(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】新生児FC受容体をゲノム編集するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20241022BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20241022BHJP
C12N 9/78 20060101ALI20241022BHJP
C12N 9/22 20060101ALI20241022BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241022BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241022BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241022BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241022BHJP
A01K 67/0275 20240101ALI20241022BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20241022BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20241022BHJP
C12N 15/869 20060101ALI20241022BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241022BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241022BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20241022BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241022BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241022BHJP
A61K 35/407 20150101ALI20241022BHJP
A61K 35/44 20150101ALI20241022BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20241022BHJP
A61K 35/36 20150101ALI20241022BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241022BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20241022BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20241022BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20241022BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241022BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241022BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241022BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241022BHJP
C12N 5/077 20100101ALN20241022BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
C12N15/09 100
C12N15/12 ZNA
C12N15/55
C12N9/78
C12N9/22
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A01K67/0275
C12N15/63 Z
C12N15/88 Z
C12N15/86 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/113 Z
C12N15/861 Z
C12N15/869 Z
A61K48/00
A61K9/16
A61K47/24
A61K47/10
A61K47/28
A61K47/18
A61K35/76
A61K35/407
A61K35/44
A61K35/28
A61K35/36
A61P43/00 105
A61P21/04
A61P7/06
A61P7/00
A61P25/00
A61P29/00
A61P17/00
A61P37/06
C12N5/077
C12N9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522490
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 US2022078050
(87)【国際公開番号】W WO2023064858
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513283268
【氏名又は名称】アペリス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APELLIS PHARMACEUTICALS,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】520439645
【氏名又は名称】ビーム セラピューティクス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】コレフ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,レイ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ボーヌード,タンギス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA31
4C076DD49
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE23
4C084AA13
4C084MA41
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA511
4C084ZA551
4C084ZA891
4C084ZA941
4C084ZB081
4C084ZB111
4C084ZB211
4C084ZC541
4C087AA01
4C087AA03
4C087BB44
4C087BB48
4C087BB52
4C087BB63
4C087BC83
4C087CA04
4C087CA08
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA51
4C087ZA55
4C087ZA89
4C087ZA94
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB21
4C087ZC54
(57)【要約】
本明細書に提供されるのは、新生児断片結晶化可能受容体(FcRn)タンパク質をコードする遺伝子および/または哺乳動物細胞におけるその発現もしくは活性を改変するための組成物および方法である。本明細書に開示される組成物および方法は、IgG抗体のFc領域に結合する能力が低減したバリアントFcRnタンパク質を提供する。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IgG受容体およびトランスポーターのFc断片(FcRn)ポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させる方法であって、前記方法が、前記FcRnポリヌクレオチドを、1つ以上のガイドポリヌクレオチドと、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびデアミナーゼドメインを含む塩基エディターとを含む塩基エディター系、または前記塩基エディター系をコードする1つ以上のポリヌクレオチドと接触させるステップを含み、
(a)前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、表2Bに列挙されるスペーサー核酸配列の少なくとも10から23個の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含むか、または
(b)前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、以下の参照配列:
FcRnアミノ酸配列
AESHLSLLYHLTAVSSPAPGTPAFWVSGWLGPQQYLSYNSLRGEAEPCGAWVWENQVSWYWEKETTDLRIKEKLFLEAFKALGGKGPYTLQGLLGCELGPDNTSVPTAKFALNGEEFMNFDLKQGTWGGDWPEALAISQRWQQQDKAANKELTFLLFSCPHRLREHLERGRGNLEWKEPPSMRLKARPSSPGFSVLTCSAFSFYPPELQLRFLRNGLAAGTGQGDFGPNSDGSFHASSSLTVKSGDEHHYCCIVQHAGLAQPLRVELESPAKSSVLVVGIVIGVLLLTAAAVGGALLWRRMRSGLPAPWISLRGDDTGVLLPTPGEAQDADLKDVNVIPATA(配列番号530)、または別のFcRnポリペプチド配列における対応する位置に対して、F110、L112、N113、E115、E116、F117、M118、N119、D121、L122、T126、W127、G128、D130、W131、P132、E133、A134、L135、およびI137からなる群から選択されるアミノ酸残基をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすように前記塩基エディターを標的化し、それによって前記FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させる、方法。
【請求項2】
前記核酸塩基の変化が、前記参照配列に対して、前記FcRnポリヌクレオチドによってコードされる前記FcRnポリペプチドにおける以下のアミノ酸変化のうちの1つ以上をもたらす、請求項1に記載の方法:F110L、F110S、F110P、L112P、N113S、N113D、.E115G、E115K、E116G、E116K、E116Q、F117P、M118N、M118V、M118I、M118T、N119G、N119D、N119S、N119C、D121G、L122F、L122A、L122P、T126I、T126S、T126N、T126A、W127R、G128S、D130G、D130N、D130H、W131R、W131Q、P132L、P132S、P132P、E133G、A134V、L135P、I137V、I137T。
【請求項3】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、前記参照配列中のアミノ酸M118またはW131をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすように前記塩基エディターを標的化する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸塩基の変化が、M118V、M118V、M118I、M118T、W131R、およびW131Qからなる群から選択される前記FcRnポリヌクレオチドによってコードされる前記FcRnポリペプチドにおけるアミノ酸変化をもたらす、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記FcRnポリペプチドにおける1つ以上のアミノ酸変化が、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4への前記FcRnポリペプチドの結合を低減または消失させる、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記FcRnポリペプチドにおける前記1つ以上のアミノ酸変化が、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4のFc領域への前記FcRnポリペプチドの結合を低減または消失させる、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドが、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4との結合について溶液中で、3000nMより大きいK
Dを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
変化した核酸塩基を含む前記FcRnポリヌクレオチドによってコードされる前記FcRnポリペプチドが、アルブミンに結合可能である、請求項2から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドが、アルブミンとの結合について溶液中で、2000nM未満のK
Dを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドが、アルブミンとの結合について溶液中で、1000nM未満のK
Dを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドの結合が、アルブミンとの結合について溶液中で、500nM未満のK
Dを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基が、少なくとも約20%の塩基編集効率で変化する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基が、少なくとも約40%の塩基編集効率で変化する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基が、少なくとも約50%の塩基編集効率で変化する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記デアミナーゼドメインが、DNAのシチジンまたはアデニンを脱アミノ化することができる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記デアミナーゼドメインが、アデノシンデアミナーゼドメインまたはシチジンデアミナーゼドメインである、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記アデノシンデアミナーゼが、前記FcRnポリヌクレオチドにおける標的A・TをG・Cに変換する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シチジンデアミナーゼが、前記FcRnポリヌクレオチドにおける標的C・GをT・Aに変換する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記シチジンデアミナーゼドメインが、APOBECデアミナーゼドメインまたはその誘導体である、請求項16または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記塩基エディターが、BE4塩基エディターである、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記アデノシンデアミナーゼドメインが、TadAデアミナーゼドメインである、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記デアミナーゼドメインが、アデノシンデアミナーゼドメインである、請求項16、17または21に記載の方法。
【請求項23】
前記アデノシンデアミナーゼが、TadA
*8またはTad
*9バリアントである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アデノシンデアミナーゼが、TadA
*8.1、TadA
*8.2、TadA
*8.3、TadA
*8.4、TadA
*8.5、TadA
*8.6、TadA
*8.7、TadA
*8.8、TadA
*8.9、TadA
*8.10、TadA
*8.11、TadA
*8.12、TadA
*8.13、TadA
*8.14、TadA
*8.15、TadA
*8.16、TadA
*8.17、TadA
*8.18、TadA
*8.19、TadA
*8.20、TadA
*8.21、TadA
*8.22、TadA
*8.23、またはTadA
*8.24である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記デアミナーゼドメインが、単量体またはヘテロ二量体である、請求項16、17、または21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記napDNAbpドメインが、Cas9またはCas12である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記napDNAbpが、ヌクレアーゼ不活性またはニッカーゼバリアントである、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記napDNAbpドメインが、Cas9、Cas12a/Cpfl、Cas12b/C2cl、Cas12c/C2c3、Cas12d/CasY、Cas12e/CasX、Cas12g、Cas12h、Cas12i、もしくはCas12j/CasΦポリヌクレオチド、またはそれらの機能的部分を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記napDNAbpドメインが、デッドCas9(dCas9)またはCas9ニッカーゼ(nCas9)を含む、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記napDNAbpドメインが、スタフィロコッカス・アウレウスCas9(SaCas9)、ストレプトコッカス・サーモフィルス1Cas9(St1Cas9)、ストレプトコッカス・ピオゲネスCas9(SpCas9)、またはそれらのバリアントである、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記napDNAbpドメインが、変化したプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)特異性を有するSpCas9またはSaCas9のバリアントを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記SpCas9またはSaCas9が、NGG、NGA、NGC、NNGRRT、およびNNNRRTからなる群から選択されるPAM配列に対する特異性を有し、Nが任意のヌクレオチドであり、RがAまたはGである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記napDNAbpドメインが、ヌクレアーゼ活性Cas9を含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記塩基エディターが、1つ以上のウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)をさらに含むか、または前記方法が、前記塩基エディターとトランスで細胞内でUGIを発現させるステップをさらに含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記塩基エディターが、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)をさらに含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記NLSが、バイパータイトNLSである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、以下のヌクレオチド配列のうちの1つを含むスキャフォールドを含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法:
GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU(SpCas9スキャフォールド;配列番号317)、または
GUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(SaCas9スキャフォールド;配列番号436)。
【請求項38】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、1つ以上の改変ヌクレオチドを含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ以上の改変ポリヌクレオチドが、前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドの5’末端および/または3’末端にある、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記1つ以上の改変ヌクレオチドが、2’-O-メチル-3’-ホスホロチオエートヌクレオチドである、請求項38または請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、19から23ヌクレオチドからなるスペーサーを含む、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、19または20ヌクレオチドからなるスペーサーを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記塩基エディターが、前記デアミナーゼドメイン、前記napDNAbpドメイン、および前記ガイドポリヌクレオチドを含む複合体を含むか、または前記塩基エディターが、前記デアミナーゼドメインに融合した前記napDNAbpドメインを含む融合タンパク質である、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記FcRnポリヌクレオチドが細胞内にある、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞が、肝細胞、内皮細胞、骨髄性細胞、または上皮細胞である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞が、in vivoまたはex vivoである、請求項44または請求項45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞が対象内にある、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象が哺乳動物である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記哺乳動物がヒトである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
請求項1から49のいずれか一項に記載の方法によって産生された細胞。
【請求項51】
IgG受容体およびトランスポーターのFc断片(FcRn)ポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させるための塩基エディター系であって、前記塩基エディター系が、(i)1つ以上のガイドポリヌクレオチド、または前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、および(ii)核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびデアミナーゼドメインを含む塩基エディター、または前記塩基エディターをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含み、
(a)前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、表2Bに列挙されるスペーサー核酸配列の少なくとも10から23個の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含むか、または
(b)前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、以下の参照配列:
FcRnアミノ酸配列
AESHLSLLYHLTAVSSPAPGTPAFWVSGWLGPQQYLSYNSLRGEAEPCGAWVWENQVSWYWEKETTDLRIKEKLFLEAFKALGGKGPYTLQGLLGCELGPDNTSVPTAKFALNGEEFMNFDLKQGTWGGDWPEALAISQRWQQQDKAANKELTFLLFSCPHRLREHLERGRGNLEWKEPPSMRLKARPSSPGFSVLTCSAFSFYPPELQLRFLRNGLAAGTGQGDFGPNSDGSFHASSSLTVKSGDEHHYCCIVQHAGLAQPLRVELESPAKSSVLVVGIVIGVLLLTAAAVGGALLWRRMRSGLPAPWISLRGDDTGVLLPTPGEAQDADLKDVNVIPATA(配列番号530)、または別のFcRnポリペプチド配列における対応する位置に対して、F110、L112、N113、E115、E116、F117、M118、N119、D121、L122、T126、W127、G128、D130、W131、P132、E133、A134、L135、およびI137からなる群から選択されるアミノ酸残基をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすように前記塩基エディターを標的化する、塩基エディター系。
【請求項52】
前記核酸塩基の変化が、前記参照配列に対して、前記FcRnポリヌクレオチドによってコードされる前記FcRnポリペプチドにおける以下のアミノ酸変化:F110L、F110S、F110P、L112P、N113S、N113D、.E115G、E115K、E116G、E116K、E116Q、F117P、M118N、M118V、M118I、M118T、N119G、N119D、N119S、N119C、D121G、L122F、L122A、L122P、T126I、T126S、T126N、T126A、W127R、G128S、D130G、D130N、D130H、W131R、W131Q、P132L、P132S、P132P、E133G、A134V、L135P、I137V、I137Tのうちの1つ以上をもたらす、請求項51に記載の塩基エディター系。
【請求項53】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、前記参照配列中のアミノ酸M118またはW131をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすように前記塩基エディターを標的化する、請求項51に記載の塩基エディター系。
【請求項54】
前記核酸塩基の変化が、M118V、M118V、M118I、M118T、W131R、およびW131Qからなる群から選択される前記FcRnポリヌクレオチドによってコードされる前記FcRnポリペプチドにおけるアミノ酸変化をもたらす、請求項53に記載の塩基エディター系。
【請求項55】
前記FcRnポリペプチドにおける1つ以上のアミノ酸変化が、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4への前記FcRnポリペプチドの結合を低減または消失させる、請求項52から54のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項56】
前記FcRnポリペプチドにおける前記1つ以上のアミノ酸変化が、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4のFc領域への前記FcRnポリペプチドの結合を低減または消失させる、請求項52から55のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項57】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドが、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4との結合について溶液中で、3000nMより大きいK
Dを有する、請求項56に記載の塩基エディター系。
【請求項58】
変化した核酸塩基を含む前記FcRnポリヌクレオチドによってコードされる前記FcRnポリペプチドが、アルブミンに結合可能である、請求項52から57のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項59】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドが、アルブミンとの結合について溶液中で、2000nM未満のK
Dを有する、請求項58に記載の塩基エディター系。
【請求項60】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドが、アルブミンとの結合について溶液中で、1000nM未満のK
Dを有する、請求項58に記載の塩基エディター系。
【請求項61】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドの結合が、アルブミンとの結合について溶液中で500nM未満のK
Dを有する、請求項58に記載の塩基エディター系。
【請求項62】
前記FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基が、少なくとも約20%の塩基編集効率で変化する、請求項51から61のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項63】
前記FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基が、少なくとも約40%の塩基編集効率で変化する、請求項51から62のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項64】
前記FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基が、少なくとも約50%の塩基編集効率で変化する、請求項51から63のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項65】
前記デアミナーゼドメインが、DNAのシチジンまたはアデニンを脱アミノ化することができる、請求項51から64のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項66】
前記デアミナーゼドメインが、アデノシンデアミナーゼドメインまたはシチジンデアミナーゼドメインである、請求項51から8のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項67】
前記アデノシンデアミナーゼが、前記FcRnポリヌクレオチドにおける標的A・TをG・Cに変換する、請求項66に記載の塩基エディター系。
【請求項68】
前記シチジンデアミナーゼが、前記FcRnポリヌクレオチドにおける標的C・GをT・Aに変換する、請求項66に記載の塩基エディター系。
【請求項69】
前記シチジンデアミナーゼドメインが、APOBECデアミナーゼドメインまたはその誘導体である、請求項66に記載の塩基エディター系。
【請求項70】
前記塩基エディターが、BE4塩基エディターである、請求項51から66のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項71】
前記アデノシンデアミナーゼドメインが、TadAデアミナーゼドメインである、請求項66または請求項67に記載の塩基エディター系。
【請求項72】
前記デアミナーゼドメインが、アデノシンデアミナーゼドメインである、請求項51から67または請求項71のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項73】
前記アデノシンデアミナーゼが、TadA
*8またはTad
*9バリアントである、請求項72に記載の塩基エディター系。
【請求項74】
前記アデノシンデアミナーゼが、TadA
*8.1、TadA
*8.2、TadA
*8.3、TadA
*8.4、TadA
*8.5、TadA
*8.6、TadA
*8.7、TadA
*8.8、TadA
*8.9、TadA
*8.10、TadA
*8.11、TadA
*8.12、TadA
*8.13、TadA
*8.14、TadA
*8.15、TadA
*8.16、TadA
*8.17、TadA
*8.18、TadA
*8.19、TadA
*8.20、TadA
*8.21、TadA
*8.22、TadA
*8.23、またはTadA
*8.24である、請求項72または請求項73に記載の塩基エディター系。
【請求項75】
前記デアミナーゼドメインが、単量体またはヘテロ二量体である、請求項72から74のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項76】
前記napDNAbpドメインが、Cas9またはCas12である、請求項51から75のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項77】
前記napDNAbpドメインが、ヌクレアーゼ不活性またはニッカーゼバリアントである、請求項51から76のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項78】
前記napDNAbpドメインが、Cas9、Cas12a/Cpfl、Cas12b/C2cl、Cas12c/C2c3、Cas12d/CasY、Cas12e/CasX、Cas12g、Cas12h、Cas12i、もしくはCas12j/CasΦポリヌクレオチド、またはそれらの機能的部分を含む、請求項51から77のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項79】
前記napDNAbpドメインが、デッドCas9(dCas9)またはCas9ニッカーゼ(nCas9)を含む、請求項51から78のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項80】
前記napDNAbpドメインが、スタフィロコッカス・アウレウスCas9(SaCas9)、ストレプトコッカス・サーモフィルス1Cas9(St1Cas9)、ストレプトコッカス・ピオゲネスCas9(SpCas9)、またはそれらのバリアントである、請求項51から79のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項81】
前記napDNAbpドメインが、変化したプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)特異性を有するSpCas9またはSaCas9のバリアントを含む、請求項51から80に記載の塩基エディター系。
【請求項82】
前記SpCas9またはSaCas9が、NGG、NGA、NGC、NNGRRT、およびNNNRRTからなる群から選択されるPAM配列に対する特異性を有し、Nが任意のヌクレオチドであり、RがAまたはGである、請求項81に記載の塩基エディター系。
【請求項83】
前記napDNAbpドメインが、ヌクレアーゼ活性Cas9を含む、請求項51から82のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項84】
前記塩基エディターが、1つ以上のウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)をさらに含むか、または前記塩基エディター系が、前記塩基エディターとトランスでUGIをさらに含む、請求項51から83のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項85】
前記塩基エディターが、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)をさらに含む、請求項51から84のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項86】
前記NLSが、バイパータイトNLSである、請求項85に記載の塩基エディター系。
【請求項87】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、以下のヌクレオチド配列:
GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU(SpCas9スキャフォールド;配列番号317)、または
GUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(SaCas9スキャフォールド;配列番号436)
のうちの1つを含むスキャフォールドを含む、請求項51から86のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項88】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、1つ以上の改変ヌクレオチドを含む、請求項51から88のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項89】
前記1つ以上の改変ポリヌクレオチドが、前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドの5’末端および/または3’末端にある、請求項88に記載の塩基エディター系。
【請求項90】
前記1つ以上の改変ヌクレオチドが、2’-O-メチル-3’-ホスホロチオエートヌクレオチドである、請求項88または請求項89に記載の塩基エディター系。
【請求項91】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、19から23ヌクレオチドからなるスペーサーを含む、請求項88から90のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項92】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、19または20ヌクレオチドからなるスペーサーを含む、請求項91に記載の塩基エディター系。
【請求項93】
前記塩基エディターが、前記デアミナーゼドメイン、前記napDNAbpドメイン、および前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドを含む複合体を含むか、または前記塩基エディターが、前記デアミナーゼドメインに融合した前記napDNAbpドメインを含む融合タンパク質である、請求項51から92のいずれか一項に記載の塩基エディター系。
【請求項94】
請求項51から93のいずれか一項に記載の塩基エディター系をコードするポリヌクレオチド。
【請求項95】
請求項94に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項96】
前記ベクターが、脂質ナノ粒子を含む、請求項95に記載のベクター。
【請求項97】
前記脂質ナノ粒子が、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、脂質-ポリエチレングリコールコンジュゲート、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される脂質を含む脂質単分子層を含む、請求項96に記載のベクター。
【請求項98】
前記脂質単分子層がPEG化脂質を含む、請求項97に記載のベクター。
【請求項99】
前記脂質単分子層がコレステロールをさらに含む、請求項97または請求項98に記載のベクター。
【請求項100】
前記脂質ナノ粒子が、N-メチル-N-(2-(アルギノイルアミノ)エチル)-N,N-ジオクタデシルアミニウムクロリドまたはジステアロイルアルギニルアンモニウムクロリド](DSAA);N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N’-(N6-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド(DMGLA);N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N2-グアニジノ-L-リシニル]アミノエチルアンモニウムクロリド;N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N’-(N2,N6-ジ-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド;N,N-ジ-ステアロイル-N-メチル-N-2[N’-(N6-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド;N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP);N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジステアリル-Ν,Ν-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB);3-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Choi);N-(l,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);l,3-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン、N-(l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-(2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチル-1アンモニウムトリフルオロ-アセテート(DOSPA);GAP-DLRIE;DMDHP;3-p[4N-(H8N-ジグアニジノスペルミジン)-カルバモイル]コレステロール(BGSC);3-P[N,N-ジグアニジノエチル-アミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(BGTC);N,N\N2,N3テトラ-メチルテトラパルミチルスペルミン(セルフェクチン);N-t-ブチル-N’-テトラデシル-3-テトラデシル-アミノプロピオン-アミジン(CLONフェクチン);ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB);l,3-ジオレオイルオキシ-2-(6-カルボキシスペルミル)-プロピルアミド(DOSPER);4-(2,3-ビス-パルミトイルオキシ-プロピル)-1-メチル-lH-イミダゾール(DPIM)N,N,N’,N’-テトラメチル-N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジオレオイルオキシ-1,4-ブタンジアンモニウムヨージド)(Tfx-50);1,2ジオレオイル-3-(4’-トリメチルアンモニオ)ブタノール-sn-グリセロール(DOBT);トリメチルアンモニウム基が、ブタノールのスペーサーアームを介して、二重鎖(DOTBの場合)またはコレステリル基(ChOTBの場合)のいずれかに結合しているコレステリル(4’トリメチルアンモニア)ブタノエート(ChOTB);DL-l,2-ジオレオイル-3-ジメチルアミノプロピル-P-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORI);DL-l,2-0-ジオレオイル-3-ジメチルアミノプロピル-P-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORIE);l,2-ジオレオイル-3-スクシニル-sn-グリセロールコリンエステル(DOSC);コレステリルヘミスクシネートエステル(ChOSC);ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS);ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミルスペルミン(DPPES);コレステリル-3P-カルボキシル-アミド-エチレントリメチルアンモニウムヨージド;l-ジメチルアミノ-3-トリメチルアンモニオ-DL-2-プロピル-コレステリルカルボキシレートヨージド;コレステリル-3-β-カルボキシアミドエチレンアミン;コレステリル-3-P-オキシスクシンアミド-エチレントリメチルアンモニウムヨージド;l-ジメチルアミノ-3-トリメチルアンモニオ-DL-2-プロピル-コレステリル-3-P-オキシスクシネートヨージド;2-(2-トリメチルアンモニオ)-エチルメチルアミノエチル-コレステリル-3-P-オキシスクシネートヨージド;3-β-Ν-(ポリエチレンイミン)-カルバモイルコレステロール、DC-コレステロール;N4-コレステリル-スペルミンHCl塩(GL67);N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキサミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンズアミド(MVL5);およびそれらの組合せからなる群から選択されるイオン化カチオン性脂質を含む、請求項96から99のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項101】
前記ベクターが、ポリマーナノ粒子を含む、請求項95に記載のベクター。
【請求項102】
前記ベクターが、ウイルスベクターである、請求項95に記載のベクター。
【請求項103】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項102に記載のベクター。
【請求項104】
請求項94に記載のポリヌクレオチドまたは請求項95から103のいずれか一項に記載のベクターを含む細胞。
【請求項105】
前記細胞が、肝細胞、内皮細胞、骨髄性細胞、または上皮細胞である、請求項104に記載の細胞。
【請求項106】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項104または請求項105に記載の細胞。
【請求項107】
前記細胞がヒト細胞である、請求項106に記載の細胞。
【請求項108】
請求項51から93のいずれか一項に記載の塩基エディター系、請求項94に記載のポリヌクレオチド、請求項95から103のいずれか一項に記載のベクター、または請求項104から107のいずれか一項に記載の細胞を含む組成物。
【請求項109】
請求項108に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項110】
免疫グロブリンGによって媒介される自己免疫障害の治療を必要とする対象において免疫グロブリンGによって媒介される自己免疫障害を治療する方法であって、1つ以上のガイドポリヌクレオチドと、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびデアミナーゼドメインを含む塩基エディターとを含む塩基エディター系、または前記塩基エディター系をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを、前記対象に投与することによって、前記対象においてFcRnポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させるステップを含み、
(a)前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、表2Bに列挙されるスペーサー核酸配列の少なくとも10から23個の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含むか、または
(b)前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、以下の参照配列:
FcRnアミノ酸配列
AESHLSLLYHLTAVSSPAPGTPAFWVSGWLGPQQYLSYNSLRGEAEPCGAWVWENQVSWYWEKETTDLRIKEKLFLEAFKALGGKGPYTLQGLLGCELGPDNTSVPTAKFALNGEEFMNFDLKQGTWGGDWPEALAISQRWQQQDKAANKELTFLLFSCPHRLREHLERGRGNLEWKEPPSMRLKARPSSPGFSVLTCSAFSFYPPELQLRFLRNGLAAGTGQGDFGPNSDGSFHASSSLTVKSGDEHHYCCIVQHAGLAQPLRVELESPAKSSVLVVGIVIGVLLLTAAAVGGALLWRRMRSGLPAPWISLRGDDTGVLLPTPGEAQDADLKDVNVIPATA(配列番号436)、または別のFcRnポリペプチド配列における対応する位置に対して、F110、L112、N113、E115、E116、F117、M118、N119、D121、L122、T126、W127、G128、D130、W131、P132、E133、A134、L135、およびI137からなる群から選択されるアミノ酸残基をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすように前記塩基エディターを標的化し、それによって前記自己免疫障害を治療する、方法。
【請求項111】
前記核酸塩基の変化が、前記参照配列に対して、前記FcRnポリヌクレオチドによってコードされる前記FcRnポリペプチドにおける以下のアミノ酸変化:F110L、F110S、F110P、L112P、N113S、N113D、.E115G、E115K、E116G、E116K、E116Q、F117P、M118N、M118V、M118I、M118T、N119G、N119D、N119S、N119C、D121G、L122F、L122A、L122P、T126I、T126S、T126N、T126A、W127R、G128S、D130G、D130N、D130H、W131R、W131Q、P132L、P132S、P132P、E133G、A134V、L135P、I137V、I137Tのうちの1つ以上をもたらす、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、前記参照配列中のアミノ酸M118またはW131をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすように前記塩基エディターを標的化する、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記核酸塩基の変化が、M118V、M118V、M118I、M118T、W131R、およびW131Qからなる群から選択される前記FcRnポリヌクレオチドによってコードされる前記FcRnポリペプチドにおけるアミノ酸変化をもたらす、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記FcRnポリペプチドにおける1つ以上のアミノ酸変化が、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4への前記FcRnポリペプチドの結合を低減または消失させる、請求項111から113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記FcRnポリペプチドにおける前記1つ以上のアミノ酸変化が、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4のFc領域への前記FcRnポリペプチドの結合を低減または消失させる、請求項111から113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドが、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4との結合について溶液中で、3000nMより大きいK
Dを有する、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
変化した核酸塩基を含む前記FcRnポリヌクレオチドによってコードされる前記FcRnポリペプチドが、アルブミンに結合可能である、請求項111から116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドが、アルブミンとの結合について溶液中で、2000nM未満のK
Dを有する、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドが、アルブミンとの結合について溶液中で、1000nM未満のK
Dを有する、請求項117に記載の方法。
【請求項120】
前記1つ以上のアミノ酸変化を含む前記FcRnポリペプチドの結合が、アルブミンとの結合について溶液中で、500nM未満のK
Dを有する、請求項117に記載の方法。
【請求項121】
前記対象における免疫グロブリンGポリペプチドのレベルを少なくとも約25%減少させるステップを含む、請求項110から120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記対象における免疫グロブリンGポリペプチドのレベルを少なくとも約50%減少させるステップを含む、請求項110から121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記対象における免疫グロブリンGポリペプチドのレベルを少なくとも約70%減少させるステップを含む、請求項110から122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記FcRnポリヌクレオチドの前記核酸塩基が、少なくとも約20%の塩基編集効率で変化する、請求項110から123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記FcRnポリヌクレオチドの前記核酸塩基が、少なくとも約40%の塩基編集効率で変化する、請求項110から124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記FcRnポリヌクレオチドの前記核酸塩基が、少なくとも約50%の塩基編集効率で変化する、請求項110から125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記障害が、重症筋無力症(gMG)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、グレーブス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、尋常性天疱瘡、ならびに胎児および新生児の溶血性疾患(HDFN)からなる群から選択される、請求項110から126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記デアミナーゼドメインが、DNAのシチジンまたはアデニンを脱アミノ化することができる、請求項110から127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記デアミナーゼドメインが、アデノシンデアミナーゼドメインまたはシチジンデアミナーゼドメインである、請求項110から128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記アデノシンデアミナーゼが、前記FcRnポリヌクレオチドにおける標的A・TをG・Cに変換する、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記シチジンデアミナーゼが、前記FcRnポリヌクレオチドにおける標的C・GをT・Aに変換する、請求項129に記載の方法。
【請求項132】
前記シチジンデアミナーゼドメインが、APOBECデアミナーゼドメインまたはその誘導体である、請求項129または請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記塩基エディターが、BE4塩基エディターである、請求項110から129、請求項131、または請求項132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記アデノシンデアミナーゼドメインが、TadAデアミナーゼドメインである、請求項129または請求項130に記載の方法。
【請求項135】
前記デアミナーゼドメインが、アデノシンデアミナーゼドメインである、請求項129、130、または134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記アデノシンデアミナーゼが、TadA
*8またはTad
*9バリアントである、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記アデノシンデアミナーゼが、TadA
*8.1、TadA
*8.2、TadA
*8.3、TadA
*8.4、TadA
*8.5、TadA
*8.6、TadA
*8.7、TadA
*8.8、TadA
*8.9、TadA
*8.10、TadA
*8.11、TadA
*8.12、TadA
*8.13、TadA
*8.14、TadA
*8.15、TadA
*8.16、TadA
*8.17、TadA
*8.18、TadA
*8.19、TadA
*8.20、TadA
*8.21、TadA
*8.22、TadA
*8.23、またはTadA
*8.24である、請求項135または請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記デアミナーゼドメインが、単量体またはヘテロ二量体である、請求項110から137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記napDNAbpドメインが、Cas9またはCas12である、請求項110から138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記napDNAbpドメインが、ヌクレアーゼ不活性またはニッカーゼバリアントである、請求項110から139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記napDNAbpドメインが、Cas9、Cas12a/Cpfl、Cas12b/C2cl、Cas12c/C2c3、Cas12d/CasY、Cas12e/CasX、Cas12g、Cas12h、Cas12i、もしくはCas12j/CasΦポリヌクレオチド、またはそれらの機能的部分を含む、請求項110から140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記napDNAbpドメインが、デッドCas9(dCas9)またはCas9ニッカーゼ(nCas9)を含む、請求項110から141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記napDNAbpドメインが、スタフィロコッカス・アウレウスCas9(SaCas9)、ストレプトコッカス・サーモフィルス1Cas9(St1Cas9)、ストレプトコッカス・ピオゲネスCas9(SpCas9)、またはそれらのバリアントである、請求項110から142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記napDNAbpドメインが、変化したプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)特異性を有するSpCas9またはSaCas9のバリアントを含む、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記SpCas9またはSaCas9が、NGG、NGA、NGC、NNGRRT、およびNNNRRTからなる群から選択されるPAM配列に対する特異性を有し、Nが任意のヌクレオチドであり、RがAまたはGである、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記napDNAbpドメインが、ヌクレアーゼ活性Cas9を含む、請求項110から145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記塩基エディターが、1つ以上のウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)をさらに含むか、または前記方法が、前記塩基エディターとトランスで細胞内でUGIを発現させるステップをさらに含む、請求項110から146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
前記塩基エディターが、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)をさらに含む、請求項110から147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記NLSが、バイパータイトNLSである、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、以下のヌクレオチド配列:
GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU(SpCas9スキャフォールド;配列番号317)、または
GUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(SaCas9スキャフォールド;配列番号436)
のうちの1つを含むスキャフォールドを含む、請求項110から149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、1つ以上の改変ヌクレオチドを含む、請求項110から150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記1つ以上の改変ポリヌクレオチドが、前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドの5’末端および/または3’末端にある、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記1つ以上の改変ヌクレオチドが、2’-O-メチル-3’-ホスホロチオエートヌクレオチドである、請求項151または請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、19から23ヌクレオチドからなるスペーサーを含む、請求項110から153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドが、19または20ヌクレオチドからなるスペーサーを含む、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記塩基エディターが、前記デアミナーゼドメイン、前記napDNAbpドメイン、および前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドを含む複合体を含むか、または前記塩基エディターが、前記デアミナーゼドメインに融合した前記napDNAbpドメインを含む融合タンパク質である、請求項110から155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記投与が局所投与である、請求項110から156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記投与が全身投与である、請求項110から157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記塩基エディター系が、ベクターを使用して前記対象に投与される、請求項110から158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記ベクターが脂質ナノ粒子である、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記ベクターが肝臓を標的とする、請求項159または請求項160に記載の方法。
【請求項162】
前記対象が哺乳動物である、請求項110から161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記哺乳動物がヒトである、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
上記請求項のいずれか一項に記載の方法における使用に適し、表2Aまたは表2Bに列挙される配列を含むガイドポリヌクレオチドを含むキット。
【請求項165】
IgG受容体およびトランスポーターのFc断片(FcRn)ポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させる方法であって、前記FcRnポリヌクレオチドを、gRNA1583、gRNA1578、gRNA3265からなる群から選択される1つ以上のガイドポリヌクレオチド、またはそれらをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、ならびに核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびアデノシンデアミナーゼドメインを含む塩基エディター、または前記塩基エディターをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む塩基エディター系と接触させるステップを含み;それによって前記FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させる、方法。
【請求項166】
gRNA1583、gRNA1578、gRNA3265からなる群から選択される1つ以上のガイドポリヌクレオチド、またはそれらをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、ならびに核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびアデノシンデアミナーゼドメインを含む塩基エディター、または前記塩基エディターをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む塩基エディター系。
【請求項167】
表2Aまたは表2Bに列挙される配列を含むガイドポリヌクレオチド。
【請求項168】
哺乳動物細胞において新生児断片結晶化可能受容体(FcRn)タンパク質を改変する方法であって、前記細胞をガイドRNAおよびゲノムエディターと接触させるステップを含み、前記ガイドRNAが、FCGRT遺伝子の一部と相補的なヌクレオチド配列を含み、前記細胞において前記FCGRT遺伝子の改変をもたらすように前記ゲノムエディターを標的化し、前記改変が、前記FCGRT遺伝子によってコードされる前記FcRnタンパク質のアミノ酸配列を変化させる、方法。
【請求項169】
前記ゲノムエディターが、塩基エディターまたはプライムエディターを含む、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
IgG媒介性自己免疫障害の治療を必要とする対象において、IgG媒介性自己免疫障害を治療する方法であって、前記対象の哺乳動物細胞において新生児断片結晶化可能受容体(FcRn)タンパク質を改変するステップを含む方法。
【請求項171】
前記FcRnタンパク質を改変するステップが、前記対象の前記哺乳動物細胞においてFCGRT遺伝子をゲノム編集するステップを含む、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
前記ゲノム編集するステップが、前記哺乳動物細胞をガイドRNAおよびゲノムエディターと接触させるステップを含み、前記ガイドRNAが、前記FCGRT遺伝子の一部と相補的なヌクレオチド配列を含み、前記細胞における前記FCGRT遺伝子の改変をもたらすように前記ゲノムエディターを標的化し、前記改変が、前記FCGRT遺伝子によってコードされる前記FcRnタンパク質のアミノ酸配列を変化させる、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記ゲノムエディターが、塩基エディターまたはプライムエディターを含む、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記塩基エディターまたはプライムエディターが、ナノ粒子、ウイルスベクター、または電気穿孔を介して前記哺乳動物細胞に送達される、請求項169または請求項173に記載の方法。
【請求項175】
前記ナノ粒子が、金ナノ粒子、脂質ナノ粒子、またはポリマーナノ粒子である、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、またはセンダイウイルスから選択される、請求項174に記載の方法。
【請求項177】
前記改変されたFcRnタンパク質が、1つ以上の単一ヌクレオチド改変または変化を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項178】
前記改変されたFcRnが、IgG抗体のFc領域に結合する能力の低減を示す、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項179】
前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項180】
前記哺乳動物細胞が、ex vivo、in vivo、またはin vitroである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項181】
接触した細胞が、参照FcRnタンパク質に対して少なくとも1つのアミノ酸変化を含むバリアントFcRnタンパク質を発現する、請求項168から180のいずれかに記載の方法。
【請求項182】
前記ゲノムエディターが、核酸プログラマブルDNA結合ドメイン、および前記FCGRT遺伝子における標的C-GをT-Aに変換するか、または標的G-CをA-Tに変換するシチジンデアミナーゼドメインを含む塩基エディターである、請求項168から169または172から181のいずれかに記載の方法。
【請求項183】
前記ゲノムエディターが、核酸プログラマブルDNA結合ドメイン、および前記FCGRT遺伝子における標的A-TをG-Cに変換するか、または標的T-AをC-Gに変換するアデノシンデアミナーゼドメインを含む塩基エディターである、請求項168から169または172から181のいずれかに記載の方法。
【請求項184】
前記核酸プログラマブルDNA結合ドメインが、触媒的に不活性化された(デッド)Cas9(dCas9)またはCas9ニッカーゼ(nCas9)を含む、請求項182または請求項183に記載の方法。
【請求項185】
前記ゲノムエディターが、核酸プログラマブルDNA結合ドメインおよび逆転写酵素を含むプライムエディターであり、前記ガイドRNAがプライム編集ガイドRNA(pegRNA)であり、前記プライムエディターが、前記FCGRT遺伝子における1つ以上のヌクレオチドを異なるヌクレオチドに置き換える、請求項168から169または172から181のいずれかに記載の方法。
【請求項186】
前記核酸プログラマブルDNA結合ドメインが、触媒的に不活性化された(デッド)Cas9(dCas9)またはCas9ニッカーゼ(nCas9)を含む、請求項185に記載の方法。
【請求項187】
前記改変されたFcRnタンパク質が、112位のロイシン(L)、115位のグルタミン酸(E)、116位のグルタミン酸(E)、131位のトリプトファン(W)、132位のプロリン(P)、および133位のグルタミン酸(E)からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸において参照FcRnタンパク質とは異なる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項188】
前記改変されたFcRnタンパク質が、
図3に示される1つ以上の突然変異を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項189】
前記ガイドRNAおよび前記ゲノムエディターが、FcRnまたはアルブミンに結合するターゲティング部分にコンジュゲートしている、請求項168から169または172から188のいずれかに記載の方法。
【請求項190】
前記ターゲティング部分が、IgGのFcドメイン、FcRnに特異的に結合する抗体、アルブミンに特異的に結合する抗体、アルブミンに結合するペプチド、アルブミン、またはそれらの断片もしくは誘導体からなる群から選択される、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
ガイドRNAおよびゲノムエディターを含む組成物であって、前記ガイドRNAがFCGRT遺伝子の一部と相補的なヌクレオチド配列を含み、細胞内の前記FCGRT遺伝子に改変をもたらすように塩基ゲノムエディターを標的化し、前記改変が、前記FCGRT遺伝子によってコードされるFcRNタンパク質のアミノ酸配列を変化させる、組成物。
【請求項192】
FcRnまたはアルブミンに結合するターゲティング部分を含む送達ビヒクルをさらに含む、請求項191に記載の組成物。
【請求項193】
前記ターゲティング部分が、IgGのFcドメイン、FcRnに特異的に結合する抗体、アルブミンに特異的に結合する抗体、アルブミンに結合するペプチド、アルブミン、またはそれらの断片もしくは誘導体からなる群から選択される、請求項192に記載の方法。
【請求項194】
脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つの断片結晶化可能(Fc)領域またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と、
前記脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスと
を含む脂質ナノ粒子(LNP)。
【請求項195】
前記脂質コアマトリクスが、少なくとも1つの核酸を含む、請求項194に記載のLNP。
【請求項196】
前記核酸が、DNAまたはRNAからなる群から選択される、請求項195に記載のLNP。
【請求項197】
前記RNAが、siRNAまたはガイドRNAである、請求項196に記載のLNP。
【請求項198】
前記siRNAまたはガイドRNAが、FCGRT遺伝子を改変またはサイレンシングする、請求項197に記載のLNP。
【請求項199】
前記脂質単分子層膜が、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、脂質-ポリエチレングリコールコンジュゲート、およびそれらの組合せからなる群から選択される脂質から構成される、請求項194から198のいずれかに記載のLNP。
【請求項200】
前記脂質単分子層膜の前記脂質の少なくとも一部がPEG化されている、請求項199に記載のLNP。
【請求項201】
前記脂質単分子層が、コレステロールをさらに含む、請求項199に記載のLNP。
【請求項202】
前記脂質コアマトリクスが、N-メチル-N-(2-(アルギノイルアミノ)エチル)-N,N-ジオクタデシルアミニウムクロリドまたはジステアロイルアルギニルアンモニウムクロリド](DSAA);N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N’-(N6-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド(DMGLA);N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N2-グアニジノ-L-リシニル]アミノエチルアンモニウムクロリド;N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N’-(N2,N6-ジ-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド;N,N-ジ-ステアロイル-N-メチル-N-2[N’-(N6-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド;N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP);N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジステアリル-Ν,Ν-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB);3-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Choi);N-(l,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);l,3-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン、N-(l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-(2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチル-1アンモニウムトリフルオロ-アセテート(DOSPA);GAP-DLRIE;DMDHP;3-p[4N-(H8N-ジグアニジノスペルミジン)-カルバモイル]コレステロール(BGSC);3-P[N,N-ジグアニジノエチル-アミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(BGTC);N,N\N2,N3テトラ-メチルテトラパルミチルスペルミン(セルフェクチン);N-t-ブチル-N’-テトラデシル-3-テトラデシル-アミノプロピオン-アミジン(CLONフェクチン);ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB);l,3-ジオレオイルオキシ-2-(6-カルボキシスペルミル)-プロピルアミド(DOSPER);4-(2,3-ビス-パルミトイルオキシ-プロピル)-1-メチル-lH-イミダゾール(DPIM)N,N,N’,N’-テトラメチル-N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジオレオイルオキシ-1,4-ブタンジアンモニウムヨージド)(Tfx-50);1,2ジオレオイル-3-(4’-トリメチルアンモニオ)ブタノール-sn-グリセロール(DOBT);トリメチルアンモニウム基が、ブタノールのスペーサーアームを介して、二重鎖(DOTBの場合)またはコレステリル基(ChOTBの場合)のいずれかに結合しているコレステリル(4’トリメチルアンモニア)ブタノエート(ChOTB);DL-l,2-ジオレオイル-3-ジメチルアミノプロピル-P-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORI);DL-l,2-0-ジオレオイル-3-ジメチルアミノプロピル-P-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORIE);l,2-ジオレオイル-3-スクシニル-sn-グリセロールコリンエステル(DOSC);コレステリルヘミスクシネートエステル(ChOSC);ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS);ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミルスペルミン(DPPES);コレステリル-3P-カルボキシル-アミド-エチレントリメチルアンモニウムヨージド;l-ジメチルアミノ-3-トリメチルアンモニオ-DL-2-プロピル-コレステリルカルボキシレートヨージド;コレステリル-3-β-カルボキシアミドエチレンアミン;コレステリル-3-P-オキシスクシンアミド-エチレントリメチルアンモニウムヨージド;l-ジメチルアミノ-3-トリメチルアンモニオ-DL-2-プロピル-コレステリル-3-P-オキシスクシネートヨージド;2-(2-トリメチルアンモニオ)-エチルメチルアミノエチル-コレステリル-3-P-オキシスクシネートヨージド;3-β-Ν-(ポリエチレンイミン)-カルバモイルコレステロール、DC-コレステロール;N4-コレステリル-スペルミンHCl塩(GL67);N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキサミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンズアミド(MVL5);およびそれらの組合せからなる群から選択されるイオン化カチオン性脂質を含む、請求項194から201のいずれかに記載のLNP。
【請求項203】
請求項194から202のいずれかに記載の少なくとも1つのLNPと、
少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と
を含む医薬組成物。
【請求項204】
IgG媒介性自己免疫障害の治療を必要とする対象においてIgG媒介性自己免疫障害を治療する方法であって、請求項194から202のいずれかに記載のLNPを前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項205】
細胞におけるFcRnをコードするゲノム配列の発現をサイレンシングするか、または改変する方法であって、前記細胞を請求項194から202のいずれかに記載のLNPと接触させるステップを含む方法。
【請求項206】
FcRnの改変が、アルブミンの半減期を妨げない、先行する請求項のいずれかに記載の方法または組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月13日に出願された米国仮出願第63/255,290号に対する優先権およびその利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、XML形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体はこれにより参照により本明細書に組み込まれる。2022年10月9日に作成された配列表XMLファイルは、180802_049101_PCT_SL.xmlと名前を付けられ、970,484バイトのサイズである。
【技術分野】
【0003】
本開示はゲノム編集の分野に関する。具体的には、本開示は、新生児Fc受容体(FcRn)遺伝子であるFCGRTを編集、その発現を改変、および/またはそれをサイレンシングするための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
免疫グロブリンG(IgG)は、体組織の感染を制御する場合に、血液循環および細胞外液中に見出される最も一般的な種類の抗体である。IgGは抗原に直接結合することができるが、IgGの断片結晶化可能(Fc)領域も細胞上の受容体に結合して免疫応答をもたらす。Fcガンマ受容体(FcγR)のファミリーには、FCGRT遺伝子によってコードされる非定型新生児Fc受容体(FcRn)が含まれる。FcRnは、IgGおよびアルブミンを再循環させ、維持し、またIgGおよびアルブミンを、極性化した細胞バリアを越えて輸送するように機能し、それによって循環中のIgGおよびアルブミンの半減期を増加させる。FcRnはまた、IgG免疫複合体(IC)に由来するペプチドと相互作用し、その抗原提示を促進する。
【0005】
FcRnは、母親から子どもへ母体IgG抗体を輸送する受容体として最初に同定された。当初、FcRnは胎児期および新生児期の間の胎盤および腸組織にのみ存在すると考えられていた。しかしながら、現在では、FcRnは、上皮、内皮、および造血器由来の細胞を含む、全身の多くの組織において発現することが知られている。具体的には、上皮におけるFcRn発現は、腸、胎盤、腎臓、および肝臓において検出されている。
【0006】
重症筋無力症、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、グレーブス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、尋常性天疱瘡、ならびに胎児および新生児の溶血性疾患(HDFN)を含め、いくつかの自己免疫障害が、自己抗原に対するIgGの反応によって引き起こされる。FcRnは循環中のIgGレベルを維持するように機能するため、FcRnはまた、このような自己免疫障害を引き起こす抗体の半減期を延長する。静注用免疫グロブリン(IVIg)は、FcRnのIgG再循環能力を飽和させ、FcRnに結合する病原性IgGのレベルを低減させ、それによってIgG自己抗体のレベルの低減を促進する最近開発された治療法である。自己免疫障害を治療するための他の戦略には、自己抗原に対する炎症反応を低減させるために、より高い親和性の抗体の注射が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
FcRn媒介性自己免疫障害の標的化治療のための改良された組成物および方法に対する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本明細書に提供されるのは、IgGについての新生児Fc受容体(FcRn)タンパク質および/または哺乳動物細胞におけるその発現もしくは活性を改変するための組成物および方法である。本明細書に開示される組成物および方法は、IgG抗体のFc領域に結合する能力が低減した、改変されたバリアントFcRnタンパク質の産生をもたらす。このような組成物および方法は、IgG媒介性自己免疫障害を改善するのに有用である。有利には、本明細書に開示される組成物および方法は、対象におけるアルブミン半減期を妨げることなく、IgGへのFcRn結合を特異的に標的化する。
【0009】
したがって、一実施形態では、哺乳動物細胞においてFcRnタンパク質を改変する方法が提供され、この方法は、細胞をガイドRNAおよびゲノムエディターと接触させるステップを含み、ガイドRNAは、FCGRT遺伝子の一部と相補的なヌクレオチド配列を含み、細胞においてFCGRT遺伝子の改変をもたらすようにゲノムエディターを標的化し、改変は、FCGRT遺伝子によってコードされるFcRnタンパク質のアミノ酸配列を変化させる。
【0010】
別の実施形態では、IgG媒介性自己免疫障害の治療を必要とする対象において、IgG媒介性自己免疫障害を治療する方法が提供され、この方法は、対象の哺乳動物細胞においてFcRnタンパク質を改変するステップを含む。
【0011】
別の実施形態では、ガイドRNAおよびゲノムエディターを含む組成物が提供され、ガイドRNAはFCGRT遺伝子の一部と相補的なヌクレオチド配列を含み、細胞内のFCGRT遺伝子に改変をもたらすようにゲノムエディターを標的化し、改変は、FCGRT遺伝子によってコードされるFcRnタンパク質のアミノ酸配列を変化させる。
【0012】
別の実施形態では、IgG抗体のFc断片または他の標的化部分を組み込むために表面機能化された脂質ナノ粒子(LNP)が提供される。開示されるLNPは、上皮表面上の新生児Fc受容体(FcRn)を標的化し、融合または内在化し、標的化細胞にそれらのペイロードを送達することができる。本明細書で開示されるLNPは、FcRnをサイレンシングするためのsiRNAを含んでもよく、それによって循環中のIgGの半減期を制限し、IgG媒介性自己免疫障害の治療を必要とする対象において、IgG媒介性自己免疫障害を治療する。
【0013】
別の実施形態では、脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つの断片結晶化可能(Fc)領域またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と;脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスとを含むLNPが提供される。
【0014】
別の実施形態では、脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つの断片Fc領域またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と;脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスとを含むLNPが提供され、脂質コアマトリクスは少なくとも1つの核酸を含む。
【0015】
別の実施形態では、脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つのFc領域またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と;脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスとを含むLNPが提供され、脂質コアマトリクスは、FCGRT遺伝子の発現を調節するか、またはFCGRT遺伝子をサイレンシングする少なくとも1つのsiRNAまたはガイドRNAを含む。
【0016】
別の実施形態では、脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つのFc領域またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と;脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスとを含む少なくとも1つのLNPであって、脂質コアマトリクスが少なくとも1つの核酸を含む、少なくとも1つのLNPと;少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0017】
別の実施形態では、IgG媒介性自己免疫障害の治療を必要とする対象において、IgG媒介性自己免疫障害を治療する方法が提供され、この方法は、脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つのFc領域もしくは本明細書に開示される他の標的化部分、またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と;脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスとを含むLNPを対象に投与するステップを含み、脂質コアマトリクスは、FCGRT遺伝子の発現を調節するか、またはFCGRT遺伝子をサイレンシングする少なくとも1つのsiRNAまたはガイドRNAを含む。
【0018】
別の実施形態では、細胞におけるFcRn発現をサイレンシングする方法が提供され、この方法は、細胞を、脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つのFc領域またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と;脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスとを含むLNPと接触させるステップを含み、脂質コアマトリクスは、FCGRT遺伝子をサイレンシングする少なくとも1つのsiRNAを含む。一態様では、本開示は、IgG受容体およびトランスポーターのFc断片(FcRn)ポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させる方法を特徴とする。この方法は、FcRnポリヌクレオチドを、1つもしくは複数のガイドポリヌクレオチドと、塩基エディターとを含む塩基エディター系、または塩基エディター系をコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチドと接触させるステップを含み、それによってFcRnポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させる。塩基エディターは、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびデアミナーゼドメインを含む。塩基エディター系では、
(a)1つ以上のガイドポリヌクレオチドは、表2Bに列挙されるスペーサー核酸配列の少なくとも10から23個の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含むか、または
(b)1つもしくは複数のガイドポリヌクレオチドは、以下の参照配列:
FcRnアミノ酸配列
AESHLSLLYHLTAVSSPAPGTPAFWVSGWLGPQQYLSYNSLRGEAEPCGAWVWENQVSWYWEKETTDLRIKEKLFLEAFKALGGKGPYTLQGLLGCELGPDNTSVPTAKFALNGEEFMNFDLKQGTWGGDWPEALAISQRWQQQDKAANKELTFLLFSCPHRLREHLERGRGNLEWKEPPSMRLKARPSSPGFSVLTCSAFSFYPPELQLRFLRNGLAAGTGQGDFGPNSDGSFHASSSLTVKSGDEHHYCCIVQHAGLAQPLRVELESPAKSSVLVVGIVIGVLLLTAAAVGGALLWRRMRSGLPAPWISLRGDDTGVLLPTPGEAQDADLKDVNVIPATA(配列番号530)、または別のFcRnポリペプチド配列における対応する位置に対して、
F110、L112、N113、E115、E116、F117、M118、N119、D121、L122、T126、W127、G128、D130、W131、P132、E133、A134、L135、およびI137のうちの1つ以上から選択されるアミノ酸残基をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすように塩基エディターを標的化する。
【0019】
別の態様では、本開示は、本開示の態様、またはその実施形態のいずれかの方法によって産生された細胞を特徴とする。
【0020】
別の態様では、本開示は、IgG受容体およびトランスポーターのFc断片(FcRn)ポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させるための塩基エディター系を特徴とする。塩基エディター系は、(i)1つもしくは複数のガイドポリヌクレオチド、または1つもしくは複数のガイドポリヌクレオチドをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチド、ならびに(ii)核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびデアミナーゼドメインを含む塩基エディター、または塩基エディターをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む。塩基エディター系では、
(a)1つ以上のガイドポリヌクレオチドは、表2Bに列挙されるスペーサー核酸配列の少なくとも10から23個の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含むか、または
(b)1つもしくは複数のガイドポリヌクレオチドは、以下の参照配列:
FcRnアミノ酸配列
AESHLSLLYHLTAVSSPAPGTPAFWVSGWLGPQQYLSYNSLRGEAEPCGAWVWENQVSWYWEKETTDLRIKEKLFLEAFKALGGKGPYTLQGLLGCELGPDNTSVPTAKFALNGEEFMNFDLKQGTWGGDWPEALAISQRWQQQDKAANKELTFLLFSCPHRLREHLERGRGNLEWKEPPSMRLKARPSSPGFSVLTCSAFSFYPPELQLRFLRNGLAAGTGQGDFGPNSDGSFHASSSLTVKSGDEHHYCCIVQHAGLAQPLRVELESPAKSSVLVVGIVIGVLLLTAAAVGGALLWRRMRSGLPAPWISLRGDDTGVLLPTPGEAQDADLKDVNVIPATA(配列番号530)、または別のFcRnポリペプチド配列における対応する位置に対して、
F110、L112、N113、E115、E116、F117、M118、N119、D121、L122、T126、W127、G128、D130、W131、P132、E133、A134、L135、およびI137のうちの1つ以上から選択されるアミノ酸残基をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすよう塩基エディターを標的化する。
【0021】
別の態様では、本開示は、本開示の態様、またはその実施形態のいずれかの塩基エディター系をコードするポリヌクレオチドを特徴とする。
【0022】
別の態様では、本開示は、本開示の態様、またはその実施形態のいずれかのポリヌクレオチドを含むベクターを特徴とする。
【0023】
別の態様では、本開示は、本開示の態様、またはその実施形態のいずれかのポリヌクレオチドまたはベクターを含む細胞を特徴とする。
【0024】
別の態様では、本開示は、本開示の態様、またはその実施形態のいずれかの塩基エディター系、ポリヌクレオチド、ベクター、または細胞を含む組成物を特徴とする。
【0025】
別の態様では、本開示は、本開示の態様、またはその実施形態のいずれかの組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を特徴とする。
【0026】
別の態様では、本開示は、免疫グロブリンGによって媒介される自己免疫障害の治療を必要とする対象において、免疫グロブリンGによって媒介される自己免疫障害を治療する方法を特徴とする。この方法は、塩基エディター系、または塩基エディター系をコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチドを対象に投与することによって対象におけるFcRnポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させるステップを含み、それによって自己免疫障害を治療する。塩基エディター系は、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドおよび塩基エディターを含む。塩基エディターは、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびデアミナーゼドメインを含む。塩基エディター系では、
(a)1つもしくは複数のガイドポリヌクレオチドは、表2Bに列挙されるスペーサー核酸配列の少なくとも10から23個の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含むか;または
(b)1つもしくは複数のガイドポリヌクレオチドは、以下の参照配列:
FcRnアミノ酸配列
AESHLSLLYHLTAVSSPAPGTPAFWVSGWLGPQQYLSYNSLRGEAEPCGAWVWENQVSWYWEKETTDLRIKEKLFLEAFKALGGKGPYTLQGLLGCELGPDNTSVPTAKFALNGEEFMNFDLKQGTWGGDWPEALAISQRWQQQDKAANKELTFLLFSCPHRLREHLERGRGNLEWKEPPSMRLKARPSSPGFSVLTCSAFSFYPPELQLRFLRNGLAAGTGQGDFGPNSDGSFHASSSLTVKSGDEHHYCCIVQHAGLAQPLRVELESPAKSSVLVVGIVIGVLLLTAAAVGGALLWRRMRSGLPAPWISLRGDDTGVLLPTPGEAQDADLKDVNVIPATA(配列番号436)、または別のFcRnポリペプチド配列における対応する位置に対して、
F110、L112、N113、E115、E116、F117、M118、N119、D121、L122、T126、W127、G128、D130、W131、P132、E133、A134、L135、およびI137のうちの1つまたは複数から選択されるアミノ酸残基をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすように塩基エディターを標的化する。
【0027】
別の態様では、本開示は、本開示の態様、またはその実施形態のいずれかの方法における使用に適し、表2Aまたは表2Bに列挙される配列を含むガイドポリヌクレオチドを含むキットを特徴とする。
【0028】
別の態様では、本開示は、IgG受容体およびトランスポーターのFc断片(FcRn)ポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させる方法を特徴とする。この方法は、FcRnポリヌクレオチドを塩基エディター系と接触させるステップを含み、それによってFcRnポリヌクレオチドの核酸塩基を変化させる。塩基エディター系は、gRNA1583、gRNA1578、gRNA3265のうちの1つもしくは複数から選択される1つもしくは複数のガイドポリヌクレオチド、またはそれらをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチド、ならびに核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびアデノシンデアミナーゼドメインを含む塩基エディター、または塩基エディターをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む。
【0029】
別の態様では、本開示は、gRNA1583、gRNA1578、gRNA3265のうちの1つもしくは複数から選択される1つもしくは複数のガイドポリヌクレオチド、またはそれらをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチド、ならびに核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメインおよびアデノシンデアミナーゼドメインを含む塩基エディター、または塩基エディターをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む塩基エディター系を特徴とする。
【0030】
別の態様では、本開示は、表2Aまたは表2Bに列強される配列を含むガイドポリヌクレオチドを特徴とする。
【0031】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、核酸塩基の変化は、参照配列に対して、FcRnポリヌクレオチドによってコードされるFcRnポリペプチドにおける以下のアミノ酸変化:F110L、F110S、F110P、L112P、N113S、N113D、.E115G、E115K、E116G、E116K、E116Q、F117P、M118N、M118V、M118I、M118T、N119G、N119D、N119S、N119C、D121G、L122F、L122A、L122P、T126I、T126S、T126N、T126A、W127R、G128S、D130G、D130N、D130H、W131R、W131Q、P132L、P132S、P132P、E133G、A134V、L135P、I137V、I137Tのうちの1つまたは複数をもたらす。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドは、参照配列中のアミノ酸M118またはW131をコードするコドン中の核酸塩基の変化をもたらすように塩基エディターを標的化する。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、核酸塩基の変化は、M118V、M118V、M118I、M118T、W131R、およびW131Qのうちの1つまたは複数から選択されるFcRnポリヌクレオチドによってコードされるFcRnポリペプチドにおけるアミノ酸変化をもたらす。
【0032】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、FcRnポリペプチドにおける1つまたは複数のアミノ酸変化は、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4へのFcRnポリペプチドの結合を低減または消失させる。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、FcRnポリペプチドにおける1つまたは複数のアミノ酸変化は、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4のFc領域へのFcRnポリペプチドの結合を低減または消失させる。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のアミノ酸変化を含むFcRnポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4との結合について溶液中で、3000nMより大きいKDを有する。
【0033】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、変化した核酸塩基を含むFcRnポリヌクレオチドによってコードされるFcRnポリペプチドは、アルブミンに結合可能である。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のアミノ酸変化を含むFcRnポリペプチドは、アルブミンとの結合について溶液中で、2000nM未満のKDを有する。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のアミノ酸変化を含むFcRnポリペプチドは、アルブミンとの結合について溶液中で、1000nM未満のKDを有する。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のアミノ酸変化を含むFcRnポリペプチドの結合は、アルブミンとの結合について溶液中で、500nM未満のKDを有する。
【0034】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のアミノ酸変化を含むFcRnポリペプチドは、アルブミンとの結合について溶液中で、1つまたは複数のアミノ酸変化を含まないことを除いて、同じアミノ酸配列を有する参照FcRnポリペプチドのKDの1.5倍以下のKDを有し得る。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のアミノ酸変化を含むFcRnポリペプチドは、アルブミンとの結合について溶液中で、1つまたは複数のアミノ酸変化を含まないことを除いて、同じアミノ酸配列を有する参照FcRnポリペプチドのKDの0.5から1.5倍の間のKDを有し得る。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のアミノ酸変化を含むFcRnポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4との結合について溶液中で、1つまたは複数のアミノ酸変化を含まないことを除いて、同じアミノ酸配列を有する参照FcRnポリペプチドのKDの少なくとも5倍のKDを有し得る。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のアミノ酸変化を含むFcRnポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4との結合について溶液中で、1つまたは複数のアミノ酸変化を含まないことを除いて、同じアミノ酸配列を有する参照FcRnポリペプチドのKDの少なくとも10倍のKDを有し得る。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のアミノ酸変化を含むFcRnポリペプチドは、例えば、本明細書に記載されるSPRアッセイなどの適切なアッセイで測定して、検出可能なレベルでIgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4に結合しない。
【0035】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基は、少なくとも約20%の塩基編集効率で変化する。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基は、少なくとも約40%の塩基編集効率で変化する。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、FcRnポリヌクレオチドの核酸塩基は、少なくとも約50%の塩基編集効率で変化する。
【0036】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、デアミナーゼドメインは、DNAのシチジンまたはアデニンを脱アミノ化することができる。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、デアミナーゼドメインは、アデノシンデアミナーゼドメインまたはシチジンデアミナーゼドメインである。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、アデノシンデアミナーゼは、FcRnポリヌクレオチドにおける標的A・TをG・Cに変換する。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、シチジンデアミナーゼは、FcRnポリヌクレオチドにおける標的C・GをT・Aに変換する。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、シチジンデアミナーゼドメインは、APOBECデアミナーゼドメインまたはその誘導体である。
【0037】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、塩基エディターは、BE4塩基エディターである。
【0038】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、アデノシンデアミナーゼドメインは、TadAデアミナーゼドメインである。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、デアミナーゼドメインは、アデノシンデアミナーゼドメインである。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、アデノシンデアミナーゼは、TadA*8またはTad*9バリアントである。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、アデノシンデアミナーゼは、TadA*8.1、TadA*8.2、TadA*8.3、TadA*8.4、TadA*8.5、TadA*8.6、TadA*8.7、TadA*8.8、TadA*8.9、TadA*8.10、TadA*8.11、TadA*8.12、TadA*8.13、TadA*8.14、TadA*8.15、TadA*8.16、TadA*8.17、TadA*8.18、TadA*8.19、TadA*8.20、TadA*8.21、TadA*8.22、TadA*8.23、またはTadA*8.24である。
【0039】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、デアミナーゼドメインは、単量体またはヘテロ二量体である。
【0040】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、napDNAbpドメインは、Cas9またはCas12である。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、napDNAbpドメインは、ヌクレアーゼ不活性またはニッカーゼバリアントである。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、napDNAbpドメインは、Cas9、Cas12a/Cpfl、Cas12b/C2cl、Cas12c/C2c3、Cas12d/CasY、Cas12e/CasX、Cas12g、Cas12h、Cas12i、もしくはCas12j/CasΦポリヌクレオチド、またはそれらの機能的部分を含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、napDNAbpドメインは、デッドCas9(dCas9)またはCas9ニッカーゼ(nCas9)を含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、napDNAbpドメインは、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)Cas9(SaCas9)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)1Cas9(St1Cas9)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)、またはそれらのバリアントである。
【0041】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、napDNAbpドメインは、変化したプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)特異性を有するSpCas9またはSaCas9のバリアントを含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、SpCas9またはSaCas9は、NGG、NGA、NGC、NNGRRT、およびNNNRRTのうちの1つまたは複数から選択されるPAM配列に対する特異性を有し、Nは任意のヌクレオチドであり、RはAまたはGである。
【0042】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、napDNAbpドメインは、ヌクレアーゼ活性Cas9を含む。
【0043】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、塩基エディターは、1つもしくは複数のウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)をさらに含むか、または方法は、塩基エディターとトランスで、細胞内でUGIを発現させるステップをさらに含む。
【0044】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、塩基エディターは、1つまたは複数の核局在化シグナル(NLS)をさらに含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、NLSは、二分NLSである。
【0045】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列のうちの1つを含むスキャフォールドを含む:
GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU(SpCas9スキャフォールド;配列番号317)、または
GUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(SaCas9スキャフォールド;配列番号436)。
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドは、1つまたは複数の改変ヌクレオチドを含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数の改変ポリヌクレオチドは、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドの5’末端および/または3’末端にある。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数の改変ヌクレオチドは、2’-O-メチル-3’-ホスホロチオエートヌクレオチドである。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドは、19から23ヌクレオチドのみを含むスペーサーを含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドは、19または20ヌクレオチドのみを含むスペーサーを含む。
【0046】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、塩基エディターは、デアミナーゼドメイン、napDNAbpドメイン、およびガイドポリヌクレオチドを含む複合体を含むか、または塩基エディターは、デアミナーゼドメインに融合したnapDNAbpドメインを含む融合タンパク質である。
【0047】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、FcRnポリヌクレオチドは細胞内にある。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、細胞は、肝細胞、内皮細胞、骨髄性細胞、または上皮細胞である。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、細胞は、in vivoまたはex vivoである。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、細胞は対象内にある。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、細胞は哺乳動物細胞である。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、細胞はヒト細胞である。
【0048】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、対象は哺乳動物である。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、哺乳動物はヒトである。
【0049】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、塩基エディターは、1つもしくは複数のウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)をさらに含むか、または塩基エディター系は、塩基エディターとトランスでUGIをさらに含む。
【0050】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、ベクターは、脂質ナノ粒子を含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、脂質ナノ粒子は、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、脂質-ポリエチレングリコールコンジュゲート、ならびにそれらの組合せのうちの1つまたは複数から選択される脂質を含む脂質単分子層を含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、脂質単分子層はPEG化脂質を含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、脂質単分子層はコレステロールをさらに含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、脂質ナノ粒子は、N-メチル-N-(2-(アルギノイルアミノ)エチル)-N,N-ジオクタデシルアミニウムクロリドまたはジステアロイルアルギニルアンモニウムクロリド](DSAA);N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N’-(N6-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド(DMGLA);N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N2-グアニジノ-L-リシニル]アミノエチルアンモニウムクロリド;N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N’-(N2,N6-ジ-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド;N,N-ジ-ステアロイル-N-メチル-N-2[N’-(N6-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド;N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP);N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジステアリル-Ν,Ν-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB);3-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Choi);N-(l,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);l,3-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン、N-(l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-(2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチル-1アンモニウムトリフルオロ-アセテート(DOSPA);GAP-DLRIE;DMDHP;3-p[4N-(H8N-ジグアニジノスペルミジン)-カルバモイル]コレステロール(BGSC);3-P[N,N-ジグアニジノエチル-アミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(BGTC);N,N\N2,N3テトラ-メチルテトラパルミチルスペルミン(セルフェクチン);N-t-ブチル-N’-テトラデシル-3-テトラデシル-アミノプロピオン-アミジン(CLONフェクチン);ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB);l,3-ジオレオイルオキシ-2-(6-カルボキシスペルミル)-プロピルアミド(DOSPER);4-(2,3-ビス-パルミトイルオキシ-プロピル)-1-メチル-lH-イミダゾール(DPIM)N,N,N’,N’-テトラメチル-N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジオレオイルオキシ-1,4-ブタンジアンモニウムヨージド)(Tfx-50);1,2ジオレオイル-3-(4’-トリメチルアンモニオ)ブタノール-sn-グリセロール(DOBT);トリメチルアンモニウム基が、ブタノールのスペーサーアームを介して、二重鎖(DOTBの場合)またはコレステリル基(ChOTBの場合)のいずれかに結合しているコレステリル(4’トリメチルアンモニア)ブタノエート(ChOTB);DL-l,2-ジオレオイル-3-ジメチルアミノプロピル-P-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORI);DL-l,2-0-ジオレオイル-3-ジメチルアミノプロピル-P-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORIE);l,2-ジオレオイル-3-スクシニル-sn-グリセロールコリンエステル(DOSC);コレステリルヘミスクシネートエステル(ChOSC);ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS);ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミルスペルミン(DPPES);コレステリル-3P-カルボキシル-アミド-エチレントリメチルアンモニウムヨージド;l-ジメチルアミノ-3-トリメチルアンモニオ-DL-2-プロピル-コレステリルカルボキシレートヨージド;コレステリル-3-β-カルボキシアミドエチレンアミン;コレステリル-3-P-オキシスクシンアミド-エチレントリメチルアンモニウムヨージド;l-ジメチルアミノ-3-トリメチルアンモニオ-DL-2-プロピル-コレステリル-3-P-オキシスクシネートヨージド;2-(2-トリメチルアンモニオ)-エチルメチルアミノエチル-コレステリル-3-P-オキシスクシネートヨージド;3-β-Ν-(ポリエチレンイミン)-カルバモイルコレステロール、DC-コレステロール;N4-コレステリル-スペルミンHCl塩(GL67);N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキサミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンズアミド(MVL5);およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数から選択されるイオン化カチオン性脂質を含む。
【0051】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、ベクターは、ポリマーナノ粒子を含む。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、ベクターは、ウイルスベクターである。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターである。
【0052】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、障害は、重症筋無力症(gMG)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、グレーブス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、尋常性天疱瘡、ならびに胎児および新生児の溶血性疾患(HDFN)のうちの1つまたは複数から選択される。
【0053】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、塩基エディターは、1つもしくは複数のウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)をさらに含むか、または方法は、塩基エディターとトランスで細胞内でUGIを発現させるステップをさらに含む。
【0054】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、投与は局所投与である。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、投与は全身投与である。
【0055】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、塩基エディター系は、ベクターを使用して対象に投与される。
【0056】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、ベクターは脂質ナノ粒子である。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、ベクターは肝臓を標的とする。
【0057】
本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、対象は哺乳動物である。本開示の態様、またはその実施形態のいずれかでは、哺乳動物はヒトである。
【0058】
これらおよび他の目的、特徴、実施形態、および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【0059】
定義
以下の用語は当該技術分野において十分に理解されていると考えられるが、現在開示されている主題の説明を容易にするために定義を示す。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書で開示される主題が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0060】
以下の参考文献は、本発明で使用される多くの用語の一般的な定義を当業者に提供する:Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(第2版、1994年);The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker版、1988年);The Glossary of Genetics、第5版、R.Riegerら(編)、Springer Verlag(1991年);およびHale & Marham、The Harper Collins Dictionary of Biology(1991年)。本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に指定のない限り、以下に属する意味を有する。
【0061】
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量、反応条件などの特性、その他を表すすべての数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載された数値パラメーターは、現在開示されている主題によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0062】
本明細書を通じて与えられるすべての最大数値限定は、あたかもより低い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、すべてのそのようなより低い数値限定を含むことが理解されるべきである。本明細書を通じて与えられるすべての最小数値限定は、あたかもより高い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、すべてのそのようなより高い数値限定を含む。本明細書を通じて与えられるすべての数値範囲は、あたかもより狭い数値範囲がすべて本明細書に明示的に記載されているかのように、そのようなより広い数値範囲に含まれるすべてのそのようなより狭い数値範囲を含む。「アデニン」または「9H-プリン-6-アミン」とは、分子式C5H5N5を有し、構造
【0063】
【0064】
を有し、CAS番号73-24-5に対応するプリン核酸塩基を意味する。
【0065】
「アデノシン」または「4-アミノ-1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)オキソラン-2-イル]ピリミジン-2(1H)-オン」とは、構造
【0066】
【0067】
を有し、CAS番号65-46-3に対応する、グリコシド結合を介してリボース糖に結合したアデニン分子を意味する。その分子式はC10H13N5O4である。
【0068】
「アデノシンデアミナーゼ」または「アデニンデアミナーゼ」とは、アデニンまたはアデノシンの加水分解的脱アミノ化を触媒することができるポリペプチドまたはその断片を意味する。一部の実施形態では、デアミナーゼまたはデアミナーゼドメインは、アデノシンからイノシンまたはデオキシアデノシンからデオキシイノシンへの加水分解的脱アミノ化を触媒するアデノシンデアミナーゼである。一部の実施形態において、アデノシンデアミナーゼは、デオキシリボ核酸(DNA)中のアデニンまたはアデノシンの加水分解的脱アミノ化を触媒する。本明細書で提供されるアデノシンデアミナーゼ(例えば、操作されたアデノシンデアミナーゼ、進化型アデノシンデアミナーゼ)は、藻類、細菌、真菌、植物、無脊椎動物(例えば、昆虫)、および脊椎動物(例えば、両生類、哺乳動物)を含むが、これらに限定されない、任意の生物(例えば、真核生物、原核生物)に由来し得る。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、1つまたは複数の変化を有するアデノシンデアミナーゼバリアントであり、標的ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)中のアデニンおよびシトシンの両方を脱アミノ化することができ、「デュアルデアミナーゼ」と称され得る。デュアルデアミナーゼの非限定的な例としては、PCT/US22/22050に記載されているものが挙げられる。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、DNAのアデニンおよびシトシンの両方を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、一本鎖DNAのアデニンおよびシトシンの両方を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、RNAのアデニンおよびシトシンの両方を脱アミノ化することができる。実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、PCT/US2020/018192、PCT/US2020/049975、およびPCT/US2017/045381に記載されているものから選択される。
【0069】
「アデノシンデアミナーゼ活性」とは、ポリヌクレオチドにおけるアデニンまたはアデノシンからグアニンへの脱アミノ化を触媒することを意味する。一部の実施形態では、本明細書で提供されるアデノシンデアミナーゼバリアントは、アデノシンデアミナーゼ活性(例えば、参照アデノシンデアミナーゼ(例えば、TadA*8.20またはTadA*8.19)の活性の少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上)を維持する。
【0070】
「アデノシン塩基エディター(ABE)」とは、アデノシンデアミナーゼを含む塩基エディターを意味する。
【0071】
「アデノシン塩基エディター(ABE)ポリヌクレオチド」とは、ABEをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0072】
「アデノシン塩基エディター8(ABE8)ポリペプチド」または「ABE8」とは、表15に列挙される変化の1つもしくは複数、表15に列挙される変化の組合せの1つ、または表15に列挙されるアミノ酸位置の1つもしくは複数における変化を含む、アデノシンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼバリアントを含む、本明細書に定義される塩基エディターを意味し、そのような変化は、以下の参照配列:
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号1)、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する位置に関連する。実施形態では、ABE8は、配列番号1のアミノ酸82および/または166における変化を含む。一部の実施形態では、ABE8は、参照配列に対して、本明細書に記載されるようなさらなる変化を含む。
【0073】
「アデノシン塩基エディター8(ABE8)ポリヌクレオチド」とは、ABE8ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0074】
「投与する」とは、本明細書において、本明細書に記載される1つまたは複数の組成物を患者または対象に提供することを指す。例として、限定されないが、組成物の投与(例えば、注射)は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、または筋肉内(i.m.)注射によって実施され得る。1つまたは複数のこのような経路が利用され得る。非経口投与は、例えば、ボーラス注射によってでもよいか、または時間をかけて徐々に灌流することによってでもよい。一部の実施形態では、非経口投与は、血管内、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、腫瘍内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下(subcuticularly)、関節内、被膜下、くも膜下、および胸骨内による注入または注射を含む。あるいは、または同時に、投与は経口経路によってでもよい。実施形態では、本明細書に記載される1つまたは複数の組成物は、網膜下または中心窩下注射によって投与される。一部の場合では、網膜下注射は、中心窩に水疱を形成する。
【0075】
「薬剤(agent)」とは、任意の小分子化学化合物、抗体、核酸分子、もしくはポリペプチド、またはそれらの断片を意味する。
【0076】
「アルブミンポリペプチド」とは、以下に提供される、GenBank受託番号CAA23754.1と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質、またはFcRnポリペプチドに結合可能なその断片を意味する。
>CAA23754.1血清アルブミン[ホモサピエンス]
MKWVTFISLLFLFSSAYSRGVFRRDAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQCPFEDHVKLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATLRETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEVDVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRYKAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCASLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKVHTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKPLLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEAKDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYETTLEKCCAAADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFKQLGEYKFQNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEAKRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVNRRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKKQTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDKETCFAEEGKKLVAASQAALGL(配列番号425)。
【0077】
「アルブミンポリヌクレオチド」とは、アルブミンポリペプチドをコードする核酸分子、ならびにその発現に関連するイントロン、エクソン、3’非翻訳領域、5’非翻訳領域、および調節配列、またはそれらの断片を意味する。実施形態では、アルブミンポリヌクレオチドは、アルブミン発現に関連する、および/またはそれに必要なゲノム配列、cDNA、mRNA、または遺伝子である。ホモサピエンス由来の例示的なアルブミンヌクレオチド配列が以下に提供される(GenBank:V00495.1:76~1905):
ATGAAGTGGGTAACCTTTATTTCCCTTCTTTTTCTCTTTAGCTCGGCTTATTCCAGGGGTGTGTTTCGTCGAGATGCACACAAGAGTGAGGTTGCTCATCGGTTTAAAGATTTGGGAGAAGAAAATTTCAAAGCCTTGGTGTTGATTGCCTTTGCTCAGTATCTTCAGCAGTGTCCATTTGAAGATCATGTAAAATTAGTGAATGAAGTAACTGAATTTGCAAAAACATGTGTAGCTGATGAGTCAGCTGAAAATTGTGACAAATCACTTCATACCCTTTTTGGAGACAAATTATGCACAGTTGCAACTCTTCGTGAAACCTATGGTGAAATGGCTGACTGCTGTGCAAAACAAGAACCTGAGAGAAATGAATGCTTCTTGCAACACAAAGATGACAACCCAAACCTCCCCCGATTGGTGAGACCAGAGGTTGATGTGATGTGCACTGCTTTTCATGACAATGAAGAGACATTTTTGAAAAAATACTTATATGAAATTGCCAGAAGACATCCTTACTTTTATGCCCCGGAACTCCTTTTCTTTGCTAAAAGGTATAAAGCTGCTTTTACAGAATGTTGCCAAGCTGCTGATAAAGCTGCCTGCCTGTTGCCAAAGCTCGATGAACTTCGGGATGAAGGGAAGGCTTCGTCTGCCAAACAGAGACTCAAATGTGCCAGTCTCCAAAAATTTGGAGAAAGAGCTTTCAAAGCATGGGCAGTGGCTCGCCTGAGCCAGAGATTTCCCAAAGCTGAGTTTGCAGAAGTTTCCAAGTTAGTGACAGATCTTACCAAAGTCCACACGGAATGCTGCCATGGAGATCTGCTTGAATGTGCTGATGACAGGGCGGACCTTGCCAAGTATATCTGTGAAAATCAGGATTCGATCTCCAGTAAACTGAAGGAATGCTGTGAAAAACCTCTGTTGGAAAAATCCCACTGCATTGCCGAAGTGGAAAATGATGAGATGCCTGCTGACTTGCCTTCATTAGCTGCTGATTTTGTTGAAAGTAAGGATGTTTGCAAAAACTATGCTGAGGCAAAGGATGTCTTCCTGGGCATGTTTTTGTATGAATATGCAAGAAGGCATCCTGATTACTCTGTCGTGCTGCTGCTGAGACTTGCCAAGACATATGAAACCACTCTAGAGAAGTGCTGTGCCGCTGCAGATCCTCATGAATGCTATGCCAAAGTGTTCGATGAATTTAAACCTCTTGTGGAAGAGCCTCAGAATTTAATCAAACAAAACTGTGAGCTTTTTAAGCAGCTTGGAGAGTACAAATTCCAGAATGCGCTATTAGTTCGTTACACCAAGAAAGTACCCCAAGTGTCAACTCCAACTCTTGTAGAGGTCTCAAGAAACCTAGGAAAAGTGGGCAGCAAATGTTGTAAACATCCTGAAGCAAAAAGAATGCCCTGTGCAGAAGACTATCTATCCGTGGTCCTGAACCAGTTATGTGTGTTGCATGAGAAAACGCCAGTAAGTGACAGAGTCACAAAATGCTGCACAGAGTCCTTGGTGAACAGGCGACCATGCTTTTCAGCTCTGGAAGTCGATGAAACATACGTTCCCAAAGAGTTTAATGCTGAAACATTCACCTTCCATGCAGATATATGCACACTTTCTGAGAAGGAGAGACAAATCAAGAAACAAACTGCACTTGTTGAGCTTGTGAAACACAAGCCCAAGGCAACAAAAGAGCAACTGAAAGCTGTTATGGATGATTTCGCAGCTTTTGTAGAGAAGTGCTGCAAGGCTGACGATAAGGAGACCTGCTTTGCCGAGGAGGGTAAAAAACTTGTTGCTGCAAGTCAAGCTGCCTTAGGCTTATAA(配列番号426)。
【0078】
「変化」または「改変」とは、本明細書に記載されるものなどの標準的な当該技術分野で公知の方法によって検出される、検体、遺伝子またはポリペプチドの発現レベル、構造または活性の変化を意味する。本明細書で使用される場合、変化は、発現レベルの変化(例えば、増加または減少)を含む。実施形態では、発現レベルの増加または減少は、10%、25%、40%、50%またはそれ以上である。一部の実施形態では、変化は、(例えば、遺伝子操作による)核酸塩基またはアミノ酸の挿入、欠失、または置換を含む。
【0079】
「改善する」とは、疾患の発症または進行を減少させる、抑制する、減衰させる、軽減する、停止させる、または安定化させることを意味する。
【0080】
「アナログ」とは、同一ではないが、類似した機能的または構造的特徴を有する分子を意味する。例えば、ポリペプチドアナログは、対応する天然に存在するポリペプチドの生物活性を保持する一方で、天然に存在するポリペプチドと比較してアナログの機能を増強する特定の生化学的改変を有する。このような生化学的改変は、例えば、リガンド結合を変化させることなく、アナログのプロテアーゼ耐性、膜透過性、または半減期を増加させることができる。アナログは非天然アミノ酸を含んでもよい。
【0081】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、特定の抗原に特異的に結合するか、または特定の抗原と免疫学的に反応する免疫グロブリン分子を指し、限定されないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重、三重および四重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ)、ならびに例えば、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、rlgG、およびscFv断片を含む、抗体の抗原結合断片を含む、ポリクローナル、モノクローナル、遺伝子操作された、およびその他の改変形態の抗体が含まれる。別段の指示がない限り、「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、無傷分子、ならびに標的タンパク質に特異的に結合することができる抗体断片(例えば、FabおよびF(ab’)2断片を含む)の両方を含むことを意味する。本明細書で使用される場合、FabおよびF(ab’)2断片とは、無傷抗体のFc断片を欠く抗体断片を指す。
【0082】
抗体(免疫グロブリン)は、ジスルフィド結合によって一緒に連結された2つの重鎖、および2つの軽鎖を含み、各軽鎖は、「Y」形状の構造でジスルフィド結合によってそれぞれの重鎖と連結されている。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)を有し、その後に複数の定常ドメイン(CH)を有する。各軽鎖は一端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメイン(CL)を有する。軽鎖の可変ドメイン(VL)は重鎖の可変ドメイン(VL)と整列しており、軽鎖定常ドメイン(CL)は重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)と整列している。軽鎖および重鎖の各対の可変ドメインは抗原結合部位を形成する。重鎖のアイソタイプ(ガンマ、アルファ、デルタ、イプシロンまたはミュー)により、免疫グロブリンのクラス(それぞれ、IgG、IgA、IgD、IgEまたはIgM)が決定される。軽鎖は、すべての抗体クラスにおいて見出される2つのアイソタイプ(カッパ(κ)またはラムダ(λ))のいずれかである。「抗体」または「抗体(複数可)」という用語には、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体(mAb)などの無傷抗体、ならびに標的タンパク質に特異的に結合することができる、FabまたはF(ab’)2断片などの、タンパク質分解部分またはその断片が含まれる。抗体には、キメラ抗体;組換えおよび操作された抗体、ならびにそれらの抗原結合断片が含まれ得る。軽鎖および重鎖の両方の可変領域の全体または本質的に全体を含む例示的な機能的抗体断片は、以下のように定義される:(i)2つの鎖として表される軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域からなる、遺伝子操作された断片として定義される、Fv;(ii)適切なポリペプチドリンカーによって連結された、軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む、遺伝子操作された一本鎖分子である、一本鎖Fv(「scFv」);(iii)無傷抗体を酵素パパインで処理して、無傷軽鎖、ならびに重鎖の可変ドメインおよびCH1ドメインからなる重鎖のFd断片を生じることによって得られる、抗体分子の一価の抗原結合性部分を含む抗体分子の断片である、Fab;(iv)無傷抗体を酵素ペプシンで処理し、次いで還元することによって得られる(1つの抗体分子あたり2つのFab’断片が生成される)、抗体分子の一価の抗原結合性部分を含む抗体分子の断片である、Fab’;ならびに(v)無傷抗体を酵素ペプシンで処理することによって得られる(すなわち、2つのジスルフィド結合によって一緒に保持されるFab’断片の二量体)、抗体分子の一価の抗原結合性部分を含む抗体分子の断片である、F(ab’)2。
【0083】
「塩基エディター(BE)」または「核酸塩基エディターポリペプチド(NBE)」とは、ポリヌクレオチドに結合し、核酸塩基改変活性を有する薬剤を意味する。様々な実施形態では、塩基エディターは、ガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA(gRNA))と合わさった核酸塩基改変ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)およびポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン(例えば、Cas9またはCpf1)を含む。塩基エディターの代表的な核酸およびタンパク質配列には、配列番号2~11に対応するものなどの、配列表に提供される任意の塩基エディター配列と約または少なくとも約85%の配列同一性を有する配列が含まれる。
【0084】
「BE4シチジンデアミナーゼ(BE4)ポリペプチド」とは、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメイン、シチジンデアミナーゼドメイン、および2つのウラシルグリコシラーゼ阻害剤ドメイン(UGI)を含む塩基エディターを意味する。実施形態では、napDNAbpは、Cas9n(D10A)ポリペプチドである。シチジンデアミナーゼドメインの非限定的な例としては、rAPOBEC、ppAPOBEC、RrA3F、AmAPOBEC1、およびSsAPOBEC3Bが挙げられる。
【0085】
「BE4シチジンデアミナーゼ(BE4)ポリヌクレオチド」とは、BE4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0086】
「塩基編集活性」とは、ポリヌクレオチド内の塩基を化学的に変化させる作用を意味する。一実施形態では、第1の塩基が第2の塩基に変換される。一実施形態では、塩基編集活性は、シチジンデアミナーゼ活性であり、例えば、標的C・GをT・Aに変換する。別の実施形態では、塩基編集活性は、アデノシンまたはアデニンデアミナーゼ活性であり、例えば、A・TをG・Cに変換する。
【0087】
「塩基エディター系」という用語は、標的ヌクレオチド配列の核酸塩基を編集するための分子間複合体を指す。様々な実施形態では、塩基エディター(BE)系は、(1)標的ヌクレオチド配列中の核酸塩基を脱アミノ化するためのポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン、デアミナーゼドメイン(例えば、シチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼ);および(2)ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインと合わさった1つまたは複数のガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)を含む。様々な実施形態では、塩基エディター(BE)系は、アデノシンデアミナーゼまたはシチジンデアミナーゼから選択される核酸塩基エディタードメイン、および核酸配列特異的結合活性を有するドメインを含む。一部の実施形態では、塩基エディター系は、(1)標的ヌクレオチド配列中の1つまたは複数の核酸塩基を脱アミノ化するための、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインおよびデアミナーゼドメインを含む塩基エディター(BE);ならびに(2)ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインと合わさった1つまたは複数のガイドRNAを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインである。一部の実施形態では、塩基エディターは、シチジン塩基エディター(CBE)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデニンまたはアデノシン塩基エディター(ABE)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデニンもしくはアデノシン塩基エディター(ABE)またはシチジンもしくはシトシン塩基エディター(CBE)である。一部の実施形態では、塩基エディター系(例えば、シチジンデアミナーゼを含む塩基エディター系)は、イノシン塩基除去修復系を阻害するウラシルグリコシラーゼ阻害剤または他の薬剤もしくはペプチド(例えば、WO2022015969に提供されるようなウラシル安定化タンパク質であり、その開示は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を含む。
【0088】
「Cas9」または「Cas9ドメイン」という用語は、Cas9タンパク質、またはその断片(例えば、Cas9、および/またはCas9のgRNA結合ドメインの活性、不活性、または部分的に活性なDNA切断ドメインを含むタンパク質)を含むRNAガイドヌクレアーゼを指す。Cas9ヌクレアーゼはまた、casnlヌクレアーゼまたはCRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)関連ヌクレアーゼとも称されることがある。
【0089】
本明細書で互換的に使用される場合、「コード配列」または「タンパク質コード配列」という用語は、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのセグメントを指す。コード配列はまた、オープンリーディングフレームとも称され得る。領域または配列は、開始コドンによって5’末端の近位に、および終止コドンによって3’末端の近位に境界付けられている。本明細書に記載される塩基エディターで有用な終止コドンとしては、以下が挙げられる:
【0090】
【0091】
「複合体」とは、相互作用が分子間力に依存する2つ以上の分子の組合せを意味する。分子間力の非限定的な例としては、共有結合的相互作用および非共有結合的相互作用が挙げられる。非共有結合的相互作用の非限定的な例としては、水素結合、イオン結合、ハロゲン結合、疎水性結合、ファンデルワールス相互作用(例えば、双極子間相互作用、双極子誘起双極子相互作用、およびロンドン分散力)、ならびにπ効果が挙げられる。実施形態では、複合体は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または1つもしくは複数のポリペプチドと1つもしくは複数のポリヌクレオチドの組合せを含む。一実施形態では、複合体は、会合して塩基エディター(例えば、Cas9などの核酸プログラマブルDNA結合タンパク質、およびデアミナーゼを含む塩基エディター)およびポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)を形成する1つまたは複数のポリペプチドを含む。実施形態では、複合体は、水素結合によって一緒に保持される。塩基エディターの1つまたは複数の成分(例えば、デアミナーゼ、または核酸プログラマブルDNA結合タンパク質)は、共有結合的または非共有結合的に会合し得ることを理解されたい。一例として、塩基エディターは、(例えば、ペプチド結合により)核酸プログラマブルDNA結合タンパク質に共有結合したデアミナーゼを含み得る。あるいは、塩基エディターは、非共有結合的に会合するデアミナーゼおよび核酸プログラマブルDNA結合タンパク質を含み得る(例えば、塩基エディターの1つまたは複数の成分がトランスで供給され、直接またはタンパク質もしくは核酸などの別の分子を介して会合する場合)。実施形態では、複合体の1つまたは複数の成分は、水素結合によって一緒に保持される。
【0092】
「シトシン」または「4-アミノピリミジン-2(1H)-オン」とは、分子式C4H5N3Oを有し、構造
【0093】
【0094】
を有し、CAS番号71-30-7に対応する、プリン核酸塩基を意味する。
【0095】
「シチジン」とは、構造
【0096】
【0097】
を有し、CAS番号65-46-3に対応する、グリコシド結合を介してリボース糖に結合したシトシン分子を意味する。その分子式はC9H13N3O5である。
【0098】
「シチジン塩基エディター(CBE)」とは、シチジンデアミナーゼを含む塩基エディターを意味する。
【0099】
「シチジン塩基エディター(CBE)ポリヌクレオチド」とは、CBEをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0100】
「シチジンデアミナーゼ」または「シトシンデアミナーゼ」とは、シチジンまたはシトシンを脱アミノ化することができるポリペプチドまたはその断片を意味する。実施形態では、シチジンまたはシトシンは、ポリヌクレオチドに存在する。一実施形態では、シチジンデアミナーゼは、シトシンをウラシルに、または5-メチルシトシンをチミンに変換する。「シチジンデアミナーゼ」および「シトシンデアミナーゼ」という用語は、本出願を通して互換的に使用される。ウミヤツメ(Petromyzon marinus)シトシンデアミナーゼ1(PmCDA1)(配列番号13~14)、活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AICDA)(配列番号15~21)、およびAPOBEC(例えば、配列番号12~61)は、例示的なシチジンデアミナーゼである。さらなる例示的なシチジンデアミナーゼ(CDA)配列は、配列番号62~66および配列番号67~189として配列表に提供される。シチジンデアミナーゼの非限定的な例としては、PCT/US20/16288、PCT/US2018/021878、180802-021804/PCT、PCT/US2018/048969、およびPCT/US2016/058344に記載されているものが挙げられる。「シトシンデアミナーゼ活性」とは、シトシンまたはシチジンの脱アミノ化を触媒することを意味する。一実施形態では、シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドは、アミノ基をカルボニル基に変換する。実施形態では、シトシンデアミナーゼは、シトシンをウラシルに(すなわち、CをUに)、または5-メチルシトシンをチミンに(すなわち、5mCをTに)変換する。一部の実施形態では、本明細書で提供されるシトシンデアミナーゼは、参照シトシンデアミナーゼに対して増加したシトシンデアミナーゼ活性(例えば、少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはそれ以上)を有する。
【0101】
本明細書で使用される場合、「デアミナーゼ」または「デアミナーゼドメイン」という用語は、脱アミノ化反応を触媒するタンパク質またはその断片を指す。
【0102】
「検出する」とは、検出される検体の存在、非存在または量を特定することを指す。一実施形態では、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドにおける配列変化が検出される。別の実施形態では、インデルの存在が検出される。
【0103】
「疾患」とは、細胞、組織、または臓器の正常な機能を損傷または妨害するあらゆる状態または障害を意味する。例示的な疾患には、IgGによって媒介される自己免疫障害などの自己免疫障害が含まれる。自己免疫障害の非限定的な例としては、重症筋無力症(gMG)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、グレーブス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、尋常性天疱瘡、ならびに胎児および新生児の溶血性疾患(HDFN)が挙げられる。
【0104】
「有効量」とは、未治療(処置)の患者もしくは疾患を有していない個体、すなわち、健康な個体と比較して、疾患の症状を改善するのに必要な薬剤もしくは活性化合物、例えば、本明細書に記載される塩基エディターの量、または所望の生物学的応答を誘発するのに十分な薬剤もしくは活性化合物の量を意味する。疾患の治療的処置のために本発明を実施するために使用される活性化合物の有効量は、投与方法、対象の年齢、体重、および一般的な健康状態に応じて異なる。最終的には、主治医または獣医師が適切な量および投薬量レジメンを決定する。そのような量は「有効」量と称される。一実施形態では、有効量は、細胞(例えば、in vitroまたはin vivoの細胞)内の目的の遺伝子に変化を導入するのに十分な本発明の塩基エディターの量である。一実施形態では、有効量は、治療効果を達成するために必要な塩基エディターの量である。そのような治療効果は、対象、組織または臓器のすべての細胞における目的の遺伝子を変化させるのに十分である必要はなく、対象、組織または臓器に存在する細胞の約1%、5%、10%、25%、50%、75%またはそれ以上の目的の遺伝子を変化させるだけで十分である。一実施形態では、有効量は、疾患の1つまたは複数の症状を改善するのに十分である。
【0105】
「IgGについての新生児Fc受容体(FcRn)ポリペプチド」または「IgG受容体およびトランスポーターのFc断片(FCGRT)ポリペプチド」とは、アルブミンに結合可能なNCBI参照配列NP_001129491またはその断片と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質を意味する。例示的なFcRnポリペプチド配列が以下に提供される。本開示を通して、FcRnポリペプチド配列内のアミノ酸位置(例えば、E115(138)またはE115)に対して参照がなされる。別段の指示がない限り、このような参照は以下の配列を参照してなされ、括弧外の位置番号は、シグナルペプチドに対応する最初の23個のアミノ酸が番号付けに含まれない、以下のFcRn配列内の位置に対応し、括弧内の位置は、最初の23個のアミノ酸が番号付けに含まれる、以下のFcRn配列内の位置に対応する。
【0106】
【0107】
「IgG受容体およびトランスポーターのFc断片(FcRn;FCGRT)ポリヌクレオチド」または「IgG受容体およびトランスポーターのFc断片(FCGRT)ポリヌクレオチド」は、FcRnポリペプチド、ならびにその発現に関連するイントロン、エクソン、3’非翻訳領域、5’非翻訳領域、および調節配列をコードする核酸分子、またはそれらの断片を意味する。実施形態では、FcRnポリヌクレオチドは、FcRn発現に関連する、および/またはそれに必要なゲノム配列、cDNA、mRNA、または遺伝子である。ホモサピエンス由来の例示的なFcRnヌクレオチド配列が以下に提供される。ホモサピエンス由来のさらに例示的なFcRnヌクレオチド配列は、Ensembl受託番号ENSG00000211893に提供されている。
1 aggatgtgag agaggaactg gggtctccag tcacgggagc caggagccgg ccagggccgc
61 aggcaggaag ggagcgaggc tgaagggaac gtcgtcctct cagcatgggg gtcccgcggc
121 ctcagccctg ggcgctgggg ctcctgctct ttctccttcc tgggagcctg ggcgcagaaa
181 gccacctctc cctcctgtac caccttaccg cggtgtcctc gcctgccccg gggactcctg
241 ccttctgggt gtccggctgg ctgggcccgc agcagtacct gagctacaat agcctgcggg
301 gcgaggcgga gccctgtgga gcttgggtct gggaaaacca ggtgtcctgg tattgggaga
361 aagagaccac agatctgagg atcaaggaga agctctttct ggaagctttc aaagctttgg
421 ggggaaaagg tccctacact ctgcagggcc tgctgggctg tgaactgggc cctgacaaca
481 cctcggtgcc caccgccaag ttcgccctga acggcgagga gttcatgaat ttcgacctca
541 agcagggcac ctggggtggg gactggcccg aggccctggc tatcagtcag cggtggcagc
601 agcaggacaa ggcggccaac aaggagctca ccttcctgct attctcctgc ccgcaccgcc
661 tgcgggagca cctggagagg ggccgcggaa acctggagtg gaaggagccc ccctccatgc
721 gcctgaaggc ccgacccagc agccctggct tttccgtgct tacctgcagc gccttctcct
781 tctaccctcc ggagctgcaa cttcggttcc tgcggaatgg gctggccgct ggcaccggcc
841 agggtgactt cggccccaac agtgacggat ccttccacgc ctcgtcgtca ctaacagtca
901 aaagtggcga tgagcaccac tactgctgca ttgtgcagca cgcggggctg gcgcagcccc
961 tcagggtgga gctggaatct ccagccaagt cctccgtgct cgtggtggga atcgtcatcg
1021 gtgtcttgct actcacggca gcggctgtag gaggagctct gttgtggaga aggatgagga
1081 gtgggctgcc agccccttgg atctcccttc gtggagacga caccggggtc ctcctgccca
1141 ccccagggga ggcccaggat gctgatttga aggatgtaaa tgtgattcca gccaccgcct
1201 gaccatccgc cattccgact gctaaaagcg aatgtagtca ggcccctttc atgctgtgag
1261 acctcctgga acactggcat ctctgagcct ccagaagggg ttctgggcct agttgtcctc
1321 cctctggagc cccgtcctgt ggtctgcctc agtttcccct cctaatacat atggctgttt
1381 tccacctcga taatataaca cgagtttggg cccgaatcag tgtgttctca tcatttttca
1441 ggcaggggag gtaagggaat aagtcggggg actgaatggc ggctgggcct cggatctctc
1501 ctacaggtaa c(配列番号428)
「断片」とは、ポリペプチドまたは核酸分子の一部を意味する。この部分は、参照核酸分子またはポリペプチドの全長の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を含む。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100、200、300、400、500、600、700、800、900、もしくは1000個のヌクレオチドまたはアミノ酸を含み得る。一部の実施形態では、断片は機能的断片である。「ガイドポリヌクレオチド」とは、標的配列に特異的であり、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインタンパク質(例えば、Cas9またはCpf1)と複合体を形成することができるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド複合体を意味する。実施形態では、ガイドポリヌクレオチドはガイドRNA(gRNA)である。gRNAは、2つ以上のRNAの複合体として、または単一のRNA分子として存在することができる。
【0108】
「ハイブリダイゼーション」とは、相補的核酸塩基間の水素結合を意味し、この水素結合は、ワトソン-クリック水素結合、フーグスティーン水素結合、または逆フーグスティーン水素結合であり得る。例えば、アデニンおよびチミンは、水素結合の形成を通じて対になる相補的核酸塩基である。
【0109】
「免疫グロブリンガンマ1(IgG1)ポリペプチド」とは、以下に提供される、GenBank受託番号CAA75030.1と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質、または免疫調節活性を有するその断片を意味する。ホモサピエンス由来の例示的なIgG1アミノ酸配列が
図2Aに提供される
>CAA75030.1免疫グロブリンカッパ重鎖[ホモサピエンス]
MEFGLRWVFLVAILKDVQCDVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFAYSSFWMHWVRQAPGRGLVWVSRINPDGRITVYADAVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNNLRAEDTAVYYCARGTRFLELTSRGQMDQWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号429)。
【0110】
「免疫グロブリンガンマ1(IgG1)ポリヌクレオチド」とは、IgG1ポリペプチドをコードする核酸分子、ならびにその発現に関連するイントロン、エクソン、3’非翻訳領域、5’非翻訳領域、および調節配列、またはそれらの断片を意味する。実施形態では、IgG1ポリヌクレオチドは、IgG1発現に関連する、および/またはそれに必要なゲノム配列、cDNA、mRNA、または遺伝子である。ホモサピエンス由来の例示的なIgG1ヌクレオチド配列が以下に提供される(GenBank:Y14735.1:36~1457):
>Y14735.1:36~1457免疫グロブリンカッパ重鎖についてのホモサピエンスmRNA
ATGGAATTTGGGCTGCGCTGGGTTTTCCTTGTTGCTATTTTAAAAGATGTCCAGTGTGACGTGCAACTGGTGGAGTCCGGGGGAGGCTTAGTTCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGCGCAGCCTCTGGATTCGCCTACAGTAGTTTTTGGATGCACTGGGTCCGCCAAGCTCCAGGGAGGGGTCTGGTGTGGGTCTCACGTATTAATCCTGATGGGAGAATCACAGTCTACGCGGACGCCGTAAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGCTCTATCTCCAAATGAACAACCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTTTATTACTGTGCAAGAGGGACACGATTTCTGGAGTTGACTTCTAGGGGACAAATGGACCAGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGA(配列番号430)。
【0111】
「免疫グロブリンガンマ2(IgG2)ポリペプチド」とは、以下に提供される、GenBank受託番号AAB59393.1と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質、または免疫調節活性を有するその断片を意味する。ホモサピエンス由来の例示的なIgG2アミノ酸配列は、GenBank受託番号AH005273.2:216~509、902~937、1056~1382、1480~1802を含み、以下、および
図2Aに提供される:
>AAB59393.1免疫グロブリンガンマ-2重鎖、部分的[ホモサピエンス]
STKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号431)。
【0112】
>例示的なIgG2アミノ酸配列
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDISVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号432)。
【0113】
「免疫グロブリンガンマ2(IgG2)ポリヌクレオチド」とは、IgG2ポリペプチドをコードする核酸分子、ならびにその発現に関連するイントロン、エクソン、3’非翻訳領域、5’非翻訳領域、および調節配列、またはそれらの断片を意味する。実施形態では、IgG2ポリヌクレオチドは、IgG2発現に関連する、および/またはそれに必要なゲノム配列、cDNA、mRNA、または遺伝子である。ホモサピエンス由来の例示的なIgG2ヌクレオチド配列が以下に提供される(GenBank:AH005273.2:216~509、902~937、1056~1382、1480~1802):
>AH005273.2:216~509、902~937、1056~1382、1480~1802ホモサピエンス免疫グロブリンガンマ-2重鎖(IgH)、免疫グロブリンガンマ-4重鎖(IgH)、免疫グロブリンイプシロン鎖定常領域(IgH)、および免疫グロブリンアルファ-2重鎖(IgH)遺伝子、部分的cds
CCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCTCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCAGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAACTTCGGCACCCAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGACAGTTGAGCGCAAATGTTGTGTCGAGTGCCCACCGTGCCCAGCACCACCTGTGGCAGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCACGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTTCCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTTGTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAACCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACACCTCCCATGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGA(配列番号433)。
【0114】
「増加する」とは、少なくとも10%、25%、50%、75%、もしくは100%、または約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、もしくは約100倍のプラスの変化を意味する。
【0115】
「塩基修復の阻害剤」、「塩基修復阻害剤」、「IBR」という用語、またはそれらの文法的同等物は、核酸修復酵素、例えば、塩基除去修復酵素の活性を阻害することができるタンパク質を指す。
【0116】
「インテイン」とは、タンパク質のスプライシングとして知られているプロセスで、それ自体を切り出し、残りの断片(エクステイン)をペプチド結合で結合することができるタンパク質の断片である。
【0117】
「単離された」、「精製された」、または「生物学的に純粋な」という用語は、天然の状態で見出されるような、通常それに付随する成分が様々な程度で含まれていない物質を指す。「単離する」は、元の供給源または周囲環境からの分離の程度を示す。「精製する」は、単離よりも高い分離の程度を意味する。「精製された」または「生物学的に純粋な」タンパク質は、他の物質を十分に含まないため、不純物がタンパク質の生物学的特性に重大な影響を与えないか、または他の悪影響を引き起こすことはない。すなわち、本発明の核酸またはペプチドは、組換えDNA技術によって産生される場合には、細胞物質、ウイルス物質、もしくは培養培地を実質的に含まない場合に、または化学合成される場合には、化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない場合に、精製されている。純度および均一性は、典型的には、分析化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーを使用して決定される。「精製された」という用語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲル内に本質的に1つのバンドを生じさせることを意味し得る。改変、例えば、リン酸化またはグリコシル化を受ける可能性のあるタンパク質の場合、異なる改変により異なる単離タンパク質が生じる場合があり、これらは個別に精製することができる。
【0118】
「単離されたポリヌクレオチド」とは、本発明の核酸分子が由来する生物の天然に存在するゲノムにおいてその遺伝子に隣接する遺伝子を含まない核酸分子を意味する。したがって、この用語には、例えば、ベクター;自律的に複製するプラスミドもしくはウイルス;または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれるか;あるいは、他の配列から独立した別個の分子(例えば、PCRまたは制限エンドヌクレアーゼ消化によって生成されるcDNAまたはゲノムもしくはcDNA断片)として存在する組換えDNAが含まれる。さらに、この用語には、DNA分子から転写されるRNA分子、および追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも含まれる。
【0119】
「単離されたポリペプチド」とは、天然に付随する成分から分離された本発明のポリペプチドを意味する。典型的には、ポリペプチドは、それが天然に会合しているタンパク質および天然に存在する有機分子を少なくとも60重量%含まない場合、単離されている。好ましくは、調製物は、少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%が本発明のポリペプチドである。本発明の単離されたポリペプチドは、例えば、天然源から抽出することによって、そのようなポリペプチドをコードする組換え核酸を発現させることによって;またはタンパク質を化学的に合成することによって得ることができる。純度は、任意の適切な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析によって測定することができる。
【0120】
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、2つの部分を連結する分子を指す。一実施形態では、「リンカー」という用語は、共有結合リンカー(例えば、共有結合)または非共有結合リンカーを指す。
【0121】
「マーカー」とは、疾患または障害に関連する、発現、レベル、構造、または活性に変化を有する任意の検体、タンパク質、またはポリヌクレオチドを意味する。実施形態では、マーカーは、自己抗原に結合することができ、および/もしくは自己免疫疾患に関連するIgGポリペプチド、またはFcRnポリペプチドである。本明細書で使用される場合、「突然変異」または「変化」という用語は、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチド配列内の残基の別のヌクレオチドもしくは残基への置換、または配列内の1つもしくは複数のヌクレオチドもしくは残基の欠失もしくは挿入を指す。突然変異は、典型的には、本明細書において、元の残基を特定し、続いて配列内の残基の位置、および新たに置換された残基の同一性を特定することによって記載される。本明細書で提供されるアミノ酸置換(突然変異)を行うための様々な方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、Green and Sambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第4版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2012))に提供されている。
【0122】
本明細書で使用される場合、「核酸」および「核酸分子」という用語は、核酸塩基および酸性部分、例えば、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはヌクレオチドのポリマーを含む化合物を指す。典型的には、ポリマー核酸、例えば、3つ以上のヌクレオチドを含む核酸分子は直鎖状分子であり、その分子内では隣接するヌクレオチドがホスホジエステル結合を介して互いに連結している。一部の実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指す。一部の実施形態では、「核酸」とは、3つ以上の個々のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を指す。本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのポリマー(例えば、少なくとも3つのヌクレオチドの列)を指すために互換的に使用され得る。一部の実施形態では、「核酸」は、RNAならびに一本鎖および/または二本鎖DNAを包含する。核酸は、例えば、ゲノム、転写物、mRNA、tRNA、rRNA、siRNA、snRNA、プラスミド、コスミド、染色体、染色分体、または他の天然に存在する核酸分子に関して、天然に存在し得る。他方、核酸分子は、天然に存在しない分子、例えば、組換えDNAもしくはRNA、人工染色体、操作されたゲノム、またはその断片、あるいは合成DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドであり得るか、または天然に存在しないヌクレオチドもしくはヌクレオシドを含み得る。さらに、「核酸」、「DNA」、「RNA」という用語、および/または同様の用語には、核酸アナログ、例えば、ホスホジエステル骨格以外を有するアナログが含まれる。核酸は、天然源から精製されてもよく、組換え発現系を使用して産生されてもよく、必要に応じて、精製、化学合成などをされてもよい。適切な場合、例えば、化学的に合成された分子の場合、核酸は、ヌクレオシドアナログ、例えば、化学的に改変された塩基または糖、および骨格の改変を有するアナログを含む。核酸配列は、別段の指示がない限り、5’から3’の方向で表される。一部の実施形態では、核酸は、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン);ヌクレオシドアナログ(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン);化学的に改変された塩基;生物学的に改変された塩基(例えば、メチル化塩基);インターカレートされた塩基;改変された糖(2’-例えば、フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または改変されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホラミダイト結合)であるか、またはそれを含む。
【0123】
「核局在化配列」、「核局在化シグナル」、または「NLS」という用語は、細胞核へのタンパク質の移入を促進するアミノ酸配列を指す。核局在化配列は当該技術分野で公知であり、例えば、2000年11月23日に出願され、2001年5月31日にWO/2001/038547として公開された、Plankらによる国際PCT出願PCT/EP2000/011690に記載されており、その内容は、それらの例示的な核局在化配列の開示に関して参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、NLSは、例えば、Koblanら、Nature Biotech.2018 doi:10.1038/nbt.4172に記載されている最適化されたNLSである。一部の実施形態では、NLSは、アミノ酸配列KRTADGSEFESPKKKRKV(配列番号190)、KRPAATKKAGQAKKKK(配列番号191)、KKTELQTTNAENKTKKL(配列番号192)、KRGINDRNFWRGENGRKTR(配列番号193)、RKSGKIAAIVVKRPRK(配列番号194)、PKKKRKV(配列番号195)、またはMDSLLMNRRKFLYQFKNVRWAKGRRETYLC(配列番号196)を含む。
【0124】
本明細書で互換的に使用される、「核酸塩基」、「窒素含有塩基」、または「塩基」という用語は、窒素を含有する生体化合物を指し、これはヌクレオシドを形成し、次いでヌクレオチドの成分となる。塩基対を形成し、互いに積み重なる核酸塩基の能力は、リボ核酸(RNA)およびデオキシリボ核酸(DNA)などの長鎖ヘリカル構造を直接生じさせる。5つの核酸塩基、すなわち、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、およびウラシル(U)は、一次または標準と呼ばれる。アデニンおよびグアニンはプリンに由来し、シトシン、ウラシル、およびチミンはピリミジンに由来する。DNAおよびRNAはまた、改変された他の(一次ではない)塩基も含み得る。非限定的な例示的な改変された核酸塩基には、ヒポキサンチン、キサンチン、7-メチルグアニン、5,6-ジヒドロロウラシル、5-メチルシトシン(m5C)、および5-ヒドロメチルシトシンが含まれ得る。ヒポキサンチンおよびキサンチンは、変異原の存在によって生成され得るが、それらのどちらも脱アミノ化(アミン基のカルボニル基への置換)によって生成され得る。ヒポキサンチンはアデニンから改変され得る。キサンチンはグアニンから改変され得る。ウラシルはシトシンの脱アミノ化によって生じ得る。「ヌクレオシド」は、核酸塩基および五炭糖(リボースまたはデオキシリボースのいずれか)からなる。ヌクレオシドの例としては、アデノシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、5-メチルウリジン(m5U)、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、チミジン、デオキシウリジン、およびデオキシシチジンが挙げられる。改変された核酸塩基を有するヌクレオシドの例としては、イノシン(I)、キサントシン(X)、7-メチルグアノシン(m7G)、ジヒドロウリジン(D)、5-メチルシチジン(m5C)、およびプソイドウリジン(Ψ)が挙げられる。「ヌクレオチド」は、核酸塩基、五炭糖(リボースまたはデオキシリボースのいずれか)、および少なくとも1つのリン酸基からなる。改変された核酸塩基および/または改変された核酸塩基が含み得る化学改変の非限定的な例は、以下の通りである:プソイド-ウリジン、5-メチル-シトシン、2’-O-メチル-3’-ホスホノアセテート、2’-O-メチルチオPACE(MSP)、2’-O-メチル-PACE(MP)、2’-フルオロRNA(2’-F-RNA)、拘束エチル(S-cEt)、2’-O-メチル(「M」)、2’-O-メチル-3’-ホスホロチオエート(「MS」)、2’-O-メチル-3’-チオホスホノアセテート(「MSP」)、5-メトキシウリジン、ホスホロチオエート、およびN1-メチルプソイドウリジン。
【0125】
「核酸プログラマブルDNA結合タンパク質」または「napDNAbp」という用語は、「ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン」と互換的に使用され、napDNAbpを特定の核酸配列に導く核酸(例えば、DNAまたはRNA)、例えば、ガイド核酸またはガイドポリヌクレオチド(例えば、gRNA)と会合するタンパク質を指し得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、ポリヌクレオチドプログラマブルRNA結合ドメインである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインはCas9タンパク質である。Cas9タンパク質は、Cas9タンパク質をガイドRNAに相補的な特定のDNA配列に導くガイドRNAと会合することができる。一部の実施形態では、napDNAbpは、Cas9ドメイン、例えば、ヌクレアーゼ活性Cas9、Cas9ニッカーゼ(nCas9)、またはヌクレアーゼ不活性Cas9(dCas9)である。核酸プログラマブルDNA結合タンパク質の非限定的な例としては、Cas9(例えば、dCas9およびnCas9)、Cas12a/Cpfl、Cas12b/C2cl、Cas12c/C2c3、Cas12d/CasY、Cas12e/CasX、Cas12g、Cas12h、Cas12i、およびCas12j/CasΦ(Cas12j/Casファイ)が挙げられる。Cas酵素の非限定的な例としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5d、Cas5t、Cas5h、Cas5a、Cas6、Cas7、Cas8、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9(Csn1またはCsx12としても知られている)、Cas10、Cas10d、Cas12a/Cpfl、Cas12b/C2cl、Cas12c/C2c3、Cas12d/CasY、Cas12e/CasX、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12j/CasΦ、Cpf1、Csy1、Csy2、Csy3、Csy4、Cse1、Cse2、Cse3、Cse4、Cse5e、Csc1、Csc2、Csa5、Csn1、Csn2、Csm1、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csx11、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Csd1、Csd2、Cst1、Cst2、Csh1、Csh2、Csa1、Csa2、Csa3、Csa4、Csa5、II型Casエフェクタータンパク質、V型Casエフェクタータンパク質、VI型Casエフェクタータンパク質、CARF、DinG、それらのホモログ、またはそれらの改変もしくは操作されたバージョンが挙げられる。他の核酸プログラマブルDNA結合タンパク質も本開示の範囲内であるが、それらは本開示に具体的に列挙されていない場合がある。例えば、Makarovaら「Classification and Nomenclature of CRISPR-Cas Systems:Where from Here?」 CRISPR J.2018年10月;1:325~336.doi:10.1089/crispr.2018.0033;Yanら、「Functionally diverse type V CRISPR-Cas systems」 Science.2019年1月4日;363(6422):88~91.doi:10.1126/science.aav7271を参照されたく、各々の全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。例示的な核酸プログラマブルDNA結合タンパク質および核酸プログラムマブルDNA結合タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号197~230、および378として配列表に提供される。
【0126】
本明細書で使用される場合、「核酸塩基編集ドメイン」または「核酸塩基編集タンパク質」という用語は、シトシン(もしくはシチジン)からウラシル(もしくはウリジン)またはチミン(もしくはチミジン)への、およびアデニン(もしくはアデノシン)からヒポキサンチン(もしくはイノシン)への脱アミノ化、ならびに鋳型化されていないヌクレオチドの付加および挿入などの、RNAまたはDNAにおける核酸塩基改変を触媒することができるタンパク質または酵素を指す。一部の実施形態では、核酸塩基編集ドメインは、デアミナーゼドメイン(例えば、アデニンデアミナーゼもしくはアデノシンデアミナーゼ;またはシチジンデアミナーゼもしくはシトシンデアミナーゼ)である。
【0127】
本明細書で使用される場合、「薬剤を得ること」のような「得ること」は、薬剤を合成すること、購入すること、または他の方法で取得することを含む。
【0128】
「対象」または「患者」とは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を含むが、これらに限定されない、哺乳動物を意味する。実施形態では、哺乳動物は、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、ウサギ、げっ歯類、非ヒト霊長類、またはネコである。実施形態では、「患者」とは、疾患または障害を発症する可能性が平均よりも高い哺乳動物対象を指す。例示的な患者は、ヒト、非ヒト霊長類、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ネコ、ウマ、ラクダ、ラマ、ヤギ、ヒツジ、げっ歯類(例えば、マウス、ウサギ、ラット、またはモルモット)、および本明細書に開示される治療法の恩恵を受けることができる他の哺乳動物であり得る。例示的なヒト患者は、男性および/または女性であり得る。
【0129】
「それを必要とする患者」または「それを必要とする対象」は、本明細書では、疾患もしくは障害を有すると診断されたか、それらのリスクがあるもしくはそれらを有するか、それらを有すると事前に判定されたか、またはそれらを有すると疑われる患者を指す。
【0130】
「病原性突然変異」、「病原性バリアント」、「病因性突然変異」、「病因性バリアント」、「有害突然変異」、または「素因となる突然変異」という用語は、疾患もしくは障害と関連するか、または特定の疾患もしくは障害に対する個体の感受性もしくは素因を増加させる遺伝子変化または突然変異を指す。一部の実施形態では、病原性突然変異は、遺伝子によってコードされるタンパク質内の少なくとも1つの病原性アミノ酸によって置換された少なくとも1つの野生型アミノ酸を含む。
【0131】
「タンパク質」、「ペプチド」、「ポリペプチド」という用語、およびそれらの文法的同等物は、本明細書では互換的に使用され、ペプチド(アミド)結合によって一緒に連結されたアミノ酸残基のポリマーを指す。タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドは、天然に存在する、組換え、もしくは合成、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0132】
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」という用語は、少なくとも2つの異なるタンパク質に由来するタンパク質ドメインを含むハイブリッドポリペプチドを指す。
【0133】
タンパク質または核酸に関して本明細書で使用される場合、「組換え」という用語は、天然には存在しないが、ヒトによる操作の産物であるタンパク質または核酸を指す。例えば、一部の実施形態では、組換えタンパク質または核酸分子は、任意の天然に存在する配列と比較して、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの突然変異を含むアミノ酸またはヌクレオチド配列を含む。
【0134】
「低減する」とは、少なくとも10%、25%、50%、75%、または100%のマイナスの変化を意味する。
【0135】
「参照」とは、標準または対照条件を意味する。一実施形態では、参照は、野生型または健康な細胞である。他の実施形態では、限定されないが、参照は、試験条件に供されないか、またはプラセボもしくは通常の生理食塩水、培地、緩衝剤、および/もしくは目的のポリヌクレオチドを有さない対照ベクターに供される、未処理の細胞である。実施形態では、参照は、本明細書で提供される塩基エディター系、またはその成分と接触していない細胞または対象である。一部の場合では、参照は、対象においてFcRnの活性を妨げる薬剤(例えば、小分子薬物)を投与された細胞または対象である。一部の場合では、参照は、目的のアミノ酸残基における変化を含まないか、または本明細書で提供される変化をいずれも含まないFcRnポリペプチド(すなわち、野生型FcRnポリペプチド配列)である。様々な例では、参照は、本明細書で提供される方法に従って変化されていない細胞である。
【0136】
「参照配列」は、配列比較の基礎として使用される規定の配列である。参照配列は、指定の配列のサブセットまたは全体;例えば、全長のcDNAもしくは遺伝子配列のセグメント、または完全なcDNAもしくは遺伝子配列であってもよい。ポリペプチドの場合、参照ポリペプチド配列の長さは、一般に、少なくとも約16アミノ酸、少なくとも約20アミノ酸、少なくとも約25アミノ酸、約35アミノ酸、約50アミノ酸、または約100アミノ酸である。核酸の場合、参照核酸配列の長さは、一般に、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、もしくは約300ヌクレオチド、またはその付近もしくはその間の任意の整数である。一部の実施形態では、参照配列は、目的のタンパク質の野生型配列である。他の実施形態では、参照配列は、野生型タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列である。
【0137】
「RNAプログラマブルヌクレアーゼ」および「RNAガイドヌクレアーゼ」という用語は、切断の標的ではない1つまたは複数のRNAと複合体を形成するヌクレアーゼを指す。一部の実施形態では、RNAとの複合体の場合、RNAプログラマブルヌクレアーゼは、ヌクレアーゼ-RNA複合体と称され得る。典型的には、結合したRNAは、ガイドRNA(gRNA)と称される。一部の実施形態では、RNAプログラマブルヌクレアーゼは、(CRISPR会合系)Cas9エンドヌクレアーゼ、例えば、ストレプトコッカス・ピオゲネス由来のCas9(Csn1)(例えば、配列番号197)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)由来のCas9(NmeCas9;配列番号208)、Nme2Cas9(配列番号209)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)(ScoCas9)、またはそれらの誘導体(例えば、Nme2Cas9またはspCas9などの、Cas9に対して少なくとも約85%の配列同一性を有する配列)である。
【0138】
本明細書で使用される場合、「scFv」という用語は、抗体由来の重鎖および軽鎖の可変ドメインが結合して1つの鎖を形成している一本鎖Fv抗体を指す。scFv断片は、リンカーによって分離された、抗体軽鎖の可変領域(VL)(例えば、CDR-L1、CDR-L2、および/またはCDR-L3)、および抗体重鎖の可変領域(VH)(例えば、CDR-H1、CDR-H2、および/またはCDR-H3)を含む単一のポリペプチド鎖を含む。scFv断片のVLおよびVH領域を結合するリンカーは、タンパク質を構成するアミノ酸から構成されるペプチドリンカーであり得る。代替リンカーが、タンパク質分解に対するscFv断片の耐性を増加させるために(例えば、D-アミノ酸を含むリンカー)、scFv断片の溶解性を増強するために(例えば、ポリエチレングリコール含有リンカーまたは反復グリシンおよびセリン残基を含有するポリペプチドなどの親水性リンカー)、分子の生物物理学的安定性を改善するために(例えば、分子内または分子間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含むリンカー)、またはscFv断片の免疫原性を減衰させるために(例えば、グリコシル化部位を含むリンカー)、使用されてもよい。本明細書に記載されるscFv分子の可変領域は、それらが由来する抗体分子とはアミノ酸配列が異なるように改変され得ることも、当業者によって理解されるであろう。例えば、対応する抗体によって認識される抗原に結合するscFvの能力を維持または増強するように、アミノ酸残基における保存的置換または変化をもたらすヌクレオチドまたはアミノ酸置換が、(例えば、CDRおよび/またはフレームワーク残基において)なされてもよい。
【0139】
「特異的に結合する」とは、核酸分子、ポリペプチド、ポリペプチド/ポリヌクレオチド複合体、化合物、または本発明のポリペプチドおよび/もしくは核酸分子を認識して結合するが、試料、例えば、生体試料中の他の分子を実質的に認識して結合しない分子を意味する。
【0140】
「実質的に同一」とは、参照アミノ酸配列に対して少なくとも50%の同一性を示すポリペプチドまたは核酸分子を意味する。一実施形態では、参照配列は、野生型のアミノ酸または核酸配列である。別の実施形態では、参照配列は、本明細書に記載されるアミノ酸配列または核酸配列のいずれか1つである。一実施形態では、そのような配列は、アミノ酸レベルまたは核酸レベルにおいて、比較に使用される配列と少なくとも約60%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはさらに99.99%同一である。
【0141】
配列同一性は、典型的には、配列解析ソフトウェア(例えば、Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、Wis.53705の配列解析ソフトウェアパッケージ、BLAST、BESTFIT、GAP、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、および/または他の改変に対して相同性の程度を割り当てることによって、同一または類似の配列を照合する。保存的置換には、典型的には、以下の群内の置換が含まれる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定するための例示的なアプローチでは、密接に関連した配列を示すe-3からe-100の間の確率スコアを用いたBLASTプログラムを使用してもよい。
【0142】
COBALTが、例えば、以下のパラメーターとともに使用される:
a)アラインメントパラメーター:Gapペナルティ-11、-1およびEnd-Gapペナルティ-5、-1、
b)CDDパラメーター:RPS BLASTを使用;Blast E値0.003;保存された列を見つけて再計算、ならびに
c)クエリクラスタリングパラメーター:クエリクラスターを使用;ワードサイズ4;最大クラスター距離0.8;Alphabet Regular。
【0143】
EMBOSS Needleが、例えば、以下のパラメーターとともに使用される:
a)マトリックス:BLOSUM62;
b)GAP OPEN:10;
c)GAP EXTEND:0.5;
d)OUTPUT FORMAT:pair;
e)END GAP PENALTY:false;
f)END GAP OPEN:10;および
g)END GAP EXTEND:0.5。
【0144】
本発明の方法において有用な核酸分子には、本発明のポリペプチドまたはその機能的断片をコードする任意の核酸分子が含まれる。そのような核酸分子は、内在性核酸配列と100%同一である必要はないが、典型的には実質的な同一性を示すであろう。内在性配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖とハイブリダイズすることができる。本発明の方法において有用な核酸分子には、本発明のポリペプチドまたはその機能的断片をコードする任意の核酸分子が含まれる。そのような核酸分子は内在性核酸配列と100%同一である必要はないが、典型的には、実質的な同一性を示すであろう。内在性配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖とハイブリダイズすることができる。「ハイブリダイズする」とは、ペアが、様々なストリンジェンシー条件下で、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載される遺伝子)、またはその一部の間で二本鎖分子を形成することを意味する。(例えば、Wahl,G.M.およびS.L.Berger(1987年)Methods Enzymol.152:399;Kimmel,A.R.(1987年)Methods Enzymol.152:507を参照のこと)。
【0145】
例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mM NaClおよび75mMクエン酸三ナトリウム未満、好ましくは約500mM NaClおよび50mMクエン酸三ナトリウム未満、より好ましくは約250mM NaClおよび25mMクエン酸三ナトリウム未満である。有機溶媒、例えば、ホルムアミドの非存在下では、低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションを得ることができる一方で、少なくとも約35%のホルムアミド、より好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下では、高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションを得ることができる。ストリンジェントな温度条件には、通常、少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約37℃、最も好ましくは少なくとも約42℃の温度が含まれる。ハイブリダイゼーション時間、界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、および担体DNAの包含または除外などの様々な付加的パラメーターは、当業者に周知である。必要に応じて、これらの様々な条件を組み合わせることによって、様々なレベルのストリンジェンシーが達成される。好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションは、750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム、および1%のSDS中にて30℃で実施される。より好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションは、500mM NaCl、50mMクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド、および100μg/ml変性サケ精子DNA(ssDNA)中にて37℃で実施される。最も好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションは、250mM NaCl、25mMクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%のホルムアミド、および200μg/ml ssDNA中にて42℃で実施される。これらの条件の有用な変形は、当業者には容易に明らかであろう。
【0146】
ほとんどの用途では、ハイブリダイゼーションに続く洗浄ステップのストリンジェンシーも様々に異なる。洗浄のストリンジェンシーの条件は、塩濃度および温度によって定義することができる。上記のように、洗浄のストリンジェンシーは、塩濃度を下げるか、または温度を上げることによって増加させることができる。例えば、洗浄ステップのストリンジェントな塩濃度は、好ましくは約30mM NaClおよび3mMクエン酸三ナトリウム未満、および最も好ましくは約15mM NaClおよび1.5mMクエン酸三ナトリウム未満である。洗浄ステップのストリンジェントな温度条件には、通常、少なくとも約25℃、より好ましくは少なくとも約42℃、さらにより好ましくは少なくとも約68℃の温度が含まれる。実施形態では、洗浄ステップは、30mM NaCl、3mMクエン酸三ナトリウム、および0.1%のSDS中にて25℃で実施される。別の実施形態では、洗浄ステップは、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウム、および0.1%のSDS中にて42Cで実施される。より好ましい実施形態では、洗浄ステップは、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウム、および0.1%のSDS中にて68℃で実施される。これらの条件の追加の変形は、当業者には容易に明らかであろう。ハイブリダイゼーション技術は当業者に周知であり、例えば、BentonおよびDavis(Science 196:180、1977年);GrunsteinおよびHogness(Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 72:3961、1975年);Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience、New York、2001年);BergerおよびKimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques、1987年、Academic Press、New York);ならびにSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New Yorkに記載されている。
【0147】
「スプリット」とは、2つ以上の断片に分割されることを意味する。
【0148】
「スプリットCas9タンパク質」または「スプリットCas9」とは、2つの別個のヌクレオチド配列によってコードされるN末端断片およびC末端断片として提供されるCas9タンパク質を指す。Cas9タンパク質のN末端部分およびC末端部分に対応するポリペプチドは、スプライシングされて「再構成された」Cas9タンパク質を形成し得る。
【0149】
「標的部位」という用語は、改変されている核酸分子内の配列を指す。実施形態では、改変は塩基の脱アミノ化である。デアミナーゼは、シチジンまたはアデニンデアミナーゼであり得る。デアミナーゼを含む融合タンパク質または塩基編集複合体は、dCas9-アデノシンデアミナーゼ融合タンパク質、Cas12b-アデノシンデアミナーゼ融合体、または本明細書に開示される塩基エディターを含み得る。
【0150】
本明細書で使用される場合、「治療(処置)する」、「治療(処置)すること」、「治療(処置)」などの用語は、障害および/もしくはそれに関連する症状を低減および/もしくは改善させるか、または所望の薬理学的および/もしくは生理学的効果を得ることを指す。障害または状態を治療することは、障害、状態、またはそれらに関連する症状が完全に排除されることを、除外はしないものの、必ずしも必要としないことが理解されるであろう。一部の実施形態では、効果は治療的であり、すなわち、効果は、限定されないが、疾患および/または疾患に起因する有害な症状を、部分的または完全に、低減、減少、抑止、軽減、緩和、強度を低下させるか、または治癒する。一部の実施形態では、効果は予防的であり、すなわち、効果は、疾患または状態の発症または再発を防御または予防する。この目的のために、本明細書に開示される方法は、本明細書に記載される治療有効量の組成物を投与することを含む。
【0151】
「ウラシルグリコシラーゼ阻害剤」または「UGI」とは、ウラシル除去修復系を阻害する薬剤を意味する。シチジンデアミナーゼを含む塩基エディターは、シトシンをウラシルに変換し、それはその後DNA複製または修復を通じてチミンに変換される。様々な実施形態では、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UGI)は、UをCに戻して変化させる塩基除去修復を防止する。一部の例では、細胞および/またはポリヌクレオチドをUGIおよび塩基エディターと接触させると、UをCに戻して変化させる塩基除去修復が防止される。例示的なUGIは、以下のようなアミノ酸配列を含む:
>splP14739IUNGI_BPPB2ウラシル-DNAグリコシラーゼ阻害剤
MTNLSDIIEKETGKQLVIQESILMLPEEVEEVIGNKPESDILVHTAYDESTDENVMLLTSDAPEYKPWALVIQDSNGENKIKML(配列番号231)。
【0152】
一部の実施形態では、ウラシル-除去修復系を阻害する薬剤は、ウラシル安定化タンパク質(USP)である。例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2022015969 A1を参照のこと。
【0153】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、核酸配列を細胞に導入する手段を指す。ベクターには、プラスミド、トランスポゾン、ファージ、ウイルス、リポソーム、脂質ナノ粒子、およびエピソームが含まれる。「発現ベクター」は、レシピエント細胞において発現されるヌクレオチド配列を含む核酸配列である。発現ベクターは、哺乳動物細胞のゲノム内に、開始、終止、エンハンサー、プロモーター、および分泌配列などの導入配列の発現を促進および/または容易にするためのポリヌクレオチド配列および追加の核酸配列を含む。ベクターの例としては、核酸ベクター、例えば、プラスミドなどのDNAベクター、RNAベクター、ウイルスまたは他の適切なレプリコン(例えば、ウイルスベクター)が挙げられる。外来性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを原核細胞または真核細胞に送達するために、様々なベクターが開発されている。このような発現ベクターの例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO1994/11026に開示されている。本明細書の一部の態様および実施形態のエディター、例えば、塩基エディターもしくはプライムエディター、および/またはガイドポリヌクレオチドの発現に使用できる特定のベクターには、遺伝子転写を指示するプロモーター領域およびエンハンサー領域などの調節配列を含むプラスミドが含まれる。抗体および抗体断片の発現のための他の有用なベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を増強するか、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性もしくは核外輸送を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列エレメントには、発現ベクター上に担持された遺伝子の効率的な転写を指示するために、例えば、5’および3’非翻訳領域、内部リボソーム侵入部位(IRES)、およびポリアデニル化シグナル部位が含まれる。本明細書の一部の態様および実施形態の発現ベクターはまた、このようなベクターを含む細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含み得る。適切なマーカーの例としては、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、またはノーセオトリシンなどの抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子が挙げられる。
【0154】
本明細書で提供される範囲は、その範囲内のすべての値の簡略表記であることが理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50を含む群からの任意の数、数の組合せ、または下位範囲を含むことが理解される。
【0155】
本明細書の変数の任意の定義の中の化学基のリストの列挙は、任意の単一の基または列挙された基の組合せとしてその変数の定義を含む。本明細書の変数または態様についての実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、または任意の他の実施形態もしくはその一部と組み合わせてその実施形態を含む。
【0156】
すべての用語は、当業者によって理解されているように理解されるものとして意図されている。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関係する当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0157】
本出願では、単数形の使用は、別途明確に記載されない限り、複数形を含む。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形の指示対象を含むことに留意しなければならない。本出願では、「または」の使用は、他に記載されない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(including)」、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる」などの他の形式の使用は、非制限的である。
【0158】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単語「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの任意の形式の含む(comprising))、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの任意の形式の有する(having))、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などの任意の形式の含む(including))または「含む(containing)」(ならびに「含む(contains)」および「含む(contain)」などの任意の形式の含む(containing))は、包括的または非制限的であり、引用していない追加のエレメントまたは方法ステップを除外しない。特定の成分またはエレメントを「含む」と指定された任意の実施形態はまた、一部の実施形態では、特定の成分またはエレメント「からなる」または「から本質的になる」としても企図される。本明細書で論じられる任意の実施形態は、本開示の任意の方法または組成物に関して実施することができ、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本開示の組成物を使用して、本開示の方法を達成することができる。
【0159】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは、値の測定方法または決定方法、すなわち、測定系の限界に部分的に依存する。
【0160】
本明細書での言及「一部の実施形態」、「実施形態」、「一実施形態」または「他の実施形態」とは、実施形態に関連して記載される特定の特性、構造、または特徴が、少なくとも一部の実施形態には含まれるが、本開示のすべての実施形態に含まれる必要はないことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【
図1A】
図1Aおよび1Bは、European Journal of Immunology、29:2819~2825(1999)から引用した3Dスティック構造およびプロットを提供し、その開示は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1Aは、ヒトIgG1のFc領域の3Dスティック構造を提供する。図は、RASMOLプログラム(Roger Sayle、エディンバラ大学バイオインフォマティクス研究所、英国)を用いて作成した。
図1Bは、マウスにおける組換えヒトFc-ヒンジ誘導体およびFc-パパイン断片のFcRnとIgGとの相互作用を示す消失曲線を示すプロットを提供する。
【
図2A】
図2Aおよび2Bは、FcRnに結合したIgG2の多重配列アラインメントおよびリボン構造を提供する。
図2Aは、重要な結合残基に下線を引いた、IgG1およびIgG2のアミノ酸配列のアラインメントを提供する。
図2Bは、FcRnへのIgG2の結合を示すリボン構造を提供し、重要な残基が示される。以下の配列が、
図2Aにおいて上から下に描写されている:LGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号434)およびVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号435)。
【
図3A】
図3Aおよび3Bは、FcRn:IgG界面に関するリボン構造を提供する。
【
図4】
図4は、FcRn:IgG結合部位に関するリボン構造を提供し、重要な残基が示されている。
【
図5】
図5は、IgGに結合したFcRnのリボン構造を提供し、IgGとの複合体を形成するために重要なFcRnアミノ酸の構造は、球体を使用して描写される。
図5において、W131(IgG結合のための重要な残基である)の位置を定めるのを助ける疎水性ポケットの一部を形成するアミノ酸は、最も明るいグレーの色合いの球体を使用して描写されるアミノ酸のクラスターとして示される。
図5において、pH依存性FcRn IgG結合部位に対応するアミノ酸は、グレーの最も暗い色合いの球体のクラスターを使用して描写される。
図5において、中性のpHにおける、IgGとFcRnとの間の複合体の安定化および低減した結合親和性に関連するアミノ酸は、中間的な灰色の色合いの球体を使用して描写される。球体を使用する
図5に描写されるアミノ酸の変化は、様々な実施形態では、アルブミンのリサイクルおよびFcRn発現を有利に保存しながら、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4への結合およびリサイクリングを低減させることができる。場合によっては、FcRnのアミノ酸残基に対する変化は、in vivoで循環するIgGの>50%の低減と関連する。
【
図6A-1】
図6Aおよび6Bは、HEK293T細胞を、x軸に示されたガイドポリヌクレオチドおよび塩基エディター(すなわち、ABEまたはCBE)を含む塩基編集系と接触させた場合に達成された塩基編集率を示す棒グラフを提供する。使用した塩基エディターは、SpCas9-ABE8.8、spCas9-BE4、VRQR spCas9-ABE8.8、VRQR spCas9-BE4、KKH-saCas9-ABE8.8、KKH-saCas9-BE4、SaABE8.8、SaBE4、およびspCas9-ABEであった。塩基編集率は、塩基編集された細胞において観察された各々の特定のFcRn変更または変更の組合せについて示される。
図6Aにおいて、40%を超える塩基編集効率を達成した塩基編集系に対応するバーは、
図6Aにおいて影付きのボックスによって輪郭が示される。アデノシン塩基エディター(ABE)とガイドRNA gRNA1583を含む塩基編集系は、HEK293T細胞において70%を超える塩基編集効率を達成し、FcRnにW131R変更を導入した。
図6Bは、
図6Aに提示されたデータのサブセットを示す。
図6Bの矢印は、E116KおよびM118Iを含む組み合わされたアミノ酸変化について測定された塩基編集効率に対応するバーを示す。
図6Aにおいて、右端の4つのバーは、陽性対照塩基エディター系に対応する。
図6Bにおいて、右端の2つのバーは、陽性対照塩基エディター系に対応する。
図6Aにおいて、x軸に沿って列挙されたアミノ酸位置は、FcRn 23アミノ酸長シグナルペプチドの最初のアミノ酸から番号付けされる。
【
図7A】
図7A~7Dは、アルブミンまたはIgG1のFcRnポリペプチドへの結合についての表面プラズモン共鳴(SPR)測定からの結果を提供する。
図7Aおよび7Bは、x軸に示される10個の変更を含むFcRnポリペプチドへのアルブミンまたはIgG1の結合についての表面プラズモン共鳴(SPR)測定からの結果を示す棒グラフを提供する。10個のFcRnバリアントはすべてアルブミン結合を維持した。
図7Aは、X軸に示される変更を含むFcRnポリペプチドへのアルブミンの結合の表面プラズモン共鳴測定を示す棒グラフを提供する。
【
図7B】
図7Bは、X軸に示される変更を含むFcRnポリペプチドへのIgG1結合の表面プラズモン共鳴測定を示す棒グラフを提供する。
図7Bにおいて、矢印は、FcRnによるIgG1結合の有意な低減に関連したアミノ酸変化を示す。評価したFcRnバリアントのうち4つは、IgG結合の低減を示した。
【
図7C】
図7Cは、IgGへの野生型、M118I、およびW131R FcRnの結合の比較を示す。測定は、表面上のFcRn-ビオチンで行われた。IgGを指示された濃度で注射した。
【
図7D】
図7Dは、アルブミンへの野生型、M118I、およびW131Rの結合の比較を示す。測定は、表面上のFcRn-ビオチンで行われた。アルブミンを指示された濃度で注射した。
【
図8A】
図8A~8Cは、概略図および棒グラフを提供する。
図8Aは、初代ヒト肝細胞(PHH)共培養における塩基編集を評価するために使用される実験スキームを記述する概略図を提供する。
図8Aでは、「MC」は培地交換を示し、「TF」は塩基編集系によるトランスフェクションを示し、「NGS」は次世代シークエンシングを示し、「RT-qPCR」は逆転写酵素定量的ポリメラーゼ連鎖反応を示す。トランスフェクション後の10日目に次世代シークエンシングのために試料を回収し、トランスフェクション後の13日目にRT-qPCR測定のために試料を採取した。細胞を、亜飽和用量の塩基編集系(全部で600ng、160ngの末端改変ガイドポリヌクレオチド+塩基エディターをコードする450ngのmRNAを含む)を用いてトランスフェクトした。W131(154)R変更の創出を促進したgRNA1583ガイドは、PHH共培養系において良好に機能した。
【
図8B】
図8Bは、x軸に示される特定のFcRn変更に関連し、x軸に示される塩基エディター系を用いて達成される塩基編集効率を示す棒グラフを提供する。
図8Cは、トランスフェクトされた細胞から単離されたmRNAにおいて検出されたFCGRTのエクソン5~6およびエクソン4~5のレベルを示す棒グラフを提供する。転写物レベルは、ACTBについて測定した転写物レベルに対して正規化された。gRNA1583およびアデノシン塩基エディターを含む塩基エディター系を用いて編集された細胞は、未処理細胞およびガイドsg23を用いて編集された細胞と比較して、FcRn mRNA発現において約30%の低減を示した。
図8Bおよび8Cにおいて、ガイドg23(あるいはgRNA23と呼ばれる)およびABE塩基エディターを含む塩基エディター系を陽性対照として使用した。
【
図8C】
図8Cは、トランスフェクトされた細胞から単離されたmRNAにおいて検出されたFCGRTのエクソン5~6およびエクソン4~5のレベルを示す棒グラフを提供する。転写物レベルは、ACTBについて測定した転写物レベルに対して正規化された。gRNA1583およびアデノシン塩基エディターを含む塩基エディター系を用いて編集された細胞は、未処理細胞およびガイドsg23を用いて編集された細胞と比較して、FcRn mRNA発現において約30%の低減を示した。
図8Bおよび8Cにおいて、ガイドg23(あるいはgRNA23と呼ばれる)およびABE塩基エディターを含む塩基エディター系を陽性対照として使用した。
【
図9A】
図9Aおよび9Bは、HEK293T細胞におけるスペーサー長の最適化に関する概略図および棒グラフを提供する。HEK293T細胞に、アデノシン塩基エディターをコードするmRNAおよびx軸に示されるガイドRNAをトランスフェクトした。これには、19~23ヌクレオチドの長さの異なるスペーサーが含まれた。
図9Aは、塩基編集効率におけるスペーサー長の影響を評価するための実験計画をまとめた概略図を提供する。HEK293T細胞を0日目に播種し、1日目に塩基エディター系でトランスフェクトした。培地を2日目に交換し、細胞由来のゲノムDNAを次世代シークエンシングを用いて、トランスフェクションの72時間後に配列決定した。
図9Bは、示された塩基編集系用いて作製された示されたFcRn変更に関連する塩基編集効率を示す。細胞を、亜飽和用量の塩基編集系(全部で600ng、160ngの末端改変ガイドポリヌクレオチド+塩基編集体をコードする450ngのmRNAを含む)を用いてトランスフェクトした。評価したすべてのスペーサー長は、達成された一次変更について同様の塩基編集効率を示した。
【発明を実施するための形態】
【0162】
本発明は、新生児Fc受容体(FcRn)遺伝子であるFCGRTを編集し、発現を改変し、および/またはサイレンシングするための組成物および方法を特徴とする。
【0163】
本発明は、少なくとも部分的には、細胞によってコードされるFcRnポリペプチドを変更するために塩基編集が使用され得、その結果、このポリペプチドは、アルブミンへの結合を維持しながら、IgGへの低減した結合を示すという発見に基づく。したがって、様々な実施形態では、本明細書において提供される方法および塩基編集系は、IgGへの結合を低減させる変更をFcRnに導入し、それによって、アルブミンサイクリングにおけるFcRnの有益な機能を維持しながら、治療を必要とする対象におけるIgG半減期を有利に低減させることによって、IgG媒介性自己免疫障害を治療するために使用することができる。
【0164】
したがって、本開示は、FcRn媒介自己免疫障害の治療のための改善された組成物および方法を提供する。
【0165】
本開示の主題の実施形態の詳細は、本書面に記載されている。この書面に記載される実施形態に対する改変、および他の実施形態が、この書面において提供される情報を検討した後、当業者には明らかになる。
【0166】
ゲノム編集では、標的遺伝子のヌクレオチド配列を欠失させ、置換し、または挿入することによって、遺伝物質を分子的に操作し、必要に応じて遺伝子の遺伝子突然変異の修正を行う。実施形態では、ゲノム編集は、CRISPR系、塩基編集、プライム編集などを含む。
【0167】
クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)(CRISPR)系は、ウイルスに対する天然に存在する細菌および古細菌防御機構である。CRISPR系は、生細胞において、二本鎖DNA切断(DSB)またはユーザー定義の遺伝子座でのRNA切断を導入することにより、ゲノム編集に適応されている。Portoら、Base editing:advances and therapeutic opportunities、Nature Reviews 19:839~59(2020)。CRISPR法には、ガイドRNAおよび核酸プログラマブルDNA結合ドメインCasタンパク質の使用が含まれ、これらは一緒になって標的ヌクレオチド配列に切断を導入する。Casタンパク質には、Cas9、触媒的に不活性化された(死んだ)dCas9、nCas9(ニッカーゼ)、Cas12、およびCas13が含まれる。非相同末端接続(NHEJ)または相同指向性修復(HDR)による切断の修復は、切断部位に挿入、欠失、または点突然変異を導入する。突然変異の非特異的性質は、標的ヌクレオチド配列にフレームシフトを導入し得る。
【0168】
塩基編集は、DSBを導入することなく、特定の遺伝子座における標的残基の直接変換を可能にする。塩基編集は、生細胞のDNAまたはRNAに単一ヌクレオチド改変を直接導入する。塩基エディターは、DNAおよびRNAを標的とするものを含む。DNA塩基エディターは、核酸プログラマブルDNA結合ドメインと、DNAの標的領域(例えばFCGRT遺伝子)において標的C-GをT-Aに、もしくは標的G-CをA-Tに変換するシチジンデアミナーゼドメインと、またはDNAの標的領域(例えばFCGRT遺伝子)において標的A-TをG-Cに、もしくは標的T-AをC-Gに変換するアデノシンデアミナーゼドメインとを含む。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼドメインを含む塩基エディターは、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)をさらに含む。塩基編集技術は、例えば、Portoら、(2020)に詳細に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態では、核酸プログラマブルDNA結合ドメインは、触媒的に不活性化された(死んだ)Cas9(dCas9)またはCas9ニッカーゼ(nCas9)を含む。
【0169】
プライム編集は、CRISPRの標的特異性を保持しながら、ガイドRNA(プライム編集ガイドRNA、または「pegRNA」)から伸長する編集されたRNA鋳型と、nCas9に融合した逆転写酵素を組み込む。例えば、Scholefieldら、Prime editing:an update on the field、Gene Therapy 28:396~401(2021)を参照されたい。nCas9はDSBを導入しないが、代わりにPAM部位の上流にあるDNAの非相補鎖にニックを入れる。このニッカーゼは、pegRNAのプライマー結合部位(PBS)に結合する3’OHを有するDNAオーバーハングを露出させる。これは逆転写酵素用のプライマーとして機能し、編集されたpegRNAの配列をコピーすることによって3’オーバーハングを埋める。5’オーバーハングを切り出し、鎖をライゲートして編集を完了する。プライム編集技術は、Scholefieldら(2021)に詳細に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態では、プライム編集は、核酸プログラマブルDNA結合ドメインおよび逆転写酵素を含み、ガイドRNAはプライム編集ガイドRNA(pegRNA)であり、プライムエディターは、FCGRT遺伝子中の1つまたは複数のヌクレオチドを異なるヌクレオチドで置き換える。実施形態では、核酸プログラマブルDNA結合ドメインは、触媒的に不活性化された(死んだ)Cas9(dCas9)またはCas9ニッカーゼ(nCas9)を含む。
【0170】
別の実施形態では、哺乳動物細胞においてFcRnタンパク質を改変する方法であって、細胞をガイドRNAおよびゲノムエディターと接触させるステップを含み、ガイドRNAは、FCGRT遺伝子の一部と相補的なヌクレオチド配列を含み、細胞においてFCGRT遺伝子に改変をもたらすようにゲノムエディターを標的化し、この改変は、FCGRT遺伝子によってコードされるFcRnタンパク質のアミノ酸配列を変化させる、方法が提供される。実施形態では、ゲノムエディターは、塩基エディターまたはプライムエディターを含む。
【0171】
別の実施形態では、IgG媒介性自己免疫障害の治療を必要とする対象において、IgG媒介性自己免疫障害を治療する方法であって、対象の哺乳動物細胞においてFcRnタンパク質を改変するステップを含む方法が提供される。特定の実施形態では、FcRnタンパク質の改変は、対象の哺乳動物細胞においてFCGRT遺伝子をゲノム編集することを含む。必要に応じて、ゲノム編集は、哺乳動物細胞をガイドRNAおよびゲノムエディターと接触させることを含み、ガイドRNAは、FCGRT遺伝子の一部と相補的なヌクレオチド配列を含み、細胞内のFCGRT遺伝子に改変をもたらすようにゲノムエディターを標的化し、この改変は、FCGRT遺伝子によってコードされるFcRnタンパク質のアミノ酸配列を変化させる。特定の実施形態では、ゲノムエディターは、塩基エディターまたはプライムエディターを含む。
【0172】
ゲノムエディターは、当該技術分野において公知である種々の送達技術を介して、目的の哺乳動物細胞に送達され得る。実施形態では、ゲノムエディターは、ナノ粒子、ウイルスベクター、または電気穿孔を介して哺乳動物細胞に送達される。本組成物および方法における使用に適切なナノ粒子は、無機ナノ粒子(例えば、金)、脂質ベースの粒子(例えば、脂質ナノ粒子、リポソーム、エキソソーム、細胞由来膜結合粒子など)、ペプチドナノ粒子、ポリマーナノ粒子などを含む。
【0173】
様々なウイルスベクターが当該技術分野において公知であり、本開示の組成物の送達における使用に適している。実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス(例えば、HIV、レンチウイルス)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス(例えば、HSV)、およびセンダイウイルスからなる群から選択される。
【0174】
本明細書に開示する組成物および方法は、FCGRT遺伝子に1つまたは複数の単一ヌクレオチド改変を導入することにより、FcRnタンパク質をコードしている核酸を改変する。実施形態では、改変またはバリアントFcRnタンパク質は、IgG抗体のFc領域に結合する能力の低減を示す。さらなる実施形態では、改変またはバリアントFcRnタンパク質は、野生型FcRnタンパク質などの参照FcRnタンパク質と比較して、少なくとも1つのアミノ酸変化を含む。
【0175】
本開示の方法は、ex vivo、in vitro、またはin vivoで行うことができる。すなわち、本明細書で開示する組成物は、対象に直接(例えば、静脈内に、または局所的に、注射、吸入などによって)投与することができ、または細胞、必要に応じて対象から得られた細胞に投与することができる。実施形態では、対象はヒトである。
【0176】
FCGRT遺伝子に様々な改変を施して、本明細書に開示する改変されたFcRnタンパク質を提供することができる。実施形態では、改変されたFcRnタンパク質は、112位のロイシン(L)、115位のグルタミン酸(E)、116位のグルタミン酸(E)、131位のトリプトファン(W)、132位のプロリン(P)、および133位のグルタミン酸(E)からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸において参照FcRnタンパク質と相違する。他の実施形態では、改変されたFcRnタンパク質は、
図4に示すような1つまたは複数の突然変異を含む。
【0177】
必要に応じて、ゲノムエディターまたは送達ビヒクルは、FcRnもしくはアルブミンと結合する標的化部分にコンジュゲートされるかまたは組み込まれる。ある特定の実施形態では、標的化部分は、IgGのFcドメイン、FcRnに特異的に結合する抗体、アルブミンに特異的に結合する抗体、アルブミンに結合するペプチド、アルブミン、またはそれらの断片もしくは誘導体からなる群から選択される。
【0178】
追加の標的化部分には、限定されないが、FcRnの細胞外ドメインと結合する、バリアントFcドメイン;抗体または他の特異的結合剤(例えば、アフィボディ、ダーピン、またはペプチド(ファージディスプレイなどのディスプレイ技術を使用して選択することができる)などの操作されたスキャフォールドタンパク質);FcRNと結合する能力を保持するアルブミンまたはその断片もしくはバリアントが含まれる。このアプローチにおいて、アルブミン(または断片/バリアント)はFcRnに結合し、送達ビヒクル/活性剤はアルブミン(または断片/バリアント)とともに内在化される。他の標的化部分には、アルブミンに結合するが、FcRnへのアルブミンの結合を実質的に妨げない他の特異的結合剤(例えば、アフィボディまたはダーピンまたはペプチド(ファージディスプレイなどのディスプレイ技術を使用して選択され得る)などの操作されたスキャフォールドタンパク質)が含まれる。送達ビヒクルは、アルブミンがFcRnに結合した場合、アルブミンとともに細胞によって内在化される。
【0179】
また、ガイドRNAおよびゲノムエディターを含む組成物であって、ガイドRNAが、FCGRT遺伝子の一部と相補的なヌクレオチド配列を含み、細胞内のFCGRT遺伝子に改変をもたらすように塩基ゲノムエディターを標的化し、この改変が、FCGRT遺伝子によってコードされるFcRNタンパク質のアミノ酸配列を変化させる、組成物が本明細書において提供される。開示される組成物は、本明細書に記載される送達ビヒクル、ならびに/またはFcRnおよび/もしくはアルブミンと結合する標的化部分をさらに含み得る。
【0180】
特定の実施形態では、本明細書で開示する送達ビヒクルは、ガイドRNAおよびゲノムエディターまたはゲノムエディターをコードする核酸を含む。実施形態では、送達ビヒクルは、FcRnおよび/またはアルブミンと結合する標的化部分を含む。
【0181】
脂質ナノ粒子(LNP)は、イオン化可能な脂質単分子層シェルと、薬物または核酸などの親油性分子を可溶化することがきる脂質コアマトリクスを含む、球状のナノメートルスケールの粒子である。伝統的なLNPはエンドサイトーシスを介して宿主細胞に取り込まれ、エンドソームから逃れ、宿主細胞の細胞質にそれらの積み荷を放出する。LNPは、一般に、安全であり、有効であり、産業的製造および薬物送達における臨床的使用に適すると考えられる。
【0182】
本開示のLNPの実施態様には、脂質単分子層シェルに包埋されるかまたは組み込まれる、IgG抗体のFc領域もしくはFc領域の断片または他の標的化部分を含み、FcRn(FCGRT遺伝子)の発現をサイレンシングまたはモジュレートするための核酸をコア内に封入する。LNPが上皮細胞の表面上のFcRnと接触した場合、Fc領域またはその断片はFcRnと結合し、LNPは細胞と融合するか、さもなければ内部移行し、そのペイロードを送達する。次に、放出された核酸は、FcRnの発現をサイレンシングし、モジュレートし、または緩和し、これは、次に、宿主におけるIgG(しかしながら、好ましくはアルブミンではない)の循環の低減、ならびに自己免疫障害の症状および病状の低減を生じさせる。
【0183】
一実施形態では、脂質単分子層膜中に包埋された、IgG抗体またはその機能的断片のうちの少なくとも1つのFc領域を含む脂質単分子層膜;および脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスを含む、固体LNPが提供される。実施形態では、LNPの脂質コアは、少なくとも1つの核酸を含む。
【0184】
一実施形態では、LNPに組み込まれるIgGまたはその断片は、IgG1サブクラスである。特定の実施形態では、IgG1またはその断片は、以下のアミノ酸置換を有する:265位のアスパラギン酸がアラニンに置換されるか、または238位のプロリンがアラニンに置換される。
【0185】
別の実施形態では、LNPに組み込まれるIgGは、IgG2サブクラスまたはその断片である。
【0186】
別の実施形態では、LNPに組み込まれるIgGは、IgG3サブクラスまたはその断片である。
【0187】
別の実施形態では、LNPに組み込まれるIgGは、IgG4サブクラスまたはその断片である。
【0188】
別の実施形態では、LNPに組み込まれるIgGは、FcRn受容体を認識する。特定の実施形態では、IgG1またはその断片は、以下のアミノ酸置換を有する:265位のアスパラギン酸がアラニンに置換されるか、または238位のプロリンがアラニンに置換される。
【0189】
別の実施形態では、IgGはLNPに組み込まれておらず、FcRn受容体を認識する。特定の実施形態では、IgG1またはその断片は、以下のアミノ酸置換を有する:265位のアスパラギン酸がアラニンに置換されるか、または238位のプロリンがアラニンに置換される。特定の実施形態では、IgGはペイロードを直接送達することができる。
【0190】
一部の実施形態では、操作されたFcバリアントは、天然に存在するFc領域と比較して、塩基性pH(例えば、血液に典型的なpH、例えば、7.35~7.45)でFcRnに対して増加した親和性を有する。
【0191】
実施形態では、LNPの脂質コアに組み込まれる核酸は、DNAまたはRNAである。特定の実施形態では、核酸は、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ガイドRNA、pegRNA、またはショートヘアピンRNA(shRNA)である。非常に具体的な実施形態では、核酸はsiRNAである。別の特定の実施形態では、核酸はガイドRNAまたはpegRNAである。別の実施形態では、核酸はゲノムエディターをコードする。
【0192】
実施形態では、siRNAは、1つまたは複数の遺伝子の発現をモジュレートするように機能的である。特定の実施形態では、siRNAは、FCGRT、新生児Fc受容体(FcRn)をコードする遺伝子の発現をモジュレートする。
【0193】
実施形態では、LNPに組み込まれる核酸は、ゲノムエディターを標的として、FCGRT、新生児Fc受容体(FcRn)をコードする遺伝子を編集または改変するために機能的であるガイドRNAである。FCGRT遺伝子の適切な改変は、例えば、本開示の
図4に示される。
【0194】
特定の実施形態では、51位または61位のトリプトファン残基および166位のヒスチジンは、これらのアミノ酸がヒト血清アルブミンの結合および半減期延長の原因となるため、改変されない。
【0195】
様々な脂質が、開示されるLNPの脂質単分子層における使用に適している。実施形態では、脂質単分子層は、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、脂質-ポリエチレングリコールコンジュゲート、およびそれらの組合せからなる群から選択される脂質で構成される。実施形態では、LNPの免疫クリアランスの回避を促進するために、脂質単分子層の脂質を少なくとも部分的にPEG化することができる。実施形態では、脂質単分子層は、安定化剤としてコレステロールをさらに含み得る。
【0196】
開示されるLNPの脂質コアマトリクスは、コア中の核酸と複合体化するのに適したカチオン性脂質を含む。本明細書で使用される場合、用語「カチオン性脂質」は、生理学的pHで正味の正電荷を帯びるいくつかの脂質種のうちのいずれかを包含し、当業者に公知である任意の方法を使用して決定することができる。このような脂質は、限定されないが、2009年5月1日に出願された「Methods and Compositions Comprising Novel Cationic Lipids」と題する国際出願番号PCT/US2009/042476で開示された式(I)のカチオン性脂質を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらには、限定されないが、N-メチル-N-(2-(アルギノイルアミノ)エチル)N,N-ジオクタデシルアミニウムクロリドまたはジステアロイルアルギニルアンモニウムクロリド](DSAA)、N,N-ジ-ミリストイル-N-メチル-N-2[N’-(N6-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド(DMGLA)、N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N2-グアニジノ-L-リシニル]アミノエチルアンモニウムクロリド、N,N-ジミリストイル-N-メチル-N-2[N’-(N2,N6-ジ-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド、およびN,N-ジ-ステアロイル-N-メチル-N-2[N’-(N6-グアニジノ-L-リシニル)]アミノエチルアンモニウムクロリド(DSGLA)が含まれる。本開示の脂質ナノ粒子のリポゾームまたは脂質二重層中に存在することができるカチオン性脂質の他の非限定的な例には、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP);N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)または他のN(N,N-l-ジアルコキシ)-アルキル-N,N,N-三置換アンモニウム界面活性剤;N,N-ジステアリル-Ν,Ν-ジメチルアンモニウムブロミド(DAB);3-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール(DC-Choi)およびN-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);1,3-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-(2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチル-1アンモニウムトリフルオロ-アセテート(DOSPA);GAP-DLRIE;DMDHP;3-p[4N-(H8N-ジグアニジノスペルミジン)-カルバモイル]コレステロール(BGSC);3-P[N,N-ジグアニジノエチル-アミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(BGTC);N,N\N2,N3テトラ-メチルテトラパルミチルスペルミン(セルフェクチン);N-t-ブチル-N’-テトラデシル-3-テトラデシル-アミノプロピオン-アミジン(CLONフェクチン);ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB);1,3-ジオレオイルオキシ-2-(6-カルボキスペルミル)-プロピルアミド(DOSPER);4-(2,3-ビス-パルミトイルオキシ-プロピル)-1-メチル-1H-イミダゾール(DPIM)N,N,N’,N’-テトラメチル-N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,3ジオレオイルオキシ-1,4ブタンジアンモニウムヨージド(Tfx-50);1,2-ジオレオイル-3-(4’-トリメチルアンモニオ)ブタノール-sn-グリセロール(DOBT)またはトリメチルアンモニウム基が、ブタノールスペーサーアームを介して、二重鎖(DOTBについて)またはコレステリル基(ChOTBについて)のいずれかに結合しているコレステリル(4’-トリメチルアンモニア)ブタノエート(ChOTB);DL-1,2-ジオレオイル-3ジメチルアミノプロピル-P-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORI)またはDL-1,2-0-ジオレオイル-3-ジメチルアミノプロピル-P-ヒドロキシエチルアンモニウム(DORIE)、または全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願公開番号WO93/03709に開示されるそのアナログ;1,2-ジオレオイル-3-スクシニル-sn-グリセロールコリンエステル(DOSC);コレステリルヘミスクシネートエステル(ChOSC);リポポリアミン、例えば、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミルスペルミン(DPPES)、または全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,283,185号に開示されるカチオン性脂質;コレステリル-3P-カルボキシル-アミド-エチレントリメチルアンモニウムヨージド;1-ジメチルアミノ-3-トリメチルアンモニウム-DL-2-プロピル-コレステリルカルボキシレートヨージド;コレステリル-3-β-カルボキシアミドエチレンアミン;コレステリル-3-P-オキシスクシンアミド-エチレントリメチルアンモニウムヨージド;1-ジメチルアミノ-3-トリメチルアンモニオ-DL-2-プロピル-コレステリル-3-P-オキシスクシネートヨージド;2-(2-トリメチルアンモニオ)-エチルメチルアミノエチル-コレステリル-3-P-オキシスクシネートヨージド;3-β-Ν-(ポリエチレンイミン)-カルバモイルコレステロール、DC-コレステロール;およびN4-コレステリル-スペルミンHCl塩(GL67)が含まれる。
【0197】
実施形態では、脂質コアマトリクスは、安定剤としてコレステロールをさらに含む。
【0198】
別の実施形態では、脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つのFc領域またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と、脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスとを含む少なくとも1つのLNPを含む医薬組成物が提供され、脂質コアマトリクスは、少なくとも1つの核酸と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0199】
必要に応じて、医薬組成物は、対象への局所投与または全身投与のために製剤化される。全身的にまたは所望の表面もしくは標的に併用療法の化合物を送達させるための投与には、限定されないが、注射、注入、点滴注入、および吸入投与を含み得る。注射には、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、脳室内、嚢のう内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、および関節内注射ならびに注入が含まれる。
【0200】
注射用の医薬組成物は、水性溶液または分散液、および滅菌した注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌した粉末を含む。静脈投与のために、適切な担体としては、限定されないが、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。この担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびこれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、および塩化ナトリウムを組成物に含めることができる。得られた溶液は、そのまま使用するために包装されるかまたは凍結乾燥され得る。凍結乾燥した調製物は、後に、投与前に滅菌溶液と合わせられ得る。
【0201】
別の実施形態では、IgG媒介性自己免疫障害の治療することを必要とする対象におけるIgG媒介性自己免疫障害を治療する方法であって、脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つのFc領域またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と、脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスとを含むLNPを対象に投与するステップを含み、脂質コアマトリクスは、FCGRT遺伝子の発現を緩和するかまたはFCGRT遺伝子をサイレンシングする、少なくとも1つのsiRNAまたはガイドRNAを含む、方法が提供される。
【0202】
IgG媒介性自己免疫障害には、限定されないが、重症筋無力症、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、グレーブス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、尋常性天疱瘡、ならびに胎児および新生児の溶血性疾患(HDFN)が含まれる。
【0203】
別の実施形態では、細胞においてFcRn発現をサイレンシングする方法であって、細胞をLNPと接触させるステップを含み、LNPは、脂質単分子層膜に包埋されたIgG抗体の少なくとも1つFc領域またはその機能的断片を含む脂質単分子層膜と、脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスとを含み、脂質コアマトリクスは、FCGRT遺伝子をサイレンシングする少なくとも1つのsiRNAを含む、方法が提供される。実施形態では、本方法は、ex vivo、in vivo、またはin vitroである。
【0204】
FcRn
免疫グロブリンG(IgG)(例えば、
図1および2Aを参照されたい)は、生体組織の感染を制御する血液循環および細胞外液中に見出される最も一般的な種類の抗体である。IgGは抗原と直接結合することができるが、新生児のIgGのFc受容体(FcRn)もまた細胞上の受容体と結合して免疫応答をもたらす。Fcガンマ受容体(FcγR)のファミリーには、FCGRT遺伝子によってコードされる非定型新生児Fc受容体(FcRn)が含まれる。FcRnは、IgGおよびアルブミンを再循環させ、維持し、またIgGおよびアルブミンを、極性化した細胞障壁を越えて輸送するように機能し、それによって、循環中のIgGおよびアルブミンの半減期を増加させる。また、FcRnはIgG免疫複合体(IC)に由来するペプチドと相互作用し、その抗原提示を促進する。
【0205】
FcRnは、母親から子どもへの母親のIgG抗体を輸送し、母親から子どもにおいて受動体液性免疫を促進する受容体として最初に同定された。FcRnは、単量体の免疫グロブリンガンマのFc領域に結合し(
図1Bおよび2B~5を参照されたい)、乳汁からのその選択的取り込みを媒介する。乳汁中のIgGは、腸管上皮の頂端面に結合する。結果として生じたFcRn-IgG複合体は、腸管上皮を越えてトランスサイトーシスされ、IgGは、FcRnから血液または組織液中に放出される。生涯を通じて、IgGを再利用し、循環中での半減期を延長することにより、効果的な体液性免疫に寄与する。機構的には、内皮細胞および造血細胞の酸性エンドソームにおいてFcRnと結合する単量体IgGは、細胞表面にリサイクルされ、循環中に放出される。
【0206】
当初、FcRnは、胎児期および新生児期の胎盤および腸組織にのみ存在すると考えられていた。しかしながら、現在では、FcRnは、上皮、内皮、および造血起源の細胞を含む全身の多くの組織で発現していることが公知である。具体的には、上皮におけるFcRn発現は、腸、胎盤、腎臓、および肝臓において検出されている。
【0207】
機構的には、内皮細胞および造血細胞の酸性エンドソームにおいてFcRnと結合する単量体IgGは、細胞表面にリサイクルされ、そこで循環中に放出される。IgGに加えて、FcRnは他の最も豊富な循環タンパク質アルブミン/ALBのホメオスタシスを調節する。
【0208】
FcRnは多くの組織において発現される。例えば、FcRnは、肝臓、肝細胞、およびミュラー細胞において発現される。FcRnは、上皮、内皮、および骨髄系にも高度に発現し、適応免疫において複数の役割を果たす。骨髄細胞上では、FcRnは古典的FcγRおよび補体とともに食作用と抗原提示の両方に関与する。足細胞(腎臓)では、FcRnが糸球体基底膜からIgGを再吸収し、糸球体疾患を引き起こす可能性のある免疫複合体の沈着を防ぐ。
【0209】
例えば、重症筋無力症(gMG)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、特発性血小板低減性紫斑病(ITP)、グレーブス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、尋常性天疱瘡、ならびに胎児および新生児の溶血性疾患(HDFN)を含め、いくつかの自己免疫疾患が、自己抗原に対するIgGの反応により引き起こされる。FcRnは循環中のIgGレベルを維持するために機能するため、FcRnはこのような自己免疫疾患を引き起こす抗体の半減期も延長する。静注免疫グロブリン(IVIg)は、FcRnのIgGリサイクリング能を飽和させ、FcRnへの病原性IgG結合のレベルを低減させることにより、IgG自己抗体のレベル低減を促進する、最近開発された治療法である。
【0210】
Efgartigimod(ARGX-113、VYVGART)は、当初重症筋無力症(gMG)を治療するためにArgenxにより開発されたIV/SC治療薬である。Efgartigimodは、FcRnに対する親和性が増加したIgG1 Fc断片である。Efgartigimodは、FcRnに対するIgGの接近を遮断し、その全血清半減期を低減させる。対象へのEfgartigimodの投与(1回のIV注入を使用して約10mg/kg/週を投与)は、対象におけるIgGの50~70%の低減と関連している。
【0211】
FCGRT遺伝子に様々な改変を施して、本明細書に開示する改変されたFcRnタンパク質を提供することができる。改変は、本明細書において提供される方法に従って改変されたFcRnタンパク質を含む対象において、IgGの血清半減期に影響を与える。実施形態では、改変されたFcRnタンパク質は、112位のロイシン(L)、115位のグルタミン酸(E)、116位のグルタミン酸(E)、131位のトリプトファン(W)、132位のプロリン(P)、および133位のグルタミン酸(E)からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸において参照FcRnタンパク質と相違する。他の実施形態では、改変されたFcRnタンパク質は、表1、
図2B、4~7B、8B、8Cおよび9Bのうちのいずれか1つに示されるような1つまたは複数の変更、ならびに/またはM118(141)位における変更(例えば、M118(141)I)を含む。
【0212】
【0213】
【0214】
一部の実施形態では、本開示の方法および組成物を使用して、以下のFcRnアミノ酸配列において下線または太字で示したアミノ酸の1つまたは複数に変更を導入し、
【0215】
【0216】
実施形態では、本明細書において提供される方法は、FcRnの以下の特性:A)FcRnとIgGとの間で形成される複合体の安定性(例えば、低減または増加);B)中性pHにおけるIgGに対する結合親和性(例えば、低減または増加);C)中性より低いかまたは高いpHにおけるIgGに対する結合親和性(例えば、低減または増加);D)W131の位置決め(例えば、IgGに対する結合を低減または増加するため)のうちの1つまたは複数を改変する変更を含むFcRnを産生するために使用される。
【0217】
特定の実施形態では、51位または61位のトリプトファン残基および166位のヒスチジンは、これらのアミノ酸がヒト血清アルブミンの結合および半減期延長の原因となるため、改変されない。
【0218】
別の実施形態では、細胞においてFcRn発現をサイレンシングする方法であって、細胞をLNPと接触させるステップを含み、LNPは、脂質単分子層膜に包埋された、IgG抗体またはその機能的断片の少なくとも1つのFc領域を含む脂質単分子層膜;および脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスを含み、脂質コアマトリクスは、FCGRT遺伝子をサイレンシングする少なくとも1つのsiRNAを含む、方法が提供される。実施形態では、本方法は、ex vivo、in vivo、またはin vitroである。
【0219】
標的遺伝子の編集
一部の実施形態では、本明細書に記載される遺伝子編集を生成するために、細胞(例えば、肝細胞、内皮細胞、上皮細胞、または骨髄性細胞などの対象由来の細胞)を、in vivoまたはin vitroで、1つまたは複数のガイドRNA、ならびに核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)およびシチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼを含む核酸塩基エディターポリペプチドと接触させる。一部の実施形態では、編集される細胞を、少なくとも1つのポリヌクレオチドと接触させ、前記ポリヌクレオチドは、1つまたは複数のガイドRNA、ならびに核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)およびシチジンデアミナーゼを含む核酸塩基エディターポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、gRNAは、1つまたは複数のヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、gRNAは細胞に直接添加される。一部の実施形態では、これらのヌクレオチドアナログは、細胞プロセスからのgRNAの分解を阻害することができる。
【0220】
様々な例では、スペーサー配列に5’および/または3’「G」ヌクレオチドを含めることが有利である。一部の実施形態では、例えば、本明細書で提供される任意のスペーサー配列またはガイドポリヌクレオチドは、5’「G」を含むか、またはさらに含み、その場合、一部の実施形態では、5’「G」は、標的配列に対して相補的であるか、または相補的ではない。一部の実施形態では、5’「G」を、5’「G」を既に含んでいないスペーサー配列に付加する。例えば、U6プロモーターは転写開始部位で「G」を好むため、U6プロモーターなどの制御下でガイドRNAが発現する場合、ガイドRNAに5’末端「G」を含めることは有利であり得る(Cong,L.ら「Multiplex genome engineering using CRISPR/Cas systems.Science 339:819~823(2013年)doi:10.1126/science.1231143を参照のこと)。一部の実施形態では、5’末端「G」を、プロモーターの制御下で発現させるガイドポリヌクレオチドに付加するが、ガイドポリヌクレオチドをプロモーターの制御下で発現させない場合またはそのときには、必要に応じて、ガイドポリヌクレオチドに付加しない。
【0221】
実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、
GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU(SpCas9スキャフォールド;配列番号317)および
GUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(SaCas9スキャフォールド;配列番号436)
から選択されるヌクレオチド配列を含むスキャフォールドを含む。
【0222】
表2Aおよび表2Bは、本開示の実施形態における使用に適した例示的なgRNA配列(例えば、完全ガイド配列およびスペーサー配列)を提供する。
【0223】
【0224】
【0225】
【0226】
【0227】
【0228】
【0229】
核酸塩基エディター
ポリヌクレオチドの標的ヌクレオチド配列を編集、改変または変化させる核酸塩基エディターは、本明細書に記載される方法および組成物において有用である。本明細書に記載される核酸塩基エディターは、典型的には、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインおよび核酸塩基編集ドメイン(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ)を含む。ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、結合したガイドポリヌクレオチド(例えば、gRNA)と合わさると、標的ポリヌクレオチド配列に特異的に結合し、それによって塩基エディターを、編集することが所望される標的核酸配列に局在化させることができる。
【0230】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される核酸塩基エディターは、塩基編集活性を改善する1つまたは複数の特徴を含む。例えば、本明細書で提供される核酸塩基エディターのいずれかは、低減したヌクレアーゼ活性を有するCas9ドメインを含み得る。一部の実施形態では、本明細書で提供される核酸塩基エディターのいずれかは、ヌクレアーゼ活性を有しないCas9ドメイン(dCas9)、またはCas9ニッカーゼ(nCas9)と称される、二重鎖DNA分子の一方の鎖を切断するCas9ドメインを有し得る。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、触媒残基(例えば、H840)の存在は、標的化された核酸塩基の反対側の非編集(例えば、非脱アミノ化)鎖を切断するCas9の活性を維持する。触媒残基の突然変異(例えば、D10からA10)は、標的化された残基(例えば、AまたはC)を含む編集(例えば、脱アミノ化)鎖の切断を阻止する。このようなCas9バリアントは、gRNAで定義された標的配列に基づく特定の位置で一本鎖DNA切断(ニック)を生成することができ、非編集鎖の修復につながり、最終的に非編集鎖上の核酸塩基の変化をもたらす。
【0231】
ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン
ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、ポリヌクレオチド(例えば、RNA、DNA)に結合する。塩基エディターのポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、それ自体、1つまたは複数のドメイン(例えば、1つまたは複数のヌクレアーゼドメイン)を含み得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインのヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼを含む。エンドヌクレアーゼは、二本鎖核酸分子の一本鎖、または二本鎖核酸分子の両方の鎖を切断することができる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインのヌクレアーゼドメインは、標的ポリヌクレオチドの0、1つ、または2つの鎖を切断することができる。
【0232】
塩基エディターに組み込むことができるポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインの非限定的な例としては、CRISPRタンパク質由来ドメイン、制限ヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALヌクレアーゼ(TALEN)、およびジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)が挙げられる。一部の実施形態では、塩基エディターは、天然もしくは改変タンパク質またはその一部を含むポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインを含み、これは、結合したガイド核酸を介して、CRISPR(すなわち、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)を媒介した核酸の改変中に核酸配列に結合することができる。そのようなタンパク質は、本明細書では「CRISPRタンパク質」と称される。したがって、本明細書において、CRISPRタンパク質の全部または一部(例えば、機能的部分)を含むポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインを含む塩基エディター(すなわち、塩基エディターの「CRISPRタンパク質由来ドメイン」とも称される、CRISPRタンパク質の全部または一部(例えば、機能的部分)をドメインとして含む塩基エディター)が開示される。塩基エディターに組み込まれたCRISPRタンパク質由来のドメインは、野生型または天然バージョンのCRISPRタンパク質と比較して改変することができる。例えば、以下に記載するように、CRISPRタンパク質由来ドメインは、CRISPRタンパク質の野生型または天然バージョンと比較して、1つまたは複数の突然変異、挿入、欠失、再配列および/または組換えを含み得る。
【0233】
本明細書で使用され得るCasタンパク質には、クラス1およびクラス2が含まれる。Casタンパク質の非限定的な例としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5d、Cas5t、Cas5h、Cas5a、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1またはCsx12としても知られている)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Csy4、Cse1、Cse2、Cse3、Cse4、Cse5e、Csc1、Csc2、Csa5、Csn1、Csn2、Csm1、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Csd1、Csd2、Cst1、Cst2、Csh1、Csh2、Csa1、Csa2、Csa3、Csa4、Csa5、Cas12a/Cpf1、Cas12b/C2c1(例えば、配列番号232)、Cas12c/C2c3、Cas12d/CasY、Cas12e/CasX、Cas12g、Cas12h、Cas12i、およびCas12j/CasΦ、CARF、DinG、それらのホモログ、またはそれらの改変バージョンが挙げられる。CRISPR酵素は、標的配列で、例えば、標的配列内および/または標的配列の相補体内で、一方または両方の鎖の切断を指示することができる。例えば、CRISPR酵素は、標的配列の最初または最後のヌクレオチドから、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、100、200、500、またはそれ以上の塩基対内の一方または両方の鎖の切断を指示することができる。
【0234】
突然変異型CRISPR酵素が、標的配列を含む標的ポリヌクレオチドの一方または両方の鎖を切断する能力を欠くように、対応する野生型酵素に関して突然変異したCRISPR酵素をコードするベクターを使用することができる。Casタンパク質(例えば、Cas9、Cas12)またはCasドメイン(例えば、Cas9、Cas12)は、野生型の例示的なCasポリペプチドまたはCasドメインに対して、少なくともまたは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性および/または配列相同性を有するポリペプチドまたはドメインを指し得る。Cas(例えば、Cas9、Cas12)は、欠失、挿入、置換、バリアント、突然変異、融合、キメラ、またはそれらの任意の組合せなどのアミノ酸変化を含み得るCasタンパク質の野生型または改変形態を指し得る。
【0235】
一部の実施形態では、塩基エディターのCRISPRタンパク質由来ドメインは、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)(NCBI Refs:NC_015683.1、NC_017317.1);コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheria)(NCBI Refs:NC_016782.1、NC_016786.1);スピロプラズマ・シルフィディコラ(Spiroplasma syrphidicola)(NCBI Ref:NC_021284.1);プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)(NCBI Ref:NC_017861.1);スピロプラズマ・タイワネンセ(Spiroplasma taiwanense)(NCBI Ref:NC_021846.1);ストレプトコッカス・イニアエ(Streptococcus iniae)(NCBI Ref:NC_021314.1);ベルリエラ・バルティカ(Belliella baltica)(NCBI Ref:NC_018010.1);サイクロフレクサス・トルクイズ(Psychroflexus torquis)(NCBI Ref:NC_018721.1);ストレプトコッカス・サーモフィルス(NCBI Ref:YP_820832.1);リステリア・イノキュア(Listeria innocua)(NCBI Ref:NP_472073.1);カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)(NCBI Ref:YP_002344900.1);ナイセリア・メニンギティディス(NCBI Ref:YP_002342100.1);ストレプトコッカス・ピオゲネス、またはスタフィロコッカス・アウレウス由来のCas9の全部または一部(例えば、機能的部分)を含み得る。
【0236】
Cas9ヌクレアーゼの配列および構造は当業者に周知である(例えば、「Complete genome sequence of an Ml strain of Streptococcus pyogenes.」 Ferrettiら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98:4658~4663(2001年);「CRISPR RNA maturation by trans-encoded small RNA and host factor RNase III.」 Deltcheva E.ら、Nature 471:602~607(2011年);および「A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity.」 Jinek M.ら、Science 337:816~821(2012年)を参照されたく、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。Cas9オルソログは、S.ピオゲネスおよびS.サーモフィルスを含むが、これらに限定されない、様々な種で記載されている。追加の適切なCas9ヌクレアーゼおよび配列は、本開示に基づいて当業者には明らかであり、そのようなCas9ヌクレアーゼおよび配列としては、Chylinski,Rhun、およびCharpentier、「The tracrRNA and Cas9 families of type II CRISPR-Cas immunity systems」(2013)RNA Biology 10:5、726~737に開示されている生物および遺伝子座に由来するCas9配列が挙げられ、これらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0237】
高忠実度Cas9ドメイン
本開示の一部の態様は、高忠実度Cas9ドメインを提供する。高忠実度Cas9ドメインは当該技術分野で公知であり、例えば、Kleinstiver,B.P.ら、「High-fidelity CRISPR-Cas9 nucleases with no detectable genome-wide off-target effects.」 Nature 529、490~495(2016年);およびSlaymaker,I.M.ら「Rationally engineered Cas9 nucleases with improved specificity.」 Science 351、84~88(2015年)に記載されており;各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。例示的な高忠実度Cas9ドメインを、配列番号233として配列表に提供する。一部の実施形態では、高忠実度Cas9ドメインは、対応する野生型Cas9ドメインと比較して、Cas9ドメインとDNAの糖-リン酸骨格との間の静電相互作用を低下させる1つまたは複数の突然変異を含む操作されたCas9ドメインである。DNAの糖-リン酸骨格との静電相互作用を低下させた高忠実度Cas9ドメインは、オフターゲット効果が少なくなる。一部の実施形態では、Cas9ドメイン(例えば、野生型Cas9ドメイン(配列番号197および200)は、Cas9ドメインとDNAの糖-リン酸骨格との間の会合を低下させる1つまたは複数の突然変異を含む。一部の実施形態では、Cas9ドメインは、Cas9ドメインとDNAの糖-リン酸骨格との間の会合を少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、または少なくとも70%低下させる1つまたは複数の突然変異を含む。
【0238】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるCas9融合タンパク質または複合体のいずれかは、D10A、N497X、R661X、Q695X、および/またはQ926X突然変異のうちの1つもしくは複数、または本明細書で提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、高忠実度Cas9酵素は、SpCas9(K855A)、eSpCas9(1.1)、SpCas9-HF1、または超高精度Cas9バリアント(HypaCas9)である。一部の実施形態では、改変されたCas9 eSpCas9(1.1)は、HNH/RuvC溝と非標的DNA鎖との間の相互作用を弱め、鎖分離およびオフターゲット部位での切断を防止するアラニン置換を含む。同様に、SpCas9-HF1は、Cas9とDNAリン酸骨格との相互作用を破壊するアラニン置換を通じてオフターゲット編集を低下させる。HypaCas9には、Cas9の校正および標的識別を向上させるREC3ドメインの突然変異(SpCas9 N692A/M694A/Q695A/H698A)が含まれる。3つの高忠実度酵素はすべて、野生型Cas9よりも少ないオフターゲット編集を生成する。
【0239】
排他性が低減したCas9ドメイン
典型的には、Cas9タンパク質、例えば、S.ピオゲネス由来のCas9(SpCas9)は、「プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)」またはPAM様モチーフを必要とし、これはCRISPR細菌適応免疫系におけるCas9ヌクレアーゼによって標的化されるDNA配列の直後に続く2~6塩基対のDNA配列である。特定の核酸領域に結合するためにNGG PAM配列の存在が必要であり、「NGG」の「N」は、アデノシン(A)、チミジン(T)、またはシトシン(C)であり、Gはグアノシンである。これにより、ゲノム内の所望の塩基を編集する機能が制限され得る。一部の実施形態では、本明細書で提供される塩基編集融合タンパク質または複合体は、正確な位置、例えば、PAMの上流にある標的塩基を含む領域に配置される必要があり得る。例えば、Komor,A.C.ら、「Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage」 Nature 533、420~424(2016年)を参照されたく、その全内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる。PAM配列に結合することができるspCas9タンパク質の例示的なポリペプチド配列を、配列番号197、201、および234~237として配列表に提供する。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される融合タンパク質または複合体のいずれかは、標準(例えば、NGG)PAM配列を含まないヌクレオチド配列に結合することができるCas9ドメインを含み得る。非標準PAM配列に結合するCas9ドメインは当該技術分野で説明されており、当業者には明らかであろう。例えば、非標準PAM配列に結合するCas9ドメインは、Kleinstiver,B.P.ら、「Engineered CRISPR-Cas9 nucleases with altered PAM specificities」 Nature 523、481~485(2015);およびKleinstiver,B.P.ら、「Broadening the targeting range of Staphylococcus aureus CRISPR-Cas9 by modifying PAM recognition」 Nature Biotechnology 33、1293~1298(2015)に記載されており;各々の全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
【0240】
ニッカーゼ
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、ニッカーゼドメインを含む。本明細書において、「ニッカーゼ」という用語は、二重鎖核酸分子(例えば、DNA)中の二本鎖のうちの一本鎖のみを切断することができるヌクレアーゼドメインを含む、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインを指す。一部の実施形態では、ニッカーゼは、活性型のポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインに1つまたは複数の突然変異を導入することによって、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインの完全に触媒的に活性な(例えば、天然の)形態から誘導され得る。例えば、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインがCas9に由来するニッカーゼドメインを含む場合、Cas9由来のニッカーゼドメインは、D10A突然変異および840位にヒスチジンを含み得る。そのような実施形態では、残基H840は触媒活性を保持しており、それによって核酸二重鎖の一本鎖を切断することができる。別の例では、Cas9由来のニッカーゼドメインは、H840A突然変異を含むが、10位のアミノ酸残基はDのままである。一部の実施形態では、ニッカーゼは、ニッカーゼ活性に必要のないヌクレアーゼドメインの全部または一部(例えば、機能的部分)を除去することにより、完全に触媒的に活性な(例えば、天然の)形態のポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインから誘導され得る。例えば、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインがCas9に由来するニッカーゼドメインを含む場合、Cas9由来のニッカーゼドメインは、RuvCドメインまたはHNHドメインの全部または一部(例えば、機能的部分)の欠失を含み得る。
【0241】
一部の実施形態では、野生型Cas9は、以下のアミノ酸配列に対応するか、またはそれを含む:
【0242】
【0243】
一部の実施形態では、ニッカーゼドメイン(例えば、Cas9由来のニッカーゼドメイン、Cas12由来のニッカーゼドメイン)を含む塩基エディターによって切断される核酸二重鎖標的ポリヌクレオチド配列の鎖は、塩基エディターによって編集されない鎖である(すなわち、塩基エディターによって切断される鎖は、編集される塩基を含む鎖の反対側にある)。他の実施形態では、ニッカーゼドメイン(例えば、Cas9由来のニッカーゼドメイン、Cas12由来のニッカーゼドメイン)を含む塩基エディターは、編集の標的とされているDNA分子の鎖を切断することができる。そのような実施形態では、非標的鎖は切断されない。
【0244】
一部の実施形態では、Cas9ヌクレアーゼは、不活性型(例えば、不活性化された)DNA切断ドメインを有し、すなわち、Cas9は、「nCas9」タンパク質(「ニッカーゼ」Cas9のため)と称されるニッカーゼである。Cas9ニッカーゼは、二重鎖核酸分子(例えば、二重鎖DNA分子)の1本の鎖のみを切断することができるCas9タンパク質であり得る。一部の実施形態では、Cas9ニッカーゼは、二重鎖核酸分子の標的鎖を切断するが、これは、Cas9ニッカーゼが、Cas9に結合するgRNA(例えば、sgRNA)と塩基対形成する(相補的である)鎖を切断することを意味する。一部の実施形態では、Cas9ニッカーゼは、D10A突然変異を含み、840位にヒスチジンを有する。一部の実施形態では、Cas9ニッカーゼは、二重鎖核酸分子の非標的未塩基編集鎖を切断するが、これは、Cas9ニッカーゼが、Cas9に結合するgRNA(例えば、sgRNA)と塩基対形成しない鎖を切断することを意味する。一部の実施形態では、Cas9ニッカーゼは、H840A突然変異を含み、10位にアスパラギン酸残基、または対応する突然変異を有する。一部の実施形態では、Cas9ニッカーゼは、本明細書で提供されるCas9ニッカーゼのいずれか1つに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる適切なCas9ニッカーゼは、本開示および当該技術分野の知識に基づいて当業者には明らかであり、本開示の範囲内である。
【0245】
例示的な触媒性Cas9ニッカーゼ(nCas9)のアミノ酸配列は以下の通りである:
MDKKYSIGLAIGTNSVGWAVITDEYKVPSKKFKVLGNTDRHSIKKNLIGALLFDSGETAEATRLKRTARRRYTRRKNRICYLQEIFSNEMAKVDDSFFHRLEESFLVEEDKKHERHPIFGNIVDEVAYHEKYPTIYHLRKKLVDSTDKADLRLIYLALAHMIKFRGHFLIEGDLNPDNSDVDKLFIQLVQTYNQLFEENPINASGVDAKAILSARLSKSRRLENLIAQLPGEKKNGLFGNLIALSLGLTPNFKSNFDLAEDAKLQLSKDTYDDDLDNLLAQIGDQYADLFLAAKNLSDAILLSDILRVNTEITKAPLSASMIKRYDEHHQDLTLLKALVRQQLPEKYKEIFFDQSKNGYAGYIDGGASQEEFYKFIKPILEKMDGTEELLVKLNREDLLRKQRTFDNGSIPHQIHLGELHAILRRQEDFYPFLKDNREKIEKILTFRIPYYVGPLARGNSRFAWMTRKSEETITPWNFEEVVDKGASAQSFIERMTNFDKNLPNEKVLPKHSLLYEYFTVYNELTKVKYVTEGMRKPAFLSGEQKKAIVDLLFKTNRKVTVKQLKEDYFKKIECFDSVEISGVEDRFNASLGTYHDLLKIIKDKDFLDNEENEDILEDIVLTLTLFEDREMIEERLKTYAHLFDDKVMKQLKRRRYTGWGRLSRKLINGIRDKQSGKTILDFLKSDGFANRNFMQLIHDDSLTFKEDIQKAQVSGQGDSLHEHIANLAGSPAIKKGILQTVKVVDELVKVMGRHKPENIVIEMARENQTTQKGQKNSRERMKRIEEGIKELGSQILKEHPVENTQLQNEKLYLYYLQNGRDMYVDQELDINRLSDYDVDHIVPQSFLKDDSIDNKVLTRSDKNRGKSDNVPSEEVVKKMKNYWRQLLNAKLITQRKFDNLTKAERGGLSELDKAGFIKRQLVETRQITKHVAQILDSRMNTKYDENDKLIREVKVITLKSKLVSDFRKDFQFYKVREINNYHHAHDAYLNAVVGTALIKKYPKLESEFVYGDYKVYDVRKMIAKSEQEIGKATAKYFFYSNIMNFFKTEITLANGEIRKRPLIETNGETGEIVWDKGRDFATVRKVLSMPQVNIVKKTEVQTGGFSKESILPKRNSDKLIARKKDWDPKKYGGFDSPTVAYSVLVVAKVEKGKSKKLKSVKELLGITIMERSSFEKNPIDFLEAKGYKEVKKDLIIKLPKYSLFELENGRKRMLASAGELQKGNELALPSKYVNFLYLASHYEKLKGSPEDNEQKQLFVEQHKHYLDEIIEQISEFSKRVILADANLDKVLSAYNKHRDKPIREQAENIIHLFTLTNLGAPAAFKYFDTTIDRKRYTSTKEVLDATLIHQSITGLYETRIDLSQLGGD(配列番号201)
Cas9ヌクレアーゼは、2つの機能的なエンドヌクレアーゼドメイン:RuvCおよびHNHを有する。Cas9は、標的と結合すると構造変化を起こし、標的DNAの反対側の鎖を切断するようにヌクレアーゼドメインを配置する。Cas9媒介性DNA切断の最終結果は、標的DNA(PAM配列の約3~4ヌクレオチド上流)内の二本鎖切断(DSB)である。結果として生じるDSBは、次いで2つの一般的な修復経路:(1)効率的ではあるがエラーが発生しやすい非相同末端結合(NHEJ)経路;または(2)効率は低いが高忠実度の相同組換え修復(HDR)経路のうちの1つによって修復される。
【0246】
一部の実施形態では、Cas9は改変されたCas9である。所与のgRNA標的化配列は、ゲノム全体に部分的な相同性が存在する追加の部位を有し得る。これらの部位はオフターゲットと呼ばれ、gRNAを設計する際に考慮する必要がある。gRNA設計の最適化に加えて、Cas9の改変によってCRISPR特異性を高めることもできる。Cas9は、RuvCおよびHNHの2つのヌクレアーゼドメインの活性を組み合わせて二本鎖切断(DSB)を生成する。SpCas9のD10A突然変異体であるCas9ニッカーゼは1つのヌクレアーゼドメインを保持し、DSBではなくDNAニックを生成する。ニッカーゼ系は、特定の遺伝子編集のためにHDR媒介性遺伝子編集と組み合わせることもできる。
【0247】
触媒的に不活性のヌクレアーゼ
触媒的に不活性の(すなわち、標的ポリヌクレオチド配列を切断することができない)ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインを含む塩基エディターもまた、本明細書で提供される。本明細書において、「触媒的に不活性」および「ヌクレアーゼ不活性」という用語は、核酸の鎖を切断することができないという結果をもたらす1つまたは複数の突然変異および/または欠失を有するポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインを指すために互換的に使用される。一部の実施形態では、触媒的に不活性なポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン塩基エディターは、1つまたは複数のヌクレアーゼドメインにおける特定の点突然変異の結果として、ヌクレアーゼ活性を欠損し得る。例えば、Cas9ドメインを含む塩基エディターの場合、Cas9は、D10A突然変異およびH840A突然変異の両方を含み得る。そのような突然変異は、両方のヌクレアーゼドメインを不活性化し、それによってヌクレアーゼ活性の喪失をもたらす。他の実施形態では、触媒的に不活性なポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、触媒ドメイン(例えば、RuvC1および/またはHNHドメイン)の全部または一部(例えば、機能的部分)の1つまたは複数の欠失を含む。さらなる実施形態では、触媒的に不活性なポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、点突然変異(例えば、D10AまたはH840A)、およびヌクレアーゼドメインの全部または一部(例えば、機能的部分)の欠失を含む。dCas9ドメインは当該技術分野で公知であり、例えば、Qiら、「Repurposing CRISPR as an RNA-guided platform for sequence-specific control of gene expression.」 Cell.2013;152(5):1173~83に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0248】
さらなる適切なヌクレアーゼ不活性型dCas9ドメインは、本開示および当該技術分野の知見に基づいて当業者には明らかであり、本開示の範囲内である。そのようなさらなる例示的な適切なヌクレアーゼ不活性型Cas9ドメインとしては、D10A/H840A、D10A/D839A/H840A、およびD10A/D839A/H840A/N863A突然変異体ドメインが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Prashantら、CAS9 transcriptional activators for target specificity screening and paired nickases for cooperative genome engineering. Nature Biotechnology.2013;31(9):833~838を参照されたく、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0249】
一部の実施形態では、dCas9は、Cas9ヌクレアーゼ活性を不活性化する1つまたは複数の突然変異を有するCas9アミノ酸配列に対応するか、または部分的もしくは全体的にそれを含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼ不活性dCas9ドメインは、本明細書に記載されるアミノ酸配列のD10X突然変異およびH840X突然変異、または本明細書で提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含み、Xは任意のアミノ酸変化である。一部の実施形態では、ヌクレアーゼ不活性dCas9ドメインは、本明細書に記載されるアミノ酸配列のD10A突然変異およびH840A突然変異、または本明細書で提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼ不活性Cas9ドメインは、クローニングベクターpPlatTET-gRNA2(受託番号BAV54124)に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0250】
一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、ガイド標的配列の相補鎖を切断することができるが、二本鎖ガイド標的配列の非相補鎖を切断する能力が低減している。例えば、バリアントCas9タンパク質は、RuvCドメインの機能を低減させる突然変異(アミノ酸置換)を有し得る。非限定的な例として、一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、D10A(アミノ酸位置10でアスパラギン酸からアラニンへ)を有し、したがって二本鎖ガイド標的配列の相補鎖を切断することができるが、二本鎖ガイド標的配列の非相補鎖を切断する能力が低減している(したがって、バリアントCas9タンパク質が二本鎖標的核酸を切断する場合に二本鎖切断(DSB)の代わりに一本鎖切断(SSB)を生じさせる)(例えば、Jinekら、Science.2012年8月17日;337(6096):816~21を参照のこと)。
【0251】
一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、二本鎖ガイド標的配列の非相補鎖を切断することができるが、ガイド標的配列の相補鎖を切断する能力が低減している。例えば、バリアントCas9タンパク質は、HNHドメイン(RuvC/HNH/RuvCドメインモチーフ)の機能を低減させる突然変異(アミノ酸置換)を有し得る。非限定的な例としては、一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、H840A(アミノ酸位置840でヒスチジンからアラニンへの)突然変異を有し、したがってガイド標的配列の非相補鎖を切断することができるが、ガイド標的配列の相補鎖を切断する能力が低減している(したがって、バリアントCas9タンパク質が二本鎖ガイド標的配列を切断する場合に、DSBではなくSSBを生じさせる)。そのようなCas9タンパク質は、ガイド標的配列(例えば、一本鎖ガイド標的配列)を切断する能力が低減しているが、ガイド標的配列(例えば、一本鎖ガイド標的配列)に結合する能力を保持している。
【0252】
別の非限定的な例として、一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、W476AおよびW1126A突然変異を有し、それにより、ポリペプチドは、標的DNAを切断する能力が低減している。そのようなCas9タンパク質は、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を切断する能力が低減しているが、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)に結合する能力を保持している。
【0253】
別の非限定的な例として、一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、P475A、W476A、N477A、D1125A、W1126A、およびD1127A突然変異を有し、それにより、ポリペプチドは、標的DNAを切断する能力が低減している。そのようなCas9タンパク質は、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を切断する能力が低減しているが、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)に結合する能力を保持している。
【0254】
別の非限定的な例として、一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、H840A、W476A、およびW1126A突然変異を有し、それにより、ポリペプチドは、標的DNAを切断する能力が低減している。そのようなCas9タンパク質は、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を切断する能力が低減しているが、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)に結合する能力を保持している。別の非限定的な例として、一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、H840A、D10A、W476A、およびW1126A突然変異を有し、それにより、ポリペプチドは、標的DNAを切断する能力が低減している。そのようなCas9タンパク質は、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を切断する能力が低減しているが、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)に結合する能力を保持している。一部の実施形態では、バリアントCas9は、Cas9 HNHドメイン(A840H)の840位に触媒的His残基を回復させている。
【0255】
別の非限定的な例として、一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、H840A、P475A、W476A、N477A、D1125A、W1126A、およびD1127A突然変異を有し、それにより、ポリペプチドは、標的DNAを切断する能力が低減している。そのようなCas9タンパク質は、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を切断する能力が低減しているが、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)に結合する能力を保持している。別の非限定的な例として、一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、D10A、H840A、P475A、W476A、N477A、D1125A、W1126A、およびD1127A突然変異を有し、それにより、ポリペプチドは、標的DNAを切断する能力が低減している。そのようなCas9タンパク質は、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を切断する能力が低減しているが、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)に結合する能力を保持している。一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質がW476AおよびW1126A突然変異を含む場合、またはバリアントCas9タンパク質がP475A、W476A、N477A、D1125A、W1126A、およびD1127A突然変異を含む場合、バリアントCas9タンパク質はPAM配列に効率的に結合しない。したがって、一部のそのような実施形態では、そのようなバリアントCas9タンパク質が結合方法で使用される場合、その方法はPAM配列を必要としない。言い換えれば、一部の実施形態では、そのようなバリアントCas9タンパク質が結合方法で使用される場合、その方法はガイドRNAを含むことができるが、その方法はPAM配列がなくても実施することができる(そして結合の特異性はしたがって、ガイドRNAの標的化セグメントによって提供される)。他の残基は、上記の効果を達成するために突然変異させることができる(すなわち、1つまたは他のヌクレアーゼ部分を不活性化する)。非限定的な例として、残基D10、G12、G17、E762、H840、N854、N863、H982、H983、A984、D986、および/またはA987を変化させる(すなわち、置換する)ことができる。また、アラニン置換以外の突然変異も適している。
【0256】
一部の実施形態では、触媒活性が低減したバリアントCas9タンパク質(例えば、Cas9タンパク質が、D10、G12、G17、E762、H840、N854、N863、H982、H983、A984、D986、および/またはA987突然変異を有する場合、例えば、D10A、G12A、G17A、E762A、H840A、N854A、N863A、H982A、H983A、A984A、および/またはD986A)、バリアントCas9タンパク質は、ガイドRNAと相互作用する能力を保持している限り、依然として部位特異的な様式で標的DNAに結合することができる(なぜなら、依然としてガイドRNAによって標的DNA配列に誘導されるからである)。
【0257】
一部の実施形態では、バリアントCasタンパク質は、spCas9、spCas9-VRQR、spCas9-VRER、xCas9(sp)、saCas9、saCas9-KKH、spCas9-MQKSER、spCas9-LRKIQK、またはspCas9-LRVSQLであり得る。
【0258】
一部の実施形態では、Cas9ドメインは、スタフィロコッカス・アウレウス(SaCas9)由来のCas9ドメインである。一部の実施形態では、SaCas9ドメインは、ヌクレアーゼ活性SaCas9、ヌクレアーゼ不活性SaCas9(SaCas9d)、またはSaCas9ニッカーゼ(SaCas9n)である。一部の実施形態では、SaCas9は、N579A突然変異、または本明細書とともに提出される配列表に提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含む。
【0259】
一部の実施形態では、SaCas9ドメイン、SaCas9dドメイン、またはSaCas9nドメインは、非標準PAMを有する核酸配列に結合することができる。一部の実施形態では、SaCas9ドメイン、SaCas9dドメイン、またはSaCas9nドメインは、NNGRRTまたはNNGRRV PAM配列を有する核酸配列に結合することができる。一部の実施形態では、SaCas9ドメインは、E781X、N967X、およびR1014X突然変異のうちの1つもしくは複数、または本明細書で提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、SaCas9ドメインは、E781K、N967K、およびR1014H突然変異のうちの1つもしくは複数、または本明細書で提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、SaCas9ドメインは、E781K、N967K、もしくはR1014H突然変異、または本明細書で提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含む。
【0260】
一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体に存在するCas9ドメインの1つを、PAM配列を必要としないガイドヌクレオチド配列-プログラマブルDNA結合タンパク質ドメインで置き換えてもよい。一部の実施形態では、Cas9はSaCas9である。SaCas9の残基A579をN579から突然変異させて、SaCas9ニッカーゼを生成することができる。残基K781、K967、およびH1014を、E781、N967、およびR1014から突然変異させて、SaKKH Cas9を生成することができる。
【0261】
一部の実施形態では、アミノ酸置換D1135M、S1136Q、G1218K、E1219F、A1322R、D1332A、R1335E、およびT1337R(SpCas9-MQKFRAER)を含み、変化したPAM5’-NGC-3’に対する特異性を有する改変SpCas9を使用した。
【0262】
S.ピオゲネスCas9の代替としては、哺乳動物細胞において切断活性を示すCpf1ファミリー由来のRNAガイドエンドヌクレアーゼが挙げられ得る。プレボテラ属(Prevotella)およびフランシセラ属(Francisella)1由来のCRISPR(CRISPR/Cpf1)は、CRISPR/Cas9系に類似したDNA編集技術である。Cpf1は、クラスII CRISPR/Cas系のRNAガイドエンドヌクレアーゼである。この獲得免疫機構は、プレボテラ属およびフランシセラ属細菌において見出される。Cpf1遺伝子は、CRISPR遺伝子座に関連しており、ガイドRNAを使用してウイルスDNAを見つけて切断するエンドヌクレアーゼをコードしている。Cpf1は、Cas9よりも小型で単純なエンドヌクレアーゼであり、CRISPR/Cas9系の制限の一部を克服している。Cas9ヌクレアーゼとは異なり、Cpf1媒介性DNA切断の結果、短い3’オーバーハングを有する二本鎖切断が生じる。Cpf1の千鳥状切断パターンは、従来の制限酵素クローニングと同様に、遺伝子編集の効率を高めることができる指向性の遺伝子導入の可能性を広げる可能性がある。上記のCas9バリアントおよびオルソログと同様に、Cpf1はまた、SpCas9に好まれるNGG PAM部位を欠くATリッチ領域またはATリッチゲノムまで、CRISPRによって標的化され得る部位の数を拡張することができる。Cpf1遺伝子座は、混合アルファ/ベータドメイン、RuvC-I、その後にヘリックス領域、RuvC-II、およびジンクフィンガー様ドメインを含む。Cpf1タンパク質は、Cas9のRuvCドメインに類似したRuvC様エンドヌクレアーゼドメインを有する。
【0263】
さらに、Cas9とは異なるCpf1は、HNHエンドヌクレアーゼドメインを有さず、Cpf1のN末端はCas9のアルファヘリックス認識ローブを有さない。Cpf1 CRISPR-Casドメインアーキテクチャは、Cpf1が機能的にユニークであり、クラス2のV型CRISPR系に分類されることを示している。Cpf1遺伝子座は、II型系よりもI型およびIII型に類似したCas1、Cas2、およびCas4タンパク質をコードしている。機能的なCpf1は、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)を必要としないため、CRISPR(crRNA)のみが必要とされる。Cpf1は、Cas9より小さいだけでなく、より小さいsgRNA分子(Cas9の約半分のヌクレオチド)を有するため、これはゲノム編集に有利である。Cpf1-crRNA複合体は、Cas9によって標的化されるG-リッチPAMとは対照的に、プロトスペーサー隣接モチーフ5’-YTN-3’または5’-TTN-3’を識別することによって標的DNAまたはRNAを切断する。PAMを識別した後、Cpf1は、4または5ヌクレオチドのオーバーハングを有する粘着末端様のDNA二本鎖切断を導入する。
【0264】
一部の実施形態では、Cas9は、変化したPAM配列に対する特異性を有するCas9バリアントである。一部の実施形態では、追加のCas9バリアントおよびPAM配列は、Miller,S.M.ら、Continuous evolution of SpCas9 variants compatible with non-G PAMs、Nat.Biotechnol.(2020)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、Cas9バリアントは、特定のPAM要件を有さない。一部の実施形態では、Cas9バリアント、例えば、SpCas9バリアントは、NRNH PAMに対する特異性を有し、Rは、AまたはGであり、Hは、A、C、またはTである。一部の実施形態では、SpCas9バリアントは、PAM配列AAA、TAA、CAA、GAA、TAT、GAT、またはCACに対する特異性を有する。一部の実施形態では、SpCas9バリアントは、1114、1134、1135、1137、1139、1151、1180、1188、1211、1218、1219、1221、1249、1256、1264、1290、1318、1317、1320、1321、1323、1332、1333、1335、1337、もしくは1339位、またはそれらの対応する位置にアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、SpCas9バリアントは、1114、1135、1218、1219、1221、1249、1320、1321、1323、1332、1333、1335、もしくは1337位、またはそれらの対応する位置にアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、SpCas9バリアントは、1114、1134、1135、1137、1139、1151、1180、1188、1211、1219、1221、1256、1264、1290、1318、1317、1320、1323、1333位、またはそれらの対応する位置にアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、SpCas9バリアントは、1114、1131、1135、1150、1156、1180、1191、1218、1219、1221、1227、1249、1253、1286、1293、1320、1321、1332、1335、1339位、またはそれらの対応する位置にアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、SpCas9バリアントは、1114、1127、1135、1180、1207、1219、1234、1286、1301、1332、1335、1337、1338、1349位、またはそれらの対応する位置にアミノ酸置換を含む。SpCas9バリアントの例示的なアミノ酸置換およびPAM特異性を、表3A~3Dに示す。
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
改変されたPAM認識を有するさらなる例示的なCas9(例えば、SaCas9)ポリペプチドは、Kleinstiverら、「Broadening the targeting range of Staphylococcus aureus CRISPR-Cas9 by modifying PAM recognition」、Nature Biotechnology、33:1293~1298(2015年)DOI:10.1038/nbt.3404に記載されており、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、E782K、N929R、N968K、および/またはR1015Hの変化のうちの1つまたは複数を含むCas9バリアント(例えば、SaCas9バリアント)は、参照ポリペプチド(例えば、SaCas9)と比較して、NNNRRTまたはNNHRRT PAM配列に特異的であるか、または増加した編集活性に関連しており、Nは任意のヌクレオチドを表し、HはG以外の任意のヌクレオチド(すなわち、「非G」)を表し、Rはプリンを表す。実施形態では、Cas9バリアント(例えば、SaCas9バリアント)は、E782K、N968K、およびR1015Hの変化、またはE782K、K929R、およびR1015Hの変化を含む。
【0270】
一部の実施形態では、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)は、微生物CRISPR-Cas系の単一エフェクターである。微生物CRISPR-Cas系の単一エフェクターには、限定されないが、Cas9、Cpf1、Cas12b/C2c1、およびCas12c/C2c3が含まれる。典型的には、微生物CRISPR-Cas系はクラス1系およびクラス2系に分けられる。クラス1系はマルチサブユニットエフェクター複合体を有し、一方、クラス2系は単一のタンパク質エフェクターを有する。例えば、Cas9およびCpf1は、クラス2エフェクターである。Cas9およびCpf1に加えて、3つの異なるクラス2CRISPR-Cas系(Cas12b/C2c1、およびCas12c/C2c3)が、Shmakovら、「Discovery and Functional Characterization of Diverse Class 2 CRISPR Cas Systems」、Mol.Cell、2015年11月5日;60(3):385~397により記載され、その全内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる。系の2つのエフェクター、Cas12b/C2c1、およびCas12c/C2c3は、Cpf1に関連するRuvC様のエンドヌクレアーゼドメインを含む。第3の系は、2つの予測HEPN RNaseドメインを有するエフェクターを含む。成熟CRISPR RNAの生成は、Cas12b/C2c1によるCRISPR RNAの生成とは異なり、tracrRNAに依存しない。Cas12b/C2c1は、DNA切断に関して、CRISPR RNAおよびtracrRNAの両方に依存する。
【0271】
一部の実施形態では、napDNAbpは循環置換である(例えば、配列番号238)。
【0272】
キメラ単一分子ガイドRNA(sgRNA)と複合体を形成しているアリシクロバチルス・アシドテレストリス(Alicyclobaccillus acidoterrastris)Cas12b/C2c1(AacC2c1)の結晶構造が報告されている。例えば、Liuら、「C2c1-sgRNA Complex Structure Reveals RNA-Guided DNA Cleavage Mechanism」、Mol.Cell、2017年1月19日;65(2):310~322を参照されたく、その全内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる。結晶構造は、三元複合体として標的DNAに結合したアリシクロバチルス・アシドテレストリスC2c1でも報告されている。例えば、Yangら、「PAM-dependent Target DNA Recognition and Cleavage by C2C1 CRISPR-Cas endonuclease」、Cell、2016年12月15日;167(7):1814~1828を参照されたく、その全内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる。標的DNA鎖と非標的DNA鎖の両方で、単一のRuvC触媒ポケット内に独立して配置され、Cas12b/C2c1媒介性の切断により、標的DNAのねじれ形の7か所のヌクレオチド切断を生じさせる、AacC2c1の触媒能力のあるコンフォメーションが捕捉されている。Cas12b/C2c1三元複合体と、以前に同定されたCas9およびCpf1の対応物との構造比較は、CRISPR-Cas9系で使用されるメカニズムの多様性を示している。
【0273】
一部の実施形態では、本明細書で提供される融合タンパク質または複合体のいずれかの核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)は、Cas12b/C2c1、またはCas12c/C2c3タンパク質であり得る。一部の実施形態では、napDNAbpはCas12b/C2c1タンパク質である。一部の実施形態では、napDNAbpはCas12c/C2c3タンパク質である。一部の実施形態では、napDNAbpは、天然に存在するCas12b/C2c1またはCas12c/C2c3タンパク質と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、napDNAbpは、天然に存在するCas12b/C2c1またはCas12c/C2c3タンパク質である。一部の実施形態では、napDNAbpは、本明細書で提供されるnapDNAbp配列のいずれか1つと、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。他の細菌種由来のCas12b/C2c1またはCas12c/C2c3もまた、本開示に従って使用され得ることを理解すべきである。
【0274】
一部の実施形態では、napDNAbpとは、Cas12cを指す。一部の実施形態では、Cas12cタンパク質は、Cas12c1(配列番号239)またはCas12c1のバリアントである。一部の実施形態では、Cas12タンパク質は、Cas12c2(配列番号240)またはCas12c2のバリアントである。一部の実施形態では、Cas12タンパク質は、オレイフィルス種(Oleiphilus sp.)HI0009(すなわち、OspCas12c;配列番号241)またはOspCas12cのバリアント由来のCas12cタンパク質である。これらのCas12c分子は、Yanら、「Functionally Diverse Type V CRISPR-Cas Systems」、Science、2019年1月4日;363:88~91に記載されており、その全内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、napDNAbpは、天然に存在するCas12c1、Cas12c2、またはOspCas12cタンパク質と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、napDNAbpは、天然に存在するCas12c1、Cas12c2、またはOspCas12cタンパク質である。一部の実施形態では、napDNAbpは、本明細書に記載の任意のCas12c1、Cas12c2、またはOspCas12cタンパク質と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。他の細菌種に由来するCas12c1、Cas12c2、またはOspCas12cもまた、本開示に従って使用され得ることを理解すべきである。
【0275】
一部の実施形態では、napDNAbpとは、例えば、Yanら、「Functionally Diverse Type V CRISPR-Cas Systems」、Science、2019年1月4日;363:88~91に記載されている、Cas12g、Cas12h、またはCas12iを指し;各々の全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。例示的なCas12g、Cas12h、およびCas12iポリペプチド配列を、配列番号242~245として配列表に提供する。10テラバイトを超える配列データを集約することにより、Cas12g、Cas12h、およびCas12iを含む、以前に特徴付けられたクラスVタンパク質と弱い類似性を示すV型Casタンパク質の新しい分類が特定された。一部の実施形態では、Cas12タンパク質は、Cas12g、またはCas12gのバリアントである。一部の実施形態では、Cas12タンパク質は、Cas12h、またはCas12hのバリアントである。一部の実施形態では、Cas12タンパク質は、Cas12i、またはCas12iのバリアントである。他のRNA誘導性DNA結合タンパク質もnapDNAbpとして使用されてもよく、本開示の範囲内であることが理解されるべきである。一部の実施形態では、napDNAbpは、天然に存在するCas12g、Cas12h、またはCas12iタンパク質と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、napDNAbpは、天然に存在するCas12g、Cas12h、またはCas12iタンパク質である。一部の実施形態では、napDNAbpは、本明細書に記載される任意のCas12g、Cas12h、またはCas12iタンパク質と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。他の細菌種由来のCas12g、Cas12h、またはCas12iもまた、本開示に従って使用されてもよいことを理解すべきである。一部の実施形態では、Cas12iは、Cas12i1またはCas12i2である。
【0276】
一部の実施形態では、本明細書で提供される融合タンパク質または複合体のいずれかの核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)は、Cas12j/CasΦタンパク質であり得る。Cas12j/CasΦは、Pauschら、「CRISPR-CasΦ from huge phages is a hypercompact genome editor」、Science、2020年7月17日、Vol.369、Issue 6501、333~337頁に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、napDNAbpは、天然に存在するCas12j/CasΦタンパク質と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、napDNAbpは、天然に存在するCas12j/CasΦタンパク質である。一部の実施形態では、napDNAbpは、ヌクレアーゼ不活性型(「デッド」)Cas12j/CasΦタンパク質である。他の種に由来するCas12j/CasΦもまた、本開示に従って使用されてもよいことを理解すべきである。
【0277】
内部挿入を伴う融合タンパク質または複合体
本明細書において、核酸プログラマブル核酸結合タンパク質、例えば、napDNAbpに融合させた異種ポリペプチドを含む融合タンパク質または複合体が提供される。異種ポリペプチドは、天然型または野生型のnapDNAbpポリペプチド配列には見出されないポリペプチドであり得る。異種ポリペプチドは、napDNAbpのC末端、napDNAbpのN末端でnapDNAbpに融合するか、またはnapDNAbpの内部位置に挿入することができる。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、デアミナーゼ(例えば、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼ)またはその機能的断片である。例えば、融合タンパク質は、Cas9またはCas12(例えば、Cas12b/C2c1)ポリペプチドのN末端断片およびC末端断片が隣接するデアミナーゼを含み得る。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは、APOBECデアミナーゼ(例えば、APOBEC1)である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA(例えば、TadA*7.10またはTadA*8)である。一部の実施形態では、TadAは、TadA*8またはTadA*9である。本明細書に記載されるTadA配列(例えば、TadA7.10またはTadA*8)は、上記の融合タンパク質または複合体に適したデアミナーゼである。
【0278】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、以下の構造:
NH2-[napDNAbpのN末端断片]-[デアミナーゼ]-[napDNAbpのC末端断片]-COOH;
NH2-[Cas9のN末端断片]-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas9のC末端断片]-COOH;
NH2-[Cas12のN末端断片]-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas12のC末端断片]-COOH;
NH2-[Cas9のN末端断片]-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9のC末端断片]-COOH;
NH2-[Cas12のN末端断片]-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas12のC末端断片]-COOH
を含み、式中、「]-[」の各インスタンスは、必要に応じたリンカーの存在である(すなわち、リンカーは必要に応じて存在する)。
【0279】
デアミナーゼは、循環置換デアミナーゼであり得る。例えば、デアミナーゼは、循環置換アデノシンデアミナーゼであり得る。一部の実施形態では、デアミナーゼは、TadA参照配列において番号付けされたアミノ酸残基116、136、または65で循環的に置換された循環置換TadAである。
【0280】
融合タンパク質または複合体は、1つより多いデアミナーゼを含み得る。融合タンパク質または複合体は、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のデアミナーゼを含み得る。一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、1つまたは2つのデアミナーゼを含む。融合タンパク質または複合体内の2つまたはそれ以上のデアミナーゼは、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはそれらの組合せであり得る。2つまたはそれ以上のデアミナーゼは、ホモ二量体またはヘテロ二量体であり得る。2つまたはそれ以上のデアミナーゼは、napDNAbpにタンデムに挿入することができる。一部の実施形態では、2つまたはそれ以上のデアミナーゼは、napDNAbpにタンデムに存在していなくてもよい。
【0281】
一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体内のnapDNAbpは、Cas9ポリペプチドまたはその断片である。Cas9ポリペプチドは、バリアントCas9ポリペプチドであり得る。一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ポリペプチドまたはその断片である。一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、ヌクレアーゼ不活性Cas9(dCas9)ポリペプチドまたはその断片である。融合タンパク質または複合体内のCas9ポリペプチドは、全長のCas9ポリペプチドであり得る。一部の場合では、融合タンパク質または複合体内のCas9ポリペプチドは、全長のCas9ポリペプチドでなくてもよい。Cas9ポリペプチドは、例えば、天然に存在するCas9タンパク質と比較して、N末端またはC末端で短縮され得る。Cas9ポリペプチドは、循環的に置換されたCas9タンパク質であり得る。Cas9ポリペプチドは、Cas9ポリペプチドの断片、一部、またはドメインであり得るが、それは依然として標的ポリヌクレオチドおよびガイド核酸配列に結合することができる。
【0282】
一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、ストレプトコッカス・ピオゲネスCas9(SpCas9)、スタフィロコッカス・アウレウスCas9(SaCas9)、ストレプトコッカス・サーモフィルス1Cas9(St1Cas9)、または本明細書に記載されるCas9ポリペプチドのいずれかの断片もしくはバリアントである。
【0283】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、Cas9内に挿入されたアデノシンデアミナーゼドメインおよびシチジンデアミナーゼドメインを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼはCas9内に融合され、シチジンデアミナーゼはC末端に融合される。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼはCas9内に融合され、シチジンデアミナーゼはN末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼはCas9内に融合され、アデノシンデアミナーゼはC末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼはCas9内に融合され、アデノシンデアミナーゼはN末端に融合される。
【0284】
アデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼおよびCas9を有する融合タンパク質の例示的な構造は、以下:
NH2-[Cas9(アデノシンデアミナーゼ)]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9(アデノシンデアミナーゼ)]-COOH;
NH2-[Cas9(シチジンデアミナーゼ)]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;または
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas9(シチジンデアミナーゼ)]-COOH
のように提供される。
【0285】
一部の実施形態では、上記の一般的な構造で使用される「-」は、必要に応じたリンカーの存在を示す。
【0286】
様々な実施形態では、触媒ドメインは、アデノシンデアミナーゼ活性などのDNA改変活性(例えば、デアミナーゼ活性)を有する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA(例えば、TadA*7.10)である。一部の実施形態では、TadAは、TadA*8である。一部の実施形態では、TadA*8はCas9内に融合され、シチジンデアミナーゼはC末端に融合される。一部の実施形態では、TadA*8はCas9内に融合され、シチジンデアミナーゼはN末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼはCas9内に融合され、TadA*8はC末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼはCas9内に融合され、TadA*8はN末端に融合される。TadA*8およびシチジンデアミナーゼおよびCas9を有する融合タンパク質の例示的な構造は、以下:
NH2-[Cas9(TadA*8)]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9(TadA*8)]-COOH;
NH2-[Cas9(シチジンデアミナーゼ)]-[TadA*8]-COOH;または
NH2-[TadA*8]-[Cas9(シチジンデアミナーゼ)]-COOH
のように提供される。
【0287】
一部の実施形態では、上記の一般的な構造で使用される「-」は、必要に応じたリンカーの存在を示す。
【0288】
異種ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)を、適切な位置で、napDNAbp(例えば、Cas9またはCas12(例えば、Cas12b/C2c1))に挿入することができ、例えば、それにより、napDNAbpは、標的ポリヌクレオチドおよびガイド核酸に結合する能力を保持する。デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、デアミナーゼの機能(例えば、塩基編集活性)またはnapDNAbpの機能(例えば、標的核酸およびガイド核酸に結合する能力)を損なうことなく、napDNAbpに挿入することができる。デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)は、結晶学的研究に示されるように、例えば、変性領域または高温因子もしくはB因子を含む領域でnapDNAbpに挿入することができる。あまり秩序化されていない、変性、または不定形のタンパク質の領域、例えば、溶媒に曝露された領域およびループを、構造または機能を損なうことなく挿入に使用することができる。デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、柔軟なループ領域または溶媒に曝露された領域のnapDNAbpに挿入することができる。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、Cas9またはCas12b/C2c1ポリペプチドの柔軟なループに挿入する。
【0289】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)の挿入位置を、Cas9ポリペプチドの結晶構造のB因子分析によって決定する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、平均よりも高いB因子(例えば、全タンパク質または変性領域を含むタンパク質ドメインと比較して、より高いB因子)を含むCas9ポリペプチドの領域に挿入する。B因子または温度因子は、原子のそれらの平均位置からの変動を示すことができる(例えば、温度依存性の原子振動または結晶格子の静的無秩序性の結果として)。骨格原子の高いB因子(例えば、平均よりも高いB因子)は、比較的高い局所移動度を有する領域を示し得る。そのような領域は、構造または機能を損なうことなくデアミナーゼを挿入するために使用することができる。デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、全タンパク質について、平均B因子よりも、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、または200%超高いB因子を有するCα原子を有する残基を有する位置に、挿入することができる。デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、残基を含むCas9タンパク質ドメインについて、平均B因子よりも、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、または200%超高いB因子を有するCα原子を有する残基を有する位置に、挿入することができる。平均よりも高いB因子を含むCas9ポリペプチドの位置としては、例えば、上記のCas9参照配列において番号付けされた、残基768、792、1052、1015、1022、1026、1029、1067、1040、1054、1068、1246、1247、および1248が挙げられ得る。平均よりも高いB因子を含むCas9ポリペプチド領域としては、例えば、上記のCas9参照配列において番号付けされた、残基792~872、792~906、および2~791が挙げられ得る。
【0290】
異種ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、768、791、792、1015、1016、1022、1023、1026、1029、1040、1052、1054、1067、1068、1069、1246、1247、および1248からなる群から選択されるアミノ酸残基、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基において、napDNAbpに挿入することができる。一部の実施形態では、異種ポリペプチドを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸位置768~769、791~792、792~793、1015~1016、1022~1023、1026~1027、1029~1030、1040~1041、1052~1053、1054~1055、1067~1068、1068~1069、1247~1248、もしくは1248~1249、またはそれらの対応するアミノ酸位置の間に挿入する。一部の実施形態では、異種ポリペプチドを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸位置769~770、792~793、793~794、1016~1017、1023~1024、1027~1028、1030~1031、1041~1042、1053~1054、1055~1056、1068~1069、1069~1070、1248~1249、もしくは1249~1250、またはそれらの対応するアミノ酸位置の間に挿入する。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、上記のCas9参照配列において番号付けされた、768、791、792、1015、1016、1022、1023、1026、1029、1040、1052、1054、1067、1068、1069、1246、1247、および1248からなる群から選択されるアミノ酸残基、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基を置換する。挿入位置に関する上記のCas9参照配列への参照は、例示を目的としていることを理解すべきである。本明細書で論じる挿入は、上記のCas9参照配列のCas9ポリペプチド配列に限定されないが、バリアントCas9ポリペプチド、例えば、Cas9ニッカーゼ(nCas9)、ヌクレアーゼ不活性Cas9(dCas9)、ヌクレアーゼドメインを欠くCas9バリアント、短縮型Cas9、または部分的もしくは完全にHNHドメインを欠くCas9ドメインにおける対応する位置での挿入を含む。
【0291】
異種ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、768、792、1022、1026、1040、1068、および1247からなる群から選択されるアミノ酸残基、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基において、napDNAbpに挿入することができる。一部の実施形態では、異種ポリペプチドを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸位置768~769、792~793、1022~1023、1026~1027、1029~1030、1040~1041、1068~1069、もしくは1247~1248、またはそれらの対応するアミノ酸位置の間に挿入する。一部の実施形態では、異種ポリペプチドを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸位置769~770、793~794、1023~1024、1027~1028、1030~1031、1041~1042、1069~1070、もしくは1248~1249、またはそれらの対応するアミノ酸位置の間に挿入する。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、上記のCas9参照配列において番号付けされた、768、792、1022、1026、1040、1068、および1247からなる群から選択されるアミノ酸残基、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基を置換する。
【0292】
異種ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)を、本明細書に記載されるアミノ酸残基、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基において、napDNAbpに挿入することができる。実施形態では、異種ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1002、1003、1025、1052~1056、1242~1247、1061~1077、943~947、686~691、569~578、530~539、および1060~1077からなる群から選択されるアミノ酸残基、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基において、napDNAbpに挿入することができる。デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、残基のN末端もしくはC末端に挿入するか、または残基を置き換えることができる。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、残基のC末端に挿入する。
【0293】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼ(例えば、TadA)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1015、1022、1029、1040、1068、1247、1054、1026、768、1067、1248、1052、および1246からなる群から選択されるアミノ酸残基、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼ(例えば、TadA)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、残基792~872、792~906、もしくは2~791、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基の代わりに挿入する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1015、1022、1029、1040、1068、1247、1054、1026、768、1067、1248、1052、および1246からなる群から選択されるアミノ酸、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1015、1022、1029、1040、1068、1247、1054、1026、768、1067、1248、1052、および1246からなる群から選択されるアミノ酸、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1015、1022、1029、1040、1068、1247、1054、1026、768、1067、1248、1052、および1246からなる群から選択されるアミノ酸、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入して置換する。
【0294】
一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼ(例えば、APOBEC1)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1016、1023、1029、1040、1069、および1247からなる群から選択されるアミノ酸残基、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1016、1023、1029、1040、1069、および1247からなる群から選択されるアミノ酸、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1016、1023、1029、1040、1069、および1247からなる群から選択されるアミノ酸、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼを、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1016、1023、1029、1040、1069、および1247からなる群から選択されるアミノ酸、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基を挿入して置換する。
【0295】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基768、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基768、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基768、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基768、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入して置換する。
【0296】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基791に挿入するか、もしくはアミノ酸残基792、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基791のN末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基792、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基791のC末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基792、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基791に挿入して置換するか、もしくはアミノ酸残基792、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入して置換する。
【0297】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基1016、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基1016、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基1016、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基1016、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入して置換する。
【0298】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1022に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1023、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1022のN末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1023、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1022のC末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1023、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1022を挿入して置換するか、もしくはアミノ酸残基1023、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基を挿入して置換する。
【0299】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1026に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1029、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1026のN末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1029、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1026のC末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1029、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1026を挿入して置換するか、もしくはアミノ酸残基1029、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基を挿入して置換する。
【0300】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基1040、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基1040、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基1040、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基1040、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入して置換する。
【0301】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1052に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1054、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1052のN末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1054、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1052のC末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1054、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1052を挿入して置換するか、もしくはアミノ酸残基1054、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基を挿入して置換する。
【0302】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1067に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1068に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1069、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1067のN末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1068のN末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1069、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1067のC末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1068のC末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1069、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1067に挿入して置換するか、もしくはアミノ酸残基1068に挿入して置換するか、もしくはアミノ酸残基1069、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入して置換する。
【0303】
一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1246に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1247に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1248、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1246のN末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1247のN末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1248、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のN末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1246のC末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1247のC末端に挿入するか、もしくはアミノ酸残基1248、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基のC末端に挿入する。一部の実施形態では、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされた、アミノ酸残基1246に挿入して置換するか、もしくはアミノ酸残基1247に挿入して置換するか、もしくはアミノ酸残基1248、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に挿入して置換する。
【0304】
一部の実施形態では、異種ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)を、Cas9ポリペプチドの柔軟なループに挿入する。柔軟なループ部分は、上記のCas9参照配列において番号付けされた、530~537、569~570、686~691、943~947、1002~1025、1052~1077、1232~1247、もしくは1298~1300、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基からなる群から選択され得る。柔軟なループ部分は、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1~529、538~568、580~685、692~942、948~1001、1026~1051、1078~1231、もしくは1248~1297、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基からなる群から選択され得る。
【0305】
異種ポリペプチド(例えば、アデニンデアミナーゼ)を、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基:1017~1069、1242~1247、1052~1056、1060~1077、1002~1003、943~947、530~537、568~579、686~691、1242~1247、1298~1300、1066~1077、1052~1056、もしくは1060~1077、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に対応するCas9ポリペプチド領域に挿入することができる。
【0306】
異種ポリペプチド(例えば、アデニンデアミナーゼ)を、Cas9ポリペプチドの欠失領域の代わりに挿入することができる。欠失領域は、Cas9ポリペプチドのN末端またはC末端部分に対応し得る。一部の実施形態では、欠失領域は、上記のCas9参照配列において番号付けされた、残基792~872、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に対応する。一部の実施形態では、欠失領域は、上記のCas9参照配列において番号付けされた、残基792~906、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に対応する。一部の実施形態では、欠失領域は、上記のCas9参照配列において番号付けされた、残基2~791、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に対応する。一部の実施形態では、欠失領域は、上記のCas9参照配列において番号付けされた、残基1017~1069、またはそれらの対応するアミノ酸残基に対応する。
【0307】
例示的な内部融合塩基エディターを、以下の表4に提供する:
【0308】
【0309】
異種ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)を、Cas9ポリペプチドの構造的または機能的ドメイン内に挿入することができる。異種ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)を、Cas9ポリペプチドの2つの構造的または機能的ドメインの間に挿入することができる。異種ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)を、例えば、Cas9ポリペプチドからドメインを欠失させた後、Cas9ポリペプチドの構造的または機能的ドメインの代わりに挿入することができる。Cas9ポリペプチドの構造的または機能的ドメインは、例えば、RuvC I、RuvC II、RuvC III、Rec1、Rec2、PI、またはHNHを含み得る。
【0310】
一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、RuvC I、RuvC II、RuvC III、Rec1、Rec2、PI、またはHNHドメインからなる群から選択される1つまたは複数のドメインを欠失している。一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、ヌクレアーゼドメインを欠失している。一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、HNHドメインを欠失している。一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、HNHドメインの一部を欠失しており、それにより、Cas9ポリペプチドは、HNH活性が低減または無効化されている。一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、ヌクレアーゼドメインの欠失を含み、ヌクレアーゼドメインを置換するためにデアミナーゼを挿入する。一部の実施形態では、HNHドメインを欠失させ、その場所にデアミナーゼを挿入する。一部の実施形態では、RuvCドメインの1つまたは複数を欠失させ、その場所にデアミナーゼを挿入する。
【0311】
異種ポリペプチドを含む融合タンパク質に、napDNAbpのN末端およびC末端断片が隣接していてもよい。一部の実施形態では、融合タンパク質は、Cas9ポリペプチドのN末端断片およびC末端断片が隣接するデアミナーゼを含む。N末端断片またはC末端断片は、標的ポリヌクレオチド配列に結合することができる。N末端断片のC末端またはC末端断片のN末端は、Cas9ポリペプチドの柔軟なループの一部を含み得る。N末端断片のC末端またはC末端断片のN末端は、Cas9ポリペプチドのアルファ-ヘリックス構造の一部を含み得る。N末端断片またはC末端断片は、DNA結合ドメインを含み得る。N末端断片またはC末端断片は、RuvCドメインを含み得る。N末端断片またはC末端断片は、HNHドメインを含み得る。一部の実施形態では、N末端断片およびC末端断片のいずれも、HNHドメインを含まない。
【0312】
一部の実施形態では、N末端Cas9断片のC末端は、融合タンパク質が標的核酸塩基を脱アミノ化する際に標的核酸塩基に近接しているアミノ酸を含む。一部の実施形態では、C末端Cas9断片のN末端は、融合タンパク質が標的核酸塩基を脱アミノ化する際に標的核酸塩基に近接しているアミノ酸を含む。標的核酸塩基と、N末端Cas9断片のC末端またはC末端Cas9断片のN末端のアミノ酸との間の近接性を得るために、異なるデアミナーゼの挿入位置は、異なり得る。例えば、デアミナーゼの挿入位置は、上記のCas9参照配列において番号付けされた、1015、1022、1029、1040、1068、1247、1054、1026、768、1067、1248、1052、および1246からなる群から選択されるアミノ酸残基、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基であり得る。
【0313】
融合タンパク質のN末端Cas9断片(すなわち、融合タンパク質におけるデアミナーゼに隣接するN末端Cas9断片)は、Cas9ポリペプチドのN末端を含み得る。融合タンパク質のN末端Cas9断片は、少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、または1300アミノ酸の長さを含み得る。融合タンパク質のN末端Cas9断片は、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基:1~56、1~95、1~200、1~300、1~400、1~500、1~600、1~700、1~718、1~765、1~780、1~906、1~918、もしくは1~1100、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に対応する配列を含み得る。N末端Cas9断片は、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基:1~56、1~95、1~200、1~300、1~400、1~500、1~600、1~700、1~718、1~765、1~780、1~906、1~918、もしくは1~1100、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%の配列同一性を含む配列を含み得る。
【0314】
融合タンパク質のC末端Cas9断片(すなわち、融合タンパク質におけるデアミナーゼに隣接するC末端Cas9断片)は、Cas9ポリペプチドのC末端を含み得る。融合タンパク質のC末端Cas9断片は、少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、または1300アミノ酸の長さを含み得る。融合タンパク質のC末端Cas9断片は、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基:1099~1368、918~1368、906~1368、780~1368、765~1368、718~1368、94~1368、もしくは56~1368、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に対応する配列を含み得る。N末端Cas9断片は、上記のCas9参照配列において番号付けされたアミノ酸残基:1099~1368、918~1368、906~1368、780~1368、765~1368、718~1368、94~1368、もしくは56~1368、または別のCas9ポリペプチドにおける対応するアミノ酸残基に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%の配列同一性を含む配列を含み得る。
【0315】
融合タンパク質のN末端Cas9断片およびC末端Cas9断片は一緒に、例えば、上記のCas9参照配列に記載されているように、全長の天然に存在するCas9ポリペプチド配列に対応しない場合がある。
【0316】
本明細書に記載される融合タンパク質または複合体は、ゲノム全体のスプリアス脱アミノ化の低減などの、非標的部位(例えば、オフターゲット部位)での脱アミノ化の低減を伴う標的化脱アミノ化をもたらすことができる。本明細書に記載される融合タンパク質または複合体は、非標的部位でのバイスタンダー脱アミノ化を低減して、標的化脱アミノ化をもたらすことができる。望ましくない脱アミノ化またはオフターゲット脱アミノ化を、例えば、Cas9ポリペプチドのN末端またはC末端に融合したデアミナーゼを含む末端融合タンパク質に比べて、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減させることができる。望ましくない脱アミノ化またはオフターゲット脱アミノ化を、例えば、Cas9ポリペプチドのN末端またはC末端に融合したデアミナーゼを含む末端融合タンパク質に比べて、1分の1以下、2分の1以下、3分の1以下、4分の1以下、5分の1以下、10分の1以下、15分の1以下、20分の1以下、30分の1以下、40分の1以下、50分の1以下、60分の1以下、70分の1以下、80分の1以下、90分の1以下、または100分の1以下に低減させることができる。
【0317】
一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体のデアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)は、Rループの範囲内で2つ以下の核酸塩基を脱アミノ化する。一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体のデアミナーゼは、Rループの範囲内で3つ以下の核酸塩基を脱アミノ化する。一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体のデアミナーゼは、Rループの範囲内で2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以下の核酸塩基を脱アミノ化する。Rループは、DNA-RNAハイブリッド、DNA:DNA、またはRNA:RNA相補構造を含み、一本鎖DNAと会合する三本鎖核酸構造である。本明細書で使用される場合、Rループは、標的ポリヌクレオチドをCRISPR複合体または塩基編集複合体と接触させる場合に形成され得、ガイドポリヌクレオチドの一部、例えば、ガイドRNAは、標的ポリヌクレオチド、例えば、標的DNAの一部とハイブリダイズし、置き換わる。一部の実施形態では、Rループは、スペーサー配列および標的DNA相補配列のハイブリダイズした領域を含む。Rループ領域は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50核酸塩基対の長さであり得る。一部の実施形態では、Rループ領域は、長さが約20核酸塩基対である。本明細書で使用される場合、Rループ領域は、ガイドポリヌクレオチドとハイブリダイズする標的DNA鎖に限定されないことを理解すべきである。例えば、Rループ領域内の標的核酸塩基の編集は、ガイドRNAに対する相補鎖を含むDNA鎖に対する編集であり得るか、またはガイドRNAに相補的な鎖の反対側の鎖であるDNA鎖に対する編集であり得る。一部の実施形態では、Rループの領域での編集は、標的DNA配列中のガイドRNAに対する非相補鎖(プロトスペーサー鎖)上の核酸塩基を編集することを含む。
【0318】
本明細書に記載される融合タンパク質または複合体は、標準的な塩基編集とは異なる編集ウインドウで標的の脱アミノ化をもたらすことができる。一部の実施形態では、標的核酸塩基は、標的ポリヌクレオチド配列中のPAM配列の約1~約20塩基上流である。一部の実施形態では、標的核酸塩基は、標的ポリヌクレオチド配列中のPAM配列の約2~約12塩基上流である。一部の実施形態では、標的核酸塩基は、PAM配列から、約1~9塩基対、約2~10塩基対、約3~11塩基対、約4~12塩基対、約5~13塩基対、約6~14塩基対、約7~15塩基対、約8~16塩基対、約9~17塩基対、約10~18塩基対、約11~19塩基対、約12~20塩基対、約1~7塩基対、約2~8塩基対、約3~9塩基対、約4~10塩基対、約5~11塩基対、約6~12塩基対、約7~13塩基対、約8~14塩基対、約9~15塩基対、約10~16塩基対、約11~17塩基対、約12~18塩基対、約13~19塩基対、約14~20塩基対、約1~5塩基対、約2~6塩基対、約3~7塩基対、約4~8塩基対、約5~9塩基対、約6~10塩基対、約7~11塩基対、約8~12塩基対、約9~13塩基対、約10~14塩基対、約11~15塩基対、約12~16塩基対、約13~17塩基対、約14~18塩基対、約15~19塩基対、約16~20塩基対、約1~3塩基対、約2~4塩基対、約3~5塩基対、約4~6塩基対、約5~7塩基対、約6~8塩基対、約7~9塩基対、約8~10塩基対、約9~11塩基対、約10~12塩基対、約11~13塩基対、約12~14塩基対、約13~15塩基対、約14~16塩基対、約15~17塩基対、約16~18塩基対、約17~19塩基対、約18~20塩基対、離れているか、または上流にある。一部の実施形態では、標的核酸塩基は、PAM配列から、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20塩基対、またはそれ以上離れているか、または上流にある。一部の実施形態では、標的核酸塩基は、PAM配列から、約1、2、3、4、5、6、7、8、または9塩基対、上流にある。一部の実施形態では、標的核酸塩基は、PAM配列から、約2、3、4、または6塩基対、上流にある。
【0319】
融合タンパク質または複合体は、1つより多い異種ポリペプチドを含み得る。例えば、融合タンパク質または複合体は、1つもしくは複数のUGIドメインおよび/または1つもしくは複数の核局在化シグナルをさらに含み得る。2つ以上の異種ドメインをタンデムに挿入することができる。2つ以上の異種ドメインを、NapDNAbp内でタンデムにならないような位置に挿入することができる。
【0320】
融合タンパク質は、デアミナーゼとnapDNAbpポリペプチドとの間にリンカーを含み得る。リンカーは、ペプチドリンカーまたは非ペプチドリンカーであり得る。例えば、リンカーは、XTEN、(GGGS)n(配列番号246)、(GGGGS)n(配列番号247)、(G)n、(EAAAK)n(配列番号248)、(GGS)n、SGSETPGTSESATPES(配列番号249)であり得る。一部の実施形態では、融合タンパク質は、N末端Cas9断片とデアミナーゼとの間にリンカーを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、C末端Cas9断片とデアミナーゼとの間にリンカーを含む。一部の実施形態では、napDNAbpのN末端およびC末端断片を、リンカーでデアミナーゼに接続する。一部の実施形態では、N末端およびC末端断片を、リンカーを用いずにデアミナーゼドメインに結合する。一部の実施形態では、融合タンパク質は、N末端Cas9断片とデアミナーゼとの間にリンカーを含むが、C末端Cas9断片とデアミナーゼとの間にリンカーを含まない。一部の実施形態では、融合タンパク質は、C末端Cas9断片とデアミナーゼとの間にリンカーを含むが、N末端Cas9断片とデアミナーゼとの間にリンカーを含まない。
【0321】
一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体中のnapDNAbpは、Cas12を特定の核酸配列に導く核酸(例えば、gRNA)と会合することができる、Cas12ポリペプチド、例えば、Cas12b/C2c1、またはそれらの断片である。Cas12ポリペプチドは、バリアントCas12ポリペプチドであってもよい。他の実施形態では、Cas12ポリペプチドのN末端断片またはC末端断片は、核酸プログラマブルDNA結合ドメインまたはRuvCドメインを含む。他の実施形態では、融合タンパク質は、Cas12ポリペプチドと触媒ドメインとの間にリンカーを含む。他の実施形態では、リンカーのアミノ酸配列は、GGSGGS(配列番号250)または
GSSGSETPGTSESATPESSG(配列番号251)
である。他の実施形態では、リンカーは剛直なリンカーである。上記態様の他の実施形態では、リンカーは、
GGAGGCTCTGGAGGAAGC(配列番号252)または
GGCTCTTCTGGATCTGAAACACCTGGCACAAGCGAGAGCGCCACCCCTGAGAGCTCTGGC(配列番号253)
によってコードされる。
【0322】
Cas12ポリペプチドのN末端およびC末端断片が隣接する異種触媒ドメインを含む融合タンパク質もまた、本明細書に記載される方法における塩基編集に有用である。Cas12および1つまたは複数のデアミナーゼドメイン、例えば、アデノシンデアミナーゼを含むか、またはCas12配列が隣接するアデノシンデアミナーゼドメインを含む融合タンパク質もまた、標的配列の高度に特異的かつ効率的な塩基編集に有用である。実施形態では、キメラCas12融合タンパク質は、Cas12ポリペプチド内に挿入された異種触媒ドメイン(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、またはアデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼ)を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、Cas12内に挿入されたアデノシンデアミナーゼドメインおよびシチジンデアミナーゼドメインを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼはCas12内に融合され、シチジンデアミナーゼはC末端に融合される。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼはCas12内に融合され、シチジンデアミナーゼはN末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼはCas12内に融合され、アデノシンデアミナーゼはC末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼはCas12内に融合され、アデノシンデアミナーゼはN末端に融合される。アデノシンデアミナーゼおよびシチジンデアミナーゼおよびCas12を有する融合タンパク質の例示的な構造は、以下:
NH2-[Cas12(アデノシンデアミナーゼ)]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas12(アデノシンデアミナーゼ)]-COOH;
NH2-[Cas12(シチジンデアミナーゼ)]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;または
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas12(シチジンデアミナーゼ)]-COOH
のように提供される。
【0323】
一部の実施形態では、上記の一般的な構造で使用される「-」は、必要に応じたリンカーの存在を示す。
【0324】
様々な実施形態では、触媒ドメインは、アデノシンデアミナーゼ活性などのDNA改変活性(例えば、デアミナーゼ活性)を有する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA(例えば、TadA*7.10)である。一部の実施形態では、TadAは、TadA*8である。一部の実施形態では、TadA*8はCas12内に融合され、シチジンデアミナーゼはC末端に融合される。一部の実施形態では、TadA*8はCas12内に融合され、シチジンデアミナーゼはN末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼはCas12内に融合され、TadA*8はC末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼはCas12内に融合され、TadA*8はN末端に融合される。TadA*8およびシチジンデアミナーゼおよびCas12を有する融合タンパク質の例示的な構造は、以下:
N-[Cas12(TadA*8)]-[シチジンデアミナーゼ]-C;
N-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas12(TadA*8)]-C;
N-[Cas12(シチジンデアミナーゼ)]-[TadA*8]-C;または
N-[TadA*8]-[Cas12(シチジンデアミナーゼ)]-C
のように提供される。
【0325】
一部の実施形態では、上記の一般的な構造で使用される「-」は、必要に応じたリンカーの存在を示す。
【0326】
他の実施形態では、融合タンパク質は、1つまたは複数の触媒ドメインを含む。他の実施形態では、1つまたは複数の触媒ドメインの少なくとも1つを、Cas12ポリペプチド内に挿入するか、またはCas12のN末端もしくはC末端に融合させる。他の実施形態では、1つまたは複数の触媒ドメインの少なくとも1つを、Cas12ポリペプチドのループ、アルファヘリックス領域、不定形部分、または溶媒にアクセス可能な部分内に挿入する。他の実施形態では、Cas12ポリペプチドは、Cas12a、Cas12b、Cas12c、Cas12d、Cas12e、Cas12g、Cas12h、Cas12i、またはCas12j/CasΦである。他の実施形態では、Cas12ポリペプチドは、バチルス・ヒサシイ(Bacillus hisashii)Cas12b、バチルス・サーモアミロボランス(Bacillus thermoamylovorans)Cas12b、バチルス種(Bacillus sp.)V3-13 Cas12b、またはアリサイクロバチルス・アシジフィルス(Alicyclobacillus acidiphilus)Cas12b(配列番号254)に対して、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有する。他の実施形態では、Cas12ポリペプチドは、バチルス・ヒサシイCas12b(配列番号255)、バチルス・サーモアミロボランスCas12b、バチルス種V3-13 Cas12b、またはアリサイクロバチルス・アシジフィルスCas12bに対して、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する。他の実施形態では、Cas12ポリペプチドは、バチルス・ヒサシイCas12b、バチルス・サーモアミロボランスCas12b(配列番号256)、バチルス種V3-13 Cas12b(配列番号257)、またはアリサイクロバチルス・アシジフィルスCas12bに対して、少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する。他の実施形態では、Cas12ポリペプチドは、バチルス・ヒサシイCas12b、バチルス・サーモアミロボランスCas12b、バチルス種V3-13 Cas12b、またはアリサイクロバチルス・アシジフィルスCas12bの断片を含むか、または本質的にそれらからなる。実施形態では、Cas12ポリペプチドは、BvCas12b(V4)を含み、これは、一部の実施形態では、5’mRNA Cap---5’UTR---bhCas12b---終止配列---3’UTR---120ポリAテール(配列番号258~260)として表現される。
【0327】
他の実施形態では、触媒ドメインを、BhCas12bのアミノ酸位置153~154、255~256、306~307、980~981、1019~1020、534~535、604~605、もしくは344~345、またはCas12a、Cas12c、Cas12d、Cas12e、Cas12g、Cas12h、Cas12i、もしくはCas12j/CasΦの対応するアミノ酸残基の間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BhCas12bのアミノ酸P153とS154との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BhCas12bのアミノ酸K255とE256との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BhCas12bのアミノ酸D980とG981との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BhCas12bのアミノ酸K1019とL1020との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BhCas12bのアミノ酸F534とP535との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BhCas12bのアミノ酸K604とG605との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BhCas12bのアミノ酸H344とF345との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BvCas12bのアミノ酸位置147と148との間、248と249との間、299と300との間、991と992との間、もしくは1031と1032との間、またはCas12a、Cas12c、Cas12d、Cas12e、Cas12g、Cas12h、Cas12i、もしくはCas12j/CasΦの対応するアミノ酸残基の間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BvCas12bのアミノ酸P147とD148との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BvCas12bのアミノ酸G248とG249との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BvCas12bのアミノ酸P299とE300との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BvCas12bのアミノ酸G991とE992との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、BvCas12bのアミノ酸K1031とM1032との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、AaCas12bのアミノ酸位置157と158との間、258と259との間、310と311との間、1008と1009との間、もしくは1044と1045との間、またはCas12a、Cas12c、Cas12d、Cas12e、Cas12g、Cas12h、Cas12i、もしくはCas12j/CasΦの対応するアミノ酸残基の間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、AaCas12bのアミノ酸P157とG158との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、AaCas12bのアミノ酸V258とG259との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、AaCas12bのアミノ酸D310とP311との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、AaCas12bのアミノ酸G1008とE1009との間に挿入する。他の実施形態では、触媒ドメインを、AaCas12bのアミノ酸G1044とK1045との間に挿入する。
【0328】
他の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、核局在化シグナル(例えば、バイパータイト核局在化シグナル)を含む。他の実施形態では、核局在化シグナルのアミノ酸配列は、MAPKKKRKVGIHGVPAA(配列番号261)である。上記の態様の他の実施形態では、核局在化シグナルは、以下の配列によってコードされる:
ATGGCCCCAAAGAAGAAGCGGAAGGTCGGTATCCACGGAGTCCCAGCAGCC(配列番号262)。他の実施形態では、Cas12bポリペプチドは、RuvCドメインの触媒活性をサイレンシングする突然変異を含む。他の実施形態では、Cas12bポリペプチドは、D574A、D829A、および/またはD952A突然変異を含む。他の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、タグ(例えば、インフルエンザヘマグルチニンタグ)をさらに含む。
【0329】
一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、内部融合型核酸塩基編集ドメイン(例えば、デアミナーゼドメイン、例えば、アデノシンデアミナーゼドメインの全部または一部(例えば、機能的部分))を有するnapDNAbpドメイン(例えば、Cas12由来ドメイン)を含む。一部の実施形態では、napDNAbpはCas12bである。一部の実施形態では、塩基エディターは、以下の表5に提供される遺伝子座に挿入された内部融合TadA*8ドメインを有するBhCas12bドメインを含む。
【0330】
【0331】
非限定的な例として、アデノシンデアミナーゼ(例えば、TadA*8.13)をBhCas12bに挿入して、核酸配列を効果的に編集する融合タンパク質(例えば、TadA*8.13-BhCas12b)を作製することができる。
【0332】
一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集系は、Cas9に挿入されたTadAを有するABEである。Cas9に挿入されたTadAを有する関連するABEのポリペプチド配列は、配列番号263~308として添付の配列表に提供される。
【0333】
一部の実施形態では、アデノシン塩基エディターを生成して、TadAまたはそのバリアントを、識別された位置でCas9ポリペプチドに挿入した。
【0334】
例示的な、ただし非限定的な融合タンパク質は、国際PCT出願第PCT/US2020/016285号および米国仮出願第62/852,228号および同第62/852,224号に記載されており、これらの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0335】
AからGへの編集
一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基エディターは、アデノシンデアミナーゼドメインを含む。そのような塩基エディターのアデノシンデアミナーゼドメインは、Aを脱アミノ化して、Gの塩基対形成特性を示すイノシン(I)を形成することにより、アデニン(A)核酸塩基からグアニン(G)核酸塩基への編集を促進することができる。アデノシンデアミナーゼは、デオキシリボ核酸(DNA)のデオキシアデノシン残基のアデニンを脱アミノ化(すなわち、アミン基を除去)することができる。一部の実施形態では、AからGへの塩基エディターは、イノシン塩基除去修復の阻害剤、例えば、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)ドメインまたは触媒的に不活性なイノシン特異的ヌクレアーゼをさらに含む。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、UGIドメインまたは触媒的に不活性なイノシン特異的ヌクレアーゼは、脱アミノ化されたアデノシン残基(例えば、イノシン)の塩基除去修復を阻害または防止することができ、これにより塩基エディターの活性または効率を向上させることができる。
【0336】
アデノシンデアミナーゼを含む塩基エディターは、DNA、RNA、およびDNA-RNAハイブリッドを含む任意のポリヌクレオチドに作用することができる。ある特定の実施形態では、アデノシンデアミナーゼを含む塩基エディターは、RNAを含むポリヌクレオチドの標的Aを脱アミノ化することができる。例えば、塩基エディターは、RNAポリヌクレオチドおよび/またはDNA-RNAハイブリッドポリヌクレオチドの標的Aを脱アミノ化することができるアデノシンデアミナーゼドメインを含み得る。実施形態では、塩基エディターに組み込まれるアデノシンデアミナーゼは、RNA(ADAR、例えば、ADAR1またはADAR2)またはtRNA(ADAT)に作用するアデノシンデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。アデノシンデアミナーゼドメインを含む塩基エディターは、DNAポリヌクレオチドのA核酸塩基を脱アミノ化することもできる。実施形態では、塩基エディターのアデノシンデアミナーゼドメインは、ADATがDNA中の標的Aを脱アミノ化できるようにする1つまたは複数の突然変異を含むADATの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。例えば、塩基エディターは、以下の突然変異:D108N、A106V、D147Y、E155V、L84F、H123Y、I156F、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異のうちの1つまたは複数を含む大腸菌(Escherichia coli)(EcTadA)由来のADATの全部または一部(例えば、機能的部分)を含み得る。例示的なADATホモログのポリペプチド配列を、配列番号1および309~315として配列表に提供する。
【0337】
アデノシンデアミナーゼは、任意の適切な生物(例えば、大腸菌(E.coli))に由来し得る。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは原核生物由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは細菌由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、大腸菌、スタフィロコッカス・アウレウス、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)、シェワネラ・プトレファシエンス(Shewanella putrefaciens)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)、またはバチルス・サチリス(Bacillus subtilis)に由来する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは大腸菌由来である。一部の実施形態では、アデニンデアミナーゼは、本明細書で提供される突然変異のいずれかに対応する1つまたは複数の突然変異(例えば、ecTadAにおける突然変異)を含む天然に存在するアデノシンデアミナーゼである。任意の相同タンパク質における対応する残基は、例えば、配列アラインメントおよび相同残基の決定によって同定することができる。本明細書に記載される突然変異のいずれかに対応する任意の天然に存在するアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadAと相同性を有する)の突然変異(例えば、ecTadAにおいて同定された突然変異のいずれか)を、それに応じて生成することができる。
【0338】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、本明細書で提供されるアデノシンデアミナーゼのいずれかに記載のアミノ酸配列のいずれか1つに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。本明細書で提供されるアデノシンデアミナーゼは、1つまたは複数の突然変異(例えば、本明細書で提供される突然変異のいずれか)を含み得ることを理解すべきである。本開示は、特定割合の同一性に加えて、本明細書に記載される突然変異のいずれか、またはそれらの組合せを有する任意のデアミナーゼドメインを提供する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、参照配列、または本明細書で提供されるアデノシンデアミナーゼのいずれかと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、21、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、またはそれ以上の突然変異を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、当該技術分野で公知の、または本明細書に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つと比較して、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、または少なくとも170個の同一の連続アミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む。
【0339】
本明細書で提供される突然変異(例えば、TadA*7.10(配列番号1)などのTadA参照配列に基づく)のいずれかを、他のアデノシンデアミナーゼ、例えば、大腸菌TadA(ecTadA)、S.アウレウスTadA(saTadA)、または他のアデノシンデアミナーゼ(例えば、細菌性アデノシンデアミナーゼ)に導入することができることを理解すべきである。一部の実施形態では、TadA参照配列は、TadA*7.10(配列番号1)である。追加のデアミナーゼを同様にアラインして、本明細書で提供されるように突然変異させることができる相同アミノ酸残基を同定することができることは、当業者には明らかであろう。したがって、TadA参照配列で同定された突然変異のいずれも、相同アミノ酸残基を有する他のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTada)で行うことができる。本明細書で提供される突然変異のいずれも、TadA参照配列または別のアデノシンデアミナーゼにおいて個別に、または任意の組合せで行うことができることも理解すべきである。
【0340】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD108X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD108G、D108N、D108V、D108A、もしくはD108Y突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。しかしながら、追加のデアミナーゼを同様にアラインして、本明細書に提供されるように突然変異させることができる相同アミノ酸残基を同定することができることを理解すべきである。
【0341】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106V突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0342】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE155X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE155D、E155G、もしくはE155V突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0343】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD147X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD147Y突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0344】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106X、E155X、もしくはD147X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、E155D、E155G、またはE155V突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼはD147Yを含む。
【0345】
また、本明細書で提供される突然変異のいずれかは、ecTadAまたは別のアデノシンデアミナーゼにおいて、個別に、または任意の組合せで作製することができることを理解すべきである。例えば、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD108N、A106V、E155V、および/もしくはD147Y突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含み得る。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1)における以下の突然変異の群(突然変異の群は「;」で区切られる)、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む:D108NおよびA106V;D108NおよびE155V;D108NおよびD147Y;A106VおよびE155V;A106VおよびD147Y;E155VおよびD147Y;D108N、A106V、およびE155V;D108N、A106V、およびD147Y;D108N、E155V、およびD147Y;A106V、E155V、およびD147Y;ならびにD108N、A106V、E155V、およびD147Y。しかしながら、本明細書で提供される対応する突然変異の任意の組合せを、アデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)において作製することができることを理解すべきである。
【0346】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))における突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異の組合せを含む:V82G+Y147T+Q154S;I76Y+V82G+Y147T+Q154S;L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K;V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K;I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;またはL36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、T17X、L18X、W23X、L34X、W45X、R51X、A56X、E59X、E85X、M94X、I95X、V102X、F104X、A106X、R107X、D108X、K110X、M118X、N127X、A138X、F149X、M151X、R153X、Q154X、I156X、および/またはK157X突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、T17S、L18E、W23L、L34S、W45L、R51H、A56E、もしくはA56S、E59G、E85K、もしくはE85G、M94L、I95L、V102A、F104L、A106V、R107C、もしくはR107H、もしくはR107P、D108G、もしくはD108N、もしくはD108V、もしくはD108A、もしくはD108Y、K110I、M118K、N127S、A138V、F149Y、M151V、R153C、Q154L、I156D、および/またはK157R突然変異のうちの1つまたは複数、あるいは別のアデノシンデアミナーゼにおける1つまたは複数の対応する突然変異を含む。
【0347】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、D108X、および/もしくはN127X突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含み、Xは、任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、および/もしくはN127S突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含む。
【0348】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、R26X、M61X、L68X、M70X、A106X、D108X、A109X、N127X、D147X、R152X、Q154X、E155X、K161X、Q163X、および/もしくはT166X突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、R26W、M61I、L68Q、M70V、A106T、D108N、A109T、N127S、D147Y、R152C、Q154HもしくはQ154R、E155GもしくはE155VもしくはE155D、K161Q、Q163H、および/またはT166P突然変異のうちの1つまたは複数、あるいは別のアデノシンデアミナーゼにおける1つまたは複数の対応する突然変異を含む。
【0349】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、D108X、N127X、D147X、R152X、およびQ154Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、もしくは6つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、M61X、M70X、D108X、N127X、Q154X、E155X、およびQ163Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、もしくは8つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、D108X、N127X、E155X、およびT166Xからなる群から選択される1、2、3、4、もしくは5つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。
【0350】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、H8X、A106X、およびD108Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、もしくは6つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、H8X、R26X、L68X、D108X、N127X、D147X、およびE155Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、もしくは8つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。
【0351】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、R126X、L68X、D108X、N127X、D147X、およびE155Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、もしくは7つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、D108X、A109X、N127X、およびE155Xからなる群から選択される1、2、3、4、もしくは5つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。
【0352】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、N127S、D147Y、R152C、およびQ154Hからなる群から選択される1、2、3、4、5、もしくは6つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、M61I、M70V、D108N、N127S、Q154R、E155G、およびQ163Hからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、もしくは8つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、N127S、E155V、およびT166Pからなる群から選択される1、2、3、4、もしくは5つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、A106T、D108N、N127S、E155D、およびK161Qからなる群から選択される1、2、3、4、5、もしくは6つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、R26W、L68Q、D108N、N127S、D147Y、およびE155Vからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、もしくは8つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、A109T、N127S、およびE155Gからなる群から選択される1、2、3、4、もしくは5つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含む。
【0353】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、別のアデノシンデアミナーゼにおける1つまたは複数の対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD108N、D108G、もしくはD108V突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106VおよびD108N突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR107CおよびD108N突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、N127S、D147Y、およびQ154H突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、N127S、D147Y、およびE155V突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD108N、D147Y、およびE155V突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、およびN127S突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106V、D108N、D147Y、およびE155V突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0354】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS2X、H8X、I49X、L84X、H123X、N127X、I156X、および/もしくはK160X突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS2A、H8Y、I49F、L84F、H123Y、N127S、I156F、および/もしくはK160S突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における1つもしくは複数の対応する突然変異を含む。
【0355】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、L84X突然変異アデノシンデアミナーゼを含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるL84F突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0356】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH123X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH123Y突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0357】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるI156X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるI156F突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0358】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるL84X、A106X、D108X、H123X、D147X、E155X、およびI156Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、もしくは7つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS2X、I49X、A106X、D108X、D147X、およびE155Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、もしくは6つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、A106X、D108X、N127X、およびK160Xからなる群から選択される1、2、3、4、もしくは5つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。
【0359】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるL84F、A106V、D108N、H123Y、D147Y、E155V、およびI156Fからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、もしくは7つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS2A、I49F、A106V、D108N、D147Y、およびE155Vからなる群から選択される1、2、3、4、5、または6つの突然変異を含む。
【0360】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、A106T、D108N、N127S、およびK160Sからなる群から選択される1、2、3、4、もしくは5つの突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異もしくは複数の突然変異を含む。
【0361】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE25X、R26X、R107X、A142X、および/もしくはA143X突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE25M、E25D、E25A、E25R、E25V、E25S、E25Y、R26G、R26N、R26Q、R26C、R26L、R26K、R107P、R107K、R107A、R107N、R107W、R107H、R107S、A142N、A142D、A142G、A143D、A143G、A143E、A143L、A143W、A143M、A143S、A143Q、および/もしくはA143R突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列に対応する本明細書に記載される突然変異の1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含む。
【0362】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE25X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE25M、E25D、E25A、E25R、E25V、E25S、もしくはE25Y突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0363】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR26X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR26G、R26N、R26Q、R26C、R26L、もしくはR26K突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0364】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR107X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR107P、R107K、R107A、R107N、R107W、R107H、もしくはR107S突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0365】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA142X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA142N、A142D、A142G突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0366】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA143X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA143D、A143G、A143E、A143L、A143W、A143M、A143S、A143Q、および/もしくはA143R突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する突然変異を含む。
【0367】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH36X、N37X、P48X、I49X、R51X、M70X、N72X、D77X、E134X、S146X、Q154X、K157X、および/もしくはK161X突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH36L、N37T、N37S、P48T、P48L、I49V、R51H、R51L、M70L、N72S、D77G、E134G、S146R、S146C、Q154H、K157N、および/もしくはK161T突然変異のうちの1つもしくは複数、または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における1つもしくは複数の対応する突然変異を含む。
【0368】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH36X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH36L突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0369】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるN37X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるN37TもしくはN37S突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0370】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるP48X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるP48TもしくはP48L突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0371】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR51X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR51HもしくはR51L突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0372】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS146X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS146RもしくはS146C突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0373】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるK157X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるK157N突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0374】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるP48X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるP48S、P48T、もしくはP48A突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0375】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA142X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA142N突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0376】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるW23X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるW23RもしくはW23L突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0377】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR152X突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR152PもしくはR52H突然変異、または別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する突然変異を含む。
【0378】
一実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、突然変異H36L、R51L、L84F、A106V、D108N、H123Y、S146C、D147Y、E155V、I156F、およびK157Nを含み得る。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列に関連する以下の突然変異の組合せを含み、組合せの各突然変異は、「_」によって区切られ、突然変異の各組合せは、括弧の間にある:
(A106V_D108N)、
(R107C_D108N)、
(H8Y_D108N_N127S_D147Y_Q154H)、
(H8Y_D108N_N127S_D147Y_E155V)、
(D108N_D147Y_E155V)、
(H8Y_D108N_N127S)、
(H8Y_D108N_N127S_D147Y_Q154H)、
(A106V_D108N_D147Y_E155V)、
(D108Q_D147Y_E155V)、
(D108M_D147Y_E155V)、
(D108L_D147Y_E155V)、
(D108K_D147Y_E155V)、
(D108I_D147Y_E155V)、
(D108F_D147Y_E155V)、
(A106V_D108N_D147Y)、
(A106V_D108M_D147Y_E155V)、
(E59A_A106V_D108N_D147Y_E155V)、
(E59A catデッド_A106V_D108N_D147Y_E155V)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156Y)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(D103A_D104N)、
(G22P_D103A_D104N)、
(D103A_D104N_S138A)、
(R26G_L84F_A106V_R107H_D108N_H123Y_A142N_A143D_D147Y_E155V_I156F)、
(E25G_R26G_L84F_A106V_R107H_D108N_H123Y_A142N_A143D_D147Y_E155V_I156F)、
(E25D_R26G_L84F_A106V_R107K_D108N_H123Y_A142N_A143G_D147Y_E155V_I156F)、(R26Q_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、
(E25M_R26G_L84F_A106V_R107P_D108N_H123Y_A142N_A143D_D147Y_E155V_I156F)、(R26C_L84F_A106V_R107H_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、(L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_A143L_D147Y_E155V_I156F)、
(R26G_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、
(E25A_R26G_L84F_A106V_R107N_D108N_H123Y_A142N_A143E_D147Y_E155V_I156F)、(R26G_L84F_A106V_R107H_D108N_H123Y_A142N_A143D_D147Y_E155V_I156F)、
(A106V_D108N_A142N_D147Y_E155V)、
(R26G_A106V_D108N_A142N_D147Y_E155V)、
(E25D_R26G_A106V_R107K_D108N_A142N_A143G_D147Y_E155V)、(R26G_A106V_D108N_R107H_A142N_A143D_D147Y_E155V)、
(E25D_R26G_A106V_D108N_A142N_D147Y_E155V)、
(A106V_R107K_D108N_A142N_D147Y_E155V)、
(A106V_D108N_A142N_A143G_D147Y_E155V)、
(A106V_D108N_A142N_A143L_D147Y_E155V)、
(H36L_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(N37T_P48T_M70L_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_I49V_E155V_I156F)、
(N37S_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(H36L_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_Q154H_E155V_I156F)、
(N72S_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146R_D147Y_E155V_I156F)、
(H36L_P48L_L84F_A106V_D108N_H123Y_E134G_D147Y_E155V_I156F)、
(H36L_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_K157N)(H36L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_S146R_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(N37S_R51H_D77G_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(D24G_Q71R_L84F_H96L_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_K160E)、
(H36L_G67V_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146T_D147Y_E155V_I156F)、
(Q71L_L84F_A106V_D108N_H123Y_L137M_A143E_D147Y_E155V_I156F)、
(E25G_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_Q159L)、
(L84F_A91T_F104I_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(N72D_L84F_A106V_D108N_H123Y_G125A_D147Y_E155V_I156F)、
(P48S_L84F_S97C_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(W23G_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(D24G_P48L_Q71R_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_Q159L)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、
(H36L_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、(N37S_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(L84F_A106V_D108N_D147Y_E155V_I156F)、
(R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N_K161T)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N_K160E_K161T)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N_K160E)、(R74Q_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(R74A_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(R74Q_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(L84F_R98Q_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_R129Q_D147Y_E155V_I156F)、
(P48S_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、
(P48S_A142N)、
(P48T_I49V_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F_L157N)、
(P48T_I49V_A142N)、
(H36L_P48S_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、(H36L_P48S_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_A142N_D147Y_E155V_I156F(H36L_P48T_I49V_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(H36L_P48T_I49V_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_A142N_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、(W23R_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146R_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_R152H_E155V_I156F_K157N)、
(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142A_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142A_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146R_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(W23R_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)、(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)。
【0379】
一部の実施形態では、TadAデアミナーゼはTadAバリアントである。一部の実施形態では、TadAバリアントはTadA*7.10である。特定の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、単一のTadA*7.10ドメインを含む(例えば、単量体として提供される)。他の実施形態では、融合タンパク質は、TadA*7.10およびTadA(wt)を含み、これらはヘテロ二量体を形成することができる。一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、Cas9ニッカーゼに連結されている、TadA*7.10に連結された野生型TadAを含む。
【0380】
一部の実施形態では、TadA*7.10は、少なくとも1つの変化を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の配列の変化を含む:
TadA*7.10
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号1)。
【0381】
一部の実施形態では、TadA*7.10は、アミノ酸82および/または166に変化を含む。特定の実施形態では、TadA*7.10は、以下の変化のうちの1つまたは複数を含む:Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、および/またはQ154R。他の実施形態では、TadA*7.10のバリアントは、Y147T+Q154R;Y147T+Q154S;Y147R+Q154S;V82S+Q154S;V82S+Y147R;V82S+Q154R;V82S+Y123H;I76Y+V82S;V82S+Y123H+Y147T;V82S+Y123H+Y147R;V82S+Y123H+Q154R;Y147R+Q154R+Y123H;Y147R+Q154R+I76Y;Y147R+Q154R+T166R;Y123H+Y147R+Q154R+I76Y;V82S+Y123H+Y147R+Q154R;およびI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される変化の組合せを含む。
【0382】
一部の実施形態では、TadA*7.10のバリアントは、L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、および/またはD167Nの群から選択される変化の1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、TadA*7.10のバリアントは、V82G、Y147T/D、Q154S、ならびにL36H、I76Y、F149Y、N157K、およびD167Nのうちの1つまたは複数を含む。他の実施形態では、TadA*7.10のバリアントは、V82G+Y147T+Q154S;I76Y+V82G+Y147T+Q154S;L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K;V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K;I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nの群から選択される変化の組合せを含む。
【0383】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)は欠失を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、C末端の欠失を含む。特定の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、残基149、150、151、152、153、154、155、156、および157から始まるC末端の欠失を含む。
【0384】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)は、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化:Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、および/またはQ154Rのうちの1つまたは複数を含む単量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(TadA*8)は、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、Y147T+Q154R;Y147T+Q154S;Y147R+Q154S;V82S+Q154S;V82S+Y147R;V82S+Q154R;V82S+Y123H;I76Y+V82S;V82S+Y123H+Y147T;V82S+Y123H+Y147R;V82S+Y123H+Q154R;Y147R+Q154R+Y123H;Y147R+Q154R+I76Y;Y147R+Q154R+T166R;Y123H+Y147R+Q154R+I76Y;V82S+Y123H+Y147R+Q154R;およびI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される変化の組合せを含む単量体である。
【0385】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、各々が以下の変化Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、および/またはQ154Rのうちの1つまたは複数を有する2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*8)を含むホモ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、各々が、Y147T+Q154R;Y147T+Q154S;Y147R+Q154S;V82S+Q154S;V82S+Y147R;V82S+Q154R;V82S+Y123H;I76Y+V82S;V82S+Y123H+Y147T;V82S+Y123H+Y147R;V82S+Y123H+Q154R;Y147R+Q154R+Y123H;Y147R+Q154R+I76Y;Y147R+Q154R+T166R;Y123H+Y147R+Q154R+I76Y;V82S+Y123H+Y147R+Q154R;およびI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される変化の組合せを有する2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*8)を含むホモ二量体である。
【0386】
他の実施形態では、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化:R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166Iおよび/またはD167Nのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)単量体を含む本開示の塩基エディター。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(TadA*8)単量体は、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N;V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;V88A+T111R+D119N+F149Y;およびA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される変化の組合せを含む。
【0387】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、MSP828)は、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化、L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、および/またはD167Nのうちの1つまたは複数を含む単量体である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、MSP828)は、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、V82G、Y147T/D、Q154S、ならびにL36H、I76Y、F149Y、N157K、およびD167Nのうちの1つまたは複数を含む単量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(TadAバリアント)は、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、V82G+Y147T+Q154S;I76Y+V82G+Y147T+Q154S;L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K;V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K;I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nの群から選択される変化の組合せを含む単量体である。
【0388】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、および/またはQ154Rのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、Y147T+Q154R;Y147T+Q154S;Y147R+Q154S;V82S+Q154S;V82S+Y147R;V82S+Q154R;V82S+Y123H;I76Y+V82S;V82S+Y123H+Y147T;V82S+Y123H+Y147R;V82S+Y123H+Q154R;Y147R+Q154R+Y123H;Y147R+Q154R+I76Y;Y147R+Q154R+T166R;Y123H+Y147R+Q154R+I76Y;V82S+Y123H+Y147R+Q154R;およびI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される変化の組合せを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。
【0389】
他の実施形態では、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、各々が以下の変化R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166Iおよび/またはD167Nのうちの1つまたは複数を有する2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*8)を含むアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)ホモ二量体を含む本開示の塩基エディター。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、各々が、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N;V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;V88A+T111R+D119N+F149Y;およびA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される変化の組合せを有する2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*8)を含むホモ二量体である。
【0390】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、各々が以下の変化L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、および/またはD167Nのうちの1つまたは複数を有する2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*7.10)を含むホモ二量体である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、各々が以下の変化V82G、Y147T/D、Q154S、ならびにL36H、I76Y、F149Y、N157K、およびD167Nのうちの1つまたは複数を有する2つのアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、MSP828)を含むホモ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、各々が、V82G+Y147T+Q154S;I76Y+V82G+Y147T+Q154S;L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K;V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K;I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nの群から選択される変化の組合せを有する2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*7.10)を含むホモ二量体である。
【0391】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、および/またはQ154Rのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、Y147T+Q154R;Y147T+Q154S;Y147R+Q154S;V82S+Q154S;V82S+Y147R;V82S+Q154R;V82S+Y123H;I76Y+V82S;V82S+Y123H+Y147T;V82S+Y123H+Y147R;V82S+Y123H+Q154R;Y147R+Q154R+Y123H;Y147R+Q154R+I76Y;Y147R+Q154R+T166R;Y123H+Y147R+Q154R+I76Y;V82S+Y123H+Y147R+Q154R;およびI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される変化の組合せを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。
【0392】
他の実施形態では、塩基エディターは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166Iおよび/またはD167Nのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。他の実施形態では、塩基エディターは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N;V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;V88A+T111R+D119N+F149Y;およびA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される変化の組合せを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。
【0393】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、および/またはD167Nのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*7.10)とのヘテロ二量体である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化V82G、Y147T/D、Q154S、ならびにL36H、I76Y、F149Y、N157K、およびD167Nのうちの1つまたは複数を有するアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、MSP828)とを含むヘテロ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、V82G+Y147T+Q154S;I76Y+V82G+Y147T+Q154S;L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K;V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K;I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nの群から選択される変化の組合せを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*7.10)とのヘテロ二量体である。
【0394】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、および/またはQ154Rのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、Y147T+Q154R;Y147T+Q154S;Y147R+Q154S;V82S+Q154S;V82S+Y147R;V82S+Q154R;V82S+Y123H;I76Y+V82S;V82S+Y123H+Y147T;V82S+Y123H+Y147R;V82S+Y123H+Q154R;Y147R+Q154R+Y123H;Y147R+Q154R+I76Y;Y147R+Q154R+T166R;Y123H+Y147R+Q154R+I76Y;V82S+Y123H+Y147R+Q154R;およびI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される変化の組合せを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。
【0395】
特定の実施形態では、アデノシンデアミナーゼヘテロ二量体は、TadA*8ドメインと、スタフィロコッカス・アウレウス(S.アウレウス)TadA、バチルス・サチリス(B.サチリス)TadA、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)(S.ティフィムリウム)TadA、シェワネラ・プトレファシエンス(S.プトレファシエンス)TadA、ヘモフィルス・インフルエンザF3031(H.インフルエンザ)TadA、カウロバクター・クレセンタス(C.クレセンタス)TadA、ジオバクター・スルフレデュセンス(Geobacter sulfurreducens)(G.スルフレデュセンス)TadA、またはTadA*7.10から選択されるアデノシンデアミナーゼドメインを含む。
【0396】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼはTadA*8である。一実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、アデノシンデアミナーゼ活性を有する以下の配列またはそれらの断片を含むか、または本質的にそれらからなるTadA*8である:
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCTFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号316)。
【0397】
一部の実施形態では、TadA*8は短縮されている。一部の実施形態では、短縮型TadA*8は、全長TadA*8に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、6、17、18、19、または20個のN末端アミノ酸残基を欠失している。一部の実施形態では、短縮型TadA*8は、全長TadA*8に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、6、17、18、19、または20個のC末端アミノ酸残基を欠失している。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは全長TadA*8である。
【0398】
一部の実施形態では、TadA*8は、TadA*8.1、TadA*8.2、TadA*8.3、TadA*8.4、TadA*8.5、TadA*8.6、TadA*8.7、TadA*8.8、TadA*8.9、TadA*8.10、TadA*8.11、TadA*8.12、TadA*8.13、TadA*8.14、TadA*8.15、TadA*8.16、TadA*8.17、TadA*8.18、TadA*8.19、TadA*8.20、TadA*8.21、TadA*8.22、TadA*8.23、またはTadA*8.24である。
【0399】
他の実施形態では、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化:R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166Iおよび/またはD167Nのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)単量体を含む本開示の塩基エディター。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(TadA*8)単量体は、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N;V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;V88A+T111R+D119N+F149Y;およびA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される変化の組合せを含む。
【0400】
他の実施形態では、塩基エディターは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166Iおよび/またはD167Nのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。他の実施形態では、塩基エディターは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N;V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;V88A+T111R+D119N+F149Y;およびA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される変化の組合せを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。
【0401】
他の実施形態では、塩基エディターは、TadA*7.10ドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166Iおよび/またはD167Nのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。他の実施形態では、塩基エディターは、TadA*7.10ドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N;V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N;V88A+T111R+D119N+F149Y;およびA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される変化の組合せを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。
【0402】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、および/またはD167Nのうちの1つまたは複数を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*7.10)とのヘテロ二量体である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、以下の変化V82G、Y147T/D、Q154S、ならびにL36H、I76Y、F149Y、N157K、およびD167Nのうちの1つまたは複数を有するアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、MSP828)とを含むヘテロ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、V82G+Y147T+Q154S;I76Y+V82G+Y147T+Q154S;L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K;V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K;I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N;L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nの群から選択される変化の組合せを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*7.10)とのヘテロ二量体である。
【0403】
一部の実施形態では、TadA*8は表6に示すバリアントである。表6は、TadAアミノ酸配列における特定のアミノ酸位置番号、およびTadA-7.10アデノシンデアミナーゼにおけるそれらの位置に存在するアミノ酸を示す。表6はまた、M.Richterら、2020年、Nature Biotechnology、doi.org/10.1038/s41587-020-0453-z(この全内容は本明細書に参照により組み込まれる)に記載されているように、ファージ支援非連続進化(PANCE)およびファージ支援連続進化(PACE)後のTadA-7.10に対するTadAバリアントのアミノ酸変化を示す。一部の実施形態では、TadA*8は、TadA*8a、TadA*8b、TadA*8c、TadA*8d、またはTadA*8eである。一部の実施形態では、TadA*8はTadA*8eである。
【0404】
【0405】
一部の実施形態では、TadAバリアントは、表6.1に示すバリアントである。表6.1は、TadAアミノ酸配列における特定のアミノ酸位置番号、およびTadA*7.10アデノシンデアミナーゼにおけるそれらの位置に存在するアミノ酸を示す。一部の実施形態では、TadAバリアントは、MSP605、MSP680、MSP823、MSP824、MSP825、MSP827、MSP828、またはMSP829である。一部の実施形態では、TadAバリアントはMSP828である。一部の実施形態では、TadAバリアントはMSP829である。
【0406】
【0407】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質または複合体は、Cas9ニッカーゼに連結されている、本明細書に記載されるアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)に連結されている野生型TadAを含む。特定の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、単一のTadA*8ドメインを含む(例えば、単量体として提供される)。他の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、TadA*8およびTadA(wt)を含み、これらはヘテロ二量体を形成することができる。
【0408】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、本明細書に提供されるアデノシンデアミナーゼのいずれかに記載のアミノ酸配列のいずれか1つと、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。本明細書で提供されるアデノシンデアミナーゼは、1つまたは複数の突然変異(例えば、本明細書で提供される突然変異のいずれか)を含み得ることを理解すべきである。本開示は、特定の割合の同一性に加えて、本明細書に記載される突然変異のいずれかまたはそれらの組合せを有する任意のデアミナーゼドメインを提供する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、参照配列、または本明細書で提供されるアデノシンデアミナーゼのいずれかと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、21、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、またはそれ以上の突然変異を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、当該技術分野で公知の、または本明細書に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つと比較して、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、または少なくとも170個の同一の連続アミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む。
【0409】
特定の実施形態では、TadA*8は、太字で示される以下の位置のいずれかに1つまたは複数の突然変異を含む。他の実施形態では、TadA*8は、下線で示される位置のいずれかに1つまたは複数の突然変異を含む:
【0410】
【0411】
例えば、TadA*8は、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、アミノ酸位置82および/もしくは166における変化(例えば、V82S、T166R)を単独で、または以下のY147T、Y147R、Q154S、Y123H、および/もしくはQ154Rのいずれか1つもしくは複数と組み合わせて含む。特定の実施形態では、変化の組合せは、TadA参照配列(例えば、TadA*7.10(配列番号1))、または別のTadAにおける対応する突然変異に対して、Y147T+Q154R;Y147T+Q154S;Y147R+Q154S;V82S+Q154S;V82S+Y147R;V82S+Q154R;V82S+Y123H;I76Y+V82S;V82S+Y123H+Y147T;V82S+Y123H+Y147R;V82S+Y123H+Q154R;Y147R+Q154R+Y123H;Y147R+Q154R+I76Y;Y147R+Q154R+T166R;Y123H+Y147R+Q154R+I76Y;V82S+Y123H+Y147R+Q154R;およびI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される。
【0412】
一部の実施形態では、TadA*8は短縮されている。一部の実施形態では、短縮型TadA*8は、全長TadA*8に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、6、17、18、19、または20個のN末端アミノ酸残基を欠失している。一部の実施形態では、短縮型TadA*8は、全長TadA*8に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、6、17、18、19、または20個のC末端アミノ酸残基を欠失している。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは全長TadA*8である。
【0413】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質または複合体は、Cas9ニッカーゼに連結されている、本明細書に記載されるアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)に連結されている野生型TadAを含む。特定の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、単一のTadA*8ドメインを含む(例えば、単量体として提供される)。他の実施形態では、塩基エディターは、ヘテロ二量体を形成することができるTadA*8およびTadA(wt)を含む。
【0414】
特定の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、単一の(例えば、単量体として提供される)TadA*8を含む。一部の実施形態では、TadA*8は、Cas9ニッカーゼに連結されている。一部の実施形態では、本発明の融合タンパク質または複合体は、TadA*8に連結されている野生型TadA(TadA(wt))のヘテロ二量体を含む。他の実施形態では、本発明の融合タンパク質または複合体は、TadA*8に連結されているTadA*7.10のヘテロ二量体として含む。一部の実施形態では、塩基エディターは、TadA*8バリアント単量体を含むABE8である。一部の実施形態では、塩基エディターは、TadA*8とTadA(wt)とのヘテロ二量体を含むABE8である。一部の実施形態では、塩基エディターは、TadA*8とTadA*7.10とのヘテロ二量体を含むABE8である。一部の実施形態では、塩基エディターは、TadA*8のヘテロ二量体を含むABE8である。一部の実施形態では、TadA*8は、表6、12、または13から選択される。一部の実施形態では、ABE8は、表12、13、または15から選択される。
【0415】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼはTadA*9バリアントである。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の配列への参照とともに、以下に記載されるバリアントから選択されるTadA*9バリアントである(TadA*7.10と呼ばれる):
【0416】
【0417】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の変化:R21N、R23H、E25F、N38G、L51W、P54C、M70V、Q71M、N72K、Y73S、V82T、M94V、P124W、T133K、D139L、D139M、C146R、およびA158Kのうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数の変化は上記の配列に下線付きの太字で示される。
【0418】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の変化の組合せのうちの1つまたは複数を含む:V82S+Q154R+Y147R;V82S+Q154R+Y123H;V82S+Q154R+Y147R+Y123H;Q154R+Y147R+Y123H+I76Y+V82S;V82S+I76Y;V82S+Y147R;V82S+Y147R+Y123H;V82S+Q154R+Y123H;Q154R+Y147R+Y123H+I76Y;V82S+Y147R;V82S+Y147R+Y123H;V82S+Q154R+Y123H;V82S+Q154R+Y147R;V82S+Q154R+Y147R;Q154R+Y147R+Y123H+I76Y;Q154R+Y147R+Y123H+I76Y+V82S;I76Y_V82S_Y123H_Y147R_Q154R;Y147R+Q154R+H123H;およびV82S+Q154R。
【0419】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の変化の組合せのうちの1つまたは複数を含む:E25F+V82S+Y123H、T133K+Y147R+Q154R;E25F+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;L51W+V82S+Y123H+C146R+Y147R+Q154R;Y73S+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;P54C+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;N38G+V82T+Y123H+Y147R+Q154R;N72K+V82S+Y123H+D139L+Y147R+Q154R;E25F+V82S+Y123H+D139M+Y147R+Q154R;Q71M+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;E25F+V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R;E25F+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;V82S+Y123H+P124W+Y147R+Q154R;L51W+V82S+Y123H+C146R+Y147R+Q154R;P54C+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;Y73S+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;N38G+V82T+Y123H+Y147R+Q154R;R23H+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;R21N+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;V82S+Y123H+Y147R+Q154R+A158K;N72K+V82S+Y123H+D139L+Y147R+Q154R;E25F+V82S+Y123H+D139M+Y147R+Q154R;およびM70V+V82S+M94V+Y123H+Y147R+Q154R。
【0420】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の変化の組合せのうちの1つまたは複数を含む:Q71M+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;E25F+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;I76Y+V82T+Y123H+Y147R+Q154R;N38G+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;R23H+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;P54C+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;R21N+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;I76Y+V82S+Y123H+D139M+Y147R+Q154R;Y73S+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;E25F+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;I76Y+V82T+Y123H+Y147R+Q154R;N38G+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;R23H+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;P54C+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;R21N+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;I76Y+V82S+Y123H+D139M+Y147R+Q154R;Y73S+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;およびV82S+Q154R;N72K_V82S+Y123H+Y147R+Q154R;Q71M_V82S+Y123H+Y147R+Q154R;V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R;V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R+A158K;M70V+Q71M+N72K+V82S+Y123H+Y147R+Q154R;N72K_V82S+Y123H+Y147R+Q154R;Q71M_V82S+Y123H+Y147R+Q154R;M70V+V82S+M94V+Y123H+Y147R+Q154R;V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R;V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R+A158K;およびM70V+Q71M+N72K+V82S+Y123H+Y147R+Q154R。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼを単量体として発現させる。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼをヘテロ二量体として発現させる。一部の実施形態では、デアミナーゼまたは他のポリペプチド配列は、例えば、融合タンパク質の成分として含まれる場合、メチオニンを欠いている。これにより、位置の番号付けが変化し得る。しかしながら、当業者であれば、そのような対応する突然変異、例えば、Y73SとY72S、およびD139MとD138Mが同じ突然変異を指すことを理解するであろう。
【0421】
一部の実施形態では、TadA*9バリアントは、本明細書に記載される表16に記載される変化を含む。一部の実施形態では、TadA*9バリアントは単量体である。一部の実施形態では、TadA*9バリアントは、野生型TadAアデノシンデアミナーゼを有するヘテロ二量体である。一部の実施形態では、TadA*9バリアントは、別のTadAバリアント(例えば、TadA*8、TadA*9)とのヘテロ二量体である。TadA*9アデノシンデアミナーゼのさらなる詳細は、国際PCT出願第PCT/US2020/049975号に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0422】
本明細書で提供される突然変異のいずれか、および任意の追加の突然変異(例えば、ecTadAアミノ酸配列に基づく)は、任意の他のアデノシンデアミナーゼに導入することができる。本明細書で提供される突然変異のいずれも、TadA参照配列または別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)において個別にまたは任意の組合せで作製することができる。
【0423】
AからGへの核酸塩基編集タンパク質の詳細は、国際PCT出願第PCT/US2017/045381号(WO2018/027078)およびGaudelli,N.M.ら、「Programmable base editing of A・T to G・C in genomic DNA without DNA cleavage」Nature、551、464~471(2017年)に記載されており、その全内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる。
【0424】
CからTへの編集
一部の実施形態では、本明細書に開示される塩基エディターは、ポリヌクレオチドの標的シチジン(C)塩基を脱アミノ化して、チミンの塩基対形成特性を有するウリジン(U)を産生することができるシチジンデアミナーゼを含む融合タンパク質または複合体を含む。一部の実施形態では、例えば、ポリヌクレオチドが二本鎖(例えば、DNA)である場合、次に、ウリジン塩基をチミジン塩基で置換して(例えば、細胞修復機構による)、C:GからT:Aへの移行を生じさせることができる。他の実施形態では、塩基エディターによる核酸中のCからUへの脱アミノ化は、UからTへの置換を伴うことはできない。
【0425】
Uを生じさせるための、ポリヌクレオチド中の標的Cの脱アミノ化は、本明細書に記載される塩基エディターによって実施され得る一種の塩基編集の非限定的な例である。別の例では、シチジンデアミナーゼドメインを含む塩基エディターは、シトシン(C)塩基のグアニン(G)塩基への変換を媒介することができる。例えば、塩基エディターのシチジンデアミナーゼドメインによるシチジンの脱アミノ化によって産生されるポリヌクレオチドのUは、塩基除去修復機構によって(例えば、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)ドメインによって)ポリヌクレオチドから除去され得、脱塩基部位を産生する。次に、脱塩基部位の反対側の核酸塩基を、例えば損傷乗り越え型ポリメラーゼによって、Cなどの別の塩基で(例えば、塩基修復機構によって)置換することができる。脱塩基部位の反対側の核酸塩基がCで置換されることは典型的であるが、他の置換(例えば、A、GまたはT)もまた起こり得る。
【0426】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基エディターは、ポリヌクレオチド中の標的CをUに脱アミノ化することができる脱アミノ化ドメイン(例えば、シチジンデアミナーゼドメイン)を含む。さらに、以下に記載するように、塩基エディターは、脱アミノ化の結果生じたUを、一部の実施形態ではTまたはGに変換することを促進する追加のドメインを含むことができる。例えば、シチジンデアミナーゼドメインを含む塩基エディターは、UのTによる置換を媒介し、CからTへの塩基編集事象を完了するために、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)ドメインをさらに含むことができる。別の例では、塩基エディターは、本明細書に記載されるウラシル安定化タンパク質を含むことができる。別の例では、損傷乗り越え型ポリメラーゼは、脱塩基部位の反対側のCの組み込みを促進することができる(すなわち、脱塩基部位でのGの組み込みをもたらし、CからGへの塩基編集事象を完了する)ため、塩基エディターは、CからGへの塩基編集の効率を改善するために損傷乗り越え型ポリメラーゼを組み込むことができる。
【0427】
ドメインとしてシチジンデアミナーゼを含む塩基エディターは、DNA、RNAおよびDNA-RNAハイブリッドを含む任意のポリヌクレオチドにおいて標的Cを脱アミノ化することができる。代表的には、シチジンデアミナーゼは、ポリヌクレオチドの一本鎖部分との関連において位置するC核酸塩基を触媒する。一部の実施形態では、標的Cを含む全ポリヌクレオチドは、一本鎖であり得る。例えば、塩基エディターに組み込まれるシチジンデアミナーゼは、一本鎖RNAポリヌクレオチドにおいて標的Cを脱アミノ化することができる。他の実施形態では、シチジンデアミナーゼドメインを含む塩基エディターは、二本鎖ポリヌクレオチドに作用することができるが、標的Cは、脱アミノ化反応の時点で一本鎖状態にあるポリヌクレオチドの一部に位置することができる。例えば、NAGPBドメインがCas9ドメインを含む実施形態では、いくつかのヌクレオチドは、Cas9-gRNA-標的DNA複合体の形成の間、対合しないまま残され得、Cas9「Rループ複合体」の形成をもたらす。これらの不対ヌクレオチドは、一本鎖DNAのバブルを形成することができ、これは、一本鎖に特異的なヌクレオチドデアミナーゼ酵素(例えば、シチジンデアミナーゼ)の基質として働くことができる。
【0428】
一部の実施形態では、塩基エディターのシチジンデアミナーゼは、アポリポタンパク質BのmRNA編集複合体(APOBEC)ファミリーデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。APOBECは、進化的に保存されたシチジンデアミナーゼのファミリーである。このファミリーのメンバーはCからUへの編集酵素である。APOBEC様タンパク質のN末端ドメインは触媒ドメインであり、一方、C末端ドメインは偽触媒ドメインである。より具体的には、触媒ドメインは亜鉛依存性シチジンデアミナーゼドメインであり、シチジン脱アミノ化に重要である。APOBECファミリーのメンバーには、APOBEC1、APOBEC2、APOBEC3A、APOBEC3B、APOBEC3C、APOBEC3D(「APOBEC3E」は現在これを指す)、APOBEC3F、APOBEC3G、APOBEC3H、APOBEC4、および活性化誘導(シチジン)デアミナーゼが含まれる。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC2デアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC3デアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC3Aデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC3Bデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC3Cデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC3Dデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC3Eデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC3Fデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC3Gデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC3Hデアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC4デアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、活性化誘導デアミナーゼ(AID)の全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、シチジンデアミナーゼ1(CDA1)の全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。塩基エディターは、任意の適切な生物(例えば、ヒトまたはラット)由来のデアミナーゼを含み得ることが理解されるべきである。一部の実施形態では、塩基エディターのデアミナーゼドメインは、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、サル、オランウータン、ワニ、ブタ、ウシ、イヌ、ラット、またはマウス由来である。一部の実施形態では、塩基エディターのデアミナーゼドメインは、ラット(例えば、ラットAPOBEC1)に由来する。一部の実施形態では、塩基エディターのデアミナーゼドメインは、オランウータンポリペプチド(例えば、Pongo pygmaeus(オランウータン)APOBEC)に由来する。一部の実施形態では、塩基エディターのデアミナーゼドメインは、金鼻猿のポリペプチド(例えば、Rhinopithecus roxellana(金鼻猿)APOBEC3F(A3F))に由来する。一部の実施形態では、塩基エディターのデアミナーゼドメインは、アメリカワニのポリペプチド(例えば、Alligator mississippiensis(アメリカワニ)APOBEC1)に由来する。一部の実施形態では、塩基エディターのデアミナーゼドメインは、ブタのポリペプチド(例えば、Sus scrofa(ブタ)APOBEC3B)に由来する。一部の実施形態では、塩基エディターのデアミナーゼドメインは、ヒトAPOBEC1である。一部の実施形態では、塩基エディターのデアミナーゼドメインは、pmCDA1である。
【0429】
本開示の態様に従ってCas9に融合することができる他の例示的デアミナーゼを以下に提供する。実施形態では、デアミナーゼは活性化誘導デアミナーゼ(AID)である。一部の実施形態では、それぞれの配列の活性ドメイン、例えば、局在化シグナルを持たないドメイン(核局在化配列;核外搬出シグナル、細胞質局在化シグナルを持たない)を使用し得ることを理解されたい。
【0430】
本開示の一部の態様は、例えば、デアミナーゼドメインに点突然変異を作製することによって、本明細書に記載される融合タンパク質または複合体のいずれかのデアミナーゼドメイン触媒活性をモジュレートすることは、融合タンパク質(例えば、塩基エディター)または複合体のプロセッシビティに影響を及ぼすという認識に基づく。例えば、塩基編集融合タンパク質または複合体内のデアミナーゼドメインの触媒活性を低減させるが、消失させない突然変異は、デアミナーゼドメインが標的残基に隣接する残基の脱アミノ化を触媒する可能性を低くし、それによって脱アミノ化ウインドウを狭くすることができる。脱アミノ化ウインドウを狭くする能力は、特定の標的残基に隣接する残基の望ましくない脱アミノ化を防止することができ、これはオフ標的効果を低下または防止することができる。
【0431】
例えば、一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のH121X、H122X、R126X、R126X、R118X、W90X、W90X、およびR132Xからなる群から選択される1つもしくは複数の突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のH121R、H122R、R126A、R126E、R118A、W90A、W90Y、およびR132Eからなる群から選択される1つもしくは複数の突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含み得る。
【0432】
一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのD316X、D317X、R320X、R320X、R313X、W285X、W285X、R326Xからなる群から選択される1つもしくは複数の突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、本明細書において提供される融合タンパク質または複合体はいずれも、hAPOBEC3GのD316R、D317R、R320A、R320E、R313A、W285A、W285Y、R326Eからなる群から選択される1つもしくは複数の突然変異を含むAPOBECデアミナーゼ、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含む。
【0433】
一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のH121RおよびH122R突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のR126A突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のR126E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のR118A突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のW90A突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のW90Y突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のR132E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のW90YおよびR126E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のR126EおよびR132E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のW90YおよびR132E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、rAPOBEC1のW90Y、R126E、およびR132E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。
【0434】
一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのD316RおよびD317R突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供される融合タンパク質または複合体はいずれも、hAPOBEC3GのR320A突然変異を含むAPOBECデアミナーゼ、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのR320E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのR313A突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのW285A突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのW285Y突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのR326E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのW285YおよびR320E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのR320EおよびR326E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのW285YおよびR326E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるAPOBECデアミナーゼは、hAPOBEC3GのW285Y、R320E、およびR326E突然変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つもしくは複数の対応する突然変異を含むAPOBECデアミナーゼを含む。
【0435】
いくつかの改変シチジンデアミナーゼが市販され、限定されないが、Addgeneから入手可能であるSaBE3、SaKKH-BE3、VQR-BE3、EQR-BE3、VRER-BE3、YE1-BE3、EE-BE3、YE2-BE3、およびYEE-BE3(プラスミド85169、85170、85171、85172、85173、85174、85175、85176、85177)が含まれる。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。
【0436】
一部の実施形態では、本発明の融合タンパク質または複合体は、1つまたは複数のシチジンデアミナーゼドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供されるシチジンデアミナーゼは、シトシンまたは5-メチルシトシンをウラシルまたはチミンに脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供されるシチジンデアミナーゼは、DNAにおけるシトシンを脱アミノ化することができる。シチジンデアミナーゼは、任意の適切な生物に由来し得る。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは、本明細書において提供される突然変異のいずれかに対応する1つまたは複数の突然変異を含む天然に存在するシチジンデアミナーゼである。当業者は、例えば、配列アラインメントおよび相同な残基の決定によって、任意の相同なタンパク質における対応する残基を同定することができる。したがって、当業者は、本明細書に記載される突然変異のいずれかに対応する任意の天然に存在するシチジンデアミナーゼにおいて突然変異を生成し得る。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは原核生物由来である。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは細菌由来である。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは哺乳動物(例えば、ヒト)由来である。
【0437】
一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは、本明細書に記載されるシチジンデアミナーゼアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。本明細書において提供されるシチジンデアミナーゼは、1つまたは複数の突然変異(例えば、本明細書において提供される突然変異のいずれか)を含み得ることが理解されるべきである。一部の実施態様は、任意の先の態様の、または本明細書に記載されるシチジンデアミナーゼ核酸塩基エディターポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド分子を提供する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、コドンを最適化される。
【0438】
本開示は、ある特定の同一性パーセントを有する任意のデアミナーゼドメインに加えて、本明細書に記載される任意の突然変異またはそれらの組合せを提供する。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは、参照配列、または本明細書において提供されるシチジンデアミナーゼのいずれかと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、21、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個、またはそれ以上の突然変異を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは、当技術分野において公知であるか、または本明細書に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つと比較して、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、または少なくとも170個同一である連続するアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む。
【0439】
実施形態では、本発明の融合タンパク質は、2つ以上の核酸編集ドメインを含む。
【0440】
CからTの核酸塩基編集タンパク質の詳細は、国際PCT出願番号PCT/US2016/058344(WO2017/070632)、およびKomor,A.C.ら、「Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage」、Nature 533、420~424(2016)に記載され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0441】
ガイドポリヌクレオチド
ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、結合したガイドポリヌクレオチド(例えば、gRNA)と合わさると、標的ポリヌクレオチド配列に特異的に結合し(すなわち、結合したガイド核酸の塩基と標的ポリヌクレオチド配列の塩基との間の相補的な塩基対形成を介して)、それによって、編集が望まれる標的核酸配列に塩基エディターを局在化させることができる。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、一本鎖DNAまたは二本鎖DNAを含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、RNAを含む。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、DNA-RNAハイブリッドを含む。
【0442】
CRISPRは、可動遺伝エレメント(ウイルス、転位エレメントおよび接合性プラスミド)に対する防御を提供する適応免疫系である。CRISPRクラスターは、スペーサー、先行する可動エレメントと相補的な配列、および標的侵入核酸を含む。CRISPRクラスターは転写され、CRISPR RNA(crRNA)にプロセシングされる。II型CRISPR系では、pre-crRNAの正確なプロセシングには、トランスにコードされた低分子RNA(tracrRNA)、内因性リボヌクレアーゼ3(rnc)およびCas9タンパク質が必要である。tracrRNAは、pre-crRNAのリボヌクレアーゼ3に助けられたプロセシングのガイドとして働く。その後、Cas9/crRNA/tracrRNAは、スペーサーと相補的な直鎖状または環状dsDNA標的をエンドヌクレアーゼ的に切断する。crRNAに相補的でない標的鎖は、まずエンドヌクレアーゼ的に切断され、次にエキソヌクレアーゼ的に3’-5’トリミングされる。自然界では、DNA結合と切断には、典型的にはタンパク質と両方のRNAが必要である。しかしながら、単一のガイドRNA(「sgRNA」、または単に「gRNA」)は、crRNAとtracrRNAの両方の側面を単一のRNA種に組み込むように操作することができる。例えば、全体内容が参照により本明細書に組み込まれるJinek M.ら、Science 337:816~821(2012)を参照されたい。Cas9は、CRISPR反復配列中の短いモチーフ(PAMまたはプロトスペーサー隣接モチーフ)を認識して、自己と非自己を区別するのを助ける。例えば、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる「Complete genome sequence of an M1 strain of Streptococcus pyogenes.」、Ferretti,J.J.ら、Natl.Acad.Sci.U.S.A.98:4658~4663(2001);「CRISPR RNA maturation by trans-encoded small RNA and host factor RNase III.」、Deltcheva E.ら、Nature 471:602~607(2011);および「Programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity.」、Jinek M.ら、Science 337:816~821(2012)を参照されたい。
【0443】
PAM配列は、当該技術分野において公知である任意のPAM配列であり得る。適切なPAM配列には、限定されないが、NGG、NGA、NGC、NGN、NGT、NGCG、NGAG、NGAN、NGNG、NGCN、NGCG、NGTN、NNGRRT、NNNRRT、NNGRR(N)、TTTV、TYCV、TYCV、TATV、NNNNGATT、NNAGAAW、またはNAAAACが含まれる。Yはピリミジンであり;Nは任意のヌクレオチド塩基であり;WはAまたはTである。
【0444】
一実施形態では、本明細書に記載されるガイドポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAであり得る。一実施形態では、ガイドポリヌクレオチドはgRNAである。RNA/Cas複合体は、Casタンパク質を標的DNAに「ガイドする」のを助けることができる。Cas9/crRNA/tracrRNAは、スペーサーと相補的な直鎖状または環状dsDNA標的をエンドヌクレアーゼ的に切断する。crRNAに相補的でない標的鎖は、まずエンドヌクレアーゼ的に切断され、次にエキソヌクレアーゼ的に3’-5’トリミングされる。自然界では、DNA結合と切断には、典型的にはタンパク質と両方のRNAが必要である。しかしながら、単一のガイドRNA(「sgRNA」、または単に「gRNA」)は、crRNAとtracrRNAの両方の側面を単一のRNA種に組み込むように操作することができる。例えば、全体内容が参照により本明細書に組み込まれるJinek M.ら、Science 337:816~821(2012)を参照されたい。
【0445】
一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、少なくとも1つの単一ガイドRNA(「sgRNA」または「gRNA」)である。一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、例えば、相補的な塩基対形成を介して互いに相互作用することができる2つ以上の個々のポリヌクレオチド(例えば、二重ガイドポリヌクレオチド、二重gRNA)を含む。例えば、ガイドポリヌクレオチドは、CRISPR RNA(crRNA)およびトランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)を含み得るか、または1つもしくは複数のトランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)を含み得る。
【0446】
一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、少なくとも1つのtracrRNAである。一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメイン(例えば、Cas9またはCpf1)を標的ヌクレオチド配列にガイドするためにPAM配列を必要としない。
【0447】
ガイドポリヌクレオチドは、天然または非天然の(または天然ではない)ヌクレオチド(例えば、ペプチド核酸またはヌクレオチドアナログ)を含み得る。いくつかの場合において、ガイド核酸配列の標的化領域は、長さが少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチドであり得る。ガイド核酸の標的化領域は、長さが10~30ヌクレオチドの間、または長さが15~25ヌクレオチドの間、または長さが15~20ヌクレオチドの間であり得る。
【0448】
一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターは、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチド(例えば、複数のgRNA)を利用する。一部の実施形態では、単一のガイドポリヌクレオチドは、本明細書に記載される異なる塩基エディター用に利用される。例えば、単一のガイドポリヌクレオチドは、シチジン塩基エディターおよびアデノシン塩基エディター用に利用され得る。
【0449】
一部の実施形態では、本明細書に記載する方法は、操作されたCasタンパク質を利用することができる。ガイドRNA(gRNA)は短い合成RNAであり、Cas結合に必要なスキャフォールド配列と、改変されるべきゲノム標的を規定するユーザー定義の約20ヌクレオチドのスペーサーで構成される。例示的なgRNAスキャフォールド配列は、配列表に配列番号317~327として提供される。したがって、当業者は、Casタンパク質のゲノム標的を変化させることができ、特異性は、gRNA標的化配列が、ゲノムの残りと比較して、ゲノム標的に対してどれほど特異的であるかによって部分的に決定される。
【0450】
他の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、単一分子(すなわち、単一分子ガイド核酸)中に、核酸のポリヌクレオチド標的化部分と核酸のスキャフォールド部分の両方を含む。例えば、単一分子ガイドポリヌクレオチドは、単一ガイドRNA(sgRNAまたはgRNA)であり得る。本明細書において、ガイドポリヌクレオチド配列という用語は、塩基エディターと相互作用し、それを標的ポリヌクレオチド配列に方向付けることができる任意の単一、二重または多分子核酸を意図する。
【0451】
典型的には、ガイドポリヌクレオチド(例えば、crRNA/trRNA複合体またはgRNA)は、標的ポリヌクレオチド配列を認識し、結合し得る配列を含む「ポリヌクレオチド標的化セグメント」、および塩基エディターのポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン成分内のガイドポリヌクレオチドを安定化する「タンパク質結合セグメント」を含む。一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドのポリヌクレオチド標的化セグメントは、DNAポリヌクレオチドを認識し、結合し、それによって、DNA中の塩基の編集を促進する。他の場合において、ガイドポリヌクレオチドのポリヌクレオチド標的化セグメントは、RNAポリヌクレオチドを認識し、結合し、それによって、RNAにおける塩基の編集を促進する。本明細書では、「セグメント」とは、分子のセクションまたは領域、例えば、ガイドポリヌクレオチド中のヌクレオチドの連続したストレッチを指す。セグメントはまた、セグメントが1を超える分子の領域を含み得るような複合体の領域/セクションを指す場合がある。例えば、ガイドポリヌクレオチドが複数の核酸分子を含む場合、タンパク質結合セグメントは、例えば、相補性の領域に沿ってハイブリダイズする複数の別々の分子の全部または一部(例えば、機能的部分)を含み得る。一部の実施形態では、2つの別々の分子を含むDNA標的化RNAのタンパク質結合セグメントは、(i)長さが100塩基対である第1のRNA分子の塩基対40~75;および(ii)長さが50塩基対である第2のRNA分子の塩基対10~25を含む。「セグメント」の定義は、特定の文脈において特に定義されない限り、特定数の全塩基対に限定されず、所与のRNA分子からの任意の特定数の塩基対に限定されず、複合体内の特定数の別々の分子に限定されず、任意の全長であるRNA分子の領域を含むことができ、他の分子に対して相補性を有する領域を含み得る。
【0452】
ガイドポリヌクレオチドは、化学的に合成することができ、酵素的に合成することができ、またはそれらの組合せであり得る。例えば、gRNAは、標準的なホスホルアミダイトに基づく固相合成法を使用して合成することができる。あるいは、gRNAは、ファージRNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター制御配列に、gRNAをコードしているDNAを作動可能に連結させることによって、in vitroで合成することができる。適切なファージプロモーター配列の例としては、T7、T3、SP6プロモーター配列、またはそれらのバリエーションが挙げられる。gRNAが2つの別々の分子(例えば、crRNAおよびtracrRNA)を含む実施形態では、crRNAは化学合成することができ、tracrRNAは酵素的に合成することができる。
【0453】
ガイドポリヌクレオチドは、例えば、gRNAをコードしているDNA、例えば、gRNAをコードしている配列を含むDNAベクターによって発現させることができる。gRNAは、単独で、またはコードされた塩基エディターと一緒にコードされ得る。このようなDNA配列は、一緒にまたは別々に発現系(例えば、細胞)に導入され得る。例えば、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインおよびgRNAをコードしているDNA配列を細胞に導入することができ、各DNA配列は別々の分子の一部(例えば、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインコード配列を含む1つのベクター、およびgRNAコード配列を含む第2のベクター)であり得るか、または両方が同じ分子の一部(例えば、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインとgRNAとの両方のコード(および調節)配列を含む1つのベクター)であり得る。RNAは、合成DNA分子、例えば、gBlocks(登録商標)遺伝子断片から転写することができる。gRNA分子は、in vitroで転写され得る。
【0454】
gRNAまたはガイドポリヌクレオチドは、3つの領域:染色体配列中の標的部位と相補的であり得る5’末端の第1の領域、ステムループ構造を形成し得る第2の内部領域、および二次構造を形成しないかまたは標的部位に結合しない第3の3’領域を含み得る。各gRNAの第1の領域はまた、各gRNAが融合タンパク質または複合体を特定の標的部位にガイドするように異なることができる。さらに、各gRNAの第2および第3の領域は、すべてのgRNAにおいて同一であり得る。
【0455】
gRNAの第1の領域またはガイドポリヌクレオチドは、gRNAの第1の領域が標的部位と塩基対を形成することができるように、染色体配列中の標的部位の配列と相補的であり得る。いくつかの場合において、gRNAの第1の領域は、10ヌクレオチド~25ヌクレオチドまたは約10ヌクレオチド~約25ヌクレオチド(すなわち、10ヌクレオチドからヌクレオチド;または約10ヌクレオチド~約25ヌクレオチド;または10ヌクレオチド~約25ヌクレオチド;または約10ヌクレオチド~25ヌクレオチド)またはそれ以上を含む。例えば、gRNAの第1の領域と染色体配列中の標的部位の間の塩基対合の領域は、長さが10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、もしくはそれ以上であるか、または約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、もしくはそれ以上であり得る。時には、gRNAの第1の領域は、長さが19、20、もしくは21ヌクレオチドであるか、または約19、20、もしくは21ヌクレオチドであり得る。
【0456】
gRNAまたはガイドポリヌクレオチドはまた、二次構造を形成する第2の領域を含み得る。例えば、gRNAによって形成される二次構造は、ステム(またはヘアピン)およびループを含み得る。ループおよびステムの長さは変化し得る。例えば、ループは、長さが3~10ヌクレオチドの範囲または約3~10ヌクレオチドの範囲であり得、ステムは、長さが6~20塩基対の範囲または約6~20塩基対の範囲であり得る。ステムは、1~10ヌクレオチドまたは約10ヌクレオチドのうちの1つまたは複数のバルジを含み得る。第2の領域の全長は、長さが16~60ヌクレオチドの範囲または約16~60ヌクレオチドの範囲であり得る。例えば、ループは、長さが4ヌクレオチドであり得るかまたは約4ヌクレオチドであり得て、ステムは、長さが12塩基対であり得るかまたは約12塩基対であり得る。
【0457】
また、gRNAまたはガイドポリヌクレオチドは、本質的に一本鎖であり得る第3の領域を3’末端に含むことができる。例えば、第3の領域は、時には、目的の細胞中のいずれの染色体配列とも相補的ではなく、時には、gRNAの残りの部分とも相補的でない。さらに、第3の領域の長さは変化し得る。第3の領域は、長さが4ヌクレオチド超であるかまたは約4ヌクレオチド超であり得る。例えば、第3の領域の長さは、長さが5~60ヌクレオチド、または約5~60ヌクレオチドの範囲であり得る。
【0458】
gRNAまたはガイドポリヌクレオチドは、遺伝子標的の任意のエクソンまたはイントロンを標的化することができる。いくつかの場合において、ガイドは遺伝子のエクソン1または2を標的化することができ、別の場合において、ガイドは遺伝子のエクソン3または4を標的化することができる。一部の実施形態では、組成物は、すべてが同じエクソンを標的化する複数のgRNA、または異なるエクソンを標的化する複数のgRNAを含む。遺伝子のエクソンおよび/またはイントロンを標的化することができる。
【0459】
gRNAまたはガイドポリヌクレオチドは、約20ヌクレオチドまたは約20未満のヌクレオチド(例えば、少なくとも約5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30ヌクレオチド)、または約1~100ヌクレオチドの間のどこか(例えば、5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、100)の核酸配列を標的化することができる。標的核酸配列は、PAMの第1のヌクレオチドの直ぐ5’側の20塩基または約20塩基であり得る。gRNAは、核酸配列を標的化することができる。標的核酸は、少なくとも1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、もしくは1~100のヌクレオチド、または少なくとも約1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、もしくは1~100のヌクレオチドであり得る。
【0460】
ガイドポリヌクレオチド、例えば、gRNAおよび標的化配列を選択、設計、および確認するための方法は、本明細書に記載され、当業者に公知である。例えば、核酸塩基エディター系におけるデアミナーゼドメイン(例えば、AIDドメイン)の潜在的な基質混乱の影響を最小化するために、脱アミノ化のために意図せずに標的化され得る残基(例えば、標的核酸遺伝子座内の一本鎖DNA上に潜在的に存在し得るオフターゲットC残基)の数を最小化し得る。さらに、ソフトウェアツールは、標的核酸配列に対応するgRNAを最適化するために、例えば、ゲノムにわたる全オフターゲット活性を最小化するために使用され得る。例えば、S.pyogenesのCas9を使用する各々の可能な標的化ドメイン選択について、ある特定数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個)までのミスマッチ塩基対を含むすべてのオフターゲット配列(選択されたPAM、例えば、NAGまたはNGGに先行する)をゲノムにわたって同定することができる。標的部位と相補的なgRNAの第1の領域が同定され得、すべての第1の領域(例えば、crRNA)は、その総予測オフターゲットスコアに従ってランク付けされ得る;トップランクの標的化ドメインは、最大のオンターゲット活性および最小のオフターゲット活性を有すると考えられるものを表す。gRNAを標的とする候補は、当該技術分野において公知である方法および/または本明細書に記載する方法を使用することによって、機能的に評価することができる。
【0461】
非限定的な例として、Cas9とともに使用するためのgRNAのcrRNA中の標的DNAにハイブリダイズする配列は、DNA配列検索アルゴリズムを用いて同定することができる。gRNA設計は、Bae S.,Park J.、およびKim J.-S.Cas-OFFinder:A fast and versatile algorithm that searches for potential off-target sites of Cas9 RNA-guided endonucleases.Bioinformatics 30、1473~1475(2014)に記載される公共ツールcas-OFFinderに基づくカスタムgRNA設計ソフトウェアを使用して行う。このソフトウェアは、ゲノム全体のオフターゲット傾向を計算した後、ガイドをスコア化する。典型的には、長さが17~24の範囲のガイドでは、完全なマッチから7ミスマッチの範囲の一致が考慮される。オフターゲット部位が計算によって決定されると、各ガイドについて合計スコアが計算され、ウェブインターフェースを使用して表にまとめられる。PAM配列に隣接する潜在的な標的部位を同定することに加えて、ソフトウェアはまた、選択された標的部位から1、2、3または3を超えるヌクレオチドが異なるすべてのPAM隣接配列を同定する。標的核酸配列(例えば、標的遺伝子)についてのゲノムDNA配列を得ることができ、反復エレメントは、公衆に利用可能なツール、例えば、RepeatMaskerプログラムを使用してスクリーニングされ得る。RepeatMaskerは、入力されたDNA配列から、複雑性の低い反復エレメントおよび領域を探索する。出力は、所定のクエリー配列に存在する反復の詳細な注釈である。
【0462】
同定後、gRNAの第1の領域、例えば、crRNAは、標的部位までの距離、それらの直交性、および関連PAM配列との密接なマッチのための5’ヌクレオチドの存在(例えば、関連PAMを含むヒトゲノムにおける密接なマッチの同定に基づく5’G、例えば、S.pyogenesについてはNGG PAM、S.aureusについてはNNGRRTまたはNNGRRV PAM))に基づいて階層にランク付けされる。本明細書で使用される場合、直交性とは、標的配列に対して最小数のミスマッチを含むヒトゲノム中の配列数を指す。「高レベルの直交性」または「良好な直交性」は、例えば、意図される標的以外にヒトゲノムにおいて同一の配列を有さず、標的配列において1つまたは2つのミスマッチを含むいずれの配列も有さない20マー標的化ドメインを指すことがある。良好な直交性を有する標的化ドメインは、オフターゲットDNA切断を最小化するように選択され得る。
【0463】
次に、gRNAは、RNA分子または非RNA核酸分子、例えばDNA分子として細胞または胚に導入することができる。一実施形態では、gRNAをコードするDNAは、目的の細胞または胚におけるgRNAの発現用のプロモーター制御配列に作動可能に連結される。RNAコード配列は、RNAポリメラーゼIII(Pol III)によって認識されるプロモーター配列に作動可能に連結することができる。gRNAの発現に使用できるプラスミドベクターには、限定されないが、px330ベクターおよびpx333ベクターが含まれる。いくつかの場合において、プラスミドベクター(例えば、px333ベクター)は、少なくとも2つのgRNAをコードするDNA配列を含む。さらに、ベクターは、追加の発現制御配列(例えば、エンハンサー配列、Kozak配列、ポリアデニル化配列、転写終結配列など)、選択マーカー配列(例えば、GFPまたはピューロマイシンなどの抗生物質耐性遺伝子)、複製起点などを含み得る。gRNAをコードするDNA分子はまた、直鎖状であり得る。gRNAまたはガイドポリヌクレオチドをコードするDNA分子はまた、環状であり得る。
【0464】
一部の実施形態では、レポーターシステムは、塩基編集活性を検出し、候補ガイドポリヌクレオチドを試験するために使用される。一部の実施形態では、レポーターシステムは、塩基編集活性がレポーター遺伝子の発現を導くレポーター遺伝子ベースのアッセイを含む。例えば、レポーターシステムは、不活性化開始コドン、例えば、鋳型鎖上の3’-TAC-5’から3’-CAC-5’への突然変異を含むレポーター遺伝子を含み得る。標的Cの脱アミノ化に成功すると、対応するmRNAは、5’-GUG-3’の代わりに5’-AUG-3’として転写され、レポーター遺伝子の翻訳を可能にする。適切なレポーター遺伝子は、当業者には明らかである。レポーター遺伝子の非限定的な例としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、ルシフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)、または発現が検出可能であり、当業者に明らかである任意の他の遺伝子をコードする遺伝子が挙げられる。レポーターシステムは、例えば、標的DNA配列に関して、それぞれのデアミナーゼが標的化する残基を決定するために、多くの異なるgRNAを試験するために使用することができる。また、特定の塩基編集タンパク質、例えば、Cas9デアミナーゼ融合タンパク質または複合体のオフターゲット効果を評価するために、非鋳型鎖を標的化するsgRNAを試験することができる。一部の実施形態では、このようなgRNAは、突然変異した開始コドンがgRNAと塩基対を形成しないように設計することができる。ガイドポリヌクレオチドは、標準リボヌクレオチド、改変リボヌクレオチド(例えば、プソイドウリジン)、リボヌクレオチド異性体、および/またはリボヌクレオチドアナログを含み得る。一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、少なくとも1つの検出可能な標識を含む。検出可能な標識は、フルオロフォア(例えば、FAM、TMR、Cy3、Cy5、Texas Red、Oregon Green、Alexa Fluors、Haloタグ、または適切な蛍光色素)、検出タグ(例えば、ビオチン、ジゴキシゲニンなど)、量子ドット、または金粒子であり得る。
【0465】
一部の実施形態では、塩基エディター系は、複数のガイドポリヌクレオチド、例えば、gRNAを含み得る。例えば、gRNAは、塩基エディター系に含まれる1つまたは複数の標的遺伝子座(例えば、少なくとも1個のgRNA、少なくとも2個のgRNA、少なくとも5個のgRNA、少なくとも10個のgRNA、少なくとも20個のgRNA、少なくとも30個のgRNA、少なくとも50個のgRNA)を標的化することができる。複数のgRNA配列は、タンデムに配列され得、好ましくは、直接反復によって分離される。
【0466】
改変ポリヌクレオチド
発現、安定性、および/もしくはゲノム/塩基編集効率を増強するため、ならびに/または起こり得る毒性を低減させるために、塩基エディターをコードする配列(例えば、mRNA)および/またはガイドポリヌクレオチド(例えば、gRNA)は、例えば、プソイド-ウリジン、5-メチル-シトシン、2’-O-メチル-3’-ホスホノアセテート、2’-O-メチルチオPACE(MSP)、2’-O-メチル-PACE (MP)、2’-フルオロRNA(2’-F-RNA)、=拘束エチル(S-cEt)、2’-O-メチル(「M」)、2’-O-メチル-3’-ホスホロチオエート(「MS」)、2’-O-メチル-3’-チオホスホノアセテート(「MSP」)、5-メトキシウリジン、ホスホロチオエート、およびN1-メチルプソイドウリジンを使用して、1つもしくは複数の改変ヌクレオチドおよび/または化学的改変を含むように改変することができる。化学的に保護されたgRNAは、in vivoおよびex vivoで安定性および編集効率を増強することができる。化学改変されたmRNAおよびガイドRNAを使用するための方法は、当技術分野において公知であり、例えば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれるJiangらによるChemical modifications of adenine base editor mRNA and guide RNA expand its application scope.Nat Commun 11,1979(2020).doi.org/10.1038/s41467-020-15892-8、Callumら、N1-Methylpseudouridine substitution enhances the performance of synthetic mRNA switches in cells, Nucleic Acids Research、48巻、6号、2020年4月6日、e35頁、およびAndriesら、Journal of Controlled Release、217巻、2015年11月10日、337~344頁に記載される。
【0467】
特定の実施形態では、化学的改変は、2’-O-メチル(2’-OMe)改変である。改変されたガイドRNAは、saCas9の有効性、さらに特異性を改善し得る。個々の改変の効果は、使用される化学的改変の位置および組合せ、ならびに他の改変ヌクレオチドとの分子間および分子内相互作用に基づいて変化する。例として、S-cEtは、オリゴヌクレオチド分子内フォールディングを改善するために使用されている。
【0468】
一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、ガイドの5’末端および/または3’末端に1つまたは複数の改変ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、ガイドの5’末端および/または3’末端に2、3、4つまたはそれ以上の改変されたヌクレオシドを含む。一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、ガイドの5’末端および/または3’末端に2、3、4つまたはそれ以上の改変されたヌクレオシドを含む。一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドは、ガイドの5’末端に4つの改変されたヌクレオシド、および3’末端に4つの改変されたヌクレオシドを含む。一部の実施形態では、改変されたヌクレオシドは、2’O-メチルまたはホスホロチオエートを含む。
【0469】
一部の実施形態では、ガイドは、少なくとも約50%~75%の改変ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ガイドは、少なくとも約85%以上の改変ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、gRNAの5’末端の少なくとも約1~5ヌクレオチドが改変され、gRNAの3’末端の少なくとも約1~5ヌクレオチドが改変される。一部の実施形態では、gRNAの5’および3’末端の各々における少なくとも約3~5の連続するヌクレオチドが改変される。一部の実施形態では、直接反復または対直接反復に存在するヌクレオチドの少なくとも約20%が改変される。一部の実施形態では、直接反復または対直接反復に存在するヌクレオチドの少なくとも約50%が改変される。一部の実施形態では、直接反復または対直接反復に存在するヌクレオチドの少なくとも約50~75%が改変される。一部の実施形態では、直接反復またはアンチ方向反復に存在するヌクレオチドの少なくとも約100が改変される。一部の実施形態では、gRNAスキャフォールドに存在するヘアピンに存在するヌクレオチドの少なくとも約20%以上が改変される。一部の実施形態では、gRNAスキャフォールドに存在するヘアピンに存在するヌクレオチドの少なくとも約50%以上が改変される。一部の実施形態では、ガイドは、可変長スペーサーを含む。一部の実施形態では、ガイドは、20~40個のヌクレオチドのスペーサーを含む。一部の実施形態では、ガイドは、少なくとも約20~25個のヌクレオチドまたは少なくとも約30~35個のヌクレオチドを含むスペーサーを含む。一部の実施形態では、スペーサーは、改変ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ガイドは、以下のうちの2つ以上を含む:
gRNAの5’末端の少なくとも約1~5個のヌクレオチドが改変され、gRNAの3’末端の少なくとも約1~5個のヌクレオチドが改変される;
直接反復または対直接反復に存在する少なくとも約20%のヌクレオチドが改変される;
直接反復または対直接反復に存在する少なくとも約50~75%のヌクレオチドが改変される;
gRNAスキャフォールドに存在するヘアピンに存在する少なくとも約20%以上のヌクレオチドが改変される;
可変長スペーサー;および
改変ヌクレオチドを含むスペーサー。
【0470】
実施形態では、gRNAは、多数の改変ヌクレオチドおよび/または化学的改変(「重改変」)を含む。このような重改変は、in vivoまたはin vitroで塩基編集を約2倍増加させることができる。このような改変について、mN=2’-OMe;Ns=ホスホロチオエート(PS)であり、「N」は、当業者によって理解されるように、任意のヌクレオチドを表す。いくつかの場合において、ヌクレオチド(N)は、2つの改変、例えば、2’-OMeとPS改変との両方を含み得る。例えば、ホスホロチオエートおよび2’OMeを有するヌクレオチドは「mNs」と表され;互いに隣り合う2つの改変がある場合、表記は「mNsmNs」となる。
【0471】
改変gRNAの一部の実施形態では、gRNAは、2’-O-メチル(2’-OMe)、ホスホロチオエート(PS)、2’-O-メチルチオPACE(MSP)、2’-O-メチル-PACE(MP)、2’-O-メチルチオPACE(MSP)、2’-フルオロRNA(2’-F-RNA)、および拘束エチル(S-cEt)からなる群から選択される1つまたは複数の化学的改変を含む。実施形態では、gRNAは、2’-O-メチルまたはホスホロチオエート改変を含む。一実施形態では、gRNAは、2’-O-メチルおよびホスホロチオエート改変を含む。一実施形態では、改変は、塩基編集を少なくとも約2倍増加させる。
【0472】
ガイドポリヌクレオチドは、新しいまたは増強された特徴を有する核酸を提供するための1つまたは複数の改変を含み得る。ガイドポリヌクレオチドは、核酸親和性タグを含み得る。ガイドポリヌクレオチドは、合成ヌクレオチド、合成ヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド誘導体、および/または改変ヌクレオチドを含み得る。
【0473】
いくつかの場合において、gRNAまたはガイドポリヌクレオチドは改変を含み得る。改変は、gRNAまたはガイドポリヌクレオチドの任意の位置で行うことができる。1を超える改変が、単一のgRNAまたはガイドポリヌクレオチドに対して行うことができる。gRNAまたはガイドポリヌクレオチドは、改変後に品質管理を受ける場合がある。いくつかの場合において、品質管理は、PAGE、HPLC、MS、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0474】
gRNAまたはガイドポリヌクレオチドの改変は、置換、挿入、欠失、化学的改変、物理的改変、安定化、精製、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0475】
gRNAまたはガイドポリヌクレオチドはまた、5’アデニル酸、5’グアノシン-三リン酸キャップ、5’N7-メチルグアノシン三リン酸キャップ、5’三リン酸キャップ、3’リン酸、3’チオリン酸、5’リン酸、5’チオリン酸、Cis-Synチミジン二量体、三量体、C12スペーサー、C3スペーサー、C6スペーサー、dSpacer、PCスペーサー、rSpacer、スペーサー18、スペーサー9、3’-3’改変、2’-O-メチルチオPACE(MSP)、2’-O-メチル-PACE(MP)、および拘束エチル(S-cEt)、5’-5’改変、脱塩基、アクリジン、アゾベンゼン、ビオチン、ビオチンBB、ビオチンTEG、コレステリルTEG、デスチオビオチンTEG、DNP TEG、DNP-X、DOTA、dT-ビオチン、デュアルビオチン、PCビオチン、ソラレンC2、ソラレンC6、TINA、3’DABCYL、ブラックホールクエンチャー1、ブラックホールクエンチャー2、DABCYL SE、dT-DABCYL、IRDye QC-1、QSY-21、QSY-35、QSY-7、QSY-9、カルボキシルリンカー、チオールリンカー、2’-デオキシリボヌクレオシドアナログプリン、2’-デオキシリボヌクレオシドアナログピリミジン、リボヌクレオシドアナログ、2’-O-メチルリボヌクレオシドアナログ、糖改変アナログ、ウォブル/ユニバーサル塩基、蛍光色素標識、2’-フルオロRNA、2’-O-メチルRNA、メチルホスホン酸、ホスホジエステルDNA、ホスホジエステルRNA、ホスホチオエートDNA、ホスホロチオエートRNA、UNA、プソイドウリジン-5’-三リン酸、5’-メチルシチジン-5’-三リン酸、またはそれらの任意の組合せによって改変され得る。
【0476】
いくつかの場合において、改変は永続的である。他の場合において、改変は一時的である。いくつかの場合において、複数の改変がgRNAまたはガイドポリヌクレオチドに対して行われる。gRNAまたはガイドポリヌクレオチド改変は、立体構造、極性、疎水性、化学反応性、塩基対相互作用、またはそれらの任意の組合せなどのヌクレオチドの物理化学的特性を変更させることができる。
【0477】
ガイドポリヌクレオチドは、ガイドRNAおよびプロモーターをコードする配列を含む単離されたgRNAまたはプラスミドDNAで細胞をトランスフェクトすることにより、細胞中に移入することができる。gRNAまたはガイドポリヌクレオチドはまた、他の方法、例えば、ウイルス媒介遺伝子送達を使用することで、細胞に移入され得る。gRNAまたはガイドポリヌクレオチドを単離することができる。例えば、gRNAは、単離されたRNAの形態で細胞または生物にトランスフェクトすることができる。gRNAは、当技術分野において公知である任意のin vitro転写系を使用してin vitro転写によって調製することができる。gRNAは、gRNAのコード配列を含むプラスミドの形態ではなく、単離されたRNAの形態で細胞に移入することができる。
【0478】
改変はまた、ホスホロチオエート置換物であり得る。いくつかの場合において、天然のホスホジエステル結合は、細胞ヌクレアーゼによる急速な分解を受けやすく、ホスホロチオエート(PS)結合置換物を使用するヌクレオチド間連結の改変は、細胞分解による加水分解に対してより安定であり得る。改変は、gRNAまたはガイドポリヌクレオチドの安定性を増加させることができる。改変はまた、生物活性を増強させることができる。いくつかの場合において、ホスホロチオエートで増強されたRNA gRNAは、RNase A、RNase T1、仔ウシ血清ヌクレアーゼ、またはそれらの任意の組合せを阻害することができる。これらの特性により、PS-RNA gRNAを、ヌクレアーゼへの曝露がin vivoまたはin vitroで高い確率である適用において使用することが可能になる。例えば、ホスホロチオエート(PS)結合は、エキソヌクレアーゼ分解を阻害することができるgRNAの5’末端または3’末端の最後の3~5個のヌクレオチドの間に導入することができる。いくつかの場合において、エンドヌクレアーゼによる攻撃を低減させるために、gRNA全体にホスホロチオエート結合を付加することができる。
【0479】
一部の実施形態では、ガイドRNAは、塩基編集がスプライス部位(すなわち、スプライスアクセプター(SA)またはスプライスドナー(SD))の破壊をもたらすように設計される。一部の実施形態では、ガイドRNAは、塩基編集が未熟な終止コドンを生じるように設計される。
【0480】
プロトスペーサー隣接モチーフ
用語「プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)」またはPAM様モチーフとは、CRISPR細菌適応免疫系におけるCas9ヌクレアーゼによって標的とされるDNA配列の直後に続く2~6塩基対DNA配列を指す。一部の実施形態では、PAMは、5’PAM(すなわち、プロトスペーサーの5’末端の上流に位置する)であり得る。他の実施形態では、PAMは、3’PAM(すなわち、プロトスペーサーの5’末端の下流に位置する)であり得る。PAM配列は標的化結合に必須であるが、正確な配列はCasタンパク質の種類に依存する。PAM配列は、当技術分野において公知である任意のPAM配列であり得る。適切なPAM配列には、限定されないが、NGG、NGA、NGC、NGN、NGT、NGTT、NGCG、NGAG、NGAN、NGNG、NGCN、NGCG、NGTN、NNGRRT、NNNRRT、NNGRR(N)、TTTV、TYCV、TYCV、TATV、NNNNGATT、NNAGAAW、またはNAAAACが含まれる。Yはピリミジンであり、Nは任意のヌクレオチド塩基であり、WはAまたはTである。
【0481】
本明細書において提供される塩基エディターは、標準的または非標準的なプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含むヌクレオチド配列に結合することができるCRISPRタンパク質由来ドメインを含むことができる。PAM部位は、標的ポリヌクレオチド配列に近接するヌクレオチド配列である。本開示の一部の態様は、異なるPAM特異性を有するCRISPRタンパク質の全部または一部(例えば、機能的部分)を含む塩基エディターを提供する。
【0482】
例えば、S.pyogenes由来のCas9(spCas9)などの典型的なCas9タンパク質は、特定の核酸領域に結合するために標準的なNGG PAM配列を必要とし、「NGG」の「N」はアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、またはシトシン(C)であり、Gはグアニンである。PAMは、CRISPRタンパク質特異的であり得、異なるCRISPRタンパク質由来ドメインを含む異なる塩基エディター間で異なることができる。PAMは、標的配列の5’または3’であり得る。PAMは、標的配列の上流または下流であり得る。PAMは、長さ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のヌクレオチドであり得る。しばしば、PAMは、長さが2~6個のヌクレオチドである。
【0483】
一部の実施形態では、PAMは、「NRN」の「N」がアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、もしくはシトシン(C)であり、Rがアデニン(A)もしくはグアニン(G)である「NRN」PAMであるか、またはPAMは、NYNの「N」がアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、もしくはシトシン(C)であり、Yがシチジン(C)もしくはチミン(T)である「NYN」PAMであり、例えば、全内容が参照により本明細書に組み込まれるR.T.Waltonら、2020、Science、10.1126/science.aba8853(2020)に記載される。
【0484】
いくつかのPAMバリアントを以下の表7に記載する。
【0485】
【0486】
一部の実施形態では、PAMはNGCである。一部の実施形態では、NGC PAMは、Cas9バリアントによって認識される。一部の実施形態では、NGC PAM Cas9バリアントは、spCas9(配列番号197)のD1135M、S1136Q、G1218K、E1219F、A1322R、D1332A、R1335E、およびT1337R(集合的に「MQKFRAER」と呼ばれる)、または別のCas9における対応する突然変異から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Cas9バリアントは、spCas9(配列番号197)のD1135V、G1218R、R1335Q、およびT1337R(集合的にVRQRと呼ばれる)、または別のCas9における対応する突然変異から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Cas9バリアントは、spCas9(配列番号197)のD1135V、G1218R、R1335E、およびT1337R(集合的にVRERと呼ばれる)、または別のCas9における対応する突然変異から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Cas9バリアントは、saCas9(配列番号218)のE782K、N968K、およびR1015H(集合的にKHHと呼ばれる)から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Cas9バリアントは、spCas9(配列番号197)のD1135M、S1136Q、G1218K、E1219S、R1335E、およびT1337R(集合的に「MQKSER」と呼ばれる)、または別のCas9における対応する突然変異から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Cas9バリアントは、spCas9(配列番号197)のD1135M、S1136Q、G1218K、E1219S、R1335E、およびT1337R(集合的に「MQKSER」と呼ばれる)、または別のCas9における対応する突然変異から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
【0487】
一部の実施形態では、PAMはNGTである。一部の実施形態では、NGT PAMはCas9バリアントによって認識される。一部の実施形態では、Cas9バリアントは、spCas9(配列番号197)の1つまたは複数の残基1335、1337、1135、1136、1218、および/もしくは1219における標的化突然変異、または別のCas9における対応する突然変異によって生成される。一部の実施形態では、NGT PAM Cas9バリアントは、spCas9(配列番号197)の1つまたは複数の残基1219、1335、1337、1218における標的化突然変異、または別のCas9における対応する突然変異によって生成される。一部の実施形態では、NGT PAM Cas9バリアントは、spCas9(配列番号197)の1つまたは複数の残基1135、1136、1218、1219、および1335における標的化突然変異、または別のCas9における対応する突然変異によって生成される。一部の実施形態では、NGT PAM Cas9バリアントは、以下の表8Aおよび8Bに提供される標的突然変異のセットから選択される。
【0488】
【0489】
【0490】
一部の実施形態では、NGT PAM Cas9バリアントは、表8Aおよび表8Bのバリアント5、7、28、31、または36から選択される。一部の実施形態では、バリアントは、NGT PAM認識を改善した。
【0491】
一部の実施形態では、NGT PAM Cas9バリアントは、残基1219、1335、1337、および/または1218に突然変異を有する。一部の実施形態では、NGT PAM Cas9バリアントは、以下の表9に提供されるバリアントから、改善された認識のための突然異で選択される。
【0492】
【0493】
一部の実施形態では、NGT PAM Cas9バリアントは、以下の表10に提供されるバリアントから選択される。
【0494】
【0495】
一部の実施形態では、NGTN Cas9バリアントは、バリアント1である。一部の実施形態では、NGTN Cas9バリアントは、バリアント2である。一部の実施形態では、NGTN Cas9バリアントは、バリアント3である。一部の実施形態では、NGTN Cas9バリアントは、バリアント4である。一部の実施形態では、NGTNバリアントは、バリアント5である。一部の実施形態では、NGTN Cas9バリアントは、バリアント6である。
【0496】
一部の実施形態では、Cas9ドメインは、Streptococcus pyogenes由来のCas9ドメイン(SpCas9)である。一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、ヌクレアーゼ活性SpCas9、ヌクレアーゼ不活性SpCas9(SpCas9d)、またはSpCas9ニッカーゼ(SpCas9n)である。一部の実施形態では、SpCas9は、D9X突然変異、または本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含み、ここで、Xは、Dを除く任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、SpCas9は、D9A突然変異、または本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、SpCas9ドメイン、SpCas9dドメイン、またはSpCas9nドメインは、非標準的なPAMを有する核酸配列に結合することができる。一部の実施形態では、SpCas9ドメイン、SpCas9dドメイン、またはSpCas9nドメインは、NGG、NGA、またはNGCG PAM配列を有する核酸配列に結合することができる。
【0497】
一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、D1135X、R1335X、およびT1337X突然変異、またはXが任意のアミノ酸である、本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、D1135E、R1335Q、およびT1337R突然変異、または本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、D1135E、R1335Q、およびT1337R突然変異、または本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、D1135X、R1335X、およびT1337X突然変異、またはXが任意のアミノ酸である、本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、D1135V、R1335Q、およびT1337R突然変異、または本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、D1135V、R1335Q、およびT1337R突然変異、または本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、D1135X、G1218X、R1335X、およびT1337X突然変異、またはXが任意のアミノ酸である、本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、D1135V、G1218R、R1335Q、およびT1337R突然変異のうちの1つもしくは複数、または本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含む。一部の実施形態では、SpCas9ドメインは、D1135V、G1218R、R1335Q、およびT1337R突然変異、または本明細書において提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する突然変異を含む。
【0498】
一部の例では、本明細書で開示される塩基エディターのCRISPRタンパク質由来ドメインによって認識されるPAMは、塩基エディターをコードする挿入物(例えば、AAV挿入物)に対する別々のオリゴヌクレオチド上で細胞に提供することができる。このような実施形態では、別々のオリゴヌクレオチド上にPAMを提供することは、さもなければ切断することができないであろう標的配列の切断を可能にし得る。これは、隣接するPAMは標的配列と同じポリヌクレオチド上に存在しないためである。
【0499】
実施形態では、S.ピオゲネスCas9(SpCas9)は、ゲノム操作のためのCRISPRエンドヌクレアーゼとして使用することができる。しかし、他のものも使用することができる。一部の実施形態では、異なるエンドヌクレアーゼを使用して、特定のゲノム標的を標的化することができる。一部の実施形態では、非NGG PAM配列を有する合成SpCas9由来バリアントを使用することができる。さらに、様々な種由来の他のCas9オルソログが同定されており、これらの「非SpCas9」は、同様に本開示に有用であり得る様々なPAM配列に結合することができる。例えば、SpCas9の比較的大きなサイズ(約4kbのコード配列)は、細胞内で効率的に発現することができないSpCas9 cDNAを有するプラスミドをもたらす可能性がある。逆に、Staphylococcus aureusCas9(SaCas9)のコード配列は、SpCas9よりも約1キロベース短く、おそらく細胞内で効率的に発現させることができる。SpCas9と同様に、SaCas9エンドヌクレアーゼは、in vitroの哺乳動物細胞およびin vivoのマウスにおいて標的遺伝子を改変することができる。一部の実施形態では、Casタンパク質は、異なるPAM配列を標的化することができる。一部の実施形態では、標的遺伝子は、例えば、Cas9 PAM、5’-NGGに隣接することができる。他の実施形態では、他のCas9オルソログは、異なるPAM要件を有することができる。例えば、他のPAM、例えば、S.thermophilusのPAM(CRISPR1については5’-NNAGAA、およびCRISPR3については5’-NGGNG)、およびNeisseria meningitidisのPAM(5’-NNNNGATT)はまた、標的遺伝子に隣接して見出すことができる。
【0500】
一部の実施形態では、S.pyogenes系について、標的遺伝子配列は、5’-NGG PAMに先行する(すなわち、5’にある)ことができ、20ntのガイドRNA配列は、PAMに隣接するCas9切断を媒介するために、反対鎖と塩基対を形成することができる。一部の実施形態では、隣接する切断は、PAMの3塩基対上流であり得るか、または約3塩基対上流であり得る。一部の実施形態では、隣接する切断は、PAMの10塩基対上流であり得るか、または約10塩基対上流であり得る。一部の実施形態では、隣接する切断は、PAMの0~20塩基対上流であり得るか、または約0~20塩基対上流であり得る。例えば、隣接する切断は、PAMの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30塩基対上流の隣であり得る。隣接する切断はまた、1~30塩基対だけPAMの下流にあり得る。PAM配列に結合することができる例示的なSpCas9タンパク質の配列は以下の通りである。
【0501】
一部の実施形態では、操作されたSpCas9バリアントは、3’H(非G PAM)が隣接するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を認識することができる(表3A~3Dを参照されたい)。一部の実施形態では、SpCas9バリアントは、NRNH PAMを認識する(RはAまたはGであり、HはA、CまたはTである)。一部の実施形態では、非G PAMは、NRRH、NRTH、またはNRCHである(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるMiller,S.M.ら、Continuous evolution of SpCas9 variants compatible with non-G PAMs,Nat.Biotechnol.(2020)を参照されたい)。
【0502】
一部の実施形態では、Cas9ドメインは、組換えCas9ドメインである。一部の実施形態では、組換えCas9ドメインは、SpyMacCas9ドメインである。一部の実施形態では、SpyMacCas9ドメインは、ヌクレアーゼ活性SpyMacCas9、ヌクレアーゼ不活性SpyMacCas9(SpyMacCas9d)、またはSpyMacCas9ニッカーゼ(SpyMacCas9n)である。一部の実施形態では、SaCas9ドメイン、SaCas9dドメイン、またはSaCas9nドメインは、非標準的なPAMを有する核酸配列に結合することができる。一部の実施形態では、SpyMacCas9ドメイン、SpCas9dドメイン、またはSpCas9nドメインは、NAA PAM配列を有する核酸配列に結合することができる。
【0503】
天然の5’-NAAN-3’PAM特異性を有するStreptococcus macacaeにおけるSpy Cas9の例示的なCas9 Aホモログの配列は、当技術分野において公知であり、例えば、Chatterjeeらによる「A Cas9 with PAM recognition for adenine dinucleotides」、Nature Communications、11巻、記事番号2474(2020)に記載され、配列表には配列番号237として記載されている。
【0504】
一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、参照Cas9配列(例えば、spCas9(配列番号197))、または別のCas9における対応する突然変異と比較して、H840A、P475A、W476A、N477A、D1125A、W1126A、およびD1218A突然変異を有し、それにより、このポリペプチドは、標的DNAまたはRNAを切断する能力が低減している。このようなCas9タンパク質は、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を切断する能力が低減しているが、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を結合する能力を保持している。別の非限定的な例として、一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質は、参照Cas9配列(例えば、spCas9(配列番号197))、または別のCas9における対応する突然変異と比較して、D10A、H840A、P475A、W476A、N477A、D1125A、W1126A、およびD1218A突然変異を有し、それにより、このポリペプチドは、標的DNAを切断する能力が低減している。このようなCas9タンパク質は、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を切断する能力が低減しているが、標的DNA(例えば、一本鎖標的DNA)を結合する能力を保持している。一部の実施形態では、バリアントCas9タンパク質がW476AおよびW1126A突然変異を有する場合、またはバリアントCas9タンパク質が、参照Cas9配列(例えば、spCas9(配列番号197))または別のCas9中の対応する突然変異と比較して、P475A、W476A、N477A、D1125A、W1126A、およびD1218A突然変異を有する場合、バリアントCas9タンパク質は、PAM配列に効率的に結合しない。したがって、いくつかのこのような場合には、このようなバリアントCas9タンパク質が結合方法に使用される場合、本方法は、PAM配列を必要としない。換言すれば、一部の実施形態では、このようなバリアントCas9タンパク質が結合方法に使用される場合、方法は、ガイドRNAを含み得るが、方法は、PAM配列の非存在下で行われ得る(したがって、結合の特異性はガイドRNAの標的セグメントによって提供される)。他の残基は、上記の効果を達成するために突然変異され得る(すなわち、一方または他方のヌクレアーゼ部分を不活性化する)。非限定的な例として、残基D10、G12、G17、E762、H840、N854、N863、H982、H983、A984、D986、および/またはA987は、参照Cas9配列(例えば、spCas9(配列番号197))、または別のCas9における対応する突然変異と比較して変更(すなわち、置換)され得る。また、アラニン置換以外の突然変異が適切である。
【0505】
一部の実施形態では、塩基エディターのCRISPRタンパク質由来ドメインは、標準的なPAM配列(NGG)を有するCas9タンパク質の全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。他の実施形態では、塩基エディターのCas9由来ドメインは、非標準的なPAM配列を採用することができる。このような配列は、当技術分野において記載されており、当業者には明らかである。例えば、非標準的なPAM配列に結合するCas9ドメインは、Kleinstiver,B. P.ら、「Engineered CRISPR-Cas9 nucleases with altered PAM specificities」、Nature 523、481~485(2015);およびKleinstiver,B.P.ら、「Broadening the targeting range of Staphylococcus aureus CRISPR-Cas9 by modifying PAM recognition」、Nature Biotechnology 33、1293~1298(2015);R.T.Waltonら、「Unconstrained genome targeting with near-PAMless engineered CRISPR-Cas9 variants」、Science 10.1126/science.aba8853(2020);Huら、「Evolved Cas9 variants with broad PAM compatibility and high DNA specificity」、Nature、2018年4月5日、556(7699)、57~63;Millerら、「Continuous evolution of SpCas9 variants compatible with non-G PAMs」、Nat.Biotechnol.、2020年4月;38(4):471~481に記載されており、各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0506】
NapDNAbpならびにシチジンデアミナーゼおよび/もしくはアデノシンデアミナーゼを含む融合タンパク質または複合体
本開示の一部の態様は、Cas9ドメインまたは他の核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(例えば、Cas12)および1つもしくは複数のシチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼドメインを含む融合タンパク質または複合体を提供する。Cas9ドメインは、本明細書において提供されるCas9ドメインまたはCas9タンパク質(例えば、dCas9またはnCas9)のいずれかであり得ることが理解されるべきである。一部の実施形態では、本明細書において提供されるCas9ドメインまたはCas9タンパク質(例えば、dCas9またはnCas9)のいずれも、本明細書において提供されるシチジンデアミナーゼおよび/またはアデノシンデアミナーゼのいずれかと融合することができる。本明細書に開示される塩基エディターのドメインは、任意の順序で配列することができる。
【0507】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、以下のドメインA-C、A-D、またはA-E:
NH2-[A-B-C]-COOH;
NH2-[A-B-C-D]-COOH;または
NH2-[A-B-C-D-E]-COOH
を含み、ここで、AおよびC、またはA、CおよびEは、各々、以下:
アデノシンデアミナーゼドメインまたはその活性断片、
シチジンデアミナーゼドメインまたはその活性断片
のうちの1つまたは複数を含み、
ここで、BまたはBおよびDは、各々、核酸配列特異的な結合活性を有する1つまたは複数のドメインを含む。
【0508】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、以下の構造:
NH2-[An-Bo-Cn]-COOH;
NH2-[An-Bo-Cn-Do]-COOH;または
NH2-[An-Bo-Cp-Do-Eq]-COOH
を含み、ここで、AおよびC、またはA、CおよびEは、各々、以下:
アデノシンデアミナーゼドメインまたはその活性断片、
シチジンデアミナーゼドメインまたはその活性断片
のうちの1つまたは複数を含み、
ここで、nは、1、2、3、4、または5の整数であり、pは、0、1、2、3、4、または5の整数であり、qは、0、1、2、3、4、または5の整数であり、BまたはBおよびDは、各々、核酸配列特異的な結合活性を有するドメインを含み、oは、1、2、3、4、または5の整数である。
【0509】
例えば、限定されないが、一部の実施形態では、融合タンパク質は、構造:
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas9ドメイン]-COOH;
NH2-[Cas9ドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9ドメイン]-COOH;
NH2-[Cas9ドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9ドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas9ドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9ドメイン]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas9ドメイン]-COOH;
NH2-[Cas9ドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;または
NH2-[Cas9ドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH
を含む。
【0510】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるCas12ドメインまたはCas12タンパク質のいずれも、本明細書において提供されるシチジンまたはアデノシンデアミナーゼのいずれかと融合することができる。例えば、限定されないが、一部の実施形態では、融合タンパク質は、構造:
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas12ドメイン]-COOH;
NH2-[Cas12ドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas12ドメイン]-COOH;
NH2-[Cas12ドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas12ドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas12ドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas12ドメイン]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas12ドメイン]-COOH;
NH2-[Cas12ドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;または
NH2-[Cas12ドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH
を含む。
【0511】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼはTadA*8である。例示的な融合タンパク質構造には、以下が含まれる:
NH2-[TadA*8]-[Cas9ドメイン]-COOH;
NH2-[Cas9ドメイン]-[TadA*8]-COOH;
NH2-[TadA*8]-[Cas12ドメイン]-COOH;または
NH2-[Cas12ドメイン]-[TadA*8]-COOH。
【0512】
一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体のアデノシンデアミナーゼは、TadA*8ならびにシチジンデアミナーゼおよび/またはアデノシンデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、TadA*8は、TadA*8.1、TadA*8.2、TadA*8.3、TadA*8.4、TadA*8.5、TadA*8.6、TadA*8.7、TadA*8.8、TadA*8.9、TadA*8.10、TadA*8.11、TadA*8.12、TadA*8.13、TadA*8.14、TadA*8.15、TadA*8.16、TadA*8.17、TadA*8.18、TadA*8.19、TadA*8.20、TadA*8.21、TadA*8.22、TadA*8.23、またはTadA*8.24である。
【0513】
例示的な融合タンパク質構造には、以下が含まれる:
NH2-[TadA*8]-[Cas9/Cas12]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas9/Cas12]-[TadA*8]-COOH;
NH2-[TadA*8]-[Cas9/Cas12]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;または
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9/Cas12]-[TadA*8]-COOH。
【0514】
一部の実施形態では、融合タンパク質のアデノシンデアミナーゼは、TadA*9ならびにシチジンデアミナーゼおよび/またはアデノシンデアミナーゼを含む。例示的な融合タンパク質構造には、以下が含まれる:
NH2-[TadA*9]-[Cas9/Cas12]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas9/Cas12]-[TadA*9]-COOH;
NH2-[TadA*9]-[Cas9/Cas12]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;または
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9/Cas12]-[TadA*9]-COOH。
【0515】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、Cas9またはCas12ポリペプチドのN末端断片およびC末端断片が隣接するデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、Cas9またはCas12ポリペプチドのN末端断片およびC末端断片が隣接するシチジンデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、Cas9またはCas12ポリペプチドのN末端断片およびC末端断片が隣接するアデノシンデアミナーゼを含む。
【0516】
一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼおよびnapDNAbp(例えば、Cas9またはCas12ドメイン)を含む融合タンパク質または複合体は、リンカー配列を含まない。一部の実施形態では、リンカーは、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼとnapDNAbpとの間に存在する。一部の実施形態では、上記の一般的な構造で使用される「-」は、リンカーの必要に応じた存在を示す。一部の実施形態では、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼおよびnapDNAbpは、本明細書において提供されるリンカーのいずれかを介して融合される。例えば、一部の実施形態では、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼおよびnapDNAbpは、本明細書において提供されるリンカーのいずれかを介して融合される。
【0517】
本開示の融合タンパク質または複合体は、1つまたは複数の追加の特徴を含み得ることが理解されるべきである。例えば、一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、阻害剤、細胞質局在化配列、核輸出配列などの輸出配列、または他の局在化配列、ならびに融合タンパク質または複合体の可溶化、精製、または検出に有用な配列タグを含み得る。本明細書において提供される適切なタンパク質タグは、限定されないが、ビオチンカルボキシラーゼ担体タンパク質(BCCP)タグ、mycタグ、カルモジュリンタグ、FLAGタグ、ヘマグルチニン(HA)タグ、ヒスチジンタグまたはHisタグとも呼ばれるポリヒスチジンタグ、マルトース結合タンパク質(MBP)タグ、nusタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タグ、緑色蛍光タンパク質(GFP)タグ、チオレドキシンタグ、S-タグ、Softag(例えば、Softag 1、Softag 3)、ストレップタグ、ビオチンリガーゼタグ、FlAsHタグ、V5タグ、およびSBPタグを含む。追加の適切な配列は、当業者には明らかである。一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、1つまたは複数のHisタグを含む。
【0518】
例示的であるが非限定的な融合タンパク質は、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際PCT出願番号PCT/US2017/045381、PCT/US2019/044935、および第PCT/US2020/016288に記載される。
【0519】
核局在化配列(NLS)を含む融合タンパク質または複合体
一部の実施形態では、本明細書において提供される融合タンパク質または複合体は、1つまたは複数(例えば、2、3、4、5個)の核標的化配列、例えば、核局在化配列(NLS)をさらに含む。一実施形態では、バイパータイトNLSが使用される。一部の実施形態では、NLSは、NLSを含むタンパク質の細胞核への(例えば、核輸送による)移入を促進するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、NLSは、融合タンパク質のN末端またはC末端に融合される。一部の実施形態では、NLSは、nCas9ドメインまたはdCas9ドメインのC末端またはN末端に融合される。一部の実施形態では、NLSは、Cas12ドメインのN末端またはC末端に融合される。一部の実施形態では、NLSは、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼのN末端またはC末端に融合される。一部の実施形態では、NLSは、1つまたは複数のリンカーを介して融合タンパク質に融合される。一部の実施形態では、NLSは、リンカーなしで融合タンパク質に融合される。一部の実施形態では、NLSは、本明細書において提供または参照されるNLS配列のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。追加の核局在化配列は、当技術分野において公知であり、当業者には明らかである。例えば、NLS配列は、Plankら、PCT/EP2000/011690に記載され、その内容は、例示的な核局在化配列の開示について、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、NLSは、以下のアミノ酸配列PKKKRKVEGADKRTADGSEFESPKKKRKV(配列番号328)、KRTADGSEFESPKKKRKV(配列番号190)、KRPAATKKAGQAKKKK(配列番号191)、KKTELQTTNAENKTKKL(配列番号192)、KRGINDRNFWRGENGRKTR(配列番号193)、RKSGKIAAIVVKRPRKPKKKRKV(配列番号329)、またはMDSLLMNRRKFLYQFKNVRWAKGRRETYLC(配列番号196)を含む。
【0520】
一部の実施形態では、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼ、Cas9ドメイン、およびNLSを含む融合タンパク質または複合体は、リンカー配列を含まない。一部の実施形態では、1つまたは複数のドメインまたはタンパク質(例えば、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼ、Cas9ドメインまたはNLS)の間にリンカー配列が存在する。一部の実施形態では、リンカーは、シチジンデアミナーゼおよびアデノシンデアミナーゼドメインとnapDNAbpとの間に存在する。一部の実施形態では、以下の一般的な構造で使用される「-」は、リンカーの必要に応じた存在を示す。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼおよびアデノシンデアミナーゼならびにnapDNAbpは、本明細書において提供されるリンカーのいずれかを介して融合される。例えば、一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼおよびアデノシンデアミナーゼならびにnapDNAbpは、本明細書において提供されるリンカーのいずれかを介して融合される。
【0521】
一部の実施形態では、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼおよびnapDNAbp(例えば、Cas9またはCas12)ドメインを有する例示的なnapDNAbp(例えば、Cas9またはCas12)融合タンパク質の全体構造は、以下の構造のいずれか1つを含み、NLSは核局在化配列(例えば、本明細書において提供される任意のNLS)であり、NH2は融合タンパク質のN末端であり、COOHは融合タンパク質のC末端である:
NH2-NLS-[シチジンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-COOH;
NH2-NLS[napDNAbpドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-NLS-COOH;
NH2-[napDNAbpドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-NLS-COOH;
NH2-NLS-[アデノシンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-COOH;
NH2-NLS[napDNAbpドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-NLS-COOH;
NH2-[napDNAbpドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-NLS-COOH;
NH2-NLS-[シチジンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-NLS-[アデノシンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-NLS-[アデノシンデアミナーゼ][シチジンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-COOH;
NH2-NLS-[シチジンデアミナーゼ]-[アデノシンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-COOH;
NH2-NLS-[napDNAbpドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-NLS-[napDNAbpドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-NLS-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-NLS-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ][シチジンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-NLS-COOH;
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[アデノシンデアミナーゼ]-[napDNAbpドメイン]-NLS-COOH;
NH2-[napDNAbpドメイン]-[アデノシンデアミナーゼ]-[シチジンデアミナーゼ]-NLS-COOH;または
NH2-[napDNAbpドメイン]-[シチジンデアミナーゼ]-[アデノシンデアミナーゼ]-NLS-COOH。
【0522】
一部の実施形態では、NLSはリンカー中に存在するか、またはNLSは、例えば、本明細書に記載されるリンカーに隣接している。バイパータイトNLSは、比較的短いスペーサー配列によって隔てられた2つの塩基性アミノ酸クラスターを含む(したがって、バイパータイト、つまり2部分であるが、モノパータイトNLSはそうではない)。ヌクレオプラスミンのNLS、KR[PAATKKAGQA]KKKK(配列番号191)は、遍在するバイパータイトシグナルの原型である:約10アミノ酸のスペーサーによって隔てられた、塩基性アミノ酸の2つのクラスター。例示的なバイパータイトNLSの配列は以下の通りである:
PKKKRKVEGADKRTADGSEFESPKKKRKV(配列番号328)。
【0523】
1つまたは複数の核局在化配列(NLS)を含むCRISPR酵素をコードするベクターが使用され得る。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個のNLSを使用することができる。CRISPR酵素は、アミノ末端のまたはその近傍のNLS、カルボキシ末端のまたはその近傍の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個もしくは、それを超えるNLS、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、アミノ末端の1つまたは複数のNLSおよびカルボキシ末端の1つまたは複数のNLS)を含み得る。1を超えるNLSが存在する場合、単一のNLSが2つ以上のコピーで、および/または1つもしくは複数のコピーで存在する1つまたは複数の他のNLSと組み合わせて存在することができるように、各々を他から独立して選択することができる。
【0524】
本方法で使用されるCRISPR酵素は、約6個のNLSを含み得る。NLSに最も近いアミノ酸が、N末端またはC末端からポリペプチド鎖に沿って約50アミノ酸以内、例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、または50アミノ酸以内である場合、NLSは、N末端またはC末端の近くにあると考えられる。
【0525】
追加のドメイン
本明細書に記載される塩基エディターは、ポリヌクレオチドの核酸塩基の核酸塩基編集、改変または変更を促進することを助ける任意のドメインを含み得る。一部の実施形態では、塩基エディターは、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン(例えば、Cas9)、核酸塩基編集ドメイン(例えば、デアミナーゼドメイン)、および1つまたは複数の追加のドメインを含む。一部の実施形態では、追加のドメインは、塩基エディターの酵素的または触媒的機能、塩基エディターの結合機能を促進することができ、または所望の塩基編集結果を妨害し得る細胞機構(例えば、酵素)の阻害物質であり得る。一部の実施形態では、塩基エディターは、ヌクレアーゼ、ニッカーゼ、リコンビナーゼ、デアミナーゼ、メチルトランスフェラーゼ、メチラーゼ、アセチラーゼ、アセチルトランスフェラーゼ、転写活性化因子、または転写抑制因子ドメインを含む。
【0526】
一部の実施形態では、塩基エディターは、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)ドメインを含む。一部の実施形態では、U:Gヘテロ二重鎖DNAの存在に対する細胞DNA修復応答は、細胞中の核酸塩基編集効率の低下の原因となり得る。このような実施形態では、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)は、細胞中のDNAからのUの除去を触媒することができ、これは、塩基除去修復(BER)を開始することができ、大部分はU:G対からC:G対への復帰をもたらす。このような実施形態では、BERは、一本鎖を結合し、編集された塩基を遮断し、UGIを阻害し、BERを阻害し、編集された塩基を保護し、および/または非編集鎖の修復を促進する1つまたは複数のドメインを含む塩基エディターにおいて阻害され得る。したがって、本開示は、UGIドメインおよび/またはウラシル安定化タンパク質(USP)ドメインを含む塩基エディター融合タンパク質または複合体を意図する。
【0527】
一部の実施形態では、塩基エディターは、二本鎖切断(DSB)結合タンパク質の全部または一部(例えば、機能的部分)をドメインとして含む。例えば、DSB結合タンパク質は、DSBの末端に結合することができ、それらを分解から保護することができるバクテリオファージMuのGamタンパク質を含むことができる。全内容が参照により本明細書に組み込まれるKomor,A.C.ら、「Improved base excision repair inhibition and bacteriophage Mu Gam protein yields C:G-to-T:A base editors with higher efficiency and product purity」、Science Advances 3:eaao4774(2017)を参照されたい。
【0528】
さらに、一部の実施形態では、Gamタンパク質は、塩基エディターのN末端に融合され得る。一部の実施形態では、Gamタンパク質は、塩基エディターのC末端に融合され得る。バクテリオファージMuのGamタンパク質は、二本鎖切断(DSB)の末端に結合し、それらを分解から保護することができる。一部の実施形態では、DSBの自由末端を結合するためにGamを使用することは、塩基編集のプロセス中のインデル形成を低減させることができる。一部の実施形態では、174残基のGamタンパク質が、塩基エディターのN末端に融合される。Komor,A.C.ら、「Improved base excision repair inhibition and bacteriophage Mu Gam protein yields C:G-to-T:A base editors with higher efficiency and product purity」、Science Advances 3:eaao4774(2017)を参照されたい。一部の実施形態では、突然変異(単数または複数)は、野生型ドメインと比較して、塩基エディタードメインの長さを変化させることができる。例えば、少なくとも1つのドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸の欠失は、塩基エディターの長さを低減させることができる。別の場合において、突然変異(単数または複数)は、野生型ドメインと比較してドメインの長さを変化させない。例えば、いずれのドメインにおける置換も核酸エディターの長さを変化させない。
【0529】
すべてのドメインの長さが野生型ドメインと同じであるこのような塩基エディターの非限定的な例としては、以下が挙げられる:
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[APOBEC1]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[APOBEC1]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[APOBEC1]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[APOBEC1]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[APOBEC1]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-[UGI]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[APOBEC1]-[核酸塩基編集ドメイン]-[UGI]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[APOBEC1]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-[UGI]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[APOBEC1]-[核酸塩基編集ドメイン]-[UGI]-COOH;
NH2-[UGI]-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[APOBEC1]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[UGI]-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[APOBEC1]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[UGI]-[核酸塩基編集ドメイン]-[APOBEC1]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;または
NH2-[UGI]-[核酸塩基編集ドメイン]-[APOBEC1]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH。
【0530】
塩基エディター系
塩基エディター系を用いて核酸塩基を編集するためのシステム、組成物、および方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、塩基エディター系は、(1)核酸塩基を編集するためのポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインおよび核酸塩基編集ドメイン(例えば、デアミナーゼドメイン)を含む塩基エディター(BE);および(2)ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインと合わさったガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)を含む。一部の実施形態では、塩基エディター系は、シチジン塩基エディター(CBE)またはアデノシン塩基エディター(ABE)である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、ポリヌクレオチドプログラマブルDNAまたはRNA結合ドメインである。一部の実施形態では、核酸塩基編集ドメインはデアミナーゼドメインである。一部の実施形態では、デアミナーゼドメインは、シチジンデアミナーゼまたはシトシンデアミナーゼであり得る。一部の実施形態では、デアミナーゼドメインは、アデニンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼであり得る。一部の実施形態では、アデノシン塩基エディターは、DNA中のアデニンを脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、DNA中のシチジンを脱アミノ化することができる。
【0531】
一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基編集系は、二本鎖DNA切断を生成することなく、ドナーDNA鋳型を必要とせず、過剰な確率的挿入および欠失を誘導することなく、DNAにプログラマブル単一ヌクレオチド(C→TまたはA→G)の変化を誘導するために、触媒的に欠陥のあるStreptococcus pyogenes Cas9、デアミナーゼ(例えば、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼ)、および塩基除去修復の阻害剤を含む融合タンパク質または複合体を使用する、ゲノム編集へのアプローチを提供する。
【0532】
核酸塩基編集タンパク質の詳細は、国際PCT出願番号PCT/US2017/045381(WO2018/027078)およびPCT/US2016/058344(WO2017/070632)に記載され、各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、全内容が参照により本明細書に組み込まれるKomor,A.C.ら、「Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage」、Nature 533、420~424(2016);Gaudelli,N.M.ら、「Programmable base editing of A・T to G・C in genomic DNA without DNA cleavage」、Nature 551、464~471(2017);およびKomor,A.C.ら、「Improved base excision repair inhibition and bacteriophage Mu Gam protein yields C:G-to-T:A base editors with higher efficiency and product purity」、Science Advances 3:eaao4774(2017)も参照されたい。
【0533】
本願明細書において提供される塩基エディター系の使用は、(a)対象のポリヌクレオチド(例えば、二本鎖もしくは一本鎖DNAまたはRNA)の標的ヌクレオチド配列を核酸塩基エディター(例えば、アデノシン塩基エディターまたはシチジン塩基エディター)およびガイドポリ核酸(例えば、gRNA)を含む塩基エディター系と接触させるステップであって、標的ヌクレオチド配列が標的化された核酸塩基対を含むステップと、(b)前記標的領域の鎖分離を誘導するステップと、(c)標的領域の一本鎖中の前記標的核酸塩基対の第1の核酸塩基を第2の核酸塩基に変換するステップと、(d)標的領域の1以下の鎖を切断するステップとを含み、第1のヌクレオ塩基と相補的な第3のヌクレオ塩基が第2のヌクレオ塩基と相補的な第4のヌクレオ塩基に置き換えられる。一部の実施形態では、ステップ(b)が省略されることが理解されるべきである。一部の実施形態では、前記標的化された核酸塩基対は、1つまたは複数の遺伝子における複数の核酸塩基対である。一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディター系は、1つまたは複数の遺伝子における複数の核酸塩基対の多重編集が可能である。一部の実施形態では、複数の核酸塩基対は、同じ遺伝子に位置する。一部の実施形態では、複数の核酸塩基対は1つまたは複数の遺伝子に位置し、少なくとも1つの遺伝子は異なる遺伝子座に位置する。
【0534】
一部の実施形態では、切断された一本鎖(ニックの入った鎖)は、ガイド核酸にハイブリダイズされる。一部の実施形態では、切断された一本鎖は、第1の核酸塩基を含む鎖と反対である。一部の実施形態では、塩基エディターはCas9ドメインを含む。一部の実施形態では、第1の塩基はアデニンであり、第2の塩基はG、C、AまたはTではない。一部の実施形態では、第2の塩基はイノシンである。
【0535】
一部の実施形態では、デアミナーゼを標的核酸配列に標的化するために、単一のガイドポリヌクレオチドを利用することができる。一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドの単一対を利用して、異なるデアミナーゼを標的核酸配列に標的化し得る。
【0536】
塩基エディター系の成分(例えば、デアミナーゼドメイン、ガイドRNA、および/またはポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン)は、共有結合または非共有結合で互いに会合し得る。例えば、一部の実施形態では、デアミナーゼドメインは、必要に応じて、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインがポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)と複合体化している場合、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインによって標的ヌクレオチド配列に標的化することができる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、デアミナーゼドメインに融合または連結することができる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、デアミナーゼドメインと非共有結合的に相互作用または会合することによって、デアミナーゼドメインを標的ヌクレオチド配列に標的化することができる。例えば、一部の実施形態では、核酸塩基編集成分(例えば、デアミナーゼ成分)は、対応する異種部分、抗原、またはポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインの一部であるドメイン、および/またはそれと複合体を形成したガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)と相互作用し、会合し、または複合体を形成することができる追加の異種部分またはドメインを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン、および/またはそれと複合体化したガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)は、対応する異種部分、抗原、または核酸塩基編集ドメイン(例えば、デアミナーゼ成分)の一部であるドメインと相互作用し、会合し、または複合体を形成することができる追加の異種部分またはドメインを含む。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリペプチドと結合し、相互作用し、会合し、または複合体を形成することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリヌクレオチドと結合し、相互作用し、会合し、または複合体を形成することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ガイドポリヌクレオチドに結合することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリペプチドリンカーに結合することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリヌクレオチドリンカーに結合することができる。追加の異種部分は、タンパク質ドメインであり得る。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリペプチド、例えば、ラムダバクテリオファージ抗ターミネータータンパク質Nの22アミノ酸RNA結合ドメイン(N22p)、2G12 IgGホモ二量体ドメイン、ABI、抗体(例えば、塩基エディター系の成分またはその異種部分と結合する抗体)またはその断片(例えば、IgM(MHD2)またはIgE(EHD2)の重鎖ドメイン2(CH2)、免疫グロブリンFc領域、IgGまたはIgAの重鎖ドメイン3(CH3)、IgMまたはIgEの重鎖ドメイン4(CH4)、Fab、Fab2、ミニ抗体、および/またはZIP抗体)、バルナーゼ-バースター二量体ドメイン、Bcl-xLドメイン、カルシニューリンA(CAN)ドメイン、心臓ホスホランバン膜貫通型五量体ドメイン、コラーゲンドメイン、Com RNA結合タンパク質ドメイン(例えば、SfMu Comコートタンパク質ドメイン、およびSfMu Com結合タンパク質ドメイン)、サイクロフィリン-Fas融合タンパク質(CyP-Fas)ドメイン、Fabドメイン、Feドメイン、フィブリチンフォルドンドメイン、FK506結合タンパク質(FKBP)ドメイン、mTORのFKBP結合ドメイン(FRB)ドメイン、フォルドンドメイン、断片Xドメイン、GAIドメイン、GID1ドメイン、グリコホリンA膜貫通ドメイン、GyrBドメイン、Haloタグ、HIV Gp41三量体化ドメイン、HPV45がんタンパク質E7 C末端二量体ドメイン、疎水性ポリペプチド、Kホモロジー(KH)ドメイン、Kuタンパク質ドメイン(例えば、Kuヘテロ二量体)、ロイシンジッパー、LOVドメイン、ミトコンドリアの抗ウイルスシグナル伝達タンパク質CARDフィラメントドメイン、MS2コートタンパク質ドメイン(MCP)、対応するRNAモチーフ/アプタマーと結合する非天然RNAアプタマーリガンド、副甲状腺ホルモン二量体化ドメイン、PP7コートタンパク質(PCP)ドメイン、PSD95-Dlgl-zo-1(PDZ)ドメイン、PYLドメイン、SNAPタグ、SpyCatcher部分、SpyTag部分、ストレプトアビジンドメイン、ストレプトアビジン-結合タンパク質ドメイン、ストレプトアビジン結合タンパク質(SBP)ドメイン、テロメラーゼSm7タンパク質ドメイン(例えば、Sm7ホモ七量体または単量体のSm様タンパク質)、および/またはそれらの断片が含まれる。実施形態では、追加の異種部分は、MS2ファージオペレーターステムループ(例えば、MS2、MS2 C-5突然変異体、またはMS2 F-5突然変異体)、非天然RNAモチーフ、PP7オペレーターステムループ、SfMu phate Comステムループ、滅菌アルファモチーフ、テロメラーゼKu結合モチーフ、テロメラーゼSm7結合モチーフなどのポリヌクレオチド(例えば、RNAモチーフ)、および/またはそれらの断片を含む。追加の異種部分の非限定的な例には、配列番号380、382、384、386~388のいずれか1つもしくは複数と少なくとも約85%の配列同一性を有するポリペプチド、またはそれらの断片が含まれる。追加の異種部分の非限定的な例には、配列番号379、381、383、385のいずれか1つもしくは複数と少なくとも約85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、またはそれらの断片が含まれる。
【0537】
塩基エディター系は、ガイドポリヌクレオチド成分をさらに含み得る。塩基エディター系の成分は、共有結合、非共有相互作用、またはそれらの会合および相互作用の任意の組合せを介して、互いに会合され得ることが理解されるべきである。一部の実施形態では、デアミナーゼドメインは、ガイドポリヌクレオチドによって標的ヌクレオチド配列に標的化することができる。例えば、一部の実施形態では、塩基エディター系の核酸塩基編集成分(例えば、デアミナーゼ成分)は、ガイドポリヌクレオチドの異種部分もしくはセグメント(例えば、ポリヌクレオチドモチーフ)、または抗原と相互作用するか、会合するか、または複合体を形成することができる追加の異種部分またはドメイン(例えば、RNAまたはDNA結合タンパク質などのポリヌクレオチド結合ドメイン)を含む。一部の実施形態では、追加の異種部分またはドメイン(例えば、RNAまたはDNA結合タンパク質などのポリヌクレオチド結合ドメイン)は、デアミナーゼドメインに融合または連結することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリペプチドと結合するか、相互作用するか、会合するか、または複合体を形成することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリヌクレオチドと結合するか、相互作用するか、会合するか、または複合体を形成することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ガイドポリヌクレオチドに結合することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリペプチドリンカーに結合することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリヌクレオチドリンカーに結合することができる。追加の異種部分は、タンパク質ドメインであり得る。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリペプチド、例えば、ラムダバクテリオファージ抗ターミネータータンパク質Nの22アミノ酸RNA結合ドメイン(N22p)、2G12 IgGホモ二量体ドメイン、ABI、抗体(例えば、塩基エディター系の成分またはその異種部分と結合する抗体)またはその断片(例えば、IgM(MHD2)またはIgE(EHD2)の重鎖ドメイン2(CH2)、免疫グロブリンFc領域、IgGまたはIgAの重鎖ドメイン3(CH3)、IgMまたはIgEの重鎖ドメイン4(CH4)、Fab、Fab2、ミニ抗体、および/またはZIP抗体)、バルナーゼ-バースター二量体ドメイン、Bcl-xLドメイン、カルシニューリンA(CAN)ドメイン、心臓ホスホランバン膜貫通型五量体ドメイン、コラーゲンドメイン、Com RNA結合タンパク質ドメイン(例えば、SfMu Comコートタンパク質ドメイン、およびSfMu Com結合タンパク質ドメイン)、サイクロフィリン-Fas融合タンパク質(CyP-Fas)ドメイン、Fabドメイン、Feドメイン、フィブリチンフォルドンドメイン、FK506結合タンパク質(FKBP)ドメイン、mTORのFKBP結合ドメイン(FRB)ドメイン、フォルドンドメイン、断片Xドメイン、GAIドメイン、GID1ドメイン、グリコホリンA膜貫通ドメイン、GyrBドメイン、Haloタグ、HIV Gp41三量体化ドメイン、HPV45がんタンパク質E7 C末端二量体ドメイン、疎水性ポリペプチド、Kホモロジー(KH)ドメイン、Kuタンパク質ドメイン(例えば、Kuヘテロ二量体)、ロイシンジッパー、LOVドメイン、ミトコンドリアの抗ウイルスシグナル伝達タンパク質CARDフィラメントドメイン、MS2コートタンパク質ドメイン(MCP)、対応するRNAモチーフ/アプタマーと結合する非天然RNAアプタマーリガンド、副甲状腺ホルモン二量体化ドメイン、PP7コートタンパク質(PCP)ドメイン、PSD95-Dlgl-zo-1(PDZ)ドメイン、PYLドメイン、SNAPタグ、SpyCatcher部分、SpyTag部分、ストレプトアビジンドメイン、ストレプトアビジン-結合タンパク質ドメイン、ストレプトアビジン結合タンパク質(SBP)ドメイン、テロメラーゼSm7タンパク質ドメイン(例えば、Sm7ホモ七量体または単量体のSm様タンパク質)、および/またはそれらの断片が含まれる。実施形態では、追加の異種部分は、MS2ファージオペレーターステムループ(例えば、MS2、MS2 C-5突然変異体、またはMS2 F-5突然変異体)、非天然RNAモチーフ、PP7オペレーターステムループ、SfMu phate Comステムループ、滅菌アルファモチーフ、テロメラーゼKu結合モチーフ、テロメラーゼSm7結合モチーフ、および/またはそれらの断片などのポリヌクレオチド(例えば、RNAモチーフ)を含む。追加の異種部分の非限定的な例には、配列番号380、382、384、386~388のいずれか1つもしくは複数と少なくとも約85%の配列同一性を有するポリペプチド、またはそれらの断片が含まれる。追加の異種部分の非限定的な例には、配列番号379、381、383、385のいずれか1つもしくは複数と少なくとも約85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、またはそれらの断片が含まれる。
【0538】
一部の実施形態では、塩基エディター系は、塩基除去修復(BER)成分の阻害剤をさらに含み得る。塩基エディター系の成分は、共有結合、非共有相互作用、またはそれらの会合および相互作用の任意の組合せを介して、互いに会合され得ることが理解されるべきである。BER成分の阻害剤は、塩基除去修復阻害剤を含み得る。一部の実施形態では、塩基除去修復の阻害剤は、ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤(UGI)であり得る。一部の実施形態では、ウラシル除去修復システムを阻害する薬剤は、ウラシル安定化タンパク質(USP)である。一部の実施形態では、塩基除去修復の阻害剤は、イノシン塩基除去修復阻害剤であり得る。一部の実施形態では、塩基除去修復の阻害剤は、必要に応じて、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインが、ポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)と複合体を形成する場合、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインによって標的ヌクレオチド配列に標的化され得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、塩基除去修復の阻害剤に融合または連結され得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、デアミナーゼドメインおよび塩基除去修復の阻害剤に融合または連結され得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、塩基除去修復の阻害剤と非共有的に相互作用するか、または会合することによって、塩基除去修復の阻害剤を標的ヌクレオチド配列に標的化し得る。例えば、一部の実施形態では、塩基除去修復成分の阻害剤は、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインの一部である、対応する追加の異種部分、抗原、またはドメインと相互作用するか、会合するか、または複合体を形成することができる追加の異種部分またはドメインを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン成分、および/またはそれと複合化されたガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)は、塩基除去修復成分の阻害剤の一部である対応する異種部分、抗原、またはドメインと相互作用し得るか、会合し得るか、または形成し得る追加の異種部分またはドメインを含む。一部の実施形態では、塩基除去修復の阻害剤は、ガイドポリヌクレオチドによって標的ヌクレオチド配列に標的化され得る。例えば、一部の実施形態では、塩基除去修復の阻害剤は、ガイドポリヌクレオチドの一部またはセグメント(例えば、ポリヌクレオチドモチーフ)と相互作用するか、会合するか、または複合体を形成することができる追加の異種部分またはドメイン(例えば、RNAまたはDNA結合タンパク質などのポリヌクレオチド結合ドメイン)を含む。一部の実施形態では、ガイドポリヌクレオチドの追加の異種部分またはドメイン(例えば、RNAまたはDNA結合タンパク質などのポリヌクレオチド結合ドメイン)は、塩基除去修復の阻害剤に融合または連結され得る。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリヌクレオチドと結合するか、相互作用するか、会合するか、または複合体を形成することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ガイドポリヌクレオチドに結合することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリペプチドリンカーに結合することができる。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリヌクレオチドリンカーに結合することができる。追加の異種部分は、タンパク質ドメインであり得る。一部の実施形態では、追加の異種部分は、ポリペプチド、例えば、ラムダバクテリオファージ抗ターミネータータンパク質Nの22アミノ酸RNA結合ドメイン(N22p)、2G12 IgGホモ二量体ドメイン、ABI、抗体(例えば、塩基エディター系の成分またはその異種部分と結合する抗体)またはその断片(例えば、IgM(MHD2)またはIgE(EHD2)の重鎖ドメイン2(CH2)、免疫グロブリンFc領域、IgGまたはIgAの重鎖ドメイン3(CH3)、IgMまたはIgEの重鎖ドメイン4(CH4)、Fab、Fab2、ミニ抗体、および/またはZIP抗体)、バルナーゼ-バースター二量体ドメイン、Bcl-xLドメイン、カルシニューリンA(CAN)ドメイン、心臓ホスホランバン膜貫通型五量体ドメイン、コラーゲンドメイン、Com RNA結合タンパク質ドメイン(例えば、SfMu Comコートタンパク質ドメイン、およびSfMu Com結合タンパク質ドメイン)、サイクロフィリン-Fas融合タンパク質(CyP-Fas)ドメイン、Fabドメイン、Feドメイン、フィブリチンフォルドンドメイン、FK506結合タンパク質(FKBP)ドメイン、mTORのFKBP結合ドメイン(FRB)ドメイン、フォルドンドメイン、断片Xドメイン、GAIドメイン、GID1ドメイン、グリコホリンA膜貫通ドメイン、GyrBドメイン、Haloタグ、HIV Gp41三量体化ドメイン、HPV45がんタンパク質E7 C末端二量体ドメイン、疎水性ポリペプチド、Kホモロジー(KH)ドメイン、Kuタンパク質ドメイン(例えば、Kuヘテロ二量体)、ロイシンジッパー、LOVドメイン、ミトコンドリアの抗ウイルスシグナル伝達タンパク質CARDフィラメントドメイン、MS2コートタンパク質ドメイン(MCP)、対応するRNAモチーフ/アプタマーと結合する非天然RNAアプタマーリガンド、副甲状腺ホルモン二量体化ドメイン、PP7コートタンパク質(PCP)ドメイン、PSD95-Dlgl-zo-1(PDZ)ドメイン、PYLドメイン、SNAPタグ、SpyCatcher部分、SpyTag部分、ストレプトアビジンドメイン、ストレプトアビジン-結合タンパク質ドメイン、ストレプトアビジン結合タンパク質(SBP)ドメイン、テロメラーゼSm7タンパク質ドメイン(例えば、Sm7ホモ七量体または単量体のSm様タンパク質)、および/またはそれらの断片が含まれる。実施形態では、追加の異種部分は、ポリヌクレオチド(例えば、RNAモチーフ)、例えば、MS2ファージオペレーターステムループ(例えば、MS2、MS2 C-5突然変異体、またはMS2 F-5突然変異体)、非天然RNAモチーフ、PP7オペレーターステムループ、SfMu phate Comステムループ、ステリルアルファモチーフ、テロメラーゼKu結合モチーフ、テロメラーゼSm7結合モチーフ、および/またはそれらの断片を含む。追加の異種部分の非限定的な例には、配列番号380、382、384、386~388のいずれか1つもしくは複数と少なくとも約85%の配列同一性を有するポリペプチド、またはそれらの断片が含まれる。追加の異種部分の非限定的な例には、配列番号379、381、383、385のいずれか1つまたは複数と少なくとも約85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、またはそれらの断片が含まれる。
【0539】
場合によっては、塩基編集系の成分は、ロイシンジッパードメイン(例えば、配列番号387および388)の相互作用を介して互いに会合している。いくつかの場合において、塩基編集系の成分は、約1、2(すなわち、二量体化)、3、4、5、6、7、8、9、10個のポリペプチドドメイン単位、少なくとも約1、2(すなわち、二量体化)、3、4、5、6、7、8、9、10個のポリペプチドドメイン単位、または約1、2(すなわち、二量体化)、3、4、5、6、7、8、9、10個以下のポリペプチドドメイン単位を含むタンパク質複合体を形成するように会合するポリペプチドドメイン(例えば、FokIドメイン)を介して互いに会合し、必要に応じて、ポリペプチドドメインは、その活性を低減するかまたは消失させる変更を含み得る。
【0540】
場合によっては、塩基編集系の成分は、多量体抗体またはその断片(例えば、IgG、IgD、IgA、IgM、IgE、IgM(MHD2)またはIgE(EHD2)の重鎖ドメイン2(CH2)、免疫グロブリンFc領域、IgGまたはIgAの重鎖ドメイン3(CH3)、IgMまたはIgEの重鎖ドメイン4(CH4)、Fab、およびFab2)の相互作用を介して互いに会合する。場合によっては、抗体は、二量体、三量体、または四量体である。実施形態では、二量体抗体は、塩基編集系のポリペプチドまたはポリヌクレオチド成分と結合する。
【0541】
いくつかの場合において、塩基編集系の成分は、ポリヌクレオチド結合タンパク質ドメインとポリヌクレオチドとの相互作用を通して、互いに会合している。場合によっては、塩基編集系の成分は、1つまたは複数のポリヌクレオチド結合タンパク質ドメインと、自己相補的および/または相互に相補的なポリヌクレオチドとの相互作用を通じて、互いに会合し、その結果、互いに対するポリヌクレオチドの相補的結合は、それらのそれぞれの結合したポリヌクレオチド結合タンパク質ドメインを関連させる。
【0542】
場合によっては、塩基編集系の成分は、ポリペプチドドメインと小分子(例えば、二量化の化学的誘導物質(CID)、また「二量化物質」としても公知である)との相互作用を介して互いに会合する。CIDの非限定的な例としては、Amaraら、「A versatile synthetic dimerizer for the regulation of protein-protein interactions」、PNAS、94:10618~10623(1997);およびVoβら、「Chemically induced dimerization:reversible and spatiotemporal control of protein function in cells」、Current Opinion in Chemical Biology、28:194~201(2015)に開示されるものが挙げられ、各々の開示はすべての目的についてそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。二量体化することができるポリペプチドおよびそれらの対応する二量体化剤の非限定的な例を以下の表10.1に提供する。
【0543】
【0544】
実施形態では、追加の異種部分はガイドRNA分子の一部である。場合によっては、追加の異種部分は、RNAモチーフを含むかまたはRNAモチーフである。RNAモチーフは、ガイドRNA分子の5’もしくは3’末端、またはガイドRNA分子の種々の位置に配置され得る。実施形態では、RNAモチーフは、立体障害を低減させるためにガイドRNA内に位置し、必要に応じて、このような障害は、RNAスキャフォールドの他の嵩高いループに関連する。場合によっては、リンカーによってガイドRNAの他の部分に連結されるRNAモチーフを連結することが有利であり、リンカーは、長さが約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上のヌクレオチド、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上のヌクレオチド、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のヌクレオチド以下であり得る。必要に応じて、リンカーはGCに富むヌクレオチド配列を含む。ガイドRNAは、RNAモチーフの1、2、3、4、5、またはそれ以上のコピーを含むことができ、必要に応じてそれらは連続して配置され、および/または必要に応じてそれらは、それぞれリンカーによって互いに分離される。RNAモチーフは、本明細書に記載される任意の1つまたは複数のポリヌクレオチド改変を含み得る。RNAモチーフに対する適切な改変の非限定的な例としては、2’デオキシ-2-アミノプリン、2’リボース-2-アミノプリン、ホスホロチオエート改変、2’-Oメチル改変、2’-Fluro改変およびLNA改変が挙げられる。有利なことに、改変は、安定性を増加させ、RNAモチーフによって形成されるヘアピンのより強い結合/折り畳み構造を促進するのに役立つ。
【0545】
一部の実施形態では、RNAモチーフは、伸長を含むように改変される。実施形態では、伸長は、約2、3、4、5、10、15、20もしくは25個のヌクレオチド、少なくとも約2、3、4、5、10、15、20もしくは25個のヌクレオチド、または約2、3、4、5、10、15、20もしくは25個以下のヌクレオチドを含む。場合によっては、伸長は、RNAモチーフによって形成されるステムの長さの変更(例えば、伸長または短縮)をもたらす。RNAモチーフによって形成されるステムは、長さが約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100個のヌクレオチド、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100個のヌクレオチド、または約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100個以下のヌクレオチドであることが有利であり得る。様々な実施形態では、伸長は、RNAモチーフの柔軟性を増加させ、および/または対応するRNAモチーフとの結合を増加させる。
【0546】
一部の実施形態では、塩基エディターは、編集された鎖の塩基除去修復(BER)を阻害する。一部の実施形態では、塩基エディターは、編集されていない鎖を保護または結合する。一部の実施形態では、塩基エディターは、UGI活動またはUSP活性を含む。一部の実施形態では、塩基エディターは、触媒的に不活性なイノシン特異的ヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、塩基エディターはニッカーゼ活性を含む。一部の実施形態では、意図される塩基対の編集は、PAM部位の上流である。一部の実施形態では、意図される塩基対の編集は、PAM部位の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチド上流である。一部の実施形態では、意図される塩基対の編集は、PAM部位の下流である。一部の実施形態では、意図される編集された塩基対は、PAM部位の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチド下流である。
【0547】
一部の実施形態では、本方法は、標準的な(例えば、NGG)PAM部位を必要としない。一部の実施形態では、核酸塩基エディターはリンカーまたはスペーサーを含む。一部の実施形態では、リンカーまたはスペーサーは長さが1~25アミノ酸である。一部の実施形態では、リンカーまたはスペーサーは長さが5~20アミノ酸である。一部の実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、長さが10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸である。
【0548】
一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基編集融合タンパク質または複合体は、例えば、標的塩基が定義領域(例えば、「脱アミノ化ウインドウ」)内に配置される正確な位置に配置される必要がある。一部の実施形態では、標的は4塩基領域内にあり得る。一部の実施形態では、このような定義された標的領域は、PAMの約15塩基上流であり得る。全内容が参照により本明細書に組み込まれるKomor,A.C.ら、「Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage」、Nature 533、420~424(2016);Gaudelli,N.M.ら、「Programmable base editing of A・T to G・C in genomic DNA without DNA cleavage」 Nature 551、464~471(2017);およびKomor,A.C.ら、「Improved base excision repair inhibition and bacteriophage Mu Gam protein yields C:G-to-T:A base editors with higher efficiency and product purity」、Science Advances 3:eaao4774(2017)を参照されたい。
【0549】
一部の実施形態では、標的領域は標的ウインドウを含み、標的ウインドウは標的核酸塩基対を含む。一部の実施形態では、標的ウインドウは1~10個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的ウインドウは、長さが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチドである。一部の実施形態では、意図される塩基対の編集は標的ウインドウ内である。一部の実施形態では、標的ウインドウは、意図される塩基対の編集を含む。一部の実施形態では、本方法は、本明細書において提供される塩基エディターのいずれかを使用して行われる。一部の実施形態では、標的ウインドウは脱アミノ化ウインドウである。脱アミノ化ウインドウは、塩基エディターが標的ヌクレオチドに作用して脱アミノ化する定義された領域であり得る。一部の実施形態では、脱アミノ化ウインドウは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10塩基領域内にある。一部の実施形態では、脱アミノ化ウインドウは、PAMの5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25塩基上流である。
【0550】
本開示の塩基エディターは、標的ポリヌクレオチド配列の編集を促進する任意のドメイン、特徴またはアミノ酸配列を含み得る。例えば、一部の実施形態では、塩基エディターは、核局在化配列(NLS)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターのNLSは、デアミナーゼドメインとポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインとの間に位置する。一部の実施形態では、塩基エディターのNLSは、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインのC末端に局在化する。
【0551】
融合タンパク質に含まれるタンパク質ドメインは、異種機能ドメインであり得る。融合タンパク質に含まれ得るタンパク質ドメインの非限定的な例としては、デアミナーゼドメイン(例えば、シチジンデアミナーゼおよび/またはアデノシンデアミナーゼ)、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)ドメイン、エピトープタグ、およびレポーター遺伝子配列が挙げられる。タンパク質ドメインは、例えば、以下の活性:転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、遺伝子サイレンシング活性、クロマチン改変活性、エピジェネティック改変活性、ヒストン改変活性、RNA切断活性、および核酸結合活性のうちの1つまたは複数を有する、異種機能ドメインであり得る。このような異種機能ドメインは、例えば、ヒストンメチル化、ヒストンアセチル化、ヒストンユビキチン化などをもたらす、標的DNA(例えば、ヒストン、DNA結合タンパク質など)に関連する標的ポリペプチドの改変などの機能活性を付与することができる。付与される他の機能および/または活性には、トランスポーゼース活性、インテグラーゼ活性、リコンビナーゼ活性、リガーゼ活性、ユビキチンリガーゼ活性、脱ユビキチン化活性、アデニル化活性、脱デニル化活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、脱アセチラーゼ活性、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、リボシル化活性、脱リボシル化活性、ミリストイル化活性、脱ミリストイル化活性、ポリメラーゼ活性、ヘリカーゼ活性、またはヌクレアーゼ活性、SUMO化活性、脱SUMO化活性、または上記の任意の組合せが含まれ得る。一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、ヒストンデメチラーゼ、転写活性化因子またはデアミナーゼに融合される。
【0552】
さらに適切な融合パートナーには、限定されないが、境界エレメント(例えば、CTCF)、周辺動員を提供するタンパク質およびその断片(例えば、Lamin A、Lamin Bなど)、ならびにタンパク質ドッキングエレメント(例えば、FKBP/FRB、Pill/Abylなど)が含まれる。
【0553】
ドメインは、検出され得るか、またはエピトープタグ、レポータータンパク質、他の結合ドメインで標識され得る。エピトープタグの非限定的な例としては、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザ赤血球凝集素(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ、およびチオレドキシン(Trx)タグが挙げられる。レポーター遺伝子の例としては、限定されないが、グルタチオン-5-トランスフェラーゼ(GST)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HcRed、DsRed、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、および青色蛍光タンパク質(BFP)を含む自己蛍光タンパク質が挙げられる。追加のタンパク質配列は、DNA分子を結合するか、または他の細胞分子を結合するアミノ酸配列を含み、それらには、限定されないが、マルトース結合タンパク質(MBP)、S-タグ、Lex A DNA結合ドメイン(DBD)融合、GAL4 DNA結合ドメイン融合、および単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合が含まれ得る。
【0554】
本明細書に開示される塩基エディターに存在することができる他の例示的な特徴は、細胞質局在化配列などの局在化配列、核輸出配列などの輸出配列、または他の局在化配列、ならびに融合タンパク質または複合体の可溶化、精製、もしくは検出に有用な配列タグである。本明細書において提供される適切なタンパク質タグには、限定されないが、ビオチンカルボキシラーゼ担体タンパク質(BCCP)タグ、mycタグ、カルモジュリンタグ、FLAGタグ、ヘマグルチニン(HA)タグ、ヒスチジンタグまたはHisタグとも呼ばれるポリヒスチジンタグ、マルトース結合タンパク質(MBP)タグ、nusタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タグ、緑色蛍光タンパク質(GFP)タグ、チオレドキシンタグ、S-タグ、Softag(例えば、Softag 1、Softag 3)、strepタグ、ビオチンリガーゼタグ、FlAsHタグ、V5タグ、およびSBPタグが含まれる。追加の適切な配列は、当業者には明らかである。一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体は、1つまたは複数のHisタグを含む。
【0555】
一部の実施形態では、非限定的な例示的シチジン塩基エディター(CBE)には、BE1(APOBEC1-XTEn-dCas9)、BE2(APOBEC1-XTEn-dCas9-UGI)、BE3(APOBEC1-XTEn-dCas9(A840H)-UGI)、BE3-Gam、saBE3、saBE4-Gam、BE4、BE4-Gam、saBE4、またはsaB4E-Gamが含まれる。BE4はAPOBEC1-Cas9n(D10A)リンカーを32アミノ酸に、Cas9n-UGIリンカーを9アミノ酸に伸長し、UGIの第2コピーを別の9アミノ酸リンカーとともに構築物のC末端に付加して単一の塩基エディター構築物にする。塩基エディターのsaBE3およびsaBE4は、より小さなS.aureusCas9n(D10A)で置き換えたS.pyogenesCas9n(D10A)を有する。BE3-Gam、saBE3-Gam、BE4-Gam、およびsaBE4-Gamは、16アミノ酸のXTENリンカーを介してBE3、saBE3、BE4、およびsaBE4のN末端に融合したGamタンパク質の174残基を有する。
【0556】
一部の実施形態では、アデノシン塩基エディター(ABE)は、DNA中のアデニンを脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、ABEは、BE3のAPOBEC1成分を、天然もしくは操作された大腸菌(E. coli)TadA、ヒトADAR2、マウスADA、またはヒトADAT2で置き換えることによって生成される。一部の実施形態では、ABEは、進化したTadAバリアントを含む。一部の実施形態では、ABEはABE 1.2(TadA*-XTEN-nCas9-NLS)である。一部の実施形態では、TadA*は、A106VおよびD108N突然変異を含む。
【0557】
一部の実施形態では、ABEは第2世代のABEである。一部の実施形態では、ABEはABE2.1であり、これはTadA*において追加の突然変異D147YおよびE155Vを含む(TadA*2.1)。一部の実施形態では、ABEはABE2.2であり、ヒトアルキルアデニンDNAグリコシラーゼの触媒的に不活性化されたバージョンに融合されたABE2.1である(E125Q突然変異を有するAAG)。一部の実施形態では、ABEはABE2.3であり、大腸菌Endo Vの触媒的に不活性化された(D35A突然変異により不活性化された)バージョンに融合されたABE2.1である。一部の実施形態では、ABEはABE2.6であり、これはABE2.1においてリンカーの2倍の長さ(32アミノ酸、(SGGS)2(配列番号330)-XTEN-(SGGS)2(配列番号330))のリンカーを有する。一部の実施形態では、ABEはABE2.7であり、これは追加の野生型TadA単量体に繋がれたABE2.1である。一部の実施形態では、ABEはABE2.8であり、これは追加のTadA*2.1単量体で繋がれたABE2.1である。一部の実施形態では、ABEはABE2.9であり、これは進化したTadA(TadA*2.1)のABE2.1のN末端への直接融合である。一部の実施形態では、ABEはABE2.10であり、これは野生型TadAのABE2.1のN末端への直接融合である。一部の実施形態では、ABEはABE2.11であり、これはTadA*単量体のN末端に不活性化E59A突然変異を有するABE2.9である。一部の実施形態では、ABEはABE2.12であり、これは内部TadA*単量体において不活性化E59A突然変異を有するABE2.9である。
【0558】
一部の実施形態では、ABEは第3世代のABEである。一部の実施形態では、ABEはABE3.1であり、これは3つの追加のTadA突然変異(L84F、H123Y、およびI156F)を有するABE2.3である。
【0559】
一部の実施形態では、ABEは第4世代のABEである。一部の実施形態では、ABEはABE4.3であり、これは追加のTadA突然変異A142Nを有するABE3.1である(TadA*4.3)。
【0560】
一部の実施形態では、ABEは第5世代のABEである。一部の実施形態では、ABEはABE5.1であり、これは生存クローン(H36L、R51L、S146CおよびK157N)からの突然変異のコンセンサスセットをABE3.1にインポートすることによって生成される。一部の実施形態では、ABEはABE5.3であり、これは内部進化したTadA*に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する。一部の実施形態では、ABEは、以下の表11に示されるABE5.2、ABE5.4、ABE5.5、ABE5.6、ABE5.7、ABE5.8、ABE5.9、ABE5.10、ABE5.11、ABE5.12、ABE5.13またはABE5.14である。一部の実施形態では、ABEは第6世代のABEである。一部の実施形態では、ABEは、以下の表11に示されるABE6.1、ABE6.2、ABE6.3、ABE6.4、ABE6.5またはABE6.6である。一部の実施形態では、ABEは第7世代のABEである。一部の実施形態では、ABEは、以下の表11に示されるABE7.1、ABE7.2、ABE7.3、ABE7.4、ABE7.5、ABE7.6、ABE7.7、ABE7.8、ABE7.9またはABE7.10である。
【0561】
【0562】
【0563】
一部の実施形態では、塩基エディターは、第8世代のABE(ABE8)である。一部の実施形態では、ABE8はTadA*8バリアントを含む。一部の実施形態では、ABE8はTadA*8バリアントを含む単量体構築物を有する(「ABE8.x-m」)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.1-mであり、これはY147T突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.1)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.2-mであり、これはY147R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.2)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.3-mであり、これはQ154S突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.3)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.4-mであり、これはY123H突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.4)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.5-mであり、これはV82S突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.5)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.6-mであり、これはT166R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.6)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.7-mであり、これはQ154R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.7)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.8-mであり、これはY147R、Q154RおよびY123H突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.8)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.9-mであり、これはY147R、Q154RおよびI76Y突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.9)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.10-mであり、これはY147R、Q154RおよびT166R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.10)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.11-mであり、これはY147TおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.11)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.12-mであり、これはY147TおよびQ154S突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.12)。
【0564】
一部の実施形態では、ABE8はABE8.13-mであり、これは、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、Y147R、Q154RおよびI76Y突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.13)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.14-mであり、これは、I76YおよびV82S突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.14)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.15-mであり、これは、V82SおよびY147R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.15)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.16-mであり、これは、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)およびY147R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.16)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.17-mであり、これは、V82SおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.17)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.18-mであり、これは、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)およびQ154R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.18)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.19-mであり、これは、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、Y147RおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.19)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.20-mであり、これは、I76Y、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、Y147RおよびQ154R突然変異(を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有するTadA*8.20)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.21-mであり、これは、Y147RおよびQ154S突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.21)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.22-mであり、これは、V82SおよびQ154S突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.22)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.23-mであり、これは、V82SおよびY123H(H123Yから復帰したY123H)突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.23)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.24-mであり、これは、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、およびY147T突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8.24)。
【0565】
一部の実施形態では、ABE8は、TadA*8バリアントに融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(「ABE8.x-d」)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.1-dであり、これはY147T突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.1)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.2-dであり、これはY147R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.2)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.3-dであり、これはQ154S突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.3)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.4-dであり、これはY123H突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.4)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.5-dであり、これはV82S突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.5)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.6-dであり、これはT166R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.6)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.7-dであり、これはQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.7)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.8-dであり、これはY147R、Q154R、およびY123H突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.8)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.9-dであり、これはY147R、Q154R、およびI76Y突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.9)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.10-dであり、これは、Y147R、Q154R、およびT166R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.10)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.11-dであり、これは、Y147TおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.11)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.12-dであり、これは、Y147TおよびQ154S突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.12)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.13-dであり、これは、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、Y147R、Q154R、およびI76Y突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.13)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.14-dであり、これは、I76YおよびV82S突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.14)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.15-dであり、これは、V82SおよびY147R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.15)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.16-dであり、これは、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)およびY147R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.16)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.17-dであり、これは、V82SおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.17)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.18-dであり、これは、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)およびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.18)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.19-dであり、これは、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、Y147RおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.19)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.20-dであり、これは、I76Y、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、Y147RおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.20)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.21-dであり、これは、Y147RおよびQ154S突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.21)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.22-dであり、これは、V82SおよびQ154S突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.22)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.23-dであり、これは、V82SおよびY123H(H123Yから復帰したY123H)突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.23)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.24-dであり、これは、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、およびY147T突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.24)。
【0566】
一部の実施形態では、ABE8は、TadA*8バリアントに融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(「ABE8.x-7」)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.1-7であり、これはY147T突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.1)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.2-7であり、これはY147R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.2)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.3-7であり、これはQ154S突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.3)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.4-7であり、これはY123H突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.4)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.5-7であり、これはV82S突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.5)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.6-7であり、これはT166R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.6)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.7-7であり、これはQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.7)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.8-7であり、これはY147R、Q154RおよびY123H突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.8)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.9-7であり、これはY147R、Q154RおよびI76Y突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.9)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.10-7であり、これはY147R、Q154RおよびT166R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.10)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.11-7であり、これはY147TおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.11)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.12-7であり、これはY147TおよびQ154S突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.12)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.13-7であり、これはY123H(H123Yから復帰したY123H)、Y147R、Q154RおよびI76Y突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.13)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.14-7であり、これはI76YおよびV82S突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.14)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.15-7であり、これはV82SおよびY147R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.15)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.16-7であり、これはV82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)およびY147R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.16)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.17-7であり、これはV82SおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.17)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.18-7であり、これはV82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)およびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.18)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.19-7であり、これはV82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、Y147RおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.19)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.20-7であり、これはI76Y、V82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)、Y147RおよびQ154R突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.20)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.21-7であり、これはY147RおよびQ154S突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.21)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.22-7であり、これはV82SおよびQ154S突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.22)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.23-7であり、これはV82SおよびY123H(H123Yから復帰したY123H)突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.23)。一部の実施形態では、ABE8はABE8.24-7であり、これはV82S、Y123H(H123Yから復帰したY123H)およびY147T突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8.24)。
【0567】
一部の実施形態では、ABEは、以下の表12に示されるABE8.1-m、ABE8.2-m、ABE8.3-m、ABE8.4-m、ABE8.5-m、ABE8.6-m、ABE8.7-m、ABE8.8-m、ABE8.9-m、ABE8.10-m、ABE8.11-m、ABE8.12-m、ABE8.13-m、ABE8.14-m、ABE8.15-m、ABE8.16-m、ABE8.17-m、ABE8.18-m、ABE8.19-m、ABE8.20-m、ABE8.21-m、ABE8.22-m、ABE8.23-m、ABE8.24-m、ABE8.1-d、ABE8.2-d、ABE8.3-d、ABE8.4-d、ABE8.5-d、ABE8.6-d、ABE8.7-d、ABE8.8-d、ABE8.9-d、ABE8.10-d、ABE8.11-d、ABE8.12-d、ABE8.13-d、ABE8.14-d、ABE8.15-d、ABE8.16-d、ABE8.17-d、ABE8.18-d、ABE8.19-d、ABE8.20-d、ABE8.21-d、ABE8.22-d、ABE8.23-d、またはABE8.24-dである。
【0568】
【0569】
【0570】
一部の実施形態では、ABE8はABE8a-mであり、これはR26C、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8a)。一部の実施形態では、ABE8はABE8b-mであり、これはV88A、A109S、T111R、D119N、H122N、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8b)。一部の実施形態では、ABE8はABE8c-mであり、これはR26C、A109S、T111R、D119N、H122N、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8c)。一部の実施形態では、ABE8はABE8d-mであり、これはV88A、T111R、D119NおよびF149Y突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8d)。一部の実施形態では、ABE8はABE8e-mであり、これは、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10を含む単量体構築物を有する(TadA*8e)。
【0571】
一部の実施形態では、ABE8はABE8a-dであり、これはR26C、A109S、T111R、D119、H122N、Y147D、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8a)。一部の実施形態では、ABE8はABE8b-dであり、これはV88A、A109S、T111R、D119N、H122N、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8b)。一部の実施形態では、ABE8はABE8c-dであり、これはR26C、A109S、T111R、D119N、H122N、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8c)。一部の実施形態では、ABE8はABE8d-dであり、これはV88A、T111R、D119NおよびF149Y突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8d)。一部の実施形態では、ABE8はABE8e-dであり、これはA109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10に融合した野生型大腸菌TadAを含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8e)。
【0572】
一部の実施形態では、ABE8はABE8a-7であり、これはR26C、A109S、T111R、D119、H122N、Y147D、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8a)。一部の実施形態では、ABE8はABE8b-7であり、これはV88A、A109S、T111R、D119N、H122N、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8b)。一部の実施形態では、ABE8はABE8c-7であり、これはR26C、A109S、T111R、D119N、H122N、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8c)。一部の実施形態では、ABE8はABE8d-7であり、これはV88A、T111R、D119NおよびF149Y突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8d)。一部の実施形態では、ABE8はABE8e-7であり、これはA109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166IおよびD167N突然変異を有するTadA*7.10に融合したTadA*7.10を含むヘテロ二量体構築物を有する(TadA*8e)。
【0573】
一部の実施形態では、ABEは、以下の表13に示されるABE8a-m、ABE8b-m、ABE8c-m、ABE8d-m、ABE8e-m、ABE8a-d、ABE8b-d、ABE8c-d、ABE8d-d、またはABE8e-dである。一部の実施形態では、ABEはABE8e-mまたはABE8e-dである。ABE8eは、SpCas9以外のCas同族体、例えば、SaCas9、SaCas9-KKH、Cas12a同族体、例えば、LbCas12a、enAs-Cas12a、SpCas9-NG、ならびに円順列CP1028-SpCas9およびCP1041-SpCas9とともに使用した場合、効率的なアデニン塩基編集活性と低いインデル形成とを示す。表13においてABE8eについて示される突然変異に加えて、オフターゲットRNAおよびDNA編集は、V106W置換をTadAドメインに導入することによって低減された(全内容が参照により本明細書に組み込まれるM.Richterら、2020、Nature Biotechnology、doi.org/10.1038/s41587-020-0453-zに記載される)。
【0574】
【0575】
一部の実施形態では、塩基エディター(例えば、ABE8)は、アデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)を、円順列Cas9(例えば、CP5またはCP6)およびバイパータイト核局在化配列を含むスキャフォールドにクローニングすることによって作製される。一部の実施形態では、塩基エディター(例えば、ABE7.9、ABE7.10、またはABE8)はNGC PAM CP5バリアント(S.pyogenesCas9またはspVRQR Cas9)である。一部の実施形態では、塩基エディター(例えば、ABE7.9、ABE7.10、またはABE8)は、AGA PAM CP5バリアント(S.pyogenesCas9またはspVRQR Cas9)である。一部の実施形態では、塩基エディター(例えば、ABE7.9、ABE7.10、またはABE8)はNGC PAM CP6バリアント(S.pyogenesCas9またはspVRQR Cas9)である。一部の実施形態では、核酸エディター(例えば、ABE7.9、ABE7.10、またはABE8)はAGA PAM CP6バリアント(S.pyogenesCas9またはspVRQR Cas9)である。
【0576】
一部の実施形態では、ABEは、以下の表14に示される遺伝子型を有する。
【0577】
【0578】
以下の表15に示されるように、40のABE8の遺伝子型を記載する。ABEの進化した大腸菌TadA部分における残基位置を示す。ABE8の突然変異変化は、ABE7.10突然変異と異なる場合に示される。一部の実施形態では、ABEは、以下の表15に示されるABEのうちの1つの遺伝子型を有する。
【0579】
【0580】
【0581】
一部の実施形態では、塩基エディターはABE8.1であり、これは、以下の配列もしくはアデノシンデアミナーゼ活性を有するその断片を含むか、または本質的にそれからなる:
>ABE8.1_Y147T_CP5_NGC PAM_単量体
【0582】
【0583】
上述の配列において、標準文字はアデノシンデアミナーゼ配列を示し、太字の配列はCas9に由来する配列を示し、斜体の配列はリンカー配列を示し、下線の配列はバイパータイト核局在化配列を示す。他のABE8配列は、添付の配列表(配列番号332~354)に提供される。
【0584】
一部の実施形態では、塩基エディターは、第9世代のABE(ABE9)である。一部の実施形態では、ABE9は、TadA*9バリアントを含む。ABE9塩基エディターは、本明細書に記載されるように、ABE7*10参照配列と比較して改変を含む、アミノ酸配列を含むアデノシンデアミナーゼバリアントを含む。例示的なABE9バリアントを表16に列挙する。ABE9塩基エディターの詳細は、国際PCT出願番号PCT/US2020/049975に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0585】
【0586】
【0587】
一部の実施形態では、塩基エディターは、本明細書に記載されるように、ABE7*10参照配列と比較して改変を含む、アミノ酸配列を含むアデノシンデアミナーゼバリアントを含む。表16.1で使用される用語「単量体」とは、記載された改変を含むTadA*7.10の単量体形態を指す。表16.1で使用される用語「ヘテロ二量体」とは、記載される改変を含むTadA*7.10に融合された特定の野生型大腸菌TadAアデノシンデアミナーゼを指す。
【0588】
【0589】
一部の実施形態では、塩基エディターは、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)またはウラシル安定化タンパク質(USP)ドメインの全部または一部(例えば、機能的部分)を含むドメインを含む。一部の実施形態では、塩基エディターは、核酸ポリメラーゼの全部または一部(例えば、機能的部分)を含むドメインを含む。一部の実施形態では、塩基エディターは、ドメインとして、核酸ポリメラーゼ(NAP)の全部または一部(例えば、機能的部分)を含む。例えば、塩基エディターは、真核生物NAPの全部または一部(例えば、機能的部分)を含み得る。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるNAPまたはその一部は、DNAポリメラーゼである。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるNAPまたはその一部は、損傷乗り越え型ポリメラーゼ活性を有する。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるNAPまたはその一部は、損傷乗り越え型DNAポリメラーゼである。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるNAPまたはその一部は、Rev7、Rev1複合体、ポリメラーゼイオタ、ポリメラーゼカッパ、またはポリメラーゼイータである。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるNAPまたはその一部は、真核生物ポリメラーゼのアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ガンマ、イータ、イオタ、カッパ、ラムダ、ミュー、またはニュー成分である。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれたNAPまたはその一部は、核酸ポリメラーゼ(例えば、損傷乗り越え型DNAポリメラーゼ)と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、塩基エディターに組み込まれる核酸ポリメラーゼまたはその一部は、損傷乗り越え型DNAポリメラーゼである。
【0590】
一部の実施形態では、塩基エディターのドメインは、複数のドメインを含む。例えば、Cas9に由来するポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインを含む塩基エディターは、野生型または天然のCas9のRECローブおよびNUCローブに対応するRECローブおよびNUCローブを含み得る。別の例では、塩基エディターは、RuvCIドメイン、BHドメイン、REC1ドメイン、REC2ドメイン、RuvCIIドメイン、L1ドメイン、HNHドメイン、L2ドメイン、RuvCIIIドメイン、WEDドメイン、TOPOドメイン、またはCTDドメインのうちの1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、塩基エディターの1つまたは複数のドメインは、ドメインを含むポリペプチドの野生型バージョンと比較して突然変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含む。例えば、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインのHNHドメインは、H840A置換を含み得る。別の例では、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインのRuvCIドメインは、D10A置換を含み得る。
【0591】
本明細書に開示される塩基エディターの異なるドメイン(例えば、隣接ドメイン)は、1つまたは複数のリンカードメイン(例えば、XTENリンカードメイン)を使用するかまたは使用せずに、互いに接続することができる。一部の実施形態では、リンカードメインは、結合(例えば、共有結合)、化学基、または2つの分子もしくは部分を連結する分子、例えば、融合タンパク質の2つのドメイン、例えば、第1のドメイン(例えば、Cas9由来ドメイン)および第2のドメイン(例えば、アデノシンデアミナーゼドメインまたはシチジンデアミナーゼドメイン)などであり得る。一部の実施形態では、リンカーは共有結合(例えば、炭素-炭素結合、ジスルフィド結合、炭素-ヘテロ原子結合など)である。ある特定の実施形態では、リンカーは、アミド連結の炭素窒素結合である。ある特定の実施形態では、リンカーは、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝の脂肪族またはヘテロ脂肪族のリンカーである。ある特定の実施形態では、リンカーは、ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリエステルなど)である。ある特定の実施形態では、リンカーは、アミノアルカン酸の単量体、二量体、またはポリマーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、アミノアルカン酸(例えば、グリシン、エタン酸、アラニン、ベータ-アラニン、3-アミノプロパン酸、4-アミノブタン酸、5-ペンタン酸など)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、アミノヘキサン酸(Ahx)の単量体、二量体、またはポリマーを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、炭素環式部分(例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン)に基づく。他の実施形態では、リンカーは、ポリエチレングリコール部分(PEG)を含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、アリールまたはヘテロアリール部分を含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、フェニル環に基づく。リンカーは、ペプチドからリンカーへの求核剤(例えば、チオール、アミノ)の結合を促進するための官能化部分を含み得る。任意の求電子剤をリンカーの一部として使用することができる。例示的な求電子剤としては、限定されないが、活性化エステル、活性化アミド、マイケルアクセプター、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アシル、およびイソチオシアネートが挙げられる。一部の実施形態では、リンカーは、Cas9ヌクレアーゼドメインを含むRNAプログラマブルヌクレアーゼのgRNA結合ドメインと、核酸編集タンパク質の触媒ドメインを接続する。一部の実施形態では、リンカーは、dCas9および第2のドメイン(例えば、UGIなど)を接続する。
【0592】
リンカー
ある特定の実施形態では、リンカーを使用して、本発明のペプチドまたはペプチドドメインのいずれかを連結することができる。リンカーは共有結合のような単純なものであり得るか、または長さが何原子のポリマーリンカーであり得る。ある特定の実施形態では、リンカーは、ポリペプチドであるかまたはアミノ酸に基づく。他の実施形態では、リンカーはペプチド様ではない。ある特定の実施形態では、リンカーは、共有結合(例えば、炭素-炭素結合、ジスルフィド結合、炭素-ヘテロ原子結合など)である。ある特定の実施形態では、リンカーは、アミド連結の炭素-窒素結合である。ある特定の実施形態では、リンカーは、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝の脂肪族またはヘテロ脂肪族のリンカーである。ある特定の実施形態では、リンカーは、ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリエステルなど)である。ある特定の実施形態では、リンカーは、アミノアルカン酸の単量体、二量体、またはポリマーを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、アミノアルカン酸(例えば、グリシン、エタン酸、アラニン、ベータ-アラニン、3-アミノプロパン酸、4-アミノブタン酸、5-ペンタン酸など)を含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、アミノヘキサン酸(Ahx)の単量体、二量体、またはポリマーを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、炭素環式部分(例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン)に基づく。他の実施形態では、リンカーは、ポリエチレングリコール部分(PEG)を含む。他の実施形態では、リンカーは、アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、ペプチドを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、アリールまたはヘテロアリール部分を含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、フェニル環に基づく。リンカーは、ペプチドからリンカーへの求核剤(例えば、チオール、アミノ)の結合を促進するための官能化部分を含み得る。任意の求電子剤をリンカーの一部として使用することができる。例示的な求電子剤としては、限定されないが、活性化エステル、活性化アミド、マイケルアクセプター、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アシル、およびイソチオシアネートが挙げられる。
【0593】
典型的に、リンカーは、2つの基、分子、もしくは他の部分の間に位置するか、またはこれらに隣接して、共有結合を介してそれぞれに連結され、したがって、これら2つを連結する。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸または複数のアミノ酸(例えば、ペプチドまたはタンパク質)である。一部の実施形態では、リンカーは、有機分子、基、ポリマー、または化学的部分である。一部の実施形態では、リンカーは、長さが2~100個のアミノ酸、例えば、長さが2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~150、または150~200個のアミノ酸である。一部の実施形態では、リンカーは、長さが約3~約104個(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100個)のアミノ酸である。
より長いまたはより短いリンカーもまた意図される。
【0594】
一部の実施形態では、本明細書において提供される融合タンパク質のいずれかは、リンカーを介して互いに融合されるシチジンまたはアデノシンデアミナーゼおよびCas9ドメインを含む。シチジンまたはアデノシンデアミナーゼとCas9ドメインとの間の種々のリンカー長および柔軟性が、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼ核酸塩基エディターのための活性に最適な長さを達成するために採用され得る(例えば、(GGGS)n(配列番号246)、(GGGGS)n(配列番号247)、および(G)nの形態の非常に柔軟なリンカーから、(EAAAK)n(配列番号248)、(SGGS)n(配列番号355)、SGSETPGTSESATPES(配列番号249)の形態のより剛性なリンカーまでの範囲である(例えば、Guilinger JPら、Fusion of catalytically inactive Cas9 to FokI nuclease improves the specificity of genome modification.Nat.Biotechnol.2014;32(6):577~82を参照されたい;全内容は参照により本明細書に組み込まれる)および(XP)n)。一部の実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15である。一部の実施形態では、リンカーは(GGS)nモチーフを含み、nは1、3または7である。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼと、本明細書において提供される融合タンパク質のいずれかのCas9ドメインとは、XTENリンカーとも呼ばれ得る、アミノ酸配列SGSETPGTSESATPES(配列番号249)を含むリンカーを介して融合される。
【0595】
一部の実施形態では、塩基エディターのドメインは、以下のアミノ酸配列:
SGGSSGSETPGTSESATPESSGGS(配列番号356)、
SGGSSGGSSGSETPGTSESATPESSGGSSGGS(配列番号357)、または
GGSGGSPGSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGGSGGS(配列番号358)
を含むリンカーを介して融合される。
【0596】
一部の実施形態では、塩基エディターのドメインは、XTENリンカーとも呼ばれ得る、アミノ酸配列SGSETPGTSESATPES(配列番号249)を含むリンカーを介して融合される。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列SGGSを含む。一部の実施形態では、リンカーは、長さが24アミノ酸である。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列SGGSSGGSSGSETPGTSESATPES(配列番号359)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、長さが40アミノ酸である。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列:SGGSSGGSSGSETPGTSESATPESSGGSSGGSSGGSSGGS(配列番号360)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、長さが64アミノ酸である。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列:SGGSSGGSSGSETPGTSESATPESSGGSSGGSSGGSSGGSSGSETPGTSESATPESSGGSSGGS(配列番号361)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、長さが92アミノ酸である。一部の実施形態では、リンカーは、以下のアミノ酸配列を含む:
PGSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATS(配列番号362)。
【0597】
一部の実施形態では、リンカーは、複数のプロリン残基を含み、長さが5~21、5~14、5~9、5~7個のアミノ酸であり、例えば、PAPAP(配列番号363)、PAPAPA(配列番号364)、PAPAPAP(配列番号365)、PAPAPAPA(配列番号366)、P(AP)4(配列番号367)、P(AP)7(配列番号368)、P(AP)10(配列番号369)である(例えば、Tan J、Zhang F、Karcher D、Bock R.、Engineering of high-precision base editors for site-specific single nucleotide replacement.Nat Commun.2019年1月25日;10(1):439を参照されたい;全内容は参照により本明細書に組み込まれる)。このようなプロリンに富むリンカーは「剛性」リンカーとも呼ばれる。
【0598】
別の実施形態では、塩基エディター系は、デアミナーゼ(DNAデアミナーゼ)、例えば、アデノシンまたはシチジンデアミナーゼと非共有結合的に相互作用し、バイスタンダーもしくは標的隣接効果を最小限または低減させながら、特定の編集のために標的ポリヌクレオチド配列中の標的核酸塩基にアデノシンまたはシチジンデアミナーゼを一時的に引き付ける成分(タンパク質)を含む。デアミナーゼ相互作用タンパク質を伴うこのような非共有結合系および方法は、DNAデアミナーゼを特定のゲノム標的核酸塩基に引き付けるのに役立ち、オンターゲットおよびターゲット隣接編集の事象を分断し、したがって、より正確な単一の塩基置換突然変異の達成を高める。実施形態では、デアミナーゼ相互作用タンパク質は、デアミナーゼの活性(触媒)部位が標的核酸塩基(例えば、それぞれ、アデノシンまたはシチジン)と係合するのを遮断または妨害することなく、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼまたはシチジンデアミナーゼ)と結合する。このようなシステムは、「MagnEdit」と呼ばれ、Cas9およびgRNA複合体に繋がれた相互作用タンパク質を伴い、同時発現されたアデノシンまたはシチジンデアミナーゼ(外因性または内因性のいずれか)を引き付けて特定のゲノム標的部位を編集することができ、内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、McCann,J.ら、2020、「MagnEdit-interacting factors that recruit DNA-editing enzymes to single base targets」、Life-Science-Alliance、3巻、4号(e201900606)、(doi 10.26508/Isa.201900606)に記載される。実施形態では、DNAデアミナーゼは、本明細書に記載されるアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)である。
【0599】
別の実施形態では、「Suntag」と呼ばれるシステムは、隣接する標的編集が低減した部位で塩基編集を達成するために、ポリヌクレオチド標的部位に塩基エディターのタンパク質(例えば、アデノシンデアミナーゼまたはシチジンデアミナーゼ)成分またはその複数のコピーを動員するために使用される非共有結合的に相互作用する成分を伴う。例えば、各々内容全体が参照により本明細書に組み込まれるTanenbaum,M.E.ら、「A protein tagging system for signal amplification in gene expression and fluorescence imaging」、Cell、2014年10月23日;159(3):635~646.doi:10.1016/j.cell.2014.09.039;およびHuang,Y.-H.ら、2017、「DNA epigenome editing using CRISPR-Cas SunTag-directed DNMT3A」、Genome Biol 18: 176.doi:10.1186/s13059-017-1306-zに記載される。一実施形態では、DNAデアミナーゼは、本明細書に記載されるアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)である。
【0600】
ガイドRNAを有する核酸プログラマブルDNA結合タンパク質
細胞における塩基編集のための組成物および方法が、本明細書に提供される。ガイドポリ核酸配列、例えば、本明細書において提供されるガイドRNA配列、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、もしくはそれ以上のガイドRNAの組合せを含む組成物が、本明細書にさらに提供される。一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基編集のための組成物は、塩基エディター、例えば、C塩基エディターまたはA塩基エディターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。例えば、塩基編集のための組成物は、BE、BE4、ABE、および提供される1つまたは複数のガイドRNAの組合せをコードするmRNA配列を含み得る。塩基編集のための組成物は、塩基エディターポリペプチドと、本明細書において提供される任意のガイドRNAの1つまたは複数の組合せとを含み得る。このような組成物を使用して、異なる送達アプローチ、例えば、電気穿孔、ヌクレオフェクション、ウイルス形質導入またはトランスフェクションにより、細胞内で塩基編集を行うことができる。一部の実施形態では、塩基編集のための組成物は、塩基エディターをコードするmRNA配列、および電気穿孔のために本明細書において提供される1つまたは複数のガイドRNA配列の組合せを含む。
【0601】
本開示の一部の態様は、本明細書において提供される融合タンパク質または複合体のいずれか、および融合タンパク質または複合体の核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメイン(例えば、Cas9(例えば、dCas9、ヌクレアーゼ活性Cas9、またはCas9ニッカーゼ)またはCas12)に結合したガイドRNAを含むシステムを提供する。これらの複合体はまたリボ核タンパク質(RNP)と呼ばれる。一部の実施形態では、ガイド核酸(例えば、ガイドRNA)は、長さが15~100ヌクレオチドであり、標的配列と相補的な少なくとも10の連続するヌクレオチドの配列を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAは、長さが15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、ガイドRNAは、標的配列と相補的な15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40の連続するヌクレオチドの配列を含む。一部の実施形態では、標的配列はDNA配列である。一部の実施形態では、標的配列はRNA配列である。一部の実施形態では、標的配列は、細菌、酵母、真菌、昆虫、植物、または動物のゲノム中の配列である。一部の実施形態では、標的配列は、ヒトのゲノム中の配列である。一部の実施形態では、標的配列の3’末端は、標準的なPAM配列(NGG)に直接隣接する。一部の実施形態では、標的配列の3’末端は、非標準的なPAM配列(例えば、表7に列挙される配列または5’-NAA-3’)に直接隣接する。一部の実施形態では、ガイド核酸(例えば、ガイドRNA)は、目的の遺伝子(例えば、疾患または障害に関連する遺伝子)中の配列と相補的である。
【0602】
本開示の一部の態様は、本明細書において提供される融合タンパク質または複合体を使用する方法を提供する。例えば、本開示の一部の態様は、DNA分子を本明細書において提供される融合タンパク質または複合体のいずれかと、および少なくとも1つのガイドRNAと接触させるステップを含む方法であって、ガイドRNAは、長さが約15~100ヌクレオチドであり、標的配列と相補的な少なくとも10の連続ヌクレオチドの配列を含む、方法を提供する。一部の実施形態では、標的配列の3’末端は、AGC、GAG、TTT、GTG、またはCAA配列に直接隣接する。一部の実施形態では、標的配列の3’末端は、NGA、NGCG、NGN、NNGRRT、NNNRRT、NGCG、NGCN、NGTN、NGTN、NGTN、または5’(TTTV)配列に直接隣接する。一部の実施形態では、標的配列の3’末端は、例えば、TTN、DTTN、GTTN、ATTN、ATTC、DTTNT、WTTN、HATY、TTTN、TTTV、TTTC、TG、RTR、またはYTN PAM部位に直接隣接する。
【0603】
それぞれの配列における特定の位置または残基の番号付けは、使用される特定のタンパク質および番号付けスキームに依存することが理解される。番号付けは、例えば、成熟タンパク質の前駆体と成熟タンパク質自体とで異なり、種間の配列の相違が番号付けに影響することがある。当業者は、当該技術分野において周知である方法によって、例えば、配列アラインメントおよび相同な残基の決定によって、任意の相同なタンパク質およびそれぞれのコードする核酸におけるそれぞれの残基を同定することができる。
【0604】
本明細書に開示される融合タンパク質または複合体のいずれかを標的部位、例えば、突然変異を含む部位または編集されるべき他の目的の部位に標的化するために、典型的には、融合タンパク質または複合体をガイドRNAとともに同時に発現することが必要であることは、当業者には明らかである。本明細書の他の箇所でより詳細に説明されるように、ガイドRNAは、典型的には、napDNAbp(例えば、Cas9またはCas12)結合を可能にするtracrRNAフレームワーク、およびnapDNAbp:核酸編集酵素/ドメイン融合タンパク質または複合体に配列特異性を付与するガイド配列を含む。あるいは、ガイドRNAおよびtracrRNAは、2つの核酸分子として別々に提供され得る。一部の実施形態では、ガイドRNAは構造を含み、ガイド配列は標的配列と相補的な配列を含む。ガイド配列は、典型的には、20ヌクレオチド長である。napDNAbp:核酸編集酵素/ドメイン融合タンパク質または複合体を特定のゲノム標的部位に標的化するための適切なガイドRNAの配列は、本開示に基づいて、当業者には明らかである。このような適切なガイドRNA配列は、典型的には、編集されるべき標的ヌクレオチドの上流または下流の50ヌクレオチド以内の核酸配列と相補的なガイド配列を含む。提供される融合タンパク質または複合体のいずれかを特定の標的配列に標的化するのに適した一部の例示的なガイドRNA配列が、本明細書に提供される。
【0605】
sgRNAの異なる部分は、Cas9(例えば、SpyCas9)および/またはDNA標的と相互作用する様々な特徴を形成することが予測される。天然のcrRNA:tracrRNA二重鎖および単一のガイドRNA(sgRNA)内に、Cas9エンドヌクレアーゼ活性を指令する6つの保存されたモジュールが同定されている(Brinerら、Guide RNA Functional Modules Direct Cas9 Activity and Orthogonality Mol Cell.2014年10月23日;56(2):333~339を参照されたい)。6つのモジュールは、DNA標的化に関与するスペーサー、CRISPRリピート:tracrRNA二重鎖によって形成される上部ステム、バルジ、下部ステム、ネクサス、およびtracrRNAの3’末端からのヘアピンを含む。上部ステムおよび下部ステムは、主に、リン酸骨格との配列非依存的な相互作用を介してCas9と相互作用する。一部の実施形態では、上部ステムは不要である。一部の実施形態では、下部ステムの基部における保存されたウラシルヌクレオチド配列は必要でない。バルジは、Cas9のRec1ドメインとの特異的な側鎖相互作用に関与する。U44の核酸塩基はTyr325およびHis328の側鎖と相互作用し、G43はTyr329と相互作用する。ネクサスは、sgRNA:Cas9相互作用のコアを形成し、sgRNAと、Cas9と標的DNAとの両方との間の交点にある。A51およびA52の核酸塩基はPhe1105の側鎖と相互作用し;U56はArg 457およびAsn459と相互作用し;U59の核酸塩基はArg74、Asn77、Pro475、Leu455、Phe446およびIle448の側鎖によって定義される疎水性ポケットに挿入し;C60はLeu455、Ala456およびAsn459と相互作用し;C61はArg 70の側鎖と相互作用し、順にC15と相互作用する。一部の実施形態では、これらの突然変異の1つまたは複数は、sgRNA:Cas9相互作用を最適化するために、Cas9(例えば、spyCas9)に対するsgRNAのバルジおよび/またはネクサスにおいて作製される。
【0606】
さらに、tracrRNAネクサスとヘアピンは、Cas9対合に重要であり、異なるCas9タンパク質を隔てる直交性障壁を越えるように交換することができ、これは直交性Cas9タンパク質のさらなる利用に役立つ。一部の実施形態では、ネクサスおよびヘアピンは、直交Cas9タンパク質を標的とするために交換される。一部の実施形態では、sgRNAは、よりコンパクトであり、立体構造的に安定であるガイドRNAを設計するのに、上部ステム、ヘアピン1、および/または下部ステムの配列柔軟性を必要としない。一部の実施形態では、様々なキメラガイドとともに単一のCas9を使用して、またはキメラsgRNAの異なる組合せとともに直交系を同時に使用することにより、多重編集を最適化するようにモジュールを改変される。ガイド機能モジュールおよびその方法に関する詳細は、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるBrinerら、Guide RNA Functional Modules Direct Cas9 Activity and Orthogonality Mol Cell.2014年10月23日;56(2):333~339に記載される。
【0607】
本明細書に開示する塩基エディターのドメインは、任意の順序で配列することができる。例えば、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン(例えば、Cas9またはCas12)およびデアミナーゼドメイン(例えば、シチジンまたはアデノシンデアミナーゼ)を含む融合タンパク質を含む塩基エディターの非限定的な例は、以下のように配置することができる:
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[デアミナーゼ]-リンカー1-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[デアミナーゼ]-リンカー1-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー2-[UGI]-COOH;
NH2-[デアミナーゼ]-リンカー1-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-リンカー1-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[デアミナーゼ]-COOH;
NH2-[デアミナーゼ]-[核酸塩基編集ドメイン]-[イノシンBER阻害剤]-COOH;
NH2-[デアミナーゼ]-[イノシンBER阻害剤]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[イノシンBER阻害剤]-[デアミナーゼ]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[デアミナーゼ]-[イノシンBER阻害剤]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[イノシンBER阻害剤]-[デアミナーゼ]-COOH;
NH2-[イノシンBER阻害剤]-[核酸塩基編集ドメイン]-[デアミナーゼ]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[デアミナーゼ]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[デアミナーゼ]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[デアミナーゼ]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[デアミナーゼ]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[デアミナーゼ]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-[イノシンBER阻害剤]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[デアミナーゼ]-[核酸塩基編集ドメイン]-[イノシンBER阻害剤]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[デアミナーゼ]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-[イノシンBER阻害剤]-COOH;
NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[デアミナーゼ]-[核酸塩基編集ドメイン]-[イノシンBER阻害剤]-COOH;
NH2-[イノシンBER阻害剤]-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[デアミナーゼ]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[イノシンBER阻害剤]-[核酸塩基編集ドメイン]-リンカー1-[デアミナーゼ]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;
NH2-[イノシンBER阻害剤]-[核酸塩基編集ドメイン]-[デアミナーゼ]-リンカー2-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH;または
NH2-[イノシンBER阻害剤]NH2-[核酸塩基編集ドメイン]-[デアミナーゼ]-[核酸塩基編集ドメイン]-COOH。
【0608】
一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基編集融合タンパク質または複合体は、例えば、標的塩基が定義される領域(例えば、「脱アミノ化ウインドウ」)内に配置される正確な位置に配置される必要がある。一部の実施形態では、標的は、4塩基領域内であり得る。一部の実施形態では、このような定義される標的領域は、PAMの約15塩基上流であり得る。全内容が参照により本明細書に組み込まれるKomor,A.C.ら、「Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage」、Nature 533、420~424(2016);Gaudelli,N.M.ら、「Programmable base editing of A・T to G・C in genomic DNA without DNA cleavage」、Nature 551、464~471(2017);およびKomor,A.C.ら、「Improved base excision repair inhibition and bacteriophage Mu Gam protein yields C:G-to-T:A base editors with higher efficiency and product purity」、Science Advances 3:eaao4774(2017)を参照されたい。
【0609】
定義された標的領域は、脱アミノ化ウインドウであり得る。脱アミノ化ウインドウは、塩基エディターが標的ヌクレオチドに作用して脱アミノ化する定義された領域であり得る。一部の実施形態では、脱アミノ化ウインドウは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10塩基領域内である。一部の実施形態では、脱アミノ化ウインドウは、PAMの、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25塩基上流である。
【0610】
本開示の塩基エディターは、標的ポリヌクレオチド配列の編集を促進する任意のドメイン、特徴またはアミノ酸配列を含み得る。例えば、一部の実施形態では、塩基エディターは、核局在化配列(NLS)を含む。一部の実施形態では、塩基エディターのNLSは、デアミナーゼドメインとnapDNAbpドメインとの間に局在化する。一部の実施形態では、塩基エディターのNLSは、napDNAbpドメインのC末端に局在化する。
【0611】
融合タンパク質または複合体に含まれ得るタンパク質ドメインの非限定的な例としては、デアミナーゼドメイン(例えば、アデノシンデアミナーゼまたはシチジンデアミナーゼ)、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)ドメイン、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、および/または本明細書に記載される1つもしくは複数の活性を有するタンパク質ドメインが挙げられる。
【0612】
ドメインは、検出され得るか、またはエピトープタグ、レポータータンパク質、他の結合ドメインで標識され得る。エピトープタグの非限定的な例としては、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザ赤血球凝集素(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ、およびチオレドキシン(Trx)タグが挙げられる。レポーター遺伝子の例としては、限定されないが、グルタチオン-5-トランスフェラーゼ(GST)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HcRed、DsRed、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、および青色蛍光タンパク質(BFP)を含む自己蛍光タンパク質が挙げられる。追加のタンパク質配列は、DNA分子に結合するか、または他の細胞分子に結合するアミノ酸配列を含むことができ、限定されないが、マルトース結合タンパク質(MBP)、S-タグ、Lex A DNA結合ドメイン(DBD)融合、GAL4 DNA結合ドメイン融合、および単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合を含む。
【0613】
シチジンまたはアデノシンデアミナーゼおよびCas9ドメインを含む融合タンパク質または複合体を使用する方法
本開示の一部の態様は、本明細書において提供される融合タンパク質または複合体を使用する方法を提供する。例えば、本開示の一部の態様は、DNA分子を、本明細書において提供される融合タンパク質または複合体のいずれか、および本明細書に記載される少なくとも1つのガイドRNAと接触させるステップを含む方法を提供する。
【0614】
一部の実施形態では、本発明の融合タンパク質または複合体は、目的の標的遺伝子を編集するために使用される。特に、本明細書に記載されるシチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼ核酸塩基エディターは、標的配列内に複数の突然変異を作製することができる。これらの突然変異は、標的の機能に影響を与えることがある。例えば、シチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼ核酸塩基エディターは、調節領域を標的化するために使用される場合、調節領域の機能は変更され、下流のタンパク質の発現は低減または消失される。
【0615】
それぞれの配列における特定の位置または残基の番号付けは、使用される特定のタンパク質および番号付けスキームに依存することが理解される。番号付けは、例えば、成熟タンパク質の前駆体と成熟タンパク質自体とにおいて異なる可能性があり、種間の配列の相違が番号付けに影響することがある。当業者は、当該技術分野において周知である方法によって、例えば、配列アラインメントおよび相同な残基の決定によって、任意の相同なタンパク質およびそれぞれのコードする核酸におけるそれぞれの残基を同定することができる。
【0616】
本明細書に開示するように、Cas9ドメインおよびシチジンまたはアデノシンデアミナーゼを含む融合タンパク質または複合体のいずれかを標的部位、例えば、編集されるべき突然変異を含む部位に標的化するために、融合タンパク質または複合体をガイドRNA、例えば、sgRNAとともに同時発現することが典型的には必要であることは、当業者には明らかである。本明細書の他の箇所でより詳細に説明されるように、ガイドRNAは、典型的には、Cas9結合を可能にするtracrRNAフレームワーク、およびCas9:核酸編集酵素/ドメイン融合タンパク質または複合体に配列特異性を付与するガイド配列を含む。あるいは、ガイドRNAおよびtracrRNAは、2つの核酸分子として別々に提供され得る。一部の実施形態では、ガイドRNAは構造を含み、ガイド配列は標的配列と相補的な配列を含む。ガイド配列は、典型的には、20ヌクレオチド長である。Cas9:核酸編集酵素/ドメイン融合タンパク質または複合体を特定のゲノム標的部位に標的化するための適切なガイドRNAの配列は、本開示に基づいて、当業者には明らかである。このような適切なガイドRNA配列は、典型的には、編集されるべき標的ヌクレオチドの上流または下流の50ヌクレオチド以内の核酸配列と相補的なガイド配列を含む。提供される融合タンパク質または複合体のいずれかを特定の標的配列に標的化するのに適したいくつかの例示的なガイドRNA配列が、本明細書に提供される。
【0617】
多重編集
一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディター系は、1つもしくは複数の遺伝子またはポリヌクレオチド配列における複数の核酸塩基対の多重編集が可能である。一部の実施形態では、複数の核酸塩基対は、同じ遺伝子または1つもしくは複数の遺伝子に位置し、少なくとも1つの遺伝子が異なる遺伝子座に位置する。一部の実施形態では、多重編集は、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、多重編集は、1つまたは複数の塩基エディター系を含む。一部の実施形態では、多重編集は、単一のガイドポリヌクレオチドまたは複数のガイドポリヌクレオチドを有する1つまたは複数の塩基エディター系を含む。一部の実施形態では、多重編集は、単一の塩基エディター系を有する1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、多重編集は、標的ポリヌクレオチド配列への結合を標的化するためにPAM配列を必要とするかまたは必要としない少なくとも1つのガイドポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、多重編集は、標的ポリヌクレオチド配列への結合を標的化するためにPAM配列を必要としない少なくとも1つのガイドポリヌクレオチドと、標的ポリヌクレオチド配列への結合を標的化するためにPAM配列を必要とする少なくとも1つのガイドポリヌクレオチドとの混合物を含む。本明細書に記載される塩基エディターのいずれかを使用する多重編集の特徴は、本明細書において提供される任意の塩基エディターを使用する方法の任意の組合せに適用できることが理解されるべきである。また、本明細書に記載される塩基エディターのいずれかを使用する多重編集は、複数の核酸塩基対の一連の編集を含み得ることが理解されるべきである。
【0618】
一部の実施形態では、複数の核酸塩基対は1つまたは複数の遺伝子中にある。一部の実施形態では、複数の核酸塩基対は、同じ遺伝子にある。一部の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子中の少なくとも1つの遺伝子は異なる遺伝子座に位置する。
【0619】
一部の実施形態では、編集は、少なくとも1つのタンパク質コード領域、少なくとも1つのタンパク質非コード領域、または少なくとも1つのタンパク質コード領域と少なくとも1つのタンパク質非コード領域とにおける複数の核酸塩基対の編集である。
【0620】
一部の実施形態では、編集は、1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドと合わせて行われる。一部の実施形態では、塩基エディター系は、1つまたは複数の塩基エディター系を含む。一部の実施形態では、塩基エディター系は、単一のガイドポリヌクレオチドまたは複数のガイドポリヌクレオチドと合わさった1つまたは複数の塩基エディター系を含む。一部の実施形態では、編集は、単一の塩基エディター系を有する1つまたは複数のガイドポリヌクレオチドと合わせて行われる。一部の実施形態では、編集は、標的ポリヌクレオチド配列への結合を標的化するためにPAM配列を必要としない少なくとも1つのガイドポリヌクレオチド、または標的ポリヌクレオチド配列への結合を標的化するためにPAM配列を必要とする少なくとも1つのガイドポリヌクレオチド、または標的ポリヌクレオチド配列への結合を標的化するためにPAM配列を必要としない少なくとも1つのガイドポリヌクレオチドと標的ポリヌクレオチド配列への結合を標的化するためにPAM配列を必要とする少なくとも1つのガイドポリヌクレオチドとの混合物と合わせて行われる。本明細書に記載される塩基エディターのいずれかを使用する多重編集の特徴は、本明細書において提供される塩基エディターのいずれかを使用するための方法の任意の組合せに適用し得ることが理解されるべきである。編集は、複数の核酸塩基対の一連の編集を含み得ることもまた理解されるべきである。
【0621】
一部の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子における複数の核酸塩基対の多重編集が可能な塩基エディター系は、ABE7、ABE8、および/またはABE9塩基エディターのうちの1つを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む多重編集が可能な塩基エディター系は、ABE7塩基エディターのうちの1つを含む多重編集が可能な塩基エディター系と比較して、より高い多重編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む多重編集が可能な塩基エディター系は、ABE7塩基エディターのうちの1つを含む多重編集が可能な塩基エディター系と比較して、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、少なくとも175%、少なくとも180%、少なくとも185%、少なくとも190%、少なくとも195%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、少なくとも300%高い、少なくとも310%、少なくとも320%、少なくとも330%、少なくとも340%、少なくとも350%、少なくとも360%、少なくとも370%、少なくとも380%、少なくとも390%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%高い多重編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む多重編集が可能な塩基エディター系は、ABE7塩基エディターのうちの1つを含む多重編集が可能な塩基エディター系と比較して、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.1倍、少なくとも3.2倍、少なくとも3.3倍、少なくとも3.4倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、または少なくとも6.0倍高い多重編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される1つまたは複数の遺伝子における複数の核酸塩基対の多重編集が可能な塩基エディター系の使用は、染色体転座のリスクまたは発生を含まない。
【0622】
塩基エディター効率
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法の目的は、遺伝子編集を介して遺伝子および/または遺伝子産物を変更することである。本明細書において提供される核酸塩基編集タンパク質は、in vitroまたはin vivoで遺伝子編集に基づくヒトの治療のために使用することができる。当業者は、本明細書において提供される核酸塩基編集タンパク質、例えば、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン(例えば、Cas9)および核酸塩基編集ドメイン(例えば、アデノシンデアミナーゼドメインまたはシチジンデアミナーゼドメイン)を含む融合タンパク質または複合体を使用して、AからGまたはCからTにヌクレオチドを編集し得ることを理解する。
【0623】
有利なことに、本明細書において提供される塩基編集系は、二本鎖DNA切断を生成することなく、ドナーDNA鋳型を必要とすることなく、CRISPRが行い得るような過剰な確率的挿入および欠失を誘導することなく、ゲノム編集を提供する。一部の実施形態では、本開示は、意図しない点突然変異などの意図しない突然変異を相当数生成することなく、核酸(例えば、対象のゲノム内の核酸)において、終止コドンなどの意図する突然変異を効率的に生成する塩基エディターを提供する。一部の実施形態では、意図される突然変異は、意図される突然変異を生成するように具体的に設計された、ガイドポリヌクレオチド(例えば、gRNA)に結合した特定の塩基エディター(例えば、アデノシン塩基エディターまたはシチジン塩基エディター)によって生成される突然変異である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、疾患または障害、例えば、自己免疫疾患に関連する標的抗原に関連する遺伝子におけるものである。一部の実施形態では、意図される突然変異は、疾患または障害、例えば、自己免疫疾患に関連する標的抗原に関連する遺伝子におけるアデニン(A)からグアニン(G)への点突然変異(例えば、SNP)である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、遺伝子のコード領域または非コード領域(例えば、調節領域またはエレメント)内のアデニン(A)からグアニン(G)への点突然変異である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、疾患または障害、例えば、自己免疫疾患に関連する標的抗原に関連する遺伝子におけるシトシン(C)からチミン(T)への点突然変異(例えば、SNP)である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、遺伝子のコード領域または非コード領域(例えば、調節領域またはエレメント)内のシトシン(C)からチミン(T)への点突然変異である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、終止コドンを生成する点突然変異、例えば、遺伝子のコード領域内の未成熟終止コドンを生成する点突然変異である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、終止コドンを消失させる突然変異である。
【0624】
本発明の塩基エディターは、有意な比率のインデルを生成することなく、タンパク質をコードする特定のヌクレオチド塩基を有利に改変する。「インデル」とは、本明細書で使用される場合、核酸内のヌクレオチド塩基の挿入または欠失を指す。このような挿入または欠失は、遺伝子のコード領域内のフレームシフト突然変異を導き得る。一部の実施形態では、核酸中に多数の挿入または欠失(すなわち、インデル)を生成することなく、核酸内の特定のヌクレオチドを効率的に改変する(例えば、突然変異させる)塩基エディターを生成することが望ましい。一部の実施形態では、核酸中に多数の挿入または欠失(すなわち、インデル)を生成することなく、核酸内の特定のヌクレオチドを効率的に改変する(例えば、突然変異させるかまたはメチル化する)塩基エディターを生成することが望ましい。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターのいずれも、インデルに対して、より多くの比率の意図される改変(例えば、メチル化)を生成することができる。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターのいずれも、インデルに対して、より多くの比率の意図される改変(例えば、突然変異)を生成することができる。
【0625】
一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターは、1:1を超える意図された突然変異対インデルの比(すなわち、意図される点突然変異:意図されない点突然変異)を生成することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターは、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも2.5:1、少なくとも3:1、少なくとも3.5:1、少なくとも4:1、少なくとも4.5:1、少なくとも5:1、少なくとも5.5:1、少なくとも6:1、少なくとも6.5:1、少なくとも7:1、少なくとも7.5:1、少なくとも8:1、少なくとも10:1、少なくとも12:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも200:1、少なくとも300:1、少なくとも400:1、少なくとも500:1、少なくとも600:1、少なくとも700:1、少なくとも800:1、少なくとも900:1、または少なくとも1000:1、またはそれ以上である意図される突然変異対インデルの比を生成することができる。意図される突然変異およびインデルの数は、任意の適切な方法を使用して決定され得る。
【0626】
一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターは、核酸の領域におけるインデルの形成を限定し得る。一部の実施形態では、この領域は、塩基エディターによって標的化されるヌクレオチドにあるか、または塩基エディターによって標的化されるヌクレオチドの2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10ヌクレオチド内の領域にある。一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターのいずれも、核酸の領域におけるインデルの形成を1%未満、1.5%未満、2%未満、2.5%未満、3%未満、3.5%未満、4%未満、4.5%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、12%未満、15%未満、または20%未満に限定することができる。核酸領域で形成されるインデルの数は、核酸(例えば、細胞のゲノム内の核酸)が塩基エディターに曝露される時間の量に依存し得る。一部の実施形態では、インデルの数または比率は、核酸(例えば、細胞のゲノム内の核酸)を塩基エディターに曝露してから少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも7日、少なくとも10日、または少なくとも14日後に決定される。
【0627】
本開示の一部の態様は、本明細書において提供される塩基エディターのいずれも、かなりの数の意図されない突然変異(例えば、偽のオフターゲット編集またはバイスタンダー編集)を生成することなく、核酸(例えば、対象のゲノム内の核酸)において意図される突然変異を効率的に生成することができるという認識に基づく。一部の実施形態では、意図される突然変異は、意図される突然変異を生成するように具体的に設計された、gRNAに結合する特定の塩基エディターによって生成される突然変異である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、終止コドンを生じる突然変異、例えば、遺伝子のコード領域内の未成熟終止コドンを生じる突然変異である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、終止コドンを消失させる突然変異である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、遺伝子のスプライシングを変更させる突然変異である。一部の実施形態では、意図される突然変異は、遺伝子(例えば、遺伝子プロモーターまたは遺伝子抑制因子)の調節配列を変更させる突然変異である。一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターのいずれも、1:1を超える、意図された突然変異対意図されない突然変異の比(例えば、意図された突然変異:意図されない突然変異)を生成することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターのいずれも、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも2.5:1、少なくとも3:1、少なくとも3.5:1、少なくとも4:1、少なくとも4.5:1、少なくとも5:1、少なくとも5.5:1、少なくとも6:1、少なくとも6.5:1、少なくとも7:1、少なくとも7.5:1、少なくとも8:1、少なくとも10:1、少なくとも12:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも150:1、少なくとも200:1、少なくとも250:1、少なくとも500:1、もしくは少なくとも1000:1、またはそれ以上である意図された突然変異対意図されない突然変異の比を生成することができる。本明細書に記載される塩基エディターの特徴は、融合タンパク質もしくは複合体のいずれか、または本明細書において提供される融合タンパク質もしくは複合体を使用する方法に適用され得ることが理解されるべきである。
【0628】
塩基編集は、しばしば、遺伝的改変、遺伝子改変および核酸配列の改変などの「改変」と呼ばれ、その改変が塩基編集改変であるという文脈に基づいて明確に理解することができる。したがって、塩基編集改変は、例えば、本開示を通して検討されるデアミナーゼ活性の結果としての、ヌクレオチド塩基レベルでの改変であり、これは次に、遺伝子配列の変化をもたらし、遺伝子産物に影響を及ぼし得る。したがって、本質的に、本明細書に記載される遺伝子編集改変は、構造的および/または機能的に、遺伝子の改変をもたらし得、遺伝子産物の発現が改変され得る、例えば、遺伝子の発現がノックアウトされる;あるいは逆に、増強され得る、または、いくつかの状況において、遺伝子機能または活性が改変され得る。本明細書に開示される方法を使用して、一部の実施形態では、塩基編集効率は、塩基編集が行われる遺伝子のノックダウン効率として決定され得、塩基編集は、遺伝子の発現をノックダウンすることを意図する。ノックダウンレベルは、任意の検出アッセイ、例えば、フローサイトメトリーによるタンパク質発現レベルのアッセイ;定量的RT-PCR、ノーザンブロット分析、またはピロシークエンシングなどの任意の他の適切なアッセイなどのRNA発現を検出するためのアッセイなどによって発現レベルを決定することによって定量的に確認することができ、また、ヌクレオチド配列決定反応によって定性的に確認することができる。一部の実施形態では、塩基編集効率は、塩基編集が本明細書に記載される標的配列における変更を検出するために行われた細胞のゲノムを配列決定することによって決定することができる。
【0629】
一部の実施形態では、改変、例えば、一塩基編集は、遺伝子標的化発現の少なくとも10%の低減をもたらす。一部の実施形態では、塩基編集効率は、遺伝子標的化発現の少なくとも10%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、遺伝子標的化発現の少なくとも20%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、遺伝子標的化発現の少なくとも30%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、遺伝子標的化発現の少なくとも40%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、遺伝子標的化発現の少なくとも50%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも60%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも70%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも80%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも90%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも91%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも92%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも93%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも94%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも95%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも96%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも97%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも98%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化遺伝子の発現の少なくとも99%の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、塩基編集効率は、標的化される遺伝子のノックアウト(遺伝子発現の100%ノックダウン)をもたらし得る。
【0630】
一部の実施形態では、塩基編集は、標的遺伝子の発現をわずか5%だけ低減させ得る標的遺伝子における変更を生じさせる。一部の実施形態では、塩基編集は、標的遺伝子の発現をわずか10%だけ低減させ得る標的遺伝子における変更を生じさせる。一部の実施形態では、塩基編集は、標的遺伝子の発現をわずか20%だけ低減させ得る標的遺伝子における変更を生じさせる。一部の実施形態では、塩基編集は、標的遺伝子の発現をわずか30%だけ低減させ得る変更を生じさせる。一部の実施形態では、塩基編集は、標的遺伝子の発現をわずか40%だけ低減させ得る変更を生じさせる。一部の実施形態では、塩基編集は、標的遺伝子の発現をわずか50%だけ低減させ得る変更を生じさせる。一部の実施形態では、標的遺伝子は、少なくとも2つの活性を有する遺伝子産物、例えば、タンパク質をコードする。一部の実施形態では、標的遺伝子の変更は、コードされた遺伝子産物が1つまたは複数の他の活性を効果的に行うことができるように十分な発現を維持しながら、コードされた遺伝子産物の少なくとも1つの望ましくない活性を低減させる。
【0631】
一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディター系のいずれも、標的ポリヌクレオチド配列において50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、または0.01%未満のインデル形成をもたらす。
【0632】
一部の実施形態では、標的化改変、例えば、一塩基編集は、異なるガイドRNAによる塩基編集のために、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50個の異なる内因性配列を標的化するために同時に使用される。一部の実施形態では、標的化改変、例えば、一塩基編集は、異なるガイドRNAによる塩基編集のために、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個、またはそれ以上の異なる内因性遺伝子配列を連続的に標的化するために使用される。
【0633】
本開示の一部の態様は、本明細書において提供される塩基エディターのいずれも、意図されない点突然変異(すなわち、バイスタンダーの突然変異)などの有意な数の意図されない突然変異を生成することなく、核酸(例えば、対象のゲノム内の核酸)において、点突然変異などの意図される突然変異を効率的に生成することができるという認識に基づく。一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターのいずれも、少なくとも0.01%の意図される突然変異(すなわち、少なくとも0.01%の塩基編集効率)を生成することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターのいずれも、少なくとも0.01%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の意図される突然変異を生成することができる。
【0634】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系のいずれも、標的ポリヌクレオチド配列において、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、または0.01%未満のインデル形成をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系のいずれも、標的ポリヌクレオチド配列において0.8%未満のインデル形成をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系のいずれも、標的ポリヌクレオチド配列において多くとも0.8%のインデル形成をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系のいずれも、標的ポリヌクレオチド配列において0.3%未満のインデル形成をもたらす。一部の実施形態では、記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系のいずれも、ABE7塩基エディターのうちの1つを含む塩基エディター系と比較して、標的ポリヌクレオチド配列においてより低いインデル形成をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系のいずれも、ABE7.10を含む塩基エディター系と比較して、標的ポリヌクレオチド配列においてより低いインデル形成をもたらす。
【0635】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系のいずれも、ABE7塩基エディターのうちの1つを含む塩基エディター系と比較して、低減したインデル頻度を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8核酸エディターバリアントのうちの1つを含む核酸エディター系のいずれも、ABE7塩基エディターの1つを含む塩基エディター系と比較して、インデル頻度において少なくとも0.01%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の低減を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系は、ABE7.10を含む塩基エディター系と比較して、インデル頻度において少なくとも0.01%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の低減を有する。
【0636】
本発明は、増加した効率および特異性を有するアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、ABE8バリアント)を提供する。特に、本明細書に記載されるアデノシンデアミナーゼバリアントは、ポリヌクレオチド内の所望の塩基を編集する可能性が高く、変更されることを意図しない塩基(例えば、「バイスタンダー」)を編集する可能性は低い。
【0637】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基編集系のいずれも、低減したバイスタンダー編集または突然変異を有する。一部の実施形態では、意図しない編集または突然変異は、バイスタンダー突然変異またはバイスタンダー編集、例えば、標的ヌクレオチド配列の標的ウインドウにおける意図しないかまたは非標的な位置における標的塩基(例えば、AまたはC)の塩基編集である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基編集系のいずれも、ABE7塩基エディターを含む塩基エディター系、例えば、ABE7.10と比較して、低減したバイスタンダー編集または突然変異を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基編集系のいずれも、ABE7塩基エディターを含む塩基エディター系、例えばABE7.10と比較して、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減したバイスタンダー編集または突然変異を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基編集系のいずれも、ABE7塩基エディターを含む塩基エディター系、例えば、ABE7.10と比較して、1.1分の1以下、1.2分の1以下、1.3分の1以下、1.4分の1以下、1.5分の1以下、1.6分の1以下、1.7分の1以下、1.8分の1以下、1.9分の1以下、2.0分の1以下、2.1分の1以下、2.2分の1以下、2.3分の1以下、2.4分の1以下、2.5分の1以下、2.6分の1以下、2.7分の1以下、2.8分の1以下、2.9分の1以下、または3.0分の1以下に低減したバイスタンダー編集または突然変異を有する。
【0638】
一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディター系のいずれも、1つまたは複数のヌクレオチド(例えば、オフターゲットヌクレオチド)の70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%、40%未満、30%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、または0.01%未満のバイスタンダー編集をもたらす。
【0639】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系のいずれも、低減した偽の編集を有する。一部の実施形態では、意図しない編集または突然変異は、偽の突然変異または偽の編集、例えば、ゲノムの意図しない領域または非標的領域における標的塩基(例えば、AまたはC)の非特異的編集またはガイド独立編集である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基エディター系のいずれも、ABE7塩基エディター、例えば、ABE7.10を含む塩基エディター系と比較して、低減した偽の編集を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基編集系のいずれも、ABE7塩基エディター、例えば、ABE7.10を含む塩基エディター系と比較して、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減した偽の編集を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む塩基編集系のいずれも、ABE7塩基エディターを含む塩基エディター系、例えば、ABE7.10と比較して、1.1分の1以下、1.2分の1以下、1.3分の1以下、1.4分の1以下、1.5分の1以下、1.6分の1以下、1.7分の1以下、1.8分の1以下、1.9分の1以下、2.0分の1以下、2.1分の1以下、2.2分の1以下、2.3分の1以下、2.4分の1以下、2.5分の1以下、2.6分の1以下、2.7分の1以下、2.8分の1以下、2.9分の1以下、または3.0分の1以下に低減した偽の編集を有する。
【0640】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、少なくとも0.01%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の塩基編集効率を有する。一部の実施形態では、塩基編集効率は、細胞集団において編集された核酸塩基のパーセンテージを計算することによって測定することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、細胞集団において編集された核酸塩基によって測定した場合、少なくとも0.01%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の塩基編集効率を有する。
【0641】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、ABE7塩基エディターと比較して、より高い塩基編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8核酸エディターバリアントのいずれも、ABE7塩基エディター、例えば、ABE7.10と比較して、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、少なくとも175%、少なくとも180%、少なくとも185%、少なくとも190%、少なくとも195%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、少なくとも300%、少なくとも310%、少なくとも320%、少なくとも330%、少なくとも340%、少なくとも350%、少なくとも360%、少なくとも370%、少なくとも380%、少なくとも390%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%高い塩基編集効率を有する。
【0642】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、ABE7塩基エディター、例えば、ABE7.10と比較して、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.1倍、少なくとも3.2、少なくとも3.3倍、少なくとも3.4倍、少なくとも3.5倍、少なくとも3.6倍、少なくとも3.7倍、少なくとも3.8倍、少なくとも3.9倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.1倍、少なくとも4.2倍、少なくとも4.3倍、少なくとも4.4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも4.6倍、少なくとも4.7倍、少なくとも4.8倍、少なくとも4.9倍、または少なくとも5.0倍高い塩基編集効率を有する。
【0643】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、少なくとも0.01%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%のオンターゲット塩基編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、細胞集団において編集された標的核酸塩基によって測定した場合、少なくとも0.01%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%のオンターゲット塩基編集効率を有する。
【0644】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、ABE7塩基エディターと比較して、より高いオンターゲット塩基編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、ABE7塩基エディター、例えば、ABE7.10と比較して、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、少なくとも175%、少なくとも180%、少なくとも185%、少なくとも190%、少なくとも195%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、少なくとも300%、少なくとも310%、少なくとも320%、少なくとも330%、少なくとも340%、少なくとも350%、少なくとも360%、少なくとも370%、少なくとも380%、少なくとも390%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%高いオンターゲット塩基編集効率を有する。
【0645】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、ABE7塩基エディター、例えば、ABE7.10と比較して、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.1倍、少なくとも3.2倍、少なくとも3.3倍、少なくとも3.4倍、少なくとも3.5倍、少なくとも3.6倍、少なくとも3.7倍、少なくとも3.8倍、少なくとも3.9倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.1倍、少なくとも4.2倍、少なくとも4.3倍、少なくとも4.4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも4.6倍、少なくとも4.7倍、少なくとも4.8倍、少なくとも4.9倍、または少なくとも5.0倍高いオンターゲット塩基編集効率を有する。
【0646】
本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントは、プラスミド、ベクター、LNP複合体、またはmRNAを介して宿主細胞に送達することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、mRNAとして宿主細胞に送達される。一部の実施形態では、核酸ベースの送達システム、例えば、mRNAを介して送達されるABE8塩基エディターは、編集された核酸塩基によって測定した場合、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%のオンターゲット編集効率を有する。一部の実施形態では、mRNA系によって送達されるABE8塩基エディターは、プラスミドまたはベクター系によって送達されるABE8塩基エディターと比較して、より高い塩基編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、少なくとも175%、少なくとも180%、少なくとも185%、少なくとも190%、少なくとも195%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、少なくとも300%、少なくとも310%、少なくとも320%、少なくとも330%、少なくとも340%、少なくとも350%、少なくとも360%、少なくとも370%、少なくとも380%、少なくとも390%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%高いオンターゲット編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.1倍、少なくとも3.2倍、少なくとも3.3倍、少なくとも3.4倍、少なくとも3.5倍、少なくとも3.6倍、少なくとも3.7倍、少なくとも3.8倍、少なくとも3.9倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.1倍、少なくとも4.2倍、少なくとも4.3倍、少なくとも4.4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも4.6倍、少なくとも4.7倍、少なくとも4.8倍、少なくとも4.9倍、または少なくとも5.0倍高いオンターゲット編集効率を有する。
【0647】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのうちの1つを含む核酸エディター系のいずれも、標的ポリヌクレオチド配列において、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%、0.02%未満、または0.01%未満のオフターゲット編集をもたらす。
【0648】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、ガイドされるオフターゲット編集効率が低い。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%。または、少なくとも99%低いガイドされるオフターゲット編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、1.1分の1以下、1.2分の1以下、1.3分の1以下、1.4分の1以下、1.5分の1以下、1.6分の1以下、1.7分の1以下、1.8分の1以下、1.9分の1以下、2.0分の1以下、2.1分の1以下、2.2分の1以下、2.3分の1以下、2.4分の1以下、2.5分の1以下、2.6分の1以下、2.7分の1以下、2.8分の1以下、2.9分の1以下、または3.0分の1以下のガイドされるオフターゲット編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディター突然変異体のいずれも、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、約2.2分の1以下に低減したガイドされるオフターゲット編集効率を有する。
【0649】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、より低いガイド非依存的オフターゲット編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%低いガイド非依存性オフターゲット編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントのいずれも、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、1.1分の1、1.2分の1以下、1.3分の1以下、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3.0倍、少なくとも5.0倍、少なくとも10.0倍、少なくとも20.0倍、少なくとも50.0倍、少なくとも70.0倍、少なくとも100.0倍、少なくとも120.0倍、130.0分の1以下、または150.0分の1以下のガイド非依存性オフターゲット編集効率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントは、プラスミドまたはベクター系によって送達される場合と比較して、mRNA系によって送達される場合、134.0分の1に低減したガイド非依存性オフターゲット編集効率(例えば、偽のRNA脱アミノ化)を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるABE8塩基エディターバリアントは、ゲノム全体にわたるガイド非依存性突然変異率を増加させない。
【0650】
一部の実施形態では、単一の遺伝子送達事象(例えば、形質導入、トランスフェクション、電気穿孔、または任意の他の方法による)を使用して、細胞のゲノム内の5個の配列の塩基編集を標的化することができる。一部の実施形態では、単一の遺伝子送達事象を使用して、細胞のゲノム内の6個の配列の塩基編集を標的化することができる。一部の実施形態では、単一の遺伝子送達事象を使用して、細胞のゲノム内の7個の配列の塩基編集を標的化することができる。一部の実施形態では、単一の電気穿孔事象を使用して、細胞のゲノム内の8個の配列の塩基編集を標的化することができる。一部の実施形態では、単一の遺伝子送達事象を使用して、細胞のゲノム内の9個の配列の塩基編集を標的化することができる。一部の実施形態では、単一の遺伝子送達事象を使用して、細胞のゲノム内の10個の配列の塩基編集を標的化することができる。一部の実施形態では、単一の遺伝子送達事象を使用して、細胞のゲノム内の20個の配列の塩基編集を標的化することができる。一部の実施形態では、単一の遺伝子送達事象を使用して、細胞のゲノム内の30個の配列の塩基編集を標的化することができる。一部の実施形態では、単一の遺伝子送達事象を使用して、細胞のゲノム内の40個の配列の塩基編集を標的化することができる。一部の実施形態では、単一の遺伝子送達事象を使用して、細胞のゲノム内の50個の配列の塩基編集を標的化することができる。
【0651】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法、例えば、塩基編集方法は、オフターゲット効果が最小限乃至全くない。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法、例えば、塩基編集方法は、染色体転座が最小限であるかまたは全くない。
【0652】
一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも50%の成功裏に編集された細胞集団(すなわち、成功裏に操作された細胞)をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも55%の成功裏に編集された細胞集団をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも60%の成功裏に編集された細胞集団をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも65%の成功裏に編集された細胞集団をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも70%の成功裏に編集された細胞集団をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも75%の成功裏に編集された細胞集団をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも80%の成功裏に編集された細胞集団をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも85%の成功裏に編集された細胞集団をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも90%の成功裏に編集された細胞集団をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、少なくとも95%の成功裏に編集された細胞集団をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される塩基編集方法は、首尾よく編集された細胞集団の約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%をもたらす。
【0653】
一部の実施形態では、塩基編集介入後の細胞集団中の生存細胞のパーセントは、塩基編集事象の時点で出発細胞集団の少なくとも60%、70%、80%または90%より大きい。一部の実施形態では、編集後の細胞集団中の生存細胞のパーセントは、約70%である。一部の実施形態では、編集後の細胞集団中の生存細胞のパーセントは、約75%である。一部の実施形態では、編集後の細胞集団中の生存細胞のパーセントは、約80%である。一部の実施形態では、上記のような細胞集団中の生存細胞のパーセントは、約85%である。一部の実施形態では、上記のような細胞集団中の生存細胞のパーセントは、塩基編集事象の時点で集団中の細胞の約90%、または約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。一部の実施形態では、操作された細胞集団は、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、または約100倍、in vitroでさらに拡大することができる。
【0654】
実施形態では、細胞集団は、本開示の塩基エディター、複合体、または塩基エディター系と接触した細胞の集団である。
【0655】
意図される突然変異およびインデルの数は、例えば、国際PCT出願番号PCT/US2017/045381(WO2018/027078)およびPCT/US2016/058344(WO2017/070632);Komor,A.C.ら、「Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage」、Nature 533、420~424頁(2016);Gaudelli,N.M.ら、「Programmable base editing of A・T to G・C in genomic DNA without DNA cleavage」、Nature 551、464~471(2017);およびKomor,A.C.ら、「Improved base excision repair inhibition and bacteriophage Mu Gam protein yields C:G-to-T:A base editors with higher efficiency and product purity」、Science Advances 3:eaao4774(2017)に記載されるような、任意の適切な方法を使用して決定され得る;それらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0656】
一部の実施形態では、インデル頻度を計算するために、配列決定リードは、インデルが起こり得るウインドウの両側に隣接する2つの10bp配列と正確に一致するものについてスキャンされる。正確な一致が見つからない場合、リードは分析から除外される。このインデルウインドウの長さが参照配列と正確に一致する場合、リードはインデルを含まないものとして分類される。インデルウインドウが参照配列より2塩基以上長いかまたは短い場合、配列決定リードは、それぞれ挿入または欠失として分類される。一部の実施形態では、本明細書において提供される塩基エディターは、核酸の領域におけるインデルの形成を限定し得る。一部の実施形態では、この領域は、塩基エディターによって標的化されるヌクレオチドにあるか、または塩基エディターによって標的化されるヌクレオチドの2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10ヌクレオチド内の領域にある。
【0657】
標的ヌクレオチド領域で形成されるインデルの数は、核酸(例えば、細胞のゲノム内の核酸)が塩基エディターに曝露される時間量に依存し得る。一部の実施形態では、インデルの数または比率は、標的ヌクレオチド配列(例えば、細胞のゲノム内の核酸)を塩基エディターに曝露してから少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも7日、少なくとも10日、または少なくとも14日後に決定される。本明細書に記載される塩基エディターの特徴は、融合タンパク質もしくは複合体のいずれか、または本明細書に提供される融合タンパク質もしくは複合体を使用する方法に適用され得ることが理解されるべきである。
【0658】
塩基エディターの効率性の詳細は、国際PCT出願番号PCT/US2017/045381(WO2018/027078)およびPCT/US2016/058344(WO2017/070632)に記載され、各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、全内容が参照により本明細書に組み込まれるKomor,A.C.ら、「Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage」、Nature 533、420~424(2016);Gaudelli,N.M.ら、「Programmable base editing of A・T to G・C in genomic DNA without DNA cleavage」、Nature 551、464~471(2017);およびKomor,A.C.ら、「Improved base excision repair inhibition and bacteriophage Mu Gam protein yields C:G-to-T:A base editors with higher efficiency and product purity」、Science Advances 3:eaao4774(2017)を参照されたい。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法を使用する1つまたは複数の遺伝子における複数の核酸塩基対の編集は、少なくとも1つの意図される突然変異の形成をもたらす。一部の実施形態では、前記少なくとも1つの意図される突然変異の前記形成は、遺伝子の正常な機能の破壊をもたらす。一部の実施形態では、前記少なくとも1つの意図される突然変異の前記形成は、遺伝子によってコードされるタンパク質の発現の低減または消失をもたらす。多重編集は、本明細書において提供される任意の方法または方法の組合せを使用して達成し得ることが理解されるべきである。
【0659】
送達系
ポリヌクレオチド配列(例えば、FcRnポリヌクレオチド配列)中の1つまたは複数のヌクレオチドを標的化する核酸塩基エディターの適合性は、本明細書に記載されるように評価することができる。一実施形態では、目的の単一の細胞型は、レポーター(例えば、GFP)をコードする少量のベクターとともに、本明細書に記載される塩基編集系をコードする1つまたは複数の核酸分子を用いてトランスフェクトし、形質導入し、またはそうでなければ改変される。これらの細胞は、任意の肝細胞系(例えば、初代ヒト肝細胞)、内皮細胞系、上皮細胞系、または骨髄系細胞系を含む、当該技術分野において公知である任意の細胞系であり得る。あるいは、初代細胞(例えば、ヒト)を使用することができる。細胞はまた、対象または個体から、例えば、組織生検、手術、血液、血漿、血清、または他の生体液から得ることができる。このような細胞は、最終的な細胞標的に関連し得る。
【0660】
送達は、ウイルスベクターを使用して行うことができる。一実施形態では、トランスフェクションは、脂質トランスフェクション(例えば、LipofectamineまたはFugene)を使用して、または電気穿孔によって行われ得る。トランスフェクション後、レポーター(例えば、GFP)の発現を蛍光顕微鏡によってまたはフローサイトメトリーのいずれかによって決定して、一貫して高レベルのトランスフェクションを確認することができる。これらの予備的トランスフェクションは、エディターのどの組合せが最大の活性を与えるかを決定するために、異なる核酸塩基エディターを含み得る。この系は、1つまたは複数の異なるベクターを含み得る。一実施形態では、塩基エディターは、所望の細胞型、優先的には真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞またはヒト細胞の発現のために最適化されたコドンである。核酸塩基エディターの活性は、本明細書に記載されるように、すなわち、標的配列における変更を検出するために細胞のゲノムを配列決定することによって評価することができる。サンガー配列決定では、精製したPCRアンプリコンをプラスミド骨格にクローニングし、形質転換し、ミニプレップし、単一のプライマーを用いて配列決定される。配列決定はまた、次世代シークエンシング(NGS)技術を使用して行うことができる。次世代シークエンシングを使用する場合、アンプリコンは意図する切断部位が非対称に配置された300~500bpであり得る。PCR後、次世代シークエンシングアダプターおよびバーコード(例えば、Illumina多重アダプターおよびインデックス)を、例えば、ハイスループットシークエンシング(例えば、Illumina MiSeq上)における使用のために、アンプリコンの末端に付加することができる。最初の試験において最大レベルの標的特異的な変更を誘導する融合タンパク質または複合体を、さらなる評価のために選択することができる。
【0661】
特定の実施形態では、核酸塩基エディターは、目的のポリヌクレオチドを標的化するために使用される。一実施形態では、本発明の核酸塩基エディターは、細胞のゲノム内の1つまたは複数の目的の核酸配列を標的化するために使用される1つまたは複数のガイドRNAと合わせて細胞(例えば、肝細胞、内皮細胞、上皮細胞、骨髄性細胞、またはそれらの前駆細胞)に送達され、それによって標的遺伝子(例えば、FcRnポリペプチドをコードする遺伝子)を変更する。一部の実施形態では、塩基エディターは、1つまたは複数のガイドRNAによって標的化され、1つまたは複数の目的の遺伝子(例えば、FcRnポリペプチドをコードする遺伝子)の配列に1つまたは複数の編集を導入する。
【0662】
一部の実施形態では、宿主細胞は、細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、ヒト細胞、または哺乳動物細胞から選択される。一部の実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞はヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞はin vitroである。一部の実施形態では、細胞はin vivoである。
【0663】
塩基エディター系の核酸ベースの送達
本開示による塩基エディター系をコードする核酸分子は、当該技術分野において公知である方法によって、または本明細書に記載されるように、対象に投与され得るかまたはin vitroもしくはin vivoで細胞に送達され得る。例えば、デアミナーゼ(例えば、シチジンまたはアデニンデアミナーゼ)を含む塩基エディター系は、ベクター(例えば、ウイルスまたは非ウイルスベクター)によって、または裸のDNA、DNA複合体、脂質ナノ粒子、もしくは前述の組成の組合せによって送達され得る。
【0664】
有機または無機であり得るナノ粒子は、塩基エディター系またはその成分を送達するのに有用である。ナノ粒子は当技術分野において周知であり、任意の適切なナノ粒子を使用して、塩基エディター系もしくはその成分、またはこのような成分をコードしている核酸分子を送達することができる。一例では、有機(例えば、脂質および/またはポリマー)ナノ粒子は、本開示のある特定の実施形態における送達ビヒクルとしての使用に適している。ナノ粒子製剤および/または遺伝子導入に使用するための例示的な脂質を表17(下記)に示す。
【0665】
【0666】
【0667】
表18は、遺伝子導入および/またはナノ粒子製剤において使用するための例示的ポリマーを列挙する。
【0668】
【0669】
表19は、本明細書に記載される融合タンパク質または複合体をコードするポリヌクレオチドの送達方法を概説する。
【0670】
【0671】
別の態様では、塩基エディター系成分またはこのような成分、例えば、Cas9またはそのバリアントなどのポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン(例えば、Cas9)、および目的の核酸配列を標的化するgRNAをコードする核酸の送達は、リボ核タンパク質(RNP)を細胞に送達することによって達成され得る。RNPは、標的化gRNAと複合した、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン(例えば、Cas9)を含む。本明細書に記載されるRNPまたはポリヌクレオチドは、例えば、その全体が参照により組み込まれるZuris,J.A.ら、2015、Nat.Biotechnology,33(1):73~80によって報告されているように、電気穿孔、ヌクレオフェクション、またはカチオン性脂質媒介法などの既知の方法を使用して、細胞に送達することができる。RNPは、CRISPR塩基編集系、特に初代細胞などのトランスフェクトが困難な細胞における使用に有利である。さらに、RNPはまた、特に、CRISPRプラスミドにおいて使用され得る、例えば、CMVまたはEF1Aなどの真核生物プロモーターが十分に発現されない場合に、細胞中でのタンパク質発現に伴って生じ得る困難を緩和し得る。有利なことに、RNPの使用は、細胞への外来DNAの送達を必要としない。さらに、核酸結合タンパク質およびgRNA複合体を含むRNPは経時的に分解されるため、RNPの使用は、オフターゲット効果を限定する可能性を有する。プラスミドに基づく技術と同様の方法で、RNPを用いて結合タンパク質(例えば、Cas9バリアント)を送達し、直接的な相同指向性修復(HDR)を指令することができる。
【0672】
塩基エディター系をコードする核酸分子は、例えば、トランスフェクションもしくは電気穿孔によって、裸のDNAもしくはRNAとして細胞(例えば、肝細胞もしくは肝臓の他の細胞、内皮細胞、上皮細胞、および骨髄細胞、またはそれらの前駆細胞)に直接送達され得るか、または標的細胞による取り込みを促進する分子(例えば、N-アセチルガラクトサミン)にコンジュゲートされ得る。塩基エディター系および/またはそれらの成分をコードするベクターもまた使用することができる。特定の実施形態では、ポリヌクレオチド、例えば、塩基エディター系またはその機能的成分をコードするmRNAは、本明細書に記載される1つまたは複数のガイドRNAとともに電気穿孔することができる。
【0673】
核酸ベクターは、本明細書に記載される融合タンパク質または複合体のドメインをコードする1つまたは複数の配列を含み得る。ベクターはまた、核局在化シグナル、核小体局在化シグナル、またはミトコンドリア局在化シグナルに作動可能に連結された塩基エディター系のタンパク質成分をコードし得る。一例として、ベクターは、1つまたは複数の核局在化配列(例えば、SV40由来の核局在化配列)および1つまたは複数のデアミナーゼを含むCas9コード配列を含み得る。
【0674】
ベクターはまた、任意の適切な数の調節/制御エレメント、例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロン、ポリアデニル化シグナル、Kozakコンセンサス配列、または内部リボソーム侵入部位(IRES)を含み得る。これらのエレメントは、当該技術分野において周知である。
【0675】
本開示によるベクターには、組換えウイルスベクターが含まれる。例示的なウイルスベクターは、本明細書の上記に記載されている。当該技術分野において公知である他のウイルスベクターもまた使用することができる。さらに、ウイルス粒子は、核酸および/またはタンパク質の形態で塩基エディター系成分を送達するために使用され得る。例えば、「空の」ウイルス粒子は、カーゴとして塩基エディター系または成分を含むように構築することができる。ウイルスベクターおよびウイルス粒子はまた、標的組織特異性を変更されるために標的化リガンドを組み込むように操作され得る。
【0676】
本明細書に記載されるベクターは、塩基エディター系またはその成分の発現を駆動するための調節エレメントを含み得る。このようなベクターには、逆方向長鎖末端反復配列を有するアデノ随伴ウイルス(AAV ITR)が含まれる。AAV-ITRの使用は、ベクター中の空間を占有し得るさらなるプロモーターエレメントの必要性を消失するために有利であり得る。解放された追加の空間は、ガイド核酸または選択可能マーカーなどの追加のエレメントの発現を駆動するために使用することができる。ITR活性は、過剰発現による潜在的毒性を低減させるために使用することができる。
【0677】
任意の適切なプロモーターを使用して、塩基エディター系またはその成分、および適切な場合にはガイド核酸の発現を駆動することができる。普遍的発現のために、プロモーターは、CMV、CBA、CBH、CAG、CBh、PGK、SV40、フェリチン重鎖または軽鎖を含む。脳または他のCNS細胞発現のために、適切なプロモーターは、すべてのニューロンについてシナプシンI、興奮性ニューロンについてCaMKIIalpha、GABA作動性ニューロンについてGAD67またはGAD65またはVGATを含む。肝細胞発現について、適切なプロモーターは、アルブミンプロモーターを含む。肺細胞発現について、適切なプロモーターはSP-Bを含む。内皮細胞について、適切なプロモーターはICAMを含む。造血細胞発現について、適切なプロモーターは、IFNベータまたはCD45を含む。骨芽細胞発現について、適切なプロモーターは、OG-2を含み得る。
【0678】
一部の実施形態では、本開示の塩基エディター系は、別々のプロモーターが、同じ核酸分子内で塩基エディターおよび適合性ガイド核酸の発現を駆動することを可能にするのに十分に小さいサイズのものである。例えば、ベクターまたはウイルスベクターは、塩基エディターをコードする核酸に作動可能に連結された第1のプロモーター、およびガイド核酸に作動可能に連結された第2のプロモーターを含み得る。
【0679】
ガイド核酸の発現を駆動するために用いられるプロモーターは、U6またはH1などのPol IIIプロモーター、Pol IIプロモーターの使用、およびgRNAアデノ随伴ウイルス(AAV)を発現するためのイントロンカセットを含むことができる。
【0680】
特定の実施形態では、本発明の融合タンパク質または複合体は、ウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、AAV3、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh8、AAV10、およびそれらのバリアント)、または任意のウイルスベクターの適切なカプシドタンパク質に存在するポリヌクレオチドによってコードされる。したがって、一部の態様では、本開示は、融合タンパク質または複合体のウイルス送達に関する。ウイルスベクターの例には、レトロウイルスベクター(例えば、マロニーマウス白血病ウイルス、MML-V)、アデノウイルスベクター(例えば、AD100)、レンチウイルスベクター(HIVおよびFIVベースのベクター)、ヘルペスウイルスベクター(例えば、Hsv-2)が挙げられる。
【0681】
一部の態様では、細胞中の特定の遺伝子を編集するための本明細書に記載される方法は、細胞を遺伝的に改変するために使用され得る。
【0682】
ウイルスベクター
本明細書に記載される塩基エディターは、ウイルスベクターとともに送達され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される塩基エディターは、ウイルスベクターに含まれる核酸上にコードすることができる。一部の実施形態では、塩基エディター系の1つまたは複数の成分は、1つまたは複数のウイルスベクター上にコードされ得る。例えば、塩基エディターおよびガイド核酸は、単一のウイルスベクター上にコードされ得る。他の実施形態では、塩基エディターおよびガイド核酸は、異なるウイルスベクター上にコードされる。いずれの場合も、塩基エディターおよびガイド核酸は、各々、プロモーターおよびターミネーターに作動可能に連結することができる。ウイルスベクター上にコードされる成分の組合せは、選択されたウイルスベクターのカーゴサイズの制限によって決定することができる。
【0683】
塩基エディターを送達させるためのRNAまたはDNAウイルスベースのシステムの使用は、培養中または宿主中の特定の細胞にウイルスを標的化し、ウイルスペイロードを核または宿主細胞ゲノムに輸送するための高度に進化したプロセスを利用する。ウイルスベクターは、培養中の細胞、患者(in vivo)に直接投与することができ、またはそれらは、in vitroで細胞を処理するために使用することができ、改変された細胞は、必要に応じて患者に(ex vivo)投与することができる。従来のウイルスベースのシステムには、遺伝子導入のためのレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴および単純ヘルペスウイルスベクターが含まれ得る。宿主ゲノムにおける組込みは、レトロウイルス、レンチウイルス、およびアデノ随伴ウイルス遺伝子導入法で可能であり、しばしば挿入された導入遺伝子の長期発現をもたらす。さらに、多くの異なる細胞型および標的組織において高い形質導入効率が観察されている。
【0684】
ウイルスベクターは、レンチウイルス(例えば、HIVおよびFIVベースのベクター)、アデノウイルス(例えば、AD100)、レトロウイルス(例えば、マロニーマウス白血病ウイルス、MML-V)、ヘルペスウイルスベクター(例えば、HSV-2)、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)、または他のプラスミドもしくはウイルスベクター型、特に、例えば、米国特許第8,454,972号(アデノウイルスについての処方、用量)、米国特許第8,404,658号(AAVについての処方、用量)および米国特許第5,846,946号(DNAプラスミドについての処方、用量)からの処方および用量、ならびにレンチウイルス、AAVおよびアデノウイルスを伴う臨床試験に関する臨床試験および刊行物からの処方および用量を使用することを含み得る。例えば、AAVについて、投与経路、処方および用量は、米国特許第8,454,972号およびAAVを伴う臨床試験におけるようなものであり得る。アデノウイルスについて、投与経路、処方および用量は、米国特許第8,404,658号およびアデノウイルスを含む臨床試験におけるようなものであり得る。プラスミド送達について、投与経路、処方および用量は、米国特許第5,846,946号およびプラスミドを含む臨床研究におけるものと同じであり得る。用量は、平均的な70kgの個体(例えば、成人男性)に基づくかまたは外挿することができ、患者、対象、異なる体重および種の哺乳動物に対して調整することができる。投与の頻度は、患者または対象の年齢、性別、全身の健康状態、他の状態、および取り組まれている特定の状態または症状を含む通常の因子に応じて、医学または獣医学の医師(例えば、医師、獣医師)の範囲内である。ウイルスベクターは、目的の組織に注射することができる。細胞型特異的な塩基編集について、塩基エディターおよび必要に応じたガイド核酸の発現は、細胞型特異的プロモーターによって駆動され得る。
【0685】
レトロウイルスの親和性は、外来エンベロープタンパク質を組み込むことによって変更させることができ、標的細胞の潜在的な標的集団を拡大する。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞を形質導入または感染させることができ、典型的には高いウイルス力価を産生するレトロウイルスベクターである。したがって、レトロウイルス遺伝子導入系の選択は標的組織に依存する。レトロウイルスベクターは、最大6~10kbの外来配列に対するパッケージング能力を有するシス作用性長鎖末端反復で構成される。最小のシス作用性LTRは、ベクターの複製およびパッケージングに十分であり、次に、治療用遺伝子を標的細胞に組み込んで永続的な導入遺伝子発現を提供するために使用される。広く使用されるレトロウイルスベクターには、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、シミアン免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびそれらの組合せに基づくものが含まれる(例えば、Buchscherら、J.Virol.66:2731~2739(1992);Johannら、J.Virol.66:1635~1640(1992);Sommnerfeltら、Virol.176:58~59(1990);Wilsonら、J.Virol.63:2374~2378(1989);Millerら、J.Virol.65:2220~2224(1991);PCT/US94/05700を参照されたい)。
【0686】
レトロウイルスベクター、特にレンチウイルスベクターは、標的細胞への効率的な組込みのために所与の長さよりも小さいポリヌクレオチド配列を必要とし得る。例えば、9kbを超える長さのレトロウイルスベクターは、より小さいサイズのものと比較して低いウイルス力価をもたらし得る。一部の態様では、本開示の塩基エディターは、レトロウイルスベクターを介した標的細胞への効率的なパッケージングおよび送達を可能にするのに十分なサイズのものである。一部の実施形態では、塩基エディターは、ガイド核酸および/または標的化可能なヌクレアーゼ系の他の成分と一緒に発現される場合でさえ、効率的なパッキングおよび送達を可能にするようなサイズのものである。
【0687】
パッケージング細胞は、典型的には、宿主細胞に感染し得るウイルス粒子を形成するために使用される。このような細胞には、アデノウイルスをパッケージングする293細胞、およびレトロウイルスをパッケージングするpsi.2細胞またはPA317細胞が含まれる。遺伝子治療に使用されるウイルスベクターは、通常、核酸ベクターをウイルス粒子にパッケージングする細胞系を作製することによって作製される。ベクターは、典型的には、パッケージングおよびその後の宿主への組込みに必要な最小のウイルス配列を含み、他のウイルス配列は、発現されるべきポリヌクレオチドのための発現カセットによって置き換えられる。欠けているウイルス機能は、典型的にはパッケージング細胞系によってトランスで供給される。例えば、遺伝子治療に使用されるアデノ随伴ウイルス(「AAV」)ベクターは、典型的には、宿主ゲノムへのパッケージングおよび組込みに必要なAAVゲノム由来のITR配列を有するのみである。ウイルスDNAは、他のAAV遺伝子をコードするヘルパープラスミド、すなわちrepおよびcapを含むが、ITR配列を欠く細胞系にパッケージングすることができる。細胞系はまた、ヘルパーとしてアデノウイルスに感染させることもできる。ヘルパーウイルスはAAVベクターの複製およびヘルパープラスミドからのAAV遺伝子の発現を促進することができる。いくつかの場合において、ヘルパープラスミドはITR配列の欠如のために、かなりの量がパッケージされない。アデノウイルスによる汚染は、例えば、アデノウイルスがAAVよりも感受性が高い熱処理によって低減することができる。
【0688】
一過性発現が好ましい適用において、アデノウイルスに基づく系が使用され得る。アデノウイルスに基づくベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率が可能であり、細胞分裂を必要としない。このようなベクターを用いて、高い力価およびレベルの発現が得られている。このベクターは比較的簡単な系で大量に産生させることができる。AAVベクターはまた、例えば、核酸およびペプチドのin vitro産生において、ならびにin vivoおよびex vivo遺伝子治療手順のために、標的核酸で細胞を形質導入するために使用され得る(例えば、Westら、Virology 160:38~47(1987);米国特許第4,797,368号;WO93/24641;Kotin、Human Gene Therapy 5:793~801(1994);Muzyczka,J.Clin.Invest.94:1351(1994)を参照されたい)。組換えAAVベクターの構築は、いくつかの刊行物に記載され、米国特許第5,173,414号;Tratschinら、Mol.Cell.Biol.5:3251~3260(1985);Tratschinら、Mol.Cell.Biol.4:2072~2081(1984);Hermonat および Muzyczka、PNAS 81:6466~6470(1984);およびSamulskiら、J.Virol.63:03822~3828頁(1989)が含まれる。
【0689】
一部の実施形態では、AAVベクターを使用して、目的の細胞を、本明細書において提供される塩基エディターまたは塩基エディター系をコードするポリヌクレオチドで形質導入する。AAVはパルボウイルスファミリーに属する小型の一本鎖DNA依存性ウイルスである。4.7kbの野生型(wt)AAVゲノムは、それぞれ4つの複製タンパク質と3つのカプシドタンパク質をコードする2つの遺伝子で構成され、145bpの逆方向末端反復配列(ITR)が両側に隣接する。ビリオンは、同一のオープンリーディングフレームから1:1:10の比率で産生されるが、異なるスプライシング(Vp1)および選択的翻訳開始部位(それぞれVp2およびVp3)から産生される3種類のカプシドタンパク質、Vp1、Vp2、およびVp3で構成される。Vp3はビリオンの中で最も豊富なサブユニットであり、ウイルスの親和性を規定する細胞表面での受容体認識に関与する。ウイルス感染能に機能するホスホリパーゼドメインがVp1の固有なN末端において同定されている。
【0690】
wt AAVと同様に、組換えAAV(rAAV)は、ベクター導入遺伝子カセットに隣接するシス作用性145bp ITRを利用し、外来DNAのパッケージングのために最大4.5kbを提供する。感染に続いて、rAAVは、本発明の融合タンパク質または複合体を発現することができ、環状の頭部対尾部コンカテマー中に存在するエピソームによって宿主ゲノムに組み込まれることなく持続することができる。この系を使用したin vitroおよびin vivoでのrAAVの成功例は非常に多いが、限定されたパッケージング能力は、遺伝子のコード配列の長さがwt AAVゲノムのサイズに等しいか、またはそれより大きい場合、AAV媒介性遺伝子送達の使用を限定してきた。
【0691】
ウイルスベクターは用途に応じて選択され得る。例えば、in vivo遺伝子送達では、AAVは他のウイルスベクターよりも有利であり得る。一部の実施形態では、AAVは低毒性を可能にし、これは、免疫応答を活性化することができる細胞粒子の超遠心分離を必要としない精製方法によるものであり得る。一部の実施形態では、AAVは、宿主ゲノムに組み込まれないため、挿入突然変異誘発を引き起こす確率が低い。アデノウイルスは、誘導する強い免疫原性反応のため、ワクチンとして一般的に使用されている。ウイルスベクターのパッケージング能力は、ベクターにパッケージングされ得る塩基エディターのサイズを限定し得る。
【0692】
AAVは、2つの145塩基の逆方向末端反復(ITR)を含む約4.5Kbまたは4.75Kbのパッケージング能力を有する。これは、開示された塩基エディターならびにプロモーターおよび転写ターミネーターが単一のウイルスベクターに適合できることを意味する。4.5または4.75Kbより大きい構築物は、有意に低減したウイルス産生を導き得る。例えば、SpCas9は非常に大きく、遺伝子自体は4.1Kbを超え、AAVへのパッキングを困難にしている。したがって、本開示の実施形態は、従来の塩基エディターよりも長さが短い、開示された塩基エディターを利用することを含む。一部の例では、塩基エディターは4kb未満である。開示された塩基エディターは、4.5kb、4.4kb、4.3kb、4.2kb、4.1kb、4kb、3.9kb、3.8kb、3.7kb、3.6kb、3.5kb、3.4kb、3.3kb、3.2kb、3.1kb、3kb、2.9kb、2.8kb、2.7kb、2.6kb、2.5kb、2kb、または1.5kb未満であり得る。一部の実施形態では、開示される塩基エディターは、長さが4.5kb以下である。
【0693】
AAVは、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6またはそれらの任意の組合せであり得る。標的化される細胞に関してAAVのタイプを選択することができ、例えば、脳またはニューロン細胞を標的化するためのAAV血清型1、2、5またはハイブリッドカプシドAAV1、AAV2、AAV5もしくはそれらの任意の組合せを選択することができ、心臓組織を標的とするためのAAV4を選択することができる。AAV8は、肝臓への送達に有用である。これらの細胞に関するある特定のAAV血清型の表をGrimm,D.ら、J.Virol.82:5887~5911(2008))に見出すことができる。
【0694】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターを使用して、目的の細胞に、本明細書において提供される塩基エディターまたは塩基エディター系をコードするポリヌクレオチドを形質導入する。レンチウイルスは複雑なレトロウイルスであり、有糸分裂細胞と有糸分裂後細胞の両方に感染し、遺伝子を発現する能力を有する。最も一般的に公知であるレンチウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)であり、他のウイルスのエンベロープ糖タンパク質を使用して広範な細胞型を標的とする。
【0695】
レンチウイルスは、以下のようにして調製することができる。pCasES10(レンチウイルス導入プラスミド骨格を含む)をクローニングした後、低継代(p=5)のHEK293FTは、T-75フラスコに播種され、トランスフェクションする前日に、抗生物質を含まない10%ウシ胎児血清を含むDMEM中で50%コンフルエンスにされた。20時間後、培地をOptiMEM(無血清)培地に交換し、4時間後にトランスフェクションを行った。細胞は、10μgのレンチウイルス導入プラスミド(pCasES10)および以下のパッケージングプラスミドでトランスフェクトされる:5μgのpMD2.G(VSV-gシュードタイプ)、および7.5μgのpsPAX2(gag/pol/rev/tat)。トランスフェクションは、カチオン性脂質送達剤(50μlのLipofectamine 2000および100μlのPlus試薬)を含む4mLのOptiMEM中で行うことができる。6時間後、培地は、10%ウシ胎児血清を含む抗生物質を含まないDMEMに交換される。これらの方法は、細胞培養中に血清を使用するが、無血清の方法が好ましい。
【0696】
レンチウイルスは、以下のようにして精製することができる。ウイルス上清を48時間後に採取する。上清から最初に破片を取り除き、0.45μmの低タンパク質結合(PVDF)フィルターを通して濾過する。次に、それらを超遠心分離機において24,000rpmで2時間回転させる。ウイルスペレットを50μlのDMEM中に4℃で一晩再懸濁する。次に、それらを分注し、-80℃で直ちに凍結する。
【0697】
別の実施形態では、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)に基づく最小の非霊長類レンチウイルスベクターもまた意図される。別の実施形態では、RetinoStat(登録商標)は、網膜下注射を介して送達されることが意図される、血管新生抑制タンパク質エンドスタチンおよびアンジオスタチンを発現する、ウマ伝染性貧血ウイルスベースのレンチウイルス遺伝子治療ベクターである。別の実施形態では、自己不活性化レンチウイルスベクターの使用が意図される。
【0698】
系の任意のRNA、例えば、ガイドRNAまたは塩基エディターをコードするmRNAを、RNAの形態で送達することができる。塩基エディターをコードするmRNAは、in vitro転写を使用して生成することができる。例えば、ヌクレアーゼのmRNAは、以下のエレメントを含むPCRカセットを使用して合成することができる:T7プロモーター、必要に応じたkozak配列(GCCACC)、ヌクレアーゼ配列、およびベータグロビン-ポリAテール由来の3’UTRなどの3’UTR。このカセットは、T7ポリメラーゼによる転写のために使用され得る。ガイドポリヌクレオチド(例えば、gRNA)はまた、T7プロモーター、続いて配列「GG」およびガイドポリヌクレオチド配列を含むカセットからのin vitro転写を使用して転写され得る。
【0699】
発現を増強し、起こり得る毒性を低減するために、塩基エディターをコードする配列および/またはガイド核酸は、例えば、偽のUまたは5-メチル-Cを使用して、1つまたは複数の改変されたヌクレオシドを含むように改変され得る。
【0700】
AAVベクターのパッケージング能力が小さいため、このサイズを超えるいくつかの遺伝子の送達および/または大きな生理的調節エレメントの使用は困難である。これらの課題は、例えば、送達されるタンパク質を2つ以上の断片に分割することによって対処することができ、N末端断片は分割インテイン-Nに融合され、C末端断片は分割インテイン-Cに融合される。次に、これらの断片を2つ以上のAAVベクターにパッケージングする。本明細書で使用される場合、「インテイン」とは、隣接するN末端およびC末端エクステイン(例えば、結合される断片)をライゲートする自己スプライシングタンパク質イントロン(例えば、ペプチド)を指す。異種タンパク質断片を接続するためのある特定のインテインの使用は、例えば、Woodら、J.Biol.Chem.289(21);14512~9(2014)に記載される。例えば、インテインIntNとIntCは、別々のタンパク質断片に融合した場合、互いに認識し合い、スプライシングによって切り離され、同時に、融合したタンパク質断片のN末端とC末端の隣接エクステインをライゲートし、それによって2つのタンパク質断片から全長タンパク質を再構成する。他の適切なインテインは、当業者には明らかである。
【0701】
本発明の融合タンパク質または複合体の断片は、長さが異なることができる。一部の実施形態では、タンパク質断片は、長さが2アミノ酸~約1000アミノ酸の範囲である。一部の実施形態では、タンパク質断片は、長さが約5アミノ酸~約500アミノ酸の範囲である。一部の実施形態では、タンパク質断片は、長さが約20アミノ酸~約200アミノ酸の範囲である。一部の実施形態では、タンパク質断片は、長さが約10アミノ酸~約100アミノ酸の範囲である。他の長さの適切なタンパク質断片は、当業者には明らかである。
【0702】
一実施形態では、二重AAVベクターは、大きな導入遺伝子発現カセットを2つの別々の半分(5’および3’末端、またはヘッドおよびテール)に分割することによって生成され、カセットの各半分は、(<5kbの)単一のAAVベクターにパッケージされる。次に、全長導入遺伝子発現カセットの再構築は、両方の二重AAVベクターによる同じ細胞の同時感染後に達成され、続いて(1)5’と3’ゲノム間の相同組換え(HR)(二重AAV重複ベクター);(2)5’および3’ゲノムのITR媒介性テール・ツー・ヘッドコンカテマー化(二重AAVトランススプライシングベクター);または(3)これらの2つの機構の組合せ(二重AAVハイブリッドベクター)が行われる。in vivoでの二重AAVベクターの使用は、全長タンパク質の発現をもたらす。二重AAVベクタープラットフォームの使用は、サイズが>4.7kbである導入遺伝子に対する効率的で実施可能な遺伝子導入戦略を表す。
【0703】
遺伝子導入のための非ウイルスプラットフォーム
目的の細胞中に異種ポリヌクレオチドを導入するための非ウイルスプラットフォームは、当該技術分野において公知である。
【0704】
例えば、本開示は、Cas9またはCas12(例えば、Cas12b)リボ核タンパク質複合体(RNP)-DNA鋳型複合体を使用して、異種ポリヌクレオチドを細胞のゲノムに挿入する方法を提供し、RNPは、Cas9またはCas12ヌクレアーゼドメインおよびガイドRNAを含み、ガイドRNAは、細胞のゲノムの標的領域に特異的にハイブリダイズし、Cas9ヌクレアーゼドメインは、標的領域を切断して、細胞のゲノム中に挿入部位を作り出す。次に、DNA鋳型を使用して、異種ポリヌクレオチドを導入する。実施形態では、DNA鋳型は、二本鎖または一本鎖DNA鋳型であり、DNA鋳型のサイズは、約200ヌクレオチドであるか、または約200ヌクレオチドより大きく、DNA鋳型の5’および3’末端は、挿入部位に隣接するゲノム配列に相同であるヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、DNA鋳型は、一本鎖環状DNA鋳型である。実施形態では、複合体中のRNP対DNA鋳型のモル比は、約3:1~約100:1である。
【0705】
一部の実施形態では、DNA鋳型は直鎖状DNA鋳型である。一部の例では、DNA鋳型は一本鎖DNA鋳型である。ある特定の実施形態では、一本鎖DNA鋳型は、純粋な一本鎖DNA鋳型である。一部の実施形態では、一本鎖DNA鋳型は、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド(ssODN)である。
【0706】
一部の実施形態では、核酸配列は、非ウイルス送達を介して細胞のゲノムに挿入される。非ウイルス送達方法において、核酸は、裸のDNAであるか、または非ウイルス性プラスミドもしくはベクター中にあり得る。
【0707】
一部の実施形態では、核酸は、(a)標的領域を切断してT細胞のゲノム中に挿入部位を作り出す標的化ヌクレアーゼ;および(b)HDRによって挿入部位に組み込まれる核酸配列を細胞に導入することによって、細胞に挿入される。
【0708】
いくつかの場合において、核酸配列は、直鎖状DNA鋳型として細胞に導入される。いくつかの場合において、核酸配列は、二本鎖DNA鋳型として細胞に導入される。いくつかの場合において、DNA鋳型は一本鎖DNA鋳型である。いくつかの場合において、一本鎖DNA鋳型は、純粋な一本鎖DNA鋳型である。本明細書で使用される場合、「純粋な一本鎖DNA」とは、DNAの他方の鎖または反対の鎖を実質的に欠く一本鎖DNAを意味する。「実質的に欠く」とは、純粋な一本鎖DNAが、DNAの別の鎖よりも少なくとも100倍を超えて一方の鎖を欠くことを意味する。いくつかの場合において、DNA鋳型は、二本鎖または一本鎖プラスミドまたはミニサークルである。
【0709】
他の実施形態では、一本鎖DNA(ssDNA)は、最小のオフターゲット組込みで効率的なHDRを産生することができる。一実施形態では、ssDNAファージは、長い環状ssDNA(cssDNA)ドナーを効率的であり、安価に産生するために使用される。これらのcssDNAドナーは、Cas9またはCas12(例えば、Cas12a、Cas12b)とともに使用した場合、直鎖状ssDNA(lssDNA)ドナーよりも優れた組込み頻度で、効率的なHDR鋳型として役立つ。
【0710】
このような鋳型を組み込む方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許公開第20190388469号、第20210388362号、第20210207174号、第20210353678号、第20200362355号、および第20210228631号に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。また、Roth,T.Lら、Reprogramming human T cell function and specificity with non-viral genome targeting. Nat.Lett.559、405~409(2018);Ferencziら、Nat ommun 12、6751(2021).doi.org/10.1038/s41467-021-27004-1;Zhangら、Homology-based repair induced by CRISPR-Cas nucleases in mammalian embryo genome editing.Protein Cell(2021)を参照されたい。
【0711】
インテイン(inteins)
インテイン(介在タンパク質:intervening protein)は、様々な多様な生物に見出される自己プロセシングドメインであり、タンパク質スプライシングとして公知であるプロセスを行う。タンパク質スプライシングは、ペプチド結合の切断と形成の両方で構成される多段階の生化学反応である。タンパク質スプライシングの内因性基質はインテインを含む生物に見られるタンパク質であるが、インテインは事実上あらゆるポリペプチド骨格を化学的に操作するためにも使用できる。
【0712】
タンパク質スプライシングでは、インテインは2つのペプチド結合を切断することによって、それ自身を前駆体ポリペプチドから切り出し、それによって新しいペプチド結合の形成を介して隣接するエクステイン(外部のタンパク質)配列をライゲートする。この再編成は、翻訳後(またはおそらく翻訳と同時に)に起こる。インテインを介したタンパク質のスプライシングは自発的に起こり、インテインドメインの折り畳みだけが必要である。
【0713】
インテインの約5%は分割インテインであり、N-インテインとC-インテインという2つの別々のポリペプチドとして転写および翻訳され、各々が1つのエクステインに融合する。翻訳されると、インテイン断片は自発的かつ非共有的に構築されて標準的なインテイン構造となり、トランスでタンパク質スプライシングを行う。タンパク質スプライシングの機構は、インテイン-エクステイン接合部での2つのペプチド結合の切断と、NとCエクステインとの間の新しいペプチド結合の形成をもたらす一連のアシル転移反応を伴う。このプロセスは、N-エクステインとインテインとのN末端を接続するペプチド結合の活性化によって開始される。事実上すべてのインテインは、C末端Nエクステイン残基のカルボニル炭素を攻撃するシステインまたはセリンをN末端に有する。このNからO/Sへのアシルシフトは、保存されたスレオニンおよびヒスチジン(TXXHモチーフと呼ばれる)と、一般に見出されるアスパラギン酸によって促進され、直鎖状(チオ)エステル中間体の形成をもたらす。次に、この中間体は、システイン、セリン、またはスレオニンである最初のC-エクステイン残基(+1)の求核攻撃によるtrans-(チオ)エステル化を受ける。得られた分枝(チオ)エステル中間体は、インテインの高度に保存されたC末端アスパラギンの環化という固有の変換によって分解される。このプロセスは、ヒスチジン(高度に保存されたHNFモチーフに見出される)と最終的なヒスチジンによって促進され、アスパラギン酸も関また与する。このスクシンイミド形成反応により、反応性複合体からインテインが切り出され、非ペプチド連結を介して結合したエクステインが残る。この構造はインテインとは無関係に安定なペプチド結合に急速に再配列する。一部の実施形態では、分割インテインは、Gp41.1、IMPDH.1、NrdJ.1およびGp41.8から選択される(Carvajal-Vallejos,Patriciaら、「Unprecedented rates and efficiencies revealed for new natural split inteins from metagenomic sources」、J.Biol.Chem.,287巻、34(2012))。
【0714】
インテインの非限定的な例には、当該技術分野において公知である任意のインテインまたはインテイン対が含まれ、dnaEインテインに基づく合成インテイン、Cfa-N(例えば、分割インテイン-N)およびCfa-C(例えば、分割インテイン-C)インテイン対が記載され(例えば、参照により本明細書に組み込まれるStevensら、J Am Chem Soc.2016年2月24日;138(7):2162~5)、およびDnaEが含まれる。本開示に従って使用され得るインテインの対の非限定的な例としては、Cfa DnaEインテイン、Ssp GyrBインテイン、Ssp DnaXインテイン、Ter DnaE3インテイン、Ter ThyXインテイン、Rma DnaBインテイン、およびCne Prp8インテイン(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,394,604号に記載される)が挙げられる。インテインの例示的なヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、配列表に配列番号370~377で提供される。本開示の実施形態における使用に適切なインテインおよびその使用のための方法は、米国特許第10,526,401号、国際特許出願公開番号WO2013/045632、および米国特許出願公開番号US2020/0055900に記載され、その全開示が、すべての目的のために、参照により全体が明細書に組み込まれる。
【0715】
インテイン対としての使用に適切なN-インテインおよびC-インテインについてのアミノ酸およびヌクレオチド配列のさらなる非限定的な例としては、以下の表20A~20Cに列挙されるアミノ酸もしくはヌクレオチド配列、または分割インテイン対の一部として機能するその断片に対して少なくとも85%の配列同一性を有するものが挙げられる。
【0716】
【0717】
【0718】
【0719】
【0720】
インテイン-Nおよびインテイン-Cは、それぞれ、分割Cas9のN末端部分および分割Cas9のC末端部分に融合し、分割Cas9のN末端部分および分割Cas9のC末端部分を接続することができる。例えば、一部の実施形態では、インテイン-Nは、分割Cas9のN末端部分のC末端に融合され、すなわち、N-[分割Cas9のN末端部分]-[インテイン-N]-Cの構造を形成する。一部の実施形態では、インテイン-Cは、分割Cas9のC末端部分のN末端に融合され、すなわち、N-[インテイン-C]-[分割Cas9のC末端部分]-Cの構造を形成する。実施形態では、塩基エディターは、2つのポリヌクレオチドによってコードされ、一方のポリヌクレオチドは、インテイン-Nに融合した塩基エディターの断片をコードし、別のポリヌクレオチドは、インテイン-Cに融合した塩基エディターの断片をコードする。インテインが融合されるタンパク質(例えば、分割Cas9)を接続するためのインテイン媒介性タンパク質スプライシングの機構は、当該技術分野において公知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれるShahら、Chem Sci.2014;5(1):446~461に記載される。インテインを設計および使用する方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2014004336、WO2017132580、WO2013045632A1、US20150344549、およびUS20180127780に記載される。
【0721】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9)の一部または断片はインテインに融合される。ヌクレアーゼは、インテインのN末端またはC末端に融合することができる。一部の実施形態では、融合タンパク質または複合体の一部または断片はインテインに融合され、AAVカプシドタンパク質に融合される。インテイン、ヌクレアーゼおよびカプシドタンパク質は、任意の配置(例えば、ヌクレアーゼ-インテイン-カプシド、インテイン-ヌクレアーゼ-カプシド、カプシド-インテイン-ヌクレアーゼなど)で一緒に融合することができる。一部の実施形態では、塩基エディターのN末端断片(例えば、ABE、CBE)は、分割インテイン-Nに融合され、C末端断片は、分割インテイン-Cに融合される。一部の実施形態では、塩基エディターのN末端断片(例えば、ABE、CBE)は、分割インテイン-Nに融合され、C末端断片は、分割インテイン-Cに融合される。一部の実施形態では、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)ドメイン(例えば、Cas9)のN末端断片は、分割インテイン-Nに融合され、C末端断片は、分割インテイン-Cに融合される。一部の実施形態では、デアミナーゼドメイン(例えば、アデノシンまたはシチジンデアミナーゼ)のN末端断片を分割インテイン-Nに融合し、C末端断片を分割インテイン-Cに融合する。
【0722】
次に、これらの断片は、2つ以上のAAVベクターにパッケージングされる。一部の実施形態では、インテインのN末端は融合タンパク質のC末端に融合され、インテインのC末端はAAVカプシドタンパク質のN末端に融合される。
【0723】
一実施形態では、インテインは、AAVカプシドタンパク質に移植されるシチジンまたはアデノシン塩基エディタータンパク質の断片または部分を接続するために利用される。異種タンパク質断片を接続するためのある特定のインテインの使用は、例えば、Woodら、J.Biol.Chem.289(21);14512~9(2014)に記載される。例えば、インテインIntNとIntCとは、別々のタンパク質断片に融合した場合、互いに認識し合い、スプライシングによって切り離され、同時に、融合したタンパク質断片のN末端とC末端の隣接エクステインをライゲートし、それによって2つのタンパク質断片から全長タンパク質を再構成する。他の適切なインテインは、当業者には明らかである。
【0724】
一部の実施形態では、ABEは、SpCas9の選択された領域内のAla、Ser、Thr、またはCys残基でN末端およびC末端断片に分割された。これらの領域は、Cas9結晶構造解析によって同定されたループ領域に対応する。
【0725】
各断片のN末端はインテイン-Nに融合され、各断片のC末端は、以下の配列(「Cas9参照配列」と呼ばれる)において大文字で示されるアミノ酸位置S303、T310、T313、S355、A456、S460、A463、T466、S469、T472、T474、C574、S577、A589、およびS590でインテインCに融合される。
【0726】
【0727】
医薬組成物
一部の態様では、本発明は、本明細書に記載されるポリヌクレオチド、ベクター、エディター、例えば、塩基エディター、エディター系、例えば、塩基エディター系、ガイドポリヌクレオチド、融合タンパク質、複合体、融合タンパク質-ガイドポリヌクレオチド複合体、LNP、または細胞のいずれかを含む医薬組成物を提供する。
【0728】
本発明の医薬組成物は、公知の技術に従って調製することができる。例えば、Remington、The Science And Practice of Pharmacy(21版、2005)を参照されたい。一般的に、ポリヌクレオチド、ベクター、エディター、エディター系、ガイドポリヌクレオチド、融合タンパク質、複合体、もしくは融合タンパク質-ガイドポリヌクレオチド複合体、LNP、細胞、またはそれらの集団は、投与または保存の前に適切な担体と混合され、一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に受容可能な担体をさらに含む。適切な薬学的に許容される担体は、一般的に、医薬組成物を対象に投与することを補助するか、医薬組成物を送達可能な調製物に加工することを補助するか、または投与前に医薬組成物を貯蔵することを補助する不活性物質を含む。薬学的に許容される担体は、製剤の形態、均一性、粘性、pH、薬物動態、溶解性を安定化、最適化、またはそうでなければ変更し得る薬剤を含み得る。このような薬剤には、緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、希釈剤、カプセル化剤、および皮膚浸透増強剤が含まれる。例えば、担体としては、限定されないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、アルギニン、スクロース、水、グリセロール、エタノール、ソルビトール、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの組合せが挙げられ得る。
【0729】
薬学的に許容される担体として役立ち得る物質の一部の非限定的な例示としては、(1)糖、例えば、ラクトース、ブドウ糖およびスクロース;(2)デンプン、例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ;(3)セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末トラガント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク;(8)賦形剤、例えば、カカオ脂および坐薬蝋;(9)油、例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG);(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝化溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(22)増量剤、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸;(23)血清アルコール、例えば、エタノール;および(23)医薬製剤に採用される他の非毒性の適合性物質が挙げられる。湿潤剤、着色剤、離型剤、被覆剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、保存剤および酸化防止剤もまた、製剤中に存在することができる。
【0730】
医薬組成物は、約5.0~約8.0の範囲などの生理学的pHを反映する所定のレベルに製剤のpHを維持するために、1つまたは複数のpH緩衝化合物を含むことができる。水性液体製剤に使用されるpH緩衝化合物は、ヒスチジンなどのアミノ酸もしくはアミノ酸の混合物、またはヒスチジンとグリシンとなどのアミノ酸の混合物であることができる。あるいは、pH緩衝化合物は、好ましくは、製剤のpHを約5.0~約8.0の範囲などの所定のレベルに維持し、カルシウムイオンをキレート化しない薬剤である。このようなpH緩衝化合物の例証的な例には、限定されないが、イミダゾールおよび酢酸イオンが挙げられる。pH緩衝化合物は、製剤のpHを所定のレベルに維持するのに適した任意の量で存在し得る。
【0731】
医薬組成物はまた、1つまたは複数の浸透圧調節剤、すなわち、レシピエント個体の血流および血液細胞に受容可能なレベルまで製剤の浸透特性(例えば、張性、重量オスモル濃度、および/または浸透圧)を調節する化合物を含み得る。浸透圧調節剤は、カルシウムイオンをキレート化しない薬剤であり得る。浸透調節剤は、製剤の浸透特性を調節する、当業者に公知であるか、または入手可能な任意の化合物であることができる。当業者は、本発明の製剤における使用のための所与の浸透圧調節剤の適合性を経験的に決定し得る。浸透圧調節剤の適切なタイプの例証的な例としては、限定されないが、塩、例えば、塩化ナトリウムおよび酢酸ナトリウム;糖、例えば、ショ糖、デキストロースおよびマンニトール;アミノ酸、例えば、グリシン;ならびにこれらの薬剤および/または薬剤のタイプの1つまたは複数の混合物が挙げられる。浸透圧調節剤は、製剤の浸透圧特性をモジュレートするのに十分な任意の濃度で存在し得る。
【0732】
本発明の医薬組成物には、疾患の治療に有用な少なくとも1つの追加の治療剤が含まれ得る。例えば、本明細書に記載される医薬組成物の一部の実施形態は、化学療法剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、サイトカインペプチドまたはサイトカインペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、免疫抑制剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、追加の治療剤とは別々に投与することができる。
【0733】
動物またはヒトに投与される任意の組成物について、および任意の特定の投与方法について、適切な動物モデル(例えば、マウスなどのげっ歯類)における致死量(LD)およびLD50を決定することなどによる毒性;ならびに適切な応答を発揮する、組成物の投薬量、その中の成分の濃度、および組成物を投与するタイミングを決定することができる。このような決定は、当業者の知識、本開示および本明細書に引用される文献から過度の実験を必要としない。
【0734】
一部の実施形態では、医薬組成物は、対象への送達のために製剤化される。本明細書に記載される医薬組成物を投与する適切な経路には、限定されないが、局所的、皮下的、経皮的、皮内的、表皮内的、病変内、関節内、腹腔内、膀胱内、経粘膜、歯肉内、歯間、蝸牛内、経鼓室内、臓器内、硬膜外、髄腔内、筋肉内、静脈内、血管内、骨内、眼周囲、腫瘍内、脳内、および脳室内投与が含まれる。
【0735】
一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、関心のある部位(例えば、肝臓)に局所的に投与される。部位は、例えば、疾患部位または標的遺伝子が豊富に発現される部位であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、注射によって、カテーテルによって、坐薬によって、またはインプラントによって対象に投与され、インプラントは、シアラスチック膜などの膜、または繊維を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状材料である。
【0736】
他の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、制御放出系で送達される。一実施形態では、ポンプを使用することができる(例えば、Langer、1990、Science 249:1527~1533;Sefton、1989、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201;Buchwaldら、1980、Surgery 88:507;Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.、321:574を参照されたい)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる。(例えば、Medical Applications of Controlled Release(LangerおよびWise編集、CRC Press、Boca RatonFla.、1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance(SmolenおよびBall編集、Wiley、New York、1984);RangerおよびPeppas、1983、Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61を参照されたい。Levyら、1985、Science 228:190;Duringら、1989、Ann.Neurol.25:351;Howardら、1989、J.Neurosurg.71:105も参照されたい)。他の制御放出系は、例えば、Langer(上掲)に検討されている。
【0737】
一部の実施形態では、医薬組成物は、対象、例えば、ヒトへの静脈または皮下投与に適合した組成物として、日常的な手順に従って製剤化される。一部の実施形態では、注射による投与のための医薬組成物は、可溶化剤としての無菌等張使用の溶液、および注射部位の痛みを和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔薬である。一般に、成分は個別にまたは一緒に混合された単位剤形として、例えば、活性剤の量を示すアンプルあるいはサシェットとして気密封入コンテナ内で乾燥した凍結乾燥粉末または無水濃縮物として供給される。医薬品が点滴によって投与される場合、無菌の医薬品等級の水または生理食塩水を含む点滴ボトルで分注することができる。医薬組成物が注射によって投与される場合、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルは、成分が投与前に混合され得るように提供され得る。
【0738】
全身投与のための医薬組成物は、液体、例えば、無菌生理食塩水、乳酸化リンゲル液またはハンクス液であり得る。さらに、医薬組成物は、固体形態であり得、使用直前に再溶解または懸濁され得る。凍結乾燥した形態もまた企図される。医薬組成物は、脂質粒子または小胞、例えば、リポソームまたは微結晶内に含せることができ、非経口投与に適している。粒子は、組成物がその中に含まれる限り、単層または多層などの任意の適切な構造のものであり得る。化合物は、融合性脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、低レベル(5~10モル%)のカチオン性脂質を含む「安定化されたプラスミド-脂質粒子」(SPLP)に捕捉され、ポリエチレングリコール(PEG)コーティングによって安定化され得る(Zhang Y.P.ら、Gene Ther.1999、6:1438~47)。N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチル-アンモニウムメチルスルフェート、または「DOTAP」などの正に荷電した脂質は、このような粒子および小胞に特に好ましい。このような脂質粒子の調製は周知である。各々が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,880,635号;第4,906,477号;第4,911,928号;第4,917,951号;第4,920,016号;および第4,921,757号を参照されたい。
【0739】
本明細書に記載される医薬組成物は、例えば、単位用量として投与またはパッケージングすることができる。用語「単位用量」は、本開示の医薬組成物に関して使用される場合、対象のための単位投薬量として適切な物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要な希釈剤、すなわち、担体、またはビヒクルとともに、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含む。
【0740】
さらに、医薬組成物は、(a)凍結乾燥形態の本発明の化合物を含む容器、および(b)薬学的に許容される希釈剤(例えば、本発明の凍結乾燥化合物の再構成または希釈のために使用される無菌なもの)を含む第2の容器を含む医薬キットとして提供され得る。必要に応じて、このような容器に、医薬品または生物学的製造品の製造、使用または販売を規制する政府当局が指示した形式の注意書きであって、ヒト投与用の製造、使用または販売行政当局による認可を反映する、注意書きが付随してもよい。
【0741】
別の態様では、上記の疾患の治療に有用な物質を含む製造品が含まれる。一部の実施形態では、製造品は容器およびラベルを含む。適切な容器には、限定されないが、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。一部の実施形態では、容器は、本明細書に記載される疾患を治療するのに有効な組成物を保持し、無菌のアクセスポートを有することができる。例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアルであることができる。組成物中の活性剤は、本発明の化合物である。一部の実施形態では、容器上のまたは容器に付随するラベルは、組成物が選択した疾患を治療するために使用されることを示す。製造品は、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、またはデキストロース液などの薬学的に許容される緩衝剤を含む第2の容器をさらに含むことができる。さらに、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書付きのパッケージインサートを含む、商業的および使用者の観点から望ましい他の材料を含み得る。
【0742】
一部の実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質もしくはそれらをコードする核酸、gRNA、および/または複合体はいずれも、医薬組成物の一部として提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書において提供される融合タンパク質、核酸、または複合体のいずれかを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書において提供される複合体のいずれかを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、gRNAおよびカチオン性脂質と複合体を形成するRNAガイド型ヌクレアーゼ(例えば、Cas9)を含むリボ核タンパク質複合体を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、gRNA、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質、カチオン性脂質、および薬学的に許容される賦形剤を含む。実施形態では、医薬組成物は、脂質ナノ粒子および薬学的に許容される賦形剤を含む。実施形態では、脂質ナノ粒子は、本開示のgRNA、塩基エディター、複合体、塩基エディター系、もしくはそれらの成分、および/またはそれをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む。医薬組成物は、必要に応じて、1つまたは複数の追加の治療上有効な物質を含むことができる。
【0743】
一部の実施形態では、対象内で標的化ゲノム改変を行うために、本明細書において提供される組成物が、対象、例えば、ヒト対象に投与される。一部の実施形態では、細胞を対象から得て、本明細書において提供される医薬組成物のいずれかと接触させる。一部の実施形態では、対象から取り出され、医薬組成物とex vivoで接触された細胞は、必要に応じて、所望のゲノム改変が細胞において達成または検出された後に、対象に再導入される。ヌクレアーゼを含む医薬組成物を送達する方法は公知であり、例えば、すべての開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,453,242号;第6,503,717号;第6,534,261号;第6,599,692号;第6,607,882号;第6,689,558号;第6,824,978号;第6,933,113号;第6,979,539号;第7,013,219号;および第7,163,824号に記載される。本明細書に提供される医薬組成物の記載は、主にヒトへの投与に適した医薬組成物に対して指向されるが、そのような組成物は一般に、例えば、獣医学的使用のために、あらゆる種類の動物または生物への投与に適していることが、当業者によって理解される。
【0744】
組成物を種々の動物への投与に好適とするために、ヒトへの投与に適した医薬組成物を改変することは、十分に理解され、普通に熟練した獣医学の薬理学者は、あったとしても単に通常の実験を伴って、このような改変を設計および/または実施し得る。医薬組成物の投与が意図される対象には、限定されないが、ヒトおよび/または他の霊長類;哺乳動物、家畜、ペット、ならびにウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、および/またはラットなどの商業的に関連する哺乳動物;ならびに/または鳥類、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、および/もしくはシチメンチョウなどの商業的に関連する鳥類が含まれる。
【0745】
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の分野において公知であるか、または今後開発される任意の方法によって調製することができる。一般に、このような調製方法は、活性成分(を賦形剤および/または1つもしくは複数の他の補助成分と会合させ、次に、必要および/または望ましい場合、製造品を所望の単回もしくは複数回用量単位に成形および/または包装するステップを含む。医薬製剤は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことができ、本明細書で使用される場合、所望の特定の剤形に適するように、任意のおよびすべての溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などを含む。Remington’s The Science and Practice of Pharmacy、21版、A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins、Baltimore、MD、2006;全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、医薬組成物の製剤化に使用される様々な賦形剤およびその調製のための公知の技術を開示する。ヌクレアーゼを含む医薬組成物を生成するためのさらなる適切な方法、試薬、賦形剤および溶媒については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているPCT出願PCT/US2010/055131(公開番号WO2011/053982A8、2010年11月2日出願)も参照されたい。
【0746】
任意の従来の賦形剤媒体が、例えば、任意の望ましくない生物学的効果を生じるか、またはそうでなければ医薬組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することによって、物質またはその誘導体と不適合である場合を除き、その使用は、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0747】
上述のように、組成物は、有効量で投与することができる。有効量は、投与様式、治療される特定の状態、および所望の結果に依存する。それはまた、対象の状態のステージ、年齢および身体的状態、同時治療の性質、もしあれば、ならびに医師に十分に周知である同様の因子に依存し得る。治療用途では、医学的に望ましい結果を達成するのに十分な量である。
【0748】
一部の実施形態では、本開示による組成物は、様々な疾患、障害、および/または状態のいずれかの治療に使用することができる。
【0749】
治療方法
本発明の一部の態様は、必要とする対象を治療(処置)する方法であって、有効な治療量の本明細書に記載されるような医薬組成物を必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。より具体的には、治療方法は、医薬組成物の投与を必要とする対象に、本明細書において提供される1つまたは複数の作用物質を含む1つまたは複数の医薬組成物を投与するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、in vivoまたはin vitroで、塩基エディターポリペプチドおよび少なくとも1つのポリペプチドをコードする核酸分子を標的化することができる1つまたは複数のガイドRNAを発現させるか、または細胞に導入するステップを含む。
【0750】
別の実施形態では、IgG媒介性自己免疫障害の治療を必要とする対象において、IgG媒介性自己免疫障害を治療する方法であって、その中に埋め込まれた、少なくとも1つのIgG抗体またはその機能的断片のFc領域を含む脂質単分子層膜;および脂質単分子層膜に封入された脂質コアマトリクスを含むLNPを、対象に投与するステップを含み、脂質コアマトリクスは、FCGRT遺伝子の発現を緩和するか、またはFCGRT遺伝子をサイレンシングする、少なくとも1つのsiRNAまたはガイドRNAを含む、方法が提供される。
【0751】
当業者は、特定の実施形態で企図される医薬組成物の複数回投与が、所望の治療に影響を及ぼすために必要とされ得ることを認識する。例えば、組成物は、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、2年、5年、10年、またはそれ以上の期間にわたって、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、もしくは10回またはそれ以上、対象に投与され得る。このような方法のいずれかにおいて、本方法は、有効量のエディター系(例えば、塩基エディター系またはこのような系をコードするポリヌクレオチド)を対象に投与するステップを包含し得る。一部の実施形態では、単回投与は、所望の効果をもたらすのに十分である。一部の実施形態では、1~5回の投与が使用され得る。
【0752】
本明細書で企図される医薬組成物の投与は、限定されないが、注入、輸血、または非経口を含む従来の技術を使用して行うことができる。一部の実施形態では、非経口投与は、血管内、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、腫瘍内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、および胸骨内に注入または注射することを含む。
【0753】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物(例えば、塩基エディター系)は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約0.5~30mgである投薬量で投与される。別の実施形態では、投与される組成物の量は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約0.5~20mgである。別の実施形態では、投与される組成物の量は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約0.5~10mgである。別の実施形態では、投与される組成物の量は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約0.04mg、約0.08mg、約0.16mg、約0.32mg、約0.64mg、約1.25mg、約1.28mg、約1.92mg、約2.5mg、約3.56mg、約3.75mg、約5.0mg、約7.12mg、約7.5mg、約10mg、約14.24mg、約15mg、約20mg、または約30mgである。別の実施形態では、投与される組成物の量は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約1.92mg、約3.75mg、約7.5mg、約15.0mg、または約30.0mgであり、組成物は週に2回投与される。別の実施形態では、投与される組成物の量は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約1.28mg、約2.56mg、約5.0mg、約10mg、または約20mgであり、組成物は週に2回投与される。別の実施形態では、投与される組成物の量は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約1.92mg、約3.75mg、約7.5mg、約15.0mg、または約30.0mgであり、組成物は週に1回投与される。別の実施形態では、投与される組成物の量は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約1.28mg、約2.56mg、約5.0mg、約10mg、または約20mgであり、組成物は週に1回投与される。別の実施形態では、投与される組成物の量は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約1.92mg、約3.75mg、約7.5mg、約15.0mg、または約30.0mgであり、組成物は、1日1回、7日間に3回、5回、または7回投与される。別の実施形態では、組成物は、1日1回、7日間に7回、静脈内に投与される。別の実施形態では、投与される組成物の量は、ヒト対象の体重1キログラムあたり約1.28mg、約2.56mg、約5.0mg、約10mg、または約20mgであり、組成物は、1日1回、7日間に3回、5回、または7回投与される。別の実施形態では、組成物は、1日1回、7日間に7回、静脈内に投与される。
【0754】
一部の実施形態では、組成物は、0.25h、0.5h、1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、9h、10h、11h、または12hにわたって投与される。別の実施形態では、組成物は0.25~2時間にわたって投与される。別の実施形態では、組成物は1時間にわたって徐々に投与される。別の実施形態では、組成物は2時間にわたって徐々に投与される。
【0755】
キット
本発明は、対象における自己免疫障害の治療のためのキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、ゲノムエディター系またはゲノムエディター系およびガイドRNAをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、例えば、キットは、塩基エディター系または塩基エディター系をコードするポリヌクレオチドを含み、塩基エディター系は、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)、デアミナーゼ、およびガイドRNAを含む。一部の実施形態では、napDNAbpはCas9またはCas12である。一部の実施形態では、ゲノムエディター、例えば、塩基エディターをコードするポリヌクレオチドは、mRNA配列である。一部の実施形態では、デアミナーゼは、シチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼである。
【0756】
キットは、本明細書に記載されるゲノムエディター、ゲノムエディター系、塩基エディター、塩基エディター系および/または編集された細胞を使用するための書面の使用説明書をさらに含み得る。他の実施形態では、使用説明書は、以下:注意事項;警告;臨床研究;および/または参考文献のうちの少なくとも1つを含む。使用説明書は、容器(存在する場合)に直接印刷することができ、または容器に貼付したラベルとして印刷することができ、または容器にもしくは容器とともに供給される別のシート、パンフレット、カード、またはフォルダとして印刷することができる。さらなる実施形態では、キットは、適切な操作パラメーターのためのラベルまたは別々のインサート(パッケージインサート)の形態の使用説明書を含む。さらに別の実施形態では、キットは、検出、較正、または正規化のための標準として使用される、適切な陽性および陰性対照または対照試料を含む1つまたは複数の容器を含む。キットはさらに、(無菌)リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、またはデキストロース液などの薬学的に許容される緩衝剤を含む第2の容器を含むことができる。それはさらに、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書付きのパッケージインサートを含む、商業的および使用者の観点から望ましい他の材料を含むことができる。
【0757】
本発明の実施は、他に示されない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術を採用し、これらは十分に当業者の範囲内である。このような技術は、文献、例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、2版(Sambrook、1989);「Oligonucleotide Synthesis」(Gait、1984);「Animal Cell Culture」(Freshney、1987);「Methods in Enzymology」、「Handbook of Experimental Immunology」(Weir、1996);「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」(Miller and Calos、1987);「Current Protocols in Molecular Biology」(Ausubel,1987);「PCR:The Polymerase Chain Reaction」(Mullis、1994);「Current Protocols in Immunology」(Coligan、1991)において十分に説明されている。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの産生に適用可能であり、それ自体、本発明の製造および実施において考慮され得る。特定の実施形態に特に有用な技術は、以下のセクションにおいて検討される。
【0758】
以下の実施例は、本発明のアッセイ、スクリーニング、および治療方法を作製および使用する方法の完全な開示および記載を当業者に提供するために提示され、本発明者が彼らの発明とみなすものの範囲を限定することを意図しない。
【0759】
実施例
【実施例1】
【0760】
実施例1:HEK293T細胞においてFcRnポリヌクレオチドを変更するための塩基編集
HEK293T細胞においてFcRnポリヌクレオチド配列を変更することができる塩基エディター系を開発するための実験を行った。ポリヌクレオチドの変更は、コードされたFcRnポリペプチド配列の変更をもたらした。理論に束縛されるつもりはないが、構造的洞察(2B-5を参照されたい)に基づいて選択されたポリペプチド変更は、3つのカテゴリー(表21を参照されたい)に分類された:A)FcRnとIgGとの複合体の安定化および/または中性pHでのIgGとの結合親和性に関与するアミノ酸残基;B)pH依存性FcRnのIgG結合部位に対応するアミノ酸残基;およびC)W131(154)の位置がIgGへの結合を促進するのを助ける疎水性ポケットに関連するアミノ酸残基。
【0761】
【0762】
各々がガイドポリヌクレオチドおよび塩基エディターを含む塩基エディター系は、表21に列挙される位置でFcRn変更に対応するFcRn遺伝子に対する塩基エディットを促進し、表2Aおよび2Bに列挙されるガイド番号1~40に対応させるように設計した。塩基編集効率は、以下のガイド(表2Aおよび2Bを参照されたい)および表2Bに列挙されたそれらの対応する塩基エディターを含む塩基エディター系を使用して編集されたHEK293T細胞において測定された:gRNA1560
gRNA1561、gRNA1562、gRNA1563、gRNA1564、gRNA1565、gRNA1566、gRNA1567、gRNA1568、gRNA1569、gRNA1570、gRNA1571、gRNA1572、gRNA1573、gRNA1574、gRNA1575、gRNA1576、gRNA1577、gRNA1578、gRNA1579、gRNA1580、gRNA1581、gRNA1582、gRNA1583、gRNA1584、gRNA1587、gRNA1588、gRNA1589、gRNA1590、gRNA1591、gRNA1592、およびgRNA1593。各塩基編集系について測定した塩基編集効率を
図6Aおよび6Bに示し、編集されたHEK293T細胞で観察された各アミノ酸変化または変更のセットについての塩基編集効率を別々に評価した。表22は、評価された塩基エディター系に関連する主要およびバイスタンダーアミノ酸変化の概要を提供する。
【0763】
【0764】
これらの実験では、以下の塩基エディター系を使用した。
【0765】
【0766】
FcRnの機能におけるアミノ酸変化の影響を決定するために、表面プラズモン共鳴を用いて実験を行い、以下の10の変更:D130G、W131R、D130N、D130H、F110L、E116K、E115K、E116Q、M118I、およびE133Kのうちの1つを含むFcRnポリペプチドへのIgG1およびアルブミンの結合を評価した。FcRnタンパク質を以下のように産生した:EXPI293F細胞を、Expi293発現システムユーザーガイド(カタログ番号A14525、公開番号MAN0019402)に従ってトランスフェクトした。各構築物のプラスミド比は、FcRN(野生型または突然変異体)の細胞外ドメインおよびベータ2ミクログロブリン(野生型)(FcRNが会合するタンパク質)について1:1であった。トランスフェクトされた細胞をトランスフェクト後さらに4日間培養し、その後、遠心分離(7068×g、30分間、室温)および0.22μm aPES膜を通した無菌濾過によって採取した。物質を精製するまで4℃で保存した。精製はAKTA Pure(Cytiva Life Sciences)を用いて行われた。上記で概説したトランスフェクションステップからの採取材料を、1mLのHisTrap HPカラム(Cytiva Life Sciencesカタログ番号17-5247-01)を用いて精製した。
【0767】
ヒトIgG1-4およびアルブミン(Sigma A9731)に対するFcRnバリアントの親和性は、C1センサーチップ(Cytivaカタログ番号BR100540)またはCM5センサーチップ(Cytivaカタログ番号BR100399)を備えたBiacore 3000装置を用いて、25℃、流速30μL/分でSPRを用いて決定された。泳動緩衝剤は、10mMリン酸ナトリウム(pH5.8)、150mM NaCl、および0.05%Tween-20(HBS-EP)を含み、HClの滴下添加によって最終pHを5.8に調整し、次に滅菌濾過し、減圧下の超音波処理によって脱気した。野生型FcRnは、Acro Biosystems(カタログ番号FCN-H52W7)から購入し、上記のように産生された野生型および突然変異体FcRnと比較した。実験は、1)表面上に固定化されたFcRnを用いるか、または2)固定化されたアルブミンおよびIgGに結合する可溶性FcRnを用いるかの2つの配向で行われた。両方の場合において、1分間の会合段階および5分間の解離段階を使用し、PBS(pH7.4)を注入して再生を行った。応答は、参照フローセル(固定化タンパク質なし)および同じフローセルに対するブランク注入から応答を差し引くことによって二重参照した。Scrubber(BioLogic)ソフトウェアを用いて1:1ラングミュア結合モデルに反応を当てはめることによって、平衡および速度論的パラメーターを決定した。
【0768】
1)表面固定化FcRnによるSPR測定
固定化のために、EZ-リンクSulfo-NHS-ビオチニル化キット(ThermoFisherカタログ番号31425)を用いて、製造業者の指示書に従ってFcRnをビオチン化したが、NHS-ビオチンを1:1モル当量で含め、タンパク質をまばらにビオチン化したことは除く。ニュートラアビジン(ThermoFisherカタログ番号31000)を、0.1MのN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)および0.4Mの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)で7分間、表面カルボキシレート基を活性化してC1 SPRチップ表面に共有結合的に固定化し、続いて10mM酢酸ナトリウム(pH5.0)中の10μg/mlのニュートラアビジンを3分間注射した。ニュートラアビジン固定化レベルは、約1000RUであった。活性化された表面は、10wt%の3kDaポリ(エチレングリコール)アミン(PEG-アミン、JenKem Technologyカタログ番号M-NH2HCl-3000)(pH8)の7分間注入によりクエンチされ、C1センサーチップ表面への非特異的結合を低減させることが見出された。次に、30RUの捕捉レベルに達するまで1μg/ml溶液を注入することによって、ビオチン化FcRnをSPRチップ上に捕捉した。IgGアイソタイプ1~4は、最大3μMの範囲の濃度で注射し、アルブミンは最大36μMの濃度で注射した。
【0769】
2)表面固定化IgGとアルブミンによるSPR測定
ヒトIgGおよびアルブミンを、上記のようにNHS/EDC活性化によって、カルボキシメチルデキストラン含有(CM5)SPRチップ上に固定化した。10mM酢酸ナトリウム(pH5.0)中で約1000RUまでIgGまたはアルブミンを固定化した後、1Mのエタノールアミン(pH9.5)を7分間注入して不活性化を行った。可溶性FcRnを、結合について3μMでスクリーニングし、最大15μMの濃度を、選択された突然変異体について試験した。
【0770】
評価した全10個のFcRnポリペプチドがアルブミン結合を維持した(
図7A)。評価したFcRnポリペプチドのうちの4つ、すなわちW131R、E115K、M118I、およびE133Kは、低減したIgG結合を有した(
図7B)。
図7Cおよび7Dも参照されたい。表23および24は、変更E133K、M118I、およびW131Rのうちの1つを含む表面結合または非表面結合FcRnポリペプチドによる、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはアルブミンの結合について決定されたKD値を提供する。変更W131Rを含むFcRnポリペプチドは、IgGポリペプチドとの非結合を示したが、アルブミンとの結合は可能であった。FcRnのW131Rバリアント体は、溶液中で、野生型FcRnよりもアルブミンに対して高い結合親和性を示した。変更M118Iを含むFcRnポリペプチドは、IgGポリペプチドに対して中程度の親和性しか示さず、アルブミンと結合することができた。
【0771】
治療目的のためにFcRnポリペプチドのアミノ酸M118を変更することが有益であり得ることが確立されたため、ガイドRNA gRNA3265は、FcRnポリヌクレオチドにおける対応する核酸塩基変更をもたらすための塩基エディター系を標的化するために設計した。gRNA3265は、FcRnポリペプチドにおける変更M118(141)TおよびF117(140)Pを促進することが予測された。また、gRNA1578を含む塩基エディター系は、HEK293T細胞において標的FcRnポリペプチド変更M118(141)Vについて約21%の塩基編集効率を達成した(
図6Aを参照されたい)。
【0772】
【0773】
【実施例2】
【0774】
実施例2:初代ヒト肝細胞においてFcRnポリヌクレオチドを変更するための塩基編集
初代ヒト肝細胞(PHH)におけるFcRnポリヌクレオチドの塩基編集を評価するための実験を行った。実験のデザインを
図8Aに示す。初代ヒト肝細胞(PHH)共培養物を、gRNA1583またはgRNA1582(表2Aおよび2Bを参照されたい)およびアデノシン塩基エディター(ABE)を含む塩基エディター系と接触させた。細胞は、150ngのガイドRNAおよび塩基エディターをコードする450ngのmRNAでトランスフェクトし、これは、塩基エディター系の亜飽和用量(合計600ng)に達した。トランスフェクション後10日で、各観察されたアミノ酸変化についての塩基編集効率を各塩基エディター系について評価した(
図8B)。トランスフェクション後13日目に、FcRn転写物レベルをRT-qPCRを用いて評価した(
図8C)。FcRnにおける標的アミノ酸変化がW131(154)RであるガイドgRNA1583を含む塩基エディター系は、初代ヒト肝細胞において40%を超える全塩基編集効率を達成した。また、ガイドgRNA1583を用いて塩基編集した初代ヒト肝細胞におけるFcRnのmRNA発現レベルは、未編集細胞について測定したmRNA発現レベルの約70%であった。
【実施例3】
【0775】
実施例3:FcRnポリヌクレオチドを変更するための塩基編集における使用のためのガイドポリヌクレオチドの最適化
FcRnポリペプチドにW131(154)R変更を導入することを標的化する塩基編集系を用いて、HEK293T細胞において達成される塩基編集効率に対するスペーサー長の影響を評価するための実験を行った。19nt~23ntの長さの範囲のスペーサーを含む以下のガイドポリヌクレオチドを調製した:gRNA3025(19ntスペーサー)、gRNA1583(20ntスペーサー)、gRNA3026(21ntスペーサー)、gRNA3027(22ntスペーサー)、およびgRNA3028(23ntスペーサー)(表2Aおよび2Bに列挙される配列を参照されたい)。実験設計を
図9Aに示す。HEK293T細胞は、播種後1日目に、150ngのガイドポリヌクレオチドおよび450ngのアデノシン塩基エディター(ABE)をコードするmRNAでトランスフェクトされた。トランスフェクション後72時間で、細胞を採取し、次世代シークエンシングを使用して、観察された各FcRnアミノ酸変化について測定された各塩基エディター系についての塩基編集効率を評価した(
図9B)。評価されたすべてのスペーサー長は、同様の塩基編集効率と関連していた。19ヌクレオチドのスペーサー長を有するガイド(すなわち、gRNA3025)は、より長いスペーサーを含む評価された他のガイドのいずれよりもわずかに良好な塩基編集効率を有した。
【0776】
他の実施態様
上述の記載から、様々な用途および条件に適応するために、本明細書に記載された発明に対して変形および改変がなされ得ることは明らかである。このような実施形態はまた、以下の特許請求の範囲内である。
【0777】
本明細書における変数の任意の定義におけるエレメントの列挙の列挙は、任意の単一のエレメントまたは列挙されたエレメントの組合せ(またはサブコンビネーション)としてのその変数の定義を含む。本明細書に記載される実施形態の列挙は、いずれか1つの実施形態またはいずれかの他の実施形態もしくはその一部の組合せとしてその実施形態を含む。
【0778】
本明細書に言及されるすべての特許および刊行物は、あたかもそれぞれの独立した特許および刊行物が具体的に、および個々に参照によって組み込まれるように指示されたのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】