(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-30
(54)【発明の名称】アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤を含む複合組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/351 20060101AFI20241023BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20241023BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20241023BHJP
A61K 31/4245 20060101ALI20241023BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20241023BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241023BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20241023BHJP
【FI】
A61K31/351
A61K31/506
A61K31/4184
A61K31/4245
A61P9/12
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A23L33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525918
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 KR2022016601
(87)【国際公開番号】W WO2023075461
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0144625
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524161128
【氏名又は名称】メディテイク カンパニーリミテッド
【住所又は居所原語表記】Aejiwon 304-ho,1731 Deogyeong-daero,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do 16710 KR
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】池龍夏
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD18
4B018ME04
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA07
4C086BC39
4C086BC62
4C086BC71
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA09
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA22
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4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA06
4C086ZA42
4C086ZC02
4C086ZC41
4C086ZC42
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、高血圧の予防または治療のためのアンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の併用投与に関するものである。本発明によるアンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の併用投与は、アンジオテンシン受容体拮抗薬の単独投与に比べて血圧降圧の効果が顕著に優れているため、高血圧の治療療法または複合体として有用に活用され得る。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)フィマサルタン(fimasartan)、テルミサルタン(telmisartan)、カンデサルタン(candesartan)、アジルサルタン(azilsartan)、オルメサルタン(olmesartan)およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択されるアンジオテンシン受容体拮抗薬と、
(ii)ダパグリフロジン(dapagliflozin)、エンパグリフロジン(empagliflozin)、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択されるSGLT2阻害剤を含む高血圧の予防または治療用薬学組成物。
【請求項2】
前記アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の重量比は、0.5:1~15:1である、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項3】
前記組成物は、経口投与されるものである、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項4】
(i)フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、オルメサルタンおよびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択されるアンジオテンシン受容体拮抗薬を含む第1製剤と、
(ii)ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択されるSGLT2阻害剤を含む第2製剤を含む高血圧の予防または治療用組合せ物。
【請求項5】
前記第1製剤および第2製剤は、同時にまたは異時に投与されるものである、請求項4に記載の組合せ物。
【請求項6】
前記組合せ物は、第1製剤および第2製剤を含む複合製剤である、請求項4に記載の組合せ物。
【請求項7】
SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む、アンジオテンシン受容体拮抗薬の高血圧の予防、治療、改善または血圧降圧補助用薬学組成物。
【請求項8】
前記SGLT2阻害剤は、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択されるものである、請求項7に記載の補助用薬学組成物。
【請求項9】
前記アンジオテンシン受容体拮抗薬は、フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、オルメサルタンおよびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、請求項7に記載の補助用薬学組成物。
【請求項10】
(i)フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、オルメサルタンおよびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、アンジオテンシン受容体拮抗薬と、
(ii)ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、SGLT2阻害剤を含む高血圧の改善または血圧降圧用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高血圧の予防または治療のためのアンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の併用投与に関する。
【背景技術】
【0002】
高血圧は、循環器系の慢性退行性疾患であって、血圧の調節および電解質平衡の調節に重要な役割を果たすレニン-アンジオテンシン系システム(Renin-angiotensin system)の生理学的メカニズムとして説明される。このようなメカニズムは、アンジオテンシン変換酵素(Angiotensin-I converting enzyme:ACE)がデカペプチド(decapeptide)であるアンジオテンシンIからジペプチド(dipeptide、His-Leu)を切断することにより、血管収縮作用を有するアンジオテンシンIIに変換させる役割をする。アンジオテンシン変換酵素により生成されたアンジオテンシンIIの増加は、強力な血圧上昇作用と抗利尿ホルモンであるアルドステロンの分泌を促進し、水とナトリウムの排泄を抑制し、循環血液量を増加させることによって高血圧を引き起こす。また、アンジオテンシン変換酵素は、血管弛緩作用をするブラジキニン(bradykinin)を分解して不活性化させることによって、結果として血圧上昇を誘発する役割をする。
【0003】
高血圧を治療するための血圧降圧剤としては、利尿薬、β-遮断薬、交感神経抑制薬、血管拡張薬、Ca-拮抗薬およびアンジオテンシン受容体拮抗薬などがあり、これらのうち、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB、アンジオテンシンII拮抗薬)は、アンジオテンシンIIが血管壁にあるその受容体に結合することを防止することによって血圧を下させることが知られている。しかし、このような薬物は殆どが、血液粘度を高めるか、電解質不均衡の誘発、糖尿病の誘発、心不全症の悪化、気力減退、腎機能障害などの副作用を引き起こす場合がある。
【0004】
高血圧は、最も一般的な心血管疾患の一つであって、通常血圧が140/90mmHgである場合、高血圧と診断される。近年、高血圧などの成人病患者が急激に増加しており、高血圧により急性心臓疾患または心筋梗塞などを招くおそれがあるため、より効果的な高血圧の治療薬の開発が持続的に求められている。近年、高血圧を治療するために、別のクラスの薬物を用いた複合体が研究されているが、このような複合体は、場合によって二つの薬物間の相互作用を誘発し、所望の効果が減少したり、各薬物の副作用を増加させたりする問題点を招くこともある。したがって、薬物類の選択、投与用量、組み合わせ製剤、投与用法など高血圧の治療のための複合体について開発する必要がある。
【0005】
そこで、本発明者は、ARB系化合物の血圧降圧の効果を上昇させながらも投与用量を減らし、副作用を減少させることができる高血圧治療のための複合体を研究することを意図した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の併用投与による高血圧の予防または治療用途を提供することである。
【0007】
本発明のまた他の目的は、アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の併用投与による血圧降圧の用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明者が鋭意研究した結果、アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤を併用投与した場合、アンジオテンシン受容体拮抗薬の単独投与に比べて血圧降圧の効果が顕著に上昇することを確認し、本発明を完成した。
【0009】
一側面で、本発明は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む高血圧の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0010】
他の側面で、本発明は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む血圧降圧用組成物を提供する。
【0011】
前記組成物において、アンジオテンシン受容体拮抗薬は、フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、オルメサルタンおよびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される1つ以上であってもよく、SGLT2阻害剤は、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上であってもよい。
【0012】
また他の側面で、本発明は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩を含む第1製剤と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む第2製剤を含む高血圧の予防または治療用組合せ物を提供する。
【0013】
前記組合せ物において、第1製剤および第2製剤は、同時にまたは異時に投与することができる。また、前記組合せ物は、第1製剤および第2製剤を含む複合製剤、具体的には、経口投与される複合製剤であってもよい。
【0014】
また他の側面で、本発明は、SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含むアンジオテンシン受容体拮抗薬の高血圧の改善または血圧降圧補助用薬学組成物を提供する。
【0015】
また他の側面で、本発明は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む高血圧の改善または血圧降圧用食品組成物を提供する。
【0016】
また他の側面で、本発明は、治療学的有効量の(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を投与する段階を含む高血圧の予防、治療、改善または血圧降圧の方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるアンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の併用投与は、アンジオテンシン受容体拮抗薬の単独投与に比べて血圧降圧の効果が顕著に優れているため、高血圧の治療療法または複合体として有用に活用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】高血圧のラッドモデルにおいて、アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の投与用量および投与スケジュールを示す図である。
【
図2】アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の投与による高血圧のラッドモデルにおける血圧を測定した結果を示すグラフである。
【
図3】高血圧のラッドモデルにおけるアンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤の投与スケジュールを示す図である。
【
図4】フィマサルタンおよびダパグリフロジンの投与による高血圧のラッドモデルにおける血圧を測定した結果を示すグラフである。
【
図5】テルミサルタンおよびダパグリフロジンの投与による高血圧のラッドモデルにおける血圧を測定した結果を示すグラフである。
【
図6】カンデサルタンおよびダパグリフロジンの投与による高血圧のラッドモデルにおける血圧を測定した結果を示すグラフである。
【
図7】アジルサルタンおよびエンパグリフロジンの投与による高血圧のラッドモデルにおける血圧を測定した結果を示すグラフである。
【
図8】オルメサルタンおよびエンパグリフロジンの投与による高血圧のラッドモデルにおける血圧を測定した結果を示すグラフである。
【
図9】テルミサルタンおよびエンパグリフロジンの投与による高血圧のラッドモデルにおける血圧を測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、添付された図面を参照して本発明の具現例に基づいて本発明を詳細に説明する。ただし、下記の具現例は、本発明に対する例示として提示されるものであって、当業者に周知著名な技術または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明を省略することができ、これによって本発明が限定されるものではない。本発明は、後述する特許請求の範囲の記載から解釈される均等の範疇内であらゆる変形及び応用が可能である。
【0020】
また、本明細書にて使用される用語(terminology)は、本発明の好ましい実施例を適切に表現するために用いられた用語であって、これは使用者、運用者の意図または本発明が属する分野の慣例などによって異なり得る。したがって、本用語に対する定義は、本明細書の全般にわたった内容に基づいて下されるべきである。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とした時、これは特に相反する記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
本発明にて使用される全ての技術用語は、特に断りがない限り、本発明の関連分野における通常の当業者が一般に理解されるのと同じ意味で使用される。また、本明細書には好ましい方法や試料が記載されるが、これと同様または同等のものも本発明の範疇に含まれる。本明細書に参考文献として記載される全ての刊行物の内容は、本発明に導入される。
【0022】
本発明者は、アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤を併用投与した時、アンジオテンシン受容体拮抗薬を単独投与したときに比べて高血圧の治療効果が顕著に改善され、より小さな用量で同様の血圧降圧の効果を示し得ることを確認し、本発明を完成した。
【0023】
そこで、本発明は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む高血圧の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0024】
本発明における用語「アンジオテンシン受容体拮抗薬(angiotensin receptor blocker、ARB)」は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を意味するものであって、具体的には、アンジオテンシンIIがその受容体に結合することを阻害する製剤を指す。前記アンジオテンシンII受容体拮抗薬は、血圧上昇、左心室肥大、血管肥大、アテローム硬化、腎不全、または脳卒中を誘発する因子であるアンジオテンシンIIが細胞膜上のアンジオテンシンII受容体に結合することを阻害することが知られている。
【0025】
前記アンジオテンシン受容体拮抗薬は、バルサルタン(valsartan)、テルミサルタン(telmisartan)、ロサルタン(losartan)、カンデサルタン(candesartan)、エプロサルタン(eprosartan)、オルメサルタン(olmesartan)、イルベサルタン(irbesartan)、アジルサルタン(azilsartan)、またはフィマサルタン(fimasartan)から選択されることができ、具体的には、フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、オルメサルタンおよびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上であってもよい。
【0026】
本発明における用語「SGLT2(Sodium-glucose co-transporter subtype2)阻害剤」は、腎臓の尿細管でSGLT2を抑制し、血液中のブドウ糖を尿中に排泄させ、血糖降下作用を示すなど糖尿病治療に使用することができることが知られている。前記SGLT2阻害剤は、カナグリフロジン(canagliflozin)、ダパグリフロジン(dapagliflozin)、エンパグリフロジン(empagliflozin)、エルツグリフロジン(ertugliflozin)、イプラグリフロジン(ipragliflozin)、ルセオグリフロジン(luseogliflozin)またはトホグリフロジン(tofogliflozin)であってもよい。
【0027】
本発明の一具現例によれば、前記アンジオテンシン受容体拮抗薬は、フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、オルメサルタンおよびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される1つ以上であってもよく、前記SGLT2阻害剤は、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上であってもよい。
【0028】
すなわち、本発明は、(i)フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、オルメサルタンおよびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上のアンジオテンシン受容体拮抗薬と、(ii)ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上のSGLT2阻害剤を含む高血圧の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0029】
本発明における用語、薬学的に許容可能な塩は、患者に対して比較的非毒性でかつ無害な有効作用を有する濃度であって、この塩に起因する副作用が薬理活性成分の有益な効能を低下させない任意のあらゆる有機または無機付加塩を意味する。前記薬学的に許容可能な塩は,薬学的に許容される酸または塩基から誘導された塩を含む。前記薬学的に許容可能な塩の製造に使用し得る酸は、無機酸または有機酸であってもよい。無機酸は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、臭化水素酸などが使用され得、有機酸は、例えば、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、サリチル酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、エンボン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などが用いられ得るが、これらに限定されるものではない。また、アラニン、グリシンなど天然アミノ酸などを用いて製造されたアミノ酸付加塩基も本発明の薬学的に許容可能な塩に含まれることができる。また、前記薬学的に許容可能な塩の製造に使用される塩基は、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどであってもよいが,これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明における薬学組成物において、有効成分の薬学的に許容可能な塩には、有効成分の水和物、溶媒和物も含まれることができる。前記水和物または溶媒和物は、有効成分をメタノール、エタノール、アセトン、1,4-ジオキサンのような水と混ざることができる溶媒に溶かした後、遊離酸または遊離塩基を加えた後に結晶化されるか、または再結晶化されて形成されるものであってもよいが,これらに限定されるものではない。例えば、前記フィマサルタンの薬学的に許容可能な塩は、フィマサルタンカリウム三水和物(fimasartan K3 H2O)であってもよく、ダパグリフロジンの薬学的に許容可能な塩は、ダパグリフロジンプロパンジオール水和物(dapagliflozin propandiol hydrate)であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本発明において、高血圧は、メタボリックシンドロームの一構成要素であって、異常に血圧が上昇している状態を称する疾患であり、当業界で通用されているのと同じ意味を有する。
【0032】
本発明の一実施例によれば、SGLT2阻害剤をアンジオテンシン受容体拮抗薬と共に高血圧のラッドモデルに併用投与した場合、血圧降圧に効果的であり、このことはアンジオテンシン受容体拮抗薬またはSGLT2阻害剤のそれぞれの治療効果に比しても顕著に上昇した効果を示すことが確認された(実施例2~4)。
【0033】
本発明の一具現例では、前記薬学組成物は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩の重量比を治療目的に最適化することによって、高血圧の予防または治療用複合体として有用に活用され得る。好ましい重量比としては、SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩1重量部に対してアンジオテンシン受容体拮抗薬0.05~20重量部、具体的には、0.05重量部、0.1重量部、0.2重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1重量部、1.2重量部、1.5重量部、2重量部、2.2重量部、2.5重量部、3重量部、3.2重量部、3.5重量部、4重量部、4.2重量部、4.5重量部、5重量部、5.5重量部、6重量部、6.5重量部、7重量部、7.5重量部、8重量部、8.5重量部、9重量部、9.5重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、または20重量部であってもよい。高血圧の具体的な治療態様によって、本発明は、前記挙げられた(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩の好ましい重量比中、2つの重量比をそれぞれ下限と上限に設定し、その範囲内の重量比を有する(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む薬学組成物を提供する。
【0034】
本発明の薬学組成物中に含まれる、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬(具体的には、フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、またはオルメサルタン)またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤(具体的には、ダパグリフロジンまたはエンパグリフロジン)またはその薬学的に許容可能な塩の重量比は、0.5:1~15:1、具体的には、0.8:1~12:1、1:1~8:1であってもよい。
【0035】
本発明の一実施例によれば、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)ダパグリフロジンまたはその薬学的に許容可能な塩の重量比は、0.5:1~15:1、具体的には、0.8:1~12:1であってもよい。例えば、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)ダパグリフロジンまたはその薬学的に許容可能な塩の重量比は、フィマサルタン:ダパグリフロジンの重量比として3:1~12:1、テルミサルタン:ダパグリフロジンの重量比として2:1~8:1、またはカンデサルタン:ダパグリフロジンの重量比として0.8:1~3.2:1であってもよい。
【0036】
本発明の他の実施例によれば、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)エンパグリフロジンまたはその薬学的に許容可能な塩の重量比は、0.5:1~10:1、具体的には、1:1~8:1であってもよい。例えば、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)エンパグリフロジンまたはその薬学的に許容可能な塩の重量比は、アジルサルタン:エンパグリフロジンの重量比として2:1~8:1、オルメサルタン:エンパグリフロジンの重量比として1:1~4:1、またはテルミサルタン:エンパグリフロジンの重量比として1:1~8:1であってもよい。
【0037】
また、本発明の薬学組成物は、その中に含まれるSGLT2阻害剤1モル当たりアンジオテンシン受容体拮抗薬0.05モル~20モル、具体的には、0.05モル、0.1モル、0.15モル、0.2モル、0.25モル、0.3モル、0.35モル、0.4モル、0.45モル、0.5モル、0.55モル、0.6モル、0.65モル、0.7モル、0.75モル、0.8モル、0.85モル、0.9モル、0.95モル、1モル、1.2モル、1.5モル、2モル、2.2モル、2.5モル、3モル、3.2モル、3.5モル、4モル、4.5モル、5モル、5.5モル、6モル、6.5モル、7モル、8モル、9モル、10モル、12モル、15モル、または20モルを含むことができる。高血圧の具体的な治療態様によって、本発明の薬学組成物は、前記列挙された好ましいモル比中、2つのモル比をそれぞれ下限と上限に設定し,その範囲内のモル比を有する(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0038】
本発明の一実施例によれば、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)ダパグリフロジンまたはその薬学的に許容可能な塩のモル比は、0.5:1~12:1、具体的には、0.7:1~10:1であってもよい。例えば、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)ダパグリフロジンまたはその薬学的に許容可能な塩のモル比は、フィマサルタン:ダパグリフロジンのモル比として、2.4:1~9.8:1、テルミサルタン:ダパグリフロジンのモル比として、1.6:1~6.4:1、またはカンデサルタン:ダパグリフロジンのモル比として、0.74:1~2.97:1であってもよい。
【0039】
本発明の他の実施例によれば、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)エンパグリフロジンまたはその薬学的に許容可能な塩のモル比は、0.5:1~10:1、具体的には、0.8:1~8:1であってもよい。例えば、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)エンパグリフロジンまたはその薬学的に許容可能な塩のモル比は、アジルサルタン:エンパグリフロジンのモル比として、2:1~7.9:1、オルメサルタン:エンパグリフロジンのモル比として、0.8:1~3.2:1、またはテルミサルタン:エンパグリフロジンのモル比として、0.87:1~7:1であってもよい。
【0040】
本発明の薬学組成物は、治療的有効量で投与し得る。前記治療的有効量は、高血圧の効果的な予防または治療効果を発揮する薬物投与量を意味する。適性な総1日の使用量は、正しい医学的判断の範囲内で処置医によって決定され得る。特定の患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、併用投与される薬物の種類と量,場合によって他の製剤が使用されるか否かをはじめとする具体的組成物、患者の年齢、体重、通常の健康状態、性別および食餌、投与時間、投与経路、治療期間をはじめとする多様な因子と薬学分野に周知の類似要因によって異に適用することが好ましい。
【0041】
本発明における薬学組成物は、経口または非経口投与されてもよく、好ましくは、経口投与される。また、本発明における薬学組成物は、1以上の高血圧の治療薬と併用することができる。
【0042】
本発明における薬学組成物は、投与のために、薬学的に許容可能な担体、賦形剤および/または希釈剤などを含むことができる。前記担体、賦形剤および/または希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、および鉱物油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本発明における薬学組成物は、当業界で周知の方法を使用して薬学的剤形に製造されることができる。剤形の製造において、活性成分を担体と共に混合するまたは希釈するか、容器形態の担体内に封入させることができる。本発明の薬学組成物を経口投与用剤形に製造する場合、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水溶性または油性懸濁液、調製粉末または顆粒、エマルジョン、ハードまたはソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤に製剤化することができる。
【0044】
一側面で、本発明は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩を含む第1製剤と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む第2製剤を含む、高血圧の予防または治療用組合せ物を提供する。
【0045】
本発明における用語「組合せ物」は、剤形のうち、2つ以上の活性物質の組合せ物および治療において互いに明示された間隔で投与される活性物質の個別の剤形の意味での組合せ物を意味する。したがって、用語「組合せ物」とは、本発明に関連して記載される場合、2つ以上の治療学的に有効な化合物の同時-投与の臨床的実現を含む。
【0046】
本発明の組合せ物において、アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩は、フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、またはオルメサルタンであってもよく、SGLT2阻害剤は、ダパグリフロジンまたはエンパグリフロジンであってもよい。例えば、前記組合せ物は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩を含む第1製剤と、(ii)ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、またはこれらの薬学的に許容可能な塩を含む第2製剤を含むことができる。
【0047】
本発明の組合せ物において、第1製剤および/または第2製剤がそれぞれ非経口または経口投与されてもよく、好ましくは、経口投与されることができる。
【0048】
本発明における組合せ物において、第1製剤および第2製剤は、同時にまたは異時に投与されることができる。
【0049】
本発明における組合せ物は、第1製剤および第2製剤を含む複合製剤、具体的には、経口投与される複合製剤であってもよい。
【0050】
一側面で、本発明は、SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含むアンジオテンシン受容体拮抗薬の高血圧の予防、治療、改善または血圧降圧補助用薬学組成物を提供する。
【0051】
本発明における用語「補助用」とは、補助用として投与される薬物単独による予防または治療効果は、相対的に低いが、他の高血圧薬物と併用投与される場合、高血圧の予防または治療効果が顕著に改善される効果を発揮する用途を意味する。
【0052】
前記組成物において、アンジオテンシン受容体拮抗薬は、フィマサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタン、またはオルメサルタンであってもよく、SGLT2阻害剤は、ダパグリフロジンまたはエンパグリフロジンであってもよい。
【0053】
本発明における組成物は、薬学組成物または食品組成物であってもよい。
【0054】
すなわち、一側面において、本発明は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を含む高血圧の改善または血圧降圧用食品組成物を提供する。
【0055】
本発明の組成物を食品組成物として使用する場合、アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤またはこれらの薬学的に許容可能な塩をそのまま添加するか、他の食品または食品成分と共に使用することができ、通常の方法により適切に使用することができる。前記組成物は、有効成分に加えて食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含むことができ、有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)によって適合するように決定されることができる。
【0056】
本発明における食品組成物には、健康機能食品を含むことができる。本発明で使用される用語「健康機能食品」とは、人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて錠剤、カプセル、粉体、顆粒、液状、および丸剤など形態で製造し加工した食品のことをいう。ここで、「機能性」とは、人体の構造及び機能について栄養素を調節したり、生理学的な作用などの保健用途に有用な効果を得ることを意味する。
【0057】
また、本発明の組成物が使用され得る健康食品の種類には制限がない。併せて、本発明のアンジオテンシン受容体拮抗薬および/またはSGLT2阻害剤を活性成分として含む組成物は、当業者の選択に応じて健康機能食品に含有し得る適切なその他の補助成分と公知の添加剤を混合して製造することができる。添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、及びビタミン複合体などがあり、本発明による組成物を主成分として製造した汁、茶、ゼリー、ジュース等に添加して製造することができる。
【0058】
一側面で、本発明は、治療学的有効量の(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩を投与する段階と、を含む高血圧の予防、治療または血圧降圧の方法を提供する。
【0059】
他の側面で、本発明は、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩の高血圧の予防、治療または血圧降圧用途を提供する。
【0060】
また他の側面で、本発明は、高血圧の予防または治療用薬剤の製造において、(i)アンジオテンシン受容体拮抗薬またはその薬学的に許容可能な塩と、(ii)SGLT2阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩の用途を提供する。前記アンジオテンシン受容体拮抗薬、SGLT2阻害剤,塩などは前で説明したとおりである。
【0061】
本発明における全ての組成物、組合せ物、治療方法および用途にて述べれられた事項は、互いに矛盾しない限り、同様に適用される。
【0062】
以下において、実施例を通じて本発明の構成および効果をより詳しく説明する。これらの実施例は、単純に本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されるものではない。
【実施例1】
【0063】
高血圧動物モデルの準備
【0064】
試薬
動物モデルに投与された薬物は、アンジオテンシン受容体拮抗薬として、アジルサルタンメドキソミル、フィマサルタンカリウム三水和物、カンデサルタンシレキセチル、オルメサルタンメドキソミルまたはテルミサルタンを用いており、SGLT2阻害剤として、ダパグリフロジンプロパンジオール水和物またはエンパグリフロジンを用いた。
【0065】
実験動物
ヒトの高血圧患者との相関性が十分に明らかになった疾患動物モデルであるSHR(spontaneously hypertensive rat)を用いた。具体的に、生後5.5週齢の雄SHRをチャールス・リバー(Charles River)社で購入し、適応期間を経た後、実験に供して、実験動物は、温度22±5℃、相対湿度50±10%、並びに明暗周期12時間である飼育室で飼育し、飼料と飲料水は自由摂取させ、実験を行った。
【0066】
試料分析
全てのデータは、平均±S.E.M.(標準誤差)で示し、GraphPad Prism 9(GraphPad Software Inc.、San Diego、CA)を用いて、血圧の測定結果を図式化した。
【実施例2】
【0067】
アンジオテンシン受容体拮抗薬とSGLT2阻害剤の複合用量の探索
15~28週齢のSHR(300~380g)を用いて実験を行い、基礎血圧の測定の結果、収縮期血圧が190mmHg以上であるSHRを実験に用いた。
実験動物を2つの群(群当たり4匹)に分けて、フィマサルタンとダパグリフロジンを単独でまたは複合用量(mg/kg/day)で投与し、血圧の変化を観察しながら、
図1のようなスケジュールで用量を変更しながら投与した。また、薬物投与は、1日1回、同時間に体重g当たりul体積で経口投与した。
計19日間薬物を投与しながら、投与直前(0hr)および投与後、4時間(4hr)の血圧を毎日測定しており、投与終了後、1週間の回復期間中、血圧の回復様相(Recovery)を観察した。具体的には、実験動物を2つの群に分けて、それぞれフィマサルタン(Group 1)、ダパグリフロジン(Group 2)を単独投与した際の血圧反応を評価し、他の薬物を順次用量を増量して追加しながら血圧反応を評価し、その結果を
図2に示した。
【0068】
図2にて確認されるように、ダパグリフロジンの単独投与は、血圧降圧作用が微弱であったが、フィマサルタンと複合して投与したとき、各薬物の血圧降圧の効果を上昇させることが確認された。特に、フィマサルタン3mg/kg/日+ダパグリフロジン3mg/kg/日を併用投与したとき、フィマサルタンの最大用量である10mg/kg/日投与時と同等程度の血圧降圧の作用効果を確認した。
【実施例3】
【0069】
アンジオテンシン受容体拮抗薬とダパグリフロジンの複合投与による血圧降圧の効果の確認
前記実施例2の結果からダパグリフロジンがそれ自体の血圧降圧の効果が大きくないが、フィマサルタンのような高血圧の治療薬と複合投与した時、フィマサルタンの血圧降圧の作用を上昇させることを確認し、ダパグリフロジンを多様なアンジオテンシン受容体拮抗薬と複合投与した場合、血圧に及ぼす影響を比較評価した。
具体的に、前記実施例2と同様の方法を用いて、
図3のようなスケジュールで計14日間実験を行い、各実験群は、次の表1のように構成し、群当たり8~10匹の実験動物を配置した。
【表1】
【0070】
アンジオテンシン受容体拮抗薬として、フィマサルタン、テルミサルタン、およびカンデサルタンを低用量と高用量(低用量x4倍)で区分し,それぞれ単独投与またはダパグリフロジンと複合投与し、各実験群における血圧の測定結果を、次の表2および
図4~6に示した。
【表2】
【0071】
表2および
図4~6にて確認されるように、前記ARB薬物全部、低用量または高用量で単独投与した時に比べてダパグリフロジンと複合投与した時、血圧降圧の効果が上昇し、特に、ARB薬物の低用量とダパグリフロジンを複合投与した場合、ARB薬物の高用量での単独投与群と同等程度の血圧降圧の効果を示した。
【0072】
上記の結果は、アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤であるダパグリフロジンの併用投与が血圧降圧に上昇した効果を示し、高血圧の治療薬であるアンジオテンシン受容体拮抗薬の投与用量を減少させることができるため、本発明における複合組成物は、高血圧の治療薬として有用に活用され得ることを示す。
【実施例4】
【0073】
アンジオテンシン受容体拮抗薬とエンパグリフロジンの複合投与による血圧降圧の効果の確認
SGLT2阻害剤としてエンパグリフロジンを用いて、前記実施例3と同様の方法にて実験を行い、各実験群は、次の表3のように構成し、群当たり8~10匹の実験動物を配置した。
【表3】
【0074】
アンジオテンシン受容体拮抗薬として、フィマサルタン、アジルサルタン、およびオルメサルタンを用量別に区分し,それぞれ単独投与またはエンパグリフロジンと複合投与し、各実験群における血圧の測定結果を、次の表4および
図7~9に示した。
【表4】
【0075】
表4および
図7~9にて確認されるように、前記ARB薬物全部、あらゆる用量で単独投与した群に比べてエンパグリフロジンと複合投与した時、血圧降圧の効果が上昇し、特に、ARB薬物低用量とエンパグリフロジンを複合投与した場合、ARB薬物高用量での単独投与群と同等程度の血圧降圧の効果を示した。
【0076】
上記の結果は、アンジオテンシン受容体拮抗薬およびSGLT2阻害剤であるエンパグリフロジンの併用投与が血圧降圧に上昇した効果を示し、高血圧の治療薬であるアンジオテンシン受容体拮抗薬の投与用量を減少させることができるため、本発明における複合組成物は、高血圧の治療薬として有用に活用され得ることを示す。
【国際調査報告】