(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ビール粕加工物を用いた化粧品組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C12F 3/08 20060101AFI20241023BHJP
A61K 8/9728 20170101ALI20241023BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241023BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241023BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20241023BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20241023BHJP
A61Q 17/00 20060101ALI20241023BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20241023BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20241023BHJP
【FI】
C12F3/08
A61K8/9728
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q7/00
A61Q17/00
A61Q19/02
A61K8/9794
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531413
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 KR2022019001
(87)【国際公開番号】W WO2023096450
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0165220
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0165221
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0165222
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522397868
【氏名又は名称】ラフィク コスメティックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ボムジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジフン
【テーマコード(参考)】
4B128
4C083
【Fターム(参考)】
4B128AC06
4B128AG10
4B128AP18
4B128AP31
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083BB51
4C083BB53
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC23
4C083CC37
4C083CC38
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE12
4C083EE16
4C083EE22
4C083FF01
(57)【要約】
本発明の実施形態による方法は、ビール粕原料を滅菌処理して乾燥及び粉砕処理するステップと、前記粉砕処理されたビール粕原料を粒度条件に従って分類し、後加工処理方式による後加工を行うことにより、ビール粕スクラブ又はビール粕カプセルを事前に造成するステップと、前記ビール粕スクラブ又はビール粕カプセルが含有された化粧品組成物として含有された化粧品製造のための化粧品原料の水相及び油相をそれぞれ別々に計量して準備するステップと、前記水相及び前記油相のそれぞれを湯浴加温した後、前記水相の撹拌及び前記油相の投入による乳化処理を行うステップと、前記乳化処理された組成物の冷却処理を行うステップと、前記事前に造成されたビール粕スクラブ又はビール粕カプセルを投入して撹拌を行うステップと、前記撹拌された組成物の真空脱泡処理を行うステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビール粕原料を滅菌処理するステップと、
前記滅菌処理されたビール粕原料を、事前に定義された乾燥環境に応じて選択的に乾燥処理するステップと、
前記乾燥処理されたビール粕原料を粉砕処理するステップと、
前記粉砕処理されたビール粕原料を粒度条件によって分類するステップと、
前記分類された粒度条件に対応する後加工処理方式を決定するステップと、
前記決定された後加工処理方式に従って、カテゴリー別化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物を製造するステップと、を含む、化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項2】
前記粒度条件は、粉砕サイズ条件に対応し、
前記粉砕サイズ条件は、50メッシュ(mesh)以下条件、50メッシュ(mesh)条件、1000メッシュ(mesh)条件、及び3000メッシュ(mesh)条件のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項3】
前記粉砕サイズ条件によって、前記化粧品組成物の製造カテゴリーが異なることを特徴とする、請求項2に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項4】
前記粉砕サイズ条件が微粉である場合、
前記後加工処理方式は、前記粉砕されたビール粕原料を微粉処理し、前記微粉処理されたビール粕原料とカプセルシードとを混合してグラニュール化処理した後、コーティングしてカプセル化するカプセル化処理を含み、
前記カプセル化処理されたビール粕原料は、前記化粧品組成物の基礎剤形として用いられることを特徴とする、請求項2に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項5】
前記粉砕サイズ条件が3000メッシュである場合、前記化粧品組成物のカテゴリーはボディ用スクラブであり、
前記粉砕サイズ条件が1000メッシュである場合、前記化粧品組成物のカテゴリーはボディ用クレンザーであり、
前記粉砕サイズ条件が50メッシュである場合、前記化粧品組成物のカテゴリーはフェイススクラブであることを特徴とする、請求項2に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項6】
前記後加工処理方式は、前記粉砕されたビール粕原料から熱水抽出及び濾過を行うことにより、ビール粕抽出物を収得する処理を含むことを特徴とする、請求項1に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項7】
前記収得する処理は、
前記粉砕されたビール粕原料を、15%~30%の抽出濃度で蒸留水と混合した熱水抽出用混合物を製造し、前記熱水抽出用混合物からの熱水抽出を処理することにより、前記ビール粕抽出物を収得する処理を含む、請求項6に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項8】
前記化粧品組成物は、
前記粉砕されたビール粕原料が、15%の抽出濃度で蒸留水と混合した熱水抽出用混合物として製造され、
前記熱水抽出用混合物から熱水抽出されたビール粕抽出物が、濃度100ppm又は200ppmの加工濃度に応じて蒸留水と混合加工されたビール粕加工物を有効成分として含むことにより、毛乳頭細胞(Human Hair Dermal Papilla Cells)の発毛又は育毛効果を有するビール粕抽出物含有化粧品として造成される、請求項7に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項9】
前記化粧品組成物は、
前記熱水抽出されたビール粕抽出物が100ppm濃度の加工濃度に応じて蒸留水と混合加工されたビール粕加工物を有効成分として含むことにより、抗菌、美白、抗酸化及びメラニン生成抑制効果を有するビール粕抽出物含有化粧品として製造される、請求項7に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法によって得られたビール粕加工物を有効成分として含む化粧品組成物。
【請求項11】
ビール粕原料を滅菌処理するステップと、
前記滅菌処理されたビール粕原料を乾燥させてビール粕原料粉末に粉砕処理するステップと、
前記粉砕処理されたビール粕原料粉末を、予め設定されたサイズ以下に粉砕してビール粕微粉として得るステップと、
前記ビール粕微粉が含有できる化粧品製造用カプセルポリマーを含むカプセルシードを製造するステップと、
前記カプセルシードと前記ビール粕微粉とを混合してビール粕グラニュールとして得るステップと、
前記ビール粕グラニュールをコーティング処理してカプセル化するカプセル化処理ステップと、
前記カプセル化処理されたビール粕原料を、化粧品組成物の基礎剤形として用いるためのビール粕加工物として得るステップと、を含む、化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項12】
前記化粧品組成物の基礎剤形は、
化粧水、スキン、ローション、クリーム、マッサージクリーム、エッセンス及びマスクパックのうちの少なくとも一つを含む基礎化粧品の基礎剤形として用いられる、請求項11に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項13】
前記粉砕処理するステップは、
乾燥方式による乾燥環境を選択的に造成するステップを含み、
前記乾燥環境は、40℃以上の第1温度で一定時間乾燥させる環境と、凍結乾燥を第1時間行った後に70℃以上の第2温度で前記第1時間より短い第2時間の間乾燥させる環境と、熱風乾燥を一定時間処理する環境のうちのいずれかに選択される、請求項11に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項14】
前記乾燥環境は、化粧品組成物の特性に応じた目標のポリフェノール含有量と目標の抗酸化能によって異なるように決定される、請求項13に記載の化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物の製造方法。
【請求項15】
ビール粕原料を滅菌処理して乾燥及び粉砕処理するステップと、
前記粉砕処理されたビール粕原料を粒度条件に従って分類し、後加工処理方式による後加工を行うことにより、ビール粕スクラブ又はビール粕カプセルを事前に造成するステップと、
前記ビール粕スクラブ又はビール粕カプセルが含有された化粧品組成物として含有された化粧品製造のための化粧品原料の水相及び油相をそれぞれ別々に計量して準備するステップと、
前記水相及び前記油相のそれぞれを湯浴加温した後、前記水相の撹拌及び前記油相の投入による乳化処理を行うステップと、
前記乳化処理された組成物の冷却処理を行うステップと、
前記事前に造成されたビール粕スクラブ又はビール粕カプセルを投入して撹拌を行うステップと、
前記撹拌された組成物の真空脱泡処理を行うステップと、を含む、ビール粕抽出物を含有する化粧品組成物の製造方法。
【請求項16】
前記粒度条件は、粉砕サイズ条件に対応し、
前記粉砕サイズ条件は、50メッシュ(mesh)以下の条件、50メッシュ(mesh)条件、1000メッシュ(mesh)条件、及び3000メッシュ(mesh)条件のうちの少なくとも一つを含む、請求項15に記載のビール粕抽出物を含有する化粧品組成物の製造方法。
【請求項17】
前記粉砕サイズ条件によって、前記化粧品組成物の製造カテゴリーが異なるように製造され、
前記製造カテゴリーは、ボディスクラブ剤、フェイススクラブ剤、クレンザー、頭皮スケーリング製品、ボディウォッシュ、フェイシャルウォッシュ及びシャンプーのうちのいずれかを含む、請求項16に記載のビール粕抽出物を含有する化粧品組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品組成物及びその製造方法に関し、より具体的には、本発明は、ビール粕加工物を用いた化粧品組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人は、紫外線やストレスなどの様々な内外的要因によって各種皮膚トラブルを誘発してシミ、ソバカス、皮膚の色素沈着などの皮膚老化現象を促進する(1. Voegeli, R. 1996. Elastase and tryptase determination on human skin surface. Cosmetic & Toiletries. 111, 51-58.)。皮膚の色素沈着は、メラニン色素が生合成でチロシナーゼ酵素をはじめとしてDHICAオキシダーゼ(TRP-1)などのL-チロシンからDOPA(3,4-dihydroxyphenylalanine)へ、DOPAからDOPAキノンへという初期反応を調節することが知られている(2. Aroca, P., et al. 1993. Melanin biosynthesis patterns of following hormonal stimulation. J. Biol Chem 268, 25650-25655.)。これに基づいて、チロシナーゼ酵素の活性を阻害してメラニン生合成の抑制に影響を及ぼす可能性のある天然物の探索に関する研究が盛んに行われている。その結果、ドクダミ抽出物を用いてチロシナーゼ遺伝子発現抑制効果(3. Chin, J. E., et al. 2005. Effects of Houttuynia cordata extracts on tyrosinase gene expression. J. Korean Soc Food Sci Nutr 34, 1284-1288.)など、天然物を活用した研究が盛んに行われている。その他に、現在知られている抗酸化及び美白原料としては、アルブチン(Arbutin)、コウジ酸(Kojic acid)、アスコルビン酸(Ascorbic acid)などの物質が代表的であり、上白皮、コウゾ、甘草などの植物抽出物が広く知られている。
【0003】
ビール粕(BSG、Brewer’s spent grain)は、ビール醸造過程で発生する副産物の約80~90%を占める。ビール粕は、ビール製造の主原料である二条大麦を発芽させて糖化させ、糖化液を分離した後の副産物であって、大麦粒(barley grain)に麦芽を加えて麦芽汁(wort)を得、これを加工してビールを生産して残った残余物として得ることができる。ビール粕は、基本的に、大麦の外皮(husk)-果皮(pericarp)-種皮(seed coat)の層からなっており、ミネラルやビタミンなどが豊富であり、特に食物繊維及びタンパク質の含有量が高い。
【0004】
このようなビール粕は、低価格に比べて大量の食物繊維及び必須アミノ酸を含有するなどの栄養的な価値が高いため、食品だけでなく、家畜飼料としての利用価値が高い。実際にビール粕を加えた飼料を食べさせた家畜からの牛乳生産量が増えたという報告があり、米糠のみを食べさせた魚に比べて、ビール粕を添加した飼料を食べさせた魚の体重増加量が高いという報告がある。ビール粕は、特に、プロラクチン(prolactin)ホルモンなどの催乳性(lactogenic)成長ホルモンを多量に含有しており、以前から羊と牛の成長、体重増加及び良質の牛乳生産のために使用されてきた。また、食用に関する研究として、ビール粕を用いたパン、フレーク(flakes)、ビスケットなどの製パン産業で商業的な価値が研究されており、実際の食品への利用においては、パンやクッキーにビール粕を添加することにより、以前よりもさらに良い味を示し、臨床実験の結果、体内の脂質及びコレステロールの減少や便秘の改善などの効果を示した。このように、ビール粕は、高食物繊維を提供する食品原料であって、食品以外の他の産業への拡張可能性が十分である。
【0005】
ところが、現在までは、前記ビール粕を家畜の飼料又は食品原料としてのみ使用しているだけであり、これに活用できないビール粕は廃棄されている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ビール粕の豊富な繊維質と有効成分を基に化粧品原料に適合するように加工してアップサイクル(upcycle)することにより、経済的・環境調和的にビール粕全体を活用することができる、ビール粕加工物を用いた化粧品組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の実施形態による方法は、
ビール粕原料を滅菌処理するステップと、前記滅菌されたビール粕原料を乾燥処理するステップと、前記乾燥処理されたビール粕原料を粉砕処理するステップと、前記粉砕されたビール粕原料を粒度条件によって分類するステップと、前記分類された粒度条件に対応する後加工処理方式を決定するステップと、前記決定された後加工処理方式に従って、カテゴリー別化粧品組成物の製造のためのビール粕加工物を製造するステップと、を含む。
【0008】
また、前記粒度条件は、粉砕サイズ条件に対応し、前記粉砕サイズ条件は、50メッシュ(mesh)以下条件、50メッシュ(mesh)条件、1000メッシュ(mesh)条件、及び3000メッシュ(mesh)条件のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0009】
また、前記粉砕サイズ条件が微粉である場合、前記後加工処理方式は、前記粉砕されたビール粕原料を微粉処理し、前記微粉処理されたビール粕原料とカプセルシードとを混合してグラニュール化処理した後、コーティングしてカプセル化するカプセル化処理を含む。
【0010】
また、前記粉砕サイズ条件が3000メッシュである場合、前記化粧品組成物のカテゴリーはボディ用スクラブであり、前記粉砕サイズ条件が1000メッシュである場合、前記化粧品組成物のカテゴリーはボディ用クレンザーであり、前記粉砕サイズ条件が50メッシュである場合、前記化粧品組成物のカテゴリーはフェイススクラブであることを特徴とする。
【0011】
また、前記後加工処理方式は、前記粉砕されたビール粕原料から熱水抽出及び濾過を行うことにより、ビール粕抽出物を得る処理を含むことができる。
【0012】
前記化粧品組成物は、前記ビール粕加工物を有効成分として含むことにより、抗菌、美白、抗酸化及びメラニン生成抑制効果を有するビール粕抽出物含有化粧品に製造される。
【0013】
また、上記に記載されている方法によって得られたビール粕加工物を有効成分として含む化粧品組成物に製造されることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、ビール粕に豊富に含有された繊維質及び有効成分を化粧品産業で最大限に活用することができるように美白効能を有する化粧品原料及びそれを含む化粧品組成物を加工することができる。
【0015】
これにより、本発明の実施形態によれば、ビール粕を既存の用途と共に化粧品組成物として活用することができるため、追加の廃棄物なしにビール粕を100%活用することができるので、経済的かつ環境調和的な美白化粧品製造工程を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態によるビール粕加工物とそれを用いた化粧品組成物及びその製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図2】本発明の実施形態によるビール粕加工物及びそれを用いた化粧品組成物の例示図である。
【
図3】本発明の実施形態によるビール粕加工物及びそれを用いた化粧品組成物の例示図である。
【
図4】本発明の実施形態によるビール粕加工物のカプセル化過程を説明するための図である。
【
図5】カプセル化処理されたビール粕加工物の例示図である。
【
図6】本発明の実施形態によるビール粕加工物のスクラブ及びカプセル含有化粧品組成物の製造方法をより具体的に説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態によるビール粕加工物の抽出物含有化粧品組成物の製造方法をより具体的に説明するためのフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態によるビール粕抽出物含有化粧品の効能を説明するための図である。
【
図9】本発明の実施形態によるビール粕抽出物含有化粧品の効能を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施形態によるビール粕の乾燥加工方式による抽出収率を比較して示す実験データである。
【
図11】本発明の一実施形態によるビール粕抽出物の熱水抽出のための抽出時の抽出濃度と、抽出されたビール粕熱水抽出物加工物の加工濃度による効能実験比較データである。
【
図12】本発明の実施形態によるビール粕抽出物を用いたビール粕加工物の加工濃度別毛乳頭細胞(Human Hair Dermal Papilla Cells)の発毛/育毛関連成長因子に及ぼす影響分析チャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるビール粕加工物とそれを用いた化粧品組成物及びその製造方法をより具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態によるビール粕加工物とそれを用いた化粧品組成物及びその製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0019】
ビール粕は、濾過によって麦芽汁から分離されたすべての固形物を含有し、これは、大麦の麦芽及び付加物の残りを含む。コーングリット(corn grit)が付加物として使用される場合、ビール粕は、主に、大麦の果皮及び外皮部分と、トウモロコシの非デンプン部分とから構成される。ビール粕は、脂質、リグニン、タンパク質、セルロース、ヘミセルロース及び少量の灰分を通常含むリグノセルロース系材料である。本発明の説明及び請求の範囲において、「ビール粕」(BSG)という用語は、本明細書の上記の定義に従って使用されるだろう。
【0020】
また、大麦は、ビール粕の生産に使用される主原料であり、トウモロコシや米などの他の穀物が通常二条大麦と共に使用される。醸造過程中に、これらの穀物のデンプン質胚乳は酵素分解され、発酵性(マルトース、マルトトリオース、及び低い百分率のグルコース)及び非発酵性炭水化物(デキストリン)、タンパク質、ポリペプチド及びアミノ酸が遊離する。これにより、生成された培地(酵母の作用によってビールに発酵される)は、麦芽汁として知られている。不溶性穀物成分(主に穀物の外皮を含む)は、ビール粕(BSG)である。濾過槽(lauter tun)を使用する伝統的な醸造において、BSG成分は、マッシュ(mash)が濾過されて麦芽汁を生成する層を形成するので、重要な役割を果たす。したがって、麦芽の初期ミリングは、適切なフィルターを形成するよう、穀物の外皮が完全に残るようにしなければならない。今日、多数の小規模又は手作り醸造所は依然としてこのようなマッシュ濾過方法を使用するが、多数の大型醸造所はBSGの濾過機能に少なく依存するマッシュフィルターを使用するので、麦芽は、さらに広範囲にミリングされることができる。
【0021】
図1は、このようなビール粕を用いて化粧品組成物を加工する過程を説明するための図であり、
図2及び
図3は、本発明の実施形態によるビール粕加工物及びそれを用いた化粧品組成物の例示図である。
【0022】
まず、
図1を参照すると、ビール粕は、滅菌処理過程を経る(S101)。
【0023】
滅菌過程における滅菌環境は、121℃で0.5~1.0時間であることが好ましい。
【0024】
また、滅菌したビール粕に対する乾燥処理が行われる(S103)。
【0025】
乾燥処理過程における乾燥環境は、50~70℃で2~6時間であることが好ましいが、様々な乾燥方式が応用できる。
【0026】
より具体的には、第1実施形態によれば、前記乾燥環境は、例えば、前記滅菌処理されたビール粕を45℃で24時間乾燥させる方式が例示できる。
【0027】
また、第2実施形態によれば、前記乾燥環境は、例えば22時間凍結乾燥を行った後、75℃で2時間乾燥させる方式が例示できる。
【0028】
また、第3実施形態によれば、前記乾燥環境は、例えば熱風乾燥させる方式が例示できる。
【0029】
その後、乾燥ビール粕は、粉砕処理される(S105)。
【0030】
ここで、粉砕処理されるビール粕は、様々な粒度条件によるメッシュ(mesh)に対応する大きさを有することができる。
【0031】
これにより、粉砕されたビール粕は、その粉砕粒度による分類処理が行われる(S107)。
【0032】
より具体的には、
図2を参照すると、ビール粕の粒度条件は、微粉、50メッシュ、1000メッシュ、3000メッシュなどに区分されることが好ましい。微粉条件は、173μm以下の場合、50メッシュは173~279μmに該当する場合、1000メッシュは279~864μmに該当する場合、及び、3000メッシュは864~1520μmに該当する場合に例示できる。
【0033】
そして、ビール粕は、粒度別分類による後加工処理方式が決定され(S109)、決定された処理方式に対応するそれぞれのカテゴリー別化粧品組成物を製造する(S111)。
【0034】
より具体的には、
図3を参照すると、各粒度条件別メッシュは、互いに異なる処理方式によって互いに異なるカテゴリーの化粧品の製造に用いられ得る。
【0035】
例えば、
図3に示すように、3000メッシュの場合にはボディ用スクラブとして製造でき、1000メッシュの場合にはボディ用クレンザーとして製造され、50メッシュの場合にはフェイススクラブとして製造されることができ、微粉は、ビール粕カプセルに加工されて様々な他の化粧品原料と混合される基礎剤形として製造されることができる。
【0036】
また、後述する様々な実験結果によって確認されたところによれば、加工されるビール粕加工物の加工濃度によってその効能が異なる。これにより、本発明の実施形態による化粧品組成物は、粒度別分類に応じて、後加工されたビール粕の加工濃度を調節することにより、美白、抗酸化、発毛、育毛などの目的に応じたその効果を最適化することができる。
【0037】
図4は、本発明の実施形態によるビール粕加工物のカプセル化過程を説明するための図であり、
図5は、カプセル化処理されたビール粕加工物の例示図である。
【0038】
図4を参照すると、まず、前述したS101及びS103におけるビール粕の滅菌処理、乾燥及び粉砕過程が行われ、その後、粗い粉末が得られると、カプセル化のための微粉粉砕処理を行う(S201)。
【0039】
微粉粉砕処理によって、50メッシュ(mesh)よりも小さい173μm以下のサイズを有する粉末が得られる。
【0040】
その後、カプセル化処理のためのカプセルシード(seed)を製造する(S202)。カプセルシードは、ビール粕微粉が含有できる化粧品製造用カプセルポリマーを含むことができる。
【0041】
次いで、カプセルシードは、ビール粕微粉と混合されてグラニュール化処理される(S203)。
【0042】
そして、グラニュール化処理されたビール粕グラニュールは、コーティング処理によってカプセル化される(S205)。
【0043】
図5は、カプセル化されたビール粕グラニュールを示すものであり、カプセル化されたビール粕グラニュールは、前述したビール粕を用いた化粧品における基礎剤形として活用できる。基礎剤形は、例えば、化粧水、スキン、ローション、クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、マスクパックなどが例示でき、前記カプセル化されたビール粕グラニュールが添加されることにより、ビール粕加工物を用いた基礎化粧品が製造できる。
【0044】
図6は、本発明の実施形態によるビール粕加工物のスクラブ及びカプセル含有化粧品組成物の製造方法をより具体的に説明するためのフローチャートである。
【0045】
図6を参照すると、まず、スクラブ及びカプセル含有化粧品組成物製造のための化粧品原料の水相及び油相をそれぞれ別々に計量して準備する(S301)。
【0046】
その後、前記水相及び前記油相のそれぞれを湯浴加温する(S303)。
【0047】
ここで、湯浴加温は約90℃で行われることが好ましい。
【0048】
また、前記水相の攪拌及び前記油相の投入による乳化処理を行う(S305)。
【0049】
その後、乳化処理された組成物の冷却処理を行う(S307)。
【0050】
ここで、冷却処理は、約50℃以下で行われることが好ましい。
【0051】
また、冷却処理された組成物に対して、
図1又は
図4に示す方法で事前に造成されたビール粕スクラブ又はビール粕カプセルを投入して攪拌を行う(S309)。
【0052】
その後、攪拌された組成物の真空脱泡処理を行う(S311)。
【0053】
上述したスクラブ及びカプセル含有化粧品組成物の製造方法によって製造されるビール粕加工物のスクラブ及びカプセル含有化粧品組成物は、ボディスクラブ剤、フェイススクラブ剤、クレンザー、頭皮スケーリング製品、ボディウォッシュ、フェイシャルウォッシュ、シャンプー等の様々な形態の製品として製造できる。
【0054】
図7は、本発明の実施形態によるビール粕加工物の抽出物含有化粧品組成物の製造方法をより具体的に説明するためのフローチャートである。
【0055】
図7を参照すると、
図1のステップS101~S103が行われ、乾燥したビール粕を粉砕してマッシュ(mash)処理する(S401)。
【0056】
ここで、粉砕処理されたビール粕は、50メッシュ(mesh)の場合が例示でき、これは、約173~279μmのサイズに粉砕されることを示す。
【0057】
そして、マッシュ処理されたビール粕粉末を熱水抽出する(S403)。
【0058】
より具体的には、熱水抽出において、マッシュ処理されたビール粕は、様々な方式で乾燥した状態であり得るが、各状態に応じて事前に設定された重量比、重量対体積比又は濃度比だけ混合して熱水抽出することが好ましい。
【0059】
好ましくは、マッシュ処理されたビール粕10g当たり200mLの蒸留水(D.W.)を混合して、重量対体積比5%の熱水抽出用混合物を製造し、熱水抽出用混合物を70℃の振盪恒温水浴(shaking water bath)環境で、3時間50rpmで抽出する方式によって抽出することにより、後述するビール粕抽出物の効能及び効果を極大化することができる。
【0060】
その後、熱水抽出されたビール粕抽出物の濾過を行う(S405)。
【0061】
前述したような方式で熱水抽出されたビール粕抽出物の抽出液は、定量濾紙で製作されたフィルターペーパー(filter paper)で濾過処理できる。好ましくは、気孔(pore)サイズ20μmのフィルターペーパーが用いられ得る。
【0062】
また、濾過済みのビール粕抽出物は、48時間の凍結乾燥によって、他の化粧品組成物剤形と撹拌混合できる混合物に加工できる。
【0063】
これにより、濾過されたビール粕抽出物を他の化粧品組成物剤形と撹拌混合してビール粕抽出物含有化粧品を製造する(S407)。
【0064】
図8及び
図9は、本発明の実施形態によるビール粕抽出物含有化粧品の効能を説明するための図である。
【0065】
まず、
図8(A)は、本発明の実施形態によって製造されたビール粕加工物の総ポリフェノール含有量を比較したものであり、ビール粕の濃度によって、その含有量が約25~35mgGAE/gであることを確認することができる。
【0066】
また、
図8(B)は、本発明の実施形態によって製造されたビール粕加工物の総フラボノイド含有量を比較したものであり、ビール粕の濃度によって、その含有量が約150~200mgQE/gであることを確認することができる。
【0067】
フラボノイド及びポリフェノール成分は抗菌効果及び美白効果に優れることが知られているが、本発明の実施形態によるビール粕加工物を用いたビール粕抽出物含有化粧品は十分な抗菌及び美白効果を有することを確認することができる。
【0068】
一方、
図8(C)は、本発明の実施形態によって製造されたビール粕加工物の抗酸化能をDPPHアッセイ試験によって比較したものであり、ビール粕の濃度によって、その抗酸化能が次第に増加することを確認することができる。したがって、本発明の実施形態によるビール粕加工物を用いたビール粕抽出物含有化粧品は、その濃度に応じて十分な抗酸化能効果を有することを確認することができる。
【0069】
そして、
図9は、本発明の実施形態によって製造されたビール粕加工物のメラニン生成抑制効能を試験した結果を示す。
【0070】
図9に示すように、メラニン生成細胞であるB16F10細胞においてα-MSHによって増加したメラニンが、下段に例示されたビール粕熱水抽出物加工物によって濃度依存的に減少することを確認することができる。
【0071】
特に、ビール粕抽出物を加工した加工濃度200μg/mLの低濃度においても、ネガティブコントロール(NC、Negative Control)と同等のレベルでメラニン生成が抑制されることを確認することができる。
【0072】
これにより、本発明の例によるビール粕加工物を用いたビール粕抽出物含有化粧品は、優れたメラニン生成抑制効果を有することを確認することができる。
【0073】
一方、
図10は、本発明の実施形態によるビール粕の乾燥加工方式による抽出収率を比較した実験データである。
【0074】
前述したように、ビール粕の場合、乾燥加工方式の環境は互いに異なるので、本実験データは、上述した第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態による各抽出収率と効果を測定して示したものである。
【0075】
より具体的には、第1実施形態の前記乾燥環境は、前記滅菌処理されたビール粕を45℃で24時間乾燥させる方式、第2実施形態の前記乾燥環境は、22時間凍結乾燥を行った後、75℃で2時間乾燥させる方式、第3実施形態の前記乾燥環境は、熱風乾燥させる方式がそれぞれ採用された。
【0076】
そして、3つの乾燥方式それぞれによって乾燥及びマッシュ処理されたビール粕10g当たり蒸留水(D.W.)200mLを混合して、重量対体積比5%の熱水抽出用混合物を製造し、熱水抽出用混合物を70℃の振盪恒温水浴(shaking water bath)の環境で、3時間50rpmで抽出する方式で抽出した。熱水抽出されたビール粕抽出物の抽出液は、定量濾紙で製作されたフィルターペーパー(filter paper)で濾過処理されたので、気孔(pore)サイズ20μmのフィルターペーパーが用いられた。
【0077】
図10に示すように、乾燥環境によるビール粕抽出物の収率は熱風乾燥される第3実施形態で有意に高いことが確認され、これによるポリフェノールの含有量も同一に増加することを確認することができる。ただし、DPPHラジカル消去能(DPPH radical scavening activity)による抗酸化能の場合、第1及び第2実施形態で相対的に高く確認された。
【0078】
これにより、本発明の実施形態によるビール粕抽出物の製造方法は、製造ステップで乾燥方式による乾燥環境を、第1実施形態のように40℃以上の第1温度で一定時間乾燥させる方法と、第2実施形態のように凍結乾燥を第1時間行った後に70℃以上の高温である第2温度で前記第1時間よりも短い第2時間の間乾燥させる方法と、第3実施形態のように熱風乾燥を一定時間処理する方法のうちのいずれかを選択することにより、製造工程を多変化することができる。これによる選択的乾燥方式の調整によって、化粧品組成物の特性に応じた目標のポリフェノール含有量と目標抗酸化能を適切に調節することができ、よって、目標の効能によるビール粕抽出物の収率は乾燥方式の多変化によって最適化することができることが分かる。
【0079】
一方、
図11は、本発明の実施形態によるビール粕抽出物の熱水抽出のための抽出時の抽出濃度と、抽出されたビール粕熱水抽出物加工物の加工濃度による効能実験比較データである。
【0080】
図11を参照すると、ビール粕熱水抽出物の各抽出濃度は5%、15%、30%に設定し、各抽出濃度による加工濃度の重量対体積比は25、50、100、200、400、800μg/mLに設定して実験した。溶媒は蒸留水(D.W.)が用いられたので、一般に蒸留水の比重を1と仮定すると、各加工濃度は、組成物の総重量を基準とする25、50、100、200、400、800ppm(parts per million)の濃度で表すことができる。
【0081】
まず、
図11(A)及び
図11(B)は、細胞安全性試験のためのものであり、ビール粕熱水抽出物の抽出濃度が5%の場合に、各加工濃度別の人体影響を測定するためのHaCaT(Human、Adult、low Calcium、High Temperature)細胞と、メラニンを測定するためのB16F10細胞に対する細胞生存度分析によるMTTアッセイチャートを示す。
【0082】
図11(A)及び
図11(B)に示すように、HaCaT細胞相対的細胞生存度(relative cell viability)は、100ppm、すなわち100μg/mLのケースで最も高く現れ、B16F10細胞の場合、濃度が高いほど細胞生存度も高く現れる濃度依存性を確認することができる。
【0083】
そして、
図11(C)は、ビール粕熱水抽出物の熱水抽出濃度がそれぞれ5%、15%、30%の場合に、各加工濃度別のDPPHラジカル消去能力測定結果を示し、
図11(D)は、同じケース別に測定されたポリフェノール含有量の測定結果を示す。
図11(C)における、対照される標準溶液のアスコルビン酸濃度(Ascorbic acid concentration)は1mg/mLであり、
図11(D)の実験で対照される標準溶液は没食子酸(Gallic acid)が使用された。
【0084】
一方、
図11(C)及び
図11(D)を参照すると、各抽出濃度別加工濃度は、100μg/mL、すなわち100ppmの濃度に加工するケースが最も高いポリフェノール含有量を示しながらも、高いDPPHラジカル阻害能力を示すことが確認された。また、熱水抽出時の抽出濃度別に分類すると、15%の場合が最も高いポリフェノール含有量を示しながらも、高いDPPHラジカル阻害能力を示すことが確認されたとともに、その次に30%、5%ケースの順と確認された。
【0085】
したがって、目標とする効能及び効果に応じて、ポリフェノール含有量とメラニン分泌量抑制効果を極大化する場合、本発明の実施形態によるビール粕熱水抽出時の抽出濃度は15%と設定し、組成物の加工濃度は100μg/mLに設定して混合することが最も好ましいことが確認された。
【0086】
一方、
図12は、本発明の実施形態によるビール粕抽出物を用いたビール粕加工物の加工濃度別毛乳頭細胞(Human Hair Dermal Papilla Cells)の発毛/育毛関連成長因子に及ぼす影響分析チャートを示す。
【0087】
図12を参照すると、本実験に活用された細胞は、毛乳頭細胞(Human Hair Dermal Papilla Cells)であり、各ビール粕抽出物を用いたビール粕加工物の加工濃度別成長因子のmRNA発現量をqPCT方式で測定した。バイオマーカーは、VEGF(Human hair dermal papilla cellsの細胞増殖に関与)、Wnt7b(Hair Follicle Stem Cellの恒常性とHair growth cyclingに関与)、FGF7(Human hair dermal papilla cellsの細胞増殖に関与)の3つの指標が用いられた。このような効能分析方法については、2018年の論文『Effect of Cinnamomum osmophloeum Kanehira Leaf Aqueous Extract on Dermal Papilla Cell Proliferation and Hair Growth(Cell Transplant. 2018 Feb;27(2):256-263, Tung-Chou Wen et al)』を参照することができる。
【0088】
まず、
図12(A)、(B)、(C)は、HDPC(Human Hair Dermal Papilla Cells、毛乳頭細胞)に対して、細胞濃度2×10
5cells/mLに、抽出濃度15%に従って熱水抽出されたビール粕加工物を反応させた結果を測定したものであり、24時間のスタベーション(starvation)と24時間の準備時間(prep time)がかかり、各加工濃度に応じて確認されたバイオマーカー数値を示す。さらに、ポジティブコントロール(positive control)として、既知のミノキシジル(Minoxidil、MXD)の毛包乳頭細胞(dermal papilla cell、DPC)に最も高い効果を示すことが知られている209.25ng/mL(1μM)の濃度による対照結果が活用された。
【0089】
図12(A)を参照すると、VEGFの発現量は、加工濃度100μg/mLで、他の濃度に比べて有意な増加があることを確認することができる。この場合、コントロール(Control)に比べて5倍の効果があり、ポジティブコントロール(positive control)に比べて約1.5倍の有意な増加効果があることを確認することができる。
【0090】
また、
図12(B)を参照すると、Wnt7bの発現量も、加工濃度100μg/mLで、他の濃度に比べて有意な増加があることを確認することができる。この場合、コントロール(Control)に比べて13.4倍の効果があり、ポジティブコントロール(positive control)に比べて約5.4倍の有意な増加効果があることを確認することができる。
【0091】
そして、
図12(C)を参照すると、FGF7の発現量も、加工濃度100μg/mLで、他の濃度に比べて有意な増加があることを確認することができる。この場合、コントロール(Control)に比べて7倍の効果があり、ポジティブコントロール(positive control)に比べて約1.2倍の有意な増加効果があることを確認することができる。
【0092】
また、
図12(D)、(E)、(F)は、異なる日に実験されたHDPC(Human Hair Dermal Papilla Cells、毛乳頭細胞)に対するものであり、細胞濃度3×10
5cells/dishに、抽出濃度15%に従って熱水抽出されたビール粕加工物を反応させた結果を測定したものであり、24時間のスタベーション(starvation)が必要であり、各加工濃度に応じて確認されたバイオマーカー数値を示す。同様に、ポジティブコントロールとして、既知のミノキシジル(Minoxidil、MXD)の毛包乳頭細胞(dermal papilla cell、DPC)に最も高い効果を示すことが知られている209.25ng/mL(1μM)の濃度による対照結果が活用された。
【0093】
図12(D)を参照すると、VEGFの発現量は、加工濃度200μg/mLで、他の濃度に比べて有意な増加があることを確認することができる。この場合、コントロール(Control)に比べて約11倍の効果があり、ポジティブコントロール(positive control)とは非常に大きな差が発生したことを確認することができる。
【0094】
また、
図12(E)を参照すると、Wnt7bの発現量も、加工濃度200μg/mLで、他の濃度に比べて有意な増加があることを確認することができる。この場合、コントロール(Control)に比べて5倍の効果があり、ポジティブコントロール(positive control)とも非常に大きな差が発生したことを確認することができる。
【0095】
また、
図12(F)を参照すると、FGF7の発現量も、加工濃度200μg/mLで、他の濃度に比べて有意な増加があることを確認することができる。この場合、コントロール(Control)に比べて3倍の効果があり、ポジティブコントロール(positive control)とも非常に大きな差が発生したことを確認することができる。
【0096】
このような実験結果を参照すると、熱水抽出の抽出濃度15%のビール粕加工物の場合、その加工濃度100μg/mL~200μg/mLで最も高い毛乳頭細胞の足首/育毛関連効能が発現されたことを確認することができる。
【0097】
以上、本発明による具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変形が可能であることは言うまでもない。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。
【0098】
以上、本発明は、たとえ限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、これは、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正及び変形が可能である。よって、本発明の思想は下記の特許請求の範囲によってのみ把握されるべきであり、その均等又は等価的変形も本発明の思想の範囲に属するというべきである。
【国際調査報告】