剤、及び/又はキレート剤を含む。一部の実施形態において、薬物物質は、非必須アミノ酸を含み、その非必須アミノ酸は、好ましくは、アルギニンである。一部の実施形態において、薬物物質は、リン酸塩緩衝液を含み、そのリン酸塩緩衝液は、好ましくは、リン酸ナトリウムである。一部の実施形態において、薬物物質は、キレート剤を含み、そのキレート剤は、好ましくは、クエン酸ナトリウムである。一部の実施形態において、薬物物質は、抗凍結剤を含み、その抗凍結剤は、好ましくは、糖、例えば、スクロースである。一部の実施形態において、薬物物質は、塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態において、薬物物質は、界面活性剤、緩衝液、非必須アミノ酸、抗凍結剤、及びキレート剤を含む。一部の実施形態において、薬物物質は、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アルギニン(例えば、L-アルギニン)、スクロース、塩化ナトリウム、及びポリソルベート20を含む。一部の実施形態において、薬物物質は、1.2mg/mLの組換えrCol7を10mMのリン酸ナトリウム、5mMのクエン酸ナトリウム、100mMのL-アルギニン、1.7%のスクロース(w/v)、70mMの塩化ナトリウム、及び0.05%(v/v)のポリソルベート20、pH7.2中で含む。一部の実施形態において、バルク薬物物質は、0.2マイクロメートル(μm)濾過され、無菌容器中に充填され、薬物生産のために≦-60℃で貯蔵される。
【0061】
rhCol7物質は、好ましくは、細菌及び真菌の外来性感染性因子を有さない。rhCol7物質の構造的及び機能的特徴は、査定され、天然Col7タンパク質と比較され得る。
【0062】
一部の実施形態において、rhCol7物質は、静脈内経路を介して送達されるべき全身タンパク質療法である。
製剤及び薬物製品
本開示の薬物製品は、少なくとも1つの活性成分、組換えヒトCol7(rhCol7)を含有する。rhCol7物質は、本明細書において考察されるMCB細胞を使用して産生され得る。rhCol7物質は、薬物製品中で1ミリリットル当たり約0.01ミリグラム(mg/mL)~100mg/mL、約0.1mg/mL~100mg/mL、約0.5mg/mL~100mg/mL、約1mg/mL~100mg/mL、約10mg/mL~100mg/mL、約0.01mg/mL~50mg/mL、約0.1mg/mL~50mg/mL、約0.5mg/mL~50mg/mL、約1mg/mL~50mg/mL、約0.01mg/mL~20mg/mL、約0.1mg/mL~20mg/mL、約0.5mg/mL~20mg/mL、約1mg/mL~20mg/mL、約10mg/mL~50mg/mL、約0.01mg/mL~20mg/mL、約0.1mg/mL~20mg/mL、約0.5mg/mL~20mg/mL、約1mg/mL~20mg/mL、約0.01mg/mL~10mg/mL、約0.1mg/mL~10mg/mL、約0.5mg/mL~10mg/mL、又は約1.0mg/mL~10mg/mLの標的タンパク質濃度で含まれ得る。一部の例において、rhCol7物質は、薬物製品中で約0.1mg/mL、約0.2mg/mL、約0.3mg/mL、約0.4mg/mL、0.5mg/mL、約0.6mg/mL、約0.7mg/mL、約0.8mg/mL、約0.9mg/mL、約1.0mg/mL、約1.1mg/mL、約1.2mg/mL、約1.3mg/mL、約1.4mg/mL、約1.5mg/mL、約1.6mg/mL、約1.7mg/mL、約1.8mg/mL、約1.9mg/mL、約2.0mg/mL、約2.1mg/mL、約2.2mg/mL、約2.3mg/mL、約2.4mg/mL、約2.5mg/mL、約2.6mg/mL、約2.7mg/mL、約2.8mg/mL、約2.9mg/mL、約3.0mg/mL、約3.5mg/mL、約4.0mg/mL、約4.5mg/mL、約5.0mg/mL、約5.5mg/mL、約6.0mg/mL、約6.5mg/mL、約7.0mg/mL、約7.5mg/mL、約8.0mg/mL、約8.5mg/mL、約9.0mg/mL、約9.5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、又は約20mg/mLの標的タンパク質濃度で含まれる。一部の実施形態において、薬物製品は、組換えヒトコラーゲンVII(rhCol7)を1.2mg/mLの標的濃度で含有する。
【0063】
一部の実施形態において、rhCol7薬物製品は、非経口生物医薬製剤中で一般に使用されるものを含む、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む。一部の例において、本rhCol7薬物製品中で添加される賦形剤としては、限定されるものではないが、二塩基性リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、L-アルギニンHCl、スクロース、及びポリソルベート20が挙げられる。
【0064】
緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、又は他の好適な緩衝液から選択され得る。緩衝液は、標的pH範囲、賦形剤、及び界面活性剤に好適である。一部の例において、rhCol7薬物製品は、約pH6.8~約pH7.5の範囲のpHを有し得る。例えば、rhCol7薬物製品のpHは、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、又は約7.5であり得る。
【0065】
本明細書に提供されるrhCol7薬物製品は、より高いタンパク質濃度で有意に改善された溶解度及び低減した粘度を有し得る。一部の実施形態において、産物の薬物物質の安定性を増加させるために薬剤が添加され、それとしては、限定されるものではないが、L-アルギニン(例えば、100ミリモル濃度(mM)のL-アルギニン)、及びスクロースが挙げられる。
【0066】
一部の実施形態において、rhCol7製剤は、約5~200mM、約10~150mM、約20~150mM、約50~150mM 約50~100mM、約75~100mM、又は約100mMのL-アルギニンを含む。
【0067】
一部の実施形態において、rhCol7製剤は、約10~100mM、約75~100mM、約50~100mM、約15~75mM、約35~75mM、約50~75mM、又は約50mMのスクロースを含む。
【0068】
一部の実施形態において、界面活性剤がrhCol7薬物製品中で含まれる。一部の実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20である。一部の実施形態において、ポリソルベート20は、およそ0.01%~0.2%、例えば、約0.01%~0.15%、約0.01%~0.1%、約0.01%~0.08%、又は約0.01%~0.06%の範囲の濃度で存在する。一部の実施形態において、薬物製品は、0.05%のポリソルベート20を含む。
【0069】
本薬物製品は、冷凍条件、例えば、-20℃又は≦-60℃のいずれかでの貯蔵を支持するための許容可能な冷凍/解凍(F/T)性能及び改善された安定性プロファイルを可能とする製剤条件を提供するように製剤化される。
【0070】
一部の実施形態において、本rhCol7薬物製品は、レディトゥフィルである。したがって、全ての薬物製品の賦形剤は、薬物物質(すなわち、rhCol7産生)の製造段階、例えば、MCB細胞培養及び培養培地収集並びに精製プロセスにおいて取り込まれており、rhCol7薬物製品の製造プロセスの間に添加される追加の賦形剤は存在しない。
【0071】
一部の実施形態において、本開示のrhCol7薬物製品は、無菌である。一部の実施形態において、本開示のrhCol7薬物製品は、保存剤を有さない。
一部の実施形態において、rhCol7薬物製品は、無菌処理技術を使用して製造される。薬物製品は、無菌脱パイロジェンガラスバイアル中に滅菌濾過され、ISO5/クラス100/グレードA区域で栓をされ、密封され得る。製造プロセス全体を通して無菌性を確保するためにインプロセス検査が実施され得る。インプロセス検査としては、使用前及び/若しくは後の生物負荷低減(0.2マイクロメートル(μm)濾過)の完全性検査、滅菌濾過前の生物負荷検査、並びに/又はエンドトキシン検査が挙げられ得る。微粒子を含む環境モニタリング及び微生物モニタリングも、薬物製品製造プロセス全体にわたり実施され得る。
【0072】
一部の実施形態において、rhCol7薬物製品は、MCB細胞培養物からのrhCol7物質から直接調製/製造される。一部の実施形態において、冷凍rhCol7物質(例えば、MCB培養物から収集された培養培地)は、貯蔵所から取り出され、解凍され(例えば、温度制御水浴中で)、プールされ、混合され、続いて0.5/0.2μmの膜フィルターユニットを介する生物負荷低減濾過に供される。プールされたバルク薬物製品の滅菌濾過は、2つの連続0.5/0.2μmの無菌フィルターユニットを使用して実施され得る。薬物製品は、無菌バイアル(例えば、栓及びフリップキャップを有する10Rガラスバイアル)中に無菌的に充填され得、次いでそのバイアルは栓をされ、圧着される。充填バイアルは、100%目視検査され得、欠陥バイアルは拒絶される。全ての許容可能なバイアルは室温で標識及び包装され、次いで-60℃で貯蔵される。
【0073】
一部の実施形態において、組換えヒトCol7(rhCol7)物質を含む薬物製剤は、透明からわずかに乳白色の無色溶液の形態である。非限定的な例として、rhCol7薬物製品は、PTR-01であり、それにおいてrhCol7物質は10mMのリン酸ナトリウム、5mMのクエン酸ナトリウム、100mMのL-アルギニン、1.7%のスクロース(w/v)、70mMの塩化ナトリウム、及び0.05%の(v/v)のポリソルベート20、pH7.2中の1.2mg/mLの組換えCol7の標的濃度で製剤化される。rhCol7薬物製品の追加の例は、参照により全体として本明細書に組み込まれる国際公開第2017112757号に記載される。
【0074】
一部の実施形態において、rhCol7物質は、全身投与のために製剤化される。一部の実施形態において、rhCol7物質は、静脈内投与、例えば、静脈内注入のために製剤化される。一部の実施形態において、rhCol7薬物製品は、注射水溶液である。
【0075】
一部の実施形態において、rhCol7組成物は、10mLの透明ホウケイ酸塩ガラスバイアル(10R、I型ガラス)中の無菌の保存剤不含の冷凍液として供給される。各バイアルは、20ミリメートル(mm)の灰色ブチルゴム栓及び20mmのアルミニウムフリップキャップを有し得る。各バイアルには、各バイアルからの少なくとも5.0mL(すなわち、6.0mg用量の標的重量)の採取容量を確保するために5.5ミリリットル(mL)の標的容量が充填され得る。各バイアルは、単回使用のためのものであり得る。
【0076】
一部の実施形態において、rhCol7薬物製品は、≦-60℃で貯蔵され、≦-60℃で少なくとも24か月間、又は≦-60℃で少なくとも32か月間、又は≦-60℃で少なくとも36か月間、≦-60℃で少なくとも42か月間、又は≦-60℃で少なくとも48か月間安定である。他の実施形態において、rhCol7薬物製品は、-20±5℃で貯蔵され、-20±5℃で少なくとも12か月間、又は-20±5℃で少なくとも18か月間、又は-20±5℃で少なくとも24か月間、又は-20±5℃で少なくとも30か月間、又は-20±5℃で少なくとも36か月間で安定であり得る。他の実施形態において、rhCol7薬物製品は、5±3℃で貯蔵され得、最長1か月間安定である。
【0077】
本薬物製品は、静脈内注射又は注入前に投薬溶液として臨床的に調製され得る。臨床的使用の間、投薬溶液は、無菌生理食塩水(0.9%の塩化ナトリウム)中で固定容量で調製され得、最終投薬溶液容量は、約10~1000mL、約20~1000mL、約40~1000mL、約50~1000mL、約100~1000mL、約200~1000mL、約300~1000mL、約400~1000mL、約500~1000mL、約10~500mL、約20~500mL、約40~500mL、約50~500mL、約100~500mL、約200~500mL、約300~500mL、約400~500mL、約10~300mL、約20~300mL、約40~300mL、約50~300mL、約100~300mL、又は約200~300mL、例えば、約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、350mL、400mL、450mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mL、又は1000mLである。投薬溶液は、臨床又は病院施設薬局における用量製剤を用いて静脈内投与され得る。一部の例において、投薬溶液は、IVバッグ中で、例えば、PVC IVバッグとして調製され得る。投薬溶液は、周囲室温温度での貯蔵で最長24時間安定であり得る。
【0078】
疾患及び用途
本開示のrCol7物質、薬物製品、及び組成物並びに方法は、対象における皮膚の創傷、障害、又は疾患、具体的には、Col7の欠損により引き起こされる皮膚障害、例えば、2つの主な亜型:劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)及び優性栄養障害型表皮水疱症(DDEB)を含む栄養障害型表皮水疱症(DEB)の予防的、緩和的、又は治療的支援を提供し得る。他の皮膚障害としては、限定されるものではないが、皮膚癌、乾癬、扁平苔癬、ループス、酒さ、湿疹、皮膚カンジダ症、蜂巣炎、膿痂疹、褥瘡性潰瘍、丹毒、尋常性魚鱗癬、皮膚筋炎、肢端皮膚病、鬱滞性皮膚炎、熱傷、及びネザートン症候群が挙げられ得る。
【0079】
一部の実施形態において、劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)としては、全てのサブタイプ、例えば、重症汎発型RDEB(旧称アロポー・ジーメンス(Hallopeau-Siemens)亜型として公知)、その他の汎発型RDEB、反対型RDEB、脛骨前型RDEB、痒疹型RDEB、求心型RDE、及び新生児期に一過性水疱を生じるRDEBが挙げられる(ソロ・L.(Soro L.)ら著、ジャーナル・オブ・アネステル・デルマトロジー(J.Anesthel Dermatol.)、2015年、第8巻(5)、p.41~46)。他の実施形態において、優性栄養障害型表皮水疱症(DDEB)としては、全てのサブタイプ、例えば、汎発型DDEB、末端型DDEB、脛骨前型DDEB、痒疹型DDEB、爪甲限局型DDEB、及び新生児期に一過性水疱を生じるDDEBが挙げられる(ファイン(Fine)ら著、ジャーナル・オブ・アメリカン・アカデミー・オブ・デルマトロジー(J.Am.Acad.Dermatol.)、2008年、p.58931~950)。
【0080】
本明細書に提供されるrhCol7物質、薬物製品、及び組成物は、患者における皮膚及び全身症状を含む、DEB、特にRDEBの1つ以上の合併症及び症状の緩和、予防、又はその進行の予防を含む治療的支援を提供し得る。
【0081】
本開示によれば、RDEBを有する対象をrhCol7物質の有効量の全身投与により治療的に処置するための本明細書に提供されるrhCol7物質、薬物製品、及び組成物の使用は、コラーゲンα1(VII型)鎖ポリペプチドのレベル、特に、皮膚のBMZに存在するCol7のレベルを向上させ、増加させ、増強させ、及び/又は補給し得る。
【0082】
一部の実施形態において、処置されるべき患者は、RDEBと診断される。患者は、COL7A1遺伝子中の変異についての遺伝子診断によりRDEBと診断され得る。
一部の実施形態において、対象は、成人である。例えば、対象は、少なくとも18歳齢であり得る。一部の実施形態において、対象は、高齢対象である。例えば、対象は、少なくとも55歳齢、少なくとも60歳齢、少なくとも65歳齢、少なくとも70歳齢、少なくとも75歳齢、又は少なくとも80歳齢であり得る。一部の実施形態において、対象は、18歳齢未満の小児対象である。一部の実施形態において、対象は、約24か月齢未満、例えば、約20、18、16、14、12、10、8、6、5、4、3、2、又は1か月齢未満である。一部の実施形態において、対象は、少なくとも約24か月(例えば、2歳)齢、例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18歳齢である。一部の実施形態において、対象は、約2~5歳齢、約2~6歳齢、約2~8歳齢、約2~10歳齢、約2~12歳齢、約6~10歳齢、約6~12歳齢、約6~18歳齢、約8~12歳齢、約8~18歳齢、約12~18歳齢、約2~13歳齢、約6~13歳齢、約13~18歳齢、又はその任意の範囲である。一部の実施形態において、対象は、少なくとも18歳齢である。一部の実施形態において、対象は、乳児又はネオネート(例えば、新生児)である。一部の実施形態において、対象は、約24か月齢未満、例えば、約20、18、16、14、12、10、8、6、5、4、3、2、又は1か月齢未満である。一部の実施形態において、対象は、約1歳齢未満である。一部の実施形態において、小児対象は、RDEBと診断される。一部の実施形態において、新生児対象は、RDEBと診断される。
【0083】
一部の実施形態において、処置されるべき対象は、慢性創、例えば、慢性開放創及び再発創を有する。一部の実施形態において、対象は、慢性開放創を有する。一部の実施形態において、対象は、水膨れを有する。他の実施形態において、対象は、再発創を有する。一部の実施形態において、対象は、皮膚の形成不全又は低形成を有する。一部の実施形態において、対象は、手指又は足指の偽合指症又は屈指症、及び手指又は足指の合指症を有する。一部の実施形態において、対象は、口唇炎を有する。一部の実施形態において、対象は、嚥下障害、溝状舌若しくは亀裂舌、食道狭窄、及び/又は咽頭狭窄を有する。一部の実施形態において、対象は、慢性若しくは再発創、水膨れ、皮膚の形成不全、皮膚の低形成、手指若しくは足指の偽合指症若しくは屈指症、手指若しくは足指の合指症、口唇炎、嚥下障害、溝状舌若しくは亀裂舌、食道狭窄、咽頭狭窄、又はそれらの組み合わせを有する。
【0084】
一部の実施形態において、対象は、COL7A1遺伝子の変異を有すると疑われる。一部の実施形態において、対象は、COL7A1変異を確定するための遺伝子検査を受けたことがある。
【0085】
表皮水疱症を処置する方法
本開示は、Col7物質(例えば、rhCol7物質)を使用して皮膚障害、例えば、栄養障害型表皮水疱症(DEB、例えば、RDEB)、又はその症状若しくは合併症を処置する方法を提供する。本明細書に提供される方法による対象の処置は、目視検査、身体診察、検査機関による検査、対象による自己申告、又は任意の他の有用な尺度により測定される対象の病態の改善などの変化をもたらし得る。本明細書に提供される方法による対象の処置は、皮膚障害、例えば、DEB(例えば、RDEB)の1つ以上の症状又は合併症の軽減、緩和、低減、改善、その発症の遅延、その進行の遅延、除去及び/又は治癒をもたらし得る。本開示はまた、皮膚障害、例えば、DEBの1つ以上の症状又は合併症を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、その発症を遅延させ、その進行を遅延させ、除去し、及び/又は治癒する方法を提供する。DEB(例えば、RDEB)の症状及び合併症としては、例えば、皮膚及び全身症状が挙げられ得る。DEBの症状又は合併症としては、例えば、水膨れ形成を含む皮膚創、掻痒、疼痛、皮膚びらん、瘢痕形成、皮膚脆弱性、壊疽、皮膚の形成不全若しくは低形成、皮膚の低色素堆積、稗粒腫、皮膚感染症、口唇炎(例えば、口唇の炎症)、異栄養性の手爪又は足爪、歯牙エナメル質異常、手指若しくは足指の偽合指症若しくは屈指症、手指若しくは足指の合指症、足指の屈曲拘縮、虫歯、ピスファギア(pysphagia)(例えば、不十分な嚥下)、溝状舌若しくは亀裂舌、食道狭窄、咽頭狭窄、成長障害、拡張型心筋症、肺間質形態異常、急性便秘、聴覚若しくは視覚障害、湿疹、糸球体症、免疫学的過敏症、鼻涙管閉塞、貧血、慢性耳感染症、角膜びらん、角膜剥離及び瘢痕形成、口腔びらん、小口症、骨減少症、眼瞼外反、免疫学的過敏症、ネフローゼ症候群、包茎、腎不全、尿閉、尿管狭窄、卒中、又は扁平上皮癌が挙げられ得る。
【0086】
一部の実施形態において、対象におけるDEB(例えば、RDEB)、又はその症状若しくは合併症を処置する方法は、対象にCol7物質(例えば、rhCol7物質)に投与することを含む。一部の実施形態において、対象は、DEB(例えば、RDEB)と診断されており、又は重度皮膚障害、例えば、DEBが発生するリスクがある。
【0087】
一部の実施形態において、対象におけるDEB(例えば、RDEB)、又はその症状若しくは合併症を処置する方法は、対象にrhCol7薬物製品の治療有効量を全身(例えば、静脈内)投与により投与することを含む。一部の実施形態において、rhCol7薬物製品は、注射水溶液中で製剤化される活性薬物物質としての組換えヒトCol7α1鎖(VII型)を含む。一部の実施形態において、rhCol7薬物製品は、PTR-01である。
【0088】
一部の実施形態において、rhCol7タンパク質療法を受ける前、DEBを有する対象は、プレスクリーニングされ、本rhCol7タンパク質療法での処置に好適と同定される。プレスクリーニング方法は、COL7A1遺伝子中の遺伝子変異を分析すること、及び/又は真皮表皮接合部におけるCol7欠損を免疫蛍光(IF)染色により測定することを含み得る。対象は、Col7に特異的な抗体、例えば、Col7中和抗体の存在についてさらに査定され得る。
【0089】
一部の実施形態において、方法は、(例えば、rhCol7タンパク質療法の初回投与前に)処置されるべき対象におけるCOL7A1遺伝子中の遺伝子変異を分析することをさらに含む。一部の実施形態において、方法は、対象がCOL7A1遺伝子中の変異を担持し、劣性遺伝パターン(すなわち、RDEB)と一致することに基づき、このような処置のための対象を選択することを含む。一態様において、本開示は、RDEBを有する対象を処置する方法であって、i)劣性遺伝パターンと一致するCOL7A1変異を有する対象を同定すること;及びii)rhCol7薬物製品の医薬有効量を対象に静脈内投与することを含む方法を提供する。
【0090】
1つ以上のパラメータ(例えば、RDEBに伴う合併症及び臨床的症状)は、rhCol7タンパク質療法の投与後に評価され得る。一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、規定の投薬期間、例えば、初回投薬間隔の終了時に測定される。一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、規定の処置継続期間で、例えば、1か月、3か月、6か月、1年、2年後以降に測定される。一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、rhCol7タンパク質療法の開始前の1つ以上のパラメータの評価と比較される。1つ以上のパラメータの評価は、投薬レジメンの1つ以上のアスペクト、例えば、投与量、投薬頻度、又は継続期間を決定するために使用され得る。一部の実施形態において、方法は、処置されている対象の創傷及び水膨れの連続写真定量評価を実施又はレビューすることをさらに含む。このような評価は、例えば、創傷表面積(WSA)、創傷治癒パーセント、及び/又は再水膨れ形成までの時間を査定し得、RDEB患者における創傷の慢性及び動的性質を考慮するとRDEBを有する対象に有益であり得る(ソリス・D.(Solis D.)ら著、ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・デルマトロジー(J Invest Dermatol)、2018年、第138巻、補遺、p.97、doi.org/10.1016/j.jid.2018.03.580)。
【0091】
一部の実施形態において、rhCol7処置は、RDEBを有する対象における創傷治癒(例えば、創傷治癒の頻度及び/又は完全性若しくは持続性)を増加させる。一部の実施形態において、対象がrhCol7の服用下で、対象の創傷はそれが別に治癒し、又は処置の開始前に既に治癒した場合よりも早く治癒する。一部の実施形態において、対象がrhCol7の服用下で、対象の創傷はそれが別に治癒し、又は処置の開始前に既に治癒した場合よりも完全に及び/又はそれよりも持続的に治癒する。創傷は、慢性開放創、及び/又は再発創であり得る。一部の実施形態において、創傷治癒は持続される。一部の実施形態において、可視創傷又は病変の大多数は改善される。一部の実施形態において、創傷病変の改善は、7点の変化の全般的印象測定法(表1)に従う少なくとも2レベルである。一部の実施形態において、創傷又は病変の改善は、医師及び/又は介護者による目視検査を介して評価される。一部の実施形態において、創傷又は病変の改善は、患者面談又は自己査定を介して評価される。
【0092】
一部の実施形態において、rhCol7処置は、皮膚のDEJ中へのrCol7の堆積を増加させる。DEJへのコラーゲン7タンパク質の堆積は、アンカリングフィブリルの形成を誘導し得る。したがって、本開示は、皮膚中のアンカリングフィブリルの形成を誘導する方法であって、rhCol7を対象に(例えば、本明細書に記載のとおり)投与することを含む方法をさらに提供する。
【0093】
一部の実施形態において、rCol7処置は、標的病変の創傷表面積及び/又は全身創傷表面積を含む、対象における創傷表面積を低減させ得る。創傷表面積は、創傷域をイメージングすることにより測定され得る。一部の実施形態において、皮膚創は、rCol7療法後にサイズが低減する。皮膚創のサイズは、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上だけ低減され得る。一部の実施形態において、皮膚創は、rCol7療法に応答して完全に治癒又は閉鎖する(例えば、サイズが約100%だけ低減される)。一部の実施形態において、皮膚創及び病変の数及び存在量は、rCol7療法後に対象において低減される。
【0094】
一部の実施形態において、rCol7処置は、例えば、吸引水膨れ時間(suction blister time)及び/若しくは局在の減少並びに/又は再水膨れ形成までの時間の増加により評価される皮膚の完全性を改善する。
【0095】
一部の実施形態において、rCol7処置は、修正PROMISサブスケール及びiscorEBにより査定され得る、皮膚創に伴う疼痛、例えば、疼痛の重症度及び/又はクオリティーオブライフに対する疼痛の影響を低減させる。
【0096】
一部の実施形態において、rCol7処置は、修正PROMISサブスケール及びiscorEBにより査定され得る、皮膚創に伴う掻痒又は刺激、例えば、掻痒若しくは刺激の重症度及び/又はクオリティーオブライフに対する掻痒若しくは刺激の影響を低減させる。
【0097】
一部の実施形態において、rCol7処置は、嚥下障害(例えば、簡易食道嚥下障害スケール(Brief Esophageal Dysphagia Scale)及び/又は経口栄養摂取量により測定される)、角膜症状(例えば、眼症状スケール(Eye Symptoms Scale)により測定される)、栄養状態(例えば、バイオマーカーHgb/Hct、総タンパク質/アルブミン、及び/又はFe/TIBCにより測定される)、炎症(例えば、炎症についてのマーカー及び/又はCRPにより測定される)、線維症(例えば、線維症バイオマーカーにより測定される)、DEB関連活性を含むRDEBの全身特徴、並びに/又は精神衛生及び社会的機能を低減又は安定化させる。
【0098】
一部の実施形態において、rCol7処置は、RDEBを有する対象の全体的なクオリティーオブライフ、全身健康状態、及び身体障害を改善する。一部の実施形態において、クオリティーオブライフ、健康状態、及び/又は身体障害の改善は、患者面談及び/又は自己査定により測定される。一部の実施形態において、クオリティーオブライフ、健康状態、及び/又は身体障害の改善は、介護者面談及び/又は査定により測定される。
【0099】
一部の実施形態において、rCoL7処置は、RDEBに伴う疼痛を減少させ、水膨れ及び/若しくは創傷形成を減少させ、皮膚水膨れ及び/若しくは皮膚創の治癒速度を増加させ、創傷閉鎖の速度を増加させ、創傷治癒の割合を増加させ、再水膨れ形成及び/若しくは再創傷形成までの時間を減少させ、皮膚の完全性を増加させ(すなわち、機械的又は環境ストレスに起因する裂傷又は水膨れの見込みの減少)、慢性水膨れ及び/若しくは創傷の数を減少させ、総創傷面積を含む創傷表面積を減少させ、RDEB症状を制御するために要求される併用医薬の数を減少させ、感染する水膨れ及び/若しくは創傷の数を減少させ、掻痒を減少させ、RDEBに伴う炎症を減少させ、並びに/又は感染発生率を減少させる。一部の実施形態において、rCol7処置は、典型的には、RDEBを有する対象における、より大きい再発創サイズ及びより長い開放創閉鎖までの時間に伴う貧血のリスクを低減させる。
【0100】
投与
例えば、皮膚障害、例えば、DEB(例えば、RDEB又はDDEB)を処置する、並びに皮膚障害、例えば、DEBの症状又は合併症を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、その発症を遅延させ、その進行を遅延させ、除去し、及び/又は治癒する、本明細書に提供される方法は、Col7薬物物質(例えば、rhCol7物質)の全身投与を含み得る。全身投与は、対象における全身の皮膚、及び全身性皮膚障害、例えば、DEB(例えば、RDEB又はDDEB)により影響され得る身体の他の区域へのrhCol7タンパク質の送達に好適である。
【0101】
一部の実施形態において、Col7物質(例えば、rhCol7物質)の全身投与は、静脈内注射又は注入を含む。非限定的な例として、rhCol7組成物は、静脈内投与経路を介して緩徐注入により投与され得る。
【0102】
一部の実施形態において、rhCol7薬物製品は、ボーラス注射、スロープッシュ注射、又は静脈内注入により投与される。一部の実施形態において、投与は、一定期間にわたる、例えば、約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約90分間未満、約80分間未満、約70分間未満、約60分間未満、約50分間未満、約45分間未満、約30分間未満、約20分間未満、又は約10分間未満の静脈内注入による。例えば、静脈内注入は約1~10分間、約1~5分間、約3~10分間、約5~10分間、又は10~30分間は、継続し得る。一部の実施形態において、静脈内注入は、約30分間~4時間、例えば、約30~60分間、約30~90分間、約1~4時間、約1~3時間、又は約2~4時間継続する。
【0103】
一部の実施形態において、rhCol7タンパク質療法は、0.1mg/kg/分~5.0mg/kg/分、例えば、約0.1mg/kg/分、0.2mg/kg/分、0.3mg/kg/分、0.4mg/kg/分、0.5mg/kg/分、0.6mg/kg/分、0.7mg/kg/分、0.8mg/kg/分、0.9mg/kg/分、1.0mg/kg/分、1.1mg/kg/分、1.2mg/kg/分、1.3mg/kg/分、1.4mg/kg/分、1.5mg/kg/分、1.6mg/kg/分、1.7mg/kg/分、1.8mg/kg/分、1.9mg/kg/分、2.0mg/kg/分、2.5mg/kg/分、3.0mg/kg/分、3.5mg/kg/分、4.0mg/kg/分、4.5mg/kg/分、又は5.0mg/kg/分の注入速度で投与される。
【0104】
投薬レジメン
一部の実施形態において、rhCol7薬物製品の2回以上の用量が対象に投与される。一部の実施形態において、投薬間隔(例えば、投薬レジメンの間の用量間の時間)は、約1日未満、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約1か月間、約2か月間、約3か月間、約6か月間、約1年間以上である。一部の実施形態において、対象は、rhCol7物質の規定数の用量を規定の期間で投与される。例えば、対象は、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の用量を規定の期間にわたり、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、1か月間、1年間、又は他の期間中に受け得る。
【0105】
一部の実施形態において、rhCol7処置は、少なくとも約1か月間、例えば、少なくとも約3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、1年間、2年間、3年間以上継続する。一部の実施形態において、rhCol7処置は、対象の生涯継続する。
【0106】
一部の実施形態において、投薬は、体重基準の投薬である。一部の実施形態において、rhCol7物質は、対象1キログラム当たり約0.01ミリグラム(mg/kg)~50mg/kgの薬物物質、例えば、約0.05mg/kg~50mg/kg、約0.1mg/kg~50mg/kg、約0.5mg/kg~50mg/kg、約1mg/kg~50mg/kg、約5mg/kg~50mg/kg、約0.01mg/kg~20mg/kg、約0.1mg/kg~20mg/kg、約0.5mg/kg~20mg/kg、約1mg/kg~20mg/kg、約0.01mg/kg~10mg/kg、約0.1mg/kg~10mg/kg、約0.5mg/kg~10mg/kg、約1mg/kg~10mg/kg、約3mg/kg~10mg/kg、約0.01mg/kg~5mg/kg、約0.1mg/kg~5mg/kg、約0.3mg/kg~5mg/kg、約0.5mg/kg~5mg/kg、約1.0mg/kg~5.0mg/kg、約3.0mg/kg~5.0mg/kg、約0.01mg/kg~3mg/kg、約0.1mg/kg~3mg/kg、約0.3mg/kg~3mg/kg、約0.5mg/kg~3mg/kg、約1mg/kg~3mg/kg、又はその任意の有用な範囲の用量で投与される。一部の実施形態において、rhCol7物質は、約0.3mg/kg~約5mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態において、rhCol7物質は、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3.0mg/kg、約3.1mg/kg、約3.2mg/kg、約3.3mg/kg、約3.4mg/kg、約3.5mg/kg、約3.6mg/kg、約3.7mg/kg、約3.8mg/kg、約3.9mg/kg、約4.0mg/kg、約4.5mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約7.0mg/kg、約8.0mg/kg、約9.0mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、又は約20mg/kgの用量で投与される。
【0107】
一部の実施形態において、rhCol7タンパク質処置は、冷凍又は凍結乾燥rhCol7物質を静脈内注射に好適な薬学的に許容可能な担体、例えば、無菌生理食塩水溶液で解凍及び希釈し、それにより薬物溶液を形成すること;及び事前選択された用量、例えば、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3.0mg/kg、約3.1mg/kg、約3.2mg/kg、約3.3mg/kg、約3.4mg/kg、約3.5mg/kg、約3.6mg/kg、約3.7mg/kg、約3.8mg/kg、約3.9mg/kg、約4.0mg/kg、約4.5mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約7.0mg/kg、約8.0mg/kg、約9.0mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、又は約20mg/kgの用量を提供するための薬物溶液の容量を採取することを含む。
【0108】
一部の実施形態において、好適な生理食塩水溶液は、塩化ナトリウムを含有する。一部の例において、塩化ナトリウムは、およそ0~2%(例えば、およそ0~1.5%又は0~1.0%)の範囲の濃度で存在する。一部の実施形態において、塩化ナトリウムは、およそ0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、又は2.0%の濃度で存在する。一部の実施形態において、生理食塩水溶液は、約2.0%超の濃度で存在する。一例において、rhCol7薬物製品は、0.9%の生理食塩水中で希釈され、投与のための薬物溶液を形成する。
【0109】
一部の実施形態において、単一の投薬間隔がCol7物質(例えば、rhCol7物質)での治療法の経過にわたり使用される。一部の実施形態において、複数の投薬間隔がCol7物質(例えば、rhCol7物質)での治療法の経過にわたり使用される。一部の実施形態において、投薬間隔は、固定される。一部の実施形態において、投薬間隔は、所与の対象について、例えば、薬物動態/毒物動態(PK/TK)データ又はその対象についての他の情報、例えば、年齢、体重、身長、ボディマスインデックス、疾患重症度、合併症、人種、民族性、出身国、遺伝子型、及び/又はCol7補充療法に対する以前の応答に基づき決定される個別化間隔である。個別化用量及び投薬間隔の組み合わせは、固定間隔レジメンについてのものと同じでも、異なっていてもよい。一部の実施形態において、対象は、最初に、最初の2回以上の用量についての固定投薬間隔を受け、次いで、初回投薬後のフォローアップ測定値に応じて個別化投薬間隔に切り替える。或いは、レジメンは、最初に個別化投薬間隔におけるものであり得、次いでそれは固定投薬間隔に切り替わり得る。
【0110】
一部の実施形態において、単回用量レベルがCol7物質(例えば、rhCol7物質)での治療法の経過にわたり使用される。一部の実施形態において、複数回用量レベルがCol7物質(例えば、rhCol7物質)での治療法の経過にわたり使用される。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンの第1の投薬間隔に対応する投薬は、第2の投薬レジメンの第2の投薬間隔に対応する投薬と異なる。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、対象に第1の用量レベル及び第1の投薬間隔で投薬することを含み、第2の投薬レジメンは、対象に第2の用量レベル及び第2の投薬間隔で投薬することを含み、第1の用量レベル及び第2の用量レベルは同じである。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、対象に第1の用量レベル及び第1の投薬間隔で投薬することを含み、第2の投薬レジメンは、対象に第2の用量レベル及び第2の投薬間隔で投薬することを含み、第1の用量レベル及び第2の用量レベルは異なる。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、第2の投薬レジメンに先行し、第1の用量レベルは、第2の用量レベルよりも低い。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、第2の投薬レジメンに先行し、第1の用量レベルは、第2の用量レベルよりも高い。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、第2の投薬レジメンに先行し、第1の投薬間隔は、第2の投薬間隔よりも短い。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、第2の投薬レジメンに先行し、第1の投薬間隔は、第2の投薬間隔よりも長い。
【0111】
一部の実施形態において、皮膚障害(例えば、DEB、例えば、RDEB若しくはDDEB)を処置する、又は皮膚障害、例えば、DEBの症状若しくは合併症を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、その発症を遅延させ、その進行を遅延させ、除去し、及び/若しくは治癒する方法は、Col7物質(例えば、rhCol7物質)を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って投与することを含み:i)第1の投薬レジメンは、物質の第1の治療有効量を第1の投薬間隔に従って投与することを含み;ii)第2の投薬レジメンは、物質の第2の治療有効量を第2の投薬間隔に従って投与することを含む。第1の投薬レジメンに従う投与は、第2の投薬レジメンに従う投与の前に行われ得る。第1の投薬レジメンは、「負荷期」と称され得、第2の投薬レジメンは、「維持期」と称され得る。一部の実施形態において、第1の治療有効量は、第2の治療有効量よりも多い。一部の実施形態において、第1の治療有効量は、第2の治療有効量未満である。一部の実施形態において、第1の治療有効量は、第2の治療有効量と同じである。一部の実施形態において、第1の投薬間隔は、第2の投薬間隔と同じである。一部の実施形態において、第1の投薬間隔は、第2の投薬間隔よりも長い(例えば、第1の投薬頻度は、第2の投薬頻度よりも低い)。一部の実施形態において、第1の投薬間隔は、第2の投薬間隔よりも短い(例えば、第1の投薬頻度は、第2の投薬頻度よりも高い)。一部の実施形態において、第1の投薬間隔は、固定投薬間隔であり、第2の投薬間隔は、個別化投薬間隔である。一部の実施形態において、第1の投薬間隔は、個別化投薬間隔であり、第2の投薬間隔は、固定投薬間隔である。一部の実施形態において、第1の投薬間隔及び第2の投薬間隔は、両方とも固定投薬間隔である。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、第1の投薬レジメンよりも長く継続する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、第2の投薬レジメンよりも長く継続する。
【0112】
一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、物質の少なくとも1回用量を対象に、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15回以上の用量を対象に投与することを含む。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、Col7物質を対象に少なくとも週1回、例えば、少なくとも週2、3、4、5、6、又は7回投与することを含む。一部の実施形態において、第1の投薬間隔は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間(例えば、1週間)、2週間、3週間、又は4週間である。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、Col7物質を対象に週1回投与することを含む。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、Col7物質を対象に週1回未満、例えば、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、又は4週間ごとに1回投与することを含む。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、1~12週間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12週間継続する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、Col7物質の約0.1~50mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3.0mg/kg、約3.1mg/kg、約3.2mg/kg、約3.3mg/kg、約3.4mg/kg、約3.5mg/kg、約3.6mg/kg、約3.7mg/kg、約3.8mg/kg、約3.9mg/kg、約4.0mg/kg、約4.1mg/kg、約4.2mg/kg、約4.3mg/kg、約4.4mg/kg、約4.5mg/kg、約4.6mg/kg、約4.7mg/kg、約4.8mg/kg、約4.9mg/kg、約5.0mg/kg、約5.2、約5.4mg/kg mg/kg、約5.6mg/kg、約5.8mg/kg、約6.0mg/kg、約6.2mg/kg、約6.4mg/kg、約6.6mg/kg、約6.8mg/kg、約7.0mg/kg、約7.5mg/kg、約8.0mg/kg、約8.5、約9.0mg/kg mg/kg、約9.5mg/kg、約10.0mg/kg、約11.0mg/kg、約12.0mg/kg、約13.0mg/kg、約14.0mg/kg、約15.0mg/kg、約20.0mg/kg、約25.0mg/kg、約30.0mg/kg、約35.0mg/kg、約40.0mg/kg、約45.0mg/kg、又は約50.0mg/kgの用量を投与することを含む。
【0113】
一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、物質の少なくとも1回用量を対象に、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、52、60、70、80、90、100回以上の用量を対象に投与することを含む。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも約1か月間、例えば、少なくとも約1、3、6、8、9、12、18、24、36か月間以上継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、その開始から対象の生涯の終了まで継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、Col7物質を対象に約1日ごと、約2日ごと、約3日ごと、約4日ごと、約5日ごと、約6日ごと、約1週間に1回、約2週間ごと、約3週間ごと、約1か月に1回、約2か月ごと、約3か月ごと、約6か月ごと、又はそれよりも低頻度で投与することを含む。一部の実施形態において、第2の投薬間隔は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間(例えば、1週間)、2週間、3週間、4週間、1か月間、2か月間、3か月間、6か月間以上である。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、Col7物質を対象に約2週間ごとに投与することを含む。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、Col7物質を対象に約4週間ごとに投与することを含む。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、Col7物質の約0.1~50mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3.0mg/kg、約3.1mg/kg、約3.2mg/kg、約3.3mg/kg、約3.4mg/kg、約3.5mg/kg、約3.6mg/kg、約3.7mg/kg、約3.8mg/kg、約3.9mg/kg、約4.0mg/kg、約4.1mg/kg、約4.2mg/kg、約4.3mg/kg、約4.4mg/kg、約4.5mg/kg、約4.6mg/kg、約4.7mg/kg、約4.8mg/kg、約4.9mg/kg、約5.0mg/kg、約5.2mg/kg、約5.4mg/kg、約5.6mg/kg、約5.8mg/kg、約6.0mg/kg、約6.2mg/kg、約6.4mg/kg、約6.6mg/kg、約6.8mg/kg、約7.0mg/kg、約7.5mg/kg、約8.0mg/kg、約8.5mg/kg、約9.0mg/kg、約9.5mg/kg、約10.0mg/kg、約11.0mg/kg、約12.0mg/kg、約13.0mg/kg、約14.0mg/kg、約15.0mg/kg、約20.0mg/kg、約25.0mg/kg、約30.0mg/kg、約35.0mg/kg、約40.0mg/kg、約45.0mg/kg、又は約50.0mg/kgの用量を投与することを含む。
【0114】
一部の実施形態において、第2の投薬レジメンの第2の治療有効量及び/又は第2の投薬間隔は、少なくとも部分的に、第1の投薬レジメンの間又はその後の対象の評価に基づき決定される。一部の実施形態において、方法は、第2の投薬レジメン前に、対象を評価して、例えば、Col7物質の有効性及び/又はCol7物質に対する対象の応答を評価することをさらに含む。一部の実施形態において、方法は、第1の投薬レジメンの間、第2の投薬レジメンの間、並びに/又は第1及び第2の投薬レジメン間に1つ以上の臨床パラメータを評価することをさらに含む。
【0115】
本明細書に提供される方法は、第1の投薬レジメン(負荷期)及び第2の投薬レジメン(維持期)を含み得る。処置の開始時の負荷投薬期は、少なくとも部分的には、DEB(例えば、RDEB)を有する対象における内因性コラーゲン7の重度の欠損のため初期強化期間を含み得る。理論により拘束されるものではないが、強化負荷投薬レジメンは、rhCol7の十分量を皮膚に提供してフィブリル形成を増加させ得る。一部の実施形態において、負荷投薬レジメンは、rCol7組成物の1回用量の1日ごとに2回、1日ごと、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、又は2週間ごとの投与を含む。一部の実施形態において、負荷投薬レジメンは、2、3、4、5、6回以上の用量を含み、例えば、負荷投薬レジメンは、3回以上の用量、又は4回以上の用量、又は5回以上の用量を含み得る。一部の実施形態において、負荷投薬レジメンは、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、1か月間、2か月間、3か月間以上継続する。一部の実施形態において、負荷用量は、約3mg/kgのrhCol7である。
【0116】
維持投薬レジメンは、負荷投薬レジメンよりも低頻度の対象の投薬を含み得る。一部の実施形態において、維持投薬レジメンは、rCol7組成物の1回用量の1日ごと、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、1か月ごと、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、又は1年ごとの投与を含む。rCol7薬物製品は、同じ用量又は代替的には異なる用量で、負荷及び維持期に投与され得る。非限定的な例として、負荷投薬期における用量は、約3.0mg/kgであり、維持投薬期に投与される用量は、約3.0mg/kgである。維持期間は、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、1年間、1年半、2年間、5年間、10年間以上、例えば、患者の生涯継続し得る。
【0117】
一部の実施形態において、用量頻度、用量、及び継続期間を含む投薬レジメン(例えば、第1の投薬レジメン及び/又は第2の投薬レジメン)は、対象の反応、副作用、及び処置有効性に従ってパーソナライズされる。一部の実施形態において、用量頻度、用量、及び継続期間を含む投薬レジメン(例えば、第1の投薬レジメン及び/又は第2の投薬レジメン)は、固定される(例えば、対象の詳細に基づき個別化されない)。
【0118】
一部の実施形態において、処置レジメンは、RDEBを有する患者へのrCol7組成物の約3.0mg/kgの少なくとも1回の負荷用量の1日ごと、1日ごとに2回、1日ごとに3回、又は1週間ごと、及び約3.0mg/kgの少なくとも1回の維持用量の1週間ごとの投与を含む。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1日間である。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1週間である。
【0119】
一部の実施形態において、処置レジメンは、RDEBを有する患者へのrCol7組成物の約3.0mg/kgの少なくとも1回の負荷用量の1日ごと、1日ごとに2回、1日ごとに3回、又は1週間ごと、及び約3.0mg/kgの少なくとも1回の維持用量の隔週の投与を含む。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1日間である。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1週間である。
【0120】
一部の実施形態において、処置レジメンは、RDEBを有する患者へのrCol7組成物の約3.0mg/kgの少なくとも1回の負荷用量の1日ごと、1日ごとに2回、1日ごとに3回、又は1週間ごと及び約3.0mg/kgの少なくとも1回の維持用量の1か月ごとの投与を含む。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1日間である。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1週間である。
【0121】
一部の実施形態において、処置レジメンは、RDEBを有する患者へのrCol7組成物の約3.0mg/kgの少なくとも1回の負荷用量の1日ごと、1日ごとに2回、1日ごとに3回、又は1週間ごと及び約3.0mg/kgの少なくとも1回の維持用量の2か月ごとの投与を含む。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1日間である。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1週間である。
【0122】
一部の実施形態において、処置レジメンは、RDEBを有する患者へのrCol7組成物の約3.0mg/kgの少なくとも1回の負荷用量の1日ごと、1日ごとに2回、1日ごとに3回、又は1週間ごと及び約3.0mg/kgの少なくとも1回の維持用量の3か月ごとの投与を含む。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1日間である。一部の実施形態において、負荷期の投薬間隔は、約1週間である。
【0123】
一部の実施形態において、本開示の方法は、対象にCol7物質(例えば、rhCol7物質)を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って静脈内投与することを含み、第1の投薬レジメンは、(i)Col7物質の約0.1~5.0mg/kg、約0.3~5.0mg/kg、約0.5~5.0mg/kg、約1.0~5.0mg/kg、約0.1~3.0mg/kg、約0.3~3.0mg/kg、約0.5~3.0mg/kg、又は約1.0~3.0mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg、又は約5.0mg/kgの第1の負荷用量の、処置1日目の投与;(ii)Col7物質の約0.1~5.0mg/kg、約0.3~5.0mg/kg、約0.5~5.0mg/kg、約1.0~5.0mg/kg、0.1~3.0mg/kg、約0.3~3.0mg/kg、約0.5~3.0mg/kg、又は約1.0~3.0mg/kg,例えば、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg、又は約5.0mg/kgの第2の負荷用量の、第1の負荷用量の投与の約1週間後の投与;(iii)Col7物質の約0.1~5.0mg/kg、約0.3~5.0mg/kg、約0.5~5.0mg/kg、約1.0~5.0mg/kg、約0.1~3.0mg/kg、約0.3~3.0mg/kg、約0.5~3.0mg/kg、又は約1.0~3.0mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg、又は約5.0mg/kgの第3の負荷用量の、処置の3週目の投与;及び任意選択で(iv)Col7物質の約0.1~5.0mg/kg、約0.3~5.0mg/kg、約0.5~5.0mg/kg、約1.0~5.0mg/kg、約0.1~3.0mg/kg、約0.3~3.0mg/kg、約0.5~3.0mg/kg、又は約1.0~3.0mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg、又は約5.0mg/kgの第4の負荷用量の、処置の4週目の投与を含む。一部の実施形態において、第1の負荷用量、第2の負荷用量、第3の負荷用量、及び任意選択の第4の負荷用量の少なくとも1つは、他の3つと異なる。一部の実施形態において、第1の負荷用量、第2の負荷用量、第3の負荷用量、及び任意選択の第4の負荷用量は、同じである。一部の実施形態において、第1の負荷用量は、約3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の負荷用量は、約3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第3の負荷用量は、約3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第4の負荷用量は、約3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第1の負荷用量、第2の負荷用量、第3の負荷用量、及び任意選択の第4の負荷用量は、各3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の投薬レジメン(維持期)は、第1の投薬レジメン(負荷期)の完了後に実施される。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、第1の投薬レジメンの完了直後(例えば、第1の投薬レジメンの最終用量の投与及び対応する投薬間隔後)に実施される。一部の実施形態において、休薬日が第1の投薬レジメンと第2の投薬レジメンとの間で使用される。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、Col7物質の1日ごと、1日ごとに2回、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、1か月ごと、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、又は1年ごとの用量の投与を含む。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、約0.1~5.0mg/kg、約0.3~5.0mg/kg、約0.5~5.0mg/kg、約1.0~5.0mg/kg、約0.1~3.0mg/kg、約0.3~3.0mg/kg、約0.5~3.0mg/kg、又は約1.0~3.0mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg、又は約5.0mg/kgのCol7物質の投与を含む。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、約3.0mg/kgのCol7物質の投与を含む。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンの継続期間は、対象が維持用量を1年間超、又は5年間超、又は10年間超、又は対象の生涯受けるような継続期間である。
【0124】
一部の実施形態において、それが必要とされる対象(例えば、ヒト対象)における皮膚障害(例えば、DEB、例えば、RDEB若しくはDDEB)を処置する、又は皮膚障害、例えば、DEBの症状若しくは合併症を軽減し、緩和し、低減させ、改善し、その発症を遅延させ、その進行を遅延させ、除去し、及び/若しくは治癒する方法は、Col7物質(例えば、rhCol7物質)を第1の投薬レジメン及び第2の投薬レジメンに従って投与することを含み:i)第1の投薬レジメンは、物質の第1の治療有効量を第1の投薬間隔に従って投与することを含み;ii)第2の投薬レジメンは、物質の第2の治療有効量を第2の投薬間隔に従って投与することを含み:a)第1の投薬レジメンは、少なくとも1週間継続し、第1の頻度は、1週間ごとであり、第1の有効量は、約0.1~10mg/kgであり;b)第2の投薬レジメンは、少なくとも4週間継続し、第2の頻度は、2週間ごとであり、第2の有効量は、約0.1~10mg/kgである。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンに従う投与は、第2の投薬レジメンに従う投与前に実施される。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンに従う投与は、第2の投薬レジメンに従う投与直前に実施される(例えば、本明細書に記載のとおり)。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンと第2の投薬レジメンとの間にギャップは存在しない(例えば、第2の投薬レジメンは、第1の投薬レジメンの最終用量が投与され、対応する投薬間隔が経過した後に開始する)。一部の実施形態において、少なくとも1日間、例えば、少なくとも2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間以上のギャップが第1の投薬レジメンと第2の投薬レジメンとの間に存在する。一部の実施形態において、第1の投薬レジメンは、4週間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、少なくとも7週間継続する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンは、Col7物質を対象に対象の生涯にわたり投与することを含む。一部の実施形態において、第1の有効量及び第2の有効量は、同じである。一部の実施形態において、第1の有効量は、約0.1~5.0mg/kg、約0.3~5.0mg/kg、約0.5~5.0mg/kg、約1.0~5.0mg/kg、約0.1~3.0mg/kg、約0.3~3.0mg/kg、約0.5~3.0mg/kg、又は約1.0~3.0mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg、又は約5.0mg/kgである。一部の実施形態において、第1の有効量は、0.3mg/kg又は3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、約0.1~5.0mg/kg、約0.3~5.0mg/kg、約0.5~5.0mg/kg、約1.0~5.0mg/kg、約0.1~3.0mg/kg、約0.3~3.0mg/kg、約0.5~3.0mg/kg、又は約1.0~3.0mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg、又は約5.0mg/kgである。一部の実施形態において、第2の有効量は、0.3mg/kg又は3.0mg/kgである。一部の実施形態において、第1の有効量及び第2の有効量は、同じである。一部の実施形態において、第1の有効量及び第2の有効量は、両方とも3.0mg/kgである。一部の実施形態において、対象は、RDEBを有する。一部の実施形態において、第2の投薬レジメンの1つ以上のパラメータ(例えば、継続期間、第2の頻度、第2の有効量)は、少なくとも部分的に、第1の投薬レジメンの間又は完了後の対象の1つ以上の臨床パラメータの評価に基づき決定される。
【0125】
処置有効性の評価
本明細書に考察されるとおり、処置レジメンは、対象の応答に従う用量頻度、投与量、及び継続期間、副作用、並びに処置有効性に関してパーソナライズされ得る。一部の実施形態において、処置されている対象は、処置有効性について査定及び評価され(例えば、第1の投薬レジメンと第2の投薬レジメンとの間);このような評価は、処置スケジュールを個別化するために使用され得る。
【0126】
DEB患者は、活動性及び慢性の創傷により表され、例えば、内容が参照により全体として本明細書に組み込まれるファイン(Fine)ら(ジャーナル・オブ・アメリカン・アカデミー・オブ・デルマトロジー(J Am Acad Dermatol)、2008年、第58巻(6)、p.931~502)により記載される分類系により支持される体表面積(BSA)病変の割合に基づく皮膚病変ごとの異なる程度の疾患重症度(例えば、軽度、中等度、又は重度)を有し得る。患者のベースライン(処置前測定値)からの変化は、rhCol7タンパク質療法の間及び/又は後に評価され得る。一部の例において、1つ以上の標的創傷が処置有効性評価のために選択される。評価のために標的化される創傷は、約3~100cmのサイズであり得る。創傷は、医学的写真撮影を使用して得られる画像及び/又は医師による査定で査定され得る。各創傷は、個々に1回以上、例えば、Col7物質の初回用量後の各用量で評価され得る。創傷の評価は、ベースラインからの変化についての7点スケール(表1)を使用し得る。
【0127】
【表1】
【0128】
皮膚創はまた、全身及び創傷基準医学的イメージングを含む、定量的創傷表面積(WSA)についてのイメージング方法を使用して査定され得る。一部の実施形態において、WSAは、処置の主要パラメータとして測定され得る。本明細書において使用される場合、WSAは、創傷罹患体表面積(BSA)の割合と定義され、WSAの計算尺度を推定BSAにより割ったものである。WSAは、患者集団に対して、創傷境界、及び創傷の重症度の他のアスペクトにより定義される。創傷としては、急性創、例えば、水膨れ、びらん、及び痂皮びらん、並びに慢性創が挙げられ得る。WSA法は、内容が参照により全体として本明細書に組み込まれるワラス(Wallace)(ランセット(The Lancet)、1951年)による9つの身体領域の規則に基づき、並びに/又は乾癬面積及び重症度指標(Psoriasis Area and Severity Index)(PASI)(バース-ジョーンズ(Berth-Jones)ら、2006年;ラングレー(Langley)、2004年)に基づき得る。一部の例において、WSAは、ハンドヘルド3次元カメラでの創傷基準定量的医学的イメージングにより測定され得る。
【0129】
さらに、全般的評価(Global Assessment)(GA)が、創傷の平均全体重症度の臨床的評価の基礎として使用され得る(表2)。
【0130】
【表2】
【0131】
rCol7補充処置(例えば、本明細書に記載のもの)の経過の間、生検物(例えば、パンチ皮膚生検物)が間隔を空けて、例えば、第1の投薬レジメン(例えば、負荷投薬期)及び/又は第2の投薬レジメン(例えば、維持投薬期)間の用量間で、皮膚のDEJ中へのCol7タンパク質の堆積を直接測定するために得られ得る。測定は、抗Col7抗体を使用する免疫蛍光(DIF)染色で行われ得る。免疫電子顕微鏡法(IEM)も、組織中で機能的アンカリングフィブリルが形成するか否か、及びrhCol7タンパク質療法後に真皮表皮分離が好転されるか否かを評価するために実施され得る。
【0132】
一部の実施形態において、吸引水膨れ時間(SBT)が、表皮真皮皮膚接着を測定し、それにより処置有効性を評価するため、及び投薬レジメンを修正するために決定され得る。RDEB皮膚水膨れは正常皮膚よりも容易であるためである。
【0133】
一部の実施形態において、DEB患者集団に関連する他の合併症及び症状、例えば、胃腸関連臨床症状、及び他の非皮膚全身症状、嚥下障害(嚥下の困難)、眼のびらん、爪形成異常、脱毛症、及び手足のミトン状変形並びに皮膚癌が評価される(例えば、ファイン(Fine)ら著、ジャーナル・オブ・アメリカン・アカデミー・オブ・デルマトロジー(J Am Acad Dermatol.)、2014年、第70巻、p.1103~1126参照)。他の実施形態において、複数区域の皮膚病変を含む皮膚病態、例えば、乾癬又はアトピー性皮膚炎の全般的評価が実施される。
【0134】
一部の実施形態において、rCol7補充療法を受けている対象は、疾患重症度及び応答を特徴付けするために使用される測定法である、表皮水泡症疾患活動性及び瘢痕形成指標(Epidermolysis Bullosa Disease Activity and Scarring Index)(EBDASI)活動サブスケールを使用して日常活動全体について評価される。対象は処置前に評価され、DEBの皮膚及び全身症状を検討して患者のEBの全体的重症度(例えば、重症度の全般的印象(Global Impression of Severity)、GIS)についてのベースライン状態を付与され得る。GISは、例えば、軽度とも、中等度とも、重度とも評価され得ない。処置開始後、対象は各投薬後に評価され、DEBの皮膚及び全身症状を検討して全体的状態変化を付与され得る。状態変化は、変化の全般的印象(GIC)と称される。変化スコアは、表1に示されるとおり1から7までである。
【0135】
組み合わせ処置
一態様において、Col7物質(例えば、rhCol7物質)は、DEBのための他の1つ以上の他の処置、例えば、患者におけるDEB、例えば、RDEBに伴う皮膚創のための1つ以上の処置との組み合わせで使用され得る。
【0136】
本明細書に提供される全身rhCol7補充療法との組み合わせで使用され得る他の処置としては、限定されるものではないが、局所療法(例えば、それぞれの内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/313967号明細書に記載のCol7を含む局所クリーム剤又は米国特許出願公開第2018/369164号明細書に記載のコエンザイムQ10を含む局所療法);Col7の細胞ベース送達(例えば、内容が参照により全体として本明細書に組み込まれるPCT出願公開の国際公開第2017/120147号における皮膚ケラチノサイト媒介Col7送達);Col7のウイルスベクター媒介送達(例えば、内容が参照により全体として本明細書に組み込まれるPCT出願公開の国際公開第2017/176336号におけるCol7の単純ヘルペスウイルス(HSV)媒介送達);COL7A1未成熟終止コドン(PTC)変異のリードスルーを誘導するアミノグリコシド剤(例えば、アタナソバ(Atanasova)ら著、ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・デルマトロジー(J Invest Dermatol.)、2017年、第137巻(9)、p.1842~1849に記載の、例えば、ゲンタマイシン及びアンレキサノクス);RNA編集療法(例えば、ブレマー(Bremer)ら著、モレキュラー・セラピー・ヌクレイック・アシッズ(Mol Ther Nucleic Acids.)、2016年、第5巻、e379);並びに/又は包帯、ラップ、縫合、ステッチ、ブレース、パッチ、シーリングフィルム及びグルー(例えば最初に液体として施与される包帯)、ステープル、クリップなどを含む物理的介入が挙げられ得る。
【0137】
一部の実施形態において、全身rhCol7タンパク質療法は、抗感染剤(例えば、抗生物質)、酸化防止剤(例えば、ビタミンB3、ビタミンA、又はビタミンC)、成長因子(例えば、FGFP)、抗炎症剤、鎮痛剤、及び/又は別の皮膚治癒剤、例えば、抗生物質製剤、防腐剤、ヒドロゲル、親水コロイド、アルギン酸塩、ワセリン、アロエベラ、クレンジング剤、洗浄剤、保湿剤、又は物理的介入(例えば、本明細書に記載のもの)の組み合わせで使用される。
【0138】
均等物及び範囲
当業者は、単なる定型的実験を使用して、本明細書に記載の開示による具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は確認することができる。本開示の範囲は、上記の詳細な説明に限定されることが意図されるものではなく、添付の特許請求の範囲に記述されるとおりである。
【0139】
請求項において、冠詞、例えば、「a」、「an」、及び「the」は、矛盾が示されない限り、又は特に文脈から明らかでない限り、1つ又は2つ以上を意味し得る。群の1つ以上のメンバー間に「又は」を含む請求項又は詳細な説明は、矛盾が示されない限り、又は特に文脈から明らかでない限り、群メンバーの1つ、2つ以上、又は全てが所与の産物又はプロセスに存在し、用いられ、又はそうでなければ関連する場合、充足されるとみなされる。本開示は、群の厳密に1つのメンバーが所与の産物又はプロセスに存在し、用いられ、又はそうでなければ関連する実施形態を含む。本開示は、2つ以上の群メンバー、又は群メンバー全体が所与の産物又はプロセスに存在し、用いられ、又はそれでなければ関連する実施形態を含む。
【0140】
用語「含む」は、非限定的であることが意図され、追加の要素又はステップの包含を許容するが要求しないことにも留意されたい。したがって、用語「含む」が本明細書において使用される場合、用語「からなる」も包含及び開示される。
【0141】
範囲が挙げられる場合、端点が含まれる。さらに、特に示されない限り、又は特に文脈及び当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表現される値は、特に文脈が明示しない限り、本開示の異なる実施形態において記述される範囲内の、その範囲の下限の単位の10分の1までの任意の具体的な値又は下位範囲を想定し得ることが理解されるべきである。
【0142】
加えて、先行技術の範囲内に収まる本開示の任意の特定の実施形態は、請求項のいずれか1つ以上から明示的に除外され得ることが理解されるべきである。このような実施形態は、当業者に公知であるとみなされるため、除外が本明細書に明示的に記述されない場合であっても、それらは除外され得る。本開示の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の抗生物質、治療又は活性成分;任意の産生方法;任意の使用方法など)は、先行技術の存在に関連するか否かに関わらず、任意の理由で任意の1つ以上の請求項から除外され得る。
【0143】
使用されている文言は、限定ではなく説明の文言であること、並びに添付の請求項の範囲内の変更が、その広い態様における本開示の真の範囲及び趣旨から逸脱することなく行われ得ることが理解されるべきである。
【0144】
本開示は、いくつかの記載される実施形態に関してある程度の長さである程度特定して説明されている一方、任意のそのような特定又は実施形態又は任意の特定の実施形態に限定されるべきとは意図されないが、先行技術に照らしてそのような請求項の最も広い可能な解釈を提供するように、したがって本開示の意図される範囲を有効に包含するように、添付の請求項を参照して解釈されるべきである。
【実施例
【0145】
実施例1:インビトロ薬物動態試験
血小板凝集
血小板凝集活性及び溶血活性は、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)とのC7α鎖のN末端非コラーゲン様ドメイン1(NC-1)の相同性により引き起こされ得る(ライネヴェーバー・S(Leineweber S)ら著、欧州生化学会連合レターズ(FEBS Lett.)、2011年、第585巻(12)、p.1748~52)。
【0146】
この試験において、rhCol7物質は、1ミリリットル当たり最大200マイクログラムの濃度(μg/mL)でサル及びヒト血液サンプル中のインビトロ血小板凝集の潜在性について試験された。クエン酸化全血サンプルが6人のヒト対象及び6匹のカニクイザルから回収された。血小板リッチ血漿(PRP)サンプルが調製され、ヒトPRPにおいて1マイクロリットル当たり244×10~267×10個の細胞(細胞/μL)及びサルPRPにおいて210×10~255×10個の細胞/μLの血小板濃度に達するように標準化された。サンプルは、37℃で2分間予熱されたキュベット中で血小板凝集計にデュプリケートでロードされてから、0.9%のNaCl(陰性対照);ReoPro(登録商標)(阻害対照);コラーゲン(陽性対照);基準物質(緩衝液);ヒトPRP中2、50、100及び200μg/mLの最終濃度のrhCol7組成物;又はサルPRP中2、25、62及び126μg/mLの最終濃度のrhCol7組成物でスパイクされた。スパイク直後、血小板凝集が6分間モニタリングされた。結果は、2、50、100及び200μg/mLのrhCol7でのヒトPRPのインビトロ処置後に活性化効果が観察されなかったことを示す。rhCol7はまた、2、25、62及び126μg/mLのrhCol7でのサルPRPのインビトロ処置後に生物学的に有意な活性化効果を示さなかった。わずかな用量依存的増加がサルPRPにおいて観察されたが、このわずかな増加は、コラーゲン陽性対照と比較して生物学的に有意ではなかった。
【0147】
コラーゲン陽性対照と比較してサル血小板リッチ血漿(PRP)中で観察される血小板活性化及び凝集の生物学的に有意な増加は存在しない。血小板活性化効果は、最大200μg/mLのrhCol7物質でのヒトPRPのインビトロ処置後に観察されなかった。
【0148】
溶血
rhCol7組成物の溶血潜在性は、ラット、カニクイザル、及びヒトからの血液中でインビトロで調査された。ビヒクル(10mMのリン酸ナトリウム、5mMのクエン酸ナトリウム、70mMのNaCl、100mMのL-アルギニン、1.7%のスクロース、及び0.05%(v/v)のポリソルベート20、pH7.2)中で製剤化されたrhCol7物質が、Crl:CD(SD)ラットからのラット全血サンプル中で40、95、及び185μg/mLの濃度で;非ヒト霊長類(カニクイザル)全血中で25、62.5、及び125μg/mLの濃度で;及びヒト全血中で50、100、及び200μg/mLの濃度で検査された。3つの同時対照検査は対照ビヒクルを使用して実施され;各タイプの血液において陽性(脱イオン水)及び陰性(注射用0.9%塩化ナトリウム)対照品が検査された。サンプル当たりの血液及び処置容量は全ての検査について各0.5mL(合計1.0mL)であり、各検査について5つのレプリケートを使用して実施された。各インキュベーションは、およそ37℃でおよそ60分間実施された。各サンプルについての溶血割合は、マクロー(Makroo)ら著(アジアン・ジャーナル・オブ・トランスフュージョン・サイエンス(Asian Journal of Transfusion Science)、2011年、第5巻、p.15~17)から修正された式に従って計算された。
【0149】
ラット、非ヒト霊長類、及びヒト血液中で、溶血は陽性対照群において検出され、平均溶血パーセント値は34.6%から37.0%までの範囲であった。3つの血液マトリックスの各々の全ての曝露レベルにおいて、溶血は検出されなかった。処置群についての平均溶血パーセント値は、0.3%から0.5%までの範囲であった。溶血は陰性対照群においてもビヒクル対照群においても検出されなかった。平均溶血パーセント値は、陰性対照について0.3%から1.2%までの範囲であり、ビヒクル対照については0.3%から0.6%までの範囲であった。これらの結果によれば、溶血は、ラット血液中で185μg/mLのrhCol7の濃度まで、非ヒト霊長類血液中で125μg/mLのrhCol7の濃度まで、及びヒト血液中200μg/mLのrhCol7の濃度まで検出されなかった。
【0150】
実施例2:マウスDEBモデルにおけるrhCol7組成物の前臨床有効性試験(インビボ主要薬物動態試験)
COL7A1遺伝子が標的化により不活性化されたDEBのマウスモデル(Col7a1-/-)(ハイノネン(Heinonen)ら著、ジャーナル・オブ・セル・サイエンス(J Cell Sci.)、1999年、第112巻、p.3641~3648)は、真皮表皮BMZで検出可能なCol7を有さず、アンカリングフィブリルを完全に欠き、その腹側表面上に広範な皮膚水膨れを、その肢及び頸部上に出血性水膨れを有して生まれ、典型的には出生1週目以内に死亡が観察される。このDEBマウスモデル(Col7a1-/-)は、重度ヒト劣性DEB(RDEB)の臨床的、組織学的、及び微細構造的提示を模倣する重度の水膨れ形成をもたらす。このマウスモデルを使用して、非臨床有効性試験が、rhCol7静脈内投薬後のアンカリングフィブリルの形成、rhCol7の分布及び局在化、並びに組織学的及び生存効果を試験するために、rhCol7薬物製品の静脈内投与後の用量依存的応答及び有効性について実施された。試験デザインは表3にまとめられる。表3において、16μg、28μg及び40μgの用量は、2gの体重基準でそれぞれおよそ8、14及び20mg/kgに等しい。
【0151】
【表3-1】
【0152】
【表3-2】
【0153】
【表3-3】
【0154】
試験1~3において、新生児DEB Col7a1-/-マウスは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)及び製剤ビヒクル対照、rhCol7組成物(バッチ1、2、及び3)又は基準Col7(線維芽細胞に由来する野生型Col7;FB-Col7)の単回i.v.ボーラスを浅側頭静脈を介して投与された。アンカリングフィブリルの形成は、rhCol7の単回用量投与(i.v.;16μg(8mg/kg))後(試験3)、及び1日ごとに1回の皮内(i.d.)の7日間の投薬(16μg(8mg/kg))後(試験2)に査定された。
【0155】
rhCol7の分布並びに組織学的及び生存期間エンドポイントは、rhCol7の単回用量(28μg(14mg/kg)、40μg(20mg/kg))投与後に査定された(試験1、6及び7)。rhCol7組成物、FB-rCol7又は対照PBSのi.v.投与後のDEB Col7a1-/-マウスから得られた舌組織の間接免疫蛍光(IF)染色。
【0156】
結果は、rhCol7組成物が、90日間を超えて生存した5匹のrhCol7組成物投与マウスのうち3匹、及び6匹のFB-rCol7投与マウスのうち2匹における舌及び皮膚中の真皮表皮BMZで検出されることを実証した。rhCol7組成物及びFB-rCol7の両方が真皮表皮接合部内の適切な位置に分布した。rhCol7組成物は、18及び90日間まで生存した2匹のマウスの食道中でも検出された。結果は、rhCol7及び基準コラーゲン7(FB-rCol7)の両方が、単回i.v.用量(16μg(8mg/kg))後に舌及び皮膚中の真皮表皮BMZに分布したことを示唆する一方、ビヒクル対照DEBマウス中では検出可能なrhCol7は見出されなかった。
【0157】
舌の透過型電子顕微鏡法は、rhCol7組成物及びFB-rCol7の単回i.v.用量(28又は40μg)後の真皮表皮BMZの緻密層真下のアンカリングフィブリルの形成を明らかにした一方、ビヒクル対照マウス中ではアンカリングフィブリルは存在しなかった。背側皮膚中に7日間i.d.(16μg)投与されたrhCol7組成物は、真皮表皮BMZから垂直に突出する横縞のアンカリングフィブリルの形成を実証した(試験2)。
【0158】
Col7a1-/-DEBマウスへのrhCol7組成物又はFB-rCol7の単回用量静脈内投与は、舌組織中の表皮と真皮との間の分離を是正した。対照的に、PBS注射マウスは、真皮からの表皮の重度の分離を示した。舌中の表皮と真皮との間の完全な閉鎖を有するマウスの比率は、rhCol7組成物、FB-rCol7、及びビヒクル対照についてそれぞれ48%(12/25匹)、67%(12/18匹)、及び0%(0/12匹)であった。完全な閉鎖の比率は、ビヒクル対照マウスと比較してrhCol7組成物及びFB-rCol7処置マウスにおいて統計的に異なった。
【0159】
試験は、rhCol7のi.v.投与が機能的Col7を真皮表皮BMZに戻すことを実証した。これは、正常なアンカリングフィブリルのアセンブリを促進して、緻密層/真皮上層の乳頭層界面における真皮表皮接着に安定性を提供し、DEBを有する患者における水膨れ形成異常及び合併症を是正することが予測される。rhCol7は、アンカリングフィブリルを形成し、DEBマウスにおける真皮からの表皮の分離を是正した。
【0160】
rhCol7組成物又はFB-rCol7の単回i.v.用量(16μg(8mg/kg))は、ビヒクル対照と比較して生存期間の統計的に有意な改善をもたらした。生存期間中央値(四分位範囲)は、ビヒクル対照、rhCol7組成物、及びFB-rCol7を投与されたCol7a1-/-マウスについてそれぞれ4、8、及び16.5日間であった。30日間を超えて生存したマウスの比率は、ビヒクル対照、rhCol7組成物、及びFB-rColを投与されたマウスについてそれぞれ0%(0/13匹)、19%(5/27匹)、及び35%(7/20匹)であった。
【0161】
DEBの同じマウスモデルにおける別個の単回用量応答(5、16又は28μg;それぞれおよそ2.5、8及び14mg/kgに等しい)並びに反復用量応答(1、3及び5日目の0.5、1及び5mg/kgでの投薬)試験が実施された(試験4及び5)(表3)。rhCol7組成物の静脈内投与は、2.5、8及び14mg/kgの単回用量(死亡時に組織回収)並びに1、3及び5日目の0.5、1及び5mg/kgでの反復用量投与(6日目に組織回収)後に標的組織中の真皮表皮BMZにおける用量依存的堆積をもたらした(図1)。
【0162】
反復投与用量応答試験からのIFシグナルの半定量も、真皮表皮接合部へのrhCol7分布が用量依存的であることを示した;
最小有効用量は、舌及び皮膚の両方における真皮表皮BMZへの分布に基づき5mg/kgであるとみなされた。rhCol7組成物の単回用量は、舌中の真皮表皮分離の用量依存的是正をもたらした。
【0163】
新生児Col7a1-/-マウスにおける真皮表皮分離の用量依存的是正も、rhCol7組成物の単回静脈内投与後に観察された(図2Aに実証されるとおり)。真皮表皮分離の完全な閉鎖を示すマウスの数の定量は、図2Bに示される。
【0164】
rhCol7組成物の有効性についての試験6及び7において、類似の分布結果が観察された。静脈内投与による単回用量(8mg/kg(16μg))後、rhCol7は、全てのrhCol7処置マウスにおける舌中の真皮表皮BMZに、並びに査定roCol7処置マウスにおける腹部、背部、及び前肢から得られた皮膚に分布された。ビヒクル対照マウスでは、いずれにおいてもrhCol7は検出されなかった。
【0165】
rhCol7組成物(バッチ1及び2)の投与はまた、Col7a1-/-マウスにおける真皮表皮分離の是正をもたらした。舌中の表皮と真皮との間の完全閉鎖を有するマウスの比率は、rhCol7組成物(バッチ1)、rhCol7組成物(バッチ2)及びビヒクル対照を投与された試験6におけるマウスについてそれぞれ79%(15/19匹)、71%(10/14匹)、及び27%(3/11匹)であった。真皮表皮分離の好転を有するマウスの比率は、ビヒクル対照と比較してrhCol7組成物処置群において有意に高かった。対照的に、真皮表皮分離の好転を有するマウスの比率は、両方の処置群間で類似した。rhCol7投与群における生存期間の統計的に有意な改善が、ビヒクル対照と比較して観察された。生存期間中央値(四分位範囲)は、ビヒクル対照、rhCol7(バッチ1)及びrhCol7(バッチ2)を投与されたマウスについてそれぞれ3、4.5、及び11日間であった。
【0166】
類似の結果は試験7において観察される。例えば、rhCol7組成物(両方のバッチ)は舌及び前肢皮膚中の真皮表皮BMZに分布した一方、いずれのビヒクル対照マウスにおいてもrhCol7は検出されなかった。真皮表皮分離の是正は、rhCol7組成物投与動物において観察された。真皮表皮分離の完全な閉鎖を有するマウスの比率は、rhCol7組成物処置マウス(46%(12/26匹)(バッチ3)、及び58%(15/26匹)(バッチ4))においてビヒクル対照(10%(1/10匹)よりも高かった。ビヒクル対照と比較してPTR-01処置動物の生存期間の統計的に有意な改善が観察された。生存期間中央値は、ビヒクル対照、rhCol7(バッチ3)及びrhCol7(バッチ4)を投与されたCol7a1-/-マウスについてそれぞれ2.5、9、及び14日間であった。組織像と生存期間との間の相関が観察される。
【0167】
これらの結果及び観察は、単回静脈内投与によるrhCol7組成物が真皮表皮BMZ内の適切な位置に分布及び局在し、アンカリングフィブリルを形成し、真皮表皮分離を是正し、ビヒクル対照と比較して生存期間の統計的に有意な改善をもたらし得ることを示唆する。結果は、陽性対照である、ヒト皮膚線維芽細胞から精製された組換えヒトrhCol7(FB-rhC7)を投与されたマウスについて類似である。
【0168】
用量依存的応答は、rhCol7組成物の単回i.v.投与を利用する用量漸増試験及びrhCol7組成物の反復投与での用量依存的試験の両方で観察され;応答としては、標的組織中の真皮表皮BMZへのrhCol7組成物の用量依存的分布及び真皮表皮分離の用量依存的好転が挙げられる。観察は、最小有効用量が舌及び皮膚中の両方の真皮表皮BMZへの分布に基づき5mg/kgであることを示唆する。
【0169】
実施例3:rhCol7組成物のインビボ薬物動態及び毒物動態
静脈内(i.v.)経路による単回用量及び28日間の1週間ごとの反復用量試験を含むrhCol7の薬物動態(PK)/毒物動態(TK)特徴が、マウス、ラット、及びサルにおいて評価された。特徴付けとしては、ラット及びサルにおける反復用量試験におけるPK/TK査定、ラットにおける定量的全身オートラジオグラフィー(QWBA)を使用する組織分布、並びに反復用量毒性におけるADA分析が挙げられる。rhCol7組成物の吸収、分布、及び排泄は、ラット、サル、及びイヌにおいて検査された。これらの目的のための試験は表4に列記される。
【0170】
【表4】
【0171】
ラット及びサルにおける単回用量吸収
雄スプラーグドーリー(Sprague-Dawley)Crl:CDラット(12匹の雄/群)に対して、0.5、2及び5mg/kgの単回i.v.スロープッシュ(1~3分間)投与(試験8)を行った後。血液サンプルが、投薬前並びに0日目の用量投与のおよそ2、5、15、30、及び45分、1、2、4、8、12、及び24時間後に回収された。血清サンプルは、電気化学発光(ECL)で分析された。rhCol7組成物への曝露は、0.5から5mg/kgまでのrhCol7用量の増加に伴い、ゼロから無限時間までの曲線下面積(AUCinf)に関しては用量比例的よりも大きく、Cmaxに関しては用量比例的に増加した。しかしながら、AUCinfに関する曝露の増加は、2から5mg/kgまでは用量比例的であった。用量の10倍増加は、Cmax及びAUCinfに関してそれぞれおよそ9及び33倍をもたらした。rhCol7のピーク血清濃度は、全ての用量レベルの投与後の最初のサンプリング点(2分)で観察された。Clは低く、83.7から276mL/h/kgまでの範囲であり、定常状態における分布容積(Vss)は小さく、17.1から33.1mL/kgまでの範囲であった。得られた終末半減期(T1/2)は短く、0.108から0.293時間までの範囲であった。Clは、0.5から2mg/kgではわずかに減少したようであり、2及び5mg/kgでは同様のままであった。5mg/kgでは、最大血清濃度(Cmax)は105,000ng/mLであり、AUC0-24は59,800nghr/mLであった。
【0172】
同様に、雌カニクイザル(3匹の雌/群)に対して、10mL/kgの用量容量で、0.5、2、及び5mg/kgのrhCol7の単回i.v.スロープッシュ(1~2分間)投与(試験9)を行った後。血液サンプルが、投薬前並びに0日目の用量投与のおよそ2、5、15、30、及び45分及び1、2、4、8、12、及び24時間後に回収された。血清サンプルは、ECLで分析された。rhCol7血清濃度は、それぞれ0.5、2、及び5mg/kgにおける用量の4、12、及び24時間後まで3匹の動物のうち少なくとも1匹において測定可能であった。rhCol7のピーク血清濃度は、全ての用量レベルの投与後の最初のサンプリング点(2分)で観察された。血清濃度は、二相的に減少したようであった。rhCol7への曝露は、0.5から5mg/kgまでのrhCol7用量の増加に伴い、AUCinfに関しては用量比例的よりも大きく、Cmaxに関しては用量比例的に増加した。AUCinfに関する曝露の増加は、2から5mg/kgまでは、ほぼ用量比例的であった。血漿クリアランス(Cl)は低く、43.7から163mL/h/kgまでの範囲であり、Vssは小さく、32.2から51.9mL/kgまでの範囲であった。得られたt1/2は、0.347から5.59時間までの範囲であった。5mg/kgでは、Cmaxは135,000ng/mLであり、AUC0-24は116,000nghr/mLであった。
【0173】
ラット及びサルにおける反復用量吸収
スプラーグドーリーCrl:CDラット(n=12/用量)に対して、10mL/kgの用量容量で、2、5及び10mg/kg/週の1週間ごとに1回の反復i.v.ボーラス注射(28日間の投薬期間にわたり合計5回用量)(試験10)を行った後。同時対照群(n=8)は、同じレジメンでビヒクルを受けた。血液サンプルは、対照群については0及び28日目の用量投与のおよそ5及び15分後、並びに投薬前及び0及び28日目の用量投与のおよそ5及び15分後及びおよそ1、2、4、8、12、及び24時間後に回収された。血清サンプルは、ECLで分析された。
【0174】
rhCol7血清濃度は、rhCol7組成物の投薬前の全てのサンプル並びに0及び28日目の対照動物から回収されたサンプルにおいて定量レベル未満(BLQ)であった。一般に、曝露は、全ての用量群について0日目及び28日目で同様であり、rhCol7組成物の蓄積は、28日間の1週間ごとに1回の投与後には観察されなかった。蓄積比は、0.516から1.27までの範囲であった。クリアランスは低く(雄及び雌データの組み合わせについておよそ1.07から3.64mL/分/kg)、Vssは小さく(雄及び雌データの組み合わせについておよそ34.9から94.4mL/kg)、それは、雄及び雌データの組み合わせについておよそ0.196から0.787時間までの平均終末t1/2範囲をもたらした。性差は観察されなかった。rhCol7のTKパラメータは表5にまとめられる。
【0175】
【表5】
【0176】
rhCol7組成物の毒物動態プロファイルを調査するための2つの試験がサルにおいて実施された。試験11において、カニクイザルに対して、10mL/kgの用量容量で、2、5及び10mg/kg/週の1週間ごとに1回の反復i.v.スロープッシュ(1~2分間)注射(28日間の投薬期間にわたり合計5回用量)を行った後。血液サンプルが、馴化中、初回投薬前、28日目の投薬前、並びに0及び28日目の用量投与のおよそ5及び15分及び1、2、8、12、及び24時間後に1回、回収された。血清サンプルはECLで分析された。対照群動物から回収された血清サンプル中では、測定可能なrhCol7濃度は存在しなかった。概して、rhCol7(AUC及びCmax)への曝露は雄及び雌において類似しており、一貫した性差は存在しなかった。
【0177】
2mg/kg/週でのrhCol7組成物のi.v.ボーラス投与後、rhCol7血清濃度は、両日で、投与後0.083時間から投与後2、4、又は8時間まで測定可能であった。5及び10mg/kg/週の用量群において、rhCol7血清濃度は、両日で、投与後0.083時間から投与後4、8、12、又は24時間後まで測定可能であった。
【0178】
蓄積比は、0.738から1.50までの範囲であった。クリアランスは低く(<5mL/分/kg)、Vssは小さく(<0.105L/kg)、それは雄及び雌の組み合わせたデータについて0.304から1.36時間までの範囲である比較的短い平均t1/2をもたらした。rhCol7についての雄及び雌の毒物動態パラメータは表6にまとめられる。
【0179】
【表6】
【0180】
試験12において、カニクイザルに対して、6.6mL/kg/hの注入速度で、4及び8mg/kg/週の1週間ごとに1回の反復i.v.注入(1時間)(28日間の投薬期間にわたり合計5回用量)を行った後。血液サンプルは、投薬前、注入開始の30分後並びに注入終了の5及び15分、及び1、2、4、8、12、及び24時間後に回収された。血清サンプルは、ECLで分析された。用量範囲にわたり、1及び29日目のrhCol7への曝露(AUC0-Tlast、AUCinf及びCmax値に基づく)は概して、用量依存的、且つわずかから中程度に用量比例的よりも多く増加した。概して、性に関連する顕著な差は存在しなかった。AUC及びCmax蓄積比(29日目/1日目)は0.9から1.7までの範囲であり、これは、rhCol7が、カニクイザルに、1時間/日の期間でのi.v.注入として1週間ごとに1回、4週間で合計5回用量で投与された場合に、蓄積しないことを示した。
【0181】
平均推定t1/2は、1日目に0.359から0.857時間まで、29日目に0.427から1.40時間までの範囲であった。rhCol7は、1日目に43.8~71.9mL/時間/kgまでの平均速度で、29日目に27.1~54.4mL/時間/kgまでの平均速度でクリアランスされた。終末相での平均分布容積(V)は、1日目に31.0から52.4mL/kgまで、29日目に31.3から47.8mL/kgまでの範囲であり、rhCol7が循環系中でかなりの程度で留まることを示唆した。rhCol7についてのTKパラメータは表7にまとめられる。
【0182】
【表7】
【0183】
分布
舌及び皮膚中で分布されたrhCol7組成物の半減期(T1/2)は、rhCol7組成物(8mg/kg(16μg)の単回i.v.投与後のDEBマウスモデル(Col7a1-/1)において決定された(試験13)。舌(n=25)並びに前及び後肢からの皮膚(n=27)が回収され、rhCol7についてのIF染色に供された。組織T1/2は、真皮表皮BMZにおける半定量IFシグナルを用いて特異的に推定された。舌及び肢から得られた皮膚中の組織t1/2は、それぞれ26.4日間及び32.6日間であると推定された。舌、食道及び皮膚(無傷及び創傷)中のrhCol7の分布が、i.v.投与後のタモキシフェン誘導性Col7ノックアウトDEBマウスモデルにおいてさらに決定された(試験14)。C7誘導性ノックアウトマウスの背部上の小創傷が切開された後、100μgのrhCol7(8mg/kg(合計200μg;n=5)又はビヒクル(n=4)の2回のi.v.注射が投与された。rhCol7プラセボ注射の2週間後にマウスは屠殺され、真皮表皮接合部におけるrhCol7検出のために舌、食道及び皮膚(無傷及び創傷)のサンプルが回収された。rhCol7は、i.v.投与後のタモキシフェン誘導性Col7ノックアウトマウスの創傷皮膚中の真皮表皮BMZに分布した。rhCol7は、舌中でも、食道中でも、非創傷皮膚中でも検出されなかった。
【0184】
2mg/kgにおける8匹のスプラーグドーリー雄ラットへの単回i.v.投与後の[111In]-PTR-01の分布が評価された(試験15)。投与後0.5、2、6、24、72、168、216、及び336時間に、動物1匹/時点が屠殺された。ラットへの[111In]-PTR-01の投与後、血液及び血漿中のCmaxが投与後0.5時間に観察された。血漿中の放射能濃度は、血中のものよりもおよそ2倍高かった。両方のマトリックス中の放射能のレベルは急速に降下し、投与後2時間までにおよそ5分の1に低くなったが、投与後336時間で依然として検出可能であった。最高放射能濃度及び用量/gの割合が骨髄、腎臓、肝臓、及び脾臓中で観察された。組織の大多数は、後の時点ににおいて、>1の組織:血漿濃度比を有し、薬物関連放射能が組織中で保持されることを示した。rhCol7は、投与後336時間を含む各時点における皮膚(無色素)中で検出され;投与後336時間での皮膚:血漿比は4.61であった。
【0185】
口唇及び皮膚(耳)中のrhCol7の分布は、4mg/kgのi.v.注入後の1匹の雌RDEBイヌにおいて決定された(試験16)。RDEBイヌモデルは、コラーゲン様ドメイン中のホモ接合性グリシン変異(G1906S)を有する自然発症モデルである。rhCol7は、投与3日後に皮膚(耳)中の真皮表皮BMZにおいてかすかに検出された。皮膚中の真皮表皮BMZにおける極めて弱いIFシグナルが投与25日後にも検出された。対照的に、一次抗体(免疫グロブリンG(IgG)対照)を用いないIF染色は、真皮表皮BMZにおける染色を示さなかった。rhCol7は、皮膚耳)中でかすかに検出されたが、口唇中では検出されなかった。その投与された1匹の動物においてアンカリングフィブリル及び吸引水膨れ検査の変化は存在しなかった。
【0186】
排泄
rhCol7組織分布及び排泄が[111インジウム(In)]-rhCol7処置ラットにおいて試験された(試験15)。スプラーグドーリー雄ラットは、[111インジウム(In)]-rhCol7を単回i.v.注射により2mg/kgの用量レベルで投与された。尿は、投与後0~6及び6~24時間に、その後24時間間隔で、投与後168時間まで動物から回収された。糞便は、24時間間隔で投与後168時間後まで回収された。総放射能の濃度は、インスタント薄層クロマトグラフィー(iTLC)及び固体シンチレーション計測(SSC)、並びに定量的全身オートラジオグラフィー(QWBA))を使用して用量製剤中で決定された。オートラジオグラフィー画像が分析されて放射能の組織濃度が決定された。
【0187】
血液、血漿、尿、糞便、及び屠体は、SSCにより分析されて放射能濃度が決定された。[111In]-rhCol7のi.v.投与後、薬物関連放射能の最高回収率は0~168時間の回収期間にわたり平均56.8%を占め、尿中で見出された。薬物関連放射能は、糞便中にも存在した。投与用量のおよそ30%が屠体中に残留し、総回収率(尿、糞便、及び屠体)は平均95.9±1.04%であった。
【0188】
まとめると、ラット又はサルのいずれにおいてもAUC及びCmaxにより測定された全身曝露の一般的な性差は存在しなかった。i.v.投与後の除去は急速であり、t1/2は、全ての検査種において30分未満であることが多かった。齧歯類及び非ヒト霊長類の両方において、血漿中のrhCol7半減期は用量とともに増加した。曝露データは、ヒト等価用量(HED)計算についてのアロメトリックスケーリングを支持する。タモキシフェン誘導性Col7ノックアウトマウスモデルにおいて、rhCol7は、創傷皮膚中の真皮表皮BMZに分布し、コラーゲンVIIの特異的ホーミングをさらに裏付けた。これは、タモキシフェン誘導性Col7ノックアウトマウスモデルにおいて推定された、標的組織(皮膚、舌及び食道)中の内因性マウスCol7の組織半減期と類似する(クール(Kuhl)ら著、ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・デルマトロジー(J Invest Dermatol.)、2016年、第136巻、p.1116~1123)。rhCol7は、i.v.投与後のラットの全身にわたり広く分布された。rhCol7の最高量は骨髄、腎臓、肝臓及び脾臓中で観察された。スプラーグドーリーラットにおいて、血液及び血漿中の[111In]-rhCol7のレベルは急速に降下し、投与後2時間までにおよそ5分の1に低くなったが、i.v.投与後において投与後336時間に依然として検出可能であった。rhCol7は、単回i.v.注入の3日後の皮膚中の真皮表皮BMZにおいてかすかに検出された。
【0189】
実施例4:rhCol7薬物処置前の患者の選択
少なくとも1つの>2cmの慢性(例えば、少なくとも6週間)病変を有する劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)患者が選択される。RDEBと診断された患者は、rhCol7タンパク質処置のための登録前に遺伝子分析を受ける。血液サンプルが各患者からCol7A1のゲノタイピングのために回収される。劣性遺伝パターンと一致するCOL7A1遺伝子中の(1つ以上の)変異を示す患者のみが登録される。生検サンプルも、患者からIF染色のために登録前に得られる。いくらかのCol7が存在するが、IF染色による真皮表皮接合部(DEJ)におけるCol7染色を欠損する患者は選択される。
【0190】
実施例5:RDEBを有するヒト患者におけるrCol7補充の有効性
この試験は、RDEBを有するヒトの処置におけるrCol7補充の有効性を評価するために実施された。劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)を有する成人患者が表4に記載のとおり選択される。RDEBの診断及び少なくとも1つの慢性病変の病歴を有する12人の患者が登録され、4つの投薬コホートに分けられた。患者は、PTR-01の3回用量を0.1から3.0mg/kgまでの範囲の用量で受けた。特に、4つのコホートは、それぞれ0.1mg/kg(活性薬物)、0.3mg/kg(活性薬物)、1.0mg/kg(活性薬物)、及び3.0mg/kg(活性薬物)で投与された。
【0191】
有効性評価は、治療法の初回用量前、並びに処置、及びフォローアップ期間の間、15、29、43、57、71、85及び127日目に反復実施された。
max、Tmax、AUC、クリアランス、及びt1/2を含む薬物動態パラメータ推定値が測定された。皮膚サンプルが得られ、真皮表皮接合部(DEJ)におけるCol7染色についてのIF染色に供された。皮膚生検物中のアンカリングフィブリルを評価するために電子顕微鏡法(EMS)も使用された。組織中のrhCol7の持続が皮膚生検物において測定された。
【0192】
皮膚水膨れ、皮疹サイズ、及び創傷治癒の変化が評価され、アルブミン、鉄/TIBC、ヘモグロビン、及びヘマトクリットを含む生物医学的マーカーの測定も検査された。さらに、掻痒及び疼痛スケール、全体的なクオリティーオブライフ、並びにDEB活性などの患者により申告されるアウトカムが評価の一部として含められた。
【0193】
中間有効性評価データは、直接免疫蛍光(DIF)による真皮表皮接合部(DEJ)におけるC7堆積の平均200%の増加を示し、1mg/kg用量で見られた。DEJにおけるC7堆積の用量依存的増加は3mg/kgのC7レベルで示され、これは、無症候性ヘテロ接合性及び正常ヒト皮膚において見られたものに迫った。
【0194】
患者における創傷治癒の改善に向かう傾向が観察された。この試験における3mg/kgにおけるCmaxレベルについての用量依存的増加は、動物における最小有効用量において見られたものに迫った。加えて、C7 DIFの増加は、投薬の中止後、約1か月間維持された。
【0195】
実施例6:RDEBを有する患者における投薬頻度試験
この第2相オープンラベル試験は、RDEBを有する患者における皮膚中のrC7の取り込みに対する用量頻度及び有効性を決定する。RDEB患者に対する処置計画は、2つの投薬レジメン(パート1及び2、代替的に「負荷」及び「維持」期と称される)並びに3か月間の観察期(パート3)を含む3つのパートに分割された。パート1において、患者は、3.0mg/kgのrCol7の用量を1週間ごとに合計4回用量で受ける。パートIに続くパート2において、患者は、3.0mg/kgのrCol7の用量を2週間ごとに合計7回用量で受ける。有効性評価は、各投薬期間の終了時に実施される。パート3の間、患者は、創傷治癒及び他の有効性パラメータの持続性を調べるために投薬の完了後の1及び3か月目に査定される。全ての用量は静脈内注入により投与された。図4は、試験デザインを模式的に説明する。
【0196】
投薬は、以下のとおりスケジュールされる:16歳齢以上の患者については、PTR-01が3.0mg/kgの用量でIVで1週間ごとに4回用量、次いで2週間ごとに7回用量で投与され;16歳齢未満の患者については、PTR-01が120mg/mの用量でIVで1週間ごとに4回用量、次いで2週間ごとに7回用量で投与される。
【0197】
この試験についての主要エンドポイントは、7点の変化の全般的印象(GIC)測定法を使用する少なくとも2レベルの標的病変の大多数の改善、並びに処置下で発現した有害事象(TEAE)、注入関連反応(IAR)、及び免疫原性を含んだ。副次及び探索的エンドポイントは、皮膚へのPTR-01の送達;電子顕微鏡法により測定される新たなアンカリングフィブリルの形成;イメージングによる標的病変の創傷面積;試験責任者GIC(IGIC)評価;全身創傷表面積;疼痛の重症度及びクオリティーオブライフに対する疼痛の影響(修正PROMISサブスケール及びiscorEB);重症度及び変化の全般的印象(IGIS&C、PGIS&C);創傷介護負担;患者面談及び事例報告;並びに皮膚線維症のマーカーを含んだ。
【0198】
表8は、試験に登録された患者の詳細をまとめる。6人の患者が登録され、5人が試験を完了した。患者202-001、202-002、及び202-003は、実施例5に記載の第1相試験に参加した。患者年齢中央値は19.0歳であった。
【0199】
【表8】
【0200】
表9は、創傷特異的7点スケールによりベースラインと比較した120日目の創傷応答をまとめる。この表において、mは、応答基準を満たす創傷の数であり;Mは、創傷の総数であり;レスポンダーは、創傷の≧50%において創傷特異的7点評価スケールの≧2点の増加を有する患者であり;総創傷応答は、全ての患者についての創傷特異的7点評価スケールの≧2点の増加を有する創傷の総数(全ての患者)である。評価された患者の総数は、1人の患者が36日目後に有効性の欠落に起因して中止したため、試験に登録された6人ではなく5人であった。
【0201】
【表9】
【0202】
表5は、ベースラインに対する120日目の創傷査定の比較を示す。表9及び図5に示されるとおり、PTR-01での処置は、急速の一貫した持続的な創傷治癒をもたらした。15日目までに、15/26個の創傷(57.7%)が創傷特異的7点評価スケールにおける≧2点の増加の応答基準を満たし、120日目には18/26個の創傷(69.2%)が満たした。これらの基準に基づき、4/6人の患者(66.7%)がレスポンダーであった。
【0203】
図6は、キャンフィールドイメージングによる創傷表面積の低減パーセントによる創傷応答を示す。創傷は処置に対する急速な応答を示し、大多数(80%)が68日目までに>50%の閉鎖に達した。処置の終了である120日目、創傷の80%超がベースラインと比較して>50%で閉鎖した。処置の持続性は処置効果で最終用量の後、1か月間継続し、204日目に減衰し始めた。
【0204】
図7は、慢性及び再発創において観察された創傷閉鎖を示す。PTR-01は、主な罹患原因である慢性創における創傷閉鎖に影響する。この分析は、「再発」と特徴付けられる14個の創傷及び「慢性」と特徴付けられる8つの創傷に基づき;有効性は、小及び大創傷において同様に観察された。試験において分析された26個の創傷のうち、4つはプロトコルによる「医師選択」と標識され、したがって臨床的創傷歴が提供されず、それらの創傷は分析から除去された。ロバストな創傷治癒応答が、異なる創傷タイプ:大小の慢性及び再発創にわたり観察された。創傷の大多数は、120日目に≧50及び≧75%の治癒を達成した。
【0205】
図8は、創傷の全てのタイプ及びサイズにわたるPTR-01処置後の創傷表面積の明確な低減を実証する創傷画像の例を示す。
図9A~9Bは、創傷表面積のベースラインからの個々の創傷の変化及び中央値を示す。曲線下面積(AUCi)分析を使用してベースラインに対して経時的に創傷サイズを試験すると、43日目に、PTR-01を受けている患者の、プラセボを受けた患者についての既存の第1相PTR-01試験において観察されたものよりも大きな低減が存在した(53.6%対75%)。
【0206】
図10A~10Bは、第2相試験の患者によりiscorEB-Pにより測定された疼痛、疾患影響、日常生活の活動、気分、及び必須機能の改善を示す。ベースラインから204日目までの顕著な平均及び中央値の低減が、これらの測定基準についてのiscorEBスコアにおいて観察された。
【0207】
図11は、患者及び時点ごとの試験責任者及び患者の変化の全般的印象(GIC)スコアを示す。22、78、120、及び148日目、IGIC及びPGICスコアの両方が改善し、試験責任者及び患者評価間に良好な相関があった。
【0208】
図3は、PTR-01の投与後の真皮表皮接合部(DEJ)におけるC7の堆積を示す免疫蛍光データを示す。上段パネルは、実施例5に記載の第1相試験において既に処置された患者についての堆積を示し、下段パネルは、事前試験において処置されなかった患者についての堆積を示す。図3に示されるとおり、PTR-01を0.3mg/kg、及び3mg/kgで受けた患者におけるDEJにおけるC7の堆積は、用量依存的堆積であった。DEJにおけるC7の急速堆積は負荷期の間に観察され、治療効果(正常の35%)を付与することが予測されるレベルを達成した。これらのレベルは、処置全体にわたり、及び処置完了後、1か月間維持された。全ての患者は、PTR-01のそれらの最終用量の1から3か月間後までの範囲(例えば、148日目及び204日目の時点)のDEJコンパートメント中のC7の継続的な堆積を示した。これらのデータは、1か月ごとの、又は場合によってはそれよりも長い維持投薬の可能性を支持する。
【0209】
図12は、PTR-01投与による皮膚線維症促進バイオマーカー染色の低減を示す。線維症のバイオマーカーは、上昇したベースラインから処置の経過にわたり減少し、処置完了後に低減されたままであった。
【0210】
概して、PTR-01は、週1回4週間及び次いで2週間ごとに14週間与えられた場合に十分忍容された。表10は、試験において観察されたTEAEをまとめる。20個のAEが4人の患者について報告され、それらの全てが回復した。死亡も、重度の有害事象も、予測されないAEも観察されず、AEは処置中止をもたらさなかった。全てのAEは、試験薬物に関連しないとみなされた貧血の単一のAEを除き軽度又は中等度であった。1人の患者は、サポーティブケアに応答し、数時間以内に回復した注入反応を有した。3人の患者は、試験の間に少なくとも1回観察された、検出可能な低力価のADAを有した。これらの観察は、臨床症状とも検査所見とも関連しなかった。1人の患者は、高力価のADAを有した。この患者は、軽度の注入反応を有し、最終的に有効性の欠落に起因して試験から離脱した。
【0211】
【表10】
【0212】
まとめると、週当たり3.0mg/kgにおけるPTR-01の1週間ごとの4週間の注入とそれに続く2週間ごと(q.o.w.)の14週間の注入は十分忍容され、創傷の大多数の少なくとも2点の改善を有する患者の比率及び表面積の≧50%の低減を有する総患者創傷の比率;iscorEB症状スコアの低減;DEJにおけるrC7の堆積;並びに皮膚中の線維症促進バイオマーカーの低減を含む創傷治癒の尺度の急速で持続的な改善をもたらした。試験責任者及び患者の変化の全般的評価は一致し、疾患全体の改善を反映した。この試験の結果は、DEBの処置のためのPTR-01投与のさらなる試験を支持する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
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【国際調査報告】