(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】電子文書のためのプレラムを製造する方法、電子文書を製造する方法、そのようにして得られるプレラム及びかかるプレラムを含む電子文書
(51)【国際特許分類】
B42D 25/45 20140101AFI20241022BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20241022BHJP
B42D 25/369 20140101ALI20241022BHJP
【FI】
B42D25/45
G06K19/06 196
B42D25/369
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523991
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 IB2021000746
(87)【国際公開番号】W WO2023073390
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519260337
【氏名又は名称】アイデミア フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジュネス, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】リムレット, ヤン
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA01
2C005HB09
2C005JA02
2C005LB04
(57)【要約】
本発明は、電子文書のためのプレラムを製造する方法であって、プレラムは、隠された磁気ストリップを含む、方法に関する。この方法は、磁気ストリップを隠すために少なくとも1つの隠蔽層を施し、従って1つの面上に2つの領域を含むプレラムを形成するステップを含み、上部領域は、少なくとも1つの隠蔽層と、少なくとも1つの隠蔽層の下の磁気ストリップとを有し、及び下部領域は、少なくとも1つの隠蔽層がない。本発明は、かかるプレラムを含む電子文書を製造する方法にも関する。本発明は、そのようにして得られるプレラム及びかかるプレラムを含む電子文書にも関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子文書のためのプレラムを製造する方法であって、
- 上端及び下端並びに前記上端から前記下端まで延びる表面を有する基材を提供するステップ、
- 磁気ストリップを含むオーバーレイを提供するステップ、
- 前記オーバーレイを前記基材の前記表面に施すステップ、
- 前記基材に前記オーバーレイをラミネートするステップ、
- 前記磁気ストリップを隠すために、前記磁気ストリップ全体の上に少なくとも1つの隠蔽層を施すステップであって、前記少なくとも1つの隠蔽層の境界は、中間端を形成し、前記中間端は、前記磁気ストリップと前記基材の前記下端との間に位置し、従って1つの面上に2つの領域を含む前記プレラムを形成し、前記2つの領域のうちの上部領域は、前記少なくとも1つの隠蔽層と、前記少なくとも1つの隠蔽層の下の前記磁気ストリップとを有し、及び前記2つの領域のうちの下部領域は、前記少なくとも1つの隠蔽層がない、ステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記基材の前記表面の一部に着色ゾーンを形成するステップを含み、前記磁気ストリップは、従って、前記着色ゾーン上に全体的に配置され、及び前記着色ゾーンは、従って、前記少なくとも1つの隠蔽層によって全体的に覆われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オーバーレイは、それが前記基材の前記表面全体を覆うように前記基材の前記表面全体の上に施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材に前記オーバーレイをラミネートする前記ステップは、90℃~120℃に含まれる温度で実行される、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの隠蔽層を施す前記ステップは、前記基材の前記上端から前記少なくとも1つの隠蔽層を施すステップを含む、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記磁気ストリップを隠すために少なくとも1つの隠蔽層を施す前記ステップは、前記磁気ストリップの上に少なくとも1つのシルクスクリーン層を施すステップを含む、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記磁気ストリップを隠すために少なくとも1つの隠蔽層を施す前記ステップは、前記磁気ストリップの上に少なくとも1つのオフセット層を施すステップを含む、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記磁気ストリップを隠すために少なくとも1つの隠蔽層を施す前記ステップは、前記少なくとも1つのシルクスクリーン層の上に前記少なくとも1つのオフセット層を施すステップを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記プレラムの少なくとも前記上部領域にニス層を施すステップを含み、前記ニス層は、前記上部領域と前記下部領域との間の前記中間端の上まで前記基材の前記上端から延びる、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
プレラムを含む電子文書を製造する方法であって、請求項1~9の何れか一項に記載のプレラムを製造する方法のステップ及び前記プレラムを少なくとも1つの機能性基材と組み立てるステップを含む方法。
【請求項11】
前記プレラムを少なくとも1つの機能性基材と組み立てる前記ステップは、120℃を超える温度で行われる、前記プレラムと前記機能性基材とを一緒にラミネートするステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
裏面と称される面を含むプレラムであって、前記裏面は、2つの領域、前記2つの領域のうち、第1のパターンを含む上部領域及び前記2つの領域のうち、第2のパターンを含む下部領域を含み、前記第2のパターンは、前記第1のパターンと異なり、及び前記プレラムは、前記上部領域内に隠された磁気ストリップを含む、プレラム。
【請求項13】
前記磁気ストリップを含むオーバーレイを含む、請求項12に記載のプレラム。
【請求項14】
2つのゾーン、前記2つのゾーンのうちの下部ゾーン及び前記2つのゾーンのうちの上部ゾーンを含む表面を有する基材を含み、前記基材の前記上部ゾーンは、着色ゾーンを含み、前記磁気ストリップは、前記基材の前記着色ゾーン上に配置され、前記着色ゾーンは、色であって、前記色と前記磁気ストリップの色との間のコントラストΔEが20以下であるように選択される色を含む、請求項12又は13に記載のプレラム。
【請求項15】
前記磁気ストリップを隠すための少なくとも1つの隠蔽層を含み、前記少なくとも1つの隠蔽層は、少なくとも1つのオフセット層を含み、前記オフセット層は、前記上部領域の前記第1のパターンを含む、請求項12~14の何れか一項に記載のプレラム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの隠蔽層は、少なくとも1つのシルクスクリーン層を含む、請求項12~15の何れか一項に記載のプレラム。
【請求項17】
ニス層を含み、前記ニス層は、前記プレラムの少なくとも前記上部領域を覆う、請求項12~16の何れか一項に記載のプレラム。
【請求項18】
前記上部領域は、前記プレラムの上端から延びる、請求項12~17の何れか一項に記載のプレラム。
【請求項19】
請求項12~17の何れか一項に記載のプレラムと、前記プレラムの前記基材の下の機能性基材とを含む電子文書。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、銀行カード又はクレジットカード等の例えばカードである電子文書のためのプレラム、より詳細には隠された磁気ストリップ(一般に「磁気ストライプ」と呼ばれる)を含むプレラムを製造する方法に関する。本発明は、かかるプレラムを含む電子文書、例えば銀行カード等の例えばカードを製造する方法にも関する。
【0002】
本発明は、そのようにして得られるプレラム及びかかるプレラムを含む電子文書にも関し、電子文書は、例えば、銀行カード等の例えばカードである。
【背景技術】
【0003】
電子カード、より詳細にはクレジットカード等の電子文書は、様々な情報、例えば電子文書の所持者の名前を有する表面と、磁気ストリップを含み得る裏面とを多くの場合に含む。
【0004】
例えば、審美的な理由から、磁気ストリップを隠すことが望ましい。
【0005】
磁気ストリップは、通常、ストライプのように見え、暗色であることが多いが、処理後に色を変えることができる。
【0006】
これを隠すために、実施形態の一例によれば、磁気ストリップは、カード表面の一部のみを覆う。
【0007】
カードの初期表面は、通常、白色であるのに対して、磁気ストリップは、通常、暗色、例えば黒色であるため、満足のいく方法で磁気ストリップを隠すためにカードの全面に幾つかの層が施される。
【0008】
従って、カードの仕様又は規格に準拠した磁気出力特性を維持しながら、満足のいく方法で磁気ストリップを隠すことは、むしろ困難である。
【0009】
隠された磁気ストリップを含むカードの実施形態の別の例によれば、カードは、カードの一面の全体を覆う磁気層を含む。機能的な磁気ストリップを作るために、一片の磁気層のみが機能化される。それにもかかわらず、磁気層全体に隠蔽層が施される。
【0010】
隠蔽層は、単色の固体基材(即ち通常均一な磁気層)の上に施されるため、(機能的な部分である)磁気ストリップを隠すことがむしろ容易である一方、ストリップの良好な磁気機能を維持することができる。
【0011】
しかし、カードの全面を磁気層で覆うことは、幾つかのパーソナライゼーション技術、特にレーザーマーキングに適合しておらず、使用が非常に困難であるか又は更に不可能であり得る。
【0012】
その上、前述の実施形態は、何れも非常に特殊なカード構造の原因となり、かかる構造は、特にカードを必要に応じてパーソナライズするための一部のカードの所望の構造に適合しない可能性がある。
【0013】
隠された磁気ストリップの様々な実施形態は、例えば、以下の文献に記載されている。
【0014】
文献国際公開第2021/123625号パンフレットは、磁気ストリップを含むカードの見かけの表面が15以下のコントラストΔEを有し、磁気ストリップ上の表面を覆う装飾層が10μm以下の厚さ及び少なくとも70%の不透明率を有する、電子文書を製造する方法及びそのようにして得られる電子文書の実施形態を記載している。
【0015】
文献米国特許第9805224B2号明細書は、基材、磁気インク層、不透明層及び保護コーティングを含む磁気構造を開示している。磁気インク層は、基材を覆う。不透明層は、文字、バーコード及び他のパターンを視覚的に隠すために磁気インク層を覆う。
【0016】
文献米国特許第6186398B1号明細書は、磁気層を隠蔽した磁気カードを開示している。磁気カードは、基材層と、基材上に設けられた磁気層と、下地層を隠蔽する特性を有する金属又は金属化合物から作られる薄膜層と、薄膜層の表面上に設けられる印刷層と、透明な第1の保護層であって、基材と薄膜層との間に磁気層が埋め込まれる透明な第1の保護層と、印刷層の表面上の透明な第2の保護層とを含む。基材層は、塩化ビニル樹脂で作られる。印刷層は、シルクスクリーン印刷によって形成される。保護層は、塩化ビニル樹脂等の透明樹脂で作られる。
【0017】
文献米国特許第9519851B2号明細書は、任意の幅、長さ、形状の磁気ストリップを含む取引カードを開示している。
【0018】
文献米国特許第10311350B2号明細書は、カードインレイとカードハウジングとの間のカードフレーム内に磁気ストリップを含む取引カードを開示している。
【0019】
文献米国特許第10395153B2号明細書は、コアサブアセンブリと、コアサブアセンブリを保護するためにコアサブアセンブリの上側及び/又は下側に取り付けられたハードコートサブアセンブリとを含むカードを開示している。コア層は、白色のPVC製である。
【発明の概要】
【0020】
従って、本発明の目的は、電子文書のためのプレラムを製造する方法並びにそのようにして得られる、パーソナライズオプション及び隠された磁気ストリップの両方を可能にするプレラムを提供することである。
【0021】
この目的のために、本発明は、電子文書のためのプレラムを製造する方法を提供し、この方法は、
- 上端及び下端並びに上端から下端まで延びる表面を有する基材を提供するステップ、
- 磁気ストリップを含むオーバーレイを提供するステップ、
- オーバーレイを基材の表面に施すステップ、
- 基材にオーバーレイをラミネートするステップ、
- 磁気ストリップを隠すために、磁気ストリップ全体の上に少なくとも1つの隠蔽層を施すステップであって、少なくとも1つの隠蔽層の境界は、中間端を形成し、中間端は、磁気ストリップと基材の下端との間に位置し、従って1つの面上に2つの領域を含むプレラムを形成し、2つの領域のうちの上部領域は、少なくとも1つの隠蔽層と、少なくとも1つの隠蔽層の下の磁気ストリップとを有し、及び2つの領域のうちの下部領域は、少なくとも1つの隠蔽層がない、ステップ
を含む。
【0022】
このような実施形態の一例によれば、基材の表面は、上端及び下端と呼ばれる2つの対向する端部を含む。
【0023】
ここで、表面の高さは、上端と下端との間の距離として定められる。
【0024】
例えば、基材の表面が長方形である実施形態では、上端は、下端と平行である。
【0025】
こうして得られるプレラムは、容易に見える上部領域及び下部領域の2つの領域を含む。
【0026】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層は、最大でも基材の一部のみを覆い、そのため、基材の下部領域に少なくとも1つの隠蔽層がない。
【0027】
換言すれば、少なくとも1つの隠蔽層がない基材表面の一部は、下部を形成する。
【0028】
上部領域及び下部領域は、それらの間に1つの端部、前記中間端を画定する。
【0029】
例えば、基材の表面が長方形である実施形態では、上部領域と下部領域との間の中間端は、上端及び下端の両方に対して平行である。
【0030】
実施形態の一例によれば、本方法は、基材の表面の一部に着色ゾーンを形成するステップを含み、磁気ストリップは、従って、着色ゾーン上に全体的に配置され、及び着色ゾーンは、従って、少なくとも1つの隠蔽層によって全体的に覆われる。
【0031】
実施形態の一例によれば、着色ゾーンは、磁気ストリップの高さを上回る高さを有し、これらの高さのそれぞれは、表面の高さに沿ってとられた寸法である。
【0032】
実施形態の一例によれば、着色ゾーンは、基材の上端から延びる。
【0033】
従って、着色ゾーンは、基材の表面の上部ゾーンを形成し、基材の表面は、上部ゾーンから基材の下端まで延びる下部ゾーンを含む。
【0034】
このようにして、上部ゾーン及び下部ゾーンは、それらの間に境界線を画定する。
【0035】
換言すれば、基材の少なくとも着色ゾーンを覆う少なくとも1つの隠蔽層が施される。
【0036】
例えば、着色ゾーンは、前記色と磁気ストリップの色との間のコントラストΔEが20以下、例えば15以下又は例えば10以下であるように選択される色を含む。
【0037】
コントラストΔEは、有利には、ここでは国際照明委員会(CIE - Comite international de l’eclairage)によって定義された色偏差の測度である。方法は、例えば、1976年のCIE規格:ISO11664に記載されている。従って、例えば、ΔE、dE又はΔEは、色空間内で検討される2色間のユークリッド距離測定値として定められる。CIEによって1976年に確立された式は、例えば、
【数1】
であり、ここで、
- L
1
*、a
1
*及びb
1
*は、検討される第1の色のCIE色空間L a bにおける座標であり、
- L
2
*、a
2
*及びb
2
*は、第2の色の座標である。
【0038】
しかし、ΔEを計算するために他の式も使用される(CIE1976、CIE1994、CIE2000、CMC)。
【0039】
ここでの可視領域の波長は、約380nm~780nmの波長を示す。
【0040】
例えば、黒色及び従来の黒色磁気ストリップでは、ΔEは、ほぼ1に等しい。
【0041】
実施形態の一例によれば、基材は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ホイル又は他の材料で作られる。
【0042】
実施形態の一例によれば、オーバーレイは、PVC(ポリ塩化ビニル)で作られる。
【0043】
実施形態の一例によれば、オーバーレイは、それが基材の表面全体を覆うように基材の表面全体の上に施される。従って、オーバーレイは、それが施される基材の表面と同じ寸法を有する。
【0044】
例えば、磁気ストリップは、ブースト磁気ストリップである。
【0045】
実施形態の一例によれば、基材にオーバーレイをラミネートするステップは、低温、例えば90℃~120℃に含まれる温度で実行される。
【0046】
低温ラミネーションは、こうして得られたプレラムをその後のステップ中に加工しにくくする材料変形(例えば、収縮、反り等)を限定し、更に回避することを可能にする。
【0047】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層は、少なくとも1つのシルクスクリーン層を含む。
【0048】
例えば、少なくとも1つのシルクスクリーン層は、シルクスクリーンによって施されるインク、例えば銀色又は白色を含む。
【0049】
例えば、インクは、溶剤性インクである。
【0050】
溶剤性インクを含むシルクスクリーン層は、UVインク又はハイドロUVインク等の別のインクタイプを含むシルクスクリーン層よりも薄い。
【0051】
これは、磁気ストリップ出力の減衰を最小限に抑えることを可能にする。
【0052】
実施形態の一例によれば、少なくとも1つのシルクスクリーン層は、銀色シルクスクリーン層を含む。
【0053】
実施形態の一例によれば、少なくとも1つのシルクスクリーン層は、白色シルクスクリーン層を含む。
【0054】
実施形態の一例によれば、少なくとも1つの隠蔽層は、少なくとも1つのオフセット層を含む。
【0055】
例えば、オフセット層は、少なくとも1つのシルクスクリーン層の端部上に延びる。
【0056】
従って、実施形態の一例によれば、磁気ストリップを隠すために少なくとも1つの隠蔽層を施すステップは、磁気ストリップの上に少なくとも1つのシルクスクリーン層を施すステップを含む。
【0057】
実施形態の一例によれば、磁気ストリップの上に少なくとも1つのシルクスクリーン層を施すステップは、白色シルクスクリーン層を施すステップを含む。
【0058】
実施形態の一例によれば、磁気ストリップの上に少なくとも1つのシルクスクリーン層を施すステップは、銀色シルクスクリーン層を施すステップを含む。
【0059】
実施形態の一例によれば、白色シルクスクリーン層は、銀色シルクスクリーン層の上に施され、例えばオーバープリントされる。
【0060】
実施形態の一例によれば、磁気ストリップを隠すために少なくとも1つの隠蔽層を施すステップは、磁気ストリップの上、最終的に少なくとも1つのシルクスクリーン層の上、例えば少なくとも白色シルクスクリーン層の上に少なくとも1つのオフセット層を施すステップを含む。
【0061】
実施形態の一例によれば、少なくとも1つの隠蔽層を施すステップは、基材の上端から少なくとも1つの隠蔽層を施すステップを含む。
【0062】
従って、例えば、上部領域は、上端から延びることができる。
【0063】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層が少なくとも2つの層を含む場合、少なくとも2つの層の少なくとも最も外側の層は、基材の上端から延びることができる。
【0064】
上述の例では、最も外側の層は、オフセット層である。
【0065】
少なくとも2つの層の最も外側の層の下の任意の層は、少なくとも磁気ストリップに及び得るが、上端から延びる必要はない。
【0066】
しかし、少なくとも1つの隠蔽層の各層は、より良好な厚さの均一性をもたらすために上端から延びることができる。
【0067】
例えば、少なくとも1つのオフセット層を施すステップは、オフセット層を印刷することを含む。
【0068】
実施形態の一例によれば、本方法は、プレラムの少なくとも上部領域上にニス層を施すステップを含む。
【0069】
例えば、ニス層は、透明である。
【0070】
例えば、ニス層は、プレラム、従って後にかかるプレラムを含む文書の最も外側の表面層を形成する。
【0071】
例えば、ニス層は、基材の上端から延びる。
【0072】
例えば、ニス層は、プレラムの上部領域と下部領域との間の中間端に及ぶ。
【0073】
実施形態の一例によれば、ニス層は、最大でも下部領域の一部のみを覆い、そのため、下部領域の少なくとも一部に少なくともニス層がない。
【0074】
これは、プレラムの上部領域と下部領域との間の僅かな厚さの差をもたらすが、基材の下部領域にいかなるオーバープリント層もない(オーバーレイを考慮しない)。
【0075】
隠蔽層(全てのシルクスクリーン層(例えば、銀色又は白色)及びオフセット層を含む)及びニス層は、磁気ストリップ出力にできるだけ影響を与えないように可能な限り薄くなるように選択される。
【0076】
例えば、全体的な層の厚さ(磁気ストリップを有するオーバーレイ、隠蔽層、オフセット層及びニス層を含む)は、30μm以下であり、例えば5μm~30μm、とりわけ5μm~25μmに含まれる。
【0077】
上部領域のみにニスを施すことは、プレラムの下部領域においてオーバーレイにいかなる追加の層もないことを可能にする。
【0078】
これは、ほぼ全てのパーソナライゼーション技術プロセスを改善する:
- エンボス加工:ひび割れのリスクを低減する。
- サーマルプリント、ドロップオンデマンド及び耐久性のあるグラフィック:PVCに比べてニスの表面特性は応用をはるかに複雑にし、技術の耐久性を低下させる。
【0079】
ホログラム及び署名パネルの箔押しでも同様である。ニスの表面は、応用をはるかに複雑にする。
【0080】
しかし、別の実施形態の例によれば、ニス層は、基材の表面全体に印刷される(即ちプレラムの下部領域及び上部領域の両方を覆う)。
【0081】
この選択肢の少なくとも1つの利点は、プレラムの上部領域と下部領域との間の厚さの差が減ることである。
【0082】
上述した特徴の何れか1つによる本発明により、下部領域は、共通の構造を有する領域、場合により(任意選択的にニスを除いて)パーソナライゼーション前にオーバープリント層がない領域を提供し、且つ/又は(磁気ストリップを有する)オーバーレイがラミネートされる前にパターンを基材上にオフセット印刷することができる。従って、この下部領域は、殆どのパーソナライゼーション機能に準拠している。
【0083】
加えて、磁気ストリップは、隠されているが、本発明は、文書のデザインによって磁気ストリップの位置推定を明確に示す。従って、かかるデザインは、プレラムを含む文書のユーザが磁気ストリップの位置を直感的に知ること及び例えば対応するカードをスワイプするために文書を必要に応じて正しく配置するのに役立つ。
【0084】
実施形態の一例によれば、本方法は、プレラムの少なくとも下部領域上にパターンを作成するステップを含む。
【0085】
例えば、プレラムの少なくとも下部領域上にパターンを作成するステップは、オフセット印刷するステップを含む。
【0086】
かかるステップは、例えば、磁気ストリップを含むオーバーレイで基材をラミネートする前に実行することができ、それによりパターンが基材上、例えば基材の下部ゾーン上に直接作成される。
【0087】
従って、かかる方法は、プレラムを提供すること、次いで裏面が2つの領域に明確に分けられ、2つの領域の一方が、隠された磁気ストリップを含むのに対して、他方が、殆どのパーソナライゼーションプロセスの何れかに従ってパーソナライズされ得る電子文書を提供することを可能にする。
【0088】
更に、上記のプレラムを含む電子文書を製造するために、プレラムを電子文書の他の構成層と共に組み立てて、本明細書で機能性基材と称するものを製造することができる。
【0089】
このような組み立てのステップは、例えば、ラミネーションステップ、例えばホットラミネーションを含み得る。
【0090】
従って、上述したプレラムを含む電子文書を製造する方法は、例えば、プレラムと少なくとも1つの機能性基材とを組み立てるステップと、例えばプレラムと機能性基材とを一緒にラミネートするステップとを含む。
【0091】
例えば、プレラムと機能性基材とを一緒にラミネートするステップは、120℃を超える温度、例えば120℃~140℃に含まれる温度で行われる。
【0092】
実施形態の一例によれば、このようなラミネーションステップは、その表面に起伏のないラミネーションプレートを使用する。
【0093】
ラミネーションプレートの使用は、電子文書の平らな裏面を提供するのに役立つ。
【0094】
例えば、プレラムは、上記のプレラムを製造する方法の少なくとも一部のステップのために更に製造される。
【0095】
例えば、かかる電子文書は、カード、例えば銀行カードである。
【0096】
本発明者は、プレラムを機能性基材とラミネートするとき、プレラムの上部領域と下部領域との間の厚さの差が、プレラムの上部領域と下部領域との間の交差間隙のフラッシュ及び/又は視認性のためにリスクを提示し得ることを懸念したが、最初の試験によりそのようなことはないことが示された。
【0097】
機能性基材は、例えば、ポリカーボネート層及び/又は電子部品を含む層を含む。
【0098】
実施形態の一例によれば、電子文書を製造する方法は、例えば、データを印付けするために電子文書をパンチ加工するステップを含む。
【0099】
実施形態の一例によれば、電子文書を製造する方法は、電子文書を仕上げるステップを含む。
【0100】
例えば、電子文書を仕上げるステップは、ホログラム及び/又は署名パネル及び/又は箔押しを追加するステップを含む。
【0101】
例えば、電子文書を仕上げるステップは、機能性基材の少なくとも一部にキャビティをフライス加工し、且つ/又はキャビティにチップを埋め込むステップを含む。
【0102】
例えば、電子文書を仕上げるステップは、チップをパーソナライズするステップ、例えばチップ内のソフトウェアを構成する最初のステップを含む。
【0103】
実施形態の一例によれば、電子文書を製造する方法は、電子文書をパーソナライズするステップを含む。
【0104】
例えば、電子文書をパーソナライズするステップは、ドロップオンデマンド、熱印刷、エンボス加工によるパーソナライズ及び/又は耐久性のあるグラフィック又は1つ若しくは複数の他の特徴或いはそれらのものの任意の組み合わせの1つを含む。
【0105】
別の態様によれば、本発明は、裏面と称される面を含むプレラムも提供し、裏面は、2つの領域、2つの領域のうち、第1のパターンを含む上部領域及び2つの領域のうち、第2のパターンを含む下部領域を含み、第2のパターンは、第1のパターンと異なり、及びプレラムは、上部領域内に隠された磁気ストリップを含む。
【0106】
従って、本発明は、その裏面が2つの領域に明確に分けられた文書、具体的には銀行カード等のカードを対象とする。
【0107】
上部領域は、例えば、少なくとも1つの隠蔽層で磁気ストリップを隠すことに充てられる。
【0108】
下部領域は、殆どの種類のパーソナライズ機能に適合する隠蔽層のない領域である。
【0109】
更に、上部領域のパターンは、通常、下部領域のパターンと全く異なる。
【0110】
これは、将来の電子文書のユーザが磁気ストリップの位置する場所を直感的に知ること及び電子文書を必要に応じて正しく配置することを促進する。
【0111】
例えば、裏面は、上端及び下端と呼ばれる2つの対向する端部を含む。
【0112】
上記と同様に、裏面の高さは、上端と下端との間で定められる。
【0113】
例えば、裏面が長方形である実施形態では、上端は、下端と平行である。
【0114】
例えば、上部領域は、プレラムの上端から延びる。
【0115】
例えば、上部領域は、裏面の高さの60%未満、好ましくは2分の1未満にわたって下端に向けて延びる。
【0116】
例えば、下部領域は、上部領域から下端に向かって延びる。
【0117】
上部領域及び下部領域は、それらの間に1つの中間端を画定する。
【0118】
例えば、裏面が長方形である実施形態では、上部領域と下部領域との間の中間端は、上端及び下端の両方に対して平行である。
【0119】
例えばプレラムは、2つのゾーン、2つのゾーンのうちの下部ゾーン及び2つのゾーンのうちの上部ゾーンを含む表面を有する基材を含む。
【0120】
上部ゾーン及び下部ゾーンは、それらの間に境界線を画定する。
【0121】
例えば、プレラムの基材は、第2のパターンを含む。
【0122】
例えば、基材の上部ゾーンは、下部ゾーンの色と異なり得る例えば暗色又は黒色の着色ゾーンを含む。
【0123】
実施形態の一例によれば、着色ゾーンは、磁気ストリップの高さを上回る高さを有し、これらの高さのそれぞれは、表面の高さに沿ってとられた寸法である。
【0124】
実施形態の一例によれば、着色ゾーンは、基材の上端から延びる。
【0125】
例えば、着色ゾーンは、前記色と磁気ストリップの色との間のコントラストΔEが20以下、例えば15以下又は例えば10以下であるように選択される色を含む。
【0126】
コントラストΔEは、有利には、ここではCIEによって定義された色偏差の測度である。方法は、例えば、1976年のCIE規格:ISO11664に記載されている。従って、例えば、ΔE、dE又はΔEは、色空間内で検討される2色間のユークリッド距離測定値として定められる。CIEによって1976年に確立された式は、例えば、
【数2】
であり、ここで、
- L
1
*、a
1
*及びb
1
*は、検討される第1の色のCIE色空間L a bにおける座標であり、
- L
2
*、a
2
*及びb
2
*は、第2の色の座標である。
【0127】
しかし、ΔEを計算するために他の式も使用される(CIE1976、CIE1994、CIE2000、CMC)。
【0128】
ここでの可視領域の波長は、約380nm~780nmの波長を示す。
【0129】
例えば、黒色及び従来の黒色磁気ストリップでは、ΔEは、ほぼ1に等しい。
【0130】
実施形態の一例によれば、基材は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ホイル又は他の材料で作られる。
【0131】
例えば、磁気ストリップは、基材の上部ゾーン、例えば着色ゾーン上に位置する。
【0132】
例えば、磁気ストリップは、ブースト磁気ストリップである。
【0133】
例えば、プレラムは、磁気ストリップを含むオーバーレイを含む。
【0134】
例えば、オーバーレイは、PVC(ポリ塩化ビニル)で作られる。
【0135】
例えば、オーバーレイは、基材の表面全体を覆う。
【0136】
例えば、プレラムは、磁気ストリップを隠すための少なくとも1つの隠蔽層を含む。
【0137】
例えば、磁気ストリップは、基材と少なくとも1つの隠蔽層との間に含まれる。
【0138】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層は、プレラムの上端から延びる。
【0139】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層は、少なくとも1つのシルクスクリーン層を含む。
【0140】
例えば、少なくとも1つのシルクスクリーン層は、銀色シルクスクリーン層を含む。
【0141】
例えば、少なくとも1つのシルクスクリーン層は、白色シルクスクリーン層を含む。
【0142】
銀色シルクスクリーン層は、例えば、オーバーレイと白色シルクスクリーン層との間にこれらの層が存在する場合がある。
【0143】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層は、少なくとも1つのオフセット層を含む。
【0144】
例えば、少なくとも1つのシルクスクリーン層は、オーバーレイと少なくとも1つのオフセット層との間に含まれる。
【0145】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層は、磁気ストリップ上で基材の少なくとも上部ゾーン、例えば少なくとも着色ゾーンを覆う。
【0146】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層は、基材の上部ゾーンと下部ゾーンとの間の境界線上に延びる。
【0147】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層は、最大でも下部ゾーンの一部のみを覆い、そのため、下部ゾーンに主に少なくとも1つの隠蔽層がない。
【0148】
例えば、オフセット層は、基材の少なくとも上部ゾーンを覆う。
【0149】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層が少なくとも2つの層を含む場合、少なくとも2つの層の少なくとも最も外側の層は、基材の上端から延びることができる。
【0150】
上述の例では、最も外側の層は、オフセット層である。
【0151】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層の少なくとも2つの層の最も外側の層は、基材の上端から延びる。
【0152】
例えば、オフセット層は、基材の上端から延びる。
【0153】
少なくとも2つの層の最も外側の層の下の任意の層は、少なくとも磁気ストリップに及び得るが、上端から延びる必要はない。
【0154】
しかし、少なくとも1つの隠蔽層の各層は、より良好な厚さの均一性をもたらすために上端から延びることができる。
【0155】
例えば、オフセット層は、基材の上部ゾーンと下部ゾーンとの間の境界線上に延び、例えば少なくとも1つのシルクスクリーン層の端部上に延びる。
【0156】
例えば、オフセット層は、プレラムの上部領域の第1のパターンを含む。
【0157】
例えば、プレラムは、ニス層を含む。
【0158】
例えば、ニス層は、プレラムの少なくとも上部領域を覆う。
【0159】
例えば、ニス層は、プレラム、従って後に電子文書の最も外側の表面層を形成する。例えば、ニス層は、電子文書の裏面の少なくとも一部を形成する。
【0160】
例えば、ニス層は、透明な層である。
【0161】
例えば、ニス層は、基材の上端から延びる。
【0162】
例えば、ニス層は、プレラムの上部領域と下部領域との間の中間端に及ぶ。
【0163】
実施形態の一例によれば、ニス層は、最大でも下部領域の一部のみを覆い、そのため、下部領域の少なくとも一部に少なくともニス層がない。
【0164】
これは、プレラムの上部領域と下部領域との間の僅かな厚さの差をもたらすが、下部領域にいかなるオーバープリント層も全くない(オーバーレイを考慮しない)。
【0165】
隠蔽層(全てのシルクスクリーン層(例えば、銀色及び/又は白色)及びオフセット層を含む)及びニス層は、磁気ストリップ出力にできるだけ影響を与えないように可能な限り薄くなるように選択される。
【0166】
例えば、全体的な層の厚さ(磁気ストリップを有するオーバーレイ、隠蔽層、オフセット層及びニス層を含む)は、30μm以下であり、例えば5μm~30μm、とりわけ5μm~25μmに含まれる。
【0167】
上部領域のみにニスを施すことは、プレラムの下部領域においてオーバーレイにいかなる追加の層もないことを可能にする。
【0168】
実施形態の別の例によれば、ニス層は、基材の表面全体を覆う(即ちプレラムの下部領域及び上部領域の両方を覆う)。
【0169】
本発明は、上記のプレラムを含む電子文書も提供する。
【0170】
実施形態の一例によれば、電子文書は、プレラムの基材の下に他の構成層を含み、前記他の構成層は、ここでは、機能性基材と称される。
【0171】
機能性基材は、例えば、ポリカーボネート層、及び/又は電子部品を含む層、及び/又は例えばPVC若しくはPET層を含む。
【0172】
例えば、PVC又はPET層の機能性基材は、銀行カード等のカードの製造につながる。
【0173】
プレラムの上部領域を含む文書の上部と、プレラムの下部領域を含む文書の下部との間に厚さの差があり得るが、この厚さは、ユーザの指で感じることができないほど小さい。
【0174】
驚くべきことに、最終的な電子文書は、良好な視覚的品質を有する。上部と下部との構造の違いも視覚的に検出できない。
【0175】
これらの特徴により、このプレラムの下部領域は、これまで使用されてきた従来の印刷オプションの殆どと適合性を保ち(この領域内に磁気ストリップを隠すことに関して制約はない)、従来のパーソナライゼーション技術(エンボス加工、レーザー加工等)と適合性を保つ。
【0176】
本発明の他の特殊性及び利点は、非限定的な例として示し縮尺通りに描かれていない添付図面に関する以下の説明からも明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【
図2】2つのゾーンを含む
図1の基材を示し、上部ゾーンは、暗色にしてある。
【
図3】下部ゾーンがパターンで装飾されている
図2の基材を示す。
【
図4】本発明の実施形態の一例によるプレラムを製造するステップを示す。
【
図5】
図4の実施形態に従って更に得られた文書の上面図を示す。
【
図6】
図5の文書の極めて単純化した断面図である。
【
図7】本発明による文書の実施形態の別の例の極めて単純化した断面図である。
【
図8】本発明の実施形態の一例による電子文書を製造する方法のプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0178】
図1~
図5は、本発明の実施形態の一例による電子文書30を形成するためのプレラム20を製造する方法のステップを示す。これらのステップは、
図8にも示す。
【0179】
例示する図面では、製造される電子文書は、例えば、クレジットカードのような銀行カード等のカードである。
【0180】
プレラム20を形成するために、
図1は、ここでは最初に未加工の基材10を提供するステップを示す。
【0181】
例えば、かかる未加工の基材10は、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ホイル又は他のもので作られる。
【0182】
基材は、最初に白色であることが多く、且つ/又は少なくとも表面13上で着色され得る。
【0183】
電子文書がカード型になるため、ここでは長方形としての基材10である。
【0184】
この段階では、基材は、基材、更にそのようにして得られるプレラムが後の段階で切断されるより大きいホイルの一部であり得る。
【0185】
例えば、
図1~
図5に対応する全てのステップを48枚のカードのプラスチック板/ホイルに対して実行することができる。
【0186】
ここで、基材10は、上端11と上端11と反対側の及び平行な下端12とを含む。
【0187】
基材は、上端から下端まで延びる表面13も含む。
【0188】
図2に示すように、1つの選択肢によれば、表面13は、2つのゾーン14、15:上部ゾーン14及び下部ゾーン15で共有される。
【0189】
この2つのゾーン14、15は、それらの間の境界線16であって、上端11及び下端12の両方に対して平行である境界線16を画定する。
【0190】
図2は、磁気ストリップをより見えなくすることに有利であるように、上部ゾーン14を着色する、例えばここでは暗色にするステップも示す。
【0191】
このように着色することは、磁気ストリップ(通常、黒色であり、その下の基材色(多くの場合に元から白色又は明るい色である)間の色ズレ(コントラストΔE)を減らし、その後のステップ中の磁気ストリップの隠蔽を容易にすることを可能にする。
【0192】
例えば、上部ゾーンを濃い灰色、更に黒色で塗装し、オフセット技術によって印刷することができる。
【0193】
このような着色は、プロセスの後の段階において配置する磁気ストリップを隠すのに役立つ。
【0194】
次いで、
図3は、ここでは第2のパターンと呼ぶパターンで下部ゾーン15を装飾する任意のステップを示す。
【0195】
図3では、第2のパターンは、ウェーブレットを含むが、第2のパターンは、当然のことながら、例えばロゴ、更にデータ等及び/又は着色された印刷画像/パターンを有する任意のパターンを含み得る。
【0196】
例えば、パターンは、オフセット技術によって施される。
【0197】
しかし、下部ゾーン15を装飾するかかるステップは、後の段階で行われ得、及び/又は下部ゾーン15は、未加工のままであり得る。
【0198】
次いで、
図4は、
図8にも示す本発明の一実施形態によるプレラム20を形成するステップを示す。
【0199】
図4で図解するように、プレラム20を形成するステップは、
- ここでは下部ゾーン15及び上部ゾーン14の2つのゾーンを含む表面13を有する基材10を提供するステップと、
- 磁気ストリップ22を含むオーバーレイ21を提供するステップと、
- 基材10上にオーバーレイ21を施すステップE21であって、磁気ストリップ22は、上部ゾーン14上に配置される、ステップE21と
を含む。
【0200】
特定の実施形態によれば、プレラム20を形成するステップは、基材10をオーバーレイ21と共にラミネートするステップE22を含む。
【0201】
例えば、ラミネートするステップE22は、更なる製造ステップ中にプレラムを加工しにくくする材料変形(収縮、反り等)を限定するために、低温、例えば90℃~120℃に含まれる温度で実行される。
【0202】
次いで、プレラム20を形成するステップは、磁気層を隠すために少なくとも1つの隠蔽層を施すステップE3を含む。
【0203】
例えば、少なくとも1つの隠蔽層を施すステップE3は、
- 磁気ストリップを隠すための隠蔽層として、例えば銀色層である第1のシルクスクリーン層23を施すステップE31と、
- 磁気ストリップを隠すための隠蔽層として、例えば白色層である第2のシルクスクリーン層24を施すステップE32と
を含む。
【0204】
しかし、前記第2のシルクスクリーン層24は、任意選択的であり、所望の用途に応じて省略することができる。
【0205】
ここでは第1のシルクスクリーン層23は、少なくとも上部ゾーン14の上で及び少なくとも磁気ストリップ22を覆ってオーバーレイ21上に施され、この事例では、第2のシルクスクリーン層24は、少なくとも第1のシルクスクリーン層23上に施される。
【0206】
例えば、磁気ストリップを隠すために、シルクスクリーン層23、24の銀及び/又は白インクがシルクスクリーンによって施される。
【0207】
次いで、少なくとも1つの隠蔽層を施すステップE3は、磁気ストリップ上の、文書の上部領域上の専用画像を得るために着色インクを施すステップを含む。これにより、オフセット層25が形成される。
【0208】
従って、図示の実施形態では、少なくとも1つの隠蔽層を施すステップE3は、オフセット層25を印刷するステップE33を含む。
【0209】
オフセット層25は、少なくとも上部ゾーン14を覆い、具体的にはここでは少なくともシルクスクリーン層をここでは白色のシルクスクリーン層24を覆う。
【0210】
図示の実施形態では、プレラム20を形成するステップは、ニス層26を施すステップE331、E332も含む。
【0211】
ニス層26は、少なくとも上部ゾーン14、より詳細には少なくともオフセット層25を覆う。
【0212】
ニス層26は、ここでは、透明である。
【0213】
加えて、ニス層26は、ここでは、プレラム20の最も外側の表面層を形成し、文書の最も外側の表面層を形成するように構成される。
【0214】
本発明の一態様によれば、各層は、前の層を覆うように前の層の上に施され、好ましくは前の層の端部全体を覆う。
【0215】
換言すれば、各層は、基材10の表面13の少なくとも一部を覆う。
【0216】
ここでは、各層は、表面13の一部に、具体的には基材の上端11から始まり、下端12に向かって下の層よりも少し先まで延びている。
【0217】
例えば、ニス層26は、上部ゾーン14と下部ゾーン15との間の境界線16を越え、更にプレラムの上部領域28と下部領域29との間の中間端27を形成するオフセット層25の端部27を越える。
【0218】
層23、24、25、26のこのような積層は、(
図5に示す)プレラムの上部領域28と下部領域29との間に僅かな厚さの差をもたらすが、下部領域29に(オーバーレイを除いて)いかなるオーバープリント層もない。
【0219】
例えば、上部領域の上端11から中間端27までの最小寸法は、磁気ストリップの下限であり、追加の0.1mmがあり、その寸法が通常86mm×54mm×0.76mm(幅、高さ、厚さ)である標準的な銀行カード等のカードではパーソナライゼーション領域と重ならないように最大寸法、例えば19mmを定めることができる。
【0220】
例えば、様々な層の長さは、以下の通りである:
- 第1の(銀色)シルクスクリーン層23:上端11からの上部ゾーン14に[0.1;1]mmを加えたのと同じ長さ。
- 第2の(白色)シルクスクリーン層24:上端11からの第1の(銀色)シルクスクリーン層23に[0.1;1]mmを加えたのと同じ長さ。
- オフセット層25:上端11からの第2の(白色)シルクスクリーン層24に[0.1;1]mmを加えたのと同じ長さ。
- ニス層26:上端11からのオフセット層25に[0.5;2]mmを加えたのと同じ長さ。
【0221】
しかし、以下に記載する
図7に示すように、ニス層を基材の表面全体の上に施すこともできる。
【0222】
それにより、プレラム20の上部領域28と下部領域29との間の厚さの差を僅かに減らすことができる。
【0223】
図5は、そのようにして得られたプレラム20を示す。
【0224】
従って、プレラムは、ここでは図示の面である裏面を含む。
【0225】
裏面は、基材の上端11及び下端12に対応する、上端及び下端と呼ばれる2つの対向する端部を含む。
【0226】
上記と同様に、裏面の高さは、上端と下端との間で定められる。
【0227】
裏面は、長方形であるため、上辺は、下辺と平行である。
【0228】
ここでの裏面は、上部領域28及び下部領域29の2つの領域を含む。
【0229】
上部領域28及び下部領域29は、それらの間に1つの中間端27を画定し、裏面が長方形であるため、上部領域と下部領域との間の中間端27は、上端及び下端の両方に対して平行である。
【0230】
加えて、上部領域28は、ここでは、オフセット層25のパターンである第1のパターンを含み、下部領域29は、第2のパターン(ここでは基材の下部ゾーン15のパターン)を含む。
【0231】
従って、ここでは、第2のパターンは、第1のパターンと異なる。
【0232】
このようにして、プレラムは、2つの領域28、29に明確に分かれた裏面を示す。
【0233】
上部領域28は、磁気ストリップ22を隠すことに充てられるのに対して、下部領域29は、殆どの種類のパーソナライズ機能に適合するいかなる隠蔽層もない領域である。
【0234】
更に、上部領域のパターンが下部領域のパターンと全く異なることは、ユーザが磁気ストリップの位置する場所を直感的に知ること及びプレラムを含む電子文書を必要に応じて正しく配置することを促進する。
【0235】
図6は、
図5の線A-Aによる、上記の機能性基材31及びプレラム20を含む電子文書30の断面を図式的に示す。かかる電子文書は、例えば、カードである。
【0236】
この
図6は、基材10、基材の上部ゾーン14上に配置された磁気ストリップ22を含むオーバーレイ21、第1の(銀色)シルクスクリーン層23、第2の(白色)シルクスクリーン層24、オフセット層25及びニス層26を連続的に含むプレラム20の積層を示す。
【0237】
図6は、各層が前の層の端部上に延びる一方、ニス層が上部領域28を覆い、そのため、下部領域29にいかなる隠蔽層、更にニス層もないことを更に示す。
【0238】
図7は、別の実施形態を示し、
図6の実施形態と異なるのは、ニス層26が基材の表面全体の上に施されている点のみである。
【0239】
このようにニス層26を基材の表面全体の上に施すことで厚さの差を減らすことができ、下部領域の第2のパターンを保護することもできる。
【0240】
何れにせよ、電子文書は、機能性基材内に形成され、チップを有するモジュールがその中に挿入されるキャビティ及び/又は機能性基材に埋め込むことができる電子部品を更に含み得る。
【0241】
図8は、上述したプレラム20を含む電子文書30を製造する方法の実施形態の一例を図式的に示す。
【0242】
図示の例では、この方法は、基材10及びオーバーレイ21を提供するための事前要件を表すステップE1を含む。
【0243】
ここで、ステップE1は、基材の上部ゾーン14及び下部ゾーン15を形成するために表面13をオフセット印刷するステップE11を含む。
【0244】
並行して、ステップE1は、ここではオーバーレイに磁気ストリップを施すステップを含む。
【0245】
次いで、本方法は、基材10上にオーバーレイ21を施すステップE21を含むステップE2を含み得、磁気ストリップ22は、上部ゾーン14上に配置される。
【0246】
図示の実施形態によれば、ステップE2は、基材10をオーバーレイ21と共に低温でラミネートするステップE22を更に含む。
【0247】
例えば、ラミネートするステップE22は、更なる製造ステップ中にプレラムを加工しにくくする材料変形(収縮、反り等)を限定するために、低温、例えば90℃~120℃に含まれる温度で実行される。
【0248】
次いで、この方法は、磁気層を隠すために少なくとも1つの隠蔽層を施すステップE3を含む。
【0249】
ここで、少なくとも1つの隠蔽層を施すステップE3は、
- 磁気ストリップを隠すための隠蔽層として、例えば銀色層である第1のシルクスクリーン層23を施すステップE31と、
- 磁気ストリップを隠すための隠蔽層として、例えば白色層である第2のシルクスクリーン層24を施すステップE32と、
- オフセット層25を印刷するステップE33と
を含む。
【0250】
このようにして、少なくとも1つの隠蔽層、具体的にはここではオフセット層25によって形成される上部領域28と、隠蔽層のない下部領域29との2つの領域を1つの面に示すプレラム20が提供される。
【0251】
図示の実施形態では、本方法は、プレラムの表面の一部(例えば、少なくとも上部領域)又は全体にニス層26を施すステップE331、E332も含む。
【0252】
本方法は、文書30を形成するステップE4も含む。
【0253】
ステップE4は、例えば、プレラム20を機能性基材31(例えば、アンテナの層、電子文書の前面等)と組み立てるステップE41、次いでプレラム20と機能性基材31とをラミネートするステップE42を含み、このステップは、例えば、120℃を超える温度、例えば120℃~140℃に含まれるホットラミネーションステップである。
【0254】
例えば、このようなラミネーションステップは、その表面に起伏のないラミネーションプレートを使用する。ラミネーションプレートの使用は、電子文書の平らな裏面を提供するのに役立つ。
【0255】
図示の実施形態の一例によれば、本方法は、例えば、データを印付けするために電子文書をパンチ加工するステップE43も含む。
【0256】
ここで、本方法は、電子文書30を仕上げるステップE5も含む。
【0257】
例えば、電子文書30を仕上げるステップE5は、ホログラム及び/又は署名パネル及び/又は箔押しを追加するステップE51を含む。
【0258】
例えば、電子文書30を仕上げるステップE5は、機能性基材の少なくとも一部にキャビティをフライス加工し、且つ/又はキャビティにチップを埋め込むステップE52を含む。
【0259】
例えば、電子文書30を仕上げるステップE5は、チップをパーソナライズするステップE53、例えばチップ内のソフトウェアを構成する最初のステップを含む。
【0260】
図示の実施形態の一例によれば、本方法は、電子文書30をパーソナライズするステップE6を更に含む。
【0261】
例えば、電子文書をパーソナライズするステップE6は、ドロップオンデマンド、熱印刷、エンボス加工によるパーソナライズ及び/又は耐久性のあるグラフィック等又はそれらのものの任意の組み合わせのステップE61を含む。
【国際調査報告】