(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-30
(54)【発明の名称】軸回動角度検出装置、方法および電子機器
(51)【国際特許分類】
G01D 5/241 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
G01D5/24 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559070
(86)(22)【出願日】2023-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2023089563
(87)【国際公開番号】W WO2024082587
(87)【国際公開日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】202211265521.0
(32)【優先日】2022-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521010115
【氏名又は名称】基合半導体(寧波)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】呉奕斌
(72)【発明者】
【氏名】夏波
(72)【発明者】
【氏名】倪瑞銘
(72)【発明者】
【氏名】張耀国
(72)【発明者】
【氏名】張毓麟
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA14
2F077AA21
2F077CC02
2F077HH03
2F077HH12
(57)【要約】
本願は、角度測定の技術分野に関し、軸回動角度検出装置、方法および電子機器を開示する。この軸回動角度検出装置において、第1電極板が第1平面に位置し、第2及び第3電極板は、大きさが等しくかつ中心が同じである環状セクターであり、第1平面と平行な平面に位置し、誘電体は上記2つの平面の間に位置し、その回転軸が上記平面に垂直で上記環状セクターの中心を通り、誘電体の第2及び第3電極板上への投影は、いずれも環状セクターであり、両環状セクターの中心はいずれも上記の中心であり、内径および外径はそれぞれ等しく、容量検出チップは、入力端子に3つの電極板のピンが接続され、第1電極板と第2電極板の間の第1容量値と、第1電極板と第3電極板の間の第2容量値との比を検出し、検出された比と前回検出された比の変化に基づいて誘電体の軸回動角度を決定することに用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量検出チップ(10)、第1電極板(2-1)、第2電極板(2-2)、第3電極板(2-3)および誘電体(2-4)を備え、
前記第1電極板(2-1)は第1平面に位置し、前記第2電極板(2-2)及び前記第3電極板(2-3)は前記第1平面と平行な第2平面に位置し、前記誘電体(2-4)は前記第1平面と平行な第3平面に位置し、前記第3平面は前記第1平面と前記第2平面との間に位置し、
前記第2電極板(2-2)は第1環状セクターであり、前記第3電極板(2-2)は第2環状セクターであり、前記第1環状セクターと前記第2環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じであり、前記誘電体(2-4)の回転軸(3-5)は、前記第3平面に垂直で前記第2環状セクターの中心を通る直線であり、前記誘電体(2-4)の前記第2電極板(2-2)上への投影は、第3環状セクターであり、前記誘電体(2-4)の前記第3電極板(2-3)上への投影は、第4環状セクターであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの中心は、いずれも前記第2環状セクターの中心と同じであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの内径および外径は、それぞれ等しく、
前記第1電極板(2-1)のピン、前記第2電極板(2-2)のピン及び前記第3電極板(2-3)のピンは、前記容量検出チップ(10)の入力端子にそれぞれ接続され、
前記容量検出チップ(10)は、前記第1電極板(2-1)と前記第2電極板(2-2)との間の容量値である第1容量値と、前記第1電極板(2-1)と前記第3電極板(2-3)との間の容量値である第2容量値との比を検出し、検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、前記誘電体(2-4)の軸回動角度を決定することに用いられる、
ことを特徴とする軸回動角度検出装置。
【請求項2】
前記第1電極板(2-1)は、第5環状セクターであり、
前記第5環状セクターの中心は、前記回転軸(3-5)上に位置し、前記第5環状セクターの内径は、前記第1環状セクターの内径と同一であり、前記第5環状セクターの外径は、前記第1環状セクターの外径と同一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の軸回動角度検出装置。
【請求項3】
前記誘電体(2-4)は、第6環状セクターであり、
前記第6環状セクターの中心は、前記回転軸(3-5)上に位置し、前記第6環状セクターの内径は、前記第1環状セクターの内径と同じであり、前記第6環状セクターの外径は、前記第1環状セクターの外径と同じである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の軸回動角度検出装置。
【請求項4】
前記容量検出チップ(10)は、さらに、検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、前記誘電体(2-4)の軸回動角度を決定することに用いられる、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の軸回動角度検出装置。
【請求項5】
第1容量値と第2容量値との比を検出することと、
検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、誘電体の軸回動角度を決定することと、を含み、
ここで、前記第1容量値は、第1電極板と第2電極板との間の容量値であり、前記第2容量値は、前記第1電極板と第3電極板との間の容量値であり、前記第1電極板は、第1平面に位置し、前記第2電極板および前記第3電極板は、前記第1平面と平行な第2平面に位置し、誘電体は、前記第1平面と平行な第3平面に位置し、前記第3平面は前記第1平面と前記第2平面との間に位置し、前記第2電極板は第1環状セクターであり、前記第3電極板は第2環状セクターであり、前記第1環状セクターと前記第2環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じであり、前記誘電体の回転軸は、前記第3平面に垂直で前記第2環状セクターの中心を通る直線であり、前記誘電体の前記第2電極板上への投影は、第3環状セクターであり、前記誘電体の前記第3電極板上への投影は、第4環状セクターであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの中心は、いずれも前記第2環状セクターの中心と同じであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの内径および外径は、それぞれ等しい、
ことを特徴とする軸回動角度検出方法。
【請求項6】
前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、誘電体の軸回動角度を決定することは、
予め記憶された比と回動角度との対応関係に基づいて、前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比に対応する第1回動角度を取得し、前記の前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比に対応する第2回動角度を取得することと、
前記第1回動角度と前記第2回動角度の差分値に基づいて、前記誘電体の軸回動角度を取得することと、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の軸回動角度検出方法。
【請求項7】
前記誘電体を中心として前記回転軸上に位置する環状セクターである場合に、前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて誘電体の軸回動角度を決定することは、
前記誘電体の中心角、前記第2電極板の中心角、及び前記第3電極板の中心角に基づいて、前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比に対応する第1回動角度を算出するとともに、前記の前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比に対応する第2回動角度を算出することと、
前記第1回動角度と前記第2回動角度との差分値に基づいて、前記誘電体の軸回動角度を取得することと、を含む、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の軸回動角度検出方法。
【請求項8】
前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて誘電体の軸回動角度を決定した後、
前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比が前記の前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比よりも大きい場合、前記誘電体の軸回動方向が第1プリセット方向であることを決定することと、
前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比が前記の前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比よりも小さい場合、前記誘電体の軸回動方向が第2プリセット方向であることを決定することと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の軸回動角度検出方法。
【請求項9】
前記の誘電体の軸回動角度を判定した後、前記の今回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比を、前記の前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比として記憶することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の軸回動角度検出方法。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載の軸回動角度検出装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号が202211265521.0、出願日が2022年10月17日である中国特許出願に基づいて提出され、この中国特許出願の優先権を主張するものであり、この中国特許出願の開示全体は、援用により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
(発明の分野)
本願は、回動角度測定の技術分野に関し、特に、軸回動角度検出装置、方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
軸回動角度の測定は、ポテンショメータ、トリガーボタン、折り畳み可能な機器、サーボモータなどの応用シーンにおいて非常に重要な意義を持っている。従来の軸回動角度を測定する技術手段の一つは、磁石とホールチップ検出構造によって軸回動角度の測定を実現することである。方向と角度の変化は、磁石とホールチップとの距離を変化させるため、ホールチップが出力するアナログ信号の変化によって軸回動角度を反映することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一方で、外界磁場などは、このような技術手段による軸回動角度検出に干渉する。一方で、温度変化に伴う部品の熱膨張と冷収縮や、関連部品の劣化などによって、磁石とホールチップとの距離が変化する。これらの要因は、いずれもホールチップの信号精度のばらつきをさらに招き、最終的には軸回動角度検出の精度を損なう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、一種の軸回動角度検出装置を提供し、容量検出チップ、第1電極板、第2電極板、第3電極板および誘電体を備え、前記第1電極板は第1平面に位置し、前記第2電極板及び前記第3電極板は前記第1平面と平行な第2平面に位置し、前記誘電体は前記第1平面と平行な第3平面に位置し、前記第3平面は前記第1平面と前記第2平面との間に位置し、前記第2電極板は第1環状セクターであり、前記第3電極板は第2環状セクターであり、前記第1環状セクターと前記第2環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じであり、前記誘電体の回転軸は、前記第3平面に垂直で前記第2環状セクターの中心を通る直線であり、前記誘電体の前記第2電極板上への投影は、第3環状セクターであり、前記誘電体の前記第3電極板上への投影は、第4環状セクターであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの中心は、いずれも前記第2環状セクターの中心と同じであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの内径および外径は、それぞれ等しく、前記第1電極板のピン、前記第2電極板のピン及び前記第3電極板のピンは、前記容量検出チップの入力端子にそれぞれ接続され、前記容量検出チップは、前記第1電極板と前記第2電極板との間の容量値である第1容量値と、前記第1電極板と前記第3電極板との間の容量値である第2容量値との比を検出し、検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、前記誘電体の軸回動角度を決定することに用いられる。
【0006】
本発明の実施形態は、一種の軸回動角度検出方法をさらに提供し、第1容量値と第2容量値との比を検出することと、検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、誘電体の軸回動角度を決定することとを含み、ここで、前記第1容量値は、第1電極板と第2電極板との間の容量値であり、前記第2容量値は、前記第1電極板と第3電極板との間の容量値であり、前記第1電極板は、第1平面に位置し、前記第2電極板および前記第3電極板は、前記第1平面と平行な第2平面に位置し、誘電体は、前記第1平面と平行な第3平面に位置し、前記第3平面は前記第1平面と前記第2平面との間に位置し、前記第2電極板は第1環状セクターであり、前記第3電極板は第2環状セクターであり、前記第1環状セクターと前記第2環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じであり、前記誘電体の回転軸は、前記第3平面に垂直で前記第2環状セクターの中心を通る直線であり、前記誘電体の前記第2電極板上への投影は、第3環状セクターであり、前記誘電体の前記第3電極板上への投影は、第4環状セクターであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの中心は、いずれも前記第2環状セクターの中心と同じであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの内径および外径は、それぞれ等しい。
【0007】
本発明の実施形態は、上述した軸回動角度検出装置を備えた電子機器をさらに提供する。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記第1電極板は第5環状セクターであり、前記第5環状セクターの中心は、前記回転軸上に位置し、前記第5環状セクターの内径は、前記第1環状セクターの内径と同一であり、前記第5環状セクターの外径は、前記第1環状セクターの外径と同一である。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記誘電体は第6環状セクターであり、前記第6環状セクターの中心は、前記回転軸上に位置し、前記第6環状セクターの内径は、前記第1環状セクターの内径と同じであり、前記第6環状セクターの外径は、前記第1環状セクターの外径と同じである。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記容量検出チップは、さらに、検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、前記誘電体の軸回動角度を決定することに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
一つ又は複数の実施形態は、それに対応する図面中の図を通じて例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施形態を限定するものではなく、図面において同一の符号を付した要素は類似の要素として示され、特に断らない限り、図面中の図示割合は制限されない。
【
図1】
図1は、本願の一実施形態に係る軸回動角度検出装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本願の一実施形態に係る軸回動角度検出装置の一部の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施形態に係る軸回動角度検出装置の一部を示す正面図である。
【
図4】
図4は、本願の一実施形態に係る軸回動角度検出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願実施例は、軸回動角度検出の精度を確保し、軸回動角度検出の信頼性を向上させるための軸回動角度検出装置、方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【0013】
本願実施例の目的、技術案および利点をより明確にするために、以下、本願の各実施形態について図面を用いて詳述する。しかしながら、当業者であれば、本願の各実施形態において、読者に本願をより良く理解させるために多くの技術的細部が提案されることを理解することができる。しかし、これらの技術的細部や以下の各実施例に基づく様々な変更と修正がなかったとしても、本願が保護しようとする技術案を実現することが可能である。
【0014】
本願実施例の説明に先立ち、他の関連技術及びその存在する問題点についてさらに説明する。
【0015】
関連技術には、2枚の電極板からなる軸回動角度検出装置も存在する。このような軸回動角度検出装置は、2枚の電極板間の静電容量の変化により軸回動角度を反映し、2枚の電極板間の静電容量を検出することで軸回動角度の検出を実現する。しかしながら、このような軸回動角度検出装置は、一方の電極板が回動しているため、電極板の信号を検出する際に、この回動する電極板のピン処理の難しさが大きい。また、このような軸回動角度検出装置では、部品の熱膨張と冷収縮によって2枚の電極板間の距離が変化し、さらに軸回動角度検出が不正確となってしまうこともある。
【0016】
本願の実施形態は、軸回動角度検出装置に関するものである。以下、軸回動角度検出装置に係る技術の詳細について具体的に説明するが、以下では、本発明の実現の細部を理解しやくするためだけであり、本発明を実施するための必須ではない。この軸回動角度検出装置の概略構成を
図1に示す。
【0017】
いくつかの実施形態において、軸回動角度検出装置は、容量検出チップ10、第1電極板2-1、第2電極板2-2、第3電極板2-3、及び誘電体2-4を備える。
【0018】
第1電極板2-1は、第1平面(
図1に示す2-1が所在する平面を参照)に位置し、第2電極板2-2及び第3電極板2-3は、第1平面と平行な第2平面(
図1に示す2-2及び2-3が所在する平面を参照)に位置し、誘電体2-4は、第1平面と平行な第3平面(
図1に示す2-4が所在する平面を参照)に位置し、第3平面は、第1平面と第2平面との間に位置する。
【0019】
第2電極板2-2と第3電極板2-3は同一の平面に位置しているので、両者の第1平面からの距離は等しい。また、熱膨張と冷収縮またはハードウェア構成の変化によって第1平面と第2平面との距離が変化する場合、第2電極板2-2及び第3電極板2-3と第1平面との距離が等しいことを常に確保することができる。すなわち、第1電極板2-1と第2電極板2-2の間の板間距離d
lと、第1電極板2-1と第3電極板2-3の間の板間距離d
2とは常に等しい(ここでのd
l、d
2は、
図2に示す軸回動角度検出装置の概略構成図に示すdを参照)。同時に、第1電極板2-1と第2電極板2-2の間の誘電体と、第1電極板2-1と第3電極板2-3の間の誘電体とは同一の誘電体(いずれも誘電体2-4)であるため、第2容量値(第1電極板2-1と第3電極板2-3との間の容量値)に対する第1容量値(第1電極板2-1と第2電極板2-2との間の容量値)の比c
l/c
2(εS
1/4πkd
l)/(εS
2/4πkd
2)=S
1/S
2となる。後続の容量検出チップが容量値の比を検出することによって軸回動角度の検出を実現できることに条件を提供した。
【0020】
第2電極板2-2は、第1環状セクター(annular sector)であり、第3電極板2-3は、第2環状セクターであり、第1環状セクターと第2環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じである。ここで、第2電極板2-2及び第3電極板2-3の形状は、
図1に示すように、いずれも環状セクターであることが理解できる。また、2つの環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じである。
【0021】
誘電体2-4の回転軸は、第3平面に垂直でかつ第2環状セクターの中心を通る直線である。ここでの回転軸をより詳細に説明するために、
図2に示す軸回動角度検出装置の概略構成図を参照してください。
図2に示す軸回動角度検出装置では、3-5が所在する直線は誘電体3-4の回転軸である。本実施形態に係る検出装置が検出するのは、誘電体3-4が回転軸3-5で回動する軸回動角度であることが理解できる。また、
図2において、第1電極板が3-1で、第2電極板が3-2で、第3電極板が3-3で、誘電体が3-4でそれぞれ示されている。
【0022】
なお、一例では、
図1または
図2に示すように、第1電極板2-1は1つの環状セクターであってもよい。一例では、第1電極板2-1は第5環状セクターであり、第5環状セクターの中心は回転軸3-5上に位置し、第5環状セクターの内径は第1環状セクターの内径と同じであり、第5環状セクターの外径は第1環状セクターの外径と同じである。理解できるように、一例では、第5環状セクターの中心は、実際には3-5に示すような回転軸と第1平面との交点である。
【0023】
理解できるように、
図1及び
図2に示す上記の第1電極板2-1に加えて、第1電極板2-1の内径は第2電極板2-2の内径より小さくてもよく、第1電極板2-1の外径は第2電極板2-2の外径より大きくてもよい。第1電極板2-1の第2電極板2-2への投影が第2電極板2-2の領域よりも小さくないようにするだけで、第1電極板2-1と第2電極板2-2とを含むコンデンサの正対面積は第2電極板2-2によって決定され、さらに相応の技術的効果を奏することができる。同様に、第1電極板2-1の第3電極板2-3への投影は、第3電極板2-3の領域よりも小さくないべきである。したがって、第1電極板2-1の形状は、環状セクターでなくてもよい。
【0024】
上記の例で述べた第1電極板2-1によれば、第1電極板2-1の面積を最大限に縮小することができ、第1電極板2-1に必要な材料コストを最大限に節約することができ、ひいては軸回動角度検出装置の実現コストを可及的に低減することができる。
【0025】
誘電体2-4の第2電極板2-2上への投影は、第3環状セクターであり、誘電体2-4の第3電極板2-3上への投影は、第4環状セクターである。より詳細に説明するために、
図3に示す軸回動角度検出装置の一部の正面図を参照してください。
図3に示す領域S
1は、誘電体2-4が第2電極板2-2上に投影された第3環状セクターであり、
図3に示す領域S
2は、誘電体2-4が第3電極板2-3上に投影された第4環状セクターである。
【0026】
第3環状セクター及び第4環状セクターの中心は、いずれも第2環状セクターの中心と同じであり(
図3に示す円心Oを参照)、かつ、第3環状セクターと第4環状セクターの内径(
図3に示すrを参照)及び外径(
図3に示すRを参照)は、それぞれ等しい。
【0027】
理解できるように、第3環状セクターは、第1コンデンサ(第1電極板2-1および第2電極板2-2を含むコンデンサ)の正対面積(
図3に示すS
1を参照)であり、第4環状セクターは、第2コンデンサ(第1電極板2-1および第3電極板2-3を含むコンデンサ)の正対面積(
図3に示すS
2を参照)である。従って、第1容量値(第1電極板2-1と第2電極板2-2の間の容量値)と第2容量値(第1電極板2-1と第3電極板2-3の間の容量値)との比c
l/c
2=S
1/S
2=[0.5θ
1(R
2-r
2)]/[0.5θ
2(R
2-r
2)]=θ
1/θ
2。第1容量値と第2容量値との比は、誘電体2-4が第2電極板2-2と第3電極板2-3上に投影する中心角の比に等しい。すなわち、第1容量値と第2容量値との比を検出するのは、誘電体2-4の投影の中心角の比を検出することである。誘電体2-4が両電極板(第2電極板2-2と第3電極板2-3)上に投影する中心角の比は、現在の誘電体2-4の位置を反映することができるので、容量検出チップ10は、容量値の比を検出することで軸回動角度の検出を実現することができる。
【0028】
一例において、誘電体2-4の形状は、環状セクターであってもよい。
【0029】
一例において、誘電体2-4は、中心が回転軸3-5上に位置し、内径が第1環状セクターの内径と同じで、外径が第1環状セクターの外径と同じである第6環状セクターであってもよい。
【0030】
一例において、第6環状セクターの中心は、実際には
図2に示した回転軸3-5と第3平面との交点であることが理解できる。
【0031】
理解できるように、上述した誘電体2-4の他に、誘電体2-4の内径は、第2電極板2-2の内径よりも大きくかつ第2電極板2-2の外径よりも小さくてもよく、誘電体2-4の外径は、第2電極板2-2の外径よりも大きくてもよく、第2電極板2-2の外径よりも小さくてもよい。誘電体2-4を第2電極板2-2と第3電極板2-3にそれぞれ投影して得られた2つの環状セクター間の内径と外径をそれぞれ等しくするだけで、相応の技術的効果を達成することができる。
【0032】
また、誘電体2-4の形状は環状セクターでなくてもよく、その場合、誘電体2-4の第2電極板2-2への投影の内径と外径を第2電極板2-2の形状によって決定させればよく、ひいては相応の技術的効果を達成することができる。
【0033】
上記の例に係る誘電体2-4を採用すれば、誘電体2-4の面積を効果的に縮小でき、誘電体2-4に必要な材料の大幅な節約が図れ、さらに軸回動角度検出装置の実現コストを低減できる。
【0034】
図1に示すように、第1電極板2-1のピン、第2電極板2-2のピンおよび第3電極板2-3のピンは、それぞれ容量検出チップ10の入力端子に接続されている。
【0035】
容量検出チップ10は、第1電極板2-1と第2電極板2-2の間の容量値である第1容量値と、第1電極板2-1と第3電極板2-3の間の容量値である第2容量値との比を検出するためのものである。容量検出チップ10は、理解できるように、第1電極板2-1のピンと第2電極板2-2のピンが入力する信号を検出することにより、第1容量値の検出を実現する。同様に、第1電極板2-1のピンと第3電極板2-3のピンが入力する信号を検出することにより、第2容量値の検出を実現する。
【0036】
一例において、容量検出チップ10はまた、検出された第1容量値と第2容量値との比と、前回検出された第1容量値と第2容量値との比の変化に基づいて、誘電体2-4の軸回動角度を決定する。
【0037】
前述のように、cl/c2=θ1/θ2、第1容量値と第2容量値との比は、誘電体2-4が第2電極板2-2と第3電極板2-3上に投影する中心角の比に等しい。すなわち、第1容量値と第2容量値との比を検出するのは、誘電体2-4の投影の中心角の比を検出することになる。誘電体2-4が両電極板上に投影する中心角の比は、現在の誘電体2-4の位置を反映することができる。
【0038】
また、一例において、容量検出チップ10は、検出された第1容量値と第2容量値との比と、前回検出された第1容量値と第2容量値との比の変化に基づいて、誘電体2-1の軸回動方向を決定するために使用することもできる。本例に開示された容量検出チップ10によれば、軸回動角度検出装置は、多くの実用シーンにおける回動方向の取得ニーズを満たすことができる。
図1に示す軸回動角度検出装置では、容量検出チップが出力するのは、軸回動角度または軸回動角度および回動方向であることが理解できる。
【0039】
一例において、誘電体2-4の中心角は180度である(
図1参照)。前回検出された第1容量値と第2容量値との比は1であり、誘電体2-4が
図1に示す初期位置にあることがわかる。今回検出された第1容量値と第2容量値との比は、3である。軸回動検出装置の正面図が
図3に示すようなものであり、かつS
1とS
2の間の環状セクター領域の中心角が60度であると、前回の検出時に比べて、誘電体2-4の回動方向は
図3における反時計回りの方向であり、誘電体2-4の軸回動角度は30度であることがわかる。
【0040】
容量検出チップ10は、極板間の容量値を検出するための容量検出回路と、容量値の比から軸回動角度と回動方向を決定するための分析演算回路と、決定した軸回動角度と回動方向を上位マスターに出力するための制御出力回路とを備えていてもよい。
【0041】
本願の実施形態では、第2電極板2-2と第3電極板2-3は同一の平面に位置しているため、第1容量値に対応する板間距離d1(第1電極板2-1と第2電極板2-2との間の距離)と、第2容量値に対応する板間距離d2(第1電極板2-1と第3電極板2-3との間の距離)とは等しく、かつ、両容量値に対応する誘電体2-4は、同一の誘電体である(すなわち、第1容量値と第2容量値に対応する誘電率εが等しい)。よって、第1容量値と第2容量値との比c1/c2=(εS1/4πkd1)/(εS2/4πkd2)=S1/S2。誘電体2-4の第2電極板2-2と第3電極板2-3上への投影は、第1容量値と第2容量値に対応する正対面積である。また、第2電極板2-2および第3電極板2-3における誘電体2-4の投影は、内径および外径がそれぞれ等しい環状セクターであるため、第1容量値と第2容量値に対応する正対面積比S1/S2=[0.5θ1(R2-r2)]/[0.5θ2(R2-r2)]=θ1/θ2。すなわち、第1容量値と第2容量値との比は、第3環状セクターと第4環状セクターとの中心角の比に等しい。従って、第1容量値と第2容量値との比は、誘電体2-4の投影領域の中心角、すなわち誘電体2-4の現在の位置を反映することができる。これにより、本願では、容量検出チップは、容量値の比の変化から、誘電体の位置の変化を決定でき、すなわち誘電体の軸回動角度を決定できる。
【0042】
また、c1/c2=θ1/θ2であることから、第1容量値と第2容量値との比は、電極板間の距離などの要因のいずれもと関係しないことがわかる。したがって、機構部品の熱膨張と冷収縮や構造劣化によって第1平面と第2平面との距離が変化した場合、第1容量値と第2容量値との比は変わらない。したがって、第1容量値と第2容量値との比によって軸回動角度を決定することで、温度変化およびハードウェア構成変化などの要因の影響を回避して、軸回動角度検出の精度を確保することができ、軸回動角度検出装置の信頼性が向上した。
【0043】
さらに、容量検出の電流はマイクロアンペアレベルであるため、容量検出を行うことによる消費電力は低い。従って、本願が提供する容量比を検出することで軸回動角度を決定する技術手段は、関連技術、特に磁石とホールチップを利用して軸回動角度の検出を実現する技術に比べて、消費電力の大幅な低減を実現することができる。
【0044】
本願の別の実施形態は、軸回動角度の検出方法にも関する。
【0045】
幾つかの実施形態では、まず、第1容量値と第2容量値との比を検出する。ここで、第1容量値は、第1電極板と第2電極板との間の容量値であり、第2容量値は、第1電極板と第3電極板との間の容量値であり、第1電極板は、第1平面に位置し、第2電極板および第3電極板は、第1平面と平行な第2平面に位置し、誘電体は、第1平面と平行な第3平面に位置し、第3平面が第1平面と第2平面との間に位置しており、第2電極板は第1環状セクターであり、第3電極板は第2環状セクターであり、第1環状セクターと第2環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じであり、誘電体の回転軸は、第3平面に垂直で第2環状セクターの中心を通る直線であり、誘電体の第2電極板上への投影は、第3環状セクターであり、誘電体の第3電極板上への投影は、第4環状セクターであり、第3環状セクターおよび第4環状セクターの中心は、いずれも第2環状セクターの中心と同じであり、第3環状セクターおよび第4環状セクターの内径および外径は、それぞれ等しい。さらに、検出された第1容量値と第2容量値との比と、前回検出された第1容量値と第2容量値との比の変化に基づいて、誘電体の軸回動角度を決定する。
【0046】
以下、上述した実施例における軸回動角度の検出方法の実現細部について具体的に説明する。以下の内容は、本発明の実現細部を理解しやくするためだけであり、本発明を実施するための必須ではない。具体的なフローは、
図4に示すように、以下のステップを含むことができる。
【0047】
ステップ401では、第1容量値と第2容量値との比を検出する。ここで、第1容量値は、第1電極板と第2電極板との間の容量値であり、第2容量値は、第1電極板と第3電極板との間の容量値であり、第1電極板は、第1平面に位置し、第2電極板および第3電極板は、第1平面と平行な第2平面に位置し、誘電体は、第1平面と平行な第3平面に位置し、第3平面が第1平面と第2平面との間に位置しており、第2電極板は第1環状セクターであり、第3電極板は第2環状セクターであり、第1環状セクターと第2環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じであり、誘電体の回転軸は、第3平面に垂直で第2環状セクターの中心を通る直線であり、誘電体の第2電極板上への投影は、第3環状セクターであり、誘電体の第3電極板上への投影は、第4環状セクターであり、第3環状セクターおよび第4環状セクターの中心は、いずれも第2環状セクターの中心と同じであり、第3環状セクターおよび第4環状セクターの内径および外径は、それぞれ等しい。
【0048】
理解できるように、本ステップに係る第1電極板、第2電極板、第3電極板、及び誘電体などの部分に係る関連技術の詳細は、前記実施形態において詳細に紹介されているため、繰り返しを減らすために、本実施形態においてこれ以上説明しない。
【0049】
ステップ402では、検出された第1容量値と第2容量値との比と、前回検出された第1容量値と第2容量値との比の変化に基づいて、誘電体の軸回動角度を決定する。
【0050】
具体的には、第2電極板と第3電極板は同一の平面に位置しているため、第1容量値に対応する板間距離d1(第1電極板と第2電極板との間の距離)と、第2容量値に対応する板間距離d2(第1電極板と第3電極板との間の距離)とは等しく、かつ、両容量値に対応する誘電体は、同一の誘電体である(すなわち、第1容量値と第2容量値に対応する誘電率εが等しい)。よって、第1容量値と第2容量値との比c1/c2=(εS1/4πkd1)/(εS2/4πkd2)=S1/S2。誘電体の第2電極板と第3電極板上への投影は、第1容量値と第2容量値に対応する正対面積である。また、第2電極板および第3電極板における誘電体の投影は、内径および外径がそれぞれ等しい環状セクターであるため、第1容量値と第2容量値に対応する正対面積比S1/S2=[0.5θ1(R2-r2)]/[0.5θ2(R2-r2)]=θ1/θ2。第1容量値と第2容量値との比は、誘電体が第2電極板と第3電極板上に投影する中心角の比に等しい。すなわち、第1容量値と第2容量値との比を検出するのは、誘電体の投影の中心角の比を検出することである。誘電体が両電極板上に投影する中心角の比は、現在の誘電体の位置を反映することができるので、本ステップでは、容量値の比を検出することで軸回動角度の検出を実現することができる。
【0051】
容量値の比を検出することで軸回動角度の検出を実現することは、様々な実現形態を含み得る。一例では、検出された第1容量値と第2容量値との比と、前回検出された第1容量値と第2容量値との比の変化に基づいて誘電体の軸回動角度を決定することは、予め記憶された比と回動角度との対応関係に基づいて、検出された比に対応する第1回動角度と、前回検出された比に対応する第2回動角度とを取得することと、第1回動角度と第2回動角度との差分値に基づいて、誘電体の軸回動角度を取得することとを含み得る。
【0052】
この例では、比と回動角度との対応関係は、予め記憶されている。具体的には、容量検出チップのフラッシュメモリ等の記憶モジュールに記憶されていてもよい。例えば、
図3に示す軸回動角度検出装置では、比が1のときに回動角度が0度であり、比が3のときに回動角度が30度である。上記の対応関係は、テーブル等の形式で予め記憶されていてもよい。本例では、検出された比により、予め記憶された対応関係に基づいて、比に対応する回動角度を直接取得することができる。さらに、取得した2つの回動角度の差分値に基づいて、誘電体の軸回動角度を直接得る。軸回動角度の検出を容易かつ迅速に実現することができる。
【0053】
誘電体を中心として回転軸上に位置する環状セクターの一例では、検出された第1容量値と第2容量値との比と、前回検出された第1容量値と第2容量値との比の変化に基づいて誘電体の軸回動角度を決定することは、誘電体の中心角、前記第2電極板の中心角、及び第3電極板の中心角に基づいて、検出された比に対応する第1回動角度と、前回検出された比に対応する第2回動角度とを算出することと、第1回動角度と第2回動角度との差分値に基づいて、誘電体の軸回動角度を取得することとを含む。
【0054】
一つのより具体的な例では、誘電体の中心角が180度、第2電極板と第3電極板の中心角が120度であれば、検出された容量値の比が1である場合、第1回動角度が0であることを算出できる。前回検出された容量値の比の値3によれば、第2回動角度は30度と算出できる。したがって、誘電体の軸回動角度は30度であることが分かる。
【0055】
理解できるように、実用上の回動方向の検出要求を満たすために、誘電体の回動方向を検出することもできる。一例では、検出された第1容量値と第2容量値との比と、前回検出された第1容量値と第2容量値との比の変化に基づいて誘電体の軸回動角度を決定した後、検出された第1容量値と第2容量値との比が前回検出された第1容量値と第2容量値との比よりも大きい場合、誘電体の軸回動方向が第1プリセット方向であることを決定することと、検出された第1容量値と第2容量値との比が前回検出された第1容量値と第2容量値との比よりも小さい場合、誘電体の軸回動方向が第2プリセット方向であることを決定することとをさらに含んでもよい。
【0056】
この例では、第1プリセット方向を反時計回り方向とすることができ、これに応じて、第2プリセット方向が時計回り方向である。誘電体の中心角が180度である一例では、前回検出された比が1であれば、今回検出された比は3である。今回検出された比は前回検出された比よりも大きく、誘電体の回動方向が第1プリセット方向、すなわち反時計回り方向であることが分かる。
【0057】
理解できるように、実際の実施時には、第1プリセット方向を時計回り方向、第2プリセット方向を反時計回り方向としてもよい。
【0058】
理解できるように、誘電体の軸回動角度を決定した後、今回検出された第1容量値と第2容量値との比を、前回検出された第1容量値と第2容量値との比として記憶することをさらに含んでもよい。今回検出された容量値の比を記憶して前回検出された比とし、今回検出された比を基準として次回の軸回動角度の検出を容易にする。
【0059】
なお、前記の実施形態に係る技術的詳細及び技術的効果は、本実施形態においても依然として適用されるものであり、繰り返しを減らすために、本実施形態においてこれ以上説明しない。
【0060】
本実施形態では、第2電極板と第3電極板は同一の平面に位置しているため、第1容量値に対応する板間距離d1(第1電極板と第2電極板との間の距離)と、第2容量値に対応する板間距離d2(第1電極板と第3電極板との間の距離)とは等しく、かつ、両容量値に対応する誘電体は、同一の誘電体である(すなわち、第1容量値と第2容量値に対応する誘電率εが等しい)。よって、第1容量値と第2容量値との比c1/c2=(εS1/4πkd1)/(εS2/4πkd2)=S1/S2。誘電体の第2電極板と第3電極板上への投影は、第1容量値と第2容量値に対応する正対面積である。また、第2電極板および第3電極板における誘電体の投影は、内径および外径がそれぞれ等しい環状セクターであるため、第1容量値と第2容量値に対応する正対面積比S1/S2=[0.5θ1(R2-r2)]/[0.5θ2(R2-r2)]=θ1/θ2。つまり、第1容量値と第2容量値との比は、第3環状セクターと第4環状セクターとの中心角の比に等しい。したがって、第1容量値と第2容量値との比は、誘電体の投影領域の中心角、すなわち誘電体の現在の位置を反映することができる。従って、本発明では、容量検出チップは、容量値の比の変化から、誘電体の位置の変化を決定することができ、すなわち誘電体の軸回動角度を決定することができる。
【0061】
また、c1/c2=θ1/θ2であることから、第1容量値と第2容量値との比は、電極板間の距離などの要因のいずれもと関係しないことがわかる。したがって、機構部品の熱膨張と冷収縮や構造劣化によって第1平面と第2平面との距離が変化した場合、第1容量値と第2容量値との比は変わらない。したがって、第1容量値と第2容量値との比によって軸回動角度を決定することで、温度変化およびハードウェア構成変化などの要因の影響を回避して、軸回動角度検出の精度を確保することができ、軸回動角度検出装置の信頼性が向上した。
【0062】
さらに、容量検出を行うことによる消費電力は低いため、本願が提供する容量比を検出することで軸回動角度を決定する技術手段は、関連技術、特に磁石とホールチップを利用して軸回動角度の検出を実現する技術に比べて、消費電力の大幅な低減を実現することができる。
【0063】
本願の一実施形態は、前記の実施形態に記載の軸回動角度検出装置を備えた電子機器に関する。理解できるように、本実施形態に開示されている電子機器は、実際には、折り畳み可能な携帯電話、折り畳み可能なタブレット等の折り畳み可能なスマート機器であってもよいし、サーボモータ等の軸回動角度を検出する必要がある電子機器であってもよい。
【0064】
本実施形態に係る電子機器は、前記の軸回動角度検出装置に含まれる機能モジュール及び前記の有益な効果を備えてあり、繰り返しを減らすために、本実施形態においてこれ以上説明しない。本実施形態において詳述しない技術的詳細は、本願の実施形態に提供される軸回動角度検出装置を参照することができる。
【0065】
上述の実施形態は、本発明を実現し、使用するために当業者に提供されるものであり、当業者は、本願の発明思想を逸脱することなく、上述の実施形態に種々の修正または変更を加えることができる。したがって、本願の保護範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に言及された革新的な特徴の最大範囲に適合すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
容量検出チッ
プ、第1電極
板、第2電極
板、第3電極
板および誘電
体を備え、
前記第1電極
板は第1平面に位置し、前記第2電極
板及び前記第3電極
板は前記第1平面と平行な第2平面に位置し、前記誘電
体は前記第1平面と平行な第3平面に位置し、前記第3平面は前記第1平面と前記第2平面との間に位置し、
前記第2電極
板は第1環状セクターであり、前記第3電極
板は第2環状セクターであり、前記第1環状セクターと前記第2環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じであり、前記誘電
体の回転軸は、前記第3平面に垂直で前記第2環状セクターの中心を通る直線であり、前記誘電
体の前記第2電極
板上への投影は、第3環状セクターであり、前記誘電
体の前記第3電極
板上への投影は、第4環状セクターであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの中心は、いずれも前記第2環状セクターの中心と同じであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの内径および外径は、それぞれ等しく、
前記第1電極
板のピン、前記第2電極
板のピン及び前記第3電極
板のピンは、前記容量検出チッ
プの入力端子にそれぞれ接続され、
前記容量検出チッ
プは、前記第1電極
板と前記第2電極
板との間の容量値である第1容量値と、前記第1電極
板と前記第3電極
板との間の容量値である第2容量値との比を検出し、検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、前記誘電
体の軸回動角度を決定することに用いられる、
ことを特徴とする軸回動角度検出装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
前記第1電極
板は、第5環状セクターであり、
前記第5環状セクターの中心は、前記
誘電体の回転軸上に位置し、前記第5環状セクターの内径は、前記第1環状セクターの内径と同一であり、前記第5環状セクターの外径は、前記第1環状セクターの外径と同一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の軸回動角度検出装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記誘電
体は、第6環状セクターであり、
前記第6環状セクターの中心は、前記
誘電体の回転軸上に位置し、前記第6環状セクターの内径は、前記第1環状セクターの内径と同じであり、前記第6環状セクターの外径は、前記第1環状セクターの外径と同じである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の軸回動角度検出装置。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記容量検出チッ
プは、さらに、検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、前記誘電
体の軸回動
方向を決定することに用いられる、
ことを特徴とする請求項
3に記載の軸回動角度検出装置。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
第1容量値と第2容量値との比を検出することと、
検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて、誘電体の軸回動角度を決定することと、を含み、
ここで、前記第1容量値は、第1電極板と第2電極板との間の容量値であり、前記第2容量値は、前記第1電極板と第3電極板との間の容量値であり、前記第1電極板は、第1平面に位置し、前記第2電極板および前記第3電極板は、前記第1平面と平行な第2平面に位置し、
前記誘電体は、前記第1平面と平行な第3平面に位置し、前記第3平面は前記第1平面と前記第2平面との間に位置し、前記第2電極板は第1環状セクターであり、前記第3電極板は第2環状セクターであり、前記第1環状セクターと前記第2環状セクターは、大きさが等しくかつ中心が同じであり、前記誘電体の回転軸は、前記第3平面に垂直で前記第2環状セクターの中心を通る直線であり、前記誘電体の前記第2電極板上への投影は、第3環状セクターであり、前記誘電体の前記第3電極板上への投影は、第4環状セクターであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの中心は、いずれも前記第2環状セクターの中心と同じであり、前記第3環状セクターおよび前記第4環状セクターの内径および外径は、それぞれ等しい、
ことを特徴とする軸回動角度検出方法。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
前記誘電体
が第6環状セクターでありかつ前記第6環状セクターの中心が前記
誘電体の回転軸上に位置する環状セクターである場合に、前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて誘電体の軸回動角度を決定することは、
前記
第6環状セクターの中心角、前記第2電極板の中心角、及び前記第3電極板の中心角に基づいて、前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比に対応する第1回動角度を算出するとともに、前記の前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比に対応する第2回動角度を算出することと、
前記第1回動角度と前記第2回動角度との差分値に基づいて、前記誘電体の軸回動角度を取得することと、を含む、
ことを特徴とする請求項
5に記載の軸回動角度検出方法。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載の軸回動角度検出装置を備えた
、
ことを特徴とする電子機器。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
前記誘電体が第6環状セクターでありかつ前記第6環状セクターの中心が前記誘電体の回転軸上に位置す
る場合に、前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比と、前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比の変化に基づいて誘電体の軸回動角度を決定することは、
前記第6環状セクターの中心角、前記第2電極板の中心角、及び前記第3電極板の中心角に基づいて、前記の検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比に対応する第1回動角度を算出するとともに、前記の前回検出された前記第1容量値と前記第2容量値との比に対応する第2回動角度を算出することと、
前記第1回動角度と前記第2回動角度との差分値に基づいて、前記誘電体の軸回動角度を取得することと、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の軸回動角度検出方法。
【国際調査報告】