(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C07D 319/12 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
C07D319/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523186
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 CN2022125901
(87)【国際公開番号】W WO2023071865
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111279100.9
(32)【優先日】2021-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522173712
【氏名又は名称】中石化(大連)石油化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】孫啓梅
(72)【発明者】
【氏名】周峰
(72)【発明者】
【氏名】李瀾鵬
(72)【発明者】
【氏名】劉來伍
(72)【発明者】
【氏名】白富棟
(72)【発明者】
【氏名】張雷
(72)【発明者】
【氏名】白毓黎
(72)【発明者】
【氏名】王鵬翔
(72)【発明者】
【氏名】李秀崢
(57)【要約】
本発明は、生分解性材料の技術分野に属し、ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造する方法及びシステムを開示する。該方法は、乳酸オリゴマーと解重合触媒を第1解重合反応ユニットで反応させ、第1液相材料を得るステップ(1)と、液相材料の分子量が6,000よりも大きくなるまで、第1液相材料を第2解重合反応ユニットで循環させて反応させ、第2液相材料を得るステップ(2)と、液相材料の分子量が10,000よりも大きくなるまで、第2液相材料を第3解重合反応ユニットで循環させて反応させるステップ(3)と、第1解重合反応ユニット、第2解重合反応ユニット、及び第3解重合反応ユニットから気相粗ラクチドを収集して純化するステップ(4)と、を含む。本発明は、乳酸オリゴマーの効率的な解重合を実現し、ラクチドのラセミ化の程度及び基質のコークス化・炭化の可能性を低減させ、反応プロセス全体における乳酸オリゴマーの転化率とシステムの安定性を確保する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造する方法であって、
乳酸オリゴマーと解重合触媒を第1解重合反応ユニットで反応させ、第1液相材料を得るステップ(1)と、
液相材料の分子量が6,000よりも大きくなるまで、前記第1液相材料を第2解重合反応ユニットで循環させて反応させ、第2液相材料を得るステップ(2)と、
液相材料の分子量が10,000よりも大きくなるまで、前記第2液相材料を第3解重合反応ユニットで循環させて反応させるステップ(3)と、
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットから気相粗ラクチドを収集して純化するステップ(4)と、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(1)では、前記乳酸オリゴマーの分子量が、800~3000、好ましくは1200~2800である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
L-乳酸及び/又はD-乳酸を順次脱水して重縮合する工程によって、乳酸オリゴマーを製造するステップをさらに含み、
好ましくは、前記重縮合の条件は、反応温度140~170℃、絶対圧力1000~2000Pa、反応時間0.5~4hを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(1)では、前記解重合触媒の使用量が、前記乳酸オリゴマーの質量に対して0.4%~3%、好ましくは0.8%~2%である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)では、前記解重合触媒は、スズ系触媒、好ましくはオクタン酸第一スズ、SnCl
2、及びSnOのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1又は4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(1)では、前記反応の条件は、反応温度180~200℃、絶対圧力500~1500Pa、反応時間3~8minを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1解重合反応ユニットは、第1解重合反応器と第1循環タンクを含み、
前記乳酸オリゴマー及び前記解重合触媒を前記第1解重合反応器で反応させ、反応により得られた前記第1液相材料を前記第1循環タンクに入れる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1循環タンクでは、液位が50%~70%、圧力が10kPa~常圧、温度が160~200℃に維持される、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(1)の前記反応では、乳酸オリゴマーの転化率が50%~60%の間に制御される、ことを特徴とする請求項1、6、7又は8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(2)の前記反応はプロトン化溶媒の存在下で行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プロトン化溶媒は、炭素数12以上のジアミン及び炭素数12以上のジオールのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロトン化溶媒の溶融温度が、80~160℃、好ましくは100~160℃である、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロトン化溶媒は、C12~C18のジアミン及びC12~C18のジオールのうちの少なくとも1種、好ましくは、ドデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、テトラデカンジオール、及びヘキサデカンジオールのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(2)の前記反応では、前記プロトン化溶媒の使用量が、乳酸オリゴマーの質量に対して0.1%~6%、好ましくは1%~3%である、ことを特徴とする請求項10、11又は12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第2解重合反応器と少なくとも1つの第2循環タンクを含み、
前記第1液相材料及び任意のプロトン化溶媒を前記第2解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第2循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が6,000以下である場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きくなる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる、ことを特徴とする請求項1、10、11又は12に記載の方法。
【請求項16】
前記液相材料の分子量が3000~6,000になる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きく10,000未満になる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2解重合反応器における反応条件は、反応温度200~220℃、絶対圧力400~1000Pa、シングルパス反応の時間2~5minを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2解重合反応器のシングルパス反応では、乳酸オリゴマーの供給量が、実際反応量の3~5倍である、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第2循環タンクでは、液位が50%~70%、圧力が10kPa~常圧、温度が160~200℃に維持される、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第3解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第3解重合反応器と少なくとも1つの第3循環タンクを含み、
前記第2液相材料を前記第3解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第3循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が10,000以下である場合、前記第3循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が10,000よりも大きくなる場合、前記第3循環タンク内の液相材料を排出する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第3解重合反応器における反応条件は、反応温度220~240℃、絶対圧力200~800Pa、シングルパス反応の時間1~4minを含む、ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第3解重合反応器のシングルパス反応では、乳酸オリゴマーの供給量が、実際反応量の4~6倍である、ことを特徴とする請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記第3循環タンクでは、液位が10%~30%、圧力が10kPa~常圧、温度が160~200℃に維持される、ことを特徴とする請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットの反応器は、それぞれ、ワイプドフィルム解重合反応器、好ましくは薄膜蒸発器、分子蒸留蒸発器、又は他の撹拌式薄膜蒸発器である、ことを特徴とする請求項1、7、15又は20に記載の方法。
【請求項25】
ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造するシステムであって、
第1解重合反応ユニットと、
第2解重合反応ユニットと、
第3解重合反応ユニットと、
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットから気相粗ラクチドを収集して純化するための装置と、を含み、
乳酸オリゴマーと解重合触媒を前記第1解重合反応ユニットで反応し、
液相材料の分子量が6,000よりも高くなるまで、前記第1解重合反応ユニットからの液相材料及び任意のプロトン化溶媒を、第2解重合反応ユニットで循環して反応し、
液相材料の分子量が10,000よりも高くなるまで、前記第2解重合反応ユニットからの分子量6,000超の液相材料を、第3解重合反応ユニットで循環して反応する、ことを特徴とするシステム。
【請求項26】
前記第1解重合反応ユニットは、第1解重合反応器と第1循環タンクを含み、
前記乳酸オリゴマー及び前記解重合触媒を前記第1解重合反応器で反応させ、反応により得られた液相材料を前記第1循環タンクに入れる、ことを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第2解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第2解重合反応器と少なくとも1つの第2循環タンクを含み、
前記第1解重合反応ユニットからの液相材料及び任意のプロトン化溶媒を前記第2解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第2循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が6,000以下である場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きくなる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる、ことを特徴とする請求項25又は26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第3解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第3解重合反応器と少なくとも1つの第3循環タンクを含み、
前記第2解重合反応ユニットからの分子量6,000超の液相材料を前記第3解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第3循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が10,000以下である場合、前記第3循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が10,000よりも大きくなる場合、前記第3循環タンク内の液相材料をシステムから排出する、ことを特徴とする請求項25又は26に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットの反応器は、それぞれ、ワイプドフィルム解重合反応器、好ましくは薄膜蒸発器、分子蒸留蒸発器、又は他の撹拌式薄膜蒸発器である、ことを特徴とする請求項25~28のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年10月31日に提出された、中国特許出願202111279100.9の利益を主張しており、当該出願の内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
[技術分野]
本発明は、生分解性材料の技術分野に属し、具体的には、ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造する方法及びシステムに関する。
【0003】
[背景技術]
現在、世界の使い捨てプラスチック製品の年間消費量は1億2,000万トンに達しており、そのうちリサイクルされるのはわずか10%、さらに12%が焼却され、70%以上が土壌、大気や海洋に廃棄されている。毎年800万トン以上のプラスチック廃棄物が海洋に捨てられており、その数は今も増え続けており、2025年までに世界の海洋のプラスチック廃棄物の量は2億5,000万トンに達すると予想されている。従来の使い捨てプラスチック製品は使用年数が短いものの、物理的・化学的性質が安定しており、自然分解しにくいため、大量の使い捨てプラスチック製品廃棄物はさまざまな環境問題を頻繁に引き起こし、土地、水域、動物、人間の健康や安全を深刻に危険にさらしている。世界中の約90個の国と地域が、使い捨ての非分解性プラスチック製品を管理又は禁止するための関連政策や規制を導入している。
【0004】
現在市販されている生分解性プラスチックとしては、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)などが挙げられ、そのうちPLAは最も広く使用されており、応用の将来性が最も期待できる。PLAは、一般的な高分子材料の基本特性を備えているだけでなく、加工性能、物理的・機械的特性、生分解性にも優れており、包装産業、繊維産業、農業産業、消費財市場などで広く使用でき、国民経済と社会の発展に必要な基本的な原料として徐々に発展している。
【0005】
通常、ポリ乳酸は2段法で合成される。具体的な2段法によるポリ乳酸の合成プロセスは以下の通りである。第1段階では、乳酸からラクチドを製造し、第2段階では、ラクチドを開環重合してポリ乳酸を製造し、このプロセスによれば、分子量が10万~100万に達するPLAが得られる。ラクチドは全合成過程の鍵であり、プロセス障壁は比較的に高く、通常は触媒、高温、高真空システム下で重縮合、解重合過程を通じて製造する必要があり、この過程は、ラクチドのラセミ化を引き起こしやすい。これは、主にラクチドを生成する解重合過程が主に乳酸オリゴマー分子鎖で起こる「バックバイト」エステル触媒反応であるためで、具体的な過程は以下の通りである。触媒、高温、高真空の作用下で、乳酸オリゴマー鎖上のカルボニルが活性化され、鎖の最初の部分のヒドロキシが正電荷を帯びたカルボニルを攻撃し、エステル結合を破断させ(「順方向バイト」工程)、L/D-ラクチドが形成されるが、塩基性酸化物が存在したり、触媒が過剰になったり、温度が高すぎたりすると、乳酸オリゴマー末端のカルボン酸アニオンが、この乳酸単位に隣接する単位上のキラル炭素原子を攻撃し、メチン炭素とエステル酸素結合との間の結合を破断させ(「逆方向バイト」工程)、配置が反転し、式(1)で示されるように、メソラクチド(m-ラクチド)が得られる。m-ラクチドの存在は、ラクチドの光学純度に影響し、さらにラクチドの開環重合に影響し、得られるPLAの分子量を低くする一方、PLA構造の規則性を損ない、その結晶度を低下させ、機械的特性を低下させる。
【0006】
そのため、解重合反応で製造した粗ラクチドは、溶媒再結晶、水抽出、精留、溶融結晶化などのプロセスで精製し、製品中のm-ラクチドを減少させる必要がある。しかし、L-ラクチドとm-ラクチドの物理的・化学的性質が近く、ラクチド自体が高い凝固点、沸点及び熱感受性などの特性を持っているため、分離が困難であり、全体の収率が40%~60%程度と低く、全体の経済性も低い。そのため、ラクチド合成過程のラセミ化はラクチドの品質と収率を影響する重要な要素であり、現在国内外のラクチド技術研究の重点と難点でもある。
【化1】
【0007】
Morteza Ehsaniらは「Lactide synthesis optimization: investigation of the temperature, catalyst and pressure effects」の文章で、温度、触媒などの要素が解重合過程に与える影響を詳しく検討し、反応温度を考察した結果、反応温度が低い場合、m-ラクチドの生成は少なく、温度の上昇につれて、m-ラクチドの含有量は著しく増加し、反応温度が230℃の場合、m-ラクチドの含有量は25.52%に達することを発見した。酸化第一スズ、塩化第一スズ、オクタン酸第一スズ、三酸化アンチモン及び硫酸がラクチド合成過程に与える影響を考察した結果、SnCl2と硫酸を触媒として得られたラクチド製品は、純度が最高で、かつm-ラクチドの含有量が最も少ないことを発見した。しかし、触媒濃度はあまり高くできず、SnCl2を例にすると、SnCl2濃度の上昇に伴い、ラクチド生成収率は増大するが、触媒が多すぎると、ラセミ化反応の速度が速まる。
【0008】
US5502215Aは、ラクチドの精製純化方法を開示しており、この出願は、SnOを触媒として、乳酸オリゴマーを釜式三つ口フラスコに入れて解重合反応させ、粗D,L-ラクチドを製造し、このプロセスは、激しい撹拌を必要とし、反応温度が高く(反応温度220℃)、得られた製品の純度が低く、釜底の基質のコークス化・炭化が深刻であり、また、高温反応もラクチドのラセミ化を助長した。
【0009】
US6326458Bは、ラクチドを製造する解重合工程の解重合反応器として流下膜管形蒸発器を採用し、乳酸オリゴマーを蒸発器の先端から添加し、管形蒸発器の底部からラクチド蒸気を抜き出し、未反応の乳酸オリゴマーを下部排出口から排出する、ラクチド及びラクチドポリマーを製造するための連続的なプロセスを開示している。このプロセスでは、流下膜反応プロセスに必要な反応温度が低いので、解重合プロセスのラクチドのラセミ化の可能性を効果的に下げることができるものの、ラクチドの収率が低く、ラクチドの収率を高く維持するために、一般に供給速度を下げる必要があり、これはまた、流下膜反応器の表面でのオリゴマーの滞留時間を増加させ、未解重合の乳酸オリゴマーは高温高真空システムで迅速に重合し、オリゴマーの分子量が大きくなり、解重合速度に更に影響を与え、しかも流下膜反応器の表面でのオリゴマーのコークス化・炭化を起こしやすい。
【0010】
CN111153886Aは、乳酸単成分又は乳酸添加触媒二成分を採用して混合器を経由してオリゴマー製造システムに入れ、底部循環により滞留時間を増加させ、オリゴポリ乳酸を合成する、ラクチドを迅速に高収率で合成する方法及び装置を開示しており、気相成分は、精留システムによってオリゴポリ乳酸の収率を高め、オリゴポリ乳酸は、純化装置で未反応の乳酸と水を除去され、脱軽されたオリゴポリ乳酸は、触媒を添加した後、混合器を経て、解重合反応器に入ってラクチドに解重合し、重質成分は、再び解重合反応器に還流し、軽質成分は、純化回収システムを経てラクチド生成物となる。この装置によれば、ラクチドを効率的に合成することができ、0.5~5分と短い滞留時間以内に、収率94%~98%の粗ラクチドを得ることができ、軽質成分を簡単な純化システムにかけることにより、ラクチド製品中のL-ラクチド、D-ラクチド又はDL-ラクチドの含有量は94%~98%であり、m-ラクチドの含有量は0.5%~5.5%である。しかし、本発明では、解重合後の重質成分が解重合反応器に直接還流するため、解重合反応の安定性に影響を与えるだけでなく、重質成分の分子量の増加及び触媒の蓄積に伴い、反応基質の反応器表面でのコークス化、炭化の可能性が増加しやすく、ラクチドのラセミ化の程度が上昇し、反応の連続して安定な運転に影響を与える。
【0011】
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
従来技術の欠点に対して、本発明は、ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造する方法及びシステムを提供する。本発明では、多段直列解重合を段階的に制御することによって、乳酸オリゴマーの効率的な解重合を実現し、ラクチドのラセミ化の程度及び基質のコークス化・炭化の可能性を低減させ、解重合プロセスの連続安定操作及び粗ラクチド製品の組成の安定性を確保し、解重合反応全体の速度を速め、生産効率及びラクチドの収率を向上させる。
【0012】
[課題を解決するための手段]
本発明は、
乳酸オリゴマーと解重合触媒を第1解重合反応ユニットで反応させ、第1液相材料を得るステップ(1)と、
液相材料の分子量が6,000よりも大きくなるまで、前記第1液相材料を第2解重合反応ユニットで循環させて反応させ、第2液相材料を得るステップ(2)と、
液相材料の分子量が10,000よりも大きくなるまで、前記第2液相材料を第3解重合反応ユニットで循環させて反応させるステップ(3)と、
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットから気相粗ラクチドを収集して純化するステップ(4)と、を含む、ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造する方法を提供する。
【0013】
好ましくは、前記第1解重合反応ユニットは、第1解重合反応器と第1循環タンクを含み、前記乳酸オリゴマー及び前記解重合触媒を前記第1解重合反応器で反応させ、反応により得られた前記第1液相材料を前記第1循環タンクに入れる。
【0014】
好ましくは、ステップ(2)の前記反応はプロトン化溶媒の存在下で行われる。
【0015】
好ましくは、前記第2解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第2解重合反応器と少なくとも1つの第2循環タンクを含み、前記第1液相材料及び任意のプロトン化溶媒を前記第2解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第2循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が6,000以下である場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きくなる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる。
【0016】
好ましくは、前記第3解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第3解重合反応器と少なくとも1つの第3循環タンクを含み、前記第2液相材料を前記第3解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第3循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が10,000以下である場合、前記第3循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が10,000よりも大きくなる場合、前記第3循環タンク内の液相材料を排出する。
【0017】
本発明はまた、
第1解重合反応ユニットと、
第2解重合反応ユニットと、
第3解重合反応ユニットと、
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットから気相粗ラクチドを収集して純化するための装置と、を含み、
乳酸オリゴマーと解重合触媒を前記第1解重合反応ユニットで反応し、
液相材料の分子量が6,000よりも高くなるまで、前記第1解重合反応ユニットからの液相材料及び任意のプロトン化溶媒を、第2解重合反応ユニットで循環して反応し、
液相材料の分子量が10,000よりも高くなるまで、前記第2解重合反応ユニットからの分子量6,000超の液相材料を、第3解重合反応ユニットで循環して反応する、ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造するシステムを提供する。
【0018】
[発明の効果]
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は次の通りである。
【0019】
(1)多段直列解重合反応を採用し、かつこの反応を段階的に制御する。各段の解重合反応ユニットは、主に解重合反応器と循環タンクを含み、循環タンク内の乳酸オリゴマーの分子量に応じて調節することにより、効率的な解重合を実現し、ラクチドのラセミ化の程度及び基質のコークス化・炭化の可能性を低減させ、反応プロセス全体における乳酸オリゴマーの転化率とシステムの安定性を確保する。反応プロセス全体における乳酸オリゴマーの転化率は97.0%以上に達する。
【0020】
(2)各段階の解重合反応器において異なる操作パラメータ(反応温度、絶対圧力(真空度とも呼ばれる)、反応時間又はシングルパス反応の時間など)を設定することにより、解重合反応の各段階での乳酸オリゴマーの供給量、反応操作パラメータを安定的に制御することを確保し、各段階の解重合反応器の反応速度を速め、それにより全体の反応効率を向上させ、排出される粗ラクチドの品質と収率の安定性を確保し、解重合プロセス全体に亘って安定的な操作を確保する。単一循環解重合システムのプロセスと比較して、段階的な解重合プロセスは、解重合効率が30%向上する。
【0021】
(3)好ましい実施形態では、多段直列解重合反応ユニットを採用して段階的に制御することに加えて、プロトン化溶媒を使用することによって、ラクチド合成プロセスにおけるラセミ化の程度及び基質のコークス化・炭化の可能性をさらに低減させ、製品の品質を向上させることができる。3つの解重合反応ユニットで得られる粗ラクチド中のm-ラクチドの含有量を6.0%以内に制御することができる。釜式循環解重合反応器と比較して、ラクチドのラセミ化の程度が50%以上低減され、シングルパスワイプフィルム蒸発器や複数の解重合反応器を直列に接続するが段階的に制御しない場合と比較して、乳酸オリゴマーの転化率は10%以上向上する。
【0022】
[図面の簡単な説明]
[
図1]本発明に係るラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造するシステムの特定の実施形態の構造模式図である。
【0023】
[発明を実施するための形態]
以下、本発明の特定実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書に記載された特定実施形態は、本発明を説明及び解釈するためにのみ使用され、本発明を限定するために使用されるものではないことが理解されるべきである。
【0024】
本発明の前記ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造する方法は、
乳酸オリゴマーと解重合触媒を第1解重合反応ユニットで反応させ、第1液相材料を得るステップ(1)と、
液相材料の分子量が6,000よりも大きくなるまで、前記第1液相材料を第2解重合反応ユニットで循環させて反応させ、第2液相材料を得るステップ(2)と、
液相材料の分子量が10,000よりも大きくなるまで、前記第2液相材料を第3解重合反応ユニットで循環させて反応させるステップ(3)と、
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットから気相粗ラクチドを収集して純化するステップ(4)と、を含む。
【0025】
本発明に記載の方法では、ステップ(1)において、予備反応が行われ、条件の調節により材料の連続且つ安定的な反応が実現され、排出の安定性が得られる。ステップ(2)において、材料の更なる反応が行われ、シングルパス反応の時間の制御により生成物のラセミ化が制御され、反応効率及び転化率がさらに向上する。ステップ(3)において、材料の高度反応が行われ、温度や真空度の調整により、大分子量の材料の解重合反応がさらに進行し、また、材料のシングルパス反応の時間の調節により生成物のラセミ化が制御され、生成物が製品の要件を満たすようになり、反応転化率が確保される。ステップ(1)~(3)の多段反応(好ましくは3段反応)が互いに連携して関連することによって、排出される粗ラクチドの品質や収率の安定性が確保され、解重合プロセス全体における連続かつ安定的な操作が実現される。
【0026】
本発明に記載の方法では、ステップ(1)では、前記乳酸オリゴマーの分子量が、800~3000であってもよいが、好ましくは1200~2800である。本明細書において、乳酸オリゴマーの分子量は重量平均分子量を指す。
【0027】
本発明では、前記方法は、L-乳酸及び/又はD-乳酸を順次脱水して重縮合する工程によって乳酸オリゴマーを製造するステップをさらに含んでもよい。前記脱水工程は、主に乳酸中の遊離水を除去し、常圧又は減圧の形態をとってもよい。前記重縮合の条件は、反応温度140~170℃、絶対圧力1000~2000Pa、反応時間0.5~4hを含んでもよい。
【0028】
本発明に記載の方法では、好ましくは、ステップ(1)では、前記解重合触媒の使用量が、前記乳酸オリゴマーの質量に対して0.4%~3%、さらに好ましくは0.8%~2%である。
【0029】
本発明に記載の方法では、好ましくは、ステップ(1)では、前記解重合触媒は、スズ系触媒、さらに好ましくはオクタン酸第一スズ、SnCl2、及びSnOのうちの少なくとも1種である。
【0030】
本発明に記載の方法では、好ましくは、ステップ(1)では、前記反応の条件は、反応温度180~200℃、絶対圧力500~1500Pa、反応時間3~8minを含む。
【0031】
本発明の1つの特定実施形態によれば、前記第1解重合反応ユニットは、第1解重合反応器と第1循環タンクを含み、前記乳酸オリゴマー及び前記解重合触媒を前記第1解重合反応器で反応させ、反応により得られた前記第1液相材料を前記第1循環タンクに入れる。
【0032】
好ましい形態として、前記第1循環タンクでは、液位が50%~70%、圧力が10kPa~常圧、温度が160~200℃に維持される。この好ましい形態では、乳酸オリゴマーの更なる分子間重合反応の発生の可能性を低減させ、コークス化・炭化を低減させることができる。
【0033】
本発明に記載の方法では、好ましい形態として、第1解重合反応器に送る乳酸オリゴマーの量を制御することによって、ステップ(1)の前記反応における乳酸オリゴマーの転化率が50%~60%の間に制御される。この好ましい形態では、乳酸オリゴマーの更なる分子間重合反応の発生の可能性を低減させ、コークス化・炭化を低減させることができる。
【0034】
本発明に記載の方法では、好ましい形態として、ステップ(2)の前記反応はプロトン化溶媒の存在下で行われる。特定実施形態では、前記第1解重合反応ユニットからの第1液相材料とプロトン化溶媒を混合して前記第2解重合反応ユニットに送る。この好ましい形態では、プロトン化溶媒を使用することにより、ラクチド合成中のラセミ化の程度及び基質のコークス化・炭化の可能性をさらに低減させ、製品の品質を向上させることができる。
【0035】
本発明では、前記プロトン化溶媒は、炭素数12以上のジアミン、及び炭素数12以上のジオールのうちの少なくとも1種であってもよい。好ましくは、前記プロトン化溶媒の溶融温度は、80~160℃、より好ましくは100~160℃である。さらに好ましくは、前記プロトン化溶媒は、C12~C18のジアミン及びC12~C18のジオールのうちの少なくとも1種である。より好ましくは、前記プロトン化溶媒は、ドデカンジアミン、テトラデカンジアミン(Tetradecanediamine)、ヘキサデカンジアミン(Cetanediamine)、テトラデカンジオール(Tetradecanediol)、及びヘキサデカンジオール(Hexadecanediol)のうちの少なくとも1種である。
【0036】
本発明に記載の方法では、ステップ(2)の前記反応では、前記プロトン化溶媒の使用量が、乳酸オリゴマーの質量に対して0.1%~6%であってもよいが、好ましくは1%~3%である。
【0037】
本発明の1つの特定実施形態によれば、前記第2解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第2解重合反応器と少なくとも1つの第2循環タンクを含み、前記第1液相材料及び任意のプロトン化溶媒を前記第2解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第2循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が6,000以下である場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きくなる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる。好ましい形態として、前記液相材料の分子量が3000~6,000になる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きく10,000未満になる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる。
【0038】
上記の特定実施形態では、前記第2解重合反応ユニットは、1つの第2解重合反応器と1つの第2循環タンクを含んでもよいし、2つ以上の第2解重合反応器と2つ以上の第2循環タンクを含んでもよい。好ましくは、前記第2解重合反応ユニットが2つ以上の第2解重合反応器と2つ以上の第2循環タンクを含む場合、第2解重合反応器毎に1つの第2循環タンクが配置され、各第2解重合反応器及び第2解重合反応器のそれぞれに対応して配置される第2循環タンクは、1つの循環反応ユニットを構成する。1つの具体例では、前記第2解重合反応ユニットは、2つの第2解重合反応器と2つの第2循環タンクを含み、ここで、第2解重合反応器A及び第2循環タンクaは、1つの循環反応ユニット2-1を構成し、第2解重合反応器B及び第2循環タンクbは、別の循環反応ユニット2-2を構成する。前記第1解重合反応ユニットからの液相材料(すなわち、第1液相材料)をまず、前記循環反応ユニット2-1の第2解重合反応器Aに入れて反応させ、反応後の液相材料を第2循環タンクaに入れ、液相材料の分子量が4500以下(例えば3000~45000)である場合、第2循環タンクa内の液相材料を第2解重合反応器Aに循環させて、さらに反応させ、液相材料の分子量が4500よりも大きく6,000未満になる場合、第2循環タンクa内の液相材料を循環反応ユニット2-2の第2解重合反応器Bに送って反応させ、反応後の液相材料を第2循環タンクbに入れ、液相材料の分子量が6,000以下(例えば4500~6,000)になる場合、第2循環タンクb内の液相材料を第2解重合反応器Bに循環させて、さらに反応させ、液相材料の分子量が6,000よりも大きく10,000未満になる場合、第2循環タンクb内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる。実際の操作プロセスでは、前記第2解重合反応ユニットが備える、1つの解重合反応器と1つの循環タンクで構成される循環反応ユニットが多いほど、各段階での乳酸オリゴマーの分子量の制御が精密に行われ、良好な反応効果が得られるが、コスト及び効果向上の幅の両方を考慮すると、前記第2解重合反応ユニットは、1つの第2解重合反応器と1つの第2循環タンクを含むのが好ましい。
【0039】
本発明に記載の方法では、前記第2解重合反応器における反応条件は、反応温度200~220℃、絶対圧力400~1000Pa、シングルパス反応の時間2~5minを含んでもよい。
【0040】
本発明に記載の方法では、好ましい形態として、前記第2解重合反応器のシングルパス反応では、乳酸オリゴマーの供給量が、実際反応量の3~5倍である。この好ましい形態では、第2解重合反応器の表面での乳酸オリゴマーの滞留時間を短縮させ、重合反応の発生を抑え、収率を向上させ、製品の品質を確保することができる。
【0041】
本発明に記載の方法では、好ましい形態として、前記第2循環タンクでは、液位が50%~70%、圧力が10kPa~常圧、温度が160~200℃に維持される。
【0042】
本発明に記載の方法では、ステップ(2)の解重合反応には、乳酸オリゴマーの転化率は70%以上に達する。
【0043】
本発明の1つの特定実施形態によれば、前記第3解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第3解重合反応器と少なくとも1つの第3循環タンクを含み、前記第2液相材料を前記第3解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第3循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が10,000以下である場合、前記第3循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が10,000よりも大きくなる場合、前記第3循環タンク内の液相材料を排出する。
【0044】
上記の特定実施形態では、前記第3解重合反応ユニットは、1つの第3解重合反応器と1つの第3循環タンクを含んでもよいし、2つ以上の第3解重合反応器と2つ以上の第3循環タンクを含んでもよい。好ましくは、前記第3解重合反応ユニットが2つ以上の第3解重合反応器と2つ以上の第3循環タンクを含む場合、第3解重合反応器毎に1つの第3循環タンクが配置され、各第3解重合反応器及び第3解重合反応器のそれぞれに対応して配置される第3循環タンクは、1つの循環反応ユニットを構成する。1つの具体例では、前記第3解重合反応ユニットは、2つの第3解重合反応器と2つの第3循環タンクを含み、ここで、第3解重合反応器C及び第3循環タンクcは、1つの循環反応ユニット3-1を構成し、第3解重合反応器D及び第3循環タンクdは、別の循環反応ユニット3-2を構成する。前記第2解重合反応ユニットからの液相材料(すなわち、第2液相材料)をまず、前記循環反応ユニット3-1の第3解重合反応器Cに入れて反応させ、反応後の液相材料を第3循環タンクcに入れ、液相材料の分子量が8000以下(例えば、6,000よりも大きく8000未満)になる場合、第3循環タンクc内の液相材料を第3解重合反応器Cに循環させて、さらに反応させ、液相材料の分子量が8000よりも大きく10,000未満になる場合、第3循環タンクc内の液相材料を循環反応ユニット3-2の第3解重合反応器Dに送って反応させ、反応後の液相材料を第3循環タンクdに入れ、液相材料の分子量が10,000以下である場合、第3循環タンクd内の液相材料を第3解重合反応器Dに循環させて、さらに反応させ、液相材料の分子量が10,000よりも大きくなる場合、第3循環タンクd内の液相材料をシステムから排出する。実際の操作プロセスでは、前記第3解重合反応ユニットが備える、1つの解重合反応器と1つの循環タンクで構成される循環反応ユニットが多いほど、各段階での乳酸オリゴマーの分子量の制御が精密に行われ、良好な反応効果が得られるが、コスト及び効果向上の幅の両方を考慮すると、前記第3解重合反応ユニットは、1つの第3解重合反応器と1つの第3循環タンクを含むのが好ましい。
【0045】
本発明に記載の方法では、前記第3解重合反応器における反応条件は、反応温度220~240℃、絶対圧力200~800Pa、シングルパス反応の時間1~4minを含んでもよい。
【0046】
本発明に記載の方法では、好ましい形態として、前記第3解重合反応器のシングルパス反応では、乳酸オリゴマーの供給量が、実際反応量の4~6倍である。この好ましい形態では、第3解重合反応器の表面での乳酸オリゴマーの滞留時間を短縮させ、重合反応の発生を抑え、収率を向上させ、製品の品質を確保することができる。
【0047】
本発明に記載の方法では、好ましい形態として、前記第3循環タンクでは、液位が10%~30%、圧力が10kPa~常圧、温度が160~200℃に維持される。
【0048】
本発明に記載の方法では、前記第3解重合反応ユニットから排出される分子量10,000超の液相材料は、乳酸高重合体であり、加水分解により再利用のための乳酸を形成してもよい。
【0049】
本発明に記載の方法では、ステップ(3)の解重合反応には、乳酸オリゴマーの転化率は70%以上に達する。
【0050】
本発明に記載の方法によれば、解重合反応を段階的に制御するプロセスにわたって、乳酸オリゴマーの転化率は97.0%以上に達する。
【0051】
本発明に記載の方法では、好ましい形態として、前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットの反応器(すなわち、第1解重合反応器、第2解重合反応器、及び第3解重合反応器)は、それぞれ、ワイプドフィルム解重合反応器、より好ましくは薄膜蒸発器、分子蒸留蒸発器、又は他の撹拌式薄膜蒸発器である。
【0052】
本発明に記載の方法によれば、3つの解重合反応ユニットで生成された気相粗ラクチドは、各解重合反応器の頂部から排出され、得られた粗ラクチドの組成は、L-ラクチドの含有量が82質量%~92質量%、m-ラクチドの含有量が1.0質量%~6質量%、L-乳酸の含有量が0.5質量%~6質量%、二量体及び三量体の含有量が1.5質量%~6質量%である。
【0053】
本発明に記載の方法によれば、3つの解重合反応ユニットで生成された気相粗ラクチドは、分離純化工程に入り、精留又は他の純化精製プロセスで直接精製されてもよく、得られた製品の品質は、重合グレードのラクチド単量体の要件を満たす。
【0054】
本発明に記載のラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造するシステムは、
第1解重合反応ユニットと、
第2解重合反応ユニットと、
第3解重合反応ユニットと、
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットから気相粗ラクチドを収集して純化するための装置と、を含み、
乳酸オリゴマーと解重合触媒を前記第1解重合反応ユニットで反応し、
液相材料の分子量が6,000よりも高くなるまで、前記第1解重合反応ユニットからの液相材料及び任意のプロトン化溶媒を、第2解重合反応ユニットで循環して反応し、
液相材料の分子量が10,000よりも高くなるまで、前記第2解重合反応ユニットからの分子量6,000超の液相材料を、第3解重合反応ユニットで循環して反応する。
【0055】
好ましい形態として、前記第1解重合反応ユニットは、第1解重合反応器と第1循環タンクを含み、前記乳酸オリゴマー及び前記解重合触媒を前記第1解重合反応器で反応させ、反応により得られた液相材料を前記第1循環タンクに入れる。
【0056】
好ましい形態として、前記第2解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第2解重合反応器と少なくとも1つの第2循環タンクを含み、前記第1解重合反応ユニットからの液相材料及び任意のプロトン化溶媒を前記第2解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第2循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が6,000以下である場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きくなる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる。
【0057】
好ましい形態として、前記第3解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第3解重合反応器と少なくとも1つの第3循環タンクを含み、前記第2解重合反応ユニットからの分子量6,000超の液相材料を前記第3解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第3循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が10,000以下である場合、前記第3循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が10,000よりも大きくなる場合、前記第3循環タンク内の液相材料をシステムから排出する。
【0058】
本発明に記載のシステムでは、前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットの反応器(すなわち、第1解重合反応器、第2解重合反応器、及び第3解重合反応器)は、それぞれ、ワイプドフィルム解重合反応器、好ましくは薄膜蒸発器、分子蒸留蒸発器、又は他の撹拌式薄膜蒸発器であってもよい。
【0059】
本発明の1つの特定実施形態では、
図1に示すように、前記ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造するシステムは、第1解重合反応ユニット、第2解重合反応ユニット、及び第3解重合反応ユニットを含み、そのうち、前記第1解重合反応ユニットは、第1解重合反応器Iと第1循環タンクIVを含み、前記第2解重合反応ユニットは、第2解重合反応器IIと第2循環タンクVを含み、前記第2循環タンクVは、第1分子量検出制御アセンブリVIIが配置されており、前記第3解重合反応ユニットは、第3解重合反応器IIIと第3循環タンクVIを含み、前記第3循環タンクVIは、第2分子量検出制御アセンブリVIIIが配置されている。該システムの具体的な作動過程は以下の通りである。まず、乳酸オリゴマー01を第1解重合反応器Iに送って反応させ、未反応の乳酸オリゴマーを第1循環タンクIVに入れ、圧力を10kPa~常圧、温度を160~200℃に制御し、タンク内の液位が50%~70%になると、第1循環タンク排出材料05を単独又はプロトン化溶媒10と混合して第2解重合反応器IIに送って反応させ、未反応の乳酸オリゴマーを第2循環タンクVに入れ、圧力を10kPa~常圧、温度を160~200℃に制御し、タンク内の液位が50%~70%になると、第2循環タンクV内の乳酸オリゴマーの分子量を検出し、分子量が6,000以下(好ましくは3000~6,000)である場合、第2循環タンク循環材料06として第2解重合反応器IIに戻し、分子量が6,000よりも大きくなる場合、第2循環タンク排出材料07として第3解重合反応器IIIに送って反応させ、未反応の乳酸オリゴマーを第3循環タンクVIに入れ、圧力を10kPa~常圧、温度を160~200℃に調節し、第3循環タンクVI内の液位が10%~30%になると、第3循環タンクVI内のオリゴマーの分子量を検出し、分子量が10,000未満である場合、第3循環タンク循環材料08として第3解重合反応器IIIに戻し、分子量が10,000よりも大きくなる場合、乳酸高重合体09として反応システムから排出し、排出した材料は乳酸高重合体であり、加水分解により再利用のための乳酸を形成してもよい。3つの解重合反応器で生成された気相粗ラクチドは、各解重合反応器の頂部から排出され、得られた粗ラクチド製品04は、分離純化工程に入る。
【0060】
以下、本発明のラクチドを製造するための方法及びシステムについて、実施例を用いてさらに説明する。実施例は、本発明の技術案を前提として実施され、詳細な実施形態及び具体的な操作プロセスが示されているが、本発明の保護範囲は以下の実施例に限定されない。
【0061】
以下の実施例における実験方法は、特に断らない限り、すべて当該分野の従来の方法である。下記の実施例で使用される実験材料は、特に断らない限り、生化学試薬店から購入可能である。
【0062】
本発明の実施例で使用される乳酸は、乳酸の含有量が88%以上、光学純度が99.0%以上の耐熱グレードのL-乳酸である。
【0063】
本発明は、Malvern Viscotek OMNISEC GPC/SECゲルクロマトグラフで乳酸オリゴマーの分子量を分析する。従来の補正方法を採用し、ポリスチレン(PS)を内部標準とし、カラムは、型番T3000、サイズ300mmL×8.0mm、カラム温度40℃、流速1.0mL/minであり、サンプル濃度は2~5mg/mL、一回のサンプル注入量は500μLである。
【0064】
本発明は、Agilent社製の高速液体クロマトグラフィーを使用して、ラクチドの化学純度、L-乳酸、二量体及び三量体の含有量を分析する。紫外検出器が使用され、移動相としてリン酸とアセトニトリルが使用され、カラムは、型番ZORBAX SB-Aq、カラムの長さ250mm、カラム内径4.6mm、内部充填材の粒径5μmである。検出波長:200nm、カラム温度:40℃、流速:1mL/min、サンプル注入量:5μL。
【0065】
本発明は、Agilent社製のガスクロマトグラフを使用して、様々な光学異性体のラクチド含有量を分析する。カラムはCYCLOSIL-B型番であり、気化室温度は250℃であり、検出器の温度は280℃であり、水素炎イオン検出器は使用され、カラム温度のプログラム昇温には、初期温度を100℃として、5min保持し、4℃/minの速度で140℃まで昇温し、7min保持し、8℃/minの速度で200℃まで昇温し、20min保持する。キャリアガスN2流量は1.4mL/min、水素流量は30mL/min、空気流量は400mL/min、サンプル注入量は0.5μLである。
【0066】
ラクチドの純化プロセスの収率Y、及び製造純化プロセス全体の製品収率Y
総の計算式は以下の通りである。
【数1】
ここで、m
0は粗ラクチドの質量、y
0は粗ラクチド中のL-ラクチドの純度、mはラクチド製品の質量、Mは、理論的に一定量の乳酸オリゴマーが転化できるラクチドの質量、すなわち乳酸オリゴマーの質量である。
【0067】
WZZ-2S自動旋光計を使用してサンプルの比旋光度を分析し、サンプルの光学純度を表現する。純粋なL-ラクチドの比旋光度は-278であり、純粋なD-ラクチドの比旋光度は+278であり、m-ラクチドの比旋光度は0であり、サンプルの光学純度Xの計算式は以下の通りである。
【数2】
ここで、α
純粋な物質は、純粋なラクチドの比旋光度を表し、α
被測定サンプルは被測定物質の比旋光度を表す。
【0068】
本発明の実施例は、
図1の装置及び手順に従って行われる。まず、乳酸オリゴマー01を第1ワイプドフィルム解重合反応器Iに送って反応させ、未反応の乳酸オリゴマーを循環タンクIVに入れ、圧力を10kPa~常圧、温度を160~200℃に制御し、タンク内の液位が50%~70%になると、第1循環タンク排出材料05を単独又はプロトン化溶媒10と混合して第2ワイプドフィルム解重合反応器IIに送って反応させ、未反応の乳酸オリゴマーを循環タンクVに入れ、圧力を10kPa~常圧、温度を160~200℃に制御し、タンク内の液位が50%~70%になると、循環タンクV内のオリゴマーの分子量を検出し、分子量が6,000より低い、好ましい3000~6,000である場合、第2循環タンク循環材料06として第2解重合反応器IIに戻し、分子量が6,000よりも大きくなる場合、第2循環タンク排出材料07として第3ワイプドフィルム解重合反応器IIIに送って反応させ、未反応の乳酸オリゴマーを循環タンクVIに入れ、圧力を10kPa~常圧、温度を160~200℃に制御し、循環タンクVI内の液位が10%~30%になると、循環タンクVI内のオリゴマーの分子量を検出し、分子量が10,000未満である場合、第3循環タンク循環材料08として第3解重合反応器IIIに戻し、分子量が10,000よりも大きくなる場合、乳酸高重合体09として反応システムから排出し、排出される材料は、乳酸高重合体10であり、加水分解により再利用のための乳酸を形成してもよい。3つの解重合反応器で生成された気相粗ラクチドは、各解重合反応器の頂部から排出され、得られた粗ラクチド製品04は、分離純化工段に入る。
乳酸オリゴマーの製造
【0069】
(1)乳酸からの遊離水の除去:L-乳酸(乳酸の含有量は約88.0%、光学純度は99.2%)4000gを、撹拌システム付きの反応釜に加え、真空循環水ポンプでシステムの圧力を約50kPaに維持し、真空下で加熱し始め、110~120℃まで徐々に加熱して、2h脱水し、このように、反応システム内の遊離水を反応システムから徐々に蒸発させる。
(2)乳酸オリゴマーの製造:システム内の遊離水のほとんどを除去した後、システムの真空度を高め、システムの圧力を約1.2kPaに徐々に下げ、液体材料の温度を160℃に徐々に上げて、2.5h反応させ、このとき、乳酸の分子間で重縮合反応を起こし、システム内の反応により生成された水分をシステムから蒸発させ、分子量が1901の乳酸オリゴマーを得る。
実施例1
【0070】
乳酸オリゴマー3000gにオクタン酸第一スズ触媒30gを加えて均一に混合したものを、第1ワイプドフィルム解重合反応器に送って、解重合反応条件を、真空度600Pa、反応温度190℃、シングルパス反応の時間4minに制御し、未反応の乳酸オリゴマーを第1循環タンクに入れ、温度を180℃、圧力を20kPaに制御し、液位が60%に上昇すると、検出した結果、乳酸オリゴマーの分子量は3216であった。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は54.6%であった。
第1循環タンク内の乳酸オリゴマーを第2ワイプドフィルム解重合反応器に送って、反応温度を210℃、真空度を400Pa、シングルパス反応の時間を3minに制御し、乳酸オリゴマーの供給量を実際反応量の4倍とし、未反応の乳酸オリゴマーを第2循環タンクに入れ、液位を50%、圧力を10kPa、温度を180℃に維持して、検出した結果、第2循環タンク内の乳酸オリゴマーの分子量が4915であり、この乳酸オリゴマーを第2解重合反応器に循環させてさらに反応させ、第2循環タンクの出口でのオリゴマーの分子量が6,000よりも大きくなる場合、このオリゴマーを第3解重合反応器に送った。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は72.4%であった。
第2循環タンク内の乳酸オリゴマーを第3解重合反応器に送って、反応温度を230℃、真空度を300Pa、シングルパス反応の時間を2minに制御し、乳酸オリゴマーの供給量を実際反応量の5倍とし、未反応の乳酸オリゴマーを第3循環タンクに入れ、温度を180℃、圧力を20kPaに制御し、液位が20%に上昇すると、検出した結果、乳酸オリゴマーの分子量が7864であり、この乳酸オリゴマーを第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、乳酸オリゴマーの分子量が10,000に上昇すると、この乳酸オリゴマーをシステムから排出した。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は71.1%であった。
このプロセス全体にわたって得られた粗ラクチドの組成は、L-ラクチドが89.7%、m-ラクチドが3.2%、L-乳酸が2.5%、乳酸二量体、三量体の含有量が3.4%である。段階的な循環解重合プロセスに亘って乳酸オリゴマーの転化率は98.3%に達する。
上記の粗ラクチド製品を2段精留システムで純化して精製した製品では、化学純度も光学純度も重合グレードのラクチド単量体の要件を満たす。
実施例2
【0071】
乳酸オリゴマー3000gにオクタン酸第一スズ触媒30gを加えて均一に混合したものを、第1ワイプドフィルム解重合反応器に送って、解重合反応条件を、真空度1500Pa、反応温度230℃、シングルパス反応の時間8minに制御し、未反応の乳酸オリゴマーを第1循環タンクに入れ、温度を200℃、圧力を20kPaに制御し、液位が60%に上昇すると、検出した結果、乳酸オリゴマーの分子量は3713であった。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は50.8%であった。
第1循環タンク内の乳酸オリゴマーを第2ワイプドフィルム解重合反応器に送って、反応温度を220℃、真空度を1000Pa、シングルパス反応の時間を5minに制御し、乳酸オリゴマーの供給量を実際反応量の3倍とし、未反応の乳酸オリゴマーを第2循環タンクに入れ、液位を50%、圧力を20kPa、温度を180℃に維持し、検出した結果、第2循環タンク内の乳酸オリゴマーの分子量が6032であり、このオリゴマーを第3解重合反応器に送った。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は71.2%であった。
第2循環タンク内の乳酸オリゴマーを第3解重合反応器に送って、反応温度を240℃、真空度を800Pa、シングルパス反応の時間を4minに制御し、乳酸オリゴマーの供給量を実際反応量の4倍とし、未反応の乳酸オリゴマーを第3循環タンクに入れ、温度を180℃、圧力を20kPaに制御し、液位が20%に上昇すると、検出した結果、乳酸オリゴマーの分子量が7357であり、この乳酸オリゴマーを第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、乳酸オリゴマーの分子量が10,000に上昇すると、この乳酸オリゴマーをシステムから排出した。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は70.3%であった。
このプロセス全体にわたって得られた粗ラクチドの組成は、L-ラクチドが84.6%、m-ラクチドが5.9%、L-乳酸が1.5%、乳酸二量体、三量体の含有量が4.0%である。段階的な循環解重合プロセスに亘って乳酸オリゴマーの転化率は97.1%であった。
上記の粗ラクチド製品を2段精留システムで純化して精製した製品では、化学純度も光学純度も重合グレードのラクチド単量体の要件を満たす。
実施例3
【0072】
乳酸オリゴマー3000gにオクタン酸第一スズ触媒30gを加えて均一に混合したものを、第1ワイプドフィルム解重合反応器に送って、解重合反応条件を、真空度500Pa、反応温度180℃、シングルパス反応の時間3minに制御し、乳酸オリゴマーの供給量を実際反応量の4倍とし、未反応の乳酸オリゴマーを第1循環タンクに入れ、温度を180℃、圧力を20kPaに制御し、液位が60%に上昇すると、検出した結果、乳酸オリゴマーの分子量は3461であった。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は51.8%であった。
第1循環タンク内の乳酸オリゴマーを第2ワイプドフィルム解重合反応器に送って、反応温度を200℃、真空度を400Pa、シングルパス反応の時間を2minに制御し、乳酸オリゴマーの供給量を実際反応量の5倍とし、未反応の乳酸オリゴマーを第2循環タンクに入れ、液位を50%、圧力を20kPa、温度を180℃に維持し、検出した結果、第2循環タンク内の乳酸オリゴマーの分子量が4456であり、この乳酸オリゴマーを第2解重合反応器に循環させ、さらに反応させ、検出した結果、第2循環タンクの出口でのオリゴマーの分子量が6,000よりも大きくなる場合、このオリゴマーを第3解重合反応器に送った。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は71.9%であった。
第2循環タンク内の乳酸オリゴマーを第3解重合反応器に送って、反応温度を220℃、真空度を200Pa、シングルパス反応の時間を1minに制御し、乳酸オリゴマーの供給量を実際反応量の6倍とし、未反応の乳酸オリゴマーを第3循環タンクに入れ、温度を180℃、圧力を20kPaに制御し、液位が20%に上昇すると、検出した結果、乳酸オリゴマーの分子量が7071であり、この乳酸オリゴマーを第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、乳酸オリゴマーの分子量が10,000に上昇すると、この乳酸オリゴマーをシステムから排出した。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は72.4%であった。
このプロセス全体にわたって得られた粗ラクチドの組成は、L-ラクチドが89.2%、m-ラクチドが3.2%、L-乳酸が2.9%、乳酸二量体、三量体の含有量が4.7%である。段階的な循環解重合プロセスに亘って乳酸オリゴマーの転化率は97.6%であった。
上記の粗ラクチド製品を2段精留システムで純化して精製した製品では、化学純度も光学純度も重合グレードのラクチド単量体の要件を満たす。
実施例4
【0073】
同質量の塩化第一スズ触媒を用いた以外、実施例1の方法に従ってラクチドを製造した。第1解重合反応器で反応させた後、検出した結果、第1循環タンクの出口での乳酸オリゴマーの分子量は3527であり、乳酸オリゴマーの転化率は53.8%であった。該乳酸オリゴマーを第2解重合反応器に入れて反応させた後、検出した結果、第2循環タンク内の乳酸オリゴマーの分子量が5319であり、この乳酸オリゴマーを第2解重合反応器に直接循環させ、さらに反応させ、検出した結果、第2循環タンクの出口での乳酸オリゴマーの分子量が6,000よりも大きくなる場合、このオリゴマーを第3解重合反応器に送った、このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は71.7%であった。第3解重合反応器で反応させた後、検出した結果、第3循環タンクの出口での乳酸オリゴマーの分子量が8213であり、この乳酸オリゴマーを第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、乳酸オリゴマーの分子量が10,000に上昇すると、この乳酸オリゴマーをシステムから排出した。このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は70.8%であった。
このプロセス全体にわたって得られた粗ラクチドの組成は、L-ラクチドが88.2%、m-ラクチドが3.9%、L-乳酸が2.7%、乳酸二量体、三量体の含有量が4.4%である。段階的な循環解重合プロセスに亘って乳酸オリゴマーの転化率は97.8%であった。
上記の粗ラクチド製品を2段精留システムで純化して精製した製品では、化学純度も光学純度も重合グレードのラクチド単量体の要件を満たす。
実施例5
【0074】
分子蒸留式の解重合蒸発器を用いた以外、実施例1の方法に従ってラクチドを製造した。第1解重合反応器で反応させた後、検出した結果、第1循環タンクの出口での乳酸オリゴマーの分子量は3009であり、乳酸オリゴマーの転化率は55.3%であった。該乳酸オリゴマーを第2解重合反応器に入れて反応させた後、このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は73.5%であった。第3解重合反応器で反応させた後、このプロセスでは、乳酸オリゴマーの転化率は72.7%であった。
このプロセス全体にわたって得られた粗ラクチドの組成は、L-ラクチドが91.3%、m-ラクチドが2.2%、L-乳酸が2.9%、乳酸二量体、三量体の含有量が3.0%である。段階的な循環解重合プロセスに亘って乳酸オリゴマーの転化率は98.7%であった。
上記の粗ラクチド製品を2段精留システムで純化して精製した製品では、化学純度も光学純度も重合グレードのラクチド単量体の要件を満たす。
実施例6
【0075】
第1解重合反応器内の未反応の乳酸オリゴマーを第2解重合反応器に送る前に、それに1.0%のテトラデカンジオールを加えた以外、実施例1の方法に従ってラクチドを製造した。第2解重合反応器内の乳酸オリゴマーの転化率は74.4%であった。第3解重合反応器内の乳酸オリゴマーの転化率は72.4%であった。
このプロセス全体にわたって得られた粗ラクチドの組成は、L-ラクチドが91.3%、m-ラクチドが1.8%、L-乳酸が2.1%、乳酸二量体、三量体の含有量が3.3%である。段階的な循環解重合プロセスに亘って乳酸オリゴマーの転化率は98.6%であった。各段階で得られた粗ラクチド製品は、ラセミ化の程度が低く、プロセスにわたって材料の処理量が大きい。
上記の粗ラクチド製品を2段精留システムで純化して精製した製品では、化学純度も光学純度も重合グレードのラクチド単量体の要件を満たす。
実施例7
【0076】
第1解重合反応器内の未反応の乳酸オリゴマーを第2解重合反応器に送る前に、それに1.0%のドデカンジアミンを加えた以外、実施例1の方法に従ってラクチドを製造した。第2解重合反応器内の乳酸オリゴマーの転化率は72.9%であった。第3解重合反応器内の乳酸オリゴマーの転化率は71.9%であった。
このプロセス全体にわたって得られた粗ラクチドの組成は、L-ラクチドが91.5%、m-ラクチドが1.6%、L-乳酸が2.2%、乳酸二量体、三量体の含有量が3.1%である。段階的な循環解重合プロセスに亘って乳酸オリゴマーの転化率は98.7%であった。
上記の粗ラクチド製品を2段精留システムで純化して精製した製品では、化学純度も光学純度も重合グレードのラクチド単量体の要件を満たす。
比較例1
【0077】
循環タンクについて分子量を検出し、検出結果に応じて調節することはしなかった以外、実施例1の方法に従ってラクチドを製造した。このプロセス全体にわたって、得られた粗ラクチドの組成は、L-ラクチドが85.4%、m-ラクチドが6.5%、L-乳酸の含有量が4.7%、二量体、三量体の含有量が5.8%である。段階的な循環解重合プロセスに亘って乳酸オリゴマーの転化率は95.3%であった。得られた粗ラクチド製品は、品質が段階的に制御する場合に相当するが、乳酸オリゴマーの転化率が低く、しかも、プロセス全体にわたって反応の処理量が僅か約200g/hであり(実施例1では、処理量は300g/h以上)、また、循環オリゴマーの分子量の増大につれて、解重合反応器の入口での組成が絶えずに変わり、解重合反応の速度が絶えずに変わり、ラセミ化の程度が絶えずに変わり、出口での製品の組成は動的に変化しており、連続プロセスにおける反応安定性が悪く、また、装置を定期的に停止してスラグを除去する操作も必要とされる。
比較例2
【0078】
南京大学によるCN111153886A出願に記載の乳酸オリゴマーの解重合スキーム、すなわち、1段循環解重合プロセスを用いて、ラクチドを製造した。この比較例では、解重合反応器の形態は実施例1と同様であった。解重合反応条件を、真空度300Pa、反応温度210℃、シングルパスの滞留時間を約2minに制御し、反応後、重質成分を循環タンクに入れ、新しい乳酸オリゴマーと混合して解重合反応器に送って、反応中の新しい材料と循環材料との質量比を1:3に制御した。反応が進むにつれて、循環タンクの液位を60%、圧力を50kPa、温度を180℃に制御した。循環タンクの出口での乳酸オリゴマーの分子量又は触媒循環量の累計に基づいてスラグを定期的に除去し、オリゴマーの分子量が10,000よりも大きくなった場合にスラグ除去が行われる。
分析の結果、粗ラクチド製品において、L-ラクチドの含有量は85.2%、m-ラクチドの含有量は8.6%、L-乳酸の含有量は2.4%、二量体、三量体の含有量は3.2%である。粗ラクチドを合成するプロセスにおける乳酸オリゴマーの転化率は95.2%であった。製品の収率が95%に達するが、製品のラセミ化が深刻であり、しかも、反応が進むにつれて、解重合反応器の入口での材料の組成が大きく変わり、その結果として、解重合反応速度も大きく変わり、システムの解重合反応にかかる時間が長くなり、出口での製品の材料組成が不安定になる。
比較例3
【0079】
日本出願JPH08333359Aと同様なスキームによって、乳酸オリゴマーを解重合してラクチドを製造する試験を行い、すなわち、3つの反応器を直列に接続した形態で解重合を行い、第3反応器の材料を第1反応器に循環させて反応させ、第3反応器の底部からスラグを定期的に除去し、採用された解重合反応器の形態は実施例1と同様であった。直列に接続された3つの反応器での反応の温度は、すべて200℃であり、真空度が順次上昇し、それぞれ600Pa、400Pa、及び300Paであり(実施例1と同様)、第1解重合反応器の供給速度は実施例1と同様であり、第1解重合反応器では、乳酸オリゴマーの転化率は54.9%であり、第1解重合反応器内の未反応の材料が第2解重合反応器に連続的に送られて、その転化率は49.3%であった、一方、第2解重合反応器の未反応の材料が第3解重合反応器に送られて反応を起こし、その転化率は40.1%であり、このとき、未反応の成分をスラグとして除去すれば、反応全体の乳酸オリゴマーの転化率は86%であり、粗ラクチド製品中のm-ラクチドの含有量は5.8%であるが、粗ラクチドの組成は比較的安定である。一方、このとき、未反応の成分を再び第1解重合反応器に循環されれば、各反応器の入口での組成は大きく変わり、製品の収率が向上したが、反応効率や反応システムの安定性が損なわれた。
【0080】
上記の実施例及び比較例より、本発明では、多段直列解重合反応を採用し、かつこの反応を段階的に制御し、循環タンク内の乳酸オリゴマーの分子量に応じて調節することによって、乳酸オリゴマーの効率的な解重合を実現し、ラクチドのラセミ化の程度及び基質のコークス化・炭化の可能性を低減させ、反応プロセス全体における乳酸オリゴマーの転化率とシステムの安定性を確保することが分かった。プロセス全体における乳酸オリゴマーの転化率は97.0%以上に達する。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の技術構想の範囲内では、本発明の技術案について、各技術的特徴を他の適切な方法で組み合わせることを含め、複数の簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形及び組み合わせは同様に本発明の開示された内容と見なすべきであり、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0082】
[符号の説明]
I 第1解重合反応器
II 第2解重合反応器
III 第3解重合反応器
IV 第1循環タンク
V 第2循環タンク
VI 第3循環タンク
VII 第1分子量検出制御アセンブリ
VIII 第2分子量検出制御アセンブリ
01 乳酸オリゴマー
02 第2循環タンク供給材料
03 第3循環タンク供給材料
04 粗ラクチド
05 第1循環タンク排出材料
06 第2循環タンク循環材料
07 第2循環タンク排出材料
08 第3循環タンク循環材料
09 乳酸高重合体
10 プロトン化溶媒
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】本発明に係るラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造するシステムの特定の実施形態の構造模式図である。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造する方法であって、
乳酸オリゴマーと解重合触媒を第1解重合反応ユニットで反応させ、第1液相材料を得るステップ(1)と、
液相材料の分子量が6,000よりも大きくなるまで、前記第1液相材料を第2解重合反応ユニットで循環させて反応させ、第2液相材料を得るステップ(2)と、
液相材料の分子量が10,000よりも大きくなるまで、前記第2液相材料を第3解重合反応ユニットで循環させて反応させるステップ(3)と、
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットから気相粗ラクチドを収集して純化するステップ(4)と、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(1)では、前記乳酸オリゴマーの分子量が、800~3000、好ましくは1200~2800である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
L-乳酸及び/又はD-乳酸を順次脱水して重縮合する工程によって、乳酸オリゴマーを製造するステップをさらに含み、
好ましくは、前記重縮合の条件は、反応温度140~170℃、絶対圧力1000~2000Pa、反応時間0.5~4hを含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(1)では、前記解重合触媒の使用量が、前記乳酸オリゴマーの質量に対して0.4%~3%、好ましくは0.8%~2%である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)では、前記解重合触媒は、スズ系触媒、好ましくはオクタン酸第一スズ、SnCl
2、及びSnOのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(1)では、前記反応の条件は、反応温度180~200℃、絶対圧力500~1500Pa、反応時間3~8minを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1解重合反応ユニットは、第1解重合反応器と第1循環タンクを含み、
前記乳酸オリゴマー及び前記解重合触媒を前記第1解重合反応器で反応させ、反応により得られた前記第1液相材料を前記第1循環タンクに入れる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1循環タンクでは、液位が50%~70%、圧力が10kPa~常圧、温度が160~200℃に維持される、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(1)の前記反応では、乳酸オリゴマーの転化率が50%~60%の間に制御される、ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(2)の前記反応はプロトン化溶媒の存在下で行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プロトン化溶媒は、炭素数12以上のジアミン及び炭素数12以上のジオールのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロトン化溶媒の溶融温度が、80~160℃、好ましくは100~160℃である、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロトン化溶媒は、C12~C18のジアミン及びC12~C18のジオールのうちの少なくとも1種、好ましくは、ドデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、テトラデカンジオール、及びヘキサデカンジオールのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1
1に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(2)の前記反応では、前記プロトン化溶媒の使用量が、乳酸オリゴマーの質量に対して0.1%~6%、好ましくは1%~3%である、ことを特徴とする請求項1
0に記載の方法。
【請求項15】
前記第2解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第2解重合反応器と少なくとも1つの第2循環タンクを含み、
前記第1液相材料及び任意のプロトン化溶媒を前記第2解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第2循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が6,000以下である場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きくなる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる、ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項16】
前記液相材料の分子量が3000~6,000になる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きく10,000未満になる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2解重合反応器における反応条件は、反応温度200~220℃、絶対圧力400~1000Pa、シングルパス反応の時間2~5minを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2解重合反応器のシングルパス反応では、乳酸オリゴマーの供給量が、実際反応量の3~5倍である、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第2循環タンクでは、液位が50%~70%、圧力が10kPa~常圧、温度が160~200℃に維持される、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第3解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第3解重合反応器と少なくとも1つの第3循環タンクを含み、
前記第2液相材料を前記第3解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第3循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が10,000以下である場合、前記第3循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が10,000よりも大きくなる場合、前記第3循環タンク内の液相材料を排出する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第3解重合反応器における反応条件は、反応温度220~240℃、絶対圧力200~800Pa、シングルパス反応の時間1~4minを含む、ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第3解重合反応器のシングルパス反応では、乳酸オリゴマーの供給量が、実際反応量の4~6倍である、ことを特徴とする請求項2
0に記載の方法。
【請求項23】
前記第3循環タンクでは、液位が10%~30%、圧力が10kPa~常圧、温度が160~200℃に維持される、ことを特徴とする請求項2
0に記載の方法。
【請求項24】
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットの反応器は、それぞれ、ワイプドフィルム解重合反応器、好ましくは薄膜蒸発器、分子蒸留蒸発器、又は他の撹拌式薄膜蒸発器である、ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項25】
ラクチドを段階的に制御しながら連続的に製造するシステムであって、
第1解重合反応ユニットと、
第2解重合反応ユニットと、
第3解重合反応ユニットと、
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットから気相粗ラクチドを収集して純化するための装置と、を含み、
乳酸オリゴマーと解重合触媒を前記第1解重合反応ユニットで反応し、
液相材料の分子量が6,000よりも高くなるまで、前記第1解重合反応ユニットからの液相材料及び任意のプロトン化溶媒を、第2解重合反応ユニットで循環して反応し、
液相材料の分子量が10,000よりも高くなるまで、前記第2解重合反応ユニットからの分子量6,000超の液相材料を、第3解重合反応ユニットで循環して反応する、ことを特徴とするシステム。
【請求項26】
前記第1解重合反応ユニットは、第1解重合反応器と第1循環タンクを含み、
前記乳酸オリゴマー及び前記解重合触媒を前記第1解重合反応器で反応させ、反応により得られた液相材料を前記第1循環タンクに入れる、ことを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第2解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第2解重合反応器と少なくとも1つの第2循環タンクを含み、
前記第1解重合反応ユニットからの液相材料及び任意のプロトン化溶媒を前記第2解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第2循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が6,000以下である場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第2解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が6,000よりも大きくなる場合、前記第2循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応ユニットに送って反応させる、ことを特徴とする請求項2
5に記載のシステム。
【請求項28】
前記第3解重合反応ユニットは、少なくとも1つの第3解重合反応器と少なくとも1つの第3循環タンクを含み、
前記第2解重合反応ユニットからの分子量6,000超の液相材料を前記第3解重合反応器で反応させ、反応後の液相材料を前記第3循環タンクに入れ、前記液相材料の分子量が10,000以下である場合、前記第3循環タンク内の液相材料を前記第3解重合反応器に循環させて、さらに反応させ、前記液相材料の分子量が10,000よりも大きくなる場合、前記第3循環タンク内の液相材料をシステムから排出する、ことを特徴とする請求項2
5に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1解重合反応ユニット、前記第2解重合反応ユニット、及び前記第3解重合反応ユニットの反応器は、それぞれ、ワイプドフィルム解重合反応器、好ましくは薄膜蒸発器、分子蒸留蒸発器、又は他の撹拌式薄膜蒸発器である、ことを特徴とする請求項25~28のいずれか1項に記載のシステム。
【国際調査報告】