(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ポイントオブケア装置での使用の為に試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20241022BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526471
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022048637
(87)【国際公開番号】W WO2023076748
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524162594
【氏名又は名称】ノベル マイクロデバイシズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】パイス,ロハン
(72)【発明者】
【氏名】パイス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】フィッツエル,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ガーザンカ,アンドリュウ
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ザキーラーズ,ショーン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CE03
2G058EA14
(57)【要約】
【課題】本明細書に開示されるのは、サンプルトゥーアンサー又はポイントオブケア機器での使用の為に試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具である。
【解決手段】器具は、試薬ブリスタのような試薬分注ユニットを格納する。ブリスタは、試薬の格納の為の一以上の容器と、試薬ブリスタから境界部を通るマイクロ流体カートリッジへの試薬の流れを阻止する破断シールとを格納できる。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイントオブケア装置での使用の為に試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具であって、
試薬ブリスタであって、少なくとも一つの容器と、前記少なくとも一つの容器と前記マイクロ流体カートリッジとの間の少なくとも一つの境界部と、前記試薬ブリスタから前記少なくとも一つの境界部を通る前記マイクロ流体カートリッジへの試薬の流れを阻止する少なくとも一つの破断シールとを具備する試薬ブリスタと、
前記少なくとも一つの容器へ圧力を印加して、前記シールの破断後に前記マイクロ流体カートリッジへの前記試薬の分注を操作する為の少なくとも一つのプランジャと、
を具備する器具。
【請求項2】
第1容器と第2容器とを少なくとも具備して、前記第1及び第2容器が互いとの流体接続状態にあり、分注される試薬を前記第1容器が包含する、請求項1の器具。
【請求項3】
前記第1容器が前記第2容器より大きい、請求項2の器具。
【請求項4】
前記第1容器と前記マイクロ流体カートリッジとの間の前記境界部に前記少なくとも一つの破断シールが配置される、請求項2の器具。
【請求項5】
前記少なくとも一つの容器が冷間成形ブリスタホイル又は熱成形プラスチックで製作される、請求項1の器具。
【請求項6】
前記少なくとも一つの破断シールがホイル蓋体を具備する、請求項1の器具。
【請求項7】
前記マイクロ流体カートリッジが前記破断シールに接続されて前記カートリッジへ流体を流入させるチャネルを具備する、請求項1の器具。
【請求項8】
前記破断シールが前記試薬ブリスタ全体の下に位置し、前記破断シールが前記試薬ブリスタに結合される、請求項1の器具。
【請求項9】
前記試薬ブリスタが冷間成形ブリスタホイルで製作される、請求項8の器具。
【請求項10】
前記マイクロ流体カートリッジの上面と前記破断シールとの間に感圧層を具備する、請求項7の器具。
【請求項11】
前記チャネルの上方にある前記破断シールの一部分を除いて、前記感圧層が前記破断シール全体の下に位置する、請求項10の器具。
【請求項12】
前記第1容器と接触して圧力を印加する第1プランジャと、前記第2容器と接触して圧力を印加する第2プランジャとを具備する、請求項2の器具。
【請求項13】
前記第2プランジャが前記破断シールを破断する為に前記破断シールに圧力を印加する突出部を具備する、請求項12の器具。
【請求項14】
前記試薬ブリスタから前記マイクロ流体カートリッジの他の部位へ試薬を流入させる為の出口境界部を更に具備する、請求項1の器具。
【請求項15】
前記試薬ブリスタが、前記マイクロ流体カートリッジ材料から形成され、第1容器と変形シールとを具備し、前記変形シールが前記マイクロ流体カートリッジに形成されたチャネルに近接した前記マイクロ流体カートリッジの外面に貼付される、請求項14の器具。
【請求項16】
前記少なくとも一つの破断シールが前記マイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置され、前記試薬ブリスタの下に位置し、前記出口境界部では前記チャネルにわたって延在する、請求項15の器具。
【請求項17】
前記マイクロ流体カートリッジから形成されて前記変形シールに近接して配置される少なくとも一つの穿孔バーを更に具備し、前記穿孔バーが、前記出口境界部に近接して前記チャネルに延在する横アームと、前記横アームの端部に配置されて前記少なくとも一つの破断シールの方向に延在する穿刺要素とを具備する、請求項16の器具。
【請求項18】
前記試薬ブリスタが前記マイクロ流体カートリッジの外面に貼付され、第1容器と第2容器とを具備する、請求項14の器具。
【請求項19】
前記試薬ブリスタが冷間成形ブリスタホイル又は熱成形プラスチックから成る、請求項18の器具。
【請求項20】
前記マイクロ流体カートリッジの前記外面が前記試薬ブリスタの下に位置する、請求項19の器具。
【請求項21】
前記破断シールが前記マイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置されて、前記マイクロ流体カートリッジに形成されたチャネルにわたって延在する、請求項20の器具。
【請求項22】
ポイントオブケア装置での使用の為に試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具であって、
試薬ブリスタであって、第1容器と、第2容器と、第3容器とを具備する試薬ブリスタと、
第1プランジャ、第2プランジャ、及び、第3プランジャと、
前記ブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部、及び、前記ブリスタから前記マイクロ流体装置へ試薬を流入させる為の出口境界部と、
前記ブリスタ内に格納される破断バーと、
を具備する、器具。
【請求項23】
前記破断バーが、第1ノードと、中央部分と、第2ノードと、前記第1ノードを前記中央部分に接続する第1コネクタ要素と、前記第2ノードを前記中央部分に接続する第2コネクタ要素とを具備する、請求項22の器具。
【請求項24】
前記第1プランジャと前記第3プランジャの各々が、前記第2プランジャの外面よりも延在する突出部を具備する、請求項23の器具。
【請求項25】
前記第1プランジャが起動時に前記第1容器と接触して前記第1容器と前記破断バーの前記第1ノードとに圧力を印加し、前記第3プランジャが起動時に前記第3容器と接触して前記第3容器と前記破断バーの前記第2ノードとに圧力を印加する、請求項24の器具。
【請求項26】
前記第1プランジャ及び前記第3プランジャとの前記突出部が前記容器及びノードと係合する、請求項25の器具。
【請求項27】
前記破断シールが前記ブリスタの下に位置して密封し、前記マイクロ流体カートリッジの表面に接着剤で貼付される、請求項26の器具。
【請求項28】
前記マイクロ流体カートリッジが、前記入口境界部及び出口境界部の下方にそれぞれ第1チャネル及び第2チャネルを具備する、請求項27の器具。
【請求項29】
破断バーの前記中央部分の下方に配置される濾過要素を更に具備する、請求項28の器具。
【請求項30】
前記第1及び第2ノードの各々が、前記入口境界部及び出口境界部と前記破断シールとに付勢される延在部を具備する、請求項25の器具。
【請求項31】
前記濾過要素が濾過パッドである、請求項29の器具。
【請求項32】
前記濾過要素が親油性パッドである、請求項29の器具。
【請求項33】
前記ブリスタが、試薬を混合する為の流動ブリスタである、請求項28の器具。
【請求項34】
前記ブリスタが、試薬を分離する為の流動ブリスタである、請求項29の器具。
【請求項35】
前記ブリスタが流動ブリスタである、請求項28の器具。
【請求項36】
前記入口境界部に正の流体圧力を印加する為の流体圧力源を更に具備する、請求項35の器具。
【請求項37】
空前記流体圧力源が気ポンプと、開放時に重力を使用して前記ブリスタ内で流体を移動させる空気ベントと、別の流体充填ブリスタとから成る群から選択される、請求項36の器具。
【請求項38】
前記マイクロ流体カートリッジ材料から形成される試薬ブリスタと、
第1プランジャ及び第2プランジャと、
前記ブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部、及び前記試薬ブリスタから前記マイクロ流体カートリッジの他の部位へ試薬を流入させる為の出口境界部と、
を更に具備する、請求項1の器具。
【請求項39】
前記試薬ブリスタが第1容器と、第1及び第2変形シールとを具備し、前記第1及び第2変形シールが、前記マイクロ流体カートリッジに形成されたチャネルに近接して前記マイクロ流体カートリッジの外面に貼付される、請求項38の器具。
【請求項40】
前記少なくとも一つの破断シールが前記マイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置され、前記試薬ブリスタの下に位置し、前記出口及び入口境界部では前記チャネルにわたって延在する、請求項39の器具。
【請求項41】
前記マイクロ流体カートリッジから形成されて前記第1及び第2変形シールに近接して配置される第1及び第2穿孔バーを更に具備し、前記第1及び第2穿孔バーの各々が、前記入口及び出口境界部に近接して前記チャネルに延在する横アームと、前記横アームの端部に配置されて前記少なくとも一つの破断シールの方向に延在する穿刺要素とを具備する、請求項40の器具。
【請求項42】
前記第1プランジャと前記第2プランジャの各々が、前記少なくとも一つの破断シールを破断する為に前記破断シールに圧力を印加する突出部を具備する、請求項41の器具。
【請求項43】
前記少なくとも一つの破断シールが前記マイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置され、前記試薬ブリスタの下に位置し、前記入口及び出口境界部では前記チャネルにわたって延在する、請求項42の器具。
【請求項44】
前記ブリスタが流動ブリスタである、請求項43の器具。
【請求項45】
前記入口境界部に正の流体圧力を印加する為の流体圧力源を更に具備する、請求項44の器具。
【請求項46】
前記流体圧力源が空気ポンプと、開放時に重力を使用して前記ブリスタで流体を移動させる空気ベントと、別の流体充填ブリスタとから成る群から選択される、請求項45の器具。
【請求項47】
サンプルトゥーアンサー装置での使用の為のマイクロ流体カートリッジであって、
試薬ブリスタと、流体チャネルとを具備するマイクロ流体カートリッジであって、前記試薬ブリスタが第1容器と、第2容器と、第3容器と、前記ブリスタに試薬を流入させる為の入口境界部と、前記ブリスタから流体チャネルへ試薬を流入させる為の出口境界部と、破断バーとを具備する、マイクロ流体カートリッジと、
第1プランジャ、第2プランジャ、及び第3プランジャと、
を具備する、マイクロ流体カートリッジ。
【請求項48】
試薬ブリスタと流体チャネルとを具備するマイクロ流体カートリッジであって、前記試薬ブリスタが第1容器と、第2容器と、第3容器と、前記ブリスタに試薬を流入させる為の入口境界部と、前記ブリスタから前記流体チャネルへ試薬を流入させる為の出口境界部と、破断バーとを具備する、マイクロ流体カートリッジと、
第1プランジャ、第2プランジャ、及び第3プランジャと、
を具備するサンプルトゥーアンサー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月1日出願の米国仮出願第63/274,502号の優先権を主張し、その開示は、本明細書に完全に記載された場合と同様に参照により援用される。
【0002】
大まかな技術分野は、実験室環境の外側、或いはポイントオブケア(POC)で実施される診断検査での使用の為の診断装置である。
【背景技術】
【0003】
ポイントオブケア(POC)診断装置は、患者ケアの現場で検査を行なうことにより診断検査の利便性を高める。これらの検査は、熟練又は非熟練のオペレータにより実験室環境の外側で実施され得る。そのため、POC診断検査は好ましくは、オペレータエラーのリスクを低減するように可能な限り簡易であるべきである。幾つかのPOC検査は、検査を行なうのに必要な試薬の「単位用量」が予充填された使い捨てカートリッジを使用して、検査用の試薬のピペット操作で起こり得るオペレータエラーを排除する。好ましくは、このようなカートリッジは、室温条件で保管される少なくとも6か月の品質保持期間を有するべきである。一回用量の湿潤試薬をマイクロ流体カートリッジに保管する一般的な方法は、ホイルブリスタで湿潤試薬を包装することによる。
【0004】
従来の試薬充填ブリスタは、錠剤の製剤包装に使用されるブリスタに構造が類似している。ブリスタ材料は大抵、薄いプラスチック又はポリマー膜で被覆されたアルミニウム基材で製作される。これらの材料の組合せは、ブリスタ内に格納される湿潤試薬の長期保管を促進する蒸気バリヤとして作用する。これらのブリスタから試薬を分注する為に、ブリスタに力が印加されてブリスタを変形させ、ブリスタの底部に配置されたシールが、ブリスタ層が変形する際にダイヤフラムのように変形する。シールは、シールの下に配置された破断スパイクに衝突し、シールを断裂して、ブリスタからマイクロ流体カートリッジへの流体通路を開放する。ブリスタを更に押し潰すと、ブリスタからマイクロ流体カートリッジの所望の箇所へ試薬が押し出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような設計は、ブリスタから試薬を分注するのに相当な力を必要とする。また、このような構成では、意図されていない断裂が輸送中にホイル蓋体材料に起こり得る。例えば、航空機での客室圧力変化によりシールが破断スパイクに衝突し、その結果、望ましくない断裂と内容物の汚染とを生じ得る。必要とされるのは、使用が簡易で製造が容易であって低コストであり、試薬を分注するのに大きな力を必要とせず、例えばホイル蓋体材料の断裂又は他の破損に対する耐性を持つ設計である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ポイントオブケア診断装置での使用の為に試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具と使用方法との様々な実施形態が開示される。一実施形態では、試薬ブリスタ(又はポーチ)と少なくとも一つのプランジャとを具備する、試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の試薬分注ユニットが提供される。関連の実施形態において、試薬ブリスタは、一以上の試薬の格納の為の少なくとも一つの容器を具備し得る。ブリスタは、容器とマイクロ流体カートリッジとの間の境界部も具備し得る。試薬ブリスタから境界部を通るマイクロ流体カートリッジへの試薬の流れを阻止する破断シールもブリスタは具備し得る。別の関連実施形態で、プランジャは容器に圧力を印加して、シールの破断後にマイクロ流体カートリッジへの試薬の分注を操作する。
【0007】
別の実施形態で、試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具は、互いとの流体接続状態にある複数の容器を格納し得る。関連の実施形態では、互いとの流体接続状態にある少なくとも二つの容器(例えば第1容器と第2容器)を器具が格納し得る。一実施形態において、分注される試薬は複数の容器のうちいずれにあってもよい。幾つかの実施形態では、分注される試薬を第1容器が格納し得る。
【0008】
複数の容器を含む実施形態において、容器は異なるサイズ(及び形状)であり得て、例えば二つの容器を含む実施形態では、第1容器が第2容器より大きい。
【0009】
幾つかの実施形態で、試薬ブリスタは、第1容器と上記マイクロ流体カートリッジとの間の境界部に配置される少なくとも一つの破断シールを格納し得る。他の実施形態で、破断シールはホイル蓋体を具備し得る。別の実施形態で、マイクロ流体カートリッジは、破断シールが破損した場合に容器からカートリッジへ流体が流入する境界部を介して容器との流体接続状態にあるチャネルを具備し得る。関連の実施形態で、破断シールは試薬ブリスタ全体の下に位置する。別の実施形態で、破断シールは上記試薬ブリスタに結合され得る。幾つかの実施形態で、破断シールはマイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置され、試薬ブリスタの下に位置し、出口境界部ではチャネルにわたって延在する。
【0010】
幾つかの実施形態で、試薬ブリスタは、(全体又は一部が)冷間成形ブリスタホイル又は熱成形プラスチックから成る。
【0011】
他の実施形態で、試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具は、感圧層を格納し得て、感圧層は、幾つかの実施形態ではマイクロ流体カートリッジの上面と破断シールとの間に配設され得る。流体の流れを妨害しないように、チャネルの上方にある破断シールの一部分を除いて、感圧層は破断シールの表面積全体の下に位置し得る。
【0012】
幾つかの実施形態では、各々が当該の容器に圧力を印加する複数のプランジャが設けられる。例えば、二つのプランジャを含む関連の実施形態で、第1プランジャは第1容器と接触して圧力を印加し、第2プランジャは第2容器と接触して圧力を印加し得る。
【0013】
幾つかの実施形態で、一以上のプランジャは、当該の容器内で破断シールと接触する突出部を格納し得る。例えば、二つのプランジャを備える実施形態では、第2容器内の破断シールを破断する為にこれと接触して圧力を印加する突出部を第2プランジャが具備し得る。
【0014】
一実施形態において、試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具は、試薬ブリスタからマイクロ流体カートリッジの他の部位へ試薬を流入させる為の出口境界部を格納し得る。
【0015】
幾つかの実施形態で、試薬ブリスタはマイクロ流体カートリッジ材料から形成され得る。関連の実施形態で、試薬ブリスタは第1容器と変形シールとを含み得る。マイクロ流体カートリッジの外面に変形シールが貼付され得て、他の実施形態では、マイクロ流体カートリッジに形成されたチャネルに変形シールが近接し得る。
【0016】
他の実施形態で、器具は少なくとも一つの穿孔バーを含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体カートリッジから穿孔バーが形成され得る。別の実施形態では、変形シールに近接して穿孔バーが配置され得る。穿孔バーは例えば、横アームと、幾つかの実例では横アームの端部に配置される穿刺要素とを含む構造を含み得る。一実施形態で、横アームは、出口境界部に近接してチャネルにわたって延在し、穿刺要素は少なくとも一つの破断シールの方向に延在し得る。
【0017】
一実施形態で、試薬ブリスタはマイクロ流体カートリッジの外面に貼付されて第1容器と第2容器とを含み得る。関連の実施形態で、試薬ブリスタは冷間成形ブリスタホイル又は熱成形プラスチックから成り得る。幾つかの実施形態で、マイクロ流体カートリッジの外面は試薬ブリスタの下に位置し得る。
【0018】
別の実施形態で、器具は、第1容器と第2容器と第3容器とを備える試薬ブリスタを含み得る。この実施形態はまた、第1プランジャと第2プランジャと第3プランジャとを含み得る。幾つかの関連実施形態で、器具は、ブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部と、ブリスタからマイクロ流体装置へ試薬を流入させる為の出口境界部とを含み得る。別の関連実施形態で、器具は、ブリスタ内に格納される破断バーを含み得る。破断バーは、第1ノードと、中央部分と、第2ノードと、上記第1ノードを上記中央部分に接続する第1コネクタ要素と、上記第2ノードを上記中央部分に接続する為の第2コネクタ要素とを格納し得る。第1プランジャと第3プランジャとは、第2プランジャの外面よりも延在する突出部を格納し得る。第1プランジャは起動時に第1容器と接触して第1容器と破断の第1ノードとに圧力を印加し得る。第3プランジャは起動時に第3容器と接触して第3容器と上記破断バーの第2ノードとに圧力を印加し得る。一実施形態で、第1プランジャ及び第3プランジャの突出部は容器及びノードと係合する。別の実施形態で、破断シールはブリスタの下に位置して密封し得る。破断シールはマイクロ流体カートリッジの表面に接着剤で貼付され得る。幾つかの関連実施形態で、マイクロ流体カートリッジは、入口境界部と出口境界部の下方にそれぞれ第1チャネルと第2チャネルとを格納し得る。他の関連実施形態で、器具は更に、破断バーの中央部分の下方に配置される濾過要素(例えば親油性パッドなどの濾過パッド)を格納し得る。別の関連実施形態で、第1及び第2ノードは、入口境界部と出口境界部と上記破断シールとに付勢される延在部を格納し得る。
【0019】
幾つかの実施形態で、試薬ブリスタは流動ブリスタであり得る。別の実施形態で、流動ブリスタは、試薬の混合及び/又は試薬の分離の為のものであり得る。
【0020】
他の実施形態で、器具は、正の流体圧力を入口境界部に印加する為の流体圧力源を格納し得る。別の実施形態で、流体圧力源は、空気ポンプ、開放時に重力を使用してブリスタ内で流体を移動させる空気ベント、又は別の流体充填ブリスタであり得る。
【0021】
幾つかの実施形態で、器具は、上記マイクロ流体カートリッジ材料から形成される試薬ブリスタ、第1プランジャと第2プランジャ、そしてブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部と試薬ブリスタからマイクロ流体カートリッジの他の部位へ試薬を流入させる為の出口境界部を格納し得る。試薬ブリスタはまた、第1容器と第1及び第2変形シールとを格納し、上記第1及び第2変形シールは、上記マイクロ流体カートリッジに形成されたチャネルに近接して上記マイクロ流体カートリッジの外面に貼付される。他の関連実施形態で、破断シールは、マイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置され、試薬ブリスタの下に位置し、上記出口及び入口境界部では上記チャネルにわたって延在し得る。別の実施形態では、マイクロ流体カートリッジから形成されて上記第1及び第2変形シールに近接して配置される第1及び第2穿孔バーも器具が格納し得る。第1及び第2穿孔バーの各々は、上記入口及び出口境界部に近接して上記チャネルに延在する横アームと、上記横アームの端部に配置されて上記少なくとも一つの破断シールの方向に延在する穿刺要素とを含み得る。別の関連実施形態で、第1プランジャと第2プランジャの各々は、上記少なくとも一つの破断シールを破断する為にこれに圧力を印加する突出部を具備し得る。関連実施形態で、破断シールは、マイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置され、試薬ブリスタの下に位置し、上記入口及び出口境界部では上記チャネルにわたって延在し得る。別の関連実施形態で、ブリスタは流動ブリスタであり得る。更に、器具は、正の流体圧力を入口境界部に印加するための流体圧力源を含み得て、幾つかの実施形態で、流体圧力源は、空気ポンプ、開放時に重力を使用してブリスタ内で流体を移動させる空気ベント、又は別の流体充填ブリスタであり得る。
【0022】
別の実施形態で、サンプルトゥーアンサー装置での使用の為のマイクロ流体カートリッジは、試薬ブリスタと流体チャネルとを具備するマイクロ流体カートリッジを具備し、試薬ブリスタは、第1容器、第2容器、第3容器、ブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部、ブリスタから流体チャネルへ試薬を流入させる為の出口境界部、破断バー、そして第1プランジャと第2プランジャと第3プランジャを具備する。
【0023】
また別の実施形態で、サンプルトゥーアンサー装置は、試薬ブリスタと流体チャネルとを具備して、上記試薬ブリスタが第1容器と第2容器と第3容器とブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部とブリスタから流体チャネルへ試薬を流入させる為の出口境界部と破断バーとを具備する、マイクロ流体カートリッジ、そして第1プランジャと第2プランジャと第3プランジャとを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
こうして今回開示の主題を大まかに記載したが、本発明の代表的な実施形態を開示している添付の図をこれから参照する。
【
図1C】マイクロ流体カートリッジと境界を接する破断シールを備える2容器試薬ブリスタの実施形態を示す。
【
図2B】マイクロ流体カートリッジに成形された穿孔バーを備える2容器試薬ブリスタの実施形態を示す。
【
図3B】マイクロ流体カートリッジに成形された穿孔バーを備える2容器試薬ブリスタの別の実施形態を示す。
【
図4B】正の圧力を付与してブリスタの内容物を分注する流体充填ブリスタを備える流動ブリスタの実施形態を示す。
【
図5C】破断バーを備える流動ブリスタの実施形態を示す。
【
図6C】破断バーと濾過パッドとを備える流動ブリスタの実施形態を示す。
【
図7B】流体カートリッジに成形された穿孔バーを備える流動ブリスタの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
さて、今回開示の主題の全てではなく幾つかの実施形態が示されている添付図を参照して、今回開示の主題が以下でより詳しく記載される。今回開示の主題は多くの異なる形で具現され得るが、本明細書に提示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。実際に、上の記載と関連の図とに提示される教示を享受する今回開示の主題の関連分野の当業者は、本明細書に提示される今回開示の主題の多くの変形例及び他の実施形態を発案するだろう。それゆえ、今回開示の主題は開示される特定の実施形態に限定されないことと、変形例及び他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれると意図されていることとが理解されるはずである。
【0026】
図1A‐
図1Cに図示されている実施形態を参照すると、ポイントオブケア診断装置での使用の為に試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具が示されている。一実施形態で、器具は一以上の試薬ブリスタ(100で全体的に図示)又は試薬ポーチであり得る。一以上の試薬ブリスタ100は、一以上の容器101を具備し得る。
図1には、第1容器101aと第2容器101bとを備える単一試薬ブリスタ100が描かれている。試薬ブリスタが2より多い容器を格納し得ることが理解されるべきである。この実施形態で、二つの容器101a‐bは冷間成形ブリスタホイル102から製作され、一方の容器101aは他方の容器101bより大きい。続けて
図1を参照すると、分注される試薬は大きい方の第1容器101aに装填される。しかしながら、第1及び第2容器の間には流体接続部又は境界部103が設けられている。
【0027】
続けて
図1を参照すると、試薬ブリスタ100に試薬が封入されたままになるように、ブリスタホイル102は下の格納部材104に密封(例えば熱融着)され得る。
図1に描かれている実施形態で、第1及び第2容器は、二つの実質的に平坦な側方部材134a‐bで格納部材104に密封されている。
図1に示されているように、第1側方部材134aは第1容器101aの円形要素105の側方に位置して、第2側方部材134bは第2容器101bの隆起面106の側方に位置している。幾つかの実施形態で、第1及び第2容器が密封される格納部材104は、ホイル蓋体107であり得る。
【0028】
続けて
図1を参照すると、幾つかの実施形態で、結合層108を形成する結合剤を介して試薬ブリスタ100がマイクロ流体カートリッジに貼付され得る。結合層108は、接着ボンド、溶接ボンド、熱ボンド、その他を包含し得る。幾つかの実施形態では、感圧接着剤(PSA)が結合層108を形成する。他の結合技術は、超音波溶接及び/又は熱結合を含むが、これらに限定されるわけではない。一実施形態で、格納部材104(例えばホイル蓋体)は、二つの異なる温度で活性化する二つの結合コーティング又は結合剤を包含し得る。このような設計では、超音波/熱結合などにより、ホイル蓋体の第1面109は低い方の第1温度でブリスタホイル102に結合され、第2面110は高い方の第2温度でプラスチックのマイクロ流体カートリッジに結合され得る。溶接結合が使用される時には、溶接ステップ中の開口を防止するように溶接ジョイントが熱結合位置からオフセットされ得る。
【0029】
続けて
図1を参照すると、一実施形態では、第2容器101bがマイクロ流体カートリッジ111の開口部又はチャネル112のすぐ上方に配置されるように、試薬ブリスタ100がマイクロ流体カートリッジ111に貼付され得る。幾つかの実施形態で、第2容器101bの下方のホイルシール113は、試薬の分注を制御する破断バルブとして作用する。幾つかの実施形態で、ホイルシール113は格納部材104のコンポーネントであり得る。例えば、ホイル蓋体の残部を破損することなく比較的弱い力でホイルシールを破断できるように、ホイルシール113は残りのホイル蓋体104より薄い材料で製作され得る。幾つかの実施形態で、これは、
図1Bに図示されているように流体通路を開放して容器とマイクロ流体カートリッジとの間の流体接続を確立するのにホイルシール113の断裂を必要とする。
【0030】
幾つかの実施形態で、冷間成形ブリスタ層102は厚い(例えば~20‐200μm)アルミニウムで製作されてポリマーフィルムでコーティングされ得る。この材料は硬質であって、冷間成形後に試薬を格納するのに必要な容器の形状を保持する。他の実施形態で、ホイル蓋体104はより薄いホイル(例えば~5‐35μmの厚さ)で製作され、蒸気を捕捉して蒸気バリヤとして作用するようにやはりポリマーフィルムでコーティングされ得る。付加的に、上で説明したように、ホイル蓋体104は、ブリスタホイル層に熱結合されて(又は感圧接着剤)二つの間に気密シールを生じるように加熱活性化接着剤でコーティングされ得る。
【0031】
続けて
図1を参照すると、ブリスタからマイクロ流体カートリッジへの流体通路又はチャネル112は、試薬をマイクロ流体カートリッジへ分注するように開放されなければならない。
図1Aには、第1容器101aと接触してこれを圧迫するように構成されている第1プランジャ114と、第2容器101bと接触するように構成されている第2プランジャ115との二つのプランジャが示されている実施形態が描かれている。示すように、第1及び第2プランジャは第1及び第2容器に近接し、幾つかの実施形態では容器の上方に配置される。この実施形態で、試薬ブリスタ100とマイクロ流体カートリッジとの間に流体接続を確立する為に、第2容器101bに対する第2プランジャの相互作用を通して流体チャネル112が開放される。第2プランジャ115の操作により、ブリスタホイルを下向きに変形させてホイル蓋体104のホイルシール113を破損又は破断するように、第2プランジャ115が第2容器101bの冷間成形ブリスタホイルと係合してこれを下向きに押圧する。幾つかの実施形態で、冷間成形ブリスタホイルは断裂又は破断耐性が高く、ホイルシール113又はホイル蓋体104より大きい圧力に耐えることが可能である。言い換えると、破断を生じることなくホイル蓋体材料よりも大きい力に耐えられるのである。
【0032】
ブリスタとマイクロ流体カートリッジとの間の流体チャネル112が開放されて流体接続が確立されると、ブリスタの内側の試薬が分注される。
図1Cに示されているように、第1プランジャの操作により、ブリスタホイルを下向きに変形させて試薬ブリスタからマイクロ流体カートリッジへ試薬を押し出すように、第1容器101aの冷間成形ブリスタホイルと係合してこれを下向きに押圧する。
【0033】
図2は、二つの容器を備える試薬ブリスタ100の代替実施形態を図示している。
図2に示されている試薬ブリスタは、この実施形態では冷間成形ブリスタホイルが側方部材134a‐bを介してマイクロ流体カートリッジ111に直接的に溶接され得ることを除いて、
図1に示されている実施形態と全ての側面で同じである。この構成では第2容器の直下にあるホイルシール113又はホイル蓋体104の一部分が、やはり破断バルブとして機能する。しかしながら、
図2に示されている実施形態では、第1マイクロ流体カートリッジ層117と第2カートリッジ層118(例えばプラスチック材料)との間の間隙116内に、ホイル蓋体104が包囲される。先行の実施形態のように、試薬をマイクロ流体カートリッジ111に分注する為に、ブリスタからマイクロ流体カートリッジに流体チャネル112を開放するようにホイルシール113が破断されなければならない。これは、第2容器101bに近接する(例えばすぐ上方にある)第2プランジャ115の操作を介して達成され、第1マイクロ流体カートリッジ層117と一体的である(単一成形のコンポーネントである)穿孔バー118と第2プランジャ115を係合させて、穿孔バー118を下向きに変形させ、下方のホイルシール113(ホイル蓋体104の一区分)を貫通させる。幾つかの実施形態で、穿孔バー119は、ホイルシールと係合してこれを破断させる先鋭突出部136を含む。この実施形態では、ホイルシールが断裂されるまで第2プランジャが第2容器と衝突すると、流体チャネルが開放されて流体接続が確立される。(
図1に示されている実施形態と同様である)
図2に示されている実施形態では、ブリスタホイルを下向きに変形させて試薬ブリスタからマイクロ流体カートリッジへ試薬を押し出すように、第1プランジャの操作により、第1容器101aの冷間成形ブリスタホイルと第1プランジャを係合させてブリスタホイルを下向きに押圧する。
【0034】
図3に図示されている実施形態によれば、試薬ブリスタ100は単一容器120と容器チャネル121とを格納し得る。
図3に示されている実施形態で、試薬ブリスタ100はマイクロ流体カートリッジの一体構造コンポーネントであり得て、試薬はマイクロ流体カートリッジ層の内側に全て保管され得る。例えば、容器120の円形上方部分122は、第1プランジャ114(
図3には不図示)により力が印加された時に円形上方部分が下向きに変形されるか押圧され得る限りは、マイクロ流体カートリッジ自体か冷間成形ブリスタホイルと同じ材料で製作され得る。この実施形態では、試薬を容器120に封入する第1マイクロ流体カートリッジ層117の上面124に第1ホイル蓋体123が上から密封(例えば熱融着)される。第1ホイル蓋体123は、断裂又は破断に耐性を持つ材料で製作され得る。
図3に示されているように、第1ホイル蓋体123が(少なくとも一部に)密封されるマイクロ流体カートリッジ上面124の一部分は、マイクロ流体カートリッジの一体的コンポーネントである穿孔バー118の上面でもある。更に、穿孔バー118の底面は容器チャネル121の上壁部125を形成する。
図3に示されている実施形態で、穿孔バー118は、
図2に示されている実施形態と全く同じように、アーム131と、ヘッド132と、ヘッド131から突出する先鋭突出部119とを含み、
図2の実施形態もこれらの構造を含む。
【0035】
続けて
図3を参照すると、第2ホイル蓋体126は第1マイクロ流体カートリッジ層117の底面127に密封されて、容器120の内側に試薬を下から封入し得る。第2ホイル蓋体126は、容器120と流体チャネル112との間の境界部128とともに、破断バルブとして機能する。この実施形態で、第2ホイル蓋体126は、断裂又は破断が容易であって第1ホイル蓋体より薄い材料で製作され得る。容器120の下方の第2ホイル蓋体126は、試薬の分注の為の破断バルブとして機能し、容器120と、診断分析プロセスに関わる残りのマイクロ流体カートリッジのコンポーネントとの間の流体チャネル112を開放するように、断裂又は破断され得る。この実施形態で、第2ホイル蓋体126は、第1マイクロ流体カートリッジ層117と第2カートリッジ層118(例えばプラスチック材料)との間の間隙129内に包囲される。
【0036】
試薬をブリスタから分注する為に、第1ホイル蓋体123に近接して(例えば上方に配置されて)第1ホイル蓋体123の中心点130又はその近くで第1ホイル蓋体123と接触して力を印加するように構成されている第2プランジャ115が操作される。
図3に示されている実施形態で、第2プランジャ123は、中心点130を通って、ヘッド132と境界部128と流体チャネル112とを通るか、隣接して延在する垂直軸線(A)を画定する。また
図3に示されているように、突出部119とヘッド132とは、垂直軸線(A)から若干オフセットした別の垂直軸線(B)を画定する。垂直軸線(B)は境界部128の中心点133に延在する。操作されると、第2プランジャ115は、第1ホイル蓋体中心点130で試薬ブリスタの第1ホイル蓋体123と接触して圧力を印加し、(例えばこの実施形態では下向きに)これを変形させる。第2プランジャ115が移動し続けて第1ホイル蓋体123を変形させると、第1ホイル蓋体123は(無傷/未断裂のまま)穿孔バーのヘッド132と係合し、これを下向きに変形させて下方の第2ホイル蓋体126を押圧する。第2ホイル蓋体126が破断されるまで、第2プランジャ115が容器120と衝突する。
図3の実施形態で、容器の円形上方部分122は変形材料で製作され、例えば第1プランジャ114(
図3には不図示)により、機械的操作による圧力が円形上方部分122の上部に印加されて、容器を変形させて下向きに押圧することで、中に格納された試薬を分注する。
【0037】
試薬ブリスタは、ブリスタ内での加圧液体の流れを許容する流動ブリスタの形であり得る。ブリスタ内の流れはバルブ機能を果たし、ブリスタが破断されると、ブリスタ内からマイクロ流体カートリッジの別の箇所への試薬の流れを起こす。大抵は流動ブリスタが混合室として機能し、加圧液体が流動ブリスタへ流入して既存のブリスタ内容物と混合される。例えば、既存のブリスタ内容物は、液体試薬、ビード粒子(例えば磁気ビード粒子)、及び/又は、固体試薬(例えば凍結乾燥された試薬ペレット)を包含し得る。液体の乱流は混合を促進する。流動ブリスタは時にはセパレータとしても機能し、ブリスタ内を流れる液体の成分を分離することが可能なセパレータ要素(例えばフィルタ又はトラップ)を含む。例えば、試薬と油とを包含する流動相の液体から油を除去するのに親油性パッドが使用され得る。
【0038】
図4に示されている実施形態で、(流動)試薬ブリスタ200は、第1容器201と第2容器202と第3容器203と第4容器204とを格納し得る。容器は、冷間成形ブリスタホイル又は冷間成形/熱成形プラスチックで製作され得る。
図4に示されているように、ビードが一以上の容器の内側に配置され、機械的操作による力が容器に印加された時にホイルシールを破断するように構成され得る。例えば、ビード205a‐bは、この実施形態では第2容器の側方に位置する第3及び第4容器の内側に配置され得る。一以上の試薬206(例えば液体又は(凍結乾燥)固体)が容器のうち一以上に置かれ得る。
図4に示されているように、ビードと試薬とを容器に拘束するホイル蓋体207により容器が密封され得る。冷間成形ブリスタホイル及びホイル蓋体207は、試薬ブリスタ200の内側での試薬の長期保管の為の蒸気バリヤとして作用する。幾つかの実施形態で、ホイル蓋体は薄く、この実施形態では第3及び第4容器203及び204と関連するホイル蓋体のビードの作用により、或いは第1容器201について示されているような(ビードを含まない)プランジャのみからの機械的操作による力によって実施される破断又は断裂を受けるように構成されている。断裂されると、試薬が試薬ブリスタ内を流れて、示したように分注され得る。
【0039】
続けて
図4を参照すると、(例えばブリスタパックの形の)ブリスタがマイクロ流体カートリッジ(不図示)に置かれ、その入口208及び出口209(拘束ビードを具備する容器の下方の開口部)はマイクロ流体カートリッジの流体チャネルと界部を接している。幾つかの実施形態では、流体チャネルを介して分注された流体を収容するカートリッジのウェルに出口209が接続され得る。一実施形態では、(
図4に示されているように)幾つかの実施形態で空気源(例えば空気ポンプ)、開放されると重力により増強された流体の流れを許容する空気ベント、又は別の流体充填第1容器201を具備する正の流体圧力源に入口208が接続され得る。
【0040】
図4に示されている一実施形態では、機械的操作による力を二つのビード格納容器203及び204に印加してビードをホイル蓋体207と係合させることにより、試薬がブリスタから分注される。示しているように、第1容器201にも力が印加される。ホイル蓋体207は最終的に、継続的な圧力により破断される。ホイル蓋体207を破断すると、第1容器201と第3容器203との間の流体チャネル210を開放し、入口208を開放し、出口209を開放する。上述のように、出口209はマイクロ流体カートリッジの流体チャネルと境界を接する。続けて
図4を参照すると、流体チャネル210と入口208と出口209との開放により、第1容器201から流体チャネル210を通って入口208を通り、(第1容器201から分注される第1試薬212と混合する為の第2試薬211などの内容物も有し得る)第2容器202への試薬の流れを増強する正の流体圧力が得られる。
図4に示されているように、正の圧力は、第2容器202から出口209を介してマイクロ流体カートリッジへ混合試薬を押入する。上述したように、
図4は、別の流体(空気と液体のいずれか)が充填された容器201が正の圧力の印加に使用される実施形態を図示している。上で説明したように、他の実施形態では、正の圧力を提供するのに空気ポンプを利用し得る。代替的に、空気ベントへの流動ブリスタの入口とマイクロ流体カートリッジへの出口とを開放することによりブリスタから試薬を排出するのに、重力が使用され得る。
【0041】
図5に図示されている実施形態を参照すると、ホイル蓋体が断裂した後に流体通路を確実に開放させておくのに破断バーが使用され得る。ビードブリスタは有益であるが、ホイル蓋体を破断した後に流通路を閉塞することがある。幾つかの実施形態で、破断バーは、容器に印加される外力を受けて変形(屈曲)して、力の除去後には元の形状に復元する材料から製作され得る。
図5は、破断バー301を格納する流動ブリスタ300を示す。幾つかの実施形態で、流動ブリスタ300は、冷間成形ブリスタホイル302又は熱成形プラスチックから製作される一以上の容器を格納し、液体と乾燥(凍結乾燥)のいずれかの形態で分注される試薬303は上記一以上の容器に格納され得て、一以上の容器のサイズ及び形状にほぼ一致しており、ブリスタを密封するホイル蓋体304と当接することにより一以上の容器の内部空間305に試薬303を封入する破断バー301が、容器の内側に配置される。
図5に示されている実施形態は、単一容器306を含む。
【0042】
破断バー301は、プランジャ308を介してブリスタに圧力が印加される時にホイル蓋体304と係合する一以上のノード307を具備し得る。
図5に示されている実施形態では、ホイル蓋体304の二つの破断点309a‐bに対応する二つのノード307a‐bが設けられる。示しているように、ノード307a‐bは破断バー301の両終端部に配置されている。破断バーは、
図5に示されているように二つのノードを接続する中央部分であるスタビライザ310も具備し得る。幾つかの実施形態で、スタビライザ310は、二つのノードのいずれかと少なくとも同じ厚さであってこれより長く、プランジャにより圧力が印加される際に破断バーに追加の安定性を付与する。スタビライザ310のサイズは、破断バー301が元の形状に復元するのに影響を与える。
【0043】
一実施形態で、プランジャ308の形状は破断バーの形状を相対的に補足するものである。例えば、
図5で、プランジャ308は、ノード307a‐bを収容する容器306の部位と係合する二つの側方突出部311a‐bを有する。
図5に示されているように、側方突出部311a‐bは、楕円形状のノードの中心点312a‐b又はその近くでノード307a‐bに延在する軸線(C)を画定する。
図5に示されているように、プランジャ308は、側方突出部311a‐bの間に延在して、スタビライザ310を収容する容器306の部位と接触する中央部分313を含み得る。幾つかの実施形態で、中央部分は側方突出部311a‐bも支持する。
【0044】
図5に示されている実施形態で、側方突出部311a‐bは長形であって全体としてプランジャの中央部分313より寸法的に小さい。側方突出部311a‐bは、中央部分313の底(又は配向によっては上)面の下方(又は配向によっては上方)にも延在する。プランジャ308が下方に移動すると、側方突出部311a‐bは、当該ノードの上方で軸線(C)に沿って容器表面314と係合してノードを下向きに押圧し、ホイル蓋体304に圧力を印加する。突出部により、ノードは破断に充分な力をホイル蓋体に確実に印加する。幾つかの実施形態で、側方突出部311a‐bは中央部分に対して上下に移動するように構成されている。例えば、
図5Bに示されているように、側方突出部311a‐bの端部(図で示されているように上端部)に力が印加されると、突出部は中央部分313よりも若干さらに下向きに移動する。
図5に示されている実施形態では、側方突出部311a‐bの端部315a‐bにのみ力が印加され、中央部分313には力が印加されない。
【0045】
流動ブリスタ300は、入口ポート316と出口ポート317とがカートリッジの流体チャネル開口部318及び319と整合された状態でマイクロ流体カートリッジに取り付けられ得る。続けて
図5に図示されている実施形態を参照すると、プランジャ操作から始まって試薬がブリスタから分注される。空間的には破断バーのノード及び入口/出口ポートの上方に配置される(上に記載の)側方突出部を備えるプランジャが、下向きに移動する。プランジャは容器表面と破断バーとを変形させて(スタビライザ310をノード307a‐bに接続する)可撓性コネクタ320a‐bを屈曲させ、末端ノードを(この実施形態では)下向きに移動させ、入口/出口ポートを被覆するホイル蓋体304と係合し―最終的にはホイル蓋体304を断裂又は破断させる。この実施形態で、ホイル蓋体304が破断されると、プランジャが後退して破断バー301を元の形状に復元する。破断バー301に塞がれなくなると、流体が妨げられずに流れる為の非閉塞開口部が生じる。幾つかの実施形態で、試薬を分注する為に、流動ブリスタ300の入口316に正の流体圧力が印加され得る。この正の圧力は、空気ポンプにより提供される空気源、重力を使用してブリスタから試薬を流出させる空気ベント、又は流動ブリスタから試薬を押し出すまた別の流体充填試薬ブリスタのいずれかであり得る。
【0046】
図5に図示されて上に記載された実施形態で、加圧液体が流動ブリスタへ流入して既に存在しているブリスタ内容物と混合される混合室として、ブリスタが使用される。上述したように、流動ブリスタの内側のブリスタ内容物は、液体試薬、固体試薬(例えば凍結乾燥試薬ペレット)、及び/又は、磁気ビード粒子を包含し得る。ブリスタの内側での液体の乱流は、混合を促進する。そして混合された試薬がマイクロ流体カートリッジの所望の箇所へ送達される。
【0047】
図6には、
図5に示されている実施形態と類似した設計が描かれているが、このケースでは流動ブリスタがセパレータとして使用される。ブリスタ内を流れる液体から分子、化学、液体、粒子成分を分離するように構成されているセパレータ要素321(例えばフィルタ又はトラップ)をブリスタが格納する。例えば、このようなブリスタは、水性試薬と油とを包含する液体から油を除去するのに使用される親油性パッドを格納し得る。
図6で、破断バー301と、セパレータ要素321、このケースではフィルタパッドとは、ブリスタ内を流れる液体から分子、化学、液体、又は粒子成分を分離するのに使用される。
図5に示されている実施形態のように、ホイル蓋体304を破断させる為に破断バーを変形させることによりブリスタ内のチャネルを開放するように、プランジャ308と破断バー301とが共に作用する。しかしながらこの実施形態では、ブリスタの内側の(
図6B‐Cの矢印で示されている)液体流路に配置されている。セパレータ要素321は、ターゲット試薬をブリスタからマイクロ流体カートリッジの次のチャネルへ通過させる一方で、他の成分は捕捉又は阻止できる。
図6に示されている実施形態で、フィルタパッド321は破断バー301のスタビライザ310に隣接して配置されている。幾つかの実施形態では、ノード307a‐bとホイル蓋体304との間の接触を妨げることなく、セパレータ要素321はスタビライザ310の下方に配置される(幾つかの実施形態ではスタビライザ310はセパレータ要素321の外面322に当接する)。
図6に示されている実施形態で、ホイル蓋体304は、結合剤323、例えば感圧接着剤などの接着剤でマイクロ流体カートリッジ表面に結合される。
【0048】
図7に図示されている実施形態は、
図3に図示されて上に記載された実施形態の流動試薬ブリスタ形態である。この実施形態では、流体入口402と流体出口403とを被覆するホイル蓋体401を破断する二つの穿孔バー400a‐bが設けられる。この実施形態と
図3に示された実施形態との間の別の相違は、容器404の内容物との混合の為に加圧流体が入口402から容器へ流入することである。混合された流体は、続けて出口403から所望のマイクロ流体カートリッジ箇所へ流入する。
【0049】
上の開示に基づくと、上に開示された器具がポイントオブケアのサンプルトゥーアンサー装置又は機器での使用の為に構成されていることが当業者には明白なはずである。ゆえに、本明細書に記載された発明は、試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具を含むポイントオブケア装置又は機器(或いはサンプルトゥーアンサー装置又は機器)も対象とする。
【0050】
例示的な実施形態は以下を含み得る。
【0051】
ポイントオブケア診断装置での使用の為に試薬を格納してマイクロ流体カートリッジへ分注する為の器具であって、試薬ブリスタであって、少なくとも一つの容器と、上記少なくとも一つの容器と上記マイクロ流体カートリッジとの間の少なくとも一つの境界部と、試薬ブリスタから少なくとも一つの境界部を通るマイクロ流体カートリッジへの試薬の流れを阻止する少なくとも一つの破断シールとを具備する試薬ブリスタと、上記少なくとも一つの容器へ圧力を印加して、上記シールの破断後にマイクロ流体カートリッジへの試薬の分注を操作する為の少なくとも一つのプランジャとを、具備する、器具。
【0052】
第1容器と第2容器とを少なくとも具備して、上記第1及び第2容器が互いとの流体接続状態にあり、分注される試薬を上記第1容器が包含する、先行段落の器具。
【0053】
上記第1容器が第2容器より大きい、先行段落の器具。
【0054】
上記第1容器と上記マイクロ流体カートリッジとの間の境界部に上記少なくとも一つの破断シールが配置される、先行段落の器具。
【0055】
上記少なくとも一つの容器が冷間成形ブリスタホイル又は熱成形プラスチックで製作される、第1段落の器具。
【0056】
上記少なくとも一つの破断シールがホイル蓋体を具備する、第1段落の器具。
【0057】
上記マイクロ流体カートリッジが上記破断シールに接続されて上記カートリッジへ流体を流入させるチャネルを具備する、第1段落の器具。
【0058】
上記破断シールが試薬ブリスタ全体の下に位置し、上記破断シールが上記試薬ブリスタに結合される、第1段落の器具。
【0059】
上記試薬ブリスタが冷間成形ブリスタホイルで製作される、先行段落の器具。
【0060】
上記マイクロ流体カートリッジの上面と上記破断シールとの間に感圧層を具備する、一以上の先行段落の器具。
【0061】
上記チャネルの上方にある上記破断シールの一部分を除いて、上記感圧層が判断シール全体の下に位置する、一以上の先行段落の器具。
【0062】
上記第1容器と接触して圧力を印加する第1プランジャと、第2容器と接触して圧力を印加する第2プランジャとを具備する、一以上の先行段落の器具。
【0063】
上記第2プランジャが上記破断シールを破断する為に破断シールに圧力を印加する突出部を具備する、一以上の先行段落の器具。
【0064】
試薬ブリスタからマイクロ流体カートリッジの他の部位へ試薬を流入させる為の出口境界部を更に具備する、一以上の先行段落の器具。
【0065】
上記試薬ブリスタが上記マイクロ流体カートリッジ材料から形成され、第1容器と変形シールとを具備し、上記変形シールが上記マイクロ流体カートリッジに形成されたチャネルに近接して上記マイクロ流体カートリッジの外面に貼付される、一以上の先行段落の器具。
【0066】
上記少なくとも一つの破断シールがマイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置され、試薬ブリスタの下に位置し、上記出口境界部では上記チャネルにわたって延在する、一以上の先行段落の器具。
【0067】
マイクロ流体カートリッジから形成されて上記変形シールに近接して配置される少なくとも一つの穿孔バーを更に具備し、上記穿孔バーが上記出口境界部に近接して上記チャネルに延在する横アームと、上記横アームの端部に配置されて上記少なくとも一つの破断シールの方向に延在する穿刺要素とを具備する、一以上の先行段落の器具。
【0068】
上記試薬ブリスタがマイクロ流体カートリッジの外面に貼付され、第1容器と第2容器とを具備する、一以上の先行段落の器具。
【0069】
試薬ブリスタが冷間成形ブリスタホイル又は熱成形プラスチックから成る、一以上の先行段落の器具。
【0070】
上記マイクロ流体カートリッジの上記外面が試薬ブリスタの下に位置する、一以上の先行段落の器具。
【0071】
上記破断シールが、マイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置されて、上記マイクロ流体カートリッジに形成されたチャネルにわたって延在する、一以上の先行段落の器具。
【0072】
上記試薬ブリスタが第1容器と、第2容器と、第3容器とを具備し、器具が第1プランジャと、第2プランジャと、第3プランジャと、ブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部と、ブリスタからマイクロ流体装置へ試薬を流入させる為の出口境界部と、ブリスタ内に格納される破断バーとを更に具備する、一以上の先行段落の器具。
【0073】
上記破断バーが第1ノードと、中央部分と、第2ノードと、上記第1ノードを上記中央部分に接続する第1コネクタ要素と、上記第2ノードを上記中央部分に接続する第2コネクタ要素とを具備する、一以上の先行段落の器具。
【0074】
上記第1プランジャと上記第3プランジャの各々が、上記第2プランジャの外面よりも延在する突出部を具備する、一以上の先行段落の器具。
【0075】
上記第1プランジャが起動時に第1容器と接触して第1容器と上記破断バーの第1ノードとに圧力を印加し、上記第3プランジャが起動時に上記第3容器と接触して第3容器と上記破断バーの第2ノードとに圧力を印加する、一以上の先行段落の器具。
【0076】
上記第1プランジャ及び上記第3プランジャとの突出部が容器及びノードと係合する、一以上の先行段落の器具。
【0077】
破断シールがブリスタの下に位置して密封し、マイクロ流体カートリッジの表面に接着剤で貼付される、一以上の先行段落の器具。
【0078】
マイクロ流体カートリッジが、入口境界部及び出口境界部の下方にそれぞれ第1チャネルと第2チャネルとを具備する、一以上の先行段落の器具。
【0079】
破断バーの中央部分の下方に配置される濾過要素を更に具備する、一以上の先行段落の器具。
【0080】
第1及び第2ノードの各々が、入口境界部及び出口境界部と上記破断シールとに付勢される延在部を具備する、一以上の先行段落の器具。
【0081】
上記濾過要素が濾過パッドである、一以上の先行段落の器具。
【0082】
上記濾過要素が親油性パッドである、一以上の先行段落の器具。
【0083】
ブリスタが、試薬を混合する為の流動ブリスタである、一以上の先行段落の器具。
【0084】
ブリスタが、試薬を分離する為の流動ブリスタである、一以上の先行段落の器具。
【0085】
ブリスタが流動ブリスタである、一以上の先行段落の器具。
【0086】
入口境界部に正の流体圧力を印加するための流体圧力源を更に具備する、一以上の先行段落の器具。
【0087】
流体圧力源が空気ポンプと、開放時に重力を使用してブリスタ内で流体を移動させる空気ベントと、別の流体充填ブリスタとから成る群から選択される、一以上の先行段落の器具。
【0088】
上記マイクロ流体カートリッジ材料から形成される試薬ブリスタと、第1プランジャ及び第2プランジャと、ブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部、及び試薬ブリスタからマイクロ流体カートリッジの他の部位へ試薬を流入させる為の出口境界部を更に具備する、一以上の先行段落の器具。
【0089】
上記試薬ブリスタが第1容器と、第1及び第2変形シールとを具備し、上記第1及び第2変形シールが、上記マイクロ流体カートリッジに形成されたチャネルに近接して上記マイクロ流体カートリッジの外面に貼付される、一以上の先行段落の器具。
【0090】
上記少なくとも一つの破断シールがマイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置され、試薬ブリスタの下に位置し、上記出口及び入口境界部では上記チャネルにわたって延在する、一以上の先行段落の器具。
【0091】
マイクロ流体カートリッジから形成されて上記第1及び第2変形シールに近接して配置される第1及び第2穿孔バーを更に具備し、上記第1及び第2穿孔バーの各々が、上記入口及び出口境界部に近接して上記チャネルに延在する横アームと、上記横アームの端部に配置されて上記少なくとも一つの破断シールの方向に延在する穿刺要素とを具備する、一以上の先行段落の器具。
【0092】
上記第1プランジャと第2プランジャの各々が、上記少なくとも一つの破断シールを破断する為に破断シールに圧力を印加する突出部を具備する、一以上の先行段落の器具。
【0093】
上記少なくとも一つの破断シールが、マイクロ流体カートリッジ内の間隙の内側に配置され、試薬ブリスタの下に位置し、上記入口及び出口境界部では上記チャネルにわたって延在する、一以上の先行段落の器具。
【0094】
ブリスタが流動ブリスタである、一以上の先行段落の器具。
【0095】
入口境界部に正の流体圧力を印加する為の流体圧力源を更に具備する、一以上の先行段落の器具。
【0096】
流体圧力源が空気ポンプと、開放時に重力を使用してブリスタ内で流体を移動させる空気ベントと、別の流体充填ブリスタとから成る群から選択される、一以上の先行段落の器具。
【0097】
サンプルトゥーアンサー装置での使用の為のマイクロ流体カートリッジであって、試薬ブリスタと、流体チャネルとを具備するマイクロ流体カートリッジであって、上記試薬ブリスタが第1容器と、第2容器と、第3容器と、ブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部と、ブリスタから流体チャネルへ試薬を流入させる為の出口境界部と、破断バーとを具備する、マイクロ流体カートリッジと、第1プランジャ、第2プランジャ、及び第3プランジャとを具備する、マイクロ流体カートリッジ。
【0098】
試薬ブリスタと流体チャネルとを具備するマイクロ流体カートリッジであって、上記試薬ブリスタが第1容器と、第2容器と、第3容器と、ブリスタへ試薬を流入させる為の入口境界部と、ブリスタから流体チャネルへ試薬を流入させる為の出口境界部とを具備する、マイクロ流体カートリッジと、第1プランジャと、第2プランジャと、第3プランジャとを具備する、サンプルトゥーアンサー装置。
【0099】
一般的定義
本明細書では特定の用語が採用されているが、これらは包括的かつ記述的な意味でのみ使用されており、限定を目的としていない。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的な用語は、今回記載された主題が属する技術の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0100】
本明細書で使用される「核酸(nucleic acid)」は、ヌクレオチドと呼ばれる共有結合によるサブユニットを包含する高分子化合物を意味する。「ヌクレオチド(nucleotide)」は、リン酸基に結合されたヌクレオシド(つまり糖、通常はリボース又はデオキシリボースに結合されたプリン又はピリミジン塩基を包含する化合物)を包含する分子或いはより大きな核酸分子の個々のユニットである。
【0101】
「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」又は「オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)」又は「核酸分子(nucleic acid molecule)」は、短鎖と二本鎖のいずれかの形態における、リン酸エステル高分子形態のリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、又はシチジン、「RNA分子」又は単純に「RNA」)、或いはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、又はデオキシシチジン、「DNA分子」又は単純に「DNA」)、或いは、ホスホロチオエート及びチオエステルなどそのリン酸エステル類似体を意味するように、本明細書では互換的に使用される。何らかの長さのRNA、DNA、又は、RNA/DNAハイブリッド配列を包含するポリヌクレオチドが可能である。本発明での使用の為のポリヌクレオチドは、自然発生、合成、組み換え型、生体外生成、又はこれらの組合せであり得て、当該技術で周知の精製方法を利用して精製されてもよい。従って、「DNA」の語は、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA、半合成DNA、相補的DNA(「cDNA」、メッセンジャーRNAテンプレートから合成されたDNA)、そして組み換え型DNA(人工的に設計され、それゆえ自然なヌクレオチド配列から分子生物学的操作を受けたDNA)を含む。
【0102】
「増幅する(amplify)」、「増幅(amplification)」、「核酸増幅(nucleic acid amplification)」、その他は、核酸テンプレート(例えばテンプレートDNA分子)の複数コピーの作成、或いは核酸テンプレート(例えばテンプレートDNA分子)に対して相補的である複数の核酸配列コピーの作成を指す。
【0103】
「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上に(over)」、「下に(under)」、「上(on)」の用語は、装置内での上部及び底部基板の相対位置など、記載された装置のコンポーネントの相対位置について、本記載全体で使用されている。空間内での配向とは無関係に装置が機能することが認識されるだろう。
【0104】
「ビード(bead)」は、液滴アクチュエータでのビードに関しては、液滴アクチュエータ又はその近位での液滴との相互作用が可能なビード又は粒子を意味する。ビードは、球形、略球形、卵形、円板形状、立方体、無定形、及び他の三次元形状など、多様な形状のいずれかであり得る。ビードは、例えば、液滴アクチュエータの液滴で液滴操作を受けるか、さもなければ液滴アクチュエータの液滴が液滴アクチュエータにおいて、及び/又は、液滴アクチュエータから離れて、ビードと接触するように、液滴アクチュエータに関して構成されることが可能である。ビードは、液滴、液滴操作間隙、或いは液滴操作面に設けられ得る。液滴操作間隙の外部にあるか液滴操作面から離れた位置にあるリザーバにビードが設けられてもよく、ビードを含む液滴が液滴操作間隙或いは液滴操作面との接触状態に置かれるようにする為の流路とリザーバが関連し得る。例えば樹脂とポリマーとを含む多様な材料を使用してビードが製造され得る。ビードは、例えば、マイクロビード、マイクロ粒子、ナノビード、そしてナノ粒子を含む適当なサイズでよい。幾つかのケースでビードは磁気反応性であり、他のケースでビードはそれほど磁気反応性ではない。磁気反応性ビードについては、磁気反応性材料がビードの実質的に全て、ビードの一部分、或いはビードの一成分のみを構成し得る。ビードの残りは、特に高分子材料、コーティング、分析試薬の付着を可能にする部分を含み得る。適当なビードの例は、フローサイトメトリーマイクロビード、ポリスチレンマイクロ粒子及びナノ粒子、官能性ポリスチレンマイクロ粒子及びナノ粒子、コーティングポリスチレンマイクロ粒子及びナノ粒子、シリカマイクロビード、蛍光性マイクロ球体及びナノ球体、官能性の蛍光性マイクロ球体及びナノ球体、コーティング蛍光性マイクロ球体及びナノ球体、染色マイクロ粒子及びナノ粒子、磁気マイクロ粒子及びナノ粒子、超常磁性マイクロ粒子及びナノ粒子(例えば、カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad, Calif.)のインビトロジェングループ(Invitrogen Group)から市販されているDYNABEADS(登録商標)粒子)、蛍光性マイクロ粒子及びナノ粒子、コーティング磁気マイクロ粒子及びナノ粒子、強磁性マイクロ粒子及びナノ粒子、コーティング強磁性マイクロ粒子及びナノ粒子を含む。ビードは、生体分子に結合されてこれと錯体を形成できる生体分子又は他の物質と予結合され得る。ビードは、抗体、タンパク質又は抗原、DNA/RNAプローブ、或いは、所望のターゲットとの親和性を持つ他の分子と予結合され得る。
【0105】
磁気反応性ビードに関する「固定化(immobilize)」は、液滴アクチュエータにおいてビードが液滴又はフィラー流体に実質的に位置拘束されることを意味する。例えば、一実施形態では、固定化ビードが液滴で充分に位置拘束されて液滴分裂操作の実行を可能にし、実質的に全てのビードを含む一つの液滴と、ビードが実質的に存在しない一つの液滴とが得られる。
【0106】
「磁気反応性(magnetically responsive)」は、磁場に対する反応性を意味する。「磁気反応性ビード(magnetically responsive beads)」は、磁気反応性材料を含むかこれで構成される。磁気反応性材料の例は、常磁性材料、強磁性材料、フェリ磁性材料、そしてメタ磁性材料を含む。適当な常磁性材料の例は、鉄、ニッケル、コバルトとともに、Fe3O4、BaFe12019、CoO、NiO、Mn2O3、Cr2O3、そしてCoMnPなどの金属酸化物を含む。
【0107】
何らかの形態の液体(例えば、移動しているか静止している液滴又は連続体)が、電極、アレイ、母材、又は表面「上に(on)」、「に(at)」、或いは「の上に(over)」あると記載される時に、このような液体は電極/アレイ/母材/表面との直接接触状態にあり得るか、液体と電極/アレイ/母材/表面との間に介在する一以上の層又は膜との接触状態にあり得る。一例において、フィラー流体は、このような液体と電極/アレイ/母材/表面との間の膜と考えられ得る。
【0108】
長年にわたる特許法の慣例に従うと、特許請求の範囲を含めて本出願で使用される時に“a”,“an”,“the”は、「一以上(one or more)」を指す。ゆえに、例えば、「対象物(a subject)」への言及は、文脈上反対(例えば複数の対象物)であることが明白でない限り、複数の対象物を含む、等々である。
【0109】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、「包含する(comprise, comprises, comprising)」の語は、文脈上そうではないことが必要とされる場合を除いて、非排他的な意味で使用される。同様に、「含む(include)」及びその文法的変形は非限定的であることが意図されているので、リストの項目の引用は、リスト項目と置き換えられ得るかこれに追加され得る他の同様の項目の除外には当たらない。
【0110】
本明細書及び添付の特許請求の範囲においては、他に指摘が無い限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される量、サイズ、寸法、比率、形状、配合、パラメータ、百分率、パラメータ、量、特性、及び他の数値を表す数字は全て、「約(about)」の語が値、量、範囲とともに明示されなくても、全ての事例において「約」の語で修飾されるものと理解される。従って、逆の指摘が無い限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に提示される数値パラメータは正確でないか正確である必要はなく、公差、変換係数、四捨五入、測定エラーその他、そして今回開示の主題により得られることが求められる所望の特性に応じて、当業者に周知の他の要因を反映して、近似であるか、及び/又は、所望により大きくても小さくてもよい。例えば、「約(about)」の語は、数値に言及する時に、幾つかの実施形態では±100%、幾つかの実施形態では±50%、幾つかの実施形態では±20%、幾つかの実施形態では±10%、幾つかの実施形態では±5%、幾つかの実施形態では±1%、幾つかの実施形態では±0.5%、幾つかの実施形態では±0.1%である指定量からの変動を包含することが意味され、それは、このような変動が開示の方法を実施するか開示の組成物を採用するのに適切だからである。
【0111】
明細書で言及された全ての公報、特許出願、特許、及び他の引例(特定の市販製品又は製品ラインについての引例を含む)は、今回開示される主題が関連する技術の当業者のレベルを示すものである。全ての公報、特許出願、特許、及び他の引例は、個々の公報、特許出願、特許、他の引例の各々が参照により援用されると明確かつ個別に指摘されたのと同じ程度に、参照により援用される。幾つかの特許出願、特許、及び他の引例が本明細書では参照されているが、このような引例は、これらの文献のいずれかが当該技術に共通の一般的知識の一部を成すことを認めるものには当たらない。
【0112】
上記の主題は、理解の明瞭化を目的とした例示及び例として幾分詳細に記載されたが、添付の特許請求の範囲内で或る種の変更及び変形例が実践され得ることは、当業者により理解されるだろう。
【符号の説明】
【0113】
100 試薬ブリスタ
101a 第1容器
101b 第2容器
102 ブリスタホイル
103 境界部
104 格納部材
105 円形要素
107 ホイル蓋体
108 結合層
109 第1面
110 第2面
111 マイクロ流体カートリッジ
112 流体通路/チャネル
113 ホイルシール
114 第1プランジャ
115 第2プランジャ
116 間隙
117 第1マイクロ流体カートリッジ層
118 第2カートリッジ層
119 穿孔バー
120 単一容器
121 容器チャネル
122 上方部分
123 第1ホイル蓋体
124 上面
126 第2ホイル蓋体
128 境界部
129 間隙
130 中心点
132 ヘッド
133 中心点
134a 第1側方部材
134b 第2側方部材
136 先鋭突出部
200 試薬ブリスタ
201 第1容器
202 第2容器
203 第3容器
204 第4容器
205a ビード
205b ビード
206 試薬
207 ホイル蓋体
208 入口
209 出口
210 流体チャネル
211 第2試薬
212 第1試薬
300 ブリスタ
301 破断バー
302 冷間成形ブリスタ
303 試薬
304 ホイル蓋体
305 内部空間
306 単一容器
307a ノード
307b ノード
308 プランジャ
309a 破断点
309b 破断点
310 スタビライザ
311a 側方突出部
311b 側方突出部
312a ノード中心点
312b ノード中心点
313 中央部分
314 容器表面
315a 側方突出部の端部
315b 側方突出部の端部
316 入口ポート
317 出口ポート
318 流体チャネル開口部
319 流体チャネル開口部
320a 可撓性コネクタ
320b 可撓性コネクタ
321 セパレータ要素
322 セパレータ要素の外面
323 結合剤
400a 穿孔バー
400b 穿孔バー
401 ホイル蓋体
402 流体入口
403 流体出口
404 容器
【国際調査報告】