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特表2024-539686ベルカップおよびこうしたベルカップを含む回転噴霧器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ベルカップおよびこうしたベルカップを含む回転噴霧器
(51)【国際特許分類】
   B05B 3/10 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B05B3/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523945
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022077823
(87)【国際公開番号】W WO2023066673
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】102021127163.0
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】マルティン、ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】スティグラー、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ザイツ、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ブック、トーマス
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033PA11
4F033PB16
4F033PC07
4F033PD06
(57)【要約】
本発明は、コーティング剤(例えば、塗料)をスプレーするための回転噴霧器(10)のためのベルカップ(1)であって、コーティング剤をスプレーするための環状のスプレー縁(4)を有するスプレー体(3)と、回転噴霧器(10)の回転可能な中空シャフト(11)上にベルカップ(1)を取り付けるためのハブ部(13)と、回転噴霧器(10)の中空シャフト(11)にベルカップ(1)を嵌合式に固定するための固定配置体(17-20、23、24)とを備える、ベルカップ(1)に関する。本発明によれば、固定配置体(17-20、23、24)は、ベルカップ(1)を回転噴霧器(10)の中空シャフト(11)上に軸方向クランプ力をもってクランプ止めするために、回転噴霧器(10)のクランプ要素(18)との当接のための、ベルカップ(1)の回転軸(2)に対して傾斜している環状のクランプ表面をハブ部(13)の外周面に有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング剤、特に、塗料をスプレーするための回転噴霧器(10)のためのベルカップ(1)であって、
a)前記コーティング剤をスプレーするための環状で円周のスプレー縁(4)を有するスプレー体(3)と、
b)前記回転噴霧器(10)の回転可能な中空シャフト(11)上に前記ベルカップ(1)を取り付けるためのハブ部(13)と、
c)前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)に前記ベルカップ(1)を嵌合式に固定するための固定配置体(17-24)と、
を備え、
d)前記固定配置体(17-24)は、前記ベルカップ(1)を前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)上に軸方向クランプ力をもってクランプ止めするために、前記回転噴霧器(10)のクランプ要素(18)との当接のための、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)に対して傾斜している環状で円周のクランプ表面(22)を前記ハブ部(13)の外周面に有することを特徴とする、ベルカップ(1)。
【請求項2】
a)前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)は、外側に、センタリングコーン(14)であって、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内の相補的な形状のセンタリングコーン(12)との当接のためのセンタリングコーン(14)を含み、
b)前記ベルカップ(1)上の前記センタリングコーン(14)は、好ましくは、近位方向に先細りになっており、
c)前記ベルカップ(1)上の前記センタリングコーン(14)は、好ましくは、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と同軸である、
請求項1に記載のベルカップ(1)。
【請求項3】
a)前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)は前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)の端面(16)との当接のための平坦面(15)を外側に含み、前記平坦面(15)は軸方向ストッパを形成し、
b)前記平坦面(15)は、好ましくは、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)に対して環状で円周であり、
c)前記平坦面(15)は、好ましくは、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と同軸であり、
d)前記平坦面(15)は、好ましくは、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と本質的には直角に並べられており、
e)前記平坦面(15)は、好ましくは、軸方向において前記センタリングコーン(14)と隣接し、
f)前記平坦面(15)は、好ましくは、軸方向において前記センタリングコーン(14)と前記スプレー縁(4)との間に位置する、
請求項1又は2に記載のベルカップ(1)。
【請求項4】
前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)はドライバ(23)のためのリセプタクル(24)を有し、前記ドライバ(23)は、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内でクランプリング(19)から軸方向に突出部として突出し、且つ、組立状態では、前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)内の前記リセプタクル内へと軸方向に突出し、その結果、前記ベルカップ(1)は組立中に回転させられると前記クランプリング(19)を回転させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のベルカップ(1)。
【請求項5】
a)前記ベルカップ(1)の前記スプレー縁(4)に続く外周面(8)であって、好ましくは、スプレー方向に、特に円錐状に、広がっている、外周面(8)と、
b)前記ベルカップ(1)の前記外周面(8)をリンス剤でリンスするための外側リンス室(9)であって、前記ベルカップ(1)の後側に位置し、好ましくは、環状に巡っている、外側リンス室(9)と、
c)前記ベルカップ(1)の内部のリンス剤供給から始まり出口開口(31)で前記外側リンス室(9)に開口する、前記リンス剤を供給するための少なくとも1つの外側リンスチャネル(29、30)と、
を備え、
d)前記ハブ部(13)および前記スプレー体(3)は、特に、前記スプレー体(3)への前記ハブ部(13)のネジ接続により、特に、前記ハブ部(13)上の雌ネジと前記スプレー体(3)上の雄ネジとにより、互いに接続される別個の部品であり、
e)前記外側リンスチャネル(29、30)は、前記外側リンスチャネル(29、30)の長さのセクション(30)にわたり、前記ハブ部(13)と前記スプレー体(3)との間に、特に、前記外側リンス室(9)への前記外側リンスチャネル(29、30)の前記出口開口(31)の前に、延在し、
f)前記ハブ部(13)と前記スプレー体(3)との間の前記セクション(30)における前記外側リンスチャネル(29、30)は、好ましくは、全周を環状に巡る環状チャネルである、
請求項1から4のいずれか1項に記載のベルカップ(1)。
【請求項6】
a)前記外側リンスチャネル(29、30)は、前記外側リンスチャネル(29、30)内の前記リンス剤の流れの方向の変化をともなう、前記ハブ部(13)と前記スプレー体(3)との間の前記セクション(30)内の偏向を形成し、
b)前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)の上流の前記外側リンスチャネル(29、30)内の前記リンス剤は、好ましくは、遠位方向に流れ、
c)前記リンス剤は、前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)から、好ましくは、近位方向に、前記外側リンス室(9)内へと、放出される、
請求項5に記載のベルカップ(1)。
【請求項7】
a)前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)から出て前記外側リンス室(9)に入る前記リンス剤の流れは、特に、±10°、±5°、または±2°の許容差範囲で、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と本質的に平行に並べられており、または、
b)前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)から出て前記外側リンス室(9)に入る前記リンス剤の流れは、特に、±10°、±5°、または±2°の許容差範囲で、特に、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と15°の出口角度(α)で、外側に傾斜しており、または、
c)前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)から出て前記外側リンス室(9)に入る前記リンス剤の流れは、特に、±10°、±5°、または±2°の許容差範囲で、特に、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と少なくとも15°、20°、または25°の出口角度(α)で、内側に傾斜している、
請求項6に記載のベルカップ(1)。
【請求項8】
a)前記スプレー体(3)および前記ハブ部(13)は一体であり、単一部品をともに形成し、または、
b)前記スプレー体(3)および前記ハブ部(13)は、特に、前記スプレー体(3)への前記ハブ部(13)のネジ接続(25)により、特に、前記ハブ部(13)上の雌ネジと前記スプレー体(3)上の雄ネジとにより、互いに接続される別個の部品である、
請求項1から7のいずれか1項に記載のベルカップ(1)。
【請求項9】
コーティング剤、特に、塗料をスプレーするための回転噴霧器(10)であって、
a)ベルカップ(1)、特に、請求項1から8のいずれか1項に記載のベルカップ(1)を回転させるための回転可能に取り付けられた中空シャフト(11)と、
b)前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)に前記ベルカップ(1)を嵌合式に固定するための固定配置体(17-24)と、
を有し、
c)前記固定配置体(17-24)は、前記ベルカップ(1)を前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)上に軸方向クランプ力をもってクランプ止めするために、前記ベルカップ(1)のクランプ表面(22)との当接のための少なくとも1つのクランプ要素(18)を前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内に含むことを特徴とする、回転噴霧器(10)。
【請求項10】
a)少なくとも1つの前記クランプ要素(18)は、転がり要素、特に、クランプボール(18)であり、および/または、
b)前記クランプ要素(18)は、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内での半径方向の可動範囲を有し、および/または、
c)半径方向内側のクランプ位置にある前記クランプ要素(18)は、前記ベルカップ(1)を前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)上にクランプ止めし、および/または、
d)半径方向外側の開放位置にある前記クランプ要素(18)は、前記ベルカップ(1)の組立または分解を可能とするために、前記ベルカップ(1)を開放する、
請求項9に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項11】
a)ケージ(17)は、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内で前記クランプ要素(18)を半径方向に移動可能に保持するために設けられており、
b)前記ケージ(17)は、前記クランプ要素(18)とともに前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内に配置されており、
c)前記ケージ(17)は、好ましくは、形状が実質的に中空円筒であり、
d)前記ケージ(17)は、好ましくは、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)の雌ネジに雄ネジでねじ込まれる、
請求項10に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項12】
a)クランプリング(19)が、外側の前記開放位置から内側の前記クランプ位置へと前記クランプ要素(18)を移動させるために設けられており、
b)前記クランプリング(19)は、前記ケージ(17)と前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)との間の環状の隙間に配置されており、
c)前記クランプリング(19)は、前記クランプリング(19)上の雄ネジと前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内の雌ネジとを有するネジ接続(20)により前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)に接続されており、その結果、前記クランプリング(19)の回転が、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内での前記クランプリング(19)の対応する軸方向変位をもたらし、
d)前記クランプリング(19)は、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)に対して傾斜しており且つ近位方向に広がるクランプ表面(21)を、前記クランプリング(19)の近位端に有し、その結果、前記クランプリング(19)は、前記近位方向に移動するときに、前記クランプ要素(18)を半径方向内向きに前記クランプ位置へと押す、
請求項11に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項13】
前記クランプ要素(18)は、コーティング運転中に、前記中空シャフト(11)が回転するときに、生じた遠心力のため、前記クランプリング(19)のクランプ表面に対して外向きに押され、これにより、前記クランプリング(19)と前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)との間の前記ネジ接続(20)を軸方向に固定し、その結果、前記クランプリング(19)と前記中空シャフト(11)との間の前記ネジ接続(20)における摩擦力は回転速度とともに増加する、
請求項12に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項14】
前記ドライバ(23)は前記クランプリング(19)から軸方向遠位方向に突出し、前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)内のリセプタクル(24)に嵌入し、その結果、前記ベルカップ(1)は組立または分解中に回転させられると前記クランプリング(19)も回転させる、
請求項12または13に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項15】
a)前記ベルカップ(1)の組立状態では、所定の軸方向クランプ力(FAXIAL)が前記クランプリング(19)に作用し、
b)前記クランプリング(19)の傾斜した前記クランプ表面(21)は、前記組立状態では前記クランプ要素(FSPANN)に所定の面法線クランプ力(FSPANN)を発揮し、
c)前記クランプリング(19)の前記クランプ表面(21)は、所定の力伝達比が一方での前記クランプリング(19)上の前記軸方向クランプ力(FAXIAL)と他方での前記クランプ要素(18)上での前記面法線クランプ力(FSPANN)との間に生じるように、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)に対して傾斜しており、
d)前記力伝達比は、大きくとも1:8であり、および/または、1:1、1:2、1:4、または、1:6よりも大きい、
請求項12から14のいずれか1項に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項16】
a)前記ベルカップ(1)の組立状態では、所定の軸方向クランプ力(FAXIAL)が前記クランプリング(19)に作用し、
b)前記クランプリング(19)と前記中空シャフト(11)との間の前記ネジ接続(20)において、前記クランプリング(19)上の前記軸方向クランプ力に依存する所定の摩擦力が生じ、
c)一方での前記摩擦力と他方での前記クランプリング(19)上の前記軸方向クランプ力(FAXIAL)との間の比は、少なくとも0.5:1、1:1、または1:2、および/または、大きくとも1:6である、
請求項12から15のいずれか1項に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項17】
a)前記ケージ(17)は周上に分布した数組の前記クランプ要素(18)を含み、および/または、
b)前記クランプ要素(18)の組は周上に均等に分布しており、および/または、
c)前記クランプ要素(18)の組の数は3組であり、および/または、
d)組内の前記クランプ要素(18)同士の距離は、隣接する組の前記クランプ要素(18)の間の距離よりも短く、および/または、
e)少なくとも1つの前記クランプ要素(18)は、鋼、セラミック、プラスチック、または、ガラスからできており、および/または、
f)少なくとも1つの前記クランプ要素(18)は、1mm-5mmの範囲にある直径を有し、および/または、
g)前記クランプ要素(18)の数は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または、12である、
請求項11から16のいずれか1項に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項18】
a)一方での前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内の前記固定配置体(17-24)の少なくとも1つの前記クランプ要素(18)と他方での前記ベルカップ(1)の前記クランプ表面(22)とは異なる材料からなり、
b)前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内の前記固定配置体(17-24)の少なくとも1つの前記クランプ要素(18)は、好ましくは、セラミックからなり、
c)前記ベルカップ(1)の前記クランプ表面(22)は、鋼、特に、硬化鋼からできている、
請求項10から17のいずれか1項に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項19】
a)一方での前記クランプリング(19)の傾斜した前記クランプ表面(21)と他方での前記クランプ要素(18)との間のクランプ接続は、自動ロック式であり、および/または、
b)前記クランプリング(19)は、前記クランプリング(19)を軸方向に弾性的に可撓性にするために長手方向セクションに波形セクション(32)を有する、
請求項12から18のいずれか1項に記載の回転噴霧器(10)。
【請求項20】
a)前記固定配置体のネジ接続(20、25)は、それぞれ、右ネジ、特に、
a1)ケージ(17)と前記回転噴霧器(10)の中空シャフト(11)、
a2)ハブ部(13)と前記ベルカップのスプレー体(3)、および/または、
a3)前記回転噴霧器(10)の中空シャフト(11)とクランプリング(19)、
という部品の間のネジ接続を有し、
b)前記回転噴霧器(10)は、コーティング運転中に前記中空シャフト(11)を左に回転させるように構成されており、前記中空シャフト(11)の、減速、特に、回転運動の封鎖が、前記ネジ接続(20、25)の右ネジの締め付けをもたらす、
請求項9から19のいずれか1項に記載の回転噴霧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング剤(例えば、塗料)をスプレーするための回転噴霧器のためのベルカップに関する。さらに、本発明は、こうしたベルカップを備えた回転噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体部品を塗装するための現代の塗装設備では、通常は塗布装置として回転噴霧器が用いられるが、これは環状のスプレー縁から塗料をスプレーするベルカップを回転させるためにタービンを用いる。ベルカップは通常は回転噴霧器のタービンシャフトに細目ネジをともなうネジ接続により取り付けられる。しかし、ベルカップを回転噴霧器のタービンシャフトに固定するこの方法は様々な欠点を有する。
【0003】
ネジ接続の一つの欠点は、細目ネジが汚染されるおそれがあり、細目ネジの汚染がベルカップの不均衡も生じさせ最悪の場合は軸受け破損をもたらし得るため、細目ネジの比較的に時間が掛かるクリーニングを要する点である。
【0004】
既知の固定法の別の欠点は、ベルカップをタービンシャフトにネジ止めするためにタービンシャフトに対するベルカップの多数の回転が必要とされる点である。
【0005】
さらに、ネジ接続によるこの種の固定には、ベルカップがタービンシャフトに対して傾き、それがネジ止めされている細目ネジに損傷をもたらしかねないという危険がともなう。
【0006】
さらに、ベルカップのギクシャクした制動または回転噴霧器のタービンでの軸受ユニットの機能不全の場合、ベルカップの機械的慣性によりネジ接続が緩む危険性がある。
【0007】
最後に、本発明の技術的背景について、特許文献1、特許文献2、特許文献3も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2011/009641号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0090204号明細書
【特許文献3】米国特許第6341734号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上を鑑み、本発明は、回転噴霧器へのベルカップの取り付けを改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、主請求項に記載のベルカップによりこの課題を解決する。
【0011】
本発明に係るベルカップは、コーティング剤(例えば、塗料)をスプレーするための回転噴霧器上に取り付ける役割を果たす。ここで、特筆すべき点として、本発明は塗料の塗布を意図したベルカップに限られるわけではないことが挙げられる。むしろ、本発明に係るベルカップは他のコーティング剤の塗布のためにも設計され得る。したがって、本発明は塗布対象のコーティング剤について塗料に限られるわけではない。さらに、特筆すべき点として、本発明の文脈で用いられるベルカップという用語は、一般的な意味で解釈されるべきであり、例えば、ディスク噴霧器のスプレーディスクも包含することが挙げられる。しかし、好ましくは、本発明に係るベルカップは文字通りの意味でのベルカップである。
【0012】
既知のベルカップと同様に、本発明に係るベルカップは、まず、コーティング剤をスプレーするための環状で円周のスプレー縁を有するスプレー体を有する。
【0013】
さらに、既知のベルカップと同様に、本発明に係るベルカップは、回転噴霧器の回転可能な中空シャフト上にベルカップを取り付けるためのハブ部を有する。特筆すべき点として、本発明の好ましい実施形態では、ハブ部およびスプレー体は、例えばネジ接続により、互いに接続可能である別個の部品であることが挙げられる。しかし、本発明の範囲内で、この代わりに、スプレー体およびハブ部が一体であり単一部品をともに形成することも可能である。
【0014】
さらに、本発明に係るベルカップは、回転噴霧器の中空シャフトにベルカップを嵌合式に固定するための固定配置体も提供する。
【0015】
ここで、本発明に係るベルカップは、先行技術とは、この固定配置体の構造設計および機能性の点で、区別される。したがって、先行技術とは対照的に、固定配置体はネジ接続ではない。代わりに、本発明に係るベルカップの場合、固定配置体は、ベルカップを回転噴霧器の中空シャフト上に軸方向クランプ力をもってクランプ止めするために、組立状態で回転噴霧器のクランプ要素(例えば、クランプボール)との当接のための当接表面を形成する、ベルカップの回転軸に対して傾斜している環状で円周のクランプ表面をハブ部の外周面に有する。したがって、本発明に係る固定配置体はネジ接続を特徴とせず、むしろ、クランプ接続を提供する。したがって、本発明の範囲内で、一方でのベルカップと他方での回転噴霧器の中空シャフトとの間の接続は、好ましくは、ネジ接続なしで行われる。しかし、誤解を避けるために指摘するが、本発明に係る固定配置体は、固定配置体の個々の部品の間にネジ接続を有してもよい。ただし、これらのネジ接続は、一方でのベルカップと他方での回転噴霧器の中空シャフトとの間の接続を確立する役割を果たすわけではない。
【0016】
本発明に係る固定配置体は、まず、回転噴霧器の中空シャフトにベルカップを機械的に固定する役割を果たす。また、さらに、本発明に係る固定配置体は、他の機能も、具体的には、回転噴霧器の中空シャフト上にベルカップを中央寄せする機能も、果たし得る。このために、ベルカップのハブ部は、回転噴霧器の中空シャフト内の相補的なセンタリングコーンとの当接のためのセンタリングコーンを外側に有し得る。したがって、回転噴霧器の中空シャフトは、その遠位端で内側にセンタリングコーンを有し、これは、遠位方向に広がっている。これに対応して、ベルカップのハブ部上のセンタリングコーンは、近位方向に先細りになるセンタリングコーンを外側に有する。一方でのハブ部と他方での回転噴霧器の中空シャフトとの2つのセンタリングコーンは、好ましくは、ベルカップの回転軸と同軸であり、良好な中央寄せ効果を可能とするために同じ円錐角を有する。
【0017】
ベルカップが回転噴霧器の中空シャフト上に取り付けられる場合、上述のクランプ接続は、ベルカップを軸方向に回転噴霧器の中空シャフトに押しつける軸方向クランプ力を生じる。これは、一方でのハブ部と他方での回転噴霧器の中空シャフトとの2つのセンタリングコーンの円錐面を軸方向に互いに押しつけ、良好な中央寄せ効果をもたらす。組立状態では可能な限り正確なベルカップの軸位置を達成することが望まれる。そこで、ベルカップのハブ部は、好ましくは、ベルカップのための軸方向ストッパを形成するための平坦面を外側に有する。そこで、ハブ部上の平坦面は、好ましくは、ベルカップの回転軸に対して環状かつ同心円状に巡り、好ましくは、ベルカップの回転軸に対して直角に並べられている。そして、ベルカップのハブ部上の平坦面は、組立状態で回転噴霧器の中空シャフトの端面に接して配置され、したがって、軸方向ストッパを形成する。ベルカップのハブ部上の平坦面は、好ましくは、回転軸に沿って軸方向にセンタリングコーンに隣接し、当該平坦面は、好ましくは、軸方向において当該センタリングコーンとベルカップのスプレー縁との間に位置する。
【0018】
一方でのベルカップと他方での回転噴霧器の中空シャフトとの間の上述のクランプ接続は、好ましくは、クランプリングにより確立されるが、これは、ベルカップの一部ではなく、回転噴霧器の中空シャフト内の関連する固定配置体に位置する。このクランプリングは、好ましくは、回転噴霧器の中空シャフトにねじ込まれる。これは、回転噴霧器の中空シャフト内のクランプリングの回転が、必要とされる軸方向クランプ力を生むために利用できるクランプリングの対応する軸方向変位ももたらすことを意味する。必要なクランプ力を生むためのクランプリングの回転は、好ましくは、ベルカップの組立中にベルカップにより行われる。このために、ベルカップのハブ部は、ドライバのためのリセプタクルを有してもよく、当該ドライバは、回転噴霧器の中空シャフト内でクランプリングから軸方向に突出部として突出し、且つ、組立状態では、ベルカップのハブ部内のリセプタクル内へと軸方向に突出し、その結果、ベルカップは組立中に回転させられるとクランプリングも回転させる。ベルカップを回転噴霧器上に取り付けるとき、ベルカップは、先ず、クランプリング上のドライバがベルカップのハブ部内のリセプタクル内へと突出するように中空シャフト上に配置される。ベルカップがその後回転させられると、クランプリングが回転させられ、クランプリングの対応する軸方向変位をもたらす。その後、一方の回転噴霧器の中空シャフト上と他方のハブ部上とのセンタリングコーンが互いに接触状態にありハブ部の平坦面が中空シャフトの端面に当接するまで、クランプリングは回転させられる。
【0019】
さらに、本発明は、ベルカップのリンスに関する発明の態様をさらに含む。したがって、既知のベルカップと同様に、本発明に係るベルカップは、外周面を有し、これは、例えば、形状が円錐形で、外側でベルカップのスプレー縁に続く。この外周面は、塗装運転中に汚れるおそれがあるので、時々クリーニングされねばならない。このため、本発明に係るベルカップは、既知のベルカップと同様に、好ましくは、外側リンス室を有し、これは、好ましくは、ベルカップの後側に位置する。そして、リンス処理中に、リンス剤がベルカップの外側リンス室内へと導入される。そして、リンス剤は外側リンス室からベルカップの外周面上へと自動的に過ぎ行き、結果として、そこで外周面のクリーニングがなされる。この場合、ベルカップの外周面上でのリンス剤の分散が、後ろから実質的に軸方向にベルカップの外周面上に吹き付けられる成形空気により、促進され得る。
【0020】
リンス剤を外側リンス室内へと導入するために、本発明に係るベルカップは、既知のベルカップと同様に外側リンスチャネルを有し、当該外側リンスチャネルは、ベルカップの内部のリンス剤供給から始まり出口開口で外側リンス室に開口する。上記の外側リンス系の運転は、例えば、欧州特許出願公開第0715896号明細書および欧州特許第2464459号明細書にも記載されている。
【0021】
既に上で触れたが、一方でのハブ部と他方でのスプレー体とは、例えば、ネジ接続により、特に、ハブ部上の雌ネジとベルカップのスプレー体上の雄ネジとにより、互いに接続される別個の部品であってもよい。これは、外側リンスチャネルがハブ部とスプレー体との間にその長さの一部にわたり延びることを可能とする。ここで、特筆すべき点として、ハブ部とスプレー体との間の区域における外側リンスチャネルが、好ましくは、全周を環状に巡る環状チャネルであることが挙げられる。
【0022】
既に上で触れたが、リンス剤を外側リンス室へと導入するために外側リンスチャネルはその出口開口でベルカップの外側リンス室内へと開口する。ここで、ハブ部とスプレー体との間の区域に、外側リンスチャネルは、外側リンスチャネル内のリンス剤の流れの方向の変化を引き起こす偏向を形成し得る。したがって、出口開口の上流の外側リンスチャネル内のリンス剤の流れは、好ましくは、ベルカップの回転軸に対して斜めに遠位方向に流れる。そして、偏向の後の下流では、リンス剤は、好ましくは、近位方向に外側リンス室に入り、ここで、ベルカップの回転軸に対して異なる出口角が可能である。
【0023】
本発明の一変形例では、リンス剤の流れは、外側リンスチャネルの出口開口から、ベルカップの回転軸と本質的に平行に、外側リンス室に入り、ここで、±10°、±5°、または±2°の許容差範囲が可能である。
【0024】
本発明の別変形例では、一方、外側リンスチャネルの出口開口から出て外側リンス室に入るリンス剤の流れは、外側に、例えば、ベルカップの回転軸に対して15°の出口角度で、傾斜しており、ここで、±10°、±5°、または±2°の許容差範囲が可能である。
【0025】
本発明のさらなる別変形例では、一方、外側リンスチャネルの出口開口から出て外側リンス室に入るリンス剤の流れは、内側に、特に、ベルカップの回転軸に対して少なくとも15°、20°、または25°の出口角度で、傾斜しており、ここで、±10°、±5°、または±2°の許容差範囲が可能である。この内側への傾斜の目的は、リンス剤が縁で剥がれ渦巻いて何処にでも届くことを可能とすることである。
【0026】
本発明の文脈では、外側リンスに関する本発明の上述の態様は、本発明の他の態様とは独立に、特に、本発明に係る固定配置体とは独立に、独自の権利保護の意義を有する。
【0027】
既に冒頭で触れたが、スプレー体およびハブ部は、一体であってもよく、したがって、単一部品を形成する。しかし、本発明の好ましい実施形態では、一方でのスプレー体と他方でのハブ部とは、例えば、スプレー体へのハブ部のネジ接続により、特に、ハブ部上の雌ネジとスプレー体上の雄ネジとにより、互いに機械的に接続される別個の部品であることが提供される。
【0028】
上述の本発明に係るベルカップに加えて、本発明は、対応して適合された回転噴霧器についての権利保護も請求する。
【0029】
まず、既知の回転噴霧器と同様に、本発明係る回転噴霧器は、運転の際にベルカップを回転させるために回転可能に取り付けられた中空シャフトを有し、ここで、中空シャフトは、例えばタービンにより、駆動可能であり、これ自体は先行技術から既知なので詳細な記載は省略する。
【0030】
既知の回転噴霧器と同様に、本発明に係る回転噴霧器は、ベルカップを回転噴霧器の中空シャフトに嵌合式に固定することを可能とする固定配置体も有する。
【0031】
既知の回転噴霧器では、固定配置体は、既に触れたように、一方でのベルカップと他方での回転噴霧器の中空シャフトとの間のネジ接続を可能とする。本発明に係る回転噴霧器では、一方、回転噴霧器の中空シャフト内の固定配置体が、ベルカップを回転噴霧器の中空シャフト上に軸方向クランプ力をもってクランプ止めするために、ベルカップのハブ部上の対応するクランプ表面との当接のための少なくとも1つのクランプ要素(例えば、クランプボール)を有することが提供される。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つのクランプ要素は、回転噴霧器の中空シャフト内での半径方向の可動範囲を有するクランプボールである。そして、半径方向内側のクランプ位置では、クランプ要素はベルカップを回転噴霧器の中空シャフト上にクランプ止めする。半径方向外側の開放位置では、一方、クランプ要素はベルカップを開放し、ベルカップの組立または分解を可能とする。
【0033】
ここで、ケージ(例えば、ボールケージ)が、好ましくは、回転噴霧器の中空シャフト内でクランプ要素を半径方向に移動可能に取り付けるために設けられ、当該ケージは、好ましくは、回転噴霧器の中空シャフトの内部にクランプ要素(例えば、クランプボール)とともに配置される。例えば、ケージは、その雄ネジで回転噴霧器の中空シャフトの対応する雌ネジにねじ込むことができる。
【0034】
既に上で簡単に触れたが、クランプ要素(例えば、クランプボール)は、外側の開放位置と内側のクランプ位置との間で半径方向に移動可能である。外側の開放位置から内側のクランプ位置へのクランプ要素の移動のために、クランプリングが設けられてもよく、これは、ケージと回転噴霧器の中空シャフトとの間の環状の隙間内に配置されてもよい。このクランプリングは、好ましくは、クランプリング上の雄ネジと回転噴霧器の中空シャフト内の雌ネジとを有するネジ接続により回転噴霧器の中空シャフトに接続されており、その結果、回転噴霧器の中空シャフトに対するクランプリングの回転が、回転噴霧器の中空シャフト内でのクランプリングの対応する軸方向変位をもたらす。その近位端に、クランプリングは、好ましくは、ベルカップの回転軸に対して傾斜しており且つ近位方向に広がるクランプ表面を有し、その結果、クランプリングは、近位方向に移動するときに、クランプ要素を半径方向内向きにクランプ位置へと押す。そして、固定処理中、クランプリングは中空シャフト内で回転させられ、これはクランプリングの対応する軸方向変位をもたらし、そして、その結果、クランプリングは、最終的に、少なくとも1つのクランプ要素(例えば、クランプボール)を外側の開放位置から内側のクランプ位置へと押す。
【0035】
ここで、特筆すべき点として、実際の塗装運転中に、回転噴霧器の中空シャフトの高速度により遠心力がクランプ要素に作用し、これがクランプ要素を半径方向外側に押すことが挙げられる。こうした遠心力により、クランプ要素(例えば、クランプボール)は運転中にクランプリングのクランプ表面を押し、これが一方でのクランプリングと他方での回転噴霧器の中空シャフトとの間の軸方向張力をもたらし、その結果、クランプリングと中空シャフトとの間のネジ接続における摩擦力は速度とともに増加する。これは塗装中のネジ接続の緩みに対抗する。
【0036】
既に上で触れたが、クランプリングは固定処理中に回転させられ、そしてこれは回転噴霧器の中空シャフト内でのクランプリングの対応する軸方向変位をもたらす。クランプリングのこの回転は、好ましくは、ベルカップにより引き起こされ、これは、まず、タービンシャフト上に配置され、その後、固定処理中にタービンシャフトに対して回転させられる。ベルカップによるクランプリングのこの回転は、ドライバがクランプリングから軸方向遠位方向に突出しベルカップのハブ部内の対応するリセプタクルに嵌入することにより可能となっており、その結果、ベルカップは組立または分解中に回転させられるとクランプリングも回転させる。
【0037】
組立状態では、所定の軸方向クランプ力が回転可能なクランプリングに作用し、ここで、この軸方向クランプ力はクランプリングのクランプ表面の傾斜により対応する面法線クランプ力に変換され、これはクランプ要素(例えば、クランプボール)に作用する。クランプリングのクランプ表面は、所定の力伝達比が一方でのクランプリング上の軸方向クランプ力と他方でのクランプ要素上の面法線クランプ力との間に生じるように、ベルカップの回転軸に対して傾斜している。この力伝達比は、好ましくは、大きくとも1:8であり、好ましくは、1:1、1:2、1:4、または、1:6よりも大きい。したがって、クランプ要素上の面法線クランプ力は、好ましくは、クランプリング上の軸方向クランプ力よりも実質的に大きい。
【0038】
さらに、特筆すべき点として、一方でのクランプリングと他方での回転噴霧器の中空シャフトとの間のネジ接続において、クランプリング上の軸方向クランプ力に依存する所定の摩擦力が生じることが挙げられる。一方でのネジ接続の摩擦力と他方でのクランプリング上の軸方向クランプ力との間の比は、好ましくは、少なくとも0.5:1、1:1、または1:2であり、好ましくは、大きくとも1:6である。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、ケージ(例えば、ボールケージ)は、好ましくは、数組のクランプ要素(例えば、クランプボール)を含み、ここで、クランプ要素の組は周上に分布していてもよい。本発明の好ましい実施形態では、クランプ要素の組は周上に均等に分布しており、例えば、3組が設けられてもよい。クランプ要素のある組内のクランプ要素同士の距離は、ここで、好ましくは、隣接する組のクランプ要素の間の距離よりも短い。
【0040】
さらに、特筆すべき点として、少なくとも1つのクランプ要素(例えば、クランプボール)が、例えば、数例の材料のみを挙げれば、鋼、セラミック、プラスチック、または、ガラスからできていることが挙げられる。
【0041】
ここで、特筆すべき点として、少なくとも1つのクランプ要素(例えば、クランプボール)が運転中に対応部分に配置されており、これはクランプ表面であり、これは、好ましくは、ベルカップのハブ部上に形成されることが挙げられる。ここで、一方での少なくとも1つのクランプ要素(例えば、クランプボール)と他方でのクランプ表面とは異なる材料からなることは、こうした材料組み合わせが有利であることが証明されているため、有利である。例えば、クランプ表面またはハブ部が、鋼、特に、硬化鋼からできている一方で、少なくとも1つのクランプ要素(例えば、クランプボール)がセラミックからできていてもよい。しかし、本発明の範囲内で、特に硬度について異なる材料特性を有する材料同士の他の材料組み合わせが用いられることも可能である。
【0042】
個々のクランプ要素(例えば、クランプボール)は、好ましくは、1mm-5mmの範囲にある直径を有する。
【0043】
さらに、特筆すべき点として、クランプ要素の数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または、12であってもよいことが挙げられる。
【0044】
さらに、特筆すべき点として、一方でのクランプリングの傾斜したクランプ表面と他方でのクランプ要素(例えば、クランプボール)との間のクランプ接続は、好ましくは、自動ロック式であることも挙げられる。
【0045】
特筆すべき点として、クランプリングが、クランプリングを軸方向に弾性的に可撓性にするために長手方向セクションに波形セクションを有してもよいことも挙げられる。
【0046】
既に上で触れたが、一方での回転噴霧器と他方でのベルカップとの間の実際の接続は、ネジ接続ではなく、新型のクランプ接続によりなされる。しかし、本発明に係る固定系であっても、回転噴霧器およびベルカップにおける固定配置体は、好ましくは、ネジ接続を含む。ここで、こうしたネジ接続は運転中に緩みかねない危険性がある。例えば、回転噴霧器の中空シャフトの封鎖は中空シャフトのギクシャクした制動をもたらし、その結果、ネジ接続も対応するトルクを受ける。この場合、こうした封鎖中に生じたトルクが、ネジ接続の緩みをもたらさず、ネジ接続の締め付けをもたらすことが有利である。これは、そして、回転噴霧器の中空シャフトの封鎖の場合に、ベルカップが回転噴霧器から外れる危険性がないので、有利である。したがって、ネジ接続は、好ましくは、右ネジであり、一方、回転噴霧器は、中空シャフトを、好ましくは、塗装運転では左に、すなわち、遠位方向において軸方向からみたときに反時計回りに、回転させるよう設計されている。そして、回転噴霧器の中空シャフトの制動、さらには、封鎖は、ネジ接続が締め付けられることを引き起こす。
【0047】
本発明の他の有利な更なる実施形態が、従属請求項に示され、また、以下で図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態の記載とともにより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】回転噴霧器に取り付けられた本発明に係るベルカップの断面図を示す。
図2】ベルカップを回転噴霧器の中空シャフト上にクランプ止めするためのクランプボールについての図1の詳細図を示す。
図3】太矢印でリンス剤の流れの経路を示す、本発明に係る外部リンスを説明する図1の詳細図。
図4A図4A-4Cは、ベルカップの外側リンス室へのリンス液の異なる出口角をともなう外部リンスについての本発明の異なる変形例を示す。
図4B図4Aの説明を参照。
図4C図4Aの説明を参照。
図5】本発明に係る固定配置体をともなう本発明に係るベルカップの斜視図を示す。
図6】3組のクランプボールをともなう本発明に係る固定配置体の断面図を示す。
図7】一方にベルカップのセンタリングコーンを、他方に中空シャフトをともなう、図1の詳細図を示す。
図8A図8A-8Dは組立運転中の様々な段階を示す。
図8B図8Aの説明を参照。
図8C図8Aの説明を参照。
図8D図8Aの説明を参照。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下では、図面に示した、本発明に係る実施形態について説明する。
【0050】
したがって、図面は、部分的には従来の構成であり、運転中に回転軸2を中心に回転するベルカップ1を示すが、これについて以下詳述する。従来どおり、ベルカップ1は、塗布対象の塗料をスプレーするための環状で円周のスプレー縁4を持つスプレー体3を含む。
【0051】
分散ディスク保持部5がスプレー体3の中央でその端面上に配置されており、分散ディスク6が分散ディスク保持部5に固定されている。分散ディスク6は中央かつ軸方向に供給された塗料をオーバーフロー面7上で半径方向外側に分散させる役割を有し、そして、その結果、塗料はオーバーフロー面7に沿って外側に環状で円周のスプレー縁4に向かって過ぎ行き、そこからスプレーされる。
【0052】
さらに、ベルカップ1のスプレー体3は円錐状で遠位方向に広がる外周面8を含み、外周面8はスプレー縁4に続いている。塗装運転で、外周面8は塗料残滓により汚され、これによりベルカップ1の外周面8をクリーニングすることが時々必要となる。このため、スプレー体3はその後側に外側リンス室9を含み、これの中にクリーニング運転中にリンス剤が導入されるが、これについて以下詳述する。遠心力のため、リンス剤は外側リンス室9から外側に向けてベルカップ1の外周面8上へと自動的に過ぎ行き、ここで、外周面8上のリンス剤の分散が成形空気により支援されてもよく、これは外周面8に対して軸方向に後ろから吹き付けられる。
【0053】
さらに、図面は、圧縮空気タービンにより回転させられる中空シャフト11を有する回転噴霧器10を示すが、圧縮空気タービン自体は先行技術から既知なので、簡略化のために、図示しない。
【0054】
その遠位端に、中空シャフト11は、特に図7から見て取ることができるように、内部にセンタリングコーン12を有する。センタリングコーン12は、回転噴霧器10の中空シャフト11上でのベルカップ1の正確な中央寄せの役割を果たすが、これについて以下詳述する。
【0055】
ベルカップ1は、さらに、ベルカップ1のスプレー体3に堅くネジ止めされたハブ部13を有する。
【0056】
ハブ部13も、特に図7から見て取ることができるように、外部にセンタリングコーン14を有する。一方での回転噴霧器10の中空シャフト11および他方でのベルカップ1のハブ部13のセンタリングコーン12、14は、同じ円錐角を有し、特に図7から明らかに見て取ることができるように、組立状態で互いに接して配置されており、これにより、ベルカップ1は回転噴霧器10の中空シャフト11上で中央寄せされる。
【0057】
さらに、ベルカップ1のハブ部13は環状で円周の平坦面15を有するが、特に図7から見て取ることができるように、これはベルカップ1の回転軸2に対して直角に並べられている。平坦面15は、ベルカップ1のための軸方向ストッパを形成し、図7から明らかに見て取ることができるように、組立状態で、回転噴霧器10の中空シャフト11の端面16に接して配置される。ベルカップ1の組立状態で、互いに接して配置されるセンタリングコーン12、14は、中央寄せをもたらし、一方で、平坦面15は端面16を有するベルカップ1のための軸方向ストッパを形成する。
【0058】
ボールケージ17が回転噴霧器10の中空シャフト11にねじ込まれており、ボールケージ17は複数のクランプボール18を半径方向に移動可能で脱落防止式に保持する。クランプボール18は外側の開放位置と内側のクランプ位置との間での半径方向の可動範囲を有するが、これについて以下詳述する。
【0059】
ボールケージ17と回転噴霧器10の中空シャフト11との間の環状の隙間にはクランプリング19があり、これはネジ接続20により回転噴霧器10の中空シャフト11にねじ込まれている。中空シャフト11内のクランプリング19の回転は中空シャフト11内のクランプリング19の対応する軸方向変位ももたらし、これが固定処理で用いられるが、これについて以下詳述する。
【0060】
その近位端で、クランプリング19は、特に図2に示されるように、ベルカップ1の回転軸2に対して傾斜しているクランプ表面21を有する。固定処理中、クランプ表面21は、クランプボール18を圧迫し、それを半径方向外側の開放位置から半径方向内側のクランプ位置へと押し遣ることができる。
【0061】
ベルカップ1のハブ部13は対応するクランプ表面22をその近位端に有する。ここで、クランプリング19がそのクランプ表面21でクランプボール18を半径方向外側の開放位置から半径方向内側のクランプ位置へと押すと、クランプボール18はハブ部13上のクランプ表面22に押し付けられ、これにより、ベルカップ1は回転噴霧器10の中空シャフト11上に軸方向にクランプ止めされる。
【0062】
図2は、クランプリング19が所定の軸方向クランプ力FAXIALでクランプボール18に押し付けられることを示す。ベルカップ1の回転軸2に対するクランプリング19のクランプ表面21の傾斜により、法線クランプ力FSPANNがクランプボール18に作用する。したがって、クランプ表面21の傾斜は軸方向クランプ力FAXIALと法線クランプ力FSPANNとの間の力の変換を引き起こす。力の変換は、例えば、1:4の、すなわち、法線クランプ力FSPANNが軸方向クランプ力FAXIALの4倍の大きさである、力伝達比を有し得る。
【0063】
既に上で触れたが、ネジ接続20による回転噴霧器10の中空シャフト11に対するクランプリング19の回転はクランプリング19の対応する軸方向変位をもたらし、これにより、ベルカップ1は中空シャフト11上で軸方向にクランプ止めされる。このために必要なクランプリング19の回転はベルカップ1によりもたらされる。このため、ベルカップ1はそのハブ部13が中空シャフト11内に挿入される。そして、クランプリング19上のドライバ23がベルカップ1のハブ部13内の対応するリセプタクル24内に突出する。ベルカップ1が回転させられると、ドライバ23は次にリセプタクル24に連動して回転もさせられ、これは次にクランプリング19の回転をもたらす。
【0064】
ベルカップ1が回転噴霧器10に置かれた後、ベルカップ1の回転が次にクランプリング19の対応する回転をもたらし、当該処理中にクランプリング19は軸方向にも変位させられる。クランプリング19の軸方向変位は次にクランプボール18がハブ部13の近位端でクランプ表面22に対して半径方向内側に押し付けられることを引き起こし、この結果、ハブ部13が中空シャフト11内に軸方向にクランプ止めされる。
【0065】
さらに、特筆すべき点として、一方でのハブ部13と他方でのベルカップ1のスプレー体3とが、例えば図3から見て取ることができるように、ネジ接続25により互いに接続される別個の部品であることも挙げられる。これは、有利なことに、ベルカップ1の外周面8の外部リンスを可能とする。したがって、塗料ノズル26が回転噴霧器10の中空シャフト11内に延在するが、これは欧州特許第2464459号明細書にも記載のように2つの役割を有する。
【0066】
一点目として、塗料ノズル26は中央塗料チャネル27を介して塗布対象の塗料を供給し、これは次に分散ディスク7に軸方向に衝突し、外側に偏向させられる。
【0067】
二点目として、塗料ノズルは、特に図3から見て取ることができるように、外側リンスチャネル28を含む。外側リンスチャネル28もリンス剤を前方に分散ディスク6へと導く。加えて、さらなる外側リンスチャネル29が、外側リンスチャネル28から分岐し、リンス剤の一部を外側に外側リンス室9内へと導く。セクション30で、外側リンスチャネル29は、ハブ部13とスプレー体3との間を延び、そこに環状チャネルを形成する。その出口開口31で、外側リンスチャネル29は、次に、外側リンス室9内へと開口する。
【0068】
出口開口31の区域では、図4A-4Cの種々の変形例から見て取ることができるように、外側リンスチャネル29はリンス剤の流れのための偏向を形成する。したがって、リンス剤は出口開口31から回転軸2に対して出口角度αで出る。
【0069】
図4Aに係る本発明の変形例では、出口角度α=0°であり、すなわち、リンス剤は出口開口31から近位方向へ回転軸2と平行に出る。
【0070】
図4Bに係る本発明の変形例では、一方、リンス剤の流れはおよそα=15°の角度で外側に傾斜している。
【0071】
図4Cに係る本発明の変形例では、他方、出口開口31でのリンス剤の流れはおよそα=15°の角度で内側に傾斜している。この内側への傾斜の目的は、リンス剤が縁で剥がれ渦巻いて何処にでも届くことを可能とすることである。
【0072】
図8A-8Cは、回転噴霧器10の中空シャフト11上でのベルカップ1の組立についての異なる段階を示す。
【0073】
図8Aに記載の組立段階では、ベルカップ1は回転噴霧器10からまだ完全に離れている。
【0074】
しかし、図8Bに記載の組立段階では、ハブ部13を持つベルカップ1は既に回転噴霧器10の中空シャフト11内に挿入されている。クランプボール18は半径方向外側の開放位置にまだある。
【0075】
図8Cに記載の組立段階では、ベルカップ1は既にさらに軸方向の回転噴霧器10の中空シャフト11上に置かれている。しかし、ベルカップ1はまだその軸方向ストッパにはなく、軸方向ストッパは一方でのハブ部13上の平坦面15と他方での中空シャフト11の端面16とから形成される。
【0076】
図8Dは最終組立段階を示す。ここで、ベルカップ1のハブ部13上の平坦面15は、回転噴霧器10の中空シャフト11の端面16と接触しており、こうして、軸方向ストッパを形成する。
【0077】
さらに、センタリングコーン12、14の円錐面は、互いに接して配置されており、ベルカップ1が回転噴霧器10の中空シャフト11上で正確に中央寄せされることを引き起こす。
【0078】
さらに、クランプリング19は、そのクランプ表面21でクランプボール18を半径方向内側にクランプ位置へと押す程度までクランプリング19が軸方向に変位させられる程度まで、ネジ接続20において回転させられる。このクランプ位置では、クランプボール18はハブ部13の近位端でクランプ表面22に押し付けられ、これにより、ハブ部13を、ひいては、中空シャフト11においてベルカップ1全体も、軸方向にクランプ止めする。
【0079】
さらに、特筆すべき点として、クランプリング19が軸方向におけるクランプリング19の弾性的な可撓性を可能とする波形セクション32を有することが挙げられる。
【0080】
最後に、図6は、3組のクランプボール18が周上に分布していることも示す。
【0081】
本発明は上述の好ましい実施形態に限られるわけではない。むしろ、本発明は、本発明の概念を用い権利保護範囲に収まる種々のさらなる実施形態も包含する。特に、本発明は、従属請求項の主題および特徴について、それらが引用する請求項とは独立して、特に、主請求項の特徴なしで、権利保護をも請求する。したがって、本発明は、互いに独立して権利保護を享受する本発明の複数の態様を含む。本発明のこれらの態様は、数例のみを挙げれば、上述の外部リンス、中央寄せ、および、軸方向ストッパを包含する。
【0082】
[付記]
[付記1]
コーティング剤、特に、塗料をスプレーするための回転噴霧器(10)のためのベルカップ(1)であって、
a)前記コーティング剤をスプレーするための環状で円周のスプレー縁(4)を有するスプレー体(3)と、
b)前記回転噴霧器(10)の回転可能な中空シャフト(11)上に前記ベルカップ(1)を取り付けるためのハブ部(13)と、
c)前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)に前記ベルカップ(1)を嵌合式に固定するための固定配置体(17-24)と、
を備え、
d)前記固定配置体(17-24)は、前記ベルカップ(1)を前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)上に軸方向クランプ力をもってクランプ止めするために、前記回転噴霧器(10)のクランプ要素(18)との当接のための、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)に対して傾斜している環状で円周のクランプ表面(22)を前記ハブ部(13)の外周面に有することを特徴とする、ベルカップ(1)。
【0083】
[付記2]
a)前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)は、外側に、センタリングコーン(14)であって、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内の相補的な形状のセンタリングコーン(12)との当接のためのセンタリングコーン(14)を含み、
b)前記ベルカップ(1)上の前記センタリングコーン(14)は、好ましくは、近位方向に先細りになっており、
c)前記ベルカップ(1)上の前記センタリングコーン(14)は、好ましくは、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と同軸である、
付記1に記載のベルカップ(1)。
【0084】
[付記3]
a)前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)は前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)の端面(16)との当接のための平坦面(15)を外側に含み、前記平坦面(15)は軸方向ストッパを形成し、
b)前記平坦面(15)は、好ましくは、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)に対して環状で円周であり、
c)前記平坦面(15)は、好ましくは、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と同軸であり、
d)前記平坦面(15)は、好ましくは、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と本質的には直角に並べられており、
e)前記平坦面(15)は、好ましくは、軸方向において前記センタリングコーン(14)と隣接し、
f)前記平坦面(15)は、好ましくは、軸方向において前記センタリングコーン(14)と前記スプレー縁(4)との間に位置する、
付記1又は2に記載のベルカップ(1)。
【0085】
[付記4]
前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)はドライバ(23)のためのリセプタクル(24)を有し、前記ドライバ(23)は、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内でクランプリング(19)から軸方向に突出部として突出し、且つ、組立状態では、前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)内の前記リセプタクル内へと軸方向に突出し、その結果、前記ベルカップ(1)は組立中に回転させられると前記クランプリング(19)を回転させる、
付記1から3のいずれか1つに記載のベルカップ(1)。
【0086】
[付記5]
a)前記ベルカップ(1)の前記スプレー縁(4)に続く外周面(8)であって、好ましくは、スプレー方向に、特に円錐状に、広がっている、外周面(8)と、
b)前記ベルカップ(1)の前記外周面(8)をリンス剤でリンスするための外側リンス室(9)であって、前記ベルカップ(1)の後側に位置し、好ましくは、環状に巡っている、外側リンス室(9)と、
c)前記ベルカップ(1)の内部のリンス剤供給から始まり出口開口(31)で前記外側リンス室(9)に開口する、前記リンス剤を供給するための少なくとも1つの外側リンスチャネル(29、30)と、
を備え、
d)前記ハブ部(13)および前記スプレー体(3)は、特に、前記スプレー体(3)への前記ハブ部(13)のネジ接続により、特に、前記ハブ部(13)上の雌ネジと前記スプレー体(3)上の雄ネジとにより、互いに接続される別個の部品であり、
e)前記外側リンスチャネル(29、30)は、前記外側リンスチャネル(29、30)の長さのセクション(30)にわたり、前記ハブ部(13)と前記スプレー体(3)との間に、特に、前記外側リンス室(9)への前記外側リンスチャネル(29、30)の前記出口開口(31)の前に、延在し、
f)前記ハブ部(13)と前記スプレー体(3)との間の前記セクション(30)における前記外側リンスチャネル(29、30)は、好ましくは、全周を環状に巡る環状チャネルである、
付記1から4のいずれか1つに記載のベルカップ(1)。
【0087】
[付記6]
a)前記外側リンスチャネル(29、30)は、前記外側リンスチャネル(29、30)内の前記リンス剤の流れの方向の変化をともなう、前記ハブ部(13)と前記スプレー体(3)との間の前記セクション(30)内の偏向を形成し、
b)前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)の上流の前記外側リンスチャネル(29、30)内の前記リンス剤は、好ましくは、遠位方向に流れ、
c)前記リンス剤は、前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)から、好ましくは、近位方向に、前記外側リンス室(9)内へと、放出される、
付記5に記載のベルカップ(1)。
【0088】
[付記7]
a)前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)から出て前記外側リンス室(9)に入る前記リンス剤の流れは、特に、±10°、±5°、または±2°の許容差範囲で、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と本質的に平行に並べられており、または、
b)前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)から出て前記外側リンス室(9)に入る前記リンス剤の流れは、特に、±10°、±5°、または±2°の許容差範囲で、特に、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と15°の出口角度(α)で、外側に傾斜しており、または、
c)前記外側リンスチャネルの前記出口開口(31)から出て前記外側リンス室(9)に入る前記リンス剤の流れは、特に、±10°、±5°、または±2°の許容差範囲で、特に、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)と少なくとも15°、20°、または25°の出口角度(α)で、内側に傾斜している、
付記6に記載のベルカップ(1)。
【0089】
[付記8]
a)前記スプレー体(3)および前記ハブ部(13)は一体であり、単一部品をともに形成し、または、
b)前記スプレー体(3)および前記ハブ部(13)は、特に、前記スプレー体(3)への前記ハブ部(13)のネジ接続(25)により、特に、前記ハブ部(13)上の雌ネジと前記スプレー体(3)上の雄ネジとにより、互いに接続される別個の部品である、
付記1から7のいずれか1つに記載のベルカップ(1)。
【0090】
[付記9]
コーティング剤、特に、塗料をスプレーするための回転噴霧器(10)であって、
a)ベルカップ(1)、特に、付記1から8のいずれか1つに記載のベルカップ(1)を回転させるための回転可能に取り付けられた中空シャフト(11)と、
b)前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)に前記ベルカップ(1)を嵌合式に固定するための固定配置体(17-24)と、
を有し、
c)前記固定配置体(17-24)は、前記ベルカップ(1)を前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)上に軸方向クランプ力をもってクランプ止めするために、前記ベルカップ(1)のクランプ表面(22)との当接のための少なくとも1つのクランプ要素(18)を前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内に含むことを特徴とする、回転噴霧器(10)。
【0091】
[付記10]
a)少なくとも1つの前記クランプ要素(18)は、転がり要素、特に、クランプボール(18)であり、および/または、
b)前記クランプ要素(18)は、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内での半径方向の可動範囲を有し、および/または、
c)半径方向内側のクランプ位置にある前記クランプ要素(18)は、前記ベルカップ(1)を前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)上にクランプ止めし、および/または、
d)半径方向外側の開放位置にある前記クランプ要素(18)は、前記ベルカップ(1)の組立または分解を可能とするために、前記ベルカップ(1)を開放する、
付記9に記載の回転噴霧器(10)。
【0092】
[付記11]
a)ケージ(17)は、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内で前記クランプ要素(18)を半径方向に移動可能に保持するために設けられており、
b)前記ケージ(17)は、前記クランプ要素(18)とともに前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内に配置されており、
c)前記ケージ(17)は、好ましくは、形状が実質的に中空円筒であり、
d)前記ケージ(17)は、好ましくは、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)の雌ネジに雄ネジでねじ込まれる、
付記10に記載の回転噴霧器(10)。
【0093】
[付記12]
a)クランプリング(19)が、外側の前記開放位置から内側の前記クランプ位置へと前記クランプ要素(18)を移動させるために設けられており、
b)前記クランプリング(19)は、前記ケージ(17)と前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)との間の環状の隙間に配置されており、
c)前記クランプリング(19)は、前記クランプリング(19)上の雄ネジと前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内の雌ネジとを有するネジ接続(20)により前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)に接続されており、その結果、前記クランプリング(19)の回転が、前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内での前記クランプリング(19)の対応する軸方向変位をもたらし、
d)前記クランプリング(19)は、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)に対して傾斜しており且つ近位方向に広がるクランプ表面(21)を、前記クランプリング(19)の近位端に有し、その結果、前記クランプリング(19)は、前記近位方向に移動するときに、前記クランプ要素(18)を半径方向内向きに前記クランプ位置へと押す、
付記11に記載の回転噴霧器(10)。
【0094】
[付記13]
前記クランプ要素(18)は、コーティング運転中に、前記中空シャフト(11)が回転するときに、生じた遠心力のため、前記クランプリング(19)のクランプ表面に対して外向きに押され、これにより、前記クランプリング(19)と前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)との間の前記ネジ接続(20)を軸方向に固定し、その結果、前記クランプリング(19)と前記中空シャフト(11)との間の前記ネジ接続(20)における摩擦力は回転速度とともに増加する、
付記12に記載の回転噴霧器(10)。
【0095】
[付記14]
前記ドライバ(23)は前記クランプリング(19)から軸方向遠位方向に突出し、前記ベルカップ(1)の前記ハブ部(13)内のリセプタクル(24)に嵌入し、その結果、前記ベルカップ(1)は組立または分解中に回転させられると前記クランプリング(19)も回転させる、
付記12または13に記載の回転噴霧器(10)。
【0096】
[付記15]
a)前記ベルカップ(1)の組立状態では、所定の軸方向クランプ力(FAXIAL)が前記クランプリング(19)に作用し、
b)前記クランプリング(19)の傾斜した前記クランプ表面(21)は、前記組立状態では前記クランプ要素(FSPANN)に所定の面法線クランプ力(FSPANN)を発揮し、
c)前記クランプリング(19)の前記クランプ表面(21)は、所定の力伝達比が一方での前記クランプリング(19)上の前記軸方向クランプ力(FAXIAL)と他方での前記クランプ要素(18)上での前記面法線クランプ力(FSPANN)との間に生じるように、前記ベルカップ(1)の回転軸(2)に対して傾斜しており、
d)前記力伝達比は、大きくとも1:8であり、および/または、1:1、1:2、1:4、または、1:6よりも大きい、
付記12から14のいずれか1つに記載の回転噴霧器(10)。
【0097】
[付記16]
a)前記ベルカップ(1)の組立状態では、所定の軸方向クランプ力(FAXIAL)が前記クランプリング(19)に作用し、
b)前記クランプリング(19)と前記中空シャフト(11)との間の前記ネジ接続(20)において、前記クランプリング(19)上の前記軸方向クランプ力に依存する所定の摩擦力が生じ、
c)一方での前記摩擦力と他方での前記クランプリング(19)上の前記軸方向クランプ力(FAXIAL)との間の比は、少なくとも0.5:1、1:1、または1:2、および/または、大きくとも1:6である、
付記12から15のいずれか1つに記載の回転噴霧器(10)。
【0098】
[付記17]
a)前記ケージ(17)は周上に分布した数組の前記クランプ要素(18)を含み、および/または、
b)前記クランプ要素(18)の組は周上に均等に分布しており、および/または、
c)前記クランプ要素(18)の組の数は3組であり、および/または、
d)組内の前記クランプ要素(18)同士の距離は、隣接する組の前記クランプ要素(18)の間の距離よりも短く、および/または、
e)少なくとも1つの前記クランプ要素(18)は、鋼、セラミック、プラスチック、または、ガラスからできており、および/または、
f)少なくとも1つの前記クランプ要素(18)は、1mm-5mmの範囲にある直径を有し、および/または、
g)前記クランプ要素(18)の数は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または、12である、
付記11から16のいずれか1つに記載の回転噴霧器(10)。
【0099】
[付記18]
a)一方での前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内の前記固定配置体(17-24)の少なくとも1つの前記クランプ要素(18)と他方での前記ベルカップ(1)の前記クランプ表面(22)とは異なる材料からなり、
b)前記回転噴霧器(10)の前記中空シャフト(11)内の前記固定配置体(17-24)の少なくとも1つの前記クランプ要素(18)は、好ましくは、セラミックからなり、
c)前記ベルカップ(1)の前記クランプ表面(22)は、鋼、特に、硬化鋼からできている、
付記10から17のいずれか1つに記載の回転噴霧器(10)。
【0100】
[付記19]
a)一方での前記クランプリング(19)の傾斜した前記クランプ表面(21)と他方での前記クランプ要素(18)との間のクランプ接続は、自動ロック式であり、および/または、
b)前記クランプリング(19)は、前記クランプリング(19)を軸方向に弾性的に可撓性にするために長手方向セクションに波形セクション(32)を有する、
付記12から18のいずれか1つに記載の回転噴霧器(10)。
【0101】
[付記20]
a)前記固定配置体のネジ接続(20、25)は、それぞれ、右ネジ、特に、
a1)ケージ(17)と前記回転噴霧器(10)の中空シャフト(11)、
a2)ハブ部(13)と前記ベルカップのスプレー体(3)、および/または、
a3)前記回転噴霧器(10)の中空シャフト(11)とクランプリング(19)、
という部品の間のネジ接続を有し、
b)前記回転噴霧器(10)は、コーティング運転中に前記中空シャフト(11)を左に回転させるように構成されており、前記中空シャフト(11)の、減速、特に、回転運動の封鎖が、前記ネジ接続(20、25)の右ネジの締め付けをもたらす、
付記9から19のいずれか1つに記載の回転噴霧器。
【符号の説明】
【0102】
1 ベルカップ
2 ベルカップの回転軸
3 ベルカップのスプレー体
4 ベルカップのスプレー縁
5 分散ディスクを保持するためのベルカップの分散ディスク保持部
6 ベルカップの分散ディスク
7 ベルカップのオーバーフロー面
8 ベルカップの外周面
9 ベルカップの外側リンス室
10 回転噴霧器
11 回転噴霧器の中空シャフト
12 回転噴霧器の中空シャフトのセンタリングコーン
13 ベルカップのハブ部
14 ベルカップのハブ部上のセンタリングコーン
15 ベルカップのハブ部上の平坦面
16 回転噴霧器の中空シャフト端面
17 クランプボールを受けるためのボールケージ
18 クランプボール
19 クランプリング
20 回転噴霧器の中空シャフトとクランプリングとの間のネジ接続
21 クランプリングのクランプ表面
22 ハブ部上のクランプ表面
23 クランプリング上のドライバ
24 クランプリングのドライバのためのベルカップのハブ部内のリセプタクル
25 ハブ部とベルカップのスプレー体との間のネジ接続
26 塗料ノズル
27 塗料チャネル
28 ベルカップ内の外側リンスチャネル
29 ベルカップ内の外側リンスチャネル
30 ハブ部とスプレー体との間の外側リンスチャネルのセクション
31 外側リンス室内への外側リンスチャネルの出口開口
32 クランプリングの波形セクション
AXIAL クランプリングの軸方向クランプ力
SPANN クランプボールの半径方向クランプ力
α 外側リンスチャネルから外側リンス室内へのリンス液の出口角度
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
【国際調査報告】