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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】治療用化合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/554 20060101AFI20241022BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 31/4458 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 9/28 20060101ALN20241022BHJP
   A61K 47/38 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
A61K31/554
A61P9/06
A61K45/00
A61K31/4458
A61P43/00 121
A61K9/28
A61K47/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529362
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 US2022050163
(87)【国際公開番号】W WO2023091524
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,067
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523182337
【氏名又は名称】アームゴ・ファーマ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】マルカントニオ,ユージーン・イー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA45
4C076BB01
4C076CC11
4C076EE33J
4C076FF25
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZA381
4C084ZC412
4C084ZC432
4C084ZC442
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086BC92
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA38
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、治療有効量の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩、および薬学的に許容される賦形剤を単位剤形で含む医薬組成物を投与するステップを含む、カテコールアミン誘発性多形心室頻拍を治療する方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を治療する方法であって、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、投与が1日1回である、方法。
【請求項2】
カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍が、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍1型である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍1型が、リアノジン受容体2遺伝子の突然変異によって特徴付けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
リアノジン受容体2遺伝子の突然変異が、常染色体優性突然変異である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
対象が、CPVTのための治療レジメンを受け、CPVTのための治療レジメンが、β遮断薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
β遮断薬が、非選択的β遮断薬である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
対象が、CPVTのための治療レジメンを受け、CPVTのための治療レジメンが、ナトリウムチャネル阻害薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ナトリウムチャネル阻害薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容される塩である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
対象が、CPVTのための治療レジメンを受け、CPVTの治療レジメンが、植え込み型電気除細動器-除細動器(ICD)の使用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象の異所性興奮発症の可能性が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
異所性興奮が、異所性心室興奮である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
異所性心室興奮が、ストレス誘発性である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
異所性心室興奮が、カテコールアミン誘発性ストレスによって誘発される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
異所性心室興奮が、運動誘発性である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
異所性心室興奮が、心室性期外収縮である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
異所性心室興奮が、二段脈である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
異所性心室興奮が、心室性期外収縮カプレットである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
異所性心室興奮が、頻拍を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
頻拍が、心室性頻拍である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象における心臓突然死の可能性が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
心臓突然死が、ストレス誘発性である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
心臓突然死が、カテコールアミン誘発性ストレスによって誘発される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
心臓突然死が、運動誘発性である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象における心房細動の可能性が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象の安静時の心拍数に対して対象の心拍数が上昇している間に、対象に異所性興奮を発症する可能性が低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
心拍数の上昇が、ストレス誘発性である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
心拍数の上昇が、カテコールアミン誘発性ストレスによって誘発される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
心拍数の上昇が、運動誘発性である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
化合物またはその薬学的に許容される塩が、ヘミフマル酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
化合物が、化合物の持続放出を提供するように配合される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
持続放出が、放出調節である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
持続放出が、延長放出である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
持続放出が、遅延放出である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
化合物が、固形剤形で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
固形剤形が、経口投与に適している、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
固体剤形が、薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
治療有効量が、約50mg~約400mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
治療有効量が、約200mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
治療有効量が、約300mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
治療有効量が、約400mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
投与が、経口である、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
対象が、成人である、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
対象が、小児である、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
化合物またはその薬学的に許容される塩が、単位剤形の医薬組成物として対象に投与され、単位剤形が薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、本化合物またはそのイオン化形態が、ある期間にわたって試験対象中に存在し、期間が、投与後に生じ、期間が、少なくとも約12時間である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、本化合物またはそのイオン化形態が、ある期間にわたって試験対象中に存在し、期間が、投与後に生じ、期間が、少なくとも約24時間である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
単位剤形が錠剤である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約20~約200mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩約23.5~約235mgを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約20mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩23.5mgを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約50mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩58.75mgを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約100mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩約117.5mgを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
単位剤形が錠剤であり、錠剤が湿式造粒法により調製される、請求項44に記載の方法。
【請求項57】
単位剤形が錠剤であり、錠剤が乾式造粒法により調製される、請求項44に記載の方法。
【請求項58】
単位剤形が胃耐性錠剤である、請求項44に記載の方法。
【請求項59】
胃耐性錠剤が、pH5.5以下で実質的に崩壊せず、崩壊が、pH5.5以下である媒体中での胃耐性錠剤の溶解を測定することによって決定される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
pH5.5以下である媒体が、pH1.2である0.1N HCl溶液である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
胃耐性錠剤が、pHが約6.8で実質的に崩壊し、崩壊が、pH6.8である媒体中での胃耐性錠剤の溶解を測定することによって決定される、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
pH6.8である媒体が、リン酸緩衝液である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
胃耐性錠剤が、胃液中で実質的に崩壊しない、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
胃耐性錠剤が腸液中で実質的に崩壊する、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
対象が、摂食状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項66】
対象が、絶食状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項67】
治療有効量の胃酸減少剤を対象に投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項68】
治療有効量の胃酸減少剤を対象に投与するステップをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
胃酸減少剤の投与が、化合物の投与前である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
胃酸減少剤の投与が、化合物の投与後である、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
胃酸減少剤の投与が、化合物と同時になされる、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
胃酸減少剤が、プロトンポンプ阻害剤である、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
胃酸減少剤が、制酸剤である、請求項67に記載の方法。
【請求項74】
胃酸減少剤が、ヒスタミンH受容体アンタゴニストである、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
胃酸減少剤が、本化合物の投与1時間以内に対象に投与されない、請求項1に記載の方法。
【請求項76】
単位剤形が、胃耐性錠剤であり、胃耐性錠剤が、コアおよび、コアを実質的に被覆するコーティング層を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項77】
β-遮断薬を対象に投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項78】
β遮断薬が、化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するのに治療上有効である量において投与される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
β遮断薬が、減らした量で投与され、減らした量が、化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
β遮断薬が、非選択的β遮断薬である、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
ナトリウムチャネル阻害薬を対象に投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項82】
ナトリウムチャネル阻害薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容される塩である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
ナトリウムチャネル阻害薬が、化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するのに治療上有効である量で投与される、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
ナトリウムチャネル阻害薬が、減らした量で投与され、減らした量が、化合物の非存在下で、対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
β-遮断薬およびナトリウムチャネル阻害薬を対象に投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項86】
ナトリウムチャネル阻害薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容される塩である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
β遮断薬が、減らした量で投与され、減らした量が、化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない、請求項85または86に記載の方法。
【請求項88】
ナトリウムチャネル阻害薬が、減らした量で投与され、減らした量が、化合物の非存在下で、対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない、請求項85から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
治療により、対象の心筋におけるRyR2-カルスタビン2結合が増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項90】
治療により、対象のRyR2チャネルからのカルシウム漏出が減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項91】
治療により、対象におけるRyR2タンパク質の開口確率(P)が低下する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年11月16日に出願の米国特許仮出願第63/280,067号の利益を主張する。
政府の支援に関する声明
[0002]本発明は、米国食品医薬品局により与えられた契約番号R01FD007279で政府の支援を受けて行われた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
[0003]筋小胞体(SR)は、他の中でもとりわけ、特殊化された細胞内カルシウム(Ca2+)貯蔵として機能する細胞中の構造体である。リアノジン受容体(RyR)は、SRから細胞の細胞内細胞質へのCa2+の放出を調節するために開閉するSR中のチャネルである。SRから細胞質にCa2+が放出されると、細胞質Ca2+濃度が上昇する。RyRの開口確率とは、RyRが任意の瞬間に開口しており、したがって、SRから細胞質にCa2+を放出することが可能である可能性を指す。3種類のRyRアイソフォームが公知である。RyR1は、哺乳類の骨格筋において発現する優勢なアイソフォームであり、RyR2は、心筋で主に見出され、RyR3の発現は、骨格筋において低い。
【0003】
[0004]SRからのCa2+放出は、いくつかのRyR結合タンパク質によって調節される。カルスタビン(Calstabin)1(FKBP12)は、RyR1の閉鎖状態を安定させ、カルスタビン2(FKBP12.6)は、RyR2の閉鎖状態を安定させる。RYR1またはRYR2の突然変異は、それぞれカルスタビン1またはカルスタビン2の結合の減少、および収縮シグナルに関連しない不適切なチャネル開口によって特徴付けられる。このチャネルの開口は、翻訳後修飾、例えば、RyRチャネルのPKAリン酸化、酸化、またはニトロシル化などによってさらに悪化する。結果として起こるカルスタビンの解離によって、漏出チャネルが形成され得、安静時の開口確率が病的な増加を示す。SRのCa2+漏出は、SRのCa2+量の減少につながり、放出に利用可能なCa2+が少なくなり、結果として筋収縮が弱くなる。
【0004】
参照による組み込み
[0005]本明細書中に挙げられる全ての刊行物、特許および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が、詳細にかつ個別に、参照により組み入れられていると示されているかの如く、同程度まで、参照により本明細書に組み入れられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0006]いくつかの実施形態では、本開示は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を治療する方法を提供し、方法は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、投与は、1日1回である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0007]実施例6に詳述される試験の第I相の1日目における化合物1の平均血漿中濃度(+/-SD)の時間プロファイルを示すチャートである。
図2】[0008]実施例6に詳述される試験の第II相の1日目における化合物1の平均血漿中濃度(+/-SD)の時間プロファイルを示すチャートである。
図3】[0009]実施例6に詳述される試験の第II相の14日目における化合物1の平均血漿中濃度(+/-SD)の時間プロファイルを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0010]本開示は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)、例えば、CPVT1型を治療する方法をであって、本明細書に記載されるリアノジン受容体モジュレーター、および薬学的に受容可能な賦形剤を単位剤形で含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、リアノジン受容体(RyR)カルシウムチャネル安定剤である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩、例えば、ヘミフマル酸塩である。
【0008】
[0011]いくつかの実施形態では、CPVTを治療する方法は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩、例えば、ヘミフマル酸塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む、放出調節医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0009】
[0012]化合物4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸は、次の化学構造:
【0010】
【化1】
【0011】
を有する。
【0012】
[0013]いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸は、薬学的に許容される酸または塩基との塩の形態で提供される。塩の非限定的な例には、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ヘミフマル酸塩、塩酸塩および臭化水素酸塩などが含まれる。いくつかの実施形態では、塩は、ナトリウム塩である。いくつかの実施形態では、塩は、ヘミフマル酸塩である。
【0013】
[0014]ヘミフマル酸塩として存在する場合、本化合物は、本明細書において指定される化合物1である。化合物1は、次の構造またはそのイオン化形態:
【0014】
【化2】
【0015】
を有する実験式を有する。
【0016】
[0015]例えば、式1の化合物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸の2個のイオン化分子
【0017】
【化3】
【0018】
を含む、イオン化された形態であってもよい。
【0019】
リアノジン受容体2
[0016]いくつかの実施形態では、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍は、リアノジン受容体2(RyR2)カルシウム放出チャネルが関与する。RyR2チャネルは、心筋においてECCに必要な心筋細胞中の筋小胞体(SR)からのCa2+の放出を調節することにより、細胞内カルシウムの取扱いにおいて主要な役割を果たす。RyR2チャネルは、高分子複合体であり、これには4つの同一のRyR2サブユニットが含まれ、そのそれぞれは、1つのカルスタビン2(FKBP12.6)、および他の相互作用タンパク質、例えば、ホスファターゼおよびキナーゼなどと結合する。カルスタビン2の結合は、心臓の静止期(拡張期)にはチャネルを閉じた状態で安定化し、それによって、拡張期のカルシウムがSRから漏れるのを防ぎ、興奮収縮連関中にRyR2チャネル群が機能的に結合されて同調的な開口が可能になる。
【0020】
[0017]プロテインキナーゼA(PKA)によるRyR2のリン酸化は、闘争・逃走反応の重要な部分である。リン酸化によって、所与のトリガーに対して放出されるCa2+の量が増大することにより、心筋ECのカップリングゲインが増加する。本過程は、筋肉の収縮が強化され、運動能力が改善する。本シグナル伝達経路は、ストレスに応答して、交感神経系(SNS)の活性化によって、心拍出量を増加させるメカニズムを提供する。PKAによるRyR2のリン酸化によって、カルシウム依存性活性化に対するチャネルの感受性が高まる。感度が上昇すると、開口確率が上昇し、SRから細胞内細胞質へのカルシウム放出が増加する。
【0021】
[0018]RyR漏出は、様々な心機能障害、状態、および疾患と関連する。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)である。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍1型(CPVT1)である。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心房性不整脈である、または心房性不整脈によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心室性不整脈である、または心室性不整脈によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心房細動である、または心房細動によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心室細動である、または心室細動によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心房性頻脈性不整脈である、または心房性頻脈性不整脈によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心室性頻脈性不整脈である、または心室性頻脈性不整脈によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心房頻拍である、または心房頻拍によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心室頻拍である、または心室頻拍によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、期外収縮(PC)である、または期外収縮(PC)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心室性期外収縮(PVC)である、または心室性期外収縮(PVC)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、二段脈である、または二段脈によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、洞不全症候群である、または洞不全症候群によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心室性期外収縮カプレット(premature ventricular contraction couplet)である、または心室性期外収縮カプレットによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、心臓突然死(SCD)である、または心臓突然死(SCD)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、乳幼児突然死症候群(SDIS)である、または乳幼児突然死症候群(SDIS)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、原因不明の突然死(SUD)である、または原因不明の突然死(SUD)によって特徴付けられる。
【0022】
[0019]いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、不規則な心拍または不整脈によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心機能障害または心疾患は、異所性興奮、例えば、異所性心室興奮によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、心臓疾患または障害(例えば、CPVT)に関連する異所性興奮(例えば、異所性心室興奮)は、ストレス、例えば、カテコールアミン誘発性ストレスなどによって誘発され得る。いくつかの実施形態では、異所性興奮(例えば、異所性心室興奮)は、運動誘発性である。いくつかの実施形態では、異所性興奮(例えば、異所性心室興奮)は、心拍数の上昇によって誘発される。いくつかの実施形態では、異所性興奮(例えば、異所性心室興奮)は、対象のベースライン心拍数に対して対象の心拍数が上昇した場合に発生する。いくつかの実施形態では、心拍数の上昇は、1分間当たり少なくとも約100回、1分間当たり少なくとも約105回、1分間当たり少なくとも約110回、1分間当たり少なくとも約115回、1分間当たり少なくとも約120回、1分間当たり少なくとも約125回、1分間当たり少なくとも約130回、1分間当たり少なくとも約135回、1分間当たり少なくとも約140回、1分間当たり少なくとも約145回、1分間当たり少なくとも約150回、1分間当たり少なくとも約155回、1分間当たり少なくとも約160回、1分間当たり少なくとも約165回、1分間当たり少なくとも約170回、1分間当たり少なくとも約175回、1分間当たり少なくとも約180回、1分間当たり少なくとも約185回、1分間当たり少なくとも約190回、1分間当たり少なくとも約195回、または1分間当たり少なくとも約200回の速度である。いくつかの実施形態では、心拍数の上昇は、1分間当たり約100回~1分間当たり約200回、1分間当たり約125回~1分間当たり約200回、1分間当たり約150回~1分間当たり約200回、1分間当たり約100回~1分間当たり約125回、1分間当たり約100回~1分間当たり約150回、または1分間当たり約100回~1分間当たり約175回である。いくつかの実施形態では、心拍数の上昇は、ストレスによって誘発される。いくつかの実施形態では、ストレスは、カテコールアミン誘発性ストレスである。いくつかの実施形態では、心拍数の上昇は、運動によって誘発される。
【0023】
[0020]いくつかの実施形態では、本開示は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を治療する方法を提供し、方法は、治療有効量のリアノジン受容体チャネルモジュレーターを、それを必要とする対象に投与するステップを含み、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象において異所性興奮を発症する可能性が低減される。いくつかの実施形態では、リアノジン受容体チャネルモジュレーターは、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物である。
【0024】
[0021]いくつかの実施形態では、本開示は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を治療する方法を提供し、方法は、治療有効量のリアノジン受容体チャネルモジュレーターを、それを必要とする対象に投与するステップを含み、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象における心房細動の可能性が低減される。いくつかの実施形態では、リアノジン受容体チャネルモジュレーターは、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物である。
【0025】
カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍
[0022]カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)は、最も致死率の高い遺伝性不整脈源性障害の1つである。CPVTは、器質的心疾患がない場合に発症し、心臓突然死(SCD)の高い発生率に関連する、アドレナリン作動性により媒介される心室性不整脈によって特徴付けられる。CPVTは、特に小児および若年成人における原因不明の突然死の主な原因である生命を脅かす疾患である。CPVTと新たに診断された典型的な患者は、構造的心疾患がなく、安静時心電図は正常であるが、ストレス(例えば、運動または情動性)によって誘発される動悸または失神を呈する、小児または若年成人である。管理されなければ、CPVTは、致死率の高い疾患であり、40歳まで未治療の死亡率は30~50%である。
【0026】
[0023]CPVTは、心筋細胞の筋小胞体(SR)に関連するタンパク質をコードする2つの遺伝子の突然変異と関連している。最も頻繁に観察される形態は、CPVT1型(CPVT1)であり、RYR2遺伝子の突然変異による常染色体優性遺伝の形態である。RYR2は、細胞内SRカルシウム放出チャネルをコードする。CPVTに関連するRyR2突然変異によって、チャネルの閉鎖状態を安定化させるカルスタビン2(FKBP12.6)サブユニットの結合の低下と関連し得る、漏出RyR2チャネルになる。RyR2(RyR2-R2474Sマウス)におけるR2474S突然変異(CPVT1を有するヒトにおいて生じる)についてヘテロ接合体性のマウスは、運動誘発性の心室性不整脈および心臓突然死を示すことがある。
【0027】
[0024]正常な生理学的条件下では、SR Ca2+フラックスは、厳密に調節され、RyR2相互作用タンパク質は、この調節に寄与する。例えば、カルスタビン2は、RyR2の閉鎖状態を安定化することにより、SR Ca2+放出を調節する。CPVT1を伴う患者では、RyR2-カルスタビン2結合の低下は、RyR2 Ca2+漏出と関連し得る。
【0028】
[0025]RyR2-R2474Sは、ヒトにおいてCPVTを引き起こす点変異を有する変異チャネルであり、変異していないRyR2と比較してプライム状態をとる。プライム状態は、これらのチャネルの閉鎖構造と開放構造との間の遷移である。プライム後、変異チャネルは、開放構造に遷移しやすい。野生型RyR2チャネルは、心周期のカルシウム放出のための適切な時期である、収縮期に開口する。対照的に、プライムされた、変異チャネルは、運動またはカテコールアミン誘発性ストレスによって、収縮期および拡張期の両方で開くことができる。この不適切な開口は、CPVTに特徴的な心室性不整脈になり得る。運動誘発性βアドレナリン刺激下での拡張期のチャネルの状態、例えば、PKAリン酸化および低カルシウム濃度に似ている条件下でこれらが観察された。
【0029】
[0026]いくつかの実施形態では、CPVTに関連する変異RyR2タンパク質は、プライム状態にある。いくつかの実施形態では、プライム状態のRyR2タンパク質は、安静状態(閉鎖状態)におけるRyR2タンパク質と比較して、開口確率(P)のより高い分布を含む。いくつかの実施形態では、プライム状態のRyR2タンパク質は、RyR2チャネルからの異常なCa+2漏出を特徴とする漏出RyR2タンパク質である。いくつかの実施形態では、プライム状態のRyR2タンパク質は、漏出RyR2タンパク質であり、これは、静止状態(閉鎖状態)のRyR2タンパク質と比較して、開口確率(P)のより高い分布によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、プライム状態のRyR2は、開口状態のRyR2チャネルの約30%~約60%を占める。いくつかの実施形態では、プライム状態のRyR2は、開口状態のRyRチャネルの約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%または約60%を占める。
【0030】
[0027]化合物1を含めた、リアノジン受容体チャネルモジュレーターは、CPVT1の治療に対する革新的なアプローチを提供する。リアノジン受容体チャネルモジュレーターは、漏出RyR2チャネルに優先的に結合し、RyRチャネルの開口確率を、閉鎖状態(静止状態)にシフトすることができる構造変化を誘導し、カルスタビン2の結合を回復させ、チャネルの漏出を修復し、それにより、正常なRyR2機能を回復させることができる。
【0031】
[0028]いくつかの実施形態では、本開示は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を治療する方法を提供し、方法は、治療有効量のリアノジン受容体チャネルモジュレーターを、それを必要とする対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を治療する方法を提供し、方法は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、投与は、1日1回である。
【0032】
[0029]いくつかの実施形態では、本開示は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を治療する方法を提供し、方法は、治療有効量のリアノジン受容体チャネルモジュレーターを、それを必要とする対象に投与するステップを含み、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象において心臓突然死の可能性が低減される。いくつかの実施形態では、リアノジン受容体チャネルモジュレーターは、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物である。
【0033】
[0030]いくつかの実施形態では、本化合物は、単独療法として投与される。いくつかの実施形態では、本化合物は、1種または複数の追加療法と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本化合物は、β遮断薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本化合物は、ナトリウムチャネル遮断薬(本明細書ではナトリウムチャネル阻害薬ともいう)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本化合物は、β遮断薬およびナトリウムチャネル阻害薬と組み合わせて投与される。
【0034】
[0031]いくつかの実施形態では、対象は、CPVTのための治療レジメンを受けており、CPVTのための治療レジメンは、β遮断薬を含む。いくつかの実施形態では、本化合物は、β遮断薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本化合物は、β遮断薬と組み合わせて投与され、β遮断薬は、本化合物(例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩)の非存在下で、対象においてCPVTを治療するのに治療上有効である量で投与される。いくつかの実施形態では、本化合物は、β遮断薬と組み合わせて投与され、β遮断薬は、減らした量で投与され、減らした量は、本化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない。いくつかの実施形態では、本化合物は、β遮断薬と組み合わせて投与され、β遮断薬は、減らした量で投与され、減らした量は、本化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するために使用される量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。
【0035】
[0032]本化合物の非存在下でCPVTを治療するために使用される量より少ないβ遮断薬の量は、β遮断薬の最大耐容用量より、例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%少なくすることができる。
【0036】
[0033]本化合物の非存在下でCPVTを治療するために使用される量よりも少ないβ遮断薬の量は、本化合物またはその薬学的に許容される塩の非存在下でCPVTに治療上有効であるβ遮断薬の用量よりも少ない量であり得、これは、例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%少ない量であり得る。
【0037】
[0034]β遮断薬の非限定的な例には、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ブシンドロール、ブタキサミン、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、およびそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0038】
[0035]いくつかの実施形態では、β遮断薬は、非選択的β遮断薬である。非選択的β遮断薬は、主に心筋に位置するβ-1受容体ならびに、主に気管支および血管の筋肉に位置するβ-2受容体の両方を阻害する。いくつかの実施形態では、非選択的β遮断薬は、ナドロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、もしくはチモロール、またはそれらの薬学的に許容される塩である。一実施形態では、非選択的β遮断薬は、ナドロールまたはその薬学的に許容される塩である。
【0039】
[0036]いくつかの実施形態では、β遮断薬は、選択的β遮断薬である。選択的β遮断薬(例えば、メトプロロールなど)は、β1受容体を優先的に阻害する(心臓選択的)。非常に高濃度で、この選択性は、減少させることができ、β2阻害が起こり得る。選択性は、エピネフリンのβ2媒介血管拡張作用を逆転させることができないことによって確認される。これは、非選択的β遮断薬の効果と対比させ、エピネフリンの血管拡張作用を逆転させることが可能であり得る。いくつかの実施形態では、非選択的β遮断薬は、メトプロロールまたはその薬学的に許容される塩である。
【0040】
[0037]いくつかの実施形態では、対象は、CPVTのための治療レジメンを受けており、CPVTのための治療レジメンは、ナトリウムチャネル阻害薬を含む。いくつかの実施形態では、本化合物は、ナトリウムチャネル阻害薬と組み合わせて投与される。ナトリウムチャネル阻害薬の非限定的な例には、フレカイニド、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、リドカイン、メキシレチン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、プロパフェノン、ラコサミド、ルフィナミド、ホスフェニトイン、エトトイン、カルバマゼピン、エスリカルバゼピン、ピルジカイニド、テトロドキシン、アプリンジン、アジュマリン、エンカイニド、プロパフェノン、アミオダロン、プロカインアミド、キニジン、オクスカルバゼピン、モリシジン、アミロリド、ラモトリギン、トリアムテレン、メキシレチン、フェニトイン、およびラノラジン、またはその薬学的に許容される塩が含まれる。いくつかの実施形態では、ナトリウムチャネル阻害薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、ナトリウムチャネル阻害薬は、酢酸フレカイニドである。
【0041】
[0038]いくつかの実施形態では、対象は、CPVTのための治療レジメンを受けており、CPVTのための治療レジメンは、ナトリウムチャネル阻害薬を含む。いくつかの実施形態では、本化合物(例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩)は、ナトリウムチャネル阻害薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本化合物は、ナトリウムチャネル阻害薬と組み合わせて投与され、ナトリウムチャネル阻害薬は、本化合物の非存在下で対象におけるCPVTを治療するのに治療上有効である量で投与される。いくつかの実施形態では、本化合物は、β遮断薬と組み合わせて投与され、ナトリウムチャネル阻害薬は、減らした量で投与され、減らした量は、本化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない。いくつかの実施形態では、本化合物は、ナトリウムチャネル阻害薬と組み合わせて投与され、ナトリウムチャネル阻害薬は、減らした量で投与され、減らした量は、本化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するために使用される量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。
【0042】
[0039]本化合物の非存在下でCPVTを治療するために使用される量より少ないナトリウムチャネル阻害薬の量は、ナトリウムチャネル阻害薬の最大耐容用量より少なくすることができ、これは、例えば、ナトリウムチャネル阻害薬の最大耐容用量より約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%少なくすることができる。
【0043】
[0040]本化合物の非存在下でCPVTを治療するために使用される量よりも少ないナトリウムチャネル阻害薬の量は、本化合物の非存在下でCPVTに治療上有効であるナトリウムチャネル阻害薬の用量より少ない量であり得、これは、例えば、本化合物の非存在下でCPVTに治療上有効であるナトリウムチャネル阻害薬の用量より約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%少なくてもよい。
【0044】
[0041]いくつかの実施形態では、ナトリウムチャネル阻害薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容される塩である。本化合物の非存在下でCPVTを治療するために使用される量よりも少ないフレカイニドまたはその薬学的に許容される塩の量は、本化合物の非存在下でCPVTに治療上有効であるフレカイニドまたはその薬学的に許容される塩の用量よりも少ない量であり得、これは、例えば、本化合物の非存在下でCPVTに治療的に有効であるフレカイニドまたはその薬学的に許容される塩の用量より約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%少なくてもよい。
【0045】
[0042]いくつかの実施形態では、左心交感神経除神経(left cardiac sympathetic denervation)を、CPVTについての治療レジメンの一部として用いることができる。いくつかの実施形態では、CPVTを治療するための方法は、β遮断薬を心臓交感神経除神経と組み合わせた使用を含む。いくつかの実施形態では、CPVTを治療するための方法は、心臓交感神経除神経と組み合わせたナトリウムチャネル阻害薬の使用を含む。いくつかの実施形態では、CPVTを治療するための方法は、心臓交感神経除神経と組み合わせたナトリウムチャネル阻害薬およびβ遮断薬の使用を含む。いくつかの実施形態では、CPVTを治療するための方法は、心臓交感神経脱神経と組み合わせた、化合物(例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩)の使用を含む。いくつかの実施形態では、CVPTを治療するための方法は、心臓交感神経除神経と組み合わせた、本化合物およびβ遮断薬の使用を含む。いくつかの実施形態では、CPVTを治療するための方法は、心臓交感神経除神経と組み合わせた本化合物およびナトリウムチャネル阻害薬の使用を含む。いくつかの実施形態では、CPVTを治療するための方法は、心臓交感神経脱神経と組み合わせた、本化合物、ナトリウムチャネル阻害薬、およびβ遮断薬の使用を含む。
【0046】
[0043]いくつかの実施形態では、対象は、年齢が5歳およびそれ以上である。いくつかの実施形態では、対象は、年齢が約5~約12歳である。いくつかの実施形態では、対象は、5歳以下、6歳以下、7歳以下、8歳以下、9歳以下、10歳以下、11歳以下、12歳以下、13歳以下、14歳以下、または15歳以下である。いくつかの実施形態では、対象は少なくとも5歳、少なくとも6歳、少なくとも7歳、少なくとも8歳、少なくとも9歳、少なくとも10歳、少なくとも11歳、少なくとも12歳、少なくとも13歳、少なくとも14歳、少なくとも15歳、少なくとも20歳、少なくとも25歳、少なくとも30歳、少なくとも40歳、少なくとも50歳、少なくとも60歳、少なくとも70歳、少なくとも80歳、または少なくとも90歳である。いくつかの実施形態では、対象は、年齢が約4歳~約12歳、約5歳~約12歳、約6歳~約12歳、約7歳~約12歳、約8歳~約12歳、約9歳~約12歳、約10歳~約12歳、約10歳~約16歳、約12歳~約16歳、約14歳~約16歳、約10歳~約18歳、約12歳~約18歳、約14歳~約18歳、または約16歳~約18歳である。いくつかの実施形態では、対象は、年齢が約10~約120歳、約11~約120歳、約12~約120歳、約13~約120歳、約14~約120歳、約15~約120歳、約16~約120歳、約17~約120歳、または約18~約120歳のである。
【0047】
[0044]いくつかの実施形態では、化合物は、化合物の持続放出を提供するように配合される。
【0048】
[0045]いくつかの実施形態では、化合物またはその薬学的に許容される塩は、単位剤形の医薬組成物として対象に投与される。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形を試験対象に投与する場合、試験対象における化合物またはそのイオン化形態の持続放出が達成される。
【0049】
[0046]いくつかの実施形態では、本化合物は、化合物(例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩)の放出調節を提供するように配合される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物の持続放出を提供するように配合される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物の制御放出を提供するように配合される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物の延長放出を提供するように配合される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物の徐放を提供するように配合される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物の遅延放出を提供するように配合される。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩である。
【0050】
[0047]いくつかの実施形態では、化合物(例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩)は、単位剤形の医薬組成物として対象に投与される。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、本化合物またはそのイオン化形態は、ある期間にわたって試験対象中に存在し、期間は、投与後に生じ、期間は、少なくとも約12時間である。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、本化合物またはそのイオン化形態は、ある期間にわたって試験対象中に存在し、期間は、投与後に生じ、期間は、少なくとも約24時間である。本開示の化合物の配合物(例えば、単位剤形)は、1日1回投与に適している。
【0051】
[0048]いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩を含む単位剤形の医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、化合物その薬学的に許容される塩は、ある期間にわたって試験対象中に存在し、期間は、投与後に生じ、期間は、少なくとも約6時間である。いくつかの実施形態では、その期間は、投与後、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約13時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約21時間、少なくとも約22時間、少なくとも約23時間、または少なくとも約24時間である。
【0052】
[0049]いくつかの実施形態では、次の薬物動態パラメータが使用される。すなわち、
AUCtau:定常状態における投与間隔(tau)中の濃度-時間曲線下面積。
max:最高血中濃度。
max:Cmaxに達するまでの時間。最大値が2カ所以上の時点で発生する場合、Tmaxは、この値を有する最初の時点として定義される。
min:最小血中濃度。
min:Cminに達するまでの時間。
【0053】
[0050]いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物(例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸)またはそのイオン化形態の最大血漿濃度(Cmax)は、投与の約2~約6時間後(tmax)で試験対象に存在する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度(Cmax)は、投与の約2~約5時間後(tmax)で試験対象に存在する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度(Cmax)は、投与の約2~約4時間後(tmax)で試験対象に存在する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度(Cmax)は、投与の約3~約4時間後(tmax)で試験対象に存在する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、試験対象における化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度は、投与の約3時間後に達する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、試験対象における化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度は、投与の約3.5時間後に達する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、試験対象における化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度は、投与の約4時間後に達する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、試験対象における化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度は、投与の約4.5時間後に達する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、試験対象における化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度は、投与の約5時間後に達する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、試験対象における化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度は、投与の約5.5時間後に達する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、試験対象における化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度は、投与の約6時間後に達する。いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、試験対象における化合物またはそのイオン化形態の最大血漿中濃度は、投与の約2~10時間後、約2~9時間後、約2~8時間後、約2~7時間後、約1~10時間後、約1~9時間後、約1~8時間後、約1~7時間後、約1~6時間後、約1~5時間後、約1~4時間後、約1~3時間後、または約1~2時間後に達する。
【0054】
[0051]いくつかの実施形態では、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、約14~約21時間の化合物(例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸)またはそのイオン化形態のin-vivo半減期は、試験対象において得られる。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態のin-vivo半減期は、約14時間である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態のin-vivo半減期は、約15時間である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態のin-vivo半減期は、約16時間である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態のin-vivo半減期は、約17時間である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態のin-vivo半減期は、約18時間である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態のin-vivo半減期は、約19時間である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態のin-vivo半減期は、約20時間である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態のin-vivo半減期は、約21時間である。いくつかの実施形態では、in-vivo半減期は、約12~24時間、約14~24時間、約16~24時間、約18~24時間、約20~24時間、約12~22時間、約14~22時間、約16~22時間、約18~22時間、または約20~22時間である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるその塩は、ヘミフマル酸塩である。
【0055】
[0052]いくつかの実施形態では、半減期(t1/2、zまたはt1/2)は、化合物の終末相消失半減期であり、:
1/2,z=ln(2)/λ(λは終末相の速度定数である)
として算出される。
【0056】
[0053]いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物を含む単位剤形の医薬組成物を提供し、試験において、単位剤形が試験対象に投与された場合、化合物(例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸)またはそのイオン化形態のCmaxのための蓄積比は、約1.4~約1.8が試験対象において観察され、前記蓄積比は、28日目のCmax/1日目のCmaxの比として算出され、Cmaxは、最大観察血漿濃度である。いくつかの実施形態では、蓄積比Cmaxは、約1.4~約1.5、約1.4~約1.6、約1.4~約1.7、約1.5~約1.7、約1.5~約1.8、約1.6~約1.7、または約1.7~約1.8である。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩は、ヘミフマル酸塩である。
【0057】
[0054]いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物を含む単位剤形の医薬組成物を提供し、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、約1.4~約1.8の化合物またはそのイオン化形態のAUCは、試験対象に存在する。例えば、蓄積比AUCは、約1.4~約1.5、約1.4~約1.6、約1.4~約1.7、約1.5~約1.7、約1.5~約1.8、約1.6~約1.7、または約1.7~約1.8であり得る。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるその塩は、ヘミフマル酸塩である。
【0058】
[0055]AUCについての累積比は、28日目のAUCtau/1日目のAUC0-24についてAUCtauの比として算出され、
- AUCは、濃度-時間曲線下面積であり;
- AUCtauは、定常状態における投与間隔(tau)中の濃度-時間曲線下面積であり;
- AUC0-24は、投与後0~24時間までの濃度-時間曲線下面積である。
【0059】
[0056]いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物を含む単位剤形の医薬組成物を提供し、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物またはそのイオン化形態の最大観察血漿中濃度約35ug/mL以下の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態が、試験対象に存在する。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態の最大観察血漿中濃度約10μg/mL以下、約15μg/mL以下、約20μg/mL以下、約25μg/mL以下、約30μg/mL以下、約35μg/mL以下、約40μg/mL以下、約45μg/mL以下、または約50μg/mL以下は、試験対象中に存在する。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態の最大観察血漿濃度約10μg/mL、約15μg/mL、約20μg/mL、約25μg/mL、約30μg/mL、または約35μg/mLは、試験対象中に存在する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるその塩は、ヘミフマル酸塩である。
【0060】
[0057]いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物を含む単位剤形の医薬組成物を提供し、試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物またはそのイオン化形態の定常状態血漿濃度は、初回投与の約3~約7日後の範囲内で試験対象において生じる。いくつかの実施形態では、定常状態は、1日1回投与の約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、または約7日後に達する。いくつかの実施形態では、化合物またはそのイオン化形態の定常状態血漿濃度は、試験対象において、初回投与の約2~約10日後、約2~約9日後、約2~約8日後、約2~約7日後、約2~約6日後、約2~約5日後、約2~約4日後、約2~約3日後、約3~約10日後、約3~約9日後、約3~約8日後、約3~約6日後、約3~約5日後、約3~約4日後、約4~約10日後、約4~約9日後、約4~約8日後、約4~約7日後、約4~約6日後、または約4~約5日後の範囲で生じる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるその塩は、ヘミフマル酸塩である。
【0061】
[0058]薬物動態パラメータ(例えば、AUCtau、AUC0-24、Cmax、Tmax、Cmin、Tmin.t1/2)は、試験において測定することができる。いくつかの実施形態では、本試験は、単位剤形の医薬組成物の試験対象への投与、および投与後、試験対象からの血液試料の採取、血液試料中の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態の血漿濃度の測定を含む。
【0062】
[0059]いくつかの実施形態では、試験対象は、男性である。いくつかの実施形態では、試験対象は、女性である。いくつかの実施形態では、試験対象は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を患っている。いくつかの実施形態では、試験対象は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍1型(CPVT1)を患っている。いくつかの実施形態では、試験対象は、CPVTに苦しめられていない。いくつかの実施形態では、本明細書中の錠剤の薬物動態学的および/または薬力学的パラメータを評価するために使用される試験対象は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を患っていない。
【0063】
[0060]いくつかの形態では、単位剤形は、胃耐性錠剤である。
【0064】
[0061]いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、日用量で試験対象に投与される。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、試験対象に1日1回投与される。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、試験対象に1日2回投与される。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、試験対象に1日3回投与される。
【0065】
[0062]いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、14日間、少なくとも毎日、試験対象に投与される。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、約28日間、少なくとも毎日、試験対象に投与される。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、約1カ月間、少なくとも毎日、試験対象に投与される。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、約2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月(1年)、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年またはそれ以上、少なくとも毎日、試験対象に投与される。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、対象の生涯で毎日試験対象に投与される。
【0066】
[0063]いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩を含む。
【0067】
[0064]いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約20mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約50mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約100mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約40mg、約50mg、約80mg、約100mg、約160mg、約240mg、または約400mgと等価である4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む。
【0068】
[0065]いくつかの実施剤形では、医薬組成物は、臨床試験で試験対象に投与される。いくつかの実施形態では、臨床試験は、対照試験である。いくつかの実施形態では、臨床試験は、盲検試験である。いくつかの実施形態では、臨床試験は、二重盲検試験である。いくつかの実施形態では、臨床試験は、二重盲検プラセボ対照試験である。
【0069】
[0066]いくつかの実施形態では、本試験は、プラセボ対照試験である。いくつかの実施形態では、対照試験は、対照患者へのプラセボ単位剤形(例えば、プラセボ錠剤)の投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、臨床試験は、第1期間での4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩の投与、次いで、第2期間でのプラセボの投与を含む。いくつかの実施形態では、臨床試験は、第1期間でのプラセボの投与、次いで、第2期間での4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩の投与を含む。いくつかの実施形態では、第2期間は、第1期間の終了時に開始する。いくつかの実施形態では、第1期間の後、対象が両方を受けない休薬期間が続き、その後、第2期間が開始される。休薬期間は、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、またはそれ以上であり得る。
【0070】
[0067]いくつかの実施形態では、臨床試験は、試験対象における4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態の血漿濃度の測定を含む。いくつかの実施形態では、血漿濃度の測定は、試験対象から血液試料を採取し、血液試料中の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態の血漿濃度の測定を含む。いくつかの実施形態では、血液試料は、投与前に試験対象から採取される。いくつかの実施形態では、血液試料は、投与の約0.25時間後、約0.5時間後、約1時間後、約1.5時間後、約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約16時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約60時間後、約72時間後、または約96時間後に試験対象から採取される。いくつかの実施形態では、血液試料は、投与の約0.25時間後、約0.5時間後、約1時間後、約1.5時間後、約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約16時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約60時間後、約72時間後、および約96時間後に試験対象から採取される。いくつかの実施形態では、血液試料は、対照試験の毎日、試験対象から採取される。いくつかの実施形態では、血液試料は、投与前、対照試験の初日、対照試験の中間点、および対照試験の最終日に、試験対象から採取される。いくつかの実施形態では、血液試料は、対照試験の初日、対照試験の中間点、および対照試験の最終日に、試験対象から採取される。
【0071】
[0068]いくつかの実施形態では、医薬組成物の安全性および忍容性は、試験の期間にわたって有害事象をモニタリングすることによって決定される。いくつかの実施形態では、医薬組成物の安全性および忍容性は、患者面接、患者日誌レビュー、理学的検査、心電図、心モニタリング、バイタルサイン、または検査安全性試験によって決定される。
【0072】
[0069]いくつかの実施形態では、対照試験は、
(a)単位剤形の医薬組成物の対象への投与;
(b)投与後、投与の約0.25時間後、約0.5時間後、約1時間後、約1.5時間後、約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約16時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約60時間後、約72時間後、および約96時間後の、対象からの血液サンプルの採取;
(c)血液試料中の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態の血漿濃度の測定、
(d)対照患者へのプラセボの投与;
(e)プラセボの投与後、プラセボの投与の約0.25時間後、約0.5時間後、約1時間後、約1.5時間後、約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約16時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約60時間後、約72時間後、および約96時間後の、対象からの対照血液試料の採取;および
(f)対照血液試料中の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはそのイオン化形態の血漿濃度の測定を含み、
- 単位剤形の医薬組成物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約40mg、約80mg、約160mg、約240mg、または約400mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含み;
- 単位剤形の医薬組成物に対するプラセボは、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩を欠く類似の剤形であり;
- 対照患者および試験対象は、健常な男性である。
【0073】
[0070]いくつかの実施形態では、健常男性は、CPVTを患っていない男性である。
【0074】
[0071]いくつかの実施形態では、試験対象に投与される単位剤形の医薬組成物は、表1による錠剤の1錠または複数錠である。いくつかの実施形態では、試験対象に投与される単位剤形の医薬組成物は、表1による錠剤の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10錠である。いくつかの実施形態では、試験対象に投与される単位剤形の医薬組成物は、表6による錠剤の1錠または複数錠である。いくつかの実施形態では、試験対象に投与される単位剤形の医薬組成物は、表6による錠剤の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10錠である。
【0075】
[0072]いくつかの実施形態では、プラセボは、表2による腸溶錠である。いくつかの実施形態では、単位剤形の医薬組成物に対するプラセボは、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩を欠く類似の剤形である。
【0076】
[0073]いくつかの実施形態では、単位剤形は、錠剤であり、錠剤は、コア、コアを実質的に被覆するサブコーティング層、およびサブコーティング層を実質的に被覆するコーティング層を含み、
- コアが、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩、マンニトール、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、コロイド状無水シリカ、フマル酸ステアリルナトリウムを含み;
- サブコーティング層が、ヒプロメロース、微結晶セルロースおよびステアリン酸を含み;
- コーティング層が、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクを含む。
【0077】
薬学的に許容される塩
[0074]本開示は、本明細書に記載される任意の治療用化合物の薬学的に許容される塩の使用を提供する。薬学的に許容される塩には、例えば、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。本化合物に加えて、酸付加塩を形成する酸は、有機酸でも無機酸でもよい。本化合物に加えて、塩基付加塩を形成する塩基は、有機塩基でも無機塩基でもよい。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるその塩は、金属塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるその塩は、アンモニウム塩である。
【0078】
[0075]金属塩は、本開示の化合物への無機塩基の付加から生じ得る。無機塩基は、塩基性対イオン、例えば、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩などと対にされた金属カチオンからなる。金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、または典型金属であり得る。いくつかの実施形態では、金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、カルシウム、ストロンチウム、コバルト、チタン、アルミニウム、銅、カドミウム、または亜鉛である。
【0079】
[0076]いくつかの実施形態では、金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、チタン塩、アルミニウム塩、銅塩、カドミウム塩、または亜鉛塩である。
【0080】
[0077]アンモニウム塩は、本開示の化合物へのアンモニアまたは有機アミンの付加から生じ得る。いくつかの実施形態では、有機アミンは、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミン、ピペラジン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、またはピラジンである。
【0081】
[0078]いくつかの実施形態では、アンモニウム塩は、トリエチルアミン塩、トリメチルアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、N-メチルモルホリン塩、ピペリジン塩、N-メチルピペリジン塩、N-エチルピペリジン塩、ジベンジルアミン塩、ピペラジン塩、ピリジン塩、ピラゾール塩、ピリダジン塩、ピリミジン塩、イミダゾール塩、またはピラジン塩である。
【0082】
[0079]酸付加塩は、本開示の化合物への酸の付加から生じ得る。いくつかの実施形態では、酸は、有機である。いくつかの実施形態では、酸は、無機である。いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、ゲンチジン酸、グルコン酸、グルクロン酸、サッカリン酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、パントテン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸、フマル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸、またはマレイン酸である。
【0083】
[0080]いくつかの実施形態では、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、パントテン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マンデル酸塩、桂皮酸塩、アスパラギン酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、グリコール酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸塩、ヘミフマル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、またはマレイン酸塩である。
【0084】
胃耐性配合物
[0081]いくつかの形態では、放出調節配合物は、胃耐性配合物である。いくつかの実施形態では、放出調節配合物は、単位剤形の胃耐性配合物である。いくつかの実施形態では、放出調節配合物は、単位固形剤形の胃耐性配合物である。
【0085】
[0082]いくつかの形態では、遅延放出配合物は、胃耐性配合物である。いくつかの実施形態では、遅延放出配合物は、単位剤形の胃耐性配合物である。いくつかの実施形態では、遅延放出配合物は、単位固形剤形の胃耐性配合物である。
【0086】
[0083]胃耐性錠剤は、酸性の胃液に抵抗し、腸液中でそれらの活性物質を放出することができる遅延放出錠剤である。胃耐性錠剤は、すでに胃耐性コーティングで被覆された顆粒または粒子から調製することができる、あるいは胃耐性コーティングで錠剤を被覆することにより調製することもできる(腸溶コーティング錠)。消化管の様々なセグメントにおける体液のpH範囲は、応答性の薬物放出のための環境刺激を提供する。
【0087】
[0084]いくつかの実施形態では、本開示は、錠剤コアを含む胃耐性錠剤を提供し、錠剤コアは、有効成分として治療有効量の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩、コアを実質的に取り囲むサブコート層、および腸溶コーティングを含み、腸溶コーティングは、腸溶ポリマーを含み、腸溶コーティングはサブコートを実質的に取り囲む。
【0088】
[0085]いくつかの実施形態では、本開示は、錠剤コアを含む胃耐性錠剤を提供し、錠剤コアは、有効成分として治療有効量の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩、コアを実質的に取り囲むサブコート層、および腸溶コーティングを含み、腸溶コーティングは、腸溶性ポリマーを含み、腸溶コーティングは、実質的にサブコートを取り囲む。
【0089】
[0086]いくつかの実施形態では、本開示は、コア、コアを実質的に被覆するサブコーティング層、およびサブコーティング層を実質的に被覆するコーティング層を含む錠剤を提供し、
- コアは、マンニトール、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、コロイド状無水シリカ、フマル酸ステアリルナトリウム、および4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸20mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含み;
- サブコーティング層は、ヒプロメロース、微結晶セルロースおよびステアリン酸を含み;
- コーティング層は、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクを含む。
【0090】
[0087]いくつかの実施形態では、本開示は、コア、コアを実質的に被覆するサブコーティング層、およびサブコーティング層を実質的に被覆するコーティング層を含む錠剤を提供し、
- コアは、マンニトール、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、コロイド状無水シリカ、フマル酸ステアリルナトリウム、および4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸50mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含み;
- サブコーティング層は、ヒプロメロース、微結晶セルロースおよびステアリン酸を含み;
- コーティング層は、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクを含む。
【0091】
[0088]いくつかの実施形態では、本開示は、コア、コアを実質的に被覆するサブコーティング層、およびサブコーティング層を実質的に被覆するコーティング層を含む錠剤を提供し、
- コアは、マンニトール、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、コロイド状無水シリカ、フマル酸ステアリルナトリウム、および4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸100mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含み;
- サブコーティング層は、ヒプロメロース、微結晶セルロースおよびステアリン酸を含み;
- コーティング層は、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクを含む。
【0092】
[0089]いくつかの実施形態では、腸溶コーティングされた胃耐性錠剤は、3つの層からなる:(1)薬物含有コア錠剤(即時放出機能);(2)コアを実質的に被覆するサブコート層[サブコート層は膨潤可能な疎水性ポリマー層(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(時間放出機能))を含むことができる];および(3)腸溶ポリマーを含む腸溶コーティング層[腸溶コーティング層は実質的にサブコート層を被覆する(耐酸性機能)]。錠剤は、外側の腸溶コーティング層の耐酸性により、胃の中で薬物を実質的に放出しない。腸溶コーティング層は、胃内容排出後に急速に溶解し、腸液は、サブコートポリマー層を徐々に分解し始める。胃内容排出後、徐々に分解し(erosion front)コア錠剤に達した後、急速な薬物放出が起こる。徐々に分解する層を溶解することによってコア錠剤が利用可能になるのに必要な時間は、遅滞相であり、その期間は、サブコート層中のポリマーの質量または組成によって制御される。
【0093】
[0090]いくつかの実施形態では、胃耐性配合物は、例えば、腸溶コーティングからもたらされるpHに対する感受性による遅延放出配合物であり、例えば、サブコート層中のポリマーの存在による放出調節配合物である。いくつかの実施形態では、配合物は、配合物の全てまたは実質的に全てが胃を通過し、小腸で放出されるような遅延放出プロファイルよって特徴付けられる。さらに、サブコート層にポリマーが存在することにより、配合物がゆっくりと徐々に分解され(遅滞相)、その結果、即時放出配合物に比べて有効成分の持続放出をもたらす。
【0094】
[0091]いくつかの実施形態では、胃耐性配合物は、胃液中の崩壊に対する耐性である。例えば、いくつかの実施形態では、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の有効成分が、胃液中または胃液のものを模倣しているpHで配合物から放出される。胃液のpHは、食物の有無によって変化し、一般的には約1.5~約3.5の範囲である。いくつかの実施形態では、胃耐性配合物は、胃液に曝露された後、少なくとも約15分間は実質的に崩壊しない。例えば、胃液に曝露された後、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約60分、少なくとも約75分、少なくとも約90分、もしくは少なくとも約120分、少なくとも約180分、またはそれ以上、胃耐性配合物は実質的に崩壊しない。いくつかの実施形態では、胃耐性配合物は、食物の非存在下の胃液中の崩壊に対する耐性がある。いくつかの実施形態では、胃耐性配合物は、食物の存在下の胃液中の崩壊に対する耐性がある。
【0095】
[0092]いくつかの実施形態では、胃耐性配合物(例えば、胃耐性錠剤)は、pH5.5までで実質的に崩壊しない。例えば、胃耐性配合物(例えば、胃耐性錠剤)は、pH5.5までで約10%未満の有効成分を放出する。例えば、胃耐性配合物(例えば、胃耐性錠剤)は、pH約5.5までで、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の有効成分を放出する。
【0096】
[0093]いくつかの実施形態では、胃耐性配合物は、pH約5.5まで、例えば、pHが4.5まで、4まで、3.5まで、3まで、2.5まで、2までまたはそれ以下に曝露された後に実質的に崩壊しない。いくつかの実施形態では、胃耐性配合物は、pH約5.5までに曝露された後、少なくとも約15分間は実質的に崩壊しない。例えば、胃耐性配合物は、pH約5.5までに曝露した後、少なくとも約30分間、または少なくとも約45分間、または少なくとも約60分間、または少なくとも約75分間、または少なくとも約90分間、または少なくとも約120分間、または少なくとも約180分間、またはそれ以上、実質的に崩壊しない。
【0097】
[0094]いくつかの実施形態では、胃耐性配合物(例えば、胃耐性錠剤)は、中性pH(pH=7)、または中性に近いpH、例えば、pH6.8、またはそれ以上で実質的に崩壊する。いくつかの実施形態では、遅延放出配合物は、pH約6.8またはそれ以上で少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%放出する。かかる放出は、例えば、腸溶層および/またはサブコート層が徐々に分解され、薬物含有コアが曝露した後、30分、40分、50分、または60分、または120分、または180分以内に急速に起こり得る。
【0098】
[0095]いくつかの実施形態では、胃耐性配合物(例えば、錠剤)は、腸溶コーティング層を含む。腸溶錠は、胃を通過し小腸で薬物を放出するように設計される、固形の経口単位剤形である。いくつかの実施形態では、腸溶コーティングは、錠剤が小腸に到達する前に有効成分が放出されるのを防ぐ。配合物が小腸に到達すると、腸溶コーティングが溶解し、有効成分が放出される。有効成分の放出は、即時放出プロファイルに従うことができ、例えば、有効成分の少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が、小腸に到達してから1時間以内に放出される。
【0099】
[0096]いくつかの実施形態では、崩壊は、pH5.5以下である媒体中での胃耐性配合物の溶解を測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、崩壊は、pHが約1.0~2.0の間、約2.0~約3.0の間、約3.0~4.0の間、約4.0~約5.0の間、または約4.5~5.5の間である媒体中での胃耐性配合物の溶解を測定することにより決定される。いくつかの実施形態では、pH5.5以下である媒体は、pHが約1.0であるHCl溶液である。いくつかの実施形態では、pH5.5以下である媒体は、pHが約1.2、約1.4、約1.6、約1.8、約2.0、約2.2、約2.4、約2.6、約2.8、約3.0、約3.2、約3.4、約3.6、約3.8、約4.0、約4.2、約4.4、約4.6、約4.8、約5.0、約5.2、約5.4、または約5.5であるHCl溶液である。いくつかの実施形態では、pHが5.5までである媒体は、pHが約1.0である0.1N HCl溶液である。いくつかの実施形態では、pHが5.5までである媒体は、pHが約1.2、約1.4、約1.6、約1.8、約2.0、約2.2、約2.4、約2.6、約2.8、約3.0、約3.2、約3.4、約3.6、約3.8、約4.0、約4.2、約4.4、約4.6、約4.8、約5.0、約5.2、約5.4、または約5.5である0.1N HCl溶液である。
【0100】
[0097]いくつかの実施形態では、崩壊は、pHが約6.0~約7.0までである媒体中での胃耐性配合物の溶解を測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、崩壊は、pHが約6.2~約7.0、約6.4~約7.0、約6.6~約7.0、約6.8~約7.0、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、または約7.0である媒体中での胃耐性製剤の溶解を測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、媒体は、リン酸緩衝液を含む。
【0101】
[0098]いくつかの実施形態では、腸溶コーティング層は、胃内容排出後に急速に溶解し、腸液はサブコートポリマー層を徐々に分解し始める。胃内容排出後、徐々に分解しコア錠剤に達した後、急速な薬物放出が起こる。徐々に分解する層を溶解することによってコア錠剤が利用可能になるのに必要な時間が、「遅滞相」である。いくつかの実施形態では、遅滞相の持続時間は、サブコート層中のポリマーの質量を変えることによって制御される。いくつかの実施形態では、遅滞相の持続時間は、サブコート層中のポリマーの性質を変えることによって制御される。いくつかの実施形態では、遅滞相の持続時間は、サブコート層中のポリマーの質量および組成を変えることによって制御される。他の実施形態では、ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)である。いくつかの実施形態では、ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。
【0102】
[0099]いくつかの実施形態では、本開示は、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を治療するための方法を提供し、方法は、胃耐性配合物(例えば、胃耐性錠剤)を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0103】
[0100]いくつかの実施形態では、本開示の胃耐性医薬組成物は、摂食状態で(例えば、食事中、または食後最大でも約1時間、最大でも約2時間、最大でも約3時間、最大でも約4時間、最大でも約5時間、最大でも約6時間、または最大でも約7時間以内)で対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の胃耐性医薬組成物は、食事中、または食後約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、または約7時間以内に対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の胃耐性医薬組成物は、絶食状態(例えば、食後7時間超、食後少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、または少なくとも約12時間、またはそれ以上)で対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の胃耐性医薬組成物は、食事中または食後約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、または約24時間で対象に投与される。いくつかの実施形態では、食事は高脂肪食である。いくつかの実施形態では、食事は低脂肪食である。
【0104】
[0101]いくつかの実施形態では、本開示の胃耐性医薬組成物は、胃酸減少剤(gastric acid-reducing agent)と組み合わせて投与される。例えば、胃耐性組成物を投与される対象には、胃酸減少剤のレジメンも施行される。いくつかの実施形態では、胃酸減少剤は、胃耐性医薬組成物と同時に投与される。いくつかの実施形態では、胃酸減少剤は、胃耐性医薬組成物の前または後に、順次投与される。いくつかの実施形態では、胃酸減少剤は、胃耐性配合物の最大でも約1時間前、または最大でも約2時間前、または最大でも約3時間前、または最大でも約4時間前、または最大でも約5時間前、または最大でも約6時間前、または最大でも約7時間前、または最大でも約8時間前、または最大でも約9時間前、または最大でも約10時間前、または最大でも約11時間前、または最大でも約12時間前に投与される。いくつかの実施形態では、胃酸減少剤は、胃耐性配合物の最大でも約1時間後、または最大でも約2時間後、または最大でも約3時間後、または最大でも約4時間後、または最大でも約5時間後、または最大でも約6時間後、または最大でも約7時間後、または最大でも約8時間後、または最大でも約9時間後、または最大でも約10時間後、または最大でも約11時間後、または最大でも約12時間後に投与される。
【0105】
[0102]いくつかの実施形態では、胃耐性組成物および胃酸減少剤の組合せを投与される対象は、酸逆流性疾患(acid reflux disease)または胃食道逆流症(GERD)と診断されているか、またはそれらの症状を示している。酸逆流性疾患/GERDの症状の非限定的な例には、それだけに限らないが、胸やけ、消化障害、逆流、消化不良、腹部膨満感、げっぷ、嚥下障害、しゃっくり、悪心、体重減少、喘鳴、咳、嗄声、咽喉痛、および腸管出血が含まれる。
【0106】
[0103]いくつかの実施形態では、胃耐性組成物および胃酸減少剤の組合せを投与される対象は、食道炎と診断されている、または食道炎の症状を示している。食道炎の症状の非限定的な例には、嚥下困難、嚥下痛、胸痛、食物の食道嵌入、ならびに胸やけおよび胃酸逆流が含まれる。
【0107】
[0104]いくつかの実施形態では、胃耐性組成物および胃酸減少剤の組合せを投与される対象は、消化性潰瘍疾患と診断されている、または消化性潰瘍疾患の症状を示している。いくつかの実施形態では、消化性潰瘍疾患には、胃潰瘍が含まれる。いくつかの実施形態では、消化性潰瘍疾患には、十二指腸潰瘍が含まれる。消化性潰瘍疾患の症状の非限定的な例には、胃の灼熱痛、満腹感、腹部膨満感またはおくび、脂肪分の多い食物に対する不耐性、胸やけ、および悪心が含まれる。
【0108】
[0105]いくつかの実施形態では、胃耐性組成物および胃酸減少剤の組合せを投与される対象は、ゾリンジャー・エリソン症候群と診断されている、またはゾリンジャー・エリソン症候群の症状を示している。ゾリンジャー・エリソン症候群の症状の非限定的な例には、悪心、嘔吐、体重減少、下痢、腹痛、胸やけ、GERD、および腸管出血などが含まれる。
【0109】
[0106]いくつかの実施形態では、胃耐性組成物および胃酸減少剤の組合せを投与される対象は、ヘリコバクター・ピロリ感染症と診断されている、またはヘリコバクター・ピロリ感染症の症状を示している。ヘリコバクター・ピロリの症状の非限定的な例には、胃痛、悪心、食欲不振、げっぷ、腹部膨満感または体重減少などが含まれる。
【0110】
[0107]いくつかの実施形態では、胃耐性組成物と胃酸減少剤との組合せを投与される対象は、非ステロイド性抗炎症薬剤性潰瘍の発生の可能性を低減するために胃酸減少剤を投与される。
【0111】
[0108]いくつかの実施形態では、医薬組成物は、胃酸減少剤の非存在下で投与される。例えば、胃耐性組成物を投与されている対象は、胃酸減少剤のレジメンを施行されない。
【0112】
[0109]いくつかの実施形態では、胃酸減少剤はプロトンポンプ阻害剤(PPI)である。プロトンポンプ阻害剤の非限定的な例には、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、デクスランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾールなどが含まれる。
【0113】
[0110]いくつかの実施形態では、胃酸減少剤は、制酸剤である。制酸剤の非限定的な例には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カルシウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなどが含まれる。
【0114】
[0111]いくつかの実施形態では、胃酸減少剤は、ヒスタミンH受容体アンタゴニストである。ヒスタミンH受容体アンタゴニストの非限定的な実施形態には、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、およびニザチジンが含まれる。
【0115】
[0112]いくつかの実施形態では、胃耐性組成物を投与された対象は、無酸症と診断されている、または無酸症の症状を示している。いくつかの実施形態では、胃耐性組成物を投与された対象は、低酸症と診断されている、または低酸症の症状を示している。無酸症とは、胃における塩酸の産生がない状態を指し、または低酸症とは、胃における塩酸の産生が減少する状態を指す。無酸症および低酸症の症状の非限定的な例には、心窩部痛、体重減少、胸やけ、悪心、腹部膨満感、下痢、腹痛、胃酸逆流、早期満腹感、嘔吐、食後膨満感、便秘、嚥下困難および舌炎が含まれる。
【0116】
[0113]いくつかの実施形態では、本開示は、錠剤コアを含む胃耐性錠剤を提供し、錠剤コアは、有効成分として治療有効量の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸または薬学的に許容されるその塩、コアを実質的に取り囲むサブコート層、および腸溶コーティングを含み、腸溶コーティングは、腸溶ポリマーを含み、腸溶コーティングはサブコートを実質的に取り囲む。
【0117】
[0114]いくつかの実施形態では、本開示は、錠剤コアを含む胃耐性錠剤を提供し、錠剤コアは、有効成分として治療有効量の4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩、コアを実質的に取り囲むサブコート層、および腸溶コーティングを含み、腸溶コーティングは腸溶性ポリマーを含み、腸溶コーティングは実質的にサブコートを取り囲む。
【0118】
[0115]いくつかの実施形態では、腸溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、HPMC-AS)、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸トリメリト酸セルロース(cellulose acetate trimellitate)、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸/メタクリル酸エステルコポリマー(例えば、ポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)、メタクリル酸/アクリル酸エステルコポリマー、またはシェラック(アルウリチン酸(aleurtic acid)のエステル)である。
【0119】
[0116]いくつかの実施形態では、腸溶コーティングおよびサブコートは、それぞれ独立して、組成物の質量の約0.1質量%~約50質量%の間、例えば、配合物の約0.1質量%~約45質量%の間、約0.1質量%~約40質量%の間、約0.1質量%~約35質量%の間、約0.1質量%~約30質量%の間、約0.1質量%~約25質量%の間、約0.1質量%~約20質量%の間、約0.1質量%~約15質量%の間、約0.1質量%~約10質量%の間、約0.1質量%~約5質量%の間、または約0.1質量%~約1質量%の間で提供される。
【0120】
[0117]腸溶コーティングおよびサブコートは、それぞれ独立して、配合物の約0.1質量%、約0.2質量%、約0.3質量%、約0.4質量%、約0.5質量%、約0.6質量%、約0.7質量%、約0.8質量%、約0.9質量%、約1質量%、約2質量%、約3質量%、約4質量%、約5質量%、約6質量%、約7質量%、約8質量%、約9質量%、約10質量%、約11質量%、約12質量%、約13質量%、約14質量%、約15質量%、約16質量%、約17質量%、約18質量%、約19質量%、約20質量%、約21質量%、約22質量%、約23質量%、約24質量%、約25質量%、約26質量%、約27質量%、約28質量%、約29質量%、約30質量%、約31質量%、約32質量%、約33質量%、約34質量%、約35質量%、約36質量%、約37質量%、約38質量%、約39質量%、約40質量%、約41質量%、約42質量%、約43質量%、約44質量%、約45質量%、約46質量%、約47質量%、約48質量%、約49質量%、または約50質量%で存在し得る。
【0121】
[0118]いくつかの実施形態では、配合物は、サブコート層中でポリマーの約1質量%~約5質量%を含む。いくつかの実施形態では、配合物は、サブコート層中でポリマーの約1質量%、約1.5質量%、約2質量%、約2.5質量%、約3質量%、約3.5質量%、約4質量%、約4.5質量%、または約5質量%またはそれ以上を含む。
【0122】
[0119]いくつかの実施形態では、配合物は、腸溶コーティング層中でポリマーの約5質量%~約20質量%を含む。いくつかの実施形態では、配合物は、腸溶コーティング層中でポリマーの約5質量%、約6質量%、約7質量%、約8質量%、約9質量%、約10質量%、約11質量%、約12質量%、約13質量%、約14質量%、または約15質量%もしくはそれ以上を含む。本開示の医薬組成物は、1種もしくは複数の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む。薬学的に許容される賦形剤は、例えば、組成物のコア、サブコーティング、またはコーティング層の構成成分として提供される。薬学的に許容される賦形剤は、例えば、組成物の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害でない。
【0123】
[0120]いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与に適した形態である。固体経口投与用の医薬組成物には、錠剤、ドラジェ、舌下錠、サシェ、ゼラチンカプセルを含むカプセル、粉末、および顆粒剤が含まれ、液体経口、鼻腔、頬側、または眼球投与用の医薬組成物には、乳剤、溶液、懸濁液、点滴剤、シロップ剤、およびエアロゾルが含まれる。本化合物は、懸濁液または溶液として飲料水を介してまたは食品と共に投与することもできる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤の形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、胃耐性錠剤の形態である。
【0124】
[0121]薬学的に許容される賦形剤または担体は、医薬配合物の材料として用いられる様々な有機および無機材料から選択することができる。かかる材料は、充填剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、可塑剤、界面活性剤(湿潤剤)、緩衝液(pH調整剤)、懸濁化剤、着色剤、乳化剤、香味改善剤(flavor-improving agent)、ゲル化剤、保存剤、可溶化剤、安定剤、甘味料、張度剤、分散化剤、膨張剤、遅延剤、吸収剤、および/または増粘剤(viscosity-increasing agent)のいずれか1種または複数として組み込むことができる。
【0125】
[0122]薬学的に許容される充填剤/希釈剤の非限定的な例には、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロースカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、デンプン、糖類、例えば、マンニトール、スクロース、ラクトース、ソルビトール、またはデキストリン(例えば、マルトデキストリンなど)、およびアミノ糖などが含まれる。
【0126】
[0123]薬学的に許容される結合剤の非限定的な例には、微結晶セルロース、トラガントガム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびデンプンが含まれる。
【0127】
[0124]薬学的に許容される崩壊剤の非限定的な例には、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、およびクロスポビドンが含まれる。
【0128】
[0125]薬学的に許容される滑沢剤の非限定的な例には、ステアリン酸塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸亜鉛など、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ベヘン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、および硬化植物油が含まれる。
【0129】
[0126]薬学的に許容される滑沢剤の非限定的な例には、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、リン酸三カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、および鉱油が含まれる。
【0130】
[0127]防湿剤(moisture barrier agent)の非限定的な例には、ステアリン酸が含まれる。
【0131】
[0128]薬学的に許容される可塑剤の非限定的な例には、クエン酸トリエチルが含まれる。
【0132】
[0129]薬学的に許容される界面活性剤の非限定的な例には、ラウリル硫酸ナトリウムまたはポリソルベート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール、「ポロキサマー」として知られるポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル、例えば、モノラウリン酸デカグリセリルおよびモノミリスチン酸デカグリセリルなど、ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、モノステアリン酸ソルビタンなど、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween)など、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレンなど、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなど、ポリオキシエチレンヒマシ油、および硬化ヒマシ油、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが含まれる。
【0133】
[0130]薬学的に許容される香味剤の非限定的な例には、甘味料、例えば、スクラロースなど、合成の香味油(flavor oil)および香味芳香族化合物(flavoring aromatics)、天然油、植物、葉、花、および果実からの抽出物、ならびにそれらの組合せが含まれる。香味剤の非限定的な例には、ケイヒ油;冬緑油;はっか油;クローバ油;乾草油(hay oil);アニス油;ユーカリ;はっか;バニラ;かんきつ油、例えば、レモン油、オレンジ油、ブドウおよびグレープフルーツ油、ならびにリンゴ、モモ、西洋ナシ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、およびアンズを含めた、果実エッセンスが含まれる。
【0134】
[0131]薬学的に許容される顔料または着色剤の非限定的な例には、アルミナ(乾燥水酸化アルミニウム)、アナトー抽出物、炭酸カルシウム、カンタキサンチン、カラメル、β-カロチン、コチニール抽出物、カルミン、銅クロロフィリンカリウムナトリウム(クロロフィリン-銅複合体)、ジヒドロキシアセトン、オキシ塩化ビスマス、合成酸化鉄、フェロシアン化鉄アンモニウム、フェロシアン化鉄、水酸化クロムグリーン(chromium hydroxide green)、酸化クロム、グアニン、雲母系真珠光沢顔料、パイロフィライト、雲母、歯磨剤、タルク、二酸化チタン、アルミニウム末、青銅末、銅末、酸化亜鉛が含まれる。
【0135】
[0132]緩衝液またはpH調整剤の非限定的な例には、酸性緩衝液、例えば、短鎖脂肪酸、クエン酸、酢酸、塩酸、硫酸およびフマル酸など;ならびに塩基性緩衝液、例えば、トリス、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化マグネシウムなどが含まれる。
【0136】
[0133]張度強化剤の非限定的な例には、イオン性および非イオン性薬剤、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、およびデキストロースなどが含まれる。
【0137】
[0134]湿潤剤の非限定的な例には、グリセリン、セチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロールが含まれる。
【0138】
[0135]保存剤の非限定的な例には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾキソニウム、チオメルサール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルアルコール、クロロヘキシジン、およびポリヘキサメチレンビグアニドが含まれる。
【0139】
[0136]抗酸化剤の非限定的な例には、ソルビン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、グリシン、α-トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が含まれる。
【0140】
[0137]薬学的に許容される賦形剤は、組成物の約0.1質量%~約99質量%の間の質量で医薬組成物中に存在し得る。例えば、薬学的に許容される賦形剤は、配合物の約0.1質量%~約95質量%の間、約0.1質量%~約90質量%の間、約0.1質量%~約85質量%の間、約0.1質量%~約80質量%の間、約0.1質量%~約75質量%の間、約0.1質量%~約70質量%の間、約0.1質量%~約65質量%の間、約0.1質量%~約60質量%の間、約0.1質量%~約55質量%の間、約0.1質量%~約50質量%の間、約0.1質量%~約45質量%の間、約0.1質量%~約40質量%の間、約0.1質量%~約35質量%の間、約0.1質量%~約30質量%の間、約0.1質量%~約25質量%の間、約0.1質量%~約20質量%の間、約0.1質量%~約15質量%の間、約0.1質量%~約10質量%の間、約0.1質量%~約5質量%の間、約0.1質量%~約1質量%の間の質量で医薬組成物中に存在し得る。
【0141】
[0138]薬学的に許容される賦形剤は、配合物の約0.1質量%、約0.2質量%、約0.3質量%、約0.4質量%、約0.5質量%、約0.6質量%、約0.7質量%、約0.8質量%、約0.9質量%、約1質量%、約2質量%、約3質量%、約4質量%、約5質量%、約6質量%、約7質量%、約8質量%、約9質量%、約10質量%、約11質量%、約12質量%、約13質量%、約14質量%、約15質量%、約16質量%、約17質量%、約18質量%、約19質量%、約20質量%、約21質量%、約22質量%、約23質量%、約24質量%、約25質量%、約26質量%、約27質量%、約28質量%、約29質量%、約30質量%、約31質量%、約32質量%、約33質量%、約34質量%、約35質量%、約36質量%、約37質量%、約38質量%、約39質量%、約40質量%、約41質量%、約42質量%、約43質量%、約44質量%、約45質量%、約46質量%、約47質量%、約48質量%、約49質量%、約50質量%、約51質量%、約52質量%、約53質量%、約54質量%、約55質量%、約56質量%、約57質量%、約58質量%、約59質量%、約60質量%、約61質量%、約62質量%、約63質量%、約64質量%、約65質量%、約66質量%、約67質量%、約68質量%、約69質量%、約70質量%、約71質量%、約72質量%、約73質量%、約74質量%、約75質量%、約76質量%、約77質量%、約78質量%、約79質量%、約80質量%、約81質量%、約82質量%、約83質量%、約84質量%、約85質量%、約86質量%、約87質量%、約88質量%、約89質量%、約90質量%、約91質量%、約92質量%、約93質量%、約94質量%、約95質量%、約96質量%、約97質量%、約98質量%、約99質量%、約99.1質量%、約99.2質量%、約99.3質量%、約99.4質量%、約99.5質量%、約99.6質量%、約99.7質量%、約99.8質量%、または約99.9質量%で存在し得る。
【0142】
[0139]本開示の方法に従って、これらの化合物のいずれかを、対象、特に対象の細胞におけるRyR結合カルスタビンのレベルの低下の可能性を制限または軽減するのに有効な量で対象に投与する(または対象の細胞と接触させる)ことができる。あるいは、本開示の方法は、本明細書に記載される通りRyR関連状態を治療するまたはRyR関連状態の可能性を軽減するのに有効な量の化合物を投与するステップを含む。
【0143】
[0140]本明細書に開示される医薬組成物は、in vivoでの投与に適した生物学的に適応性のある形態で、ヒトまたは動物対象への投与に適している。対象は、例えば、高齢者、成人、思春期、思春期前、小児、幼児、乳児、新生児、および非ヒト動物であり得る。一部の実施形態では、対象は、患者である。いくつかの実施形態では、対象は、CPVTを有する。いくつかの実施形態では、対象は、CPVT1を有する。
【0144】
用量および投薬レジメン
[0141]いくつかの実施形態では、対象におけるRyR結合カルスタビンのレベルの低下の可能性を制限または軽減するのに、および/またはRyR関連状態を治療するまたはRyR関連状態の可能性を低減するのに有効な4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩の適した量は、1日当たり約50~約500mg、例えば、1日当たり約50mg、1日当たり約75mg、1日当たり約100mg、1日当たり約110mg、1日当たり約120mg、1日当たり約130mg、1日当たり約140mg、1日当たり約150mg、1日当たり約160mg、1日当たり約170mg、1日当たり約180mg、1日当たり約190mg、1日当たり約200mg、1日当たり約210mg、1日当たり約220mg、1日当たり約230mg、1日当たり約240mg、1日当たり約250mg、1日当たり約260mg、1日当たり約270mg、1日当たり約280mg、1日当たり約290mg、1日当たり約300mg、1日当たり約310mg、1日当たり約320mg、1日当たり約330mg、1日当たり約340mg、1日当たり約350mg、1日当たり約360mg、1日当たり約370mg、1日当たり約380mg、1日当たり約390mg、1日当たり約400mg、1日当たり約410mg、1日当たり約420mg、1日当たり約430mg、1日当たり約440mg、1日当たり約450mg、1日当たり約460mg、1日当たり約470mg、1日当たり約480mg、1日当たり約450mg、または1日当たり約500mgの範囲である。
【0145】
[0142]いくつかの実施形態では、対象におけるRyR結合カルスタビンのレベルの低下の可能性を制限または軽減するのに、および/またはRyR関連状態を治療するまたはRyR関連状態の可能性を低減するために有効な4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩の適した量は、約1mg~約2000mg;約1mg~約1000mg;約1mg~約500mg;約5mg~約1000mg、約5mg~約500mg、約5mg~約100mg、約10mg~約50mg、約50mg~約250mg、約100mg~約200mg、約1mg~約50mg、約50mg~約100mg、約100mg~約150mg、約150mg~約200mg、約200mg~約250mg、約250mg~約300mg、約300mg~約350mg、約350mg~約400mg、約400mg~約450mg、約450mg~約500mg、約500mg~約550mg、約550mg~約600mg、約600mg~約650mg、約650mg~約700mg、約700mg~約750mg、約750mg~約800mg、約800mg~約850mg、約850mg~約900mg、約900mg~約950mg、または約950mg~約1000mgである。
【0146】
[0143]いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩は、組成物中に約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約120mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、または約1000mgの量で存在する。
【0147】
[0144]いくつかの実施形態では、治療有効量の医薬組成物は、対象に投与され、医薬組成物は、単位剤形で、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物、および薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、治療有効量は、1日当たり約25mg~1日当たり約500mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量は、1日当たり約50mg~1日当たり約500mg、1日当たり約100mg~1日当たり約500mg、1日当たり約150mg~1日当たり約500mg、1日当たり約200mg~1日当たり約500mg、1日当たり約250mg~1日当たり約500mg、1日当たり約300mg~1日当たり約500mg、1日当たり350mg~1日当たり約500mg、1日当たり約400mg~1日当たり約500mg、1日当たり約450mg~1日当たり約500mg、1日当たり約25mg~1日当たり約400mg、1日当たり約50mg~1日当たり約400mg、1日当たり約75mg~1日当たり約400mg、1日当たり約100mg~1日当たり約400mg、1日当たり約125mg~1日当たり約400mg、1日当たり約150mg~1日当たり約400mg、1日当たり約175mg~1日当たり約400mg、1日当たり約200mg~1日当たり約400mg、1日当たり約225mg~1日当たり約400mg、1日当たり約250mg~1日当たり約400mg、1日当たり約275mg~1日当たり約400mg、1日当たり約300mg~1日当たり約400mg、1日当たり約325mg~1日当たり約400mg、1日当たり約350mg~1日当たり約400mg、1日当たり約375mg~1日当たり約400mg、1日当たり約25mg~1日当たり約300mg、1日当たり約50mg~1日当たり約300mg、1日当たり約75mg~1日当たり約300mg、1日当たり約100mg~1日当たり約300mg、1日当たり約125mg~1日当たり約300mg、1日当たり約150mg~1日当たり約300mg、1日当たり約175mg~1日当たり約300mg、1日当たり約200mg~1日当たり約300mg、1日当たり約225mg~1日当たり約300mg、1日当たり約250mg~1日当たり約300mg、1日当たり約275mg~1日当たり約300mg、1日当たり約25mg~1日当たり約200mg、1日当たり約50mg~1日当たり約200mg、1日当たり約75mg~1日当たり約200mg、1日当たり約100mg~1日当たり約200mg、1日当たり約125mg~1日当たり約200mg、1日当たり約150mg~1日当たり約200mg、または1日当たり約175mg~1日当たり約200mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量は、1日当たり約25mg、1日当たり約50mg、1日当たり約75mg、1日当たり約100mg、1日当たり約125mg、1日当たり約150mg、1日当たり約175mg、1日当たり約200mg、1日当たり約225mg、1日当たり約250mg、1日当たり約275mg、1日当たり約300mg、1日当たり約325mg、1日当たり約350mg、1日当たり約375mg、1日当たり約400mg、1日当たり約425mg、1日当たり約450mg、1日当たり約475mg、または1日当たり約500mgである。
【0148】
[0145]いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の日用量は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸200mgと等価である量である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の日用量は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸200mgと等価である量である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の日用量は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸300mgと等価である量である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の日用量は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸400mgと等価である量である。いくつかの実施形態では、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の日用量は、470mgである。
【0149】
[0146]いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸20mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩23.5mgを単位剤形で含む医薬組成物を提供する。
【0150】
[0147]いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸50mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩58.75mgを単位剤形で含む医薬組成物を提供する。
【0151】
[0148]いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸100mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩117.5mgを単位剤形で含む医薬組成物を提供する。
【0152】
[0149]いくつかの実施形態では、治療有効量の医薬組成物は、対象に投与され、医薬組成物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物および薬学的に許容される賦形剤を単位剤形で含み、投与は、1日1回であり、単位剤形は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩約20mg~約250mgを含む。いくつかの実施形態では、単位剤形は、約23.5mg~約250mg、約25mg~約250mg、約27.5mg~約250mg、約30mg~約250mg、約20mg~約235mg、約23.5mg~約235mg、約25mg~約235mg、約27.5mg~約235mg、または約30mg~約235mgを含む。いくつかの実施形態では、単位用量は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩約20mg、約23.5mg、約25mg、約27.5mg、約30mg、約40mg、約50mg、約52.5mg、約55mg、約58.75mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約112.5mg、約115mg、約117.5mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、または約250mgである。
【0153】
[0150]いくつかの実施形態では、治療有効量の医薬組成物は、対象に投与され、医薬組成物は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物および薬学的に許容される賦形剤を単位剤形で含み、投与は、1日1回であり、単位剤形は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約20mg~約250mgと等価である4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む。いくつかの実施形態では、単位剤形は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約23.5mg~約250mg、約25mg~約250mg、約27.5mg~約250mg、約30mg~約250mg、約20mg~約200mg、約23.5mg~約200mg、約25mg~約200mg、約27.5mg~約200mg、または約30mg~約200mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む。いくつかの実施形態では、単位剤形は、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約20mg、約23.5mg、約25mg、約27.5mg、約30mg、約40mg、約50mg、約52.5mg、約55mg、約58.75mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約112.5mg、約115mg、約117.5mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、または約250mgと等価である、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む。
【0154】
[0151]いくつかの実施形態では、投与量は、対象の質量によって割った薬物の量、例えば、対象の体重キログラム当たり薬物ミリグラムに関して表すことができる。いくつかの実施形態では、化合物は、約5mg/kg~約50mg/kg、約250mg/kg~約2000mg/kg、約10mg/kg~約800mg/kg、約50mg/kg~約400mg/kg、約100mg/kg~約300mg/kg、または約150mg/kg~約200mg/kgの範囲の量で投与される。
【0155】
[0152]いくつかの実施形態では、投与量は、対象が睡眠に入る時または睡眠から目覚める時を基準とする時点で、対象に投与される。いくつかの実施形態では、投与量は、対照が起床してから少なくとも約1時間後に投与される。いくつかの実施形態では、投与量は、対照が起床してから少なくとも約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後、約7時間後、約8時間後、約9時間後、約10時間後、約11時間後、または約12時間後に投与される。いくつかの実施形態では、投与量は、対照が起床してから約1時間~約12時間後、約2時間~約12時間後、約4時間~約12時間後、または約8時間~約12時間後に投与する。いくつかの実施形態では、投与量は、対象が入眠する少なくとも約1時間前に投与される。いくつかの実施形態では、投与量は、対象が入眠する少なくとも約2時間前、約3時間前、約4時間前、約5時間前、約6時間前、約7時間前、約8時間前、約9時間前、約10時間前、約11時間前、または約12時間前に投与される。いくつかの実施形態では、投与量は、対照が入眠する約1時間~約12時間前、約2時間~約12時間前、約4時間~約12時間前、または約8時間~約12時間前に投与される。
【0156】
調製の方法
[0153]本明細書に記載した医薬組成物は、適当な薬理学的技術によって製造することができる。適当な薬理学的技術には、例えば、(1)湿式造粒;(2)乾式造粒;(3)乾式混合;(4)直接圧縮;(5)粉砕;(6)ローラー圧縮;または(7)融解などの方法のうちの1つまたはそれらの組合せが含まれる。他の方法には、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融造粒、造粒、流動床噴霧乾燥またはコーティング(例えば、ウルスターコーティング)、接線コーティング、上面噴霧、錠剤化、および押出しが含まれる。
【0157】
[0154]いくつかの実施形態では、本明細書に開示される錠剤は、湿式造粒法によって調製される。湿式造粒では、粉末の形態の有効成分および賦形剤の一部または全てをブレンドし、液体、例えば、水の存在下でさらに混合し、粉末を顆粒に凝集させる。造粒物を乾燥させ、次いで、所望の粒径に選別するおよび/または粉砕する。次いで、造粒物は錠剤化される、または錠剤化前に、他の賦形剤、例えば、流動促進剤および/または滑沢剤を加えることができる。
【0158】
[0155]いくつかの実施形態では、有効成分、例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸または薬学的に許容されるその塩を、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤と共に溶解させ、得られた混合物を、適切な溶媒、例えば、水の存在下で造粒させる。湿潤造粒物が得られ、これを乾燥し、必要に応じてふるい分けして乾燥造粒物を得ることができる。乾燥造粒物は、必要に応じて1種または複数の追加の薬学的に許容される賦形剤と混合し、必要に応じてふるい分けし、錠剤に圧縮することができる。
【0159】
[0156]いくつかの実施形態では、本明細書に開示される錠剤は、乾式造粒法によって調製される。いくつかの実施形態では、乾式造粒法は、スラッギングプロセスである。スラッギングは、乾式造粒法であり、有効成分を、必要に応じて1種または複数の賦形剤と組み合わせて、最初に圧縮してスラッグを形成し、次いで、粉砕してさらなる加工に適した微粒子を形成する。例えば、有効成分および薬学的に許容される賦形剤の配合組成物は、スラッグまたはシートに圧縮して、次いで、圧縮顆粒に細かく粉砕することができる。圧縮顆粒は、その後、錠剤に圧縮される。いくつかの実施形態では、有効成分、例えば、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸または薬学的に許容されるその塩の造粒は、乾式造粒法によって達成することができる。
【0160】
[0157]他の実施形態では、配合組成物は、直接圧縮技術を用いて、圧縮された剤形に直接圧縮することができる。直接圧縮により、顆粒を含まないより均一な錠剤が製造される。
【0161】
[0158]いくつかの実施形態では、造粒法はローラー圧縮法を含み、粉末サイズの拡大は、有効成分を、必要に応じて1つまたは複数の湿潤または乾燥賦形剤と組み合わせて、ローラー装置を通して供給し、その後、乾燥(必要な場合)、粉砕、および圧縮された混合物を分粒して、所望の粒径を有する顆粒を形成することによって達成される。
【0162】
[0159]いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカプセルは、錠剤化に関して記載される前述のブレンドおよび造粒物のいずれかを含み得る。
【0163】
番号付き実施形態
[0160]実施形態1.カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)を治療する方法であって、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である化合物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
【0164】
[0161]実施形態2.投与が、1日1回である、実施形態1に記載の方法。
【0165】
[0162]実施形態3.カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍が、カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍1型である、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
【0166】
[0163]実施形態4.カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍1型が、リアノジン受容体2遺伝子の突然変異によって特徴付けられる、実施形態3に記載の方法。
【0167】
[0164]実施形態5.リアノジン受容体2遺伝子の突然変異が常染色体優性突然変異である、実施形態4に記載の方法。
【0168】
[0165]実施形態6.対象が、CPVTのための治療レジメンを受け、CPVTのための治療レジメンは、β遮断薬を含む、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0169】
[0166]実施形態7.β遮断薬が、非選択的β遮断薬である、実施形態6に記載の方法。
【0170】
[0167]実施形態8.対象が、CPVTのための治療レジメンを受け、CPVTの治療レジメンが、ナトリウムチャネル阻害薬を含む、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
[0168]実施形態9.ナトリウムチャネル阻害薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態8に記載の方法。
【0172】
[0169]実施形態10.対象が、CPVTのための治療レジメンを受け、CPVTの治療レジメンが、植え込み型電気除細動器-除細動器(ICD)の使用を含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
[0170]実施形態11.カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象において異所性興奮を発症する可能性が低減される、実施形態1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
[0171]実施形態12.異所性興奮が、異所性心室興奮である、実施形態11に記載の方法。
【0175】
[0172]実施形態13.異所性心室興奮が、ストレス誘発性である、実施形態12に記載の方法。
【0176】
[0173]実施形態14.異所性心室興奮が、カテコールアミン誘発性ストレスによって誘発される、実施形態12または実施形態13に記載の方法。
【0177】
[0174]実施形態15.異所性心室興奮が、運動誘発性である、実施形態12から14のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
[0175]実施形態16.異所性心室興奮が、心室性期外収縮である、実施形態12から15のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
[0176]実施形態17.異所性心室興奮が、二段脈である、実施形態12から16のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
[0177]実施形態18.異所性心室興奮が、心室性期外収縮カプレットである、実施形態12から17のいずれか一項に記載の方法。
【0181】
[0178]実施形態19.異所性心室興奮が、頻脈を含む、実施形態12から18のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
[0179]実施形態20.頻脈が、心室頻拍である、実施形態19に記載の方法。
【0183】
[0180]実施形態21.カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象において心臓突然死の可能性が低減される、実施形態1から20のいずれか一項に記載の方法。
【0184】
[0181]実施形態22.心臓突然死が、ストレス誘発性である、実施形態21に記載の方法。
【0185】
[0182]実施形態23.心臓突然死が、カテコールアミン誘発性ストレスによって誘発される、実施形態21または実施形態22に記載の方法。
【0186】
[0183]実施形態24.心臓突然死が、運動誘発性である、実施形態21から23のいずれか一項に記載の方法。
【0187】
[0184]実施形態25.カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象において心房細動の可能性が低減される、実施形態1から24のいずれか一項に記載の方法。
【0188】
[0185]実施形態26.カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)の治療により、対象の安静時の心拍数に対して対象の心拍数が上昇している間に、対象に異所性興奮を発症する可能性が低減される、実施形態1から25のいずれか一項に記載の方法。
【0189】
[0186]実施形態27.心拍数の上昇が、ストレス誘発性である、実施形態26に記載の方法。
【0190】
[0187]実施形態28.心拍数の上昇が、カテコールアミン誘発性ストレスによって誘発される、実施形態26または実施形態27に記載の方法。
【0191】
[0188]実施形態29.心拍数の上昇が、運動誘発性である、実施形態26から28のいずれか一項に記載の方法。
【0192】
[0189]実施形態30.化合物または薬学的に-許容されるその塩が、ヘミフマル酸塩である、実施形態1から29のうちのいずれか一項に記載の方法。
【0193】
[0190]実施形態31.化合物が、化合物の持続放出を提供するように配合される、実施形態1から30のいずれか一項に記載の方法。
【0194】
[0191]実施形態32.持続放出が、放出調節である、実施形態31に記載の方法。
【0195】
[0192]実施形態33.持続放出が、延長放出である、実施形態31に記載の方法。
【0196】
[0193]実施形態34.持続放出が、遅延放出である、実施形態31に記載の医薬品用組成物。
【0197】
[0194]実施形態35.化合物が、固形剤形で提供される、実施形態1から34のいずれか一項に記載の方法。
【0198】
[0195]実施形態36.固形剤形が、経口投与に適している、実施形態35に記載の方法。
【0199】
[0196]実施形態37.固形剤形が、薬学的に許容される賦形剤を含む、実施形態35または実施形態36に記載の方法。
【0200】
[0197]実施形態38.治療有効量が、約50mg~約400mgである、実施形態1から37のいずれか一項に記載の方法。
【0201】
[0198]実施形態39.治療有効量が、約200mgである、実施形態1から37のいずれか一項に記載の方法。
【0202】
[0199]実施形態40.治療有効量が、約300mgである、実施形態1から37のいずれか一項に記載の方法。
【0203】
[0200]実施形態41.治療有効量が、約400mgである、実施形態1から37のいずれか一項に記載の方法。
【0204】
[0201]実施形態42.投与が経口である、実施形態1から41のいずれか一項に記載の方法。
【0205】
[0202]実施形態43.対象が成人である、実施形態1から42のいずれか一項に記載の方法。
【0206】
[0203]実施形態44.対象が、小児である、実施形態1から42のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
[0204]実施形態45.化合物またはその薬学的に許容される塩が、単位剤形の医薬組成物として対象に投与され、単位剤形が、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、実施形態1から36のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
[0205]実施形態46.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、本化合物またはそのイオン化形態が、ある期間にわたって試験対象中に存在し、期間が、投与後に生じ、期間が、少なくとも約12時間である、実施形態45に記載の方法。
【0209】
[0206]実施形態47.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、本化合物またはそのイオン化形態が、ある期間にわたって試験対象中に存在し、期間が、投与後に生じ、期間が、少なくとも約24時間である、実施形態45に記載の方法。
【0210】
[0207]実施形態48.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物またはそのイオン化形態の最大血漿濃度が、投与の約2~約6時間後で試験対象に存在する、実施形態46または実施形態47に記載の方法。
【0211】
[0208]実施形態49.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物またはそのイオン化形態の最大血漿濃度が、投与の約2~約4時間後で試験対象に存在する、実施形態46または実施形態47に記載の方法。
【0212】
[0209]実施形態50.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物またはそのイオン化形態の最大血漿濃度が、投与の約3~約4時間後で試験対象に存在する、実施形態46または実施形態47に記載の方法。
【0213】
[0210]実施形態51.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、約14~約21時間の化合物またはそのイオン化形態のin-vivo半減期が、試験対象において得られる、実施形態45から50のいずれか一項に記載の方法。
【0214】
[0211]実施形態52.試験対象において得られるin-vivo半減期が約14時間である、実施形態51に記載の方法。
【0215】
[0212]実施形態53.試験対象において得られるin-vivo半減期が約20時間である、実施形態51に記載の方法。
【0216】
[0213]実施形態54.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、約1.4~約1.8の間の化合物またはそのイオン化形態のCmaxに対する累積比が試験対象中に存在し、前記累積比が、28日目のCmax/1日目のCmaxの比として算出され、Cmaxが、最大観察血漿中濃度である、実施形態45から53のうちいずれか一項に記載の方法。
【0217】
[0214]実施形態55.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、約1.4~約1.8の間の化合物またはそのイオン化形態のAUCが試験対象中に存在し、AUCに対する前記累積比が、28日目のAUCtau/1日目のAUC0-24の比として算出され、
- AUCが、濃度-時間曲線下面積であり;
- AUCtauが、定常状態における投与間隔(tau)中の濃度-時間曲線下面積であり;
- AUC0-24が、投与後0~24時間までの濃度-時間曲線下面積である、実施形態45から54のうちいずれか一項に記載の方法。
【0218】
[0215]実施形態56.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、次いで、約35ug/mLを超えない化合物またはそのイオン化形態の最大観察血漿濃度が試験対象において観察される、実施形態45から55のいずれか一項に記載の方法。
【0219】
[0216]実施形態57.試験において、単位剤形が試験対象に投与される場合、化合物またはそのイオン化形態の定常状態血漿濃度が、投与後約3~約7日の範囲で試験対象に生じる、実施形態45から56のいずれか一項に記載の方法。
【0220】
[0217]実施形態58.単位剤形が錠剤である、実施形態45から57のいずれか一項に記載の方法。
【0221】
[0218]実施形態59.単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約20~約200mgと等価である4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む、実施形態45から58のいずれか一項に記載の方法。
【0222】
[0219]実施形態60.単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩約23.5~約235mgを含む、実施形態45から58のいずれか一項に記載の方法。
【0223】
[0220]実施形態61.単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約20mgと等価である4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む、実施形態45から58のいずれか一項に記載の方法。
【0224】
[0221]実施形態62.単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩23.5mgを含む、実施形態45から58のいずれか一項に記載の方法。
【0225】
[0222]実施形態63.単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約50mgと等価である4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む、実施形態45から58のいずれか一項に記載の方法。
【0226】
[0223]実施形態64.単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩58.75mgを含む、実施形態45から58のいずれか一項に記載の方法。
【0227】
[0224]実施形態65.単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸約100mgと等価である4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の量を含む、実施形態45から58のいずれか一項に記載の方法。
【0228】
[0225]実施形態66.単位剤形が、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩117.5mgを含む、実施形態45から58のいずれか一項に記載の方法。
【0229】
[0226]実施形態67.単位剤形が錠剤であり、錠剤が湿式造粒法によって調製される、実施形態45から66のいずれか一項に記載の方法。
【0230】
[0227]実施形態68.単位剤形が錠剤であり、錠剤が乾式造粒法により調製される、実施形態45から66のいずれか一項に記載の方法。
【0231】
[0228]実施形態69.単位剤形が胃耐性錠剤である、実施形態45から68のいずれか一項に記載の方法。
【0232】
[0229]実施形態70.胃耐性錠剤が、pH5.5以下で実質的に崩壊せず、崩壊が、pH5.5以下である媒体中での胃耐性錠剤の溶解を測定することによって決定される、実施形態69に記載の方法。
【0233】
[0230]実施形態71.pH5.5またはそれ以下である媒体が、pHが1.2である0.1N HCl溶液である、実施形態70に記載の方法。
【0234】
[0231]実施形態72.胃耐性錠剤が、pHが約6.8で実質的に崩壊し、崩壊が、pH6.8である媒体中での胃耐性錠剤の溶解を測定することによって決定される、実施形態69に記載の方法。
【0235】
[0232]実施形態73.pH6.8である媒体が、リン酸緩衝液である、実施形態72に記載の方法。
【0236】
[0233]実施形態74.胃耐性錠剤が胃液中で実質的に崩壊しない、実施形態69から73のいずれか一項に記載の方法。
【0237】
[0234]実施形態75.胃耐性錠剤が腸液中で実質的に崩壊する、実施形態69から74のいずれか一項に記載の方法。
【0238】
[0235]実施形態76.対象が、摂食状態である、実施形態1から75のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
[0236]実施形態77.対象が、絶食状態である、実施形態1から75のいずれか一項に記載の方法。
【0240】
[0237]実施形態78.治療有効量の胃酸減少剤を対象に投与するステップをさらに含む、実施形態1から77のいずれか一項に記載の方法。
【0241】
[0238]実施形態79.化合物を投与すると同時に治療有効量の胃酸減少剤を対象に投与するステップをさらに含む、実施形態1から78のいずれか一項に記載の方法。
【0242】
[0239]実施形態80.胃酸減少剤の投与が、化合物を投与する前である、実施形態78に記載の方法。
【0243】
[0240]実施形態81.胃酸減少剤の投与が、化合物を投与した後である、実施形態78に記載の方法。
【0244】
[0241]実施形態82.胃酸減少剤の投与が、化合物の投与から約30分以内に行われる、実施形態78に記載の方法。
【0245】
[0242]実施形態83.胃酸減少剤が、プロトンポンプ阻害剤である、実施形態78から82のいずれか一項に記載の方法。
【0246】
[0243]実施形態84.胃酸減少剤が、制酸剤である、実施形態78から82のいずれか一項に記載の方法。
【0247】
[0244]実施形態85.胃酸減少剤が、ヒスタミンH受容体アンタゴニストである、実施形態78から82のいずれか一項に記載の方法。
【0248】
[0245]実施形態86.胃酸減少剤が、本化合物の投与から1時間以内に対象に投与されない、実施形態1から77のいずれか一項に記載の方法。
【0249】
[0246]実施形態87.単位剤形が、胃耐性錠剤であり、胃耐性錠剤が、コアおよび、コアを実質的に被覆するコーティング層を含む、実施形態45から75のいずれか一項に記載の方法。
【0250】
[0247]実施形態88.コーティング層が、腸溶ポリマーを含む、実施形態87に記載の方法。
【0251】
[0248]実施形態89.腸溶ポリマーが、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルである、実施形態88に記載の方法。
【0252】
[0249]実施形態90.コーティング層が、錠剤の約20質量%である、実施形態87から89のいずれか一項に記載の方法。
【0253】
[0250]実施形態91.コアとコーティング層との間にサブコーティング層をさらに含む、実施形態87から90のいずれか一項に記載の方法。
【0254】
[0251]実施形態92.サブコーティング層がポリマーを含む、実施形態91に記載の方法。
【0255】
[0252]実施形態93.ポリマーが、ヒプロメロースである、実施形態92に記載の方法。
【0256】
[0253]実施形態94.サブコーティング層が、錠剤の約3質量%である、実施形態91から93のいずれか一項に記載の方法。
【0257】
[0254]実施形態95.β遮断薬を対象に投与するステップをさらに含む、実施形態1から94のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
[0255]実施形態96.β遮断薬が、化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するのに治療上有効である量において投与される、実施形態95に記載の方法。
【0259】
[0256]実施形態97.β遮断薬が、減らした量で投与され、減らした量が、化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない、実施形態95に記載の方法。
【0260】
[0257]実施形態98.β-遮断薬が、非選択β-遮断薬である、実施形態95から97のいずれか一項に記載の方法。
【0261】
[0258]実施形態99.ナトリウムチャネル阻害薬を対象に投与するステップをさらに含む、実施形態1から98のうちいずれか一項に記載の方法。
【0262】
[0259]実施形態100.ナトリウムチャネル阻害薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態99に記載の方法。
【0263】
[0260]実施形態101.ナトリウムチャネル阻害薬が、化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するのに治療上有効である量で投与される、実施形態99または実施形態100に記載の方法。
【0264】
[0261]実施形態102.ナトリウムチャネル阻害薬が、減らした量で投与され、減らした量が、化合物の非存在下で、対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない、実施形態99または実施形態100に記載の方法。
【0265】
[0262]実施形態103.β-遮断薬およびナトリウムチャネル阻害薬を対象に投与するステップをさらに含む、実施形態1から94のうちいずれか一項に記載の方法。
【0266】
[0263]実施形態104.ナトリウムチャネル阻害薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態103に記載の方法。
【0267】
[0264]実施形態105.β遮断薬が、減らした量で投与され、減らした量が、化合物の非存在下で対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない、実施形態103または104に記載の方法。
【0268】
[0265]実施形態106.ナトリウムチャネル阻害薬が、減らした量で投与され、減らした量が、化合物の非存在下で、対象においてCPVTを治療するために使用される量より若干少ない、実施形態103から105のいずれか一項に記載の方法。
【0269】
[0266]実施形態107.治療により、対象の心筋におけるRyR2-カルスタビン2結合が増加する、実施形態1から106のいずれか一項に記載の方法。
【0270】
[0267]実施形態108.治療により、対象のRyR2チャネルからのカルシウム漏出が減少する、実施形態1から107のいずれか一項に記載の方法。
【0271】
[0268]実施形態109.治療により、対象におけるRyR2タンパク質の開口確率(P)が低下する、実施形態1から108のいずれか一項に記載の方法。
【0272】
[0269]実施形態110.カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍を治療する方法であって、治療有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、医薬組成物が、錠剤を含み、錠剤が、コア、コアを実質的に被覆するサブコーティング層、およびサブコーティング層を実質的に被覆するコーティング層を含み、
- コアが、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩、マンニトール、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、コロイド状無水シリカ、フマル酸ステアリルナトリウムかを含み;
- サブコーティング層が、ヒプロメロース、微結晶セルロースおよびステアリン酸を含み;
- コーティング層が、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクを含み、
投与が、1日1回である、方法。
【0273】
実施例
【実施例1】
【0274】
実施例1:胃耐性錠剤
[0270](4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸の質量に基づいて)4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩(化合物1)20mgを含む、胃耐性錠剤を表1に示す。
【0275】
【表1】
【0276】
[0271]調製方法:化合物1を、マンニトール、微結晶セルロース、およびマルトデキストリンと混合した。本混合物を、標準的な湿式造粒法によって粒状化した。得られた湿潤造粒物を乾燥させ、ふるいにかけた。次いで、乾燥造粒物を、クロスカルメロース、ステアリン酸マグネシウム、無水コロイド状シリカ、およびフマル酸ステアリルナトリウムと混合した。潤滑造粒物をふるいにかけ、圧縮して錠剤とした。
【0277】
[0272]次いで、コア錠剤をサブコーティング(無色のSepifilm LP 010)でコーティングした。乾燥後、腸溶コーティング(AQOAT懸濁液AS-MF)を塗布して、腸溶コーティング錠剤を得た。
【実施例2】
【0278】
実施例2:プラセボ
[0273]プラセボ、腸溶錠配合物を表2に示す。
【0279】
【表2】
【0280】
[0274]調製方法:乳糖一水和物および微結晶セルロースを混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを加えた。続いて、コア錠剤を、サブコーティング(無色のSepifilm LP 010)でコーティングした。乾燥後、腸溶コーティング(AQOAT懸濁液AS-MF)を塗布して、腸溶コーティング錠剤を得た。
【実施例3】
【0281】
実施例3:臨床試験
[0275]カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍(CPVT)は、ストレス、運動または過度の興奮によって突然死に至る心調律の致死的な変化を伴う。CPVT1患者の約3分の2は、RyR2カルシウム放出チャネルをコードするリアノジン受容体2型(RYR2)遺伝子中に突然変異を有する。この突然変異は、漏出RyR2チャネルをもたらし、病気の症状を引き起こす。本試験では、化合物1が漏出RyR2を修復し、正常なチャネル機能を回復させる能力を評価する。
【0282】
[0276]第2相無作為化二重盲検プラセボ対照2期クロスオーバー臨床試験を実施して、化合物1による治療により、CPVT1型(CPVT1)を伴う対象において、ベースラインと比較して運動誘発性異所性心室興奮の可能性が低減されるか、または運動誘発性異所性心室興奮が減少するかを決定する。本試験はまた、CPVT1を伴う患者における化合物1の安全性および忍容性および薬物動態を測定する。対象約20名を、標準治療レジメン(例えば、β遮断薬および/またはナトリウムチャネル阻害薬(例えば、フレカイニド))に加えて、化合物1治療アーム(1日200mg)およびマッチするプラセボアームに無作為化される。およそ2週間の休薬期間の後、対象は、反対の治療に切り替える。各治療期間は、持続期間約28~31日間である。
【0283】
研究目的
[0277]本試験の主目標は、CPVT1を伴う患者において、約28日間(最大31日間まで)の治療により、ベースラインと比較して、運動誘発性異所性心室興奮を予防するか、運動誘発性異所性心室興奮の可能性が低減されるか、または運動誘発性異所性心室興奮を低下させるかを、異所性興奮複雑性尺度を用いて決定することである。
【0284】
[0278]本試験の第2の目標は、CPVT1を伴う患者における化合物1の安全性および忍容性を決定することである。
【0285】
[0279]本試験の探索的目標は、(i)CPVT1を伴う対象における化合物1の薬物動態を決定すること、(ii)運動負荷試験(EST)において、異所性興奮および異所性興奮が起こる心拍数の両方を認定する拡張異所性興奮尺度を評価すること、および(iii)化合物1による治療により心調律に対する長期効果を決定することである。
【0286】
研究対象
[0280]参加者は、CPVT1の遺伝子診断が確定しており、β遮断薬、ナトリウムチャネル阻害薬(例えば、フレカイニド)、またはその組合せからなり得る、安定した(少なくとも1カ月間)標準治療、CPVT1指向性治療レジメンにおいて、残存の異所性心室興奮(複雑性スコア≧2;運動負荷試験において二段脈で最小でPVCの存在を要する)を含む、裏付けとなる臨床上の表現型を有する。
【0287】
試験計画
[0281]化合物Iを、1日1回用量で実施例1に従って胃耐性錠剤で投与するまたは実施例2に従ってプラセボで投与する。配合物は、(4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸の質量に基づいて)化合物1 20mg、またはマッチするプラセボを含む。対象に、化合物1 200mg(10×20mg錠)、またはマッチするプラセボ(10錠)をおよそ28日間(最大31日まで)毎日投与する。およそ2週間の休薬期間の後、対象は、表3に記載される通り、反対の治療に切り替える。
【0288】
【表3】
【0289】
試験エンドポイント
主要エンドポイント
[0282]主要エンドポイントは、CPVT1を伴う参加者における運動誘発性異所性心室興奮に対する化合物1の効果を、ベースラインから約28日目(最大31日目)までの異所性興奮スコアリングスケールの変化を用いて、プラセボに対して評価することである。異所性興奮スコアリングスケール(0~4)を、以下に記載する:
異所性興奮なし 0
孤立性PVC 1
二段脈 2
カプレット 3
非持続性VT 4
副次エンドポイント
[0283]副次エンドポイントは、安全性および忍容性の複合プロファイルである。安全性は、次の発生の頻度により測定される:重症度(CTCAEバージョン5)における≧グレード2の治療下で発現した有害事象(TEAEs)、全ての重篤な有害事象(SAEs)、および全ての特に注目すべき有害事象(AESIs)。化合物1の安全性および忍容性は、患者面接、患者日誌レビュー、理学的検査、心電図(ECG)、28日間の連続的な心調律モニタリング、バイタルサイン、および臨床検査安全性試験(clinical laboratory safety test)によって、治療のおよそ28日にわたって有害事象(AE)をモニタリングすることにより決定される。コロンビア自殺重症度評価スケール(C-SSRS)を介入前後に施行する。
【0290】
探索的エンドポイント
[0284]探索的エンドポイントは、運動負荷試験において、異所性興奮および異所性興奮が起こる心拍数の両方を認定する拡張異所性興奮尺度を評価することである。拡張異所性興奮スコアリングスケール(0~10)を、以下に記載する:
異所性興奮なし 0点
PVCのみ 1点
二段脈 2点
カプレット 5点
非持続性VT 10点
心拍数<=120bpmでの異所性興奮発症の場合、5点加算;心拍数>120であるが<=150bpmでの異所性興奮発症の場合、3点を加算、心拍数>150bpmでの異所性興奮発症の場合、1点を加算する。
【0291】
[0285]追加の探索的エンドポイントは、化合物1治療対プラセボの28日間の連続的な心臓モニタリング出力の比較である。参加者は、各期間の1日目、初回投与前に連続的な心臓モニタリングデバイスを装着される。本デバイスを使用して、治療期間(およそ28日間)にわたって心調律をモニターする。次いで、本デバイスを、各期間の治療の終了時に取り外す。本デバイスは、心調律の異常な変化または臨床的に関連がある変化についてモニタリングするために、連続的なECGモニタリングを提供する。
【0292】
[0286]追加的な探索的エンドポイントは、(1)最終日の最大血漿中濃度(Cmax)、および積極的治療期間の最終日の曲線下面積(AUC)の測定を含めた、化合物1の試験対象へのおよそ28日(最大31日まで)の投与の薬物動態(PK)である。
【0293】
[0287]血漿中の化合物1についての次の薬物動態学的パラメータを、治療の最終日(およそ28~31日目)における適切な血液サンプルで算出する:
AUCtau:定常状態における投薬間隔(tau)中の濃度-時間曲線下面積。
max:最高血中濃度。
max:Cmaxに達するまでの時間。最大値が2カ所以上の時点で発生する場合、Tmaxは、この値を有する最初の時点として定義される。
min:最小血中濃度。
min:Cminに達するまでの時間。
【実施例4】
【0294】
実施例4:4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸の調製
[0288]4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸を以下に記載する通り調製した。
【0295】
ステージ1:7-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン(「アミン」)
【0296】
【化4】
【0297】
2-(4-メトキシフェニルチオ)エタンアミン(A)
[0289]4-メトキシチオフェノール(50g、0.357mol)、2-クロロエチルアミン一塩酸塩(39.8g、0.343mol.)、KCO(78.8g、0.57mol)、およびジイソプロピルエチルアミン(32mL、0.178mol)をテトラヒドロフラン(THF)中で混合した。混合物を減圧下で5分間脱気し、アルゴン下で終夜還流加熱した。溶媒を除去し、フラスコに水を加えた。混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を収集し、ジクロロメタンを除去し、濃HClを加え、続いて、水を加えた。溶液を、酢酸エチル(EtOAc)/ヘキサン1:1で抽出した。水層を、2M NaOHでpH10に調整し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機溶液を、無水硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒の除去によって、標的化合物Aを生成した。
【0298】
ベンジル2-(4-メトキシフェニルチオ)エチルカルバメート(2)
[0290]化合物A(8.0g、43.7mmol)、炭酸水素ナトリウム(12.1g、144mmol)、水、およびジクロロメタンを含有するフラスコに、クロロギ酸ベンジル(8.2g、48.1mmol、ジクロロメタン100mLで希釈した)を0℃で滴加した。加えた後、混合物を、室温で5hr撹拌した。有機層を収集し、水層をジクロロメタン100mLで抽出した。合わせた有機溶液を、硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を除去し、得られた固体をTHF/ヘキサン(1:10)ですりつぶした。固体を収集、標的生成物を残して乾燥させた。
【0299】
ベンジル7-メトキシ-2,3-ジヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン-4(5H)-カルボキシレート(3)
[0291]トルエン中の化合物2(7.3g、23mmol)、パラホルムアルデヒド(6.9g 0.23mol)、およびp-トルエンスルホン酸(1.45g、7.6mmol)の混合物を70℃で終夜撹拌した。r.t.まで冷却した後、固体をろ別した。溶液を飽和炭酸ナトリウムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、溶媒を除去した後、標的生成物を液体として生成した。
【0300】
7-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[f][1,4]チアゼピン臭化水素酸塩(アミン)
[0292]化合物3(10g、30mmol)を、濃HCl、水、およびジオキサンと混合した。混合物を、100℃で終夜撹拌した。r.t.まで冷却した後、溶媒の大部分および塩酸を減圧下で除去した。水を溶液に加え、固体をろ別した。水溶液をEtOAc/ヘキサン(1:1)で抽出し、NaOH15gを加えることによって塩基性にした。混合物をジクロロメタンで抽出した。合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を除去すると、r.t.で静置した後凝固した液体を生成して、標的化合物を生成した。
【0301】
ステージ2:-[7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸
【0302】
【化5】
【0303】
[0293]スキーム2において、Lは脱離基であり、これは、一例として、ハロゲンまたはスルホネート(OSOR’、式中、R’は、アルキルまたはアリールであり、例えば、OM(メシレート)またはOT(トシレート)である)である。アミン(4)(1mmol)をジクロロメタンに溶解した。本溶液に、アルキル化試薬(5)(1mmol)を加え、その後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2mmol)を加えた。混合物を、r.t.で終夜撹拌した。本溶液を、直接シリカゲルカラムに負荷し、ヘキサン/EtOAc(2:1、v/v)で溶出して、所望の生成物を生成した。
【0304】
4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の調製 - 形態1
[0294]4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸を、実施例1と同様に調製した。ヘミフマル酸塩を形成するために、スキーム3に示される通り、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸を、イソプロパノールの存在下でフマル酸で塩化させた。冷却後、得られた生成物をろ過し、イソプロパノールで洗浄して表題生成物を得た。
【0305】
【化6】
【0306】
[0295]形態1は、表4に記載される粒度分布に、必要に応じて細かく粉砕することができる。
【0307】
【表4】
【0308】
4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩の調製 - 形態2
[0296]4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸を、実施例1と同様に調製した。ヘミフマル酸塩を形成するために、スキーム4に示される通り、4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸を、ジメチルスルホキシドおよび水の混合物の存在下で、フマル酸で塩化させた。冷却後、得られた生成物をろ過し、水およびアセトンで洗浄して、所望の生成物を得た。
【0309】
【化7】
【0310】
[0297]形態2は、表5に記載される粒度分布に、必要に応じて細かく粉砕することができる。
【0311】
【表5】
【実施例5】
【0312】
実施例5:胃耐性錠剤(配合物A)
[0298](4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸の質量に基づいて)4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩(化合物1)20、40または200mgを含む胃耐性錠剤を表6に示す。
【0313】
【表6】
【0314】
[0299]調製方法:化合物1を、微結晶セルロース、ポビドン、およびクロスポビドンと混合した。本混合物を、標準的な湿式造粒法を用いて粒状化した。ポリソルベートを、精製水に加えて、造粒液として機能させた。湿潤造粒物をオーブンシステムで乾燥させ、ふるいにかけた。乾燥造粒物を外相:クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、無水コロイド状シリカと混合し、潤滑造粒物をふるいにかけ、圧縮して錠剤とした。
続いて、コア錠剤を予混合物(premix)(白色のSepifilm LP 770)でコーティングした(サブコーティング)。乾燥後、腸溶コーティングを、AQOAT懸濁液として塗布して、胃耐性錠剤を得る。
【実施例6】
【0315】
実施例6:健常なボランティアにおける臨床試験
[0300]第1相ランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施して、健常な男性ボランティアにおいて、単回、漸増および反復経口投与後の化合物1の安全性および薬物動態(PK)を評価した。
【0316】
研究目的
パートI(単回漸増投与 - SAD)
[0301]主目標は、健常な男性ボランティアにおいて、プラセボと比較した化合物1の単回経口用量の漸増の安全性を評価することであった。第2の目標は、化合物1の血漿中薬物動態(PK)パラメータを測定することであった。
【0317】
パートII(多回漸増投与 - MAD)
[0302]主目標は、健常な男性ボランティアにおいて、プラセボと比較して14日間にわたる化合物1の漸増反復経口用量の安全性を評価することであった。第2の目標は、化合物1の血漿中薬物動態(PK)パラメータを測定することおよび四頭筋における化合物1の濃度を評価することであった。
【0318】
材料および方法
1.試験薬
[0303]4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩(化合物1)を実施例5に従って胃耐性錠剤で投与した。配合物は、(4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸の質量に基づいて)化合物1 20mg、40mgまたは200mgを含有した。実施例2によるプラセボ錠剤を対照薬として用いた。
【0319】
2.試験計画
[0304]研究を、2つのパート(IおよびII)に細分した。各パートは、無作為、二重盲検、プラセボ対照であった。
【0320】
[0305]第I相では、A群、B群、C群、D群、およびE群の参加者に、化合物1、または対応するプラセボをそれぞれ40mg、80mg、160mg、240mg、または400mg単回投与した。対象40名が、パートIを終了した:実薬30例(各コホート毎に6例)、プラセボ10例。
【0321】
[0306]第II相では、I群、J群、K群、およびL群の参加者に、化合物1、または対応するプラセボをそれぞれ20mg、60mg、120mg、または240mg、14日間にわたって1日1回反復投与した。対象41名が、第II相を終了した:コホートI、J、K、Lが7名/7名/8名/7名であり、プラセボが12名である。
【0322】
3.薬物動態測定
3a.血液サンプリング:
[0307]第I相では、各参加者から次の通り血液サンプルを採取した:投与前、次いで、投薬から0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24、36、48、60、72、および96時間後。
【0323】
[0308]第II相では、各参加者から次の通り血液サンプルを採取した:1日目:朝の投与前から16h後までの12サンプル(投与前、0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、および16h)、2~13日目:投与前(すなわち、朝投与)で12サンプル;14日目:朝の投与前から96時間までの16サンプル(D14投与前、0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、および16h、D15~18):理論的な朝の投薬前に1サンプル。
【0324】
[0309]次の薬物動態パラメータを、血漿中濃度時間プロファイルから算出した:
AUClast(AUClast):時間ゼロ(薬物投与時間)からtlastまでの濃度- 時間曲線下面積
AUC:時間ゼロ(薬物投与時間)から無限大までの濃度-時間曲線下面積
AUC24(AUC24):時間ゼロから24hまでの濃度-時間曲線下面積
1日目。
【0325】
AUCτ(AUCtau):14日目の定常状態における投薬間隔にわたる濃度-時間曲線下面積。
【0326】
max(Cmax):最高血中濃度
maxds(Cmaxds):Cmax/投与量
max(tmax):Cmaxに対応する時間
lag(tlag):遅延時間:最初の測定可能濃度に対応する時間より前の時間
last(Clast):最終定量可能濃度
ac(AUCτ)(RacAUC):AUCの累積比(AUCτ/AUC24
acCmax(RacCmax):Cmaxの累積比(Cmax14日目/Cmax1日目)
last(tlast):Clastに対応する時間
λ(k):終末相の1次速度定数
1/2,z(t1/2):t1/2,z=ln(2)/λ(λは終末相の速度定数である)として算出される、化合物の終末相消去半減期。
【0327】
[0310]血漿中濃度-時間曲線下面積を、線形および対数台形公式を併用して算出した。補間は、血漿中濃度-時間プロファイルの一定部分および上行部において線形であった。補間は、下行部において対数的であった。
【0328】
[0311]第I相の場合、化合物1のPKに対する用量効果を評価するために、各用量の場合の平均AUClast、およびCmaxを算出し、用量毎にプロットした。
【0329】
[0312]第II相の場合、AUCτ(14日目)、それぞれAUC24(1日目)、およびCmaxに関して同じアプローチを用いた。
【0330】
3b.筋生検
[0313]試験第II相(全グループ)の場合、13日目に、朝の投与から少なくとも3時間後に、四頭筋において筋生検を実施することにより、化合物1の濃度を筋肉中で決定した。
【0331】
3c.統計的方法
[0314]各群および治療の場合、記述統計学(N、算術平均値、標準偏差、最小値、中央値、最大値、変動係数、幾何平均、および幾何CV、適宜)を、化合物1の濃度および薬物動態パラメータについて算出した。
【0332】
3d.分析方法
[0315]血漿および筋肉サンプルをLC-MS/MS法により分析した。
【0333】
結果
1.薬物動態
1a.パートI:.単回漸増投与
[0316]パートI(単回投与)の平均濃度時間プロファイルを図1に示す。濃度を、ng/mLで示す。
【0334】
[0317]表7は、単回投与後の薬物動態パラメータ(算術平均値および幾何平均値、標準偏差(SD)、変動係数(CV%)および幾何CV%、中央値および範囲)をまとめて示す。
【0335】
【表7】
【0336】
1b.パートII:.多回漸増投与
[0318]1日目のパートII(反復投与)の平均濃度時間プロファイルを図2に示す。濃度を、ng/mLで示す。
【0337】
[0319]14日目のパートII(反復投与)の平均濃度時間プロファイルを図3に示す。濃度を、ng/mLで示す。
【0338】
[0320]表8は、反復投与後の薬物動態パラメータ(算術平均値および幾何平均値、SD、CV%および幾何CV%、中央値および範囲)をまとめて示す。
【0339】
【表8】
【0340】
2.筋生検
[0321]筋生検を行って四頭筋中の化合物1の濃度を評価した。13日目に、少なくとも投与の3時間後に生検を行った。
【0341】
[0322]表9は、中央値および範囲により要約された筋肉中の化合物1の濃度を示す。
【0342】
【表9】
【0343】
[0323]表9は、投与の3時間後における13日目の未結合の各総濃度を、投与の3時間後における14日目の血漿中濃度で割った比をまとめて示す。
【0344】
【表10】
【0345】
3.考察
[0324]パートI:若年健常男性において4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩20、40、80、160、240および400mgを単回経口投与後、投与された錠剤の胃耐性(GR)特性と整合する遅延時間の後、速やかな吸収が観察された。投与量による非直線性のいかなる証拠も観察されなかった。治療群にわたって個人間の変動性は小さかった。幾何平均t1/2,zは、160mgコホートにおける17.5hから80mgコホートにおける22.7hの範囲であり、幾何%CVは、12.3%~16.8%の範囲であった。グラフィカルな検定では、AUClastおよびCmaxに関して用量比例性が示される。
【0346】
[0325]パートII:4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩20mgを1日1回14日間反復経口投与後、Cmaxになり、Tmax中央値は、3~3.5時間の間であった。定常状態は、毎日の治療の3~7日後に到達した(例えば、20mg、60mg、および120mgコホートにおいて4日目、240mgコホートにおいて5日目)。1日目および14日目におけるAUCについての幾何学的%CVは、10.5%(120mgコホート、1日目)~22.3%(120mgコホート、14日目)の範囲であった。治療群にわたって個人間の変動性は小さかった。14日目の幾何平均t1/2,zは、20mgおよび120mgコホートにおいて19.3hから240mgコホートにおいて19.8hの範囲であった。%CVは、11.3%~22.2%の範囲であった。グラフィカルな検定では、AUCτ、resp.AUC0-24およびCmaxに関して用量比例性が示された。AUCに基づいた幾何平均累積比は、1.60~1.72まで、Cmaxに基づいた累積比は1.39~1.46までであり、投与群間で類似していると思われた。
【0347】
[0326]四頭筋における未結合および総4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸濃度の中央値は、用量に比例していると思われた。血漿中の濃度で割った筋肉中の濃度の幾何平均比は、Kpでは0.0440~0.0808(ng/g)/(ng/mL)、Kpuでは0.0081~0.0106(ng/g)/(ng/mL)の範囲であった。幾何学的%CVは、Kpでは22.6%~65.3%、Kpuでは31.3%~60.7%の範囲であった。
【0348】
4.安全性
[0327]いかなる重篤有害事象も報告されなかった。本化合物は、試験した投与量および投与レジメンで耐容性があることを示した。
【0349】
5.概要および結論
[0328]4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩を20~400mgで単回経口投与した後、Cmaxになり、Tmax中央値は、tlagの後、3~4.5時間の間であり、錠剤の胃耐性特性(2時間未満)と整合する。
【0350】
[0329]4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩を20、60、120および240mg/dで14日間反復経口投与後、Cmaxになり、Tmax中央値は3~4時間であった。単回投与および反復投与試験の結果に基づいて、平均見かけの終末半減期は、およそ20hrsであった。時間および投与量による非直線性のいかなる証拠も観察されなかった。全体として、CmaxおよびAUC24の個人間の変動性は、20、60、120、240mg/日で低かった。定常状態は、毎日の治療の5~7日後に到達した。4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩を20、60、120および240mg/日を14日間反復投与後、CmaxおよびAUC24の場合、累積比はおよそ1.4~1.8であり、化合物1の半減期および用量レジメンと整合した。KおよびKpuの結果は、用量範囲(20~240mg)内で一致しており、Kは、[0.04~0.08]、Kpuは、[0.008~0.01]であった。
【0351】
[0330]4-[(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-4(5H)イル)メチル]安息香酸ヘミフマル酸塩は、試験された用量および用量レジメンにおいて耐容性があった。
図1
図2
図3
【国際調査報告】