(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】液体の洗浄剤を作成するための容器、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/60 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A47J31/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522552
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 IB2022059829
(87)【国際公開番号】W WO2023062584
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524140112
【氏名又は名称】シャエラー エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェリー,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ヘフリガー,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】フォン デニケン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フレイ,フロリアン
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA30
4B104EA17
(57)【要約】
液体の洗浄剤を、特にコーヒーマシンのための洗浄水溶液を、提供するための容器(1)は、容器の内部空間(12)を定義する容器壁(11)と、容器の内部空間に向かって開く1つまたは複数の配管(13a,13b)と、1つまたは複数の配管を少なくとも1つの外部の流体配管(21)と流体密閉式に結合するための少なくとも1つの接続部材(14)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の洗浄剤を、特にコーヒーマシンのための洗浄水溶液を、提供するための容器(1)において、
前記容器の内部空間(12)を定義する容器壁(11)と、
前記容器の内部空間に向かって開く1つまたは複数の配管(13a,13b,13c)と、
1つまたは複数の前記配管を少なくとも1つの外部の流体配管(21,21’,21”)と流体密閉式に結合するための少なくとも1つの接続部材(14,14a,14b)とを含む、容器。
【請求項2】
前記容器(1)の内部空間(12)に液体の洗浄剤の作成のためのある程度の量の水溶性の物質(31)がある、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
1つまたは複数の前記配管のうちの1つの配管(13a,13b)は前記容器(1)の一方の端部(41,42)で前記容器の内部空間(12)に向かって開く、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
1つまたは複数の前記配管のうちの1つの配管(13c)は前記容器の中央領域(43)で前記容器(1)の内部空間(12)に向かって開く、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
1つまたは複数の前記配管のうちの1つの配管(13a,13c)は前記容器(1)の内部空間(12)に配置される、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記容器の内部空間(12)に配置された前記配管(13a)は硬質に構成される、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記容器の内部空間(12)に配置された前記配管(13a)は柔軟に構成される、請求項5に記載の容器。
【請求項8】
1つまたは複数の前記配管のうちの1つの配管(13a,13b,13c)は前記容器(1)と取外し可能に結合され、または結合可能である、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
1つまたは複数の前記配管のうちの1つの配管のうちの第1の配管(13a)は前記容器(1)の第1の端部(41)で前記容器の内部空間(12)に向かって開き、1つまたは複数の前記配管のうちの第2の配管(13b)は、前記第1の端部と反対を向くほうの前記容器の第2の端部(42)で前記容器の内部空間に向かって開く、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
前記容器(1)の前記第1の配管(13a)を外部の流体配管と流体密閉式に接続するための第1の接続部材(14a)と、前記容器の前記第2の配管(13b)を外部の流体配管と流体密閉式に接続するための第2の接続部材(14b)とを有する、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
前記第1の接続部材(14a)と前記第2の接続部材(14b)は前記容器(1)の第1の端部(41,42)に配置され、前記第1の配管(13a)は前記第1の接続部材から前記容器の内部空間の中で前記容器の反対側の第2の端部(42,41)へと延びる、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
前記第1の接続部材と前記第2の接続部材は共通の接続部材(14)として構成される、請求項10または11に記載の容器。
【請求項13】
前記容器(1)の内部空間(12)の容積が不変である、請求項1から12のいずれか1項に記載の容器。
【請求項14】
前記容器(1)の内部空間(12)の容積が第1の容積と第2の容積の間で可逆的に可変である、請求項1から12のいずれか1項に記載の容器。
【請求項15】
前記容器壁(11)は全面的または部分的に柔軟な材料からなり、たとえば柔軟なフィルムからなる、請求項14に記載の容器。
【請求項16】
前記容器(1)はホース状袋またはフィルム袋として構成される、請求項14または15に記載の容器。
【請求項17】
第1の柔軟な壁と第2の硬質の壁とを有し、前記第1の壁と前記第2の壁は互いに密閉式に結合され、そのようにして前記容器(1)の内部空間(12)を定義する、請求項14から16のいずれか1項に記載の容器。
【請求項18】
第1の硬質の壁と第2の柔軟な壁とを有し、前記第1の壁と前記第2の壁は柔軟な中間部材を介して互いに密閉式に結合され、そのようにして前記容器(1)の内部空間(12)を定義する、請求項14から16のいずれか1項に記載の容器。
【請求項19】
前記容器壁(11)は、管状のカートリッジと、前記管状のカートリッジの中で前記カートリッジの長軸に沿ってスライド可能に配置された、前記カートリッジを一方の端部(42)で密閉式に閉止するピストンとを有する、請求項14に記載の容器。
【請求項20】
前記容器壁(11)はベローズ(111)を有する、請求項14に記載の容器。
【請求項21】
前記容器の内部空間の中に、前記容器の最小の容積のもとで前記接続部材と前記容器の内部空間全体との間の流体接続を確立する構造が設けられる、請求項14から20のいずれか1項に記載の容器。
【請求項22】
前記流体接続構造は、前記壁の内面に配置された溝および/またはリブを有し、および/または前記容器の内部空間に配置された挿入部材、たとえば挿入されたグリッドを有する、請求項21に記載の容器。
【請求項23】
前記容器(1)の内部空間(12)が部分的または全面的に排気される、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項24】
1つまたは複数の前記接続部材は穿刺膜または隔膜(16)を含む、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項25】
1つまたは複数の前記接続部材は急速継手を含む、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項26】
1つまたは複数の前記接続部材は少なくとも1つの逆止め弁(15a,15b)を含む、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項27】
1つまたは複数の前記接続部材は作動時に前記容器の内部空間を大気または外部のオーバーフロー配管と接続する過圧弁を含む、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項28】
1つまたは複数の前記接続部材は排気弁を含み、これによって前記容器の内部空間を大気または外部の排気配管と接続可能である、先行請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項29】
液体の洗浄剤を作成する装置において、
先行請求項のうちいずれか1項に記載の少なくとも1つの容器(1)と、
前記容器へ水を供給するための第1の外部の配管と、
前記容器から液体の洗浄剤を取り出すための第2の外部の配管と、
前記容器の接続部材と流体密閉式に連結可能であり、そのようにして前記第1の外部の配管が前記容器の第1の配管と流体接続される、第1の外部の接続部材と、
前記容器の接続部材と流体密閉式に連結可能であり、そのようにして前記第2の外部の配管が前記容器の前記第1の配管または別の第2の配管と流体接続される、第2の外部の接続部材とを含む、装置。
【請求項30】
前記第1の外部の配管と前記第2の外部の配管は同一である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
請求項29または30に記載の洗浄溶液を作成する装置を有する、飲料販売機。
【請求項32】
請求項1から28のいずれか1項に記載の洗浄溶液を提供するための容器(1)を有する、飲料販売機。
【請求項33】
液体の洗浄剤を、特にコーヒーマシンのための洗浄溶液を、作成する方法において、次の各ステップを含み、
請求項1から28のいずれか1項に記載の少なくとも1つの容器(1)が準備され、前記容器の内部空間(12)には液体の洗浄剤(32)を作成するためにある程度の量の水溶性の物質(31)があり、
前記容器の配管を通して前記容器の内部空間に特定の量の水が供給され、
添加された量の水で前記容器の中の水溶性の物質の少なくとも一部が溶解し、それにより水溶液の形態の液体の洗浄剤が生じ、および
特定の量の液体の洗浄剤が前記容器の配管を通して前記容器から取り出される、方法。
【請求項34】
少なくとも1つの前記容器から特定の量の液体の洗浄剤が取り出された後に別の特定の量の水が前記容器に供給される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つの前記容器への水の供給のために、および前記容器からの液体の洗浄剤の取出のために、前記容器の同じ配管が使用される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
液体の洗浄剤の取出のために少なくとも1つの前記容器の取出配管に負圧が印加される、請求項33から35のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提項に記載されている、洗浄溶液を作成するための容器および装置、そのような装置ないしそのような容器を有する飲料販売機、ならびに洗浄溶液を作成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば完全自動式のコーヒーマシンなどの飲料自動販売機は、作成される飲料の品質を確保するために、および欠陥品を回避するために、特にスケールや脂肪残滓を取り除くために定期的に洗浄されなければならない。このような洗浄手順はしばしば高いコストがかかるため、研修を受けた人員あるいはサービス技術者しかこれを行うことができない。洗浄手順は長い時間がかかる可能性があるため、洗浄されるべき飲料自動販売機を使用できない稼働停止時間が生じてしまう。
【0003】
そのような高いコストのかかる洗浄手順を最小化するために、飲料自動販売機に自動式の洗浄ステップをインプリメントするのが好ましい。そのような洗浄ステップを、特に営業時間外や機械のスイッチオンおよびスイッチオフの際に、機械によって自動的に定期的な間隔で行うことができる。従来技術では、飲料自動販売機のためのさまざま種類の自動式の洗浄装置および方法が知られている。
【0004】
たとえば、コーヒーマシンの配管系と交換可能に接続することができる、液体の洗浄剤を入れた容器を設けることができる。たとえば米国特許出願公開第2017/0295991号明細書は、スケール除去剤を入れたカートリッジを、自動式のコーヒーマシンの連結アダプタと流体接続することができるシステムを示している。そしてコーヒーマシンは必要に応じて、液体のスケール除去剤を洗浄カートリッジから調達することができる。
【0005】
カートリッジに入れた液体の洗浄剤は、必要とされる洗浄剤の使用準備が整った定義された特性をもって存在しており、確実に適用できるという利点がある。しかし、そのような洗浄カートリッジのロジスティクスは、特に小分け、輸送、および処分は、高いコストがかかり、カートリッジの容量が限られているために液体の洗浄剤がすぐに消尽されてしまう。したがってこのような解決法は、たとえば飲食店の分野のように、処理量が多く、それに伴って洗浄の必要性が高い機械には、しばしばコスト集約的である。
【0006】
たとえば並行して作動する複数の飲料自動販売機を有する比較的大型の設備については、代替案として、比較的大きい容量を有するキャニスターなどの外部の中央の貯蔵容器から液体の洗浄剤を調達し、配管を介して個々の機械に供給することができる。このことは、比較的台数の多い機械への低コストな供給、ならびに貯蔵容器の迅速な交換を、個々の飲料自動販売機の動作状態に関わりなく可能にする。
【0007】
使用される洗浄剤は業務用の用途のために意図されており、相応に高濃度である。このことは、それに応じて作業安全性という観点から、操作者のための十分な防護対策と適切な研修を要請する。潜在的危険が比較的大きく、安全な輸送についての規定が順守されるべきであるため、潜在的に健康を脅かす液体薬品を入れた大型の缶は、ロジスティクスに関してさらに高コストになる。空になった容器の適正な処分も保証されていなくてはならない。そのような残留物は、腐食性の物質を含んでいる場合があるからである。
【0008】
同様に、固体の洗浄剤を使用することも可能である。たとえば、あらかじめ挽いたコーヒー粉を入れる自動式のコーヒーマシンの供給穴へ、タブレットの形態の洗浄剤を投入して、洗浄サイクルのための洗浄剤を提供することができる。しかしこのことは、操作者の手動式の作業ステップを前提としており、このことは自動式の動作を不可能にする。さらに、コスト上の理由から洗浄タブレットの投入を省略することが利用者によって試みられたり、適切でない製品がサードパーティにより使用される可能性があり、このことは、機械の適正な洗浄を不可能にして二次被害を引き起こしかねない。
【0009】
欧州特許出願公開第3192411号明細書は、自動式の飲料販売機洗浄のためのシステムを示している。固体状またはゲル状の洗浄剤が容器の中にあり、下方から水とともに吹き付けられる。洗浄剤が溶解し、その結果として生じる洗浄溶液が滴下して回収容器の中へ戻る。このような洗浄装置の構造は複雑であり、動作パラメータをコントロールするのが難しい。
【0010】
スイス特許出願公開第709738号明細書より、スケール除去剤のための再利用可能な容器を含む、スケール除去剤塗布装置が公知である。この容器が、スケール除去プロセスを実行するために飲料自動販売機に接続される。1つの実施形態では、この容器は袋を含んでいて、その中に、完成したスケール除去溶液ではなく、粉末状のスケール除去剤が保留されている。この容器は、容器の容量に呼応する容量のスケール除去溶液を作成するために、粉末状のスケール除去溶液を含んでいる。上から水が供給されて、これがスケール除去剤を溶解する。そして完成したスケール除去溶液が、下側に位置する出口配管を通って容器からポンプ排出される。代替の実施形態では、容器の中に水をポンプ送出するために、下側に位置する出口配管が利用される。スケール除去剤が溶解し、完成したスケール除去溶液が生じてから、ポンプ側でバルブが切り換えられて、スケール除去溶液がコーヒーマシンの配管系へとポンプ送出される。
【0011】
このような分野では、改良への全般的な要望が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0295991号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3192411号明細書
【特許文献3】スイス特許出願公開第709738号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、上で述べた公知の装置の欠点およびその他の欠点を回避する、液体の洗浄剤を、特に洗浄水溶液を、作成するための容器および装置を提供することにある。
【0014】
さらに本発明の課題は、このような装置を有する、ないしはこのような容器を利用するための、飲料自動販売機を提供することにある。
【0015】
特に本発明による容器は、輸送と取扱を安全に行えるのがよい。さらにこの容器は、頻繁に交換しなくてすむようにするために、大きい容量を有するのがよい。本発明による装置は、手動による介入なしに、できる限り長期にわたって自律的な洗浄動作を維持することができるのがよい。
【0016】
これらの課題およびその他の課題は、独立請求項の要素によって解決される。その他の好ましい実施形態は、従属請求項および発明の詳細な説明から明らかとなる。
【0017】
本発明による解決法は、それ自体として単独で好ましい、および別段の断りがない限りにおいて互いに任意に組合せ可能な、さまざまな各実施形態によってさらに改良することができる。これらの実施形態、およびこれと結びついた利点については後で説明する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様は、液体の洗浄剤を、特にコーヒーマシンのための洗浄水溶液を、提供するための容器に関する。このような本発明による容器は、容器の内部空間を定義する容器壁と、容器の内部空間に向かって開く1つまたは複数の配管と、1つまたは複数の配管を少なくとも1つの外部の流体配管と流体密閉式に結合するための少なくとも1つの接続部材とを含む。
【0019】
本発明による容器の好ましい実施態様では、容器の内部空間に、液体の洗浄剤を作成するためのある程度の量の水溶性の物質が存在する。
【0020】
このような水溶性の物質は、水溶性の固形物、水溶性の液体、水溶性のゲル、水溶性のペースト、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0021】
このような溶液は、水溶性の物質をポーションごとに溶解させることで、同じサイズの容器に入れた液体の洗浄剤が直接提供される場合よりも多い量の液体の洗浄剤を提供することを可能にする。
【0022】
特に高粘度または固体状の物質の場合におけるさらに別の利点は、固体状または高粘度の形態の該当する化学的な化合物が、取扱において、輸送のときに、および人間や環境に対する全般的な潜在的有害性に関して、たとえば流出したり飛散したりする可能性のある液体化合物よりも大幅に安全なことである。それに応じて、輸送や作業場安全性に関わる規制の設定事項も厳しさが低減される。
【0023】
水溶性の物質は、水溶性の固形物を、特別に好ましくはグラニュールまたは易流動性の粉末として構成するのが好ましい。
【0024】
水溶性の物質は、1つを超える化学的な化合物を含むことができる。
【0025】
水溶性の物質が水に溶解すると、洗浄水溶液が生じる。必要に応じて、この水溶液をさらに希釈することもできる。たとえば洗浄溶液の濃度を、洗浄されるべき飲料販売機のパラメータに合わせて、たとえば動作時間、保守状態、供給される水道水の硬度、または作成される飲料の種類や数などに合わせて、適合化することができる。同様に、たとえばpHや導電率の測定を通じて、水溶液の実際の濃度を決定することが可能である。そこから、目標濃度を達成するために必要である、さらに必要な希釈を決定することができる。
【0026】
洗浄溶液が飲料自動販売機での使用について安全であり、好ましくは使用後に希釈された形態で通常の排水管で処分できるようにするために、洗浄溶液は、希釈された濃度のもとで人間と環境にとっての懸念がないのがよい。
【0027】
液体のスケール除去剤を作成するために、水溶性の物質は、室温のもとで固体である酸、たとえば酒石酸、クエン酸、アミドスルホン酸、シュウ酸、グリコール酸、リンゴ酸、乳酸、またはこれらの混合物を含むのが好ましい。水溶性の物質が水に溶解すると、酸性の水溶液が生じる。これが飲料自動販売機の配管系に送出されると、スケール沈積が分解される。
【0028】
液体のアルカリ性洗浄剤を作成するために、水溶性の物質は基を、たとえば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、またはこれらの混合物を、含むことができる。水溶性の物質が水に溶解すると、アルカリ性の水溶液が生じる。これが飲料自動販売機の配管系に送出されると、脂肪沈積が分解される。
【0029】
水溶性の物質は、洗浄作用を向上させるために、適当なアニオン性および/または非イオン性の界面活性化合物を追加的に含むことができる。アニオン性の界面活性剤が使用されるのが好ましく、特別に好ましくはスルホン酸基を有するアニオン性の界面活性剤、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが使用される。
【0030】
別の好ましい変形例では、容器の内部空間に、砂、セラミックグラニュール、またはプラスチックグラニュールなど、ある程度の量の水不溶性の材料が配置されていてよい。このような不活性材料は塊形成が起こりにくいようにして、柔軟な容器が潰れたときに容器内部の流動経路のブロックを防止することができる。
【0031】
このような本発明による容器の別の好ましい変形例では、1つまたは複数の配管のうちの1つの配管が容器の一方の端部で容器の内部空間に向かって開く。
【0032】
さらに、1つまたは複数の配管のうちの1つの配管は、容器の中央領域で容器の内部空間に向かって開くことができる。
【0033】
1つまたは複数の配管のうちの1つの配管が容器の内部に配置されるのが好ましい。このとき容器の内部空間に配置される配管は、硬質または柔軟に構成されていてよい。
【0034】
本発明による容器の1つまたは複数の配管のうちの1つの配管は、容器と取外し可能に結合され、または結合可能であるのが好ましい。
【0035】
このような実施態様は、本発明による容器がモジュール形式に構成され得るという利点がある。たとえば、配管を取り外してから新たな水溶性の物質を再充填できることによって、容器を再利用可能であってよい。同様に、取外し可能に結合可能な配管を再利用することが可能である。
【0036】
本発明による容器の別の好ましい実施形態では、1つまたは複数の配管のうちの第1の配管が容器の第1の端部で容器の内部空間に向かって開く。1つまたは複数の配管のうちの第2の配管が、第1の端部と反対を向くほうの容器の第2の端部で、容器の内部空間に向かって開く。
【0037】
このような解決法は、特に、容器の一方の端部で水を供給することができ、容器の他方の端部で洗浄溶液を取り出すことができるという利点がある。
【0038】
本発明による容器は、容器の第1の配管を外部の流体配管と流体密閉式に結合するための第1の接続部材を有することができ、ならびに、容器の第2の配管を外部の流体配管と流体密閉式に結合するための第2の接続部材を有することができる。
【0039】
このような本発明による容器では、第1の接続部材と第2の接続部材は容器の第1の端部に配置されるのが好ましく、第1の配管は第1の接続部材から容器の内部空間で、これと反対側の容器の第2の端部へと延びる。
【0040】
このような解決法は、特に、すべての接続部を容器の一方の端部に設けることができ、それにもかかわらず、容器の内部には容器の2つの異なる端部にアクセス点があるという利点を有する。
【0041】
このような本発明による第1の接続部材および第2の接続部材は、共通の接続部材として構成されるのが特別に好ましい。
【0042】
本発明による容器の容器壁は、全面的または部分的にプラスチックまたは多層の複合材料から製作されていてよい。
【0043】
本発明による容器では、容器の内部空間の容積は不変であり得る。
【0044】
このような態様において水が供給されるとき、または洗浄溶液が取り出されるとき、容器が大気に対して密閉して閉止されている場合には、容器の内部の圧力が変化する。このような効果を回避または低減するために、容器の内部空間と大気または圧力補償容器との恒常的または一時的な接続が意図されていてよい。
【0045】
その代替として本発明による容器では、容器の内部空間の容積が第1の容積と第2の容積の間で可逆的に可変であってよい。
【0046】
このような変形例において水が供給されるとき、または洗浄溶液が取り出されるとき、容器内部の圧力を受動的または能動的に一定に保つことができる。
【0047】
このとき、このような本発明による容器では、容器壁が全面的または部分的に柔軟な材料で、たとえば柔軟なフィルムで、できているのが好ましい。
【0048】
その代替または追加として、本発明による容器はホース状袋またはフィルム袋として構成されていてよい。
【0049】
このような本発明による容器は、第1の柔軟な壁と第2の硬質の壁を有するのも好ましく、第1の壁と第2の壁は互いに密閉式に結合され、そのようにして容器の内部空間を定義する。
【0050】
本発明による容器の別の好ましい変形例は、第1の硬質の壁と第2の硬質の壁とを有し、第1の壁と第2の壁は柔軟な中間部材を介して互いに密閉式に結合され、そのようにして容器の内部空間を定義する。
【0051】
このような本発明による容器の好ましい実施形態では、容器壁は、管状のカートリッジと、上記の管状のカートリッジの中でカートリッジの長軸に沿ってスライド可能に配置された、カートリッジを一方の端部で密閉式に閉止するピストンとを有する。
【0052】
このような本発明による容器の別の好ましい実施形態では、容器壁はベローズを有する。
【0053】
本発明の容器には容器の内部空間の中に、容器の最小の容積のもとで接続部材と容器の内部空間全体との間の流体接続を確立する構造が設けられるのが好ましい。
【0054】
このような本発明による容器では、流体接続構造は容器壁の内面に配置された溝および/またはリブを有するのが特別に好ましい。その代替または追加として流体接続構造は、容器の内部空間に配置された挿入部材、たとえば挿入されたグリッドを有する。
【0055】
このような実施形態は、特に、液体が取り出されるときの外部圧力に基づいて柔軟な容器が潰れていくとき、柔軟な容器の重なり合うそれぞれの壁が、容器のどの部分も締め付けることがないという利点がある。
【0056】
本発明による容器の内部空間は部分的または全面的に排気されているのが好ましい。
【0057】
本発明による容器の別の好ましい実施態様では、1つまたは複数の接続部材は穿刺膜または隔膜を含む。
【0058】
本発明による容器のこのような態様は、腐食作用があるため健康に危害を及ぼす可能性がある本発明による容器の内容物が、意図せず外に出ることがあり得ないという利点がある。
【0059】
本発明による容器の1つまたは複数の接続部材は、急速継手を含むことができる。
【0060】
本発明による容器の1つまたは複数の接続部材は、少なくとも1つの逆止め弁をさらに含むことができる。
【0061】
本発明による容器のこのような態様は、たとえば水と洗浄溶液とを同じ配管区域を介して案内することができ、高いコストのかかる制御式のバルブ装置を設けなくてすむという利点がある。
【0062】
本発明による容器の別の好ましい実施態様では、1つまたは複数の接続部材は、作動時に容器の内部空間を大気または外部のオーバーフロー配管と接続する過圧弁を含む。
【0063】
本発明による容器のこの態様は、予測不能な過圧が容器内で生じたとき、これをコントロールしながら放出することができ、そのようにして容器のコントロール不能なバーストを防止するという利点がある。外部のオーバーフロー配管は、場合により外に出た洗浄液を危険なしに収容または導出するために、たとえば液滴皿または排水流出部と接続することができる。
【0064】
本発明による容器のさらに別の好ましい実施態様では、1つまたは複数の接続部材は排気弁を含み、これによって容器の内部空間を大気または外部の排気配管と接続可能である。
【0065】
本発明の第2の態様は、液体の洗浄剤を作成する装置に関する。このような本発明による装置は、少なくとも1つの本発明による容器と、容器へ水を供給するための第1の外部の配管と、容器から液体の洗浄剤を取り出すための第2の外部の配管と、容器の接続部材と流体密閉式に連結可能であり、そのようにして第1の外部の配管が容器の第1の配管と流体接続される、第1の外部の接続部材と、容器の接続部材と流体密閉式に連結可能であり、そのようにして第2の外部の配管が容器の第1の配管または別の第2の配管と流体接続される、第2の外部の接続部材とを含む。
【0066】
このような本発明による装置では、第1の外部の配管と第2の外部の配管とが同一であるのが好ましい。
【0067】
本発明による装置のこのような態様は、特に、少なくとも1つの容器と、たとえば装置の送出ポンプとの間にただ1つの外部の配管しか設けなくてよいという利点がある。ポンプは、この配管を通して水を容器へ送出するだけでなく、洗浄溶液を容器から、およびさらに飲料自動販売機の配管系へ、送出する。
【0068】
本発明による装置の好ましい態様では、装置の接続部材は少なくとも1つの容器の接続部材とねじ結合によって、またはバヨネット結合によって、機械的に作用結合可能である。
【0069】
本発明による装置の別の好ましい態様では、装置の接続部材はこれに付属する外部の配管と流体接続される中空ニードルを有し、これによって少なくとも1つの容器の接続部材の穿刺膜ないし隔膜を穿刺可能であり、そのようにして、外部の配管と、容器の接続部材に付属する容器の配管との間で流体接続を成立させる。
【0070】
本発明による装置の別の好ましい実施形態は、容器からの、および/または容器への、配管内の液体貫流を測定するためのセンサ、および/または配管内の液体の導電率を測定するためのセンサ、および/または配管内および/または容器内の液体のpH値を測定するためのセンサを含む。
【0071】
本発明による装置は、液体を配管を通して少なくとも1つの容器へ送出するため、および/または液体を配管を通して容器から送出するためにセットアップされたポンプ装置を有するのが好ましい。
【0072】
本発明による装置の別の好ましい実施形態は、少なくとも1つの容器の重量をその内容物を含めて決定するためにセットアップされた計量装置を含む。
【0073】
本発明による装置は、1つまたは複数の飲料自動販売機に洗浄溶液を供給することができる別個のユニットとして構成されていてよく、または、飲料自動販売機に統合された一部として構成されていてよい。
【0074】
本発明の第3の態様は、洗浄溶液を作成する本発明による装置を有する飲料販売機に関する。
【0075】
本発明の第4の態様は、洗浄溶液を提供するための本発明による容器を有する飲料販売機に関する。
【0076】
本発明の意味における飲料販売機という概念に該当するのは、自動式または半自動式に飲料を作成することができる、および/または飲料をポーションごとに利用者へ提供することができる、機械および装置、特にコーヒーマシン、ホットドリンク調製機、コールドドリンク調製機などである。
【0077】
本発明の第5の態様は、液体の洗浄剤を、特にコーヒーマシンのための洗浄溶液を、作成する方法に関する。このような本発明による方法は、次の各ステップを含む:
本発明による少なくとも1つの容器が準備され、容器の内部空間には液体の洗浄剤を作成するためにある程度の量の水溶性の物質があり、
容器の配管を通して容器の内部空間に特定の量の水が供給され、
添加された量の水で容器の中の水溶性の物質の少なくとも一部が溶解し、それにより水溶液の形態の液体の洗浄剤が生じ、
特定の量の液体の洗浄剤が容器の配管を通して容器から取り出される。
【0078】
本発明による方法の好ましい態様では、少なくとも1つの容器から特定の量の液体の洗浄剤が取り出された後に、別の特定の量の水が容器に供給される。
【0079】
本発明による方法では、飽和溶液が生じる程度の量の水溶性の物質が、供給された量の水に溶けるのが好ましい。飽和溶液は、洗浄溶液の濃度が最大になるという利点がある。
【0080】
使用準備の整った洗浄水溶液を提供するために、少なくとも1つの容器から取り出された水溶液を使用前に水で希釈して、洗浄溶液の所望の濃度を得ることができる。
【0081】
このことは特に、洗浄されるべき飲料販売機のパラメータに合わせて、たとえば動作時間、保守状態、供給される水道水の硬度、または作成される飲料の種類や数などに合わせて、洗浄溶液の濃度を適合化できるという利点がある。同様に、洗浄溶液の所望の濃度が実現される、水溶液のさらに必要な希釈を決定することができる。
【0082】
水溶液の実際の濃度は、経験値と動作パラメータに基づいて見積もることができ、または、たとえば水溶液のpH値および/または導電率の測定を通じて定量的に決定することができる。
【0083】
本発明による方法では、少なくとも容器から取り出された水溶液の濃度が測定されるのが好ましい。このことは、たとえば導電率またはpH値の測定によって行うことができる。
【0084】
本発明による方法では、少なくとも1つの容器への水の供給のために、および容器からの液体の洗浄剤の取出のために、容器の同じ配管を使用することができる。
【0085】
本発明による方法では、液体の洗浄剤の取出のために、少なくとも1つ容器の取出配管に負圧が印加されるのが好ましい。
【0086】
本発明による方法のさらに別の好ましい実施態様では、水溶性の物質の予想される溶解速度に依存して、容器に注入される水の量、容器内での水の滞留時間、取り出される水溶液の量、ならびに、場合により取り出された水溶液の引き続いての希釈は、特定の時点でそのつどある程度の量の洗浄溶液を提供することができるように選択される。
【0087】
本発明のさらに別の態様は、以下の説明から明らかとなる。
【0088】
本発明のより良い理解のために、以下において図面を援用する。これらの図面は発明の対象物の実施例を示すものにすぎず、そこに開示されている構成要件だけに本発明を限定するのには適さない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】
図1は、装置の外部の配管と接続された、接続部材と2つの配管とを有する本発明による容器の実施形態を、(a)第1の充填前の初期状態で、(b)水の第1の充填の後に、(c)洗浄溶液の第1の取出の後に、および(d)複数回の充填・取出サイクルの後に、模式的に示す。
【
図2】
図2は、装置の外部の配管と接続された、2つの接続部材と2つの配管とを有する本発明による容器の別の実施形態を、(a)第1の充填前の初期状態で、(b)水の第1の充填の後に、および(c)洗浄溶液の第1の取出の後に、模式的に示す。
【
図3】
図3は、1つの接続部材と2つの配管とを有する本発明による容器の別の実施形態を、第1の充填の前の初期状態で模式的に示す。
【
図4】
図4は、1つの接続部材と1つの配管とを有する本発明による容器のさらに別の実施形態を、第1の充填の前の初期状態で模式的に示す。
【
図5】
図5は、1つの接続部材と1つの配管とを有する本発明による容器のさらに別の実施形態を、第1の充填の前の初期状態で模式的に示す。
【
図6】
図6は、1つの接続部材と2つの配管とを有する本発明による容器の異なる実施形態を、接続部材の内部の模式的な配管図とともに模式的に示す。
【
図7】
図7は、1つの接続部材と2つの配管とを有する本発明による容器の別の実施形態を、接続部材の内部の模式的な配管図とともに模式的に示す。
【
図8】
図8は、同じく1つの接続部材と2つの配管とを有する本発明による容器の実施形態を、接続部材の内部の模式的な配管図とともに再度模式的に示す。
【
図9】
図9は、本発明による容器の別の実施形態を、容器の内部の柔軟な配管とともに模式的に示す。
【
図10】
図10は、ベローズ状の容器壁を有する本発明による容器の別の実施形態を、(a)第1の容積で、および(b)これよりも小さい第2の容積で、模式的に示す。
【
図11】
図11は、内部空間に配置された硬質の配管を有する、スタンドアップ袋の形態の本発明による容器の別の実施形態を斜視図で示す。
【
図12】
図12は、内部空間に配置された金属管の形態の配管を有する、スタンドアップ袋の形態の本発明による容器の別の実施形態の図面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下の記述では、同一または同一の作用をする部分には、同一または類似の符号が付されている。空間的な上側と下側は、図面における上側と下側に対応する。
【0091】
洗浄剤を提供するための本発明による容器1の考えられる実施形態が、
図1に模式的に示されている。この容器1は、容器の内部空間12を定義する容器壁11を含んでいる。図示した実施例では、容器壁は柔軟に構成されている。たとえば容器壁は、特にホース状袋の形態で、フィルムから製作されていてよい
【0092】
図1(a)は、製造後に利用者に届いたときの、本発明による容器1を基本状態で示している。この袋は、グラニュール化された固形物31の形態の水溶性の物質で充填されており、水の添加によってこれから液体の洗浄溶液32を作成することができる。基本状態では、図示している本発明による容器1は水を含んでいない。
【0093】
容器は排気または減圧されているのが好ましい。このようにして容積が最小化され、このことは輸送と保管のコストを最適化する。
【0094】
容器1は、洗浄剤を作成する装置(図示せず)の外部の配管21,22と作用接続されている。
【0095】
容器1の上側端部41に接続部材14が配置されている。配管13aが容器の内部で接続部材14から下方に容器1の下側端部へと延び、そこで、配管の開いた端部131aのところで容器1の内部空間12に向かって開いている。
【0096】
図示した例では配管13aは硬質に構成されている。この配管は、たとえばプラスチック管または金属管として構成されていてよいこのような硬質の配管はランスとも呼ばれる。硬質の管は、特に、容器に対する配管13aの開口部131aの空間的な配置が明確に定義されるという利点を有する。配管13aは、部分的に固形物31の内部に配置されている。特に、配管の端部131aは固形物の内部に位置する。
【0097】
別の短い配管13bが接続部材14から開口部131bへと延びていて、そこで、容器1の上側端部41のところで内部空間12に向かって開いている。
【0098】
配管13bは、代替的な実施形態では、全面的に接続部材の内部に延びて、開口部131bが接続部材14で直接的に内部空間12に向かって開く程度まで、短くなっていてよい。
【0099】
外部の配管21が接続部材14と作用接続されて、容器1の配管13a,13bを、洗浄剤を作成する装置(図示せず)の配管系と、特に水と洗浄溶液を送出するためのポンプと、接続する。この配管21を介して、洗浄溶液を作成するための水が容器に送出されるだけでなく、完成した洗浄溶液も容器からポンプ送出される。接続部材14は、本発明による容器1と外部のさまざまな部材21,22との間のシステム境界44を形成する。
【0100】
接続部材14の内部の配管経路は図示していない。そのための考えられる態様については以下の例のなかで述べる。
【0101】
図示した例では、容器1の接続部材14と接続され、液滴皿24またはその代替として収容容器または排水流出部へ放出をする、外部のオーバーフロー配管22がさらに示されている。オーバーフロー配管22は、接続部材14に設けられた過圧弁(図示せず)を介して内部空間12と接続されている。このことは、容器1の内部の圧力の特定の閾値を上回ったとき、両方の配管13a,13bのうちの一方を介して、または容器の別個の配管(図示せず)を介して、内部空間12を外部空間と接続するために役立つ。このようにして、容器を損傷させる恐れがある容器内部の過圧を回避することができる。場合により外に出る液体が確実に収容または導出される。
【0102】
オーバーフロー配管22は、過圧弁によって第2の配管13bと接続されるのが好ましい。
【0103】
過圧弁およびこれに接続されたオーバーフロー配管22のさらに別の好ましい利用法は、容器1の排気である。水が容器に導入されると、容器内部の圧力が上昇する。それは、硬質の容器の場合には即座にであり、図示している柔軟な容器1の場合には最大の容積に達したときである。内圧が閾値を上回ると、場合により容器の中にあるガスが、たとえば空気や不活性ガスが、過圧弁を通って外部へ逃げる。容器が部分的または全面的に排気されるまで、容器を水で充填することができる。容器の排気は、意図される作動時に、特に、圧縮性の気相が存在せず、ポンプによる不活性ガスや空気の望ましくない吸込を回避できるという利点がある。
【0104】
過圧弁およびこれに接続されたオーバーフロー配管は任意選択であり、省略することもできる。
【0105】
本発明による容器1が利用のために準備されて外部の部材21,22と接続された後、第1の充填ステップで、
図1(b)に示すように、水が外部の配管21および第1の配管13aを通して容器1の内部空間12へとポンプ送出される。ここで矢印は水の流動方向を示している。水は、容器の下側端部42にある開口部131aで外に出る。液体レベル33が、上方に向かって容器1の上側端部41へと上がっていく。固形物物質31の全体が水で覆われる。液体レベル33は、図面に示すように、少なくとも第2の配管13bの開口部に達しなければならない。容器1が完全に液体で充填されるのが好ましい。
【0106】
図示した柔軟な容器1の場合、
図1(b)に示すように、内部空間12が最大容積に達するまで水を充填することができる。容器と充填量は事前に既知であるので、供給されるべき水の量を事前決定することができる。
【0107】
そして水溶性の物質31が水に溶け、その結果として水溶液32が生じる。ある程度の時間後に、溶解した化合物の最大限可能な濃度に達する。この溶液は飽和している。
【0108】
これに続く取出ステップで、完成した洗浄溶液が容器1から取り出される(
図1(c)参照)。矢印は洗浄溶液の流動方向を示唆している。外部の配管21を介して、たとえばその前に水を容器の中へポンプ送出したのと同じ装置のポンプによって、第2の配管13bに負圧が印加されて、洗浄溶液が配管13bおよび外部の配管21を通って運び出される。容器壁11は柔軟であり、耐圧性に構成されていないので、ポンプが停止するまで、容器1は外部圧力に基づいて次第に潰れていく。
【0109】
原理的には、残っているグラニュールの固形物31が柔軟な容器1のさらなる圧壊を阻むようになるまで、洗浄溶液32を容器1から送出することができる。しかしながら、容器1を完全に空にしないほうが好ましい。上方に向かって押圧される固形物グラニュールが第2の配管13bに達して、吸い込まれることになり得るからである。
【0110】
そして、水の充填と洗浄溶液の取出のこのようなサイクルを複数回繰り返すことができ、各々のサイクルの後に、残っている固形物の量が、溶解して洗浄溶液へと転換された量の分だけ減っていく。たとえば
図1(d)では、複数回のサイクルの後に、当初の固形物31の量の半分以下だけが残っている。
【0111】
水溶性の物質31が容器の中に存在しなくなるまで、このような工程を継続することができる。そして残りの水溶液がポンプ排出された後、空になった容器1を取り外して安全に処分することができる。
【0112】
このような本発明による容器の利点は、特に、洗浄溶液が最初からすでに使用態勢で容器内に準備される場合よりもはるかに多い量の使用に耐える洗浄溶液を、容器によって提供できるという点にある。すなわち、容器をはるかに稀にしか取り替えなくてすむ。
【0113】
通常はただちに使用される洗浄液の取出後に、すぐに引き続いて容器が再び水で充填されるのが好ましい。そうすれば水溶性の物質が溶解するための十分な時間があり、それにより、飽和した溶液すなわち最大の濃度を有する溶液を作成することができる。
【0114】
代替的な好ましい態様では、予定される取出の前のある程度の時間帯に新しい水が容器へ供給されて、洗浄溶液を作成する。
【0115】
薬品のいかなる残滓も容器内に残らないことを保証するために、容器が処分される前に、1つまたは複数の洗流サイクルが実行されることを意図することができる。そのために、水が容器へ充填されて再びポンプ排出され、その溶液は洗浄に利用されるのではなく、排水流出部へ直接送出される。
【0116】
このような洗流ステップは、作成装置の内部の配管またはこれに接続された飲料販売機の配管を洗流し、洗浄容積の残滓を除去するために利用することもできる。
【0117】
本発明による容器の別の実施形態が
図2に示されている。ここでは容器1が、
図2(a)に同じく第1の充填前の基本状態で示されている。この容器は、それぞれ内部空間12に配置された配管を有する2つの接続部材を有している。内部空間は、洗浄溶液の作成のために、グラニュール化された固形物31の形態の水溶性の物質で充填されている。
【0118】
接続部材14bは、容器1の上側端部41に配置されている。接続部材14bは、外部の配管21’と、ならびに外部のオーバーフロー配管22と、作用接続されている。図示しない過圧弁と接続されたオーバーフロー配管22は、
図1に示す本発明による容器の場合と同じ機能を有する。同所の記載を援用する。
【0119】
接続部材14bから発する短い配管13bが、開口部131bで内部空間12に連通する。さらにその代替として、この配管が全面的に接続部材14bの中に配置されていてもよく、それにより、開口部131bが接続部材に直接位置することになる。
【0120】
別の接続部材14aが容器1の下側端部42に配置されて、外部の配管21”と接続されている。接続部材14aから発する短い配管13aが、容器1の下側端部41で内部空間12に開口部131aで連通する。配管13aとその開口部は固形物31の中に位置する。
【0121】
同じく代替として、配管13aが全面的に接続部材14aの中に配置されていてもよく、それにより、開口部131aが接続部材に直接位置することになる。
【0122】
接続部材14aと接続された外部の配管21”、および接続部材14bと接続された外部の配管21’は合流して、洗浄溶液を作成する装置(図示せず)へと延びる共通の配管21となる。
【0123】
第1の充填ステップが
図2(b)に示されている。水が外部の配管21,21”を介して容器1の中へ送出され(流動方向を矢印によって示す)、配管13aおよび開口部131aを通って内部空間12に流入し、そこで、グラニュール化された固形物31の形態の水溶性の物質を溶解して、洗浄溶液32を形成する。液体レベル33は、容器1の上側端部41に向かって上昇していく。容器の容積が最大になる。この過程は、上記で述べた
図1(b)に示す充填ステップに準ずる。
【0124】
これに続くサイクルの取出ステップが、
図2(c)に示されている。外部の配管21,21’を介して、配管13bに負圧が印加される。洗浄液32が開口部131bを通って吸い込まれ、配管21,21’を介して装置へ送出される(流動方向を矢印で示す)。この過程に関しては、上記で述べた
図1(c)に示す取出ステップに準ずる。
【0125】
配管21,21’、21”の中での水ないし洗浄液の適正な流動は、たとえば相応のバルブ(図示せず)によって実現することができる。
【0126】
本発明による容器の図示した実施態様は、容器の内部を配管が通過しないという利点があり、このことは作成を簡易化する。
【0127】
図3は、本発明による容器のさらに別の好ましい態様を、水での第1の充填の前の基本状態で示している。図示している容器1は、構造に関して上下を180°逆にした配置で、
図1(a)の容器1に相当する。
【0128】
このような実施形態では、硬質で長い配管13aと短い配管13bとのそれぞれの機能的な役割が入れ替わる。水は短い配管13bを通って容器1の下側領域42に送出され、洗浄液は容器1の上側端部41で長い硬質の配管13aの開口部131aを通って取り出される。
【0129】
オーバーフロー配管22は、過圧弁(図示せず)を介して配管13aと接続されている。
【0130】
本発明による容器1のさらに別の好ましい態様を、水での第1の充填の前の基本状態で
図4が開示している。この容器はその上側端部41に、外部の配管21と接続された接続部材14を有している。短い配管13bが内部空間で接続部14から離れるように延びて、容器1の上側端部41で内部空間12に連通131bする。
【0131】
容器を水で充填するために、水が外部の配管21および配管13bを介して送出され、グラニュール化された固形物31の形態の水溶性の物質へと上から流れ、そこで水が容器1の下側端部42まで浸透する。洗浄溶液を取り出すために、これが同じ配管13bを通って容器1から吸い出される。
【0132】
この実施形態は簡易に製造することができるが、これまでに説明した実施態様と比べると、グラニュール化された固形物31の基層を通る液体流動が行われないという欠点がある。その帰結として、頭部領域41で飽和溶液が生じるまでに長い時間がかかる。グラニュール化された固形物31の領域から飽和溶液が、比較的ゆっくりとした拡散によってしか上方へと到達できないからである。
【0133】
本発明による容器1のさらに別の好ましい態様を、水での第1の充填の前の基本状態で
図5が示している。この容器も同じくその上側端部41に、外部の配管21と接続された接続部材14を有している。配管13cが内部空間の中で接続部14から離れるように容器1の中央領域43まで延びて、そこで内部空間12に開口部131cで連通する。
【0134】
図6および7は、本発明による容器1の接続部材14およびこれと接続された2つの配管13a,13bならびに、これと作用接続された外部の接続部材25のもとで、充填と取出の両方の操作ステップのときに水ないし洗浄溶液の適正な流動が能動的な制御なしに保証される、配管図の2つの考えられる態様を示している。
【0135】
第1の態様では、
図6に示すように、反対方向へばね付勢される2つの逆止め弁15a,15bが接続部材14に配置されていて、これらの逆止め弁が、両方の配管13a,13bのうちのそれぞれ1つを共通の配管13dと接続する。この配管13dは、両方の接続部材14,25の、模式的にのみ図示するインターフェースで外部の配管21と流体密閉式に接続されている。このインターフェースは、両方の接続部材14,15が連結解除されたとき、一方または両方の配管13d,21が自動的に閉止されて、望ましくない液体流出を防止するように構成されるのが好ましい。そのような流体連結は当業者に周知である。
【0136】
所定の動作時に水が配管21,13dを通って容器1の中へ送出されるとき、バルブ15bは遮断をするのに対して、バルブ15aは開放される。水は設定どおりに配管13aを通って容器1の内部空間12へ流れ込む。配管21,13dでポンプにより負圧が生成されると、バルブ15aが遮断をしてバルブ15bが開放される。すると配管13bを通して洗浄溶液を容器から送出することができる。
【0137】
第2の態様では、
図7に示すように、接続部材14の中の両方の配管13a,13bが接続部材25へのインターフェースまで延長され、そこで相応の配管21’,21”と流体密閉式に接続されている。これらの配管は、反対方向を向く逆止め弁26a,26bを介して、共通の配管21と接続されている。
【0138】
所定の動作時に水が配管21を通って容器1の中へ送出されるとき、バルブ26bは遮断をするのに対して、バルブ26aは開放される。水は設定どおりに配管21”,13aを通って容器1の内部空間12へ流れ込む。配管21でポンプにより負圧が生成されると、バルブ26aが遮断をしてバルブ26bが開放される。すると配管13b,21’を通して洗浄溶液を容器から送出することができる。
【0139】
図7の実施形態は、接続部材14に機械コンポーネントが何も組み込まれないという利点があり、このことは、接続部材14およびこれに伴って本発明による容器1の製造コストも大幅に削減する。
【0140】
それに対して
図6の実施形態は、それぞれ接続部材の間のインターフェースが1つの配管だけを含むという利点があり、このことは大幅に簡易な構造を可能にする。
【0141】
このような容器1の考えられる実施例が
図8に模式的に示されている。インターフェース14および25の間のインターフェースは、ここでは隔膜16と中空ニードル27とを介して解決される。連結された状態にあるとき、外部の配管21と流体接続される中空ニードル27が、配管13を外部に向かって封止するように閉止する隔膜16を穿刺する。配管13dおよび21が流体接続される。
【0142】
このような実施形態は、たとえば多成分射出成型によって好ましく製造可能である。連結解除された状態では容器が確実に閉止され、閉止部の不慮の誤操作によっても開くことがあり得ない。
【0143】
隔膜と中空ニードルによるこのような連結は、インターフェースで確立されるべき2つまたはそれ以上の配管接続についても具体化することができる。たとえば
図7の接続部材の連結を、このようにして具体化することができる。
【0144】
図9には、
図1に示す本発明による容器の態様が開示されており、以下においては相違点だけを説明する。オーバーフロー配管22はない。配管13aは、容器1よりも大幅に長く、それに伴って長さに関して屈曲して押し縮められる柔軟なホースとして構成されている。開口部131aを有するホース13aの端部は、容器の下側端部42に配置される。
【0145】
任意選択として、下側端部42におけるホースの端部は容器壁11に固定されていてよく、たとえば接着固定されていてよい。
【0146】
柔軟なホース13aを用いるこのような解決法は、硬質の配管と比べたとき、特に、硬質の配管が存在しないので本発明による容器1を非常に可撓に具体化できるという利点がある。
【0147】
可変の容積を有する本発明による容器の別の実施形態が、
図10(a)に第1の充填プロセスの後で示されている。容器1は構造に関しては
図9の容器に類似して、柔軟なホース13aを有しているが、容器壁11は、接続部材14の側の硬質の円筒状の区域112に後続して、ベローズ111を有している。洗浄液32が取り出されると、ベローズ111が収縮することによって柔軟な容器が潰れる。
【0148】
複数回の動作サイクルの後に、グラニュール化された固形物31の形態の水溶性の物質の量が容器1の中で減ると、1つの好ましい作動方式において、供給される水の量が低減され、それによりベローズ領域は引き続き固形物31で充填されているのに対して、
図10(b)に示すように、円筒状の区域112は洗浄溶液で満たされる。このようにして、一定の量の洗浄溶液を留保することができる。
【0149】
図11は、スタンドアップ袋として構成された本発明による容器1を斜視図で示している。この容器は、たとえば液体石鹸、シャンプー、およびその他の粘性のある製品のための再充填容器として一般に用いられるスタンドアップ袋に類似する。容器壁11は、3つの辺に沿って密閉式に溶接18されて折り畳まれた一片のフィルムで製作され、それに対して下側端部のフィルムはスタンド底面19を形成する。上側端部には、容器1の内部空間へと向かう開口部を有する保持部17が組み付けられている。この開口部に、接続部材14およびこれに一体成形されたテーパ状のランス13aの形態の配管が組み付けられ、開口部131aを有するランス13aは容器1の内部空間にある。接続部材14は、平坦な外面に2つの開口部132a,132bを有している。開口部132aは配管13aと接続され、開口部132bは、接続部材14の下方を向く端部で内部空間に向かって直接開く(見えていない)別の配管(見えていない)と接続される。
【0150】
機能的には、このような容器は
図7に示す模式図に相当する。
【0151】
保持部17はねじ山171を有している。このねじ山は、外部の接続部材25を接続部材14と可逆的に形状接合式に結合するために利用することができる。さらに、容器が基本状態にあるとき、最初の使用前に容器を密閉式に閉止するねじ蓋が設けられていてよい。
【0152】
図12に示す、基本状態にあるスタンドアップ袋の形態の本発明による容器1は、構造に関しては
図11に示すものに類似する。硬質の金属管の形態の配管13aを有する接続部材14は、保持部17のねじ山にねじ嵌めされることによって、容器と可逆的に結合可能である。
【0153】
このような解決法は、接続部材14と配管13aを再利用することができるという利点がある。
【0154】
本発明はその範囲に関して、ここで説明している特別な実施形態だけに限定されるものではない。むしろ当業者には、発明の詳細な説明およびこれに付属する図面から、ここで開示されている例に追加して、同じく特許請求の範囲の保護範囲に該当する、本発明のさまざまな別の改変が明らかとなる。これに加えて、発明の詳細な説明でさまざまな文献が引用されており、その開示内容をその総体において引用によりこの明細書に取り入れる。
【符号の説明】
【0155】
1 容器
11 容器壁
111 ベローズ
112 円筒状の区域
12 内部空間
13a,13b,13c,13d 配管
131a,131b 開口部
132a,132b 開口部
14,14a,14b 接続部材
15a,15b ばね付勢される逆止め弁
16 隔膜
17 保持部
171 ねじ山
18 溶接継目
19 スタンド底面
21,21’,21” 外部の配管
22 オーバーフロー配管
23a,23b 逆止め弁
24 液滴皿
25 外部の接続部材
26a,26b ばね付勢される逆止め弁
27 中空ニードル
31 水溶性の物質、グラニュール化された水溶性の固形物
32 液体
33 液体レベル
41 容器の上側端部
42 容器の下側端部
43 容器の中央領域
44 システム境界
【国際調査報告】