(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】パラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法
(51)【国際特許分類】
G05B 13/04 20060101AFI20241022BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20241022BHJP
G05B 13/02 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G05B13/04
G06N20/00 130
G05B13/02 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547818
(86)(22)【出願日】2023-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2023075229
(87)【国際公開番号】W WO2024016637
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】202210859981.X
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524152528
【氏名又は名称】中控技術股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUPCON TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 309, Liuhe Road, Binjiang District Hangzhou, Zhejiang 310000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】金 建祥
(72)【発明者】
【氏名】童 不凡
(72)【発明者】
【氏名】劉 蘊文
(72)【発明者】
【氏名】王 家▲とう▼
(72)【発明者】
【氏名】張 晨韻
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA05
5H004GB02
5H004HB20
5H004KB02
5H004KB04
5H004KB06
5H004KC35
5H004KC45
5H004KC50
5H004KD23
5H004KD27
5H004LA11
5H004LA15
5H004MA04
5H004MA18
5H004MA36
(57)【要約】
本願の実施形態は、パラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法を提供し、産業自動化制御の技術分野に関する。本願は、新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築し、新規装置は、訓練対象のパラメータ整定モデルが適用される装置であり、補助装置は、パラメータ整定が完了し、かつ正式に運転した装置であり、そして、新規装置の初期運転データに基づいて、ローカル訓練データセットを構築し、そして、補助訓練データセット、検証データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築するステップであって、前記新規装置は、訓練対象のパラメータ整定モデルが適用される装置であり、前記補助装置は、パラメータ整定が完了し、かつ正式に運転した装置である、ステップと、
前記新規装置の初期運転データに基づいて、ローカル訓練データセットを構築するステップと、
前記補助訓練データセット、前記検証データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得るステップと、を含む、パラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項2】
新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築する前記ステップは、
前記新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別するステップと、
前記ターゲットデータセットに対して分割処理を行って、前記補助訓練データセット及び前記検証データセットを得るステップと、を含む、請求項1に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項3】
前記新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別する前記ステップは、
前記新規装置のループタイプに基づいて、前記補助装置の運転データから前記ループタイプとマッチングする複数のオプション運転データを選別するステップと、
前記新規装置の制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記複数のオプション運転データから前記ターゲットデータセットを選別するステップと、を含む、請求項2に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項4】
前記補助訓練データセット、前記検証データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得る前記ステップは、
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得るステップと、
前記検証データセットに基づいて、前記中間整定モデルを検証し、検証に合格した後、所定の入力パラメータ値に従って前記中間整定モデルを実行して、前記中間整定モデルの出力パラメータ値を得るステップと、
前記新規装置が前記所定の入力パラメータ値に従って運転した後のループPIDパラメータ値を取得するステップと、
前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、前記中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、前記パラメータ整定モデルを得るステップと、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項5】
前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、前記中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、前記パラメータ整定モデルを得る前記ステップは、
前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、パラメータエラー率を決定するステップと、
前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、前記パラメータ整定モデルを得るステップと、を含む、請求項4に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項6】
前記モデルパラメータは、第1中間重みベクトル及び中間オフセットパラメータ値を含み、
前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、前記パラメータ整定モデルを得る前記ステップは、
前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間オフセットパラメータ値を修正して、プロセスオフセットパラメータ値を得るステップと、
前記プロセスオフセットパラメータ値に基づいて、前記第1中間重みベクトルを修正して、第1プロセス重みベクトルを得るステップと、
前記プロセスオフセットパラメータ値及び前記第1プロセス重みベクトルに基づいて、新たな中間整定モデルを得て、前記中間整定モデルのパラメータエラー率を再決定するステップと、
前記パラメータエラー率が所定の閾値より小さくなるまで上記ステップを繰り返し、前記中間整定モデルを前記パラメータ整定モデルとするステップと、を含む、請求項5に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項7】
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得る前記ステップの前に、前記方法は、
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、二乗平均平方根誤差及び決定係数を決定するステップと、
前記二乗平均平方根誤差及び前記決定係数に基づいて、パラメータ整定初期モデルの隠れ層ノード数を決定するステップと、
前記隠れ層ノード数、所定の入力層ノード数及び所定の出力層ノード数に基づいて、前記パラメータ整定初期モデルを構築するステップと、
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、前記パラメータ整定初期モデルを訓練して、前記中間整定モデルを得るステップと、をさらに含む、請求項4に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項8】
前記パラメータ整定モデルに基づいて、制御対象の新規装置の整定パラメータ値を決定するステップであって、前記パラメータ整定モデルは、請求項1~7のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法により得られるものである、ステップと、
前記整定パラメータ値に基づいて、ターゲットプロセスを実行するように前記新規装置を制御するステップと、を含む、産業プロセス制御方法。
【請求項9】
プロセッサと、記憶媒体と、バスとを含む処理機器であって、
前記記憶媒体には、前記プロセッサによって実行可能な機械可読命令が記憶され、
前記処理機器が動作するとき、前記プロセッサと前記記憶媒体とは、バスを介して通信し、前記プロセッサは、前記機械可読命令を実行して、請求項1~7のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法又は請求項8に記載の産業プロセス制御方法のステップを実行する、処理機器。
【請求項10】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1~7のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法又は請求項8に記載の産業プロセス制御方法のステップを実現する、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2022年7月22日に中国国家知識産権局に提出された、出願の名称が「パラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法」である中国特許出願第202210859981.X号に基づく優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、産業自動化制御の技術分野に関し、具体的には、パラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
PID(proportion-比例、integral-積分、differential-微分)は、現在、最も広く適用されている制御ポリシーである。PIDパラメータ整定は、その制御作業における主な内容であり、パラメータ整定は、制御システムの作業中の特性に基づいて、その比例係数、積分時間及び微分時間の偏差値を決定する。
【0004】
現在、PIDパラメータ整定の方法は、一般的に、内部モデルに基づく整定法であり、このような方法でPIDパラメータ整定のための数学モデルを構築し、プロセス履歴データに基づいてプロセス数学モデルを構築し、数学モデルに基づいて内部モデル整定ポリシーを用いてPIDパラメータを得ることは、有効なPIDパラメータ整定方法である。
【0005】
しかし、内部モデルに基づく整定方法は、プロセスモデルを構築するために大量の有効データを必要とし、新規装置上で構築されたプロセスモデルにとって、利用可能なデータ情報が少なく、信頼できるプロセスモデルを構築するには不十分であるため、PIDパラメータ整定の実際の効果が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、例えば、補助訓練データセットを構築して訓練を行うことにより、新規装置に利用可能な有効データが少ないという欠点を効果的に補い、新規装置上で構築されたパラメータ整定モデルのPIDパラメータ整定の正確性を向上させる、パラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の実施形態は、以下のように実現されるものである。
【0008】
第1態様によれば、本願の実施形態は、
新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築するステップであって、前記新規装置は、訓練対象のパラメータ整定モデルが適用される装置であり、前記補助装置は、パラメータ整定が完了し、かつ正式に運転した装置である、ステップと、
前記新規装置の初期運転データに基づいて、ローカル訓練データセットを構築するステップと、
前記補助訓練データセット、前記検証データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得るステップと、を含む、パラメータ整定モデルの構築方法を提供する。
【0009】
好ましい一実施形態において、新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築するステップは、
前記新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別するステップと、
前記ターゲットデータセットに対して分割処理を行って、前記補助訓練データセット及び前記検証データセットを得るステップと、を含む。
【0010】
好ましい一実施形態において、前記新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別するステップは、
前記新規装置のループタイプに基づいて、前記補助装置の運転データから前記ループタイプとマッチングする複数のオプション運転データを選別するステップと、
前記新規装置の制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記複数のオプション運転データから前記ターゲットデータセットを選別するステップと、を含む。
【0011】
好ましい一実施形態において、前記補助訓練データセット、前記検証データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得るステップは、
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得るステップと、
前記検証データセットに基づいて前記中間整定モデルを検証し、検証に合格した後、所定の入力パラメータ値に従って前記中間整定モデルを実行して、前記中間整定モデルの出力パラメータ値を得るステップと、
前記新規装置が前記所定の入力パラメータ値に従って運転した後のループPIDパラメータ値を取得するステップと、
前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、前記中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、前記パラメータ整定モデルを得るステップと、を含む。
【0012】
好ましい一実施形態において、前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、前記中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、前記パラメータ整定モデルを得るステップは、
前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、パラメータエラー率を決定するステップと、
前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、前記パラメータ整定モデルを得るステップと、を含む。
【0013】
好ましい一実施形態において、前記モデルパラメータは、第1中間重みベクトル及び中間オフセットパラメータ値を含み、
前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、前記パラメータ整定モデルを得るステップは、
前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間オフセットパラメータ値を修正して、プロセスオフセットパラメータ値を得るステップと、
前記プロセスオフセットパラメータ値に基づいて、前記第1中間重みベクトルを修正して、第1プロセス重みベクトルを得るステップと、
前記プロセスオフセットパラメータ値及び前記第1プロセス重みベクトルに基づいて、新たな中間整定モデルを得て、前記中間整定モデルのパラメータエラー率を再決定するステップと、
前記パラメータエラー率が所定の閾値より小さくなるまで上記ステップを繰り返し、前記中間整定モデルを前記パラメータ整定モデルとするステップと、を含む。
【0014】
好ましい一実施形態において、前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得るステップの前に、前記方法は、
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、二乗平均平方根誤差及び決定係数を決定するステップと、
前記二乗平均平方根誤差及び前記決定係数に基づいて、パラメータ整定初期モデルの隠れ層ノード数を決定するステップと、
前記隠れ層ノード数、所定の入力層ノード数及び所定の出力層ノード数に基づいて、前記パラメータ整定初期モデルを構築するステップと、
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、前記パラメータ整定初期モデルを訓練して、前記中間整定モデルを得るステップと、をさらに含む。
【0015】
第2態様によれば、本願の実施形態は、
前記パラメータ整定モデルに基づいて、制御対象の新規装置の整定パラメータ値を決定するステップであって、前記パラメータ整定モデルは、第1態様のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法によって得られるものである、ステップと、
前記整定パラメータ値に基づいて、ターゲットプロセスを実行するように前記新規装置を制御するステップと、を含む、産業プロセス制御方法を提供する。
【0016】
第3態様によれば、本願の実施形態は、データセット構築モジュールと、モデル訓練モジュールと、モデル構築モジュールとを備えるパラメータ整定モデルの構築装置を提供する。
【0017】
データセット構築モジュールは、新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築するように構成され、前記新規装置は、訓練対象のパラメータ整定モデルが適用される装置であり、前記補助装置は、パラメータ整定が完了し、かつ正式に運転した装置であり、
前記データセット構築モジュールは、さらに、前記新規装置の初期運転データに基づいて、ローカル訓練データセットを構築するように構成される。
【0018】
モデル訓練モジュールは、前記補助訓練データセット、前記検証データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得るように構成される。
【0019】
前記データセット構築モジュールは、具体的には、前記新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別し、そして、前記ターゲットデータセットに対して分割処理を行って、前記補助訓練データセット及び前記検証データセットを得るように構成される。
【0020】
前記データセット構築モジュールは、具体的には、前記新規装置のループタイプに基づいて、前記補助装置の運転データから前記ループタイプとマッチングする複数のオプション運転データを選別し、そして、前記新規装置の制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記複数のオプション運転データから前記ターゲットデータセットを選別するように構成される。
【0021】
前記モデル訓練モジュールは、具体的には、前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得て、そして、前記検証データセットに基づいて前記中間整定モデルを検証し、検証に合格した後、所定の入力パラメータ値に従って前記中間整定モデルを実行して、前記中間整定モデルの出力パラメータ値を得て、そして、前記新規装置が前記所定の入力パラメータ値に従って運転した後のループPIDパラメータ値を取得し、そして、前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、前記中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、前記パラメータ整定モデルを得るように構成される。
【0022】
前記モデル訓練モジュールは、具体的には、前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、パラメータエラー率を決定し、そして、前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、前記パラメータ整定モデルを得るように構成される。
【0023】
前記モデル訓練モジュールは、具体的には、前記モデルパラメータが第1中間重みベクトル及び中間オフセットパラメータ値を含み、前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間オフセットパラメータ値を修正して、プロセスオフセットパラメータ値を得て、そして、前記プロセスオフセットパラメータ値に基づいて、前記第1中間重みベクトルを修正して、第1プロセス重みベクトルを得て、そして、前記プロセスオフセットパラメータ値及び前記第1プロセス重みベクトルに基づいて、新たな中間整定モデルを得て、前記中間整定モデルのパラメータエラー率を再決定し、そして、前記パラメータエラー率が所定の閾値より小さくなるまで上記ステップを繰り返し、前記中間整定モデルを前記パラメータ整定モデルとするように構成される。
【0024】
モデル構築モジュールは、前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、二乗平均平方根誤差及び決定係数を決定し、そして、前記二乗平均平方根誤差及び前記決定係数に基づいて、パラメータ整定初期モデルの隠れ層ノード数を決定し、そして、前記隠れ層ノード数、所定の入力層ノード数及び所定の出力層ノード数に基づいて、前記パラメータ整定初期モデルを構築し、そして、前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、前記パラメータ整定初期モデルを訓練して、前記中間整定モデルを得るように構成される。
【0025】
第4態様によれば、本願の実施形態は、
前記パラメータ整定モデルに基づいて、制御対象の新規装置の整定パラメータ値を決定する決定モジュールであって、前記パラメータ整定モデルは、第1態様のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法によって得られるものである、決定モジュールと、
前記整定パラメータ値に基づいて、ターゲットプロセスを実行するように前記新規装置を制御するように構成される制御モジュールと、を備える産業プロセス制御装置をさらに提供する。
【0026】
第5態様によれば、本願の実施形態は、プロセッサと、記憶媒体と、バスとを含む処理機器であって、前記記憶媒体には、前記プロセッサによって実行可能な機械可読命令が記憶され、前記処理機器が動作するとき、前記プロセッサと前記記憶媒体とは、バスを介して通信し、前記プロセッサは、前記機械可読命令を実行して、第1態様のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法又は第2態様に記載の産業プロセス制御方法のステップを実行する、処理機器を提供する。
【0027】
第6態様によれば、本願の実施形態は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、第1態様のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法又は第2態様に記載の産業プロセス制御方法のステップを実現する、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本願の実施形態の作用効果は、以下のとおりである。
【0029】
本願に係るパラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法によれば、補助装置の運転データによって補助訓練データセットを構築し、新規装置の運転データによって構築されたローカル訓練データセットとともにパラメータ整定モデルを訓練して構築することができる。本願では、既にパラメータ整定が完了し、正式に運転した補助装置の運転データを十分に利用してパラメータ整定モデルを訓練し、新規装置に利用可能な有効データが少ないという欠点を補い、新規装置上で構築されたパラメータ整定モデルのPIDパラメータ整定の正確性と効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本願の実施形態における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施形態に使用される必要がある図面を簡単に説明する。以下の図面において、本願の一部の実施形態のみが示されていないため、範囲を限定するものと見なすべきではないことを理解すべきである。当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、それらの図面に基づいて他の関連する図面を得ることができる。
【0031】
【
図1】本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法のステップのフローチャートである。
【
図2】本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法のデータセット構築ステップのフローチャートである。
【
図3】本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法のデータセット選別ステップのフローチャートである。
【
図4】本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法のモデル訓練最適化ステップのフローチャートである。
【
図5】本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法の実施のフローチャートである。
【
図6】本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法のパラメータ最適化ステップのフローチャートである。
【
図7】本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法の別のパラメータ最適化ステップのフローチャートである。
【
図8】本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法のモデル構築ステップのフローチャートである。
【
図9】本願の実施形態に係る産業プロセス制御方法のステップのフローチャートである。
【
図10】本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築装置の概略構成図である。
【
図11】本願の実施形態に係る産業プロセス制御装置の概略構成図である。
【
図12】本願の実施形態に係る処理機器の概略構成図である。
【符号の説明】
【0032】
100 パラメータ整定モデルの構築装置
1001 データセット構築モジュール
1002 モデル訓練モジュール
1003 モデル構築モジュール
110 産業プロセス制御装置
1101 決定モジュール
1102 制御モジュール
2001 プロセッサ
2002 メモリ
【発明を実施するための形態】
【0033】
本願の実施形態の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下では、本願の実施形態における図面を参照しながら、本願の実施形態における技術的解決手段を明確で完全に説明し、もちろん、説明される実施形態は本願の一部の実施形態にすぎず、全ての実施形態ではない。一般的に、本明細書の図面に記載及び図示されている本願の実施形態のコンポーネントは、様々な異なる構成で配置及び設計することができる。
【0034】
したがって、以下、添付の図面に提供される本願の実施形態の詳細な説明は、特許請求されるような本願の範囲を限定することを意図するものではなく、本願の選択された実施形態のみを示すことである。本願の実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得られる全ての他の実施形態は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0035】
なお、以下の図では、類似する番号や文字は類似する項目を表すため、1つの図で項目を定義すると、以降の図でさらに定義や説明を行う必要はない。
【0036】
また、「第1」及び/又は「第2」などの用語は、説明を区別するためだけに用いられる場合、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解されるべきではない。
【0037】
なお、本願の実施形態の特徴は、衝突することなく互いに組み合わせることができる。
【0038】
PIDパラメータ整定は、比例、積分及び微分の3つのパラメータを整定することにより、システムの動的性能及び静的性能が要求に達し、ある性能指標が最適になるプロセスである。現在、一般的なのは、内部モデル整定に基づくパラメータ整定方法であり、当該方法は、ターゲット装置における履歴入出力関係パラメータを収集することにより、ループプロセスモデルを構築し、内部モデル整定ポリシーを用いてループプロセスモデルに基づいて整定パラメータ結果を得ることで、ターゲット装置に対するリアルタイムPIDパラメータを得る。しかし、このようにして得られたモデルは、大量の有効な履歴データを駆動とする必要があり、新規装置にとって、利用可能なデータ情報が少なく、信頼できるモデルを訓練するには不十分であるため、PIDパラメータ整定の実際の効果が低い。
【0039】
これに鑑みて、出願人は、検討した結果、パラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法を提案し、パラメータ整定が完了した補助装置を利用して、補助訓練データセットを構築し、ローカル訓練データセットによる訓練を補助して、パラメータ整定モデルを構築することができ、履歴データの不足によるモデル訓練が不十分で、正確性が低いという問題を回避し、新規装置のPIDパラメータ整定の正確性と効率を向上させる。
【0040】
転移学習は、人間の脳の思考過程を模擬するものであり、人間が1つの問題を解決した後、新たな関連する問題に対してよりよく迅速な解決方法を持ち、つまり、転移学習は、従来の機械学習方式と異なり、ターゲット分野と同じ分野のタスクで学習された「知識」、例えば、データ特徴、モデルパラメータなどを利用して、新たな分野における学習過程を補助することにより、ターゲット分野に適用可能なモデルを得ることができる。
【0041】
産業用制御システムには、複数の異なるタイプの制御ループが含まれ、異なる産業用制御システムは、その規模、データ分布が異なる可能性があるが、制御ループのレベルで、異なる産業用制御システムの制御ループの間には、ある類似の特徴情報がある可能性がある。これを基に、本願の実施形態において、パラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法を提供し、転移学習の方式により、パラメータ整定が完了した補助装置の運転データを新規装置のパラメータ整定モデルの訓練に適用し、既存のネットワークモデルが訓練中に新規装置の有効データに強く依存するという問題を解決し、新規装置におけるパラメータ整定モデルの構築速度及び正確性を向上させる。
【0042】
以下、複数の具体的な適用例を参照しながら、本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法を説明する。
【0043】
図1は、本願の実施形態に係るパラメータ整定モデルの構築方法のステップのフローチャートであり、本方法の実行主体は、計算、処理能力を有するコンピュータ機器であってもよい。
図1に示すように、当該方法は、以下のステップS101~S103を含む。
【0044】
S101では、新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築する。
【0045】
新規装置は、訓練対象のパラメータ整定モデルが適用される装置であり、補助装置は、パラメータ整定が完了し、かつ正式に運転した装置である。
【0046】
新規装置は、構築が完了し、PIDパラメータ整定のためのパラメータ整定モデルを構築する必要がある装置であってもよく、例示的には、新規装置は、エチレンシステムに含まれる複数の装置、例えば、エチレン装置、分解ガソリン水素化装置、ブタジエン抽出装置、芳香族炭化水素抽出装置、MTBE/ブテン-1装置、エチレングリコール装置及びPOX装置のうちのいずれか1つ又は複数であってもよい。いくつかの実施形態において、各装置は、複数の制御ループをさらに含んでもよい。
【0047】
補助装置は、複数の制御ループを含み、パラメータ整定が完了し、運転状態が正常である装置であってもよく、これらの制御ループのうちの1つ又は複数は、新規装置の制御ループのいくつかの特徴とマッチングすることができる。なお、補助装置は、1つ以上であってもよく、複数の補助装置に含まれる制御ループは、新規装置における複数の制御ループと1対1に対応してマッチングする制御ループセットを共同で構成する。
【0048】
上記制御ループセットにおいて生成された運転データに基づいて、データが互いに重ならない補助訓練データセット
[数1]
(ここで、
、i=1、2、...、nである)、及び検証データセット
[数2]
(ここで、
、i=1、2、...、kである)を構築する。
、
は、補助訓練データセットT
aの入力パラメータ、出力パラメータであり、
、
は、それぞれ検証データセットSの入力パラメータ、出力パラメータであり、X
aは、補助装置の運転データであり、nは、補助訓練データセットT
aに含まれる制御ループデータであり、kは、検証データセットSに含まれる制御ループの数である。
【0049】
S102では、新規装置の初期運転データに基づいて、ローカル訓練データセットを構築する。
【0050】
いくつかの実施形態において、新規装置に人手でPIDパラメータ整定を行う方式により、いくつかの初期入力パラメータを新規装置に入力し、対応する初期出力パラメータを得て、初期入力パラメータ、初期出力パラメータ及び両者の対応関係に基づいて、ローカル訓練データセット
[数3]
を構築することができ、ここで、
、i=1、2、...、mである。ここで、
は、ローカル訓練データセットT
bの入力パラメータであり、
は、ローカル訓練データセットT
bの出力パラメータであり、X
bは、新規装置の初期運転データである。
【0051】
また、人手でPIDパラメータ整定を行って得られた初期運転データが少ないため、補助訓練データセットTa、検証データセットSに含まれるデータ量は、ローカル訓練データセットTbのデータ量よりはるかに大きくてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、補助訓練データセットTa、検証データセットS、ローカル訓練データセットTbの入力パラメータ、出力パラメータに含まれるパラメータは、同じであってもよい。入力パラメータは、制御ループが属する装置、ループタイプ、ループの閉ループ定常時間Ts、ピーク時間Tp、最大オーバーシュート量Ymax、コントローラの正負作用、制御ループに対応する物理特性などを含んでもよい。出力パラメータは、比例係数(比例帯)、積分時間(分間)、微分時間(分間)であるループPIDパラメータを含んでもよい。
【0053】
上記入力パラメータのうち、Tsは、制御ループの励起から安定への過渡期の応答時間を指し、Tpは、制御ループの過渡期における最大値の時刻であり、Ymaxは、過渡期において設定値を超える最大値であり、コントローラの正負作用は、コントローラの制御ループに対する正帰還作用又は負帰還作用を指す。
【0054】
いくつかの実施形態において、補助装置の運転データXa、新規装置の初期運転データXbは、いずれもテーブルとして記憶されてもよく、各入力パラメータ、出力パラメータは、テーブルにおける対応するデータ項目に基づいて抽出して得られてもよい。
【0055】
S103では、補助訓練データセット、検証データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得る。
【0056】
パラメータ整定モデルのタイプは、入力層、隠れ層及び出力層を含むBPニューラルネットワークモデルであってもよく、各層の間には、入力パラメータと出力パラメータとの間のマッピング関係を説明するための複数のネットワークパラメータが含まれる。
【0057】
マッピング関係をより正確にするために、補助訓練データセットTa、ローカル訓練データセットTb、検証データセットSを用いて、新規モデルに基づいて構築されたBPニューラルネットワークモデルを訓練して検証し、マッピング関係を説明するネットワークモデルを修正して、パラメータ整定モデルを得ることができる。
【0058】
本実施形態において、補助訓練データセット、検証データセットを用いて、ローカルデータセットとともに訓練してパラメータ整定モデルを得る。補助装置に基づく運転データをパラメータ整定モデルの訓練データに追加することにより、新規装置に利用可能な有効データが少ないという欠点を補い、新規装置上で構築されたパラメータ整定モデルのPIDパラメータ整定の正確性と効率を向上させる。
【0059】
いくつかの実施形態において、
図2に示すように、上記ステップS101において、新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築することは、下記ステップS201~S202によって実現することができる。
【0060】
S201では、新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別する。
【0061】
上記実施形態で述べたように、新規装置のループタイプ、制御ループに対応する物理特性は、いずれも各データセットの入力パラメータに含まれる。ループタイプは、流量タイプ、液位タイプ、圧力タイプ、温度タイプなどを含んでもよく、制御ループに対応する物理特性は、液相、非パイプライン気相、パイプライン気相などを含んでもよく、もちろん、これに限定されない。
【0062】
ループタイプ、制御ループに対応する物理特性は、新規装置と補助装置のプロセスタイプを識別するための1組のラベルを構成することができる。なお、新規装置と補助装置のある制御ループのプロセスタイプがマッチングする場合、両者の間のデータ類似度が最も高く、補助装置における当該制御ループの運転データをターゲットデータセットとして、当該新規装置のマッチングしている制御ループを訓練することができる。
【0063】
S202では、ターゲットデータセットに対して分割処理を行って、補助訓練データセット及び検証データセットを得る。
【0064】
次に、補助装置の運転データに基づいて決定されたターゲットデータセットを、データが互いにオーバーラップしない補助訓練データセット及び検証データセットに分割することができる。補助訓練データセットのデータ量は、検証データセットのデータ量より大きくてもよい。
【0065】
補助訓練データセットは、訓練によりパラメータ整定モデルを得るプロセスに用いられ、検証データセットは、訓練が完了した後、訓練後のモデルの正確性を検証するために用いられることができる。
【0066】
本実施形態において、ターゲットデータセットを選別した後、ターゲットデータセットを補助訓練データセット、検証データセットに分割し、同じソースからのデータを用いてモデルの訓練レベルを確認し、パラメータ整定モデルから出力されたPIDパラメータの正確性を向上させる。
【0067】
いくつかの実施形態において、
図3に示すように、上記ステップS201において、新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別することは、下記ステップS301~S302によって実現することができる。
【0068】
S301では、新規装置のループタイプに基づいて、前記補助装置の運転データから前記ループタイプとマッチングする複数のオプション運転データを選別する。
【0069】
まず、新規装置において、複数の整定対象の制御ループを決定することができ、例示的には、新規装置において20個の制御ループを選択し、各制御ループタイプが5個の制御ループに対応し、それにより、7個の新規装置を含むシステムに対して、140個の制御ループを決定することができる。
【0070】
いくつかの実施形態において、補助装置の制御ループから、上記新規装置において選択された制御ループのループタイプとマッチングする制御ループを選別し、これらの選別された補助装置の制御ループの運転データをオプション運転データとする。
【0071】
S302では、前記新規装置の制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記複数のオプション運転データから前記ターゲットデータセットを選別する。
【0072】
上記ステップを基に、オプション運転データに対してさらなる選別を行うことができる。補助装置の複数の制御ループが、ある新規装置の整定対象の制御ループとループタイプがマッチングした場合、当該整定対象の制御ループに対応する物理特性とマッチングする1つ又は複数の補助装置の制御ループを選別し、最終的に選別された補助装置の制御ループの運転データをターゲットデータセットとする。
【0073】
本実施形態において、新規装置と補助装置の制御ループのループタイプ、制御ループに対応する物理特性のマッチング度に基づいて、整定対象の制御ループと類似する運転データをターゲットデータセットとして選別し、データソースから、訓練されたパラメータ整定モデルの正確性を保証する。
【0074】
いくつかの実施形態において、
図4に示すように、上記ステップS103において、補助訓練データセット、検証データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得ることは、下記ステップS401~S405によって実現することができる。
【0075】
S401では、補助訓練データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、中間整定モデルは、初期訓練済みのBPニューラルネットワークであってもよく、補助訓練データセット、ローカル訓練データセットを統合した後、入力パラメータの複数組の値を初期に構築されたBPニューラルネットワークに順次入力する。中間整定モデルの訓練中に、補助訓練データセットを導入して訓練のデータ量を向上させるため、ローカル訓練データセットは、訓練された中間整定モデルと新規装置との適合性がより高くなることを保証する。
【0077】
次に、初期に構築されたBPニューラルネットワークの出力値を入力パラメータに対応する出力パラメータの値と比較して、比較差分値を決定する。
【0078】
最後に、比較差分値に基づいてフォワードフィードバックを行って、初期に構築されたBPニューラルネットワークの初期第1重みベクトルW、初期第2重みベクトルP及び初期オフセットパラメータ値βを修正して、中間整定モデルを得る。
【0079】
S402では、検証データセットに基づいて、中間整定モデルを検証する。
【0080】
前述の実施形態に記載のように、検証データセットは、補助訓練データセットと同じソースからのデータセットであり、当該データセットの入力パラメータ対応値が中間整定モデルに入力された後、中間整定モデルから対応する中間整定モデルの出力パラメータ対応値が出力される。
【0081】
そして、中間整定モデルの出力パラメータ対応値と、検証データセットにおける入力パラメータ値に対応する出力パラメータ値との差値を計算し、差値が所定の差値閾値より小さい場合、この組の入力パラメータの検証に合格した結果を得る。そうでなければ、検証に合格しない。検証データセットにおける複数組の入力パラメータを中間整定モデルに順次入力すると、複数組の検証結果を得る。
【0082】
最後に、複数組の検証結果における検証に合格した組数と、検証データセットにおけるデータの総組数との比率に基づいて、検証データセットの合格比率を決定する。いくつかの実施形態において、合格比率が所定の合格閾値より大きい場合、中間整定モデルの訓練が完了したと考えられる。そうでなければ、即ち、合格比率が所定の合格閾値以下であれば、合格比率が所定の合格閾値より大きくなるまで上記ステップを繰り返し、訓練し続けて新たな中間整定モデルを得ることができる。
【0083】
S403では、検証に合格した後、所定の入力パラメータ値に従って中間整定モデルを実行して、中間整定モデルの出力パラメータ値を得る。
【0084】
中間整定モデルが上記ステップにおいて検証に合格した場合、中間整定モデルを新規装置上で実行することができ、中間整定モデルが新規装置において出力したパラメータの正確性をさらに向上させる。
【0085】
いくつかの実施形態において、1組の所定の入力パラメータ値が中間整定モデルに入力され、中間整定モデルから対応する出力パラメータ値が出力されることができる。所定の入力パラメータ値は、予め人為的に設定された複数組のテスト入力値であってもよく、所定の入力パラメータ値、出力パラメータ値に対応するパラメータは、上記補助訓練データセットにおける入力パラメータ値、出力パラメータ値に対応するパラメータと同じであってもよい。
【0086】
S404では、新規装置が所定の入力パラメータ値に従って運転した後のループPIDパラメータ値を取得する。
【0087】
さらに、上記所定の入力パラメータ値を新規装置の、ローカル訓練データセットに含まれない対応する制御ループに入力してもよく、新規装置が実際に運転した後、新規装置から出力されたループPIDパラメータを得、ループPIDパラメータは、比例係数(比例帯)、積分時間(分間)、微分時間(分間)を含む。
【0088】
S405では、ループPIDパラメータ値及び出力パラメータ値に基づいて、中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、パラメータ整定モデルを得る。
【0089】
同一の所定の入力パラメータに対応するループPIDパラメータ値と出力パラメータ値とを比較して、比較差分値を得る。比較差分値に基づいて、中間整定モデルのパラメータを最適化して、パラメータ整定モデルを得る。
【0090】
なお、所定の入力パラメータ値を、新規装置におけるローカル訓練データセットの構築に関与しない制御ループに入力してもよく、さらに、これらの制御ループから出力されたループPIDパラメータ値と出力パラメータ値との比較結果に基づいて、中間整定モデルを最適化して、整定対象の制御システムにおける各新規装置に対するパラメータ整定モデルのカバレッジを向上させる。
【0091】
以上をまとめると、上記実施形態を基に、訓練し、最適化してパラメータ整定モデルを得るプロセスは、
図5に示すとおりである。
【0092】
まず、補助装置の運転データを抽出して、ターゲットデータセットを得て、さらに、ターゲットデータセットを分割して、補助訓練データセット、検証データセットを生成する。
【0093】
また、新規装置から一部の制御ループを選択して、PIDパラメータ整定を行って、初期運転データを得て、これらの初期運転データを抽出し、ローカル訓練データセットを得てもよい。
【0094】
そして、補助訓練データセット、ローカル訓練データセットを訓練データセットとして統合し、構築されたBPニューラルネットワークモデルを訓練して、中間整定モデルを得る。
【0095】
これを基に、上記ステップで構築された検証データセットにより、中間整定モデルを検証し、合格比率が所定の合格閾値より大きくなるまで、上記訓練プロセスを繰り返すことができる。
【0096】
最後に、中間整定モデルに対して、整定対象のシステムの各新規モデルにおけるローカル訓練データセットの構築に関与しない制御ループにおいて、さらにパラメータ最適化を行って、パラメータ整定モデルを得る。
【0097】
本実施形態において、中間整定モデルに対して検証及びさらなるパラメータ最適化を行って、パラメータ整定モデルを得て、パラメータ整定モデルの出力パラメータ値の正確性をさらに向上させる。
【0098】
いくつかの実施形態において、
図6に示すように、上記ステップS405において、ループPIDパラメータ値及び出力パラメータ値に基づいて、中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、パラメータ整定モデルを得ることは、下記ステップS501~S502によって実現することができる。
【0099】
S501では、ループPIDパラメータ値及び出力パラメータ値に基づいて、パラメータエラー率を決定する。
【0100】
パラメータエラー率ε
tは、下記式で算出することができる。
[数4]
【0101】
ここで、nは、補助訓練データセットにおける制御ループの数であり、mは、ローカル訓練データセットにおける制御ループの数である。
は、i番目の制御ループにおける中間整定モデルのε
tの第1重みベクトルである。h
t(x
i)は、中間整定モデルから出力された出力パラメータ値であり、c(x
i)は、新規装置から出力されたループPIDパラメータ値である。
【0102】
このように、同一の所定の入力パラメータ値に対応する出力パラメータ値とループPIDパラメータ値の差値に基づいて、パラメータエラー率を算出する。
【0103】
S502では、パラメータエラー率に基づいて、中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、パラメータ整定モデルを得る。
【0104】
これを基に、最大平均値差異方法を用いて、中間整定モデルの所定の入力パラメータ値、出力パラメータ値からなるモデルデータ分布状況と、所定の入力パラメータ値、ループPIDパラメータ値からなるデータ分布状況との差異を判断することができ、当該差異は、上記パラメータエラー率εtによって示すことができる。
【0105】
そして、さらにパラメータエラー率εtに基づいて、中間整定パラメータの入力値から出力値へのマッピングを修正して、新規モデルのマッピング関係により近くし、パラメータ整定モデルを得る。
【0106】
本実施形態において、新規モデル上で実行するループPIDパラメータ値及び出力パラメータ値に基づいて、パラメータエラー率を決定し、さらに、これに基づいてパラメータ整定を修正し、パラメータ整定モデルのマッピング正確性を向上させる。
【0107】
いくつかの実施形態において、モデルパラメータは、第1重みベクトル及びオフセットパラメータ値を含む。
【0108】
第1重みベクトルは、中間整定モデルを構成する多層BPニューラルネットワークの各層の重みを示すことができ、オフセットパラメータ値は、BPニューラルネットワークにおけるニューロンの活性化状態に対する制御パラメータ値である。いくつかの実施形態において、BPニューラルネットワークに第2重みベクトルPが設定され、第1重みベクトルとともに中間整定モデルの入力値から出力値へのマッピング関係を特定してもよい。
【0109】
図7に示すように、上記ステップS502において、パラメータエラー率に基づいて、中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、パラメータ整定モデルを得ることは、下記ステップS601~S604によって実現することができる。
【0110】
S601では、パラメータエラー率に基づいて、中間オフセットパラメータ値を修正して、プロセスオフセットパラメータ値を得る。
【0111】
上記ステップで決定されたパラメータエラー率ε
tに基づいて、上記中間オフセットパラメータ値を修正することは、下記式で示すことができる。
[数5]
【0112】
そして、元の中間オフセットパラメータ値を、修正後の中間オフセットパラメータ値、すなわち、プロセスオフセットパラメータ値に置き換える。
【0113】
S602では、プロセスオフセットパラメータ値に基づいて、第1中間重みベクトルを修正して、第1プロセス重みベクトルを得る。
【0114】
これを基に、下記式により、上記ステップにおいて決定されたプロセスオフセットパラメータで第1中間重みベクトルを修正し続ける。
[数6]
【0115】
第1中間重みベクトルを修正後の第1プロセス重みベクトルに置き換えると、第1中間重みベクトルの修正プロセスが1回完了する。
【0116】
S603では、プロセスオフセットパラメータ値及び第1プロセス重みベクトルに基づいて、新たな中間整定モデルを得て、中間整定モデルのパラメータエラー率を再決定する。
【0117】
このように、プロセスオフセットパラメータ値、第1プロセス重みベクトル、第2重みベクトルにより新たな中間整定モデルを構成し、所定の入力パラメータをそれぞれ新規装置、新たな中間整定モデルに入力し、上記式及び新規装置のループPIDパラメータ値、新たな中間整定モデルの出力パラメータ値に基づいて、新たなパラメータエラー率を再計算して決定する。
【0118】
S604では、パラメータエラー率が所定の閾値より小さいか否かを判断する。
【0119】
いくつかの実施形態において、所定の閾値を設定してもよく、再決定されたパラメータエラー率が当該所定の閾値以上である場合、上記ステップを繰り返して実行し続け、中間整定モデルを修正し続けてもよい。
【0120】
S605では、パラメータエラー率が所定の閾値より小さくなるまで上記ステップを繰り返し、中間整定モデルをパラメータ整定モデルとする。
【0121】
再決定されたパラメータエラー率が当該所定の閾値より小さい場合、中間整定モデルの修正が完了したと考えられ、修正が完了した中間整定モデルを最終的なパラメータ整定モデルとする。
【0122】
本実施形態において、パラメータエラー率に基づいて中間整定モデルを反復修正して、中間整定モデルと新規モデルとのフィッティング度を向上させ、新規モデルにおけるパラメータ整定モデルの出力パラメータ値の正確性を向上させる。
【0123】
いくつかの実施形態において、
図8に示すように、上記ステップS401において、補助訓練データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得る前に、以下のステップS701~S704をさらに含んでもよい。
【0124】
S701では、補助訓練データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、二乗平均平方根誤差及び決定係数を決定する。
【0125】
いくつかの実施形態において、二乗平均平方根誤差RMSEは、下記式で決定することができる。
[数7]
【0126】
決定係数R
2は、下記式で決定することができる。
[数8]
【0127】
ここで、mは、補助訓練データセット、ローカル訓練データセットからなる訓練セットのサンプル量を示し、y
iは、訓練セットのi番目のサンプルの新規装置、補助装置におけるサンプル真値を示し、
は、i番目のサンプルの構築されたモデルにおける出力された予測値を示し、
は、サンプル真値の平均値である。
【0128】
S702では、二乗平均平方根誤差及び決定係数に基づいて、パラメータ整定初期モデルの隠れ層ノード数を決定する。
【0129】
そして、上記決定された二乗平均平方根誤差、決定係数の値に基づいて、パラメータ整定初期モデルの隠れ層ノード数を選択する。例示的には、二乗平均平方根誤差、決定係数を複数の範囲に分割し、隠れ層ノード数と1対1に対応させ、二乗平均平方根誤差、決定係数が当該範囲にあると、対応する隠れ層ノード数を決定することができる。
【0130】
いくつかの実施形態において、例えば、本願の実施形態において、隠れ層ノード数は、5であってもよい。
【0131】
S703では、隠れ層ノード数、所定の入力層ノード数及び所定の出力層ノード数に基づいて、パラメータ整定初期モデルを構築する。
【0132】
所定の入力層ノード数は、入力パラメータの数に応じて決定されてもよく、例示的には、7であってもよい。所定の出力層ノード数は、出力パラメータの数に応じて決定されてもよく、例示的には、3であってもよい。
【0133】
このように、隠れ層ノード数、所定の入力層ノード数及び所定の出力層ノード数に基づいて、BPニューラルネットワークのネットワーク構造を構築しておくことができる。
【0134】
いくつかの実施形態において、これを基に、パラメータ整定初期モデルを構築する場合、パラメータ整定初期モデルの初期第1重みベクトルW、初期第2重みベクトルP及び初期オフセット値βを初期化してもよい。いくつかの実施形態において、初期重みベクトルは、
[数9]
であり、
[数10]
【0135】
nは、補助訓練データセットにおける制御ループの数であり、mは、ローカル訓練データセットにおける制御ループの数である。
【0136】
初期オフセットパラメータ値βは、
[数11]
に設定されてもよく、Nがn+mの値である。
【0137】
初期第2重みベクトルは、
[数12]
に設定されてもよく、初期重みベクトルに対応する。
【0138】
BPニューラルネットワークのネットワーク構造及びネットワークパラメータを構築した後、パラメータ整定初期モデルを得る。
【0139】
S704では、補助訓練データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、パラメータ整定初期モデルを訓練して、中間整定モデルを得る。
【0140】
最後に、上記実施形態において構築された補助訓練データセット、ローカル訓練データセットに基づいて、構築されたパラメータ整定初期モデルを訓練し、パラメータ整定初期モデルのパラメータを修正して、中間整定モデルを得る。
【0141】
本実施形態において、二乗平均平方根誤差、決定係数に基づいて、隠れ層ノード数を決定し、さらにパラメータ整定初期モデルを構築することにより、構築されたモデルが訓練セットのデータ量により適合し、フィッティング能力がより高く、訓練速度がより速い。
【0142】
図9に示すように、本願の実施形態は、産業プロセス制御方法をさらに提供し、当該方法は、新規装置に対してPIDパラメータ整定を行うことができる処理機器に適用されてもよく、
図9を参照すると、当該方法は、以下のステップS801~S802を含む。
【0143】
S801では、パラメータ整定モデルに基づいて、制御対象の新規装置の整定パラメータ値を決定し、パラメータ整定モデルは、上記のいずれかの実施形態に記載のパラメータ整定モデルの構築方法により得られる。
【0144】
いくつかの実施形態において、上記実施形態に基づいて、パラメータ整定モデルを決定することができ、当該モデルは、新規装置に適用することができ、新規装置における入力パラメータ値に基づいて、対応するPIDパラメータ値、つまり、制御対象の新規装置の整定パラメータ値を出力する。
【0145】
なお、パラメータ整定モデルの訓練中に、整定対象の産業用制御システムにおける複数の新規装置を導入するため、パラメータ整定モデルは、当該整定対象の産業用制御システムにおける複数の新規装置に対して正確な整定パラメータ値を出力することができる。
【0146】
S802では、整定パラメータ値に基づいて、ターゲットプロセスを実行するように新規装置を制御する。
【0147】
ターゲットプロセスは、新規装置が整定パラメータ値に基づいて運転するプロセスであってもよく、整定パラメータ値は、パラメータ整定モデルから出力され、新規装置に対して調整すべき値であることが理解される。したがって、整定パラメータ値を新規装置に入力して、ターゲットプロセスを実行するようにその運転を制御することができる。
【0148】
本実施形態において、パラメータ整定モデルから出力された整定パラメータ値に基づいて、新規装置の運転を制御することにより、新規装置において、高い効率で所定の制御効果を達成し、パラメータ整定の自動化程度を向上させることができる。
【0149】
図10を参照すると、本願の実施形態は、データセット構築モジュール1001と、モデル訓練モジュール1002と、モデル構築モジュール1003とを備えるパラメータ整定モデルの構築装置100をさらに提供する。
【0150】
データセット構築モジュール1001は、新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築するように構成され、新規装置は、訓練対象のパラメータ整定モデルが適用される装置であり、補助装置は、パラメータ整定が完了し、かつ正式に運転した装置であり、
データセット構築モジュール1001は、さらに、新規装置の初期運転データに基づいて、ローカル訓練データセットを構築するように構成される。
【0151】
モデル訓練モジュール1002は、補助訓練データセット、検証データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得るように構成される。
【0152】
データセット構築モジュール1001は、具体的には、新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別し、ターゲットデータセットに対して分割処理を行って、補助訓練データセット及び検証データセットを得るように構成される。
【0153】
データセット構築モジュール1001は、具体的には、新規装置のループタイプに基づいて、補助装置の運転データからループタイプとマッチングする複数のオプション運転データを選別し、新規装置の制御ループに対応する物理特性に基づいて、複数のオプション運転データからターゲットデータセットを選別するように構成される。
【0154】
モデル訓練モジュール1002は、具体的には、補助訓練データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得て、検証データセットに基づいて中間整定モデルを検証し、検証に合格した後、所定の入力パラメータ値に従って中間整定モデルを実行して、中間整定モデルの出力パラメータ値を得て、新規装置が所定の入力パラメータ値に従って運転した後のループPIDパラメータ値を取得し、ループPIDパラメータ値及び出力パラメータ値に基づいて、中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、パラメータ整定モデルを得るように構成される。
【0155】
モデル訓練モジュール1002は、具体的には、ループPIDパラメータ値及び出力パラメータ値に基づいて、パラメータエラー率を決定し、パラメータエラー率に基づいて、中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、パラメータ整定モデルを得るように構成される。
【0156】
モデル訓練モジュール1002は、具体的には、モデルパラメータが第1中間重みベクトル及び中間オフセットパラメータ値を含み、パラメータエラー率に基づいて、中間オフセットパラメータ値を修正して、プロセスオフセットパラメータ値を得て、プロセスオフセットパラメータ値に基づいて、第1中間重みベクトルを修正して、第1プロセス重みベクトルを得て、プロセスオフセットパラメータ値及び第1プロセス重みベクトルに基づいて、新たな中間整定モデルを得て、中間整定モデルのパラメータエラー率を再決定し、パラメータエラー率が所定の閾値より小さくなるまで上記ステップを繰り返し、中間整定モデルをパラメータ整定モデルとするように構成される。
【0157】
モデル構築モジュール1003は、補助訓練データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、二乗平均平方根誤差及び決定係数を決定し、二乗平均平方根誤差及び決定係数に基づいて、パラメータ整定初期モデルの隠れ層ノード数を決定し、隠れ層ノード数、所定の入力層ノード数及び所定の出力層ノード数に基づいて、パラメータ整定初期モデルを構築し、補助訓練データセット及びローカル訓練データセットに基づいて、パラメータ整定初期モデルを訓練して、中間整定モデルを得るように構成される。
【0158】
図11を参照すると、本願の実施形態は、
パラメータ整定モデルに基づいて、制御対象の新規装置の整定パラメータ値を決定するように構成される決定モジュールであって、パラメータ整定モデルは、上記のいずれかの実施形態に記載のパラメータ整定モデルの構築方法により得られるものである、決定モジュール1101と、
整定パラメータ値に基づいて、ターゲットプロセスを実行するように新規装置を制御するように構成される制御モジュール1102と、を備える産業プロセス制御装置110をさらに提供する。
【0159】
図12を参照すると、本実施形態は、プロセッサ2001と、メモリ2002と、バスとを含む処理機器であって、メモリ2002には、プロセッサ2001によって実行可能な機械可読命令が記憶され、処理機器が動作するとき、上記機械可読命令が実行され、プロセッサ2001とメモリ2002とは、バスを介して通信し、プロセッサ2001は、上記実施形態におけるパラメータ整定モデルの構築方法又は産業プロセス制御方法のステップを実行するように構成される、処理機器をさらに提供する。
【0160】
メモリ2002、プロセッサ2001及びバスは、各素子が互いに直接又は間接的に電気的に接続され、データの伝送又は交換を実現する。例えば、これらの要素は、1つ又は複数の通信バス又は信号線によって互いに電気的に接続されてもよい。パラメータ整定モデルの構築システム又は産業プロセス制御システムのデータ処理装置は、ソフトウェア又はファームウェア(firmware)の形態でメモリ2002に記憶されるか又は処理機器のオペレーティングシステム(operating system、OS)内でキュアされた少なくとも1つのソフトウェア機能モジュールを含む。プロセッサ2001は、メモリ2002に記憶された実行可能なモジュール、例えば、パラメータ整定モデルの構築システム又は産業プロセス制御システムのデータ処理装置に含まれるソフトウェア機能モジュール及びコンピュータプログラムなどを実行するように構成される。
【0161】
メモリ2002は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory、ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(Programmable Read-Only Memory、PROM)、消去可能読み取り専用メモリ(Erasable Programmable Read-Only Memory、EPROM)、電気的消去可能読み取り専用メモリ(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory、EEPROM)などであってもよいが、これらに限定されない。
【0162】
いくつかの実施形態において、本願は、コンピュータプログラムが記憶されている記憶媒体であって、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、上記方法の実施形態のステップを実行する、記憶媒体をさらに提供する。具体的な実現方式及び技術的効果は同様であり、本願では説明を省略する。
【0163】
当業者であれば、説明の便宜及び簡潔さのために、上記システム、装置の具体的な作業プロセスについて、方法の実施における対応するプロセスを参照することができることを明確に理解でき、本願では説明を省略する。本願に係るいくつかの実施形態において、開示されたシステム、装置及び方法は、他の形態で実現することができることを理解されたい。以上に説明された装置の実施形態は、例示的なものに過ぎず、例えば、上記モジュールの分割は、ロジック機能の分割に過ぎず、実際に実現する時に、別の分割形態であってもよく、また例えば複数のモジュール又はコンポーネントは、組み合わせられてもよく、又は別のシステムに統合されてもよく、或は、一部の特徴は、省略されるか、又は実行されなくてもよい。さらに、表示又は議論された相互結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかの通信インタフェース、装置又はモジュールを通じた間接結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的又は他の形式であってもよい。
【0164】
また、本願の各実施形態において、各機能ユニットが1つの処理ユニットに集積されてよく、各ユニットが別個に物理的に存在してもよく、2つ以上のユニットが1つのユニットに集積されてもよい。上記機能は、ソフトウェア機能ユニットの形式で実現され、独立した製品として販売又は使用される場合、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本願に係る技術的解決手段は、本質的に、又は、従来技術に寄与する部分又は当該技術的解決手段の一部は、ソフトウェア製品の形態で具現化されてよく、当該コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶されており、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク装置等であってよい)に本願の各実施形態に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるためのいくつかのコマンドを含む。前述の記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、ROM、RAM、磁気ディスク、又は光ディスクなどの、プログラムコードを記憶できる様々な媒体を含む。
【0165】
以上、本願の具体的な実施形態について説明したが、本願の保護範囲は、それらに限定されておらず、当業者が本願によって開示された技術的範囲内に容易に想到し得るすべての変更又は置換は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。このため、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を基準とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本願の実施形態に係る技術的解決手段は、産業自動化制御の技術分野に適用可能であり、本願に係るパラメータ整定モデルの構築方法及び産業プロセス制御方法によれば、補助装置の運転データによって補助訓練データセットを構築し、新規装置の運転データによって構築されたローカル訓練データセットとともにパラメータ整定モデルを訓練して構築することができる。本願は、既にパラメータ整定が完了し、正式に運転した補助装置の運転データを十分に利用してパラメータ整定モデルを訓練し、新規装置に利用可能な有効データが少ないという欠点を補い、新規装置上で構築されたパラメータ整定モデルのPIDパラメータ整定の正確性と効率を向上させる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築するステップであって、前記新規装置は、訓練対象のパラメータ整定モデルが適用される装置であり、前記補助装置は、パラメータ整定が完了し、かつ正式に運転した装置である、ステップと、
前記新規装置の初期運転データに基づいて、ローカル訓練データセットを構築するステップと、
前記補助訓練データセット、前記検証データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得るステップと、を含む、パラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項2】
新規装置のループ情報及び補助装置の運転データに基づいて、補助訓練データセット及び検証データセットを構築する前記ステップは、
前記新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別するステップと、
前記ターゲットデータセットに対して分割処理を行って、前記補助訓練データセット及び前記検証データセットを得るステップと、を含む、請求項1に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項3】
前記新規装置のループタイプ及び制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記補助装置の運転データからターゲットデータセットを選別する前記ステップは、
前記新規装置のループタイプに基づいて、前記補助装置の運転データから前記ループタイプとマッチングする複数のオプション運転データを選別するステップと、
前記新規装置の制御ループに対応する物理特性に基づいて、前記複数のオプション運転データから前記ターゲットデータセットを選別するステップと、を含む、請求項2に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項4】
前記補助訓練データセット、前記検証データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練してパラメータ整定モデルを得る前記ステップは、
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得るステップと、
前記検証データセットに基づいて、前記中間整定モデルを検証し、検証に合格した後、所定の入力パラメータ値に従って前記中間整定モデルを実行して、前記中間整定モデルの出力パラメータ値を得るステップと、
前記新規装置が前記所定の入力パラメータ値に従って運転した後のループPIDパラメータ値を取得するステップと、
前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、前記中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、前記パラメータ整定モデルを得るステップと、を含む、請求項
1に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項5】
前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、前記中間整定モデルに対してパラメータ最適化を行って、前記パラメータ整定モデルを得る前記ステップは、
前記ループPIDパラメータ値及び前記出力パラメータ値に基づいて、パラメータエラー率を決定するステップと、
前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、前記パラメータ整定モデルを得るステップと、を含む、請求項4に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項6】
前記モデルパラメータは、第1中間重みベクトル及び中間オフセットパラメータ値を含み、
前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間整定モデルのモデルパラメータを反復修正して、前記パラメータ整定モデルを得る前記ステップは、
前記パラメータエラー率に基づいて、前記中間オフセットパラメータ値を修正して、プロセスオフセットパラメータ値を得るステップと、
前記プロセスオフセットパラメータ値に基づいて、前記第1中間重みベクトルを修正して、第1プロセス重みベクトルを得るステップと、
前記プロセスオフセットパラメータ値及び前記第1プロセス重みベクトルに基づいて、新たな中間整定モデルを得て、前記中間整定モデルのパラメータエラー率を再決定するステップと、
前記パラメータエラー率が所定の閾値より小さくなるまで上記ステップを繰り返し、前記中間整定モデルを前記パラメータ整定モデルとするステップと、を含む、請求項5に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項7】
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、訓練して中間整定モデルを得る前記ステップの前に、前記方法は、
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、二乗平均平方根誤差及び決定係数を決定するステップと、
前記二乗平均平方根誤差及び前記決定係数に基づいて、パラメータ整定初期モデルの隠れ層ノード数を決定するステップと、
前記隠れ層ノード数、所定の入力層ノード数及び所定の出力層ノード数に基づいて、前記パラメータ整定初期モデルを構築するステップと、
前記補助訓練データセット及び前記ローカル訓練データセットに基づいて、前記パラメータ整定初期モデルを訓練して、前記中間整定モデルを得るステップと、をさらに含む、請求項4に記載のパラメータ整定モデルの構築方法。
【請求項8】
パラメータ整定モデルに基づいて、制御対象の新規装置の整定パラメータ値を決定するステップであって、前記パラメータ整定モデルは、請求項1~7のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法により得られるものである、ステップと、
前記整定パラメータ値に基づいて、ターゲットプロセスを実行するように前記新規装置を制御するステップと、を含む、産業プロセス制御方法。
【請求項9】
プロセッサと、記憶媒体と、バスとを含む処理機器であって、
前記記憶媒体には、前記プロセッサによって実行可能な機械可読命令が記憶され、
前記処理機器が動作するとき、前記プロセッサと前記記憶媒体とは、バスを介して通信し、前記プロセッサは、前記機械可読命令を実行して、請求項1~7のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方
法のステップを実行する、処理機器。
【請求項10】
プロセッサと、記憶媒体と、バスとを含む処理機器であって、
前記記憶媒体には、前記プロセッサによって実行可能な機械可読命令が記憶され、
前記処理機器が動作するとき、前記プロセッサと前記記憶媒体とは、バスを介して通信し、前記プロセッサは、前記機械可読命令を実行して、請求項8に記載の産業プロセス制御方法のステップを実行する、処理機器。
【請求項11】
コンピュー
タに、請求項1~7のいずれか一項に記載のパラメータ整定モデルの構築方法
を実行させるように構成される、コンピュータ
プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、請求項8に記載の産業プロセス制御方法を実行させるように構成される、コンピュータプログラム。
【国際調査報告】