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特表2024-539749新規な抗体-サイトカイン融合タンパク質及びその製造方法と使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】新規な抗体-サイトカイン融合タンパク質及びその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20241022BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20241022BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241022BHJP
   A61K 35/768 20150101ALI20241022BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20241022BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20241022BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20241022BHJP
   C12N 15/26 20060101ALN20241022BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/55
C07K16/24
A61K38/20
A61K47/68
A61K35/768
A61P35/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P31/18
A61P31/12
A61P37/04
A61P35/02
A61K35/17
A61K39/395 N
A61K39/00 H
C12N15/62 Z
C12N15/26
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546350
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2022109997
(87)【国際公開番号】W WO2023061005
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】202111196510.7
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524144822
【氏名又は名称】ラッティコン (スージョウ) バイオファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】リー ジョン ユエファ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC35
4C076CC41
4C076CC42
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA42
4C084BA44
4C084DA12
4C084MA01
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084NA15
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZB33
4C084ZC75
4C085AA03
4C085AA14
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087BC83
4C087MA01
4C087MA02
4C087NA13
4C087NA14
4C087NA15
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB33
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA04
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
新規な抗体-サイトカイン融合タンパク質を提供する。該抗体-サイトカイン融合タンパク質を含む二重特異性分子、免疫コンジュゲート、該抗体-サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸分子、並びに該核酸分子を含むベクター及び宿主細胞を更に提供する。該抗体-サイトカイン融合タンパク質を製造する方法、該抗体-サイトカイン融合タンパク質を含む医薬組成物、該抗体-サイトカイン融合タンパク質又はその医薬組成物を用いた疾患の治療方法並びに疾患の治療における該抗体-サイトカイン融合タンパク質又はその医薬組成物の使用を更に提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトインターロイキン-2(hIL-2)変異タンパク質であって、前記hIL-2変異タンパク質は、以下の特性、
(1)前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して少なくとも1つのアミノ酸変異を含む、
(2)前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2と比較して、抗IL-2抗体又はその抗原結合断片に結合する能力を得る、及び
(3)前記アミノ酸変異はhIL-2の生物学的活性に顕著な影響を与えない
のうちの少なくとも1つを含み、
好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は前記野生型hIL-2の生物学的活性を保持し、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、IL-2受容体αサブユニット(IL2Rα)と競合して前記hIL-2変異タンパク質に結合することができ、前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片との結合は、前記hIL-2変異タンパク質と前記IL2Rαとの結合をブロックすることができるか、
又は、好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2と90%以上のアミノ酸配列同一性、より好ましくは93%以上のアミノ酸配列同一性を有するか、
又は、好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して1つ以上のアミノ酸変異を含む、hIL-2変異タンパク質。
【請求項2】
前記hIL-2変異タンパク質の前記アミノ酸変異は、前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との結合界面に位置し、好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して第64位、第90位及び/又は第104位に1つ以上のアミノ酸変異を含む、請求項1に記載のhIL-2変異タンパク質。
【請求項3】
配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して、前記hIL-2変異タンパク質は、以下の変異、(1)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第64位におけるKのG、S、T、C、Y、N若しくはQへの変異、(2)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第90位におけるNのR、K若しくはHへの変異、又は(3)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第104位におけるMのE若しくはDへの変異、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は請求項2に記載のhIL-2変異タンパク質。
【請求項4】
前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して、以下のアミノ酸変異、
(1)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第64位におけるアミノ酸変異K64G、
(2)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第90位におけるアミノ酸変異N90R、及び
(3)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第104位におけるアミノ酸変異M104E
のうちの1つ以上を含み、
好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するK64G及び/若しくはN90Rのアミノ酸変異を有するか、
又は、好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するK64G、N90R及びM104Eのアミノ酸変異を有するか、
より好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するK64G及びN90Rのアミノ酸変異を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質。
【請求項5】
前記hIL-2変異タンパク質の前記アミノ酸変異は、前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との結合界面の外に位置し、
好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対してアミノ酸配列のN末端の最初の3つ若しくは5つのアミノ酸の削除を含むか、若しくは配列番号1に示される野生型hIL-2に対して前記アミノ酸配列のN末端の3番目のアミノ酸残基のアミノ酸変異を含み、かつ/若しくは配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して第125位にアミノ酸変異を有するか、
又は、好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質はアミノ酸変異を含み、前記アミノ酸変異は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列の最初の3つのN末端アミノ酸の削除、及び/若しくは配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第125位におけるアミノ酸変異C125A、C125L、C125S、C125Q若しくはC125Vを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質。
【請求項6】
抗IL-2抗体又はその抗原結合断片であって、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の特性、
(1)前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、IL2Rαと競合して請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質に結合することができ、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質とIL2Rα若しくは前記IL2Rαサブユニットを含むIL-2受容体複合体との結合を競合的にブロックすることができる、
(2)前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片と請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質との結合親和性値(K)は<5×10-8M、若しくは好ましくは<1×10-8M、<5×10-9M、若しくは<1×10-9M、若しくは<5×10-10M、若しくはより好ましくは<6×10-10Mである、及び/又は
(3)前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片と請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質との解離速度定数(Kdis若しくはKoff)は<5×10-3-1、<1×10-3-1、<5×10-4-1、若しくは<3×10-4-1である
のうちの少なくとも1つを含む、抗IL-2抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗IL-2抗体は、抗マウスIL-2(mIL-2)抗体及びそのヒト化抗体からなる群から選択され、更に、前記抗mIL-2抗体は、mIL-2とマウスIL2Rα(mIL2Rα)との結合部位を特異的に識別する抗mIL-2抗体から選択され、前記抗mIL-2抗体は請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質と交差反応することができるか、
又は、好ましくは、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A若しくはD、X2=L若しくはM)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E若しくはD、X3=N、S若しくはG)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V、I、R若しくはT、Z3=Y、L、H若しくはW、Z4=S、T、A、R、N、D、Q、E、H、I、L、K、F、P、W、Y若しくはV、若しくは好ましくは、Z2=V若しくはI、Z3=Y若しくはL、Z4=S若しくはT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D、Y、N、H、I、L若しくはF、Z6=G、S、A、R、N、Q、I、L、T若しくはD、若しくは好ましくは、Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S、Q、R、T、W若しくはY、Z8=T若しくはG、X4=D、S若しくはT、若しくは好ましくは、Z7=S若しくはQ、Z8=T、X4=S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHYSTPYT(配列番号12に示される)であるLCDR3を含む
請求項6に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7、配列番号13又は配列番号14に示されるHCDR1、配列番号8、配列番号15、配列番号16又は配列番号19に示されるHCDR2、配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号29又は配列番号34に示されるHCDR3、及び配列番号10、配列番号26、配列番号27、配列番号30、配列番号31、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43又は配列番号44に示されるLCDR1、配列番号11、配列番号17、配列番号18、配列番号28、配列番号32又は配列番号33に示されるLCDR2、配列番号12又は配列番号38に示されるLCDR3を含む、請求項6又は請求項7に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
(1)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)配列番号13若しくは配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15若しくは配列番号16に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号18に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A、X2=M)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E又はD、X3=G)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V、I、R若しくはT、Z3=Y、L、H若しくはW、Z4=S、T、A、R、N、D、Q、E、H、I、L、K、F、P、W、Y若しくはV、又は好ましくはZ2=V若しくはI、Z3=Y若しくはL、Z4=S若しくはT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D、Y、N、H、I、L若しくはF、Z6=G、S、A、R、N、Q、I、L、T若しくはD、又は好ましくはZ5=D若しくはY、Z6=G若しくはS)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S、Q、R、T、W若しくはY、Z8=T若しくはG、X4=D、S若しくはT、又は好ましくはZ7=S若しくはQ、Z8=T、X4=S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHYSTPYT(配列番号12に示される)であるLCDR3を含む、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、若しくは
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、若しくは
(3)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9、配列番号20、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含むか、
又は、好ましくは、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、若しくは
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含むか、
又はより好ましくは、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、即ち、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む
請求項10に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号5、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号63、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号86又は配列番号112に示される配列と少なくとも85%の同一性を有する重鎖可変領域VH、及び
配列番号6、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号64、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110又は配列番号111に示される配列と少なくとも85%の同一性を有する軽鎖可変領域VL
を含む、請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに/又は以下のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号45、配列番号47若しくは配列番号49に示されるVH及び/若しくは配列番号46、配列番号48若しくは配列番号50に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、若しくは好ましくは、それぞれ配列番号49に示されるVH及び/若しくは配列番号48若しくは配列番号50に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57若しくは配列番号58に示されるVH及び/若しくは配列番号48に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号49に示されるVH及び/若しくは配列番号59、配列番号60若しくは配列番号62に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号63に示されるVH及び/若しくは配列番号64に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含むか、
あるいは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに/又は以下のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域、即ち、それぞれ配列番号63及び配列番号65~配列番号75のいずれかに示されるVH、及び/又は配列番号76~配列番号79のいずれかに示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、
あるいは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに/又は以下のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号71に示されるVH及び/若しくは配列番号76に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号72に示されるVH及び/若しくは配列番号77に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号72若しくは配列番号74に示されるVH及び/若しくは配列番号76若しくは配列番号79に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号74若しくは配列番号75に示されるVH及び/若しくは配列番号77若しくは配列番号78に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項6から請求項12のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質であって、
(1)配列番号1に示される野生型hIL-2、又はその変異タンパク質と、
(2)抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と、
(3)hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面に含まれるジスルフィド結合と
を含み、
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、hIL-2又はその変異タンパク質に特異的に結合することができ、前記hIL-2又はその変異タンパク質とIL2Rα又はIL2Rαを含むIL-2受容体複合体(即ち、IL2Rα/β又はIL2Rα/β/γ)との結合を競合的にブロックすることができ、
前記ジスルフィド結合は、前記抗原-抗体結合界面の前記hIL-2又はその変異タンパク質における少なくとも1つのシステイン変異及び前記抗原-抗体結合界面の前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片における少なくとも1つのシステイン変異を導入することによって形成され、
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、IL2Rα、又はαβヘテロ二量体(即ち、IL2Rα/β)、又はαβγヘテロ三量体(即ち、IL2Rα/β/γ)に結合できないが、IL2Rβ及びγから構成される二量体受容体(即ち、IL2Rβ/γ)への結合活性及び機能活性を保持する、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項15】
前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片と前記hIL-2変異タンパク質との結合親和性(K)は<5×10-8M、若しくは好ましくは、<1×10-8M、<5×10-9M、若しくは<1×10-9M、若しくは<5×10-10M、若しくはより好ましくは、<6×10-10Mであり、かつ/又は前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片と前記hIL-2変異タンパク質との解離速度定数(Kdis若しくはKoff)は<5×10-3-1、<1×10-3-1、<5×10-4-1、若しくは<3×10-4-1である、請求項14に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項16】
前記hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、hIL-2若しくはその変異タンパク質とIL2Rαとの結合界面を包含するか、又は前記抗原-抗体結合界面は、hIL-2若しくはその変異タンパク質とIL2Rαとの前記結合界面に部分的に重なるか、
あるいは、前記hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2又はその変異タンパク質のABループ、Bヘリックス、Cヘリックス、BCループ及び/若しくはCDループに位置し、又は好ましくはABループ、Bヘリックス、Cヘリックス及びCDループに位置し、前記hIL-2又はその変異タンパク質のIL2Rα結合界面は、前記hIL-2又はその変異タンパク質のABループ及びBヘリックスに位置するか、
あるいは、前記hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2又はその変異タンパク質の第30位~第45位若しくはその隣接するアミノ酸残基、第57位~第77位若しくはその隣接するアミノ酸残基、及び/又は第90位~第111位若しくはその隣接するアミノ酸残基に位置する、請求項14又は請求項15に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項17】
前記hIL-2変異タンパク質のアミノ酸変異は、前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片との前記結合界面に位置するか、又は好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して第64位、第90位及び/若しくは第104位に1つ以上のアミノ酸変異を含む、請求項14から請求項16のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項18】
配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して、前記hIL-2変異タンパク質は、以下の変異、(1)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第64位におけるKのG、S、T、C、Y、N若しくはQへの変異、(2)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第90位におけるNのR、K若しくはHへの変異、又は(3)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第104位におけるMのE若しくはDへの変異、のうちの少なくとも1つを含む、請求項14から請求項17のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質。
【請求項19】
前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対する以下のアミノ酸変異、
(1)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第64位におけるアミノ酸変異K64G、
(2)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第90位におけるアミノ酸変異N90R、及び
(3)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第104位におけるアミノ酸変異M104E
のうちの1つ以上を含み、
好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するアミノ酸変異K64G及び/若しくはN90Rを有し、若しくは好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するアミノ酸変異K64G、N90R及びM104E(配列番号3に示される)を有するか、
又はより好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するアミノ酸変異K64G及びN90R(配列番号2に示される)を有する、請求項14から請求項18のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項20】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、抗マウスIL-2(mIL-2)抗体及びそのヒト化抗体からなる群から選択され、更に、前記抗mIL-2抗体は、mIL-2とマウスIL2Rα(mIL2Rα)との結合部位を特異的に識別する抗mIL-2抗体から選択され、前記抗mIL-2抗体は前記hIL-2変異タンパク質と交差反応することができ、前記抗IL-2抗体は、hIL-2のIL2Rα結合部位を特異的に識別することができる他の抗IL-2ヒト化抗体、若しくはその抗原結合断片であることもでき、又は好ましくは前記他の抗IL-2ヒト化抗体はNARA1及びTCB2から選択され、
好ましくは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、即ち、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A又はD、X2=L又はM)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E又はD、X3=N、S又はG)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V、I、R若しくはT、Z3=Y、L、H若しくはW、Z4=S、T、A、R、N、D、Q、E、H、I、L、K、F、P、W、Y若しくはV、又は好ましくはZ2=V若しくはI、Z3=Y若しくはL、Z4=S若しくはT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D、Y、N、H、I、L若しくはF、Z6=G、S、A、R、N、Q、I、L、T若しくはD、又は好ましくは、Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S、Q、R、T、W又はY、Z8=T又はG、X4=D、S又はT、好ましくは、Z7=S又はQ、Z8=T、X4=S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHYSTPYT(配列番号12に示される)であるLCDR3を含む、請求項14から請求項19のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項21】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号7、配列番号13又は配列番号14に示されるHCDR1、配列番号8、配列番号15、配列番号16又は配列番号19に示されるHCDR2、配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号29又は配列番号34に示されるHCDR3、
配列番号10、配列番号26、配列番号27、配列番号30、配列番号31、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43又は配列番号44に示されるLCDR1、配列番号11、配列番号17、配列番号18、配列番号28、配列番号32又は配列番号33に示されるLCDR2、及び配列番号12又は配列番号38に示されるLCDR3
を含む、請求項14から請求項20のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項22】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
(1)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)配列番号13若しくは配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15若しくは配列番号16に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号18に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、
好ましくは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質中の前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、即ち、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸を有するLCDR3、又はそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項20又は請求項21に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項23】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A、X2=M)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E又はD、X3=G)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V、I、R又はT、Z3=Y、L、H又はW、Z4=S、T、A、R、N、D、Q、E、H、I、L、K、F、P、W、Y又はV、好ましくは、Z2=V又はI、Z3=Y又はL、Z4=S又はT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D、Y、N、H、I、L又はF、Z6=G、S、A、R、N、Q、I、L、T又はD、好ましくは、Z5=D又はY、Z6=G又はS)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S、Q、R、T、W又はY、Z8=T又はG、X4=D、S又はT、好ましくは、Z7=S又はQ、Z8=T、X4=S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHYSTPYTであるLCDR3を含み、
好ましくは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに以下の軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9、配列番号20、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含むか、
あるいは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、若しくはそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、
好ましくは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、即ち、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項20から請求項22のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項24】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号5、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号63、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号86又は配列番号112に示される配列と少なくとも85%の同一性を有する重鎖可変領域VH、及び
配列番号6、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号64、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110又は配列番号111に示される配列と少なくとも85%の同一性を有する軽鎖可変領域VL
を含む、請求項14から請求項23のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項25】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに以下のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号45、配列番号47若しくは配列番号49に示されるVH及び/若しくは配列番号46、配列番号48若しくは配列番号50に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、それぞれ配列番号49に示されるVHアミノ酸配列、及び/若しくは配列番号48若しくは配列番号50に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57若しくは配列番号58に示されるVH及び/若しくは配列番号48に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号49に示されるVHアミノ酸配列、及び/若しくは配列番号59、配列番号60若しくは配列番号62に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号63に示されるVH及び/若しくは配列番号64に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含むか、
あるいは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに/又は以下のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域、即ち、それぞれ配列番号63及び配列番号65~配列番号75のいずれかに示されるVH、並びに/又は配列番号76~配列番号79のいずれかに示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、
あるいは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに/又は以下のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号71に示されるVH及び/若しくは配列番号76に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号72に示されるVH及び/若しくは配列番号77に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号72若しくは配列番号74に示されるVH及び/若しくは配列番号76若しくは配列番号79に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号74若しくは配列番号75に示されるVH及び/若しくは配列番号77若しくは配列番号78に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項14から請求項24のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項26】
前記IL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面はジスルフィド結合を含み、前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2変異タンパク質とIL2Rαとの結合界面に重なり、更に、前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2変異タンパク質のABループ、Bヘリックス、Cヘリックス、BCループ及びCDループに位置し、好ましくは前記hIL-2変異タンパク質の第41位~第45位若しくはその隣接するアミノ酸残基、第57位~第68位若しくはその隣接するアミノ酸残基、及び/又は第90位~第107位若しくはその隣接するアミノ酸残基に位置し、前記ジスルフィド結合は、前記抗原-抗体結合界面の前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片に導入された少なくとも1つのシステイン残基及び前記抗原-抗体結合界面の前記hIL-2変異タンパク質に導入された少なくとも1つのシステイン残基によって形成され、
好ましくは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記ジスルフィド結合を形成するために導入された2つ以上のシステイン残基を含む
請求項14から請求項25のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項27】
前記hIL-2変異タンパク質は、第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第42位、第60位、第61位、第64位、第65位、第102位、及び第104位に1つ以上のアミノ酸変異を有する、請求項26に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項28】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A、X2=M)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E又はD、X3=G)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V又はI、Z3=Y又はL、Z4=S又はT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D又はY、Z6=G又はS)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S又はQ、Z8=T、X4=S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHYSTPYT(配列番号12に示される)であるLCDR3を含み、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、HCDR3の第3位、LCDR1の第7位、第8位及び/若しくは第9位、LCDR2の第1位及び第3位、又はLCDR3の第4位に1つ以上のアミノ酸変異を有する、請求項26に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項29】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに/又は以下のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号63に示されるVH及び/若しくは配列番号64に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号63及び配列番号65~配列番号75のいずれかに示されるVH及び/若しくは配列番号76~配列番号79のいずれかに示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、前記軽鎖可変領域のフレームワーク領域に1つ以上のアミノ酸変異を有し、前記アミノ酸変異は、前記軽鎖可変領域の第67位及び/又は第68位に位置する、請求項26に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項30】
前記第1システイン残基は、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記抗原-抗体結合界面の前記hIL-2変異タンパク質にアミノ酸変異の方式で導入され、前記第2システインは、前記抗原-抗体結合界面の前記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片にアミノ酸変異の方式で導入され、好ましくは、前記アミノ酸変異はアミノ酸の置換、挿入又は付加であり、前記hIL-2変異タンパク質における前記第1システイン残基を導入するための部位及び前記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片における前記第2システインを導入するための部位は正確にペアリングされることが可能であり、正確にペアリングされた前記部位は、前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面に位置し、ペアリングされたアミノ酸残基間の空間的距離は10オングストローム(1nm)より小さく、好ましくは、前記空間的距離は5オングストローム(0.5nm)より小さい、請求項26から請求項29のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項31】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記hIL-2変異タンパク質と前記ヒト化抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面にジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第42位における変異F42C、第64位における変異K64C、若しくは第65位における変異P65Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片における、アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V若しくはI、Z3=Y若しくはL、Z4=S若しくはT)であるHCDR3の第3位における変異F3Cによって導入される、及び/又は
(2)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第60位における変異E60Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片における、アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS)であるLCDR1の第7位における変異G7C若しくはS7Cによって導入される、及び/又は
(3)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第61位における変異E61Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片における、アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS)であるLCDR1の第7位における変異G7C若しくはS7Cによって導入されるか、若しくは前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片における、アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS)であるLCDR1の第8位における変異N8Cによって導入されるか、若しくは前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片における、アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S若しくはQ、Z8=T、X4=S)であるLCDR2の第1位における変異S1C若しくはQ1Cによって導入される、及び/又は
(4)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第104位における変異M104Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片における、アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S若しくはQ、Z8=T、X4=S)であるLCDR2の第3位における変異T3Cによって導入される、及び/又は
(5)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第102位における変異T102Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片の軽鎖可変領域の第67位における変異S67Cによって導入されるか、若しくは前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片の前記軽鎖可変領域の第68位における変異G68Cによって導入される、及び/又は
(6)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第64位における変異K64Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片における、アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS)であるLCDR1の第9位における変異Y9Cによって導入されるか、若しくは前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片の、アミノ酸配列がLQHYSTPYT(配列番号12)であるLCDR3の第4位における変異Y4Cによって導入される
のうちの1つ以上から選択されるか、
あるいは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記hIL-2変異タンパク質と前記ヒト化抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面に前記ジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第104位における変異M104Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR2の第3位における変異T3Cによって導入され、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含む、並びに/又は
(2)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第102位における変異T102Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片の前記軽鎖可変領域の第67位における変異S67Cによって導入され、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその結合断片は、配列番号77に示されるVLと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、若しくは前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片の前記軽鎖可変領域の第68位における変異G68Cによって導入され、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその結合断片は、配列番号77に示されるVLと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、並びに/又は
(3)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第42位における変異F42C、第64位における変異K64C、若しくは第65位における変異P65Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片における、アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V若しくはI、Z3=Y若しくはL、Z4=S若しくはT)であるHCDR3の第3位における変異F3Cによって導入され、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含む
のうちの1つ以上から選択される、請求項26から請求項30のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項32】
ジスルフィド結合は、野生型hIL-2とhIL-2のIL2Rα結合部位を特異的に識別する他の抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片とによって形成される抗原-抗体複合体の結合界面において導入され、前記抗原-抗体複合体は、hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体及びhIL-2:TCB2抗原-抗体複合体から選択され、
前記NARA1抗体又はその抗原結合断片は、配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
前記TCB2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含む
請求項14から請求項20のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項33】
前記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の結合界面は、hIL-2とIL2Raとの結合界面を包含し、前記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の前記結合界面は、前記hIL-2のABループ、Bヘリックス及びBCループに位置し、更に、前記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の前記結合界面は、前記hIL-2における第30位~第43位又はその隣接するアミノ酸残基及び第71位~第77位又はその隣接するアミノ酸残基に位置する、請求項32に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項34】
前記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の結合界面は、前記ジスルフィド結合を形成するように2つ以上のシステイン残基を含み、前記hIL-2は、前記第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して第34位、第37位、第41位、第42位、第68位、第73位、第75位、第77位及び第111位に1つ以上のアミノ酸変異を有し、前記NARA1抗体又はその抗原結合断片は、前記第2システイン残基を導入するために、CDR及び/又はFR領域の特定の位置に1つ以上のアミノ酸変異を有し、前記アミノ酸変異は、前記NARA1抗体又はその抗原結合断片のHCDR1の第1位、並びに/又はHCDR2の第2位、第6位及び/若しくは第8位、並びに/又はHCDR3の第3位及び/若しくは第8位、並びに/又はLCDR1の第9位、並びに/又はLCDR3の第3位、第4位、及び/若しくは第6位に位置するアミノ酸変異を含む、請求項32又は請求項33に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項35】
前記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の前記結合界面に前記ジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第34位における変異P34Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第8位における変異A8Cによって導入されるか、若しくは前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第3位若しくは第4位における変異S3C若しくはN4Cによって導入される、並びに/又は
(2)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第37位における変異T37Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第6位における変異D6Cによって導入される、並びに/又は
(3)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第41位における変異T41Cであり、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR2の第2位における変異I2Cによって導入される、並びに/又は
(4)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第42位における変異F42Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR2の第8位における変異G8Cによって導入される、並びに/又は
(5)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第68位における変異E68Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1若しくはその抗原結合断片のHCDR1の第1位における変異N1Cによって導入される、並びに/又は
(6)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第73位における変異A73Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第3位における変異G3Cによって導入される、並びに/又は
(7)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第75位若しくは第77位における変異S75C若しくはN77Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1若しくはその抗原結合断片のLCDR1の第9位におけるアミノ酸変異D9Cによって導入される、並びに/又は
(8)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第111位における変異T111Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR2の第6位における変異S6Cによって導入される
のうちの1つ以上から選択され、
好ましくは、前記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の前記結合界面に前記ジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第37位における変異T37Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第6位における変異D6Cによって導入される、又は
(2)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第68位における変異E68Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR1の第1位における変異N1Cによって導入される、又は
(3)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第75位若しくは第77位における変異S75C若しくはN77Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR1の第9位における変異D9Cによって導入される、及び/又は
(4)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第111位における変異T111Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR2の第6位における変異S6Cによって導入される
のうちの1つ以上から選択される請求項32から請求項34のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項36】
前記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の結合界面は、hIL-2とIL2Rαとの結合界面を包含し、前記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の前記結合界面は、前記hIL-2のABループ、Bヘリックス及びCDループに位置し、更に、前記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の前記結合界面は、前記hIL-2における第34位~第45位又はその隣接するアミノ酸残基、第62位~第76位又はその隣接するアミノ酸残基、及び第111位又は隣接するアミノ酸残基に位置する、請求項32に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項37】
前記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の結合界面は、前記ジスルフィド結合を形成するように2つ以上のシステイン残基を含み、前記hIL-2は、前記第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して第34位、第36位、第37位、第42位、第68位及び第109位に1つ以上のアミノ酸変異を有し、前記TCB2抗体又はその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、CDR及び/又はフレームワーク領域の特定の位置に1つ以上のアミノ酸変異を有し、前記アミノ酸変異は、前記TCB2抗体又はその抗原結合断片のHCDR2の第6位、並びに/又はHCDR3の第3位、第5位、第6位及び/若しくは第7位、並びに/又はLCDR1の第4位、並びに/又はLCDR3の第4位、第5位、及び/若しくは第6位に位置するアミノ酸変異を含む、請求項32又は請求項36に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項38】
前記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の前記結合界面に前記ジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第34位における変異P34Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2若しくはその抗原結合断片のLCDR1の第4位における変異T4Cによって導入されるか、若しくは前記第2システインは、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第4位若しくは第5位における変異D4C若しくはN5Cによって導入される、及び/又は
(2)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第36位における変異L36Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第5位における変異N5Cによって導入される、及び/又は
(3)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第37位における変異T37Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第5位若しくは第6位における変異N5C若しくはL6Cによって導入される、及び/又は
(4)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第38位における変異R38Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第7位における変異F7Cによって導入される、及び/又は
(5)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第42位における変異F42Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第5位における変異R5Cによって導入される、及び/又は
(6)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第68位における変異E68Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第3位若しくは第6位における変異A3C若しくはG6Cによって導入される、及び/又は
(7)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第109位における変異D109Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR2の第6位における変異D6Cによって導入される
のうちの1つ以上から選択され、
好ましくは、前記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の前記結合界面に前記ジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第34位における変異P34Cによって導入され、前記第2システインは、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第4位若しくは第5位における変異D4C若しくはN5Cによって導入される、又は
(2)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第36位における変異L36Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第5位における変異N5Cによって導入される、又は
(3)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第37位における変異T37Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第6位における変異L6Cによって導入される、又は
(4)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第42位における変異F42Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第5位における変異R5Cによって導入される、及び/又は
(5)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第68位における変異E68Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第3位における変異A3Cによって導入される
のうちの1つ以上から選択される、請求項32、請求項36及び請求項37のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項39】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、前記HCDR3、LCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3は1つ以上のシステイン残基変異を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A、X2=M、配列番号14に示される)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E又はD、X3=G)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ2TXIIZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V又はI、XII=F又はC、Z3=Y又はL、Z4=S又はT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ5IZ6XIVLS(Z5=D又はY、Z6=G、S又はC、X=N又はC、XIV=Y又はC)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S、Q又はC、Z8=T又はC、X4=S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHXIIISTPYT(XIII=Y又はC)であるLCDR3を含む、請求項14から請求項31のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項40】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、前記HCDR3、LCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3は1つ以上のシステイン残基変異を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号30若しくは配列番号31に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17、配列番号32若しくは配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(3)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(4)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号35若しくは配列番号36に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(5)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17、配列番号32若しくは配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(6)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号34に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(7)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号38に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(8)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号37に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含み、
好ましくは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む、請求項39に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項41】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、軽鎖可変領域の第1位又は前記抗IL-2抗体のLCDR1の第4位にもアミノ酸変異を有することができ、前記アミノ酸変異は、D1E、Q4D、Q4E、Q4S、Q4G、Q4K、又はQ4Rを含み、好ましくは、前記アミノ酸変異は、D1E、Q4D、Q4E、Q4S、又はQ4Gを含む、請求項14から請求項31、請求項39及び請求項40のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項42】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、及び/又はLCDR3は1つ以上のシステイン変異を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、(1)配列番号142又は配列番号148に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、(2)配列番号143、配列番号149、配列番号150又は配列番号151に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、(3)配列番号144、配列番号152又は配列番号153に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、(4)配列番号145又は配列番号154に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、(5)配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、(6)配列番号147、配列番号155、配列番号156又は配列番号157に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
更に、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3並びに前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、
(1)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号149に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(2)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号152若しくは配列番号153に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(3)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号154に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(4)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号155、配列番号156若しくは配列番号157に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(5)配列番号148に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(6)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号150若しくは配列番号151に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含み、
好ましくは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3、
(1)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号149に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(2)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号154に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(3)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号157に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(4)配列番号148に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む、請求項14から請求項20及び請求項32から請求項35のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項43】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、前記HCDR2、HCDR3、LCDR1、及び/又はLCDR3は1つ以上のシステイン変異を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、(1)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、(2)配列番号171又は配列番号176に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、(3)配列番号172、配列番号177、配列番号178、配列番号179又は配列番号180に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、(4)配列番号173又は配列番号181に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、(5)配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、(6)配列番号175、配列番号182、配列番号183又は配列番号184に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
更に、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、
(1)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号177、配列番号178、配列番号179若しくは配列番号180に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174としてのアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(2)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号176に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(3)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号181に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(4)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号182、配列番号183若しくは配列番号184に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含み、
好ましくは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3、
(1)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号177若しくは配列番号178に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(2)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号182、配列番号183若しくは配列番号184に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む、請求項14から請求項20、請求項32、及び請求項36から請求項38のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項44】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域並びに/又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号63、配列番号86、配列番号74若しくは配列番号112に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は前記軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号64、配列番号77、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110若しくは配列番号111に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
好ましくは、前記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号86若しくは配列番号74に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は前記軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号64、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号107、配列番号108若しくは配列番号109に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、
あるいは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、
(1)それぞれ配列番号86に示される重鎖可変領域及び配列番号64、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90若しくは配列番号91に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号74に示される重鎖可変領域及び配列番号107、配列番号108若しくは配列番号109に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項14から請求項31、請求項39及び請求項40のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項45】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域並びに/又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号140、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162若しくは配列番号163に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は前記軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号141、配列番号164、配列番号165、配列番号166若しくは配列番号167に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
更に、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域及び前記軽鎖可変領域は、
(1)それぞれ配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162若しくは配列番号163に示される重鎖可変領域及び配列番号141に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号140に示される重鎖可変領域及び配列番号164、配列番号165、配列番号166若しくは配列番号167に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、
好ましくは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号158若しくは配列番号161に示される重鎖可変領域及び配列番号141に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号140に示される重鎖可変領域及び配列番号164若しくは配列番号167に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項14から請求項20、請求項32から請求項35及び請求項42のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項46】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域並びに/又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号168、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188若しくは配列番号189に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は前記軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号169、配列番号190、配列番号191、配列番号192若しくは配列番号193に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
更に、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188若しくは配列番号189に示される重鎖可変領域及び配列番号169に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号168に示される重鎖可変領域及び配列番号190、配列番号191、配列番号192若しくは配列番号193に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、
好ましくは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号185若しくは配列番号186に示される重鎖可変領域及び配列番号169に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号168に示される重鎖可変領域と及び配列番号191、配列番号192若しくは配列番号193に示される軽鎖可変領域少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項14から請求項20、請求項32、請求項36から請求項38及び請求項43のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項47】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、リンカーによってhIL-2又はその変異タンパク質に連結されることができ、前記リンカーは(G4S)、(G4S)、(GAF)から選択され、好ましくは、前記リンカーは(G4S)である、請求項14から請求項46のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項48】
前記hIL-2又はその変異タンパク質は、以下の1つ以上のアミノ酸変異、
(1)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するN末端の最初の3つ若しくは5つのアミノ酸の削除、又は
(2)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するN末端の3番目のアミノ酸残基におけるアミノ酸変異、及び/又は
(3)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第125位におけるアミノ酸変異C125A、C125L、C125S、C125Q、若しくはC125V
を更に含み、
好ましくは、前記hIL-2又はその変異タンパク質は、以下のアミノ酸変異、即ち、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する、最初の3つのN末端アミノ酸の削除、及び/又は第125位におけるアミノ酸変異C125A、C125L、C125S、C125Q、若しくはC125Vを含む
請求項14から請求項47のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項49】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は第1ポリペプチドを含み、前記第1ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号206、配列番号207、配列番号208、配列番号209、配列番号210、配列番号211、配列番号212、配列番号213、配列番号214、配列番号215、配列番号216、配列番号217、配列番号218、配列番号219、配列番号220、配列番号221、配列番号222、配列番号223、配列番号224、配列番号225又は配列番号226と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有する、請求項14から請求項48のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項50】
前記IL-2/IL-2抗体融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、前記第1ポリペプチドは、システイン変異を有するhIL-2又はその変異タンパク質を含み、前記hIL-2又はその変異タンパク質は前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の1つの可変領域に操作可能に連結され、前記第2ポリペプチドは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の別の可変領域を含み、
更に、前記第1ポリペプチドは、前記システイン残基の変異を有するhIL-2又はその変異タンパク質、リンカー及び前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の1つの可変領域を含み、別のシステイン変異が前記第1ポリペプチドにおける前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片の1つの可変領域及び/又は前記第2ポリペプチドにおける前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片の前記別の可変領域に配置されることが可能であることにより、前記hIL-2又はその変異タンパク質における前記システイン変異と正確にペアリングされて安定なジスルフィド結合が形成されることが可能であり、前記ジスルフィド結合は、前記hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面に位置する
請求項14から請求項49のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項51】
前記第1ポリペプチドは、システイン残基変異を有する前記hIL-2変異タンパク質、リンカー及び前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域を含み、前記第2ポリペプチドは前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変領域を含み、前記第1ポリペプチドは、配列番号95~配列番号103、配列番号113~配列番号120、若しくは配列番号133~配列番号138のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は前記第2ポリペプチドは、配列番号64、配列番号77、配列番号80~配列番号85、配列番号87~配列番号93、若しくは配列番号104~配列番号111のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項49又は請求項50に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項52】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の第1ポリペプチド及び第2ポリペプチド、
(1)それぞれ配列番号95に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号80に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号96に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号81に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号97に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号82に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号98に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号83に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号99に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号84に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(6)それぞれ配列番号100に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号85に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(7)それぞれ配列番号101、配列番号102、配列番号103及び配列番号133~配列番号138のいずれかに示される前記第1ポリペプチド及び配列番号64に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(8)それぞれ配列番号102に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号87~配列番号93のいずれかに示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(9)それぞれ配列番号113に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号104、配列番号105若しくは配列番号106に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(10)それぞれ配列番号114に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号107に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(11)それぞれ配列番号115に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号108若しくは配列番号109に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(12)それぞれ配列番号116、配列番号117若しくは配列番号119に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号77に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(13)それぞれ配列番号118に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号110に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(14)それぞれ配列番号120に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号104に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(15)それぞれ配列番号118に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号111に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、
好ましくは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の第1及び第2のポリペプチド、
(1)それぞれ配列番号101、配列番号102、配列番号103及び配列番号133~配列番号138のいずれかに示される前記第1ポリペプチド及び配列番号64に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号102に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号87~配列番号91のいずれかに示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号114に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号107に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号115に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号108若しくは配列番号109に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項51に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項53】
前記第1ポリペプチドは、システイン変異を有するhIL-2変異タンパク質、リンカー及び前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変領域を含み、前記第2ポリペプチドは前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域を含み、前記第1ポリペプチドは、配列番号206~配列番号226のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は前記第2ポリペプチドは、配列番号140、配列番号158~配列番号163、配列番号168若しくは配列番号185~配列番号189のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項49又は請求項50に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項54】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の第1及び第2のポリペプチド、
(1)それぞれ配列番号206に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号158に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号207に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号159に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号208に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号160に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号209~配列番号213のいずれかに示される前記第1ポリペプチド及び配列番号140に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号214に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号161に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(6)それぞれ配列番号215に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号162に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(7)それぞれ配列番号216に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号163に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(8)それぞれ配列番号217に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号185若しくは配列番号187に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(9)それぞれ配列番号218に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号186に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(10)それぞれ配列番号219に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号188に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(11)それぞれ配列番号220に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号189に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(12)それぞれ配列番号221~配列番号226のいずれかに示される前記第1ポリペプチド及び配列番号168に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含み、
好ましくは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の第1及び第2のポリペプチド、
(1)それぞれ配列番号206に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号158に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号209、配列番号210若しくは配列番号213に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号140に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号214に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号161に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号217に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号185に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号218に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号186に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(6)それぞれ配列番号222、配列番号223、配列番号224若しくは配列番号226に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号168に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項53に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項55】
hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質であって、
(1)請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質と、
(2)請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と、
(3)前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面に含まれるジスルフィド結合と
を含み、
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、IL2Rαと競合して前記hIL-2変異タンパク質に結合することができ、前記hIL-2変異タンパク質とIL2Rα又は前記IL2Rαサブユニットを含むIL-2受容体複合体(即ち、IL2Rα/β又はIL2Rα/β/γ)との結合をブロックすることができ、
前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2変異タンパク質とIL2Rαとの結合界面に部分的に重なり、前記ジスルフィド結合は、前記抗原-抗体結合界面の前記hIL-2変異タンパク質に導入された少なくとも1つのシステイン残基及び前記抗原-抗体結合界面の前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片に導入された少なくとも1つのシステイン残基によって形成され、
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、IL2Rのαサブユニット、又はα/βヘテロ二量体、又はα/β/γヘテロ三量体に結合できないが、IL2Rβ及びγcから構成されるヘテロ二量体受容体(即ち、IL2Rβ/γ)への結合活性及び機能活性を保持する、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項56】
前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2変異タンパク質のABループ、Bヘリックス、Cヘリックス、BCループ及び/又はCDループに位置し、好ましくは前記hIL-2変異タンパク質のABループ、Bヘリックス、Cヘリックス及びCDループに位置し、前記hIL-2変異タンパク質のIL2Rα結合界面は、前記hIL-2変異タンパク質のABループ及びBヘリックスに位置する、請求項55に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項57】
前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2変異タンパク質の第30位~第45位若しくはその隣接するアミノ酸残基、第57位~第77位若しくはその隣接するアミノ酸残基、及び/又は第90位~第111位若しくはその隣接するアミノ酸残基に位置し、好ましくは、前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2変異タンパク質の第41位~第45位若しくはその隣接するアミノ酸残基、第57位~第68位若しくはその隣接するアミノ酸残基、及び/又は第90位~第107位若しくはその隣接するアミノ酸残基に位置する、請求項55又は請求項56に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項58】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質中の前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、以下のシステイン残基を導入することによって形成された2つ以上のジスルフィド結合を含み、
(1)前記hIL-2変異タンパク質は、第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第42位、第64位、第65位、第102位、及び第104位に1つ以上のアミノ酸変異を有し、かつ
(2)請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、HCDR3の第3位及びLCDR2の第3位に1つ若しくは2つのアミノ酸変異を有するか、又は、請求項13に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、軽鎖可変領域のフレームワーク領域に1つ若しくは2つのアミノ酸変異を有し、前記アミノ酸変異は、前記軽鎖可変領域の第67位及び/又は第68位に位置し、
前記hIL-2変異タンパク質における前記第1システイン残基を導入するための部位及び前記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片における前記第2システインを導入するための部位は正確にペアリングされることが可能であり、正確にペアリングされた前記部位は、前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面に位置し、ペアリングされたアミノ酸残基間の空間的距離は10オングストローム(1nm)より小さく、好ましくは、5オングストローム(0.5nm)より小さい
請求項55から請求項57のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項59】
前記IL-2/IL-2抗体融合タンパク質中の前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面にジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアリングは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第104位におけるアミノ酸変異M104Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR2の第3位におけるアミノ酸変異T3Cによって導入され、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含む、並びに/又は
(2)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第102位におけるアミノ酸変異T102Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片の軽鎖可変領域の第67位におけるアミノ酸変異S67Cによって導入され、前記抗IL-2抗体若しくはその結合断片は、配列番号77に示されるVLと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、若しくは前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片の軽鎖可変領域の第68位におけるアミノ酸変異G68Cによって導入され、前記抗IL-2抗体若しくはその結合断片は、配列番号77に示されるVLと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、並びに/又は
(3)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第42位アミノ酸残基におけるアミノ酸変異F42C、若しくは第64位アミノ酸残基におけるK64C、若しくは第65位におけるP65Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第3位におけるアミノ酸変異F3Cによって導入され、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号39~配列番号42のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含む
のうちの1つ以上から選択される、請求項55から請求項58のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項60】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、HCDR1、HCDR2、HCDR3を有する重鎖可変領域及びLCDR1、LCDR2、LCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、前記HCDR3及び/又はLCDR2はシステイン変異を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10若しくは配列番号39~配列番号42のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又は
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む、請求項55から請求項59のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項61】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに/又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号86若しくは配列番号74に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は前記軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号64、配列番号87~配列番号91、配列番号107、配列番号108若しくは配列番号109のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
更に、前記重鎖可変領域及び前記軽鎖可変領域は、
(1)それぞれ配列番号86に示される重鎖可変領域及び配列番号64若しくは配列番号87~配列番号91のいずれかに示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号74に示される重鎖可変領域及び配列番号107、配列番号108若しくは配列番号109に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項55から請求項60のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項62】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、抗体の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を含む定常領域も含み、前記重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖定常領域のFc領域の天然及び変異体の形態を含み、二量体形成を促進するヒンジ領域を含むポリペプチドの切断形態を更に含み、好ましいFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含むヒトIgGに由来し、
更に、前記Fc領域は工学的に改変されたヒトIgG1 Fc領域を含み、前記工学的に改変されたヒトIgG1 Fc領域は、以下の1つ以上のアミノ酸置換変異、
(1)前記Fc領域とFcγR及びC1qとの結合活性を低減するL234F/L235E/P331S(EU番号システム)、並びに/又は
(2)前記hIL-2/抗IL-2融合タンパク質の血漿/血清半減期を延長するN203D/K274Q/Q419E(EU番号システム)
を含む、請求項14から請求項61のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項63】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質、請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項64】
請求項63に記載の核酸を発現することができる発現ベクター。
【請求項65】
請求項63に記載の核酸又は請求項64に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項66】
請求項65に記載の宿主細胞を使用して、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のhIL-2変異タンパク質、請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を製造する方法であって、(1)前記hIL-2変異タンパク質、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を前記宿主細胞において発現する工程と、(2)前記hIL-2変異タンパク質、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を前記宿主細胞又は細胞培養液から単離する工程とを含む、方法。
【請求項67】
請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む二重特異性分子であって、前記二重特異性抗体の2つのアームの1つは、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含み、もう1つのアームは、hIL-2以外の抗原、好ましくは癌に関連する抗原若しくは免疫チェックポイントタンパク質抗原に特異性を有する抗体を含むか、又は免疫エフェクター細胞に関連する抗原に特異的に結合する抗体若しくはその抗原結合断片を含み、前記癌に関連する抗原は、HER2、EGFR、VEGF、VEGFR、CD19、CD20、CD30、CD33、CD52、BCMA、SLAMF7、MUC1、MUC16、EphB2、E-セレクチン、EpCam、CEA、PSMA、PSA、ERBb3、c-MET、ILT3、ILT7、5T4、GPC-3、DLL3などから選択されてもよく、前記免疫チェックポイントタンパク質抗原は、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM3、CTLA-4、LAG-3、CEACAM-1、CEACAM-5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD40、CD40L、OX40、CD160、2B4、又はTGFRから選択されてもよい、二重特異性分子。
【請求項68】
請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む、免疫コンジュゲート、キメラ抗原受容体、工学的に改変されたT細胞受容体、又は腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項69】
請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、請求項67に記載の二重特異性分子、又は請求項68に記載の免疫コンジュゲート、キメラ抗原受容体、工学的に改変されたT細胞受容体若しくは腫瘍溶解性ウイルスと、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
【請求項70】
請求項69に記載の医薬組成物と、任意選択で別の抗癌剤及び/又は免疫調節剤とを含む薬入れであって、前記抗癌剤は、微小管破壊剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAインターカレータ、アルキル化剤、ホルモン療法剤、キナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤、HER2阻害剤、HER3阻害剤、IGFR阻害剤及びMet阻害剤を含めたチロシンキナーゼ阻害剤)、受容体拮抗剤、腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤(IAP阻害剤、Bcl2阻害剤、MC11阻害剤、TRAIL阻害剤、CHK阻害剤を含む)、又はいずれかの抗血管新生薬を含み、前記免疫調節剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM3、CTLA-4、LAG-3、CEACAM-1、CEACAM-5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、又はTGFR阻害剤を含む、薬入れ。
【請求項71】
有効量の請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は請求項69に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項72】
増殖性疾患、感染性疾患及び免疫不全疾患を含めた疾患を治療するための医薬組成物又は製剤の製造における請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の使用であって、前記増殖性疾患は癌及び他の細胞増殖性障害を含む、使用。
【請求項73】
前記癌は、黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、腎臓癌、肝臓癌、脳癌、食道癌、胆嚢癌、膵臓癌、胃癌、甲状腺癌、膀胱癌及びリンパ腫を含み、前記免疫不全疾患はHIV陽性、免疫抑制疾患、慢性感染性疾患を含む、請求項72に記載の使用。
【請求項74】
宿主の免疫応答を改善することによって疾患、病状又は障害を治療する方法であって、請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は請求項69に記載の医薬組成物、又は請求項70に記載の薬入れ、又は請求項71に記載のキットを対象に治療有効量で投与して、IL2Rβ/γを発現するエフェクター細胞(例えば、CD8T細胞及びNK細胞)を特異的に活性化することによって、疾患状態を改善することを含む、方法。
【請求項75】
免疫系を刺激する方法であって、請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は請求項69に記載の医薬組成物、又は請求項70に記載の薬入れ、又は請求項71に記載のキットを対象に治療有効量で投与して前記免疫系を刺激することを含み、前記免疫系の刺激は、前記対象における、免疫の全般的な増加、T細胞機能の増加、B細胞機能の増加、リンパ球機能の回復、IL2Rβ/γ発現の増加、T細胞応答性の増加、ナチュラルキラー細胞活性又はリンホカイン活性化キラー細胞活性の増加、CD8T細胞とCD4T細胞との比率の増加を含む、方法。
【請求項76】
宿主免疫系に対する刺激が有益である疾患状態を治療するか、緩和するか又は予防する方法であって、請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項14から請求項62のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は請求項69に記載の医薬組成物、又は請求項70に記載の薬入れ、又は請求項71に記載のキットを対象に治療有効量で投与して、前記対象の細胞免疫反応を増強することにより疾患状態を改善することを含み、前記疾患状態は、宿主免疫応答不足又は免疫不全を含み、更に前記疾患状態は、増殖性疾患、感染性疾患又は免疫不全疾患であり、前記増殖性疾患は癌及び他の細胞増殖性障害を含む、方法。
【請求項77】
前記癌は、扁平上皮癌(例えば、上皮系扁平上皮癌)、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(胃腸癌及び胃腸間質癌を含む)、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿道癌、肝腫瘍、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮体癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌、肛門癌、陰茎癌、黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫、結節型黒色腫、多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(Non-Hodgkin Lymphoma)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、及び移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、並びにケロイド疾患、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連する)及びメイグス症候群に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍及び脳癌、並びに頭頸部癌から選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
免疫チェックポイント阻害剤、抗原特異的免疫治療剤、化学療法剤、エピジェネティックス修飾剤、サイトカイン、成長因子、阻害剤、腫瘍抗原を標的とする抗体、腫瘍ワクチン、及び/又は他の癌療法を投与することを更に含み、
前記免疫チェックポイントは、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM3、CTLA-4、LAG-3、CEACAM-1、CEACAM-5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、又はTGFRを含み、
前記抗原特異的免疫治療剤は、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)、キメラ抗原受容体NK細胞(CAR-NK細胞)、及び/又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含み、
前記他の癌療法は、外科手術、化学療法、細胞傷害性薬物、光線力学的療法、免疫調節又は放射線療法を含む
請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記免疫不全疾患は、HIV陽性、免疫抑制疾患、慢性感染性疾患を含む、請求項76に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、抗体-サイトカイン融合タンパク質及びその使用に関する。具体的には、本願は、インターロイキン-2(Interleukin-2、IL-2)と抗IL-2抗体との融合タンパク質(IL-2/IL-2抗体融合タンパク質)に関し、前記融合タンパク質は、IL-2受容体αサブユニット(IL2Rα、CD25)及びαサブユニットを含むIL-2受容体複合体(即ち、IL2Rα/β又はIL2Rα/β/γ)と結合しないが、IL-2受容体β、γサブユニット二量体(IL2Rβ/γ)と結合でき、該二量体によって媒介されるシグナル伝達経路を活性化することができる。本願は、更に、該IL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む二重特異性分子及び免疫コンジュゲート、該IL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードする核酸分子、並びに該核酸分子を含む発現ベクター及び宿主細胞に関する。本願はまた、該IL-2/IL-2抗体融合タンパク質を製造する方法、該IL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物、該IL-2/IL-2抗体融合タンパク質又はその医薬組成物を用いた疾患の治療方法並びに疾患の治療における該IL-2/IL-2抗体融合タンパク質又はその医薬組成物の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン-2(Interleukin-2、IL-2)は、分子量が約15.5kDaの球状糖タンパク質であり、免疫抑制反応及び免疫活性化反応を誘導する二重機能を同時に備え、多種の免疫細胞の生成、生存、増殖及び定常状態の調節において重要な作用を発揮する。成熟したIL-2タンパク質は、133個のアミノ酸残基を含み、該アミノ酸残基は4つの逆平行な両親媒性αヘリックスに折り畳まれ、更に該4つのαヘリックスが折り畳まれてその機能活性に不可欠な高次構造を形成する(Smith、Science 1988、240:1169-1176;Bazan、Science 1992、257:410-413)。
【0003】
IL-2は、インビボで、細胞表面のIL-2受容体(IL2R)と結合して下流のシグナル伝達カスケードを誘発することにより、免疫調節機能を発揮する(Kreig、PNAS 2010、107:11906-11911)。IL2Rは、高親和性と中親和性の2つの組み合わせ形態が存在し、高親和性IL2Rは、IL-2受容体α鎖(IL2Rα、CD25)、IL-2受容体β鎖(IL2Rβ、CD122)及び共通γ鎖(γc、CD132)で構成されるヘテロ三量体であり、IL-2との結合親和性(K)が約10-11Mであり、中親和性IL2Rは、IL2Rβ及びγcのみで構成されるヘテロ二量体であり、IL-2との結合親和性(K)が約10-9Mである(Wang、Science 2005、310:1159-1163;Boyman、Nat Rev Immunol 2012、12:180-190;Arenas-ramirez N、Trends Immunol 2015、36:763-777)。異なるIL2Rは、異なる免疫細胞表面に発現し、高親和性IL2Rは、構成性が高く、CD4Foxp3制御性T細胞(Treg)に発現し、また、活性化されたT細胞(CD4T細胞及びCD8T細胞)においても一過性に誘導されて発現し、中親和性IL2Rは、静止している(又はナイーブ)エフェクターT細胞(Teff)、例えば、CD8Teff細胞において発現量が低いにもかかわらず、抗原刺激を受けたCD8Teff細胞及びメモリー表現型(memory phenotype、MP)CD8T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞において高発現する(Fontenot、Nat Immunol 2005、6:1142-1151;Josefowicz、Annu Rev Immunol 2012、30:531-564;Malek及びBayer、Nat Rev Immunol 2004、4:665-674)。
【0004】
IL-2によって誘発されるシグナル伝達の活性化は、IL2Rβとγcとの間を結合してヘテロ二量体の形成を誘導して開始され、これが更に下流の複数のキナーゼカスケードを活性化する。αサブユニットは、IL-2とIL2Rとの結合親和性の増加に特に重要であるが、免疫細胞のシグナル伝達には機能しない(Kreig、PNAS 2010、107:11906-11911)。
【0005】
IL-2は、主に、活性化されたT細胞、特にCD4ヘルパーT(Th)細胞により産生され、自己分泌又は傍分泌の方式でIL2Rを発現する隣接細胞に作用して免疫反応を活性化するか、又は生体免疫系の正常な調節防御機構の定常状態を維持する。研究により、IL-2は、ヘルパーT細胞の増殖及び分化を刺激し(Zhu、Annual review of immunology 2010、28:445-489;Liao、Nat Immunol 2008、9:1288-1296;Liao、Nat Immunol 2011、12:551-559)、Treg細胞の発育及びその定常状態増殖を維持し(Cheng、Immunol Rev 2011、241:63-76)、細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte、CTL)の産生を誘導してその細胞傷害性を増強し、末梢血リンパ球細胞を細胞傷害性細胞及びリンホカイン活性化キラー(lymphokine-activated killer、LAK)細胞に分化することを誘導し(Liao、Immunity 2013、38:13-25)、腫瘍浸潤リンパ球(Tumor infiltrating lymphocyte、TIL)の免疫機能を増強し、B細胞の増殖及び分化を促進し、活性化B細胞による免疫グロブリンの産生を増強し、NK細胞の産生、増殖及び活性化などを刺激する(Waldmann、Nat Rev Immuno 2006、6:595-601;Malek、Annu Rev Immunol 2008、26:453-479;Liao、Immunity 2013、38:13-25)一連の生物学的機能を有することが示されている。
【0006】
IL-2は、インビボで上記リンパ球亜群を増殖させ、特にエフェクター細胞(CD8T細胞及びNK細胞を含む)を刺激及び活性化することにより抗腫瘍作用を発揮し、IL-2のこの特性により、IL-2免疫療法は、様々な悪性腫瘍を治療する有効な手段の1つとなる。組換えヒトIL-2タンパク質(rhIL-2)医薬品のアルデスロイキン(Aldesleukin、商品名Proleukin(登録商標))は、前世紀90年代に転移性腎細胞癌及び悪性黒色腫の治療薬として承認された。アルデスロイキンは、工学的に改変されたrhIL-2であり、その構造は、アルデスロイキンにグリコシル化修飾がなく、N末端アラニンが欠損しており、その第125位のシステイン残基がセリン残基で置換される点で、野生型ヒトIL-2タンパク質(hIL-2)と異なる。転移性腎細胞癌及び悪性黒色腫を治療する様々な臨床試験におけるアルデスロイキンの完全奏効率(complete response rate)は、非常に低く、約7%である(Atkins、J Clin Oncol 1999、17:2105-2116;Fisher、Cancer J Sci Am 2000、6 Suppl 1:S55-S57;Klapper、Cancer 2008、113:293-301)。その原因を考察すると、主に以下の(1)~(4)がある。(1)インビボでのアルデスロイキンの半減期が短く、抗腫瘍活性を有するCD8T細胞及びNK細胞は、中親和性IL2Rを発現するため、高用量のアルデスロイキンを投与する必要があってこそ、CD8T細胞及びNK細胞を効果的に活性化することができる。しかしながら、高用量のアルデスロイキンは、内皮細胞及びII型先天性リンパ様細胞(Type-2 innate lymphoid cells、ILC2)に発現する高親和性IL2Rを結合して活性化することにより、血管漏出症候群(Vascular Leak Syndrome、VLS)を引き起こし、その特徴は、血管透過性が増加して、血漿タンパク質及び血管内液が血管外空間及び複数の器官に浸透することを引き起こし、血圧低下及び心拍補償性の向上、肺部及び皮膚の浮腫、並びに肝細胞損傷を引き起こすことである(Krieg、Proc Nat Acad Sci USA 2010、107:11906-11911;Boyman、Nat Rev Immunol 2012、12:180-190)。したがって、高用量のアルデスロイキンの治療を受ける患者には、重篤な心血管イベント、並びに肺、肝臓、胃腸管、神経及び血液学的毒性がよく現れる(Proleukin(登録商標)[aldesleukin]Package Insert、2012)。これらの治療過程に伴う深刻な毒性又は副作用により、多くの患者は、臨床的に有効用量に耐えられないため、その臨床応用が制限される。(2)アルデスロイキン療法の低い奏効率は、IL-2が免疫細胞の定常状態の維持において二重作用を有することにも関連する。IL-2は、エフェクター細胞の活性化と増殖を促進するだけでなく、Treg細胞を調節することによって末梢性免疫寛容を維持する。Treg細胞は、高親和性IL2Rを高発現し、IL-2は、優先的にTreg細胞に結合し、末梢性Treg細胞の増殖及び活性化を促進するため、CD8T細胞及びNK細胞によって媒介される抗腫瘍免疫活性を抑制する(Fontenot、Nat Immunol 2005、6:1142-1151;D’Cruz、Nature Immunol 2005、6:1152-1159;Maloy、Nature Immunol 2005、97:189-192;Boyman、Nat Rev Immunol 2012、12:180-190;Facciabene、Cancer Res 2012、72:2162-2171)。これから分かるように、IL-2の免疫調節における二重作用により、アルデスロイキン療法において活性化されたエフェクター細胞の抗腫瘍免疫活性がIL-2依存性Treg細胞によって抑制され、その臨床治療効果が制限される。
【0007】
現在、IL-2療法の抗腫瘍活性を増強し、その毒性又は副作用を低減するために、改変された様々なIL-2変異体分子が研究開発されており、これらの改変された技術手段は、以下の(1)~(4)に分類される。(1)IL-2配列におけるIL2Rの各サブユニットに結合する重要なアミノ酸残基を変異させることにより、IL2Rαとの結合を低下させて、高親和性IL2Rによる毒性及びTregへの活性化を弱めるか、又はIL2Rβ及び/又はγcとの結合を最適化して、CD8T細胞及びNK細胞への増殖及び活性化を増強し、抗腫瘍活性を増強する。例えば、Gilliesらが特許出願国際公開第20080034473号パンフレットで開示したように、R38W及びF42Kを含むアミノ酸変異をIL-2に導入してIL2Rαと結合する重要な部位を変化させることにより、IL2Rαとの相互作用を低減するため、Treg細胞への活性化を低減し、抗腫瘍免疫効果への抑制を減少させ、Garciaらは、IL-2に変異を導入することによって「IL-2 Superkine」と呼ばれる変異タンパク質を構築し、IL2Rβとの親和性を増強し、IL2Rαの発現に対するIL-2の依存性を減少させ、更に、より強いエフェクター細胞(CD8T細胞及びNK細胞)の増殖と活性化を誘導する(Levin、Nature 2012、484:529-533)。(2)ポリエチレングリコール(PEG)でIL-2を修飾し、例えば、Nektar社のBempegaldesleukinは、アルデスロイキンと平均6個の解離可能なPEG基とのカップリングにより構成され、その結果、IL-2の半減期を延長できるだけでなく、IL2Rα結合部位近傍のリジン残基にカップリングされたPEG基によりIL-2と高親和性IL-2Rとの相互作用を阻害することができ(Deborah H、Clin Cancer Res 2016、22:680-690)、また、Synthorx社が開発したTHOR-707については、もう1つの方式を使用してIL-2のPEGによる修飾を実現し、IL-2タンパク質配列に非天然アミノ酸残基を取り込み、工学的に改変した細菌を利用してタンパク質を発現し、解離不可能なPEG基を非天然アミノ酸残基にカップリングすることにより、均質性を有するPEGで修飾された「非α」IL-2分子を生成し、Synthorxは、該分子がTreg細胞を増殖させずに末梢性ナイーブT細胞とNK細胞の増殖を誘導できることを報告した(Janku、European Journal of Cancer 2020、138S2:S11)。(3)Alkermes社のNemvaleukin alfaは、IL-2変異体とIL2Rα(CD25)細胞外ドメインで融合して形成されることにより、該候補医薬品とTreg細胞上のIL2Rαとの相互作用をブロックする(Boni、Journal of Clinical Oncology 2021、39:15 Suppl、2513)。また、Boymanらは、IL-2と抗IL-2抗体により抗原-抗体複合体を形成し、IL-2とIL2Rαとの結合をブロックすることにより、中親和性IL2Rを発現するCD8T細胞及びNK細胞を選択的に活性化して抗腫瘍活性を増強する(Kamimura、J Immunol 2006、177:306-314;Boyman、Science 2006、311:1924-1927;Lee、Oncoimmunology 2020、9:e1681869)。(4)Trinkleinらは、抗IL2Rβ及びγc二重特異性抗体を構築することにより、中親和性IL2Rによって媒介される下流シグナル経路を特異的に活性化し、CD8T及びNK細胞の増殖を誘導する目的を達成することを報告した(Harris KE、Scientific Reports 2021、11:1-15)。
【0008】
しかしながら、上記技術手段には、いずれもそれぞれの欠点があり、IL-2とIL2Rαとの結合をブロックするためのドメインは、通常、修飾されたIL-2と会合-解離の動的平衡にあり、高親和性IL2RとIL-2との超強結合能力のため、修飾されたIL-2変異体は、高親和性IL2Rによって競合的に結合することを完全に回避することができず、次に、一部の変異タンパク質において、IL-2配列に変異が導入されているため、免疫原性を増加させ、誘導により産生された中和性抗薬物抗体(anti-drug antibodies、ADA)は、IL-2製品の臨床応用を制限するだけでなく、内因性IL-2の免疫調節機能を抑制して安全上の潜在的なリスクを引き起こす可能性がある。例えば、アルデスロイキンは、大腸菌により発現された非グリコシル化修飾タンパク質であり、両性分子であり、平均27個のrhIL-2分子を凝集して産生されたミクロ凝集体の形態で存在し、臨床試験において60%~75%の被験患者の体内にADAが存在することが発見されており(Proleukin(aldesleukin)注射液の説明書)、BAY 50-479において、hIL-2の第88位のアスパラギン残基をアルギニンに変異させ(即ちN88R)、第1相臨床試験において該部位を識別するADAが現れており(Margolin、Clin Cancer Res 2007、13:3312-3319)、THOR-707は、非天然アミノ酸配列を含み、通常、生体により外来タンパク質として識別され、多用量注射後に生体にADAを産生することを引き起こす可能性がある(Levin、Nature 2012、484:529-533)。もう1つのPEGで修飾されたIL-2分子、NKTR-214は、IL-2の動力学的な緩慢な放出を提供するが、ポリエチレングリコール化もIL-2とIL-2Rβ及びγcとの結合を干渉することにより、IL-2の抗腫瘍エフェクター細胞に対する刺激を阻害する(Silva、Nature 2019、565:186-191)。抗IL2Rβ及びγc二重特異性抗体は、活性化されたIL2R下流シグナル経路において、中親和性IL2Rと高親和性IL2Rとを選択的に区別することができないため、Treg細胞及びエフェクター細胞の活性化及び増殖を無差別に誘導する。
【0009】
したがって、本分野では、依然として、特異的に中親和性IL2Rに結合してエフェクター細胞(CD8T細胞及びNK細胞)を活性化することができるが、高親和性IL2Rに結合せずTreg細胞、血管内皮細胞及びILC2を活性化しない製品を開発する必要がある。このようにして、そのような製品は、従来のIL-2療法において高親和性IL2Rに結合することによる全身性毒性又は副作用及びTreg細胞の活性化による腫瘍免疫抑制を含む上記IL-2製品の関連欠陥を解消して、従来のIL-2療法が解決していない臨床ニーズを満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第20080034473号パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Smith、Science 1988、240:1169-1176
【非特許文献2】Bazan、Science 1992、257:410-413
【非特許文献3】Krieg、Proc Nat Acad Sci USA 2010、107:11906-11911
【非特許文献4】Wang、Science 2005、310:1159-1163
【非特許文献5】Boyman、Nat Rev Immunol 2012、12:180-190
【非特許文献6】Arenas-ramirez N、Trends Immunol 2015、36:763-777
【非特許文献7】Fontenot、Nat Immunol 2005、6:1142-1151
【非特許文献8】Josefowicz、Annu Rev Immunol 2012、30:531-564
【非特許文献9】Malek及びBayer、Nat Rev Immunol 2004、4:665-674
【非特許文献10】Zhu、Annual review of immunology 2010、28:445-489
【非特許文献11】Liao、Nat Immunol 2008、9:1288-1296
【非特許文献12】Liao、Nat Immunol 2011、12:551-559
【非特許文献13】Cheng、Immunol Rev 2011、241:63-76
【非特許文献14】Liao、Immunity 2013、38:13-25
【非特許文献15】Waldmann、Nat Rev Immuno 2006、6:595-601
【非特許文献16】Malek、Annu Rev Immunol 2008、26:453-479
【非特許文献17】Atkins、J Clin Oncol 1999、17:2105-2116
【非特許文献18】Fisher、Cancer J Sci Am 2000、6 Suppl 1:S55-S57
【非特許文献19】Klapper、Cancer 2008、113:293-301
【非特許文献20】D’Cruz、Nature Immunol 2005、6:1152-1159
【非特許文献21】Maloy、Nature Immunol 2005、97:189-192
【非特許文献22】Facciabene、Cancer Res 2012、72:2162-2171
【非特許文献23】Levin、Nature 2012、484:529-533
【非特許文献24】Deborah H、Clin Cancer Res 2016、22:680-690
【非特許文献25】Janku、European Journal of Cancer 2020、138S2:S11
【非特許文献26】Boni、Journal of Clinical Oncology 2021、39:15 Suppl、2513
【非特許文献27】Kamimura、J Immunol 2006、177:306-314
【非特許文献28】Boyman、Science 2006、311:1924-1927
【非特許文献29】Lee、Oncoimmunology 2020、9:e1681869
【非特許文献30】Harris KE、Scientific Reports 2021、11:1-15
【非特許文献31】Margolin、Clin Cancer Res 2007、13:3312-3319
【非特許文献32】Silva、Nature 2019、565:186-191
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願は、以下の1~5の技術的問題を回避して、満たされていない臨床ニーズを解決するために、IL2Rα、及びαサブユニットを含むIL-2受容体複合体(即ち、IL2Rα/β又はIL2Rα/β/γ)に結合せず、IL2Rβ/γのみに選択的に結合し、IL2Rβ/γ受容体によって媒介されるシグナル伝達経路を活性化することができる新規なIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を提供する。
【0013】
1. 用量制限毒性(Dose Limiting Toxicity、DLT)の問題について、従来のIL-2製品及び/又は研究中の製品は、インビボで高親和性IL2Rを活性化するため、正常な組織及び器官に対して全身性毒性又は副作用を発生させ、例えば、市販されたアルデスロイキン及び/又は従来の研究中のIL-2製品は、血管内皮細胞及びILC2細胞における高親和性IL2Rを活性化し、全身性血管漏出症候群(VLS)を引き起こす可能性がある。
【0014】
2. Treg細胞によって媒介される腫瘍免疫抑制について、従来のIL-2製品及び/又は研究中のIL-2製品は、腫瘍組織又は腫瘍微小環境におけるTreg細胞表面の高親和性IL2Rに結合してTreg細胞を活性化し、その増殖を促進し、更に腫瘍微小環境における他の免疫抑制細胞の増殖を促進し、腫瘍免疫抑制作用を発生させることにより、治療効果に影響を与える。
【0015】
3. 従来のIL-2製品及び/又は研究中のIL-2製品の免疫原性の問題について、例えば、市販されたIL-2製品であるアルデスロイキンは、大腸菌により発現された非グリコシル化修飾タンパク質であり、かつ天然に微凝集体の形態で存在するため、該医薬品がインビボで投与される時にADAの産生を誘導することを引き起こす。研究中のIL-2製品、例えば、IL2Rα結合部位にアミノ酸変異が導入されたIL-2変異タンパク質、及びPEG部位特異的修飾部位に非天然アミノ酸残基が導入されたIL-2変異タンパク質などは、ヒトに応用される場合、生体にADAを産生させる可能性がある。IL-2及び/又はIL-2変異タンパク質に対するADAは、IL-2製品の臨床上の応用を制限するだけでなく、内因性IL-2と作用して安全上のリスクを引き起こす可能性もある。
【0016】
4. 従来のIL-2製品の半減期が短く、治療ウィンドウが狭いという問題について、例えば、市販されたIL-2製品であるアルデスロイキンの血清半減期は、わずか85分間であり、抗腫瘍活性を有するCD8T細胞及びNK細胞が中親和性IL2Rを発現するため、CD8T細胞及びNK細胞の抗腫瘍活性を活性化するために高用量のアルデスロイキンを投与する必要があるが、高用量のアルデスロイキンは、免疫抑制反応を優先的に活性化し、全身性毒性又は副作用を誘発するため、アルデスロイキンの治療ウィンドウは、極めて狭い。他の研究中のIL-2製品は、相対的に選択的に中親和性IL2Rに結合することができるが、依然として高親和性IL2Rに結合して免疫抑制を活性化し、全身性毒性を誘導することができるため、臨床治療に応用する場合に投与量を制限することにより、治療ウィンドウが狭くなり、患者の投与コンプライアンスが低い。
【0017】
5. 従来のIL-2製品及び/又は研究中のIL-2製品の分子には、構造が不安定であるか又は解離しやすく(例えば、IL-2と抗IL-2抗体との複合体)、高い均質性を有する製品として産生されて製造されにくいという問題が更に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一態様では、本願は、ヒトインターロイキン-2(hIL-2)変異タンパク質を提供する。前記hIL-2変異タンパク質は、野生型hIL-2(配列番号1に示される)がアミノ酸で変異され、本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片に結合できるものであり、前記変異は、IL-2の生物学的活性に顕著な影響を与えない。
【0019】
一態様では、本願に係る単離された抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、IL2Rαと競合して本願のhIL-2変異タンパク質に結合し、かつ前記hIL-2変異タンパク質とIL2Rαとの結合をブロックすることができ、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と本願のhIL-2変異タンパク質とは、結合親和性が高く、解離しにくい。
【0020】
一態様では、本願に係る新規なIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、
(1)配列番号1に示される野生型ヒトインターロイキン2(hIL-2)又はhIL-2変異タンパク質と、
(2)IL2Rαと競合して前記hIL-2又は前記hIL-2変異タンパク質に結合することができる抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と、
(3)抗原-抗体複合体の解離を回避するために、前記hIL-2又は前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面に含まれるジスルフィド結合(複数可)と、を含む。
【0021】
本願に係るhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、
(i)前記hIL-2又はその変異タンパク質と抗IL-2抗体との間に超安定した複合体構造を形成し、
(ii)前記hIL-2又はその変異タンパク質のIL2Rα結合部位が前記融合タンパク質の分子内に埋め込まれ、
(iii)IL2Rα、又はαサブユニットを含むIL-2受容体複合体、即ち、IL2Rα/β又はIL2Rα/β/γ、に結合せず、
(iv)IL2Rβ及びγ受容体サブユニット二量体(IL2Rβ/γ)に対する結合活性及び機能活性を保持する
という特性を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記hIL-2は、配列番号1に示される野生型hIL-2であり、別のいくつかの実施形態では、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2と比較して、システインへの変異以外の少なくとも1つ、2つ、又は3つ以上の他のアミノ酸変異を含み、該変異タンパク質は、IL2Rに特異的に結合できる能力を保持している。一実施形態では、前記アミノ酸変異は、前記hIL-2又は前記変異タンパク質と抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面に位置する。1つの具体的な実施形態では、前記アミノ酸変異は前記抗原-抗体結合界面内に位置する。一実施形態では、前記アミノ酸変異は抗原-抗体結合界面外に位置する。一実施形態では、前記アミノ酸変異は前記抗原-抗体結合界面の内外に位置する。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記抗IL-2抗体は、抗マウスIL-2(mIL-2)抗体又はそれから誘導されるキメラ抗体及び/若しくはヒト化抗体(例えば、S4B6抗体及びそのヒト化抗体)、抗IL-2ヒト化抗体(例えば、NARA1抗体及びTCB2抗体)、又は抗hIL-2抗体を含む。一実施形態では、前記抗mIL-2抗体若しくはそれから誘導されるキメラ抗体若しくはヒト化抗体又はその抗原結合断片は、IL2Rαと競合して前記hIL-2変異タンパク質に結合することができ、前記hIL-2変異タンパク質とIL2Rα、又はαサブユニットを含むIL-2受容体複合体(即ち、IL2Rα/β又はIL2Rα/β/γ)との結合をブロックすることができる。一実施形態では、前記抗hIL-2抗体は、前記hIL-2のIL2Rα結合部位を特異的に識別し、かつhIL-2に特異的に結合することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と前記hIL-2又はその変異タンパク質との抗原-抗体結合界面は、ジスルフィド結合を含み、前記ジスルフィド結合は、前記抗原-抗体結合界面の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の配列に少なくとも1つのシステイン残基を導入し、前記抗原-抗体結合界面の前記hIL-2又はその変異タンパク質の配列に少なくとも1つのシステイン残基を導入することにより形成される。一実施形態では、前記少なくとも1つのシステイン残基の導入は、アミノ酸置換若しくは点変異、挿入若しくは付加、又はこれらの任意の組み合わせによって少なくとも1つのシステイン残基を導入することである。
【0025】
別の態様では、本願は、本明細書のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体又はその抗原結合断片、及びhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードする単離核酸分子(「ポリヌクレオチド」とも呼ばれる)、前記核酸を含む発現ベクター、並びに前記核酸又は発現ベクターを含む宿主細胞に関する。本願は更に、前記宿主細胞を使用して、本明細書のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体又はその抗原結合断片、及びhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を製造する方法に関する。
【0026】
別の態様では、本願は、本明細書の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む二重特異性分子、免疫コンジュゲート、キメラ抗原受容体、工学的に改変されたT細胞受容体、又は腫瘍溶解性ウイルスに関する。
【0027】
別の態様では、本願は、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む二重特異性分子、免疫コンジュゲート、キメラ抗原受容体、工学的に改変されたT細胞受容体、若しくは腫瘍溶解性ウイルスと、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0028】
別の態様では、本願は、有効量の本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、若しくは、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物、並びに/又は別の抗癌剤及び/若しくは免疫調節剤を含む薬入れに関し、前記抗癌剤は、微小管破壊剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAインターカレータ、アルキル化剤、ホルモン療法剤、キナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤は、EGFR阻害剤、HER2阻害剤、HER3阻害剤、IGFR阻害剤、PI3K阻害剤及びMet阻害剤を含むが、これらに限定されない)、受容体拮抗剤、腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤(IAP阻害剤、Bcl2阻害剤、MC11阻害剤、TRAIL阻害剤、CHK阻害剤を含むが、これらに限定されない)、又はいずれかの抗血管新生薬を含むが、これらに限定されず、前記免疫調節剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM3、CTLA-4、LAG-3、CD47、CEACAM-1、CEACAM-5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4又はTGFR阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0029】
別の態様では、本願は、有効量の本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物を含むキットに関する。
【0030】
別の態様では、本願は、本明細書の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の、疾患を治療するための医薬組成物又は製剤の製造における使用に関し、前記疾患は、増殖性疾患、感染性疾患又は免疫不全疾患を含むが、これらに限定されず、前記増殖性疾患は、癌及び他の細胞増殖性障害を含むが、これらに限定されない。或いは、本願は、増殖性疾患、感染性疾患又は免疫不全疾患を治療するための本明細書の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又はそれらを含む医薬組成物の使用に関する。或いは、本願は、本明細書の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又はそれを含む医薬組成物を必要とする対象(被験者)に投与する工程を含む、増殖性疾患、感染性疾患又は免疫不全疾患を治療する方法に関する。
【0031】
別の態様では、本願は、宿主の免疫応答を改善することによって疾患、病状又は障害を治療する方法であって、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む薬入れ若しくはキットを対象に有効量で投与することによって、IL2Rβ/γ受容体を発現するエフェクター細胞(例えば、CD8T細胞及びNK細胞)の生物学的活性を特異的に活性化して、疾患状態を改善する工程を含む方法に関する。
【0032】
別の態様では、本願は、免疫系を刺激する方法であって、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む薬入れ若しくはキットを対象に有効量で投与して、免疫系を刺激する工程を含む方法に関する。
【0033】
別の態様では、本願は、宿主免疫系に対する刺激が有益である(即ち、宿主免疫系を刺激することにより疾患状態を改善する)疾患状態を治療するか、緩和するか又は予防する方法であって、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む薬入れ若しくはキットを対象に治療有効量で投与して、前記対象の細胞免疫応答を増強することにより疾患状態を改善する工程を含む方法に関し、前記疾患状態は、宿主免疫応答不足又は免疫不全を含み、更に前記疾患状態は、増殖性疾患又は感染性疾患である。前記増殖性疾患は、癌及び免疫不全疾患を含む。
【0034】
以下の図面及び具体的な実施形態により本願を更に説明し、本願に開示された他の特徴及び利点は明らかであり、これらの図面及び具体的な実施形態は、本願の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、当業者が容易に想到し得る変更は、本願の精神及び添付の特許請求の範囲の保護範囲に含まれる。本願において引用された全ての参考文献、例えば、公開出版物、特許及び特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】CTLL-2細胞(図1A)とNK-92細胞(図1B)のhIL-2変異体(hIL2-DMとhIL2-TM)及び対照(mIL-2とhIL-2)に対する増殖応答を示す。
図2】ELISAにより測定された、S4B6ヒト化抗体と抗原mIL2-his又はhIL2-hisとの結合活性を示す。
図3】Fortebioにより測定された、hIL2変異タンパク質hIL2-DMがK2G11に結合した後のhIL2Rα及びhIL2Rβへの結合活性を示す。
図4】本願の代表的なhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の概略構成図、及び例示的なhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗原-抗体結合界面の三次元概略図である。hIL-2又はhIL-2変異タンパク質のC末端は、リンカーを介してhIL-2抗体の重鎖N末端に連結され、hIL-2又はhIL-2変異タンパク質とhIL-2抗体との間のジスルフィド結合(破線で示す)は、抗原-抗体結合界面に位置し(図4A)、例示的なhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質におけるhIL-2変異タンパク質(K64G及びN90Rを有する)と抗IL-2ヒト化抗体との結合界面のジスルフィド結合は、hIL-2変異タンパク質(K64G及びN90Rを有する)と抗IL-2ヒト化抗体にそれぞれ1つのシステイン残基を導入することにより形成される(図4B)。
図5】ELISAにより測定された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08及び対照(hIL2-DM-Fc)とhCD25(図5A)及びhCD122(図5B)とのそれぞれの結合活性を示す。
図6】ジスルフィド結合を含むIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08及び対照(hIL-2)に対するCTLL-2細胞(図6A)及びNK-92細胞(図6B)の増殖応答を示す。
図7】フローサイトメトリーにより測定された、CTLL-2細胞の、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08及び対照(hIL-2)の作用下での、そのIL-2シグナル経路におけるSTAT5のリン酸化を示す。
図8】ELISAにより、抗体軽鎖で最適化された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08変異体及び対照(hIL2-DM-Fc及び母体IC-Cy08)とhCD25(図8A)及びhCD122(図8B)とのそれぞれの結合活性を示す。
図9】抗体軽鎖で最適化された、ジスルフィド結合を含むIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08変異体及び対照(hIL-2及び母体IC-Cy08)に対するCTLL-2細胞(図9A)及びNK-92細胞(図9B)の増殖応答を示す。
図10】hIL-2アミノ酸配列最適化を経た、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08変異体及び対照(hIL-2及び母体IC-Cy08)に対するCTLL-2細胞(図10A)及びNK-92細胞(図10B)の増殖応答を示す。
図11】抗体重鎖定常領域がpI変異及びTM変異されたhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08-pITM及び対照(hIL-2及び母体IC-Cy08)に対するCTLL-2細胞(図11A)及びNK-92細胞(図11B)の増殖応答を示す。
図12】ELISAにより測定された、K2G11に基づく、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy04、K2G11-Cy05、K2G11-Cy06及び対照群(H6K3(H)-Cy08及びH6K3(H)-Cy10を含む)のhCD25(図12A)及びhCD122(図12B)とのそれぞれの結合活性を示す。
図13】K2G11に基づく、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy04、K2G11-Cy05及びK2G11-Cy06並びに対照(H6K3(H)-Cy08、H6K3(H)-Cy10、及びK2G11とhIL2-DM(△3、C125L)で形成された抗原-抗体複合体を含む)に対するCTLL-2細胞(図13A)及びNK-92細胞(図13B)の増殖応答を示す。
図14】Fortebioにより測定された、K2G11-Cy05とhIL2Rα、hIL2Rα/β及びhIL2Rα/β/γとの結合活性を示す。
図15】ELISAにより決定された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質(K2G11-Cy05)及び対照(NARA1leukin)とhCD25との結合活性を示す。
図16】レポーター遺伝子法(図16A)と細胞増殖法(CTLL-2細胞及びCD25をノックアウトしたNK-92[NK-92(CD25-KO)]細胞、図16B)により決定された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質(K2G11-Cy05)及び対照(NARA1leukin及び野生型hIL-2)の刺激に応答したIL2Rα/β/γ及び/又はhIL2Rβ/γ受容体の活性化を示す。
図17(1)】ForteBioにより決定された、重鎖定常領域にpI変異及びTM変異された抗IL-2ヒト化抗体(K2G11-pITM)、これに基づいて構築された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質(K2G11-Cy05)、及び対照抗体(K2G11)とFc受容体、C1q及びFcRnとのそれぞれの結合動力学を示す。
図17(2)】図17(1)の続きである。
図18】レポーター遺伝子法により決定された、抗体定常領域にpI変異及びTM変異が導入された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質(K2G11-Cy05)のADCC活性を示し、抗EGFR抗体(即ち、セツキシマブ)は陽性対照群である。
図19】hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質(K2G11-Cy04及びK2G11-Cy05)をカニクイザル血清(M6、M7)又は健常人血清(H2、H3)で異なる時間インキュベート処理した後、NK-92細胞増殖法(図19A及び図19B)及びレポーター遺伝子法(図19C)により決定された、サンプルの生物学的活性の変化を示し、図中、K2G11-Cy04及びK2G11-Cy05と表記された曲線は、血清で処理されていない対照サンプルを示す。
図20】重鎖定常領域が工学的に改変された抗IL-2抗体K2G11-PITM及び重鎖定常領域が工学的に改変されていない抗IL-2抗体K2G11のBALB/cマウスにおける血漿薬物濃度時間曲線を示す。
図21】フローサイトメトリーにより決定された、重鎖定常領域が工学的に改変された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05の投与を受けた後の、カニクイザルの末梢血サンプルにおけるCD8T、NK及びTreg細胞の数の変化、並びにその増殖マーカーKi-67の発現(即ち、Ki67細胞割合)の変化を示す。図中の矢印は、投与時点を示す。
図22(1)】フローサイトメトリーにより決定された、重鎖定常領域が工学的に改変された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05の投与を受けた後の、C57BL/6マウスの脾臓におけるCD4CD25FoxP3Treg細胞数、CD8CD44highT細胞数、NK1.1細胞数の変化(図22A)、通常のCD4T細胞数の変化(図22C)、CD8CD44highT細胞とTreg細胞との絶対計数比、及びNK1.1細胞とTreg細胞との絶対計数比の変化(図22B)、並びに各投与群のマウスの体重の変化(図22D)を示す。
図22(2)】図22(1)の続きである。
図23】異なる用量での、重鎖定常領域が工学的に改変された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05及びその対照分子NARA1leukinのマウスCT26結腸癌モデルにおける抗腫瘍活性を示す。
図24】ELISAにより決定された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/NARA1抗体融合タンパク質及び対照分子(hIL2-DM-Fc)とhCD25(図24A)及びhCD122(図24B)とのそれぞれの結合活性を示す。
図25】ELISAにより決定された、ジスルフィド結合を含むhIL-2/TCB2抗体融合タンパク質及び対照分子(hIL2-DM-Fc)とhCD25(図25A)及びhCD122(図25B)とのそれぞれの結合活性を示す。
図26】ジスルフィド結合を含むhIL-2/NARA1抗体融合タンパク質及び対照分子(野生型hIL-2)に対するCTLL-2細胞(図26A)及びNK-92細胞(図26B)の増殖応答を示す。
図27】ジスルフィド結合を含むhIL-2/TCB2抗体融合タンパク質及び対照分子(野生型hIL-2)に対するCTLL-2細胞(図27A)及びNK-92細胞(図27B)の増殖応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
定義
別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、いずれも当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本願の目的のために、以下の用語を以下に定義する。
【0037】
本明細書では、「インターロイキン-2(Interleukin-2)」又は「IL-2」又は「IL2」は、互換的に使用されてもよく、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯動物(例えば、マウス)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物からの任意の天然のIL-2を意味する。該用語は、未加工のIL-2及び細胞発現に由来する任意の形態のIL-2を含む。該用語は、天然に存在するIL-2対立遺伝子変異体及びスプライス変異体、アイソタイプ、ホモログ、及び種ホモログを更に含む。本明細書に記載のヒトIL-2(hIL-2)とは、「野生型hIL-2」又は「野生型IL-2」又は「WT IL-2」とも呼ばれる成熟したヒトIL-2タンパク質を指し、APTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT(配列番号1)というアミノ酸配列のポリペプチドを有する。
【0038】
未加工のヒトIL-2は、N末端の20個のアミノ酸のシグナルペプチドを更に含み、配列番号229の配列を有し、成熟した(又は加工された)IL-2タンパク質は、上記シグナルペプチドが除去されたポリペプチドである。
【0039】
本明細書に記載のhIL-2変異タンパク質(又はIL-2変異体)は、野生型hIL-2の変異物であり、この変異タンパク質は、野生型IL-2アミノ酸配列内に1つ、2つ、又は3つ以上のアミノ酸変異を含んでもよく、上記アミノ酸変異は、アミノ酸の置換、削除(欠失)、挿入及び付加であってもよい。いくつかの実施形態では、好ましいアミノ酸変異は、アミノ酸の置換、挿入、付加、又はそれらの組み合わせである。別のいくつかの実施形態では、好ましいアミノ酸変異は、アミノ酸削除である。いくつかの実施形態では、本願に記載の具体的な変異アミノ酸の位置に変異を導入することによって、本願に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と増強された結合親和性を有するhIL-2変異タンパク質が得られ、上記増強された結合親和性は、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と交差反応できない野生型IL-2がアミノ酸変異を経た後に上記抗IL-2抗体又は抗原結合断片との交差反応性を獲得するか、上記hIL-2変異タンパク質が上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片に対して中結合親和性であるか(例えば、10-8M未満)、又は高結合親和性(例えば、10-9M未満、更には10-10M未満)であるということであってもよい。いくつかの実施形態では、本願に記載の具体的な変異アミノ酸の位置に変異を導入して、本願に記載の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と超安定した複合体を形成できるhIL-2変異タンパク質を得る。いくつかの実施形態では、本願に記載の具体的な変異アミノ酸の位置に変異を導入して、グリコシル化修飾が除去されたhIL-2変異タンパク質を得る。いくつかの実施形態では、本願に記載の特定のシステイン残基の位置に変異を導入して、遊離システインが除去されたhIL-2変異タンパク質を得る。
【0040】
本明細書では、IL-2タンパク質のアミノ酸位置については、配列番号1に示される野生型hIL-2タンパク質のアミノ酸配列を参照することにより決定される。アミノ酸配列の比較(例えば、BLAST、即ち、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PROGRAM=blastp&PAGE_TYPE=BlastSearch&LINK_LOC=blasthomeから取得可能なBasic Local Alignment Search Toolにより、デフォルトパラメータを使用して比較する)により、他のIL-2タンパク質又はポリペプチド(全長配列又は切断された断片を含む)上の対応するアミノ酸の位置を同定することができる。したがって、本願では、IL-2タンパク質又はポリペプチド中のアミノ酸の位置は、別段の記載がない限り、配列番号1に従って番号付けされたアミノ酸の位置である。例えば、「K64」とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第64位のリジン残基(K)、又は比較した後の他のIL-2ポリペプチド配列上の対応する位置にあるアミノ酸残基を意味する。
【0041】
本明細書では、hIL-2変異タンパク質に言及する場合、変異を次のように説明する。アミノ酸置換は、「元のアミノ酸残基/位置/置換したアミノ酸残基」と表される。例えば、野生型hIL-2の第90位のアスパラギン(N)をアルギニン(R)に置換することはN90Rと表すことができる。
【0042】
本明細書では、「IL2R」又は「IL-2R」とは、IL-2受容体を意味する。高親和性IL2Rは、IL-2Rα(CD25とも呼ばれる)、IL-2Rβ(CD122とも呼ばれる)、及び共通γ鎖、即ちγc(CD132とも呼ばれる)の3つの鎖又はサブユニットで構成される。高親和性IL2Rは、「IL2Rαβγ」又は「IL2Rα/β/γ」と表記することができる。用語「IL-2Rβ及びγc」とは、用語「IL-2Rβγ」又は「IL2Rβ/γ」と互換的に使用でき、αサブユニットを欠き、かつβ及びγサブユニットを含む中親和性IL-2Rを意味する。
【0043】
本明細書では、「IL2Rα結合部位(binding sites)」又は「IL2Rα結合領域」とは、解析された結晶構造により観察されるIL-2タンパク質とIL2Rαタンパク質とが互いに接触し、作用する領域を意味する。
【0044】
用語「親和性」又は「結合親和性」とは、分子(例えば、受容体又は抗原)とその相手(例えば、リガンド又は抗体)との間の相互作用の内在的な結合能力、即ち、全ての非共有結合相互作用の合計の強度を意味する。特に明記しない限り、本明細書で使用される「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、受容体とリガンド又は抗原と抗体)の間の1:1相互作用を反映するための内在的な結合親和性である。分子Xのその結合相手Yに対する親和性は、通常、解離平衡定数(K)で表すことができ、解離平衡定数は、解離速度定数及び会合速度定数(それぞれ、K解離(Kdis又はKoff)とK会合(Ka又はKon)との比である。親和性は、本分野で公知の一般的な方法により測定することができ、該方法は、本願で使用される方法を含む。
【0045】
用語「制御性T細胞」又は「Treg細胞」とは、他のT細胞(例えばエフェクターT細胞)の応答を抑制することができる特別なCD4T細胞タイプを意味する。制御性T細胞は、IL2Rα及び転写因子FOXP3を構成的に高発現し、抗原(腫瘍抗原を含む)に対する末梢自己寛容の誘導及び維持に重要な役割を果たすことを特徴とする。制御性T細胞は、エフェクターT細胞に対する抑制性機能活性の活性化を誘導するためにIL-2を必要とする。
【0046】
本明細書では、「抗体」とは、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的に又は部分的にコードされる1つ以上のタンパク質を含むものを意味する。公知の免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε及びμ定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κ又はλに分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ又はεに分類され、これらは、更に、免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEをそれぞれ定義する。抗体は、任意のアイソタイプ/クラス(例えば、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE)又は任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)であってもよい。典型的な免疫グロブリン(例えば抗体)の構造単位は、四量体を含む。各四量体は、同じ二対のポリペプチド鎖で構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)と1つの「重」鎖(約50kD~70kD)を有する。軽鎖と重鎖の両方を構造的相同性領域と機能的相同性領域に分ける。上記用語「定常」及び「可変」は、構造的及び機能的に使用されるものである。各鎖のN末端は、主に抗原識別を担当する、約100~110個以上のアミノ酸を有する可変(V)領域又はドメインを定義する。本明細書で使用される「抗体」は、最も広義であり、所望の抗原結合活性を示すことができる限り、様々な抗体構造を含み、上記抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び抗体断片を含むが、これらに限定されない。
【0047】
抗体は、完全な免疫グロブリンの形態で存在するか、又はプロテアーゼ消化によって産生される、十分に特徴付けられた複数の断片の形態で存在する。本明細書では、抗体の用語「抗原結合断片」(又は「抗体部分」又は「抗体断片」と略称される)とは、1つ、又は2つ以上のCDRを含む抗体部分、又は結合抗原(例えば、IL-2タンパク質)に結合できるが、完全な抗体構造を有さない他の任意の抗体断片を意味する。抗原結合断片は、完全な抗体と同じ抗原に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、特定のヒト抗体に由来する1つ、又は2つ以上のCDRを含み、1つ、又は2つ以上の異なるヒト抗体に由来するフレームワーク領域に移着することができる。抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、Fd断片、ジスルフィド結合安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv’)、ジスルフィド結合安定化二機能性抗体(ds二機能性抗体)、一本鎖抗体分子(scFv)、scFv二量体(二価の二機能性抗体)、二価一本鎖抗体(BsFv)、ラクダ化単一ドメイン抗体(camelized single domain antibody)、ナノ抗体、ドメイン抗体及び二機能性抗体(diabody)を含むが、これらに限定されない。例えば、抗体の「Fab」断片とは、1つの軽鎖(軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含む)と1つの重鎖の可変領域及びCH1とがジスルフィド結合により結合した抗体断片を意味する。「Fab’」断片とは、部分ヒンジ領域を含むFab断片を意味する。「F(ab’)2」とは、Fabの二量体を意味する。抗体の「Fc」断片は、重鎖のCH2とCH3とがジスルフィド結合により結合して形成された抗体断片である。抗体のFc断片は、複数の異なるエフェクター機能を担当し、例えば、インビボでの血清における抗体の半減期の決定、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(Antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)、補体依存性細胞傷害(Complement Dependent Cytotoxicity、CDC)又は抗体依存性細胞貧食(Antibody Dependent Cellular Phagocytosis、ADCP)などの免疫応答の媒介であるが、抗原の結合に関与しない。抗体の「Fv」断片とは、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片を意味する。Fv断片は、1つの軽鎖の可変領域と1つの重鎖の可変領域で構成される。抗体の「Fd断片」とは、VH、CH1及び部分ヒンジ領域を含む、Fab断片における重鎖部分を意味する。「一本鎖Fv抗体(scFv)」とは、軽鎖可変領域と重鎖可変領域とが直接連結するか又は1つのペプチド鎖を介して連結して形成された工学的に改変された抗体(Huston JSら、Proc Natl Acad Sci USA 1988、85:5879-5883)を意味する。「(dsFv)2」が3つのペプチド鎖を含むことは、2つのVH基が1つのポリペプチドリンカーによって連結され、ジスルフィド結合によって2つのVL基に結合することを意味する。「二重特異性ds二機能性抗体」は、VL1-VH2(1つのポリペプチドリンカーを介して連結される)とVH1-VL2(同じく1つのポリペプチドリンカーを介して連結される)とを含み、両者は、VH1とVL1との間にジスルフィド結合により結合する。「二重特異性dsFv」又は「dsFv-dsFv」は、3つのポリペプチド鎖を含み、即ち、VH1-VH2断片を含み、そのうちの2つの重鎖は、ポリペプチドリンカー(例えば、長い柔軟なリンカー)を介して連結され、それぞれがジスルフィド結合によりVL1とVL2断片に結合し、ジスルフィド結合によりペアリングされた重鎖軽鎖の各ペアは、異なる抗原特異性を有する。「scFv二量体」は、二価二機能性抗体又は二価一本鎖抗体(BsFv)であり、二量化された2つのVH-VL(ポリペプチドリンカーを介して連結される)断片を含み、そのうちの1つの断片のVHともう1つの断片のVLが協働して2つの結合部位を形成し、この2つの結合部位には、同じ抗原(又は抗原結合エピトープ)又は異なる抗原(又は抗原結合エピトープ)を標的結合することができる。別のいくつかの実施形態では、「scFv二量体」は、互いに連結されたVL1-VH2(ポリペプチドリンカーを介して連結される)及びVH1-VL2(ポリペプチドリンカーを介して連結される)を含む二重特異性二機能性抗体であり、そのうち、VH1とVL1とが協働し、VH2とVL2とが協働し、各協働ペアリングが異なる抗原特異性を有する。「一本鎖抗体Fv-Fc(scFv-Fc)」とは、scFvと抗体Fc断片で構成された工学的に改変された抗体を意味する。「ラクダ化単一ドメイン抗体(Camelized single domain antibody)」、「重鎖抗体」又は「HCAb(Heavy-chain-only antibodies、HCAb)」とは、いずれも2つのVHドメインを含み、軽鎖を含まない抗体を意味する(Riechmann L及びMuyldermans S、J Immunol Methods 1999、231:25-38;Muyldermans S、J Biotechnol 2001、74:277-302、特許出願国際公開第94/04678号、特許出願国際公開第94/25591号、米国特許第6005079号)。重鎖抗体は、最初に、ラクダ科(ラクダ、ヒトコブラクダ、及びラマを含む)において発見された。軽鎖が欠失しているが、ラクダ化抗体(camelized antibodies)は、抗原結合の全ての機能を有する(Hamers-Casterman Cら、Nature 1993、363:446-448;Nguyen VKら、Heavy-chain antibodies in Camelidae:a case of evolutionary innovation、Immunogenetics 2002、54:39-47;Nguyen VKら、Immunology 2003、109:93-101)。重鎖抗体の可変領域(VHHドメイン)は、現在知られている後天性免疫によって産生される最小の抗原結合単位である(Koch-Nolte Fら、FASEB J 2007、21:3490-3498)。「ナノ抗体」は、1つの重鎖抗体由来のVHHドメインと2つの定常領域のCH2及びCH3で構成された抗体断片である。「ドメイン抗体」とは、1つの重鎖可変領域又は1つの軽鎖可変領域のみを含む抗体断片を意味する。いくつかの場合、2つ又は3つ以上のVHドメインは、1つのポリペプチドリンカーによって共有結合されて、二価ドメイン抗体を形成する。二価ドメイン抗体の2つのVHドメインは、同じ又は異なる抗原に標的作用することができる。「二機能性抗体(diabody)」は、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体断片を含み、該断片は、同一のポリペプチド鎖に連結されたVHドメインとVLドメインを含む(例えば、VH-VL又はVL-VH)(Holliger Pら、Proc Natl Acad Sci USA 1993、90:6444-6448、欧州特許出願公開第404097号、特許出願国際公開第93/11161号)。2つのドメインの間のリンカーが短いため、同一の鎖における2つのドメインが互いにペアリングできないことにより、2つのドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的にペアリングさせて、2つの抗体結合部位を形成する。この2つの抗体結合部位は、同じ又は異なる抗原(又は抗原結合エピトープ)を標的結合することができる。
【0048】
本願の抗IL-2抗体又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗体ドメインは、全長抗体の全部又はその抗原結合断片(上記の定義を参照)を含み、IL2Rαと競合してIL-2に結合することができる抗体可変領域の全部又は一部を任意に含み、かつV遺伝子及び/又はD遺伝子及び/又はJ遺伝子によってコードされる1つ、又は2つ以上の領域を任意に含む。
【0049】
本明細書では、用語「免疫グロブリン分子」とは、天然に存在する抗体構造を有するタンパク質を意味する。例えば、IgG類の免疫グロブリンは、約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、ジスルフィド結合を介して連結された2つの軽鎖と2つの重鎖で構成される。N末端からC末端へ、各重鎖は、可変領域(VH、可変重ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる)と、続いて、3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3、重鎖定常領域とも呼ばれる)を有する。同様に、N末端からC末端へ、各軽鎖は、可変領域(VL、可変軽ドメイン又は軽鎖可変ドメイン又は軽鎖可変領域とも呼ばれる)と、続いて、定常軽ドメイン(軽鎖定常領域、CLとも呼ばれる)を有する。免疫グロブリンの重鎖は、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)又はμ(IgM)に分けることができ、そのうちの一部は、更に、サブクラス、例えば、γ1(IgG1)、γ2(IgG2)、γ3(IgG3)、γ4(IgG4)、α1(IgA1)及びα2(IgA2)に分けることができる。免疫グロブリンの軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)に分けられる。免疫グロブリンは、一般的に、免疫グロブリンヒンジ領域によって連結された2つのFab分子とFcドメインで構成される。
【0050】
本明細書では、用語「軽鎖可変領域(V)」及び「重鎖可変領域(V)」とは、それぞれV又はVを含むポリペプチドを意味する。VとVがペアリングされると、単一の抗原結合部位が形成される。内因性Vは、遺伝子領域V(可変)及びJ(連結)によりコードされ、内因性Vは、V、D(多様性)及びJによりコードされる。V又はVは、いずれも超可変領域CDR(相補性決定領域)とフレームワーク領域(FR)とを含む。用語「可変領域」又は「V領域」とは、互換的に使用されてもよく、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含む重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を意味する。V領域は、天然に存在するもの、組み換えられるもの、又は合成されるものであってもよい。本明細書では、抗体軽鎖可変領域及び/又は抗体重鎖可変領域は、「抗体可変領域」又は「抗体鎖」と総称される場合がある。本明細書で提供され更に説明されるように、「抗体軽鎖可変領域」又は「抗体重鎖可変領域」及び/又は「抗体可変領域」及び/又は「抗体鎖」は、システイン残基が導入されたポリペプチド配列を任意に含む。
【0051】
本明細書では、用語「相補性決定領域(CDR)」又は「超可変領域(HVR)」は、互換的に使用されてもよく、抗体可変領域において配列が超可変であり、かつ/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する各領域を意味する。CDRは、抗体の標的タンパク質結合部位であり、CDRが構造的に標的タンパク質のエピトープに相補的であるため、該結合部位は、このような標的タンパク質に結合する特異性を有する。通常、天然の4本鎖抗体は、Vに3つ(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)とVに3つ(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)との6つのCDRを含む。CDRを除く残りのVL又はVH領域、即ちフレームワーク領域(FR)は、アミノ酸配列変異が少ない(Kuby、Immunology、第4版、第4章、W H Freeman & Co.、2000)。
【0052】
CDR及びFRの位置は、Kabat、Chothia、IMGT及びContact(例えば、Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH公開番号91-3242、Johnsonら、Nucleic Acids Res 2001、29:205-206;Chothia及びLesk、J Mol Biol 1987、196:901-917;Chothiaら、Nature 1989、342:877-883;Chothiaら、J Mol Biol 1992、227:799-817;Al-Lazikaniら、J Mol Biol 1997、273:927-748;Lefranc MPら、IMGT 、The International ImmunoGenetics Database;Nucleic Acids Research 1999、27:209-212;MacCallum RMら、J Mol Biol 1996、262:732-745を参照)などの、本分野で周知の様々な定義方法を使用して決定することができる。抗原結合部位の定義は、更に、Ruizら、Nucleic Acids Res 2000、28:219-221;Lefran MP、Nucleic Acids Res 2001、29:207-209;Lefranc MP、The Immunologist 1999、7:132-136;Lefranc MPら、Dev Comp Immunol 2003、27:55-77;MacCallumら、J Mol Biol 1996、262:732-745;Martinら、Proc Natl Acad Sci USA 1989、86:9268-9272;Martinら、Methods Enzymol 1991、203:121-153;Reesら、Sternberg M J E(編集)、Protein Structure Prediction、Oxford University Press、オックスフォード、141-172(1996)という文献に記載されている。本願は、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗体部分又は本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片におけるCDRを決定する任意の定義方法を含み、表1は、異なる定義方法を使用して決定された抗体CDRのアミノ酸残基を示す。特定のCDRをカバーする正確なアミノ酸残基の数は、CDRの配列によって変化する。抗体可変領域のアミノ酸配列が明らかである場合、当業者は、上記定義の従来の方法を含むがこれらに限定されない方法によって抗体のCDRを決定することができる。
【0053】
【表1】
【0054】
また、Kabatらは、更に、いずれも任意の抗体に応用できる、可変領域配列に対する番号システムを定義する。当業者は、抗体配列自体以外の任意の実験データに依存して可変領域配列を決定する必要がなく、この「Kabat番号」システムを任意の抗体の可変領域配列に明確に応用することができる。特に説明しない限り、本願の抗IL-2抗体又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗体部分の可変領域における特定のアミノ酸残基の位置の番号は、Kabat番号システムに従って決定される。
【0055】
本明細書では、用語「Fc領域」又は「Fcドメイン」とは、少なくとも定常領域の一部、例えば第1定常領域(CH1)以外の免疫グロブリン重鎖の定常領域を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を意味する。本明細書で使用されるFc領域は、天然配列Fc領域及び/又はFc領域変異体を含み、本願の抗IL-2抗体又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の一部であってもよい。本分野において理解されるように、Fc領域の境界は、変化してもよいが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、EU番号システム/スキーム(Kabatら、1991、NIH公開91-3242、National Technical Information Service、スプリングフィールド、バージニア州)に基づくと、通常、そのカルボキシル末端の第226位のシステイン残基又は第230位のプロリン残基を含むと定義される。
【0056】
本明細書では、用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質性を有する抗体群から得られる抗体を意味し、即ち、少量で存在する可能性がある自然な変異を除いて、抗体群を構成する各抗体は、同じである。モノクローナル抗体は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性及び親和性を示す。
【0057】
本明細書では、用語「キメラ抗体」とは、2つの異なる抗体に由来する配列を含む抗体(例えば、米国特許第4816567号)を意味し、上記抗体は、通常、異なる種に由来する。例えば、キメラ抗体は、ヒト及びげっ歯動物の抗体断片、通常、ヒト定常領域及びマウス可変領域を含む。キメラ抗体を産生するための方法は、当業者に知られている従来の組換えDNA及び遺伝子トランスフェクション技術(例えば、Morrison SLら、Proc Natl Acad Sci USA 1984、81:6851-6855;米国特許第5202238号及び米国特許第5204244号)を含む。
【0058】
本明細書では、用語「ヒト化抗体又は抗原結合断片」とは、非ヒト動物由来のCDR、ヒト由来のFR領域、及びヒト由来の定常領域を含む抗体又は抗原結合断片を意味する。ヒト化抗体又は抗原結合断片は、低下した免疫原性を有するため、ヒト治療剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、上記非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、モルモット又はハムスターなどの哺乳動物である。いくつかの実施形態では、上記ヒト化抗体又は抗原結合断片は、CDR配列が非ヒト由来である以外、抗体の他の部分が実質的に全てヒト由来配列で構成される。いくつかの実施形態では、上記ヒト由来FR領域は、それが由来するヒト抗体と同じアミノ酸配列を含んでもよく、いくつかのアミノ酸変化、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2若しくは1個以下のアミノ酸変化を含んでもよい。いくつかの実施形態では、該アミノ酸変化は、重鎖FR領域のみ、軽鎖FR領域のみ、又は同時に2つの鎖に存在してもよい。
【0059】
本明細書では、用語「対応するヒト生殖系列配列」とは、抗体可変領域のアミノ酸配列又はサブ配列を意味し、他の既知の全てのヒト生殖系列免疫グロブリン可変領域のアミノ酸配列と比較して、該抗体可変領域のアミノ酸配列又はサブ配列と参照されたヒト生殖系列免疫グロブリン可変領域のアミノ酸配列とは、最も高いアミノ酸配列同一性を有する。対応するヒト生殖系列配列は、フレームワーク領域、相補性決定領域、フレームワーク領域及び相補性決定領域、可変領域、可変領域配列又はサブ配列の他の組み合わせのみであってもよい。本明細書に記載の方法、例えば、BLAST、ALIGN又は本分野で公知の他の比較アルゴリズムを使用して2つの配列を比較し、配列同一性を決定することができる。対応するヒト生殖系列核酸配列又はヒト生殖系列アミノ酸配列は、参照されたヒト生殖系列免疫グロブリン可変領域のアミノ酸配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有してもよい。
【0060】
本願の抗IL-2抗体又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗体部分は、ヒトIL2Rαと競合してhIL-2又はその変異タンパク質に結合でき、ヒトIL2RαとhIL-2又はその変異タンパク質との結合をブロック(抑制)することができるとともに、IL2Rβ/γに対するhIL-2又はその変異タンパク質の結合活性及び機能活性を保持することができる限り、キメラ形式、非ヒト形式、ヒト化形式又は全ヒト形式を含む任意の1つ、2つ又は3つ以上の形式から選択されてもよい。
【0061】
本明細書では、用語「特異的結合」又は「結合特異的」又は「...に対して特異性を有する」又は「結合」とは、結合反応を意味し、該結合反応は、タンパク質と他の生物剤(バイオ製剤)との異質集団(例えば、生体サンプル(例えば、血液、血清、血漿又は組織サンプル))において、標的分子(又はタンパク質又は抗原)の存在を決定し、即ち、この結合は、標的分子に対して選択性を有し、それらの望ましくない相互作用又は非特異的な相互作用を区別することができる。例えば、標的分子(抗原であってもよい)に特異的に結合する抗体は、他の非標的分子に結合する抗体と比較すると、該抗体が該標的分子に結合する場合に、より大きい親和性及び結合活性を有し、より容易であり、かつ/又は持続時間がより長い。いくつかの実施形態では、抗体と標的抗原との特異的結合の解離平衡定数(K)値は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、又は<0.1nMである。
【0062】
本明細書では、用語「抗原-抗体結合界面」とは、抗体が抗原に特異的に結合する場合に、抗原-抗体相互作用(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、立体分布により)に関与するアミノ酸残基によって形成される立体構造領域を意味し、該立体領域は、抗原エピトープ及び抗体の抗原結合領域を含む。抗原-抗体結合界面のアミノ酸残基は、連続した配列にあってもよく、連続した配列になくてもよい。例えば、上記界面が3次元的である場合、上記界面内のアミノ酸残基は、直鎖状配列上の異なる位置に分けて位置することができる。本明細書で使用される場合、用語「エピトープ」とは、抗体に特異的に結合できるタンパク質決定領域を意味する。エピトープは、通常、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面群で構成され、通常、特定の3次元構造特性及び特定の電荷特性を有する。立体構造エピトープと非立体構造エピトープとは、変性溶媒の存在下で抗体と前者との結合が失われるが、後者との結合が失われないという点で相違する。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「エピトープ結合ドメイン」又は「抗原結合ドメイン」又は「抗原結合領域」とは、互換的に使用されてもよく、標的エピトープ上の結合部位に特異的に相互作用する(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、立体分布により)結合分子(例えば、抗体又はそのエピトープ結合断片又は誘導体)の部分を意味する。本願では、「抗原結合領域」とは、IL-2エピトープとの特異的相互作用を(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、立体分布により)保持する抗体の1つ、又は2つ以上の断片も意味する。
【0064】
本明細書では、用語「融合」又は「融合された」とは、アミノ酸配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質)に使用される場合、例えば、化学結合又は組換え手段により、2つ以上のアミノ酸配列を、天然に存在しない単一のアミノ酸配列に組み合わせることを意味する。融合ポリペプチドは、2つのアミノ酸配列をコードする2つのポリヌクレオチドの組換え、及びそれに続く組換えポリヌクレオチドを含む発現構築物を宿主細胞に導入することにより産生することができる。
【0065】
本明細書では、用語「抗体変異体」又は「抗体変異タンパク質」とは、参照された抗体可変領域に少なくとも1つのアミノ酸変異を含む抗体ポリペプチド配列を意味する。変異物は、未修飾の抗体と実質的に相同又は実質的に同一であってもよい。いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗体部分の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、及び/又は6つのCDRにおいてアミノ酸変異を行うことにより、上記抗体若しくは抗体部分のヒト化度を向上させ、IL-2変異タンパク質に対する特異性若しくは親和性を増強し、かつ/又はIL-2若しくはその変異タンパク質と超安定した複合構造を形成する。いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗体部分の1つ、2つ、3つ、及び/又は4つのFRにおいてアミノ酸変異を行うことにより、上記抗体若しくは抗体部分のヒト化度を向上させ、かつ/又はIL-2若しくはその変異タンパク質と超安定した複合構造を形成する。いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗体部分のCDR及びFRにおいて1つ又は2つ以上のアミノ酸変異を行うことにより、上記抗体若しくは抗体部分のヒト化度を向上させ、IL-2若しくはその変異タンパク質に対する特異性若しくは親和性を増強し、かつ/又はIL-2若しくはその変異タンパク質と超安定した複合構造を形成する。いくつかの実施形態では、上記アミノ酸変異は、アミノ酸の置換、削除、挿入、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0066】
アミノ酸置換は、アミノ酸の保存的置換及びアミノ酸の非保存的置換を含み、アミノ酸の保存的置換は、同じクラス(例えば、化学的特性又は機能的類似)のうちの別のアミノ酸で置換することに関し、非保存的置換は、このクラスのうちの1つのアミノ酸を別のクラスのアミノ酸で置換することに関する。当業者は、係る残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性の類似性に基づいてアミノ酸の保存的置換を行うことができる。例えば、(i)非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン(Ala、A)、ロイシン(Leu、L)、イソロイシン(Ile、I)、バリン(Val、V)、プロリン(Pro、P)、フェニルアラニン(Phe、F)、トリプトファン(Trp、W)及びメチオニン(Met、M)が挙げられ、(ii)極性中性アミノ酸としては、グリシン(Gly、G)、セリン(Ser、S)、トレオニン(Thr、T)、システイン(Cys、C)、チロシン(Tyr、Y)、アスパラギン(Asn、N)及びグルタミン(Gln、Q)が挙げられ、(iii)正電荷を帯びた(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン(Arg、R)、リジン(Lys、K)及びヒスチジン(His、H)が挙げられ、(iv)負電荷を帯びた(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸(Asp、D)及びグルタミン酸(Glu、E)が挙げられる。アミノ酸の非保存的置換は、生体高分子の特性又は機能を大きく変化させる可能性がある。一般的に、ポリペプチドの特性を最大限変化させることが期待される置換としては、(a)セリン又はトレオニンなどの親水性残基で、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン、アラニンなどの疎水性残基を置換する(又は親水性残基が疎水性残基で置換される)こと、(b)システイン又はプロリンで他のアミノ酸残基を置換する(又はシステイン又はプロリンが他のアミノ酸残基で置換される)こと、(c)リジル基、アルギニル基、ヒスチジル基などの電気陽性側鎖を有する残基で、グルタミル基又はアスパルチル基などの電気陰性残基を置換する(又は電気陽性側鎖を有する残基が電気陰性残基で置換される)こと、(d)フェニルアラニンなどの嵩高い側鎖を有する残基で、グリシンなどの側鎖のない残基を置換する(又は嵩高い側鎖を有する残基が側鎖のない残基で置換される)ことが挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸配列の変異が導入された部位又は領域は予め決定されてもよいが、非保存的置換による潜在的な生体高分子の特性又は機能の変化は予測できない。いくつかの実施形態では、本願のhIL-2変異タンパク質は、野生型hIL-2に基づいてアミノ酸の非保存的置換を導入することによって、意図しない機能上の大きな改変が達成され、例えば、本願の抗IL-2抗体と結合できないhIL-2が、アミノ酸の非保存的置換によって結合活性を取得する。
【0067】
いくつかの実施形態では、抗原-抗体結合界面にシステイン残基を導入することについて、上記第1及び第2は、システインが導入される位置の区別を容易にするためにのみ使用される。明示的に記載されていない限り、これらの用語の使用は、特定のアミノ酸残基をシステイン残基に置換するか、又はシステイン残基を付加若しくは挿入する特定の順序を与えることを意図していない。
【0068】
本明細書では、2つ以上の核酸又はポリペプチド配列において、用語「同一」又は「同一性」又は「同一性百分率」又は「百分率配列同一性」は、互換的に使用されてもよく、アミノ酸配列(又は核酸配列)の比較を行い、必要に応じて間隔を導入して同じアミノ酸(又は核酸)の数を最大にした後、候補配列において、参照配列と同じアミノ酸(又は核酸)残基が上記候補配列のアミノ酸(又は核酸)残基に占める百分率を意味する。上記アミノ酸残基の保存的置換は、同じ残基と考えられてもよく、同じ残基と考えられなくてもよい。本分野で開示されたツール、例えば、BLASTN、BLASTp(アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)ウェブサイト、Altschul SFら、J Mol Biol 1990、215:403-410;Stephen Fら、Nucleic Acids Res 1997、25:3389-3402を参照してもよい)、ClustalW2(欧州バイオインフォマティクス研究所ウェブサイト、Higgins DGら、Methods in Enzymology 1996、266:383-402;Larkin MAら、Bioinformatics 2007、23:2947-2948を参照してもよい)、及びALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアによって、配列を比較してアミノ酸(又は核酸)配列の百分率配列同一性を決定してもよい。当業者は、上記ツールのデフォルトパラメータを使用するか、又は比較要件に従って、例えば、適切なアルゴリズムを選択することによって、パラメータを適切に調整することができる。
【0069】
本明細書では、核酸(又はポリヌクレオチド)又はタンパク質に関する場合、用語「単離された」は、該核酸又はタンパク質が、天然状態でそれに結合する他の細胞成分を実質的に含まず、好ましくは均質状態にあることを意味し、例えば、単離された核酸又はタンパク質は、天然又は自然環境から取り出されてもよい。単離された核酸又はタンパク質は、凍結乾燥したもの又は水溶液であってもよい。通常、該単離された核酸又はタンパク質の純度及び均質性は、分析化学技術(例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィー)を使用して決定されてもよい。該単離された核酸又はタンパク質は、製剤中の主成分とする。タンパク質は、実質的に精製により得られる。用語「精製された」とは、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲルにおいて実質的に1つのバンドを生成することを意味する。特に、これは、核酸又はタンパク質の純度が少なくとも85%で、より好ましくは少なくとも95%で、最も好ましくは少なくとも99%であることを意味する。本願では、いくつかの実施形態では、宿主細胞において発現される組換えタンパク質は、単離されたものと見なされ、同様に、これは、当業者に周知の技術によって単離され、分画(fractionate)されるか、又は部分的もしくは実質的に精製された天然又は組換えタンパク質にも当てはまる。いくつかの実施形態では、「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体(例えば、hIL-2に特異的に結合する単離された抗体は、hIL-2以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)を意味する。しかしながら、hIL-2に特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原(例えば、他の種に由来するIL-2分子、例えばマウスIL-2)と交差反応性を有してもよい。また、単離された抗体は、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、ベクターに含まれる、本願のポリペプチド又はタンパク質(例えば、hIL-2又はその変異タンパク質、抗IL-2抗体、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質)をコードする組換えポリヌクレオチドは、単離されたものと見なされる。単離されたポリヌクレオチドの他の例として、異種宿主細胞に含まれる組換えポリヌクレオチド又は溶液中の(部分的又は実質的に)精製されたポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたポリヌクレオチドは、該ポリヌクレオチド分子を一般的に含む細胞に含まれるポリヌクレオチド分子を含むが、該ポリヌクレオチド分子は、染色体外又はその天然染色体位置とは異なる他の染色体位置に存在する。本願の単離されたポリヌクレオチド又は核酸は、合成により生成されたこのような分子を更に含む。また、ポリヌクレオチド又は核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位又は転写ターミネーターなどの調節エレメントであってもよく、プロモーター、リボソーム結合部位又は転写ターミネーターなどの調節エレメントを含んでもよい。
【0070】
本明細書では、用語「工学的に改変」は、ポリペプチド又はタンパク質主鎖に対する任意の操作、又は天然若しくは組換えタンパク質若しくはポリペプチド若しくはその断片に対する翻訳後修飾を含むと解釈される。工学的な改変としては、アミノ酸配列への変異、グリコシル化パターン又は各アミノ酸側鎖基の修飾、及びこれらの方法の組み合わせが挙げられる。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、アミノ酸及びその等価物のポリマーを意味し、生成物の具体的な長さを意味しないため、「ペプチド」及び「タンパク質」は、ポリペプチドの定義に含まれる。ポリペプチドの定義には、本明細書で定義される「抗体」も含まれる。
【0072】
文脈が別段の指示を有さない限り、「誘導体」は、第2ポリペプチドに対して1つ、若しくは2つ以上のアミノ酸の非保存的若しくは保存的置換を有するポリペプチド若しくはその断片(「変異体」とも呼ばれる)であるか、又は第2分子を共有結合することにより、例えば異種ポリペプチドを連結することにより、又はグリコシル化、アセチル化、リン酸化などにより修飾されたポリペプチド若しくはその断片である。「誘導体」の定義は、例えば、1つ以上のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸など)を含むポリペプチド、非置換の連結、及び本分野で公知の(天然及び非天然の)他の修飾を有するポリペプチドを更に含んでもよい。
【0073】
本明細書では、用語「発現ベクター」又は「ベクター」とは、あるタンパク質をコードするポリヌクレオチド又は核酸を操作的にその中に挿入し、該タンパク質を発現させることができる媒体を意味する。ベクターは、宿主細胞の形質転換、形質導入又はトランスフェクションに使用され、該ベクターに担持された遺伝物質エレメントを宿主細胞内に発現させることができる。
【0074】
本明細書では、用語「宿主細胞」とは、外来ポリヌクレオチド若しくは核酸及び/又はベクターが導入される細胞を意味する。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含み、これらは、初代形質転換された細胞及びそれに由来する後代を含み、継代の数を考慮しない。後代は、核酸内容が親細胞の核酸内容と完全に同一ではないかもしれず、変異を含む場合がある。本願では、最初に形質転換された細胞から同じ機能又は生物学的活性について選別されるか又は選択される変異体の子孫が含まれる。
【0075】
本明細書では、用語「対象」、「被験者」、「患者」又は「個体」は、互換的に使用されてもよく、ヒト、非ヒト霊長類動物(例えば、サル)、マウス、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター、ウマ、サル、ヒツジ又は他の非ヒト哺乳動物を含む哺乳動物と、鳥(例えば、鶏又はアヒル)又は魚などの非哺乳類脊椎動物を含む非哺乳動物と、非哺乳類無脊椎動物とを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本願の使用又は方法に係る対象及び医薬組成物は、非ヒト動物の(予防的及び/又は治療的)処置に使用される。
【0076】
本明細書では、ある疾患又は病状に対する「治療(treating又はtreatment)」とは、ある疾患若しくは病状の軽減、ある疾患若しくは病状の発生若しくは発症の速度の低下、ある疾患若しくは病状の発症リスクの低減、ある疾患若しくは病状に関連する症状発症の遅延、ある疾患若しくは病状に関連する症状の軽減若しくは終結、ある疾患若しくは病状の完全若しくは一部の逆転の発生、ある疾患若しくは病状の治癒、又は以上の組み合わせを意味する。
【0077】
本明細書では、「予防」は、疾患若しくは障害、又は特定の疾患若しくは障害の症状の発生又は発症の抑制を含む。いくつかの実施形態では、家族の病歴を有する対象は、予防案の候補である。通常、用語「予防」とは、病徴又は症状の発生前、特にリスクのある対象の発症前の薬物投与を意味する。
【0078】
用語「治療有効量」又は「有効用量」とは、必要な用量で、必要な期間にわたって、疾患若しくは障害に関連する症状を予防するか若しくは改善し、かつ/又は疾患若しくは障害の重症度を軽減するのに有効な用量又は濃度を意味する。本願の製剤、抗体若しくはその抗原結合断片若しくは融合タンパク質又はその組成物の治療有効量は、疾患状態、個体の年齢、性別及び体重、並びに抗体若しくは抗体部分又は融合タンパク質が個体において所望の反応を励起する能力などの複数の要因に応じて変化してもよい。治療有効量はまた、製剤、抗体若しくはその抗原結合断片若しくは融合タンパク質又はその組成物の任意の有毒又は有害作用が治療有益作用より低いと考えられる。用語「有効量」とは、対象に臨床上の利益(疾患、障害若しくはその関連症状の改善、緩和又は軽減、疾患の進行の遅延又は停止を含むが、これらに限定されない)を提供するのに十分な活性成分又は薬剤の量を意味する。
【0079】
本明細書では、用語「薬学的に許容できる」又は「薬学的に許容可能な」とは、一般的に化学的及び/又は物理的に製剤中の他の配合剤に適合し、生理的に対象に適合する、意図された担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤及び/又は塩を意味する。
【0080】
用語「約」とは、数値と組み合わせて使用される場合、指定された数値より5%小さい下限及び5%大きい上限を有する範囲内の数値、又は一実施形態では10%小さい下限及び10%大きい上限、又は別の実施形態では15%小さい下限及び15%大きい上限、又は別の実施形態では20%小さい下限及び20%大きい上限を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
【0081】
用語「及び/又は」は、オプションのいずれか1つ又はオプションのいずれか2つ以上の組み合わせを意味すると理解されるべきである。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「含み」、「含む」、「含有」、「有する」、又は「関与する」は、互換的に使用されてもよく、要素、整数又は工程を含むが、任意の他の要素、整数又は工程を排除しないことを意味する。本明細書では、用語「含み」、「含む」、「含有する」、「有する」、又は「関与する」が使用される場合、特に断らない限り、上記要素、整数又は工程で構成された状況も包含される。
【0083】
本明細書で言及される「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「1つの具体的な実施形態」、「具体的な実施形態」又はそれらの組み合わせは、記載された実施形態に関連する特定の特徴、構造、又は特性が、本願の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書の全文に現れる前述の用語は、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。また、上記特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方式で組み合わされてもよい。
【0084】
文脈が明確に指示しない限り、単数用語は、複数の指示対象を包含し、その逆も同様である。
【0085】
全ての特許、特許出願及び他の出版物は、記載及び開示の目的のために、参照により本明細書に明確に組み込まれる。これらの出版物は、それらの開示が本願の出願日より前に行われたという理由のみで提供されている。これらの文書の日付の記述又はこれらの文書の内容の表現に関する全ての記述は、出願人が入手可能な情報に基づくものであり、これらの文書の日付又はこれらの文書の内容の正確性についての何らかの承認を構成するものではない。また、あらゆる国で、本明細書においてこれらの出版物に対するあらゆる引用は、該出版物が本分野の公知常識の一部となっていることについての承認を構成するものではない。
【0086】
以下の段落において、本願の各態様について詳細に説明する。
【0087】
1. 本願のhIL-2変異タンパク質
一態様では、本願に係るhIL-2変異タンパク質は、野生型hIL-2(配列番号1に示される)に対して、本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片に結合する能力を得て、かつ上記変異がhIL-2の生物学的活性に顕著な影響を与えない。
【0088】
本願のhIL-2変異タンパク質と本明細書の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との結合親和性(K)値は、<5×10-8Mであり、好ましくは、<1×10-8M、<5×10-9M、又は<1×10-9Mであり、より好ましくは、<6×10-10Mである。本願のhIL-2変異タンパク質と本明細書の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片とのK値は、約5×10-8M~5×10-10M、又は例えば、1×10-8M~1×10-10M、1.5×10-8M~1×10-10M、1×10-8M~10×10-10M、1×10-9M~1×10-10Mである。
【0089】
本願のhIL-2変異タンパク質は、(i)hIL-2とhIL2Rβ/γとの結合活性及び生物学的機能を保持し、(ii)本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片が、IL2Rαと競合して本願のhIL-2変異タンパク質に結合することができ、(iii)本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片が、hIL-2変異タンパク質とIL-2Rαとの結合をブロックすることができるという他の機能特性を更に含む。
【0090】
本願のhIL-2変異タンパク質は、他の改善された特性、例えば、その変異部位が抗原-抗体結合界面内に位置し、抗原-抗体結合界面外に露出しないため、ADA(anti-drug antibody、抗薬物抗体)を誘発する潜在的なリスクを顕著に低減するという特性を更に含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、本願のhIL-2変異タンパク質は、野生型hIL-2(配列番号1に示される)と比較して、90%以上のアミノ酸配列同一性を有し、好ましくは、93%以上のアミノ酸配列同一性を有するが、配列同一性が100%より小さい。いくつかの実施形態では、本願のhIL-2変異タンパク質は、野生型hIL-2に対して、少なくとも1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態では、本願のhIL-2変異タンパク質は、野生型hIL-2に対して、少なくとも1つ、又は2つ以上のアミノ酸置換及び/又は削除を含む。いくつかの実施形態では、本願のhIL-2変異タンパク質は、野生型hIL-2に対して、システイン残基への置換以外の少なくとも1つ、又は2つ以上の他のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、上記アミノ酸変異は、上記抗原-抗体結合界面に位置する。
【0092】
1つの具体的な実施形態では、上記アミノ酸変異は、上記抗原-抗体結合界面内に位置する。1つの具体的な実施形態では、本願のhIL-2変異タンパク質の変異部位は、上記変異タンパク質と上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との結合界面内に埋め込まれており、本願のhIL-2変異タンパク質の上記結合界面外に露出する部分は、野生型hIL-2と同じアミノ酸配列を保持することにより、hIL-2の生物学的活性に大きな影響を与えないだけでなく、上記hIL-2変異タンパク質の免疫原性を顕著に低下させ、即ち、上記hIL-2変異タンパク質は、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と抗原-抗体複合体を形成した後、上記hIL-2変異タンパク質の潜在的ADAリスクを顕著に低減する。上記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して、第64位、第90位及び/又は第104位に1つ、2つ又は3つ以上のアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態では、上記hIL-2変異タンパク質は、野生型hIL-2に対して、K64、N90及びM104から選択される1つ、2つ又は3つの位置でのアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態では、上記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して、(1)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第64位のアミノ酸残基におけるKのG、S、T、C、Y、N又はQへの変異と、(2)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第90位のアミノ酸残基におけるNのR、K又はHへの変異と、(3)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第104位のアミノ酸残基におけるMのE又はDへの変異とのうちの少なくとも1つを含む。
【0093】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して、(a)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第64位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異K64G、(b)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第90位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異N90R、又は、(c)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第104位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異M104Eのうちの1つ、2つ又は3つ以上を含み、好ましくは、上記アミノ酸変異は、K64G及び/又はN90R、或いはK64G、N90R及びM104Eであり、より好ましくは、上記アミノ酸変異は、K64G及びN90Rである。
【0094】
一実施形態では、上記アミノ酸変異は、抗原-抗体結合界面外に位置することにより、上記hIL-2変異タンパク質の下流産生及び制御過程で発生し得る問題を解決する。1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2変異タンパク質の産生及び製造過程においてグリコシル化異性体が発生する問題を解決するために、野生型hIL-2に対してアミノ酸変異を行ってグリコシル化修飾を除去し、上記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対してN末端の最初の3つ又は5つのアミノ酸残基が削除されるか、又は配列番号1に示される野生型hIL-2に対して第3位において点変異を有し、好ましくは、アミノ酸変異は、野生型hIL-2のN末端の最初の3つのアミノ酸残基の削除である。1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2変異タンパク質の産生及び製造過程においてシステイン残基のミスマッチが発生する可能性がある問題を解決するために、野生型hIL-2に対してアミノ酸変異を行って遊離システイン残基を除去し、上記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して第125位においてアミノ酸変異が発生し、好ましくは、アミノ酸変異は、C125A、C125L、C125S、C125Q又はC125Vである。
【0095】
一実施形態では、上記アミノ酸変異は、上記抗原-抗体結合界面の内外に位置する。1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して、N末端の最初の3つ若しくは5つ、又は第3位、第64位、第90位、第104位、若しくは第125位に1つ以上のアミノ酸変異を有する。いくつかの実施形態では、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して、上記hIL-2変異タンパク質は、N末端の最初の3つのアミノ酸の削除変異と、K64、N90及びM104から選択される1つ以上の位置での置換変異と、C125位置での置換変異とを含み、好ましくは、アミノ酸変異は、K64G及び/又はN90R、N末端の最初の3つのアミノ酸残基の削除、及びC125A、C125L、C125S、C125Q又はC125Vから選択されるいずれか1つ、或いは、K64G、N90R、M104E及びN末端の最初の3つのアミノ酸残基の削除、及びC125A、C125L、C125S、C125Q又はC125Vから選択されるいずれか1つの組み合わせである。より好ましくは、アミノ酸変異は、K64G、N90R、N末端の最初の3つのアミノ酸残基の削除及びC125Lの組み合わせである。
【0096】
2. 本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片
一態様では、本願に係る抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、IL2Rαと競合して本願のhIL-2変異タンパク質に結合し、上記hIL-2変異タンパク質とIL2Rα又はαサブユニットを含むIL-2受容体複合体(即ち、IL2Rα/β又はIL2Rα/β/γ)との結合をブロックすることができ、かつ本願のhIL-2変異タンパク質との結合親和性が高く、解離しにくい。
【0097】
本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と本願のhIL-2変異タンパク質との結合親和性(K)値は、<5×10-8Mであり、好ましくは、<1×10-8M、<5×10-9M、又は<1×10-9Mであり、より好ましくは、<6×10-10Mである。本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と本願のhIL-2変異タンパク質のK値は、約5×10-8M~5×10-10M、又は例えば、1×10-8M~1×10-10M、1.5×10-8M~1×10-10M、1×10-8M~10×10-10M、1×10-9M~1×10-10Mである。本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と本願のhIL-2変異タンパク質との解離速度定数(Kdis)は、<5×10-3-1、1×10-3-1、<5×10-4-1又は<3×10-4-1である。
【0098】
本願の抗体は、IL2Rαと競合してhIL-2又はその変異タンパク質に結合することができる。特定の実施形態では、本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、hIL-2又はその変異タンパク質配列におけるIL2Rα結合部位を特異的に識別することができる。本願の抗体は、好ましくは、F(ab)2、F(ab’)2、Fab、Fab’、scFv、単一ドメイン抗体などを含んでもよい。本願の抗体は、hIL-2又はその変異タンパク質のIL2Rα結合部位を特異的に識別でき、hIL-2又はその変異タンパク質とIL2Rαとの結合をブロックできる限り、キメラ抗体、ヒト化抗体、全ヒト抗体であってもよく、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体及び抗体断片であってもよい。いくつかの実施形態では、上記抗IL-2抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、上記抗IL-2抗体は、抗マウスIL-2抗体及びそのヒト化抗体から選択される。特定の実施形態では、上記抗マウスIL-2抗体は、マウスIL-2(mIL-2)とマウスIL2Rα(mIL2Rα)との結合部位を特異的に識別する抗mIL-2抗体から選択され、上記抗mIL-2抗体は、本願のhIL-2変異タンパク質と交差反応することができる。
【0099】
別の態様では、本願の抗IL-2抗体は、VH及びVLを含む。いくつかの実施形態では、本願の抗体は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するVH及び配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するVLを含む抗IL-2抗体から誘導され、hIL-2変異タンパク質に特異的に結合でき、上記hIL-2変異タンパク質とIL2Rαとの結合をブロックすることができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体は、以下の配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するVHを含む抗体から誘導される。
EVQLQESGAELVRPGTSVKLSCKVSGDTITAYYLHFVRQRPGQGLEWIGRIDPEDDSTKYAENFKNKATFTADASSNTAYLRLSSLTSEDTATYFCTTVTFYYSRELRWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号5)
【0101】
いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体は、以下の配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するVLを含む抗体から誘導される。
DIQVTQSPASLSASLEEIVTITCQASQDIGNYLSWYQQKLGKSPQLLIHSATSLADGVPSRFSGSRSGTQYSLKINRLQVEDTGIYYCLQHYSTPYTFGAGTKLELK(配列番号6)
【0102】
いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するVHの1つ、若しくは2つ以上のCDR、又は配列番号7、配列番号8、及び配列番号9に示されるアミノ酸配列若しくはそれらの変異体を含み、上記変異体は、ヒト化抗体又は本願に記載の任意の他の変異体を含む。いくつかの実施形態では、上記抗IL-2抗体は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するVHのHCDR1(配列番号7に示される)、HCDR2(配列番号8に示される)、及びHCDR3(配列番号9に示される)を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するVLの1つ、若しくは2つ以上のCDR、又は配列番号10、配列番号11、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列若しくはそれらの変異体を含み、上記変異体は、ヒト化抗体又は本願に記載の任意の他の変異体を含む。いくつかの実施形態では、上記抗IL-2抗体は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するVLのLCDR1(配列番号10に示される)、LCDR2(配列番号11に示される)及びLCDR3(配列番号12に示される)を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するVHの1つ、若しくは2つ以上のCDR、又は配列番号7、配列番号8及び配列番号9に示されるアミノ酸配列若しくはそれらの変異体と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するVLの1つ、若しくは2つ以上のCDR、又は配列番号10、配列番号11、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列若しくはそれらの変異体とを含み、上記変異体は、ヒト化抗体又は本願に記載の任意の他の変異体を含む。いくつかの実施形態では、上記抗IL-2抗体は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するVHのHCDR1(配列番号7に示される)、HCDR2(配列番号8に示される)及びHCDR3(配列番号9に示される)と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するVLのLCDR1(配列番号10に示される)、LCDR2(配列番号11に示される)及びLCDR3(配列番号12に示される)とを含む。いくつかの実施形態では、上記抗IL-2抗体は、配列番号7に示されるHCDR1、配列番号8に示されるHCDR2、配列番号9に示されるHCDR3、配列番号10に示されるLCDR1、配列番号11に示されるLCDR2、及び配列番号12に示されるLCDR3を含む。
【0105】
別の態様では、本願の抗IL-2抗体のVH及び/又はVLを出発材料として使用して工学的に改変して、ヒトに応用可能な本明細書に記載の抗体を製造してもよい。1つ又は2つの可変領域(即ち、VH及び/又はVL)内の1つ、又は2つ以上のアミノ酸残基を変異させること、例えば、1つ、若しくは2つ以上のCDR領域及び/又は1つ、若しくは2つ以上のフレームワーク領域内の1つ、若しくは2つ以上のアミノ酸残基を変異させることによって抗体を工学的に改変してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、CDR移植によって本願の抗IL-2抗体の可変領域を工学的に改変する。抗体は、主に重鎖及び軽鎖の6つのCDRのアミノ酸残基を介して標的抗原と相互作用する。したがって、各抗体間のCDR領域内のアミノ酸配列は、CDR領域以外の配列(例えばFR)より多様である。CDR領域のアミノ酸配列が抗体と抗原との大部分の相互作用を担うため、特定の天然に存在する抗体に由来するCDR配列を、異なる特性を有する別の抗体のFR配列に移植したものを含む発現ベクターを構築することにより、組換え抗体を発現して、特定の天然に存在する抗体の特性を模倣することができる(例えば、Riechmannら、Nature 1998、332:323-327;Jonesら、Nature 1986、321:522-525;Queenら、Proc Natl Acad Sci USA 1989、86:10029-10033を参照する。米国特許第5,225,539号、米国特許第5,530,101号、米国特許第5,585,089号、米国特許第5,693,762号及び米国特許第6,180,370号も参照)。
【0107】
いくつかの実施形態では、本願は、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関し、上記抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含み、上記重鎖可変領域は、本願に記載のHCDR1領域、HCDR2領域及びHCDR3領域のアミノ酸配列を含み、該軽鎖可変領域は、本願に記載のLCDR1領域、LCDR2領域及びLCDR3領域のアミノ酸配列を含む。上記抗体は、本願のモノクローナル抗体のV及びVのCDR領域配列を含むが、異なるフレームワーク領域配列を含んでもよい。
【0108】
このようなフレームワーク領域配列は、DNA公共データベース又は既に公開されている、生殖系列抗体遺伝子配列に関する参考文献から取得されてもよい。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列は、「VBase」ヒト生殖系列データベース(インターネット上でwww.mrc-cpe.cam.ac.uk/vbaseから取得できる);Kabatら、1991、前出;Tomlinsonら、J Mol Biol 1992、227:776-798;及びCoxら、Eur J Immunol 1994、24:827-836に見られ、これらの内容は、参照によりそれぞれの内容を本明細書に明確に組み込まれる。別の例として、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列は、IMGTデータベースに見られる。例えば、ヒト免疫グロブリンにおいて発見された以下の重鎖生殖系列配列(4-59*02(M29812)、1-69-2*01(KF698734、IMGT000035又はZ12305)は、IMGT登録番号によって取得することができる。別の例として、ヒト免疫グロブリンにおいて発見された以下の軽鎖生殖系列配列3-20*01(X12686、M15038、M15039、X56593又はX93639)、3-11*01(X01668、L37726又はX92342)、1-39*01(X59315又はX93627)は、IMGT登録番号によって取得することができる。
【0109】
当業者に周知のGapped BLASTと呼ばれる配列類似性検索方法のうちの1つを使用して、コンパイルされたタンパク質配列データベースに基づいて抗体アミノ酸配列を比較してもよい(Altschulら、1997、上記参照)。
【0110】
本願の抗IL-2抗体の重鎖CDR領域、軽鎖CDR領域並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列番号を表2にまとめる。表2では、重鎖可変領域CDR及び軽鎖可変領域CDRは、Kabat番号システムにより定義される。しかしながら、本分野で周知のように、CDR領域は、重鎖/軽鎖可変領域配列の他の、例えばChothia及びIMGT、AbM又はContact番号システム/方法に基づいて定義されてもよく、異なる番号システム/方法により定義されたCDR領域は、僅かに異なるが、当業者は、従来の方法に従って決定することができ、他の番号システム/方法により定義されたCDR領域と本願で採用されるKabatによって定義されたCDR領域とは、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0111】
【表2(1)】
【表2(2)】
【表2(3)】
【表2(4)】
【表2(5)】
【0112】
本願に使用される抗IL-2抗体における好ましいフレームワーク配列は、本願の親抗体フレームワーク配列と構造的に類似する(又は相同性の高い)受容体フレームワーク領域である。いくつかの実施形態では、VH又はVLのCDR1領域配列、CDR2領域配列及びCDR3領域配列をそれぞれ受容体フレームワーク領域に移植してもよく、上記受容体フレームワーク領域は、その生殖系列免疫グロブリン遺伝子と同じであるか又は相同性の最も高い配列を有する。1つの具体的な実施形態では、本願は、配列番号5に示されるVHのCDR領域と配列番号6に示されるVLのCDR領域をそれぞれヒトIgG FR領域に移植して、ヒト化抗体を得ることを選択し、上記ヒト化抗体は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するVH及び配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するVLを含む母体抗体と類似する抗原結合活性を保持することができる。
【0113】
また、hIL-2に結合する他の抗IL-2抗体のVH及びVL配列(又はCDR配列)と、本願の抗IL-2抗体のVH及びVL配列(又はCDR配列)とを「混合してマッチング」してもよい。好ましくは、VH鎖とVL鎖(又はこれらの鎖内のCDR)を混合してマッチングする場合、特定のVH/VLペアからのVH配列は、構造的に類似したVH配列によって置換される。同様に、好ましくは、特定のVH/VLペアからのVL配列は、構造的に類似したVL配列によって置換される。
【0114】
したがって、一実施形態では、本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、
(a)表2に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
(b)表2に示すアミノ酸配列又は別の抗IL-2抗体のVLを含む軽鎖可変領域であって、該別の抗体はhIL-2変異タンパク質に特異的に結合する、軽鎖可変領域と
を含む。
【0115】
1つの具体的な実施形態では、本願のヒト化抗体は、配列番号45、配列番号47又は配列番号49に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するVHアミノ酸配列を含む。
【0116】
1つの具体的な実施形態では、本願のヒト化抗体は、配列番号46、配列番号48又は配列番号50に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するVLアミノ酸配列を含む。
【0117】
1つの具体的な実施形態では、本願のヒト化抗体は、配列番号45、配列番号47又は配列番号49に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するVHアミノ酸配列、及び配列番号46、配列番号48又は配列番号50に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するVLアミノ酸配列を含む。
【0118】
より具体的な実施形態では、本願のヒト化抗体は、配列番号45に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVHアミノ酸配列、及び配列番号46に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVLアミノ酸配列、又は配列番号47に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVHアミノ酸配列、及び配列番号48に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVLアミノ酸配列、又は配列番号49に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVHアミノ酸配列、及び配列番号48に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVLアミノ酸配列、又は配列番号49に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVHアミノ酸配列、及び配列番号50に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVLアミノ酸配列を含む。好ましくは、ヒト化抗体は、配列番号45に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVHアミノ酸配列、及び配列番号46に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVLアミノ酸配列、又は配列番号49に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVHアミノ酸配列、及び配列番号48若しくは配列番号50に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVLアミノ酸配列を含む。より好ましくは、ヒト化抗体は、配列番号49に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVHアミノ酸配列、及び配列番号48に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するVLアミノ酸配列を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、CDR配列を、生殖系列配列と比較して1つ、又は2つ以上の変異を含むフレームワーク領域に移植してもよい。例えば、フレームワーク領域内のアミノ酸残基を変異させることにより、抗体の抗原結合能力を維持するか又は増強することができることが見出された(例えば、米国特許、米国特許第5530101号、米国特許第5585089号、米国特許第5693762号及び米国特許第6180370号を参照)。いくつかの実施形態では、本願に記載の親抗体のCDRを、生殖系列配列と比較して1つ、又は2つ以上の変異を有する受容体フレームワーク領域に移植することにより、本願の抗IL-2抗体のヒト化度を向上させることができる。具体的な実施形態では、配列番号49に示されるVHのFR領域に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行い、FR1、FR2、又はFR3に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を更に行い、更にFR1、FR2、又はFR3に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異をそれぞれ行うことにより、本願の抗IL-2抗体のヒト化度を向上させることができる。好ましくは、FR1の第27位のアスパラギン酸残基、FR1の第29位のイソロイシン残基、FR2の第13位(配列番号49に示されるVHアミノ酸配列の第48位に対応する)のイソロイシン残基、及び/又はFR3の第11位(配列番号49に示されるVHアミノ酸配列の第76位に対応する)のアスパラギン残基を変異させる。具体的な実施形態では、配列番号48に示されるVLのFR領域に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行い、FR3に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行うことを選択することにより、本願の抗IL-2抗体のヒト化度を向上させることができる。好ましくは、FR3の第10位(配列番号48に示されるアミノ酸配列を有するVLの第66位に対応する)のアルギニン残基及び/又はFR3の第15位(配列番号48に示されるアミノ酸配列を有するVLの第71位に対応する)のチロシン残基を変異させる。
【0120】
いくつかの実施形態では、ヒト化抗体のVH及び/又はVLのCDR領域にアミノ酸変異を行うことにより、標的抗体の1つ以上の特性を改善してもよい(例えば、ヒト化度を向上させ、発現量を向上させ、潜在的異性化リスクを低減し、結合特性を改善する)。部位特異的変異又はPCR誘導変異を行い、かつ本分野で公知のインビトロ又はインビボでの検出方法により、上記変異の抗体結合能力又は他の機能的特性への影響を評価することができる。変異は、アミノ酸の置換、付加又は削除であってもよく、好ましくは、アミノ酸置換である。特に、CDR領域において、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以下のアミノ酸残基で変異が行われる。1つの具体的な実施形態では、配列番号49に示されるVHのCDR領域に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行い、更にHCDR1及び/又はHCDR2に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行ってもよく、好ましくは、HCDR1の第1位(配列番号49に示されるVHの第31位に対応する)のアラニン残基、第4位(配列番号49に示されるVHの第34位に対応する)のロイシン残基及び/又はHCDR2の第17位(配列番号49に示されるVHの第65位に対応する)のアスパラギン残基に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行ってもよい。
【0121】
別のいくつかの実施形態では、本願は、更に、抗体に対して異性化改変を行うことに関する。異性化は、抗体コンフォメーションの変化を引き起こすため、抗体表面の電荷を変化させて、抗体電荷の異質性を引き起こす。好ましい実施形態では、本願の抗体は、アスパラギン酸異性化部位を含まない。アスパラギン酸異性化は、D-G配列において発生することにより、イソアスパラギン酸残基を生成することができ、該アミノ酸残基が結合手をポリペプチド鎖に導入するため、該ポリペプチド鎖の安定性が低下する(イソアスパラギン酸効果とも呼ばれる)。一実施形態では、配列番号48に示されるVLのCDR領域に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行い、更にLCDR2に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行い、好ましくは、LCDR2の第7位(配列番号48に示されるVLの第56位に対応する)のアスパラギン酸残基にアミノ酸変異を行うことにより、アスパラギン酸異性化のリスクを低減する。
【0122】
いくつかの実施形態では、更に、ヒト化抗体の可変領域のCDR領域及びフレームワーク領域に組み合わせたアミノ酸変異を行うことにより、標的抗体の1つ以上の特性をより大きく改善する(例えば、ヒト化度を向上させ、結合特性を改善し、潜在的異性化リスクを低減し、発現量を向上させる)ことができる。1つの具体的な実施形態では、上記ヒト化抗体の配列番号49に示されるVHの2つのCDR領域、1つのFR領域及び配列番号48に示されるVLの1つのCDR領域、及び1つのFR領域に複数のアミノ酸変異を行うことにより、好ましくは、上記配列番号49に示されるVHのHCDR1の第4位のロイシン残基(配列番号49に示されるVHの第34位に対応し、例えば、変異後のアミノ酸配列が配列番号14に示されるHCDR1であってもよい)、HCDR2の第17位のアスパラギン残基(配列番号49に示されるVHの第65位に対応し、例えば、変異後のアミノ酸配列が配列番号15又は配列番号16に示されるHCDR2であってもよい)、FR3の第11位のアスパラギン残基(配列番号49に示されるVHのアミノ酸配列の第76位に対応し、例えば、変異後のアミノ酸配列が配列番号58に示されるVHであってもよい)、配列番号48に示されるVLのLCDR2の第7位のアスパラギン酸残基(配列番号48に示されるVLの第56位に対応し、例えば、変異後のアミノ酸配列が配列番号17又は配列番号18に示されるLCDR2であってもよい)、及びFR3の第15位のチロシン残基(配列番号48に示されるVLのアミノ酸配列の第71位に対応し、例えば、変異後のアミノ酸配列が配列番号62に示されるVLであってもよい)に組み合わせた複数のアミノ酸変異を行うことにより、本願のヒト化抗体がより高いヒト化レベルを有するだけでなく、本願のhIL-2変異タンパク質との結合親和性(K値約10-8M)を保持するとともに、アスパラギン酸異性化のリスクを低減する。
【0123】
別のいくつかの実施形態では、本願に係る単離された抗IL-2モノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、上記重鎖可変領域は、(a)本願の配列又は1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つのアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含むVCDR1領域と、(b)本願の配列又は1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つのアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含むVCDR2領域と、(c)本願の配列又は1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つのアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含むVCDR3領域と、(d)本願の配列又は1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つのアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含むVCDR1領域と、(e)本願の配列又は1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つのアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含むVCDR2領域と、(f)本願の配列又は1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つのアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含むVCDR3領域と、を含む。
【0124】
いくつかの具体的な実施形態では、例えば、<5×10-9M、又は<1×10-9Mであり、より好ましくは、<6×10-10Mである、上記抗IL-2モノクローナル抗体と本願のhIL-2変異タンパク質との結合親和性を更に向上させるために、上記抗IL-2抗体の重鎖CDR及び軽鎖CDRにおける特定部位にアミノ酸変異を行う。CDR3(特にHCDR3)ドメインは、CDR1ドメイン及び/又はCDR2ドメインに依存せず、抗原への結合特異性が非常に重要であり、かつ他の2つのCDRドメインに対してより大きな多様性を有するため、1つの具体的な実施形態では、本願は、配列番号9に示されるHCDR3に1つ、2つ及び/又は3つのアミノ酸変異を行い、上記アミノ酸変異は、配列番号9に示されるHCDR3の第1位のバリン残基、第4位のチロシン残基、及び/又は第6位のセリン残基に発生し、好ましくは、上記アミノ酸変異は、V1R、V1I、V1T、Y4H、Y4L、Y4W又はS6A、S6R、S6N、S6D、S6Q、S6E、S6H、S6I、S6L、S6K、S6F、S6P、S6T、S6W、S6Y、S6Vを含む。1つの具体的な実施形態では、本願は、更に配列番号15に示されるHCDR2に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行い、好ましくは、1つのアミノ酸変異を行い、上記アミノ酸変異は、配列番号15に示されるHCDR2の第5位のグルタミン酸残基に発生し、好ましくは、アミノ酸変異は、E5Dである。1つの具体的な実施形態では、更に配列番号9に示されるHCDR3における1つ、2つ及び/又は3つのアミノ酸変異と配列番号15に示されるHCDR2におけるアミノ酸変異とを組み合わせ、好ましくは、アミノ酸変異は、配列番号9に示されるHCDR3におけるV1I、Y4L、S6Tの1つ、2つ及び/又は3つのアミノ酸変異と配列番号15に示されるHCDR2におけるアミノ酸変異E5Dとの組み合わせである。1つの具体的な実施形態では、本願は、配列番号10に示されるLCDR1及び/又は配列番号17に示されるLCDR2に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を行い、上記アミノ酸変異は、配列番号10に示されるLCDR1の第5位のアスパラギン酸残基若しくは第7位のグリシン残基、及び/又は配列番号17に示されるLCDR2の第1位のセリン残基若しくは第3位のトレオニン残基に発生し、上記アミノ酸変異は、配列番号10に示されるLCDR1におけるD5N、D5H、D5I、D5L、D5F、D5Y及び/若しくはG7A、G7R、G7N、G7Q、G7I、G7L、G7S、G7T、G7D、並びに/又は配列番号17に示されるLCDR2におけるS1R、S1Q、S1T、S1W、S1Y若しくはT3Gを含み、好ましくは、アミノ酸変異は、配列番号10に示されるLCDR1におけるD5N、D5H、D5L、D5Y及び/若しくはG7I、G7L、G7S、G7T、並びに/又は配列番号17に示されるLCDR2におけるS1Q若しくはT3Gを含む。
【0125】
1つの具体的な実施形態では、上記任意の1つ、若しくは2つ以上の上記重鎖CDR領域の変異及び/又は任意の1つ、若しくは2つ以上の上記軽鎖CDR領域の変異を選択することができる。任意の1つの上記重鎖CDR領域の変異と任意の1つの上記軽鎖CDR領域の変異とを選択して組み合わせた場合、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有するVH及び配列番号64に示されるアミノ酸配列を有するVLを含む本願の抗IL-2ヒト化抗体と本願のhIL-2変異タンパク質との結合親和性を保持することができる。2つ、又は3つ以上の上記重鎖CDR領域の変異及び/又は任意の1つ、又は2つ以上の上記軽鎖CDR領域の変異を選択して組み合わせた場合、上記抗IL-2ヒト化抗体とhIL-2変異タンパク質との結合親和性を<10-9M、更に<6×10-10Mに顕著に向上させることができる。
【0126】
一実施形態では、上記軽鎖CDR領域の1つの変異を選択するか、又は上記重鎖CDR領域の任意の1つ、2つ、3つ又は4つの変異との組み合わせを選択してもよく、上記軽鎖CDR領域のアミノ酸変異は、D28Y(配列番号64に示されるアミノ酸配列を有するVLの第28位のアスパラギン酸に発生し、配列番号10に示されるLCDR1の第5位に対応する)を含み、上記重鎖CDR領域のアミノ酸変異は、V95I(配列番号9に示されるHCDR3の第1位のバリン残基に発生し、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有するVHの第95位に対応する)、E53D(配列番号15に示されるHCDR2の第5位のグルタミン酸残基に発生し、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有するVHの第53位に対応する)、S100T(配列番号9に示されるHCDR3の第6位のセリン残基に発生し、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有するVHの第100位に対応する)及びY98L(配列番号9に示されるHCDR3の第4位のチロシン残基に発生し、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有するVHの第98位に対応する)を含み、上記重鎖CDR領域の2つのアミノ酸変異は、V95Iと、E53D、S100T又はY98Lから選択される任意の1つを含み、上記重鎖CDR領域の3つのアミノ酸変異は、V95Iと、E53D、S100T又はY98Lから選択される任意の2つを含み、上記重鎖CDR領域の4つのアミノ酸変異は、V95I、E53D、S100T及びY98Lを含む。
【0127】
別の実施形態では、上記軽鎖CDR領域の2つのアミノ酸変異を選択するか、又は上記重鎖CDR領域の任意の1つ、2つ、3つ又は4つのアミノ酸変異との組み合わせを選択し、上記軽鎖CDR領域のアミノ酸変異は、D28YとG30S(配列番号64に示されるアミノ酸配列を有するVLの第30位のグリシンに発生し、配列番号10に示されるLCDR1の第7位に対応する)又はS50Q(配列番号64に示されるアミノ酸配列を有するVLの第50位のセリンに発生し、配列番号17に示されるLCDR2の第1位に対応する)を含み、上記重鎖CDR領域の1つのアミノ酸変異は、V95I、E53D、Y98L又はS100Tを含み、上記重鎖CDR領域の2つのアミノ酸変異は、V95Iと、E53D、S100T又はY98Lから選択される任意の1つとを含み、上記重鎖CDR領域の3つのアミノ酸変異は、V95Iと、E53D、S100T又はY98Lから選択される任意の2つとを含み、上記重鎖CDR領域の4つのアミノ酸変異は、V95I、E53D、S100T及びY98Lを含む。
【0128】
別の実施形態では、上記軽鎖CDR領域の3つの変異を選択するか、又は上記重鎖CDR領域の任意の1つ、2つ、3つ又は4つの変異との組み合わせを選択し、上記軽鎖CDR領域の変異は、D28Y、G30S及びS50Qを含み、上記重鎖CDR領域の1つのアミノ酸変異は、V95I、E53D、Y98L又はS100Tを含み、上記重鎖CDR領域の2つの変異は、V95Iと、E53D、S100T又はY98Lから選択される任意の1つとを含み、上記重鎖CDR領域の3つの変異は、V95Iと、E53D、S100T又はY98Lから選択される任意の2つとを含み、上記重鎖CDR領域の4つのアミノ酸変異は、V95I、E53D、S100T及びY98Lを含む。
【0129】
別の実施形態では、上記重鎖CDR領域のアミノ酸変異と軽鎖CDR領域のアミノ酸変異との組み合わせは、上記重鎖CDR領域の4つのアミノ酸変異と軽鎖CDR領域のアミノ酸変異D28Yとの組み合わせ、又は重鎖CDR領域の3つ若しくは4つのアミノ酸変異と軽鎖CDR領域の2つのアミノ酸変異D28Y及びS50Q若しくはG30Sとの組み合わせを含み、上記重鎖CDR領域の3つのアミノ酸変異は、V95Iと、E53D、S100T若しくはY98Lから選択される任意の2つであるか、又は重鎖CDR領域の2つ、3つ若しくは4つのアミノ酸変異と軽鎖CDR領域の3つのアミノ酸変異D28Y、G30S及びS50Qとの組み合わせであり、上記重鎖CDR領域の2つのアミノ酸変異は、V95I及びY98Lであり、上記重鎖CDR領域の3つのアミノ酸変異は、V95Iと、E53D、S100T又はY98Lから選択される任意の2つであり、具体的には、重鎖CDR領域のアミノ酸変異V95I、S100T、Y98L及びE53Dと軽鎖CDR領域のアミノ酸変異D28Y、重鎖CDR領域のアミノ酸変異V95I、E53D及びY98Lと軽鎖CDR領域のアミノ酸変異D28Y及びS50Q、重鎖CDR領域のアミノ酸変異V95I、及びE53D、S100T若しくはY98Lから選択される任意の2つと軽鎖CDR領域のアミノ酸変異D28Y及びG30S、重鎖CDR領域のアミノ酸変異V95I、S100T、Y98L及びE53Dと軽鎖CDR領域のアミノ酸変異D28Y及びG30S、重鎖CDR領域のアミノ酸変異V95I及びY98Lと軽鎖CDR領域のアミノ酸変異D28Y、G30S及びS50Q、重鎖CDR領域のアミノ酸変異V95I、E53D、S100T若しくはY98Lから選択される任意の2つと軽鎖CDR領域のアミノ酸変異D28Y、G30S及びS50Q、又は重鎖CDR領域の変異V95I、S100T、Y98L及びE53Dと軽鎖CDR領域の変異D28Y、G30S及びS50Qを含む。上記変異の組み合わせは、いずれも本願の配列番号63に示されるアミノ酸配列を有するVH及び配列番号64に示されるアミノ酸配列を有するVLを含む抗IL-2ヒト化抗体と本願のhIL-2変異タンパク質との結合親和性を最大約5×10-10Mまで顕著に向上させ、かつ上記ヒト化抗体と上記hIL-2変異タンパク質との解離速度定数(Kdis)を約10-3-1以下、更には<3×10-4-1まで顕著に低下させるか、又は上記ヒト化抗体と上記hIL-2変異タンパク質との解離平衡定数(K)を2桁以上、更には3桁以上低下させることができる。
【0130】
一実施形態では、本願の抗体は、CDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列を含む重鎖可変領域、並びに/又はCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含み、
(a)重鎖可変領域CDR1配列は、表2に示す配列及び/若しくはその保存的修飾を含み、かつ/又は
(b)重鎖可変領域CDR2配列は、表2に示す配列及び/若しくはその保存的修飾を含み、かつ/又は
(c)重鎖可変領域CDR3配列は、表2に示す配列及びその保存的修飾を含み、かつ/又は
(d)軽鎖可変領域CDR1配列及び/又はCDR2配列及び/又はCDR3配列は、表2に示す配列及び/又はその保存的修飾を含み、また、
(e)上記抗体は、IL2Rαと競合して本願のhIL-2変異タンパク質に結合し、かつ上記hIL-2変異タンパク質とIL2Rαとの結合をブロックする。
【0131】
いくつかの実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7、配列番号13又は配列番号14に示されるHCDR1と、配列番号8、配列番号15、配列番号16又は配列番号19に示されるHCDR2と、配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号29又は配列番号34に示されるHCDR3と、
配列番号10、配列番号26、配列番号27、配列番号30、配列番号31、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43又は配列番号44に示されるLCDR1と、配列番号11、配列番号17、配列番号18、配列番号28、配列番号32又は配列番号33に示されるLCDR2と、配列番号12又は配列番号38に示されるLCDR3と、を含む。
【0132】
いくつかの具体的な実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7又は配列番号14に示されるHCDR1と、配列番号8、配列番号15、配列番号16又は配列番号19に示されるHCDR2と、配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24又は配列番号25に示されるHCDR3と、
配列番号10、配列番号26又は配列番号27に示されるLCDR1と、配列番号11、配列番号17、配列番号18又は配列番号28に示されるLCDR2と、配列番号12に示されるLCDR3と、を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号5、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号63、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号86又は配列番号112に示される配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)の同一性を有する重鎖可変領域VHと、配列番号6、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号64、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110又は配列番号111に示される配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)の同一性を有する軽鎖可変領域VLと、を含む。
【0134】
本願の抗IL-2ヒト化抗体は、1つ以上の以下の機能的特性を更に有し、例えば、本願のhIL-2変異タンパク質との結合親和性が約5×10-10Mに達することができ、より重要なことに、上記ヒト化抗体と上記hIL-2変異タンパク質とは、解離速度定数が約3×10-41/sに低下することにより、両者が相対的により解離しにくくなり、両者の解離によりhIL-2のIL2Rα結合部位が露出する確率を顕著に低下させ、本願の抗体のヒト化度が更に向上し、かつ本願のhIL-2変異タンパク質上の変異アミノ酸残基がいずれも抗原-抗体結合界面内に埋め込まれた状態であるため、ADA誘導のリスクを大幅に低減する。
【0135】
3. 本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質
一態様では、更に、本願に係るhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、hIL-2又は本願のhIL-2変異タンパク質と抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面の設計においてジスルフィド結合を導入することにより、両者の間に超安定した共有結合構造を形成し、hIL-2又はその変異タンパク質のαサブユニット受容体結合部位が構築された融合タンパク質分子の内部に常に埋め込まれて抗原-抗体複合体の解離によって露出されず、かつ抗原-抗体の親和性が十分に強くないことにより高親和性のIL2Rによって競合的に結合することがないことを確保する。
【0136】
本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、
(1)配列番号1に示される野生型ヒトインターロイキン2(hIL-2)又は本願のhIL-2変異タンパク質と、
(2)IL2Rαと競合して上記hIL-2又は本願のhIL-2変異タンパク質に結合する抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と、
(3)上記hIL-2又は本願のhIL-2変異タンパク質と上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面に含まれるジスルフィド結合と
を含む。
【0137】
本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、IL2Rのαサブユニット、又はα/β二量体、又はα/β/γ三量体に結合しないが、IL2Rβ及びγc受容体サブユニット二量体(IL2Rβ/γ)への結合活性及び機能活性を保持する。
【0138】
したがって、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の(i)~(vii)の機能的特性を有する。
(i)本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、Treg細胞表面の高親和性IL2Rに結合しないことにより、Treg細胞によって媒介される腫瘍免疫抑制作用を効果的に回避する。
(ii)本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、正常組織(例えば、血管内皮、肺毛細血管内皮など)又はILC2細胞(Type-2 innate lymphoid cells、II型先天性リンパ様細胞)における高親和性IL2Rに結合しないことにより、従来のIL-2製品のインビボで誘導される毒性又は副作用(例えば、VLS、肺浮腫、低血圧など)を顕著に改善する。
(iii)本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、安定した分子構造を有し、従来技術における、hIL-2/hIL-2抗体複合体が解離する場合がないことにより、hIL-2/hIL-2抗体複合体が解離によりhIL-2のIL2Rα結合部位を露出させることを効果的に回避するため、高親和性IL-2Rによって媒介される潜在的な毒性及びTreg活性化による治療ウィンドウの狭小化の問題を回避する。
(iv)本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、エフェクターT(Teff)細胞(例えば、メモリーCD8T細胞)及び/又はNK細胞に特異的に結合でき、Teff細胞及び/又はNK細胞の増殖を促進できるだけでなく、Teff細胞及び/又はNK細胞におけるIL-2シグナル伝達を誘導し、その腫瘍殺傷活性を活性化することができるが、Treg細胞におけるIL-2シグナル伝達及びその細胞活性を活性化することがなく、かつ従来のCD4T細胞(conventional CD4T cells、Tconv)に悪影響を与えることがない。
(v)本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は免疫原性が低く、全ての変異配列が抗原-抗体結合界面内に埋め込まれて、潜在的なADAリスクを顕著に低減する。
(vi)本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、安定性に優れ、産生し製造しやすく、かつ発現量が高く、産生コストの低減に有利である。
(vii)本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、長い血清半減期を有し、インビボで有効で持続的な免疫刺激作用及び抗腫瘍活性を有し、かつ生体の腫瘍免疫抑制作用を不活性化しないか又は誘導しない。
【0139】
上記hIL-2又は本願のhIL-2変異タンパク質と抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面は、ジスルフィド結合を含み、上記ジスルフィド結合は、上記抗原-抗体結合界面の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の配列に導入された少なくとも1つのシステイン残基と、上記抗原-抗体結合界面のhIL-2又はその変異タンパク質の配列に導入された少なくとも1つのシステイン残基とによって形成される。
【0140】
上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、IL2Rαと競合して上記hIL-2又はその変異タンパク質に結合し、かつ上記hIL-2又はその変異タンパク質とIL2Rα又はαサブユニットを含むIL-2受容体複合体(即ち、IL2Rα/γ又はIL2Rα/β/γ)との結合をブロックすることができる。いくつかの実施形態では、上記抗IL-2抗体は、上記hIL-2又はその変異タンパク質のIL2Rα結合部位に特異的に結合することができる。いくつかの実施形態では、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片とhIL-2変異タンパク質との結合親和性(K)は、<5×10-8Mであり、好ましくは、<1×10-8Mで、<5×10-9Mであるか、又は<1×10-9Mであり、より好ましくは、<6×10-10Mである。いくつかの実施形態では、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片とhIL-2変異タンパク質との解離速度定数(Kdis)は、<5×10-3-1、1×10-3-1、<5×10-4-1又は<3×10-4-1である。
【0141】
上記hIL-2又は本願のhIL-2変異タンパク質と抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面は、hIL-2又はその変異タンパク質とIL2Rαとの結合界面を包含するか、又はhIL-2又は本願のhIL-2変異タンパク質とIL2Rαとの結合界面に部分的に重なる。いくつかの実施形態では、上記hIL-2又はその変異タンパク質と上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面は、上記hIL-2又はその変異タンパク質のABループ、Bヘリックス、Cヘリックス、BCループ及び/又はCDループに位置し、好ましくは、上記hIL-2又はその変異タンパク質のABループ、Bヘリックス、Cヘリックス及びCDループに位置し、上記hIL-2又はその変異タンパク質のIL2Rα結合界面は、hIL-2又はその変異タンパク質のABループ及びBヘリックスに位置する。具体的な実施形態では、上記hIL-2又はその変異タンパク質と上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との結合界面は、上記hIL-2又はその変異タンパク質の第30位~第45位若しくはその隣接するアミノ酸残基、第57位~第77位若しくはその隣接するアミノ酸残基、及び/又は第90位~111位若しくはその隣接するアミノ酸残基に位置する。いくつかの実施形態では、上記hIL-2又はその変異タンパク質と上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との結合界面は、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の可変領域に位置する。
【0142】
いくつかの実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質におけるhIL-2変異タンパク質は、前述の本願のhIL-2変異タンパク質を含み、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して、(a)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第64位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異K64G、(b)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第90位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異N90R、又は、(c)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第104位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異M104Eのうちの1つ以上のアミノ酸変異を含み、好ましくは、アミノ酸変異は、K64G及び/又はN90R、或いはK64G、N90R及びM104Eであり、より好ましくは、アミノ酸変異は、K64G及びN90Rである。具体的な実施形態では、上記hIL-2変異タンパク質は、配列番号2又は配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、前述の本願の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と、hIL-2上のIL2Rα結合部位を特異的に識別できる他の抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片とを含み、好ましくは、他の抗IL-2ヒト化抗体は、PCT国際公開第2016005950号パンフレットに記載のNARA1及びPCT国際公開第2018217058号パンフレットに記載のTCB2から選択される。
【0144】
具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含むか、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0145】
具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A又はD、X2=L又はM)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列が配列番号230に示されるRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E又はD、X3=N、S又はG)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列が配列番号231に示されるZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V、I、R又はT、Z3=Y、L、H又はW、Z4=S、T、A、R、N、D、Q、E、H、I、L、K、F、P、W、Y又はV、好ましくは、Z2=V又はI、Z3=Y又はL、Z4=S又はT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列が配列番号232に示されるQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D、Y、N、H、I、L又はF、Z6=G、S、A、R、N、Q、I、L、T又はD、好ましくは、Z5=D又はY、Z6=G又はS)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列が配列番号233に示されるZ7AZ8SLAX4(Z7=S、Q、R、T、W又はY、Z8=T又はG、X4=D、S又はT、好ましくは、Z7=S又はQ、Z8=T、X4=S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列が配列番号12に示されるLQHYSTPYTであるLCDR3を含むか、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、上記抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7、配列番号13又は配列番号14に示されるHCDR1と、配列番号8、配列番号15、配列番号16又は配列番号19に示されるHCDR2と、配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号29又は配列番号34に示されるHCDR3と、
配列番号10、配列番号26、配列番号27、配列番号30、配列番号31、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43又は配列番号44に示されるLCDR1と、配列番号11、配列番号17、配列番号18、配列番号28、配列番号32又は配列番号33に示されるLCDR2と、配列番号12又は配列番号38に示されるLCDR3と
を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、上記抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7又は配列番号14に示されるHCDR1と、配列番号8、配列番号15、配列番号16又は配列番号19に示されるHCDR2と、配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号29又は配列番号34に示されるHCDR3と、
配列番号10、配列番号26、配列番号27、配列番号30、配列番号31、配列番号35、配列番号36又は配列番号37に示されるLCDR1と、配列番号11、配列番号17、配列番号18、配列番号28、配列番号32又は配列番号33に示されるLCDR2と、配列番号12又は配列番号38に示されるLCDR3と
を含む。
【0148】
1つの具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、
(1)配列番号13(X1=D、X2=L)若しくは配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8(Z1=E、X3=N)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11(Z7=S、Z8=T、X4=D)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、或いは
(2)配列番号7(X1=A、X2=L)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)若しくは配列番号16(Z1=E、X3=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11(Z7=S、Z8=T、X4=D)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、或いは
(3)配列番号7(X1=A、X2=L)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8(Z1=E、X3=N)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)若しくは配列番号18(Z7=S、Z8=T、X4=T)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、或いは
(4)配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0149】
一実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0150】
具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A、X2=M、即ち、配列番号14に示される配列)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E又はD、X3=G、即ち、配列番号15又は配列番号19に示される配列)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V、I、R又はT、Z3=Y、L、H又はW、Z4=S、T、A、R、N、D、Q、E、H、I、L、K、F、P、W、Y又はV、配列番号231、好ましくは、Z2=V又はI、Z3=Y又はL、Z4=S又はT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D、Y、N、H、I、L又はF、Z6=G、S、A、R、N、Q、I、L、T又はD、配列番号232、好ましくは、Z5=D又はY、Z6=G又はS)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S、Q、R、T、W又はY、Z8=T又はG、X4=D、S又はT、配列番号233、好ましくは、Z7=S又はQ、Z8=T、X4=S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHYSTPYT(配列番号12に示される)であるLCDR3を含むか、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0151】
1つの具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、即ち
(1)配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S)又は配列番号27(Z5=Y、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)又は配列番号28(Z7=Q、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、或いは
(2)配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号20(Z2=I、Z3=Y、Z4=S)、配列番号21(Z2=V、Z3=L、Z4=S)、配列番号22(Z2=V、Z3=Y、Z4=T)、配列番号23(Z2=I、Z3=Y、Z4=T)、配列番号24(Z2=I、Z3=L、Z4=S)又は配列番号25(Z2=I、Z3=L、Z4=T)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S)又は配列番号27(Z5=Y、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)又は配列番号28(Z7=Q、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、或いは
(3)配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)、配列番号20(Z2=I、Z3=Y、Z4=S)、配列番号23(Z2=I、Z3=Y、Z4=T)、配列番号24(Z2=I、Z3=L、Z4=S)若しくは配列番号25(Z2=I、Z3=L、Z4=T)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S)又は配列番号27(Z5=Y、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)又は配列番号28(Z7=Q、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0152】
一実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、
(1)配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24(Z2=I、Z3=L、Z4=S)若しくは配列番号25(Z2=I、Z3=L、Z4=T)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S)若しくは配列番号27(Z5=Y、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)若しくは配列番号28(Z7=Q、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、或いは
(2)配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24(Z2=I、Z3=L、Z4=S)若しくは配列番号25(Z2=I、Z3=L、Z4=T)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S)若しくは配列番号27(Z5=Y、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)若しくは配列番号28(Z7=Q、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0153】
より好ましくは、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24(Z2=I、Z3=L、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含むか、又はそれぞれ上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域とを更に含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号5、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号63、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号86又は配列番号112に示される配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)の同一性を有する重鎖可変領域VHと、配列番号6、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号64、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110又は配列番号111に示される配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)の同一性を有する軽鎖可変領域VLと、を含む。
【0156】
1つの具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域と、上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域とを含み、これらは、それぞれ配列番号45、配列番号47又は配列番号49に示されるVH及び配列番号46、配列番号48又は配列番号50に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、好ましくは、それぞれ配列番号49に示されるVH及び配列番号48又は配列番号50に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0157】
1つの具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域と、上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域とを含み、これらは、それぞれ配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57若しくは配列番号58に示されるVH及び配列番号48に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれぞれ配列番号49に示されるVH及び配列番号59、配列番号60若しくは配列番号62に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0158】
一実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域と、上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域とを含み、これらは、それぞれ配列番号63に示されるVH及び配列番号64に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0159】
1つの具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域と、上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域とを含み、これらは、それぞれ配列番号63、配列番号65~配列番号75のいずれかに示されるVH及び配列番号76~配列番号79のいずれかに示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0160】
一実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域と、上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域とを含み、これらは、それぞれ配列番号71に示されるVH及び配列番号76に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0161】
一実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域と、上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域とを含み、これらは、それぞれ配列番号72に示されるVH及び配列番号77に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0162】
一実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域と、上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域とを含み、これらは、それぞれ配列番号72又は配列番号74に示されるVH及び配列番号76又は配列番号79に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0163】
一実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域と、上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域とを含み、これらは、それぞれ配列番号74又は配列番号75に示されるVH及び配列番号77又は配列番号78に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質におけるhIL-2変異タンパク質と抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面はジスルフィド結合を含み、上記抗原-抗体結合界面は、上記hIL-2変異タンパク質とIL2Rαとの結合界面に重なる。1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2変異タンパク質と上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面は、上記hIL-2変異タンパク質のABループ、Bヘリックス、Cヘリックス及びCDループに位置し、好ましくは、上記hIL-2変異タンパク質の第41位~第45位又はその隣接するアミノ酸残基、第57位~第68位又はその隣接するアミノ酸残基及び第90位~第107位又はその隣接するアミノ酸残基に位置する。
【0165】
いくつかの実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質におけるhIL-2変異タンパク質と抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面はジスルフィド結合を含み、上記ジスルフィド結合は、上記抗原-抗体結合界面の抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の配列に導入された少なくとも1つのシステイン残基と、上記抗原-抗体結合界面のhIL-2変異タンパク質の配列に導入された少なくとも1つのシステイン残基とによって形成される。
【0166】
本願のための「導入」又は「導入された」とは、母体ポリペプチド(例えば、本願に記載の野生型hIL-2又はその変異タンパク質、抗IL-2抗体又はその抗原結合断片)における対応するネイティブ又は天然のアミノ酸残基を変異させることを意味し、上記変異は、置換、挿入又は付加を含む。例えば、母体ポリペプチド(例えば、本願に記載の野生型hIL-2又はその変異タンパク質、抗IL-2抗体又はその抗原結合断片)の特定部位におけるアミノ酸残基を「ネイティブ」又は「天然」のアミノ酸残基と呼ぶと、それに対応する導入されたシステイン残基は、上記ネイティブのアミノ酸残基とは異なるが上記母体ポリペプチド上の同じ位置にあるシステイン残基である。いくつかの実施形態では、導入されたシステイン残基は、同じ位置でネイティブの残基を置換したシステイン残基である。いくつかの実施形態では、導入されたシステイン残基は、同じ位置又は隣接位置に挿入されたか又は付加されたシステイン残基又はシステイン残基を含むポリペプチド断片である。
【0167】
一実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質におけるhIL-2変異タンパク質と上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面は、ジスルフィド結合を形成するために導入された2つ以上のシステイン残基を含む。1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2変異タンパク質は、第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して、第42位、第60位、第61位、第64位、第65位、第102位及び第104位のアミノ酸残基に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を有する。一実施形態では、上記抗IL-2抗体は、本願の抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片から選択され、上記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片は、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A、X2=M、即ち、配列番号14に示される配列)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E又はD、X3=G、即ち、配列番号15又は配列番号19に示される配列)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V又はI、Z3=Y又はL、Z4=S又はT、例えば、配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24又は配列番号25に示される配列を含む)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D又はY、Z6=G又はS、例えば、配列番号10、配列番号26又は配列番号27に示される配列を含む)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S又はQ、Z8=T、X4=S、即ち、配列番号17又は配列番号28に示される配列)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列が配列番号12に示されるLQHYSTPYTであるLCDR3を含み、上記抗体又はその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、HCDR3の第3位のアミノ酸残基、LCDR1の第7位、第8位及び/若しくは第9位のアミノ酸残基、LCDR2の第1位、第3位のアミノ酸残基、又はLCDR3の第4位のアミノ酸残基に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を有する。1つの具体的な実施形態では、上記抗IL-2抗体は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域並びに/又は上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含む本願の抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片から選択され、上記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号63に示されるVH及び/若しくは配列番号64に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれぞれ配列番号63、配列番号65~配列番号75のいずれかに示されるVH及び/若しくは配列番号76~配列番号79のいずれかに示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ上記抗体又はその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、その軽鎖可変領域のフレームワーク領域に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を有し、上記アミノ酸変異は、上記軽鎖可変領域の第67位及び/又は第68位のアミノ酸残基に発生する。
【0168】
上記hIL-2変異タンパク質及び/又は抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片における特定部位のアミノ酸残基をシステイン残基に変異させるために、上記hIL-2変異タンパク質及び/又は抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片のコード配列を操作して、例えば、天然の残基をコードするコドンを、システイン残基をコードするコドンに置換するか、又は天然の残基をコードする位置又はその隣接位置に、システイン残基をコードするコドンを挿入するか又は付加してもよい。
【0169】
1つの具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗原-抗体結合界面のhIL-2変異タンパク質にアミノ酸変異の方式で第1システイン残基を導入し、上記抗原-抗体結合界面の抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片にアミノ酸変異の方式で第2システイン残基を導入し、好ましくは、アミノ酸変異は、アミノ酸の置換、挿入又は付加であり、例えば、非システイン残基がシステイン残基に置換されてもよく、又は非システイン残基の位置若しくはその隣接位置にシステイン残基又はシステイン残基を含むポリペプチド断片が挿入又は付加されてもよく、置換された位置、又は挿入若しくは付加された位置には、上記非システイン残基がシステイン残基に置換されるか、又はシステイン残基若しくはシステイン残基を含むポリペプチド断片が挿入又は付加された後、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗原-抗体結合界面のhIL-2変異タンパク質と上記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片との間にジスルフィド結合を形成できるように決定してもよい。そのため、例えばジスルフィド結合を形成するシステイン残基が十分に近接していること、及び/又は上記置換若しくは挿入若しくは付加が上記hIL-2変異タンパク質、又は抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又は上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質自体の三次構造を顕著に破壊しないこと、形成されたジスルフィド結合が抗原-抗体結合界面に位置すべきこと、を含む複数の要因が考えられる。
【0170】
当業者であれば、光電検出の距離スペクトル、コンピュータモデリング、NMRスペクトル又はX線結晶回折により、2つの変異対象のアミノ酸残基の間の距離及び角度を決定することを含むがこれらに限定されない、本分野で周知の適切な方法を使用することができる。一実施形態では、標的タンパク質(例えば、IL-2と抗IL-2抗体によって形成された抗原-抗体複合体)について、そのタンパク質結晶構造は、共通のデータベース(例えば、PDBデータベース)から取得されてもよく、X線結晶回折などの方法を使用することによって解明されてもよく、コンピュータソフトウェアを使用することによって、タンパク質結晶構造データに基づいてアミノ酸残基間の距離及び角度を決定してもよい。更に、上記hIL-2変異タンパク質における第1システイン残基を導入するための部位と、上記抗IL-2ヒト化抗体又は抗原結合断片における第2システイン残基を導入するための部位とが正確にペアリングできることを保証する必要があり、これにより、上記hIL-2変異タンパク質と上記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面に安定的に連結されたジスルフィド結合を形成し、それがインビボで解離し、産生及び製造過程でミスマッチが発生するというリスクを低減することができる。一実施形態では、正確にペアリングできる上記部位は、上記hIL-2変異タンパク質と上記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面に位置し、ペアリングされたアミノ酸残基は、十分に近接し、例えばペアリングされたアミノ酸残基間の空間的距離は10オングストローム(1nm)より小さく、好ましくは、空間的距離は5オングストローム(0.5nm)より小さい。
【0171】
上記IL-2と抗IL-2抗体から形成された抗原-抗体複合体に関する公開された結晶構造データから、mIL-2/S4B6抗原-抗体複合体結晶構造(例えばPDB ID:4YUEに示される)におけるmIL-2とS4B6の各アミノ酸残基との距離を取得することにより、上記hIL-2変異タンパク質と上記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原断片にそれぞれ第1システイン残基と第2システイン残基を導入するのに適した部位を選択し、それらの部位を正確にペアリングすることができる。システイン残基が導入されるペアリング部位又は変異されるペアリングアミノ酸残基が決定されると、当業者であれば、本分野で周知の方法(例えば、PCR変異誘発)によって、変異対象のコドンをシステインコドンに容易に変異させることができる。
【0172】
上記ジスルフィド結合の形成は、該分野で周知の適切な方法によって検証することができる。例えば、質量分析の方法で判断する。
【0173】
上記ジスルフィド結合は、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を安定化させることができ、このような安定化効果は、様々な面に反映される。例えば、上記ジスルフィド結合により、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、より高い割合を有する単量体成分として発現し、かつ/又は高い熱安定性及び血清安定性を有し、かつ/又は特定の生物学的活性を有する(例えば、hIL-2変異タンパク質とIL2Rのαサブユニット、α/β二量体、又はα/β/γ三量体との結合をよりよくブロックし、IL2Rβ/γに対する結合活性及び機能活性を保持することができる)安定した融合タンパク質として構築し、かつ/又は特定の生物学的活性及び特定の安定性を有する融合タンパク質として発現して構築することができる。
【0174】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質におけるhIL-2変異タンパク質と抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面にジスルフィド結合を形成する第1システイン残基と第2システイン残基とのペアは、以下の(1)~(6)のうちの1つ、又は2つ以上のペアリングされたアミノ酸変異の組み合わせから選択される。
(1)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第42位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異F42C、第64位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異K64C、若しくは第65位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異P65Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V若しくはI、Z3=Y若しくはL、Z4=S若しくはT、例えば配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示される配列を含む)であるHCDR3の第3位にアミノ酸変異F3Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(2)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第60位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異E60Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS、例えば配列番号10、配列番号26若しくは配列番号27に示される配列を含む)であるLCDR1の第7位にアミノ酸変異G7C若しくはS7Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(3)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第61位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異E61Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS、例えば配列番号10、配列番号26若しくは配列番号27に示される配列を含む)であるLCDR1の第7位にアミノ酸変異G7C若しくはS7Cを導入することによって得られるものであるか、若しくは
上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS、例えば配列番号10、配列番号26若しくは配列番号27に示される配列を含む)であるLCDR1の第8位にアミノ酸変異N8Cを導入することによって得られるものであるか、若しくは
上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S若しくはQ、Z8=T、X4=S、即ち、配列番号17若しくは配列番号28に示される配列を含む)であるLCDR2の第1位にアミノ酸変異S1C若しくはQ1Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(4)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第104位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異M104Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S若しくはQ、Z8=T、X4=S、即ち、配列番号17若しくは配列番号28に示される配列)であるLCDR2の第3位にアミノ酸変異T3Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(5)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第102位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T102Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、その軽鎖可変領域の第67位にアミノ酸変異S67Cを導入することによって得られるものであるか、若しくは
上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、その軽鎖可変領域の第68位にアミノ酸変異G68Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(6)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第64位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異K64Cであり、
上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がQASQZ5IZ6NYLS(Z5=D若しくはY、Z6=G若しくはS、例えば配列番号10、配列番号26若しくは配列番号27に示される配列を含む)であるLCDR1の第9位にアミノ酸変異Y9Cを導入することによって得られるものであるか、若しくは
上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がLQHYSTPYT(配列番号12)であるLCDR3の第4位にアミノ酸変異Y4Cを導入することによって得られるものである。
【0175】
更に、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片とhIL-2変異タンパク質との抗原-抗体結合界面にジスルフィド結合を形成する第1システイン残基と第2システイン残基とのペアは、以下の(1)~(3)のうちの1つ、又は2つ以上のペアリングされたアミノ酸変異の組み合わせから選択され、
(1)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第104位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異M104Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、そのLCDR2の第3位にアミノ酸変異T3Cを導入することによって得られるものであり、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1と、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2と、配列番号24(Z2=I、Z3=L、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3と、配列番号26(Z5=Y、Z6=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1と、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2と、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3とを含み、並びに/又は
(2)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第102位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T102Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、その軽鎖可変領域の第67位にアミノ酸変異S67Cを導入することによって得られるものであり、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその結合断片は、配列番号77に示されるVLと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、若しくは
上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、その軽鎖可変領域の第68位にアミノ酸変異G68Cを導入することによって得られるものであり、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその結合断片は、配列番号77に示されるVLと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、並びに/又は
(3)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第42位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異F42C、若しくは第64位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異K64C、若しくは第65位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異P65Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V若しくはI、Z3=Y若しくはL、Z4=S若しくはT、例えば配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示される配列を含む)であるHCDR3の第3位にアミノ酸変異F3Cを導入することによって得られるものであり、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、並びに/若しくは
より好ましくは、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片とhIL-2変異タンパク質との抗原-抗体結合界面にジスルフィド結合を形成する第1システイン残基と第2システイン残基とのペアは、以下の(1)~(4)のうちの1つ、若しくは2つ以上のペアリングされたアミノ酸変異の組み合わせから選択され、
(1)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第104位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異M104Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がZ7AZ8SLAX4(Z7=S若しくはQ、Z8=T、X4=S、即ち、配列番号17若しくは配列番号28に示される配列)であるLCDR2の第3位にアミノ酸変異T3Cを導入することによって得られるものであり、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24(Z2=I、Z3=L、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、並びに/又は
(2)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第102位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T102Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、その軽鎖可変領域の第67位にアミノ酸変異S67Cを導入することによって得られるものであり、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその結合断片は、配列番号77に示されるVLと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、若しくは
上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、その軽鎖可変領域の第68位にアミノ酸変異G68Cを導入することによって得られるものであり、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその結合断片は、配列番号77に示されるVLと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、並びに/又は
(3)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第65位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異P65Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V若しくはI、Z3=Y若しくはL、Z4=S若しくはT、例えば配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示される配列を含む)であるHCDR3の第3位にアミノ酸変異F3Cを導入することによって得られるものであり、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、並びに/又は
(4)上記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2に対する上記hIL-2変異タンパク質の第42位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異F42Cであり、上記第2システイン残基は、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片において、アミノ酸配列がZ2TFZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V若しくはI、Z3=Y若しくはL、Z4=S若しくはT、例えば配列番号9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示される配列を含む)であるHCDR3の第3位にアミノ酸変異F3Cを導入することによって得られるものであり、上記抗IL-2ヒト化抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14(X1=A、X2=M)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。
【0176】
上記ペアリングされたアミノ酸変異を使用することによって、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片とhIL-2変異タンパク質との抗原-抗体結合界面に設計されたジスルフィド結合連結を形成することを保証するだけでなく、hIL-2変異タンパク質のα受容体結合部位がIL-2/IL-2抗体融合タンパク質分子の内部(即ち、抗原-抗体結合界面)に全て埋め込まれることを保証することができ、かつ上記融合タンパク質をインビボで応用して治療する場合に抗原-抗体の解離によるhIL-2変異タンパク質のαサブユニット受容体結合部位の露出が発生することがなく、インビボでの高親和性IL2RによってhIL-2変異タンパク質に競合的に結合することができないことにより、高親和性IL2Rの活性化による全身性毒性又は副作用及びTreg細胞によって媒介される免疫抑制作用を顕著に低減する。
【0177】
上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、IL-2及び抗IL-2抗体によって形成される抗原-抗体複合体とは異なる。実際、IL-2及び抗IL-2抗体によって形成される抗原-抗体複合体は、解離しやすく、かつ高親和性IL2RによりIL-2に競合的に結合しやすく、例えば、インビボ及びインビトロでCD25を高発現するTreg細胞の増殖を刺激し、かつ免疫抑制反応を促進することができる。
【0178】
いくつかの実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、上記HCDR3、LCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3は、1つ、又は2つ以上のシステイン残基変異を含み、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、(1)アミノ酸配列がX1YYX2H(X1=A、X2=M、即ち、配列番号14に示される配列)であるHCDR1と、(2)アミノ酸配列がRIDPZ1DDSTKYAENFKX3(Z1=E又はD、X3=G、即ち、配列番号15又は配列番号19に示される配列)であるHCDR2と、(3)アミノ酸配列が配列番号234に示されるZ2TXIIZ3YZ4RELRWFAY(Z2=V又はI、XII=F又はC、Z3=Y又はL、Z4=S又はT)であるHCDR3と、(4)アミノ酸配列が配列番号235に示されるQASQZ5IZ6XIVLS(Z5=D又はY、Z6=G、S又はC、X=N又はC、XIV=Y又はC)であるLCDR1と、(5)アミノ酸配列が配列番号236に示されるZ7AZ8SLAX4(Z7=S、Q又はC、Z8=T又はC、X4=S)であるLCDR2と、(6)アミノ酸配列が配列番号237に示されるLQHXIIISTPYT(XIII=Y又はC)であるLCDR3と、を含む。
【0179】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、上記HCDR3、LCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3は、1つ、又は2つ以上のシステイン残基変異を含み、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、XII=F、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号30(Z5=D、Z6=C、X=N、XIV=Y)若しくは配列番号31(Z5=D、Z6=G、X=C、XIV=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号12(XIII=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9(Z2=V、XII=F、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G、X=N、XIV=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)、配列番号32(Z7=C、Z8=T、X4=S)若しくは配列番号33(Z7=S、Z8=C、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号12(XIII=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(3)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号29(Z2=V、XII=C、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G、X=N、XIV=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号12(XIII=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(4)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24(Z2=I、XII=F、Z3=L、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号35(Z5=Y、Z6=C、X=N、XIV=Y)若しくは配列番号36(Z5=Y、Z6=S、X=C、XIV=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号12(XIII=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(5)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24(Z2=I、XII=F、Z3=L、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S、X=N、XIV=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)、配列番号32(Z7=C、Z8=T、X4=S)若しくは配列番号33(Z7=S、Z8=C、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号12(XIII=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(6)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号34(Z2=I、XII=C、Z3=L、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S、X=N、XIV=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号12(XIII=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(7)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24(Z2=I、XII=F、Z3=L、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S、X=N、XIV=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号38(XIII=C)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(8)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24(Z2=I、XII=F、Z3=L、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号37(Z5=Y、Z6=S、X=N、XIV=C)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号12(XIII=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む。
【0180】
好ましくは、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、即ち
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15(Z1=E、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号29(Z2=V、XII=C、Z3=Y、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10(Z5=D、Z6=G、X=N、XIV=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号12(XIII=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19(Z1=D、X3=G)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24(Z2=I、XII=F、Z3=L、Z4=S)に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26(Z5=Y、Z6=S、X=N、XIV=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17(Z7=S、Z8=T、X4=S)若しくは配列番号33(Z7=S、Z8=C、X4=S)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号12(XIII=Y)に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む。
【0181】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに/又は上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、上記HCDR3、LCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3は、1つ、又は2つ以上のシステイン残基変異を含み、上記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号63、配列番号86、配列番号74若しくは配列番号112に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号64、配列番号77、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110若しくは配列番号111に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0182】
好ましくは、上記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号86若しくは配列番号74に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号64、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号107、配列番号108若しくは配列番号109に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0183】
より好ましくは、上記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号86に示される重鎖可変領域及び配列番号64、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90若しくは配列番号91に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれぞれ配列番号74に示される重鎖可変領域及び配列番号107、配列番号108若しくは配列番号109に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0184】
本願のhIL-2変異タンパク質と本願の抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片との結合界面にジスルフィド結合を導入する。上記hIL-2変異タンパク質と上記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面に位置する、空間的距離が10オングストローム(1nm)より小さい(好ましくは5オングストローム(0.5nm)より小さい)アミノ酸残基のペアをシステイン残基に変異させるように選択することにより、hIL-2変異タンパク質とヒト化IL-2抗体との間のジスルフィド結合を介して本願の上記分子の構造を更に安定化させることを実現し、本願のhIL-2変異タンパク質のIL2Rα結合部位が常に上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質分子の内部(即ち、抗原-抗体結合界面)に埋め込まれ、かつインビボで応用して治療する場合に解離によるhIL-2変異タンパク質のαサブユニット受容体結合部位の露出が発生することがなく、インビボでの高親和性IL2RによってhIL-2変異タンパク質に競合的に結合されることができないことを効果的に保証する。これらの特徴に基づいて、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、インビボで応用される場合、Teff細胞及び/又はNK細胞の増殖を顕著に促進するだけでなく、Teff細胞及び/又はNK細胞におけるIL-2シグナル伝達を誘導し、その腫瘍殺傷活性を活性化することができ、それとともに、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、IL2Rのαサブユニット、α/β二量体、又はα/β/γ三量体に結合しないため、Treg細胞表面の高親和性IL2Rとの結合をブロックし、Treg細胞を活性化して腫瘍免疫抑制作用を誘導することがないだけでなく、CD25を高発現するか又は高親和性IL2Rを発現する細胞又は組織に結合することもないため、従来のIL-2製品のインビボでの毒性又は副作用(例えば、VLS、肺浮腫、低血圧など)を顕著に低減する。また、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の投与が従来のCD4T細胞(Tconv)に悪影響を与えるということは発見されなかった。
【0185】
いくつかの実施形態では、本願は、野生型hIL-2と、hIL-2のIL2Rα部位を特異的に識別する他の抗IL-2ヒト化抗体とによって形成される抗原-抗体複合体の結合界面にジスルフィド結合を更に導入することを開示し、上記抗原-抗体複合体は、hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体及びhIL-2:TCB2抗原-抗体複合体から選択される。上記複合体の抗原-抗体結合界面における各アミノ酸間の空間的距離が10オングストローム(1nm)より小さい(好ましくは5オングストローム(0.5nm)より小さい)アミノ酸残基のペアをシステイン残基ペアに変異させてジスルフィド結合を構築して形成することにより、同様にIL-2のhIL2Rα結合部位を抗原-抗体結合界面により安定的に埋め込み、上記抗原-抗体複合体とIL2Rα又は高親和性IL2Rとの競合的結合の活性を更に低減するか又は除去し、かつhIL-2とIL2Rβ/γとの結合活性を維持することを実現することができる。
【0186】
いくつかの実施形態では、上記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の結合界面は、hIL-2とIL2Rαとの結合界面を包含し、hIL-2のABループ、Bヘリックス、及びBCループに位置する。具体的な実施形態では、上記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の結合界面は、上記hIL-2の第30位~第43位又はその隣接するアミノ酸残基及び第71位~第77位又はその隣接するアミノ酸残基に位置する。
【0187】
一実施形態では、上記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の結合界面は、ジスルフィド結合を形成するために2つ、又は3つ以上のシステイン残基を含む。1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2は、第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して、第34位、第37位、第41位、第42位、第68位、第73位、第75位、第77位及び第111位のアミノ酸残基に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を有する。1つの具体的な実施形態では、NARA1抗体又はその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、CDR領域において、特定のアミノ酸位置(アミノ酸残基)に1つ、又は2つ以上のシステイン変異を有し、上記アミノ酸変異は、NARA1又はその抗原結合断片のHCDR1の第1位のアミノ酸残基、並びに/又はHCDR2の第2位、第6位及び/若しくは第8位のアミノ酸残基、並びに/又はHCDR3の第3位及び/若しくは第8位のアミノ酸残基、並びに/又はLCDR1の第9位のアミノ酸残基、及び/又はLCDR3の第3位、第4位及び/若しくは第6位のアミノ酸残基に発生する。
【0188】
一実施形態では、上記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の結合界面にジスルフィド結合を形成する第1システイン残基と第2システイン残基とのペアは、以下の(1)~(8)のうちの1つ、又は2つ以上のペアリングされたアミノ酸変異の組み合わせから選択される。
(1)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第34位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異P34Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR3の第8位にアミノ酸変異A8Cを導入することによって得られるものであるか、若しくは上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、LCDR3の第3位若しくは第4位にそれぞれアミノ酸変異S3C若しくはN4Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(2)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第37位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T37Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、そのLCDR3の第6位にアミノ酸変異D6Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(3)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第41位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T41Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR2の第2位にアミノ酸変異I2Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(4)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第42位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異F42Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR2の第8位にアミノ酸変異G8Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(5)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第68位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異E68Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR1の第1位にアミノ酸変異N1Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(6)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第73位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異A73Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR3の第3位にアミノ酸変異G3Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(7)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第75位若しくは第77位のアミノ酸残基にそれぞれ発生するアミノ酸変異S75C若しくはN77Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1若しくはその抗原結合断片において、そのLCDR1の第9位にアミノ酸変異D9Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(8)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第111位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T111Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR2の第6位にアミノ酸変異S6Cを導入することによって得られるものである。
【0189】
好ましくは、上記hIL-2:NARA1抗原-抗体複合体の結合界面にジスルフィド結合を形成する第1システイン残基と第2システイン残基とのペアは、以下の(1)~(4)のうちの1つ、又は2つ以上のペアリングされたアミノ酸変異の組み合わせから選択される。
(1)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第37位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T37Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、そのLCDR3の第6位にアミノ酸変異D6Cを導入することによって得られるものであり、又は
(2)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第68位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異E68Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR1の第1位にアミノ酸変異N1Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(3)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第75位若しくは第77位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異S75C若しくはN77Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、そのLCDR1の第9位にアミノ酸変異D9Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(4)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第111位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T111Cであり、上記第2システイン残基は、上記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR2の第6位にアミノ酸変異S6Cを導入することによって得られるものである。
【0190】
いくつかの実施形態では、上記hIL-2/NARA1抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、及び/又はLCDR3は、1つ、又は2つ以上のシステイン残基置換を含み、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、(1)配列番号142又は配列番号148に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1と、(2)配列番号143、配列番号149、配列番号150又は配列番号151に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2と、(3)配列番号144、配列番号152又は配列番号153に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3と、(4)配列番号145又は配列番号154に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1と、(5)配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2と、(6)配列番号147、配列番号155、配列番号156又は配列番号157に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3と、を含み、
更に、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、
(1)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号149に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(2)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号152若しくは配列番号153に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(3)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号154に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(4)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号155、配列番号156若しくは配列番号157に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(5)配列番号148に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(6)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号150若しくは配列番号151に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む。
【0191】
好ましくは、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、
(1)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号149に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(2)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号154に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(3)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号157に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(4)配列番号148に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、上記hIL-2/NARA1抗体融合タンパク質は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域、並びに/又は上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、上記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、及び/又はLCDR3は、1つ、又は2つ以上のシステイン残基変異を含み、上記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号140、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162若しくは配列番号163に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号141、配列番号164、配列番号165、配列番号166若しくは配列番号167に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、更に、上記hIL-2/NARA1抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、上記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、
(1)それぞれ配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162若しくは配列番号163に示される重鎖可変領域及び配列番号141に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号140に示される重鎖可変領域及び配列番号164、配列番号165、配列番号166若しくは配列番号167に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0193】
好ましくは、上記hIL-2/NARA1抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、上記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、
(1)それぞれ配列番号158、若しくは配列番号161に示される重鎖可変領域及び配列番号141に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号140に示される重鎖可変領域及び配列番号164若しくは配列番号167に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0194】
本願に記載のhIL-2/NARA1抗体融合タンパク質は、IL2Rαとの結合活性を有さないが、IL2Rβ/γとの結合活性を保持する。
【0195】
いくつかの実施形態では、上記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の結合界面は、hIL-2とIL2Rαとの結合界面を包含し、hIL-2のABループ、Bヘリックス、及びCDループに位置する。具体的な実施形態では、上記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の結合界面は、上記hIL-2の第34位~第45位又はその隣接するアミノ酸残基、第62位~第76位又はその隣接するアミノ酸残基、及び第111位又はその隣接するアミノ酸残基に位置する。
【0196】
一実施形態では、上記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の結合界面は、ジスルフィド結合を形成するために2つ、又は2つ以上のシステイン残基を含む。1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2は、第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2に対して、第34位、第36位、第37位、第38位、第42位、第68位及び第109位のアミノ酸残基に1つ、又は2つ以上のアミノ酸変異を有する。1つの具体的な実施形態では、TCB2抗体又はその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、CDR領域において、特定のアミノ酸位置に1つ、又は2つ以上のシステイン変異を有し、上記アミノ酸変異は、TCB2又はその抗原結合断片のHCDR2の第6位のアミノ酸残基、並びに/又はHCDR3の第3位、第5位、第6位及び/若しくは第7位のアミノ酸残基、並びに/又はLCDR1の第4位のアミノ酸残基、並びに/又はLCDR3の第4位、第5位及び/若しくは第6位のアミノ酸残基に発生する。
【0197】
一実施形態では、上記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の結合界面にジスルフィド結合を形成する第1システイン残基と第2システイン残基とのペアは、以下の(1)~(7)のうちの1つ、又は2つ以上のペアリングされたアミノ酸変異の組み合わせから選択される。
(1)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第34位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異P34Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2若しくはその抗原結合断片において、そのLCDR1の第4位にアミノ酸変異T4Cを導入することによって得られるものであるか、若しくは上記TCB2若しくはその抗原結合断片において、そのLCDR3の第4位若しくは第5位にそれぞれアミノ酸変異D4C若しくはN5Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(2)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第36位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異L36Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片において、そのLCDR3の第5位にアミノ酸変異N5Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(3)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第37位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T37Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片において、そのLCDR3の第5位若しくは第6位にそれぞれアミノ酸変異N5C若しくはL6Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(4)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第38位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異R38Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR3の第7位にアミノ酸変異F7Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(5)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第42位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異F42Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR3の第5位にアミノ酸変異R5Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(6)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第68位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異E68Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR3の第3位若しくは第6位にそれぞれアミノ酸変異A3C若しくはG6Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(7)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第109位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異D109Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片において、そのHCDR2の第6位にアミノ酸変異D6Cを導入することによって得られるものである。
【0198】
好ましくは、上記hIL-2:TCB2抗原-抗体複合体の結合界面にジスルフィド結合を形成する第1システイン残基と第2システイン残基のペアは、以下の(1)~(5)のうちの1つ、又は2つ以上のペアリングされたアミノ酸変異の組み合わせから選択される。
(1)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第34位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異P34Cであり、上記第2システインは、上記TCB2抗体又はその抗原結合断片において、そのLCDR3の第4位又は第5位にそれぞれアミノ酸変異D4C又はN5Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(2)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第36位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異L36Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体又はその抗原結合断片において、そのLCDR3の第5位にアミノ酸変異N5Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(3)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第37位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異T37Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体又はその抗原結合断片において、そのLCDR3の第6位にアミノ酸変異L6Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(4)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第42位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異F42Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体又はその抗原結合断片において、そのHCDR3の第5位にアミノ酸変異R5Cを導入することによって得られるものであり、かつ/又は
(5)上記第1システイン残基は、上記hIL-2の第68位のアミノ酸残基に発生するアミノ酸変異E68Cであり、上記第2システイン残基は、上記TCB2抗体又はその抗原結合断片において、そのHCDR3の第3位にアミノ酸変異A3Cを導入することによって得られるものである。
【0199】
いくつかの実施形態では、上記hIL-2/TCB2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、上記HCDR2、HCDR3、LCDR1、及び/又はLCDR3は、1つ、又は2つ以上のシステイン残基置換を含み、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3は、(1)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1と、(2)配列番号171又は配列番号176に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2と、(3)配列番号172、配列番号177、配列番号178、配列番号179又は配列番号180に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3と、(4)配列番号173又は配列番号181に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1と、(5)配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2と、(6)配列番号175、配列番号182、配列番号183又は配列番号184に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3と、を含む。
【0200】
一実施形態では、上記hIL-2/TCB2抗体融合タンパク質は、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、即ち
(1)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号177、配列番号178、配列番号179若しくは配列番号180に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(2)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号176に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(3)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号181に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(4)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号182、配列番号183若しくは配列番号184に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む。
【0201】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/TCB2抗体融合タンパク質は、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、即ち
(1)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号177若しくは配列番号178に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、及び/又は
(2)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、配列番号182、配列番号183若しくは配列番号184に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、上記hIL-2/TCB2抗体融合タンパク質は、上記HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域並びに/又は上記LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、上記HCDR2、HCDR3、LCDR1、及び/又はLCDR3は、1つ、2つ、又は3つ以上のシステイン残基変異を含み、上記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号168、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188若しくは配列番号189に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号169、配列番号190、配列番号191、配列番号192若しくは配列番号193に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0203】
一実施形態では、上記hIL-2/TCB2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、上記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、
(1)それぞれ配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188若しくは配列番号189に示される重鎖可変領域及び配列番号169に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号168に示される重鎖可変領域及び配列番号190、配列番号191、配列番号192若しくは配列番号193に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0204】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/TCB2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、上記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、
(1)それぞれ配列番号185若しくは配列番号186に示される重鎖可変領域及び配列番号169に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号168に示される重鎖可変領域及び配列番号191、配列番号192若しくは配列番号193に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0205】
本願に記載のhIL-2/TCB2抗体融合タンパク質は、IL2Rαとの結合活性を有さないが、IL2Rβ/γとの結合活性を保持するか又は増強する。
【0206】
本願の例示的なhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の抗体又はその抗原結合断片部分の重鎖可変領域及びそのCDR領域、並びに軽鎖可変領域及びそのCDR領域(Kabat番号システムにより定義される)の番号は、表3に示される。
【0207】
【表3(1)】
【表3(2)】
【表3(3)】
【0208】
これから分かるように、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質により、hIL-2又はその変異タンパク質のIL2Rα結合部位を本願の上記分子内部(即ち、抗原-抗体結合界面)に常に埋め込み、IL-2又はその変異タンパク質のIL2Rβ/γ結合部位を上記分子外部に保持することにより、IL2Rβ/γとの結合親和性及びIL2Rβ/γを特異的に活性化する生物学的活性(Teff細胞及び/又はNK細胞の増殖を促進し、Teff細胞及び/又はNK細胞の腫瘍殺傷活性を活性化することを含む)を維持するとともに、高親和性IL2Rとの結合及びそれに関連する毒性(正常組織及び/又はILC2細胞に発現する高親和性IL2RがhIL-2又はその変異タンパク質に結合した後に引き起こされるVLS、肺浮腫、低血圧などを含む)並びに治療効果への悪影響(高親和性IL2Rを発現するTreg細胞によって媒介される腫瘍免疫抑制作用を含む)を除去することができる一方で、本願に記載の分子構造を安定化させ、hIL-2/IL-2抗体複合体と同様の解離を引き起こさず、かつ高親和性IL2RによってhIL-2又はその変異タンパク質に競合的に結合することができないことにより、hIL-2/IL-2抗体複合体の潜在的な臨床応用リスクを顕著に低減し、第3態様では、構築された分子の免疫原性が低く、ADAリスクを大幅に低減し、第4態様では、構築された分子は、産生されて製造されやすく、得られた生成物は、高い均質性を有し、品質の制御に有利であるだけでなく、安定性が高く、凝集しにくく、製品の品質に起因する潜在的な悪影響を顕著に低減する。
【0209】
リンカー
本願の特定の実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、上記hIL-2又はその変異タンパク質がリンカー配列を介して本願に係る抗IL-2抗体又はその抗原結合断片に融合されるか又は操作可能に連結される重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を更に含む。本願は、hIL-2又はその変異タンパク質が抗IL-2抗体又はその結合断片に連結する位置、リンカーのタイプ及び長さ、並びにリンカーがhIL-2又はその変異タンパク質とIL2Rβ/γとの結合活性に影響を与えるか否かを考察し、選択されたリンカーは、低免疫原性を更に有するべきである。本明細書では、リンカーとして柔軟なペプチドを選択することができる。いくつかの実施形態では、上記リンカー配列は、G4S又はGAFを含み、リンカーの1つ、又は2つ以上コピーを使用してもよい。他の実施形態では、本明細書において、G4S若しくはGAFリンカー、又は本明細書で開示される融合タンパク質に適した本分野で公知の任意の他のリンカー配列の2つ、3つ、4つ若しくは5つのコピーを使用してもよい。好ましくは、リンカーは、(G4S)、(G4S)、(GAF)を含み、構築されたIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の内部構造の安定性を保証でき、より好ましくは、リンカーは、(G4S)である。
【0210】
本明細書で使用される場合、用語「リンカー」は、2つのポリペプチドなどの2つの化合物を連結する分子(未修飾又は修飾されたアミノ酸又はアミノ酸配列を含むが、それらに限定されない)を意味する。リンカーは、1つ、又は2つ以上のリンカー分子で構成されてもよく、リンカー分子と、リンカー分子と化合物とを特定の距離で単離するための少なくとも1つのスペーサー分子とを含んでもよい。
【0211】
いくつかの実施形態では、「操作可能に連結される」とは、異なる機能的特性を有するアミノ酸配列、ペプチド又はタンパク質の連結、例えば、本明細書に記載のリンカー配列を介してhIL-2又はその変異タンパク質と抗IL-2抗体又はその抗原結合断片とを連結することを意味する。
【0212】
いくつかの実施形態では、本願では、リンカーを介して上記hIL-2変異タンパク質を本願の抗IL-2ヒト化抗体の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域に連結する。1つの具体的な実施形態では、上記リンカーは、hIL-2変異タンパク質のC末端及び抗IL-2抗体の重鎖N末端に連結されることにより、hIL-2変異タンパク質とIL2Rβ/γとの結合に対する影響が小さいことを保証することができる。
【0213】
いくつかの実施形態では、本願では、リンカーを介して、hIL-2を、hIL-2のIL2Rα結合部位を特異的に識別する他の抗IL-2ヒト化抗体の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域に更に連結する。1つの具体的な実施形態では、上記リンカーは、hIL-2のC末端及びNARA1抗体の軽鎖可変領域のN末端に連結されることにより、hIL-2とIL2Rβ/γとの結合に対する影響が小さいことを保証することができる。1つの具体的な実施形態では、hIL-2のC末端及びNARA1抗体の重鎖可変領域のN末端を連結するように4コピー以上のリンカーを選択することができ、同様にhIL-2とIL2Rβ/γとの結合活性に顕著な影響を与えない。1つの具体的な実施形態では、上記リンカーは、hIL-2のC末端及びTCB2抗体の軽鎖可変領域のN末端を連結することにより、hIL-2とIL2Rβ/γとの結合に対する影響が小さいことを保証することができる。1つの具体的な実施形態では、hIL-2のC末端及びTCB2抗体の重鎖可変領域のN末端を連結するように4コピー以上のリンカーを選択することができ、hIL-2とIL2Rβ/γとの結合活性に顕著な影響を与えない。
【0214】
本願で選択されるリンカーは、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質分子の構造の安定化、均質性生成物の産生製造及び生成に有利であるだけでなく、低免疫原性を有する。
【0215】
本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の更なる最適化
本願では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質に基づいて、融合タンパク質分子における抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の最適化及びhIL-2変異タンパク質の最適化を含む更なる最適化を行っている。
【0216】
いくつかの実施形態では、本願では、上記抗IL-2抗体(抗mIL-2抗体及びそれから誘導される各ヒト化抗体を含む)の軽鎖可変領域の第1位のアスパラギン酸又は第27位のグルタミン(軽鎖CDR1に位置する)にアミノ酸変異を行い、上記アミノ酸変異は、D1E、Q27D、Q27E、Q27S、Q27G、Q27K又はQ27Rを含み、好ましくは、アミノ酸変異は、D1E、Q27D、Q27E、Q27S又はQ27Gを含み、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の発現量を顕著に向上させることができる。
【0217】
いくつかの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下のHCDR1、HCDR2、HCDR3、及びLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、即ち、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1と、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2と、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3と、配列番号39~配列番号44のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するLCDR1と、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2と、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3と、を含む。
【0218】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下のHCDR1、HCDR2、HCDR3、及びLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、即ち、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1と、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2と、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3と、配列番号39~配列番号42のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するLCDR1と、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2と、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3と、を含む。
【0219】
いくつかの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含み、上記重鎖可変領域は、配列番号86に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号87~配列番号93のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0220】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含み、上記重鎖可変領域は、配列番号86に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号87~配列番号91のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の産生及び製造に有利であり、発現収率を向上させ、品質制御及び均質性生成物の生成に有利であり、潜在的なADAリスクを低減するために、本願では、hIL-2変異タンパク質分子を更に最適化することは、以下の(i)及び/又は(ii)を含む。
(i)産生及び製造過程におけるグリコシル化異性体の出現を回避するためのグリコシル化修飾の除去
いくつかの実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質において、hIL-2変異タンパク質に存在するグリコシル化部位は、変異(例えば、削除)されてもよく、変化しないままであってもよい。本願における用語「グリコシル化部位」は、ポリペプチド配列に使用される場合、側鎖が炭水化物部分(例えば、オリゴ糖構造)に連結できるアミノ酸残基を意味し、このアミノ酸残基を変異させることで天然グリコシル化修飾の除去を容易に実現することができる。
いくつかの具体的な実施形態では、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質において、少なくとも1つの天然グリコシル化部位は、hIL-2変異タンパク質に存在しないか、又は存在する。一実施形態では、本願に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質において、上記hIL-2変異タンパク質の一部のグリコシル化部位が削除されることは、hIL-2変異タンパク質のN末端の最初の3つ若しくは5つのアミノ酸残基を削除すること、若しくは第3位のトレオニン残基を変異させることを含み、好ましくは、N末端の最初の3つのアミノ酸残基を削除すること(例えば、配列番号134に示される)を含む。かつ/又は
(ii)ミスマッチジスルフィド結合の形成を回避するための遊離システイン残基の除去。即ち、hIL-2変異タンパク質の第125位のシステイン残基をアラニン、ロイシン、セリン、グルタミン又はバリンに変異させる。
【0222】
本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の第1ポリペプチド及び第2ポリペプチド
本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、上記第1ポリペプチドは、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片に由来する可変領域に操作可能に連結されたシステイン残基の変異を有するhIL-2又はその変異タンパク質を含み、第2ポリペプチドは、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の別の可変領域を含む。更に、上記第1ポリペプチドは、システイン残基の変異を有するhIL-2又はその変異タンパク質、リンカー及び上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の1つの可変領域を含み、別のシステイン変異が上記第1ポリペプチドにおける抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片の1つの可変領域及び/又は第2ポリペプチドにおける抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片の別の可変領域に配置されることが可能であることにより、hIL-2又はその変異タンパク質におけるシステイン変異と正確にペアリングされて安定なジスルフィド結合が形成されることが可能であり、かつ上記ジスルフィド結合は、上記hIL-2又はその変異タンパク質と上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面に位置する。
【0223】
いくつかの実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、上記第1ポリペプチドは、システイン残基の変異を有するhIL-2変異タンパク質、リンカー、及び上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域を含み、第2ポリペプチドは、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変領域を含む。
【0224】
更に、上記第1ポリペプチドは、配列番号95~配列番号103、配列番号113~配列番号120、若しくは配列番号133~配列番号138のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は上記第2ポリペプチドは、配列番号64、配列番号77、配列番号80~配列番号85、配列番号87~配列番号93、若しくは配列番号104~配列番号111のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0225】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、該第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドは、
(1)それぞれ配列番号95に示される第1ポリペプチド及び配列番号80に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号96に示される第1ポリペプチド及び配列番号81に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号97に示される第1ポリペプチド及び配列番号82に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号98に示される第1ポリペプチド及び配列番号83に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号99に示される第1ポリペプチド及び配列番号84に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(6)それぞれ配列番号100に示される第1ポリペプチド及び配列番号85に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(7)それぞれ配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号133~配列番号138のいずれかに示される第1ポリペプチド及び配列番号64に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(8)それぞれ配列番号102に示される第1ポリペプチド及び配列番号87~配列番号93のいずれかに示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0226】
好ましくは、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、該第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドは、
(1)それぞれ配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号133~配列番号138のいずれかに示される第1ポリペプチド及び配列番号64に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号102に示される第1ポリペプチド及び配列番号87~配列番号91のいずれかに示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0227】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、該第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドは、
(1)それぞれ配列番号113に示される第1ポリペプチド及び配列番号104、配列番号105若しくは配列番号106に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号114に示される第1ポリペプチド及び配列番号107に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号115に示される第1ポリペプチド及び配列番号108若しくは配列番号109に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号116、配列番号117若しくは配列番号119に示される第1ポリペプチド及び配列番号77に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号118に示される第1ポリペプチド及び配列番号110に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(6)それぞれ配列番号120に示される第1ポリペプチド及び配列番号104に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(7)それぞれ配列番号118に示される第1ポリペプチド及び配列番号111に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0228】
好ましくは、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、該第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドは、
(1)それぞれ配列番号114に示される第1ポリペプチド及び配列番号107に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号115に示される第1ポリペプチド及び配列番号108若しくは配列番号109に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、上記第1ポリペプチドは、システイン残基の変異を有するhIL-2、リンカー、及び上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変領域を含み、第2ポリペプチドは、上記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域を含む。
【0230】
更に、上記第1ポリペプチドは、配列番号206~配列番号226のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は上記第2ポリペプチドは、配列番号140、配列番号158~配列番号163、配列番号168、若しくは配列番号185~配列番号189のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0231】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、該第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドは、
(1)それぞれ配列番号206に示される第1ポリペプチド及び配列番号158に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号207に示される第1ポリペプチド及び配列番号159に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号208に示される第1ポリペプチド及び配列番号160に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号209~配列番号213のいずれかに示される第1ポリペプチド及び配列番号140に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号214に示される第1ポリペプチド及び配列番号161に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(6)それぞれ配列番号215に示される第1ポリペプチド及び配列番号162に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(7)それぞれ配列番号216に示される第1ポリペプチド及び配列番号163に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0232】
好ましくは、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、該第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドは、
(1)それぞれ配列番号206に示される第1ポリペプチド及び配列番号158に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号209、配列番号210若しくは配列番号213に示される第1ポリペプチド及び配列番号140に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号214に示される第1ポリペプチド及び配列番号161に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0233】
1つの具体的な実施形態では、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、該第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドは、
(1)それぞれ配列番号217に示される第1ポリペプチド及び配列番号185若しくは配列番号187に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号218に示される第1ポリペプチド及び配列番号186に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号219に示される第1ポリペプチド及び配列番号188に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号220のいずれかに示される第1ポリペプチド及び配列番号189に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号221~配列番号226のいずれかに示される第1ポリペプチド及び配列番号168に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0234】
好ましくは、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、該第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドは、
(1)それぞれ配列番号217に示される第1ポリペプチド及び配列番号185に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号218に示される第1ポリペプチド及び配列番号186に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号222、配列番号223、配列番号224若しくは配列番号226に示される第1ポリペプチド及び配列番号168に示される第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
【0235】
4. 定常領域
本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片及び/又は本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、抗体の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を含む定常領域を更に含んでもよい。本願の重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖定常領域のFc領域の天然及び変異体の形態を含み、更に二量体形成を促進するヒンジ領域を含むポリペプチドの切断形態を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域は、抗体のCH2及びCH3ドメインを含む。Fc部分を含む融合タンパク質(及びそれにより形成されるオリゴマー)は、プロテインA又はプロテインGによるアフィニティークロマトグラフィー精製が容易であるという利点、及び血清半減期を延長するという利点を提供する。好ましくは、Fc領域は、ヒトIgGに由来し、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む。本明細書では、Fc領域の特定のアミノ酸残基の位置は、EU番号システムに従って決定される。
【0236】
抗体のFc領域の1つの機能は、抗体がその標的に結合する場合に免疫系と「エフェクター機能」を生成し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を生成することを含む。ADCC及びADCPは、Fcと免疫細胞の表面上のFc受容体(FcR)との結合により媒介され(Raghavanら、Annu Rev Cell Dev Biol 1996、12:181-220;Ghetieら、Annu Rev Immunol 2000、18:739-766;Ravetchら、Annu Rev Immunol 2001、19:275-290)、上記免疫細胞は、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、肥満細胞、血小板、B細胞、大顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、NK細胞及びT細胞を含む。CDCは、FcとC1qなどの補体系のタンパク質との結合によって媒介される(Wardら、Ther Immunol 1995、2:77-94)。
【0237】
いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体及び/又は本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、Fc領域によって媒介されるエフェクター機能を低下させるために工学的に改変されたIgG Fc領域を含む。低下したエフェクター機能を有する例示的なFc分子は、以下のアミノ酸置換を有するFc分子を含む。
N297A又はN297Q(IgG1)
L234A/L235A(IgG1)
V234A/G237A(IgG2)
L235A/G237A/E318A(IgG4)
H268Q/V309L/A330S/A331S(IgG2)
C220S/C226S/C229S/P238S(IgG1)
C226S/C229S/E233P/L234V/L235A(IgG1)
L234F/L235E/P331S(IgG1)
S267E/L328F(IgG1)
【0238】
好ましい工学的に改変されたFc領域は、L234F/L235E/P331S(EU番号システム)アミノ酸置換を有するヒトIgG1 Fcであり、Fc領域と1つ以上のFcγR及びC1qとの結合活性を低減することができる(Oganesyan Vら、Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 2008、64:700-704、米国特許番号:米国特許第5624821号、米国特許第6194551号)。FcγRタンパク質ファミリーは、アイソフォームFcγRIa、FcγRIb、及びFcγRIcを含むFcγRI(CD64とも呼ばれる)とアイソフォームFcγRIIa、FcγRIIb及びFcγRIIcを含むFcγRII(CD32とも呼ばれる)と、アイソフォームFcγRIIIa及びFcγRIIIbを含むFcγRIII(CD16とも呼ばれる)と、を含む(Jefferisら、Immunol Lett 2002、82:57-65)。FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIc及びFcγRIIIaは、ADCC、エンドサイトーシス、食作用及び/又はサイトカイン放出を誘導することができる。結合特性は、結合特異性、結合親和性定数(K)、解離速度と会合速度(それぞれKdisとK)及び結合親和性を含むがこれらに限定されず、当業者であれば、任意の1つ以上の結合特性によって、工学的に改変されたFc領域が変化したADCC及び/又はCDC活性を有するか否かを分析することができる。
【0239】
いくつかの実施形態では、重鎖定常領域に導入されたL234F/L235E/P331Sを含む本願の抗IL-2抗体及び/又は本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、1つ以上のFcγRに対して低下した結合親和性を有し、上記FcγRは、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa(158F)及びFcγRIIIa(158V)であってもよい。一実施形態では、重鎖定常領域にL234F/L235E/P331S変異を導入することにより、抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa(158F)及び/又はFcγRIIIa(158V)に実質的に結合しない。一実施形態では、重鎖定常領域にL234F/L235E/P331S変異を導入することにより、抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、C1qに実質的に結合しない。一実施形態では、重鎖定常領域にL234F/L235E/P331S変異を導入することは、抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質とFcRnとの結合親和性に影響を与えない。
【0240】
好ましくは、工学的に改変されたFc領域は、L234F/L235E/P331S(EU番号システム)アミノ酸置換を有するヒトIgG1 Fcである。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域にL234F/L235E/P331Sを導入することにより、本願の抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質のADCC活性を顕著に低下させることができる。一実施形態では、本願の抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、Fc領域にアミノ酸変異を有さない抗体と比較して、ADCC活性が顕著に低下するか又は除去される。一実施形態では、本願の抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、そのADCC活性が検出不能まで低下することを示し、ADCC活性の低下又は除去は、本願の抗体及び/又は融合タンパク質のFcγRに対する親和性が顕著に低下することによって引き起こされる可能性がある。
【0241】
いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体及び/又は本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、工学的に改変されたIgG1定常領域を含み、上記抗体及び/又は融合タンパク質の等電点(pI)を低下させることにより、そのインビボでの半減期を延長する。抗体及び/又は融合タンパク質の等電点の変化は、その組織分布及び薬物動態(PK)特性に影響を与え、通常、pIの低下は、非特異的組織の吸収と代謝/分解の減少及びインビボでの半減期の延長を引き起こす(Boswell CAら、Bioconjug Chem 2010、21:2153-2163;Liら、MAbs 2014、6:1255-1264)。いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の重鎖定常領域の特定部位のアミノ酸を変異させ、例えば、酸性アミノ酸(例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸)で塩基性アミノ酸(例えばリジン又はアルギニン)又は中性アミノ酸(例えばアスパラギン又はグルタミン)を置換することによって、上記抗体及び/又は抗体融合タンパク質のpIを低下させることができる。具体的な変異部位の選択は、上記抗体及び/又は融合タンパク質ドメインにおける位置、機能作用及び潜在的な免疫原性などを含む様々な要因に依存する。上記変異は、上記抗体及び/又は融合タンパク質ドメインの生物物理学的特性に顕著な影響を与えない。一実施形態では、上記変異による免疫原性リスクを最小化する1つの方法は、ヒトタンパク質の天然アイソタイプ間のアミノ酸配列差を利用して置換することである。本願の抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の重鎖定常領域の変異部位の選択について、ヒトIgGサブクラス(即ち、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4)の間のアイソタイプ差は、免疫原性のリスクが低い変異を提供する。具体的には、上記変異については、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4定常領域のアミノ酸配列を比較することにより、IgG1定常領域における非酸性又は塩基性アミノ酸残基を他のIgGサブクラスの対応する部位において酸性又は非塩基性であるアミノ酸残基に変異させることができ、例えば、表4に示すように、上記変異は、IgG1タンパク質のpI値を低下させるように、N203D、K274Q及びQ419Eから選択される1つ以上であってもよい。一実施形態では、本願の抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、N203D/K274Q/Q419E(EU番号システム)を含む変異を有する重鎖定常領域を含み、重鎖定常領域の該変異を有さない抗体及び/又は融合タンパク質に対して、本願の抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質のpI値は、約1~2単位低下した。上記pI値は、理論計算又は実験測定により得られてもよい。一実施形態では、pI値が低下した本願の抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、顕著に改善された薬物動態特徴を示し、上記特徴は、変異を有さない抗体及び/又は融合タンパク質に対して、本願の抗IL-2抗体及び/又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質が少なくとも2~3倍以上増加した消失半減期(t1/2)、及び/又は30%以上増加した薬物時間曲線下面積(AUC)を得ることを含む。
【0242】
【表4】
【0243】
5. ポリヌクレオチド、ベクター及び宿主細胞
一態様では、本願は、hIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードする核酸を提供する。本願は、本明細書に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド変異体を更に含む。
【0244】
本願に記載のアミノ酸配列に対応し、核酸単離のためのプローブ若しくはプライマーとして使用されるか又はデータベースで検索できるヌクレオチド配列は、アミノ酸配列の逆翻訳によって得られてもよい。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)手順を使用して、本願のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体又はその抗原結合断片、及びhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードするDNA配列を単離して増幅してもよい。DNA断片の組み合わせの所望の末端を規定するオリゴヌクレオチドは、5’及び3’プライマーとして使用される。オリゴヌクレオチドは、増殖されたDNA断片の組み合わせの発現ベクターへの挿入を促進するために、エンドヌクレアーゼを制限する識別部位を更に含んでもよい。PCR技術については、Saikiら、Science 1988、239:487-491;Recombinant DNA Methodology、Wuら編集、Academic Press,Inc.、サンディエゴ(1989)、189~196頁、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications、Innisら編集、Academic Press,Inc.(1990)を参照されたい。
【0245】
本願の核酸分子は、一本鎖及び二本鎖形態のDNA及びRNAと、単離された核酸分子を含む対応する相補配列とを含み、好ましくは、実質的に純粋な形式で、かつ標準生化学法(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(1989)に記載の方法)によりその成分のヌクレオチド配列を同定、操作及び回収できる数又は濃度で少なくとも1回単離されたDNA又はRNAを含む。好ましくは、このような配列は、真核遺伝子に一般的に存在しない内部非翻訳配列又はイントロン中断のオープンリーディングフレームの形態で提供及び/又は構築される配列を含む。非翻訳DNAの配列は、オープンリーディングフレームの5’又は3’に存在してもよく、上記配列は、コード領域の操作又は発現に干渉しない。
【0246】
本願のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体又はその抗原結合断片、及びhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、PCR変異誘発又は当業者に知られている他の技術を使用してhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードするDNAにおけるヌクレオチドに対して部位特異的変異誘発を行って変異体をコードするDNAを生成した後、本明細書に概説されている細胞培養物において組換えDNAを発現する工程により製造される。また、hIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体又はその抗原結合断片、及びhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、確立された技術を使用してインビトロで合成することによって製造されてもよい。
【0247】
当業者に知られているように、遺伝暗号の縮重により、本願のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、極めて大量の核酸によってコードされ、各部分の核酸は、いずれも本願の範囲内にあり、標準技術を使用して製造されてもよい。したがって、特定のアミノ酸配列を同定しており、当業者であれば、本願のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質のアミノ酸配列を変更しない方法で、それぞれのコード配列に対して1つ、又は2つ以上のコドン修飾を簡単に行うことにより、多くの異なる核酸を製造することができる。
【0248】
別の態様では、本願は、本明細書のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードする核酸の発現ベクターを更に提供する。
【0249】
本願のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードする核酸を適切なベクターに構築して、宿主細胞に導入して標的タンパク質の発現を行ってもよい。ベクター成分は、通常、シグナル配列、複製開始点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター及び転写終結配列のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。ベクターにおける標的タンパク質をコードする核酸は、プロモーターに操作可能に連結される。
【0250】
本明細書で使用される場合、用語「操作可能に連結される」は、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター、シグナル配列又は転写調節因子結合部位の配列)と別の核酸配列との間の機能的連結を意味するため、該制御配列は、別の核酸配列の転写及び/又は翻訳を制御する。
【0251】
適切なベクターは、プラスミド、ファージミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)又はP1由来の人工染色体(PAC)などの人工染色体、λファージ又はM13ファージなどのファージ、及び動物ウイルスなどを含む。ベクターとして使用される動物ウイルスの種類としては、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルスなど)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、パポーバウイルス(SV40など)が挙げられる。ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択エレメント及びレポーター遺伝子を含む、発現を制御する様々なエレメントを含んでもよい。また、ベクターは、複製開始部位を更に含んでもよい。ベクターは、ウイルス粒子、リポソーム又はタンパク質コートを含むがこれらに限定されない、細胞への侵入を促進する成分を更に含んでもよい。
【0252】
別の態様では、本願は、本願のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードする核酸又は発現ベクターを含む宿主細胞を更に提供する。
【0253】
細胞は、真核細胞、例えば、SV40形質転換サル腎臓細胞CV1株(COS-7、ATCC、CRL-1651)、ヒト胎児腎臓細胞(293又は浮遊培養中の293細胞サブクローン、Grahamら、J Gen Virol 1977、36:59-74)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK-21、ATCC、CCL-10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaubら、Proc Natl Acad Sci USA 1980、77:4216-4220)、マウス精巣セルトリ細胞(TM4、Mather、Biol Reprod 1980、23:243-251)、サル腎臓細胞(CV1、ATCC、CCL-70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC、CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC、CCL-2)、イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC、CCL-34)、バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC、CRL-1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC、CCL-75)、ヒト肝臓癌細胞(HepG2、ATCC、HB-8065)、マウス乳癌(MMT060562、ATCC、CCL-51)、TRI細胞(Matherら、Ann NY Acad Sci 1982、383:44-68)、MRC5細胞、又はFS4細胞を含むがこれらに限定されない哺乳動物宿主細胞であってもよい。
【0254】
6. 製造方法
本願は、上記宿主細胞を使用して、本願のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、及びhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を製造する方法を提供する。
【0255】
上記方法は、本願のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質をコードする核酸又は発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクションし、培地中で宿主細胞を一定時間培養して本願のhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を発現することを含む。培地としては、特に限定されず、市販の培地を使用してもよい。
【0256】
好ましくは、発現されたhIL-2変異タンパク質、抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、増殖するように宿主細胞を培養する培地に分泌されてもよい。遠心分離又は限外濾過による不純物の除去、又はアフィニティークロマトグラフィーによる得られた物質の精製などの標準タンパク質精製の方法を使用して培地から抗体を回収し、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー及びヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどの他の精製技術を使用してもよい。
【0257】
7. 二重特異性分子
また、本願に係る二重特異性抗体は、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含み、上記二重特異性抗体の2つのアームのうちの1つは、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含み、もう1つのアームは、hIL-2以外の抗原(好ましくは癌に関連する抗原又は免疫チェックポイントタンパク質抗原)に特異性を有する抗体、又は免疫エフェクター細胞に関連する抗原に特異的に結合する抗体若しくはその抗原結合断片を含む。癌に関連する上記抗原は、HER2、EGFR、VEGF、VEGFR、CD19、CD20、CD30、CD33、CD52、BCMA、SLAMF7、MUC1、MUC16、EphB2、E-セレクチン、EpCam、CEA、PSMA、PSA、ERBb3、c-MET、ILT3、ILT7、5T4、GPC-3、DLL3などから選択されてもよく、上記免疫チェックポイントタンパク質抗原は、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM3、CTLA-4、LAG-3、CD47、CEACAM-1、CEACAM-5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD40、CD40L、OX40、CD160、2B4又はTGFRから選択されてもよい。
【0258】
本願の二重特異性分子は多くの異なる形態を有してもよい。例えば、二重特異性分子は、従来の抗体形態を保持するものであり、異なるのは、同じ特異性を有する2つの結合アームを有さず、異なる特異性を有する2つの結合アームを有することであり、各結合アームは、ペプチド鎖を介して連結された2つの一本鎖抗体断片(scFv)で構成されて、二重特異性分子、即ちBs(scFv)2構造として構築されてもよい。二重特異性分子は、ペプチドリンカーを介して連結された2つの異なるF(ab)断片を更に含んでもよい。これらの二重特異性分子及び他の形態の二重特異性分子は、遺伝子工学、体細胞ハイブリダイゼーション又は化学合成の方法によって製造されてもよい。例えば、Kuferら、前出、Cao及びSureshら、Bioconjugate Chemistry 1998、9:635-644、van Sprielら、Immunology Today 2000、21:391-397、及びそれらに引用された参考文献を参照。
【0259】
8. 免疫コンジュゲート、キメラ抗原受容体、工学的に改変されたT細胞受容体、又は腫瘍溶解性ウイルス
一態様では、本願は、本明細書の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む免疫コンジュゲートを提供する。
【0260】
本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、治療剤に結合して、抗体-薬物結合体(ADC)などの免疫結合体を形成することができる。適切な治療剤は、細胞毒素、アルキル化剤、DNAマイナーグルーブバインダ、DNAインターカレータ、DNA架橋剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、核外輸送阻害剤、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼI又はII阻害剤、熱ショックタンパク質阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗生物質及び抗有糸分裂剤を含む。ADCにおいて、抗体を治療剤にカップリングするリンカーは、ペプチドリンカー、ジスルフィド結合又はヒドラゾンリンカーなどの切断可能リンカー(Cleavable linker)を選択してもよく、切断不可能リンカー(Non-cleavable linker)を選択してもよい。米国特許第7087600号、米国特許第6989452号及び米国特許第7129261号、国際公開第02/096910号、国際公開第07/038658号、国際公開第07/051081号、国際公開第07/059404号、国際公開第08/083312号及び国際公開第08/103693号、米国特許出願公開第20060024317号、米国特許出願公開第20060004081号及び米国特許出願公開第20060247295号に記載の方法によってADCを製造してもよく、これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0261】
別の態様では、本願は、本明細書における抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含むキメラ抗原受容体、工学的に改変されたT細胞受容体、又は腫瘍溶解性ウイルスを更に提供する。
【0262】
9. 医薬組成物
本願に係る医薬組成物は、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質(免疫コンジュゲート、二重特異性分子、キメラ抗原受容体、工学的に改変されたT細胞受容体、若しくは腫瘍溶解性ウイルス)と、薬学的に許容できる担体とを含む。
【0263】
上記医薬組成物は、任意のタイプの賦形剤を含んでもよい。使用可能な賦形剤は、担体、界面活性剤、増粘剤若しくは乳化剤、固体結合剤、分散若しくは懸濁助剤、可溶化剤、着色剤、矯味矯臭剤、コーティング剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、保存剤、等張化剤又はこれらの組み合わせを含む。Gennaro編著、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版(Lippincott Williams & Wilkins2003)において、適切な賦形剤を選択して使用することが教示されており、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0264】
好ましくは、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊柱又は表皮投与(例えば、注射又は輸液により)に適する。異なる投与経路を考慮して、活性成分を材料中にコーティングして、活性成分を不活性化する可能性のある酸又は他の自然条件から保護してもよい。本願で使用される場合、用語「非経口投与」は、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊柱内、硬膜外及び胸骨内の注射及び輸液を含むがこれらに限定されない、非腸内及び局所的投与方式である。或いは、本願の抗体は、非経口経路(例えば、局所、表皮又は粘膜投与経路)、例えば、鼻腔内、経口、膣、直腸、舌下又は局所投与によって投与されてもよい。
【0265】
医薬組成物は、無菌水性溶液又は分散剤であってもよい。これらの医薬組成物は、マイクロエマルション、リポソーム、又は高薬物濃度に適した他の秩序構造の組み合わせ形態を形成することもできる。
【0266】
担体材料と組み合わせて単一の剤形を形成することができる活性成分の量は、対象及び特定の投与方法に応じて決定され、通常、治療効果をもたらすことができる組成物の量である。通常、薬学的に許容できる担体と形成される組成物は、約0.01%~99%の活性成分、好ましくは約0.1%~70%、最も好ましくは約1%~30%の活性成分を含む。
【0267】
最適な期待応答(例えば、治療応答)を提供するために、用量計画が調整される。例えば、一回投与してもよく、複数回投与してもよく、治療状況に応じて投与量を比例的に減少させるか又は増加させてもよい。投与が便利で投与量が均一であるために用量単位の形態で非経口投与する組成物を製造することが特に有利である。本願で使用される場合、用量単位の形態とは、対象を治療する単位用量として適する物理的に離散的な単位を意味し、各単位用量は、活性成分を所望の薬物担体とともに投与することによって達成される期待される治療効果を計算することによって得られる所定量の活性成分を含む。また、本願の抗IL-2抗体、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、徐放性製剤として投与されてもよく、これにより、投与頻度を減少させることができる。
【0268】
抗IL-2抗体、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質又は抗IL-2抗体若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む組成物の投与量の範囲は、約0.0001mg/kg~100mg/kg体重で、通常0.001mg/kg~50mg/kg体重であってもよい。
【0269】
本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、二重特異性分子、免疫コンジュゲート、キメラ抗原受容体、工学的に改変されたT細胞受容体、又は腫瘍溶解性ウイルスの「治療有効用量」は、好ましくは、疾患症状の重症度を低下させ、疾患症状の無発症期の頻度及び持続時間を増加させるか、又は疾患障害による生体損傷若しくは失能を予防することができるものである。例えば、未治療対象に対して、腫瘍担持対象の「治療有効用量」は、好ましくは、腫瘍増殖を少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、更により好ましくは少なくとも約60%、更により好ましくは少なくとも約80%抑制することができる。治療用抗体の治療有効量により、腫瘍の大きさを減少させるか、又は対象の症状を改善することができ、上記対象は、通常、ヒト又は他の哺乳動物である。「治療有効用量」は、更に、様々な要因に基づいて異なる方法で決定されてもよく、上記様々な要因は、製造方法、投与方法、患者の年齢、身体、体重、性別又は病理状態、食事、投与時間、投与間隔、投与経路、排泄率及び反応感受性を含むが、これらに限定されない。
【0270】
医薬組成物としては、インプラント、経皮貼付剤及びマイクロカプセル化送達システムを含む放出制御製剤を選択してもよい。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用してもよい。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson編、Marcel Dekker,Inc.、ニューヨーク、1978を参照。
【0271】
治療用医薬組成物は、(1)無針皮下注射装置(例えば、米国特許第5399163号、米国特許第5383851号、米国特許第5312335号、米国特許第5064413号、米国特許第4941880号、米国特許第4790824号及び米国特許第4596556号)、(2)マイクロ輸液ポンプ(米国特許第4487603号)、(3)経皮装置(米国特許第4486194号)、(4)輸液装置(米国特許第4447233号及び米国特許第4447224号)、及び(5)浸透装置(米国特許第4439196号及び米国特許第4475196号)から選択される医療装置によって送達されてもよい。これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0272】
いくつかの実施形態では、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を製造して、インビボでの生物分布を確保してもよい。例えば、本願の治療用抗体又は抗体融合タンパク質が血液脳関門を通過することを確保するために、該治療用抗体又は抗体融合タンパク質をリポソームに製剤化してもよく、上記リポソームは、特定の細胞又は器官への選択的送達を増強するために標的部分を更に含んでもよい。例えば、米国特許第4522811号、米国特許第5374548号、米国特許第5416016号及び米国特許第5399331号;Ranade VV、J Clin Pharmacol 1989、29:685-694;Umezawaら、Biochem Biophys Res Commun 1988、153:1038-1044;Bloemanら、FEBS Lett 1995、357:140-144;Owais Mら、Antimicrob Agents Chemother 1995、39:180-184;Briscoeら、Am J Physiol 1995、268:L374-380;Schreierら、J Biol Chem 1994、269:9090-9098;Keinanen及びLaukkanenら、FEBS Lett 1994、346:123-126;並びにKillion及びFidlerら、Immunomethods 1994、4:273-279を参照。
【0273】
10. 薬入れ/組み合わせ製品、キット
一態様では、本願に係る薬入れ(kit set)は、本願の抗IL-2抗体若しくは抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の医薬組成物と、別の抗癌剤及び/又は免疫調節剤とを含み、上記抗癌剤は、微小管破壊剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAインターカレータ、アルキル化剤、ホルモン療法剤、キナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤、HER2阻害剤、HER3阻害剤、IGFR阻害剤及びMet阻害剤を含むがこれらに限定されない、チロシンキナーゼ阻害剤)、受容体拮抗剤、腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤(IAP阻害剤、Bcl2阻害剤、MC11阻害剤、TRAIL阻害剤、CHK阻害剤を含むがこれらに限定されない)、又は任意の抗血管新生薬を含むが、これらに限定されず、上記免疫調節剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM3、CTLA-4、LAG-3、CD47、CEACAM-1、CEACAM-5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4又はTGFR阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0274】
別の態様では、本願は、有効量の本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物を含むキットに関する。
【0275】
11. 治療方法及び使用
一態様では、本願は、本明細書における抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の、疾患を治療するための医薬組成物又は製剤の製造における使用に関し、上記疾患は、増殖性疾患、感染性疾患又は免疫不全疾患を含むがこれらに限定されず、前記増殖性疾患は、癌及び他の細胞増殖性障害を含むがこれらに限定されない。
【0276】
或いは、本願は、増殖性疾患、感染性疾患又は免疫不全疾患を治療するための本明細書の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片、又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又はそれらを含む医薬組成物に関する。
【0277】
いくつかの実施形態では、上記癌は、黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、腎臓癌、肝臓癌、脳癌、食道癌、胆嚢癌、膵臓癌、胃癌、甲状腺癌、膀胱癌及びリンパ腫を含むが、これらに限定されない。
【0278】
いくつかの実施形態では、上記他の細胞増殖性障害は、高ガンマグロブリン血症(hypergammaglobulinemia)、リンパ増殖性疾患、異常タンパク質血症(paraproteinemias)、紫斑病(purpura)、結節病、セザリー症候群(Sezary Syndrome)、原発性マクログロブリン血症(Walderstroem macroglobulinemia)、組織細胞増殖(Histiocytosis)、並びに腹部、骨、乳房、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺など)、眼、頭及び首、神経系、リンパ系、骨盤、皮膚、軟部組織、脾臓、及び泌尿生殖系に位置する任意の腫瘍形成(neoplasia)以外の細胞増殖疾患を含むが、これらに限定されない。
【0279】
いくつかの実施形態では、上記免疫不全疾患は、HIV陽性、免疫抑制疾患、慢性感染性疾患を含むが、これらに限定されない。
【0280】
別の態様では、本願は、宿主の免疫応答を改善することによって疾患、病状又は障害を治療する方法であって、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む薬入れ若しくはキットを対象に有効量で投与することによって、IL2Rβ/γ受容体を発現するエフェクター細胞(例えば、CD8T細胞及びNK細胞)を特異的に活性化して、疾患状態を改善することを含む方法に関する。
【0281】
別の態様では、本願は、免疫系を刺激する方法であって、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む薬入れ若しくはキットを対象に有効量で投与して免疫系を刺激することを含む方法に関し、免疫系を刺激することは、免疫機能の全般的な増加、T細胞機能の増加、B細胞機能の増加、リンパ球機能の回復、IL2Rβ/γ発現の増加、T細胞応答性の増加、ナチュラルキラー細胞活性又はリンホカイン活性化キラー細胞活性の増加、対象のインビボでのCD8+T細胞とCD4+T細胞との比率の増加などを含む。
【0282】
別の態様では、本願は、宿主免疫系に対する刺激が有益である疾患状態を治療するか、緩和するか又は予防する方法であって、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む薬入れ若しくはキットを上記対象に治療有効量で投与して、前記対象の細胞免疫応答を増強することにより疾患状態を改善することを含む方法に関し、上記疾患状態は、宿主免疫応答不足又は免疫不全を含み、更に上記疾患状態は、増殖性疾患又は感染性疾患、免疫不全疾患である。上記増殖性疾患は、癌及び他の細胞増殖性障害を含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、上記癌は、扁平上皮癌(例えば、上皮系扁平上皮癌)、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(胃腸癌及び胃腸間質癌を含む)、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿道癌、肝腫瘍、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮体癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌、肛門癌、陰茎癌、黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫、結節型黒色腫、多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(Non-Hodgkin lymphoma、NHL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ケロイド疾患(母斑症)、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連する)及びメイグス症候群(Meigs)に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍及び脳癌、並びに頭頸部癌から選択される。
【0284】
いくつかの実施形態では、宿主免疫系に対する刺激が有益である疾患状態を治療するか、緩和するか又は予防する上記方法は、免疫チェックポイント阻害剤、抗原特異的免疫治療剤、化学療法剤、エピジェネティックス修飾剤、サイトカイン、成長因子、阻害剤、腫瘍抗原を標的とする抗体、腫瘍ワクチン、及び/又は他の癌療法を投与することを更に含む。一実施形態では、上記免疫チェックポイントは、PD-1、PD-L1、PD-L2、TIM3、CTLA-4、LAG-3、CD47、CEACAM-1、CEACAM-5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4又はTGFRを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、上記抗原特異的免疫治療剤は、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)、キメラ抗原受容体NK細胞(CAR-NK細胞)、及び/又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。一実施形態では、上記他の癌療法は、外科手術、化学療法、細胞傷害性薬物、光線力学的療法、免疫調節又は放射線療法を含むが、これらに限定されない。
【0285】
一実施形態では、本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片又はhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質、又は本願の抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片若しくはhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を含む医薬組成物は、他の治療剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤、抗原特異的免疫治療剤、化学療法剤、エピジェネティックス修飾剤、サイトカイン、成長因子、阻害剤、腫瘍抗原を標的とする抗体、及び/又は腫瘍ワクチン)と組み合わせてもよく、かつ同時に、逐次的に、又は逆の順序で投与することができる。
【0286】
本願は、以下の実施例によって更に説明されるが、実施例は更なる限定として解釈されるべきではない。本願の明細書において引用された全ての図面及び全ての参考文献、特許及び特許出願の内容は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【実施例
【0287】
実施例1 ヒトIL-2(hIL-2)に対する改変
1.1 hIL-2変異タンパク質の選別、構築及び発現
MOE(Molecular Operating Environment)ソフトウェアを用いた分析により、mIL-2とhIL-2の三次構造がほぼ一致し、ラット抗マウスIL-2抗体S4B6(S4B6)との重要な接触部位において、mIL-2の第78位のグリシン(mIL-2/G78)に対応するhIL-2の第64位のリジン(hIL-2/K64)とmIL-2の第105位のアルギニン(mIL-2/R105)に対応するhIL-2の第90位のアスパラギン(hIL-2/N90)という2つの明らかな相違点のみが存在し、この2つの部位の相違点がhIL-2とS4B6抗体との結合を阻害する可能性があり、そのうち、hIL-2/N90部位が特に重要であり、それに対応するmIL-2/R105とS4B6には複数の相互作用力、例えば、塩結合と水素結合が存在し、hIL-2/K64とS4B6の軽鎖CDR3が深刻な阻害/衝突(clash)を形成することが示された。加えて、mIL-2の第119位のグルタミン酸(mIL-2/E119)と比較して、それに対応するhIL-2の第104位のメチオニン残基(hIL-2/M104)は、側鎖が僅かに長いため、抗体の結合を阻害する可能性もある。
【0288】
上記分析結果に基づいて、K64G及びN90Rの2つの点変異を含むhIL-2変異タンパク質(該変異タンパク質は、hisタグを有し、hIL2-DM-hisと命名する)と、K64G、N90R及びM104Eの3つの点変異を含むhIL-2変異タンパク質(該変異タンパク質は、hisタグを有し、hIL2-TM-hisと命名する)をそれぞれ構築し、発現し、野生型マウスIL-2(hisタグを有し、mIL2-hisと命名する)を対照群とした。各hIL-2変異タンパク質の構築、発現及び精製の方法は、遺伝子合成により野生型hIL-2をコードする遺伝子配列を得て、PCRによりhIL-2にK64G、N90R及び/又はM104Eの部位特異的変異を行い、異なる部位特異的変異を含むhIL-2標的断片をpcDNA3.1発現ベクターに挿入し、ExpiCHO-S細胞(Thermo、A29127)への一過性トランスフェクションを行い、無血清発現培養を行い、AKTA Pureシステムによりニッケルカラム親和性クロマトグラフィー精製を行うことを含む。
【0289】
1.2 hIL-2変異タンパク質とchS4B6との結合動力学的検出
分子相互作用分析装置(ForteBio、型番R8)により上記3種類のIL-2抗原とS4B6キメラ抗体(chS4B6、S4B6抗体の可変領域とヒトIgG1の定常領域で構成される)に対してそれぞれ結合動力学的検出を行った。具体的な方法は、1×PBS溶液で検出対象抗体chS4B6を5μg/mLに希釈し、200μL/ウェルで96ウェルの黒色プレート内に加え、その後、1×PBS溶液で検出対象抗原を100nMから1:2で段階的に希釈した後、200μL/ウェルで同一の96ウェルの黒色プレート内に加え、検出対象サンプルが収容された96ウェルの黒色プレートとプロテインA検出プローブを機器内に置き、プログラムを設定することにより、プロテインAプローブを検出対象抗体chS4B6に結合した後、検出対象抗原との会合及び解離検出を行い、各回の会合と解離サイクルが完了した後、プローブを10mMのグリシン緩衝液(pH1.5)に浸漬してプローブを再生させ、次のサイクル検出を開始するように設定し、検出が完了した後、分析ソフトウェアを使用して対応する抗体と抗原との間の会合速度定数及び解離速度定数に対してフィッティング計算を行い、親和性定数(K)の値を得ることを含む。
【0290】
検出結果は、表5に示すように、hIL-2を変異させて得られたhIL-2変異タンパク質がchS4B6に結合できることを示す。
【0291】
【表5】
【0292】
1.3 hIL-2変異タンパク質の生物学的活性の検出
それぞれCTLL-2細胞(ATCCから購入)とNK-92細胞(ATCCから購入)を使用してhIL-2変異タンパク質の生物学的活性を検出し、検出方法は、1000rpmで遠心分離して対数増殖期にあるCTLL-2細胞又はNK-92細胞を収集した後、hIL-2を加えていない完全培地で細胞を再懸濁し、1×10個/ウェルの細胞を96ウェルの細胞培養白色プレートに接種し、hIL-2を加えていない完全培地で検出対象サンプルhIL-2変異タンパク質(hIL2-DM-his及びhIL2-TM-hisを含む)と、対照群サンプルmIL2-his及びhIL-2(Novoprotein)を500nM(CTLL-2細胞に使用する)又は50nM(NK-92細胞に使用する)に希釈し、1:5で段階的に希釈し、希釈した検出対象サンプルを、20μL/ウェルで、細胞を含有する96ウェルの細胞培養白色プレートに加え、タッピングして均一に混合し、細胞培養プレートを37℃/5%COインキュベーターに置いて3日間静置培養した後、細胞培養プレートをインキュベーターから取り出し、細胞培養プレートを室温まで降温させた後、各ウェルに検出試薬Cell Counting-Lite 2.0(Nanjing Vazyme)を加え、細胞培養プレートを振とうして10分間静置した後、多機能マイクロプレートリーダー(Thermo、Varioskan)で検出し、各ウェルの化学発光値を読み取り、サンプルウェルと対照ウェルとの比を計算することを含む。
【0293】
検出結果については、図1及び表6に示すように、hIL2-DM-his及びhIL2-TM-hisは、いずれもCTLL-2細胞及びNK-92細胞の増殖を促進でき、かつ増殖活性(EC50値)は、対照群hIL-2に同等であり、これは、本願のhIL-2変異タンパク質がいずれもhIL-2の生物学的活性を保持したことを示す。
【0294】
【表6】
【0295】
これにより、野生型hIL-2における、IL-2抗原と上記IL-2抗体との結合部位のアミノ酸である重要な部位の変異により、本願は、mIL-2抗体S4B6に結合でき、かつhIL-2の生物学的活性を保持するhIL-2変異タンパク質を得た。
【0296】
実施例2 ラット抗マウスIL-2抗体S4B6に対するヒト化改変
ラット抗マウスIL-2抗体S4B6に対する宿主の免疫応答を減少させるために、S4B6をヒト化改変することにより、ヒトに応用することができる。
【0297】
2.1 CDR移植
CDR移植方法を使用してS4B6抗体に対してヒト化改変を行った。具体的には、S4B6アミノ酸配列に基づいて、MOEソフトウェア分析推奨テンプレートに従ってCDR移植を行い、即ち、S4B6の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域とヒト免疫グロブリン遺伝子データベースとに対してBlast比較を行い、S4B6抗体と相同性が最も高いヒト生殖系列(germline)IGVH及びIGVKをヒト化改変のための受容体フレームワークとして選択し、S4B6抗体の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のCDRを、選択したヒト生殖系列フレームワーク領域に移植し、表7に示す4つのヒト化hS4B6抗体のアミノ酸配列を得た。
【0298】
【表7】
【0299】
表7に示す各ヒト化抗体をコードする遺伝子配列を合成し、各コード配列をそれぞれpcDNA3.1発現ベクターに挿入し、ExpiCHO-S細胞への一過性トランスフェクションを行って無血清発現培養を行い、AKTA pureシステムによりプロテインA親和性クロマトグラフィー精製を行い、表7に示すヒト化抗体を得た後、それぞれELISAとForteBioを使用してhS4B6ヒト化抗体と抗原mIL2-his又はhIL2-hisとの結合活性及び結合親和性を動力学的に検出した。
【0300】
2.1.1 ELISAによるhS4B6ヒト化抗体と抗原mIL2-his又はhIL2-hisとの結合活性の検出
ELISA検出方法は、1×PBS緩衝液でヤギ抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch)を1μg/mLに希釈し、100μL/ウェルでELISAプレートに加え、4℃で一晩インキュベートし、PBSでプレートを洗浄した後、各ウェルにブロッキング溶液(1%BSAを含むPBST)を加え、室温で静置して1時間インキュベートし、PBSTでプレートを洗浄した後、最終濃度が13.3nMである検出対象サンプル(hS4B6ヒト化抗体及び対照キメラ抗体chS4B6を含む)を各ウェルに加え、室温で2時間静置してインキュベートし、PBSTでプレートを洗浄した後、100μLの段階希釈後の異なる濃度のIL-2抗原(mIL2-his又はhIL2-his)を含むブロッキング溶液を各ウェルに加え、室温で静置して2時間インキュベートし、PBSTでプレートを洗浄した後、1:10000でブロッキング溶液内に希釈したHRP-標識抗6×Hisタグ二次抗体(Proteintech)を各ウェルに加え、室温で静置して1時間インキュベートし、PBSTでプレートを洗浄した後、TMB発色液(Thermo)を各ウェルに加え、室温で暗所で3-10分間インキュベートし、停止液(2M HCl)を各ウェルに加えた後、多機能マイクロプレートリーダー(Thermo、Varioskan)でOD(450~570)値を読み取ることを含む。
【0301】
検出結果については、図2及び表8に示すように、初期ヒト化を経た後のIL-2抗体において、ヒト化抗体H6K3とmIL-2との結合活性は、chS4B6に同等であり、H1K1及びH6K7とmIL-2との結合活性は、chS4B6より僅かに低く、これにより、この3つのヒト化抗体がマウス抗体S4B6とmIL-2との結合活性を保持し、H6K3がS4B6とmIL-2との結合活性を最大限保持し、H1K1とH6K7がそれに続いていることが示唆されている。
【0302】
【表8】
【0303】
2.1.2 hS4B6ヒト化抗体と抗原mIL2-hisとの結合動力学的検出
実施例1における1.2に記載の方法でhS4B6ヒト化抗体及び対照キメラ抗体chS4B6と抗原mIL2-hisとの結合動力学を検出した。結果については、表9に示すように、初期ヒト化を経た後の抗IL-2抗体において、H6K3及びH6K7がいずれも高親和性でmIL-2に結合することができ、H1K1及びH3K3がいずれも中親和性でmIL-2に結合することにより、初期ヒト化後のhS4B6抗体がいずれもmIL-2に特異的に結合することができることが示されている。
【0304】
【表9】
【0305】
2.1.3 ヒト化抗体H6K3と抗原hIL-2変異タンパク質との結合動力学的検出
実施例1における1.2に記載の方法でヒト化抗体H6K3と抗原hIL-2変異タンパク質(hIL2-DM-his又はhIL2-TM-his)との結合動力学を検出した。結果については、表10に示すように、ヒト化抗体H6K3と2つのhIL-2変異タンパク質がいずれも良好な結合動力学的特徴を有し、かつH6K3とhIL2-DM-his及びhIL2-TM-hisとの結合親和性に有意な差がなかった。これに対して、図2に示すように、ヒト化抗体H6K3は、hIL-2に実質的に結合せず、これにより、上記抗原hIL-2変異タンパク質が抗IL-2抗体又はその抗原結合断片に結合する能力を獲得することが示されている。
【0306】
【表10】
【0307】
2.2 さらなるヒト化
上記抗体のヒト化度を更に向上させるために、オンラインウェブサイトabYsis(http://abysis.org/abysis/index.html)及びMOEソフトウェアにより、ヒト化抗体H6K3の軽鎖、重鎖のCDR配列における比較的低頻度のアミノ酸残基及びFR領域におけるマウス由来のアミノ酸残基を分析し、さらなるヒト化研究を行った。さらなるヒト化のための変異部位を表11に示す。
【0308】
【表11】
【0309】
実施例2における2.1に記載の方法に従って、表11における12個のさらなるヒト化抗体サンプルを構築し、発現し、さらなるヒト化により改変された各抗体は、いずれも高い発現量を有する。更に精製して12個のさらなるヒト化抗体サンプルを得た後、実施例1における1.2に記載の方法でさらなるヒト化抗体と抗原hIL2-DM-hisとの結合動力学を検出した。検出結果については、表12に示すように、さらなるヒト化抗体H6K3-hu04、H6K3-hu06、H6K3-hu07、H6K3-hu08、H6K3-hu09、H6K3-hu10及びH6K3-hu12は、いずれもhIL2-DM-hisに結合することができ、かつ良好な結合動力学的特徴を有し、これにより、これらのさらなるヒト化抗体がhIL-2変異タンパク質hIL2-DMに特異的に結合できることが示されている。
【0310】
【表12】
【0311】
表12に示す結果によれば、H6K3-hu04(変異部位がL34Mである)、H6K3-hu07(変異部位がN65Gである)及びH6K3-hu08(変異部位がN76Dである)の変異の組み合わせを、さらなるヒト化抗体の重鎖可変領域として選択し、H6K3-hu09(変異部位がD56Sである)及びH6K3-hu12(変異部位がY71Fである)の組み合わせを軽鎖可変領域として選択し、かつこれらの変異の組み合わせを含むヒト化抗体をhS4B6-H6K3(H)と命名し、該ヒト化抗体も、産生及び製造過程におけるアスパラギン酸異性化の潜在的なリスクを有意に低減することができる。
【0312】
実施例2における2.1に記載の方法に従って、hS4B6-H6K3(H)抗体サンプルを構築し、発現して精製した後、実施例1における1.2に記載の方法でhS4B6-H6K3(H)と抗原hIL2-DM-his、hIL2-TM-his又は対照mIL2-hisとの結合動力学を検出した。検出結果については、表13に示すように、hS4B6-H6K3(H)抗体は、より高いレベルのヒト化を有するだけでなく、hIL-2変異タンパク質に特異的に結合する生物学的特性を保持した。
【0313】
【表13】
【0314】
実施例3 抗体hS4B6-H6K3(H)の親和性成熟
抗体hS4B6-H6K3(H)とhIL-2変異タンパク質との結合親和性を更に増強するために、分析されたS4B6:mIL2抗体-抗原複合体の結晶構造に基づいて、MOEソフトウェアにより抗体hS4B6-H6K3(H)の重鎖CDR領域及び軽鎖CDR領域における部位特異的変異の部位をシミュレーション計算した。実施例2における2.1に記載の方法に従って、重鎖CDR領域又は軽鎖CDR領域に単点変異を有する抗体hS4B6-H6K3(H)サンプルを構築し、発現し、実施例1における1.2に記載の方法で、hS4B6-H6K3(H)親和性成熟単点変異タンパク質と抗原hIL2-DM-hisとの結合動力学を検出することにより、重鎖親和性成熟変異E53D、V95I、Y98L又はS100T、及び軽鎖親和性成熟変異D28N、D28H、D28L、D28Y、G30I、G30S、G30T、S50Q又はT52Gを含むhS4B6-H6K3(H)は、いずれも母体抗体hS4B6-H6K3(H)とhIL-2変異タンパク質との結合親和性より優れている結合親和性を示すことが判明した。
【0315】
更に上記重鎖CDR領域と軽鎖CDR領域の単点変異を組み合わせ、実施例2における2.1に記載の方法に従って、親和性成熟ヒト化抗体サンプルを構築し、発現し、実施例1における1.2に記載の方法で、hS4B6-H6K3(H)及び/又はその親和性成熟抗体と抗原hIL2-DM-hisとの結合動力学を検出し、検出結果を表14に示す。母体抗体hS4B6-H6K3(H)の軽鎖CDR領域での変異D28Y、若しくはD28Y/S50Q、若しくはD28Y/G30S、若しくはD28Y/G30S/S50Qを選択するか、又はそれと上記重鎖CDR領域での変異との組み合わせを選択し、得られた親和性成熟抗体は、いずれもhIL-2変異タンパク質との結合親和性を有意に向上させ、かつhS4B6-H6K3(H)親和性成熟抗体とhIL-2変異タンパク質との結合親和性(解離平衡定数K)が10-9M、更には10-10Mに達することができる。
【0316】
【表14(1)】
【表14(2)】
【0317】
分子相互作用分析装置(ForteBio、型番Qke)によりhIL2-DMを抗体K2G11に結合して複合体を形成した後にhIL2-DMとIL2Rα及びIL2Rβとの結合活性を検出し、具体的な方法は、1×PBS溶液で検出対象抗体K2G11を5μg/mLに希釈し、200μL/ウェルで96ウェルの黒色プレートに加えた後、1×PBS溶液で抗原hIL2-DMを100nMに希釈し、200μL/ウェルで上記96ウェルの黒色プレートに加え、1×PBS溶液で受容体タンパク質IL2Rα及びIL2Rβを1000nMに希釈し、1:2で段階的に希釈した後、200μL/ウェルで上記96ウェルの黒色プレートに加え、検出対象サンプルが収容された96ウェルの黒色プレート及びプロテインA検出プローブを機器内に置き、プログラムを設定することにより、プロテインAプローブを検出対象抗体K2G11に結合した後、抗原hIL2-DMと飽和するまで結合し、更に順に受容体タンパク質CD25及びCD122と会合-解離検出を行い、各回の会合-解離サイクルが完了した後、プローブを10mMのグリシン緩衝液(pH1.5)に浸漬してプローブを再生させ、次のサイクル検出を開始することを含む。
【0318】
検出結果については、図3に示すように、抗体K2G11がhIL2-DMとhIL2Rαとの結合をブロックできるが(図3A)、hIL2Rβとの結合に影響を与えない(図3B)ことが示されている。
【0319】
実施例4 IL-2/IL-2抗体融合タンパク質の構築及び生物学的活性検出
4.1 リンカーの選別
MOEソフトウェアにより、hIL2-DMを抗体hS4B6-H6K3(H)に連結する位置、リンカーのタイプ及び長さを決定し、並びにリンカーがhIL2-DMとhIL2Rβ/γとの結合活性に影響を与えるか否かをシミュレーション分析した結果、(G4S)、(G4S)、(GAF)配列をリンカーとして選択した場合、構築した融合タンパク質の内部構造の安定性を保証できるだけでなく、上記リンカーがhIL2-DMのC末端及び抗体の重鎖N末端に連結される場合、hIL2-DMとhIL2Rβとの結合への影響が小さく、上記リンカーがhIL2-DMのC末端及び抗体の軽鎖N末端に連結される場合、hIL2-DMとhIL2Rβとの結合への影響が大きく、かつ上記融合タンパク質の収量に影響を与え、また、(G4S)配列のリンカーが低免疫原性を更に有することが示されている。したがって、4つのタンデムG4S配列を有するリンカーを、抗体の重鎖N末端にhIL2-DMを融合することによってIL-2/IL-2抗体融合タンパク質を構築するために選択した。
【0320】
4.2 ジスルフィド結合の選別
構築した融合タンパク質における抗原-抗体複合体がインビボで安定した結合状態にあり、解離せず、かつ高親和性IL2RによってIL-2に競合的に結合できないことを確保するために、MOEソフトウェアによってS4B6/mIL-2抗原-抗体複合体の結晶構造における各アミノ酸残基間の距離を計算し、かつ空間的距離が10オングストローム(1nm)の範囲内にある一部のアミノ酸残基を選択してシステインに変異させることにより、hIL-2変異タンパク質とhS4B6-H6K3(H)抗体との間がジスルフィド結合を形成することによって更に強固に結合する。表15は、hIL-2変異タンパク質とhS4B6-H6K3(H)抗体との間のジスルフィド結合形成部位のアミノ酸変異部位を示す。ジスルフィド結合を含む構築物構造を図4に示す。
【0321】
【表15】
【0322】
表15における構築物を実施例2における2.1に記載の方法に従って構築し、発現し精製した後、SEC-HPLC分析により、安定した単量体を形成できるhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy07(即ち、H6K3(H)-Cy07)及びIC-Cy08(即ち、H6K3(H)-Cy08)を選択して更なる研究を行った。
【0323】
4.2.1 ELISAによるIC-Cy07及びIC-Cy08とhIL2α(hCD25)及びhIL2β(hCD122)との結合活性のそれぞれの検出
実施例2における2.1.1に記載のELISA検出方法に従って、抗原をそれぞれhCD25(Acro)とhCD122(Acro)に置換し、IC-Cy07及びIC-Cy08とhCD25及びhCD122との結合活性をそれぞれ検出し、hIL2-DM-Fcを対照群とした。hCD25との結合活性は、図5Aに示すとおりであり、対照hIL2-DM-Fcと比較して、IC-Cy08は、hCD25にほとんど結合しないのに対して、IC-Cy07は、わずかに低下するhCD25結合活性のみを有し、hCD122との結合活性は、図5Bに示すとおりであり、対照群hIL2-DM-Fcと比較して、IC-Cy08及びIC-Cy07とhCD122との結合活性は、いずれもある程度増強され、該結果は、文献報告と一致し、即ち、S4B6と結合した後にmIL-2のC-ヘリックスが変形してmCD122との結合を増強することを示唆する。また、IC-Cy08とhCD122との結合活性は、IC-Cy07とhIL2-DM-Fcとの結合活性より有意に高かった。
【0324】
以上より、IC-Cy08及びIC-Cy07は、いずれもhCD122に対する増強された結合活性を有し、かつIC-Cy08は、hCD25に結合する能力をほぼ完全に喪失し、これは、IC-Cy08におけるhIL-2変異タンパク質のα受容体結合部位が抗体融合タンパク質分子の内部に完全に埋め込まれ、解離しにくいため、hCD25に結合できないことを更に示している。
【0325】
4.2.2 IC-Cy07及びIC-Cy08の生物学的活性の検出
実施例1における1.3に記載の方法に従って、CTLL-2細胞とNK-92細胞の増殖実験によりそれぞれIC-Cy07とIC-Cy08の生物学的活性を検出し、対照群は、野生型hIL-2である。検出結果については、図6に示すように、CD25を高発現するCTLL-2細胞の増殖を促進するIC-Cy08の活性(EC50値)は、対照群hIL-2の活性より有意に低く(図6A及び表16)、CD25を低発現するNK-92細胞の増殖を促進するIC-Cy08の活性は、対照群hIL-2の活性に同等であり(図6B及び表16)、IC-Cy07は、CTLL-2細胞に対する増殖活性が対照群hIL-2に同等であり(図6A及び表16)、NK-92細胞に対する増殖活性が対照群hIL-2より僅かに高い(図6B及び表16)。
【0326】
【表16】
【0327】
4.2.3 フローサイトメトリーによるIC-Cy08のCTLL-2細胞におけるIL-2シグナル伝達経路に対する活性化作用の検出
IL-2とIL2Rとの結合により、細胞内JAKキナーゼの活性化を誘導し、更にシグナル伝達及び転写活性化因子5(Signal transduction and activator of transcription 5、STAT5)をリン酸化して活性化し、最終的に細胞プロセス(例えば、増殖、生存及びアポトーシス)に関与する様々な遺伝子の発現を調節することができる。高親和性IL2Rを発現するCTLL2細胞におけるSTAT5のリン酸化状況を検出することによって、ジスルフィド結合を含むIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08のIL-2シグナル経路に対する活性化作用を評価した。具体的な方法は、遠心分離によりCTLL-2細胞を収集した後、完全培地で細胞を再懸濁し、37℃/5%COインキュベーターに置いて4時間静置して飢餓培養し、遠心分離により細胞を収集し、再び完全培地で細胞を再懸濁し、5×10個/ウェルの細胞を96ウェルの細胞培養U型プレートに播き、完全培地で1:5の割合で検出対象サンプル(IC-Cy08及び対照群野生型hIL-2)を段階的に希釈し、ウェルあたり50μLの体積で上記細胞培養プレートに加えた後、細胞培養プレートを37℃/5%COインキュベーターに置いて15~30分間静置培養し、37℃で予熱した固定緩衝液(Biolegend)を各ウェルに加え、十分に均一に混合した後、37℃で15~30分間静置し、遠心分離により細胞を収集し、FACS緩衝液(1%BSAを含む1×PBS)で細胞を2回洗浄し、-20℃で予冷したTrue-Phos Perm緩衝液(Biolegend)を各ウェルに加え、十分に均一に混合した後、-20℃で1時間静置し、遠心分離により細胞を収集し、FACS緩衝液で細胞を2回洗浄した後、FACS緩衝液に1:50で希釈した100μLのanti-pSTAT5(Tyr694)-PE抗体(Thermo)を各ウェルに加え、細胞を再懸濁した後、氷上で40分間インキュベートし、遠心分離により細胞を収集し、FACS緩衝液で細胞を2回洗浄し、FACS緩衝液で細胞を再懸濁してフローサイトメーターに置いて検出することを含む。
【0328】
検出結果については、図7及び表17に示すように、対照群hIL-2に対して、CTLL-2細胞は、IC-Cy08の作用下で有意に低下したpSTAT5レベルを示し、これにより、ジスルフィド結合を含む複合体構築物IC-Cy08分子におけるhIL-2変異タンパク質のα受容体結合部位が抗体に部分的に安定して結合して分子表面に露出しないため、hIL-2変異タンパク質とCTLL-2細胞表面の高親和性IL2Rとの結合が有意に低下することにより、細胞内のIL-2シグナル経路の伝達が低下することを更に示している。
【0329】
【表17】
【0330】
実施例5 hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質構造の更なる最適化
5.1 S4B6抗体及びCD122の立体障害分析及び最適化
S4B6/mIL-2抗原-抗体複合体の結晶構造(PDB:4YUE)を分析することによって、抗体軽鎖の第27位のGln(LCDR1に位置する)がCD122の第43位のArgと立体障害を形成する可能性があり、更に本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質におけるhIL-2とhCD122との結合を抑制することを発見した。該立体障害が実際に存在するか否か、かつIC-Cy08の生物学的活性に影響を与えるか否かを検出するために、IC-Cy08抗体軽鎖を点変異させた一連の変異体を設計して構築し、発現し、更に抗体軽鎖の第1位のAspを変異させることにより(表18に示す)、これらの変異タンパク質とhCD122との結合活性及び生物学的活性を評価した。
【0331】
【表18】
【0332】
5.1.1 ELISAによるIC-Cy08変異体とhIL2Rα(hCD25)との結合活性及びIC-Cy08変異体とhIL2Rβ(hCD122)との結合活性のそれぞれの検出
実施例2における2.1.1に記載のELISA検出方法に従って、抗原をhCD25(Acro)とhCD122(Acro)にそれぞれ置換し、表18におけるIC-Cy08変異体とhIL2Rα(hCD25)との結合活性及びIC-Cy08変異体とhIL2Rβ(hCD122)との結合活性をそれぞれ検出し、hIL2-DM-Fcを対照群とした。IC-Cy08変異体とhCD25との結合活性は、図8Aに示すとおりであり、各変異タンパク質は、母体IC-Cy08と比較してhCD25との結合活性が有意に変化せず、対照群hIL2-DM-Fcと比較して有意に低下したhCD25結合活性を有する。しかしながら、変異体IC-Cy08-QS、IC-Cy08-QG、IC-Cy08-QK及びIC-Cy08-QRは、母体IC-Cy08に対してある程度低下したhCD122結合活性を示し、かつ対照群hIL2-DM-Fcに同等であるhCD122結合活性を有し、他の3つの変異体IC-Cy08-DE、IC-Cy08-QD及びIC-Cy08-QEは、母体IC-Cy08に同等であるhCD122結合活性を有し、かつ対照群hIL2-DM-Fcより増加したhCD122結合活性を有する(図8B)。
【0333】
5.1.2 IC-Cy08変異体の生物学的活性の検出
実施例1における1.3に記載の方法に従って、CTLL-2細胞とNK-92細胞の増殖実験によりIC-Cy08変異体の生物学的活性をそれぞれ検出し、対照群は、野生型hIL-2である。検出結果については、図9に示すように、7つのIC-Cy08変異体は、いずれも母体IC-Cy08と類似のCTLL-2細胞(図9A及び表19)及びNK-92細胞(図9B及び表19)に対する増殖促進活性を保持し、かつ対照群hIL-2と比較して、7つのIC-Cy08変異体及び母体IC-Cy08は、いずれも有意に低下したCTLL-2細胞に対する増殖促進活性(図9A及び表19)及び同等のNK-92細胞に対する増殖活性(図9B及び表19)を有する。
【0334】
【表19】
【0335】
IC-Cy08-QS、IC-Cy08-QG、IC-Cy08-QK及びIC-Cy08-QRは、母体IC-Cy08と比較して低下したhCD122結合活性を示すが、CTLL-2細胞及びNK細胞に対する増殖活性がIC-Cy08と同等であり、即ち、CTLL-2細胞及びNK細胞に対する増殖活性が低下しなかった。これにより、IC-Cy08分子における抗体の軽鎖の第27位のGlnは、hIL2とhCD122との結合活性及びその機能活性に有意な影響を与えないことが示されている。
【0336】
また、上記IC-Cy08変異体サンプルを発現して製造した場合、IC-Cy08-QD、IC-Cy08-QE、IC-Cy08-QS及びIC-Cy08-QGの発現量は、母体IC-Cy08と比較して、いずれも数倍増加していることが判明した(表20)。
【0337】
【表20】
【0338】
5.2 hIL-2アミノ酸配列の最適化
hIL-2アミノ酸配列を分析することにより、その第3位のトレオニン残基は、真核細胞の発現過程においてグリコシル化修飾が発生し、かつ第125位に遊離システイン残基が存在し、下流産生及び製造過程においてジスルフィド結合ミスマッチが発生して凝集する可能性があり、製品の品質制御に不利であることが判明した。したがって、N末端の最初の3つのアミノ酸を削除し、hIL-2の第125位のシステイン残基を変異させる方式を使用して、これらの部位による悪影響を除去する。表21に示すように、本願は、hIL-2-DMのN末端の最初の3つのアミノ酸を削除し、第125位のシステインに対して異なるアミノ酸置換を行う一連のIC-Cy08変異体を設計した。
【0339】
【表21】
【0340】
実施例2における2.1に記載の方法に従って、表21における各IC-Cy08変異体を発現し、精製し、かつ実施例1における1.3に記載の方法に従って、そのCTLL-2とNK-92細胞に対する増殖活性をそれぞれ検出した。実験結果については、図10に示すように、各IC-Cy08変異体は、CTLL-2細胞(図10A及び表22)及びNK-92細胞(図10B及び表22)に対する増殖活性が母体IC-Cy08に同等であり、かつ対照群hIL-2と比較して、有意に低下したCTLL-2細胞に対する増殖活性(図10A及び表22)及び僅かに低下したNK-92細胞に対する増殖活性(図10B及び表22)を有する。これにより、hIL-2のN末端の最初の3つのアミノ酸を削除し、第125位のシステインを変異させることにより、活性に有意な影響を与えない前提で該分子の産生及び製造過程における潜在的なリスクを解決できることが示されている。
【0341】
【表22】
【0342】
5.3 hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質における抗体部分の重鎖定常領域の改変
本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質のインビボでの半減期を延長し、抗体Fc領域によって媒介されるエフェクター機能が標的細胞又は非標的細胞に対して殺傷作用をもたらすことを防止するために、上記分子中の抗体部分の重鎖定常領域に対して工学的改変を行った。
【0343】
5.3.1 抗体重鎖定常領域に対する等電点(pI)工学的改変
本願の融合タンパク質のインビボでの半減期を延長するために、IC-Cy08の抗体部分の重鎖hIgG1定常領域にN203D/K274Q/Q419E(EU番号付け)変異(「pI変異」と定義する)を導入した。
【0344】
5.3.2 抗体Fc断片に対する工学的改変
抗体Fc領域によって媒介されるエフェクター機能が本願の融合タンパク質の標的細胞又は非標的細胞に対して殺傷作用をもたらすことを防止するために、Fc領域にL234F/L235E/P331S(EU番号付け)変異(「TM変異」と定義する)を導入することによって、Fc領域とFcγR及びC1qとの結合を低下させて、Fcによって媒介されるエフェクター機能を除去した。
【0345】
5.3.3 抗体部分の重鎖定常領域のpI変異及びTM変異を経た後のIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の生物学的活性
実施例2における2.1に記載の方法に従って、上記抗体部分の重鎖定常領域のpI変異及びTM変異を経た後のIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08-pITMを発現し、精製し、実施例1における1.3に記載の方法に従って、そのCTLL-2とNK-92細胞に対する増殖活性をそれぞれ検出した。実験結果については、図11に示すように、IC-Cy08-pITMは、母体IC-Cy08とほぼ同じであるCTLL-2(図11A及び表23)及びNK-92(図11B及び表23)細胞に対する増殖促進活性を有する。
【0346】
【表23】
【0347】
実施例6 hS4B6-H6K3(H)親和性成熟抗体で構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質及びその生物学的活性の検出
6.1 ジスルフィド結合の選別
hIL2-DMへの結合を有意に増強するhS4B6-H6K3(H)親和性成熟抗体K2G11を選別して得た後、実施例4に記載の方法に従ってhIL2-DM(△3、C125L)とK2G11との抗原-抗体融合タンパク質を構築して、構造がより安定した候補分子を得る。融合タンパク質の構築では、(G4S)をリンカーとして選択し、かつhIL2-DM(△3、C125L)のC末端を介してK2G11抗体の重鎖のN末端に連結した。ジスルフィド結合が正確に形成される可能性を更に評価するために、hIL2-DM(△3、C125L)とK2G11抗体とのジスルフィド結合形成部位のアミノ酸変異部位を表24に示す。ジスルフィド結合を含むhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の構造を図4に示す。
【0348】
【表24】
【0349】
実施例2における2.1に記載の方法に従って、表24における構築物を構築し、発現し精製した後、SEC-HPLC分析により、安定した単量体を形成できるhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy04、K2G11-Cy05及びK2G11-Cy06を選択して更なる研究を行い、かつ母体hS4B6-H6K3(H)抗体に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質IC-Cy08(H6K3(H)-Cy08)及びH6K3(H)-Cy10を対照とした。
【0350】
6.2 ELISAによる、K2G11に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質とhIL2Rα(hCD25)及びhIL2Rβ(hCD122)との結合活性の検出
実施例4における4.2.1に記載のELISA検出方法に従って、K2G11-Cy04、K2G11-Cy05及びK2G11-Cy06とhCD25及びhCD122との結合活性をそれぞれ検出し、hIL2-DM-Fc、H6K3(H)-Cy08及びH6K3(H)-Cy10を対照群とし、検出結果については、図12Aに示すように、対照hIL2-DM-Fcと比較して、K2G11-Cy04、K2G11-Cy05、K2G11-Cy06及びH6K3(H)-Cy10がほとんどhCD25に結合せず、H6K3(H)-Cy08が高濃度で小さなhCD25結合活性を示し、hCD122との結合活性が図12Bに示すとおりであり、各サンプルがいずれも有意な差のない結合活性を示した。
【0351】
以上より、K2G11-Cy04、K2G11-Cy05、K2G11-Cy06及びH6K3(H)-Cy10は、H6K3(H)-Cy08と比較して、高濃度でもhIL-2変異タンパク質とhCD25との結合を完全に抑制することができ、これは、これらのIL-2のαサブユニット受容体結合部位が、hCD25によって競合的に結合することなく、抗体融合タンパク質分子の内部により安定的に埋め込まれることを更に示している。
【0352】
6.3 K2G11に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の生物学的活性の検出
実施例1における1.3に記載の方法に従って、CTLL-2細胞とNK-92細胞の増殖実験により、K2G11抗体とhIL2-DM(△3、125L)に基づくhIL2/IL2抗体融合タンパク質の生物学的活性を検出した。検出結果については、図13に示すように、対照群hIL-2(Novoproteinから購入)、hIL-2変異タンパク質hIL2-DM(△3、C125L)、並びにK2G11抗体及びhIL2-DM(△3、125L)をプレインキュベートして形成した抗原-抗体複合体と比較して、K2G11-Cy04、K2G11-Cy05、K2G11-Cy06及びH6K3(H)-Cy10は、CD25を高発現するCTLL-2細胞の増殖促進活性(EC50値)において有意な低下を示し、かつ低下の程度がH6K3(H)-Cy08(図13A、表25)より有意に大きいが、CD25を低発現するNK-92細胞において、K2G11-Cy04、K2G11-Cy05、K2G11-Cy06及びH6K3(H)-Cy10は、対照群hIL-2、hIL-2変異タンパク質hIL2-DM(△3、C125L)及びK2G11:hIL2-DM(△3、125L)抗原-抗体複合体において示された細胞の増殖活性と比較して有意な差がなく(図13B、表25)、該結果から、K2G11-Cy04、K2G11-Cy05、K2G11-Cy06及びH6K3(H)-Cy10分子中のIL-2のαサブユニット受容体結合部位が、ジスルフィド結合の形成により、より安定的に分子の内部に埋め込まれ、高親和性IL2Rによって競合的に結合することがないことが分かった。
【0353】
【表25】
【0354】
実施例7 ForteBioによる、K2G11に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質とhIL2Rα、hIL2Rα/β及びhIL2Rα/β/γとの結合の検出
分子相互作用分析装置(ForteBio、型番Qke)によりK2G11とhIL2-DM(△3、125L)に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質とIL2Rα、IL2Rα/β及びIL2Rα/β/γとの結合を検出した。具体的な方法は、1×PBS溶液でBiotin-CD25(Acro)を5μg/mLに希釈し、200μL/ウェルで96ウェルの黒色プレートに加え、次に、1×PBS溶液でhIL2Rβ(Acro)を5μg/mLに希釈し、200μL/ウェルで上記96ウェルの黒色プレートに加え、更に、1×PBS、5μg/mLのhIL2Rβ(Acro)及び5μg/mL hIL2Rγ(Acro)でサンプルhIL2-DM(△3、C125L)及びK2G11-Cy05を100nMに希釈し、200μL/ウェルで上記96ウェルの黒色プレートに加え、検出対象サンプルが収容された96ウェルの黒色プレートとSA検出プローブを機器内に置き、プログラムを設定することにより、まずSAプローブをBiotin-CD25(Acro)に結合した後、hIL2Rβ(Acro)と飽和するまで結合し、更にプローブをサンプルウェルに浸漬し、結合シグナルをリアルタイムに検出し、各回の会合-解離サイクルが完了した後、プローブを500mMのリン酸緩衝液に浸漬してプローブを再生させ、次のサイクル検出を開始することを含む。
【0355】
検出結果については、図14に示すように、K2G11とhIL2-DM(△3、125L)に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05は、hIL2Rαとの結合を抑制するだけでなく(図14A)、立体障害効果によりhIL2Rαサブユニットを含むhIL2Rα/β(図14B)及びhIL2Rα/β/γ(図14C)重合体との結合を抑制することが示されている。
【0356】
実施例8 ELISAによるhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05及びNARA1leukinとhCD25との結合の比較
hCD25(Acro)でELISAプレートをコーティングし、かつHRP anti-human IgG Fc(H+L)(Jackson Immunoresearch)を二次抗体とし、実施例4における4.2.1に記載の方法に従って、実施例6で製造したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05及び特許出願国際公開第2017122130号に記載の方法で製造したNARA1leukinタンパク質とCD25との結合活性を検出した。
【0357】
検出結果については、図15に示すように、抗体濃度の増加に伴い、NARA1leukinは、徐々にhCD25との結合を示したが、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05は、検出範囲内に、いずれもhCD25との結合を示さず、これにより、本願に使用されるジスルフィド結合共有連結方式により構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、その分子内部のhIL-2変異タンパク質と抗IL-2抗体との間の結合がより安定しており、hCD25と融合タンパク質中のIL-2成分との競合的な結合をより大幅に阻止できることが示されている。
【0358】
実施例9 レポーター遺伝子法及び細胞増殖法による本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の生物学的活性の検出
9.1 レポーター遺伝子法による検出
レポーター遺伝子法により、CD25を高発現する細胞におけるIL-2下流シグナル経路の活性化における実施例6で製造したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05の活性を検出し、NARA1leukinタンパク質を対照分子とした。具体的な方法は、遠心分離によりIL-2Bioassay細胞(Promega)を収集し、培地で8×10細胞/mLに再懸濁した後、96ウェルの白色プレートに加え、37℃/5%COで一晩インキュベートし、培地でK2G11-Cy05とNARA1leukinを段階的に希釈し、野生型hIL-2を陽性対照とし、希釈したサンプルを上記96ウェルの白色プレートに加え、かつ37℃/5%COで6時間インキュベートし、96ウェルのプレートを室温で30分間平衡させた後、検出試薬One-Lite Luciferase agent(Nanjing Vazyme、南京)を加え、かつ多機能マイクロプレートリーダーで化学発光値を読み取ることを含む。
【0359】
検出結果については、図16Aに示すように、CD25を高発現する細胞において、NARA1leukinは、高濃度でIL-2の下流シグナル経路を活性化する一定の活性を示すが、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05は、検出範囲内に、いずれもシグナル経路を活性化する明らかな活性を示しなかった。
【0360】
9.2 細胞増殖法による検出
実施例1における1.3に記載の方法に従って、CTLL-2細胞及びCD25ノックアウトNK-92(CD25-KO)細胞の増殖実験により、hIL2/IL2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05及びNARA1leukinの生物学的活性を検出した。検出結果について、図16B及び表26に示すように、対照群hIL-2と比較して、K2G11-Cy05は、CD25を高発現するCTLL-2細胞に対する増殖促進活性が大幅に低下し、かつ低下の程度がNARA1leukinより有意に大きいが、CD25ノックアウトNK-92(CD25-KO)細胞では、K2G11-Cy05とNARA1leukinの細胞増殖促進活性は、hIL-2と比較して有意な差がなかった。
【0361】
以上の結果から、本願に使用されるジスルフィド結合の連結方式により、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の構造をよりうまく安定化させ、かつhCD25と本願の融合タンパク質におけるIL-2成分との競合的結合をより大きく阻止することができることが更に証明されている。
【0362】
【表26】
【0363】
実施例10 抗体部分の重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を有する抗IL-2抗体及びこの抗体に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の熱安定性の検出
nanoTemper Prometheus Pantaを利用して抗体部分の重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を有する抗IL-2抗体及びこれに基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の熱安定性を検出することにより、重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を導入することによる上記抗IL-2抗体の安定性への影響、並びにこの抗体及びhIL-2変異タンパク質(hIL2-DM(△3、C125L))に基づいて、その分子の内部に導入されたジスルフィド結合を伴って構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質が安定するか否かを調べた。重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を有する抗IL-2抗体K2G11-pITMは、実施例5に記載の方法に従って構築し、その対照は、実施例3で得た、重鎖定常領域に変異を有さない抗IL-2ヒト化抗体K2G11であり、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、実施例6に記載の方法に従って製造した、抗体部分の重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を有するK2G11-Cy04、K2G11-Cy05及びK2G11-Cy06である。具体的な検出方法は、各サンプルをそれぞれ1×PBSで1mg/mLに希釈し、4℃で15分間遠心分離した後、キャピラリー検出チューブでサンプルの上清を吸い取って検出台に置き、各サンプルを2つのチューブで繰り返し検出し、検出プログラムを設定し、温度範囲を25℃~95℃に設定し、プログラムを実行してデータを記録する。プログラムの実行が完了した後、分析ソフトウェアを使用してデータを分析することを含む。
【0364】
抗IL-2抗体の安定性検出の結果について、表27に示すように、K2G11-pITMのTm1値(65.94℃)は、対照抗体K2G11(70.44℃)より低下したが、全体的に見ると、K2G11-pITMのT開始値とT濁度値は、それぞれ約60℃と約80℃であり、対照抗体K2G11に同等であり、抗体が示す正常範囲に属する。したがって、重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を導入することは、本願の抗IL-2抗体の安定性に深刻な影響を与えない。
【0365】
hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質に対する安定性検出の結果について、表28に示すように、抗体部分の重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を有するhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy04、K2G11-Cy05及びK2G11-Cy06のTm1値は、約65℃であり、抗IL-2ヒト化抗体K2G11-pITMの値と類似し、いずれも抗体部分の重鎖定常領域のCH2ドメインの変性温度であり、3つのhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質サンプルの抗体部分Fab領域とhIL-2変異タンパク質(hIL2-DM(△3、C125L))との結合安定性を反映するTm2値は、いずれも80℃以上であり、かつ分子全体のT濁度値は、K2G11-pITMの値より有意に向上し、これにより、抗IL-2ヒト化抗体とhIL-2変異タンパク質にそれぞれ導入したシステイン残基置換は、両者の間に安定したジスルフィド結合を形成するだけでなく、これにより構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質分子の安定性を有意に向上させることができることが示されている。
【0366】
【表27】
【0367】
【表28】
【0368】
実施例11 重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を有する抗IL-2ヒト化抗体及びこれに基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質とFc受容体及びFcRnとの結合動力学的検出
実施例1の1.2に記載の方法を使用して重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を有する抗IL-2ヒト化抗体K2G11-pITM、これに基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05及び対照抗体K2G11とFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa-158F、FcγRIIIa-158V、FcRn、C1q及びFcRnとの結合動力学を検出した。
【0369】
検出結果については、図17に示すように、対照抗体K2G11と比較して、K2G11-pITM及びK2G11-Cy05は、いずれもFc受容体(FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa-158F及びFcγRIIIa-158Vを含む)並びにC1qに実質的に結合しないが(図17A及び図17B)、FcRnとの結合親和性に有意な差がなく(図17C)、これにより、重鎖定常領域にTM変異を導入することによって抗体Fc領域とFc受容体との結合を低下させて、抗体及び/又は抗体融合タンパク質のFc末端によって媒介されるエフェクター機能(ADCC及びCDC作用を含む)を低下させるが、pITM変異は、FcRnとの結合に影響を与えないことが示されている。
【0370】
実施例12 レポーター遺伝子法によるhIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質のADCC活性の検出
抗体部分の重鎖定常領域にTM変異を導入することによりFcによって媒介されるエフェクター機能を低下させることができることを更に検証するために、本願は、FcγRIIIa-158V及びNFAT反応エレメントを発現してホタルルシフェラーゼの発現を調節するJurkat細胞(Promega)をエフェクター細胞として利用し、IL2Rを発現するNK-92細胞を標的細胞として利用し、実施例6で製造した抗体部分の重鎖定常領域にTM変異を有するK2G11-Cy05のADCC活性をレポーター遺伝子法により検出し、抗EGFR抗体セツキシマブ及びA431細胞を陽性対照群とした。具体的な方法は、遠心分離によりNK-92細胞とA431細胞をそれぞれ収集し、ADCC検出緩衝液(0.5%FBSを含むRPMI-1640)で再懸濁した後、1.5×10細胞/ウェルで96ウェルの白色プレートに加え、ADCC検出緩衝液で検出対象サンプルを段階的に希釈し、25μL/ウェルで上記96ウェルプレートに加え、遠心分離によりエフェクター細胞(Jurkat細胞)を収集し、ADCC検出緩衝液で再懸濁した後、1.5×10細胞/ウェルで上記96ウェルのプレートに加え、更に37℃/5%COインキュベーターで一晩インキュベートし、2日目に、96ウェルのプレートを室温で平衡させた後、検出試薬One-Lite Luciferase agent(Nanjing Vazyme)を加え、多機能マイクロプレートリーダーで化学発光値を読み取ることを含む。
【0371】
検出結果については、図18に示すように、陽性対照群(セツキシマブ+A431細胞)と比較して、K2G11-Cy05は、最高濃度でもエフェクター細胞におけるルシフェラーゼの発現を有意に刺激せず、これにより、抗体部分の重鎖定常領域にTM変異を導入して、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質とFc受容体との親和性を有意に低下させることにより、上記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質のFcによって媒介されるADCCの活性を有意に低下させることができることが示されている。
【0372】
実施例13 hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質のカニクイザル及び健常人の血清におけるそれぞれの安定性
本実験により、実施例6で製造したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy04及びK2G11-Cy05のカニクイザル血清及び健常人血清における安定性を研究した。
【0373】
13.1 NK-92細胞による、それぞれカニクイザル血清とヒト血清でインキュベート処理した後のK2G11-Cy04とK2G11-Cy05の生物学的活性の変化の検出
具体的な方法は、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy04とK2G11-Cy05をそれぞれ2匹のカニクイザル(1匹の雌及び1匹の雄、M6及びM7と命名)と2人の健常人(H2及びH3と命名)から収集した血清に希釈し、最終濃度を100μg/mLとし、均一に混合して遠心管に分注し、カニクイザル血清で処理したサンプルM6-Cy04、M7-Cy04、M6-Cy05及びM7-Cy05、並びに健常人血清で処理したサンプルH2-Cy04、H3-Cy04、H2-Cy05及びH3-Cy05をそれぞれ製造し、37℃のインキュベーターに置いて静置してインキュベートし、インキュベートし始める時点を0日目(0時間)と定義し、それぞれ所定の時点でサンプリングして、検出のために-80℃に保存し、カニクイザル血清で処理したサンプルのサンプリング時点を3日目(72時間)、7日目(168時間)及び14日目(336時間)とし、健常人血清で処理したサンプルのサンプリング時点を7日目(168時間)、14日目(336時間)及び21日目(504時間)とし、全てのサンプルの収集が完了した後、実施例1に記載の方法に従って、NK-92細胞を利用して各サンプルの生物学的活性を検出し、血清で処理していないhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質サンプルK2G11-Cy04及びK2G11-Cy05、並びにhIL-2を対照群とすることを含む。
【0374】
検出結果については、表29、表30、図19A及び図19Bに示すように、血清で処理していないサンプルと比較して、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy04及びK2G11-Cy05は、37℃でカニクイザル血清において14日間(図19A)、又はヒト血清(図19B)において21日間処理しても、その生物学的活性を完全に保持することができ、これにより、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質が高い血清安定性を有することが示されている。
【0375】
【表29】
【0376】
【表30】
【0377】
13.2 レポーター遺伝子法による、健常人血清でインキュベート処理した後のK2G11-Cy04とK2G11-Cy05のそれぞれの生物学的活性の変化の検出
実施例9に記載の方法に従って、健常人血清で処理した上記サンプルH2-Cy04、H3-Cy04、H2-Cy05及びH3-Cy05の、CD25を高発現する細胞におけるIL-2下流シグナル経路の活性の活性化を検出する。
【0378】
検出結果については、図19Cに示すように、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy04とK2G11-Cy05は、それぞれ37℃でヒト血清で21日と7日処理しても、そのCD25を高発現する細胞におけるIL-2下流シグナル経路の活性の活性化は、処理していないサンプル(K2G11-Cy04及びK2G11-Cy05)と比較して有意な差がなく、これにより、K2G11-Cy04とK2G11-Cy05をそれぞれヒト血清で21日と7日処理した後、そのIL-2成分と抗IL-2抗体成分との結合界面の構造安定性に影響を与えず、依然として上記融合タンパク質中のIL-2成分が高親和性IL2Rに結合しないように保護できることが示されている。したがって、本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、高い血清安定性を有する。
【0379】
実施例14 本願のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質におけるジスルフィド結合の検出
液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)により、実施例6で製造したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy04及びK2G11-Cy05におけるhIL-2変異タンパク質と抗IL-2ヒト化抗体K2G11との間に正確にペアリングされたジスルフィド結合が形成されるか否かを検出した。具体的な方法は、以下のとおりであった。
【0380】
K2G11-Cy04におけるジスルフィド結合検出について、サンプルを塩酸グアニジンで変性し、N-エチルマレイミド(NEM)でアルキル化し、液体交換して脱塩した後、トリプシン(Trypsin)(Promega、V5113)で酵素切断し、一部の酵素切断サンプルをDTTで還元した後、TFA(Thermo、28904)を加えて反応を停止し、他の一部の酵素切断サンプルにTFAを直接的に加えて停止し、最終サンプルを得た後、LC-MS検出を行った。UNIFIソフトウェアによりデータを分析して実測ジスルフィド結合連結データを得た。
【0381】
K2G11-Cy05におけるジスルフィド結合検出について、サンプルを塩酸グアニジンで変性し、N-エチルマレイミド(NEM)でアルキル化し、液体交換して脱塩した後、まず、トリプシンで酵素切断し、トリプシンで酵素切断したサンプルをいずれも2つの部分に分け、1つの部分にキモトリプシン(Chymotrypsin)(Promega、V106A)を追加して酵素切断を継続し、もう1つの部分にGluC(Promega、V165A)を追加して酵素切断を継続し、全ての酵素切断が完了した後、TFAを直接的に加えて終了し、最終サンプルを得てLC-MS検出を行った。UNIFIソフトウェアによりデータを分析して実測ジスルフィド結合連結データを得た。
【0382】
検出結果については、表31及び表32に示すように、K2G11-Cy04及びK2G11-Cy05は、いずれも酵素切断された後に理論断片の大きさと同じである吸収ピークが検出され、これにより、本願で構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質がhIL-2変異タンパク質と抗IL-2ヒト化抗体K2G11との抗原-抗体結合界面にシステイン残基置換を導入することによって正確にペアリングされたジスルフィド結合を形成できることが示されている。
【0383】
【表31】
【0384】
【表32】
【0385】
実施例15 重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を有する抗IL-2抗体の薬物動態学的検出
重鎖定常領域にpI変異を導入して、抗IL-2抗体K2G11のpI値を7.56(計算値)から6.54(計算値)に低下させることにより、インビボでのその半減期を延長できるか否かを検証するために、BALB/cマウスを利用して、pI変異されていない抗IL-2抗体K2G11、及び重鎖定常領域にpI変異及びTM変異を導入した抗IL-2抗体K2G11-pITMの半減期を検出した。具体的な方法は、BALB/cマウスに尾静脈を介してK2G11とK2G11-pITMをそれぞれ単回注射し、投与量をそれぞれ10mg/kgと1mg/kgとし、投与が完了した後の0.25時間、1時間、3時間、8時間、24時間、48時間、96時間、168時間、240時間、336時間、408時間及び504時間で投与されたマウスから採血し、4℃で遠心分離した後、上清血漿を収集して-80℃に保存し、全ての血液サンプルの収集が完了した後、統一検出することを含む。マウス血漿中の薬物濃度の検出について、ELISA方法を使用し、該方法は、具体的には、ヤギ抗ヒトIgG Fc断片抗体(Jackson Immunoresearch)をPBSで1μg/mLに希釈し、50μL/ウェルで96ウェルのELISAプレートにコーティングし、4℃で一晩静置してコーティングし、PBSでプレートを洗浄した後、各ウェルに1%BSAを加えてブロッキングし、室温で1時間静置し、1%BSAで検出対象マウスの血漿サンプルを希釈するとともに、希釈後の検出対象サンプル中の血漿基質濃度と一致するように、1%BSAでマウスブランク血漿を希釈し、かつ緩衝液としてK2G11及びK2G11-pITM標準品を1μg/mLに希釈した後、3倍希釈を行って標準サンプルを製造し、1ウェルあたり50μLで、希釈した検出対象サンプルと標準サンプルを上記ELISAプレートに加え、室温で2時間静置してインキュベートし、PBST(PBS、pH7.4、0.1%Tween-20)でプレートを洗浄した後、1:10000で希釈したHRP標識ヤギ抗ヒトIgG F(ab)断片二次抗体(Jackson Immunoresearch)を各ウェルに50μL加え、室温で1時間インキュベートし、PBSTでプレートを洗浄した後、TMB発色液を各ウェルに加え、室温で暗所で3~10分間インキュベートした後、2M HClを加えて反応を停止し、多機能マイクロプレートリーダー(Thermo、Varioskan)により各ウェルのOD450及びOD570の吸光値を読み取り、OD450値からOD570値を引いてOD(450/570)値を得て、標準曲線の理論濃度を横軸とし、OD(450/570)値を縦軸とし、Graphpad Prism 9ソフトウェアを使用して標準曲線を作成し、標準サンプルの回収率を計算し、回収率偏差=[(測定濃度-理論濃度)/理論濃度]×100%、±10%を許容できる回収率偏差として定量範囲を決定し、検出対象サンプルのOD(450/570)の値が標準曲線の定量範囲内にある場合、血漿サンプル中の薬物濃度を代入して算出し、定量範囲内にない場合、読み値に基づいて血漿サンプルの希釈割合を調整してELISA検出を再度行い、検出対象サンプルOD(450-570)の値を標準曲線に代入し、算出された濃度を希釈割合によって計算した後、サンプリング時間に基づいて薬物-時間曲線図を作成し、薬物動態学分析では、Microsoft EXCEL(登録商標)ソフトウェアにおけるPKSolver 2.0プラグインを使用し、薬物動態学パラメータの計算では、静脈注射投与に対するコンパートメントモデルを使用することを含む。
【0386】
薬物-時間曲線を図20に示す。重鎖定常領域にpI変異を導入することにより、抗IL-2抗体K2G11-pITMは、重鎖定常領域にpI変異が導入されていないK2G11抗体と比較して、有意に改善された薬物動態学的特徴を有し、投与量が1mg/kgであるK2G11-pITM群の消失半減期(t1/2)と薬物時間曲線下面積(AUC)は、それぞれ同じ投与量のK2G11群の約2.5倍と1.3倍であり、投与量が10mg/kgであるK2G11-pITM群の半減期とAUCは、それぞれ同じ投与量のK2G11群の約3.3倍と1.4倍であった。これにより、重鎖定常領域にpI変異を導入することにより、抗IL-2抗体K2G11-pITMのpI値を低下させるため、そのマウスのインビボでの半減期が有意に延長し、AUCが有意に増加することをもたらすことが示されている。
【0387】
実施例16 hIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質のインビボでの薬効評価
16.1 hIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質のカニクイザルのインビボでの薬効評価
以下のように、実施例6で製造したhIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05を投与したカニクイザルの末梢血において、CD8T細胞、NK細胞及びTreg細胞の数並びに増殖マーカーKi-67の発現変化を測定した。具体的な方法は、以下のとおりである。
【0388】
投与及びサンプル収集について、K2G11-Cy05を1匹の雌及び1匹の雄2匹のカニクイザルに静脈注射し、7日おきに用量が逓増する方式で順に10μg/kg、100μg/kg及び300μg/kg投与し、各用量で1回投与し、投与前、投与後の24時間、72時間、168時間で末梢血を収集し、高用量(300μg/kg)で投与後の336時間で更に末梢血を1回収集した。サンプリング当日に末梢血サンプルに対してフローサイトメトリー検出分析を行う。
【0389】
フローサイトメトリー検出分析方法について、フローチューブに5μLのHuman TruStain FcX(Biolegend)を加え、各フローチューブに100μLの抗凝固剤含有全血を加え、室温で10分間静置してインキュベートした。フローサイトメトリー染色抗体BV510 anti-human CD3(BD)、FITC anti-human CD4(Biolegend)、APC anti-human CD25(Biolegend)、AF700 anti-human CD8(Biolegend)及びPE-Cy7anti-human CD16(Biolegend)を混合した後、フローチューブに加え、均一に混合して氷上で静置して60分間インキュベートした。RBC緩衝液(Biolegend)を1×に希釈した後、上記フローチューブに加え、穏やかに振とうした後、室温で暗所で10~30分間インキュベートした。遠心分離により細胞を収集し、予冷FACS緩衝液(1%BSAを含むPBS緩衝液)を加えて1回洗浄した。各チューブにTrue-Nuclear 1×Fix(Biolegend)を加え、穏やかに振とうした後、室温で暗所で60分間インキュベートし、更に各チューブにTrue-Nuclear 1×Perm緩衝液を加え、遠心分離により上清を除去し、このステップを1回繰り返した。各チューブの中の細胞をTrue-Nuclear 1×Perm緩衝液で再懸濁し、PE anti-human Foxp3(Biolegend)とeFluor 450 anti-human Ki-67(Thermo)フロー抗体を加え、室温で暗所で40分間インキュベートした。各チューブにおける細胞をFACS緩衝液で洗浄した後、FACS緩衝液に再懸濁し、次にフローサイトメトリー(Agilent、NovoCyte 3005)に置いて検出した。
【0390】
検出結果については、図21に示すように、K2G11-Cy05は、カニクイザルの末梢血におけるCD8T細胞(図21A)及びNK細胞(図21B)の増殖を有意に活性化して向上させることができ、Treg細胞の数は、中、高用量の投与によって一過性で小幅に増加しただけであり、Ki-67発現は実質的に変化しないままであり(図21C)、これは、内因性IL-2のフィードバック調節によって引き起こされる可能性がある。これから分かるように、K2G11-Cy05は、カニクイザル体内でIL2Rβ/γを発現するCD8T細胞とNK細胞に選択的に作用し、IL2Rα/β/γによりTreg細胞を有意に活性化することなく、これら細胞の増殖を促進することができる。実験期間、被験動物の体重は大幅には変化せず、臨床症状に深刻な有害反応は観察されなかった。
【0391】
16.2 hIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質のC57BL/6マウスのインビボでの薬効評価
以下のように、実施例6で製造したhIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質K2G11-Cy05を投与したC57BL/6マウスの脾臓組織において、メモリーCD8T細胞、NK細胞、Treg細胞、従来のCD4T細胞の数を測定し、メモリーCD8T細胞とTreg細胞との比率、及びNK細胞とTreg細胞との比率を計算し、各試験マウスの体重変化を統計した。具体的な方法は、以下のとおりである。
【0392】
試験群分け及び投与方法について、C57BL/6マウスを無作為に8群(各群5匹のマウス)に分け、具体的には、1群の陰性対照群では、PBSを投与し、1群の陽性対照群では、hIL-2(75μg/kg)を投与し、3群の実験対照群では、hIL-2-DM(△3、C125L)と抗IL-2抗体K2G11-pITMとがモル比2:1で形成したhIL-2-DM(△3、C125L):K2G11-pITM免疫複合体を投与し(hIL-2-DM(△3、C125L)の用量は1.5μg/kg、5μg/kg及び15μg/kgである)、3群の実験群では、K2G11-Cy05(10μg/kg、30μg/kg及び100μg/kg)を投与した。PBS群及びhIL-2群について、毎日尾静脈により1回投与し、合計4回投与し、実験対照群に対するhIL-2-DM(△3、C125L):K2G11-pITM免疫複合体及び実験群に対するK2G11-Cy05を、2日毎に尾静脈により1回投与し、合計2回投与した。各群のマウスの体重を1日おきに測定した。全ての群のマウスに対して、最終投与の2日目に安楽死を行い、マウスの脾臓細胞を抽出してフローサイトメトリー検出分析を行った。
【0393】
フローサイトメトリー検出分析方法について、マウスの脾臓を秤量した後、予冷PBSで洗浄し、200メッシュ(75μm)の細胞スクリーン(15-1070-ZX、Biologix)に置いてすり潰し、脾臓単細胞懸濁液を製造した。遠心分離により細胞を収集した後、各チューブに1×RBC緩衝液(Biolegend)を加え、穏やかに振とうした後、室温で5分間静置し、その後、予冷PBSを加えて反応を停止し、4℃で遠心分離により細胞を収集し、予冷PBSで1回洗浄し、細胞を予冷PBSに再懸濁し、かつ96ウェルのU型ディープウェルプレートに加え、各サンプルに1つの複製ウェルを加えた。予冷PBSで1:500倍に希釈したZombie Yellow(Biolegend)を各ウェルに加えて、室温で暗所で15分間インキュベートして死活細胞染色を行った。各ウェルにFACS緩衝液(PBS、pH7.4、1%BSA、2mMのEDTA)を加えて染色を停止し、遠心分離により細胞を収集した。Fc受容体ブロッキング試薬を調製し、2μLのマウスTruStain FcX(Biolegend)/40μLのFACS緩衝液/ウェルで細胞を再懸濁し、氷上で10分間静置した。フローサイトメトリー染色抗体FITC anti-mouse CD3(Biolegend)、BV650 anti-mouse CD4(Biolegend)、AF700 anti-mouse CD8a(Biolegend)、APC anti-mouse NK1.1(Biolegend)、PE anti-mouse CD25(Biolegend)及びBV510 anti-mouse CD44(Biolegend)を混合し、2μL/ウェルの各抗体の用量で、上記各ウェルに加えた後、氷上で40分間静置してインキュベートした。FACS緩衝液で細胞を1回洗浄した後、各ウェルにTrue-Nuclear 1×Fixを加え、室温で振とうして暗所で60分間インキュベートした後、各ウェルにTrue-Nuclear 1×Perm緩衝液を加え、遠心分離により上清を除去し、このステップを1回繰り返した。True-Nuclear 1×Perm緩衝液でBV421 anti-mouse Foxp3(Biolegend)を調製し、抗体の用量2μL/50μL緩衝液/ウェルで細胞を再懸濁した後、室温で60分間静置した。True-Nuclear 1×Perm緩衝液で細胞を2回洗浄した後、細胞をFACS緩衝液に再懸濁し、フローサイトメーター(Agilent NovoCyte 3005)により検出して分析した。実験データをGraphPad Prism 9ソフトウェアにより統計して分析し、各実験群間のデータ差異に対して一元配置分散分析(ANOVA)を行った後、各実験群と溶媒対照群との差異に対してDunnett検定を行い、p値が0.05より小さいと、両者の間に有意な統計学的差異があるとみなした。
【0394】
検出結果については、図22に示すように、PBS対照群と比較して、hIL-2投与群のマウスのインビボでのTreg細胞の数は、極めて有意に増加し(p<0.0001)(図22A)、メモリーCD8T細胞(CD8CD44high)の細胞数(図22A)及びNK細胞数(図22A)もいくらか増加したが、統計学的有意差がなく、これにより、高用量のhIL-2は、インビボでTreg細胞の増殖を優先的に刺激し促進することが示されている。K2G11-Cy05の各用量群のマウスにおいて発見されているように、そのインビボでのメモリーCD8T細胞(図22A)及びNK細胞(図22A)の絶対数は、PBS対照群及びhIL-2群と比較して極めて有意に増加し(p<0.0001)、用量依存性を示し、Treg細胞の絶対数(図22A)も若干の増加を示したが、PBS対照群と比較して、いずれも統計学的有意差がなく、用量依存性もなく、かついずれもhIL-2投与群のマウスより低く、メモリーCD8T細胞とTreg細胞との絶対計数比(図22B)及びNK細胞とTreg細胞との絶対計数比(図22B)は、それぞれ最高で約100及び約40に達することができ、これにより、K2G11-Cy05がインビボでメモリーCD8T細胞及びNK細胞の増殖を選択的に活性化し促進することが示されている。hIL-2-DM(△3、C125L):K2G11-pITM免疫複合体投与群については、hIL-2投与群と比較して、免疫複合体は、高用量(15μg/kg)のみで、ある程度はNK細胞を選択的に活性化したが(p<0.05)、メモリーCD8T細胞及びTreg細胞の絶対計数にいずれも有意な差がないことを示し、他の2つの用量群におけるマウスのメモリーCD8T細胞、NK細胞及びTreg細胞の絶対計数は、hIL-2投与群と比較して、いずれも統計学的差異がなかった。hIL-2-DM(△3、C125L):K2G11-pITM免疫複合体の各用量群は、K2G11-Cy05の各用量群と比較して、hIL-2の投与量が同等であるが、後者は、メモリーCD8T細胞及びNK細胞の増殖を誘導する点で、効果が前者より有意に優れていた。各群におけるマウスの従来のCD4T細胞の数は、いずれも有意に変化せず(図22C)、かつ各群におけるマウスは、実験過程においていずれも死亡せず、臨床症状におけるいずれの有害反応も観察されず、かつ体重変化が顕著ではない(図22D)ため、K2G11-Cy05のインビボでの安全性が高いことが示されている。
【0395】
16.3 hIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質のCT26マウス腫瘍モデルにおける抗腫瘍作用
5×10のCT26結腸癌細胞をBalb/Cマウスに皮下注射し、平均腫瘍体積が約100mmに到達した日を1日目として記録し、かつ腫瘍担持マウスを、対照群PBS及びNARA1leukin(0.3mg/kg)、並びに試験群K2G11-Cy05(0.03mg/kg、0.1mg/kg及び0.3mg/kg)を含む合計5群に群分けし、各群は8匹のマウスを含んだ。各群の腫瘍担持マウスにそれぞれ1日目、4日目、8日目及び11日目に尾静脈により1回投与し、投与当日に腫瘍担持マウスの腫瘍の大きさを測定し、体積=(長さ)×(幅)×0.5という式に基づいて腫瘍体積を計算した。
【0396】
実験結果については、図23に示すように、腫瘍担持マウスの腫瘍に対するK2G11-Cy05の各用量群の増殖抑制作用は、用量依存性を示し、かつK2G11-Cy05投与量0.3mg/kg群のマウスの腫瘍体積は、PBS対照群より有意に小さい。また、同じ用量で、腫瘍増殖に対するK2G11-Cy05の抑制作用は、NARA1leukinより優れた。これにより、本願のhIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質は、インビボでメモリーCD8T細胞及びNK細胞の増殖を選択的に活性化し促進することにより、良好な抗腫瘍作用を発揮することが示されている。
【0397】
実施例17 ジスルフィド結合を介して他のhIL-2抗体とhIL-2とを連結して安定したhIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質を構築すること
17.1 hIL-2/NARA1抗体融合タンパク質及びhIL-2/TCB2抗体融合タンパク質の構築
実施例4に記載の方法に従って、hIL-2/NARA1抗体融合タンパク質とhIL-2/TCB2抗体融合タンパク質をそれぞれ構築し、簡単に言えば、まず、直列連結された4つのG4S配列を介してhIL-2をNARA1又はTCB2軽鎖のN末端に連結した。このリンカーの長さは、構築した融合タンパク質の内部構造の安定性を保証することができ、上記融合タンパク質のhIL-2とhIL2Rβとの結合に対する影響が小さい。その後、hIL-2/NARA1又はhIL-2/TCB2抗原-抗体複合体の抗原-抗体結合界面において、空間的距離が5オングストローム(0.5nm)の範囲内にある一部のアミノ酸残基を特定してシステインに変異させることにより、hIL-2とNARA1又はTCB2抗体との間がジスルフィド結合を介して更に安定的に結合する。構築したhIL-2/hIL-2抗体融合タンパク質の構造を図4に示す。表33と表34は、hIL-2とNARA1及びTCB2抗体との間のジスルフィド結合形成部位のアミノ酸変異部位をそれぞれ示す。
【0398】
【表33】
【0399】
【表34】
【0400】
実施例2における2.1に記載の方法に従って、表33及び表34における構築物を構築し、発現し精製した後、SEC-HPLC分析により、安定した単量体を形成できるhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質NARA1-Cy01、NARA1-Cy04、NARA1-Cy05、NARA1-Cy08及びNARA1-Cy09、又はTCB2-Cy01、TCB2-Cy02、TCB2-Cy07、TCB2-Cy08、TCB2-Cy09及びTCB2-Cy11を選択して更なる研究を行った。
【0401】
17.2 ELISAによる、NARA1又はTCB2抗体に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質とhIL2Rα(hCD25)及びhIL2Rβ(hCD122)との結合活性の検出
実施例2における2.1.1に記載のELISA検出方法に従って、抗原をそれぞれhCD25とhCD122に置換し、NARA1又はTCB2抗体に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質とhCD25及びhCD122との結合活性をそれぞれ検出し、hIL2-DM-Fcを対照群とした。
【0402】
検出結果については、図24及び図25に示すように、NARA1又はTCB2抗体に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、対照群と比較して、いずれも有意に低下したhCD25との結合活性を示し(図24A及び図25A)、hCD122との結合活性が更にある程度増強されることを示し(図24B及び図25B)、これにより、NARA1又はTCB2抗体に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、いずれもhIL-2とhCD122との結合活性を維持するか又は増強することができ、かつhIL-2とhCD25との結合をある程度抑制することができることが示されており、hIL-2/NARA1又はhIL-2/TCB2抗原-抗体複合体の抗原-抗体結合部位にジスルフィド結合を導入することにより、hIL-2のα受容体結合部位が抗体融合タンパク質分子の内部に埋め込むことができ、解離によりhCD25に競合的に結合しにくいことが更に示されている。
【0403】
17.3 NARA1又はTCB2抗体に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の生物学的活性の検出
実施例1における1.3に記載の方法に従って、CTLL-2細胞及びNK-92細胞の増殖実験により、NARA1又はTCB2抗体に基づいて構築したhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の生物学的活性をそれぞれ検出し、対照群を野生型hIL-2とした。
【0404】
検出結果から、hIL-2/NARA1抗体融合タンパク質(図26A及び表35)及びhIL-2/TCB2抗体融合タンパク質(図27A及び表36)は、CD25を高発現するCTLL-2細胞の増殖活性(EC50値)の促進において、対照群hIL-2と比較して、異なる程度の低下を示し、CD25を低発現するNK-92細胞の増殖活性の促進において、対照群hIL-2に同等である(図26B及び表35、図27B及び表36)ことが分かった。
【0405】
【表35】
【0406】
【表36】
【0407】
以上をまとめると、hIL-2とIL-2を特異的に識別するIL2Rα結合部位の抗IL-2抗体(例えばNARA1又はTCB2)との結合界面にジスルフィド結合を導入することにより、hIL-2と抗IL-2抗体とに超安定した複合体構造を形成させ、hIL-2とIL2Rαとの結合を抑制することができるだけでなく、hIL-2とhIL2Rβ/γとの結合に影響を与えない。
【0408】
本願は、1つ、又は2つ以上の実施形態によって説明されたが、本願は、これらの実施形態に限定されず、本願の明細書は、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内にある全ての代替、修正、及び変更を含むことを意図することを理解されたい。本願で引用される全ての参考文献は、その全体が参照により本願に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17(1)】
図17(2)】
図18
図19
図20
図21
図22(1)】
図22(2)】
図23
図24
図25
図26
図27
【配列表】
2024539749000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質であって、
(1)配列番号1に示される野生型hIL-2、又はその変異タンパク質と、
(2)抗IL-2抗体又はその抗原結合断片と、
(3)前記hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との抗原-抗体結合界面に含まれるジスルフィド結合と
を含み、
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、hIL-2又はその変異タンパク質に特異的に結合することができ、前記hIL-2又はその変異タンパク質とIL2Rα又はIL2Rαを含むIL-2受容体複合体(即ち、IL2Rα/β又はIL2Rα/β/γ)との結合を競合的にブロックすることができ、
前記ジスルフィド結合は、前記抗原-抗体結合界面の前記hIL-2又はその変異タンパク質における少なくとも1つのシステイン変異及び前記抗原-抗体結合界面の前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片における少なくとも1つのシステイン変異を導入することによって形成され、
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、IL2Rα、又はαβヘテロ二量体(即ち、IL2Rα/β)、又はαβγヘテロ三量体(即ち、IL2Rα/β/γ)に結合できないが、IL2Rβ及びγから構成される二量体受容体(即ち、IL2Rβ/γ)への結合活性及び機能活性を保持する、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項2】
(1)前記hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、hIL-2若しくはその変異タンパク質とIL2Rαとの結合界面を包含するか、又は部分的に重なるか、
あるいは、前記hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2又はその変異タンパク質のABループ、Bヘリックス、Cヘリックス、BCループ及び/若しくはCDループに位置し、前記hIL-2又はその変異タンパク質のIL2Rα結合界面は、前記hIL-2又はその変異タンパク質のABループ及びBヘリックスに位置するか、
あるいは、前記hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2又はその変異タンパク質の第30位~第45位若しくはその隣接するアミノ酸残基、第57位~第77位若しくはその隣接するアミノ酸残基、及び/又は第90位~第111位若しくはその隣接するアミノ酸残基に位置する、
(2)前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、抗マウスIL-2(mIL-2)抗体及びそのヒト化抗体からなる群から選択され、前記抗mIL-2抗体は、mIL-2とマウスIL2Rα(mIL2Rα)との結合部位を特異的に識別し、前記hIL-2変異タンパク質と交差反応することができ、前記抗IL-2抗体は、hIL-2のIL2Rα結合部位を特異的に識別することができる他の抗IL-2ヒト化抗体、若しくはその抗原結合断片からなる群からも選択される、
(3)第1システイン残基及び第2システイン残基が、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記抗原-抗体結合界面にアミノ酸変異の方式で導入され、前記融合タンパク質の前記hIL-2又はその変異タンパク質における第1システイン残基を導入するための部位と、前記融合タンパク質の前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片における第2システイン残基を導入するための部位とは正確にペアリングでき、ペアリングされた前記第1システイン残基と前記第2システイン残基との間の空間的距離は5オングストローム(0.5nm)より小さい、
という特徴の少なくとも1つを含む、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項3】
前記hIL-2変異タンパク質のアミノ酸変異は、前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体はその抗原結合断片との前記結合界面に位置し、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して、前記hIL-2変異タンパク質は、以下の変異、(1)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第64位におけるKのG、S、T、C、Y、N若しくはQへの変異、(2)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第90位におけるNのR、K若しくはHへの変異、又は(3)配列番号1に示される野生型hIL-2に対応する第104位におけるMのE若しくはDへの変異、のうちの少なくとも1つを含み、
任意に、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対する以下のアミノ酸変異、
(1)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第64位におけるアミノ酸変異K64G、
(2)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第90位におけるアミノ酸変異N90R、及び
(3)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第104位におけるアミノ酸変異M104E
のうちの1つ以上を含む、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項4】
記hIL-2変異タンパク質は、以下のアミノ酸変異、即ち、(1)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するN末端の最初の3つ若しくは5つのアミノ酸残基の削除(2)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するN末端の第3位のアミノ酸残基におけるアミノ酸変異、及び/又は(3)配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第125位におけるアミノ酸変異C125A、C125L、C125S、C125Q若しくはC125V、の1つ以上をさらに含み、
任意に、前記hIL-2変異タンパク質は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応するN末端の最初の3つのアミノ酸の削除、及び/又は第125位におけるアミノ酸変異C125A、C125L、C125S、C125Q若しくはC125Vを含む、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項5】
前記IL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して、前記hIL-2変異タンパク質の第41位~第45位若しくはその隣接するアミノ酸残基、第57位~第68位若しくはその隣接するアミノ酸残基、及び/又は第90位~第107位若しくはその隣接するアミノ酸残基に位置し、任意に、前記第1システイン残基は前記抗原-抗体結合界面の前記hIL-2変異タンパク質における1つ以上のシステイン残基によって導入され、
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、抗マウスIL-2(mIL-2)抗体及びそのヒト化抗体からなる群から選択され、任意、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、即ち、(1)アミノ酸配列がXYYXH(X=A又はD、X=L又はM)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZDDSTKYAENFKX(Z=E又はD、X=N、S又はG、配列番号230に示される)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZTFZYZRELRWFAY(Z=V、I、R又はT、Z=Y、L、H又はW、Z=S、T、A、R、N、D、Q、E、H、I、L、K、F、P、W、Y若しくはV、配列番号231に示される)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZIZNYLS(Z=D、Y、N、H、I、L又はF、Z=G、S、A、R、N、Q、I、L、T又はD、配列番号232に示される)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZAZSLAX(Z=S、Q、R、T、W又はY、Z=T又はG、X=D、S又はT、配列番号233に示される)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHYSTPYT(配列番号12に示される)であるLCDR3を含み、任意に、前記第2システイン残基は前記抗原-抗体結合界面の前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片における1つ以上のアミノ酸残基によって導入される、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項6】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、即ち、(1)アミノ酸配列がX YYX H(X =A、X =L又はM)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ DDSTKYAENFKX (Z =E又はD、X =N、S又はG)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ TFZ YZ RELRWFAY(Z =V又はI、Z =Y又はL、Z =S又はT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ IZ NYLS(Z =D又はY、Z =G又はS)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ AZ SLAX (Z =S又はQ、Z =T、X =D、S又はT)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHYSTPYTであるLCDR3を含む、請求項5に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項7】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
(1)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又
(3)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15若しくは配列番号16に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又
(4)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号18に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又
(5)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、
(6)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又は
(7)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又は
(8)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9、配列番号20、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含むか、
あるいは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又は
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号23、配列番号24若しくは配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26若しくは配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又は
(3)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項8】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は
列番号49、配列番号51、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号63、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74又は配列番号75に示される配列と少なくとも85%の同一性を有するHCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域VH、並びに
列番号48、配列番号50、配列番号59、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号76、配列番号77、配列番号78又は配列番号79に示される配列と少なくとも85%の同一性を有するLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域VL
を含む
あるいは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、即ち、配列番号63及び配列番号65~配列番号67のいずれかに示されるVH並びに配列番号64及び配列番号76~配列番号79のいずれかに示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項9】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号49に示されるVHアミノ酸配列、及び配列番号48若しくは配列番号50に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57若しくは配列番号58に示されるVH及び配列番号48に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号49に示されるVHアミノ酸配列、及び配列番号59、配列番号60若しくは配列番号62に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号63に示されるVH及び配列番号64に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号63及び配列番号65~配列番号75のいずれかに示されるVH、及び配列番号76に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(6)それぞれ配列番号63及び配列番号65~配列番号75のいずれかに示されるVH、及び配列番号77に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(7)それぞれ配列番号63及び配列番号65~配列番号75のいずれかに示されるVH、及び配列番号78に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(8)それぞれ配列番号63及び配列番号65~配列番号75のいずれかに示されるVH、及び配列番号79に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含むか、
あるいは、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、以下の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号63に示されるVH及び配列番号64に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号71~配列番号75のいずれかに示されるVH及び配列番号76に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号72配列番号75のいずれかに示されるVH及び配列番号77に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号74に示されるVH及び配列番号78に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号75に示されるVH及び配列番号79に示されるVLと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項10】
前記融合タンパク質の前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、前記ジスルフィド結合を形成するために導入された2つ以上のシステイン変異を含み、
前記hIL-2変異タンパク質は、前記第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する第42位、第60位、第61位、第64位、第65位、第102位、及び第104位に1つ以上のシステイン変異を有し、
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、(1)アミノ酸配列がXYYXH(X=A、X=M、配列番号14に示される)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZDDSTKYAENFKX(Z=E又はD、X=G)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZTFZYZRELRWFAY(Z=V又はI、Z=Y又はL、Z=S又はT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZIZNYLS(Z=D又はY、Z=G又はS)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZAZSLAX(Z=S又はQ、Z=T、X=S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHYSTPYT(配列番号12に示される)であるLCDR3を含み、前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、前記第2システイン残基を導入するために、HCDR3の第3位、LCDR1の第7位、第8位及び/若しくは第9位、LCDR2の第1位及び第3位、LCDR3の第4位、並びに/又は前記軽鎖可変領域の第67位及び/若しくは第68位に1つ以上のシステイン変異を有する、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項11】
記融合タンパク質の前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面にジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第42位における変異F42C、第64位における変異K64C、若しくは第65位における変異P65Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片におけるHCDR3の第3位における変異F3Cによって導入される
2)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第60位における変異E60Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片におけるLCDR1の第7位における変異G7C若しくはS7Cによって導入される
3)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第61位における変異E61Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片における、LCDR1の第7位における変異G7C若しくはS7C、若しくはLCDR1の第8位における変異N8C、若しくはLCDR2の第1位における変異S1C若しくはQ1Cによって導入される
4)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第104位における変異M104Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片におけるLCDR2の第3位における変異T3Cによって導入される
5)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第102位における変異T102Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片の軽鎖可変領域の第67位における変異S67C、若しくは前記軽鎖可変領域の第68位における変異G68Cによって導入される、及び/又は
(6)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第64位における変異K64Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片におけるLCDR1の第9位における変異Y9C、若しくはLCDR3の第4位における変異Y4Cによって導入される
のうちの1つ以上から選択されるか、
あるいは、前記融合タンパク質の前記hIL-2変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面に前記ジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第104位における変異M104Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR2の第3位における変異T3Cによって導入され、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含む
2)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第102位における変異T102Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片の前記軽鎖可変領域の第67位における変異S67C、若しくは第68位における変異G68Cによって導入され、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号77に示されるVLと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、
3)前記第1システイン残基は、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対応する前記hIL-2変異タンパク質の第42位における変異F42C、第64位における変異K64C、若しくは第65位における変異P65Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片におけるHCDR3の第3位における変異F3Cによって導入され、前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含む
のうちの1つ以上から選択される、請求項10に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項12】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、前記HCDR3、LCDR1、LCDR2、LCDR3及び/又は前記軽鎖可変領域は1つ以上の導入されたシステイン残基変異を含み、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、(1)アミノ酸配列がX YYX H(X =A、X =M、配列番号14に示される)であるHCDR1、(2)アミノ酸配列がRIDPZ DDSTKYAENFKX (Z =E又はD、X =G)であるHCDR2、(3)アミノ酸配列がZ TX II YZ RELRWFAY(Z =V又はI、X II =F又はC、Z =Y又はL、Z =S又はT)であるHCDR3、(4)アミノ酸配列がQASQZ IZ IV LS(Z =D又はY、Z =G、S又はC、X =N又はC、X IV =Y又はC)であるLCDR1、(5)アミノ酸配列がZ AZ SLAX (Z =S、Q又はC、Z =T又はC、X =S)であるLCDR2、及び(6)アミノ酸配列がLQHX III STPYT(X III =Y又はC)であるLCDR3を含むか、
あるいは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、軽鎖可変領域の第1位又は前記抗IL-2抗体若しくはそのその抗原結合断片のLCDR1の第4位にアミノ酸変異をさらに有し、前記アミノ酸変異は、軽鎖可変領域の第1位におけるD1E、又はLCDR1の第4位におけるQ4D、Q4E、Q4S、Q4G、Q4K、若しくはQ4Rを含み、任意に、前記アミノ酸変異は、軽鎖可変領域の第1位におけるD1E、又はLCDR1の第4位におけるQ4D、Q4E、Q4S、若しくはQ4Gを含む
請求項5に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項13】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2、HCDR3及び前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2、LCDR3、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号30若しくは配列番号31に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17、配列番号32若しくは配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、
(3)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43若しくは配列番号44に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、
(4)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号35、配列番号36若しくは配列番号37に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、
(5)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17、配列番号32若しくは配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、
(6)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号34に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、並びに/又は
(7)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号38に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含み、
任意に、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、
(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号10、配列番号39、配列番号40、配列番号41若しくは配列番号42に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又は
(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号17若しくは配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む、請求項12に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項14】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域並びにLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号63、配列番号86、配列番号74若しくは配列番号112に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号64、配列番号77、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110若しくは配列番号111に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
任意に、前記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号86若しくは配列番号74に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号64、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号107、配列番号108若しくは配列番号109に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、
あるいは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号86に示される重鎖可変領域及び配列番号64、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90若しくは配列番号91に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号74に示される重鎖可変領域及び配列番号107、配列番号108若しくは配列番号109に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項10に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項15】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、野生型hIL-2とhIL-2のIL2Rα結合部位を特異的に識別する他の抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片とを含み前記融合タンパク質の前記野生型hIL-2と前記抗IL-2ヒト化抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面は、導入されたジスルフィド結合を含み、前記抗IL-2ヒト化抗体は、NARA1抗体及びTCB2抗体から選択され、
前記NARA1抗体又はその抗原結合断片は、配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
前記TCB2抗体又はその抗原結合断片は、配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含み、
前記NARA1抗体又はその抗原結合断片を含む前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2のABループ、Bヘリックス及びBCループに位置し、任意に、前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2における第30位~第43位又はその隣接するアミノ酸残基及び第71位~第77位又はその隣接するアミノ酸残基に位置し、
前記TCB2抗体又はその抗原結合断片を含む前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2のABループ、Bヘリックス及びBCループに位置し、任意に、前記抗原-抗体結合界面は、前記hIL-2における第34位~第45位又はその隣接するアミノ酸残基、第62位~第76位又はその隣接するアミノ酸残基、及び第111位又は隣接するアミノ酸残基に位置する
請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項16】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質の前記hIL-2と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片前記抗原-抗体結合界面は、前記ジスルフィド結合を形成するための2つ以上の導入されたシステイン残基を含み、前記hIL-2は、前記第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して第34位、第37位、第41位、第42位、第68位、第73位、第75位、第77位及び第111位に1つ以上のシステイン変異を有し、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片は、前記第2システイン残基を導入するために、HCDR1の第1位、HCDR2の第2位、第6位及び/若しくは第8位、HCDR3の第3位及び/若しくは第8位、LCDR1の第9位、並びに/若しくはLCDR3の第3位、第4位、及び/若しくは第6位に1つ以上のシステイン変異を含む又は
前記hIL-2は、前記第1システイン残基を導入するために、配列番号1に示される野生型hIL-2のアミノ酸配列に対して第34位、第36位、第37位、第38位、第42位、第68位及び第109位に1つ以上のアミノ酸変異を有し、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片は、第2システイン残基を導入するために、HCDR2の第6位、HCDR3の第3位、第5位、第6位及び/若しくは第7位、LCDR1の第4位、並びに/若しくはLCDR3の第4位、第5位、及び/若しくは第6位に1つ以上のシステイン変異を含む
請求項15に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項17】
前記hIL-2と前記NARA1抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面に前記ジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第34位における変異P34Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第8位における変異A8C、若しくはLCDR3の第3位若しくは第4位における変異S3C若しくはN4Cによって導入される
2)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第37位における変異T37Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第6位における変異D6Cによって導入される
3)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第41位における変異T41Cであり、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR2の第2位における変異I2Cによって導入される
4)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第42位における変異F42Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR2の第8位における変異G8Cによって導入される
5)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第68位における変異E68Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR1の第1位における変異N1Cによって導入される
6)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第73位における変異A73Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第3位における変異G3Cによって導入される
7)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第75位若しくは第77位における変異S75C若しくはN77Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR1の第9位における変異D9Cによって導入される、並びに/又は
(8)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第111位における変異T111Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記NARA1抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR2の第6位における変異S6Cによって導入される
のうちの1つ以上から選択されるか
あるいは、前記hIL-2と前記TCB2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面に前記ジスルフィド結合を形成するための前記第1システイン残基及び前記第2システイン残基のペアは、以下のペアリングされたアミノ酸変異、
(1)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第34位における変異P34Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR1の第4位における変異T4C、若しくはLCDR3の第4位若しくは第5位における変異D4C若しくはN5Cによって導入される、
(2)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第36位における変異L36Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第5位における変異N5Cによって導入される、
(3)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第37位における変異T37Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のLCDR3の第5位若しくは第6位における変異N5C若しくはL6Cによって導入される、
(4)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第38位における変異R38Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第7位における変異F7Cによって導入される、
(5)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第42位における変異F42Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第5位における変異R5Cによって導入される、
(6)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第68位における変異E68Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR3の第3位若しくは第6位における変異A3C若しくはG6Cによって導入される、及び/又は
(7)前記第1システイン残基は、前記hIL-2の第109位における変異D109Cによって導入され、前記第2システイン残基は、前記TCB2抗体若しくはその抗原結合断片のHCDR2の第6位における変異D6Cによって導入される
のうちの1つ以上から選択される、請求項16に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項18】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、及び/又はLCDR3は1つ以上のシステイン変異を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3は
1)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号149に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
2)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号152若しくは配列番号153に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
3)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号154に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
4)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号155、配列番号156若しくは配列番号157に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
5)配列番号148に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号143に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、又
(6)配列番号142に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号150若しくは配列番号151に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号144に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号145に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号146に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号147に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含むか
あるいは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記HCDR2、HCDR3、LCDR1、及び/又はLCDR3は1つ以上のシステイン変異を含み、前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、
(1)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号177、配列番号178、配列番号179若しくは配列番号180に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174としてのアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、
(2)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号176に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、
(3)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号181に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号175に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3、
(4)配列番号170に示されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号171に示されるアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号172に示されるアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号173に示されるアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号174に示されるアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号182、配列番号183若しくは配列番号184に示されるアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む、請求項17に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項19】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域並びに/又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号140、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162若しくは配列番号163に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号141、配列番号164、配列番号165、配列番号166若しくは配列番号167に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
任意に、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162若しくは配列番号163に示される重鎖可変領域及び配列番号141に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号140に示される重鎖可変領域及び配列番号164、配列番号165、配列番号166若しくは配列番号167に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含むか
あるいは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有する重鎖可変領域並びにLCDR1、LCDR2及びLCDR3を有する軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、それぞれ配列番号168、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188若しくは配列番号189に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号169、配列番号190、配列番号191、配列番号192若しくは配列番号193に示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
任意に、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、
(1)それぞれ配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188若しくは配列番号189に示される重鎖可変領域及び配列番号169に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号168に示される重鎖可変領域及び配列番号190、配列番号191、配列番号192若しくは配列番号193に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項17に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項20】
前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片は、リンカーによってhIL-2又はその変異タンパク質に連結され、任意に、前記リンカーは(G4S)、(G4S)、(GAF)から選択される、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項21】
前記IL-2/IL-2抗体融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、前記第1ポリペプチドは、前記システイン残基の変異を有するhIL-2又はその変異タンパク質、リンカー及び前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の1つの可変領域を含み、別のシステイン変異が前記第1ポリペプチドにおける前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片の1つの可変領域及び/又は前記第2ポリペプチドにおける前記抗IL-2抗体若しくはその抗原結合断片の前記別の可変領域に配置されることにより、前記hIL-2又はその変異タンパク質における前記システイン変異と正確にペアリングされて安定なジスルフィド結合が形成され、前記ジスルフィド結合は、前記hIL-2又はその変異タンパク質と前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片との前記抗原-抗体結合界面に位置し、
任意に、前記第1ポリペプチドは、システイン変異を有する前記hIL-2変異タンパク質、リンカー及び前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域を含み、前記第2ポリペプチドは前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変領域を含み、前記第1ポリペプチドは、配列番号95~配列番号103、配列番号113~配列番号120、若しくは配列番号133~配列番号138のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドは、配列番号64、配列番号77、配列番号80~配列番号85、配列番号87~配列番号93、若しくは配列番号104~配列番号111のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、
前記第1ポリペプチドは、システイン変異を有するhIL-2変異タンパク質、リンカー及び前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変領域を含み、前記第2ポリペプチドは前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域を含み、前記第1ポリペプチドは、配列番号206~配列番号216のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドは、配列番号140若しくは配列番号158~配列番号163のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又は
前記第1ポリペプチドは、システイン変異を有するhIL-2変異タンパク質、リンカー及び前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変領域を含み、前記第2ポリペプチドは前記抗IL-2抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域を含み、前記第1ポリペプチドは、配列番号217~配列番号226のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/又は前記第2ポリペプチドは、配列番号168若しくは配列番号185~配列番号189のいずれかに示される配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む
請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項22】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の第1ポリペプチド及び第2ポリペプチド、
(1)それぞれ配列番号95に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号80に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号96に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号81に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号97に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号82に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号98に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号83に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号99に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号84に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(6)それぞれ配列番号100に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号85に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(7)それぞれ配列番号101、配列番号102、配列番号103及び配列番号133~配列番号138のいずれかに示される前記第1ポリペプチド及び配列番号64に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(8)それぞれ配列番号102に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号87~配列番号93のいずれかに示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(9)それぞれ配列番号113に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号104、配列番号105若しくは配列番号106に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(10)それぞれ配列番号114に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号107に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(11)それぞれ配列番号115に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号108若しくは配列番号109に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(12)それぞれ配列番号116、配列番号117若しくは配列番号119に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号77に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(13)それぞれ配列番号118に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号110に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(14)それぞれ配列番号120に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号104に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(15)それぞれ配列番号118に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号111に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含むか
あるいは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の第1及び第2のポリペプチド、
(1)それぞれ配列番号206に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号158に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号207に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号159に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号208に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号160に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号209~配列番号213のいずれかに示される前記第1ポリペプチド及び配列番号140に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号214に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号161に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(6)それぞれ配列番号215に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号162に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(7)それぞれ配列番号216に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号163に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含むか、あるいは、前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、以下の第1及び第2のポリペプチド、
(1)それぞれ配列番号217に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号185若しくは配列番号187に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(2)それぞれ配列番号218に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号186に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(3)それぞれ配列番号219に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号188に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(4)それぞれ配列番号220に示される前記第1ポリペプチド及び配列番号189に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
(5)それぞれ配列番号221~配列番号226のいずれかに示される前記第1ポリペプチド及び配列番号168に示される前記第2ポリペプチドと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項21に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項23】
前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質は、抗体の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域含み、前記重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖定常領域のFc領域の天然及び変異体の形態を含み、二量体形成を促進するヒンジ領域を含むポリペプチドの切断形態を更に含み
任意に、前記Fc領域は工学的に改変されたヒトIgG1 Fc領域を含み、前記工学的に改変されたヒトIgG1 Fc領域は、以下の1つ以上のアミノ酸置換変異、
(1)L234F/L235E/P331S(EU番号システム)、及び/又は
(2)N203D/K274Q/Q419E(EU番号システム)
を含み、任意に、前記重鎖定常領域は、配列番号227又は配列番号228に示されるアミノ酸配列を含む、請求項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質。
【請求項24】
求項から請求項23のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
【請求項25】
宿主の免疫応答を改善することによって疾患、病状若しくは障害を治療すること、又は免疫系を刺激すること、又は宿主免疫系に対する刺激が有益である疾患状態を治療するか、緩和するか若しくは予防することに使用するための、請求項から請求項23のいずれか1項に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質又の医薬組成物であって前記疾患、病状、障害又は疾患状態は、増殖性疾患、感染性疾患及び免疫不全疾患を含み、前記増殖性疾患は癌及び他の細胞増殖性障害を含み、前記癌は、扁平上皮癌、肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿道癌、肝腫瘍、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮体癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌、肛門癌、陰茎癌、黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫、結節型黒色腫、多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、及び移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、並びにケロイド疾患、浮腫及びメイグス症候群に関連する異常な血管増殖、脳腫瘍及び脳癌、並びに頭頸部癌から選択され、前記免疫不全疾患はHIV陽性、免疫抑制疾患、慢性感染性疾患を含む、hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質又はその医薬組成物
【請求項26】
使用するための前記hIL-2/IL-2抗体融合タンパク質又はその医薬組成物は、免疫チェックポイント阻害剤、抗原特異的免疫治療剤、化学療法剤、エピジェネティックス修飾剤、サイトカイン、成長因子、阻害剤、腫瘍抗原を標的とする抗体、腫瘍ワクチン、及び/又は他の癌療法からなる群から選択される1つ以上と組み合わされる、請求項25に記載のhIL-2/IL-2抗体融合タンパク質又はその医薬組成物
【国際調査報告】