(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20241022BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/044 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529473
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 EP2022082423
(87)【国際公開番号】W WO2023089099
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021130513.6
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア-ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】カルリチェク,マルクス
(57)【要約】
車両用操作装置は、タッチ面を有する上面を有する静電容量式タッチパネル(16)と、操作ユニットとを備え、操作ユニットは、導電表面を有し、手で把持可能な可動の操作要素(22)と、上面及びこの上面に対向しない下面(54)を有する板状の保持要素とを有し、保持要素に操作要素(22)が可動に配置されており、保持要素は、タッチパネル(16)の上面のタッチ面に配置されている。操作要素(22)は、その導電表面に電気的に接続された少なくとも1つのワイパを有し、ワイパは、操作要素(22)の移動時に、保持要素の上面の走査経路(40)に沿ってスライドする。保持要素は、走査経路(40)に沿って、交互に並ぶ第1の部位(50)及び第2の部位(52)を有する。保持要素の上面及び下面(54)は、第1の部位(50)のそれぞれにおいて、互いに電気的に接続され、第2の部位(52)のそれぞれにおいて、互いに電気的に絶縁されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ上面を有する静電容量式タッチパネル(16)と、
導電表面を有し、手で把持可能な操作要素(22)と、上面及びこの上面に対向しない下面(54)を有する保持要素(30)とを有する操作ユニット(18)と、
上記操作要素(22)の上記表面に電気的に接続された支持要素(42)を有する導電性のばね要素(32)とを備える車両用操作装置であって、
上記保持要素(30)において、上記操作要素(22)が、上記タッチパネル(16)の上記上面に平行な方向に並進及び/又は回転可能に、かつ上記タッチパネル(16)の上記上面に直交して可動に配置されており、
上記操作要素(22)が、上記操作要素(22)の上記導電表面に電気的に接続された少なくとも1つの動き検出エンコーダ要素(48)を、好ましくはワイパの形で有し、この動き検出エンコーダ要素(48)が、上記操作要素(22)の移動時に、上記保持要素(30)の走査経路(40)に沿ってスライドし、
上記保持要素(30)が、上記走査経路(40)に沿って、交互に並ぶ第1の部位(50)及び第2の部位(52)を有し、
上記保持要素(30)の上記上面及び上記下面(54)が、上記第1の部位(50)のそれぞれにおいて、互いに電気的に接続され、上記第2の部位(52)のそれぞれにおいて、互いに電気的に絶縁されており、
上記操作ユニット(18)が、少なくとも1つの弾性ラッチ要素(59)と、交互に並んで配置されたラッチ凸部及びラッチ凹部(58)を有するラッチ経路(38)とを有するラッチ装置(36)を有し、
上記操作ユニット(18)の上記走査経路(40)が、上記ラッチ装置(36)の上記ラッチ経路(38)として形成され、上記ラッチ凸部及び上記ラッチ凹部(58)を有し、上記少なくとも1つのラッチ要素(59)が、上記動き検出エンコーダ要素(48)としても機能し、
上記操作ユニット(18)の上記操作要素(22)が、上記保持要素(30)の方向に可逆的に押し下げ可能であり、上記操作要素(22)の上記導電表面に電気的に接続された少なくとも1つのプッシュ検出エンコーダ要素を有し、このプッシュ検出エンコーダ要素が、上記操作要素(22)が押し下げられた状態では、その移動位置によらず、上記操作ユニット(18)の上記走査経路(40)の上記第1の部位の少なくとも1つに電気的に接触し、上記操作要素(22)が押し下げられていない状態では、上記操作ユニット(18)の上記走査経路(40)から離隔して配置されており、
上記支持要素(42)から、上記動き検出エンコーダ要素(48)及び上記ラッチ要素(59)として機能する少なくとも1本の第1のばねアーム(44)と、上記プッシュ検出エンコーダ要素として機能する少なくとも1本の第2のばねアーム(60)と、押し下げ後に上記操作要素(22)を可逆的に戻すための伸縮ばねとして機能する少なくとも1本の第3のばねアーム(64)とが突出しており、
上記3本のばねアーム(44,60,64)が、上記共通の支持要素(42)と一体に形成されている操作装置。
【請求項2】
上記ばね要素(32)の上記支持要素(42)が、上記操作要素(22)に接続されており、上記操作要素(22)の回転及び/又は並進時並びにこれに直交した移動時に、上記操作要素(22)とともに可動であり、上記操作要素(22)が、上記第3のばねアーム(64)用の支持面(66)を有し、この支持面(66)に、上記第3のばねアーム(64)が当接しており、上記操作要素(22)が、押し下げ時に、上記支持面(66)と相対的に可動であることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
上記第3のばねアーム(64)が、上記操作要素(22)の押し下げ時に、上記支持面(66)上をスライドすることを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
上記支持面(66)が、上記操作要素(22)の押し下げ時に、上記第3のばねアーム(64)がスライドする凸部及び/又は上記操作要素(22)の押し下げ時に、上記第3のばねアーム(64)が沈み込む凹部(76)を有することを特徴とする請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
上記第2のばねアーム(60)が、偏向凸部又は偏向凹部を有し、上記操作要素(22)の押し下げ時に、上記第2のばねアーム(60)が、上記偏向凸部又は上記偏向凹部により可逆的に変形可能であることによって、上記走査経路(40)に接触して上記操作要素(22)の押し下げ位置に達したときに、手動で克服されるべき機械抵抗が生じることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の操作装置。
【請求項6】
上記操作ユニット(18)の上記走査経路(40)に沿って、上記第2のばねアーム(60)用の偏向凸部又は偏向凹部が形成されており、上記操作要素(22)の押し下げ時に、上記第2のばねアーム(60)が、上記偏向凸部又は上記偏向凹部により可逆的に変形可能であることによって、上記走査経路(40)又は上記走査経路(40)の上記第1及び第2の部位(50,52)にそれぞれ接続された延長部(72)であって、上記走査経路(40)の上記第1及び第2の部位(50,52)と同様に、上記保持要素(30)の上記下面に交互に電気的に接続されている延長部(72)に接触したときに、上記操作要素(22)の押し下げ位置に達するために手動で克服されるべき機械抵抗が生じることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の操作装置。
【請求項7】
上記走査経路(40)が、上記タッチパネル(16)の上記上面に平行な表面又は上記タッチパネル(16)の上記上面に直交する表面を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項8】
傾かないように上記操作要素(22)を押し下げるため、上記ばね要素(32)の上記支持要素(42)から、複数、例えば3本の第3のばねアーム(64)が突出していることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項9】
上記第2のばねアーム(60)が、上記操作要素(22)の押し下げ時に上記走査経路(40)に接触するための接触端(62)を有し、この接触要素が、上記第1及び第2の部位(50,52)が並ぶ方向から見て、上記第1及び第2の部位(50,52)の長さより大きい寸法を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項10】
上記操作要素(22)が、上記走査経路(40)に沿って互いにオフセットして配置された少なくとも2つの動き検出エンコーダ要素(48)と、少なくとも2本の第1のばねアーム(44)とを有し、上記2つの動き検出エンコーダ要素(48)の間又は上記2本の第1のばねアーム(44)の間のオフセットが、偶数個の第1の部位(50)及び奇数個の第2の部位(52)を含んで、又は奇数個の第1の部位(50)及び偶数個の第2の部位(52)を含んで並ぶ第1及び第2の部位(50,52)の長さと等しい長さにわたって延伸しており、上記操作要素(22)の各移動位置において、上記2つの動き検出エンコーダ要素(48)の一方又は上記2本の第1のばねアーム(44)の一方が、上記走査経路(40)の第1の部位(50)に接触することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項11】
上記操作要素(22)が、上記走査経路(40)に沿ってオフセットして配置された少なくとも2つのプッシュ検出エンコーダ要素と、少なくとも2本の第2のばねアーム(60)とを有し、上記操作要素(22)の各移動位置において、上記2つのプッシュ検出エンコーダ要素の少なくとも一方又は上記2本の第2のばねアーム(60)の少なくとも一方が、上記走査経路(40)の第1の部位に接触することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項12】
上記2つのプッシュ検出エンコーダ要素の間又は上記2本の第2のばねアーム(60)の間のオフセットが、偶数個の第1の部位(50)及び奇数個の第2の部位(52)を含んで、又は奇数個の第1の部位(50)及び偶数個の第2の部位(52)を含んで並ぶ第1及び第2の部位(50,52)の長さと等しい長さにわたって延伸していることを特徴とする請求項11に記載の操作装置。
【請求項13】
上記走査経路(40)に沿って配置された上記保持要素(30)の各第1及び第2の部位(50,52)が、あるラッチ凹部(58)の中心から隣接するラッチ凹部(58)の中心まで、又はあるラッチ凸部の中心から隣接するラッチ凸部の中心まで延伸していることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項14】
上記操作要素(22)が、押し下げ可能なスライダ又は押し下げ可能な回転アジャスタとして形成されていることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項15】
上記タッチパネル(16)が、タッチ画面の一部として、静電容量式タッチパッドとして、又は静電容量式タッチフィルムとして形成されていることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項16】
上記操作要素(22)の上記タッチパネル(16)の力覚機能と任意に組み合わせて、力フィードバック機能を備えることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項17】
上記保持要素(30)が、少なくとも部分的に、上記タッチパネル(16)の上記上面のタッチ面に配置されており、上記操作要素(22)の各移動位置において、上記動き検出エンコーダ要素(48)の少なくとも1つ又は上記第1のばねアーム(44)の少なくとも1本と、上記プッシュ検出エンコーダ要素の少なくとも1つ又は上記第2のばねアーム(60)の少なくとも1本とが、上記保持要素(30)の上記上面の領域であって、下方に上記タッチパネル(16)の上記上面の上記タッチ面が存在する領域に位置していることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項18】
上記操作要素(22)の各移動位置において、上記動き検出エンコーダ要素(48)の少なくとも2つ又は上記第1のばねアーム(44)の少なくとも2本と、上記プッシュ検出エンコーダ要素の少なくとも1つ又は上記第2のばねアーム(60)の少なくとも1本とが、上記保持要素(30)の上記上面の領域であって、下方に上記タッチパネル(16)の上記上面の上記タッチ面が存在する領域に位置していることを特徴とする請求項17に記載の操作装置。
【請求項19】
上記操作ユニット(18)が、上記タッチパネル(16)の上記上面に固定して配置されている、又は上記操作ユニット(18)が、上記タッチパネル(16)の上記上面を移動可能であることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本PCT出願は、2021年11月22日付の独国特許出願第1020211305136号の優先権を主張し、その内容を本願出願の対象を構成するものとして援用する。
【0002】
本発明は、車両用操作装置に関し、当該操作装置は、典型的には、タッチ上面を有する静電容量式タッチパネルを備え、タッチ上面に、手で把持可能な操作要素を有する操作ユニットが配置されており、操作要素は、タッチパネルの上面に平行な方向に並進及び/又は回転させることができ、自動的かつ可逆的に、タッチパネルの上面に直交して移動させる、すなわち押し下げることができる。
【背景技術】
【0003】
タッチパネル、特にタッチ画面は、車両用操作装置として、近年ますます普及している。しかしながら、プッシュ機能付きのスライダ又は回転アジャスタとして構成され、手で把持可能な操作要素により、操作命令を入力できるとより便利な場合もある。
【0004】
手動で作動可能な操作要素を、タッチパネル又はタッチ画面と組み合わせることについては、既に種々の記載がなされている。その例としては、独国特許発明第19743283号明細書、独国特許出願公開第102006043208号明細書、独国特許出願公開第102010010574号明細書、独国特許出願公開第102011007112号明細書及び欧州特許出願公開第2302799号明細書に記載がある。公知の操作装置において、操作要素に連結されたエンコーダ要素が、タッチパネルのタッチ面を移動し、操作要素の現在の移動位置を特定するため、タッチセンサシステムを利用する。使用者が、操作要素を、タッチパネルの様々な箇所に選択的に配置できることが望ましい場合もある。タッチパネルの表面を移動するエンコーダ要素により、タッチパネルのタッチ面の損傷や摩耗(ひっかき傷や摩耗痕等)が生じる恐れがあり、これを防ぐことが求められる。
【0005】
国際公開第2018/137944号から、自動車用の操作装置が公知であり、回転可能な操作要素とタッチパネルとの間に、輪状線に沿って交互に導電領域と非導電領域とを有するリング又はディスクが配置されている。操作要素がねじれると、輪状線を導電性のワイパが横切り、このワイパは、同様に導電性の操作要素の表面に電気的に接続されている。したがって、操作要素が触れられると、保持要素の下面(すなわち、保持要素の導電部の領域)とタッチパネルとの間に容量結合が生じる。これを、タッチパネルのタッチセンサシステムにより、操作要素の回転位置を検出するために利用することができる。また、公知の操作要素は、押し下げることもでき、押し下げられた状態において、操作要素とタッチパネルとの間にさらなる電気/容量結合が生じ、これを、操作要素が押されたことを検出するために利用することができる。
【0006】
よって、公知の操作装置は、便宜上、容易に取り付け可能であることが求められる複数の要素を備える。そのため、このような操作要素にも、対応するハプティクスが求められることになる。このハプティクス機能は、通常、ワイパ又はばね要素により実現されるが、これらは、背景技術において、検出ワイパとは別に設けられた要素によって実現される。これにより、組み立ての手間が増大する。
【0007】
独国特許出願公開第102006036638号明細書から、車両の回転/プッシュ操作要素用のラッチ装置が公知であり、可逆的な押し下げやねじれといった機械的にのみ作用する機能のため、2つのばね機能を有する部品が利用される。このために使用される(押し下げ機能用の)ばねアーム及び(ねじれ時の歯止め用の)ばね舌片には、電気的機能がない。
【0008】
その他、タッチ面に配置されている回転/プッシュアジャスタが、独国特許出願公開第102016121076号明細書、独国特許出願公開第102018118809号明細書、独国特許出願公開第102018118839号明細書及び国際公開第2018/114138号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許発明第19743283号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102006043208号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102010010574号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102011007112号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第2302799号明細書
【特許文献6】国際公開第2018/137944号
【特許文献7】独国特許出願公開第102006036638号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第102016121076号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第102018118809号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第102018118839号明細書
【特許文献11】国際公開第2018/114138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、導入で述べたような操作装置の構成及び組み立てを、さらに簡略化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明により提案されるのは、
タッチ上面を有する静電容量式タッチパネルと、
導電表面を有し、手で把持可能な操作要素と、上面及びこの上面に対向しない下面を有する保持要素とを有する操作ユニットと、
上記操作要素の上記表面に電気的に接続された支持要素を有する導電性のばね要素とを備える車両用操作装置であって、
上記保持要素において、上記操作要素が、上記タッチパネルの上記上面に平行な方向に並進及び/又は回転可能に、かつ上記タッチパネルの上記上面に直交して可動に配置されており、
上記操作要素が、上記操作要素の上記導電表面に電気的に接続された少なくとも1つの動き検出エンコーダ要素を、好ましくはワイパの形で有し、この動き検出エンコーダ要素が、上記操作要素の移動時に、上記保持要素の走査経路に沿ってスライドし、
上記保持要素が、上記走査経路に沿って、交互に並ぶ第1の部位及び第2の部位を有し、
上記保持要素の上記上面及び上記下面が、上記第1の部位のそれぞれにおいて、互いに電気的に接続され、上記第2の部位のそれぞれにおいて、互いに電気的に絶縁されており、
上記操作ユニットが、少なくとも1つの弾性ラッチ要素と、交互に並んで配置されたラッチ凸部及びラッチ凹部を有するラッチ経路とを有するラッチ装置を有し、
上記操作ユニットの上記走査経路が、上記ラッチ装置の上記ラッチ経路として形成され、上記ラッチ凸部及び上記ラッチ凹部を有し、上記少なくとも1つのラッチ要素が、上記動き検出エンコーダ要素としても機能し、
上記操作ユニットの上記操作要素が、上記保持要素の方向に可逆的に押し下げ可能であり、上記操作要素の上記導電表面に電気的に接続された少なくとも1つのプッシュ検出エンコーダ要素を有し、このプッシュ検出エンコーダ要素が、上記操作要素が押し下げられた状態では、その移動位置によらず、上記操作ユニットの上記走査経路の上記第1の部位であって、上記保持要素の上記上面を上記下面に電気的に接続する上記第1の部位の少なくとも1つに電気的に接触し、上記操作要素が押し下げられていない状態では、上記操作ユニットの上記走査経路から離隔して配置されており、
上記支持要素から、上記動き検出エンコーダ要素及び上記ラッチ要素として機能する少なくとも1本の第1のばねアームと、上記プッシュ検出エンコーダ要素として機能する少なくとも1本の第2のばねアームと、押し下げ後に上記操作要素を戻すための伸縮ばねとして機能する少なくとも1本の第3のばねアームとが突出しており、
上記3本のばねアームが、上記共通の支持要素と一体に形成されている操作装置である。
【0012】
本発明に係る操作装置は、静電容量式タッチパネルを備え、そのタッチ上面に、操作要素を回転及び/又は並進可能に取り付けるための保持要素が配置されている。操作要素は、操作ユニットの一部であり、導電表面を有する。操作要素は、並進及び/又は回転させるだけでなく、可逆的に押し下げることもできる。
【0013】
操作要素のねじれ時又は並進移動時のハプティクスには、交互に並んで配置されたラッチ凸部及びラッチ凹部を有するラッチ経路を有する走査装置が用いられる。このラッチ経路は、弾性ラッチ要素により走査されるが、これについては後述する。ラッチ経路は、典型的にはワイパとして構成されている導電性の動き検出エンコーダ要素であって、ラッチ要素の機能も担う動き検出エンコーダ要素により、電気的に走査することにも用いられる。ラッチ経路は、交互に配置された導電部及び非導電部を有することで、ラッチ経路の上面が、導電部において、保持要素の下面に電気的に接続されている。
【0014】
動き検出エンコーダ要素に加えて、操作ユニットは、同様に導電性のプッシュ検出エンコーダ要素をさらに備え、プッシュ検出エンコーダ要素は、動き検出エンコーダ要素と同様に、操作要素の表面に電気的に接続されている。押されていない状態において、プッシュ検出エンコーダ要素は、走査経路に接触しておらず、操作要素が押し下げられている状態でのみ接触する。このとき、上述の2つの検出エンコーダ要素は、互いにオフセットして配置されているため、押し下げ時の操作要素の各回転又は移動位置において、プッシュ検出エンコーダ要素が、必ず、動き検出エンコーダ要素とは別の走査経路の導電部に接触する。あるいは、プッシュ検出エンコーダ要素は、操作要素が押し下げられた状態において、走査経路の第1及び第2の部位にそれぞれ接続された延長部に接触することができ、この延長部は、保持要素の下面に対して交互に導通して形成されている。
【0015】
したがって、操作要素の各移動位置において、タッチパネルの異なるタッチ領域が応答することにより、操作要素の移動位置が検出可能となる。ある移動位置で操作要素が押されると、プッシュ検出エンコーダ要素が、導電部の少なくとも1つに接触するため、タッチパネルのさらなる感知箇所で、信号が生成される。複数のプッシュ検出エンコーダ要素が設けられていることが好適であり、その相対位置は公知である。よって、タッチパネルを介して、プッシュ検出エンコーダ要素と同様に、互いに関連して配置されている例えば3つの異なる位置から信号を受信した場合、操作要素が押し下げ位置にあると捉えることができる。
【0016】
本発明によれば、2種類の検出エンコーダ要素と、操作要素を可逆的に押し下げ可能とするための少なくとも1つの伸縮ばねとが、同一の導電性のばね要素の一体部品である。このため、このばね要素は、操作要素の表面に電気的に接続された支持要素を有し、この支持要素から、ばねアームが突出している。よって、支持要素は、動き検出エンコーダ要素及びラッチ要素として機能する少なくとも1本の第1のばねアームを有し、これにより、操作要素の並進又は回転時に、ラッチ経路として構成された走査経路が通過される。さらに、支持要素から、プッシュ検出エンコーダ要素の機能を担う少なくとも1本の第2のばねアームが突出しており、操作要素が押されたときのみ走査経路に接触する。最後に、支持要素は、さらに、押し下げ後に操作要素を可逆的に戻すための伸縮ばねの機能を担う第3のばねアームを有する。
【0017】
このように、操作ユニットの電気及びハプティクス機能を単一のばね要素に集中させることにより、操作ユニットを容易に組み立て、作製することができる。したがって、組み込まれる部品の数が少なくなり、作製プロセス及び組み立てプロセスの双方にとって利益となる。
【0018】
本発明の好適な態様において、上記ばね要素の上記支持要素が、上記操作要素に接続されており、上記操作要素の回転及び/又は並進時並びにこれに直交した移動時に、上記操作要素とともに可動であり、上記操作要素が、上記第3のばねアーム用の支持面を有し、この支持面に、上記第3のばねアームが当接しており、上記操作要素が、押し下げ時に、上記支持面と相対的に可動であってもよい。よって、支持要素及びばね要素は、操作要素とともに移動する。操作要素には、少なくとも1本の第3のばねアーム用の支持面が設けられており、支持面で、少なくとも1本の第3のばねアームが支持されており、少なくとも1本の第3のばねアームが、支持面と相対的に移動する。したがって、回転及び/又は並進時に操作要素とともに移動する部品であって、操作要素と相対的に押し下げ可能である部品において、操作要素は、タッチパネルの上面に直交して可動である。そして、この部品は、少なくとも1本の第3のばねアーム用の支持面又は各第3のばねアーム用の支持面を有し、好ましくは支持面に沿って、それぞれのばねアームがスライドできる。
【0019】
支持要素及び操作要素を特別な構成とすることにより、さらに追加でプッシュハプティクスを実現できると有用である。このため、本発明の有用な態様における第1の変形例によれば、上記支持面が、上記操作要素の押し下げ時に、上記第3のばねアームがスライドする凸部及び/又は上記操作要素の押し下げ時に、上記第3のばねアームが沈み込む凹部を有することが提案される。すなわち、第3のばねアームは、伸縮ばね機能に加えて、プッシュハプティクスを実現する機能も担う。
【0020】
プッシュハプティクスを実現するための変形例として、本発明の有用な発展形態において、上記第2のばねアームが、偏向凸部又は偏向凹部を有し、上記操作要素の押し下げ時に、上記第2のばねアームが、上記偏向凸部又は上記偏向凹部により可逆的に変形可能であることによって、上記走査経路に接触して上記操作要素の押し下げ位置に達したときに、手動で克服されるべき機械抵抗が生じてもよい。プッシュ検出エンコーダ要素の機能を第一に担う少なくとも1本の第2のばねアーム又は各第2のばねアームが、操作要素の押し下げ時に機械抵抗を生み出すことにも用いられることにより、プッシュハプティクスが生じる。
【0021】
上述の概念に代わる態様において、上記操作ユニットの上記走査経路に沿って、上記又は各第2のばねアーム用の偏向凸部又は偏向凹部が形成されており、上記操作要素の押し下げ時に、上記第2のばねアームが、上記偏向凸部又は上記偏向凹部により可逆的に変形可能であることによって、上記走査経路又は上記走査経路の上記第1及び第2の部位にそれぞれ接続された延長部であって、上記走査経路の上記第1及び第2の部位と同様に、上記保持要素の上記下面に交互に電気的に接続されている延長部に接触したときに、上記操作要素の押し下げ位置に達するために手動で克服されるべき機械抵抗が生じることが有用である。
【0022】
ここで、追加でプッシュハプティクスを与えるのも、第2のばねアームである。しかしながら、これは、上述の場合と異なり、上記第2のばねアーム又は各第2のばねアームの特別な成形によるものではなく、延伸方向に沿って側方偏向凸部又は側方偏向凹部を有する走査経路における成形によるものである。上述の4つの場合のすべてにおいて、操作要素が押し下げ位置に達する直前に、必ず、少なくとも1本の第2のばねアーム又は各第2のばねアームが可逆的に湾曲することにより、押し下げ時に克服される機械抵抗が生み出される。
【0023】
本発明の別の好適な態様において、上記走査経路が、上記タッチパネルの上記上面に平行な表面又は上記タッチパネルの上記上面に直交する表面を有していてもよい。これは、回転アジャスタの場合、波型の走査経路が、横方向(タッチパネルの上面に平行な方向)又は軸方向(タッチパネルの上面に直交する方向)を向いていることを意味する。よって、走査経路の長い「谷」は、タッチパネルの上面に対して平行又は垂直に延伸している。基本的に、走査経路は、(操作要素が、スライダとして構成されている場合は)直線状であるか、(完全に回転可能又は一部のみ回転可能な操作要素においては)リング状又は円形セグメント状である。
【0024】
また、特に、伸縮ばねとして機能する第3のばねアームについて、複数のばねアームが、均等に分布して配置されていると好適である。押し下げ可能な回転アジャスタ、回転ノブ又は回転リングの場合、3本の第3のばねアームが、互いに120度ずつずれて配置されていると有用である。しかしながら、同様の検討は、第1及び第2のばねアームにも適用することができる。第1、第2又は第3のばねアームからなる各ばねアーム群は、均等に分布して配置されたばねアームを有することが求められる。これは、一方では、操作要素を傾かないように押し下げことに役立ち、他方では、個々のばねアームが追加で操作要素に与える力の均一化に役立つ。
【0025】
本発明の別の有用な態様において、上記第2のばねアームが、上記操作要素の押し下げ時に上記走査経路に接触するための接触端を有し、この接触端が、上記第1及び第2の部位が並ぶ方向から見て、上記第1及び第2の部位の長さより大きい寸法を有する。これにより、走査経路への接触時に、各第2のばねアームが、必ず、走査経路の導電性の第1の部位の1つに電気的に接触し、操作要素の押し下げられたときに、確実にタッチパネルに容量結合される。
【0026】
また、上記操作要素が、上記走査経路に沿って互いにオフセットして配置された少なくとも2つの動き検出エンコーダ要素と、少なくとも2本の第1のばねアームとを有し、上記2つの動き検出エンコーダ要素の間又は上記2本の第1のばねアームの間のオフセットが、偶数個の第1の部位及び奇数個の第2の部位を含んで、又は奇数個の第1の部位及び偶数個の第2の部位を含んで並ぶ第1及び第2の部位の長さと等しい長さにわたって延伸しており、上記操作要素の各移動位置において、上記2つの動き検出エンコーダ要素の一方又は上記2本の第1のばねアームの一方が、上記走査経路の第1の部位に接触すると有用となり得る。
【0027】
典型的には、上記操作要素が、上記走査経路に沿ってオフセットして配置された少なくとも2つのプッシュ検出エンコーダ要素と、少なくとも2本の第2のばねアームとを有し、上記操作要素の各移動位置において、上記2つのプッシュ検出エンコーダ要素の少なくとも一方又は上記2本の第2のばねアームの少なくとも一方が、上記走査経路の第1の部位に接触すると有用である。
【0028】
本発明の別の態様において、上記2つのプッシュ検出エンコーダ要素の間又は上記2本の第2のばねアームの間のオフセットが、偶数個の第1の部位及び奇数個の第2の部位を含んで、又は奇数個の第1の部位及び偶数個の第2の部位を含んで並ぶ第1及び第2の部位の長さと等しい長さにわたって延伸していてもよい。
【0029】
また、上記走査経路に沿って配置された上記保持要素の各第1及び第2の部位が、あるラッチ凹部の中心から隣接するラッチ凹部の中心まで、又はあるラッチ凸部の中心から隣接するラッチ凸部の中心まで延伸していると有用である。
【0030】
本発明の別の有用な態様において、上記操作要素が、押し下げ可能なスライダ又は押し下げ可能な回転アジャスタ(例えば、回転リング又は回転ノブ)として形成されている。操作要素は、例えば、オープン又はクローズド回転/プッシュアジャスタとすることができ、内部がリングである設計においては、タッチパネルを見ることができるため、そこに表示された情報が、タッチ画面の場合と同様に視認可能になり、クローズド構成においては、例えば、専用の表示装置を有することができる。
【0031】
また、上記タッチパネルが、タッチ画面の一部として、静電容量式タッチパッドとして、又は静電容量式タッチフィルムとして形成されていると有用である。
【0032】
さらに、上記操作要素の上記タッチパネルの力覚機能と任意に組み合わせて、力フィードバック機能を備えていると有用である。
【0033】
本発明の別の有用な態様は、上記保持要素が、少なくとも部分的に、上記タッチパネルの上記上面のタッチ面に配置されており、上記操作要素の各移動位置において、上記動き検出エンコーダ要素の少なくとも1つ又は上記第1のばねアームの少なくとも1本と、上記プッシュ検出エンコーダ要素の少なくとも1つ又は上記第2のばねアームの少なくとも1本とが、上記保持要素の上記上面の領域であって、下方に上記タッチパネルの上記上面の上記タッチ面が存在する領域に位置していることである。
【0034】
また、上記操作要素の各移動位置において、上記動き検出エンコーダ要素の少なくとも2つ又は上記第1のばねアームの少なくとも2本と、上記プッシュ検出エンコーダ要素の少なくとも1つ又は上記第2のばねアームの少なくとも1本とが、上記保持要素の上記上面の領域であって、下方に上記タッチパネルの上記上面の上記タッチ面が存在する領域に位置していると有用である。
【0035】
最後に、本発明の別の態様によれば、上記操作ユニットが、上記タッチパネルの上記上面に固定して配置されている、又は上記操作ユニットが、(例えば、上記操作ユニットの磁気ホルダ又は移動可能な機械的保持手段により)上記タッチパネルの上記上面を移動可能である。
【0036】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本発明に係る操作装置を有する車両のセンターコンソールと計器盤の中央部分とを示す図である。
【
図2】
図2は、タッチ式のタッチパネル上の操作装置の操作要素の斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係る多機能ばね要素を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4に係るばね要素が取り付けられた状態で、操作要素が押されていないときの操作要素の部分破断図である。
【
図6】
図6は、
図5と同様の図であって、同様に操作要素が押されていない状態において、ばね要素の伸縮ばね用のカウンタ軸受として、操作要素に連結された部品をさらに示す図である。
【
図7】
図7は、
図6において、操作要素が押されている状態を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態に係る多機能ばね要素を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8に係るばね要素が取り付けられた状態で、操作要素が押されていないときの操作要素の部分破断図である。
【
図10】
図10は、
図9と同様の図であって、同様に操作要素が押されていない状態において、ばね要素の伸縮ばね用のカウンタ軸受として、操作要素に連結された部品をさらに示す図である。
【
図12-13】
図12及び
図13は、
図4から
図11の実施の形態では、走査経路又はラッチ経路の特別な構成と組み合わせて、プッシュエンコーダ要素を特別な構成とすることにより、プッシュハプティクスを実現するのに対し、伸縮ばねによりプッシュハプティクスを実現するための2つの代替案を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に、車両のセンターコンソール10周辺の領域の斜視図を示す。センターコンソール10は、操作装置12を備え、操作装置12は、タッチパネル16を有するタッチ画面14と、タッチ画面14上に配置された本発明に係る操作ユニット18とを備える。20は、タッチ画面14上に表示されている様々なボタンを示す。
【0039】
本実施の形態において、操作ユニット18は、操作要素22として、リング状の回転/プッシュアジャスタ24を有し、これについて、以下、複数の実施の形態を説明する。
【0040】
図2に、回転/プッシュアジャスタ24が、タッチ画面14の上面に配置されている様子を示す斜視図を再掲する。タッチパネル16は、操作ユニット18の要素の空間分解された位置検出に用いられる静電容量式タッチセンサシステム26を有し、これらの要素は、後述するように、回転/プッシュアジャスタ24のねじれ位置及びプッシュ位置に応じて、タッチパネル16のタッチセンサシステム26に容量結合されている。
【0041】
図3は、回転/プッシュアジャスタ24の断面図である。回転/プッシュアジャスタ24は、導電材料からなる又は導電材料で被覆されている操作リング28を有する。操作リング28は、同様にリング状の保持要素30に、回転可能かつプッシュ可能に取り付けられている。操作リング28には、多機能ばね要素32と、略リング形状の追加部品34とが、回転不能に連結されており、追加部品34は、ばね要素32と同様に、操作リング28のねじれ時には、これとともに回転する。操作リング28が押し下げられると、操作リング28は、追加部品34に対して軸方向に移動し、追加部品34には、押し下げ後に操作リング28を自動的に戻すための伸縮ばね用の支持面が形成されている。これらの詳細については、後述する。
【0042】
また、保持要素30の構成要素としては、ラッチ経路38を有するラッチ装置36の一部があり、ラッチ経路38は、同時に、回転/プッシュアジャスタ24のねじれ検出及びプッシュ検出に使用される走査経路40としても機能するが、これについても後述する。
【0043】
以下、
図4から
図7を用いて、本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0044】
図4に、多機能ばね要素32を示す。このばね要素32は、導電材料からなる又はそのような材料で被覆されており、本実施の形態ではリングとして構成されている支持要素42を有する。支持要素42から、3本の第1のばねアーム44が突出しており、その端部に、ワイパ状の延長部46が配置されている。各第1のばねアーム44は、例えば
図5に示すように、各動き検出エンコーダ要素48が、延長部46とともに走査経路40に沿ってスライドすることで、延長部46とともに動き検出エンコーダ要素48として機能する。走査経路40は、交互に並んで配置されている第1の部位50及び第2の部位52を有し、第1の部位50及び第2の部位52は、保持要素30の内面に、すなわち内面に沿ってその周壁から突出して配置されている。第1の部位50は、導電性であり、保持要素30の下面54まで延伸しており、下面54も含めた操作ユニット18全体が、タッチ画面16の上面に載っている。第2の部位52は、非導電性である。部位50及び52は、それぞれ、ラッチ経路38のラッチ凸部56として構成されており、隣接するラッチ凸部の間に、ラッチ凹部58を有する。ここで、操作リング28がねじれると、動き検出エンコーダ要素48が、ラッチ経路38として構成された走査経路40に沿って引かれ、各ねじれ位置において、走査経路40の導電性の第1の部位50の少なくとも1つに接触する。導電性の多機能ばね要素32は、操作リング28に電気的に接続されているため、例えば手の指でタッチ画面に触れた場合など、操作リング28が手で把持されると、動き検出エンコーダ要素48が、タッチ画面16と容量結合する。よって、電気的な検出機能に加えて、動き検出エンコーダ要素48は、ラッチ装置36のラッチ要素59としても働く。
【0045】
図4からわかるように、この多機能ばね要素32は、3本の第2のばねアーム60を有し、その端部に接触端62を有しており、操作リング28が押されると、接触端62を介して、3本の第2のばねアーム60のそれぞれが、走査経路40に接触する。
図5及び
図6に、操作リング28が押されていない状態を示す。第2のばねアーム60の接触端62は、走査経路40の個々の部位50,52の上方にある。操作リング28が押し下げられると、
図7の状態になり、各第2のばねアーム60が、走査経路40の2つの隣接する第1及び第2の部位50,52に接触する。これにより、押された状態において、操作リング28の現在の推定ねじれ位置に起因して既に容量結合が生じている箇所以外の箇所で、タッチ画面16との間にさらなる容量結合が生じる。タッチ画面又はタッチパネルにおいて、操作リング28が押されているときと、押されていないときとで、容量結合が生じて「タッチ」が検出される箇所の数及び位置は互いに異なるため、操作リング28の現在の推定ねじれ位置に加えて、操作リング28が押されたかどうかを区別することができる。
【0046】
押し下げ後の操作リング28の自動的な戻りも、多機能ばね要素32により実現され、このため、多機能ばね要素32は、本実施の形態では、他のばねアーム44及び60と同様に支持要素42から突出する3本の第3のばねアーム64を有する。これらの第3のばねアーム64は、追加部品34において支持面66により支持され、多機能ばね要素32は、追加部品34に対して軸方向に押し下げ可能であり、操作リング28がねじれると、多機能ばね要素32は、追加部品34とともにねじれる。
【0047】
図6において、操作リング26が押されていない状態を説明する。多機能ばね要素32は、部品34に対して、操作リング28の押し下げ量と略等しい間隔を有する。操作リング28が押し下げられると、第3のばねアーム64の湾曲した端部68が、割り当てられた支持面66に沿ってスライドする。これにより、第3のばねアーム64が、押し下げ時に引っ張られ、操作リング28を押し下げ後に再び初期位置に戻すために必要な力が作られる、又はそのようなエネルギーが貯められる。
【0048】
第1の実施の形態では、多機能ばね要素32の電気的機能及び復帰機能について説明したが、以下ではさらにハプティクス機能について述べる。既に上で述べたように、動き検出エンコーダ要素48は、ラッチ経路38とラッチ的に相互作用するラッチ要素59としても機能する。これにより、動き検出にも用いられる同一の要素による回転ハプティクスが実現される。
【0049】
スナップ機能付きのプッシュハプティクスは、例えば、ラッチ経路38における、又は走査経路40の第1及び第2の部位50,52の延長部72における偏向エッジ又は偏向凸部70と組み合わせて、第2のばねアーム60の接触端62に特別な成形(ビーズ69を参照)を施すことにより実現され、これらは、特に追加部品34の誘導(部品34が差し込まれているガイド溝73を参照)及び保持要素30の下面54への接続にも用いられる。この状態を
図6及び
図7に示す。
図7の操作リング28の押し下げ位置において、各第2のばねアーム60の接触端62は、強制的に偏向されている。この強制偏向により、さらなる機械抵抗が生じ、この機械抵抗は、操作リング28の押し下げ時に克服する必要があり、スナップ機能を実現する。
【0050】
あるいは、スナップ機能付きのプッシュハプティクスは、
図12及び
図13に示すように、支持面66を特別な表面構造とすることによっても実現できる。このため、
図12によれば、操作リング28が押し下げ位置にあると推定される場合、各第3のばねアーム64の端部68は、傾斜74まで押し上げられている、又は傾斜74を超えて台地65(
図12では、破線で示す)まで持ち上げられている。しかしながら、代替として又は追加として、操作リング28が押し下げ位置にある場合、各第3のばねアーム64の端部68を、支持面66の凹部76に入れることもできる。必要に応じて、凹部76の前にさらに隆起78を配置することもでき、そのような隆起の前では凹部を省略することもできる。傾斜74又は隆起78のエッジ急峻度並びに、これらが存在する場合、その傾きの程度が、スナップ効果に影響する。
【0051】
操作リング28の押し下げ時には、第3のばねアーム64の力に対して、手動で「作用」する必要がある。そして、押し下げ動作の終盤にかけて、スナップ効果が、克服されるべき上昇した抵抗の形で表れ、その後、時として抵抗の急降下を伴うことがある。
【0052】
したがって、上述したように、多機能ばね要素32は、異なるばねアームにより実現可能な複数の機能を満たす。これらの機能には、回転及びプッシュ位置用の2つの電気的な検出エンコーダ機能並びに2つ、特別な変形例においては3つの機械的機能、すなわち、第1のばねアーム44において波型の(ワイパ)端部を有するラッチ装置による回転ハプティクスと、押し下げ時に機械的に引っ張られる第3のばねアーム64によるプッシュハプティクスと、第2のばねアーム60の接触端62の成形の上述の代替案による押し下げの最終段階における、及び/又は回転/プッシュアジャスタ24の操作要素22の押し下げ時に、第3のばねアーム64の端部68がスライドする支持面66の設計の様々な変形例におけるスナップ機能とが含まれる。よって、単一の部品が、複数の用途に用いられ、本発明に係る操作装置の複数の(電気的及び機械的)特徴を実現し、製造及び組み立てに関して有用となる。
【0053】
図8から
図11に、多機能ばね要素32’の別の実施の形態を示す。
図8から
図11において、
図4から
図7と構造的又は機能的に同じ部分を示す符号について、上記図面で使用されたものと同じ符号を付している。
【0054】
図4から
図7に係る実施の形態と
図8から
図11に係る実施の形態との主な相違は、
図4から
図7の実施の形態におけるラッチ経路又は走査経路の向きが、円周軸方向であるのに対し、
図8から
図11の実施の形態における走査経路又はラッチ経路は、径方向を向いている点にある。そのため、
図8から
図11の実施の形態における走査経路又はラッチ経路は、保持要素30の周壁の内面ではなく、保持要素30のフランジ状の内側凸部上に存在する。したがって、
図8から
図11に係る実施の形態における第1のばねアーム44の接触端62の向きは、
図4から
図7の実施の形態の状態に対して、90度回転している。
【符号の説明】
【0055】
10 センターコンソール
12 操作装置
14 タッチ画面
16 タッチパネル
18 操作ユニット全体
20 タッチ画面上のボタン
22 操作要素
24 リング状の回転/プッシュアジャスタ
26 静電容量式タッチセンサシステム
28 操作リング
30 保持要素
32 多機能ばね要素
32’ 多機能ばね要素
34 追加部品
36 ラッチ装置
38 ラッチ装置のラッチ経路
40 走査経路
42 支持要素
44 第1のばねアーム
46 延長部
48 動き検出エンコーダ要素
50 走査経路の第1の部位
52 走査経路の第2の部位
54 保持要素の下面
56 ラッチ経路のラッチ凸部
58 ラッチ経路のラッチ凹部
59 ラッチ装置のラッチ要素
60 第2のばねアーム
62 第2のばねアームの接触端
64 第3のばねアーム
66 部品における支持面
68 第3のばねアームの湾曲した端部
69 第2のばねアームの接触端におけるビーズ
70 走査経路における偏向凸部
72 延長部
73 部品用のガイド溝
74 支持面における傾斜
75 台地
76 支持面における凹部
78 隆起
【国際調査報告】