(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】3次元視程情報を提供する方法及びそのための視程モデル生成方法
(51)【国際特許分類】
G01S 17/95 20060101AFI20241022BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01S17/95
G01W1/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544615
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 KR2022004352
(87)【国際公開番号】W WO2023146023
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2022-0012996
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0012997
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524126404
【氏名又は名称】イージーディテクター カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】リ ハンナ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA07
5J084AB08
(57)【要約】
本発明は、(a1)送受信機器10が3次元の全方向に電磁波を照射し、後方信号を受信すると、それに電気的に接続される後方信号情報取得モジュール111が所定の3次元限界範囲内の位置座標s毎に後方信号情報L(s)を取得するステップと、(b1)視程情報取得モジュール113が送受信機器10の位置における実際の視程情報を取得するステップと、(c1)視程モデル生成モジュール114が、前記(a1)ステップで取得した各位置座標s毎の後方信号情報L(s)を入力変数とし、前記(b1)ステップで取得した視程情報を出力変数として視程モデルを生成するステップとを含む方法、並びにそれを用いて位置及び方向を考慮した視程情報を提供する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気に電磁波を照射し、大気中の物質により戻ってくる後方信号を受信する送受信機器(10)で視程モデルを生成し、それを用いて視程情報を演算する方法であって、
後方信号情報(L(s))は、位置座標(s)における後方信号の強度を含み、位置座標(s)は、所定の単位値で分けられた3次元座標であり、
(a1)前記送受信機器(10)が3次元の全方向に電磁波を照射し、後方信号を受信すると、それに電気的に接続される後方信号情報取得モジュール(111)が所定の3次元限界範囲内の位置座標(s)毎に後方信号情報(L(s))を取得するステップと、
(b1)視程情報取得モジュール(113)が前記送受信機器(10)の位置における実際の視程情報を取得するステップと、
(c1)視程モデル生成モジュール(114)が、前記(a1)ステップで取得した各位置座標(s)毎の後方信号情報(L(s))を入力変数とし、前記(b1)ステップで取得した視程情報を出力変数として視程モデルを生成するステップとを含む、
方法。
【請求項2】
前記送受信機器(10)がライダー機器であり、かつ前記後方信号が後方散乱信号であるか、又は前記送受信機器(10)がレーダー機器であり、かつ前記後方信号がエコー信号である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(a1)ステップは、
(a11)前記後方信号情報取得モジュール(111)が各位置座標(s)毎に後方信号情報(L(s))に含まれる後方信号の強度を取得するステップと、
(a12)前記後方信号情報取得モジュール(111)が取得した前記後方信号を用いて光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号を演算し、演算した光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号を前記後方信号情報(L(s))に含ませるステップとをさらに含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記(a1)ステップの後に、
(a2)気象情報取得モジュール(112)が前記送受信機器(10)の位置における気象情報を取得するステップをさらに含み、
前記(c1)ステップは、
(c2)前記視程モデル生成モジュール(114)が、前記(a1)ステップで取得した各位置座標(s)毎の後方信号情報(L(s))と前記(a2)ステップで取得した気象情報を入力変数とし、前記(b1)ステップで取得した視程情報を出力変数として視程モデルを生成するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送受信機器(10)は、風向・風速を検知するドップラー送受信機器と、温度・湿度を遠隔測定する遠隔測定送受信機器とを含み、
前記気象情報は、温度・湿度と、風向・風速とを含み、
前記温度・湿度及び風向・風速は、気象情報データベース(220)で確認されたものであるか、ウェザーステーションで確認されたものであるか、又は遠隔測定送受信機器とドップラー送受信機器で確認されたものである、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記(c1)ステップの後に、
(d1)少なくとも1つの前記送受信機器(10)が3次元の全方向に電磁波を照射し、後方信号を受信すると、それに電気的に接続される前記後方信号情報取得モジュール(111)が所定の3次元限界範囲内の位置座標(s)毎に後方信号情報(L(s))を取得するステップと、
(e1)視程情報演算モジュール(121)に基準座標(s0)と方向(D)が入力されると、位置座標確認モジュール(122)が、前記基準位置(s0)から始まり、入力された方向(D)に進んで通過する複数の位置座標(s)を確認するステップと、
(f1)前記視程情報演算モジュール(121)が、前記(e1)ステップで確認した複数の位置座標(s)のそれぞれに対応する後方信号情報(L(s))を確認するステップと、
(g1)前記視程情報演算モジュール(121)が、前記(c1)ステップで生成した視程モデルに前記(f1)ステップで確認した後方信号情報(L(s))を入力することにより、入力された基準座標(s0)から入力された方向(D)への視程情報を演算するステップとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(A)経路データ演算モジュール(131)に経路(P)と経路進行方向(Dp0)が入力されると、前記経路データ演算モジュール(131)が、経路(P)を構成する経路位置座標(Sp)を確認し、入力された経路進行方向(Dp0)をさらに用いることにより、各経路位置座標(Sp)における移動方向(Dp)を確認し、経路位置座標(Sp)と移動方向(Dp)を確認するステップと、
(B)前記視程情報演算モジュール(121)が各経路位置座標(Sp)において経路位置座標(Sp)を基準座標(s0)とし、移動方向(Dp)を方向(D)として視程情報を演算することにより、経路(P)に含まれる各経路位置座標(Sp)における視程情報を演算して提供するステップとを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記(B)ステップの後に、
(C1)出力モジュール(132)が経路(P)を出力し、前記(B)ステップで確認した各経路位置座標(Sp)における視程情報を共に出力するステップをさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記(B)ステップの後に、
(C2)低視程警告モジュール(132)が、前記(B)ステップで確認した各経路位置座標(Sp)における視程情報の値が所定の下限値以下であるか否かを判断し、下限値以下であると判断した場合、それに対応する経路位置座標(Sp)に対して出力モジュール(133)が低視程を警告するステップをさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記経路データ演算モジュール(131)、前記低視程警告モジュール(132)及び前記出力モジュール(133)は、移動体(30)に備えられるものであり、
前記移動体(30)は、自律走行機能を備えるものであり、
前記(C2)ステップは、
(C21)前記低視程警告モジュール(132)が、前記(B)ステップで確認した各経路位置座標(Sp)における視程情報の値が前記所定の下限値以下であるか否かを判断し、下限値以下であると判断した場合、それに対応する経路位置座標(Sp)に対して出力モジュール(133)が自律走行エラーを警告するステップをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記移動体(30)は、ナビゲーションシステム(20)を備えるものであり、
前記(A)ステップは、
(A1)前記ナビゲーションシステム(20)が2つ以上の経路(P)及び経路進行方向(Dp0)を演算し、前記経路データ演算モジュール(131)に前記経路(P)と経路進行方向(Dp0)を入力するステップを含み、
前記(B)ステップは、
(B1)前記視程情報演算モジュール(121)が前記2つ以上の経路(P)のそれぞれについてそれらに含まれる経路位置座標(Sp)における視程情報を演算するステップを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記(B1)ステップの後に、
(C3)前記低視程警告モジュール(132)が、前記(B1)ステップで確認した2つ以上の経路(P)のそれぞれについて各経路位置座標(Sp)における視程情報の値が前記所定の下限値以下であるか否かを判断し、前記出力モジュール(133)が、下限値以下であると判断した経路位置座標(Sp)を含む経路を低視程経路として出力するステップをさらに含む、
請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライダーやレーダーなどの送受信機器、大気学及び人工知能の融合技術に関し、具体的には、送受信機器により確認される信号を機械学習や人工知能などの学習アルゴリズムで情報処理して大気学に適用し、正確な視程情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
視程(visibility)とは、物体や光が見える最大可視距離を意味する。霧があるときや、大気汚染物質が多いときは、視程が短くなる。
【0003】
視程は、高速で移動する移動体(mobility)が安全に走行するための重要な情報である。特に、航空機の運航及び離着陸の可否を決定するための重要指標として用いられている。
【0004】
一般的な視程測定は、人により行われる。空港では、滑走路の近隣において2.5mの高さに視程測定用オブジェクトであるフラグ(flag)を設置しておき、専門観測者がそれを見て視程を決定し、公示している。
【0005】
視程計などの機器を用いて測定することもある。視程計は、カメラにより視程測定用オブジェクトが含まれる映像を確保し、その後映像内でオブジェクトがどの程度の鮮明度で確認されるかにより視程を演算する。その際に、人工知能が共に適用されることもある。
【0006】
特許文献1は、光照射を用いて視程を測定する技術を開示している。特許文献1においては、視程検知部が光を照射し、散乱光を受信して分析することにより、視程減少の程度を算出している。
【0007】
前述した従来技術において、視程は次のような問題を共通して抱えている。
【0008】
第一に、視程測定に方向性がないという問題がある。特定位置における視程は、方向によって異なるが(例えば、北方向の視程は8kmであるが、西方向の視程は5kmであることもある)、従来技術により測定される視程情報は、当該位置における視程を示すにすぎず、方向を考慮していない。方向を考慮していない視程情報だけでは、経路を決定しなければならない航空機又は自動車にとって、どの方向に移動すれば視程が良くなるか、視程を考慮していかなる経路を取るべきかを決定することができない。自律走行する移動体では、低視程時におけるセンサの機能低下により、自律走行の不確実性が非常に大きくなるので、安全に大きな影響を及ぼす。このような理由から、自律走行により自動車が運行される場合であっても、人が運転をする場合であっても、視程が良い道を探し出し、安全な道路で運行する必要がある。
【0009】
第二に、地上に近い場所でのみ視程が測定されるという問題がある。航空機は特に離着陸時にある程度高い高度における視程を確認する必要があるが、現在の視程情報は、地表における視程のみ反映されており、各高度における方向性のある視程を含んでいない。
【0010】
第三に、光照射を用いた視程測定方法は、1地点又は近距離の2地点において光透過方式で大気の散乱吸収の程度により視程を判断するので、地点ベースの視程測定器から数百メートル離れた場所で急速に霧が発生した場合に、霧が発生した地域では視程が低下しているのに、地点ベース又は光透過方式の視程測定器は、当該地点において霧の影響を受けていないと、視程が良いと判断するという問題がある。視程の空間的不均一性が反映されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1912874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。
【0013】
具体的には、従来の方法で視程情報を演算する場合に、正確性が低く、方向も考慮されないという問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、大気に電磁波を照射し、大気中の物質により戻ってくる後方信号を受信する送受信機器10で視程モデルを生成し、それを用いて視程情報を演算する方法であって、後方信号情報L(s)は、位置座標sにおける後方信号の強度を含み、位置座標sは、所定の単位値で分けられた3次元座標であり、(a1)送受信機器10が3次元の全方向に電磁波を照射し、後方信号を受信すると、それに電気的に接続される後方信号情報取得モジュール111が所定の3次元限界範囲内の位置座標s毎に後方信号情報L(s)を取得するステップと、(b1)視程情報取得モジュール113が送受信機器10の位置における実際の視程情報を取得するステップと、(c1)視程モデル生成モジュール114が、前記(a1)ステップで取得した各位置座標s毎の後方信号情報L(s)を入力変数とし、前記(b1)ステップで取得した視程情報を出力変数として視程モデルを生成するステップとを含む方法を提供する。
【0015】
また、送受信機器10がライダー機器であり、かつ前記後方信号が後方散乱信号であるか、又は送受信機器10がレーダー機器であり、かつ前記後方信号がエコー信号であることが好ましい。
【0016】
さらに、前記(a1)ステップは、(a11)後方信号情報取得モジュール111が各位置座標s毎に後方信号情報L(s)に含まれる後方信号の強度を取得するステップと、(a12)後方信号情報取得モジュール111が取得した前記後方信号を用いて光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号を演算し、演算した光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号を前記後方信号情報L(s)に含ませるステップとをさらに含むことが好ましい。
【0017】
さらに、前記(a1)ステップの後に、(a2)気象情報取得モジュール112が送受信機器10の位置における気象情報を取得するステップをさらに含み、前記(c1)ステップは、(c2)視程モデル生成モジュール114が、前記(a1)ステップで取得した各位置座標s毎の後方信号情報L(s)と前記(a2)ステップで取得した気象情報を入力変数とし、前記(b1)ステップで取得した視程情報を出力変数として視程モデルを生成するステップを含むことが好ましい。
【0018】
さらに、送受信機器10は、風向・風速を検知するドップラー送受信機器と、温度・湿度を遠隔測定する遠隔測定送受信機器とを含み、前記気象情報は、温度・湿度と、風向・風速とを含み、前記温度・湿度及び風向・風速は、気象情報データベース220で確認されたものであるか、ウェザーステーションで確認されたものであるか、又は遠隔測定送受信機器とドップラー送受信機器で確認されたものであることが好ましい。
【0019】
さらに、前記(c1)ステップの後に、(d1)少なくとも1つの送受信機器10が3次元の全方向に電磁波を照射し、後方信号を受信すると、それに電気的に接続される後方信号情報取得モジュール111が所定の3次元限界範囲内の位置座標s毎に後方信号情報L(s)を取得するステップと、(e1)視程情報演算モジュール121に基準座標s0と方向Dが入力されると、位置座標確認モジュール122が、基準位置s0から始まり、入力された方向Dに進んで通過する複数の位置座標sを確認するステップと、(f1)視程情報演算モジュール121が、前記(e1)ステップで確認した複数の位置座標sのそれぞれに対応する後方信号情報L(s)を確認するステップと、(g1)視程情報演算モジュール121が、前記(c1)ステップで生成した視程モデルに前記(f1)ステップで確認した後方信号情報L(s)を入力することにより、入力された基準座標s0から入力された方向Dへの視程情報を演算するステップとを含むことが好ましい。
【0020】
さらに、(A)経路データ演算モジュール131に経路Pと経路進行方向Dp0が入力されると、経路データ演算モジュール131が、経路Pを構成する経路位置座標Spを確認し、入力された経路進行方向Dp0をさらに用いることにより、各経路位置座標Spにおける移動方向Dpを確認し、経路位置座標Spと移動方向Dpを確認するステップと、(B)視程情報演算モジュール121が各経路位置座標Spにおいて経路位置座標Spを基準座標s0とし、移動方向Dpを方向Dとして視程情報を演算することにより、経路Pに含まれる各経路位置座標Spにおける視程情報を演算して提供するステップとを含むことが好ましい。
【0021】
さらに、前記(B)ステップの後に、(C1)出力モジュール132が経路Pを出力し、前記(B)ステップで確認した各経路位置座標Spにおける視程情報を共に出力するステップをさらに含むことが好ましい。
【0022】
さらに、前記(B)ステップの後に、(C2)低視程警告モジュール132が、前記(B)ステップで確認した各経路位置座標Spにおける視程情報の値が所定の下限値以下であるか否かを判断し、下限値以下であると判断した場合、それに対応する経路位置座標Spに対して出力モジュール133が低視程を警告するステップをさらに含むことが好ましい。
【0023】
さらに、経路データ演算モジュール131、低視程警告モジュール132及び出力モジュール133は、移動体30に備えられるものであり、移動体30は、自律走行機能を備えるものであり、前記(C2)ステップは、(C21)低視程警告モジュール132が、前記(B)ステップで確認した各経路位置座標Spにおける視程情報の値が前記所定の下限値以下であるか否かを判断し、下限値以下であると判断した場合、それに対応する経路位置座標Spに対して出力モジュール133が自律走行エラーを警告するステップをさらに含むことが好ましい。
【0024】
さらに、移動体30は、ナビゲーションシステム20を備えるものであり、前記(A)ステップは、(A1)ナビゲーションシステム20が2つ以上の経路P及び経路進行方向Dp0を演算し、経路データ演算モジュール131に経路Pと経路進行方向Dp0を入力するステップを含み、前記(B)ステップは、(B1)視程情報演算モジュール121が前記2つ以上の経路Pのそれぞれについてそれらに含まれる経路位置座標Spにおける視程情報を演算するステップを含むことが好ましい。
【0025】
さらに、前記(B1)ステップの後に、(C3)低視程警告モジュール132が、前記(B1)ステップで確認した2つ以上の経路Pのそれぞれについて各経路位置座標Spにおける視程情報の値が前記所定の下限値以下であるか否かを判断し、出力モジュール133が、下限値以下であると判断した経路位置座標Spを含む経路を低視程経路として出力するステップをさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明による方法を適用すると、正確性が高く、位置と方向の両方が考慮された視程情報を提供することができる。また、比較的短い間隔単位で位置及び方向が変更される度に、新たな視程情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による方法を実行するシステムを示す概略図である。
【
図2】
図1に示すシステムをより具体的に示す概略図である。
【
図3】送受信機器が電磁波を照射する方式の例について説明する概念図である。
【
図4】本発明による方法において特定方向Dに応じて視程情報を演算する方法について説明する概念図である。
【
図5】本発明による方法を実行するための学習モデルである視程モデルについて説明する図である。
【
図6】本発明による方法の例について説明する図である。
【
図7】本発明による方法の応用について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明における「送受信機器」とは、電磁波を照射し、大気中の物質により反射又は散乱して戻ってくる後方信号を受信し、それを分析して、例えば後方信号の強度などを確認する機器を意味する。送受信機器は、ライダー機器であってもよく、レーダー機器であってもよい。ライダー機器であれば、後方散乱信号を受信し、その強度により情報を分析する。レーダー機器であれば、エコー信号を受信し、エコー信号により情報を分析する。
【0029】
本発明における「位置座標s」とは、3次元の位置を意味し、3次元座標で表される。例えば、s=x,y,zで表される。基準座標so、経路位置座標spも同様に、3次元座標で表される。3次元座標で表される場合は、所定の単位値を基準に所定の間隔で表される。例えば、100m間隔で表されると、各位置座標sの合計は100mの単位格子のようになる(
図2参照)。
【0030】
本発明における「方向D」とは、特定位置座標sから特定の位置に向かう方向を意味し、3次元座標系において3次元方位角で表される。例えば、D=θx,θy,θzで表される。移動方向Dpも同様に、3次元方位角で表される。
【0031】
本発明における「後方信号情報L(s)」とは、特定位置座標sにおいて送受信機器により確認される情報を意味する。例えば、送受信機器において確認される後方信号の強度を含むものである。また、送受信機器がライダー機器であれば、後方信号である後方散乱信号を用いて演算される光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号をさらに含むものである。もっとも、光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号は、送受信機器において確認される情報を用いて演算されるのではなく、別途の計測装置を直接用いて確認されるなど、他の方法で演算されて確認されることもあるが、その場合も光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号が後方信号情報L(s)に含まれるものとする。
【0032】
本発明における「気象情報」とは、後方信号情報L(s)と共に視程情報演算に用いられる情報であり、温度、湿度、風向、風速などを含むものである。気象情報は、気象庁が提供する気象情報データベースで確認してもよく、送受信機器の近隣に位置するウェザーステーションで確認してもよく、送受信機器がドップラー送受信機器及び遠隔測定送受信機器をさらに含む場合はそれらで確認してもよい。
【0033】
本発明における「視程情報」とは、物体や光が見える最大可視距離を意味し、その単位は距離である。一般的な視程情報は方向Dの概念を含まないが(例えば、仁川空港の視程1km)、本発明における視程情報は特定位置座標sにおける特定高度及び特定方向Dを含む(例えば、仁川空港の高度1kmで東に視程1km)。
【0034】
本発明における「移動体(mobility)」とは、移動可能な任意の物体を意味し、例えば自動車、オートバイなどの車両はもとより、航空機までも含まれる。都市型航空交通(UAM, urban air mobility)も含まれる。
【0035】
以下、図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
【0036】
1.システムについての説明
図1及び
図2を参照して、本発明による方法を実行するシステムについて説明する。
【0037】
図1に示すように、本発明による方法を実行するシステムは、送受信機器10に電気的に接続される制御部100と、後方信号情報データベース210と、視程情報データベース220と、気象情報データベース230とを含む。制御部とデータベース210、220、230は、送受信機器10と同じ位置で同じ装置に備えられてもよく、互いに離隔して個別に配置されてもよい。
【0038】
送受信機器10は、大気に電磁波を照射し、大気中の物質により反射又は散乱して戻ってくる後方信号を受信する。ここで、大気中の物質とは、大気分子、大気中の汚染物質など、大気に位置し、送受信機器10から照射される電磁波を反射又は散乱させる任意の物質を意味する。
【0039】
送受信機器10は、視程モデルを生成するための学習データとして後方信号情報L(s)を取得し、その後視程モデルが生成されると、特定位置、特定方向の視程情報を演算するための実際の資料として後方信号情報L(s)を取得する。1つの送受信機器10が2つの機能の両方を行うようにしてもよく、別途の機器が各機能を行うようにしてもよい。すなわち、視程モデルを生成するための送受信機器10と、視程モデルが生成された後に実際の視程情報を演算するために現在の後方信号情報L(s)を取得するための送受信機器10は、同じものであってもよく、別途の機器であってもよい。
【0040】
送受信機器10は、少なくとも1つ用いられる。後述するように、送受信機器10毎に限界範囲が設定され(例えば、
図2においては3次元格子の最大値)、複数の送受信機器10が用いられる場合は、その数及び位置に応じて限界範囲が大きくなる。
【0041】
制御部100は、送受信機器10から受信される後方信号を取得し、それにより各位置座標s毎に後方信号情報L(s)を取得する。また、それを用いて視程モデルを生成し、生成した視程モデルをさらに用いて特定位置座標sにおける特定方向Dの視程情報を演算する。具体的な方法については後述する。
【0042】
制御部100は、別個のナビゲーションシステム20又は移動体30に無線通信可能に電気的に接続され、制御部100により演算された視程情報をナビゲーションシステム20や移動体30に伝達する。
【0043】
図2に示すように、制御部100は、後方信号情報取得モジュール111と、気象情報取得モジュール112と、視程情報取得モジュール113と、視程モデル生成モジュール114と、視程情報演算モジュール121と、経路データ演算モジュール131と、低視程警告モジュール132と、出力モジュール133と、通信モジュール190とを含む。各モジュールの機能については方法の説明と併せて後述する。
【0044】
ナビゲーションシステム20とは、現在位置と地図を共に出力することのできる任意のナビゲーションプログラムが実行される端末機を意味する。
【0045】
ナビゲーションシステム20は、移動体30に備えられるものであってもよい。よって、移動体30が視程情報を受信することは、移動体30に備えられるナビゲーションシステム20が視程情報を受信することであってもよい。当然ながら、移動体30の様々な動作を制御する移動体30の制御部(図示せず)が視程情報を受信して用いるようにしてもよい。
【0046】
一方、同図において制御部100に含まれるように示すモジュールの一部は、ナビゲーションシステム20や移動体30に備えられてもよい。例えば、
図2において、経路データ演算モジュール131、低視程警告モジュール132及び出力モジュール133は、制御部100に含まれるように示すが、ナビゲーションシステム20や移動体30に配置されてもよい。
【0047】
2.視程モデル生成方法についての説明
本発明は、視程情報を演算するために、視程モデルを生成する。
図3及び
図5を参照して、本発明による視程モデル生成方法について説明する。
【0048】
まず、視程モデル生成のためのデータ取得のために、送受信機器10が3次元の全方向に電磁波を照射する。照射した電磁波が大気中の物質により反射又は散乱すると後方信号が生成され、送受信機器10がそれを受信して後方信号情報取得モジュール111に伝達する。後方信号情報取得モジュール111は、受信した後方信号に基づいて、後方信号の強度を含む後方信号情報L(s)を取得する。
【0049】
ここで、送受信機器10が3次元の全方向に電磁波を照射する点に注意する。
図3に示すように、送受信機器10の位置を中心に3次元の全方向に電磁波が照射され、後方信号が受信される。
【0050】
3次元の全方向に電磁波を照射する方法には、いかなる方法を用いてもよい。例えば、放射状に全方向に電磁波を照射し、その後所定の範囲内で送受信の高度角を変更して放射状の照射を繰り返すことにより行う。
図3に示すように、まず水平の高さで放射状に全方向であるR1方向に照射し、その後送受信の高度角を所定の単位で変更してR2、R3などの方向に照射を数回繰り返すことにより行う。
【0051】
送受信機器10が3次元の全方向に電磁波を照射するので、全ての位置座標sにおいて各位置座標s毎に後方信号情報L(s)が取得される。しかし、位置座標sが無限大であるのではなく、送受信機器11の照射特性に応じて所定の3次元限界範囲内の全ての位置座標sにおいて取得される。
図3の例において、格子の最大数値が限界範囲であり、各位置座標sにおいて個別に後方信号情報L(s)が取得される。
【0052】
取得した後方信号情報L(s)は、後方信号情報データベース210に保存される。よって、ユーザは、後方信号情報データベース210に位置座標sを入力すると、当該位置座標sにおける後方信号情報L(s)を確認することができる。
【0053】
次に、視程情報取得モジュール113は、送受信機器10の位置(
図3においては中心位置)を基準位置s0として実際の視程情報を取得する。
【0054】
次に、
図5に示すように、視程モデル生成モジュール114は、前述したように取得した各位置座標s毎の後方信号情報L(s)を入力変数とし、実際の視程情報を出力変数として視程モデルを生成する。モデルの生成は、機械学習をはじめとする人工知能により行われてもよく、回帰分析などの様々な学習アルゴリズムにより行われてもよい。
【0055】
本発明の一実施形態において、入力変数である後方信号情報L(s)は、後方信号の強度以外に、光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号をさらに含んでもよい。
【0056】
後方信号情報取得モジュール111は、送受信機器10から取得した後方信号を用いて、光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号を演算する。各演算方法は周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。あるいは、光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号を直接計測する別途の計測機器を用いてもよい。
【0057】
このように、後方信号の強度以外に、光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号をさらに用いて学習すると、モデルの正確性が向上する。
【0058】
本発明の他の実施形態において、入力変数として気象情報をさらに用いる。
【0059】
気象情報取得モジュール112が送受信機器10の位置(又は気象情報が確認されるその近隣の位置)における実際の気象情報を取得し、後方信号情報L(s)と共に入力変数として用いて視程モデルを生成する。気象情報は、気象庁の気象情報データベース230から取得したものであってもよく、別途のウェザーステーションを用いて直接計測したものであってもよく、送受信機器10に含まれるドップラー送受信機器及び遠隔測定送受信機器で測定したものであってもよい。例えば、気象情報は、温度と、湿度と、風向・風速とを含むが、それぞれは気象情報データベース230又は別途のウェザーステーションを用いて確認してもよく、送受信機器10に含まれて風向・風速を確認できるドップラー送受信機器、並びに温度及び湿度を確認できる遠隔測定送受信機器で確認してもよい。
【0060】
このように、後方信号情報L(s)以外に、気象情報をさらに用いて学習すると、モデルの正確性が向上する。
【0061】
本発明のさらに他の実施形態において、後方信号情報L(s)が不確実であるか、欠落した位置座標L(s)がある場合、後方信号情報取得モジュール111は、隣接する座標の後方信号情報L(s)を用いて、補間法(interpolation)により当該位置座標sの後方信号情報L(s)を推定して確認するようにしてもよい。
【0062】
3.視程モデルを用いた視程情報演算方法についての説明
前述したように視程モデルが生成されると、それに位置座標sと方向Dを入力して視程情報を確認する。以下、視程情報を確認しようとする位置の座標を基準座標s0という。
図4を参照して説明する。
【0063】
視程モデルが生成された状態で、実際の視程情報を確認しようとする位置又はその近隣の位置に備えられる送受信機器10が3次元の全方向に電磁波を照射すると、後方信号情報取得モジュール111が所定の3次元限界範囲内の各位置座標s毎に後方信号情報L(s)を取得する。後方信号情報L(s)の取得方法は、視程モデル生成時に用いた方法と同様である。
【0064】
その後、視程情報を確認しようとする位置である基準座標s0と、視程情報を確認しようとする方向Dを視程情報演算モジュール121に入力する。
図4においては、基準座標をs0で示し、方向をDで示す。
図4の例において、s0の座標は(0,0,0)であり、Dはx軸方向と同一である。
【0065】
視程情報演算モジュール121は、基準位置s0から始まり、入力された方向Dに進んで通過する全ての位置座標sを確認する。後方信号情報データベース210に保存されている各位置座標s毎の後方信号情報L(s)は、測定する3次元限界範囲内でのみ有効であるので、位置座標sが無限であるわけではない。
図4の例において、s0、s1、s2、s3、s4、s5の6個の位置座標sが確認される。3次元座標系においては、(0,0,0)、(1,0,0)、(2,0,0)、(3,0,0)、(4,0,0)、(5,0,0)の6個の座標である。
【0066】
次に、視程情報演算モジュール121は、前述したように確認した位置座標sに対応する後方信号情報L(s)を確認し、それを視程モデルに入力すると、当該方向Dへの視程情報が演算される。すなわち、入力された基準座標s0から入力された方向Dへの視程情報が演算される。
【0067】
このように演算した視程情報は、方向Dを考慮したものであることに注目すべきである。方向Dが異なると、選択される位置座標sが異なり、それに応じて後方信号情報L(s)が異なるので、異なる視程情報が演算される。
図4の例において、方向Dがx軸方向であるので、(0,0,0)、(1,0,0)、(2,0,0)、(3,0,0)、(4,0,0)、(5,0,0)の位置座標が確認されるが、x軸とz軸の間の45度の方向であれば、(0,0,0)、(1,0,1)、(2,0,2)、(3,0,3)、(4,0,4)、(5,0,5)の位置座標が確認され、当該座標に対応する後方信号情報L(s)が異なるので、異なる視程情報が演算される(当然ながら、当該位置座標sの後方信号情報L(s)が
図4に示す例と同一であれば、同じ視程情報が演算される。)。よって、特定位置に基づいて方向Dを考慮せずに視程情報を提供する従来技術に比べて、当該方向Dに特化されるので、正確性が大幅に向上した視程情報を提供することができる。
【0068】
これらの例から分かるように、送受信機器10の位置は、視程情報を確認しようとする基準位置s0と同一である必要がない。
図4に示す例において、基準位置s0の座標が(0,0,0)ではなく、他のいかなる座標であってもよく、それにいかなる方向Dが印加されても、視程モデルに入力すべき位置座標sが確認される。
【0069】
また、視程モデルを生成するための十分な数の送受信機器10を用いることにより、限界範囲がなくなる程度の実質的に全ての大気における後方信号情報L(s)が確認されるなら、視程モデルに入力するための当該方向Dへの位置座標sの数を任意に設定してもよい。例えば、基準位置s0と方向Dが入力されると、基準位置s0から始まり、当該方向Dに進む位置座標sのうち100個のみ確認し、視程モデルに入力するように設定してもよい。
【0070】
図6を参照して、他の例について説明する。
図6に示す例は、移動体30が移動すると仮定して視程情報を確認するものである。
【0071】
移動体30は、基準座標s10から出発して、y軸方向D1、z軸方向D2、x軸方向D3、z軸方向D4に順次移動する。
【0072】
D1方向の移動において、s10を基準座標とし、D1を方向として限界範囲まで位置座標s10、s11、s12、s13、s14、s15の6個の座標を確認する。これを視程モデルに入力するとs10の位置からD1方向への視程情報が演算される。
【0073】
次に、D2方向の移動において、s20を基準座標とし(これは、s15と同一である)、D2を方向として限界範囲まで位置座標s20からs210の11個の座標を確認する。これを視程モデルに入力すると、s20の位置からD2方向への視程情報が演算される。
【0074】
同様に、D3方向の移動において、s30からs35までの6個の座標を確認し、視程モデルに入力すると、s30の位置からD3方向への視程情報が演算され、D4方向の移動において、s40からs43まで4個の座標を確認し、視程モデルに入力すると、s40の位置からD4方向への視程情報が演算される。
【0075】
こうすることにより、移動体30が移動しようとする場合に、各経路に応じて特定位置から特定方向への視程情報を確認することができ、移動中であってもリアルタイムで演算することができる。
【0076】
一方、前述した本発明の一実施形態のように、入力変数である後方信号情報L(s)が後方信号の強度以外に、光消滅係数、エアロゾル消滅係数及び偏光信号をさらに含む場合も、同様に演算することができる。
【0077】
前述した本発明の他の実施形態のように、気象情報をさらに用いる場合は、気象情報取得モジュール112が視程情報を確認しようとする位置である基準位置s0における気象情報をさらに取得し、視程モデルに入力しなければならない。正確な基準位置s0における気象情報の取得が難しい場合は、取得可能な隣接位置における気象情報を入力する。気象情報の入力により、さらに正確に視程情報を演算することができる。
【0078】
4.本発明による方法の応用技術
本発明による方法は、特定位置から特定方向への視程情報をリアルタイムかつ正確に演算することができるので、様々な分野に応用することができる。
【0079】
4.1.各位置毎の視程情報の提供
従来の視程情報が位置毎に異なる視程情報を反映していないのに対して、本発明による方法はさらに細かな位置と方向毎に異なる視程情報を正確に演算して提供することができる。例えば、
図2に示すように、座標の間隔である所定の単位値毎に視程情報を提供することができる。よって、地図にそれを出力することにより、さらに正確な位置毎の視程情報を提供することができる。ここで、ユーザが方向を入力すると、各位置から入力された方向への視程情報が提供され、他の方向に変更すると、当該方向への視程情報が提供される。
【0080】
4.2.ナビゲーションシステムにおける経路案内
位置と方向に応じて視程情報を提供することができるので、ナビゲーションシステム20において経路にそれを適用すると、視程が良好な経路を提供することができる。
図7を参照して、より詳細に説明する。
【0081】
図7の(a)は、従来技術においてナビゲーションシステム20により経路Pと経路進行方向Dp0が演算された状態を示す図である。経路進行方向Dp0は、出発点と到着点を用いて確認される。
図7の(a)の例においては、右下から左上に進行する方向である。
【0082】
このように演算された経路P及び経路進行方向Dp0は、本発明によるシステムの制御部100の経路データ演算モジュール131に入力される。経路Pと経路進行方向Dp0が入力されると、経路データ演算モジュール131は、経路Pを構成する経路位置座標Spを確認し、入力された経路進行方向Dp0をさらに用いることにより、各経路位置座標Spにおける移動方向Dpを確認する。移動方向Dpは、当該地点において運転者が向かう方向となる。
【0083】
ここで、位置座標sの間隔である範囲値(例えば、100m)が用いられる。
図7の(a)のように設定された経路Pに所定の範囲値の格子が投影され、経路Pに対応する位置座標s又は経路Pと所定の距離内で離隔した位置座標sが確認され、経路位置座標Spとなる。
図7の(b)は、それを示す図である。また、各経路位置座標Spにおいて経路進行方向Dp0を考慮すると、各移動方向Dpが確認される。
図7の(c)は、それを共に示す図である。
図7の(c)の例においては、計19個の経路位置座標Spとそれぞれにおける移動方向Dpが確認される。
【0084】
これら19個の経路位置座標Sp及び移動方向Dpがそれぞれ基準位置s0及び方向dとなるので、予め生成された視程モデルに入力すると、各経路位置座標Spにおける視程情報が演算される。
【0085】
出力モジュール133により演算された視程情報は、経路と共に出力される。数値で出力してもよく、
図7の(d)に示すように、色又はパターン(斜線やドットの網かけなど)で出力してもよい。
【0086】
一方、
図7の(d)においては2次元上で車両が運行する場合を例に挙げて説明したが、z軸が変数として設定されており、高度の変化に応じた視程情報を演算することができるので、UAMなどの航空機にも適用できることは言うまでもない。
【0087】
本発明の一実施形態において、低視程警告モジュール132は、各経路位置座標Spにおける視程情報の値が所定の下限値以下であるか否かを判断して警告するようにしてもよい。
図7の(d)のように出力されると、出力モジュール133が低視程位置を警告するようにしてもよい。
【0088】
経路データ演算モジュール131、低視程警告モジュール132及び出力モジュール133は、移動体30に位置するナビゲーションシステム20に備えられるが、その場合、移動体30は、通信モジュール190により制御部100から視程情報を受信し、その後それ自体が演算し、
図7の(d)のように、経路Pと共に視程情報と低視程警告を出力する。
【0089】
ナビゲーションシステム20が2つ以上の異なる経路を提案する場合であれば、視程が良好な経路を推薦する方法も可能である。例えば、低視程警告モジュール132は、2つ以上の経路Pのそれぞれについて各経路位置座標Spにおける視程情報の値が所定の下限値以下であるか否かを判断し、出力モジュール133は、下限値以下であると判断した経路位置座標Spを含む経路を低視程経路として出力する。あるいは、非常に視程が悪い経路は提案しないようにしてもよい。
【0090】
4.3.自律走行警告
移動体30がRGBカメラ及び小型ライダー、レーダー機器により検知した情報に基づく自律走行機能を備えるものであれば、低視程状態では自律走行エラーが発生する可能性が高いので、それを警告するようにしてもよい。
【0091】
すなわち、低視程警告モジュール132は、各経路位置座標Spにおける視程情報の値が前記所定の下限値以下であるか否かを判断し、下限値以下であると判断した場合、それに対応する経路位置座標Spに対して出力モジュール133が自律走行エラーを警告するようにしてもよい。
【国際調査報告】