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特表2024-539682アルファ-シラン末端有機ポリマーに基づく反応性ホットメルト接着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】アルファ-シラン末端有機ポリマーに基づく反応性ホットメルト接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/02 20060101AFI20241022BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20241022BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241022BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
C09J201/02
C09J133/04
C09J11/06
C09J11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024523735
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022078919
(87)【国際公開番号】W WO2023066902
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】102021127517.2
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505411701
【氏名又は名称】クライベリット・エス・エー・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KLEIBERIT SE & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー-バイマン,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】フランク,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ブンダーリヒ,シュテッフェン
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DF021
4J040DF022
4J040ED001
4J040EE001
4J040EF001
4J040EG001
4J040EK032
4J040GA29
4J040HD32
4J040JA06
4J040JB01
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA24
4J040KA26
(57)【要約】
本発明は、反応性ホットメルト接着剤組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、a)3重量%~49重量%の少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーと、b)1重量%~20重量%未満、好ましくは1重量%~10重量%の少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーと、c)少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する、1重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%の少なくとも1つの化学物質と、d)0.001重量%~5重量%、好ましくは0.001重量%~2重量%の、1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランとを含む、反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。本発明はまた、それらの調製のためのプロセス、および組成物を使用して表面をラミネート加工するためのプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性ホットメルト接着剤組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、
a)3重量%~49重量%の少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーと、
b)1重量%~20重量%未満、好ましくは1重量%~10重量%の少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーと、
c)少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する、1重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%の少なくとも1つの化学物質と、
d)0.001重量%~5重量%、好ましくは0.001重量%~2重量%の、1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランと
を含む、反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーが、式*-X-C(=O)-N(R)-C(RR)-Si(Ra(OR3-a
(式中、
Xは、OまたはN(R)であり、
各々のRは、他とは独立して、水素または1~20個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、
RおよびRは、互いに独立して、水素または1~20個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、
RおよびRは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、
aは、1または2であり、
「*」は、前記ポリマーへの付着のための結合を示す)
の多数の末端基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
前記有機ポリマーが、ポリオキシアルキレン、炭化水素ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリカーボネートであることを特徴とする、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
前記アクリレート樹脂系ポリマーが、ホモアクリレート、ホモメタクリレート、少なくとも2つの異なるアクリレートのコポリマー、少なくとも2つの異なるメタクリレートのコポリマー、または少なくとも1つのアクリレートと少なくとも1つのメタクリレートとのコポリマーであることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で前記少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する前記少なくとも1つの化学物質が、可塑剤であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で前記少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する前記少なくとも1つの化学物質が、ポリアルキレングリコールであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で前記少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する前記少なくとも1つの化学物質が、アルコキシシランであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
1つ以上のアミノ基を含む前記少なくとも1つのオリゴマーシランが、アミノ基含有アルコキシ-/ヒドロキシ-シランならびに/またはシラノールと、それに基づく縮合生成物および共縮合生成物との混合物であり、好ましくは500g/molを超える分子量を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%の少なくとも1つの粘着付与ポリマー(粘着付与剤)を更に含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%の少なくとも1つの充填剤を更に含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する少なくとも1つの化学物質に前記少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーを添加するか、または前記少なくとも1つの化学物質を含む混合物に130℃~170℃の範囲の温度でそれを添加することと、
(b)前記混合物を80℃~120℃の範囲の温度に冷却することと、
(c)前記冷却された混合物に少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーを添加することと、
(d)1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランを添加して、請求項1~10のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物を得ることと、
を含む、プロセス。
【請求項12】
工程(a)において、更に粘着付与ポリマーが添加されることを特徴とする、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
工程(c)において、更に少なくとも一つの充填剤が添加されることを特徴とする、請求項11または12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記工程(c)および(d)が連続的に行われ、前記工程の間に脱気が実施されることを特徴とする、請求項11~13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
表面ラミネート加工のためのプロセスであって、
請求項1~10のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物をアプリケータロールによって基材に塗布すること
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。本発明は更に、それらを製造するためのプロセス、また組成物を使用して表面ラミネート加工のためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
反応性ホットメルト接着剤は、例えば短い硬化時間、高い初期強度、および安定性等の利点のために、大きな市場シェアを占め、様々に使用されており、多くの用途で溶剤型接着剤に取って代わっている(例えば、Bodo Muller,Walter Rath,Formulierung von Kleb-und Dichtstoffen [Formulation of Adhesives and Sealants],Vincentz Network;1st edition,December 2004を参照)。
【0003】
反応性ホットメルト接着剤の中で主な代表物は、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)に基づく湿気架橋型ポリウレタンである。モノマーMDIの使用は、その増感効果のため、EU規制2020/1149から明らかなように、REACHの下で最近制限されてきた。
【0004】
特許文献には、MDI(例えば、国際公開第03/055929号A1、国際公開第01/40342号A1、国際公開第03/033562号A1、国際公開第03/006521号A1を参照)に基づく、モノマー含有量の低い反応性ポリウレタンホットメルト接着剤を製造するためのプロセスが記載されている。
【0005】
イソシアネートを含まない代替物を表すポリウレタンホットメルト接着剤をシラン化するプロセスも記載される。このプロセスは、一般に、湿気架橋型ジ-および/またはトリアルコキシシラン単位の導入を伴う。製造のための1つの可能性は、反応性ポリウレタンホットメルト接着剤のイソシアネート基と第二級アミノシランとの反応(例えば、国際公開第2004/005420号A1)によって表される。架橋反応は、一般に、アミノシラン、スズ促進剤および/または強窒素塩基(例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)を使用して加速される。このプロセスの欠点は、これらの促進剤が同時に、反応性ポリウレタンホットメルト接着剤中に通常存在するエステル単位の加水分解を促進し得ることである。得られた配合物はまた、一般に、もはやロールアプリケータ機での処理を可能にするのに十分な安定性を有さない。反応性ホットメルト接着剤は、ロールアプリケータ機を使用して頻繁に処理され、周囲湿度に曝されることが多い。したがって、配合物は、十分に安定でなければならず、短時間のプラント停止中であっても、適用量および糸引きの著しい増加をもたらす程度に周囲の水分と反応してはならず、後者は塗布された外観に悪影響を及ぼす。
【0006】
シラン末端ポリマーに基づく安定なホットメルト接着剤配合物は、関心のある接着剤のクラスを構成する。さらに、そのようなシラン官能性接着剤は広い接着スペクトルを有し、これは例えばイソシアネート架橋系と比較して利点を構成し得る。シラン末端ポリマーの場合、シラン基は一般に2~3の縮合反応に入ることができるため、構造的に同等のイソシアネート系結合剤と比較してより高い架橋密度も可能である。これに関連して、これらの接着剤は、他の要因の中でもとりわけ、信頼性の高い動作で高温のアプリケータロールを介して部分的に処理することができ、この用途に典型的な高い初期接着性を有し、また工業用途に許容可能な化学的完全硬化を示すことが有利であろう。
【0007】
この開発の一部として、シラン系配合物の製造のために、2つの経路が推定されている。接着剤のイソシアネート基が第二級アミノシランと化学的に反応する、上記でより詳細に説明したような既存の反応性PUホットメルト接着剤のシラン化と同様に、他方、市販のシラン結合剤は、高い初期接着性を実現する目的で結晶性または非晶質の樹脂と共に配合される。
【0008】
例えば、国際公開第2007/074143号A1は、シラン官能化ポリウレタンプレポリマーによる湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を記載している。
【0009】
国際公開第2013/026654号A1は、オルガニルオキシシラン末端ポリマーに基づく架橋性組成物を記載している。これに関連して、ドイツ特許出願公開第10 2013 213 835号A1のように、アルファ-シラン、例えばGeniosil(登録商標)STP-E10とシリコーン樹脂等とのブレンドが記載されている。
【0010】
国際公開第2011/087741号A2は、書籍および関連物品を結束するための接着剤、ならびにシラン変性液体ポリマーによるそのような接着剤の製造を記載している。接着剤は、特に、低減されたモノマージイソシアネート含有量を有するか、またはいかなるモノマージイソシアネートも含有しないと言われる。
【0011】
どちらの場合も、結果は当初満足のいくものではなかった。得られた配合物は、初期接着性が低すぎたか、ロール安定性でなかったか、または完全硬化が遅すぎた。
【0012】
初期接着性を向上させるための候補としては、ポリエステル樹脂およびポリアクリレート樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂では、例えばアミノシラン等の典型的なシラン接着促進剤によって触媒される加水分解による分解のリスクがある。一方、適切な結晶性ポリアクリレート樹脂は、非常に高い温度(約150℃)で溶融しなければならない。しかしながら、これらの温度では、市販のポリエーテル系シラン結合剤は安定性を欠いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、全くまたは少なくともより少ない程度で上記の欠点を示す反応性ホットメルト接着剤組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、反応性ホットメルト接着剤組成物であって、組成物の総重量に基づいて、
a)3重量%~49重量%の少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーと、
b)1重量%~20重量%未満、好ましくは1重量%~10重量%の少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーと、
c)少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する、1重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%の少なくとも1つの化学物質と、
d)0.001重量%~5重量%、好ましくは0.001重量%~2重量%の、1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランと、
を含む、反応性ホットメルト接着剤組成物によって達成された。
【0015】
この目的は、同様に、本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する少なくとも1つの化学物質に少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーを添加するか、または少なくとも1つの化学物質を含む混合物に少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーを130℃~170℃の範囲の温度で添加することと、
(b)混合物を80℃~120℃の範囲の温度に冷却することと、
(c)冷却された混合物に少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーを添加することと、
(d)1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランを添加して、本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物を得ることと、
を含む、プロセスによって、達成された。
【0016】
この目的は、同様に、本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物をアプリケータロールによって基材に塗布する工程を含む、表面ラミネート加工のためのプロセスによって達成された。
【0017】
許容可能な完全硬化速度を有する100~120℃の処理温度でのロール安定性接着剤の必要性は、驚くべきことに、シラン末端ポリマー(いわゆるアルファ-シラン)に基づく結合剤を用いて実現されており、この場合、少なくとも100℃まで液体である化学物質によって、また、1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランによって、少なくとも150℃まで溶解することができるアクリレート樹脂系ポリマーを使用することが可能であった。このようにして、満足のいく初期接着性を有する加水分解安定性配合物を製造することが可能であった。さらに、本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は高い架橋密度を有し、これは良好な可塑剤安定性の理由であり得る。
【0018】
したがって、本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物は、100℃で低粘度であり、大部分がロール安定性であり、アルファ-シラン末端ポリマーをベースとする湿気架橋型接着剤配合物を表し、アルファ-シラン末端ポリマーは、室温で表面ラミネート加工のために十分に高い初期接着性を示し、化学的には十分な迅速性で完全硬化を受ける。硬化の過程における縮合反応は、シロキサン基の形成を伴うアルコール(より具体的には、メタノール、場合によってはエタノール)の除去をもたらす。
【0019】
より詳細に見ると、アルファ-シランでは、ケイ素原子に対してアルファ位に位置する(アルファ効果)ドナー原子(例えば、窒素原子)の結果として、アルコキシシランの大部分が自己触媒的な二段階の縮合反応であることが知られている。本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物は、アミノシランによって加速され、例えばスズオルガニルまたはジアザビシクロウンデセン等の更なる助触媒を使用せずに作動する。驚くべきことに、本発明の一部として、アルファシランを含有する配合物が、慣習的な周囲条件下(室温約20~23℃程度、周囲湿度約30~65%r.h)での封じ込めなしに100℃で約30~60分程度の期間にわたってロール安定性であり、中程度の加速にもかかわらず、更なる共触媒を使用せずに、十分な迅速性で化学的完全硬化を受けることが明らかになった。
【0020】
したがって、本発明は、反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。本明細書における「ホットメルト接着剤」という用語は、室温で固体であるかまたは高い剪断弾性率を有し、高温、通常100℃~120℃の温度で液体形態である接着剤を概説する。ホットメルト接着剤は、液体形態で塗布され、再固化されるため、室温では再び固体形態であるか、または高い剪断弾性率を有する。「反応性」ホットメルト接着剤の更なる特徴は、それらが、化学反応によって架橋することである。この場合、通常、水との反応があり、例えば大気湿度の形態で、ホットメルト接着剤と接触する。したがって、それらは湿気架橋型と呼ばれる。これは、本発明の反応性熱間塗布接着剤組成物にも当てはまる。
【0021】
本発明の反応性熱間塗布接着剤組成物は、同様に100℃~120℃の温度で液体である。この場合、これらの接着剤は、通例、4000mPas~12000mPasの粘度を有する。本発明の反応性熱間塗布接着剤組成物は、好ましくはイソシアネートを含まない。
【0022】
本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物は、成分a)~d)を含む。本発明の組成物は、追加の構成成分を更に含んでもよい。したがって、本発明の一実施形態は、成分a)~d)からなる反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。本発明の別の実施形態は、成分a)~d)と共に、1つ以上、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10個の成分を追加して含む、反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。
【0023】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物の成分a)は、少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーを表す。したがって、本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物は、1つのアルファ-シラン末端化ポリマー、または2つ、3つもしくは4つ等の2つ以上のポリマーを含んでもよい。この場合、ポリマーが純粋な化合物ではなく、代わりに、それらの製造の結果として、特徴的な化合物分布を有する化合物の混合物として生じることが当業者には明らかであり、したがって、「ポリマーは、この化合物の混合物の単純化された表現である。
【0024】
アルファ-シラン末端有機ポリマーは当業者に公知であり、例えば商業的に入手することができる。例えば、ミュンヘン(ドイツ)のWacker Chemie AGは、Geniosil(登録商標)STP-E10またはGeniosil(登録商標)XB502等のGeniosil(登録商標)のもとでそのようなアルファ-シラン修飾ポリマーを販売している。
【0025】
アルファシランの特徴は、いわゆるアルファ効果である。この効果により、ケイ素原子に対してアルファ位における、すなわち、例えばメチレン架橋によってのみそれから分離された、窒素または酸素等の電気陰性ドナーの近傍は、ケイ素原子上のアルコキシ基を活性化する効果を有する。その結果、これらの基は、水等の求核剤に対してより反応性である。これにより、例えばスズ含有触媒を必要とせずに、加速された加水分解を生じる。シランの加水分解は、シロキサンを形成するための架橋を伴い得る。したがって、本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、水分架橋反応を受けてシロキサンを形成することができるアルファ-シラン末端化ホットメルト接着剤を表す。
【0026】
少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーは、好ましくは、式
*-X-C(=O)-N(R)-C(RR)-Si(Ra(OR3-a
(式中、
Xは、OまたはN(R)であり、
各々のRは、他とは独立して、水素または1~20個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、
RおよびRは、互いに独立して、水素または1~20個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、
RおよびRは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、
aは、0、1または2であり、
「*」は、ポリマーへの付着のための結合を示す)
の多数の末端基含むポリマーである。
【0027】
より好ましくは、Rは、水素、または1~4個の炭素原子を含むアルキルラジカルであり、アルキルラジカルは直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。更に好ましくは、Rは、H、メチルまたはエチルであり、更に好ましくは水素またはメチルである。
【0028】
より具体的には、Rは水素である。
より好ましくは、RおよびRは同一である。さらに、RおよびRは、水素、または1~4個の炭素原子を含むアルキルラジカルであり、アルキルラジカルは直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。更に好ましくは、RおよびRは、H、メチルまたはエチルであり、更に好ましくは水素またはメチルである。
【0029】
より特に好ましくは、RおよびRは水素である。
より好ましくは、RおよびRは同一である。さらに、RおよびRは、1~4個の炭素原子を含むアルキルラジカルであり、アルキルラジカル(radial)は直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。更に好ましくは、RおよびRはメチルまたはエチルである。
【0030】
より一層好ましくは、RおよびRはメチルである。
好ましくはaは1または2であり、より好ましくはaは1である。
【0031】
例示的な少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーは、式-O-C(=O)-NH-CH-Si(CH)(OCHの多数の末端基を含むポリマーである。
【0032】
上記でより詳細に記載される多数の末端基は、有機ポリマーを末端化する。有機ポリマーは、好ましくは、ポリオキシアルキレン、炭化水素ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリカーボネートである。ポリオキシアルキレンが好ましい。有機ポリマーは、好ましくは、上記の末端基を超えて更なるシラン基を含有しない。
【0033】
好ましいポリオキシアルキレンは、例えば、5000g/mol~50,000g/mol、より好ましくは7500g/mol~30,000g/mol、より好ましくは10,000g/mol~15,000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリプロピレンである。
【0034】
成分a)は、組成物の総重量に基づいて、3重量%~49重量%の割合を有する。割合は、好ましくは3~20重量%、より好ましくは5~20重量%である。
【0035】
本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物は、成分b)として少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーを更に含む。したがって、本発明の組成物は、1つ以上、例えば2つ、3つまたは4つのアクリレート系ポリマーを含んでもよい。この場合、ポリマーが純粋な化合物ではなく、代わりに、それらの製造の結果として、特徴的な化合物分布を有する化合物の混合物として生じることが当業者には明らかであり、したがって、「ポリマーは、この化合物の混合物の単純化された表現である。成分b)は、好ましくは、1つのアクリル樹脂系ポリマーのみを含む。
【0036】
有機ポリマーとしての成分a)が同様にアクリレート樹脂系ポリマーである場合、成分a)およびb)は、成分b)がアルファ-シラン末端基を含まないという点で互いに区別され得る。
【0037】
アクリレート樹脂系ポリマーは、好ましくは、ホモアクリレート、ホモメタクリレート、少なくとも2つの異なるアクリレートのコポリマー、少なくとも2つの異なるメタクリレートのコポリマー、または少なくとも1つのアクリレートと少なくとも1つのメタクリレートとのコポリマーである。
【0038】
成分b)の割合は、本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物の総重量に基づいて、1重量%~20重量%である。割合は、好ましくは1重量%~10重量%である。より好ましくは、割合は、8重量%~9重量%である。
【0039】
成分b)の目的は、十分な初期接着性を達成することである。これに関連して、メチルメタクリレートおよびn-ブチルメタクリレートからなるコポリマーがより一層好ましい。
【0040】
少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーは、結晶性、部分結晶性または非晶質であってもよく、したがって、融点、溶融範囲(この場合、より低い温度を融点とみなす)またはガラス転移温度を有する。この温度は、好ましくは30℃~300℃の範囲、より好ましくは30℃~250℃の範囲、更に好ましくは30℃~150℃の範囲、更に好ましくは30℃~80℃の範囲、更に好ましくは40℃~75℃の範囲、更に好ましくは50℃~70℃の範囲、より具体的には60℃にある。少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーは、好ましくは非晶質であり、その場合、特定の温度値はそのガラス転移温度を指す。
【0041】
少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーは、好ましくは、10,000g/mol~150,000g/molの範囲の平均重量-平均モル重量を有する。25,000g/mol~125,000g/molの範囲がより好ましく、30,000g/mol~110,000g/molの範囲が更に好ましく、35,000g/mol~100,000g/molの範囲が更に好ましく、40,000g/mol~90,000g/molの範囲が更に好ましく、45,000g/mol~80,000g/molの範囲が更に好ましく、50,000g/mol~70,000g/molの範囲が更に好ましく、より具体的には、平均重量-平均モル重量は60,000g/molである。
【0042】
成分c)として、反応性ホットメルト接着剤組成物は、少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する少なくとも1つの化学物質を含む。
【0043】
本発明との関連で、「少なくとも150℃で溶解する」とは、固体アクリル樹脂系ポリマーの溶解を指す。しかしながら、溶解は、より低い温度で行われてもよい。融点もしくは融点範囲またはガラス転移温度が150℃未満である場合、「溶解する」とは、化学物質との単相混合物の生成を指す。
【0044】
成分c)は、1つの化学物質または2つ以上、例えば2つ、3つまたは4つの化学物質を含み得る。有利には、それはただ1つの化合物を含む。成分c)は、成分a)またはb)とは異なる。したがって、化合物は、それ自体が少なくとも100℃までの液体形態であり、成分a)およびb)とは異なる限り、全組成物の割合として可能な割合の範囲内で成分b)を少なくとも150℃で溶解することができる場合、成分c)と見なされるものとする。
【0045】
成分c)の割合は、本発明の反応性熱間塗布接着剤組成物の総重量に基づいて、1重量%~20重量%である。割合は、好ましくは1重量%~10重量%である。より好ましくは、割合は6重量%である。
【0046】
化学物質にとって唯一の重要な因子は、その溶解力とは別に、少なくとも100℃で液体として存在することである。多数の化合物を使用することができ、当業者は単純な溶解試験によって適切な化合物を見出すことができる。以下に、使用することができる例示的な化合物を列挙する。
【0047】
少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する少なくとも1つの化学物質は、有利には可塑剤であり得る。
【0048】
例示的な可塑剤は、従来技術で知られている。これに関連して、DIN EN ISO 1043-3(2017-03)に列挙されている例が参照され得る。
【0049】
したがって、可塑剤の例は以下の通りである。
【0050】
【表1】

【0051】
このような可塑剤は市販されている。例示的な例は、BASF SE(ルートウィヒスハーフェン(ドイツ))製のHexamoll(登録商標)DINCHである。ジイソノニル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレートまたはイソデシルベンゾエートが好ましい。
【0052】
少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する少なくとも1つの化学物質は、ポリアルキレングリコールであることも可能である。好ましいポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、より好ましくはポリプロピレングリコールである。ポリアルキレングリコールは、好ましくは500g/mol~5000g/molの範囲、より好ましくは750g/mol~4000g/molの範囲、より好ましくは1000g/mol~3000g/molの範囲の数平均分子量を有し、より具体的には数平均分子量は2000g/molである。
【0053】
少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する少なくとも1つの化学物質がアルコキシシランであることも可能である。アルコキシシランは市販されている。与えられ得る例は、Evonik Industries AG、エッセン(ドイツ)製の商品名Tegopac(登録商標)のものである。これは、エトキシシランをペンダント架橋する結合剤である。
【0054】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランを含む成分d)を追加して含む。したがって、成分d)は、そのようなシランを1つ以上、例えば2つ、3つまたは4つ含むことができる。好ましくは、成分d)は1つの成分のみからなる。成分d)は、成分a)~c)とは異なり、したがって、成分a)~c)の1つとして解釈することができない場合にのみ成分d)と見なされる。
【0055】
成分d)の、1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランは、好ましくは、アミノ基含有アルコキシ-/ヒドロキシ-シランおよび/またはシラノール、ならびにそれらに基づく縮合生成物および共縮合生成物の混合物を構成し、好ましくは500g/molを超える分子量を有する。
【0056】
1つ以上のアミノ基を含むこのようなオリゴマーシランは、例えばEvonik製のDynasylan(登録商標)1146として市販されている。それらは、例えばドイツ特許出願公開第10 2007 040 802号A1に記載されている。したがって、それらの調製は以下のように記載され得る。
【0057】
既に上で観察されたように、1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランは、
(A)一般式I
NR’[(CHNR’]x-Y-Si(R’’)n(OR)3-n (I)、
(式中、基R、R’およびR’’は同一または異なり、各々が水素原子または1~8個のC原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基であり、Yは、-CH-、-(CH-、-(CH-または-[CHCH(CH)CH]-の系列からの二価アルキレン基であり、xは0、1または2であり、nは0または1である)の少なくとも1つのアミノアルキルアルコキシシラン、または
(B)一般式II
(RO)3-m(R’’)mSi-Y-[NR’(CHyNR’[(CHNR’]z-Y-Si(R’’)n(OR)3-n (II)、
(式中、基R、R’およびR’’は同一または異なり、各々が水素原子または1~8個のC原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基であり、基Yは同一または異なり、Yは-CH-、-(CH-、-(CH-または-[CHCH(CH)CH]-の系列からの二価アルキレン基であり、yおよびzは独立して0、1または2であり、mおよびnは独立して0または1である)の少なくとも1つのビスシリル化アルキルアミン、または
(C)一般式III
N[-Y-Si(R’’)n(OR)3-n (III)、
(式中、基RおよびR’’は同一または異なり、各々が水素原子または1~8個のC原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基であり、Yは独立して、-CH-、-(CH-、-(CH-または-[CHCH(CH)CH]-の系列からの二価アルキレン基であり、nは独立して0または1である)の少なくとも1つのトリス-シリル化アルキルアミン、または
(D)一般式I、IIおよびIIIの上記シリル化アルキルアミンの少なくとも2つが、規定量の水と共におよび任意に酸の添加と共に、加水分解に供され、また縮合または共縮合に供され、遊離アルコールが実質的に系から除去されること、によって得られ得る混合物である。
【0058】
ここでのモノシリル化アミンは、式Iのものを意味することを意図している。オリゴシリル化アミンは、特に、アミノ基または例えば式II(ビスシリル化)もしくは式III(トリスシリル化)のアルキルアミン上に2個以上のシリル基を有するもの、および/または環化形態で存在してもよい対応する化合物を意味することを意図する。
【0059】
混合物の調製は、一般式Iのアミノアルキルアルコキシシランを用い、これは、好ましくは、
HN(CHSi(OCH (AMMO)、
HN(CHSi(OCH (AMEO)、
HN(CHNH(CHSi(OCH (DAMO)、
HN(CHNH(CHNH(CHSi(OCH (TRIAMO)、
および任意に、対応するいわゆる環式化合物である。
【0060】
式IIの化合物としては、
(HCO)Si(CHNH(CHSi(OCH (Bis-AMMO)、
(HCO)Si(CHNH(CHSi(OCH (Bis-AMEO)、
(HCO)Si(CHNH(CHNH(CHNH(CHSi(OCH (Bis-DAMO)、
(HCO)Si(CHNH(CHNH(CHNH(CHNH(CHNH(CHSi(OCH (Bis-TRIAMO)、
が好ましく、式IIIの化合物としては、
N[CHSi(OCH (Tris-AMMO)、
N[CHSi(OCH (Tris-AMEO)
が好ましい。
【0061】
したがって、混合物の調製のため、AMMO、AMEO、DAMO、TRIAMO、3-(N-アルキルアミノ)プロピルトリアルコキシシランの系列からの少なくとも1つの成分(A)を選択することが好ましく、ここで、アルキルはメチル、エチル、n-プロピルまたはn-ブチルであり、アルコキシはメトキシまたはエトキシである。成分(B)の好ましい選択は、Bis-AMMO、Bis-AMEO、Bis-DAMOの系列から行われてもよく、成分(C)の好ましい選択は、Tris-AMMO、Tris-AMEOの系列から行われてもよい。
【0062】
混合物の調製のため、一般式I、IIおよび/またはIIIの化合物を含む混合物を有利に使用することも可能である。使用することができるこの種の混合物は、当該アミノアルコキシシランの部分縮合生成物と呼ばれるものも含み得る。一般式I、IIおよび/またはIIIのアミノアルコキシシランの部分縮合生成物または反応生成物とは、適切には、一般にアルコールの除去を伴うそれぞれのモノマーの縮合もしくは共縮合および/または予備加水分解によって形成される二量体、三量体、四量体またはそれ以上のオリゴマー生成物を意味する。したがって、このような縮合物または共縮合物では、反応物成分はSi-O-Si結合を介して連結している。加水分解またはアルコール分解の過程で、環系が開き、対応するアミノアルキルアルコキシシランまたは-シラノールが得られることが更に知られている。一般式IIの化合物はまた、環式または二環式の形態で存在してもよく、そのまま使用されてもよい。
【0063】
反応の生成物は、アミノ基含有アルコキシ-/ヒドロキシ-シランおよび/またはシラノールの混合物、ならびに一般式I、IIまたはIIIの化合物および/または対応する部分縮合生成物に由来するそれに基づく縮合および共縮合生成物(対応する直鎖、分岐鎖、環式および任意に三次元架橋シロキサン)も実質的に含むと化学的に理解される。
【0064】
混合物を調製する場合、反応、より具体的には加水分解および縮合または共縮合は、好ましくは100℃未満、好ましくは10~80℃、より好ましくは15~60℃、より具体的には20~50℃の温度で行われる。
【0065】
混合物を調製する場合、任意に、有機酸または無機酸を使用してもよい。したがって、塩酸(HClまたは塩化水素水溶液)または酢酸水溶液またはギ酸水溶液を使用することが有利に可能であり、結果として導入される水の割合は、同時に、アルコキシシランの標的化加水分解のために本発明に従って導入される水の量の一部としてカウントされるべきである。しかし、混合物の調製後に、好ましくは2~6、より具体的には3~5のpHに調整して酸を添加してもよい。
【0066】
混合物の調製の後に、特に、反応からの生成物混合物の蒸留による後処理が続き、言い換えれば、得られた生成物混合物から、そうでない場合には周囲条件下で揮発性である構成成分、より具体的には加水分解アルコールおよび任意の添加された溶媒または希釈剤も、少なくとも比例的に、好ましくは穏やかな加熱および減圧下で留去される。システムから除去される揮発性構成成分の量は、任意に、体積的に等しい量の水および/または酸で置き換えられてもよい。
【0067】
したがって、混合物は、好ましくは有機酸または無機酸を含有し得、アミノアルキルおよびオリゴシリル化アミノアルキル基の現在の中和度は、アミン価に基づいて、適切には0~125%、好ましくは0.1~120%、より好ましくは70~115%、非常に好ましくは75~110%である。アミン価の決定は、一般に、DIN 32 625(HClを用いた電位差滴定)に従って実施され得る。
【0068】
使用される酸は、好ましくは有機酸または無機酸、より具体的には塩酸、酢酸またはギ酸であり、存在する組成物中のアミノアルキル-およびオリゴシリル化アミノアルキル-官能性ケイ素化合物が、化学的理解に従って、少なくとも比例的にカチオン性アミン混合物の形態で存在し、言い換えれば、本発明で使用される組成物は、好ましくは、酸および/または対応する酸の塩と、存在するアミノ官能性化合物の1つとを含有する。
【0069】
混合物は、2~1000mPa s、好ましくは3~500mPa s、より好ましくは4~250mPa sの粘度を有し得、粘度は、例えばDIN 53 015に従って決定され得る。
【0070】
成分d)の割合は、本発明のホットメルト接着剤組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~5重量%である。割合は、好ましくは0.001重量%~2重量%である。更に好ましくは、割合は1.2重量%である。
【0071】
上記成分a)~d)に加えて、本発明の熱間塗布接着剤組成物は、追加の成分を含んでもよい。
【0072】
したがって、本発明の熱間塗布接着剤組成物は、フェニルシリコーン樹脂等の少なくとも1つのシリコーン樹脂を含んでもよい。シリコーン樹脂は、例えばドイツ特許出願公開第10 2013 213 835号A1に記載されている。シリコーン樹脂は、上で指定された成分のうちのまだ1つでない場合、本発明との関連では追加の成分と見なされる。
【0073】
したがって、ドイツ特許出願公開第10 2013 213 835号A1による可能なシリコーン樹脂は、式
R3’ c’(R4’O)d‘R5’ e’SiO(4-c’-d’-e’)/2 (II)、
(式中、R’は同一でも異なっていてもよく、水素原子、一価のSiC結合した任意に置換された脂肪族炭化水素ラジカル、または式(II)の2つの単位を架橋する任意に置換された二価の脂肪族炭化水素ラジカルであり、
R4’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子または一価の任意に置換された炭化水素ラジカルであり、
R5’は、同一であっても異なっていてもよく、一価のSiC結合した任意に置換された芳香族炭化水素ラジカルであり、
c’は、0、1、2または3であり、
d’は、0、1、2または3、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1であり、
e’は、0、1または2、好ましくは0または1であり、
ただし、c’+d’+e’の合計は3以下であり、e’は少なくとも1つの単位において0以外であり、式(II)の単位の少なくとも40%において、c’+e’の合計は0または1である)の単位を含む。
【0074】
好適なシリコーン樹脂は、好ましくは式(II)の単位の少なくとも90重量%程度、より好ましくは式(II)の単位のみからなる。
【0075】
基R3’の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチルラジカル等のアルキルラジカル;n-ヘキシルラジカル等のヘキシルラジカル;n-ヘプチルラジカル等のヘプチルラジカル;n-オクチルラジカル、イソオクチルラジカルおよび2,2,4-トリメチルペンチルラジカル等のオクチルラジカル;n-ノニルラジカル等のノニルラジカル;n-デシルラジカル等のデシルラジカル;n-ドデシルラジカル等のドデシルラジカル;n-オクタデシルラジカル等のオクタデシルラジカル;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルラジカルおよびメチルシクロヘキシルラジカル等のシクロアルキルラジカル;ビニル、1-プロペニルおよび2-プロペニルラジカル等のアルケニルラジカル;フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリルラジカル等のアリールラジカル;o-、m-、p-トリルラジカル等のアルカリルラジカル;キシリルラジカルおよびエチルフェニルラジカル等;ならびにベンジルラジカル、oおよびβ-フェニルエチルラジカル等のアラルキルラジカル等である。
【0076】
置換ラジカルR3’の例は、3,3,3-トリフルオロ-n-プロピルラジカル、2,2,2,2’,2’,2’-ヘキサフルオロイソプロピルラジカルおよびヘプタフルオロイソプロピルラジカル等のハロアルキルラジカル、ならびにo-、m-およびp-クロロフェニルラジカル等のハロアリールラジカルである。
【0077】
ラジカルR3’は、好ましくは任意にハロゲン原子置換されていてもよい1~6個の炭素原子を有する一価炭化水素ラジカル、より好ましくは1または2個の炭素原子を有するアルキルラジカル、より具体的にはメチルラジカルを含む。基R3’は、あるいは、式(II)の2つのシリル基を互いに結合する二価脂肪族ラジカル、例えば、1~10個の炭素原子を有するアルキレンラジカル、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレンラジカルを含んでもよい。
【0078】
しかしながら、好ましくは、ラジカルR3’は、任意にハロゲン原子置換されていてもよい1~18個の炭素原子を有する一価SiC結合脂肪族炭化水素ラジカル、より好ましくは1~6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカル、より具体的にはメチルラジカルを含む。
【0079】
ラジカルR4’の例は、水素原子またはラジカルR3’について指定される例である。
基R4’は、好ましくは水素原子、または任意にハロゲン原子で置換されていてもよい1~10個の炭素原子を有するアルキルラジカル、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキルラジカル、より具体的にはメチルラジカルおよびエチルラジカルを含む。
【0080】
基R5’の例は、R3’について上記で指定される芳香族ラジカルである。
基R5’は、好ましくは、任意にハロゲン原子で置換されていてもよい1~18個の炭素原子を有するSiC結合芳香族炭化水素ラジカル、例えばエチルフェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、ナフチルまたはスチリルラジカル、より好ましくはフェニルラジカルを含む。
【0081】
全てのラジカルR3’の少なくとも90%がメチルラジカルであり、全ての基R4’の少なくとも90%がメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルラジカルであり、全ての基R5’の少なくとも90%がフェニルラジカルであるシリコーン樹脂を使用することが好ましい。
【0082】
好ましいシリコーン樹脂は、いずれの場合も式(II)の単位の総数に基づいて、c’が0である式(II)の単位を少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%含むものである。
【0083】
使用される好ましいシリコーン樹脂は、いずれの場合も式(II)の単位の総数に基づいて、d’が0または1の値を有する式(II)の単位を少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%含む。
【0084】
使用される好ましいシリコーン樹脂は、いずれの場合も式(II)の単位の総数に基づいて、e’が1の値を有する式(II)の単位を少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%含む。e’が1である式(II)の単位のみを含むシリコーン樹脂を使用してもよいが、より好ましくは式(II)の単位の少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、最大60%、より好ましくは最大80%が0のe’を有する。
【0085】
使用される好ましいシリコーン樹脂は、いずれの場合も式(II)の単位の総数に基づいて、合計c’+e’が1である式(II)の単位を少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、より具体的には少なくとも80%含む。
【0086】
本発明の1つの特に好ましい実施形態は、いずれの場合も式(II)の単位の総数に基づいて、e’が1の値を有し、c’が0の値を有する式(II)の単位を少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%含むシリコーン樹脂を使用する。好ましくは、この場合、式(II)の全ての単位の最大40%、より好ましくは最大70%が0以外のd’を有する。
【0087】
本発明の更なる特に好ましい実施形態は、いずれの場合も式(II)の単位の総数に基づいて、e’が1の値を有し、c’が0の値を有する式(II)の単位を少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%含み、またc’が1または2、好ましくは1であり、e’が0である式(II)の単位を少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%含むシリコーン樹脂を使用する。
【0088】
シリコーン樹脂の例は、式SiO4/2、Si(OR4’)O3/2、Si(OR4’O2/2およびSi(OR4’O1/2の(Q)単位、式PhSiO3/2、PhSi(OR4’)O2/2、PhSi(OR4’O1/2、MeSiO3/2、MeSi(OR4’)O2/2およびMeSi(OR4’O1/2の(T)単位、式MeSiO2/2、MeSi(OR4’)O1/2、PhSiO2/2およびPhSi(OR4’)O1/2、MePhSiO2/2およびMePhSi(OR4’)O1/2,の(D)単位、ならびに式MeSiO1/2の(M)単位から実質的に、好ましくは排他的になるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中、Meはメチルラジカルであり、Phはフェニルラジカルであり、R4’は水素原子、または任意にハロゲン原子で置換されていてもよい1~10個の炭素原子を有するアルキルラジカル、より好ましくは水素原子または1~4個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、樹脂は、(T)単位1モル当たり、0~2モルの(Q)単位、0~2モルの(D)単位および0~2モルの(M)単位位を含む。
【0089】
シリコーン樹脂の好ましい例は、式PhSiO3/2、PhSi(OR4’)O2/2およびPhSi(OR4’O1/2のT単位、式MeSiO3/2、MeSi(OR4’)O2/2およびMeSi(OR4’O1/2のT単位、ならびに式MeSiO2/2およびMeSi(OR4’)O1/2のD単位から実質的に、好ましくは排他的になるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中、Meはメチルラジカルであり、Phはフェニルラジカルであり、R4’は水素原子、または任意にハロゲン原子で置換されていてもよい1~10個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、より好ましくは水素原子または1~4個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、(T)単位と(D)単位とのモル比が0.5~2.0である。
【0090】
これらの例の中で、特に好ましいシリコーン樹脂は、式(II)の単位が、式PhSiO3/2、PhSi(OR4’)O2/2、PhSi(OR4’O1/2、Me SiO3/2、MeSi(OR4’)O2/2 and MeSi(OR4’O1/2のT単位の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より具体的には少なくとも85%の程度に形成され、これらのシリコーン樹脂は、式PhSiO3/2、PhSi(OR4’)O2/2およびPhSi(OR4’O1/2のT単位の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より具体的には少なくとも50%、ならびに式MeSiO3/2、MeSi(OR4’)O2/2およびMeSi(OR4’O1/2のT単位の少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より具体的には少なくとも20%を含むシリコーン樹脂である。
【0091】
シリコーン樹脂は、好ましくは少なくとも500g/mol、より好ましくは少なくとも600g/molの平均モル質量(数平均)Mnを有する。平均モル質量Mnは、好ましくは最大400000g/mol、より好ましくは最大100000g/mol、より具体的には最大50000g/molである。
【0092】
23℃および1000hPaにおけるそのようなシリコーン樹脂は、固体または液体のいずれであってもよく、シリコーン樹脂は、好ましくは液体である。
【0093】
シリコーン樹脂は、商業的に慣用的な製品(例えば、Wacker Chemie(ドイツ)製のSilres(登録商標)IC 368)であるか、またはそれらは、ケイ素化学において一般的な方法によって製造され得る。
【0094】
さらに、本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物は、少なくとも1つの粘着付与ポリマー(粘着付与剤)を更に含んでもよい。その割合は、有利には、組成物の総重量に基づいて10重量%~40重量%である。
【0095】
さらに、本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物は、少なくとも1つの充填剤を更に含んでもよい。有利には、その割合は、組成物の総重量に基づいて10重量%~40重量%である。例示的な充填剤は、炭酸カルシウム、例えばチョークまたはα-アルミナ、例えば高グレードα-アルミナである。充填剤の使用により、接着剤組成物が処理されているときの糸引きを防止または低減することが可能である。
【0096】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、高レベルの充填を実現するために使用することができ、これは様々な用途において有利な場合がある。ここで与えられ得る例は、高い熱伝導率を必要とする、または火災挙動に関する特定の要件を有する用途を含む。
【0097】
本発明の更なる態様は、本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物を製造するためのプロセスであり、当該プロセスは、工程a)~d)を含む。
【0098】
ここで、第1の工程(a)では、少なくとも100℃で液体であり、少なくとも150℃で少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが溶解する少なくとも1つの化学物質に、少なくとも1つのアクリレート樹脂系ポリマーが添加される。
【0099】
少なくとも1つのアクリル樹脂系ポリマーはまた、少なくとも1つの化学物質を含む混合物に添加されてもよい。
【0100】
添加は、130℃~170℃の範囲、好ましくは140℃~160℃の範囲、より具体的には150℃の温度で行われる。
【0101】
さらに、工程(a)で粘着付与ポリマーを添加することが可能である。
次の工程(b)では、混合物を80℃~120℃の範囲の温度に冷却する。
【0102】
これに続いて、冷却された混合物に少なくとも1つのアルファ-シラン末端有機ポリマーを添加するステップ(c)が行われる。
【0103】
最後に、工程(d)において、1つ以上のアミノ基を含む少なくとも1つのオリゴマーシランを添加して、本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物を得る。
【0104】
工程(c)において、少なくとも1つの充填剤を追加して添加してもよい。工程(c)および(d)は、好ましくは、工程間で脱気を実施できるように連続して行われる。
【0105】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物はロール安定性であり、したがってロールを介した塗布に適している。したがって、本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、本発明による反応性ホットメルト接着剤組成物がアプリケータロールによって基材に塗布される表面ラミネート加工のためのプロセスに特に適している。
【0106】
驚くべきことに、ロール安定性の期間を超えた場合であっても、すなわち、処理時の結合剤が、適用された印象を規定する顕著な糸引きを示す場合、ロール塗布機によって塗布を清掃できることが分かった。
【0107】
したがって、本発明の更なる主題は、ロール適用のための本発明の反応性ホットメルト組成物の使用である。
【0108】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物の有利な用途は、初期接着性を含む良好な接着の結果として生じる。ロール適用がない場合であっても、例えば窓枠クラッディングに使用する場合のように、以下に示す有利な特性が明らかである。他の用途は、改善された熱伝導率を達成することができる用途である。改善された火災挙動に関連する用途にも言及され得る。
【0109】
明らかな利点としては、特に以下が挙げられる:
-イソシアネートの非存在、
-特に金属、ガラスおよび他の材料に対する良好な接着スペクトル
-CO形成による発泡がない。
【国際調査報告】