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特表2024-539753コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及び電流測定方法
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  • 特表-コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及び電流測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及び電流測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G01R15/20 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547807
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2022111879
(87)【国際公開番号】W WO2023077900
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111299826.9
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122683680.X
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518119238
【氏名又は名称】中国電力科学研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】China Electric Power Research Institute Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.15 Xiaoying East Road, Qinghe, Haidian Distict, Beijing 100192, China
(71)【出願人】
【識別番号】524153156
【氏名又は名称】国▲網▼浙江省▲電▼力有限公司▲營▼▲銷▼服▲務▼中心
【氏名又は名称原語表記】STATE GRID ZHEJIANG ELECTRIC POWER COMPANY MARKETING SERVICE CENTER
【住所又は居所原語表記】Building 5, No. 138, Yunlian Road, Cangqian Street, Yuhang District, Hangzhou, Zhejiang 311121 China
(71)【出願人】
【識別番号】524153167
【氏名又は名称】中国▲電▼力科学研究院有限公司武▲漢▼分院
【氏名又は名称原語表記】CHINA ELECTRIC POWER RESEARCH INSTITUTE WUHAN BRANCH
【住所又は居所原語表記】No. 143, Luoyu Road, Hongshan District, Wuhan, Hubei 430070 China
(71)【出願人】
【識別番号】518453590
【氏名又は名称】国家電網有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】周峰
(72)【発明者】
【氏名】余佶成
(72)【発明者】
【氏名】雷民
(72)【発明者】
【氏名】殷小▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】岳▲長▼喜
(72)【発明者】
【氏名】梁思▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】李熊
(72)【発明者】
【氏名】李▲鶴▼
(72)【発明者】
【氏名】姚力
(72)【発明者】
【氏名】李登云
(72)【発明者】
【氏名】▲陸▼春光
(72)【発明者】
【氏名】肖涛
(72)【発明者】
【氏名】徐子立
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲うぇい▼
(72)【発明者】
【氏名】朱▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】熊魁
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA13
2G025AB01
2G025AB02
2G025AC01
(57)【要約】
コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及び電流測定方法であって、前記電流測定方法は、第1ループ構造(101)を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得するステップと、第2ループ構造(102)を利用して、コイル内の導線の電流から生成される第2磁界信号を測定するステップと、デジタル処理ユニット(103)を利用して、フィードバック電流信号及び第2磁界信号に基づいて、導線の電流を表す特徴量を計算し、導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサであって、前記センサは、第1ループ構造と、第2ループ構造と、デジタル処理ユニットと、を備え、
前記第1ループ構造は、導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記第2ループ構造は、前記導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記デジタル処理ユニットは、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて、前記導線上の電流を決定するように構成される、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ。
【請求項2】
前記第1ループ構造は、コアと、フィードバック電流取得回路と、補償巻線と、を備え、
前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、前記二重エアギャップ内の各エアギャップには、第1トンネル磁気抵抗(TMR)センシングチップが設置され、前記第1TMRセンシングチップは、前記第1磁界信号を測定するように構成され、
前記フィードバック電流取得回路は、2つの前記第1TMRセンシングチップで測定された前記第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて前記フィードバック電流信号を生成し、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及び前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記補償巻線は、前記コアに均一に巻回され、前記補償巻線は、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、前記補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、前記センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するように構成される、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、前記4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置され、前記第2TMRセンシングチップは、前記第2磁界信号を取得するように構成される、
請求項1又は2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記環状中空ハウジングの外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている、
請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記デジタル処理ユニットは、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備え、
前記アナログ・デジタル変換モジュールは、前記デジタル処理モジュールに接続され、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するように構成され、
前記デジタル処理モジュールは、前記デジタル・アナログ変換モジュールに接続され、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するように構成され、
前記デジタル・アナログ変換モジュールは、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換し、アナログ量の導線の電流を表す特徴量に基づいて前記導線上の電流を決定するように構成される、
請求項1~4のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記センサはさらに、電源ユニットを備え、
前記電源ユニットは、前記第1TMRセンシングチップ及び前記第2TMRセンシングチップに電力を供給するように構成される、
請求項2又は3に記載のセンサ。
【請求項7】
コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサに適用する電流測定方法であって、前記センサは、第1ループ構造と、第2ループ構造と、デジタル処理ユニットと、を備え、前記方法は、
前記第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記第2ループ構造を利用して、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップと、を含む、電流測定方法。
【請求項8】
前記第1ループ構造は、補償巻線と、フィードバック電流取得回路と、をさらに備え、前記補償巻線は、前記コアに巻回され、前記電流測定方法は、
前記フィードバック電流取得回路を利用して、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及び前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記補償巻線を利用して、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、前記補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、前記センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するステップと、さらに含む、
請求項7に記載の電流測定方法。
【請求項9】
前記第1ループ構造はさらに、コアを備え、前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、前記二重エアギャップ内の各エアギャップには、第1トンネル磁気抵抗(TMR)センシングチップが設置され、
前記第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得するステップは、
前記第1TMRセンシングチップを利用して、前記第1磁界信号を測定するステップと、
前記フィードバック電流取得回路を利用して、2つの前記第1TMRセンシングチップで測定された第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて前記フィードバック電流信号を生成するステップと、を含む、
請求項7又は8に記載の電流測定方法。
【請求項10】
前記第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、
前記第2ループ構造を利用して、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定するステップは、
前記4つの第2TMRセンシングチップを利用して、前記第2磁界信号を取得するステップを含み、前記4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置される、
請求項7~9のいずれか一項に記載の電流測定方法。
【請求項11】
前記環状中空ハウジングの外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている、
請求項10に記載の電流測定方法。
【請求項12】
前記デジタル処理ユニットは、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備え、
前記デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定するステップは、
前記アナログ・デジタル変換モジュールを利用して、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するステップと、
前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップと、を含み、
これに対応して、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップは、
前記デジタル・アナログ変換モジュールを利用して、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換し、アナログ量の導線の電流を表す特徴量に基づいて前記導線上の電流を決定するステップを含む、
請求項7~11のいずれか一項に記載の電流測定方法。
【請求項13】
前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップは、
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第1所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量の第2磁界信号に基づいて前記デジタル量のフィードバック電流信号に対して偏心誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップ、
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第2所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量のフィードバック電流信号に基づいて前記デジタル量の第2磁界信号に対してクロストーク誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップ、
過渡応答の適用シーンにおいて、前記デジタル量の第2磁界信号の算術平均値に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップのうちの少なくとも1つを含む、
請求項12に記載の電流測定方法。
【請求項14】
前記コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサはさらに、電源ユニットを備え、前記電流測定方法は、
前記電源ユニットを利用して、前記第1TMRセンシングチップ及び前記第2TMRセンシングチップに電力を供給するステップをさらに含む、
請求項8又は10に記載の電流測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2021年11月04日に中国特許局に提出された、出願番号が202111299826.9であり、発明の名称が「コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及電流測定方法」である中国特許出願、及び2021年11月04日に中国特許局に提出された、出願番号が202122683680.Xであり、発明の名称が「コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、電気測定技術分野に関するものであるが、これに限定されなく、特に、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及び電流測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
電力システムに普遍的に存在する電流測定のニーズに対して、従来のコア電流センサが多く適用されているが、その線形度や温度安定性が低いため測定結果に影響を与え、保護などの広レンジ範囲のニーズには適していなかった。磁気センサアレイは、磁気センサに代わる磁心の追加に有効な方法であり、空間干渉や磁心飽和などの問題を解決する有効な解決方法である。トンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magnetoresistance)などの磁気センサの発展とコストダウンに伴い、複数の磁気抵抗センサがアレイを構成して非接触式電流測定を行うことが可能となり、その基本原理は、アンペアの回路法則に基づいて、電流搬送導体の周囲を囲む複数のTMRセンサを用いて磁界を測定することであり、磁気センサの加算は閉ループに近似する。環状磁気センサアレイ方法を使用した電流測定には、次のような利点がある:環状磁気センサアレイは、コアレス構造を採用し、飽和の問題がなく、過渡性能が大幅に向上し、各種保護故障測定に広く使用できる。しかしながら、クロストーク・ノイズなどの影響により、リングアレイ電流センサの精度はまだ改善する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、電流をどのように測定し、測定誤差を減少するかという問題を解決するために、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及び電流測定方法を提出する。
【0005】
上記の問題を解決するために、本発明の一態様によれば、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサを提供し、前記センサは、第1ループ構造と、第2ループ構造と、デジタル処理ユニットと、を備え、
前記第1ループ構造は、導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記第2ループ構造は、前記導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記デジタル処理ユニットは、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて、前記導線上の電流を決定するように構成される。
【0006】
いくつかの実施例では、前記第1ループ構造は、コアと、フィードバック電流取得回路と、補償巻線と、を備え、
前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、前記二重エアギャップ内の各エアギャップには、第1トンネル磁気抵抗(TMR)センシングチップが設置され、前記第1TMRセンシングチップは、前記第1磁界信号を測定するように構成され、
前記フィードバック電流取得回路は、2つの前記第1TMRセンシングチップで測定された前記第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて前記フィードバック電流信号を生成し、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及び前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記補償巻線は、前記コアに均一に巻回され、前記補償巻線は、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、前記補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、前記センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するように構成される。
【0007】
いくつかの実施例では、前記第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置され、前記第2TMRセンシングチップは、前記第2磁界信号を取得するように構成される。
【0008】
いくつかの実施例では、前記環状中空ハウジングの外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている。
【0009】
いくつかの実施例では、前記デジタル処理ユニットは、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備え、
前記アナログ・デジタル変換モジュールは、前記デジタル処理モジュールに接続され、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するように構成され、
前記デジタル処理モジュールは、前記デジタル・アナログ変換モジュールに接続され、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するように構成され、
前記デジタル・アナログ変換モジュールは、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換して、アナログ量に変換された導線の電流を表す特徴量に基づいて前記導線上の電流を決定するように構成される。
【0010】
いくつかの実施例では、前記センサはさらに、電源ユニットを備え、
前記電源ユニットは、前記第1TMRセンシングチップ及び前記第2TMRセンシングチップに電力を供給するように構成される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサに適用する電流測定方法を提供し、前記センサは、第1ループ構造と、第2ループ構造と、デジタル処理ユニットと、を備え、前記方法は、
前記第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記第2ループ構造を利用して、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記第1ループ構造は、補償巻線と、フィードバック電流取得回路と、をさらに備え、前記補償巻線は、前記コアに巻回され、前記電流測定方法は、
前記フィードバック電流取得回路を利用して、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及び前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記補償巻線を利用して、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、前記補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、前記センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するステップと、さらに含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第1ループ構造はさらに、コアを備え、前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、前記二重エアギャップ内の各エアギャップには、第1トンネル磁気抵抗(TMR)センシングチップが設置され、前記第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得するステップは、
前記第1TMRセンシングチップを利用して、前記第1磁界信号を測定するステップと、
前記フィードバック電流取得回路を利用して、2つの前記第1TMRセンシングチップで測定された第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて前記フィードバック電流信号を生成するステップと、を含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、前記第2ループ構造を利用して、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定するステップは、
前記4つの第2TMRセンシングチップを利用して、前記第2磁界信号を取得するステップを含み、前記4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置される。
【0015】
いくつかの実施例では、前記環状中空ハウジングの外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている。
【0016】
いくつかの実施例では、前記デジタル処理ユニットは、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備え、前記デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定するステップは、
前記アナログ・デジタル変換モジュールを利用して、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するステップと、
前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップと、を含み、
これに対応して、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップは、
前記デジタル・アナログ変換モジュールを利用して、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換し、アナログ量の導線の電流を表す特徴量に基づいて前記導線上の電流を決定するステップを含む。
【0017】
いくつかの実施例では、前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップは、
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第1所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量の第2磁界信号に基づいて前記デジタル量のフィードバック電流信号に対して偏心誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップ、
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第2所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量のフィードバック電流信号に基づいて前記デジタル量の第2磁界信号に対してクロストーク誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップ、
過渡応答の適用シーンにおいて、前記デジタル量の第2磁界信号の算術平均値に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
いくつかの実施例では、前記コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサはさらに、電源ユニットを備え、前記電流測定方法は、
前記電源ユニットを利用して、前記第1TMRセンシングチップ及び前記第2TMRセンシングチップに電力を供給するステップをさらに含む。
【0019】
本発明は、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及び電流測定方法を提供し、前記方法は、第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得するステップと、第2ループ構造を利用して、コイル内の導線の電流から生成される第2磁界信号を測定するステップ、デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号に基づいて、導線の電流を表す特徴量を計算して、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップを含む。本発明は、直流配電網、電気自動車直流充電杭などの電力システムの電流測定シーンにおいて、トンネル磁気抵抗センシング技術を採用して測定対象の電流から生成される磁界を感知する感磁素子に基づいて、二重エアギャップコアを第1ループ構造とし、複数の感磁チップを実装するコアレス環状アレイを第2ループ構造とし、ゼロ磁束原理に基づいて閉ループフィードバック構造を設計し、デジタル信号処理と2チャネル測定結果を結合して電流の大きさを決定する。本発明の電流センサは、コア構造とコアレス構造の利点を結合し、偏心、クロストークなどの誤差の影響を効果的に減少させ、応用範囲を広げ、トンネル磁気抵抗素子に基づいて高正確度の電流測定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態によるコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ100の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態によるコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサの構成を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態による第1ループ構造の回路原理図である。
図4】本発明の実施形態によるコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサに基づく電流測定方法400のフロチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の例示的な実施形態は、以上の図面を参照することにより、より完全に理解することができる。
【0022】
次に、図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施され得、本明細書で説明される実施例に限定されず、これらの実施例は、本発明を詳細且つ完全に開示し、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるために提供される。図示された例示的な実施形態における用語は、本発明を限定するものではない。図面において、同じユニット/素子は、同じ参照符号で表示する。
【0023】
特に明記されていない限り、本明細書における用語(科学技術用語を含む)は、当業者にとっては一般的な理解をもたらす。なお、一般的に使用されている辞書によって限定された用語は、その用語が関連分野の文脈と一致する意味を持つものとして理解され、理想化された意味又は過度に正式な意味で理解されるべきではない。
【0024】
関連技術では、クロストーク誤差の影響を低減するため、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)ベースの磁気センサアレイを採用し、環状アレイセンサの出力部にデジタル信号処理ユニットを追加し、センサ出力信号と結合してDFTベースの信号処理アルゴリズムを設計した。このアルゴリズムの原理は、被測定導体周囲の磁界のフーリエ展開である。フーリエ係数の解析式は、磁界がアレイの平面に垂直な電流によって生成される場合の均一な磁界の存在下で導出され、環状磁気センサアレイは、被測定導体の周りの磁界をマッピングし、センサデータの空間離散フーリエ変換を実現する。測定された電流値は、非線形システムの逆によって与えられる。この方式の欠点は、離散フーリエ変換(DFT)ベースの磁気センサアレイモデルは、円形断面導体の場合のみを考慮しているが、矩形断面導体に流れる直流電流によって発生される磁界は径方向対称性を持たないため、母線を中心とする円形アレイのセンサは同じ磁界値を測定できないことである。DFTアルゴリズムでセンサデータを処理すると、ゼロより大きいオーダーの磁界空間高調波が発生する。非ゼロ高調波はクロストーク磁界に起因するため、アレイ内部電流の寄与と外部電流の寄与を区別するのは難しい。環状アレイセンサはコアの集磁作用を失い、正確さが不足しているが、DFTアルゴリズムによって改善された環状アレイセンサは電流測定の正確さの向上に限界がある。
【0025】
別の関連技術では、デュアルホール素子感磁電流センサが採用される。センサ環状磁路における被測定電流導体の位置が変化すると、センサの出力信号が大きく変化さら、即ち、位置誤差が大きくなる。この問題に対して、感磁電流センサの磁路に二重エアギャップを設け、エアギャップにホール素子を一つずつ取り付け、適切な信号処理部品を加えて、デュアルホール素子感磁電流センサを作製する。被測定電流導線の位置の相違による2つのホール素子における磁界が異なる場合に発生する不等なホール電圧は、回路を介して並列接続され、並列容量の等価回路に従って合成された後、センサの出力値は2つのホール素子の出力値の算術平均値である。これにより、位置誤差の完全な補償が実現される。この方式は次の欠点がある:1.コア構造には飽和状態があり、その非線形誤差が電流測定の範囲と正確さに影響を与え、さらにその温度安定性がセンサの長期使用に影響を与え;2.ホールセンサには固有の欠点、即ち低感度、高消費電力、劣悪な線形性がある。
【0026】
これに基づき、本発明の実施例は、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサを提供する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態によるコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ100の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の実施形態によって提供されるコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサは、直流配電網、電気自動車直流充電杭などの電力システムの電流測定シーンにおいて、トンネル磁気抵抗センシング技術を採用して測定対象の電流から生成される磁界を感知する感磁素子に基づいて、二重エアギャップコアを第1ループ構造とし、複数の感磁チップを実装するコアレス環状を第2ループ構造とし、ゼロ磁束原理に基づいて閉ループフィードバック構造を設計し、デジタル信号処理と2チャネル測定結果を結合して電流の大きさを決定する。本発明の電流センサは、コア構造とコアレス構造の利点を結合し、偏心、クロストークなどの誤差の影響を効果的に減少させ、応用範囲を広げ、トンネル磁気抵抗素子(TMR:Tunnel Magnetic Resistance)に基づいて高正確度の電流測定を実現することができる。本発明の実施形態によって提供されるコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ100は、第1ループ構造101と、第2ループ構造102と、デジタル処理ユニット103と、を備える。
【0028】
いくつかの実施例では、前記第1ループ構造101は、導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成される。
【0029】
いくつかの実施例では、前記第1ループ構造は、コアと、フィードバック電流取得回路と、補償巻線と、を備え、
前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、各エアギャップには、第1トンネル磁気抵抗(TMR)センシングチップが設置され、前記第1TMRセンシングチップは、前記第1磁界信号を測定するように構成され、
前記フィードバック電流取得回路は、2つの第1TMRセンシングチップで測定された第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて、フィードバック電流取得回路内の増幅器を介してフィードバック電流信号を生成し、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及びデジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記補償巻線は、前記コアに均一に巻回され、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するように構成される。
【0030】
いくつかの実施例では、前記センサはさらに、電源ユニットを備え、
前記電源ユニットは、第1TMRセンシングチップに電力を供給するように構成される。
【0031】
図2を参照すると、本発明において、第1ループ構造は、コアと、フィードバック電流取得回路と、補償巻線と、を備える。ここで、前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、エアギャップには、それぞれ第1TMRセンシングチップが1つずつ取り付けられ、各第1TMRセンシングチップは、一次側電流から生成される磁界を測定するように構成される。ここで、電源ユニット(図示せず)により第1TMRセンシングチップに電力が供給される。第1ループ構造内のフィードバック電流取得回路は、並列回路を介して2つの第1TMRセンシングチップで測定された第1磁界信号を平均化し、平均した結果をオペアンプに出力し、オペアンプを介してフィードバック電流を生成し、フィードバック電流を補償巻線及びデジタル信号処理ユニットに出力する。第1ループ構造内の補償巻線は、コアに均一に巻回され、補償巻線は、フィードバック電流取得回路によって生成されるフィードバック電流を受信して、補償磁界を生成し、一次側電流から生成される磁界と重畳して、センサをゼロ磁束状態に維持させるように構成される。
【0032】
いくつかの実施例では、第1ループ構造の回路は、図3に示されており、ここで、第1ループ構造内のフィードバック電流取得回路は、まず、並列回路によって2つのTMRセンシングチップの測定結果を平均化し、次に、オペアンプ及びフィードバック回路によってフィードバック電流を生成し、補償巻線及びデジタル信号処理ユニットに入力する。
【0033】
いくつかの実施例では、前記第2ループ構造102は、導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、コイル内の導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成される。
【0034】
いくつかの実施例では、前記第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置され、前記第2TMRセンシングチップは、前記第2磁界信号を取得するように構成される。
【0035】
いくつかの実施例では、前記環状中空ハウジング外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている。
【0036】
いくつかの実施例では、前記センサはさらに、電源ユニットを備え、
前記電源ユニットは、第2TMRセンシングチップに電力を供給するように構成される。
【0037】
図2を参照すると、本発明において、第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に等間隔で対称的に設置され、環状中空ハウジングの外側には、二重の金属遮蔽層がある。第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを利用してコイル内の導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、取得した4つの第2磁界信号をデジタル信号処理ユニットに出力する。ここで、電源ユニット(図示せず)により第2TMRセンシングチップに電力が供給される。
【0038】
いくつかの実施例では、前記デジタル処理ユニット103は、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号に基づいて、導線の電流を表す特徴量を計算し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定する。
【0039】
いくつかの実施例では、前記デジタル処理ユニットは、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備え、
前記アナログ・デジタル変換モジュールは、前記デジタル処理モジュールに接続され、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するように構成され、
前記デジタル処理モジュールは、前記デジタル・アナログ変換モジュールに接続され、デジタル量に変換されたフィードバック電流信号及びデジタル量に変換された第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するように構成され、
前記デジタル・アナログ変換モジュールは、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換し、アナログ量に変換された導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するように構成される。
【0040】
いくつかの実施例では、前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量に変換されたフィードバック電流信号及び第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップは、
デジタル量のフィードバック電流信号が第1所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量の第2磁界信号に基づいてデジタル量のフィードバック電流信号に対して偏心誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップと、
デジタル量のフィードバック電流信号が第2所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量のフィードバック電流信号に基づいてデジタル量の第2磁界信号に対してクロストーク誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップと、
過渡応答の適用シーンにおいて、前記第2磁界信号に基づいて算術平均値を計算して、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップと、を含む。
【0041】
本発明において、デジタル信号処理ユニット103は、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル信号処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備える。ここで、前記アナログ・デジタル変換モジュールは、オンチップ12ビットA/D変換器によって、デュアルループ測定後の信号(フィードバック電流信号及び4つの第2磁界信号)に対して高速サンプリングし、サンプリングされたデータをデジタル信号に変換して、デジタル信号処理モジュールに入力して、デジタル信号処理モジュールによって導線の電流を表す特徴量を計算して出力する。
【0042】
本発明において、デジタル信号処理モジュールによって導線の電流を表す特徴量を計算する際に、ローレンジ部は、第1ループ構造を主ループとして第2ループ構造によって補正され、ハイレンジ部は、第2ループ構造を主ループとして第1ループ構造によって補正され、過渡センシング機能は第2ループ構造によって実現される。デジタル信号処理モジュールは、次の機能を実現することができ、即ち、ローレンジ範囲内では、第1ループ構造の測定結果を主とし、第2ループ構造の4つのTMRセンシングチップの測定結果によりその偏心誤差を補正し、ハイレンジ範囲内では、第2ループ構造の測定結果を主とし、第1ループ構造の測定結果によりそのクロストーク誤差を補正し、過渡応答の適用シーンでは、直接、第2ループ構造の4つの第2TMRセンシングチップの測定結果の算術平均値を計算して出力する。
【0043】
本発明において、デジタル信号処理ユニット内のデジタル・アナログ変換モジュールは、デジタル信号処理モジュールから出力される、導線の電流を表す特徴量を受信し、その後、デジタル・アナログ変換モジュールによってアナログ電圧信号に変換して、センサの最終出力として使用され、センサから出力されるアナログ電圧信号によって、測定した導線上の電流の大きさを決定することができる。
【0044】
本発明のコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサにおいて、第1ループ構造は、補償巻線付き二重エアギャップオープンコアであり、一次電流とフィードバック電流によって生成される重畳磁界を測定して、センシング機能を実現し、第2ループ構造は、磁気センシングリングアレイであり、高速測定を実現し、偏心誤差を低減し、デジタル信号処理ユニットは、二重リングの測定結果を結合して、異なる適用シーンに対して誤差の補正と測定範囲の拡大を実現する目的を実現し、本発明を適用することにより、電力システムの計測及び保護などの幅広い分野に適した高精度電流センサを開発することができる。
【0045】
図4は、本発明の実施形態によるコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサに基づく電流測定方法400のフロチャートである。図4に示すように、本発明の実施形態によって提供される上記のコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサに基づく電流測定方法400は、以下のステップを含む。
【0046】
ステップ401において、第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力する。
【0047】
いくつかの実施例では、前記第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得するステップは、
対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアのエアギャップに設置された第1TMRセンシングチップを利用して、前記第1磁界信号を測定するステップと、
フィードバック電流取得回路を利用して、2つの第1TMRセンシングチップで測定された第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて、増幅器を介してフィードバック電流信号を生成し、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及びデジタル処理ユニットに出力するステップと、
コアに巻回された補償巻線を利用して、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するステップと、を含む。
【0048】
ステップ402において、第2ループ構造を利用して、コイル内の導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力する。
【0049】
いくつかの実施例では、前記第2ループ構造を利用して、コイル内の導線の電流から生成される第2磁界信号を測定するステップは、
4つの第2TMRセンシングチップを利用して、前記第2磁界信号を取得するステップを含み、4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置される。
【0050】
いくつかの実施例では、前記環状中空ハウジング外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている。
【0051】
ステップ403において、デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号に基づいて、導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定する。
【0052】
いくつかの実施例では、前記デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号に基づいて、導線の電流を表す特徴量を計算するステップは、
アナログ・デジタル変換モジュールを利用して、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するステップと、
デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップと、
デジタル・アナログ変換モジュールを利用して、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換し、アナログ量の導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップと、を含む。
【0053】
いくつかの実施例では、前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップは、以下のステップを含む。
【0054】
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第1所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量の第2磁界信号に基づいてデジタル量のフィードバック電流信号に対して偏心誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得し、前記第1所定レンジ範囲は、ローレンジ範囲を表す。いくつかの実施例では、補正されたデジタル量のフィードバック電流信号を導線の電流を表す特徴量として決定することができる。
【0055】
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第2所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量のフィードバック電流信号に基づいてデジタル量の第2磁界信号に対してクロストーク誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得し、前記第2所定レンジ範囲は、ハイレンジ範囲を表す。いくつかの実施例では、補正されたデジタル量の第2磁界信号を導線の電流を表す特徴量として決定することができる。
【0056】
過渡応答の適用シーンにおいて、前記第2磁界算術平均値に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を取得する。いくつかの実施例では、第2磁界算術平均値を導線の電流を表す特徴量として決定することができる。
【0057】
いくつかの実施例では、前記電流測定方法は、
電源ユニットを利用して、第1TMRセンシングチップ及び第2TMRセンシングチップに電力を供給するステップをさらに含む。
【0058】
本発明の実施例におけるコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサに基づく電流測定方法400は、本発明の別の実施例におけるコア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ100に対応する。
【0059】
本発明は、いくつかの実施形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者によって周知されている、添付の特許請求の範囲によって限定されるように、前述した本発明に開示されたもの以外の他の実施形態は、本発明の範囲内に均等に含まれるものとする。
【0060】
通常、特許請求の範囲において使用されるすべての用語は、特に明示的に定義されない限り、技術分野における通常の意味に基づいて解釈される。特に明示しない限り、「1つ/前記/当該[装置、構成要素など]」のすべての参照は、前記装置、構成要素などの少なくとも1つの例として開放的に解釈される。明示的に説明しない限り、本明細書に開示される任意の方法のステップは、開示された正確な順序で実行される必要はない。
【0061】
当業者は、本発明の実施例が、方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供され得ることを理解すべきである。したがって、本発明は、完全なハードウェアの実施例、完全なソフトウェアの実施例、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施例の形態を取り得る。さらに、本発明は、コンピュータ使用可能なプログラムコードを含むコンピュータ使用可能な記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光メモリなどを含むが、これらに限定されない)の1つ又は複数に実装されるコンピュータプログラム製品の形態を採用することができる。
【0062】
本発明は、本願の実施例による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明されている。なお、コンピュータプログラム命令により、フローチャート及び/又はブロック図における各プロセス及び/又はブロック、及びフローチャート及び/又はブロック図におけるプロセス及び/又はブロックの組み合わせを実現することができる。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、又はその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されて、1つのマシンを生成することができる。これにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令によって、フローチャートの1つ又は複数のプロセス、及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現するための装置が生成される。
【0063】
これらのコンピュータプログラム命令はさらに、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置を特定の方式で動作するように導くことができるコンピュータ可読メモリに記憶され得る。これにより、当該コンピュータ可読メモリに記憶された命令によって命令装置を含む製品を生成することができ、当該命令装置は、フローチャートの1つ又は複数のプロセス及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現する。
【0064】
これらのコンピュータプログラム命令はさらに、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードされ得、これにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置で一連の操作ステップを実行して、コンピュータによって実装されるプロセスを生成する。これにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置で実行される命令によって、フローチャートの1つ又は複数のプロセス、及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現するためのステップが提供される。
【0065】
最後に、上記の実施例は、本発明の技術的解決策を説明するためにのみ使用され、それらを限定するものではない。本発明は、上記の実施例を参照して詳細に説明されているが、当業者であれば、本発明の具体的な実施形態は、依然として修正又は均等の置換が可能であり、これらの修正又は置換は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、すべて本発明の実施例の保護範囲内に含まれることを理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及び電流測定方法を提供し、前記センサは、第1ループ構造と、第2ループ構造と、デジタル処理ユニットと、を備え、前記第1ループ構造は、導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、前記第2ループ構造は、前記導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、前記デジタル処理ユニットは、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて、前記導線上の電流を決定するように構成される。本発明の電流センサは、コア構造とコアレス構造の利点を結合することにより、偏心、クロストークなどの誤差の影響を効果的に減少させ、応用範囲を広げ、トンネル磁気抵抗素子に基づいて高正確度の電流測定を実現することができる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサであって、前記センサは、第1ループ構造と、第2ループ構造と、デジタル処理ユニットと、を備え、
前記第1ループ構造は、導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記第2ループ構造は、前記導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記デジタル処理ユニットは、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて、前記導線上の電流を決定するように構成される、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ。
【請求項2】
前記第1ループ構造は、コアと、フィードバック電流取得回路と、補償巻線と、を備え、
前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、前記二重エアギャップ内の各エアギャップには、第1トンネル磁気抵抗(TMR)センシングチップが設置され、前記第1TMRセンシングチップは、前記第1磁界信号を測定するように構成され、
前記フィードバック電流取得回路は、2つの前記第1TMRセンシングチップで測定された前記第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて前記フィードバック電流信号を生成し、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及び前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記補償巻線は、前記コアに均一に巻回され、前記補償巻線は、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、前記補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、前記センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するように構成される、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、前記4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置され、前記第2TMRセンシングチップは、前記第2磁界信号を取得するように構成される、
請求項に記載のセンサ。
【請求項4】
前記環状中空ハウジングの外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている、
請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記デジタル処理ユニットは、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備え、
前記アナログ・デジタル変換モジュールは、前記デジタル処理モジュールに接続され、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するように構成され、
前記デジタル処理モジュールは、前記デジタル・アナログ変換モジュールに接続され、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するように構成され、
前記デジタル・アナログ変換モジュールは、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換し、アナログ量の導線の電流を表す特徴量に基づいて前記導線上の電流を決定するように構成される、
請求項1~4のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記センサはさらに、電源ユニットを備え、
前記電源ユニットは、前記第1TMRセンシングチップ及び前記第2TMRセンシングチップに電力を供給するように構成される、
請求項2又は3に記載のセンサ。
【請求項7】
コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサに適用する電流測定方法であって、前記センサは、第1ループ構造と、第2ループ構造と、デジタル処理ユニットと、を備え、前記方法は、
前記第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記第2ループ構造を利用して、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップと、を含む、電流測定方法。
【請求項8】
前記第1ループ構造は、補償巻線と、フィードバック電流取得回路と、をさらに備え、前記補償巻線は、前記コアに巻回され、前記電流測定方法は、
前記フィードバック電流取得回路を利用して、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及び前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記補償巻線を利用して、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、前記補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、前記センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するステップと、さらに含む、
請求項7に記載の電流測定方法。
【請求項9】
前記第1ループ構造はさらに、コアを備え、前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、前記二重エアギャップ内の各エアギャップには、第1トンネル磁気抵抗(TMR)センシングチップが設置され、
前記第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得するステップは、
前記第1TMRセンシングチップを利用して、前記第1磁界信号を測定するステップと、
前記フィードバック電流取得回路を利用して、2つの前記第1TMRセンシングチップで測定された第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて前記フィードバック電流信号を生成するステップと、を含む、
請求項に記載の電流測定方法。
【請求項10】
前記第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、
前記第2ループ構造を利用して、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定するステップは、
前記4つの第2TMRセンシングチップを利用して、前記第2磁界信号を取得するステップを含み、前記4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置される、
請求項に記載の電流測定方法。
【請求項11】
前記環状中空ハウジングの外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている、
請求項10に記載の電流測定方法。
【請求項12】
前記デジタル処理ユニットは、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備え、
前記デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定するステップは、
前記アナログ・デジタル変換モジュールを利用して、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するステップと、
前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップと、を含み、
これに対応して、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップは、
前記デジタル・アナログ変換モジュールを利用して、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換し、アナログ量の導線の電流を表す特徴量に基づいて前記導線上の電流を決定するステップを含む、
請求項7~11のいずれか一項に記載の電流測定方法。
【請求項13】
前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップは、
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第1所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量の第2磁界信号に基づいて前記デジタル量のフィードバック電流信号に対して偏心誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップ、
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第2所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量のフィードバック電流信号に基づいて前記デジタル量の第2磁界信号に対してクロストーク誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップ、
過渡応答の適用シーンにおいて、前記デジタル量の第2磁界信号の算術平均値に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップのうちの少なくとも1つを含む、
請求項12に記載の電流測定方法。
【請求項14】
前記コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサはさらに、電源ユニットを備え、前記電流測定方法は、
前記電源ユニットを利用して、前記第1TMRセンシングチップ及び前記第2TMRセンシングチップに電力を供給するステップをさらに含む、
請求項8又は10に記載の電流測定方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明は、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ及び電流測定方法を提供し、前記方法は、第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得するステップと、第2ループ構造を利用して、コイル内の導線の電流から生成される第2磁界信号を測定するステップ、デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号に基づいて、導線の電流を表す特徴量を計算して、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップを含む。本発明は、直流配電網、電気自動車直流充電杭などの電力システムの電流測定シーンにおいて、トンネル磁気抵抗センシング技術を採用して測定対象の電流から生成される磁界を感知する感磁素子に基づいて、二重エアギャップコアを第1ループ構造とし、複数の感磁チップを実装するコアレス環状アレイを第2ループ構造とし、ゼロ磁束原理に基づいて閉ループフィードバック構造を設計し、デジタル信号処理と2チャネル測定結果を結合して電流の大きさを決定する。本発明の電流センサは、コア構造とコアレス構造の利点を結合し、偏心、クロストークなどの誤差の影響を効果的に減少させ、応用範囲を広げ、トンネル磁気抵抗素子に基づいて高正確度の電流測定を実現することができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサであって、前記センサは、第1ループ構造と、第2ループ構造と、デジタル処理ユニットと、を備え、
前記第1ループ構造は、導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記第2ループ構造は、前記導線の周囲を囲むように設置され、且つ前記デジタル処理ユニットに接続され、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記デジタル処理ユニットは、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて、前記導線上の電流を決定するように構成される、コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサ。
(項目2)
前記第1ループ構造は、コアと、フィードバック電流取得回路と、補償巻線と、を備え、
前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、前記二重エアギャップ内の各エアギャップには、第1トンネル磁気抵抗(TMR)センシングチップが設置され、前記第1TMRセンシングチップは、前記第1磁界信号を測定するように構成され、
前記フィードバック電流取得回路は、2つの前記第1TMRセンシングチップで測定された前記第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて前記フィードバック電流信号を生成し、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及び前記デジタル処理ユニットに出力するように構成され、
前記補償巻線は、前記コアに均一に巻回され、前記補償巻線は、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、前記補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、前記センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するように構成される、
項目1に記載のセンサ。
(項目3)
前記第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、前記4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置され、前記第2TMRセンシングチップは、前記第2磁界信号を取得するように構成される、
項目1又は2に記載のセンサ。
(項目4)
前記環状中空ハウジングの外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている、
項目3に記載のセンサ。
(項目5)
前記デジタル処理ユニットは、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備え、
前記アナログ・デジタル変換モジュールは、前記デジタル処理モジュールに接続され、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するように構成され、
前記デジタル処理モジュールは、前記デジタル・アナログ変換モジュールに接続され、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するように構成され、
前記デジタル・アナログ変換モジュールは、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換し、アナログ量の導線の電流を表す特徴量に基づいて前記導線上の電流を決定するように構成される、
項目1~4のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目6)
前記センサはさらに、電源ユニットを備え、
前記電源ユニットは、前記第1TMRセンシングチップ及び前記第2TMRセンシングチップに電力を供給するように構成される、
項目2又は3に記載のセンサ。
(項目7)
コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサに適用する電流測定方法であって、前記センサは、第1ループ構造と、第2ループ構造と、デジタル処理ユニットと、を備え、前記方法は、
前記第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得し、前記フィードバック電流信号を前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記第2ループ構造を利用して、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定し、前記第2磁界信号を前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定し、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップと、を含む、電流測定方法。
(項目8)
前記第1ループ構造は、補償巻線と、フィードバック電流取得回路と、をさらに備え、前記補償巻線は、前記コアに巻回され、前記電流測定方法は、
前記フィードバック電流取得回路を利用して、前記フィードバック電流信号を前記補償巻線及び前記デジタル処理ユニットに出力するステップと、
前記補償巻線を利用して、前記フィードバック電流信号に基づいて補償磁界を生成し、前記補償磁界と前記第1磁界信号とを重畳し、重畳された前記第1磁界信号に基づいて、前記センサがゼロ磁束状態を維持するように制御するステップと、さらに含む、
項目7に記載の電流測定方法。
(項目9)
前記第1ループ構造はさらに、コアを備え、前記コアは、対称的に開けられて設置した二重エアギャップを有するオープンコアであり、前記二重エアギャップ内の各エアギャップには、第1トンネル磁気抵抗(TMR)センシングチップが設置され、
前記第1ループ構造を利用して、一次側電流から生成される第1磁界信号に基づいて発生されるフィードバック電流信号を取得するステップは、
前記第1TMRセンシングチップを利用して、前記第1磁界信号を測定するステップと、
前記フィードバック電流取得回路を利用して、2つの前記第1TMRセンシングチップで測定された第1磁界信号を平均化して、第1磁界平均信号を得、前記第1磁界平均信号に基づいて前記フィードバック電流信号を生成するステップと、を含む、
項目7又は8に記載の電流測定方法。
(項目10)
前記第2ループ構造は、4つの第2TMRセンシングチップを備え、
前記第2ループ構造を利用して、前記第2ループ構造のコイル内で前記導線の電流から生成される第2磁界信号を測定するステップは、
前記4つの第2TMRセンシングチップを利用して、前記第2磁界信号を取得するステップを含み、前記4つの第2TMRセンシングチップは、環状中空ハウジング内に並列且つ等間隔で対称に設置される、
項目7~9のいずれか一項に記載の電流測定方法。
(項目11)
前記環状中空ハウジングの外部には、二重の金属遮蔽層が設置されている、
項目10に記載の電流測定方法。
(項目12)
前記デジタル処理ユニットは、アナログ・デジタル変換モジュールと、デジタル処理モジュールと、デジタル・アナログ変換モジュールと、を備え、
前記デジタル処理ユニットを利用して、前記フィードバック電流信号及び前記第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を決定するステップは、
前記アナログ・デジタル変換モジュールを利用して、前記フィードバック電流信号及び第2磁界信号をアナログ量からデジタル量に変換するステップと、
前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップと、を含み、
これに対応して、前記導線の電流を表す特徴量に基づいて導線上の電流を決定するステップは、
前記デジタル・アナログ変換モジュールを利用して、前記導線の電流を表す特徴量をデジタル量からアナログ量に変換し、アナログ量の導線の電流を表す特徴量に基づいて前記導線上の電流を決定するステップを含む、
項目7~11のいずれか一項に記載の電流測定方法。
(項目13)
前記デジタル処理モジュールを利用して、デジタル量のフィードバック電流信号及びデジタル量の第2磁界信号に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を計算するステップは、
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第1所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量の第2磁界信号に基づいて前記デジタル量のフィードバック電流信号に対して偏心誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップ、
前記デジタル量のフィードバック電流信号が第2所定レンジ範囲内にある場合、前記デジタル量のフィードバック電流信号に基づいて前記デジタル量の第2磁界信号に対してクロストーク誤差の補正を行い、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップ、
過渡応答の適用シーンにおいて、前記デジタル量の第2磁界信号の算術平均値に基づいて、前記導線の電流を表す特徴量を取得するステップのうちの少なくとも1つを含む、
項目12に記載の電流測定方法。
(項目14)
前記コア-環状アレイマルチリング感磁電流センサはさらに、電源ユニットを備え、前記電流測定方法は、
前記電源ユニットを利用して、前記第1TMRセンシングチップ及び前記第2TMRセンシングチップに電力を供給するステップをさらに含む、
項目8又は10に記載の電流測定方法。
【国際調査報告】