(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】化学気相堆積装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20241022BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20241022BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 B
H01L21/31 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525955
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2022119603
(87)【国際公開番号】W WO2023124270
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111666778.2
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524155884
【氏名又は名称】中微半導体設備(上海)股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc. China
【住所又は居所原語表記】188 Taihua Road, Jinqiao Export Processing Zone (South Area), Pudong, Shanghai 201201, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尹 志▲ギョウ▼
(72)【発明者】
【氏名】張 海龍
(72)【発明者】
【氏名】▲ホウ▼ 云玲
(72)【発明者】
【氏名】▲ソウ▼ 海
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030KA00
5F045AA03
5F045AA06
5F045AB01
5F045AB02
5F045AD10
5F045AD11
5F045AE01
5F045BB02
5F045DP04
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EB02
5F045EJ04
5F045EJ10
5F045EK11
5F045EM10
(57)【要約】
本発明は、化学気相堆積装置及びその方法を開示し、当該装置は、給気口および排気口を有し、その内部には、基板を載置するためのサセプタが設置される反応室と、前記反応室の外側に設置され、その内壁と前記反応室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングと、前記収容空間内に設置され、前記反応室の外壁を介して前記基板を加熱するための複数の放射熱源と、前記収容空間および前記反応室内の気圧を独立して調整および制御するための気圧調整装置とを含む。その利点は、当該装置の収容空間内の気圧が大気圧よりも小さいため、反応室の壁にかかる圧力を低減させるとともに、放射熱源の熱伝達効率に影響を与えることなく、反応室内の反応領域に対する加熱の均一性を向上させ、基板への薄膜堆積の均一性が確保され、基板生産の歩留まりを向上することである。
【選択図】
図3a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気口および排気口を有し、その内部には、基板を載置するためのサセプタが設置される反応室と、
前記反応室の外側に設置され、その内壁と前記反応室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングと、
前記収容空間内に設置され、前記反応室の外壁を介して前記基板を加熱するための複数の放射熱源と、
前記反応室および前記収容空間内の気圧を独立して調整および制御するための気圧調整装置とを含む、ことを特徴とする化学気相堆積装置。
【請求項2】
前記収容空間内のガスの流れを促進するためのガス駆動装置をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の化学気相堆積装置。
【請求項3】
前記ガス駆動装置は、前記収容空間内に設置され、ガスが前記収容空間内に前記反応室の外壁および前記外部ハウジングの内壁の周囲を流れるように駆動し、前記外部ハウジングには第1熱交換装置がさらに設置される、ことを特徴とする請求項2に記載の化学気相堆積装置。
【請求項4】
前記反応室は、前記給気口に対応する給気領域、前記排気口に対応する排気領域、および前記給気領域と前記排気領域との間に位置する反応領域を含み、
前記反応室の外壁に複数の補強リブがさらに設置されており、反応領域の外壁に位置する補強リブの密度は、両側の前記給気領域または前記排気領域の外壁に位置する補強リブの密度よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の化学気相堆積装置。
【請求項5】
前記反応室は、前記給気口に対応する給気領域、前記排気口に対応する排気領域、および給気領域と排気領域との間に位置する反応領域を含み、
反応領域の外壁に1つの反応領域補強リブが設置され、前記反応領域補強リブの下方向への投影は基板の中心を貫通し、前記反応領域補強リブに隣接する補強リブが、前記給気領域または前記排気領域に対応する反応室の外壁に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の化学気相堆積装置。
【請求項6】
前記補強リブおよび前記反応室はいずれも石英で製造してなる、ことを特徴とする請求項4または5に記載の化学気相堆積装置。
【請求項7】
前記反応室の底部は、下方に延在する延長管を含み、回転軸が前記延長管内に設置され、前記回転軸の頂部は、前記基板が反応室内で回転するように、前記サセプタを支持して駆動するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の化学気相堆積装置。
【請求項8】
前記反応室は、ドーム状の頂壁を含み、前記基板の縁部から前記頂壁までの高さは、H1であり、前記基板の中心から前記頂壁までの高さは、H2であり、前記H2<1.05*H1である、ことを特徴とする請求項1に記載の化学気相堆積装置。
【請求項9】
前記反応室の両端は、第1フランジおよび第2フランジを含み、前記第1フランジおよび第2フランジがそれぞれ、前記外部ハウジングにおける第1留め具および第2留め具に密着される、ことを特徴とする請求項1に記載の化学気相堆積装置。
【請求項10】
前記外部ハウジングは、天板、底板および側壁を含み、前記天板、底板および側壁が、前記反応室の外壁、前記第1留め具および前記第2留め具とともに収容空間を形成する、ことを特徴とする請求項9に記載の化学気相堆積装置。
【請求項11】
前記外部ハウジングは、アルミニウム製であり、前記第1留め具および前記第2留め具は、ステンレス鋼製である、ことを特徴とする請求項9に記載の化学気相堆積装置。
【請求項12】
前記外部ハウジング、前記第1留め具および前記第2留め具の内部には、冷却液配管が設置されている、ことを特徴とする請求項9に記載の化学気相堆積装置。
【請求項13】
前記収容空間と連通して閉回路を形成する温度制御回路をさらに含み、前記閉回路の内部には、ガスを閉回路内に流すように駆動する前記ガス駆動装置と、前記閉回路内のガスを冷却するための第2熱交換装置とが含まれる、ことを特徴とする請求項2に記載の化学気相堆積装置。
【請求項14】
前記温度制御回路内のガスは、前記収容空間の頂部および/または底部から前記収容空間に流入し、前記収容空間内のガスは、前記収容空間の両側を通して前記収容空間から流出する、ことを特徴とする請求項13に記載の化学気相堆積装置。
【請求項15】
前記ガスは、空気、ヘリウムガス、窒素ガス、または、窒素とヘリウムとの混合物である、ことを特徴とする請求項13に記載の化学気相堆積装置。
【請求項16】
前記温度制御回路と連通する温度制御サブ回路をさらに含み、前記温度制御サブ回路は、内部気圧が前記収容空間内の気圧よりも高い第1容器と、内部気圧が前記収容空間内の気圧よりも低い第2容器とを含む、ことを特徴とする請求項13に記載の化学気相堆積装置。
【請求項17】
前記外部ハウジングの排気端は、外部ハウジング端板を含み、前記外部ハウジング端板と前記第1留め具との間に隙間が存在し、第1留め具に押圧力を与える少なくとも1つの圧力装置が、前記隙間内または外部ハウジングの外側に設置される、ことを特徴とする請求項9に記載の化学気相堆積装置。
【請求項18】
基板を反応室内のサセプタに導入するステップと、
前記収容空間内の気圧が大気圧よりも小さくなるように、気圧調整装置を利用して収容空間内の気圧を調整および制御するステップと、
反応室内で化学気相堆積プロセスを実行するステップと、
ガス駆動装置を利用して、前記収容空間内のガスを流すように駆動するステップとを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の化学気相堆積装置を利用した堆積方法。
【請求項19】
気圧調整装置を使用して、前記収容空間内の気圧を0.1~0.6気圧にする、ことを特徴とする請求項18に記載の堆積方法。
【請求項20】
エピタキシャル成長用処理装置であって、
両端に給気口および排気口が設置され、その内部に基板を載置するためのサセプタが設置される反応室であって、前記給気口に対応する給気領域と、前記排気口に対応する排気領域と、前記給気領域と前記排気領域との間に位置する反応領域とを含み、前記給気口と排気口は前記サセプタに平行な反応ガス流を形成するために用いられる、反応室と、
前記反応室の外側に設置され、その内壁と前記反応室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングであって、前記収容空間が第1気圧調整装置と接続される、外部ハウジングと、
前記収容空間内に設置され、それぞれが前記反応室の外側に設置されて前記基板を加熱する複数の放射熱源とを含む、ことを特徴とする処理装置。
【請求項21】
前記反応室は、その外壁に設置される複数の補強リブをさらに含み、反応領域の外壁に位置する補強リブの密度は、両側の給気領域または排気領域の外壁に位置する補強リブの密度よりも小さい、ことを特徴とする請求項20に記載の処理装置。
【請求項22】
前記反応室の底部は、下方に延在する延長管を含み、回転軸が延長管内に設置され、前記回転軸の頂部は、前記サセプタが反応室内で回転するように、前記サセプタを支持して駆動するために用いられる、ことを特徴とする請求項20に記載の処理装置。
【請求項23】
前記収容空間と連通して閉回路を形成する温度制御回路をさらに含み、前記閉回路の内部には、ガスを閉回路内に流すように駆動するガス駆動装置と、前記ガスを冷却するための熱交換装置とが含まれる、ことを特徴とする請求項20に記載の処理装置。
【請求項24】
前記反応室と連通する第2気圧調整装置をさらに含み、前記第1気圧調整装置と第2気圧調整装置は、エピタキシャル成長を実行する際、前記収容空間内の気圧が大気圧よりも低く、かつ前記反応室内の気圧よりも高くなるように独立して制御される、ことを特徴とする請求項20に記載の処理装置。
【請求項25】
前記収容空間内のガスの流れを促進するためのガス駆動装置をさらに含む、ことを特徴とする請求項20に記載の処理装置。
【請求項26】
給気口および排気口を有し、その内部には、基板を載置するためのサセプタが設置される真空処理室と、
前記真空処理室の外側に設置され、その内壁と前記真空処理室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングと、
前記収容空間内に設置され、前記真空処理室の外壁を介して前記基板を加熱するための複数の放射熱源と、
前記真空処理室内と前記収容空間内の気圧を独立して調整および制御するための気圧調整装置とを含み、
前記真空処理室の両端は、第1フランジと第2フランジを含み、前記第1フランジと第2フランジはそれぞれ、前記外部ハウジングにおける第1留め具と第2留め具に密着され、
前記外部ハウジングの排気端は、外部ハウジング端板を含み、前記外部ハウジング端板と前記第2留め具との間に隙間が存在し、少なくとも1つの圧力装置が、前記第2留め具に押圧力を与えるために、前記隙間内または外部ハウジングの外側に設置される、ことを特徴とする真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体設備の分野に関し、具体的には、化学気相堆積装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的に、プラズマエッチング、物理気相堆積(Physical Vapor Deposition、PVDと略す)、化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition、CVDと略す)などのプロセス方法を用いて、例えば、フレキシブルディスプレイスクリーン、フラットパネルディスプレイ、発光ダイオード、太陽電池などを製造するような半導体プロセス部品や基板などの微細加工を行う。微細加工には、様々なプロセスおよびステップが含まれるが、そのうち、化学気相堆積プロセスが広く使用されており、当該プロセスを用いて、幅広い絶縁材料、ほとんどの金属材料、および金属合金材料を含む様々な材料を堆積することができる。このプロセスは、通常、高真空の反応室内で実行される。
【0003】
半導体デバイスのサイズが縮小し、デバイスの集積度が高まるにつれて、化学気相堆積により形成される薄膜の均一性に対する要求がますます高まっている。化学気相堆積装置の性能は、度重なる改良により大幅に向上してきたが、薄膜堆積の均一性には依然として多くの欠点があり、特に基板のサイズが日々増大するにつれ、従来の気相堆積方法および装置では薄膜の均一性の要求を満たすことが困難になってきている。
【0004】
薄膜の堆積プロセスにおいて、反応ガスの流れの方向や分布、基板の加熱温度場、反応室内の圧力分布状況などの、様々なプロセス条件が基板表面への薄膜堆積の均一性に影響を与える。反応室内の反応領域のプロセス環境が完全に一致していない場合、基板の表面に堆積された薄膜には不均一な厚さ、不均一な組成、不均一な物性などの不良が発生し、それによって基板生産の歩留まりが低下する。したがって、基板への薄膜堆積の均一性を向上させるために、従来の化学気相堆積装置を改良する必要がある。また、シリコンまたはシリコンゲルマニウム材料のエピタキシャル成長プロセスでは、これらのエピタキシャル材料は通常、半導体デバイスの最下層であるため、臨界寸法(CD)が非常に小さく、通常はわずか数ナノメートルであり、長時間の高温に耐えることができず、長時間加熱すると半導体デバイスが損傷するため、非常に短時間で基板をシリコン材料のエピタキシャル成長に十分な温度、例えば、600~700度まで加熱する必要がある。このような厳しい加熱要求のため、シリコンエピタキシャルプロセスでは通常、高出力加熱ランプを用いて、石英製の透明な反応室を介して、反応室内に位置する基板を加熱する。反応室内の気圧が石英反応室の外側の大気圧よりもはるかに低いため、キャビティ内外の大きな圧力差による反応室の構造の変形や破損を防ぐためには、キャビティに耐圧構造を設計する必要がある。例えば、大気圧に耐えられるように、上下の石英壁を平板状とした反応室の周囲に複数の補強リブを設置したり、上下の石英壁をドーム状に設計したりする。これらの石英製の外壁は、大気圧に耐えながら、できるだけ多くの放射エネルギーが反応室の内部に浸透できるように、通常6~8mmの壁厚を有する。この2種類の構造にはそれぞれ一長一短があり、平板状のキャビティの場合、ガス流がキャビティ全体を流れる際の安定した分布を確保できるが、上部に多数の補強リブ(10本よりも多い)があるため、加熱用の放射光を遮蔽して、温度分布が不均一になる。ドーム状の反応室の場合、温度分布がより均一であるが、ガス流がドーム状の反応領域に流入する際に、大量の無秩序な乱流が発生するため、ガス流の分布を調整および制御することが困難になる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、化学気相堆積装置およびその方法を提供することであり、当該装置は、反応室、外部ハウジングおよび気圧調整装置などを組み合わせ、プロセスにおいて、気圧調整装置により、反応室と外部ハウジングとの間の収容空間内の気圧を大気圧よりも低くし、反応室内外の圧力差を低減させ、反応室にかかる圧力を緩和させるため、反応室の壁に多くの耐圧バーを設置する必要がなく、放射熱源による熱伝達の均一性および反応室内の反応領域の加熱の均一性が確保され、基板への薄膜堆積の均一性が向上し、基板生産の歩留まりを向上させる。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を用いる。
【0007】
給気口および排気口を有し、その内部には、基板を載置するためのサセプタが設置される反応室と、
前記反応室の外側に設置され、その内壁と前記反応室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングと、
前記収容空間内に設置され、前記反応室の外壁を介して前記基板を加熱するための複数の放射熱源と、
前記反応室および前記収容空間内の気圧を独立して調整および制御するための気圧調整装置とを含む化学気相堆積装置。
【0008】
前記収容空間内のガスの流れを促進するためのガス駆動装置をさらに含んでもよい。
【0009】
前記ガス駆動装置は、前記収容空間内に設置され、ガスが前記収容空間内において前記反応室の外壁および前記外部ハウジングの内壁の周囲を流れるように駆動し、前記外部ハウジングには第1熱交換装置がさらに設置されてもよい。
【0010】
前記反応室は、給気口に対応する給気領域、前記排気口に対応する排気領域、および給気領域と排気領域との間に位置する反応領域を含み、
前記反応室の外壁に複数の補強リブがさらに設置されており、反応領域の外壁に位置する補強リブの密度は、両側の給気領域または排気領域の外壁に位置する補強リブの密度よりも小さくてもよい。
【0011】
前記反応室は、給気口に対応する給気領域、前記排気口に対応する排気領域、および給気領域と排気領域との間に位置する反応領域を含み、
反応領域の外壁に1つの反応領域補強リブが設置され、前記反応領域補強リブの下方向への投影は基板の中心を貫通し、反応領域補強リブに隣接する補強リブが、給気領域または排気領域に対応する反応室の外壁に位置してもよい。
【0012】
前記補強リブおよび前記反応室はいずれも石英で製造してなってもよい。
【0013】
前記反応室の底部は、下方に延在する延長管を含み、回転軸が前記延長管内に設置され、前記回転軸の頂部は、前記基板が反応室内で回転するように、前記サセプタを支持して駆動するために用いられてもよい。
【0014】
前記反応室は、ドーム状の頂壁を含み、前記基板の縁部から前記頂壁までの高さは、H1であり、前記基板の中心から前記頂壁までの高さは、H2であり、前記H2<1.05*H1であってもよい。
【0015】
前記反応室の両端は、第1フランジおよび第2フランジを含み、前記第1フランジおよび第2フランジがそれぞれ、外部ハウジングにおける第1留め具および第2留め具に密着されてもよい。
【0016】
前記外部ハウジングは、天板、底板および側壁を含み、前記天板、底板および側壁が、前記反応室の外壁、第1留め具および第2留め具とともに収容空間を形成してもよい。
【0017】
前記外部ハウジングは、アルミニウム製であり、第1留め具および第2留め具は、ステンレス鋼製であってもよい。
【0018】
前記外部ハウジング、第1留め具および第2留め具の内部には、冷却液配管が設置されていてもよい。
【0019】
前記収容空間と連通して閉回路を形成する温度制御回路をさらに含み、前記閉回路の内部には、ガスを閉回路内に流すように駆動する前記ガス駆動装置と、前記閉回路内のガスを冷却するための第2熱交換装置とが含まれてもよい。
【0020】
前記温度制御回路内のガスは、前記収容空間の頂部および/または底部から前記収容空間に流入し、前記収容空間内のガスは、前記収容空間の両側を通して前記収容空間から流出してもよい。
【0021】
前記ガスは、空気、ヘリウムガス、窒素ガス、または、窒素とヘリウムとの混合物であってもよい。
【0022】
前記温度制御回路と連通する温度制御サブ回路をさらに含み、前記温度制御サブ回路は、内部気圧が前記収容空間内の気圧よりも高い第1容器と、内部気圧が前記収容空間内の気圧よりも低い第2容器とを含んでもよい。
【0023】
前記外部ハウジングの排気端は、外部ハウジング端板を含み、前記外部ハウジング端板と前記第1留め具との間に隙間が存在し、第1留め具に押圧力を与える少なくとも1つの圧力装置が、前記隙間内または外部ハウジングの外側に設置されてもよい。
【0024】
前記化学気相堆積装置を利用した堆積方法は、
基板を反応室内のサセプタに導入するステップと、
前記収容空間内の気圧が大気圧よりも小さくなるように、気圧調整装置を利用して収容空間内の気圧を調整および制御するステップと、
反応室内で化学気相堆積プロセスを実行するステップと、
ガス駆動装置を利用して、前記収容空間内のガスを流すように駆動するステップとを含んでもよい。
【0025】
気圧調整装置を使用して、前記収容空間内の気圧を0.1~0.6気圧にしてもよい。
【0026】
エピタキシャル成長用処理装置であって、
両端に給気口および排気口が設置され、その内部に基板を載置するためのサセプタが設置される反応室であって、前記給気口に対応する給気領域と、前記排気口に対応する排気領域と、給気領域と排気領域との間に位置する反応領域とを含み、前記給気口と前記排気口は前記サセプタに平行な反応ガス流を形成するために用いられる、反応室と、
前記反応室の外側に設置され、その内壁と前記反応室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングであって、前記収容空間が前記第1気圧調整装置と接続される、外部ハウジングと、
前記収容空間内に設置され、それぞれが前記反応室の外側に設置されて前記基板を加熱する複数の放射熱源とを含む処理装置であってもよい。
【0027】
前記反応室は、その外壁に設置される複数の補強リブをさらに含み、反応領域の外壁に位置する補強リブの密度は、両側の給気領域または排気領域の外壁に位置する補強リブの密度よりも小さくてもよい。
【0028】
前記反応室の底部は、下方に延在する延長管を含み、回転軸が前記延長管内に設置され、前記回転軸の頂部は、前記サセプタが反応室内で回転するように、前記サセプタを支持して駆動するために用いられてもよい。
【0029】
前記収容空間と連通して閉回路を形成する温度制御回路をさらに含み、前記閉回路の内部には、ガスを閉回路内に流すように駆動するガス駆動装置と、前記ガスを冷却するための熱交換装置とが含まれてもよい。
【0030】
前記反応室と連通する第2気圧調整装置をさらに含み、前記第1気圧調整装置と第2気圧調整装置は、エピタキシャル成長を実行する際、前記収容空間内の気圧が大気圧よりも低く、かつ前記反応室内の気圧よりも高くなるように独立して制御されてもよい。
【0031】
前記収容空間内のガスの流れを促進するためのガス駆動装置をさらに含んでもよい。
【0032】
真空処理装置であって、
給気口および排気口を有し、その内部には、基板を載置するためのサセプタが設置される真空処理室と、
前記真空処理室の外側に設置され、その内壁と前記真空処理室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングと、
前記収容空間内に設置され、前記真空処理室の外壁を介して前記基板を加熱するための複数の放射熱源と、
前記真空処理室内と前記収容空間内の気圧を独立して調整および制御するための気圧調整装置とを含み、
前記真空処理室の両端は、第1フランジと第2フランジを含み、前記第1フランジと第2フランジはそれぞれ、外部ハウジングにおける第1留め具と第2留め具に密着され、
前記外部ハウジングの排気端は、外部ハウジング端板を含み、前記外部ハウジング端板と前記第2留め具との間に隙間が存在し、少なくとも1つの圧力装置が、前記第2留め具に押圧力を与えるために、前記隙間内または外部ハウジングの外側に設置される真空処理装置であってもよい。
【0033】
従来の技術と比較して、本発明は、以下の利点を有する。
本発明の化学気相堆積装置およびその方法においては、当該装置は、反応室、外部ハウジング、放射熱源、および気圧調整装置が組み合わされており、プロセスにおいて、気圧調整装置によって、反応室と外部ハウジングとの間の収容空間内の気圧を大気圧より低くし、当該装置により、反応室内の反応領域の加熱均一性を確保するとともに、反応室内の基板の薄膜堆積プロセスの正常な進行を確保しながら、反応室の壁にかかる圧力を低減し、放射熱源の熱供給効率と反応室内のガス流の均一性を向上させ、基板薄膜の堆積効果を確保した。
【0034】
さらに、当該装置は、収容空間とともに閉回路を形成する温度制御回路をさらに含み、第2ガス駆動装置および第2熱交換装置を介して当該閉回路内での冷却ガスの流れと熱交換を実現し、反応室の冷却効率を向上させる。
【0035】
さらに、当該装置は、収容空間と圧力差のある第1容器および第2容器を含む温度制御サブ回路をさらに含み、反応室の短期間内の急速冷却を実現し、所望のプロセス効果を達成し、薄膜堆積プロセスの調整および制御を実現し、基板のエッチング品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の化学気相堆積装置の簡略化した概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の化学気相堆積装置内のガスの流れを示す概略図である。
【
図3a】
図3aは、本発明の実施例1による化学気相堆積装置の概略図である。
【
図3b】
図3bは、本発明の別の実施例による化学気相堆積装置の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1による反応室の概略構造図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1による別の化学気相堆積装置の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1による別の化学気相堆積装置内のガスの流れを示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1による更なる別の化学気相堆積装置の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2による化学気相堆積装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段および利点をより明確にするために、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を以下に明確かつ完全に説明する。明らかなように、説明される実施例は、本発明の実施例の一部であり、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0038】
なお、本明細書において、「含む」、「含有」、「有する」という用語、またはその他のすべての変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、それによって、一連の要素を含むプロセス、方法、物品または端末装置がこれらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素を含むか、またはそのようなプロセス、方法、物品、または端末装置に固有の要素も含む。さらなる制限なしに、「……を含む」または「……を含有する」という言葉によって定義される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品または端末装置において、追加の要素の存在を排除するものではない。
【0039】
なお、添付の図面はいずれも、非常に簡略化された形式であり、不正確な比率で示され、本発明の一実施例を容易かつ明確に説明するためにのみ用いられる。
【0040】
図1および
図2は、本発明の化学気相堆積装置(CVD)の概略図であり、当該装置は、その内部に処理空間が形成される反応室110を含み、処理空間の内部には、材料を基板Wの上面に堆積することを含む化学気相堆積プロセスを実行するように、1つまたは複数の基板Wを載置するためのサセプタ120が設置される。前記反応室110の反応キャビティは、頂端に位置する上壁111、底端に位置する下壁112、および上壁111と下壁112との間に両側に延在する側壁113を有する。前記上壁111および下壁112は、熱放射を透過できる光学的に透明または半透明の材料(例えば、特定の赤外線帯域に対して透明な石英材料)で製造されるが、これに限られない。
図4を参照すると、前記反応室110の一端には、給気口に対応する給気領域が設けられ、他端には、排気口に対応する排気領域、および給気領域と排気領域との間に位置する反応領域が設けられ、前記基板Wが前記反応領域内に位置し、堆積用の反応ガスが給気口から反応室110に流入し、反応領域で化学気相堆積プロセスが実行され、排気口を通して反応室110から流出する。
【0041】
さらに、当該装置は、熱エネルギーを反応室110および基板Wに提供する複数の放射熱源130をさらに含み、各放射熱源130が、前記反応室110およびその内部の基板Wを加熱するために、前記反応室110の外側に設置される。前記放射熱源130は、透明な石英ハウジング、およびヨウ素などのハロゲンガスを含む高強度タングステン線ランプであるが、これに限られない。前記高強度タングステン線ランプによって生成された放射熱エネルギーのごく一部のみが上壁111または下壁112に吸収され、これにより、各放射熱源130によって生成される熱エネルギーが、反応室110内の基板Wおよびサセプタ120に最大限に到達することが確保される。プロセスの処理中に、各放射熱源130によって、化学気相堆積装置の反応室110の内部および基板Wを必要なプロセス温度に加熱し、その結果、反応室110内の反応ガスを熱分解し、薄膜材料を基板Wの上面に堆積させる。堆積される薄膜材料は、シリコンやゲルマニウムなどの半導体材料であるが、これらに限られず、III族、IV族、および/またはV族材料などの、他のドープされた材料を含むことができる。
【0042】
ほとんどの化学気相堆積プロセスは、通常、高温および高真空条件下で実行する必要があるが、反応室110は通常、比較的高温に加熱され、かつ反応室110内の気圧が大気圧よりもはるかに低く、反応室110の内外の圧力差が比較的大きく、壁にかかる圧力も非常に大きい。反応室110の壁厚を増加させることによって、反応室110の耐圧能力を向上させると、反応室110の壁が厚すぎるため、多くの熱放射を吸収し、それによって放射熱源130から反応室110内の基板への熱エネルギーの伝達効率が低下し、基板がプロセス温度に到達するのに必要な電力が増加する。一方、耐圧能力を向上させるために反応室110の外側に複数の耐圧バーを均一に増設して反応室110の機械的強度を増加すると、間隔をあけて設置された耐圧バーは、放射熱源130から反応室110に伝達される熱エネルギーを遮断し、その結果、反応室110内の基板W上の熱分布が不均一になり、基板Wへの薄膜堆積の均一性に影響を与えることになる。
【0043】
上述の問題に基づいて、本発明の化学気相堆積装置は、外部ハウジング140をさらに含む。具体的には、前記外部ハウジング140は、前記反応室110の外側に設置され、前記外部ハウジング140の内壁と反応室110の外壁との間に収容空間150が形成される。前記収容空間150および前記反応室110は気圧調整装置と接続され、気圧調整装置は、前記収容空間150および前記反応室110内の気圧を独立して調整および制御するために用いられる。前記気圧調整装置は、真空ポンプであってもよく、2つの配管を介してそれぞれ反応室110および収容空間150と接続され、少なくとも1つの配管には調整可能な抵抗装置が設けられ、これにより、反応室110と収容空間150の気圧は互いに干渉しない。いくつかの他の実施例において、気圧調整装置は、それぞれ反応室110と収容空間150と接続される2つの真空ポンプ、即ち、第1真空ポンプと第2真空ポンプを含むことができ、反応室110および収容空間150内の気圧を、異なる値に独立して調整可能であり、例えば、化学気相堆積プロセスを実行する際、収容空間150内の気圧は大気圧より低く、かつ前記反応室110内の気圧よりも高い。複数の放射熱源130は、前記収容空間150の内部に設置されている。
【0044】
上記から分かるように、プロセスにおいて、外部ハウジング140と反応室110との間の収容空間150の気圧は、大気圧よりも低く、反応室110の内部は、高真空状態にあり、反応室110の内部と収容空間150との間の圧力差の絶対値が、反応室110の内部と大気環境との間の圧力差の絶対値よりも小さく、収容空間150により、反応室110の壁が耐える必要がある圧力は低減する。よって、反応室110の壁に多くの耐圧バーを設置する必要がなく、放射熱源130による熱エネルギー伝達の均一性が確保され、基板Wへの薄膜堆積の均一性が向上する。
【0045】
いくつかの実施例において、当該化学気相堆積装置は、前記収容空間150内のガスの流れを促進するための第1ガス駆動装置161をさらに含む。前記第1ガス駆動装置161の設置位置は、収容空間150内のガスの流れ状態の調整および制御を実現できる限り、特に限定されない。
【0046】
前記第1ガス駆動装置161は、収容空間150内のガスの流れを加速し、収容空間150内で自由に熱運動するガスを集合ガス流に変換し、反応室110の外壁の温度を一定範囲内に下げ、反応室110の外壁の温度を制限温度よりも低くし、これにより、反応ガスが反応室110の内壁に堆積して汚染粒子を形成して落下することを防止し、基板Wが汚染される可能性を低減させる。
【0047】
当該化学気相堆積装置は、エピタキシャル成長のための処理装置であるがこれに限られない。当該装置の反応室110の給気口と排気口が、サセプタ120に平行な反応ガス流を形成し、これにより、基板Wの上方のガス流が均一になり、エピタキシャル成長の均一性をさらに確保する。
実施例1
【0048】
図1~
図4は、本実施例による化学気相堆積装置(CVD)の概略図であり、当該装置は、長方形のガス流空間を有する反応室110(
図4を参照)を含み、前記反応室110が、1つまたは複数の基板Wを処理するために用いられる。前記反応室110の内部には、給気口が設けられる給気領域、排気口が設けられる排気領域、及び給気領域と排気領域との間に位置する反応領域が含まれる。プロセスにおけるガスは、図中の矢印で示す方向に従って給気口から反応室110(
図3aを参照)に水平に流入し、排気ガスが排気口から排出される。当該反応室110は、扁平な直方体構造であり、プロセスにおけるガスが反応室110内で水平に流れ、反応室110内のガス流の均一性を確保し、それによって薄膜堆積プロセスの安定性が確保される。プロセスの実行中に、気圧調整装置は、前記反応室110および前記収容空間150内の気圧を独立して調整および制御し、収容空間150内の気圧を大気圧よりも低くし、放射熱源130は、熱エネルギーを基板Wに提供する。
【0049】
上記から分かるように、プロセスの実行中に、当該化学気相堆積装置の外部ハウジング140と反応室110との間の収容空間150は、低圧状態にあり、それと反応室との間の圧力差は、反応室110と大気環境との間の圧力差よりも小さい。反応室110内での基板Wの薄膜堆積プロセスの正常な進行を確保するとともに、前記収容空間150により、反応室110の壁にかかる圧力を低減させるので、耐圧能力を確保するために、反応室の壁厚を増加するかまたは複数の耐圧バーを増設する必要がなく、放射熱源130の熱エネルギー伝達効率が確保され、熱エネルギーの無駄が回避され、さらに熱エネルギー伝達の均一性が確保される。同時に、方形構造の反応室110内で反応ガスが流れる各断面は常に長方形を維持するため、反応ガスが反応室110内で水平の流れ状態となり、反応室110内のガス流の均一性が確保され、放射熱源130によって提供される均一な熱エネルギーが均一に流れる反応ガスに加えられ、これにより、基板Wへの薄膜堆積の均一性がさらに確保され、基板生産の歩留まりが向上する。
【0050】
さらに、本実施例において、前記第1ガス駆動装置161は、前記収容空間150内に設置され、ガスを、収容空間150内で前記反応室110の外壁および前記外部ハウジングの内壁の周囲に流すように駆動する。前記収容空間150内を流れるガスは、反応室110の外壁から熱を奪い、反応室110の冷却を実現し、反応室110の内壁への汚染物質の付着を防止する。前記第1ガス駆動装置161は、ファンであり、収容空間150内のガスの流れを促進するために、前記反応室110の両側にはそれぞれ、第1ガス駆動装置161が設置されるが、これに限られない。
【0051】
収容空間150の温度制御効果をさらに向上させるために、当該化学気相堆積装置は、第1熱交換装置162をさらに含み、前記第1熱交換装置162および前記第1ガス駆動装置161の両方が収容空間150の内部に設置される。前記第1熱交換装置162は、収容空間150内を流れるガスの温度が常に反応室110の温度よりも低くなるように、収容空間150内を流れるガスと熱交換を行う。前記第1ガス駆動装置161は、収容空間150内のガスを、反応室110および外部ハウジングによって形成される回路を流れるように駆動し、反応室110の外壁の温度を下げ、汚染物質が反応室110の内壁に堆積することを防止し、同時に当該ガスは反応室110の周囲を流れ、反応室110の外壁の温度を全方向に下げ、反応室110の加熱の均一性が確保される。
【0052】
前記第1熱交換装置162は、熱伝導フィンであるが、これに限られない。好ましくは、ファンは、熱伝導フィンに統合される。当然ながら、前記第1熱交換装置162および第1ガス駆動装置161の種類および設置方法は、上記に限定されず、同様の機能を有する他の構造であってもよく、本発明は、これに限定されない。
【0053】
図2および
図3aに示すように、本実施例において、前記反応室110の底壁には、下方に延在する延長管121が含まれ、回転軸が前記延長管121内に設置され、前記回転軸122の頂部が、サセプタ120を支持して駆動するための複数の支持ロッドを含み、これにより、サセプタ120に載置される基板Wが反応室110内で回転し、基板Wへの薄膜堆積の均一性が確保される。粒子による汚染の危険を減らすために、前記回転軸122は、石英で製造することができるが、これに限られない。さらに、前記延長管121の底部と回転軸122は、磁性流体で封止され、反応室110内の真空環境を確保し、汚染の可能性を低減するとともに、磁性流体は回転軸122の回転に対する抵抗を生じさせず、プロセスの安定性がさらに確保される。
【0054】
本実施例において、収容空間150内の放射熱源130は、熱エネルギーを前記反応室110の反応領域に提供し、反応領域の加熱の均一性を確保する。さらに、放射熱源130の放射熱エネルギーの利用率を確保するために、放射熱源130の反応室110の壁から離れた側に温度制御反射板131を増設し、前記温度制御反射板131が、放射熱源130によって放出される熱エネルギーを反応室110の方向に反射し、これにより、放射熱源130によって生成される熱エネルギーは、最大限まで反応室110内に伝達される。温度制御反射板131には、冷却液配管を設置こともでき、これにより、温度制御反射板131の温度が高くなりすぎて変形を引き起こすことなく、または下方の放射熱源130、即ち加熱ランプの正常な動作を確保する。前記温度制御反射板131は、金反射コーティング、酸化アルミニウムコーティング、酸化チタンコーティング、または他の赤外線反射コーティングであるが、本発明はこれらに限定されない。
【0055】
図3bは、本発明の別の実施例による化学気相堆積反応器の概略図であり、
図3aに示す実施例と比較して、外部ハウジングおよび反応室の排気領域の設計が改善されている。
図3bに示すように、外部ハウジング端板343は、外部ハウジングの天板141および底板142と緊密に接続され、収容空間150’と大気環境との間の気密性を実現する。第1留め具344は、反応室110の第1フランジ115と密接に接続されて外部収容空間との気密性を達成し、少なくとも1つの圧力ロッド345が外部ハウジング端板343と第1留め具344との間に位置し、その結果、第1留め具344が第1フランジ115にしっかりと押し付けられて、反応室110の空間の密閉を実現する。圧力ロッド345は、外部ハウジング端板343を貫通して外部ハウジング外部の大気空間まで延在し、圧力装置346を介して圧力ロッド345に押圧力を与える。圧力装置346は、一端が外部ハウジング端板343の外壁で封止されるシリンダであってもよく、シリンダ内の駆動軸が前記圧力ロッド345を水平に移動するように駆動する。圧力装置346は、圧力ロッド345を取り囲む気密ベローズであってもよく、ベローズの一端が外部ハウジング端板と気密に固定され、他端には、圧力ロッド345の一端と気密に固定される接続部材が設けられていてもよい。ベローズと接続部材は、水平方向に移動可能な密閉空間を形成しており、シリンダやモータなどの、外部ハウジングの外部大気環境にある駆動装置は、接続部材を駆動し、圧力ロッド345を駆動して第1留め具344を第1フランジ115にしっかりと押圧する。このような設計により、反応室110の密閉と外部ハウジング140の密閉構造を互いに独立させることができ、第1留め具344および外部ハウジング140の構造設計の困難性が軽減される。反応室110のキャビティは、常温から安定したプロセス温度に変わる過程で、数百度の温度変化が生じるため、キャビティの体積が大きく膨張するが、キャビティが直方体形状であるため、キャビティの長手方向に沿って体積が最大幅で膨張する。本発明の第1留め具344は、圧縮性シリンダによって駆動されて、押圧力を維持しながら反応室110のキャビティの膨張によるサイズ変化に適応することができ、過度な応力がかかり、反応室110のキャビティが変形したり、破損したりすることがない。上述の実施例で説明した圧力装置346の位置および構造に加えて、本発明は、外部ハウジング端板343と第1留め具344との間に圧力装置346を設置することもでき、圧力装置346が、反応室110のキャビティが気密になるように、圧力ロッド345を介して第1留め具344に圧力を与える。圧力装置346は、外部ハウジング140の内部に設置することができ、第1留め具344に直接圧力を加えて、反応室110のキャビティの気密性を実現する。
【0056】
第1留め具344には、反応室封止カバーおよび排ガス排出管(310)がさらに含まれ、排ガスが排ガス排出管に沿って底板142を通過して外部に排出される。
【0057】
反応室110のキャビティの上方には、反応室内の基板Wの上面を加熱するための頂部放射熱源130aが設置され、反応室110のキャビティの下方にある底部放射熱源130bは、サセプタ120を加熱するために用いられ、これにより、基板Wの上面と下面のいずれも同時に加熱することができる。
【0058】
図3a及び
図4に示すように、反応室110の機械的強度をさらに確保するために、反応室110の外壁に複数の補強リブ114を増設することができる。前記反応室110の反応領域の外壁における補強リブ114の密度は、両側の給気領域または排気領域の外壁における補強リブ114の密度よりも小さいが、これに限られない。本実施例において、前記反応室110の反応領域の外壁には補強リブ114が設けられておらず、吸気領域と排気領域の外壁のみに補強リブ114が設けられており、これにより、前記反応室110の機械的強度を向上させ、その耐圧能力を向上させる。反応領域の外壁には補強リブ114が設けられていないため、放射熱源130から反応室110内の反応領域への熱放射の均一性がさらに確保され、基板Wへの薄膜堆積の均一性がさらに確保される。最適には、ハウジング内部の収容空間の気圧が0.5気圧である場合、反応室の壁厚を8~12mmまでわずかに増やすことができ、これにより、反応領域には補強リブが設けられなくても反応室の構造を維持できる。さらに、収容空間内の気圧を0.3気圧まで下げると、反応室の壁厚をより薄くすることができる。気圧が低下するにつれて、収容空間150内の反応室の壁と外部ハウジングとの間の熱伝導効率が低下するため、空気よりも高い熱伝導性能を有するH2やヘリウムガスなどの熱伝導ガスを選択することができる。
【0059】
他の実施例において、反応領域の外壁に1つの補強リブ114を設置することができ、補強リブ114の下方向への投影は、下方の処理対象基板Wの中心を貫通し、また、給気領域および排気領域の外壁には補強リブ114を設置せず、または1つまたは複数の補強リブ114を設置することができる。本発明は、二重室構造を採用しているため、反応室の石英外壁にかかる圧力が従来技術の半分以下に大幅に低減され、反応領域に1つの補強リブ114を設置するだけで、長期の真空処理プロセスにおける反応室の安定性を実現することができる。反応領域に1つの補強リブ114を設置するこのような設計は、反応室の壁厚を6~8mmなどの従来技術に近いレベルまで減らすことができ、これは、反応室内の温度の均一性にわずかに影響を与えるが、反応室全体の加熱効率をある程度改善させ、その総合的な効果から見ると、複数の補強リブ114を反応領域に設置する従来技術の設計スキームを依然としてはるかに超えることができる。反応室に1つの補強リブ114が設置される場合、当該補強リブ114は、反応室の底壁まで下方に延在する際に、延長管121と融合することになる。延長管121の厚さと形状は、回転軸122が真空の円筒状の延長管内において取り囲まれるように設計されているだけであり、キャビティ全体の大気圧による補強リブ114への大きな応力に耐えることができないため、回転軸と単一の補強リブ114との間に遷移部を設置する必要がある。遷移部は、反応室の底壁に設置されて下方に延在するとともに、その厚さが反応室の底壁の厚さよりも大きく、その面積が延長管121の断面積よりもはるかに大きく、遷移部は延長管121の外壁と接続し、両側の補強リブ114の2つの端点と接続することができる。最終的に、基板の中心に対応する補強リブ114は、延長管121、および遷移部とともに、応力環状構造を形成し、石英反応室110が本発明における低減した気圧差に耐えることができる。
【0060】
本実施例において、前記補強リブ114および前記反応室110はいずれも、石英で製造されてなり、石英材料が光透過性材料であるため、石英製の反応室110および補強リブ114が、放射熱源によって生成される熱エネルギーの伝達中の損失を低減し、熱エネルギーの伝達効率を向上させることができる。さらに、補強リブ114と反応室110は、同じ材料で製造され、これにより、装置の加工の困難さを軽減し、両者の組み合わせの気密性をさらに確保し、その耐圧能力を向上させる。
【0061】
本実施例において、
図3aに示すように、前記反応室110の外側に設置される外部ハウジング140は、天板141、底板142及び側壁143を含み、前記外部ハウジング140の内側に第1留め具144および第2留め具145が設置され、前記天板141、底板142および側壁143は、前記反応室110の外壁、第1留め具144および第2留め具145とともに収容空間150を形成する。本実施例において、前記外部ハウジング140は、アルミニウム製であり、前記第1留め具144および第2留め具145は、ステンレス鋼製である。
【0062】
さらに、前記反応室110の両端は、第1フランジ115および第2フランジ116を含み、前記第1フランジ115および第2フランジ116がそれぞれ、外部ハウジング140における第1留め具144および第2留め具145に密着され、前記反応室110を前記外部ハウジング140の内部に固定させる。前記第1フランジ115、第2フランジ116は、第1留め具144、第2留め具145とボルトアセンブリによって接続される。なお、前記反応室110と外部ハウジング140との接続方法は、上記に限定されず、反応室110と外部ハウジング140との間の気密接続が実現される限り、他の接続方法であってもよく、本発明は、これに限定されない。
【0063】
収容空間150内を流れるガスの冷却効果をさらに向上させるために、本実施例において、流れるガスに対して熱交換を行い、反応室110の外壁の冷却効果を向上させるために、前記外部ハウジング140、第1留め具144および第2留め具145のいずれにも冷却液配管170が設置されている。冷却液は、水、冷却油、または他の冷却媒体であるが、これらに限定されない。
【0064】
さらに、
図5と
図6に示すように、収容空間150の温度制御効率をさらに向上させるために、本発明の化学気相堆積装置は、温度制御回路180をさらに含む。前記温度制御回路180は、前記収容空間150と連通して密閉ガス流回路を形成する密閉ガス流配管である。具体的には、前記温度制御回路180の内部には、ガスを閉回路内に流すように駆動する第2ガス駆動装置181と、ガスに対して熱交換を行い、ガスを冷却する第2熱交換装置182とが含まれ、これにより、閉回路内のガスを低温に保ち、反応室110の外壁の温度を下げ、汚染物質が反応室110の内壁に堆積することを防ぐ。温度制御回路180と収容空間150とによって形成される閉回路には、ガス駆動装置が1つだけ設置されるが、これに限られない。本発明は、回路内のガスの流れを促進できる限り、ガス駆動装置の数を制限しない。
【0065】
前記温度制御回路180内のガスは、前記収容空間150の頂部および/または底部から前記収容空間150に流入し、前記収容空間150内のガスは、前記収容空間150の両側を通して前記収容空間150から流出するが、これに限られない。本実施例において、前記温度制御回路180内のガスはそれぞれ、前記収容空間150の頂部および底部から前記収容空間150に流入し、反応室110の頂部と底部との温度差を均一にし、反応室110内の温度の均一性を確保し、基板Wへの薄膜堆積の均一性を確保する。
【0066】
本実施例において、前記冷却ガスは、前記収容空間150の両側から流出してから、前記温度制御回路180の第2熱交換装置182、第2ガス駆動装置181の順に通過する。プロセス状態では、通常、反応室110は、高温状態にあり、反応室110の外側の収容空間150の温度も高く、収容空間150から流出するガスの温度が所定の冷却温度よりもわずかに高い。本実施例において、収容空間150から流出するガスは、まず第2熱交換装置182を通過して熱交換により冷却され、次に第2ガス駆動装置181を流れ継続してガス循環が行われるため、過熱ガスが直接第2ガス駆動装置181と接触することにより、第2ガス駆動装置181が損傷することが回避される。従って、第2ガス駆動装置181の耐用年数が延び、装置のメンテナンスコストが削減される。
【0067】
冷却用の前記ガスは、空気、ヘリウムガス、窒素ガス、または窒素とヘリウムの混合物であり、最適な熱伝導率と流体質量流量を実現するが、これに限られない。当然ながら、前記ガスの種類は、上記に限定されるものではなく、冷却効果のある他のガスであってもよい。
【0068】
さらに、
図5に示すように、前記温度制御回路180は、前記冷却ガスの流れ速度を調整および制御し、冷却ガスの冷却を正確に調整および制御するために、前記第2ガス駆動装置181と接続され、第2ガス駆動装置181を制御するためのコントローラ183をさらに含む。一般的に、収容空間150と温度制御回路180によって形成される閉回路内の冷却ガスは、速く流れるほど、冷却効果がより顕著になり、冷却効率が高くなる。
【0069】
実際の使用中に、プロセスによっては、プロセスの所望の効果を達成するために、反応室110の短期間の急速冷却が必要となる。これに基づいて、本発明の化学気相堆積装置は、温度制御サブ回路190をさらに含む。
図7に示す温度制御サブ回路190は、前記温度制御回路180および収容空間150と連通し、各回路の間にゲートを設置することができ、必要に応じて連通する。前記温度制御サブ回路190は、圧力差を有する少なくとも2つの容器を含み、本実施例において、内部圧力が前記収容空間の気圧よりも高い第1容器191、および内部圧力が前記収容空間の気圧よりも低い第2容器192を含む。
【0070】
反応室110を急速に冷却する必要がある場合、温度制御回路180の第2ガス駆動装置181が動作を停止し、温度制御サブ回路190の第1容器191および第2容器192を開放し、第1容器191、第2容器192および収容空間150の圧力差により、収容空間150、温度制御回路180および温度制御サブ回路190によって形成される閉回路内のガスが短時間で急速に流れ、反応室110の外壁の熱を反応室110の周囲から急速に奪い、反応室110の温度を急速に下げる。同時に、上記の3つの構成要素によって形成される閉回路の経路は、比較的長く、冷却ガスの熱交換に十分な時間と経路長を提供し、反応室110の急速冷却を実現することができる。
【0071】
さらに、本発明の温度制御サブ回路190は、各容器と接続されて前記容器内の気圧を調整する気圧制御装置をさらに含む。上述したように、温度制御サブ回路190における第1容器191および第2容器192を開放して反応室110の急速冷却を実現した後、第1容器191および第2容器192内の気圧が収容空間150内の気圧と同じになると、次の急速冷却プロセスに用いるために、気圧制御装置を用いて、第1容器191および第2容器192内の気圧を調整し、これにより、各容器と収容空間150との間に一定の気圧差が生じる。前記気圧制御装置は、真空ポンプを含むがこれに限られず、他の気圧調整装置を含むこともできる。
【0072】
同じ発明概念に基づいて、本発明は、前記化学気相堆積装置を使用した堆積方法をさらに提供する。当該方法は、基板Wを反応室110内のサセプタ120に導入するステップと、収容空間150内の気圧が大気圧よりも小さくなるように、気圧調整装置を利用して収容空間150内の気圧を調整および制御するステップと、反応室110内で化学気相堆積プロセスを実行するステップと、第1ガス駆動装置161を利用して、前記収容空間150内のガスを流すように駆動するステップとを含む。当該方法は、反応室110の壁にかかる圧力を低減し、反応室110内の薄膜堆積プロセスの均一性を損なうことを回避するだけでなく、反応室110の外壁を冷却する役割も果たし、収容空間150内を流れるガスにより、反応室110の外壁の熱を反応室110の外面から奪い、反応室110の内壁に汚染物質が付着することを防止する。
【0073】
気圧調整装置を用いて前記収容空間150内の気圧を0.1~0.6気圧にし、反応室110内外の圧力差を低減し、それにかかる圧力を弱めるが、これに限られない。当然ながら、前記収容空間150内の気圧範囲は、上記範囲に限定されず、実際のプロセス要件に応じて調整可能であり、本発明はこれに限定されない。収容空間150内の気圧が低すぎる場合(<0.1気圧)、収容空間150内のガス分子が少なすぎるため、第1ガス駆動装置161は、多数のガス分子を、反応室110の外壁と外部ハウジングとの間に移動してぶつかるように駆動することができなくなり、反応室110の放熱能力が大幅に低下し、反応室110の内壁に多量の堆積物が必然的に生成され、不均一な温度分布を引き起こすだけでなく、粒子の落下によるデバイスの故障にもつながる。気圧が高すぎると、反応室内外の気圧差を低減する本発明の効果を明確に得ることができず、キャビティが両側の大きな気圧差に耐えられるように、キャビティの外壁に多数の補強リブ114を設置することが依然として必要となる。
【0074】
さらに、当該方法は、前記温度制御回路180の第2ガス駆動装置181によって、ガスを、温度制御回路180と収容空間150によって形成される閉回路内に流すように駆動し、第2熱交換装置182によって、閉回路内のガスに対して熱交換を行い、ガスを低温状態に保ち、反応室110に対する冷却効果を向上させるステップをさらに含む。
【0075】
さらに、当該方法は、プロセスにおいて反応室110の短期間の急速冷却が必要な場合、前記温度制御回路180の第2ガス駆動装置181が動作を停止し、温度制御サブ回路190の第1容器191および第2容器192を開放し、温度制御回路180、温度制御サブ回路190および収容空間150内のガスを急速に流し、反応室110の外壁の熱を急速に奪い、反応室110の外壁の温度を下げるステップをさらに含む。
【0076】
上記の方法に基づいて、当該方法は、前記温度制御サブ回路190の第1容器191および第2容器192を開放した後、気圧制御装置を用いて第1容器191および第2容器192の内部気圧を調整し、これにより、第1容器191および第2容器192と収容空間150との間に一定の圧力差を維持するステップをさらに含む。
実施例2
【0077】
図8は、本実施例による化学気相堆積装置である。当該化学気相堆積装置の反応室210は、ドーム状の頂壁211を含む。本実施例において、前記反応室210の頂壁211および底壁212はいずれもドーム状であり、前記基板Wの縁部から前記頂壁211までの高さがH1であり、基板Wの中心から頂壁211までの高さがH2であり、前記H2<1.05*H1である。前記反応室210の外側には外部ハウジング240が設置され、堆積プロセスを実行する際、気圧調整装置を用いて、両方の間の収容空間250の気圧を大気圧よりも低くなるように調整し、複数の放射熱源230が前記収容空間250の内部に設置されて熱エネルギーを提供する。
【0078】
本実施例において、収容空間250内の気圧が大気圧よりも低いことに加え、当該反応室210の頂壁211および底壁212は、より小さな円弧を有するドーム構造であり、反応室210の内外の圧力差に耐える能力がより強くなる。従って、反応室210の壁に補強リブを増設せずに、当該反応室210がより大きな耐圧能力を実現することができる。同時に、当該反応室210のドームの曲率が小さいため、ドーム構造における不規則なガス流分布という一般的な問題を回避し、反応室210の反応領域内においても、依然として反応ガスの水平の流れ状態を維持することができる。本実施例の二重室構造は、ドーム状の反応室210の耐える必要がある気圧差を低減させ、ドームの高さを低くし、反応室210内のガス流の大規模な垂直方向の拡散を起こさないようにする。当該構造により反応室210内のガス流の均一性が向上し、基板Wへの薄膜堆積の均一性が向上し、基板W生産の歩留まりが確保される。
【0079】
実施例1と同様に、本実施例において、前記化学気相堆積装置は、ガス駆動装置、温度制御回路および温度制御サブ回路などの部材をさらに含む。温度制御回路内のガスは、収容空間250の頂部から外部ハウジング240と反応室210との間に流入し、収容空間250の底部から流出するが、これに限られない。さらに、本実施例のその他の構造、および各構成要素の接続、作用方法については、いずれも実施例1と同様にすることができ、ここでこれ以上の説明および制限をしない。
【0080】
上述したように、本発明の化学気相堆積装置およびその方法において、当該装置は、反応室110、外部ハウジング140および気圧調整装置などを組み合わせ、プロセスにおいて、気圧調整装置によって、反応室110と外部ハウジング140との間の収容空間150内の気圧を、大気圧よりも低くし、これにより、反応室110の内外の圧力差を低減させ、反応室110にかかる圧力を緩和させるだけでなく、反応室110内のガス流の均一性および加熱均一性をさらに確保し、基板Wへの薄膜堆積の均一性を向上させ、基板W生産の歩留まりを向上させる。
【0081】
さらに、当該装置は、収容空間150内のガスの流れを促進する第1ガス駆動装置をさらに含み、ガス流が反応室110の外壁から熱を奪い、反応室110の外壁の温度を一定の範囲内に下げ、反応室110の外壁の均一な冷却を実現し、反応室110への汚染物質の堆積を防止し、真空環境の清浄度を確保した。
【0082】
さらに、当該装置は、収容空間150と閉回路を形成する温度制御回路180をさらに含み、第2ガス駆動装置181および第2熱交換装置182を介して当該閉回路内の冷却ガスの流れと熱交換を実現し、反応室110の冷却効率を向上させる。
【0083】
さらに、当該装置は、収容空間150と圧力差を有する第1容器191および第2容器192を含む温度制御サブ回路190を含み、反応室110の短期間の急速冷却を実現して、所望の冷却効果を実現し、プロセスの調整および制御を実現し、基板Wへの薄膜堆積効果を確保する。
【0084】
さらに、当該装置内の反応室110は、ドーム状の構造であってもよく、基板Wの縁部から頂壁までの高さは、H1であり、基板Wの中心から頂壁までの高さは、H2であり、前記H2<1.05*H1であり、当該ドーム状の構造の反応室110は、より強力な耐圧能力を有し、補強リブ114などの構造を増設する必要がなく、より大きな耐圧能力を実現することができ、放射熱源の熱伝達効率に影響を与えない。また、当該反応室110のドーム構造の曲率が小さく、反応室110内のガス流に、大規模な垂直方向に拡散するガス流が発生しないため、当該構造により反応室110内のガス流分布の均一性を向上させ、基板Wへの薄膜堆積の均一性を向上させ、基板W生産の歩留まりを確保した。
【0085】
いくつかの実施例において、前記化学気相堆積装置は、シリコンエピタキシャルなどのホモエピタキシャルプロセスに用いられるエピタキシャル成長処理装置である。当該エピタキシャル成長処理装置において、ガス流がサセプタ120に平行な方向に沿って均一に流れる必要があるため、給気口および排気口が反応室110の両端に設置され、これにより、反応室110の内部に細長いガス流路が形成される。
【0086】
上記の化学気相堆積反応器またはエピタキシャル成長処理装置に用いられることに加えて、本発明は、急速熱処理装置(RTP)などの他の真空処理装置に用いることもでき、基板を、処理ガスを備えた急速熱処理装置に直接入れて、処理装置の上下に設置された加熱ランプアセンブリによって基板を急速に加熱し、基板の表面を処理するが、処理ガスが反応して基板上に新しい薄膜を形成することはない。急速熱処理反応器の内部も真空状態が必要であり、ランプアセンブリと反応器の内部空間も透明な反応室の壁で仕切られるため、本発明はこの用途にも適用でき、反応室の壁の設計厚さを低減することができる。したがって、本発明は、ランプアセンブリの加熱を必要とするあらゆる真空反応室に適用することができる。
【0087】
以上、本発明の内容を上記の好ましい実施例を通じて詳細に説明したが、本発明は、上記の説明に限定されるものではないことを理解されたい。当業者であれば、上記の内容をから、本発明に対する様々な修正および変更を行うことができる。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体設備の分野に関し、具体的には、化学気相堆積装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的に、プラズマエッチング、物理気相堆積(Physical Vapor Deposition、PVDと略す)、化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition、CVDと略す)などのプロセス方法を用いて、例えば、フレキシブルディスプレイスクリーン、フラットパネルディスプレイ、発光ダイオード、太陽電池などを製造するような半導体プロセス部品や基板などの微細加工を行う。微細加工には、様々なプロセスおよびステップが含まれるが、そのうち、化学気相堆積プロセスが広く使用されており、当該プロセスを用いて、幅広い絶縁材料、ほとんどの金属材料、および金属合金材料を含む様々な材料を堆積することができる。このプロセスは、通常、高真空の反応室内で実行される。
【0003】
半導体デバイスのサイズが縮小し、デバイスの集積度が高まるにつれて、化学気相堆積により形成される薄膜の均一性に対する要求がますます高まっている。化学気相堆積装置の性能は、度重なる改良により大幅に向上してきたが、薄膜堆積の均一性には依然として多くの欠点があり、特に基板のサイズが日々増大するにつれ、従来の気相堆積方法および装置では薄膜の均一性の要求を満たすことが困難になってきている。
【0004】
薄膜の堆積プロセスにおいて、反応ガスの流れの方向や分布、基板の加熱温度場、反応室内の圧力分布状況などの、様々なプロセス条件が基板表面への薄膜堆積の均一性に影響を与える。反応室内の反応領域のプロセス環境が完全に一致していない場合、基板の表面に堆積された薄膜には不均一な厚さ、不均一な組成、不均一な物性などの不良が発生し、それによって基板生産の歩留まりが低下する。したがって、基板への薄膜堆積の均一性を向上させるために、従来の化学気相堆積装置を改良する必要がある。また、シリコンまたはシリコンゲルマニウム材料のエピタキシャル成長プロセスでは、これらのエピタキシャル材料は通常、半導体デバイスの最下層であるため、臨界寸法(CD)が非常に小さく、通常はわずか数ナノメートルであり、長時間の高温に耐えることができず、長時間加熱すると半導体デバイスが損傷するため、非常に短時間で基板をシリコン材料のエピタキシャル成長に十分な温度、例えば、600~700度まで加熱する必要がある。このような厳しい加熱要求のため、シリコンエピタキシャルプロセスでは通常、高出力加熱ランプを用いて、石英製の透明な反応室を介して、反応室内に位置する基板を加熱する。反応室内の気圧が石英反応室の外側の大気圧よりもはるかに低いため、キャビティ内外の大きな圧力差による反応室の構造の変形や破損を防ぐためには、キャビティに耐圧構造を設計する必要がある。例えば、大気圧に耐えられるように、上下の石英壁を平板状とした反応室の周囲に複数の補強リブを設置したり、上下の石英壁をドーム状に設計したりする。これらの石英製の外壁は、大気圧に耐えながら、できるだけ多くの放射エネルギーが反応室の内部に浸透できるように、通常6~8mmの壁厚を有する。この2種類の構造にはそれぞれ一長一短があり、平板状のキャビティの場合、ガス流がキャビティ全体を流れる際の安定した分布を確保できるが、上部に多数の補強リブ(10本よりも多い)があるため、加熱用の放射光を遮蔽して、温度分布が不均一になる。ドーム状の反応室の場合、温度分布がより均一であるが、ガス流がドーム状の反応領域に流入する際に、大量の無秩序な乱流が発生するため、ガス流の分布を調整および制御することが困難になる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、化学気相堆積装置およびその方法を提供することであり、当該装置は、反応室、外部ハウジングおよび気圧調整装置などを組み合わせ、プロセスにおいて、気圧調整装置により、反応室と外部ハウジングとの間の収容空間内の気圧を大気圧よりも低くし、反応室内外の圧力差を低減させ、反応室にかかる圧力を緩和させるため、反応室の壁に多くの耐圧バーを設置する必要がなく、放射熱源による熱伝達の均一性および反応室内の反応領域の加熱の均一性が確保され、基板への薄膜堆積の均一性が向上し、基板生産の歩留まりを向上させる。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を用いる。
【0007】
給気口および排気口を有し、その内部には、基板を載置するためのサセプタが設置される反応室と、
前記反応室の外側に設置され、その内壁と前記反応室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングと、
前記収容空間内に設置され、前記反応室の外壁を介して前記基板を加熱するための複数の放射熱源と、
前記反応室および前記収容空間内の気圧を独立して調整および制御するための気圧調整装置とを含む化学気相堆積装置。
【0008】
前記収容空間内のガスの流れを促進するためのガス駆動装置をさらに含んでもよい。
【0009】
前記ガス駆動装置は、前記収容空間内に設置され、ガスが前記収容空間内において前記反応室の外壁および前記外部ハウジングの内壁の周囲を流れるように駆動し、前記外部ハウジングには第1熱交換装置がさらに設置されてもよい。
【0010】
前記反応室は、給気口に対応する給気領域、前記排気口に対応する排気領域、および給気領域と排気領域との間に位置する反応領域を含み、
前記反応室の外壁に複数の補強リブがさらに設置されており、反応領域の外壁に位置する補強リブの密度は、両側の給気領域または排気領域の外壁に位置する補強リブの密度よりも小さくてもよい。
【0011】
前記反応室は、給気口に対応する給気領域、前記排気口に対応する排気領域、および給気領域と排気領域との間に位置する反応領域を含み、
反応領域の外壁に1つの反応領域補強リブが設置され、前記反応領域補強リブの下方向への投影は基板の中心を貫通し、反応領域補強リブに隣接する補強リブが、給気領域または排気領域に対応する反応室の外壁に位置してもよい。
【0012】
前記補強リブおよび前記反応室はいずれも石英で製造してなってもよい。
【0013】
前記反応室の底部は、下方に延在する延長管を含み、回転軸が前記延長管内に設置され、前記回転軸の頂部は、前記基板が反応室内で回転するように、前記サセプタを支持して駆動するために用いられてもよい。
【0014】
前記反応室は、ドーム状の頂壁を含み、前記基板の縁部から前記頂壁までの高さは、H1であり、前記基板の中心から前記頂壁までの高さは、H2であり、前記H2<1.05*H1であってもよい。
【0015】
前記反応室の両端は、第1フランジおよび第2フランジを含み、前記第1フランジおよび第2フランジがそれぞれ、外部ハウジングにおける第1留め具および第2留め具に密着されてもよい。
【0016】
前記外部ハウジングは、天板、底板および側壁を含み、前記天板、底板および側壁が、前記反応室の外壁、第1留め具および第2留め具とともに収容空間を形成してもよい。
【0017】
前記外部ハウジングは、アルミニウム製であり、第1留め具および第2留め具は、ステンレス鋼製であってもよい。
【0018】
前記外部ハウジング、第1留め具および第2留め具の内部には、冷却液配管が設置されていてもよい。
【0019】
前記収容空間と連通して閉回路を形成する温度制御回路をさらに含み、前記閉回路の内部には、ガスを閉回路内に流すように駆動する前記ガス駆動装置と、前記閉回路内のガスを冷却するための第2熱交換装置とが含まれてもよい。
【0020】
前記温度制御回路内のガスは、前記収容空間の頂部および/または底部から前記収容空間に流入し、前記収容空間内のガスは、前記収容空間の両側を通して前記収容空間から流出してもよい。
【0021】
前記ガスは、空気、ヘリウムガス、窒素ガス、または、窒素とヘリウムとの混合物であってもよい。
【0022】
前記温度制御回路と連通する温度制御サブ回路をさらに含み、前記温度制御サブ回路は、内部気圧が前記収容空間内の気圧よりも高い第1容器と、内部気圧が前記収容空間内の気圧よりも低い第2容器とを含んでもよい。
【0023】
前記外部ハウジングの排気端は、外部ハウジング端板を含み、前記外部ハウジング端板と前記第1留め具との間に隙間が存在し、第1留め具に押圧力を与える少なくとも1つの圧力装置が、前記隙間内または外部ハウジングの外側に設置されてもよい。
【0024】
前記化学気相堆積装置を利用した堆積方法は、
基板を反応室内のサセプタに導入するステップと、
前記収容空間内の気圧が大気圧よりも小さくなるように、気圧調整装置を利用して収容空間内の気圧を調整および制御するステップと、
反応室内で化学気相堆積プロセスを実行するステップと、
ガス駆動装置を利用して、前記収容空間内のガスを流すように駆動するステップとを含んでもよい。
【0025】
気圧調整装置を使用して、前記収容空間内の気圧を0.1~0.6気圧にしてもよい。
【0026】
エピタキシャル成長用処理装置であって、
両端に給気口および排気口が設置され、その内部に基板を載置するためのサセプタが設置される反応室であって、前記給気口に対応する給気領域と、前記排気口に対応する排気領域と、給気領域と排気領域との間に位置する反応領域とを含み、前記給気口と前記排気口は前記サセプタに平行な反応ガス流を形成するために用いられる、反応室と、
前記反応室の外側に設置され、その内壁と前記反応室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングであって、前記収容空間が前記第1気圧調整装置と接続される、外部ハウジングと、
前記収容空間内に設置され、それぞれが前記反応室の外側に設置されて前記基板を加熱する複数の放射熱源とを含む処理装置であってもよい。
【0027】
前記反応室は、その外壁に設置される複数の補強リブをさらに含み、反応領域の外壁に位置する補強リブの密度は、両側の給気領域または排気領域の外壁に位置する補強リブの密度よりも小さくてもよい。
【0028】
前記反応室の底部は、下方に延在する延長管を含み、回転軸が前記延長管内に設置され、前記回転軸の頂部は、前記サセプタが反応室内で回転するように、前記サセプタを支持して駆動するために用いられてもよい。
【0029】
前記収容空間と連通して閉回路を形成する温度制御回路をさらに含み、前記閉回路の内部には、ガスを閉回路内に流すように駆動するガス駆動装置と、前記ガスを冷却するための熱交換装置とが含まれてもよい。
【0030】
前記反応室と連通する第2気圧調整装置をさらに含み、前記第1気圧調整装置と第2気圧調整装置は、エピタキシャル成長を実行する際、前記収容空間内の気圧が大気圧よりも低く、かつ前記反応室内の気圧よりも高くなるように独立して制御されてもよい。
【0031】
前記収容空間内のガスの流れを促進するためのガス駆動装置をさらに含んでもよい。
【0032】
真空処理装置であって、
給気口および排気口を有し、その内部には、基板を載置するためのサセプタが設置される真空処理室と、
前記真空処理室の外側に設置され、その内壁と前記真空処理室の外壁との間に収容空間が形成される外部ハウジングと、
前記収容空間内に設置され、前記真空処理室の外壁を介して前記基板を加熱するための複数の放射熱源と、
前記真空処理室内と前記収容空間内の気圧を独立して調整および制御するための気圧調整装置とを含み、
前記真空処理室の両端は、第1フランジと第2フランジを含み、前記第1フランジと第2フランジはそれぞれ、外部ハウジングにおける第1留め具と第2留め具に密着され、
前記外部ハウジングの排気端は、外部ハウジング端板を含み、前記外部ハウジング端板と前記第2留め具との間に隙間が存在し、少なくとも1つの圧力装置が、前記第2留め具に押圧力を与えるために、前記隙間内または外部ハウジングの外側に設置される真空処理装置であってもよい。
【0033】
従来の技術と比較して、本発明は、以下の利点を有する。
本発明の化学気相堆積装置およびその方法においては、当該装置は、反応室、外部ハウジング、放射熱源、および気圧調整装置が組み合わされており、プロセスにおいて、気圧調整装置によって、反応室と外部ハウジングとの間の収容空間内の気圧を大気圧より低くし、当該装置により、反応室内の反応領域の加熱均一性を確保するとともに、反応室内の基板の薄膜堆積プロセスの正常な進行を確保しながら、反応室の壁にかかる圧力を低減し、放射熱源の熱供給効率と反応室内のガス流の均一性を向上させ、基板薄膜の堆積効果を確保した。
【0034】
さらに、当該装置は、収容空間とともに閉回路を形成する温度制御回路をさらに含み、第2ガス駆動装置および第2熱交換装置を介して当該閉回路内での冷却ガスの流れと熱交換を実現し、反応室の冷却効率を向上させる。
【0035】
さらに、当該装置は、収容空間と圧力差のある第1容器および第2容器を含む温度制御サブ回路をさらに含み、反応室の短期間内の急速冷却を実現し、所望のプロセス効果を達成し、薄膜堆積プロセスの調整および制御を実現し、基板のエッチング品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の化学気相堆積装置の簡略化した概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の化学気相堆積装置内のガスの流れを示す概略図である。
【
図3a】
図3aは、本発明の実施例1による化学気相堆積装置の概略図である。
【
図3b】
図3bは、本発明の別の実施例による化学気相堆積装置の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1による反応室の概略構造図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1による別の化学気相堆積装置の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1による別の化学気相堆積装置内のガスの流れを示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1による更なる別の化学気相堆積装置の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2による化学気相堆積装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段および利点をより明確にするために、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を以下に明確かつ完全に説明する。明らかなように、説明される実施例は、本発明の実施例の一部であり、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0038】
なお、本明細書において、「含む」、「含有」、「有する」という用語、またはその他のすべての変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、それによって、一連の要素を含むプロセス、方法、物品または端末装置がこれらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素を含むか、またはそのようなプロセス、方法、物品、または端末装置に固有の要素も含む。さらなる制限なしに、「……を含む」または「……を含有する」という言葉によって定義される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品または端末装置において、追加の要素の存在を排除するものではない。
【0039】
なお、添付の図面はいずれも、非常に簡略化された形式であり、不正確な比率で示され、本発明の一実施例を容易かつ明確に説明するためにのみ用いられる。
【0040】
図1および
図2は、本発明の化学気相堆積装置(CVD)の概略図であり、当該装置は、その内部に処理空間が形成される反応室110を含み、処理空間の内部には、材料を基板Wの上面に堆積することを含む化学気相堆積プロセスを実行するように、1つまたは複数の基板Wを載置するためのサセプタ120が設置される。前記反応室110の反応キャビティは、頂端に位置する上壁111、底端に位置する下壁112、および上壁111と下壁112との間に両側に延在する側壁113を有する。前記上壁111および下壁112は、熱放射を透過できる光学的に透明または半透明の材料(例えば、特定の赤外線帯域に対して透明な石英材料)で製造されるが、これに限られない。
図3aおよび図4を参照すると、前記反応室110の一端には、給気口
117に対応する給気領域が設けられ、他端には、排気口
118に対応する排気領域、および給気領域と排気領域との間に位置する反応領域が設けられ、前記基板Wが前記反応領域内に位置し、堆積用の反応ガスが給気口
117から反応室110に流入し、反応領域で化学気相堆積プロセスが実行され、排気口
118を通して反応室110から流出する。
【0041】
さらに、当該装置は、熱エネルギーを反応室110および基板Wに提供する複数の放射熱源130をさらに含み、各放射熱源130が、前記反応室110およびその内部の基板Wを加熱するために、前記反応室110の外側に設置される。前記放射熱源130は、透明な石英ハウジング、およびヨウ素などのハロゲンガスを含む高強度タングステン線ランプであるが、これに限られない。前記高強度タングステン線ランプによって生成された放射熱エネルギーのごく一部のみが上壁111または下壁112に吸収され、これにより、各放射熱源130によって生成される熱エネルギーが、反応室110内の基板Wおよびサセプタ120に最大限に到達することが確保される。プロセスの処理中に、各放射熱源130によって、化学気相堆積装置の反応室110の内部および基板Wを必要なプロセス温度に加熱し、その結果、反応室110内の反応ガスを熱分解し、薄膜材料を基板Wの上面に堆積させる。堆積される薄膜材料は、シリコンやゲルマニウムなどの半導体材料であるが、これらに限られず、III族、IV族、および/またはV族材料などの、他のドープされた材料を含むことができる。
【0042】
ほとんどの化学気相堆積プロセスは、通常、高温および高真空条件下で実行する必要があるが、反応室110は通常、比較的高温に加熱され、かつ反応室110内の気圧が大気圧よりもはるかに低く、反応室110の内外の圧力差が比較的大きく、壁にかかる圧力も非常に大きい。反応室110の壁厚を増加させることによって、反応室110の耐圧能力を向上させると、反応室110の壁が厚すぎるため、多くの熱放射を吸収し、それによって放射熱源130から反応室110内の基板への熱エネルギーの伝達効率が低下し、基板がプロセス温度に到達するのに必要な電力が増加する。一方、耐圧能力を向上させるために反応室110の外側に複数の耐圧バーを均一に増設して反応室110の機械的強度を増加すると、間隔をあけて設置された耐圧バーは、放射熱源130から反応室110に伝達される熱エネルギーを遮断し、その結果、反応室110内の基板W上の熱分布が不均一になり、基板Wへの薄膜堆積の均一性に影響を与えることになる。
【0043】
上述の問題に基づいて、本発明の化学気相堆積装置は、外部ハウジング140をさらに含む。具体的には、前記外部ハウジング140は、前記反応室110の外側に設置され、前記外部ハウジング140の内壁146と反応室110の外壁119との間に収容空間150が形成される。前記収容空間150および前記反応室110は気圧調整装置160と接続され、気圧調整装置160は、前記収容空間150および前記反応室110内の気圧を独立して調整および制御するために用いられる。前記気圧調整装置160は、真空ポンプであってもよく、2つの配管を介してそれぞれ反応室110および収容空間150と接続され、少なくとも1つの配管には調整可能な抵抗装置が設けられ、これにより、反応室110と収容空間150の気圧は互いに干渉しない。いくつかの他の実施例において、気圧調整装置160は、それぞれ反応室110と収容空間150と接続される2つの真空ポンプ、即ち、第1真空ポンプと第2真空ポンプを含むことができ、反応室110および収容空間150内の気圧を、異なる値に独立して調整可能であり、例えば、化学気相堆積プロセスを実行する際、収容空間150内の気圧は大気圧より低く、かつ前記反応室110内の気圧よりも高い。複数の放射熱源130は、前記収容空間150の内部に設置されている。
【0044】
上記から分かるように、プロセスにおいて、外部ハウジング140と反応室110との間の収容空間150の気圧は、大気圧よりも低く、反応室110の内部は、高真空状態にあり、反応室110の内部と収容空間150との間の圧力差の絶対値が、反応室110の内部と大気環境との間の圧力差の絶対値よりも小さく、収容空間150により、反応室110の壁が耐える必要がある圧力は低減する。よって、反応室110の壁に多くの耐圧バーを設置する必要がなく、放射熱源130による熱エネルギー伝達の均一性が確保され、基板Wへの薄膜堆積の均一性が向上する。
【0045】
いくつかの実施例において、当該化学気相堆積装置は、前記収容空間150内のガスの流れを促進するための第1ガス駆動装置161をさらに含む。前記第1ガス駆動装置161の設置位置は、収容空間150内のガスの流れ状態の調整および制御を実現できる限り、特に限定されない。
【0046】
前記第1ガス駆動装置161は、収容空間150内のガスの流れを加速し、収容空間150内で自由に熱運動するガスを集合ガス流に変換し、反応室110の外壁119の温度を一定範囲内に下げ、反応室110の外壁119の温度を制限温度よりも低くし、これにより、反応ガスが反応室110の内壁に堆積して汚染粒子を形成して落下することを防止し、基板Wが汚染される可能性を低減させる。
【0047】
当該化学気相堆積装置は、エピタキシャル成長のための処理装置であるがこれに限られない。当該装置の反応室110の給気口117と排気口118が、サセプタ120に平行な反応ガス流を形成し、これにより、基板Wの上方のガス流が均一になり、エピタキシャル成長の均一性をさらに確保する。
実施例1
【0048】
図1~
図4は、本実施例による化学気相堆積装置(CVD)の概略図であり、当該装置は、長方形のガス流空間を有する反応室110(
図4を参照)を含み、前記反応室110が、1つまたは複数の基板Wを処理するために用いられる。前記反応室110の内部には、給気口
117が設けられる給気領域、排気口
118が設けられる排気領域、及び給気領域と排気領域との間に位置する反応領域が含まれる。プロセスにおけるガスは、図中の矢印で示す方向に従って給気口
117から反応室110(
図3aを参照)に水平に流入し、排気ガスが排気口
118から排出される。当該反応室110は、扁平な直方体構造であり、プロセスにおけるガスが反応室110内で水平に流れ、反応室110内のガス流の均一性を確保し、それによって薄膜堆積プロセスの安定性が確保される。プロセスの実行中に、気圧調整装置
160は、前記反応室110および前記収容空間150内の気圧を独立して調整および制御し、収容空間150内の気圧を大気圧よりも低くし、放射熱源130は、熱エネルギーを基板Wに提供する。
【0049】
上記から分かるように、プロセスの実行中に、当該化学気相堆積装置の外部ハウジング140と反応室110との間の収容空間150は、低圧状態にあり、それと反応室との間の圧力差は、反応室110と大気環境との間の圧力差よりも小さい。反応室110内での基板Wの薄膜堆積プロセスの正常な進行を確保するとともに、前記収容空間150により、反応室110の壁にかかる圧力を低減させるので、耐圧能力を確保するために、反応室の壁厚を増加するかまたは複数の耐圧バーを増設する必要がなく、放射熱源130の熱エネルギー伝達効率が確保され、熱エネルギーの無駄が回避され、さらに熱エネルギー伝達の均一性が確保される。同時に、方形構造の反応室110内で反応ガスが流れる各断面は常に長方形を維持するため、反応ガスが反応室110内で水平の流れ状態となり、反応室110内のガス流の均一性が確保され、放射熱源130によって提供される均一な熱エネルギーが均一に流れる反応ガスに加えられ、これにより、基板Wへの薄膜堆積の均一性がさらに確保され、基板生産の歩留まりが向上する。
【0050】
さらに、本実施例において、前記第1ガス駆動装置161は、前記収容空間150内に設置され、ガスを、収容空間150内で前記反応室110の外壁119および前記外部ハウジングの内壁146の周囲に流すように駆動する。前記収容空間150内を流れるガスは、反応室110の外壁119から熱を奪い、反応室110の冷却を実現し、反応室110の内壁への汚染物質の付着を防止する。前記第1ガス駆動装置161は、ファンであり、収容空間150内のガスの流れを促進するために、前記反応室110の両側にはそれぞれ、第1ガス駆動装置161が設置されるが、これに限られない。
【0051】
収容空間150の温度制御効果をさらに向上させるために、当該化学気相堆積装置は、第1熱交換装置162をさらに含み、前記第1熱交換装置162および前記第1ガス駆動装置161の両方が収容空間150の内部に設置される。前記第1熱交換装置162は、収容空間150内を流れるガスの温度が常に反応室110の温度よりも低くなるように、収容空間150内を流れるガスと熱交換を行う。前記第1ガス駆動装置161は、収容空間150内のガスを、反応室110および外部ハウジングによって形成される回路を流れるように駆動し、反応室110の外壁119の温度を下げ、汚染物質が反応室110の内壁に堆積することを防止し、同時に当該ガスは反応室110の周囲を流れ、反応室110の外壁119の温度を全方向に下げ、反応室110の加熱の均一性が確保される。
【0052】
前記第1熱交換装置162は、熱伝導フィンであるが、これに限られない。好ましくは、ファンは、熱伝導フィンに統合される。当然ながら、前記第1熱交換装置162および第1ガス駆動装置161の種類および設置方法は、上記に限定されず、同様の機能を有する他の構造であってもよく、本発明は、これに限定されない。
【0053】
図2および
図3aに示すように、本実施例において、前記反応室110の底壁には、下方に延在する延長管121が含まれ、回転軸が前記延長管121内に設置され、前記回転軸122の頂部が、サセプタ120を支持して駆動するための複数の支持ロッドを含み、これにより、サセプタ120に載置される基板Wが反応室110内で回転し、基板Wへの薄膜堆積の均一性が確保される。粒子による汚染の危険を減らすために、前記回転軸122は、石英で製造することができるが、これに限られない。さらに、前記延長管121の底部と回転軸122は、磁性流体で封止され、反応室110内の真空環境を確保し、汚染の可能性を低減するとともに、磁性流体は回転軸122の回転に対する抵抗を生じさせず、プロセスの安定性がさらに確保される。
【0054】
本実施例において、収容空間150内の放射熱源130は、熱エネルギーを前記反応室110の反応領域に提供し、反応領域の加熱の均一性を確保する。さらに、放射熱源130の放射熱エネルギーの利用率を確保するために、放射熱源130の反応室110の壁から離れた側に温度制御反射板131を増設し、前記温度制御反射板131が、放射熱源130によって放出される熱エネルギーを反応室110の方向に反射し、これにより、放射熱源130によって生成される熱エネルギーは、最大限まで反応室110内に伝達される。温度制御反射板131には、冷却液配管を設置こともでき、これにより、温度制御反射板131の温度が高くなりすぎて変形を引き起こすことなく、または下方の放射熱源130、即ち加熱ランプの正常な動作を確保する。前記温度制御反射板131は、金反射コーティング、酸化アルミニウムコーティング、酸化チタンコーティング、または他の赤外線反射コーティングであるが、本発明はこれらに限定されない。
【0055】
図3bは、本発明の別の実施例による化学気相堆積反応器の概略図であり、
図3aに示す実施例と比較して、外部ハウジングおよび反応室の排気領域の設計が改善されている。
図3bに示すように、外部ハウジング端板343は、外部ハウジングの天板141および底板142と緊密に接続され、収容空間150’と大気環境との間の気密性を実現する。第1留め具344は、反応室110の第1フランジ115と密接に接続されて外部収容空間との気密性を達成し、少なくとも1つの圧力ロッド345が外部ハウジング端板343と第1留め具344との間に位置し、その結果、第1留め具344が第1フランジ115にしっかりと押し付けられて、反応室110の空間の密閉を実現する。圧力ロッド345は、外部ハウジング端板343を貫通して外部ハウジング外部の大気空間まで延在し、圧力装置346を介して圧力ロッド345に押圧力を与える。圧力装置346は、一端が外部ハウジング端板343の外壁で封止されるシリンダであってもよく、シリンダ内の駆動軸が前記圧力ロッド345を水平に移動するように駆動する。圧力装置346は、圧力ロッド345を取り囲む気密ベローズであってもよく、ベローズの一端が外部ハウジング端板と気密に固定され、他端には、圧力ロッド345の一端と気密に固定される接続部材が設けられていてもよい。ベローズと接続部材は、水平方向に移動可能な密閉空間を形成しており、シリンダやモータなどの、外部ハウジングの外部大気環境にある駆動装置は、接続部材を駆動し、圧力ロッド345を駆動して第1留め具344を第1フランジ115にしっかりと押圧する。このような設計により、反応室110の密閉と外部ハウジング140の密閉構造を互いに独立させることができ、第1留め具344および外部ハウジング140の構造設計の困難性が軽減される。反応室110のキャビティは、常温から安定したプロセス温度に変わる過程で、数百度の温度変化が生じるため、キャビティの体積が大きく膨張するが、キャビティが直方体形状であるため、キャビティの長手方向に沿って体積が最大幅で膨張する。本発明の第1留め具344は、圧縮性シリンダによって駆動されて、押圧力を維持しながら反応室110のキャビティの膨張によるサイズ変化に適応することができ、過度な応力がかかり、反応室110のキャビティが変形したり、破損したりすることがない。上述の実施例で説明した圧力装置346の位置および構造に加えて、本発明は、外部ハウジング端板343と第1留め具344との間に圧力装置346を設置することもでき、圧力装置346が、反応室110のキャビティが気密になるように、圧力ロッド345を介して第1留め具344に圧力を与える。圧力装置346は、外部ハウジング140の内部に設置することができ、第1留め具344に直接圧力を加えて、反応室110のキャビティの気密性を実現する。
【0056】
第1留め具344には、反応室封止カバーおよび排ガス排出管(310)がさらに含まれ、排ガスが排ガス排出管310に沿って底板142を通過して外部に排出される。
【0057】
反応室110のキャビティの上方には、反応室内の基板Wの上面を加熱するための頂部放射熱源130aが設置され、反応室110のキャビティの下方にある底部放射熱源130bは、サセプタ120を加熱するために用いられ、これにより、基板Wの上面と下面のいずれも同時に加熱することができる。
【0058】
図3a及び
図4に示すように、反応室110の機械的強度をさらに確保するために、反応室110の外壁
119に複数の補強リブ114を増設することができる。前記反応室110の反応領域の外壁
119における補強リブ114の密度は、両側の給気領域または排気領域の外壁
119における補強リブ114の密度よりも小さいが、これに限られない。本実施例において、前記反応室110の反応領域の外壁
119には補強リブ114が設けられておらず、吸気領域と排気領域の外壁
119のみに補強リブ114が設けられており、これにより、前記反応室110の機械的強度を向上させ、その耐圧能力を向上させる。反応領域の外壁
119には補強リブ114が設けられていないため、放射熱源130から反応室110内の反応領域への熱放射の均一性がさらに確保され、基板Wへの薄膜堆積の均一性がさらに確保される。最適には、ハウジング内部の収容空間の気圧が0.5気圧である場合、反応室の壁厚を8~12mmまでわずかに増やすことができ、これにより、反応領域には補強リブが設けられなくても反応室の構造を維持できる。さらに、収容空間内の気圧を0.3気圧まで下げると、反応室の壁厚をより薄くすることができる。気圧が低下するにつれて、収容空間150内の反応室の壁と外部ハウジングとの間の熱伝導効率が低下するため、空気よりも高い熱伝導性能を有するH2やヘリウムガスなどの熱伝導ガスを選択することができる。
【0059】
他の実施例において、反応領域の外壁119に1つの補強リブ114を設置することができ、補強リブ114の下方向への投影は、下方の処理対象基板Wの中心を貫通し、また、給気領域および排気領域の外壁119には補強リブ114を設置せず、または1つまたは複数の補強リブ114を設置することができる。本発明は、二重室構造を採用しているため、反応室の石英外壁にかかる圧力が従来技術の半分以下に大幅に低減され、反応領域に1つの補強リブ114を設置するだけで、長期の真空処理プロセスにおける反応室の安定性を実現することができる。反応領域に1つの補強リブ114を設置するこのような設計は、反応室の壁厚を6~8mmなどの従来技術に近いレベルまで減らすことができ、これは、反応室内の温度の均一性にわずかに影響を与えるが、反応室全体の加熱効率をある程度改善させ、その総合的な効果から見ると、複数の補強リブ114を反応領域に設置する従来技術の設計スキームを依然としてはるかに超えることができる。反応室に1つの補強リブ114が設置される場合、当該補強リブ114は、反応室の底壁まで下方に延在する際に、延長管121と融合することになる。延長管121の厚さと形状は、回転軸122が真空の円筒状の延長管内において取り囲まれるように設計されているだけであり、キャビティ全体の大気圧による補強リブ114への大きな応力に耐えることができないため、回転軸と単一の補強リブ114との間に遷移部を設置する必要がある。遷移部は、反応室の底壁に設置されて下方に延在するとともに、その厚さが反応室の底壁の厚さよりも大きく、その面積が延長管121の断面積よりもはるかに大きく、遷移部は延長管121の外壁と接続し、両側の補強リブ114の2つの端点と接続することができる。最終的に、基板の中心に対応する補強リブ114は、延長管121、および遷移部とともに、応力環状構造を形成し、石英反応室110が本発明における低減した気圧差に耐えることができる。
【0060】
本実施例において、前記補強リブ114および前記反応室110はいずれも、石英で製造されてなり、石英材料が光透過性材料であるため、石英製の反応室110および補強リブ114が、放射熱源によって生成される熱エネルギーの伝達中の損失を低減し、熱エネルギーの伝達効率を向上させることができる。さらに、補強リブ114と反応室110は、同じ材料で製造され、これにより、装置の加工の困難さを軽減し、両者の組み合わせの気密性をさらに確保し、その耐圧能力を向上させる。
【0061】
本実施例において、
図3aに示すように、前記反応室110の外側に設置される外部ハウジング140は、天板141、底板142及び側壁143を含み、前記外部ハウジング140の内側に第1留め具144および第2留め具145が設置され、前記天板141、底板142および側壁143は、前記反応室110の外壁
119、第1留め具144および第2留め具145とともに収容空間150を形成する。本実施例において、前記外部ハウジング140は、アルミニウム製であり、前記第1留め具144および第2留め具145は、ステンレス鋼製である。
【0062】
さらに、前記反応室110の両端は、第1フランジ115および第2フランジ116を含み、前記第1フランジ115および第2フランジ116がそれぞれ、外部ハウジング140における第1留め具144および第2留め具145に密着され、前記反応室110を前記外部ハウジング140の内部に固定させる。前記第1フランジ115、第2フランジ116は、第1留め具144、第2留め具145とボルトアセンブリによって接続される。なお、前記反応室110と外部ハウジング140との接続方法は、上記に限定されず、反応室110と外部ハウジング140との間の気密接続が実現される限り、他の接続方法であってもよく、本発明は、これに限定されない。
【0063】
収容空間150内を流れるガスの冷却効果をさらに向上させるために、本実施例において、流れるガスに対して熱交換を行い、反応室110の外壁119の冷却効果を向上させるために、前記外部ハウジング140、第1留め具144および第2留め具145のいずれにも冷却液配管170が設置されている。冷却液は、水、冷却油、または他の冷却媒体であるが、これらに限定されない。
【0064】
さらに、
図5と
図6に示すように、収容空間150の温度制御効率をさらに向上させるために、本発明の化学気相堆積装置は、温度制御回路180をさらに含む。前記温度制御回路180は、前記収容空間150と連通して密閉ガス流回路を形成する密閉ガス流配管である。具体的には、前記温度制御回路180の内部には、ガスを閉回路内に流すように駆動する第2ガス駆動装置181と、ガスに対して熱交換を行い、ガスを冷却する第2熱交換装置182とが含まれ、これにより、閉回路内のガスを低温に保ち、反応室110の外壁
119の温度を下げ、汚染物質が反応室110の内壁に堆積することを防ぐ。温度制御回路180と収容空間150とによって形成される閉回路には、ガス駆動装置が1つだけ設置されるが、これに限られない。本発明は、回路内のガスの流れを促進できる限り、ガス駆動装置の数を制限しない。
【0065】
前記温度制御回路180内のガスは、前記収容空間150の頂部および/または底部から前記収容空間150に流入し、前記収容空間150内のガスは、前記収容空間150の両側を通して前記収容空間150から流出するが、これに限られない。本実施例において、前記温度制御回路180内のガスはそれぞれ、前記収容空間150の頂部および底部から前記収容空間150に流入し、反応室110の頂部と底部との温度差を均一にし、反応室110内の温度の均一性を確保し、基板Wへの薄膜堆積の均一性を確保する。
【0066】
本実施例において、前記冷却ガスは、前記収容空間150の両側から流出してから、前記温度制御回路180の第2熱交換装置182、第2ガス駆動装置181の順に通過する。プロセス状態では、通常、反応室110は、高温状態にあり、反応室110の外側の収容空間150の温度も高く、収容空間150から流出するガスの温度が所定の冷却温度よりもわずかに高い。本実施例において、収容空間150から流出するガスは、まず第2熱交換装置182を通過して熱交換により冷却され、次に第2ガス駆動装置181を流れ継続してガス循環が行われるため、過熱ガスが直接第2ガス駆動装置181と接触することにより、第2ガス駆動装置181が損傷することが回避される。従って、第2ガス駆動装置181の耐用年数が延び、装置のメンテナンスコストが削減される。
【0067】
冷却用の前記ガスは、空気、ヘリウムガス、窒素ガス、または窒素とヘリウムの混合物であり、最適な熱伝導率と流体質量流量を実現するが、これに限られない。当然ながら、前記ガスの種類は、上記に限定されるものではなく、冷却効果のある他のガスであってもよい。
【0068】
さらに、
図5に示すように、前記温度制御回路180は、前記冷却ガスの流れ速度を調整および制御し、冷却ガスの冷却を正確に調整および制御するために、前記第2ガス駆動装置181と接続され、第2ガス駆動装置181を制御するためのコントローラ183をさらに含む。一般的に、収容空間150と温度制御回路180によって形成される閉回路内の冷却ガスは、速く流れるほど、冷却効果がより顕著になり、冷却効率が高くなる。
【0069】
実際の使用中に、プロセスによっては、プロセスの所望の効果を達成するために、反応室110の短期間の急速冷却が必要となる。これに基づいて、本発明の化学気相堆積装置は、温度制御サブ回路190をさらに含む。
図7に示す温度制御サブ回路190は、前記温度制御回路180および収容空間150と連通し、各回路の間にゲートを設置することができ、必要に応じて連通する。前記温度制御サブ回路190は、圧力差を有する少なくとも2つの容器を含み、本実施例において、内部圧力が前記収容空間の気圧よりも高い第1容器191、および内部圧力が前記収容空間の気圧よりも低い第2容器192を含む。
【0070】
反応室110を急速に冷却する必要がある場合、温度制御回路180の第2ガス駆動装置181が動作を停止し、温度制御サブ回路190の第1容器191および第2容器192を開放し、第1容器191、第2容器192および収容空間150の圧力差により、収容空間150、温度制御回路180および温度制御サブ回路190によって形成される閉回路内のガスが短時間で急速に流れ、反応室110の外壁119の熱を反応室110の周囲から急速に奪い、反応室110の温度を急速に下げる。同時に、上記の3つの構成要素によって形成される閉回路の経路は、比較的長く、冷却ガスの熱交換に十分な時間と経路長を提供し、反応室110の急速冷却を実現することができる。
【0071】
さらに、本発明の温度制御サブ回路190は、各容器と接続されて前記容器内の気圧を調整する気圧制御装置をさらに含む。上述したように、温度制御サブ回路190における第1容器191および第2容器192を開放して反応室110の急速冷却を実現した後、第1容器191および第2容器192内の気圧が収容空間150内の気圧と同じになると、次の急速冷却プロセスに用いるために、気圧制御装置を用いて、第1容器191および第2容器192内の気圧を調整し、これにより、各容器と収容空間150との間に一定の気圧差が生じる。前記気圧制御装置は、真空ポンプを含むがこれに限られず、他の気圧調整装置を含むこともできる。
【0072】
同じ発明概念に基づいて、本発明は、前記化学気相堆積装置を使用した堆積方法をさらに提供する。当該方法は、基板Wを反応室110内のサセプタ120に導入するステップと、収容空間150内の気圧が大気圧よりも小さくなるように、気圧調整装置160を利用して収容空間150内の気圧を調整および制御するステップと、反応室110内で化学気相堆積プロセスを実行するステップと、第1ガス駆動装置161を利用して、前記収容空間150内のガスを流すように駆動するステップとを含む。当該方法は、反応室110の壁にかかる圧力を低減し、反応室110内の薄膜堆積プロセスの均一性を損なうことを回避するだけでなく、反応室110の外壁119を冷却する役割も果たし、収容空間150内を流れるガスにより、反応室110の外壁119の熱を反応室110の外面から奪い、反応室110の内壁に汚染物質が付着することを防止する。
【0073】
気圧調整装置160を用いて前記収容空間150内の気圧を0.1~0.6気圧にし、反応室110内外の圧力差を低減し、それにかかる圧力を弱めるが、これに限られない。当然ながら、前記収容空間150内の気圧範囲は、上記範囲に限定されず、実際のプロセス要件に応じて調整可能であり、本発明はこれに限定されない。収容空間150内の気圧が低すぎる場合(<0.1気圧)、収容空間150内のガス分子が少なすぎるため、第1ガス駆動装置161は、多数のガス分子を、反応室110の外壁119と外部ハウジングとの間に移動してぶつかるように駆動することができなくなり、反応室110の放熱能力が大幅に低下し、反応室110の内壁に多量の堆積物が必然的に生成され、不均一な温度分布を引き起こすだけでなく、粒子の落下によるデバイスの故障にもつながる。気圧が高すぎると、反応室内外の気圧差を低減する本発明の効果を明確に得ることができず、キャビティが両側の大きな気圧差に耐えられるように、キャビティの外壁119に多数の補強リブ114を設置することが依然として必要となる。
【0074】
さらに、当該方法は、前記温度制御回路180の第2ガス駆動装置181によって、ガスを、温度制御回路180と収容空間150によって形成される閉回路内に流すように駆動し、第2熱交換装置182によって、閉回路内のガスに対して熱交換を行い、ガスを低温状態に保ち、反応室110に対する冷却効果を向上させるステップをさらに含む。
【0075】
さらに、当該方法は、プロセスにおいて反応室110の短期間の急速冷却が必要な場合、前記温度制御回路180の第2ガス駆動装置181が動作を停止し、温度制御サブ回路190の第1容器191および第2容器192を開放し、温度制御回路180、温度制御サブ回路190および収容空間150内のガスを急速に流し、反応室110の外壁119の熱を急速に奪い、反応室110の外壁119の温度を下げるステップをさらに含む。
【0076】
上記の方法に基づいて、当該方法は、前記温度制御サブ回路190の第1容器191および第2容器192を開放した後、気圧制御装置を用いて第1容器191および第2容器192の内部気圧を調整し、これにより、第1容器191および第2容器192と収容空間150との間に一定の圧力差を維持するステップをさらに含む。
実施例2
【0077】
図8は、本実施例による化学気相堆積装置である。当該化学気相堆積装置の反応室210は、ドーム状の頂壁211を含む。本実施例において、前記反応室210の頂壁211および底壁212はいずれもドーム状であり、前記基板Wの縁部から前記頂壁211までの高さがH1であり、基板Wの中心から頂壁211までの高さがH2であり、前記H2<1.05*H1である。前記反応室210の外側には外部ハウジング240が設置され、堆積プロセスを実行する際、気圧調整装置
260を用いて、両方の間の収容空間250の気圧を大気圧よりも低くなるように調整し、複数の放射熱源230が前記収容空間250の内部に設置されて熱エネルギーを提供する。
【0078】
本実施例において、収容空間250内の気圧が大気圧よりも低いことに加え、当該反応室210の頂壁211および底壁212は、より小さな円弧を有するドーム構造であり、反応室210の内外の圧力差に耐える能力がより強くなる。従って、反応室210の壁に補強リブを増設せずに、当該反応室210がより大きな耐圧能力を実現することができる。同時に、当該反応室210のドームの曲率が小さいため、ドーム構造における不規則なガス流分布という一般的な問題を回避し、反応室210の反応領域内においても、依然として反応ガスの水平の流れ状態を維持することができる。本実施例の二重室構造は、ドーム状の反応室210の耐える必要がある気圧差を低減させ、ドームの高さを低くし、反応室210内のガス流の大規模な垂直方向の拡散を起こさないようにする。当該構造により反応室210内のガス流の均一性が向上し、基板Wへの薄膜堆積の均一性が向上し、基板W生産の歩留まりが確保される。
【0079】
実施例1と同様に、本実施例において、前記化学気相堆積装置は、ガス駆動装置、温度制御回路および温度制御サブ回路などの部材をさらに含む。温度制御回路内のガスは、収容空間250の頂部から外部ハウジング240と反応室210との間に流入し、収容空間250の底部から流出するが、これに限られない。さらに、本実施例のその他の構造、および各構成要素の接続、作用方法については、いずれも実施例1と同様にすることができ、ここでこれ以上の説明および制限をしない。
【0080】
上述したように、本発明の化学気相堆積装置およびその方法において、当該装置は、反応室110、外部ハウジング140および気圧調整装置160などを組み合わせ、プロセスにおいて、気圧調整装置160によって、反応室110と外部ハウジング140との間の収容空間150内の気圧を、大気圧よりも低くし、これにより、反応室110の内外の圧力差を低減させ、反応室110にかかる圧力を緩和させるだけでなく、反応室110内のガス流の均一性および加熱均一性をさらに確保し、基板Wへの薄膜堆積の均一性を向上させ、基板W生産の歩留まりを向上させる。
【0081】
さらに、当該装置は、収容空間150内のガスの流れを促進する第1ガス駆動装置をさらに含み、ガス流が反応室110の外壁119から熱を奪い、反応室110の外壁119の温度を一定の範囲内に下げ、反応室110の外壁119の均一な冷却を実現し、反応室110への汚染物質の堆積を防止し、真空環境の清浄度を確保した。
【0082】
さらに、当該装置は、収容空間150と閉回路を形成する温度制御回路180をさらに含み、第2ガス駆動装置181および第2熱交換装置182を介して当該閉回路内の冷却ガスの流れと熱交換を実現し、反応室110の冷却効率を向上させる。
【0083】
さらに、当該装置は、収容空間150と圧力差を有する第1容器191および第2容器192を含む温度制御サブ回路190を含み、反応室110の短期間の急速冷却を実現して、所望の冷却効果を実現し、プロセスの調整および制御を実現し、基板Wへの薄膜堆積効果を確保する。
【0084】
さらに、当該装置内の反応室110は、ドーム状の構造であってもよく、基板Wの縁部から頂壁までの高さは、H1であり、基板Wの中心から頂壁までの高さは、H2であり、前記H2<1.05*H1であり、当該ドーム状の構造の反応室110は、より強力な耐圧能力を有し、補強リブ114などの構造を増設する必要がなく、より大きな耐圧能力を実現することができ、放射熱源の熱伝達効率に影響を与えない。また、当該反応室110のドーム構造の曲率が小さく、反応室110内のガス流に、大規模な垂直方向に拡散するガス流が発生しないため、当該構造により反応室110内のガス流分布の均一性を向上させ、基板Wへの薄膜堆積の均一性を向上させ、基板W生産の歩留まりを確保した。
【0085】
いくつかの実施例において、前記化学気相堆積装置は、シリコンエピタキシャルなどのホモエピタキシャルプロセスに用いられるエピタキシャル成長処理装置である。当該エピタキシャル成長処理装置において、ガス流がサセプタ120に平行な方向に沿って均一に流れる必要があるため、給気口117および排気口118が反応室110の両端に設置され、これにより、反応室110の内部に細長いガス流路が形成される。
【0086】
上記の化学気相堆積反応器またはエピタキシャル成長処理装置に用いられることに加えて、本発明は、急速熱処理装置(RTP)などの他の真空処理装置に用いることもでき、基板を、処理ガスを備えた急速熱処理装置に直接入れて、処理装置の上下に設置された加熱ランプアセンブリによって基板を急速に加熱し、基板の表面を処理するが、処理ガスが反応して基板上に新しい薄膜を形成することはない。急速熱処理反応器の内部も真空状態が必要であり、ランプアセンブリと反応器の内部空間も透明な反応室の壁で仕切られるため、本発明はこの用途にも適用でき、反応室の壁の設計厚さを低減することができる。したがって、本発明は、ランプアセンブリの加熱を必要とするあらゆる真空反応室に適用することができる。
【0087】
以上、本発明の内容を上記の好ましい実施例を通じて詳細に説明したが、本発明は、上記の説明に限定されるものではないことを理解されたい。当業者であれば、上記の内容をから、本発明に対する様々な修正および変更を行うことができる。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】