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特表2024-539726N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドの結晶形態
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドの結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/42 20060101AFI20241022BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
C07D209/42 CSP
A61K31/496
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/32
A61K47/12
A61K9/20
A61K9/30
A61K9/36
A61P35/00
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526809
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022078962
(87)【国際公開番号】W WO2023077117
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/127945
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】63/280,972
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】513137330
【氏名又は名称】エピザイム,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コナーズ, ウィリアム エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ラソ, スティーブン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】シ, メイティン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ルイピン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD41
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE32
4C076FF01
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミド、N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリド、およびN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロブロミドの結晶形態、これらの結晶形態を含む医薬組成物、これらの結晶形態を製造する方法、ならびにこれらの結晶形態を被験体に投与することを含む、被験体における疾患、状態、または障害を処置する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)遊離塩基形態II、遊離塩基形態III、もしくは遊離塩基形態IV、もしくはそれらの混合物を有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミド、または
(b)HCl形態I、もしくはHCl形態II、もしくはそれらの混合物を有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリド、または
(c)HBr形態Iを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロブロミド
の結晶形態であって、
(i)遊離塩基形態IIが、CuKα放射線を使用した、7.0、14.0、18.0、および20.2度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
(ii)遊離塩基形態IIIが、CuKα放射線を使用した、7.6、14.8、18.0、および19.8度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
(iii)遊離塩基形態IVが、CuKα放射線を使用した、14.8、18.1、19.1、19.9、および20.5度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
(iv)HCl形態Iが、CuKα放射線を使用した、14.6および25.0度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
(v)HCl形態IIが、CuKα放射線を使用した、15.2、16.0、17.7、および22.6度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
(vi)HBr形態Iが、CuKα放射線を使用した、18.8、25.1、および26.5度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θである、
結晶形態。
【請求項2】
遊離塩基形態IIを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
遊離塩基形態IIIを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項4】
遊離塩基形態IVを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項5】
約5%またはそれ未満のN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドの任意の他の物理的形態を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項6】
HCl形態Iを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリドである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項7】
HCl形態IIを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリドである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項8】
約5%またはそれ未満のN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリドの任意の他の物理的形態を含む、請求項6または7に記載の結晶形態。
【請求項9】
HBr形態Iを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリドである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項10】
約5%またはそれ未満のN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロブロミドの任意の他の物理的形態を含む、請求項9に記載の結晶形態。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の結晶形態と、1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項12】
前記1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤が、延性希釈剤、脆性希釈剤、崩壊剤、結合剤、流動促進剤、または滑沢剤、またはそれらの組合せを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤が、微結晶性セルロース、部分的にアルファ化されたトウモロコシデンプン、無水ラクトース、マンニトール、無水第二リン酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸、またはそれらの組合せを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
(a)約25%w/wの前記結晶形態と、
(b)約35%w/wの微結晶性セルロースと、
(c)約35%w/wの無水ラクトースと、
(d)約3%w/wのクロスカルメロースナトリウムと、
(e)約1.5%w/wのステアリン酸マグネシウムと
を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
フィルムコーティングをさらに含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記フィルムコーティング組成物が、HPMC2910/ヒプロメロース、二酸化チタン、およびマクロゴール/PEGを含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
フィルムコーティングされた錠剤として製剤化された、請求項11から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項11から17のいずれか一項に記載の医薬組成物を製造する方法であって、前記方法が、前記結晶形態を前記1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤とブレンドすることを含む、方法。
【請求項19】
がんの処置を必要とする被験体におけるがんを処置する方法であって、前記方法が、治療的に有効な量の請求項1から10のいずれか一項に記載の結晶形態、または治療的に有効な量の請求項11から17のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記がんが、表2のがんのうちのいずれか1つまたは複数である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記がんが血液がんである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記血液がんが、表3のがんのうちのいずれか1つまたは複数である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記血液がんがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記血液がんがマントル細胞リンパ腫である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記血液がんが多発性骨髄腫である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記血液がんがt(4;14)多発性骨髄腫である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
治療的に有効な量の抗がん剤を前記被験体に投与することをさらに含む、請求項19から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗がん剤が、1種もしくは複数種のグルココルチコイド受容体アゴニスト、1種もしくは複数種の免疫調節薬、1種もしくは複数種のプロテアソーム阻害剤、1種もしくは複数種のBcl-2阻害剤、1種もしくは複数種の多面発現経路調節剤、1種もしくは複数種のXPO1阻害剤、1種もしくは複数種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤、1種もしくは複数種のEZH2阻害剤、1種もしくは複数種のBTK阻害剤、1種もしくは複数種の抗CD20モノクローナル抗体、1種もしくは複数種のアルキル化剤、1種もしくは複数種のトポイソメラーゼII阻害剤、1種もしくは複数種のビンカアルカロイド、1種もしくは複数種の白金系薬、1種もしくは複数種のヌクレオシド抗がん剤、1種もしくは複数種のPI3K阻害剤、1種もしくは複数種のCDK4/6阻害剤、または1種もしくは複数種のCARM1阻害剤、またはそれらの組合せを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抗がん剤がグルココルチコイド受容体アゴニストを含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記グルココルチコイド受容体アゴニストがデキサメタゾンである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗がん剤が免疫調節薬を含む、請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記免疫調節薬が、ポマリドミドまたはレナリドミドである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記抗がん剤がプロテアソーム阻害剤を含む、請求項27から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗がん剤がBcl-2阻害剤を含む、請求項27から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記Bcl-2阻害剤がベネトクラクスである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記抗がん剤が多面発現経路調節剤を含む、請求項27から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記多面発現経路調節剤がCC-122である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記抗がん剤がXPO1阻害剤を含む、請求項27から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記XPO1阻害剤がセリネクサーである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記抗がん剤がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含む、請求項27から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ヒストンデアセチラーゼ阻害剤がパノビノスタットである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記抗がん剤がEZH2阻害剤である、請求項27から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記EZH2阻害剤がタゼメトスタットである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記抗がん剤がBTK阻害剤を含む、請求項27から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記BTK阻害剤が、イブルチニブ、アカラブルチニブ、またはザヌブルチニブである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記抗がん剤が抗CD20モノクローナル抗体を含む、請求項27から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記抗CD20モノクローナル抗体がリツキシマブである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記抗がん剤がPI3K阻害剤を含む、請求項27から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記PI3K阻害剤がコパンリシブである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記抗がん剤がCDK4/6阻害剤を含む、請求項27から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記CDK4/6阻害剤がパルボシクリブである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記抗がん剤がCARM1阻害剤を含む、請求項27から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記CARM1阻害剤がEZM2302である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記抗がん剤がアルキル化剤を含む、請求項27から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記アルキル化剤がマホスファミドである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記抗がん剤がトポイソメラーゼII阻害剤を含む、請求項27から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記トポイソメラーゼII阻害剤が、ドキソルビシンおよびエトポシドである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記抗がん剤がビンカアルカロイドを含む、請求項27から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記ビンカアルカロイドがビンクリスチンである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記抗がん剤が白金系薬を含む、請求項27から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記白金系薬が、カルボプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記抗がん剤がヌクレオシド抗がん剤を含む、請求項27から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記ヌクレオシド抗がん剤がゲムシタビンである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
請求項1から10のいずれか一項に記載の結晶形態または請求項11から17のいずれか一項に記載の医薬組成物と、前記結晶形態または前記医薬組成物をそれを必要とする被験体に投与するための指示書とを含む、キット。
【請求項66】
抗がん剤をさらに含む、請求項65に記載のキット。
【請求項67】
請求項19から26のいずれか一項に記載の方法を行うためのキットであって、前記キットが、(a)前記結晶形態または前記医薬組成物、および(b)前記結晶形態または前記医薬組成物を前記被験体に投与するための指示書を含む、キット。
【請求項68】
請求項27から64のいずれか一項に記載の方法を行うためのキットであって、前記キットが、(a)前記結晶形態または前記医薬組成物、(b)前記結晶形態または前記医薬組成物を前記被験体に投与するための指示書、(c)前記抗がん剤、および(d)前記抗がん剤を前記被験体に投与するための指示書を含む、キット。
【請求項69】
請求項1に記載の遊離塩基形態IIを製造する方法であって、前記方法が、
(i)N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドをエタノールおよび水中で加熱して、溶液を得ることと、
(ii)前記溶液を約0℃に冷却することと、
(iii)必要に応じて、前記溶液に種晶を添加することと、
(iv)前記遊離塩基形態IIを単離することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本開示は、N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミド(「化合物1」)、N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリド(「化合物1 HCl」)、およびN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロブロミド(「化合物1 HBr」)の結晶形態;化合物1、化合物1 HCl、および化合物1 HBrの結晶形態を含む医薬組成物;化合物1、化合物1 HCl、および化合物1 HBrの結晶形態を製造する方法;ならびに化合物1、化合物1 HCl、および化合物1 HBrの結晶形態を被験体に投与することを含む、被験体における疾患、状態、または障害を処置する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミド(「化合物1」)は、KMT3Aとしても公知の、ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)Su(var)3-9、Enhancer-of-zeste、Trithoraxドメイン含有2(SETD2)の酵素活性の小分子阻害剤である。この化合物およびその合成の方法は、国際公開第2020/037079号において開示されている。
被験体におけるがん、ならびに他の疾患、障害、および状態の処置における使用のための化合物1の固体形態が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/037079号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
一態様では、本開示は、化合物1の結晶形態、化合物1 HClの結晶形態、および化合物1 HBrの結晶形態を提供する。
【0005】
別の態様では、本開示は、化合物1の結晶形態、化合物1 HClの結晶形態、または化合物1 HBrの結晶形態と、1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。
【0006】
別の態様では、本開示は、化合物1の結晶形態の結晶形態、化合物1 HClの結晶形態、または化合物1 HBrの結晶形態を製造する方法を提供する。
【0007】
別の態様では、本開示は、化合物1の結晶形態、化合物1 HClの結晶形態、または化合物1 HBrの結晶形態を投与して、疾患、障害、または状態、たとえば、がんの処置を必要とする被験体における被験体における疾患、障害、または状態、たとえば、がんを処置する方法を提供する。
【0008】
別の態様では、本開示は、被験体における疾患、障害、または状態、たとえばがんの処置における使用のための、化合物1の結晶形態、化合物1 HClの結晶形態、もしくは化合物1 HBrの結晶形態、またはその組成物を提供する。
【0009】
別の態様では、本開示は、被験体における被験体における疾患、障害、または状態、たとえばがんを処置するための薬剤の製造における使用のための化合物1の結晶形態、化合物1 HClの結晶形態、または化合物1 HBrの結晶形態を提供する。
【0010】
別の態様では、本開示は、化合物1の結晶形態、化合物1 HClの結晶形態、または化合物1 HBrの結晶形態を含むキットを提供する。
【0011】
別の態様では、本開示は、化合物1の結晶形態、化合物1 HClの結晶形態、または化合物1 HBrの結晶形態と1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を製造する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、遊離塩基形態IのXRPDディフラクトグラムである。
【0013】
図2図2は、遊離塩基形態IIのXRPDディフラクトグラムである。
【0014】
図3図3は、遊離塩基形態IIのFTIRスペクトルである。
【0015】
図4図4は、遊離塩基形態IIのDSCおよびTGAサーモグラムである。
【0016】
図5図5は、遊離塩基形態IIIのXRPDディフラクトグラムである。
【0017】
図6図6は、遊離塩基形態IIIのDSCおよびTGAサーモグラムである。
【0018】
図7図7は、遊離塩基形態IVのXRPDディフラクトグラムである。
【0019】
図8図8は、遊離塩基形態IVのDSCおよびTGAサーモグラムである。
【0020】
図9図9は、HCl形態IのXRPDディフラクトグラムである。
【0021】
図10図10は、HCl形態IのDSCおよびTGAサーモグラムである。
【0022】
図11図11は、HCl形態IIのXRPDディフラクトグラムである。
【0023】
図12図12は、HCl形態IIのDSCおよびTGAサーモグラムである。
【0024】
図13図13は、HBr形態IのXRPDディフラクトグラムである。
【0025】
図14図14は、HBr形態IのDSCおよびTGAサーモグラムである。
【0026】
図15図15は、遊離塩基形態Iおよび遊離塩基形態IIの単回経口投与後のオスのビーグル犬における、化合物1の平均血漿濃度対時間プロファイルを示す線グラフである。データは、各群に関してn=3で、平均±SDとして表わされる。
【0027】
図16図16は、遊離塩基形態IIを含む錠剤を調製するためのプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明
I.本開示の結晶形態(複数)
一実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態を提供する。これらは「遊離塩基」形態と呼ばれる。
遊離塩基形態I
【0029】
別の実施形態では、化合物1の結晶形態は、CuKα放射線を使用した、7.0、9.8、14.1、14.9、15.2、17.5、18.1、19.2、20.0、20.7、22.5、および23.9度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。この結晶形態は、「遊離塩基形態I」と呼ばれる。遊離塩基形態Iは、遊離塩基形態IIおよび遊離塩基形態IVの混合物である。下記を参照されたい。
【0030】
別の実施形態では、遊離塩基形態Iは、CuKα放射線を使用した、7.0、14.0、18.0、20.0、および20.7度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0031】
別の実施形態では、遊離塩基形態Iは、CuKα放射線を使用した、図1に描写されるものと本質的に同じであるXRPDディフラクトグラムを有すると特徴付けられる。
【0032】
別の実施形態では、遊離塩基形態Iは、示差走査熱量測定(DSC)に基づいて約41.9℃の開始温度および約62.6℃のピーク温度、約70.5℃の開始温度および約80.0℃のピーク温度、約132.9℃の開始温度および約144.1のピーク温度、ならびに約214.5℃の開始温度および約220.0℃のピーク温度を有する熱イベントを有すると特徴付けられる。
遊離塩基形態II
【0033】
別の実施形態では、化合物1の結晶形態は、CuKα放射線を使用した、表Aに列挙されるピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。この結晶形態は、「遊離塩基形態II」と呼ばれる。遊離塩基形態IIは無水である。
【0034】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、表Aに列挙されるd-面間隔を有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられる。
【0035】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.0、9.8、11.1、14.0、15.2、15.5、16.8、17.5、18.0、19.6、20.2、20.8、21.1、22.1、22.5、23.9、24.4、24.8、25.1、26.0、28.3、29.4、および30.0度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0036】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.0、9.8、10.0、11.0、11.2、14.0、14.3、15.1、15.5、15.9、16.2、16.8、17.5、18.0、19.4、19.6、20.2、20.8、21.1、22.1、22.4、23.8、24.4、24.8、25.1、25.7、25.9、26.2、27.2、27.9、28.3、28.6、29.4、30.0、30.4、31.0、31.4、32.1、32.7、33.1、33.4、34.0、34.3、34.9、35.1、36.1、36.5、37.1、37.7、38.3、38.6、38.8、および/または39.4度2Θにおいて少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0037】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.0、9.8、11.1、14.0、15.2、15.5、16.8、17.5、18.0、19.6、20.2、20.8、21.1、22.1、22.5、23.9、24.4、24.8、25.1、26.0、28.3、29.4、および/または30.0度2Θにおいて少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0038】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.0、9.8、10.0、11.0、11.2、14.0、14.3、15.1、15.5、15.9、16.2、16.8、17.5、18.0、19.4、19.6、20.2、20.8、21.1、22.1、22.4、23.8、24.4、24.8、25.1、25.7、25.9、26.2、27.2、27.9、28.3、28.6、29.4、30.0、30.4、31.0、31.4、32.1、32.7、33.1、33.4、34.0、34.3、34.9、35.1、36.1、36.5、37.1、37.7、38.3、38.6、38.8、および/または39.4度2Θにおいて少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0039】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.0、9.8、11.1、14.0、15.2、15.5、16.8、17.5、18.0、19.6、20.2、20.8、21.1、22.1、22.5、23.9、24.4、24.8、25.1、26.0、28.3、29.4、および/または30.0度2Θにおいて少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0040】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.0、9.8、10.0、11.0、11.2、14.0、14.3、15.1、15.5、15.9、16.2、16.8、17.5、18.0、19.4、19.6、20.2、20.8、21.1、22.1、22.4、23.8、24.4、24.8、25.1、25.7、25.9、26.2、27.2、27.9、28.3、28.6、29.4、30.0、30.4、31.0、31.4、32.1、32.7、33.1、33.4、34.0、34.3、34.9、35.1、36.1、36.5、37.1、37.7、38.3、38.6、38.8、および/または39.4度2Θにおいて少なくとも5つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0041】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.0、9.8、11.1、14.0、15.2、15.5、16.8、17.5、18.0、19.6、20.2、20.8、21.1、22.1、22.5、23.9、24.4、24.8、25.1、26.0、28.3、29.4、および/または30.0度2Θにおいて少なくとも5つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0042】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.0、14.0、18.0、および20.2度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0043】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、CuKα放射線を使用した、図2に描写されるものと本質的に同じであるXRPDディフラクトグラムを有すると特徴付けられる。
【0044】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、3292、2934、2860、1628、1528、1508、1449、1248、791、777、および745cm-1において伸縮を有する赤外線(IR)スペクトルを有すると特徴付けられ、ここで、cm-1値は±4cm-1である。
【0045】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、図3に描写されるものと本質的に同じであるIRスペクトルを有すると特徴付けられる。
【0046】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、示差走査熱量測定(DSC)に基づいた約224.3℃の開始温度および約225.7℃のピーク温度を有する融点を有すると特徴付けられる。
【0047】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、図4に描写されるものと本質的に同じであるDSCサーモグラムを有すると特徴付けられる。
遊離塩基形態III
【0048】
別の実施形態では、化合物1の結晶形態は、CuKα放射線を使用した、表Bに列挙されるピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。この結晶形態は、「遊離塩基形態III」と呼ばれる。遊離塩基形態IIIは、遊離塩基形態IVの脱水された形態である。下記を参照されたい。
【0049】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、CuKα放射線を使用した、表Bに列挙されるd-面間隔を有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられる。
【0050】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、CuKα放射線を使用した、7.6、9.3、14.8、15.4、15.5、17.1、17.5、18.0、19.8、22.1、22.7、26.0、27.7、および29.8度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、CuKα放射線を使用した、7.6、9.3、14.8、15.4、15.5、17.1、17.5、18.0、19.8、22.1、22.7、26.0、27.7、および/または29.8度2Θにおいて少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0051】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、CuKα放射線を使用した、7.6、9.3、14.8、15.4、15.5、17.1、17.5、18.0、19.8、22.1、22.7、26.0、27.7、および/または29.8度2Θにおいて少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0052】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、CuKα放射線を使用した、7.6、9.3、14.8、15.4、15.5、17.1、17.5、18.0、19.8、22.1、22.7、26.0、27.7、および/または29.8度2Θにおいて少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0053】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、CuKα放射線を使用した、7.6、9.3、14.8、15.4、15.5、17.1、17.5、18.0、19.8、22.1、22.7、26.0、27.7、および/または29.8度2Θにおいて少なくとも5つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0054】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、CuKα放射線を使用した、7.6、14.8、18.0、および19.8度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0055】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、CuKα放射線を使用した、図5に描写されるものと本質的に同じであるXRPDディフラクトグラムを有すると特徴付けられる。
【0056】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、示差走査熱量測定(DSC)に基づいた約139.0℃、176.1℃、および223.2℃のピーク温度を有する熱イベントを有すると特徴付けられる。
【0057】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、図6に描写されるものと本質的に同じであるDSCサーモグラムを有すると特徴付けられる。
遊離塩基形態IV
【0058】
別の実施形態では、化合物1の結晶形態は、CuKα放射線を使用した、表Cに列挙されるピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。この結晶形態は、「遊離塩基形態IV」と呼ばれる。遊離塩基形態IVは、式:化合物1・xHOによって表される水和物であり、式中、xは約3である。
【0059】
別の実施形態では、遊離塩基形態IVは、CuKα放射線を使用した、表Cに列挙されるd-面間隔を有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられる。
【0060】
別の実施形態では、遊離塩基形態IVは、CuKα放射線を使用した、6.2、7.0、9.0、9.8、13.8、14.5、14.8、15.9、16.4、18.1、18.7、19.1、19.9、20.5、21.7、22.4、22.9、23.6、24.5、25.5、26.2、26.6、28.8、29.8、および30.9度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。別の実施形態では、遊離塩基形態IVは、CuKα放射線を使用した、6.2、7.0、9.0、9.8、13.8、14.5、14.8、15.9、16.4、18.1、18.7、19.1、19.9、20.5、21.7、22.4、22.9、23.6、24.5、25.5、26.2、26.6、28.8、29.8、および/または30.9度2Θにおいて少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0061】
別の実施形態では、遊離塩基形態IVは、CuKα放射線を使用した、6.2、7.0、9.0、9.8、13.8、14.5、14.8、15.9、16.4、18.1、18.7、19.1、19.9、20.5、21.7、22.4、22.9、23.6、24.5、25.5、26.2、26.6、28.8、29.8、および/または30.9度2Θにおいて少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0062】
別の実施形態では、遊離塩基形態IVは、CuKα放射線を使用した、6.2、7.0、9.0、9.8、13.8、14.5、14.8、15.9、16.4、18.1、18.7、19.1、19.9、20.5、21.7、22.4、22.9、23.6、24.5、25.5、26.2、26.6、28.8、29.8、および/または30.9度2Θにおいて少なくとも5つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0063】
別の実施形態では、遊離塩基形態IVは、CuKα放射線を使用した、14.8、18.1、19.1、19.9、および20.5度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、CuKα放射線を使用して2Θ値は±0.2度2Θであり、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0064】
別の実施形態では、遊離塩基形態IVは、CuKα放射線を使用した、図7に描写されるものと本質的に同じであるXRPDディフラクトグラムを有すると特徴付けられる。
【0065】
別の実施形態では、遊離塩基形態IVは、示差走査熱量測定(DSC)に基づいた約94.7℃、139.2℃、166.2℃、および222.8℃のピーク温度を有する熱イベントを有すると特徴付けられる。
【0066】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIIは、図8に描写されるものと本質的に同じであるDSCサーモグラムを有すると特徴付けられる。
【0067】
別の実施形態では、本開示は、化合物1 HClの結晶形態を提供する。
HCl形態I
【0068】
別の実施形態では、化合物1の結晶形態は、CuKα放射線を使用した、表Dに列挙されるピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。この結晶形態は、「HCl形態I」と呼ばれる。HCl形態Iは、式:化合物1 HCl・xHOによって表される水和物であり、式中、xは約1である。
【0069】
別の実施形態では、HCl形態Iは、CuKα放射線を使用した、表Dに列挙されるd-面間隔を有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられる。
【0070】
別の実施形態では、HCl形態Iは、CuKα放射線を使用した、13.6、14.6、14.8、16.8、17.6、18.6、20.3、21.1、21.6、22.6、24.1、25.1、25.4、25.8、26.4、27.6、および30.3度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。別の実施形態では、HCl形態Iは、CuKα放射線を使用した、13.6、14.6、14.8、16.8、17.6、18.6、20.3、21.1、21.6、22.6、24.1、25.1、25.4、25.8、26.4、27.6、および/または30.3度2Θにおいて少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0071】
別の実施形態では、HCl形態Iは、CuKα放射線を使用した、13.6、14.6、14.8、16.8、17.6、18.6、20.3、21.1、21.6、22.6、24.1、25.1、25.4、25.8、26.4、27.6、および/または30.3度2Θにおいて少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0072】
別の実施形態では、HCl形態Iは、CuKα放射線を使用した、13.6、14.6、14.8、16.8、17.6、18.6、20.3、21.1、21.6、22.6、24.1、25.1、25.4、25.8、26.4、27.6、および/または30.3度2Θにおいて5つ3つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0073】
別の実施形態では、HCl形態Iは、CuKα放射線を使用した、13.6、14.6、22.6、24.1、25.0、および26.4度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0074】
別の実施形態では、HCl形態Iは、CuKα放射線を使用した、14.6および25.0度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0075】
別の実施形態では、HCl形態Iは、CuKα放射線を使用した、図9に描写されるものと本質的に同じであるXRPDディフラクトグラムを有すると特徴付けられる。
【0076】
別の実施形態では、HCl形態Iは、示差走査熱量測定(DSC)に基づいた96.1℃の開始温度および151.4℃のピーク温度を有する融点を有すると特徴付けられる。
【0077】
別の実施形態では、HCl形態Iは、図10に描写されるものと本質的に同じであるDSCサーモグラムを有すると特徴付けられる。
HCl形態II
【0078】
別の実施形態では、化合物1の結晶形態は、CuKα放射線を使用した、表Eに列挙されるピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。この結晶形態は、「HCl形態II」と呼ばれる。HCl形態IIは無水である。
【0079】
別の実施形態では、HCl形態IIは、CuKα放射線を使用した、表Eに列挙されるd-面間隔を有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられる。
【0080】
別の実施形態では、HCl形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.7、9.3、10.9、13.0、14.2、15.2、16.0、16.8、17.7、18.7、19.9、21.5、21.7、22.6、26.1、27.4、27.9、28.6、30.0、および33.7度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。別の実施形態では、HCl形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.7、9.3、10.9、13.0、14.2、15.2、16.0、16.8、17.7、18.7、19.9、21.5、21.7、22.6、26.1、27.4、27.9、28.6、30.0、および/または33.7度2Θにおいて少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0081】
別の実施形態では、HCl形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.7、9.3、10.9、13.0、14.2、15.2、16.0、16.8、17.7、18.7、19.9、21.5、21.7、22.6、26.1、27.4、27.9、28.6、30.0、および/または33.7度2Θにおいて少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0082】
別の実施形態では、HCl形態IIは、CuKα放射線を使用した、7.7、9.3、10.9、13.0、14.2、15.2、16.0、16.8、17.7、18.7、19.9、21.5、21.7、22.6、26.1、27.4、27.9、28.6、30.0、および/または33.7度2Θにおいて少なくとも5つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0083】
別の実施形態では、HCl形態IIは、CuKα放射線を使用した、15.2、16.0、17.7、および22.6度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0084】
別の実施形態では、HCl形態IIは、CuKα放射線を使用した、図11に描写されるものと本質的に同じであるXRPDディフラクトグラムを有すると特徴付けられる。
【0085】
別の実施形態では、HCl形態IIは、示差走査熱量測定(DSC)に基づいた296.4℃の開始温度および308.3℃のピーク温度を有する融点を有すると特徴付けられる。
【0086】
別の実施形態では、HCl形態IIは、図12に描写されるものと本質的に同じであるDSCサーモグラムを有すると特徴付けられる。
【0087】
別の実施形態では、本開示は、化合物1 HBrの結晶形態を提供する。
HBr形態I
【0088】
別の実施形態では、化合物1の結晶形態は、CuKα放射線を使用した、表Fに列挙されるピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。この結晶形態は、「HBr形態I」と呼ばれる。HBr形態Iは、式:化合物1 HBr・xHOによって表される水和物であり、式中、xは約1である。
【0089】
別の実施形態では、HBr形態Iは、CuKα放射線を使用した、表Fに列挙されるd-面間隔を有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられる。
【0090】
別の実施形態では、HBr形態Iは、CuKα放射線を使用した、7.6、12.3、12.8、13.6、14.1、14.5、15.0、15.5、16.7、17.7、18.8、19.5、20.4、21.2、22.6、24.2、25.1、26.0、26.5、27.1、28.4、29.3、30.6、31.2、33.4、および36.0度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0091】
別の実施形態では、HBr形態Iは、CuKα放射線を使用した、7.6、12.3、12.8、13.6、14.1、14.5、15.0、15.5、16.7、17.7、18.8、19.5、20.4、21.2、22.6、24.2、25.1、26.0、26.5、27.1、28.4、29.3、30.6、31.2、33.4、および/または36.0度2Θにおいて少なくとも3つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0092】
別の実施形態では、HBr形態Iは、CuKα放射線を使用した、7.6、12.3、12.8、13.6、14.1、14.5、15.0、15.5、16.7、17.7、18.8、19.5、20.4、21.2、22.6、24.2、25.1、26.0、26.5、27.1、28.4、29.3、30.6、31.2、33.4、および/または36.0度2Θにおいて少なくとも4つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0093】
別の実施形態では、HBr形態Iは、CuKα放射線を使用した、7.6、12.3、12.8、13.6、14.1、14.5、15.0、15.5、16.7、17.7、18.8、19.5、20.4、21.2、22.6、24.2、25.1、26.0、26.5、27.1、28.4、29.3、30.6、31.2、33.4、および/または36.0度2Θにおいて少なくとも5つのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0094】
別の実施形態では、HBr形態Iは、CuKα放射線を使用した、18.8、21.2、22.6、25.0、26.5度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0095】
別の実施形態では、HBr形態Iは、CuKα放射線を使用した、18.8、25.0、および26.5度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、2Θ値は±0.2度2Θである。
【0096】
別の実施形態では、HBr形態Iは、CuKα放射線を使用した、図13に描写されるものと本質的に同じであるXRPDディフラクトグラムを有すると特徴付けられる。
【0097】
別の実施形態では、HBr形態Iは、示差走査熱量測定(DSC)に基づいて、66.4℃の開始温度および122.8℃のピーク温度;および177.7℃の開始温度および189.0℃のピーク温度を有する熱イベントを有すると特徴付けられる。
【0098】
別の実施形態では、HBr形態Iは、図14に描写されるものと本質的に同じであるDSCサーモグラムを有すると特徴付けられる。
【0099】
このセクションで説明される化合物1の結晶形態、化合物1 HClの結晶形態、および化合物1 HBrの結晶形態は、「本開示の結晶形態(複数)」と集合的に呼ばれる(それぞれは個別に「本開示の結晶形態」と呼ばれる)。
【0100】
別の実施形態では、本開示の結晶形態は、重量で約10%~約20%、たとえば、約10%、約11%、約12%、約13%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%の、化合物1、化合物1 HCl、または化合物1 HBrの別の物理的形態、たとえば、結晶または非晶質形態を含むと特徴付けられる。
【0101】
別の実施形態では、本開示の結晶形態は、重量で約1%~約10%、たとえば、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%の、化合物1、化合物1 HCl、または化合物1 HBrの別の物理的形態を含むと特徴付けられる。
【0102】
別の実施形態では、本開示の結晶形態は、重量で約0.1%~約1%、たとえば、約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、または約0.1%の、化合物1、化合物1 HCl、または化合物1 HBrの別の物理的形態を含むと特徴付けられる。
【0103】
別の実施形態では、本開示の結晶形態は、XRPDで検出可能な量の化合物1、化合物1 HCl、または化合物1 HBrの任意の他の物理的形態を含まないと特徴付けられる。
【0104】
別の実施形態では、本開示の結晶形態は、約0.1μm~約500μmの平均粒径分布を有する。
【0105】
別の実施形態では、本開示の結晶形態は、約1μm~約100μmの平均粒径分布を有する。
【0106】
別の実施形態では、本開示の結晶形態は、約5μm~約25μmの平均粒径分布を有する。
【0107】
別の実施形態では、本開示の結晶形態は、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μm、約50μm、約40μm、約35μm、約30μm、約25μm、約20μm、約15μm、約10μm、約5μm、または約1μmの平均粒径分布を有する。
II.本開示の組成物(複数)
【0108】
別の実施形態では、本開示は、本開示の結晶形態と、1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0109】
別の実施形態では、1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤は、延性希釈剤、たとえば、微結晶性セルロース、部分的にアルファ化されたトウモロコシデンプン;脆性希釈剤、たとえば、無水ラクトース、マンニトール、無水第二リン酸カルシウム;崩壊剤、たとえば、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン;結合剤、たとえば、ヒドロキシプロピルセルロース、流動促進剤、たとえば、コロイド状二酸化ケイ素;または滑沢剤、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸;またはそれらの組合せを含む。
【0110】
別の実施形態では、医薬組成物は、(a)約20%w/w~約30%w/wの結晶形態、(b)約60%w/w~約80%w/wの1種または複数種の延性または脆性希釈剤、(c)約1%w/w~約5%w/wの1種または複数種の崩壊剤、(d)約0.5%w/w~約3%w/wの1種または複数種の滑沢剤を含む。
【0111】
別の実施形態では、1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤は、微結晶性セルロース、部分的にアルファ化されたトウモロコシデンプン、無水ラクトース、マンニトール、無水第二リン酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸、またはそれらの組合せを含む。
【0112】
別の実施形態では、医薬組成物は、(a)約25%w/wの結晶形態、(b)約35%w/wの微結晶性セルロース、(c)約35%w/wの無水ラクトース、(d)約3%w/wのクロスカルメロースナトリウム、(e)約1.5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0113】
別の実施形態では、医薬組成物は乾燥顆粒である。
【0114】
別の実施形態では、医薬組成物は、錠剤として製剤化される。
【0115】
別の実施形態では、医薬組成物は、フィルムコーティングされた錠剤として製剤化される。
【0116】
別の実施形態では、フィルムコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)2910/ヒプロメロース、二酸化チタン、およびマクロゴール/PEGを含む。
【0117】
このセクションで説明される医薬組成物および製剤は、「本開示の組成物(複数)」と集合的に呼ばれる(それぞれは個別に「本開示の組成物」と呼ばれる)。
III.本開示の組成物を製造する方法
【0118】
別の実施形態では、本開示は、本開示の組成物を製造する方法であって、前記方法が、本開示の結晶形態を1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤とブレンドすることを含む、方法を提供する。
【0119】
別の実施形態では、本開示の組成物を製造する方法は、1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤を、たとえば、賦形剤に応じて40メッシュまたは50メッシュのふるいによってふるい分けて、起こり得る凝集を除去することを含む。
【0120】
別の実施形態では、本開示の組成物を製造する方法は、たとえば、20rpmのブレンド速度で10~30分間、1種または複数種の賦形剤をブレンドして、均一のブレンドを得ることを含む。
【0121】
別の実施形態では、本開示の組成物を製造する方法は、たとえば、20rpmのブレンド速度で5~10分間、たとえば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸を用いてブレンドを滑沢化して、滑沢化されたブレンドを得ることを含む。
【0122】
別の実施形態では、本開示の組成物を製造する方法は、滑沢化されたブレンドをローラーコンパクターに通して、乾燥顆粒を生産することを含む。別の実施形態では、乾燥顆粒は、たとえば、20rpmのブレンド速度で5~10分間、たとえば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸を用いて滑沢化されて、滑沢化された顆粒が得られる。
【0123】
別の実施形態では、本開示は、本開示の組成物を製造する方法であって、前記方法が、滑沢化された顆粒を圧縮して錠剤を得ることを含む、方法を提供する。
【0124】
別の実施形態では、錠剤は、フィルムコーティング組成物でコーティングされる。好適なフィルムコーティングは、表1および国際公開第2013/045961号において説明されている。
【表1】
【0125】
別の実施形態では、フィルムコーティング組成物は、HPMC2910/ヒプロメロース、二酸化チタン、およびマクロゴール/PEGを含む。
IV.疾患、障害、または状態を処置する方法
【0126】
別の実施形態では、本開示は、疾患、障害、または状態の処置を必要とする被験体における疾患、障害、または状態を処置する方法であって、前記方法が、治療的に有効な量の本開示の結晶形態、または治療的な量の本開示の組成物を被験体に投与することを含む、方法を提供する。
【0127】
別の実施形態では、疾患、障害、または状態はがんである。
【0128】
別の実施形態では、がんは、表2のがんのうちのいずれか1つまたは複数である。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0129】
別の実施形態では、がんは血液がんである。例示的な血液がんとしては、表3に列挙されるがんが挙げられるが、これらに限定されない。
【表3】
【0130】
別の実施形態では、がんはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0131】
別の実施形態では、がんはマントル細胞リンパ腫である。
【0132】
別の実施形態では、がんは多発性骨髄腫である。
【0133】
別の実施形態では、多発性骨髄腫は、14q32における免疫グロブリン重鎖遺伝子座に関与する染色体転座を有すると特徴付けられる。別の実施形態では、染色体転座はt(4;14)転座、すなわち、多発性骨髄腫はt(4;14)多発性骨髄腫である。
【0134】
別の実施形態では、本開示は、がんの処置を必要とする被験体におけるがんを処置する方法であって、前記方法が、治療的に有効な量の本開示の結晶形態、または治療的な量の本開示の組成物を、被験体に治療的に有効な量の抗がん剤との組合せで、被験体に投与することを含む、方法を提供する。
【0135】
別の実施形態では、抗がん剤は、1種もしくは複数種のグルココルチコイド受容体アゴニスト、1種もしくは複数種の免疫調節薬、1種もしくは複数種のプロテアソーム阻害剤、1種もしくは複数種のBcl-2阻害剤、1種もしくは複数種の多面発現経路調節剤(pleiotropic pathway modulator)、1種もしくは複数種のXPO1阻害剤、1種もしくは複数種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤、1種もしくは複数種のEZH2阻害剤、1種もしくは複数種のBTK阻害剤、1種もしくは複数種の抗CD20モノクローナル抗体、1種もしくは複数種のアルキル化剤、1種もしくは複数種のトポイソメラーゼII阻害剤、1種もしくは複数種のビンカアルカロイド、1種もしくは複数種の白金系薬、1種もしくは複数種のヌクレオシド抗がん剤、1種もしくは複数種のPI3K阻害剤、1種もしくは複数種のCDK4/6阻害剤、または1種もしくは複数種のCARM1阻害剤、またはそれらの組合せを含む。
【0136】
別の実施形態では、抗がん剤はグルココルチコイド受容体アゴニストを含む。別の実施形態では、グルココルチコイド受容体アゴニストはデキサメタゾンである。
【0137】
別の実施形態では、抗がん剤は免疫調節薬を含む。別の実施形態では、免疫調節薬はポマリドミドまたはレナリドミドである。
【0138】
別の実施形態では、抗がん剤はプロテアソーム阻害剤を含む。別の実施形態では、プロテアソーム阻害剤はボルテゾミブである。
【0139】
別の実施形態では、抗がん剤はBcl-2阻害剤を含む。別の実施形態では、Bcl-2阻害剤はベネトクラクスである。
【0140】
別の実施形態では、抗がん剤は多面発現経路調節剤を含む。別の実施形態では、多面発現経路調節剤はCC-122である。
【0141】
別の実施形態では、抗がん剤はXPO1阻害剤を含む。別の実施形態では、XPO1阻害剤はセリネクサーである。
【0142】
別の実施形態では、抗がん剤はヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤はパノビノスタットである。
【0143】
別の実施形態では、抗がん剤はEZH2阻害剤である。別の実施形態では、EZH2阻害剤はタゼメトスタットである。
【0144】
別の実施形態では、抗がん剤はBTK阻害剤を含む。別の実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ、アカラブルチニブ、またはザヌブルチニブである。
【0145】
別の実施形態では、抗がん剤は抗CD20モノクローナル抗体を含む。別の実施形態では、抗CD20モノクローナル抗体はリツキシマブである。
【0146】
別の実施形態では、抗がん剤はPI3K阻害剤を含む。別の実施形態では、PI3K阻害剤はコパンリシブである。
【0147】
別の実施形態では、抗がん剤はCDK4/6阻害剤を含む。別の実施形態では、CDK4/6阻害剤はパルボシクリブである。
【0148】
別の実施形態では、抗がん剤はCARM1阻害剤を含む。別の実施形態では、CARM1阻害剤はEZM2302である。
【0149】
別の実施形態では、抗がん剤はアルキル化剤を含む。別の実施形態では、アルキル化剤はマホスファミドである。
【0150】
別の実施形態では、抗がん剤はトポイソメラーゼII阻害剤を含む。別の実施形態では、トポイソメラーゼII阻害剤は、ドキソルビシンおよびエトポシドである。
【0151】
別の実施形態では、抗がん剤はビンカアルカロイドを含む。別の実施形態では、ビンカアルカロイドはビンクリスチンである。
【0152】
別の実施形態では、抗がん剤は白金系薬を含む。別の実施形態では、白金系薬は、カルボプラチンまたはオキサリプラチンである。
【0153】
別の実施形態では、抗がん剤はヌクレオシド抗がん剤を含む。別の実施形態では、ヌクレオシド抗がん剤はゲムシタビンである。
V.キット
【0154】
別の実施形態では、本開示は、本開示の結晶形態または本開示の組成物を含むキットであって、本開示の方法を実践するためのその使用を容易にする仕方で包装された本開示の結晶形態または本開示の組成物を含むキットを提供する。
【0155】
別の実施形態では、キットは、密閉された瓶などの容器中に包装された本開示の結晶形態または本開示の組成物を含み、ラベルが容器に張り付けられ、被験体における疾患、障害、または状態、たとえばがんを処置するための本開示の方法を実践するための本開示の結晶形態または本開示の組成物の使用を説明する挿入文書がキットに含まれる。別の実施形態では、本開示の結晶形態または本開示の組成物は、単位剤形で、たとえば、錠剤として、たとえば、フィルムコーティングされた錠剤として、包装される。
【0156】
別の実施形態では、キットは、挿入文書、たとえば、本開示の結晶形態または本開示の組成物を、疾患、障害、または状態を有する被験体に投与するための指示書をさらに含む。別の実施形態では、疾患、障害、または状態はがんである。
VI.本開示の結晶形態を製造する方法
【0157】
別の実施形態では、本開示は、本開示の結晶形態を製造する方法を提供する。
【0158】
別の実施形態では、本開示は、遊離塩基形態IIを製造する方法を提供する。
【0159】
別の実施形態では、本開示は、遊離塩基形態IIを製造する方法であって、前記方法が、
【0160】
(i)化合物1が溶解させられるまで、化合物1、エタノール、および水の混合物を加熱することと、
【0161】
(ii)溶液を約50℃に冷却することと、
【0162】
(iii)必要に応じて、溶液に遊離塩基形態IIの種晶を添加することと、
【0163】
(iv)溶液を約0℃に冷却することと、
【0164】
(v)このようにして形成された遊離塩基形態IIを単離することと
を含む、方法を提供する。
【0165】
別の実施形態では、遊離塩基形態IIは、ろ過によって単離される。
【0166】
別の実施形態では、上記方法は、水およびエタノールの混合物で遊離塩基形態IIを洗浄することをさらに含む。
【0167】
別の実施形態では、上記方法は、減圧下で、遊離塩基形態IIを乾燥することをさらに含む。
VII.定義
N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドまたは「化合物1」は、構造
【化1】
を有する化合物を指す。
【0168】
N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリドまたは「化合物1 HCl」は、N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドの塩酸塩を指す。
【0169】
N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロブロミドまたは「化合物1 HBr」は、N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドの臭化水素酸塩を指す。
【0170】
本明細書で使用される場合、本開示の結晶形態に関する「実質的に純粋な」という用語は、結晶材料が、重量で約10%またはそれ未満、たとえば、約1%~約10%、たとえば、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%の、化合物1、化合物1 HCl、または化合物1 HBrの任意の他の結晶または非晶質形態(複数可)を含むことを意味する。別の実施形態では、本開示の結晶形態は、実質的に純粋な遊離塩基形態IIである。
【0171】
本明細書で使用される場合、本開示の結晶形態に関する「純粋な」という用語は、結晶材料が、重量で約1%またはそれ未満、たとえば、約0.1%~約1%、たとえば、約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、または約0.1%、またはそれ未満の、化合物1、化合物1 HCl、または化合物1 HBrの任意の他の結晶または非晶質形態(複数可)を含むことを意味する。一実施形態では、本開示の結晶形態は、XRPDで検出可能な量の、化合物1、化合物1 HCl、または化合物1 HBrの任意の他の結晶または非晶質形態(複数可)を含有しない。
【0172】
本明細書で使用される場合、「非晶質」という用語は、結晶の長距離秩序特性を欠く、すなわち、固体が非結晶性である化合物1、化合物1 HCl、または化合物1 HBrの固体形態を指す。
【0173】
本明細書で使用される場合、XRPDピーク位置および/または相対強度に関する「本質的に同じ」という用語は、XRPDディフラクトグラムを比較する場合、ピーク位置および/または強度の変動が考慮に入れられることを意味する。同様に、ラマンまたはIRピーク位置に関する「本質的に同じ」という用語は、ラマンまたはIRスペクトルを比較する場合、ピーク位置の変動が考慮に入れられることを意味する。たとえば、XRPDピーク位置は、たとえば、0.2°2Θ、すなわち±0.2度2Θもの、たとえば装置間の変動を示し得、ラマンおよびIRピーク位置は、たとえば、4cm-1、すなわち±4cm-1もの、たとえば装置間の変動を示し得る。たとえば、XRPDディフラクトグラムにおける相対的ピーク強度も、結晶化度、配向、調製された試料表面、および当業者に公知の他の因子に起因する装置間の変動を示し得、定性的尺度としてのみ使われるべきである。
【0174】
本明細書で使用される場合、「微粒子化」という用語は、粒子集団のサイズが、典型的にミクロン規模に低減されるプロセスまたは方法を指す。
【0175】
本明細書で使用される場合、「ミクロン」または「μm」という用語は、1×10-6メートルである「マイクロメートル」を指す。
【0176】
本明細書で使用される場合、「治療的に有効な量」という用語は、疾患、状態、外傷、もしくは障害の1つまたは複数の症状を処置するのに、または疾患、状態、外傷、もしくは障害の進行を阻止するのに、または疾患、状態、外傷、もしくは障害の退行をもたらすのに十分な化合物1の量を指す。
【0177】
一実施形態では、本開示の結晶形態または本開示の組成物は、その意図される治療目的を達成するのに有効な量で被験体に投与される。個別の必要とすることは様々であり得る一方で、各化合物の有効量の最適な範囲を決定することは、当分野の技能範囲内である。典型的には、本開示の結晶形態は、哺乳類、たとえば、ヒトに、1日当たり、哺乳類の体重1kg当たり約0.0025から約1500mgまでの投与量で、または、当量の医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物は、経口的に投与されて特定の障害を処置する。哺乳類に投与される本開示の結晶形態の有用な経口投与量は、哺乳類の体重1kg当たり約0.1mgから約10mgまで、または当量の医薬的に許容されるその塩または溶媒和物である。
【0178】
一実施形態では、本開示の結晶形態または本開示の組成物は、約50mgから約2000mgまでの総1日投与量で被験体に投与される。別の実施形態では、本開示の結晶形態または本開示の組成物は、約100mgから約1000mgまでの総1日投与量で被験体に投与される。別の実施形態では、本開示の結晶形態または本開示の組成物は、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、または約1000mgの総1日投与量で被験体に投与される。
【0179】
単位経口投与量は、約1mgから約1000mgまでの本開示の結晶形態、たとえば、約1mg~約500mg、約10mg~約250mg、約25mg~約200mgの結晶形態を含んでもよい。単位投与量は、それぞれが、たとえば、約10mgから約250mgまでの化合物、または当量の医薬的に許容されるその塩または溶媒和物を含有する、1つまたは複数の錠剤またはカプセル剤として、毎日1または複数回投与され得る。一実施形態では、単位経口投与量、たとえば、錠剤は、約25mgの本開示の結晶形態を含む。別の実施形態では、単位経口投与量、たとえば、錠剤は、約100mgの本開示の結晶形態を含む。別の実施形態では、単位経口投与量、たとえば、錠剤は、約200mgの本開示の結晶形態を含む。別の実施形態では、約10mg~約250mgの本開示の結晶形態の単位経口投与量が、被験体に1日1回投与される。別の実施形態では、約10mg~約250mgの本開示の結晶形態の単位経口投与量が、被験体に1日2回投与される。別の実施形態では、約10mg~約250mgの本開示の結晶形態の単位経口投与量が、被験体に1日3回投与される。
【0180】
本明細書で使用される場合、本開示の結晶形態に関する「化学的に安定な」などの用語は、少なくとも3か月間、約25℃の温度および約60%の相対湿度で保存された後、結晶固体が、0.5%未満の化学分解、たとえば、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、または0.05%未満の化学分解を示すことを意味する。分解の量を決定する際には、方法、たとえば、当技術分野で公知のHPLCを使用して、1種または複数種の化学的不純物の出現を測定することができ、かつ/または化合物1の消滅を測定することができる。
【0181】
「a」および「an」という用語は、1、または1より多いことを指す。
【0182】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、記載される数±10%を含む。したがって、「約10」は、9~11を意味する。
【0183】
本明細書で使用される場合、「平均粒径分布」または「D50」という用語は、レーザー回折によって、たとえばMalvern Master Sizer Microplus機器またはその同等物において決定される、粒子の50質量%が、より大きい相当直径を有し、残りの50質量%が、より小さい相当直径を有する直径である。
【0184】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、本開示の結晶形態以外に、被験体への投与に好適な医薬製剤、たとえば経口投与のための錠剤が得られるように入っているかまたは加えられる任意の成分を指す。賦形剤は典型的に、本開示の結晶形態の処理、取扱い、溶解、投与などを容易にするために組成物に加えられる不活性物質、たとえば微結晶性セルロースである。有用な賦形剤は、アジュバント、抗接着剤、結合剤、担体、崩壊剤、充填剤、矯味矯臭剤、色素、希釈剤、滑沢剤、流動促進剤、防腐剤、収着剤、溶媒、界面活性剤、および甘味料を含むが、これらに限定されない。
【0185】
従来の医薬賦形剤は、当業者に周知である。たとえば、微結晶性セルロース、無水ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients, Pharmaceutical Press 4th Ed. (2003)およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins, 21st ed. (2005)に列挙される他のものを含む多種多様な医薬賦形剤を本開示の結晶形態と混合して使用することができる。一実施形態では、組成物は、錠剤として製剤化される遊離塩基形態IIを含む。
【0186】
本明細書で使用される場合、「被験体」という用語は、動物、たとえば、ヒト、または家畜動物、たとえば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、またはネコを指す。一実施形態では、被験体はヒトである。
【0187】
本明細書で使用される場合、「容器」という用語は、任意の入れ物および蓋であって、それゆえに、医薬製品または賦形剤を保存し、運送し、調合し、かつ/または取り扱うのに好適である任意の入れ物および蓋を意味する。
【0188】
「挿入文書」という用語は、医師、薬剤師、および患者が製品の使用に関して十分な情報を得た上で決定することを可能にするのに必要とされる安全性および有効性のデータとともに、製品の投与の仕方の説明を提供する医薬製品に添えられた情報を意味する。添付文書は一般に、医薬製品のための「ラベル」と認識される。
VIII.特定の実施形態
【0189】
本開示は、以下の特定の実施形態を提供する。
【0190】
実施形態1。
【0191】
(a)遊離塩基形態II、遊離塩基形態III、もしくは遊離塩基形態IV、もしくはそれらの混合物を有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミド、または
【0192】
(b)HCl形態I、もしくはHCl形態II、もしくはそれらの混合物を有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリド、または
【0193】
(c)HBr形態Iを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロブロミド
【0194】
の結晶多形であって、
【0195】
(i)遊離塩基形態IIが、CuKα放射線を使用した、7.0、14.0、18.0、および20.2度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
【0196】
(ii)遊離塩基形態IIIが、CuKα放射線を使用した、7.6、14.8、18.0、および19.8度2Θのピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
【0197】
(iii)遊離塩基形態IVが、CuKα放射線を使用した、14.8、18.1、19.1、19.9、および20.5度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
【0198】
(iv)HCl形態Iが、CuKα放射線を使用した、14.6および25.0度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
【0199】
(v)HCl形態IIが、CuKα放射線を使用した、15.2、16.0、17.7、および22.6度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θであり、
【0200】
(vi)HBr形態Iが、CuKα放射線を使用した、18.8、25.1、および26.5度2Θにおいてピークを有する粉末X線回折パターンを有すると特徴付けられ、ここで、前記2Θ値は±0.2度2Θである、
結晶多形。
【0201】
実施形態2。遊離塩基形態IIを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドである実施形態1の結晶多形。
【0202】
実施形態3。遊離塩基形態IIIを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドである実施形態1の結晶多形。
【0203】
実施形態4。遊離塩基形態IVを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドである実施形態1の結晶多形。
【0204】
実施形態5。約5%またはそれ未満のN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドの任意の他の物理的形態を含む、実施形態2から4のいずれか1つの結晶多形。
【0205】
実施形態6。HCl形態Iを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリドである実施形態1の結晶多形。
【0206】
実施形態7。HCl形態IIを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリドである実施形態1の結晶多形。
【0207】
実施形態8。約5%またはそれ未満のN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリドの任意の他の物理的形態を含む、実施形態6または7の結晶多形。
【0208】
実施形態9。HBr形態Iを有するN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロクロリドである実施形態1の結晶多形。
【0209】
実施形態10。約5%またはそれ未満のN-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドヒドロブロミドの任意の他の物理的形態を含む、実施形態9の結晶多形。
【0210】
実施形態11。実施形態1から10のいずれか1つの結晶多形と、1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【0211】
実施形態12。1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤が、延性希釈剤、脆性希釈剤、崩壊剤、結合剤、流動促進剤、または滑沢剤、またはそれらの組合せを含む、実施形態11の医薬組成物。
【0212】
実施形態13。1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤が、微結晶性セルロース、部分的にアルファ化されたトウモロコシデンプン、無水ラクトース、マンニトール、無水第二リン酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸、またはそれらの組合せを含む、実施形態11の医薬組成物。
【0213】
実施形態14。
【0214】
(a)約25%w/wの結晶多形と、
【0215】
(b)約35%w/wの微結晶性セルロースと、
【0216】
(c)約35%w/wの無水ラクトースと、
【0217】
(d)約3%w/wのクロスカルメロースナトリウムと、
【0218】
(e)約1.5%w/wのステアリン酸マグネシウムと
を含む、実施形態13の医薬組成物。
【0219】
実施形態15。フィルムコーティングをさらに含む、実施形態14の医薬組成物。
【0220】
実施形態16。フィルムコーティング組成物が、HPMC2910/ヒプロメロース、二酸化チタン、およびマクロゴール/PEGを含む、実施形態15の医薬組成物。
【0221】
実施形態17。フィルムコーティングされた錠剤として製剤化される、実施形態11から16のいずれか1つの医薬組成物。
【0222】
実施形態18。実施形態11から17のいずれか1つの医薬組成物を製造する方法であって、前記方法が、結晶多形を1種または複数種の医薬的に許容される賦形剤とブレンドすることを含む、方法。
【0223】
実施形態19。がんの処置を必要とする被験体におけるがんを処置する方法であって、前記方法が、治療的に有効な量の実施形態1から10のいずれか1つの結晶多形、または治療的に有効な量の実施形態11から17のいずれか1つの医薬組成物を被験体に投与することを含む、方法。
【0224】
実施形態20。被験体におけるがんの処置における使用のための、実施形態1から10のいずれか1つの結晶多形、または実施形態11から17のいずれか1つの医薬組成物。
【0225】
実施形態21。被験体におけるがんを処置するための薬剤の製造における、実施形態1から10のいずれか1つの結晶多形、または実施形態11から17のいずれか1つの医薬組成物の使用。
【0226】
実施形態22。がんが、表2のうちのいずれか1つまたは複数のがんである、実施形態19の方法、請求項20の結晶多形もしくは医薬組成物、または請求項21の使用。
【0227】
実施形態23。がんが血液がんである、実施形態21の方法、請求項20の結晶多形もしくは医薬組成物、または請求項21の使用。
【0228】
実施形態24。血液がんが、表3のうちのいずれか1つまたは複数のがんである、実施形態23の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0229】
実施形態25。血液がんがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、実施形態24の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0230】
実施形態26。血液がんがマントル細胞リンパ腫である、実施形態24の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0231】
実施形態27。血液がんが多発性骨髄腫である、実施形態24の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0232】
実施形態28。血液がんがt(4;14)多発性骨髄腫である、実施形態27の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0233】
実施形態29。治療的に有効な量の抗がん剤を被験体に投与することをさらに含む、実施形態19から28のいずれか1つの方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0234】
実施形態30。抗がん剤が、1種もしくは複数種のグルココルチコイド受容体アゴニスト、1種もしくは複数種の免疫調節薬、1種もしくは複数種のプロテアソーム阻害剤、1種もしくは複数種のBcl-2阻害剤、1種もしくは複数種の多面発現経路調節剤、1種もしくは複数種のXPO1阻害剤、1種もしくは複数種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤、1種もしくは複数種のEZH2阻害剤、1種もしくは複数種のBTK阻害剤、1種もしくは複数種の抗CD20モノクローナル抗体、1種もしくは複数種のアルキル化剤、1種もしくは複数種のトポイソメラーゼII阻害剤、1種もしくは複数種のビンカアルカロイド、1種もしくは複数種の白金系薬、1種もしくは複数種のヌクレオシド抗がん剤、1種もしくは複数種のPI3K阻害剤、1種もしくは複数種のCDK4/6阻害剤、または1種もしくは複数種のCARM1阻害剤、またはそれらの組合せを含む、実施形態29の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0235】
実施形態31。抗がん剤がグルココルチコイド受容体アゴニストを含む、実施形態29または30の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0236】
実施形態32。グルココルチコイド受容体アゴニストがデキサメタゾンである、実施形態31の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0237】
実施形態33。抗がん剤が免疫調節薬を含む、実施形態29から32のいずれか1つの方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0238】
実施形態34。免疫調節薬が、ポマリドミドまたはレナリドミドである、実施形態33の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0239】
実施形態35。抗がん剤がプロテアソーム阻害剤を含む、実施形態29から34のいずれか1つの方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0240】
実施形態36。プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブである、実施形態35の方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0241】
実施形態37。抗がん剤がBcl-2阻害剤を含む、実施形態29から36のいずれか1つの方法、結晶多形、医薬組成物、または使用。
【0242】
実施形態38。Bcl-2阻害剤がベネトクラクスである、実施形態37の方法。
【0243】
実施形態39。抗がん剤が多面発現経路調節剤を含む、実施形態29から38のいずれか1つの方法。
【0244】
実施形態40。多面発現経路調節剤がCC-122である、実施形態39の方法。
【0245】
実施形態41。抗がん剤がXPO1阻害剤を含む、実施形態29から40のいずれか1つの方法。
【0246】
実施形態42。XPO1阻害剤がセリネクサーである、実施形態41の方法。
【0247】
実施形態43。抗がん剤がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含む、実施形態29から42のいずれか1つの方法。
【0248】
実施形態44。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤がパノビノスタットである、実施形態43の方法。
【0249】
実施形態45。抗がん剤がEZH2阻害剤である、実施形態29から44のいずれか1つの方法。
【0250】
実施形態46。EZH2阻害剤がタゼメトスタットである、実施形態45の方法。
【0251】
実施形態47。抗がん剤がBTK阻害剤を含む、実施形態29から46のいずれか1つの方法。
【0252】
実施形態48。BTK阻害剤が、イブルチニブ、アカラブルチニブ、またはザヌブルチニブである、実施形態47の方法。
【0253】
実施形態49。抗がん剤が、抗CD20モノクローナル抗体を含む、実施形態29から48のいずれか1つの方法。
【0254】
実施形態50。抗CD20モノクローナル抗体がリツキシマブである、実施形態49の方法。
【0255】
実施形態51。抗がん剤がPI3K阻害剤を含む、実施形態29から50のいずれか1つの方法。
【0256】
実施形態52。PI3K阻害剤がコパンリシブである、実施形態51の方法。
【0257】
実施形態53。抗がん剤がCDK4/6阻害剤を含む、実施形態29から52のいずれか1つの方法。
【0258】
実施形態54。CDK4/6阻害剤がパルボシクリブである、実施形態53の方法。
【0259】
実施形態55。抗がん剤が、CARM1阻害剤を含む、実施形態29から54のいずれか1つの方法。
【0260】
実施形態56。CARM1阻害剤がEZM2302である、実施形態55の方法。
【0261】
実施形態57。抗がん剤がアルキル化剤を含む、実施形態29から56のいずれか1つの方法。
【0262】
実施形態58。アルキル化剤がマホスファミドである、実施形態57の方法。
【0263】
実施形態59。抗がん剤がトポイソメラーゼII阻害剤を含む、実施形態29から58のいずれか1つの方法。
【0264】
実施形態60。トポイソメラーゼII阻害剤が、ドキソルビシンおよびエトポシドである、実施形態58の方法。
【0265】
実施形態61。抗がん剤がビンカアルカロイドを含む、実施形態29から60のいずれか1つの方法。
【0266】
実施形態62。ビンカアルカロイドがビンクリスチンである、実施形態61の方法。
【0267】
実施形態63。抗がん剤が白金系薬を含む、実施形態29から62のいずれか1つの方法。
【0268】
実施形態64。白金系薬が、カルボプラチンまたはオキサリプラチンである、実施形態63の方法。
【0269】
実施形態65。抗がん剤がヌクレオシド抗がん剤を含む、実施形態29から64のいずれか1つの方法。
【0270】
実施形態66。ヌクレオシド抗がん剤がゲムシタビンである、実施形態65の方法。
【0271】
実施形態67。実施形態1から10のいずれか1つの結晶多形または実施形態11から17のいずれか1つの医薬組成物と、医薬組成物をそれを必要とする被験体に投与するための指示書とを含む、キット。
【0272】
実施形態68。抗がん剤をさらに含む、実施形態67のキット。
【0273】
実施形態69。実施形態19または22から28のいずれか1つの方法を行うためのキットであって、前記キットが、(a)結晶多形または医薬組成物、および(b)結晶多形または医薬組成物を被験体に投与するための指示書を含む、キット。
【0274】
実施形態70。実施形態29から66のいずれか1つの方法を行うためのキットであって、前記キットが、(a)結晶多形または医薬組成物、(b)結晶多形または医薬組成物を被験体に投与するための指示書、(c)抗がん剤、および(d)抗がん剤を被験体に投与するための指示書を含む、キット。
【0275】
実施形態71。実施形態1の遊離塩基形態IIを製造する方法であって、前記方法が、
【0276】
(i)N-((1R,3S)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-2-カルボキサミドをエタノールおよび水中で加熱して、溶液を得ることと、
【0277】
(ii)溶液を約0℃に冷却することと、
【0278】
(iii)必要に応じて、溶液に種晶を添加することと、
【0279】
(iv)遊離塩基形態IIを単離することと
を含む、方法。
【実施例
【0280】
計器装備
粉末X線回折(PXRDまたはXRPD)
X線回折計、たとえば、LynxEye検出器を備えたBruker D8 advanceまたはD2 Phaserを用いてXRPDパターンを特定した。試料を3から40°2θまで、ステップサイズ0.02°2θでスキャンした。管電圧および電流はそれぞれ40KVおよび40mAであった。
示差走査熱量測定(DSC)
【0281】
Discovery DSC250(TA Instruments、US)を使用して、DSCを実行した。アルミニウムピンホールハーメチックパン中に試料を載置し、重量を正確に記録した。25℃から最終温度まで10℃/minの速度で試料を加熱した。
フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)
【0282】
Shimadzu IR Tracer100を用いてFTIRを得た。KBrペレット法によって試料を調製し、4000~400cm-1の間のIRスペクトルを記録した。
熱重量分析(TGA)
【0283】
Discovery TGA55(TA Instruments、US)においてTGAを行った。試料を蓋のない風袋を計ったアルミニウムパン中に載置し、自動で秤量し、TGA炉内に挿入した。周囲温度から最終温度まで10℃/minの速度で試料を加熱した。
(実施例1)
本開示の多形の合成および特徴付け
遊離塩基形態I
【0284】
キラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によって、化合物1の遊離塩基のラセミ混合物を分離し、化合物1を含有する画分をプールし、減圧下で濃縮した。次いで、材料を減圧下で(約15トル)乾燥して、遊離塩基形態Iを得た。
遊離塩基形態II
【0285】
国際公開第2020/037079号の実施例1において化合物1のTFA塩の合成が説明されている。化合物1の遊離塩基を、EtOHおよび水の溶液中で加熱し、化合物を溶解させる。溶液を50±5℃にゆっくりと冷却し、種晶を加える。混合物をおよそ2.5±2.5℃にさらに冷却する。結晶生成物をろ過し、精製水およびエタノールの混合物で洗浄し、次いで、減圧下で乾燥して遊離塩基形態IIを得た。遊離塩基形態IIのXRPDピークのリスト(±0.2度2Θ)を表Aにおいて提供する。
【表A-1】
【表A-2】
遊離塩基形態III
【0286】
減圧下50℃で形態IVを乾燥することによって、遊離塩基形態IIIを得た。遊離塩基形態IIIのXRPDピークのリスト(±0.2度2Θ)を表Bにおいて提供する。
【表B】
遊離塩基形態IV
【0287】
室温で、水中で化合物1をスラリーにすることによって、遊離塩基形態IVを得た。遊離塩基形態IVのXRPDピークのリスト(±0.2度2Θ)を表Cにおいて提供する。
【表C】
HCl形態I
【0288】
アセトニトリルおよび3MのHClを含む水中に化合物1を溶解させ、ゆっくりと蒸発させながら2日間室温で撹拌し、このようにして得られた結晶を約4時間50℃で減圧下で乾燥することによってHCl形態Iを得た。HCl形態IのXRPDピークのリスト(±0.2度2Θ)を表Dにおいて提供する。
【表D】
HCl形態II
【0289】
アセトンおよび1.1当量のHClの水溶液中にHCl形態Iを50℃で溶解させ、0.1℃/minで40℃に冷却し、その溶液に種晶を添加し、2時間保持することによってHCl形態Iを得た。得られた懸濁液を0.1℃/minで20℃に冷却し、次いで、一晩/週末の間、撹拌した。ろ過後、このようにして得られた固体はHCl形態IIであった。HCl形態IIのXRPDピークのリスト(±0.2度2Θ)を表Eにおいて提供する。
【表E】
HBr形態I
【0290】
HBr形態Iについては、アセトニトリルおよび1.1当量のHBrの水溶液中の化合物1を得た。その溶液を一晩室温で撹拌し、固体を析出させた。固体をろ過し、50℃で減圧下乾燥して、HBr形態Iを得た。HBr形態IのXRPDピークのリスト(±0.2度2Θ)を表Fにおいて提供する。
【表F】
(実施例2)
フィルムコーティングされた錠剤の調製
【0291】
表2Aは、25mgの遊離塩基形態IIを含むフィルムコーティングされた錠剤のための成分を示す。プロセスフロー図を図16において提供する。
【表2A】
ふるい分け
【0292】
無水ラクトースDT HVを40メッシュ(450μm)のふるいに通した。遊離塩基形態IIをその袋から50メッシュ(355μm)のふるい上に流し込んだ。遊離塩基形態IIの袋を微結晶性セルロースPH102で洗い、遊離塩基形態IIおよび微結晶性セルロースPH102をともに50メッシュのふるいに通してふるい分けた。
【0293】
クロスカルメロースナトリウムを、同じ50メッシュのふるいに通して同じ袋に入れた。
【0294】
ステアリン酸マグネシウム(顆粒内および顆粒外)を、30メッシュ(600μm)のふるいに通して別々の袋に入れた。
ブレンドおよび滑沢化(ブレンド)
【0295】
遊離塩基形態IIと、顆粒内および顆粒外ステアリン酸マグネシウムを除く賦形剤とを、5Lのブレンド用箱に入れ、20rpmで20分間ブレンドした。
【0296】
選択された時点で、異なるブレンド箇所から6つの試料を取り出し、ブレンドの均一性に関して試験した。ブレンド均一性の結果を表3Aに示す。
【表3A】
【0297】
ブレンド後、ふるい分けた0.5%の顆粒内ステアリン酸マグネシウムをブレンド用箱に入れ、20rpmの速度で5分間ブレンドを実行した。
ローラーコンパクションおよび粉砕
【0298】
滑沢化されたブレンドを異なる供給速度でローラーコンパクターに通して、乾燥顆粒を生産した。
【0299】
ローラーコンパクション後の乾燥顆粒に関するシーブ分析結果を表4に示す。他の顆粒特性を表5に示す。
【表4】
【表5】
滑沢化(顆粒)
【0300】
1%の顆粒外ステアリン酸マグネシウムを顆粒と5分間ブレンドした。異なるブレンド箇所から6つの試料を取り出し、ブレンドの均一性に関して試験した。ブレンド均一性の結果を表6に示す。
【表6】
圧縮
【0301】
回転圧縮機を使用して、滑沢化された顆粒を錠剤へと圧縮した。圧縮中、異なる段階で試料として錠剤を抜き取り、錠剤の重量、硬度、および含有量均一性に関して試験した。
コーティング
【0302】
Opadry(登録商標)Complete Film Coating System 03B180001 whiteを用いて、錠剤コアをコーティングした。12%の固形分を有するコーティング懸濁液を調製した。コーティングの重量増加は、3.0±0.5%の範囲であった。
【0303】
得られたコーティングされた錠剤に関する溶解結果を表7に示す。
【表7】
【0304】
コーティングされた錠剤の含有量均一性を試験して、錠剤アッセイでコーティングプロセスの効果をさらに確認し、結果を表8に示す。
【表8】
【0305】
プロセスパラメーターを表9にまとめて示す。
【表9】
(実施例3)
遊離塩基形態IおよびIIの薬物動態
【0306】
この調査では、遊離塩基形態Iおよび遊離塩基形態IIを25mg/kgおよび100mg/kg(pH7の水中の0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)および0.1%Tween)で、オスのビーグル犬に投与した。犬を一晩絶食させ、次いで、前記形態を経口投与するのに1時間先立って食物を与えた。最大48時間までの所定の時点で血液試料を採取した。タンデム質量分析を伴う液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)法によって化合物1の血漿濃度を決定した。濃度-時間プロファイルを図15に示し、関連するPKパラメーターを表10にまとめて示す。
【表10】
【0307】
上記結果により、遊離塩基形態IIは、イヌにおいて予想外に遊離塩基形態Iより大きい曝露量を与えることが実証される。この差異は投与量依存的であった。25mg/kgの投与量で、遊離塩基形態IIの化合物1のCmax、および時間0から無限大まで外挿された血漿濃度-時間曲線下面積(AUC0-inf)はそれぞれ、遊離塩基形態Iのそれらより約40%および20%大きかった。化合物1の曝露量の差異は、100mg/kgの投与量において拡大し、遊離塩基形態IIのCmaxおよびAUC0-infはそれぞれ、遊離塩基形態Iのそれらに比べて1.8倍および3.1倍の大きさであった。上記結果により、遊離塩基形態IIは、特に100mg/kgの投与量で、遊離塩基形態Iより広範囲にわたって吸収されたことが示唆される。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、遊離塩基形態IIのより広範囲での吸収は、イヌの腸管内腔におけるこれらの形態の溶解度または溶解プロセスの相違に起因し得る。
【0308】
前述の説明された実施形態および例証は、いかなる点でも本開示の範囲に対し限定的であることは意図されないこと、ならびに本明細書において提示される請求項は、本明細書において明示的に提示されるかどうかにかかわらず、すべての実施形態および例証を包含することを意図されることが理解されるべきである。
【0309】
本明細書において言及されるすべての特許および出版物は、その全体が参照により完全に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図15
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【国際調査報告】