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特表2024-539664信頼できるデジタルの美術および所有権記録
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】信頼できるデジタルの美術および所有権記録
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241022BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522701
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022046433
(87)【国際公開番号】W WO2023064380
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/255,137
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.JAVASCRIPT
3.PYTHON
4.JAVA
5.BLACKBERRY
6.Linux
7.UNIX
8.3GPP
9.AIX
(71)【出願人】
【識別番号】524142013
【氏名又は名称】オールウェイズ・アート・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】コールソン・パトリック
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC11
(57)【要約】
美術作品と関連付けられたアクセス特権を維持および譲渡するためのシステムおよび方法が、本明細書で説明される。サーバは、美術作品の現在の所有者である指定されたユーザーから第2のユーザーへ所有権特権を譲渡するリクエストを受信することができる。このリクエストは、美術作品と関連付けられた、データベース内の複数の普遍的美術記録からの、1つの普遍的美術記録の識別を含むことができる。指定されたユーザーと第2のユーザーの両方が2要素認証を使用して取引を確認すると、所有権特権は、第2のユーザーに譲渡される。これは、例えば、普遍的美術記録を修正し、第2のユーザーが今は美術作品の現在の所有者であることを所有権フィールドに示すことにより、仮想鑑定書にアクセスし、普遍的美術記録への占有アクセスを他のユーザーに許可する能力を、第2のユーザーに提供することを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
美術作品と関連付けられたデジタル記録を維持し、譲渡するための方法であって、
ネットワーク接続を通じてサーバにより、売却ユーザーから前記美術作品の所有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、前記サーバ上に格納された普遍的美術記録の識別を含み、前記普遍的美術記録は、前記美術作品と関連付けられており、前記サーバ上のデータベースに格納された複数の普遍的美術記録のうちの1つである、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記サーバにより、前記普遍的美術記録を第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて前記第2のユーザーのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記第2のユーザーと関連付ける前記リクエストに応答して、前記サーバにより、前記第2のユーザーが前記美術作品の取得を希望しているという確認を受信することと、
前記サーバにより、前記第2のユーザーおよび指定されたユーザーのそれぞれと関連付けられた所定のチャネルを介して、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれに譲渡確認コードを送信することであって、前記指定されたユーザーは、前記普遍的美術記録の所有権フィールド内で前記美術作品の現在の所有者として識別され、前記所定のチャネルは、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれにより使用されるクライアントアプリケーションの外部にある、ことと、
前記ネットワーク接続を通じて前記サーバにより、前記指定されたユーザーおよび前記第2のユーザーの両方から前記譲渡確認コードを受信することと、
前記譲渡確認コードを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記第2のユーザーが今は前記美術作品の前記現在の所有者であることを前記所有権フィールドに示すことであって、前記修正により、仮想鑑定書にアクセスし、前記普遍的美術記録への占有アクセスを他のユーザーに許可する能力を、前記第2のユーザーに提供する、ことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記普遍的美術記録は、美術記録コンポーネントと所有権記録コンポーネントとを含み、前記所有権フィールドは、前記所有権記録コンポーネントに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記仮想鑑定書は、前記普遍的美術記録が前記美術作品に対応するという検証をどのユーザーが前記サーバに送信したかに基づいて割り当てられた証明のレベルを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーがプライベートユーザータイプである場合、第1のレベルであり、前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーがギャラリーユーザータイプである場合、前記第1のレベルより高い第2のレベルであり、前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーが前記美術作品のアーティストである場合、最高の第3のレベルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所有権記録コンポーネントは、前記美術作品から取り込まれた画像データをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ネットワーク接続を通じてサーバにより、前記指定されたユーザーから前記美術作品の占有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、前記サーバ上に格納された前記普遍的美術記録の前記識別を含む、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記サーバにより、前記普遍的美術記録を占有エンティティと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて、前記占有エンティティのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記占有エンティティと関連付ける前記リクエストに応答して、前記サーバにより、前記占有エンティティが前記美術作品を占有するつもりであるという確認と、前記占有エンティティが前記美術作品を実際に占有しているという確認と、を受信することと、
前記指定されたユーザーからの許可および前記占有エンティティからの前記確認を受信したことに応答して、前記サーバにより、前記普遍的美術記録を修正して、前記占有エンティティが現在前記美術作品を占有していることを占有フィールドに示すことと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
占有権が前記指定されたユーザーに戻されたという通知を前記指定されたユーザーの前記コンピューティングデバイスから受信したことに応答して、前記サーバにより、前記普遍的美術記録を修正して、前記指定されたユーザーが前記美術作品の占有権を取り戻したことを示すことをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記普遍的美術記録を修正して、前記指定されたユーザーが占有権を取り戻したことを示すことは、前記サーバにより、前記占有エンティティから前記美術作品の占有権を譲渡するリクエストを受信した後に行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記指定されたユーザーから前記美術作品の所有権を譲渡する前記リクエストは、前記ネットワーク接続を通じて、前記占有エンティティの前記コンピューティングデバイスから受信される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータプログラム製品であって、1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータ可読プログラムコードが中に包含された非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、前記プログラムコードは、
ネットワーク接続を通じて、売却ユーザーから美術作品の所有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、サーバ上に格納された普遍的美術記録の識別を含み、前記普遍的美術記録は、前記美術作品と関連付けられており、前記サーバ上のデータベースに格納された複数の普遍的美術記録のうちの1つである、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて前記第2のユーザーのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記第2のユーザーと関連付ける前記リクエストに応答して、前記第2のユーザーが前記美術作品の取得を希望しているという確認を受信することと、
前記第2のユーザーおよび指定されたユーザーのそれぞれと関連付けられた所定のチャネルを介して、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれに譲渡確認コードを送信することであって、前記指定されたユーザーは、前記普遍的美術記録の所有権フィールド内で前記美術作品の現在の所有者として識別され、前記所定のチャネルは、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれにより使用されるクライアントアプリケーションの外部にある、ことと、
前記ネットワーク接続を介して、前記指定されたユーザーおよび前記第2のユーザーの両方から前記譲渡確認コードを受信することと、
前記譲渡確認コードを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記第2のユーザーが今は前記美術作品の前記現在の所有者であることを前記所有権フィールドに示すことであって、前記修正により、仮想鑑定書にアクセスし、前記普遍的美術記録への占有アクセスを他のユーザーに許可する能力を、前記第2のユーザーに提供する、ことと、
を行う命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記普遍的美術記録は、美術記録コンポーネントと所有権記録コンポーネントとを含み、前記所有権フィールドは、前記所有権記録コンポーネントに含まれている、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
前記仮想鑑定書は、前記普遍的美術記録が前記美術作品に対応するという検証をどのユーザーが前記サーバに送信したかに基づいて割り当てられた証明のレベルを含む、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーがプライベートユーザータイプである場合、第1のレベルであり、前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーがギャラリーユーザータイプである場合、前記第1のレベルより高い第2のレベルであり、前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーが前記美術作品のアーティストである場合、最高の第3のレベルである、請求項12に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
前記所有権記録コンポーネントは、前記美術作品から取り込まれた画像データをさらに含む、請求項12に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記プログラムコードは、
前記指定されたユーザーから前記美術作品の占有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、前記サーバ上に格納された前記普遍的美術記録の前記識別を含む、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を占有エンティティと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて、前記占有エンティティのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記占有エンティティと関連付ける前記リクエストに応答して、前記占有エンティティが前記美術作品を占有するつもりであるという確認と、前記占有エンティティが前記美術作品を実際に占有しているという確認と、を受信することと、
前記指定されたユーザーからの許可および前記占有エンティティからの前記確認を受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記占有エンティティが現在前記美術作品を占有していることを占有フィールドに示すことと、
を行うさらなる命令を含む、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記プログラムコードは、占有権が前記指定されたユーザーに戻されたという通知を前記指定されたユーザーの前記コンピューティングデバイスから受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記指定されたユーザーが前記美術作品の占有権を取り戻したことを示す、さらなる命令を含む、請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
複数の命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体と、を含み、前記命令が実行されると、前記1つ以上のプロセッサは、
ネットワーク接続を通じて、売却ユーザーから美術作品の所有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、サーバ上に格納された普遍的美術記録の識別を含み、前記普遍的美術記録は、前記美術作品と関連付けられており、前記サーバ上のデータベースに格納された複数の普遍的美術記録のうちの1つである、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて前記第2のユーザーのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記第2のユーザーと関連付ける前記リクエストに応答して、前記第2のユーザーが前記美術作品の取得を希望しているという確認を受信することと、
前記第2のユーザーおよび指定されたユーザーのそれぞれと関連付けられた所定のチャネルを介して、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれに譲渡確認コードを送信することであって、前記指定されたユーザーは、前記普遍的美術記録の所有権フィールド内で前記美術作品の現在の所有者として識別され、前記所定のチャネルは、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれにより使用されるクライアントアプリケーションの外部にある、ことと、
前記ネットワーク接続を介して、前記指定されたユーザーおよび前記第2のユーザーの両方から前記譲渡確認コードを受信することと、
前記譲渡確認コードを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記第2のユーザーが今は前記美術作品の前記現在の所有者であることを前記所有権フィールドに示すことであって、前記修正により、仮想鑑定書にアクセスし、前記普遍的美術記録への占有アクセスを他のユーザーに許可する能力を、前記第2のユーザーに提供する、ことと、
を行う、システム。
【請求項18】
前記普遍的美術記録は、美術記録コンポーネントと所有権記録コンポーネントとを含み、前記所有権フィールドは、前記所有権記録コンポーネントに含まれている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記仮想鑑定書は、前記普遍的美術記録が前記美術作品に対応するという検証をどのユーザーが前記サーバに送信したかに基づいて割り当てられた証明のレベルを含む、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウドベースのコンピューティングシステムの分野に関し、より詳細には、美術作品のデジタル記録を信頼できる方法で作成し管理するためのシステムおよび技術に関する。
【背景技術】
【0002】
美術界は、現代のコンピューティングテクノロジーの影響により、この20年間で大きな変容を遂げた。この変遷の間に、大きな不均衡が、ギャラリーと、アーティストと、コレクターとの関係に生じている。第1の問題は、インターネットおよびソーシャルメディアの成長の副産物である。ギャラリーは、この数十年にわたり、アーティストに提供する価値をますます減少させている。これは、インターネット時代がもたらしたつながりと、ソーシャルメディアおよびインスタグラムのような画像共有サービスの成長の直接的な結果である。具体的には、インターネットおよびソーシャルメディアの時代以前は、ギャラリーとその代理人は、アーティストを探して世界中を旅していた。彼らは、アーティストを「発掘」し、契約して雇い、自分たちの都市に連れてきて、ギャラリーの展示会を主催し、そうしなければそのアーティストを知ることはなかったであろうコレクターたちにアーティストを紹介する。この発掘、プロモーション、露出に対して、ギャラリーは通常、美術作品の販売から50%の手数料を受け取る。今日、ギャラリーが年に数回行う展示会ではこれが当てはまるかもしれないが、はるかに多くの展示会では、ギャラリーは発掘を行わず、アーティスト自身ほどプロモーションを行わず、自分たちでは見つけられないであろう新しいアーティストにコレクターを紹介することはほとんどない。実際、多くの場合、ソーシャルメディア上のアーティストの「支持者」は、彼らを「プロモーションする」ギャラリーの支持者よりも桁違いに多く、コレクターは、彼らがフォローしているアーティスト自身から展示会を知ることになる。今日、アーティストは、発掘、プロモーション、露出のほとんどを担っている。ギャラリーでさえ、ソーシャルメディアを介してアーティストを「発掘」し、ギャラリーは、過去に提供されていたもののごく一部を提供している。しかし、このような価値命題および作業量の減少があっても、ギャラリーは依然として同じ50%の販売手数料を要求している。
【0003】
アーティストもまた、インターネットとソーシャルメディアの成長の影響を受けている。両者におけるプレゼンスは、成功のために不可欠なものである。オンライン上でのプレゼンスを維持するために、アーティストは、作品制作に費やす時間を減らし、一方で、ソーシャルメディアのプロフィールを管理し、ファン/コレクターとコミュニケーションを取るか、または、この新たな仕事量を管理するのを助けてくれる人を雇わなければならない。その結果、アーティストは、ギャラリーに同じ割合を渡し、かつ、オンライン上でのプレゼンスの管理のために従業員に支払うか、または、制作する作品が減るため、得られる収入が減る。
【0004】
第2の問題は、ギャラリーが気取っていて、エリート主義で、退屈で、近寄りがたく、華やかであるとして誤解されて型にはめられており、大成功しているとしばしば考えられていることである。真実は全く違っていて、ほとんど(90%超)は従業員3~5人の小企業であり、何とかやっていくのに苦労している。小企業である多くのギャラリーは、事業を管理するための高性能なシステムを持っておらず、自動化よりも工数と労力に頼ることが多い。ギャラリーのために特別に作られたツールはほとんどなく、ほとんどは、ギャラリーのバックカタログ在庫管理、販売パイプライン、コレクター管理を助けるポイントソリューションである。
【0005】
第3の問題は、美術界が錬金術の一形態とみなされていることであり、そこでは、アーティストは真っ白なキャンバス、板、1個の石、拾った材料を手に取り、それらを使って莫大な価値のあるものを生み出すことができる。これを信じることにより、多くのさまざまな関係者がアーティストおよびギャラリーの収益の一部を得ようとしている。持っていかれる(taken)一部のそれぞれは、表面上は小さなものだが、積み重なると経費がかさみ、複雑さを増すことも多い。例えば、ギャラリーは、Eメールマーケティングソリューション、鑑定書ソリューション、美術作品市場ソリューション、チャリティーオークション用ギフトなどを売りつけられる。これらの要求はそれぞれ、別のポイントソリューション、別のデータ入力ポイント、そして美術作品データと価格情報が同期されなくなる別の機会であり、販売される際には、すべてのプラットフォームにわたりすべてを更新する必要がある。これは、非効率的なタスクであり、離職率が高いので絶えず交代するスタッフをギャラリーが教育しなければならない場合はさらに複雑になる。アーティストには、Eメールマーケティング、写真管理、美術作品管理、観客の生成などのいずれにせよ、等しい量のポイントソリューションが提示される。状況は、ますます複雑化しており、維持費がかさんでいる。
【0006】
第4の問題は、鑑定書(COA)と関係がある。COAは、美術作品がアーティストによる本物の美術品であることを証明するのに役立つ添付文書である。これは、美術作品に保険を付けるかまたは美術作品を売却するのに役立つ。また、プロヴェナンスにも役立つ。COAに基準はなく、一般的にギャラリーまたはアーティストによって発行される。一般的には、それらは、セキュリティ特徴を含まない、偽造可能な文書で、ほとんどの場合、ギャラリーまたは印刷所(print house)によって発行され、アーティストによるサインはされない。COAは、それらが印刷された紙の価値を持つことは稀である。COAは、売却される美術作品の約20%についてのみ発行され、通常は美術作品とは別に送られる。多くの場合、COAはギャラリーまたはアーティストにとって負担となり、補足である。通常、COAは、支払いが完了し、展示会が終わり、美術作品が新しい所有者に発送された後に発行される。つまり、コレクターは通常、展示会から数か月たつまでCOAを手に入れられない。多くの場合、COAは、美術作品の売却後に作成されるか、または作成される予定はなかったが、コレクターがギャラリーもしくはアーティストに要求したものである。その結果、質の低いCOA、および主としてギャラリーにとって負担であり、急いで実施されるため容易にコピーされ得るCOA、または、ギャラリーの通常のプロセスの一部ではないため忘れられ、遅れたCOAにつながる。
【0007】
COAは、美術品と1対1で結ばれた一つの文書でもある。伝統的に、これは実際のCOAに作品の写真および説明を含めることによって達成された。このCOAは、作品が本物であることを証明するために提示された。所有権が譲渡される際には、COAも美術作品と共に譲渡された。明らかに、このプロセスには多くの欠陥があり、COAを偽造したり、美術作品を偽造してオリジナルのCOAを使用したりすることが容易である。さらに近年になると、美術作品とCOAを「ブロックチェーン」上に登録することによって、または、RFIDチップ、美術作品およびCOAにあるQRコードステッカー、美術作品/COA上のホログラム、キャンバス内の繊維、もしくは任意の他の方法を使用して美術作品とCOAとの間に偽造しにくいリンクを作成することによって、このプロセスを改善しようとするソリューションがある。これらのソリューションは、実質的に優れているとはいえ、依然としてエラーが起こりやすく、RFIDチップのクローンを作ることによって、贋作に新しいステッカーを貼ることによって、COA/美術作品とQRコードをそっくりそのままコピーすることによって、または、任意の他の創造的な回避策で操作され得る。また、RFIDが紛失されたり、ステッカーが剥がれたり、物理的なマーカーが損傷したりした場合などにも、システムが機能しなくなる可能性がある。このような場合、新しい証明書が印刷され得るか、または、新しいステッカーが美術作品に貼られ得るが、この場合もこれらは1対1のペアリングであり、証明書は美術作品と一緒に移動しなければならないため、プロセスが複雑になり、ペアが永遠に離れてしまう可能性が高くなる。いったんその結びつきが切れてしまうと、信頼されるプロヴェナンスおよび追跡記録を再構築することは難しい。これは、取引から作成された写真または他の形式の文書を除いて、前所有者が所有権の持続的な記録を持たないことも意味する。
【0008】
第5の問題は、プロヴェナンス、贋作、二次市場での販売、美術作品の「転売」に関係している。これは幅広いカテゴリーであるが、関連している。信頼できるCOAシステム、および美術作品取引の共有記録がない場合、芸術コミュニティ内で悪用される可能性が大きい。贋作が作られ、オリジナル作品として販売される可能性がある。贋作が作られ、「本物の」COAと共に譲渡される可能性があり、買い手をだまして本物の作品を買っていると信じさせる一方で、本物の絵画はしまっておく。贋作が作られ、偽の裏話を添えて販売されることもある。システムが悪用され得る方法は枚挙にいとまがない。
【0009】
二次市場は、参加するのが特に難しい場所である。所有者はオークションハウスで作品を販売することができるが、その場合、しばしば25%もの「買い手」プレミアムが付く。オンライン市場も選択肢であるが、そのシナリオでは、買い手は用心しなければならず、買い手が購入しているものの信頼性の保証はないことが多い。所有者はギャラリーを通して作品を売却したり委託したりすることができるが、ギャラリーはその範囲に制限があり、やはり所有者はギャラリーにかなりの手数料を支払うことになる。最後に、美術作品の所有者は、コレクターからコレクターへ直接売却することができるが、所有者は、ここでもその範囲に制限があり、したがって、美術作品が公開市場で販売され得る価格よりも低い価格で売却している。二次市場では、疑わしい販売および過小評価された販売が行われやすい。
【0010】
転売とは、美術作品が、一般的には「活発な」市場で、ある価格で購入され、すぐにその価格の2~10倍で再販される場合である。これは通常、市場、アーティスト、および/またはコレクターを動揺させる。これは、「エディション」がリリースされ、それらの盗品(drop)をめぐって騒ぎがある場合に特によく見られる。このような場合、盗品は通常1分以内に完売し、それから約5分後、これらの作品の一部が、販売価格の何倍も高い値でeBayおよびアートフォーラムに現れる。アーティストたちは、このようなことが起こらないようにルールおよび保護制度を作ろうとするが、買い手たちはこれらのルールを無視して作品にアクセスし、利益を得るためにすぐに転売する。彼らは、購入するのにボットを使って、または、アーティスト/ギャラリーをごまかして、これらの作品を確保する。
【0011】
第6の、そして最後の問題は、アーティストの権利、彼らの著作権保護、使用権、および再販手数料に関係している。今日、これらのルールを施行したり、コレクターに、アーティストの権利の範囲内に含まれる条件に同意してもらったりする方法はない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
美術作品と関連付けられたデジタル記録を作成、維持、および譲渡するためのシステムおよび方法が、本明細書で説明される。サーバは、ネットワーク接続を通じて、美術作品の所有権を売却ユーザーから第2のユーザーに譲渡するリクエストを受信することができる。このリクエストは、サーバ上に格納された普遍的美術記録(universal art record)の識別を含むことができ、この普遍的美術記録は、美術作品と関連付けられており、サーバ上のデータベースに格納された複数の普遍的美術記録のうちの1つである。リクエストの受信に応答して、サーバは、普遍的美術記録を第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することができ、関連付けるリクエストは、ネットワーク接続を通じて第2のユーザーのコンピューティングデバイスに送信される。
【0013】
普遍的美術記録を第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することに応答して、サーバは、第2のユーザーが美術作品の取得を希望しているという確認を受信することができる。サーバはまた、確認コードを、第2のユーザーおよび指定されたユーザーのそれぞれと関連付けられた所定のチャネルを介して、第2のユーザーおよび指定されたユーザーのそれぞれに伝送することができ、所定のチャネルは、他の譲渡関連メッセージのために第2のユーザーおよび指定されたユーザーのそれぞれによって使用されるクライアントアプリケーションの外部にある。指定されたユーザーは、普遍的美術記録の所有権フィールド内で、美術作品の現在の所有者として識別され得る。譲渡確認コード(transfer confirmation codes)が、第2のユーザーおよび指定されたユーザー(後者については、いくつかの実施形態では仮想市場アプリケーションを介して支払いが受け取られることを条件とする場合がある)の両方から返されると、普遍的美術記録は、第2のユーザーに譲渡され得る。これは、例えば、譲渡確認コードの受信に応答して、普遍的美術記録を修正して、第2のユーザーが今は美術作品の現在の所有者であることを所有権フィールドに示すことを含む。この修正により、普遍的美術記録の特定の所有権特権を第2のユーザーに譲渡する、例えば、仮想鑑定書にアクセスし、普遍的美術記録への占有アクセスを他のユーザーに許可する能力を第2のユーザーに提供することができる。本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を考慮することにより明らかになるであろう。同様の参照符号は、図全体を通して同様の特徴を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態が実施され得るクライアントサーバシステムおよびネットワークのブロック図を示す。
図2】一実施形態による例示的なモバイルコンピューティングデバイスのブロック図を示す。
図3】一実施形態によるコンピューティングデバイスのシステムブロック図を示す。
図4】一実施形態による、美術作品と関連付けられたデジタル記録を維持および譲渡するシステムのためのシステムアーキテクチャのブロック図を示す。
図5】様々な実施形態による、普遍的美術記録、および普遍的美術記録の所有者が利用可能な様々な機能性を示すブロック図を示す。
図6】様々な実施形態による、ユーザーが所有するコレクション、およびコレクションの所有者が利用可能な様々な機能性を示すブロック図を示す。
図7A】様々な実施形態による、仮想鑑定書を作成するプロセスを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図7B】様々な実施形態による、仮想鑑定書を作成するプロセスを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図8】一実施形態による、ユーザーが所有するコレクションを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図9A】様々な実施形態による、例示的な美術作品詳細インターフェースを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図9B】様々な実施形態による、例示的な美術作品詳細インターフェースを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図10】一実施形態による、仮想鑑定書をアップグレードする方法のフロー図を示す。
図11】一実施形態による、アップグレードされた仮想鑑定書を表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図12】一実施形態による、普遍的美術記録の所有権を譲渡する方法のフロー図を示す。
図13A】様々な実施形態による、記録所有者による普遍的美術記録の譲渡が実行され得るインターフェースを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図13B】様々な実施形態による、記録所有者による普遍的美術記録の譲渡が実行され得るインターフェースを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図13C】様々な実施形態による、記録所有者による普遍的美術記録の譲渡が実行され得るインターフェースを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図14A】様々な実施形態による、普遍的美術記録を第2のユーザーに譲渡するためのインターフェースを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図14B】様々な実施形態による、普遍的美術記録を第2のユーザーに譲渡するためのインターフェースを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図14C】様々な実施形態による、普遍的美術記録を第2のユーザーに譲渡するためのインターフェースを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図14D】様々な実施形態による、普遍的美術記録を第2のユーザーに譲渡するためのインターフェースを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。
図15】一実施形態による、普遍的美術記録の占有権を占有エンティティに譲渡する方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
美術界のあらゆる当事者:つまり、アーティスト、売り手(ギャラリー、オークションハウス、アートフェア)、および買い手(コレクター)に利する一体化されたシステムが、本明細書に記載される。このシステムは、そこに登録された各美術作品に対して「一体化された美術記録」(UAR)を提供する。UARは、個々の美術品に関する重要な情報を格納する柔軟なデータコンテナとすることができる。UARは、保有者のユーザークラス(例えば、アーティスト、ギャラリー、鑑定人、コレクター)に応じて、その保有者に異なる機能性、有用性、価値を提供する。UARは、一度に複数のユーザーによって保有/所有され得る。UARは、どのユーザークラスによっても作成され得る。確実性レベルがUARに割り当てられ、UARを作成するユーザーによって決定される。この確実性は、より高いランクのユーザークラスがUARを認証することによってアップグレードされ得る。UARは、複数のユーザーによって保有/所有され得るだけでなく、記録内に含まれる設定に応じてさらに多く(even more)に閲覧/共有されることもできる。
【0016】
従来の在庫データベース管理システムとは異なり、UAR管理システムは、各美術作品についての単一のUARと、すべてのUARおよびユーザーがすべてのユーザークラスおよびユーザークラス機能性にわたって共有される、特定のクラスの各ユーザーについての唯一のユーザー記録と、を含む。例えば、ギャラリータイプユーザーまたはコレクタータイプユーザーのような異なるクラスのユーザーは、ギャラリーユーザーのために公開に設定されているUARのフィールドの同じサブセットにアクセスすることができ、利用可能なフィールドのサブセットは、さらに、アクセスするユーザーが、UARと関連付けられた美術作品の指定された現在の所有者、過去の所有者、または占有エンティティであるか否かによって左右され得る。これは、各ギャラリーが独自のデータベースを有し、美術作品に関連する情報の量が異なり、美術作品に関連する情報が重複しており、かつ/または一貫性がない、従来のシステムと比較して有利である。
【0017】
UARを占有するユーザーは、そのUARから個別に、あるいは互いにリンクされた多くのUARから、価値を引き出すことができる。価値および機能性は、ユーザークラスに基づいて変わる。UARがユーザークラス間で共有され、一度に複数のユーザーにより所有され得るという事実により、システムは、「背景」のシステムで概説した問題の多くに対処することができる。これは、複数の例としての実施形態を通じて説明される。それぞれが、UARの機能性を示し、一緒に見た場合、UARとそれがサポートするシステムの最大の可能性を示す。
【0018】
1つの例としての実施形態は、UARを説明し、それを強力なコンテナにするその独自の属性を説明する。別の例としての実施形態は、アーティストによって作成された場合のUARと、彼らが記録をギャラリーと共有するときにシステムがどのように機能するか、ギャラリーが記録から何を得るかを説明する。これは、ギャラリーからコレクターに移動するUARと、UARがコレクターに提供する利益をさらに説明する。
【0019】
別の例としての実施形態は、ギャラリーによって作成される場合のUARを示す。これは、ギャラリーからコレクターに移動するUARと、このシナリオにおいてUARがコレクターに提供する利益をさらに示す。これはまた、ギャラリーからアーティストにUARが移動することで、このシナリオにおいて、UARに何が起こるか、そしてUARがアーティストとコレクターにもたらす価値を示す。
【0020】
別の例としての実施形態は、コレクターによって作成される場合のUARを示す。この実施例は、アーティストにより美術品を認証する方法を含む。別の例としての実施形態は、アーティストにより作成される場合のUARを示し、アーティストは、複数の複製を有する美術作品のエディション、アーティスト証明、および手作業で装飾されたエディションのためのUARを作成することができる。
【0021】
別の例としての実施形態は、物理的美術作品を物理的およびデジタル証明書に結び付ける方法を提供する。この説明の中には、詐欺および偽造を防止するためのプロセスを定義した別の方法がある。ユーザーが他人の作品を自分のものとして主張しようとするのを防止するプロセスを記述したさらに別の方法がある。
【0022】
別の例としての実施形態は、美術作品の所有権をある当事者から別の当事者に譲渡する方法を提供する。この方法では、新しい形式のCOA、仮想COAが説明される。美術作品とCOAとの間には、もはや1対1のペアリングは存在せず、その代わりに、古い証明書は譲渡時に失効し、新しい結合要素を作成し、新しい証明書がこの美術作品に対して発行され得る。別の例としての実施形態は、所有権を文書化し、所有権の譲渡を支援するための物理的な証明書を作成する方法を提供する。
【0023】
図1は、分散型コンピュータネットワーク100の簡略化されたブロック図である。コンピュータネットワーク100は、複数の通信リンク128を介して通信ネットワーク124に結合された、いくつかのクライアントシステム113、116、119ならびにサーバシステム122を含む。任意の数のクライアントおよびサーバがシステム内に存在してよい。通信ネットワーク124は、分散型ネットワーク100の様々なコンポーネントが互いに通信し、情報を交換することを可能にするためのメカニズムを提供する。
【0024】
通信ネットワーク124は、それ自体、多くの相互接続されたコンピュータシステムおよび通信リンクで構成され得る。通信リンク128は、ハードワイヤリンク、光リンク、衛星もしくは他の無線通信リンク、波動伝播リンク、または情報の通信のための任意の他の機構であってよい。図1に示す様々なシステム間の通信を容易にするために、様々な通信プロトコルが使用され得る。これらの通信プロトコルは、TCP/IP、HTTPプロトコル、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)、ベンダー固有のプロトコル、カスタマイズされたプロトコルなどを含み得る。一実施形態では、通信ネットワーク124はインターネットであるが、他の実施形態では、通信ネットワーク124は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、ワイヤレスネットワーク、イントラネット、プライベートネットワーク、パブリックネットワーク、スイッチドネットワーク、およびこれらの組み合わせなどを含む任意の適切な通信ネットワークであってよい。
【0025】
図1の分散型コンピュータネットワーク100は、単に一実施形態を例示するものであり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者であれば、他の変形、修正、および代替を認識するであろう。例えば、複数のサーバシステム122が通信ネットワーク124に接続され得る。別の実施例として、いくつかのクライアントシステム113、116、119は、アクセスプロバイダ(図示せず)を介して、または何らかの他のサーバシステムを介して、通信ネットワーク124に結合され得る。
【0026】
クライアントシステム113、116、119は、ユーザーがサーバシステム122によって格納された情報にアクセスし、照会することを可能にする。具体的な実施形態では、クライアントシステム上で実行される「ウェブブラウザ」アプリケーションは、ユーザーがサーバシステム122によって格納された情報を選択、アクセス、検索、または照会することを可能にする。ウェブブラウザの例は、Microsoft(登録商標) Corporationが提供するInternet Explorer(登録商標)ブラウザプログラム、Mozilla(登録商標) Foundationが提供するFirefox(登録商標)ブラウザなどを含む。他の実施形態では、ネイティブモバイルアプリケーションを使用して、サーバシステム122によって格納された情報を選択、アクセス、検索、または照会することができる。
【0027】
図2は、図1のクライアントシステム113、116、119のうちの1つの実施例であり得る、本発明のモバイルクライアントシステムのようなコンピューティングデバイス200の特定の実施形態を示す。一実施形態では、ユーザーは、図2に示すようなクライアントシステムを通じてシステムとインターフェースする。モバイルクライアント通信またはポータブル電子デバイス200は、単一のハウジング内にディスプレイ、スクリーン、またはモニタ206と、入力デバイス215と、を含む。ハウジングはまた、よく知られたコンピュータコンポーネントを含むことができ、そのいくつかは図示されていないが、例えば、プロセッサ220、メモリ225、バッテリ230、スピーカ、トランシーバ、全地球測位衛星(GPS)受信機、アンテナ235、マイクロフォン、ポート、ジャック、コネクタ、カメラ、入出力(I/O)コントローラ、ディスプレイアダプタ、ネットワークインターフェース、大容量記憶装置240など、およびそれらの様々な組み合わせである。これらのコンポーネントは、任意の相互接続方式またはバスアーキテクチャを使用して接続され得る。
【0028】
入力デバイス215は、タッチスクリーン(例えば、抵抗性、表面音響波、容量性感知、赤外線、光学イメージング、分散信号、もしくは音響パルス認識)、キーボード(例えば、電子キーボードもしくは物理キーボード)、ボタン、スイッチ、スタイラス、またはこれらの組み合わせを含むこともできる。
【0029】
大容量記憶装置240は、フラッシュおよび他の不揮発性ソリッドステート記憶装置またはソリッドステートドライブ(SSD)、例えば、フラッシュドライブ、フラッシュメモリ、またはUSBフラッシュドライブを含み得る。大容量記憶装置の他の例としては、大容量ディスクドライブ、フロッピーディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、固定ディスク、ハードディスク、CD-ROM、記録可能CD、DVD、記録可能DVD(例えば、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、HD-DVD、もしくはブルーレイディスク)、バッテリバックアップされた揮発性メモリ、テープ記憶装置、リーダ、および他の同様の媒体、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
また、本発明は、異なる構成を有する、例えば、サブシステムが追加されているか、またはサブシステムの数が少ない、コンピュータシステムにも使用することができる。例えば、コンピュータシステムは、複数のプロセッサ(すなわち、情報の並列処理を可能にするマルチプロセッサシステム)を含み得るか、または、システムはキャッシュを含み得る。図2Bに示すコンピュータシステムは、本発明と共に使用するのに適したコンピュータシステムの単なる一例である。本発明と共に使用するのに適したサブシステムの他の構成は、当業者には容易に明らかであろう。
【0031】
例えば、具体的な実施態様では、コンピューティングデバイスは、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのモバイル通信デバイスである。スマートフォンのいくつかの具体例としては、HTC Corporationが提供するDroid IncredibleおよびGoogle Nexus One、Appleが提供するiPhoneまたはiPad、ならびに多くの他のものが挙げられる。一般的に、これらのモバイルまたはポータブルコンピューティングデバイスは、デスクトップコンピュータよりも少ないリソース(例えば、メモリ、ストレージ、小さい画面、または処理能力)を有する。さらに、このようなモバイルまたはポータブルコンピューティングデバイスは、デスクトップコンピュータの場合のように電源コンセントに常時接続されるのではなく、主にバッテリによって給電されるように設計されている。そのため、ポータブルコンピューティングデバイスと非ポータブルコンピューティングデバイスとの間のこのような違いを考慮すると、一般に、ポータブルコンピューティングデバイス上のアプリケーションは、小型かつ軽量である(例えば、非ポータブルコンピューティングデバイスと比較して、比較的少ないリソースを消費する)ことが望ましい。コンピューティングデバイスは、ラップトップまたはネットブックであってよい。別の具体的な実施態様では、コンピューティングデバイスは、デスクトップコンピュータまたはワークステーションなどの非ポータブルコンピューティングデバイスである。
【0032】
本発明を実施するのに有用なプログラム命令のコンピュータ実装またはコンピュータ実行可能バージョンは、非一時的なコンピュータ可読媒体を使用して具現化されるか、その上に格納されるか、またはそれと関連付けられ得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、実行のために1つ以上のプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を含むことができる。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体は、例えば、フラッシュメモリ、または光もしくは磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、キャッシュメモリまたはRAMなどの静的または動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線、光ファイバ線、バスに配置されたワイヤを含む。伝送媒体は、電波および赤外線データ通信中に発生するものなど、電磁波、無線周波、音響波、または光波の形をとることもできる。
【0033】
例えば、本発明を実施するのに有用なソフトウェアのバイナリの機械実行可能バージョンは、RAMもしくはキャッシュメモリ内、または大容量記憶装置240上に格納されるかまたは常駐することができる。このソフトウェアのソースコードも、大容量記憶装置240(例えば、フラッシュドライブ、ハードディスク、磁気ディスク、テープ、もしくはCD-ROM)上に格納されるかまたは常駐することができる。さらなる実施例として、本発明の実施に有用なコードは、ワイヤ、電波を介して、またはインターネットなどのネットワークを通じて伝送され得る。別の具体的な実施形態では、本発明の特徴を実施するための様々なソフトウェアプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0034】
コンピュータソフトウェア製品は、C、C++、C#、Pascal、Fortran、Perl、Matlab(MathWorksより、www.mathworks.com)、SAS、SPSS、JavaScript、CoffeeScript、Objective-C、Objective-J、Ruby、Python、Erlang、Lisp、Scala、Clojure、Javaなど、さまざまな適切なプログラミング言語のいずれかで記述され得る。コンピュータソフトウェア製品は、データ入力モジュールとデータ表示モジュールを備えた独立したアプリケーションであってよい。あるいは、コンピュータソフトウェア製品は、分散型オブジェクトとして例示され得るクラスであってもよい。また、コンピュータソフトウェア製品は、Java Beans(Oracleより)またはEnterprise Java Beans(OracleのEJB)などのコンポーネントソフトウェアであってもよい。
【0035】
システムのオペレーティングシステムは、Android(登録商標)システム、iPhone(登録商標) OS(すなわち、iOS(登録商標))、Symbian(登録商標)、BlackBerry OS、Garnet OS、webOS、Mer、Maemo(登録商標)、Tizen(登録商標)、またはBREW(登録商標) OSであってよい。システムのオペレーティングシステムは、Microsoft Windows(登録商標)ファミリーのオペレーティングシステム(例えば、Windows 95(登録商標)、98、Me、Windows NT(登録商標)、Windows 2000(登録商標)、Windows XP(登録商標)、Windows XP(登録商標) x64 Edition、Windows Vista(登録商標)、Windows 7(登録商標)、Windows CE(登録商標)、Windows Mobile(登録商標))、Linux、HP-UX、UNIX、Sun OS(登録商標)、Solaris(登録商標)、Mac OS X(登録商標)、Alpha OS(登録商標)、AIX、IRIX32、またはIRIX64のいずれかであってもよい。他のオペレーティングシステムが使用されてもよい。Microsoft Windows(登録商標)は、Microsoft(登録商標) Corporationの商標である。
【0036】
さらに、モバイルデバイスまたはポータブルコンピュータデバイスは、ネットワークに接続され得、このネットワークを使用して他のコンピュータとインターフェースすることができる。ネットワークは、特に、イントラネット、インターネット(internet)、またはインターネット(the Internet)であってよい。ネットワークは、有線ネットワーク(例えば、銅線(copper)を使用する)、電話ネットワーク、パケットネットワーク、光ネットワーク(例えば、光ファイバを使用する)、モバイルネットワーク、もしくは無線ネットワーク、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。例えば、データおよび他の情報は、モバイルデバイスまたはポータブルコンピュータと、符号分割多元接続(CDMA)、汎ヨーロッパデジタル移動通信システム/汎用パケット無線サービス(GSM)/(GPRS)、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMAX)、もしくは3GPPロングタームエボリューション(LTE)などのプロトコルを採用するモバイルネットワーク、またはWi-Fi(数例を挙げると、IEEE規格802.11、802.11a、802.11b、802.11e、802.11g、802.11i、802.11nなどがある)などのプロトコルを採用する無線ネットワークを使用する本発明を実施するうえで有用なシステムのコンポーネント(またはステップ)との間で渡され得る。例えば、コンピュータからの信号は、少なくとも部分的には、無線でコンポーネントもしくは他のコンピュータに、または、モバイル通信デバイスから他のモバイル通信デバイスに伝送され得る。
【0037】
図3は、コンピューティングデバイス210のシステムブロック図300を示す。図2と同様に、コンピュータシステム210は、ディスプレイ206と、入力デバイス215と、大容量記憶装置240と、を含む。モバイルコンピュータシステム210は、中央プロセッサ302、システムメモリ304、入出力(I/O)コントローラ306、ディスプレイアダプタ308、シリアルまたはユニバーサルシリアルバス(USB)ポート312、ネットワークインターフェース318、およびスピーカ320などのサブシステムをさらに含む。一実施形態では、コンピュータシステムは、追加のまたはより少ないサブシステムを含む。例えば、コンピュータシステムは、複数のプロセッサ302(すなわち、マルチプロセッサシステム)を含み得るか、またはシステムはキャッシュメモリを含み得る。
【0038】
322などの矢印は、コンピュータシステム201のシステムバスアーキテクチャを表す。しかし、これらの矢印は、サブシステムをリンクする役割を果たす任意の相互接続スキームを例示するものである。例えば、スピーカ320は、ポートを通じてその他のサブシステムに接続されるか、または中央プロセッサ302への内部直接接続を有することができる。プロセッサは、情報の並列処理を可能にする複数のプロセッサまたはマルチコアプロセッサを含むことができる。図2に示すコンピュータシステム210は、好適なコンピュータシステムの一例に過ぎない。使用に適したサブシステムの他の構成は、当業者には容易に明らかであろう。
【0039】
一実施形態では、コンピュータワークステーションシステム上で実行されるウェブブラウザにより、ユーザーはインターネットなどのネットワークを通じてワールドワイドウェブ(WWW)上のシステムにアクセスする。ウェブブラウザは、HTML、XML、テキスト、PDF、およびポストスクリプトを含む様々な形式のウェブページまたは他のコンテンツをダウンロードするために使用され、システムの他の部分に情報をアップロードするために使用されてもよい。ウェブブラウザは、ウェブ上のリソースを識別するためのユニフォームリソースアイデンティファイア(URL)、および、ウェブ上のファイルを転送する際のハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)を使用することができる。
【0040】
図4は、一実施形態による、美術作品と関連付けられたデジタル記録の所有権特権を維持および譲渡するためのシステム400についてシステムアーキテクチャのブロック図を示す。ネットワーク環境400は、モバイルコンピューティングシステムであってもよいコンピューティングシステム405および412を含む。コンピューティングシステム405および412は、セルラー接続を介して、またはWi-Fiルータ(図示せず)を介して、ネットワーク450に接続され得る。ネットワーク450はインターネットであってよい。コンピューティングシステム405および412は、ネットワーク250を介して、1つ以上のサーバコンピューティングシステム455および460と結合され得る。
【0041】
UARサーバ455は、ネットワーク450を通じて複数のユーザーデバイスと通信していてよい。各ユーザーコンピューティングシステムは、コンピューティングシステム405と同様に、ユーザーに関連付けられ得、クライアントアプリケーションモジュール408を含み得る。ユーザーは、ユーザーコンピューティングシステム405およびクライアントアプリケーションモジュール408を使用して、UARサーバコンピューティングシステム455(データベースサーバとも呼ばれる)に接続し、それと通信し、UAR管理モジュール457(本明細書で説明されるステップを容易にするデータベースサーバ455上で実行されるアプリケーションであってもよい)にログインすることができる。特定のタイプのユーザーであるアーティストは、同様に、クライアントアプリケーションモジュール414を使用して、UARサーバコンピューティングシステム455に接続し、これと通信することができる。ユーザーおよび/またはアーティストは、データベースサーバ455にデータを送信することができ、データベースサーバ455からUARデータに対する後続のリクエストを行うことができる。データベースサーバ455は、データベース470を格納することができ、これは、複数のユーザーのUARデータ473を格納することができる。データベースサーバ455は、エンティティと関連付けられ得る。
【0042】
データベースサーバ455は、ギャラリークライアントアプリケーション465で構成されたギャラリーサーバコンピューティングシステム460と結合され得る。ギャラリーサーバ460はまた、ギャラリーツール467と関連付けられ得、これは、UARデータベース470に格納されたUARと関連付けられた美術作品の様々なコレクションを管理するために使用される1つまたは複数の別個のアプリケーションであってよい。ギャラリーツール467は、図示のようにギャラリーサーバ460上に別個に実装されてもよく、またはデータベースサーバ455に統合されて、ギャラリータイプユーザーに別個のサービスとして提供されてもよい。
【0043】
図5は、様々な実施形態による、普遍的美術記録520、および普遍的美術記録の所有者が利用できる様々な機能性を示すブロック図500を示す。以下のリストは、普遍的美術記録(UAR)520の一般的なコンポーネントの概要を示している。UAR520は、物理的な美術品に関連する複数の属性をすべて保持するコンテナである。UAR520は、美術作品の存続期間中に新たな項目を付加することができる、進化する記録である。UARとその背後にあるシステムにより、UARの所有権特権または占有権特権を有する者は、記録から情報を抽出し、それをデータに利用して、効用と価値を受け取ることができる。効用と価値は、ユーザータイプによって大きく異なる可能性がある。UARのフィールドは以下を含み得る(そのいくつかはUAR520に示されている):
確実性
コンテナ:
a.写真
b.情報
i.アーティスト
ii.タイトル
iii.年
iv.サイズ
v.媒体
vi.タイプ
vii.アーティスト署名
c.ギャラリー
i.展示会
d.場所追跡
e.価格
i.価格履歴
f.プライバシー
g.COA
i.AlwaysArt
ii.その他
h.所有者
i.前所有者
i.所有率
j.所有者数
k.占有権
l.契約
m.時限錠
n.NFT
o.関心ログ
グループ
複数所有権
展示会構成
【0044】
コンテナとして、UARは、適応性があり、美術品の説明だけでなく、美術品に関連する多くのフィールドを収容することができる。例えば、関心ログは、ギャラリーがUAR520と関連付けたい機能である。ギャラリーユーザーは、コレクターに文書またはインタラクティブカタログを送信することができる。コレクターは購入を行うことができ、かつ、カタログはリアルタイムで更新され得、またはギャラリーユーザーに関心を示すかもしれない。ギャラリーユーザーは、UAR520内でどのコレクターが関心を持っているかに関するメモを挿入し、所定の測定基準に基づいてコレクターに優先順位を割り当てることなどができる。UAR520はまた、NFTまたはNFT用のウォレットIDを収容することができるため、コレクターのカタログは、完全なデジタルおよび物理的アートコレクションを1つのデータ構造に収容することができる。展示会構成フィールドは、壁に貼られるラベル、プレサージュカタログ(presages catalog)、作品に関する個々の切り取りページ、リストアップされた関心などを動的に作成するためにデータを抽出する能力を提供することができる。部分的所有権フィールドは、複数のコレクターが、パーセンテージベースの所有権で、UARの所有者となる能力を提供することができ、彼らは、自分の利権を売却および譲渡することができるが、その他の所有者には影響を与えない。
【0045】
UAR520は、ユーザーインタフェースから作成/編集機能510にアクセスするユーザーによって生成され得る。図示のように、複数のUARを作成するために(例えば、ユーザーがプリント一式のUARを作成したい場合など)、一括作成機能も提供され得る。最初の記録が作成された後、アーティストは、ユーザーが望む任意の順序で記録にフィールドを追加することができる。これらのフィールドには、UAR520に示すように、美術作品の写真、美術作品に関する情報、例えば、アーティスト、タイトル、年、媒体、サイズ、美術作品の種類、署名、価格、売却状況などが含まれる。
【0046】
UAR520は、(UAR520に表示され、上述したフィールドを含む)美術記録コンポーネントと、所有権記録コンポーネント527と、を含むことができる。所有権記録コンポーネント527は、図示のような所有権フィールドを含み、UAR520の現在の所有者である指定されたユーザーを表示することができる。いくつかの実施形態では、所有権記録527は、美術作品作成プロセス510へのアクセスに応答して自動的に作成され、最初は、所有権フィールドは、UAR520を作成したユーザーに設定される。所有権記録527は、「所有権」と「占有権」という別々のフィールドによって示される2つのコンポーネントを含むことができる。所有権フィールドは、美術作品の現在の所有者を識別し、指定されたユーザーにUARに対する所有権特権を付与する。上述したように、アクセスユーザーがUARでできることは、ユーザータイプと、UARの所有権および占有権関連フィールドの両方によって決定される。ユーザータイプとUARのフィールドとの間の交わりは、アクセス時に各アクセスユーザーについて評価され、一実施形態では、どのフィールドが閲覧可能であるか、関連する記録(例えば、所有権履歴、または美術作品の現在の場所など)についてどの程度見られるか、データ抽出能力、およびデータ操作能力を決定する。所有権特権は、UAR520のすべての属性が最初の作成後に修正され得ることを意味するものではなく、公開フィールド、まだ設定/作成されていない新しいフィールド、または修正されるように設計されたフィールドのみが編集可能である。別個の占有権フィールドを有することにより、指定されたユーザーは、他のユーザー(例えば、個人ユーザーまたはギャラリー)に美術作品を「貸与」し、UARに含まれるデータへの閲覧アクセス権を付与することができるが、美術作品がそのユーザーの管理外にある間も、所有権特権を依然として維持することができる。この保護レイヤーは、美術作品が指定されたユーザーによって所有されているという、反論の余地のないリンクを提供し、作品が紛失、盗難、回収されるか、または紛争で発見された(found in a dispute)場合に、作品の再取得を可能にする。美術作品の状態は、UARデータベースの所有権記録527に関連付けられた状態記録526に含まれ得る。
【0047】
所有権記録コンポーネント527は、普遍的美術記録が美術作品に対応するという検証をどのユーザーがサーバに送信したかに基づいて割り当てられた証明の確実性レベルを含む、仮想鑑定書を含むことができる。仮想鑑定書(「COA」)は、COA作成プロセス560の起動に応答して作成され得、所有者記録527および所有権履歴記録528の両方からの情報を含み得、所有権履歴記録528は、UARデータベース内の所有者記録527にリンクされ得、UAR520の過去の所有者のリストを含む。所有権履歴記録528は、美術作品およびUAR520のプロヴェナンスチェーンまたは所有権チェーンを作成するために使用され、潜在的にUAR520の作成まで遡ることができる。
【0048】
確実性レベルは複数の階層に構成され得、そこでは、任意の所望のランク付けシステムを使用して証明の階層を区別することができる。一実施形態では、UARがアーティストによって作成されると、記録は直ちに可能な限り最高の確実性レベルを有する。例えば、確実性が10段階評価で、1が低い確実性、10が高い確実性である場合、記録は確実性において10/10の設定を有することになる。別の実施形態では、確実性は4つのレベル(例えば、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ)のうちの1つとして表現され得、アーティストが作成したUARは、最高度の確実性、この場合はプラチナを有することになる。ゴールドレベルの確実性は、ギャラリー認定COAに相当することができ、シルバーレベルの確実性は、コレクター認定COAに相当することができ、ブロンズレベルの確実性は、オークションハウス認定COAに相当することができる。別の実施例では、ギャラリータイプユーザーがUARを作成し、これに応じて10のうち5の確実性レベルが割り当てられる。この低い確実性は、その記録がアーティスト自身ではないが他の潜在的なクリエイターよりも高い「信頼できる」ソースによって作成されたことを反映するために使用される。
【0049】
インターフェース上でUAR520を閲覧する場合、上記のフィールドを修正することに加えて、UAR520の現在の指定された所有者、またはUARと関連付けられた他のユーザー(例えば、占有エンティティ)が、他のプロセスまたは機能を利用できる場合がある。例えば、UAR520と関連付けられた美術作品についてのアーティストの説明(narrative)522が、UAR520にリンクされ得る。同様に、契約524は、UAR520にリンクされ、現在の指定された所有者による選択時に閲覧され得る。契約はUARにリンクされるので強制力があり、それは、UARと関連付けられた美術作品を取得することに関心のある当事者は誰でも、どのような条件が売却ユーザーの譲渡能力を制限するかを閲覧することができるためである。契約記録524は、UARと関連付けられた過去の所有者によってUAR520の現在の指定された所有者に課された条件、例えば、再販ロック(美術作品の転売を回避するために、予め設定された期間にわたりUAR520の再譲渡を防止する)、権利譲渡(例えば、UAR520と関連付けられた美術作品の複製品を使用するライセンス)、および/またはUAR520と関連付けられた元のアーティストに譲渡対価のある割合を移転するロイヤリティ契約を含むことができる。UAR520がインターフェース上に表示されるときに表示される主要画像、コレクション・ビュー・インターフェースにおける閲覧のためのサムネイル画像、および追加の写真を含む、美術作品の画像530は、美術作品の1人以上の所有者によってアップロードされ、UAR520にリンクされるコンテナに別個に格納され得る。UAR520の現在の指定された所有者には、COAをアップグレードするためのプロセス550をトリガする権利も提供される場合がある。このアップグレードのプロセスは、以下でさらに説明される。上記に加えて、コレクター記録540が、データベースにおいてUAR520と関連付けられ得る。コレクター記録540は、UAR520と関連付けられた美術作品の現在の価値、美術作品が額装されているかどうか、どのような種類のガラスが使用されているか、美術作品に保険がかけられているかどうか、美術作品を保護するためにとられたセキュリティ対策、美術作品を保存するために使用された温度および湿度管理対策などについてのフィールドを含むことができる。
【0050】
コレクターユーザータイプがUARの指定された所有者である場合、(例えば、追加のフィールドの形で)UARに自身のコンポーネントを追加することができ、または、作成されたUARを使用して類似作品を検索したり、UARと関連付けられた美術作品の所有権を証明したり、コレクションを評価したり、コレクションを管理したりすることができる。美術作品の所有権を証明することは、保険目的、紛争発生時、または盗難された作品を回収しようとする際に重要である。タイムスタンプとともに所有権を文書化することで、コレクターは投資を保護することができる。コレクターはまた、所有権および/または占有権を他のユーザーに譲渡することができ、このサイクルが繰り返される。
【0051】
図7A図7Bは、様々な実施形態による、仮想鑑定書を作成するためのプロセスを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショット700および750である。スクリーンショット700および750に表示される機能は、ブロック図500に表示される機能性の例示的な実施形態である。例えば、主要画像712および他の画像714は、(ブロック図500の機能530に対応する)「画像追加」プロセス710を使用して画像をアップロードするユーザーに基づいて、表示されたUARインターフェース700に関連付けられる。UARインターフェース700は、UAR520の美術記録コンポーネントからのフィールド720も表示する。また、(状態記録526からの)状態フィールド740、およびUAR管理システムのパブリックユーザー(すなわち、指定された所有者ではないかまたはUARと関連付けられた美術作品を占有していないユーザー)がUARインターフェース700から閲覧できるものを指示するプライバシーオプションも表示される。
【0052】
ユーザーがUAR作成プロセス中にCOA作成プロセス730を選択すると、COA作成インターフェース750が提示され得る。例示的なCOA作成インターフェース750は、UAR520の美術記録コンポーネントからのフィールド720を含むが、UARが作成されたとき、UARの所有権もしくは占有権の取引、および/またはCOAへのアップグレードを含む、UARの重要なイベントからの、タイムスタンプおよび他の情報を含む、所有権履歴記録528からの所有権履歴760も含む。COA作成インターフェース750はまた、UAR管理システムのユーザーによって認証された信頼性のレベルを示すCOAレベルインジケータ770を含むことができる。インターフェース750の例示的な実施形態では、アーティストがCOAを作成しているため、COAレベルインジケータ770には最高の認証レベルが示される。COA作成インターフェース750はまた、譲渡時限錠フィールド780を含むことができ、UAR作成者が、選択可能な所定の時間間隔の間、UARインターフェース700と関連付けられたUARの譲渡をロック、または防止することを可能にする。これにより、UARが、最初の所有権譲渡後、その作成者によって設定された期間、譲渡されることを防止する。例えば、UARは、UARの所有権特権が美術作品の新しい所有者に譲渡されるときに、9ヶ月の時限錠を有することができる。時限錠に基づき、UARの所有権特権は、次の2つの条件のうちの1つが満たされない限り、時限錠期間中に再び譲渡されることはできない:違約金が支払われる(これは時限錠作成者によって設定される)、またはその作成者が時限錠を外す。時限錠の目的は、売り手を保護し、転売業者が法外に高い小売価格で美術作品を性急に販売するのを防ぐことである。ユーザーは、COA作成インターフェース750のフィールド値に満足したら、選択可能なアイコン790を使用して変更を保存し、それによりCOAを作成することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、UARは、UARの所有権および占有権の両方を有することができる、アートギャラリーと関連付けられた、ギャラリータイプユーザーアカウントによって作成され得る。UARが完成するとすぐに、ギャラリーはUARを活用して、ギャラリーの壁用の展示会ラベルを印刷し、インタラクティブな機能を備えた展示会前カタログを動的に構築し、個々の美術作品の切り取りページを作成し、展示会カタログを構築し、インタラクティブな展示会体験を創出し、コレクターへの所有権の譲渡を開始することができる。
【0054】
図4のギャラリーサーバ460によって使用されるアプリケーション467の1つであってもよい、動的な展示会前カタログは、2つの強力なモードを含み得る。先着順モードは、コレクターが美術作品を閲覧し、「今すぐ購入」リンクでその場で購入することを可能にする。第2のモードは関心登録リンクであり、このモードで、コレクターは作品への関心を登録することができる。その関心はUARに登録され、そこでギャラリーはその美術作品に関心を示したすべてのコレクターを閲覧し、購入優先順位に並べることができる。そして、システムは、人的交流がほとんどまたは全くなしで作品を購入するチャンスを提供する一連のルールと共に、その優先順位に従う。例えば、優先順位1の買い手は、返答および購入まで36時間有し得る。その時間が過ぎると、優先順位2の買い手は、UARサーバにより自動的に通知を受け、UARと関連付けられた美術作品を購入するための24時間が与えられる。その時間が過ぎると、優先順位3の買い手に24時間と共に移り、美術作品が売却されるか関心のあるコレクターがリストにいなくなるまで、続く。
【0055】
UARは、単独でも、一緒にグループ化されて名前付きコレクションにされることもできる。これらのグループ化によって、UARはさらに有用性を有する。例えば、UARは、年、コレクション、ムード、色、展示会などによってグループ化され得る。このデータの追加コンポーネントにより、UARはより便利な方法で組織化され、検索される。また、ユーザーがUARの占有権または所有権を単独でまたはグループとして譲渡することも可能である。図6は、様々な実施形態による、ユーザーが所有するコレクション610、およびコレクションの所有者が利用できる様々な機能性を示すブロック図600を示す。コレクション610は、コレクション610の所有者が閲覧可能な一連のインターフェースを使用して組織化され得る。所有者は、(さらに後述する)UARを有するあらゆる美術作品の所有権または占有権のあらゆる譲渡を精査するかまたは証明するためのオプションを、図示のように提示され得る。
【0056】
コレクション610の一部として所有される美術作品のUARは、美術作品の種類(絵画、エディション[版画、または同じ美術作品の他の限定リリースの場合]、彫刻など)に基づいて細分化され得る。美術作品の種類が選択されると、複数のリストが提示され得、各リストは、ユーザーによって作成されたUARのグループである。ユーザーが作成したUARのリストに加え、コレクション610に追加された所定数の最新のUARを含む、選択可能で自動的に生成された「最近の」リストが作成され得る。また、ソート設定605は、例えば、リストが展示会の一部であるか、または特定のアーティストによって作成された一連の作品であるかによって、ユーザーがリストのグループをソートできるように、ユーザーに証明され得る。
【0057】
UARのリストが表示されると、美術作品リスト記録615がリスト内の各UARについて表示され得る。図8のインターフェース800の記録824と類似していてよい、美術作品リスト記録615から、いくつかの選択可能なアイコンが提示され得る。美術作品詳細インターフェース620は、対応するオプション(例えば、アイコン828)が美術作品リスト記録615から選択されると、表示され得る。美術作品リストインターフェース615は、UARの美術記録コンポーネントから選択されたフィールドを表示することができる。美術作品詳細記録620がアクセスされると、ユーザーは、プロセス622を使用して美術作品の画像を印刷するか、プロセス625を使用して画像を閲覧するか、またはプロセス630を使用してCOAを閲覧することができる。COA閲覧プロセス630を起動した後にCOAを閲覧する場合、ユーザーは、COAを印刷するプロセス632およびCOAの物理的コピーを注文するプロセス634をトリガすることができる。
【0058】
美術作品詳細記録620を伴う他の機能には、表示されたUARと関連付けられた美術作品の占有権を譲渡する機能640(所有権の譲渡とは対照的であり、占有権譲渡プロセスの説明については後述の図15を参照)、および、ユーザーがアーティストタイプエンティティである場合に、アーティストタイプユーザーエンティティによって作成された美術作品のCOAを証明するプロセス645が含まれる。所有権譲渡プロセス635は、美術作品詳細記録620またはCOA閲覧記録630のいずれか一方から利用可能であり、以下でさらに詳細に説明するUARの所有権特権譲渡プロセスをトリガすることができる。
【0059】
図8は、一実施形態による、ユーザーが所有する、コレクション610のリストの1つなどのUARのグループを表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショット800である。コレクションインターフェース800のリスト810は、「Infinity」(例えば、「Infinity」と題された美術展示に対応し得る)と題され、Infinityのリスト810内の種々の美術作品に対応するUAR820などの複数のUARを含む。各UARは、UAR820に示されているように、美術作品のサムネイル画像822(作成されている場合)、UARの美術記録コンポーネントからの選択されたフィールド824(例えば、美術作品のタイトル、サイズ、作成日)、および信頼性確実性レベルの視覚的表現826(UAR820の場合、プラチナ)を含むことができる。ユーザーがアイコン828を選択すると、美術作品詳細インターフェース620が表示され得る。
【0060】
図9A図9Bは、様々な実施形態による、例示的な美術作品詳細インターフェース900および950を表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。「Half Penny」と題された美術作品についての美術作品詳細インターフェース900は、上述のように、アイコン828を選択することに応答して、ユーザーコンピューティングデバイス上に表示され得る。例示的な美術作品詳細インターフェース900は、COA信頼性の視覚的インジケータ910、およびCOAを閲覧するための選択可能なアイコン920(美術作品詳細インターフェース620に表示されたCOA閲覧機能630に対応する)を含む。別の選択可能なアイコン925は、UARの所有権を譲渡するために提供され、図12に表示される方法1200をトリガする。美術作品詳細インターフェース900と関連付けられた美術作品の占有権を譲渡するために、アイコン930も提供され、これは、図15に表示される方法1500をトリガすることができる。
【0061】
選択可能なアイコン915も、COAレベルをアップグレードするために提供され得る(プロセス550に対応)。これは、例えば、コレクターがUARを作成する場合に有用となり得る。コレクターは、コレクション内の任意の美術作品についてUARを作成することができる。コレクターがUARを作成すると、それはデフォルトの確実性を持ち、それは2(10段階評価)、またはシルバーレベル(4段階等級)となり得る。UARは、彼らのコレクションを追跡し、UARに格納されている任意の属性によってコレクションをソートすることを可能にし、保険目的で所有権を証明させ、回収のためにUARを使用させ、類似作品を見つけ、コレクションを評価し、または購入を推奨する。その他の実施例と同様に、コレクターは所有権および/もしくは占有権を譲渡することができ、または、UARをギャラリーに、もしくはUAR中の特定されたアーティストに、検証/証明のために渡すことができる。アーティストが作品を本物であると検証および証明した場合、2つのことが起こり得る:1.アーティストはUARを永続的に見ることができるようになり、それがオンラインカタログおよびシステムに現われるようになる。2.UARの確実性が最高レベル(プラチナ、または10/10)にアップグレードされる。ギャラリーが美術作品を認証した場合、5/10(またはゴールドレベル)にアップグレードされ得、ギャラリーもUARを見ることができる。
【0062】
アイコン915の選択は、図10に示されるCOAアップグレードプロセスをトリガすることができる。UAR管理サーバによって実行される、方法1000は、ステップ1010で、美術作品詳細インターフェース900と関連付けられたUARのCOAをアップグレードするリクエストを受信することによってトリガされ得る。このリクエストは、アイコン915の選択に応答して送信され得る。COAをアップグレードするリクエストの受信に応答して、サーバは、ステップ1015で、UARと関連付けられた、より上位の認証者に、COAをアップグレードするリクエストを送信することができる。より上位の認証者は、美術作品詳細インターフェース900と関連付けられた美術作品と関連付けられたギャラリーユーザー(例えば、美術作品が取得されたギャラリー)、または美術作品を作成したアーティストユーザーのいずれかであってよい。
【0063】
COAをアップグレードするリクエストの受信に応答して、UARと関連付けられた、より上位の認証者は、ステップ1020でサーバによって受信され得る、アップグレード認証に反応し得る。アップグレード認証は、例えば、より上位の認証者と関連付けられたクライアントアプリケーションを使用して送信されるメッセージであってよい。アップグレード認証は、ステップ1025で、UARの所有者記録に追加され得;例えば、情報は、アップグレード認証の受信と関連付けられたタイムスタンプを含め、当該UARの所有権履歴記録528および/またはCOAに自動的に入力され得る。最後に、UAR認証レベルが、ステップ1030において、UARについてアップグレードされ得る。ステップ1030でのアップグレードは、UARの美術作品詳細インターフェースおよびスクリーンショット800に表示されたリストビューの両方について視覚インジケータのアップグレードを含み得る。
【0064】
アーティストは、UAR認証レベルに関して最も高い確実性レベルを有するので、UAR管理システムは、ユーザーの不正行為から保護するための手段を提供することができる。例えば、ユーザーがアーティストタイプユーザーアカウントとして登録する場合、アーティストによって作成された美術作品と関連付けられた1つ以上のUARに関して、アーティストユーザー特権がアカウントに与えられる前に、検証プロセスが提供され得る。例示的な実施形態では、アーティストタイプアカウントを作成するリクエストに応じて、1人以上の既存のアーティストタイプユーザーは、アーティストタイプアカウントを作成するリクエストがあったときに、アーティストタイプアカウントを作成する人物と一緒にいるかどうかを尋ねるメッセージを自動的に送信され得る。既存のアーティストタイプユーザーが、アーティストタイプアカウント特権を要求するユーザーと一緒にいることを確認した場合、サーバはリクエストを承諾することができる。既存のアーティストタイプユーザーが、所定の期間内に、アーティストタイプアカウント特権を要求しているユーザーと一緒にいることを確認しなかった場合、サーバは、アーティストタイプアカウント特権を要求しているユーザーに、所定の数の推薦状(references)を要求するメッセージを送信することができる。そこから、管理者は、推薦状がクライアントアプリケーションを介して提出されたら、それらの推薦状を精査し、手動で承認を行うことができる。潜在的な不正行為に対処するために使用され得る他の手段には、アーティストタイプまたはギャラリータイプユーザーとして登録する際に、政府発行の身分証明書情報を要求することが含まれる。
【0065】
美術作品詳細インターフェース950は、方法1000で説明したようにUAR認証レベルをアップグレードした結果を示している。視覚的インジケータ960は、インジケータ910に表示される以前のシルバーの認証レベルから最高レベル(プラチナ)にアップグレードされる。さらに、ユーザーは「COA閲覧」アイコン920を選択して、アップグレードされた認証レベルに関連する自動的に入力された情報を見ることができる。
【0066】
図11は、一実施形態による、アップグレードされた仮想COA1100を表示するモバイルアプリケーションからのスクリーンショットである。仮想COA1100は、UAR認証レベルがアップグレードされた後で、ユーザーが美術作品詳細インターフェース950でCOA閲覧アイコン920を選択したことに応答して表示され得る。仮想COA1100は、美術作品のタイトル、およびUARの美術記録コンポーネントからの選択されたフィールドを含む。COA信頼性の視覚的インジケータ1110も、所有権履歴イベントの詳細ログとともに含まれる。ログエントリ1120は、コレクターによるCOAと関連付けられたUARの作成に対応し、ログエントリ1130は、同じコレクターによるCOAの作成に対応する。各ログエントリには、対応するイベントと関連付けられたタイムスタンプ、状態、イベントをトリガしたユーザーと関連付けられたユーザー識別子、および技術者が対応するCOAを探すことなくイベントを識別できるようにする参照ID番号が含まれる。
【0067】
ログエントリ1140は、方法1000で説明したように、UAR認証レベルのアップグレードに対応することができる。仮想COA1100の例示的な実施形態に示されるように、アーティストは、UAR認証レベルのアップグレードを実行した。最後のログエントリ1150は、UARの所有権特権の譲渡に対応する。UARと関連付けられた美術作品の買い手は非公開に設定されており、これは、買い手ユーザーアカウントのプライバシー設定に従って、現在指定されている所有者でないUAR管理システムのパブリックユーザーが美術作品の買い手を閲覧することを防止する。UARの指定された所有者が、仮想COA1100の物理的コピーを取得することを望む場合、仮想COA1100上のCOA注文アイコン1160を選択することによって、そうすることができる。これにより、UARサーバをトリガして、物理的なCOAを印刷し、任意の適切な方法で(例えば、郵便、FAXなどで)UARの指定された所有者に送付することを要求するメッセージを送信することができる。
【0068】
図12は、一実施形態による、普遍的美術記録の所有権特権を譲渡するための方法1200のフロー図を示す。美術作品が新しい所有者に売却または譲渡される場合、信頼性を証明するために、美術品と現在のCOA証明書がユーザーに示される。新しい所有者が信頼性に満足した場合、所有権特権は、2つの方法のいずれか(または両方の組み合わせ)で譲渡される。第1の方法は、ウェブページまたはモバイルアプリケーションを介して行われ、方法1200に表示される。美術作品の所有者は、新しい所有者への所有権特権の譲渡を開始する。現在の指定された所有者はリンクをたどり、2要素認証方法を確認する。買い手は、二次的なリンクとコードを受け取り、この情報を入力することができ、所有権が自分のプロフィールに移される。所有権譲渡が行われた後、新しい所有権証明書が作り出され、美術作品に結び付けられる。古い証明書は期限切れとなり、実質的に記念品および遺産文書となる。ギャラリーが(アーティストまたはコレクターの代わりに)美術作品の譲渡を開始している場合、美術作品が売却された後、ギャラリーがコレクターへの所有権の譲渡を開始する。所有権はアーティストが所持しているため、システムはアーティストに所有権譲渡を受け入れるよう要請し、占有権がギャラリーから譲渡される。これで、所有権と占有権特権は美術作品の新しい所有者に譲渡され、アーティストとギャラリーには「鑑賞」特権を残す。美術作品のアーティストは、美術作品を追跡することに対する継続的な関心(例えば、美術作品と関連付けられたあらゆる契約、特にロイヤリティ関連条項を閲覧する能力、美術作品の現在の場所フィールド、現在の指定された所有者の住所フィールド、UARに関連する過去の取引の日付および名前などを閲覧する能力)のために、美術作品をもはや所有していないにもかかわらず、UARに対するより多くの閲覧アクセスが与えられ得る。いくつかの実施形態では、ギャラリーは同様の特権を与えられてもよい。
【0069】
第2の譲渡方法は、物理的なCOA文書を介して行われる。このシナリオでは、所有者は、現在の所有権文書に添付された譲渡用紙を介して、新しい所有者に所有権特権を譲渡する。所有者は、自分の名前と買い手の名前を記入し、所有権譲渡用紙に署名し、日付を記入する。その後、所有者は所有権用紙を切り離し、新しい所有者に渡し、下部を記念物として取っておく。新しい所有者はこの用紙を受け取り、アプリまたはウェブサイトにアクセスし、証明書番号と隠された確認コードを入力する。この2つの組み合わせにより所有権の譲渡が証明され、新しい買い手はUARの自分の名前に美術作品を登録し、ユーザーと美術作品に新しい証明書をつなぎ直して、プロヴェナンスチェーンを途切れずに続けることができる。
【0070】
コンピュータが実施する譲渡プロセスに関して、サーバは、ステップ1210において、ネットワーク接続を介して、美術作品の所有権特権を売却ユーザーから第2のユーザーに譲渡するリクエストを受信することができる。このリクエストは、サーバ上に格納されたUARの識別を含み得、UARは、美術作品と関連付けられ、サーバ上のデータベースに格納された複数のUARのうちの1つである。図13Aは、現在の所有者、または現在の所有者に代わってUARと関連付けられた美術作品を売却するギャラリータイプユーザーであってよい、売却ユーザーによって使用される美術作品およびUARの所有権を譲渡するリクエストを生成するためのインターフェース1300を示す。売却ユーザーは、SMSメッセージングアイコン1305とEメールメッセージングアイコン1310との間で、UARを第2のユーザーと関連付けるリクエストをサーバが送信するための通信チャネルを選択することができる(ただし、例えばインスタントメッセンジャーアプリケーションなど、任意の適切な通信チャネルが使用され得る)。どのチャネルが選択されるかに応じて、記入可能フィールド1315は、売却ユーザーが第2のユーザーに連絡するための識別子(例えば、電話番号またはEメールアドレス)を提供することを可能にする。譲渡されているUARと関連付けられた美術作品の画像1325も提供され、正しい美術作品を譲渡していることを売却ユーザーにさらに提供する。売却ユーザーは、所有権特権を譲渡するリクエストをサーバに送信する準備ができたら、続行ボタン1320を選択することができる。
【0071】
リクエストの受信に応答して、サーバは、ステップ1215において、UARを第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することができ、関連付けるリクエストは、ネットワーク接続を通じて第2のユーザーのコンピューティングデバイスに送信される。関連付けは、例えば、UARの指定された現在の所有者から第2のユーザーへの所有権特権の譲渡を含み得る。図14Aは、第2のユーザーのコンピューティングデバイス上に表示されるクライアントアプリケーションインターフェース1400に見られるような、UARを第2のユーザーと関連付ける例示的なリクエストを示す。インターフェース1400は、UARを第2のユーザーと関連付ける例示的なリクエストを、UARとともに譲渡されている美術作品を識別するための、UARの美術記録コンポーネントからの様々なフィールドとともに示している。UAR信頼性の視覚的インジケータ1425も、取引を完了する前に第2のユーザーにさらなる透明性を提供するために含まれる。第2のユーザーは、次に進む準備ができたら、ボタン1410を選択することができる。
【0072】
普遍的美術記録を第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することに応答して、サーバは、ステップ1220において、第2のユーザーが美術作品の取得を希望しているという確認を受信することができる。第2のユーザーがUAR管理システムのアカウントを持っていない場合、リンクがSMSを介して第2のユーザーのEメールアドレスまたは電話番号に送信され得、第2のユーザーがアカウントを作ることを可能にする(方法1200には示されていない)。次いで、第2のユーザーは、第2のユーザーがクライアントアプリケーションを介して美術作品を取得する意思の確認を送信する前に、別の通信チャネルを使用して2要素認証を介してアカウントの信頼性(および第2のユーザーがアカウントを所有していること)を検証するように求められる場合がある。第2のユーザーが美術作品の取得を希望しているという確認は、例えば、ボタン1410の選択を介して、クライアントアプリケーション内で受信され得る。次に、第2のユーザーは、非クライアントアプリケーションチャネルを選択して、取引の確認に使用される譲渡コードを受信することができる。譲渡コードは、後述するような2要素認証プロセスの一部として、譲渡プロセスの信頼性をさらに高めるために、クライアントアプリケーションの外部で提供される。特定の実施形態では、第2のユーザーのための譲渡コードは、UARと関連付けられた美術作品の占有を確認するために使用され得る。これは、例えば、譲渡コードを送信する前に、サーバに所定の遅延を設定することによって行うことができる。
【0073】
図14Bは、譲渡されているUARと関連付けられた美術作品の占有の確認を提供するために、第2のユーザーのコンピューティングデバイス上に表示される例示的なインターフェース1430を示す。インターフェース1430は、例示的な確認プロセスに3つのステップがあることを第2のユーザーに通知するステップインジケータ1435を含む。第2のユーザーは、SMSメッセージングアイコン1440とEメールメッセージングアイコン1445との間で、占有確認をサーバが送信するための通信チャネルを選択することができる(ただし、占有確認が2要素認証プロセスの一部としてクライアントアプリケーションの外部で行われることを条件として、例えばインスタントメッセンジャーアプリケーションなど、任意の適切な通信チャネルが使用され得る)。どのチャネルが選択されるかに応じて、記入可能フィールド1315は、第2のユーザーが占有確認コードの受信を希望する場所の識別子(例えば、電話番号またはEメールアドレス)を提供することを可能にする。譲渡されているUARと関連付けられた美術作品の画像1457も提供され、正しい美術作品およびUARを受け取っていることを第2のユーザーにさらに提供する。第2のユーザーは、サーバからの占有確認コードを要求する準備ができたら、続行ボタン1455を選択することができる。
【0074】
次いで、サーバは、ステップ1225において、UAR譲渡の双方の2要素認証の一部として、指定されたユーザーおよび第2のユーザーに、ユーザーのそれぞれのクライアントアプリケーションの外部で、譲渡コードおよび確認リクエストを送信することができる。指定されたユーザーは、普遍的美術記録の所有権フィールド内で、美術作品の現在の所有者として識別され得る。図13Bは、指定されたユーザーが譲渡確認コードを入力するための例示的なインターフェース1330を表示する。記入可能フィールド1335は、指定されたユーザーが、指定されたユーザーのクライアントアプリケーションの外部にある所定のチャネルによって受信された6桁の譲渡確認コードを入力することを可能にする。例示的な実施形態では、指定されたユーザーの譲渡コードを受信する所定のチャネルは、指定されたユーザーの電話番号へのSMSメッセージングである。譲渡コードを入力した後、指定されたユーザーは、ボタン1340を選択することによって、譲渡を確認することができる。いくつかの実施形態では、指定されたユーザーは、譲渡コードを入力する前に、(インターフェース1330上の別のインターフェースまたはボタンを介して)支払いの受領を確認してもよい。この支払いは、いくつかの実施形態では、UAR管理システムと通信しているオンライン市場によって処理され得る。
【0075】
買い手側では、図14Cは、第2のユーザーが譲渡確認コードを入力するための例示的なインターフェース1460を表示する。記入可能フィールド1470は、第2のユーザーが、第2のユーザーのクライアントアプリケーションの外部にある所定のチャネルによって受信された6桁の譲渡確認コード(任意の桁数が使用され得るが、例示的な実施形態では6桁が使用されている)を入力することを可能にする。例示的な実施形態では、第2のユーザーの譲渡コードを受信する所定のチャネルは、第2のユーザーの電話番号へのSMSメッセージングである。譲渡コードを入力した後、第2のユーザーは、ボタン1475を選択することによって譲渡を確認することができる。
【0076】
ステップ1230で、譲渡確認コードが、指定されたユーザーと第2のユーザーの両方から受信され得る。両ユーザーからの2要素認証譲渡コードの受信に基づき、普遍的美術記録が第2のユーザーに譲渡され得る。したがって、UARは、指定されたユーザーおよび第2のユーザーの両方から2要素確認を受信したことに応答して、今は第2のユーザーが美術作品の現在の所有者であることを所有権フィールドに示すように、ステップ1235で自動的に修正される。メッセージが、UARの修正に応答して、売却ユーザー、指定されたユーザー、および/または第2のユーザーに送信され得る。図13Cは、ステップ1230で、UARが修正されたことに応答して、売却ユーザーおよび指定されたユーザーの一方または両方に表示可能なインターフェース1360を示す。説明メッセージ1365は、譲渡が実施されたことを説明し、ボタン1370を選択すると、ユーザーをクライアントアプリケーションのホームページに戻す。第2のユーザーをUARの新しい現在の所有者として追加する修正は、UARの所有権特権を第2のユーザーに譲渡する。説明されるように、これらの特権は、仮想COAにアクセスし、UARへの占有アクセス(possession access)を他のユーザーに許可する能力を第2のユーザーに提供することを含み、これは、UARの過去の所有者またはUARと関連付けられた美術作品を伴う過去の取引を促進したギャラリーのような占有エンティティを含む他のユーザーには利用できない。
【0077】
同様に、図14Dは、UARの取得が完了したことを第2のユーザーに説明する例示的なインターフェース1480を示す。譲渡が完了した(および、特定の実施形態によれば、譲渡のさらなる証拠を提供するために取引がブロックチェーンに追加された)ことを説明する説明1482に加えて、アイコン1484が、第2のユーザーが新しいCOAの物理的バージョンを注文するために提供される。第2のユーザーは、提供されたオプションの1つを選択すると、ボタン1486を選択することにより選択を確認することができる。郵便注文オプションの1つが選択された場合、住所/請求サービス1488に物理的なCOAを送付するための適切な情報が提供されるように、クライアントアプリケーションからサーバに、第2のユーザーの住所情報を含むメッセージが送信される。
【0078】
いくつかの実施形態では、所有権譲渡プロセスの一環として、また不正防止策が美術作品に適用されている場合、新しい所有者は、作品が贋作ではなくオリジナルであることを検証するために美術作品認証プロセスを受けることもでき、所有権を取得した後、新しい画像結合プロセスを受けて、新しい一連の境界/認証デジタル指紋を作成することができる。例示的な偽造防止策を使用すると、システムは、写真による証拠を使用し、また、偽造不可能なデジタル指紋を作成することにより、仮想COAを絵画にリンクすることができる。このデジタル「結合」は、常に正確であることを保証するために、いつでも再適用され得る。これは、美術作品の写真が撮影される多段階プロセスを通じて達成される。コンピュータシステムが写真を分析し、絵画の1:nのランダムなマクロ部分を選択し、それらをスクリーン上に表示する。その後、ユーザーはこれらの部分のクローズアップ写真を撮影しなければならず、カメラは美術作品の写真だけでなく、キャンバス/紙/媒体の質感も撮影し、カメラのセンサーを使って美術作品の質感、深さ、および他の属性を分析する。このデータは(例えば、UARと関連付けられた画像の1つとして)UARに格納され、所有権記録IDにリンクされ、美術作品の検索および検証が可能になる。このプロセスが完了した後、UARの確実性レベルは、記録にも不正防止が適用されたことを示す新たな識別子を有する。
【0079】
検証はいつでも行うことができる。所有者は、美術作品の認証をアクティブにして、別のユーザーにアクセスを許可することができる。このユーザーは次に、マクロ写真を撮るために絵画の1:nの部分を示される。写真撮影後、システムはその写真と格納されている画像データとを分析し、その絵画が既存のUARにリンクされている絵画であるかどうかを判定し、絵画に対する確実性ランク付けで回答する。このステップが完了した後、必要であれば新たな結合プロセスが実施され得る。
【0080】
ユーザーが自分の管理外の写真(すなわち、ギャラリー、美術館、または他人の家にある絵画)を「盗む」かまたはそれに対するUAR/結び付け(bindings)を作成するのを防ぐために、システムはスマートグリッドシステムを使用することができる。これは、このシステムのユーザーのために作成される独自のグリッドである。このグリッドは、水平マーカーおよび垂直マーカーを有し、各ユーザーに特有のものである。このグリッドは、一次写真が撮影される前に絵画の隅に押し込まれ得、3つの役割を果たす:1.誰が写真を撮影したかを特定し、創作品にタイムスタンプを押す、2.美術作品の高さおよび幅を自動的に決定する、3.公共の場で目立つプロセスを作ることにより、秘密の画像文書化を防止する。ユーザーは、「信頼でき」議論の余地のないUARを作成するために、ユーザーのグリッドおよび場所にプライベートにアクセスする必要がある。
【0081】
上述したように、美術作品のUARの譲渡は、ギャラリーが取引プロセスにおける売却ユーザーであることによって促進され得る。UARは、ギャラリーが美術作品を物理的に占有しているという事実を追跡するために使用され得、例えば、美術作品が何らかの方法で紛失または破損した場合に必要となり得る、占有のチェーンを作成する。このような占有のチェーンは、美術作品がいつ公に展示されたのか、またはいつ売却可能であったのかを知るためにも有用であり、それは、いくつかの実施形態では、これらのイベントは、UARの所有権履歴記録において追跡されるからである。この実施例では、「アーティスト」タイプのユーザーは、「ギャラリー」タイプのユーザーに占有権を譲渡する。この設定において、アーティストは所有権記録の管理を維持するが、ギャラリーにデータへのアクセスを許可する。この譲渡により、ギャラリーは、例えばシステム400からのツール467を使用して、展示会を開催するためにギャラリーが実行するタスクの多くを自動化するために、UARに含まれるデータを抽出することができる。この自動化には、譲渡された作品のマニフェストの生成、ギャラリーの壁用の展示会ラベルの印刷、インタラクティブな特徴を有する展示会前カタログの動的な構築、個々の美術作品の切り取りページの作成、展示会カタログの構築、インタラクティブな展示会体験の創出、およびコレクターへの所有権の譲渡の開始が含まれる。これらの例の各々において、データは、ギャラリータイプユーザーがUARと関連付けられた占有記録に示される美術作品を占有していることに基づいて、ギャラリータイプユーザーによってUARから抽出される。
【0082】
図15は、一実施形態による、UARの占有権をギャラリータイプユーザーなどの占有エンティティに譲渡する方法1500のフロー図を示す。サーバは、ステップ1510において、指定されたユーザーから美術作品の占有権を譲渡するリクエストを、ネットワーク接続を通じて受信することができ、リクエストは、美術作品と関連付けられたサーバ上に格納されたUARの識別を含む。リクエストの受信に応答して、UARを占有エンティティと関連付けるリクエストが、ステップ1515で、サーバによって送信され得る。関連付けるリクエストは、上述したUARを買い手と関連付けるリクエストと同様に、ネットワーク接続を通じて、占有エンティティのコンピューティングデバイスに送信され得る。
【0083】
UARを占有エンティティと関連付けるリクエストに応答して、サーバは、ステップ1520で、占有エンティティが美術作品を占有する意向であるという確認と、占有エンティティが美術作品を実際に占有しているという確認を受け取ることができる。これは、指定されたユーザーと占有エンティティの両方について、所有権の譲渡に関して上述したのと同じ方法で、2要素認証を使用して実施され得る。最後に、指定されたユーザーからの許可および占有エンティティからの確認を受信することに応答して、UARは、ステップ1525において、占有エンティティが現在美術作品を占有していることを占有フィールドに示すように、自動的に修正され得る。
【0084】
占有エンティティがその後の時点(例えば、展示後、美術作品が売却されていない場合)において、指定された所有者に占有権を戻した場合、サーバは、指定されたユーザーが美術作品の占有権を取り戻したことを示すように、UARを修正することができる。これは、例えば、指定されたユーザーのコンピューティングデバイスからの通知をサーバが受信したことに応答して、行われ得、通知に含まれる通知メッセージは、指定されたユーザーに占有権が戻ったことを示す。所有権譲渡プロセスと同様に、通知メッセージは、美術作品の占有権を占有エンティティから指定されたユーザーに譲渡することを要求するメッセージが、占有エンティティのコンピューティングデバイスによって送信された後に送信され得る。
【0085】
上記および全体を通しての説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても実施形態が実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の場合には、周知の構造およびデバイスが、説明を容易にするためにブロック図の形態で示されている。好ましい実施形態の説明は、本明細書に添付された特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、本明細書に開示される方法では、実施形態の機能の一部を例示する様々なステップが開示される。これらのステップは単なる例であり、いかなる方法によっても限定することを意図するものではない。本開示または実施形態の範囲から逸脱することなく、他のステップおよび機能が企図され得る。
【0086】
〔実施の態様〕
(1) 美術作品と関連付けられたデジタル記録を維持し、譲渡するための方法であって、
ネットワーク接続を通じてサーバにより、売却ユーザーから前記美術作品の所有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、前記サーバ上に格納された普遍的美術記録の識別を含み、前記普遍的美術記録は、前記美術作品と関連付けられており、前記サーバ上のデータベースに格納された複数の普遍的美術記録のうちの1つである、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記サーバにより、前記普遍的美術記録を第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて前記第2のユーザーのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記第2のユーザーと関連付ける前記リクエストに応答して、前記サーバにより、前記第2のユーザーが前記美術作品の取得を希望しているという確認を受信することと、
前記サーバにより、前記第2のユーザーおよび指定されたユーザーのそれぞれと関連付けられた所定のチャネルを介して、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれに譲渡確認コードを送信することであって、前記指定されたユーザーは、前記普遍的美術記録の所有権フィールド内で前記美術作品の現在の所有者として識別され、前記所定のチャネルは、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれにより使用されるクライアントアプリケーションの外部にある、ことと、
前記ネットワーク接続を通じて前記サーバにより、前記指定されたユーザーおよび前記第2のユーザーの両方から前記譲渡確認コードを受信することと、
前記譲渡確認コードを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記第2のユーザーが今は前記美術作品の前記現在の所有者であることを前記所有権フィールドに示すことであって、前記修正により、仮想鑑定書にアクセスし、前記普遍的美術記録への占有アクセスを他のユーザーに許可する能力を、前記第2のユーザーに提供する、ことと、
を含む、方法。
(2) 前記普遍的美術記録は、美術記録コンポーネントと所有権記録コンポーネントとを含み、前記所有権フィールドは、前記所有権記録コンポーネントに含まれる、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記仮想鑑定書は、前記普遍的美術記録が前記美術作品に対応するという検証をどのユーザーが前記サーバに送信したかに基づいて割り当てられた証明のレベルを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーがプライベートユーザータイプである場合、第1のレベルであり、前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーがギャラリーユーザータイプである場合、前記第1のレベルより高い第2のレベルであり、前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーが前記美術作品のアーティストである場合、最高の第3のレベルである、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記所有権記録コンポーネントは、前記美術作品から取り込まれた画像データをさらに含む、実施態様3に記載の方法。
【0087】
(6) ネットワーク接続を通じてサーバにより、前記指定されたユーザーから前記美術作品の占有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、前記サーバ上に格納された前記普遍的美術記録の前記識別を含む、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記サーバにより、前記普遍的美術記録を占有エンティティと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて、前記占有エンティティのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記占有エンティティと関連付ける前記リクエストに応答して、前記サーバにより、前記占有エンティティが前記美術作品を占有するつもりであるという確認と、前記占有エンティティが前記美術作品を実際に占有しているという確認と、を受信することと、
前記指定されたユーザーからの許可および前記占有エンティティからの前記確認を受信したことに応答して、前記サーバにより、前記普遍的美術記録を修正して、前記占有エンティティが現在前記美術作品を占有していることを占有フィールドに示すことと、
をさらに含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 占有権が前記指定されたユーザーに戻されたという通知を前記指定されたユーザーの前記コンピューティングデバイスから受信したことに応答して、前記サーバにより、前記普遍的美術記録を修正して、前記指定されたユーザーが前記美術作品の占有権を取り戻したことを示すことをさらに含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記普遍的美術記録を修正して、前記指定されたユーザーが占有権を取り戻したことを示すことは、前記サーバにより、前記占有エンティティから前記美術作品の占有権を譲渡するリクエストを受信した後に行われる、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記指定されたユーザーから前記美術作品の所有権を譲渡する前記リクエストは、前記ネットワーク接続を通じて、前記占有エンティティの前記コンピューティングデバイスから受信される、実施態様6に記載の方法。
(10) コンピュータプログラム製品であって、1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータ可読プログラムコードが中に包含された非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、前記プログラムコードは、
ネットワーク接続を通じて、売却ユーザーから美術作品の所有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、サーバ上に格納された普遍的美術記録の識別を含み、前記普遍的美術記録は、前記美術作品と関連付けられており、前記サーバ上のデータベースに格納された複数の普遍的美術記録のうちの1つである、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて前記第2のユーザーのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記第2のユーザーと関連付ける前記リクエストに応答して、前記第2のユーザーが前記美術作品の取得を希望しているという確認を受信することと、
前記第2のユーザーおよび指定されたユーザーのそれぞれと関連付けられた所定のチャネルを介して、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれに譲渡確認コードを送信することであって、前記指定されたユーザーは、前記普遍的美術記録の所有権フィールド内で前記美術作品の現在の所有者として識別され、前記所定のチャネルは、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれにより使用されるクライアントアプリケーションの外部にある、ことと、
前記ネットワーク接続を介して、前記指定されたユーザーおよび前記第2のユーザーの両方から前記譲渡確認コードを受信することと、
前記譲渡確認コードを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記第2のユーザーが今は前記美術作品の前記現在の所有者であることを前記所有権フィールドに示すことであって、前記修正により、仮想鑑定書にアクセスし、前記普遍的美術記録への占有アクセスを他のユーザーに許可する能力を、前記第2のユーザーに提供する、ことと、
を行う命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【0088】
(11) 前記普遍的美術記録は、美術記録コンポーネントと所有権記録コンポーネントとを含み、前記所有権フィールドは、前記所有権記録コンポーネントに含まれている、実施態様10に記載のコンピュータプログラム製品。
(12) 前記仮想鑑定書は、前記普遍的美術記録が前記美術作品に対応するという検証をどのユーザーが前記サーバに送信したかに基づいて割り当てられた証明のレベルを含む、実施態様11に記載のコンピュータプログラム製品。
(13) 前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーがプライベートユーザータイプである場合、第1のレベルであり、前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーがギャラリーユーザータイプである場合、前記第1のレベルより高い第2のレベルであり、前記証明のレベルは、前記サーバに前記検証を送信した前記ユーザーが前記美術作品のアーティストである場合、最高の第3のレベルである、実施態様12に記載のコンピュータプログラム製品。
(14) 前記所有権記録コンポーネントは、前記美術作品から取り込まれた画像データをさらに含む、実施態様12に記載のコンピュータプログラム製品。
(15) 前記プログラムコードは、
前記指定されたユーザーから前記美術作品の占有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、前記サーバ上に格納された前記普遍的美術記録の前記識別を含む、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を占有エンティティと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて、前記占有エンティティのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記占有エンティティと関連付ける前記リクエストに応答して、前記占有エンティティが前記美術作品を占有するつもりであるという確認と、前記占有エンティティが前記美術作品を実際に占有しているという確認と、を受信することと、
前記指定されたユーザーからの許可および前記占有エンティティからの前記確認を受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記占有エンティティが現在前記美術作品を占有していることを占有フィールドに示すことと、
を行うさらなる命令を含む、実施態様10に記載のコンピュータプログラム製品。
【0089】
(16) 前記プログラムコードは、占有権が前記指定されたユーザーに戻されたという通知を前記指定されたユーザーの前記コンピューティングデバイスから受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記指定されたユーザーが前記美術作品の占有権を取り戻したことを示す、さらなる命令を含む、実施態様15に記載のコンピュータプログラム製品。
(17) システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
複数の命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体と、を含み、前記命令が実行されると、前記1つ以上のプロセッサは、
ネットワーク接続を通じて、売却ユーザーから美術作品の所有権を譲渡するリクエストを受信することであって、前記リクエストは、サーバ上に格納された普遍的美術記録の識別を含み、前記普遍的美術記録は、前記美術作品と関連付けられており、前記サーバ上のデータベースに格納された複数の普遍的美術記録のうちの1つである、ことと、
前記リクエストを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を第2のユーザーと関連付けるリクエストを送信することであって、前記関連付けるリクエストは、前記ネットワーク接続を通じて前記第2のユーザーのコンピューティングデバイスに送信される、ことと、
前記普遍的美術記録を前記第2のユーザーと関連付ける前記リクエストに応答して、前記第2のユーザーが前記美術作品の取得を希望しているという確認を受信することと、
前記第2のユーザーおよび指定されたユーザーのそれぞれと関連付けられた所定のチャネルを介して、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれに譲渡確認コードを送信することであって、前記指定されたユーザーは、前記普遍的美術記録の所有権フィールド内で前記美術作品の現在の所有者として識別され、前記所定のチャネルは、前記第2のユーザーおよび前記指定されたユーザーのそれぞれにより使用されるクライアントアプリケーションの外部にある、ことと、
前記ネットワーク接続を介して、前記指定されたユーザーおよび前記第2のユーザーの両方から前記譲渡確認コードを受信することと、
前記譲渡確認コードを受信したことに応答して、前記普遍的美術記録を修正して、前記第2のユーザーが今は前記美術作品の前記現在の所有者であることを前記所有権フィールドに示すことであって、前記修正により、仮想鑑定書にアクセスし、前記普遍的美術記録への占有アクセスを他のユーザーに許可する能力を、前記第2のユーザーに提供する、ことと、
を行う、システム。
(18) 前記普遍的美術記録は、美術記録コンポーネントと所有権記録コンポーネントとを含み、前記所有権フィールドは、前記所有権記録コンポーネントに含まれている、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記仮想鑑定書は、前記普遍的美術記録が前記美術作品に対応するという検証をどのユーザーが前記サーバに送信したかに基づいて割り当てられた証明のレベルを含む、実施態様18に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
【国際調査報告】