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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】両面型ステータ冷却システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20241022BHJP
   H02K 16/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524480
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022077712
(87)【国際公開番号】W WO2023076799
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/263,148
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バシッス、ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】ドララ、エマド
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、バーナビー ジェームズ ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】マーモウディ、モハマッド
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー、ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】フン、シュン-チェン
(72)【発明者】
【氏名】スッビアー、アナンダクマル
(72)【発明者】
【氏名】スンダラム、ヴィヴェク ミーナクシ
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP02
5H609PP09
5H609QQ05
5H609QQ20
5H609RR41
(57)【要約】
電気モータ用のデュアル軸方向冷却システムは、電気モータのステータの第1及び第2の軸方向端部に提供されたカバーアセンブリを含む。それぞれのカバーアセンブリは、ステータの内部に向くように配向された第1側部分を含み、複数の穴が第1側部分に形成される。第2側部分が第1側部分に結合され、したがって第1及び第2側部分の間に通路が形成される。供給ノズル部分が、第1及び第2側部分の間に画定された通路を介して、複数の開口と流体連通する。複数の開口は、供給ノズル部分から冷却流体を受け、ステータのそれぞれの軸方向端部分から軸方向に冷却流体を排出して、ステータへの2つの軸方向で軸方向の冷却を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動システム用の軸方向冷却システムであって、
前記駆動システムの電気モータの軸方向端部分に結合されるように構成された少なくとも1つのカバーアセンブリ、前記少なくとも1つのカバーアセンブリは、
ステータに向くように構成された第1側部分;
間に通路を形成するように、前記第1側部分に結合された第2側部分;
前記第1側部分に画定された複数の開口;及び
前記第1側部分及び前記第2側部分の間に画定された前記通路を介して前記複数の開口と流体連通した供給ノズル部分、ここで、前記複数の開口は、前記供給ノズル部分から冷却流体を受け、前記冷却流体を前記電気モータのステータに向かって軸方向に排出するように構成されている、を有する
を備える軸方向冷却システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのカバーアセンブリが、
前記電気モータの第1の軸方向端部分に結合されるように構成された第1のカバーアセンブリ、ここで、前記第1のカバーアセンブリは、第1の軸方向において、前記電気モータの前記第1の軸方向端部分のステータ端部巻線へと前記冷却流体を排出するように構成されている;及び
前記電気モータの第2の軸方向端部分に結合されるように構成された第2のカバーアセンブリ、ここで、前記第2のカバーアセンブリは、第2の軸方向において、前記電気モータの前記第2の軸方向端部分のステータ端部巻線へと前記冷却流体を排出するように構成されている
を有する、請求項1に記載の軸方向冷却システム。
【請求項3】
前記第1側部分の前記複数の開口が、前記ステータの長手方向中心軸に対応する、前記少なくとも1つのカバーアセンブリの中心軸の周りに円周方向に配置されている、請求項1又は2に記載の軸方向冷却システム。
【請求項4】
前記第1側部分の前記複数の開口が、前記少なくとも1つのカバーアセンブリの中心軸の周りに不規則に配置されている、請求項1又は2に記載の軸方向冷却システム。
【請求項5】
前記複数の開口のサイズ及び形状が実質的に同じであり、前記複数の開口が、前記電気モータの前記軸方向端部分のステータ端部巻線の配置に対応して、前記少なくとも1つのカバーアセンブリの前記第1側部分の円周部分に沿って互いから実質的に等距離に配置されている、請求項1又は2に記載の軸方向冷却システム。
【請求項6】
前記ステータに電力を供給するように構成された複数のバスバーをさらに備え、前記複数のバスバーが、前記複数のバスバーのうちの隣接したバスバーの間に空間が形成された状態で前記ステータの軸方向端部分及び前記少なくとも1つのカバーアセンブリの間に円周方向に配置されており、それにより前記少なくとも1つのカバーアセンブリの前記複数の開口を通って排出された冷却流体が、隣接したバスバーの間に形成された前記空間を通って流れる、請求項1又は2に記載の軸方向冷却システム。
【請求項7】
前記複数のバスバーのそれぞれが誘電材料で個々に被覆されている、請求項6に記載の軸方向冷却システム。
【請求項8】
前記複数のバスバーに対して内側円周方向位置に位置決めされた第1の保持部;及び
前記複数のバスバーに対して外側円周方向位置に位置決めされた第2の保持部
をさらに備え、前記第1の保持部及び前記第2の保持部が、前記ステータの前記軸方向端部分において、複数のステータ端部巻線に対して前記複数のバスバーの位置を固定するように構成されている、請求項6に記載の軸方向冷却システム。
【請求項9】
前記第2の保持部が、
前記複数のバスバーのうちのあるバスバーに結合された第1の端部、及び前記ステータの前記軸方向端部分に結合された第2の端部分をそれぞれ含む複数の脚部分;及び
前記複数の脚部分のうちの隣接した脚部分の間に形成された複数の窓
を有する、請求項8に記載の軸方向冷却システム。
【請求項10】
前記第1の保持部及び前記第2の保持部が射出成型されている、請求項8に記載の軸方向冷却システム。
【請求項11】
前記第1側部分に画定された前記複数の開口が第1の複数の開口を含み、前記少なくとも1つのカバーアセンブリが、前記第2側部分に画定された第2の複数の開口をさらに有する、請求項1又は2に記載の軸方向冷却システム。
【請求項12】
前記供給ノズル部分が、前記第1側部分及び前記第2側部分の間に画定された前記通路を介して、前記第1の複数の開口及び前記第2の複数の開口と流体連通している、請求項11に記載の軸方向冷却システム。
【請求項13】
前記第1の複数の開口が、前記供給ノズル部分から冷却流体を受け、前記駆動システムの第1の電気モータのステータに向かって軸方向に前記冷却流体を排出するように構成されており、前記第1の電気モータが、前記少なくとも1つのカバーアセンブリの第1の側面に位置決めされており;
前記第2の複数の開口が、前記供給ノズル部分から冷却流体を受け、前記駆動システムの第2の電気モータのステータに向かって軸方向に前記冷却流体を排出するように構成されており、前記第2の電気モータが、前記少なくとも1つのカバーアセンブリの第2の側面に位置決めされている、請求項12に記載の軸方向冷却システム。
【請求項14】
駆動システム用の軸方向冷却システムであって、
前記駆動システムの電気モータの軸方向端部分に結合されるように構成された少なくとも1つのカバーアセンブリ、前記少なくとも1つのカバーアセンブリは、
ステータに向くように構成された第1側部分;
前記第1側部分に結合されてそれらの間に通路を形成する第2側部分;及び
前記通路へと冷却流体を受け、前記冷却流体を前記通路から前記電気モータのステータに向かって軸方向に排出するための手段を有する
を備える軸方向冷却システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのカバーアセンブリが、
前記電気モータの第1の軸方向端部分に結合されるように構成された第1のカバーアセンブリ、ここで、前記第1のカバーアセンブリは、第1の軸方向において、前記電気モータの前記第1の軸方向端部分のステータ端部巻線へと前記冷却流体を排出するように構成されている;及び
前記電気モータの第2の軸方向端部分に結合されるように構成された第2のカバーアセンブリ、ここで、前記第2のカバーアセンブリは、第2の軸方向において、前記電気モータの前記第2の軸方向端部分のステータ端部巻線へと前記冷却流体を排出するように構成されている
を有する、請求項14に記載の軸方向冷却システム。
【請求項16】
前記第1側部分の複数の開口が、前記電気モータの前記軸方向端部分のステータ端部巻線の配置に対応して、前記少なくとも1つのカバーアセンブリの中心軸の周りに円周方向に配置されている、請求項14又は15に記載の軸方向冷却システム。
【請求項17】
前記ステータに電力を供給するように構成された複数のバスバーをさらに備え、前記複数のバスバーが、前記複数のバスバーのうちの隣接したバスバーの間に空間が形成された状態で前記ステータの軸方向端部分及び前記少なくとも1つのカバーアセンブリの間に円周方向に配置されており、それにより前記少なくとも1つのカバーアセンブリの複数の開口を通って排出された冷却流体が、隣接したバスバーの間に形成された前記空間を通って流れる、請求項14又は15に記載の軸方向冷却システム。
【請求項18】
前記複数のバスバーに対して内側円周方向位置に位置決めされた第1の保持部;及び
前記複数のバスバーに対して外側円周方向位置に位置決めされた第2の保持部
をさらに備え、前記第1の保持部及び前記第2の保持部が、前記ステータの前記軸方向端部分において、複数のステータ端部巻線に対して前記複数のバスバーの位置を固定するように構成されている、請求項17に記載の軸方向冷却システム。
【請求項19】
前記第1側部分に画定された複数の開口が第1の複数の開口を含み、前記少なくとも1つのカバーアセンブリが、前記第2側部分に画定された第2の複数の開口をさらに有し、前記第1の複数の開口及び前記第2の複数の開口が、前記第1側部分及び前記第2側部分の間に画定された前記通路と流体連通している、請求項14又は15に記載の軸方向冷却システム。
【請求項20】
前記第1の複数の開口が、前記通路から前記駆動システムの第1の電気モータのステータに向かって第1の軸方向に冷却流体を排出するように構成されており、前記第1の電気モータが、前記少なくとも1つのカバーアセンブリの第1の側面に位置決めされており;
前記第2の複数の開口が、前記通路から前記駆動システムの第2の電気モータのステータに向かって第2の軸方向に冷却流体を排出するように構成されており、前記第2の電気モータが、前記少なくとも1つのカバーアセンブリの第2の側面に位置決めされている、請求項19に記載の軸方向冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「DUAL SIDED STATOR COOLING SYSTEM」と題する2021年10月27日出願の米国仮特許出願第63/263,148号の優先権を主張し、その開示は、参照により本明細書にその全体として援用される。
【0002】
これは電気車両のモータアセンブリに関し、より詳細には、電気車両のモータアセンブリを冷却するための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0003】
高性能な電気車両は、周囲条件及び/又は運転条件及び/又は運転技量にかかわらず所望の水準の性能及び信頼性を実現するために、効率的且つ効果的な冷却に依存する。電気車両のモータを冷却するための現在の技法のうちの多くのものの効果は、モータ構成要素から効果的に熱を引き出すそれらの能力において幾分限定的である。例えば、いくつかの冷却システムは、電気モータのステータ巻線内の冷却チャネル、ステータ巻線に仕向けられる油などの冷媒又は冷却流体の半径方向の注入、電気モータの特定の構成要素に冷却を仕向ける様々な冷却サブシステムの組み合わせなどに依存する。これらのタイプの冷却システムは、幾分効果的でない及び/又は非効率的であるか、又は部分的にのみ効果的であり、及び/又は複雑且つ高価であり得る。これは、部分的には、例えばステータ巻線の不均質性、冷媒が電気モータを通って進むときの冷媒の速度の損失、電気モータへと入り電気モータを通る冷媒の不均一な流れの分配、例えばバスバー、支持構造体などのような電気モータの他の構成要素が配置及び装着されていることによる、いくつかの構成要素による冷媒の流れの妨害、効果的でない及び/又は非効率的な電気モータからの冷媒の排液/冷媒の貯蔵、及び他のこうした要因による場合がある。これにより、構成要素の性能及び信頼性を低下させ得るホットスポットが生じる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
一般的な一態様では、駆動システム用の軸方向冷却システムは、駆動システムの電気モータの軸方向端部分に結合されるように構成された少なくとも1つのカバーアセンブリを含む。少なくとも1つのカバーアセンブリは、ステータに向くように構成された第1側部分;第1側部分に結合されてそれらの間に通路を形成する第2側部分;第1側部分に画定された複数の開口;及び第1側部分及び第2側部分の間に画定された通路を介して複数の開口と流体連通した供給ノズル部分、ここで、複数の開口は、供給ノズル部分から冷却流体を受け、冷却流体を電気モータのステータに向かって軸方向に排出するように構成されている、を含むことができる。
【0005】
いくつかの実装では、少なくとも1つのカバーアセンブリは、電気モータの第1の軸方向端部分に結合されるように構成された第1のカバーアセンブリ、ここで、第1のカバーアセンブリは、第1の軸方向において、電気モータの第1の軸方向端部分のステータ端部巻線へと冷却流体を排出するように構成されている;及び電気モータの第2の軸方向端部分に結合されるように構成された第2のカバーアセンブリ、ここで、第2のカバーアセンブリは、第2の軸方向において、電気モータの第2の軸方向端部分のステータ端部巻線へと冷却流体を排出するように構成されている、を含む。
【0006】
いくつかの実装では、第1側部分の複数の開口は、ステータの長手方向中心軸に対応する、少なくとも1つのカバーアセンブリの中心軸の周りに円周方向に配置されている。
【0007】
いくつかの実装では、第1側部分の複数の開口は、少なくとも1つのカバーアセンブリの中心軸の周りに不規則に配置されている。
【0008】
いくつかの実装では、複数の開口のサイズ及び形状は実質的に同じであり、複数の開口は、電気モータの軸方向端部分のステータ端部巻線の配置に対応して、少なくとも1つのカバーアセンブリの第1側部分の円周部分に沿って互いから実質的に等距離に配置されている。
【0009】
いくつかの実装では、軸方向冷却システムは、ステータに電力を供給するように構成された複数のバスバーを含む。複数のバスバーは、複数のバスバーのうちの隣接したバスバーの間に空間が形成された状態でステータの軸方向端部分及び少なくとも1つのカバーアセンブリの間に円周方向に配置されてもよく、それにより少なくとも1つのカバーアセンブリの複数の開口を通って排出された冷却流体は、隣接したバスバーの間に形成された空間を通って流れる。
【0010】
いくつかの実装では、複数のバスバーのそれぞれは誘電材料で個々に被覆されている。
【0011】
いくつかの実装では、軸方向冷却システムは、複数のバスバーに対して内側円周方向位置に位置決めされた第1の保持部;及び複数のバスバーに対して外側円周方向位置に位置決めされた第2の保持部も含む。第1の保持部及び第2の保持部は、ステータの軸方向端部分において、複数のステータ端部巻線に対して複数のバスバーの位置を固定するように構成され得る。
【0012】
いくつかの実装では、第2の保持部は、複数のバスバーのうちのあるバスバーに結合された第1の端部、及びステータの軸方向端部分に結合された第2の端部分をそれぞれ有する複数の脚部分;及び複数の脚部分のうちの隣接した脚部分の間に形成された複数の窓を含む。
【0013】
いくつかの実装では、第1の保持部及び第2の保持部は射出成型されている。
【0014】
いくつかの実装では、第1側部分に画定された複数の開口は、複数の第1の開口を備え、少なくとも1つのカバーアセンブリは、第2側部分に画定された第2の複数の開口をさらに備える。
【0015】
いくつかの実装では、供給ノズル部分は、第1側部分及び第2側部分の間に画定された通路を介して、第1の複数の開口及び第2の複数の開口と流体連通している。
【0016】
いくつかの実装では、第1の複数の開口は、供給ノズル部分から冷却流体を受け、駆動システムの第1の電気モータのステータに向かって軸方向に冷却流体を排出するように構成されており、第1の電気モータは、少なくとも1つのカバーアセンブリの第1の側面に位置決めされており;第2の複数の開口は、供給ノズル部分から冷却流体を受け、駆動システムの第2の電気モータのステータに向かって軸方向に冷却流体を排出するように構成されており、第2の電気モータは、少なくとも1つのカバーアセンブリの第2の側面に位置決めされている。
【0017】
別の一般的な態様では、駆動システム用の軸方向冷却システムは、駆動システムの電気モータの軸方向端部分に結合されるように構成された少なくとも1つのカバーアセンブリを含む。少なくとも1つのカバーアセンブリは、ステータに向くように構成された第1側部分;第1側部分に結合されてそれらの間に通路を形成する第2側部分;及び通路へと冷却流体を受け、冷却流体を通路から電気モータのステータに向かって軸方向に排出するための手段を含むことができる。
【0018】
いくつかの実装では、少なくとも1つのカバーアセンブリは、電気モータの第1の軸方向端部分に結合されるように構成された第1のカバーアセンブリ、ここで、第1のカバーアセンブリは、第1の軸方向において、電気モータの第1の軸方向端部分のステータ端部巻線へと冷却流体を排出するように構成されている;及び電気モータの第2の軸方向端部分に結合されるように構成された第2のカバーアセンブリ、ここで、第2のカバーアセンブリは、第2の軸方向において、電気モータの第2の軸方向端部分のステータ端部巻線へと冷却流体を排出するように構成されている、を含む。
【0019】
いくつかの実装では、第1側部分の複数の開口は、電気モータの軸方向端部分のステータ端部巻線の配置に対応して、少なくとも1つのカバーアセンブリの中心軸の周りに円周方向に配置されている。
【0020】
いくつかの実装では、軸方向冷却システムは、ステータに電力を供給するように構成された複数のバスバーも含む。複数のバスバーは、複数のバスバーのうちの隣接したバスバーの間に空間が形成された状態でステータの軸方向端部分及び少なくとも1つのカバーアセンブリの間に円周方向に配置されてもよく、それにより少なくとも1つのカバーアセンブリの複数の開口を通って排出された冷却流体は、隣接したバスバーの間に形成された空間を通って流れる。
【0021】
いくつかの実装では、軸方向冷却システムは、複数のバスバーに対して内側円周方向位置に位置決めされた第1の保持部;及び複数のバスバーに対して外側円周方向位置に位置決めされた第2の保持部も含む。第1の保持部及び第2の保持部は、ステータの軸方向端部分において、複数のステータ端部巻線に対して複数のバスバーの位置を固定するように構成され得る。
【0022】
いくつかの実装では、第1側部分に画定された複数の開口は複数の第1の開口を備え、少なくとも1つのカバーアセンブリは、第2側部分に画定された第2の複数の開口をさらに備え、複数の第1の開口及び複数の第2の開口は、第1側部分及び第2側部分の間に画定された通路と流体連通する。
【0023】
いくつかの実装では、第1の複数の開口は、通路から駆動システムの第1の電気モータのステータに向かって第1の軸方向に冷却流体を排出するように構成されており、第1の電気モータは、少なくとも1つのカバーアセンブリの第1の側面に位置決めされており;第2の複数の開口は、通路から駆動システムの第2の電気モータのステータに向かって第2の軸方向に冷却流体を排出するように構成されており、第2の電気モータは、少なくとも1つのカバーアセンブリの第2の側面に位置決めされている。
【0024】
1つ又は複数の実装の詳細は、添付図面及び以下の説明で述べる。他の特徴は説明及び図面から、また特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面では、可能な場合は同様の参照符号又は数字を使用して、同様の要素を示す。
【0026】
図1A】例示的な両面型ステータ冷却システムの概略図である。
【0027】
図1B】例示的な両面型ステータ冷却システムの概略図である。
【0028】
図1C】例示的な両面型ステータ冷却システムの概略図である。
【0029】
図1D図1Aに示されている例示的なシステムの例示的なカバーアセンブリ部分の概略的な軸方向端面図である。
図1E図1Aに示されている例示的なシステムの例示的なカバーアセンブリ部分の概略的な軸方向端面図である。
図1F図1Aに示されている例示的なシステムの例示的なカバーアセンブリ部分の概略的な軸方向端面図である。
図1G図1Aに示されている例示的なシステムの例示的なカバーアセンブリ部分の概略的な軸方向端面図である。
【0030】
図2A】本明細書で説明する実装による例示的な電気モータの側面図である。
図2B】本明細書で説明する実装による例示的な電気モータの第1の斜視図である。
図2C】本明細書で説明する実装による例示的な電気モータの第2の斜視図である。
【0031】
図3A】本明細書で説明する実装による、図2A~2Cに示されている例示的なカバーアセンブリの第1の斜視図である。
図3B】本明細書で説明する実装による、図2A~2Cに示されている例示的なカバーアセンブリの第2の斜視図である。
【0032】
図3C図3Aの線A-Aに沿って取られた断面図である。
図3D図3Aの線A-Aに沿って取られた断面図である。
【0033】
図4A】本明細書で説明する実装による、図2A~2Cに示されている例示的なカバーアセンブリの第1の斜視図である。
図4B】本明細書で説明する実装による、図2A~2Cに示されている例示的なカバーアセンブリの第2の斜視図である。
【0034】
図4C図4Aの線B-Bに沿って取られた断面図である。
図4D図4Aの線B-Bに沿って取られた断面図である。
【0035】
図5A】本明細書で説明する実装による、図2A~2Cに示されている例示的な電気モータの一部分の側面図である。
図5B】本明細書で説明する実装による、図2A~2Cに示されている例示的な電気モータの一部分の斜視図である。
図5C】本明細書で説明する実装による、図2A~2Cに示されている例示的な電気モータの一部分の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書で説明する実装による冷却システムは、一般に電気モータに、具体的には電気車両(EV)用の電気モータに適用可能である。以下では、用語EVを使用して、完全電気車両、プラグインハイブリッド車両、電気駆動システムを含むハイブリッド車両、及び少なくとも1つの電気モータを有する他の用途を指す場合がある。
【0037】
本明細書で説明する実装による冷却システムにより、電気モータの冷却を向上させることができ、電気モータの全体にわたってホットスポットを減少させることができ、及び/又は電気モータ及び/又はEVの性能を高めることができる。本明細書で説明する実装による冷却システムにより、電気モータに二方向の冷却を提供することができる。いくつかの実装では、電気モータの1つ又は複数の軸方向端部分の構造体における開口の配置により、冷媒又は冷却流体を電気モータへと軸方向に導入することが可能になり得る。いくつかの実装では、電気モータの1つ又は複数の軸方向端部分におけるバスバーの配置により、冷媒又は冷却流体の電気モータへの分配、及び/又は冷媒又は冷却流体の電気モータからの排液が容易になり得る。
【0038】
図1A図1Cは、電気車両用の例示的な駆動システム100の概略的断面図である。具体的には、図1Aは電気車両用の第1の例示的な駆動システム100Aの概略的断面図であり、単一駆動システムの構成を示す。図1Bは、例示的なデュアル駆動システムの構成を含む、第2の例示的な駆動システム100Bを示す概略的断面図である。図1Cは、別のデュアル駆動システムの構成を含む、第3の例示的な駆動システム100Cを示す概略的断面図である。図1B及び図1Cに示されている例示的なデュアル駆動システムの構成は、例えば車軸のそれぞれの車輪がそれ自体の電気モータによって給電される電気車両の駆動システムで実施されてもよい。
【0039】
駆動システム100は、モータケーシング104の内部に位置決めされたロータ108及びステータ106を含む。図1A図1Cに示されている例示的な概略的構成では、ステータ106の軸方向端部分にバスバー110が位置決めされて、ステータ106に電力を分配する。具体的には、バスバー110は、ステータ106の複数のステータ巻線107から延在するステータ106の端部の巻き105又は端部巻線105に近接した、ステータ106の軸方向端部分に位置決めされている。図1A図1Cは断面概略図であるので、バスバー110の一部分のみが示されている。バスバー110は、例えば図5A図5Cに関して以下でより詳細に説明されることになる例においてより容易に見て取れよう。カバーアセンブリ120は、組み立てられたロータ108及びステータ106の、一方又は両方の軸方向端部分に位置決めされ得る。図1Aに示されている例示的な構成では、第1のカバーアセンブリ120Aが電気モータの第1の軸方向端部分に位置決めされており、第2のカバーアセンブリ120Bが電気モータの第2の軸方向端部分に位置決めされている。
【0040】
図1Bに示されている構成では、第1のカバーアセンブリ120Aが2つの電気モータのそれぞれの第1の軸方向端部分に位置決めされており、第2のカバーアセンブリ120Bが2つの電気モータのそれぞれの第2の軸方向端部分に位置決めされている。図1Cに示されている構成では、第1のカバーアセンブリ120Aが2つの電気モータのそれぞれの第1の軸方向端部分に位置決めされており、共有された/両面型の第2のカバーアセンブリ120B'が、2つの電気モータの第2の軸方向端部分の間に位置決めされている。こうしたデュアル駆動システムが実施される状況では、共有された/両面型の第2のカバーアセンブリ120B'により、単一の、共有された第2のカバーアセンブリ120B'を介して、2つの電気モータのそれぞれの第2の軸方向端部分における冷却を提供することが可能になり得る。
【0041】
図1D図1Eは、図1A図1Cに示されている例示的な構成に含まれ得る例示的なカバーアセンブリ120の概略的な軸方向端面図である。例示的なカバーアセンブリ120は、リング部分122に形成された複数の開口125を含むことができる。リング部分122及び開口125は、ステータ端部巻線105に対応して位置決めされ得る。開口125は、開口125を通って流れる冷媒又は冷却流体が、冷却のためにステータ端部巻線105に仕向けられるように形成することができ、開口のそれぞれに関して例示的な衝突領域127が示されている。図1D図1Gには、カバーアセンブリ120のリング部分122に形成された開口125のいくつかの例示的な構成、及び開口125の例示的な構成に関連付けられたいくつかの例示的な衝突領域127が示してある。いくつかの例では、開口125はカバーアセンブリ120の中心軸の周りに円周方向に配置され得る。いくつかの例では、複数の開口125は互いから実質的に等距離に配置され得る。いくつかの例では、開口125は異なるサイズ及び/又はサイズの組み合わせ、異なる形状及び/又は形状の組み合わせを有し得る。いくつかの例では、カバーアセンブリ120は、異なるサイズ及び/又は形状及び/又はその組み合わせを有する衝突領域127を生み出す、異なるサイズ及び/又はサイズの組み合わせ、異なる形状及び/又は形状の組み合わせを有する開口125を含み得る。いくつかの例では、開口125はカバーアセンブリ120の中心平面の周りに対称的に、又は非対称的に、又は互い違いの又は不規則なパターンで配置され得る。いくつかの例では、開口125は、カバーアセンブリ120のリング部分122を通って延在する(例えば駆動システム100の長手方向中心軸に対して)実質的に軸方向の配向を有し、したがってステータ端部巻線105に向かって実質的に軸方向の冷却流体の流れを排出し得る。いくつかの例では、開口125のうちの1つ又は複数は軸方向に対してある角度で配向され、したがって対応する角度で冷却流体を排出し、対応する衝突領域127を生み出し得る。カバーアセンブリ120を設計するとき、カバーアセンブリ120のリング部分122に形成される開口125の数及び/又はサイズ及び/又は形状及び/又は配置及び/又は配向は、例えば電気モータの電磁的及び熱的な動作条件、動作スピード、電気モータの動作温度、冷媒又は冷却流体の冷却特性、流速など、及び他のこうした要因に基づいて選択され得る。
【0042】
カバーアセンブリ120のリング部分122の開口125は、第1の方向及び/又は第2の方向のうちの少なくとも1つで、例えば油などの冷媒又は冷却流体を電気モータへと仕向けることができる。いくつかの例では、図1A図1Cに示されているように、第1の方向及び/又は第2の方向は、例示的な駆動システム100の長手方向軸Aに対応する実質的に軸方向の第1の方向A1及び/又は実質的に軸方向の第2の方向A2でもよい。いくつかの例では、第1の方向及び/又は第2の方向は、図1A図1Cに示されている例示的な第1の方向A1'及びA1''、及び例示的な第2の方向A2'及びA2''などの、軸方向からオフセットした方向でもよい。
【0043】
図1Cに示されている例示的な構成では、単に議論及び例示の目的で、第2のカバーアセンブリ120B'は、両面型の又は共有されたカバーアセンブリである。いくつかの例では、第1のカバーアセンブリ120Aが2つの電気モータの間に位置決めされ、共有カバーアセンブリとして機能し、第2のカバーアセンブリが2つの電気モータの2つの対向する軸方向端部に提供されてもよい。いずれの場合でも、2つの電気モータの間に位置決めされた共有カバーアセンブリ120(図1Cに示されている例の第2のカバーアセンブリ120B)は、例えば実質的に軸方向の第2の方向A2及び/又は軸方向からオフセットした例示的な第2の方向A2'及び/又はA2''で、2つの電気モータのうちの1つ目に例えば油などの冷媒又は冷却流体を仕向ける、第2のカバーアセンブリ120の第1の側面のリング部分122の開口125を含むことができる。同様に、共有カバーアセンブリ120(図1Cに示されている例の第2のカバーアセンブリ120B)の第2の側面のリング部分122の開口は、例えば実質的に軸方向の第1の方向A1及び/又は軸方向からオフセットした例示的な第1の方向A1'及び/又はA1''で、2つの電気モータのうちの2つ目に例えば油などの冷媒又は冷却流体を仕向けることができる。上で言及したように、2つの電気モータの間に位置決めされる共有カバーアセンブリ120は、第2のカバーアセンブリ120Bに関して以下でより詳細に説明されることになる特徴を含んでもよく、又はその代わりに、第1のカバーアセンブリ120Aに関して以下でより詳細に説明されることになる特徴を含んでもよい。
【0044】
構成要素をこのように配置し、ステータ端部巻線105において、ステータ106の対向する軸方向端部分から電気モータへと冷媒又は冷却流体をこの方式で導入することにより、電気モータへの冷媒又は冷却流体の流れを向上させることができ、電気モータを通る冷媒又は冷却流体のより均一な分配を提供することができ、電気モータからの冷媒又は冷却流体の排液を向上させることができる。
【0045】
本明細書で説明する実装による冷却システムを利用し得る例示的な電気モータ、例えば電気車両用の電気モータの、図2Aは側面図、図2Bは第1の斜視図、図2Cは第2の斜視図である。以下では、単に議論及び例示の目的で、ステータ構成要素を冷却するために冷却流体の実質的に軸方向の排出を利用する構成で冷却システムを説明する。上で言及したように、冷却流体は、軸方向から幾分オフセットした方向で排出されて、ステータ構成要素に冷却を提供してもよい。同様に、単に議論及び例示の目的で、単一の電気モータを含む駆動システムに関して冷却システムを説明する。本明細書で説明されることになる原理は、図1B及び図1Cに示されている例示的なデュアル駆動システムなどの、電気モータの他の構成に適用されてもよい。
【0046】
例示的な電気モータ200は、モータハウジング204に収容されたロータ208及びステータ206を含む。カバーアセンブリ220は、ステータ206の軸方向端部分のステータ端部巻線205及びバスバー210に対応する位置において、モータハウジング204の軸方向端部分に位置決めされる。図2A図2Cに示されている例示的な構成では、第1のカバーアセンブリ220Aはモータハウジング204の第1の軸方向端部分に提供され、第2のカバーアセンブリ220Bはモータハウジング204の第2の軸方向端部分に提供されている。図1A図1Gのいずれかに関して上で説明したカバーアセンブリ120の特性は、図2A図2Cに示されている例示的なカバーアセンブリ220に適用可能であり得る。冷媒又は冷却流体、例えば油は、カバーアセンブリ220と流体連通した供給ノズル230を通して、カバーアセンブリ220に画定されたチャネルへと導入され得る。図2A図2Cに示されている例示的な構成では、第1の供給ノズル部分230Aは、第1のカバーアセンブリ220Aを介して電気モータ200へと注入(例えば図1Aに示されている第1の軸方向A1において軸方向に排出)するための、例えば油を供給することができる。第2の供給ノズル部分230Bは、第2のカバーアセンブリ220Bを通して電気モータ200へと注入(例えば図1Aに示されている第2の軸方向A2において軸方向に排出)するための、例えば油を供給することができる。いくつかの例では、ノズル230は、油供給チャネル(図2A図2Cには図示せず)から油などの冷媒又は冷却流体を受けることができる。冷却のために電気モータ200を通って循環してきた油は、排液チャネル290を介して電気モータ200から排液され得る。
【0047】
図2A図2Cに示されている第1のカバーアセンブリ220Aの、図3Aは第1の斜視図、図3Bは第2の斜視図である。具体的には、図3Aには例示的な第1のカバーアセンブリ220Aの第1側部分222A(例えば外部に向いた側面部分)が示してあり、図3Bには、第1のカバーアセンブリ220Aの第2側部分224A(例えば内部に向いた側面部分)、すなわち図2A図2Cに示されている組み立てられた状態において例示的な電気モータ200のロータ208及びステータ206に向く、第1のカバーアセンブリ220Aの側面が示してある。図3Cは、図3Aの線A-Aに沿って取られた、第1のカバーアセンブリ220Aの供給ノズル部分230Aの断面図である。
【0048】
図3A図3Cに示されている例示的なカバーアセンブリ220Aは、第1の供給ノズル部分230Aから第1のカバーアセンブリ220Aを通して油の流れを案内して第1のカバーアセンブリ220Aに形成された複数の開口225Aから排出するための、1つ又は複数の開口、通路、構造体などを含むことができる。図3A図3Cに示されている例示的な構成では、第1の供給ノズル部分230Aは、第1のカバーアセンブリ220Aの第1側部分222A及び第2側部分224Aの間に画定された第1の入口通路235Aへと油を案内する。油は、入口通路235Aから、第1のカバーアセンブリ220Aの内部全体にわたって実質的に円周方向に分配され得る。上で言及したように、開口225Aは、ステータ206の対応する軸方向端部分における、ステータ端部巻線205及び/又はバスバー210の配置に対応するように形成され得る。したがって、油は、例えば圧力下で、入口通路235Aから第1のカバーアセンブリ220Aの第2側部分224Aに形成された複数の開口225Aを通って押し出されて、ステータ206の対応する軸方向端部分においてバスバー210及び/又はステータ端部巻線205を冷却することができる。
【0049】
図3Dは、図1Cに示されているようにデュアル駆動システムの2つの隣接した電気モータの間に位置決めされることになる共有カバーアセンブリとして構成された例示的なカバーアセンブリ220Aの第1の供給ノズル部分230Aにおいて取られた断面図である。この構成では、第1の供給ノズル部分230Aは、第1側部分222A(例えば2つの電気モータのうちの1つ目に向いた側面部分)及び第2側部分224A(例えば2つの電気モータのうちの2つ目に向いた側面部分)の間に画定された第1の入口通路235Aへと油を案内する。油は、入口通路235Aから、第1のカバーアセンブリ220Aの内部全体にわたって実質的に円周方向に分配され得る。第1側部分222Aの開口225Aは、2つの電気モータのうちの1つ目の、ステータ206の対応する軸方向端部分における、ステータ端部巻線205及び/又はバスバー210の配置に対応するように形成され得る。第2側部分224Aの開口225Aは、2つの電気モータの2つ目の、ステータ206の対応する軸方向端部分における、ステータ端部巻線205及び/又はバスバー210の配置に対応するように形成され得る。したがって、油は、例えば圧力下で、入口通路235Aから第1のカバーアセンブリ220Aの第1側部分222A及び第2側部分224Aに形成された複数の開口225Aを通って押し出されて、2つの電気モータのそれぞれの、ステータ206の対応する軸方向端部分においてバスバー210及び/又はステータ端部巻線205を冷却することができる。
【0050】
図2A図2Cに示されている第2のカバーアセンブリ220Bの、図4Aは第1の斜視図、図4Bは第2の斜視図である。具体的には、図4Aには例示的な第2のカバーアセンブリ220Bの第1の側面(例えば外部に向いた側面)が示してあり、図4Bには第2のカバーアセンブリ220Bの第2の側面(例えば内部に向いた側面)、すなわち図2A図2Cに示されている例示的な電気モータ200のロータ208及びステータ206に向く、第2のカバーアセンブリ220Bの側面が示してある。図4Cは、図4Aの線B-Bに沿って取られた、第2のカバーアセンブリ220Bの第2の供給ノズル部分230Bの断面図である。
【0051】
図4A図4Cに示されている例示的なカバーアセンブリ220Bは、第2の供給ノズル部分230Bから第2のカバーアセンブリ220Bを通して油の流れを案内して複数の開口225Bから排出するための、1つ又は複数の開口、通路、構造体などを含むことができる。図4A図4Cに示されている例示的な構成では、第2の供給ノズル部分230Bは、第2のカバーアセンブリ220Bの第1側部分222B(例えば外部に向いた側面部分)及び第2側部分224B(例えば内部に向いた側面部分)の間に画定された第2の入口通路235Bへと油を案内する。油は、入口通路235Bから、第2のカバーアセンブリ220Bの内部全体にわたって実質的に円周方向に分配され得る。上で言及したように、開口225Bは、ステータ206の対応する軸方向端部分における、ステータ端部巻線205及び/又はバスバー210の配置に対応するように形成され得る。したがって、油は、例えば圧力下で、入口通路235Bから第2のカバーアセンブリ220Bの内部に向いた側面部分224Bに形成された複数の開口225Bを通って押し出されて、ステータ206の対応する軸方向端部分においてバスバー210及び/又はステータ端部巻線205を冷却することができる。
【0052】
図4Dは、図1Cに示されているようにデュアル駆動システムの2つの隣接した電気モータの間に位置決めされることになる共有カバーアセンブリとして構成された例示的なカバーアセンブリ220Bの第2の供給ノズル部分230Bにおいて取られた断面図である。この構成では、第2の供給ノズル部分230Bは、第1側部分222B(例えば2つの電気モータのうちの1つ目に向いた側面部分)及び第2側部分224B(例えば2つの電気モータの2つ目に向いた側面部分)の間に画定された第2の入口通路235Bへと油を案内する。油は、入口通路235Bから、共有カバーアセンブリとして機能する第2のカバーアセンブリ220Bの内部全体にわたって実質的に円周方向に分配され得る。第1側部分222Bの開口225Bは、2つの電気モータのうちの1つ目の、ステータ206の対応する軸方向端部分における、ステータ端部巻線205及び/又はバスバー210の配置に対応するように形成され得る。第2側部分224Bの開口225Bは、2つの電気モータの2つ目の、ステータ206の対応する軸方向端部分における、ステータ端部巻線205及び/又はバスバー210の配置に対応するように形成され得る。したがって、油は、例えば圧力下で、入口通路235Bからカバーアセンブリ220Bの第1側部分222B及び第2側部分224Bに形成された複数の開口225Bを通って押し出されて、2つの電気モータのそれぞれの、ステータ206の対応する軸方向端部分においてバスバー210及び/又はステータ端部巻線205を冷却することができる。
【0053】
図2A図2Cに示されている例示的な電気モータ200の一部分の、図5Aは側面図、図5Bは斜視図、図5Cは部分斜視図であり、例示的なカバーアセンブリ220の一部分は、バスバー210の部分及びステータ端部巻線205の部分が見て取れるように取り除かれている。
【0054】
図5A図5Cに示されているように、複数のバスバー210は、隣接したバスバー210の間に空間が形成された状態で、ステータ端部巻線205に対して円周方向に配置されている。図5Aの矢印Fによって示されているように、隣接したバスバー210の間に形成された空間により、隣接したバスバー210の間に油が流れることが容易になる。図5A図5Cに示されている例では、複数のバスバー210のそれぞれは、個々に製作され、例えば誘電材料で個々に被覆されるか又は粉末で被覆される。内側保持部240及び外側保持部250により、ステータ端部巻線205及びバスバー210の相対的位置が維持される。いくつかの例では、内側保持部240及び/又は外側保持部250は、射出成型された材料で作成され得る。図5A図5Cに示されているように、外側保持部250は、隣接した脚252の間に複数の開口254又は窓254を画定する複数の脚252を含む。脚252は、バスバー210のうちの1つに結合された第1の端部分、及びステータ206に結合された第2の端部分を有する。図5Aの矢印Fによって示されているように、開口254又は窓254により、複数のバスバー210及びステータ端部巻線205に油が流れることがさらに容易になる。外側保持部の脚252及び開口/窓254の例示的な構成は、議論及び例示の目的で提供されている。外側保持部250は、例えばロータ208のサイズ、ステータ端部巻線205のサイズ、冷却流量、冷却流要件、及び他のこうした要因に応じて、隣接した脚252の間により多いか又はより少ない開口/窓254を画定するより多いか又はより少ない脚252を含んでもよい。
【0055】
いくつかの例では、隣接したバスバー210の間の空間、及び/又は外側保持部250の脚252の間の空間によって形成された開口254又は窓254により、バスバー210及びステータ端部巻線205が設置された空洞、及び図2A図2Cに示されている排液チャネル290から冷却油が排液されることが容易になり得る。つまり、いくつかの状況では、冷却のために循環してきた油の排液が非効率的及び/又は不十分であることにより、ホットスポット、フォーミング、高い粘性損失、過熱などが生じ得る。隣接したバスバー210の間の間隔、及び外側保持部250の隣接した脚の間の開口254又は窓254によって提供される向上した排液特性により、電気モータ200の全体的な性能、機能及び信頼性を向上させることができる。
【0056】
本明細書で説明する実装による両面型軸方向ステータ冷却システムは、ステータの対応する軸方向端部分に少なくとも1つのカバーアセンブリを含む。少なくとも1つのカバーアセンブリは、例えば冷却流体の供給源と流体連通した供給ノズル部分を介して冷却流体を受けることができ、カバーアセンブリから軸方向に、ステータに向かって冷却流体を排出することができる。カバーアセンブリのリング部分に画定された複数の開口により、カバーアセンブリから軸方向に冷却流体を排出することが容易になる。例えば図1A図1Gに関して上で言及したように、カバーアセンブリの複数の開口は、必ずしも同じサイズ及び/又は形状ではなく、必ずしも均一に及び/又は対称的に配置されない。カバーアセンブリからステータに向かって軸方向に冷却流体を排出することにより、ステータ端部巻線、バスバーなどに冷却を仕向けることができ、冷却流体のより均一な流れの分配が提供され、したがって電気モータの全体的な冷却を向上させ、全体的なシステムの性能及び信頼性を向上させることができる。
【0057】
本明細書で使用される「実質的に」及び「約」などの用語は、処理時のばらつきによるものなどの小さい揺らぎを説明及び釈明するために使用される。また、本明細書で使用されるとき、「a」又は「an」などの不定冠詞は、「少なくとも1つの」を指す場合がある。
【0058】
上記の概念及び以下でより詳細に論じる追加の概念の全ての組み合わせが(こうした概念が相互に矛盾しないことを条件として)、本明細書で開示する本発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求の範囲に係る主題の全ての組み合わせが、本明細書で開示する本発明の主題の一部であると考えられる。
【0059】
いくつかの実装について説明してきた。とは言え、本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正が行われ得ることが理解されるであろう。
【0060】
さらに、本明細書で示すいかなる論理の流れも、望ましい結果を実現するために、示されている特定の順序又は連続した順序を必要としない。さらに、他の処理が提供されてもよく、又は説明された流れから処理が削除されてもよく、他の構成要素が説明されたシステムに追加され、及び/又は説明されたシステムから取り除かれてもよい。したがって、他の実装が以下の特許請求の範囲に記載の範囲内に含まれる。
【0061】
説明した実装の特定の特徴が、本明細書で説明するように示されてきたが、今や多くの修正、置換、変更、及び均等物が当業者には思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、これらの実装の範囲に含まれる全てのこうした修正及び変更を包含するように意図されていることが理解されるべきである。それらは限定ではなく単なる例として提示されており、形態及び詳細の様々な変更が行われてよいことを理解されたい。相互に排他的な組み合わせを除き、本明細書で説明する装置及び/又は方法の任意の部分が任意の組み合わせで組み合わされてよい。本明細書で説明する実装は、説明されている異なる実装の機能、構成要素及び/又は特徴の様々な組み合わせ及び/又は副次的組み合わせを含んでもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】